予算委員会第二分科会 第2号
- 発言数
- 425 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/04/11
会議録
○主査(近藤英一郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、春日正一君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君が委員に選任されました。 —————————————
○主査(近藤英一郎君) 昭和四十三年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。 昨日の会議と同様、政府の説明は省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(近藤英一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、これより質疑に入ります。質疑がある方は順次御発言を願います。
○羽生三七君 同僚議員の質問がたくさんありますので、私はほんの一問か二問、簡単な問題で防衛庁長官に承っておきたいと思います。 それは、昨日外務関係のところで外務当局に承っておきましたが、二月二十二日に韓国の金——これは外務部長官ですか、国防長官ですかの名で、北朝鮮と一朝有事の場合には、積極的な軍事援助を与えられたいとの書簡を日本と関係九ヵ国に送ったはず、送ったそうです。それで日本も外務省経由で防衛庁長官にその書簡を届けたそうです。そこで、その返事は出しておるのかどうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 羽生さんにお答え申し上げます。 外務省経由で国防長官から世界各国へまいりまして、また日本の国防を担当する大臣である防衛庁長官にも手紙がまいりました事実はございます。それはいま検討しているわけでございまして、返事を出すべきか出すべからざるかというところから始まりまして、検討いたしておる次第でございます。
○羽生三七君 世界じゅうじゃない。九カ国と私は聞いておりますが、関係国ですね。そこで、その返事をもし出される場合には、慎重な方針をとっていただきたいと思います。これは幸いにして、朝鮮半島でプエブロ号事件のときには若干の緊張がありましたが、いま一応平静になっている。しかし、事と次第によってはどういう事態が起こるかわからないので、その場合に積極的な援助を日本に求める書簡ですから、これに対する返事はきわめて慎重を期していただきたい、これを注文をいたしておきます。
○国務大臣(増田甲子七君) 承知いたしました。
○羽生三七君 ほかにたくさん問題がありますけれども、同僚の質問がたくさんあるようですから、割愛をいたしておきます。
○前川旦君 初めにお伺いしておきたいのは、日本の安全保障をどうするかという問題につきましては、これは単に軍事力だけでなくて、非常に多面的であろうと思います。日本の安全保障につきましては、与党、政府だけが責任を持つのではなくて、当然野党である私たちもこれは真剣に考えなきゃいけない問題であるし、また責任も実は持っておるというふうに私ども考えます。そこで、安全保障という問題を軍事力というものだけの側面から見ないで、一つには外交的手段によって緊張を緩和していくということがこれはもう安全保障の第一の道である。それからその次には国民のやはり意思を統一するということ、みずからを守るという国民の気概がない限り安全保障はあり得ないということ、それから国民生活の向上というものがない限り防衛意識は生まれないということ、それから国民の知的な水準が高くなければ意思の統一ということもあり得ないということ、こういうことがいろいろあると思います。それに軍事力というものも加わるでしょうが、非常にこういう多角的なものであって、軍事力だけが安全保障の道ではないというふうに私ども考えますが、そういう基本的な考え方について長官どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 国防のことにつきましては、防衛二法等にも規定がございまして、シビルコントロールの基礎的なものは国会の承認である、こう考えております。国会のコンセンサスを得ることである、こう考えております。したがいまして、与野党ともに責任をしょってくださるということをわれわれはむしろ積極的に期待をいたしておるわけでございまして、野党の方も与党の方も、国民の平和と安全の責務を分担するという立場で臨んでいただくことは非常にありがたいことだと思っております。 それから国防のことは、国民生活水準が相当高まってこないと国防意識ということも無理でございましょうし、生活水準のみならず、知識水準もまたある程度高くならなくてはいけない。単なるいわゆる——いわゆるという字を使わしていただきますが、いわゆる軍事力だけではできないということはお説のとおりだと私は考えております。
○前川旦君 野党も責任があるということは、政府の考え方に一致するというわけではありません。もちろん全然いまのところ百八十度違った考え方はありますが、それはそれなりに私ども責任をもって、これこそ唯一の日本の安全を守る道である、そういう道義的な意味で責任を同じように、それ以上に感じているということです。 そこで、国論が割れて、国の中で非常に激しく争いが起こるということ、これは基本的に安全保障という面から考えてたいへん好ましいことではない、マイナスになる、こういうふうに考えるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) 安全保障の問題で国論が分かれるということは非常にふしあわせなことだと思っておりますことはお説のとおりでございます。まあスタンド・ポイントはそれぞれ違いましょうけれども、お説のとおり、安全保障問題について説が分かれるということは国民にとって、国家にとってふしあわせなことであるという点については同感でございます。
○前川旦君 私はふしあわせということよりも、安全保障という立場からみて非常にマイナスになるというふうに思います。 そこで、最初にお尋ねしたいのは、きょうの新聞に大きく出ておりました例の新島の射爆場の問題です。簡単でけっこうでございますから、今日までの経過というものを、これは政府委員の方でけっこうです。簡単に御報告いただきたいと思います。
○政府委員(山上信重君) 新島に射爆場をつくる計画というものについての経過でございますが、御承知のように、水戸の対地射爆撃場の移設問題につきまして、かねて国会の科学技術振興対策特別委員会におきます決議がございまして、なるべくすみやかに移設をはかるようにすべきであるということの決議がございました。これに基づきまして、防衛施設庁におきましては、水戸の射爆撃場を移設するのに適当な候補地を従来、ずっと探しておったのでございますが、各種の地域を探しましたが、この基本的考え方といたしまして、東京付近の飛行場からおおむね二百キロ以内ぐらいの地域の範囲内の場所でないと射爆撃場の代用施設として受諾いたしかねるという米側の意向もございました。水戸の射爆撃場の代替施設を提供すれば、どこかへ移るということについてはもちろん異存がないのですが、そういう範囲を限定されておったのでございまして、したがって、われわれとしても最大限の努力をもって一番被害の少なかりそうな、国民に与える影響の一番少なかりそうな場所を選定してまいったのでございます。その結果、他の地区につきましてはどうも思わしい地域がどうしてもないということで、昭和四十一年の六月に、御承知の当時の松野防衛庁長官とプレストン米軍司令官との間の共同会見によりまして、在日米軍としては新島の南端地区に所要の工事が施されるならば、これを射爆撃場の代替施設として受諾可能であるということが合議がなされました。自来、それにつきまして、米側として、しからばどういう程度の範囲のものであれば受諾できるかということをひとつそれじゃ米側から出してもらいたいということで、その技術的提案を向こう側からもらうということになっておったわけでございます。この技術的提案の内容につきましては、当方といたしましても新島にはたしてそういうことができるかというようなことで、いろいろ飛行調査もいたしたりなどして意見も申し述べたのでございますが、米側が基本的にこの程度に必要だということは、従来までの経緯では相当折衝が行なわれたのでございますが、ようやく最近に至りまして、大体新島の南端の端々地区と称する大峯、丹後、向山、この三つの連山を結ぶ線以南の地区、これは面積にして約二百万平方メートルでございますが、この地区を中心に射爆撃場として選定したい、それに対して、しかしながらそこは相当な台地でございますので、これをある程度低いものにしてほしい、これは訓練の必要上、当地域が非常に高い台でありますと、多少の乱気流等もございますので削ってほしいということ、並びにこの面積が約水戸の六分の一程度、六分の一強でございますが、水戸が約坪数にして三百六十万坪ございまして、南端地区が坪数にして六十数万坪でございます、約六分の一強、陸上面積が狭いかわりに海上面積についてはできるだけ広く使いたいという希望がございました。これも、しかしながら海上面積につきましては、当地は相当漁場の関係もこれあり、あるいはいろいろ影響するところが大きいので、できるだけ狭めてほしいという希望を持って折衝いたしてきたのでございますが、大体において海上面積において約百キロメートル平方の面積を大体常時制限水域にする、なおそれに加えて、使用するときに事前の通告をすることによって、年中使うわけではないのでございますが、そういった面積の水域を追加して、その東北方に設けるというような大体の範囲、それから並びに飛行の方向につきましては、新島本村なりあるいは式根島という関係の部落に影響を与えないというような範囲において大体米側の意向がまとまってきましたので、昨日さような具体的な内容を持ったものを関係各省並びに東京都等に資料を送りつけまして、これから関係機関並びに地元、あるいは東京都等といろいろ御意見を伺い御相談を申し上げ、これをこのような案によって地元なり関係機関のほうで御了承が得られるならば、こういう案を実現をしてまいりたい、こういうことに考えて、さような行動をとったわけでございます。 御承知のとおり水戸の射爆場につきましては、その付近に原子力施設もこれあり、移転をしてほしいという希望きわめて強いものが、過去において強くわれわれのほうにも要請されてまいったわけでございます。またこの移転には、太田、大泉の群馬県にございます物量投下訓練所というものを、もし水戸が他に移転するようなら、そのあと地に移転するというようなこともございまして、全体としてさような移転を要望する声が強くございまして、できるだけ早い機会に実現してほしいということでございますので、まだこれが完全な、これでけっこうな案であるということでは必ずしもないかとも思いまするが、一応こういう案でひとつ皆さま方の御意見を聞かしていただきたいということで、さような行動をとったというのが今日の状況でございます。
○前川旦君 新聞の報ずるところによりますと、防衛庁の当初の予想とだいぶかけ離れた大きな要望が出たということが新聞に出ておりますが、これは率直に言ってやっぱりそのとおりなんでしょうか。
○政府委員(山上信重君) まあ陸の施設を何と言いますか、先ほど私が申し上げました台地をならす工事、地上約七十五フィート程度まで標的地域は削ってほしいという希望がございますが、これには相当の工期も要しますし、金も要します。まあわれわれとしても、できれば上を地ならしする程度にしたいという希望を持っておりました、率直に申して。それについてはこの訓練の必要上、そういう高い山が海の中にそのままぽつんとあるということではやりにくいと、低くしてほしいというようなこともございます。これらについては、いま申したような点についてわれわれの希望どおりではございませんが、しかし、訓練を安全に行なうためには多少乱気流等のあるこの島についてこれを安全に行なう、訓練の安全性を確保するためにはこの程度のことはあるいはやむを得ないのじゃないかというふうにも考えられまするので、これでひとつ一応皆さん方と御相談してみたい、こういうふうに考えたわけであります。 なお、制限水域につきましても、われわれとしては極力狭めたいという希望を持っておりますが、現段階では、ただいま申した航行の安全性等のためにこの程度の範囲が必要であるということになっておるような次第でございます。
○前川旦君 これは機関としては日米合同委員会がきめるのですか。
○政府委員(山上信重君) もし地元の合意も得られ、実施するということに相なりますれば、もちろん提供施設ということになりまするので、最終的には合同委員会の決議ということになる、こういうふうに思います。
○前川旦君 その合同委員会では当然日本に拒否権があるというふうに考えてよろしいですね。
○政府委員(山上信重君) 申しおくれましたが、最初からこの移転の問題は米側から要求したものではございませんのです。水戸射爆場が危険であるから、日本側からこれをどこかへ移すようにしてくれと、したがって、そのためには代替施設を提供するから、かえてくれということで事が始まっておりまするから、米側としてはもちろん水戸におれるのなら別に外のどこに行きたいという希望を持っておるわけじゃございませんから、日本がいやだと言えば、これは米軍としては別に何も文句は言わないと、こういうふうに考えております。
○前川旦君 先ほど新島が一番適地だというふうに御判断なさったという説がありましたが、その根拠はどういうことでしょう。
○政府委員(山上信重君) これにつきましては、他の地域、関東地区あるいはそういった本土と申しますか、の地域につきましてもいろいろ検討し、あるいは茨城県内、これはもともと茨城県にあるものですから、というようなことも検討いたしたのでございますが、人口の稠密な地域であったり、あるいは交通の問題その他きわめて影響するところが大きいということで、最初にこれはぐあいが悪い、どっかほかの離島はないかということでこれも調査いたしましたが、あるいは地形、人口の問題、あるいは適当なる射爆施設地域を得られるということがむずかしいということで新島ということに候補地が四十一年にきまったというふうに承知いたしております。なお、詳細につきましては施設部長から御説明申し上げます。
○政府委員(鐘江士郎君) 水戸の射爆撃場を移転したいという当方の申し入れに対しまして、アメリカ政府が条件を出しましたわけでございますが、その条件の第一といたしましては、代替地の距離が横田あるいは厚木の基地から二百キロ以内であるということ、それから陸上の面積は現在の水戸の射爆撃場とほぼ同等の面積を必要とするということ、それから航空機の進入路が人口稠密の地帯から適当に離れておるということ、それから天候がおおむね好天であるということ、そういうような場所をこの候補地として検討してもらいたいという条件がアメリカ側から出ておったわけでございます。
○国務大臣(増田甲子七君) 参考までに申し上げます。最初に米軍側が、もちろんこちらから新島を代替地として提案したのでございますが、要望しておった線は新島本村に近いような線でございまして、そこで私が一月二十五日にあの新島の上を二、三回飛しょういたしまして、大体において射爆撃場としては、向山、大峯、丹後山というのはこれは一つの山脈になっております。その山脈の南側、つまり分水嶺から南側だけでいいんじゃないかということで施設長官にも申しつけまして、米側と交渉してもらいました。その結果、陸地関係におきましては約半分になったわけでございます。百四十万坪くらいなのが七十万坪になりました。そこで式根島は避けるように、式根島も非常な観光地でございますから、そういうふうにできるだけ犠牲を少なくするように、こういうことにいたしました。制限海面というものは、水戸の射爆場に比べて常時制限というのはやや狭くなっている。それからときどき制限するというのは、広くなっておりますから非常に広いように見えますけれども、漁労には差しつかえない。これが非常時制限海面でございまして、常時制限海面は漁労に差しつかえございますから、いま防施設庁長官が申し上げましたとおり、これからが農林省なりあるいは東京都知事なり、あるいは地元なりとのコンセンサスを得るための前提として一応こういう案が米軍から回答が出たわけでございます。これからが折衝段階に入るわけでございます。私が特に申さんとするのは、新島の本村に近いところは危険であるからいけない、本村からよほど南のところに——新島という島は南から北に長い島でありまして、その一番南に近いところに分水嶺の連山がございます、東から西に向かって。そこから南でいいんじゃないかということを飛行機で二、三回旋回して見まして、そういう結論を得て、そういうふうにしてもらったわけでございます。
○前川旦君 米軍からの申し入れの内容をちょっとお聞きしたいんですが、新聞の記事によりますると、水戸で使用していた爆弾とか、そういったものよりかさらに違う種類、たとえばナパーム弾とか、あるいはまた爆弾のキロ数も違うとか、あるいは模擬弾でなくて実弾だとか、そういうふうな水戸と実際違う内容のものがありますか。
○政府委員(山上信重君) 新島における訓練の態様につきましては、これは水戸におけるものとそう大差のないものになるのではないかと思っておりますが、これについてはなお今後具体的なことは協議してまいりたい、こういうふうに考えております。
○前川旦君 それでは水産庁の方にお尋ねしますが、漁業に対してずいぶんこれは影響を与えると思います。水産庁としては一体どういう態度をおとりになる御予定なのか、伺いたいと思います。
○政府委員(森沢基吉君) 新島周辺は従来から関係府県が非常にたくさん入り合って操業いたしておりますたいへんよい漁場でございます。カツオ釣り、アジ、サバ釣り等の漁船がたくさんこの海域に出漁いたします。関係府県も鹿児島から宮城に至るまで約十四府県の漁船がこの海域に操業いたしておりまする漁場でございまして、この海域の操業が制限をされるということに相なりますと、漁業にはきわめて重大な影響を及ぼす水域でございまするので、かねてから水産庁といたしましては、防衛施設庁に対しまして十分慎重なお取り扱いをしていただくようにということを申し入れした経緯がございます。特に水産庁に対しましては、関係都道府県知事、議会並びに漁民団体等からも強い反対要請も寄せられておりまするので、まずこの施設の設置を進められるにつきましては、関係都道府県あるいは漁業者との意見の調整が十分なされなければならないというふうに考えております。
○前川旦君 水産庁は漁業あるいは漁民、漁場等を確保し保護する仕事だと思います。さらに関係各県の代表者なり、あるいはその漁業の当事者の代表者なりと協議をするということになれば、これはもう一〇〇%絶対にしてもらいたくないという強い要望が出るのはもう当然だと思うのであります。したがって、水産庁としては、あるいはその担当の農林省ということになりますが、これをお断わりをする、反対をする、そういうこともあり得るわけですね。
○政府委員(森沢基吉君) 四十一年からのいろいろ経過がございましたが、最近に至りましては、昨日実は防衛設施庁のほうから御連絡を受けたわけでございます。最終的にいろいろ問題があると思いますが、きわめて率直に申し上げまして、水産業という立場から見た場合に、この場所は必ずしも適当な場所ではないというふうにわれわれ考えております。
○前川旦君 それでは厚生省の方もみえていらっしゃると思いますが、ここは観光開発という要素が非常に強い。特に非常に観光地として適地であり、観光地として立とうというふうに地元も考えていらっしゃるはずなんです。それでそういう面からとらえて、厚生省としてのお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(網野智君) この地域は昭和三十年に国定公園に指定されまして、それでその後昭和三十九年の七月に伊豆箱根の国立公園の中に編入するというようなことで、すぐれた自然の景観というものがありますので、そういう措置をとったわけであります。私どもといたしましても、昨日初めて正式な話を聞いたわけでありまして、この具体的な計画をいろいろ聞きながら、新島の自然の景観にどの程度の支障を来たすか、あるいは自然公園体系としてどの程度の支障を来たすか、こういう点につきまして具体的な調査をしなければ判断がつかない、こういうことで今後慎重に検討してまいりたいと思います。
○前川旦君 今後慎重にという慎重な御発言でございましたけれども、公園局としての仕事は、やはり定められた公園の保全なり、さらに公園としてのあるべき姿にそれを発展さしていくというのが本来の仕事であろうというふうに思います。したがって、それがほかのこういう射爆場ということで侵害をされるということになると、やはりこれは公園局なり厚生省の立場としては否定的にならざるを得ないのではないかと思いますが、その辺の見通しはいかがですか。
○政府委員(網野智君) 国立公園に指定しておりまして、その地域内におけるいろんな工作物の増改築等につきましては厚生大臣の許可を受けなければいけない、こういうことになっておる所であります。私どもといたしましても、自然を保護すると同時に、国民が自然に親しむということが国立公園行政の本筋でありますが、自然公園法の中の第三条に「この法律の適用に当っては、」「自然公園の保護及び利用と国土開発その他の公園との調整に留意しなければならない。」、こういう規定もございますので、そういう点からもいろいろ検討してみなければならないと思います。
○前川旦君 これは当然東京都は反対をしておられますから、まずその関係官庁の合意というものが最初に必要だとおっしゃったけれども、そこでだいぶんつまずきがあるのじゃないかというように実は思います。その調整ができない、十分に最終的にそれができない限りは、これはやはり現実のものとして考えられない、こういうことですか。
○政府委員(山上信重君) 関係御機関、東京都等の御同意がなければいけないと思いまして御協議を申し上げておるわけでございます。その御同意が得られなければこれは実現できないであろうと思います。
○前川旦君 新島は、かつてあれは試射場でしたか、たいへん混乱をしたところです。あのときは絶対反対をする人と別に条件づきで賛成という方と分かれたということでした。今度の場合は議会、村当局、住民も一丸となって絶対反対という強い意思を表示しているということを長官御存じでしょうか。
○政府委員(山上信重君) さような空気があることは私ども伺っておりまするが、まだ具体的なこういう提案をいたしたことがないのでございますから、具体的な提案をいたして十分に皆さま方の御意見を伺いたい。その上で納得のいくように仕事を運びたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○前川旦君 ことばじりをとらえるものではありませんが、先ほど私が聞きたいと思ったことが一つ出てまいりました。米軍に対して新島のほうにどうだという話を持っていかれたわけでしょう。持っていかれるときには、肝心の新島の地元のほうの了解を得てから持っていくというのが私は常道ではないかと思いますが、それをなされずにそういう折衝をなさったというのは一体どういうことなのでしょうか。
○政府委員(山上信重君) だいぶ前のことでございますので、私はそのとおりのことであったかどうか、あるいは間違いがあるかもしれませんが、水戸の射爆場の代替施設を、先ほど申したような条件の範囲内でさがすということでさがした結果、ほかの地域よりも、ここのほうがほかに比べて一番被害も少ないというようなことから、ここの地域であれば米側も同意できるというような条件に達したので、かような措置をとるようになった、こういうふうに承知いたしております。
○前川旦君 責任のある政府がいやしくも予定地をきめて、そして責任ある政府として米軍に折衝をする、ここに移ったらどうかと、こういう話をする場合に、地元の了解を得ずしてやるということがこれは少しどう考えても常識の線からはずれていると思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(山上信重君) この点につきましては、この地域が、こういう条件であれば米側としては受諾できるということをきめたものでございまして、したがって、地元の了解を得るというのは、これからもし御同意を得られれば、今度は実現できる、こういうふうになる手順ではないかと考えております。
○前川旦君 これは政治の常道であると思いますが、地元の人が了解しない、絶対それを認めないということになると、やはりそれはできなくなると思いますが、そのとおり考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(山上信重君) そのとおりでございます。
○前川旦君 もしかりに地元の意見が二つに分かれるようなことがあったとした場合、一致してというのじゃなくてそういう場合も将来考えられます。もしそういう場合に反対は少数なんだということで強引に押し切って、強引にこれに着工するということになりますと、やはり東京都との摩擦、あるいは住民との摩擦ということで非常に大きなトラブルが私は起きると思います。意見が分かれて激しいトラブルの起こるということがこれは長い目で見て、日本の安全保障という立場から見て、決してプラスではないというふうに私は思います。マイナスであるというふうに思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(山上信重君) 私どもといたしましては、地元との関係も円満にいけるように今後対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○前川旦君 この射爆場というものの必要性は、一体どういうふうに考えればいいんでしょうか。どうしてもこれはなければならないものか。もう一つ、これは日本の安全保障という立場から見て、どうしてもこれを認めなければいけないものなのでしょうか。その辺の判断いかがでしょうか。
○政府委員(山上信重君) 射爆撃場は、在日米軍が安全保障条約に基づいて日本の安全を守るという立場の、ここにおる駐日米軍が必要な訓練をするためには、どうしても必要なものであるということを米軍は申しております。またこれにつきましては、どこの場所かはともかくといたしまして、そういった施設が在日米軍によって行なわれるということは、どうしても必要なことではなかろうかと私どもは判断いたしております。
○前川旦君 在日米軍にとって必要であるかもしれませんが、日本の国益、国民の利益、国家利益から考えてやはり必要があるというようになるんでしょうか。
○政府委員(山上信重君) 日本の安全を守るための立場はいろいろあると思いますが、安全保障条約によって日米共同防衛というような立場をとる以上、米軍によるところの駐留ということが必要であり、その必要な訓練ということが行なわれるということを保障することは必要ではないか、日本の安全のためにも必要ではないかと私どもは考えます。
○前川旦君 基地というものを好んでいる国民はおそらくきわめて少数であると思います。そのことに直接の利益を受けるごく一部の人を除いて、圧倒的多数がやはり基地というものに対しては批判とる感を持つ、これは当然だろうと思います。これは日本だけでなくて、ヨーロッパでもどこでもやはり同じ傾向でございますから、本質的に外国の基地が国の中にあるということは、これは日本の個別的なものを離れて、本質的に言って国民の感情として許しがたいものである。このように考えてしかるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) これは前川さんとゆっくり対話を願わなくてはいけないと思いますが、第二次大戦後におきましては国連憲章が働いておりまして、国連憲章五十一条に基づいて、それぞれの二国間あるいは数国間の安全保障条約があるわけでございます。そこで米軍が北大西洋諸地域に駐とんしております。したがいまして基地がございます。また西ドイツは特別の状況でございますが、英国の軍隊もフランスの軍隊も西ドイツに基地を持って西ドイツの平和と安全を守っておる状態でございます。日米安全保障条約は数国間のうちの安全保障条約、国連憲章五十一条に基づく集団安全保障でございまして、二国間の集団安全保障でございます。まあ当時から今日まで日本の国力向上、あるいは憲法の条章等に照らしまして、米国の軍隊に日本にいてもらう。イギリスの本土にもアメリカの軍隊がおり、施設を提供し、地域を提供するいわゆる基地があるわけでございます。日本にも米軍の基地がございまするが、しかし陸軍は補給部隊になってしまいました。かつては二十万の軍隊がおりましたが、陸軍は八千しかおりません。それから海軍は一万そこそこでございます。これも主として修理部隊、補給部隊でございます。空軍だけがおるわけでございまして、空軍は実力部隊として存在いたしております。これが青森県にあり、横田にある。そこで施設庁長官がたびたび申し上げておりますとおり、水戸の射爆場は三百五十万坪の広大なる地域がございまして、漁業にも支障を来たしておりますのみならず、地元の県市町村に相当な迷惑をおかけいたしておるわけでございまして、また国会の決議等もあったわけでございます。この水戸の射爆場を三百五十万坪あるうちで六、七十万坪に減らす、あとは開放する、これが国会の要請でもございまするし、また政府としてもそう考えておりまして、米軍に申し入れましたのがずっと前の政府、また防衛庁長官でございます。そこですべての事柄は、この問題に関する限りは、前川さんが私どもと対話くださる前に、水戸の射爆場なりあるいは太田の物量投下訓練所なり、これは六、七十万坪ございますが、これがなくなる。そうして民生に寄与する。つまり日本の本土内にはなくなるのだ。これを目がけてわれわれは進んでおるのであるとともに、手を携えて前川さんも私どもも国会の決議もあり、進んでおるのである。このことを前提として、ほんとうはマスコミ等も大いに強調していただきたいと思う次第でございます。これをできるだけ早く撤去いたしたい。群馬県のごときは水戸の射爆場が新島に移れば、群馬県は開放されます。これはなくなるわけでございます。これは数十万坪に過ぎませんけれども、それがなくなるということは、やはり民生の上に非常に寄与すると私は考えております。それから茨城県の三百五十万坪が七十万坪になるということは、二百八十万坪が開放されるというわけでございまするし、また付近の原子力関係のところで誤爆等も将来あったらたいへんでございまするから、そういうような立場から民衆の福祉を守るということでございます。そこで、横田にございまする空軍というものは二万でございまするが、三沢にもございます。この空軍が自衛隊が演習しておるごとく訓練を継続しないと、やはり軍としての作用をなしませんから、そこでその訓練をする場所は横田から半径二百キロの範囲内に求めてほしいというかねての要望がございました。そこで、ほんとうは山岳地帯等にはそういう地帯もないわけではないのでございますが、山岳地帯はしかし一般に乱気流等がございまするし、また山村の振興、福祉の確保という点からまずくもございまするし、また飛行機が低高度に降下いたしまして射爆の演習ということもいたしかねる。結局防衛施設庁で非常に苦心をした結果、まあ対話がないわけではなかったわけでございまして、もちろんそれぞれの御意見はございまするが、まず新島に射爆場を設置いたしたい、それは反対だ、それは賛成——賛成ということはあまりございませんが、そういう声がありつつも、そこ以外には関東一円においてほかにございませんものですから、関東が一つの共同地域社会とするならば、茨城もその地域社会の一つでございまするし、群馬もその地域社会の一つでございます。群馬県の太田の飛行場が民間に引き渡されるということは非常に私は福祉に貢献すると思います。水戸の射爆場が二百八十万坪も民間に開放されるということは、単に茨城県のみならず関東という共同社会に非常に貢献すると思います。そこで、新島の方に、あるいはいま水産庁のおっしゃるように、相当の出漁なさっておる方が関東一円のみならず静岡方面にもあるということは聞いております。その漁業者の方々の福祉、漁業が成り立っていくように各般のことも考慮いたしまして、どちらかで最小限度の犠牲は忍んでもらわないと、最大多数の方の幸福を約束できないわけでございますから、今度の問題はいきなり新しく設定せんとする問題ではございません。新しく基地を設定するということになれば私も考えます。これは日米安保条約がございましても。しかし一方の受けんとする利益が非常に大きい。また非常に待ち望んでおります群馬県知事あるいは茨城県知事、これは茨城県民を代表するものとして、あるいは群馬県民を代表するものとして非常に待ち望んでおるわけでございまして、だれかに多少の犠牲を忍んでいただく、その犠牲を忍んでいただく方には非常に御同情にたえませんが、しかし最大多数の方々のしあわせのために忍ぶ犠牲である、こういうことでひとつ前川さんも御協力願いたい、こう思う次第でございます。
○前川旦君 私は初めから長官と対話をするという姿勢でこの前から一貫をしております。 そこで、これも対話ですが、水戸できらわれる、持っていこうとした新島できらわれる、基地というものはどこでもきらわれる。そこでたとえばヨーロッパ等では基地はきらわれるということは当然だと、しかしこれはまあ必要悪なんだ、悪なんだ、これは悪ということが大切ですね、必要悪なんだ。したがって、方向としてはできるだけこれは縮小して少なくしていくという方向はとっていらっしゃるわけです。そこでやはり私は日本の政府も、これはわれわれの立場は即時全面撤去、これはもう御承知のとおりだと思いますが、政府の側に立って考えた場合に、そちらの土俵に入っていた場合に、やはりこれは方向としては漸次撤去、漸次減らしていく、こういう方向で進んでいくのがほんとうではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) 重ねてお答えいたしますが、陸上兵力はもうなくなったわけでございます。それから海上兵力というものは横須賀、佐世保にあるだけでございまして、軍艦等が入港した場合に修理のことやその他のことをやる、そういう意味におきまして約一万おる。陸軍は八千でございまして、空軍は二万おるのでございますが、この二万の空軍に対してやはり平素訓練をする場所を最小限度ではございまするが、提供する責務が地位協定その他について日米安保条約がある以上は私はあると考えております。しかしお説のごとく、なるべく不必要なところまで整備をしておいて、そうして平素は何も使わないことがないようにいたしたいということは同感でございまして、考えております。
○前川旦君 そこで、安保条約があるからこれはもう当然なんだ、やむを得ないのだ、当然なんだということよりも、ひとつ進んでやはり撤去する方向を指向するということになれば、この射爆場の問題は一ぺん検討してみる必要があるのじゃないかというふうにぼくは考えるわけです。この水戸で非常に迷惑かけるからといってよそへ持っていく、その持っていったところにおいて、当然それはたいへんな犠牲で、これは困るといえば、押し合いになってだれもこれを好まないということになれば、一体射爆場というものが日本の国益上必要なのかどうかということを再検討してみる必要が私はありはしないかと思うのですが、いかがでしょうか。そうしてこれは第三の道として、初めから射爆場というものそのものを日本ではもうやらないようにしてくれ、こういうような道も私はあると思うのですが、そういう方向をお考えになることはできませんか。
○政府委員(山上信重君) 先ほど私がお答え申し上げましたとおり、現在においては在日米軍——空軍を主体とするものでございますが、これが必要な訓練をするためには射爆場がどうしてもなければいかぬということにわれわれも感じております。米軍はこれを主張しております。したがいまして、直ちにこれをどうするということは非常に困難ではないかというふうに考えております。ただ、いま言った大きな問題につきまして、だんだん必要がなくなってくるような施設については逐次これを撤去するというようなことは、これは前向きに検討しなければならぬ、こういうふうに考えます。
○前川旦君 この射爆場の問題でバランスシートといいますか、損得いろいろ考えてみますと、射爆場があるということで、新島へ持っていくマイナスの面は漁業の面があります。それから公園関係があります。それから東京都やそのほかの官庁との折衝の問題もある。特に東京都とはこれはまっ正面から対決するということになると思います。それから地元では激しい抵抗があります。そういうことをずっと考えていきますと、日本そのものの安全保障という立場から見てマイナスの面とプラスの面、私どもはプラスということは考えられませんが、そちらの立場で考えた場合ですね、そのバランスがやはりくずれるのじゃないか、そういうふうに判断された場合は、これは日本の国家利益、国民利益の立場に立って言うべきことは言って、この射爆場というものはもうやめてほしいというようなことをやはり言うべきではないかというように私は考えますが、いかがでしょう。
○政府委員(山上信重君) いろいろのマイナス面もございましょうし、いろいろな御意見もございましょうし、反対の御意見もございましょう。したがいまして、私どもとしては、かような点につきましては、関係者、地元等が十分に御納得いただけると、そういう線で話を進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○羽生三七君 ちょっと関連。どうしても日本でやらなければならないという理由が私は薄弱だと思うのです。広いアメリカの本土で幾らでもやれる、どうして日本のこの狭い国土の中で、トラブルを起こしながらなぜあえてやらなければならないかということに非常に疑問を感ずるし、それからこれは長官にお尋ねしたいのですが、この通常兵器による抑止力は、局地戦についてはほぼ日本が一応の対応する力を持っておる、今日の自衛隊が。これは前々から歴代の長官がそう言われておるわけですね。そうして核抑止力があるから、外国からの攻撃はアメリカの核抑止力に依存する関係からなかろう、こう言っておる。じゃどこまで日本が通常兵器を増強すれば御満足なさるのか、際限がないじゃないですか。もう全然憲法の制約も何もありゃしない。これはどこまでも、やがて第三次の次は第四次もお考えになるでしょう。そうするともう際限がない。もうある程度のところで一応ストップされたらどうですか。社会党から言えば、すぐ全廃とか何とかいう議論はありますけれども、とにかく政府の立場から言っても、もう日本の憲法上、あるいは種々の国民感情等から考えてみて、ほぼこの程度が限界じゃないかという感じがするし、ましてやいまのような射爆場のごときは、広いアメリカの中で幾らでもできるのに、あえてトラブルを起こしてまで日本に無理やりに設置しなければならぬ理由は非常に乏しいと思うのですが、どうでありますか。この本質論をやればうんと長いことになりますから、関連質問ですから簡単にひとつどうぞ。
○国務大臣(増田甲子七君) 羽生さんの御質問が広範にわたっておりまするが、空軍は日本に二万駐とんしておるけれども、射爆場は要らぬじゃないか、広大なるアメリカで演習してこいというお話でございますが、やはり日本に武力行使が行なわれたる場合に、それぞれの憲法の規定に従って共通の危険に対処する、これが安保条約第五条でございまして、日本の状況等を相等知ってないと、私は訓練の方面におきましても射爆場は要らぬと、ただ武力行使が行なわれた場合だけに共通の危険に対処すればよろしいのだということではちょっと——何しろ日米安保条約で日本が守ってもらうわけでございまして、道義的にも私はどうかと思います。ある程度のものは現在水戸にあるわけでございまして、問題はやはり具体問題を問題にしていただきたいと思います。その具体問題というのは、水戸に射爆場が三百五十万坪ございまして、自衛隊もあまり使っていない、それから使われない場合が相当多い、また誤爆等もある、隣村には東海村がある、こういうようなことで、どうしてもどっかへ移りたいということで、その代案としてこの関東に近いところ、つまり横田、厚木から半経二百キロのところ至るところを防衛施設庁としてはさがしたわけでございます。さがした結果、まず新島以外には候補地がない、こういうことで進んでおるわけでございまするから、これを一般論に置きかえるということはちょっと困るわけでございまして、やはり水戸の具体問題を解決することとして、われわれは規模をうんと小さくいたしまして七十万坪、最初は百四十万坪でしたが、私が新島の上を飛行してまいりまして、そこに着陸はしませんでしたけれども、これは新島の一番南のほうに——南北に長い島でございまするが、南のほうに東西をよぎるびょうぶのような山がありまして、そのびょうぶの山の二キロくらい北の西側に本村がございます。本村に数千の人が住んでおるわけでございまするが、その本村近くまで射爆場に指定せんといたしましたから、それはいけない、結局新島全体の面積の七分の一くらいだと思っております、私のこれは腰だめでございますが、そこで分水嶺から南のほうだけにしてほしいということを強く駐留軍に要請をいたしまして、それではそういたしますという返事が参ったわけでございまして、まず具体問題としては常識の線を歩いておるというふうに私は感ずるわけでございます。 それから一般に射爆場を提供するかどうかという問題は、結局日本といたしましては空軍が三沢にございまするし、それから水戸に射爆場があるだけ、この二つだけの問題でございまして、あと具体問題はないわけでございまして、これをあまり大きくしようとも思っておりません。むしろ小さくしようとする方向で進んでおるのであるということを御了解願いたいと思います。これは前川さんにもお答えしておりまするが、重ねて申し上げます。 それからわが国の自衛力の限界でございまするが、私どもは自衛力は総予算に比べて八%あるいは九%でもいいではないかと、外国の五〇%だとかあるいは六〇%だとか、あるいは三〇%、二〇%ということは考えておりません。ただわが国といたしましては、総予算の八%くらいはいいではないか。昭和四十六年までの経済社会発展計画によりますというと、一般予算の合計は三十三兆円になるらしい模様でございます。その三十三兆円に八をかけて三、八、二十四、二兆六千四百億円という数字が出てまいりますが、そのはるか下の二兆三千四百億円、上下二百五十億という線で閣議決定が総理裁断のもとになされたわけでございまして、まずその線でございます。しこうして、本年はどうかといいますと、昨年度は総予算に対して七・六九%でございましたが、今年は総予算に対しまして七・二五%というわけで、財政硬直化打開のためにわれわれもお手伝いをしなくちゃならぬというわけで、もう二度目の折衝ということはいたしませんでした、われわれは。というわけで将来の防衛力の限界いかんということでございまするが、私は予算の八%くらいは、やはり国力がついたときには、わが国の通常兵器による局地的侵略に対処する防衛力でございますが、すなわち憲法の範囲内のものでございまするが、総予算の八%くらいはということを目標にしておるだけでございまして、それ以上無限大ということは財政の関係もございまするし、また国防の基本方針もございまするし、安全保障条約の第三条にもございまするし、旧安全保障条約には前文にもございました、すなわち国力、国情に応じて自衛力の漸増をはかる、この漸という字は急ではないわけでございます。少しずつ少しずつということでございますから、良識の羽生先生においても御了解願いたい、こう思う次第でございます。
○羽生三七君 もう一つ。ちりも積もれば山となると言いましてね、少しずつ少しずつでも、大体総予算中に占める防衛費の比率だけで問題を論ずるのは少しおかしいと思うのです。これは世界で第二位、共産圏は別として、自由陣営で世界第二位のGNPを誇る日本が、予算の中に占める比率がただ比較的西欧に比べて少ないというだけでそういう議論をお出しになるのは私はいかがかと思うのです。したがって、たとえそれが総予算中の八%であろうと九%であろうと、一〇%をこすこともしばしばあるんですが、それであろうと、これは近い将来にはもう相当な威力になると思う。したがって、この日本の憲法がこういう形を持っておる限り、私はやはり一応の限界があると私は確信をしておるわけです。ですから、それは総予算中に占める防衛費のパーセンテージだけで議論すべき問題ではない。いつも政府はそれをお出しになるが、私はこれは少し筋違いではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は総予算の機械的の比率ということはよくないということはそれは賛成いたします。羽生先生のおっしゃるとおりでございます。しかしながら、何しろ防衛力というものは安保条約第三条にございまして、それぞれの国の憲章、法律等に従って防衛力の維持発展をはかるということがお互いの約束でございまして、日本は少ないが安保条約の相手方のアメリカだけを多くしてくれということにもやっぱり私は道義上いかないと思う。でございまするから、従来はまあGNPから二割引いたものが国民所得でございますが、まあGNPでもけっこうでございますが、GNPの一%まで行っていないのでございます。〇・九%、あるいは将来割りはせぬか、いまのGNPの急増の傾向にかんがみましても。国民負担という点から見れば、国民所得から見たら私はよろしいと思います。総予算から見るのは少し機械的過ぎはせぬかというお説には賛成でございますが、そこで国民の所得から見る場合、国民負担を一体防衛力にどれくらいかけておるかという問題でございまして、一・二%ぐらいを標準にしてまいりたいと思っております。ということは、やっぱりGNPから見れば一%を割るということでございまして、一・二%から見ますというと、昨年は一・一七%でございましたが、今年は一・一%でございます。国民所得から見まして。それでだんだんよく国会等で、聖域であって、防衛予算は絶対額において膨大だということをおっしゃった方もございますが、調整額として予算査定のときに各省大臣が調整のために残された四百七十億という金がございましたが、われわれはそれを取ろうとする態度はとらなかったわけでございます。それだからといって防衛庁の費用が非常に潤沢だからというわけではないのでございまして、私は国務大臣という立場から良識を発揮いたしまして、今度は四千二百二十一億という、これはラウンドナンバーにして。ほんとは四千二百二十億七千万でございますが、四千二百二十一億という防衛費も計上されておるから、あとの大臣折衝でよけい取ってくるということは私はやめておるわけでございまして、結局七・二五%に総予算としては落ちてまいりました。すなわち〇・五%内外落ちましたし、それから国民所得といたしましては、一・一七%が昨年度の防衛費でございましたが、本年は国民所得の一・一%でございます。われわれといたしましては一・二%ぐらいを基準にいたしまして、これは人によりましては二%までいきたいという人もございます。というのは国民所得の一〇%までいっている国もあるわけでございますから。しかしそこまではわれわれは考えておりません。いわゆる先進国、ディベロプト・カントリーのうちでは最も少ない防衛力を持っているのにすぎないのがわが国でございまして、まずこういった姿、すなわち国民所得に対して一・二%ぐらいは防衛費もいただいて、そして国家国民をお守り申す、一億国民の生命、身体、財産、平和、安全、人格等をお守り申す責任を果たしていく必要がある。これはまた全国民の総意でもあると、私は考えておる次第でございます。
○前川旦君 いまの問題はあとでまたあれしたいと思います。 そこで次に移りますが、この前の一般質問のときに、長官と対話をいたしました。特に日本の自衛隊が核武装したということをかりに想定して、プラスマイナスのことをずいぶんあれしまして、長官からはっきりしたお答えをいただいたのですが、速記録を読んでみますと、一つだけもうちょっと詰めておいたほうがよいと思いますので、一つだけ抜き出してお尋ねしたいのです。それは何かというと、ABMの日本に対する配置の問題です。これは特にABMが純粋に防御的な核兵器ですから、いまの政府の解釈上は憲法に触れない、政府の解釈上はですね。そのABMを日本に配置をせよという強い意見が本を読みますといろいろ出てくるわけです。実際問題としてですね。そこで非核三原則を抜きにして、ABMというものを日本に配置してはたして有効なのか、効果があるのかどうか。その辺のことを実はお聞きをまずしてみたいと思います。これは科学の進歩はたいへんですから、将来のことはともかくとして、少なくとも現状、それからわれわれの予見し得る将来ということで、いまのABMのこれはコンピューターとか、レーダーとか、全部一つのセットになるわけですが、その能力からいって、一体日本にABMを配備してどれだけの実効があがるのか、このことをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 非核三原則抜きや、いろいろなことを前提としての対話でございますから、フリーに対話してよろしいという立場で申し上げます。 私は、ABMは一種の核兵器である。そこでやはり非核三原則にも触れますから、これは日本に配置すべきでないと考えております。そこでアメリカは、これはマクナマラの言ったことでございますから、私の言ったことじゃございませんが、アメリカは中共に対して、中共はICBM等を一九七〇年の初頭において開発するであろう。MRBM、IRBMは一九六八年、すなわち本年開発するであろう。それで一九七〇年の初頭において開発するであろうICBMに対するABMを設置するということがコングレスにおいて同意を得たわけであります。それが五十億ドルということでございまして、それを設置する場所は、これは具体問題でなければ現実の問題にならないわけでございまして、アラスカ、それから西部アメリカ大陸及びハワイ諸島というところを考えておる模様でございまして、これは日米安全保障協議委員会というものが、日米安保条約で設定されておりまするが、第四条によって随時協議をいたしますが、正式の協議ということは一年に一回くらいでございますけれども、ときどき協議をするということで、次官あるいは局長の段階においてはしばしば協議をいたしております。その段階等におきましても、アラスカ、ハワイ、それからアメリカの大陸のうちの西部である、こういうことでございます。ただこのABMを発動する場合に、レーダー等でキャッチしなければならないわけでございまして、そのキャッチする場所を一体どこにするかという質問もこちらでいたしたわけでございます。そのキャッチするつまりレーダー、レーダーは日本には設定するつもりはない、こういうことでございます。これが事実でございますから、この際前川さんとのこの前の対話の際に明白にしてございませんでしたならば、いま明らかにいたしておきます。
○前川旦君 いまのABMの性能からいって、実際アンチミサイル・ミサイルのこれは何でしょうか、サイドなんでしょうか、移動性になるかもわかりませんが、それよりもずっと前に探知用のレーダーというものを出しておかなければいけないのでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) これはこまかいことは防衛局長の事務を扱っておる官房長にお答えさせますが、私は常識上から考えるだけでございまして、下の協議委員会等はときどき開かれておりまするが、出席いたしておりませんで、結果を報告を聞くだけでございますが、アンチ・バリスティック・ミサイルを働かす場合には、レーダーはそれよりももっと前のところにないと効果はない、こういうふうに考えておるものでございます。でございますから、具体的にはどうなるかわかりませんが、ハワイ、アラスカあるいは西部USA大陸よりも、もし中共を目標と——これはマクナマラの言うところでございますから、するならば、それよりもさらに西方に、アメリカから見て西方に設くべきものであると、こう考えております。
○前川旦君 そうすると、日本がABMを、日本の都市を防衛するという立場でABMを配置するとしても、もっとその前に、これは仮想敵国の話は抜きにして、その前にレーダーを出していかなければいかぬということになると、ちょっと日本では技術的な面で、現状では、あるいは予見し得る将来では困難だというふうに考えていいですか。
○国務大臣(増田甲子七君) ICBMというのは、要するに八千キロないし一万八千キロ飛ぶ弾道弾でございますから、われわれが想像してはいけないことでございまするが、日本なんかはほとんど関係なく、日本の数千キロ——数千キロかどうかわかりませんが、頭上を通ってしまうということになるのじゃないかと思います。しかし前提として、私はいつも言っていることは、前川さんとの対話で非常に私も心よき対話を持ったという感じでございます、この前は。なかなか前川さんも勉強していらっしゃいまして、それでいろいろな条件を設定しての御質問でございまするから、私もまじめにお答えを申すのでございまするが、要するに、日本にABMを設けてICBMというときには、それ以外のものを標的としておるのである。であるから意味がないし、また非核三原則も働くからこれはやってはいけないことである。ことに私が強く感じておるのは、戦術的核兵器を、たとえばサブロックとかアスロックというものを使ったということがわかれば、いま核の重装備をしておる国が相当ございますから、連鎖反応を起こして人類は壊滅状態におちいる。しかして核兵器を使ったものがまたみずから命を失うことになる。そういうような武器というものは武器の定義に反するわけでございまして、武器というものは相手方を殺傷して戦意を失わしめるもの、これが武器というのだそうでございます。専門家はまたほかの定義を下すかもしれませんが、常識という立場において私が考えておることでございまするが、つまり武器という定義の範疇を越えた武器になってしまっておる。その武器は一発といえども使うべきではない。戦略的核兵器はもちろんのこと、戦術的核兵器も使うべきではない。使えば連鎖反応を起こして人類が壊滅状態におちいるというふうに私は確信を持っておる次第でございます。しかしそれを抜きにいろいろまた対話をせよと言えば、それは国民の皆さんの御理解を得るために利益にもなりまするから、喜んで対話に応ずるわけでございます。
○羽生三七君 非核三原則の原則論は別として、効用の問題を言っておるのでしょう。実際の効用の問題を。
○前川旦君 非核三原則の前提を抜きにしてということで私は対話をしておるつもりです。と言いますのは、やっぱりこの間の予算の総括質問でも、総理は、私が総理である限りというふうなこともおっしゃいましたし、ある程度先に時期的な、時間的な制約があるのじゃないかというふうなことになれば困りますので、そういうことも考えた上で、一応非核三原則を抜きにして対話しているわけなんです。そこで、いま私が申し上げましたABMというのはアメリカを守るABMではなくて、日本の都市を守る、このABMを日本を守るために日本に配置をしたという場合に、このABMの能力からいって、これは技術的な問題ですが、近距離から来る、おそらく十分以内五分程度でやってくる弾道弾に対しての防御力というものがどの程度いま考えられるのか、おそらく考えられないじゃないかということをしきりに言いたいわけなんですがね、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 日本にかりに配置したとしてということでございますが、これは配置しないんですけれども、ICBMをとらえるためにはやっぱりレーダーが要るわけでございまして、日本のまだ先のほうに、これは東か西かわかりませんが、まあとにかく日本よりも相当離れたところにレーダーがあってそれをとらえて、まずスパータンが行く。スパータンの行かない低空の関係はスプリントが行き、そこで爆砕をしてしまって核の能力がないようにする、こういうのがABMの構想でございますから、これは米国の開発しておるABMもソ連の開発しておるABMもおそらくそうではないかと思っております。そこで、日本の本土よりもはるか向こうのほうに、どちらの向こうがわかりませんけれども、その向こうの——日本はその向こうのほうというのがないんですから、要するに、ABMというものを配置しても、日本ではいまのABMでは意味がないと、こう考えておる次第でございます。
○前川旦君 いまのABMでは意味がないと、私もそう思います。これは一つのコンセンサスだと思いますが、意味がないという以上に、やはり核攻撃の一つの口実を与えるということが一つと、それからやはりアジアに余分な緊張を増すということが一つと、それからもう一つは、やはり国内での分裂を招くということが第三番です。それから第四番目には、この管理権はやはりアメリカが持つんでしょうから、われわれの生活水準が上がってくる、経済水準が上がってくると民族主義的な自決を求めるというのは自然ですから、そういう国民感情とも衝突する。結局、一番初めに言いました日本の安全保障という面から見て、決してプラスにならない、プラスするよりかマイナス面のほうが多いんだというふうに思いますが、かように考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は前川さんのお説と同じでございまして、プラスの面よりもマイナスの面がはるかに多い。したがって、日本にはABMなんかは毛頭夢にも考えるべきではない、現在開発されておるABMのことですよ、そう考える。すなわち、まあ三十分か四十分で、時速一万八千キロでございますから、八千キロを飛ぶには三十分か四十分でございます。そこで、レーダーがとらえるのは最初十五分前くらいをとらえる。スパータンが働くのは五、六分前に働く。そのレーダーから連絡を受けまして、これは瞬間的に連絡を受けるわけでございます。それから、スプリントが働くのは目標地点の数秒前に働く。こういうようなものは日本にとっては意味がない。緊張を増すだけであって、緊張緩和にはならないと私は考えております。
○前川旦君 この問題でおしまいですが、この核というものが抑止力でなくて戦力になった場合、実際核の投げ合いが始まる。それはあってはならないことで、増田長官のいつも言われる絶対にあってはならないこと、そのとおりだと思いますが、戦力に転換をしたということを考えてみた場合に、これは全面戦争ということでしょうが、日本に核の持ち込みがあって、かりにABMであろうと何であろうと、日本に核があるということになりますと、結局、これは一応その相手国となった国、どこになるかわかりませんが、一〇〇%ねらわれる可能性があると思います。一〇〇%ねらわれると思います、日本に核が配備されておると。もし核がなければ、一〇〇%それはないとは言えませんが、少なくとも核でねらわれる可能性のほかに、置き去りにされるというか、核にねらわれるというそれから除外される可能性というものがずいぶん残ると思います。そういう点を考えると、日本の安全保障ということを考えると、核がないほうが、戦力に転換したときに持たないほうがより安全度が高いと思いますが、そう考えてよろしいですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私はそう考えます。
○前川旦君 それでは、それに関連しまして沖縄のことについて御意見を伺いたいのですが、これは終始一貫沖縄の返還問題は白紙だというふうに統一してお答えになっていらっしゃると思います。しかし、白紙だというのでは済まされない問題だと思います。そこで、われわれは沖縄は一切軍事基地抜きでの即時返還を主張しておることは御承知のとおりであります。しかし、もちろん政府としては違う立場があると思います。そこで、現在沖縄に配置されておるアメリカの核兵器というものをどういうふうに把握されていらっしゃいますか。 〔主査退席、副主査着席〕
○国務大臣(増田甲子七君) 沖縄には、現在あるものとしては、弾頭数はわかりませんが、三十六ランチャーございまして、メースBがございます。その威力等は数キロトンあるいは数十キロトン、つまりキロトン級であります。速度は一マッハまでいかなくて、有翼のごくプリミティブのミサイルであります。これがたぶん配置されておるだろうとわれわれは想像いたしております。確認したわけじゃございませんから、あるというところまでは申し上げかねますけれども、あるだろうということはいつも申し上げております。それから、その次にはナイキハーキュリーズでございますが、ナイキハーキュリーズは核、非核両用のものとして沖縄に配置されております。これは約二個大隊ぐらいでございまして、核弾頭があるかないかということは、これはわかりません。一方のメースBは核弾頭があるだろうというふうに想像いたしております。一方は核も非核も両用でございますが、ナイキハーキュリーズ用の核弾頭があるかどうかわかりませんということであります。それから、将来あり得るものとしてどういうことがあるかというと、将来あり得るものとしてはB52、東洋においては絶対に水爆等は積んでおりませんが、積もうと思えば積み得る状態でB52は着陸、離陸をし得る、米軍の沖縄基地をそういう方面に使い得るということは言えます。しかし、西太平洋においては使わないということをはっきり言明しておりますし、水爆等を搭載しながら飛行機が遊よくしておるということはないということをこの際明瞭にしておきます。それからその次に、原子力潜水艦、それはポラリスのようなIRBM、四千六百キロ飛ぶのでございます。そうして水中もしくは浮上して発射し得るポラリスが七隻太平洋にはありますということを国防長官が言明しておりますが、その七隻のものが沖縄にはまだ寄港したことはございませんが、寄港せんと欲すれば寄港し得る状態である。それからもう一つ、F105というものが、原水爆搭載可能な武器としてF105という飛行機が存在いたしております。これが沖縄関係における核に関する武器のすべてではないかと思っております。
○前川旦君 飛行機による核ミサイル攻撃というものは、これは大量報復戦略時代からのなごりでしょうが、やがて方向としては自然にミサイルにこれはいくのであって、航空機による核ミサイル攻撃というのは、これはASMになるんでしょうが、だんだんとなくなる傾向にあるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は、飛行機で核兵器を運ぶということは、これは非常に原始的なことであるというふうに考えております。だんだんなくなるのじゃないかと思っております。
○前川旦君 沖縄にあるメースB、これは一九六七年一月の年次報告でマクナマラがはっきり、メースBがあると、事実言い切っておりますから、あるでしょうが、これはきわめて旧式な兵器であると思います。特に、核弾頭の威力も、いわゆるポラリス等の威力に比べると格段に低いし、性能もよくない。したがって、沖縄に配置してあるメースBというのは、アメリカの戦略から考えても——これはアメリカの戦略ですから、中国に向かっているのは当然ですけれども、だんだんとこれもあまり意味がなくなってくるのじゃないかと思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(増田甲子七君) マクナマラが昨年言ったのは、一九六八年から七二年までの間になお展開するということを言っています。本年のマクナマラの証言は、ここ二、三年は残存してもよろしい、こういう発言をしておりまして、だんだん消極的な発言になっております。将来の問題を卜することは、私はちょっといまのところは差し控えたいと思いますけれども、ただ、去年は一九六八年から七二年という五ヵ年間と言っておりますし、本年の一月ごろの国会における証言といたしましては、なお、日本語訳でいえば、二、三年間は残存せしめてよろしい、こう言っているように思います。
○前川旦君 ポラリス潜水艦は、これはグアムを基地としておりますから、沖縄を——ポラリス潜水艦が沖縄を特に必要としなければいけない理由は、これは常識論の対話ですが、ないというふうに考えますが、やはりそういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(増田甲子七君) いまお説のごとく、グアムを根拠地としている模様でございます。でございますから、まだ沖縄にも寄港したことがございませんが、ただ、寄港せんと欲すればし得るという状態であるだけでございます。
○前川旦君 おそらく核、非核——核があるであろうナイキハーキュリーズですね、沖縄に配置されていると想像される。この兵器はアンチ・ミサイル・ミサイルじゃなくて、対航空機用の兵器ですね。そうですね。
○国務大臣(増田甲子七君) さようでございます。
○前川旦君 沖縄の基地、これはアメリカにとって——これは常識論での対話なんですが、たとえばポラリス潜水艦としても、そう沖縄の基地がどうしても必要であるという結論が出てこない。それから、いまのナイキハーキュリーズにしましても、中国の空軍力を見てみますと、中国は空軍で沖縄のアメリカ基地を核攻撃するということは想像できない。まして、中国のいまの核武装は初めから、一番先に向かって最短距離を行っている。たとえば、プルトニウムじゃなくてウラニウム爆弾をやる。最短距離を行っている。いまやっているのはおそらくミサイルですね、弾道弾の開発をいまやっておるというふうに考えます。途中寄らずにですね。したがって、航空機にミサイルを積んで、それによって攻撃するというようなことは、これは常識論としてはよく言われておりますけれども、中国はそういう回り道をしないで、直接弾道弾にいくであろうというふうに考えられます。そうなると、配置されておるナイキハーキュリーズも、さしあたってそう意味はなくなってくるのではないか。それから、メースBのような旧式のやつは、やがて中国が開発するであろう中距離弾道弾と対抗できる、対等の抑止力になる存在ではないのではないか。そういうことを考えてみますと、沖縄というものがアメリカの核戦略にとりましてだんだんに不必要に、核というものが不必要になってくるというふうに常識的にやはり考えられるのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) そこが総理の言われる軍事科学の、あるいは技術の進歩という——白紙といっても三つの条件を前提にいたしておりますから、純粋な白紙ではないと思います。つまり、いまのところは白紙であるけれども、ここ両三年のうちに国際情勢の変転もあるであろうし、軍事科学技術の進歩もあるであろうし、世論の動向も勘案して、そうして対処するつもりである。その軍事科学の関係におきまして確かに変更しつつあることは、前川さんのおっしゃるとおりでございます。
○前川旦君 たとえばUSニューズ・アンド・ワールド・レポートですか、核前線がマリアナの線に後退するということを出して、アメリカの中でも否定したり、何か少しがたがたしたようですけれども、だんだんそういう傾向にやはりあるというふうに判断するのが常識であろうと思いますが、それであれば、われわれは、沖縄の基地を全部撤去といいますが、政府の立場としても、少なくとも核はだめだぞ、そこぐらいのところまでは、白紙とおっしゃるけれども、ずばっと言って私は差しつかえないのじゃないか、こういうふうに思いますが、これはどうでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) メースBというものは旧式な核兵器には違いございませんが、一種のやはり核抑止力になっておると私は思っております。それで、昨年の七月の何日号——あれはウイークリーでございます、週刊雑誌でございますが、週刊雑誌のUSニューズ・アンド・ワールド・レポートも読みましたが、あの論文は必ずしもまだ軍事評論家の間でコンセンサスは得ていない、まだ異論が相当当時はございましたが、変わってきつつあることは事実でございます。
○前川旦君 このメースBが抑止力だとおっしゃいましたが、ポラリス潜水艦が西太平洋に配置されていない段階では、その前の段階では確かに抑止力という考え方はできたかと思いますけれども、およそポラリスの威力と格段の差のあるメースB、さらにポラリス潜水艦七隻ですかグアム島に配置されるということになると、アメリカの考える中国に対する抑止力というものはもう決定的にポラリス潜水艦に移ってしまったというふうに考えて私はもういいのじゃないか。ですから、いまメースBは補完をする程度の役割りであって、さらにポラリス潜水艦が強化されてくると、やがて撤去されてしまうということになると思うのです。したがって、少なくとも将来の見通しとしてその見通しに立つのであれば、この際やはり核抜きだ、核はだめだということをあえておっしゃることが私は国民のコンセンサスを得る一つの段階だというふうに考えるのです。いつまでも白紙だということをおっしゃらないで、私は、増田防衛庁長官あたりから、軍事上の問題から核はなくていいということをおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) ノースBというものが旧式なものであることだけは、これは認めます。しかしながら、ある程度の核抑止力になっておる。つまり、核戦争を未然に防止する力になっておるということも、これはまた認めまするし、現在配置されておるあれは、マクナマラ長官等が議会において、非常に安価な——これは経済的に安いということですが、安価な核抑止力としてまだ残存する意味があるということも、ア・フュー・イヤーズということに——その前は、六八年から七二年という五ヵカ年間を明瞭にしておりましたが、本年の初頭においては両三年ということにしておりますけれども、その年の国会において、安価な核兵器として抑止力の作用をまだ残存しておるということも言っておるわけでございまして、こちらで一切事をきめてかかって、向こうに教えてかかるようなことは、これはやはりコンセンサスを得るためには三条件を提示して、そうして白紙であるが、ところで日本国民の意向等は、つまり三条件のうちの世論ということになりますが、それはこういうふうだ、ああいうふうだということで、総理大臣等が、あるいは外務大臣が交渉する余地を残しておいたほうがいいのじゃないか。私がすべてを取りしきるというわけにはいきませんから、御了承いただきたいと思います。
○前川旦君 それでは、日本の国民利益、国家利益に基づいた立場で、いわば外交上のフリーハンドとして技術的に白紙と言っているのだと。で、考えているのは、やはりいま話しているようなことと同じなんだ、大体似ているんだというようにまで理解してよいのじゃないでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 去年のマクナマラさんの発言とことしの発言とちょっと違うから困るのですが、去年は——防衛五ヵ年計画を向こうも持っておりますから、防衛五ヵ年計画の範囲内においては置くんだといっただけの意味にとっております。そうするというと、あとの、またさらにその次の五ヵ年計画をつくるときには、いまあるものは使えといった意味ではなかったかと思っております。ところが、ことしのようにスティル・リメインズ・ア・フュー・イヤーズというようなことを書いてありますと、まだ両三年は残るのだということになりますと、そのことばだけでつかまえていきますと、両三年の字に日本はしてあるのですから、ジョンソン・佐藤コミュニケについてもですよ。ですから、両三年はまだ残しておくのだといえば、あとは残しておかないのだというふうにとれますけれども、そこをこちらからもう撤去することにことしの声明でなっているのだというふうに、そこで突いていくわけにもいかない。そこが話のネゴシエーションの、交渉の内容になるのじゃないかと私は思っております。
○前川旦君 時間が参りましたので、あと実は準備しておったのですけれども、木村先生にお譲りいたします。
○木村禧八郎君 私は、大きく分けて、時間があまりございませんから、二点について質問したいと思うのです、防衛庁長官に。 その一点は、シビリアン・コントロールという問題と防衛予算の編成のしかた、この点が第一です。それから第二は、最近のアメリカのベトナム和平への転換と関連しまして、今後日本の防衛計画あるいは防衛政策について、あるいはまた防衛予算についてどういうふうに考えるのか。変化が出てくるのか出てこないのか。この二点について伺いたい。 そこで、まず第一に、さっきマクナマラ氏の問題が出てきましたが、シビリアン・コントロールと防衛予算の関係については、いわゆるマクナマラ方式というものがアメリカではかなりPPBSの問題で関連してある。しかし、それがまた単に防衛庁の予算だけでなく、一般行政にもこれが採用されようとして、非常にもう採用されつつあるわけです。そこで、マクナマラ氏の名前が出てきたついでに防衛庁長官にひとつ伺っておきたいのですが、アメリカではなぜにマクナマラ国防長官がやめるようになったのか、この点について御存じでしたら、できるだけ詳細に伺いたい。 〔副主査退席、主査着席〕 これは相当私は重要な意味を持っているのではなかろうかと思うのです。あれだけマクナマラ方式といわれましてね、アメリカの防衛費をふやす上に、さらにまた防衛費予算のこれはビジネスライクな編成のしかたを導入した重要な人ですよ。そのマクナマラ長官がなぜやめるようになったか、その経緯をまず伺いたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 木村さんのような専門家に対して私がお答えするということはちょっと酷かと思いますが、正直に申しまして、マクナマラさんがクリフォードさんにかわった理由はよくわかりませんが、ただ、PPBSというようなものが、単に兵器関係の調達の予算を獲得する場合に最もその能力に比べて効果的なまた経済的なというような、コスト・イフェクティブネスという方式を取り入れたということは、単に防衛予算のみならず一般予算についてもありまするし、日本の財政当局もPPBSというふうなものを私は参考にしていると思います。というのは、マクナマラさんが、根がビジネスマンでございまして、また今度入ったところが世界銀行の総裁でございますから、やはり経済人から見た防衛予算の組み方というようなものは、御自分の多年の経験に徴して、いわゆるマクナマラ方式を導入したというようなことは、私は米国政府にとってしあわせではないかと思っております。また、日本の財政当局もプランニング・プログラミング・バジェッティング・システムというものをある程度参考にしているに違いないと、ここに主計局もおりますけれども、おそらく大蔵当局もマクナマラのPPBS方式を参考にしていると私は考えている次第であります。 そこで、国防長官の地位を去ったことが惜しいか惜しくないかと、そういう点につきましては、ちょっと惜しいということが言えますが、あとどういう理由で去ったか、あとのクリフォードさんがどういう方であるかということは不詳でありまして、存じませんから、また後日わかりましたら、木村さんにお答えいたします。
○木村禧八郎君 私は、マクナマラ長官が国防長官を去ったことが惜しいとか惜しくないとかいうことを聞いているのじゃないですよ。これはジョンソンのベトナム戦争の転換に重大な関係があると、私は日本政府はそこまでさかのぼって読みをなぜしておらなかったかということを聞きたいのですよ。 マクナマラ氏は民間人でしょう、御承知のように。そこで、いわゆるマクナマラ方式をこれは導入した。したがって、彼はそろばんをはじいて戦争をしておったと思うのですよ。まあ、そろばんをはじいてというと語弊がありますがね、やはりアメリカの引き合わない戦争をすべきじゃないという考え方であったと思うのです。戦争はいろいろな点からこれは考えなければならぬと思うのですけれども、もっと総合的に考えなければならぬと思う。一つはやはりアメリカのエコノミック・サイド、そういう点から考えなければならぬ。ところが、マクマナラ氏は、あの北爆のいわゆるエスカレーションがひどくなりましてから、御承知のようにアメリカの防衛費がすごくふえてきたでしょう。その防衛費の著しくふえてきたことと、私はマクナマラ氏のこの防衛費予算との関係、それから今度はドルの危機というものに関連があるわけでして、そのためにはアメリカの国際収支が非常に悪くなってきているのです。アメリカの国際収支の悪くなる原因は、単にベトナム戦費だけではもちろんないわけですけれども、アメリカの輸出競争力が全体として黒字幅が少なくなったとか、あるいはヨーロッパに対する投資が相当多いとかいろいろありますけれども、しかし、前のローザ次官なんかの証言によりましても、三十五、六億ドルの国際収支の赤字のうち、少なくとも二十億ドル以上はベトナム戦費による赤字であるということも言われている。そういうことと関連して、私はアメリカの国際収支の赤字、それからアメリカのいわゆる防衛費ですね、全体の経済の中に占める防衛費、それのアメリカ経済に及ぼす影響等、いろいろ考えた結果、私は軍と対立したと思うのです。軍と対立が起こったと思うのです。 それで、さっきもABMのお話がございましたが、ABMについてもマクナマラ氏は、そういうことをやっていったらますますひどくなる。結局、よく長官が使われるのですが、理性によって、今後は人間の理性というものが重要なのであって、それが唯一の平和をもたらす基礎になるということを、リーズンとかリーズナブルといいますか、非常に強調しているのですよ。そういうことから私はマクナマラ氏は軍の——聞くところによると、マンスリー・レビューという雑誌を読みますというと、アメリカでも旧日本のような職業軍人的ないわゆる勢力が、グループができているというのですよ、単にタカ派というだけでなくて。そういうところと対立するに至った。つまり、ベトナム戦争に対する意見の対立も起きてきて、マクナマラ氏はやめざるを得なくなった。こういう戦争はアメリカもそろばんに合わない、アメリカの大資本をもうけさせるような戦争ではなくなった、むしろマイナスである、こういう立場からマクナマラ氏は去ったのだ。 だから、あの時点で日本の政府は、あるいはまた日本の外交当局は、なぜマクナマラ氏がやめざるを得なくなったかということをもっと研究しなかったか。この深い読みをやっておれば、今日あることがわかったのではないかと、私はそう思うのですよ。この点にあまり質問を集中すると時間がなくなりますから、この点について率直な長官の——長官も非常に防衛問題についてはその後御造詣が深くなっておりますし、なかなか御専門家のようでございますから、ひとつ率直な御意見を伺いたいのです。率直な、対話的な御意見で、あまりことばじりをとらえてどうこうということを言いませんから、国益的立場からひとつ。
○国務大臣(増田甲子七君) マクナマラ氏がやめたことが制服組との抗争であるかどうかということは、ちょっとよくわからないのでございます。これからも研究いたします。 それから、わが国におきましてはシビルコントロールでございまして、シビルコントロールの最も基底になるものは国会でございます。それから、国会の監督を受けました行政作用としての最高長官は内閣総理大臣という文官でございます。それを受けまして隊務を統轄するのが防衛庁長官という文官でございます。あと内局、つまり文官が幕僚監部を、ユニホームを私が総理の命を受けて指揮監督いたしますが、その際に内局が私を補佐いたします。幕僚監部の幕僚長その他も私を補佐することは同様でございますが、そういうシビルコントロールも実は昨年一年かかりまして国会においても明瞭にしたつもりでございまするし、また予算編成過程におきましても、財政当局等が予算編成権という、これは旧憲法の十一条、十二条の関係なんかはもうないわけでございまするが、要するに予算編成については財政当局が国力、国情、経済力等を勘案いたしますから、そういう方々の、つまり大蔵大臣です、大蔵大臣の査定を負うことは当然である、こう考えております。 そこで、防衛費の額でございまするが、何しろ日本は、木村さん御存じのとおり、本年度は四十七兆八千五百億円、ドルに直しまして一千三百三十億ドルでございます。一千三百三十億ドルのGNPの中で、それから二割引けば国民所得が出るわけでございまするが、十一億ドル半というのが防衛費でございます。社会福祉の費用、文教の費用等は地方費もございます。都道府県費もございまするし、市町村費もございまするが、防衛費は都道府県費の防衛費、市町村費の防衛費というものはないのでございまして、しいていえば警察費とかあるいは消防費用等は都道府県、市町村等においても持っておりますが。そこで、国だけの防衛費が全部そのままでございまして、それきりないわけでございまして、十一億ドル半という防衛費を計上する。これは西ドイツにおいては四十億ドルでございます、多少絶対額は減りましたけれども、御指摘のごとく。それからイギリスは六十億ドルでございます。GNPはいずれも日本よりは低いのでございます。低いけれども、おそらく西ドイツの本年度のGNPは一千二百六十億ドルではないかと思っております。イギリスのGNPは本年度は、暦年末になってみないとわかりませんが、一千百五十億ドルであると思います。そういうあんばいからいいまして、額は……
○木村禧八郎君 ちょっと、答弁中恐縮ですが、ぼくの持ち時間は二十分しかないのです。ですから、長官は、懇切丁寧な御答弁は感謝しますが、あまり直接関係がない点については、ひとつこちらの質問の時間がなくなりますから、簡潔に質問に直接御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 直接お答えする前に、どうも間接のほうからいかなければなりませんからなんでございますが、日本の十一億ドル半という防衛費を設定する際にシビルコントロールが働いているということだけを簡単に申し上げます。 それから、アメリカのドル防衛の関係はベトナム関係も一つの原因であるということは、私は率直に認めるわけでございます。それから、本年度はベトナム和平が来るということは私の何となしに政治的感覚でございまして、これは新聞雑誌あるいはテレビ等においても申しておりまして、政府がそれほどおくれをとったというふうには感じていないわけでございます。
○木村禧八郎君 そのマクナマラ長官がなぜやめたかというその問題についての論争はまた別の機会にやるとしまして、要するに私が質問したい重点の一つであるシビリアン・コントロールですね、日本は軍国主義によりまして悲惨な運命をたどったわけですが、それを日本は軍国主義化しないようにその歯どめとしてシビリアン・コントロールを制度的に日本として堅持している、現在のところはですよ。それは私は認めます。しかし、その後私は非常に不安になる点が二つあるのです。 その一つは、防衛庁長官もすでに御経験だと思うのですが、この間の、たとえば兵器なんかの発注につきまして、その予算がよくわからぬわけですね、長官も。最初は本体だと思った予算が、今度は部品がついて非常にふくれちゃった。それが正確に把握できないとか、あるいはまた機密の漏洩ですね——いろいろ今後科学技術が発達しますと、非常に兵器が専門化してくるのでしょう。ところが、制服のほうの人はほとんど専門的にそれに長く携わっているのですね。ところが、経理のほうを担当する大蔵省とかのほうの方は、しょっちゅうこれ異動するわけですよ。また、異動しないと出世しないわけですよ。それでもう、大蔵省のほうの防衛担当官ですかというものは、どうしたって制服より技術的に私はおくれる危険性があると思うのですよ。制服のほうの人は直接兵器を使って、あるいはまたしょっちゅう直接アメリカなり諸外国のほんとうに進んだ科学技術、進んだその研究と取り組んでいるわけですよ。非常に詳しいですよ。現在では、私は大蔵省の方々も現在の水準では相当勉強をしておられると思うのですね、その科学技術や兵器を。ところが、この段階でいくと、昔の軍と同じように、軍は、軍務局の人はもうかわらないのですから、ほとんどそのほうを専門的にやっていれば詳しくなりますよ。そうした場合に、大蔵省のいわゆる文民のほうがそういう科学技術の専門にたえるだけのいわゆる力がない場合には、説得されちゃうでしょう。これだけ防衛費予算が必要なんだ、いやそれは反対だといったって、何を根拠として言うかと。最近のたとえばFXならFXについては、大蔵省の担当官の知識ではもうおくれていると。実はもっと進んでおるのだ。だから、これについて予算を編成するんでしょう。そうしたら、現在はいいとしましても、今後科技術が相当進むのですから、そういう場合には制服に引きずられていく。長官だって非常に困難でしょう、技術的には。たとえば原価計算が正しいか正しくないかわからなくなってくる、だんだん専門的になって。そのときにやはり大蔵省の、制服以外の人がしっかりしていないといけない。その積算の基礎なんかについて反論できるくらいの専門的なそういう人材なり、そういう一つの制度的なものを確保しておく必要があるんじゃないか、今後、将来ですよ。それは私は非常に重要な問題じゃないかと思う。そういうところに一つ着目をされておるかどうか。それで、だんだんそういうことが問題になってくるんじゃないか。それが私は非常に心配なんですよ。このシビリアン・コントロールを具体的に確保していく上において、これは非常に重要な問題じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか、防衛庁長官。
○国務大臣(増田甲子七君) まあ、木村さんのおっしゃることは二つに分けられるんじゃないかと私は思うのです。つまり、政治的にシビリアン・コントロール、つまり指導監督ができるかどうかということ、その指導監督は不肖私がいたしておるつもりでございます。しかしながら、今度は技術的、経済的方面で目が届くかどうかという問題、それにはパーマネントの研究機関がおって、ユニホームよりもよけい研究しておるくらいなことが必要ではないか、その御意見は非常に貴重な御意見だと思います。やはり内局の局長、それから課長、部員等も相当研究しておりまするが、日常扱っておりますユニホームのほうがよりよく知っておるという関係もございまするから、今後も相当知っておることの必要がある。昔ある大蔵大臣は、海軍省を泣かせたというような大蔵大臣もおるのですから、それくらいやはり研究を積み重ねておくと。そのためには、しょっちゅうかわっておってはいけないということがあると思います。これはここに福島主計官もおりますから、またよく承って大蔵大臣に伝えたいと思います。やはり大蔵省もこの兵器関係なり、防衛関係につきましては相当な発言権がないと私はいけないと思っております。そのためには相当長期間その任におって勉強しておく必要がある。これは防衛庁の内局もそうであろうと私は考えております。
○木村禧八郎君 まあ防衛庁長官はその必要性について認められましたから、けっこうなんですが、これはやはり制服以外の面において、権威をもって、制服の要求がこれは不当であるのか不当でないのか、適正であるのかないのか、その判断をする場合にそういうスタッフがなければならぬ。それとまた、いわゆる黒い霧の問題なんかとも関連してくるんですよね。知らず知らずに、自分はそういうつもりじゃなくても、技術的な知識が不足のために業者の人にだまされるとか——だまされるというのは変ですけれども、会計検査から見てやはり適正な価格以上にその案を認めてしまったり、発注価格を認めたり、そういう面からもやはりそういう点は相当よく検討され、整備される必要があるのじゃないか。現在は私はかなり大蔵省も専門的にやられておると思うのですよ、現在は。今後、制服がだんだん専門化してきますから、それに劣らないようにということです。 それから第二の、これがこの質問の中心でありますが、今度は予算の編成のしかたですね。それで、シビリアン・コントロールを貫くもう一つの方法としては、国会の防衛予算に対する監視ですね、これが非常に必要だと思う。ところが、現在国会ではたして防衛予算を積算の基礎から洗ってわかる人が一体おるかですよ。私、失礼ですが、防衛庁長官だって積算の基礎はよくわからないと思うのです。しかも、防衛費はだんだん多くなってきておるでしょう。国民所得に対してわずかといいますけれども、金額にすれば四十三年度は四千二百二十億ですね。一挙に四百十一億もふくれたでしょう。それ以外に国庫債務負担行為として千五百八十億、あるいは継続費として百二十億ですね。相当ふえてくるのですからね。これに対してやはり国会が積算の基礎から洗って、防衛費が適正であるかどうか、しかもまた防衛計画がはたして適正であるのかどうか、全体の国家目的からいって。さっき防衛費が国民所得に、GNPに対して多いか少ないかの議論がありましたけれども、しかし、多いか少ないかの議論をする前に、その予算がはたして全体としての国家目的に適正に使われているのかどうかですね、効果的に。そこで、そのマクナラマ方式というものが非常に重要になってくると思うのですがね。 そこで、防衛庁長官、どうですか、マクナマラ方式についてはいろいろ意見もあるわけですが、その前に、マクナマラ氏は非常に防衛費の効率化、これはいわゆる三軍方式を用いまして、この実績をあげたと思うのです。それだけ実績をあげながら、ベトナムにおいては一カ年に二百何十億というわれわれからいえば非生産的支出をやっておるわけですよ。ですから、片方で予算の効率化を幾らやっても、もう片方でうんとでっかいマイナス、穴をあけておったのでは、何にもならない。その前に、いわゆるフィロソフィーを、バターか大砲かというフィロソフィーを確立していなければなりませんが、そのフィロソフィーが正しいとして、その前提のもとで編成された予算がいかに効率的に、効果的に全体の国家目的にこれが適合しているかどうか、こういう判断、しかもまた、A案とB案、C案、D案、いろいろ案があるわけですね。オルターネーティブな案がある。ところが、国会に出てくる防衛予算は、一つのきまったものとして出てくるわけでしょう、きまったものとして。 で、われわれがこの日本の防衛計画に基づいた防衛予算なりをほんとうに国家目的に沿って、そうして効率的に使われておるかどうかを判定する場合、A案、B案、C案、D案ぐらいやはりあって、たとえばFXならアメリカの何社のどこに発注すればこれだけの性能でこれだけの予算が必要だ、あるいはB社に発注すればこういう性能で幾らである。とにかく国会において防衛予算を判断し得るような予算の組み方ですね、またこの防衛予算の編成のしかたですよ、そういうことをやっていただかなければ、幾らわれわれがシビリアン・コントロールといったって、もう非常に膨大になるのですしね、一体これが正しいか、適正かどうか判断するその基準というものがないのですよ。何を基準にするかね。ですから、オルターネーティブに出してくれば——もちろん政府は決定します、政府の案として。しかし、防衛庁が国会に出す場合、三案か四案ぐらいオルターネーティブに出してきて、さらに国会ではどれをお選びになるか、そのくらいのいわゆる予算の組み方にしていかなければシビリアン・コントロールを貫けないと思うのですよ。この点はいかがですか、防衛庁長官。
○国務大臣(増田甲子七君) 木村さんが、アメリカの世界政策から始まってPPBSから、それから予算を四案出すというような話までなさいましたが、まず第一に、その下のほうからお答えいたしますが、予算を四案出す、つまり代案。オルターネート——代案ですね。代案を出すというわけには、これは予算の方式として古来今日に至るまでないと………
○木村禧八郎君 いや、そんなことを言っているのじゃないですよ。もちろん予算は一つですよ。
○国務大臣(増田甲子七君) だから、代案を……
○木村禧八郎君 資料として出すということです。
○国務大臣(増田甲子七君) 資料として出す……。それはもちろん参考資料等はこれからも鋭意出しますが、私ども予算編成——私、正直いってわからないんです、あなたの御指摘のとおり。わかりませんが、しかしここに経理局長もおりまするし装備局長もおりますし、それぞれその道で長年経験を積んだ者でございます。それから、大蔵省には主計局長もおり主計官もおり次長もおりまして、またその下に主査もおりまして、相当長時間防衛庁も担当しておりまして、その道には造詣が深いわけでございまして、予算積算の基礎というようなものは申し上げろといえば幾らでも申し上げられるわけでございまして、私自身がたとえばF104の原価はどういうふうにできているかと言われても、ちょっと私には答弁能力のないことは木村先生の御指摘のとおりでございますが、しかし、そういうわけでやっておりますが、なお一そう勉強する必要があるということを私は感じましたから、お答えいたします。 それから、アメリカの世界政策でございまするが、アメリカはやはりドルが不安になりますところまで来て、全世界の平和と安全を保とうという努力をしておる。これはなかなか、しかも領土的野心はないということは、できないことである、私は見上げたものだと思っております。ただ、しかしながら、ほとんどどろ沼のような状態になっている、点と線しか確保できないようなベトナム戦争には早く終止符を打って和平が到来することが最も望ましいと考えておる一人でございまして、今度ようやく和平がはっきりと見えてまいりました。これはジョンソンは自分の地位をかけておりますから、これは非常に誠意ある態度でございまして、私ども喜んでおりますが、ただ、アメリカが全世界の平和と安全を保とうとしておる、そしてそのためにはベトナム関係の二百五十億ドルのみならず、対外関係の経済援助の四十五億ドル、それから軍事援助のこともあるということは、やはりなかなかできないことである、よくやっておるという感じでございます。別に私は向米一辺倒という意味で言っているのではございませんが、これだけのことを、彼らの哲学、彼らの宗教からしてこれだけのことをやっておるということは、アメリカのタックスペイアーもなかなかものがわかっているという感じでございます。日本ではとうていいたしません、これは。また、憲法上しないのがあたりまえでございますが、まあ私はアメリカの世界政策というものをあながち非難ばかりしていられないという感じでございます。
○木村禧八郎君 森中君が次に質問を控えておりますので、簡潔に質問いたしますが、じゃ要するにこのPPBSですね、プランニング・プログラミング・バジェッティング・システム、これは防衛庁でも採用する意思があるんですか。これにはメリットいろいろありますが、まあアメリカでもPPBSと国会との関係なんかも相当詳しい資料を出しております。私はもっと詳しく質問しようと思ったのですけれども、時間がございませんから。そこで、PPBSをどういうふうに評価しているか、今後防衛庁はこれをどの程度に導入していこうとしているか。私はこれがほんとうに採用されたら、フィロソフィーは別にいたしますが、バターか大砲かは一応別にして、かなり科学的なものになると思うんです。国会で審議する上で非常にやはり審議しやすい。われわれが、この防衛予算は国家目的全体から見てどの程度のメリットがありデメリットがあって、どの程度効果があるか判定しやすくなるんですよ。それがまたシビリアン・コントロールに役立つと思いますから、防衛庁長官、研究研究というだけでなくて、ほんとうに採用する腹があるのかないのか。これは重大な、今後の日本の財政、予算に大きい影響を起こしてくると思うんです。真剣にお取り上げになる意思があるのかどうか。そうすればこれが全体的の行政にもいわゆる及んでくる可能性もあると思いますから、ひとつはっきりした腹を。もし長官があれなら、長官が推進役になっておやりになるぐらいの決意があっていいんじゃないかと私は思うんです、そのフィロソフィーは別として。
○国務大臣(増田甲子七君) まあマクナマラさんは実業人でございまするし、それから実業界にまた入ったわけでございます。世界銀行の総裁ということ。でございますから、その表現も非常に説得力のある文章も書きまするし、演説等についても私は感心いたしておりまするが、内容は、PPBSといいましても、日本の大蔵省だって従来からやっていたことじゃないかと私は思います。で、エフェクティブのないところへどんどん財政を導入するということはないと思いまするが、私はマクナマラさんのあれを、いろいろのものが書いておりまするが、とにかくプランニング・プログラミング・バジェッティング・システムというものを採用したいということを昨日の日本経済にも書いてございまするし、私はもう採用しておるでございましょうということを総括質問のときには木村先生にお答えいたしましたが、これは経済人の常識であるし、大蔵省でも従来やっておると思いますが、なおマクナマラ方式という名前をつけてでも導入して効果のある予算の編成のしかたをすべきものであるということをお答えいたしておきます。なお、細目はここに経理局長もおりますから。
○木村禧八郎君 時間がございませんから、あとでまたゆっくり伺いたいと思うのですがね。防衛庁長官に注意を喚起しておきたいのは、従来ももうやっているのじゃないかというふうな認識ですけれども、そうじゃないですよ、これは。これは非常に画期的なものなんですよ。私も少し勉強さしてもらいましたがね。予算の性格としてはオールド・バジェット、いままでの会計管理的な予算から、それからまあいわゆるケインズ的な、事業予算的なものに進歩はしてきたんですよ。しかし、それよりさらに進んでいるのですよ、これは。もう一段進んだ方式。政策目的の最適設定と効率的な運営、こういうことを目標にしたものであって、この前提にはさらに、たとえばもっと科学的な最近のこの非常に進んだ研究があるのです。その一国の資源がどういうふうに最大的に活用されておるかどうかを検証する方法ですね。たとえばベルマンのDP方式なんてあるでしょう。ソ連でもポントリヤギンという学者が変分法というので、そういう方法を研究しているのです。非常に進んでいるのですよ。もうその点を防衛庁長官はいままでのような感じ方で考えられたんでは、私は質問をする値打ちはないですよ、何ら。そこに非常に大きな変化が生じてくるし、この日本の予算制度だってたいへん大きな変化が来るのですよ、これやったら。そのかわり国民の税金の使い方もたいへん科学的に非常によく把握されてくる。それから、非常に効率的な行政になる。その点ね、ひとつ防衛庁長官ね、認識を改めてこの問題と取り組んでいただきたい。いかがですか。
○国務大臣(増田甲子七君) まあ細目はここに大蔵省からも主計官が来ておりまするし、私どもも経理局長がおりまするから。私どもマクナマラ方式というのは本等は読んだんですけれども、なかなかこれはむずかしくて何でございまするが、目的を設定して、その目的を達成するために最も効果的な手段を選ぶ、そうして計画を立て、予算方式をそのとおりにするという、それがプランニング・プログラミング・バジェッティング・システムというふうに、簡略にいえばつまりコスト・エフェクティブ、そのコストを最もエフェクトを発揮するようにという、その費用が最も効果を発揮するようにということであるならばといって、少しばく然としたことを言って、これは普通経済学の目標とするところであるということは、経済学の大家に対しては相済まぬことでありまするが、しかし、もっときめこまかなものであるということは私もわかっておりまするが、なお大蔵省等もいよいよマクナマラ方式を採用するということに日本経済新聞の伝えるところではなっておりまするし、従来からも考慮しておったのでございましょうが、真剣にそのコストがどれだけのエフェクトを発揮したかというようなことを決算関係においてもほんとうは考えてみる必要があると思います。予算を組むにあたってはもちろんのことでございますが、ということをお答えいたしまして、あとは経理局長、主計局から。
○政府委員(佐々木達夫君) ただいま木村先生からお話のありましたPPBS、いわゆるマクナマラの方式につきましては、これは非常に高度な技術のものでございます。従来アメリカの予算では非常に三軍ばらばらであったものを、マクナマラ長官が国防長官になられまして、ピッチ氏の助言により、ランド・コーポレーションの研究を参考として、新たなる予算方式をとったわけでございます。その方式は、従来のPBSという方式に一項目Pを加えまして、各種の選択を考慮したのであります。その場合には非常に高度な科学的な技術、すなわちシステム・アナリシスとか、あるいはオペレーション・リサーチとか、コスト・エフェクティブネスというような非常に高度の技術をそこに算入いたしまして、これを電子計算機にかけてやるという方法で、非常に科学的な方法でございます。ただいまその方法につきましては財政当局の中でも研究しておると思います。私どものほうでも、先生御承知だと思いますが、防衛研修所等においていろいろ研究しておるわけでございます。 ただ、防衛予算の中には非常にむずかしい問題がございまして、なかなかPPBSにすぐに乗りにくいものがあります。すなわち効果分析等になじまない、定量化できないようなものもございますし、それから先ほどおっしゃったフィロソフィーの問題というものもありますので、現在ではできる限りにおきましてこれを活用しているのであります。たとえば、ある目的を達成するために幾多の装備があって、そのうちどの装備がいいかというような場合には、従来から防衛庁におきましても、効果測定比較を容易にするためにオペレーション・リサーチという方式をとりまして、それをもとにして予算を編成しております。そういう意味におきまして、いま長官のおっしゃいましたコスト・エフェクティブネスがある程度取り入れられておることじゃないかと思います。また、非常に初歩の段階における、すなわちマクナマラさんの考えていた高度のものではなくて、PPBSにつきましては従来から行なっておるというふうに考えております。
○木村禧八郎君 まだ仮想敵国の問題等いろいろありますけれども、これは時間がありませんから……。 とにかく日本のいまの予算の編成のしかた、あるいは防衛予算の編成のしかたは、もっと再検討する余地がありますし、世界的に非常に進んでいるんですよ、科学的に。日本は非常に立ちおくれておる。極論すれば大福帳的だという極論をしましたけれども、そんな予算のきめ方ではいけませんし、国会でもっと予算自体の積算の基礎から判断できるような、特に防衛庁はだんだん多くなるんですから、そういう予算にしたいというので質問したわけです。 最後に、国際収支が赤字になっている国は防衛費をみんな削っているんですよ。イギリスもそうでしょう。さっき言ったイギリスは、一億ポンド削っております。西ドイツは九十億ポンド四カ年間で削っております。日本の国際収支はこんなに赤字になっているのに、防衛費を四十三年度ではふやしている、四百十一億ですか。これはおかしいと思うんです。それから、国際情勢も非常に大きな変化を来たしております。そういう点からいっても、防衛予算、これはふやすべきではないですよ。そうでしょう、国際収支が赤字なら。よその国は全部削っているのに、日本だけです、国際収支が赤字であるのにふやしているのは。アメリカもふやしておる。これはおかしいと思う。アメリカのまねばかりする必要はないと思う。 それから、最近のアメリカのベトナム和平の変化から、これまでアメリカにつながってきた安保体制をもとにした防衛体制というものは、再検討の段階にあるのじゃないですか。この点を伺って、私の質問を終わります。
○国務大臣(増田甲子七君) 国際収支全体まではよくわかりませんが、七億ドル——六億ドルをあるいは割るかもしれないというふうに好転しつつございます。来年は三億五千万ドルというふうに予定しておりますが、あるいは三億を割るかもしれないというふうに好転しておるわけでありまして、いずれにしてもまだ赤字でございますから、あまりほめたことじゃございませんことは木村先生御指摘のとおりでございますが、なるべく赤字を少なくするという方面に財政当局も非常に努力をして、政府一丸となって硬直財政の打開のために努力いたしております。 そこで、私のほうでございますが、絶対額としては四百十一億ふえたことは木村さん御指摘のとおりでございます。だから、相対関係におきまして、日本の全体の富、全体の生産力はイギリスやドイツより多いのでございまするが、イギリスが六十億ドル内外、西ドイツが四十億ドル内外、日本が十一億ドル半という、去年に比べて一億ドル半まではいきませんが、一億ドルとちょっとふえたことは認めますが、やはりよそさまのお世話になっていないときならばそれは減らしてもいいということの立論もできましょうが、あとはよそさまの世話になるんだというときにおきまして、日米安保条約の第三条から見ましても、これは全体の富が西ドイツよりも多い、経済の底まではわかりませんけれども、全体の富が、とにかくGNPはイギリスよりも多いというときに、日本がその六分の一、四分の一ということでは、日米安保体制をやっていく私どもの立場としては、やっぱり自主的なところがちょっと出ていないと恥ずかしいという感じがいたします。これは立場の相違でなかなかコンセントは得られないかもしれませんが、お世話になっているんだから、こちらはやっぱり一億ドルちょっとぐらいはふやすというところで、財政硬直化の打開にもおつき合いをしておる、こういうわけでございます。 —————————————
○主査(近藤英一郎君) この際委員の異動について御報告いたします。 本日ただいま、前川旦君が委員を辞任され、その補欠として森中守義君が委員に選任されました。 —————————————
○森中守義君 三月の十二日に防衛庁から予算委員会へ提出された資料、もとよりこれは権威あるものだと思いますが、この中で隊員の欠員が非常に目立っております。三十九年で二万九千八百二十六、四十年で二万六百四十四、四十一年で一万九千四百五十四、それから四十三年の一月末で二万四千百九、こういう内容になっておりますが、これは大体主要な原因はどこにあると思いますか。 この事実をいろいろ検討する必要がありましょうが、新聞の表現を借りるならば、国を守る気慨よりも生活を守る気慨なんだ、こういう言い方をしている新聞もあるようです。ですから、総理あるいは長官がしばしば言われる古風な言い方としての防人的なものは、今日もはや自衛隊には私はないと思う。つまり、生活を守る気慨のほうが先んじているんじゃないかと、こう思う。したがって、この表の中に新しく人を得るというそういう資料は出ていますが、抜けていく人、つまり除隊者の数は出ていませんね。同時にまた、三次防における十八万の場合に九二%しか見ていない、計画それ自体の中に最初から八%を落として見るということそれ自体が私はどうかと思う。もちろん、今日の国の経済あるいはそういうものに吸収されていく労働力というものは、もっともっとこれから増高はしても低減するとは考えられません。したがって、そういう一連の問題からこの問題を見ていかねばならぬのですが、いつかは、こういう欠員が大体二万数千台を維持するということよりも、むしろ漸増の傾向があるんじゃないか、まあ私はそういうように見るんですが、こういうことをずっと展開していけば、いかにすぐれた兵器を持っても、人それ自体が充足できないということになれば、遠からず自衛隊は大きな壁にぶっつかるんじゃないですか。まずそのことを最初にお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 森中さんにお答えいたします。 御指摘のとおりの趨勢は示してはおりますけれども、昭和三十九年においては三万名近くの欠員もあったわけでございます。それから、四十年度におきましては御指摘のように二万名でございまして、四十一年度は一万九千、それから四十二年度はちょっとふえております。多少波は打っておりまするけれども、だんだん充員のほうが多いという傾向でございます。 そこで、陸のほうは、これは一般官庁定員もございますが、定員をまるまる認められるけれども、充実関係においてどこか不足であるというようなことで、大蔵省がまるまる認めないということもございます。それで、私のほうにおきましては、航空と海上は相当程度、九六、九七を認められておりまするが、従来は八九・九%しか認めてもらえなかったわけでございます。すなわち八九・九%しか予算を組んでなかったわけでございまして、それで陸上は一割少ないということになります。つまり、十八万名のうち——十八万になるのは昭和四十六年末でございますが、昭和四十六年末を十八万名にいたしまして、そのうちの一割は認められないということになりますというと、十六万二千名ということに相なるわけでございます。その十六万二千名からまた欠員ができるわけでございまして、それで二万四千といったような数字が出ますが、ことしは大いに努力をいたします。 また、自衛官になりたい人に、特に試験に合格しないで落ちていく分子も多いのでございます。大体三〇%しか採用いたしませんから、試験その他で不合格——健康その他の関係で不合格になっていくのも相当あるわけでございまして、一時のような自衛隊になり手が少ないという時代は過ぎまして、高等学校卒業生ぐらいが中心になって自衛隊の基礎のクラスを占めるような状態になっております。 そこで、大蔵省のほうからも努力を認められまして、ことしは一・六%ふえて九一・五%に相なりました。でございまするから、九一・五%といたしましても、ざっと申せばやはり一割は欠員がある。つまり十八万になったときに十六万二千名はある。ことしはたしか十七万三千でございます。十七万三千から一割をとったもの、すなわち十五万何千名になって、それが欠員として出るわけでございますから。大蔵省に努力を認めてもらえなかった線の欠員も出ておるわけでございます。 これがだんだんさびしくなる状態であると、自己ばかり考えておる、自己の生活は防人の精神があるが、国家の生活について防人の精神がないということはないわけでございまして、国家国民の防衛という義務は、憲法、法律に書いてなくても、私は一般的に義務があることは警察、消防と同じだと思います。警察、消防のことも何も書かれてございませんが、志願者が全国民の義務になりかわって警察、消防の義務を果たしておるわけでございますから、同じく志願者が防衛の義務を果たしておる。しかも、生命に対する危険度等ははるかに多いわけでございます。そういう自衛隊員を志す人が相当多いということを私どもは心強く思っておる次第でございます。
○森中守義君 長官、時間をだいぶ制限を受けていますので、あなたに演説をぶたれると、聞くほうは少なくなるんですよ。ここでは防衛庁得意の、あまり国会戦略はやらないようにひとつ心がけてください。 私は、いま後段に言われたような、そういうことを聞いているんじゃない。要するに、国民は選択の自由があるわけだから、ですから、こういったような状態が続いていくということは、やはり民間の企業とか、あるいはそのような官庁とか、つまり、何を選択するかということがこれに非常に重要な影響を持つということですよ。そこで、今日の民間の企業産業というのは、繁栄はしていっても、ことさらに、経済恐慌等によりまして労働事情というものに枯渇するようなことはない。したがって、おのずから選択の自由を保障されている諸君というものは、いいほうに行くにきまっていますわな。だから、そういう現状を一つの基調としてものを考えた場合に、なかなかこの定員というものは満配にならぬのじゃないか。そこにいつかは壁にぶつかるのじゃないかということが予想されるし、かたがた、まあいま一つ、具体的な問題として、ことしの六月ごろから四次防の計画に入るようですが、四次防では一体どのくらい人間をふやそうという考えですか。
○国務大臣(増田甲子七君) これは三次防のことしか言えないのでございます。すなわち、陸上自衛隊が十八万名、それから海上と航空が約四万名ずつでございます。航空と海上は大体四万名程度だと思いまするが、まだ四次防の作業にことし入るということは私は聞いておりませんが、昭和四十四年か五年くらいでいいのじゃないかと私は考えております。 そこで、どれくらいを考えているかといいますと、ちょっと言えませんが、予算で申せば二兆三千四百億でございまするから、平均にいたしまして、ベースアップも入れまして、五千億円前後である。そこで、昨年は二千八百九億円にあとで七十億加わりまして、本年は四千二百二十億円にベースアップ分が加わります。それから、来年は五千億ぐらい、再来年は五千五百億くらいで、その翌年が六千億くらいである、こういうようなことでございまして、その次の年、つまり昭和四十七年から始まる昭和五十一年までの五ヵ年計画というものはまだちょっと考えていないわけでございますが、総予算に対しては、先ほど羽生さんにお答えいたしましたとおり、八%ぐらいはいただいてもいいのじゃないか。それから、国民所得の一・二%ぐらいは防衛費として、これは不経済のように見えるけれども、やはりこれは経済的なことでありまして、国家の存立をはかり平和をはかるということが基礎になると思います。繁栄、その他民生の安定なり、福祉なり、その基礎になるものが国家の存立並びに平和の維持だと思います。これには一・二%ぐらいはかけていただきたい。それを今度は逆算してみますというと、陸が幾ら、海が幾ら、空が幾らという数字がおよそ出てくるわけでございます。
○森中守義君 長官、こういうようなまあ私の論拠というものが必ずしも適当であるかどうか、私もわかりませんがね、一般的にとらえる場合には、私の言うことも一つの根拠になり得ると、こう思うのですよ。そこで、壁にぶつかったとき、どうしますか。選択の自由を否定をして、たとえば年齢的であるとか、あるいは学歴的であるとか、そういうもので強制しますか。そういうことを考えないと維持できないのじゃないですか。維持発展できなくなりはしませんか。
○国務大臣(増田甲子七君) まあ自衛隊の存在は必要であるというようなことをこのごろある政党もおっしゃってくださっておりますが、やはりだんだんコンセンサスを得てくればですよ、堂々として、とうとい仕事に従事できるのだというやはり意識があれば、私は壁にぶつかることはない。やはり若い者がそんなにばかにすることは、必要でないと。私は若い者が、ことに自衛隊員は平均年齢二十三歳ですから、二十三歳の若人がやはり——昔のことばをあなたがお使いですから、私も借用させてもらいますが……
○森中守義君 いや、あなたがそう言っているから、私は言ったのだ。
○国務大臣(増田甲子七君) それでは、私は使わないことにします。つまり、自衛官というものがとうとい仕事であると——あえて聖職とは言いません。とうとい仕事であるという意識を持った若人は私は日本にはあると思っております。壁には突き当たらないというのが私の考えでございます。
○森中守義君 時間がありませんから、それはひとつ提起した問題ということで受けとめてもらいましょう。 それからいま一つ、末尾のほうで漁業補償というのがありますね。それでずいぶん現地で問題になっておるようですが、リマ水域の米軍並びに海上自衛隊の実弾演習、これはいまでもやっていますか。日向灘——宮崎県の沖合いです。
○政府委員(鐘江士郎君) 現在でも米軍は使用いたしております。
○森中守義君 自衛隊はどうなの。自衛隊もやっているんじゃないの。
○政府委員(中井亮一君) リマ水域での海上自衛隊の射撃訓練は、実施をしております。
○森中守義君 地元の漁民からの補償の要求はどうですか。
○政府委員(鐘江士郎君) この漁業補償につきましては、漁船の操業制限法に基づきまして補償を毎年行なっておるわけでございますが、昭和四十二年度におきますところの支払い額を申し上げますと、約千六百万ということでございます。
○森中守義君 私の資料もちょっと古いのですがね、昭和四十年の一月から十二月まで、A地区、B地区、C地区、D地区、E地区というように地区が分けられておるようですね。それぞれで演習の態様が違うわけですよ。非常に沿岸に接近したところもあるけれども、かなり沖合いに出たところもある。そこで、総計で四十一年は六百九十六回やっているわけだな、四十一年の統計では。大体一年三百六十五日から勘定すれば、おおむね一日に二回ぐらいは演習をやっていると、こういう勘定になるわけだ。あくまでも算術計算ですがね。しかも、その接岸地帯でやる、あるいは沖合いでやるということになりますと、ほとんどこれは漁業はできませんよ。だから、やめてほしい、さもなければ漁獲に見合うような補償をしてほしいという意見が出てくるのは、これは当然だと思う。もちろん適法に、事前に告示をしてやっているとは思いますけれどもね。この沿岸地帯の零細漁民というのは泣いていますよ。 そこで、いま四十二年に千六百万支払ったと、こういうお話ですが、もっとこまかくわかれば教えてください。一つには漁船の対象の隻数が何ばいあるとか、同時に対象の漁家の数が何戸あるか、並びに要求の額が幾らあるか、これに対して防衛庁は幾ら支払っているか、すぐわかりますか。
○政府委員(鐘江士郎君) このリマ水域に関しましては、高知県と愛媛県、それから大分県、宮崎県、鹿児島県、関係の県が五県ございますが、先ほど申し上げました千六百万の補償の対象数、これは経営者で申しまして二百十一名、それから隻数で申し上げますと二百二十八隻ということになっておりますが、ただいま請求に対して、どのような金額の請求があったかということにつきましては、現在手元にございません。
○森中守義君 部長ね、それが問題なんだ、それが。地元側の意見によれば、こう言っていますよ。要求した額の五十分の一という極端な零細なものしかこたえていない、こう言っているわけなんです。だから、そのことを逆にいまのように勘定していきますと、千六百万と言われるから、これに五十かけなくちゃいかぬ。しかし、いままでこの種関係の補償で五十分の一の補償しかしなかったという例はあまり聞きませんね。少し残酷じゃないかな。
○政府委員(鐘江士郎君) リマ水域に関しますところの補償金の問題は、先生がおっしゃいますとおり、かねて私どものほうも福岡防衛施設局を通じまして、何とか補償金がもっともらえないものだろうかという陳情は再三受けておりますが、私どものほうとしましても、この補償金の支払いにつきましては、いままでも前向きの姿勢でやってきたつもりでございます。しかし、この補償金だけで何とかがまんしていただきたいということもお気の毒だということで、実は一昨年制定されました防衛施設周辺の整備等に関する法律、この法律を適用いたしまして、四条で漁業用の施設につきまして国が助成することができるということになっているわけでございます。現に高知県におきましては、漁業の施設につきまして従来補助金を交付しているというような状態でございまして、今後鹿児島県とか宮崎県とか、そういう県の皆さまともよくお話し合いをいたしまして、そういう施策を講ずることによって提供水域についての御協力をお願いしたい、かように存じております。
○森中守義君 いまの補助金の交付というのは水産庁で出しているのでしょう。防衛庁で出しているのですか。
○政府委員(鐘江士郎君) ただいま申し上げました補助金は、先ほど申し上げましたように、当庁で整備法に基づきまして補助金を交付しているわけでございまして、今後も関係の府県に対しましてそういうことは可能であるというふうに考えております。
○森中守義君 ちょっと私の受けとめ方がまずかったのかわかりませんが、防衛庁がその予算をもってそれで出すという意味ですか。——そのとおりだね。 そこで、こういうような意味になりますか。要するにその漁場では、しょっちゅう補償問題が起きたのじゃかなわぬから、転業するとかあるいは漁場転換をはかれとか、そういった意味に通ずるものですか。
○政府委員(鐘江士郎君) 内容を申し上げますと、漁船の関係で、無線施設の設置の事業に対しまして約四百万程度の補助金を昭和四十一年度に交付しております。それから、指導船の造船建造事業、こういったものに対しても補助金を交付しております。それから、四十二年度におきましては、漁礁を設置したい、そういう御希望によりまして、これに対しましても補助金を交付しているというのが実情でございます。
○森中守義君 大体わかりました。いま言われるつきいその場合、魚礁の場合、このつきいそというのは射撃の対象区域の中にそういうものをつくってもいいということですか。
○政府委員(鐘江士郎君) これは制限区域外に設置するということでございます。
○森中守義君 そうすると実質的に、要するに漁場の転換をはからしているということになりますですね、そういうことですね。
○政府委員(鐘江士郎君) そのとおりでございます。
○森中守義君 水産庁とそういうことを協議したことあるのですか。これは簡単に皆さんは、その射撃に必要だから、演習に必要だから漁場転換をはかれと言われるけれども、水産関係ではこれはなかなかむずかしい問題ですよ。御承知のようにそれぞれの水域が設定をされて、二県あるいは三県に及ぶような場合には簡単にいきませんよ。そういうことでまた紛争が起きてくる。ですからこれは、私はいま少し慎重に皆さん扱われないと重大な問題にまたなると思う。なりますよ。そこで、いま言われる大体の一とおりの手当てとしてはわかりましたが、それはむろん不十分であるし、しかも筋からはずれている。だから本筋としては五十分の一の低額な補償に押えられているという事実をどう解決するかということじゃないでしょうか。いままで国がいろいろ補償問題に発展をした場合に、五十分の一で押えようという例は私は聞いたことがない。これは常識はずれだ。こういうことは増田長官御存じであったかどうか知りませんが、こういう問題が防衛庁の中にある。大蔵省の主計官来ていますか、どうなの。主計官のほうはその事実を知って予算の査定をやったの。
○説明員(福島譲二君) 個別の補償は、個別の積算のもとに全体の補償金額を予算査定はいたしておりませんので、具体的な数字については存じません。ただその補償につきましては、従来一定の基準によりまして、被害の見通しなりあるいは魚価の見通しなり、そういったものを基礎にして適正な査定をしておるものと考えております。
○森中守義君 あまり個別的に御存じないようですから、これ以上お尋ねいたしませんが、要するに要求されてきた額が一銭一厘も違わないような適正な額とはこれは言い切れないかもわかりません。しかしそうけたはずれのものとは思いませんよ、非常にいい漁場ですから。そうなるというと、いま少し地元の代表とよく相談をされて、少なくともあげてきた要求の額の五十分の一に押えるということは、これは考えられない、そうではありませんか。だから満額支払えばなおけっこうだし、それが予算上等の都合でできないというならば、いま少し現地の零細な漁民が生活に直ちに困窮を来たさなくともいいように、あるいは困難な漁区の問題等に事態が発展をしないように手当てをすべきですよ。これは少なくともことしの予算では、こういうものはあまり見られない、顕著な改善の内容としては。だからことしの四十四年の概計に当たるときには、この問題をもう少し検討するくらいの余裕があってもいいんじゃないですか、長官どうですか。
○政府委員(山上信重君) 何分の一だったかということについては、先ほど申し上げたように資料がございませんから的確には申しかねますが、従来当庁の補償につきましては、漁業者の制限水域によりまして、漁業ができなかったことによる損失というものを補償する。それの適正な価額を算出いたしまして、そうして補償するというたてまえできておりますので、これまでの措置につきましても、決して非常に間違った線でやってきたとは考えないのでございます。しかしながら、ただいまお話のありましたように、今後の措置すべき実情について、地元の関係者等の御意見も十分聞きまして、今後、補償について一そう適切にやってまいるようにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
○森中守義君 それと同時に、水産庁とも合議をしなければ、さっき漁場の話をされたが、漁場転換のことになりますと、これはもう全国的に漁業の調整委員がいるわけだから簡単にいきませんよ。ですから、そこまでやってもらうのと、いま一つは、二十七年以来の推移を表にして出してください。要求が幾らきて幾らそれに充当した、それからさっき次長が言われるように、補助金をこういうものに充当するために出したそういう推移表をできるだけ早い機会に資料として御提出願いたい。よろしゅうございますね。
○政府委員(山上信重君) 従来もこの補償につきましては、水産庁、県の水産部等とは十分相談してまいったのでございますが、今後ともいまの補助等の施策につきましても十分連携を保ってやっていくようにいたしたいと思います。行き届かない点は一そう適正を期したいと思います。 それから、資料については後ほど御提出したいと思います。
○森中守義君 ちょっとそういう資料のついでにもう一つお尋ねしておきます。 昔の海軍工廠佐世保のあの一号から六号まで、ドックのあった中で、三号ドックが最近返ってくるそうですね。そこで合同委員会では三号の際に、アメリカ側ではかなり過酷な条件をつけておると私は聞いておる。むろん第七艦隊のおそらく唯一の修理工場にしよう、こういう意向なのか、いま佐世保重工が一億だか三億だかの資金調達に非常に困っておる。で、あとむろん大洋漁業の系統のようですが、川崎と一緒に合体してこれを引き受けよう。しかしながらその際に、アメリカが返してきた条件としては、第七艦隊と言い切ってはいないけれども、アメリカ側の修理を最優先的に行なえ、しかも設備を拡張するのは日本側の責任においてやってくれ、こういうことのように私は聞いておる。間違いであれば訂正してもらいたいと思うのですが、そういう問題がいま発生しておるようでありますが、お聞きになっておりますか。
○政府委員(山上信重君) 佐世保の第三ドックの返還につきましては、ただいまお話のありましたように、これは従来は米軍提供施設でございましたが、これをしばしば使用いたしておりました佐世保重工がこれを譲り受けて、そうして自分の造船能力を高めたいというために返還の希望が出たわけでございまして、それに基づいて返還の話し合いを日米間でいたしております。これにつきまして、ただいま第三ドックを広げるのは米側の要求というお話がございましたが、これはむしろ佐世保重工が自分の造船能力を主として修理ドックに使うというふうに伺っておりますが、そういった能力を高めるために拡張いたしたいというのが真相でございます。それにつきまして第三ドックを返還いたしまして、それを大きくしたい。そこで米側としては、第三ドックを日本側に返還するにつきましては二つの条件を出しておるわけであります。それは一つは、第三ドックの返還に先立って、その隣にあるなお提供中の第二ドックの能力を第三ドックの自分たちが持っていたと同じ程度にしてほしい。ただし大きさはこれはやむを得ない、これは別であるけれども、ということは、第三ドックにあるクレーンを移設したり、そういった施設を移設してほしい。それによって大きさの点を除いては、従来の第三ドックにあったと同じような能力を持たしたいということと、第二は、第三ドックを佐世保が修理したあとにおきましては、その施設を地位協定の第二条四項(b)に基づきまして、一時的な施設として提供してほしい、こういう条件が出されたわけでございまして、これは返還に伴いまして米側に実害がないようにという趣旨でございまして、これにつきましては佐世保側もこれを受け入れるということを当初から申し出ておりまするので、このようなはからいで事が進行しておる、こういうふうな経緯でございます。
○森中守義君 あとの一と二についてはどうなりますか。アメリカは当分返さないと言うんですか、一号、二号は。
○政府委員(山上信重君) 目下のところでは返還の意思はないようでございます。
○森中守義君 これは私近々ちょっと佐世保に行きますので、実際の内容をもう少し克明に調べておきましょう。長官の言われるのと私の聞いているのではかなりの違いがあるようです。私はそういうように聞いていません。ただ、いま確実にこうだという断定的なものを持っていないから、もう少し事実の上に立ってこの次お尋ねいたします。しかし、少なくともそういう優先使用の条件を付されたり何かするのは、あまり返したあとまで、しかも完全な民間だから、国の施設ならば地位協定等でいいでしょうけれどもね。民間に渡したあとで、それで地位協定に準ずるような優先扱いをするというのは、これは適当でない。私はそう考える。 それから、いま一つですね、この中に出ている海上自衛隊の基幹部隊の問題ですが、護衛隊群というのがありますね。それからあと掃海隊群、潜水隊群というように、逐次海上自衛隊の戦力を——ここに示してありますが、この中で護衛隊群というのは大体どういう態様を言うんです。たとえば、あとでまたお尋ねいたしますが、長官が言われる漁船、商船、タンカーも護衛し得るというこの問題を、一応さっきの議論をするためにこれを聞いておきたいんですが、どういう編隊になるわけですか。漁船何ばい、商船何ばい、タンカー何ばいに駆逐艦何ばいをつけるとか、そういう護衛隊群の編隊の内容。
○政府委員(島田豊君) 御質問のように自衛艦隊の中に護衛艦隊がございまして、その中に現在護衛隊群が三個ございます。護衛艦が逐次整備されるにつれまして、三次防期間中にこれを四個隊群に編成をいたす予定でございます。大体各護衛隊群は三つ程度の護衛隊からなっておりまして、それに二隻ないし三隻配置いたしておりますので、一つの護衛隊群としては八隻ないし九隻くらいで一個の隊群を編成いたしておるという状況でございます。 そこで、先ほどの船舶の保護あるいは護衛に関する御質問でございますが……。
○森中守義君 そこまではまだ聞いてない。編成を聞いている。
○政府委員(島田豊君) 編成は以上のようでございます。
○森中守義君 そこで、そういう編成によって警備の区域はどこまでですか、護衛の区域。
○政府委員(島田豊君) 自衛艦隊として護衛の区域を特に定めておるということはございません。もちろん有事におきます直接の侵略に対しまする防衛は、わが国の領土なり領海の範囲に限られることでございますが、それに必要な限度におきまして、ふだんは哨戒をし、警戒をするということはやるわけでございますが、どこまでの海域を対象にしているというふうな限定をしたものではございません。
○森中守義君 先ほど四次防についてはいまだ言及の段階ではないということでしたから、そこまで言及するのは多少早計かとは思いますが、そろそろ四次防の内容が言われ始めましたね。したがって、空から海に四次防は移っていく。こういうわけで、かなり東南アジアに目が向けられているのではないですか。
○政府委員(島田豊君) 先ほど長官から御説明がございましたように、四次防については、まだほとんど研究の緒にもついていないような状況でございまして、ただ、私どもとしましては、現在海上自衛隊の勢力、これは大きく任務を分けますと、周辺海域に対する防衛という問題と、それから海上交通の安全確保という問題と、この二つに大別できると思います。そのいずれをとりましても、現在の海上自衛隊の勢力というものはいまだ不十分であるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、これは四次防、五次防というものがどういうふうな形で行なわれますかわかりませんが、少なくとも三次防末の程度では不足といいますか、勢力として十分でないというふうに考えておるわけでございまして、これは質的、量的に今後若干増勢をいたさなければならないというような考え方を持っておるのでございます。
○森中守義君 いま官房長の言われる周辺というのがどうしてもひっかかる。これは極東の範囲の中でも、この周辺というのが絶えず問題になるのですが、周辺というのは具体的にどういうことを言うのですか。
○政府委員(島田豊君) 私どもが三次防を計画いたします場合に考えております周辺、つまり、従来の海上自衛隊の力では周辺海域の防衛能力というものが非常に貧弱であるという二次防段階の反省の上に立ちまして、三次防ではひとつ重点を周辺海域の防衛能力の向上ということに置いておるわけでございますが、その場合周辺海域といいますのは、沿岸あるいは海峡、港湾、水道、そういうふうな防衛上の重要な地点におきまして、それに対する防衛能力を少し高めていこう、ことに周辺海域の防衛能力は、現在の組織上からいきますと、自衛艦隊というよりもむしろ五つございます各地方隊、この地方隊の勢力がきわめて微弱でございますので、地方隊のそういう周辺海域における体制、能力を少しふやしていこう。こういうことでございまして、その場合の周辺海域というのは何百キロ先、あるいは千キロ以上先というふうなことを考えておるのではございませんで、まあ沿岸、海峡、港湾、こういうふうなものを頭に描いておるのでございます。
○森中守義君 この周辺ということは、そしてそれに含まれている意味というものが、やはりわが国の大きな論争の一つになるのですよ。少なくとも私の考えでは、領域内に限定されるものだという解釈をする。しかし、いま官房長の言われるような——長官がいままで言ってこられたことはそれよりもずっと広がった意味をさしているのではないですか、長官どうですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 自衛隊法八十二条によって、所定の条件が満たされた場合に内閣総理大臣の承認を得て長官が命ずるという場合の警備行動は、領海よりも出る場合がございます。といいますのは、わが国の商船、タンカー、漁船、貨物船、鉱石船等は、外国の領海に入るまでは、つまり公海の上においてはわが国の主権が及ぶと、こういう解釈でございます。そこで、どの辺まで一体警備行動が命ぜられるか、どのくらいの力があるかというと、それはわからない、わが国の近海に近いところであろうというふうに、こういうふうに私どもは考えております。
○森中守義君 いま言われたその公海における船舶に主権が及ぶという問題は、長官の談話からいきますと、それが違憲だということは、国際法を知らないものだと、こう言ってだいぶあなたきめつけた談話を発表しましたね。いままでの国会の答弁を繰り返し、あなた以前の長官、あるいは法制局長官や、その余の人たちでは必ずしもそうじゃございませんよ。それは時間がありませんから公海の船舶に主権が及ぶかどうかはまた別といたしましても、その護衛というのは大体どういうことをさすのですか。少なくとも長官がこの前言われたこととか、あるいはいまの官房長の答弁等からいきますと、何か具体的な事実を前提に置いて護衛ということが議論される、とらえられているものかどうか。そうじゃなくて、通常の漁船、タンカー、商船等の海上における航行、移動というものを対象にして護衛ということになるのか、その辺がどうも明確でないのですね。そのことが明確でないと、護衛とは何なのか、警備とは何なのかという定義がはっきり出てこないと思う。護衛とは一体どういう具体的な事象をさすものですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私の知っている範囲でお答え申し上げます。 通常の場合には海上保安庁が出ていくのでございまして、その海上保安庁は公の海の上における漁船のことについての保護もいたしますから、すなわち、公の海の上における漁船その他の船に日本の主権が及ぶことは明瞭でございます。海上保安庁といえばこれは日本の海上保安庁でございまして、運輸大臣の所轄になっております。内閣総理大臣の監督に属する、その背後には国会の監督というものがございます。そういう範囲でございます。ところが八十二条の、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため必要ありと認めたるときは——というのは、多く海上保安庁の船では力が足りないという場合をさすのではないかと私は考えております、この文章は法律のままの文章を読まなければいかぬわけでありますが、具体的にはどういうことが考えられるかというと、海上保安庁が普通保安の仕事をいたしますが、治安維持のため人命もしくは財産保護のため、「特別」という字があります、特別の必要ありと認めたるときといえば、結局、海上保安庁が日本の主権を受けた立場で、日本人を保護する立場で海上において、すなわちオープンシーにおいて保護活動をいたします。いたしますが、特別の必要ありというのは、海上保安庁の船をもってしては不十分であるというような場合に内閣総理大臣の承認を得て長官が海上における自衛隊の部隊の行動を命ずることができると、——われわれは出動と行動と派遣と三つを厳密に分けて考えております。出動というのは、防衛出動と治安出動でございます。それからいまの場合は海上警備行動、こう言っております。これは八十二条の表題にそういうことが書いてございますから、表題に(海上における警備行動)、それからその次に災害派遣を(災害派遣)と法律の条文の右肩にカッコしてその条文のおよその内容を示しているわけでございます。それからなおスクランブルの規定がございます。 そこで、海上における警備行動として護衛というものは一体どんなものか、これは千種万態私は違うと思うのです。コンボイというのは、それは船団を組んで横のほうで三隻ずつ左と右のほうで組んでいってその船体を保護して無事に航海ができるようにというような場合がございましょうが、こういう場合は多く防衛出動とからんでくるのじゃないかと思っております。そこで、海上における警備行動というものはきわめて局限された場合でございまして、私が金沢等において、その他の場合においても発言いたしておりますが、日本海のあの地域のあの状態においては警備行動を断じてとらないと私は言っているのですよ。そこをどうもニュース等においては正確に報道されておりませんが、当時二度も三度も日本海のあのときの状態においては海上保安庁の三隻の船をもってして十分である、海上における警備行動、八十二条というものを、法の発動といったってそれはかまわないのです。その法八十二条発動の段階ではない、すなわち、海上警備行動を命ずるつもりは一切ございませんと、そこで御質問等がまあございまして、これはあなたの御質問もそうでございまするが、御質問がございまして、一切の場合に日本の海上自衛隊は知らぬ顔をしていいのかと、——一切の場合ではない、八十二条という所定の条件が満たされた場合に、きわめてまれなる状態ではあるけれども、海上における警備行動すなわちパトロールというものはございますということを二度申しておりまするが、森中さんにも私は同じことをお答えいたします。 そこで、それは有事におけるコンボイというものと、それから八十二条だけのコンボイというものとは態様が違うと私は考えております。すなわち、海上保安庁のみをもってしては不十分という治安維持あるいは人命の保護あるいは財産の保護のため特別に必要ありと認むるときは、内閣総理大臣の承認を得て、長官は海上における部隊の行動を命ずることができると、その表題に対する解釈としては、八十二条の右肩のところに「海上における警備行動」とございまして、でございまするから、その場合にも広義のコンボイと言えるかもしれません、言えるかもしれませんが、コンボイというものは有事の場合が多いのではないかと、つまり、護衛という場合は、護衛艦隊と書いてあるからして、いきなり出れば護衛だということにはなりませんし、八十二条の警備行動としての護衛と、それから有事の場合の防衛出動の場合の護衛と、いろいろ種類がございまするし、態様もいろいろ違うと私は考えております。
○森中守義君 長官、そうしますと、新聞等ではあなたは、海上保安庁と並列的だと、最初そう言われた。それがどうもだんだんあやしくなって、結果的には法制局長官、官房長官との間で並列的とか二義的とか一義的とか、そういう解釈は成り立たない、したがって、条文どおりに、いま言われたように、特別な場合とするのが正しいということで見解の統一ができたようですから、それは私はいいと、したがって金沢談話というものは正式に、並列的ということは防衛庁長官の思い過ごしであった、こういうように確認してよろしゅうございますか。海上自衛隊と保安庁は並列的に警備行動ができるものである、こういう談話が出ておる。それで世の中が騒いだわけですよ。しかし結果的にはそうじゃないという、法制局長官の意見等があって最終的な見解がまとまった、こういうように新聞には出ておる。それじゃ金沢談話は取り消されますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 金沢談話はちっとも取り消す必要はない。金沢談話では、私は八十二条を二度読んだだけなんですから、日本海においては警備行動は命じないということを言ったのですから、そのことがちっとも東京のほうの新聞には書いてないのですね。そこで地方のNHK等の放送は、増田甲子七は何にも言わなかったと、おもしろくない、こういったようなことはその当時もうビデオをとってあるとすれば必ず出ております。これは増田甲子七のテレビ放送もございましたし、それは明らかでございます、午後七時ごろ。つまり八十二条を二度読んだだけで、これを解釈してくださいと言いましたから、八十二条の解釈ということは、これは日本語で書いてあるのだから諸君が日本語で読んだらよかろうと、解釈をするということになるとどうしてもプラスアルファかマイナスアルファになっていけないのだと、だから慎重を期する意味におきましてもう一ぺん読みますと、長官は、人命の保護もしくは財産の保護もしくは治安維持のために特別に必要ありと認むるときは、内閣総理大臣の承認を得て、海上における自衛隊の部隊に行動を命ずることができる。それでその八十二条の右の肩には(海上における警備行動)と書いてございますということを二度も三度も繰り返して、その解釈をしてくだざいと言うから、これはまあなかなかややこしいので、日本語で書いてあるし、いまは法律はすべて言文一致ですと、憲法から始まって。だからみんなにわからないはずはないのですと、しこうして日本海には出ませんと、こう言っておるのですから、出るということばがほんとうは穏当を欠くのです。日本海には警備行動は命じませんと私は言ったのです。出るという場合は二つございまして、治安出動が出る、それから防衛出動が出るという場合、——災害に出る出るなんとよく言いますけれども、あれは災害派遣でございます。そこで金沢発言なんかは修正することは何も要らないので、法八十二条をとうとぶかとうとばないかという問題です。八十二条は憲法に次いで法律としてわれわれは尊重するという立場に立っておるわけでございます。
○森中守義君 そこで八十二条にいう特別な場合というのは、一体具体的にどういう状態をさしますか。この場合出すのでしょう。出すでしょう、特別な場合には。だから特別な場合とは何かといいますのは重要な問題です。
○国務大臣(増田甲子七君) そこで、それは最初森中さんには答えたでしょう。特別の場合とは多くは、——常識上の問題として、多くは海上保安庁の船だけでは足りない場合でございましょうということを、いまあらためて御質問がありましたが、その前にお答えしております。もう一ぺんお答えしてもいいのですが……。
○森中守義君 もっと具体的に。
○国務大臣(増田甲子七君) 具体的には海上保安庁の三隻ぐらいでは困るじゃないかということではないかと私は思います。それからある議員が、李ラインだとかマッカーサーラインとかいうようなところへ出るかと、——私はそういうところへは紛争を起こすために出ることは絶対ごめんでございます。これは海上保安庁の船でさえ逃げてくるようなところへわれわれが出て行く必要はないので、事をかまえていくということは絶対私の考えとしてはごめんなんです。それは私の世界観といいますか、こちらから積極的にディスピューツを起こさないということが憲法の九条の精神なんですから、その精神は厚く奉体をしていくというのが法に対する私の考え方でございます。そこで海上保安庁の船をもってしては不足だという場合だって、おそらく具体的に考え得るのじゃないですか。森中さんも一緒に私どもの相談に乗ってもらうという意味で考えていただきたい。結局李ラインなんかで拿捕されたりしていろいろしている場合に、こちらで事をかまえるために護衛艦が出ていくか出ていかないか、それはまずまず——これは事実問題でございますから、法律上の問題としてはそれは出得るということは、ここに法制局長官いないとほんとうはいけませんが、しかしまずまず私どもは政策の問題としては出ないのじゃないかと私は考えております。
○森中守義君 長官、たいへんくどいなと思われるかわからぬけれども、特別な場合、——それだけのやっぱり解釈では納得できない。海上保安庁が足りないときに出るのだ、それではやっぱり具体性にやや乏しいですよ。一体それでは保安庁が間に合わぬという場合は何を予定するのか、どういう状態であるのか。といいますのは、いまの特別の場合というものは、へたすると自衛権の発動と非常に徴妙なからみ合いが生ずる。どうかすると、私はそういう態様がむしろ危険じゃないかというように考えるのですよ。ですから、保安庁が足りないときに出るのだという、そういう抽象的な言い方でなくて、ここに予定をする特別な場合の出動とは一体何であるかということを、もう少し具体的に言ってみてください。そうしなければ、一口に保安庁が足りないときに出るのだということでは八十二条の運用上相当むずかしい問題があるのじゃないですか。少なくとも具体的にこれを明らかにしてください。
○国務大臣(増田甲子七君) 具体的な場合はあまり想定しにくいのですが、具体的な場合を言えということと、それから森中さんの御質問の趣旨に、護衛というものが、防衛出動のときの護衛もございまするし、八十二条のときの護衛もあるのですから、護衛という字は両方にわたって、客観的事実として見れば両方とも護衛だとすれば、一方は「防衛出動」のときの護衛であり、一方は八十二条の「海上における警備行動」の場合の護衛であるという場合が、私は法律論としてあり得るということを申し上げておきます。 それからもう一つ、法律論として、警備行動をとるといった場合の行動は、これは警察庁長官とわれわれのほうとに協定ができております。その協定に従いましていろいろ行動しますけれども、しかしあの権利権限というものは、警察庁長官をわれわれが指揮監督するわけでもないし、また国家公安委員長からわれわれが指揮監督されるわけでもない。つまり並列的であるというのはそこなんですよ。しかし実際の行動、つまりわれわれは独自の判断で警備行動をとってよろしいと私は思っております。そのことは法制上言い得るのです、法制局長官がいなくても。ただ、しかしながら、協定がございまして、原則として後方支援である、それから後方支援ということで間に合わないときには全面的に出て警備行動をとる、こういう協定はございます。協定はございますけれども、その行動たるや、防衛庁長官、内閣総理大臣、防衛庁長官それから護衛艦隊司令官といったような系列で護衛艦隊司令官は動くわけでございます。あるいは、一つの船しか行かない場合にしても多数の船が行く場合にしても、護衛鑑が行く場合には国家公安委員長の指揮命令ではないわけでございます。防衛出動時はこれはまた別でございますよ。海上保安庁長官を隷下に置くという規定がございますから、これは防衛庁長官が指揮監督する場合がございますが、いまの八十二条の行動は海上保安庁の行動とわれわれの行動、海上保安庁長官とも協定を結んでおりまするので、そういう協定に従って行動しますが、衆議院における予算委員会の総括質問の際に、どういう場合を具体的に考えるかということを、森中さんがきょうお聞きのように聞かれた議員に対して、私は、海賊等が多数来襲してとても海上保安庁では間に合わなかったといったような場合、きわめて希有でございましょうと、こういうことをお答えいたしておりますが、さらに参議院においてお答えを重ねる次第でございます。
○森中守義君 あと二、三問で終わります。 そうしますと、法律的にはこういうものを予定しているけれども、事実問題としてはあり得ないと、そういう受け取り方をしてもいいのですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 事実問題としてあり得ないということはないのです。これは協定も結んであるのですから、海上保安庁長官とわれわれとの協定も結んであるのですから、法律上はあり得るし、事実問題としては希有であると、こういうふうにおとり願いたいと思います。
○森中守義君 それから私はいまの具体的な場合というのは、非常に自衛権と密接不可分の関係があって判定しにくいような事態があり得るだろう。もちろん希有でありましても、そういうように予測する。そこで七十六条で所定の手続をとった。しかし、七十六条の3項で国会はその出動を不承認という場合、もちろんこれは条文のとおりに私はなると思う。防衛出動さすべきでない。自衛出動を3項は規制するわけですからね。そのとおりに解釈してよろしゅうございますね。 それとその問題に関連をして、安保五条の日米の自衛権の発動の際に、当然わが国が自衛隊法七十六条の3項で規制をされたならば、アメリカの自衛権の発動があっても、日本の自衛権は発動できない。したがって、安保五条のわが国の自衛権の発動ということは、七十六条3項が上位規範である、これで押えるという解釈が正しいと私は思いますが、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) そのとおりでございます。アメリカ及び日本はおのおの憲法上の規定並びに手続に従ってでございますから、アメリカだけが出るということも、それは法律上、観念上はあり得ると思いまするが、アメリカも出ないということもあり得るのです、つまりアメリカの憲法でアメリカのコングレスが承認しなければ事後において撤収しなくちゃなりませんから。日本は国会において承認しなければ撤収しなくてはならない、こういうことでございます。おのおの憲法並びに手続に従ってということで、日米安保条約第五条一項に明らかに定められており、その規定に従うことは当然でございます。
○森中守義君 結局いまのではっきりしましたが、安保五条で、双方おのおのが自衛権発動をした場合でも、その手続を日本がとった場合、事態が発生しましてね。その場合でも自衛隊法七十六条の3項によってこれは否認をされることがあり得る。その場合にはわが国は出動ができないし、アメリカだけが五条の、領域内における戦闘作戦行動をすることもあるし、しないこともあると、こういうように解釈していいですね。
○国務大臣(増田甲子七君) 七十六条で第3項で不承認ということがあれば撤収するということになります。これはまあ原則として国会の承認が原則でございます、事前における。それから例外として事後における承認でございます。その事前の承認がなければもう事前に出ないことは明瞭でございます。それから事後において承認がなければいままでとった行動を取りやめて撤収するということになります。ただ日米安保条約第五条というものは、これは国家間の約束でございまして、政府、つまり、この場合の政府と言えば、あるいは日本国と言えば立法、司法、行政を含んでおりますから、立法府も行政府も司法府も日米安保条約を守るという、つまり政府の三権分立の三機関がともども約束をしておるということだけは御承知だろうと思いますが、森中さんにおいてあらためて御認識を願いたいと思います。
○森中守義君 長官ね、話がそうなるからだんだんややこしくなるのですよ。先ほどの答弁では五条の自衛権の発動は二国のおのおのの憲法の手続によって発動されるという説明があったので私は承知したのです。いまの話だと、いや、この条約は二国間をあらゆる面で拘束しているのだからと、こういう説明になりますと、またこれは話が違ってきますよ。私はこの五条というものは、そういう意味で非常に重要だと思う。少なくとも前段の長官の答弁が正しいと思いますよ。自衛権を発動しなければならぬような事態が発生をした。したがって、アメリカはアメリカなりに憲法の手続によって発動したがだ、わが国は七十六条によって手続はしたけれども、不承認になったという場合には出動さすべきではない。あるいは事後承認を求めようという場合のときでも、事後手続において不承認という場合にはこれは出すべきでないという、そういう読み方をすべきであるし、これは実体から言ってもそうだと思う。したがって国会の存在、自衛隊法七十六条3項の存在というものによって、五条はわが国の自衛権は規制し得るし、七十六条が五条よりもわが国の自衛権については上位にある、こういう解釈をすべきじゃないですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 普通、法学通論あるいは法理学等においてもですよ、憲法、条約、法律となっております。これは憲法を一番尊重せんなりません。その次に条約を尊重し、それから法律を尊重すると、こういうような、これは一つの通説があるわけでございまして、普通は各締約国、とあれば、その各締約国というのは日米に違いないのですが、日米双方は、ということで、米国といたしましては米国の最高法院もございましょうし、あるいは法院がたくさんございましょう。それから合衆国議会並びに合衆国の行政府——大統領を首班とする行政府、これが締約国の執行機関でございます。それが条約を結んでおるのだと、もちろんこれはマジョリティーの原則で条約の批准がございましたのですけれども、しかし、この条約が存在しております以上は、その条約というものは憲法に次いで尊重するということになります。憲法に次いでということになりますが、それから条約を離れた自衛隊法第七十六条が儼乎として存在していることも私は認めます。ただ森中さんがおっしゃるとおり七十六条があるから五条を乗りこえるのだという話はどうかと思います。その乗りこえるという点はやはり日米安保条約第五条と自衛隊法第七十六条第3項——第1項、第2項、第3項とこれは調和ある関係において運用をはかっていきたい。これは日本の立法、司法、行政三権に望むと同時にアメリカの立法、司法、行政三権にも望む次第でございます。
○森中守義君 非常に重要な問題ですから、ちょっともう一つ聞かしてもらいたいのですが、この五条は、いまの長官の一般的な条約の原則的な解釈からいけば、そういう解釈も成り立つ場合があるでしょう。しかしここの中に、この五条は日米二国の自衛権の発動を許容していないのです。そうでしょう。おのおの締約国の憲法の手続によるといっておるんだから、自衛隊法七十六条の3項というのは憲法を受けて初めて存在する規定だと私は心得る。だから五条が日米双方の自衛権の発動というものを保障しておるというならば、これはまた別ですけれども、そうではない。そうではないということは、両国に憲法がある、自衛権の発動というものは局限をされておるという思想と認識に立ってできておるはずですからね。だから、一般的な条約の性格であるとか、そういうものを引用してここで私は規定づけするということは適当でない、こう思うのですよ。この条約というものは、五条というのは二国の自衛権の発動を許容していない、これだけははっきりしております。それならば、日本の場合にはわが国の手続、憲法の手続によらねばならぬというのならば、アメリカは発動することがあっても日本はそれを規制することもあり得る。国会の承認するかしないかによって許されるのか許されないかということが成り立つというように解釈すべきじゃないですか。
○国務大臣(増田甲子七君) これはなかなかむずかしいところでございまして……
○森中守義君 むずかしくないですよ。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は憲法、条約、法律と、こういうふうに考えております。結局価値判断の序列をしたからといって人を規則する関係が特に軽くなったり重くなったりするとは考えませんが、まず第一に尊重すべきは憲法であり、それからそれに続いて条約である。ただし、条約を結んで憲法を改正するということがいけないということはこれは法学者の定説である。しかし、二国間あるいは数国間の条約は憲法に次いで尊重するということになっておりまして、その条約の五条にはおのおのの「自国の憲法上の規定及び手続に従って」と書いてありますから、それが逆にかえって第五条の上にいくということではない。七十六条第3項によってこれは不承認するということはあり得ます。だから五条の上にいくということはない。七十六条において「自国の憲法上の規定及び手続に従って」、それから「それに沿うごとく」と英語では書いてありますが、「沿うごとく」と解釈すると、すなわち、調和ある関係で国会において良識を発揮してくださると私は考えておる次第でございます。
○森中守義君 時間がありませんからもうくどく聞きませんが、どれが上位とか下位とかそういうことはどちらでもいいとして、要するに国会が不承認を与えた場合は五条で手続をとっても出し得ない、出し得ないことがあり得るというふうに解釈をしておいてよろしいですね、これはそのとおりだと思うのですけれども。
○国務大臣(増田甲子七君) まあ明瞭に武力の行使があって、それから出動して、それからそれをいけないということを国会が議決するということもあり得るかあり得ないかと、まあ法理論として私はあり得るということで、あなたのおっしゃることを承認しておきます。
○森中守義君 それではっきりしました。もうこれで終わりますが、それからこの前、総括のときちょっと触れながらあまり突っ込めなかった問題が一つある。しかも事実がはっきりしてきたんですが、例のプエブロ事件が発生してから在日米軍が動きましたね。それがどうだという質問に対して外務大臣であったか、増田長官であったかはっきり記憶しませんが、そのことは事前協議の対象になるならぬということの別な問題だと、その事実はなかったというように私は説明を受けているんです、私の記憶違いであるかもわかりませんがね。ところが、きのう第五空軍のスポークスマンがわざわざ記者会見をやって、プエブロ事件の発生と同時に在日空軍は動いた、韓国に動いている、しかもいまなおそれは増強している、こう言っている。しかも念を入れて注釈を加えて言いますのは、配属部隊を解除して動かす場合は事前協議は必要でない、こういう注釈まで加えているんですよ。この事実を知っていましたか、在日米軍が韓国に動いたということは。
○国務大臣(増田甲子七君) これは外務省がお答えしたんじゃないかと思いますが、私のほうはお答えしておりませんが、あまり実は知識が乏しいわけでございまして、きょうは答弁能力がないわけでございますが、新聞等は、私はただいま拝見いたしました。
○森中守義君 まあそれは事前協議の問題であれば外務省が中心でしょうが、こういう事実があれば、これはやっぱり防衛庁としても無関心ではおれないでしょう、どうですか。
○国務大臣(増田甲子七君) これは外務省からお答えいたしましたけれども、防衛庁としては無関心でいられないわけでございます。すなわち、岸・ハーター交換公文による日本の基地を基地として使って、その基地から発進して作戦行動に出る場合は事前協議が必要である、こういうわけでございます。 そこで、韓国へ移動したというものがこの新聞のとおりあるとすれば、戦闘作戦行動を命ぜられて移動したのかどうかということを一応体格検査をすることになります。それで戦闘作戦行動ではまずない、すなわち緊急事態に、万一に備えるために移動したというようなことでございましょう。まあ、これは外務省の分まで答えるといっても——しかし防衛庁も無責任とは言えないですから、やっぱり連帯責任があると私は思っております。そこで、あの際には戦闘作戦地ではございません、大韓民国は。そこで大韓民国のある空軍基地に移動したといたしましても、岸・ハーター交換公文による、日本を基地として発進する戦闘作戦行動ということにはならないということに、まず外務省が答弁してもなるんじゃないかと、私はまあ一応答弁いたしておきます。
○森中守義君 これで終わります。 長官、この前ちょっとお尋ねしたような気がしますが、大体戦闘作戦行動とは、これまたさっきの話じゃないけれども、どういう状態をさすのか、その辺の見解というものがはっきりしないんですよ。だから衆議院でも参議院でも非常にこれが問題になる。私は戦闘作戦行動のひとつの常識的な判断として最高司令官が、たとえば在日米軍司令官が本国から命令を受領する。受領した命令を隷下部隊に移動等の命令を発するときにすでにこれは戦闘作戦行動が発生をしているという解釈のほうが、これは軍事専門家の意見等もすいぶんその意見のほうが強いようですけれども、そういう解釈をすべきじゃないですか。したがって、そのことはもろに事前協議に乗せるべきである。いま言われるように、この場合韓国は戦闘地帯でないからそこへ行くのは事前協議の対象じゃないじゃないかという、そういう広げた広げた解釈では非常に危険ですよ。いまでも、この新聞でいきますと、そのスポークスマンは、いまなお増強していると言っている。増強していると言っていますよ。だから一体どういう時点において戦闘作戦行動が発生するかということはもう少し法的なものとして明確にしておく必要がありゃしませんか。
○国務大臣(増田甲子七君) 森中さんのおっしゃるとおり、私は戦闘作戦行動というものは明瞭にしておく必要があると思います。第一、交換公文では、日米両文がありまして、英語のほうならばわりあいわかりやすいので、コンバット・オペレーション、戦いである。オペレーションというのは私は、電話の交換手だってオペレーターです。ですから行動としてこれは戦闘行動をやれば一番わかるわけですよ。普通、作戦行動という場合は、そこらを動く場合は作戦行動なんということをよく言われておるようでございます。オペレーションというときにはやはり、動作をする、行動をする、行軍をする、あるいは船で動くという場合は行動でありまして、ほんとうは二字多過ぎるので、戦闘作戦行動、戦闘行動か、ただの行動かということになります。そこで私は、戦闘行動という場合は、ベトナムの場合は別でございます、これは大体宣戦があったのかなかったかもわかりませんし、一種の紛争状態が続いているわけでございますから。普通の場合は戦時国際公法による戦闘行動というものは大統領の命令が要ると私は思っております。少なくとも駐日軍司令官の命令なんかでは戦闘行動などはとるべきでない。これは別に駐日軍司令官をばかにした意味ではないのですよ。それほど慎重に取り扱うべきである。少なくとも駐日軍司令官というものは、CINCPACという、ハワイにある太平洋軍総司令官の命令を受けるべきである、太平洋軍総司令官は国防長官ないし大統領の戦闘行動の命令があるべきである、日本は自衛隊法七十六条による内閣総理大臣の命令があるべきである、こう考えております。 それでこの翻訳のしかたは——あまり批評しては外務省にしかられますけれども、戦闘行動と行動と二つ分けていれば一番わかりよかったのです。それを作戦行動と戦闘作戦行動というから、さっぱりこれはわからなくなってしまって、作戦行動は戦闘行動じゃないかなんという人がちょいちょい出てくるわけですよ。一方は行動でございます。それから戦闘行動というのは、コンバット・オペレーションの命令を受けた場合は、日本を基地として発進する場合は、事前協議の対象になる。 そこで、この在韓アメリカ軍は国連軍でございまして、休戦協定は締結ができます。でございますから、休戦を再び解除して戦闘行動に入る場合には、私は私見ではございますけれども、少なくとも太平軍総司令官、それから最も適正には大統領の命令によってはじめて戦闘行動が行なわれて、そうして事前協議が日本の内閣総理大臣ないし外務大臣に対して行なわるべきである、こう考えております。普通、移動するというような場合は宣戦布告されておる場合、あるいはベトナムのような場合に戦闘行動を命ぜられていく場合が戦闘行動である、別に狭くして、日本の国利、国益を害そうとか、あるいは主権の権威を落とそうという意味じゃございませんけれども、戦闘作戦行動というものはもう戦闘行動である、こういうふうにあと御解釈を両院で願うというと、わりあいわかりやすいと思うのです。あとは行動である、こういうふうに御解釈願うと、事前協議の線が明瞭になってくると私は思います。
○森中守義君 長官、その言われんとする意味はわかりますがね。そのつどそのつどの質問にお答えになるのはやはり、具体的な事実をとらえる質問もあるし、あるいは一般原則的な質問もあるので、なかなか答弁者のほうも……。
○国務大臣(増田甲子七君) 苦労します。
○森中守義君 それは確かに苦労でしょう。苦労するということは、これの定義を日本政府は持っていないということですよ。だから私は、特に重要であるのは、たとえば自衛権の場合でも発動しなければならぬのは三つの要件がある。必要性、均衡性それから違法性、こういうことが国連憲章で踏まえている自衛の条件になっているわけですね。そんなこともよくよく吟味していけば、あんまりワクを広げて、韓国に行くのは戦闘地じゃないんだからそれは事前協議の対象にならぬというような、そういう言い方もどうかと思うし、この際、いま長官が言われたように、発命権者がだれなのか、受命権者がだれであるか。そして、それを受命したものがさらに命令権者に直ちになるわけですからね。そういうものをある程度整理して、こういう場合には事前協議の対象になるとかならないとかということを整理して、一ぺん政府の統一見解をまとめたほうがいいんじゃないですか。まとめてアメリカにぶっつけてみなさいよ、こういうぐあいにやってくれと。おそらく、条約草案の段階とか、その後現在に至るまで、あまりその辺のことは詰められていないと思う。だから、部隊を解除して出すならば、事前協議の対象にならぬじゃないかと、こういう言い方等になってきますよ。抜け道をアメリカは幾らもつくりますね。実にいろいろ、極力事前協議の対象になるべきものを乗せないでいいようにするには、いろんな方法があると思う。そういう一般的にいわれる脱法的なことを許さないためには、もう少しきちんと整理する必要があるんじゃないですか。そのことだけ、私は半ば注文でもあるし、お尋ねをして質問終わります。——一応いまの答えてもらいたい、閣内で統一をはかられるか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私と総理と外務大臣とはわりあいに話が合っております。最近は、その戦闘作戦行動というのが、戦闘という字を取れば作戦行動——作戦行動というのは普通の行動だけれども、作戦という字があるからややこしいので、戦闘行動というふうに話をしていこうじゃないかという話になっておりまして、わりあいに三人の間には連絡がございまするが、なお森中さんの御配慮は私もよくわかりますから、打ち合わせをいたす所存でございます。
○森中守義君 長官、それは私はそういう方法を講ずべきであって、そのことを全面的に容認をするという意味じゃむろんありませんよ。それだけはひとつ誤解のないようにしてもらわないと困る。
○主査(近藤英一郎君) 以上をもちまして、防衛庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。 午前の会議は一応この程度とし、午後は十四時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後二時三分休憩 —————・————— 午後二時三十八分開会
○主査(近藤英一郎君) 午前に引き続き、これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 昭和四十三年度総予算中大蔵省所管を議題といたします。 午前の会議と同様、政府の説明は省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼び者あり〕
○主査(近藤英一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○木村禧八郎君 まず大蔵大臣に予備費のことを伺いたいのですが、四十三年度千二百億予備費を計上いたしましたが、そのうち、新聞等では給与費が五百億含まれておるといわれておるんですが、そうなんでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) この予備費の中に給与費を幾らと特定してございません。
○木村禧八郎君 そうしますと、災害等がございましてかなり予備費が多額に必要になったといたしますね、これは仮定でございますけれども、そういう予備費の必要が他に出てきて、たとえば千二百億のうち七百億とか八百億ぐらい予備費を使う事態が起こったときに、補正予算は組まないたてまえになっておりますから、そうなったら四百億とか三百億とか二百億、極端には給与費の財源がない、その他の緊急を要する支出の事態が起こってきて臨時に使ってしまえばそういう場合も予想されますね、そのときにはどうするのですか、ベースアップの給与費の財源は。
○国務大臣(水田三喜男君) 予備費は予見しがたい予算の不足に充てるためのものでございますので、どれだけの予備費を準備したらいいかということは、政府の判断で予備費を計上するよりほかにしかたがないと思いますが、通常起こり得ることを予想してきめた予備費でございますが、それがもし予想が狂って特別大きい、たとえば災害とかいうようなものが起こって、準備した予備費ではもう対処ができないというような事態が起こったら、これは予算全体の流用、組みかえ、いろいろなことによる補正予算を組まざるを得ないというふうに考えております。しかし、普通の起こり得ることに対してはこの程度の予備費を準備することによって対処できるというのが私どものほうの判断でございます。
○政府委員(相沢英之君) ちょっと一言補足させていただきますと、最近におきまして災害対策のために補正予算または予備費において支出しておりますところの金額は、数字を申し上げますと、三十八年度が五百十五億、三十九年度が四百六十五億、四十年度が五百十五億、四十一年度が四百七十四億、四十二年度が五百六十九億、したがいまして、まずまず平均的に申しますと、五百億円程度が公共施設の災害復旧事業費を含めまして災害対策として予備費及び補正予算で計上されていた金額であるというふうになっております。したがいまして、きわめて大きな災害が発生することを予想いたしますと別でございますけれども、まずまず例年程度の災害でございますれば五百億円程度が過去の経験によりますところの災害対策費の支出というふうに存じております。
○木村禧八郎君 それではこの過去の実績、そういうものをもとにしてそうして予備費を組まれたと、そうなんですか。
○政府委員(相沢英之君) もちろん予備費でございますので、的確にこれこれの項目にどの程度支出されるということの予定に基づいて積算しているわけではございませんが、補正なし予算のたてまえをとります以上、大体過去におきます予備費とか、補正予算におきまして追加いたしました経費の所要額を一応のめどといたしております。大きな補正の要因は、申し上げるまでもなく、災害対策とか、食管の繰り入れ、あるいは給与費でございますが、食管はこれは補正なしのたてまえをとりまして所要額を組んでおりますので、今後考えられます予備費支出の要因といたしまして大きいものは、災害対策あるいは給与改善等でございます。これらの経費に過去において充当されました予備費の額は大体千億円から、多くて千百億円程度でございますので、そういうものを勘案いたしましてことし千二百億円の予備費を計上しているわけでございます。
○木村禧八郎君 いや、過去において千億あるいは千百億くらい予備費を計上したというのは、それは災害と、それから給与費も含めて大体それくらいというのですか。
○政府委員(相沢英之君) さようでございます。
○木村禧八郎君 大体いまのお話から推測して災害には大体五百億くらいですね。そうしますと、千二百億のうち五百億、残り七百億くらいが給与費と、こう見ていいのですか、そのくらいの腹づもりでおると。
○政府委員(相沢英之君) 先ほども申し上げましたけれども、予備費でございますから、どういう項目にどの程度ということを予定しているわけではございませんが、かりに過去の平均程度に災害対策経費を支出いたすとすれば、まあそれはそう考えますれば、五百億程度になるということでございます。残りはそれじゃ全部給与改善に予定しているかという御質問でございますが、それは予備費は過去におきましても災害対策以外に義務教育費国庫負担金等、義務的な経費の精算不足でございますとか、その他予見しがたい経費の支出に充てる分もございますので、そういう分も全部含めまして千二百億というふうに見ておるわけでございますので、じゃあ残りの七百億がそれは全部給与改善に予定しているのかという御質問に対しましては、そうではないということになるかと思います。
○木村禧八郎君 大蔵大臣、予備費は、これは予算ではありませんね。予算じゃないでしょう。——予算じゃありませんね、いかがですか。——予備費は予算であるかないか。
○政府委員(相沢英之君) これは財政法の二十四条には、「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」という規定がございます。したがいまして、歳出予算に計上しているという意味では予算というふうに考えられますが、しかしながら本来、予算というのは、その実質的な支出の目的を持っているわけでございますから、そういう意味におきましてはこの予備費は他日実質的な予算に変化すべき使途未定の財源ともいうべきものでございますので、これは予算ではないというのが従来の解釈であるというふうになっております。
○木村禧八郎君 ずいぶん回りくどい説明をしたけれども、財政法十六条をごらんになれば、ちゃんと予算の定義がしてあるじゃありませんか。予算とは「予算総則、歳入歳出予算、」それから「継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為」、これが予算じゃないですか。財政法ではっきり規定している。そうでしょう。そうじゃないのですか、財政法でいう予算とは。
○政府委員(相沢英之君) おっしゃるとおりでございまして、財政法でいう予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為でございます。で、予備費はその歳出予算に計上するというふうになっておりますので、形式的にはその歳出予算の一部になるわけでございます。
○木村禧八郎君 しかしこれまでの長いしきたりからいっても、実質的にこれは予算でないというのが定説ですよね。とにかく予算はその使途が明確になっていなければならぬ。何のために国会の審議を経て国会の承認を得るかといえば、国民の税金の使い方、どういうものに使われるかというその使途が明確であることが必要なんでしょう。そうでなければめくら判を押すようなものですからね。 そこで大蔵大臣、実質的に予算でない予備費がふえるということは、これはいいことではないと思うのですが、いかがですか、いたずらにふえるということは。——これは大蔵大臣に聞いているのですよ。この法律の解釈じゃありませんから。
○国務大臣(水田三喜男君) 内閣は、相当と認める金額をこの歳入歳出予算に計上することができる、——内閣が相当と認める金額ということでございますから、どれぐらいを相当と認めるかということは、内閣の政治判断によってきめられると思いますので、そう過小の見込みを立てることもできませんし、そう過大な見込みをまた立てるべき性質のものではないというふうに考えます。
○木村禧八郎君 この四十三年度予算の予備費は四十三年度予算の一つの大きな特色を形づくっていると思うんですね。つまり補正なし予算を組むために、いわゆる総合予算についてはあとから伺いますが、そのために、大体われわれからいえば二の給与費というものは大体目的がわかっているわけですよ。金額が幾らかはわかりませんけれどもね。しかし、一応それはやはり予算の支出の項目として起こすべきであって、そうして給与改善費とかなんとかで起こしていくべきものだと思うんです。それを予備費に入れるということについては、それは私は非常に問題があるのであって、それで総合予算、補正を組まないという、そういうことから一応予備費に突っ込んだというようなことなんですがね。こういう、たてまえ上よろしくないと。いま相当と認めると言いますけれども、いままで大体一%前後というのが相当といわれているんですよ、一%前後。そして、大蔵大臣御承知と思うんですが。これも多くなりますと、これは実質予算じゃありませんから、国会が白紙委任をするようなことになるんですね。結局帝国憲法のときのように、旧憲法のときのように一種の責任支出みたいになってしまうんですね。だから、新憲法ではそういうことは許さないわけですから、実質的に旧憲法の責任支出みたいになるものを多く計上することは私はよくない。ですから、この給与費については給与改善費とかなんとか、項を立てるべきだと思うんですが、いかがですか。項を立てないで予備費に突っ込むなんということは財政民主主義に反するものだ、これは逆行するものじゃないですか。いかに総合予算主義で補正を組まない予算のたてまえを貫こうといっても、こういう財政の民主主義の原則を侵してはいけないと思うんですよ。いかがですか。
○政府委員(相沢英之君) 先般先生御承知のことで私から申し上げるまでもないと思いますが、予備費は「予見し難い予算の不足に充てるため、」ということになっております。したがいまして、予備費の支出する要件といたしましては、その予備費の支出を要する事柄自体が予見しがたいだけでなく、まあおおむねそういう事態は予見し得るけれども、それに要する経費がどの程度であるかについてこれは現在のところ予定しがたい、そういった予算の不足に充てることもこれは十分許されていることでございまして、過去におきましてもそういうような性質の予備費の支出が相当多いわけでございます。で、この点は災害復旧費なども、大体日本の場合では災害がない、台風が来ないというふうなことはほとんどこれは予想されません。必ず何がしかの被害があり、それに従って復旧事業費その他の災害対策費が必要となるだろうということはわかっております。わかっておりますが、どの程度の対策費が必要になるかということが予見しがたいと、それと同じように、他のものにつきましてもその事柄自体が予測できないということではなくて、金額が予定しがたいというものについてもこれは予備費を支出することができるわけでございます。 それからなお給与改善費というようなその項を歳出予算に計上いたしまして備えるべきではないかという御意見でございましたが、実はこれはかつて、二十何年でございましたか、三、四年のころにそういう措置をとったこともございます。しかしながら、この給与改善費がはたしてどの程度の金額になるかということは、現在の制度におきましてはもっぱら人事院の給与勧告がどの程度のものになるかということによるわけであります。人事院の給与勧告は、これは民間の給与水準と公務員の給与水準との差が五%以上開いた場合に勧告することになっておりますが、まあそういうような事態になるかどうか。またその開きがどの程度になるかといったようなことはすべてこれまた予見しがたい事情でございます。したがいまして、あらかじめ給与改定費がどの程度になるかというようなことを予測いたしまして、歳出予算の項目として給与改善費を組むというのも、まあ現状におきましてはなかなか困難な点があるのではないか。したがいまして、災害対策等々と同様な意味におきまして予備費におおむねの過去の数字を基礎にいたしまして、全体として千二百億円程度を予定するということで計上いたしているわけでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) いま申しましたように、一番最初やっぱり給与費というようなものを設定したらどうかというような議論もございましたが、これ非常にむずかしいことでございまして、とにかく予見しがたいことでございますから、かりにこの費目を一定の金額を計上しておきますというと、少ない場合にはいまでもこれは人事院の勧告を拘束する意図じゃないかとかなんとか言われておるぐらいに、金額を出せば拘束すると言われるか、しからずんば、そうじゃなくて多く経費を取っておくというようなことは国がその年の物価をどう見ているとか、民間の賃金をどう見るかというようなことの政府の見方というものがそこに表現されておるはずであるというようなことで、なかなかこれはむずかしい問題になると思いますので、やはり予見しがたい予算の不足に対するものである以上は、これは予備費として最初から金額は特定されていない費用をもってこれに対処するということのほうが合理的であるということで、私はやはりこの人事院の勧告はどういうふうになるかわからないというものに対しては、この際予備費をもって準備しておくということのほうが合理的だと考えます。
○木村禧八郎君 合理的だと言われますけれども、これはいままではこういう形で給与改善費は計上しなかったんですよ。人事院勧告があってですね、それで補正を組んだんでしょう、いままでは。今度はなぜそうしないかと言えば、それはこの財政硬直化対策として財政制度審議会の答申があるのですよね。給与費の扱いについての答申があるでしょう。そうして、大体ですね、この補正を組まないという、その硬直化要因として給与費あるいはその他大蔵省の説明では、たとえば交付税とかあるいは社会保障費とかあるいは公債費とかいろいろ、あるいは特定財源を財源とする道路費とかいろいろあげておりますよ。その中に人件費というものをあげておる。給与費はそのほんとうの意図はここで押えていこう、給与費は押えていこうというところがあって財政硬直化対策の一環としていままでどおりのやり方を改めて、そうして予備費の中に突っ込んできたんですね。いままでどおりなぜやらないのか、なぜそこに支障があるか。そこをひとつ。
○国務大臣(水田三喜男君) これはもう木村さんも御承知だと思いますが、いままでの予算の組み方から見ましたらもう食管、人事院の勧告というもの、給与費というようなこういう大きい補正要因を残して、そのまま当初予算を組むというやり方は、結局この二つが特別扱いで、自然増がもしあるという場合には、その自然増を他の経費との均衡も何もかまわずに、この大きい補正要因に対する経費として使っていくというふうに、経費間のバランスとか何とかいうことを考えないで、この二つが特別に優遇されるというような形の予算の組み方というのは、編成のしかたというのは大きい問題を含みますので、やはり当然考えられる財政収入から何から全部を一応当初見積もって、そうして各経費間の均衡をはかるというような編成のしかたを当初にすべきであるという考えからいままでのやり方をやめるということでございますので、したがって今度の編成のねらいは従来のような慣行的になった補正予算を組むということをまずやめようというところから出発しておるのでございますから、やめるという方向の運営をまずすべきであって、できるだけそういう方向に私ども努力したいと考えておるわけでございます。
○羽生三七君 ちょっと関連して。総合予算主義というたてまえから一応補正を組まぬということでいまのような措置をとったとしても、結局私考えてみて、一応大づかみの予算を組んで、これが財源確保の意味で一応大づかみのものを予備費にとっておく、しかし、必要があれば大まかな財源は確保されているのだから、そこに出てくる食管なりあるいはベース・アップなり災害等で動きが出てきた場合には小幅の補正は当然組むということをある程度頭に描いておるが、それは言えないからいまのような御説明をなさっていると思うんですが、私はそういうふうに理解しておりますが、絶対にもし補正を組まないということならそれはいま木村委員の指摘されたように、あらゆるものをみな押えていくということが前提でなければそういう議論は出てこない。ですから大まかな意味で一応財源は確保したけれども、食管なりあるいはベース・アップなりあるいは災害等で予定外の費用が出てきた場合にはそこに小幅の補正はあり得る、こう理解していいんじゃないですか。そう理解しなければおかしいですよ。あなたがいまこういう総合予算主義で出発された当初それを言うのはいかがであろうということはあるだろうが、そうでなければ説明にならないと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) いずれにしましても、この補正予算が毎回三千億円をこすというような事態はどう考えても予算の編成としては好ましいことではないと思いますので、今度のようなやり方をすればそれは若干の狂いがあっても大した狂いではないということは確かだろうと思いますので、予算編成としては一歩の前進だと思っております。
○羽生三七君 三千億ということでなくとも、小幅ならあり得るということを意味しているんじゃないですか。
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、最初できるだけもう財源を目一ぱい見込むというようなことをやっておりますので、はたして年度の途中において予算の補正のできるような財源が得られるかどうかも、いまのところはわかりませんので、私どもの立場としては補正予算は組まないんだという考え方でいま進んでいるということでございます。
○木村禧八郎君 その財政膨張を防ぐというたてまえは一応容認するとしても、予備費という形で支出することについてわれわれは批判があるんです。国会の立場からいきますと、旧憲法の責任支出みたいな形で予備費がふえていくということにわれわれは断固として反対しなければなりません。とにかく御意見を伺いますが、人事院が勧告しますね、勧告して、では幾らか、きまりますね。支出がきまったとき修正予算を出してきますか、修正予算を。そうしなければわれわれ国会で、この給与費について、何をもとに審議するんですか。そうでしょう。
○国務大臣(水田三喜男君) それは予備費の範囲内でやるんですから、別に修正予算を必要としませんし、また、ではどういう給与の出し方をするかというのは法律によって国会の御審議を願うということになりますので……。
○木村禧八郎君 だから予算自体についてどうするんですか。予備費は御承知のように次年度に報告するんでしょう。そうでしょう。ですから予備費という形で給与費が——さっき災害とか何とか言われたけれども、これは財政制度審議会でも相当議論があったんですよ。われわれ国会の立場から言うと、いたずらに、いわゆる補正なし予算ということを口実にして、それで硬直化対策として給与費を考えるということは、これについてはいろいろ意見があるとしましても、いたずらにふえては困ると大蔵大臣言われても、かりにその立場を認めるとしても、予備費という形は、これは実質的に予算でないんです。なぜ予算の項として出さないか。それから、いままで政府は予算の運用の弾力性弾力性ということを言ってきたでしょう。このように経済情勢が非常に変化するのでありましたら、そういう場合にはむしろ財政法二十九条の補正をむしろ利用すべきですよ、経済状態に応じて。その予算を弾力的に運用するためにむしろ補正のほうが必要だと思う。最初から補正も組まない、そうなったら非常な硬直化じゃないですか、逆に。いかがですか、逆じゃありませんか。財政の弾力的運営ということからいって、総合予算主義で補正を組まないということになったら、かえって硬直化してしまいますよ。私は矛盾していると思う。
○国務大臣(水田三喜男君) その問題は結局財政法で、予備費の支出でいくのがいいのか、あるいは予算の補正をしなければならぬかというのは、制度の上では政府の判断にまかせられておるということになろうと思います。で、予算補正の要件も、これは予算が成立した後において起こった事態に対するものということでございますし、予備費のほうも同じように予見しがたい予算の不足によるものということで、両方とも同じようなものでございますので、どちらにするかということは政府の判断にまかせられておる。ですから補正予算を提出することができるといって、補正予算を提出しなければならぬというふうに法は規定していません。予備費というものがあることを考慮してどちらによってもいいというのがいまの財政法のたてまえだろうと思いますので、これは補正しても差しつかえないこととは思いますが、しかし同時に予備費の範囲内で済むことなら予備費の支出によって済ませたほうがいいということになると思います。
○政府委員(相沢英之君) ちょっと補足させていただきますと、いま先生おっしゃいました旧憲法下における責任支出の場合は、これはちょっといま手元に条文を持っていないので、うろ覚えでございますが、あれは歳入が増加いたしました場合に、それを見合いにいたしまして政府が責任を持って支出できることを規定しておるのでありまして、この予備費のような、すでに歳入歳出予算に計上されておりますものを支出する場合とはかなり違うのではないか、つまり現在の議決されました予算のワク外におきまして、歳入見合いに政府が責任を持って支出するということでございますので、それは歳出予算に計上いたしておりますところの予備費の支出とは、相当これは質的に差異があるのではないかと思います。 それから、予備費で支出いたしますと、公務員の給与に関して、給与の改定について国会の審議権との関係はどうかということでございますが、これは現在は給与法定主義でございますので、公務員の給与に関しては、その支出の態様も、また、改定いたします場合の時期も、すべて給与法の改正をまちまして国会の御審議を仰ぐわけでございますが、決して政府のみの責任をもって支出するということにはならないわけでございます。なお、また、予備費の使用につきましては、後に国会の事後承諾ということが必要になっておりますので、その支出の結果につきましても、なお十分に御審議を仰ぐということになりますので、先生の御心配になるようなことはないのじゃないかというふうに思っております。
○木村禧八郎君 そんなこじつけみたいな説明をわれわれ伺ってもいたしかたないんで、やはりわれわれ財政民主主義の原則を守るために、予備費については、特に今回の給与費を予備費に突っ込むことについては、それは人事院勧告が出てきて、給与法に基づいて支出する、それをもとに審議すればいいじゃないかと言うが、現在われわれは四十三年度予算を審議しているんですよ。その過程において給与費がいかにあるべきかということは審議できないじゃないかと言うんですよ。そうでしょう。そんな中で、じゃ幾ら給与を大体予定しているかと言えば、わからないというのじゃないですか、そうでしょう。人事院の勧告はわからぬけれども、政府はどのくらいの腹づもりで一応計上しているか、予備費はどのくらいを腹づもりしているか、それがわからなければ予算審議ができないじゃありませんか、そうでしょう。そうしてこれが大き過ぎるか、あるいは少な過ぎるか、あるいは人事院勧告がそれ以上オーバーしたらどうするのか、オーバーしなかったらどうするのか、そういう審議ができないと言うんですよ、現在の時点においてわれわれ審議するんですから。そうでしょう。 それから、さっきの責任支出についてはお説のとおりですよ。ただ、私は責任支出は同じだとは言っていないんですよ。それに似たようなことになっていると言うんですよ、事後承諾ですから。そこのところはそう言っているのであって、そういうふうになってはいけないと言っているんですよ。ですから、今後もございますから、今後ずっとこういう形で給与費については予備費でやっていかれるんですか。そうなると、これは相当われわれ考えなければいけませんよ。ですから、さっきも大蔵大臣がはしなくもちょっと言われましたが、たとえば給与改善費という項目を起こすとすると、それは少な過ぎると、これは所得政策じゃないかという批判があって非難が出てくるかもしれない、あるいは少しまた多過ぎると、これは組んだ以上は、やはりそれだけベースアップせよと、こういう要求も出てくる。予算は計上して、それ以下のベースアップというのはけしからぬじゃないかと言う。そうすると目一ぱいで、大体政府が、たとえば七百億組むと、そうすると、ほんとうは人事院は五百億ぐらいでいいと思ったが、政府が七百億を組んでおるのに、何も人事院が五百億という勧告をしなくてもいいだろうということになる。そういう問題もあるわけですね。それは予想されますよ。それはわかりますよ、立場は。ですけれども、その予備費という形で出してくるということについては、これはそういうことから、むしろあいまいなふうにしておいたほうがいいのじゃないかというので予備費に入れる、窮余の一策として突っ込んできたと私は思うのですよ。それがほんとうのことじゃないのですか。ほんとうのことを言われたほうがいいのです。それで、いや、どうしたらいいか——最近よく対話ということがはやっておりますけれども、どうしたらいいか。いわゆる財政民主主義の原則を貫きながら、こういう給与について予備費に突っ込むというのはまずいですよ。ほかの費用も、これも予備費だ、これも予備費だということになりかねないですよ、大蔵大臣。これは今回は大きな変化なんですね。このけじめをはっきりする必要がある。今後ずっとこの予備費でやっていくのですか、給与改善費について。これは大蔵大臣、喫緊問題じゃないですか。国会としては困るんですよ、われわれ審議する者は。
○国務大臣(水田三喜男君) こういう予算の組み方をするについては、非常に私どもも研究をしましたが、一番最初の試みでもありますし、やはり予備費で対処することがいいということになったのですが、おそらく今後といえども、やはりこの形でいくのが一番いいことになりはせぬかというふうに私には思われます。なかなか私ども、御承知のように、むずかしい問題で、他にやはり予見しがたいものがたくさんございますので、そういうものを込みにして全体のワクを充実させておいて、そして起こり得るいろいろなことに対処するという立場をとることが一番合理的にいくのじゃないかというふうに考えます。
○木村禧八郎君 まあその財政硬直化対策の一貫として出てきたことはわかりますけれども、こういうようにだんだんと財政民主主義の原則をおかしていくことについては、われわれちょっと国会の立場で、われわれ国会議員の予算の審議権についてそれだけ制限されてくることになるのですよね、実際問題として。それだからやかましく言うのですよ。そうでしょう。予備費がどんどん多くなってごらんなさい、国会としてそんなことの容認なんかなかなかできないことですよ。予備費は少なければ少ないほどいいのですよ、ほんとうは。そうでしょう、本来のたてまえから言えば。
○国務大臣(水田三喜男君) だから、そうだとすれば、人事院の勧告のしかたとかというようなものへのくふうがこらされるのでしたら、また合理的なやり方もあると思うのですが、これはとにかく全く予見しがたいものである以上は、予算の編成をどういうふうにしたらいいかということになりますと、私どもの考えはこれしか出ないということでございます、いまのところ。
○木村禧八郎君 そんなことはないですよ。だって、いままでは補正を組んでおった、人事院勧告を待ってですよ。それだから、今度はこの勧告を待たずに、給与費は一応予備費という形でとにかく組んではあるのですよ。そうでしょう。だから、それの多い少ないはまた問題があるのですけれども、一応給与改善費について項をどうして立てられないのかと言うのです。そこで立てられないというのは、もしそれを項を立てると、人事院勧告があった場合、足りない場合には補正予算を組まなきゃならなくなるからですよ。だから、あまり補正予算は組まないとか、総合予算主義をとるとか言うからそういうことになる。予備費を組もうが、給与費の項というものを立てようが、ほんとうに財政硬直化対策として給与費を考えるというならば、どっちだって形式は同じじゃありませんか。同じならば、なぜ財政民主主義を破壊するような、予備費に給与費を突っ込むこういうようなやり方をするかというのですよ。
○国務大臣(水田三喜男君) 私はそのための予備費だと思っていますが、もし木村さんの言われるようなことでしたら、給与費というものを別に立てると同時に、やはり災害も大体このぐらいと、日本は災害が多いものですから、そういうものを幾つか項を立てておかなければならぬということになるのですが、これは全く金額としては予見しがたいものでありますから、そういうものをまとめて予備費として計上しておくということでございますから、これは給与の場合も災害そのほかと大体同じじゃないかと私は思うのです。どういう勧告が出るのか、全くわからないのですから。
○木村禧八郎君 そこが給与と災害とは違うのです。それではいままでどうして給与についてはそういうのをやらなかったのですか、予備を。同じというならなぜやらなかったのですか。いままでやってないのは、給与費というものと災害は性質が違うんですよ。国会審議をする場合どうするんですか。災害については大体われわれ予算を審議するときにわかりますが、給与費について、給与費が多いか少ないかを判断するのに予備費に突っ込んである。じゃあ幾らぐらい予定してあるのかと言うと、それはまだわからないというのでしょう。一応政府がこのぐらい予定をしているというものがなければならぬわけですよ。それで人事院勧告と合う合わぬは別問題ですよ。そうでしょう。そこのところ予備費というものを乱用してはいけないのであって、そこを私は言うのです。まあ見解の相違になるから、これ以上やっても時間が足らなくなりますが、これは私はこればかりじゃありません。予備費の問題だけでなく、全体的にわれわれがやっぱり民主憲法に基づいて制定された財政法による財政民主主義の原則を国会としてはあくまでも守らなければならないのであって、もちろんその中でいろいろな時代の変化によりまして弾力的に解釈し、運用しなければならぬ面も出てきますけれども、民主主義の原則というのはやっぱりあくまでも貫いていかなければならぬ。一つの便宜主義で、給与費について、どうも財政硬直化の対策として総合予算主義をとった、補正予算を組まない、だからそれは予備費に突っ込むと、こういうような便宜主義ではいけないと思うのです。 もう一つ次にお尋ねしますが、前にも質問したのですが、これが私にも理解できないんですが、それは補正予算を組まぬということは、増額補正は組まぬということであって、減額とか、あるいは修正、これは出すということですか。全部ひっくるめて補正予算を組まぬということですか。補正予算には増額補正、減額もありますし、修正もあります。二十九条全部ひっくるめて出さぬということですか。
○政府委員(相沢英之君) そういう考えでございます。
○木村禧八郎君 そうなると、これは財政法上問題ですよ。じゃあ二十九条の修正予算なんというのはどうするんですか。今後そういうたてまえをとっていったら、修正も減額も、それから、これはまあ追加も、全部補正を出さぬということは、これは大問題じゃないですか。私は増額だけだと思ったのですよ、財政硬直化対策として。いまのお話だと全部出さぬと言う。これは問題だと思うのですが、どうですか。全部補正を出さぬと言ったら、これはたいへんなことになる。
○政府委員(相沢英之君) 先生おっしゃいますとおり、二十九条の第二号には、追加以外に、いわゆる修正予算を作成し得る場合を規定しております。それで、私が先ほどこの修正予算を含めて、予算の補正を考えないと申し上げましたのは、現状におきましては、第一号に言う予算の追加はもちろん、第二号に言う予算の修正をすべき必要かまず生じないだろうという、そういう前提でこの予算の補正を考えてないということを申し上げたわけでございます。
○木村禧八郎君 今後もずっとこういうたてまえをとるのですか。ですから、補正なし予算、総合予算主義というのは、いまもお話のように、修正も出さぬ、追加はもちろん、増額修正は出さぬ、両方含むとあなた言われたが、それは今後総合予算主義を貫く以上は、今後もずっとそういうたてまえをとるのかというのです。そうなると、財政法二十九条は一体何のためにあるかということになるのです。
○政府委員(相沢英之君) それはもちろん通常の状態を前提としての議論でございますから、たとえばきわめて異常な災害が発生いたしましたとか、その他今後の情勢の推移によりまして、とうてい予備費をもってしては対処できないような、そういうきわめて異常な事態が発生したと、そういう場合には経費の組みかえ等により予算の補正を行なうことは、それはあり得るだろうというふうに考えております。
○木村禧八郎君 その異常というだけではなく、たとえば経済情勢の非常な変動によりまして、四十二年度予算のように、当初作成した予算についてこれを繰り延べをしなければならぬという状態が出てくるでしょう、そういうふうな場合もあり得るのですよ、経済情勢の景気変動等によりましてね。そして四十二年度は約三千百十二億ですね、そうでしょう。一般会計、それから地方財政、財投も含めて一応繰り延べをやったでしょう、そうでしょう。そういう場合ですよ。予算の単年度主義から言えば、当然これは予算成立後に生じた異常な事態ですね、この予算を変更する場合、修正予算を出さなければなりませんね。それから、予算作成後に生じた場合も修正予算を出すことができますからね。いわゆる閣議決定後において、また、国会審議中にその予算に過不足が生じた場合、これは修正予算を出すことができるわけですが、特に私は、四十二年度のように三千百十二億も一般会計、地方財政、財投を含めて繰り延べをやったときに修正予算を出さないというのは、私はおかしいと思うのですよ。これは私は財政法を無視していると思う。財政法違反ですよ。まあ百億、二百億ぐらいならいいのですが、一応四十二年度予算で、国民から税金を取って、これはこれだけ使うという予定をしたのに、フィスカルポリシーとしてそれを繰り延べることになった。私は繰り延べちゃいけないということは言っておりません。そのときはなぜ二十九条の規定に基づいて修正予算を出さないかと言うのですよ。これを出さなかったら、二十九条のあの中で、修正予算については、これはもう新憲法のもとでは新しい規定なんです。財政法が死んじゃうのです。これはもう二十九条の修正予算の制度は、これは財政民主主義のもとでは新しい規定なんですよ。旧憲法にはないのですよ、御承知のとおり。そうでしょう。ですから、大蔵大臣、どうして修正予算を出さないのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 別にこれは議会の予算議決主義に反したことじゃございませんで、国会が承認した予算をそのとおりに執行して、別に減額するわけじゃございません。ただ、経済情勢に応じて執行についていろいろな時期的な調整というようなことをすることは、これは政府の当然の仕事でございまして、そういう時期的な調整をするということは、これは許されたことでございましょうし、その場合に、このきまった予算の内容を変えて執行するということでしたら、これはいまおっしゃられるような予算の修正とかいうようなことを行なって国会の承認を得なければならぬということになると思いますが、そうじゃなくて、そのとおりに執行するのですが、時期がずれるんだと、ずれた場合にどういうふうにそれを取り扱うかということは、法令に従って合理的に翌年度へこれを繰り越せるという財政法になっていますので、これに従ってそのとおりにするということでありまして、国会できめた、国会の予算議決主義に反したことだというのでしたら問題だと思うのですが、そうじゃないのですから、これはもう財政法上きわめて合理的なことであって、予算の修正を要しない、現にいままでにはそのとおりにやってきたことでございまして、この点私はあまり問題はないんじゃないかと思っております。
○木村禧八郎君 それはたいへん問題なんですよ。財政法上というと、財政法の何条に基づいてそういうことをやるんですか。繰り越し明許ですか。
○政府委員(相沢英之君) 具体的に各経費につきまして翌年度へ繰り越します措置は、繰り越し明許でやっております。
○木村禧八郎君 繰り越し明許はそういうことができるんですか。フィスカルポリシーみたいに、政府の景気調整政策とし繰り越し明許を利用することはできません。繰り越し明許については前に改正があったでしょう。昭和二十七年でしたかね、改正があった。その改正があったときに、そこで速記録があるんですよ。これは普通のやむを得ざる事情によりという解釈があるのでありまして、フィスカルポリシーの場合はやむを得ざる事情じゃないのです。はっきりとそれは速記録に載っていますよ。繰り越し明許でやるというような、そんなこと許されませんよ。財政法上といいますけれども、繰り越し明許に基づくのでしたら、繰り越し明許は、やむを得ざる事情の中に、景気調整政策はやむを得ざる事情の中に入ってないということははっきり言っています。あのときの速記録をごらんなさいよ、ちゃんと説明しています、政府委員が。ここに速記録がありますが、そんなことで財政法に違反しないなんて認めることはできませんよ。それじゃ何に基づいてやるんですか、それ以外の。
○政府委員(相沢英之君) 繰り越し明許費に関しましては、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、十四条の三に「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することかできる。」という規定がございます。この規定に基づきまして、それぞれ繰り越し明許を要すべき経費につきまして、予算書に「繰越明許費」として一々掲げてあるわけでございますが、その繰り越し明許ができる事由といたしまして、まあ災害があったとか、あるいは土質その他によりまして工事の設計を変更しなければならなかったとか、そういういろいろな理由を掲げまして、そういうような事由等によりまして工事を年度内に執行することができなかった場合に、その経費を翌年度に繰り越して支出することができるというふうになっております。それで、予算の繰り延べは、政府といたしまして、予算の執行、つまり具体的には債務負担並びに支払いというものを予算の内におきまして後半にずらしていくという措置をとったわけでありますが、そういうような措置によりましてそれぞれの経費が年度内に執行することができなくなった。それで、その年度内に執行することができなくなったので、これは翌年度に繰り越して使用する、そういうふうな考え方をとっているわけでありまして、このような繰り延べの措置につきましては、あらかじめ財政制度審議会にはかりまして、委員の御意見も聞いたのでございますが、そういうような政府のやり方につきまして差しつかえないという御意見を得ているわけでございます。
○木村禧八郎君 財政制度審議会がどう言おうと、このいまの十四条の三ですね、最初は「性質上」となっていたんですが、改正によって「予算成立後の事由に基き」ということを入れたわけです。そのとき、なぜ「予算成立後の事由に基き」というのを入れたかという理由について、昭和二十七年、当時の政府委員は佐藤一郎君ですが、これについて速記録があるんです。そして「事由に基き」ということについては、「実際上予算の執行につきまして、各省としてはなかなかこの会計年度の制限というものがあるために執行が非常に困難を感ずることもあるわけであります。北海道のような非常に工事のシーズンの短いような所、それぞれの理由で以てできるだけ一つ繰越というものを楽にして欲しいという要望は各省から非常に強い」と、こういうことがあるのです。そして「大蔵省としましては、一思いにアメリカのように大蔵省の承認もなしに今年認めた予算は来年、再来年まで使えるというような制度はどうかというような考えも一部にはあるくらいですが、併しそれでは行き過ぎであるというので従来の制限はずっと続けるという態度で来てはおります。ただ年度の途中でやはり多少の……繰越の明許はもらえなかったけれども、併しどうも十一月、十二月とこう押し詰って参ると、とても三月の会計年度の終わりまでにはでき上りそうもないというようなことが途中でわかりました場合には、言わば繰越明許だけの追加を、一つ当初は行わなかったけれども、追加をして頂くという途を開くということが、これは国会の議決に基くことでもありますし、又執行官庁の便宜にもなることでありますからして、弊害もないというので、即ち繰越明許の追加という制度を作ったわけであります。」と、こう説明しているのです。このときに、とてもこの当時はフィスカルポリシーということは話題にのぼらなかったのです。ですから、これから言えば、そういうことはあらかじめ予定されておらないのです。しかし、財政法はそういうことをやってはいけないということにはなってないのです。修正予算を出せばできるのです。そういう道が二十九条で開かれているでしょう。どうも大蔵省の人は旧憲法の考えです。それだから修正予算を組まないでいて、たとえば歳出予算というものは、これは歳出総額だけ認められておる、だから全部使わなくてもいいという実行予算のような前のそういう考え方が抜け切れないのです。ですから、いま言ったことから、景気調整のための三千百十二億、これは地方財政もその中に含まれているのですが、一般会計で四百八十九億でしたかね、公共事業費については。そうでしょう。これは修正予算を出していれば何でもないのですよ。なぜ出さないのか、今後のこともございますよ。そうしないと、せっかく新憲法で国会に増額修正を認めた意味はなくなっちゃうのですよ。そうでしょう。旧憲法は増額修正はできなかったのですが、新憲法では増額修正ができるのです、国会で。だから、たとえばわれわれ野党が強くて、政府のほうが増額修正を認めたとするのです。そのとき野党の圧力によって増額した予算なんて使いたくないというのならサボればいいのですからね。そうでしょう。そうなると、せっかく増額修正権を認められたのに、何のために認められたかわからなくなるのです。ですから、そういう場合には修正予算を出して、昔の実行予算じゃなくて——実行予算はできないのですからね、今度は。修正予算を出して、そして変更をしなければならないということになる。だから、変更はできないことじゃないのですよ。新憲法による財政法の手続きをなぜ踏まないか。これを今後踏んでもらいたいと言うのですよ。それをわれわれは要求しているのですよ。別にそういうことをやっちゃいけないとかいう問題じゃなく、また、いまの繰り越し明許がそのときにちゃんと速記録にございまして、まあフィスカルポリシーは予定しなかったものですから、四十二年度のようなことは予定しなかったことなんです。ですから、無理はないと思いますけれども、しかし、それで解釈されたんじゃ無理ですよ。 それから、もう一つの解釈は、大蔵省の支出権限ですか、それで説明しようとするが、われわれの単年度主義からいってそれは許されないと思うのですよ。ですから、修正予算を今後お出しになるようにしなさいと言うのですよ。ことしはしかたがないです。許すというわけにはいかないですからね、われわれ。もうしかたがないですよ、どうしたって。今後はそういう場合には財政法に従って修正予算を出すと、そういうふうにされればわれわれは満足します。
○政府委員(相沢英之君) 私、その先生お読みになりました速記録、実は不勉強で読んでおりませんでしたが……。
○木村禧八郎君 いや、前のことですから。
○政府委員(相沢英之君) その当時は、確かにまあフィスカルポリシーで財政支出の繰り延べをやるというようなことは議題にもなってなかったので、まあそういう問答にも予想されていなかったのだと思いますが、その後三十二年、三十六年の両年度におきましても、まあ国際収支の緊急対策ということで予算の繰り延べ措置を実施いたしておりますが、それがいずれも実際的には繰り越し明許の措置を使っているわけでございまして、したがいまして、私どもは、先ほど申し上げました財政制度審議会等の論議を通じて得ました、つまり財政法の解釈と、それから、そういった実際の過去の実施によりましてこの繰り延べ措置を財政法の繰り越し明許の規定によって実行することは違法ではないと、かように考えておるわけでございます。で、まあ修正予算でやればいいではないかという御意見でございますが、予算を修正いたします場合は、当然これはその当該年度といたしましては減額になるわけでありますが、予算の繰り延べの場合は、別に予算額を減額するわけではなくて、ただその執行を翌年度にずらすということだけを意図しているものでございますから、特に予算を減額するという措置をとる必要はないのじゃないかというふうに考えております。それから、予算の増額修正権との関係で、実行上予算を減額することは新憲法の精神にもとるという御意見でございましたが、しかし、この予算の繰り延べは別に予算の減額ではございません。おっしゃるとおり、政府が予算を、特にそれが国会で増額されました予算を実行上不用に立てる、減額するということでその支出を押えますことは、これは問題があると思いますが、しかしながら、それを不用にする、ないしは減額するということではなくて、単にその執行の時期を翌年度にずらすということは、その国会の増額修正権というものとの関連におきましても、それを実際上、何といいますか、この実際の意味を否定するということにはならないのではないかというふうに考えております。
○木村禧八郎君 それはこじつけでね、予算の単年度主義というのを否定しているのですよ、あなたは。それは実際の運営においてだんだん単年度主義はくずれてはきております。そしてまた繰り越し明許とか、それから継続してですか、そういうものは単年度主義の例外ですよね。例外として認められてはいるのですよ。それまでは否定しませんよ。しかし、景気調整策としてこれは新しく出てきた問題ですよ。最近のフィスカルポリシーとしてのそれとこの単年度主義との問題、それで、さっき申しました二十九条の修正予算との問題ですよ。これは新しく出てきた問題でして、だから、そこで最初予定しておらなかったのですから、はっきり二十七年の改正のときに、特別の事由というのは、その解釈ははっきりしているのですよ。これは財政制度審議会の人はどう言うか知りませんが、それは過去においてやったから適当だというようなことは理由にはならぬと思う。この立法の精神は、はっきりそういうことを予定していないのですよ、そこのところを。だから私はやかましく言うのですよ。それは財政制度審議会の人は知らないですよ。この経過をお読みになってごらんなさいよ、昭和二十七年二月七日です、大蔵委員会会議録です。ごらんになっておいたらいいのじゃないか。ですから、その点は、やはり質問されたから、ただ立場上何とかつじつま合わした答弁をするというのじゃなくて、私の質問の一体どこが間違っているのか、はっきりとそういう根拠を示して——そのときの佐藤一郎君ですね、これは法規課長をやっていましたね、法規課長だったんですよ。その佐藤法規課長がはっきりとそういうことを説明しているのに、いまお話しのような発言をされたら私は困ると思うのですよ。だから、今後じゃ修正予算というのを全然出さないのかと言うのです。単年度主義なんですから、その繰り越し明許の範囲を越えたものについては、「予算に追加以外の変更を加える」ということになるのでありますか。修正予算を出すのには、それでもなお固執されるのですか。これはもう検討してくださいよ。いますぐここで結論を早く出すのが困難なら、こういう資料がありますからよくお調べになって、それから、今後の財政運営上どういう影響が出てくるかもいろいろございましょうから、ひとつ十分検討して、やはり財政民主主義の原則にそむかぬように、せっかく財政法というのがあるのですから、違反しないようにしていただきたい。この点、大蔵大臣いかがですか。即答できなくても、検討ぐらいされる必要があるのじゃないですか。大蔵大臣でも国会議員ですから、国会議員の立場で考えて、そういう点をきちんとしていかなければいけないのじゃないかと思うのですよ。いかがですか、大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) いま言いましたように、予算の減額でもないし、増額でもない、修正ではない、これを時期を延ばすだけなんですから、そういう意味で、もし国会に対して、こういう予算だったらこれだけ今年度はこのままの執行をするが、これから先は延ばしますよというのを国会へ断わって承認をとるということでしたらどうかという御意見だと思うのですが、それは国会の承認をとれば、これはいいことには違いないのですが、そういうことをしなくても、そういう場合にはこういう繰り越しの制度というものを置いておくから、これに従ってやるのならよろしいと、国会からいわばそういう点を事前に認められたというふうに考えれば、法令どおりにやるのならそれでいいんじゃないかといういままでの立場でございまして、過去においてそうやってきたということです。それを木村さんの言われるのは、こういう繰り越し明許制度はあるのだが、もう一ぺん区切りをつけて、途中で……。
○木村禧八郎君 その範囲を越えているのですよ。財政法で予定した繰り越し明許ならいいんですよ。それをぼくは言ってるのじゃないですよ。それは許されているのです。ところが、フィスカルポリシーのような場合の三千百十二億みたいのが、これは実行予算と同じような性格になっている、単年度主義からいって。だから、それを修正予算を組まなければいかんと言うのです。ここで財政法で許されている繰り越し明許まで否定するのじゃないのです。それはいいと言うのです。だから財政法を改正するとか何とか、フィスカルポリシーの段階における改正みたいのをするのか、あるいは修正予算を出してくるのか、どっちかですよ。いかがですか。これは特別の事由によって説明できないですよ。前にはっきりと政府委員が、法規課長が説明しているのだから、何らか手当しなければぼくはこれはいかんと思うのですよ。いかがですか。
○政府委員(相沢英之君) 私が先ほど答弁いたしましたが、とにかくこれは繰り延べの措置というものを政府が閣議で決定する、そういう決定に従って各省が債務負担なり支払いというものを繰り延べていく、その結果、年度内に予算の執行ができなくなる。したがいまして、予算繰り越し明許のある経費についてその繰り越し明許を行なっていく、そういうことでございますので、繰り越し明許のこの第十四条の三の規定に決して解釈として逸脱しているというふうなつもりはないのでございます。そういうような解釈で過去における繰り延べもやってまいりましたし、今回の繰り延べもそういうようなことで考えているわけであります。
○木村禧八郎君 もうやめますけれども、これまでも繰り延べをやりましたけれども、それは金額が少なかったのですよ、わりあいに。で、私もこの前にもこういう質問をしたこともあるのですけれども、今度はかなり大規模なんですよ。そうしたら、予算の性格が単年度主義からいったら変わっちゃいますよ、そうでしょうが。単年度主義からいったら、三千百十二億を一たん予算で計上しておいて、翌年度中にこれを使うなんていうのは、いかに繰り越し明許といえども、そこまでは——予算の性格が変わっちゃいますよ、単年度主義からいえば、そうでしょうが。予算はその年度内に使うことを原則としているのですから、その範囲内で、例外として継続費とか繰り越し明許と、こういうものを認めているのです。例外なんです、これは。それで財政法によってちゃんと——改正はしましたけれども、その改正はフィスカルポリシーみたいなものは適用できないのだということをはっきり言っておるのですよ。改正の趣旨は、特別の事由というのは、前にはこれだけだったでしょう。それで特例事由を加えたのですが、特例の事由でフィスカルポリシーによる繰り越しまでもこれでできるという解釈はできないのです。はっきりしているのです、法規課長の答弁で。ですから、これは検討してください、もっと。いかがですか、大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 繰り延べ措置を私どもがとるときには、年度末まで全部その金額を繰り延べるということは考えていませんでした。経済情勢の変化に応じて適当なときに解除する、いつ解除できるかというようなことで、むしろこれを翌年度へ繰り越すというようなことを考えないでやって、最後の瞬間まで結局解除ができなかったというような事情でございますので、一般会計から見ましたら四百何十億ということですが、いま木村先生のおっしゃられるようにしますというと、これをどっかの時点で国会に補正を出すなんていうことは、実際問題としてはこれはなかなかむずかしい。技術的にもむずかしいことであって、実際の運営としたら、違法でない以上は、やっぱりいまのようなことでやらないと……。
○木村禧八郎君 違法ですよ。はっきり言っているじゃないですか。違法だという根拠をあげているのです。何の根拠に基づいているのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 実際は、国際収支をよくする見通しがついてきたら、もう解除は少しでもいいからしようということを考えながら運営しているのでして、実際なかなかむずかしいと思うのです。
○木村禧八郎君 こういう押し問答をやっても時間がたつばかりで、羽生委員があと御質問するそうですから、これはやはりあとでよく検討してください。私は承服できないです。財政法違反をやって、違法じゃないといって根拠も示されない。こっちは根拠を示しているのですから。 最後に、一点だけ暫定予算に関連しまして。暫定予算が通らなかった場合の憲法、財政法上の規定がない。なぜないかというと、これは結局与党、野党争いのない予算を組むことによってこれは通過するであろうということが予定されていると解釈していいと思うのですよ。また、実際には国会が最高の決定機関ですから、国会が最後はきめるものだと思うのですけれども、そのときに大蔵大臣が、歳出だけでなく、歳入の面においても与野党の意見が対立したものについてはこれを組まないと、そういう御答弁をしていますが、それでいいわけですね。たとえば国鉄運賃の問題で、定期代の値上げの問題が起こった。それに関連して、加瀬委員が、歳入面についても与野党が対立しているものについては暫定予算に計上しないと、それでいいんですかという質問をしましたら、大蔵大臣はそのとおりだと言われたのです。それでいいわけですね。今後歳入についても、これははっきりさしていただきたい。暫定予算、いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 与野党が意見が一致するということは、具体的にどういうことなんでしょう。要するに憲法でさえ予定していないことですから、当然予算の空白というものは避けなければならぬ。そのために暫定予算という措置をとるのだと、その場合に、そういう意味の暫定予算でございますから、与野党で論議のあるような問題を当然避けるということは必要で、新規政策というようなものは織り込まないということを原則とするということでございまして、そういうような方針で政府は暫定予算を組むべきである、これはもう私もそう思うのです。
○木村禧八郎君 歳入についても、いままで歳出のことばかりしか言ってなかった。歳入についてもそうかという質問をしたのですが、加瀬委員が。大蔵大臣はそのとおりですと……。
○国務大臣(水田三喜男君) 歳入については、私は与野党の論議というものは事実上はないのじゃないかと思います。
○木村禧八郎君 鉄道運賃で起こったのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 歳入で入るものしか事実上入らぬから、それだけを予定するということでございますから、これは歳入の点については与野党の問題というものはおそらく起らぬというふうに考えております。
○木村禧八郎君 それじゃそのとおりですということは違いますよ。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりですということは、たとえば四月十六日までの間に国の歳入というものはこれしか考えられない。当然考えられるものをあげるのですから、これについて…。
○木村禧八郎君 鉄道運賃について問題になったじゃありませんか。あやまったじゃないですか。政府はあやまったんですよ、鉄道運賃について。
○国務大臣(水田三喜男君) あれは今後なるたけこういうことがないようにということであやまったわけでございまして……。
○羽生三七君 簡単に三、四点伺います。保有外貨の内訳については、総括の際にあらまし大まかな内訳を伺ったのですが、現在の外貨保有高は幾らでありますか。 〔主査退席、副主査着席〕
○国務大臣(水田三喜男君) 二月末の数字で申しますと、十九億九千八百万ドル。
○羽生三七君 そのうち、金が三億三千万ドル、IMFの出資が二億一千万ドル、計五億四千万ドル。そこで、証券、預金等の外貨が十四億六千万ドル程度となっているわけです、説明では。このうち、わが国の対米債権は幾らですか。
○国務大臣(水田三喜男君) あとの金以外の部分は全部預金と証券で保有しているということです。
○羽生三七君 それはもちろんわかっておるけれども、そのうちでアメリカの部分は幾らかというのですが、それはあとからだんだん聞いていきますからいいとして、いままでは、特にアメリカ関係の債権が、長期預金または長期債券、それがいままでは短期のものであったのが、最近ではそれが長期の預金、長期の債券に変わっておる。特にこれはベトナム戦争が始まって以来、特にその傾向が顕著になって、実際にすぐ使える預金とか、あるいは債券、これはもうほんの四億数千万ドル程度だといわれているのですが、その実際はどうなのか、その辺をひとつ聞かしていただきたい。つまり短期のものが長期にほとんど大部分変わっておる。
○国務大臣(水田三喜男君) 預金については、これはまず当座預金から一ヵ月物、あるいは三ヵ月物、六ヵ月物と一年物と、最高一番長い期間のものは一年半の預金になっておりますが、これは金利の都合とかいろいろなことから期間には差がございますが、全体として満期日の分散化というものをはかることにしておりまして、毎月期日の預金が、均衡して期日がくるようにというふうに考慮されていまして、たとえばあと半年の間にどうなるかといいましたら、半年の間には預金の半分が期日となって戻ってくるというふうに、流動性を保持することを特に中心に慎重な考慮を払っているという形でございまして、預金も流動性をなくしないようにという考慮から、いろいろ長期、短期のあんばいをしているということでございます。
○羽生三七君 私の言いたいのは、流動性が漸次失われつつある、漸次長期物に変わりつつある、すぐ使える短期物は非常に少なくなっておるという趨勢があると思うのですが、この傾向はなおこれからも続くのでしょうか。最近の経済事情によってこれは何らかの変更が起こるのか、その辺はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまの運用のしかたと今後別に変わらないと思います。ただ、証券のほうは、御承知のように、TBはいつでも売れるものでございますから、流動性を一番多く持ったものでしょう。これが大体運営で預金と半々になっておりますから、いざというときの流動性に困るということは全然ないということでございますので、預金のほうは満期日がずっと均衡してくるようにという考慮で運営しているということでございます。
○羽生三七君 いままでは成長政策中心で日本の経済が運営されてきたと言えると思うのです。ですから、高度成長にはいろいろな批判がありますが、その批判は別として、とにかく日本の経済運営というものは成長政策を中心にしてきたことは事実だと思うのです。ところが、現在、国際収支が必ずしも満足な姿ではないということから、総理はじめ、これは大蔵大臣も言われたのか宮澤企画庁長官だったか、総理は言われたのですが、はっきりしませんけれども、それは総理のほか、大蔵大臣か宮澤長官か、その辺はわかりませんが、一応望ましき外貨保有高は三十億ドルくらい、こういうことでしたね。そこで、これは私の質問はきわめて簡単なんですが、そういう場合に、いままでは成長政策を中心にして、国際収支に赤信号が出るとブレーキをかける、引き締め政策をやる、そういう形でしたね。そこで、もしこの佐藤内閣の言う経済の安定路線というものを守着させようとするならば、一応やはり国際収支というものをめどにして今後の経済運営をやっていく必要があるのじゃないかという気がするわけです。私は、成長政策は何でもかんでもいかぬと言うわけじゃない。経済成長のないところに個人の生活水準の発展もあり得ないのですから、当然それはある程度の成長政策というものを加味しなければ国の発展ということはないことは、これはあたりまえですから、それをことごとく否定するわけじゃないのです。ただ、問題は、いまのような日本の国際収支のあり方、こういう不安定な形を続けていって、しかも、先般来のような国際通貨体制の非常な大きな問題の時点に際していろいろな国際的にも評価を受けるであろうと思う。したがって、外貨保有高三十億ドルなら三十億ドルを一応のめどにして、そうして外貨保有高をその辺まで持っていくという形の国際収支のあり方を求めながら、そこに経済成長率を合わせていくという、そういうことが新しい一つの望ましい姿になるのではないかと思うのです。もちろん私は極端なことを言いませんよ。そうしなければ、これは一応この間の十カ国蔵相会議等もあり、前の金プール七カ国会議の決定もあって、一応通貨問題もちょっと一服状態のように思いますけれども、しかし、まあ今後どういう変化が起こらないとも限らない。そういうことを考えて、やはりもっと日本がそういう意味で健全な通貨体制、国際収支の安定性を維持する必要があるんじゃないか、こう考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私もそのとおりに思います。三十年代はちょうど日本経済の成長する力を持っておったときでございますので、この成長力を持っている間にやはり経済を成長させよう、これを伸ばそうという考えから、むしろ外貨準備というものを犠牲にして成長政策をとっているということでございますが、やはり外貨準備の水準が低いということは、経済政策を常に波を打たせるということになりますので、始終国際収支という壁にぶつかっていろいろな問題を起こしているので、できるだけ外貨準備の水準が上がってくれば経済政策も幅ができて、経済運営もやりよくなるということになりますから、そういう意味から申しますと、私どもは、日本経済としては三十億ドルぐらいの外貨準備がほしいというふうに考えておるわけですが、今後は、私は、三十年代と違って、四十年代はそう多い成長ということも考えられませんし、また、安定成長という政策をとっていくのでしたら、保有外貨をふやしていくということが今度は初めて可能になるんじゃないかというふうに考えますので、ほどほどにした成長ということに気をつけた経済政策をとっていくのなら保有外貨をふやしていけるということがまず可能になると思いますし、もう一つは、いま合意されておりますSDR、これが創設されますというと、これも国際収支の天井を高めるためには非常に役立ちますので、日本経済運営にとっては非常にこれはいいことだと、私どももこれを歓迎しているわけでございますが、そういうSDRの創設と同時に、従来と違ったやはり保有外貨をふやすというわれわれの考え方の設定によって、今後はおっしゃるような方向が可能になると私は考えております。
○羽生三七君 その場合、そのお話はわかりましたが、そうすると、この外貨保有高三十億程度にするために一応の目標というのはあるか。たとえば何年ぐらいで達成しようというのか、そういう目標があるのかどうか。ただそうしたいと思うというのでは、これは大蔵大臣がどんなに御決意なさっても、これはなかなか簡単にこの経済の現実の姿というものがそう進むわけでもないと思う。目標を一応設定して、それでそれに合わせるような経済運営、あるいは成長率の設定というものがなければ、やはり現実には望ましき姿は三十億ドルだといっても、現実にそれを達成するのは私は非常に困難だという気がするのですが、何らかの、たとえばこれを何年ぐらいで達成したい、それまでは若干の出入りはあろうとも、おおまかな線はそういう方向で押えていくという、そういうものがなければこれは非常にむずかしいという気がしますが、その辺はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 問題は日本の輸出力の増進ということ、根本的には生産力の拡充ということできまっていく問題じゃないかというふうに考えます。いま国際収支の面から経済には相当のブレーキをかけておりますが、ブレーキをかけておる間に、この二年間だけでも十五兆をこす設備投資が日本で行なわれておるということから見ますというと、経済をある程度押えて国際収支を均衡させる、そうして日本の輸出を伸ばしていくというときになってくると、過去の設備投資が相当ものをいってきますので、私は、この次にくる日本の輸出力というのは相当大きいものだと思っておりますので、これからのそういう大きい輸出力というものは、同時に外貨準備においても順次にふやしていく力になるものだというふうに考えております。
○羽生三七君 この問題は、先ほど木村委員の触れた三千百何十億かの繰り延べのそういう事態が起こるということは、振幅の波がひど過ぎるからそういう問題が起こるのですから、やはり池田内閣にかわって佐藤内閣が経済の安定路線というものをうたい出したからには、ある程度それを定着させる責任があると思います。これは政策的にいっても現実の姿においても、先ほど言ったように、国際収支それだけに重点を置くということでないが、三十年代と違って、四十年代の姿は少し変わっていいのじゃないか、これは大蔵大臣からお答えのあったとおりであります。そういう方向でいくべきではないかということで、強く要望というか、私の意見として述べておきます。 それから、もう一つですが、インドネシアの援助、これはスハルト大統領が来られて援助の増額を要求されたらしいのでありますが、奇怪なことには、これは日本の総理大臣が言ったわけじゃなく、スハルトさんが言ったのですが、国会開会中だから金額を明示することは困難でしょう、日本の事情はよくわかりますと、こんなことを言われたのですが、おそらく総理は積極的な援助を約したが、金額は言わない。大蔵大臣のお考えとしては、向こうは一億一千万ドルと言ったと思いますが、六千万ドル、この六千万ドルなら別に積極的な援助にはならない、従来の線ですから。それ以上の積極的な援助ということを総理が言ったからには、現実の問題としてどのくらいの額が考えられるか。これはある程度のことを言われたから、スハルトさんが国会開会中は言えないでしょうということを向こうが心配して言ったということが新聞に載っておりましたが、これはどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) この点について少し詳しく申し上げますが、インドネシア大統領が日本に来て交渉すれば話し合いができると、相当期待しておったのじゃないかと思います。そういう点では先方は十分満足しなかったと思うのですが、それは結局政府の立場、総理大臣もわれわれもみんな同じですが、インドネシアに対する援助のしかたというものは、従来のように輸出入銀行を通してはやらないが、海外経済協力基金を通してやることがいいという考えのもとにいま国会に法律の審議をお願いしておる。この審議が済まない限りは、インドネシアに対して援助したいといっても、その方法がきまらないのだから、この審議が済まない間は、こういう形で援助しますということは言えないのだ、それから、これがきまらぬ限りは予算も決定しないことでございますから、金額についてははっきりお約束はできない。いま予算では一応六千万ドルの援助を予定はしておりますが、現在予算がきまっておるわけでもないし、それ以上の援助をどうするかということも、予算がきまっていないときにはお約束できないということを総理も終始申し述べましたし、私も誤解があってはいけないと思いましたので、向こうの大蔵大臣に対しても、こういう事情だからということを、誤解のないように二日間にわたってその間の事情を説明して御了解を得たということになっております。と申しますのは、私は去年リオ・デ・ジャネイロで開かれたIMFの総会でもあいさつをしたのですが、これからの開発途上国への援助ということは先進国の任務である。しかし、任務であるが、この任務を尽くすことには非常に困難が伴っている。まず先進国は自分の国の国民に対して十分説明し、了解を得るということをしなけりゃならぬ。他国に対してはいい条件の援助をするんだが、国内においては、まだ中小企業以下、その金利の問題においても何においても、援助条件より悪い条件で国内の経済経営やっているんだ、こういう問題をみんな各国とも控えているんだが、これは先進国のまず義務だ、今後自分の国だけでなくて、外国に対してこういう応援をしなきゃならぬという、この説得を国内において十分しなきゃならぬという困難さを持っておると同時に、援助される国も、もっともっと自助精神に徹してもらい、そして援助の金を効率的に使うという体制を整えることが必要であって、この二つがうまくいかなければ将来この援助というものは円滑に進行しないんだという私はIMFで演説をしましたが、現にそうだと私ども思っています。したがって、よく国会でいろいろ皆さんから言われましたが、私のほうの考えはそうじゃなくて、国会をごまかして何とか援助しようなんというような考えはいささかも持ちませんで、今後東南アジア各国に対する援助も、こういうものをこういう必要によって日本は援助したいんだというのは、堂々と私はやはり国会の承認を得て、結局国民の了解を得てやるということが今後は特に必要だと、そのことをいま感じておりますので、今度はいいかげんのことじゃなくて、予算もきまってない、しかも、まだ関連法律も通っていないというときであるから、私どもはここでそう簡単なお約束はできないんですということを終始説明して納得してもらったのが今度の真相でございまして、この点はいろいろ世間で言われておることはあるかもしれませんが、真相はそうじゃございません。
○羽生三七君 それは了解しました。それから、相手の国のみずからの努力を求めることも今度総理も大蔵大臣も言われたと思うんですが、それは非常にけっこうだと思います。そこで、海外経済協力の法案が通った場合、六千万ドルをこす協力を行なうのか、金額は幾らということはなかなかすぐここでというわけにはいかぬでしょうが、それはあるのですかないのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは協力基金の範囲内でということになりますと、予算の余裕というものはそうございません。その余裕の範囲内で政府はどうきめるかという問題でございますが、これはいま申しましたように、アムステルダムの債権者会議がございますし、そういうものも経て日本にどれくらいのものが要望されるか、こういう各国の要望ともにらみ合わせて、予算の範囲内で私どもは決定するというようなことをしたいというようにいまは考えております。
○羽生三七君 そうすると、それは日本が単独できめるのではなしに、債権国会議の要望に沿うわけですか。その辺はどうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 実際は個々の国々でこれは相談されてきめるということになっておりますが、インドネシアについて昭和四十三年度はどれくらいの援助をしなければならぬかというようなものの決定といいますか、相談といいますか、そういうものは全体の国の会議で行なわれますので、その額の中で、大体日本はこれくらい、どこの国はどのくらいということが一応出てまいりますので、その線に沿った今度は二カ国間の交渉になるというように考えております。
○羽生三七君 増額は増額ですね、額がきまらぬだけで。援助額がふえることは確かですね、額がきまらぬだけで。
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年よりも相当多く、三億二千五百万ドルといわれていますが、この総額が現在きまったわけではございません。
○羽生三七君 だから、総額はいいのですよ。やはり従来の線よりも増額して協力する、その具体的な金額はまだ明示する段階ではない、こういうことですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そうですね、しかし……。
○木村禧八郎君 いまの羽生委員の御質問に関連しまして。なぜ海外経済協力基金法を改正しなければ援助できないんですか、その理由ですね。一応海外経済協力基金は、いままでプロジェクトが中心だったのですね。改正しなければそれはできない。インドネシアは非常に消費財に対する援助を求めている。しかし、そういうものは輸出入銀行でもできるんじゃないですか、いままでやっていたし。なぜそんな二重になるのか、その辺がどうもわからぬですよ。その点はっきりさしていただきたい。なぜあの協力基金法を改正しなければいけないのか。
○政府委員(柏木雄介君) お答えいたします。 従来、商品援助、ノン・プロジェクトの援助というものは輸出入銀行で行なってまいりましたのですが、インドネシアその他のいろいろな国々にそういう援助をやってまいりましたのですが、インドネシアに対しまして特にソフトな条件のものを出そうということになりますと、現在の輸出入銀行ではとてもできない。そういう意味合いから今度経済協力基金法を改正いたしまして、ソフトローンによる商品援助、ソフトローンのノン・プロジェクトの援助をできるように改正しようという趣旨でございます。
○木村禧八郎君 関連ですから、もう一つにしますが、しかし、インドネシアに対する日本の援助はいろいろな機関を通じてやるわけでしょう。輸出入銀行が一つありますし、海外経済協力基金というのがある。輸出入銀行だって消費財中心じゃない、ほんとうはプラント輸出とか技術が中心になるでしょう。それから、海外経済協力基金でもプロジェクトが中心でしょう。その消費財中心のそういう援助というものはいままではできないでしょう。ところが、焦げつき債権で保険で処理しなければならなくなってきたいきさつもある。何か二つの機関でやっていくなんというのはおかしいと思うのですよ。先ほど大蔵大臣のお話によれば、もっと国内の問題とも関連して考えなければならぬ、そういう場合には一つ統一された機構としてもそういうことは必要じゃないですか。何だか二重にやっているように思うのですが、その点いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま局長が言いましたように、輸出入銀行ではそうソフトなものを扱えない、これは御承知のとおりだと思います。したがって……。
○木村禧八郎君 そうなんですか、ほんとうにそうですか、輸出入銀行は。それはあとの問題です。
○国務大臣(水田三喜男君) そうです。これは大体輸出入銀行が赤字を出さないためにどういう運営をしたらいいかということから見ますと、三分というような条件のものというのは輸出入銀行では無理だろう。この前は、四十二年度は、この無理なことを輸出入銀行にやらせるにつきましては、三分以上の金利、輸出入銀行でやれる範囲の金利にして、それの補充の意味というようなことで、補充とはいいませんが、向こうの要望する金利になるようにという意味から一千万ドルの贈与をする。この贈与はどこでするかといったら、これは予備費で支出するという事態になりましたので、前にも申し上げましたように、援助はこういう形になることは私は好ましくない。で、こういうものが予備費から支出されないようにというようなことを考えますというと、こういうソフトな援助はやはり一本にまとめて、海外経済協力基金でこれを支出するのがいいという考えで、いまそれができるように法律の改正案を出しておる、こういうことであります。
○羽生三七君 私これでやめますが、いま木村委員の言われた問題ですが、海外経済協力、特に低開発国援助に対するあり方、あるいは一%を何年に達成するか、あるいはそれが内容的にはどういう形が望ましいか、それぞれの相手国に対してどういう態度で臨むか、それぞれ国によって事情は違うから、そういう基本的な問題でお尋ねしたいことはいっぱいありますが、他の議員の御質問もあるようでありますので、またの機会に譲って、問題として一つそういうことがあるということを申し上げて、質問を終わります。
○副主査(千葉千代世君) 答弁が必要ですか。
○羽生三七君 要りません。
○矢追秀彦君 昨日の夕刊に、ケネディラウンドの関税引き下げ繰り上げの問題についてEECが同意をしたということが出ておりますが、この問題について政府の考え方をお聞きしたいと思うのです。 その前に、アメリカが課徴金制を取りやめるというふうなことも出ておりますけれども、米政府筋の報道によると検討中と、こういうことでありますけれども、政府としてはこれをどのように見ておられるか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは、前々から申し上げましたように、輸入課徴金のような貿易制限的措置はとらないで、世界貿易を拡大する方向で問題の解決をはかるよう、あらゆる機会をとらえてアメリカにそういう点を申し入れておきました。輸入課徴金というようなもの、輸入制限というものをアメリカにとらせないために非常な努力を今日までしてきましたが、われわれもそういう主張をした以上は、アメリカが、かりにそういう措置をとったからといって、こちらが同じような措置をとるなら、これは国際貿易を縮小する方向へほんとうに追いやってしまうことになりますので、この私どものやり方についても、向こうがそういうことをやったことに対する対抗手段についてもいろいろ日本も考えるし、EEC諸国ともいろいろな相談を裏でしておりましたが、結局アメリカがそういうようなことをやるのなら、むしろ各国がケネディラウンドの繰り上げということをやることによってアメリカのそういう措置を阻止することが一番合理的だというような考え方が、期せずして、日本もそうですし、イギリスもそうですし、欧州諸国もそういう考えを持って、今回大体考え方がきまったというふうなことでございますので、おそらくまだアメリカはこれをやめるとかやめないとかいうことをきめていないようですが、世界の主要国がそういうことで一致するというのでしたら、私は輸入制限的な措置をアメリカは今回は見合わせるという方向へ踏み切るのじゃないかというふうに、一応いまのところは予想しております。
○矢追秀彦君 しかし、いまそういう見通しではあると言われておりますけれども、もしそれを行なった場合、いまたとえそういうことが行なわれても、そのときの解決策等についてはいろいろ考えておる、努力しておると言われていますけれども、具体的にもし行なわれた場合の解決策です。
○国務大臣(水田三喜男君) いま考えられるいろいろなことがございますが、それらの措置をとるよりも何よりも、とにかくやめさせることが一番いいことだというので、いままで各国と歩調を合わせて阻止に専念してきた結果、ようやくいまのようなこの一つの解決策というようなところへ到達してきているということでございますので、私は、おそらくもうこの問題は、アメリカがこういう措置をとることなしに解決されるのじゃないかと、ひたすら期待しているところでございます。
○矢追秀彦君 期待はけっこうですけれども、やはり世界情勢はこれほど流動的でありますから、どういうことになるかもわからないと思うのです。やはり日本経済の体質自体も私は問題があると思いますけれども、やはりこういうことが行なわれても、少々の波を一時はかぶっても、それをはねのけてやはりやっていけるだけの日本経済が力を持たなければならないと私は思うのですけれども、いまの大臣の答弁だと、やめさせるべく努力はしてきた、その結果やめるような傾向になってきた、非常に喜ばしい。だから、こういうことが今後行なわれないと思うから、それに対する対策というのはいま講じてない、それでよい、こういうふうに受け取れるのですけれども、それほど楽観的に見ていいかどうか、私自身はちょっと疑義を感ずるのですが、その点いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) たぶんこうしたから、こちらは何にも考えていないというわけじゃございませんので、これは日本としてはあらゆる対策を考えておったのでございますが、もしいまのようにKRの繰り上げという事態でこれを防ぎ得るとするのでしたら、日本もいま国際収支改善策をやっているときでございますし、KRの繰り上げといっても来年度の問題でございますから、すぐに日本経済に大きい響きを与えるものではございませんが、来年度までにいまやっているこの引き締め政策というものを続けて、うまくやって効果の浸透をはかるということができますれば、私は、輸入課徴金なんというものが課せられることよりもはるかに事態が改善されるというふうに考えます。
○矢追秀彦君 このケネディラウンドの繰り上げですか、これの日本に対する影響、これはどのように考えておられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま申しましたように、早くても来年の一月からということになりますし、いままだ日本は、いろいろな事情で、日本自体の案について他の国とこれから相談する考えも持っておりますが、いずれにしましても、すぐに今回の措置によっていままで予定したこと以外に別の影響が来るというものではございません。
○矢追秀彦君 新聞によりますと、アメリカは対EEC関係だけでこの処置から輸出増それから輸入減合わせて一億五千万ドルの国際収支上の利益を得ると、こういうふうに書いてありますけれども、先のことであるかもわかりませんが、日本との関係でどうなっていくか、この点はどういう見積もりをしておられるか。
○説明員(上林英男君) ただいまの影響につきましては、いま大臣がお答えになりましたように、早くても一月一日のことでございますし、また、その関税率が繰り上げをいたしました場合にどのような影響を受けるかということは、なかなかむずかしい——計算上いろいろできるかとは思いますけれども、むずかしい問題でございます。まだきちんとした計算などをやっておらない状況でございます。
○矢追秀彦君 いずれおやりになるわけですね。
○説明員(上林英男君) いろいろのパターンなどをつくりまして試算はおいおいいたすつもりでおりまするけれども、これが十分確信の持てる数字が出るかどうかちょっと疑問であろうかとも思っておるわけであります。
○矢追秀彦君 私は思うんですけれども、こういう問題については、いま言われたように、確かにむずかしい問題であるとは思いますけれども、かなりその計算をシビアーにやって、そうして、課徴金はやめたと。それはもう一応けっこうなことですけれども、このケネディラウンドの繰り上げ実施に対して、日本経済の受ける影響が、この面がプラス、この面がマイナス、アメリカがこの面でプラスになるから日本にそれがどうプラスになって返ってくるとか、かなりの計算をしておかないと、たとえ来年のことかなんか知りませんけれども、まずいんじゃないか。そういう点の見通しをつけて、それにまだいろんな国際情勢の変化等がやはりかかってきますから、そこに突発事故も起こるかもしれませんし、やはりそういうのを絶えず、これだけ学問も進歩しているわけですから、少しはできると思うんですよ。いかがですか。いまからそういう見通しを立てて、ある程度の計算もきちっとやって、そして対策を講じていかなければならないのではないか。一応、概算にしても、こうやってアメリカはこれだけ得をするというのがはじき出されているわけですから、日本もどうだというのは、こういう問題が出たときにすぐに計算が出てきていいんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 問題は対アメリカ問題でございまして、ほかの国は一斉に同じように繰り上げをやるんですから、対アメリカ関係でどうなるかということだけだろうと思いますので、一応試算は簡単にできると思います。
○矢追秀彦君 先ほどベトナム特需の問題が出ておりましたけれども、このベトナム特需に対する見方、考え方が、各機関の出している数字もかなり違いますし、また、見方も非常に違うわけでして、政府のほうは非常に影響が少ないと、こういう見方ですが、特に停戦になった後、アメリカの経済がそれによってドルを建て直した結果、国内に対して偉大なる社会の建設のためのいろいろの投資が行なわれる、それに対して日本もかなりそれで特需の埋め合わせができる、あるいはまた、停戦後の経済援助でうまくいくというふうな考えのように思うのですけれども、特に停戦後の復興特需というのがはたしていまのベトナム戦争による特需ほど期待ができるかどうか、その点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) ことしの四十三年度の経済見通しを立てるときに、実は、ベトナム問題がどうなるかということによってこの見通しが相当違ってこなければならぬと思いまして、ベトナム問題を当時いろいろ考えましたが、そのときの結論は、一応不確定な要因ということで、そのままにしておいて見通しを立てていいじゃないかということになって、今年度の見通しはベトナム問題を考えない見通しということになっております。考えない見通しということは、プラス、マイナス両面が考えられて、結局、そう大きい影響というものはないのじゃないかというようなことも考えられましたので、そういうことにしたわけでございましたが、いよいよ今回こういう停戦というような事態になりましたので、それを機会にいま私どもも内部において停戦後の変化というようなものについていろいろ検討しておりますが、はっきりしておることは、いわゆる直接特需——これはベトナム戦が起こる前から起こった現在の特需のふえた分が大体ベトナム戦争によってふえた直接特需というふうに見られておりますので、それを計算しますと、大体二億ドル程度のものということになります。そうしますと、今後ベトナムの復興需要というようなものがどのくらいかという、これはなかなか計算はむずかしゅうございますが、今後やはり復興、開発の需要というものは多くなるということが考えられますので、そのプラス、マイナスがどうかということでございますが、まあ直接特需は減るほうが多いだろうと一応私どもはいま考えております。 今度は、対米の間接特需というべき輸出入の問題はどうかということになりますと、これはいまいろいろな機関が計算をしておるのが今月雑誌に発表されたりなんかしておりますが、大きい変化はないだろうということで大体見通しが一致しておるのじゃないかと思います。戦争がやんだら別の需要が起こって、日本の輸出はそう大きい影響を受けないという見通しがいわれておりますし、今度は、ベトナムの周辺七カ国の輸入というものが戦争中非常にふえておりまして、戦争期間中に周辺七ヵ国の外貨は非常にふえましていま二十億ドルくらいの外貨保有になっておるというようなことから見ますと、戦後これらの国の成長需要というものは相当やはり考えられるということになりますと、いままでの日本の輸出がどれくらい減るかということの問題でございますが、当面の問題はやはり輸出の減るほうが相当多いんじゃないかと。長目に見たらこれはどちらが多くなるかちょっとわからないということになろうと思いますが、当面の影響と見たらやはり減るほうが多いだろうというふうに見通されますが、それじゃいつ減るかということになりますと、この和平交渉がどういう形をとっていつごろどういうふうになるかということを考えますと、すぐに和平が起こったからといっていろんな変化がここにあらわれてくるというわけではございませんので、そういう時期的な問題を考慮に入れて考えますというと、さしあたり今年中に響く影響とかいうようなものになりますというと、そう多いものではないと。しかも、日本の輸出規模の大きくなったことから考えるというと、朝鮮事変の終わったときのような打撃とか、そういうようなものが起こるとは考えられない。そう大きい影響があるものじゃないんじゃないか。もしそうだとしますというと、別にそれにこだわらなくて、日本はいま自分のやっている国際収支の改善策をゆるめずにこれをやっていくことが急務だというような気もいたしますので、私はあまりこの影響を大きくいまのところ見ていろんな対策を考えるというようなことはなくて済むんじゃないかという気がいたします。
○矢追秀彦君 まあ影響がないという見方、それも一理かと思いますが、特に復興特需の問題ですね。これは、先ほどから問題になっておりましたインドネシアの経済援助あるいは借款の問題を見ましても、やはりまだまだ低開発国と言われる国に対するいろんな経済援助、あるいはこういう大規模企業がどう成長していくかということですね。非常にまだまだ不安定な状態だ。政権もしっかりしていないところも多い。だから、現在のいわゆる戦争があるがための特需——長い目から見ればといま言われましたけれども、これはかなり長期にやらなければ効果がない。そうすると、かなりの期間やはり東南アジアに対する輸出というものは減るということはいま言われましたけれども、かなり覚悟しなきゃならない。そうなると、日本の経済としては、アメリカということが現在でも非常に大きなウエートを占めていますし、アメリカということが非常に大きな問題となる。そのアメリカが、はたして、さっきのケネディラウンドの問題にしても、課徴金はまあないとかりにいたしましても、いろんな意味で日本の輸出というものが、いまのような状態が続くと、また今後伸びていくということがはたして可能であるかどうか、私は非常に疑義を感ずるんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、ベトナムが和平になるという効果は、長期的に見て非常に効果は大きいと思っています。まず国際通貨制度が安定することだけでも日本の経済にとっては非常なプラスでございますし、また、アメリカがこの戦争をやめることによっていろいろ改善される国内経済というものは大きいものでございますので、私は、長期的に見て、対米輸出なんというものは、いま心配されるようなことじゃなくて、逆に相当伸びるんじゃないかとすら考えているところでございまして、ベトナム和平が終局的に日本にマイナスになるというようなことはいま考えていません。
○矢追秀彦君 時間がありませんので次の問題に移りますが、まあこれは少しこまかい問題になりますが、船舶乗り組み員の問題です。要するに、外国へ行っておる船舶の乗り組み員に対する一つは所得税の問題と、もう一つは携帯品についての免税の問題、この二点でお伺いしたいのです。 まず、所得税の場合、船を持っている船主は外貨獲得という面で非常に恩典があるわけです。船員の場合はその恩典がない。しかも、長い間外国へ行っておってそうして日本へ帰ってきたと、半年ぐらいは仕事が全然なくている場合も多いわけです。そういう場合、税金の面で苦労しておると、こういう声を聞いておるのですが、外貨を獲得するべく仕事に従事をしておるそういう漁船なんかに乗り組んでいる船員に対して、船主と同じような恩典を認めてもいいんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○説明員(細見卓君) 外貨獲得いたします産業が一般に輸出ということで恩典を受けておるのは、日本が非常に海外貿易に依存しなければならない国柄であることからくることは御案内のとおりでありまして、その意味では別に漁業だけを特に取り上げて優遇しておるというわけではなくて、一般の輸出産業全般に及んでおる問題であります。したがいまして、問題は、どちらかといえば、船の中のような窮屈な環境で仕事をしておられる人にまあ税制上しかるべき恩典を与えておらないではないかというような御議論であろうかと思いますが、御案内のように、税金というのは所得に対して課すわけでございまして、しかも、それをなるべく公平に課していかなければならないというわけで、まあそういうむずかしい労働環境、あるいは苦しい愉快でない労働環境ということでありますれば、それに見合って、資本主義経済でございますから、賃金の水準が高くなる、業種に応じた賃金が定められてくるというようなことになりまして、それによって経済的に報いられる。そのほか、船でありますと、御承知のように、自由な食事もとれないわけで、船でいろいろな食料等が支給されますものについてこれが免税になっておるというような点も税制でしいて申せば恩典として見ておるところでありますが、いずれにいたしましても、現金として収入されるものにつきましてその労務の態様に応じて特別な扱いをするということは、現行の所得税法のたてまえではいかんともしがたい問題ではないかと思います。 おっしゃるように、船を上がって一ヵ月とか二ヵ月とか職を離れるときがあるじゃないかというようなお話もございますが、もっと気の毒な場合を考えますれば、途中まで働いて中小企業等で倒産した人たちのそれじゃ所得税はどうするのかというような問題もございまして、やはり個々の事情はなるべく税制上見るようにはいたしておりますが、制度であり、法律で執行する税制でありますので、ある程度で線を引いて、やっぱりひとしい所得にはひとしい課税という線だけはくずせないのではないかと思います。
○矢追秀彦君 そうすると、そういう間接税で優遇をして、いわゆる所得税としては優遇できない。その間接税の優遇というものがいまよりもでは拡大することが可能か。まあ船に積み込む食料と言われますが。
○説明員(細見卓君) 間接税で優遇いたしておると申したつもりはなかったので、船の中で支給されますいろんな食べもの等については、本来ならば給与に加算して課すべきものが、給与として扱わないで非課税になっているものがあるというような意味で申し上げたのであります。もしおっしゃっている意味が、船に持ち込みます物について、消費税なりあるいは酒税というようなものをかけるのはけしからぬではないかということについての御議論であるといたしますれば、これは日本の人が日本の船に乗っております限りは、やはり日本のそうした消費物資にかかります酒税でありますとか物品税というものはどうしても払っていただかなければならないのではないかと思います。その半面、そういう人たちが外国で物を買われたような場合、実際問題としては課税にならない、こういうようなこともありまして、それが外貨を失うゆえんにもなってまずいのではないかというような趣旨も御質問の中にあったかと思いますが、そのことにつきましては、逆に外国の船が日本へ参りまして日本で物を買う場合も、これについては輸出品として一切間接税のほうはかけない。物品税でありますとか酒の税金というものはかかっていない。こういうことで、消耗品であります酒とかたばことかいう話になると、税金をかけなくてもいいじゃないかということがちょっと考えられますが、しかし、たとえばある程度の耐久的な皮製品でありますとか何とかいうものでありますと、その船に乗っている人が使う限り、そういう物品税はかけない。それじゃおかへ上がってきたときはどうするのだという話が出ますが、これが実際問題としてほかの職場で働いておる人もやはり酒もたばこものむわけでありますし、その点で特別な扱いをするというのも現行制度あるいは現状におきましてはむずかしいのじゃないかと思っております。
○矢追秀彦君 ということは、船主に対する恩典はあっても、船員に対する特別なものは現行においては無理だ、それを変えるべき方法を研究する余地もない、こうとってよろしいですか。 〔副主査退席、主査着席〕
○説明員(細見卓君) 船主のほうを特別に優遇しておるというふうにおとり願うのは、私どもとしては制度としてそういうことを考えておるのじゃないとお答えしなければならないと思うのです。と申しますのは、先ほども申しましたように、外貨獲得に伴いまするその報償として、輸出所得、つまり外貨を対価として物を売ったり労務を提供した人に対して、あるいは法人に対して、均等にその輸出に対する報償として輸出所得控除その他の措置をとっているわけでございまして、船主にはとって、働いておる人にはとらぬという意味じゃないのです。そういう意味でございますと、たとえば、大きな工場で輸出製品をつくっておられる会社は輸出所得控除を受けるが、そこで働いておる労働者の皆さんはそれじゃどうだというような議論になりまして、船主だけを優遇しておるという角度でお取り上げにならないようにしていただきたいと思います。
○矢追秀彦君 いま言われたように、普通の会社と船と同じと考える、乗り組み員の場合もおかで仕事をしているのと結局は同じ、特に優遇もしていない、これはしようがない、こういうわけですね。やはり実際実地に行っている人たちですから、いま言った意味もわかりますけれども、何らかの形でプラスになればいいんじゃないかと思いますので、研究されないじゃなしに、ぜひ研究をしてもらいたいと思うわけです。 もう一つの問題として、入国者の携帯品の問題、お酒、たばこ等の免税について、こういう船舶に乗っていく人といわゆる一般旅行者との差、区別といいますか、その点をいってください。
○説明員(上林英男君) 御質問の点につきまする外国からの入国者の携帯品についての免税は関税定率法の規定によって行なっているものでございますけれども、漁船等の乗り組み員をも含めまして、本邦と外国との間を往来する船舶の乗り組み員が酒を持ってまいりまする場合の免税数量は、その船舶の航海日数によって異なっております。すなわち、航海日数が一ヵ月以上六ヵ月未満のときは一本、六ヵ月以上のときは二本まで免税といたしております。これに対しまして、一般旅客につきましては、旅行期間が二週間未満のときは一本まで、二週間以上のときは三本まで免税といたしております。このように船舶乗り組み員と一般旅客との間に差がありまするのは、乗り組み員は、その職業柄、一般旅客と異なりまして、日本と外国との間を反復往来いたしまして携帯輸入する機会が多いという事柄によるものでございます。
○矢追秀彦君 船舶乗り組み員の場合は一般の旅行客と比べた場合往復が多い、それもあると思いますが、たとえば六カ月間、その間行ったり来たりしない場合が多いわけです。要するに、遠洋漁業の場合、かなり遠くへ行って帰るわけですから。その人は一本ですね。そうでなくて、一般は、二週間以上、一月くらい行った人が三本。非常に差が大きいんじゃないか。確かに行ったり来たりするのが非常に多いのであれば、いま言われたようにやむを得ないと思いますけれども、現実問題として遠くへ行く場合に、そんなに複雑な往復というものはできない。だから、免税の額をもう少しふやしてもらえないか、そういう希望が非常に多いわけなんですけれども、この点についてはいまの線を変えるお考えはないかどうか。
○説明員(上林英男君) おっしゃるような場合もあるかと思いますけれども、一般的に申し上げますと、やはり相当遠い遠洋漁業に出られます方も、また帰ってまいりましてまた出ていかれる、それが常時携帯するかっこうになります。一般旅客の場合には、中にはたびしげく行かれる方もあるかもしれませんが、原則的にはそう何べんも続けてお行きになるということはない。そういうようなことを考えまして、一般的な基準としてこういう扱いをいたしておるわけでございまして、したがいまして、いろいろ御意見は伺いまして今後も検討して、できるだけこういうあれは公平に行なわれるようにいたしたいとは思いますけれども、そういうような観点から申しまして、ただいまのところ、このようなかっこうで過ごさせていただきたいと思っておるわけでございます。
○矢追秀彦君 さっきの問題と関連して、やはりこちらのほうででも何か優遇されるような処置があれば、皆さん方満足されると思うわけです。したがって、この期間をもう少し縮めるとか、そういうような線でひとつ前進的に考えていただきたいと思います。 時間がありませんので、最後に、これは衆議院においても非常に議論されております問題で、今度の酒、たばこの課税の問題ですが、私が申し上げたいのは、間接税が一律課税である、こういう問題ですね。特に今回の値上げになるものは、ぜいたく品ではなくて、大衆がいつものんでいるものが多いわけです。そうすると、実際減税をこれだけやった、それに対してこちらのほうでは税収をふやす、それで実質はゼロというのが、これだけでありませんけれども、今回の予算の考えでありますけれども、この大衆課税、間接税の一律課税という問題は、やはりこのままの線を今後も貫いていかれるのかどうか。要するに、一般の人がよく使うものについては、何らかの線をきめてこれについては税金はパーセントをきめて負担率をきめてしまうとか、ぜいたく品についてはもう少し上げるとか、そういった点で所得税が収入によって差別があるように、間接税に対する課税のしかたももう一歩検討の余地があるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○説明員(細見卓君) 確かに、間接税がある程度広く負担を求めているという意味で、国民一般の皆さんに負担をしていただかなければならないという面があることは事実でありますが、しかし、御案内のように、外国に比べますと、外国は、御承知のように、一般取引高税とかいうような間接税でありまして、かなり広く一般的に一〇%とか二〇%という税率で日用品等を区別せずに課税いたしておりますが、日本の場合には、物品税につきましては、御承知のように、大体二〇%のところを標準にして、前後、一〇%とか五%、あるいは四〇%程度の高率課税というような形で消費態様に応じた負担能力というものをある程度想定して課税いたしておるので、その意味ではよその国の税制よりもより逆進性を除く方向の努力をしておると申し上げられるかと思います。 ただ、おっしゃる意味が、酒、たばこを今度上げたではないかというようなことでございますれば、これはたびたび政府側から御説明を申し上げておりますように、これらの税は多く従量税でございまして、十数年そのままの価格でおりますと、所得とか物価水準が上がっていく過程におきまして、相対的に、ちょうど所得税におきまして物価あるいは所得の上昇によって名目的に負担が重くなってくる、その逆の意味におきまして相対的に軽くなる。そうした傾向があるわけでありますので、そういうものを見直そうということでいたしたわけで、一般的に間接税を増徴していって、その際に、六、四とあります間接税をあるいは何割にしなければならないということを考えておるわけではございませんで、これは大臣からお答え願うことかもしれませんが、そのときそのときの財政事情とそのときそのときの日本の経済事情を見まして一番適当な税を考えていく、今後の推移を見て間接税を上げていくというのが本筋ではないかと思います。
○矢追秀彦君 今回の酒、たばこの値上げはいろいろな要素で上げられた思いますが、長らく上げてなかった、物価の上昇を勘案してと、こういうことが言われてきているのですけれども、そう解していいわけですか。一番の焦点はそこにあるのですか。
○説明員(細見卓君) 大体そういうことで考えております。ただ、そこで申し上げ忘れたのでございますが、その際におきましても大衆負担の増加ということについては配慮いたしまして、たとえば酒でございますと、二級酒あるいはしょうちゅうといったような一番大衆的なものはこれの値上げを見送っておりますし、また、たばこにつきまして申せば、バットでありますとか朝日はそのままにしておりますし、また、一番多くすわれるという意味では最も大衆的な銘柄であるハイライトにつきましてはその値上げ率が非常に低いというようなことに配慮はいたしております。
○矢追秀彦君 そういうふうに言いのがれをされますけれども、実際問題としていま物価がどんどん上がってきているし、特にこういう物品税の値上げにからんで便乗値上げが慣行しているわけです。事実、もうそこらじゅうでいろんな物価が上がってきている。それだけの原因ではないと思いますけれども、やはりこういうものに便乗値上げが横行しますので、長年上げなかったが上げる、それは一つの理由でしょうけれども、それならば時期をどうしてことしのいまごろに選ばれたのか、そういう点にもう少し考える余地はなかったのかどうか。さらに、こういうものよりも、むしろ、ぜいたく品にもっとかける。それは数が少ないから税収は全然もう話にならないと言われるかと思いますが、そういう面、あるいはそのほか、まだまだ研究すれば税収というものはほかの面で得ることができるんじゃないか、こう思うのですが、その点、大蔵大臣から答弁をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度は、御承知のとおり、フィスカルポリシーとしまして、減税を犠牲にしても国債の発行高を減らすということを私どもは考えましたが、その場合に、減税を犠牲にすると申しましても、何にもしないでほっておけば増税になるものと、そのままにしておけば相対的に税の負担が減るものと二つがございます。たとえば所得税のごときは、ああいう累進構造を持っておるものでございますから、そのままにしておけば増税になるというものでございますから、中小所得者のために所得税はどうしても減税したいと思いまして、ことに課税最低限を早く百万円まで持っていくというのが私どもの公約でございますので、何としても所得税の減税はやりたい。そうしますと、それだけの財政収入を確保するという方法は、新しい増税のいろんな措置をとるのか、それとも、従来からある税種で所得水準が上がり物価が上がって相対的に税負担が減っているというものは酒、たばこでございますので、この調整をすることが最も合理的だというまた税制調査会の答申もございましたので、今度はそういう意味で両方の税金の調整をはかるということによって実質減税というものをなくして、それだけのものを公債の発行の削減に充てるという方針をとったのが今度の編成方針でございまして、そういう意味で、増税というよりは、私どもはこの際税の調整をするということを今度やったつもりでございます。
○須藤五郎君 きょうは、二つの問題で大蔵大臣を交えてひとつ質問をしたいと思うのですが、まず最初に入場税の問題について伺いたいと思うのですが、この入場税法ができましたのはいつでしたか。
○説明員(細見卓君) 昭和十三年かと思います。
○須藤五郎君 それから今日の入場税は、いわゆる課税最低限が三十円になっていると思うんですね。この課税最低限三十円が決定されたのはいつでしたか。
○説明員(細見卓君) 三十七年から三十円。なお、これは免税点でございます。
○須藤五郎君 この免税点三十円というのが決定されたのは二十九年五月十三日だというふうに私は伺っているんですが、どうですか。
○説明員(細見卓君) 二十九年は二十円でありまして、三十円になりましたのは先ほど申し上げたとおりであります。二十九年にきまりましたのは二十円でございます。
○須藤五郎君 三十円になったのは。
○説明員(細見卓君) 三十七年でございます。
○須藤五郎君 この三十七年ごろの映画館の入場料というものはどのくらいでしたか。
○説明員(細見卓君) 一般封切り館が二百二十円程度で、全国平均にいたしますと、地方の安いものもございますので、百十九円ぐらいになっております。これは税込みでございます。
○須藤五郎君 そうしますると、諸物価は上がって、生計費も上がっている。所得税の課税最低限も、五人家族八十四万円というふうに今度は免税点が引き上げられてきておるわけですね。今日、映画館の入場料というものは、封切り館ですというと、幾らぐらいになっていますか。
○説明員(細見卓君) 洋画が千五百円、邦画の封切りで指定席制度をとっておるものでございますと八百円、一般席ですと四百五十円というような値段になっておるかと思います。
○須藤五郎君 そうすると、三十七年のときに封切り館で二百二十円、そうして免税点が三十円、今日は封切り館で洋画だと千五百円、免税点が同じ三十円というんじゃ、これはどう考えてもおかしいじゃないですかね。こういう比率からいっても不合理じゃないですか。
○説明員(細見卓君) まあやや理屈になろうかと思うのですが、入場税につきまして先生も沿革はよく御存じですから、振り返って申し上げますと、当初は、いろいろ催しものの種類によりまして税率の差があった時代があったわけです。そのころに実はこの免税点というのもございまして、当時、博物館でありますとかあるいは遊園地等に特殊な入場について非常に低廉なものまで課税するのはいかがなものかというのでこの免税点というのがあった。ところが、これがその後国税、地方税転々といたしておりますうちにまあ現在の三十円になっておるわけですが、この免税点という思想は、本来、拡大してまいりますと、それぞれの催しものによって免税点もそれぞれ違えていかなければならないというような議論にすぐつながることでございまして、これはとりもなおさずかって催しものの種類によりまして税率を区分したのと同じような、何といいますか、議論のための議論もできる、税制としては執行の困難な、あるいは納得の得にくいいろいろな議論を誘発するというようなことで、現在のようなつまり娯楽——映画館とかあるいは劇場とかいうものに対する入場税を主とするものであります限り、むしろ免税点というようなものは入場税にはなじまないものであるということも理屈として言えるかと思います。そういうことがありまして、ここのところしばらく三十円というのはいわば盲腸のような形で今日まで続いておるわけでございます。
○須藤五郎君 入場料は税込み二百二十円のときに三十円で入場税がかけられておった。いまは千五百円になっておる。それでも免税点は三十円に据え置いてやるということは、千五百円まるまる税金をとるということなんですよ。どうしても私は不合理だと思うんですよ。国税庁長官も大蔵大臣もいらっしゃるから、よく聞いてほしいんですが、これじゃ免税点はあってなきに等しいものなんですよ。ゼロなんですよ、免税点ね。全額税をかけるということなんですよ。だから、前の二百二十円のときに免税点三十円をきめたら、その精神を生かすならば、いま千五百円の入場券の場合は、免税点は少なくも五百円、そこらに免税点を持ってこないと、話は合わないですよ。こういう点は大蔵省で大いに検討しなければならぬ問題だと、こういうふうに私は思っておるんですね。 それからもう一つは、きょうは結論はなかなかむずかしいだろうけれども、もう一つ私は提案する問題があるのですが、所得税は基礎控除というものがあるでしょう。八十四万の基礎控除というものがありますね。そうしたら、入場税もやはり基礎控除という制度を取り入れるのが合理的じゃないだろうかと思うのですよ。かりに免税点五百円と決定する。そして、千五百円の入場券をとるものに対しましては、五百円を基礎控除して、残りの千円に対して一割なら一割の税金をかけるというやり方もあると思うんですよ。そういうふうに考えるのが合理的なような感じがするんですよ。これはこの間物品税のときに私は議論をしたのですが、大蔵大臣、この間はどうもはっきりした答弁が得られなかったのだが、大体、税金というものは、物の質に税金をかけるのですか、物の値段に税金をかけるのですか、どちらなんですか、性格は。——いや、あんたじゃない。おれはもうあんたの答弁はたびたび聞いているから、もう聞く必要はない。大蔵大臣の意見を聞きたいんだよ。大蔵大臣、聞かないで、あんたの意見を言ってくれよ。物の性格なんですか、値段なんですか、物の質なんですか、税金の対象になるのは。
○国務大臣(水田三喜男君) 物の性質だと思います。
○須藤五郎君 物の性質……。すると、ぜいたく品だね。人間の生活にあまり必要がないという性質なんですか。それじゃ、もう一つ聞きますが、あなた性質だと言うならば、白金台のダイヤモンドの指輪は一万五千円まで税金がかからないんですよ。これは何でかけないのですか。そうして、たばこには税金をかける、酒には税金をかける、マッチにも税金をかけるというのは これはどういうことなんですか。物の性格でちょっと説明してくださいよ。——いや、君じゃないよ。君の答弁はこの間一時間聞いたんだから、もう……。
○国務大臣(水田三喜男君) もう一ぺん聞きなさいよ。
○須藤五郎君 それは、大蔵大臣、政治的に答弁しなきゃだめですよ。事務的に答弁したんじゃ役に立たないよ。
○国務大臣(水田三喜男君) ぼくが答弁すると不正確になるのでね。
○須藤五郎君 あなたの進歩的な答弁を聞きたいんだ、ぼくは。
○国務大臣(水田三喜男君) 正確な答弁をひとつしてもらいましょう。
○須藤五郎君 だって、ダイヤモンド一万五千円で税金をかけないで、十円のマッチに税金をかけるというのは、どう考えたって理屈が立たないですよ。その理屈を立ててくださいよ、大臣。
○説明員(細見卓君) あまり理屈が立たないとおっしゃいますが、もう一度繰り返させていただきますと、ダイヤモンドを一万五千円免税点を設けておりますのは、これは小売り課税——御案内のように、ダイヤモンドは小売り課税にいたしておるわけでありますが、一万五千円よりも下回るようなものということになりますと、ダイヤモンドとしては非常に小さな粗悪なものでありまして、そういうものまで課税するということになりますと、全国津々浦々の貴金属商みんなに課税をしていかなければならないということで、そういう結果、煩瑣な帳簿をつけていただかなきゃならないとか、あるは税務署の調査を受けていただかなきゃならないというようなことがありまして、そういうことを避けるために、二万五千円ということをとりまして、ダイヤモンドといたしまして一万五千円ということになりますと、ダイヤモンドが高級なことはわかりますが、ダイヤモンドとしての一万五千円というものになりますと、おそらくこれはもう皆さんのような方はとてもつけれるようなものじゃないわけでございますので、そういうものをはずしておるわけであります。マッチにつきましては、先般も申し上げましたように、沿革的に課税をいたしてまいったものでありますが、御承知のように、日用品でもありますし、今後の問題として検討してまいりたいと思っております。
○須藤五郎君 大臣、こんな答弁でいいんですか。大臣の答弁をもう一ぺんあなたしてください。大臣も同意見ですか。おかしいじゃないですか、これは。十円のマッチに税金をかけて、一万五千円のダイヤモンドに税金をかけないなんてことが通りますか。大臣、ひとつ政治的な——もう君の答弁は必要ないんだよ。聞かしてもらいたくないよ。
○説明員(細見卓君) そういうわけで、マッチのほうは今後検討をいたしてまいるということでございます。その節も申し上げましたように、マッチを課税いたしておりますのは、マッチは生産が比較的容易でありますので、中小企業が簡単にマッチ製造ができる。その結果、お互いに過当競争になって共倒れになる。そこを統制するために、証紙を張って、規格外品の進出を防いでおるわけであります。その証紙が実は物品税の一円ということになっておるわけで、物品税をとらんがためにかけておるのではなくて、むしろ業界統制の必要上、今日まで存続しておる面もあるわけでありますが、たびたびマッチにかけるのは何だという御批判もございますので、私どもといたしましてはこれを廃止することも含めて検討するのにやぶさかではございません。 なお、税収で申しますと、二億幾らでございすして、収入目的だけで課税しておるものでないことはこれでもおわかり願えると思います。
○須藤五郎君 そんなものは即刻やめなさい。いま大蔵省の係官も私の質問に対して笑いながらしか答えられないということは、みずから答えておって、答えながら自分自身もおかしいんだろうと思うのですよ。こういうことは、大臣、一般の人に聞いてごらんなさい。一万五千円のダイヤモンドには税金がかからぬが、マッチには税金をかけている。マッチだけじゃないですよ。たばこでも酒でもですよ。そうすると、大臣は、ものの性質に税金をかけるんだとおっしゃるが、これはくずれてくるじゃないですか。大臣、ものの性質というのは、どういうものに税金をかけるんですか、性質とおっしゃったが。これは大臣、答えなきゃならぬ、みずからおっしゃったんだから。
○国務大臣(水田三喜男君) せっかくの御質問でございましたから、入場税の話をつけましょう。
○須藤五郎君 大臣がぼくの質問で入場税の話をつけるとおっしゃいますから、どういう形でおつけくださるのですか。前向きの姿勢で入場税の話をつけてくださるのですか。どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、さっきから答弁がありましたように、入場税というものの性質の考え方が、いままでの考え方で言うと、免税点というようなものがあるのがおかしいので、本来例外的に設定された少額のものがいま沿革的な意味で残されている。さっき盲腸とかいう話が出ましたが。だから、三十円ということ自身もおかしいので、本来なら、ないのがほんとうだというのがいまの見方だと思うのです。それに対して、あなたからの提案は、高額の免税制度を設けろ、さっきの提案は基礎控除をしろというようなことでしたが、要するに、控除にしろ、高額の免税点が、そういうものを三十円じゃひどいから、これをもっと実情に即した設け方をしろ……
○須藤五郎君 それは違います。私の意見はあとで述べます、一番最後に。そうじゃないんです。
○国務大臣(水田三喜男君) そうだとすると、この際やはり入場税制度全体をどうするかということを検討することがいいのだと思うのです。その検討の過程によっていま言ったようなものも自然に解決されると思いますので、この際やはり入場税制度というもの全体をもう一ぺん検討したいと思います。
○須藤五郎君 大臣の気持ちはわかりましたが、私がいままで述べましたのは、免税点を引き上げろという立場で私は言ったのじゃないんです。私は、従来、入場税は撤廃すべきものだ、これは悪税であるからなしにしなければいかぬ、というのが私が大蔵委員になってから一貫した六年間の主張なんです。私はこの主張はいまも変えておりません。先ほどの意見は、いまの入場税というものを認める立場でも、こういう不合理があるじゃないか、だからこんなものは即刻やめなければいかぬ、それで撤廃の方向に大臣に進んでもらいたい、こういうことを私は申し上げる前提として言ったのです。大臣、あなたも御存じのとおり、この前の国会で入場税撤廃についての請願が衆参両院で採択されたんですよ。この入場税撤廃運動は、長い間、八年間これを続けてきたんです。八年間続けて、衆参両院の委員会でこれが採択されなくてどうにもならなかった。ところが、前の国会においては、この入場税撤廃の請願が衆参両院とも通過したんです。そうして、本会議も全会一致でこれが採択されたんです。ということは、国会は入場税は撤廃すべきものだということを認めたということになるんですね、国会の総意において。そうすると、大臣は、この国会の総意を大臣としてやはり尊重する立場に立たなければならぬと思うのですね。それで、大臣は尊重してくれるのかどうかということを私は聞きたいんですよ。大臣がこの国会の請願採択の精神を尊重してくれるかどうかということ、これは、大臣、何でもないことですよ。大臣として国会の請願を尊重するのはあたりまえではないですか。——よけいな入れ知恵をするのじゃないよ。ちゃんとした見識を持った大臣がおるんだもの。
○国務大臣(水田三喜男君) 請願が採択されたのですから、その点も含めて検討すべきものだとは思います。
○須藤五郎君 だから、大臣、かりに入場税というのはあなたおっしゃるように免税点を三十円を五百円にしても、こんなものは置くべきものではないですね。だから撤廃の方向であなたに努力をしてもらいたいですね。あなたの在職中にそういう方向に進めていってもらいたいんですよ。そのことを私はあなたにきょう申し上げたかったわけです。私の顔を見ると、また入場税かというような顔をするんですよ、大蔵省の人たちは、しかし、これはやはり私としては解決していかなければならない問題だと思う。 この間も、ステレオの税金を上げるということで、音楽は、ぜいたく品、奢侈品なりや否やということを議論したんですよ。私は、もう今日においては、音楽は生活の必需品だと思う。テレビもそうですよ。生活必需品です。二千万台のテレビが出ておる。一億の人口で二千万台のテレビというのは、各家庭にテレビがあるということですよ。これは生活の必需品です。、ぜいたく品じゃないんです、これは。そうすると、あんたのおっしゃる物というと、やはりこれにはかけるべきものじゃないですよ。値段にかけるというのだったらば、一万五千円のあれに税金をかけなくて、七十円、八十円のたばこ、これも税が入っておる物の値段ですよ。こんなものにかけるべきじゃない。値段でいったって質でいったってこんなものにかけるべきじゃないということになってくるので私は最初あなたに言った。だから、その点は、われわれは、税金を何にかけるべきかという点をもう一ぺん検討してもらいたい。中山伊知郎君は私の中学校の同級生なんですよ。だから、中山伊知郎君にも税制審議会としてひとつこの点を大いに検討せいということを言ってやろうと思っておる。いまの税金のとり方というものははっきりしない。だから、こういうことをずっと勘案していくと、大蔵省は、税金のとりやすいところから税金をとる、いわゆる大衆課税です。税金はとれればいいのだからと、よけいとられちゃっている大衆からとっている。安くても何でも、物の性質は何でもいいんだ、大衆からとるんだというのが大蔵省の徴税の方針らしい。それじゃ私はいけないと思うんです。これも大臣ならばよくわかっていらっしゃる点だと思うんです。だから、大いに検討してください。 特に、いま問題にしました入場税につきましては、どうぞ、大臣のおっしゃるように、入場税はかけるべきものではないという方向で御検討をお願いしたい。そのことを最後に大臣に申し入れまして、次の問題に移ります。 次に、間接税と国犯法について質問したいのですが、私は、今度の間接税の増税に伴って、間接税の徴税が一そうきびしくなると見ておるわけです。国税庁は、昨年から本年初めにかけまして、全国的に貴金属商の一斉調査を行なったわけです。そうして、至るところで人権無視の捜査が行なわれ、その結果、死亡者が出るという事件まで発生しておるんですね。私は、もちろん脱税行為を弁護する気持ちは毛頭ありません。国民として脱税はすべきものではなく、税金は納めるべきものだという観点に立っておるわけです。しかし、人権侵害はこれはやはり許してはいけないと思うんです。 そこで、まず質問しますが、国犯法第二条一項では、強制捜査の場合に、裁判官の令状というものを持っていくわけですね。これは、なぜ裁判官の許可を得なければならないと国犯法の第二条一項に規定してあるか。また、四項では、なぜ令状に捜査すべき場所、身体または物件を記載しなければならないと規定してあるのか。その趣旨についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、国税犯則取締法におきましては、第二条において、収税官吏が犯則事件を調査するため必要あるときは裁判所の裁判官の許可を得なければならない、こういうことになっております。そして、その許可状におきましては、臨検すべき場所、捜索すべき身体または物件、差押をなすべき物件等々を記載することになっております。これは、申し上げるまでもなく、臨検、捜索ということは、その犯則事件の疑いを持たれた人の権利と申しますか自由を拘束することになりますので、そういう点についてはきわめて慎重でなければならない、こういうことで、裁判所の令状がなければそういうことはできない、また、令状にはそういうことを記載しなければならない、こうなっているわけでございます。
○須藤五郎君 私、ここに、ちゃんと、ある人のところへ持っていった令状の写しを大蔵省のほうから資料に出してもらってあるんです。しかし、私はこの人を実際に知りませんし、この人がどういうことをやったかということも知らないんです。だから、名前は言わぬほうがいいと思うのです。ですから、——時計店ということでお話をしたいと思うのですが、この令状によりますると、 差押えるべき物件 本件の違反事実を証明するに足りると認めら れる左の文書物件 (一) メモ書類、手控帳、往復文書 (二) 仕入、製造、販売に関する帳簿書類 有効期間 昭和四十二年十月三十日までとして、十月二十三日に鶴岡の簡易裁判所から出ている令状なんですね。この中に往復文書とあるのですが、これは親書も入るのでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(泉美之松君) 往復文書というのは、もちろん、犯則違反事実を証明するに足りるということでございますから、商売上のたとえば幾らの品物を取引したといったような意味での往復文書でございまして、本人の私生活に関する秘密というか、家庭上のことを書き出した往復文書はもちろん入りません。
○須藤五郎君 そうすると、憲法二十一条で保障された通信の秘密にあたる文書はこれに入らない、こういうことですか。どうなんですか。どうも憲法の二十一条の解釈とそこの解釈がしっくりとしないのですね。憲法では、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と、こうなっているわけですね。そうすると、いまのですと、普通の私的な通信だという長官のお考えですね。そこの区別をどういうふうにつけるのですか。やはり、うまくつかないのじゃないですか、これは。どういうふうにおつけになりますか。
○政府委員(泉美之松君) おそらく、往復書簡あるいは往復文書といわれるものの中には、いろいろなものがあるのだろうと思います。私どものほうで差し押える場合におきましては、その往復書簡の中に脱税に関する商品の取引事項が記載されている、そういう往復文書を差し押えするわけでございまして、御本人の家庭上の秘密等が書いてあるものは差し押えしない、こういうことになると思います。
○須藤五郎君 しかし、差し押える前は、その文書を開いて読んでみなければわからないでしょう。そうなると、読んで調べる中には、ラブレターも出てくることもあるでしょうし、どんな文書が出てくるか、それを読まないと、差し押えできるかどうか、決定できない。そうすると、ラブレターを読んで、これは差し押えるべき文書じゃないといってやめたって、やはり憲法二十一条で保障された通信の秘密ということは守れないじゃないですか。通信の秘密というのは差し押えてはいかぬということじゃないんですよ。見ちゃいかぬということなんですよ。そこはどうなんですか。
○政府委員(泉美之松君) 非常にデリケートな問題になろうかと思いますが、そういう場合は、商売人は、営業上の往復文書と、それからそれ以外の家庭の家事とか親戚とか関係の往復文書とは、しまう場所を違えているのが普通でございます。われわれのほうからそういう差し押えに参りましたときには、信書の秘密がございますので、お手紙につきましては商売上の関係のお手紙をお出しいただきたいと、信書の秘密を侵すようなことにならないようにそういうふうに申して、そして御本人から出していただく、こういう措置をとっているわけなんでございます。
○須藤五郎君 それじゃ、本人が見てくださいといって出した文書以外は調べないのですか。
○政府委員(泉美之松君) 通常、営業所に置いております場合には、そのうちそういうふうに申し上げて御本人から提供していただくわけでありますが、そのときに本人がそういう書類の一部を隠そうということがあります場合、これは営業所に置いてありますものは、通常、常業上の往復文書と見られますので、それを隠そうとなさると、あるいはそれをちょっと待ってくださいということでその書類を拝見するということはあろうかと思います。
○須藤五郎君 日本の商店は、営業所とそれから自宅との区別は実際つかない場合が多いですね、長官も御存じのとおり、オフィスというようにちゃんとしておって、そうして自宅は郊外に持っておるというものじゃないですね。ですから、店舗と事務所と住居と一つになっておる場合が実際多いですね。したがって、強制捜査の場合、人権侵害の危険性がきわめて私は強いと思う。こういうことは容易に理解できることだと思うのです。まして、今度のこの捜査ですね、貴金属商の捜査でしたら、なおさらそうだと私は思います。 そこで、私のほうから国税庁に要求しておいた山形県の令状がどういうような内容になっておるかということは、いまお聞きしたとおりなんです。そういうことになっておる。この令状で見のがすことのできない問題は、ここに居室という条項が入っておるわけです。もし居室まで強制捜査ができるとするならば、個人のプライバシーが侵害されるということはもう明らかだと私は思うのです。 そこで、質問いたしますが、居室は強制捜査の場合には通常記載されるのかどうかということですね。それともう一つは、これが男の主人であれば、男の主人の部屋を調べるということも問題になりますが、商店主が女の場合ですね、女の部屋でも立ち入って検査することができるんですか。これは千葉千代世副主査もおりますが、女の部屋を税務署が来てかってに捜査されていいものでしょうか、どうでしょうか。(「困る、とんでもない話だ」と呼ぶ者あり)副主査すらも困ると言っている。どうですか、その点。
○政府委員(泉美之松君) 日本の営業所の場合におきましては、店舗が別になっておるというよりも、その居宅の一室を店舗の用に充てる、あるいは事務用に充てる、そしてその続きに自分の居室がある、こういう場合が多かろうと思います。そこで、臨検、捜索に参りました場合に、居室に入ることができないということになりますれば、居室のほうに証拠物件を隠してしまえばいいということになりまして、それでは捜索、臨検の目的を達することができませんので、やはり第一段はそういった店舗あるいは事務室に使っている部屋を捜索、臨検するわけでございますが、その続きでどうも居室のほうに証拠物件を隠匿している疑いがあるという場合に、居室のほうを臨検、捜索すると、こういうことになるわけでございまして、やはり臨検、捜索の目的を達成する範囲内では居室についても臨検、捜索をせざるを得ない場合があるわけでございます。
○須藤五郎君 そうすると、その場合は、婦人の部屋であろうがどのような部屋でも立ち入って検査すると、たとえ重体な病人が寝ている部屋といえども踏み込んで捜査すると、そういうことですか。それで人権は守られるんですか。
○政府委員(泉美之松君) 御婦人の部屋ということが明白で、そこに証拠物件となるべきものがないということがわかればいいわけでありますけれども、御主人の部屋といったような場合には、そこに証拠物件が隠されておる疑いもありますので、そこを臨検、捜索する。そういう場合、病人がおられたというような場合におきましては、もちろんたてまえは臨検、捜索はできますけれども、病人に及ぼす影響ということももちろん考慮しなければなりませんので、そういう場合におきましては、そういう病人に差しさわりのあるようなことはしないようにできるだけ配慮していく、こういうことになるわけでございます。
○須藤五郎君 これも場所は言いませんが、あるところへ捜査官が行ったら、そこのお年寄りのおかあさんが病気で寝ておった、重体で。それで、そのことを御本人が訴えたんですね、下の部屋にはおかあさんが重体で寝いてる、だから帳簿を持ってこいというならば私が行って持ってきましょうと。そこまで言ったんですよ。そしたら、おまえが行ったんじゃだめだといって税務署の人が踏み込んで帳簿を持ってきた、こういう話を私聞いているんです。ところが、その重病のおかあさんは、そういうことをされて、そのショックで病気が悪くなって死んじゃったというんですよ。そこまでやらなきゃならぬのかということなんですね。税金をとることももちろんあなたたちの重要な一つの任務でしょう。脱税が決していいことじゃないと思います。しかし、やはりそれはほどほどで、そこらを話し合ってやるとか、やはり税務署にも譲歩する面があってもいいんじゃないですか。もっと人間らしい扱い方でそれは解決していくのがほんとうじゃないでしょうか。私はそういうやり方はよくないと思うのですが、国税庁長官、そんなやり方はいいんですか、どうなんですか。
○政府委員(泉美之松君) お話しの件は、あるいは京都の事件かと存じます。あの場合、私の受けておる報告によりますと、御本人から、おかあさんが病気で寝ておるからこの部屋には立ち入らないでください、こういうお申し出がありまして、調査官のほうは、ほんとうに御病人が寝ていられるかどうか、窓の外からそっとうかがって、確かに御病人が寝ていらっしゃるようなので、そのまま引き返した、こう言っておりまして、その部室に立ち入って帳簿書類を押収したということはありません。御本人がその部屋から帳簿書類をお持ち出しになられた、こういうふうに私どもは報告を受けております。私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、御病人がいらっしゃるときにその部屋に乱入して臨検、捜索をするというようなことは、まあ社会常識としてもすべきではないというふうに考えております。
○須藤五郎君 私も、自分が行って事実を調べたんじゃありませんし、聞いただけですから、名前とか——あなたは京都だとおっしゃったが、私は京都だということを言っていないわけなんです。そういうことははっきりしないほうがいいと思いまして。 そこで、たとえ令状に居室を記載されるとしても、令状には常に居室ということは書くんですか。簡単に言ってください、時間がないから。
○政府委員(泉美之松君) これは、ビルのような場合は別でございますが、日本家屋の場合は居室ということを通常書くことにしております。
○須藤五郎君 通常記載されるとしましても、先ほどの質問で明らかになりましたように、第二条一項の裁判所の許可、四項に、令状に記載すべしと書かれていることは、基本的人権の侵害が起こらないようにするためだと思うんです。だから、税務官吏も、令状さえとれれば何ごともできると考えるべきではないということは当然である。また、国税庁長官も、そういうようなお答えがあったと思うんです。したがって、実際の捜査にあたっては、基本的人権を侵さないように、家族、従業員その他参考人に対しましても慎重な取り扱いをして、いやしくも職権乱用にわたる行為は厳に戒めなければならないと、こういうように私は思います。御異議ないでしょうね。
○政府委員(泉美之松君) 国税犯則取締法によりまする収税官吏の権限はかなり強大な権限でございますので、その行使にあたっては十分慎重を期さねばならぬことは、お話のとおりでございます。
○須藤五郎君 ところが、私のところへ来ました訴えによりますと、鶴岡市のI時計店では、まだ朝めしを家族と一緒にとっているときに強制捜査が行なわれたのですね。そうして、店舗、事務所が捜査された後、捜査はさらに台所の食器だな、冷蔵庫、洗たく機、みそがめ、かまど、さらに浴槽にまで及んだわけですね。さらに、家族の懇願を振り切って子供部屋にも入り、学習机、本だなまで捜査したんです。それだけではないです。捜査は午後五時まで続けられましたが、奥さんが便所に立つと局員があとをついてくるんです。そうして用便が済むまで便所の外で待っているんですよ、局員が。それで、出てくると、局員がまた中へ入って、奥さんが何か隠したのじゃないかと便所の中を捜査するんですよ。ずいぶん御苦労な、くさい捜査ですけれども、こういうことをやるんです。それで、男も女も、主人も従業員も、区別なくそういうことが繰り返されたんですね。また、従業員に一名ずつ局員がついておりまして、店舗にお客さんが来ると、ぴったりとついて回って、商売ができなくなるような状態が起こったわけですね。翌日から、税務署へ、主人、奥さん、従業員をかわるがわる連日呼び出して、ほんとうのことを言え、言わないと新聞に出るかもしれないぞ、裁判問題になってもいいのかと、こういうふうに繰り返して脅迫めいたことがあった。また、裏づけ捜査として、大体一万五千円以上の品物を買った顧客四十名から五十名を任意に調査し、そのために、お客さんから、もうあなたの店では買うのをやめましたよという電話が再三かかってきて、商売がさっぱりあがったりになったということなんですね。それから、税務署の呼び出しを連日受けましたために、もう従業員もいやだといって十二月末に一名がやめてしまった。人手不足のときに全く困ったことだというんです。大体こういう状態だったんですね。これでは、私は、基本的人権も営業権も全く踏みにじられていると、こういうふうに言わなければならぬと思うのです。これでも、長官、必要最小限の調査だということになるのでしょうかね。 それから、こういう問題は、I時計店だけではないのです。同じ鶴岡でS時計店というところにもこれと同じようなことが起こっているのです。ここでは、土田という——これはあなたのほうの方ですから、はっきり名前を発表してもいいと思うのですが、土田さんという事務官が、銀行取引をできなくしてやるぞと、こういうふうな暴言を吐き、再度にわたる抗議で上席調査官がわびを入れるということが起こったのです。調査官の態度は全く高圧的で、帳簿を長期間押収しておけば商売ができなくなるだろう、こういうような暴言を吐いた、こういうことがあったという訴えが私のところに来ておるのです。こんなことが一体許されるのでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(泉美之松君) 具体的な事例についてのお話がございました。一般的態度としましては先ほど申し上げたとおりでございますが、臨検、捜索に参りましたときよくありますことは、きたない話でございますけれども、便所に行くと称して証拠物件をそこで破棄したりあるいは隠匿するという事例がかなりありますものですから、そういうふうに奥さんについていくというようなことがあるいはあったかと思います。しかし、まあお客が来たような場合にはそれ相当の配慮をすべきことは当然でありますし、また、調査官が銀行取引ができなくなるようにしてやるぞといったというようなことを言ったとすれば、それはきわめて暴言でありまして、適切な執行のやり方とは存じません。私も、しかし、報告を受けまして、絶対にそういうことをしないようにということを注意いたした次第でございます。
○須藤五郎君 こんなことは聞かぬでもいいことですが、一体、I時計店の脱税額はどの程度だったのですか。
○政府委員(泉美之松君) 脱税額は、税額で九万四千百円でございます。そのほかに、罰金相当額として十四万一千円になっております。
○須藤五郎君 ぼくは、脱税額が多い少ないは問題にしないのです。脱税はやっぱり脱税ですから、そういうことはしてはいけない。しかし、なおそれにしても、金額にして両方合わせて二十万円そこそこのものでしょう。その程度の脱税に比して、強制捜査によって受けた人権侵害の事実は非常に大きいと思うのです。現に強制捜査で死んだ人さえ出ているということを私は申しましたが、国税庁としては、こういう人権侵害が起こらないように一体これからどうしていこうとお考えになっていますか。これはやっぱり全国の税務署に対してこういう行き過ぎた人権侵害をしないように注意を与える必要があるのではないでしょうか、長官。
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、国税犯則取締法のうちでも、間接国税につきましては、御承知のとおり、税の性質が直接税と違いまして、本来転嫁する税でございますので、消費者に税を転嫁させておきながらその税を脱税するということになりますと、一種の横領と同じ行為になります。もちろん、場合によって、税の転嫁ができないで税込価額どおりでなしに、あるいは税金全部の転嫁ができないような場合もございましょうけれども、概して間接税は税の転嫁をしておりますので、それを脱税するということは横領にひとしいと、こういうことから、国税犯則取締法はこれはまあ戦前から間接国税についてはずっと規定があったわけでございます。戦後直接税についても国税犯則取締法を適用するということになりまして、従来は間接国税犯則取締法、こういうものが国税犯則取締法という名前になっておるわけであります。その執行にあたりましては、るるお話のありましたように、人権尊重をしながらやっていかなければならない問題でございますので、私どもとしましても国税犯則取締法の執行に関する国税庁長官の通達を定めておるわけでございます。その際におきまして、人権について十分留意するようにということを規定いたしておるわけでございます。お話のような点もございますので、重ねてそういった点を十分周知いたしたいと、かように考えております。
○須藤五郎君 これは最も重要な点ですが、この前の物品税法のときにも問題になって議論がはっきりしなかったところですが、ある税務署員が——大臣、よく聞いていてくださいね。ある税務署員が一つのところへ調査に行く。最初、物品税法のほうの調査権で調査をする。そうすると、物品税法の調査権の中には不答弁は罰せられるという条項があるわけですね。答弁しないと三万円以下の罰金か何かに処せられるという条項があるわけですね。それで調べると、不答弁はいかぬというのでみな答弁をするわけですね。そうすると、そこで今度は国犯法に切りかえてしまうのですね。同じ人が同時に国犯法に切りかえてしまうのです。そうすると、国犯法には不答弁は罪にならないということになっているわけですね。一方は不答弁は罪になるぞという法律があって、片一方は不答弁は罪にならぬという法律がある。しかし、こっちのほうは罪が重い罰則があるわけですね。この二つが同一人で同時刻に併用できるかどうかという点なんですね。これは一人の人が最終的には当該職員として行くんでしょう。それで、調査権で調査する。それからそこに不当な面があるとなると、今度は収税官吏というたてまえにつくんですね。同一人が二つの人格を持って、職員として収税官吏という二つの人格を持ってやるということは法的にできるんですか。できないはずですがね、これは。
○政府委員(泉美之松君) お話のように、間接国税の場合におきましては、酒税法なり物品税法なり揮発油税法の規定に基づきまして、質問検査をするときには、当該職員としての証明書を提示して、そして検査権に基づく質問、検査を行なうわけであります。その際に、犯則事実の疑いが生じました場合におきましては、通常、上司の指揮を仰ぎまして、通常の税法上の質問、検査でやっておったけれども、どうも犯則の疑いがある、したがって国税犯則取締法の規定による質問、検査をしたいということで上司の指揮を仰ぐことになっております。上司の承諾がありますれば、ただいまから国税犯則取締法の規定によりまして質問、検査を行ないます、こういうことを告げまして、そして国税犯則取締法による質問、検査に移行する、こういうことになるわけでございます。
○須藤五郎君 そうすると、上司の許可を得るときは、裁判所——これは上司であったら税務署ですね。あなたのほうの税務署に一ぺん帰って許可を得て、許可を得ましたと言って裁判所の令状を持って、そしてもう一ぺんやってくるんですか。
○政府委員(泉美之松君) それは、具体的の場合によりますが、裁判所の令状というのはそう簡単にとれるものではございませんので、その場で間に合うわけにはまいりません。ただ、質問、検査だけは、別段令状がなくっても、国税犯則取締法の第一条の規定でできることになっておりますので、それだけはできる。あとは、令状がなければ臨検、捜索することはできない、こういうことでございます。
○須藤五郎君 その第一条の質問、検査の施行でも、上司の許可は要るのでしょう。
○政府委員(泉美之松君) 私どもの訓示規定といたしまして、上司の許可を得るように指導いたしております。
○須藤五郎君 そうすると、その上司の許可を得るためには、一ぺん税務署へ帰って、そしてもう一ぺん出直すわけですか。
○政府委員(泉美之松君) 電話でけっこうでございます。
○須藤五郎君 電話でけっこうですか。それじゃ、その電話はどこの電話を使うのですか。
○政府委員(泉美之松君) 具体的な場合に応じて、まあその調査に行っているところで電話をかけるのはあまり適当ではないと思いますので、おそらく他の電話を借りて電話するということになると思います。
○須藤五郎君 一ぺんかどに出てね。そうすると、その店の電話を借りようとしたときに、いや、うちの電話ですから使ってもらっちゃ困るというふうにその店か断わったときには、それで断わり切れるわけですね。
○政府委員(泉美之松君) 通常、その店の電話を使うということは適当でありませんから、その店でなしにほかの場所から電話をすると思います。
○須藤五郎君 使ったとしたら、それは不適当なことをやったということですね。
○政府委員(泉美之松君) 不適当ということにはなりませんけれども、相手方にそういう署へ連絡したことの内容がわかりますれば、その後の調査に差しつかえを生じますから、こちらのほうがやらないのが普通でございます。
○須藤五郎君 もう二点ですが、こういうふうに、どうも調べられるほうがはっきりしないんですよ。それで、また、調べるほうも、いま物品税法の調査権で調査し、違反の疑いが出た。その場合にそれじゃこれから国犯法に切りかえますよと言って上司の許可を得て、外へ行って電話をかけるか、自動車で走って帰ってくるかして、それで今度国犯法でやりますよと言ってやる、それをはっきり言わなければいかぬですね。これから国犯法でやりますよということをね。ところが、そこらが実際の場になるとどうもはっきりしないのですね。私のところへ来ている訴えがほんとうかうそかわかりませんから、私はそういう事実を出して言いませんけれども、どうも調べられるほうが何で調べられているかわからないのです。調査権でやられておるか国犯法で調べられているかわからない。そうすると、向こうさんは両方の権力を持ってやってきているから、向こうはオールマイティ、こっちは身を守るすべがないというわけです。調査権では黙秘権が認められないけれども、国犯法では黙秘権が認められている。ところが、両方でやられた場合には、私どもなすすべがない。先方さんはオールマイティ、われわれはすっぱだか、これは一体どうなんですかという訴えが来ているのです。だから、少なくも調べられる人にそういうふうに誤解されるようなことがないようにしなければならない。だから、調査権で来ましたよと言って当該・職員証を出して調べて、国犯法に切りかえるときは、これから上司の許可を得てくるからと言って出て、上司の許可を得たというしるしを持って帰って、そうしてこれから国犯法で調べますよということをはっきり明確に相手に認識させて、それから調べるということが必要だと思う。その手続は踏んでいらっしゃいますか、どうですか。それを踏まなかったら、二重人格で、こんなばかげたことはないですよ。法的にもこういうことはできないということになっているんです。そうでしょう。
○政府委員(泉美之松君) 法律的には、そういうことはできないということになっておりません。
○須藤五郎君 どうして……。
○政府委員(泉美之松君) ただ、私どものほうの訓示規定におきまして、普通の国税——酒税法とか物品税法とか揮発油税法といったような税法の規定に基づく質問検査権で質問、検査をしている途中で犯則の疑いが生じました場合には、上司の許可を得て、国税犯則取締法による質問、検査に移り変わる。その場合には、ただいまから国税犯則取締法による質問、検査をいたしますということを告げるようにいたしているわけでございます。
○須藤五郎君 だから、調査権と国犯法を同時にそれを施行するということはできないでしょう。
○政府委員(泉美之松君) 同時にあっちをやったりこっちをやったりというわけにはまいりません。これから国税犯則取締法による質問検査権を行使しますということになるわけでございます。
○主査(近藤英一郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(近藤英一郎君) 速記をつけて。
○須藤五郎君 調査権で調べて、それで国犯法に移るでしょう。もう一ぺん即座にその席で調査権に移るということはできませんね、だから。
○政府委員(泉美之松君) そういうことはいたしておりません。
○須藤五郎君 最後の質問です。こういうふうな混乱を起こさないために、国犯法にも基本的人権を擁護する規定を明文化しておきまして、その一つとしまして、黙秘権があるということをはっきりと書き入れておいたらどうだろうと思うんです。また、書き入れなくても、調査官が行ったときに、私はこれから国犯法で調べますが、あんたに不利なことはお答えにならなくても犯罪にはなりませんよということをやはり先方に言い聞かして、裁判所でもそういうことをやっているのだから、国犯法でやるときにはそこまで親切に相手方に言っておいて、それからお調べになることがいいと思うのですが、これを明文化するということに対しては、大蔵大臣、どういうふうにお考えになりますか。最後にあんたのお答えでこれで質問をきょうは打ち切ろうと思うのです。やはりそこまでやっておかぬとどうもぐあいが悪いですわ、むずかしい問題で。
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、国税犯則取締法に基づく税務の執行の場合におきましては、第一条第一項の質問検査検の場合におきましては検査拒否犯というのがございますけれども、第二条以降の場合におきましてはこの罰則の規定がございません。いわゆる黙秘権なるものがあるということは認められておるところであります。ただ、そういう黙秘権があるということを本人に告知すべきかどうかということは、規定がない関係上、私どものほうは従来は告知の義務はないということでやってまいっておるわけでございます。これはひとり……(「一般の国民は法律を知らないですよ」と呼ぶ者あり)まあ間接国税の場合の納税者は、通常消費税の転嫁を行なっている方でありますから、間接国税というものがどういうものであるということの認識は当然あるわけであります。したがって、間接国税の場合に、国税犯則取締法がどうなっているかということの認識は通常あると思います。しかし、いまお話しのように、相手方は承知しているかもわからぬけれども、なお念を入れて黙秘権があるということを告知したらどうか、こういう御意見でございますが、私どものほうとしましては、従来は、告知の義務がないから、そういうことを言う必要はないということで扱ってまいっておりまするけれども、お話のような筋もございますので、そういった点につきましては今後さらに検討いたしてまいりたい、かように考えます。
○主査(近藤英一郎君) 以上をもちまして大蔵省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 なお、次回の分科会は明十二日午前十一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十一分散会 —————・—————