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58回国会参議院1968/03/26

社会労働委員会 第6号

発言数
39
登壇者
6
会派数
2
開催日
1968/03/26

会議録

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、まず医務局長にお伺いしたいと思います。  この前、昨年の十月五日の本委員会で、新生児に対して看護婦の定員がない、看護婦が忙しいために、赤ちゃんの取りかえ事件も起きるし、保育器で焼け死ぬような事件も起こる、これに対して赤ちゃんに看護婦の定員をつけるべきじゃないかとお伺いしましたときに、新年度から赤ちゃんに看護婦の定員をつけることにいたしますとはっきり局長からも大臣からも御答弁いただいたわけでございますが、その後準備はどのように進められているか。さらに、看護婦が足りなくて各所に問題が起こっておりますが、これに対して赤ちゃんに四対一の看護婦定員をつけるとしたらどのくらいの看護婦さんを必要とするか、それは正しく手配できるものであるかどうか。そのことについてまず第一にお伺いしたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) ほうぼうの施設で起きました赤ちゃんの取り違え等のことが看護婦の不足ということにも原因があるということから、病院における看護体制の強化、特に産科婦人科方面における新生児室関係の看護体制の強化ということを検討してまいりましたが、昨年中に、日本医師会、あるいは看護協会、さらには専門団体である新生児管理改善促進連合というような専門家の集まりの方々からの要望もございましたので、その趣旨に沿いまして医療法の規則の改定を行ないまして新生児も看護婦を算定する場合のベッドに算入するという方針をきめまして、そのための準備をいたしております。申し出の主力団体でありました新生児管理改善促進連合にお願いいたしまして、現在、各施設の実情、それからどのように改善をする幅があるかというような点について調査をしていただきまして、その結果がほとんどまとまりかけております。したがって、これらの資料に基づきまして実現の可能性もおよそ肯定されますので、ごく近い将来に省令等の改正によりましてこれを踏み切る。そのために、すでに、御承知のように、国立病院におきましてもこれを計画的にやっていくということで、百十四名の看護要員を予算上そのために確保するという手段も講じたわけでございます。これを実施いたします場合に全国で何名必要かという計算が一応してございますが、現在ちょっと手元に数字がございませんので、後ほど先生に直接御連絡申し上げたいと存じます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 それでは、それはあとで資料としてちょうだいしたいと思います。  国立だけで百十四名ですか。いま看護婦が非常に不足して、私、最近、地方の病院等を訪問して調べておるのでございますが、非常な不足でございますが、どういうふうにして看護婦さんを割り出して、定員が確保できるでしょうか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 看護婦が不足しておる中で新生児の看護を強化するという場合に、看護婦が絶対的に不足なのにそういうことをやれるかというお話かと思いますが、これは現実には各医療機関とも相当の看護婦不足に悩んでおることは御承知のとおりでございまして、三十九年、四十年ごろはわれわれが理論的に計算いたしましても三万数千名不足しておるということでございました。その後、看護婦の養成の強化をはかりまして、若干ずつ改善されております。昭和四十六年ごろには一応理論的な計算上の看護婦の充足はできる。しかし、現実は理論どおりにいっておりませんので、それでもなお現実の不足は起こるかと思いますけれども、一応理論的な計算上の不足は解消するという状態でございます。そういう意味で、年々若干ずつ不足が減少しておりまして、若干ずつそういう意味で改善されておりますので、こういう改善に向かっておるという状況で不足の中からやりくりをしてでもできるだけそういう方面の充足をはかってもらう。したがって、絶対的な不足は解消いたしませんので、一挙に各施設ともが全部充足をしていくということはかなり困難もあろうかと思います。しかし、そういう数年後を目ざして完全な解消をはかりますが、その中でもこういうような新生児看護のような事故の起こっておるような部面については特に重点的に充足をして、その意味ではほかのほうにしわ寄せが若干いくかもしれませんけれども、重点的にやってもらいたい。そういう趣旨で、先般来も、産婦人科あるいは新生児室を持っている病院について、いわゆる総点検ということをやらせまして、みずからの施設の実情を把握し、不足のある面、特に看護職員の充足等について不足のある面を改善するように、自主的に大いに努力をせよという趣旨の総点検の通知を出したわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 省令で定員がきめられれば、やはりそれだけのものを置かなければならないわけですね。ところが、いまあなたも認められたけれども、一挙にはできない、徐々に看護婦の充足をはかり、それで看護婦不足も緩和されつつある、至急にこれらをやっていきたい、こういうお話ですけれども、そういう答弁をいつもいつも聞くんですけれども、どういう方法で看護婦の充足をはかっておられるか。ことしも看護婦の養成所の志望者は相当多かったはずでございます。ところが、養成所の定員をふやしたというようなところはごくまれで、一、二あるようでございますけれども、ほとんどは従来どおりより採っていないというふうに伺っておりますが、どういう方法で看護婦さんを充足していくのか。  それから看護婦さんが働く場合に結婚等して働けないというようなことで、優秀な看護婦が職場を離れていく。民間にこうして埋もれている優秀看護婦を掘り起こしていくということも急ぐようにということはたびたび申し上げておりますが、それらに対してはどういう対策で臨んでおられるか。  それから私がこのあいだ地方へ参りました病院では、定員二十名の看護婦さんがいなきゃならないのに、現在十八名で、正規看護婦は三名なんです。あとは全部准看なんです。こういうところがかなり多いと思うんです。これらはそれでいいとお考えでしょうか。これは法律違反だと思うんですが、どういうふうに対処しておいでになるか、あわせてお伺いをいたします。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 看護婦の養成状況でございますが、私どもも養成の絶対数をできるだけ急速にふやしたいということで努力をいたしておりまして、たとえば看護婦の養成定員も、三十八年に一万六千三百名程度でございましたが、四十三年度には二万名をこえることになります。また、准看護婦に対して看護婦が少ないということで、准看護婦から看護婦への道をできるだけ広げ、また、その数を増加いたしたいということで、特に進学課程の増設をつとめておりまして、三十八年に進学課程が五十一カ所、定員二千三百名程度でございましたが、四十二年には九十八カ所で、倍までには至りませんが、ほぼ倍、その定員も六千四百名ということで、まあこれも三倍までは至りませんが、二・数倍ということに増加いたしております。もちろん准看護婦の養成も相当ふえておりまして、看護高校をも含めまして准看護婦の養成施設は三十八年に五百七十カ所でございましたが、四十二年には七百五十二カ所というぐあいにふえております。その定員も、三万四千人から六万一千人——定員といいますのは、学生の各学年の総数を申し上げておりますので、一学年だけではございませんが、そういう状況で、看護婦それ自体の養成は大いにふやしております。  ただ、御指摘のように、ある施設で二十人の中で十八人しか充足していない、その中で三人しか看護婦がいないということは、これは看護力の質という点から申しましてまことに適切でないことでございまして、どうしても少なくとも半分程度の看護婦がほしいわけでございます。そういう意味で、現在の状態では、総数で見ますと、看護婦の数と准看護婦の数がほぼ一対一に近づいております。まだ看護婦の数が若干多うございますが、もう二、三年たちますと看護婦が少なくなって准看護婦がオーバーしてしまうという状況でございます。しかも、看護婦が片寄っておりますので、施設によりましては看護婦と准看護婦の比率が一対一になかなかなりかねるということはまことに遺憾だと思います。  ただし、これは法律違反ではないかというお話でございますけれども、これは医療法では看護職員ということをきめておりまして、看護婦と准看護婦の数は医療法それ自体としては規定してございません。ただ、保険の基準看護を実施し、保険の基準看護料を支払う場合には、基準看護に合格するかしないかということで、四・四・二あるいは五・五というような判定は行なわれますが、これは保険の支払いの問題でございまして直接医療法それ自体の問題ではございません。しかし、これらにつきましても、将来はできるだけ実情に合わせ、また、看護内容の向上をはかるような検討を加えてまいる所存でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 保険のときのきめ方であって法的の云々ではない。それはそうです、数の点では。しかし、准看護婦の仕事内容と看護婦さんの仕事内容は違うはずです。ところが、十八人のうちに看護婦が三人しかいない。そこでは、明らかに婦長さんもはっきり認めておりましたけれども、准看護婦に一人夜勤もさしております、看護業務と何ら変わりない仕事をさせざるを得ないのでございますと、こういうふうに言っているんですね。その看護婦さんの業務内容の規定は生きているのでしょう。生きていますね。けれども、現実にはそれが行なわれていないんですよ。そこがただしたいわけです。  それからもう一つは、いまはまだ看護婦のほうが若干多いと。これはあたりまえでしょう。准看はあとからできた。ところが、繰り返しますけれども、毎年毎年養成しております看護婦の数、それから准看の数、これはどうなっていますか、比率は。これは将来はひっくり返っちゃうのじゃないですか。これに対してはどういうふうにして対処されるお考えですか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 現時点におきます看護婦、准看護婦の総数は先ほど申し上げましたとおりでございますが、現在養成している看護婦あるいは准看護婦の数ということになりますと、お話しのように非常にアンバランスがございます。看護婦——三年課程の看護婦につきましては、現在約二万人でございますので……

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 卒業がですか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) いいえ、定員が。先ほど申しましたのは総定員でございます。したがって、三年課程でございますので、ほぼ三分の一といたしますと約六千名ちょっと。それから進学課程が約六千名と申し上げましたが、これが二年課程と三年課程がございます。したがってこれの実定員は約二千五百名があるわけでございまして、したがって、現在の養成からいいますと約九千名足らず程度が看護婦として養成されている数でございます。一方、准看護婦となるべく養成されている数は高校を含めまして三万名でございますから、約一対三程度でございますので、どうしても将来看護婦の率が少なくなり、准看の占める率が多くなることになります。そういう意味で私どももできるだけ現在すでに相当たくさん出ております准看護婦から看護婦になっていただく。しかも、最近におきましては、准看護婦でも、高校を卒業して准看護婦になっている者が相当ございます。したがって、これらの者をできるだけ看護婦に橋渡ししてやりたい。そういう意味で夜間の進学課程をできるだけふやしていきたいという趣旨で努力しておりまして、来年もまた相当数、十七校くらいが——来年はことしよりもまた相当ふえるはずでございまして、国立療養所等における准看護婦養成所もできるだけ進学課程に切りかえるような指導もいたしております。そういうことで、できるだけこの率の是正をしてまいりたいと思っておりますが、まだ思うように近い将来にバランスがとれるというところまでいっていないのがなかなか残念でございます。ただ、これからの卒業生の数から見ましても、中卒が非常に減ってまいりまして、高卒がふえてまいりますので、それらの学生との見合いも考えましてどうしても准看は当然将来減っていく。したがって、高看を相当大幅にふやさなければならぬという方針で養成施設の拡充並びに新設を大いにはかっておるわけでございますが、お話しのようになかなか十分にいっていないことはまことに残念なことでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 この前のときにも、去年だったかと思うんですけれども、志望者が多いのに養成所をふやさないのはおかしいじゃないか、そういうような方向でまいりますというお話だったんですよ。ところで、ことしもずいぶん志望者が多かったのに、やはり採っていないんですよ。だけれども、いまあなたのお話だと、なるべく大幅にそのほうをふやしていく考えでございますと。考えだけじゃ困るんですよ、やってくれなければ。高校進学がずいぶんふえてきて、中卒が少なくなってきた。だから、看護婦志望の方もふえてくるのだが、それが一応施設がないためにやむを得ず准看の学校に行く。准看になった以上は、そこに実務何年という規定がございますね、進学するにしても。そういう不利な扱いを受ける結果になる。こんなに准看の施設が七百五十二カ所もあったですか。そういう准看のほうばっかりどんどんふやして熱意を入れて、高等看護婦のほうは一向ふえていない。それは一体どういうわけなんでしょうか。やる熱意があれば、高看つまり高等看護学院をふやそうと思えば、ふえるのじゃないでしょうか。それができない理由はどこにあるのでしょう。安上がりの看護婦を使うという考え方があるんじゃないか。どうして高等看護学院をふやさないで准看ばっかりふやして三万人からの卒業生を得て、一方は進学コースを経た者をあわせても八千五百ですか、くらいになる。アンバランスになるのはあたりまえじゃないですか。その対策はほんとうに考えているんですか、いないんですか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 私どもといたしましては、こういう状況から、准看護婦の養成施設については、事実上ほとんど自然にまかしております。それでも相当数ができてくるという実情でございます。それに対して、私どもといたしましては、できるだけ三年制の看護婦あるいは進学課程を積極的に助成育成していくという方針をとっておりますが、何ぶんにも三年制の養成施設というものは相当経費もかかりますために、実施を担当してくれるところがなかなかないという点が一つございます。  それならば、国立でもってやれというお話が出ると思いますけれども、私どもも、国立病院は、それだけの能力のあるところは全部やるようにということで点検をさしておりますが、現在の国立病院も非常に小さい施設もございまして、総合病院になっていない国立病院が相当ございますので、国立病院の看護担当官等も、現在以上に国立の養成施設をふやすことは事実上困難だというような意見も出しております。そういうことで、最近は府県等にもお願いをしまして、できるだけ大がかりな、できれば看護短大というような形のものをつくってくれということを言っておりまして、ぼちぼちそういうような傾向が出つつあるわけでございます。  そういう意味で、私どもが現在養成施設をつくる場合に一番困難しておりますのは、実習施設でございます。実習施設がもうどこも満員でございまして、これ以上実習人員をふやすことができない。そういう意味で、養成所の養成を拡充するについて適切な実習施設を確保できないという点が現実の問題としては非常に隘路になっております。そういう意味で、最近、養成規程の改正は昨年度でございましたが、昨年の養成規程の改正で実習施設の基準を少しゆるめるということをやっておりまして、何とか実習施設の確保をはかるということに努力しているわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 看護婦の養成費が、結局、療養費から出さなければならないようなシステムになっていますね。ここに問題があると思う。何でも安上がりにお考えになるからいけないのです。これは思い切った奨学金制度をとって——いまも何人か出していますね、看護婦さんに奨学金を。これはわずかですよ。この奨学金だけではとてもまかない切れないものなんでございます。ですから、国が医療に対してあまり金を出さなさ過ぎる。国の低医療政策のしわ寄せがこういうところへ来ていると思うのです。したがって、思い切って奨学金を出して、それで看護婦養成費用が療養費から取り立てるというようなことでないシステムは考えられないものなんでしょうか、どうなんでしょう。  それから看護婦さんたちの希望である——看護婦をしておれば、看護婦の資格で働けるけれど一も、ほかの職種へかわる場合には、高校を出て三年の教科を経ているにもかかわらず、学歴は高校卒ということの規定づけしか受けられないのですね。ですから、看護婦さんたちの多くの希望は、教育法に基づくところの養成機関、これにしてほしいという希望がずいぶんあるようですけれども、これに対しては、厚生省は、目下文部省と話し合っておりますなんということをこの前一度あなたのときじゃないと思いますけれども聞いていると思うのですが、その後そういうお考えはありますかありませんか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 看護婦の養成につきましては、特に高等看護婦は高校卒三年でございますので、通常の短大あるいはそれ以上の勉強をしているわけでございます。そういう意味で、学歴というような点で短大卒の資格がないということは、確かに非常に気の毒だと思います。また、看護婦というものが、昔のように徒弟的に育てられるものではなくて、専門職業教育として教育養成されるべきものであるというお考えにも全く同感でございます。したがって、できるならば、正規の学校教育を通じて教育することが妥当であると思いますけれども、何ぶんにも大量な養成施設を一挙に学校等に切りかえることも、経営上の問題からきわめて困難があるわけであります。しかも、御指摘のように、これがすべて公共の機関等によって養成されております場合にはまだ努力のあらわし方もあると思いますが、何ぶんにも民間あるいはそれに準ずる程度のもので、御指摘のように診療費のあがりのかすりでもって養成されているというような実情でございますので、これを一気に学校に切りかえるということは、学校の基準が短大になりますと非常に高い基準を要請されますので、おそらく経費も数倍に上ってくるはずでございます。また、教職員等も専任の者を求めなければなりませんので、これらの専任の教職員を一挙に求めるということも事実上きわめて困難でございます。そういう意味で、私どもも御趣旨はもっともでございますし、私どもの希望といたしましても将来学校教育をもってやるという考え方はまったく賛成でございますけれども、一挙にはなかなかむずかしい。したがって、先ほども申しましたように、県等がこれから新設しようというような場合には、できるだけ短大方式を採用して、がっちりした、しかも多人数を教育できるような施設をやってほしいということを衛生部長等の会議にも申して要請しているわけでございます。国といたしましても、そのような方向にいきたいということで、実は看護大学をつくるという計画もいたしましたが、まだ実らなかったことは残念でございまして、御趣旨の方向は全く同感でございますが、長年の歴史と伝統を一挙に変えることはなかなか困難だということで、私ども不満足ながら逐次努力をしていくというよりしかたがない段階であると存じております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 一挙にやることは困難でしょう。けれど、一挙じゃなくとも、五、六年前からこの問題はむし返しているんですよ。一向に進展しないので、それはぜひともその方向で押しまくってほしいと強く希望いたします。  と同時に、現在の二十人定員ぐらいの高等看護学院で二十五人なら二十五人採るのでも相当困難ですから、もう少し定員を広げることはできないでしょうか、これが一つ。  それから准看護婦がどんどんふえて、りっぱにまた病院では任務を果たしているんですよね。しかし、准看護婦として差別はあるわけです、働く場所でも。それで、長年やっていた場合に、いまの看護婦の足りないことを何とか解決するために幾ら進学コースをつくっていただいても、夜学をつくっていただいても、山間僻地にいる人であるとか、勤務状態が三交代制だなんていうと、なかなか学校に通えない、こういう人がたくさんいるんですよ。それで、おしまいには、ばかばかしくなって職場を捨てる、ますます看護婦は足らなくなる、こういうことになっているのですが、この准看の人たちを、何とか国家試験を受けて、そうして普通の看護婦に昇格させるというようなことのあたたかい考え方はないものでしょうか。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 准看護婦から看護婦に進学する、あるいは昇格するという方法を広げていくということには、私どもも大いに賛成でございますし、また、そうできないと先ほどのような日本全体の看護体制がひずみますので、できるだけそういう方向をとりたい。しかし、同時にまた、看護婦の資質というものを将来にわたって維持していきたい。したがって、目先の便宜だけのために看護婦の質を落とすということにはできるだけならないようにしていきたいということから、どうしても進学あるいは昇格というものに相当の教育をするということを前提にものを考えております。しかし、同時に、できるだけその道を広げてやりたいということもまた念願でございますので、先々回の国会ですか、看護婦の進学の方向に関する御提案がございましたけれども、それらも参考にしつつ、現在、十名程度の専門家に具体的にどうやったら一番適切であろうかということの検討会を続けていただいております。それらの結論もお聞きいたしまして、できるだけ早い機会に具体的なステップを開始したいということで、ただいま準備中でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、あなたの言うとおり、婦の質を落とすことは絶対反対です。ですから、高いレベルの国家試験を経るわけでございますから、どうしたらいいかということを、厚生省としては、命をあずかる大事な仕事でございますから、真剣に考え、また、誇りを持って働けるような看護婦さんの職場、これもひとつ御検討願いたいと思います。  私はたまたまきょうこちらへ来る途中で自動車の中で新聞を見てびっくりしたのですけれども、いま、交通戦争といわれて、救急病院指定等もされておいでになるのですね。けが人が毎日出ている。ところが、この救急病院の内容を新聞で見てびっくりしたのですけれども、お粗末限りないものがあるようでございます。これはきょうの「毎日新聞」でございますけれども、十五病院のうちに脳外科医がいるのは三病院だけだというようなことが出ておりますね。それから、ある病院では、八十もベッドがあるのに、看護婦さんはたった三人しかいない。あなた、ごらんになったかどうか知りませんが、きょうの「毎日新聞」です。こういうことに放置しておいてもいいものだろうか。救急病院に脳外科医がいない。それで、けがして入院したけれども、たいしたことはないと言われて、四時間後には死んじゃった、こういう実例がここに出ているわけなんです。私は、これじゃ国民に相すまぬだろうと思うのです、厚生省としても。事実脳外科医が足りないならば、どういうふうな方法でこれを充足していかれるお考えであるか。それから八十もあるベッドに看護婦がたった三人しかいない。こんなばかげたことがありとすれば、これは大問題と思いますから、まあ私もきょう来ながら見た新聞でございますから、調査ができておりませんので、きょうはこれ以上突っ込むことはいたしませんけれども、救急病院の実態をちょっとお聞かせ願いたい。

若松栄一厚生省医務局長

○政府委員(若松栄一君) 救急の医療機関につきましては、御承知のように、救急を取り扱うことを都道府県知事に申し入れまして、その申し入れに基づいて告示された医療機関が救急医療告示機関というものでございまして、それが現実の第一線の救急処置に当たることになっておりますが、この救急医療機関の整備を、できるだけ急速に、かつ、きめこまかくやりたいということで、各地方を督励いたしまして施設の整備をはかっておるわけでございますが、現在の救急告示施設は、昨年末におきまして、病院が二千二百十四カ所、診療所が千四百三十九カ所、計三千六百五十三カ所が救急医療機関として存在しているわけでございます。しかし、これらは、いま申しましたように診療所が千五百程度ございますし、ただいまお話に出たような脳外科というような救急の相当高度の医療を担当するには必ずしも能力がございません。したがって、救急医療機関をできるだけ整備しようという方針をとっておりますが、ちょうど二年ほど前に、脳神経外科学会でも、救急医療機関に脳外科医を配置せい、それには脳神経外科学会としても協力しよう、しかし、その際は、現在の状況からいって、各ブロックに中心的につくるとして十カ所程度がまず適当であろうというような御意見が出たわけでございます。しかし、私どもといたしましては、現在脳神経外科医の能力がそれだけだといたしましても、十カ所程度ではあまりにも国民の利用を限定してしまうということで、多少脳外科医の専門の程度が下がるといたしましても、できるだけ数多くつくりたいということで、昨年、地方救急センターというものを整備して、それに脳外科のできる医者を配置したいということで、計画的に地方庁とも相談いたしまして百十一カ所の病院をまず選定いたしまして、そこに救急の施設を整備し、かつ、そこにおける医療体制を強化し、あわせて脳神経外科等の専門家をできるだけ充足したい。しかし、現在の状態では、脳神経外科医を十分に確保することができませんで、やむを得ず、既成の専門家だけでなしに、現在外科の技術の相当ある者を脳外傷等を扱えるような研修をしてもらおうということで、脳外科の専門医を大学その他の脳神経外科の講座のある教室に委託しまして講習を行なうという計画を四十三年度から実施することにいたしております。  なお、脳神経外科の専門講座も最近比較的急速に伸びております。四十三年の一月現在で、脳神経外科の講座あるいは脳神経外科の研究施設を有する大学が非常にふえてまいりまして、合計二十二カ所になってまいりましたので、この方面の拡充としては非常に目ざましいものであると思っております。こういう施設からそういう専門家が急速に養成され、世の中に出てくることと思いますので、だんだんその方面でも改善が見られるものと思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私はおかしいと思うんですよね。いまごろになって足りないからやるんだ、努力しますと。現実に毎日毎日交通戦争のさなかにわれわれは放置されているんですよね。それで、病院へ行ってみれば、医者もろくにいない、看護婦さんもいない、しかもそれが救急病院の看板がかかっている。何をたよりに国民は生きるかという非常に不安を持つわけなんです。ですから、急速に充足されつつありますということでなしに、急速に充足してもらわなければ納得がまいりませんが、きょうはこのやりとりをしておりますと時間がありませんので、この新聞を見たのでこれをちょっと伺いました。  厚生省は後手後手だと思うんです。そこへもってきて、このごろの学生の騒ぎでしょう。あれなんかも、メンツにこだわらないで率直に話し合って早く解決しなければ、大事なお医者さんの卵でしょう、非常に国家的な損失だと思うんですよ。これはメンツにこだわらないで至急に解決をして、よりよき医者をより多く皆さんの責任でつくるようにしてもらいたい。病院へ行ったって、医者もいない、レントゲンもろくにないところがあるんですってね、救急病院で。それじゃ困るじゃありませんか。それは、看護婦の問題といわず、医者の問題といわず、国の低医療費政策を打破して、費用がかかるから受益者負担にするんだなんてけちなことは言わないで、もっと真剣に国民の命を守る見地から取っ組んでいただきたい。これは、政務次官、どういう心がまえで今後やってくれますか。それを伺いたいと思います。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(谷垣專一君) いま、国民の医療需要は非常に急速に伸びております。同時に、社会生活の急速な変化のために、新しい分野に異常なともいうべき需要がございます。もちろん科学の進歩もございますので、結核における新薬の発見というようなことがあって、ある部門における医療の分野が解決されている分野もございますけれども、非常に流動的で、しかも根本的には国民の医療需要が非常に急速でございます。  先ほどから御意見がございましたように、単に看護婦の問題にとどまりません、医者そのものの供給の体制、さらには、いろいろな補助機関というべき、たとえばエックス線を扱う職員でありますとか、あるいは検定系統の仕事に従事する職員でありますとか、要するに医療給付の全体系の必要な人材の供給、養成というものがこの急速な医療需要の拡大に応じかねておるというのが、御指摘がございましたように、今日の状況であると思います。  この問題に対してどういうふうに取り組んでいくか。基本的な態度は、私は、先ほどからお伺いしておりましたように、藤原先生の御意見と全く同一であろうと思います。どうしてこの急場の問題を防ぎつつ、しかも医療給付のいわば程度を高いものにしていくかというところが問題でございますし、あるいは、先ほど御指摘がございましたように、新生児の問題にいたしましても、看護婦の全体の定員そのものが足りない場合において新生児の取り違えのような事件が起きていることをどう解決するか。あるいは、現在の交通戦争のさなかにおいて、これをどうやっていくか。しかし、片一方、脳神経なりその他の外科の先生方の養成というものは、これまた問題が人でございますし、毎日進んでおる技術の問題でございますので、これもなかなか養成そのものも思うにまかせない状況でございます。  私も全くしろうとでございますが、ほかの分野の経験もございますけれども、厚生省へ参りまして痛感いたしておりますことは、そういう全体系における統一のとれた、しかも現実に即した体制というものをどういうふうに満足さしていくかということ、これは確かに厚生当局も非常に苦労をしてやっております。少し長くなって恐縮でございますけれども、インターン問題一つ考えてみましても、そういう悩みのあらわれであろうと思います。しかし、そうかといって、これをいつまでも先々のことばかしでなく、足元の当面の問題から片づけていかなければならぬのが、御指摘のように国民の生命を預かっております厚生省としては一番根本の考え方でございますので、その趣旨のもとに全力を尽くさなければならぬと思っております。  確かに、御指摘のように、後手後手になっております。これは、しかし後手になるということは、いまの現状から申しますとおしかりを受けますがやむを得ない面があると思いますが、ただ、その後手後手になっておる問題は、非常な急速に拡充しておる医療需要に対して、いわゆるギャップをできるだけ早く埋めていくという努力、それから給付の質を落とさないでやっていくということ、この両方の板ばさみになりつつ実は苦労をいたしておる次第でございます。私もしろうとでございますけれども、厚生関係に関係さしていただいております間はもちろんでありますが、国民の一人としても、この問題に対しては今後ともに努力をさしていただきますし、また、厚生省の諸君とともに、先生のいろいろ先ほどからのお話しのような点を十分参考にさしていただいて努力をさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 この問題は、実は、インターン問題等は、大橋さんが責任をもっておやりになることになっておりますが、とにかく医者に関連して申し上げたので、特に早く解決するべくぜひ努力をしてほしいということを強く要望しておきます。救急病院の問題等も、もう少し調査いたしまして、次の委員会でいろいろ伺いたいと考えております。  実は、私、最近、婦人の座談会等にちょいちょい出るのですけれども、どこに行っても医療に対する不安が一ぱいなんです。出てくる質問はほとんどそれなんです。団地の奥さんなんかノイローゼになっているのじゃないかしら、赤ちゃんの取りかえ事件なんかでも。あれは、たまたま血液型が違ったからわかったんでしょう。もし血液型が同じだったら、わからないで、他人の子を育てることになっているのじゃないでしょうか。こういう深刻な悩み、胸を締めつけられるほど、ほんとうにこの人はノイローゼじゃないかしらと思うように真剣なんです。  そうした奥さん方の最近の悩みの一つに、はしかワクチンのことが出てくるわけです。この前大橋さんが御質問なさいましたときに、審議会ですか何か専門のところで検討して、結論が出てから態度をきめますというような局長の御答弁だったと記憶するのでございますが、その結論が、KL方式に統一されたというような新聞発表でございましたが、さようでございますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 前回の当委員会で、さような御質問がございましたので、さようなお答えをいたしたわけであります。今月の十六日の日に、私どものほうの審議会の下部機構であります調査会というものがございますが、十七、八人のこの方面の専門家——ウィルス学者、あるいは小児科専攻の臨床学者、こういう方に十七、八人集まっていただきまして、当面問題になっておりますはしかワクチンの接種方法といもうのについて議論をしていただいたわけでございます。当日の議論の一応の結論があのような形で新聞発表になったわけでございます。私ども厚生省としましては、まだ正式に態度をきめたわけじゃないわけでございます。一回の調査会だけの結論でございます。今後、今月中にもう一回、それからまた来月四月になりましてもう一回調査会なり特別部会を開いていただきまして、そこで審議会としての正式な意見を出していただく。それを受けまして、厚生省としては、その結論をどう受け取るかということについて早急に態度をきめなければならぬわけでございますが、いま藤原先生御質問のように、決して先般の調査会の結論が厚生省の結論というわけではないわけでございます。いま申しましたように、今後あと一、二回やりまして、そしてこの方面の国内の一流の専門家の意見が大体結論が出ましたところで厚生大臣のそれに対する基本的態度が決定されるというようなかっこうに相なるわけでござざいまので、私どもとしましては、いま御指摘のように、前回の調査会の結論をそのまま厚生省の基本的な態度というふうには考えておりません。十分そういう学会方面の御意見も聞き、またそれ以外の各方面の御意見も聞きまして、最終的に厚生省としては態度をきめたい、かように考えている次第でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 じゃ、厚生省の意見はまだきまらないとすれば、いつごろきまる予定なんですか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) いま申しましたように、厚生大臣の諮問機関でございます審議会で、現行のはしかワクチンの接種方式というものについて、いろいろな角度、つまり諸外国の事例あるいはわが国の事例等を勘案して審議会としての意見を出していただくことになっておりますので、それに基づきまして厚生省としては判断をしたい。したがいまして、時期的には、おそらく最終的な審議会の結論が出ますのが、いま、当面、学会等がたくさん行なわれておりますので、そういう関係もございまして、審議会の最終結論が出るのが四月の中旬ごろ以降になるだろうと思っております。それを受けまして、厚生省としては、その答申を見まして、また、いろいろな方面の御意見を聞きまして、厚生大臣として最終態度をきめる、こういうことに相なろうと思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私もこの問題は不勉強でございますので、不確かかとも思いますけれども、アリメカではKワクチンの使用をやめました。そのほかの国でも、やはりKは危険性があるというので使用を中止させておるというふうに承知いたしております。また、二年、三年後に不測の事態が起こったときに、そのおしりの持っていき場所がないんですよ、これは。そういうわけで、事、命に関する問題で、子を持つ親としては今年ははしかの流行期じゃないかということで非常に心配をしております。この心配のないように、慎重の上にも慎重を期して、いわゆる文明国としてKを使うことは日本だけだというようなことを伺うわけでございまして、そういう点からも慎重な御審議、結論を出してほしい。ことにLいわゆる生ワクとガンマーグロブリンの使用がいいということも聞く。また、厚生省のほうでは、日本のガンマ−グロブリンはまだはしかにしては不正確だというような議論もあるやに聞きますけれども、それならはしかにそういうものを使うことができるはずでございますから、真剣にこれを検討してほしい。  それからまた、いま、ソ連の生ワクが非常にいいからこれを輸入して使ったらどうかというような意見もあるやに伺っておりますが、それらについて局長はどのようにお考えになっておりますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 前段の御質問の、Kワクチンの使用を禁止したほうがいいじゃないかという御質問でございます。前回の調査会での一致した専門家の結論は、Lワクチンだけの単独接種というものは、諸外国でやっておりますけれども、どうしてもまだ副反応というものが強いという面がある。したがいまして、日本人の体質からいいまして現在のLだけの単独接種というものはどうしてもまだ受け入れがたい。KとLの併用方式、つまりK一回、L一回の併用方式というものが適当だという結論があったわけでございます。  それからまた、第二の点として先生がお触れになりましたLワクチンとガンマーグロブリンの併用接種というものの考え方でございますが、これにつきましては、ガンマーグロブリンの使用量というものについてまだ技術的に非常にむずかしい点が残されているというのが大かたの先生の意見でございます。もしそのような接種量等について今後研究を重ね、一つの確信が持たれるようになりますと、Lとガンマーグロブリンの併用方式というものは進めてもいいというのが当日の専門家の皆様方の御意見でございます。したがいまして、今後、Lワクチンとガンマーグロブリンの併用方式というものは、ガンマーグロブリンについての接種量の点を技術的に解明をするという前提条件で研究を急ぎまして、確信が持たれましたならば、この方式は一応進めていいんじゃないか、こういうような現段階の気持ちでございます。  それから第三の、ソ連等の生ワクチンの輸入問題がけさの新聞にも出ておりますが、確かに、アメリカなりソ連等では、現在の日本のLワクチンよりも弱毒化された生ワクチンを接種していることは事実のようでございます。ただ、このソ連等の弱毒化されたLワクチン、たとえば学者によりますとレニングラード16型の生ワクチンだというふうに言われておりますが、このソ連製の生ワクチンがはたしてどの程度免疫効果を持っているか、あるいはまた、逆に副反応というものがどの程度あるかということについて、学会等で一部の論文なり何なりの発表はありますが、まだ政府として煮詰めたデータを持ち寄っていないわけでございます。したがいまして、ソ連等の生ワクチンのそのような基礎的な研究をまずやることが先決だということからしまして、けさの新聞にもございましたように、厚生省としましては、総評を介してのソ連製の生ワクチンの寄贈については、私どものほうの麻疹ワクチン研究協議会というもの——一流の学者の集まりでございます。この研究協議会でそれを預かって、そこで免疫効果、副反応等の基礎的な研究を早急にやりたい、そういうような研究用にこれを使用させていただきたいということで、この寄贈を受けるつもりでおるわけでございます。現在のところ、まだそのような基礎的な研究ができない段階で直ちにソ連製の生ワクチンを輸入するということについては、もうちょっと慎重に考えてまいりたい、かように思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、ソ連の生ワクを使えというわけじゃないのです。だけども、この前もちょっと触れましたけれども、サリドマイドの赤ちゃんのときにも、ドイツで撤回したんだから、日本でもやめたらいいじゃないかと言ったけれども、日本にはまだそんな事例は出ていないというようなことでずるずるあの結果を招いて、いま大きな不幸を背負っている子供がたくさんあるわけなんです。ですから、KKですか、これで外国でいろいろな副作用がある、これを日本に当てはめると三ないし九%くらいのあれが出るんじゃないかというふうなことを見れば、お母さん方の心配されるのは無理ないと思うのです。しかも、それを日本ではあれだというのでKLだときめてしまうことは、また私は問題だと思うんです。ですから、外国にそういうものが出たからといって日本にも出るとは限りませんなんということでなしに、慎重に結論を出してもらわなきゃ困る。きめるのはあなた方でも、もし不幸な事態が起こったとき、その不幸を受けるのは、罪のない赤ちゃんですから、こういう点もお考えいただきまして、慎重な結論を出してほしい。と同時に、小児麻痺の問題のときにもソ連製の生ワクがずいぶん問題になって、私たちもがたがたやりましたよ。けれども、それがもとで日本の小児麻痺は追放できたと言っても過言でないと思うんです。こういうこともあるんですから、先入観を持たないで、真剣に率直に検討していただいて、子供の命を守るような結論が出ますことを期待してやみません。  このごろ、どこへ行っても、この問題と、それから乳児の取りかえ事件と、さらに、最近は、香川県の君恵ちゃん事件——訴訟になったりなんかしていますね、天然痘の種痘で。私このあいだ高松に行きましたとき、私どもの大会へお母さんが赤ちゃんを連れてお出になったんです。満四歳で、明らかに種痘の結果がそうなったというふうに医者は言っている。ずいぶん治療したけれども、いま、左の半身かな、上下肢とも非常に発育が悪くて、精薄で、肢体不自由で、斜視で、顔面麻痺で、見るにたえない状態です。そのお母さんは、おそろしくて子供は産めない、産む勇気がないと言って非常に嘆いておいでになる。そこで、いまのはしかは、これはまだ日本では法定に入っていませんね。けれども、天然痘の場合は、あれを受けなかったら刑罰がついていましたね。そうでしょう。強制執行なんです。それで、そういう事態が起きたときに、しかたがない、これは特異体質だなどと言って済ましていいものだろうか。このごろのお母さん方の会合に出ると、必ず出てくるのは、最初の乳児の問題と、それからはしかワクチンの問題と、この君恵ちゃんの天然痘の予防接種の問題これでずいぶん聞かれる。これは一体どういうことなんですか。種痘をして、そういう事例がいままでどの程度起こっておりますか。起こった場合に、その責任はどこにあるのでしょうか。とにかく、法律で規定して、受けなければ刑罰がついているのです。それで、そういう不幸な事態になれば泣き寝入り、これでよろしいのでしょうか。この点についてちょっとお伺いします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○政府委員(村中俊明君) 種痘後の事故につきましては、統計資料によりますと、昭和二十六年から昭和四十年までの統計で、合計百五十七名の種痘後による死亡ということで診断書に載って処理されております。この取り扱いにつきましては、私どもも、先ほども薬務局長の御答弁の中にもございましたけれども、伝染病の防止ということが、一番端的な方法は予防接種によるのが直接的な方法だというふうな判断で、予防接種の開発と、できるだけ副反応の少ない予防接種に改良していくというふうな形で現在まで進んでいるわけでございますが、こういう事故の発生につきましては、そのつど現地に照会をいたしまして報告を受けて、役所の中に学者グループによる研究班をつくりまして、そこで発生例に対する検討をいたしているわけでございます。これは、昭和三十四年に予防接種実施要領を通達で出しまして、この中で、そういう事故例があった場合には、細大漏らさず報告を受ける、その受けた報告例について学者の研究班の中で検討をしてもらうというふうな体制を整えて現在までやっております。昭和三十五年から昨年四十二年までの種痘による事故ということで報告がありましたのは、件数にしまして二十件になっております。こういう事態でございまして、私どもも、種痘に関連したいろいろな事故については、できるだけ予防措置をとるとともに、不明な原因の解明はいま申し上げましたような形で早急に出したいというふうな体制をとっているわけでございます。  なお、特異体質などで思わぬ問題が起きてお母さん方が非常に不安を持っているという点のことについてでございますが、これは私どももいろいろ頭を痛めておるわけでございますが、問題が原因がなかなかつかめないというふうなことで、この研究班で次々とたとえば亡くなった事例については科学的な検討ができるように、あるいは、異常の事故については、その報告を早くしてもらって、何とか現地でいろいろなケースについての検討をするというふうなことがもっと積み重なってまいりますと、早い時期にそういうふうな問題の究明ができるのではないかというふうに考えているわけでございます。そういうことで、この異常体質の問題というものは、申し上げるまでもなく、国会あるいは報道機関でもいろいろ問題にされておりますけれども、現在の実態は、ただいま申し上げましたような形で進めているわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 二十六年から四十年までに百五十七名が死んでいるのですね。それから三十五年から四十二年までに二十件の事故があった。これも死亡ですか。  それから特異体質というのは、どういう体質でしょうか。特異体質であるかないかわからぬですね、種痘を受けるときに受ける赤ちゃんは。医者は法規に従って種痘するのですね。防ぎょうがないじゃないですか。いま、そのつど事例に従って検討しておりますというけれども、ずいぶん長い検討じゃないですか。二十六年から四十二年までもできているし、それからまた最近もこういう事故が起きているとすれば。いつになったらその検討ができるのですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○政府委員(村中俊明君) 説明が若干足りなかったようでございますが、三十五年から四十二年までの事故というのは、死亡とは関係がなく、種痘後に体に異常を起こしたという報告があって、いまの研究班で手をつけた件数でございます。  それから特異体質というのはどういうのかというふうな御質問でございますが、これは私はどういう科学にも科学の限界があると思います。現在の医学の段階で解明ができる限界が当然あるわけでございます。いろいろな病理学的な、基礎医学的な、臨床医学的な、そういう各専門の分野で原因の究明をして、しかもその体質あるいは体が異常反応を起こすということの原因が突きとめられない、これを現在特異反応、特異体質というふうな名前で言われておりまして、この範囲は学問の進歩とともにだんだん狭められておるというのが実態のようでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 この二十件の事故例は、種痘後起こったいろいろな故障ですね。この医療を受けているでしょうけれども、そういう場合の医療に対する補償ですか、こういうものはあるのですかないのですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○政府委員(村中俊明君) 現在は、予防接種の責任の行政の主体というのは、御承知のとおり市町村でございまして、ある市町村によっては、そういう事故が出た場合には見舞金、あるいは医療費の援助というふうな形で処理をされておるわけでございますが、現実にこれが法律で定まって処理をされているということではないと考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 こういうことが今度大きく報道されて、親たちは非常に不安に思っていますね。今度は、あまりにも当局が冷たいというので、訴訟に踏み切ったようでございます。君恵ちゃんの場合など、いままでにばく大な治療費を払っております。親は生活を犠牲にしてやっているんです。こういうのを見ると、種痘を受けるのが不安であるというのが多くのお母さん方の意見なんですね。けれども、国ではこれを強制的に行なうことになっております。これはどうも事故が起きたら手前持ちというのでは納得いかないように思いますが、これは責任の所在はどこにあるのですか。市町村にあるといったって、種痘をきめたのは国の法律でしょう。それから国立衛生研究所ですか、そこで薬の検定をして、それを地方へ送っているわけですね。地方の町村に責任があるというのはちょっとおかしいように思うのですが、どうなんでしょう。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○政府委員(村中俊明君) 予防接種による事故というふうな問題につきましては、先ほど申し上げましたように、現在の学問の分野からは限界に達するというふうな、たまたまその接種を受ける本人が異常体質であるという場合が一点と、それ以外の場合がもう一点あるわけでございます。たとえば、Aという予防注射をさすべきところを、間違えて全然別なものを接種してしまった。あるいは、予防接種をするときに、定められたいろいろな、たとえば消毒の問題、そういうことが不十分であったために事故が起きた。あるいは、市町村が対象者を集めて接種をするというふうな行政の経過の中でのあやまちがあります。さらに、いまのお話のように、ワクチンそのものに問題がある。しかも、そのワクチンが国家検定で一応パスしている。その国家検定による合格品が事故を起こしたというふうな、それぞれの段階に応じた問題が出てくるわけであります。それに応じて、たとえば、接種をした医師、看護婦、そういった技術者自身に事故があるかどうか。あるいは、市町村の行政に事故があるかどうか。あるいは、輸送の過程の中で国なり都道府県なり市町村なりそういう経過の中での事故があるかどうか。ワクチンメーカーの事故、あるいは国家検定の事故、それぞれに応じて現在処理されているわけであります。今回の香川県の不幸な事故に対しましても、行政裁判の訴えということで、おそらくその辺は、どこに問題があったのか、原因が何で起きたのかというふうな究明が当然行なわれると私は考えております。その問題の所在によってそれぞれの処置がされるというふうに考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、この問題は、きょうは午前中という約束でもございますので、これ以上突っ込むと長くなりますので、次の機会に譲りたいと思います。  そこで、厚生当局に私は申し上げておきたいのです。一つ一つが生命に通じているんですよ、厚生省でやっておいでになることは。医務局にしても、薬務局にしても、それから公衆衛生にしても、すべて皆様をたよりに国民がいる。あなた方を信頼して注射も受ければ医療も受けるということになるわけでございますから、もし問題があったら、徹底的な究明を急いで、そして結論を早く出して大衆の不安を解消するというぐらい迅速に事を運んでいただきたいということを強く要望したいのです。ことに、交通戦争でこれだけ毎日毎日多くの人の交通事故が起こっておる。救急病院が先ほど申し上げたような実態では、あまりにもお寒いんじゃないか。サリドマイドの問題もあったりするから、はしかワクチンで事故例が外国にあったとすれば、お母さん方が必死になるのはあたりまえです。まして、種痘の場合には、国が法律できめた強制執行ですよ。それで事故が起こるんですよね。こういうことで国民大衆が不安に思われる。これがひいては政治不信というところまで来ているんです。こういうことに対して、ひとつ真剣に御検討が願わしい。看婦護の問題等々につきましてもまたいずれあとで伺いますし、あるいは、インターンのことは、大橋先生がずっと質問しておいでになりまして、私はきょうちょっと新聞を見てどうもたまらない気持ちでお伺いいたしましたが、いずれ医療問題全般についてまた御質問さしていただきたいと思いますが、厚生省もしっかりしていただきたいと強く要望いたします。答弁だけじゃだめですよ。しっかりしてください。

谷垣專一自由民主党厚生政務次官

○政府委員(谷垣專一君) 御指摘のように、いろんな不幸な事件が起きました場合には、これは原因の究明を急ぎまして、その対策を迅速にとるべきが当然だと思いますし、その努力をいたしたいと思います。ただ、先ほど来問題が出ておりますようなたとえばワクチネイトの問題にいたしましても、この技術なり科学なりの限界と進歩の問題がございます。といって、ごく少数の例がございまするから、それを非常に過小評価するとか、そうい意味じゃございませんが、しかし、それだからといって、これの種痘をやめるというわけにももちろんいかない話でございます。ただそれの原因の究明とそれに対する救済策をどうするかというところが問題でございましょうが、しかし、こういう不幸な結果になれた御当人あるいは御両親の立場になって考えますと、ほんとうはその救済策というものはないはずであります。端的にはその接種なり何なりのことが何らあとに被害を残さないかっこうになっていかなければならぬ。それでなければほんとうの救済にならぬと思いますが、しかし、これはやはり科学の進歩というものを推進していくことが一番大道であろうと思いますから、そのことを私たちも当然に急がなければならぬ義務がございますし、単にこれは厚生省だけの問題ではございませんで、世界じゅうの科学者の力をかりてやっていかなければならぬ問題だと思っております。  あとの救済策の問題につきましては、これはそれぞれ意見があることと思います。現在、国家賠償法の制定はございます。しかし、これも、故意、過失であるとかいろいろな問題が前提になるようでございますので、ここらの点につきましての対策というものについてはまだ検討の余地がいろいろ残されている問題があろうと思いますけれども、現在の国家の体制から言うと、いまの国家賠償法の問題ということになると思います。御指摘のございましたように、いろいろ科学の解明の限界の問題がございます。それと同時に、先ほど来藤原先生からお母さん方の不安が大きいということでございます。もっともだと思います。もっともだとは思いますが、先生も御指摘になっておりますように、極端な心配というものがないようにせなければなりませんけれども、同時に、これは、それぞれの心の持ち方の問題もあるかと思います。私たちといたしましても、そういう心配が起きないようにしなければなりませんが、その他の点につきましても先生方の御指導を賜わって、いわば過大すぎる心配のないように持っていくように努力いたしたい、かように考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 おっしゃるまでもありません。問題が起きたから種痘をやめるというわけにいかないことはあたりまえです。だけれども、国が法律で規制しておるのだから、こうしたひどい故障の起きた場合には、やはりそれに対する救済措置あるいは賠償というようなこともあってしかるべきだと思うのですが、これは次に譲りたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○委員長(山本伊三郎君) それでは、他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめておきます。本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会      —————・—————

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