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58回国会参議院1968/04/04

法務委員会 第8号

発言数
50
登壇者
7
会派数
3
開催日
1968/04/04

会議録

北條雋八公明党

○委員長(北條雋八君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る三月二十九日、山本杉君及び内田芳郎君が委員を辞任され、その補欠として中山福藏君及び谷村貞治君が委員に選任されました。  また本日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が委員に選任されました。     —————————————

北條雋八公明党

○委員長(北條雋八君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 初めに、名古屋市西区押切町二の十八出口辰己君という人が六月五日に名古屋拘置所から出てきてすぐなくなったわけですが、まあ家族は拘置所の中で死んだんではないかということを言っているわけですが、法務省のほうからいただいた資料だと、タクシーの中で死んだというふうに警察からも報告があったと言われております。それで、拘置所の中のことについてはあらためてまたお尋ねすることにしまして、初めに、警察のほうにこの三日の日に連行されたわけですが、そうして本人の病気は解剖の結果はすい臓壊死となっておりますが、これはもう何年も前からすい臓が腐ってきていて、それで突発的に死んだので、脳溢血とか心臓麻痺とかというような病気でははい、これは解剖の結果明らかになっているわけです。どうしてこういうような病人、また本人は極端なアル中で、アルコールが切れると猛烈に暴れたりする、あるいは半年ほどは働かないでいた、そうした病人を六月三日に検察事務官が連行されたわけですが、こうした人をどういうような事情で初め名古屋拘置所に連行されたか、この点について警察から御説明をお願いしたい。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) お答えを申し上げます。  この出口さんにつきましては、先ほど御質問にありましたように、罰金の納付に関しましてたびたび督促を受けておったようでありますが、五月中に完納するということを本人も言っておったようですが、その当時内臓が悪いということで寝ておったようであります。その後、六月三日の午前八時三十分ごろ、愛知県の巡査が本人の住所でありますミドリ荘に行きまして、部屋にいた出口さんに派出所まで出頭をするように求めたわけです。八時四十分ごろ派出所に参りましたので、罰金のことについて話をし、もし払わないと収監されますよということを説明したわけですが、そのときに本人から、昨年の十二月ごろ階段からおっこって腰骨にひびが入った、その後寝たり起きたりしているということ、それから前から自分はアルコール中毒で内臓を悪くしており、収監されると困るのだ、現在は医者にはかかっておらない、こういう申し立てであります。警察官が本人の顔色を見ましたところ、そう特別悪いというわけでもなく、またすぐ倒れるというふうな状況ではございませんでしたが、そういうふうな本人の申し出もございましたので、念のため名古屋区検の分室に、出口さんが派出所には来ているけれども病気であると言っておる旨を電話で連絡をいたしました。そうすると返事として、これからこちらから出かけていくからそこに待たせておいてくれるようにということで、検察事務官と三名が派出所に来まして、約三十分くらい出口さんと質問あるいは答え等があったようでございますが、十時ごろ連れて行くということで、したがって派出所で巡査が収監状を執行し、そうして検察庁のほうに身柄を引き渡し、事務官は出口さんを車に乗せて派出所を出た、こういうことが収監に至るまでの経過でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは、予算委員会との関係もありますので、法務大臣に、いま警察庁のほうから御説明があったのですが、出口さんという人が罰金を納付しないために四十二年の六月三日に収監をされたのです。で、第一に、こうした病人を労役場に留置して、三日は土曜日、四日は日曜日、五日は月曜日ですけれども、その間全然働くという可能性のゼロの人を労役のために留置をされたということ、それが第一の疑問点なんです。それからまた、大臣にこうした——こまかい一々のことはまたあとで政府委員にお尋ねしますが、この留置場のことは外部の者には全然わかりませんので、そのことについてはまた一々政府委員にお尋ねいたしますが、この人が五日の日に——つまり土、日、月といて、五日の日に罰金を納めて夕方出ているわけです。で、それまで病気だったのですが、医者には全然かかっていない。これは法務省のほうでも、医者には全然かける機会がなかったと言っておられる。それが、この五日の日の夕方六時五十分か七時ごろ出てきて、家に着いたときには、警察官が来て、これは明らかに死んでいるということになっている。その辺で死んでいるという事情はあとでまたお尋ねしますけれども、法務大臣としては一こうした場合に、病気であっても労役場に留置をする、しかもまた医者にかけないうちに死んでしまったというような、この扱いですね。確かに警察庁のほうからの御意見では、自動車の中で死んだということを断言しておられるわけですが、拘置所から家に帰るまでの自動車の中でなくなったというようにはっきり言っているわけですが、そうであったとしても問題だと思うのですね。すぐに何分もたたないうちに息を引き取るような、そういう病人をなぜいままで入れておいたのか、医者にもかけないのか。ですから、そういう点、原因はどういうところにあるか、またそういうことで気をつけなければならない点があったら、どういう点を法務大臣としては気をつけていくべきか、そういう御意見をお伺いしたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) いまお述べになりましたように、留置所から出てあまり日にちがたたぬうちに死んだということについては、私はほんとうにこれは気の毒な残念なことだと考えます。  で、そういう病人を留置するのはどういうことなのかということをお述べになりましたが、私の尋ねてみましたところでは、検察庁では留置に耐え得るというふうに見たから留置をした、何も耐え得ないような者を無理に留置したのではない。留置に耐え得るということでして、何か承ると、本人は酒が、アル中のところまでいつも酒を飲んでおらぬと調子が悪くなるというアル中患者であるというのですが、第一に、留置したということは、検察関係の係の者は耐え得るからということで留置した、こういうふうな報告を受けておりますが、結果としては非常に残念なことになったと思います。  それからまた、何か三日間も食事をあまり与えなかったのじゃないかというふうな話を聞いたのですが、そんなことは好ましくないので、どうかと聞いたら、これは事実何か相当食べたという——何も食べてないということじゃない、何か食べたという報告を受けておりまして、三日、四日、五日、朝、昼、晩などについても、何を食べたかということを調べたものをよこしてまいりました。まあ全然何も食べてないということではないらしいが、いま言いましたように、アル中関係のものでやはり食事なんか不規則になったのではないかというふうに私は想像をいたしております。  いずれにいたしましても、そういうアル中にしても、とにかく一種の病人のような者は、よく注意して無理のいかぬような留置方法を講ずべきものであると私は考えるのであります。  それで、いろいろ考えてみて、何か手落ちでもあれば損害賠償とかなんとかというものも考えられるというので、聞いてみたのですが、そういう手落ちか何かあるか私の聞いたところでは、別にやったことについては手落ちはない、よって損害賠償というようなことは道理に合わぬのじゃないかというふうな報告を私は受けておる次第であります。いずれにいたしましても、出てから間もなく死亡したというのは、非常に残念なように考えます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大臣としては報告を受けられたとおりおっしゃるより方法がないのは、無理ないと思いますけれども、ただ、いま大臣が言われただけで納得できないものがあるのですね。それは確かに、このいただいた資料では、食事のことを、五日の日の朝と昼は食べたといいますが、それじゃ解剖の結果はどうなっているかといえば、これはあとでもっと詳しくお尋ねしたいと思っていたのですが、解剖の結果は、胃の内容は粘液が少量となっているだけなんですよね。そんなに十分なる食事をしたというふうにはとれないのです。また、直接私が聞いたところでは、少なくとも、昼飯にしろ、朝飯にしろ、配られた食事を十分食べ終わったというような状態でないことははっきりしているわけです。そういう報告はありませんか。それから、医者に全然かけなかったこと、これはそのとおりでしょう。その二点いかがでしょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) 私のほうの受け取った調書によりますと、六月三日の昼食は、本人はこれは喫食を断ったのであります。三日の夜食は、主食副食とも約三分の二程度は食べた。四日の日は、朝食は主食副食とも約五分の四程度は食べた。昼は主食約二分の一、副食物約三分の二程度は食べた。四日の夜食は主食副食とも約三分の二程度食べた。六月の五日の日ですね、朝食は、主食は約五分の一しか食べない、それから副食は半分くらい食べた程度。それから昼は主食副食ともごくほんのわずかしか食べなかった。めしの程度の報告は、そういう私のところには報告を受けており、ます。  それから、医者にかけなかったという問題につきましては、ちょっとさっき聞いてみたのですが、本人は六月の三日に御承知のように収容になった。収容のときに、もう酒を飲んでめいていの状態であった。それから検察事務官が連行したもので、本人はアルコール中毒者で、酒が切れるとからだ全体にふるえがきて、見さかいがつかなくなる。本日も朝から多量の酒を飲んでいるから注意してほしいと、連れてきた検察事務官がそういうことを言った。また本人は、私は酒がさめると自分でわけがわからなくなってあばれるかもしれぬというようなことも本人が申した。見たところ、めいていしていると思われる以外に、酒に酔うているが、別に変わったところは連れていったときにはない。本人がアルコール中毒者であることを考慮して慎重に動静を視察をしたという。それで、本人は収容の日からあくる日四日の晩方までは別に異常な状態は何もない。普通に睡眠をとり、食事もとにかくある程度までとった。六月の四日の午後九時過ぎに至って、本人は入っておるところの部屋のとびらを手でたたいたり大声を出したりというような発作が始まった。アルコール中毒の禁断症状によるものと考えて、さらに慎重に視察を続けてきた。それから六月の五日には、本人は朝食はとったが、落ちつきがなくなって、房内を歩き回っていたので、医師の診断を行なうよう準備はした。しかし、たまたま収容者の中に例の風疹という伝染病の疑いのが起こったので、急速その伝染を防止するために、患者の処置並びに防疫措置を優先して行なわなければならなく在ったというので、本人の診断が午後に回されざるを得なくなった。午後に診断をやろうということにして、伝染病のほうを先にやらにゃいかぬ。ところが、午後の二時過ぎに本人の釈放処置という指揮書を送ってきたので、医師の診察を行なうまでもなく釈放するに至った。こういうふうな状態で、診断をやろうと思っていたら、例の風疹という伝染病が起こったので、そちらのほうに手を回して、午後やろうと思ったところが、午後に出してもいいというのが来たから出した、こういう報告を受けております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ですから、先ほどの報告のように、めしは朝も食べた昼も食べたという報告をするのではなくて、健康体の人と同じような食事はしておらなかったということが一つですね。それからもう一つは、事情はいろいろありましたが、結局医者には見せなかったということが二つですね。それから、それは中のことだからわかりませんのでね、外部の者には。そこで今度は、外部の者で初めて本人——出口君に会った人は南という人なんですが、この人が外部の者として初めて、なくなる直前か、あるいはもう息を引き取っていたか、とにかくそういう状態の人を、出口という人を、五日の日の午後七時に南という友だちが迎えに行きまして、そうしてその迎えに行った南という人が来たので、看守が五、六人で出口君をかかえて、ハイヤーの中へ乗せるなんというものじゃなかったのですね。それで、そのまま、まあ死んでいたか、直後に息を引き取ったか、検察のほうではタクシーの中で息を引き取ったに違いないと言っておられますけれども、あまりにもそれはお気の毒、それは不運では納得しかねるものが残るわけですよね。ですから、私がここでもって、いままるっきりのしろうとで、それが責任があるか、過失があるか、そういうことを究明したって、できるわけのものじゃありませんので、それはもうそういう立場の人にお願いしなくちゃならないわけですが、私の申し上げたいことは、とにかくそのやり方が、いろいろな不運や、そういうお気の毒なことが重なっただけで、それで済まされるものかどうか。とにかく病気だと言っていたけれども、連れていかれた三日間どういうことだったか。とにかく、めしを十分食った健康体でもなかったし、また医者にもかけなかったことは事実だし、そうして迎えに行ったときには、まるっきり死体をかかえ込むか何かのような姿の者を釈放しましたけれども、しかしそれはもう死んでいたか、とにかくアパートに着いたときにはすっかり死んでいたわけですよね。ですから、そういうことについて、大臣として——こうしたいろいろなこまかいことはまたあとでやりますけれども、大臣として、そういうことについて、ただお気の毒だけで、何かもう少し考えてくれることがないかどうか。いかにも国民としてですよ、今度うっかりこういう収監された場合にはどんなことになるかということですね。とにかく、非常な権力があるわけですから、そういう不信というか、不安というものがあるのじゃないか、残るのじゃないか。そういうものがないような方法はありませんか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) 私の聞いたところによりますと、出口辰己がタクシーに乗って帰るときに、やはり二人ほど助けたということは事実なんです。しかし、歩いて帰るということじゃなくて、やはり歩いて車に乗った、助けることは二人の人が助けた、そういう報告を受けておるのです、出るときには。それも、そのときも、歩けぬような状態とか、そういうような状態ではなく、歩けることは歩けるのだ、二人が助けてその車に乗せたということです。それで私も、これは気の毒なものであるので、何かこちらのほうに。——ざっくばらんに言いますと、名古屋の拘置所の処置がどうも過誤が認められれば、それについての処置を講ずることが正しいと考えて、係に聞いてみたのです。名古屋拘置所のとった処置については過誤は認められないので、過誤がないからには、損害賠償の請求には——非常に同情をし、気の毒には思う、残念には思うが、そういう損害賠償というような請求には応じられないというふうに承っておるわけでございます。その点ひとつ御了承——いずれにせよ、こちらを出てから間もなくなくなった、気の毒なことだという同情をしておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大臣間もなく退席されるようですから、ちょっと一つだけお聞きしますが、いまの大臣のお答えですと、二人ほど出口さんを助けて自動車に乗せたということのようですが、平生から酒を非常に飲む、そういう人で、三日間拘置所におって、食事も十分——さっきの報告ですと、とってはいるが、十分とってはおらない。そうして、自動車に——普通は迎えの自動車が来れば喜んで飛び出していくわけですが、そうじゃなしに、二人の方に助けられて乗っている。そういうことを考えますと、やはり相当衰弱しておるというふうに、これはしろうとが考えても想像できるわけです、あなたのお答え自身からでも。だから、質問者のほうからのお話ですと、五、六人でかかえて入れたと、若干そこの食い違いはありますが、五、六人というと、これはもう本人にほとんど力がない、もうぐったりしておるという状態が想像できるわけですね。その点は多少——真相はちょっとわかりませんがね、いずれにしてもそういう酒の好きな人がそういう衰弱した状態におる場合に、もう少し注意をすべきじゃないかというふうに私たちちょっと思うのですがね。医者に見せるつもりもあったとおっしゃるくらいですから、それならなおさら、自動車に乗せる直前に、だいじょうぶだろうかというふうに見せてもらっても、そんなに私は時間かからぬと思うのですよ。もう釈放の指揮が出ているから、あとはもうそんなことをする必要はないのだ——規則はその点どうなるのか知りませんが、これは規則の問題じゃないですわ。そういう人命に関する問題ですからね。だから、そういう点についてのやはり配慮が足らなかったように思うのですが、喜んで帰る自動車に、手助けしなければならぬというのですから。そして、はたせるかな、どの時点かということは質疑を聞いておってわかりませんが、間もなくなくなっておられるわけですからね。だから、結果論から申し上げるだけじゃなしに、そういうような状態で釈放する場合には、やはり調べてみるということが今後とも私は必要じゃないかと思うのですね。すい臓でなくなられたのかどうか知らぬが、酒飲みですから、これは自動車に乗せたらショックということもあるかもしれぬし、しろうとが考えても、その点で、私は、全然責任がなかった、全然手落ちがなかったと言い切るのは、多少むごい感じがするのですがね。やはりそういう手落ちというものはあるわけですからね。こればかりじゃなしに、手落ちがあっても手落ちじゃないというようなことになるとね。そうすると、やはり今後みんなこれ式でやるのだなという疑惑をまた逆に起こすわけでね。この点は、私はやはり相当検討すべき問題があるのじゃないか。釈放の時点の健康状態、そういう場合における医師の診断との関係において、そう感ずるのですが、まあ大臣は御報告だけでお答えになっておるのでしょうが、しろうと目に考えても、ちょっとそこにもう少しまずいものがあるように思いますが、どうでしょう。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) とにかく、本人がひどく私の報告によるとアルコール中毒で、酒が切れると手やら何やらふるえて、そうしてまた係官にも、酒が切れてしまう時間になると私は乱暴するかもしれぬというようなことは、あらかじめその点言うたりするようで、やはりアルコール中毒者という特殊の——普通の人間とちょっと変わったところがありますのでね。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だから、よけい注意しなければ……。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) その点、やはりケース・バイ・ケースで、よけいいろいろな点について注意を払わにゃならぬということは、これはお説のとおりだと思うのです。私は、何かこの名古屋の拘置所でそこに過誤でもあれば、率直に認めて適当なる方法を講ずることのほうがいいということで、その点特に念を押して聞きかつ調べてみた。拘置所としては別に、拘置するにしても、拘置に耐えるというのでやったのだから、中で食事はやるし、十分その点注意もしておったのでね。特別な手落ちというものはございませんと、明確な答えがあるのだが、またそれであればしょうがない。しかしながら、結果から見てどうも残念なことで、将来やはりいろいろなケース・バイ・ケースがあるでしょう。これはアルコール中毒というような特殊な事情があった。やはり拘置された者の特性がいろいろあると思う。将来はやはり、その特性も十分考えてから、無理のいかぬようなことに注意をするでしょう。これは私は当然必要なことだと、こういうふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ちょっともう一点。拘置されているときの中のことは、小平さんもおっしゃるように、よくわからない、こちらはね。ただ一番はっきりしておるのは、こちらが迎えに行って、そうして乗せられるときの状態ですね。お答えですと、二人で助けてとこうおっしゃるわけですが、こちらの見たのでは、五、六人でかかえ込んで入れたと、これは非常に大きな違いなんですね。だから、これは決して、何十名という場合には、二、三名の違いなんというのは、これは判別できないのがあたりまえですがね。二かあるいは五、六かということは、これはもうそういう事態のときですから、決して私は間違うものじゃないと思うのですよ。だから、こちらの迎えに行った人が五、六と言うているのですからね。その辺にだいぶちょっと違いがあるように思いますがね。やはりそれはちょっとね、検討してもらえぬですかね。こまかいことは、矯正局長来ておられるから、後ほどまた説明があるのかもしれませんが、あまりにもこう違うのだから。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) 私の受けた報告では、さきに言いましたように、まあ二人の人が助けた。それで、歩くのは御本人が自分で歩いて、二人が助けて乗った、こういう、何かかかえて乗せたというような報告でもない。歩くのは本人がお歩きになったが、二人がこれを助けて乗った、こういう報告を正式に受けておるのですが、あなたのほうのお話によると、何かたいそう……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 五、六人。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまの点につきまして、若干補足さしていただきます。  亀田先生の言われるように、五、六人と言われている人もございますし、それから関係者が小平先生にお目にかかったときに、かかえてという表現を使ったというようにもお聞きしましたので、大臣からの御指示もありまして、直接同日本人を自動車に乗せた看守に問い合わせたわけでございます。そういたしました結果、本人を両側からささえて行った。そうしますと、両側でございますから、二人が本人のからだに触れているわけでございます。その前後にさらに二人看守が、これは手を加えているわけではございませんが、付き添っていた。だから、結局本人を囲んで四人の看守がまわりにいた、こういう状況であった。したがいまして、手をとり足をとってかかえたというのではなしに、二人が両側から腕をかかえ、前後に看守が二人付き添っていた、こういう状況であるということでございますので、はたから見ればやはり四人が本人を囲んでいたという状況にあったので、いま言ったようないろいろな見方が出たのではないか、このように私どものほうでは理解いたしております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 じゃあと一問で。結局、その前に告発したわけですよね。名古屋地検へ告発をしましたら、不起訴の決定があったわけですね。その間に、そのときに迎えに行った一人の人を取り調べられたかどうか、これをひとつお尋ねします。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 具体的なことでございますので、私からお答えさしていただきます。  あとで告発を受けまして、遺棄罪になるのではないかということで、名古屋の地検で詳細に取り調べをいたしております。結局不起訴の処分をいたしておりますが、いまお尋ねの人につきましては、参考人合計二十二名を取り調べておりまして、その中に迎えに行った方が入っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 参考人として検察庁で検事から聞かれましたですか、その点はっきり。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) 私のところへ報告の来ているのを見ますと、名古屋の地検から検察庁のほうへ来ているところによりますと、いま二十数名とありますが、とにかくたくさんの関係者を、二十数名呼んで、つぶさに事情は聴取して、慎重の上にも慎重にこの事件を捜査をして地検では処理をした。それで、告発前すでに司法警察員において、出口君の友だち、タクシーの運転手のような者からも、さきに問題になりました出所のときの状況等についても、出るときの運転手から、いま言いましたように、友だちなんかからも事情を聴取した。それで、関係書類をいろいろと調査もやり、事実も調べた。それからまた、直接告発をされました奥さんから出口さんの最近におけるいろいろな健康状態等も十分聴取をして、なおまた、解剖医、拘置所職員等の取り調べも現地でやってみた。まあ取り調べについては、もうできるだけ詳細に関係者から意見を聞かれる限り聞いてそういう処置をいたした、こういう報告をしております。それで、捜査についての私のところへ来た報告では、十分の手を尽くされる限りの手を尽くして捜査をやった、その結果不起訴ということにした、こういうふうな報告を受けております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 局長、私の聞いた点を。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) ちょっといま御答弁申し上げたことが間違っておりましたので、訂正さしていただきます。私は、南数馬という友人の方と、その藤元五十枝さんという内妻の方を取り違えておりましたので、南という方は、警察官だけが取り調べて、検事は取り調べておりません。藤元さんのほうは、警察官も取り調べ、検事も取り調べて、調書をつくっております。間違っておりましたので。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大臣、そういうこともまた一つのふに落ちないことの一つなんですよ。迎えに行って——何回も迎えに行っているのですが、これはあとで矯正局のほうへお尋ねしますけれども、結局最後、内妻の人はつとめに行っちゃうし、ほかの友人もどこかへ出かけちゃったので、南というこの友だちが迎えに行ったわけです。そうして不起訴になったけれども、南という人は、検事からは直接の調べは受けてないというのです。これはいま局長の言われたことと一致します。この迎えに行った人の話では、さっきのように、「五、六人でかかえて出てきた。様子が変なので、「出口君」と二、三度呼んだが、返事がない。それであまりひどい状態だから、かかえてきた人が、重いからといって手を離したら、ポーチの上へごろりとひっくり返った。よく見ると、目はあいたままで、目のまわりに黄色い目やにが一ぱいついていた。そうして看守の人に、ぼく一人ではどうにもならないので、家までだれか付き添って行ってほしいと頼みましたが、「栄生では遠過ぎるよ、何でもよいから連れて行きなさい、当方としてはここから出せば責任はないのだから」と言われました。そこで奥さんの勤務先へ電話をして相談をしているときに、私が事務所の中で電話をしていると、拘置所側で呼んだのか、車が入ってきました。そうして四、五人で出口君をうしろの座席へ乗せておりました。私はその車で奥さんの仕事先へ行きました。」、こういうふうなことを言っているわけです。ですから、先ほど亀田さんもおっしゃっていたように、こうした釈放するときに、こういう状態で、それで家へ着いてみたら明らかに死んでいたというわけですから、もう少しそこに法律上の過失があったかどうかという問題を——私が捜査も調査もできるわけではないので、そういうことを私は云々する気持ちはありませんけれども、こうした扱い方が一般で行なわれているのだ、もう車を呼んで乗せてしまえば、動こうと動くまいとここを出ればこっちの関係じゃないのだというふうなことは、もう少し考えたほうがいいのじゃないか。検事からは直接取り調べを受けていないと言う。本人の言っている状況とそちらのほうの法務省のほうの報告とあまりにも食い違いますので、そういう点について大臣として今後のやり方を考慮なさるという点がもう少しあってもよろしいのじゃないでしょうか、そういう点どうでしょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○国務大臣(赤間文三君) 私は、法務大臣としましては、要するに、やはり人権の保護ということ、これは私に課せられた一つのものであって、刑務所に収容せられておる、拘置せられておろうと、判決を受けておろうと、いずれにせよこれは、罪は罪として罰しても、やはり絶えず人権尊重というものを片一方で重んじなければならないというのが私の考え方なんです。そして病人などは特にいたわるということ、あらゆる面から人権尊重の趣旨が、罪は憎むけれども何も本人を憎むということはない、そういうことがあらゆる面に行き渡るようにしたい。そういう精神で、やはり拘置所においてもどこにおいてもその趣旨が十分ひとつ徹底するような方策を講じたいという考え方を私は持っておるのであります。ただ法律上手落ちがあるのかないのかという問題よりも、人間として道にはずれてないというのが必要なことじゃないか、ざっくばらんに言うとこういうことです。将来、留置場、あるいは刑務所等においても、そういう大前提の人権保護ということは十分法務省としては気をつけるということでやっていきたいと考えております。いろいろお話しになりましたことについても、とくと将来注意をし、人道上できるだけひとつ人権保護というものから出発することが大事じゃないか、かように考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは、警察庁の刑事局長さん、途中で恐縮でしたが、そういうようにして連行されまして、それからのいきさつは、いまほとんど出尽くしたようないきさつがありました。それで、タクシーに乗って連れて帰ったわけです。そこからあと今度は警察の方がいろいろタッチをしておられるようですが、その点について御報告をお願いします。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) 六月五日の夕刻、七時五十分ころに、中村警察署の栄生にある派出所に二人の巡査が勤務いたしておりましたが、そこに年令二十一歳くらいの人、これは先ほど名前の出ました南さんという人ですけれども、この人が派出所に参りまして、いま出口さんを拘置所から連れてきたのだけれども、重くて運べないので手伝ってくれないか、こういう申し出がありましたので、二人の勤務中の巡査が一緒にミドリ荘に参りました。そうしましたところ、アパートの前にタクシーが停車いたしておりました。そのタクシーの運転者と出口さんの妻との二人がおり、さらにタクシーの後部の座席に出口さんが横たわっている。その状態は、警察官が見ました状態では、意識不明の状態であったようです。そこで、一人の巡査が頭を、もう一人の巡査が右足を、そして先ほど申しました南さんが左足を持ちまして、アパートの階段をのぼって出口さんの部屋に運び入れたわけです。出口さんをベッドに寝かせてみたところ、警察官が見ますと、顔色が非常に青白く異常な状態を認めたので、出口さんの妻に医者の診断を受けたらどうかというふうに話をするとともに、一人の巡査が派出所にすぐ帰りまして、近くの医師、古橋さんという医師を派出所に来てもらって、すぐアパートに同道して診断してもらいました。ところが、古橋医師の診断によりますと、死亡をしておる、こういうことであります。中村警察署では、この二人の巡査から報告を聞きまして、八時四十分ごろに、刑事課の課員、鑑識課員、それから外勤課の警察官等が現場に参りまして、同時に嘱託をいたしております警察医の立ち会いを求めまして、死亡者の検視を行ないました。検視の結果は、外傷あるいは温血点というふうな、犯罪によって死亡したと認められるような特異な形跡は何も外見的に認められませんでしたけれども、死因がなお明らかでありませんために、鑑察解剖に付することにいたしたわけでございます。そこで六月六日、翌日の午前十時半から、名古屋大学の法医学教室におきまして、不破博士の御執刀によって解剖しましたところ、すい臓壊死による病死であるということが明らかになりました。  以上が解剖に至るまでの経過でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それで、この中村署から数人で行かれたときに、硬直して寄る、これはもう四、五時間過ぎているのじゃないかというふうに言ったといわれますが、それはいかがでしょうか。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) その点につきましては、警察官についていろいろ事情を聞いたようでございますけれども、警察官はそういうふうなことを言っておらないようでございますが、ただ立ち会いに当たりましたお医者さんがこの死体を見たときにそういうふうな発言をしたというふうに警察官は言っておったようでございます。たまたま鑑識課の警察官等は医師によく似た白衣を着ておりますし、また医師も白衣を着ておりますので、あるいは関係者の中には、医師の発言、あるいは医師を警察官と見間違えたというふうな点もあるのではなかろうかと、こういうふうに愛知県警察のほうでは私どものほうに申してきているわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そこで、刑事局長にお尋ねをいたしますが、いまのお話のように鑑識医ですね。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) 警察の嘱託医でございますが、警察医でございまして、大菅病院の医師——内科、皮膚科、泌尿器科を一応専門としている医者でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 告発があったあとですね、このお医者さんからの調書はどんなふうになっておりますか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検察庁では調べておりません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そこで、私もしろうとだもんですから、そういう警察医の方がからだを調べて、これは死後四、五時間というふうに関係者は言われたことを覚えているようなんですが、それで、四、五時間ということになりますと、もうはっきりまだタクシーに乗る前なんですね。その辺、ですから、十分お調べになって、また医学的にはこれこれしかじかの現象であってというふうに納得のできるような御説明があれば、関係者もそう次から次へ疑惑を起こす必要もなくなるかもしれないですけれども、そういう点、警察から来られた方は死後四、五時間だと。そこでもって、それじゃもう完全にこれは拘置所にいるときに死んだに違いないというふうに思って、告発しようというふうなことにもなったわけですからね。いかがでしょうか、その辺の御見解は。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) その報告によりますと、死後数時間というか、三、四時間といいますか、時間がたっているのじゃないかというふうなことが現場でもって話題といいますか出たようなことは、記録にも一応出ておりますが、その後の経過並びにその当時の状況からいきまして、釈放指揮が出ましたのは二時ちょっと過ぎごろでございまして、直ちに釈放指揮書を拘置所に届けまして、拘置所がそれを受け取りまして直ちに釈放の手続をとりましたけれども、本人が禁断症状というふうに見受けられるので、そのまま一人で帰すことはたいへん心配であったので、しばらく拘置所の中の保安係の事務室のほうで湯茶の接待をしながらお迎えの来るのを待っていたというような状況にあったということがはっきりいたしておりますので、もし話に出ましたように四、五時間前ということになりますと、全く話が合いませんので、検察官としましてはその辺も一応の疑問点にはしたことでございまするけれども、その他の状況証拠によりましてそれは全く信用できないことだということで、行政解剖に当たりました不破一郎という名古屋大学の先生につきましては、詳細な死体検案書をとるとともに、同時にまたこの不破一郎先生について検事が詳細に行政解剖の結果と所見等について詳しい聞き取り書きをとっております。検事は、その不破先生の詳細な取り調べによって、その前の先生については取り調べの必要がないと、こういうように判断したのではないかと私は考えております。

内海倫警察庁刑事局長

○政府委員(内海倫君) なお、いまの法務省刑事局長の答弁に若干つけ加えておきますけれども、名古屋大学の解剖に当たりました不破博士の検案書には、大体午後七時半ごろの推定がなされております。一応諸般の状況から警察のほうで考えまして、大体名古屋拘置所を出発後自宅に到着して医師の診断を受けた時間の間、大体午後七時十分ごろから八時二十分ごろの間というのが考えられるのではないかというふうなことを警察では言っておるようでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 これは、いまの御答弁は想像ですね。なぜこの警察医を取り調べられなかったかということを刑事局長が想像しておっしゃったわけですね、気持ちを。で、そういう医学的なことはまたわからないので困るのですけれども、その解剖結果の不破博士の推定時間というものは、その警察医の言ったことよりもはっきりそれを証明するか何か根拠があるのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) これは司法解剖ではありませんで行政解剖でございまするけれども、例によりまして詳細な死体の検案書が出ておりますし、それから私はまた、検事がその検案書について問題とされる点について自分の疑問を解明するために質問を発しましていろいろ説明を受けておりますので、その二つのものを総合いたしまして、ただいま内海刑事局長が御説明になりましたような解剖の所見の結果に基づいての死亡時刻の推定というものを検察官は一応措信したと、こういうことになると思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ですから、やはりそれも想像であって、まあ私たちしろうとにわかる説明は、よく、胃の中に何か食物が残っていたと、これが食べてから何時間経過しているのでしたがってこうというふうに、そういう説明があると非常によくわかるわけですね。けれども、そのほかのそういうような具体的な説明は結局ないわけですね。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) はなはだ説明が徹底いたしませんで申しわけございませんが、検察庁は、この拘置所の取り扱いが、何といいますか、責任を尽くさなかったために、保護すべき立場にある人が死亡するというような重大な結果を招いた、それは刑法の遺棄罪に該当するのではないかということで告発を受けまして、その点につきましては、はたしてその告発に該当するような不都合な故意があったかどうかということに主眼を置きまして取り調べをいたしておりますので、私どもに対する本日までの報告といたしましては、その死亡時刻とか、死体検案書の内容とか、解剖の所見とかということについての実はこまかい内容の報告を受けていないわけでございまして、どういうふうな取り調べをして、そしてどういうふうなところからいかようの心証を得て、その結果本件を不起訴にしたかというような、不起訴の経過と心証を得るに至った概要についての報告はいま受けておりますので御説明できますけれども、その死体検案書の内容につきましてはまだ報告がございませんので、詳細は本日は申し上げられないことでございますが、私ども検察官といたしまして、行政解剖でも、司法解剖でも、解剖をいたしました際には、ごらんになったこともあろうと思いまするけれども、非常に詳細な解剖所見が出るわけでございまして、その中に、もちろん御指摘のように、胃の中から胃液なりあるいは食べものの消化のぐあいなりというふうなものを主たる材料にいたしまして、死後の経過、その死亡時刻を推定するということが普通行なわれておる状況でございますが、それだけではございませんで、その他一切の身体の状況を勘案いたしまして、詳細な科学的な合理的な根拠に基づいて死亡時刻の推定が行なわれるということが普通でございますので、これも名古屋大学の不破博士の解剖でございますので、手落ちなく行なわれておるものと一応考えておりますが、あくまで推定ではございまするけれども、今日の医学なり科学なりといたしましては、私どもの経験によりますというと、この解剖所見の推定というものは裁判上も非常に有力な証拠になるということが言えると思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 まあおっしゃる意味はよくわかります。で、私も、しいて現代医学に対して疑いを持つとか、あるいはことさらに検察庁のおやりになることに対して疑いを持ったり反駁したりという考えは毛頭ないわけです。ただ、こうした国民大衆が疑いを持つような点については、やっぱり大衆を納得させるような御努力があればなおさら幸いだと思っていま申し上げただけなんですが、それで、いまの解剖の点については、こういうことも一つあるんです。奥さんが——奥さんでしたか、とにかく解剖に付す場合に何か書きますね。で、しろうとでその書類はちょっとわからないんですが、そこで死亡場所というのを書き込むようになっておりましたので、名古屋拘置所と書いて出したんです。そうしたら、それを受け付ける人が、こんな書類じゃだめだと、拘置所なんて書いたんじゃ解剖できないから書き直しなさいと言われて書き直したというような一幕もあるんですよ。ですから、それやこれやずっと一連のことを考えて、どうもおさまらない気持ちがあるわけなんですね。ですから、先ほど大臣も言われたような人権擁護の点から考え、人権尊重の点から考えても、やはりそういうような疑惑を持たなくてもいいような措置が必要だろうと思うんですね。それからもう一つは矯正局長に。結局、食事のこと、医者にかけなかったこと、これはもうさっきのことでいいと思いますが、結局医者にはかけなかったと。それから食事は、ちょっとはしつけたときもあるし、食べたときもあるし、あるいはけ散らしたこともあったような状態だったなんということも管区長は言われておりましたが、まああんまり順調に食べて健康体であったということはなかったわけです。それから出所するときの状態も先ほど言いましたので。それから最後、今度タクシーで自宅に着いたときには、先ほどの説明のように、頭と両手両足をかかえて持ち上げたというようなことなんですね。ですから、矯正局として考えられることですね、その場合に。それは刑事上の過失があるか責任があるかということは、これは私自身論じようがないわけですけれども、大衆の持つ素朴な疑いや、大衆の持つ素朴な不信感、それに対して説明をし納得のできるようないろんな努力をする、こういうような観点で私はお尋ねしているのですが、いかがですか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○政府委員(勝尾鐐三君) 小平先生の申されますことは、私のほうとしても、当面このような収容施設における医務体制の充実という問題に関連した御意見かと存じます。私も、いわゆる拘禁されている収容者の健康状況というものを確保するということは、人権上からも今後の矯正行政の重要なポイントになる事柄であろうかと考えております。特に入所時における健康診断、さらに、今回のような事案も起きておりますので、出所時における健康診断というものをどのようにして確保していくかというような点が重要な問題であると考えております。御承知のように、監獄法では、新たに入所した者についての健康診断をするように規定されているわけでございます。先ほど来もお話がございましたように、刑の執行に耐えられないものを矯正施設が受け取るということは、これはできるだけ避けたいところでございます。したがいまして、収容をされる者が刑の執行に耐えられるかどうかということをいかにして合理的に確保することができるか、このことはいろいろな方法が考えられるかと思いますが、警察あるいは検察庁のほうでこの人間の健康診断をしたから間違いないという診断書を持ってきていただくという方法も一つ考えられるかと思います。しかし、これはまた、警察庁あるいは検察庁の職務の範囲だとか、あるいは医者の確保の問題ということで、その実施については慎重に検討を要するかと思います。といたしますと、身柄を受け取って入所させる際に、施設側でできるだけの健康診断をやる、それもでき得るならば、入所の手続と申しますか、本人を舎房に収容した直後に健康診断できるような体制がとられることが最も望ましいかと思うのでございます。そのために、いろいろ現在われわれの間で、予算上あるいは運営上、力不足ではございますが、配慮しているところでございます。その際の大きな隘路は、やはり医師の確保という問題でございます。現在約六万五千の収容者をかかえておりますが、御承知のように、民間て、施設において入所時の診断を直ちにやる、さらに毎日の収容者の健康診断をやるという業務を両方とも完全に果たすためには、残念ながら現在の施設側の医師の陣営というのは、数的には、場合によっては質的に十分でないというのが現状でございます。そういうわけで、現在各施設ではいろいろくふう努力をいたしまして、現存しております医師の協力を得て、入所した当日はできなくっても、せめて翌日にはできるようにできないか。さらに、地方によって医師の充足状況がございますが、まず現状においては入所してから大体三日以内には診断ができるという状況にまでこぎつけておりますが、そういうことでありますと、やはり労役場留置ということで二、三日で出るというような場合については、そこに穴ができる可能性がありますので、今後は入所時における診断を入所直後にやれるように医師の確保、増員をはかっていくという点について重点を注いでまいりたいと、このように考えております。それから出所時につきましては、これは入所時の問題よりも出所後の健康の問題でございますので、できるならば施設側の医者が若干病気の可能性のある者については出迎え人等にひとつ出所後に医者の診断を受けるようにというようなアドバイスができるような余裕をやはり刑務所の体制の中に盛り込めたならば、いま言ったような疑惑がより少なくて済むのではなかろうか。本件の場合も、よけいなことでございますが、五日の十八時四十分ごろ拘置所より出発いたします際に、出迎えの人から酒を飲ませていいでしょうかというお尋ねがあったようでございます。それに対して施設側としては、それはやはり医者の診断を受けてからひとつ行なったらいいでしょうというようなやりとりがあったように私のほうは承知いたしておりますが、それはそれといたしまして、今後は入所時の診断、さらにでき得るならば出所時においても引き取り人等に対する本人の出所後の健康を確保する上についてのアドバイスができるような体制を——これは第二段になるかと思いますが、できるように予算上あるいは医師の確保上ひとつ努力をしてまいりたいということを考えているところでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それじゃ、もうこれでおしまいにいたしますけれども、その点、矯正局長ですね、酒を飲ませていいでしょうかと迎えに来た人が言ったというのですけれどもね。ということは、まさか死んでいるということは前提じゃなかったというふうなことを私は検察側の人に聞いたことがあるんですけれども、それは実際迎えに行った南君の話だと、その看守の人が先にそれを言ったんですよね。看守の人が先に、酒の禁断症状でこうなっているんだぞと、それ以外の心配はないんだという意味のことを言ったから、それじゃ酒を飲ませましょうかと、こう言ったわけですよね。そしたら医者に見せて徹底的に治療したほうがよいだろうと看守の人が言ったと、こういうわけですので、何も迎えに行った人が積極的に、酒が好きだから飲ませようと、こう言ったんじゃないんですよね。それから迎えに行ったときのことがまた、まあこれは前からの手違いなのか、矯正局のほうの御報告では、午後四時三十分ごろ迎えに来るという連絡があったと、こうなっておりますけれども、こちらから積極的に四時三十分に参りますという連絡をしたんじゃないんですよね、これは。これは、午前中にお金を払って、その足で拘置所に行ったら、お昼ごろ着いた。そこでもって、まだ出所しないかと聞いたら、まだ書類が届いていないからだめだと、じゃあいつなんですかと言ったら、そこでもって何時だと言われて帰っているんですよね。その何時だと言われたときに行ったけれども、まだだめだと言って、何か門の締まる時間を今度言われたんですね、四時四十五分ですか。それだから、うちへ帰って待っていたわけですよね。その辺、これは私の想像で恐縮なんですが、どうも出所するときの手続を、あるいは受付なら受付の人がもう少し要領よく丁寧にやってくださればよかったと思うんですね。とにかく二時半になって釈放指揮書が来たというのですから、少なくとも二時半かそれ過ぎに行けばそこで本人が出てきたわけですけれども、それが午後六時四十分——午後七時までかかっているんですよ、その間。こちらから何時に来いと言うからその時間に行ったけれども、だめだと言われる。そうなると、何か、今度は周囲の人の想像ですけれどもね、周囲の人はどういう想像をするかというと、おそらくお昼ごろはもう出せたんだろう、出せられるものを、何か本人が病気の状態がひどくて、それで拘置所のほうで隠していたのじゃないか、隠していてどうにもならなくなって暗くなったところで出したというふうな想像すら行なわれているわけですよね。ですから、こういう点については、私としては、さっきも言ったように、まあそれほど悪意にとる問題じゃないんじゃなかろうか、もう少し要領よくそこのところ連係ついていさえすればそんな疑惑を起こさないで済んだのじゃないかというような感じもいたします。そういう点、矯正局のほうの御報告と周囲の人の言っていることとひどく食い違っていますよね。それがまた一つの問題点にもなっちゃっているわけですね。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○政府委員(勝尾鐐三君) 私のほうの御報告、いま先生の申されました客観的な事実とたいして違いはないように思われます。ただ簡単に申し上げますと、六月五日月曜日の午後二時半ごろに釈放指揮書が到着いたしております。その釈放指揮書の到着する少し前ではなかろうかと思いますが、昼過ぎごろに拘置所の表門に一人の男子の方が来ておられまして、表門の看守に対しましていつごろ釈放になるかということを尋ねたようでございます。そこで表門の看守のほうでは、表門の電話で庶務課に対して問い合わせましたところ、手続中であるから——と申しますのは、釈放指揮書は二時半ごろに到着いたしておりますが、その三十分ほど前に名古屋区検から電話で罰金が完納されたという連絡があったようでございます。それで、昼過ぎ表門にたずねてこられた方に対しては、目下手続中であるという返事が庶務課からあったので、はっきりした時刻はわからないが、おそくとも四時四十五分の点検時までには釈放になると、こういうことを表門にたずねてきた男に看守が申したようでございます。そうしましたところ、その方はそれじゃ四時ごろ来ると言って中には入らずに帰った。さらにその後二人の男の方が表門をたずねてきておられるようでございます。その時刻は必ずしもはっきりしておりませんが、やはりまだ釈放にならないかというお尋ねがありまして、それに対しまして表門の看守のほうでは、四時ごろまでには釈放になるだろう、こういう答えをしているという事実がございます。ただし、これは表門の立哨している看守との間の応答でございます。一方釈放の手続のほうは、午後二時半に指揮書が到達いたしましたので、十五時ごろ保安課の看守部長が本人を、当日ほかの釈放者が二人ばかりあったようでございますが、それと一緒に釈放準備室に連行をした、それが大体午後三時ごろのようでございます。午後三時十分ごろにほかの二名は釈放のために表門のほうに連行された。本人は、舎房から連行の途中、走り出そうとしたり、あるいは汗を出したりしているという状況にございましたので、単独で釈放すると不測の危険も起こるかもしれないというので、迎えが来るまで待たせておくことにしたというような状況にあるようでございます。そして六時四十分ごろに出迎えの人が来たという連絡が釈放担当準備室のほうに庶務課から連絡があった、こういう状況になっているという報告を私のほうでは受けております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ですから、そんなに食い違っているわけじゃないから、もう少しそこのところを要領よく、何回も迎えに行っているわけですから、ですから、何回も迎えに行っているのに、四時ごろだろうとか何時ごろだろうと言うだけで、ついに最後は夕方になってから釈放されて死んじゃったと、そういうことだからよけいに疑いを持つのですよね。ですから、何回もそんな迎えに来なくても、はっきり時間がわかっていたら時間を言うし、そうでなかったら、もう二時半なら二時半にその準備が終わっているわけですからね。そんなに何もわざわざ引っぱっておいたような疑いを持たれるようなやり方はする必要はないわけですよね。そういうことをちょっと申し上げたかったわけですよね。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○政府委員(勝尾鐐三君) 御趣旨はよくわかりました。これはおそらく、表門の看守のほうで出迎え人なのかどうかをさらに確認をして、いや出迎え人だというならば、その本人との関係を聞いて、場合によっては庁舎内の適当なところで待たせるというような方法もとられたんじゃないかと思いますが、表門の看守と迎えに来た人——名前はわからないようでございますが——との応待の間にもう少し配慮するように心がけるようにしたらよかったのではないか、このように考えます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 刑事局長、最後に、結局われわれしろうとがこうした問題に対して疑問を持つ——まあしかし不起訴になっているという現状ですね、これについて過失があったかなかったかということをこの席で論議すること自体無理だと思いますけれども、まあ局長として、長い間のいろいろな経験の上から、こうした問題はどういう点に気をつけたほうがいいかとか、あるいは今後こういうふうにやったら——検察審査会とか、そういうふうな方法もあろうとは思いますけれども、何か御意見がありましたら。

川井英良法務省刑事局長

○政府委員(川井英良君) 検察官も、罰金が納まらないということで労役場に留置をするということは、なるほど法律が命じておるところではございますけれども、やはり健康に十分注意をして、留置に間違いなく耐えるというような場合でありますれば、これは法の命ずるところに従いましてその措置をとるということは当然の職責だと思いますけれども、本件は結果におきまして二、三日後に不幸な結果を招いたということでございますので、結果からしまして振りかえってみますならは、検察官が留置の手続をとるということにつきましても、今後、この事件を教訓といたしまして、なお一そう慎重な、検察官としても慎重な態度でこれに臨むということはぜひとも必要だと思いますので、大臣にもお話しいたしまして、私検察庁のほうを一応窓口にいたしておる局長でございますので、その責任におきまして今後間違いのないような適当な措置をとりたいと思います。  それからなお、その事件につきまして、拘置所の担当者に故意または過失があった結果こういうことになったのじゃないかということで告発が出まして、かなり時間をかけて、先ほども申し上げましたように、大ぜいの人を取り調べているようでございますけれども、今日御指摘を受けまして、しさいに御意見拝聴しておりますというと、やはりまた結果から見まして、検事の取り調べの中にもさらにまた意を尽くすべき点があったようにも思われる節がございますので、この点につきましては、部下に命じまして、きのうから、御連絡がございましたので、先ほどの伊藤医師が死後数時間を経過しているというようなことをほんとうにおっしゃったのかどうかというようなことにつきましても、実は私電話で問い合わせをしてその結果を得ております。これもまあ、今日になりましては、先生、そういうことは必ずしも言ったような記憶はないのだけれども、周囲の人が聞いたと言えば、そういうようなひとり言でも言ったのかもしれないというようなことになっておりますので、これは私きょう御質問に応じて実はお答えを申し上げなかったことでございますけれども、私としましては、不幸なできごとであることは間違いございませんし、どなたが考えても残念なできごとであることは間違いございませんので、またこういう種の事件のその後の事件の取り扱いということにつきましても、検察としてさらに慎重な検討を加えてまいりたいと、こういうふうに思っております。

北條雋八公明党

○委員長(北條雋八君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会

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