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58回国会参議院1968/04/05

予算委員会 第14号

発言数
320
登壇者
31
会派数
3
開催日
1968/04/05

会議録

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、稲葉誠一君、柳岡秋夫君、千葉千代世君が辞任され、その補欠として瀬谷英行君、鈴木強君、北村暢君が選任されました。     —————————————

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十三年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続きまして一般質疑を行ないます。  増田防衛庁長官、きょうは増田防衛庁長官に対する山本君の質疑がございまして、本会議の開会前に少しの時間でも進めたいということで皆さんお待ちでございましたが、たいへんおくれまして困ったのですが、ひとつ今後は注意して御出席をお願いいたします。  では、一般質疑を行ないます。山本茂一郎君。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 まず、国防会議の実際的活用ということについてお尋ねいたしたいと思います。  この問題は、本来からいいますというと、総理大臣にお伺いすべき事項かとも思うのでございますが、ただいまは一般質問の場合でございますとともに、国防会議そのものが防衛庁長官の任務に非常に関係の深いものであり、また、会議そのものが防衛庁長官の関係しておる事項を審議するのが主体であると考えるような事情から防衛庁長官にお尋ねいたしたいと思うのであります。  まず、お伺いいたしたいのは、過去一年間において国防会議が何回開かれたか、またその議題がどんなものであったかということについてお答えいただきたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 過去一年と申しますというと、過去一年間に、正確に申すというとないわけでありますが、昨年三月十三日に国防会議が開かれました。これは、第三次防に関する基本計画は一昨年の十一月二十九日に国防会議が開催されまして決定されております。それを受けまして昨年三月十三日に第三次防衛五カ年計画の主要項目並びに経費の概要についての国防会議がきまりまして、御承知のとおり国防会議は諮問委員会でございますから、その諮問委員会の議を経て、その諮委員会の議長は総理大臣でございますが、翌日の閣議決定が正式の閣議決定でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そういうように非常に少ない理由はどこにあるのでございましょうか。といいますのは、国防会議の議題となる事項が範囲を非常に限定をされておる関係じゃないかと思うのであります。また、国防会議そのものの権威といいますか、その効果というものにおいて非常に少ないから、これを実行せなくても、会議を開かなくても差しつかえがないと、こういうような問題になっておるんでありましょうか、この点についてお答えいただきたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 国防会議のメンバーは、御承知のとおり議長は総理でございます。それから議員は外務大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官並びに不肖私でございます。そこで、国防会議という正式の会議は開かれませんが、いつもほとんど毎月二度といってもいいくらいに国防に関する相談はこれら四名の委員がいたしておるわけでございまして、国防会議懇談会という程度ではございませんが、いつも国防のことに関し、あるいは核問題に関し、あるいに沖繩返還に関し、あるいは小笠原島返還に関する相談をいたしておりまするから、山本さんの御期待の線には沿うておるつもりでございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そこでこの問題につきましては前に増田長官に私お尋ねいたしたことがあると思うんでございますが、私は現在の国防会議というものの権威というものが非常に少なく、みずから判定をしておられるのじゃないかという気がするのであります。先ほど、国防会議委員に相当する方々が集まって意見の交換をしているということはまことにけっこうなことだと思いますけれども、私は、こういう問題は国防会議の名において決定することにおいて、国家の行くべき道をはっきりさしていく一つの権威づけの問題であると思うのでありまして、その点において欠けるところがあったならば、国防会議の意味は非常に限定すると私は考えるのであります。  以下私は、時間もございませんが、現実において国防会議にかわるべきもっと権威のある機関が存在せない以上は、不十分ではありますが、いまの国防会議を最大限に利用さるべきものである、そうでなければ日本の国防というものに対する国家の重要性というものが発揮できないのじゃないかということを私は考えまして、以上の考えのもとに以下の事柄をいろいろと少しお伺いいたしたい、こう考える次第であります。  ただいま日本の中では核の問題について政治的、政策的な面からいろいろ御議論がございます。総理は自主防衛ということを大きく打ち出されておる次第でございます。また、沖繩返還に伴いましてこの沖繩に存在する基地をいかに取り扱うべきか、また、この価値判断をいかにすべきか、あるいはまた、最近におきましてベトナムの情勢が急変転をいたしました、ここに大きな問題が私は出てくると思うのであります。言いかえますと、和平ができるかできぬかということは一つの大きな命題であるとともに、私は見のがすべからざる大きな問題といたしまして、この和平の問題がどういう方向になるかという事柄は、将来アジア諸国においてアメリカの政策に対していかなる判決をすべきか、信頼するに足ると考えるかどうか、いわゆる初めにベトナムにアメリカが関係をいたしましたときに、表面的にも出た問題でありますけれども、また腹の中においていろいろとアジアに対する積極的なる考えがあったと思うのであります。また、アジア諸国においても、これに協力をいたしまして、出兵その他の処置をした国もあるわけであります。ところがこの大きな目的を達したか達しないかは私は問題を別といたしまして、これが違う方向の判決が出た場合に、アメリカのアジア政策に対するアジアの諸国の反応がどうなるかということが大きな問題でありまして、ことに日本の政策はもちろん、防衛問題においてこれを無視してはならぬ大きな問題だと思うのであります。まだこの問題はそこまでいっておらぬとおっしゃるかもしれませんが、以上のような国防上から見た日本の現状は、平穏な日本の国内の状態とは違うと私は考えるのであります。そういう意味において、私はここに国防問題ということに対し、防衛長官として大いに関心を持っていただきたい、こんなような希望を持つわけであります。  これらの以上言いましたような問題は、国防会議の正式の議題になるものもあると存じます。また、将来のアジア情勢そのほかにつきましては、必ずしも正式な議題でないかもしれませんが、少なくとも懇談会という形式におきましても、これは検討せられる問題の一つであるということを私は深く信ずるものであります。何となれば、これはいま国防会議の任務として授けられておる問題に大なり小なり関係をしておると、こういう理由で、私は以上のことを申し上げる次第でございます。  そこで、以上のような事情でありますから、今後なるべくすみやかに国防会議をお開きになる、あるいは、問題によりましては国防懇談会をお開きになるところのお考えがあるかどうかということをまずお伺いしたいと、こう思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 山本さんのお説はしごくごもっともでありまして、従来、正式というものは数は少のうございますが、懇談会という銘は打っておりませんけれども、関係閣僚はいつも集まっておりますから、ベトナム関係にいたしましても、ひいては間接の間接ではございまするが、国防に影響は相当ございまするから、そのことの相談をいたしておりまするし、さしあたっての問題といたしましては、沖繩が返還される場合の日本の国防の体制いかんというようなこと、核兵器の問題、あるいは小笠原島の問題等につきましても、いつも関係閣僚はこの四大臣でございます。あと常時出席をするという大臣は通産大臣と科学技術庁長官でございますが、打ち合わせをいつも私が主体性の立場をとりまして、国防は御指摘のごとく最も重要でございますから、国家の存立があって初めて社会福祉なり諸般の助長行政があると私は考えております。存立をはかる自衛の問題が一番大切でございまするから、私が主体的立場をとって相談をいたしておりまするが、懇談会という銘を打った、あるいは公式上の国防会議というのは議題の関係上どうしても数が少なくなりますけれども、しょっちゅう連絡をとってやっていくことが絶対必要である。アメリカの国家安全保障会議のことも、従来とも私は研究いたしております。もっとも、アメリカではいまこの二、三年はあまり開かれないのでございますが、しかし、国家安全保障会議ないし国防会議は必要である。その関係において関係大臣が——議員たる大臣が打ち合わせをしょっちゅうやっていく必要があるということは、お説は同感でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 それで、ただいまの日本の運営を見てみますというと、核の問題でありますとか、そのほかの重要な国防の基本になるような問題も、単に行政部面において、あるいは政策部面として検討されている傾向が強いと思うのでありまして、防衛という見地において研究をされるという点において欠ける点があると、こう私は考えるのであります。また、そういうような関係から現在の国防会議というものの内容を深く考えまして、その国防会議の地位とその運用というものについて、もっと権威のあるものにしていただいたらどうだろうか。私はかつて安全保障会議の設置案をお尋ねしたこともあるのでありますが、そういうようなものに移り変わるべき時期にきておるのじゃなかろうか、こう思うのであります。そうしてその会議におきまして、その結果に基づいて、総理大臣としましては、政略と戦略との根本を指示をいたします。また防衛庁としては、その決定に基づく実務的な防衛処置問題を積み重ねていく必要があるのではないか。ただいまのように国防会議というものが防衛庁の、失礼でありますが、つくった一つの案を、作文を、それをかけるだけの、始末する一つの形式論に入るというものは、私はとらざるところであると考えるのであります。以上のような観点から、現在の国防会議を内容を充実し、あるいは編成変えをいたしまして、もっと権威のある、国家の進むべき方向を決定するだけのものにする必要があるかどうかということについて御所見を承りたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) いま防衛庁設置法の六十二条に書いてあるという、この点が御指摘の中心だと思います。私は国防会議設置法というような法律を、単独立法としてつくることが必要であると考えておる次第でございます。なお、国防会議は防衛庁、自衛隊のみならず、もっと高い見地に立って日本の国防関係を審議、策定すべき機関である。しかし、いずれにいたしましても、内閣総理大臣に対する諮問機関であることは事実でございまして、それはアメリカの国家安全保障会議が大統領に対する諮問会議であると同様であります。諮問会議であるということは山本さんも御存じでございますが、もう少し、防衛庁設置法の中に置かれてあるというようなことは権威づけるゆえんではないということについては、全然同感でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 次に、少しこの範囲を広げまして、お尋ねをいたしたい、こう思うのであります。それは国家の安全に関しまするところの仕事は防衛庁の仕事だけではないのだということは、もういまさら言うこともないと思うのでありますが、日本国憲法におきまして、戦争に関する問題といたしましては、憲法の前文と第九条だけであると思うのであります。これは日本国憲法の改定をされましたそのときの事情からして、当然そうなるべき問題だ、こう考えるのでございます。しかし、日本国憲法におきまして、自衛権の存在をしておるということは、いまや日本の中において定説として定着をしておると私は考えるわけであります。そういうような前提として考えますときに、私は総理大臣の国防力の指揮するところの権限そのほかについて、憲法上において私はきわめて不明確であると思うのであります。これについては何ら指示はございません。ただ自衛隊法の第七条と、それから第七十六条において規定されているわけでございますが、この国家の大きな防衛に対する総理大臣の権限を単なる自衛隊法だけによるということが、はたして至当であるかどうかという点に、私は多大の疑問を持つわけであります。しかし、私はここに日本国憲法を改正せよというところの意向を申し上げるという意味ではないのであります。ただ、総理大臣の指揮権限というものが、国家の重要事項であるにかかわらず、これが不明確である。それを自衛隊法だけで補うというのは不十分ではないか。この問題だけをここに提起だけをいたしておきたいと、こう思うのであります。この問題につきまして、防衛長官の御所見を承れば幸いだと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) わが国自衛権が固有にあるということは、憲法第九条一項、二項の精神から当然出てくると私は思っております。これは私の確信でございまして、昨年一カ年間、両院のコンセンサスを得るために努力をしたつもりでございます。それから、自衛隊法には、もとより七十六条に書いてございますし、第三条に書いてございます。直接間接の侵略に対処する。七十六条はそのための防衛出動でございます。自衛隊法全体は、しかし法律だけであって、憲法ではないということは遺憾であるという話でありまするが、憲法第九条第一項のような憲法を持っている国は相当あるのでございまして、その国がございましても、これは固有の権利を、固有の自衛権を保持することを妨げるものではないという解釈のもとに、多くの国が第九条第一項を持っております。第九条第二項のような憲法を持っている国は日本だけでございます。しかしながら、一面、国際連合に加入いたしておりますし、連合国と日本国との平和条約に、日本は、当然日本側として——相手側は連合国でございます——その条約というものは法律以上に尊重されるというのが従来の法理論でございまして、それにも書いてございまするし、また、条約と同等の効力のあるものとして、本院においても批准の前提である同意が与えられました日ソ共同宣言にも、日本国もソ連もひとしく自国を防衛する固有の権利があるのであって、そのために集団安全保障の取りきめを締結する権利があることが認められた、こういうことが日ソ共同宣言の第三項に書いてあるわけでございます。したがいまして、私どもは国連憲章第五十一条とか、あるいは平和条約の条文とか、あるいは条約と同様に扱われました日ソ共同宣言等は、憲法に次いでこれを尊重しなくてはならない、憲法同等の効力があるというふうに、従来から法理論はなっております。それに引き続いて、法律は最も尊重しなければならぬ。こういうわけであるのでございまして、私どもは憲法の規定に従い、国際条約の条章を見ましても、日本人が日本国を守る、日本人が主権者として日本国を守る、国民を守るという固有の権利があるということはきわめて明瞭である、こう考えている次第でございます。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 山本君の質疑中でございますが、本会議が始まりますので、散会するまで休憩いたします。    午前十時三十八分休憩      —————・—————    午前十一時二十四分開会    〔理事剱木亨弘君委員長席に着く〕

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 予算委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、内藤誉三郎君が辞任され、その補欠として土屋義彦君が選任されました。     —————————————

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 次に、ただいまの委員の異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行ないます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に内田芳郎君を指名いたします。     —————————————

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) それでは山本君の質疑を続行いたします。山本君。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 次に、防衛庁、特に自衛隊のあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。  それにつきまして、いままでもよく議論になりましたシビリアンコントロールの問題でございますが、創設以来の関係者の非常な努力によりまして、日本の防衛関係におけるシビリアンコントロールというものが大体において徹底をいたしまして、よくその方向に向いたということに、そういうように私は感じておりまして、感謝をいたすものでございます。しかし、一方において、この問題は、いままでのやり方がはたしてそれでよかったかどうかということにつきまして、反省の時期に入ったのではなかろうかと思うのであります。旧軍隊時代における統帥権と行政権と区別されておった状況を前提といたしまして、これを直すためにある極端なる方向にいくということは、これはやむを得ない実情であると思うのでありますが、すべての問題が、シビリアンコントロールが、ややもすると官僚コントロールになるがごとき行き方というものについて、もう一度反省をして、正しいいわゆる政治優先の体制に入る必要があるのではなかろうかと、こういうように考えるわけであります。いろいろこの問題はございますけれども、これは省略いたしまして、一言お尋ねいたしたいと思いますが、現在、防衛庁の中におりますところの制服の数は何人おいでになりますか。内局の中にある制服の数を教えていただきたい。

島田豊防衛庁長官官房長

○政府委員(島田豊君) いまちょっと手元に資料がございませんので、直ちに調べまして御報告申し上げます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 私はこの問題につきまして、一般の行き方として、内局の中に制服を入れるということは、主義として御決定になっていると思うのでありますが、この実効が、ほんとうにいわゆる制服の知識を利用するということの目的を達するような行き方をしておらぬのではなかろうかというようなおそれをなすわけであります。また、そういうことがほかのおか目八日から見ますというと、防衛庁の内局というものが、それが自衛隊の各隊をコントロールしておるというような形に誤解をされておるおそれがあると思うのであります。いわゆる長官の補佐機関が、長官を通じてやるところの各幕に対する統制というものとの行き方についていろいろ疑惑が出ておると、こう考えるのであります。このことは、決して防衛庁の仕事の上において私はプラスにならぬと考えるのであります。この点について御所見をいただきたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) まず、シビルコントロールを私がいたしておりますのは、つまり政治優先という意味がそこで制服を着た——私もシビリアンでございますが、皆さんもシビリアンであることは事実でございますが、制服を着た者がずっと内局にもたくさんおりますし、それから幕僚監部にもシビリアンがおります。そこで、この私服を着た者、せびろを着た者、せびろを着たものが制服に優先するというふうな誤解は、去年一年かかりまして解いたつもりでございます。これはユニホームの士気にも関係いたしますから、そこでシビリアンコントロールと言えば、まずもって自衛隊の作用というものは行政官庁——行政であると私は考えております。新しい憲法で行政になった。そこで、行政の最高のピラミッドの長官は内閣総理大臣でございます。その命を受けまして隊務を統括しておるのが防衛庁長官でございます。防衛庁長官が、いわゆる昔のことばの軍令、軍制といったようなものは行政の作用でございます、いまは。その行政の作用を統括いたしておるのが内閣総理大臣であり、その命を受けてこれを、隊務を統括しておるのが防衛庁長官でございます。この防衛庁長官が、いわゆる軍令的の関係につきましては——これはいわゆるでございますから、どうぞ御了承願いたいと思いますが、いわゆる行政作用中の軍令的のものにつきましては、各幕僚長、あるいは場合によっては統幕議長等を指揮監督するわけでございます。それを指揮監督をして、そしてこうやれ、ああやれということを部隊の末々に至るまで防衛庁長官たる文官が指揮監督をする。これがシビリアンコントロールの実態でございます。その防衛庁長官が指揮監督をする場合に、内局がございまして、こういうふうな指揮監督をしたらいいでしょうということを補助をいたします。その補助をするために内局が存在いたしております。その内局に若干のユニホームがございましょうとも、これはあくまで内局のまた補助者としているわけでございまして、一番顕著な例は調達実施本部、あるいは昔のことばで言いますというと、軍需監督官といったようなものが、各国防産業へ発注を命ぜられたところに、正確に業務を達成するための監督官としております。これは多くユニホームでございます。制服組でございます。これはしかしながら、内局でございます。そういうわけで、それはやっぱり事の性質上、内局の人を補助するものとして制服組がおることはやむを得ない、私はしかるべきことだ、こう考えております。それから内局のシビリアンが、直接、幕僚長や副幕僚長や、あるいは部長、あるいは師団長、自衛艦隊の司令官等を指揮するわけでは全然ないということを、昨年一カ年かかりまして国会のコンセンサスを得たつもりでございます。それから行政の作用としての、いわゆる昔の軍令、軍制でございます。行政の作用になりましたが、その行政の作用は、国権の最高機関たる国会の事前もしくは事後の承認のもとに動く、これがシビリアンコンニロールの実体ではないか、こう考えておる次第でございます。このことは制服組の士気にも関係いたしますから、よくシビリアンがコントロールするのではない、政治が優先するのであるという、山本先生のおっしゃるようなことを、部隊にも内局にも徹させたつもりでございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 次に、別の問題について具体的にひとつ御意見を伺いたい、こう思うのであります。それは防衛行動命令でございますが、これはすなわち自衛隊の指揮、軍隊指揮に相当する問題でありますが、この防衛行動命令を発動をいたしますときに、この命令を起案するのはだれであるか、この問題を御説明いただきたいと思います。もちろんこれには国会の承認を得たり、あるいは国防会議にかけろとか、いろいろな規定があることを存じておりますが、実際のその命令を起案をするものはだれであるか。そうしてそれをどういうような形に、どういう手順を経て出動部隊に命令をされるのか、この問題を絞ってお尋ねをいたします。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 山本さんの御質疑は自衛隊法の第七十六条によって防衛出動を命ずる場合のことだと思います。防衛出動の命令は内閣総理大臣が出すわけでございます。しこうして原則的には事前において国会の承認が要ります。例外的に事後において国会の承認を得るわけでございます。そこで発議、起案はだれがするか。起案等は私なり私の補佐者である内局あるいは統幕等におきまして協議をいたしまして起案をいたす。それで総理大臣のところへ——総理大臣自身がおっしゃってこれはけっこうなんですが、ただ、総理大臣の補佐者として私、私の補佐者として統合幕僚会議、あるいは内局に防衛局がございますが、共同協議をいたしまして、こういうケースは防衛出動をするケースでございますということを起案をしてまいりまして、決裁を総理大臣から得まして、それから原則として事前において国会の承認を得てはじめて出動する、こういうことになると思っております。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そのうちでいまおっしゃいました二つの筋をお示しになったわけであります。統幕において起案するか、あるいは内局において起案するか、こういうような御意見でございますが、これはその命令の内容によってどちらかにきめる、こういうことでありますか。またその両方に、どれであるかきまらないかという問題でございます。  もう一点、これを発動するときに内閣官房長官の形はどうなるのでございましょうか。そこを経るのでありましょうか、経ないのでありましょうか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。  まず防衛出動というものは客観的にみれば防衛戦争でございまして、防衛戦争といったようなことに関しての起案は、やはり統幕が重点を置きまして、これを、私をまたシビリアンが補助いたしますが、私を補助するものとして——もっとも統幕議長も三幕僚長も私の補佐機関でございます。私が指揮監督すると同時に私を補佐する、こういうことになっております。そこで両者協議の上、起案をいたす。しかも場合が場合でございますから迅速的確なることを必要といたしております。それから防衛出動の場合は国防会議の議を経るということが法律上定められておりますから、国防会議の議を経るわけでございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 いまの総理の命令を受けられまして、防衛庁長官が隷下部隊に対していわゆる作戦命令を出すと思うのでありますが、この命令はだれが起案するのですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 今度はいよいよ用ということになります。防衛出動を国会の承認を経て内閣総理大臣が私に命令を下します。私が補助者として隊務を統括する、その隊務の中の用、こういう方面だと思います。活動方面でございます。その活動方面は、多くの場合において統幕議長、三幕僚長、またその補佐機関等が、第何個師団はどこへ行けとか、ここへ行けとかいうようなことについて長官が命令をする場合の案を出してくる。そこで長官のほうで、シビリアンコントロールでございますから、その案はこういうふうに変えたほうがよかろう、東北方とあるのは北方がよろしいとか、あるいは西南方がよろしいというようなことはシビリアンである防衛庁長官が指揮命令をする。指揮命令書というものは防衛庁長官の名前でないといけない、こう考えておる次第でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 それでは、いわゆる防衛の出動のための待機命令というのがあります。これは長官だけにおいて決定をする、命令をする権限を持っておるわけでありますが、この場合の命令の起案権はどこに持たすお考えでございますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) お答えを申し上げます。  防衛待機命令というのは、いわゆる軍事情勢が緊迫化してきたというような場合に待機するわけでございますが、たしか七十七条だったと思いますが、自衛隊法の七十七条によって、待機命令を長官が出します場合には、起案をやっぱり、私をシビルの関係で補助する防衛庁ないし次官、それから用の関係で、自衛隊の用といいますか、活動とか、用とかいう、その用の関係において、私を補佐いたします統幕議長とか、あるいは三幕僚長というようなものが起案をして持ってまいる。その間の連絡のあることは、これは必要でございます。よくシビルコントロールといいましても、シビリアンがコントロールするわけではない。内局の局長、課長や部員がコントロールするわけではないということを、山本さんその他国会議員の皆さんに明言いたしておりますが、それぞれ防衛庁設置法、自衛隊法において所轄事項があるのでございまして、その所轄事項について防衛庁長官を補佐すると、こういうわけでございまして、その補佐する場合には、制服組と私服組との内局の連絡は非常に必要でございます。私が万事万端やるわけにいきませんから、そこで、たとえば経理局長というものは会計経理の関係につきまして防衛庁長官を補佐する。そして防衛庁長官が陸幕の会計経理なら会計経理について指揮監督をする。これは平素においてもそうでございますが、有事においてもそうである、こう考えておる次第でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そのうちで、各幕もしくは統幕において起案をしたという場合に、それが長官にくる前に内局を通ずるんでしょうか、内局を通ぜずに、ただ直接起案せられたところから長官のほうにまいるのでありましょうか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) これは防衛庁設置法、自衛隊法等に書いてございまして、これこれを所轄するという——たとえは防衛局としてはこれこれを所轄すると、こう書いてあります。所轄するということは専管ということではないのでございまして、その事項について防衛庁長官を補佐する、こういう意味でございますから、各三幕並びに統合幕僚議長等の所轄事項でございまして、防衛局の所轄事項であるというような場合にはやっぱり連絡は必要である、こう考えておる次第でございます。でございますから、指揮監督というわけではございませんで、相互の密接な連絡が必要である、こう考えております。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そうすると、その問題は、各幕もしくは統幕で起案されたときでも、連絡という意味において内局を通じていくと、こういうわけですね。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 私が各幕僚長を指揮監督いたします。その場合につきまして、次官、局長、官房長等は私を補佐する、こういうたてまえに法はなっておるわけでございまして、連絡は必要である、こう考えております。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 というようでありますが、連絡という意味においては、ただ通報だけでありまして、内局を通ずるというと、内局の意見によってこれが修正加筆されるという場合が起こり得ると思うのでありますが、いまのお答えが、ちょっとそこの辺が不明確であったのですが、単なる連絡でございますか、私のお尋ねしましたように、内局を通じてという、そういう形になるのでありましょうか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。  たてまえから申せば、陸上、海上、航空並びに統合、この三幕僚長が行動を起こすように、どういう行動を起こせ、起こせばよろしいということを、私が有事には指揮監督いたしまするが、その指揮監督をいたす場合に、私に対して内局が、その指揮監督はこういうふうにしたほうがいいでしょうというようなことを、私を通じて、幕僚長に対する私の指揮監督のしかたを、長官に対する補佐機関として、こういう指揮監督のしかたをしてはちょっとこれは修正したほうがいい、こういうふうに修正したらいかがですかということを、私を通じてするしかけに法のたてまえはなっております。ただ事実問題といたしましては、私を一々通すというわけにはなかなかいきかねますから、あなたのほうの幕僚長がこういうふうに行動されるけれども、それは甲という行動をされるけれども、乙という行動のほうがいいのじゃないでしょうか、これは長官にもお話するつもりですが、念のために連絡しておきますと、こういう相互密接なる連絡が必要だ、こう考えておる次第でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 時間の関係もありますが、それでは次に治安出動命令の問題でございますが、大体この場合は、言うまでもなく、総理において出される場合と地方長官からの要請によって出される場合と二通りがあると思いますが、この両方の場合においても、先ほどの防衛出動の場合と同じようなものの考え方でおやりになるのでありますか。それとも、特殊の何か、この場合においては、この起案権の問題について何かお考えがございましょうか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 原則的には防衛出動の場合と治安出動の場合とは同じであると考えております。その補佐のいたし方、指揮監督のいたし方は同じであると考えております。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 そこで、この治安出動、治安行動といいますか、治安行動の問題でございますが、これは法律に定めるところによりまして、自衛隊の担当する事柄は、支援と警護と制圧と、こういうように考えられるわけでありますが、しかも、その前において、命令をするときに、公安委員会と長官との間において協議をするという一つのワクがはめられておると思うのであります。ただ、これについて、私は、この治安行動に関する自衛隊というものの行動については、私は十二分な改正を加える必要があると、こう考えるのであります。と言いますのは、申すまでもありませんが、長官もお考えになったろうと思いますが、自衛隊の行動というものは国民とともに動くべきものでありまして、その精神からいって、治安行動であるからといってかってな行動をすることは、自衛隊の任務を根本的に破壊する場合があると私は考えるのであります。ただ、法律上にきめられておりますから、この三つの行動を状況に応じてやらなければならぬことはよくわかります。しかし、そこに運用の重点が置かれなければならぬ、こういうように考えるのでございます。言いかえますと、重ねて言いますと、制圧というものは、これはやむを得ない場合においてはしかたないですが、これは極力自衛隊としては避くべきものであると、こう考えるのであります。  そこで、それに関連いたしまして、先般来、予算委員会におきましても、この自衛隊の治安行動の訓練の問題というものがここで議論になったと私は考えるわけでありますが、私は、この運用、実際に運用する問題と自衛隊が訓練をすることとは、私は区別して考えるべきであると思うのであります。自衛隊というものはいかなる命令がまいりましても、その命令に従いまして、全力をあげて任務達成に努力するのが自衛隊でございまして、そういう命令をするかせないかということは、防衛庁長官なり総理のこれは決心による問題でございます。それを一緒に、ごっちゃにいたしまして、自衛隊の任務としては、どんな問題に対してもどういう命令があっても、これに全力をあげて完全遂行する訓練は、私は一日も阻害してはならぬと思っております。そういうことをやったならば、自衛隊は政治団体になってしまうと思うのであります。命令によって動くということを堅持する必要がある。この点をよくはっきりさせていただきたい、こう思うのであります。御所見を。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 山本さんにお答え申し上げます。  自衛隊というものは相当の実力団体でございます。武器を備えた団体でございます。でございますから、そのしんというものは規律の精神で貫かれていなくてはならない。もちろん憲法、法律、政令その他に準拠しなくてはならないわけでございまして、その動くときには、防衛出動なり、治安出動なりによって、長官の命令、総理大臣の命令がなければ動かないはずのものでございます。このことは山本さんの御質問の最後のくだりからお答え申し上げまするが、おっしゃるとおりでございます。規律はきわめて厳正でなくてはいけない。それでこそ初めて国家国民をお守り申す実力団体である、こう考えておる次第でございます。それから平素の演練——演習訓練でございますが、演習訓練は防衛出動に備え、治安出動に備え——治安出動ということはきわめて希有だと思っております。お説のとおりきわめてまれにあることである。しかしながら、法第七十六条、法第七十八条に規定されておる職務でございまするから、この両面に向かいまして訓練をいたしておるということは当然でございまして、また訓練をさせておる次第でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 次に、抑止戦略というものについてお尋ねをいたしたいと、こう思うんであります。そこで、核による抑止という問題がよく議論をされると思うわけであります。われわれが——われわれといいますか、日本がいまいろいろやっていることは、この抑止というものを前提にして私はやっているものだと、かように考えるのであります。といいますのは、第三次防衛力整備計画の御決定の中に、国防の基本といたしまして、第三次防計画の目的は、「抑止力」云々ということを書いてあるわけであります。もっと詳しく読みますというと、「侵略に対する抑止力として有効な防衛力を整備し」云々となっておるわけであります。この点、私は日本の自衛隊であろうが、自衛隊の訓練であろうが、自衛隊の整備であろうが、すべて抑止という前提に立ってるんだと、こういうように私は解釈をいたしたいと思うんでありますが、長官のお考えをお尋ねいたします。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 山本さんのお考えのとおりでございまして、国防に関する基本方針が昭和三十二年に策定されまして、その後第一次防、第二次防、第三次防と、種々三カ年計画、五カ年計画、その次はまた五カ年計画でございます。いずれの計画をつくるにあたりましても、種々の要旨というものが書かれてございますが、その要旨は、すべて昭和三十二年に策定されました国防に関する基本方針と同じでございまして、われわれは侵略を抑止するということのために存在し、訓練いたしておるのでございます。侵略がないようにするということが主眼でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 大体国内の治安でありますとか、あるいは国内に侵入してきたもの、こういうような問題はもとより考えなきゃならぬと思いますが、元来、世界における軍事力、その他というものは、どこの国でもいま抑止力という前提において整備されておるものと私は信じておるわけであります。ところが、この抑止力というものに対する解釈が、必ずしもそのままに理解をされておらぬのじゃないか、ここにいろいろな議論が生まれてくるんだと私は思うのであります。もとより国内において国家の防衛に関していろいろな議論が出ることは歓迎すべきことでありまして、非難すべきことではないと思います。十分に検討さるべきだと思いますが、この抑止力というものに対する解釈は世界的な一つの結論があると思うのでありますが、この点を十分に論議をし、そうしてある一つの常識化する必要があるのじゃないか、こういうように私は考えるのであります。ただ日本の持っておりますような普通兵器をもってする従来の型の軍備——というと、日本の憲法上いかがでありましょうか、この防衛力というものがやはり抑止力に作用するのでございますけれども、これは不完全である。けれども基本としては、これはやはり抑止力としてその見地から検討すべきものと思うのであります。ただ、核防備に至りましては、これは絶対な力がありますから、核兵器、これがある限り抑止力として絶対であるという前提でどの国も考えており、また、日本の政策もそうであると私は考えるのでございます。ただ、世界の科学技術の進歩によりまして、この核の威力というものは絶対のものであるということがいつまで続くかという問題でございます。言いかえますと、この核の威力を防止する新しい兵器が出てまいったり、あるいは核よりもさらに偉大な力を持ったものが世の中にもし出てきたときには核の抑止力がなくなるのでありますが、これがある以上は抑止力としてこれを考える、その抑止力の前提において日本の政策なり、あるいは防衛というものをここにやっていかなければならないのじゃないか。この基本的な観念の日本の中においての核というのは、日本の防衛を現状において論ずるためには、私は重大な問題だと、こう思うのであります。その点につきましては、ひとつ十分な御検討を日本全部においてやられることを私は希望する次第であります。また、こういう抑止力としてのいろいろ施設をすることは、私は日本憲法の精神に何ら反するものではないと私は思うのであります。これはいわゆる戦争をするものじゃなく、平和を愛好するための抑止力を装備しなければならぬ世界の現状であるという前提を踏まえて、私は憲法に何ら相反するものじゃない、こういうような考えを持っているわけであります。  そこで、いろいろこまかい問題がそこに生起するわけでございますが、時間の関係もございますので、お尋ねをいたしたいと思いますのは、核が持っている抑止力というものに対する防衛長官の御所見をお示しいただきたい、こう思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 核抑止力というものは、核の存在によって核戦争、あるいはできれば通常兵器の戦争——通常兵器による戦争というのはちょっと妨げることはできませんでしたが、抑止力ということばは、昭和三十二年の国防に関する基本方針のときに、国際連合による侵略の阻止という字で、阻止という字を私どもは使っております。そののちにおそらくデターレント・ケイパビリティという字を翻訳した字ではないかと思います。デターレントというのはじゃまをする、ケイパビリティ——能力、戦争がないように、侵略がないようにじゃまをする能力、しかも核——ニュークリア、核戦争のないようにじゃまをする能力、これを主眼として米国の前国防長官等は核兵器の装備充実について尽力をいたしておったわけでございます。引き続いて現在の国防長官もそうであろうと私は思っております。  それから核兵器以上のものができた場合には、核兵器による抑止力はなくなりはせんかという御質問でございまするが、これはごもっともな御質問だと思っております。ただ、いまのところは、人類の考えているのは、水爆、しかも、それは有効なる運搬手段を持つ水爆、これが相当多数開発されまして、抑止力になっていることは事実でございます。それに対する対核兵器ABMというものはございますにはございます。ある国はその首都の付近を相当のABMで防護しておるということを言っておりますし、またアメリカにおきましては、薄いABMを約五十億ドルくらいかけて、そして不法なる侵略から世界を守ろう、こういうようなことをいたしておりまするが、これができるのもまだ数年後でございます。でございまするから、山本さん御指摘の核兵器——核兵器と申しましても、原爆からだんだんいま水爆に至っております。その水爆がしかも有効なる運搬手段、一万八千キロメートルも飛ぶという、そういう有効なる運搬手段を持ったもの、それ以上のものというのはまだ開発されていないというふうに私どもは考えております。ABMはただ対核兵器でございまして、核兵器以上の超核兵器ではないのでございまして、対核兵器としてのABMは開発されてはおるようでございます。けれども、有効であるかどうか、全面的に有効であるかどうかということは、ABMを設定せんとする国々がまだ疑問視しておるのではないか。ともかくもABMを設定して特定の地域を核から防護しようということには進んでおることは事実でございまするが、まあ大体そういう状況でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 法律の施行に関しましていろいろと御準備をしておられるところの事情もお伺いいたしたいと思ったのでございますが、時間がございませんので、それをはしょりまして、最後にもう一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。  それは、当予算委員会におきましても、防衛庁の機密漏洩問題につきまして、あるいはそれにつながる問題につきまして、いろいろと問題が提起をされ、論議をいたされたわけでございます。また、その事後処理の問題につきましても、いろいろと質問応答があったわけでございます。で、私は最近に起こりました防衛庁の中の問題について、今日まで当委員会において論議をされなかった問題だけに限定をいたしましてお尋ねをいたしたい、こう思うのであります。  それは、こういうような一連の事故が起こった、その事故の起こったということが自衛隊の中にどういう影響を及ぼしておるかという問題についてお尋ねをいたしたいと、こう思うのであります。過去十教年にわたりまして、非常な苦しい環境の中から今日の自衛隊を育成されまして、ようやく国民大衆になじんで、またこれの信頼を受けていろいろな国民からの期待を持たれておる状態になっておりますが、私は今度の事件というものは、大衆に対しての大きなショックであったと思います。また、日本の指導層に対する影響も大きなものがあったと思うのでございますけれども、しかしながら、私は以上のようなことを認めながらも、この防衛部隊の陸海空自衛隊に与えた影響は、防衛任務というもののもとに働いておるこれらに与えたこれの影響は非常に大きいのでないかということを私は心配をいたしておる次第でございます。この点について影響があるかないか、こういうことについてあったかどうかということにつきまして、お差しつかえのない程度において長官の御意見を承りたいと、こう思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 御指摘のような機密漏洩事件を出しましたことについては、深く恐縮に存じております。そこで機密関係につきまして、あるいは規律関係において厳正であるということがいやしくも自衛隊が存在している以上は厳正であるということが国民に周知徹底されれば、初めて国民の皆様も安心をされると思います。また信頼をされると思います。国民の皆様から信頼をされ安心をされるという、そういう自衛隊をつくるために総理大臣も長官も一生懸命でございますということをまずもって申し上げます。  しこうして、この際申し上げたいのは、大多数の、ほとんど圧倒的多数の自衛隊員は月給だけで猛訓練に従事し、あるいは時間外勤務等もいたし、殉職者も年に七、八十名は出ております。いま健康の関係を調査いたしておりますが、おそらく自衛隊に勤務したために一生健康を台なしにするという者も百名前後ありゃせんか。結局、二百名くらいは私はあるのじゃないかと思っております。そういうりっぱな方がある。こういう方々がくさった気持ちでなくて、安らかな気持ちで二十四万数千名、二十四万九千九百九十名かの者が正しいのですから、その正しい人々が気持ちをくさらせないで勤務に精励するということが大切でございまして、そのために規律違反をいたしましたごく少数の、少数でございましょうとも、きびしくこれを綱紀粛正の見地から戒めていくということが必要であると思っております。繰り返して申し上げまするが、一生懸命に正しく、しこうして自分の健康までなげうって勤務に精励いたしておる自衛隊員はいよいよ士気は盛んになっておる。ごく少数の者が悪いことがあったに過ぎないということは、今回の検察庁の調査によっても明瞭になっておると考えております。そういう中で、とかくのうわさがあるなんということは私は絶対に否定しておるわけでありまして、自衛隊がそういうことのないように、自衛隊はりっぱな自衛隊であるけれども、いよいよりっぱな自衛隊にするように、防衛庁はりっぱな防衛庁であるけれども、いよいよりっぱなすがすがしい清らかな感じのする防衛庁にするために、努力を一生懸命いたしておる次第でございます。  それからわれわれ自身が気をつけなくてはならぬことは、国防産業との関係でありまして、国防産業に従事する方々はりっぱな武器をつくってもらう、手の抜けたような武器をつくるということはもうたいへんなことでございます。国民の怒りを激発いたしまするし、私はたいへんなそれが治安の撹乱の原因にもなると思っております。国防産業に従事する者も、国防産業関係について発注するわれわれも、私も含めて言います。一銭一厘の不正があってもいけないという態度で臨んでおります。それでこそ士気も高揚いたしまするし、国民の皆様から自衛隊、防衛庁の信頼をいよいよ深くするゆえんである、こう考えておる次第でございます。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 山本君、簡単にしてください。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 よくわかりましたが、私はいまお答えになった事項以外にお願いいたしたいと思うのであります。いままで自衛隊は自衛隊の上層部からのいろいろ御指示によって一生懸命に勉強してまいったと思うのであります。ところがその自衛隊の中の高級者によって、いままで指示されたことなどと違う状況が起こったということにおいて、ここに精神的なるつながりがどうなるかという事柄であります。もう一つは、国会そのほかを通じましていろいろの論議が行なわれまして、それが、先ほど言いましたようにどうこう言うのではありません。それが自衛隊の隊員にどういう影響を及ぼすかと、こういう事柄であります。問題は個々の論議ではなくて、論議の内容になった漏洩問題及びその他の問題についての自衛隊員に与える精神的な問題であります。精神的なということは昔も今も私は変わらないと思うのであります。これは自衛隊を引っぱっていくことにつきましては、単なる訓辞でありますとか、指示だとか、法律であるとかということによっては私は完全でないと思うのであります。問題は、いわゆる命をささげて自分の任務に邁進するかどうかというこの気風でございまして、問題は命にかかわっておるわけであります。その命令をする人、いわゆる総理大臣をはじめ防衛庁長官及びそのほかの各幕僚長、そういう命令に対して隊員が絶対的なる信頼と団結を保っておらない以上は私は任務は達成できない。この精神的なこの団結の重要さというものは、昔も今も命をかけてやる仕事である以上は私は変わらないと思うのであります。この点でもし今回の事件——私は今回の事件以外にもあったと思います。そういう点から見まして、ここに決して現在の自衛隊が一生懸命に訓練そのほかに励んでおるからという安心の上にすべてを処置されることなく、ここにもう一度振り返りまして、この精神的な問題をはっきりと引き締めてやっていただくということは、私は自衛隊の任務達成上欠くべからざる現下の要請であると考えるのであります。くどいことは申しません。これについての防衛庁長官の御決意というものを承りたいと、こう思うわけです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 御質問すべて私は心から賛意を表します。全然同感でございます。そこで、夫子みずからを慎むとともに、私は自衛隊を最も愛しておる者でございます。でございまするから、昨年一年かかりまして、自衛隊が合憲的存在である、私生児的存在ではないということを国会においても強調いたしまして、コンセンサスを得るために努力をし、ある程度得たと私は思っております。本年当初において規律に反する者が出たことは非常に遺憾でございまするが、自衛隊を最も愛するとともに、自衛隊は相当の実力部隊でございまするから、そのバックボーンというものが規律の精神でなくてはいけない。規律が多少やかましいといわれましても、自衛隊を愛し、自衛隊が世間から信頼を受ける、自衛隊を大なる愛をもって愛するという立ち場において規律のことも振粛してまいる所存でございます。

山本茂一郎自由民主党

○山本茂一郎君 わかりました。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして山本君の質疑は終了いたしました。     —————————————

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 次に、北村暢君。

北村暢日本社会党

○北村暢君 まず企画庁長官にお尋ねいたしますが、最近の総理府の発表の労働力調査によりますというと、農林業就業人口が一千万台を割って九百六十六万人になった、で、全就業人口に占める比率が一九・三%で、欧米先進国型になってきたといわれているのでありますけれども、さらに企画庁の昨年十月の経済審議会の地域部会の中間報告によりますというと、二十年後にこの農林業の就業人口が約五百万人になるのではないかという想定をされているようでございますが、その根拠はいかなるものであるか、御説明願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 農林漁業就業者の数については実は私自身かなり関心を持っております。そこで、先般、労働力調査でたしか昭和四十二年では一九・三%になったという発表がございました。で、これはいずれにいたしましても抜き取り調査であると思われますし、他方で、御承知のように何年かに一ぺん農業センサスがございます。また国勢調査がございます。どうもはっきりこれというきちっとした統計が必ずしも一致いたしておりませんので、私自身としてはいま二〇%をはたして割ったのか、あるいは二〇%くらいのところにいるのか、これが一つの関門でございますので、かなり注意をして、実は私も関心を持っておるわけでございます。それで、過去のトレンドを見てまいりますと、農林漁業就業者、農林漁業全部でございますが、昭和三十年代の前半では、年率で二・七%ほどずっと減っております。三十年代の後半になりまして、それが三・五%ずつの減りになっておるようでございます。仰せのように経済審議会の地域部会では、昭和六十年ころに、これは農業就業人口でございますけれども、これは五百万人と推定しておりまして、これは過去のその減り方のトレンドを伸ばして、その上である段階でやはり世代の交代がある。一ゼネレーションの交代があるときに、それがかなり顕著に出るのではないかというようなことを勘案したものと思います。他方で、経済社会発展計画では、この昭和四十六年度を農林漁業全体で一八・三%と見ております。そういたしますと、これが四十二年労働力調査の一九・三ということがかりに事実といたしますと、どうも経済社会発展計画で見ておる数字が少し高過ぎるということになるのでございますが、いずれにしても、これは統計がまちまちでございますから、一、二%のところははっきりいたしません。しかし地域部会が基本的に考えましたことは、やはりそういう形で農地の交換分合が行なわれるであろう。ただ、御承知のように、就労人口は減っておりますけれども、戸数のほうは必ずしもそれほどに減ってまいりませんので、そこで、いまの段階は人は減っておるが、戸数としてはそう急速に減らない。ある世代の後半のときに戸数も整理をされて、そうしてやや大きな規模の農業に残った者がなっていく、こういう想定に立っておるというふうに考えておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 計画の想定によりますというと、二十年後に五百万、この見通しはどうでしょうか、そんなふうにいくとお考えになりますかどうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと失礼いたしました。昭和六十年のでございますか。これは先ほど申し上げましたように、この毎年の減り方は先ほど申し上げましたとおりでございますが、これが世代の交代のときにどのような形をとっていくだろうかというのが一番の問題であろうと思っております。で、五百万と申しますと、まずそのときの全就労人口が、どう考えましても五千万上回っておるだろうと思いますので、一割になるわけでございますが、まあいまから二十年——十七、八年でございますが、どうもいまの傾向から見ますと、やはりそういうことになるのではないだろうかという感じがいたします。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に、農林大臣おりませんので、どうも質問のつなぎが悪いんですが、通産大臣にお伺いいたしますが、今後の食糧の輸入の問題でございますが、最近、食糧の輸入が非常にふえてきているわけでございます。したがって、自給度は下がっておるわけなんでありますが、今後の食糧の輸入に関連する貿易政策、これについてお考えをお伺いいたしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 御案内のとおり、日本の食糧の自給度は、私、所管外でございますから、あるいは間違っておるかもしれませんが、九五%ぐらい、あとは先進国あるいは低開発国等から食糧を輸入しておるという状況でございまして、将来これに対してどうなるかという点でございますが、できるだけ食糧自給度というものを弱めない、こういう方針のようでございます。でありますから、こういう方向に向かって努力する限りにおいては、この程度の、現在の九五%内外の水準を維持して当分まいるのではないかと考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いまの九五%、自給度のように言っておりますが、だいぶ数字が違うようでございますが、たとえば財界には、必要食糧は国際分業によって低開発国から食糧、飼料を買い入れ、工業製品を輸出する態勢をつくりながら、農業の就業人口が自然に減少していくのを待ったほうがいいのじゃないかという主張がある。で、今日の現状は、先進国から食糧を非常に多く輸入しているという現状なんです。が、南北問題として低開発国から今後食糧の輸入が期待できるかどうか、こういう点についてどのような見通しを持っているか、お伺いいたしたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それはたとえば麦のようなものは、御承知のように、本年価格の改定をいたしましたときに、アメリカばかりでなくて、たとえばオーストラリアのような片貿易になっておりますところからできるだけ買いたい、あるいはカナダもさようでございますが、そういうことをしたいという考えがあり、また米についても、私はできるだけそういうふうにしていくべきではないか、飼料につきましてはいろいろ乾燥等の問題もございますので、ことに東南アジアなどから開発輸入するというような考え方で、方向としては、私はそうあるべきものというふうに考えております。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) さっき九五%というのは、これは米についてであります。それで小麦等もございまして、食糧全体としては八一%の自給度、このようになっておることを訂正して申し上げます。  なお、いま私に対する御質問……。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いま企画庁長官から答弁があったけれども、低開発国から食糧の輸入をして工業製品を低開発国へ輸出をすると、そういうことでいったほうがいいんじゃないかという財界の提言があるが、あなたはどういうふうに考えているかということです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 食糧の補給源を低開発国に求めていくということは、実際問題としてはそう期待できないのではないかと存じます。それは米にしてもあまり日本人の食いたがらないものを……。それから小麦は、これはできません、低開発国では。小麦は豪州、カナダ、アメリカ、あとはソ連等だろうと思いますが、ソ連などは大体自分の食いしろだけでもまかなえないというようなことがしばしば起こる、そういうわけでございますから、食糧をさしあたり低開発国にその給源を求めるということは非常にむずかしいのではないか。ただ、食糧以外の飼料等については、これはできるだけ開発輸入をして、そうして、それだけ低開発国に力をつけてやるということは、私は好ましい政策であると、かように考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこで外務大臣にお伺いしたいのですが、国連の食糧農業機構——FAOで、世界的な食糧不足の問題が非常に重要議題として論議されているわけなんですが、その内容、特に東南アジアにおける食糧事情、アジアにおける食糧事情、こういうものについて、どのような論議があり、どのようなことが問題になっているのか、これをひとつお答え願いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 北村さん御指摘のように、昨年の二十二国連総会では、食糧問題というのは非常に大きな問題になりまして、国連の事務総長に対して、食糧の需給の見通し、それから、これに対しての援助、食糧増産の援助の方法等について研究をして報告をするようにという決議が採択をされております。まあ、これから事務総長は次の国連総会に報告をすることになるので、いろいろな研究が行なわれると思います。また、この間、ニューデリーで国連の機構である国連世界貿易開発会議、ここでもやはり特別産業の委員会ができまして、食糧問題というものは大きくやはり討議の対象になった、そういう国連、あるいはまた、その関連する下部機構等において流れておる一つの基調は、やはり食糧の需給というものは将来問題になってくる。食糧増産、ことに低開発諸国が食糧の輸入のために非常にわずかな外貨を使わなければならないということでは国が経済的に発展していかないですから、したがって、農業開発というものが重要である。これに対しては、多角的なやはり援助が必要である。技術とか、また肥料、農機具その他、農業の方法——耕法といいますか、農業の方法等についても、やはり先進国の援助が必要である。これをどのようにしてそういう援助をもっと強化していくか、これが会議に流れておる一つの基調でございます。東南アジアをとってみましても、もとはやはり食糧の輸出国であったわけですね、大部分の国が。ところが、むやみに人口はふえるし、食糧生産は停滞するということで、ほとんど輸入国になっておるわけですね。したがって、このことが低開発国のやはり非常に経済的重圧になっている。そこで日本は、やはり日本の歴史を顧みてみましても、農業開発というものに日本が力を入れたということがわが国の安定の基礎になっておることは明らかですから、東南アジアでは農業開発が大事であるというのでアジア開銀の中に農業開発のための特別基金というものを設けて、御審議を願っておる予算にも二千万ドル計上して、まあ一億ドル日本は主として農業開発のために出そうという、これはほかの国々も誘うて、そうして、少しじみですからね、農業開発は。まあ工業化のようなものははでで、それで、その国の政治家が、あまりじみで、なかなか時間がかかるから、どうしてもおろそかにされがちですが、最近はやっぱり農業開発の重要性というものがみな認識されて、ひとつここから国づくりはやらなければいかぬという機運が非常に高まってきておるわけです。そういうので、日本は東南アジアの農業に対しては、資金ばかりでなしに、いろいろ果たし得る役割りがあるものですから、これは非常にじみちな、一つの日本の東南アジアに対する寄与として非常に好ましいものである、まあ力を入れていきたい。統計の上では、宮澤君のところに新しいのがあるのかしれぬが、私の手にあるのでは、戦前は五百万トンぐらいの輸出をしておったのが、最近は一千万トン、約一千万トンぐらい食糧の輸入が必要になってくる、輸出入のバランス。そういう数字になっておる次第でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いま大臣から東南アジアの食糧の増産の開発のことはお話ありましたが、一九七〇年代、八〇年代は深刻な食糧不足になるだろうというのが、専門家の一致した意見なんです。したがって、増産ということの施策をとることはもう当然でありますが、その深刻な食糧危機に対して一体どう切り抜けるかということが大きな問題である。そして、そのことが、日本の食糧輸入が増加していることと大きな問題になってくると思うのです。こういう点の見解をひとつお伺いをしたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ一つでも、いまのインドなんかはやはりいろいろ、一昨年ですか、百万トン食糧不足の危機になった、こういうときに、やっぱり緊急の、非常に天候の関係などによる緊急なそういう事態に対しては、これはもうみなが緊急援助するよりほかはないと思います、緊急な事態なんですから。しかし、通常の場合は、何としてもやはり食糧をその国において増産をするということが目標になる、時間かかるけれども。これはもう世界各国が力を入れて食糧増産のための援助を強化していくということが一つ。人口問題というものが新なたやっぱり問題として取り上げられてきておる、家族計画というものが。いままではそういう計画はなかったのですが、しかし、政府自身が熱心にやっぱり取り上げられて、人口と食糧の持つそういう面からも考えていかなければならぬのじゃないかという機運が起こっておる点でございます。  もう一つは、やはりそうはいっても、これは相当食糧問題というものが毎年問題になってくるので、国際的な食糧の緊急援助という問題を一つの制度化させようではないか、まあ穀物協定の中にあらわれてきておるわけですが。こういうことでして、何か北村さん、いい知恵があったらかりたいと思う。食糧問題というのは実際、東南アジアで大問題だと思うのですね。統計なんかを見ると、おそろしい食糧不足の数字が出てくるわけです。

北村暢日本社会党

○北村暢君 確かに、低開発国の人口増加率が二・五%、食糧の増加率が一%ということで、追いつかないわけですね、緊急援助も何も。世界総体的に食糧不足になっちゃうという問題が出てくる。かりに東南アジアと貿易をやる場合、東南アジアの国が輸出する場合は飢餓輸出なんです。決して余っているから輸出するのではない、こういうことなんです。したがって、この食糧問題について日本の財界の見通しというものは、非常に甘い見通しがあるのではないかと思う。そういう点について、私は将来とも政府に慎重に対処してもらいたいと要望しておきます。  それから、企画庁長官がお急ぎのようですから、ひとつ米価問題でお伺いしておきますが、宮澤構想によるというと、財政硬直化打開のために、生産者米価、消費者米価を据え置くということを構想として発表されておるんですが、物価対策上からいって、今後の米価のあり方についてどのようにお考えなのか、この点をお伺いしておきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、従来生産者米価が逐年引き上げられることについて、日本経済全体から見て決してそれが悪いことであるというふうには思ってこなかったわけであります。やはり労働人口にいたしまして、先ほど御指摘のように、二割以上、農村人口でいえば三千万でございますから、この人たちが経済成長から切り離されないで一緒に歩いてきてもらうということが日本経済全体にとって私は必要だというふうに従来考えてまいりました。いまでもそういう考えは持っております。しかし、昨年生産者価格、消費者価格両方を一年とめてみたらどうであろうかと申しました気持ちは、生産者価格が上がる、そうすると消費者価格が上がる、またそれを押えようとすれば財政が相当大きな負担をするといったような、このかけっこというものが、これほど米の生産がふえれば、何かこの二十何年来の制度に新しい検討が加えられてしかるべきではないであろうか、そのためには両方を一時据え置くということで、時間を、時を与えて新しいあり方を検討してもらうべきではないだろうかという意味で、一応両者をとめてみたらどうかということを申したわけです。当時私としては、米価審議会のようなところで、世論も非常にいろいろ高まっておることでございますから、米価のあり方というものについて何か新しい案を出してもらうということが必要であるし、それを期待して実はああいうことを申しましたわけであります。その点は、現在でも私は実は期待をいたしております。食管法では、生産者価格は生産費、物価その他の経済情勢を勘案して定める、消費者価格は生計費、家計費及び物価その他の経済事情を参酌して云々と書いてございますから、この両方のきめ方の間に、食管法自身で共通項がやはりあるわけだと思いますので、したがって、物価その他の経済情勢を勘案するということを中心に米価審議会で何か新しい考え方を出していただけないものであろうか、現在もそれを実は期待をしておるわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 現在でも期待しているということは、物価の関係からいって消費者米価を押えたい、こういうことですか、それとも財政硬直化の点から生産者米価も消費者米価も押えたい。こういう米価の問題については、閣僚会議に企画庁長官も出ておられるでしょうから、現在の総合予算主義における米価問題、非常にもめて現在の予算のような形になっているわけですから、その後における、四十三年度においていまの考え方を据え置くということを、現在でもそのように対処していく、こういう方針なんですか。考え方としてはわかるのだけれども。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 米価審議会は主として価格を中心に審議をされるのでありますから、その法律上の権能についてはおのずから制約があると思いますけれども、しかし、価格ということを突っ込んで研究をしていきますと、やはりおそらくは、その基礎的な研究の資料としては、いまの米の管理機構全体というものを何かの形で、やはりそれと無関係には研究というものはなかなか行なわれないのではないかというふうに実は考えております。そういたしますと、長く続いてきた制度ではありますけれども、その管理方式全体についてもやはり何か新しい考え方というものは出ないであろうかということを私は自分なりに思うのでございますけれども、ただこれは、これから米価審議会が検討されるのでありますから、私が自分の意見としてあれこれ申すということはむしろ差し控えるべきである、そういうふうに実は思っているわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 それではもとに戻りまして、農林大臣が見えましたから、農林大臣に、急速な農林業の就業人口の減少傾向に対して、現状と今後の見通しについてお伺いいたしたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 戦後の農林業の就業人口が、総理府の労働力調査によりますと、二十四年度千七百八十五万人が最高、その後、経済成長に伴う他産業の労働力需要の増大、農業における機械化、こういう背景がございまして、年々減少して、毎年二から五%の減少率を示しております。その結果、四十一年度におきます農林業の就業人口が千九十九万人、うち農業が千六十五万人、総就業人口に占める割合が二二・六%、農業が二一・九%でございます。四十二年度の途中におきまして、同じような調査の方式によりまして、この調査が一部調査方式を変えましたけれども、最近発表されました四十二年暦年の農林業の就業人口が九百六十六万人、うち農業が九百三十二万人、総就業人口に占める割合は一九・三%、農業だけをとりますと一八・七%となって、農林業の就業人口というものは近年一貫して減少する傾向ということは明らかでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今後の見通し。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) このわが国の経済成長が、諸外国に比しまして申し上げるまでもなく例を見ないほどの好テンポで進んでまいりまして、したがって、農業の労働力の流出問題というものも非常に流動的に動いていく、これから経済成長がどうなるか、経済環境がどうなるかによって違ってまいって、正確な予測は困難であります。しかし、ここ数年間におきます農業就業者の引退と申しますか、老齢者の引退、主婦が家事にもっぱら専念する、こういうような引退の動向、他産業への転出していく動向、新規学卒者の農業への就業の動向、それから死亡率、こういうのを総合的に勘案いたしまして、一応の農林省としての予測作業を行なっております。昨年三月に閣議決定を見ました経済社会発展計画、この策定いたします過程におきましても、この方法で農業等の就業者の見通しを行ないました。この経済社会発展計画によりますと、昭和四十六年度におきます農業の就業者数が八百六十万人。農林漁業全体を合わせますと九百三十万、農業では八百六十万と見込まれております。なお、農林省だけで試算いたしました昭和五十年度におきまする見通しは、農業就業者は約七百万人と試算をいたしております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その見通しの根拠をお伺いしたいのですが、いかがでしょう。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) これは企画室長のほうから正確にお答えいたします。

小沼勇農林大臣官房企画室長

○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。就業人口の見通しにつきましては、いろいろな要素がございますが、方式として要因別積み上げ方式という計算方式で、死亡率、リタイア率、転職の減少率、新規学卒者の農業就業率等を計算に算入いたしまして、計算方式を要因別積み上げ方式というのを使って単純な集計を行なうわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 現在の農業就業人口の年齢構成、どうなっておりますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 政府委員からすぐ資料で御説明申し上げます。

小沼勇農林大臣官房企画室長

○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。基幹的な農業従事者について言いますと、男子のほうで十六歳から十九歳が十一万人、それから二十歳から三十九歳が百二十三万人、四十歳から五十九歳が百十八万人、六十歳以上が百五万人、そういう状況になっておりまして、男子が全体で四二・三%、女子が五七・七%ということでございまして、六十歳以上の男子と女子の占める割合は六八・八%という状況でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 農林大臣は、先ほどの農業就業人口の状況で、約三分の二が四十歳以上の高齢者になって老齢化してきているという事実、そして農家戸数が減らない状況、こういう点から言って、私はこの推計のように簡単に農家人口はそう今後は減っていかないのじゃないかという感じがするのです。現状においてすら農業生産が停滞をしている状況の中に、荒らしづくりその他の状況で農業が荒廃の方向に行っているんだが、そういうことで農業の就業人口の質的な低下、量的な低下ということで農業生産が維持できると考えておられるかどうか。農林大臣。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 確かにこれからの農業人口の量の流出状況、この推測というものは、いまおっしゃるような面も考慮に入れながらやる。ただ、お説のように、量がかりに減っていったにしても、農家戸数というものは依然として残っている。しかも、質が悪くなる、労働力の質が落ちる。これは一番われわれも心配している点であります。そこで兼業というものが増加いたします。それから荒らしづくりで土地利用率が悪くなる。こういう点が農業生産の条件を悪くしていく。したがって、そういうような点から伸び悩みができやすいという点は、われわれも確かに警戒をしていかなければならない。しかし、一方におきまして、まあ農業生産の選択的拡大であるとか機械化、規模の拡大、こういった線は進んでおることは進んでおる面もあります。したがって、これらをわれわれとしてはできるだけ、事情はありますけれども、明るい面も取り上げながらやってまいりたいと思うのであります。特に農業の生産基盤の整備強化、これにも、御存じのとおり、われわれは努力をしておりますし、技術の開発それから普及、こういった生産政策の充実と、それから、あわせまして、零細と申しますか、零細農家と申しますか零細経営、兼業的なものに対しましても協業助長のような考え方をあわせて入れていって生産性を高めていく。これらを総合して農業の生産性を高める。こういう考え方で進んでまいりたい。

北村暢日本社会党

○北村暢君 国際的な食糧の深刻な不足ということについて外務大臣から説明がありましたが、今後におけるそういう国際環境の中における農業生産の方策についてお伺いしたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) すでに関係大臣からお話が出ておると思います。私も国際的な食糧需給の見通しにつきましては、小麦以外はかなり困難な状況がだんだん出てきておる。したがって、わが国としても、基本としては国内の国民食糧の安定的供給確保をしていく、これに基本を置いてまいりたいと思います。特に日本として生産が合理的に可能なもの、これについては生産性を高めながら国内生産の維持、自給率を向上してまいりたい。総合自給率としては八一%という数字を現在統計では持っているわけです。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に、構造政策でやろうとしておりますが、私は、やはり九割を占める兼業農家の対策というものが非常に大事だと思いますが、この点をどう考えるか。  それから食糧の自給度の問題として輸入食糧に仰がない。自給飼料による畜産振興についてどのように考えるか。  それからもう一つ、食糧基地といわれる東北の水田単作地帯における今後の農業のあり方についての方策をどのように考えておるか。この点についてお答え願いたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 三つほどお尋ねございました。そのうちの第一の兼業問題でございまして、日本のただいまの農業生産には兼業農家というものが約七〇%。お説のとおりでございます。これを私どもはただいたずらに好ましくないというような考え方でやっていくつもりはございません。もちろん、自立経営農家というものも中核として大事でございましょうが、同時に、兼業農家、これに対しましても、農村のやはり相当な生産をやっている農家でございますし、また国民は、この方々の生産によって食糧その他を依存しておる。同時に、そこに住んでおられる方々の所得の大きな根源でもございます。したがって、こういう面におきまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、あわせていろいろ協業を助成していくような形で生産を高めてまいっていきたいと、こういう考えでございます。  それからもう一つは、畜産の関係につきまして、これは乳あるいは肉、こういった問題につきましては、これからも需要が高まっていくことは、もう申し上げるまでもないのでありまして、ことに飼料の輸入の問題も日本においては大きな問題になっております。そこで粗飼料と申しますか、牧草の草地育成等、これに対しては非常にわれわれとしてはこれからその草地の規模拡大、それから乳牛、肉牛の家畜導入というような方法をとってまいりたいと思います。  それから三番目の東北の水田につきましては、一般論と同じではありますが、できるだけやはり高能率な米作というものを推進してまいるということと、あわせて、できれば家畜導入等によって所得の増大もそれにつけていきたいと、こういう考えでございます。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 北村君の質疑の途中ですが、午後二時まで休憩いたします。    午後一時三分休憩      —————・—————    午後二時十分開会    〔理事剱木亨弘君委員長席に着く〕

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。北村君。

北村暢日本社会党

○北村暢君 米価問題についてお尋ねいたしますが、予算編成にあたって大蔵省は逆ざや解消を主張いたしましたが、これを取り下げ、農林省がなしくずしスライド制を認めて、いわゆるげたばきスライド制ということに落ちついたようでありますが、そこで、現在程度の逆ざや解消は当分やらないと考えてよいか。今後の方針について農林大臣、大蔵大臣からお聞きをいたしたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 逆ざやという意味もいろいろな内容がとれると思いますが、現在の米価は、御存じのとおり生産者米価に対して消費者米価が安い、こういうような状況になっておることは御存じのとおりでございます。そこで、食管法のたてまえから申しまして、再生産確保のための生産者米価をきめ、それから消費家計を安定させる意味で消費米価をきめておるのは御存じのとおりでございますが。その間、全然無関係というわけでもない。さっき経企庁長官からも申されましたように、それらを上限下限としながら生産者米価、消費者米価をきめる。そこで少なくとも、そういう逆ざや的な現象があるということは、食管法の安定供給というたてまえからいくと、必ずしも正常でない。そういう意味から、われわれとしては、今後その逆ざやが広がらぬように、あるいはできれば少なくなるようにと、こういうような方向の努力は、食管会計の運営上で考えてまいりたい、こういうふうに考えております。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 最初おっしゃられるような考え方はございましたが、しかし、御承知のような今度予算の組み方をいたしましたについては、今後の生産者米価、消費者米価あげて農林省の今後のやり方に一任するという形でこれを決定しましたので、これを逆ざや解消をやるとかやらぬとかいうような方針は、あのときにきめたわけじゃございませんが、これから政府できめる問題だと思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 だから、これからきめる問題だから今後の方針を聞いているわけです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは農林大臣を中心にしまして米価審議会の意見も聞いてきめることでございますので、これからの問題だと思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 米価算定についての従来の方式を大きく変える考えはないかどうか。農林大臣。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 細部にわたりましては食糧庁長官からお答えを申し上げることにいたしますが、食管法の三条、四条によりまして、再生産確保のために生産費所得補償方式というものを最近とっております。この方式は、生産費において私は変えるつもりはございませんし、また消費者米価のほうも、同様に家計米価を一つの基準として米価をきめていくと、こういうことも方式としては変えないつもりでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今年度の米価算定にあたって、値上がり要因と値下がり要因は、今日の状態においてどのような傾向にあるか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 生産者米価等をきめるまだ時期には至っておりませんから、その間における経済動向等もこれから推算なりしていかなければならぬわけですが、労賃とかあるいは資材費とか、そういうようなものについては上がる要素があると思います。ただ、上がるにしましてもこれをチェックする要素としての労働の生産性であるとかあるいは反収であるとか労働時間の問題、こういうようなものは、これをチェックしていく要素もあると用います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その傾向はどのようになっているか、事務当局でいいですから。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) では食糧庁長官からひとつお答えします。

大口駿一食糧庁長官

○政府委員(大口駿一君) お答えいたします。  ただいま大臣申されましたように、生産者米価の算定にあたりましては、生産費所得補償方式をとっておりまする関係上、生産費の構成要素でありまする労賃並びに資材費は、これは正確な数字としては申し上げられませんけれども、従来と同様の傾向とすれば、これは上がる方向だと思います。それから生産性の向上、すなわち労働生産性の向上に伴う労働時間の減少は、従来おおむね同じ比率でもってだんだん減ってきておりまするので、これは稲作生産の機械化その他による効果のあらわれと思っておりますが、これはやはり従来と同様なテンポで減っていくと思っております。それから反収でございまするが、これはもちろん技術の進歩あるいは土地改良事業の施行等の効果があらわれてふえております。ほかに米価の算定にあたりましては、もしかりに昨年と同じ方式で計算をいたしまするというと、おおむね過去三年の反収というものの平均を米価算定の有力なる基礎にいたしておりまするから、昨年の米は御承知のように作況指数で申しまして一一一という非常に高い生産があげられた結果、高い反収になりましたので、これはやはり反収の増という形で米価の値上がりを若干抑制をする要因として働くと思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 下がる要因は詳しい説明ですが、上がる要因は簡単なようですが、毎勤統計の状況はどういうふうになっておりますか。

大口駿一食糧庁長官

○政府委員(大口駿一君) 別に下がるほうばかり詳しく申し上げたつもりはないのでございますが、実は賃金の問題は突然のお尋ねでございまして、私のほう、手元に資料がある限りでお答えをいたしまするが、米価の算定にあたって家族労働を都市近郊労賃に評価がえをいたしまするときには、五人以上規模の製造業賃金をとっておりまするが、いまここに三十人以上の数字しかございませんが、毎月の数字がちょうど一年前に対してどういう比率になっておるかという数字は、ここに手元に持っておりますが、昨年一年間で大体それぞれの前年同月に対して一番低いときで一一%、高いときで一四、五%くらいの伸びになっておる数字があらわれております。それから物財費のほうはこまかな品目がございませんが、御参考までに農業パリティ指数、これは農家が払いますもの及び役務の代金を指数化したものでございまするので、これで全体の傾向がつかめると思いまするが、この農業パリティ指数が、やはりそれぞれ前年の同月に対してどういう比率であったかという傾向を、過去一年くらいで見てみますと、指数の比較で低いときが四%弱、高い月が七%前後という数字になっております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 米価における労働賃金というのが約六〇%を占めているんですが、これがいま言ったように非常に上がっているから、私は、生産者米価は当然大幅に上がるんじゃないかということが想像されますが、反面、消費者米価は物価対策上上げたくないという意向があるが、しかしながら、これについて、そういう政策意図から、いわゆる消費者米価を低く押えることによって、逆に生産者米価を政治的に押えるという、こういうことはないかどうか、この点はっきりお答えをいただきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 私どもは食管法の規定に従って生産者米価は再生産確保という点から計算してまいる、片方は家計米価というものを基準にして計算をしてまいるわけです。ただその場合におきまして、物価その他の経済状況というものは当然勘案して、上限下限の中でやってまいりますから、特に消費者物価を上げないために生産者米価を意図的に落としてまいる、そういうような意味ではないのであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 スライド制をのんだということをよく伝えられているけれども、そういう意味において消費者米価と生産者米価が値上げ幅において異なることがあり得る、このように理解してよろしいかどうか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 食管会計は、もちろん米価というものが大きな要因でございます、会計の損益勘定の中で。しかし同時に、他の要因もございます。したがって食管会計全体としてこれらを考えてまいらなければならぬ。もちろん同町に、われわれとしては食管会計全体を考え、また総合予算主義というものも考えていかなければなりませんから、そういう中において消費者米価というものも食管法に基づいてきめる。そうなると、計算上どうなるか。そこで、先般来機械的にスライドするのではないけれども、消費者米価に影響することはありますと、こういうふうに答弁申し上げております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 消費者、生産者米価を同時に決定をするということはどうか、お尋ねいたします。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) この問題はまだ私どもとしては慎重に検討してまいりたい。いずれ米審等におきましてもこれらが論ぜられるときがくると思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 農林省の方針として、米価審議会にはかるのにどういう案ではかるか、それを聞いているわけです。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農林省といたしまして、米価審議会には、設置法によりまして、主要食糧等の価格の基本に関して答申を求める、諮問をする、こうなっております。したがって、その内容を具体的にどうするかということは、いずれもう少し時間をかけて慎重に検討をした上で案を考えたい、諮問案の内容を考えたい、こういうことでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 米審委員のいまだ決定されていないのはなぜか。相当たっておりますが、まだきまっていないのはどういう理由ですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 米審委員の構成につきましては、長い経緯はすでに御存じのとおりでございますから、長く申しませんが、すでに米審委員は、生産者、消費者を除外して発令になっているわけでございますが、ただそれに対して生産者、消費者を参加せしめるべきであるという強い議論が多く出ている点は私も十分承っております。その間におきまして、この席からもしばしば申し上げましたように、その構成等については、各党間の協議あるいは話し合いということもございますので、その結果を見守りながら、尊重して、そうしてこの運用をやってまいりたい。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いつきめるのか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) これは、したがって各党間の協議の結果を見てやりたいという考えでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 予算審議の間に決定できますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 各党間のお話し合いが進みさえすれば、私のほうもそれに準じてやらなければならないと思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 話はやっているのですか、これは。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) これは党と党との間のお話し合いでございまして、政府としては、直接これに関係するわけにいかない立場でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 私は参議院でこの予算を審議している間にひとつ結論が出るように政府としても努力してもらいたいということを要望しておきます。  次に、昨年の七月、首相が食管制度の再検討を指示し、関係閣僚会議でもって抜本的改正を目ざして検討することが確認されております。今年の米審でスライド制の答申の出ることを期待し、それは間接統制への布石であると報道されているわけでありますが、米審へ食管制度の改革について諮問する方針であるかどうか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) この席ですでに申し上げましたとおり、米価審議会に対しては主要食糧の価格の基本について政府が諮問することになっております。したがって、食管制度につきましては、巷間にいろいろな議論が流れていることは私も十分存じておりますが、米価審議会に対する政府の立場は、主要食糧の価格の決定の基本について諮問を申し上げる、こういう立場でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 食管制度の抜本的改革について政府が検討するようでありますけれども、する意思があるのか、どうなのか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 食管制度は、たしか昭和十六年か十七年にできまして——当時のいろいろな経緯からできました歴史を持っております。同時に、主要食糧を安定的に供給する、国民食糧でありますが。そういうふうにして食糧管理制度というものができ、現在に至っているのございます。したがって、これを扱いますには、各般から慎重な取り扱いをしてまいりたい。こういうふうに考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 慎重な取り扱いはいいけれども、検討を総理はすでに指示をしているわけです。それで政府は、農林省は、これを検討するのかしないのか。当然検討にかからなければならない。その場合、私は、かりにこれを検討するとするならば、米審ではなくして農政審議会で当然やるべきだと思う。その農政審議会にはかる意思があるかどうかお伺いしたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農政審議会は、御存じのとおり総理大臣の農政一般に関する諮問の委員会でございます。したがって農政一般の立場からいろいろな諸制度というものは諮問できると思うのであります。しかし、この点だけを取り上げてかけるかどうかということは、いままだ私どもとしてはきめておらないわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 総理大臣が指示していることは事実ですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 具体的に私は指示を受けておりません。ただ、長い政治の間におきまして食糧全体の、主食のあり方等について過去においていろいろな論議の経過はあったかと思いますけれども、私は、具体的に食管制度を直ちに検討に入れというような意味においての指示は受けておりません。

北村暢日本社会党

○北村暢君 従来食管制度を堅持するということを答弁しておりますが、これは法律改正するまでは、これはいままでの政府の答弁からいっても、まあ憲法でも何でも同じなんですが、食管制度を堅持するというたてまえはそのとおりです。しかしながら検討するのは自由だとよく総理もいっておるわけですね、だからその検討を指示をされていないということのようですけれども、いわゆるこのスライド制、それが間接統制への布石である、こういうふうにいわれているわけです。しかもこれは報道されているわけです。したがって、農林省としてはこの報道を否定するのか、また全然検討する意思を持っておらないのか、重ねてお伺いします。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農林省といたしましては、いろいろな重要問題がございます。したがって、それぞれの一環としては当然絶えず行政にあっていろいろな角度から勉強してまいる、研究してまいるということをいたしていかなければならぬと思いますが、特にこの機会にこれだけを取り立てて検討するという意味ではなくて、全体の問題の中の一環として、すべて情勢に合わせて考えていくということは当然のことだと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いやその行政当局でそういうことを常に検討するのはあたりまえの話ですが、それが具体化して農政審議会にはかるような、近い一、二年の間にそういうことになるのではないかと思われるのだが、どうかということをお伺いしている。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 食管、主食ないし、これに伴うところの基幹的な制度の扱いというものは、非常に影響するところが大きい、それだけに私としてはこの取り扱いというものは慎重に扱っていきたいという考えであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に、農民年金についてお伺いしますが、佐藤総理は前の総選挙で農民にも恩給をと発言して、大量の農民票を獲得したのでありますが、農民は大いに期待をしておるわけであります。今後どのようなことで対処するのか、しているのか、これを、この点について農林大臣、厚生大臣に、それぞれからお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 農民年金についてはしばしば質問を受けますが、必ずしも順調に進んでおりません。ただいまの過程では、国民年金審議会で農民年金の特殊部会を設けて、農林関係も入れて、そこで検討してもらっておりますが、省としてはまず農業共済その他の関係等もございまするので、農林省にまず検討していただいて、その上で農林省と私のほうと話し合って、審議会の結論を待って、それでやろう、私のほうとしましては、四十四年度が国民年金の財源の再計算の時期でございまするから、これに伴って各種年金の改善等を考えておりまするから、それと見合ってやれば幸いであると、ただいま検討しております。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農民年金と申しますか、農業者年金と申しますか、いずれにしましてもこの問題につきましては農林省部内におきましても研究はいたしております。同時に、農民年金問題研究会というものを部外に置いてもらいまして、それに委嘱をしまして、そこだけの立場から成案を得るようにやってもらっております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その研究会の結論がこの三月末ごろまでに出るであろうと期待されておったようで、相当審議の内容が進んでおるようでございますが、その経過をお伺いしたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農林省の建前といたしましては、もちろん老後の保障という問題も一つございますが、同時に、経営移譲と申しますか、若返りと申しますか、その際におけるところの年金的なものをここへつくり上げていく、こういう内容のもとに検討していただいております。まあ、ただいま三月に、いま四月でありますが、近く出るか出ないか、もう少し時間がかかるのではないかと思うのでありますが、いずれにしましても、その結論ができますれば部内で研究をとげる、同時に厚生省のほうの年金審議会の専門部会とも連係を取りながら、最終的には国民年金審議会の成案を得て、そうして実施の段階に入る、こういう考えでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 経営移譲年金というものの性格、どういうことを考え、検討され、論議になったか、この点について概要を説明願いたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) まだ具体的にはこれをどういう形でするかは煮詰まっておらない段階でありますが、年金としまして考えた場合には、一つは老後の保障という人的側面がございます。いま一つは、老人に一つの経営体から、それがどちらかというと、農村では生活をしてまいりますのに、経営の能力のない、ただそこにじっと何らの老後の安定性がないために経営の交代が行なわれにくいという実情がある。したがって、そういう観点から経営の移譲を促進していくような意味においても、これは政策的に利用できないか、こういうような観点から研究をしてもらっているわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 事務当局でいいですから、もう少し詳しく説明願いたい。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 私どものほうでも検討しておりますが、農民年金問題研究会のほうでも実際に実態的な調査といったようなことを通じましてやってもらっておりまして、たとえば現在、農村の実態における経営移譲といったようなものの関係、移譲の条件について当事者がどういう意向を持っているか、あるいは経営の移譲と営農改善との関係はどうかといったようなこと、また経営者の年令で、一体経営に対する意欲なり、あるいは能力なりにどういう差があるかといったようなことを通じまして、経営移譲と老後保障の関係ということを詰めておるわけであります。そういう段階でございまして、まだ制度なり、あるいは内容なりといったようなものについて、どういう形を取ってまいるかというふうなところまでは十分煮詰まっていない段階でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 経営委譲を促進するというのは、いわば離農促進の、離農年金ともいうような性格が強いのではないかというような感じを受けるのでありますけれども、反面、経営を細分化するという目的も持っているようでございますが、こういうことが年金でもって目的が達せられるかどうか、この点について見解を承わりたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) ただいま御指摘のような議論もございまするが、年金の本質的な性格はやはり老後の保障でありまして、経営移譲のため、あるいは離農のため等の年金等はいろいろ議論があるところであると考えまして、この点も含めて審議会に検討願っております。なお、審議会の結論は、これは明年より少しおくれてまいるのではないか、しかし、なるべく急いでやってもらっておりますが、それ以前に農林省だけの検討している問題の結論が早く出てくることを期待しております。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 経営を移譲いたします際に、従来から問題になっておりましたことは、御案内のように、相続との関係、あるいは生前贈与との関係で耕地が細分化をされるというふうなことが心配をされておったわけであります。で、若干、それの対策といたしまして、御案内のように、税制等で措置をいたしております。また、第三者に対しまして、後継者でなしに第三者に対しまして経営を移す、あるいは土地の移譲をするといったような際にも、その移り方が必ずしも構造の改善といったような方向に十分マッチしているかどうかという点も、現在、問題のあるところでございます。まあそういった観点から、経営の移譲の姿と、老後保障と言いますか、農民の老後保障とは、どういう関係を持つものであるか、どういう影響を持つものであるかというふうな点につきまして、主として実態面から調査、検討を進めておるというふうなのが現在の段階でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 適用対象は、一定の経営規模のもので経営主ということになっているようだが、その範囲、どのくらいのものが適用になると考えておられるのか。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 適用の対象につきましても、実は、諸外国においてもいろんな形がございます。フランスあたりでは経営主とそれから従業者も含めたような形でやっておるところもございますし、あるいは西独等におきましては強制加入の対象になっておるものは経営主のみといったような形になっております。また、あるいは経営の規模からいたしましても、一定の所得を基準にいたしまして、あるいは、耕地面積といったようなものを基準にいたしまして、適用対象を考えておるという諸外国の例も実はございます。そういうふうなことで、それぞれ制度の目的なり、あるいは性格に応じてそういったものもつくれるであろうということで、私どもとしても、全体の制度の中でそういったものをどう考えていけばいいか、目下検討をしておるところでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 農民年金の、独立した年金として、農民か農業者年金かわかりませんが、独立した年金としてもっていくのか、それとも国民年金の中の一つの種類として厚生省所管でやっていくのか、この点について方針を承っておきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) この問題は今後の検討事項になると思います。内容そのものがどういう内容になっていくかによりまして、私どもは、国民年金審議会等におきまして、こういう問題を十分内容を煮詰めた上で結論を得たい、こう考えておるわけです。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 関連。いまの北村委員の発言に関連しまして二、三点お尋ねいたしますが、一つは、どうもいままでの農林大臣なり、それから農林省の当局の説明を聞いていますと、これは、大臣は四十四年度から実施するというようなことを目途にしてというような話しをしておられるのですが、いまのような話しでいきますと、とてもそういうことになりそうにはないですね。それはどうなのか、それが一点と、それから農林省としては、いままで農林省が出しました方針は、昨年の八月出しました構造政策の基本方針の中には、これは、政策年金として、はっきり規定をしておるわけですね。それから、大臣も談話で発表しておるわけです。政策年金として出ている。あの中には三つ出ていますね。老齢と経営者と離農、この三つの年金がはっきり出ているわけなんです。それがいま話を伺いますと、厚生省との関係でだんだん変わってきて、相当変わってきているように思いますね。もう少し具体的に説明願えませんでしょうか、大臣。農林省の考え方ははっきりしておったんですよ。それが相当変わってきているように思いますからね。その点をはっきりしてもらいたい。  それから事務当局のほうは、一体いつごろこの大沢研究会はこれは出すのか。それはあくまで中間報告なんですか。最終報告なんですか。そこら辺もはっきりして出してもらわないと、これは四十四年度からということに非常に関係がありますから。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) お答えいたします。  別に従来と変わってはいないと思うのでありまして、問題はこの制度の内容の煮詰め方についてわれわれとしては研究会を中心に一つの成案を得て、それを農林省で研究し、やがては最終的には国民年金制度審議会のほうでも御検討になっておりますから、審議会で最終結論を得ると、こういうたてまえでございます。そこで、厚生年金のたしか再計算が四十四年である、したがって、国民年金もその際に動く、その中の一環として今度は農業年金といいますか、農業者年金と申しますか、農民年金と申しますか、これをひとつめどにして実行に移す運びにしていくというのが私の考え方であります。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 研究会のほうの進捗の状況でございますが、二つの側面から検討していただいております。一つは先ほど来申し上げましたように、農村の実態なり、あるいは農家、それから指導者の意向といったようなことを調べておりますので、そういった調査の結果と、それから一方また、ある意味では理論的といいますか、そういう観点からやってまいりましたことといま突き合わせをいたしましてやや細部にわたって検討をしていただいております。私どもとしては、できるだけ早くその調査結果と検討とを突き合わせたものをまとめていただいて、私どものほうに出していただくようにお願いをいたしておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それは非常にあまい。これはおかしいので、農林大臣は衆議院でも答弁しておられるように、この農民年金は——まあ仮称農民年金というこれについては、四十四年から発足をするのだというような答弁をしておられるのですよ。それには、これは農林省だけで結論出るわけじゃないのだから、厚生省のほうとの関係は非常に深いわけですから、農林省としてはいつごろまでに大沢研究会が結論を出さなければ動かないということははっきりしていると思うのです、それくらいのことわからないでやっているわけはないのですから。ですから四十四年度に間に合わせるなら、それは大沢研究会が出すほぼ目標というものをはっきりしなきゃいけない。それが中間報告なのか最終報告なのか、それもはっきりしなければならないと思う。  それからもう一つ、これは厚生大臣に伺いたいのですが、昨年の十一月でしたかね、厚生省は国民年金についての調査をやりましたですね。あの調査の中で農民は老後を何にたよるかというような調査をされて、その中でその年金にたよるというのは七%でしたかな、九%でしたかな、えらい小さな数字を出して、だから、農民年金なんというのは国民年金からいえば、これは大した問題じゃないのだと言わんばかりのものが報道されたことがあるのですがね。私は、厚生省としてはあくまで国民年金の中に押し込める、そういう非常に強い方針があるのですか。それも厚生大臣からついでに伺っておきます。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) ただいまパーセントを言われましたが、私はそのパーセント言った覚えはございませんが、あらためてここで申し上げますと、そのパーセントは低くなっておりますが、それは年金にたよるという意味のパーセントではなくて、そのパーセントの出しかたが、自分で働ける間は自分で働きたいというのが七〇%で、それから働けなくなったら子供に扶養してもらいたいというのが十何%で、あとまた年金にたよりたいというのがそのあとという意味でございますから、年金にたより方が農民が少ないという意味ではございません。これは一〇〇%の最初の計算のしかたが間違っておるのですから、そのパーセントは決して農民の老後を保障する年金が必要性が少ないという意味ではございませんから、そのような印象が事務当局からの何かございましたら、この際その性格をはっきり訂正さしていただきます。  なおまた、あとの御質問の厚生省は年金としてやるのか、これはその年金自体が再検討の時期にきておりまするから、その将来の発展の方向を見きわめつつやりたいと思いまするが、先ほど北村委員から御質問のありましたことも、政策年金的なものになるのか、老後保障の年金になるのか、その結論によって私のほうの年金制の中に繰り入れていくのか、あるいは農林省のほうでやられる特殊な年金になるのか、私個人としてこのように考えておりまするが、いずれにしても総理もしばしば言明しておりまするし、そればかりでなくて大事な問題でありますから、十分努力してこれに当たりたいと考えております。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 先ほど来申し上げておりますように、私としましても、農民年金問題研究会のほうで、できるだけすみやかに成案を出してもらいたいということは念願しておるわけであります。その上で今度は部内研究を急ぎまして、さらに国民年金審議会の成案を得てもらうこと、それは大体四十四年をめどにしておりますので、われわれとしても四十四年をめどにどうしてもそういう方向で進んでいきたい、これを申し上げておるわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 四十四年度にやるためにはもう予算編成はこの八月から始まるのでしょう。だからその八月から始まる予算編成に間に合うように結論出さないというと、四十四年から実施できないことになる、それを聞いているのです。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 衆議院の予算委員会でも申し上げておるのでありますが、成案を得るのには国民年金制度審議会の成案を最終的に得なければならない。そこで厚生年金がそのときにかわるのに年金全体をかえるからというので、四十四年というのでかえようと、それをめどにわれわれは進めていきたい、これを申し上げておるのであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 次に、国有林労働者の雇用安定の問題についてお伺いいたしますが、国有林野事業に従事する作業員の最近における雇用区分別の人員の推移についてどうなっているかお伺いいたします。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 林野庁長官からお答えいたします。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) お答え申し上げます。四十年から出してよろしゅうございますか、もっと前からでございますか。

北村暢日本社会党

○北村暢君 傾向だけを三十五、六年ごろからやってください。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) それでは三十六年から申し上げます。  三十六年に常用が一万八百九十六名でございます。それが三十七年が一万一千四百二名、三十八年が一万一千七百八十八名、三十九年が一万一千七百九十一名、四十年が一万一千二百四十名、四十一年が一万七百九十二名、四十二年が一万三百三十三名でございます。  定期につきましては、三十六年が二万七千四百七名、三十七年が三万四百八十五名、三十八年が三万五千三百四十五名、九年が三万五千九百四十一名、四十年が三万三千七百六十九名、四十一年が三万一千百十八名、四十二年が二万九千百十八名でございます。  それから日雇いを申しますと、三十六年が二万五千四百三十名、三十七年が二万二千六百八十九名、三十八年が一万五千七百九十名、三十九年が一万一千二十八名、四十年が七千十四名、四十一年が四千九百四十九名、四十二年が四千三百四十六名、以上でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 それで、いま言った数字からいくというと、どういう傾向になっていると判断しておりますか。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 国有林の労務につきましては、安定的な方向にいこうということでございまして、先ほど申し上げました常用、定期、月雇い、日雇いというものがございますが、これは人員頭数がなかなかわかりませんが、そういう形で従来は日雇い、日雇いという方が大きなウエートを占めておったわけでありますが、安定的な方向をたどるということで、常用、定期が中心になっております。したがいまして、現在におきましては、日雇いの人員頭数がわかりませんが、月雇いを含めましたいわゆる人員頭数におきまして、常用なり定期が約九〇%を占めるというような方向でございます。そのように努力してまいっておるような次第であります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その努力はわかりましたが、常用にしても定期にしても、昭和三十九年からいたしますと、四十二年度相当減ってきておりますが、その減少している理由は一体何か。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 日雇いを含めました雇用全体の形といたしましては、国有林の機械化その他の合理化によって減少してまいっているわでございますが、常用、定期、いわゆる安定して雇用してまいりたいという形の人が若干減っておりますことは、本人の希望等によりまして民間その他に流出していっているというのが現状でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 事業量は拡大しておるようですが、それで満足な仕事ができておるのですか。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 国有林の事業は御承知のように機械化関係を通しまして逐次上昇いたしておりまして、ユニット制その他の採用によります合理的な方向をたどっておりますので、仕事上は差しつかえがございません。

北村暢日本社会党

○北村暢君 私は仕事上は差しつかえない言っておりますけれども、これは請負を導入するとか何とかという——事業量そのものはふえているけれども、請負の導入というようなものがふえてきておるのではないか、そうして減っている原因はやはり労働条件、賃金等が低いから、いたたまれなくて流動していっている、このように思うのですが、この見方は間違っておるかどうか。お伺いしたい。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) ただいまのいたたまれなくなって逃げていっているのかというふうには、われわれ解釈はいたしません。ただ、たとえば従来特殊の指導者というような人は、民間に出る場合に確かに特殊な人に対しては高賃金を出すようでございます。したがいまして、そういう人が抜かれていくという傾向はございますが、いたたまれないというふうには私たちは現在のところは解釈しておりませんけれども、しかし、労働の賃金の問題については、今後十分他産業とも関連しながら検討して、考慮してまいりたいと、かように思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 国有林野事業の近代化のためにも優秀な労働力を確保することは非常に大事であろうと思いますが、現実に常用、定期の人員が減りつつあるということは事実でありますが、優秀な労働力を確保するための具体策はどのようにお持ちになっているかお伺いします。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) ただいま申しました国有林の中で、常用労働者というのは先ほど申しました一万名程度でございます。したがいまして、定期その他の人がだいぶおるわけでございますので、われわれといたしましては、通年的な雇用をはかってまいりたいというふうに努力しておるわけでございます。ただ、遺憾ながら現在の山林事情と申しますのは、季節的な関係が相当影響を持つわけでございます。したがいまして、場所によりまして、必ずしも通年に即座に結びつき得ないというところもございまするが、冬山作業等も検討中でございまして、できれば通年的な形で安定した姿をとってまいりたいと、かように思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 通年的な雇用の安定の方策を講じていく、これはまあけっこうでありますが、それ以前の問題として労働条件の改善その他が考えられるわけでありますが、後ほどこの問題はまたお尋ねいたすことにいたしまして、常用作業員のうち機械関係要員の定員繰り入れの状況はどのようになっておるか、この点についてお伺いをいたします。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 機械要員でございますが、四十一年に機械要員の定員外の任用をいたしました数字が二百九十七名でございます。したがいまして、四十二年には二千四百二十六名現在残っておったわけでございますが、四十二年度末に三百名の定員の任用をいたしたわけでございます。したがいまして、四十三年度に残っております人員は二千百二十六名、以上でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 行管長官にお伺いしますが、二千百名程度のまだ機械関係要員が残っておるわけですが、いまの状態でいくというと、これは七、八年、十年近くかかるんじゃないかとこのように思われるんですが、定員管理をやっているたてまえから言って、こういうことが望ましいことなのかどうなのか、ひとつ行管長官からこの問題を十分御承知のはずでありますので、今後の考え方、定員管理の面からひとつ方針をお伺いいたしたい。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 北村さんのお話しのとおりに、私は望ましいことではないと思っております。そうでありまするから、でき得る限り速度を早めまして、そうして定員に繰り入れるよう要求いたしていきたいと考えております。幸いに農林大臣は理論的にがんこなところもありまするけれども、聰明でありまするから、思い切って話を進めてまいりたいと、こう考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 行政管理庁長官の気持ちはよくわかりましたが、いま私どもは当然これは五%人員削減の方針がなされて減らす方向にあるのに、ふやすというのでありますから、行政としては非常に困難だと思う。しかし、これは三十六年の常勤労務者の定員化のときに、当然入れるべきものが残ってしまったわけです。したがって、五%削減以前の問題として、私どもはこの定員化をするのが当然である、このように思うのです。行管長官のいまのお話によると、農林大臣はがんこであるけれども話せばわかるということのようで、なるべく早く解決というんですが、これはめどとしてどのくらいをもってやられるのか。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 私、行管長官になりまして、その定員の問題と取り組んで、あとにこの問題を発見したのであります。非常に重要な問題だと思ったのであります。いつまでも常雇いというような姿で置くべきものではない。とにかくこういう人々にも希望を持たして働いてもらうことが一番大切だ。したがって、ことしの一番大きな課題として、この問題の解決と取り組んでまいりたい。こう決心をしたのでありまするから、この決心のあることだけはどうか御了解いただきたいと思います。ただ決心はありまするけれども、残念ながらこの問題で農林大臣と話をしたことはありません。ただ農林大臣は私よりも頭がいいもんですから、いろいろな話の過程において、困難もあるだろうとは思いまするけれども、ともかく目安をつけてみたい、この決心はより以上かたいのでありまするから、いつごろと言われますると、いまだ話し合いをしたこともありませんから、いつごろと問い詰められると残念ながら御返事申し上げることはできませんけれども、決心のかたいやつだと、こういうところでお許しをくださるようにお願いを申し上げます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 四十二年度末の林野関係の政令定員の欠員はどのくらいあるのか、またそれは何%くらいになっているのか、この点をお伺いいたします。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 予算定員の欠員は四十二年度末で二千四百三十七名でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 何%ですか。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 予算定数が四万七百十六名でございますので、計算しますと約五%でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 従来六%程度の高い欠員を持っておるのですが、なぜこの定員の繰り入れによってこれが解消できなかったのか、その理由をお伺いします。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) ただいま先生のお話しの五、六%は欠員になってるわけでございますが、なぜそれが即座に埋められなかったのかということでございますが、まずこれはどこの関係各省でもあると思いますが、人事管理上やはり一定の人員を保留しておきませんと円滑な運営ができないというふうに考えます。大体一%程度はそういうものに充てなくちゃならないというふうに思います。残りのパーセンテージにつきましては、林野庁といたしまして、職員の年齢が高齢化しております。したがいまして、予算の実態と単価に若干の食い違いがあるわけでございます。そのようなことから、満度にこれを入れますと、予算の運用上も問題でございますので、従来の五、六%定数欠員というのは簡単に埋め得ないという状況でございまして、簡単に申しますとさようなわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 四十二年度の俸給予算の実行内訳について、それと俸給予算と実行の対比について御説明願いたい。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 四十二年度の実行でございますが、予算につきましては四万一千百十四名の実は人数が定数でございますが、実行におきましては三万八千四百九十七名ということでございます。ただ、予算の単価につきましては三万七千二百七十一円ということでございましたが、実行におきましては三万八千四百七十八円ということでございます。したがいまして、総金額にいたしますと、予算におきまして総金額が百八十三億九千六百万、実行におきまして百七十七億七千六百万ということに相なりまして、差額といたしまして六億二千万ということになっております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 大蔵省にお伺いしますが、予算単価と実行単価の差が千二百七円ばかりあるようですが、これは大き過ぎませんか。

村上孝太郎大蔵省主計局長

○政府委員(村上孝太郎君) お答え申し上げます。  五現業いろいろな合計がございますけれども、これはすべて独立採算をたてまえとして、できるだけ能率的な実行のしかたでやっていくというたてまえでございます。そこで、給与予算の積算をいたしますときには、定期昇給率あるいは新陳代謝率というものを五現業の平均でやっておるわけでございます。もちろんこの差はすべてそれからのみ来ているというわけではございませんけれども、現在定期昇給率にいたしましても、新陳代謝率にいたしましても、国有林野事業特別会計の実態というのは、他の五現業平均に比べましても新陳代謝率が非常に低いというところからそういう差が出ておると、こう私どもは見ております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これはひとつ、実行単価と予算単価がなるべく近いことが望ましいと思いますから、この点はひとつ配慮してもらいたいということをお願いしておきたいと思いますが、さらに、六億二千万円の俸給予算が仲裁裁定の実施の原資に充てられている、この点について、私はこれは当然欠員補充をしてしかるべきものであるというふうに思いますが、結果的には原資に充てられておることについて、今後どのような考え方を持っているか、農林省、大蔵省、両方から御説明願います。

片山正英林野庁長官

○政府委員(片山正英君) 四十二年度六億二千万は、確かに仲裁原資として回したわけでございますが、そのほかに予備費からも同じく六億二千九百万の流用をいただきまして実施したわけでございます。ただ、今後、いまのような仲裁の問題でございますが、われわれは当初予算がきまった段階におきましては、仲裁配分ということは予定いたしておりませんで、先ほど申しました人員管理の問題による定数とか、あるいは休職者の復帰の定数とか、あるいはその他いろいろな定数を計画的に一応織り込んでおるわけでございます。しかし、実行の過程におきまして、それがそのように必ずしもいかないということで結果的に年度末に余裕が出て、それを仲裁原資に充てたということでございまして、当初からそれを予定しているわけではございません。  ただ、じゃあ欠員補充に余ったものを即座に入れればいいんじゃないかということでございますが、これは御承知のように、機械要員の繰り入れもいたしておりますので、新卒の、新しい卒業者の入るのと、ある程度の高齢者の方で俸給の高い人が入るのとでは、実態的に非常に違います。したがいまして、今後の昇給率等を考えますと、次年度以降の問題も当然考えて対処していかなければ、これが運営に支障を来たすというふうに考えられますので、直ちに余ったものが即座に定数の繰り入れというふうにはまいらないわけでございますが、次年度以降の関係もよく見まして、かつまた、今後退職するであろうそういう人も見まして計画してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。

村上孝太郎大蔵省主計局長

○政府委員(村上孝太郎君) ただいま林野庁長官から御答弁いたしましたことに大体尽きていると思うのでございますけれども、国有林野の会計の収益というものは最近非常に不安定でございまして、今後いろいろな技術的な改良面も加えて、大いに能率的な施行をしていただきたいと思っておりますが、その範囲内で林野庁ともよく相談をいたしたいと思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 仲裁裁定の実施の原資が十三億のうち六億を、結果的に欠員をつくってこれを補充したという形になっているわけです、大蔵大臣。これはひとつ今後の——農林省の定員管理が悪いといえば悪いのですけれども、結果的にそういうふうになっておりますから。欠員をつくって仲裁裁定の原資を半分浮かしている、こういう結果になっております。それで反面、定員の中に入れるべきものが現実におる。この点はひとつ十分考えていただいて、今後の方針をひとつ、農林大臣と大蔵大臣から考え方をお聞きしておきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 機械化要員を定員の中に入れろと、そうして毎年部分部分入れている努力はお認め願っておるのでありますが、二千百名ですか、一挙に入れたらどうか……。

北村暢日本社会党

○北村暢君 一挙にじゃないですよ。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 入れていったらどうかというお話もわかります。ただ、もちろんそれに対して人事管理、予算単価、実行単価の問題と、仲裁裁定の原資に結果的に多少回ると、こういうようなところで、われわれといたしましては、将来欠員をできるだけ取り上げて入れるようには、弾力的な運用というものにはできるだけ努力してまいりたい、こういう考えであります。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 先ほど私のほうの主計局長から述べましたように、今後農林省と十分相談して善処したいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこで、私はなぜこの定員問題が起こるかというと、一万一千名のうち機械化要員だけ定員化するという方針でございますが、残る人は常用作業員として残って、これがやはり定員内職員と非常に処遇上において差があるわけであります。そこで、その差があるために、たとえば祝日の有給化、これも祝日は無給である、退職手当等についても支給において差がある、こういうことで問題が起きておるわけです。  そこで、私はこの科学技術庁長官から表彰状をもらっておる上田増男君という人から、こういう表彰状は要らないから、ひとつ食える賃金をもらいたいということで、この表彰状を返してくれと言われているのです。科学技術庁長官にこれをお返しいたしますから、ひとつ受け取ってください。この人は常用作業員として勤続十五年、一日の賃金が一千十七円、月収が二万六千円、家族数が本人を入れて五人です。三十八年に表彰を受けて、科学技術庁長官から受けて、そして全国を指導に歩いておる。そして、なおかつ常用作業員という身分で、非常に食っていけないということで、こういうものは要らないから、ひとつ食えるようにしてくれと、こういう要望が出ておる。したがって、祝日とかなんとか、こういうものについてあとから答弁願いますが、ひとつ表彰するときには食えるような方法で表彰をしてもらわなければ、表彰状では食えないということです。その点はひとつ十分配慮していただきたい。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(鍋島直紹君) 上田さんの表彰につきましては、ただいま先生から言われましたように、昭和三十八年に近藤鶴代長官のときに受けているわけでございまして、内容は創意くふう功労者としての表彰ということになっております。そして農林大臣の内閣に対する御推薦によって、いまのような創意くふう表彰という形で科学技術庁長官功労賞といいますか、表彰が行なわれております。いまお返しをいただきましたが、実をいうと返還規定も何もございませんし、表彰でございますので、いわば今日その場の時点における功労者としての表彰ということになっております。私としてもたいへん困却するわけでございますけれども、一応お預かりをいたしたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) まあ日給制の職員が国民祝日その他で無給になっておるという問題だと思います。これは待遇改善の問題でございまして、これはもちろん御意見はわかります。ただ、他省庁等におきましても、いわゆる三公社というのが同じような形で扱われている関係があるのでございます。それですから、私らのほうとしても、全体として待遇改善全般の関連においてひとつ慎重に検討していきたい、こういう考えであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 改善に努力するということですね。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) そうです。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして、北村君の質疑は終了いたしました。     —————————————

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 次に、宮崎正義君。  なお、宮崎君に申し上げます。御要求のございました東京歯科大学教授上田喜一君が参考人として出席しております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 最初に、農薬禍についての私は質問をいたしたいと思います。  農林省、厚生省の方々がこの二年間まじめにこの農薬問題に取り組んでいただいて、進歩的な対策がなされたこと、これは私は認めていいと思うのであります。昭和四十一年の二月二十五日に農林水産委員会において公明党が農薬禍問題を取り上げたことが発端になりまして、農薬がいかにおそろしいかということがしばしば衆参両院で取り上げられまして、現在までのその農薬禍のこうむった被害、公害といいますか、そういう状況を詳細に発表をしていただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 昭和四十二年度における農薬による事故発生状況は次のとおりでございます。  散布中の中毒が二百八十八、死亡が十六、あやまって飲んで中毒を起こしたものが十六、死亡したのが二十七、自殺または他殺の目的をもって中毒を起こしたものが百二十六、死亡が六百七十二。これはただ農薬だけの問題でございますが、その間接的な状況等もこれに関連して相当出ております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 農家の人は、とうとい人体を犠牲にして、そして増産をはかって、経済生活を豊かにしようとしておるわけであります。そのために農薬が激しく使用されるようになるわけです。それにむちうつかのように新農薬がどんどん販売されてくる。毒性だとわかっていても、取り扱い使用上が非常に粗略になってくる。いま発表されたとおりであります。農薬の十年間に使ってきました使用量というもの、それを示していただきたい。また、その死亡の中に、いまお話等がありましたが、もう少し詳細に聞きたいのでありますが、誤用によりまして自殺あるいは他殺等があるのも、こうした現況の中で現在の農薬禍が大きな社会問題になっていますし、こういう点につきまして、農林、厚生の両大臣の所見をまず伺っておきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農薬によりまする被害防止につきましては、毎年被害防止運動というのをやって、農村の指導者、使用者、この認識を高めますが、特に四十三年度からは、新たに農薬の安全使用対策事業というのを起こしております。全国には約一万人の病害虫防除員、それによる指導を強化して、末端の共同防除体制について整備をはかっております。また、低毒性の農薬の使用につきまして、毒性の強いパラチオン剤とかテップ剤とかいうものは全面的に毒性の低い農薬に切りかえる方針を立てておると、こういうことの促進をはかっております。農薬の使用などにつきまして、なお一そう今後適正化と安全使用の徹底をはかってまいりたいと思うのであります。今般の四十三年度予算におきましても、これに関係する所要の予算の御審議を願っておる次第であります。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 危害を防止するために保管、管理、使用等の適正化を期することが必要ではありまするが、それよりも以前にさかのぼって、使用から今日までの状態をもう一ぺん謙虚に検討してみる必要がある、こう考えて私は事務当局に命じております。と申しますことは、やはり根本対策は、毒性の低い農薬を開発して、毒性の強いものは使用を禁止するということが根本的なことでなければならない、しかも、その毒性については、治療の薬を使用する場合、やはり根本的な問題は、慎重に絶対に間違いないということを基本にして認定をしなきゃならぬが、毒性の認定をする場合は、やはり疑わしきものはこれは認定をせず、絶対に間違いがないというものだけ認定するというような方針に、将来もっと綿密に変えていかなきゃならぬ、こう考えております。なお、食品に残る毒性の許容量、残留の許容量については、その許容量を設定して、それぞれ各食品について検討しておるところでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 まだ残ってます。農薬の十年間の使用しているその率を示していただきたい。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 農薬の十年間の生産の状況でありますが、生産金額にいたしまして申し上げますと、二十四年から三十一年までの状況でございますが、二十一年は全体で二十六億、それが三十一年になりますと百四十二億、それから最近のほうへまいりますと、四十一年までの状況では五百八十七億というふうな状況でございます。これは生産金額の数字でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 関係両大臣に所見等も伺いましたんですが、農林大臣のお話にございました低毒性の問題についてはあとでまた質問を除々に進めていきたいと思います。それから厚生大臣の御答弁になりました許容量等の問題につきましては、またあらためて伺っていきたいと思います。末端等の使用について農林大臣のおっしゃいましたことも、逐次質問の段階を追ってさらにお伺いしていこうと思います。  そこで、いまの発表がありましたように、二十一年では二十六億、そして四十一年になりますと五百八十七億という、こういうふうに上昇をたどっているわけであります。そこで、私のこれは調べたものでありますが、農薬を使用する農業従業者が、一年間で農薬による中毒症状を起こしたものが四二・三%ある。農薬使用農家戸数を約五百万戸と仮定して、一世帯一人がその散布に従事したとすると二百十一万五千人の人が農薬中毒におかされている。農薬の一年間の消費額は、先ほどお話がありましたように六百億近い、これだけの農薬が使用されているということ、これは食糧の生産面では数千億の経済効果をあげているということは、これははっきりわかるわけであります。その反面、健康や生命に関する問題があまりにも取り上げられてなかった。これは明らかに、私は政府の責任じゃないか、こう思う次第ですが、いかがでしょう。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農薬については、できるだけ今後も低毒性のもの、まあ農薬で全然無毒なものでやるならいいですが、この開発はむずかしいと思うので、やはり低毒性というものの利用というところに漸次持っていきますと同時に、われわれといたしましては、使用の分野でございますから、使用につきましてできるだけ細密ないろいろな注意を払ってまいりたい。それからさらにこれを登録するという場合におきましても、いろいろな問題がありますれば絶えず厚生省とも連係を保っていく、こういう考えであります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 低毒性の問題はまた後に申し上げますが、登録の問題等も私は随時申し上げていきます。  農薬の販売をめぐりまして二月二十七日に参議院の法務委員会において論議がされたようであります。何か農薬禍をめぐって農林省と厚生省とのお互いに責任のなすり合いがあるようにあの議事録から見ますと、そういうふうに私は思えてならないのです。この点について両相の御意見を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) ただいままで農薬の登録の責任は農林省が持っておるわけでありまして、その危害防止について両省で連絡を密にすることになってきておるわけであります。したがいまして、何か意見の食い違いでも、その点にあったと思いますが、この際これについて所見を申し上げますと、これは農薬ばかりでなく、公害そのものがそうでありますが、何か企業にしましても、あるいは農薬の使用にいたしましても、そのほうが主目的であって、その危害を防止するのが厚生省であるということでは、完全な生命と健康は守れない。やはり使用の認定あるいは企業をやるについての場合に、人命と健康というものをワク内においてやるというふうに今後考えを変えなければならぬ、こういう意味において、先ほど大いに反省をするということを申し上げたのは、そういう意味でございます。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 私のほうは、御存じのとおり使う立場でございます。ただ御存じのとおり、農薬の登録申請がありまして、その場合において有毒な農薬につきましてこれを厚生省に十分連絡をして、毒物及び劇物取締法によるところの指定を待って登録をする、この手続は厳重にやっております。それから農薬の危害防止運動、これは農林省、厚生省と毎年共同で全国的に実施をしてまいっておるのであります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私は専門家ではありませんので、医薬上のまた用語等も知らないものですから、質問にしろうとなりの話が出ると思いますが、まずここで私は、農薬禍の抜本対策について伺っておきたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 農林省といたしましても、先ほど申し上げましたように、四十三年度には特に新たに農薬の安全使用対策事業というのを起こしております。全国には末端に一万人の病害虫防除員というもので非常に指導の強化をはかっておる。それからもちろん末端には共同防除体制、これの強化、整備をやっておるのであります。これに対してさらに先ほど申し上げましたように、四十三年度におきましては必要な予算措置等を新しくお願いしているものもございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 共同防除作業とかあるいは安全対策を講ずるということは、後ほどまた一つ一つこまかくお伺いしてみたいと思いますが、まず最初に毒物と劇物の格づけについて伺いたいと思います。なお、農薬で解毒剤のあるものとないものがある、これを明確にしていただきたいと思うのです。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 所管大臣でありますから知っておりまするが、大事な問題でございますから、事務当局から専門的にお答えさせます。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) お答えいたします。  現行法の毒劇物法によりまして、毒性なり劇性を持っておりますのは三段階に分かれているわけであります。毒物と劇物と、それから特定毒物という三段階に分かれております。毒物、劇物の毒性なり、劇性を規定する基準としましては、化学的に私どもとしましてはLD50という動物の半数が致死量に至る数値というものを基準といたしましてやっているわけであります。これは経口毒性の場合でございますが、それ以外に吸入毒性なりあるいは皮膚粘膜に対する刺激性、そういうものを総合的に勘案しまして毒性なり、劇性を判定し、それに基づきまして毒物なり、劇物あるいは特定毒物というようなものを規定いたしておるわけであります。  それから第二の農薬の解毒剤でございますが、すべての農薬についてまだ有効適切な解毒剤というものが残念ながらわが国においては開発されていないわけでございますが、一部の農薬について現在二、三の解毒剤が開発され、使用されている。また、現在開発途上のものも一部ございます。たとえば、有機燐製剤に対するパム等がございます。さらにまた水銀剤、砒素剤に対するバルもその例でございます。それから鉛剤に対するEDTA、これも開発されて現在使用されているわけであります。それから最後に有機弗素製剤に対しましては、現在アセトアミドというものが開発研究中でございまして、これが非常に有効だということが言われております。近く厚生省のほうにこれの申請がなされる予定になっているわけであります。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) いまの説明につけ加えておきますが、毒物、劇物の指定を受けていないから毒性はないということは言えないという一点があります。それは厚生省の指定は、一般流通機構に乗った一般の薬品について指定をしているものであります。新しく開発された薬品であるとかあるいはあまり一般の者が使わない薬品については、その指定がしていないわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 農林大臣とそれから厚生大臣に伺いますが、低毒性の農薬というのは、劇毒物の格づけではどういうふうな部分に該当するか。特定毒物から見れば毒物は低毒性と言えるのです。劇物から見れば、普通物は低毒性と言えるのですが、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) お尋ねの低毒性農薬というものについての化学的な明確な区別はなされていないわけであります。世間的にそのような用語で言われているわけであります。もちろん、そのような事情でございますので、相対的な概念かと私は思うのであります。少なくとも、私どもとしましては、特定毒物なりあるいは毒物、このようなものは一般的に低毒性農薬というふうには言い切れないんじゃないか、かように考えているわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 念を押しておきますが、いまお話が出ましたが、概念で言うというふうにおっしゃいましたけれども、そういうふうな明確な低毒性と通常言われているというだけでございますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほども申しましたように、法令上の用語なり学問的な問題として低毒性農薬というような用語が用いられているわけじゃございませんので、ただ便宜上そのようなものを総称して低毒性農薬と、かように言っていると、私どもは理解しております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私もそれじゃ便宜上わかりやすいことばで低毒性ということばを使っていきます。厚生省の調べによりますと、低毒性農薬があまりなかった昭和三十三年の農薬事故による死亡者が七百七十七人、低毒性農薬が五〇%その時分普及されていた昭和三十六年には八百六十三人、七〇%普及したという三十九年には八百十八人と逆にふえているわけです。これによると低毒性農薬に全部が切りかえられるとしても、農薬の事故が解決できないということが、これははっきりしているように私には思えるのです。この点どうなんでしょうか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、農薬の事故というものにつきまして過去数年一千人以上の事故者が発生しているわけでございますが、その大部分は、いわゆる自殺、他殺というものによる事故でございます。問題は、農薬を散布中の事故、したがいまして、中毒なり死亡があるわけでございます。こういうようなものにつきましても、いま御指摘のように過去三十五、六年以降必ずしも漸減というような、極端な漸減の傾向がみられていないわけでございます。大体横ばいで、若干またここ一年ぐらいはふえてきていると、こういうような事情に相なっているわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いまお話がありました自殺、他殺というけれども、その低毒性農薬による、自殺者であれ、他殺者であれということ、そういうところから私は論議を進めていかなきゃならない。そこを観点において、いかに人体に影響があるかということから申し上げていくわけでありますから、その点をひとつ了解の上で答弁をしていただきたいと思います。  それで、きょうはお忙しい中、上田教授のおいでをいただきましたので、上田先生のほうからも私はいろいろお伺いいたしまして御説明していただきたいと思います。  体重大体二十グラムからあるいは百三十グラムのハツカネズミや白ネズミのような小動物による動物の格づけと人間の体重比に毒物反応が正比例するとでも考えたら、これはたいへんなことであると私は思うのです。パラチオンの実験、それは上田先生がおやりになったのでありますが、この体重比でいくと、ハツカネズミの五分の一で成人した人間の生命に危険があるという、また、フラトール——フラトールはネズミや犬に対して驚異的な毒性を持つ、スミチオンも白ネズミに対して選択的な強い毒性を発揮するというような低毒性ときめている農薬の中でも、人間に対しては選択毒性のあるものがあるのではないか。過去十年間に八千人以上の人が農薬事故で死亡している、実験から見て私はこの点非常に疑うものであります。この点につきまして上田教授のほうから御説明願いたいと思います。

上田喜一東京歯科大学教授

○参考人(上田喜一君) ただいま御質問があったのでございますが、もちろん、人体と動物と比べますと、第一に神経組織の構造、たとえば大脳その他人間のほうがよほど発達しておりますから、そういう神経をおかす薬に対してはずっと人のほうが敏感でございます。ですから外国では、ネズミだけのテストでは満足しませんで、たいていネズミでありません、齧歯類でない動物、たとえば犬、犬への毒性を調べて一緒にやること、及び、それから、もしできましたらサルをやるということが多くの国で要求されておりますけれども、さて、それを日本で直ちに厚生省が要求しましても、信頼する値は私ども出せないのでございます。それは私どもが使っております犬というのは、野犬としてつかまえましたものを五百円ぐらいで払い下げてくる犬でございまして、その犬が病気なのかどうかということも全然わからない、年さえわからない犬でございます。ですから、このことを厚生省が実施するために、いまのネズミと同じように、病気を持たない、それから、いつ生まれたかわかっている犬を提供する業者がいなくてはなりません。このことが一番日本でおくれておりまして、こういう犬、つまりビーグルと申します、猟犬と思いますが、それを同じ一腹子をいろいろな群に分けて実験いたしますのが欧米の習いでございますけれども、アメリカでもこの犬が一匹一万八千円から二万円ぐらいいたします。日本で買えば、輸入いたしますから、十万円ぐらいになると思います。ですから、それをいたすためには、国の補助か何かでこういう犬を多量に提供していただくということが必要だと思います。そういたしましたらば、いまよりもう少し信頼できる値が出るのだと思います。それでよろしゅうございますか。もう一つございましたか。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 時間があまりないので、もっといろいろ質問いたしたいのですが、毒物の格づけについて、いずれも単体のみで毒性判定と考えられておる。たとえば普通物とされております低毒性のマラソンとディプレックス、または劇物のディルドリンと普通物のマラソンとを混合したような複合体となった場合、その毒性は相乗して猛毒性となることもこれは判明しているのじゃないかといわれて、上田教授の御発表の中にもあるように見受けるわけであります。これからも低毒性農薬が次々新しく市販されていきますが、この点の安全性がなければおそろしいことになるのじゃないかと、こう私は思うわけですが、実際には農家では異質の農薬を混合したり追加散布するケースは常識となっている。こういう相乗毒性に対応できる研究の根拠を私は政府側のほうから伺いたいと思います。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) あるものが二つ以上まぜ合わされた場合にその毒性がどのようになるかという問題は非常に学問的にもむずかしい問題でございます。いまお述べになりましたように、相乗作用なり、あるいは相加作用なり、あるいは相殺作用、それぞれの事例があるわけであります。やはりこの問題は一般的にはなかなかはっきりした態度がとれないわけでありますが、ケース・バイ・ケース、個々のものをよくその実体を分析いたしましてその毒性を判定するということしかないだろうと思います。そこで、いまお述べになりましたマラソン等の例でございますが、現在、御案内のように、普通物になっているわけでございますが、若干問題があるようでございまが、そういうものについてはいま毒性の分析をやって、結論が出ましたら、これを普通物より劇物なり何なりに指定をしたいということで、現在分析中の段階でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いつごろから研究なさっているのですか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 一昨年から昨年等の事故の経緯からいたしまして、マラソン等の問題が表面に出てまいりましたので、昨年の秋ごろから現在分析を進めているという段階でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 ということは、約二年前からということでございますね。それまでは研究はなされていなかったと、こういうわけでございますね。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 毒性なり劇性の判定というものは非常にむずかしいことは御承知のとおりだと思います。私どもとしましては、あるものを毒物なり劇物なりに指定しまして、その使用の実態等を見まして初めてその毒性なり何なりがあらためてわかる場合もあるわけでございます。もちろんこれは学問の進展上ある程度やむを得ないと思いますが、しかしながら、そういうことでは、確かにこれは御指摘のように、国民の保健衛生上からいいましても非常に問題があるわけでございますので、私どもとしましては、この毒性部門の研究というものをさらに強化いたしたいということで、今年度から明年度にかけまして、国立の衛生試験所に毒性部門というものを二カ年計画で機構なり内容を充実していきたいということで、現在計画を進めている段階であります。したがいまして、このような国立の衛生試験所の毒性部門というようなものが、従来以上に飛躍的に強化されますと、今後わが国の毒性的な研究分野というものが、従来以上に格段に内容が充実してくるだろうと、私どもはかように思っているわけであります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 研究してから使用すべきだということが私は結論じゃないかと思います。で、いまお話がありましたように、研究機関を今年度から実施をしていくということでありますが、これは、この問題については取締法の上からあとで私は論議を進めていきたいと思います。  ここで上田先生にもう一度お願いいたしますのは、有機塩素剤の農薬化といいますか、そのことについて御説明を願いたいと思います。

上田喜一東京歯科大学教授

○参考人(上田喜一君) 有機塩素と申しますと、これはDDTとかBHCとか、あるいは新しい薬ではドリン剤と申すものの群を申すわけでありますが、御承知のとおりに、DDTは、たいへん従来でございますと、これは低毒性農薬の代表のようなわけでございましたが、その後だんだん、こういう有機塩素剤は分解がおそいから、長くききますかわりに、やはりからだの中に取り込みましても長く残るということで、非常に警戒されてまいりまして、いま残留毒性、あるいはその許容量の焦点は有機塩素剤にあるわけでございます。したがいまして、従来の規則のように、急性毒性だけをみたのでは、これから出てきます新しい有機塩素の毒性というものはわからないわけでございまして、どうしても慢性毒性をこれからは調べなくてはいけないということになると思います。ただ、そのうち、幸いなことには、日本でもって一番多く使っておりますBHCは唯一と申してもいい例外で、わりにこわれやすいわけでございます。それでございますから、有機塩素と申しましても、BHCは少し例外と思っていただいていいと思います。こういうものがたまってまいりますと、ある量をこせばやはり肝臓をやられますし、それから、有機塩素は油に溶けますので、大脳とか神経にも負担がある。それでありますから、われわれのからだに入る量を何とかなるたけ最小にとどめるということがやっぱり最もいい対策と思います。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 ただいまの説明を伺いますと、まことにおそろしい感じがいたします。そこで、現在当然のことのように行なわれております殺虫剤の散布は、強い害毒だけが生き残って繁殖して、ますますその防除が困難になってきている、こういうふうに思えるわけです。その上、毒性の強い殺虫剤がまず攻撃したのは人間自身だ、ついに天敵を滅ぼしていくような結果に今日では追い込んでおります。すでにアメリカでは、低毒性といえども、毒性のある殺虫剤の開発は研究の対象となっていない、こういうふうな段階になっている。これは当然だと私は思うのです。こういう点から勘案いたしまして、アメリカなどの研究している天敵等はどういうふうになっているか、現況を教えていただきたいと思います。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○政府委員(近藤武夫君) 諸外国におきます天敵の研究状況でございますが、一八八六年に米国のカリフォルニア州にかんきつの害虫が侵入いたしまして、その際、その害虫の原産地でありますオーストラリアから天敵を輸入いたしましてこれを放ちまして非常に成功したというようなことが天敵の利用の始まりでございまして、その後、害虫が海外から侵入いたした場合に、その原産地から天敵を輸入いたしましてこれを放って成功した、そういう例はたくさん出ております。しかしながら、国内に土着しております害虫を天敵だけで満足できる程度に防除できた事例というものは、これまできわめて数が少ない状況でございます。  こういう事情を背景にいたしまして研究も進められているわけでございますが、天敵を利用する研究として行なわれておりますものには、新しい天敵を探索いたしましてその利用をはかるという面と、それから天敵を人工的に大量に増殖する、そういう二つの面がございます。  前者の天敵の探索につきましては、世界各地の天敵を調査いたしまして、そして、これはと思うものをさがしてくる、こういうことでございまして、このために国際的な研究組織もできておる状況でございます。それから天敵といたしましては、従来は、昆虫天敵あるいは天敵昆虫というものが多く研究されてきたのでございますが、最近は、線虫でございますとか、あるいはバクテリア、さらに糸状菌——ルビのようなものでございます——あるいはウィルス、そういうものを利用する研究が行なわれておりまして、これらのいわゆる微生物天敵は大量培養に成功する可能性が高うございますので、今後の天敵として注目されておるわけでございます。  研究の第二の面といたしまして、天敵の大量人工増殖ということでございますが、昆虫天敵の増殖には、寄主と申しますか、天敵昆虫が寄生するとかあるいは捕食する、その当の相手の害虫あるいはそれに代替するもの、それの大量増殖がまず前提となるわけでございまして、これが必ずしも容易ではないという状況でございまして、この研究もずっと行なわれておるわけでありますが、これと同時に、天敵昆虫を直接人工の飼料によって増殖するというような研究も行なわれておるわけでございます。それから一方、天敵の中の微生物天敵でございますが、これは大量培養が比較的容易でございまして、ことに細菌の一種でありますバチルス・チューリゲンシスというのがございますが、そういったようなものは、アメリカあるいはヨーロッパ諸国で生物農薬といたしまして製剤市販されておる状況でございます。  なお、海外諸国のうち、天敵の利用研究の盛んなのは、アメリカ、イギリス及びフランス等でございます。  簡単でございますが。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 そこで、私は、いまの天敵の問題について、取締法の上から今度は質問をしていきます。その前に、農薬の取り締まりについて私は伺いたいんですが、この法律は二十三年の七月一日に施行されてきているわけですが、この当時の農薬はどんなものが使われておったか、伺いたいと思います。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 農薬取締法が制定されました当時の農薬の有効成分の数にいたしますと、三十三ぐらいであります。その内容は、御案内のように、当時の技術水準からいきまして、植物の殺虫成分を抽出したもの……。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 どんなものがあったですか。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) あとで申し上げます。——あるいは、無機化学物等が大部分でございました。  植物の殺虫成分のほうは、除虫菊の剤とか、あるいはデリス剤、硫酸ニコチンといったようなものが代表的なものでございます。それから無機化学物のほうは、硫酸銅、石灰硫黄合剤といったようなものが代表的な農薬でございました。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 現在登録されている各種農薬の年次別の登録をちょっと伺いたいんですが。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 先ほども申し上げました有効成分の数で申し上げますと、最近の年次におきましては、たとえば、昭和三十九年度が二百九十四、それから四十年度三百二十六、四十一年度三百六十一といったような状況であります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 農薬取締法の第一条第二項を、私が読めばよろしいんですが、時間の関係等で、政府側からひとつ読んでいただきたいと思います。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 第一条の第二項は、次のようになっております。 「前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。」、以上でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 法律の上からも、天敵はこれは農薬とみなすとなっているのです。今日までの日本の天敵に対する研究の次第を述べてください。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○政府委員(近藤武夫君) わが国におきましては、害虫の研究が大体明治の末期ごろから始まっておるわけでございますが、その当時から、天敵の重要な害虫につきまして、天敵の存在と、それが害虫の繁殖に抑制効果があるということが知られておったのでございまして、明治四十三年に静岡県にやはりかんきつの害虫が外国から入ってまいりましたそのときに、その天敵を外国からまた導入いたしまして、その駆除に成功したというような事例もあるわけでございます。その後、昭和になりまして、稲の重要害虫でありますメイ虫あるいはウンカ、そういったものに対する天敵の研究が鋭意進められまして、メイ虫の卵に寄生いたしますハチでございますが、メイ虫の卵寄生蜂と申しておりますが、それの大量飼育に成功するというようなこともあったのでございます。その後、第二次世界大戦後になりまして、防除におきます農薬の利用というのが非常に進みましたわけでありますけれども、天敵利用に関する基礎的な研究も同時に進められてまいりまして、天敵のリストの作成でございますとか、あるいは天敵昆虫の大量飼育法、あるいは天敵昆虫を人工飼料で飼育する、その人工飼料の開発の研究でありますとか、あるいはさらに天敵微生物の利用、そういった研究が農林省の試験研究機関を中心にいたしまして推進されてきておるわけでございます。そしてその研究の進度は諸外国に十分伍しておる、こういうふうに言い得ると存じます。これらの研究の成果といたしましては、最近森林の重要害虫でありますマツケムシを倒すウイルスでありますが、それが実用化の段階に進んでおりますし、それから稲の重要害虫であります二化メイ虫、これを倒すウイルスの利用も圃場試験が行なわれておるような状況でございます。また、かんきつ類のカイガラムシの類を捕食いたします天敵昆虫、こういったものを人工合成飼料によって培養するということも研究室段階で成功しておるというような状況でございます。それからまた、果樹でありますとか桑などの害虫でありますクワシロカイガラムシと、こう申しておりますが、それの寄生蜂というものを大量飼育することが経済的に成立するようになりまして、いわゆる天敵農薬というように俗称されまして、いずれは市販されるのじゃなかろうかというような段階でございます。  なお、天敵によります防除につきましては、天敵だけではやはり制約がございますので、それ以外のいろいろな防除方法等、総合的に適宜組み合わせて推進する必要があるということで、最近総合防除というようなことばもできておりますが、そういった線に沿って今後さらに研究を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いま答弁を簡潔にという声がありますが、私たちが知らない間に農薬禍によりましてからだがむしばまれておるということの事実を知らないから、そういうことを平気で言うのじゃないかと思うのです。そういう観点におきまして私は大事な質問をしておるわけです。  この法律ができまして二十年の歳月が経過しております。この二十年の歳月を経ておりまして、一番自然的であり、安全であるこの天敵の開発こそ、私は最も大事であるという観点から天敵のことを伺っておるわけであります。効果について私はもう少し具体的に、こういう年代を過ぎてこういうふうに稲の成績はこうなったということを知らしてもらいたいと思うのです。

近藤武夫農林水産技術会議事務局長

○政府委員(近藤武夫君) 先ほど御説明申し上げましたいろいろの最近の成果につきましては、まだこれからというものでございます。それから過去におきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、明治四十三年静岡県に、外国から、これはイセリアカイガラムシというのでございますが、これが入ってきたときに、天敵をまた外国から入れて、その防除に成功したというようなことがございますし、このような成果から、国では若干の天敵につきまして、国が県に増殖を委託いたしまして求めに応じて配布するというような事業もやっておるような状況でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 では次にまいります。  天敵はあまり効果がないようでございます。農薬取締法の第二条の二項の五号、「人畜に有害な農薬については、その旨及び解毒方法」を示すようにと述べられております。この条項について説明願いたい。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 第二条は、御案内のように農薬の登録を受けます際に提出をいたしますところの申請書の内容でございます。第五号はただいま御指摘がございますような条文でございますが、人畜に有毒な農薬といいますのは、動物の実験などによりまして一定以上の毒性を有するもの、たとえば医薬用外劇物あるいは毒物といったようなものをさしておるわけでありまして、解毒方法ということになりますと、中毒を起こしますところの物質を排除する、あいはまたその作用を緩和するためにどういう具体的な方法があるかということを申請書に添付して出していただく、こういう趣旨でございます。  大体以上でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 申請書に添付してある——全部がそんなふうに添付してありますか。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) ものによって違いますけれども、解毒方法として書いてきておりますものは、たとえは、先ほどお話がございましたような解毒剤があります場合、アトロピンでありますとか、あるいはパムでありますとか、これは有機燐剤の場合でございますが、そういうものがございます。それからまた、先ほどの排除方法ということになりますと、濃い食塩水を飲むとか、あるいは卵白、牛乳等を多量に飲みまして、胃の中で未吸収のままでおるところの農薬を吐き出す、そういったような排除方法についても適切なものを記載していただくと、そういうことに一般的になっております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 その問題はまたあとにいたしまして、第二条の第三項に、農林大臣は、業者から登録の申請を受けたとき、農薬検査所の職員に農薬の見本について検査をさせ、遅滞なく当該農薬を登録し、登録票を交付しなければならないことになっております。この状況について農林大臣から御説明を願います。

西村直己自由民主党農林大臣

○国務大臣(西村直己君) 政府委員から答弁させます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 農林大臣が検査する……。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 第三条は、登録の申請がありました際の……。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 第三条じゃないです。第二条の第三項、二条の三項でしょう。二条の三項ですよ、二条の三ですよ。「農林大臣は、前項の申請を受けたときは、農薬検査所の職員(以下「検査職員」という。)に農薬の見本について検査をさせ、次条第一項の指示をする場合を除き、遅滞なく当該農薬を登録し、且つ、左の事項を記載した登録票を交付しなければならない。」、こうなっております。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 第三項は、ただいま御指摘がございましたように、私どものほうに農薬検査所というのがございまして、そこの職員が、業者から持ってまいりました農薬の見本についてそれぞれ必要な条項の検査をいたしまして、第三条で保留をし、あるいは品質を改良すべきことを指示すること以外のものにつきましては、農薬の登録をいたすというふうなことで、登録票を交付するという事務を行なっております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 検査所の職員に農薬の見本の検査をさせるというんだが、検査をしているんですか。実際に検査しているんですか。実際に検査してないんじゃないか。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 現実に見本によりまして検査をいたしております。大体最近は六百件程度、毎年検査の件数がございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 データ出してください。検査をしたというデータですね。で、今日まで、では農薬禍があるわけがないと思うんです、検査をしておれば。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 実際に現物に当たりまして、化学的あるいは物理的な方法で検査をいたしております。で、先ほど来お話がございました人畜に対して毒になりそうだというふうなものが含まれておると思われます場合には、私どものほうで、厚生省のほうに業者のほうから見本を持っていく、あるいは私どものほうで呈示をされました見本を直接厚生省のしかるべき検査機関に持っていくというふうなことで、向こうからの回答を待ちまして登録をするというふうな手続になっております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 厚生省からその化学的な検査資料をひとつ求めます。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 農薬の登録というのは、御存じのように農林大臣がやっておられるわけでありますが、そのものが毒劇法に基づく毒物なり劇物に該当するかどうかは、厚生大臣のほうで一定の試験をやって、その分析結果に基づきまして農林大臣のほうにそいつを通告すると、こういうことにたてまえはなっております。したがいまして、その分析のデータ等は、私どものほうの国立衛生試験所にあるわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 厚生省のほうで出している、厚生省のほうから分析のデータを、どういうものを分析をして許可している、それが農林省のほうへ回ってきて、それでそれが今日市販されているという、ここが問題点なんです。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) いま申しましたように、国立の衛生試験所で分析をやっておるのでございます。そのデータはあるわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 この「農薬要覧」というのがございますが、しかも、それが劇物とか、あるいは特定毒物だとかいうものの中に、品目の中に入っているということ、これは私は問題だと思うんです。こういうものを承知していながら市販するということが、私は根本的に誤りじゃなかろうかと思うんです。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 先ほども申し上げましたように、また御指摘がございました条文でございますが、人畜に有毒でありそうだというふうなものについては、その旨と、それからそれに必要な解毒方法を表示をするようにいたしております。また検査にあたっても、その点は十分注意をして、記載事項と間違いがないか、また表示についても適切であるかというふうなことを常時に監督をいたしております。まあそういう方法で、使用方法あるいは保管の方法等について適切な管理が行なわれますならば、それほど人畜に通常の状態では被害がないというふうなことを確認をいたしまして、私どもとしては登録をいたしております。また、先ほど来申し上げましたような種々の方法によりまして、使用、管理について、末端にまで周知徹底するようなことで指導の督励をいたしております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 もう一度、その同法の第三条では、「農林大臣は、前条第三項の検査の結果、左の各号の一に該当する」という、この条文をひとつお願いいたします。

森本修農林省農政局長

○政府委員(森本修君) 第三条を朗読いたします。「農林大臣は、前条第三項の検査の結果、左の各号の一に該当する場合は、同項の規定による登録を保留して、申請者に対し申請書の記載事項を訂正し、又は当該農薬の品質を改良すべきことを指示することができる。」。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 第三条第三号では、「当該農薬を使用するときは、危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に著しい危険を及ぼすおそれがあるとき。」となっておりますね。こうなりますと、ことにまた問題が出てくるわけでありますが、大臣がほかの都合でおいでになりませんので、大臣がおいでになりませんと、これからの私の質問は続けられないわけで、一応この問題、ちょっと保留しておきたいと思います。  運輸大臣その他の大臣の方々が、これからの時間等があるということを伺いましたので、私は問題を変えて、冬季オリンピックの件についてお伺いいたしたいと思います。  昭和四十七年二月、すなわち四年後の冬季オリンピックが開催されますので、この年次計画を示していただきたいことと、総予算の上から事業計画等もお願いしたいと思います。各関係大臣から、冬孝オリンピック開催国としての立場に立った上でそれぞれ御所見を伺いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党運輸大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 運輸省といたしましては、まず空港施設の問題でございます。  千歳空港の拡張の問題がございますが、昭和四十一年七月二十二日の運輸大臣、防衛庁長官及び北海道開発庁長官による申し合わせもあり、目下調査中でございまして、その結果を待って前向きに措置することといたしたいと思います。この申し合わせと申しますのは、千歳空港は原則として防衛関係と民間関係とを分離する方向で検討する。北海道の国際空港の件については前向きに検討する。上記に関しては、今後、関係機関の連絡会議を設けて審議検討を進める。こういう内容でございます。れれで、相当大量のお客が参るとも思われますが、税関の施設、あるいはパスポートの関係とか、そういうような関係もございますので、いま関係各省で協議しております。運輸省といたしましては、あそこに国際空港をつくることは適当であると思いますので、推進してまいりたいと思っております。  それから、国鉄関係におきましては、冬季オリンピック対策としての鉄道の整備計画について、現在、現地の鉄道管理局と、道、市等、関係機関との間で協議検討しております。具体的には、札幌市街地の踏切道の立体交差化、手稲駅の駅前広場の拡張その他旅客関係施設の整備、ホテルの関係等が検討されております。  札幌市では、冬季オリンピック開催までに、北二十四条——真駒内間約十二キロの地方鉄道建設を計画しており、それにより、市中心部とオリンピック開催地を結ぶ大量輸送に対処することにしております。これにつきましては、本年三月、札幌市より前記計画線のうち、北二十四条−平岸間約七・三キロの地方鉄道敷設免許申請が提出されておりますが これは目下審査中でございます。この申請区間は、全線地下式構造の計画でございまして、これを延伸する場合に、道路との交差の問題が生じないように十分配慮してやりたいと思っております。  以上でございます。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 札幌オリンピック大会の今後の計画につきまして御説明いたしたいと思います。  札幌オリンピック冬季大会が昭和四十一年の四月二十六日のローマにおけるIOC総会におきまして、かなり激しい競争が行なわれた末、札幌開催が決定いたしましたのは、さきに開催せられましたオリンピック東京大会が成功のうちに終わったこと、そうして各国に深い感銘を与えたということによるものと思うのであります。それだけに札幌オリンピック冬季大会も、東京大会同様に成功をおさめるべく努力をいたしている次第でございます。  この大会の実施機関であります組織委員会は、国会、政府関係機関、地元関係者、学識経験者及び競技団体関係者等をもって構成し、これは昭和四十一年の七月二十六日に発足いたしました。また、政府といたしましても、同大会の準備に対し、積極的に協力、推進をはかるために、同年十一月、総理府に、北浮道開発庁長官を会長とする札幌オリンピック冬季大会準備対策協議会を設置した次第でございます。  オリンピック冬季大会の準備としましては、御承知のように、競技施設の整備。関連公共施設の整備。大会の組織運営、企画、準備。選手育成強化対策。この四つがあげられますが、そのうち競技施設の整備につきましては、各競技施設ともほとんど全部新しく整備する必要がありますが、開会式、閉会式の行なわれますスケート場やジャンプ施設等の主要施設については、国が担当することにいたしました。その他の施設のうち、六つの施設を地元が施工主体となることになり、これに対し国が財政援助を行なうこととし、さらにわが国に定着しがたいような競技の施設につきましては、組織委員会が施工主体となりますが、これに対しても国が財政援助をすることとして、昭和四十三年度予算案に十億円余の予算を計上いたしているところであります。  以上、大会に使用する協議施設は全体で十五競技施設に及びますが、これらの施設はおおむね本年度から着工いたしまして、二年ないし三年の継続工事とし、少なくとも大会前年のプレオリンピック——昭和四十六年の二月のプレオリンピックまでに整備を完了する計画で進んでおります。  次に、関連公共施設——道路、街路、プレスセンター、選手村等でございますが、この関連公共施設につきましては、現在、組織委員会において検討を進め、関係省庁及び地元地方公共団体等と連絡をとりつつ計画立案中でありますが、関係省庁等の御協力をいただきまして、大会の運営に支障のないように取り進めていただけると思っております。  大会の組織運営、企画、準備につきましては、目下、組織委員会において検討、実施いたしておりますが、国はこれに対し、運営費及び前述の競技施設建設費に対する補助、協力を行なっている次第であります。  また、選手育成強化対策につきましては、日本体育協会を中心に、関係各協議団体が行なっており、これに対しても国として財政援助を行なっております。  以上申し上げましたが、大会が札幌というかなり中心部から離れた地域にありますのと、また、札幌大会の前に万国博覧会等を控えておりますので、これが実施についていろいろ御心配の向きもおありかと存じますが、東京大会実施の実績と、関係者の努力によりまして、十分間に合わせることができると思っております。この機会に、皆さま方の御協力をぜひお願い申し上げたいと存じます。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 今度の冬季オリンピック大会ですが、世界じゅうからいろいろの人が集まってまいります。特にオリンピックですから若い人が多いと思います。来た人々に対して不愉快な気持ちを与えないように——与えないだけでない、二度も三度も来てみたいというような気持ちを与えることが一番大切じゃないか、こう考えまして、施設の点については万全を期してまいりたいと考えております。東京オリンピックで一ぺん経験がありまするから、その経験を十分に生かして、施設の万全を期してみたいと存じております。  それで、関連道路の整備について申し上げますと、都心部とオリンピック施設間を結ぶ主要な道路、それからオリンピック施設相互間を結ぶ道路並びに都心部における交通緩和をはかるための幹線道路などの整備を進めてみたい、こう考えております。その事業の範囲及び規模につきましては、いま鋭意取りまとめ中でありますが、主要道路については、本年度——四十三年度においてその大半を着工するところでもあります。そしてオリンピック開催時までには支障のないように十分整備したいと考えております。  用地の買収問題でありまするが、札幌市は特別会計を設けてやっておるようであります。こういうやり方は時宜を得た処置であると思いまするから、国としても関係公共団体と協力して極力用地の先行取得につとめたい、こういう考えを持っております。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 冬季オリンピックにつきましては、まだ計画が具体的に確定しておりませんために、どの程度の労働力が追加的に必要であるかということを推計し得る段階になっておりませんけれども、いずれにいたしましても、万国博等に比べますれば規模が小そうございますから、非常に多くの労働力が不足するだろうとは考えられないと存じます。ただ、四十六年にプレオリンピックが開催されます関係で、四十四年には相当程度の工事が着手されなければならないことになると存じます。さような場合に、万国博と労働力の面で競合する関係が出てまいります。そのために冬季オリンピックのほうに支障を来たしませんように配慮しなければならない。根本的には、事業を行ないます者が——事業主が労働条件その他の改善につとめて労働力を吸引するということが必要でございますけれども、冬季オリンピックの意義にかんがみまして、労働省といたしましてもあとう限りのお手伝いを申し上げなければならないと考えております。建設労務者が一般的に非常に不足しておりますけれども、特に技能関係の労務者が不足いたしておりますので、万博並びに冬季オリンピックの工事の進展に備えまして、昨年——四十二年度においては、公共職業訓練におきましては、全部の訓練生の四割に当たる約四万人に対しまして建設関係の職業訓練を行なっております。また、事業内職業訓練におきましては、約三万五千人の訓練生に対して同じく職業訓練を行なっておるわけであります。ことしは、これを一そう強化いたしますとともに、短期の速成訓練をも実施しております。その他の点で、冬季オリンピックに対する労働力の供給の面で支障が生じませんように、万全の計画を立てるつもりでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 関係大臣の方々から所見を承りまして、そのとおりになることを私も希望するわけでありますが、御存じのように、北海道は、昨年フランスでやりました条件とは全く違うわけでありまして、冬半年間は雪に埋もれてしまう。そうしますと、工事がこちらが考えているようなわけにはいかないわけであります。したがって、一年あるというものの、半年しかないと、こう計算をしなければならぬと思うのです。そうしますと、四年というのは二年になり、プレオリンピックをその前にやらなければならないということになれば、ごくこれは限られた年数になってくるわけです。したがって、運輸省の問題につきましても、それぞれ関係省におきましても、そこが根本的な頭の持ち方をしなければ、これは取り返しのつかないことになります。また、労働力の問題にいたしましても、万博のほうに現在力が入っております。それで成田空港はどうなるかわかりませんけれども、そうなりますと、いま労働大臣からお話がありました等のことを考え合わしてみても、これは容易ならざるオリンピックに対する集中的な工事というものが考えられてくるわけです。こういう点についてもう一度それぞれ伺って、あとこまかく私は質問に入りたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 万博との競合の点につきましては、私どもも支障が起こらないように実は心配をいたしておる次第でございますが、そういう際に、両方で無秩序な求人競争等が行なわれないように、計画的に労働力を配置する努力をいたしまして、遺漏なきを期したいと存じております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 労働大臣にお伺いしますが、万博のほうの労務者の関係は満足しておりますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) これは、ピークの時期において約五万人の労働者が追加的に必要になってまいりますので、大阪には特別の安定所も設け、各県ごとに送り出しの目標も定めることになっております。また、そのために必要な宿舎等の手当てもいたしておるわけであります。状況によりましては、沖繩からの労働者を移入するということも計画いたしておるわけでありますので、これまた支障のないように必ずできると信じております。

中曽根康弘自由民主党運輸大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 交通手段につきましては、遺漏のないように手配をいたしたいと思っております。特に飛行場の問題がございまして、あそこを国際飛行場にしてくれという陳情が前からございます。そこで、先ほど申し上げましたような協定もあるわけでございますが、北海道の議会あるいは北海道の知事さんの意向もはっきりとよく確かめまして、それで場合によっては北海道の知事さんのほうで敷地を先に買っておいてもいいというような意向が内々漏れてきたことがあります。そういう面も考えまして、北海道庁とも十分打ち合わせをいたしまして、これも遺漏なきを期したいと考えております。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 冬季間仕事ができなくなるのじゃないかという御心配でありまして、私も雪国の山形の米沢の生まれでございますが、冬季間仕事ができないということが、非常に万事の公共事業に支障を来たしておることは承知をいたしております。それでありまするから、町村知事とも話をいたしまして、冬季間もどうしたならば仕事ができるか、仕事をさせる方法などをいま協議いたしております。一年間をやっぱり一年間で使い得られるような対策を整えてみたいと相談をいたしております。  労働力の問題でありまするが、やはり一番心配をしておることなんであります。北海道の労働力はやはり東北で補っておるのであります。相当量の出かせぎは東北から北海道に出ておるのであります。それにいまから準備をしておく必要がある。こういう考えで、その点でもおくれをとらないように、そのときになって混乱を来たさないようにいまから準備をしようと、こういうわけで、それも寄り寄り相談いたしております。労働力の点も、冬季間の仕事の点も、何としても万全を期したいと、こういう考えでいま取り組んでおります。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省としましては、大会の計画準備その他につきましては、それぞれの組織を通じまして遺漏のないようにいたしたいと存じております。  なお、文部省の受け持ちになっております競技場等の工事につきましては、仕事は建設省のほうにお願いをすることになっておりますので、ぜひ御協力のもとに手おくれにならぬようにいたしたいと存じます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 文部大臣にお伺いしますが、先ほど文部大臣からお話がありました選手のこと等も、日本体育協会が一手に行なっているということでありますが、今回初めて行なわれる競技があるということは、これは周知の事実でございまして、ボッブスレーあるいはリュージュ、こういう競技があります。こういう競技の新しい育成の力の入れ方、こういうことをひとつ伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 選手の育成につきましては、先ほど申しましたように、日本体育協会を中心にいたしまして関係の各種の競技団体の御協力のもとにやることになっておるわけでありますが、御指摘のように、日本になじまない従来の競技もあるわけでありますが、それらの強化方策等につきましては、政府委員からお答えさしていただきたいと思います。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 選手の養成の問題でございますが、今度のグルノーブルで惨敗してきたのでありますから、非常に情けなかった点であります。それで団長としておいでになりました西田参議院議員、その人とも相談をいたしまして、やはり選手の養成をいまからやっておかないとたいへんだ、それには何としても資金が必要なので、それで、今度経団連の会長におなりになります植村さんと三人でその点をとくとつい最近協議をいたしまして、いまから思い切ってその選手の養成をやっていこう。少なくとも地元で大会を開きまして負けたなんていうことではたいへんなことになりまするから、思い切って力を入れて特別な考慮を払っていま相談中であります。

赤石清悦文部省体育局長

○政府委員(赤石清悦君) 選手強化につきまして御心配をいただいておりますが、確かに冬季スポーツは日本にはじなみの少ないものもございます。御指摘のように、リュージュ、ボッブスレーのごときは日本で初めてのものでございます。したがいまして、こうした種目で入賞するといったようなことは、あるいはなかなか困難であろうかと思います。しかし、オリンピックは一つには参加するというところに意義がございます。したがって、どうしてでも勝つということよりも、こうした種目についても日本の選手が参加するといったようなことが第一の目標であろうかと存じまして、いろいろな競技団体その他がこの種目を受け入れることに現在懸命に努力いたしておる次第でございます。その他スケート、スキーにつきましては、かなり有望種目があるにもかかわらず、今回グルノーブルで必ずしも芳しい成績をあげ得なかったという、かような事態にかんがみまして、大いに競技団体が努力していただいております。これに対しまして、政府といたしましても財政援助はもちろん、御承知のように、どうしてもなじみの少ない種目でございますので、小中高等学校の生徒にこうしたウインタースポーツが普及徹底されますような、選手強化の基礎になりますような指導者養成等にも力を砕き、また、施設が十分でないのでございますので、パイピング・スケート場とか、ジャンプ場といったようなものの施設の普及につきましても力を用いている次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いまお話がありましたけれども、私が申し上げることもなく、フランスのあのキリー選手は三冠王、これを取ったわけです。一年間九カ月以上も訓練をしているといいます。日本の場合なんか三カ月か四カ月しかない。それしか練習できないわけです。こういう点から考えまして、いまお話がありましたけれども、指導者の養成をする、新しい種目をやるといっても、これはたいへんなことだと思う。こういう点についてどういうふうにおやりになるか、具体的に伺いたい。

赤石清悦文部省体育局長

○政府委員(赤石清悦君) 先ほど来申し上げておりますように、具体的な選手強化対策は、体育協会が中心になりましてスケート連盟、スキー連盟等々の競技団体が直接担当いたしている次第でございます。さような団体の計画を御紹介申し上げますと、現在、一応の選手強化対策といたしまして年次計画を立てております。昭和四十一年から四十六年に分けまして、六カ年を第一期、第二期と分けております。第一期は基礎強化期、新人発掘期と優秀新人の養成、合宿、コーチの研修、スポーツ科学の研究、指導、これが基礎強化期の目標でございます。第二期は、昭和四十四年から四十六年、本格的強化期でございます。基礎強化期に養成されました優秀選手を主体として技術的な強化をする、コーチの養成強化をする、選手、コーチの仕上げのための国際交流をする、こういったような基本的な計画ができ上がっております。ただ、これに魂を入れるといったようなことが今後の問題になろうかと存じます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 開発庁長官にお伺いしますが、道路計画についてもう少し具体的に伺っておきたいと思います。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 御質問ではありませんけれども、具体的にお話し申し上げておきますと、札幌市に国鉄の高架線をつくれという要求がありまするが、これはどうもオリンピックまでには間に合わないということであります。縦貫道路の問題もありまするが、四十一年度から札幌−小樽間が着工されます。さらに札幌−千歳間についても縦貫道の整備計画が決定されておりまするから、この四月一日施行命令が発せられて着工の体制が整っております。それから除雪の問題であります。前に御質問がありましたけれども、除雪の問題につきましても、私は去年の暮れに向こうに参りまして、そして除雪の状況なんか見てまいりましたが、その程度のことではとても間に合わない、こう思いましたので、どうしたならば完全にそのときの除雪を全うすることができるかという問題につきましても、いま研究をいたしております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 札幌から千歳の縦貫道路、この件はわかるのですが、札幌市内における道路工事がたいへんなことになると思うのですが、俗に言うZ型路線、そういう道路の開発等については、どういうふうになっておるのですか。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) やはり道路をやろうと思いますと、用地買収が先決条件になるものですから、先ほどもお話し申し上げましたとおりに、札幌市に特別会計を設けて、積極的な用地買収をやる、こういう計画が進められておりまするので、こういうものと協力いたしまして、極力、用地の買収が先決条件でございますので、まず用地の買収に思い切って力を投じていきたい。それから札幌市内の交通の整備なんかにつきましても、ほんとうに万全を期したいと、こういう考えで、市、道とこれからも思い切って相談をしていきたい、とにかく万全を期していきたいと考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 私の伺いたいのは、五線道路線の区間をやるかやらないかということなんです。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 目下検討中です。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 先ほどお話し申し上げましたように、検討中ではこれはたいへんだと思うのです。一番これは難関の問題だと思うのです。長官も雪国の方ですから、もう、いま除雪の話がありましたけれども、これはたいへんなことなんです、容易ならないことだと思うのです。したがいまして、こういう基本線がきまっていかなかったら、受け入れも何もできないのじゃないか、この点を私は明確にしていただきたい、こう思うわけなんです。検討中だけではちょっとさびしいのです。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) ごもっともと思いまするが、検討中なんと言って投げっぱなしにしないで、いまは検討中とお答え申し上げましたけれども、私も、いま聞いてみましたところが、目下検討中だと、こういうことですから、検討中と申し上げたのでありますが、それはごもっともなことでありまするから、早く取り組みまして、具体的なものを明示できるように、そうして御心配のないようにやりたいと、こう考えておりますのでちょっと時間をかしてください。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いまの問題は非常に重要な問題であります。それがきまりませんと受け入れ態勢というのが整わないわけですから、これはもう特にひとつ力を入れていただきたいと思います。成功不成功ときめるのは、やはり国が早く金を与えて、そして地方団体に十二分にやられるように心がけなければならないと思うのです。この点を私は強調して申し上げて、このオリンピックの件については、質問を終りたいと思います。

木村武雄自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(木村武雄君) 確かに承知いたしました。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 外務大臣にお伺いいたします。  日ソ漁業交渉についての現段階をひとつ御説明願いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日ソ漁業交渉、大陸だなの問題、大陸だなに対して、定着種族、すなわち生物資源、むずかしい言い方ですが、一口に言うとカニの問題です。これをやっぱり主権を主張するというか、これはまあ領海三海里の外に向かってやはり漁業上における水域を設けて主権を主張して、大陸だなに対する生物資源に対して主権を主張したい、いろいろな問題があって、日ソ漁業交渉でも、カニの問題、大陸だなの問題、非常に話がまとまらない。もう出漁の時期が来るということで、出漁せざるを得ないというところに実は追い込まれてきておるのですが、交渉の経過については、政府委員から御説明申し上げることにいたします。

岡田晃外務省欧亜局外務参事官

○説明員(岡田晃君) 本年の交渉は例年どおり、三月一日からモスコーにおいて開催されまして、例年のとおりに、まず科学技術小委員会が開催されまして、科学技術小委員会において、サケ、マス及びその他の魚の豊度についての科学的な検討をいたしたわけでございます。これが例年に比べまして、いささか延びておりまして、通常まあ大体三週間程度で終わるわけでございますが、いささか延びまして、月末近くなりまして科学技術小委員会がほぼ終了いたしまして、ただいま委員間の非公式会議等において、次第に規制措置その他の話し合いに入っておるわけでございます。ただいま大臣がお話しなさいましたように、カニの問題等その他いろいろの問題が現在提起されて、双方において論議いたしておる最中でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 新聞の報道によりますと、カニ船団を出発をさせるという、自主出漁というふうに踏み切ったというととなのですが、そうでしょうか。

久宗高水産庁長官

○政府委員(久宗高君) お答えいたします。  ただいま外務省からお話がございましたように、目下交渉を続けておるわけでございまして、カニの問題につきましては、御承知のとおり、大陸だなの問題につきまして、先般ソ連側におきまして国内法を規定したということで、これは新しい事態であるということを再三言及いたしまして、先般来、昨年長期的な取りきめがきまったわけでございますが、それと関連いたしまして、いろいろ規制の問題を持ち出しておるわけでございます。出ております内容は、従来委員会におきまして出た問題の蒸し返しでございまして、私どもといたしましては、御承知のとおり、大陸だな条約には入っておりませんし、また、かりに大陸だな条約に入るといたしましても、カニそのものは、これは公海の資源であるという明確な科学的な証言もできますので、さような基本的な立場に立ちまして交渉を進めておるわけでございます。また、実際に漁をいたします時期までに若干の時間がございますので、ただいま鋭意両方の意見をきめまして、わがほうの態度を明らかにいたしまして交渉を継続する次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 八日に、漁場の西カムチャッカ水域に向け函館港を一斉に出漁させるということは、これはそうなんですか。

久宗高水産庁長官

○政府委員(久宗高君) ただいまお話しいたしましたように、目下、カニにつきまして相当こまかい折衝をいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、国会でも前にお話しいたしましたように、基本的な態度をきめまして折衝に臨んでおるわけでございまして、長期的な取りきめがすでにきまっているものでございますので、そのラインに沿って処理したいという基本方針をうたっておるわけでございます。したがいまして、出港云々の問題にいたしましても、漁季が迫っておりますので港を出るわけでございまして、最終的に投網いたすまでの間に、当然お話し合いをつけなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。その際の私どもの気持ちといたしましては、基本的には長期的なお話がきまっておりますので、そのラインに沿って処理をいたしたいと考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 外務大臣にお伺いいたしますが、領海の問題と、公海の問題につきまして、今度法律化してこられるという段階になっていると思うんでありますけれども、この件につきましては、私が四十一年の七月二十一日の第五十二国会のこの委員会でこの問題を追及したわけで、そのときの外務大臣は椎名国務大臣でありました。国務大臣、外務大臣には変わりないと思うのでございまが、いずれにいたしましても、このときには、まだそこまではいっておりません。そこまではやらないというふうな、あくまでも独自な日本の行き方でいく、三海里を保持してどこまでもそういう線でいくんだというようなお話でありました。で、かりにこれを提案したときに、踏み切っていかれた外交政策というものをとっておれば、私は、今日その法律がとっくにできているのじゃないか、また、その法律の検討が十分なされていたのじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがいまして、この領海、公海の問題だけでも今日の日本の漁船が出漁をはばまれておる。そこからまた大きな海難あるいは拿捕、遭難等が相ついで起きているわけです。だんだん日本の漁業というものが狭められてきている。そういう姿勢というものは、私は、今日までの外交の行き方が、昨日もわが党の矢追委員に、旗を立ててとか外務大臣がおっしゃっておられましたが、いま水産庁のほうでは、八日に出漁させる予定で、そうして予定どおりやっていくんだ、交渉中であるけれども、その段階においてはこういうふうに持っていくんだというような行き方、そういうものがやはりあってもいいのじゃないかと、こう思うわけですが……。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 非常に領海の問題というのが国際的にも大きな問題で、実際に国際的にこういう取りきめができることが一番理想でしょう。ところが、国によって領海の解釈が違う。日本は、基本的には領海三海里という基本的な立場というものを変えていないわけです。日本のような場合は、自分のところも三海里にするけれども、よそに対しても、漁業などからいえばそんなに領海が広くないほうがいいわけですがね、日本が出漁する場合は。しかし、それは日本の利益ばかりというのじゃなしに、三海里のところも相当あるわけですね。領海を三海里にしておる国が非常に多いわけです。そういうふうなことで、みな三海里の外に漁業水域を設けて、それまで日本が広げていけば漁業上のトラブルはなくなるでしょうが、やはり日本の基本的な政府の立場からすれば、領海三海里というのをさらに広げるということは、これは、漁業のために、日本の基本的な立場というものを変えるということには、いろいろこれは簡単にいかない問題があるわけです。したがって、いまやっておることは、実際的な解決をやっておる。法律上の基本的な立場は日本は変えない。しかし、日本の漁業がそういう地域において安全にできるように取りきめをやっている。日本の法律的立場は変えないけれども、実際的な取りきめをしておる。御承知のように、いろいろな国との間に漁業上の取りきめがあるわけです。したがって、日本として、いますぐに日本の領海というものを変えるという考えはないわけです。国際的にこういうことがきめられるということは理想的ですが、なかなかやはり国際会議においてもこの点で意見がまとまらないで、残念ながらも、きめられておる。そうすると、日本の基本的な立場を維持しながら、三海里という、そうして漁業の問題についてはその国々の特殊な事情も勘案して実際的な方法で処理していくということが、いまの一つの方法としては、しかたがないのじゃないか。これがいい方法だと思わないですが、一番理想は、やはり世界的に領海というものがきめられて、それをみなが守るということが、一つの領海に対する国際的秩序を維持する道だと思いますが、そこまでいかないので、こういう便法をとって、これが非常にいい、賢明な政策だとも思わないけれども、実際的に処理しておるということでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 外務大臣と椎名さんのと、だいぶ意見が違いますが、時間がございませんので、もう一点だけ。  ソ連が三陸沖まで母船をもってサンマ漁に来ております。こういうのは、いまお話がありましたような関係になると思うのですが、これは、私はそういう面から考えても、どういうふうにしていくかということを早急にきめていかなければならないと、こう思うわけですが。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはやはり、日本の場合においては、領海内三海里ですか、それはその線に沿うて漁業の取り締まりもしていくということであります。きめるといっても、日本が三海里をすぐにこれを再検討しようと考えておりませんから、そういう意味において、そういう日本の基本的な立場に立って漁業上の秩序維持のための取り締まりをしていくというよりほかにはないと考えております。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 速記を始めてください。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 自治大臣にお伺いいたしますが、北海道の鹿部というところに「日本航空事業」という会社に無償譲渡をした土地があります。この件について詳細御存じでしょうか。

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(赤澤正道君) 調査をいたさせまして、大体の事情はつかんでおります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 その大体の事情を。

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(赤澤正道君) 村有地を譲渡した件ですが、やはり手続的に、はなはだずさんなものがありまして、たいへんに残念に思っております。大体、いなかの町村長などという諸君は、都会の者が来て、地域開発に協力するとか、地域振興にこういうことをやると非常にけっこうだが、という話を持ちかけますと、すぐ、人がいいから、乗る方々が多いものですから、そういったことについては十分慎重に考えてやってもらいたいということは言っておりまするけれども、どうもそういうことに、ちょっとひっかかった感じがございまするので、手続を誤っておりますから、やはり行政的には正しい形に指導しなきゃならぬと考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 この問題は、分科会等でまたやっていきますから、十分、いま自治大臣が言われたように、行政面の厳重な監督を私要望しておきます。

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(赤澤正道君) ずさんな手続ということを申しましたが、やはり方法としては住民の監査請求だとか、直接請求だとか、また議会での審議を通じて十分によく事態の真相を知らせるとか、いろいろ方法がありますけれども、やはりこうなりますと、ただいま申しました行政指導も、たとえば北海道で申せば、道あたりによく言いまして、そうしてまず第一段階としてこれを指導しなければならぬと考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 もう少しお考えをはっきり聞いておきたいと思うのです。

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(赤澤正道君) 飛行場の用地のことだと思います。調べてみますと、やはり正当なる手続を経まして、そうしてこれを無償譲渡するということも、これは一向差しつかえないことですけれども、そのあとのことがよくないということなんです。結局、無償譲渡して、飛行場をいま建設中であって、用途としては最初契約したとおりに進行中であるようですけれども——そこまでよく私存じませんが、大体契約は二年以内に完成する。できなかった場合には契約破棄だという条件づきのようでございますけれども、まあ、とにかく私の聞く範囲では、進行中である。おくれるかどうかしりませんけれども。ですから、契約の目的を考えました場合には、あながち私は違反しているのではないのではないかと思うのですが、ただ、途中でこれを個人に転売して、その転売を受けた個人がまたその会社の重役に入ってくるとか、ちょっと私どもが考えられぬようなことが起こっているやに聞いておりまするので、こういうことはやはり行政の誤りでもございまするから、一応よく究明いたしまして、善処いたしたい、かように考えている次第であります。理事(剱木亨弘君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 速記を始めてください。  宮崎君の残余の質疑は、明日行なうことといたしまして、日本はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会

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