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58回国会参議院1968/01/31

本会議 第3号

発言数
25
登壇者
14
会派数
2
開催日
1968/01/31

会議録

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略 いたします。     —————————————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。  去る二十七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。椿繁夫君。    〔椿繁夫君登壇、拍手〕

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表して、過日行なわれました政府の施政方針演説に、若干の意見を加えながら所信をただしたいと思います。  日米共同声明以来の佐藤総理の姿勢の大きな変化、エンタープライズの佐世保入港、そして日本海のただならぬ雲行き、そうした状況の中で、いま日本国民は、一体、日本は世界の中でどういう立場にあるのか、佐藤総理は日本国民を一体どこへ導こうとしておられるのか、国民は大きな不安に包まれているのであります。私は、そうした国民の気持ちを代表して、以下、総理の施政演説に対し、政治、経済、外交について重点的にお尋ねをいたしたいと思います。  質問に先立ち、まず最初に申し上げたいことは、このような国民の緊張と不安の気持ちに比べて、残念ながら先日の総理の演説はあまりにもそらぞらしく、総理御自身のことばではなく、他人のことばで語っているとの印象を国民はぬぐい去ることができないことであります。(拍手) 国会は単なるおしゃべりの場ではありません。どうか、国会におけるお互いの論議が実りあるもの、よくかみ合うものにするためにも、総理は自分のことばで自分の本心を語っていただきたいのであります。  総理は、国民の反発をおそれられたのか、施政演説の中で、国民の最も聞きたがっていたエンタープライズ入港問題について何一つ触れずに、ほおかぶりで通したのでありますが、このエンタープライズは現在、アメリカの情報艦プエブロ号捕獲事件で硝煙のにおいすらする元山沖に直行し、北朝鮮に理不尽な威嚇を加えているのであります。この衝撃的なニュースに、国民はあらためてエンタープライズ佐世保入港の重大な意味をかみしめているのであります。  そこで、具体的にお尋ねいたします。  エンタープライズの佐世保入港に伴うあの一週間、日本人同士が多く血を流すという不幸な事態が引き起こされたのでありますが、これはすべて、この「招かれざる客」の寄港を許した政府の重大な責任であると言わなければなりません。(拍手)現在、国民の間では、たとえ警官とデモ隊の間の衝突を非難する人を含めてさえ、エンタープライズの入港そのものを是認する者はきわめて少なく、むしろこれに不安と不快の気持ちを持つほうが大多数であることは、報道機関のこぞって伝えるとおりであると思います。(拍手)なぜ国民がこのように不安と不快と、強い反対をするのか。特に佐世保市民の示した反応は、とりもなおさず全国民のそれの縮図であると思うのであります。総理はそのことを真剣に突き詰め、虚心にお考えなさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  総理は、昨日の衆議院におけるわが党の江田副委員長の質問に答え、学生の暴力を取り締まるだけではなくて、その背景の意味合いを考えるべきは当然だと言われましたが、どういう意味合いがあるとお考えなのでしょうか。  この原子力空母は、申すまでもなく、太平洋におけるアメリカ核戦力の、そのまた中核をなすものであり、同艦がテリア・ミサイル等の核兵器を常時積載していることは世界の常識とされているのであります。このたびのグリーンランドにおけるB52機の墜落事故によって、戦闘行動に参加していない。パトロール中の飛行機にすら常時核爆弾が搭載されていた事実がその何よりの証明であります。しかも、これからベトナム作戦に出動するエンタープライズが、日本寄港に際して、わざわざ核兵器をおろしてくるだろうなどと夢想する者は、日本の政府以外にはだれもいないと言ってよいのであります。(拍手)  さらに、世界一周さえわけなくできるエンタープライズが、ハワイを出てから十日やそこらで、あらためて補給や休養をする必要があるとは、だれが考えてもばかげた話であって、現に、エンタープライズ艦長自身がそれをはっきり否定しているのであります。それなのに、歓迎されないことを知りながらやってきたのは何のためか。それがいわゆる日本国民の核アレルギーの治療のための佐藤総理の実験であることは、いまや多くの国民の見抜くところであります。  このいわゆる核アレルギー解消について、総理は、さきの臨時国会で、「核兵器は広島当時と比べて格段の進歩を遂げているから、国民はもっと勉強して正しい認識を持たなければならない。核には攻撃兵器もあれば、防御兵器もある。」と言って、あたかも防御兵器なら持ってもよいような発言をされているのであります。これは、広島、長崎で受けた日本国民の悲惨な体験から出発した日本国民の核兵器廃絶の願いを過敏症にすぎないといって、これを冒涜し、これに挑戦しようという許すべからざる発言といわなければなりません。(拍手)実際に二発の原爆を浴び、数十万の同胞が殺された日本人として、核兵器のおそろしさを痛感し、これに反対することは、過敏症でも何でもない、当然過ぎるほど当然のことではありませんか。(拍手)むしろ総理は、国民の過敏症を治療するのではなく、アメリカや日本政府・与党の中にある核不感症のほうを治療されてはいかがでしょうか。  以上、私はエンタープライズ入港に対して国民の抱いている不安と、政府の核不感症について触れてまいりましたが、しかし、私は、エンタープライズ寄港問題を安保条約との関連で見るとき、さらに深刻な政治問題を含んでいることを指摘せずにはおられません。  それは、第一に、このベトナム戦争の最大の犯罪船の寄港を許すことは、とりもなおさず、日本がアメリカの侵略戦争に一そう深く加担するだけでなく、作戦行動そのものへの直接の協力を意味していることであります。  第二には、日米会談以来の総理の居直った姿勢と関連してみるとき、 エンタープライズの入港は、佐藤内閣が一九七〇年を待たずして、核兵器の公然たる持ち込みを合法化し得る安保条約の新しい改悪を既成事実化しようとしたことであり、政府が核を肯定する腹を固めた証拠と見るからであります。(拍手)実に佐藤内閣は、日本の核武装について曲りかどに立っているのではなく、すでに曲りかどを曲ってしまったと言わなければなりません。と申しますのは、現行の安保条約を締結した六〇年の安保国会論議で、政府は、「事前協議で核武装は拒否する」「核武装した軍艦の寄港については、たとえ一時的なものであっても事前協議の主題となる」と、明確に答えているのであります。しかも、タスクグループだから事前協議の対象にならないという最近の有力な論拠も、エンタープライズ艦長の「明らかにタスクフォースである」という言明によって否定されているのであります。(拍手)とにかくエンタープライズは、これにまさる核装備の艦船はないのでありますが、政府があえてこれを事前協議の対象にしないというならば、今後日本に入ってくる軍艦、航空機に関して、核兵器搭載の有無を追及し、確かめる方法は一切なくなるのであります。そうだとすれば、アメリカの核兵器の持ち込みは全く自由となり、核を持たない、持ち込ませないという日本国の大原則、過日の総理の施政演説は、音をたてて崩壊し去ってしまうのであります。  このように見てくると、エンタープライズの日本寄港を認めることは、政府がいかに弁明をしようとも、日本が事実上核武装状態に入るという、わが国の平和と安全にとって決定的な転換を意味しており、佐藤総理は平和憲法の墓掘り人になろうとしていると言わなければなりません。(拍手)総理は、日本国民に深く謝罪されるとともに、日本の平和と安全と、かつ、日本国民の願いをとくと考え直し、二度と再びエンタープライズの寄港を許さないことを誓うべきであると考えますが、いかがでようか。  同時に、政府が寄港を許したエンタープライズは、日本国民の知らぬ間に、佐世保から北朝鮮沖に直接出動し、さらに第五空軍も、日本の基地から直接韓国へ集結を命ぜられ、すでに日本は朝鮮半島の紛争に対しその直接の当事国にさえなろうとしているのであります。このことは、安保条約第六条による事前協議制なるものが、あたかも政府の政治資金規正法のごとく、いまや政府の手によっていかに一片の空文に帰する運命にあるかを示すものでありますが、この朝鮮半島の危機に対し、総理の言われる平和解決とは、具体的に日本がどんな解決策を持っているのか、お示し願いたいのであります。  さらに、佐藤総理は、ベトナム戦争について、公正なる平和をはかるため一日も早く当事者が和平のテーブルに着くべきだと述べておられます。これは、ジョンソン大統領のサンアントニオ演説のていのよい翻訳のように聞こえますが、それとどこが違うのか。公正なる平和とは、具体的に一体どういう内容であるのか。非条理きわまるアメリカの北爆無条件停止こそがベトナムの平和的解決の第一歩であることは、今日、世界の常識であり、理性の声であります。総理は、北ベトナム・チン外相の提案をどうお考えになりますか。ワシントンでは、あれほどはっきりとアメリカの北爆を支持した総理は、いまでもそのとおり考えておられるのか、日本の総理大臣としてはっきりお答えを願いたいところであります。  次に、総理は、先日の施政演説において、「われわれは、核兵器の絶滅を念願し、みずからもあえてこれを保有せず、その持ち込みも許さない決意である」と言明され、木村官房長官も、これは一種の非核宣言であるとまで誇示されたのでありますが、国民は、さきの臨時国会における沖繩返還に対する総理の発言や、過日のエンタープライズ寄港に関連して政府のとられたもろもろの措置から見て、せっかくの佐藤総理の御決意を額面どおりには受け取りかねているのであります。いな、むしろ国民は総理の演説をキツネにつままれたような気持ちで聞き、全く逆のものではないかと疑心を抱いているのでありますが、この点についてお尋ねをいたします。  現在、国民が佐藤総理に対して抱いている素朴な疑念は、要するに、佐藤総理はここ両三年の間に日本国民を核になれさせ、他方では国防意識を鼓吹し、その上で沖繩の核基地つき返還を推し進め、ひいては日本本土の基地にも核兵器を配置するのではないかという疑心であります。そこで、お尋ねいたしますが、総理はイエスかノーか、はっきりお答えを願いたい。もしも、総理の言う、核を保有しない、持ち込みも許さないという決意がほんとうでありますなら、この国会において、わが党をはじめ野党各派が提案する非核武装宣言に率先賛成して、そのあかしを立てられるべきものと存じますが、はっきりお答えを願いたいのであります。(拍手)  昨日、衆議院の答弁では、すでに自分が三原則を含めて言っておるのだから、国会がそういう決議をすることには反対だと言われました。政府の意思に合致する趣旨の決議を国会が行なうことに、総理は一体どうして反対されるのでありますか。(拍手)何か困ることでもおありなんでし、ようか、お尋ねをいたします。また、総理の非核決意が本心であるとすれば、沖繩返還にあたっても、総理は核基地つき返還は認めない腹を固めたと受け取ってよいのかどうか。そのときになって考えるなどということは、一国の総理として許せません。それとも、総理の演説の中にある「沖繩返還については、安全保障上の要請を踏まえつつ、現実的な解決案を生み出す」という、その現実的解決とはどういうことでありますか。核基地つき返還もやむを得ないということなのか、はっきりお答えを願いたいのであります。(拍手)  われわれは、まず日本国が率先して非核武装宣言を行ない、沖繩を含む日本が、核でよごれていない、きれいな日本を一日も早く実現し、その上で世界に向かって核兵器不使用協定、あるいは核保有国が非保有国に対して核兵器攻撃を行なわないという協定、あるいはアジア非核武装地帯の提案などを行ない、核兵器の全面禁止に向かうべきであると考えますが、総理のお答えを聞かしていただきたいのであります。  この際、私は申し上げたい。総理は「国民一致してみずからの国をみずからの手で守る気概を持て」と言われましたが、私は「政府をはじめ国民一致して、核を持たない非核国家としてのみずからの国を、みずからの手で守る誇りと義務と気概を持て」と言いたいのであります。そして、そのこと以外に、みずからの国をみずからの手で守る道はないのであります。日本は確かに、日本の文化と近代的な科学技術や工業力によって世界に貢献することもできましょう。しかし、それ以上に、日本国民が国民的な権利と義務として持つべきものは、人類が核兵器によって滅びる道を阻止する努力であり、これこそ、日本国民の使命と言わなければなりません。まさに総理の言われる、核時代におけるわが国の威信、国際社会における名誉ある地位も、このことによって初めて生かされるのではありますまいか。  沖繩返還についても、総理は、安全保障の要請と返還の要請の二つの要請にこたえなければならないと、よく言われます。私は、この二つの要請は決して二律背反でも何でもない。すなわち、沖繩の核抜き返還こそ、日本の安全保障に通ずる最善の道であることを申し上げたいのであります。(拍手)  次に、佐藤内閣がエンタープライズの佐世保入港にあたってとった諸措置を見ていると、総理がアメリカで約束してきた日米共同責任時代という選択が、国内政治の面においても、日本国民にとっていかに重大なものであったかを、まのあたり思い知らされるものがあります。佐藤内閣は、佐世保警備のため大量の警察機動部隊を、佐世保に投入し、佐世保市民さえ目をそむけるような警察権力の暴力を許し、警棒の雨をデモ隊の頭上に打ち落とさせたのであります。佐世保市民が、学生の角材を非難するとともに、それ以上に機動隊の警棒と催涙弾の暴力にいかに非難の声を強くしているかは、総理すでに御承知のはずであります。それだけではありません。もともと政治活動を対象としないはずの凶器準備集合罪を適用して、戦前の予防検束にも似た事前検挙を行なったり、破壊活動防止法の適用を考えたり、さらにはデモ参加の学生から育英資金の受給資格を剥奪するという、全くおとなげないことまでやろうとしておるようでありますが、こうした一連の措置に対して、多くの国民は、戦前の暗い警察ファッショの時代の復活をおそれ、現憲法が規定した思想・信条・政治活動の自由が次第にほごになるのではないかと憂えておるのでありますが、総理はいかにお考えになりますか。  特に私は、この際、砂川以来、幾多の暴力不祥事を引き起こしている機動隊という特殊な実力行使部隊の存在を許すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。  以上のような政府の最近の言動を見るとき、総理が年頭に、ことしは「内政の年」と言われた、その内政とは、とりもなおさず、日米共同責任時代を遂行する内政にほかならないことが早くも明らかにされつつあるのであります。灘尾文相が「小学生にも国防または国の安全保障について教える必要がある」と発言したことは、多くの国民の背筋を寒くさせるものがありましたが、政府は、国防教育の必要を説く前に、平和憲法の浸透にいかほどの努力を注いできたのか、本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)  さらに、佐藤総理は、自民党の党大会に続いて、過日の施政演説においても、今年は明治百年に当たるといって、民族精神の高揚を唱えられております。おそらく総理の胸中には、明治の天皇制を頂点とした国民的統合と富国強兵の輝かしい歴史が去来しているのでありましょうが、この民族精神は、一歩誤ればシナ事変、太平洋戦争を引き起こし、日独伊三国防共協定となり、鬼畜米英となったのであります。その同じ民族精神によって、総理は、いまは親米を唱え、日米共同責任時代をたたえるという矛盾をおかしているではありませんか。(拍手)佐藤総理が、もしも民族精神や国家的意識の必要を説きたいならば、その根本的な基準は、戦争を否定し、基本的人権を確立した平和憲法に求めなければなりません。(拍手)平和憲法こそ、今日、国民を統合する唯一絶対の基準であります。  そのためには、まず第一に、日本自身を平和と民主主義の国となし、その上に立って、明治以来常にアジア侵略の基地であった日本を、アジアの平和の基地に転換させ、アジアの戦争の火を消しとめること、そしてその上で、進んで日本の工業力を、アジア民族の貧困からの解放に役立たせること、そこにわれわれの民族的使命感を見出すべきであります。アメリカと一緒になって、ベトナム民族にナパーム弾や毒ガス弾の死の洗礼を浴びせている政府が、あるいは、あれほど公約した政治資金規正法の改正一つだに実行せず、相変わらず黒い汚職事件に包まれている政府自民党が、どうして日本の若い青年たちに国民的理想を説教することができるでしょうか。(拍手)ちまたには、総理は国民の政治不信の声を、民族主義の鼓吹とすりかえたのではないかという批判さえ出ておるのであります。  私は言いたい。もしも佐藤総理が、それほど民族精神を鼓吹されるなら、なぜ、歴代自民党政府は、戦後二十年もの長い間、日本民族である沖繩県民を、異民族の支配に放置してきたのか。なぜ、佐藤総理はジョンソン大統領に、堂々と沖繩の即時全面返還の交渉をしてこなかったのか。その責任をほおかぶりして、民族精神を云々する資格なしとするものであります。  以上、私は日米共同責任時代のもたらそうとしている佐藤内閣の対米追随外交、国内政策について触れてまいりましたが、次に、同じような傾向が、国内経済政策及び四十三年度予算にも遺憾なく発揮されておることに対し、お尋ねしたいと思います。  御承知のように、日米共同声明の直後、世界資本主義はポンド切り下げの強襲を受けましたが、かつて一九四九年には、これよりもはるかに大幅の切り下げがあったにもかかわらず、そのときには二百九十八億ドルという史上最高の金準備を保有していたアメリカのドルによって、金平価を維持することができたのであります。だが、今回はアメリカの金準備が百二十億ドルまでに落ち込んでいることに、国際通貨体制の動揺が起こっておることは周知のとおりであります。こうしたドル危機はなぜ起こったか。それは言うまでもなく、年間二百五十億ドルにのぼるといわれる、ざるの中に水を注ぐようなベトナム戦費にあることは明らかであります。そうだとすれば、もしも佐藤内閣がドル防衛に協力するなら、まず第一に、アメリカに対して、ベトナム戦争をやめるよう直言をすべきではありませんか。西欧諸国がドル防衛にそっぽを向いているのは、ベトナム戦争を成算もなく拡大しながら協力を求めるのは、虫がよすぎるという考えによるものといわれております。ところが、わが佐藤総理は、残念ながらフランスのドゴール大統領とは異なり、日米首脳会談でこれに一も二もなく賛成し、国民には外貨の節約を説教しながら、本年初頭のロストウ米国務次官の三億ドルの協力要請に対しても気前よく即座にオーケーされたのであります。いずれにしても、こうしたベトナム戦争に起因するアメリカのドル危機の防衛に協力することは、とりもなおさずベトナム戦争への協力を意味しており、このような対米追随の経済政策と軌を一にしておるのが総理の言う明治百年の回顧であり、国防意識の高揚であり、核アレルギーの解消でありましょう。まさに佐藤内閣はドルと核との相合いがさで戦争への道を歩んでいると言わなければなりません。(拍手)現に総理自身、昨日衆議院における答弁の中で、日本はアメリカの核のかさの下にあると言っておられるのであります。総理は、「ただ酒を飲む気風を直す」などと言って、国民の肩に責任をかぶせる前に、アメリカの家庭の事情から発した要求をそのまま他人の家庭に押しつけようとするものにほかならないドル防衛の要求を断固として断わるべきだと思いますが、総理の見解をただしておきたいのであります。  ドル防衛と並んで注目されることは、佐藤内閣が最近にわかに「国を守る気概」なるものを強調し始めたことのほんとうの意味が、予算面に遺憾なくあらわれていることであります。財政硬直化というかけ声にもかかわらず、硬直化の主因である防衛費及び軍人恩給はまたも大幅に増額され、財源がないといって社会保障、住宅、中小企業対策費は軒並みに押えられ、老人や児童の福祉施設の食費はこの物価高の中で、一日たった二円しか上げないのに、防衛関係費と警察機動隊経費だけは大幅増額が認められて、大手を振ってまかり通ろうとしておるのであります。そうして、財政硬直化のキャンペーンによって最大の犠牲をこうむったのが、ほかならない社会保障、住宅、生活環境など、かつて総理得意のキャッチフレーズであった社会開発関係の予算なのであります。  さらに総理が、施政方針で来年度の政府の重要な政策目標だとうたった物価対策はどうでしょう。政府は、その租税対策で四十近くもある特別措置をほとんど手をつけないで、酒、たばこや、通勤地獄の最も被害を受けている通勤通学者の定期代値上げという大衆のふところをねらった増税で埋め合わせようとしておるのであります。これらは、いずれも物価の上昇に直接響くものばかりではありませんか。そうして、何よりも問題なのは米価でありましょう。補正なしの総合予算といえば聞こえはよいのであるが、実際には所得政策のにおいのする公務員賃金の固定化と、生産者米価の引き上げ分をそのままスライドして消費者米価にかぶせることであり、この米価引き上げの波及効果を考えれば、この一事だけをもってしても、物価対策はたな上げされたと言っても過言ではありません。その上、こうした公共料金の値上げが、私鉄、バス、タクシー、水道、私学授業料等の値上げを誘発することは必至で、まさにこの予算は、物価安定予算ではなく、政府主導による物価値上げ予算と言わなければなりません。それでも、総理は、四十三年度の消費者物価値上げ率を、政府の言い分どおり四・八%に押える自信がありますか。それとも、四・八%とは、実は米価をはじめ、酒やたばこの値上げは計算に入れていないことを正直にお認めになりますか、お聞かせ願いたいのであります。  政府は、来年度予算において、所得減税一千五十億程度の減税をやったということを宣伝いたしております。けれども、この減税にも浴することのできない広範な低所得者層のあることを忘れてはいませんか。総理は、人間尊重の看板を、去年高く上げられました。これは選挙の多くあった去年だけの看板で、ことしは、もう古くなったので、おろされたのでありますか。人間尊重の政治は一体どこに行ったのでありましょう。  さらに総理は、三月危機を伝えられる中小企業対策について一言も触れていないのであります。政府予算及び財政投融資で示された程度の増額では、今日の中小企業のきびしい環境にとっては全く焼け石に水と言わなければなりません。おそらく、一月から三月の間に借り入れ申し込みは昨年の三倍になり、一方、貸し出しは銀行の窓口規制によってふるいにかけられ、四十二年度八千二百件、四十三年度はおそらく一万件をこえるだろうといわれる倒産の旋風に吹きまくられる中小企業に対して、政府関係三公庫に大幅に融資ワクを広げるとともに、その組織化と協業化の強力な指導が望まれる情勢であります。この機会に所信を伺っておきます。  総理は、過日の演説の中にも触れておられましたが、万国博覧会は二年後に迫っております。全体として、その準備がおくれております。  私は、まず、参加招請国についてお尋ねしたい。万国博は、思想やその国の社会体制の相違にこだわらず、また、工業や文化の発展の隔たりを越えて持たれる世界的な祭典でなければなりません。しかるに、政府及び万博協会は、今日まで外交関係の樹立されておる国にのみ呼びかけを行なって、みずからその参加の範囲を縮小しておるのであります。二十五カ月後に迫った現在、なお二十二カ国と一政庁の正式参加にとどまり、ことにアジアで初めて開催される万博に中華人民共和国の参加しない現状はその意義を半減するものであります。不幸にして戦火の中にある北ベトナムや、あるいは北朝鮮に対しても同様に参加を招請する外交の姿勢を持つべきであります。政府は、これら諸問題を解決し、円滑なる推進をはかるため、内閣に直属した万国博推進対策本部を設け、各省庁にわたる広範な業務を一元化する御意思はないのか。  以上、私は総理の施政方針の全般にわたり質問を続けてまいりましたが、最後に一言申し上げたい。確かに施政演説は美文調を出すのに苦心のあとが見られます。しかし、国民が努力してほしいと願っておるのは形容詞ではありません。実行であります。政府の任務はお説教ではなく、みずから実行することであります。  以上つけ加えまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 椿君にお答えいたしますが、たいへん広範にわたり、また詳細にお尋ねがございました。私はその要点をつかまえて申し上げますので、その他の部分につきましては、また他の機会にひとつ譲らせていただきたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、わが国の基本方針はよくわかっておると思います。しばしば申し上げますように、自由を守り平和に徹する、これがわが国の国是である。われわれはその意味においていかなる国とも仲よくする、それには相手もわれわれの独立を尊重し、内政に不干渉、こういうことで、共存の状態で国交を進めていこう、つきあいを進めていこう、これが私どもの基本方針であります。しかし、この基本方針につきまして、十分まだ御理解をいただいておらないようでありますから、以下幾つかの問題が提起されたように思います。どうかただいまの基本的方針、これは変わりがない、今日も厳正にこれを守っておる、かように国民の皆さまの御理解をいただきたいと思います。  そこで、私どもはただいま、わが国の安全を確保する方法、これは一体どうしておるか。私が申し上げるまでもなく、平和憲法のもとにおいては積極的な軍備を持たないというのが、わが国のたてまえであります。しかし、平和憲法も日本の自衛権は否定しておらない。したがって、私どもは、この自衛の範囲において最小限度のただいま自衛力を持っておるというのが現状でございます。この現状で私どもがこの国の安全を確保していくことがはたしてできるかどうか、ここに問題があるのであります。社会党の諸君は非武装中立論、それこそが安全確保の道だと言っておられます。なるほど日本の国が非武装で、同時にまた中立であるということ、これは日本の国の態度としては一応考えられることかもわかりません。しかしながら、そのことは同時に他の国もそのことを守ってくれなければ困る。これは私が先ほど申すように、どこの国も独立を尊重し、お互いに中立、内政に干渉しない。これではじめてこの非武装中立は守られる、また、そこに平和が維持できる、かように私は思います。したがいまして、私どもは現実の問題として、現実の国際情勢にこの国が処していく、その上で日本の安全を確保するためには、どうしても一国だけで安全は確保できない。この意味においては、ただいま志を同じくする米国との間に安保条約を結んで、それで私どもの安全が確保されておる。これが基本的な態度であります。(拍手)この点につきましては、国民の大多数の方々は十分理解しておられまして、この安全保障条約のもとにおいてわが国の平和があり、今日の繁栄がもたらされておる、かように国民の大多数の方は信頼しておられます。  そこで、ただいまエンタープライズが佐世保に入港した、こういうことでたいへんな問題をつい最近起こしました。しかし私は、このエンタープライズの佐世保入港は、安保条約が有効に働いておることのあらわれであると思いますし、また、安保条約そのものが必要だと思います。そこで大事なことは、私どもが核武装について堅持しておるいわゆる三つの原則——核は製造しない、保有もしない、持ち込みも許さない。この三原則に、エンタープライズの入港が、これを修正することになっておるかどうか、こういう問題であります。私は、このエンタープライズが入港することによって、核に対する日本の三原則、これに支障を来たすようなことがあったら、これはたいへんだと思います。日本のこの主張は、アメリカ政府も十分知っております。また、日米安全保障条約、これでは、あるいは重要なる装備の変化があるとか、あるいは特別な軍隊の増強があるとか、こういう場合には事前協議ということになっております。その事前協議にかからない問題、その範囲においての入港、これは私どもが拒否する筋ではございません。したがいまして、アメリカ自身が日本の主張を百も承知であって、安全保障条約に違反せず、これを厳正に守るという立場において、ただいまエンタープライズが入ったのでありまして、これは核装備していないということを、私どもは確信するのであります。この点は、ただいま申し上げるような論理から十分確信ができるのであります。そうしてエンタープライズは他の航空母艦と何ら違わないのでありまして、ただ推進力が原子力であるというだけであります。したがいまして、他の航空母艦等がわが国に入っておるのと、エンタープライズが入っておるのは、原子力の推進力の相違だけでありまして、その他の点では同一であります。したがいまして、私は、事前協議の対象とならない、かように思います。  そうして佐世保から出ていきまして、ただいまは朝鮮水域のほうに向かっておるということ、これがいかにも事前協議の対象にしないことが間違いであるかのようなお話でございますが、領海外のできごと、これについては事前協議の対象にならないのは御承知のとおりであります。したがいまして、こういうことが事前協議の対象にはならない。また、ベトナム戦争に対する基本的な態度におきましても、これらの点は変わりがないのであります。  そこで、私は、いずれ後ほど詳しく申し上げますが、これらのエンタープライズの入港について、一部学生からいろいろの暴力行為が行なわれた。これは私は、まことに遺憾であります。世論もまた、これについてはきびしい批判をしておりますから、皆さん方も冷静にこの事態を見ていただきたいと思います。  なお、この背後の意味合いについて、一体どういうように考えるか、衆議院の答弁についても、それを考えると言ったから、ここで答えろというお尋ねでございます。私は、今回の学生の行動等は、どうも理解いたしかねております。どうもエンタープライズが入ったことによって、反安保条約闘争が始まっておるのではないだろうか、また、もう一つの問題は、これは理解ができないわけでもありませんが、いわゆる戦争反対、ベトナム戦争反対だ、こういうことではないかと思います。しかし日本国内で、日本が参加してない戦争について、暴力までふるってその反対意思を表明するデモをするということは、どうも私にはわからないのであります。こういう点は、日本自身が戦争はしていないのでありますから、そういう点がどうもわからない、これは十分さらに説明が願いたいのであります。  私は、核アレルギーの解消の問題につきましていろいろ考えております。申すまでもなく、これからの時代はいわゆる核時代に当面しております。核は、いわゆる兵器としてこれは持たないということ、いわゆる核三原則というもの、これはわが国の原子力基本法でも、はっきり兵器としては使わないということを言っている。しかしながら、平和利用、これについては、公開の原則のもとにおいてうんと進めなければならないと思います。これから先は核の時代だ、もしも正しい知識を持たないで、そして核の時代に核アレルギーで、これにさわらないようなことをしたならば、私どもは、わが国が取り残される、これはたいへんなことだと思います。そこで、最も皆さん方にも御協力を願いたいと思いますのは、原子力平和利用について、基本法に御賛成いただいた皆さん方であります。私は今日も変わらないと思います。ところが、その考え方である皆さん方が、どうも平和利用と軍事的利用を混同されるような議論をされる、この混同だけはひとつはっきりやめていただきたい。今日、原子力平和利用、これは必要なことだ、われわれは軍事的には、使わない、持たない、持ち込みを許さない、このことをはっきり申しまして、この混同をしないようにしていただきたい。この混同がありますために佐世保のような問題が起きた、かように思います。私は、われわれの核不感症をひとつ是正しろという御注意でありますが、ただいま申し上げるように、核アレルギー、何でも核と言えば心配だというような、こういう考え方は、ひとつ解消していただきたい。私どもが言うように、軍事力、これはいかぬ、しかし平和利用にはさらに積極的にこれに突き進んでいく、でなければわが国がおくれる。ただいまこの平和利用の面ではたいへん私どもが想像する以上に発展いたしておりまして、各方面で使われております。これらの点については、また他の機会に申し上げたいと思いますが、これらの点でおくれをとらないようにしなければならないと思います。  それからもう一つ、ここで問題になりますのは、いまのお話にもありましたが、エンタープライズが入る、あるいはそういうことでいわゆるアメリカの核戦略体制の一翼をになうことになるのではないか、こういうことであります。ここはひとつ冷静に考えていただきたい。私どもは、積極的に他国に脅威を与えない自衛力だけは持つ、それより以上は一歩も進まないというのが、憲法の定めであります。したがいまして、いま言われるような核戦略体制の一翼をになうものではない。しかし、アメリカ自身が核を持っておる、この事実は私どもは否定はいたしません。したがいまして、皆さん方が、そういうような核を持っているようなアメリカと安全保障条約を結ぶことはたいへんだ、だから反対だとおっしゃるのは、それは一つの理屈でありましょうが、いまの世界は、核も一部にある。そういうことで、わが国の安全を確保する、そのためには、私は日米安全保障条約が絶対に必要だと、この点を皆さんにも申し上げておきます。  また次に、タスクグループ云々の議論がございました。これはたいへん技術的な問題になりますので、他の機会に説明を譲らしていただきます。  そこで、ただいま大事なことは、何といっても核兵器に対する三原則、これを十分守っていくことであります。そこで、このエンタープライズが入ったことにつきまして、ここに非常な疑問をなお持っておられるようであります。私は、これらの点について、さらに皆さん方が納得がいくような処置がとれるならば、この上とも検討してみたいと、かように思っております。(「国会の決議をどうするんだ」、「それを説明したらどうだ。できないだろう。ごまかし答弁だから、できないだろう。」と呼ぶ者あり)後に出てまいりますから、そのときお答えいたします。  次に、韓国の事態についてお尋ねがありました。私は、三十八度線をめぐっていわゆる休戦協定ができております。この休戦協定が順守されることが、まず何よりも必要ではないかと思っております。今日三十八度線を越えてゲリラが韓国の都にも入ってくる、こういうような事態、これは休戦協定自身が順守されてない証拠であります。また、プエブロ拿捕の問題につきましては、アメリカの主張等を伺っておると、何だかこれは公海内のできごとのようでもあります。とにかく、一日も早く、すみやかに乗り組み員や軍艦が釈放されて、そうして平和に安定することを心から願っております。  次に、チン外相の今度の提案についてのお尋ねがありました。私は、今回の外相の提案は、やや在来のものと違っておるようだ、こういう意味で期待をかけたものでございます。しかしながら、その後あまり進行しておらない。とにかく、ただいまベトナムに平和がもたらされることは、国際的にみんなが期待し、望むところであります。そうして、この際に、公正なる平和を一日も早くここにもたらすようにこの上とも努力し、また、チン外相その他の関係者のこれらについての努力を期待いたすものであります。  次に、非核武装宣言に賛成かどうか、イエスかノーか言ってくれということでありますが、この前——昨日衆議院でも申しましたように、私は反対であります。御承知のように、私はすでにたびたび政府声明をしておりまして、この必要はない、かように考えておりますので、私は反対であります。とにかく皆さん方も現実論に立って、そうして政治は現実だ、こういう意味から十分これらの問題も判断していただきたいと思います。  次に、ただいまお話しがありましたが、私が、国民一人一人が民族興隆をはかる、また国を守る気概を持つことを呼びかけております。私は、どんな状態であろうとも、条約がいかに整備されようとも、また、いかに考え方がまとまっておろうとも、やっぱりこれらのものを実施するのは、これは結局一人一人の人だと思います。人こそが真に国を守り、真にこの国を興すという気魄がない限り、その国は決してよくならないと思います。福澤諭吉翁は、その意味において、明治初年において、「独立の気力なきものは国を思うこと深切ならず」、かように喝破しておられます。私は、「独立の気力なきもの」、これは一体どういうことか。これは他人にたよるということであります。私は、他人にたよるというようなことではいかぬと思います。しかし、私は誤解されては困りますが、わが国の国防、これは他人にたよらざるを得ないいま状態であります。これはわが国の憲法から申しまして、また、わが国の国力から申して、また、日本の民族から申しましても、平和に徹する考え方でございますし、いわゆる核兵器は持たないという考え方でありますから、ここで私は、集団保障方式、ここにおいて何ら不名誉なことではない、かように考えております。  次に、いわゆる三派系全学連の昨年の二度にわたる羽田事件に次いでの佐世保の問題であります。これにつきましては、先ほど簡単にお答えいたしましたが、たいへん詳しく社会党の方もこれを批判していらっしゃるようであります。私は、まず第一に理解していただきたいことは、政府を担当する者は、国民全体のために社会の秩序を守る責任があると思います。これは国民に対する政府の責任であります。また同時に、ただいまは思想の自由あるいは表現の自由、かようなことは私どもも否定するものではありませんが、暴力だけはこれを否定いたします。どんな場合でも、暴力だけはやめていただきたい、このことは大事なことであります。この二つの立場から今回の事件を見ますると、いわゆる警官の行き過ぎというものはございません。私は、この程度の、このあり方、この警備がありましてこそ、初めて社会の秩序は維持されたと思います。(拍手)国民大多数も、純真であるべき学生の運動に対しまして批判的であるのは、この点であります。彼らが暴力を用いたからであります。私は、この点はまことに遺憾に思いますので、今後とも、学生諸君も、純真なる行動——その思想は自由と申しましても、暴力行為だけはやめる、これは皆さんとともに、右翼も左翼も、暴力だけは排撃することを誓おうではございませんか。これを申し上げておきたいと思います。私どもが今日、民主国家として自慢のできますのは、法秩序を守る、そういうことであります。この法秩序を破壊するような状態でありましては、これはもう近代国家ではないことになります。この意味におきまして、いわゆる警察隊その他がない事態が必要だろうとは思いますけれども、ない事態が起こればたいへんけっこうだと思います。ただいまの状態では、そういうことではないように思います。  次に、明治百年について、いろいろ御批判がありました。明治百年こそは、いろいろ政府の考えは復古調ではないか、あるいは懐古趣味ではないか、こういうような御批判でございます。私は施政演説でもはっきり申しましたが、明治百年の意味するものは、復古や懐古趣味ではないのだ、過去の成果を十分考え、今後の百年、そのスタートに立ったわれわれが、これをいかに生かしていくかということ、それを考えることが今後にあるのだということを強く呼びかけました。この考え方を十分貫いてまいりたいと思います。  また、政治資金規正法についての御意見もございました。今度は、私は、政治資金規制につきましても、過去の議論の経過等を考え、十分検討して提案するつもりでおります。  次に、ドル防衛の問題についてのお話がございました。ベトナム戦争の経費をやめれば、ドルは助かるじゃないか。それは確かに、この戦費も、ドルのいま困っている状態でもあると思います。しかし、それにはそれの理由がございますから、これだけをやめろ、こういうわけでもないだろうと思いますが、また、アメリカは、それ以外にも膨大な海外援助をいたしております。これは地域の繁栄に重要な貢献もいたしておるのであります。だから、これはただ単にアメリカだけでやるという問題でなしに、ただいまの状況は、国際通貨制度のあり方から見まして、ドルこそは、信用保持のその基盤でもあります。世界経済の繁栄につながるものであります。こういう意味で、わが国自身も、国際通貨制度を維持する、こういうような意味におきまして、利害は相一致するものでありますから、わが国としてできることはやはり協力するという考え方であります。しかし、わが国の力以上のものを私はする考えはございません。その次に、予算についてのお話がありました。社会開発は軒並みに押えられて、そういう意味で人間尊重の看板はおろせというお話でありますが、今回の予算編成におきましても、いわゆる生活扶助、社会福祉費その他のものは、予算全体の伸び率が一一・八でありますが、しかし、これらの問題につきましては、それぞれの必要度を考えまして、いわゆる予算の平均伸び率よりも商い伸び率を示しております。これらの詳細はいずれ予算委員会において詳しく討議、御研究をいただきたいと思います。また、恩給費の増額についてお触れになりましたが、恩給費の増額、これはその後の経済水準の上昇にかんがみまして、他の諸施策とのバランスを考慮してやったのでありまして、特に恩給費だけあげて通したというようなものではありません。  次に、消費者物価と公務員給与についてのお尋ねがありました。いわゆる四・八の上昇率を目標といたしております。これを維持することはなかなか困難だと思います。政府は特段の留意をしなければならないし、また国民の協力も得なければならないと思います。しかし、目標を立てた以上、これに最善を尽くしてまいるつもりであります。一部公共料金等の引き上げがあります。国鉄の定期、あるいは酒、たばこ等の値上げがございますが、これも最小限度にその引き上げをとどめたつもりであります。これらの点についても十分御批判も、また御審議もいただきたいと思います。とにかく、今回の予算で私どもが特に変わった点として申し上げるのは、いわゆる総合予算主義をとったことであります。これはしかし、公務員の給与を抑制するというような意図ではありません。また、米価等につきましても特別な考え方を持ったものではない。この総合予算主義が、今後の予算編成として当然行くべき道であるように私は思います。また、予算自身が今回は物価値上げの予算だと、こういうようなお話がありましたが、しかし私は、今回の予算を通じ、長い目で長期的に見ていただくならば、物価は鎮静をしていく、このように御了承をいただきたい。  中小企業対策につきまして、これも十分私どもは考慮した。税制、金融等におきまして考慮し、あるいは経営上の指導も十分いたすつもりであります。これらの点について万全を期してまいるつもりであります。(「何をやる」と呼ぶ者あり)組織化、協業化についてでございます。  次に、万博についてのお尋ねがございました。万博の建設費は、会場建設は三分の二という高い国庫負担であります。また、その他の関連施設等におきましても万遺憾なきを期して、地方民の負担をできるだけ軽減するような処置をくふうしております。そこで参加国について、わが国と国交のない国々をひとつ招致したらどうか、こういうお話でございますが、これはなかなか困難であります。だだいまのこの日本万国博は、国際覧会に関する条約、この条約に基づいて開催されるものであります。したがいまして、いわゆる外交ルートを通じてお話をするのであります。遺憾ながら外交のない国々は、ただいまここに招待することはまことに困難であります。御了承をいただきたいと思います。また、何ぶんにも大きな事業でありますだけに、あと二カ年ということでたいへん心配してもおりますが、しかし、あらゆる面で私どもは最善を尽くしておりますので、ただいまのところモントリオール博覧会に負けないような、その規模、参加国——そしてりっぱなものをつくる、そういうことをいま努力の最中であります。ただいま御提案になりましたように、各省緊密な連絡会議を持ったらどうか、これなども一つのくふうでありますが、実際にただいま通産大臣が担当大臣となり、さような意味での推進をいたしております。したがいまして、これらの点ではまず御期待に沿えるのではないか、かように思います。  また、施政演説について一般的な御注文がございましたが、これは次の機会に十分考えさせていただきたいと思います。(拍手)     —————————————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 増原恵吉君    〔増原恵吉君登壇、拍手〕

増原恵吉自由民主党

○増原恵吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面の重要問題につき、政府の所見を承りたいと存じます。  明治改元以来百年、今日維新の宏業を思い、多難なりし国の歩みを顧みますると、感慨まことに深いものがあります。今日から見ますると、明治御一新はさしたる困難もなく成就されたかのように回顧する向きもありますが、    〔議長退席、副議長着席〕 至難をきわめた当時の内外情勢のもと、よく国の進路を誤ることなく封建社会より近代社会への転換をみごとになし遂げた先人の労苦は、想像にあまりあるものがあり、その達見と英知は深くわれわれの学びとらなければならぬところであると思います。  とりわけ看過してならないことは、維新の大業に身命をなげうって奔走した人々の多くが二十代、三十代の青年であったということであります。私は、今日の青年が、おしなべて覇気に乏しく、卑俗な現実主義におちいっていると申すものではありません。私は、英知と勇気に富む頼もしい青年を数多く知っております。しかし、総理も申されましたように、科学技術の急激な進歩に伴なって、人間の尊厳が見失われ、精神の衰退を招く傾向があることも事実であり、青年の一部には、明らかにそうした傾向に影響されたものがあることを、残念ながら認めなければなりません。教育に課せられた使命は、今日もまことに重大であります。  教育の現状を見まするに、よくその使命にこたえているかどうか、疑いなしといたしません。教育界の一部には露骨な偏向教育が見られ、学生の中には、羽田事件、佐世保事件に見られるような、もはや学生とも言えない暴徒の群があり、大学の自治機能は、あやまれる民主化の名のもとにゆがめられております。教育の姿を正し、総理の言われる「民族のすぐれた伝統に支えられた人間形成」が行なわれて初めて、わが国の将来を双肩にになう能力と気迫をもった青少年の育成が可能であると考えるのであります。(拍手)教育のあり方について、重ねて総理の御所見を披瀝せられたいと存じます。  次に、わが国の安全保障と外交の諸問題についてお尋ねいたします。  敗戦の痛手を受けて、経済的には三流国、四流国のみじめな地位に転落したわが国が、今日、国民総生産において、米ソに次ぐ世界第三の地位を占むるほどの復興発展を遂げたことは、世界の人々の目に、世紀の奇跡と映じておりますが、この奇跡は、何よりも、われわれ日本人が、民族固有の勤勉と創造力を発揮して、二十余年の間、営々たる努力を重ねてきた結果にほかなりません。しかし、日本国民のこの努力が実を結ぶについては、それを可能にした条件ないしは環境というものを、無視することができないのであります。申すまでもなく、それはこの二十有余年の間、われわれが平和と自由を享受し得たということであります。このことはわれわれが日米安全保障条約のもとにわが国の安全がしかと守られてきたということであります。日米安保条約は、日米両国の友好と信頼を基礎とする条約であります。この条約に守られ、国民が、国の安全について何らの不安を感ずることなくその業にいそしむことができたということ、それこそが今日の隆盛を可能にした基盤であります。(拍手)  サンフランシスコ条約に反対し、いわゆる全面講和を主張した人々は、この条約によって日本は外交的に孤立すると予言し、昭和三十五年に安保改定に反対した人々は、これによって日本は戦争に巻き込まれると予言しました。しかし、これらの予言は、事実によってそのあやまりが証明されております。われわれは、孤立化することもなぐ、戦争に巻き込まれることもなく、平和と自由を享受して今日に至っております。  平和の中に生きるものは、とかく平和のありがたみを忘れがちであります。わが国の平和、わが国の安全保障について、国民の中に必ずしも理解が十分に行き届いておらないかのうらみがあり、一部になお非武装中立論のごとき幻想にくみする者のある現状は、まことに遺憾であります。総理が、国民みずからが国を守る気概を持つべきことを強調せられ、文部大臣が国防についての関心を痛めるごとき教育の必要を説かれるゆえんもここにあろうかと存じ、全幅の賛成をいたすものであります。(拍手)この機会にわが国の安全対策に関して総理の真意の存するところをさらに明らかにせられ、同時に、一九七〇年以後も、相当長期間にわたり日米安全保障条約を存続せしめることについて、重ねて総理の明白な決意をお示し願いたいと存じます。  日米安全保障体制に反対する一部の人々は、条約廃棄のための一大闘争を展開しようとしております。羽田事件、佐世保事件のごときは、そのまさに運動の一環であります。この運動は、しかし、凶器をふるい、集団の暴力をもって基地に侵入するなど、犯罪行為をも辞せない過激なものでありまして、それはデモあるいは学生運動とはおよそ無縁のものであります。これに対し断固たる取り締まりを行ない、法秩序の維持につとめることは、もとより当然のことであります。(拍手)  日米安保条約を存続せしめるにあたり、私は、大切なことは、この条約の意義、その必要性について、国民の多数にさらに徹底した認識を持ってもらうことであろうと思います。条約存続についての国民的合意を取りつけるために、政府としていかなる施策を講ずるおつもりでありますか、総理の御所見を伺いたいと思います。  安全保障の問題を論ずるにあたりましては、核兵器の問題を回避するわけにはまいりません。核兵器はまことにおそるべき兵器であり、核兵器の廃棄は、すべての人々の望むところでありましょう。しかし、今日世界の平和が核兵器の持つ戦争抑止力によってささえられているということは、いなみがたい事実であります。ヨーロッパの諸国もアジアの国々も、集団安全保障体制のもとで、米ソいずれかの核のかさのもとでその安全を保っております。  わが国はみずから核武装をせず、核の持ち込みは許さないという方針をとっております。しかし、このことが国民の一部をして、わが国の安全が核のかさのもとで守られているという現実を忘れさせているようであります。いわゆる核アレルギーといわれるものも、この現実に対する認識の不足に発しているのではありますまいか。エンタープライズの寄港に対する国民一部の反応の中にも、私はまたそれを感じるものであります。われわれは核を重視し、その意義をしっかりとつかんでおらなければなりません。  核兵器に対する恐怖感は、核エネルギーの平和利用にまでも及んでいるのであります。世界の科学技術進歩の将来を思えば、核エネルギーの平和利用の研究開発と実用化にこそ積極的に取り組まなければならないと思うのでありまして、総理の御所見を伺いたいと思います。  次に、ベトナム問題についてお尋ねいたします。  ベトナム戦争の本質は、私は、東南アジアの諸国にその勢力圏を拡大しようとする共産側の武力浸透に対して、これを阻止しようとする自由世界の防衛であると考えます。単なるベトナムにおける内戦と見るべきものではなく、また、民族独立の戦いと見るべきものでもありません。北側の武力浸透によって、もしベトナム全土が共産側の手に落ちるならば、東南アジアの諸国に対する共産側の影響力はにわかに増大し、極東における東西の力の均衡は破れ、それは極東の平和にとって重大な脅威をもたらすものであります。  もとより、ベトナム戦争を終息させ、できるだけ早く和平を招来することが望ましいことは、多言を要しません。ベトナム和平については、アメリカも北ベトナムも、それぞれ独自の提言を行なっておるようでありますが、両者の提示する条件には相当な開きがあり、これという進展も見られない現状は残念であります。外務大臣の提唱せられる東西六カ国の相互保証については、諸外国はいかなる反応を示しているでありましょうか。何らか具体的な進展を見たでありましょうか。  私は、ベトナムの和平が達成せられる場合には、さきに申しましたようなベトナム戦争の本質にかんがみて、北側の透浸を防遏するに足るだけの十分な保証を備えた和平でなければならないと信ずるものであります。外相の御所見を伺いたいと存じます。  沖繩・小笠原の本土復帰につきましても、沖繩・小笠原を含めたわが国の安全ということが一つの要件として考えらるべきことは当然であると思うのであります。小笠原は、すでに返還が決定いたしました。沖繩についても、われわれは返還の日の一日も早からんことを熱望するものであります。私が安全保障に言及するゆえんは、返還の後、沖繩を含めた日本全体の安全保障に少しでも不安を残すようなことがあるならば、それはひとり日本本土の国民だけでなく、沖繩の住民にとってもこの上ない不幸なことだと信ずるからであります。  沖繩の即時無条件返還を主張する人々の背後の意図は、実は日米安全保障条約の廃棄にあると思います。条約の廃棄が、沖繩を含めた日本全土の安全を危険にさらすことを思うとき、この人々の主張は、沖繩住民の利益のためと称しつつも、実は沖繩住民の安全を度外視し、沖繩住民の利益に反する無責任な主張であると言わなければなりません。(拍手)  沖繩返還に関する日米間の今後の交渉にあたっての総理の心がまえをお聞かせ願いたいと存じます。  ひるがえって、北方領土の問題につきましては、歴史的に見てこれがわが国固有の領土であることは、いまさら論議の余地のないところであり、その早期返還は全国民の強い要求であります。(拍手)沖繩の即時無条件返還を叫ぶ人々が、北方領土の即時無条件返還を唱えないのは、奇怪と言うほかありません。(拍手)コスイギン首相の「中間的なもの」はその後どうなりましたか、日ソ両政府間の交渉はどのように進められているか、経過並びに今後における外相の交渉方針をお聞かせ願いたいと存じます。  次に、経済協力の問題についてお尋ねいたします。  私ども、東南アジアの諸国を回ってみますると、それらの国の有力者から常に聞かされることは、明治以来百年、極東のびょうたる小国から今日の大をなすに至ったわが国力の発展に対する賛嘆と尊敬のことばであり、同時に、このような先進国が発展途上国に与えている経済援助がその国力に比して少な過ぎるのではないかという不満の声であります。  総理は、施策方針演説の中で、南北問題の重要性を強調せられ、発展途上国に対する経済協力に今後一そう努力する旨を述べられました。東南アジア諸国の人々は、総理の決意を聞いて、力強い思いをいたしておると存じます。  いま、わが国は、国際収支の逆調に悩んでおり、国民所得の一%を経済援助に回すという目標をいま直ちに達成することは困難でもありましょう。しかし、この目標に向かって努力することは、日本の平和と繁栄のためにも緊要なことと信じます。さしあたり、来年度のわが国の経済援助は、どの程度に拡大されるのでありまするか、お聞かせ願いたいと思います。  次に、経済と財政の問題についてお尋ねをいたします。  第一は、内外の経済動向と、これに対処する対策についてであります。欧米の工業諸国の経済は、昨年の夏から秋にかけて、ようやく停滞状態を脱して景気上昇の機運を示しましたが、昨年十一月には、ポンドの平価切り下げが行なわれ、ロンドンの金相場が暴騰し、アメリカから大量に金の流出を招くに至り、ドル不安が口にせられるようになりました。アメリカは、ドル防衛のため、きびしい一連の対策を実施しようとしております。ドルの先行きはどういうふうになるのか、国際通貨の将来はどうか、アメリカ、イギリスなどの引き締め政策は、世界経済の今後の動向にどのように作用をするか、全般的にデフレの基調に推移するものか、そして、それはわが国の貿易、国際収支にどの程度の影響を及ぼすか、われわれは重大な関心を抱かざるを得ぬのであります。これらの点について、政府の見通しをお聞かせ願いたいと思います。  一方、わが国内の経済を見ますると、昨秋以来、引き締めの措置を講じてきたにもかかわらず、個人消費は堅調であり、民間設備投資もなかなか衰えを見せません。国際収支は赤字を続け、外貨準備も十七億ドル台にも落ち込むのではないかと観測する向きもあります。日本銀行が公定歩合の再引き上げを行ない、引き締めの強化に踏み切ったのも、やむを得ざるに出たものでありましよう。  財政面におきましても、四十三年度予算は緊縮を旨として編成されております。財政と金融と両者の円滑な運営によって、所期の効果を発揮することを期待してやまないものであります。  一面、財政面からの景気抑制は不十分であって、金融面に負担がかかり過ぎるという批判をしばしば耳にするのでありますが、政府の所見はいかがでありましょうか。  景気の動向いかんによっては、四十二年度と同じく公共事業の繰り延べを必要とすることになるおそれはないか。新年度の公共事業費は、例年にない低い伸び率に押えられていることでもあり、もしそのようなことになりますと、ようやく立ちおくれを取り戻しつつある社会資本の充実に支障を来たすのではないかと憂慮にたえないのであります。見通しはいかがでありましょうか。  新年度の予算編成にあたって、問題になりましたのは、財政の硬直化であります。新年度予算においては、一省一局の廃止、官庁定員の削減のほか、補正要因を除く意味で人事院勧告に備えて相当額を予備費に組み込んだこと、これ以上の繰り入れば行なわないたてまえで、食管会計の赤字補てんを行なったことなど、種々くふうのあとが見られるのでありますが、財政の硬直化については、これで打開されるのでありましょうか。財政の硬直化を打開するためには、既存の諸制度について徹底的な再検討を加え、一切のむだを排除することが最も肝要であります。この点は総理はじめ関係大臣が力説せられた点でありまして、まことに同感であります。  戦後二十数年の間、わが国の社会、経済は目まぐるしいほどの変化を遂げてまいりました。各種の制度が新たに設けられ、あるいは改変せられて今日に至ったのでありますが、これらの制度のすべてが今日なお存在理由を持っているかどうか、すでにその使命を果たし、形骸をとどめるにすぎないようなものはないか、従来からの惰性で続けられている行政事務はないか、各省庁の事務間に無用の重複、あるいは所管の分散による能率の低下はないか、これらの点について、徹底した究明とすみやかな合理化対策が望まれるのであります。  地方制度についてもまた同じことが言えます。国、地方を通ずる行政の簡素化、能率化こそは、財政硬直化打開のために最も必要なことではないかと思いますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。  なお、財政金融両面から引き締めが行なわれますと、農林漁業、中小企業など、弱い産業にとかく負担がかかりがちであります。緊縮下の財政とはいえ、予算、財政投融資を含めて、これらの弱い産業に対して特別の配慮を加えていられることと存じまするが、いかがでありますか。  次に、物価の問題について伺います。  卸売り物価につきましては、いわゆる高度成長期には横ばい、あるいは微騰にとどまっておりました。しかるに、最近数年間卸売り物価がじりじりと上昇し、昭和四十年を一〇〇として、四十三年度には一〇五・六が予想されておるのであります。こうした卸売り物価の上昇傾向は、どこにその原因があるのでありましょうか。私は、基本的な要因の一つとして、労働力の不足からくる賃金の上昇、生産性の向上を伴わない賃金の上昇がコストを押し上げ、卸売り物価の上昇をもたらしているのではないかと思います。もしそうだとすると、労働力の流動化、能率化を促進し、賃金の上昇を避けることに格段の努力を必要とすると思うのでありますが、政府の見解を承わりたいと存じます。  消費者物価につきましては、各般の対策を講ずることによりまして四・八%の上昇にとどめるということでありますが、その対策はいかなるものでありましょうか。所期の目標に押えられるよう、手落ちのない施策が用意されておりますかどうか。また、予定されている国鉄料金、酒、たばこの値上げは、消費者物価にどの程度の影響を与えるのでありましょうか、これらの引き上げが他の物価に波及することは極力これを避けなければなりませんが、その方策はいかがでありましょうか、これらの点について政府の所見をお伺いいたします。  最後に、国土の計画的開発についてお尋ねいたします。  総理は、施政方針演説の中で、都市の過密化と農村地域の過疎化の問題を取り上げになりました。この問題は放置することを許されない大切な問題であると思います。ここ数年来「東海道メガロポリス」ということばをよく耳にいたしますが、このことばの裏には、人口の都市集中は避けられない必然であるという考え方がひそんでいるように感じられます。いわゆる都市政策なるものが、人口のほしいままな都市集中を黙認し、過密化した上で、その都市生活の弊害、不便を除去せんとするにとどまるならば、私は大いに疑問があります。私は、政策よろしきを得るならば、人口の過度集中は避けられることであり、また避けなければならないと考えます。その意味で、何よりも必要なことは、総理もお述べになりましたように、都市、農村を含めて、広い視野に立った総合的国土計画の樹立、実施であります。都市対策とあわせて、山村振興、新産都市開発、地方道、地方港湾の整備など、総合的、計画的に推進すべきでありましょう。これまでも国土の総合開発は強く叫ばれてまいりましたが、見るべき実績をあげていないのは遺憾であります。私は、いまにして効果的な対策を樹立し、これを実施しなければ、十年、二十年の後に、後悔のほぞをかむことなきやを深く憂うるものであります。総理の国土総合開発方針の裏づけとなるべき具体的な大綱はいかなるものか、お示しを願いたいと思うのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお尋ねにお答えいたします前に、先ほど椿君からお尋ねがありましたその点について、国会で非核武装決議、これをすることについてどう考えるかというお話であります。私は、国会の決議や審議を拘束するような考えは毛頭持っておりません。ただ私自身の考えを率直に表明いたしたのであります。反対だということが気に食わなければ、私は不必要だと思います、かように訂正しておきます。(拍手)  次にお答えをいたしますが、まず第一、教育の姿勢の問題であります。いかなる時代におきましても、教育は大事でありますし、ことに青少年に次代を託す、こういうような意味におきましては、もちろん教育が大事であります。また、最近はいわゆる核の時代に生き抜きようとする、こういうような意味で新しい分野、これがただいま開けようとしておるのであります。そういう意味で、私どもが教育と取り組まなければならない。したがいまして、教育内容の刷新改善等この上ともはかってまいりますが、問題は、何と申しましても民族のすぐれた伝統にささえられる人間形成、こういうことを中心にして教育問題と真剣に取り組んでまいるつもりであります。  次に、安全保障と外交問題について種々の点でお尋ねがございました。これらは椿君に対するお答えとも重複するようでございますので、簡単に申し上げます。私どもは日本の国是、その行き方から申しまして、また新憲法の、平和憲法のもとにおける日本のあり方から申しまして、私どもはいかなる国に対しましても、いわゆる平和に徹した外交を進めていく。したがって、お互いに独立を尊重し、内政に干渉しない、こういうことを前提とするわけであります。また平和憲法のもとで私どもの自衛力、これは限度がありますので、認められておる自衛力には限度がありますので、わが国の安全を確保するためには、今日の日米安全保障体制、この安保体制で貫いていくつもりであります。したがいまして、この安保体制をいかなる形で今後続けていくか、その形式論は別といたしまして、この安保の体制を今後とも続けていくという、その基本的な考え方には変わりはないのでありますから、この機会に国民の益さま方にも、政府は安全保障体制を堅持していくということを、はっきり申し上げておきます。このことにおいて日本の平和と繁栄が過去においてもはからられましたが、今後とも平和と繁栄、これが維持されることだと確信をいたしております。  また問題の、新しい時代の核兵器の問題であります。この核兵器の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、核の三原則というものを、私どもは厳守するつもりであります。ただ核兵器、アメリカと安全保障条約を結ぶということは、アメリカの核兵器の戦争抑止力に、私どもは信頼をかけるということであります。この点が、いわゆるまず攻撃を受けるとかいうようなことでなしに、アメリカと安全保障条約を結んでおれば、戦争抑止力がある。本格的にアメリカと衝突するような国はまずないだろうというのが、私どもの考え方であります。  沖繩、小笠原問題についてのお話がございましたが、小笠原の問題は、近く返還されますので、すでに調査にも参りました。いろいろくふうしなければならない点があるようであります。直ちに日本自衛隊が米軍にかわる、こういうことも実情に合わないかと思いますが、いずれは本土並みの体制になることだ、かように御期待を願います。  沖繩の問題につきましては、沖繩の返還、まず返還だという点でこれと取り組むつもりでおります。もちろんこの沖繩の返還が実現します前に、あるいはその見通しが立ちます前には、沖繩の基地についての日米間の話し合いがもっと煮詰まらなければならないように思います。ただいまの状態では、私はこれについて白紙の状態で臨んでおる、これはこの前も説明したとおりであります。  次に、経済と財政の問題についてお尋ねがありました。これは詳しくはそれぞれの担当大臣からお答えいたしますが、ことしの経済、これは国内的にもたいへんな問題でありますが、同時に、国際経済の観点に立って見ます際に、なかなかきびしいものがございます。その意味におきまして、まずことしの予算編成にあたりましても、これらの国際情勢、また国内体制、これを整備するという観点から、十分意を用いて予算をつくったつもりであります。予算は財政と金融と両々相まって、そして国内の体制を整えなければならないことは御指摘のとおりであります。さらにまた、今後の経済の動向等をも見まして、そのつど適正なる措置を講ぜざるを得ないのではないかと思っております。  物価の問題と国際収支の問題、これがことしの一年におけるわれわれが最も注意し、重点を置いて、その動向を見守る課題でございます。これらの点を中心にいたしまして、ことしの経済の運営を円滑にはかっていきたい、かように考えております。  物価の問題についても、これは所管大臣から詳しく御説明があることだと思いますが、ただいま卸売り物価あるいは消費者物価等におきまして、相当の変動が予想されます。ただ、私ども、消費者物価としては四・八%、これを目標にいたしまして、物価の安定、鎮静化をはかっていく、これは最大の努力をしなければならない、かように思いますが、国民の御協力も切にお願いをいたします。  最後に、国土開発についてのお話しがありました。私は今回の施政演説で、特にわが国の都市化傾向について指摘をいたしました。したがいまして、お尋ねになりましたような国土開発計画、これが今回の内政の問題としても、これは中心になる、かように思います。できるだけ早くマスタープランをつくらなければならない、かように思いますが、この国土開発計画と、かつて三十七年に総合国土開発計画を閣議決定をいたしております。三十七年から今日の四十三年、その間には非常な変化がございますので、できるだけ早くこれらの点を再検討する、そうして国民の向こうべき方向を示したい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣灘尾弘吉君登壇、拍手〕

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 教育の姿を正しくせよとの御質問の御趣旨につきましては同感でございます。また、それに対しては、ただいま総理大臣がお答えになりましたことによって尽きておるかと考えるのでございますが、現在の教育界におきまして、一部不正常なものがある。また、大学等の状況を見ておりましても、正常ならざるものがあるということは御指摘のとおりであります。私どもといたしましては、この教育界の正常化のために努力を続けてまいらなければならぬと存じております。あすの日本を背負うりっぱな人材の育成が、私どもに課せられた最大の任務でございます。人間性の豊かな、また、りっぱな能力を持ち、しかも、ただ単に個人の幸福を追求するということだけではなくして、ほんとうに国を愛し、国に尽くし、国を守る、このような気概に満ちた有為の人材をつくってまいりたいと考える次第でございます。(拍手)これにつきましては非常な努力を要します。教職の任に当たられる方々は一そう勉強をしていただきたいと思います。また、私どもも、その勉強の機会を十分与えなければならぬと思うのであります。また、学校の施設、設備、これらにつきましても、決して十分とは言えないのであります。その充足の道も考えてまいらなければなりません。また、国民各位の、この教育の正常化に対する心からなる御協力もいただきたいと思うのであります。このような、すべての力を総合することによりまして、正しい教育の実現を目ざして一そう努力いたしてまいりたいと存じますので、さよう御了承願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 増原君の私に対するお尋ねは、ベトナム和平についてのお尋ねが一点。ベトナム和平、これがなかなか実現をしない背景には、戦争当事者がお互いに相手を信用しない。言うことに対して信用しない。また、戦争の終結に対してお互いに希望的観測を持ち過ぎている。みなお互いが有利な解決ができるという希望的観測を持ち過ぎる。だから、当事者間で話し合いがなかなかできない。一番好ましいことは、当事者間で話し合いをつけることが一番好ましい。しかし、いまのようなことで当事者間の話し合いをはばんでおるわけです。しかし、両方とも戦争が長く続いていくことを希望しているとは思われません。そこで、ハノイあるいはアメリカの友好国が、お互いに戦争が長く続いていくことを希望していないのだから、その平和的意図を保証し合ったらどうか、当事者の話し合いに至るまでの間に、そういう第三者の調停的な役割りというものが平和をもたらすためには有効なのではないか。これが私の言う相互保証方式であります。このことで、また実際に和平が動いておるとは思いませんけれども、この提案が世界的に関心を持たれたことは事実であります。今後、こういうことを中心にして和平が達成できるように私は努力してみたいと思います。きょうも、この議場に来るまで、午前八時からバイバコフソ連副首相と、ベトナム問題を中心として会談をいたしておったのであります。あらゆる機会に、日本の、一日も早くベトナムに平和をもたらしたいという努力の意図を外交的努力の上にあらわしたいと願っておるものでございます。  また、ベトナム和平のときには北からの浸透がやまなければならぬという増原君の御意見、全くそのとおりであります。しかし、同時につけ加えて言わなければならぬことは、北からの浸透がやまると同時に、北爆もやめられなければならぬということでございます。これでないと和平は達成できぬということでございます。  第二の点は、北方領土についてお尋ねでございますが、昨年の七月に、ソ連との間に定期協議をいたしまして、コスイギン首相と会談をしたときに、平和条約に至らなくても何か中間的な処置はできないか、これは研究してみたらどうか、というコスイギン提案があったわけでございます。この提案に従って、昨年から、日ソ間に、日ソ間の諸問題の総ざらい的な日ソの外交交渉が始まっているわけでございます。この北方領土の問題は、なかなかこれは簡単な問題では私はないと思います。簡単に解決はできないけれども、いかに時間がかかろうとも、日本の公正な主張というものの上に立って、最後まで解決のために努力する覚悟であることをここに申し上げておきたいと思います。  以上、お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) ドルの先行きはどうか、国際通貨の将来はどうか、英米引き締め策の影響はどうかという御質問でございましたが、ドルの価値維持については、米国政府が繰り返しこれを堅持する旨を声明しておりますし、また、一月一日の大統領声明、過般の大統領教書にも見られますとおり、米国自身、ドルの防衛対策には真剣でありますことと、また、欧州を中心とする世界の主要国がこれに協力する態勢をとっておることから見ましても、結局、ドルの切り下げはあり得ない、安定は期待できるものと考えます。  それから、国際通貨制度の将来でありますが、これもまた世界の主要国がいずれも現行の通貨制度の体制の維持をする態度をとっておるばかりでなくて、昨年のIMFの総会の決議にも見られますように、これまで国際通貨とされておりました金とか、ドルとか、ポンド、ほかにこれを補充するものとして、特別引き出し権制度を設けて、流動性に対処しようということになっておりますので、しかも、この制度はおそらく来年の春までには発足するということが考えられますので、通貨制度の動揺というようなものは避けられるというふうに考えております。英米の今回の措置は、一面、世界の金利上昇傾向をもたらしておりますので、この措置は世界経済の増大を押えるという方向に作用するのではないかということが心配されておりますが、そうしますと、わが国の国際収支に対する影響としましても、国際金融市場の圧迫、海外金利の上昇ということから外貨の流入がなかなかむずかしくなって、資本収支への影響はある程度あらわれることと考えております。  また、世界貿易の伸びが鈍化するとか、輸出競争が激化ずるとかいうようなことによって、日本の輸出については相当環境がきびしくなるということが予想されますが、政府としましては本年度の後半期において何としても国際収支の回復を期する。四十三年度の国際収支は三億五千万ドル程度の赤字に終わらせたい、この程度に終わらせたいということを考えておりますので、その目標のもとにあらゆる努力を払うつもりでございます。  第二の質問は、景気の動向いかんによっては本年度また財政支出の繰り延べ等をやるのかということでございましたが、なるたけそれをしないで済むように、予算編成におきまして景気の抑制をはかることに努力したつもりでございますが、経済の動向に応じて必要が生ずれば、また弾力的運営はこれはやらなければならないものというふうに考えております、その場合、公共投資がもし調整の対象となるということがございましても、公共投資の予算総額に占める割合は、日本はいま外国の二倍以上でございます。したがって、ここ数年の間に、民間設備投資と政府の固定資産形成との比率は、三十数%からいま六十何%というふうに、この比率が著しく改善されているところでございますので、若干の調整があるというようなことがございましても、増原さんの御心配になったような点はないんではないかというふうに考えます。  第三の御質問は、財政の引き締めに関係して、農林漁業と、それから中小企業について、予算及び財政投融資に、どういう特別な配慮をしたかということでございましたが、農業基盤の整備、農林水産業の構造改善ということをはじめとして、農林関係の予算は、食管繰り入れの額を除きまして、本年度四千七十八億円、昨年に比べて四百三十五億円の増額をはかっております。で、金融面におきましては、特に農林漁業金融公庫の融資ワク、農業近代化資金の融資ワク、無利子改良資金の貸し付けワクというものを合わせて、三千億円にまで拡大する措置をとっております。  中小企業に対しても同様でございまして、中小企業振興事業団の融資拡充、あるいは小規模事業対策、中小企業指導事業の強化ということを中心にして、三百八十億円以上の予算を計上しましたことと、財政投融資におきましては、中小企業金融三機関の貸し付け規模を三千五百億円まで拡大するという措置をとりまして、引き締め政策にかかわらず、特別の配慮を払ったつもりでございます。  大体私への質問は以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国際信用についての考え方は、先ほど大蔵大臣が答えられましたのと同じでございます。で、そういう状況にもかかわらず、わが国が前年比で一五%の輸出増を見ておるのはどうかという点がお尋ねの中心であると思いますが、この点は、幸いにして西独、アメリカ等が不況を脱して、かなり好況に向かうであろう、また、フランスもそうではなかろうかという、OECDあたりのそういう強い基調の見方がございまして、そこでいろいろな国際不安要因にもかかわらず、世界貿易が六%あるいは七%あたり伸びるという、そんなOECDの見方、それを基礎にいたしまして、わが国は一五%程度と考えました。ただ、したがいまして、わが国の伸びは、弾性値としては二ないし二・五という、かなり高いものを考えておることになります。それが可能であるかどうかということは、やはり国内の財政経済の運営に相当密接に関係をするのではないだろうかと思います。  わが国の昭和四十三年の経済の動向につきましては、先ほど増原議員から、異なった二つの方向からの懸念を御表明になりました。また、大蔵大臣が、それについて先ほど答弁をされたわけですが、確かにこの四十三年度一本——あるいは上半期、下半期というよりも、もう少しこまかく、四半期ごとくらいの需給バランスを見ていくことが必要ではないだろうか、四半期ごとにかなり違った局面が展開していくのではなかろうかという感じがいたしますので、やはり四半期ごとぐらいの需給バランスを注意深く見てまいって、財政の執行あるいは金融の運営などをやる必要があるのではないだろうか、こういう見方をいたしております。  それから卸売り物価でございますが、確かに重化学工業製品につきましては心配はございません。しかし、相当労働集約的な、あるいは一次産業に関するようなもの、たとえば繊維、また木材などもそうでございますが、これはかなり強含みでございまして、仰せのように、労働力不足ということがかなり反映していると思います。最近では、いわゆる有効求人倍率というものが、昨年くらいから一をこえてまいりまして、すなわち求人のほうが求職よりも多いという率でございますが、一・二というようなところにきかかっているわけでございます。私は、わが国はまだまだくふう次第では労働力はあると考えておりますけれども、やはり高い流動化のためには、職業訓練であるとか、再教育であるとか、あるいは賃金、雇用形態のあり方といったようなものを再検討しなければならない時期ではないかと考えております。  消費者物価の四・八%でございますが、計数だけ申しますと、たばこの値上げによって見込まれる指数が〇・二でございます。国鉄の定期関係が〇・一、酒がやはり〇・一程度の影響があろうかと思っております。これらのものは幸いにしてすぐに波及をするという性格を持っておりませんと思いますので、極力波及を防いでまいります。四・八という数字は今年の四・五よりも高いわけでございますが、これはこまかくはまた他の機会に申し上げたいと存じます。本年度から持ち越します、床と申しますか、根雪と申しますか、その部分が三以上ございまして、四・八と申しましても、年度間の動きの幅は、実は非常につらい、きついわけでございます。ですが、消費者物価の上昇の見通しというものは、やはりあまり安易なことを考えますと、私ども自身、施策が安易に流れやすいのでございまして、また便乗を誘いやすいということもございます。もちろん、できないことを見通しに掲げることは、さらにできないことでございます。まあ精一ぱい努力をして、私は、相当苦しいけれども、達成できる目標であるというふうに考えております。本年度の四・五につきましても、昨年だいぶできないことではないかという御批判もございました。国民各位の御協力があってほぼ達成が可能だと、いまの時点で見ております。四・八につきましても、同様にやってまいりたい、かように考えております。(拍手)     —————————————

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 稲葉誠一君。    〔稲葉誠一君登壇、拍手〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私は、日本社会党を代表しまして、今日、国民が最も不安に思い、明らかにしてほしいと考えていることを、率直にお尋ねいたします。どうもいままで、本質を避け、何かその場をごまかすというような答えが多かったのですが、これではいけません。ぜひ、問題を避けることなく、率直に国民に答えていただきたいと思います。  第一は、外交、防衛と憲法問題です。国民は、日米会談後の急速な事態の進展に対し、驚きの目をみはって、ことに平和との関連において大きな不安を感じています。これというのも、佐藤・ジョンソン会談で一体何があったのか、ベールに包まれ、真相が少しも明らかにされていないことに大きな原因があります。この会談の内容を国民の前にすっきりした形で明らかにしてください。  安保条約の評価に関して、自由民主党は「日米安保体制の堅持の必要性」と題する冊子を大量に発行し、PRをいたしております。これは自民党の安保調査会の結論を出したものであると聞いておりまするが、これらに関連をし、総理の基本的な見解をお尋ねいたします。  一つは、安保条約があるから日本は平和であるのか、安保条約があるにもかかわらず平和が保たれているのか、このどちらに重点を置いて考えるかであります。安保条約は軍事協力体制であります。まかり間違えば、基地の存在等よりして、日本が戦争に巻き込まれる危険なしといたしません。安保条約があるから平和であるというよりも、これがあるにもかかわらず、平和憲法の存在と国民の平和への熱望、努力によって平和が保たれていると考えるのが正しいのではないでしょうか。  また、この書物の十二、三ページにかけまして、「安保条約を結んでいなかったら、今日わが国はどのような姿となっていたであろうか。……韓国や南ベトナムの様に外国の侵略を受けておったかも知れず、想像するだに慄然たるものがある。」とあります。韓国やベトナムはどこの国から侵略を受けているのか。重要なことは、安保条約がなかったら日本は外国の侵略を受けていたかもしれないなどと、かようなことを公党としていかなる根拠で言えるのですか。暴論もはなはだしく、いたずらに国民を混乱さすものであると考えます。総理自身はこの点をどう考えておられるのですか。このような文章は取り消す気持ちはありませんか。また、二十一ページのところにまいりまするというと、「安保体制の下においても、日本は国力と国情に応じ、自衛体制を強化すると同時に、西太平洋並びに東南アジアの安全に寄与することが肝要である」とあります。この西太平洋、東南アジアの安全に寄与云々というのは、今回初めて書き加えられたものでありまするが、一体その真意は何か、この「寄与」の具体的内容は何か。「自衛力を発展させ、西太平洋及び東南アジアの安定に貢献することが肝要である。かくして初めて、日米安保体制下において、米国に比し多大の利益をうけている日本が、米国に対し、真に対等の立場を維持できる」云々とございます。これは現在日本とアメリカが対等の立場にないことを認め、対等の立場に立つためには、自衛力の維持発展と西太平洋及び東南アジアの安定寄与をあげているのであります。これは従来の総理のことばと違うのではありませんか。総理は口を開けば日米対等を主張いたしておりまするが、この公式文書は日米が対等でないことを認め、さらに、これを埋めるために自衛力の増強と外国への進出をうたっているのでありまして、きわめて危険な考え方であると思います。この点、総理の見解をお聞きいたしたいのであります。  核を持ち込まない等の三原則を主張されるのでありまするが、これは一体憲法で禁止されているのですか。この点を不明確にしておきまするから、国民は不安にかられるのであります。憲法で防御用核兵器は持てるというのが政府の解釈のようでございまするが、この防御用核兵器と称されるものも持ち込み等の三原則に触れるという考えでありますか。原子力潜水艦からエンタープライズ、沖繩の核基地返還、ポラリス潜水艦の寄港という一連のプロセスを強行されるものと思われるのでございまするが、この核三原則を守るというなら、当然ポラリス潜水艦の寄港は断わるべきであると思うのでありまするが、この点の見解をお聞きいたしたいのであります。  ポラリス潜水艦は断わるけれども、エンタープライズは認めるというのはおかしい。どこにこの二つのものに差違があるのでありますか。核の三原則を守るというなら、私は、このことを安保条約の中に、しっかりと、日本は通常兵器によるものだけを受け入れるので、それ以外のものは受け入れないと安保条約の中に明記すべきではありませんか。  沖繩には核基地があります。では、この核基地をそのままにして返還を受けるということは、核の持ち込みの中に含まれるのですか。持ち込みは新たに外国からのことだけに限定をされるのですか。この点もきわめて不明確であります。日本がこれを、いまの沖繩の状態で返還を受けるということは、日本国憲法で認められることでありますか。メースBは攻撃用核兵器であると言われておりまするから、いまの解釈によっても、当然憲法違反になると思うのでありまするが、この点はいかがですか。返還と同時に安保の適用範囲になり、米軍がこれを持つということであれば、それは日本の憲法の適用外となるのでありますか。  総理は、祖国を守る決意ということをたびたび言われますが、具体的にはどういうことなのか。何で急にかようなことを、あなたは言い出したのですか。国民はその真意の捕捉に戸惑っており、また、この中に、結局は、軍国主義的なものの復活をあなた自身が期待をしているのではないかと疑っているのであります。祖国を守る決意がいまの、特に青少年に不足しているという判断からでありましょうか。  沖繩の返還に関連をして、国際情勢の変化、科学技術の進展と同時に、国民世論の動向という三つの条件が取り上げられております。この中で、日本が独自でできるのは、国民世論の動向を高めることと、政府は考えているのでございましょう。ですから、祖国を守る決意が高まるということが、沖繩返還の一つの要件として重要な意味を持つことになると考えられているのですか。自由民主党のある幹部は、「日本が再軍備をすれば沖繩はすぐ返りますよと」言っております。祖国を守る決意というのは、前に述べた自衛力の増強に通じ、それはまた、いわゆる再軍備に通ずるものではないのですか。この点がきわめて不明確であります。この点を明らかにしていただきたいと思います。  いま、プエブロ号事件を契機といたしまして、アメリカが平和的解決をはかれず、もし報復措置をとるといたしましたら、三十八度線にどのような反応が起こるか、世界の注目を集めております。韓国には、御承知のとおり国連軍と称するものがございます。この国連軍と称するものに対し、自衛隊はどこまで協力し得るのか、この限界はどこまでか、これは将来非常に重要な問題に発展するところであります。これに対し、統一見解をつくると約束をしながら、一年にもなるのに、これを発表しないのであります。なぜ、この統一見解を発表しないのですか。できるだけフリーハンドでいきたい気持ちはわかりますけれども、もし三十八度線が火を吹いたときのことを考えまするというと、いまからはっきりと自衛隊の行動に制限を設けておく必要があります。この国連軍の性格は種々問題があり、政府も国連憲章に基づくものでないことを認めております。一方、国連におきましては、一九五〇年十月七日、第五回国連総会決議でいわゆる朝鮮問題が提案をされ、討議されました。その中の一の(a)項で、「全朝鮮にわたって安定した状態を確保するためにすべての適当な措置をとること。」とあります。これは暗黙のうちに国連軍が北に攻め入ることを認めたものであると解釈をされております。これを受けて六六年、六七年と、この決議を含めた二つの決議案に対し、日本は従来の単なる賛成国から共同提案国になっております。アメリカから頼まれたからだという理由らしいのであります。国内では国連憲章に基づかないことを認めながら、国外ではこれを支持し、しかも、北に攻め入ることを認めた決議に賛成をし、共同提案国にまでなっているのは一体何ということでありましょうか。韓国にある日本人の生命、身体がもし危害を受けたときに、自衛権の行使として自衛隊は出動できるのですか。自衛権の行使は海外派兵に含まれないと理解をしてよろしいのでしょうか。この点がきわめてまた不明確であります。  私は、佐藤内閣が何となく非常に暗い、じめじめした感じを国民に与えていると思います。それはどこに原因があるかと言えば、一つは、あなたがいつもほんとうのことを言わないで、重要な点をごまかしながら、日本を危険な道へ引っぱっていく感じを国民に与えているからだと思います。その一つの原因は、憲法に対する態度がはっきりしないからであります。自由民主党は憲法改正を党の政綱としていることは総理も御存じのとおりであります。憲法の精神は守ると言っております。これはあたりまえのことであります。しかし憲法の精神を守るということは、表現がすこぶるあいまいでありまして、とりょうによってはいかようにもとれます。なぜ総理は、私は在任中決して憲法改正はいたしませんと言えないのですか。あなたの党内のタカ派というのか、何かそのほうに気がねをして言えないのかどうか、その辺をはっきりお聞きしたいところであります。  あなたの党では、平和を守るのだとか、あるいは人権を尊重するのだとか、そういうところは憲法は改正しないのだということを必ず言います。おそらくあなたも答えるでしょう、そういうふうに。それでは一体、どこを憲法改正しようとするのか。その点が、あなたの党は憲法改正が一つの政綱になっているのですから、当然明らかにされなければ私はいけないと思うのです。なぜ、平和主義を守るとか何とかいうことだけで済ましてしまって、在任中憲法改正をしないならしないと、はっきり国民の前にあなたは断言しないのですか。  エンタープライズの寄港をめぐって警察の行き過ぎが問題になっております。国民もテレビを見ていて、警察の行き過ぎを非難している声が圧倒的に多かったようであります。私は、あの学生の行動に必ずしも賛成するものではありませんけれども、このことと警察の行き過ぎとは、おのずから別個の問題であります。一つは、飯田橋等における凶器準備集合罪による大量検挙であります。一体警察は、刑事裁判の前提としての検察官の公訴提起のための準備活動として捜査をするのがたてまえでありまするが、この点をどう理解されておるのか。検挙それ自身が目的であると考えておられるのですか。百三十一人の検挙はどういう証拠によって行なわれたのか。これは目的罪でありまするから、一人一人に他人の生命、身体に対し共同して害を加える目的がなければ犯罪は成立いたしませんが、その目的をいかなる事実、証拠に基づき、だれが認定し、逮捕したのでありますか。単に角材を持っていただけでは、この目的は立証できません。百三十一人検挙して五人の起訴では、あまりに逮捕が乱暴に過ぎ、他の目的をもってしているとしか考えられません。客観的に、常識的に見て、これはこれら学生の佐世保行きを阻止する予防措置の疑いが濃厚であります。学生の佐世保行きを阻止する権限が一体警察にあるのですか。これらの逮捕は明らかに戦前の警察の再現を思わせるものがあります。  こまかいことを聞いて恐縮ですけれども、たとえば、この凶器というものの中に、そのもの本来が凶器である場合と、用法上の凶器とがあります。用法上の凶器とは一体何か。たとえば、変な例ですけれども、こうもりがある、こうもりでも用い方によっては相手をやっつけることができれば、これまで凶器の中に入るのか。さらに、万年筆でも、その先でつつけば相手をやっつけることができるということで、これまで一体用法上の凶器として解釈するのですか。こんなことはないと思います。  こういうような警備公安関係事件というものは、起訴にならない逮捕の率が非常に高いのであります。逮捕そのものに価値を認めて、結局警察による大衆運動の介入以外の何ものでもないと考えられるのでありまして、この点は厳に戒めるべきであると思います。  第二は、博多駅等における違法な所持品検査であります。警職法は所持品検査を許しておりません。一人ずつ所持品検査をされ、シャツの下まで調べられた学生まであるが、これは法に違反をいたしております。もっとも、学生も承諾したというかもしれませんけれども、承諾ではなくて、有無を言わさず検査をし、強引に承諾したような形をとったにすぎないと考えられるのであります。  九州大学の井上法学部長の人権侵害の申告についても、内容を明らかにし、これは法務省にまかせることだけでなく、警察自身でも調べるべきであると思います。  第三は、非常に激しい鎮圧行動があります。私はこの際、警察の目的は何ということをはっきり答えていただきたいと思います。この場合、学生のほうがかりになぐろうとしたならば、これを制止するのが任務でありまして、逃げているのまで追いかけて行ってなぐるのは任務でないと思います。無抵抗の者や、今度また相手がかかってくるかもしれないから、いまのうちになぐっておけというのは、警察の適法な職務の執行と一体言えますか。一般市民や報道陣で傷ついた人もおりまするが、これらの事情を明らかにすべきであります。新聞記者の腕章を巻き、これを示したのになぐってくるなどというに至っては言語道断であります。この事実関係を明らかにしてほしいと思います。  一体、警察幹部は警察官にどのような指導をしているのですか。このような政府権力の言うがままになる警察の行き方は、将来に非常に大きな禍根を残すものであります。事実は事実として十分調べ、責任の所在を明らかにすべきであると考えます。  総理は、この一連の行動の中で警察のとった態度を一〇〇%是認せられたと聞くのですが、事実でありますか。行き過ぎが全然なかったというのですか。国家公安委員長は、職権乱用として警察官の処分すべきものは、すべきであると考えるのでありまするが、いかがでありますか。  第二は、農業問題であります。私は先日、農村へ行って青年と話をいたしました。そうしたら、一体政府は農業を重視しているのか軽視しているのか、さっぱりわからない、政府の言うとおりにやると損をするといって、政治不信が非常に強いものがありました。これは日本の農業に今日の、そして十年後の明確なビジョンがないからであります。食糧の自給率をどの程度にするのか、そのうち米に重点を置くのか、特殊産物や畜産に置くのかはっきりしないし、農家戸数や人口をどの程度にし、その面積もどの程度まで必要と考えているのでしょうか。専業農家と兼業農家の割合もどの程度にしていくのか。輸入をどの程度まで認めて国内農業を保護するのか。それらがすべて明確でないところから不安を呼んでおります。この点、いかなる姿を描かんとしているのでありますか。自給率は日本は低いのでありまするが、もっと高める必要があるのではありませんか。  米価審議会から国会議員や生産者をはずしたのはいかなる理由ですか。生産者の声を最大限に聞かずして米価を決定できるわけはありません。この点、声を聞く機会をいかにして持つのですか。米審に諮問するにあたって、補正なし予算のたてまえを認めておりまするし、両米価のスライド制を前提にして、消費者米価の上げ幅を若干大きくするげたばきスライド制を採用して食管赤字を減らすという、そういう合意ができて、これが米審を拘束しているのではありませんか。農相自身は食管制や生産者米価に対し、いかなる考えを持っておりますか。米不足の時代は去ったから間接統制に移すと考えているのですか。日本の食糧が豊作であっても、人口は増加し、いつ不足になるかわかりません。米不足時代は去ったという基本認識は誤っているのではないでしょうか。食管会計が現在果たしておる役割りを考え、米作中心の農家が非常に多いことを考えるときに、これをはずすことは生産者の所得に大きな影響を与えるものであって、なお堅持する必要があると思うが、どうですか。  農地法の改正は、どのような目的で行なおうとするのか。農地の権利移動や小作地所有の緩和、耕作権の弱体化等、農地改革をもとに戻し、農民の土地所有をくずすものであって、耕作権を弱体化することによって土地の取り上げが続出し、地主攻勢が強まるのは当然予想されます。小作料も一挙に四倍以上に上がりました。この引き上げは高過ぎるものではありませんか。戦後の農地改革は多くの点で不徹底なところがございました。しかし、わが国の農民は、この農地改革によって、根本的に地主制を取り除き、農民的土地所有と、そのもとにおける農民的経営を実現して、食管制度を一つの支柱としながら、戦後の農業発展をかちとってきたのであります。今回の農地法の改悪、食管制度の破壊というものは、このような農民的経営を破壊するものとして、農地改革以降、最大の農民や農業に対する政府の攻撃であると、私どもは考えているのであります。  農林年金制度については、国庫負担の引き上げと掛け金負担の軽減、すなわち給付費に対する国庫補助を二〇%にすること、整理資源を全額国庫負担にすること、掛け金を引き下げるとともに、労使の折半負担をやめて組合員の負担を減らす、旧組合期間についても新法の支給率を適用する等、改善の余地が多いのであります。生活保護を下回る年金の給付水準、高い掛け金率は当然改正さるべきであると思いまするが、この点の改善策についてお聞きいたしたいのであります。  農民が買うえさや肥料、農機具、農薬、こういうふうなものはもっと下げてもいいと思うのでありまするが、この値下げに努力をする気持ちはありませんか。営利会社が一割も二割も配当し、販売価格を高くしているのはおかしいのであります。一部のものについては価格規制を当然考えていいのではないでしょうか。  第三は、国民生活に関しての問題であります。国民生活は不安で一ぱいであります。物価はさっぱり下がらないし、その上、合理化攻撃が労働者に加えられております。物価については、さきに質問がありましたけれども、一体、上がることをいいと考えているのか、悪いと考えているのか、やむを得ないと考えているのか、アメリカなどでは一、二%くらいであるのに、なぜ日本だけこんなに上がるのですか。政府は、本年度どういう抑制策をやるのか。勇断をもってやると言いながら、さっぱりやらないではありませんか。自由主義経済では本来、物価の抑制というような問題に対しても限界があるのですか。中小企業は三月危機におびえております。大企業は栄えても、それが中小企業に回ってくるころには、不況がきて、しわ寄せがくるのですからたまりません。もちろん三公庫の四半期ごとの融資も一−三月はふやすと言っておりまするけれども、それだけでは足りないのでありまするから、四十三年度予算の事実上の先食いをしてまでこれを救済すべきではないでしょうか。  国鉄の五万人の合理化問題は、基幹産業という名のもとに、独占資本の特別運賃輸送や赤字線区の建設、借金をさせての膨大な工事計画などで採算の合わない政策を押しつけるために、労働者の犠牲による合理化を徹底してやろうとしてこの案が作成されました。輸送力は四十六年には二百五十万キロに達するわけですから、増員こそ必要なのに、このような提案は、首切り、労働条件の低下を招き、安全輸送に影響を及ぼすものではないか。したがって、撤回すべきものと考えるのでありまするが、どうですか。機関助士の廃止は合理化以前の暴挙であり、保安を全く無視しているのではありませんか。検修新体制にしても、経費節約の美名のもとに各地方間の競争と職場の締めつけ、要員の圧縮が行なわれます。このようにした結果、事故が起きたら一体どうするのですか。その責任を総理大臣や運輸大臣、あなた方が負うのですか。国鉄の赤字問題は、国家がどの程度協力するかにかかっているわけです。造船には百二十五億の利子補給をし、国鉄に五十四億とは非常におかしい、増額すべきではないでしょうか。国鉄運賃や私鉄運賃の値上げは国民生活に非常に大きな圧迫を加えておりまするので、運賃、定期とも値上げを差し控えるべきではないですか。特に私鉄が巨額の利潤をあげておりながら、これに便乗をして定期代の値上げをはかるというのは許せません。所見を承りたいのであります。運輸省は汚職が多過ぎます。綱紀粛正の措置と運輸行政の今後のあり方についてのお考えをお聞きいたします。  国立療養所の特別会計移行というのは、患者負担を増大し、国立医療機関のあり方、性格を根本的に変えるものであって、大きな問題です。特会制により、独立採算が強化されれば、一日六百四十円の入院料は千百五十円になって、これは患者に大きな負担をかけ、これを締め出すことになりはしないでしょうか。  結核対策は、まだまださらに拡充すべきものであると考えるのでございます。こういうようなことから、この案も撤回すべきであると思いますし、現業部門への下請け導入というものは一切行なわないこと。定員大幅削減計画をやめるとか、こういうようなことはできないのですか。国立療養所は非常に古く、老朽しております。この整備をはかるべきと考えるが、これは特会制によらなくてもできるのであります。幾らでも方法があるのではないでしょうか。  最後に、社会保障の問題について、現状は日本はあまりに悪過ぎます。一月十四日、大分県の精薄施設「みのり園」の火災で、六人の少女が焼け死ぬということが起きました。この原因は、木造老朽施設の存在、保母の不足と心身の過労、施設職員の処遇基準の低さ、早朝夜間勤務体制の未確立、運営経費の不足等、福祉施設全体の貧困の結果であります。これら五項目に対し、どう対処するのか。これらが完備していれば子供たちは死ななくて済んだのであります。政治的な殺人と呼ばれてもいたし方ないではありませんか。社会福祉施設の大半は民間でありまして、民間施設は保母、看護婦等の不足で四苦八苦しております。低賃金で定期昇給制度さえ確立していないのでは、国立との格差が広がるばかりです。施設職員の二五%は他の職場へ転出しております。民間に依存しながら財政的な裏づけをしない、安上がり福祉の保障を期待しているのはおかしいと思います。  新年度の重症児対策にしても、運営費の増はわずかに認められましたが、職員の待遇改善は切り捨てられてしまいました。このことを表面に出さず、ベッド数の増加だけ宣伝しているのは、いわゆる見てくれ的な形であって、その内容が伴わないのではありませんか。十二万にのぼる肢体不自由児対策についても、どこに重点を置いていくのか。この治療代、薬代等で出資が多く、苦しんでおります。こういうようなことから考えましても、医師にしろ、看護婦にしろ、保母にしろ、待遇がひど過ぎる点にまた問題があります。心臓病の子供さんについては、その手術に金がかかるので、育成医療費の補助は増加すべきだと思うのです。医療費はだいぶ増加しましたけれども、十一月、十二月になるともうなくなってしまうのであります。ですから、三月まではもたないのですから、当然これらは三月までもつように実現をしていただきたいと思います。  最後に、佐藤総理に私は一言したいのであります。それは、あなたも、一つぐらいはいいことをしたと、こういうふうに言われるように、何かのことをあなたの任期中に残してほしいと思うわけです。人間尊重を盛んに言います。人間尊重、人間尊重と言うけれども、何一つこれはということはやっていないし、残ってもいないわけです。そこで、一つの提案というのは、母親と子供のしあわせというものを守るためにも、「子供の城」というものをつくるべきだと思います。一年間に百三十六万人の赤ん坊が生まれます。生まれましてすぐ死んだり、死産が十六万人もいるわけです。二十人に一人は何かの故障を持っております。小児専門病院を中心に、検査機関、相談所、 コロニー、遊園地を配した総合的な母子健康管理センターをつくるということであります。不幸な子供をつくらないために、妊娠前から血液の適合検査をはじめ、母体の管理を万全にし、子供の予防接種や心理学的な管理をずっと一貫して行なう。これらのことは、政治が本来やるべきことなんです。あなたはうなずかれるのですけれども、政治が本来やるべきことなのをさっぱりやっていないわけです。こういうことから佐藤内閣のいわゆる人気というものはあまりわかないわけです。これは、あなたも認められるでしょう。だから、私は、こういうようなことじゃいけないと思う。いま私が申し上げましたようなことは、全体を通じてきわめてあたりまえのことを言ったにすぎないわけであります。佐藤さんは一つぐらいいいことをおやりなさいということを最後に私のことばとして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)  私は、佐藤さんにいままでの質問に対してどうかお願いをしたいのは、まともに答えていただきたいということです。あなたの言うことは、まともに答えないで別のことをいつでも答えている。別のことを答えていることで質問に答えたということもなきにしもあらずだと思います。そういうこともあると思いますけれども、そういうことでなくて、まともにぶつかって、まともに答えていただきたいと思う。それを国民は熱望していると私は考えております。私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  結論から申し上げますが、日米安全保障体制、これはその体制を堅持すると、先ほども大きい声でこういうお答えをいたしました。この事柄についていろいろ誤解があるようであります。もしもこの条約がなかったら一体どうなるのか、そういうお尋ねがありました。私は、この条約があった結果、ただいま安全であり、非常に繁栄をしたと、かようにいま説明をいたしております。しかし、安全保障条約がなかったら一体どうなるのか。条約がなかったら直ちに侵略されるというようなことは私も申しません。私もさような国際関係のものではないと思います。しかしながら、一国の安全というものは、これはかけごとではありません。したがって、総理として考えることは、どうしたら一番この国の安全を確保できるか。それで安心がいくかという、こういう問題であります。それは、現実に立ちまして、私は、日本の自衛力、これだけでこの国を守れと、これは憲法の命令ではあるが、不十分だと思う。しかし、それかといって、私は、憲法を改正するような考え方は持っておりません。ことに、第九条の平和主義、これこそは日本民族の血となり肉となっておりますから、この平和主義は貫いてまいります。この点はもうはっきり申し上げたいと思います。しかし私は、この国際情勢から見まして、社会党の諸君のように、非武装中立論、これでこの国が安全だと、かように私は考えないのであります。(「それがすりかえだ」と呼ぶ者あり)これをすりかえだと言われますが、私は正面からお答えして、この点をやらないと申し上げているのです。これははっきり申し上げたいと思います。(拍手)  また、わが党のいろいろのパンフレットその他についての御批判がございました。しかし私は、ただいまこれらのパンフレットを一々取り消すとか取り消さないとか、かようには申しません。これは御批判を御批判のままとして伺っておきます。  次に、核三原則の問題でありますが、この三原則は、私どもの国民としてのたいへん悲壮なるこれは決意だと思います。同時に、核の被爆国として、この核についての嫌悪、これはまあ当然だろうと思います。しかし私は、どうしてもこの平和利用ということについては、もっとみんなが積極的であってほしいと思います。もうこれから核時代になろうとしている。そして、その平和利用にそっぽを向くようなことでは、日本の国は国際的にもおくれてまいります。(拍手)そこで皆さん方にもお願いをいたしておきたいと思いますのは、核兵器はわれわれはこれを認めない、核兵器のなくなるような世の中を願っておる。そういう意味で、さらに核軍縮について、核を全然否定し、核の兵器がなくなるように、この核軍縮の時代に努力をいたしてまいります。これは共産党を除いて、その方法が実現するまでは皆さん方もいわゆる核拡散防止条約、その基本的精神には御賛成であります。私どももそのとおりであります。いまこの核拡散防止条約、これに反対をしておられるのは共産党だけだと思います。私はそういう意味で、ただいまの基本的な精神を貫いていく、これが必要のように思います。  同時に、日米安全保障条約のもとでは、私どもがアメリカの核戦略——核戦略とまでは言わなくとも、アメリカの軍事戦略に同調するというようなお話がございました。そこで、西太平洋、東南アジア、その安定に寄与すると言っているが、それは一体どうなんだというお尋ねがございました。私どもは、軍事的にこれらの地域の安定に寄与するような考え方は毛頭ございません。これはもうあらゆる国内法もそれを禁止しておりますし、私自身が憲法のもとでさような大それたことを考えておらないことはおわかりだと思います。しかし私どもは、経済的な協力や技術的な協力は進めていくつもりであります。このことが、太平洋や東南アジアの貧困、疾病、飢餓、こういうようなものを除くことに協力することになるのだと思います。この三つの問題がいわゆる東南アジアや西太平洋諸地域の安定、これを欠いている。不安定ならしめる、かように私は思いますので、これらの点については、この上とも協力するつもりであります。  安全保障条約から、ただいまポラリス潜水艦についてのお話がありました。これもはっきりお答えをいたします。ポラリス潜水艦の場合は核兵器でありますから、これはポラリス、すなわち核兵器、その寄港につきましては、事前協議の対象になるし、その場合におきましては、私どもは、かねて主張しておるこの三原則、これをはっきりさすつもりでございます。  エンタープライズ、につきまして、いわゆる核兵器を保有しているかいないかという問題が、今回の場合も非常に議論になりました。しかし、ポラリスに対する私どものはっきりした態度で、エンタープライズそのものが日本に寄港する場合には、事前協議の対象となるような装備状況でないという、これをひとつはっきり御認識をいただきたい。  また、沖繩の核基地の問題、沖繩の核基地つき返還を考えているかいないかという問題でございます。沖繩はただいまアメリカの施政権下にある、まだ日本になかなか返ってこない状況である。この際に、私は、日本に返すこと、まず返すその見通しをつけること、これがまず一番先の問題だと思います。この見通しがつかない今日、ただいまの核基地の問題、核兵器云々の問題で問題を紛糾さすことは当を得たものではないと、私はかように考えております。私は、核基地そのものを認めるという考えに必ずしもはっきりしているわけではありません。いまこの問題について憲法論議を先にして、沖繩の返還がそういうようなことで万一おくれるようなことがあったら、同胞のために、またわが国民にとりましても最大の不幸だ、かように思うのでございます。私は、そういう意味で今日まで核基地の問題、あるいは軍事基地の問題について、私の考えを明確に申しておりません。これは皆さん方もはっきり私が言わないからわからないのだと言われる。それはそのとおりだ。私がまだ言っていないからおわかりにならないと思います。私は今日この段階で、こういうような点で論議することは、一番大事な国益を遂行するそのゆえんではないと思う。これは国民の皆さまにもよくわかっていただく、沖繩百万の同胞は必ず私の気持ちをわかっていただけると思います。  なお、いまの点でメースB、これはただいま米軍が持っているのでありますから、ただいまもお話がございましたように、米軍が持っている間はわれわれは何とも言わぬとおっしゃったように聞き取りましたが、この点では誤解のないようにお願いいたしておきます。  その次に、祖国を守る決意、これをもっと明確にしろ、こういうお話であります。私は、この祖国を守る決意について、この際思い起こすのでありますが、戦時中は私どもは平和ということが禁句でありました。戦争を遂行しておる間に平和とは何ごとを言うのだと言われました。また戦後は、私どもが国家と言うと、国家を言うならばこれは昔に返る保守反動だ、愛国心を言うならば、これまたたいへんな排撃を受けたのであります。私は、二十三年たった今日、これはもうはっきりただいま国家なりあるいは愛国心ということを言いましても、国民の皆さん方の耳にも必ず私の言っていることがそのまま耳に入ると思います。何らの疑問を持たないで入ると思います。私はそれほど世の中は変わってきていると思います。そこで私が申しますのは、国は守るの気概というものは、これはまずその国の独立を考えて初めて国を守ることになるのであります。(「軍事基地をみんな返せ」と呼ぶ者あり)軍事基地をみんな返せというお話がございますが、私は、わが国の安全確保のためにそのことはやりません。私は先ほど冒頭に申しましたように、わが国の持つ自衛力だけでわが国の安全を確保するのは、私はたいへん不十分だろうと思います。したがいまして、私は、この集団保障体制、そういうことは今日別に恥なことではございません。そのこと自身がお互いの独立の気概を害するようなものでもありません。私は、日米安全保障条約をそういう意味で締結をいたしました。国民の皆さま方も、国を守る気概、かように申しまして、独力、日本人の力だけでこの国の安全を確保しろ、そんな無理なことはだれも注文はいたしません。だから、ここで皆さん方にも申し上げますが、私がこのことばを言いましたら、また明治時代の富国強兵論を言っているのではないか——とんでもない考え方であります。私はさような考え方は毛頭持っておりません。もうこの席からはっきり申しましたから、今後はさような批判はなさらないようにお願いいたします。(拍手)  その次に韓国の問題、韓国における国連車のあり方、この国連軍のあり方につきましては、過去におきましていろいろのいきさつがございます。国会におきましても決議をされたことがございます。また一九五四年には、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、こういうものを、わが国は締結いたしております、結んでおります。これによりますと、朝鮮における国際連合の活動に参加している軍隊に対して、施設及び役務の形で協力してきているが、それ以上に進んで、わが国が在外国連軍に参加する等の形で協力することはございません。これは自衛隊法でもはっきり禁止しております。したがいまして、この韓国の問題については、ただいま一部で御心配があるようでありますが、絶対に御心配のないように、この点をはっきり申し上げておきます。そうして、当参議院におきましても、この海外出動を行なわない、かようなことについての決議が、昭和二十九年に行なわれております。したがいまして、皆さん方がなされた決議でありますし、お忘れではないと思いますが、私どもはこれを尊重してまいりますから、絶対に御心配要りません。  次に、学生の問題についていろいろお話がございました。まあ先ほども学生問題については、るる説明をいたしましたし、また後ほど公安委員長からお答えすると思いますが、私はまあどんな場合でも、とにかく暴力だけは排除していきたい。これはもう皆さん方も、そのとおり考えていらっしゃると思います。私は暴力を憎む、その最も大きな暴力である国際的戦争も憎む、さような意味で平和に徹する、また法治国家では、当然暴力は排撃しなければなりません。思想の自由は——しかし、社会秩序の破壊、これは絶対に私どもは許せないと思います。もちろん、警察官等におきましても、職権を行使するにつきましては、それには限度があると、かように私は考えております。節度がある、かように考えておりますから、節度は守らなきゃならない。しかし、今回の行動につきましては、さような意味で非難を受けるようなことはないと、かように確信しております。  農業問題についていろいろお話がございました。今日非常に困っております問題は、農業あるいは中小企業等近代化のおくれておる部門だと思います。こういう点についてさらに近代化を進め、ただひとり農業従事者だけの幸福というわけでなく、産業自身としてこれが近代的に整備される、その意味の努力を、この上とも続けてまいるつもりであります。これらの点につきましては、後ほど農林大臣から詳しくお答えいたすことにいたします。したがいまして、食管会計あるいは農地法の改正等も含めてお答えがあると、かように御了承いただきたいと思います。  次に、物価問題につきましても、先ほどその主要な点については触れましたが、今回もさらに所管大臣より詳細にお答えいたすようにいたしたいと思います。  鉄道問題、私鉄の問題等についてのお話も、さように所管大臣に譲ることにいたします。一そうして私は、最後に、稲葉君から、たいへん御親切なあたたかい御注意がございました「子供の城」の問題について、一言触れてみたいと思います。  私はただいま世田谷におりますので、いわゆる、小児病院、児童病院のすぐそばであります。そういう意味で、日本の病院は私は、東南アジア諸地域を見ました際、これと比べるとたいへんによく整備されておるように思います。しかし、欧州の各国に比べれば、これはまだまだ見劣りがするだろう。またいわゆる、心身障害者のためにコロニーを建設するということは、これはもうすでに閣議でも決定をいたしました。また私は、かって「こどもの国」、これの開園式にも参りました。そうして比較的この土地の狭いところで、よくできたようにも思っております。しかし今回は、さらにそういうものに一歩進めて、「子供の城」という御提案がございます。これは外国の例等もお話になりましたので、十分御趣旨はよく、私も同感であります。こういう点についても実現ができるように、この上とも努力してまいりたいつもりであります。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣赤澤正道君登壇、拍手〕

赤澤正道自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(赤澤正道君) 十五日の飯田橋事件のことを行き過ぎではないかという御指摘を受けたわけでございますが、私は法政大学の近所に住んでおりますけれども、この日の三派系の学生集団約二百人は、全員ヘルメットをかぶって、角材や、角材を柄にしたプラカードを携行して、法政大学を、無許可デモでかけ足で出発いたしました。道路一ぱいに広がって、国電の飯田橋駅に向かったわけでございます。この無許可デモに対しまして、警察部隊が規制しようとしたところ、多数共同して角材を振るう。石ころを投げる。羽田事件同様の暴力行為に出たのでありまして、その行為を公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪の現行犯と認めて逮捕したものでございます。したがって、その逮捕行為は、警察の当然の責務があったと判断をいたしております。  その次は、こうもりがさを引例されたようでございますが、凶器準備集合罪、ああいう角棒が凶器と言えるかということでございました。凶器は、言うまでもなく、まあ性質上、用法上に区別があるわけですが、その用法上の凶器とするには、具体的な使用目的と結びつかなければならぬということは、稲葉議員は専門家でもありますから十分御承知のとおりであります。一部のこういう学生団体のように、常軌を逸した集団暴力行為を繰り返し繰り返し行なう者につきまして本罪を適用しても、決して立法の趣旨に反するものではないと、かように考えるものでございます。  次は、博多駅における人権侵犯問題でございますが、これは刑訴法二百二十条によって、逮捕した者については逮捕の現場において着衣及び所持品について捜索できることとなっております。十六日の場合には、博多に下車した学生数百人が駅構内で渦巻きデモを行なった、そのために国鉄側から要請があったわけでございまして、そこで警察官がその現場に出ましたが、その際、公務執行妨害罪及び傷害罪で現行犯逮捕をいたしました。その現場で捜索したものでございます。そのときに、やはり西下する学生が硫酸などを持っておるという情報もありましたので、現場に出ておりました警察官が警職法二条によって職務質問の際所持品の点検を行なったものでございまして、これは決して強制的なものではございません。そこで、この行き過ぎということにつきまして、いろいろ一部の世評もございまするけれども、いま総理が言われましたとおりに、職権の行使にあたっては当然節度を考えなければならぬことは言うまでもないところでございますが、今回は全般として私は職権乱用という事実はなかったと判断をいたしております。起訴した者がばかに少ないじゃないかということでございましたけれども、これはまあ御承知のとおりに、いろいろ考え方もございまして、起訴の多少が検挙の当否をきめるものでないことは言うまでもないところでございます。しかしながら、警備全般に対しまして、こういう、行き過ぎだ行き過ぎだという声もございますので、これは謙虚に考えまして、こういう声にはよく耳を傾けまして、警備の方法につきましては今後とも十分研究検討を加えていきたいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  米価審議会の構成のことについてお話がございました。米審は、いつもですと、米の価格をきめるころに急に任命いたしまして、三日間やっていただいたというようなことでありますが、従来の米審の経過を見まして、私は、やはりもっと根本的に、しかも年間を通じて勉強していただいて、大所高所からりっぱな答申を得ることが農政上大事な問題であると存じまして、一月から始めていただくわけであります。そこで、過去二年にわたって、すでに無答申という経過をたどっておりますので、そういうこと等を基礎にいたしまして、各方面の御意見を承りながら今回のような人選をいたした次第であります。もちろん、米麦価の決定につきましては、米審の委員はもちろんのこと、政府も、関係生産者や、いわゆる消費者的立場の方々には十分御意見を承って、納得のできるような運営をいたしてまいりたいと、こう思っておるわけであります。  それから、農業のことについて、総理大臣と私とに大体同じようなお尋ねがございますが、御存じのように、私どもといたしましては、他産業の進歩に若干立ちおくれております農業について政府は特段の力を入れる。先ほど大蔵大臣の御説明の中にもございましたように、食管に対する一般会計の繰り入れを除いて、四百億余り、すなわち財政硬直化という時代であるにもかかわらず、御存じのように、四十三年度予算は農政についてかなり新規予算を取り入れておりますのは、政府のそういう決意を表明いたしているものであります。したがって、自給度も、現在行なわれている程度の自給度、あるいはさらに、選択的拡大を言われております方面の供給力もさらに増強してまいって、農業というものの維持拡大をはかってまいるという、そういう計画のもとに計画を進めているわけでございます。したがって、自給度は、現在よりも、ことに主食については、落とすことのないような施策をやってまいりたいと、こういうわけでございます。したがって、そういうことに関連をいたします食糧管理特別会計でありますが、いろいろ言われておりますけれども、もちろん、昨年のように前代未聞といわれるような非常な豊作でありまして、米の供給も非常に緩和されている、こういう現状を踏まえて、私どもは、管理制度というものにいろいろな意見が出ておりますので、そういうことをも加味して十分検討してまいるつもりでありますけれども、現在、政府におきましては、食管制度の根幹を動かすようなことは考えておりません。そこで、その制度の運営をなるべく合理的にして、一般消費者大衆、家庭の人々にも御納得のいくような運営をいたすことに鋭意研究を進めているわけであります。  それから農地法につきましては、私どもの考えておりますことと先ほど稲葉さんのおっしゃいましたこととに若干の食い違いがあるのではないかと思います。私どもは、農地法も申しておりますように、これから他産業に比較して日本の農業がりっぱな農業として立ち行くようにしむけてやらなければ食糧その他の自給はできないんでありますから、したがって、いま申しましたように、他産業に比較してひけをとらない経済経営としての農業というものを考えますと、やはり農地法が言っておるように規模拡大をいたさなければなりませんが、今日の一般的制度情勢のもとにおいて規模拡大はなぜおくれておるかということを考えますと、やはり時勢の変化に伴って農地法というようなものが一つの障害になってきている。そこで、こういうものを改めて、そして規模拡大、農地の流動化をはかっていって、そして農業経営が経営としてりっぱに成り立ち得るようにするために農地法を改正するのでありまして、私どもは当初行なわれました農地改革の精神と相反するものではないと、こういうたてまえでただいま立案をいたしている最中でございます。  それから最後に、農林年金のお話がございました。農業者団体につとめておられる方々の農林年金につきましては、昨年は調整金を出して、調整資金の政府からの支出をいたしたわけでありますが、本年、四十三年度予算の編成につきましても、農林当局といたしましてはいろいろ考慮いたし、努力をいたした次第でありますが、稲葉さん御存じのように、これと同じようなシステムで行なわれておる年金制度がほかの官庁にもございまするし、そういうことのバランスの上に立って今回ああいうことをいたしました。しかしながら、政府のとりました態度は、御存じのように、本年もまた昨年よりも増額いたしました調整資金を支出いたした、こういうことでございますから御了承願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党運輸大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄の定期代の値上げは極力回避するように努力をいたしましたが、本年度は財政緊縮のために公共負担を願わなければならなかったのは、まことに遺憾でございます。国鉄から改定の申請が出ておりますが、通勤については六八%を五三%に切り下げる、通学については八七%を八一%の割引率に切り下げるという案であります。四月一日にこれは認可する予定でありますが、社会政策的見地から、生活保護世帯、母子福祉年金受領世帯、児童手当の受領世帯、これは据え置き、それから小学校、中学校の義務教育も据え置き、高校生と職業訓練所の生徒は国鉄の申請を・一〇%切り下げる、こういう方針で認可する考え方であります。  なお、私鉄につきましては、国鉄と財政事情等が違いますので、極力これは抑制していく所存であります。  綱紀粛正につきまして御注意をいただきまして感謝にたえません。先般、人事の刷新をやり、行政処分をやりましたが、今後とも執務体制を刷新強化して、特に自動車行政、陸運行政については改革すべき点が非常に多いように思います。こういう点につきましても、機構その他の改革も行ないまして、将来戒めていきたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。  国立療養所の一般会計から特別会計に繰り入れる問題でございますが、全国で約百六十カ所の施設を持っておりまするが、この施設がほとんど戦前の兵舎から移行したもの、あるいはそうではないものも、非常に老朽をいたしております。施設は古くなっております。しかも、赤字は逐次累積をいたしております。この百六十カ所の療養所を、早急にどうやって整備をするか、あるいは施設を新しくするか、あるいはサービスを向上するか、こういうこと等を考えてみますると、やはり一般会計の立場からでは早急の整備はまことに困難でございまして、やはり借り入れ金の導入、あるいは土地、その他の財産の活用、あるいは弾力的条項の運用等による弾力的な運営によって、これを早急に整備したいと考えて、特別会計繰り入れを考えた次第であります。しかしながら、御指摘されましたような点が多々ございまするから、これの実施にあたっては十分留意したいと考えております。たとえば、患者、職員等にしわ寄せがいって、負担の増大になるおそれは必ずしもなしとは言えません。したがって、この療養所の使命、目的から考えまして、独立採算制をとることは、当然そういうことに相なりますので、いままでの結核に対する最終拠点であり、しかも、今日新しい心身障害児あるいは筋萎縮症、その他いろいろに対する問題等の治療が、研究が問題になってきておりますので、この新しい使命も療養所は持たなければなりません。したがって、こういうことから考えますると、独立採算制にすることは、きわめて不適当でございまするから、やはり歳出面と歳入面との不足は、当然一般会計からこれを援助すべきであって、本四十三年度の予算の案におきましても、二百五億の一般会計からの繰り入れを考えておるわけであります。なお、また、患者の負担が増大しないように、ただいま実施されておりまする割引制度等は、これを存続をし、新しく入られる患者等についても、医療費の自己負担者については、十分配慮したいと考えております。  そのほかいろいろな問題については、御意見を十分承ってまいりたいと存じます。  なお、御意見の中に、わが国の社会保障の水準は立ちおくれだという論旨がございましたが、御指摘のとおりでありまして、特に欧米諸国の水準に比べますると、立ちおくれしておることは事実でございます。政府といたしましても、重要施策の一つとして社会開発を取り上げ、その中の中軸として社会保障、福祉事業を考えて、せっかく充実をしておることであります。  なお、子供の問題についてお取り上げになりましたが、全く同感でありまして、愛国心の源泉は、福祉国家をつくるという具体的な政治の目標があらわれ、あるいは社会福祉事業を充実することによって、自然と培養されるものである。二十一世紀に向かう国発展の基礎は、新しい子供づくりにあると考えます。したがいまして、子供の健康、保健の管理、及びこれを含めて、虚弱児を含めた心身障害者あるいは小児ガン、小児の心臓病、あるいは肢体不自由者等に対する施策というものには、十分充実、強化をしなければならぬと考えております。御指摘のとおりに、小児心臓病に対する公費の負担、こういうものは、昨年度から比べると約倍の予算を要求し、倍のペットがついたわけではありまするが、そういうことで得々として宣伝する気持ちは全然ございません。と申しますることは、昨年の倍になりましても、ただいま全国で推定されておる小児の心臓病の数は、約二万人から三万人おると推定されております。ところが、昨年の倍になりましたといいましても、公費負担のベッドの用意されたるものは明年度で九百床でございます。こういう点から考えますると、身体障害者の問題にいたしましても、あるいは肢体不自由児の問題にいたしましても、あるいは貸与ベッドの方法であるとか、あるいは指導員の増員であるとか、あるいは在宅障害児のいろんな施策の問題等、いままで手をつけられなかったものに対して新規事業を新たに認めていろんな施設をやったことは事実でございまするが、それはいままで全然やられなかったことに対してようやく本年度からその足場を築いたということだけで、この点は、十分実態を認識して、さらに充実強化をしたいと考えております。  特に心身障害者につきましては、御指摘のとおりに、施設あるいはその他の治療の整備もさることながら、しばしば手紙が参っておりまするが、こういう人々は生きる楽しみというものを発見することに苦労しております。したがって、一番大事なことは、母親にまさる付き添いが必要でありまして、この仕事に従事する保健婦、看護婦あるいはその他の方々の特別の待遇については十分考えておるのでありますが、御指摘のとおり、本年度は残念ながらこれが実現できなかったことは、遺憾でございます。しかしながら、新医療法の看護基準の改正、あるいはその他予算の流用等によりまして、できるだけその誠意だけでも通ずるようにしたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、非常に重要な御意見でございましたが、短時間の間に早急に言われましたので、あとで速記録を十分検討しまして、単にここで答弁するだけではなく、御意見は十分生きるようにしたいと考えております。(拍手)

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 稲葉君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私の質問したことに対して、総理から答弁もいろいろありました。総理の答弁は、結局まともから答えないでですね、まあいまの時局の問題があるからなかなかまともに答えにくい点があるということは、私もある程度了解しますけれども……。

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 稲葉君に申し上げます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君(続) 答弁漏れがありますので、この点を指摘いたしますが、国鉄五万人の合理化の問題に対して、これは安全輸送の見地からも撤回すべきではないか、機関助手の廃止の問題、新研修体制の問題について質問をしたのですけれども、これは答弁がありませんので、総理なりあるいは運輸大臣から答弁を願いたいと思います。    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党運輸大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) どうも失礼いたしました。  第三次輸送力増強計画を遂行するためには、国鉄の近代化、合理化はやはり必要であります。体質を強化し、改善するということはどうしても必要のように運輸省は考えます。国鉄は、四十二年度でも千百五十億円の赤字が見込まれておりますし、四十三年度でも縁故債や特別債の利子だけで大体千三百二十六億円の利子を払わなければなりません。これ一分間に換算いたしますと約二十五万円払わなければならない、そういうような情勢でありますので、業務内容を改善合理化するということは、私はどうしても必要であると思うのであります。しかしながら その合理化の内容につきましては、労使関係でよく話し合って、お客さんや第三者になるたけ迷惑をかけないように円満にやっていただくようにしていただきたいと思っております。(拍手)

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会      —————・—————

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