社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/03/12
会議録
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 社会保障制度に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○大橋和孝君 きょうは、はしかに対するワクチンについてちょっと御質問させていただきたいと思います。 御承知のように、はしかに対しては不活化ワクチンというのが非常に用いられておるわけでありますが、これについてはアレルギー源の危険性についてアメリカのボストン学派から警報が発せられております。また、アメリカ保健省の免疫実施諮問委員会では、不活化ワクチンを、承認された免疫方式から除外し、かつ、不活化ワクチンは健常小児の免疫のためには用いないということを宣言いたしておるわけであります。日本におきましても、不活化ワクチンの乱用の傾向があるというので、ボストン警報並びにアメリカ保健省の宣言を伝えるようになりまして、医学的良心に沿う考え方から、このワクチンの処遇については、いま、いろいろ論議をされ、また、配慮されているわけでありまして、そういう点についても新聞紙上にも発表されたりいたしまして論議をされて、小さい子供を持つ親は非常に心配しておられるのが現状でありますので、こういうことについていろいろ厚生省の見解をただしたいと、こういうように考えておるわけであります。 この接種につきましては、はしかの予防のためには生ワクチンが主体であろうというわけでありますけれども、このワクチンが毒性があるために、これを消すという目的か、あるいはまた、いろいろ考えられて、不活化ワクチンいわゆるKワクチンというのがやられております。そして、これが免疫を補強するためか、これを二回うったり三回うったりしていままで使われておるようであります。しかし、生ワクチンのほうがいいというわけで、Kワクチンを使ったあとで生ワクチン——弱いウイルスの生ワクチンを使うと副作用が少ないという意味で使われておるように聞いておるわけでありますが、こういうような形で、日本ではどんな状態でやられておりますのか、はしかの予防ワクチンに対していま施行されておる様子をちょっと聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(坂元貞一郎君) お尋ねのはしかワクチンの接種でございますが、御存じのように、わが国における現状は、いわゆる不活化ワクチンと生ワクチンの併用方式をとっているわけであります。ただ、その際、私どもとしまして基準をつくっているわけでございますが、この基準と申しますのは、不活化いわゆるKワクチンを二回接種する方法と一回接種する方法、それにしいわゆる生ワクチンを併用するわけでございます。いわゆるKL方式とKKL方式、この二つを現在基準として定めているわけでございます。 大体の国内的な現状を申し上げますと、大橋先生も御専門家でありますのでよく御承知であろうと思いますが、わが国の現在のこの方面の学者の大多数の意見はKL方式が一番いいというようなことを天下に言っておりますし、そのような関係もございまして、国内的な接種方法を見ますると、はっきりした統計データはございませんが、KL方式のほうが大部分でありまして、ごく一部にKKL方式を採用している医療機関があると、こういうふうに承っているわけでございます。
○大橋和孝君 不活化ワクチン、いわゆるKワクチンでありますが、これが一回で、またあと生ワクチンをやれば比較的副作用が少ないというのでやられていると聞いておりますが、しかし、いままでの報告を聞いていますと、アメリカあたりでは、数カ年後に、このアレルギー源のためか、あるいは異型のはしかともいわれているわけでありますが、Kワクチンばかりの場合は特にはしかにかかりやすい。また、はしかにがかった場合には、予防接種をしない人よりははなはだしい重篤な症状が起こる人が一六%以上の割合である。発熱は四十度、全身に発疹を起こす。あるいはまた、注射のあとにも、そうしたところが化膿したり、あるいは発赤したり、あるいはまた水泡ができる。あるいはまた、腹痛を起こしたり肺炎を起こしたりして、内臓機関にもそうした症状があらわれてくるのじゃないかと、こういわれているわけでありますが、こういうような状態は、Kを一回する注射だけでも相当起こっている。たとえば、スイスあたりですと、ただ一回四百人の子供に対して接種をして、その後に全員に生ワクチンの注射する、いわゆるKL方式をやって、四%にいまのような現象があらわれているという報告があるわけであります。 こういうふうにして、この症状は重篤症状が起こってくるわけでありまして、Kワクチンというものは、Kそのものだけでも非常に副作用があるのじゃないか、こういうふうに考えられますので、いまおっしゃっているKL方式といえどもやはり同じように来るのじゃないか、こういうふうに考えられますが、その点はどうでございましょうか。
○政府委員(坂元貞一郎君) Kといういわゆる不活化ワクチンが、御指摘のように、アメリカで一部いわゆる異型はしかというものを起こしているということがございます。わが国においては、現在のところ、アメリカで起きたような異型はしかというものが起きたという報告は、厚生省としては正式にもらっておりませんが、御案内のように、Kという不活化ワクチンにつきましては、従来からそのような御意見が一部においてございましたので、現在検討を進めておりますが、なぜわが国が現在KL方式というものを推奨しているかと申しますと、これは三十七年以来三カ年にわたりましてわが国のこの方面の一流の専門家の学者に研究をしていただいたわけでありますが、その結論が、いわゆるしだけでありましたら、先ほど先生もお述べになりましたように、若干副作用があったり、あるいは抗体の産生がちょっと劣るというような欠陥がございましたので、Kという不活化を併用するという方式が一番いいということが三年間にわたる学者の結論でありましたので、それに基づきまして厚生省としては現在のKL方式というものを基準として推奨いたしている、こういう事情に相なっているわけであります。
○大橋和孝君 不活化ワクチンいわゆるKワクチンの副作用というのは、これはアメリカが相当早く始めているわけでありまして、もう五、六年前から始めている。日本はまだ一年半か二年になるかならないかじゃないかと思うのです、使い出してから。それからこの報告を見てみますと、二年以上五年ぐらいになってからそういう症状が起こってくるということになっているわけでありますから、日本ではまだ非常に少ないのは理論上から言ってあたりまえだろう、こういうふうに考えられるわけであります。しかし、日本の学者間でもこれは非常に問題になっているところもあるわけなんで、こうしたものを使うことに対してはもう少し研究をしてから使うべきではなかろうかという意見もあるように考えられます。しかし、もうアメリカあたりではKワクチンは免疫計画からはずされております。とにかく健康な子供に対してこれを使っちゃいけないというふうになっている。それからまた、使った子供に対しましては、局所的反応ないし全身的反応が起こるかどうかを注意するように警告を発しているわけであります。 これを考えてみるならば、アメリカあたりのこうした相当のパーセントが出ていることによりましても、いま日本でも注意すべき時期ではないか、こういうふうに感ずるわけであります。注意というのは、私の考えでは、Kワクチンを使ってもう一回生ワクチンを使えばもう出てこないということが確認されればいいと思うのでありますが、はしかの予防に対してはむしろ生ワクチンが主体になるのじゃないか。この生ワクチンの毒性があるために、熱を出す人がある。局所的な副作用が起こってくる。しかし、あとに残る副作用はないわけでありますから、この毒性をうまく減らして免疫の目的を達せられるならば、生ワクチンは比較的持続して免疫になりますね。しかし、Kワクチンは、時期が来れば消えてしまうから、三年なり五年たってくればワクチンによる免疫がなくなってきて、再感染をしてそこで異型のはしかを起こして多くの症状も起こしてくる、こういうことでありますから、Kワクチンに対する研究はもっといろいろのところで進まなければ予防の目的は達成しないのじゃないかと思うのであります。ですから、KL方式がいいというふうにいまのところではなっているかもしれないが、いまの時期では一ぺん再考して、アメリカのほうでそういう重篤の症状があり、日本でもこれから起こるかもしれないという状態であるから、Kを使うということに対しては歯止めをして経過を待って使うべきではないかと思います。 そのほかには、昔から使っておりましたが、ガンマ−グロブリンもあります。ガンマ−グロブリンと生ワクチンとの混合療法も一つの研究する余地があるわけでありますし、一時的には高くつくので問題があると思いますが、そのガンマ−グロブリンも使うことができる。こういう観点からいえば、私は、いまのところ、このKL方式が、学者間ではそういう説の人もあるかもしれないが、厚生省としてはここのところで一考を要してもらうべき時期ではないかと思いますが、この点についてどういうふうにお考えでありますか。
○政府委員(坂元貞一郎君) ごもっともな点でございます。K方式というものがそのような副作用等があるということがはっきりいたしたわけでございますので、私どもとしましては、現在のわが国の接種方式というものが現状において少なくとも最善であるかどうか、早急に学問的な検討に入らなければならない時期にまいっております。したがいまして、ちょうど先般来から準備いたしていたわけでありますが、今週の土曜日にこの方面の専門家に集まってもらいまして、十五、六名の専門家に集まってもらいまして、現在の厚生省できめられております接種方式というものが現状において少なくとも最善であるかどうかということを検討してもらうということと同時に、また、KKL方式とかあるいはK単独方式というようなものが一部の医療機関において行なわれているとしますならば、そういうようなやり方については早急に国民に対してPRをする、こういうような態度も近くきめたいと思っております。 ただ、申し上げたい点は、アメリカ等で行なわれております生ワクあるいは弱毒化された生ワクチン——シュバルツ生ワクチンというような名前で称せられているようでございますが、そういうような弱毒化された生ワクというものが早急に国内で開発できる見通しが立つならばそういうものに切りかえていくのだということは、やはりわれわれとしては真剣に考えなければならぬ方向だろうと思います。ただ、残念ながら、現在のアメリカでやっておりますシュバルツワクチンは、特許等の関係がありまして、これを国内に持ってまいりますということになりますとどうしても輸入という形になりますが、いずれにしましても、将来の方向としては、弱毒化された生ワクというものをできる限り早急に国内開発をいたしましてこれを接種するという方向が望ましいという原則は、われわれも今後真剣にそういう原則に立ってものを考えていきたい。しかし、当面の措置としましては、先ほど申し上げましたように、専門学者の意見を総合しまして、現時点においてわが国の接種方式をどういうふうにしていくかということについて結論を早急に出してみる。と同時に、また、それ以外の接種方式というものを国民に対して使用しないように、また、医療機関等においても慎重にやっていただくようなPRもあわせてこの際やっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○大橋和孝君 これは、日本のほうでは、もちろん学者の間にもこれに対して反対の意見は御存じのようにあると思います。日本医師会も「日本医師会雑誌」でこのあいだ発表いたしておりまして、厚生省が一番いいとおっしゃっている、あるいはまた学者間でも一番いいといわれているKL方式に対しても、再検討すべきであるということを提唱しているわけでありますね。おかあさん方からちょいちょい私どもお電話をいただきまして、このあいだ新聞等にも出ていたようでありますが、これに対してはどうでしょうか、うちの子供はその注射をうってもらったんですけれども、それは一体どうしたらいいんでしょうというような電話もいただいております。これはそういうことで副作用もあるわけだから特に注意をしなければいけない、絶対かからないように予防しなければいけないということで、ガンマ−グロブリンの使い方やら、あるいはまた、患者からも隔離するように注意はしておきましたけれども、かかればやはりいままだそれがないとは言えないと思うんですね、副作用が。ですから、そういう観点から言うと、非常に抵抗力の弱い子供に対しての注射ということでありますからして、これは小さいお子さんを持っている親たちの気持ちから言えば真剣なものだろうと思うのであります。比較的それがいまのところでは毒性が少ないとはいわれておりますけれども、いま申したように一回のKの注射によってもそのようにして四%はスイスでは出ている、もう報告が出ているわけであります。ですからして、その四%になった人は、やはり四十度の熱が出、あるいは肺炎になるかもしれないし、全身に浮腫も出てくるかもしれないし、あるいは非常に危険な状態に追い込まれるということがはっきりといわれているわけでありますから、この注射方式に対しては真剣にいま考えなければいかぬのじゃないか。ただそれがいま一番毒性が少ないからそれでやろうじゃないかということでやっていると思うのでありますが、そういう意味から考えて、この生ワクチンが、いま、そういうふうに高いわけでありますし、なかなか手に入りにくい。しかし、一回はいまやっているわけであります。だから、Kを使うかわりに、いわゆる生ワクチンとガンマ−グロブリンとのコンビをしたやり方に対しては一体どのような学会の報告があり、それをやられているところもあるということも私は承知をいたしておるのでありますが、どのようなふうに厚生省はこれを取り上げているのか、ちょっとそれも伺っておきたいと思います。
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど申し上げました昭和三十七年から三カ年にわたる学者の研究会による結論といたしましては、ガンマ−グロブリンと生ワクとの併用接種というものは一応現時点においては適当でないという結論が出されているわけでございます。その理由としましては、生ワクを接種するときの副反応というものが必ずしも消えていないということが第一点、それから抗体産生というものがどうもまだ十分でないというような、こういう理由に基づきましてこの接種方式というものは日本の現状においてはまだ適当でないというのが三年間にわたるわが国の学者の結論でございます。もちろん、これに対しては、先生も御指摘になりましたように、ガンマ−グロブリンというものが非常に価格が高いというようなこともあわせて考えられなければならない問題点かと思いますが、いずれにしましても、生ワクとガンマ−グロブリンの併用方式というものは、まだまだわが国の学者の間に反対論が相当強いということはどうも事実のようでございます。
○大橋和孝君 Kワクチン及びLワクチンの出ない前はガンマ−グロブリンだけでやっておったわけでありますね。ですから、それは高いは高いけれども、ガンマ−グロブリンというものも効果はある。しかし、長くは続かない。あるいは、それをうっていても感染することはあるけれども、軽く済む。感染したらそこで初めて免疫ができる。それをうったことによって軽くはしかを経過すればかえって健康になって、もうこれからかからないというのでいままでは盛んに使われてきたわけです、このなかった前には。そういう観点から言いますと、ガンマ−グロブリンも、高いは高いけれども、副作用を起こして命を云々するとかあるいは熱のために後遺症として精薄が残ったりするというようなことになれば非常に大きな問題でもあるからして、少々の高いことが問題ではなくなる。それからまた、ガンマ−グロブリンなるものも、胎盤からとれば九人分か十人分とれるはずだと聞いておる、よくわからぬですが、だから、うまくくふうしてやれば内地生産もできぬことはあるまいと、こういうようなことも私は陰ながら考えているわけでありますが、しかし、それは別にしましても、少なくとも現時点で私が特にお願いしておきたいと思うことは、こうした小さい抵抗力のない子供さんたちに使う予防注射ですから、予防注射が少なくとも災いになってより重篤な症状が来るということは、おかあさん方にしては耐えられぬことなのでありますから、そういう点を十分配慮して、いまの時点では、Kワクチンを使うということは、もう少し研究を待って使ってもらうというぐらいの配慮をしてもらいたい。特に、これの予防に対しては、皆無でなくて、いま言っているように、ガンマ−グロブリンは高いけれども、使えば、もしかかっても軽く済む、これは治療の意味もあるし予防の意味もあるということですから、私は一番副作用は少ないと考えるわけです。そういう点も考えて、そういう点が全然ないわけではないのですから、ちょっとあぶないけれども、Kワクチンを使おうじゃないかということは少し遠慮していただいたらどうだろうか。もっと研究のためにむしろ厚生省としてはそこに研究費でも特に出して、こういった問題が早くできるように、ことに生ワクチンを開発して何かできるような方法を研究して、比較的長期の免疫が得られればなおけっこうであるし、そうした方面について研究した後にそういうものを普及してもらうということを考えてもらいたい、こういうふうに思うわけでありますが、きょうは大臣もおられませんから、次官のほうからも局長のほうからも特にそういうことを十分大臣に伝えていただいて、こうした問題が、子供さんたちのために、あるいはまたおかあさんたちのためにも、安心感を持てるようにしてもらいたい。いまのところでは、繰り返して申すわけでもありませんが、新聞あたりを読んで心配している人がたくさんあるわけですから、そういう心配を除くためにも、厚生省としてはここでき然たる指導方針を立てて立ち向かってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
○政府委員(谷垣專一君) 先生の御指摘のとおりに、この問題については検討いたす段階に入ってきておると思います。先ほど局長のほうからお答えしておりますように、近日中に薬事審議会の中で専門家の先生方にお願いをしてこの問題を検討いたしたい、こういうつもりで取り進めております。しかし、いまのKL方式がこれは悪いのだという結論には、いまのところではそういうわけではございませんので、なるたけ動揺を起こさない気持ちを持ちつつやっていかなければいかぬと思いますが、検討せなければいかぬということは私たちも認めております。早急に専門家の方々にお願いをしたい、御心配のないように早くしたい、かように考えている次第であります。
○大橋和孝君 KL方式がいいということでは、私いまちょっと申したようにあれですから、特に一ぺん研究をして、研究が済むまでKL方式を使うことは延ばしてもらいたいという気持ちですから、その点は十分伝えていただきたいと思います。
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、わが国の麻疹ワクチンの実用化というものは、まだ二年足らずの日数しかたっておりませんで、私どもも研究不十分なところがあることは認めざるを得ないわけでございます。したがいまして、アメリカ等においてそのような副作用が出たというのも十分勘案しながら、早急にこの接種方式について日本の国内学者に集まって一つの結論を出してもらい、その結論に従いまして医療機関及び国民一般に対して間違いのないように、この問題は不安のないような方法でPRも進めていきたい、かように考えております。
○藤原道子君 関連して。いま、大橋さんは、アメリカですでにそういうことが出ている、それも四、五年後になってあらわれるというようなことを言っていらっしゃる。だから、これを一時使わないようにして、ほかの方法でやってほしいというのが大橋さんの御意見です。私は、この問題とは違いますが、この前にサリドマイドの睡眠薬のときに、ドイツで大騒ぎになっているから日本も直ちにこれを禁止したほうがいいということを当委員会で主張しました。ところが、前牛丸次官が、日本ではまだそういうものはあらわれておりませんのでというようなことで濁していらっしゃった。そのことが今日の大きな悲劇を生んでおりまして、牛丸さんにいつか会いましたら、あれは確かに失敗でございましたということを言っていらっしゃった。私は、こういうことは何年か後にあらわれるもの、すでにアメリカでそういうことがあるといたしましたならば、いまほかに薬がないなら別として、いろいろ研究して一時ストップをかけるぐらいの思い切った態度をとっていただく。あとでしまったと言ってももうおそいのでございますから、その点は十分に御配慮を願いたいと思います。
○政府委員(谷垣專一君) 両先生のおっしゃっておりますことは、私たちも十分に了解をいたしておるつもりでございます。ただ、この問題は、学者の中におきましても議論のいろいろ分かれる問題でございますので、両先生のおっしゃっておりますことは十分に了解しつつ専門の先生方の御検討を早くお願いして結論を出したい、かように現在のところ考えている次第でございます。 —————————————
○大橋和孝君 それじゃ、この問題もあれでございますので、次に、スモン(SUMON)病についてちょっとお尋ねしたいと思います。 これもだいぶ前から新聞にも出たりなんかいだしまして、私も一ぺんお尋ねしたいと思っておったのですが、延び延びにしておったわけでございます。北海道の釧路あたりではたくさんいままででも出ており、現在では日本全国あちこちにも出ているわけでございますけれども、厚生省のほうではこれに研究費なんかをおつけになって実態調査をされたことがあるやに聞いているわけでございますが、その結果、一体、どんなふうな現状になっているのか、ちょっといまの現状の御説明を聞かせていただきたい。
○政府委員(村中俊明君) いまのお尋ねのスモン病でございますが、研究の発表によりますと、昭和三十年ごろから報告があるわけでございまして、わが国で特にこれが問題になりましたのは、昭和三十九年のオリンピックのときの埼玉県の戸田のボート場で発生しました。これがきっかけになりまして、この年に京都大学の前川教授に班長をお願いしまして、三十九年と四十年と二カ年間の研究をいたしてまいったものでございます。この研究の様子から私どもが結論づけられますことは、残念ながら原因が不明である。症状といたしましては、脊髄と視神経の障害がおもで、ある時点では下肢の麻庫あるいは視力の障害というものが出ております。各患者に共通してあらわれますことは、下痢症状というような腹部の症状がほぼ関連して出てくるというふうな、奇病という名前で報道されましたけれども、非常にやっかいな病気でございます。三十九年には、いま申し上げました班を編成いたしまして、東海それから名古屋、北海道というふうなところの発生の状況を把握をいたしまして、このときには百三十一名の患者の発生がございます。四十年には百八名、四十一年には百四十五名というふうな発生が出ております。患者の状態は、ただいま申し上げましたような症状を呈しております。 病理解剖的な検査が並行して行なわれましたが、この検査の結果わかりましたことは、交感神経節に円形の細胞浸潤が認められる。また、久留米大学の教授はウイルスを分離したというふうな発表もあったわけであります。しかし、このウイルス説につきましては、その後の究明で定説というふうには現在至っていないようでございます。いろいろな調査研究をいたしておりますが、現在のところまだ原因が不明であります。 この調査でもう一つわかりましたことは、はっきり言えないけれども何か伝染性の傾向があるようである。ただし、家族の集積性とかあるいは生活環境の似通った地域の集積性というのは、いまの御指摘の釧路及び室蘭、この地区にしかも高台にわりあいに発生が片寄っているという程度のことが現在わかっているわけでございまして、病気の原因につきましては、ウイルス説がございますが、これはいまも申し上げましたようなことで、原因がまだ不明であります。 この治療につきましては、これも研究班でいろいろ検討されましたが、現在考えられており、実際に患者に対して行なわれましたのは、副腎皮質ホルモンの注射、それからビタミンB1とB12がわりあいにきくのではないかというふうなことが言われておるのでありますが、これも特効的な効果はまだ期待できないような状態でございます。 こういうふうな現状でございまして、四十二年昨年は、われわれの把握いたしました数字が十一名というふうな患者の発生になっております。四十一年には医療研究助成費を計上いたしまして研究の続行をいたしたわけでございますが、四十二年昨年に至りまして患者の発生が非常に少なかったということもからみまして、研究は四十二年には実施いたしませんでした。ただ、問題は、非常に特異な神経症状を伴うということ、数は少ないのですが後障害が残るというふうなことからみまして、今後はこの問題についてはまた取り組んでいきたい、こう考えております。
○大橋和孝君 いまの局長からの御説明にもありましたように、この問題は、結局、足がしびれて、しまいには視神経までやられてめしいになる。これは、一面から言えば、おとなの小児麻庫だと言われるくらいに後遺症状というものは非常にきついわけです。しかも、釧路あたりは、去年のころに聞いた報告ですからいまはもう少しふえているのかもわかりませんけれども、十五名ほど亡くなっているわけです。数が非常に少ないからと、そういう点もございますけれども、釧路なんかは、市内の内科とか神経科とか整形外科とか眼科とか泌尿器科とか、そういう人たちが集まって研究班をつくって、市から金を三十万円ほどもらってやっておるというような現状の実態も聞いたわけです。そうすると、小さな地域の自治体あたりがそんな研究をしておるくらいでは、とてもできないわけであります。まあ厚生省としても研究費を積んで実態調査をされたようでございますが、その後の研究のほうはどういうふうにしてやっておられるか。久留米の大学あたりでも、これを研究をしておられる研究グループは、お金がないからやりにくいというようなことをこぼしておられるのか、請求しておられるのか、詳しいことはよく知りませんけれども、そういう声を聞いております。そういうことに対して、厚生省としては、一体この研究をどういうふうにしておられるのか。四十二年なんかは打ち切っておられるというように聞いておるし、私も前から聞いておったわけですが、しかし、こういうふうな病気が、四十二年には多少少なかったけれども、地域からいってもかなりあちらこちらに飛んでできているわけですね。そしてまた、大量に出ぬとも限らぬ。あるいはまた、出たあとの後遺症からいったら、ずいぶん恐ろしい後遺症が残っている。こういうふうなことを考えてみると、一つの地方病ということに片づけないで、こうした不明なものは少なくとも原因ぐらいは突きとめなければいけない。ことに、ウイルスであるとかあるいは栄養の問題とか言われておりますけれども、いろいろ統計上から比べたらそれがなかなか合致していないわけなんですね。ですから、相当力を注いで研究をすれば、いまのようなどんどんと進歩している状態でありますからして、これは何とか解明ができるのではないかと思いますが、そうしたことからして厚生省としてはいままでどういうふうにしてやってこられたか、今後はどういうふうにしてやっていかれるかということをひとつ御説明を願いたいと思います。
○政府委員(村中俊明君) ただいま御説明申し上げましたように、厚生省として研究費を計上いたしまして、研究班を編成いたしまして国内の学者にお願いをいたしましたのは、昭和三十九年と昭和四十年、これは京大の前川教授にお願いをいたしました。四十一年には医療研究助成というふうな形の研究費を計上いたしまして引き続き……
○大橋和孝君 金額はどれくらいですか。
○政府委員(村中俊明君) 三十九年、四十年は、各年度とも三十六万円余りを計上いたしました。四十一年は百四十万余りを計上いたしました。 研究の成果につきましては、先ほど申し上げましたように、患者の共通的な臨床症状、それから病理学的な原因の究明、それから治療の方法、こういったことが行なわれたわけでございます。 四十二年度につきましては、先ほど申し上げましたが、例数が少なかったということもありまして、私ども研究をいたしておりません。しかし、御指摘のとおり、国民に与える不安も、局所的でございますが、重大でございまして、私も三年ほど北海道でこの問題と実際に取り組んでまいりまして、この問題の認識は相当持っておるつもりでございますので、今後いろいろ考えまして、早く原因が究明されるような体制を検討してまいりたいと、こう考えます。
○大橋和孝君 久留米大学あたりでは、これをかなり真剣に研究テーマとして取り上げられているわけですね。これに対してはどれくらいの補助をされたのか、それからまた、向こうからも要求しているんじゃなかろうかと思いますが、私は直接久留米大学の教授から話を聞いたわけですが、もう少しいただきたいもんだ、いただけたらもう少しおもしろい研究ができるのにと意欲を燃やしているのに金がない。いま聞くと、三十六万円とか百四十万円とかいうことですが、これではできる金額じゃないように思うわけでありますが、もう少し何とかして方法は考えられぬものかどうか。こういう不明な病気が、三十万や四十万、あるいはまた最高四十一年度で気ばって百四十万ということでは、とても研究の成果を期待することすら無理じゃないかと思うんですが、そういうことなんかも、地方病の一つだと、あるいはまた数が少ないというんじゃなくて、こういう大きな障害を残すものは、少なくとも解明するまではある程度あれをして、これに対して、治療はこうすればいいとか、予防はこうすればいいとかというものだけはつくっておかなければ、そういうものの多発地域においては、特にこれは女の人に多いわけですから、婦人層は非常に不安になるわけです。それから子供にはわりあい少なくて、中年になってから多い、こういうことでありますから、なった人は家の中でも重要な役をしておる主婦がそういうふうになっているということでありますからして、地域に行けば大きな問題をかもしておるわけですね。そういう点で、私は、こういうふうな問題が解明されずにちょっと置いておこうということはいまの事態としてはとるべき筋じゃないと思うので、こういうような予算の面についてもあるいは研究費の面についてももっと前向きの考え方を持っていただきたいというので特にきょうはお願いかたがた質問をしているわけでありますから、そういう点についてもっと積極的な取り組みをしてもらえるかどうか、御所見を伺っておきたいと思います。
○政府委員(村中俊明君) 久留米大学の研究費につきましては、厚生省の研究費から出ていないのでございます。たぶん文部省の研究費の中で処理されておると、こんなふうに考えております。したがいまして、金額についてはよく承知いたしておりません。 なお、この問題に対する取り組みの姿勢という点についての御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、関係の学者とよく協議をいたしまして、今後私どもとしての対処する方法についてきめていただきまして、その線に沿って処理をしてまいりたい、こう考えております。
○大橋和孝君 ちょっと次官にお願いしておきたいと思いますが、これは繰り返しのようなことになりますが、こういうような問題を釧路あたりに行きまして話を聞けば、非常に深刻な気持ちでおるわけですね。一番問題である病原あるいは治療というものが確立していないということと、なったら次は盲になる。いつごろになったら目が見えるようになるだろうかと、なった人は待っているわけであります。その間にビタミンB12やら適当な栄養剤をうって、そうしたら少しはましになるだろうということでやっておるわけでありますから、そういう点については非常に問題があると思います。 先ほど、局長は、何かそういうことについては相談もしょうという話でありますが、特にまたよく厚生省の部内でも意思統一をしていただいて、こういうような問題もまだほかにたくさん原因不明の病気もあるわけでありますけれども、そうしたものと含めて、ひとつ何か研究費も出して、少なくとも原因と治療というものがけりがつくまで、研究助成をしてもらって、久留米大学なんかの話を聞いてみますと、かなり意欲を燃やしておるわけでありますが、いろいろ費用の点があってとだえている。熱意を示されないので、ついほうっておくということになります。このあいだも会って話を聞けば、やりたいと思っているということを言っておるわけでありますからして、ひとつそういう学者を督励をしていただいて、厚生省のほうからもそういう病気を一つでも少なくするような方向でやっていただきたいと思いますので、一言お願いしておきます。
○政府委員(谷垣專一君) 実は、私も、スモン病の問題につきまして最近話を聞きまして、いろいろ相談をしながら心配しておるわけであります。私のほうでも、決して研究その他を打ち切るというような気持ちは毛頭ございません。いままでの調査を御依頼した形の中から新しいものをつくり出してゆきたいと思ってやっておるわけでございますが、先ほどお話がありましたような文部省の関係もございますし、また、私のほうの部内といたしましても、こういうふうにまだ究明されていないほかの病気もございまして、それらのほうも一括して実は若干の研究費の予算等をとっております。したがって、このスモン病に対してどういうふうに対処するか、御指摘のようなことは重々私たちもよく感じておりますので、部内におきまして文部省とも連携をとりつつ検討を進めて、前向きの体制を確立してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十四分散会 —————・—————