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58回国会参議院1968/05/24

大蔵委員会 第28号

発言数
17
登壇者
4
会派数
2
開催日
1968/05/24

会議録

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。五月二二十日、山崎斉君が委員を辞任され、その補欠として田中茂穂君が選任され、また、昨日、木村禧八郎君が委員を辞任され、その補欠として椿繁夫君が選任されました。     —————————————

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 私は、この際、総理並びに大蔵大臣から、特に問題は、経済問題通貨体制の問題を中心に意見を述べまして、質問をしたいと思います。私は議員としては最後の質問でございます。通貨体制の危機の問題が起こってきています。大蔵委員会の理事各位に希望いたしまして、私は、単なる質疑討論だけでなく、立法府、政府ともに真剣にこの問題と取り組むために私からも意見を述べ、総理から直接意見を聞きたいから委員会に総理の出席を要請してまいりました。お忙しいところ、御苦労さまでございました。  そこで、お伺いするのでございますが、二月、ジョンソンが声明をしました。特に南ベトナムの和平の問題と、それから、御承知の北爆の停止の問題、それから、自分は次期の大統領に出馬しないという声明の内容であります。それを出して以来、アメリカを中心に、世界各国が経済問題の大きな流動がありました。特にアメリカとしてはドルの不安の問題が登場してまいりました。それ以前、ポンドの引き下げに端を発してから動いたのではあるが、声明以来、こういう動きが急ピッチに国際金融、あるいは通貨体制上予断のならない情勢に差し迫ってきたわけであります。私は、政治的軍事的な問題はきょうは申しません。しかし、経済的な問題につきましては、日本としては底の浅い経済であるだけに、より一そうこの流れには敏感でなくてはならないと思います。先般、さような意味も携えて行ったのでありましょうが、日銀の宇佐美総裁も先般アムステルダムの会議に出席されました。きょうそのこともあわせてお聞きしたいと思ったのでございますが、その善後策につきまして、日銀はきょう午前十時半から政策委員会を開いておるようでございます。でございますから、その事情をくんで、また、日本のために重大と思いましたので、あえてこの委員会に御出席をお願いしませんでした。むしろ大蔵大臣からそのことについては後ほどお聞きしたいと思います。日本政府といたしましては、この問題を真剣に考えられておると思います。  そこで、特に総理からお伺いしたいのは、俗にアメリカのドル並びに核のかさの下に日本は政策をやっていくのだという、総理が言ったか、あるいはだれが言ったか、それは知りませんが、そういう印象が流れております。これは経済界にも同様に流れております。この際、日本の経済施策が、この流動下におきましてどうこれと対処するか、乗り切るかということが国民の大きな課題であります。一つには、池田君の総理時代からでありますが、高度経済が成長したといい気持ちになり、産業界も経済界もいました。最近の状態はどうでございますか。年に九千件の倒産があります。いまのところ、月に一千件の倒産があります。往年は零細な企業の倒産が多かったのでございますが、最近は一流の会社に及んでいます。産業金融の再編成があわてて行なわれております。これは必然でしょう。しかし、かようなことが行なわれましても、この産業界の倒産の趨勢というものが解決するというめどがつきません。政府におきましては、閣議において金売買の停止は申し合わせましたが、それは一応ドル関係国間における一つの動きでありましょう。私は、そういう点から見ても、政府としてもいろいろと悩んでおると思います。金停止、二重価格制、ゴールドペーパの問題に関し、マスコミの報道その他関係雑誌を見ましても、明確なる答えは出しておりません。それだけに複雑であると思います。ただ単なる経済の評論家の意見を許しません。また、政治家も簡単には決定的な意見は申されない情勢になっております。そういう事態のときに、私はいまこの国会からお別れしなければなりません。この重大なる国民的関心の問題をこのままにして引退するわけにいきません。国会末期で、きょうはお忙しい中ではありますが、国民の悲願ともいうべきこの問題を、総理の口から、特に総理は大蔵大臣の金融財政問題の経験もあり、国際的にも情報をつかんでおると思います。さような点で、あなたの考えておる意見を率直にお聞きし、かつ、また、それに対して日本はどう善処するのか、また、自主的な見解も総理の頭にはまとめておられると思います。こういう点もひとつお話を願いたいと存じます。きょうの質問は、単にこうした問題を一つ聞いて一つ答えるという小刻みの質問は省略いたします。そんな問題ではありません。ですから、総理も真剣にお答えを願いたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 野溝さんは国務大臣の経験もあり、また、二十五年以上も勤続されており、その最後の質問として、ただいま当委員会で私に対してお尋ねがございました。たいへん感慨無量のものがあるのではないかと思います。私が野溝さんから質問を最初に受けたのが建設大臣じぶんであったと思います。それ以来のつき合いでございますので、たいへん長いことつき合っておりますが、その最後の質問に、いま国民が一番心配しておる内政の問題では、一体経済はどうなるのか、ことに国際通貨としてはどういう形になるのか、金本位、金二重価格、こういうように二つに国際的な考え方が分かれておる、そういうふうなものと取り組んで日本は一体どうするのか、たいへん心配しておるその問題についてのお尋ねでございます。よくこの間の事情については御了承だと思いますが、昨年のポンドの切り下げ、まずイギリスが経済的に蹉跌した。さらにその余波を受けて、ドル自身も楽な状態ではない。そこで、ことしの初頭にジョンソン大統領の声明というものが出て、ドル防衛に真剣に取り組む、こういう態度が示された。そしてワシントンに金プール会議を開いて、そしてポンド、ドル防衛をすると同時に、金の二重価格制の採用を示唆したのでございます。これらのことはたいへん御記憶にも存するところで、たいへんはっきりと御認識をいただいておると思います。同時に、アメリカ自身は、ただいまのお話にもありましたように、ベトナム戦争、それによる支出の増大等もありますし、このドル防衛と同時に、ベトナム和平というものともからみ合っている、こういうことで、複雑な様相も呈しております。ただいまそういうような政治的な問題は触れないが、国際的な金の問題ではどうするのか、この辺をもっとはっきりしてほしい、こういうお話でありますから、多くをベトナム和平について申し上げる必要はないと思います。しかし、ドル防衛をする場合に、ベトナム和平が必ず有利に効果をあけるだろうということは、これはだれも否定することのできないところでございますから、ドル防衛をする、そうしてそれが効果が一そうあがるためにも、世界の人々がみんな心から願っておる、ベトナムに一日も早く和平がくること、これは望ましいことであり、同時に、ドル防衛にも効果のあるものが、私もかように思います。そこで、国際的にお互いの国が結びついて密接な関係を持っている。ただいまのお話でもわかりますように、ポンドの切り下げ、そのことがドル防衛に重大な影響を与えておる、このことは御理解がいくだろう。ただいまは、そういう意味では、国際関係、お互いの協力関係というものが非常に強く出ております。もちろん、ただいまお話がありましたように、たよるのは自分の国の力、やはり日本とすれば日本の力にたよらなければならない、かように思います。いわゆるドルに依存する日本経済、あるいは国防におきましてもアメリカの核抑止力に依存する、こういうだけでは私は不十分だろうと思います。やはり独立の気概がなければいけない。そうしてやはりたよりになるのは自分だ、自分の国の力だ、こういうところに求めなければならないと思います。しかし、最近の国際協調、これは非常に密接になり、また、その方向で立っていかないと、一国だけではなかなか経済的にも安全を確保するのも困難だ、かように思いますけれども、これも、しかし、一国だけではそれはできないと申しましても、中心になるものはやはり自分の国の力、それを中心に協調、協力を考えていくということでなければならぬと思います。だから、いましばしばいわれますドル一辺倒、ドル追随一辺倒、こういうことであってはならない、かように私は思います。ただいまも野溝君はその点に触れられて、何だか日本の経済は安易な方向をたどっておるのじゃないか、こういうことで御指摘になりました。どうも見ておると、ドル追随、また、防衛は核の抑止力によっておる、こういうことでは独立国家として体をなさないのではないか、こういうことを、これは長い政治家の経験から私どもに警鐘を打たれた、かように私はただいま聞いたのであります。私自身も、しばしば答弁を通じまして答えておるように、何といっても、自分の国の力、それが中心になり、外国の援助も、みずからが立ち上がるという、そういうところに初めて外国の援助も効果があるのだ、かように思います。自助の精神、これが何ごとにも増して大事であろう、かように思います。そこで、一般政治的な問題はしばらくおきましても、経済の問題においてもそのことが言えるのだ。幾らドルが防衛で強化されましても、日本の経済がそれによって救われるものではありません。むしろドルに協力することによって日本の経済を弱めるようなことがあっては、これはたいへんであります。そのことも私は委員会等を通じましてはっきり申し上げたつもりであります。  そこで、私ども政府といたしましては、高度成長たいへんけっこうだが、しかし、高度成長がやはり国民に物価その他の面で負担を非常に与えておることを考えると、やはり成長は、安定的な方向で成長をたどらなければいけない。だから、そういう意味で安定成長ということを説いて、そうして国民に急激な変化のないようにする。まあ一昨年の不況克服、これについてはまず成功した。どうもしかし、その後経済が走り過ぎた、これは行き過ぎた、これは行き過ぎじゃないかというので、またブレーキをかけた。何よりも大事なことは日本経済の健全性だ、体質を改善して健全性を維持する、その意味で、やはり国際収支のバランスを絶えず注意して考えなければいけないのだ、こういうことを実は申してまいりました。したがいまして、ただいまのようなポンド危機、ドル防衛が叫ばれ、また、金プール会議の二重価格の制度が採用された今日におきましても、まず日本の経済の国際収支、この状況を有利に展開するようにあらゆる政策を遂行していくということにまず力を入れております。また、同時に、経済の成長は安定成長でなければならない。そこに独自の力を養い、そうして国際協力の場においても、これも協力をいたしますし、また、外国の協力も受けますが、一そう体質を強化していく、同時に、また、お互いにやはり競争もございますから、国際競争にひけをとらないようにする、ここに特に力を入れてまいっておるのであります。そこで、もっと具体的に、金プールの会議の後、金の二重価格制になった、それで日本は一体どうなるのか。御承知のように、最近は政府の買い上げ制度も停止いたしました。そしてこの二重価格制で一オンス三十五ドル、これを維持する、こういういま態度をとっておるわけであります。御承知のように、私どもは、戦後日本においてはいち早く金本位制度というものをたな上げしたような形であります。いわゆるドル換算だけはやかましく言っているけれども、国内における円の金への交換はとめてまいりました。したがいまして、日本の国内においては金の二重価格が行なわれている、円がドルとのリンクにおいて、ドルを通じて金にかわる、こういう処置がとられる。したがって、国内市場において金の需要の場合は、いわゆる政府買い上げ価格、それから金の相場、これは別でございますので、いわゆる二重価格がとられている。日本が金の密輸が一番多い、かようにもいわれましたのも、金が二重価格制をとってきた初歩といいますか、実際には市場においては非常に金が高くなっておりますから、そういう意味で金の密輸が非常に多かった、かように思います。今回これをはっきり二重価格制ということにいたしましたので、おそらく在来のような混乱はないかと思います。ただ、その場合に、この紙きれ自身が価値があるのか、金でなければならないものか、そこに国民としても割り切れないものがあるんじゃないかと思います。私は、この円が一定の価値を維持している、これはやはり何といっても経済の生産力だ、かように思っております。日本の生産性が日本の円を維持しておる、かように思いますので、これは金への交換、それによって金を通じて安定するというものじゃなくて、やはり日本の経済の生産力だと、かように思いますから、今回のような措置をとられましても、別に政府としてはうろたえたわけではございません。問題は、御指摘になりましたように、自分の国の経済力、そこが一番大事なんだ、だからそこに力を入れろという御意見が先ほど述べられまして、私どももさように思いますので、日本の経済の体質を改善し、そしてその健全性を維持していく、その生産性を高める、これが私どもの目的であり、同時に、国際収支、それに絶えず注意をいたしまして、そうしてわが国経済の健全性を維持していく、ここに最大の努力をしておるわけであります。  以上で大体の方向は御理解いただけたと思いますが、ただ、国際収支の関係から、時に輸出増強をはかり、あるいは輸入を押えるというような問題もあります。それがまた、ことに野溝君の最も専門にしておられる農政の面におきましても、なるほどすべてのものが日本国内で生産されるように一応は考える。お米はなるほど日本で生産される、そしてその肥料も日本生産でございますが、酪農になりますと、また、養鶏になりますと、その飼料などは一体どうなるのか。日本ではたしてできているか。これなどは大部分が外国に依存しなければならない。かように考えますと、わが国の経済の健全性を保ち、また、国際収支を黒字にする、また、黒字を保つ、こういうような意味においても、一つの例をとってみましても、飼料の問題なども、ただいまの状態のようにほうっておくわけにはいかない。また、そういう意味でいろいろ輸入を押える。輸入を押えても差しつかえないような経済体質をここにつくり出す。農業あるいは農産物等がさらに近代的な経営に向くように努力するわけでありますし、また、さらに国内消費を押えてまでも、時に輸出増強ということもいたさなければならぬ、かように思います。また、国際支収に関係があり、経済成長に最も関係のありますのは、何といっても設備投資だと思います。設備投資を自由にしておいて、そうしてただいまのような経済の体質の改善、あるいは国際収支を黒字に維持するということはなかなか困難であります。こういう問題から、財政もさることですが、金融政策が大きく浮かび上がって、これと真剣に取り組まなければならない。そこで、しばしば金利の適正化などが行なわれる、あるいは金融の質についての金利の問題、また、量の問題等がそれぞれそのときどきに応じてとられるわけであります。・いろいろ説明すれば切りがございませんが、ただいま申し上げるような基本的態度で、やはりたよりになるのは自分のところの力だということと、それでは自分の力をふやすにはどうしたらいいか、最善の努力をただいま払っているというのが今日とっております政策でございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 総理の答弁について、私は耳新しい進歩したあなたの御意見を一つだけ承知いたしました。ほかは平凡なんですけれども、特にその点希望が燃えてきた。というのは、ドルと核のかさに安定したような状態でおるという日本ではない、そういう限定したものではなくて、日本は平和独立のため、独自の自主性を強調された、そして決意を表明されました。これは非常な進歩であり、日本のために有利であると思っております。ただ、しかし、ほかの考えに至りましては、これは大蔵大臣もおりますが、どうも甘いのではないかと思います。と申すのは、国際収支に対する見通し、考え方、それから生産性に対する考え方、それから、一つには、企業設備に対する考え方、この考え方に対しては総理の再検討を要請し、かつ、もっと掘り下げてもらわなければならぬと思うのであります。と申すのは、何としても景気のめどというものは国際収支だと思います、いま総理が言われたように。それはそのとおりだと思います。しかし、国際収支のうち、一番中軸になるのは貿易収支でございます。経常収支、貿易収支でございます。その貿易収支が、本日の新聞を見ましても、好転はしたといいますけれども、一億三千万ドル、四月の統計で。これが長続きするとは思えません。世界の客観状勢から見て国際収支は安定したとは申せないのでございます。いや、中国貿易とか中共貿易とか、盛んに騒いでおります。それもけっこうでございます。けっこうでございますが、そんなに中共貿易、中国貿易といったって、あんころもちをつくるようなわけにはいかぬと思います。だから、そういう点については、今後は、それはもちろん、そういう貿易収支の成績をあげるためには、具体的にはいままでのプラント輸出の問題を広範にやってもらわなければならぬと私は思います。現実の貿易政策の中でも関税、金融業者整備等、まだ努力のしかたによりましては相当成果をあげることもできると思うのであります。そのほか、課徴金の問題であるとか、あるいは後進地域に対する日本の援助資金の問題だとか、あるいは日本が鉱工生産したところのものが在庫に蓄積されておる状態にかわってきたとかというようなことを考えますると、この解決なくして貿易の収支をふやすということは容易ならぬことであると思うのであります。まあいま総理の言うとおり、努力はやってもらわなければなりませんし、そのことは懸命にやってもらわなければならぬと思うのですが、私の言う障害の時点があるということを総理も大蔵大臣もよく考えておいてもらいたいということを申すのでございます。  そこで、そうなってまいりますると、これは現にそういう状態でこの際の国際収支黒字をはかっていかなければならぬと考えると、どうです、総理、インドネシアに対する援助一億三千万ドルも問題になります。どうしても出さなければならぬのですか。この点は後進地域援助協定があり、国際友誼上私の考えるようにはならぬかもしれませんけれども、日本がドル不安から円不安に波及せんとしている現下の日本の経済事情から見て、内容を充実しておきたいためにさような意見を私は申すのでございます。これは私の意見でございますから、実際できないものはできない。しかし、そのかわり、この国際収支の問題については、こういう面から努力するならする、そういうお話を願いたいのでございます。それから、それに関連して、この国際収支のこういう現況は、経営者なり資本家なりは知らぬことはないと思います。この問題について総理並びに政府がそういう考えを持っておるなら、私は、自由主義の国におきましては、これらの業者も今日の事態をよく深刻に政府から話して、また、知っておると思うのです。こんな事情は政府より先に知っておると思う。だから、そういう諸君を集めて話し合いをなし、ほんとうに危機突破のために協力の態勢をつくってくれと相談をしたことがありますか、この点をお聞きしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 自主性を持たなければいかぬということを申しました。それは共感を覚える、こういうことですが、これは私、自主性を特に主張はいたしますけれども、いわゆる一部で誤解されるような軍国主義的な考え方をしておるわけじゃありません。何といいましても、他から援助をしてもらい、他への協力もしますけれども、しかし、何といっても自立するという考えがない限り、援助の効果がないということを実は申し上げておるのであります。そこで、ただいま国際収支、まあいろいろ努力しているとは言うが、少し見方が甘いじゃないか。確かにこれは私どもの努力しておることが正しく理解されないといまのような甘いというようなことにもなるのじゃないかと思います。ことに見のがしてはならないことは、ポンド防衛等から国際的に不景気の方向へいくのじゃないのか、貿易を拡大するといっているが、そういう市場がだんだん縮小されているのじゃないか、これは基本的に忘れてはならないことであります。そうして、また、その縮小傾向から、自分のところの経済に役立つようにただいまあげられました課徴金の問題も出てくるだろうと思いますし、その他いろいろ制限を加えるということにもなりますから、こういうことでは油断はできない、そういうのは外交折衝においてやはりはっきりした国益を守るという、そういう立場で自国の主張をはっきりしないとおくれることになるだろうと思います。そういう意味で、私どもも甘くは見てはおりません。おりませんが、非常にきびしい状態だと思いますけれども、それに対しては、何といいましても、政府が皆さん方から鞭撻を受け、また、産業界自身が自主的にそういうものに対抗していく、こういう気がまえがないと十分の効果はあがらないと思います。確かに御指摘になりましたように、自由主義、自由経済のもとにおきましては、政府もさることだが、何といっても産業界のほうがもっと敏感に動かなければならない。ただいまのところ、日本の場合は、経団連、その他経済団体がございますが、これらを中心にいたしまして、それぞれの組織化も進んでおります。したがいまして、この民間団体が外国に出かけ、つい最近も豪州から帰ったばかりでありますが、あるいは豪州に行くとかアメリカに行くとか、あるいは欧州に出かける、こういうことで民間団体の意見の交換はたいへんひんぱんに行なわれております。また、そういう場合に、政府自身が、これらの民間団体の出かける場合、それの代表者に十分連絡をとりまして、そうして、政府も民間と一体になって目的を達するように気をつけております。  そこで、ただいまの経済協力についてのお話がありました。インドネシアに対する協力の問題は、ただいままだ金額全貌がきまっておりません。この点で政府は行き過ぎたことをしているのじゃないかと言われますが、まだそういうような話し合いができておりません。スハルト大統領が来ました際も、もしも話ができていたら、いわゆる共同コミュニケも出されたと思いますけれども、政府自身金額をきめる資格がまず第一にないことと、同時に、また、政府が国内の問題と取り組みながら開発途上国に援助する、かように申しましても、これはやはり先ほども言う自主性がまず第一だし、国内を第一に考えるのが政府でございますから、将来長い期間においては必ず還元するとはいたしましても、当座の場合での対外援助、これにはおのずから限度があることをよく考えておりますので、これらの点も含めて経済協力はしたい。日本は、やはりアジアでは唯一の先進工業国でございますし、昔のような経済膨張というような国の行き方はとらないにいたしましても、やはり援助を受ける、そこに親しさができ、その辺のつながりが深くなること、これは人情でございますから、そういう点では経済援助はしなければならぬと思います。しかし、おのずからただいま申すような限度がある、かように心得ております。そうして、また、民間人も、わが国の産業を犠牲にしてまで協力をしろということはございませんし、また、民間人も、協力の機会に自分たちだけが利益をあげる、こういうわけのものでもございません。私はもう正しい方向での経済協力、これはやはり進めるべきだ。やはり長いつき合いをするためには正しい経済協力でなければならない。また、一部がもうけるとかどうしたとかということがあっては経済協力というものが長続きしませんから、そういう意味では産業界の諸君もよく理解してくれている、かように思います。したがいまして、まあとかく一部においてこういう問題も気をつけないとどうも間違いを引き起こしやすい、かように思いますから、政府は、経済協力についても、真に相手の国、いわゆる受け入れ国で十分の経済発展に寄与する、こういう方向をまず基本的に考える。同時に、また、国内におきましても、一部の商社だけが利益を受けて、しかも、それが不正に利益を受けるというようなことがあってはならないんだと、かように私ども特に注意をするつもりでございますので、まあこれからの問題ではございますので、今後は、この経済協力も、いまの態度ならば私は十分成果をあげ、問題を起こさないで済むんじゃないかと、かように思っております。また、そうするつもりでございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 予定の時間でありますし、もうあと一つまとめてお答えを総理のほうから願いたいと思います。  この通貨体制の問題はまだまだ意見を申し上げたいこともありますが、総理も慎重を期していくし、自主性を持ってドル一辺倒的な動きはしない、細心の注意を払っていくと、こう申されますから、私は、ぜひそういう覚悟でひとつ将来の財政金融の体制なりをやってもらいたい、いつもこの方針でということを強調しておきます。総理の申されるとおり、そうは希望しても、なかなか世界金融界のことですから、波を打ってきますから、そうここで決定的にきめても、またあすどう変わるかわからぬ、それに対応していかなきゃならぬ、そういう点においては、まず時期をとらえることを誤らぬように大蔵大臣と打ち合わされまして処置をお願いしたいと思います。  それから一言私は申し上げておきたいのは、先ほど野溝君は農林行政の専門家ですからと、こう言われました。これは宇佐美君も総理と同じようなことを言われた。確かに私、農林行政というか、農政方面の勉強はしておりますことは事実でございます。しかし、政治家である以上、農本主義ではありません。この点はひとつよく総理も大蔵大臣もおられますから留意しておいてください。たとえば食管制度の関係もありますから、一言申し上げたい。農民のことを主張いたしますけれども、国民と遊離した農民政策を強調するのでないことを十分御両氏に含んでおいていただきたいと思います。ただ、問題は、実際農業というものが第一次産業という名前はつけておりますが、他産業と対比して所得格差がはなはだしいのです。これは総理、大蔵大臣もよく検討してやってください。食管問題で確かに政府は赤字を負っておる、それはわかります。しかし、百姓はいま所得がないので、米価所得は唯一のものなんです、あの米価は、単作地帯においては。ですから、政府もそれは承知しておると思うのだ。百姓の所得がないのに、農民だけにがまんしろということでは政治ではありませんし、これは政治不在であり、農政不在です。それから、あなた方の政策判断を前進させてもらうわけにはいきませんか。というのは、国民総生産がどのくらい、国民総所得がどのくらい、このうち、第一次産業のほうはどのくらい、第二次産業のほうはどのくらい、第三次産業のほうはどのくらい、たとえばこれを個人的に分析するならば、労働者の所得、農民の所得、あるいは商人の所得、あるいはインテリ勤労者の所得、芸能人、そういう所得をきめこまかく、総理がよく言われますように、今回の災害の問題でうまい表現を言われたのだ、きめこまかく、あのことは政治の本髄じゃないかと思うのです。やはりきめこまかくひとつ所得関係の点の格差を調べてください。そして、それだからこういうふうな公平政治をするのだということになれば、あなた方の主張も生きてまいります。論戦をいたしましても科学的根拠を持っています。そういう点で私は総理に強く希望する。ひとつ所得格差の点を十分検討して、経済企画庁あたりにまかせるのでなく、内閣直属の調査部門を設けてもよろしいと思います。それから、特にその中には所得だけでなく、表裏になる政策、これを所得の総合的な判断資料にしなければならぬと思います。というのは、社会保障の点、教育の点、環境衛生の点、地方税等の点、どういう点が一番有利になっておるか、どういう点が不利になっておるか、こういう点をきめこまかくひとつ調査をされまして、その上で所得の配分を誤らぬようにやってもらうならば、食管の早場米の奨励金も、それから、いつもいつも行なわれる米価審議会における答申の問題なども、その根拠の上において私はこれが決定されることになれば解決するのではないかと思います。これをやれば日本の政治の大進歩です。へ理屈を言えば幾らでもある、へ理屈を申すのでない。数字的根拠、科学的根拠というものを政府が示すことが政治をよくすることではありませんか。こういう点で、ずいぶん大蔵大臣は米価交渉には苦労されますが、その労力も、こうした問題が解決すればおのずとおさまるのでございます。どうかそういう意味において、きょうちょうど総理から私をさして農林関係の専門家ということを言われましたから、そのことばに、私は日常抱いていた考えを意見として申し上げるのでございます。全く同感であり、重要なことである調査はさっそく深くするという一言を聞くならば、これにて質問を打ち切りたいと思います。  それから、同時に、先ほどの現下の通貨体制の問題については、きめこまかく配慮されるようでございますから、この点はそのとおり機動的に、こういう流動の時期でございますから、やられんことを特に希望いたしまして、総理に対する、時間の関係もありますので、質問は打ち切ることにいたします。先ほども申しましたような格差の問題について内閣で調査をするかどうか、私の見解に対しいかがでございますか、このくらいのことは簡単でございますから、政治の前進でございますから、総理から一言お願いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま野溝君が前半にお話になりましたきめこまかい処置をとるにしても、そのタイミング、時期が大事だと、そういう時期を誤らないようにと前段において御注意をいただきました。私もそのとおりと思いますので、一そう気をつけてまいるつもりであります。  次に、農政についての、これはもう長い御苦労から出てきたお話、ただいまの農業の所得格差、これをいかに埋めるか、いま私ども一番意を用いておりますのが農政、まあ農業、さらに、また、中小企業、この所得の格差、いわゆる大企業との所得の格差でありますが、これをいかにしてなくするかという点、ただいまは所得格差について積極的に取り組むという、そういう姿勢を示せということですが、私は、これは一番大事なことでございますので、あらゆる機会にこれと取り組むつもりでございます。ただいま展開しているのが、所得格差の面からも、農業が産業として一本立ちをする、そのためには構造改善をしなきゃならぬじゃないかということで、農村にも呼びかけ、農業従事者にも呼びかけ、構造改善に力をいたしておりますが、しかし、さらに長い間の経験から、私どもの考え方も不十分かとも思いますが、その意味において政府も御叱正を賜わりたいし、また、知恵もつけていただきたい、かように思います。  野溝さん、最後の質問だといま言われましたが、私お見受けすると、たいへんお元気だし、これで政界を引退されたわけじゃないと思いますので、もちろんただいま申し上げますように、機会はどこにもございますから、国民のため、また政府を叱正し、鞭撻する、こういう意味で、時にお知恵を貸していただきたい。どうかひとつお大事になさいませ。(拍手)

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 総理との時間も相当たちましたので、私は大蔵大臣に対する質問はごく簡略に、しり切れトンボみたいになりますが、お許しをいただきたいと思います。  大蔵大臣は、総理との私の質問中同席されておりましたのですから、私の意見をよくわかってもらえたと思います。実は、きょう総理との質問に大蔵大臣がおられるかおらぬかということが心配だったのです。大事な質問ですから、同席していてもらえばいいなと思っていたのですが、同席されまして、ほんとうにうれしく存じます。その理由は、日本の農民はじめ、国民のためには私は非常によかったと思います。  それで、次に、先ほど総理との話の続きで申します。日本の企業界が容易でないということを訴えましたね、その点はよくおわかりだと思うのです。ところが、日本企業現状の問題について最近一そう心配になることがある。最近の日通事件にいたしましても、あるいは丸紅、大谷重工業の問題にいたしましても、一つずつは言いませんけれども、国民の経済に関連ある企業の経済がそういうように混迷乱用されていることである。企業界も問題ばかり起こしておりまして、日本企業の前途が心配なんです。そこで、最近の三月期決算の状態を見ると、より不安な点があるわけです。特に先般大蔵省で調査した企業調査ですが、それをやった結果、分岐点に達するような会社が相当あるのです。この分岐点に達した企業界ということになるというと、一流会社が相当入っているんだな。結局粉飾決算なんていうのは、その分岐点に達した企業会社は倒産すれすれだと思うのです。そうなると、これは投資家にとっては心配なのですといいますか、迷惑をかける。この分岐点になっているようなところは大蔵省から注意もすると思うのです。しかし、注意だけでは解決しません。一たん投機市場に出たものは大衆が迷惑した後になるから、だから注意があと追いあと追いとなってくるんですよ。こういう点に対して、この企業界の監査制度というものを十分に果たさなければならぬと思います。それで、私は、公認会計士の問題については長い間本委員会においても力説してきているのです。委員諸君にも御迷惑をおかけしておりますが、そこで、この監査証明、これを政府は盛んにいまやかましくやられているようでございますが、その結果どんなふうに行なわれているかという点を一点お伺いして、私の次の質問に移りたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 公認会計士の問題につきましては、この一、二年来非常に問題が起こりまして、そのつど公認会計士の処分をせざるを得ないという事例がたくさん出たことは非常に遺憾でございますが、そういう事例にかんがみまして、公認会計士の監査については、非常にこれを強化して、従来に見られるのとは違ったまた処置のしかたもやって、極力努力しているところでございますが、なかなかまだ十分の効果をあげていないということでございます。同時に、また、公認会計士の力の問題でございまして、大きい企業を一人二人の公認会計士がみるということも、実際はこれはほんとうの業態を把握できないことでもございますので、今度は大ぜいの公認会計士が一つの法人をつくって責任を持つというような改正も指導しておりますし、そういう形で粉飾決算というようなことが今後全くない、絶滅を期すつもりで、いまいろいろな方策を講じているところでございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 その監査制度の徹底、これは本委員会においても公認会計士制度のできるときに論議されたことでございまして、まことにそれの徹底を期することは必要でございます。さらに、いま大臣が申されましたとおり、大規模な内容、設備を整えさせていくという意見でございます。それも監査法人でございます。監査法人の事務所の意見だと私は思いますが、それも、これからだんだんと資本量も大きくなってまいります。企業合同すれば、そういう点で質的にも量的にも大きく変わっていきます。大臣のお話もわかります。ただ、監査法人をつくる場合においても、ここで証券局長に申し上げたいのですが、その場合も、私が前回の委員会において質問をいたしましたが、なかなか監査法人ができても、その運営をするに容易じゃないですよ。そのために始終問題が起こっているのです。委員会でよく言ったのです。だから、一人の事務能率の点で申し上げたことがあります。一人がどのぐらいできるか。たとえば五百億、あるいは百億の会社で監査法人の事務を扱う場合に、一人がどのくらいできるかという分析もいたしたわけでございます。そういうまた答弁もあったわけでございます。これから量が多くなってくるに従って容易なことじゃないわけです。だから、監査法人をつくる場合におきましても、なわ張り的法人事務所ではよくない。従来の人に固定するという考え方では私はいかぬと思います。だから、監査制度というものを拡充するならば、会計士というものをフルに動かすような考え方をもって監査法人をつくるのでなければ、会計士になった方々もさみしいし、また、そういうことで特権的な一つの事務所だというような印象を与えてもいけませんから、その点は大蔵大臣、証券局長、十分配慮をして、そういう誤解のないよう、有能な会計士をフルに動員し部署につけるように普遍妥当性を持たせる配慮で行政指導をされたい。能力のないような者を集めるのもおかしいが、特定の者に限るような指導もよくない、そういう誤解や配慮を起こさせぬように、ひとつ善処願います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) もうおっしゃるとおりだと思います。そのとおりの指導をするつもりであります。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 普遍妥当にやっていくということですね。——よろしゅうございます。

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会

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