予算委員会第二分科会 第3号
- 発言数
- 132 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/04/12
会議録
○主査(近藤英一郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、須藤五郎君及び森中守義君が委員を辞任され、その補欠として春日正一君及び田中寿美子君が委員に選任されました。 —————————————
○主査(近藤英一郎君) 昭和四十三年度総予算中経済企画庁所管を議題といたします。昨日の会議と同様政府の説明は省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(近藤英一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○木村禧八郎君 まず、海外経済協力基金につきまして質問いたします。今度基金法の改正が予定されていますが、なぜこの法律改正をする必要があるのか、まずこの点から伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来海外経済協力をやってまいったわけでございますけれども、協力を受けるほうの国によりましては、いわゆる長期のプロジェクトを受け入れる態勢になっておるところもございますし、中には必ずしもそういう長期な仕事にすぐ取りかかれずに、当面消費物資、いわゆる商品を非常に必要としておるような国もあるのが実情であったと思います。しかし、従来のたてまえでまいりますと、低い金利でそれらの資金を貸して経済協力をするということが、法律のたてまえ上できないことになっておりましたので、今回法律案の改正を御提案いたしまして、御可決をいただけば、それによってそういう道を今後に向かって開いていこう、そういうことが主たる目的でございます。
○木村禧八郎君 海外経済協力、これは基金法ですね。この目的は、いまお話がありましたようにプロジェクト、そういうものの開発の援助というものが主なんでしょう。それで、ただいまのお話ですと、いわゆるソフトローンというんですか、を、具体的にはインドネシアに対して四十二年度にソフトローンを援助しようとしたんですけれども、輸出入銀行ではそれはできないですね。そこで御承知のように一千万ドル援助という形で、ギフトですか、贈与という形ですね、贈与という形で金利を安くしたのでしょう。技術的にはソフトローンと同じような形でやったんですけれども、しかしソフトローンという形はとれないから、贈与という形で一千万ドル分を無償援助して、実態はソフトローンみたいにしたわけですね。輸出入銀行ではソフトローンができない。ところが実態はインドネシアのいま要求しているのは、プロジェクトとか、そういうものではなく、あるいはまた輸出入銀行のほうで融資の対象になるような、たとえばプラント輸出とか、技術開発とか、そういうものでもないのですね。現実にいま非常にインフレになって、消費財の援助をほしいということなんですね。そうじゃないんですか、現実には。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの法律案の改正を御提案申し上げておりますのは、従来の第一条の「産業開発に寄与するため」というところを、ただいま御指摘のように、商品援助をしたいということでございますが、インドネシアだけを頭に置いてやっておるわけではございません。将来に向かってそういう道を、昨年の経験にもかんがみて、開いておこうというのでございます。当面インドネシアの問題がございますことは事実でございます。そこで先般、インドネシアの大統領その他の人が参りましたときに、私も事情を聞いてみたわけでございますが、確かに御指摘のように、現実に消費物資が非常に不足をしておるので、それをほしい、それを必要としておる経済の実情らしく思われます。また同時に、よく聞いてみますと、それらのものを輸入するわけでございますから、輸入権と申しますか、そういうようなものを売ることによって、ちょっと見返り資金のような考え方じゃないかと思いますが、そういう財政収入を得て、それをプロジェクトに回していくと、こういう考え方をしておるように、この間私聞いたわけでございます。
○木村禧八郎君 たてまえからいきますと、海外経済協力基金法というんですか、法律は。その第一条をいまお読みになりましたが、その目的から言うと、これはプロジェクトと海外開発が主なんでしょう。それに商品の援助というのはおかしいと思うのですよ。むしろ輸出入銀行のほうがこれを担当するのが適当じゃないかと思うのですね、むしろ。ところが輸出入銀行はソフトローンができない。ソフトローンができない原因はどこにあるかといえば——輸出入銀行はまた実際やっていたと思うのですよ、部分的には。本来はプラント輸出とか、技術であるとかですが、「等」というのがあって、「等」の中にいわゆる消費財も含まれるということでやっておったと思うのです。ですから本来の機関の目的からいうと、むしろ輸出入銀行がやるべきじゃないかと思うのです。ところがソフトローンが輸出入銀行はできないですね、資金関係から言って。そこで海外経済協力基金のほうでやると言うんでしょう、資金関係からいって。そうなんですよ、資金関係からそうなんですね。ところが海外経済協力基金のほうは、政府から、一般会計から出資があるでしょう。そうすると金利のつかない金があるから、安い金利で貸せるというわけでしょう。ソフトローンができる。だからそこのところは、ぼくは資金関係のほうと金利関係とそれから機関としての役割り、目的との間に、どうもそごがあると思うのです。そごというか、適当でない面があると思う。本来なら輸出入銀行がやるべきものを、ただ資金関係から、輸出入銀行はソフトローンを扱えないから、もっと輸出入銀行のほうへ出資をふやせば、金利がつかない金を輸出入銀行のほうにふやせば、ソフトローンだってできないことはないんじゃないですか。そこで、私ソフトローンについてもう少し伺いたいのですが、ソフトローンというのは金利だけの問題なんですかね。ソフトローンというのは、われわれがいままで理解していた範囲は、いわゆる交換性のない通貨で返済できる貸し付け、交換性のない、そういうのをソフトローンと言うのじゃないですか。発展途上国に貸し付ける場合、アジ銀なんかでもそういうソフトローンのあれがありまして、それは単に金利が安いというだけじゃなくて、いわゆる交換性のない通貨でも返済できるという条件で貸し付ける、それをソフトローンと言うのじゃないですか。そうなると、第二世銀で御承知のようにあまりソフトローンが出てくると、世銀の今度融資分が減ってくるというので、あれは問題になったのでしょう。ですからそういう意味のソフトローンなのかどうか、その点をひとつ。
○政府委員(赤澤璋一君) ただいまの前段のほうの問題でございますが、御承知のように輸出入銀行法では、輸出入銀行は貿易を主とする経済の交流を促進するために、市中金融機関が行なうところの輸出入あるいは海外の投資金融を、補完、奨励するというたてまえになっております。海外経済協力基金のほうは、海外経済協力を促進するために、輸銀及び市中金融機関から融資を受けがたいものについて、東南アジア等の地域の産業の開発に必要な資金を貸し付ける、こういうのが現行法でございます。そこで、三十六年にこの経済協力基金というものができたわけでございますが、その当時の考え方では、経済協力基金というものは、やはり開発途上国において一番重要なことは産業の開発だ、これがやはり経済基盤を強化して、ひいてはその国の経済を発展させていくものだ、こういう考え方のもとに、産業の開発ということを中心に置いて基金というのはできたわけです。ところがそれ以外に、じゃどういう海外経済協力のしかたがあるかといえば、いま問題になっておりますような、いわゆる物資援助、あるいは商品援助というものも、やはり必要であったわけでございまして、従来からもそういう要望があって、インドでありますとかパキスタンでありますとか、その他からも要望がございまして、実施をしておりました。その段階では、いわば輸出入銀行は、いま申し上げましたように、輸出入金融の補完機関であるというたてまえではございますが、同時に、輸出入を伴ういわゆる商品の貿易でございますから、そういった面から、いわば輸銀を使ってこれをやっても、輸出入銀行法のたてまえからいってもおかしくないということから輸銀を使っている。今回基金法を改正いたしまして、その中で基金もそれがやれるというたてまえにしようといっておりますのは、基金というものは当該発展途上国の経済の開発、安定、向上、こういったことを本来目的にしている。それを援助する機関だというのが性格的にございますから、そこが従来は産業開発ということを中心にした資金供与であったわけでありますけれども、さらにそれを広げて、いままで輸銀がやっておりましたものを、性格的には輸銀のものはある面から見れば貿易であるけれども、ある意味からいえば援助である、両面持っておりました。したがって、本来こういった経済発展途上国の経済の安定あるいはその産業の開発を目的とするための援助機関でありまするから、そこにこういった従来輸銀が持っておったような、一面性格的に考えられるようなものを持ち込んできても、基金としての性格を大きく変更するものではない。基金というものは本来そういうものだというたてまえから、今回基金法の中にそういういわゆる商品援助というものができるような規定を置いていただく、そして基金の活動というものをもっと多角的にしていくということがよろしいのじゃなかろうか、こういうふうに考えてきたわけでございます。 それから第二点のソフトローンという問題でございまするが、これはいろんな定義といいますか、定まったものはございませんので、何ともお答えいたしようがございませんが、先生のおっしゃるような意味のソフトローンという使い方もあろうと思います。一応いまここで問題にしておりますソフトローンといいますのは、やはりDACあるいは今回のUNCTADでもいわれておりますように、きわめて長期であり、そしてきわめて低利である、つまり融資条件というものが非常にソフトであるというものを概括してソフトローンというふうにいっているように考えております。
○木村禧八郎君 いまのこれは第二世銀でソフトローンが問題になりました。いわゆるIDAでね。これを行なえば行なうほど世銀の自由に使える金交換性通貨は減っていく、ここに借款方式については問題があると、こういうことが指摘されているんですね。ですから、そういうことが将来問題にならぬのかどうかですね。いまの場合、そういうことが前提になっていないのですか。日本の場合は、長期でただ低利ということだけですか。ソフトローンということは、きのうぼくは聞いたものですから、別にこだわるわけじゃないんです。そういうことばを使わなくても別にいいというならいいんですけれどもね。きのう輸出入銀行について大蔵省関係で聞いたとき、そのソフトローンはできないんだと、輸銀で。輸出入銀行でできないから今度海外協力基金のほうでやるんだと、こういうふうに言われたものだから、そこで今度改正の趣旨が、ソフトローンができるように改正するというように聞いたものですから、そこでソフトローンというのは一体どういうのか、いま伺っているんです。あとでソフトローンについては問題にならないんですかどうか。いま第二世銀で問題になっているようなことが起こってこないのかどうかということなんですよ。起こってこなきゃ別に差しつかえないと思うんですけれどもね。その限りではどうなんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もソフトローンというようなことばにはいろいろな定義があると思いますが、おそらくきのう輸銀について御説明を申し上げた意味は、先ほど調整局長が申し上げましたように、長期、低利ということで申し上げたのだと思います。確かにそれならば輸銀はやりにくいわけでございます。それからもう一つソフトローンということばの中に、返済をハードカレンシーでしなくても、ソフトカレンシーでしてもいいという、そういうふうなことが世銀なんかで言っていることだと思いますが、わが国の、いまここで申し上げております協力基金からのものは、もちろんハードカレンシーで返してもらうということは、どう申しますか、まあ円で返してもらうということでございますから、わが国の外貨準備そのものとすぐに関係があるということではなかろう。ただ、ずっと問題をしいて考えて、少し先まで考えてきますと、本来、輸出して得べかりし代金を、すぐに利用し得べかりしものを、相当長いクレジットで出すということでございますから、そういう意味では、輸出と競合すると申しますか、そういう要素はそれはあろうかと思います。それは経済協力にはみんなそういう要素が私はあると思います。
○木村禧八郎君 要するに円で返してもらうということですね。向こうの現地通貨じゃない。そうしたら、第二世銀で問題になっているような意味でのソフトローンとはそれは違うんですね。それはわかりました、それで。 そこで、実際問題としてインドネシアに対するいま援助が問題になっているのですが、それは昨年の十一月にアムステルダムで開かれたインドネシアの債権国会議におきまして、ことしのインドネシア援助を総額三億二千五百万ドルということを了承して、それに基づいてその一員として援助するということなんでしょう。それはそうなんですか、どうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) コンソーシアムの一員として援助をするということでございます。
○木村禧八郎君 その債権国会議の援助の目的は、現在インドネシアで進行中の経済安定計画と、来年から実施することになっている経済再建計画、これを軌道に乗せるということが、そういうことが条件になっているのではないかと思うのです。そうじゃないですか。
○政府委員(赤澤璋一君) おっしゃるとおりでございます。
○木村禧八郎君 そうしますと、当面の消費物資に対する援助というものは、この目的と反するのではないですか。そして消費物資に対してソフトローンで低利、長期で貸すということは、どうも筋が通らないように思うのですが、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点でございますが、せんだっても話を聞いておりますと、とりあえずルピアの安定というものが必要である。そのためには食糧をはじめいろいろの消費物資が要るということ、これはわかるわけでございます。通貨の非常なインフレーションが進行しておっては、経済安定も経済開発もできないであろうということは容易に想像ができることでございますから、まずそのために必要な消費物資を送ってやると、それが援助になるということは理があるだろうという判断ができるわけでございます。 それからもう一つ、先ほどちょっと申し上げかけましたように、その輸入物資が、売却代金というよりは、むしろ輸入権であると思いますが、それを政府が歳入にして、そして別途区分をして、歳出でプロジェクトをやっていくと、こういう考えのようでございますので、これはそのとおりきちんと行なわれますれば、同時にプロジェクトをインドネシアが進めていくのに助けになる。そういう要素はあると思いますので、両方の点から、これは経済協力として、まず性格としては私は適当なものである。こういう感じを持っております。
○木村禧八郎君 なるほど先ほど長官言われましたように、一種の見返り資金みたいな性格で、日本から消費物資を輸入して、そのファイナンスを受けると、それを今度は売って建設資金に充てると、しかし、それがそのとおりに行なわれるかどうかにつきましては、これまでの経過からいって、それからいまインドネシアの現状からいって、そこが非常に不確定だと思うのです。そこで社会党としましては、ほんとうに民生安定に役立つ援助ならば何も反対するわけではない。前からそういうふうな方針をとっておりますし。ところが、それがそうでないように使われることが問題でありますから、それから非常にソフトローンで低利、長期の場合、日本の中小零細業者は金融引き締めで倒産をどんどんしていると、しかも、高い金利でお金を借りているのに、その日本の中小零細業者が困っているのに、そっちのほうを十分にめんどうを見ないで、インドネシアのほうに非常にソフトローンで貸すということについては割り切れないと、そういう議論もあるわけです。そこで、ほんとうに貸し付けが、ソフトローンが見返り資金となって民生安定に役立ち、経済計画達成に役立つのかどうかを、何か保証するような、あるいは監視と言っては変かもしれませんが、そういうものを債権国会議でか、あるいは何かで、監視と言っては語弊があるかもしれませんが、そうしておかないと、ただ向こうだけにまかしておいたら、過去の経過からいって、ほんとうに達成できるのかどうか。何かその保証を取りつけるようなことが必要じゃないかと思うのですが、その点どうでしょうかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段のほうのまず問題でございますが、実はせんだって大統領以下関係者がこられましたときに、私自身も木村委員の言われますようなことにならないように、老婆心までにという前置きをして、これもまあ日本も経験のあることなので、決して内政干渉というつもりではありませんがと言って、先方にお伝えしたわけでございますが、それは一つは、その輸入権を売りますときにどういう換算率で売るかという問題が一つあるであろう。それはやはり適正な換算率——ルピアとの換算率でございますが、これを一つ考えるということが大事だろう。それから、そうして入った歳入をきちんと別途区分するということをやってもらわないと、どんぶり勘定ですと、その金がどこにいってしまうかわからない。むしろインフレを激化するおそれすらあるのじゃないかということ。それからこの輸入権の買い方にしましても、一時に非常にまとめるとかなんとかいうことでなくて、ある程度計画的に——輸入権の売り方でございますが——やる必要があるのじゃないか。これは考え方としては、きちんとやれば私は悪いことではないと思うし、わが国でもある段階からはそれが成功をした。しかし、くれぐれもそういう御配慮が必要だと思うということを実は申しました。それに対して、私も今回の交渉全部知っておるわけでは実はございませんが、日本側が言っておることもよくわかるので、この実行については何かお互いに相談し合うような仕組みを考えてもいいという意思表示があったように聞いております。正式なものではないかもしれませんが。と申しますのは、こちらも正式の答えができなかったものでございますから。及びIMFが当然指導しておるものでございますので、それらの両方から、ただいま御指摘のような心配が起こらないように、まあ先方のためによかれかしというように、いいように運営されることは——内政干渉になってはいけないわけですが——当然考えていくべきだろう。それが相手に対する親切だというふうに思っております。 それから後段の問題、国内の金利との関係でございますけれども、これはDACなどではいつでもやはりそういう問題になりますので、わが国のコンソーシアムあるいはDACのメンバーとしては、一応この国際水準の援助をしていかなければならない。これは金利にしても借款の期間にしてもさようでございますが、ところがそれは非常に国内と格差がございますものですから、外国並みにするということはなかなかやはり国民感情としてもときとしてつらいことがあったわけでございます。しかしDACなどでは、しょっちゅう日本の援助はこれはDACで定めておる条件よりも辛くてまだまだだということをよく言われるわけでございますが、まあ私どもとしましては、やはり戦争をしない、必要以上の防衛力は持たない、最少限にするということから申しますと、憲法の定めている理想からいっても、発展途上国が繁栄をして、そして世界全体に戦争の危険が少なくなっていくというのは、やはりわが国の政治の基本の目的であると思いますので、国内でどうして外国ばっかりという国民感情があることはこれはよく承知しておりますが、一定の限度では、やはりそういうことも諸外国並みにやっていくということもまた必要なのではないか。まあ両方のバランスをとって進めていくという考え方で今日まできておるつもりでございます。
○羽生三七君 ちょっと関連して。 いまの木村委員の質問への御答弁では、海外経済協力基金法を出すのは、必ずしもインドネシアだけを対象とするわけではないというお話がありましたが、それはそうでしょうが、直接の契機はインドネシアに関連するのではないかとも思われるわけですね。そこで実際に、援助を六千万ドル以上幾らにするかということについては、債権国会議との関連もあるでしょうから、これはいますぐ幾らということはないでしょうが、大体これは大蔵省あるいは外務省の主管になるかと思うけれども、経済企画庁としては、もし六千万ドルがふえるとすればどの程度をお考えになっておるか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは今年度の予算では、一応六千万ドルということで考えております。で、このたび法改正を考えました直接の動機は、確かに先ほど木村委員も言われましたように、昨年五千万ドル、グラントを出すというようなあまり自然でないことをせざるを得なかったという点が直接の動機であることは事実でございます。それで、せんだってインドネシアからミッションが見えましたときに、先方はやはり三億二千五百万ドルの話を、三分の一ということをしきりに言っておったわけでございます。おそらく外務当局としては、できるだけ外交上の考慮もありまして、それに歩み寄りたいと考えておったわけでありましょうし、財政当局は、予算の計上がこんなことでございますから、なかなかそれだけのものは出せないということで、結局結論を得ずに大統領以下帰られたわけでございます。私ども何でもかんでも六千万ドル、これ以上はどうにもならないということは、場合によっては貫けないかもしれない。協力基金にも多少の余裕はないわけではございません。ほかのプロジェクト、一応積算の根拠はございますが、それがそのまま実現するとも限りませんので、何がしかの余裕はあると思いますが、なかなかインドネシアの言っているとおりにもまいらない。かりにたとえば千万ドルであるとか、あるいは二千万ドルであるとかいうようなことならば、絶対できないということは、それは申せないかもしれません。なかなか向こうの言うようにはまいらない。これから交渉にもなりますので、しっかりしたことは申し上げにくうございますが、そんな感じでございます。
○木村禧八郎君 いま羽生委員が質問したことに関連して、どうも国会がいま開会中であるので、政府が非常にことばを濁しておりますが、これは非常に無責任じゃないかと思うのです。と申しますのは、昨年の十月に、佐藤総理がインドネシアを訪問しましたね。そのとき債権国会議で援助総額がきまれば、従来の経過から見て三分の一程度を分担することになろう、ジャカルタでの内外記者会見でこう断言しているのですよ。新聞に載っているのですよ。ですからインドネシアが、スハルト大統領が日本に来て執拗に言うのは、そういう経過があるからなんですよ。しかも四十三年度予算には、一応六千万ドルというふうに計上してあるというのですが、それだけでなく、その後も一月中に来日したアラムシヤ少将というのですか、これは大統領の個人参謀団を率いる実力者だといわれているのですが、そのアラムシヤ少将は、総理とも会談して、そうしてこのとき総理は、スハルト大統領が来日するまでに援助総額をきめておくという約束をした、こういうことも伝えられているわけですよ。それからアメリカのほうですね、アメリカのほうは、インドネシア援助に対して、米国と同様日本が援助総額の三分の一を引き受けてくれるものと期待していると、こういうことをアメリカのウィリアム・バンディ国務次官補ですか、東アジア・太平洋担当の国務次官補が現に外交委員会の非公開公聴会で証言しているというんですよ。そういう経過もあるわけです。だから、アメリカがドル防衛の一環として日本にインドネシア援助の肩がわりをしてもらいたいというその期待は非常に大きいということがいわれているわけですよ。このインドネシア援助問題は、日米首脳会談でも非公式に出たんではないか。それはまあ直接のことばは使わなかったかもしれないが、あの日米共同声明の中でも、アジア諸国が中共からの脅威に影響されない状況をつくり出すことに合意したと、そううたいながら、あとでアジアの地域協力で好ましい情勢があらわれると、こう述べている。好ましい情勢というのが、一つがスハルト政権が安定することであるといわれているんですがね。そこで、結局インドネシアに対する援助が、日米首脳会談でも、それからロストウのことしの一月来日したときも、それからホノルル会談でもずっと問題になってきている。そういう経過があるわけです。それは長官一番よく御存じだと思う。そういう経過があるので、そこで、債権国会議で三億二千五百万ドルの三分の一ということが大体約束されておって、ところが予算には大体六千万ドルしか組んでないということで問題になっている。その点で何か非常にあいまいにされているんで、国会でも終わったらまたすぐにそういうことは具体化されていくんじゃないか。そうしますと、何か国会を非常に軽視しているんじゃないかということで、われわれがしつこくこの問題を追及するわけなんです。もちろんそれだけじゃなく、今後の海外経済協力につきましては、もっと基本的な問題があるわけですが、非常にこれが不統一であるということも問題ですし、とにかくそういう経過について一応お伺いしておきます。そういうことが実際ではないかと思うんですが、率直なところはいかがなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も外交交渉の従来からの内容を正確に存じておるわけではございません。ごく常識的に知っておる範囲でしか申し上げられませんが、総理大臣がジャカルタで記者会見をされた、これも正確ではございませんけれども、明年コンソーシアムできめるリーズナブルな額であれば、日本としても応分——応分ということが正確な三分の一でありましたかどうかちょっとつまびらかでありませんけれども、ことし程度の負担はやはりしていこうということを言われたというようなことを聞いております。他方で、その後十一月の末にコンソーシアムの会議がありまして、私の聞いておりますところでは、日本はこの際三億二千五百万ドルを総額とするということについては、最終的にはコミットメントをしていないということだそうでございます。このことに強く反対をしたというようでもございませんけれども、しかし、これできめるということに同意したことでもないというように聞いております。その中で、どの部分がプロジェクトであり、どの部分がプロジェクト以外かということも必ずしもしたがってはっきりしておらないのではないか、そうしてみますと。これからあとこれはまず総額をどういうふうにきめていくか。そのうちでプロジェクトであれば、これはいくときには、金は商品援助と違いますので、出ないということもございます。そこらのこともにらみ合わせながら協力基金が負担し得る範囲での額を最終的にきめていく、こういうことにならざるを得ないかと思っております。何ぶんにも相手との交渉といいますか、実を申しますと、先ほど輸入権の、歳入にこれをしますときの換算率ということをちょっと申し上げましたが、先方が歳出で一定のルピアが必要であるという場合に、非常に低い換算率を使えば相当な援助が必要でありますし、換算率を少し直せば、ルピアの歳入が相当になるのじゃないかというような点もありますので、少し立ち入りますがそういう問題ともからんでいるかと思うのであります。
○木村禧八郎君 そうするとまたインフレ的にもなるね。とにかく四月二十二日から二十四日までの三日間、ロッテルダムでインドネシアの債権国会議が開かれるそうでありますが、それまでに何とか金額なり何なりを明らかにしておかないのかどうか、それが一つと、それから基金の性格としまして、これはぼくは基金というものについて非常に不満を持つのです。経済協力基金でも、これは財政法で特別な基金を持つことができるのですが、基金に入ると今度は政府がどう使おうと政府のかってになる、と言うとちょっと語弊があるかもしれないが、そうでしょう。特別な基金を持ってしまうとあとは事後承諾みたいになる。したがってわれわれは、この基金の金額も伺わなければなりませんが、本年度六千万ドルですか、一般会計から、基金総額九百億くらいになるのですか。それはあとで伺いますが、その運用についてはどうしてもわれわれは、あとは政府にまかせるようなことになってしまうのですから、一応内容をここで聞いておかなければ無責任だと思うんですよ、白紙委任だけではいけないと思う。そこで、やはり金額はどのくらいで、それから条件も聞き、それからさっき言った、でき得る範囲においてこれの金額が幾らで商品が幾らかということは、本来は政府が明らかにすべき義務があると思います。国会にもそれを明らかにしておかなければならないと思う。たとえば法律をつくるときに、政令に譲ると、その内容については国会でそれは聞いておかなければ無責任であるのと同じように、たとえば産業投資特別会計の基金がありますね、一たん基金に入ってしまうと、この基金というのは非常に重宝なものであって、これは当年度使わなくてもいいんでしょう、後年度に使ってもいいんでしょう。基金に入ってしまうと拘束されないで、非常に自由な魔力を持っているんですから、そこで基金についてはどうしても事前にでき得る限り政府は具体的にその内容を説明する義務がある、われわれもそれを明らかにしておかなければ無責任だと思うんです。そこでもっと詳しく内容をお伺いしているわけです。基金に入って、国会が終わっちゃってから、そんなはずはなかったと言っても間に合わない。だから先ほど羽生委員が質問されたことに対しての答弁として、必ずしも六千万ドルだけでなくて、この基金にはもっと色をつけてプラス・アルファするぐらいの余裕がないわけでもないというお話がございましたが、そういうことになっていくのかどうか伺いたい。
○政府委員(赤澤璋一君) ただいまの御質問につきまして、まず今回この月の二十二日から四日まで予定されておりますロッテルダムの対インドネシアのコンソーシアムの会議でございますが、その前に昨年の十一月に行なわれましたアムステルダムの会議でございますが、これは最後のところではインドネシア代表がその復興あるいは経済の安定のために三億二千五百万ドル、そのうちBE関係を二億五千万ドル、プロジェクト援助として七千五百万ドル購入の援助の要請をいたし、IMF等の国際機関もこれを支持いたしました。その結果、各国代表はインドネシアに対しまする経済援助決定の際、この援助要請額に留意するよう、それぞれの政府に勧告を行なうということを最終的な決定で採択をいたしております。そういう意味で、ここで最終的に各国政府が三億二千五百万ドルというものを決定をしたということではないというふうに考えております。 それからこの月の月末に行なわれますロッテルダム会議でございまするが、これはまだ正式の議題といいますか、アジェンダがまいっておりませんので、最終的にこういうことになるということは、いまの段階では決定いたしておりませんが、中間的に私ども聞いておりますところでは、今度のロッテルダム会議では昨年及び今年——六八年でございまするが——におけるインドネシアの経済情勢についての詳細な分析、検討が行なわれる、これが主たる目的である、あわせて先般のアムステルダム会議の結果、各国が行なうであろう援助額について、要すれば中間的報告を聞くこともあるかもしれないというふうな形でいまのところ伝えられております。まだ正式の議題内容が通告されておりませんので、たぶんそういうことで行なわれるのではなかろうかと思っております。 それから基金の投融資の内容でございまするが、四十三年度予算におきましてただいま御審議を願っておりまするが、これにつきましては一般会計から六十億円、財投から二百億円、そういう計画でございまして、計二百六十億円が基金に出てまいるわけでございまするが、これをもとにいたしまして、従来からの繰り越し金並びに積み立て金等をこれに加えまして、四十三年度の基金の投融資計画といたしましては現在四百四十億円を予定をいたしております。で、この四百四十億円ということを概算をいたしました、いわばまあ積算の根拠と申しますか、そういうものでございまするが、一応私ども積算の根拠として取り上げましたのは、基金の投融資の中で、いわゆる一般の案件、政府の直接借款等にかかわりのない案件、これに関しまして約六十億円程度のものであろう、で、政府の直接借款案件は、したがいまして残りの三百八十億円というふうに一応積算をいたしております。で、この三百八十億円の中に、先ほどからお話が出ておりました対インドネシア分といたしまして、四十二年度の援助額と同じ額、つまり六千万ドルでございまして、二百十六億円を一応積算の根拠として計上してあるということでございます。で、なおこの中でプロジェクト分かあるいは商品援助分かという御質問がございましたが、ただいまのところでは、私どもの積算根拠といたしましては、インドネシアに関する部分のうちの相当部分が、いわゆる商品援助、今回基金法が放正になりますれば、それに基づいて行なわれる部分であって、その他の部分につきましては、すべてプロジェクトの援助というふうに考えております。
○木村禧八郎君 金利はどのくらいになるのですか。その他条件……。
○政府委員(赤澤璋一君) 従来経済協力基金におきましては、いわゆる業務方法書の中に金利につきましては、原則として三・五%以上、それから期限につきましては原則として二十年以内ということが業務方法書に規定をされております。これは原則でございまするので、もちろん必要と認めればそれ以下の金利あるいは二十年以上の長期貸し付けも可能であるというふうに規定をいたしております。で、経済協力基金のこの融資の条件につきましては、一般案件あるいは政府の直接案件等いろいろケース・バイ・ケースでございますので、一がいに幾らというふうには決定を行なうことは困難でございまするが、ただ従来から政府が取りきめておりますところの韓国、台湾、これはもう現に実行中でございまするが、この金利は三・五%というふうにきめられております。で、あとの今後の新規のものにつきましては、当然その内容あるいは政府直接借款でございますれば、政府と相手国政府との取りきめ等に従って金利あるいは貸し付け期間といった条件がきめられていくと、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 この問題だけやっておっては——ほかにまだ質問があるものですから、この関係についてはあと簡単に二つだけ質問しておきます。 その一つは、アメリカがスハルト政府の外資導入政策の変更と同時に、インドネシア政府と投資保証協定を結んだというのですね。投資の保証協定、これは民間投資が損失を受けた場合政府が財政資金でカバーするという資金ですわね、日本の場合こういうことは考えられていないのかどうか。ですから今度日本の民間が投資したような場合、損失を受けたような場合、前に焦げつき債権の問題がありましたけれども、結局日本がしりぬぐいをすることになったでしょう、輸出入銀行のリファイナンスで。それを今度は向こうの政府にさせるのですね。そういうことだと思うんですよ、投資保証協定というのは。これはお調べになったかどうか。もしそうなら日本もこれを活用して、アメリカだけがやっていて、アメリカのを向こうの政府がカバーをして日本の場合カバーできないということになれば、これは非常に損でありますから、この点一つと、それからもう一つ、海外の援助体制一本化ということがよくいわれているのですが、これもやはり今後の大きい課題じゃないかと思うんです。これは具体的に——本年度はこれで予算もとにかくきめられてしまったわけですから、少なくとも来年度あたりはこれと具体的に取り組む必要があるのではないか、こう思うんですね。その二点について。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカとインドネシアがどのような投資保証協定をいたしましたか私どもにわかっておりません。調査をいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 あとで調べてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私の想像ですが、インドネシア側が、かつてございましたように国有化でもするというときの保証であるのか、あるいはまた全然アメリカ側の問題としてこの投資をしたものに対してアメリカ政府が民間の投資を保証するのか、そこのところがはっきりいたしませんので、いずれにいたしましても、これ調査さしていただきます。日本にはいまそういう規定なりしくみはございません。 それからこの援助の窓口の問題でございますが、従来から輸出入銀行と海外協力基金との関係はいろいろに議論があるわけでございますが、少なくともいまのところは、世界の大勢としては、やはり金融の範囲内でのものとそれからいわゆる条件のゆるい——この場合ソフトということばを使わしていただきますが——ものとはだんだん分けていっているというのが世界の各国の発展途上国に対する対策のようでありますので、いまこれをもう一ぺん一緒にするということは、世界の大勢からいえば先進国の一つとしてそれは逆行ではないかという考え方が強いように見受けられます。他方で、しかしもし一つにできれば、非常に調査にいたしましても事務にいたしましても簡素化になるということは、前々から私ども考えておりまして、ただいまのところでは、しかしともかくやはりいわゆる金融に属するものとそうでないものとは分けていくのが大勢であろうということで、いまはこの両建てで進んでおるわけでございます。 それから経済企画庁がこの基金を所管しているということも、実はいろいろ各省におのおのの主張がございまして、その結果預かっているというような感じのもので、これも少なくともこの輸銀の問題と離しましても、各省間意見の一致があって、実施をする官庁のどこかにほんとうは持ってもらうということのほうがよろしいので、いまのようにいろんな争いの結果として預かっているということは、いかにもぐあいが悪いんでございます。そういうこともひとつ片づけていきたいということは、関係閣僚でときどき話し合っているわけでございます。
○木村禧八郎君 予算関係ですと大蔵省なんですよ、それで法律のほうは企画庁というんでしょう。ぼくはこの海外経済協力基金の問題で、予算は企画庁のほうにあるのかと思ってずいぶん一生懸命さがしたのですがないのですね、大蔵省なんです。じゃ大蔵省が所管かと思うと法律のほうは企画庁なんです。ずいぶんそういう点がまぎらわしいんで、私おかしいと思うんですが、その点はまたあとの問題としまして、要するにこの問題については、債権国会議が四月二十二日から二十四日まで三日間開かれるのですが、そのときの議題がさっき二つあると言われました。インドネシアの経済情勢、もう一つは中間的な援助額の詰めをやるということですね。その場合、結局その時期までには日本政府として大体そのときに聞かれてもお返事できる程度のものをきめなければならぬでしょう。そのときに資金関係からいえば六千万ドル以上は一応この資金から出せるわけですね、それはそのオーバーするプラス・アルファがどれぐらいかわかりませんけれども。だからこえることはあり得るわけですね、余裕あるわけですね。さっきの四百四十億ですね、この中である程度余裕はあるということとですね、それからこの法律が通らなければ、これ全然できないかどうかということですね、この二点について。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基金には余裕が全然皆無ではないとは申しますものの、先ほど調整局長から申し上げましたように、一応積算の基礎としてはいろいろなことを予定しておりますので、やはり非常にインドネシアに大きく出てしまえばあとが困るということでございます。したがって、これは交渉にもなりますし、各国の出方にもよるわけですが、できるだけこの六千万に近いところできめてもらいたいと私どもとしては思っております。 それからこのロッテルダムの関係でございますが、まだ議題が正式にきまっておりませんので、何とも申し上げられませんが、わが国として、正式にそのときに返事をしなきゃならぬというわけにはまいらない、法律上不可能なことでございますから、ただいまといたしましては、したがってやはり国内の諸条件が整備しなければ約束はできないということにならざるを得ないのではないか、そう思っております。
○木村禧八郎君 インドネシアの援助問題はこの程度にいたしまして、次に、今後の経済見通しとこれに対処すべき長期的な総合的な計画、そういうものについて伺いたいのです。 〔主査退席、副主査着席〕 まず、その前に四十二年度の経済の実績が、大体まだ実績見通しの段階でしょうけれども、一番最近のQE作業の結果をちょっと開陳いただきたいのですけれども、どうなっておるか、まあ全部にわたってはたいへんでしょうから、まず成長率と民間の設備投資、それから鉱工業生産、それと輸出入の伸び、それから政府財貨サービスの伸び率、これは当初見通しと、それから一番最近のQE作業による実績見通し、その両方をちょっと……。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるQE作業でございますけれども、これは私ども部内ではこういうことをできるだけ進めるようにという私自身が方針でやっておりますのですが、まだ公の席で申し上げるほど自信のあるものでは実はございません。これは隠すという意味ではございませんで、方式そのものがもう少し自信のあるものでありませんと、かえって世の中を混乱させると思っておりますので、従来部内ではいろいろ検討しておりますが、これをもとにして申し上げるということはいたしておりません。四十二年度が終了いたしまして、一応私は国際収支関係は、後ほど、これは、だんだんかなりわかっておりますので申し上げますが、国内関係では、まあまあ十二月の見通しというものはこの程度であるのではないか、多少企業設備の見通しが実績のほうが少し高いのではないかという気がいたしておりますけれども、これは正確には今年の末に国民所得統計が出ませんと正確なことは申し上げられません。少し見通したよりは高いのではないか。したがって、前年度対比もあるいは多少高くなっているかもしれない、成長率についてもしたがって多少予定よりも少し高いかと思いますが、これは計数で申し上げることがただいまのところできない状態でございます。消費者物価はほぼ四・五%以内、おそらく四・二か四・三とかいうことになるのではないかと思いますが、これは今月末に全国の三月分が発表になりましたときに申し上げることができると思います。 それから国際収支のほうでございますけれども、一応三月分の速報値がきょう、あすじゅうにはわかると思っておりますが、これも速報値でございますので非常に正確ではございません。大体、おそらく総合収支を七億ドルというふうに昨年の暮れに考えましたが、その後に長短期の資本が相当流入しておりますので、七億ドルということはなくて、おそらく五億ドル台ではないか、六億ドルの声は聞かないのではないかというような感じでございます。
○木村禧八郎君 基礎収支ではどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基礎収支で申しますと、したがって十億何千万、三、四千万というところかと思います、マイナスでございますが。それから輸出はおそらく、年末に立てました百五億五千万ドルということであったのでありますが、まずまずそこへ届いたろうと見ております。輸入のほうは九十三億五千万ドル、いずれも為替IMFでございますけれども、これを数千万ドルオーバーしたであろうというような感じでございます。まあ総合収支で五億ドル台というのはやはり長短期、ことに短期の資本、誤差脱漏合わせまして相当、一億数千万ドル実は予定よりも入ったかと思われます。その辺が一番大きな原因でございます。
○木村禧八郎君 その、基礎収支ではあまり変わらぬですね。ですから、短期資金が入ってきたからというので、そうするとやはり当初見通しに比べて基礎収支で十億ドル以上、数千万ドルですかの違いが出たわけですよね。とんとんというふうな見通しだったんですがね。とにかく非常に大きな狂いが生じたことは事実なんですよ。そこで、こういう狂いを生じた一番大きいのは、私は設備投資だと思うんですよ。いま数字はわからぬけれども、大体七兆五千億ぐらになるんじゃないですか。六兆二千億ぐらいが当初見通しだったですね。ですから、設備投資がそんなにどうして狂うのか。だから、四十二年度当初見通しと非常に大きく狂ったわけですが、これはほかのことが狂うんならば、たいして問題ないと思うんですが、一番基本の国際収支がこんなに大きく狂うということは、これは政策としては失敗だったわけですよね。そうでしょう、結果から見て。とんとんというのが十億五千万という基礎収支ではね、そうでしょう、その当年度の政策としてはですよ。ですから、それでいいというわけではないと思うんですよ。今後そういうことが起こらぬようにしなければならないので、この四十二年度の経験から何を学んだかということ、今後何をすべきかということですね。この総合官庁としての経済企画庁としては、それをやはり大体きめる必要があると思うんですよ。何を学んだか、何をすべきか、これが第一ですね。 それから第二はポストベトナムの問題です、あるいはアフターベトナムといいますか。もうすでにきょうの新聞で見ますと、アメリカではそういういろいろ作業をやっているようで、その見通しが出ておりました。経済同友会の報告が行なわれたことは新聞に出ていたんですがね。当然経済企画庁でも、最近まあベトナム問題が大きく変化してまいりましたでしょう。ですから、ベトナム後の今後の経済の見通しですね。それからまあ国際通貨にも大きな動揺がある、大きな変化が生じてきているようですからね。そこで、今後の経済見通しと、それに対処すべき長期の政策です。長期政策には経済社会発展計画がありますがね。あれについてはやはり再検討して、またこれを変えなければならぬ点が相当出てくるのではないか。経済社会発展計画には、ことに財政硬直化の問題については、ほとんど触れていないわけですよ、あれは。財政硬直化の問題も大きくクローズアップされたわけですよ。それは公債政策が行き詰まったということが大きな原因になっていると思うのですよ、私は。ですから、今後やはり経済企画庁しても、いままであの経済社会発展計画、と公債発行が前提になっておりました。しかし、あれは順調にいくものという前提ですよ。大体ね、まあ率直に言って、福田さんが最初大蔵大臣になられて公債発行を打ち出したときに、赤字公債でなく建設公債を打ち出したときには、かなり順調にいくものという前提だったのですけれども、率直に言って非常に狂ったわけですね。それで国債の相場も下がっているような状況ですから、国債管理政策についても、今後検討しなきゃならぬ。そういういろいろな問題が起こってきているわけです、国内それから国際的にですね。ですから、そういうものをここで総合してやはりまた長期的な計画を練り直さなきゃならぬ段階にきていると思うのですよ。そういう点についてですね、まあどういうふうに考えられているか。どういう作業を今後やっていかれるのか。もちろん、われわれのほうもやっているのですがね。政府のほうもそういうことをおやりになっているのじゃないか。大体のまあそういう見通しとか計画というものがおありになったら。 それからまた最近新聞でもだいぶ問題になっておりますが、今後の行政効果を効率的にするという面からもPPBSですね、これも研究所でだいぶ研究されているようですが、そういうものを今後やはりどの程度研究段階から実際の行政に適用させるような作業をしているのかどうかですね。 時間がありませんから一ぺんに質問しましたがね。答弁のほうはひとつこまかく具体的に伺いたい。
○羽生三七君 ちょっと木村委員の質問に関連して私もついでに承っておきます、世話ないですから。それで、国内国際両方からいま木村委員お尋ねになりましたが、主として国内問題中心にお尋ねになったと思います。国際的な角度から見て、まあ先般来の通貨問題の危機、まあその後における金プール七カ国会議の決定やIMF七カ国蔵相会議のあれ、SDRの発動、そういうものもあり、一方にはアメリカのベトナム戦争が、かりにもし終局の方向へ向かったとしても、今度アメリカ国内におけるいろいろな抑制、まあベトナムも関連するけれども、その他にもいろいろな抑制措置がある。それらのものを全部を勘案をして、一体今後の世界情勢はどう動くのか。これが実は質問する私自身も、あまりにもその要因が多過ぎてしまって、プラス、マイナスいろいろな要因が多過ぎて、自分自身で確固たるものを持っての質問じゃ必ずしもないのです。しかし、党は党として作業をされておりますけれども、この際ですね、その決定的なものはこうだということは、なかなか長官としても言いにくいと思います。しかし、一応こういう要因はプラス面に出てくるだろう、こういう要因はマイナス面に出てくるだろう、そういうものも含めてそういう国際情勢全般の日本経済全般に及ぼす影響というものが、ある程度明らかになってくると、そこで木村委員の言われた、国内にどういう影響があらわれてどういう措置が必要なのか、あるいは見通しを修正する必要が起こるのかどうかという問題にも関連するので、あわせてひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、国際収支について昨年三月ごろ見通しました点と実績とがもう非常に違ったということは、御指摘のとおりであります。反省しております。この点でどういう教訓を得たかと言われますが、まず一番基礎収支で違いましたのは、輸出入で私どもはほぼ二十億ドルの黒字を昨年の三月に考えてみたわけでございますが、実際上はこれが十一億ドル台かと思いますので、ここで大部分が狂ったということになると思います。で、輸出は過大に見ておりましたし、輸入は過小に見ておったということでございます。それは両面とも国内の経済活動の動きを見間違ったからでございますが、国内の経済活動はやはり原因は二つに分かれて、一つは先ほど言われましたように、設備投資が非常に高かったということ、もう一つは、財政がもう一つ思い切り締められなかったということではなかったかと思います。そのうちで設備投資のほうは、私どもあの当時大企業の投資は相当強いだろうということは見ておりました、しかしその見方が足りなかったことは事実ですが。他方で中小企業は、もう不況の間にかなり資本装備が進んだので、そんなに大きな設備投資はないというふうに実は見たわけでございます。それが違っておりました。 それから非製造業の伸びの見方が、やはり小さ過ぎたと思うのでございます。これは現実にこういう設備投資があったということは、これはそのことが間違いであると思っておりませんので、むしろそれを見通せなかった側に至らないところがあったというふうに思っております。これが輸出の面では、内需が旺盛なために、輸出に向けるいわば玉がないということになりましたし、輸入のほうでは、鉄鋼関連をはじめ相当輸入の水準が高くなってしまった、この二つの結果になっております。 それから他方で、もしこれだけの設備投資があるということでありましたら、財政がもう一つ締まれなかったかということがあるわけでございますが、これは反省としては、いわゆる財政の硬直化ということをもう少し前に気がつけば、それだけよかったということになるのでございますが、まあ気がついたときにおそ過ぎたとも思っておりませんが、しかしもっと早く気がつけば、もう一年前であれば、財政のほうがもう少し締まれたかもしれないということは、いまになりましたら、言うことは言えるのではないかと思っておるわけでございます。 それからもう一つ私としましては、昨年の三月ごろには相当大型の経済になるということが実は感じられておったわけでございますが、そのことをもう少し実証的に言うことができましたならば、引き締め等々の問題も、もう半年早くできたのかもしれない。これはまあ反省でございますから、なかなかそううまくいかなかったわけですが、まあそういったような点が、いま教訓として考えております。できれば先ほどお話がありましたクイック・エスティメーションのようなものがもう少し信用できるようになりますと、四半期くらいで経済のかなり実証的なつかみ方ができるのでございますが、まだそれをお目にかけるまでに至っておりません。できるだけこれは早く実証的にもう経済がこうなりつつあるということが言えるようになりましたら、昨年の三月のような場合でも、もう少し人を納得させる主張ができたのではないかというふうに考えております。 それから国債政策のことを言われましたのですが、まあ国債の管理政策というのは、これから人手不足になりますと、ほんとうに重要になってくると思います。通貨の増発がそのまま通貨の減価になるようなことになりやすうございますから、完全雇用にやや近いような状態においては、よほど気をつけていかなければならないと思っております。 で、経済社会発展計画でございますが、これは先ほど申し上げました企業設備投資との関係もございまして、とにかく三割に近い企業設備投資の伸びというのは、四十年代にはもう起こらないという考えのもとに、経済社会発展計画がほぼそういう環境のもとにできたように思うのでございますが、少なくとも四十二年度は一ぺんございました。これが一時的な現象であって、もうあとはレベルオフするといいますか、むしろ下がっていくということであればいいのでありますが、四十三年度にかりに似たようなことがもう一度起こりましたら、これはもと考えておった想定そのものに問題があるのじゃなかろうかということになろうと思います。いずれにしても、これは今年一年私は帰趨を見ていくべきであって、いま改定をするということは考えない、一年間様子を見ようと思っております。それからベトナム……
○羽生三七君 ちょっと、次の御答弁にいく前に、いまのお話の国債問題は、最近の動向から見て、消化能力その他財政計画全体から見て、大体二、三年中に打ち切れるのじゃないですか。ほぼそういう見通しを立てられるような感じがするのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、できるならば依存率をずっと落としていきまして、ゼロになりますか、あるいはほんとうに説明のできるいわばフィスカルポリシーとしてのみ残すかということにしたいと思っておりますけれども、そういうふうにいきますと、どうも国民の租税負担をふやさなければならないことになるのではないか。それが理想的にいけば、そうならずに済むはずでございますけれども、財政にこれだけ義務的な経費が多うございますと、よほど思い切って行財政の整理でもしない限りは、国債をやめる分は租税負担の増加になっていきはしないか。租税負担の増加を国民が納得してくれるためには、国民の税金というものは効率的に使われておるというやはり信用が大切であると思いますので、私ども一生懸命つとめてはおりますものの、今日までまだまだ税金というものが非常に効率よく使われておるという感じは、納税者のほうで十分にまだ持っててくれないのではないかということをおそれております。ですから、よほど財政がきちんとしてまいりませんと、租税負担を上げていくということがむずかしいように思います。
○木村禧八郎君 ちょっとその点、途中になって恐縮ですが、議論みたいになってしまったのですが、簡単にその点、われわれのほうもいろいろ作業してみたのです。問題は、政府の財政硬直化は、歳入面の硬直化にあまり触れてない、歳出ばかりで。そこで公債を三年くらいでなくす、あるいは四年でなくすためには、歳出の増加率と歳入の増加率、両方を測定して、歳入超過の財政にしなければならぬわけですよ、公債をなくすには。その場合に税収の確保ですよ。だから税制改正が必要なんですよ。長官の言われるのは、何かすぐに国民に増税をしなければならぬようなことを言われるのですけれども、国民といいましてもいろいろな階層があるわけでして、たとえばいまそれはいろいろ議論になってくるでしょうけれども、交際費なんかですね、交際費課税とか、それから租税特別措置についても、もっと改善を加える余地もあるんじゃないかと思われますし、とにかく歳入面の硬直化について全然触れてないんですよ。そして公債で行き詰まったんでしょう。いままでは自然増収があった。自然増収が行き詰まったら公債政策が行き詰まった。そこで歳入面の硬直化についてもっと根本的に考えなきゃならんじゃないかと、こう思うのですがね。そうなれば増税もある意味では必要なんであって、増税というと、すぐ国民の所得税とかあるいは間接税の増税を言いますけれども、そうじゃなくて、資本蓄積にも影響していくと思うのですけれども、しかし、いままであまり資本の蓄積率が高過ぎておりますから、多少それはスローダウンしてもいたしかたないと思いますね、そのほうの増税によって。そのかね合いですよね。その点が抜けているんじゃないかと思うのですがね、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはおっしゃることは、よく私にもわかりますんで、ことに交際費などは私はまだほんとうは切り込める余地があるんではないかと思っております。租税特別措置法については、これはしばしば御議論がございまして、私どもも単純に従来いろいろの場で御主張のあるようなふうには、あのものを見ておりませんのですけれども、交際費なんかについては確かに余地があると思います。そこで税制改正——当面私どもは所得税の課税最低限を百万円にするということを、昭和四十五年までのお約束にしておるものでございますから、これをとにかくやり遂げたいということに、悪く言えば多少こだわっておる点もございますのですが、やはり直接税、間接税にわたって大きな税制改正がやがて必要な時代がくる、歳入面についての硬直化というものも確かにこれは考えなきゃならぬと思っております。いずれにいたしましても、しかし傾向としてはやはりどこかに向かって増税になるような気がいたしますので、それで税金というものはちゃんと使われておる、という効率化のやはり努力をしなきゃならないと思います。PPBSなんていうのも、その一つの試みでございますが、私どもまだ基礎理論を実は始めたところでありまして、当面国家の行政の目的というようなことになりますと、非常に複雑なことで、価値観が必ずしもはっきり画一的に書けるとは思えませんので、できるならば比較的この目的の単純なもの、たとえば一種の公共事業でありますとか、その選択の場合にどれが一番費用対効果の効率がいいかというようなことについて、まあそういう具体的なものからできればやってみたい。財政全体に及ぶのにはまだまだ時間がかかろうと思いますが、ともかくそういうことで税金を効率的に使っているということを、ひとつ国民に納得をしてもらいませんと、なかなか歳入面の硬直化是正ということもむずかしい。そういう努力が必要であるというふうに思っております。
○羽生三七君 途中にはさまったんですから、さっきのやつをお続けください。
○国務大臣(宮澤喜一君) それでベトナムでございますが、当面の問題はせんだって予算委員会でも申し上げましたので、ごく簡単に申し上げますが、いわゆる直接のベトナム特需というもの、大体年間五億ドルのベースできたわけでございますけれども、この一、二年、三億ドル程度は前からございましたから、二億ドルぐらいがベトナムに直接関係のあるものであろうかというふうに見ております。それからあと間接特需の中で、アメリカについてはかりにベトナム戦争の赤字が二十億ドルといたしますと、わが国のシェアは一〇%ぐらいと見てよろしいのかと思いますが、これはアメリカ自身が、先ほど木村委員も言われましたが、今年の大統領経済諮問委員会の報告にもありますとおり、動員解除による負担の減が百五十億ドルくらい、これは一年半くらいの間の効果らしゅうございますが、それに対して三百億ドルくらいの景気動向と申しますか、購買力の造出をやるということでございますし、まあ私はアメリカとの関係での間接特需というものは、あまり心配いたしておりません。問題は、ベトナム周辺の数カ国に対する間接特需がどのくらいあったかということであろうかと思います。これはまあいろんな推定がございまして、はっきりいたしません。数億ドルというのが、やはりいいところではないかと思っているのでございますけれども、しかしこれらの国に、ことに韓国、台湾、タイあたりはいわゆるテークオフの態勢に入ってきているように思いますので、この五ヵ国くらいでこの二年ぐらいの間に外貨準備が十億ドル近くふえております。九億七千万ドルふえておりますから、テークオフの態勢に入れば、わが国も従来どおりでなくても貿易関係は順調に伸びるのではないか、こう思っておりますものですから、その点でもそう大きな変化を心配しなくてもいいのじゃないか、とりあえずこれはいまの段階で考えられることでございます。これからの帰趨については、注意は怠らないつもりでございます。 国際的な通貨の不安に伴うこととの関係では、実は私ども内部で昨年の暮れにポンド切り下げのしばらくあとでございますが、四十三年度の見通しを立てますときにかなり議論をいたしました。私どものほうのエコノミストは、ほとんど一致して一九六八年はアメリカの景気、それからドイツ、フランス、ベネルックス等々相当の景気回復基調にある、またそれだけの外貨準備も持っているということで、一九六七年の最後の四半期くらいから景気はずっと上昇をするというふうに、ほとんどの者がそういう見方をしておりまして、そのことばかりにいろいろな通貨不安があっても、おそらくどっちが勝つかと言えばやはり基調の強さが勝つということを私どものほうの専門家たちはほとんど一致して、皆主張しておりました。それで実は昨年の国際経済、これは四期ごとに報告をしておりますが、一年たちますと、一年をまとめまして発表いたすのでございますが、その中でも、一九六八年の海外の景気回復基調は強いということを申しております。たまたまOECDなどでも似たような見方をするようになりまして、今年三カ月終わったところではまずその見方は、その間に通貨不安がございましたけれども、まず大体今日までのところは当たっているように思うのでございます。そんなことの上に立って、私は輸出の一五%増というものを実は見通しに立てたわけでございます。これから世界情勢あるいは世界経済の動きというものを、なかなか予想がつきませんけれども、国内の引き締めをこの程度続けていけば、私はまあ多少のことが外にありましても、一五%程度の輸出の伸びは期待できるのではないか、こう思っております。SDRがすぐにドルなり金なりのかわりになるとは、とうてい思えないわけでございますけれども、しかし、そういうものがやがて登場をするということがほぼわかってくれば、やはり先がそうであるということで、まあ国際貿易も新しい決済手段もできてきて、ということで、過般のような動揺はそうそうは起こらなくて済むんではないか。SDRにフランスがいわゆるロックアウトするかどうかということは、明年の問題かと思います。かりにそうであっても、EECの他の国が同一行動をとるとは思えませんので、まずある程度の規模でSDRが発足するのではないか。いろいろ不確定要因がございますんですが、大体そんなような感じでございます。
○木村禧八郎君 予定の時間がまいりましたから、これでいいです。いろいろまだ質問したいことがたくさんあるんですけれども、ほかの方の御質問の関係もございますので、これで私の質問は終わります。
○羽生三七君 一つだけ。それじゃいまの御説明で大体わかったんですが、政府の四十三年度の経済見通しの中でこうありますね。「国際収支は、年度間としてはなお総合収支で三億五千万ドル程度の赤字を残すとしても、年度後半においてはほぼ収支均衡の状態を達成し、」云々と、こうあるわけですが、この「年度後半」という場合ですね、これがアメリカのベトナム特需の問題は別としてですね——まあ別ということはない、関連はするでしょうが、そういうこともあるけれども、そういうことからくる、アメリカのベトナムからくるドル不足ですね、欧州金プール会議あるいは十カ国蔵相会議から指摘された国内政策の抑制等と関連して、そういう面から見て、そういうことがあっても、ベトナムが終わればこれをカバーしてくることになりますけれども、全体的から見て、やはり先ほどの面も通じて、貿易、輸出の一五%達成はほとんど間違いないというお見通しでございますが、ここにある年度後半によくなってきて、全体のマイナス分をカバーするということだったんですが、その見通しは間違いないんですか、その辺は。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカがベトナム戦争を相当経済上重荷と感じてきましたのは、私は国内のいわゆる諸施策とベトナム戦争とを両方やろうとしたために、二百五十億ドルぐらいのものがアメリカ経済のマージナルな負担になった、限界の負担になったというふうに実は感じておるわけでございます。ですから、これがなくなるからといって、アメリカの経済活動が落ちるということはおそらくなくって、むしろ国内の経済活動を押えていれば、このマージナルなものにかえていけたんではないか。それが増税がおくれたりして押えられなかったのではなかろうか、というふうに見ております。したがって、ベトナムが幸いにして和平になりまして、アメリカの軍事上の負担が減りましても、国内にしたいことはたくさんあるということではないだろうか。こう見ておりますから、対米輸出というものがそれで落ちるということは、おそらくないんではないかというふうに思っておるわけでございます。他方で国際通貨の危機には、これはいい影響が当然あると思いますので、英独——イギリスはともかくとしまして、EECの各国の経済活動は、先ほど申し上げましたように、高い四%とか五%とかいうものになるのではないかと思いますから、まあ一五%の輸出というものは私はできるような気がいたします。そういたしますと、国内引き締めをゆるめるということは、いまの段階ではとうてい考えられませんですが、この程度続けていけば、まず年度内にいい均衡基調になるということは、まあ私は間違いないような考え方をただいまのところいたしております。
○羽生三七君 これは質問というより、実はこういうことを聞きたかったのですが、時間がないからやめるのですが、きょう新聞を見ると、今度の東南アジアの開発閣僚会議ですか、これで三木外相がいろいろ意見を述べておりますが、その中で、全体として援助よりも貿易の拡大をということを言っているわけです。それが一番中心になったという記事も出ているのです。そういう場合に、この貿易の拡大ということは、東南アジア諸国が日本に輸出するものは、主として農産物になる。そういうものが一律に東南アジアというのではなしに、どの国で輸出したいものは何で、それは日本にとってどういう競合を起こすのか、それには輸入を促進するだけではなしに、実際に援助を与える場合には、金だけでなしに、何か農業開発の場合において具体的にどういう開発を予定するのかということを、もうかなり各国別に考えなければ、もう一律一体の低開発国援助なんというのでは済まされぬ段階にきていると思うのです。そういうことを具体的に承りたいと思っていたんですけど、時間がなくてきょうはこれで終わることにします。また何かの機会があれば、お聞かせ願いたいと思います。
○副主査(千葉千代世君) 答弁はよろしいですか。
○羽生三七君 はい。
○副主査(千葉千代世君) ちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕
○副主査(千葉千代世君) 速記を起こして。
○矢追秀彦君 今度酒、ビール、たばこの増税がありますが、この間、酒、ビールの増税に伴い一斉値上げが行なわれるならば、それは取り締まると、こう言うのでありますけれども、その方針は変わらないのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点、私はわりに用心深く申したつもりであったのですが、ビールなどにつきましては、メーカーの数も少のうございますし、相当しかも大きなメーカーでございます。経営内容もいろいろございますし、製品の評価も、これはまあ一様ではないように思います。みんないろいろ違った評価を受けているように思いますので、そういう場合に、今度また増税分を一応価格に追加するということは、私はまあまあ常識的にやむを得ないと思っているのでございますが、それをこえて、しかも一律のそれにつけ足した値上げがあるということになりますと、そこに共同行為がありはしないかという疑いをかけるのが、これは当然だと思いますから、そういうことはないと思いますけれども、公正取引委員会などでは、当然その辺のところは目を光らしておいていただきたい、というふうな意味のことを申し上げたのでございます。いまでもそうでございます。
○矢追秀彦君 この四月ごろからいろんな物価が上がってきていると思いますが、何もこれだけの便乗値上げとは思いませんが、何かしら物価の上昇ということを身近な問題で感じるわけです。たとえば、一つの例ですが、これは国鉄にお伺いしたいのですが、列車食堂が、ほとんどの品物が値上げになったわけですけれども、この値上げの実態をお知らせ願います。
○説明員(久保高章君) ただいまの御質問でございますが、列車食堂の値上げにつきましては、去る一月の二十六日に若干値上げいたしました。品目の中では約三分の一ぐらいのものでございますが、主として原材料が非常に高くなったものにつきまして、おもに牛肉等を材料とした料理品でございます、そういうようなものにつきまして上げておりまして、いろいろ幅がございまして、平均——平均といいますのは、いろいろ売れ行きとかあるいは価格の点で平均というようなことは申し上げにくいのですけれども、一割から二割見当上げておる状態でございます。
○矢追秀彦君 最近値上げになったものは。
○説明員(久保高章君) 一月二十六日に値上げしたものでございまして、それ以後はございません。
○矢追秀彦君 それ以後は全然上がっておりませんか。
○説明員(久保高章君) はい。
○矢追秀彦君 で、この料金の値上げはどういうふうなシステムで行なわれるのですか。
○説明員(久保高章君) 料金の値上げは、業者からの届け出制をとっておりまして、事前届け出制でございますが、実は事前の届け出ですから非常に監督的なまあにおいが、においと申しますか、監督的な見方でやるわけですが、それに対しまして妥当だと思いますと、そのまま届け出を受けるということでございます。
○矢追秀彦君 じゃあ、各業者がありますね、日本食堂とか、それから帝国ホテル、ビュフェとうきょう、こういうふうにおもにありますけれども、新幹線、それからそうでない列車、全部そうですね。それが一斉に値上げを届け出てきたものに対して許可をすると、こういうことになっていますか。
○説明員(久保高章君) 実は届け出制をとりましたのは、自由に各業者間で競争をさせたい。で、値段のほうも特にこちらのほうで一方的に規制するということでなくしたいというのが、もともとのねらいでございますが、こういうふうな値上げの申請の時期には、各業者がそれぞれ同じような品目もございますし、それからまた違った品目もございます。そういうことで、内々協議をいたしまして打ち合わせをした上で、申請を、申請と申しますか届け出をしてくるというのが実情でございます。 〔副主査退席、主査着席〕
○矢追秀彦君 実際どこも統一した値段でやられていますよね。で、国鉄で一月二十六日、私はそれ以後に何か上げているような気がしているのですが、記憶違いかもしれませんけれども、そのときにかなりのアップをされたわけですよね。たとえばカレーライスであれば百五十円から百八十円、三十円の値上げです。ハンバーグなどは二百円から二百四十円と、かなり率は高い。で、ビールなども上がっているわけです。上がっていないものといえば——、ほとんど、三分の一と言われますけれども、新幹線のビュッフェに例をとってみれば、一つぐらいしかそのままの料金はないわけです。あと全部実は上がっている。実物がないのでちょっと言えませんけれども、私は記憶しているのですけれども。いま、そうでなくても物価が問題になっているときに、こういう非常に割合の高い値上げを許可された理由ですね、それをお伺いしたい。
○説明員(久保高章君) ただいま御指摘のカレーライスとか、あるいはそういう牛肉を使ったものでございますが、それは先ほども申しましたように、原材料の高騰が非常に大きいものでございまして、その辺の検討も十分いたしております。その上に御承知のように、列車食堂の営業は、地上におきます同種類の営業に比べまして非常にまあ場所的、設備的あるいは要員の運用の問題でございますが、非常に能率が悪いと申しますか、ロスが多うございまして、そういう人件費の要素が非常に多いわけでございます。人件費のアップが非常にそういう実情でございますので、よく品目を検討いたしまして、届け出を受けたような次第でございますが、いまおっしゃいました、ほとんどのものが上がっているのじゃないかというお話でございますが、品目といたしましてはずいぶんございますけれども、確かに、非常によく売れておると申しますか、注文のあるものが多く上がっているということは、事実でございます。
○矢追秀彦君 ビールもたしか五円上がったと思いますが、その点はどうですか、その値上げの理由ですが。
○説明員(久保高章君) ビールにつきましては、御指摘のように、前は百七十五円でございました。それを五円上げて百八十円にいたしておりまして、これも各食堂業者が全部同じ価格でございますけれども、これはパーセンテージにいたしまして三%ぐらいになると思いますけれども、その程度で……。それともう一つ、まあ五円と申しますか、五円単位よりも十円単位のほうが、切り上げにいたしまして、非常にかってなことになるかと思いますが、その程度はやむを得ないということと考えております。
○矢追秀彦君 五円よりゼロがいいから上げるというまあそれは一つの理由かもしれませんけれどもね、いまそのいわゆる酒税の問題もきょう出てきたわけじゃないわけですよね、今回。前からこういう話はあったんですけれどもね。しかも、もしこういう酒税を上げたら価格を業者が上げるということは非常にいま問題だと、そういうのが出てくることは、もう予想がついておるはずだと思うのですね。これはたとえば一月二十六日の時点であったとしても。それを、こういうものを五円も先に上げてしまうととられたってしょうがないと思うのですよね。その点いかがですか。
○説明員(久保高章君) 一月二十六日の値上げの際のビールの五円につきましては、いまおっしゃいましたような酒関係の税金のアップのことはその際は一切考慮いたしておりませんで、先ほど申しました人件費の高騰あるいは材料の高騰ということで、ビ−ルは材料の高騰はございませんけれども、まあ人件費の高騰等の関係でやったわけでございます。
○矢追秀彦君 じゃその列車食堂の非常に高い値上げというのは、一つは人件費あるいはいろいろな設備。これはたいへんなことはわかるのですよ、一般のところより高いのはね。理由はわかりますけれども、肉が上がったからといって、じゃ百五十円に対して、カレーの中の肉なんて非常に少ないのですよね。百五十円に対して三十円の率と、ハンバーグだったら少し多いですよね、それで四十円値上げ。ここら辺これもちょっと私わからぬのですがね、上がる割合がですね、こまかいことになりますけれども。
○説明員(久保高章君) 確かにカレーの中の肉という量はいろいろ問題でございまして、われわれも、旅客サービス上、ともかく値段に負けないだけの料理を提供するようにやかましく指導いたしておりまして、現在のものはいろいろまずいとかいろいろな苦情がございます。それは、その味がまずいことのほうは料理の関係のこともございますけれども、やはりもう少し上げても、もっとうまいものを食っていただくということで、その辺がねらいでございます。
○矢追秀彦君 ちょっと変な話になってきたわけですけれども、ところが実際値上げになってから味が変わったかと、私新幹線をうろうろしていますけれどもね、やっぱり相も変わらずうまくないのですけれどもね。どうですか。これは皆さんいろいろ声がきておると思うのですけれどもね。値上げの一つに、うまくするからと、そういうのが入っていないでしょう。それでビールの問題などこれは人件費が上がったからと。しかしビールなんて数はだいぶ出ています、最近はね。それからびん詰めのものとか、実際加工するのはたいへんなことはわかりますけれども、そういうものは据え置きしてもよかったんじゃないか。ほかのものをそれだけ上げるのですから、百七十五円でよかったじゃないか。五円がややこしいからゼロにする、そういう理由ととられてもしようがないわけです。その前に、いまサービスにつとめると言われましたけれども、実際味の内容は変わってきてない。これはまあ主観的な問題かもしれませんけれども、そう思うのですけれども、いかがですか。
○説明員(久保高章君) 先ほど百七十五円が百八十円になりまして、ややこしいからということを、ちょっとそういう感じのことを申し上げましたけれども、値上げ幅をできるだけ押えたいということで、いろいろございましたが、できるだけ小さくてラウンドにしたいということもございました。 それからもう一つ、いまの値段が上がったがさっぱりうまくならぬじゃないかというお話でございますが、私どもも極力その点はよく警戒かつ指導、督督いたしておるつもりでございますけれども、いろいろ聞きますところによりますと、最近よくなったというふうな声も聞きますし、あるいは変わらないというようなお話も聞きますので、いろいろあると思いますが、よくなったと、われわれはそういう声がかなりありますから、黙って、あまり文句が出ないということは、かなりよくなったのじゃないかというふうに、実は考えております。
○矢追秀彦君 そういう考え方というか、見方をされると困ると思うのです。特に新幹線ができてからいわゆる駅弁というのは非常に売るのがむずかしくなって、どうしてもあのビッフェに行かざるを得ないわけです。御承知だと思いますけれども、東京駅を発車したとたんにビッフェは一ぱいになる。それほどみんな行かざるを得ないから、行っておる。今度値上げになってもそんなに文句が出てないから、内容がよくなった人間というのは非常に錯覚をする動物ですから、一面においては。高くなるとよくなった、こういう宣伝を少しでもされると、そうかなと思うのです。安い物というと悪い、こういうふうな頭もかなりありますよ。何でも安い物が案外売れない場合があって、ちょっと上げると売れる。そういう場合がありますから、ただそういう見方をされると困る。むしろきちっと測定をされたほうがいいのじゃないか。最近は生理学が発達しておりますから、これは味覚のほうから検討できる面もあるのじゃないかと思います。 次に、公取委員会に聞きたいのですが、こういう列車食堂等の値段を上げる場合、いまのような値段の上げ方が独禁法との関係でどうかということを、ちょっと見解を出していただきたい。
○政府委員(柿沼幸一郎君) 国鉄の構内営業につきましては、日本国有鉄道構内営業規則に基づきまして、国鉄当局が強力な指導をされておるように伺っておりますが、独禁法の問題の対象にはならないと存ずるのでございまして、この場合におきましても、独占禁止法のたてまえから申しますと、競争があることが望ましいわけでございまして、国鉄当局がそういう意味で届け出制をとっておるのにかかわらず、業者の側でもって申し合わせをして価格を統一するというような場合には、独占禁止法上やはり問題になるケースも出てくるのじゃないかというふうに考えます。
○矢追秀彦君 国鉄にお伺いしたいのですが、届け出制になっておりますけれども、はねられた業者というのはかなりあるのですか。その点はどうですか、実情は。実際列車食堂に入りたいという業者ですね。
○説明員(久保高章君) ただいま先生からおっしゃられました、はねられたという意味が、価格の届け出に対し突っ返されたという意味ですか。
○矢追秀彦君 そうじゃないです。営業です。
○説明員(久保高章君) 営業したいのだという申請に対して……。
○矢追秀彦君 そうです。
○説明員(久保高章君) 列車食堂の営業の申請に対して、それはおまえのところは、だめであると言われたという意味でございましょうか。
○矢追秀彦君 そうです。その意味です。
○説明員(久保高章君) いままで列車食堂営業をやりたい、新たにやりたいということで申請が出て、却下といいますか、お断わりした例はございません。
○矢追秀彦君 ということは、大体列車食堂に入れておる業者というのは、もういままでから今日まできておる業者とあまりほとんどもう変化していないと、新幹線ができてからビュフェとうきょうというのができましたね。それ以外、ほかの食堂は大体きまっておると思うのですけれども、固定していると見ていいわけですか。
○説明員(久保高章君) 非常に前は、列車食堂業者がきわめてわずかでございましたけれども、公正競争をやって大いにサービスの向上に資するという考え方で、現在は七業者に対して列車食堂営業の承認をいたしております。それはもちろんお互いによく競争して、先ほど申しましたサービス向上に資したいという趣旨でございます。
○矢追秀彦君 公正取引委員会に聞きますけれども、このように業者がほとんど固定していると、そういう場合、いま言われたたてまえ上でしょうけれども、やはり申し合わせというのが前もって行なわれたようなことも考えられると、こう思うのですけれども、この点調査をするとか、そういう考えはあるかどうか。いまのままの状態を続けられるのか、特に今回の値上げについて。
○政府委員(柿沼幸一郎君) 構内営業につきましては承認制がとられておるわけでございますが、たしかずっと以前、終戦直後にはこれは一社だったときがあると思うのでございますが、独禁法のたてまえに基づきまして、ある程度、いま現在数社にふえておるということでございます。それから、列車食堂以外の構内営業につきましては、これは一万数千社あるわけでございまして、やはりこれも承認制がとられておるわけでございますけれども、それらの業者が、非常にはっきりと申し合わせをして値上げをしたというような確証がございます場合には、公正取引委員会といたしまして調査をいたすことになるかと存じます。
○矢追秀彦君 長官にお伺いしたいのですが、いまこういうふうな列車食堂というのは、わりあい大衆がよく使うものです。いまいろいろな原因、問題等があって、やむを得ない値上げというのはあるかもしれませんけれども、私が言いたいのは、非常にこういう時期がまずかったのじゃないか。これは非常に率も高い。特にビールなどはそんなに経費等そういうものは関係しないので、ほかのそういうところでそんなに上がっていないを、わずかにせよ五円上げた、こういう問題ですね。それから国鉄が承認制をとって、そうしてこういう値上げの問題もそこで検討すると、もちろん国鉄の良識にまかせると言えばそれまででしょうけれども、こういう物価がずっと上がっておるおりから、今後こういうふうなかなり半分公共的で、かなり国民が使うものの値上げに対するあり方ですね、コントロールといいますか、チェックといいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっておるか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま矢追委員の御質疑を承って、実は啓発を受けました。これはもう権限とかいう問題ではございませんけれども、乗客としてはほかに行きようがないわけでございますから、ある意味で選択の余地がないということになりますので、ことにビールを一月の末に値上げをされたというのは、やはり酒税が上がるということがたいていの人にはわかっておる時期でありましたと思いますので、何か国鉄にも見解がおありではあろうと思いますけれども、ちょっと時期をどうかしていただけなかったものか、二度にわたってそういうことがかなり続いて起こるということなんでございましょうから、私ども権限とかいうことでなしに、列車食堂については、できるだけこちらから意見も申し述べたり、また御連絡も運輸省からしてもらえますように、何とか考えてみたいと思います。はなはだ実はうかつなことで、私もいままでのことを存じませんでしたが、御啓発を受けましたので、よく注意いたしておきます。
○矢追秀彦君 いま言われたことで了承しましたけれども、こういう問題、列車食堂に限らず、かなりいろいろな場合にわたって出てくると思うのですね。そういう問題について、機関をつくるというのも、これはまた一つ問題あろうかと思いますが、何か国鉄がそうきめるときに、経企庁のほうからだれか出ていくとか、何かそういう一つのシステム的なもの、そういうものを検討されるようなお考えがあるかどうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はもう、この二年近く物価担当官会議というものをやっておりまして、各省から出てもらいまして、月に何度といって会合しておりますので、このごろは毎週一ぺんになっておるそうですが、そういうときにでもやはりおのおの持っている物価の問題は実は話し合うことになっているのでございますが、これは厳密な意味では公共料金ではないということできっとお話がなかったことと思いますが、なるべくそういう場を活用いたしまして、列車食堂のような場合にはよそにまいれませんから、やはりこれからはそういうところで話し合っていくようにしていったらいかがかと思います。
○矢追秀彦君 時間があまりありませんので、簡単に次の問題をお伺いしますが、木材価格が非常に上がってきております。これが卸売り物価をはじめとして一つの物価上昇の原因となっておりますが、この上がりぐあいの様子、その原因等について、状況を御説明願いたいと思います。これは林野庁……。時間がかかるようでしたら、あとで資料でもけっこうです。
○説明員(亀長友義君) 木材価格が近年非常に上がりまして、この原因といたしましては、本質的には国内生産の停滞があるということでございます。それから木材の生産コストも非常に高くなってまいっております。もう一つは建築需要の顕著な増加でございまして、現在のところ、国内材の供給は大体停滞ぎみでございます。また、外材の輸入に関しましても、現在はすでに自由化をいたしておりまして、希望する量は自由に入れられるという制度をとっておるのでございますが、建築需要の旺盛になりました四十一年半ばごろから非常に需要が増大をいたしまして、ヒノキ、杉等の木材、高級材が非常に値上がりをいたしております。四十一年度で前年比八%も上回る、こういうような状況でございます。四十二年度も四十一年度に比べまして一一・八%上がるというふうな傾向になっておるわけでございます。しかし、木材の需要、特に建築需要に関しましては非常に景気の変動と密接な関連がございますので、昨年中、騰勢を続けてまいりました木材価格も今年度に入りましてやや鈍化をいたしております。今後一般的に景気調整というような対策が浸透してくるということにでもなれば、私どもとして今後騰勢ということが続くということはなかろう、かように観測いたしている次第でございます。
○矢追秀彦君 輸入木材はどうですか。外材ですね。
○説明員(亀長友義君) 輸入木材に関しましては先ほど申し上げましたように、現在原木、丸太、製品ともに自由化をいたしております。これも一般的に産地の情勢を申し上げますと、値上がりぎみでございます。さらに、いずれの国も木材製品、あるいは木材輸出一般に関しましては、決して消極的でないのでありますけれども、丸太を輸出するということに関しましては、国内産業との調整上、アメリカ、フィリピンにおきましても各種の問題がございまして、そういう面から丸太のみを主として輸入してきた従来の日本の輸入方針を製品輸入に逐次切りかえざるを得ないような情勢になってきております。ずっと以前と比較しますと、非常に価格も違ってきておりますが、アメリカにおける日本の買いつけによって、アメリカの価格も相当高騰してきております。 したがいまして、外材が特に安いということよりも、日本の大量の買い付けによって逐次外国の価格も日本の国内価格に見合った価格に近寄りつつあるというのが実情でございます。
○矢追秀彦君 だんだん外材が上がってくると、やはり向こうの国としても輸出の制限をする向きが出てくると思います。そうした場合に、外材ももっと上がる。いま一応鈍化してきていると言われますけれども、これは景気調整が一つの原因と言われますけれども、しかし、まだまだ国民の要望としては一世帯、一住宅までいっていないわけですから、まだまだ建てる希望というものは非常に多いわけですから、そうした場合、まだ今後相当上がってくると考えられますけれども、その点外材を輸入する国ですね、いまのところ以外に安くとれる地域は開発できないかどうか。また外国が輸入制限してきますね。それに対する見通し、これをひとつ。それから安く輸入できるような国はほかにもうないかということ。
○説明員(亀長友義君) 今後の建築需要の見込みにつきましては、御承知のように依然として住宅不足という状態でございまするから、当然これは長期的に見て建築需要というものは非常に強く存在するということは間違いないところだと思います。ただ、時期的な、あるいは年次的な需要に関しましては、やはり国民経済の動向と申しますか、景気の動向と申しますか、そういうものと非常に密接に関連をするということは、過去の経験と申しますか資料によっても明らかなところでございまして、さしあたり今後の見込みとしましては、最近騰勢が鈍化をいたしておりますので、当面そういう状態が続くのじゃないかと思います。ただ、非常に長期的な視野で申しますと、これはやはり森林の生産速度と申しますか、木材の生産速度というものと、人間の需要する速度といったようなものがどういうふうになってまいりますかということで大きくはきまるだろうと思いますが、私どもとしましても、外材につきましてはすでに三十六年以来完全に自由化をいたしております。そこで、さらにその中で現在日本が求めております国は、アメリカ、アラスカ、カナダあるいはソ連、フィリピン、インドネシア等の地域でございます。すでに手をつけた地域におきましても、必ずしも現在開発が十分でないという面から日本への供給が制限されておる分野もございます。さらに国内における自国産業の育成という立場から、丸太輸出よりも製品輸出というような形で希望してまいるというふうな国もございます。さらに日本が積極的に参加をしまして開発に従事をするという試みも南方地域でいたしております。しかし、これに関しましても、必ずしも各種の事情からいまだ十分な成果をあげるに至っておらないような実情でございます。私どもといたしましては、アメリカあるいはアラスカ等の木材の開発、さらにソ連に対しましても日本との信用供与による開発、あるいはインドネシア等に対しましても信用供与による開発等々考えておりますが、当面早急に効果をあげるということは期待薄でございますので、国内需要がさらに増加をするということになれば、やはりその増加分に対しては外材に頼らざるを得ない。この際に従来の丸太輸入という方式だけでは無理でございますので、製品輸入という点もこれは十分に考えてまいらなければならないと思います。その面で、製品輸入という面につきまして十分配慮いたしますならば、各方面への影響はある程度避けられるだろう、かように考えております。
○矢追秀彦君 長官にお伺いしたいのですが、この木材の問題も、物価担当官会議で検討がなされ始めたと聞いておりますが、いかがですか。
○政府委員(八塚陽介君) いま林野庁のほうから木材のいわば供給に関連いたしましてお話があったわけでございますが、木材の需要につきましては、御指摘になりましたように、当然今後の住宅不足等あるいはその他の需要、これは基調が強まっていますし、卸売り物価の中では最も顕著に影響を持っておる、騰勢に影響を持っておるものでございますので、私どもとしてもこれはほっておくわけにはいかない。ただ供給の面等はこれは林野庁等で御検討いただき施策を進めていただくわけでございますが、一方、需要のほうについても何かくふうはないだろうか。たとえば新しい建材の問題あるいは建築の手法の問題いろいろそういう面からもくふうがないだろうか。あるいはまた木材の流通の過程で、港湾の問題、あるいは植物防疫の問題、その他いろいろなところでさらにくふうをして価格の問題について施策を進めるべきではないだろうかというようなことで、関係各省がそれぞれ集まりましてそれぞれの分野において勉強をいたしております。そうすぐ早急に、何と申しますか、まことにいい手があったというような性質のものではなくて、各関係省がそれぞれの分野でそれぞれ地道にくふうをしていくということだろうと思いますが、そういう点で努力をいたしております。
○矢追秀彦君 次に、プレハブ建築のことですが、これが工事単価がわりあい安いといわれておったのですが、この三月のことでありますけれども、実際業者のほうからはもっと上げろというのが来ておるわけですけれども、この点についてどういうふうになっているか、様子を教えてください。
○説明員(沢田光英君) 仰せのようにプレハブ建築関係のほうから建築費の単価を上げろという陳情が実はまいっております。私どもいま公共住宅関係を中心にいたしまして、ただいまのお話のように、工事費をできるだけ押える工法といたしましていわゆる、これは木材から鉄筋コンクリートまでございますが、そういうことを公共住宅中心に進め、民間にも波及させよう、こういうふうにしております。その中で実は四十三年度の予算といたしますと、大体建築費の値上がりは一〇%と計算されております。これは一般の工法もプレハブ工法も込みでさような値上がりというふうなことになっております。ただしプレハブ工法は、いま申しましたように単価の値上がりが天然材料あるいは労務、そういうものに影響され方が少ない工法といたしまして採用いたしておりますので、当然その中で処置されます。一応単価としては一般工法よりは楽だというふうなかっこうで、一応の話といたしましては陳情は受けておりますが、それに対して具体的に何%プレハブ工法を上げるというふうなことではなしに、予算単価の中で各事業主体で公共関係では普通の入札関係の中でこれを処理しております。
○矢追秀彦君 時間がありませんので、国民生活局長にお伺いしたいのですけれども、その建材の問題、検討するといわれますけれども、それはまた実際いろいろ値上がりしてきていると思うのですね、現状においては。骨材にいたしましてもまた砂利なんかもダンプの規制によって上げてくれと、そういうわけで木材が上がってくるからほかのものを何かくふうするとか研究するといわれましても、現実問題としてあらゆるものは非常に上がってきておる。特に建築関係が非常に上がっていることはかなり国民生活に大きな影響になりますので、その点どういうふうな、ただそういうことだけじゃなしに、いかにしてこれを押えていくか、それがたとえば骨材あたりがわりあいに中小企業業者が多いわけでありますね、そういうような問題で、やはりかなり問題も出てくると思うのですね、押えてしまうということ自体に。そういう点から考えて全体的な観点でよろしいですがお伺いしたいと思います。
○政府委員(八塚陽介君) 確かにいろいろなものが値上がりをいたしておりますし、それぞれの値上がりの中にはあるいはコスト以上の若干の便乗等もある場合もあるわけでございますが、ただ、値上がり自体は、中には何と申しますか、それぞれの要因があってのことの場合があるわけでございます。その中で私ども特に木材を考えましたのは、もちろん木材が先ほども申し上げましたように他の物価に比較して非常に顕著な値上がりをしておる。しかも供給の面からいいますと、やはりいろいろ努力はありましても制約があるのではないだろうかというようなことで、特に木材を着目いたしたわけでございます。したがいまして、御指摘になりましたような骨材その他ももちろん、資源その他の関係から似たような問題は持っておる場合もあろうかと思いますが、総体的に私どもとりあえず木材ということで考えてまいったのでございます。しからば木材だけでいいかということになりますと、もちろんそういうわけではございません。まあいろいろなものにつきましてはそれぞれのものに即した対策と同時に、いわば少し抽象的な見方になりますが、物価政策全般として、あるいは財政金融政策であるとかその他あらゆる手を打っていくことが必要であろうかというふうに考えております。
○矢追秀彦君 最後に一つだけ長官にお伺いして終わりたいと思いますが、やはり現在の物価の上がっておるのは非常に農作物が率としては大きいと思うのですけれども、特に生活に直接関係あるものとしてはですね、やはりこの農作物の自由化ですね、この問題についてもちろん日本の農業を守っていく面もこれは大事です安いのが入ってくるとつぶれるということもあるかもしれませんけれども、だけれども、やはり物価ということを考えればそういうこともやはり考えなくちゃならない、この自由化の問題ですね、特に農業生産物の自由化をどう今後物価の問題とからめて考えておられるか、それだけお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在のところ主食はもちろんでございますが、でん粉類、それから肉を含めまして酪農関係、それからくだもののある部分、あとは専売物資でございますか、そんなものが自由化にならずにおるわけでございます。それで、まあいわゆる工業製品の自由化はもうやるところまでやってしまいまして幾らも残っておりませんが、農産物の自由化というのをこれ以上進めるということは実際上はどうも問題がやはりあるように思っております。消費者の立場からいえば酪農製品とか肉とかいうものは非常に、そうすれば需要が変わりますし、また輸出国側もそれを欲しておるわけでございますけれども、きょうまでのところまあ農業関係の自由化は一応これでしばらく一段落ということになっておって、私もまあやむを得ないと思って実は見ております。国内の農業人口というか、あるいは農業のあり方がもう少し変わってまいりましたらやれることがあると思うのでございますが、何ぶんにも千葉県あたりでまだイモをつくっておるような状況でございますから、いわんや九州はもちろんでございますが、まあしばらくこの状態を続けていって、日本全体の産業地図が変わってくるという時期まで、残念ですが待たなければならないのではなかろうか、率直に私はその問題、悩みながら、いまとしてはそう思っておるのでございます。
○羽生三七君 関連していまの問題で、本来農産物を輸入するとすれば、低開発国中心であるべきなのに、かりに輸入するとすれば。ところが、逆にアメリカからの輸入が一番多いんじゃないか、しかも今度農務長官ほか五十名の大ぜいが来て相当の圧力をかけておるというのが現状ですね。これは実におかしなことになったもので、低開発国でなしに、一番の先進国が農産物輸入の王座を占めているという奇妙な現象になっておるのですが、これにはどう対処されるのか、ひとつ。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先般、たとえば麦価の改定を、外麦の価格の改定をいたしましたときに、やはりオーストラリアでありますとか、——オーストラリアを先進国と考えるかどうか、私はガットなんかのたてまえではオーストラリア、カナダは先進国ではないというふうに思うのでございますが、まあなるべくそういうほうにも転換をしていきとうございますし、中共にしてもやはりそうだと思うのですが、そういうところの品質なり価格なりが、だんだん見合うようになりましたら、やはりそういうところへ転換をできるだけしていくと心がけるべきだと思います。いままでのところなかなか一足飛びに思うようにまいりませんけれども、考え方はそうだと私は思っております。
○春日正一君 簡単な問題からお伺いします。 最近経済の基調が国際的にも国内的にも変わってきております。政府の財政経済政策も大きく変わらなければいかぬということは、施政方針その他でも言われておるのですが、それで、それと一緒に最近受益者負担の原則ということが盛んにいわれて、水田大蔵大臣もしばしば受益者負担の原則だ、こういってくる。これがどうもわかったようなわからないようなことで、実際出てきているところを見ると、どうも受益者負担じゃなさそうな私は気がする。だから、そういう意味で長官は、この受益者負担の原則というものをどいうふうに考えておられるか、どういうことが受益者負担の原則ということなのか、そこらを聞かしていただきたいんですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どものものの考え方からいたしますと、やはり国民全体の所得水準が上がっていって、そしてできるだけ自分のことは自分で始末をするということがよくはないだろうか、もちろん生れつきでありますとか、あるいは後天的にいろいろ身体、心身に障害がある人、また年をとるといったような場合もございますし、もちろんそういう場合もございますから、そういうところで社会保障というものが国の手によってなされるべきであって、原則はやはり国民全体の所得水準が上がって、自分のすることは自分の負担においてなるべくやっていくというのが原則じゃないか、こういうものの考え方を持っております。したがって、できるだけ他の人、つまり他の納税者に迷惑をかける度合いを少なくするということがやはり原則ではないかということを考えますので、それで受益者負担ということを申し上げておるわけでございます。
○春日正一君 そこで実情ですけれども、たとえば今度国鉄の定期券が値上げになりました。最高一・六倍ぐらいになるわけですけれども、しかし、実際に国鉄の赤字というもので見ると、これは私国鉄当局にお聞きするのでないですから、大ざっぱな傾向として間違いなければそれで聞いていただく、数字のこまかい——えらい間違いがあったら指摘していただきたいのですが、昭和三十二年から四十年という数字をとっても、旅客では千九十二億黒字になっている。貨物では千百七十億赤字になっている、こういうような数字になっておりますし、五七年から六四年のそれをとってみると、貨物収入損金七千百七十六億、旅客収入益金一兆二千四百九十六億、大体旅客収入というものは黒字になっているのですね。貨物のほうが赤になっている。そうして特に定期券を使う区間の場合を見ますと、通勤区間では赤字がないわけですね。山手線なんかの場合でも四十年度九十六億円収入があって四十九億円がコストになっている。差し引き四十七億円だけもうかっている。しかもこの場合御承知のように通勤区間、特に東京の山手線とか何とか、定期を使う区間は実際定員の三倍も乗せて殺人電車というふうにいわれる形で運ばれているのですから、決してこの人たちはあの混雑で益を受けているとは思わない。国鉄に損をかけていない。ところがその定期運賃のほうを上げるというようなことになると、これがいま長官の言われるような趣旨の受益者負担というものとは違ってくるのじゃないかということですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 鉄道を国有にしているという意味は、鉄道が国有であるということは、資本主義の自由経済の原則からはもう確かに違っていることでございます。おそらくそうなっておりますことの意味は、たとえばこれが私企業でやれば採算路線だけをやるということに当然なるかと思うのでございますが、そうではなくて、国全体で、場合によっては採算の悪いものもどうしてもしなければならない。国民経済あるいは国全体の要請である場合が多いと思うのでございますが、したがって、それで国有鉄道にしているのだろうと私思いますが、そうであるとすれば、やはりどこか、青森県なら青森県の人の運賃を東京のわれわれが負担をする。あるいはそういったような国民経済全体としての負担を、どう申しますのですか、共同負担といったようなことがあるのではないか、したがって、国有の事業なんかにつきましては、先ほど申し上げましたような厳密な受益者負担ということはやはり違う原則が働いているのではないかと思うのでございます。
○春日正一君 いま長官の言われたローカル線ですね、それが赤字になる。それを都市の利益のあがるところでカバーしていくというような意味なら、まだ国有鉄道の運営としてはそれなりにわかると思うのです。よく論議になることで、なぜ赤字線を敷くかというようなことがありますけれども、これが一々妥当性をもっているかどうかということは別として、国有鉄道とすればそういう場合もあり得るということだと思います。そうすれば、その赤字に対してどこかでみなければならぬということはあるわけです。その論なら一応そういうこともあるかなということにはなるのですけれども、そういう個々の線の問題ではなくて、貨物運賃ですね。たとえば四十一年度の運賃値上げの基礎になった三十九年度の実績をいうと、旅客輸送で八%の黒字、貨物輸送は二三%の赤字というものを基礎に、旅客のほうを四割上げて、貨物を一割上げているというふうにして、貨物輸送のほうを低くしておりますし、特にこの際これは物価問題との関係で長官にお聞きしたいのですけれども、昨日ですか、一昨日ですか、新聞に出た、国鉄の石田総裁が貨物運賃も上げるといって、そのおもな対象になるのは生鮮食料品とか新聞、雑誌類とか、そういうようなものを上げるというようなことを言っているのですけれども、こういうことは物価対策というような面からみてもこれは一つの大問題になるんじゃないか。運賃を上げればすぐ新聞、雑誌の値上げ、あるいは生鮮食料品の値上げというようになる。これは先ほど矢追君の質問にも出ましたが、生鮮食料品が一番上がっている率は高いわけでしょう。それがまたそこにかかってくるというような形で、国鉄の赤字解消を定期券で解消していく。今度は生鮮食料品の運賃で解消していくということになると、これが受益者負担ということになるかということですね。それともう一つは、これは物価問題としての関連で、こういう値上げというものは好ましいとか、いいとか、長官としてはどうお考えになるか、そこをお聞きしておきたいのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国鉄というものが先ほど申し上げましたようなものであるといたしますと、採算がとれなければならないものであるか、どうであるかという問題は、私はあるのはあると思うのでございます。しかし、従来これは一つの企業体でございますから、親方日の丸にならずにとにかく独立採算をやってもらう、そういうことできておりますが、おそらく国鉄の総裁なんかの気持ですと、ほんとうに国民全体のために仕事をするならば利益……を損を出すなというならば不採算的なことはやらないんじゃないか、それから採算的なことをやるのが国民的な要請であるならば、独立採算でやるというのは無理ではないか、そのどちらなんだということをおそらくおっしゃりたいのだろうと思うのでございます。それは私にもよくわかりますので、いろいろなそういうことが問題になりまして国鉄の経理あるいは経営のあり方というものを根本的に再検討する必要があるのではないかということで、物価安定推進会議からも提案がありまして、先般閣議了解をいたしました。本年の末までにはそういう根本問題を一度洗い出してみよう、こういうことになっております。
○春日正一君 生鮮食料品の値上げといったようなものについての考え方ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは特別割引というのがやはり農産物について、それから新聞等についていままでございました。国鉄は始終これはやめたがっております。これも一種の公共負担のようなものだという言い方をしておると思います。これはどう申しますか、割引してもらっておる状態に、われわれいままでその上に乗っておりましたから、これがなくなれば困るということをすぐ思うわけでございますが、そもそもそんなに国鉄が負担をするとするならば、別途政府は国鉄のめんどうをみてくれるべきじゃないかという議論があろうと思います。やはり基本問題の調査会でこれはこの秋くらいまでに研究してもらう一つの項目ではないかと思います。
○春日正一君 私はこういうものは上げるべきじゃないと思う。もっとほかのほうで考えるべきだろうと思いますけれども、それでいまの赤字の問題ですが、たとえば国鉄の赤字の要因として、アメリカ軍関係の輸送なんかも最近相当ふえていると思うのですね。これは特別安くしてやっているわけでしょう、軍関係の場合は。これは私聞いてみたら安いという話ですけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとわかりかねますので調べておきます。
○春日正一君 それから大資本、大きな会社の扱う大口の貨物ですね、こういうようなものも割り安にしてやっている。こういうものが赤字の要因になっている。そういうものを上げたらどうか。さっきも木村さんが言ったように、財政硬直化を支出のほうで言うけれども、歳入のほうの硬直化を検討しないというような話、さっき木村さんからも出ましたけれども、国鉄の場合でも、赤字要因の中のそういうもの、たとえば米軍貨物関係の輸送費とか、それから大資本の大口貨物の運賃というようなものを上げていくというようなことが考えられないものかどうかという問題ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳細なことがわかりかねておりますので、よくその辺のことを検討さしていただきます。
○春日正一君 それからこういう問題もあるわけですね、タンク車とか、その他の私有の貨車、これの空車の運賃を平均して三五・三%、これは六八年の二月十二日ですかの報道ですが、そのころに大幅に引き下げて、減収が九億三千万円というような、このタンク車なんかを自分で持って線路に乗り入れているところは大きな会社でしょう、大体石油会社、そういうものを安くしてやっている。それだけでなくて、十月のダイヤ改正に備えて、貨物の輸送力を上げるというので、現在二十貨車を二重リンクつきに改造するというようなことをやっておるようですけれども、その場合、一部の大企業の会社の所有の貨車、これは約千百両についても国鉄の負担で改造するというようなことになっているというふうに私は聞いてるんですけれども、そうすると、これは受益者負担の原則からいえばきわめて矛盾したことになるのじゃないか。こういうことをしておいて、そうして一方では定期券を上げる、生鮮食料品の特別割引やっているからこれをやめるというようなことになると、これは受益者負担という、その理念は一体貫かれないことになってくるのじゃないか、いま長官の言われたような意味で。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は国鉄が、冒頭に申し上げましたように企業体であるということから、どうしても企業体ということはある意味で商売であるということでございましょうから、やはりもうけなければならぬということで、しかも、ああいう火の車でございますから、みすみす損するようなことはしっこないと思いますので、いいお客にはサービスをしてうんと使ってもらおう、そうしてもうけようという、そういう採算からきておるのじゃないかと思うのでございます。そういう意味では確かにこれは企業体でございますから、受益者負担ということが、私どもが普通使っておる意味ではそのまま当てはまっていないのかもしれません。しかし、よくいまの点などは実情を調べますが、みすみす損をするようなことをするほど、とても余裕のある企業体ではなさそうに思っておるのでございます。
○春日正一君 国鉄の問題というとそういうことになりますが、私どもはこういう大口貨物とか、米軍の輸送とか、いま言ったようなこういう一定の会社のために国鉄が改造してやるとか、そのほかに似たようなものが非常にあります。たとえばこんな例があるんですよ。名古屋のいま大曽根地区であそこも都市改造やって、名古屋の副都心にしようという計画がある。あそこがずっと区画整理やられて、みんな道路その他の用地を供出したりなんかして、非常な犠牲を払って、あそこの住民はそれをやられているんですけれども、ところがあそこへずっと駅ができて、あそこに名鉄の瀬戸線ですか、それが入っているわけですけれどもね、いままではあんまりもうからぬ、人が乗らない。あそこが副都心になると、これは非常に需要度が高くなるんですね。ところがそのために、ずっと入ってきて高架にしていく経費ですね、八億円くらいかかるそうですけれども、これは都市計画事業で名古屋市が持つ。そうすると、もう市が持ってそういうふうに高架にしてくれて、副都心にしてもらって、名鉄はお客さんをうんと乗せてもうかる。そうすると、受益者である名鉄は一文も出さないでそういう改造をやってもらって、しかもそこの住民は一々自分たちの土地も都市改造、だからといって提供させられる。こまかいことはありますけれども、非常な犠牲を払わされている。ところが一番大きな受益者はちっとも負担しないというような現象が出ている。 それから水道料金の問題で言いましても、特定の大企業が主として使うんですけれども、工業用水道の場合には国庫支出はそこにどんどん入れられるようになっているし、一般会計からも繰り入れられるような形になっている。そしてこの工業用水道の料金というのは非常に安い。ところが一般の上水道、これは独立採算ということで国からの補助もないし、一般会計からも繰り入れることが許されぬというような形になっている。ということになると、これは特定の会社のための工業用水道というようなものを自治体がつくって、国から補助してその水を安く供給してやる。使うのはしかも営利会社だということですね。ところが一般市民の使うのは、これは営利のためではなくて生きるために使っている、これは必需品ですね。これは営利会社には十分見てやって、そして一般国民の日常生活必需品の面については受益者負担だと言って一切の経費をかぶしてくる。これでは受益者負担じゃないんじゃないか。一般国民は受益者だと言っても生きるためにどうしても必要なものでしょう。ところが工業用水のほうはほんとうの営利会社ですね、それを使ってもうけているんだから。それに対してはそういう特別な保護を加えるというようなことがやられる。だから水道料金値上げその他も自治体で至るところ問題になっているわけですけれども、その場合これが必ず出てくる。そういう点どうなんですか、この受益者負担の原則ということから言って。
○政府委員(岩尾一君) 工業用水道と上水道の問題でございますが、工業用水は従来地盤沈下を起こすということで、国全体と申しますか、その地方の開発上の影響もございますので、そういう趣旨から補助をやっていこうということで補助をいたしておりました。当時は一般の上水道の料金というものは範囲も非常に小さかったものですから料金も高くないということで、これに対しては補助をしないことになっておったわけでございます。だんだんだんだんそういうことで工業用水に対します補助が上がってまいりまして、それから片方どうも広域的な、広い範囲の上水道をつくっていって、飲料水の非常に需要が多いものですから大きな工事をしなければならぬ。したがって、ペイをさすためには水道料金を上げなくちゃならぬというような情勢になってまいりまして、昨年の予算から新しく上水道に対しましても建設に対する補助を行なおうということで、額はちょっと私忘れましたが補助をいたすようにしております。 まあそういうことで多少沿革的な理由が非常にあるわけでございますけれども、本論といたしまして受益者負担というものから言いまして、決して大会社だから、会社だから優遇しておるということではなくて、実際上の必要性を見まして、それに対して適正なことをやっているということでございます。
○春日正一君 受益者負担の原則から言えば、上水道こそ独立採算でなくて、一般会計からも繰り入れられるというようにするのが道理だし、工業用水のほうこそ独立採算にして受益者に負担さしていく。地盤沈下があるというけれども、上水道をつくって地盤沈下があるといってもその関係で沈下するんだから、それは当然そういうものはそこで見ていけばいいので、受益者負担という経済の法則から言えば。当然そっちが独立採算になるべきもので、それが逆になっている。ここら辺どうなんですか。
○政府委員(岩尾一君) いまの現状をごらんいただきますと、おっしゃるようなこともあるかと思いますが、こういうふうな制度になりましたのは私の申し上げたような沿革でございまして、われわれといたしましてもそういう点は十分に配慮して今後の行政をやっていきたいと思います。
○春日正一君 あともう時間がないようですからあれですけれども、社会保障制度の場合でも去年の健康保険の料金を実質負担を上げた。私ども改悪と言っていますがね。あの場合でも受益者に負担をさして赤字を埋めてもらわなければと、こういうことを言っておるんですけれども、しかし社会保障制度というものが必要になってきたということ自体、たとえば病気になっても自分でなおせない、あるいは年をとっても子供にめんどうを見てもらえないという社会的な状況がずっとつくられてきて、その矛盾をどうしても解決するためにこういう制度が必要になって国際的にやられるようになった。ということから考えれば、こういうものは当然国なり、あるいはその原因をつくり出してきている資本家なり、そういうようなものが負担するということが当然なんですね。ところが病気になるのに好きで病気になるんではない、病気になってこれは利益だと考える人はないのですよ。なおしてもらったからといってもともとなんで、災難ですよ。そういうものに対して受益者負担の原則というようなものを導入して、だから料金を上げるのだというようなことになりますと、どういうことになるか。これは秋田県の十和田町というところの例で言いますと、国保を四十二年度から十割負担にしてただで見てもらえるようになったということの結果、四十一年には千分の三九・一、乳児の死亡率が。それが十割負担になったら千分の二九・一、千人に十人助かっているんですよ。そういうことを見ると、この社会保障ととか医療制度というものの中に受益者負担というような観念を導き入れるということは、およそ社会保障制度というものとの関係からいえば意味のないことになってくるのじゃないか。その無理なことをやっているということなんですね。そうすると、受益者負担の原則というようなものを社会保障などに対して貫くことはできないんだし、同時に鉄道にしても水道の場合にしても、実際上は受益者の負担ではなくて、利用している大衆の負担ということになって、大きな貨物を輸送する資本家とか工業用水道を利用する資本家というようなものは手厚く保護する。これは逆になっているんじゃないか。そこで国民がどうしても納得できないものが出てくるということなんですけれども、もう時間がありませんけれども、その点将来もこの方向であくまで徹底してやっていかれるのか、そういうものをどうしていかれるのか。最近出てきた受益者負担という問題についての長官の考え方をお伺いして、大臣は時間ですから質問をやめますけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に申し上げましたように、私どもは自分で能力がある限りはやはり自分のことは自分でやっていくということが原則であるべきだと考えております。しかし、自分でそれができない環境の人あるいはそういう環境になるわけでございますから、そういうときにはこれはお互い自分の税金を国に出して、そして国の力でそういう人たちが困らないようにしていこう、こういうことが私どもの考えておる社会保障だと思うのでございます。したがって、医療保険なんかの場合も、やはり保険というたてまえをとっておりますのは、病気になるということは一生に何度かはあるわけでございますから、そのために能力のある人たちからは自分の所得の一部を積んでおいてもらおうという考え方をとっております。むろん能力のない人には国が全面的にめんどうを見なければならないということでありますけれども、能力のあるうちはなるべく隣人に寄っかからないということがほんとうではなかろうか、こういう考え方できております。ただ春日委員が御指摘になっておられますように、そういうことで発足した制度でもうっかりしておりますと社会正義に反するような結果になることが私はなしとしないと思います。そういう意味で国民が不満を持つということは十分あり得ることだと思いますので、したがって、いろいろな施策が社会不正義を生むというようなことであってはならない。一度制度を始めますと惰性になりまして、元の原因が解消できないにもかかわらず、それが既得権のようになることはしばしばあるのでございまして、これは、私ども特定の人たち、あるいは特定の業種というものを他と差別待遇して保護しようとかいう意識をもっておらないのでございますけれども、しかし、思わぬところで社会不正義が生まれるということはあり得ることでございますから、十分その点は注意していかなきゃならないと思います。
○主査(近藤英一郎君) 以上をもちまして、経済企画庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。 これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。 これをもって本分科会の審査を終了いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(近藤英一郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 これにて散会いたします。 午後二時三十二分散会 —————・—————