予算委員会 第7号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/03/26
会議録
○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、黒柳明君が辞任されまして、その補欠として北條雋八君が選任されました。 —————————————
○委員長(西郷吉之助君) 昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十豊年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算。 以上三案を一括して議題といたし、総括質疑を続行いたします。野上元君。
○野上元君 まず最初に、重宗議長が旅先で行なった選挙運動の放言の問題と、それから本日、新聞に出ておりますように、社会党の成田書記長の選挙運動放言についてお尋ねいたしますが重宗議長の問題は、すでに国会、議運でこの問題は一応決着はついております。したがいまして、この中は私はいま問いません。ただ問題は、成田氏が鳥取で行なった発言については、鳥取の県警、竹岡勝美本部長は、法を無視した非常識な発言だ、今後厳重にその行動を監視すると、こういうように言っておりまするが、重宗議長の場合には、お隣の松江で発言したのでありまするが、島根県警は何も言っておらないのであります。これは明らかに不公平な県警の取り扱いであります。私は非常にけしからぬと思うのです、こういうことは。これについて国家公安委員長あるいは自治大臣からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(赤澤正道君) 重宗参議院議長につきましては、新聞にも載りましたので、私のほうとしてはすぐ調査をいたしました。しかし、調査した限りでは、別に選挙の事前運動であると考えられる点もありませんし、ただ記者会見をなさった席上で何か発言があったということも、新聞には出ておりましたけれども、まあ新聞記者諸君の話の内容はどうであったか、そのことはつまびらかにいたしませんが、いままで、私のほうには全国からいろいろこういう事案で投書もありますし、調査の対象には始終いろんな人があがっておるわけでございまするけれども、重宗さんの場合は、いままで何もそういうことはないのでございまして、ただいまの私どもの判断といたしましては、違法に当たるようなことはなかったと考えております。 なお、成田さんの場合は、私まだ報告を聞いておりませんので、後刻また警察庁のほうへ問い合わせをいたしまして、お答えをいたしたいと思います。
○野上元君 私は、その回答には不満なんですが、今日、重宗参議院議長の発言とですね、一代議士である成田知巳氏の発言では、影響するところは違うと思うのですね。少なくとも国会の権威を象徴する重宗さんが、かりそめにも、そういう問題について疑惑を招くということについては、私は国警としては十分にそれは監視しなきゃならぬと思うのです、むしろそれのほうが。一代議士のことばなら、しかも他人のために言っている人間について、厳重な監視をするというようなことは、非常に私は片手落ちだと思うのです。まあこの点についてひとつ、時間がありませんから、きょうはその点を、あなたのほうも報告をまだ聞いておらないということでありますから、総理、この点について所見をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 当参議院選挙が予定されておりまするので、その選挙の公正に行なわれるという、こういう意味で、関係の方々が発言が慎重であってほしいと、これは県警だけではございません。私は皆さんと同様に、それぞれこの言動は慎重であってほしいと、かように望むところであります。 また、ただいまは重宗議長の発言が問題になりましたが、このことは、野上君も御指摘になりましたように、昨日来、参議院の中で話が解決した。かように実は伺っておりますので、そういう問題をまた重ねて申し上げることはどうかと思いますから、差し控えさせていただきます。 また、野上君が御指摘になりましたように、一院の議長の言動、また一院の一代議士の言動、これは同一に考うべきではない、その点もわからないではございません。しかし、成田君は一代議士と申しましても、社会党の、野党の重鎮でございますから、その言動も、冒頭に申したような意味におきまして、慎重であってほしいと思います。しかし私は、これにいま成田君がどういうような発言をしたとか、演説会でどういうことをしたとか、こういうことを申し上げるわけではありません。けさ私も新聞を見て実は驚いたのであります。こういう際、お互いに選挙が公正に行なわれる、そのためにも、十分言動については慎重であってほしい。それが議長であろうが、また党の重鎮であろうが、またそうでなかろうが、政治はおよそ、参議院選挙が公正に行なわれるように、この上とも努力すべきだと思います。さようにいたしまして、県における警察本部長の言動、これまた十分慎重でなければならない、当然であります。その職責上もそうあってほしい。ただいまも赤澤君のほうで十分実情を調査した上でお答えする、かように申しております。もちろん、かような点で軽率な言動は慎しんでもらいたい、かように私も思います。
○野上元君 この問題についてこれ以上立ち入ろうとは思いません。また私も調査不十分でありますから、立ち入ろうとは思いませんけれども、赤澤自治大臣が言われたように、これには、重宗さんの発言にはそういう事実はなかったように思う、こういうような発言がありました。それならば重宗さんは、何も議運で釈明する必要はない。遺憾の意を表明する必要はないと思いまするけれども、そういう問題をいまここで追及してもしかたがないことでありますから、追及はいたしませんが、少なくとも、国警というものは常に中立で厳正でなければならぬ。これが片寄るということは、やはり一つの政治的な不信を招く原因になるんでありますから、十分ひとつ注意をしていただきたいということをお願いして、要望いたしまして、この質問は終わります。 次に、沖繩問題懇談会というのがございます。大浜氏を座長とする総理の、首相の諮問機関ということになっておるようでありますが、このたび二十八日から四日間、政府の依頼によって沖繩問題を調査に行く、こういうことでございまするが、これはこの調査団の派遣は、政府の依頼によるものであるかどうか、その点ひとつお答えを願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のようにB52が沖繩へ飛んできています。たいへん沖繩同胞不安にかられている、こういうようなお話でございます。そうして、そういう点について政府は早急に調査したらどうか、かような発表もございました。また、さような要望もございました。私は、まあこういう問題は、将来祖国復帰する沖繩、このことを考えますと、現状におきましても沖繩同胞が安心して、何らの不安なく生活ができることが望ましいと思っています。異国、アメリカの施政権下にあって、とかく何かと思うようにはならないことが多いかと思います。しかし、軍事的に、そういう点で不安を感じている、そういうようなことがあってはならない、かように思って、適当なる調査方法がないかどうかと、いろいろくふうしたのでありますが、で、沖繩問題懇談会がたいへん、その他の問題でも手がけたいと、かように申しておりましたやさきでありますので、政府はこれにお願いをして、現地の実情を調査してほしい、かようなことを委嘱いたしたのでありますが、少し話が長くなりますが、御承知のように、日米琉諮問委員会も発足したばかりであります。その後の経過も十分知悉したい、これも高瀬君からも一応聞いております。民間側もいろいろ協力したいと、かように申していたやさきであります。たいへん適当なることだと思います。かように思って大浜君にお願いしたような次第であります。
○野上元君 調査の内容ですね、これも政府が依頼したんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私のほうでお願いいたしましたのは、一般的な話、調査、こういうことでございまして、具体的に何々を調査してくれと、かようには申しておりません。
○野上元君 新聞で明らかにしておるところによりますると、調査の内容というのは出ております。これはまた後ほどお聞きするとして、これらの問題について調査をした結果、この懇談会は総理に対して勧告をするのか、あるいは報告だけでとどめるのか、この点はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もともと、これは私の相談機関みたいなものでございますから、その形は、やかましい形はございません。もちろん報告してくれれば、その際にさらに突き進んでお互いに懇談を遂げ、そして実を結ぶようにしたい、かように思っております。
○野上元君 そうしますと、この沖繩問題懇談会の調査の結果によって、いままで総理がいろいろ沖繩問題について公な場所で語られた、その内容を変更するような可能性が出てくるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いままでのところは変更することはないと思います。しかし、これから沖繩問題はさらに発展されなければなりませんから、ただいま、たとえば具体的な問題で、基地の扱い方、ただいま白紙だ、かように申しておりますけれども、いつまでも白紙であっていいかどうか。それからまた、さらに実情等について懇談を遂げ、私の話を固めていかなきゃならぬ、かように思っております。
○野上元君 この調査の目的の中に、B52が抑止力であるか、あるいは単なる破壊力であるか、こういう問題についても調査してきたい、こういうように言っておるようでありまするが、懇談会が、あるいは調査団が、B52が抑止力であるか、破壊力であるかというような解釈の選択をする自由があるのでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、そこまでは命じたわけではございません。またお願いしたわけでもございません。一般的に同胞、現地に住んでおられる方々、それにどういうような影響を与えているかというようなことがまず第一の目標であります。さらに、沖繩問題懇談会としては、基地のあり方等についても、できるだけ自分たちが調査したい、こういう気持ちがございます。そのことは同時に、私の態度をきめる上にも役立つことでもあります。私は沖繩問題懇談会に基地の現状を把握してもらうばかりではございません。私自身が把握しなければならぬと思っております。しかし、ただいまのように、沖繩問題懇談会の連中が検討されることはたいへんけっこうだと、かように思っております。しかし、ただいま、いま言われましたような、B52が抑止力か、あるいは戦力か、破壊力か、そういうことを調査することはあまり意味がないのじゃないだろうかと、私はかように考えますが、いかがなものでございましょうか。
○野上元君 私は沖繩問題調査団というものが単なる私的な、フリーな立場でやられるということについては、そういう団体であるならば、こんな質問をしたくはないのです。だれがどんなことを調査しようが、これは私は自由だと思うのです。国益に反しない限りやってよろしいと思うのです。しかし、少なくとも総理の諮問機関であり、沖繩問題についての総理の考え方を固めるために、きわめて必要な諮問機関である。そのために置いておると思うのですが、その諮問機関である調査団が、このB52が核抑止力であるか、破壊力であるかというようなことも検討してくるのだ、そうして総理にそれを報告する、あるいは勧告するのだ、こういうことを言っておるのはどうかと思われると私は思うのですが、総理もやはりこの点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私どもの考え方は、ただいまお答えしたとおりでございます。しかし、B52について国会でもいろいろ論争のあったこと、質疑が展開されたこと、そういうことをやっぱり背景にして、ただいまのような沖繩問題懇談会が発言したのではないだろうか、かように想像するのであります。私は特にこれこれを見てください、そのような委嘱をしたわけではございません。
○野上元君 この委員会の席上におきまして、私は核抑止力の問題について総理にちょっと関連質問をしたことがありまして、まだしり切れトンボになっております。この問題について一、二突っ込んでみたいと思うのですが、特にB52は核抑止力であるのか、いわゆる抑止力であるのかどうかという点について、はっきりとしたひとつ見解を聞きたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 核抑止力ということをいままでいわれておりましたのは、3Bということをいわれ、そのBの一つはやはりB52だと、かようにいわれております。したがって、B52は、欧州におきましても事故を起こして、そうしてそれが核兵器を積んでいた、こういうような事実があった。この点から、いわゆる普通に核兵器を本格的に使うもの、使用するものがB52ではないだろうか、かようなことがいわれておったように思います。しかし、沖繩に来たB52、これは一体どうなのか。これは沖繩にしろその他の場所にしろ、積極的にどうこうアメリカが使うという考え方を表明しておりませんから、したがって私は、沖繩に来たB52、これは核兵器は持っておらないものだと、かように想像をしております。 御承知のようにベトナムにおいて、あるいはその他の地域におきまして、そういう特殊な任務についておるわけではございません。したがって、B52は、そういう意味では沖繩のB52は、核は持たないものである、かように私は想像しております。また、最近はB52が事故を起こして以来、これはたいへん危険なものだという話になり、ポラリス並びに大陸間弾道弾でそういう問題は十分補えるのだ、またそういう役割りが果たせるのだ、こういうようにアメリカのほうの軍事的な考え方も変わってきたように思っております。そういうふうに考えると、これはいわゆる抑止力として現状において、平和時において考うべきものではないかもわかりません。そこらの点は私には明確でございませんので、どうもB52そのものの核兵器についての考え方は最近は変わっているのじゃないか、かように私は想像しております。
○野上元君 総理の説明を聞いておりますと、アメリカが沖繩のB52には核兵器は積んでおらないのだ、こう言うから、B52はスリーBからはずれるのだ、こういうわけですが、これは非常に論理的ではないと思うのですね。アメリカがそういうふうな発言をしたら、それじゃすべていままで抑止力であったものが、単なる破壊力に変わってしまうとか、あるいは無力なものになってしまう、こういうことになるわけですね。たとえばポラリス潜水艦にしても、爆弾は積んでいる、核ミサイルは積んでいるけれども、発射装置にできないような処置を講じているから、これは抑止力じゃないのだ、こういう一つの見解も成り立つわけです。非常に私はその点はあまりにも早期な結論を出し過ぎるのじゃないかという気がするのです。たとえばB52が空を飛んでパトロールしているときに——沖繩から、そのときには積んでおらないのだ、したがってこれは抑止力ではない。しかし、地上におりたときに、すぐ近くにちゃんと水爆が用意されておる、そういう場合には、これは地上にあるときには明らかに抑止力であるけれども、パトロール中の飛行機の飛行しているときには抑止力ではないのだ、こういう解釈も成り立つわけなんです。私は、B52がアメリカの宣言によって、発表によっていきなり3Bからはずれるというような結論を出すことは、少し早計じゃないかというように感ずるんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私、ただいまのお話よくわかるのです。よくお尋ねの趣旨がつかめましたが、私どもが抑止力ということを申しているのは、これは全体として、アメリカが保有しておる核兵力、その核の力というもの、これが戦争を未然に防ぐ、その起こることを防いでいる、それを抑止力、かように実は申しておるわけです。具体的にそれでは核兵器というのは一体どういうことなのか、これがICBMであったり、あるいはポラリス潜水艦であったり、その中にB52が入る入らない、こういう問題のように実は考えるのであります。同じ潜水艦でも、ポラリス潜水艦は、いまの核の力、これを持っているのだ、そういうようにはっきりしている。しかし、その他の潜水艦でも有事の際にはそういうものを持ち得るのだろうと私は思いますが、そういうことはいまでは問題ではない。したがいまして、B52そのものは核を装備する飛行機だ、かようには言える。そうして非常に遠距離に航行する力がある。そういう意味で、そのB52の持つ核というものについては、各国ともその力をずいぶん大きく評価しておる、かように思います。そこにいわゆる抑止力というものの評価があろうかと思います。しかし、具体的な問題として、こういう抽象的な問題とはこと変わって、沖繩へ来たB52、それは一体どういう仕事が本来の仕事なのか。ただいまはベトナムへ飛んでいっている。そしてこれは毎日爆弾を積んで出かけるということが言われております。そうなってきますと、沖繩から立つB52ベトナムでは一切核兵器は使わない、こういうことを宣言しております。また、さようなばかげたことを考えるのはとんでもないことだというように、ウィルソンイギリス首相すら言っている。そういう状態でございますから、まずベトナムで使う、そういうことは考えられない。そうすると、ベトナムへ飛んでいく沖繩のB52、これは核兵器を持たぬだろうということは、たいへん論理的なものだと私は思うのです。したがって、いま論理的でないとかなんとか言われますけれども、一般的なB52の状態でなしに、局限された、沖繩に飛んできているB52は一体どうなのか、こういうことにひとつ考えて、限定して私のお答えを考えていただきたい、理解していただきたい。また、過去におきましても、日本にB52が飛んできたことがある。一機あるいは数機来た。しかし、かようなものが核兵器を持っていなかった、これはもうはっきりしている。したがって、こういうものが飛んできましても、核兵器を持たないB52、これが核の抑止力と言っても、これはもの笑いだろうと思う。しかし、抽象的に申せば、B52の飛行距離、これもずいぶん遠方まで飛べる、滞空時間も長い。また、その飛行機の構造等からいたしましても、核兵器を積み込み得る機能を持っている。かように考えますと、これはやっぱりいわゆるアメリカの核抑止力の一部である、かように見ることもできるだろうと思います。私の申し上げておるのは、そういう一般的にB52の性能からくるのでなしに、沖繩に来たというそのB52は一体どういうことをやるかということを実は申しておるのでございます。それらの点では、誤解のないようにお願いします。
○野上元君 そのことは私もよくわかるのですが、要するに核弾頭を運搬する手段、そうして遠距離までそれを持っていける手段、これが一つの抑止力だと思うですね。したがって、飛行機と爆弾とが水爆がセットになって、初めてそれは現実の抑止力になる。しかし、その運搬手段であるB52というものはもう間違いないと思うのです。ただ、そこに水爆が遣いであるかどうかというのが私は問題だと思う。ところが総理は、それはアメリカが置いてないと言うからそれはもう間違いないんだろう、こういう、言い方は非常にあぶない、危険ではないか。また、グアムにおるB52は明らかに水爆を積んでおると考えられる。ただ沖繩だけが積んでおらないんだというようなことを世界に言ってみても、それは非常に私は常識的ではない、ある意味では。したがって、私は、総理が沖繩にあるB52だけはこれはアメリカが言っておるのだから抑止力ではないのだというような早計な決断を下されることは、誤りではないかというふうに実は考えるわけですが、きょうはあまり時間がありませんのでその問題突っ込みませんが、ただこの際聞いておきたいのは、しからばB52が戦術核兵器を積んで飛んだ場合には抑止力になるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 戦術核兵器を積んだ場合は核抑止力になるか、こういうお尋ねですが、ただいまの議論で、前の意見で、私のお答えでおわかりのように、B52というものの機能、その機能から申すと、これはりっぱなアメリカのいわゆる抑止力の一部である、一部をなし得るものだ、こういうことは言えるだろうと思います。その一般的の問題としては、野上君と私と同じでございます。ただ問題は、具体的に沖繩の基地に来たB52は一体どういうことなのか。そんなものはみんなはずしてしまって、そうしてこれはただ普通の飛行機よりも強い力を持っているだけで、核兵器は全然使わないのだ、かように常識的にお話したほうが、わかりいい、混同しなくて済むんじゃないか。私は、ただいまのように、積んだから抑止力になるとか、積まないから抑止力にならないとかいうことでなしに、やっぱり核の抑止力という限りにおいては、その機能が大事なのではないか、そういう飛行機は。ここでしばしば問題を出されましたが、エンタープライズが寄港する、エンタープライズ自身がたいへんな力を持っておる、多数の爆撃機を搭載し得る、そういうところで問題だったろうと思います。けれども、これは現実に日本に入るときにはさようなものは積んでおらないということでございますから、日本に入るときには別に危険はございませんが、いわゆるアメリカの兵備の核抑止力のその一部、それにB52もおれば、エンタープライズもいると、かように私は思います。
○野上元君 これはとなたに聞いたらいいか——増田防衛庁長官に聞いたらいいかと思いますが、戦術核兵器は抑止力ですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 野上さんにお答えいたします。 常識上、戦略兵器、戦術兵器と言っておりますが、戦術的の核兵器というものがナイキハーキュリーズあるいはナイキアジャックス等に装着されるわけなんでありまして、それは相当威力のあるものでございましても、地上から空に向かっていくものでございます、大体におきまして。それから地対地というものもございまするが、おそらく三百キロ以上は行けないものでございまして、B52は非常に航続距離が長いわけでございますが、しかし、B52に戦術的核兵器を積むということは、ちょっと普通の防衛専門家という立場から見れば——私はまあ専門家じゃございませんが——考えられないことでございます。
○野上元君 B52に積むことは考えられないでしょう。それは私も同意いたしますが、同感ですが、戦術核兵器というものは、そのものが抑止力になるかということを聞いているわけです。
○国務大臣(増田甲子七君) 抑止力というのは二つございまして、総理がいつもおっしゃっているのは、核戦争を日本にしかけてくることを防止すると、そうして日本の国民を守ると、こういうことでございます。それから、侵略を日本にしかけてくる、一般の戦争を日本にしかけてくる、それからまた日本を守るということもこれ必要でございまして、これは日米安保体制のもと、米軍もおりまするし、自衛隊もおります。そこで、一般の戦争を日本にしかけてくる——たとえば航空機等によりまして、そういうしかけてくる場合に、沖繩等におきましては、戦術的核兵器を使いましてこれを抑止いたしておりまするし、わが日本におきましては、ナイキハーキュリーズ等をこれからつくりまするが、非核用のミサイルを使いまして一般戦争のないようにいたしておるわけでございます。
○野上元君 長官のお答えですと、これを備えることによって戦争を防止する、したがってそれは抑止力だということなんですが、抑止力という場合には、これ使わないから抑止力なんですね。使ってしまえば、もうこれは抑止力じゃなくて、単なる破壊力になるわけですね。ところがアメリカは、ベトナム戦争において二十万の増兵を要求したけれども、どうも国民が許しそうにない。したがって、戦争はだんだんだんだんとエスカレートして、限定戦争からそのワクをはみ出さなければとても勝利は獲得できないというので、そのギャップを埋めるために戦術核兵器の使用をいま検討しておるわけですが、そうすると、抑止力ではなくして、これは破壊力として考えておるんじゃないですか。使うんですか、使おうということを検討しておるんですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 武器を使えば抑止力でなくなるということは私はないと思います。武器が相当の威力があるということによって、その武器を備えることによって侵略を防止できると、こういう機構が日本の防衛機構でございます。ベトナムのことにつきましては、総理、外務大臣もたびたび言明されておりまするとおり、ジョンソンも、前国防長官のマクナマラも、それから現在の国務長官のラスクも、ベトナムにおいては戦略も戦術も核兵器は絶対に使わないと言っておりまするし、また、これは私の考えでございまするが、一発でも核兵器を使えば、もう世の中はおしまいだと思っております。つまり、連鎖反応を起こしまして、人類は壊滅状態になる。そういうばかなことは絶対しないものと私は考えております。
○野上元君 時間がありませんので、この問題についてはしり切れトンボになってしまうのでこの程度にとどめておきます。 次に、政治資金規正法の問題について総理に主として見解を承りたいと思いますが、御承知のように、政治資金規正法を出すために総理が選挙制度審議会に諮問をされた当時の状況を振り返ってみたいと思うのですが、総理御承知のように、相次ぐ汚職によって、総理も、積年の病弊が爆発したのだ、この際金のかからない選挙をやろうじゃないか、それ以外に今日の黒い霧を払う方法はない、だから第五次審議会は勇気を持ってひとつりっぱな答申を出してもらいたい、こういう諮問をされたわけですが、いまも当時と同じような状態になりつつある。たとえば、日通にからむいろいろな汚職問題、今度は黒い霧じゃなくて黄色い霧が日本に発生したわけです。さらにまた道路公団の問題であるとか、あるいは防衛庁にからむXの殺人であるとか、いつまでXの殺人が続くのか、これもきわめて重要な問題だと思います。こういう当時をほうふつさせるような状況がいま出ているわけで、今日必要なのは、バッジ・システムじゃなくして、汚職防止システムが必要だと思うのです。こういうときに政治資金規正法を私は出すべきだと思うのです。これは私は、今日の国会の任務であり、政治家の任務ではないかと思う。国民に対する政治の信用を回復するためのただ一つ残された具体的措置だと思うのですが、総理はこの点についてどういうふうにお考えになっているか、お聞きします。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えします。 政治資金規正法については、もうすでに、審議会から答申を経まして、前国会におきましても御審議をいただいたことでございます。私は、それの審議の結果に、また経験に顧みまして、今回はぜひとも成立のできる案、それをただいま事務並びに与党との間の調整をやらしておる段階でございます。この種の問題を出さなければならない、これを出すことによって国民の政治に対する不信をなくし、また信を高める、こういうわけでございまして、ぜひ私も必要だと、かように思っております。これが問題になりました当時よりはいわゆる黒い霧の問題が非常にやかましい、最近は日通問題を言われますが、ただいままでの捜査では、別に政界の人はこれは関係はしていないようです。また道路公団、これも政界ではなくして、これは官界の綱紀の弛緩、そういうような問題のように思います。防衛庁もまたしかり、かように考えまして、私はこれらの事件で直接政治家が関与しているとは考えておりません。しかし、最近起きましたLPガス、この事件ではすでに政治家もこれに関与していることははっきりしておりますので、これらのことを考えますと、政界におきまして政治資金、これが使われ方が明確でなければならないだろうと思います。そういう意味で、このことは必要だと思います。むしろ、政党自身の問題よりも、政治家一人一人の問題のほうがより必要なんではないか、かようにも実は考えざるを得ないのであります。私は、政治家自身——だれかが政治家になると、りっぱな家に住める、あるいは生活がよくなる、かような卑近な、卑俗な表現をされる、そういう状態がたいへん残念でございますので、政治家自身がこういう点についてきちんとすることが必要じゃなかろうか、もっと国民から信頼をかちうるようにしなければならないと、かように考えてもおります。そういう意味で、なかなか政治資金規正、これはむずかしい問題を幾つも包蔵しておりまして、研究すれば研究するほど困難な問題であります。しかし、こういうことでくじけては相ならないと考えておる。私が、総理といたしまして、また一党の総裁として、これこそ勇断をもって臨まなければならないものだと、かように思っておる。たいへん審議はおくれておりますが、提案まで立ち至っておりませんが、ただいま調整をしておる。そうして、お説のように、この法律はぜひとも出したい、かように考えておる次第でございます。
○野上元君 この答申は、すでに昨年の四月に出されたわけです。そのとき総理は、勇断をもってこれを実施する、尊重する、こういうふうに審議会では答弁されておるわけです。総理の立場は、今日、言うまでもなく、内閣首班、行政府の最高責任者であることは言うまでもありませんが、同時にあなたは自由民主党の総裁なんです。総理であり総裁であるあなたが、とにかく勇断をもってこの答申を尊重する、こう言って天下に公言した以上、それができないということはどういうことなんですか。総理の党内におけるリーダーシップがなくなっておるのですか、あるいは行政府最高責任者としての指導力がなくなっておるのですか、私はその点が非常に疑問なんです。それは後ほど一つ一つ言動をとらえてあげてみたいと思うのですが、総理はどういうようにお考えなんですか。 〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたように、昨年とことしと私の考え方、また決意には変わりはございません。そういう問題がたいへん長引いておる。そこで私自身残念に思っておる、かようにお答えする以外に方法はありません。
○野上元君 それではお聞きいたしますが、総理は初心を忘れずということでございますが、あなたの内閣の中にも、自治省大臣の言動等を見ておりますると、必ずしもあなたと考えを一にいたしておらないように思う。たとえば、赤澤自治省大臣は、大臣に就任されてもなおかつ、自分は、政党への規制は撤廃すべきである、政党の発展を阻害するような制限をすべきではない、こういうことを言っておられるようでございますが、この点については総理としてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そういう点をこれから調整していかなければならない。各人がそれぞれいろいろな意見を持っております。特にこの問題になると、政党員全部が考えを持っておるのでございます。なかなか一木にまとまりかねておるという点でございます。野上君も経験者でございますから十分御承知のことだと思いますが、たとえば、政治資金は即選挙区制ともつながるんじゃないかというような議論もその一つでありますし、先ほど申しましたように、政党自身に集まる金よりも、その個人の金の使い方が問題なんでありまして、そういうようなことも表現されたり、いろいろの問題がある。それを調整することがいま私に課せられた仕事でございます。
○野上元君 さらに、自由民主党の選挙調査会長の松野さんが、答申が生きた魚ならば、これは骨は抜けない、しかし化石じゃないか、化石から骨を抜くのに何が悪いのだ、こういう発言をしておりますが、あなたはその化石を尊重されておるわけですか、化石を生き返えそうとして努力しておられますのか、これはどういう見解をお持ちですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 松野君の発言は一体どういう意味だかわかりませんが、どうも私いまの話でわからないのです。生きた魚ならば骨が抜ける、これは確かに抜けましょう。化石の場合に骨が抜けるかどうか、これも疑問だと思います。これはたいへんな妙な話でございますが、私は、松野君どういうような意味でただいまのような表現を使ったのか、よく聞いてみたいと思います。
○野上元君 私は化石から骨が抜けるかどうかを聞いているのじゃなくて、そりゃ抜こうと思えば抜けると思うのですが、問題は化石だと言うのです。あんなものは化石だ、生きた魚じゃないじゃないか、そんなものは尊重するに当たらないと言っておるところに問題があるのであって、総理と見解を異にするが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度審議会の答申を尊重しなきゃならぬことは、これはもうはっきりあらゆる機会に申し上げております。したがって、その点では党員はみんな同じ考え方だと思っております。また、特別委員として選挙制度審議会にも出席しておるのでありますから、そういう意味では、審議会にて熱心に審議されて、そういうものを尊重すると、そういうことはもちろんであります。ただ問題は、現実の問題として、この苦い経験をなめてまいりました。昨年、審議会におきましては、とにかく不成立になった案自身も御批判を受けましたけれども、その案が成立しなかった、そういう苦い経験から、私の考えるところでは、やはり何としても案を成立さす法律案をつくることだ、かように思って、そういう意味のいま調整をしておる、かように申しておるのであります。
○野上元君 いまのことばの中にも、いろいろと問題があるわけです。たとえば、案さえつくればいいのだというようなことでは、私は非常にこれはまずいと思うのです。やはりそのために答申というものが出ておるのですから、案はあくまでも答申の線に沿った案でなければ意味がないのです。ただ国会だけ通過すればいいのだということになりますと、いままで悪であったものが、国会を通過して法律になると、これが善になるというような、きわめて重要な問題を含んでおるので、総理としては、その点は、ただ国会を通しさえすればいいのだというようなことを考えられないで、いわゆる総理として総裁としてのリーダーシップを発揮されるきわめて重要な時期はいまじゃないかというように考えるわけですから、その点はひとつ慎重な態度をもって臨んでいただきたいと思うのです。と同時に、松野氏はさらに言っておりますが、大体寄付者を罰則に入れるようなそんな法律はおかしいんだと、こういうふうに言っておりまするが、これについてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(赤澤正道君) 政治資金規正法は、主として私が担当しておりますので、私からお答えいたします。そういう議論も確かに党内にはございます。それば、何も気がつかないで寄付した方が、寄付の制限ワクをこえておったというだけで罰則の対象にするのはよくないんじゃないかという議論は、確かにございます。そのことを松野君が口にされたのだと思っておりますが、いまそれでものごとを進めておるわけではございません。先ほど、松野君が政治資金規正法は化石だと言われたようなことの御発言がございましたが、そういうことを公式に言うはずもありませんし、私のほうは全く聞いておりません。
○野上元君 私は松野氏が公式に言ったかどうか知りません。しかし、とにかく少なくとも新聞に出ておるのですからね。それがかりに私的な場所であっても、新聞に出るということは、もう公式なものだと思う。そのためにあなた方は倉石発言で苦労したのじゃないですか、そうでしょう。それを、そんなものは公式な席で言うはずがないなんていう言い方は、あまりにも私はそらぞらしいことだと思うのです。言っておるからこそ問題になる。取り消していないでしょう、だれも。この点を私は十分にあなた方から反省をしてもらいたいと思うのです。さらに、いまあなたが言われたように、党内にも確かにそういう問題がある。寄付者を罰するというのはおかしいということがあると言っておるけれども、私の聞きたいのは、政党こそ議会民主政治の基盤である、こう言っておるのですね。これは自由民主党が言っております。あるいはこの調査会の答申にもちゃんとはっきり出ておるのです。したがって、個人と政党は区別するのだ、こういうふうに言っておるわけです。その政党が堕落するような献金をして、寄付をして、その寄付者が罰せられないというのはおかしいんじゃないですか。日本の政治の最も重要なところを腐敗堕落させて、その人が全然罰せられない。罰するのはおかしい、こういう考え方があるからこそ問題は全然進歩しないんじゃないですか、進展しないんじゃないですか。その点どういうようにお考えになりますか。 〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
○国務大臣(赤澤正道君) それはだいぶお話が違っておるんじゃないかと思うのです。と申しますのは、日本の司法当局はきわめて健全ですから、少なくとも職務関連の対価的な要素がありましたら、これは刑法によって遠慮会釈なく処罰される。党内で問題になっておりまするのはそういうことではなくて、実にこまかい制限が設けられております。たとえば規正法には資本金の二・五%以上を寄付してはいけない。それにも罰則が伴うということになりますと、各会社何千万あるもののみな資本金は違うわけでございまして、そういうものをうっかり気がつかないで寄付した者がもう法律違反じゃないか、処罰だということはおかしいじゃないか。故意にやったのならともかく、もう何も知らないで善意で寄付した者までも処罰の対象にするのはおかしいじゃないかということは党内で確かに議論がございます。
○野上元君 自由民主党と自治省の間にいま調整が行なわれておる。したがって、まだ最終的案が出ておらないので、私も具体的な討論ができない。したがって新聞記事によって憶測せざるを得ないのですが、その記事によりますと、明らかにいま言ったような会社の献金は資本金あるいは利益等に関係なく最高二千万円にすると、こういう案が自由民主党から出されておる、こういうふうに書いてあるのですね、新聞に、ちゃんと一覧表になって出ておるのですね。ということは、あなたが言われておるような千分の二・五という制限を取っ払ったということになるのです。ある大会社については二・五でおさまるかもしれないけれども、しかし、資本金一億円ぐらいのところで二千万円の献金をしたら一体どうなるのですか。こういうのは明らかに行き過ぎじゃないですか。そういうことが新聞に出ておるので、私は問題になると思うのです。自由民主党はそこまで考えておるのかということになると、とにかく献金をしろ、こういうことなんです。しかし、その結果が自由民主党の、あるいは政党の腐敗堕落につながるということになれば、それは明らかに私は大きな犯罪行為じゃないか、こう思うのです。あなたのお考えはどうですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 党内の調整過程にあるわけですが、おっしゃることとはだいぶ筋が違っておると私ども判断しております。二千万円の頭打ちをしてあとはこまかいワクは取っ払ってしまったほうがいいんじゃないかということも、全然そういう意見はなくはありません。しかし、私が承知しております範囲内では、やはりこの千分の二・五というのは、とにかくどの会社も全部違うわけですから、それはどうか。労働組合だって同じくそれにやはり応ずる形で組合員の人数によってこまかく分けることにしておるけれども、やはり大ざっぱに三段階ぐらいにしたほうがむしろ国民に徹底してのみ込みやすいんじゃないかといった議論もかなり強く出ておるように私ども承知をしておるわけでございます。何も、自民党のほうで二千万円の頭打ちのあとは一切制限は設けないということできまったわけではありません。先ほどの御質問にも関係ございまするけれども、骨々ということがあるけれども、やっぱり骨というからには、その一つは政治献金の質の問題、これが一番大事だと思う。また質、さらには量の問題。ですから、私はいま量の問題にも触れるわけですけれども、やはり相応性と申しますか、分相応、つまり、大きい会社だったらこの程度はよかろう、小さい会社でここまでの寄付をするのはおかしいぞという分相応ということがございます。そういう相応性ということにつきましては、党としても十分検討を加えておるように私どもは承知をいたしております。
○野上元君 何しろ案が出ておらないので、私、具体的なことは言えない。したがって、あなたのほうはそういうことを考えておらないと言われると、討論のしようがないんですが、ただ、先ほど言ったように、いろいろな問題がしゃべられておるんで、こういう状態ではたしてできるのかどうかということを私は非常に危惧しておるわけです。たとえば、お宅の自由民主党の有田経理局長は、政治資金規正法の松野案の寄付制限はきびし過ぎて党財政が持たない、こう言って調査会の中で討論をしているわけですね。これもやっぱり新聞に出ているわけです。こういうことになると、あなたの党の重要なポストにある方々がことごとく反対なんですね。これではとてもこの政治資金規正法が国会で成立できるわけはないと思うんです。ということになると、一体どうすればいいのか。しかも、国民は一日も早くこれを通せと言っている。総理のひとつ見解を聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま調整の段階でございますから、しばらく時間をかしていただきたいと思います。また、いま野上君が御指摘のように、案が出ておらないから、なかなか討論、質疑がむずかしいとおっしゃる。そのとおりであります。いずれ調整ができて、そうして国会に提案いたしますから、その際は十分ひとつ御審議をいただきたいと思います。 ただいま党の個々の役員などの意見を御紹介になりました。確かにそれほどむずかしい問題になっております。しかし、みんな一同が考えておりますことは、やはり何らかの規制——政治資金規正法は必要だ。これは必要だから、そういう意味で、全体としてのひとつ意見をまとめる方向で努力しようじゃないかという申し合わせも同時にしておりますから、しばらく時間をかしていただきたい。その上でまた御審議をお願いする、かように思います。
○野上元君 どうも総理の答弁は責任がないように思うんですよ。これも新聞の記事を取り上げて申し上げるのですが、あなたのところの副幹事長の談話が出ているんですね、記者会見の内容。それを見ると、記者の諸君が、党内調整のための地方ブロック会議は半分やっただけであとはやらないのかと聞いたら、瀬戸山副幹事長は、あああのことか、すっかり忘れていたよ、党員はみんな賛成していないし、今国会で結末つけるのは不可能だろう、まあしかし、でも提出する方針で努力しているよ、こういうような回答をしているんですね。あなたのところの副幹事長ですよ。やる気がないんですね、全然。そんなものは忘れておったよと、こう言っているんです。しかし佐藤さんは。目下党内で熱心に調整をやっていると言うが、瀬戸山副幹事長によると、そんなことは忘れていると言う。一体これはどういうことですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) さっそく副幹事長を呼びつけ、とっちめるつもりでございます。
○国務大臣(赤澤正道君) 興味半分でいろいろなことが伝えられまするけれども、政治の姿勢を正す、特に資金面でもっと浄化された清潔な政治をやるということにつきましては、総理は非常な強い決意を持っておられます。私ども実は答申に沿うた答えを出さなければならぬと思っていろいろ苦慮をして調整をしておるわけでございますが、まあ、何せ、それぞれ議論の多い方々ばかりでございまするから、調整になかなか苦労しておる。きょうでも参議院の中では自民党の調整も行なわれておるはずでございます。しかし、これは日本だけじゃありませんので、もう世界じゅう同じ問題で悩んでおりまして、そう理想案がさっさと出てくるわけじゃない。この間、西ドイツでは政党法ができましたが、これは与野党妥協の産物として、とにかく「選挙を含めてその任期期間に百億円の国費を支出し、その百億円はそれぞれ得票によって分配する」んだなどというものが出てきた。こういうことになれば、また一つの解決方法かも知れませんが、いま、イギリスでもアメリカでもみなこの政治資金の規正の問題で論議をかわしておりまするけれども結末が出ておりません。日本だってこの問題そう簡単に片づくわけのものじゃありませんので、やはりこういうことの審議を重ねていく過程で政治家個々の自覚も生まれてくる。また、責任も感じてくるでありましょうし、そういった結果実ったものが私は今日の政治資金規正法だろうと思います。いまその苦労を続けておる最中でございまするので、新聞にどういう記事が載ったか存じませんけれども、決してそういうことでなくて、まじめに取り組んでおるということをひとつ信じていただきたいと思います。
○加瀬完君 関連。簡単に一問。 そうすると、結局、この国会にお出しになることになりますか。お出しにはなれないことになりますか。
○国務大臣(赤澤正道君) たびたび御答弁申し上げましたとおり、総理は二月、二月が間に合わなかったら三月というふうに非常にやかましく言われますけれども、実際、取りまとめの衝に当たる者としてみれば、私は、成案を得次第提出いたしますとたびたび申し上げました。成案を得るということは、最後は閣議決定を求めて、そして国会に出すということは、言うまでもなく提案なんです。さらに、これが議決されなければ意味もなさぬわけでございます。ただ自治省のほうから出すということだったら、いまでもございますから、これは何でもないことですけれども、それでは無責任なことは言うまでもないのでございまして、私どもといたしましては、成案を得るということに非常に苦慮いたしております。これも一日も早く出したいと考えておりまするけれども、じゃ、いつ出すのかと言われますと、私どもは何とも返答に窮することでございまするが、しかしながら、先ほど、信じていただきたいと申し上げましたことは、党をあげて前向きで取り組んでいる。やはり答申に近いものを出さなければならぬと考えて努力をしている次第でございます。
○加瀬完君 いまのところ見通しはないということですか。
○国務大臣(赤澤正道君) いつ幾日ということはなかなか申し上げられませんし、今国会は最初から私心配いたしておりましたけれども、当参議院は半数改選の年でもございますし、しかしながら、私ども最初に皆さんにお約束いたしましたとおりに、そういう事情は何であれ、この国会にぜひ間に合わしたいと考えて鋭意作業を進めているのでございます。
○野上元君 松野さんも赤澤さんも、いまの中選挙区ではお互いに党内がしのぎを削り合って金がかかり過ぎる。したがって、選挙区の問題も合わせて考えざるを得ないんだというような発言があるのですが、小選挙区制にしたら金がかからないという証拠はありますか。そういう立証はできますか。
○国務大臣(赤澤正道君) その答申が出ました選挙制度審議会というのは、いまおっしゃった金のかからぬ選挙、政党本位の選挙をやるにはどういう方法があるかということが主眼であったと思います。そこで、去年の春出ました政治資金規正に関する答申、また、去年の暮れに出ました制度の改善に関する答申、いずれも前置きがついておる。これはよくお読みになっていると思いまするけれども、政治資金規正法のほうは、「政党の政治活動の公明化を図り、選挙の公正を確保するためには、選挙制度全般について検討を加え、すみやかに政党本位の選挙制度を確立する必要があり、政治資金の規正等に関する改善もその一環として行なわれなければならない」という大前提、しかしながら、去年の秋からあの不詳事件も起こっておるので、切り離してでもこれだけは答申するという前置きがついております。去年の暮れの制度改善に関する答申でも、要点はこうなっておる。「今日のような金がかかりすぎる選挙の実態から脱却し、個人本位の選挙から政党本位、政策本位の選挙に転換すべきであり、そのためには、中選挙区単記投票制の現行制度は改める必要があること、また、その改善策を検討するにあたっては、政党本位の選挙制度の実現を期し、あわせて国民の意思の公正な反映と政局の安定との調和を図るという考え方を基本とすべきである」、これが大前提になっております。しかしながら、最新の第五次審議会の最終答申で、この選挙制度につきましては一本にしほれなかったけれども、方向は大体出たわけでございます。 いまお尋ねの、じゃ一体、小選挙区にしたらそれで金がかからぬようになるのかと、こういう御質問です。なるほど、審議会の中でも議論の中にそれもありました。しかし、小選挙区にしたからといってすぐ金がかからなくなるという保証はないけれども、しかし、同士打ちの選挙が一番いかぬ。これは政治を悪くする最大の原因である、同士打ちの選挙はやめようということはほとんど全部の方が一致した意見であったわけでございます。私ども考えますのに、何もここで制度の改正とからませようという考え方で積極的に言うわけじゃありませんけれども、やはり、もう金のかからぬ選挙をやる、政治活動をやるということが大前提でなければなりませんので、私はいま、資金規正にいたしましてもあるいは制度にいたしましても、ただいま改正したもので向こう百年やろうとか二百年やろうというわけじゃありません。やはり、こういったことは、これほど大部分の審議会の委員の諸先生が言われたなら、それじゃ小選挙区にひとつやってみるかと軽く考えてごらんになるということはどうだろうかという示唆を私はしておるわけでございます。やはり前提はそういうところにありますし、私どもの判断としては、これは同士打ちの選挙をやめるということによって政治の姿はかなりよくなるというふうに考えます。
○野上元君 この選挙に関する資料というのは非常に少ないのですね。しかし、私が調べたところによると、小選挙区のほうが金がかかっていますね。大選挙区のほうが金がかかっておらない。小選挙区の時代というのは大体十八年であった。大選挙区が二十一年、中選挙区がいま四十年続いておるわけです。どうれが一番かかったかというと、小選挙区が一番よけい金がかかっておるということは数字的にこれはもう立証できるわけなんです。ということになると、しかも、小選挙区なら一人対一人だから金がかからぬように思うけれども、しかし、その公認を取るためにこれはたいへんなしのぎが削られるのじゃないでしょうか。そういうことになると、ますます政党はおかしくなってくるのじゃないですか。したがって、私は小選挙区制が金がかからないという結論にはならないと思います。それは総裁公選をごらんになればよくわかると思うのであります。公認を取ることが大問題になる。そのためにばく大な金がかかるということになるので、私は軽々しくそういう結論を出してもらいたくないと思うのだが、あなたのほうで何か立証する数字があれば見せてもらいたい。
○国務大臣(赤澤正道君) 何も数字を出して御説明はいたしませんけれども、私どもの考えでは、やはり、ただいま申されました公認を得るということは党内の問題でございまして、そういうことば、そう国民の批判を買うようなことではないと思います。ただ、今後の政治は、これほどマスコミ——テレビ、ラジオ——が発達いたしましたから、むしろ政党本位の選挙、小選区ということに踏み切ればもう何も個人が演説して回る必要はないじゃないか。それはとにかく、これだけの報道機関を通じて十分国民に政策を訴え、また討論をして、党の中枢で討論をすることによって政策の御理解などもいただけると思いまするので、私どもはそう金がかかることにはならぬと逆に考えておるわけでございます。
○野上元君 あなた方の言い方は、非常に都合のいいときばかり都合のいい言い方をするのだが、たとえば公認の問題は党内の問題だと言われるのですね。確かにそうでしょう。そのとおりです。しからば、候補者になったらもう党内の問題じゃないのですか。このしのぎを削るのはもうこれはやむを得ないのだ、それは党の問題じゃないのだ、個人の問題だと、こういうようにお考えなんですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 小選挙区に複数の候補を立てるはずはありませんので、やはり、どの政党も一人ずつお出しになると思います。それぞれの政党の立場で、ほんとうに政策を訴えて選挙を争うことになると思います。
○野上元君 私はそういうことを聞いておるのじゃなくて、いまの中選挙区制においてはしのぎを削るというのですね。それも党内の問題じゃないのですか。お互いに党内でしのぎを削るというのは、それは党内のことじゃないのですか。
○国務大臣(赤澤正道君) そうではありません。それはあなたの党は何名お出しになっておるか存じませんけれども、とにかく四百名も候補を出した場合は、たとえば五人区のところで五人出る。自分のところの政策ばかり訴えておったのでは、自分があぶないということになるので、勢いいろいろなことを考えていくというのは人情だと思うのですね。それをそれぞれの区に一人ずつということになれば、そういう世人の批判を受けるような選挙運動をやる必要もないし、数も減ってくる。やはり政策本位の選挙が行なわれる、かように考えます。
○野上元君 そうしますと、結論的に言えば小選挙区の問題は車の両輪であって、これができなければ、選挙制度審議会の答申をそのまま生かして見ても、それは化石になるだけだ、こういう結論ですな。
○国務大臣(赤澤正道君) そういうことは決して……。それは選挙制度審議会でも、こういう政界の実情を見て、まず制度改正はむずかしければ、とりあえず、この資金規正でもやれということで特別委員会でああいう御答申があったわけでございまするので、これはこれとして検討を進めております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政治資金規正と、政治資金とそれから選挙制度、これは全然関係なしとは、私、申しません。御承知のように、車の両輪ともなったことは御記憶に残っておるところ。ただ、両輪にしても、左右両輪か、前後両輪かというような話まで出ておりますように、それは必ずしも一緒に解決しなければならないものだ、かようには思えないのでありまして、ことにこの政治資金の問題が起きました当初のことを考えますと、政界の浄化も一つのねらいである。そういう意味から、やはり選挙区のほうから入るがいいか、資金のほうから入るがいいか、こういう二つの考えがあり、私自身は、資金のほうから入ろう、こういうことで政治資金規正法のほうを先にする、区制もそれをなおざりにするという意味ではございません。このほうはもっと各党の協力を得ることがむずかしいだろう。だから、資金のほうと切り離して考えたらどうかというのでただいままで検討しておるのでございますから、ただいまのように話が小選挙区方面に向いてきた、そうしてその区制と政治資金規正と両方を一緒にしてやる、かようにおきめにならないように、ここに誤解があると困りますから、一言申し上げておきます。
○野上元君 この際ついでにお聞きしたいのですが、公職選挙法の改正についても答申が出ておるわけであります。特に戸別訪問に対する自由という問題が出ておりますが、これについて自由民主党の中でもやはり討論しておりますが、戸別訪問を認めるなんて、まるで買収を奨励しておるようなものじゃないか、こういう議論が圧倒的に強い、自民党の中で。こういう新聞記事が出ておるのですが、あなたのほうは戸別訪問でそんなに買収やっておるのですか。
○国務大臣(赤澤正道君) そういうことは全然関係のないことでございまして、審議会の御答申をごらんになればわかりまするとおり、日本の選挙は世界にまれな取り締まり過剰であって、選挙についてものを言っちゃひっくくられ、何をしちゃひっくくられるということで、国民がいじけてしまっている。そういうことでなくて、選挙というのはもっと闊達に自由にやらしたらいいじゃないかということが審議会の中でも圧倒的な空気でございまして、あなたの党で出ていらっしゃった委員の先生も、これは私ここでは申しませんけれども、思い切った自由な選挙をやれというお説をお吐きになりました。しかし、これは私ども新聞で見たのですけれども、どうも、資金規正のほうは早くやれ、自由化のほうはやめたらいいというようなことをどの党も言っていらっしゃるというふうなことを、これも新聞ですが、拝見したわけですが、資金規正のほうは急げ、自由化のほうはやるなといったようなことになりますと、これもまた片手落ちになりますし、全体をやはり勘案いたしまして、いま目下調整をいたしておりまするので、やはりある程度自由化の方向へ踏み切っていくべきであるということで、われわれのところでは議論を進めております。
○野上元君 私は、こっちのほうの席から、自民党をばかにするなというふうな話が出たのですが、私がばかにしているわけじゃない。新聞が書いておる。この新聞記事、それじゃ誤りですか。そういうことが圧倒的に出ておるので話にならぬという記事が出ておる。もしもそれが事実であるならば、先ほど言ったように、結局、政治資金規正法の問題は、会社の献金の問題について制限を撤廃しろという意見が出てくるに違いないのです。これがやはり根本になっておるのじゃないですか。そこを私は聞いておる。こういう考え方があって政治資金規正法がどうして出てくるのですか。その点をひとつ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(赤澤正道君) 買収などということは、先ほど申しましたとおり、日本の司法権は健在でございまするから、こういった供応、買収などということは別な角度から刑法上の扱いをいたすわけでございまして、その他のことはやはり私どもは政治家個々の人の自覚あるいは立場に対する責任感、こういったものがもっと、何と申しますか、徹底することによって、ほんとうにそういったもののない、公正な、きれいな選挙が行なわれるようになると考えておりますが、大体日本に議会政治を教えたようなことを言っております、近代民主主義を教えたようなことを言っておるアメリカだっててこずっておりまして、ちょうど先月のリーダース・ダイジェストに、元のアメリカ大統領のアイゼンハワー氏が政治資金問題についての提言というものを出しております。私はこれを読んでみて、なるほどなという気持ちになっております。やはりアメリカでも苦労しているなという気がいたしたわけでございますが、やはりこういったことは、世界のどこであれ、個々の政治家がもっと自分の立場というものを自覚するということが根本である。これなくしては、どんなりっぱな規制の法律をいたしましても底が抜けてしまうということを私どもは憂慮しておる。
○野上元君 時間がありませんから、それ以上は質問を突っ込めないのですが、もう一つこの際、総理でもいいし、自治大臣の見解を聞いておきたいのですが、答申案が出て、そうして総理はこれを勇断をもってやられるということになって、自治省で案をつくり、そうして自民党と折衝しておる。これはしばしばあなたは国会で答弁されておる。しかし、これは御承知のように選挙に関する法律ですから、各党が平等な立場で公平な競争ができるという法律をつくろうというのが答申のねらいだと思うのですね。ところが、自治省は自由民主党とだけこそこそこそこそ折衝しておる。これは法律の性格から見て誤りじゃないでしょうか。自由民主党だけの意見を聞いて自治省はこの提案をしてくる。行政官庁の中立性というものは一体どこにあるのでしょうか。特にこういう選挙法というような性格から見て、十分にこれは事前にやるならば、野党も含めてやったらいいじゃないですか。私はおそらくできないと思いますよ。できないと思いますから、この際総理が勇断をもってやるべきだと思うけれども、その自治省の中立性についてお伺いしたい。
○国務大臣(赤澤正道君) 言うまでもなく、特にこういった種類の法律につきましては、何党に片寄るということは絶対に戒むべきでございますし、答申そのものが中立機関である選挙制度審議会の答申に基づいておるわけでございまして、私どもとしましては、何党に有利、何党に不利などということは全然考えたことはございません。しかし、議会政治ですから、やっぱり責任政党である自民党が了承をいたしませんと、どうしてもこれは成案にならぬわけでございまするので、やはり成案を得ましてから、どうにでも十分これを御審議、御検討を願って、最終、決をとってきめていただく、かようにお願いいたしたいと考えております。
○野上元君 それは立法技術の問題であって、政治的な根本的な考え方は、私は無視していると思うのです。先ほども言ったように、少なくとも選挙法という性格から見て、案をつくるならば、これは各党が平等に、みんなが納得できるような草案をつくるべきだと思うのです。自治省と自民党だけが相談して出してきて、さあ野党にのめと言われても、これはなかなかのめない問題じゃないですか。ますます混乱させるだけじゃないですか。もしも、そういうことであるならば、そういうことはもうやめて、一切この際、多数の意見が必ずしも真理とは言えないわけですからね、少数の意見が真理の場合もあるわけです。私は、そこがリーダーシップの発揮される非常に大きな意義のあるところだと思うのです。私はその点を最後に総理に、時間がないので聞きたいのですが、どうも総理の答弁の内容、あるいは言行録というのがあるのですね、こんなぐあいに。これはもう各社がつくっておるのですが、これを見てみますると、みんな、いまにも政治資金規正法ができるような発言なんです。常に、勇断をもってやる、こういうふうに書かれておるのですが、この総理の言う「勇断」というのは、優柔不断の略語ですか。その点をひとつ聞きたいですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、「勇断」は優柔不断の略語じゃございません。しかし、どうもこの問題については、いつまでも成案を得てない、そういう意味で、ただいまのような皮肉なお話も、お尋ねも出るのだと思います。これこそ、私がやはり、さらにさらに力をいたし、各機関の調整をはかって、そうして成案を得て御審議をいただくと、かように思っております。
○野上元君 私は、総理の性格は一体どういう性格なんだということで、いろいろ研究してみたんですが、総理の性格というものは非常に衝動的なんですな。たとえば映画を見て、感激して涙を流される、ぼくもこれは賛成なんですが。あるいは沖繩の「ひめゆりの塔」を見て、これはもう沖繩は早く返さにゃいかぬ、沖繩問題の解決なくして戦後の処理、終結はないんだという発言をされて、アメリカへ飛ばれたですね。そうしてまた、黒い霧が出ると、すぐぱっと、政治資金規正法だと、こういうふうに、非常にその総理の言行を見ていると、衝動的なんです。しかし、あとでよく考えてみると、あれはちょっと早過ぎたというのでまた待ってしまう。非常に私は総理の性格というのは判断に苦しんでいるのですが、ちょうど、たとえれば、日本海の水をふろおけの中へ詰め込むよりまだむずかしいような気がするんですね、あなたの性格を判断するのは。 で、私は最後に、総理に勧告したいんですが、総理もあまり長い間総理をやっておられるわけじゃないでしょう、おそらくね。なかなかむずかしい動きもあるようでございますから。そして総理の顔にも疲労の色がだいぶ見えておりますから、そう長くはないと思うのですが、少なくとも、あなたが政治上に名を残すのには、この政治資金規正法が一番いいと思うのです、私は。これは私も読んで見たのですが、この本に、明治二十六年に出ているのですね、この政治資金規正法。この政治資金規正法が出ているのですが、いまとちっとも変わらないのですね、いまの政治の状態と。したがって、明治百年はいっておるけれども、政治は明治百年全然進歩しておらぬかったということになる。ここで、あなたが政治資金規正法をつくれば、総理をやめられても後世まで歴史上の功績を残すのじゃないでしょうか。まあ、そういう勧告をしたいのですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御鞭撻、同時にまた御勧告いただきまして、ありがとうございます。厚くお礼申し上げます。
○野上元君 官澤経済企画庁長官に聞きたいのですが、あなたは先般本委員会の席上におきまして、最近の国際金融の問題について、あるいはドル不安の問題について、こういうような答弁をされましたね。たかだか黄色い金属のために人類の知恵が負けるはずはない、必ず勝つ、こういうふうに言われたのですが、御承知のように、ドゴールはあなたのこの考え方に挑戦しておるようですね。ドゴールが考えているのは、まあ一口に言えば、金本位制に返れ、ドルの時代はもう去った、新しい金を裏打ちとした国際通貨を発行したらどうだ、信用制度をつくったらどうだ、こういうふうに言っておるのですが、あなたは、EECの巨人であるドゴールの挑戦を受けてどのようにやりますか、これは。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先様は大統領であられますので、こちらから挑戦をいたすわけにはまいらないのであります。ただ、伝えられるところによりますと、ドゴール大統領のお考えでも、現在の金の現有量及び新産金から考えて、これだけで世界の貿易がやっていけるとは考えておられないようであります。別のやはり決済の手段も必要である、金だけで足りるとは考えておられないように思うわけでございます。ただ、まあ、どうも私の推測するところでは、その新しいプラスになる決済の手段を金との結びつきにおいて考えるべきである、こう思っておられるように察しておるわけでございます。したがって、そういう意味では、すべての決済手段を金でやるという考えではドゴール将軍もおられないように私は察しておるわけでございます。
○野上元君 時間があればその問題についてもいろいろと論争したいのですが、きょうは時間がないから、私がしゃべっておると時間がなくなってしまうので、しゃべれないので、どうにもなりませんが、もう一つ長官に聞きたいのですが、マーチン米連邦の準備制度理事会の議長がジョンソン政策を批判していますね。これも新聞で読んだのですが、このままの状態でいくとドル切り下げは避けられない、それはアメリカが過大な軍事公約を世界的に行ない、いわゆる戦時経済体制下にある今日において、大砲もバターもというブランド・デザインはいまや崩壊に瀕した、したがって、このままの状態を続けていけば、ドルの危機は避けられない、切り下げは避けられない、こういうふうに言っておりますが、あなたはどういうふうに考えますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのマーチンの演説はたしか数日前にデトロイトでなされたもののように思います。確かにそういうふうに私も外電で読みました。この点は確かに、マーチン議長の認識のほうが、ジョンソン大統領の認識よりも、その点を確かに強調しておるようでありますが、ジョンソン大統領自身も、しかし初めて耐乏ということばを最近の演説で使っておられるようでございます。その点をマーチン議長としては、これは金利のやはり政策の責任者でありますので、もう少し強く表明をしておるものと思います。いずれにしても、このドルの将来というものが、アメリカの経済が秩序正しく運営されるということにかかっているという点をマーチンは指摘したものと考えております。その点になりますと、先ほどお話しの、そのドゴール大統領の場合にも、まあ一番ドゴール大統領に影響を持っておると思われますリュエフにいたしましても、リュエフは御承知のように、金の再評価を主張しておるのでございますが、しかし、同時に他方で、このこととアメリカの経済の強さ、圧倒的にアメリカの経済の生産力が高いということと混同してはならないということを言っておりますので、両者に共通の認識は、やはりこのドルの強さというものは、金がバックになっているばかりではない、むしろ、アメリカの生産力にあるのだという、この点は、マーチンもリュエフも、私は共通した認識を持っているのではないか、こういうふうに見ているのでございます。
○野上元君 フランスのほうもSDRの実現に臨む——例の問題を討議する十カ国蔵相会議に臨むにあたって、一つの方針をまとめていますね。というのは、国際収支の赤字を埋めるためにSDRを発動するのでは困る、それは筋違いなのだ、こういうふうに言っている。あくまでもそれは国際決済通貨の流動性を増すという意味におけるSDRの発動ならいいが、アメリカの国際収支の穴埋めのためにこれを使われることは筋違いだ、こういうふうに言っております。そこに流れておるものは、さきに言いましたように、今日のアメリカのドルの不安の問題を解消する唯一の条件は、アメリカの国際収支の改善である、こういうことについては、だれも意見が一致しておるようです。ただ問題は、ドゴールが考えておるのは、しかしながら、アメリカがベトナム政策を遂行し、エスカレートしている以上、この問題は解決できないだろうと、こう見ているのですね。いまドルの守護神と言われるマーチンも、やはり同じことを言っているのです。大砲もバターものブランド・デザインはもうくずれ去ったのだと言っておるのです。ここでジョンソン政策は踏み切らなければいけないのだということは、明らかに、国際収支の改善を求めるためには、ベトナム戦争が問題なのだ、世界に対する憲兵のシステムが問題なのだ、軍事公約が過大過ぎるのだ、こういうことを言っている。それをやめなければ、幾ら小手先のことをやってもだめなのだ、こういうふうに両者意見が一致しておるが、長官どういうふうに考えられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 両者の意見の一致しておるところは、両者と申しますのは、ドゴール大統領と、それから、伝えられるところのマーチン議長のその両者でありますが、一致しておるところは、現在のアメリカの経済がその経済力に余ることを背負っておるという意味で一致しておると思います。そうしてドゴール大統領はどうもその際、やはりベトナム戦争を問題にしておられるようでありますが、マーチンの場合には、大砲もバターも両方は無理だということを言っておるので、大砲を捨てるか、バターを捨てるかということは、マーチンは言っておらないように思うのであります。
○野上元君 あなたはどちらを捨てるかという二者択一を迫られたとき、長官なら大砲を捨てますか、バターを捨てますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは他国の外交政策に関することでございますので、私は総理大臣でございませんから、これについて批評するのはいかがかと思います。ただ、まあ私見としてどう思うかとおっしゃれば、一つの戦争行為をするのに、これはおのずから目的があってやっておることだと思います、それに賛成するかしないかは別といたしまして。したがって、これは金がかかるからやめようとか、あるいは金がかからぬからやってもいいじゃないかというようなこととは、たいへん私は異質なものであろうと思っております。
○野上元君 この際、総理に私は勧告したいのですが、真の友人というのは苦言を呈する人なんですよ。いいことばっかり言っても、これは友人じゃないのです。こういう重大な時期に、アメリカがいま苦境に立っているでしょう、あなたの友人が。少なくとも大砲を捨てろということをこの際、勇断をもって——優柔不断じゃだめですよ。勇断をもってアメリカに勧告するのが、私は友人としての責任じゃないかと思うが、あなたはどっちを選びますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカの場合は、これは二つの目的があると、かように思っておりますから、これはアメリカ自身がきめなきゃならぬ、幾ら友人でも、そこまで私は立ち入って申し上げることはできない、かように思います。日本の総理としては一体どうなんだと、これは大体もう平和憲法のもとにおいては、大砲は捨てておるのです。ただいまのような日本の場合に、大砲かバターか、そういう選択のことは余地がない、かように私は理解しております。
○野上元君 いまあなたの最も親しい友人が、その大砲かバターかで苦しんで動きがとれない状態になっておるのですが、あなたはどういう勧告をすべきだと思いますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はもうしばしば申し上げておるように、ベトナム戦争が一日も早く和平が来るようにと、これを必から望んでおる、これをはっきり申しておりますので、それより以上申すことはないと思います。
○野上元君 それでは、米国の輸入課徴金の問題について政府の態度を聞きたいのですが、これについては、どういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 輸入の課徴金、アメリカは自由貿易の主義のために、ケネディラウンドでも重要な役割りを果たしたわけですが、このアメリカがみずから課徴金制度を、輸入課徴金を貿易に課そうという態度は、アメリカの従来の主張と矛盾をしておる、また、このことが世界の貿易の縮小にも通じかねない連鎖反応を持つ危険もある。したがって、アメリカの国際収支の悪いことはよく理解はできるけれども、何か他の方法を選ぶべきではないか、これを思いとどまることはできないかということで、われわれは外交ルートを通じ、あるいはまた、使節団を送ってアメリカ政府に働きかけておる、アメリカの政府ばかりでなしに、国会にも働きかけておるというのが現状でございます。
○野上元君 政府からもしばしばやっておると、こう言っておりますが、政府からどうして特使を派遣しないのですか。政府は駐米大使を通じて口上書を一ぺん渡しただけじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) この日本の主張は、たとえばOECDとかガットの場とか、あるいはまた、ロストウが先日参りましたときにも、あるいは一月の二十四日、五日、コロンボ会議でも、それから、総理が昨年行ったときにも、そういう多少の動きがあったわけですから、いろいろ話をしたわけでありますが、しかし、正式に下田大使を通じ二月には日本の政府の口上書をアメリカ政府に伝え、三月にはまた私がジョンソン大使にも会って、もうこれは日本政府の意図というものに関しては、アメリカに十分徹底をいたしておるわけでありますが、今後の推移を見て、総理も必要があれば特使を派遣しようということを考慮されておることは事実でございます。
○野上元君 それは新聞記事読んでわかりますが、しかし、自局党の使節団も今度出かける、財界からも出かける、そういう方々の努力はもちろん多としなきゃならぬのですが、しかし、政府はただ、いま五分と五分だという報告が向こうから来ておるというような状況の中で、どうして特使を派遣しないのですか。これが実施された場合に、日本の産業に及ぼす影響は甚大です。特に中小企業に対しては大きな影響を持つ、繊維業であるとか合板だとかというようなところにも非常に大きな影響を持つということは、明らかにもう数字的にわかっているのに、どうして政府はやれないのですか。これはジョンソンと佐藤会談によって、小笠原を返す引きかえにこの問題は解決したのだというような新聞記事が出ておりますが、そういう約束をしたのですか。だから政府は派遣しないのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) とんでもないことです。私、そういう新聞記事が出ていれば、さっそくその新聞社に注意します。この課徴金の問題と小笠原返還と、それを棒引きにしたと、そんなものじゃございません。この課徴金の問題は、ロストウがことしになって日本に参りまして正月早々、私どもも、ボーダー・タックスをかけよう、課徴金らしきものをかけよう、そういう意向のあることを知り、それはたいへんだというので、私どもの考え方をはっきりロストウに申しております。さらにまた、その後、ハワイの事務当局の会談におきましても、政府の指令によりまして大蔵事務当局からも日本の考え方をさらに向こうに披露しております。ただいま、一度だけ口上書をやっただけじゃないかということですが、その上、口上書もやり、また、大使を通じて、一々の変化についても対応した臨機の処置をとっております。また、佐藤ミッションが出かけたことも、これはもう先ほど御承知のとおりだと思います。また、最近は、昨日、自民党の福田議員一行、これも出かけまして、ただ、私どもいま問題にしておるのは、十カ国蔵相会議もいま行なわれようとしております。その前に、EEC関係のこれに対する対策、また、十カ国蔵相会議等々引き続いて行なわれますので、政府の考え方は、そういう経過をひとつ見ることも必要じゃないか、しょっちゅう向こうへ常駐するのには大使がおりますし、こちらから出かけましても、その時期を失しても困りますから、また、その時期を早目に出かけまして、その後の変化に対応する余地がなくても困る、そういうことで、その時期を私はいろいろ考えております。ただいま言われますように、外交交渉の問題でこれを取引をしたと、さようなことは絶対にございません。また、この問題につきましては、国民あげて、産業界あげてたいへん問題にしておりますから、これにこたえるためにも、政府は最善を尽くす、万全を尽くす、こういう態度でございます。
○野上元君 私、総理に申し上げたいのは、いまいろいろなミッションが出ておりますが、これも全部新聞の記事ですからわかりませんが、とにかく、いろんなことを言っておるんです。日本だけは免除してもらう交渉をするんだとか言う人もおるし、とてもそれはもうだめだ、日本の免除なんかあきらめようと言う人もおるし、一体、どういう基本方針でアメリカに折衝しておるのか。政府は全然動かないということになれば、一体、日本の政府は何を考えておるんだということを日本の国民も産業界も心配するし、アメリカだって交渉のしようがないと思う。この際、私は最後の段階が来ておるような気がするので、政府は正式な態度をもって、あなたの特使が必要ならば、あなたの特使を派遣して折衝すべきだと思うが、この点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま政府がこの課徴金あるいはボーダー・タックス類似のもの、これには絶対反対だ、この意向はおわかりだと思います。私どもはその主張のもとに今日まで経過いたしております。アメリカもまだ最終的な決定をしたとは思えない。しかし、まあ、ただいまの情報では、課徴金の法案を国会に提出するこの時期も迫っているやに予想がいろいろされております。私はその十カ国蔵相会議、それが最終的な意思決定になるんではないだろうか、かように思いますので、この十カ国会議の模様をひとつ見たいと、かようにいま政府としては慎重な態度をとっておる次第でございます。
○野上元君 私はやはりその判断は少し甘いんじゃないかという気がするんですが、十カ国蔵相会議において、SDRの早期発動、これをEECが認めてくれるならとか、あるいはケネディラウンドの繰り上げを早期にやってくれということを認めるなら、アメリカはこれをやめるんじゃないかというような観測が流れておるようですが、私はそれは非常に甘いと思うんですね。そんなものでアメリカの今日の四十億ドルにのぼる国際収支の赤字を改善するということは不可能だと思うんです。元財務次官補で元大統領の経済諮問委員のヘンリー・ウオリック氏が、一〇%やる以外に今日のアメリカを救う道はない、国際収支の改善を救う道はないと言っておるのですね。五%どころか、五%じゃだめだと言っておるのです。一〇%でなければだめだと、こういう段階までいま来ておるわけなんです。そういうときに、いつまでも政府は洞ガ峠をきめ込んでおるということは、どうも私は納得がいかない。だから、さっきみたいな新聞の憶測記事まで出るのじゃないかと思うのですが、すみやかに政府としては措置をしてもらいたい、こう思うのですが、この点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま課徴金一〇%という見通しの御披露がございました。あるいは五%案があったり、さらにはまた、三%案があったりする、また、その期間もどうしたらいいだろうか、非常に長期にわたって必要なのか、非常に短期でこれがよろしいのか等々の問題があるようですが、内政の問題ではございますけれども、これはアメリカできめることではございますが、しかし、このきめ方によっては、日本の産業界に重大なる影響があるだろう、かように考えて政府はこの問題を十分注視しておるわけであります。したがって、私は、きまらないうちに出かけて強い反対意向を述べることも一つの方法でございますが、しかし、もう少し模様を見て、そうしてアメリカの最終的態度をとったそのときに、われわれがこれに対処するのも一つの方法だと、かように考えておる次第でございます。ただいまミッション、あるいは政府のかわりに、政府の代表をだれか送るかという、そういう問題ですから、私はそういうことを含めて、ただいま時期を見ておる、かよう御了承いただきたいと思います。
○瀬谷英行君 関連。総理にお伺いしたいのですけれども、いろいろ対策を立てておるということなんですが、いまの問題、この課徴金の問題は希望的観測でもってやったら、えらいことになると思うのです。だから、最悪の事態としては、これは実施をされるということも覚悟をして、その場合にどうしたらいいかということは政府としては当然考えておくべきではないでしょうか。課徴金が実施をされるということと、それから、まあ、こういうことは考えたくないと言っても、事実問題としてドルの切り下げということも将来あるかもしれない日本にとってはゆゆしい問題だろうと思う。ゆゆしい問題だろうけれども、自国のことじゃないのですから、他国のことだから、きめられればこれは文句は言えないわけです。ただ、その場合に、日本としてはどうしたらいいかということは、それも含めて対策を立てておる、こういう意味に解釈をしてよろしいのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府——また皆さんからいろいろお尋ねを受けるのも、政府に十二分の対策はあるのか、万全の策を講じておるのか、こういう意味のお尋ねだと思います。私ども、もちろん十分でないというようなおしかりを受けるかわかりませんが、あらゆる場合を考えて対策を立てておる。ただいままで代表を送らないのは、私どもが今日の状況のもとにおいて出かけることはいかがだろうか、アメリカの最終的な意思決定を見たときに、これで行かなくて済めばたいへんけっこうですが、いわゆるこの課徴金制度を全然やらなければ、日本からこの際に代表を送る必要はございません。しかし、最終的な意思決定を見たそのときに、私どもも考えざるを得ないものがございますから、それらの用意はもう十分いたしておりますので、そういう際に代表を送るということを申しておるのでございます。
○野上元君 時間がなくなりましたので、最後に、これは総理でも外務大臣でもいいんですが、お答え願いたいんですが、結局、この問題は最終的に課徴金をアメリカが実施すると決意をしたら、その手続がありますね。手続はたとえばガット第二十五条によるウエーバーを申請するという手続があります。それともう一つは、もう十二条では、この輸入数量の制限だけれども、かつて英国もカナダもやったことだから、この際、これを援用してやってしまえという二つの方法があると思うんです。十二条を援用してやられたら、これはもうどうにもならぬですね。これはもう折衝のしようがないですよ、あなた方は。ただ、ガット二十五条のウエーバーを取りつけるための申請がガットに出された場合に、三分の二の多数をとらねばいけませんね。その場合、日本はどういう態度をとりますか。反対しますか、賛成しますか。
○国務大臣(三木武夫君) 結局、この場合は、やはり二十五条によるウエーバーの申請をなさるべきだと思っております。しかし、イギリス、カナダでやはりこういう例があって、そのときは、IMFが国際収支の悪化防止の限度を越えない、しかも、これは長期にわたらないというようなことでIMFが承認をして、その承認を受けて、ガットの場合に、これが短期間に終わるべきである、作業部会をつくって、そして関係国と協議をやるということの条件をつけて黙認しておるんですね、黙認を。したがって、今度の場合も、ガットにこのことは申請をしなけりゃならぬですけれども、そういう場合に、結局は、二十五条によってくると思います。そして、これは承認を受けることはなかなかむづかしいと思います、加盟国の過半数で、三分の二ですから。日本はこれにむろん賛成するわけはない、反対の立場であります。したがって、実際問題としては黙認を受けられるかどうかということになる可能性を実際の場合は持っておるのではないか、こういうふうに見通しを持っておるわけでございます。
○野上元君 それはガット十二条の援用を黙認するということになろうかと思うのです。結局、ドル防衛はこれ以外に方法はないという私も見方を持っております。おそらくやるだろうと、こういうふうに考えておりますから、ひとつ政府もからい判断に立って問題の解決に当たってもらいたいと思うのです。どうも政府の判断は甘過ぎると思うのですよ。総理が、何と言っても佐藤さんですから、名前が名前ですから、それはやむを得ないかもしれませんですね。私は少なくとも、そういう判断は非常にからくしないと、日本の産業困るのではないかと思うのですね。その点を特に最後に政府に注文して、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして野上君の質疑は終了いたしました。 次回は明二十七日午前十時開会することといたしまして本日はこれにて散会いたします。 午後零時十二分散会