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58回国会参議院1968/05/16

外務委員会 第14号

発言数
148
登壇者
13
会派数
3
開催日
1968/05/16

会議録

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、原田立君が委員を辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。     —————————————

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 関税及び貿易に関する一般協定のジュネーブ議定書(千九百六十七年)及び関係交換公文の締結について承認を求めるの件  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件  及び  千九百六十七年の国際穀物協定の締結について承認を求めるの件  以上三案件を便宜一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ただいまの三案件に直接条約、協定上関連はないのですが、間接的にいろいろ関係があると思われる一、二の点について最初に大蔵大臣にお伺いをいたします。  低開発諸国に対する日本の援助は、昨年で総額約六億六千万ドルと、相当伸びるには伸びておるけれども、日本の援助条件が欧米諸国に比べてきびしいということ、たとえば先進諸国の援助が贈与で八〇%以上、それから金利は三%以下、期間は二十五年以上というケースが多いように聞いておるわけですが、日本のそれは、金利が五・五%から五・七五%、それから期間が十五−十八年、贈与額も四〇%台といわれておるようであります。それで日本がGNPでは世界二、三位を誇りながら、対外援助内容が貧弱なのは、これは日本自身の経済体質が成長率中心であるために、実質的にはまだ体質が弱いことを証明しているのか、あるいは、それとも他の先進諸国が無理をしてでも低開発諸国を援助をしているのか、その辺はどうなのか、この点をお伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) それは実質的にはまだ日本の体質は弱いということによるものであると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、この一%達成の時点は一応何年ごろと想定をされておるのか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは、各国とも今回の会議でこの期限を約束しているところはございません。できるだけ努力するということで、いつまでにこの一%達成するという約束というものはございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、この対外援助の場合に、外務省、大蔵省、それから経済企画庁、それから通産省なりにもあるんではないかと思うんですが、その各省別で対外援助関係のものは、昨年度——四十二年度で一体どうなっているのか。資料をきのうから要求してあるんですがまだ届かないということと、それから、さっそく資料が来ない理由は、なかなかまとまらないんだそうですね、各省別ではっきり幾らになるということをまとめるのが非常に困難だと言われておるんですが、そういう事情なのか。それから、そういうことに関連をして、対外援助関係を何か一本にまとめる考えはないのかどうか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 一番新しい確定いたしました数字は、暦年で昭和四十一年でございます。四十二年はいま暫定的な数字しか出ておりませんが、この中には、賠償その他、それから技術協力、直接借款あるいは直接投資、国際機関への融資参加、それから国際機関への出資、拠出、それから一年ないし五年の延べ払い輸出、こういうものが入っておりまして、これが国際的な機関でございますDACに報告せられ、DACから統一的に各国に流されている数字でございます。この中身につきましては、所管は、たとえば技術協力でございますればこれは外務省、賠償でございますれば大蔵省、外務省が実施機関であるというふうに中身ははっきり分かれているわけでございます。延べ払い輸出につきましては通産省が許可をするわけでございますが、期間が長いものとかあるいは条件がととのわぬものについては大蔵大臣の協議を経るということで、所管別については、それほど私どもは問題があるとは考えておらぬわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私、機械的に各省別の対外援助を一本にまとめろと、こう言うのじゃないのです。それぞれ事情があって、援助関係の省というものがそれぞれの機能を持っておると思いますから、それはそれでいいんですが、それにしてもあまりにばらばらという感じを受けるし、それから、日本がせっかくアジアにおいては一番大きな援助国でありながら、必ずしも被援助国から受ける評価が適当でないと思われる点があるわけです。たとえば、この間のフィリピンの日本に対するいろいろな商社関係の仕打ち、あるいは日比通商航海条約を批准しておらぬという問題、あるいはインドネシアも何らかの動きを示しておるようでありますが、それらの点から見て、日本が一番大きな援助をアジア諸国の中ではしておりながら、被援助国から受ける評価は必ずしも適当ではない。その点の一つの問題点は、やはり統一的な援助体制ができておらぬということにもあるのではないかと思われる節が相当あるわけです。そういう意味で、今後そういう点についての対策はお考えになっておるのかどうか。いままでどおりのばらばらの形でいくのか。何か統一的機能を果たすようなことをお考えになっておるのか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いま言いましたように、各省別の所管事項はきまっておりますが、対外的な交渉については、現在窓口が外務省一本にしぼられておりますので、私はいまのようなやり方で大体いいのじゃないかというふうに思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それについて外務大臣にお聞きしたいことがありますが、大蔵大臣の時間の都合もあるようでありますから、その次にもう一つ大蔵大臣にお聞きしておきたいことは、これは直接この案件には関係がないけれども、日本は結局、国際通貨体制ではSDRにすべてをかけた政策に踏み切った、こう見ていいと思うのです。ところが実際には、本日の報道にもあるように、金はロンドンではもう四十ドルを一オンスこしてしまったということもあるし、それからフランスあたりでは、SDRは国際収支の赤字を一時的に補う信用機能の役割りを果たすだけのものと見て、金に代位するものではない、SDRはゴールド・ペーパーとは見ていない、こういう見解が有力であるし、それから、EEC諸国も実際には金を相当持っておるためにフランスの考え方に必ずしも同調するわけではなく、SDRの支持を表明しておるけれども、その背景には金を持っておるという安堵感があると思うのですね。ところが実際、昨日のロンドン市況等を見ても、再び金価格が高騰を始めた。しかも日本は、保有金三億三千万ドルはおろか、むしろそんなものはどっちでもいい、すべてをSDRにかけるというような政策に踏み切ったと思われるわけですが、はたしてそれで確信があるのかどうか。私は、これは非常に問題があると思うのですね。その見通しはどうでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) SDRにすべてをかけているというわけではむろんございません。基本的には国際通貨を安定させるということでございまして、欧州諸国も、金は持っておるかわりにドルも持っておるので、いまのドルを中心にしたIMF体制を維持しようということについては、欧州もみんな理解が一致しておりますし、やはり当面国際通貨の安定をはかるということが日本にとっても一番必要なことだということで、これへの協力をしているところでありまして、全部をSDRにかけているというわけでもございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間の制約があるのでこまかくいろいろお伺いできないのは遺憾ですが、もう一点だけ伺います。  昨日、当委員会でこういう問題を質問したわけです。たとえば、今度のこの穀物協定で平年度五十一億、肥料、農薬その他雑穀等で援助するわけです。低開発国に。その場合に、かりに日本の米で——米で援助するわけですね、米がたくさんありますから——援助する場合に、国際価格と国内価格との間に相当な差があるわけです。それで、それを食管特別会計で処理をするというのは、これはちょっと別の問題だろうというお話でした。そこで、かりにもし、まだきまったわけじゃないけれども、実際に米で援助するという場合に相当の差ができるわけですね、国内価格と国際価格がおよそ半分も違うのですから。そういう場合の処理の方法は、大蔵当局としてはどういう形の処理でなされるのか、かりに米で援助する場合。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まだ処理について具体的なことをきめてはおりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 具体的なことをきめておらぬでも、そういう場合にどういうことが考えられるかということはあっていいのじゃないですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 大臣がお答えいたしましたように、この問題については農林省その他ともよく打ち合わせをする必要がございますし、具体的な問題を踏まえまして今後検討を加えるべき問題かと思います。委員の御質問にありましたように、まだきまってない、まだきめられないことであろうというお話がありましたが、まさにそのとおりでございます。いま検討中でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 大蔵大臣がお立ちになるからちょっと伺うのですが、きのう穀物規約、これの中で問題にしたのは、日本が三年間五十一億円というものを義務として出すということはどういう根拠に基づいてやっておるのか、法的な根拠あるいはその他の根拠は何であるのか。一年ぽっきりではなくて毎年ということ、これはどういう根拠に基づいてそういうことがやられるのか。協定に基づいてやるということは、ビルマの経済協力とか技術協力とか、みんな協定に基づいてやっていますね。今度の場合は基づかない。一体何によってやったのかということが一つと、それからまた予算書の中で、本年度は五十一億の半分の二十五億七千四百四十四万九千円、これを対外食糧等特別援助費という費目で出している。ここらが不明瞭なので法的な根拠を伺いたい。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 本件は交換公文、交換書簡でなく、一方的な書簡でもって日本政府の意図を表明したわけでございます。しかしながら、これを実施するかどうか、どれだけやるかということはやはり予算にかかっているわけでございます。先般御承認いただきましたこの予算に基づいて本年分の金額というものがきまったわけでございます。で、御質問の趣旨は、おそらくこういうものが協定によって国会にはかられるべきものであるかどうかという点を含んでいるのじゃないかと思っておりますが、私ども、本件については特にソフトでございますし、グラント的要素が非常に高いわけでございます。国によりましては、食糧援助あるいはその他の援助を、自分の国の数カ年の計画を立てまして、できれば三年間の約束をしてほしいというようなことを言われることがあるわけでございますが、いまの日本の財政状況から見ますと、全体を約束するわけにはまいらぬ、こういうわけで、やはり予算によって御審議をいただいて、その中できめてまいる、こういうような方針をとらざるを得ないという状況でございます。本件もそういう趣旨にのっとって処理をいたしております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ソフト、なるほどこれはまことに、だれか——まあ宮澤さんが行ってやったのかどうか知らぬが、きわめて留保に関係するものはソフトで、形がつかめない。何か裏取引みたいな感じもするし、きわめて不明瞭な留保のしかただと思うのですが、それはそれとして、三年間——第二条は留保したが、協定は三年間五十一億円ずつ出すという一つの義務みたいなものを負っておるわけですね。これは毎年これからどういうふうにやっていくのですか。毎年ちゃんときまった額がふえもしない減りもしない五十一億だと、きちきちっと毎年日本はこれはこういう交換公文というものを一本出したきりでやられるのか、毎年またやれるのか、どういうふうにやるのですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 本件は書簡によって日本側が一方的に意思を表するものでございます。その限りにおいては交換公文その他とは若干ニュアンスが違うわけでありますが、いずれにしても一方的に政府の意思、意図を表明したという意味では道義的なあるものを持っているだろうと思います。しかしながら、あくまで次年度以降の実施についてはこれは予算によって国会の御審議をいただき、その範囲内で実施する、こういうたてまえになっております。それ以外には方法はないわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 毎年毎年同じような書簡の形式でいくのですか。もう意図を表明したから、あとはもう来年、その次の予算も何も言わないので、対外食糧等特別援助費ということでいくのですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 新しく書簡は出されないということでございます。それから、予算については、来年も新しく予算を組みまして御承認をいただくという手続に相なると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは交換公文ではないのですね。まことにソフトな書簡、しかも一方的で、インテンションを通告しただけですね。こういうのは非常に弱いと思うのですが、いかがですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 一方的な意図表明の書簡でございますが、やはり道義的なあるものを持っているわけであります。したがって、予算をこういう趣旨で本年も——来年のことでございますが、来年度またやりたいということを私どもからお願いいたしまして、御審議を十分にいただいて、その結果によって実施される、こういうことに相なると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国費の支出ということは国会の議決を経るのだということはこれはイロハで、憲法にも書いてあるわけです。私の聞いているのは、道義的な根拠です。金銭の支出だけでは済まないので、やはり形のかちっとした法律的なものの上に立ってこういうものを出していくということでないと、これからきわめて安易に経済協力にしろ何にしろ行なわれるということになりはしないかと思うので、法的な根拠があるほうがより正しくてほんとうであると思うのですが、どうですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) 先ほど申し上げましたように、これは非常に多角的な問題でございますけれども、低開発国においてはたびたび、三年間あるいは五年間というふうな期間を立てて自国で経済の建設計画を行ないます際に、できれば五年間にわたって、あるいは三年間にわたって約束をしてほしいという要請が出るわけであります。わがほうの事情から申しますと、やはり年々国際収支の状況も変わってまいりますし、また、財政の余裕、国内のいろいろの諸事情等の関係においていいろの問題があるわけであります。したがって、さような両方の立場から、現在までのところ、本件にかかわらず、長期の約束の要請がございましても、その調和をいかにとるかという点に苦心がございまして、その結果、こういうふうにやはりほんとうにちゃんとやっていくためには、一つの方法として、いま先生の御指摘のようなことも一つの方法であろうかと思います。しかしながら、わがほうの事情というのもございますから、やはりこういう形をとらざるを得ない、こういうことに相なっておるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 小さいことだけれども、それならばこの対外経済協力費という書き方ですね、予算の。これにやはり国際小麦規約に対する日本の援助額とかなんとか、留保したからいろいろ表現はむずかしいだろうが、そういうことを書かれるほうが審議するわれわれとしてはきわめて明快だと思うのですがね、どうですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○説明員(奥村輝之君) この表現の問題につきましては、まあ主計局その他関連の部局において十分に検討いたしましてこういう結果になっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この実態はどうであるかということについての御説明は、今回の予算のみならず——今回の予算でも十分に御説明申し上げたわけでございますが、今後ともよく御説明申し上げて誤解のないように処理をしてまいりたいという気持ちにおいては御趣旨と全く同じでございます。     —————————————

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) この際、委員の異動について報告いたします。  佐藤一郎君が委員を辞任され、その補欠として菅野儀作君が選任されました。     —————————————

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 やはりこの案件に、協定そのものに直接関係はないんですが、関連事項として通産大臣に一つお伺いをいたします。  四十三年度の政府輸出見通し百二十三億五千万ドルが見通しどおり達成できるかどうかという、そういう論議は別として、日本の輸出上の問題点としては、大口プラント輸出が相次いで西欧側に敗北しておる、こういわれております。その原因は、日本の条件では各国と対抗できないということが主要な原因であるといわれております。そういう問題が一つあるほかに、日本の輸出上あるいは貿易構造上の問題もあると思います。たとえば今後繊維、雑貨などについては低開発諸国と競合することが多くなると思うし、それから、特恵関税実施も二年後に控えているという問題もある。その上に、今後わが国としては重化学工業品に輸出の重点が移っていくという、そういう問題もあると思うのです。特にもう国内においては重化学工業の比重が六十何%になっておる。この実情から見て、そういう趨勢がだんだん強化されていくと思うわけです。この場合、たとえば重化学工業製品の場合、その性質上輸出の割合が多くなるばかりでなしに、その輸出の形態上延べ払いであり、それから、その期間もだんだん西欧との対抗上長期のものにならなければならない。それがまあ今後予想される局面であろうと思います。そういう場合に、いま審議しておるケネディ・ラウンドの達成もさることながら、日本の貿易構造上、こういう当面しておる問題について具体的にはどう対処しようというのか。これは非常に問題点だろうと思います。具体的にひとつ通産大臣のお考えを承りたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 重化学工業に重点が移行するにつれてプラント輸出がふえてまいりますので、したがって、延べ払い輸出ということになるわけでございますが、その場合の延べ払いの条件が、金利において、あるいは期限において日本はどうも条件が辛過ぎるという状況でございます。しかし、これは輸出の一部分でありまして、大部分は西欧並みの決済条件でございまして、低開発国に対するいろんなプラントの条件等においてどうも日本がまだ十分でないという点はありますけれども、一般の重化学工業製品の輸出条件は、大部分西欧並みでございます。しかして、いろいろなきびしい環境にもかかわらず、日本があらゆる努力をして年々伸びておることは御承知のとおりでございます。いま、四十三年度の貿易目標を達成する上において、特にプラント輸出の条件をぐっとソフトにして西欧並みにしていこうというだけのまだ具体的に政策を固めておるわけではございません。従来のままでも何とかして目標を達成してまいりたいと、こう考えておる次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その程度のことは私もわかっているのですが、そういういま申し上げたような趨勢のみならず、一番最初に申し上げたように、この繊維製品あるいは雑貨等については低開発諸国と競合することが多くなってくるわけですね。したがって、日本の貿易政策上、重化学工業重点に移行する要素が多くなってくるわけです。そういう場合には、いまのような条件緩和をある程度やらなければ、現状ではそうたいしたことはないと言われますけれども、将来を展望する場合には相当問題がある。そういう点に関連をして、たとえば日銀が輸銀へ低利資金をつぎ込むことも検討されておるように聞いておるんですが、そういう点、たとえば私の聞いておるのはそういう具体的な問題なんです。そういう点について何らかの考慮が払われておるのかどうかという一般論じゃないんです、具体的なことをひとつ。

原田明通商産業省貿易振興局長

○政府委員(原田明君) 日本のただいまの輸出の国際環境が相当にきびしいものがある点は、先生御指摘のとおりでございます。一方で低開発国からの追い上げがございます。他方、重化学工業品については、西欧その他の諸国との激しい競争がございます。現在日本の輸出の約四分の一ぐらいが重化学工業品で延べ払いを要する輸出になっております。この競争に負けますと、これからの日本の輸出構造を高め、輸出を拡大するという目的を達する上で非常に問題が生ずるわけでございます。したがいまして、この場合に第一番の重点は、やはり日本の産業、特に重化学工業におきましては、西欧との競争に負けない競争力、それからまた、発展途上国との競合産業におきましては、製品の高度化その他により発展途上国との競合に負けないような産業という、そういう競争力の育成が一番の基本であるかと思いますが、しかし、現実の輸出競争の場面におきましては、個々の企業ないし産業の競争力だけでは必ずしも十分に効果を発揮し得ない点がある点は御指摘のとおりでございます。ことに重化学工業品の場合には延べ払い、しかも、年々ソフトになってまいっております条件に対抗いたしまして、安い金利の金を必要なだけ十分に供給して輸出競争に負けないようにしてやるということが一番肝心であると思います。この点に関しましては、最近財政資金の立場から輸出入銀行に対する資金やその他なかなか容易でない面がございますので、私どものほうでも、いかにしてこういう方面に対する財政資金を確保して最も効率的にこれを使用してかつ競争に負けないようにするかという点について検討をいたしております。現在のところは、やはり輸出入銀行に対して金利のかからない出資という形の資金を十分に確保していただくということが最大の要件であると考えております。これに合わせまして、六・五%の金利ではございますが、財政融資の自由な活用ということをお願いしておるわけでございます。ただ、さしあたり当面という問題から若干離れまして、将来日本の輸出規模が非常に大きくなってまいりますし、また、これに要する財政資金も相当の規模になるという事態が予想されますので、そういう場合にいかにしてそういう資金を供給するかということに関連しての一つの方法といたしまして、日銀あたりの金を、こういう輸銀にかわって、あるいは輸銀と連携をいたしまして、延べ払いの資金として活用する方法がないかというのを検討いたしております。ただ、この場合につきましては、本来日銀は短期金融を主としておりますが、延べ払い金融は勢い長期になりがちであるとかいろいろな問題がございますので、主として技術的な観点とあわせまして、いかなる方法をとることが最も効果的であって、かつ財政政策ないし金融の一般的な政策と矛盾しないでやれるかということをまだ検討中の段階でございます。日銀を使うということがいいというふうにまだ踏み切ったところまでは行っておらない状況でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私も、あの輸出関係者が何もかも政策上政府にみんなおんぶして、自分自身の企業努力、輸出努力を怠っておるようなことをいいと言うのではないのです。これは最もきびしい態度で臨まなければいかぬと思いますが、しかし、それにもかかわらず、貿易の趨勢上いまのようなことがあるので、一つの問題点としてお伺いしたわけでございます。そこでもう一つ伺っておきたいことは、かりに長期延べ払いをもっと緩和したような場合、対外援助との関係はどうなるのか。一方は商業ベースであり、一方は国としての対外援助であるから、その間には何ら相関関係はないのか。あるいは、そういう条件緩和等が出てきて、国としての施策もいろいろそれに関連する場合には対外援助とは何らかの相関関係が出てくるのか。全然それは商業ベースと国の施策とまつ二つに割り切ったものなのか、関係はあるものなのか、その辺はどうでしょうか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○政府委員(原田明君) 御質問は非常にむずかしい質問でございます。結論を先に申し上げますと、考え方によっては関係が非常に密接でございまして、商業ベースの延べ払い輸出と、対外援助という形における機械設備等を中心といたします輸出、あるいはまた商品輸出というものが、全然無関係に出されていいというふうには考えられないと思います。しかし、国際的な傾向といたしまして、 コマーシャルな輸出においては延べ払いの条件などをあまり過当競争によってむやみに悪くするということをしないようにしようではないかという、輸出信用の調和化という——輸出信用のハーモナイゼーションというようなことばでいわれておりますようなことが、数年来、OECDあたりを中心にしまして非常に顕著に進められております。一方、援助の面におきましては、発展途上国の外貨事情や経済困難というようなことにかんがみまして、条件はますますソフトに安い金利の金を長期間にわたって貸すというような方向に進もうといたしております。したがいまして、最近の国際的な傾向といたしましては、対外援助の条件は商業ベースの条件とはだんだん離れてまいりまして、援助は援助らしく、通常の貿易は貿易らしくという形に進んでまいっておるようでございます。しかし、私どもといたしましては、そういう国際的な方向に沿いながら、しかし、援助の場合にも、やはり財貨の輸出という形によって行なわれるものが非常に大部分でございますので、同じように、そういう援助が通常の貿易を阻害しないようにとか、あるいは日本の国内産業に与える影響が不当な強さにならないようにとかいうような考慮を通じまして、商業ベースの延べ払い輸出と援助との関連を十分に考えていきたい、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一点だけですが、通産大臣、さきに予算委員会のときに外相代理として出席されたときに、ココムの緩和について意見を私が求めた際に、緩和の方向に行くと言われ、先日、外務大臣もこの席で同様の意見を述べられたが、この緩和の方向というのは具体的にどういう手のつけ方をするのか。これは日本で一方的に判断をすればいいのか、関係国と協議をするのか。これは外務大臣とも関連することですが、どういう処理をするのですか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○政府委員(原田明君) ココムは、御存じのとおり、自由圏諸国の話し合いによりまして進めておる事柄でございます。したがいまして、ココムの緩和につきましては、一方におきましては、最近における技術の進歩に即応して規制の態様それ自体を改むべきであるという観点から、日本独自の立場で、技術の進歩の程度でございますとか、個々の品目についての具体的なあり方というようなものの検討を進めるということでございますが、しかし、話し合いの趣旨を尊重しなければならないという面もございますので、そういう日本の考え方と、それからまた諸外国もそれぞれの考え方を持っておるようでございますので、そういう考え方を合わせましてお互いに話をするということで進めなければならないわけでございます。現在は、部内におきまして技術的な観点からの検討を進めつつございます。何しろ品目もたくさんございますしその他で、まだ相当時日を要するのではないかと思いますが、そういう検討を進めながら、話し合いの相手となっている国々との話し合いにだんだんに入るという形になろうかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 西欧は関係国間の協議というより、そんなものは無視して対共産圏輸出をやっておるのが最近の傾向じゃないかと思いますね。一々相談をして了解を求めておるということはないと思う。これはかなり独自の見解で進めておると思いますが、いまどき、兵器等ならば別ですが、普通の工業製品についてそんな制限をいつまでも続けておるということはこっけいにさえ思われるので、こういう点については積極的にこんなものは撤廃するぐらいな考え方を持って、たとえば兵器等はすぐそういうわけにはいかぬでしょうからこれは別として、通常の工業製品等については、もっと率直に日本の見解も述べて、こんなものの廃止に近いくらいな政策を進めたほうがいいんじゃないかと思うのですが、これは外務大臣、沈思黙考のようですけれども、どうです、具体的に。

原田明通商産業省貿易振興局長

○政府委員(原田明君) 恐縮でございますが、私かわりまして。  西欧のほうがココムの話し合いの趣旨と全く離れてかってに輸出をしているという事実は全くございませんで、この点は私どものほうも、外務省でよく話し合いに参画をしておられるようでございますので、そういう事実は全くないと存じます。また、私どもとしましても、貿易を拡大するという趣旨から、西欧が出すのにこちらが出さないというふうなことでは市場を失うもとでもございますから、こういうことはないように厳に十分に注意しているつもりでございます。特に最近、技術の進歩に伴いまして、主として東欧諸国に対する西欧諸国の輸出の規模というのが非常に大きくなっているようでございまして、これには私どもも非常に関心を持っておりますので、そういう点も考慮に入れまして、先生御指摘のように、貿易拡大という趣旨を十分に留意いたしまして、また、ココム本来の趣旨が、通常の工業品というようなものに及ぶということはもちろん論外でございます。戦略性というものの判定についても十分に考慮をいたしました上で緩和の大きな方向に進むように努力をいたしたいと考えております。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 外務省からもお答えしておいたほうが適当だと思うのですけれども、ココムは大体一年半ごとくらいにレビューをしておる。それで、この秋にはレビューをすることになるわけです。その準備のためにいま関係各省で相談をしております。これは、いま答弁をいたしましたように、緩和をするという方向で検討を加えておる。そしてレビューの会議に臨みたいということでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それじゃ通産大臣関係、これで終わります。  外相に一点お伺いいたしたいのですけれども、先日の新聞報道にあったことですが、外相基金制度を設けたいという、これは外務当局で検討しておるというのですが、そういうことは検討されておるのかどうか。あるとすれば、どういう構想なのか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) そういうものができれば非常にいい。こういうふうに弾力的に使えるような基金を持っておるということは、いろいろな場合にわれわれが援助をする場合にも、タイミングなども失することのないように——せっかく使うものですから、その金は生かされなければならない。日本の場合は少しやはり窮屈になって、なかなかちょうどタイミングよく援助ということができにくい場合が多いのです。だから、そういう基金を持って——まあ、各国ともそういう基金を持っておる国もあるわけです。そういうものができればですけれども、まあ、なかなか、ここに各省もおりますから、だから、こういう話がまとまるまでにはこれは容易なことじゃない。しかし、そういうものがあったら非常にいいということで研究はしておりますけれども、これがなかなか日の目を見るのには時間がかかるだろう、こう思います。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 党は賛成でありますが、一言つけ加えたいのは、やはりガットの恩恵に浴さない、たとえば中共との貿易についても、これを機会に大きな格差ができて、これを取り扱う輸入業者、業界の方々が非常に不利にならないように各省と十分検討をして、便益関税、これを適用すればりっぱでありますが、そこまでできないのならば、せめて便益関税的なもの、そういう態度で、便益を中共との貿易関係にも適用するというような気持ちで、中共との貿易を後退させないで前進させるように関係当局が十分配慮してもらいたい、こういうことを申し上げておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私も一言。このケネディ・ラウンドの達成は重要なことでありますから、本件にはもちろん賛成でありますが、それに関連して、最近のアメリカの保護貿易的な動きがあまりにも強過ぎるので、これに対して十分対処して、本件のこの成立に寄与するように、アメリカに対しても十分な外交上の処置を講ずるよう要望をいたして賛成いたしておきます。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関係交換公文の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認するととに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百六十七年の国際穀物協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び  原子力の平和的利用における協力のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。  この際、科学技術庁から二案件について説明を聴取いたします。藤波原子力局長。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 日米、日英両原子力協定につきまして補足的な御説明を申し上げます。  原子力が将来の重要なエネルギー源であることは申すまでもないことでございまして、わが国におきましてもすでに原子力発電の開発、原子力船の建造着手、あるいは動力炉・核燃料事業団による新たなる形の原子炉の自主的開発等に懸命な努力を続けているわけでございますが、ただいま問題になっております両協定は、これらの原子力開発にきわめて重要な意義を持つものであると考えております。  具体的に申しますと、今回の改正の主要点の一つでございます濃縮ウランの確保につきましては、ウラニウム二三五換算で百六十一トンの数量が確保されるわけでございますが、これは現在わが国におきまして計画いたしております原子力発電計画のうち、今後五年間に着手され、大体昭和五十年ごろまでに運転を開始いたすと想定されます十三基の原子力発電所が、今後三十年間にわたって運転する場合に必要とされる濃縮ウランを確保できる数量に匹敵するわけでございまして、さらにそのほか、原子力第一船でありますとか、原子力研究所等におきます試験炉、研究炉等に必要な濃縮ウランも確保できるものでございます。また、プルトニウムの三百六十五キログラムの確保は、これによりまして、先ほど申し上げました動力炉・核燃料開発事業団でせっかく新しい型の高速増殖炉あるいは新型転換炉の開発に必要な試験用のプルトニウムを確保できるものでございます。  また、今度の改正によりまして電力会社等の民間企業が直接米国AEC等と濃縮ウランの賃濃縮等につきまして契約ができる道が開かれたことも、今後の開発を進めるにつきまして有意義なことであると考えております。  なお、関連の事項といたしまして、協定期間が三十年となりましたことは、原子炉のように長期の耐用年限を持つものにとりまして、その耐用年限中の燃料確保に不安なからしめると、こういう意味において有意義なことと考えております。  なお、濃縮ウランの供給形式につきましては、賃濃縮形式を原則とする形になっておりますが、それらの原料としての天然ウランは、百六十一トンのウラン二三五に相当するものが約四万五千トン程度になるわけでございますけれども、これらはカナダ等の豊富なるウラン鉱山の資源を対象にいたしまして、それらと長期購入契約あるいは共同開発方式等によりまして確保をいたしまして、それを米国AECに賃濃縮を委託すると、こういう形で運用いたしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、日英協定につきましては、御承知のように、現在東海村に英国から導入をいたしました原子炉が動いておるわけでございますが、これの継続的運転を確保するために重要な意義を持つわけでございます。  なお最後に、本国会におきまして協定をぜひ成立させたいという理由を重ねて申し上げますと、ただいま敦賀におきまして原子力発電会社が建設しております原子炉、あるいは美浜地点におきまして関西電力が建設しております原子炉、福島におきまして東京電力が建設いたしております原子炉等に必要な燃料は、きわめて早期に入手いたす必要がありますので、その賃濃縮契約等を締結するためには、この協定の早期成立が必要なわけでございますのと、もう一つは、動力炉・核燃料事業団で新型転換炉、高速増殖炉の開発のための事前の試験用の装置に必要なプルトニウムは即刻でも入手をいたしたい、こういうタイム・スケジュールになっておるわけでございますので、この点からもこの協定の早期締結が望まれておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、補足して御説明申し上げました。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと補足説明でもう少しつけ加えてもらいたいことがあるのです。予定されておる原子力発電というものは、どこの会社でどういう規模でということを少し補足してください。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) この協定の附表に掲げられておりますように、現在建設中のものが敦賀、福島、美浜の三発電所でございますが、そのほかに、この附表作製当時は計画中の欄に入っております東京二号、関西二号というものは、現段階におきましてはすでに建設の準備に着手いたしております。そのほか中部電力一号、それから中国、九州、東北の各一号、それから中部電力の二号、東京、関西電力のそれぞれ三号炉というものを予定しておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはこの附表にあるけれども、それはぼくらしろうとでわからぬから、常識的に何万キロワットの発電とか、そういうふうに換算していくとどういうことになるか、そういうことを少し聞かせてください。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) ここに掲げられております十三基の合計は、約六百万キロワット強になるわけでございます。わが国は原子力委員会におきまして長期の構想を掲げておりますが、それは昭和五十年までに約六百万キロワット、昭和六十年までに三千万キロワットないし四千万キロワットの原子力発電所を建設するということが目標として掲げられておりますが、ちょうどここに載せられております発電所が全部できますと、昭和五十年までに約六百万キロワットという目標が遂行される形になるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 しろうとでわからぬのですが、このメガワットというのは、普通のキロワットとどう違うのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) メガワットというのは、千キロワットの単位でございますので、ここにございます三百五十メガワットというのは、ちょうど三十五万キロワットに相当するわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ少しわからないところの説明だけを聞きます。  それは、一つは、条約の廃棄、どういう場合にこれが廃棄され、停止され、あるいは改正されるのか。第何条で廃棄されるのか、それが一つ。  それから、問題の保障措置、不平等といわれる保障措置、まずそこら二つぐらいから聞きましょうか。  第一の廃棄も、ちょっと見ただけでは、日本がこの協定に誠実に従わないで違反したようなときには、停止、廃棄するとかいうこともあったようです。そうじゃない場合の廃棄、効力の停止、そういうのは、一体第何条で、どういうふうな話し合いになっているのか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 御説明申し上げます。  この日米協定の廃棄に関しましては、主としてこの保障措置に関しまして問題が起きた場合に廃棄し得ることになっております。日本につきましては、日本が保障措置について、その保証を履行しなかったような場合、そういう場合についてアメリカが廃棄できることになっております。  もう一つは、この保障措置につきまして、日本とアメリカと、それから国際原子力機関との間の取りきめができないというような場合につきましては廃棄し得ることができることになっております。この条約の非常に重要な内容につきましての日、米、国際原子力機関相互間の基本的な合意ができないということは、条約に実質的な重要な影響が与えられることになりますので、そういう観点から廃棄できることになっております。  なお、協定の内容についての改正につきましては、先ほど原子力局長からお話しのございました核燃料の確保につきまして、将来これの増大の要求を日本がする、百六十一トン以上の濃縮ウランの必要が起きた場合に、これにつきまして日米間に話をするということにつきましては、この協定の内容そのものを形式的に改正することなく、政府間で取りきめし得るということを定めております。  以上が、廃棄と実質的な内容の改正、両方の点でございます。  それから次に保障措置につきましては、この前も私御説明申し上げましたとおり、大体におきまして、現在アメリカが各国と締結しております原子力の平和利用協力協定の内容と全く同じものでございます。ただ若干の点につきまして日本側で改善した点がございます。その点は、一点は、アメリカ側にも平和利用の義務を課したという点が一点でございます。この平和利用の義務を課したと申しますのは、米国が日本に燃料を供給し、その供給された燃料について、さらに米国側に移転された場合に、その移転された燃料等につきましては軍事使用に転用しないということを米国側が約束している点が第一点であります。ただし、この点につきましては、日本の側と違いまして、IAAによる査察という点はございません。それは将来の問題として残してございます。しかし、いずれにしましても、その点は、米国が現在まで西欧諸国と締結いたしました原子力の平和利用協力協定にはない点でございます。  それから第二点は、もう一つ産業上の秘密漏洩という点が非常に懸念されましたので、特にその点につきまして、保障措置に伴って査察に来た人間が知った秘密については絶対に漏らさないという約束を取りつけた次第でございます。その点も、米国が従来各国と締結しております原子力平和利用協力協定の中にはない規定でございます。その点を除きましては、保障措置につきまして米国側に権利がございますが、その与えられた米国側の権利は、一切日本とアメリカと国際原子力機関との間で締結されます保障措置に関する移管協定の中で全部原子力機関に移管されまして、国際原子力機関がアメリカにかわりまして日本の施設、燃料等を査察するというような取りきめになっておる次第でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 第一点の改正、廃棄、停止に関連して、日本側から廃棄するということはないのですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 先ほど御説明いたしましたとおり、日本とアメリカと国際原子力機関との間の保障措置に関します取りきめができないという事態になりました場合には、そのような廃棄をするということができることになっております。それ以外にはございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それから、先ほどアメリカがよその国と結んだ協定にないという、アメリカから持ってきた燃料でつくられたものとは何を言うのか。プルトニウムとかなんとか、これはアメリカに移管した場合には軍事使用しないというのは何をさすのか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) この日米協定の第十条のB項というところをごらんになるとおわかりでございますが、この協定の二八ページの第十条B項第一項及び第二項にございますとおり、「この協定に基づいて売却その他の方法により移転された資材」、それからまた、「その資材の使用を通じて生産された特殊核物質」、それからまた、現にそのような資材または特殊核物質がそのまま直接に軍事使用に移転するということができないような場合には、それに相当する、それにかわる同じ種類かつ同じ量の資材が軍事目的に使用されないことということを約束しているのが、このアメリカ側の平和利用の義務でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の言うのは、もらう立場の日本が、何か御説明では、アメリカにものを移転する場合、それは特殊核物質を言うのでしょう。そういうことがあり得るのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) たとえばアメリカから入れました濃縮ウランを炉に入れまして使った使用済み燃料からプルトニウムがとれるわけですが、かりにそのプルトニウムがアメリカに輸出されるような場合があるとすれば、そういう場合もありますし、それから、将来日本で加工事業者というものが成長をいたしまして、アメリカから入れました濃縮ウランを使いまして原子炉燃料を加工をしてまたアメリカ等に逆輸出すると、こういう場合も想定されるわけでございまして、そういう場合のことを考えておるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 いまのところはその十三基で、十三基の原子炉を動かすために、研究用まで入れて百六十一トン必要なんだ。それを外国に、濃縮してくれたアメリカにまた移転するというようなことは想像できないんだが、それはまた別の協定で、おまえ売ってくれないか、もっとおれのほうじゃ濃縮ウランやるからつくってくれと——下請だな——そういうことを想定しているのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 第七条のC項を読んでいただきますと、日本が加工をいたしましてアメリカにまた輸出するということも想定されておるわけでございまして、その場合の燃料のワクはどういうことかということにつきましては、この百六十一トンのワク内で操作をいたすわけでございますけれども、このときは、一たん輸出されて日本の国外へ出たものは百六十一トンのワクからその時点で差し引かれると、こういう約束になっておるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、主眼点は日本の原子力発電が主眼点なのか。原子力発電にかこつけて、百六十一トンをそのまま原子炉に使わないで、そのうち、おかしな使用済み燃料のほうを売り出して、少し加工賃を高くしてそのさやでもかせごうという下心もあるのじゃないか。おかしな協定ですね。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは役務なんて、下請みたいな感じですね。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本の原子力発電をやるのだから、日本にないから、原鉱買って、アメリカにお願いして濃縮してもらってやってもらうのだということで、それが精一ぱいなんだというところへ持ってきて、何かアメリカヘトランスファーする、それは軍事利用にはしない。よけいなことを考えているんだな。これは原子力発電じゃなくて、商売も考えている。その点はなはだ表題と違うんじゃないかな。二つの目標、どっちが主眼なのか。日本の発電をやるのか。あるいは軍事利用はしないといっても、発電ばかりではなく、いろいろあるでしょうが、主眼点はどっちなんです。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 現実の問題として重点は、先ほど申し上げましたように、附表に掲げられております十三基の原子力発電所の濃縮ウランを確保するというのが一番大きなウエートを占めておるということは事実でございますけれども、協定自身につきましては、原子炉の装置自身の輸出入、あるいは加工燃料の輸出入ということもこの協定にカバーされているわけでございます。先ほど例示にあげました燃料加工しての逆輸出等につきましては、現段階においては、それまでの日本に加工事業がございませんので、当面の問題ではないわけでございますけれども、将来そういう能力が出た場合に、この協定でそういうこともできるように規定されておる、こういうわけでございます。  それからプルトニウムにつきましても、いまは日本でまだありませんし、また、精製する工場もこれからつくるわけでございます。現実の問題としてありませんのはもちろんでございますし、また将来におきましても、日本で精製いたしましたプルトニウムは、原則としては日本の将来の高速増殖炉その他に使うということが考えられるのでありまして、しかしながら、需給に余裕ができたといった場合に、あるいはアメリカに輸出するという場合もあり得るわけでございます。そういう場合に備えましてと申しますか、そういう場合にもこの協定で十分運用できるという道も開いてある、こういうぐあいに考えておるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 やはり核の民有化ということになって電力会社が条約文をつくったぐらいの内容だから、将来商売も十分考えているわけですね。そうして、百六十一トンの中からそういうものをアメリカに賃加工をして売り出して向こうに移転した場合は、かりに十トンそういうことをしたらば減りますね。それはアメリカからまた補充してくれると、こういうことですね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 先ほど申しましたのはそういう意味でございます。ワクとして、輸出したらばその分だけはまた発電用のためにまた補充されると、こういう考え方でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうもこれは電力会社の条約みたいで私あまり好かぬのだが、考えてみると、発電やるのだと言いながら、発電もやれば賃加工の下請もやる。下請が忙しくなって、うまくやれば、ほかにたくさん世界に工場ないのですから、アメリカから平和利用の関係のものが日本に頼もうとやってくると、電力の発電の予定なんかすっぽらかして売り出して商売やっていたんでは、これは原子力の日本の投資の大目的はなくなってしまう。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 燃料の加工ということを考えます場合は、電力会社がやるのではなくて、燃料加工事業というものがこれからできまして、そういう事業者がやる、こういうことになると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 民有化というのは、アメリカが民有化したからこっちもつられてやったようだけれども、幼稚な幼い時代は、日本のような官僚の指導、監督になれた国は、平和利用か軍事利用かというむずかしいおりから、まだしばらく政府を通してやったほうがいまの段階はよかったのではないか。もう少し進んで、もう原子力発電なんというのはこんな小学校の生徒でも学校でわかるくらいになれば、野放しでもいいと思うが、何かあまり九電力会社か何か、商売で競争して走りだして、どっち向いてしまうかわからないような気がするのですが、民有化するのはけっこうだけれども、まだ段階が早いのじゃないか。原子炉買ったり、賃加工の金も払えば何千億という金を払うから、それは国の予算として計上するのはたいへんだから民間にまかしたという政府の説明もあるようだが、はなはだ早かったのじゃないかという感じも受けますね。それはまたあとの質問にしますが、わからないところだけ聞きますが、この保障措置というのは、アメリカが来てやるのではなくて、国際原子力機関の要員が日本に派遣されて来て、それについては日、米、国際原子力機関、三者が何か協定して来て、この人がどこかの工場を見たり記録計見たりして、軍事利用であるかどうかを調べて歩くわけですね。その人は、その人が取得した何かおもしろい考案があったとしても、それは口外してはならぬ産業上の秘密として、原子力機関に戻って、あるいはよその国に秘密をしゃべるということはないと、こんなふうなことになるのですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 先生のおっしゃいましたとおり、この協会に定められております保障措置は一切がっさい協定によりまして国際原子力機関の要員が日本に来て査察を行なう、その結果たまたま知り得た産業上の秘密がもしあるとすれば、それは絶対に漏してはならない。もちろん、国際原子力機関の内部にまたそういう特別な定めもございますので、その点につきましては二重に保障されております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この三十年というのはどういうところから来ているのか。一般に説明を承ると、原子炉の耐用年数がその辺だということですか。それからまた、長い間協定確保をしておいたほうが、約束をとっておいたほうがいいのだ。途中でやめることもできるのですね。やめることもできるし、量を減らすこともできるわけだ。だから、長い契約をしておいたらいいのだ。西洋紀元二千年ぐらいまでちょっとあと二年ぐらい足りないが、そこぐらいまでやっておけば入ってくるだろうという大まかな計算なのか。核防条約二十五年というようなことを言うが、三十年というのはどういうところにめどを置いたのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 原子力発電設備の耐用年限は大体二十年前後であるわけでございます。したがいまして、三十年という協定期間がございますれば、今後数年間に建設される発電所の大体耐用年限中の燃料が確保できる、こういうことになると思います。もちろん、いま先生がお話しのとおり、途中で必要量が減れば、そういう減少なりあるいは途中での打ち切りということもでき得る余地は残っておるわけでございます。決して引き取り義務が伴うものでございませんので、われわれとしては長い協定期間のほうが望ましいと、こういうぐあいに考えておる次第でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは値段は独占価格になるわけですな、賃加工というのは。どこにもほかに売ってくれるところがなければ、アメリカさんが何と言おうと、百六十一トンほしいばかりに、なんぼ高いことを言っても、ほかに買うところがなければ、言い値どおりで買う。いい商売だと思うんだね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 実質的に独占的価格になるわけでございますけれども、第八条に料金等に関する規定がございまして、「アメリカ合衆国内の使用者について適用される価格又は料金とする」と、こういうことになっておりまして、その時点でアメリカ政府が公表をいたしておりますプライス・リストによることになっておりますので、日本側だけが非常に不利になるということはないと考えます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 いずれにしても、何を公表しようと、一青もそれに対して安い高いは言えないわけだね。いい商売だな、アメリカは。そこで、百六十一トンというのは、それぞれの会社がAEC——アメリカの原子力委員会と契約を結んで、おれのところは何トン、何年——年度割りですね、そういうことを各社一つ一つがAECとやるのか、こちら一つの受け入れ団体を電力業者が組んでつくって、それとAECとやるのか。その百六十一トンの配分もあるわけでしょう。そういうような動力炉の何メガワットあるかによっても、容量によっても違うでしょうが、おれのほうはもっとほしいんだということでけんかにもなるだろうし、そこはどんなふうなもので契約を結ぶんですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(藤波恒雄君) 附表にあります十三基を一括契約するわけではございませんで、個々の発電所計画ごとに契約をするわけでございます。一応この附表では必要とされるウラン量が発電所ごとに記載されておりますが、これらの計画が具体化をいたしまして、日本政府の許可を得た段階でAECと電力会社との実際の契約が始まるものとわれわれは考えております。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 午前中はこの程度とし、午後は一時再開といたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      —————・—————    午後一時七分開会

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  御質議のおありの方は、順次御発言を願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 きょうはいよいよ小笠原返還協定が国会でわれわれも賛成して成立する運びになります。これが成立しますと、いよいよ本番の沖繩返還の問題に取りかかるわけです。小笠原が返ってくるということは、私たちも非常に感激を持っておりまするが、長い間領土返還に努力された総理のまず感懐、感想はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の感懐というよりも、これは日本国民全体、与野党を問わずこの問題については真剣に取り組んでおられる、その一角がようやくほぐれた、かように思います。過去の歴史から見ましても、戦争で失った領土、これが平和時の話し合いによって返ってくる、こういう事例はほとんどないのであります。これが実現したということ、私はそういう意味で、たいへん国民の皆さんも御満足だろうと思います。しかし、日本がこの戦争で失った領土はこれだけではありません。ことに多数の住民を擁しておる沖繩の問題があるし、さらに現地には日本人はいなくなっておりますが、北方領土——歯舞、色丹、国後、択捉等々がございます。これらのことは、前戦争の最終的な結末がつかないままでいまのように推移されておる。一応南方の領土、これはサンフランシスコ条約でアメリカとの間には一応の話がついた。しかし、北方の領土はソ連との間に最終的な平和条約ができない状況であります。そうして、失われたままである、かような状況でございます。先輩に対しても、またこれから続く国民のためにも、どうしてもこの前戦争で失われたいわれのない領土の喪失、これはもうぜひともわれわれの時代にわれわれの力で祖国復帰を実現したい、かように思っている次第でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これはせっかく返ってくるので、なつかしい領土、これは総理大臣は飛行機でも飛ばしてさっそく現地へ行って、硫黄島に行く。そうすれば、いよいよ沖繩に対する領土返還の決意もさらに強くなり、やろうという気も出ると思うのですよ。すぐ行かれたほうが、これは総理大臣としての義務だと思う。ただ返せ、返せ、返りてきた、それだけでは済まないと思うのですが、どうですか、小笠原は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私自身が出かければ、いま森君の言われるように、さらにはっきりする、こういうことでございますが、いままでもそれぞれ大臣も出かけておりますし、過般は東京都知事も現地に行った。こういうようなことでありますので、まずまずその方面では私自身が大騒ぎしなくてもいいかと思います。一応目的達成した。問題は、やっぱり小笠原に次いでの沖繩の問題、これがどういうふうに処理されるか、ここに全部その考え方、同時にまた監視が向いていく、かように私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、総理の明言というか、戦後を終わらせるために、沖繩返還問題にずばり直面するのですが、総理の決意を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、沖繩はできるだけ早く祖国復帰を実現したい、かように思いまして、関係各大臣とも胸襟を開いて話し合いをし、決意を新たにして、ただいまこれと取り組んでおる最中でございます。きょうはちょうどこの会議に出てまいります前に、沖繩懇談会の諸君が訪米して帰ったばかりであります。その報告を先ほど聞いたばかりであります。これは大浜君をはじめその他の諸君同行でございますが、詳細に訪米の結果を伺ったような次第でございます。また、過般は太平洋軍司令官シャープ提督が日本を訪問されまして、日米合同委員会、その関係で日本に来られ、その機会に私のところにも見えまして、やっぱり小笠原の返還について、これが実現したことを喜ぶとともに、次は沖繩問題だと、こういうことでシャープ司令官も認識を新たにした次第であります。この行き方についてはいろいろの問題がありますが、しかし、私ども、基本的な路線はすでにその方向が定まっておりますから、これを狂わさないように今後とも慎重にこの問題と取り組み、同時に、これはやはり日本民族の願いに沿った行動をしたい、かように思っております。間違いがないように最善の努力をするつもりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 何か外交問題、私も戦前から今日まで見ているが、ちょっと例はおかしいかと思うが、たとえば松岡先生が大臣になっているころ、これはもう考え抜いて千駄ケ谷の庭で徹夜で夜露に打たれてウイスキーのびんをわきのほうにころがしながらとにかく必死で考えるのですね、いろいろな人が会合をする。ところが、この沖繩問題、これほど大騒ぎしているのですが、総理のぐるりでだれが腹心になり、どういう団体への諮問の会合が開かれ、外務大臣、関係閣僚みんな必死になって何かを探っているという様子が見えない。ただ事務的に普通の場合の協定を結ぶようにのんびりしている。だれの御意見を聞いて参考にし、あるいは諮問者の意見を尊重して結論として取り入れているのか、外から見て一向に感じないのですね。見えない。大浜さんの例の懇談会もありますが、これも懇談会であるのか、ほんとうに佐藤さんがこの人の意見を主として、あるいは大浜さんを中心に意見をまとめさせているのか、そういうところが外から見えないのですね。水鳥というのは水の下で足を動かして表では眠っていますがね。そういう手もあるが、どうも上も下も寝ているような感じがするので、その点はちゃんと、どういう接触のしかた、その考えをまとめるには機関を通じてやっているのか、どうも総理は忙しく総理大臣の行事をやっていて、どこで考えるのかわからないのですが、やっているとすれば、人、機関、対策委員会なり秘密対策委員会、お持ちであるならばお話しを願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、別に秘密対策委員会というようなものは持っておりません。また、私には有能な外務大臣をはじめ外務当局がおりますので、外交機関を通じてただいまのような重大なる外交問題と取り組んでいるわけです。そこで、いまお話がありましたように、水鳥は浮いてのんきな顔をしておるようだが、足はしょっちゅう動かしておると、やっぱり外交の行き方、これはいろいろあると思います。はでな外交の行き方もありましょう。しかし、やっぱり外交は、外はたいへん穏やかだけれど、内はきっちりした不退転の決意がある、そうしてその目標に向かって進むと、そういう外交が本来の姿ではないかと、有能なる三木君はそういう態度でただいま進んでいると、かように私確信しております。したがいまして、ただいまおそらくお聞きになれば、外交ルートで話をすると、こういうことで非常にわかりいいことを申しますけれども、しかし、そのためには、外交ルートを動かすためにいろいろなことが考えられます。もちろん、政府の機関、考え方を無視して他の方法で動くつもりはございませんけれども、しかし、私どもは国民の一番大事な問題でありますだけに、与党の諸君はもちろんのこと、野党の皆さん方のお考えも私ども絶えず鞭撻の材料にそれを取り入れ、あるいはときに蒙を啓いていただく、こういうことでそれぞれの問題を取り上げ、そして取り組んでいくつもりであります。また、現にそういうことでございます。これは、いましばらく外務大臣なり、私ども外交の衝に当たっておるそれらの者におまかせをいただいて、そうして御鞭撻、同時にまた監視——間違ったことがあったら許さぬぞという御鞭撻のほどをお願いいたします。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、大体有能なる外務大臣のもとに優秀なスタッフの外交当局を背中にしてやっているというお話だが、外務省というところはコンサーバティブなところなんですね。現在でも進歩的な意見は外務省筋という新聞記事に見えたことはいつもない。そうして外務当局が、前にたとえば下田君がしゃべった、牛場君がしゃべったというと、その後やる総理理大臣や三木さんのお話は、大体その線に乗っかってしゃべっている。どこに一体政治家の存在があるかということを私は疑いたくなるくらいなんで、あまり事務当局のコンサーバティブな空気があるということは、監視と御鞭撻ということを言うのなら、私は申し上げたい。外務当局、どう思いますか。コンサーバティブですよ、空気は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまたいへんおしかりを受けたと思いますけれども、私は、事柄の性質によりまして、おそらく日常の問題なら事務当局にまかしてもけっこうです。しかし、事、こういう領土問題に関するようなことは、やはり政治家の責任においてそれぞれが火ぶたが切られる。現にワシントンに出かけまして、そして今回の領土返還問題と取り組んだ。これは事務当局が路線をきめたわけじゃないんです。私どもがその路線をつくって、事務当局に積極的にペーブをさして、そして最後の仕上げを出かけて行ってやっていく。まあ、ここらに、問題は事務当局で可能なものとそうでないものとやはりございます。まあそれぞれ、幾ら有能だと申しましても、国の運命に関するようなことは、これは大臣、総理がきめるべき事柄で、それは事務当局できめるような、そういう問題ではないと、その区別だけはつけているつもりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その意気でやってもらいたいと思います。  そこで、あなたとジョンソンさんの共同声明にありましたように、この沖繩の返還については日米共同で継続して相談しようということになったわけですね。したがって、ほんとうから言えば、一月元日からやったって一向差しつかえないんだが、いつから一体始められるのか。もう始まっていい時期に来たと思うんですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 で、三木外務大臣は今国会で、ただいま委員会にかかっています小笠原の協定が国会で承認を得るならばすぐ取りかかろうと、こう外務大臣は申しておりますが、そのとおりですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 総理とも打ち合わせをいたしまして、小笠原の返還問題が国会で承認を受ければ、したがって五月の下旬から——これは参議院の御承認も受けてから、そして継続的日米合同の沖繩返還に関する話し合いを始める予定でございます。今月中に行なわれる予定でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 今月中というのはどういう形の会合になるのか。いわゆる予備会談、正式会談、いろいろあります。あるいは日米協議委員会といろ形もありましょう。いずれにしても、この形はどういうものであるかということと、これが共同協議の第一回、第一歩であると見ていいのかどうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは佐藤総理とジョンソン大統領のコミュニケによる継続的合同の協議ということの性格を持った会議であります。外務大臣とジョンソン・アメリカ大使との間にこれを行なう。しかも、これは第一回の、コミュニケによるいわゆる合同継続的協議のこれは第一回の会合である。本格的会談とか、あるいは予備会談とか、そういう名前はつけないで、これはやはり第一回のいわゆる協議であるということであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、紙上の伝えるところによれば、外務大臣は、これが会議の根本方針、すなわち沖繩返還——核の問題を含めた沖繩返還についての根本方針がいまだ確立するに至らないというのでしょう。沖繩基地の整理統合——なるほど沖繩領土の八・八%ぐらいが軍事基地になっていて入り組んで住民に不便がある。そこからこれは整理しようというような話もしようということも新聞に出ている。これは逆に見ると、どうも会合が行なわれるらしいが根本方針ができないので、その間の時間つぶし、悪いけれども。時間つぶしでこまかいことをいたずらしてさわっているという感じがするのだが、どうでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはこまかいといいますか、結局、この佐藤総理とジョンソン大統領との共同声明は、沖繩の施政権返還の方針のもとに、しかも、それはできるだけすみやかにということは「両三年」という表現の中にも入っているわけですから、したがって、ただいたずらに時間をかせいでいるというわけにはいかないわけでありますので、第一回の会合でありますので、今後どういうことをどういう方法によってどこから話し合いを始めていくかという段取りをつけるというのが第一回の会合のときの大きなやはり仕事になる。いろんな問題を拾ってみて、どれから手をつけていくか、しかも、施政権を早期に返還させるためにはどういう問題からやはり解決しなければいけないかという、今後続いていくであろう日米の合同の協議をできるだけ効果的に目的達成に役立つようにどういう段取りで行くかということをきめたいと思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 たいへん自信たっぷりで、突然自信たっぷりで私驚いたのですが、いつそんな腹をきめたのか、どこにもそういう音はしないのですね、これは委員会だけの口先だけで。月末始まればわかることですが。総理が今国会を通して言っているまたもう一つの名言は、総理たる者がハムレットのように、率直に言って自分は迷っていると。実に悲しい総理大臣をかついでいるものだと思って私は嘆いたのですが、一体迷いはさめたのですか。先ほどあなたがおっしゃった非常におもしろい重大なことは、基本的路線はできたと、これを狂わせないように行きたいということは、この国会で初めて何かものをつかんだらしいような、できたような表現に受けるのですが、詳細に、迷いがさめた理由、それから基本的路線、これをひとつ伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、申し上げるまでもなく、この沖繩祖国復帰、これを実現させる。この祖国復帰ということはジョンソン大統領と話をして、そういう方向で継続的な協議を続けよう、こういう話し合いであります。これをまあ両三年とかというような話。しかも、これは社会党の皆さんとその立場が違っておりまして、私どもはアメリカが合法的にただいま施政権を持っている、かように考えております。その合法裏に持っている施政権を日本に返す、それについてはどういうふうにしたらよいか、こういうことでいま協議をしよう、こういうことであります。その点については最初から迷いはない。ワシントンから帰って以来、私の迷いはないわけであります。ただ問題は、こういう場合にどういうような具体的方法でこれを片づけ、成功さすか、そこについての迷いとは申しませんが、いろいろあれやこれやと考えている。そこで私は皆さん方から、考え方は基地に対してはいまなお白紙かと、ずいぶんひどい批判まで受けながらも、その批判に甘んじて、ただいま検討している、これが私の考え方でございます。ただいま言われるように、迷いということばは当たりませんけれども、それをただいまどういうようにするか、こういうことでいろいろ考えているというわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 さっき基本的路線がきまっている、これを狂わせないためにと言うから、ある形ができた、変なやじだの中傷だの反対でふらふらしないように、これでひとつ突破するものができたんだと思ったらば、やはり迷いらしいものが漂っているのですね。それはそうでしょう。白紙というような批判があるのはというおことばがありましたが、白紙と言ったのは総理大臣が言ったので、われわれが白紙と言ったわけじゃないのですね。そこで、私は、白紙ということはおかしい、一つも白紙ではない、もう返還の根本方針は、やり方の形式ですか、形態はある程度きまっているのじゃないか。一つには、沖繩の基地は、日本ばかりではなくアジアの平和と安全について重要な役割りを持っていることをまず十分に考慮する。それから、日本は安保条約、そうしてアメリカの核抑止力に依存している。これもあるし、また、沖繩には現に核基地があるのだ。何も新しく核基地を持ってくるというのとは違うのだ。これだけのワクをきめてしまえば、もう白紙ではない。その中で悩んでいるのは、迷っているのは、これだけの前提、大きなワクを置くならば、核は置かざるを得ない。あるいは核を置くと言うと少しく限定されますが、核と基地というものは何らかの形でくっつけておかなければならない。しかし、国内にも反対論は強い。そうして国内では非核同原則ということも国会では声明して、国民の反対もあり、そうかといって、先ほど申したような大ワクがかかっている。それで悩んでいるだけの話で、実際の根本は、やはりこのワクのもとでは核と基地は離せないということであるから、一つも白紙ではない。ただ、いかなる形でこれを打ち出すか、いつこれを打ち出すか、それだけが残っている問題だというふうに理解しているのですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはとにかく相手のある交渉事でございます。ことに日本、これは祖国として同胞を迎える、沖繩を復帰さす、そういうことは民族的念願だ、かように思いますから、その点はアメリカ側にさらに十分徹底して理解さす必要があるだろうと思います。私は、ジョンソン大統領と私との間でそういうことを目標にしていろいろ話し合いを進めていこう、これはできたことですから、それも相当の期間をかけてやろうと言っているのだが、とにかく、さらにもっと日本同胞は祖国復帰が念願だから、熱願だから、ぜひともこれを実現させたい。それについてのアメリカ側の十分の理解がなければならない。同時に、いまの基地のあり方、これは御指摘のように、日本を含めての極東の安全、平和のためにこれは寄与している。その実情は十分私どもも認めなければならないだろうと思います。また、施政権者アメリカ自身がこの基地のあり方についてどういう考えを持っているのか、これを明確にする必要があるのじゃないのか、かように思います。もしも、私どもが一方的な考え方だけで話をして、そこに意思の合致ができないと、これはとんでもないことになる、かように私は心配している。これが話し合いによって両者が納得のいく上で問題を解決しよう、こういう立場でございます。どうしても祖国復帰を実現しなければならないのだ、かように思っておりますだけに、やっぱり両者が納得のいくような方法を考える。ここにいろいろ、私どもがさらに調査を必要としたり、もっと明確にするものがあるわけです。それをただ単に、こちらが復帰を希望しているから、また復帰は民族的な要望だから、復帰さえぶっつければいいのだ、こういう簡単なものでは実はないというので、ただいま慎重な態度で取り組んでおる、こういうことであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の申し上げたのは、「白紙でございます」と言うから、先ほど申し上げたような、いろいろな大きな根本的なワク、これはもう総理があらゆる機会で同じ答弁ですから、これは確立した外ワクがきまっているから、沖繩基地の返還に核というものがいつまでもついて回らざるを得ないのじゃないか。そこには白紙というものはもうすでにないのだ。大きなワクの中でどうするかというもう外ワクはがっちり総理の再三にわたる国会答弁を見ても同じ表現ですから、白紙ということはない。さっきのワクはゆるがせないのじゃないか。白紙ではないと私は思うのです。あとは、しからば、核を有事のときに持ち込むとか、事前協議でやるとか、あるいは置く場所を狭くするとか、広くするとか、そういう小さい技術が残るだけじゃないか、こういうことを聞いたわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 森君はこれは小さな技術上の問題だと言われるけれども、私はそうじゃないと思うのです。いま核基地があるかないかということは、これはたいへんな問題だ。また、いまの基地をどの程度にするか、これはたいへんな問題だ、かように思っております。ただ、いまわりに考え方が、気持ちが楽なのは、これから持ってくるというのじゃないのだ。いまあるのです。そのあるものを一体これからどういうふうにするのか、そういう問題ですから、やや気が楽だ。それでしばしば申しますように、これからの兵器の発達によれば、陸上基地は必要でなくなるかもしれない。いまの状態でもメースBはもうすでに時代おくれだ、こうまでいわれている。そういうことを考えると、いまあるものの考え方は案外楽じゃないかと思います。しかし、これは施政権者じゃない私の考え方だし、また、平和憲法のもとに政治を担当している私の考え方で、そういうことがどうも明確でないのがいまのアメリカ側の考え方だ。そういうことをもっと明確にしないと、これは話がうまくいかないんじゃないか。だから、それは私はただ単に、将来、核基地をそのままにしてどうこうという、そういう結論を出してもらっても困るんです、私は、もっとできればわれわれの本来の平和の姿であることが望ましいんですから。しかし、それにいたしましても、ただいまのところ相手方の考え方というものが明確でない、これをやっぱり協議を通じて明確にする必要がある、かように思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこでいまのお話に関連しての質問はあとにして、一つ伺いたいのは、日本のみならずアジアの平和と安定にも沖繩の基地が関連する。関連するという意味は、アメリカとフィリピンや韓国あるいは台湾などとの相互防衛条約、あるいはまたANZUS条約などの沖繩は適用地域になっておるわけですね。そうすると、総理の答弁聞いていると、関係国の意向も聞かなければならぬのじゃないかというような印象ですよ。アメリカは当然聞くでしょう、自分が条約結んでいる国ですから。日本も、自分のことじゃなくて、人の立場も聞いてみようがなというような感じがするんですが、これはよけいなことかと思うのでお伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 森君の言われるとおりに、これは韓国やフィリピンやタイの意向など聞くことはよけいなことです。両国の関係だけでこの領土問題は解決します。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、かりにそういう問題がアメリカから提示されても、それはアメリカとの間のいいとか悪いとかいう話であって、何もその他の一国があすこに核兵器を置いてもらわなければ困るということを言ってきても、そんなことは聞く必要もない、答える必要もない。これは条約関係を結んでいるアメリカとそれぞれの国との話で、突っぱねていいわけですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 答える必要がない、考える必要がないという前に、やはり問題は沖繩が果たしている極東における基地としての働き、これは私どももやっぱり念頭に置かなければならない。しかしながら、領土の返還、沖繩の復帰という問題は、これはそれらの国々は関係することじゃありません。私どもの日本の安全を確保するために、いわゆる極東の各地域が影響を持つだろうということ、そういう観点からの判断はいたしますが、韓国、台湾、タイに相談するというようなものじゃない。これはアメリカと日本との間で相談すればいい。ことに日本の場合にはっきり申し上げておきたいのは、ほかの国はしばしば集団安全保障体制をとっておりますけれども、日本の場合は、アメリカとの安全保障条約によって、日本の防衛についての安全保障はございますけれども、日本はさらに拡大して韓国や台湾の安全を確保する、そういう考え方には話は発展しないのですから、そこは間違いのないように、集団保障にいたしましても、これはアメリカだけの問題と、かように御了承いただきたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 時間がありませんから短く御質問しますが、簡単に二問。一つは、両三年中にめどをつけるとおっしゃった。これはアメリカのそのとおりだとの返答はとうとう取れなかったようだが、「強調した」とコミュニケでは書いてあるだけで、昨年十一月だから、いまは一両年と理解してよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) こういうのはきちっとした科学的な年限ではない。しかし、とにかく「両三年」という一つの表現がございますから、それをいつまでもほっておいては困る、そういうことでは、これは一両年になったと、かように理解されて伝達されることは当然だろうと思います。しかし、いまのように数学的な問題で、もう一年たったから両三年が今度一両年になった、こういう算数的な問題じゃない、かように御理解いただきたい。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私が聞くのは、七カ月間無為に過ごしたから、半年以上遊んで、何も継続していないからそういうことを言うのです。そこで、あなたは自分の在任中あるいは少なくとも近い年内めどをつけられると思うが、あるいは、これがためにはアメリカへも年内に乗り込むか、来年のことを言うと鬼が笑いますから、私は年内のことを考えている。どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま私の在任中とかなんとかということでなしに、私は政府の、日本国の代表として命を持って出かけたのでありますので、日本の代表でございます。だからたまたま総理の期間であったというだけで、私の間でできなければ、だれか必ず後継者が生まれてくる、かように思いますから、それは三木君もこうして聞いておられますから、御心配なしに。やはり日本の継続的な使命だ。その遂行についてはひとつ社会党も力をかしてやろうとおっしゃっていただきたい。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうもはなはだ気が弱い。おれがめどをつけると言ったらつけるんだということでなければ、大外交問題は解決しませんよ、気魄がないと。そんなことを言っていると時間がたつから最後に伺いたいが、あなたは沖繩の返還問題についてどういうことを考慮に入れるかというと、世論の動向を見て自分の腹をまとめる。世論の動向、国際情勢それから科学技術の進歩——さっき言われたメースBとかなんとかは科学の進歩、それについてあなたは、返還にいま適当な客観情勢だと判断するかどうか。一たん国際関係で停戦ができますと、北ベトナムは停戦ではありませんが一種の停戦。これがもう再び大戦争になるということはないのです、過去において。そうして、これは少なくも平和へ向かう客観情勢である。国民世論は、日米関係を強化し沖繩に核を置けといったようなそういう激しい勇ましいほうは、どの新聞、週刊誌あるいは通信社の調査でも、なくて、やはり軍事強化ではなくて、ひとつ返してもらいたいということが国民世論の最大公約数だと思うのです。国際情勢は、先ほども、科学の進歩はこれは総理みずからおっしゃっている。そんなにこのそばにいなくてもいいんじゃないか。この三点について総理のお話を伺って質問を終わります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは御承知のように、なかなか世論の動向、これをつかむことはまことにむずかしいことです。ことに基地のあり方がどうか、どういう形がいいのか、こういうような聞き方——聞き方にもよるわけです。それで、いまはっきりしている世論は、一日も早く祖国復帰、あまり基地や核装備などについては問題に触れないで、とにかく早く帰りたい。最大公約数なら、一番はっきりしているのはそうじゃないかと思う。まあ、私が総理として考えても、こういう点が一番総理として忘れちゃならないことじゃないのか。あとのあり方、基地のあり方等についてはずいぶんいろんな意見が出ておりますけれども、端的な願望というか、世論の動向といえば、何でもかんでもとにかく祖国復帰を一日も早くしろと、異民族の統治はもうがまんがならない。これが私はいまの沖繩住民の一致した念願じゃないかと思います。そこでいろんな結論をあとで出してくることになるわけです。そこらがいま一番むずかしい取り組み方じゃないだろうか。また、私自身が政治家として考えましても、この異民族の支配というものは、これは何にもまして優先的に解決しなきゃならない問題である。これは私自身総理として一体何を考えるか。その他の点では妥協はあっても、異民族の支配から脱するということ、そのことだけはもう妥協なしに真一文字に進むべきじゃないか、かように思います。この点にただいま集中しているのが私の率直な気持ちであります。  それから、ただいまの国際情勢の変化、これは確かに変わってきました。いままでは、沖繩にB52が来たとか、それが一体どうとかこうとか、いろんな批判を受けておりましたが、ベトナムに和平の道がとにかく開けた、これをあと戻しさしちゃならない。ぜひともこれを成果あらしめる、こういうことで絶対の努力をしていきたいと思いますし、また、一山過ぎれば、おそらくこの火の紛争が今後は起こらないように努力が払われるであろう。北鮮におけるプエブロ号事件にいたしましても、これが火をふかないであのまま停滞しておる。これなど私は歓迎すべきことだと思いますので、火をふかないように、そうすれば、ただいまの沖繩の基地が果たすような役割りもだんだん狭められていくのじゃないか、また、そういう方向へ持っていくのがわれわれの願いでもある、かように思いますし、さらにまた技術の進歩、科学の進歩等からすれば、陸上の基地、核基地というものが一体どの程度の役割りを果たすのか、もっとそれにかわる有効な防御施設ができるんじゃないか、これなどにも期待をかけていいことじゃないかと思います。まあ、ここ両三年の問題……

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一両年。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これを一両年の問題にいたしましても、科学技術の進歩はたいへんな進歩だと、かように思いますので、私はそれらのことも期待していいんじゃないかと思います。とにかく、そういうようなあらゆるものを考えまして、世論の動向を見ていきます。また、ただ世論の動向も、ほうりっぱなしでなしに、政府の見るところもよく国民に理解していただくように、あらゆる機会をつかまえてPRにも精を出し、そうして、何よりも異民族の支配から脱する、そういう方向でこの上とも努力すべきじゃないかと私は思います。これがいまの基地の問題等にからんで、それではもうどんな状態であってもいいのかという話が、極端な場合は、出るかもわかりませんけれども、私は、異民族の支配には耐えられないというのがおそらく現地の方々の率直な気持ちであろうと思う。政治家はそれに端的にこたえるのが政治の、民主政治の要諦じゃないかと、かように思っております。そういう意味でいままでいろいろ努力してきているところでございます。問題は、ただいまの基地のあり方等につきましていろんな先走った議論をすることが、私のおそれておるのは、祖国復帰をおくらすようなことがもしあったら、万一そういうような事態になったら、ほんとうにこれはもう耐えられない、現地の同胞に対しても申しわけない、かように思って、私は実は非常な慎重な発言をしておるわけでございます。この点、御了承いただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと一言、時間がないから簡単に一点だけ。  いま森君の最後の質問に関連して、国民世論については核抜きというのが二、三の新聞調査では圧倒的です。科学技術の進歩もいまお話しのように進んでおる。最後は国際情勢だから、ベトナムがいろいろジグザグのコースをたどっても、振り出しに戻るようなことはなかろう。まず平和の方向に進むことは間違いない。その場合に、これが沖繩返還についての総理の決意を固める一つの画期的なものになるのか、さらに中国問題、朝鮮問題等もあるからということで、今後も極東条項にからめてさらに引き続き核問題ということが考慮の中に残るのか。ベトナム戦争終結ということが具現した場合には、これが沖繩返還について重要な画期的な影響をもたらすとお考えなのか、この一点だけ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの世論は核抜き返還、これを希望しておる、これは圧倒的なんです。それでは、核つきだったら一体どうなるのか、返還はお断わりするのか、こういうことになりますと、そこらは私は明確でないのじゃないか、こういうように思います。新しく核装備するというならみんな反対だ。しかし、過渡的には、これはいついつまでに許せるのだ、こういうようなものもあろうかと思います。その核つきなりや核つきでないか、そこに問題が集中しておる、かように私は思います。ただいまのところ、私は日米安全保障条約にいたしましても、私どもの国の安全の確保には防衛的な、自衛的な手段としての自衛力しか持ちません。また、今後の国際的変化におきましても、その自衛的な立場において私どもの国益を主張していく、こういう考え方であります。その辺を誤解のないように。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 最後のベトナムの戦争の終結が沖繩返還について一つのエポックになるかどうか、引き続いて極東条項に関連して朝鮮とか中国問題もあるからというようなことでまたいまのような延長になるのか、重大な転機の要素になるのかという総理の決意を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまアメリカ側で非常に困った問題は、これは私ども、からむとは思いませんけれども、たとえば大統領選挙、あるいはベトナム戦争が和平には入ったけれどもこれがまだ続いておる。その間のまだ見通しがつかない。いろいろ問題はあるだろうと思います。これらの点をよく話し合ってそして問題を単純化していく、こういうことでないとこの問題は解決しないであろう。とにかく直接関係のないような事柄はだんだんはずしていって本来の問題を解決していく、こういうように努力したい。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いま羽生君の御質問のうちにありましたベトナム情勢の変化、この問題は佐藤・ジョンソン会談のときにはまだ予想されなかったものです。そういたしますと、佐藤・ジョンソン会談において取り上げられた場合と今日とではかなり違う。さらに進んでくるとさらに違うと思うのです。ジョンソン大統領はすでに引退を声明されておる。そういたしますと、たとえばジョンソン大統領とあなたとのいろいろ話し合いが行なわれて、それが政府間の話し合いであるとしても、新しい大統領のもとにおいてさらに新しい情勢を基礎にしての話し合いが行なわれなければならぬと思うのですが、佐藤総理は、新しい大統領ができた後に来年再びアメリカを訪れて 新しい情勢のもとにおける沖繩返還問題について話されるかどうか、それが一点。  第二点は、ジョンソン大統領との会談の際に、沖繩返還で一番問題になっております核基地の問題についてどの程度まで話し合われたか、それがいま総理が「核基地の問題について白紙である」云々ということにどのくらいの影響力を持っておったか、この二点をお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この二点と、さらにいまの羽生君の疑問にしておられる点について触れてみたいと思います。  御承知のように、ベトナム問題は、私どもの解決からは除外してもいい問題だと実は最初思っておったところが、B52が沖繩の基地を使うようになってベトナム問題は簡単でなくなってきておる。これが現実の問題であります。しかし、ただいまベトナムの和平への話しがどんどんできつつあります。できつつあると言うのは言い過ぎかもわかりませんが、とにかく話し合いのテーブルについた、こういう状態であります。そして、先ほど森君からも指摘されるとおり、あと戻りをさせてはならない、時日はかかっても、とにかく前進だ、和平をここに招来するのだ、こういう努力を、態度を表明すべきだ、こういうことを言っておられます。私は、それらを勘案して、結びつけて考えて、ベトナム問題のこの紛争が沖繩返還に与えていた状況はこれからはだんだん薄くなる、かように私は思います。また、そういうようにぜひともしたい、これを心から願います。こういうことで、施政権者であり、ただいまの基地を自由に使っておる米軍、米政府によく理解してもらって、日本がそういう問題には巻き込まれないのだから沖繩の基地は返せということにはっきりしたい、かように思っております。  それから、ジョンソン大統領との話し合いの際に、実は沖繩の基地は重大な役割りを果たしておるという、そういう話には触れました。かるがゆえに、小笠原とは違って、この際直ちに返還というわけにはいかないということであります。ありますが、しかし、核基地について程度がどういうようになるのか、これからどういうようにするのか、これからはそんなものは必要ないのだ等々の議論はいたさなかった。これはいたしておりません。これは領土についてずいぶん不完全じゃないか、こういう御批判があろうかと思いますけれども、しかし、それだけ小笠原の地位と沖繩の地位とでは違っておりますので、これが全然わからないわけではありません、ただいま申し上げたように。ただ、沖繩の取り扱い方を今後両三年のうちにめどをつけようと私どもも強く主張をした、それについて相手方も理解を示した、こういう共同コミュニケの作成で私どもはこの際しんぼうしたわけであります。したがって、先ほど来三木大臣からも話しているように、今後の継続的協議によってこの問題を片づけよう、こういうことであります。  それから、大統領が今度だれになったらどうするかというお話でございますが、これは選挙の結果を見なければわかりません。しかしながら、私とは申しませんが、だれにいたしましても、大統領がかわって、沖繩の返還について重要な協議をする必要があれば、これは必ずアメリカに出かける、それはだれが総理になりましても同じだ、かように思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 時間がないので、簡単に個条書きにして聞きたいのですが、一点は、小笠原で現状の米軍の施設——ロラン局ですが、船舶の安全運航に役立つとともにポラリスの誘導に対する電波も発信しているんじゃないか、こういうようなことも考えられますし、また、当然一朝事あるときには相当軍事的に利用価値が高いのじゃないか、このようなことも考えられます。国内における米軍の基地でもそういう役目を果たしておりますから、このロラン基地に対して、今度は日本が主導的に、将来解消する、撤去をする、そういうつもりはないのか、それが一点。  それから第二点は、父島の二見港ですが、あれは非常に良港で、総理も報告は受けているでしょうが、大型駆逐艦艇も入ることができるわけですが、当然あそこに原子力潜水艦の寄港ということも、まあいまの日本の国内の基地と同様になれば、これは考えられると思うのですよ。那覇においても、合同調査で放射能の汚染というものに対して真剣に取り組んでおり、当然この次はまた二見港にそういうようなことが発生した場合に、また非常にその憂いを小笠原の人たちに、住民に与えることにもなると思うのですが、そこらあたりの予防措置といいますかね、いかがでしょうか。  第三点は、いまのことにも関連するのですが、要するに、総理の意思にかかわらず、ベトナム戦終了となると、やっぱりいまのその専門家の意見によると、朝鮮との関係や何かにおいて沖繩の基地の重要性はますます高まってくるのではないか。となると、返還というものが何か後退していくんではないかと、こういう見方が非常に強いのですけれども、ベトナム戦後の沖繩の基地の重要性というものについて、後退するか、あるいは増すか、これはもう客観情勢によってきまると思うのです、総理の意思にかかわらず。  それから四番目でこの際お聞きしたいのですが、先日佐世保の原潜に関して、ジョンソン大使とシャープ司令官が総理とお会いになって、あれは原潜が原因じゃないとはっきりこう断定的におっしゃったわけです。当然こちらの学者の意見とはまっこうから反したわけです。私も科学技術委員会で発言して長官に聞いたのですけれども、総理は日本のその国是を守る立場に当然あるわけです。今後も調査続けられていくし、またアメリカからも専門家が来ているし、調査が続行中にしても、当然そういうふうに断定する根拠があって向こうは断定したのではないかと思いますが、そのとき総理が何とおっしゃったか。それじゃこれから調査してというようなことをおっしゃったのか。当然あの時点において、日本側と向こう側と、調査続行中にもかかわらず、まっこうから意見が対立して正反対になったわけですから、そこで当然総理は、そういう根拠が何にあるのか、どういうことをもってどういう根拠から発言したのかと、こういうようなことは当然おっしゃったのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ロラン局の問題について、私は、わがほうの技術者がこれになれておれば、これは当然、その他の施設と同時に日本に近すべきものだと、かように思っております。ただ、このロラン局の扱い方、まだややふなれなんじゃないか、かように思いますけれども、ただいま相手方がこれを自分のほうの管理に置く、かように申しておることを一応了承したいと思います。しかし、今後技術がこういうものについても管理ができる、こういう状況になれば、当然日本に返るようにすべきだと思います。いろいろの使い方がある、原潜等の指導にもこれは役立つ、かようにも言えますが、また、一般船舶に対しても、気象通報なりその位置測定等にもたいへん役立つものでありますから、これは安全確保上からも、そういう意味で、これを軍事的施設としてのみでなく、やっぱり平和的な施設としても十分活用できるようにすべきである、このように思います。しかしこれは、いずれにいたしましても、専門的なものですから、もっと専門的な判断に待つと、かように、やや弾力条項は残しますが、私は日本でこういうものも管理すべきだ、かように思います。  それから第二の問題は、二見港の問題、父島の港、これは整備する。これはもう絶対必要でございます。ただいま、この住民が、わずかではございますけれども、父島の港を根拠にしてあの附近がまかなわれておるというのが実情だろうと思います。さらに港をもっと整備することが必要じゃないか。それからまた原潜が入る場合には、もちろん日本の本土と変わりなく、こちらの了解がなければ、許可なしにははいれない、こういうことでございますから、ただいま言われます放射能そのものの実情等については、場所いかんにかかわらず、今後とも十分調査をしていく必要がございます。  それから、ベトナム戦が終了した後における沖繩の軍基地の重要性、これをどう見るかという、これは先ほど来いろいろお話があったところであります。沖繩は、極東の平和維持のために果たしている役割り、また、かなめ的な役割りだとしばしばいわれております。しかしそれは、ただいま他国のためにこれが積極的にそういう役割りを果たしておる。日本の領土となるということを考えれば、これはアメリカ軍の考え方、使い方だけですから、私どもは日本の安全に直接関係のないことに日本の領土を使うわけにはいかない、かように思います。いまでも、日本領土内におけるアメリカの基地が韓国の安全確保に役立っておると、かようには思いますけれども、事前協議をしなければならない立場にございます。そうすると、いわゆるアメリカが自由使用しておるときと事前協議の対象になる場合、場所とでは、よほど値打ちが変わってくるだろう、かように思います。したがって、沖繩返還の場合に、この基地は自由使用できるようにしようとか、こういうような意見が、だれが言っているのかそんな話が出てきますが、こういうようなことでもおわかりになるように、返還の際に基地の性格も変わるだろう、先ほど核基地の話がいろいろ出ましたけれども、やっぱり使用の形においてこれは問題になるだろうと思います。ここらの問題をもう少し検討することが必要だと、かように思います。  それから最後の問題ですが、ちょうどアドミラル・シャープが私のところに参りまして、ジョンソン大使も来まして、そして日米協議会の話でもするかと思ったら、いきなり話ししたのは佐世保の原潜入港後の放射能、異常放射能、それについての発言でございました。アメリカ海軍ではそういうことは絶対にないと声を大にして申しておりましたから、絶対にないと言ったってこれは説明つかないじゃないか、何かはっきりした説明がないと、ただおれの言を信頼しろと言うだけでは困るのだ、だからこちらのほうは原因をいま追及している、いま一番困っているのは、原因がどこにあるのやらわからない、原因がはっきりしないために問題が起きているのだ、だから、これはもう絶対にさような心配は要らぬと幾ら声を大にされてもそれじゃ納得できません。そこでアメリカ側も、ジョンソン大使も、至急今夜にでもアメリカに連絡をして専門家を日本によこすようにしよう、こういうような話まで進んだわけです。でありますから、私はまあ事柄によっては相手方の言うことも聞きますけれども、納得のできないものをそのまま聞くようなことはいたしません。これはまあ御期待に沿うかどうかわかりませんが、とにかく私も日本の総理としての役割りを果たしつつある、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう二分ばかりいいですか、いまの問題。  そこで佐世保の放射能の問題で、そとでもしね、アメリカ側の調査と日本の調査と食い違った場合にはどちらを優先させますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) とれは日本の委員会がこれに対する処置を出すわけです。それに対するいろいろな協力はアメリカ側から頼みますけれども、これはアメリカではなくて日本の原子力委員会が結論を出す。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それを尊重するということですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ええ、そういう考えでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その場合、今度は沖繩では合同調査ができそうなことになっておるのですが、日本ではわれわれは本質的には寄港に反対なわけですが、政府の立場から言っても、合同調査ということはあり得るのか。あるいは、どう結論が出ても外交上の配慮が優先するのか。その辺はどうですか。  それだけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはやっぱり専門家、原子力委員会、これがひとつ権威を持って結論出そうと。ちょうどこの問題については、偶然ですが、せんだっての四谷の園遊会の際に原子力委員の方に会いました。茅さんその他にですが、そのときにも、園遊会をそっちのけにして、連中で相談しておりました。とにかく早く結論が出せるものなら出してください、こういう依頼をしておきました。これは権威のあるのは私のほうのものでございます。ただいま日本の場合において、合同調査というような形はいまとってはいない。しかし、アメリカ側の協力は得ようと、こういうことで、ただいまのような調査を進めております。そのように御了承願いたいと思います。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記を起こしてください。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ、いまのお話の続きで、きょうは総理大臣には、共同の相談を続けてやれというのにずっとやっていないから、これからどうなさるのですかという手続を一応伺っておかないと、今後のこの問題を勉強する場合に困るから、ざっと一わたり、深くじゃなくて、新聞記者的に伺ったわけですね。さっき総理が言った、基本的には路線はきまっているのだがこれを狂わしてはいけないというのは、何か内容があるかと思ったら、どうもそれもないようなんだが、それかといって、片っ方で三木さんは明快な表現で、五月末からやりますと言うところを見ると、その迷いが解けて、領土を取り返す交渉に臨む二カ条なり、三カ条の、核基地も含めて、ある原則的な案ができたんじゃないかということを想像します。それがあるからこそ、月末からいわゆるコミュニケに言う日米の話し合いが始まるのだと私は理解をしておるわけですね、何もなければ、三木さんが新聞記者に語ったように、基地の整理くらいの話でお茶を濁すほかないだろうというのでありますが、いやしくもあのコミュニケで言った権威のある形の会議というからには、従来のような全くの白紙ではなく、幾らか薄墨色くらいに塗って線を引っぱって、ものを持って臨むのじゃないかと想像するのは決して無理ではないと思うのですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 森さんの言われる新聞記者的な角度から、佐藤総理にいろいろ広く話をされた。おそらく基本的方針という問題について、総理は早期沖繩の返還というようなことを中心にして言われておるのだと思いますが、まだ基地のあり方について総理自身の決意ができておるとは私は思われない。しかし、ただいまの私の発言が森さんに対して、かなり自信を持っている発言じゃないかというような感じを与えたとするならば、私はね、森さん、こういう意見を持っているのです。沖繩の問題は、これ以上将来相当長きにわたっていまの形で沖繩を支配できない段階に来ておると私は見ておる。やはり終戦直後にみんなの人がこれはしかたのないと思ったことでも、二十三年という歳月には人心の変遷がある。だから、沖繩というものの基地は、それは森さんとわれわれと違うところでありますが、安保条約の基地にはわれわれはするという意見であります、いわゆる日本の安保条約が適用される基地にはする、こういう考え方であります。沖繩から基地を撤去しようという考えではない。しかし、その安保条約に言う基地というものが、安保条約の基地が、沖繩にもやっぱり地位協定が拡大されるわけです。何らかの形で基地は残る。その基地のあり方については、いま総理も言われたように、前提条件を二つ三つあげて、最終的に腹をきめてないということですね。ここに答弁されたそういうものはあるけれども、一つ言えることは、このままで沖繩を長期にわたっていまのステータスでこれを支配しようということには無理が来ている。したがって、どういう形の基地になるかということについては、これから話し合いをしなければならぬけれども、少なくとも基地を有効に使用するためには、いまのような状態ではやはりいけない段階に来ておるのではないか。これが私の確信ですよ。アメリカとの間にこの話はつけなければならぬし、つくに違いない、こういうふうな感じを私は持っているのですよ。アメリカ自身だって、いまのこのままの状態で、いまの形で、相当長期にわたってずっと沖繩を支配できるとアメリカの政府の首脳部が考えているわけではない、私はこういうふうに思います。そこで、何か方針が基地のあり方についてもちゃんときまって、それでおまえがこれから交渉に臨むので、何かいかにも自信ありげに響くのではないかと言うならば、そういう意味ではなしに、解決しなければならぬ時期にやはり来ておるこの大きな流れに対して、この流れを押えることは日米両国ともできない時期に来ておる、こういうことが、この話はつけなければならておるものでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、あなたが力を入れたところがいいところで、これは確かにあなたがアメリカ側といろいろな機会の接触を通じて得られた確信だと思う。そういう論法の持って行き方は私はいいと思うのです。ただ、従来のような民族の悲願だとかではなくて、もっと高い次元に立って、時代が変わってきているのだ、もうあなたの無理は通らないよということであるならば、問題の核兵器にしても、沖繩でも小笠原でも、何かのときには入れさせてくれよ、これに対して一体日本がうんと言うか言わないか、いつの間にか話はテーブルの下あたりで——そこまでもう来ているのじゃないかという確信を私も持っておるのですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 森さんはかつては非常に鋭いジャーナリストでありましたから、ものを言ってもいろいろ将来を予測して御発言になりますが、日米間の話し合いで、まだそういう具体的な問題についての話し合いまでには行っていないのでございます。この月末から始めようということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 やっぱり十一月に主席の公選もあるし、それから参議院の選挙もあるのに、白紙だなんてもたもたしている政府はないですよ。時代はもう変わったのだと言って、選挙を通じてアメリカのほうに——軍事基地とか、メースBとか、ポラリスなんということばを一つも使わなくてもいいんだよ——大きい政治論で向こうを煙に巻いて引っぱっていく。先ほど、太平洋司令官のような偉い人がジョンソンと一緒に来たと言うけれども、まあ、うちの品物に限って腐ったものは決してありませんよというようなことを言う。実にアメリカというのは子供みたいなもので、だから、よほど高飛車でおっかぶせていかないと、アメリカというものは引っぱっていけないと思うのです。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十分散会

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