社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/03/05
会議録
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 社会保障制度に関する調査を議題といたします。 農協病院に関する件について調査を行ないます。 御質疑のある方は御発言を願います。
○大橋和孝君 きょうは、ひとつ農協病院について一、二お伺いをしたいと思うわけであります。 農協病院には、「農協年鑑」の一九六八年版をちょっと私見せていただいたわけですが、厚生連病院というものは全体として百二十三ぐらいあるように書いてございます。規模別に見ると、百床以下が二十八病院、百一床から二百床が三十七病院、二百一床から三百床が二十六病院、三百床以上が三十二病院で、規模はどんどんと大きくなっておるようでございますが、その全国の分布状態は一体どういうふうになっておるんでしょうか。私が見ましたのには、どうも大都市を中心に集まっておるというようなふうに考えられるわけでありますが、ほんとうに農協病院として農民の皆さん方の非常な至便な場所にこれが建設されているのであろうと思いますけれども、その点は分布状態がどういうふうになっておるか、そういうようなことを伺いたいと思います。 それからまた、依然としていま無医村というものが盛んにやかましくいわれておるが、無医村対策というものは厚生省としてもずいぶんお考えになっているようですけれども、医者あるいは看護婦の獲得がなかなか不十分であって意のままになっていない。それで、そういうような関係からして、この農協病院というのは相当数の上ではこういうふうに整備されつつあり、大きな病院もできているわけでありますが、そういうかね合いから見て分布状態はどうか、こういうようなことを農林省の側からもあるいはまた厚生省のほうの側からも御説明を願いたいと思います。
○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。 現在、農協病院といわれる病院は、先生のお尋ねの中にございました百二十数カ所でございます。 その分布状況について申し上げますと、主として県単位の厚生連が病院を経営しておりまして、現在のところ二十七連合会ということになっておりますが、そのうち三つほどが県単位未満の郡の段階におきます連合会でございます。 それからもう一点、分布状況について申し上げますと、それがどういうまあ受益者と申しますか人口とのかね合いにおきまして分布されておるかと申し上げますと、大体九〇%程度の病院が人口十五万未満の都市といいますか、市町村といいますか、そういう地域に分布しているのが農協病院の現状でございます。
○政府委員(若松栄一君) 私どものほうでは、厚生連の病院の全国的な分布状況ということについては、詳細な資料をただいま持ち合わしておりません。総数として私ども公的病院の中の一種として把握しておりまして、ただいま御指摘のありました百二十三カ所という把握をいたしておりまして、これが全体の中では、病院が全部で七千三百十六カ所ございますので、この中の百二十三カ所ということで、総体的には比率は非常に少ないわけでございまして、総体的な病院全体の伸びの中では私的な病院に比べて伸び率は非常に少ないということは承知しております。県別の詳細な分布は、ただいま資料を持っておりません。
○大橋和孝君 この農協病院の所管は、聞きますと、農林省のほうにあって、そうしてしかも県知事に委任されておるというようなことに私ちょっと聞いておるのでありますが、やはりもとは農林大臣にあると私は解釈しておりますが、その点についてはいいのかどうか、どういうふうな組織になっているかも一ぺん御説明願いたいと思います。 特に、厚生連として全国の組織があるわけでありますから、この病院の配置状況は全国組織の上で検討されて、いわゆる農村、農民に対してどういうふうな条件であるからしてどこに農協病院をこしらえようというふうなことが議せられて出てきているかどうか、だとするならば、どういうふうな観点からどこどこの——二十七府県でありますか、二十七県において出ておるとするならば、それはどういうふうにして選択されたか、そういうふうないままでの経過について御説明を願いたい。
○説明員(中沢三郎君) 御質問の第一点の監督官庁はどこかという点について申し上げますと、農協病院の監督は農林大臣と都道府県知事となっておりますが、農林大臣の監督に属するものは、都道府県の区域以上の組合あるいは連合会が農林大臣の監督ということになっておりまして、現実には、先ほど申し上げましたように、ほとんどが都道府県の区域以上でございます。農林大臣の監督に属しております。ただ、検査その他の権限につきましては、一部政令で都道府県知事に委任しておるのでございます。監督上の点については、したがいまして、主として農林大臣が定款の変更その他の監督を行なうことになっておるわけでございます。 それから農協連合会の病院の設置に関して、全国的にどういう考え方で全国厚生連あたりが行なっておるのかというお尋ねでございますが、現在ある病院は、大体戦前からの病院があった地帯のものが多いというふうに承知しておりまして、それらの病院が戦前からの古い施設あるいは設備等を現在更新しているのが大部分というふうに考えております。ただ、御指摘のように、新しい地帯に新しい病院をつくるというケースも出てきておることもございます。この場合に、もちろん農業協同組合による病院の設置でございますので、あくまでも協同組合の組合員である農家の方々の利用という観点から当然その設置が考えられてしかるべきであるという観点が中心になっておると思うわけでございます。先生御承知と思うのでございますが、協同組合による病院といいますか、厚生運動というのは、長い歴史と苦難の道がございましたけれども、現在の農業協同組合による厚生運動といいますか厚生病院運動というものには、私たち見ましても、そういう昔の躍動するものが流れておるということが感じられるわけでございまして、農家へのそういう組合医療を通じてのサービスという観点から考えると、農協理事者が新しく病院をつくろうとする場合、農家の利用を考えないで、非農家の利用を中心と考えなければ病院経常がやっていけないというような新設を考えるというようなことは、まずないと信じております。もちろん、そう言いましても、医療法その他の規制もございます。そういう点をあわせ考えますと、やはり、本来の医療行政、あるいは農業協同組合運動、農業協同組合法規の範囲で認められた事業として設置しておるものだ、こういうふうに考える次第でございます。
○大橋和孝君 もちろん、農協でおやりになる病院でありますから、農民を主体に置いておやりになっておるということもスタートとしてはいい考え方であると思うのでありますし、それが行なわれている。特に私は無医村なんかを見ておりまして、非常に僻地であるところに関しては、これは当然国がそういう施策をすべきだという観点でおるわけでありますが、それを農協のほうで取り上げられて、それに対して一歩でも貢献するような病院を経営されておる。しかも、それが百二十三もあるということであれば非常にありがたいことだと思って私も一、二見せてもらったわけでありますが、これを見ますと、病床数は、四十二年の三月末現存で二万七千三百五十八床と報告されておるわけでありますが、これは、そうすると、一病院当たり二百二十二床に当たるわけです。前年度は二百十床、こういうふうな報告であります。 四十二年三月末現在の二万七千三百五十八床という病床数を病床区分別に見ますと、一般が七百七十六、結核が百十九、精神が四百六十七、伝染が百三十三と、いずれも増加しております。一般病床の増加は、これは当然のことだろうとは思いますが、結局、最近の施設近代化に伴っての増床と、ガンとかリハビリテーションの病床などであります。あるいはまた、その他の方面にもかなり意を用いられてはいるようで、こういうような報告を読んで私は非常にうれしく思うわけであります。 私は、この中で、利用状況がそのようにして発表されておるけれども、実際の問題において農業をやっている人を対象にどれくらい利用されておるか、こういうようなことを一ぺん聞かしていただかないと、本質的に農協病院なるものが農業をやっておられる人の対象になっていない。まあこれは規定を読んでみますと、五〇%ぐらいは農業でやっておるけれども、農業の農民を対象としなくて一般の人を対象としてもいいというような何か国のほうで解釈もあるようにも聞いておりますけれども、特に現在において無医村が相当あるのにかかわらず、御報告を聞きましても、十五万以上ぐらいの都市でできている。これは、病院を経営する上においては、都市でないと、農家対象だけでは無理だということもわかりますが、私がちょっと調査したところでは、そういうふうに受け取れないような、むしろ医療機関の相当密集地帯に対して割り込んできて農協病院が設立をされて、農協病院をだんだんと拡充することによって、ほかの医療機関——ほかの個人的な医療機関でなくて、市立の市民病院まで経営が困難になっておるような点もあるわけですね。こういうようなことになって、そういうようなところまで農協病院が進出することに対しては、われわれが受け取る考え方では、農民不在の農協病院ではないか、まあ極端に言えばそういう表現もできるのではないかというようなことがあり得ると思うわけなんですが、そういうことはどういうふうに考えておられるのか。 それからまた、この利用状況を一応何とか再調査をしていただいて、農民にどれくらい利用されておるかということを調査することができるのかできないのか、これは厚生省のほうでもできるかできないかを一ぺん御見解をお述べ願いたい。せっかく農協病院がやっておられるなら、そういうことを一ぺん調査してみなければ、農協病院のほんとうのあり方というものが真剣に全般の者に受け取れないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、ことに零細な農家が集まっておられるところの農協で、それが資金を出して厚生連の中で農協病院ができているとするならば、利益を追求するというようなことでなくして、むしろ、いかに農家に対して健康を管理し、あるいはまた医療をうまくやっていくかということに重点を向けてもらわなければならない観点から、私は調査としてそういうことを知りたいと思いますが、できればその資料をひとつ出していただきたいと思います。
○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。 現在の農協病院が、先生のおことばをお借りいたしますと、農民不在の医療を行なっておるというような危惧を持たれるというおことばでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、長い歴史のある組合による医療運動でございますので、まあそういう点はないというふうに考えるわけでございます。 ただ、御指摘のございました員外利用との関係の問題でございまして、病院を設置する場合には、もちろん農家の利用によって成り立つという経営基礎なりあるいは医療行政の観点から規制を受けておりますので、問題はなかろうかと思うのでございますが、まさに農協病院が農民だけにもっぱら利用されているかどうかという点でございます。この点につきましては、誤解のないように御理解いただきたいと思いますのは、農協はあくまでも組合員のためにある事業でございますが、組合員になっておりますのは、農家のいわば世帯主でございます。農協の事業の利用関係からいいますと、特別のものを除きましては、世帯員の農協事業の利用は、組合員である世帯主の名において行なわれるというのが普通でございまして、たとえば、つくった物を売るとか、あるいは物をつくるために買う肥料とか農薬というものは、世帯員が実際に買いに行きましても、それは世帯主の名によって行なわれる生活なり経営に関するものでございますので、貯金だとかあるいは共済契約というような特別のものを除きますと、世帯員の利用も組合員の利用というふうに考えているわけでございまして、そういう意味におきましては、現在の農協病院の利用の状況が組合員及びその世帯員の方が多いという実態は考えられると思うわけでございますが、お尋ねのように、その利用状況を厳密に把握しなければ、農協病院のあり方というものについての、言ってみますと疑問があるというようなことでございます。まさにその点は御指摘のとおりだと思いますが、ただ、これが事実上組合員の利用に関しましてどこまでが非組合員であるか組合員であるかということは、技術上なりあるいはいろいろの点から全国的にすべて調査し得るかどうか、なかなかすぐにはお答えできない問題があると思いますが、御質問の趣旨に従いまして、運営上なりあるいは利用のしかたについては、ぜひ組合員の利用を中心にしていくべきだという点につきましては指導していきたいと、こういうふうに考えております。
○政府委員(谷垣專一君) 御指摘の農協病院の問題ですが、これはもう先生御存じのように、昭和の七、八年の農村恐慌のときに、農村の一種の防衛運動といいますか、全体の建て直し運動の一つに医療問題が起きたわけでございまして、無医村はもちろんですが、非常に医療費が高いというようなことに対しまして防衛する組織としてこの農協の病院が起きたわけでございまして、したがって、これは地域的にでこぼこがございます。つまり、たとえて申しますと、岩手県あるいは長野県あるいは新潟県というふうな諸県における自発的な農民諸君のそういう医療問題に対します運動の盛んなところでは、これは非常に盛んになってきているわけであります。その後、しかし、だんだんと医療の体制が整いまして、ことに国民皆保険というような体制になってまいりますと、従来農協の病院の持っておりました意味合いあるいはその役割りというものはだんだん変わってきました。したがいまして、現在百二、三十ございますけれども、この四十年に近い歴史の間に農協の病院というものは非常に少なくなってきているのが現状でございます。あるものは公立の病院に移行するというような状況が大体の姿になってきて、残りましたものがその内容を充実していく、こういう形になってきております。病院でございますから、たとえば高岡病院にいたしましても、かなりな人口のところにあるわけでございますけれども、これはやはり近辺の農民の諸君が集まります場所としては、そういういわゆる地方の中心都市というところに大体ならざるを得ないというかっこうであると思います。 もちろん、そういう状況で各病院の施設が漸次充実してまいりますしいたしますので、そういう都市にあります病院の利用がかなり組合員以外の者が利用するという形が出てくると思いますけれども、これは農協の本質的な規制措置として、農民、組合員の諸君が入院その他施療を希望いたしましたときに、それが優先的に施療されるという、そういうたてまえだけは内部の一つの規制措置として行なわれているというふうに私たちは考えております。もちろん、こういう施設ですから、非常に高度の施設をいたしました場合に、他の利用者の方々に利用していただくことが経営上にも利点があるのでございますけれども、その経営の本質は、あくまでも組合員の諸君の利用をまず優先させるべきである、こういう考え方で運営されておるものと厚生省のほらでも考えておる、こういう現状でございます。 実態その他の問題につきましてのいろいろな御調査は、むしろ農林省のほうが詳しく持っておられるのじゃないかと思いますが、もちろん、厚生省といたしましても、医療の問題につきましての観点からは調査をしなければならぬと思いますが、現在のところまだ厚生省としての的確な全国的な調査はない模様でございます。そういう状況でございます。
○大橋和孝君 御説明のように私もそれは理解しているわけでありますが、この農協病院のスタートは、そういうような意味で、私もちょっと触れましたように、真摯な気持ちで行なわれたが、だんだん状況の変化によって、いまお話しのように皆保険になってきてから変わってきたというわけでありますが、ぼくはいま変わった時点で議論しているわけでありまして、変わった時点において、いま農協病院がやっておられるようなことは、厚生省としては、ある程度の調査の上で、そうしたことに所期の目的がうまく行なわれているかどうかということを把握しておられるかどうか。そういうことがやはり根本をなして、そして農家を主体に置いてやられているかどうかということの結果を一番明確に示すものだと思いますので、そういう観点からも一ぺんそういう調査を農林省のほうでやっていただくなり、あるいは厚生省のほうでやっていただくなりして、農協病院の現在の状態でどれくらいに利用されているということくらいはひとつ御報告を願いたい。私はこれは資料でいただきたいと思うわけでありますが、ひとつ……。
○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。 いま御質問のありました趣旨にすぐお答えできる資料は、現在のところはないと考えております。全国的にやるものと、あるいはまたいわゆる問題のありそうな地域について把握いたしましてお答え申し上げれば済む問題とございますが、御質問の趣旨を生かすような調査を具体的にやる方法を検討いたしたいと思っております。
○大橋和孝君 それからやはり四十二年三月末現在で、この百二十三病院の有形の固定資産、これが二百五十億一千五百万円、こういうように報告されております。四十一年度中の増加額は五十三億四千万円で、その増加の財源は、出資金の増加が三億円、それから減価償却引当金資金が十二億円、長期借入金が二十九億円、こういうふうになっておるわけであります。有形固定資産取得に要するところの資金調達は、主として農林漁業資金でありますが、このほかに、国民年金の還元融資——これは年金福祉事業団でありますが、あるいはまた、農林中金資金、信連資金、あるいは農林年金資金なども導入されておるというように報告されておるわけでありますが、この中で運営は一体どういうふうにされておるのかも私は伺いたいと思う。これは、資金の調達はこういうふうにしてやっておられて、運営はどういうふうに行なわれておるのかということをひとつお聞かせ願いたい。同時にまた、このようにして零細な農民の資金を仰いで、そうしたところからの出資金、あるいはまた、農民の健康を守るという観点から言いましても、こうした資金が導入をされて運営されているわけでありますから、これはほかの医療機関とはだいぶ性格が違うわけでありまして、この運営のあり方を少し御説明願いたい、こういうふうに考えるわけでありますが、そういう感状でひとつこの運営方法をお聞かせいただきたい。 それから四十一年の減価償却引当金の繰入額は十二億円で、有形固定資産に対する減価償却率は二一・八%と報告されております。一部の連合会を除きまして、法定許容限度一ぱいを引き当てている。長期借入金は、四十二年三月末現在で百五十五億四千九百万円で、前年度末の同じときに比べますと、いま言っているように三十八億七千六百万円の増加をしている。こういうことで、これは固定資産増加額の七三%の資金源となっているわけであります。 こういうようなことを考えてみまして、経営収支の概況は、医療収益が二百三十二億五千二百万円で、前年度に比べて一七%の増となっておるし、それから機動力によって巡回診療や巡回検診を行なって集団検診なんかにも使っておられるようでありますが、そういうふうな運営上からいって一体どういうふうになっておるか、ひとつ概略でいいから御説明を聞かしていただきたいと思います。
○説明員(中沢三郎君) お答えする前に、まことに恐縮でございますが、資金調達に関する運営方法といいますと、全体の運営方法という意味でございますか、ちょっとお教えいただきたいのでございますが。
○大橋和孝君 資金の面をどういうふうにしているか、同時にまた、運営は、巡回診療とか何かにはどういうふうにしてやっているか、あるいはまた、いわゆる外来診療をどういうふうにしているか、概略の運営の状態ですね、資金を引き当てて。それから資産はどういうふうにしているか、運営のほうではどういうふうにしているかということをちょっと……。
○説明員(中沢三郎君) 御質問にありましたように、現在農協病院が持っている固定資産あるいは長期借入金等の金額は、先生御指摘のとおりでございます。こういった資金の調達なり、あるいはまた、調達された資金がどういうふうに充当され、また、医療なりあるいは巡回指導などの事業につきましてどういうふうに使われているかという御質問だと思うわけでございます。 固定資産が非常に大きいといいますのは、病院の経営でございますので、近代化をはかっていく場合に当然大きな資金源を必要とするわけでございます。もちろん、その大部分が出資という形で行なわれることが好ましいわけでございますが、病院経営一般においてもそうだというふうに推測されるわけでありますが、新しい近代化施設を病院に設置する場合の資金全額を農家から出すというわけには現実にはまいらないと思います。そこで、先ほども申し上げましたように、老朽化なり、あるいは新しい農家の医療需要に対しまして農協病院にとってどういうふうに持っていくかという計画を各県の連合会が立てるわけであります。これが全国的に全国厚生連に上がりまして、そういった必要な資金ができるだけ低利に供給されるということを考えます。その場合に、当然考えられますのは、農林漁業金融公庫資金であり、あるいはまた年金福祉事業団の資金であり、あるいはまた農林年金とか、あるいはまた近代化資金等の低利資金でございます。それぞれそれらの資金の供給源におきましては、低利なるがゆえに供給限度というものがございますので、それを計画的に割り振るといいますか、供給額を確定いたしまして、これを主として各県の病院の増改築ということに引き当てておるわけでございます。それらの増改築の優先順位につきましても、地方の実情から上がってきたそれぞれの理由を全国厚生連が勘案いたしまして決定して、ほぼどこの低利資金はどこの連合会が借りるというような筋道を立てるわけでございます。そうして借り入れました資金は、先ほどから申し上げておりますように、古い施設の増改築ということをたてまえにいたしまして、ほとんどこういう使途に使っておるわけであります。 そうした施設の近代化をはかりますと、当然ながら利用状況が好転してまいりまして、したがいまして、御指摘のありましたような収入の増ということもはかられてまいるわけでありますが、収入の増によってはかられた粗収入からの一番大きな使途は、主としてやはり借入金の金利の支払いでございます。したがいまして、収入が増になって、一見収支は黒字になっているような状況でございます。全体としては黒字になったような感じでございますが、これを病院ごとに見ますと、やはりまだ赤字の病院が三分の一をこえるというようなのが現状でございまして、ことに金利負担が高いというのが一つの大きな理由になっておるわけでございます。 もちろん、そういった長期資金のほかに、運転資金につきましては、これは農協でございますので、すぐ近くに信連もございますし、あるいはまた、必要な場合には中金等の短期資金もございますので、運転資金といたしましてはこういう低利の金を使う必要はございませんで、通常の農業協同組合の金融のいわゆる運転資金を使って運営しているものというふうに考えておるわけであります。
○大橋和孝君 お説のように、相当黒字になっているように聞いているけれども、病院によってはかなり運営上赤字も出ておる、それは増改築のために入れた資金の利息が相当大きな原因だという御説明をいま聞いたわけでありますが、私がいろいろ調べたところでもそういうことが感じられるわけであります。非常にりっぱなのと、しかし、その運営の中にいまそういうような問題が起きて、むしろ、独立採算というか、あまり赤字経営ができないという観点から運営の方面にもしわ寄せされつつあるのではないかということが考えられるわけであります。 それからまた、いろいろ調査をしてみますと、こういう農協病院でありますからして、先ほども私ちょっと触れましたように、運営の方面にそういうふうな制約があるかわりに、実際活動面におきまして見てみますと、無医村を解消するためにこれらの病院こそ相当の役割りを演じてもらいたい。しかし、もちろん無医村対策は厚生省がやるべきであり、国がやるべきであって、農協病院がこの一端をになうということには問題があると思うのでありますが、しかし、せっかく設立の趣旨から申しましても、そうしたことでやられておるからして、運営上問題があるにしても、少なくとも黒字の出ているところでは、もう少し巡回診療なり、あるいは無医村解消なり、あるいはほんとうに医療を受けにくい農村の人たちに対してどうするのだということに取り組まれていかなくちゃならないのじゃないか、そういうふうに考えているのであります。 そういうような観点からちょっと見てみましても、成人病の対策ということに対しても最近はだいぶ大きく重点的に力が入れられているようでありますが、これは三十七年度から成人病巡回検診車をつくられて、これは一台千三百万円近くもかかるでしょうと思いますが、ああいうようなものを受け入れてやられておる。四十二年度では一埼玉県をはじめとして五県にこれが配車されているということでありまして、結局、成人病検診車は全部で三十四台、あるいはまた婦人用検診車が三台、計三十七台ぐらいがいま農協の中で置かれているように報告されております。 また、一般の巡回診療は、巡回診療車——これは普通の検診車ですから、一台百二、三十万円だと思うのですが、こういうようなものが北海道では九台、全国で四十四台ぐらいが配車されているという報告であります。 こういうようなことから考えまして、いろいろやられておるのはわかりますけれども、こうしたことをどういうふうに厚生連のほうでは把握されて、これで一ぱいのものか、また、こういうようなものをもう少し拡充されるゆとりがあるかどうかという観点を何か御調査されたことがあるかどうか、その点も聞かしていただきたい。
○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。 組合によります医療運動といいますと、病院をつくりまして、組合員が病気になりましたときにこれを治療するということでなくて、一つの大きな柱といたしまして、いわゆる病気にかからない、保健予防運動というものが農協の医療活動運動の大きな柱であります。御質問にありましたように、現在、そういったような活動につきまして、各病院が、許される能力、規模におきまして、無医村における巡回指導とか、あるいはまた成人病対策というような対策事業を、十分にとはいいませんけれども、実施しているというふうに考えるわけでございます。 それで、黒字の病院がある場合に、その黒字の病院にまだそういう余力がどの程度あるかというようなことまで調査したものがあるかという御質問でございますが、これは直接的にそういうものはございませんけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、組合によるところの医療運動というのは、やはり保健予防という活動を事業の大きな柱としておりますので、それぞれ計画的な見通しを立てて実施しているものだというふうに考えております。ただ、あるいはまだ十分ではないんじゃないかというような御批判があり得ると思いますけれども、黒字になりつつある病院が多くなっているといいましても、ごく最近のことでございまして、あるいは、先生御承知と思うのでございますけれども、かなり赤字の組合が多く、整備促進法というような法律の援助によりましてようやく赤字を解消しているというのが昭利三十八年度ぐらいの状態でございまして、いまおっしゃられましたような趣旨の事業が経営の安定なり設備の充実ということに伴いましてようやく活動が始まってきてここ数年だというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、もちろん、設備の近代化なり、あるいは体制の整備なり、それからまた経営状況の好転ということによって、ますますそういったような事業を拡充していくものとは思いますが、私たちにおきましては、組合事業の意義がそういうところにあるという観点から、そういう事業の拡充につきましては一そうこれを進め、指導していきたいというふうに考えておるのでございます。
○大橋和孝君 なかなかそうしたことの余裕がありそうに思われても、マイナスのところもあるから十分把握しにくい点もよくわかりますが、しかし、この農協病院というのは、先ほどから厚生省の次官もおっしゃったように、スタートは、農民の非常に困ったときに農民の対策が主体になっているわけでありますから、最近その状態になってきて黒字が出てくれば、この黒字は農家に向けて十分に利用することが絶えず考えられていなければならない。これを一体どこで指導し、どこでやられていくか、こういうことが私は大事な点だと思うのです。いままで赤字経営で苦しかったところに黒字ができたから、やれやれと、少しはリベートをして、金を出している農民のほうにも払い戻しをしようという傾向がいま農協に出ていると思うのです。事実においてそういうふうにもされていると思うわけでありますが、私は、それを一歩歯どめをして、そういう状態に余裕ができて出資者に利益が還元されるなら、その時点に、もっとまだ受けておられないところの農家に向けての施策を考えるための指導というものをどこでどういうふうにしてやっていくかということを相当明確にしていただかないと、やはりそういう時期にいまなりつつあるわけですから、今後そういうことになっていく場合に非常に重大な問題じゃないかと思いますので、私はいまこうしたことを申し上げておるわけでありますけれども、しかし、発表によりますと、日本農村医学会といいますか、農協病院の方が集まられて医学会も組織され、それから全世界的にも第何回かを今度日本でやるとかなんとか聞いておるわけでありますが、そういう意味で、そうした農村の医療の問題について、個々の農協病院の配下にたくさんの先生方もいらっしゃるわけですから、そういうことに取り組んでおられるし、また、農協の厚生連にいたしましても、そういう方向で行かれているから、その方面には十分意は尽くされていると思うのでございます。尽くされていると思うのでありますけれども、実際問題として見てみますと、やはり利益金が分配されたり、それが事実あるわけでありまして、そういうことから考えてみたら、いまの時期に、私がいま申したようなほんとうに零細な金を集めてやっておられる農協、その農協に参加しておられる農民、そういうところに、実態としては相当まだ無医村もあれば、先ほどちょっと触れましたガンの早期発見とかという問題に対しては処理されておりません。これはもちろん国の怠慢であり、厚生省のほうでもっと十分やってもらわなければならぬ問題ではありますけれども、農協病院としてのそういう趣旨から言えば、これができるまでの間少しでもそういう方向にやってもらわなければならないと思うわけでございますが、そういう意味で、私は、どれくらいいま取り組まれておるのかということが実際問題として知りたいわけです。そういう意味で、いま、分布状態を聞いてみたり、あるいは患者を取り扱われる状態を聞いてみたい、そういう資料をいただきたいと思ったわけでありますが、今度は、そうしたわりあい高度化されたガンや成人病の検診に対してはどれくらいの成績が上がっておるか、そういうようなことに対しても一ぺん資料があればいただきたい、こういうふうに思うわけです。
○説明員(中沢三郎君) 先生御指摘のように、確かに、農協病院が単に利益を還元するために利用されるなんということは、私もとんでもないことだというふうに考えるわけであります。 御指摘のように、非常にヒューマニスティックな気持ちでスタートした農協運動の精神的な歴史が今後生かされるようにしていかれるように私たちも援助し、また、指導していくというふうに考えるわけであります。 それから、ただいま最後のほうに御質問ございましたそういった保健衛生に関する巡回指導なり成人病対策とかガン予防に対する事業がどの程度に行なわれているかということに関しましては、できるだけ資料を調べた上で実情につきまして御報告申し上げたい、こういうふうに考えております。
○大橋和孝君 特に個々の問題で一、二いろいろ突っ込んだことを尋ねたいと思っておりましたけれども、それは次回に譲りまして、きょうはさらっと表向きだけさわらせていただくことにいたします。あまり個々のことに進みますと、少しあれし過ぎますから、きょうはさらっとさしていただきますが、そういう質問ではさらっとし過ぎるような感じがいたします。奥に意味が深いものがあると思いますので、そういう関係から、農協病院のあり方について、今後、特に具体的にいまの趣旨を徹底するような方向で進んでいただくためのいろいろな施策をひとつ講じておいていただきたい。その上で、私は、また個々の問題がなお改善されなければ、突っ込んで今後質問させていただくことにさせていただくつもりであります。特に、先ほどから繰り返して申しておるように、農村僻地の診療というものは、厚生省も十分考えておっていただきますが、なかなかこれができておりません。その一翼をになっていただくような趣旨のもとに、どうか農協病院が本来の使命を達成するための施策の指導に対して本腰を入れてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。 ここで、続いて、私は、農協のほうはそれくらいにして、厚生省のほうに関連してちょっと質問させていただきたいと思いますが、いまの農村の無医村あるいは僻地診療というものについて、いままで何度もやかましく言われておりますが、これがなかなかいかない。私は、いまの農協病院の問題につきましても、医療機関の適正配置と申しますか、そういう観点からもこれをとらえていくのは厚生省の中の大きな仕事だと思うのでありますが、現在、一体、公的な機関の適正配置の実情はどんなふうになっておるのか。農協とかそういうようなものを含めて、これはみな公的と考えるわけでありますが、そのほか、私的の医療機関はどうなっているか。あるいはまた、昭和四十一年でしたか、医療審議会の答申では、公的病院における病床数のみを基準にして、私的医療機関は全然入れていない。そして病床数の規制が出されたわけでありますが、いまの状態では、私的医療機関あたりとも非常に競合していると考えておりますが、そういう意味におきまして、医療機関の適正配置について、いま現在でどのようにお考えにななっておるか、その考えをお聞かせいただきたい。
○政府委員(若松栄一君) 厚生省といたしまして、僻地あるいは僻地といわないまでも比較的へんぴな地方の辺地の医療ということは、国民の医療の機会均等という意味から非常に関心を持っているところでありますが、特にいわゆる無医村というようなことばで代表されます僻地につきましては、すでに十数年来、僻地診療所の設置ということで努力してまいりまして、四百個所程度の僻地診療所を助成してまいりました。しかし、最近におきましては、僻地における診療所をこれ以上つくりましても、なかなか医師の獲得は困難であるということから、僻地性の解消という意味で、僻地の患者を適切な医療機関まで輸送するという趣旨で、患者輸送力の増強という方針にある程度方針を転換いたしまして、特に四十三年度以降は患者輸送車の増強を主眼に置いて僻地の医療対策をやっているわけでございます。 なお、そういう無医村というような僻地以外に、比較的医療機関の乏しい地域、これを辺地と言いますと、そういう地域の問題は、全般的に医療の及ばざる程度を一応病院病床を基準に考えておりまして、病院病床が少ない地域につきましては、僻地医療の充実という意味で、病院建設に対して助成をいたしてまいっております。そういう形で、僻地の病院病床が不足の地域に対しての病院の設立を援助する、同時に、医療法七条の二の規定によりまして、病院病床の過剰地域に対しては、これを抑制していくという、両方の立場をとっております。 国自体といたしまして、国立病院がたくさんございますけれども、国立病院は、御承知のように、終戦直後あったままの病院を引き継いだということで、国立病院・療養所の新設というものは比較的数が少のうございますので、国立病院・療養所という国の病院をもって病床不足地区の解消をはかろうというような積極的な施策は必ずしも持っておりませんでした。これは、今後については、そのような積極性を加味していかなければならぬということで検討はいたしております。その他の辺地の病院につきましては、公的病院が主として比較的病床が少ない地域の病院綱の形成に当たっておりまして、都道府県、市町村、厚生連等がその主体になっているわけであります。そういう意味で、私どもも、これらの公的医療機関が都会に集中しないで、できるだけ機会均等が得られるような形で設立されることを希望しておるわけでございまして、そういう意味で、七条の二の規制というものもそういう趣旨で行なわれているわけでございます。
○大橋和孝君 その医療法の七条の二による適用期間が二年間延長になっておりますね。そうすると、本年度一ぱいということになって、そのときの附帯決議がたくさん出ております。これについてのいままでの取り組み方は一体どういうふうにやられておるのか。八項くらいについて附帯決議が出ておりましたね。ああいうふうな問題について一体どういうふうにされておるのか、一応現在の状況を説明願いたいと思います。
○政府委員(若松栄一君) 四十一年の十二月に、お話のありましたような答申をいただきまして、病床規制に対する規制基準は二カ年間延長いたしまして、その間に各種の調査等もやり、また、その間における医療機関の整備に関するいろいろな示唆を受けております。 それらの示唆につきましては、その趣旨に沿って、たとえば、ガン、救急、リハビリテーションといったような問題につきましては、その整備をやっていく。また、結核病床等が他に転用せざるを得ないというような場合には、それ相応の便宜をはかってやるというようなことがございますが、これは現実的には、結核療養所それ自体がそのまま転身するというよりも、逐次一般ベッドの増加をはかっていくという形になっておりますので、具体的に病院それ自体の転換というような問題は起こっておりません。その他、今後の規制の基準に関しては、十分な調査をして、至急に資料を整備して、もしも二年間を待たずに基準の改正ができるならばするようにという趣旨でございましたが、現在、なお、いろいろな諸条件を調査中でございます。
○大橋和孝君 結局、私は、このときの要望事項あたりは、ほんとうにこうした適正配置の問題で大きな将来のことを考えてつけられたものだと思うわけであります。それは、調査中でもある、一部には行なわれているとは思いますけれども、私はいまにおいてこういう点を——あのときの内容は十分御存じだと思いますけれども、ガンや救急、リハビリテーションなどの公的医療機関の使命を遂行するための病床整備なんかを十分配慮しなければならないとか、あるいはまた、僻地の問題については積極的に推進しなければならないとか、これらの点が十分行なわれないと、先ほどの農協の病院の問題もここに出てくるわけでありまして、その研究はされておってもなかなかむずかしい問題ではあろうけれども、これがやはり根本的な問題ではなかろうかと思うわけであります。特にそこのところで出ておりますのをいろいろ見てみまして、私は感慨深く思って見ているわけです。これは、なかなか大事な問題であり、最も重要なことではないか。最も重要なことがまだまだなかなか行なわれていないのじゃないかというようなことを私は危惧するわけでありまして、特に附帯決議あるいは要望事項で含まれていること、ことに人口五万人未満の市町村の一般の病床については、人口五万人未満の市町村にあっては、人口一万人当たりの病床数に示されるように、病院病床の整備が著しくおくれている現状からして、これを行なわなければならないとか、いろいろ要望事項が出ているわけですが、こういうようなことを根本的に前向きにやられない限りは、なかなかこの整備というのはむずかしいと思います。特に、最近では、基幹病院とかそういうようなことで病床数を人口に比例して仕組まれているが、あのような問題が延びているままになっているのでこの問題が非常に問題がなくならぬところじゃないかと思いますので、この期間も今年中しかないわけですから、私が申し上げたのは、そういう点はどうかということで、この要望事項あるいは附帯決議がどの程度生かされているかということが根本問題になっているのじゃないかということで質問をしておるのでありますからして、この問題についてひとつ厚生省のほうは積極的に取り組んでもらって、そうしていまのような適正配置が十分できないために競合するところが出てくる、そういうところがないように十分な配慮をしてもらいたいと思うわけです。 特に、私は、そういう点で、病院の病床数の適正配置という問題がいま少し積極性を欠いているように思うわけです。ですから——まあそうでなかろうと思います、厚生省のほうは。しかし、実際の問題として末端に打ち出されていませんですね。特にまた、私的病院の病床規制なんかも全然考えられていない。公的病院なんかは一たん発表になっているわけですが、そういうものもルーズになりつつあるんじゃないかと思う。たとえば独立採算制に合うような病院の病床数をふやす場合には、案外規制がないように思うわけです。そういう場合には、ほんとうにその規制に十分に沿っていま厳格に行なわれているかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
○政府委員(若松栄一君) 全般的な方針といたしまして、ただいま申しましたように、病床不足地区に対しては、公的医療機関が病院をつくる場合にはこれを国が助成をするという方法をとっており、また、病床の過剰地区のものはこれを規制する。また、民間病院につきましても、たとえば医療金融公庫の貸し出しの方針といたしまして、病床不足地区における医療機関の設置、あるいは病院の設置につきましては、これは積極的に援助の対象といたしますし、病床過剰地区におきます私的医療機関、病院あるいは有床診療所をつくろうという場合には、これは資金面からある程度の規制はいたしております。 なお、現実にどのような規制をしているかという問題でございますが、四十一年度の審議会で基準の二カ年延長をきめていただきましたけれども、その前に一カ年間の運用上の調査をいたしたわけでございますが、医療法の規制に抵触いたしまして公的医療機関が増床を中止したというものが三千四百十三床が二カ年間でございました。そのように、現実的にこの規定が働いて、過剰地区については公的医療機関のベッド増を押えている実情でございます。
○大橋和孝君 もう少しこの点について、特にもう一つの観点から私知りたいのは、こうした大きい公的病院の適正配置が確実にしてもらえるということが、今後、進んだ医療を供給する上において非常に大事なことだと思うわけです。特にこうした病院の配置が比較的都会に集中してきておる。ことに今度の療養所の問題なんかも、会計を移したりして整備をすると言われているわけでありますが、それもよほどこうしたことから十分な配慮をされて、もっとくまなく少人口のところでもそうしたものを整備していくということでないといけないと思うわけです。特に、最近は、独算制と申しますか、病院々々そのものの独立採算を重視されるような形になっておりますので、そういうことになると、どうしても人口の密集地帯で、しかも、どちらかといえば、いままでからいえば病床数からいってかなり充足されているところへも割り込んできて投資をして、そうして設備を大きなものにすることによって独算会計にしていけるというふうな形になっていけば、これはもう時代の要求に逆行していると思うわけです。実際、いま公的医療機関をどんどんと整理されておるところを見ますと、そういう傾向になっておるわけです。まあ私ども詳しいデータを持って申し上げていないのですけれども、実際問題としてそういう例を幾つも知っておるわけです。 私は、厚生省にいまお願いしたいのは、それをデータの上で示して、そうしてどういうふうな人口配分に対してこの規定のようにうまくいっているのかどうかという点が、ほんとうに規制をしてそれがされておるのか。それは医療金融公庫の貸し出しのときの条件には入れられておるということは、みな個々のケースでそれは受けとめておるわけでありますけれども、そればかりじゃなくて、もっと積極的にそうした方向で人口に過疎の部分に対してもどの範囲内においてどのような基幹病院をつくっていくか、病床をどのように確保していくかという方向にもう少し配慮してもらう時期じゃないかと思うのです。そういう意味で、ひとつそういう調査を、まあできておれば私は伺いたいと思うのですが、たとえば人口どれくらいの過疎であって、範囲はどれくらいにして、どこにそういう基幹的な病院を設置していくか、あるいは、それができない範囲内においては、いま言ったような巡回診療車、成人病検診車はどういうふうな配備をするかというようなデータを出してもらいたいと思う。そういうデータはどういうデータがあり、それをいまやられておるかということがもしおわかりでしたら、聞かしていただきたい。
○政府委員(若松栄一君) ベッドがどの程度足りないか、あるいは過剰であるかということは、その基準のとり方によっていろいろ違うわけでありますが、一応現在医療法七条の二の規定によっては人口万対何ベッドという標準を設けてございます。人口二十万以上の都市については人口万対五十八という基準を設けてございますが、現在はそれに満たない五十三にしかなっておりません。ところが、地方都市といいますか、人口十万から三十万の都市につきましては、医療法で基準を一応五十七ときめてございますのに、総数としては六十五という非常に過剰な状態にまでなっております。人口五万ないし十万についても、基準よりは過剰になっております。一番へんぴな人口五万未満の地域につきましては、基準として三十八ということにしておりますのに、現実には二十八しかできてないということで、まだ辺地の地域が相当ベッド数が不足であるという事実がございます。 また、これを、医療法の規定では、一号地区、二号地区、三号地区、四号地区というような地区に分けまして、それぞれの地区ごとに病床の過不足を検討しておりますが、総体といたしましてはまだまだ相当不足地区がございますが、若干ずつそれが是正されているという状況でございまして、この前の審議会に御審議いただきました時点までの調査事項といたしまして、たとえば保健所単位でどの程度のベッドの過不足があるかというのは、一号地区というものを標準にいたしますと、三十九年三月、五百七十の不足地区がありましたものが、四十一年、二カ年間経過いたしまして五百十五というぐあいに、五十五カ所、約一〇%減少するというような状態でございまして、総体といたしましては若干ずつでも好転しておるということでございますが、残念ながら私どもといたしましても国立の施設はほとんど新設を控えております。したがって、もう施設数としては全く増加をいたしておりませんで、むしろ減少している程度でございますし、公的その他の都道府県並びに厚生連等の医療機関も数は非常にふえ方が少ないのでございまして、この配置を私どもがここにというように強制することができないためになかなか思うようにいかないというのが実情でございます。
○大橋和孝君 結局は、もう少しデータを明確にしてもらって、私はここで公的な機関の規制といいますか計画を明確にしてもらわないと、案外十分なものが把握できないとか、あるいはまたほかに流れていくという感じがいたしますので、私はここでひとつ厚生省にお願いしたいことは、こうした附帯決議あるいはまた要望事項があります、この線に沿ってもう少し配置の基準を十分に明確にしてもらって、そしてこれによってどういうふうにするかということのあれをしてもらう意味において、現在行なわれておる状態で人口に対してどれくらいになっておるか、愛知県ではどう、どの県ではどうというような形で、何かそういうようなものがわかれば知らしていただきたいと思います。どの地区では、どの県では、どういうふうにところに非常に少ないとか、そういうようなことがわかれば、私は資料としていただきたいと思うわけであります。 それからもう一つここでお尋ねしておきたいという点があるわけですが、大きな病院が都会にはできているわけです。公的病院、たとえば市民病院あるいは農協病院も含めてでありますが、そういうふうな病床数が三百床以上、あるいはまた、各科があっていろいろな設備があるということで、医学の研修あたりも病院が引き受けていた例がいままで過去にもあったわけですね。そういうふうなことを考えてみて、私は、いまの医学の進んだ状態で、医者の教育なんかも、あるいはまた、医者の技能もより発展さしてりっぱな医者をつくりながらその病院が成り立っていくというような方向でもって、大きな公的病院はもっと何か新しい要求に沿うような機構がえをすべきときではないかというふうなことを考えるわけです。 というのは、どういうことか具体的に申したならば、公立病院で何百床も持っておるような大きな病院は、少なくともここでは診療をするということと同時にまた研究というものも一つでなければならぬという観点から、そうしなければ進歩がないわけでありますから、ある程度設備を整えた病院には研究機関を備えたらどうかと思うわけであります。というのは、大学の研究室と同じように研究室を持って、そしてそこでたとえば内科なら内科の医長はその研究を指導する。たとえば大学でいえば教授に匹敵するような人が各科の医長になるようにすれば、そういう人が研究を指導し、また、研究を指導するためには研究費をつけ、同時にまた研究室を持ち、それからまた研究を指導する要員が要るというわけですから、医長が教授級であれば、副医長は助教授級である、あるいはまた、そこに講師のような立場で援助する人もある、あるいはまた助手をやる人もあるという、こういうような人が各大きな病院にあるようになるとすれば、一方で診療をしながら、一方でまた研究をしながら、そこで医学の向上もできるし、医者の技術の習得にもなる。いま高度の医学を国民は要求しているわけでありますから、その要求に沿うために、少なくとも国立の病院だとかあるいはまた日赤だとか、そういうような病院あたりは率先してそういうふうな機構に一ぺんかえるべきじゃないかというふうなことを考えるわけですが、こういう点については一体どういうふうに思っておられるんでしょうか、ちょっと御所見を聞いておきたい。
○政府委員(若松栄一君) 公的な病院といたしまして、その性格の一つとして医学医療に関する研究もやれという御趣旨と承りますが、現在、公的病院は、相当ベッド数が大きくなり、したがって、優秀な人材が集まっておりますので、そういう意味で相当な研究の成果があがっていることも確かだろうと思います。 私どもの国立関係の病院の例をとってみましても、たとえば国立療養所は百六十カ所という膨大な組織を持っておりますので、この組織、つまり四万人、五万人という患者を対象にした研究が行なわれるわけでございます。そういう意味で、日本の結核の化学療法剤の効果の判定、あるいは薬の組み合わせ方、その使用量というような面で国立療養所が全国組織を利用いたしまして多数の例について比較的短時間に研究効果をあげることができるということがございまして、国立療養所の化学療法共同研究班というようなものが現在の日本における結核化学療法の進歩に果たした役割りはきわめて大きかったと存じております。 また、国立病院におきましては、ごく最近日本で国際ガン学会が行なわれましたけれども、その際に国立病院の共同研究班のガン化学療法剤に対する研究成果というものも非常に高く評価されましたが、これも、たくさんの病院をチェーンといたしまして一挙に多数の例を同じ方針で同じ考え方で同じ実験方法でやれるというような有利な状況がございまして、これはある意味では一大学が逆立らしても及ばないというような点もございますので、そういうような特性を利用いたしまして国立病院あるいは療養所にふさわしい研究をやっていくという方針にいたしております。 そのほか、いま例をあげました以外に、それぞれの時期に即応いたしまして、病院あるいは療養所が共同研究課題を年々定めまして、それを共同でやっていくという方針をとっております。日赤、厚生連等の大きな病院も、そういうような系統的な研究に非常に役立っているものと存じます。
○大橋和孝君 確かに、いまお話しのことはもちろんあると思います。私がいま申したのは、そういうようなことが個々に行なわれて、あるいはまた国立としての横の連絡もあって、学会を中心にしてやられておる。私は、ここでもう一つ、何でそういうことを申したかと申しますと、これは国立につとめておられる優秀な先生たらがおやりになっておって、あるいはまた、これはもう一般開業医でも医者というもの全体の研修場が必要だ。まあそれは医師会でやればいいと。医師会は医師会で研児をやっておるわけですが、そういうふうな形でなくて、もっとその組織をかえて、そうして研究し合った者が、あるいはまた、そういうような病院の医長さんであれば、非常に勉強しておられる優秀な人が来ておられるわけだから、そういう人が主体をなして教育センターというような形で一つのところへみな集まっていろいろな研究を発表し合う。あるいはまた、珍しい病気に対しては、そこにものを持って行って研究し合う。こういう教育といいますか医療の技術を高めるための一つの組織があれば、いまやられておることが即そのおのおの人にわかるわけです。たとえば、いま局長のおっしゃったように、結核なんかについてもやられております。学会の報告を見ればわかるわけでありますが、それだけのことなんであって、個々のお医者さんに対しては、たとえば東京の国立のほうでやっておられて、まあいろいろなところからデータを集めてそうしていまのようなりっぱなものをつくっておられるわけですが、それがたとえば京都なり大阪なりの国立病院におられる人は、どういう目的でどういうことをやられておるかということは、学会で発表されて、初めてあそこにあったかということがわかる程度ですれ。少なくともいまこれだけ高水準の医療を要求されておるときであれば、そういう機関がいろいろなものをこしらえて、そうしてお互いに講座のようなものを持って講義をするというくらいにまでなっていけば非常にいいのではないか。 もっと話を進めてみれば、ある程度のまとまった国立の病院だとかあるいはまたそういう公立病院というものは、一つの大学と匹敵するほど——いまおっしゃったように、全部トータルしてやれば、大学で及びもつかぬような成績が出ておりますけれども、その一つ一つが役割りをしてそれで集まってくるという、この組織をかえていくということになると、もっと個々の場合にもしみ込んでいくような教育というかそういうような研究が実っていくのではなかろうか。そういうためには、国立の大きな病院とか公立病院とかがもう少し教育的なものを含めてやっていくと、これがまた受けている患者側の啓蒙にもなっていくわけでありまして、いわゆる医療の普及向上という意味では大きな役割りを持つと思います。 そういったことで、いま農協病院に対してもそういう感じを持ったんですが、相当大きくなって、相当の利益も出てきておれば、そういう僻地のほうに返すかわりに、内容をよくするために、個々の農協病院でも、農業医学の研修なんかのために、全国的なあるいは世界的なそういった医学会をつくられているわけで、それはたいへんけっこうなことでありますが、もう一つそういうような組織をかえて、いわゆる教育病院式なものとして考えるならば、研究即診療、これが一体となって、そしてその結果をもって専門分科の講義をしていく、それに対しては、いろいろみなの人が集まってきて講義も聞き、あるいは症例の検討会にも参加をするというような、各府県に一つぐらい公的病院が寄ってやるような、そういうセンター式といいますか、研究の発表の場所をつくる。そこでまたみなの者が参加をして検討していくということになれば非常にいいのじゃないか。そして、公立の病院というものは大学病院とは全然遜色のないものだ、こういうことになれば、また医療全体の仕組みの中で非常に大きな進歩になるのではないかと私は思うので、そういう点もお伺いしたわけでありますので、どうかこれも次官のほうからも受けとめていただいて、また、御配慮願えればありがたいと思います。 そのようなことを申し上げて私の質問を終わりますが、次官、どうぞひとつ大臣のほうにもそういうことを通じられまして、何とか御配慮を願いたいと思います。
○政府委員(谷垣專一君) 医療の抜本的な問題につきましての御意見を拝聴したわけでございますが、非常に大きな問題でございます。しかし、その問題の一つ一つが、まずやっていかなければなりません。そういう諸点が、お医者さんの数の増加も必要でございましょうし、また、いま御指摘のありましたように、民間あるいは大学病院以外の諸機関を通じての医療の研究の問題もありますし、あるいは、自然と放置された形になっておりますいわゆる過疎地帯あるいは農村に対しまする特殊な対策も必要で、みんなそれぞれに重要であると考えております。残念ながらそのすべてに対して一斉にとりかかることがあるいはできにくい事情があるかもしれませんけれども、まずやれる問題、また、一番重要な問題につきまして、先ほどの研究機関等の問題につきましても、ひとつ十分に検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十三分散会 —————・—————