予算委員会 第10号
- 発言数
- 394 件
- 登壇者
- 38 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1968/03/30
会議録
○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、片山武夫君が辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。 本日、瀬谷英行君、野上元君が辞任され、その補欠として小柳勇君、大矢正君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 昭和四十三年度一般会計暫定予算、昭和四十三年度特別会計暫定予算、昭和四十三年度政府関係機関暫定予算。 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長及び理事打合会において、三案の取り扱いについて協議を行ないましたので、その要旨について御報告いたします。 本日、提案理由の説明を聴取し、直ちに質疑に入りまして、本日は各党の御協力を得まして、できるだけ迅速に審査を終了したい予定であります。その質疑時間は百五十五分といたし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ六十分、公明党二十分、民主社会党、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ五分といたしました。質疑順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、民主社会党、日本共産党、第二院クラブの順といたしました。 以上、御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは水田大蔵大臣から提案理由の説明を聴取いたしますが、その前に、大蔵大臣より発言がございます。大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 本予算の成立の前に国鉄定期運賃の引き上げを行ないますことは、今回の暫定予算の性格にかんがみ遺憾であります。今後これを先例とすることはないものと考えております。
○加瀬完君 ただいまの大蔵大臣の御発言は、今後とも暫定予算等については歳入面についても与野党の一致を見て行なうものとしたいと解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうようにしたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 大蔵大臣、提案理由の説明をお願いします。水田大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十三年度暫定予算の概要について御説明いたします。 昭和四十三年度予算は、年度内に成立を見ることは困難であると思われますので、本予算が成立いたしますまでの間、国政の空白を避け、その運営に支障を来たすことのないよう、四月一日から四月十六日までの期間について、暫定予算を編成することといたしたものであります。 まず、一般会計暫定予算について申し上げます。今回の一般会計暫定予算の歳出総額は四千三百九十億円、歳入総額は八百九十四億円でありまして、三千四百九十六億円の歳出超過となっておりますが、国庫の資金繰りについては、必要に応じ、大蔵省証券を三千億円まで発行できるよう措置することといたしております。 今回の暫定予算におきましては、暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、人件費、事務費等の経常的な経費のほか、既定の施策にかかる経費は、法令に基づき国の義務となっている経費等必要最小限のものについて所要の額を計上することとしております。なお、新規の施策にかかる経費は原則として計上しないことといたしておりますが、教育及び社会政策上の配慮等から、暫定予算の期間といえども放置することが適当でないもの、すなわち、生活扶助基準の引き上げ、失業対策事業の賃金日額の引き上げ及び大学生増募等につきましては、特にこれを計上することといたしております。 また、公共事業関係費につきましては、災害復旧の緊急性にかんがみ所要の額を計上するほか、直轄事業について、人件費、工事雑費、維持修繕費等の経常的経費を計上いたしております。 歳入につきましては、租税及び印紙収入八百七十九億円、その他収入十五億円と、暫定予算の期間中に見込まれる額を計上することといたしております。 以上、一般会計暫定予算につき申し上げましたが、このほか、特別会計、政府関係機関につきましては、一般会計に準じて暫定予算を編成いたしております。 なお、財政投融資につきましては、暫定予算の措置に即応して運用いたすこととしております。 最後に、地方財政について申し上げます。今回の暫定予算におきましては、地方交付税交付金について、四月の概算交付額の財源等に充てるため、二千三百七十二億円を計上することとするなど、地方財政の運営に支障を来たすことのないよう配意いたしております。 以上、昭和四十三年度暫定予算について御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして、昭和四十三年度暫定予算三案の提案理由の説明は終了いたしました。 これより質疑に入ります。小柳勇君。
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、労働問題、中小企業問題、日中貿易問題を中心に質問をいたします。 まず、経済企画庁長官に質問いたします。 先般来、物価上昇の問題、経済全般にわたって質問がなされておりますが、物価上昇の現状と、これから四十三年度の物価上昇の見通しについて見解をお伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず本年度につきましては、先般来、四・五%以内におさまると思いますということを申し上げておりますが、ここで、三月分の東京都と二月分の全国分の指数が明らかになったわけであります。そこから判断いたしまして、三月分の全国はもう一カ月指数がおくれますが、まずおそらく四・五%以内、おそらく四・二とか、四・三とか、その辺でおさまることがまず確実だと思っております。しかし、これも先般申し上げましたように、そういたしましても、来年度に持ち越すいわゆる床の上がった部分が相当大きゅうございますので、来年度の見通し四・八%以内におさめるといたしますと、来年度に許される年度内の許容量というものはかなり薄い。この努力目標はよほどの努力をする必要がある、こういうのが現況でございます。
○小柳勇君 ただいまの経済企画庁長官の答弁は、一カ月前から予算委員会を通しての大体同じような見解でありますが、その後、公共料金の引き上げ、あるいは消費物資の引き上げなど、軒並みに値上がりがなされておりますが、その影響を加味すれば、いままで一カ月前から言われておる物価上昇、あるいは消費者生活の生活向上は修正しなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今年度並びに来年度の見通しを立てました段階で見通しましたことと現在と、私どものほぼ見通しましたとおりに推移をしておると思いますので、両年度とも変更をする必要はないものと考えております。
○小柳勇君 次に労働大臣に質問いたします。 現在、民間単産、公共企業体など、多数の労働者が大幅賃上げを要求して、それぞれ交渉なり、あるいは労働基本権の行使をしてその妥結を急いでおりますが、現在のいわゆる春闘の情勢について、その実態について御報告を願います。
○国務大臣(小川平二君) 民間企業につきましては、すでに回答の出された件数はまだきわめてわずかでございます。妥結いたしました件数も、これまたきわめて少数でございます。 公共企業体につきましては、公労協傘下の大多数の組合が公労委に対して調停の申請をいたしております。同盟系は、四月一日ごろに申請を行なうと、かような状況になっておるわけであります。したがいまして、民間賃金の動向等もまだ的確には把握できないという状態であります。
○小柳勇君 もう一回、労働大臣に質問いたしますが、私どもの調査では、いま労働力不足などを加味して、昨年のいまごろにおける春闘の妥結情勢よりも早く、民間では大幅賃上げ、金額でいえば六千円ないし七千円以上の妥結を見ておりますが、そういう実態について労働省は把握しておられませんか。
○国務大臣(小川平二君) 妥結をいたした件数はただいま申し上げましたとおりで、きわめて少ないのでございますが、数字につきましては政府委員からお耳に入れさせます。
○政府委員(松永正男君) 御説明申し上げます。 概況は先ほど大臣から申し上げましたとおりでございますが、民間につきましては、新聞報道関係等におきまして一部回答が出まして、その回答が昨年の妥結額と比べまして上回った回答が出ておるところもございます。それからその他の業種につきましては、大体四月初めから十日くらいまでの間に回答が出るもの、それから四月中旬ごろに回答の出るもの等がございますが、現在の回答状況で全体のことしの春闘の推移を判断するというようなことは、まだ件数が少ない関係で、ちょっと判断が全体の推移を推測する段階に至っていないというふうに思っております。
○小柳勇君 非常に慎重な御発言でありますが、私どもの調査では、昨年よりもかえって金額の高い賃金で妥結しておる組合が多い、こういうことであります。 次に、公共企業体については、ただいま調停委員会にかけて、公労委にかけて第一回の事情聴取などが行なわれておりますが、公労委における調停の実態について、公社側代表として国鉄副総裁から現状について御報告願います。
○説明員(磯崎叡君) 私のほうの組合の今回の賃上げ要求は去る一月十九日に行なわれまして、その後ずっと団体交渉を続けてまいりましたが、三月二十日に調停申請をいたしまして、すでに第一回の事情聴取が終わりまして、第二回を来月五日に行なうことになっております。
○小柳勇君 公企体が第一回の調停に入ったところでありますが、おそらく来月の下旬には例年のように仲裁裁定が出ると見なければならぬ。ほかの三公社五現業についても大体同一だと思いますが、この場合の資金についてはどのような裏づけがあって交渉をしておられるのか、もう一度、国鉄副総裁から答弁を求めます。
○説明員(磯崎叡君) 本年度の賃金値上げの原資でございまするが、もちろんまだ調停段階でございまするし、確定的な数字が出たわけではございませんが、私どもといたしましては、現在御審議中の予算がそれほどもちろんゆとりがあるわけではございません。従前どおりやはり予備費の――予備費はことしは少しふやしていただきましたが、予備費あるいは節約並びに増収努力ということによってこの財源を考えたい、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、いま公企体の賃金交渉の実態についてはお聞きのとおりです。で、資金については、予備費を若干ふやしてあるけれども、とうていこの予備費でまかなうだけのものはないのが三公社五現業の実態であろうと思います。政府機関の特別会計について、もし裁定が出た場合、例年のようにこれを尊重する場合には、どうして資金の裏づけをされるか、大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 裁定が出ましたら、この裁定が企業経営に及ぼす影響等を考えまして実施することが適当であると判断いたしました場合には、政府は法令に従ってこの実施ができるように努力するつもりでございます。
○小柳勇君 実施ができるようにということは、予備費その他資金の流用によって、予算の流用によってまかない得ないときには補正予算もあり得るということに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは裁定のぐあいを見なければわかりませんが、何か補正予算を組むということはむずかしい問題だと思います。その組まない範囲内において裁定の実施ができるように政府は十分努力するつもりでございます。
○小柳勇君 ここはしろうと論議でありませんから、みんなわかった上で論議しておるのでありますから、国鉄に予備費が若干ふやしてあるけれども、これでまかない得ない。予算の移流用についても限界があるならば、特別会計として補正予算を組まなければ、ほかから金が出るめどはないのでありますが、そういう場合には補正予算を組むと、こう理解して議論を先に進めてよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) とにかく予算総額を法令に従ってふやして、この裁定に対処していく、こういう能度だけを申し上げまして、そのあとどうするか、補正予算を組むか組まないかというようなことは、これは裁定を見てからでないと、各五現業、各公社の財政とのからみ合いでございますから、いまここで組むとか、組まないとかいうことは申し上げられません。
○小柳勇君 抽象的な議論は、衆議院でも参議院でももう再々されておりますから、きょう私は具体的に問題を煮詰めていきたいわけです。総括の最後でもありますし、労働問題の最後だと思いますから、まとめていきたいので、いまの大蔵大臣の発言では納得できません。補正予算を組まなければ、どこから資金が出るのか教えていただきたいと思うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ裁定が下らぬのでございますから、裁定が下った場合には、それと財政のにらみ合いによって予算総額をふやし、この裁定ができるようにとにかく政府は努力する、こういうことでございます。
○小柳勇君 昨年の公労委の裁定の出た時期も、大体物価上昇率は五%程度であれだけの裁定が出ました。そうして補正予算を組まなければ三公社五現業はいかんともしがたかった。したがって、政府は補正予算を組んだのであります。昨年と大体同じような経緯で問題が進行いたしておりますから、昨年と同じように理解して問題を先に進めてよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度の予算編成でも御説明申し上げましたように、政府はいわゆる総合予算主義をとりまして、従来のように補正要因が起こった場合に補正するというようなことをやらないで、当初予算においていろいろな措置をしておくことによって、全体としての予算補正ということを避けたいというのが政府の方針でございますので、その方針の線に沿って、しかも法令によってできることをしてその責任を果たそう、こういうのが私どもの考えであるわけでございます。
○小柳勇君 その前段の発言があるから非常に問題が重大であります。予算を補正をしない、財源はほかに見つけるとおっしゃるけれども、何らいま言明がない。したがって、いま国鉄が予備費を組んで、あるいは国家公務員の予備費の限界が公労委の仲裁裁定やあるいは人事院勧告を制限することがあるならば、これは重大な問題でありますから、くどく質問しているわけであります。私は昨年と同じように、やむを得ない場合には補正予算を組むというようなことで、私の発言を理解してもらえますならば問題を先に進めますが、いかがでございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 政府といたしましては、まだ裁定が出ない間において、いまの予算の範囲内でやりくりができるかできないかというようなことは、裁定を見てからきめることでございますので、そういうものを見ない間に、先に補正予算を組むとか組まないとかということは、私どもの立場として言えません。
○小柳勇君 いままでの議論を聞かれて、総理大臣の答弁を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの質疑応答を聞いておりまして、大蔵大臣は、ただいまの権限の範囲内で申し上げております。また、小柳君ももうこの道のベテランで、事情はよく御承知でございまして、ただいまのように十分仲裁裁定を尊重するというこの立場において、それから先は政府にひとつ、そのしかた、やり方はこれこれだといって限定なさらないで、善処することをひとつおまかせを願いたい。これももう小柳君もベテランですから、その辺はよく御承知のことだと思います。
○小柳勇君 それでは、こういう点を確認しておきたいと思うのです。公労委の仲裁裁定並びに人事院の国家公務員の給与に対する勧告は、政府の今年度の予算については一切これは拘束しないで、いままでと同じような情勢で裁定並びに勧告が出るものである。したがって、出たあとは政府はこれを尊重して完全に実施する、こういうことを確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 実施することに政府は努力いたします。
○小柳勇君 自治大臣に御質問いたします。ただいまの公企体労働者並びに国家公務員に対する給与問題には大体結論が出たようであります、まだ少し残っておりますけれども。地方自治体の地方公務員に対する財源措置についてはいかがですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 地方公務員の場合は、国家公務員に準ずることになっております。大体、たびたび御説明申し上げましたとおりに、明年度は、現年災の追加需要に応ずるという意味合いで、大体、一般行政経費の中に八百五十億円を見ているわけでございますが、しかし、人事院の勧告がありました際に政府のほうでどういう態度をおとりになるか、よく見きわめた上で地方公務員の場合も適切な措置を講じたい、かように考えております。
○小柳勇君 自治大臣、ことばじりをとるんじゃありませんが、政府のやられている措置を見て適切に考えるということは、あなたは政府の閣僚ですからね。あなたの責任において地方公務員の給与をどうするか、もっと責任ある答弁を求めていきたいと思うのです。
○国務大臣(赤澤正道君) まだ人事院の勧告がどういう形で行なわれるかわかりません。しかし、先ほど申しましたように、国家公務員に準ずるというたてまえになっておりまするので、政府のおやりになることをよく見まして適切な措置を講ずる考え方でございます。
○小柳勇君 冒頭に経済企画庁長官から物価上昇率を聞きました。また、労働大臣から民間労働者の現在の実態を聞いておりますが、そういうものを勘案して、当然、人事院勧告は昨年のように――昨年以上に出るものと私どもは理解しなければならぬのです。皆さんもわかっているとおりでありますから、そういうものを踏んまえて答弁してもらわなければ、国会を開いたって何にもならぬと私は思うのです。くろうとですから、そういうことでひとつ答弁をしてもらいたいと思うのです。地方公務員につきましても、私はさっきの総理大臣並びに大蔵大臣の答弁を十分聞きましたから、いま自治大臣の答弁では不満足でありますけれども、問題を先に移したいと思うのです。 それから労働大臣に質問いたしますが、いま一番問題は、若年労働力の入手難、これは中小企業も大企業もそうでありますが、特に学卒の求人難、それには賃金のアンバランスなども相当ある。したがって、わが党はもう十数年前から全国一律最低賃金方式の早期制定を要求しておるのでありますが、今日まで言を左右にして政府はこの全国一律最低賃金方式を制定しない。第十六条方式をいま尊重しておられるが、現在の最低賃金のあり方、実態について見解を聞き、報告を求めたいと思います。
○国務大臣(小川平二君) 最低賃金につきましては、諸外国がそれぞれ実情に即して実効のあがる制度を採用いたしておると承知しております。おことばにございました全産業全国一律最低賃金の考え方を私ども否定をいたすわけではございませんけれども、これにはいろいろ議論の存するところでございます。この点はただいま審議会にお願いをして検討していただいておる段階でございますが、いわゆる十六条方式についてのお尋ねでございます。これは御高唱のとおり、従来他の方法をもっては実行が困難な場合に限って適用されるという制約があった関係で、比較的件数は少なかったわけでございますが、これから提出をして御審議願う法案によりまして、そういう制約がなくなりました暁には、今後はおそらくこの十六条方式が中心的な役割りを果たしていくのではなかろうかと考えております。ただいま数字を御参考までにお耳に入れます。昭和三十九年度では審議会方式によるもの一件でございます。四十年度においても一件でございます。四十一年度においては八件、適用労働者数五十五万、四十二年度においてはこれが二十件にふえて八十一万になっております。今日までに計三十件、こういう実績でございます。
○小柳勇君 ただいまのように、現地で十六条方式でやろうとしましても、労働省の担当官も少ないし、できないのです。しかも、いまおっしゃったように、件数としても少ないし、たとえば中小企業の建設業が入札いたしますと、その人件費は地場賃金で入札のコストになっておる。ところが、それではいま労働力が入手できない。そういう面でいま非常に中小企業の人は困っておる。だから、私どもは単に労働者の保護という立場だけではなくて、日本の中小企業なども保護育成するという立場で全国一律最賃方式を提案しておるのでありますが、そういうことは昭和三十九年の四月十六日に、汽車や電車がとまろうとする大争議の中で、池田・太田会談が持たれました。池田総理大臣と太田総評議長が会談いたしまして、その最後の項にこういう確認をしておるのです。最低賃金制については中央賃金審議会の答申もあり、趣旨を尊重して、前向きに解決する、これは全国一律方式を前向きに検討するという約束を総理大臣と総評議長がなしておられるのです。それからもう四年になります。なお今日この結論が出ていない。検討の姿もない。これはどういうことでしょうか。
○国務大臣(小川平二君) 審議会に対しましては、全国全産業一律最賃方式をも含めて、諮問を申し上げておるわけで、審議会においても非常に精力的に検討を進めておられるわけでございます。これは審議会にお願いをいたしたのでございますから、私どもといたしましては、審議の結果を待って結論を得たい、かように考えておるわけでございまして、私どもの姿勢が後退をいたしたわけではございません。
○小柳勇君 労働大臣がたびたびおかわりになるから、そういう少しずれた答弁なされますけれども、もっと代々労働省は前向きに検討すべく答弁はしておるわけです。しかし、実際には検討はしていないわけです。 それでは、家内労働など、家内工賃についてはいかがでしょうか。いま、各労働者の家庭は、生活が苦しいから奥さん方は約七〇%ぐらいは内職をしております。それが中小企業倒産などによって内職賃金すら不払いになっておる。で、われわれは家内労働法及び家内工賃の問題も再三提案しておりますが、今日まだ日の目を見ません。この問題はいかがでしょうか。
○国務大臣(小川平二君) 家内労働は性質上実態を把握することに相当の困難が伴うわけでございまして、ことに委託者から末端に至る経路、いろいろのものが介在をいたしておりますために、審議会の文書等を見ましても迷路のごとくに複雑だというような表現が用いられておるような、なかなか実態の把握がむずかしいのでございますが、ただいま審議会において鋭意作業を進めていただいております。審議会に対しては、家内労働法と申しますか、立法措置をも含めて諮問を申し上げておるのでございまして、遠からず結論が得られると期待をいたしておるわけでございます。期待と申しますよりは、見通しとしておそらく夏ごろまでには結論を出していただけるのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。で、この内職の不払いにつきましては、労働省といたしましても、とりわけ注意をして処理してきておる、また指導監督をいたしております。 御参考までに申し上げまするが、補導所で扱いました昭和四十年の件数が約六十万件ございます。そのうち不払いは五十四件、金額にいたしまして二百七十万円、千二百人分ということになっておりますが、五十四件のうち四十八件は補導所が指導いたしまして是正をしておるというような状況でございます。私の想像いたしておりましたよりは案外にこの件数が少なくて済んでおるという印象を受けております。今後もこの点には十分注意をしてまいりたいと思っております。
○小柳勇君 この問題は専門的ですから、担当官の答弁を求めますが、パートタイムの婦人が十四日以上働きますと失保の適用ができるのでありますが、十日ないし十二日、たとえばボートレースのたくさんの婦人労働者など十二日ぐらいで一月終わる、したがって、失保適用ができない、こういう問題について検討されたことがございますか。
○国務大臣(小川平二君) 非常に技術的な問題でございますので、政府委員からお耳に入れます。
○政府委員(有馬元治君) パートタイムの失業保険適用の問題については絶えず検討いたしておりますが、ただいま御指摘のようなケースにつきましては短期の臨時の雇用という場合でございますので、適用から除外をしておるという例が相当ございます。
○小柳勇君 労働大臣、ただいまのようにですね、月に十二日以下のパートタイムの婦人については失保が適用できないのです。その問題について前向きに検討していただけますか。
○国務大臣(小川平二君) パートタイムという形がわが国においては比較的最近の問題でございますので、御指摘の点をも含めましてまだいろいろ研究しなければならない問題、是正しなければならない点がたくさんあると存じます。前向きで検討いたします。
○小柳勇君 郵政大臣に質問いたしますが、郵政大臣の所管の部下職員、いわゆる労働者も、さっき国鉄の副総裁から答弁がありましたように、いま賃上げの要求をいたしておりますが、その財源措置などについていかなる見解を持っておられますか。
○国務大臣(小林武治君) これは前年も計上いたしておりませんが、今年も同様でございます。しかし、裁定がありますれば私どもとしては、予備費あるいは経費の節約、あるいは弾力条項による事業増加に対する増収、こういうものを充当いたしまして、でき得る限り裁定の完全実施をいたしたい、かように考えております。
○小柳勇君 郵政大臣、もう一問ですが、あなたのほうの職場にも人員を減らすいわゆる合理化、新しい機械を導入して人間を減らすという合理化、あるいは高賃金の労働者を首切って民間に委託するという合理化、こういうものがたくさんあるようでありますが、同じような自分の管轄から高賃金のものを民間にはねのけておいて、そして帳面づらだけあなたの企業体の黒字をつくろうとするような合理化は私は反対でありますが、そういう、実態についてどのような見解を持っておられますか。
○国務大臣(小林武治君) ただいまのお尋ねでございますが、私どもの関係におきましては、さしむきさようなことは考えておりません。
○小柳勇君 考えておりませんとおっしゃいましても、たくさん資料が出ておりまして、いわゆる合理化なるものの実態は、低賃金、いわゆる首切りである、あるいは強制配置転換であるという資料がたくさん出ている。あなたのほうの公社あるいは現業のほうにある。それを御承知ないのでしょうか。
○国務大臣(小林武治君) 機械化、合理化いろいろの問題がありますが、これが首切りにつながるというようなことは考えておりません。
○小柳勇君 それでは、現在の定員を首切るような、なま首が飛ぶような整理、合理化はない、一切しないと、こういうことでございますか。
○国務大臣(小林武治君) さようでございます。
○小柳勇君 次は文部大臣に質問いたしますが、これは例の教職員特例法であります。私どもの見解では、労働基準法を適用除外するということは、基本的には、これはもう国際的にも――教員を日本の憲法の保護から除外していくものだと理解いたしますが、文部大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。 今回の教育公務員特例法の一部改正で、その措置は国公立の小中高等学校等の教員の正規の勤務時間をこえる勤務につきまして、その態様の特殊性にかんがみまして、一般の公務員に対して支給される超過勤務手当を支給せず、一定率の教職特別手当を支給しようとするものでございます。これは国公立の学校の教員の時間外の勤務についていかなる給与措置をとるか、その給与制度の上におきまして、いわば方法上の問題であって、この措置が教員の労働の基本的権利を奪うものとは私ども考えておらないのでございます。教職特別手当は時間を単位としてその額を算定する超過勤務手当よりも教員の勤務の実情により即したものではないか、そのように考えている次第であります。
○小柳勇君 文部大臣、いま一度質問いたしますが、教職員といえども月給もらって働く労働者であるということについては、見解に相違ございませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教員も憲法に言う勤労者であると考えております。
○小柳勇君 憲法に言う勤労者という意味わかりませんが、憲法では労働者に対する労働基本権を保障してあります。月給もらって働く労働者であるというような見解についてはいかがですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) これはことばの問題かと思うのでございます。憲法では勤労とかあるいは勤労者ということばを使っておるわけであります。それに基づいて労働基準法というものもできておるわけでございます。私はことばに拘泥するつもりはもちろんございませんけれども、ただまあ私どもの気持ちから申しますというと、労働者ということばはどうも先生を呼ぶのにはふさわしくないのではないかという気もしますので、憲法上使われております勤労者ということばで申し上げておるわけであります。
○小柳勇君 そのことばの論議はあとでやりますが、この法律は公立学校の教員でありますが、私立その他幼稚園など、この適用以外の教職員は、そうすると、いま言われた勤労者の範疇でしょうか、労働者の範疇でしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は法律上の用語として考えました場合に、これを労働者とお呼びになっても、別にそれが間違っているとか何とかというふうなことを申し上げているわけではありません。そのようにひとつことばの使い方の問題として御了承願いたいと思うのです。別に労働者だということが違法だとか何とかというふうな考えをもちろん持っておりません。労働者とお呼びになっても差しつかえないことだと思っております。労働基準法の適用も受けておるわけであります。幼稚園の問題でありますとか、私立の問題につきましては、まあ私学のほうは頭から労働基準法をかぶっていると私ども思うのであります。この点については格別の問題は従来はなかった。幼稚園につきましては公立の問題もございます。この特例法では幼稚園の実情にかんがみまして、そこまでは及んでいないというふうに考えておりますが、将来検討の問題にはなろうかと思います。
○小柳勇君 この法律については専門の委員会でもう論議しておる問題でございますし、私の言わんとするのは、きょう労働問題としてこれを取り上げておる。私立学校並びにいまおっしゃったようなこの適用以外の教職員は労働基準法の適用がなされるにかかわらず、この法律にある教職員だけを特別に聖職として労働基準法適用を除外しようという意図がわからぬものですから、そのようなものは国際的にも時代逆行ではございませんでしょうか。勤労者は労働基準法によってなるべく保護されていくのが本人たちの希望でもあるし、これは国の方針でなければならぬと思うのに、この法律は逆行しているように思うのでいま質問いたしておるわけであります。したがって もう一度、大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほどお答え申し上げましたように、われわれはこの特例法の改正を行なうことによりまして、労働者の基本的権利を奪うとかというような気持ちはもとよりないわけでございます。このほうが教職員の時間外の勤務に対する給与制度としてはより適切じゃないか、こういう考えのもとにいたしておるわけでございます。なお、よけいなことかもしれませんけれども、この措置は暫定的な措置ということにいたしております。文部省といたしましては、今後、教職員の給与の問題についてさらに検討を加えまして、教職員全般にわたっての給与体系というような問題についても何らかの成案を得たい、その成案を得るまでの暫定措置、こういうような考え方をいたしておるわけでございますので、つけ加えて申し上げておきます。
○小柳勇君 それでは、こういうふうに私は確認していきたいと思うんですが、勤労者として労働基本権を亨受するという面については何ら反対ではないが、ただ超過勤務手当を支給するのに便利であるから、そのためにこの暫定的な法律を定めるのである、こう理解してよろしいわけですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 働く人の基本的権利を奪うつもりはございません。ただ、先ほども申し上げましたように、教職員の時間外の勤務に対応する給与の制度としては、このほうが実情に合うのじゃないかという方法上の問題として取り扱っているわけでございます。
○小柳勇君 具体的な問題が残りますが、これは専門委員会に回しまして、私はこれは保留してまいります。 次は失対事業の打ち切りの問題でありますが、労働大臣に質問いたします。いまたくさんの失対事業に従事する労働者諸君が、失対制度の全面的な改正がこの秋にあるといって心配しておりますが、そういう企図がございますか。
○国務大臣(小川平二君) 昭和四十三年がこの法律によりまして制度の検討を行なうべき年に当たっておるわけでございます。したがいまして、この際、制度を全面的に検討する作業をこれから始めるわけでございますが、これにつきましては私どもは全く白紙で臨むつもりでございます。打ち切りというようなことは考えておりません。
○小柳勇君 労働大臣、今年度の予算は昨年に比べて多いのか少ないのか、それからいま絶対に失対事業をなくしませんとおっしゃいますが、いま心配が相当ありますから、この秋に全面改正のときにいまよりも減るのかあるいはふえるのか、具体的に御答弁をお願いしておきたいと思うのです。
○国務大臣(小川平二君) 四十三年度の予算は、賃金とか管理監督費、事務費、資材費というようなものを入れまして二十六億円、八%の増加になっております。賃金そのものは御承知のとおり一二%上げるということになっておるわけでござします 御質問の後半のほうはちょっと御趣旨がわかりかねましたが。
○小柳勇君 秋の全面改正で失対事業についてなるべく削減したいとしているのか、もっと合理的にふやしていこうと、こういうことか。
○国務大臣(小川平二君) 御承知のような労働力需給の逼迫の状況でございますから、失対にいわゆる流入する数も減ってきております。反面、現に失対事業に働いておる人たちを政府もお手伝いをしまして民間の普通の雇用につくようにしていただいておる、その実績も上がっておりますから、規模としてはだんだん減ってまいる見通しになっております。ただ、それに対応する予算がどうなるかということは計算をいたしてみませんと、ただいまここで減らすとか、減らそうというような方針で臨むわけではもちろんございません。
○小柳勇君 行政管理庁長官に質問いたしますが、この公務員の定員減あるいは合理化などということで非常に心配をいたしております。で、さきの臨時行政調査会では合理化によって公務員のなま首が飛ぶようなことはないのだ、人員削減、合理化によって無理な首切りはないのだということが、するべきでないという答申が出ておりますが、現在行なわれておる一%減、あるいは三年間五%減についてのやり方、現在の大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
○国務大臣(木村武雄君) 私の担当しておりまするのは、これから三カ年間にわたって定員五%を削減するという問題なのでありまするが、なま首を切るなどという荒療治は絶対考えておりません。その点は御安心くださるようにお願いをいたします。しかし、人間のやることでありまするから、もしも手落ちがありましたならば遠慮なくおっしゃってくださいますれば訂正いたします。
○小柳勇君 特殊法人の整理統合について具体的な例を言いますが、たとえば北海道資源開発株式会社、これを完全に、民間に移行するという案がある。これをですね、いまですらこれは資源開発ですから黒字になるはずがない。それが赤字だからということで、これを民間に移行する。民間に移行すれば定員がうんと減ると、こういう具体的な問題がありますが、この問題についてはいかがですか。 〔委員長退席、理事剱木享弘君着席〕
○国務大臣(木村武雄君) その問題は、国家公務員の定員削減の対象外になっております。しかし、私も行政管理庁としてこの問題に取り組んでみましたけれども、最初の目的でありました北海道の地下資源開発という当初の目的は一%も果たしていないのです。そうして、大切な国民の税金というものが今日まで使われております。これより以上国家が国民の金を使わして、なおかつ目的を果たすことができるのであったならば別でありますけれども、残念ながら目的を果たすことができないという状態になっております。そうでありまするから、いろいろな点で束縛を与えておりまするよりも、こうした会社は広くいろいろなこともできる民間に移行いたしまして、ここで働いておいでになります人々は非常にりっぱな人々であります。能力のある人々でありまするから、そういう人々に思い切って創意くふうをしてもらって、より以上りっぱな仕事をしてもらいたいと、こういう考えで民間に移行するようにしたのでありまするが、この会社は今度の国家公務員の定員削減の対象になっておりませんです。
○小柳勇君 いまおっしゃいました、たとえば国民の税金でそのような地下資源開発という目的を達しないが、じゃ、民間の会社にやったら達するかというと、これまた問題じゃないかと思うのですが、これはまあ民間会社としてやろうとする人も、これはまたたいへんに度胸のある人だと思いますけれども、国民の国税はもちろん大切であります。それ、だからといって、これを民間に持っていって定員を三分の二にひとつしてくれ、こういうこと事態について矛盾を感じませんか。
○国務大臣(木村武雄君) いろいろ考えてみましたけれども、やはり人間の知恵というものは豊な中に創意くふうができないようであります。乏しい中に創意くふうするとりっぱな知恵が出るんじゃ、ないか、私はこういうふうに考えてみたのであります。
○小柳勇君 むちゃくちゃな議論ですよ、そういうことでは。そういう大臣のことばが国会をまかりとおるということは納得できないです。国の予算、それは同じですよ、ほかの官庁の合理化にしても私は同じだと思うのです。市役所の合理化についても同じです。いま赤字である、給料が高い者の首を切っていく、あるいは給料のかかるところの仕事を民間に負わせる、表面上は黒字になりますが、この切られた人たちも、はねられた人たちも日本人であります。この四つの島に生活しなければならない、自分一人で生活しろということですね、いまのことばは。決してそういうことにならぬのですがね、どうでしょう。
○国務大臣(木村武雄君) もっともな議論であります。私はそういう議論がすべてこれからにあてはまるようにしてもらいたいと考えております。いやしくも国家の金をあずかっておるなら、ほんとうにきびしい気持ちであずかってくださらなかったならばいい政治ができない。そうでありますから、私は、私の気持ちはすべてにどうかあてはまるようにしてもらいたい、こういう気持ちで臨んでおります。
○小柳勇君 では総理に、いまの公務員なり、地方公務員なり、あるいは三公社五現業について、いわゆる合理化なるものがありますが、これは一言に言えば、いまの経営が赤字であるから、したがって、金のかかるところを切り捨てていこう、下請に出してそれだけコスト・ダウンしようという合理化、大ざっぱに言えば、こういうものについてただいまのような答弁で、これが予算委員会をまかり通るようであっては論議する必要はないわけですが、総理の見解を聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は一つの問題は、いわゆる合理化という名前のもとに出血整理がされるんじゃないか、働く者の立場から最近はそういう出血整理がされるのじゃないか、したがって、政府自身がそういう点についてはいわゆる整理を考えているものではない。このことは先ほど来の質疑応答で御理解がいただいたと思うのです。今回の整理の場合におきましても、現実に相当欠員を持っておりますから、そういう欠員の定員まで含めて順次実情に合うように縮小していくということでありますから、このほうはまず三カ年間五%、これがいわゆる出血整理でないということは御理解いただける、だろうと思います。また政府もそのつもりでこの問題と取り組んでおります。 それからもう一つの問題は、いろいろのいわゆる公社、公団等がございますが、また政府が特別な使命を持たせてそれぞれ特殊会社をつくっておる。こういう場合に、その使命の達成がもうできたものだ、あるいはその目的達成に現状では不適当だ、こういうものについてそれぞれくふうしていこう。ただいま大事な国費を乱費しない、これはもちろん大事なことでございますが、それだからと申しまして、すでにできあがっているものもありますから、それぞれの政策目標がございますから、その政策目標を達成するのに適正なりやいなや、もうすでにその目的を達したかどうか、こういうことをいろいろ考えまして、そうしていわゆる事業の整理に取り組んでいく、かような意味でございます。ただいまの木村君からの答弁にいたしましても私はさように理解しておりまして、政府自身がその意味でこれらの行政管理庁の種々の施策を推進さしておるような次第でございます。
○小柳勇君 厚生大臣に、次は国立療養所の特別会計の問題でありますが、昨年の予算委員会でも私は質問いたしましたが、その後約五十万人の、特別会計に移行してくれるなという反対請願がまとまったようであります。現在の心境について聞いておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 療養所は御承知のとおりに全国で百六十カ所、ベッド五万千四百でありまして、これが非常に老朽をいたしておりまして、早急に整備することはなかなか困難でございます。なおまた、新たに精神障害であるとか、身体障害であるとか、長期慢性の治療のために施設をする必要がありまするので、どうしても財政に弾力性を持たしてやるのには特別会計にやらざるを得ない。ただし、御指摘のとおりに、これについては、いろいろ反対がございます。 第一には、特別会計をやることによって独立採算制に移行さして、そうして従業員なり患者に負担を移行するのではないか、これがありますので、この点については十分注意しなければならぬことでございまするし、なおまた、行政上もこの点に留意していかなければならない。したがいまして、将来とも独立採算制には絶対にしない。今年度も四百二十億の会計中、二百五億、四九%は一般会計から繰り入れておりまするし、将来とも適正なる経営の収支は一般会計から繰り入れて、独立採算制にしないようにいたしております。 二番目には、結核が、任務の終わったものではない、こういう反対があるようでありまするが、政府としても、結核は療養所の努力によってどんどん実効をあげてまいりましたが、決して結核に対する対策は終わったものであるとは考えておりません。今後ともやはり結核に対しては追撃戦を展開しなければならぬ。そこで本年度は結核対策の費用は三百八十四億、昨年よりも三十二億増をいたしております。 もう一つは、患者に対する負担が増加するのではないか、この点も非常に留意すべきことでありまして、現在までの患者及び新しく入って来られる患者及び外来患者につきましても、現在までの患者はそのとおり、新患者並びに外来の患者は自己負担のあるものについては価格の加算制度はしないで、いまの制度はそのまま持続をする。 それからもう一つは、従業員を減らすのではないか、こういう反対の面もあるようでありまするが、これは絶対に減らさないことにいたしておりまして、定員の五%削減の一般法則もございまするが、その五%も減らさないで従業員の諸君の御協力を願う、このようにしておるわけでございます。
○小柳勇君 ただいまの答弁を聞いておりますと、特別会計になす理由というものが非常に薄弱でありまして、特別会計にする必要はないというふうに理解いたしますが、それでよろしいかどうか、その点いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 特別会計にいたします理由は、この施設がほとんど軍の旧建物をもらった建物でありまして、非常に老朽をしておりまして、施設等は非常に不完全でございます。その上に新しい心身障害その他の長期慢性の治療の拠点にするのには、早急に設備を近代化をし、患者の処遇を改善する必要がありまするので、そのためには特別会計に移して借り入れ金の導入であるとか、あるいはその他不用の土地の売却など、財政に弾力性を持たして、短期間のうちに近代的な整備をはかりたい、そのためには、特別会計に移行せざるを得なかった、こういうわけでございます。
○小柳勇君 病院の施設の整備などを中心にして特別会計にするということについては、それは全然本末転倒ではないかと思います。その問題については、これはこれだけの論議、時間をとりますから社労委員会でまたやりますが、関連して、いま重度身体障害児、障害者の施設を国立療養所につくるという案がありますが、国立療養所、それは医師及び看護婦の協力を得なければならぬものです。ところが、なかなか国立療養所側としては乗り気でないというようなことも聞きますが、この点についての指導上の見解について聞いておきたい。 〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
○国務大臣(園田直君) 心身障害児、その他の問題につきましては、治療、看護等に特別な技術が要ります。したがいまして、こういう特殊な指導員及び看護員の養成等についても研究をいたしておりますが、そういう点については十分留意をしてやっていきたいと考えております。
○小柳勇君 ただいまの国立療養所を特別会計にする理由について、非常に重大な問題でありまして納得できませんが、これは社会労働委員会でまた論議することにして、問題を先に進めてまいります。 次は労働災害の問題でありますが、最近また労働災害が非常に多い。たいへんなことでありますが、定期監督など、回数を調査しましても非常に少ないのです。監督官の数も少ないと思いますけれども、非常に少ない。そういうものも災害発生の原因でありましょう。また事業主の災害を起こした場合の責任をとる度合い、これは刑事処分、司法処分などをいってはいけませんけれども、諸外国に比べて低いので、こういう事故が発生するのじゃないかという気もいたします。また、死亡した場合の一時金が現在最高百万円くらいでございますけれども、自動車事故で死んでも現在三百万円になっておる、こういう問題、一括して労働災害について労働大臣から答弁を求めたいと思うのです。
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。 最近における労働災害は、幸い件数、発生の率とも減少の傾向にございます。死亡者の数もここ数年横ばいの状況になっておるわけでございますけれども、今後もこの労働災害に対しましては、特に科学的に対処をしていく、それから災害発生の原因になります機械の安全度を高める、かような点に重点をおいて進めていきたいと存じております。御指摘のございました点については、これからも十分注意をしていくつもりでございます。 それから、ただいまの自賠法との関連で御質問があったわけでございますが、自動車賠償のほうは、いわば損害賠償でございまして、そういう性格のものでございます。労災関係の一時金は、ただいま支出いたしておりますのは本人に扶養されておらなかった遺族あるいは年の若い父母、こういう方々に対して差し上げておるわけでございまして、こういうことは諸外国にも例のないところだと存じております。自動車損害賠償保険とはたてまえが違っておりますから、これを直接に対比して議論することはいかがかと思っておりますけれども、私どもといたしましては、今後、遺族の方に対しましては昭和四十年の法律改正以来、もっぱら年金でもって長期に見ていこう、こういう方針になっておるわけです。この方向で、これから先もあとう限り手厚くやってまいりたいと、そう考えております。
○小柳勇君 労働大臣に、労災補償の死亡一時金について、いまの平均百万円というものをもっと上げる具体的な検討をしておりませんか、こういう質問です。
○国務大臣(小川平二君) そういう御要望にもしばしば接しておりますけれども、たてまえといたしましては、年金でもって対処していくのが本筋だと存じておりますので、金額の限度を引き上げるという方向でただいま検討はいたしておりません。
○小柳勇君 いまの問題は、上げる方向で、私、希望いたしておきます。 自治大臣に質問いたしますが、いまこの米軍の軍需物資の輸送が問題になっておりまして、特にこの間タンクローリーが転覆した、横浜から横田基地あるいは板付基地などに相当タンクローリーの輸送がなされておりますが、非常に危険である火薬、燃料などを輸送しておる。しかも、たくさんの車両が動いておりますが、その、実態については御存じでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 神奈川県下に大体十三の業者がございまして、それらが横田、そのほかの方面にいろいろ輸送している模様であります。そこで、先般来、警察及び消防とも連絡をとりまして、陸運事務所が中心になって業者との懇談会を開きましていろんな打ち合わせをやりましたり、なおまた警察、消防とも連絡をとりまして街頭監査をやりまして、道路運送車両法違反その他がないかを、いまときどき検査しております。最近、相当数量がふえてまいりましたので、今後ともいろいろ警戒措置をとってまいりたいと思います。
○小柳勇君 自治大臣に質問するのですが、防災関係、消防関係は自治大臣の管轄でございますけれども、普通の民間のバスあるいはトラック、乗用車などと同じような路線を一日二百数十台のタンクローリーがぶっ飛ばしておるわけですけれども、こういうものは非常に危険である。しかも、民間の契約などについては、あとでそれぞれ大臣に聞きますけれども、消防の立場を自治大臣としてどういう御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(赤澤正道君) 御指摘のとおりに非常な危険な状態になっておりますので、警察といたしましても十分注意をいたしておりますし、消防の面では、御案内のとおりに化学消防をできるだけ充実いたしましてこれに対処をいたしております。
○小柳勇君 ただいまの自治大臣の答弁は非常にばく然として、答弁は納得できないのでございます。それで、運輸大臣にもう一回聞きますけれども、これが米軍の軍需物資を輸送する場合の契約、たとえば民間の自動車あるいは国鉄などが輸送の契約をいたしますけれども、その後もし事故のあった場合の補償など、そういう契約、それから、たとえば労働運動などによって軍需輸送が阻害された場合に、刑事特別法などの適用の問題こういう問題についてひとつこれは運輸大臣、自治大臣に聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 安保条約に基づく地位協定によりまして、地位協定第十二条第一項というのがございますが、それによりまして米軍は国鉄と直接の契約をしておりまして、それらの輸送を国鉄が担当しております。それらの条件等は一般民間業者あるいは民間物資輸送と全く同じ条件でやっております。それから、民間との問題につきましては、これは一般の民間契約と同じように行なっております。
○国務大臣(赤澤正道君) 私の担当といたしましては、消防並びに事故がありました場合に救急に万全を期することであると考えますので、先ほど申し上げましたとおり、十分注意をいたしたいと思います。
○小柳勇君 国鉄の副総裁に質問いたしますが、ただいままで、たとえば労働運動などによって列車輸送が阻害された場合に、米軍との間に何かトラブルがありはしなかったか。 また、運輸大臣には、民間の自動車会社が米軍と契約する場合は運輸省の認可が必要であるのかないのか、いわゆる政府は輸送については責任があるのかないのかということを聞きたいのでありますが、もし必要があれば、防衛庁長官のほうから答弁を願いたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) いままで米軍の貨物輸送につきまして、たとえば労働争議等で遅延したということに対しましても、一切、損害賠償の責に任じたことはございません。また特別な刑事法等もございません。一般の運送と同じでございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 認可は必要でございません。一般の商行為と同じようにやらしております。また、被害その他の出た場合は、これも契約に基づきまして保険その他によって処理しております。
○小柳勇君 わかりました。大体、一般商行為と同じであって、たとえば労働者のストライキなどによって軍需輸送が阻害されても、特別に刑事特別法などによっていままで処分された例はないということを確認して先に進んでまいります。 中小企業の問題でいま一番大きな問題は、冒頭に言いましたように、学卒若手労働力入手難で非常に中小企業の皆さん困っておりますが、これに対する具体的な対策について労働大臣から答弁を求めたいと思うんです。 なお、通産大臣からは中小企業の労働力入手の問題の現状について御報告を願いたいと思うんです。
○国務大臣(小川平二君) 若年労働力の需給が非常に逼迫いたしまして、これがとりわけ中小企業に大きな影響を与えておることはおことばのとおりだと存じます。根本的には、何と申しましても中小企業の職場を、労働条件あるいは労働環境、安定性、そういう一切を含めまして、魅力ある職場たらしめる以外には方法がないと存じます。したがいまして、中小企業を近代化、合理化して生産性を上げていくために、あるいは税制の面、金融の面で国の施策をここに総合的に集中していくということが根本であると存じます。労働省といたしましては、この点につきましていろいろきめのこまかい施策をやっておるわけでございます。第一には、労働力が足りないわけでございますから、労働力の質を高めていく必要がございます。したがいまして、中小企業が協同して行ないます職業訓練等に対していろいろの助成もいたしております。また、中小企業の集団求人等についても応援をいたしております。労働の基準の監督等にも特に意を用いておりますし、各種の労働保険への加入を促進する、あるいは最低賃金制を効果のある形で進めていく、かようなこともやっております。あるいはまた中小企業における定着性が非常に低い。一年以内に離職をする率が大企業の倍というような数字も出ておるわけでございます。そこで、中小企業において特に立ちおくれておりまする福利厚生の施設等につきましても力を入れておるわけでございます。食堂その他の福利施設を充実する、あるいは余暇を有効にまた愉快に利用することができますように、中小企業のレクリエーションセンターでございまするとか、あるいは青少年ホーム、そういう施策をやっているわけでございます。あるいは雇用促進融資、移転就職者用の宿舎、これを促進事業団がやっております。かような施策はほとんど八割程度までが中小企業のための施策でございまして、こういう方法によりまして、できるだけ労働力、なかんずく若年労働力を中小企業へ引きつけて、そうして定着することができるように懸命に努力している次第でございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業の労働対策の問題でございますが、いま労働大臣からお話がありましたように、結局、中小企業を魅力ある職場にするということに尽きると思うのでありまして、同時に職業紹介の強化であるとか、あるいは訓練の充実等、さらにただいま申し上げました問題のほかに各種の労働条件の改善、それから住まい、その他福祉施設にしても完備するというようなことに鋭意努力いたしているところでございます。労働省とも十分連絡をとって強力に施策を進めてまいりたい、かように考えております。 なお、労働力充足の数字等につきましては政府委員のほうからお答えさせます。
○政府委員(乙竹虔三君) 御質問のございました充足率の数字につきまして御報告を申し上げます。 労働省の職業安定統計によりますと、中学卒が四十二年度二六・七%という数字が出ております。これは四十一年度の三一・八からは相当充足が苦しくなっているという数字でございますが、特に規模で申しますと、先生御指摘の中小企業は相当つらいという数字が出ておりまして、一九・九という数字になっております。高校卒は、これに対しまして若干ゆとりがございまして、平均が三六・四、百人以下の中小企業につきましては二九・二、こういう数字でございまして、四十一年に比べまして、全般的に一段と充足が困難になっているという状況でございます。
○小柳勇君 数字でも出ておりますように、いま中小企業が一番困っているのは労働力の入手で、営業をしなければならない社長がわざわざ地方に出かけて行って若手労働力を求めて歩いているような実態でありますから、労働省にも、通産省にも積極的にこの援助をお願いしておきたいと思うのです。 それから中小企業倒産の問題で一番困るのは労働者のほうでありまして、企業のほうでは、それぞれ再建会社などありまして助けてまいるわけですが、労働者のほうは退職金も賃金も、それから予告通知もないまま町へほうり出されるという実態であります。したがって、中小企業が倒産したその責任者に対する責任の追及ですね、これは法改正にもなろうかと思いますが、企業が倒産した場合には、社長が責任をとる、刑事罰も受けるというような責任体制も必要であると同時に、労働者に対しては、いまの当面の対策としては、政府が緊急措置として退職金や未払い賃金を立てかえるくらいの措置をとらなければならないと思うが、いかがですか。これは通産大臣、労働大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 企業者の気持ちとしては、あらゆるこれによる不幸な状況を何とかしてやりたいというふうな気持ちがあることは当然でございまして、しかし、おのずから中小企業にもよりますけれども、大体において微力でございます。そういう場合に国家が肩がわりするという御提案でございますが、そこまでは政府のほうとしても手が回りかねるわけでございます。それで、ただいまの解決方法としては、結局、倒産を未然に防止するということが大前提でございます。これのためにはあらゆる金融対策その他によって、政府もあらゆる努力を傾注していることは御承知のとおりでございますが、それにもかかわらず、どうしても倒産せざるを得ない状況で倒産したという場合のただいまのとられておることは、まず民法上の先取り特権を認められておりまして、その給料六カ月分はまずそれから払わなければならぬ、こういうことになっておりますけれども、これだけではもちろん十分でありません。失業保険制度、あるいは厚生年金の制度であるとか、中小企業退職金共済制度等の施策を充実することによって、この問題に対処するということが許されておるのでございますが、これらの点ではまだ十分でないともちろん思いますので、ただいま研究をこらしてまいりたいと思います。
○国務大臣(小川平二君) 賃金の不払いというような事態が起こりますことは、労働者あるいはその家族の福祉という観点から見て、もちろん捨てておけない問題でございますので、労働省といたしましては特にこの点には意を用いてきております。いろいろな状況から倒産が起こりそうだというような場合にも、つとめて事前の情報把握に努力いたしまして、その前に指導して払わせる、こういう措置をとっておるわけでございます。賃金不払いの件数は、近年概して申しますれば横ばいでございまして、倒産の件数がふえるのに比例して、これがふえていくという傾向は幸いないわけでございます。これから先もこの点は特に注意してまいりたいと存じます。さような場合に事業主に立てかえ払いをするようにできないかというお話でございますが、この点については、かつて石田労働大臣の当時に、いろいろと検討がなされたのでございますが、制度的にも法律的にもなかなかかようなことを制度として確立する、あるいは法律をつくるということは困難なようでございます。今後も事前の指導によって、あとう限りさような好ましからざる事態が生じませんように努力をしていきたいと思います。
○小柳勇君 通産大臣の発言の中に、給料の六カ月間の先取り特権ということをおっしゃいましたが、退職金について、最近、最高裁から、これは賃金と同じだ、労働基準法上の賃金と同じだという判決が出ておりますが、退職金についても、いま通産大臣のおっしゃったものは適用できる、そういう指導をなされるということで理解してよろしゅうござしますか。
○国務大臣(小川平二君) 退職金につきましては、それが労働協約あるいは就業規則であらかじめ支給の条件等がはっきりいたしております場合には、裁判所の判決を待つまでもなく、かねてから労働省といたしましてはこれを賃金とみなして処理しておるわけでございます。今後もその方向で解決をしていくつもりでございます。
○小柳勇君 次は、中小企業の問題で建設大臣に質問いたしますが、官公需法ができまして協同組合の共同受注の問題と、事業協同組合が共同受注する問題が混同されておりますが、建設省の指導方針について聞いておきたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 中小企業の倒産状況、まことに遺憾でございますが、その中で建設業の占めております割合が非常に高い。昨年にしましても約二千件からの倒産件数を出しておるのははなはだ遺憾に思っております。そこで、その建設業の近代化ということを四十一年から目標を立ててやっているわけでございます。どうしても工事能力、経営能力を強めるということが第一でございますから、したがって、中小企業に対しましても何らか共同請負方式といいますか、共同して工事に当たれるように、そして大企業に相対していくというようなかまえが、中小企業自体にとって、またそこに働かれる従業員の方々にとっても非常に大事なことではないかということで、企業共同体でございますが、それは多くジョイント・ベンチャーといわれて大企業のほうに多くなっておりはせぬかという懸念もございますけれども、ねらいは中小企業の請負能力、工事能力を高める、そして発注機会を多くとらえるということにあるのでございますから、したがって、協業組合でありますとか、共同企業体というものに対しては、その組織の推進を積極的にはかっておるわけでございます。ただ、事業協同組合は、これはあなたもよく御承知のように、本来、事業主体となるには必ずしも適当でない、といいますことは、これは大体建設業を側面から行なう業者の条件を整えていくようにするために事業協同組合を持たれ、あるいは金融であるとか、受注であるとか、あるいはその共同施設であるとか、そういうふうな、目的が大体そっちにあるわけでございますから、事業を引き受けている事業主体としては必ずしも適当でない。したがって、協業組合なり共同企業体というものの組織を推進することがより適切ではないかということで、それでも、しかし、事業協同組合を、請負業者と建設業者として適格なものはこれは排除する必要はないのでございますから、現在も千五百ばかりの組合の中で三百ぐらいは業者としての登録を受けておるわけであります。しかし、望ましいのはやはり大企業に立ち向かって堂堂と企業競争ができるような中小企業の協業組合ないしは共同企業体というものが望ましい、そういう方向で推進してまいりたいと思います。
○小柳勇君 特に中小企業庁長官に、いまの建設大臣の発言を受けて今後の指導方針を聞いておきたいと思うのです。
○政府委員(乙竹虔三君) 官公需に対しまして中小業者の受注の機会を確保するということは法律の命ずるところでございます。ただ、資力、規模が弱いために独力でできない。その中小業者に対しまして共同で受注をする、ないしは共同の組織で受注をするということは非常に有効な方法であるというふうに企業庁としては考えまして、その方向で指導をいたしております。したがいまして、ものによって、業種によってでございまするが、協同組合制度の活用できますものにつきましては、資格審査、つまり受注の資格審査につきまして協同組合を有利に考えますとか、随意契約制度におきまして活用いたしますとか、あるいはさらに適格組合の証明制度というのを昨年から創設いたしまして、四十二年の秋からでございますが、適格な組合と思われるものについては通産局長が証明をするというふうなかっこうで、組合によります受注を進めるという方向で指導をいたしておりまするが、ただ、これは業種業種によって、おのおのが特色、特質があるというふうに考えております。
○小柳勇君 官公需法ができましたときの論議、私も参加したのでありますが、事業協同組合が共同受注できるようにということで、この法律をつくったと理解しますから、建設省も通産省もそういう方向で指導してもらいたいと思います。 次の問題は、恩給年金の問題でありますが、これは総理大臣にお聞きしたいのは、そのものずばりなんです。恩給審議会の答申が出ましたが、物価上昇五%で調整する規定が生まれ、答申されました。今後の扱いについて、大蔵大臣からお聞きしまして、あと総理大臣の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 恩給審議会の要望によりまして、政府の部内にも調整連絡会議を開いて、この問題の研究をしております。並行的な研究でございましたが、今回、審議会からも答申が出て、御承知のように、これはひとり恩給だけの問題ではございません。各種公的年金共通した問題でございますので、したがって、これは財政上の問題から、また相当大きい問題でございますので、答申が出ました以上は、政府も真剣にこの問題を検討をしまして、できるだけ早く政府の意見をきめたいというふうに考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁は、大蔵大臣がお答えいたしましたとおり、答申は私ども尊重しなければなりません。したがいまして、その趣旨を尊重して十分検討してまいるつもりでございます。
○小柳勇君 厚生大臣にも、この公的年金の今後の扱いについて、いまの恩給審議会の答申を見てどういうふうにされるか、聞いておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 公的年金には、御承知のとおりに国民の生活水準の向上と著しい変動に応じて処置をしなければならない規定が設けてございます。そこで、年々改善はしてまいりましたが、御承知のとおりに人口構造が急変をしております。老齢化する、あるいは家族制度の様子が変わってくる。物価の変動が著しい、こういう点もございますので、厚生年金の財政再計算になる四十四年度を契機に、内容について相当な、制度並びに給付の改善をはからなければならない。ただいま保険審議会、厚生年金審議会、国民年金審議会に相談をしておるわけでありますが、ただ、そういう点から社会保障の充実が一そう望まれておりますので、私のほうの年金はスライド制ということよりも、その基礎になる内容の充実ということを先に考えなきゃならぬ。なお、年々の変動に際しては規定に従ってやりたいと、こう考えております。
○小柳勇君 わが党の方針は、武官の階級のあること、あるいは武官と文官とに差があることは反対であります。ただ、この前も言いましたように、文官恩給で古い方々が生活保護よりも少ない。しかも福祉年金との併給ができない。そういうものは早急に是正しなきゃならぬという立場で、いま質問してるわけでありまして、画期的な答申でありますから、これを尊重して、これが実現できるように政府の善処を希望して、次の問題に入りたいと思います。 これは学校防音工事の問題でございますけれども、いまジェット戦闘機などの訓練の騒音防止に、学校が防音校舎をつくっておりますが、その学校のあとの処理と、それから、その工事に防衛庁補助工事と、学校の大きさぐらいのPRの宣伝がしてあるのをちょっとふしぎに思って帰りました。ところが、防衛庁はわざとこれはやっているのだというような答弁がございましたが、防衛庁長官から答弁を求めておきたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) 小柳さんにお答えをいたします。 これは市町村が主体でございまして、補助工事でございます。そこで、市町村が工事事業者をそれぞれ法によって特定いたしまして、その工事事業者が看板を掲げておるものと思います。そこで、御質問の中に、防音装置その他の施設工事が完成したのちも、なおかつ防衛施設庁の指定工事というような表示がもしあるならば、もう無用なことでございますから、撤去させるようにしむけるつもりでございます。
○小柳勇君 文部大臣、いま学校の危険校舎というものが案外あるのですが、年間どれくらい文部省は補助して学校工事をやっておられるのですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。 危険校舎の量の問題でございますが、昭和四十二年の五月一日現在で、全国公立学校の実態調査の結果によりますと、全国の小中学校の建物は約八千九百万平方メートルでありますが、木造の建物は全体の約六七%で約五千九百万平方メートルに達しております。このうち修理を要すると申しますか、四千五百点以下の、いわゆる危険建物が約八百五十万平方メートルでありまして、これらの危険建物のうち、要改築面積が約五百八十万平方メートル、木造の約一割であります。
○小柳勇君 金額でどれくらいですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) それから金額でございますが、昭和四十二年度の場合で申し上げますれば、公立小中学校の危険建物の改築件数約九十五万平方メートル、実際に補助対象といたしましたものが九四・五万平方メートル。大体申請の必要量を満たしているのではないかと存じております。なお、昭和四十三年度予算案では、小中学校の危険建物の改築面積は前年度より、昭和四十二年度より若干減っております。現在、市町村で持っております改築計画に対しまして、多少ワクが窮屈になっておる、こういうようなことになっているわけでありますが、これは昭和四十三年度予算案におきましては、社会増対策に重点を特に置いたということと、それから補助の基準につきまして、若干改善をしたというようなこと、それからいわゆる地方団体の超過負担の解消というふうなことに、ある程度予算を持っていかれたということで、若干、危険校舎に対する予算が減っておるような状況でございます。これはなるべく取り返したいと考えております。
○小柳勇君 金額でどれくらいでございましょう。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 昭和四十三年度のことでよろしゅうございますか。
○小柳勇君 どうぞ。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 小中学校の危険改築事業の予算でございますが、前年度より事業量で約一〇%減少しております。金額におきましては約三億円の増になっております。
○小柳勇君 総額幾らですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) この金額の増は、単価、構造等の引き上げによることは先ほど申し上げたとおりであります。金額にいたしまして昭和四十二年度が九十九万平方メートルで八十一億円、四十三年度が、予定でございますけれども、九十万平方メートルで八十四億円、このようになっている次第でございます。
○小柳勇君 防衛庁長官、四十二年度、四十三年度の学校騒音防止の工事予算は幾らでございましょうか。
○政府委員(山上信重君) 昭和四十二年度の実施の計画といたしましては約六十億円でございます。それから四十三年度といたしましては約六十六億円でございます。これは前年度からの繰り越しをも見込みまして予算は六十二億円でございます。そういう予定でございます。
○小柳勇君 いま文部省及び防衛庁から聞いたとおりでありまして、文部省も八十四億円を学校建築に補助しておる。防衛庁は六十六億円です。文部省の工事には文部省補助工事と大きく学校に書いてあるところは一カ所もないわけです。ところが防衛庁工事には防衛庁補助工事と大きく学校の大きさぐらいどこも宣伝してあるということは、聞いたところでは、防衛庁、不親切だという地元民に対して、防衛庁は親切だという宣伝をしておるという話でございましたが、そういうことでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 小柳さんにお答えいたします。 防衛施設庁工事とたしかしてあると思います。防衛庁でもそれは社会常識上はけっこうなことでありまして、やはり現地の空気に溶け込むということが絶対必要でございますから、私は事業施行中はけっこうだと思っております。事業施行後にいたずらにそういう看板があることは無用のことでございますから、これはやめたほうがよろしいと指導するつもりでございます。
○小柳勇君 時間が少ないから端的に言いますが、まだ十三年しかならない学校を取りこわすという話でありますが、地元には七百七十人の生活保護家庭がありましてスラム街化していますので非常に惜しがっていますが、この処置はどうでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。 法の規定上、原則として防音装置を施す新校舎をつくる場合に旧校舎を取りこわすことになっておりますが、しかし、現地の方々がぜひその校舎をほしいというような場合には、常識的な便宜的な計らい方を将来いたしたい、こう考えておる次第であります。
○小柳勇君 一キロ離れたところに別につくるのでして、取りこわしということがもったいないと私も思いましたが、地元の人もそういうことを言っておりますからよく聞いてください。 それから時間がございませんが、いま総理お聞きのとおり、防衛庁だけ、各省はどこもそういうことはやらぬのですね。防衛庁補助工事なんていうことは少し変に思いましたから質問したわけです。 最後は日中貿易の問題でありまして、時間がまいりましたが、古井団長がお帰りになりまして、御努力によりまして覚え書き貿易はあれだけできましたが、政経不可分の確認の問題、今後の吉田書簡の問題など、ずいぶん問題があるようでありますけれども、前向きに処理されて日中貿易が拡大することを、政府、日本の皆さん非常に期待しておるわけです。特にドル危機でアメリカの貿易は不振になりましょう。そうなれば一日も早く日中貿易を拡大しなければならないという声が高いのであります。エコノミストに最近書かれました古井さんのことばを読んでみましても、通産省、外務省はもっと本気になってこの問題を処理していかなければならないとしみじみ感ずるわけでございます。特に吉田書簡の問題、いわゆる輸銀の延べ払いの問題、それから牛肉輸入の問題、関税一括引き下げで中国を差別しておる問題など、当面の問題を解決をしてもらいたいという要望があります。通産大臣並びに総理大臣から前向きの意見を聞きたいと思うのです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 牛肉の問題は農林省とも相談したんですが、例の口蹄疫の問題がございますので、最近イギリスなんかでは非常な蔓延をして牛を七十万頭射殺をしたというような事件も出ております。農林省としても慎重にならざるを得ないのは、これはごもっともだと思います。 それから、ケネディラウンドの進行につれて中共産品が非常に格差を生じてまいるということは、これはどうも協定税率の改定ということでケネディラウンドというものが進行するものですから、国交のない中共との関係は、当然、一般の品物と他の外国から入ってくるものとの格差が出てくることは当然でございます。しかし、大豆であるとか、あるいは銑鉄であるとか、そういったものは国定税率を協定税率にあわせてこれを改定するという方針でやりますので、その点は救われますけれども、その他のまだ国定税率を変えない品物につきましては、今後ケネディラウンドの進行に伴って格差が出てくることは当然でございます。その状況等をよく見守りまして、適当に善処して、対中共の貿易拡大の線に沿うて善処してまいりたい、さような心組みでおります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の貿易政策、これは基本的にいずれの国とも貿易、平和的な交渉を進めていく、そういう立場でございますから、国あるいは市場――まあどんな市場でありましても、そこと貿易を拡大していく、その基本的政策は御承知のとおりであります。そこで、いままでは政経分離、こういう形で中共市場といままで取引をしております。日本側でつくったわけではありませんが、特定の友好商社というような形もございます。しかし、私どもはやはりLT貿易が本筋のものである、かように考えますので、両国間におきましても、民間貿易が、基幹になるものがありまして、そうして貿易が拡大されることを望んでおりました。ところが、LT貿易が期限が到来し、無協定の状態になったというのでたいへん心配しておりました。しかし、これは古井君や田川君や岡崎君などが出かけまして、そして一年のことではございますが、とにかくLT貿易が再開された、期限は一年でございますが、それだけでも私どもは今後の拡大に実は期待を持っておるような次第であります。そういう意味で両国間も差別的な待遇がないように努力していかなければならぬと思います。 そこで、差別的な待遇で一番問題になりますのがいわゆる関税の問題であります。関税の問題については、ただいま椎名君も触れたと思いますが、ことに大豆や鉄鉱などはたいして問題ないにいたしましても、生糸が最近の問題になっております。これらの点について、この関税がいわゆる協定関税の方向に進むようなことができればたいへんけっこうですけれども、ただいま国交のない国同士の貿易でありますから、これが国定関税を適用する、こういう状態でございます。しかし、それぞれの衆議院段階においての御審議等をみますると、これらの点について、大体与野党とも納得のいくような関税定率の方向に審議が進んだのじゃないだろうか、かように私は一応想定いたしておりまして、たいへんけっこうなことのように考えております。個々の品物について、ただいま牛肉のお話ございましたが、これは特別な病気の関係等もございますし、これが直接輸入ができない、そういう状況であります。これはたいへん残念に思っております。 輸銀の使用の問題につきましては、在来からケース・バイ・ケースで考えていく、かように申し上げておきます。私はこの際にも、日本の態度は決してうしろ向きだとか、あるいは非常な変化があった、かようには考えておりません。従前同様の考え方で貿易の拡大には努力していくつもりでおります。
○小柳勇君 終わります。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして小柳君の質疑は終了いたしました。 十二時半まで休憩いたしますが、十二時半に時間の厳守をお願いいたします。これにて休憩いたします。 午後零時一分休憩 ―――――・――――― 午後零時四十分開会
○委員長(西郷吉之助君) これより予算委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 先ほど、矢追秀彦君、杉原荒太君、白井勇君が辞任されまして、その補欠として黒柳明君、山内一郎君並びに佐藤隆君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 午前に引き続き質疑を行ないます。大矢正君。
○大矢正君 石炭問題、中小企業問題、二点にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。 特に、質問の内容が通産大臣にお尋ねをすること、これが中心でありますから、通産大臣もひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。昨日も衆議院の予算委員会を傍聴しておりまして、横山君の質問に対しての通産大臣の答弁はまことに言語の上からおきましても、明確を欠く点が多いのでありまして、特に、答弁の一番大事な肝心の終わりごろになると、ことばがもつれてしまって、聞きとるのに容易じゃございませんし、私も時間が割り当てられておりますから、明確にひとつお答えをいただきたいと思います。 石炭問題からお尋ねをいたしますが、近く審議会に提出をする予定の四十三年度の石炭の合理化計画によりますと、四十二年度の石炭生産の見通しは、おおむね四千七百万トン程度、これは当初の五千三十万トンに比較をいたしますと、三百三十万トンの減産ということになっております。四十三年度につきましても、おおむね四千七百万トン程度の生産しか見込むことができないということであります。四十二年度がなぜ三百三十万トン減産をしたか、このことについての理由は、先般も通産省の石炭局と私いろいろ話し合いをいたしまして、内容は存じておりますが、お尋ねをいたしたい基本的な問題点は、これからの石炭の生産見通し――四十三年度だけの問題に限らず、四十四年、四十五年、将来についての石炭の生産見通しはどういうようにお考えになっておられるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 四十二年度の実績で、これでもうこれ以上下らないという確信はどこにもない。つまり初めの計画がスタートして間もなく、すでに相当な減産を見た。その原因というのは、御承知のとおり、その進行をストップしてないのであります。でありますから、もしこのままの情勢で推移すれば、これ以上に減産する可能性があるということは、だれが考えてもわかることであります。しかし、それは野放図に減産するかといいますと、そうでもない。そこに自然にほったらかすのと、これに対する相当な合理的な計画費をもって運営するのとには、だいぶ開きがございます。私は、一体その限界、ここ当分のところの限界をどこに置くかということは、これはなかなか微妙な問題であります。そう簡単に私は言えるものじゃないと思う。結局、石炭業界のほんとうに良識を動員して、そしてどこに見当をつけるかということが大事であろうと考えます。
○大矢正君 私がお尋ねをいたしておりますのは、四千七百万トンの四十二年度の水準が将来増加する可能性と見込みがあるかどうか、この点をお尋ねしているんです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いまお話したところに結局戻るのでありますが、この程度で減産が切り詰まるという見通しが立たないのではないか、こう思います。
○大矢正君 四千七百万トン程度でとどまるという見込みが立たない、その理由は一体何なのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 基本的には労務の流出、それから大矢さん御存じの、掘れば掘るだけ条件が悪化する、新しい炭鉱を開発する場合は別として。そういったような情勢というものはこれはやむを得ない、どうしても阻止することはできない、そういうことからくると思います。
○大矢正君 昨年、石炭特別会計が審議会の答申に基づいて発足をしてまだ一年もたっていない。その審議会の答申の基調は、御存じのとおり、五千万トン程度の出炭と、その需要の確保、これが基調になっているわけです。そこから計算をされて石炭政策というものが新しく立てられているわけです。そういたしますと、あなた自身御判断なさって、もうこれからは五千万トンあるいは五千万トン程度――程度というのは、五千五百万トンの要望があったが五千五百万トンまでの需要を見込むことができないから、五千万トンをこえる部内についての政策需要という意味で五千万トンということばが使われたわけですね、御存じのとおり。といたしますと、これからは五千万トンは出ない、四千七百万トンを割り込むかもしれないというあなたの見通しだということになると、一体、抜本策と称して昨年から行われている石炭対策は、これからどうなるのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 残念でありますけれども、きわめて短かい期間であるけれども、最近の情勢からくるこの石炭の需要というのは、これは容易ならざるものがあるということに思いをいたしまして、相当計画を立て直す必要が生じてまいった、かように思います。
○大矢正君 計画を立て直すというお考えでありますが、それは具体的にはどういうことなのか、どういう部面についての計画を立て直すのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どういう部面といいましても、これは部分的な問題じゃないので、非常な大勢である、こういう意味に考えるべきであると思いますので、一人、二人の人が机に向かって考えるというようなものではない。やはりこれは基本的に業界のベテラン、あるいはその他の学識経験者をもって組織をしている審議会において、相当突っ込んだ基本的な考え方に立って再検討をする、そういう必要にすでに迫られている段階ではないかと私は考えます。
○大矢正君 総理大臣にお尋ねしたいと思いますが、五千万トン程度を基調とした石炭に対する抜本策、これは御存じのとおり、一昨年、審議会から答申された当時、審議会の方々のおっしゃるのには、こういうことなんです。この抜本策がかりに功を奏しないというようなことであれば、石炭産業は私企業の限界にきているとわれわれは考えます。こういう審議会のメンバーの御答弁があったんであります。そこで、私はいま直ちに私企業の限界を越えた石炭政策ということをあなたに質問しているのじゃない。そうではなくて、審議会としては、もう最大のものをやったんだ、これ以上はできないのだということを審議会自身が表明しているというこの事実と、それからもう一つは、五千万トン程度の――五千万トンすら生産面においては確保できないほどきびしい石炭情勢になりつつある。五千万トン程度の確保というのは、総理をはじめ、いままでずっと御答弁なされてきたわけです。五千万トン程度の確保ということはですね、生産面においてかりに減産をする可能性がありとすれば、それに対する補強的な対策を通じてでも、五千万トンは日本のエネルギー上必要だから確保をするのだと、こういうことになって今日に至っているわけです。ところが現に四千七百万トン、また来年になれば四千七百万トンではない、もっと割り込んでしまうかもしれない。そうすると、五千万トンという看板は完全におろしてしまって、新しい看板を求めて再建計画を立てようとするのかどうか。これは、いま通産大臣が言うような、審議会に答申をしてもらう、こういうようなことでないんです。基本に関する問題なんです。ですから総理からお答えをいただきたい。特に総理は石炭問題については長い間深い経験を持っておられますから、お答えをいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大矢君も石炭問題はずいぶん苦労してこられたわけでありますが、この私も第一次審議会の答申以来三回、そのつど実はそれぞれの立場にあって、政府の立場にあって、実は関係しております。私自身は炭鉱業者じゃございませんが、まあ皆さんとともに苦労してきた、そう思っております。しかし、その基本的な問題は、何といいましても最近展開されているエネルギー革命、その波にもまれておるのが石炭業界だと思います。したがいまして、この取り組み方も、ただ単に安易な取り組み方ではいかないと思います。社会党の諸君も、また与党の諸君も、この立場に立ちまして石炭問題と真剣に実は取り組んでいる。したがって、先ほど来石炭審議会の答申を待つ、かように申しますと、いかにも政府からいつものような口上をまた聞かされるのかと、こういう感じがするかわかりませんが、この石炭問題には、ただいま申すような産業革命的なものがございますから、その意味においてこれと取り組む、その姿勢でなければならないと思うのです。その点では与野党ともそういう立場にあると思います。政府もまたそういう観点に立って真剣に取り組まざるを得ない。 そこで私は、第三次答申が出た際に、ただいまも言われるように、これで功を奏しなければ、もうちょっと手がないんだといわんばかりの御答申があった。ただいま御指摘になったとおりであります。それほど思い切って実は対策を立てたつもりでありますし、また特別会計なども設けて、そうして一千億にのぼる金額のたな上げをするとか、こういうような処置まで実はいたしたのであります。しかしながら、事志と違って、五千万トンの生産目標を維持することがただいまたいへん困難な状況だと、こういうものに遭遇しております。しかし、まあことし一年の問題ですから、その五千万トン目標を直ちに変えなければならないのか、あるいは私が他の場所で発言いたしましたように、非常にドラスティックな減産体制をとらざるを得ないのか、そういう点にとにかくぶつかっておる。こういう意味で、審議会の答申もよほど基本的なものを考えていただきたい。ただ単に何何産業はいま困っておるからそれについて救済する、税制やあるいは金融処置でそういうものはまかなう、こういうだけの問題じゃないので、この基本的な性格を十分理解して、そして取り組んでいただきたいと、かように思います。 私はこの国産エネルギーとして、この五千万トン程度はぜひ必要のように思いますけれども、これがこれすら確保できないような状況である。しかし、ただいま粘結炭あたりは依然として需要は非常に多いのでありますし、そういう点ではやはり国産が望ましいし、一般動力炭としての、燃料炭としての需要、これあたりの確保についても、政府は特段の留意をしておりますけれども、いわゆる産業革命的なその波に洗われているというのが現実の姿であります。私はそういう意味から、この問題は各界の御意見も十分聞きまして、そうして政府が抜本的な対策と取り組む、それが望ましいのではないか、かように思います。何といいましても、産業の基本になる生産目標の問題でありますから、その目標をいかにするかということはたいへんな問題だと、かように思いますが、ただいま申し上げたような背景のもとに、この生産目標を検討していただきたい、かように思っております。
○大矢正君 総理大臣、私どもはこういうふうに考えるのです。たとえばエネルギー調査会において、石炭をどう位置づけるかという議論をいたしましたが、その際には石炭はおおむね五千万トン程度の出炭を見込み、その前提に立って日本のエネルギーを考えようじゃないか、こういうことになっております。これはもう御存じのとおりなんです。だといたしますと、五千万トンを割るような今日の石炭情勢ではいかぬから、五千万トンというものが維持できるような態勢をつくり上げにゃいかぬということになるわけですね。ところがいまの総理の御答弁を聞いていると、まあ五千万トン出たら何とかしたいのだが、出ないからしようがないという限度において、五千万トン出すためにどうするかということの考え方が出てこないのですよ。これがまず一つ。もう一つは、たとえばこの石炭政策を行なうにいたしましても、それを審議する、かりに審議会にいたしましても、生産をどこを基点に設けるか、どの位置が一番いいと思うか、日本の国家経済的な立場に立って、どの程度を基調としてこれからしていくか。これが出てこないと石炭対策というものは生まれてこないのですよ。幾ら生産になるのか、幾ら生産が減になるのかというような、そんなことがわからないで石炭対策が出てこないのですよ。だから私はお尋ねしているのです。だから総理に、五千万トンはもう絶対放棄した、だから四千万トンがいいとか、三千万トンがいいとか、数字を下げるなら下げるでよし、下げないならば五千万トンをどうするかということを御答弁願いたいということを言っている。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大矢君もただいま言われるとおり、御承知のとおり五千万トンが維持困難だ、その原因が一体どこにあるのか。これを見ますると、まず採算性がとれないのだ、これが一番大きい。採算性が軌道に乗らないために、やはり労働者もその職場にとどまることができない。かつてこの労働の花形だと言われた、いまの炭労の賃金など考えてみると、これは昔の、ほんとうに昔の夢だという感じがいたします。あるいはまた炭住あたり、ずいぶんいろいろな問題を起こしましたけれども、かような処置ももう今日はさようなものをつくってくれたからといって、本質から見てこの採算性のとれない、この事業についてはもうあきらめた、そういうふうな感じがいたします。かように私は思います。で、この採算が一体どういうようにしてとれるか、その意味の坑道掘進なり、あるいは採炭量の増加なり、機械化なりをどんどん進めていく、しかし、なお一つの限度にぶつかっているのじゃないか。最近の石油や、さらに原子力発電、それらの問題がどんどん安い方向にいっている。それらと競争している。まあ政府としては特別会計まで設けていま救いの手を差し伸べている。この点が一番の問題だと思います。したがいまして、新しい炭鉱、将来性のある炭鉱、こういうものは現状におきましても、もちろん意義のあることだと思います。また、そういうものはどんどん続けていくべきものでありましょうし、また、そういうところの労務の確保も私は比較的容易だ。全般として見れば労務の、労働者の確保が非常に困難だと言われますが、成績のいいところはさようなものではない。また、採算性のとれないという、そのものをごらんになると、いわゆる近代的な経営では採算がとれない。特別な請負や第二会社をつくればできるというが、そういうところにはたいへん労働条件の悪い劣悪な条件下において労働者が働かざるを得ない。かようなことが許される筋のものでもないだろう。したがって、私はただいまどのくらいの評価が最も近代的な方法で可能なのか。それはトン数の多いことは望ましいことですよ。しかし、五千万トンを無理やりに維持するという、そういう立場に立ってものごとを考えるというと、いまどうも無理なんじゃないか。私は第二会社、第三会社が採算がとれているというが、そこらの労働条件を見ますと、たいへん劣悪なものではないか、かように思います。それらのことを考えると、私はやはり採算性に乗るそういう企業形態がどの範囲で許されるか、これを考えていかなければならない。そこがどうも、総理大臣がかようなことを申しましても、これはただ目のつけどころの問題なんで、やっぱり専門家がもう一度そこらを掘り下げてみて、どの辺が適当であるか、ひとつ考えざるを得ないのじゃないか、かように思います。
○大矢正君 通産大臣、けさから想定問答集をだいぶ真剣に読んでおられたから、相当頭の中に入っていると思うので、具体的にお尋ねしますが、植村さんが三千万程度に出炭を落としてというか、押えてというか、それに見合った需給態勢を築くという前提で、石炭産業というものを新しく検討したらどうかという新提案が先般なされたことは、あなた十分御存じだと思う。あなたもいろいろ御検討されたと思うが、これは中身は別として、三千万トンという数字のことについて、あなた自身どうお考えになるか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 植村さんとはときどき顔を合わせまするが、まだ石炭の三千万トンの話は聞いたことがない。それからそのうわさはどこからか流れてまいりましたが、全然根拠のない数字だと思います。
○大矢正君 あなたは、しばしば顔を合わせるなら聞いたらどうです。なぜ聞かないんです。顔を合わさないというなら話はわかるが、顔を合わして聞かないというのはどういうわけです。それはあなた怠慢だ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 当面の用件を話すのに時間が足りないくらいでありますので。ただ、しかし、この三千万トンというのは、はたして植村氏が話したのか、どういう場所でどういう状況下について話したのか、それとも話さないのか、これもはっきり存じません。これはわれわれがこの問題に取り組むにあたって、全然そういう問題を離して考えてみたいと思います。
○大矢正君 石炭に詳しい総理大臣に御答弁いただいたほうが率直で早くていいから総理大臣にお尋ねしますが、三千万トンというものについて、石炭の業界の中では、現にそういう提案があったという前提で議論しているんですよ。これはとんでもない話だという議論をしているのです。ですから、三千万トンなんていう数字は、今日の段階で想像もできないし、そんな考え方はないならないということを明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来、私はエネルギー革命に際会しての石炭産業はいかにあるべきかということで、与野党ともに真剣にやっております。政府もそういう意味で取り組んでおります。また産業界におきましても、この問題をめぐっていろいろの議論が展開されていると思います。しかし、ただいま三千万トンというような低い生産目標、かようなことは、また国際収支の観点からも、国内エネルギーの確保という観点からも、私どもはいま考えられないことであります。かように思われます。したがいまして、先ほど来申したような観点に立って、これがひとり一部の方ばかりでなく、広くいまの時勢、時局の一番重大問題として、そういう産業と取り組む立場、こういう姿勢で、各界においても意見を十分求めて、謙虚に私ども取り入れて聞いて、しかる上に結論を出すべきことじゃないか、かように思います。
○大矢正君 総理、石炭業界の中、あるいは植村さんの考え方、こういうものの中には、企業の再編成をされてはどうか、たとえば鉱区の合理的な開発その他いろいろありますが、そういう観点から見て、企業の再編成、これはしなければ石炭産業は持たない、こういう議論がある。私は社会党でありますから、国有化をしよう、こう思っておりますが、いまここで国有化の議論をあなたとしようとは思いません、最後にしたいと思うが。そこで国有化は置いておいて、私企業という限界の中においても、いまのままの状態ではいけない、再編成しなければならない、そうするべきが正しいのだ、こういう意見があるのと、逆に、いやそれじゃいかぬ、再編成などは必要ない、現状のままでいいのだという意見も、同様にまた業界の中にある。そこであなたはどちらが正しいと思われるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 総理大臣が、どちらが正しいか、こちらが正しいと言ったらたいへんな問題だと思いますが、私はいまの企業形態についてもくふうすべきだ、これは私、有力なる民間の意見がある、かように理解しております。どちらが正しいかということについては真正面からお答えはいたしませんが、たいへん有力な意見があることを申し添えておきます。
○大矢正君 横からでもいい。総理は真正面から答弁できないと言うから、通産大臣は横から答弁するのがお得意のようだから、あなたからひとつお聞かせいただきたいのだけれども、どちらがいいかという議論が悪ければ、六百億の国家財政を使って石炭対策をやるのであるから、当然、政府はそれが私企業の考えであっても、政府のおのずから考え方がその中で示されたり、それから政府の意見が述べられてしかるべきであると私は思うのです。六百億円金を注ぎ込んでおいて、お前たちかってにやれということは私はないと思う。したがって、そういう立場から見た場合に、あなたは通産大臣として、そういう再編成をせよという意見と、いや再編成はあまり必要ない、若干のことはやってもいまのまま、大筋はいまのような方向がいいという意見と、どちらのほうが好ましいと考えるか、お答え願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) この問題は先ほど総理からもお答えがあったのですが、広く業界もこの問題に非常に苦労しておる、この問題に当面しておる人々の意見、あるいはまた学識経験者の意見、そういうものを再動員をしまして、そうして基本的にこれはひとつ考えるという方向をとらざるを得ないと思います。その前にわれわれとしてこれがいい、あれが悪いというようなことは、これはよほど自信があっても、ちょっと言うべきことばじゃないと思いますので、ただしかし、このままでいいということを考えておるわけじゃない。先ほどから問題は基本的に再検討しなければならぬと……。
○大矢正君 何を考えているか言ってくれよ、さっぱりわからない。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 業界をどうするかということです。石炭対策をどうするかということを、基本にさかのぼって考え直すという段階に来ているのじゃないか。その前に国営がいいか、あるいは国営以外のいわゆる再編成というものがいいのか、再編成といってもどういう意味を持つのかよくわかりませんが、とにかくあまり先を見通したような、軽々にことばを吐くべきじゃないと私は思っております。ですから、ただやらなくちゃならぬということだけは、このままじゃいかぬということだけは考えております。
○大矢正君 思うだけじゃいかぬ、思うだけならだれでも思っているのだよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) しかし、それにしても、実行するという実行案をどうするかという問題になると、やはり業界を再動員して、そうしてその意見に基づいて政府としても考えていく、それが一番いいと思います。
○大矢正君 通産大臣、総理もそうだけれども、あなた審議会というところで逃げようとする。しかし、審議会であっても、その審議会は、政府は一体どんなことを考えているのだろうかということが前提になって、審議会がそれをさらに具体的に検討していくわけなんだ。政府が何を考えているかわからないのだったら、これはどうにもならない。政府が諮問をして答申を求めるということは、こういう条件、こういう状態のもとでやった場合に石炭産業というものはどうすればいいのかということの基本的なものがあって審議会に諮問するのでしょう。何もなくて審議会が諮問にこたえるわけはない。だから、あなたの考え方がなければ、幾ら審議会を開いたって話は進まないです。そうでしょう。あなたもうなずいておられるなら、私の納得のいく答弁をしてください。
○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん御指摘のとおり、石炭が行き詰まったようだから何か考えろというようなことで審議会に諮問しようとは思っておりません。
○大矢正君 だからどういう理由か、それを言ってくれと聞いている。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだもう少しこれは練ってみなければいかぬ。
○大矢正君 総理から答弁してもらう。通産大臣とは話にならぬ、総理としなければ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私ども政党政治ですから、与党のことを申し上げてたいへん恐縮ですが、政府並びに与党間におきましても、この問題を真剣に取り上げております。したがいまして、いまの形態のままではいかぬのじゃないか。したがって、ある程度企業の整理統合等も必要ではないか。しかし、それが世に言われておるような、いわゆる三会社案だとか、一社案だとか、そういうところまでは行っておりません。おりませんが、ただいまの経営形態そのものについても考えざるを得ないのだ、こういうことで検討をいたしております。ことに大矢君が御指摘になりましたように、鉱業権の問題になりますと、深さによりまして上層あるいは下層の関係で鉱区が入り乱れている、そういうものが効率的に整理されることが必要だ、そのためにはどうしても別会社では困るのじゃないか、こういう点がはっきり指摘されております。御了承いただきたいと思います。
○大矢正君 総理、これは当面をする問題についてであります。いま石炭企業が一番の悩みとなっておりますのは、一つは労働力不足、これは言わないでもわかると思います。第二の問題は、これは金融問題です。そこで金融問題がなぜ大事かといいますと、従来と様相が異なってきているわけですね。なぜかといえば、銀行はいま金を貸したらつぶれられてはたいへんだ、抜本策ができて第一回目の利子補給の金を出したとたんに大日本炭鉱がつぶれたというようなことで、政府が別にあとで補償してくれるわけじゃないから、政府から補給金やその他もらったとしても、その炭鉱必ずしも内泰ではないという問題があるわけですね。ですから銀行は金を貸さないのですよ。特に大事なことは、いま石炭の企業の側で持っている社内預金、これはおおむね二百五十億円くらいになるのではないかと私ども推定しているわけです。たいへんな金額です。一社でもって四十億、五十億という状態なんです、大きいところでは。そういたしますと、かりに、これはみな預けておるのは炭鉱の従業員その他でありますから、自分の金を返してくれと、こうなったらもうとたんに炭鉱はいまつぶれます。これは三井であろうと、三菱であろうと、ああいう大会社でありましても、これは一ぺんにつぶれます。取りつけ騒ぎが起きて、どうも銀行が金を貸さなくなる。そうして、どうも山はなかなか渋い状態になるということになって、債権者が皆わあっと集まって、おれの社内預金を返してくれとやったら、もう一ぺんに炭鉱は全部つぶれてしまう。それほど今日の金融問題というのは重大なんです。したがって、そういう状態の中で、一体、総理はどうお考えになっておられるか、特に金融問題について。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお話のように、これから存続するにいたしましても、事業を継続していくその場合に、いわゆる斜陽産業ということばが適当かどうかわかりませんが、そういうような見方がされやすい。したがって、必要なる資金を確保するのに非常に困難だ、かようにいわれております。そういうことは御指摘になるまでもなく、これは理解のできることだと思います。したがいまして、昨年の審議会の答申によっても、新しい資金の獲得、これについて特別な便宜をはかるというか、特別なくふうをするようにこの答申が出された、かように私は理解しております。そうして、ただいまおあげになりましたように、大手十六社の社内預金、これが約三十億程度になっております。この問題がただいまのような取りつけなどをすれば、これはたいへんな問題だと思います。したがいまして、ただいまもこういうことをも含めて、その必要なる事業資金獲得について、今日いまようやく暮は通り過ぎておる、ただいまの状態は一応小康を得ておると思いますけれども、これから先起こるだろうということを考える場合に、これらの点については絶えず注視して、またよく連携を緊密にしないと、対策はなかなか、あとでおくれてはならない問題だ、かように私思います。重大な問題だと、かように思います。
○大矢正君 通産大臣、いま金融の問題についてだけれども、銀行がなぜ金を貸さないか、それは炭鉱の一つ一つの企業が赤字経営である、財務内容が悪いという問題が一つあります。もう一つ重大な問題は、これはつぶれるのだか、残るのだか、大きくなっていくのだか、かいもくわからぬ。抜本策はなるほどやってみたけれども、抜本策をやるかたわらからどんどんつぶれていってしまう、つぶれられちゃ困る。それからまた場合によっては銀行が泣かされるのじゃないか、踏み倒されるのじゃないかという問題があります。その根本を流れる思想は、政府が一体いつになったらもう一度重ねての石炭対策をやろうとしているのか、その時期を見ているわけです。だから、あなたが言っているような悠長なものじゃないのですよ。いま石炭産業では六月危機が叫ばれております。場合によっては六月になって金融の引き締めがさらに侵透してきたら、超大手の炭鉱といえども倒れる可能性すらいま出てきているのですよ。そういう状態にあるときに、あなたの言うように目下検討中、これから検討してということでは金融はもう全然つきません。どうします、倒れちゃうのです、自動的に。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いやしくも通産行政をあずかっております以上、いまの炭鉱の非常な不況に立っておることぐらいはわからないわけじゃない。ただ、たいへんだたいへんだと言って、どうもあまり危機感をみなぎらすこともこれはどうかと思います。
○大矢正君 黙っていたらなおやらないじゃないか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) やらないとは言いません。ですから、これはやはり金融機関としても、なるほどこうなるのか、そういう具体的な、そして、ここらでどうもしかたがないだろうというような妥当な案がもしできれば、私は金融機関が、そいつが取れなくなったらそいつをどう心配するとか、まあこれで一応見通しがついたといって安心するか、それはわかりませんけれども、とにかくいまのようなもやもやしたような状態からもう一段進んで、そうして石炭業に対する金融の責任というものをどの程度に受けとめるかということがはっきりしてくると思います。でございますから、決して悠長にこれを考えているわけでもありません。急いで、しかも慎重にやらなければいかぬ、かように考えております。
○大矢正君 急いで慎重にというのはどういうことですか。通産大臣、いま言ったとおりに、人手不足とか自然条件の悪いとかということは、いま直ちにという問題じゃない、これは将来響いてくるけれども、しかし、金融の問題はいま直ちにという問題なんですがね、金融がとまればすぐにでも倒れるわけです。だから、金融問題というのは今日重大だと私申し上げている。その重大な情勢になりつつある最大の理由は、政府が一体何を考えているかわからぬということなのです。それはあなたのいま言われたとおりなんです。そこで、審議会に具体的に諮問をしなければならぬことは私もわかります。それに若干の日にちを要することはわかります。がしかし、大きな流れ程度は、政府の考えとしてこの際表明しないと、それこそ引き締めに遭遇した今日の石炭金融というものは自動的につぶれる、ですから、きょうこの場所で、できたら再編成問題についてでも、一つの流れの方向をあなたが示してくれれば変わっていくと思います。一向にあなたがそれを御答弁にならない、まずその点。 それから、第二の問題は、具体的に日程上のプログラムがあるのかどうか、ただ審議会に、まあひとつ検討してみてくれといってやるだけだったら、いつになったら結論が出てくるかわかりませんよ。したがって、そういうもののプログラムが当然少なくともあるはずだ、それを具体的に明示してもらいたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どういうことばで表現していいかわかりませんが、かなり思い切った業界のあり方について考えなければならぬということは決意をしております。 それから時期の問題ですが、それもなるべく急いで、しかも、来年度の予算には必ず間に合うようにいたしたいと思っております。
○大矢正君 総理大臣、最後に一つ時間がありませんので、お尋ねをしたいと思いますが、まだ中小企業問題が残っていますからあまりできませんので、簡単に質問しますけれども、炭鉱国有化に関する二つの法律案を私ども社会党は衆議院に提出をして、この審議をお願いしょうといたしておるわけですが、先般の衆議院の予算委員会における多賀谷君の質問に対して、炭鉱はいまの段階においても国有化は必要ない、こう総理はおっしゃっておられたようですが、そこで、国有化の必要性がないという理由をこの際最後にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたしますが、これはなかなかむずかしい、また議論を巻き起こす問題でございます。しかし、私どもがいまとっておる立場上から、できるだけ民間私企業、資本主義経営のもとにそういうものを行ないたいという基本が一つございます。その理由としてあげられますのは、能率の問題が一つある。どうも国有、国営の場合には能率の点で十分自信が持てない。第二は、労務関係におきまして、まあ必ずしも労使双方に十分役立つような関係には、持っていき方が非常にむずかしいんじゃないか、こういうようなことも考えます。しかし、私ただいま国有、国営論をまっこうから実は反対しているというものじゃございませんで、ただいまのような点も十分考えて、どういうことが望ましいか、もちろん検討せよとおっしゃれば十分に検討すべき問題だ、かように思っております。一、二の点をあげまして、欠点だと思うものを御披露したわけであります。この問題は、先ほど来、審議会の意見も聞こうといたしておりますし、さらにまた、与党の中でもこういうことについてほんとうに真剣に取り組んでおりますから、いましばらくそういうことについて、その検討の結果を待っていただきたいというふうに思っております。
○大矢正君 あなたが国有化は今日の段階で必要ないと、こうおっしゃると、あとは議論の余地のない問題でありますから、何ですが、今日石炭の経営者の中でも、もう二、三年後には国有化せざるを得ないのじゃないかということを現に言っているわけです。したがって、いまやるのと二、三年後にやるのとどう違うかと私は言いたいのですが、しかし、これについては議論がかみ合わないから、これ以上あなたといたしません。 そこで、通産大臣、中小企業に関連する問題でお伺いをいたしたいのでありますが、まず第一に、国際的な環境の問題について、それは先般、もっともごく最近の問題でありますが、アメリカの議会において繊維品の輸入制限に関する決議を、法案を通したという問題があって、これが今後の中小企業に与える影響も大きいと思うのです。あなたは抗議の声明をされたと新聞には出ておりますが、具体的にこれに対してどうお考えになっておられるか、それからどう措置されるつもりか、一つは中小企業に対する対策としてどう措置されるか、一つはアメリカに対する対策として、報復措置として何を考えておられるか、具体的にお答え願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 上院のほうでこの問題を取り上げたということは、新聞にも出ておりました。その後の成り行きを注視いたしておりますが、必ずしもこれが順調にアメリカの国会を通過するという、それほど簡単な問題ではない、順調なコースをとっておらないようであります。なお、十分に見守りまして、そうしてこれに対する対策を考えたいと思います。 それから国内の問題は、この問題を含めて、いまアメリカでドル防衛の施策の一環として輸入課徴金を課するか課しないかということが問題になって、これは世界じゅうの注目の的になっておりますが、この問題は、御存じのとおり、きのう、きょうに開かれているストックホルムのSDRの問題であるとか、あるいはケネディ・ラウンドの繰り上げ、実施の問題等ともからんで、さてアメリカがどの程度までケネディ・ラウンドの繰り上げ実施をやれば、この輸入課徴金の実施を見合わせるつもりなのか、そういうような択一的な問題にもなっているわけであります。これが実施されるということになると、日本にとっては全般的に非常に痛いのでありますけれども、特に繊維、それから雑貨の面において非常に手痛い打撃をこうむる。これらの対策といたしましてどうするかということは、そうたくさんあるわけではない。すぐこの政策についてどの政策でこれにいくのが一番いいかということになるわけでございますけれども、ただいまの段階では、一体これが通るのか通らないのか、繊維の輸入制限の問題をも含めて、はたして可能性ありや、そういう点を十分に見守って、そうして、もしそれが不幸にして日本に不利な結果となってあらわれた場合には、時を失せず、これに対する対策を迅速に講ずるというだけの研究はいたしております。ただいまの段階では、こういう公式の場において、これが通るということを前提として、そうしてこういう用意をするのだというようなことは、それ自体として非常に不謹慎だと思いますので、そのことだけはひとつごかんべんを願いたいと思います。
○大矢正君 あなたの答弁はずいぶん長いけれども、中身は聞かせるところはないのだけれども、輸入制限問題はもういま言ったとおりですね。それから言われたように、課徴金の問題、特恵関税の問題、いろいろあります。特恵関税の問題は将来の問題でしょうけれども、特にいまあなたが言われた課徴金問題は、先般アメリカに行かれた財界の人々の意見でも、これは非常に日本の要望が受け入れられるような状態にはなさそうだという判断を帰ってきて述べられておられますね。とすれば、ここまできているんだから、何らかの方針と、それから対策が必要じゃないか。特に中小企業の打撃が大きいわけだけれども、国内的には中小企業に対してどういう施策を講ずるかということが一つあるだろうし、対外的には、そういうアメリカの繊維品の輸入制限や課徴金に対しての報復措置をどうするかという問題を明らかにしなければいかぬのじゃないかと私は思うのです。 そこで、外務大臣にこの際お尋ねをしておきたいのですが、あなたの立場からどういうようにこの当面する二つの問題に措置されようとしているのか、ただアメリカは誠意をもってやってくれるから様子を見ようという、そういう気持ちしかないのか、そうではなくて、もっとはっきりした日本の姿勢がやはり必要じゃないか、こう思うので、お答えをいただきたいのです。
○国務大臣(三木武夫君) 二つの問題があるわけです。輸入課徴金の問題については、いまアメリカとEEC諸国との間にケネディ・ラウンドの繰り上げ実施について真剣な検討が重ねられているのです。だから、いろいろ新聞にはいわれておりますけれども、課徴金が必ず実施されるという断定を下すのには私は早いと思います。これは、もしケネディ・ラウンドなんか繰り上げ、実施されて、欧州諸国もアメリカのドル防衛に対して協力しようという姿勢が出れば、アメリカも考慮を私はするのではないかと考えております。したがって、いま御指摘のように、しかし国としては、中小企業の問題もありますし、最悪の事態も考えて、いろいろ対策を立てなければならぬことは御指摘のとおりですが、この段階で対抗措置を国会において申し上げるような段階ではまだ私はないと思います。 それからホリングズ法案、いわゆる化繊あるいは毛織物に対しての物品税に付加してこれは輸入制限法案が出てきたわけであります。これもむろん日本に対して影響が非常に多い法案でありますが、こういう輸入制限措置に対しては、アメリカの政府は終始反対をしておる。われわれも、昨年度の日米経済合同委員会においても強く日本側から主張し、これはアメリカの行政府としては絶対に反対である、最後までこれを阻止するために努力する、大統領はこれに対して拒否権を使うというようなことを言って強い決意を示したのであります。今度は物品税に付加する形で出てきたわけでありますから、物品税は重要な法案であるので、これが取り扱いがどういうふうになりますか、国会を通過すれば両院協議委員会にかかってくるわけであります、この輸入制限法案が。したがって、また一方において行政府はこれに反対であると言っておるので、この問題もすぐにいま繊維製品に対する輸入制限法案が必ず通るという断定は少し早い。二十八日でしたか、日本政府としては、従来も述べておりますけれども、またここにアメリカの注意を喚起して、アメリカの従来の主張にも違うし、また世界の貿易の縮小にも通ずるし、とにかくそういう輸入制限法案のごときものをアメリカが実施することに対して強い反対の意思表示を述べた次第でございます。
○大矢正君 通産大臣、中小企業対策として見た場合に、国際的な環境の変化、いまいろいろ述べられたようなこういうものが中小企業に今後非常に大きな影響を急速に与える、こういう条件が生まれてくるわけですね。それから小柳委員の質問にもありましたとおり、労働力の確保が困難であるという問題がある。それからまた経済の成長がかつてのように高度成長ではなくて、政府の宮澤さんの言によれば、安定成長と、こうおっしゃるが、安定か高度かわかりませんが、いずれにしても成長率は低くなってきて、当然のことながら中小企業の分野というものが狭まってきている。それで、またその上に金利が高くなってきて中小企業が投資しづらくなってきているというように、今日の日本の中小企業にとっては何一つよい条件がないというのが偽らざる実態で、政府も中小企業政策について万全を期したいとこう述べておられるが、具体的には何ら見るべきものがない、去年の単なる延長であります。去年の八月に中小企業庁から出た中小企業施策についてという本によりますと、中小企業政策は国の最重点政策であると、こう述べておるのですが、ところが、さっぱりその最重点政策になっていないのですね。予算を見ましても、具体的にそれじゃどれだけ伸びたかといえば、九・八%ですから一割にも満たない予算の伸びであって、総額において一般会計では三百八十二億、〇・六%強というまことに微々たるもので、〇・六%の三百八十二億円で政府の最重点施策になっているとあなた自身お考えになっておられるかどうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 予算の多寡と必ずしも政策の重要度とは合致するものではございませんけれども、御指摘のとおり、中小企業中小企業といって騒いでおるが、予算は一向どうも全体から見て〇・何がしと、こういうようなことではいかぬのじゃないかというようなことは、全く御説のとおりでございます。しかし、一般予算はそういう状況で、今年は特に財政硬直の理由をもってなかなか伸びなかった、伸びなかったのでありますが、要求しないことはもちろんございませんでした。ただ、財政投融資の面において、たしか昨年に対する比率として、本年は全般的には一二、三%増でございますが、中小企業問題に関する限りにおいては、はるかにその水準を越して、たしか二〇%近いところまでいっていると思うわけであります。必ずしも予算面で少なくとも、財投の関係で非常に優遇されておる。でありますから、中小企業問題が政府においても最重点施策としてこれを認めておるというこれは証拠になると思うのであります。
○大矢正君 最重点施策には、具体的にはなっていないと私は思いますが、それはあなたとの見解の相違だから、いたしかたないと思いますが、いずれにいたしましても、中小企業の問題は大きく取り上げなければならぬという時点に来ていることは間違いない。 そこで、総理にお尋ねいたしますけれども、いまの中小企業対策というのは、法律上もそうでありますが、通産省の外局ということになっております。そこで当然のことながら通産大臣が所管することになりますが、中小企業対策というのは何も通産省に限ったことではなくて、あらゆる省に全部影響のある問題なんです。そこで結局通産省は省内に中小企業庁というのをかかえているから、これはまだいいんでありますが、しかしほかの各省は、建設省にしても厚生省にしても、あらゆる省がそれぞれ中小企業をかかえているが、中小企業のことは直接考えられないんですよ、どうしても。それは通産大臣の答弁だし、通産省にまかしておくというかっこうになってしまう。通産省の所管のものはできますけれども、ほかのほうに現実にはなかなか及ばないというのが偽らざる今日の実態です。そこで私は思いまするに、少なくとも中小企業というものは農業対策あるいは漁業対策等と並んで非常に重大な内容であるし、政府の最重点施策であるというからには、私は担当大臣を明確にきめて、中小企業担当大臣というものをこの際つくったほうがいいんじゃないか。通産大臣が片手間にやるというような、そういういまのやり方というのは私は中小企業対策にはならぬと思う。具体的に考えてみたらどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業庁では足らない、担当大臣、まあもっと具体的に言えば、一省を設けろと、こういうお説かと思います。いままでの日本の行政官庁のあり方から申せば、事業形態別にそれを指導育成するという形は、各省においてもとっておられない。そういう意味で中小企業対策というのはなかなか扱いにくいものでございます。運輸省には中小企業の運輸業者がたくさんいるし、あるいは通運事業等にもたくさんある。あるいはまた農林省の食品工業の関係にも中小企業はたいへんなものでございます。漁業またしかり。またただいままで倒産しておる企業が多い中小企業といわれておる建設省の関係がある。こういうことを考えますと、これらを一緒にして、そして中小企業庁で共通の問題を取り上げるか、まあそういうことが一省をつくったほうがいいのか、ただいまの企業庁ではそれができないのか、そういう問題にもなりますが、私は大体共通しておるような問題、たとえば資金の問題だとか、あるいは近代化を進めるとか、そういうような指導はただいまの中小企業庁で事足りるのではないかと思います。問題は、各省庁がそれぞれ自分たちの所管する業務のうちに経営形態が幾つも分かれておりますから、そういうものに十分注意をいたしまして、そうしてそれぞれの分野についての指導をし、さらに横の連絡では中小企業庁の協力を得る、そこでまた働いてもらう、こういうことになれば、いま中小企業対策としては事足りるのじゃないだろうかと思います。私は中小企業庁が、いわゆる経営の形から建設業界も指導していると思いますが、しかしやっぱり建設中小企業者にとっても建設省が親方であり、建設省にたよるところのものが非常に多い。食品工業においてもしかり。あるいは薬品の製造においても厚生省、またそういう役割りを果たしておる。郵政関係においても、どこにも同じように中小企業として扱って育成強化しなければならぬ面がある。これを全部一緒にまとめると、かえってそこらは行政上の混乱を来たすのじゃないか、さように心配しております。したがいまして、いままでは一貫して別な省を設けること、これは不適当だ、こういう答弁に終始しております。しかし、ただいま大矢君の心配も中小企業対策として事欠くのではないか。どうも通産関係ならば、通産大臣も専門的な知識まで持っているけれども、他の省の中小企業の関係においては、そこらの信頼するだけの理解がないのじゃないか、こういうような御心配のように思います。いまの中小企業庁、それが外局である、そこに十分一つの意義を持たし、また各省庁も中小企業に対しての特別な考慮が払われる、こういう行政のしかたでありたいと思います。ただ、いまの状態では直ちに中小企業省を設ける、必ずしもそれがいいんだ、かような結論を出しておらないことを申し上げます。
○大矢正君 いま直ちに中小企業省設置ということが困難であったといたしましても、行政上各省にまたがる中小企業の仕事は全部一カ所に吸い上げるということは困難であったとしても、少なくとも指導体制というものが、専任の大臣がおるということだけで私はずいぶん違ってくると思うのです。少なくともその程度のことは、これはやってやれぬことはないのであって、考える必要性があるということをこの際強調しておきたいと思うのです。 それから大蔵大臣に質問いたしますが、あなたきのう横山君との間の論争で、下請代金の支払い遅延問題についていろいろありました。私あれに関連してお聞きしたいと思うのですが、御存じのとおり、今日公取が下請代金の支払い遅延あるいは手形のサイトの問題、特に私はこの手形のサイトの問題について聞きたいのであります。議論がありましたが、大企業がサイトをかりに長くしたとして、それを公取が摘発するには、人員その他の面で能力が非常に不足であるということもきのう答えられております。それから一方において下請それ自身はへたに届け出ると、自分が親企業から非常に差別をされる、あるいはもう仕事がもらえなくなるという問題があって届けが出ない、そういう意味で法律はあるが、実際上実効はなかなかあがらぬというのが実態なんです。そこで私考えるのに、親企業が出す手形は当然のことながら、下請がこれは金融機関に持っていって割り引いてもらうと思うのです。もらったものを期間中じっと持っているような、そういう余裕のある中小企業は私はないと思うので、当然のことながら金融機関に持っていって、みずから設定してあるワクの限度においてそれを割るということになりますね。そうすると金融機関はこの手形のサイトがどの程度の長期なものかということを一番つかみやすいわけですね。そこで、公取が調べるところにも非常に手薄の面があるとすれば、百パーセント捕捉はできないが、より多くの点で捕捉できるのは金融機関でないか。したがって、長期の手形、こういうものについては銀行から、それが親企業から下請に出される場合に、それが回ってきた際に報告の義務を、どこへ報告するか、それを天下に公示するか、秘密裏にやるか、いろいろな問題はありますが、そういうことをやれないものかどうか、そうすることによって私はかなり防げるのではないかという気持ちがいたしますが、それと関連をして、そういうことで発見をされたいわば違法行為に近い、行政指導に乗らないような手形の発行業者に対しては単に罰金のような、罰則の状態だけではなしに、その金利は必ず払わせる、こういうような強い態度が必要なのではないだろうか。このように思いますので、この二つについてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) その問題、私どものほうが一応研究はしておりますが、結論としては困難だというふうに考えます。手形のサイトが長いのは、金融機関がこれをどっかへ報告するというようなことになりますと、結局銀行に割り引きにくるというようなときには、親企業と両方の相談で振り出し日の記載をしない。そうして銀行、金融機関の窓口に持ち込んだときにそれを書き込むというような事例が実際には多くなって、実際問題としてはつかめなくなるという問題もございましょうし、またここまでのサイトでなければならぬというものを何かの形できめる、そうしてそれに違反するものは報告しろというようなことになると思いますが、そういうことにしますと、大体いろいろの業種及び慣習、いろいろなことでサイトが別々になっておるのを、これをむしろ画一的にするということによって、もっと短くなっているものをかえって長いほうにしわ寄せされるというような問題も起こりますし、こういうもし通報制度というようなものをつくった場合の弊害というものを考えますというと、結局は中小企業に金融しずらくなるというような方向へ追い込む結果になるんじゃないかというようなことから、この問題はむずかしいということが一つでございます。 それから銀行検査をやっておりますが、この検査が私企業のいろんなそういう私的な契約までこれが監査要件になるかどうかというようなものも、銀行検査のあり方からみまして考えますというと、これはなかなかやはり簡単な問題じゃない。そうしますと、結局いま公取そのほか取り締まり官庁となっておりますが、そこの仕事へそう簡単に食い込めない、食い込むことの弊害が私は多いというふうに考えております。
○大矢正君 金利問題、金利負担。
○国務大臣(水田三喜男君) おそれ入りますが、もう一ぺん御質問願います。
○大矢正君 たとえば標準のサイトがあるわけでしょう、そういうものに違反する部分についての金利はこれは親業者に持たせる、それが暴露した場合に。そういうふうにしたらどうかと、こういうことです。そうでないと、ただ単に親会社が罰金だけ払うからとか、あるいは公取に行って公取にあやまるとか、そんな程度で終わったのではいけないから、金利を払わせろということをやったらどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 実際問題として私どもはずいぶんいわゆる歩積み、両建ての取り締まりというものをやってむずかしさを体験しておりますが、一方に不利になることがあからさまに出て、それをどうこうするというような措置によって損するのが中小企業というのと同じように、この問題もそういう問題に触れてきますというと、これは事実上金融が困難になっていくという部面が多いと思います。またこれを届け出て、相談所をつくってありますが、相談所へかけ込んだなんというような事例があると、そういうことをしちゃいかぬと取り締まっておりましても、自然とほかのほうへ、そういうことを言わないほうに下請を変えていくとかいろいろな問題がありますので、なかなか私はこれは理屈どおりに簡単にはいかぬのじゃないかと思っております。いいことには違いありません。そういうことについて特に利子を払わせる、これをどういう形でやるか。制度としてこれをこしらえようということになると、実際は非常にむずかしい問題を起こすと思います。
○大矢正君 むずかしい、むずかしいという議論をしたら、何やってもむずかしくなるんですよ。どんなことをやっても、それが一〇〇%のものなんというのはないんであって、必ずそこに逆な面が出てくる。しかし、そういうものを克服してやるところに政策というものが生まれてくるわけです。あなたのおっしゃるように、そうやればこういう反動がある、ああいう反動があるという、その反動を先に考えていたんじゃ話にならぬのと、それから、そういう反動があるからこそ法律で保護しなくちゃいかぬし、また行政指導の面でも守らなければいかぬということになっているわけだから、その点はひとつ十分検討してもらいたい。その二点、いま私が申し上げた二点は検討してもらいたい。どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いずれにしろ、検討はいたします。
○大矢正君 大蔵大臣、もう一つ。小口の五十万円までの限度の金融の問題がありますね、保険制度にからんで。あれは四十年に設定されたわけです。三十万円から五十万円になったのですが、これはすでにもう三年近くもたっているので、五十万円の限度というものは、私は一つにはもっと上げる必要性があるのではないか。それからいま一つは、信用保証協会が無担保、無保証ということにはなっているが、現実には無担保、無保証では貸していないという事実が各所にある。こういうものをどう指導されるかという問題をあなたにお尋ねしておきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは、この無担保、無保証、この制度が非常にいいのでここまで踏み切ろうといって、党の政務調査会等と相談してやったのですが、現実はなかなか、あなたのおっしゃるように、そのとおりにいっていないというふうに感じております。
○大矢正君 どうもあなた、おかしいんだが、時間がないから、委員長、すわったままやらしてもらう。 ぼくが聞いているのは、五十万円という限度は、もうかなり年数もたっていることだから、やはり経済情勢に合わせて、物価が上がっている折でもあるから上げたらどうかと、こう言っているんです。それからいま一つは、いまのあなたの答弁の問題。
○国務大臣(水田三喜男君) 限度を上げることは考えたいと思います。
○大矢正君 時間がありませんので、最後に公取にお尋ねをいたしたいのでありますが、それは独禁法の中にあります再販制度についてであります。六品目の指定がありまして、これについて、承るところによると、公取においてはいま洗い直して新しい考え方をひとつ表明したいという御意思のようでありますが、まずそれをお答え願いたい。
○政府委員(山田精一君) 再販制度につきましては、ただいま御指摘のとおり、現在指定されております品目につきまして洗い直しの作業を鋭意行なっております。
○大矢正君 いつごろまでに結論が出るのか、お答えをいただきたい。
○政府委員(山田精一君) 目下極力作業を急いでおります。
○大矢正君 最近、特に小売り業者として顕著に反対を表明しているのに化粧品があるわけですね。そこで、化粧品は六百円とかあるいは千円とかいう限度の金額的な水準を設けて、それ以上の部分については適用しない、こういうような考え方も出ておるようでありまして、先般もあなたのところの事務局の方にも承りましたが、そういう考え方があるようであります、ただ固まってはいないと思いますが。そこで、私はこれはそういう再販制度によって認められる言うなれば内容は少ないほうが、これは消費者の立場からいっていいことは間違いないと思います。ですが、そこで一つ心配が出てきますことは、メーカーは一つも損をしないで、販売の、特に零細な小売り業者が非常に打撃を受けるという事態が起こる可能性があるわけですね。そういう問題について委員長としてはどうお考えになっておられますか。
○政府委員(山田精一君) 零細な小売り業者が反対いたしておりまするような一般の消費者が日常使用いたします商品につきましては、これは削除いたさない方針でございますので、零細な小売り業者には著しい影響はないものと、かように考えております。
○委員長(西郷吉之助君) いいですね。――以上をもちまして、大矢正君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 次に、黒柳明君。
○黒柳明君 総理大臣、申しわけありませんが、官房長官がいらっしゃらないので、ちょっと、総理にお答えいただく問題ではないと思いますが、予算の関係がある分で四月一日施行の国会提出の法案の審議状況を述べていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとそれはわかりませんので、いま調べに行っておりますから。
○黒柳明君 じゃ、ほかの問題。核の問題から総理にお尋ねしたいと思うのですが、野党の非核三原則に対して総理は、非現実的である、このようにおっしゃって、政府の核政策の四本の柱を出されたわけですが、確かにある面においては現実的と思える面もあるのですけれども、また反面非常に抽象的である、こう私思うのであります。ですから、この日米安保によるアメリカの核抑止力に依存するというわけですから、この点についてひとつ具体的に、どういう核であるか、どういうふうな形で守られていくか、明瞭にひとつ具体的にお話し願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 核の抑止力がどういうものであるかということを具体的に話をしてみろ、こういうことですが、私が申し上げますのは、とにかく核兵器のない世の中、核兵器を使用しない世の中、そういうものを実は願っておるわけでございます。ところが、現実には核兵器がある。この現実に存在する限りにおいて日本の国の安全を確保する、それにはやはりある程度の備えがなければならない。しかし、日本自身がしからば核兵器を持つか。これは核兵器を製造せず、持たない、持ち込みを許さない、かように言っておる。核兵器は持たない、この国がただいまの憲法上で許されておる自衛力だけで安全確保できるか。現実に世の中に核兵器が存在する今日、私はやはり、万全の策だとは言えない、アメリカの核抑止力にたよるんだ、かように申しておるわけであります。その場合に、どういう核兵器なのか、こういうことは私も知るところではございません。ただ、とにかくアメリカが強大な核兵力を持っておる、これに信頼して、そうしてジョンソン大統領があらゆる攻撃から日本を守る、かように言ってくれておりますので、その点において私はアメリカの核抑止力にたよる、かように申しておるのでございます。
○黒柳明君 私は、野党の非核三原則が非現実的だ、こう総理がおっしゃっておる、それに対して与えていってそうとも言える。しからば、総理のおっしゃる、政府のおっしゃる核政策に対して、一応現実的でもある、こう私は与えておる。なれば、その具体策がなければ国民は納得ができない。野党のも非現実的である、政府のも非常に抽象的である、それでは国民は何を基準にして核という問題について、あるいはアメリカの核抑止力というものにたよればいいのか、こういうことに対して疑惑を増し、あるいは非常に何か不安を抱くような面もあるのじゃないか。こういう意味から、野党は非現実的だ、与党は現実的ならば、もっとその現実的な面の具体策を国民に教えたらいかがですか、こういうようなことなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねの趣旨をちょっと私はき違えておりましたが、わが国の安全を確保する道はいろいろ考えられる。わが党の立場において、日本の安全はこれでいいんだ、いわゆる非武装中立から私どものようにいわゆるアメリカの核抑止力による、安全保障条約は絶対に必要だ、かように言っておるのに、間がございます。公明党の主張も私は十分知らないわけでございますし、また民主社会党の主張もはっきり私つかんでおるわけではありません。しかし、いま代表的なものとしてしばしば言われますのは、非武装中立論と同時に、ただいま申すように自衛力を持ち、そのもとにおいて日米安全保障条約、そのもとでその安全を確保しておる、こういうことを申しておる間に相違がございます。私は、しからばこの日米安全保障条約でいかなる種類の核兵器にたよっておるのか、こういうお尋ねかと実は思ったんですが、その点は私にはわからないということを申し上げておる次第でございます。私は、日本国民自身が日本の国の安全確保、これについて理解をいただく、こういう意味でただいまのような点を申し上げた次第でございます。
○黒柳明君 ドゴール大統領は、たとえば、もちろんアメリカの核兵器は世界平和の保障になっておる、しかしアメリカの核戦力がヨーロッパやフランスが直面するかもしれないあらゆる事態に際して必然的に即時的に使用されるという保証はない、このようなことを発言しております。これは海の向こうの大統領の話だといえばそれまでですけれども、何か最近中国の核開発のテンポが速いのに伴って、アメリカのこの核のかさへの信頼性が下落したんじゃないか、こんな気がするんですが、総理、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまドゴール大統領の考え方を読み上げられました。実は私ちょうどその時分にフランスに行っておりまして、直接ドゴールさんにお目にかかり、ドゴール大統領から直接私はその話を聞いたのでありますが、一国の最高責任者として、外国にたよるわけにいかない、おれはそういう意味で、フランスをだれよりも愛するがゆえに、みずからが外国の大統領のポケットにあるキーで防衛ができるというような情ない状態ではいけない、これが当時ドゴール大統領の非常な愛国者だという評価をされたものであります。私はドゴール大統領を別にまねるわけじゃありませんが、ドゴール大統領のような行き方もありましょう。しかし、日本の憲法のもとにおいて私どもの行き方はあり得る。私は、皆さん方も同様だと思いますが、ドゴールが祖国フランスを守り愛する、その決意において皆さん方も劣らない。祖国日本を愛する、こういう気持ちでいらっしゃると思います。しかし、守る方式は必ずしもドゴール大統領と同じではない。われわれは平和憲法のもとにおいて最善を尽くすその守り方がある、かように私思います。 で、私、別に議論を展開するつもりはありませんが、先ほど申しましたように、日本の安全確保には日米安全保障条約がいいと、かように思っております。ただいま、中共の核兵器の開発が進んだ、そういう意味でアメリカの核の抑止力というものが衰えたんではないか、かようなお話でございますが、私はとにかく今日アメリカの核の抑止力、戦争抑止力にわが国の安全の確保、これはたよると。アメリカにたよる、こういう形でございますが、しかし、このことはいかにも情ないものの考え方であると、あるいは対米一辺倒だと、あるいは米国に追随するものだと、アメリカの植民地化するんだとかいう、こういうような批判はございますが、今日の国際情勢のもとにおいて一国の安全を一国だけで確保する、これはできないことは皆さんも御承知だろうと思います。これに御賛成していただけるかと思います。そこで、集団安全保障方式というものが考えられるわけでありますが、私はそういう意味で、アメリカと日米安全保障条約を結んで日本の安全を確保するということ、そのことは別に私が愛国者でないということにはならない、かように私思うのでありまして、私は現状においては日本を最も賢明な、また最も考えられる方法によってこの国の安全を確保しておる、かように確信しております。
○黒柳明君 ただいまの総理の御発言の内容は、アメリカの核のかさの信頼性は下落していない、こういうようなことをおっしゃりたいんじゃないかと私なりに推察するんですが、そうすると、今度は信頼性には限界があるんじゃないか、こういうふうに今度は私なりに思うんですが、総理はいかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあそういう意味でいろいろな議論が出てくると思います。これはまた万全、さらに十二分の安全、そういうところで、これならだいじょうぶだと言えるかと、こういう御疑問かと思いますが、私は当面考えられる最善を尽くしている、かように御理解いただきたいと思います。
○黒柳明君 従来、総理は、いろいろな発言がございますが、アメリカの核抑止力にたよって日本の安全と平和を守る、このような御発言はたびたび私たち聞いてきたわけですが、ところが、二十五日の本委員会ではこのように発言されているわけです。アメリカの核は戦争抑止力として強大なものだが、万全かつ十分とは言えない、こうおっしゃっておる。となると、何か従来の発言とは微妙な相違があるんではないか、こういうふうに思えるんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、私が発言いたしましたように、十分なるよりも十二分に、さらに二十分にということになると、いろいろ疑問も出てくるでしょう、かように申し上げるのであります。私は当時の速記も手元に置いておりますが、仮定の事情からいろいろなお尋ねが出ております。しかし私はいまの状況のもとにおいてこれなら絶対安全だ、こういうものはなかなかないんじゃないだろうか、かように私は一つの考え方を持っております。
○黒柳明君 そうすると、いまのこういう核時代にやがて突入するであろう、こういう国際情勢においてはアメリカの核たりといえども決して十分じゃない。二十分のものを求めればさらに欲は出てくる、こういうふうなことですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあそういうように御理解いただけばいいかと思います。現在において考えられる最大のものがただいまのアメリカの核抑止力に頼っているこの現状でございます。
○黒柳明君 それからまた、それにつけ加えて総理の発言ですが、日本が核攻撃を受けた場合に備えて、自衛隊が核防護訓練を行なうのは、国民を守る自衛隊として当然である、同じような発言を防衛庁長官もおっしゃっているわけですけれども、総理がこれは万が一という想定だと思います。決して起こり得ない、私もこう確信し、断言してもいいと思うのですけれども、ところが、防衛庁長官と総理大臣――国の責任者であり、その担当大臣の――ですからね、万が一という場合、日本に核攻撃がある、こういうことが想定たりといえどもこの発言は私たちに与える影響というものは非常に大きいんじゃないかと、こういうふうに思うわけですが、万が一の攻撃というものがあり得るんだとほんとに総理はお考えになるか、あるいはまた、現在の自衛隊がやっている核防護訓練というものが、そのときに攻撃をほんとうに防げるものであるか、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいまの防衛庁でいろいろ訓練をしている、これはもちろんそういう危険が身に迫っている、こういう立場の訓練だとお話しになりますと、これはたいへん事情が違う。自衛隊といたしましては、おそらくあらゆる場合を想定いたしましてそうして訓練に励んでいると、かように思います。しからば現実において、ただいまこの訓練をしなければならない危険があるのかどうか、かようにお尋ねになればかような危険なし、これはもう安心されてしかるべきだ、しかし自衛隊といたしましては、これは十二分に訓練をしておくことが必要だというように思います。
○黒柳明君 長官いかがでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 総理大臣が万全とは認めないというのは、一〇〇〇%というようなことばがあるかどうか知りませんが、九九九までだいじょうぶであるということで論理的の何かポシビリティとか可能性がないかどうかということをつき詰めれば、それは万々一にはあり得ると、こう言っただけでございまして、われわれはほとんど絶対と言ってよいほど米国の核抑止力によりまして、世界各国から核戦争が日本にしかけられることはない、こう感じておる次第でございます。ただ、われわれがやはり特殊武器による被害を防ぐ方法等は、教範を設定いたしまして研究はいたしております。しかし、それとこれとは関係がないということは、いま総理大臣がおっしゃったとおりでございます。
○黒柳明君 ことばの端をとらえているようで申しわけございませんが、長官、いま総理が十二分に訓練をしておく必要があると、こうおっしゃるのですけれども、いまの自衛隊の核に対する訓練が十二分であるかどうか、どうお感じになりますでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) できれば十二分の研究をいたしたいと思いますが、いま金額にいたしまして一年に一億円という研究をいたしておりますから、まあたいしたことではない。できれば十分の研究をいたしたいわけでございます。また民防関係も、われわれの自衛隊の守るのは一億国民でございますから、一億国民をお守り申すという線に向かって研究することが必要である。こう考えておる次第でございます。と申しますのは、当院におきましても衆議院においても申し上げましたが、永世中立国スウェーデンですらりっぱな核防関係の施設を施し、民防ということを訓練いたしておりまするから、そこまでできればけっこうだということを総理大臣がおっしゃったのではないか。ただいま一億円程度でございます。
○黒柳明君 まあ一億円なりの訓練をやっていると、こういうことだと思うんですけれど、ウ・タント国連事務総長が核兵器の影響に関する報告書、一昨昨年ですか、国連総会での、これは各方面にいろいろ影響を及ぼしておりますけれど、これについて長官、どのように認識していらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳さんにお答えいたします。 ウ・タント総長の報告書というものは私は高く評価いたしております。あの報告書を読めば読むほど、核戦争というものはよろしくない。核の拡散の禁止に向かって全世界が進んでいただきたい、こういう結論になるのではないかと考えておる次第でございます。
○黒柳明君 まあ時間がかかりますけれども若干読みますと、十メガトンの爆発では爆風により爆心から十四・七キロメートル以内の普通の建物は完全に破壊され、十九・二キロメートル以内の建物も戸や壁は損害を負うと。それから熱の発射によって三八・四キロメートル以内の人々は火ぶくれのできるほどの、また四十八キロメートル以内の人々は皮膚が赤くなる程度の火傷を負うと。これを東京に当てはめると、東京二十三区内はほとんど、また周辺の川崎、草加市とか、武蔵野市あたりまでの家屋は破壊されよう。そうしてそこに住む人口大半は死亡するであろう。このようなことになっているわけですけれど、そうすると、いま言ったように、非常に私は私なりに矛盾を感ずるわけですね。絶対こういう攻撃はない。ないけれども、万々が一のことを考えてやっているんだと。それがやっていることが十二分であるか、決して十二分でない。一億程度の訓練だと。そんならやめちまえばいいじゃないか、こういうふうな理論が何か成り立つような私は気がするんです。はたしてこの核爆撃があったときに、このようなすさまじい被害を受けるときに、それを、国民を守るに価する訓練であるか。自衛隊自分自身だって守れるかどうかわかんないような訓練じゃないかと私は想像するし、また、かつての防空演習みたいなものじゃないか、こう思うんですけれど、いかがでしょうか、長官。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳さんはたくさんの問題を一緒に提起されて、ちょっと困っておるんですけれども、たとえば焼津のような機関長でも、これは核の関係で死んでしまうのでございますから、その範囲のことがないようにという範囲の研究をいたしておる、こうお考えくださればけっこうでございまして、両院においていつも私が言明いたしておるのは、たとえ一発の核、あるいは水爆、あるいは原爆の投下がございましても、連鎖反応が起こりまして、人類は壊滅状態になるのであるから、いまほど世界の人類の皆さま、ことに指導者の皆さまが理性をふるい起こすべきときはないと、真剣に考えていただきたい。(笑声)これは笑いごとではないと私は考えております。いまほど理性を働かすべきときはない。理性を働かすべきときはいまであると、こう考えておる次第でございます。
○黒柳明君 私もその人類の皆さまの一人ですからね、それは笑っちゃいられません。と同時に、なお真剣に考えていただかなくちゃならない人が、これは私のまた非常な老婆心かわかんないけれど、何か中途はんぱなことをやってるんじゃないかという想定のもとに、いまの質問を展開しているわけですよ。ですから、実際にその被害を防げる、まあ先ほどは焼津ぐらいのと、こうおっしゃいましたけれど、いま言っているのは、これは攻撃に対してでしょう。焼津ぐらいのは、あれは医者にまかせればいいじゃないですか。防衛庁が医者の範囲まで手が届くような、そんな医師の充足なんかされてないじゃないですか。これはせんだってのことで、医師が足らない。そこに医者の分野まで防衛庁がいったら今度は医師会に怒られちゃう。こんなことはやっちゃいられません。攻撃に対して防ぐための、ある意味において言えば、防衛、自衛権を発揮する軍隊に似たようなものですから、自衛隊は。そうすると、攻撃に対しての被害を防ぐための訓練じゃないですか。ところが、防げるかどうかというのです、この訓練で。どうでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 黒柳さんは、やっぱりたくさんの問題を一緒に提起されるのでこの点困るので、これは一つ一つきょうはなんでございますから、また質問を受けましてお答えをいたしたいと思っておりまするが、たくさんの問題一緒に提起されても……、ちょっときょうは時間の関係で適当に表現したい。ただ、われわれは、いま特殊武器による被害を防ぐという教範はございます。その教範はフォールアウトが出た場合、放射能があった場合に、いかに自衛隊の者が一億国民を守るために、健全に生き抜いていくかということをさしあたりやっておりまするが、行く行くは国民全体に対して、できれば民防のことも研究いたしたい、こういう立場でさしあたり核武器からの防衛関係だけの教範で研究をいたしておる次第でございます。
○黒柳明君 長官の人柄ですから、確かにお時間もなくてたいへんだと思います。私は別に云々しませんけれども、で、さらに長官はあのとき発言したのは、合意をしてもらえば国民にその訓練をしてもらいたいと、防空壕のことでおっしゃっておるわけですよ。これは本心で長官がおっしゃったことかどうか、どうでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) そこまでは私は。実はスウェーデンのことを見たり、スイスのことを見まして、あれほどまでにやるのはたいへんでございますから、やっぱり核戦争による侵略がないことが一番大切でございますから、総理大臣が、私どもが核抑止力と言っているところへ一番力を入れてお互いに考えたい。あとシェルターだけでも全国につくるようにしたらこれは気違いのさたぐらいのものでありまして、コンセンサスを得るならばスウェーデンのようなことをしてもよろしいと言ったかも知れませんが、これはやはり財政の関係もございまするし、とてもじゃないけれども問題にならない。永世中立の平和国家スウェーデンでもあのくらいやっているのだからということも参考にはなりますが、実際問題としては、とてもじゃないけれども、シェルターで何百万入れる何千万入れるという、地下防空壕で長期間生活ができる、こういうようなことはもうたいへんなことでございまして、やっぱり人類の理性が働きまして、核戦争はお互いを滅ぼすものである、人類がなくなってしまうものであるからして、攻撃者といえども行く行くは、そう長期間でない間にみずから滅びる武器でございますから、武器のほんとうは定義からはずれておるのだそうでございます、核武器というのは。そういうことに目ざめまして核武器を使わないように進まれんことを、軍縮はもとより核拡散防止に進まれることを私要望いたしておるわけでございます。
○黒柳明君 私も確かにそういう理想の方向に進んでいかなければならないと思いますけれども、現実にはやっぱりそうはいきません。核防条約でも、やっぱり中共、フランスは入りたくないと、またインドあたりはこの潜在主権を、核潜在能力を今度は顕在にする日がいつかというようなことも、これは非常に心配なんですよね。ですから、どうでしょうね、シェルターぐらいはもうそろそろつくっておけば。そういう点うまくないですか。
○国務大臣(増田甲子七君) ストックホルムで見てまいりましたが、きれいな水が中に入ってくるようにしたり、きれいな空気が入ってくるようにして、それで中だけで生活ができるようにするというようなことも、とてもじゃないけれどもわが国においてはできる段階ではないと、私はストックホルムでずっと見ましたけれども感じてまいった次第でございます。
○黒柳明君 私は、たとえちょっとしたスウェーデンの実情を見てそして発言されたことばにしても、この国民の合意、ナショナル・コンセンサスは出てなかった。「国民の合意」と日本語で書いてあったわけですよね、あれば、シェルターにせよ核に対する訓練にせよ、やるということを、そう防衛庁長官が発言するということは、これは非常に問題がある。これは発言ですから何もきちっとワクにはめられて、そして形の整ったものじゃない。そのときそのとき若干のニュアンスは変わると思いますけれども、私は、決して長官の本心でない。これは間違いないと思いますけれども、念のためにお聞きしたいのであって、もしこのような思想がはやり、また、こういうようなことを国民は心配するのですよ。長官があんなことを言う――それがまたさらに自民党の右傾化と、こういう批判をされる原因にもなるのじゃないですか。ですから、この点、それは性格とはいうものの、十二分にこういう発言についてはこれは注意をしながら発言していかなければならないと、こう思うのですけれども、念のために、注意をしますと、こういう発言がほしいのですが。
○国務大臣(増田甲子七君) スウェーデンのようになりましても私は右傾化とは思っておりません、これは永世中立の国で、平和を最も愛好する国でございますから。ただしかしながら、私のこの前の発言は、そのときの環境と情勢でそういう発言をしたろうという御理解のある黒柳さんの御発言でございますから、そのときの情勢はちょっと私も速記録を読んでみないとわかりませんが、コンセンサスを得たり、財政の関係を勘案したりいたしますと、とてもではないけれどもシェルターをつくるというような状態ではないと、こういうふうに考えます。もし、その当日の発言が、どういうふうであったかわかりませんが、注意を要する点がございましたならば十分に注意をいたします。
○黒柳明君 そこで、政府は、アメリカは日本にABMを配置しないであろうと、配置しないと聞いている、こういうことを発言しているわけなんですけれどもね。ところが先ごろ来日して、これは政府関係と懇談したのだろうとこう思うのですが、はっきり新聞では、報道ではあらわれておりません。アメリカの国防省の副次官代理のハルパニー博士ですが、この人は中国の核戦略の大家ですが、まあ、御存じのとおりです。このように言っているんです。「アメリカがABM網を配備することによって、日本を初めとする同盟諸国や友好諸国の安全が強化される」、こう言っているわけです。まあ、これもよく総理がおっしゃるように、いや、それは向こうの発言だよと、わが国は関知しないよと、こうおっしゃりたいのでしょうけれども、これはもう来日しているのです、先日。相当政府関係の方とこのことを話したとぼくは断定はしません。こういうようなことも当然話しただろう、こういう推測は当然みんなやられているわけです。そういう人が、こともあろうにABM網を配置する、そうすれば日本、日本とはっきり言っているんですね。日本を初めとする同盟諸国や友好諸国の安全が守られる、こう言っているんですけれども、ひとつまあ、具体的にはどこにどう配置されるのかと、ここまでお尋ねしたところで、知りませんというお答えがくると思うのですが、これについて総理はどのような御所見を持っているのでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) ハルパニー博士がそういう発言をしたというふうに私はしかと覚えておりません。ただ一月ごろウォンキーという国防次官補とそれからその次官補の代理のハルパニー博士が来日したことは事実でございます。それからABMというものは、薄いABMをとりあえず配置いたしたい、その金額は五十億ドル前後であるということは前国防長官のマクナマラ氏が発言したことでございまして、その配置というものは日本に関係ないということだけは明瞭になっておりますからこの際申し上げておきます。
○黒柳明君 私もそう信じたいのです。しかしながら先回の三矢事件のときも国務次官補代理あたりですか、来日して、それがひとつの何か作戦に発展していった。これは五月に出るモートン・ハルパニー氏の寄稿の文です。ここにちゃんと書いてある。こういうふうになっておる。これは非常にやはり問題だと思うのです。また、これに対して、もしお聞き及びでなければ、お聞き及びかわかりませんが、なければこれに対してどういう見解をわが国としては披瀝しなければならないか。アメリカはこう考える、あるいはこういうことをもうホワイト・ハウス当局には具申しておるかわからない。これについて相当のわが国も意見といいますか、具体案というものを持っていなければ、もううまくないのじゃないかと、こう思うのですけれども、あるいは疑惑が生じると思う、この本が市販された場合には。非常に心配が出てくる。どうでしょう。
○国務大臣(増田甲子七君) この際、明瞭にいたしておきたいのは、この一月にまいりましたが、安保条約第四条によってときどき協議をいたします。そのほんとうの正式の協議は、外務大臣と私と駐日アメリカ全権大使と、それから太平洋軍司令官でございますが、その下の会議はときどきやる。ときどきやるということが安保条約の第四条に書いてございますから、そのときどきの会議におきまして、ABMは日本には関係ない。その網はもちろん関係ございません。この網は、アメリカ本土とアラスカとハワイでございます。この際、明瞭にしておきます。 それから、その網、つまりスパータンとかスプリントというものを使いまして、途中で迎撃してICBMを落とすというしかけだそうでございますが、そのためにレーダーでこれをキャッチしなければなりません。そのレーダーというものは日本本土には設定いたさないということの明瞭なる向こうの言質を得ておりますということをこの際申し上げておきます。
○黒柳明君 ハルパニー博士も日本に配置するとは書いてないですよね。ですけれども、日本を守るための配置をやる、こういうふうにはっきりおっしゃっている。だからそれに対しての考え、まあこういうわけですけれども、それに対しては、また時間がないですから答弁を保留するとしまして、ともかく、まあ今度は平和利用の面ですけれども、これからますます核時代に突入するにあたって、これは政府も野党も同じ意見だと思うのでありますが、ある野党は、平和利用に対しては、これはもうどんどん促進しなければならない。ところが、この平和利用に対する核エネルギーの技術のレベル、これは非常にわが国はおくれているのではないかと思うのですが、まあ平和利用も軍事利用も、これは紙一重です。しかしながら、総理も、国民に核に対する正しい理解を与えなければならない、こうおっしゃいました。こういう関係から、長い目で見た場合のこの平和利用に対する政府のお考え、また、この平和利用に対する技術のレベルアップというもの、これについてどのようなお考えを持たれているか。
○国務大臣(鍋島直紹君) 核の平和利用につきましては、御承知のとおり、行政的には原子力委員会によりましてこれが行なわれております。法律としては原子力基本法によって、平和利用に限ってこれを行なう。現段階におきましては、御承知のとおり、発電用の炉の開発、それから原子力船の炉の開発及び原子炉から生じます放射能の利用、これは農業、工業、それからガン等の医学、これらのものに限って行なわれております。いま御指摘のとおり、ある面におきましては、日本は開発以来十一、二年でございますが、おくれております。したがいまして、外国からのいろいろな知識も入れてこれを進めなければなりませんけれども、基本的には日本の自主開発、これを基本的にして進めてまいりたいと考えております。しかしながら、発電の面におきましては、おそらく日本は、世界でも、ソ連、アメリカ等に及ばないでも、それに類する、次に位するくらいはいっているのではなかろうか。原子力船におきましては、イギリス、アメリカ、西ドイツに続きまして、来年、昭和四十四年度あたりにはこれが完成されるという状態になっております。で、放射能におきましては、やはりトップクラスであろうかと思います。しかしながら、根本的に言いまして、核燃料の濃縮度、あるいは加工という面におきましては、まだまだすいぶんおくれがございます。したがいまして、これらの平和利用につきましては、徹底的に今後力を入れて進めたい、予算も、そのために今後ともひとつお願いしてまいりたいと考えております。
○黒柳明君 先ほどの法案の問題ですね、官房長官の御答弁が願えるでしょうか。
○委員長(西郷吉之助君) 亀岡副長官が見えております。
○黒柳明君 予算に関係する政府提案の……。
○政府委員(亀岡高夫君) 法案の国会審議の状況でございますが、国会に提出済みの案件が、予算関係法案を含めまして九十九件でございます。ただいままで成立をさしていただいた案件が二件、両院で審議中のが九十七件でございます。衆議院において七十五件、参議院において二十二件と相なっておる次第でございます。なお、年度末までに成立をお願いしたいという案件につきましては大体十九件でございます。それ一々申し上げましょうか。
○黒柳明君 もう一回その件数を言ってください、いまおっしゃった。
○政府委員(亀岡高夫君) 国会提出済みが九十九件でございます。そこで、今日現在で成立いたしました案件が二件、両院で審議をいただいておりますのが九十七件、衆議院で審議中のものが九十七件のうち、七十五件、参議院で御審議をいただいておるのが二十二件。
○黒柳明君 大蔵の租税関係、たばこを含めて。
○政府委員(亀岡高夫君) これは現在、衆議院の大蔵委員会で審議をいただいておる段階でございます。
○黒柳明君 この一〇ページのおしまいからページの前あたりまでどうなっているか。
○政府委員(亀岡高夫君) 審議状況でございますか。大体、減税、増税に関する税関係の法案につきましては、衆議院の大蔵のほうで一括……。
○黒柳明君 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、これはどうなっているのですか。
○政府委員(亀岡高夫君) これはただいま審議中でございます。
○黒柳明君 五、六、言ってみてください、どうなっているか。
○政府委員(亀岡高夫君) 大体減税関係の法案については、おおむね審議を終わっておるという連絡をいただいております。たばこ関係については、目下審議を続けていただいておるという段階と連絡をいただいております。
○黒柳明君 こっちが発言する時間が少ないから言ってもらいたいのですよ。どうなっているか、どうなっているか、おわかりにならない。
○政府委員(亀岡高夫君) ええ、これは大蔵のほうが担当でございますので、私どものほうは官房として全般の審議状況を一応把握いたしておりますので、詳しい点については大蔵のほうにお聞きいただきたいと思います。
○黒柳明君 じゃ、けっこうです。 まあ減税の法案についてはおおむね審議が終わっているなんとおっしゃいましたけれども、いまのところ、この所得税法の一部を改正する法案、これだってまだまだ参議院に回ってきません。四月一日には施行できないのじゃないですか。あとは全部まだこれは提出されていないわけでしょう。だから、租税関係だってこういうわけですよ。要するにこの原因、どうしてこういうふうになったかですね、もうあしたあさって、要するにきょうで暫定予算の審議はおしまいになって、四月一日から施行日のものがいままだ成立が二件じゃないですかね。どうしてこういうような状態になったのか、この原因はいかがでしょう、総理。
○国務大臣(佐藤榮作君) ことしは、この国会ではなかなか法律案の成立が思うようになっておりません。また、予算もただいま希有な状況ですが、暫定予算の御審議をいただいておる。本予算が年度内に成立しない。このことは、すでにまあ御承知のように、衆議院段階におきまして、ことしの審議はたいへん――どう申したらいいですか、たいへんむずかしい状態にございました。各党とも御熱心に御審議をいただいたと思います。しかし、国会で会議を開いて審議をするという機会が十分なかった、かように思いますので、その空白がただいま言うような結果を招来しております。私は、これらの点についてはまことに残念に思っております。また、与野党の諸君も、ともどもに、たいへんこの審議がおくれていることについては責任を感じておられるようにお見受けいたしております。しかし、何といいましても、政府並びに与党のこれは重大なる責任だと、かように思って特に督励しておるような次第でございます。
○黒柳明君 まあ与野党ともどもということばに対して、野党から相当反発があると思うのですけれども、与野党ということについては言い分があると思うのですが、まあ政府の責任がこれは全面的にある、国政の最高責任者として当然この責任は痛感しているといういまの御発言だと思いますけれどもね。先ほど官房副長官が、減税分は審議されているというんだが、これは減税分はどうしますか。四月一日から施行されるのなんかないのじゃないですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 衆議院の委員会の理事の方たちと昨夜もいろいろ御相談いたしておりますが、あと三月三十一日までにこれの通過する可能性というものはいまないのじゃないかということを私ども非常に憂慮しております。
○黒柳明君 だから、憂慮しているけれども、どうするのかということなんですよ。減税分の法案を憂慮しているだけじゃ、国民のほうがうまくないんじゃないですか、増税だけ通っちゃって減税が通らないで憂慮していますというような無責任なことじゃ。いつからこの減税分が今度は実際に施行されるのか、待っているわけですよ。
○国務大臣(水田三喜男君) これは国会の場に属する問題でございますから、政府としていろいろ議事の進行に対してそう干渉できるものではございません。委員会にお願いしておるのですが、いまのところは、この減税案が通って、そうでない部分が通らぬという状況では衆議院のほうはないようでございます。減税案すらこれはなかなかむずかしいという状況にあるのじゃないかと思っております。
○黒柳明君 まあ全面的に政府の責任であると、こういう総理の答弁で私は納得したいと思うのですが、また防衛のほうに返りたいのですが、増田長官が、沖繩が三次防中に返還されれば、常識的に見て三次防プラスアルファーの線も考えたい。これは昨年の衆議院の内閣委員会でこう述べたわけですけれども、まあこんなところからいろいろ推測したのだと思うのですけれども、沖繩防衛の専門――まあ南西師団あたりつくると、定員だけでも一万ぐらい不足するのじゃないか。これは定員だけの問題じゃない。当然いろいろな装備の問題から、あるいは当然予算からこれはもう変えざるを得ない。ところが、沖繩返還というものは非常に近くに迫ったと思うのです。三次防の四十六年までには間違いなく返還されると思うのです。そうすると、間違いなく三次防も修正される、こう考えてよろしいでしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 三次防が策定されたのは昨年の三月十四日でございます。その時点等におきましては、三次防期間中に沖繩が返還されることはまだ考えておりません。そこで、三次防というのは、まあ御承知の、昭和四十六年度末、すなわち、昭和四十七年三月三十一日までの間でございますが、その間に沖繩が返還されるというような事実が発生いたしますと、その事実に対応するために三次防はできておりませんから、プラスアルファーということになると思います。
○黒柳明君 ですから、このプラスアルファーとおっしゃったこと、それは三次防が修正される必然性があると、こういうふうに受け取ってよろしいかどうか、こういうことです。
○国務大臣(増田甲子七君) 沖繩防衛の形態はまだ検討中でございまして、具体的にはどうなるかこうなるかわかりませんが、抽象的には言えると思います。すなわち、日米安保体制のもとにおいて沖繩の防衛に日本も任ずる、こういうことになりますからして、四十六都道府県が四十七都道府県になるわけでございますから、一県分はふえてくる、こう考えて、最低限度そう考えてしかるべき問題だと考えております。
○黒柳明君 最低限度そう考えるということは、三次防が修正されると、このように私はとってよろしいでしょうね。――はい、わかりました。 それから、これも総理がおっしゃったことばを取り上げるわけですけれども、自衛力強化への意識を持つことが沖繩返還のかぎである。自衛力強化の意識を持つこと、これが沖繩返還のかぎであると、こうおっしゃったわけですけれども、このかぎですね、沖繩返還促進のためのこのかぎを何とかして具体的に実行にあらわしていかなきゃならぬ。すなわち、自衛力強化ということは、ある面においては、これは全部じゃないかと思うのですけれども、やっぱり自衛隊が沖繩に対してどういうふうに防衛するか、こういう構想もこの自衛力強化へのかぎである。すなわち、沖繩返還促進への大きいその手段となっている、こういうふうに思うのですけれども、そうすると、自衛隊の沖繩防衛に対しての構想、ここらあたりは総理の考えにはどのくらいあるのでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、黒柳君も御理解だと思いますが、いままで外国の施政権下にあるものが日本の施政権下に返る、そういう場合におきましては外国の軍隊に取ってかわらなければならぬ、これはもう御承知のとおりだと思います。ただいま小笠原が祖国復帰をする。その場合においても、小笠原についての防衛体制をいかにするかというのが一つの問題であります。また、将来沖繩が返ってくる、そのときにはこの沖繩もわが国の本土並みになるわけでありますから、そういう意味の防衛力強化をわれわれは考えていく、これは当然である、かように思います。
○黒柳明君 中国のことを一問ですけれども。私は、日米友好関係というのは、これは永遠に堅持されなければならない。これを大前提として、しかしながら、中国に対しても、ある程度いまのアンチ中共という政策じゃうまくないんじゃないか、こう思うわけです。世界的に見ても、二大国の英仏が、ある程度正常化の国交を結んでいますし、それからカナダ、西ドイツにしても、六五年、六六年、六七年、貿易の拡大化にいっておるわけです。これをアメリカにひっついて、わが国だけが何かアンチ中共、中国という政策だけでいいものか。日米関係の友好というものが大前提であれば、中国に対するこの姿勢、すべてアンチになる必要はないんじゃないか。すべてと、これは語弊です。アンチという、核の脅威なんということを日米間で打ち出す必要はないんじゃないか。長期的に立った場合ですね、総理の考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 黒柳君に、これは逆にお尋ねするとたいへんなんですが、私ども、いわゆる反中共政策をとっているとは実は思っておりません。御承知のように、あらゆる場合に私どもが自由のもとに平和を愛好している、そういう意味でいかなる国とも仲よくしよう、こういう平和外交を展開している。その立場に立ちまして、中共との間には、中国は一つだ、かような立場から条約上の権利義務のある中華民国をただいま承認し、そのもとにおいて国際的な権利義務を果たしておる。しかし、北京政府は、これは無視できませんから、私どもは、その本土との間におきましては、いわゆる政経分離の形においてとにかく貿易を拡大していこうし、人の交流もはかっていこう、これは敵視政策ではございません。また、反共政策でもない。この点はぜひ御理解をいただきたい。外国の人が何と言おうと、日本国民は、私どもが敵視政策をとってない、これだけはぜひひとつ信頼していただきたい、かようにお願いをいたします。ただ、私は、いまお話がございましたが、中共自身が核兵器を開発している、これはたいへんけっこうでございますと、かようには私は申しません。これはもういままでもたびたび核開発をしているその核実験、これについてはまことに遺憾だ、こういう意味のわれわれの意見を率直に申し述べて中共側の反省を求めている、これは事実でございます。しかし、このことは、別に中共だけに対してさように申すわけじゃありません。核兵器について各国とも同様な扱い方をしておる。これは私は別に反共、あるいは反中共政策をとっておる、かように私は思わないのですが、どうもとかく佐藤内閣はそういうような態度に見られることはたいへん私残念に思います。ことにお互いの日本人の仲間から佐藤内閣が反中共政策をとっておる、かように言われることはたいへん忍びがたい事柄でございますので、私は事実その点を十分御理解をしていただきたいと思います。 私がワシントンに参りましてアメリカと折衝いたしましても、アメリカと全然対中共政策は同一だというものではございません。第一回に参りました際にも、日本は政経分離のもとにおいて中共との貿易は拡大する、アメリカはどうあろうとも、日本はこの態度だ、こういうことははっきり申しまして、第一回の会談のときの共同声明にはこのことがうたわれております。また、昨年の場合は、中共自身が核兵器を開発している、その事実は私どもがこれを無視できない状況でございますから、これについて私どもの感じを率直に表明しております。そのこと自身があるいは反中共だと、こういうことではなくて、そういう問題についても私どもが率直に意見を述べるということが隣同士の国柄として当然のことではないだろうか、かように私は思います。したがいまして、私、ただいま中共政策について前向きであるとかうしろ向きであるとかいうことをしばしば聞かれますけれども、今日までのところは、日本の政府としてとってきたいままでの態度を変更する何ものもないということだけ申しまして、ただいまのお答えといたします。
○黒柳明君 米軍の王子の野戦病院のことですが、これもたびたび取り上げられましたけれどもお答え願いたいと思うのですが、要するに、どうしてあんな都会のまん中に選定しなければならなかったか。まあ選定させられるようなこちらは立場に立っちゃったわけですね。どうしてそんなところに持ってきたか。それから、報道によりますと、二年後でなければ撤去できないんだと。二年後にはベトナム戦争は終わっちゃうわけですね。ベトナム戦争があるから、あそこにアメリカが野戦病院の必要性が起きてくるわけです。二年後の撤収ということに関して、地元は、あんなことでなるほどと、こんなことを思うわけはない。ますます激化する。二十八日もあれだけの学生の検挙者ができて、今後も続くであろう。さらに、それじゃほかにないかというと、ばく大な費用がかかるなんというようなとをおっしゃっていましたけれども――新聞の報道です、これも。しかしながら、東京周辺を見ただけでも、日米安保の行政協定上、使っちゃいけないと、こういう疑いの濃い米軍のゴルフ場だけでも五カ所もある。また、現在、南多摩の稲城に五億の建設費をかけてゴルフ場をまたつくっている。そういうところに持っていけば、そういう地元の反対も起こらないんです。アメリカも今度は伸び伸び使えるんじゃないか。たとえベトナム戦争が五年かかったとしたって、お使いになってもトラブルはないんじゃないか。こういうところがありながら、なぜあんなところを使うのか、使わせるのか、申し入れないのか、納得させる力がないのか、いかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) あの王子の施設を病院にしたいという申し入れは、四十年でしたか、まあたてまえから言えば、アメリカはすでに持っておる施設ですから、新たに施設を提供するというのでなくして、従来施設があって、医療の倉庫などに使っておったわけでありますので、全然病院と縁がないというわけでもなかった。そこで、この場合においては問題が起こらなかったんですが、現在非常に問題が起こっておる。しかし、病院という施設は、病気の人からすれば病院というものは必要なわけですから、いますぐこれを撤去という――やはりアメリカに対して合理的な申し出をせなけりゃいかぬ。あんまり人間の常識に反するようなむちゃなことはすべきではない。したがって、今後はアメリカのああいう施設は都心でないほうがいいこれはもう一つの大きな原則だと。したがって、今後アメリカと話をする場合においても、いろいろゴルフ場のお話もあったが、施設を移すということは代替地の問題もありますから、そういうことですぐに右から左へとはいきませんが、アメリカの施設はできるだけ都心を避ける、いろんなトラブルが住民との間に起こることは日米関係のためによくないと、そういうことでアメリカとの間にも話し合ってみたいと考えております。
○黒柳明君 まあ当事者として非常に問題点も多くてたいへんだと思いますけれども、あの現場をごらんになってみると、そういうゆうちょうなことを言ってちゃいられないわけですよ。これは私が見たからあえて言うわけじゃないですけれども、二十八日の場合なんかはたいへんなことで、あれでおしまいかというと、決してそうじゃない。ひとつ現場を見られて、そしてこれはたいへんだというその情熱というか、確信というか、勇気でアメリカに当たられれば、アメリカも三木外務大臣の決意に一歩、二歩たじたじと後退するんじゃないか。これは冗談事じゃないと思うんですよ。まあこういうお忙しい立場ですから、私は見てこいなんておこがましいことは言えませんけれども、これは深刻な問題です。あの北区一帯、あるいは日本全体の問題だと思うんですよ。これがあまりにも外務大臣の御答弁というのは何かごゆうちょうなように私自身は推測されるんですけれどもね。ですから、あえて現場を見てこいと、こうも言いたくなるぐらいだ。そうでしょう、まあ失礼な質問ですけれどもね。
○国務大臣(三木武夫君) 全学連の行動に対しては、私は、ああいう一つの集団的な暴力行為は絶対に許すべきではない。そのことによって病院を撤退せよというような論議にはならない。しかしながら、善良な付近の王子の人たちが心配をしておる、これに対しては、政府は、衛生上、風紀、その他騒音等、できるだけの防げるだけのものは最善を尽くしたい。そして、住民の人たちに、不安をできるだけ少なくするために努力をいたしたい。厚生大臣が、国会においても、すでに両方の間に文書をかわして、衛生上の注意をすることになっておりますから、したがって、そういう点でできるだけの注意を払いながら、将来においてはやはり都心からアメリカの施設は離れていく、こういうことで政府がアメリカと話をしようと、こういうことは、私の話というものは、国民に対してもこれは合理的な話し合いだと私は思っておるんですよ、私の言っておることが。いますぐ全学連のようなああいうことによって問題を解決しようということは私は間違っておると、こう思うのです。
○黒柳明君 わかります。だから、具体的に政府はどういう具体策を持っているのか。あしたでも起こり得ますよ、また第二、第三と。それに対してどうしようとするのか。全学連と警察の問題じゃないですよ。さっき外務大臣がおっしゃったように、地元の人の不安を損害をどう守っていくのか。具体的に手を打たなかったら、それこそ北区をあげて外務大臣の家に押しかけていきますよ、総理大臣の家に。落ちついてこんなことをやっちゃいられませんよ、そうなったら。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、地元の区会、北区の人たちにも先般もお目にかかって、お話をしようということを申しております。こういう会議で、もう朝から晩まで私もここにおるものですから、私に時間の余裕がないのですけれども、時間の余裕ができ次第、地元の人にも私は説くつもりでおります。そして、そのかわりに、説くだけでなしに、不安に思っておるところのもっともな点もありますから、こういう点についてはできるだけの注意をしよう。そういうことで、将来はやはり都心から施設が離れていく、こういうことでこの問題を処理したいと考えておる次第でございます。
○委員長(西郷吉之助君) 黒柳君、時間がきました。
○黒柳明君 はい、すみませんが、あと一問。 文部大臣ですけれども、東京大学の卒業式、御存じのとおりです。総長が卒業式に出なかったのは前代未聞ですし、また、関西学院大学ですか、そこでも一部の卒業式が中止になったし、それから東京の医科大学でも中止になっておる。まあこういうようなことは、わが国の最高学府でこういうふうな事態が発生すること自体が異例なことであるし、これはうまくないことだ。まあ一部では外部からの圧力であるということもささやかれますが、内部の要するに大学の弱体というものも暴露した一つの原因でもある、まあこのようにもいろいろ言われています。ともかく、学園の自治を否定する、あるいはこれらに対して破防法の適用をする、このようなこともささやかれているんですけれども、これはもう日本の文部大臣として、重大な問題をいまかかえていると思いますし、これは日本全体の教育問題に対しても重大危機だと思うんですけれども、これに対してどのように感じられるか、また、どのように善後策というものを講じられるおつもりであるか、これで最後にしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学生が常軌を逸した行動に出ること、しかも、それが学生自治会の名において行なわれておるというような事態につきましては、先般もこの席で申し上げたことでございますけれども、関係の大学の当事者はもちろんのこと、われわれ教育行政をお預かりしておる者としましては、まことに申しわけないことで、いかにも残念なことでございます。ただ、現実問題といたしましては、すでに御承知のようないろいろな事態が発生しておるわけでございます。ことに、最近は、大学の伝統のある卒業式すら満足に行なえないような事態を引き起こしておることは、いかにも残念に思っておる次第でございます。これに対してどうするかというお尋ねでございますが、私は、率直に申し上げまして、あのような暴力に対して大学は対抗する手段を持たないということ。是も非もない、やたらに暴力をふるって自己の要求を、ほしいままなる要求を通そうとするやり方に対しましては、これをどうしても許すわけにはまいりません。しかしながら、実力的にこれに対抗する手段は大学それ自体は持たない。そこらに非常につらいところがあるわけでございます。私どもとしましても、あの状態を見まして、実ははらわたが煮えくりかえるような気持がせぬでもないのです。また、じりじりしているというようなこともございますけれども、しかし、事柄はそういうことで解決のできる問題ではございません。やはり時間をかしていただかなければならぬと思います。そのような事態が起こってからどうするというよりも、やはり大学といたしましては、その本来の使命でありますところの教育という問題について全幅の努力を払いまして、かような不祥な事件を未然に防ぐということか何より大事なことだと思うのであります。これにつきましても、なかなか直ちにききめのある薬というものはないのであります。こまかいところまで気をつけながら、学校の責任者はもちろんのこと、教官、学生がほんとうにりっぱな大学自治を完成していく、守っていく、その努力を積極的に継続的にやってもらうことのためにできるだけ努力いたしたいと考えております。
○黒柳明君 以上です。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして黒柳君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 次に、瓜生清君。
○瓜生清君 くどいようですが、総理にお伺いしたいと思いますのは、輸入制限問題に関して参議院の商工あるいは大蔵委員会等で附帯決議がついておりますが、それを実現するにあたってどういう決意で臨まれるのか、承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 商工委員会で決議が行なわれたことは承知をしております。これは日本としては対米貿易の上から重大な問題でありますので、あらゆる機会に、アメリカがこういう輸入制限的な措置をとらないように、これはケネディ・ラウンドのせっかく進んだ自由貿易による貿易の拡大という時計の針をさかさまに回すような施策でありますから、あらゆる機会にアメリカがそういう措置を思いとどまるようにわれわれは申し入れておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、輸入課徴金の問題は、いまEEC諸国とアメリカとの間にケネディ・ラウンドの繰り上げ実施について真剣な検討が行なわれておる。この結果によっては、必ずしも輸入課徴金の制度が一〇〇%実施されるのだとも見ていないのであります。非常に実施の可能性を持っておりますが、まだしかし断定の時期には至っていない。EEC諸国の協力のいかんによるならば、考える余地も出てくるのではないかと思っておるわけでございます。また、繊維製品の輸入制限の措置に対しては、これはホリングス法案と言われておるいろいろな輸入制限の一連の運動が去年からあったわけです、議会の中に。日米経済貿易委員会の昨年度の会議においても問題になって、強く日本側の閣僚からアメリカに対して、アメリカの政府に対する善処を要望したわけです。政府自体としてはこれには反対する。大統領のごときは、そのときはまだこんなにドル危機でもございませんでしたから、自分の大統領在任中は断じてこれに対して賛成はしないという強い発言もされたわけでございます。今日においても、政府の態度は、いわゆる繊維その他の輸入制限的な法案に対しては反対の立場をとられているようでありますが、政府としては、あらゆる機会を通じ、外交の機関を通じても、アメリカに対して強く申し入れておりますし、今後ともこういう自由貿易による世界貿易の拡大、この時代の大きな流れにさからうようなことは、まあその国の国際収支上のいろいろな理由があっても、こういう手段に訴えるべきではないという強い立場に立ってアメリカが思いとどまるよう努力をいたす所存でございます。
○瓜生清君 新聞の報ずるところによれば、政府としてはここまできびしい制限措置をアメリカがとらないのではないか、そういう甘い分析をしておったのじゃなかろうかという、こういう憶測があるわけです。それの背景をなすのが、先般参りましたロストウ国務次官と佐藤総理との会談の中でそういうふうな話し合いが行なわれたというふうに聞いておるのですが、その辺の事情について総理からお答え願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ロストウ特使が参りましたのは、その前のジョンソン大統領のサンアントニオの声明、それを受けて日本にやってきて、米国のいろいろのドル防衛の本筋の話で日本の理解を求めに参ったのであります。その際に、ボーダー・タックスあるいはその類似の措置をとるというようなことが偶然に発言されておりますが、その点をさらに絶対反対だと、こういうことを私どもの意向としてはっきり申し述べたのでございます。これは、私がロストウに会ったばかりではなく、大蔵大臣と会談の際にもその点を指摘し、善処方を求めている。その後開かれたホノルル会談におきましても、同様の点を申しておるのでありまして、ただいま外務大臣が披露いたしましたように、本来ケネディ・ラウンドその他自由貿易において貿易拡大の方向へすべてが考えられているにかかわらず、ドル防御という名のもとにおいて縮小均衡の方向にいくとは何事だと、こういう強いかねての主張を述べているわけであります。この点は誤解のないように願いたいと思います。
○瓜生清君 実は、私、先般新聞を読んでおりまして非常に奇怪な念を持ったことが一つあるのです。それは、今度のいわゆる財界の佐藤使節団の一員に、名前をあげるとたいへん失礼でありますが、八幡製鉄の稲山さんが参加しておられまして、その受けた印象として、日本の国内で受けたよりは非常に強いアメリカの態度であるという、そういうことを寄稿をしておられるわけです。そこで、私は、その言をとやかく言うのではなくして、どうも日本政府なりあるいはその関係者がこういった問題に対する情報収集に少し手薄な面があるのではないか。情報を的確に早くキャッチするという、そういった体制に欠けておるのじゃないかというような感じを強く持つわけです。その点について総理はどう考えますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、情報収集、それから政府との連絡、これは私は十二分にとられておると思います。ただいま稲山君の説が御披露になりましたが、稲山君がどういう点を考えたのかわかりません。たとえば、私が昨年ワシントンに参りましてジョンソン大統領と会っていろいろ話をいたしました。さらにまた、国会筋の動きなどもございます。そのときすでに国会の方面では保護貿易論者が台頭をしておって、いろいろそういう問題を提起しておった。しかし、その際は、先ほど三木外務大臣からもお答えいたしましたように、政府、ことにジョンソン大統領自身は、万一さような保護貿易の立法が通るならば、必ず自分の与党の意見を使う、そういう成立をはばむ、こう言って、はっきりした声明をいたしておりました。そのとおり、当時は、昨年は一応その問題はおさまりました。しかし、関係者としては、国会におきましてはなおこの問題はなかなか根強いものがありますから、四月時分になるとまたこういう問題が起こるでしょう、こういうことをその当時も指摘いたしておりました。この点では、私は、わが国内におけると同じような動きがあるものだ、かように思っておりました。これらの点において、いわゆる情報不足だとか、あるいは思慮が足らなかった、こういうようなことはございません。
○瓜生清君 通産大臣に伺います。 今度、繊維産業に関する輸入制限の法案が上院を通過しまして、それに対して、通産大臣の談話が、たしかきのう発表されたと思うのですが、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 実は、私、ずっと国会のほうに出ておりまして、記者会見する時間がなかったものですから、私の代理の者が簡単に私の名において新聞記者会見をして、この繊維輸入制限の法案が上院を通過したということであるけれども、たいへん遺憾なことであって、日本としては非常にこのために打撃が大きい、願わくばジョンソン大統領をはじめ、政府においてこれを極力阻止するようにお願いしたい、こういう趣旨の談話を代理の者が発表いたしました。
○瓜生清君 それでは、大臣、一体その法案がもしも効力を発生した場合に、どの程度の被害というものを日本の繊維産業が受けるのか、大まかでいいですから、見通しを聞きたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) もし、この法案が通過した場合に、もちろん繊維品の対米輸出は、伸びるどころじゃない、非常な打撃を受けることはもとよりと思います。ほとんどの繊維品輸出が最近の対米輸出水準以下に、この法案の直接のねらいとするもの以外のものでも、一斉に削減されることになりまして、特に化学合成繊維の織物、毛織物、二次製品を中心に、日本の繊維全般にわたって大きな影響を受けることになる、こういう予測をしております。そこで、かような貿易制限の立法は、これは今日の国際経済の常識から見てまことに不当きわまるものである、特に本年の一月、米関税委員会が、アメリカの繊維品の輸入が国内に大きな影響を与えておるという事実はないという趣旨の報告を作成した直後でもありますだけに、その不当性は一そう明らかである、こう思っております。そういうようなことでありまして、ただいま申し上げたように、アメリカの政府当局にも強い要望を出しておりますし、従来のいきさつから見て、はたしてこれが、私はそう楽観してものごとを推測するわけじゃないけれども、通るか通らぬかということは、まあ目下のところでは五分五分じゃないかと考えておるわけであります。今後極力これの成立を阻止するようにいたしたいと思います。 〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
○瓜生清君 私が聞いておるのは、通るか通らないかという見通しじゃなくして、通った場合にはどういうような影響というものがあるのか。もう少し、大臣の答弁のように、何か大風の中で灰をまくような、そういう表現ではなくて、大体どういう方向にこういうような弊害というものが出てくるのだということを大まかに聞きたいわけです。再答弁願います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 一応の推定がございますが、これは事務当局からお答えいたします。
○政府委員(原田明君) 日本からアメリカに出ております繊維製品は、三億から四億ドルに及んでおります。現在通りましたホリングズ法案によりますと、相手国に自主規制を話し合いをしまして、相手国が聞かなければ、一方的に六一年から六六年という過去の時点における実績程度に制限をしたいと申しておるようでございます。したがいまして、推定いたしますと、過去の低い時点にかなり制限をされる。ただ、その場合に、綿製品あたりでございますと、すでに国際取りきめがございますが、毛とか合繊その他については、まだそのような取りきめもございません。したがいまして、日本の繊維製品といたしましては、数億ドル――はっきり数字としては申し上げませんが、数千ドルないし数億ドルという程度の被害を受ける可能性があるというふうに考えております。 〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
○瓜生清君 いまの答弁を聞いておりますと、あまりにもその差が大き過ぎる。もっと明確な答弁を願いたいと思います。
○政府委員(原田明君) 数千万ドルと申し上げるのを間違えて申し上げました。
○瓜生清君 そこで、通産大臣に再びお伺いしますが、われわれはこういう法案が通過しないことを望んでおりますが、これはやはり相手国のやることでありますから、あるいは通るという現実が起こるかもわからない。そのときに、たとえば輸入課徴金五%というようなものを課せられるとするならば、おそらく日本の繊維、雑貨等はほとんど収益というものがゼロに近くなると思うのです。いわゆる一つの大きなピンチが来ると思うのですが、そういうことに対処するいわゆる青写真が、公表はできないにしても、通産省の中で検討されておるのかどうか、その点を伺います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ドル防衛のために輸入課徴金あるいは国境税というようなものを考えておった、ことしの初めでございますが、それによって、アメリカの輸出入の改善、五億ドルの改善に資したい、こういうことがあったことはたしかなようであります。ありますが、あるいはその目標をもっと上回って考えておるのかもしれません。しかし、正確な情報に基づくと、それで五億ドルの改善をしたいということでございますが、もしそれを前提とすれば、それを全部向こうがひっかぶるというようなことはあるまいと。それによって、日本の繊維、雑貨をはじめとする対米貿易の関係においてこうむる損害というものは、その半分と見るのがいいか、三分の一と見るのがいいか、たかだかそういう程度ではないかということも考えておるのでございますけれども、しかし、今度そのことによって逆に経営面に非常に大きな穴があいて、それが導火線となって倒産するとか、あるいは産地、産業全業が非常な混乱を引き起こすようなことになると、これは数え切れない損害ということになると思います。そういう場合に一体どうすればいいかということをあらゆる場合において想定して対策を研究したわけでございます。どうも輸入課徴金というようなものに対して、それじゃ、こっちでも報復的に向こうの痛いところを突いて、それと同じような、同様の措置をとることはどうかということになると、対米輸入貿易は、御承知のとおり、原料、材料、そういうものが約七五%ないし八〇%ぐらい占めておる。そうすると、そういうものに対して返報返しをすると、今度逆に日本の国内物価高を来たすとか、そういうことになりますので、そういう暴に報いるに暴をもってするというようなことでなしに、その障壁を今度はこっちが逆に乗りこえて、なおかつアメリカの市場に向かって進撃ができるというような積極的な政策を考えたほうがいいんじゃないかというようなことにもなりまして、いろいろそういう点について研究はしておるわけでございます。それをやるにしても、財政上の制約もございます。いろいろなその他の制約がございまして、いずれをとっても楽じゃない。しかし、それぞれの場合に処する方法は実は研究はしております。
○瓜生清君 総理にお聞きしたいのですが、ちょっといま中座しておられますから外務大臣にお尋ねします。 今度の一連の問題については、ドル防衛という大きな問題が背後にありまするけれども、それにつけ加えて二つの特徴点があると思うのです。一つは選挙があるということ、もう一つはアメリカの労働組合が強力にこれを支持しておるということ。そういう点から考えまして、いま自民党の議員の方々が行っておられるそうですが、この問題についてアメリカ側を説得する一つの手段として、労働組合の代表を交えた使節団のようなものを送るという、そういう計画があるのかないのか、承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 政府自身が派遣をしようという計画はないのです。労働組合としても非常な関心を持って、われわれにもいろいろと連絡をとられる組合がございます。そういう点で、アメリカとすれば、いま御指摘のとおりだと思います。このドル防衛の問題が起こらないときにも、昨年あたり、こういう問題が大きくなったのは、どうもアメリカには保護貿易主義的な底流があるということであります。ケネディ・ラウンドの交渉が始まったときには、その声というものは一応静まっておったわけですね。これが妥結になってきて、その底流にある保護防衛的な考え方、選挙の年ということも、議員、これは各国とも同じであって、選挙区の利害に鋭敏でありますから、そういうこともあるのでございましょうが、そういうふうな底流がある。したがって、これに対しては、議員に働きかけ、あるいは労働組合に働きかけることも私は有効だと思います。しかし、現在のところ、政府が労働組合の方々にアメリカに行ってもらうという計画は持っておりません。
○瓜生清君 私がなぜそういうことを聞いたかといいますと、どうも政府間の対米交渉というものはあまりにも腰が弱いんじゃないかというふうな印象を受けるわけです。そこで、政府は政府同士、議員は議員同士、あるいは労働組合は労働組合同士。こういうありとあらゆるパイプを通じてこの問題の処理に当たらないと効果はあがらないと思うから聞いたわけですが、時間がもうゼロになりましたので……。 そういう観点から、ひとつ真剣にこの問題を総理としても考えてもらいたい。私は、率直に申し上げまして、なるほど、総理なり外務大臣なり通産大臣の期待されていることはわかりますけれども、アメリカ自体がいまのドル危機を乗り切るためには、日本の思惑などかまっておられないという、そういうせっぱ詰まった状態の中にあると思うんです。したがって、いわゆる自国の利益を守るためには、それが日本にとって非常に不利益なものであろうとも、必ず実行してくる。まして、大国意識の強烈なアメリカのことでありますから、私は、よほどの決意を持って臨まなければ、この問題というものはうまくいかない、こういうふうに考えますので、そのことを強く要望いたしまして、時間が参りましたから質問を終わります。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして、瓜生君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 次に、春日正一君。
○春日正一君 私、政府の政策に関しては、政府の住宅政策、これには根本的な批判を持っていますけれども、きょうはそのことはおいて、四十三年度の予算がそのまま執行されても政府施策住宅の計画は五〇%、あと二年間で残りの五〇%をおやりになるのかどうか、この点、総理にお聞きしたいんですが。
○国務大臣(保利茂君) ただいまの住宅状況からしまして、どうでもこうでもひとつ達成さしていただかなきゃならぬ、達成いたしたいということに力を入れております。
○春日正一君 必ず達成する、建設大臣としてはそうですけれども、大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) あと二年で何とか達成したいと考えます。
○春日正一君 特に、低家賃の公営住宅ですね、これは大都市において特別要求が強い。だから、これをふやす必要があると思うんですけれども、計画以上ふやす考え、ありますか。
○国務大臣(保利茂君) 公営住宅のほうは、大体全体計画よりもこれまでの進み方は高くなっております。五五%の経過でございます。大体六百七十万戸の中の公営住宅四十三万戸を予定しておるわけでございます。五五%ぐらいには四十三年では達成できる。しかし、それは別として、住宅需要の実際からいたしまして、公営住宅の需要はさらに高まると思うわけでございますから、その点は十分配慮してまいりたいと思います。
○春日正一君 そうすると、公営住宅、改良住宅の建設戸数と進捗率、これはどうなっているか、説明してほしいのですが。
○国務大臣(保利茂君) いま申しましたように、公営住宅は、四十三万戸のうち四十一年度で七万二千五百、四十二年度で八万一千、四十三年度で八万八千、したがって、五五%になっているわけでありますが、この改良住宅のほうが、割合からいいまして四九・三%、改良住宅の進捗率が公営住宅の進捗率よりも落ちてきている、そのことだけ申し上げます。
○春日正一君 合計していままで公営、改良二十五万六千五百戸ですか、四九・三%ですね。だから、政府施策のほかの住宅の全体の率より下がっている計算ですよ、私のそっちから聞いた数字で。 そこで、大蔵大臣にお聞きしますけれども、四十三年度予算でいけば残りが二十六万三千五百戸、それに調整戸数分を加えて少なくとも三十万戸の公営と改良が必要ということになるわけですけれども、あと二年間でこれが建てられますかどうか、その点お聞きします。財政的に。
○国務大臣(水田三喜男君) 計画でございますので、何とかこれを達成したいというふうに考えます。
○春日正一君 四十二年度の公共事業の繰り延べに伴う公営住宅、改良住宅の繰り越し額、これは幾らになっていますか。
○国務大臣(保利茂君) これはひとつ政府委員のほうからお答えいたさせます。
○政府委員(村上孝太郎君) お答えを申し上げます。 繰り延べ額は公営住宅におきまして三十三億八千四百万、改良住宅において四億五千九百万、こうなっております。
○春日正一君 合計三十八億になるわけですけれども、これを戸数に換算すれば六千九百戸ぐらい大体建つ金だと思うのですよ。そうすると、いまの財政の引き締めというような状態で、本年度分でこの繰り越し分はやってしまうということに予算上はなっているのか、また再繰り延べというような事態が起こらないのか、その点お聞きします。
○国務大臣(水田三喜男君) 四十三年度の新規予算をきめますときに、その繰り越された分は当然四十三年度の執行になりますので、この二つを合わせた金額をいろいろ勘案してきめてございますので、これが繰り越された分は今年度執行するという考えであります。
○春日正一君 繰り延べのほうは。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ予算のきまらない間に、私どもはその再繰り延べなんていうことは考えておりません。予算が発足して、なおかつ私どもの意図したような国際収支の問題がうまくいかないという経済情勢にぶつかったら、また機動的にいろいろ景気調整の措置をとりますが、いまは大体いろいろ私どもの施策が功を奏して、少しきざしが出てきた時期でございますので、いまのところ考えておりません。
○春日正一君 新聞では三千億の繰り延べというようなことがすでに言われておるので、それでだめ押しをしたわけですけれども、そうすると、大体いまのところでは必ず建てるということですね。――そこで、超過負担の問題についてお聞きしますけれども、公営住宅に対する超過負担の額、率、この点どうなっていますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 超過負担の問題については、大蔵省、建設省、自治省で実態の調査をいたしまして、いろいろ言われておりましたが、調査した結果、やはり単価の改定を要するものとか、政府の責任として処置すべきものと、そうでなくて、単独事業のつけ増しとかというようなことで、こちらの責任でないものを超過負担、負担といっている問題もたくさんございますし、こういう実態を調査しました結果、大体半々、超過負担といわれているものの実態は半々といったようなところでございます。これによって公営住宅の問題も、実態を調査しましたが、まあ補助事業の対象住宅として、五百五十億のうち三十八億円ぐらいが、やはり単価の合理的な今後改正をして超過負担を解消すべきもの、というふうなのが大体の結論であろうと思います。
○春日正一君 ちょっと待ってください。いまのとだいぶ数字が違うから。いまの数字ですね、この政府からもらった資料を見ると、公営住宅建設補助費九十億、それから別なあれで用地費が八十三億となっているのですが、この点どうなんですか。事務当局からもう少し詳しく説明さしてほしいと思うのですが。
○説明員(三宅俊治君) 公営住宅のうちの超過負担でございますが、昭和四十三年度で、工事費につきましては、総額八百八十五億のうち補助対象額が八百四十八億、超過額が三十七億円、用地費につきましては、総額二百九十九億、補助対象額百七十九億で、超過額といたしますと百二十億になっております。
○春日正一君 それの解消のためにどういう措置がとられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 三年間に解消措置をとりたいということでございまして、すでに本年度昭和四十三年度の予算編成の中におきましては、単価の改定を要すると思われるものを単価改定をいたすというようなことで、本年度から三年間で解消するという第一年目を踏み出したというふうに考えております。
○春日正一君 しかし、これはなかなか解消しないんですね。いまの政府のそういう説明なり、この予算措置では解消しない。これは政府のつかんでおる実態と地方公共団体の実態とがだいぶ違うのじゃないか。そこで、東京都の場合ですね、四十三年度予算でどうなっておるか。これは建設省のほうでお調べになっていますか。
○国務大臣(保利茂君) ちょっと私の手元にありませんが、事務当局で持っておるかもしれません。――東京都の資料は持っていないようですから、あとであなたに差し上げます。
○春日正一君 私のほうで東京都の予算を調べて、四十一年度決算では超過負担というものが一八・八%、四十三年度予算では一九・九%、こういう数字になるのですね。それで特に建築費それから用地費、こういう両面に分けてみて、四十一年度決算で、これを合わせたもので九十一億円が一万戸建設に対して超過負担という計算になっている。それから四十三年度の予算では一万五千戸の建設に対して百四億という計算になっております。戸数がふえたから率は多少減っていると思いますけれども、この百四億を超過負担でなくて使えば、一種住宅が東京都で四千二百六十戸建てられるだけの額です。だから、大阪の場合にも同じような傾向、こういうものを示しております。そうしますと、こういう大都市の地価の値上がりなり建築単価に見合うような単価の引き上げをやらなければ、いつまでたっても大都市では解消されないんじゃないか。こういう問題もあるわけですけれども、この点、大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 今年度も先ほど申しますように単価の手直しを一〇%、それにまた超過負担の解消が二%というように、公営住宅の単価の改定をいたしておるわけでございます。それで、まあ全体として見れば六%ぐらいの工事費については超過負担になっておるわけですが、これを三年で解消していくということで二%の単価是正をやっているわけでございます。しかし、東京都につきましては、私、資料を持ちませんので、十分検討いたします。
○春日正一君 大蔵大臣どうですか、その点。大都市と全国平均ではこう単価が違うわけですね。特に東京あたりでは地価の値上がりがうんとひどいものだから、それに追われてしまうという問題があるわけですけれども、その点、それにきちっと見合うような予算をつけるということができるかどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) かかっただけの補助をするというわけにはいきません。これはやはり補助の基準というものを置いて、そうして補助をするよりほかしかたないと思います。各地によって地域的に全部差がございますし、今回の調査によりましても、いまの基準の補助によってりっぱにやれるところが全国でたくさんあるし、それでやれないという場所もございますので、これは実情に応じてある程度の変更はいたしますが、全部かかるだけのものを政府が計算して、それだけの補助をするというわけにはこれはまいりません。
○春日正一君 それではいつまでも大都市では片がつかぬと思います。 その次に、用地費について、この補助金の打ち切りということが予算編成のときでも問題になってるんですけれども、その実情と、それに対する建設大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) 来年度の予算を編成いたしまする過程におきまして、やはり事柄の性質上起債に切りかえて、しかし、起債に切りかえて家賃に響くようなことがあってはいかぬから、家賃に響かないようなくふうをして起債に切りかえることが妥当じゃなかろうかという意見が非常に強うございました。大いに研究しましたけれども、公営住宅の問題にはいろいろ問題があるようでございますから、もう少しこの一年はひとつ従来の補助方針をとっていただいて、ことしじゅうひとつよく勉強をして結論を持ちたい、こういうふうに考えております。
○委員長(西郷吉之助君) 春日君、時間がまいりました。
○春日正一君 そうすると、地方の何というか、地方債ですね、これの総額がどれだけあるかと、一度に聞いてしまいます、時間ですから。総額がどれだけあるか。元利償還は毎年どれぐらいしなきゃならぬのか、そういう状態のところで、この用地費の補助というようなものを起債にして、新たにこう地方の負債をふやすというようなことを自治省としてみて好ましいことかどうか。地方財政の健全化という立場からこの点はっきりお聞きしたいと思います。
○国務大臣(赤澤正道君) 地方債は、現債額を持っておりますけれども、読み上げましょうか、いいですか。――大体、御案内のとおりに現債高が非常に大きいものですから、これ以上負債がふえることは非常に困るわけであります、いま公営住宅の用地費のことでいろいろ御質疑がございましたが、私どもといたしましても、やはり補助制度の検討を加えまして、今後、地方団体の負担がかさまらないようにということで、慎重に検討いたしてまいりたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして春日君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 次に、市川房枝君。
○市川房枝君 来たる参議院議員の選挙と明るい選挙について二、三お伺いしたいと存じます。 まず、事前運動についてでありますが、この二十六日に未知の人から投書が参りました。しかし、そのまま信じてはいけないと調べてみましたところが事実だとわかりましたので、時間がちょっと惜しいんですが、原文のまま読んでみます。「去る二十日、九段の武道館において、マンモス校文化服装学院の卒業式が父兄をも加えて行われましたが、その際演壇に立った自民党迫水氏は、卒業生へのはなむけの言葉は何処へやら、事もあろうに、来る参院選に向けての、自分自身の宣伝にこれ努め、「皆さんに是非覚えていただく必要がある」として自分の名前の字の説明までする始末、これがもし普通の大学に於いてだったら恐らく抗議の火の手が上るに違いないものを、女子の、しかも洋裁専門の学校だからと意識の低さを計算に入れての態度なのか、それにしても明らかな事前運動であり、有権者を愚弄する露骨さに腹立たしさを抑えかねますし、こうした人物に演壇を与えた学校側の不見識も共々許しがたく感じます。公明選挙推進の先頭に立たれる市川先生、こうした姿を野放しにして置いてよいものでしょうか、」、この発信者は「文化服装学院四十三年度卒業生」とだけありました。これは学校でのできごとであり、他の学校でも同じようなことが行なわれていると思われますので、文部大臣から御感想を伺いたいし、この事例に対してどう措置されますか、お伺いいたします。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体的な事例は私全然聞いておりません。学校の卒業式に外部から来賓を招くというようなことはしばしば行なわれておるところでございまして、それがいわゆる事前運動ということになりましてはこれは困る。それぞれの学校の良識によって処置してもらいたいものと存じます。
○市川房枝君 明るく正しい選挙運動を主管しておられます自治大臣に伺います。これは事前運動ですか、こういうことはかまいませんか。
○国務大臣(赤澤正道君) 近ごろ高名な政治家がいろいろ事前運動云々で新聞にも名前が出たりいたしますが、実態を調べてみますと、そうではない場合が多いわけでございます。ただいま仰せになりましたことは、私は報告を聞いておりませんので、何ぶんの判断はいたしかねる次第であります。
○市川房枝君 自治大臣にもう一つ。四十三年度の選挙についての常時啓発費及び今度の参議院選挙での明るく正しい選挙運動費の総額とその内訳、特に今年度はどういうことに力をお入れになるか、御説明願います。
○国務大臣(赤澤正道君) 四十三年度の常時啓発費でございますが、必要な経費として四億七千二百万円、参議院議員通常選挙の啓発推進に必要な経費として四億五千万円、参議院議員通常選挙執行委託費中の啓発関係費一億九千万円、合計十一億一千二百万円を計上いたしております。
○市川房枝君 毎年また選挙のたびごとにこうして多額の税金が使われておりますが、総理はそれだけ選挙が明るく正しくなり、よい候補者が選ばれてきていると本気でお考えになっていられますか。私にはますます悪くなり、どうもむだ金となっていると思えるんですけれども、それは間違っているでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙の公正、同時にまた明るい選挙、これは国民の念願でもございます。ただいまいろいろの見方があるようでございまするが、政府並びに国民の一同は相協力いたしまして、この明るい公正な選挙を行なうようにいたしたいという考えでございます。ただいまの状態をいかに見るかということでございますが、私はこれは各人の良識に待ちたいと思います。
○市川房枝君 三年前の参議院選挙の際に、自民党の公認として立候補されました小林さんが、いままでにないひどい選挙違反をして当選されました。国民が非常に憤慨をして本人の辞任を要求しましたし、私もこの予算委員会で何度かこの問題について総理に伺いましたが、今度、自民党で公認されました候補者の中からそういうような方がお出にならないように、総理はお骨折り願えましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私は明るい選挙、公正な選挙、これを行なうことにおいて万全を尽くしてまいるつもりでございます。したがいまして、自民党の総裁としてその責任を果たしてまいりたい、かような決意でございます。
○市川房枝君 最後に法務大臣に伺いたいんですが、明治百年のお祝いとして、選挙違反に対し政令による恩赦を考えておいでになりましょうか、お考えを伺いたい。
○国務大臣(赤間文三君) 明治百年に当たりまして政令で恩赦を行なうことは現在考えておりません。
○市川房枝君 昭和三十一年の日本の国連加盟を祝って恩赦が行なわれ、選挙違反の全員六万九千五百二十五人、政治資金規正法違反の全員八名が全部無罪放免になりました。総理ははっきり御記憶だと思いますが、私はこのとき以後、一そう選挙違反、選挙が悪くなり、政府の公明選挙運動に協力する国民の意欲が少なくなったと思っております。参議院選挙を前にして同じようなことが行なわれてはたいへんだと心配しておりますが、総理の御意見を伺いたい。法務大臣から伺いましたけれども、なお心配でございますので総理からも伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの恩赦の件ですか。
○市川房枝君 はい。そうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま法務大臣が答えたとおり、私ただいま考えておりません。
○市川房枝君 私のは終わりました。
○剱木亨弘君 ただいまの市川君の発言中、不穏当な点があったと思いますので、後ほど速記録等調べまして、委員長において善処されたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして、市川君の質疑は終了いたしました。 これによりまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。 よって、暫定予算三案の質疑は終局したものと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) それではこれより三案の討論に入ります。 通告がございますので、順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。鶴園哲夫君。
○鶴園哲夫君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました昭和四十三年度暫定予算三案に反対の討論を行なうものであります。 反対理由の第一は、今回の暫定予算は、これを編成すべき理由も根拠も全くないと言わざるを得ないことであります。戦後、暫定予算は五回提案されておりますが、占領下という特殊事情のもとで提案された二十四年度暫定予算を除きますと、そのいずれもが衆議院の解散、総選挙等によりまして物理的に年度内の予算成立が不可能という、真にやむを得ない事情が存在しておったのであります。 しかるに、今回提案されました暫定予算には、こうした真にやむを得ないと認められる事情は何ら存在しておりません。衆参両院で政府与党がそれぞれ過半数を持ちながら、真にやむを得ない事情が全く存在しないのに、年度内に予算が成立しなかったことは、まさに前代未聞であります。佐藤内閣の最大の汚点であります。すでに周知のとおり、この暫定予算を提出せざるを得なかったのは、平和憲法を否定し、再軍備の必要性を強調した例の倉石発言と、こうした憲法無視の大臣を罷免する勇気を持たず、文字どおり優柔不断、国会の予算審議を二月七日から二十四日まで十七日間にわたって空転させたことにあります。 今回の暫定予算の期間は、四月一日から十六日までの十六日間で、倉石問題による審議空転の十七日間とほぼ一致するのであります。この暫定予算が必要となりましたのは、まさに佐藤内閣の右傾化の政治姿勢が原因のすべてだと断ぜざるを得ません。真にやむを得ない事情がないのに年度内に予算が成立しないということは、時の政府が不信任されたと同様と解すべきは、議会制民主主義と責任内閣制の必然の結論であります。佐藤総理が政治的責任感と民主主義政治に一片の理解を持つならば、暫定予算を提出すべきではありません。総辞職するのが至当であります。 反対理由の第二は、暫定予算の本来の性格、あり方を無視して政策的経費を計上していることであります。わが党の木村委員が本委員会におきまして、暫定予算並びにこれが不成立の場合等に関する質疑に対して、佐藤総理は、内閣の統一見解として、「政府としては、暫定予算の性格にかんがみ、その編成及び成立には責任をもって最善を尽くす考えであります。」という答弁をしているのであります。この答弁を待つまでもなく、暫定予算は本予算成立までの全く応急的措置で、それに盛るべきものは国家諸機関の基準的経費に限るべきであります。真にやむを得ないものとして与野党の意見の一致するものは例外として、新規の事項、政策的事項に属するものは一切盛るべきではありません。本委員会の理事会におきまして、野党理事は、暫定予算に新規施策である国鉄定期券の値上げを織り込むべきではないとの強い再三の申し入れを行ないました。にもかかわらず、これを無視して四月一日から定期券値上げを見込んだ暫定予算を提出しました。この行為は暫定予算の性格を無視し、国会での政府統一見解をみずからほごにしたものであります。 反対理由の第三は、暫定予算で産投会計繰り入れ五十億を計上したことであります。産投会計への繰り入れというような政策的経費を組むことは暫定予算を逸脱する行為だと言わざるを得ません。産投会計繰り入れの五十億円はさらに輸出入銀行への出資に充てられることになっておりますが、輸銀の四十三年度貸し付け規模三千三百億円の巨額な資金量から見ましても、何ゆえにわずかに十六日間が待てずに暫定予算で五十億円の出資を行なわなければならないのか理解に苦しむものであります。この行為は、暫定予算に計上できる経費は国家諸機関の基準的機能に不可欠なものに限るべきであるという憲法、財政法において確立された解釈とは相いれない措置でありまして、認めるわけにはまいりません。 反対理由の第四は、政策的経費を織り込んだ暫定予算は参議院軽視であり、国会の予算審議権並びに修正権に重大な制約を伴いかねないからであります。国会の予算先議権は憲法の規定で衆議院にあります。しかし、予算審議の権能は衆参両院で相違はなく、全く平等であります。衆議院は四十三年度の本予算の審議を終了いたしましたが、本院は予算審議中であります。国会としての意思が確定しない前に、政府が四十三年度の本予算に予定した国鉄の定期券値上げや、産投会計繰り入れ等の施策を一方的に暫定予算に計上するやり方は、明日からの参議院の本予算審議を拘束し、形骸化しかねないからであります。このような誤った暫定予算は、たとえ暫定予算といえども承認するわけにはまいらないのであります。 以上で討論を終わります。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 次に、内藤誉三郎君。
○内藤誉三郎君 私は自由民主党を代表して本案に賛成の討論を行なうものであります。 昭和四十三年度予算案の年度内成立が困難になった今日、国政の空白を避けるため、暫定予算を編成することはやむを得ない政府の措置であります。しかも、その内容は人件費、事務費、その他真にやむを得ない経費でありまして、新規経費は原則として計上されておりません。暫定予算の性格にかんがみ、その内容は適切であると思います。 よって本案に賛成いたします。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 次に、小平芳平君。
○小平芳平君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十三年度暫定予算三案に反対の討論をいたすものであります。 本予算案の年度内不成立の発端は、倉石発言に対する総理の憲法姿勢の明確を欠いたことが最大の原因であります。国会空転の責任を明らかにせず、暫定予算にすりかえるということは、国民をしてますます政治不信を増大させることになるではありませんか。総理は、この責任を国民の前に明らかにする意思があるならば、内閣の総辞職をすべきであります。しかも、従来の暫定予算編成の過程とは、全く異なっているのであります。過去五回の場合は、終戦直後の占領下とか、あるいは衆議院の解散等によるものであります。しかしながら、今回の場合は、衆参両院において絶対多数を占める与党が、年度内に本予算の成立不可能となり、暫定を組まざるを得ないということは、明らかに佐藤内閣の不信任に値するものであります。それがいれられず、このような型の予算が従来どおり成立したとしたら、わが国の政治史に一大汚点を残すことになることは明らかであります。これが反対の第一の理由であります。 次に、反対の理由の第二は、四十三年度予算は、世界的不況、ドル防衛措置等の中にあって、わが国の国際収支を改善するため、あるいは世界的不況に対処するための予算ならまだしも、従来の放漫財政の惰性からくる、当然増経費の増大による大型予算と言わざるを得ません。政府は景気抑制型、総合予算主義と自賛しておりますが、だれが見ても、依然放漫予算のそしりはまぬがれず、景気刺激型予算であります。国債発行も依然として絶対額は多く、恩給、防衛費は無条件で増大されております。現在のわが国の情勢は、社会資本の充実や、社会福祉の増進に最も力を入れるべきであることは当然であります。しかるに、政府はこれをないがしろにし、あるいはまた、政府の経済見通しはきわめて甘いと言わざるを得ません。また、総合予算主義といっても、公共料金値上げ型、物価上昇主導型予算の何ものでもありません。勇気と英断をよく口にする総理の猛反省を促したいのであります。これが反対の最大の理由であります。 さらに暫定予算の性格は、新規政策経費を計上しないことがたてまえになっているにもかかわらず、四十二年度よりの慣例から、社会保障関係費、文教及び科学振興費等、新規政策経費が計上されております。これらの予算については、その支出に、その趣旨に反対する意図はありませんが、前例のない暫定予算内に織り込まれることに疑義を感ずるのであります。さらに、特別会計予算の計上は、はなはだ疑問であります。特に産投会計へ五十億円の織り込みは、いかなる理由によるものか明確ではありません。十六日間の暫定予算内に五十億円計上しなければ日本輸出入銀行は成り立っていかないのか、そのようなことが断じて信じられないわけであります。 さらに問題は、国鉄運賃値上げを強行したことであります。四月一日より平均三七・八%の値上げ強行は、国民生活を無視している何ものでもありません。入学期になぜ値上げを行なうのか。実際問題、法的にはどうあれ、例年四月は前年度の繰り越し分と義務的経費の支出が中心であり、新規予算は六月、七月にならなければ本格的に支出されておりません。かりに本予算が年度内に成立していたとしても、四月には支出らしい支出がされていないのが過去の状況であります。とすれば、暫定予算では義務的経費だけを、しかも最小限度に確保しておけば事足りるのであります。総理自身が、暫定予算の性格にかんがみ最善を尽くすと発言していたではありませんか。にもかかわらず、新規予算を織り込むことは、少なくとも四十三年度予算がいま参議院で審議中の現段階においては、参議院の審議権を制約することになるのであります。 さらに、暫定予算の三千四百九十六億五千万円の歳出超過については、三千億円の大蔵省証券の発行と、四十一年度の剰余金でまかなおうとしておりますが、過去三十五年から三十九年までは、四月の証券発行はゼロであります。四十年から四十二年までは、平均すると二千億円程度の発行にとどまっているのであります。三千億円の発行予定は前例がありません。前例のない多額の大蔵省証券の発行に伴うむだな利息分は一体だれが支払うのですか。国民の血と汗と涙による血税であります。政府のこのような財政支出のあり方は、財政硬直化の打開とは全く異なるうしろ向きの姿勢と言わざるを得ません。 以上のような理由により、公明党は四十三年度暫定予算に対して反対するものであります。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 次に、瓜生清君。
○瓜生清君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十三年度暫定予算三案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。 まず、これは暫定予算とはいえ、目下、本院において審議中の昭和四十三年度本予算案の一部であります。本予算案の内容は、国内外の経済激化に対応するものではなく、かつ物価の上昇を促し、民生支出を後退させる傾向を明らかに示しており、わが党を初め国民の反対と批判を受けているものであります。しかも、この暫定予算案には、国鉄定期値上げ分約十三億円の政策的増収を計上しているに至っては、暫定予算の本質にもとるものであり、決して許さるべきものではありません。 第二の理由は、暫定予算を編成せざるを得ない佐藤内閣の責任問題であります。憲法をだれよりも順守すべき責任にある閣僚が、逆に憲法を無視し、むしろ侮辱じゅうりんするがごとき発言をして、反省することなく、そのため二週間あまりの国会空白を招いたものであり、まさに政府の責任たるや重大と言わなければならないのであります。また、衆議院並びに本院の予算案審議を通じて明らかなとおり、閣内意見の不統一、答弁における自信の欠如とあいまいさは、内閣の指導性低下をうかがい知ることはもちろん、これによる審議停滞ははなはだしいものがあり、これまさに政府の責任と言わなければならないのであります。したがって、本暫定予算案を提出せざるを得ない状態にみずから落ち込んだことは、責任内閣制に立つわが国憲政の常道に反するものであると言わなければなりません。 第三は、暫定予算案の内容そのものについてであります。すなわち、歳出四千三百九十億円に対し歳入は八百九十四億円であって、その差三千四百九十六億円のうち、三千億円を限度として大蔵証券の発行は説明されているとしても、残り四百九十六億円は政府余裕金を引き当てるとのことであるが、予算案提出の制度として見れば、使う金額については国会の審議を受けるけれども、その調達については国会の審議を受けなくてもいいとする考え方であって、かつ国民が一目瞭然と理解することのできない官僚的技巧主義であります。このことは、財政公開主義の原則をゆがめたものであります。 私は以上の諸点に基づき、暫定予算三案に対し明確に反対の意思を表明して討論を終了いたします。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 次に、春日正一君。
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十三年度暫定予算三案に対して反対するものであります。 反対理由の第一は、この暫定予算案が、昨年の日米会談以来急速に反動化した佐藤内閣の政策に基づく昭和四十三年度予算案の一部であるからであります。今日、日本の経済は、アメリカのベトナム侵略戦争の破綻とドル危機の深まりを背景にして、かつてない重大な国際収支の悪化と財政的危機に直面しています。これはアメリカのアジア侵略政策に協力加担しつつ、独占資本の高度成長のために奉仕し続けてきた歴代自民党政府の財政経済政策がもたらした当然の結果であります。ところが、佐藤内閣は、こうした政策を改めるどころか、昨年の日米会談において、アメリカのベトナム侵略とドル防衛への一そう積極的な協力を約束し、防衛力の増強、安保条約の堅持、アメリカの核戦略体制への日本の参加、わが国の軍国主義の侵略的強化と、東南アジア諸国への帝国主義的な進出などを目ざす新たな第一歩を踏み出しました。このため、四十三年度予算案では、軍事費、警察費、対外進出費、大資本家本位の公共事業費等を大幅に増額して、国際収支の悪化や財政危機の要因をますます強める一方、財政硬直化の打開、総合予算主義の採用、受益者負担などを口実にして、公務員給与や生産者米価のくぎづけ、地方財政の圧迫、増税、公共料金の値上げ、社会保障費の削減などをはかっています。このように、四十三年度予算案は、政府みずからが招いた財政経済政策の矛盾を人民の犠牲によって切り抜けようとするものであり、これを前提とする暫定予算案にわが党は反対であります。 反対理由の第二は、本来、本予算成立までのつなぎに限るべき暫定予算案に新規政策の各種の経費や国鉄運賃値上げが歳入源として計上されていることであります。これは国会の審議権を軽視するものであります。しかも、勤労大衆の生活負担を重くする今回の定期運賃値上げの理由として、国鉄の赤字をあげながら、昨年秋には、大資本が所有する私有貨車の輸送料は大幅に引き下げています。このことからも明らかのように、通勤通学定期運賃の値上げは、国鉄の大資本奉仕を勤労大衆の犠牲によってあがなおうとするものであり、断じて許されません。 最後に、今回、暫定予算を組まざるを得なくした背景の問題であります。戦後、暫定予算は数回組まれました。しかし、それは占領下や国会解散時という異常な事態のもとに限られており、平常の時期では今回が初めてであります。こうした事態を招いたのは、憲法を否定する発言を行なった倉石前農相を即時罷免して、みずからも政治責任を明らかにすべきであった総理が、逆に最後までこれを擁護しただけでなく、国民の批判の前に倉石農相がやむなく辞任するに至ったその後も、その意図する軍国主義復活の道を一そう露骨に推し進めてきたところにあります。この倉石問題に象徴的にあらわれた佐藤自民党内閣の侵略的で反動的な性格こそ、四十三年度予算案を貫く特徴であり、この暫定予算案を余儀なくさせた原因であります。 以上の点から、わが党は昭和四十三年度暫定予算三案に反対するものであります。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。昭和四十三年度一般会計暫定予算、昭和四十三年度特別会計暫定予算、昭和四十三年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して問題に供します。三案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(西郷吉之助君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 明後四月一日午前十時より公聴会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会 ―――――・―――――