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58回国会参議院1968/05/07

外務委員会 第11号

発言数
84
登壇者
7
会派数
2
開催日
1968/05/07

会議録

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  去る四月二十六日、堀本宜実君及び岡本悟君が委員を辞任され、その補欠として杉原荒太君及び長谷川仁君が選任されました。     —————————————

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この間衆議院の段階で、何か、ポラリス潜水艦及び軍艦の領海通航について、従来と変わったような御説明があったように思うのですが、従来の説明は、たぶん無害通航——害がないんだ、したがって、事前に許可とか事前の通告もなしでよかったんだが、野党からの問い詰めで説明が変わったように記憶しております。残念ながら記憶というのは、時節柄なかなか私もフォローいたしておりませんので、そういう表現を使うほかないのですが、御説明を願います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、衆議院の外務委員会で、いま御指摘のような質問があったわけでございます。その場合に、ポラリス潜水艦その他類似の核装備を有する外国軍艦のわが国領海の通航は、第十四条4に言うところの「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない」無害通航とは認めがたい。したがって、原則としてはこれを許可しない権利を有すると、最後に委員の質問に答えて、そういうお答えをいたしました。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 具体的にそういう場合を例示してもらいたい。専門家でけっこうですから、政府委員で。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 先生の御質問は、ポラリス潜水艦あるいはこれに類似の常時核装備の軍艦が日本の領海を通航するような、そういう具体的なケースがどういう場合かという御質問でございますか。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 いまの御説明がどういうふうに適用——それにアプライされるかということ。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) ただいま大臣のお答えいたしましたのは、特に核装備を常時しているそういう軍艦——典型的に申しますと、ポラリスあるいはその他これに類似する外国の潜水艦が日本の領海を通過するということは、この領海条約第十四条にありますような、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない」いわゆる無害通航とは認められないので、こういう通航がもしあるとすれば、これは原則としては拒否するという方針を大臣は明らかにしたものだと私は考えておりますが、具体的に、われわれといたしましては、そのような、日本に入港することなしに単に領海を通過するというような事態は、実際に潜水艦の特性から考えまして考えられない。特に潜水艦は、この条約によりまして、「海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない」という制限もございますし、いろいろなそういう制限に従った上で、なおかつ、日本の領海を単に公海から公海に行く場合に通過しなければならないということは、潜水艦の場合実際考えられない。またさらに、潜水艦でございますし、非常に技術的な観点から申しましても、潜水して日本の領海を通過するということも、これもまたあり得ないし、いろいろなケースから考えまして、潜水艦が日本の領海を単に便宜的に通過するということは、あらゆる観点から見て考えられないし、考えられないけれども、もしさようなことがあるとすれば、これは日本の領海の無害通航とは考えられないので、これは認めない方針であるということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 「原則的に」ということばですね。それと、「拒否する権利を有する」という表現だったかと思うのだが、大臣の御答弁は。その意味を説明してください。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 「原則として」と大臣がおっしゃいましたのは、すべてのそのような軍艦を、あらゆる場合に絶対的に拒否するということでは必ずしもない、これは場合によっては、そのような通航が無害として認めなければならないケースがあり得る、特に非常に特別な気象上の条件その他天候上の理由によって、どうしても日本の領海を通過しなければならないというようなケースがもしありとすれば、そのような場合は、これは認めなければならないケースであろう。そういうことも考えまして、「原則として」ということをおっしゃったものと考えております。  それからもう一点、「権利を有する」と申しましたのは、この無害通航を認めるか認めないかということは、条約によりまして沿岸国の権利である、したがって、沿岸国がその沿岸国の判断によって、その平和、秩序または安全を害しないかということを決定し、その決定に基づいてこれを認めるか認めないかということを決定をするわけでございますので、そういう観点から申しまして、これは沿岸国の主権的権利というようにわれわれは解釈をしておりますので、日本の場合も当然、そのような断わるか認めるかということは権利として留保するということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、安保条約で共同防衛が発動された場合、領海の中に浮上しないで、したがって、旗も掲げていない潜水艦が水面下を航行する、そういう場合はどうなるんですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) これはこの第十四条の第6項に、「潜水船は、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない」という規定がございまして、その潜水船というのは軍艦を当然含んでおりまして、実際の潜水艦を含む潜水船が無害通航する場合に、必ず浮上して、かつ、旗を掲げなければならないということでございます。したがって、われわれといたしましては、もしそのようなことがあり得るとすれば、それはこの条約違反、つまり国際法違反としてしかるべき措置をとらなければならないというふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の言うのは、いわゆる安保で共同防衛をしなければならないとした場合、潜水艦が必要により水面下を、したがって、旗を外に見せない状態で公海に入り公海に出る、こういうことは、事前通告なり事前協議なりによって行なわれますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) これは、この領海に関する条約というのは、これはいわゆる平時のそういう船舶の地位とかあるいは領海、公海の地位を定めたものでございまして、先生の想定しておられるような、あるいは戦時のような事態はこの条約では全然カバーしていませんので、実際上そういうことがもしありとするとしても、これはこの条約の問題では私はないというふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の言った、その非常時の場合の、この条約の直接の適用には当たらないが、いわゆる共同して日米の安全を保障するという必要のために、公海に入ってもぐったまま入って出たりするのは、これはやはり事前協議の対象になるとか事前通告——いま話しているのはこの領海でこの条約から派生して問題がいま論議されているのですから、どういうふうになるのですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまの場合は通航の場合ですからね。無害通航——核持ち込みとは認められない、しかし、いま御指摘のような場合で、持ち込みということでいけば、それがただ通るだけでなしに、核を持ち込みというような概念に入るようなことは、当然に事前協議の対象になるわけです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 事前協議の対象になるわけですね。私伺っているのは、この条約に掲げてある意味の線からこうこうだということについて聞いているのじゃなくて、戦時非常時体制の場合に——これは平時の場合はわかっている——この条約に関連してこの問題が出てきているのですよ。そうすると、事前協議の対象に当然なるわけですね。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) なるわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それに関連して一つ。このいまの問題と関連ですが、そういう場合、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り」という場合は、たとえばポラリスの場合は、核装備していることが「安全を害する」という意味だけに限定されているのか、あるいは、国内の治安のいろいろなそういうことから、デモが発生したり国内のいろんな問題が起こることも、そういうことも「秩序又は安全を害しない限り」の中に含まれるのか、その辺はどうですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 「沿岸国の平和、秩序又は安全」ということばの解釈に関しまして、この条約採択の際の会議の経過で、特に「安全」につきましては、軍事的な安全という意味であるという大体の合意がございます。ただ、つまり、「軍事的安全」と申しますのは、軍事上その他の脅威、軍事的な脅威というように解釈されているようでございますが、「平和」及び「秩序」につきましては特別に格別な解釈はこの会議ではなされておりません。したがって、たとえば先生の例示されましたような、ポラリス潜水艦が沿岸国の領海を通過するという場合について、これが沿岸国の平和、秩序または安全を害するものと判断するかどうかという点につきましては、もっぱら沿岸国の主観的な判断で決定します。したがって、たとえばポラリスが英国の海岸を通過する場合に、英国としてはこれは無害であるという判断をするかもしれません。しかし、日本につきましてはそうでないと判断するということも十分可能でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一つ聞きたいのたが、津軽海峡、これはソ連の船は民間も自由航行できるのですね、いま。普通でいけば十分われわれの、六海里——三海里 三海里をとっても、狭いところは通れないはずだと思うのだが、どうなんですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 津軽海峡は、一番狭いところでも、三海里プラス三海里——六海里以上ございます。したがって、そういう観点から申しますと、いわゆる公海ということに相なるわけでございますけれども、従来日本は、戦前からこの津軽海峡につきましては特殊な関心を持っておりまして、通常の公海というものと同じ地位にあるというふうにはわれわれ考えておりません。大体いわゆる歴史的水域という概念で従来から説明されておりますような、そういう地位を津軽海峡は持っている。したがって、将来何らかの必要がある場合には、そこを内水と同様な地位に置くことを日本は戦前から考えてきたわけです。ただし、現在の実際上の慣行におきましては、津軽海峡は通常の軍艦及び船舶等につきまして、そこを通過することについて特別な規制を行なっているわけではございません。ただ将来そのような規制を行ない得るそういう特別な地位を持っているというようにわれわれは考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それは遠慮することはないんで、これは歴史的水域であることは、常識的に見てもわかることだと思う。海洋法会議なり、しかるべき場でこの点は宣言しておく必要があるんじゃないかと思うんですね。おやりになるお考えはないか。私はやるべきだと思うんですが、よその国は、たとえばソビエトのウラジオストックの入り口などはこれはやはり歴史的水域のあれに入るのでしょう。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) その歴史的水域という問題につきましては、領海条約採択の際のジュネーヴの国連の会議でもっていろいろ議論も出まして結論が出なかった関係上、特別にそういう規定が置かれませんでした。そのかわりに、歴史的水域については特別な決議が採択されまして、「将来国際連合総会が歴史的湾も含む歴史的水域の法的制度の研究及び国際連合のすべての加盟国に対するこれらの研究の結果の通報を取り計らうよう要請する」という、そういう特別な決議がされまして、まだ遺憾ながら現在まで国連総会はそのような研究はまだ行なっておりませんけれども、いずれにしても、この問題につきましては各国の十分な関心がございまして、その関心の結果がこのような決議に具体化されているわけであります。したがって、将来そのような歴史的水域についての法的な制度がはっきりしてきました際には、当然日本としても、どこがどういう歴史的水域に当たるという立場は宣明せざるを得ませんが、現在のところ、まだそういう段階になっておりませんので、一応日本は現在そのような権利は留保しているという立場でございます。  なお、ソ連の歴史的水域と称する部分につきましては、これは非常に突如としてそのような主張を行なった経緯がございまして、日本といたしましてはこれに対しまして反対し、かつ、そういう権利を認めないという、歴史的水域のソ連の主張を認めないという日本の立場を明らかにしております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本は魚とりとか商売の関係上外へ出ていく。出ていくから、相手国の領海だ、公海だ、接続水域だということについては非常な関心があり、六海里——三海里・三海里、その幅員であるとか、大陸棚であるとか、たくさんのことについては議論をするが、自分のことについてはさっぱり守るべきものもはっきりしないんですね。ソ連は、あれほど広大な国ですら、ウラジオの辺について、先ほど御説明のような、自分の権利だけは守ることはきちっとしているんですね。日本の場合は恵まれていると言うか、外から魚とりに来なかったり、よその国が、あんまり遠い国から日本の沿岸全体に出入りがないので問題がないんでしょう。私は、これから国際情勢の変化もあり、魚のとり方も、韓国も進出してくる、ソビエトから太平洋岸、銚子沖とか、茨城県の沖合いまで来るということになれば、やはり自分の権利は早い機会に主張すべきものは主張しておくべきだと思うんです。先ほどあなたの答弁で、国連総会でそのような決議がある、もし必要が起きたときには考えるようなゆっくりした話だが、やはり守るものはどんどんぴしぴしと一々事務的に主張して、一回、二回といって会議ごとに主張することが、やはりその国の主張を相手国に認めさせる手だてになるんですから、その点が少し手ぬるいと思うので、大臣、そういうふうな方向に進むべきだと、私、意見を申し上げて御意見を伺いたいんですがね。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま御指摘のように、厳重にやれ、自分の権利を守るということに厳重であれということ、これは私もそう思いますが、しかし、そのやり方については、慎重かつ厳重ということでしょうね。これはやはり向こうに対しても連鎖反応を持ちますからね、慎重かつ厳重にやるということにならざるを得ないんではないか。しかし、それは慎重にやるということも、自分の権利をやはり厳重に守るという意味においての慎重さが要るということで、原則的には言われるとおりだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 海洋法会議は、次の会議はいつ予定をされているんですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) これは五八年に行なわれ、第二回の領海の幅員に関する会議を六〇年に行ないまして、その後そういう第三回の海洋法会議を行なうという見通しはいまのところ全然ございません。これはわれわれといたしましては、そのような会議が行なわれ、その特別の場でもって領海の幅員その他未解決の問題が解決されることを期待しておるわけでございますけれども、現在までのところ、各国のいろいろとっております諸制度等がそのような合意を達成するような環境にまだございませんので、そのような国連の会議を開きましても、はたして有利な結果を招き得るかどうか、まだ確信が持てない段階でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本の領海及び接続水域に関する主張というものは、この前の会議でしたか、去年六海里・六海里の十二海里までを漁業水域とするというアメリカ・カナダの案だったか、それには賛成の態度を表明したのですね。ところが、中南米あたりからの反対もあり、とうとうこれができなかったが、十二海里の中に六海里の領海、外に漁業水域、これならば今後とも日本は賛成していく方針ですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 先生御指摘のとおり、六〇年の会議で最終的に煮詰まった案が二つございまして、一つがそのいま御指摘の米加案でございます。米加案の骨子は領海の幅員は六海里、漁業水域が領海の外にさらに六海里、合わせまして十二海里の米加案に対しまして修正提案が南米諸国から出まして、南米諸国の修正提案と申しますのは、十二海里の外にさらに公海の部分に関しまして漁業に関する主権を認めるという提案でございます。日本は修正案に入らない、米加案に対しましては賛成という態度をとりました。ただし、賛成という態度をとるにあたりまして、もしこの提案が採択されなかった場合には、現在唯一の国際法の規定であります三海里の原則にもとるということをはっきり留保しております。そのような次第でございまして、日本といたしましては、すでにあの五八年、六〇年の会議におきまして、領海六海里は立法論という立場から考えましてやむを得ないという態度をとったわけでございます。ただし、これから将来の問題といたしまして、第三次海洋法会議が開かれて領海の幅員が議論されるという段階では、われわれの予想では、六海里の領海、六海里の漁業水域ということではとても各国の合意は得られないであろうと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本の場合は大陸棚の宣言はしないが、海に囲まれた日本の本土の周囲には資源、地下資源とか、そういうものは一体あるのかないのか、調査したのかしないのか。この宣言でも私はしておいたほうが、宣言ですから、相手が認めようと認めまいと、日本は先ほど申したように外へ行っちゃかせいでくるものだから、地元のほうは一向うっちゃっておくんですが、だんだん攻められる立場になると思うんですよ、漁業でも何でもすべての面で。そういうものを、何海里か知らぬが、何でもよそのまねすることはないけれども、一発でかいこと宣言をかけておく必要があると思うんですが、どうですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) この前、公海条約の御審議の際に御説明いたしたつもりでございますが、大陸棚に関する条約では、単に鉱物資源、地下のそういう非生物資源だけじゃなくて、そういう大陸棚にございます生物資源、特に定着種族に属する生物資源についても主権を持つということでございますので、日本はそういう関係から、いろいろなタラバガニ等のカニ類の漁獲を主権的な制約下に置かれますと、日本の現在太平洋でとっておりますカニの漁獲について非常に影響を受けるという観点から、主としてそういう観点から日本は大陸棚に関する条約に入らない。ただし、鉱物資源等につきまして、大陸棚における鉱物資源につきまして沿岸国が主権的な権利を持つということにつきまして、日本としても、そういう国際慣行がすでに大体確立しておって、日本もそのような慣行はあるということは認めるという立場でございます。したがって、日本の近海にございます大陸棚にある鉱物資源等の地下資源については、日本が主権的権利を持つということについては、従来そういう態度をとってきておるわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 大陸棚資源はあるのかないのか、日本沿岸全部に調査をやろうと考えたことがあるのか、やってどうなったのか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○説明員(高島益郎君) 私自身あまりこの点につきまして詳しく存じませんが、たしか科学技術庁その他に対しまして資源調査会というものが大陸棚に関する調査報告を出しておるという実情がございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 少しおっとりし過ぎてるからだ。また別の機会にゆっくりやらぬと、日本があまりのんき過ぎるから、もう少し自分の持っている権利、自分の持っている資源、そういうものの調査研究は十分にいまからやっておくべきだということを忠告しておきます。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 関税及び貿易に関する  一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関係交換公文の締結について承認を求めるの件  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件  千九百六十七年の国際穀物協定の締結について承認を求めるの件   以上三案件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。三木外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(三木武夫君) ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関係交換公文の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  一九六四年から昨年六月三十日までジュネーヴでガット締約国団主催のもとに世界貿易の一そうの発展をはかることを目的としていわゆるケネディ・ラウンド貿易交渉が行なわれ、わが国をはじめ、米国、英国など五十四カ国及び欧州経済共同体が参加いたしました。この会議は、ガット主催のもとに行なわれた一般的貿易交渉として第六回目のものでありますが、その規模は従来の交渉と比較にならないほど大きなものであり、この会議における関税の相互引き下げの交渉の結果がこの議定書に附属書として収録されております。また、わが国は同時に欧州経済共同体との間に、乗用自動車に関するイタリア政府の対日自由化措置を条件とするわが国の乗用自動車に関する譲許の修正について交渉を行ないましたが、その結果がこの交換公文に収録されており、その内容は、議定書に定める特定の乗用自動車に対する関税譲許について特例を定めたものでありますので、議定書と合わせて一件としてここに提出しております。  この議定書に附属している譲許表は、わが国をはじめとし、米国、英国、欧州経済共同体等三十三の譲許表から成り、収録されている関税譲許は税目数で三万を数えております。参加各国は、この議定書を受諾することにより譲許を約束した品目につき一九七二年一月一日までに関税を段階的に引き下げることとなり、その結果世界貿易は一そう拡大されるものと予想されております。したがいまして、貿易に依存している度合いが高いわが国としましては、この議定書を受諾することは、わが国の貿易の一そうの発展という見地からきわめて望ましいものと考えられますところ、すでに、米国、カナダ、オーストラリア、スイス等はこの議定書を受諾し、本年一月一日よりその関税引き下げを開始しております。わが国といたしましては、関税交渉が相互引き下げの原則に基づいて行なわれたことにかんがみまして、すみやかにこの議定書及び関係交換公文を締結することが望ましいと存ずる次第であります。  よって、ここにこれらの議定書及び交換公文の締結について御承認を求める次第であります。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  一九六四年五月四日から昨年六月三十日までジュネーヴにおいてガット締約国団主催のもとに行なわれたいわゆるケネディ・ラウンド貿易交渉では世界貿易の拡大のために、関税の大幅引き下げとともに、これら関税引き下げの効界を減殺するおそれのある非関税障害についてもできるだけ軽減撤廃につとめるための交渉を行ないましたところ、その成果の一つとしてこの関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定が作成されました。この協定は、ガット第六条が規定しているダンピング防止税を国際的に統一された基準のもとで適用することを目的として作成されたものでありまして、この協定を多くの国が受諾することは、これまで各国がそれぞれ異なった解釈と手続により運用していたダンピング防止制度に一そうの調和と改善がもたらされ、その結果、貿易の安定的発展がよりよく確保されることが期待されており、また、わが国としてもこの協定の成立を交渉当初より積極的に推進してきた経緯にもかんがみ、本件協定を受諾することは望ましいと考えます。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、千九百六十七年の国際穀物協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国も締約国である千九百六十二年の国際小麦協定は本年七月末で失効することになっておりますが、千九百六十四年から六十七年にかけて行なわれたガットのいわゆるケネディ・ラウンド交渉において、わが国、米、英、EEC等の主要国は、小麦貿易及び食糧援助に関する規定を含む穀物協定を早急に締結するよう努力することについて合意しました。この国際穀物協定は、このような事情のもとにおきまして、このガットの場で合意された事項を含み、かつ、千九百六十二年の国際小麦協定にかわるものとして作成されたものであります。  この協定は、小麦貿易規約と食糧援助規約との二部から成っておりまして、小麦貿易規約のほうは、価格に関する規定に改正を加えたほかは大体小麦協定の規定を踏襲しており、小麦の価格安定、需給調整等の規定を掲げております。また一方、食糧援助規約は、従来の小麦協定にはなかった規定でありまして、開発途上にある国に対する食糧援助についての規定を掲げております。  わが国は、この協定の当事国となることによりまして、安定した価格で小麦の輸入必要量を確保することができるとともに、小麦の国際貿易の拡大等にも寄与し得ることになる次第であります。なお、わが国といたしましては、開発途上にある国に対する援助の必要性は認めていますが、食糧援助を義務づけている食糧援助規約第二条の規定につきましては、このような規定を穀物協定中に置くことは妥当でないと考えておりますので、同条の規定の受諾を留保することといたします。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。鈴木経済局参事官。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) ただいま大臣より説明がありましたケネディ・ラウンド三件についての補足説明を申し上げます。  ケネディ・ラウンドは、御存じのように、一九六四年から七年にかけまして行なわれた、ガット第六番目でございますが、一番規模の大きな交渉でございまして、この交渉の初めにおきまして、従来いわゆる関税交渉は行なわれておったけれども、国際貿易の障害は必ずしも関税だけではない、関税以外の貿易障害、たとえば輸入制限とかあるいは課徴金的なものも入りますが、そういったものも同時にタックルしよう。それと同時に、農産物について、従来国際間の交渉において必ずしも貿易の障害に対する交渉が行なわれておらない、したがって、これをもケネディ・ラウンドの中に入れる。つまり、ケネディ・ラウンドの目的としては、工業品に対する関税引き下げ及び関税以外の貿易障害及び農産物の貿易拡大のためのルートをひとつここで大いに研究しようじゃないかという、この三つがケネディ・ラウンドの柱になっておるわけでございます。で、その成果といたしまして、ただいま御審議をお願いすることになりました三件が象徴的にそれぞれの項目に該当しているわけでございます。  ジュネーブ議定書は、ただいま大臣の御説明にございましたように、この三カ年余にわたる交渉の結果、約二万の税目についてお互いに関税を引き下げるという一つの大きな成果がここにあらわれたわけでございます。  第二の非関税障害としまして、特に日本の貿易において従来いろいろ悪い影響を受けておりました、各輸入国におけるダンピング防止の法制が非常にまちまちであるということと、その運用がやや恣意的に行なわれたというために、日本の輸出が不安定な状況になっておる。これを日本が、ケネディ・ラウンドがスタート以来、日本の貿易安定に対する非常な大きな障害として積極的に取り上げたわけでございます。この成果が、ガット第六条の実施に関する協定、言いかえますれば、ダンピング防止に関する国際的なコードとして、この運用を非常に公正な基準のもとに、かつ、ユニークなものにしようというのがこの第二番の第六条実施に関する協定としてあらわれたわけでございます。  それから、第三の穀物に関する協定、これは先ほど申しましたような、農産物の中で一番貿易量の多い、かつ、関係国も非常に多いという点から、穀物がまず取り上げられたわけでございます。もちろん、穀物のほかに食肉、酪農品も同時に重要な三大農産物として取り上げられたわけでございますが、結局、ケネディ・ラウンドの過程を通じまして成立しましたのがこの国際穀物協定でございます。これは従来の小麦協定に実際上取りかわるものでございますが、小麦の、あるいは農産物の貿易拡大という大きな目的の一つを、ケネディ・ラウンドの過程を通じて関係国の参加を得て、穀物協定と名前も変えまして、つまり、小麦以外の穀物も必要に応じて入れるという意味で、非常に包括的な国際協定がここにできたわけでございます。ただ、この国際協定が従来の小麦協定とちょっと違いますのは、新たに食糧援助規約というものが一つ加わったことでございます。これは御存じのように、従来小麦につきましては、食糧の足りない、特に後進国、新興国に対しまして、たとえばアメリカがPL四八〇という特別な立法によりまして援助を与えておりましたが、そういった小麦の国際貿易における非常に異常な事態、つまり、商業取引以外の取引というのが非常に多かった、それを何らか規制する方法、つまり商業取引に不当な悪影響を与えない方法を考究すると同時に、後進国の食糧不足というのがやや恒常的になっておる、これに対して何か計画的に食糧を、つまり食糧生産を計画的に生産いたしまして、これを食糧の足りない後進国に経常的に与えようという、いわば人道的な考慮から、この穀物協定の交渉の中に食糧援助というアイデアが入ってきたわけでございます。ただ、日本といたしましては、食糧について、特に小麦については輸入国でありますというほかに、日本が従来後進国に与えております援助は、そのいわば哲学としまして、必ずしも食糧を与えることが後進国の食糧増産に資するゆえんではなくて、むしろわれわれのやるべきことは、食糧増産を助ける方法、つまり、そういった食糧不足に悩んでおる国に対して肥料なり農薬なりあるいはそれを使う技術というものを供与することによって、彼らの食糧増産の努力を助けてやるという考え方から、わが国としては留保せざるを得なかったわけでございます。しかし、従来やっておりましたわが国の援助のしかたを、わが国政府が一方的にやるという意思表示をいたしますことによって、ほかの先進国がやります食糧援助をある程度内容的には似通った応分の寄与を行なうということがわが国の方針でございますので、そういったわが国政府の意図——インテンションの書簡を一方的にこの条約の寄託国であるアメリカ政府に出したわけでございます。  以上、この三件のケネディ・ラウンドにおいて持つ意義、及び同時に、わが国の国際貿易に対して持つ意味を御説明申し上げまして補足といたします。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 以上をもって説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 六四年からだから、去年で三年、この会議に臨むにあたっては、当然出先は政府の訓令を持って交渉に当たったわけですね。大きな臨む訓令はどこに要約されますか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) ケネディ・ラウンドの対象が非常に広範囲にわたりますために、それぞれのもの、たとえば工業製品の関税引き下げとか、あるいは穀物に関する協定、あるいはダンピングに関する協定、いろいろございますが、一般的に申しますと、わが国の経済成長がわが国貿易の拡大に依存しておるという意味から、この関税交渉自身に対しましては非常に積極的な姿勢で臨むということが、一応政府の基本的な考え方でございます。しかし、関税交渉であります以上、こちらが譲許を獲得するためには、相互主義に基づきましてわが国も譲許を与えねばならぬ。そういう面からしまして、同時に、わが国の国内産業に対する影響というものも十分考慮しなければならないのは当然でございます。そういった観点から、関係省の御協力を得まして、各工業品あるいは農産物の分野、全部含めまして、非常にこまかい作業をいたしたわけでございます。その結果、わが国がどうしても譲ることのできないもの、ぎりぎりのものはこれである、それから、これについてはできるだけ相手国から獲得してほしいというような、つまり重点的な、わが国の交渉に臨むこまかい訓令といいますか考え方というものをきめまして、一応現地に訓令したわけでございます。ただ、三年の長い交渉でございますから、三年の期間にいろいろやはり事態の進展もございますので、その事態に常に合わせながら、つまり調整を行ないながら交渉方針——こまかい点につきましてはそのつど訓令し、また現地からの意見を聞き、特に各国の動きも、この交渉全体、特に世界主要国全部入っているという関係から、品目について非常に共通のものがございますので、その辺の調整も常に慎重に行ないながら、現地と東京との間の、何といいますか、意思の疎通というものは非常に円滑にいったものと思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 政府が臨んだときは、当初のケネディさんのラウンドで臨んだのか。国際貿易発展のためにという大きい問題にこれは当然発展していくんだという腹がまえで臨んだのか。だいぶ受け身のところもあるんですよ、日本の場合には。受け身というか、向こうから攻められてこちらは譲歩したというようなところが。当初の大きな目標に狂いはなかったのですか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) いま先生御指摘のように、一般的に貿易拡大ということが日本にとってきわめて大事であるという意味から積極的であることは申し上げられると思いますが、関税交渉の品目といいますかその分野によっては、御指摘のように、弱い面もございまして、この辺については十分われわれとしては国内産業に対するインパクトを配慮する必要があったわけでございます。それは工業品一般につきまして、たとえばわが国としてはすべて前向きにやれという考え方はあるものの、特にこれはあとから出てくるかと思いますけれども、日本の産業の高度化といいますか、わが国の輸出品を重化学工業の部面にだんだん変えていかなければならないという要請から言いますと、その産業の高度化の基本になる基幹的な業種については、やはりわが国の利益を守らねばならないという考慮から、関税交渉の対象にしない。つまり、例外にしました品目も若干あるわけでございます。しかし、それ以外のものにつきましては、できるだけ向こうの譲許を獲得するように、それに見合うわがほうの譲許も、相互主義ですから、出さねばなりませんけれども、日本の産業の基幹に関係するもの以外につきましては、できるだけ向こうから譲許を獲得するという方向で努力したわけでございます。  それから、ケネディ・ラウンド当初の非常に野心的な理想が達成されたかどうかという点でございますけれども、ケネディ大統領が提唱しました際の考え方は、少なくとも工業品の分野に関しましては、関税の交渉スタートの時点から五〇%一律に引き下げるという野心的な考えで進んだわけでございます。しかし、やはり品目によっていろいろと各国に事情があるといういろいろな理由から、結局、ケネディ・ラウンドの成果を見ますと、大ざっぱに言いまして、工業品については大体いま三〇%から三五%ぐらいの間の関税率引き下げということになっておるのではないかと思います。その意味で、ケネディの当初の非常に理想的な五〇%という数字は必ずしも達成されておらないと思います。しかしながら、ガットが戦後六回の関税交渉を行ないました中で、これほど大規模な、これほど引き下げ幅の大きい関税交渉は今度が初めてでございますし、また、これだけ下げました現在、同じような大幅引き下げの関税交渉というものは今後そうないのじゃないかという意味で非常に画期的な関税交渉であったと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 五〇%というのは、あれは発効してから五年間に五〇%を約束したのですね。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 御指摘のとおりでございます。つまり一九七二年の一月一日に五〇%であるという前提でありますと、五〇%引き下げ後の税率が一九七二年一月一日に実施される。それまで五年間に段階的に五分の一ずつ、原則的にございますが、引き下げることになっております。ただ、ついでに申し上げますと、アメリカ、カナダあるいは豪州等の数カ国は、すでに一月一日から第一回目の関税引き下げを実施いたしておりますが、わが国、イギレスあるいはEEC等の諸国は、この七月一日から第一回分の実施をするということになっております。これは、後者のグループはそれぞれの国内手続との関係で一月一日に実施ができないということで、第二のグルーブ、つまり、日本、EEC、イギリスというのは七月一日から実施する、したがって、国会の御承認はそれまでに得ることが望ましいということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 品目によっては五〇までいかないといったことが国により品目によりありますか。七二年の十二月三十一日差でに三五%まで引き下げないというふうなものは。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) それは、関税引き下げが五〇%完全に引き下げることを約束した品目につきましては、その五分の一ずつということで、大体五年間に同じ率ずつ下げることになっておりますが、関税交渉の結果がたとえば三五%であったというものにつきましては、ちょうど五で割れますので三%ずつ。つまり、五〇%が三五%に下がるわけでございますから、五年間の間に一五%がなくなるという意味で、毎年三%ずつ、割り切れる場合には下げていくというかっこうに在ると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 全部一律五〇までいかないものもあるのですか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) そのとおりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それから、穀物だけできて、これは日本は初めから予想したことですか。従来の小麦協定が更改されて、今日まで四回か来たな。今度は穀物協定と変わったわけだ。あれは日本の方針は、出ていって、だんだんいまのような形に引き込まれたのか、従来の形では悪いから直してこっちにしようと積極的にしたのかがわからないのですがね。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 穀物協定につきましては、先ほど大臣の提案理由の説明の中にもございましたように、一九六二年にできました国際小麦協定がことしの七月で失効することになっておるわけでございます。で、わが国は小麦の非常に大きな輸入国でございますし、また、その輸入量は国内の需要から見ましてだんだんふえていく。したがって、わが国の必要とする小麦の種類を安定した形で供給保障を得るということは非常に大事でございまして、その意味から、この失効いたします国際小麦協定が更新されるということが非常に望ましいことであったわけでございます。たまたま時期を同じゆうしまして、先ほど申し上げましたように、ケネディ・ラウンドで同時に農産物の貿易拡大もはかるという意味から、国際穀物協定、つまり、小麦も含む穀物協定の骨子というものを寄り寄り関係国が集まって話しておりました結果が、一つの主要なポイントを集めました要綱としてケネディ・ラウンドができたわけでございます。それができましたのが昨年の六月三十日でございます。他方、先ほど申しましたように、国際小麦協定がことしの七月で失効する。したがって、その間に国際小麦協定にかわるものをつくらなければいけないということで、昨年の七月から八月にかけましてローマで、先ほど申しました要綱をもとに国際小麦協定にかわる詳細な国際条約をつくる交渉が行なわれたわけであります。これは約一ヵ月ちょっと要しましたが、非常に広範な−広範なと申しますのは、従来の国際小麦協定の各条文で古くなったもの、あるいは新たに追加を要するものを含めまして、各条非常に慎重に審議いたしました結果できましたのがこの国際穀物協定でございます。ことにこの中の国際小麦規約という部分につきましては、ほとんどその内容が、先ほど言いましたような若干の修正なり補足を加えた従来の国際小麦協定にかわる規定でございます。ただ、この協定交渉の際に、これはケネディ・ラウンドのときにも出ました食糧援助という問題がついておりまして、この食糧援助というのは、従来の国際小麦協定にはなかったものでございますが、ケネディ・ラウンドの交渉中におきまして、後進国に対しまして人道的な考慮から食糧を与える必要があるんじゃないか。これに対しては、先ほど申しましたように、日本の哲学から言って、輸入国であるわが国が食糧というかっこうで援助を義務づけられることはとてものめないからそれは留保するが、しかし、わが国としても後進国の食糧不足については応分の寄与を行なう、それは従来やっておった方式でやる。つまり、必ずしも食糧によらない場合もあり得る。相手国の要請によってはその食糧援助をわれわれが助けて肥料なり農薬を送ってやる、あるいはそれに必要な技術屋も派遣してやるというようなかっこうでこの食糧援助規約というものができたわけでございます。したがいまして、先生の御指摘のように、食糧援助規約がついたと、つまり、この中の一つの不可分の一体としてついたということは従来の小麦規約とは違いますが、これがいわばケネディラウンドを通じて、その過程においく後進国に対する食糧援助の必要性と、また、それに対して応分の寄与を行在うという意味からわが国がこれに対して賛成したという点だけ一つ違うかと存じます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その「哲学上」ということばをあ左たよく使うけれども、国際会議でももっぱら哲学という抽象的なことばでやったんですか。それが一つ。もう一つは、権利を留保しているというのは、私まだ詳しく内容を聞いてい左いんだが、何か日本だけが留保して、ほかはこの条文に拘束を受けるように左っているのかどう左のか。その二点。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) ことばの使い方があるいは不用意だったかと思いますが、日本の食糧援助に対する基本的左考え方という意味で哲学ということばを使ったので……。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国際会議で演説するときにそう一言つたのか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) そうじゃございません。そういうことばは使いません。しいて言いますれば、「わが国の食糧援助に対する基本的左考え方」というような表現で申しました。  それから第二の点でございますが、食糧援助規約の二条というのが食糧援助を義務づけている規定でございますが、これを留保しましたのはわが国のみでございます。ほかの国はそのままそれを受諾して、つまり食糧援助規約を受諾しているということでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 このいまのお話しの高邁左哲学はいいとして、その哲学的見地から、後進国に対しては農産物それ自体よりも、肥料、農薬あるいは技術等の援助をするというのか、現実的に日本の貿易構造上から言って、肥料、農薬等一緒にし左ければならない事情もあってのことか、ウエートはどっちにあるのですか。哲学のほうにあるのか、どっちにあるのか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 食糧援助規約を提唱しましたのは、生産国、輸出国であるアメリカ、カナダ、豪州あるいはアルゼンチンというような、生産しかつ輸出しておる国でございますが、わが国の場合に、米はある程度つくっておりますけれども、小麦を買ってまでそれを援助に回すということは適当であるかどうか。むしろ、わが国の置かれた地位から言いまして、食糧援助の相手国というのは、やはり伝統的に東南アジアの諸国に、つまり米を主食とする国に限られているのじゃなかろうか。そういう観点から、特にやはり日本が米をつくる技術において東南アジアにおいて非常にすぐれておるという観点からも、すでに米作をしておる彼ら東南アジア諸国にわれわれが応分の寄与を行なう、従来の経験なり知恵をもって援助してやるということが食糧増産に直接に寄与するのではなかろうかというわれわれの考え方から、食糧援助規約の援助のしかたは必ずしも合わない。したがって、わが国としてはやはりわが国のやり方でやるし、必ずしも全部が肥料なり農薬でなく、必要な場合には米を含む食糧、穀物を供与しまずということを日本のインテンションの中に書いてあるのです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 応分というのは何であるのか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) その応分の点でございますが、食糧援助規約の中には、各国の、つまり食糧援助を与える国の比率が書いてあるわけでございます。日本は三カ年の間に毎年四百五十万トンの小麦を供与するという大前提のもとに各国の分担率を書いてあるわけでありますが、日本は五%ということになっております。五%と申しますと、小麦換算二十二万五千トン、金額としまして五十一億円見当になるわけであります。日本は、そのシニアの書いてあるのが二条でございますので、それを留保しておるわけですが、その留保された二条にある程度見合う数量の援助をいたしますということを今度は自主的な日本のインテンションとして書いてあるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 議事の進行のことですが、この問題は、たまたまこの会議のときに当時宮澤長官が行かれて、予算の分科会のときに、私、ちょうど帰られた長官にこのことを聞いたことがあるのです。ですから、これは委員長理事打合会でおはかり願いたいと思いますが、必要に応じて宮澤企画庁長官にも出席してもらうと、当時の事情と現在の協定と照らし合わせてより以上調べることができると思っております。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 食糧援助を与えると言っている国はどことどこですか、ちょっと聞かしていただきたいと思います。そうして、その品物はどういう品目でございますか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 食糧援助を与えると約束した国、つまり食糧援助規約を受諾すると予想される国は、アルゼンチンそれから豪州、カナダ、デンマーク、欧州経済共同体——これはEECであります。これは一本として入っておる。つまり六カ国含んでおるわけであります。フィンランドそれからノールウエー、スウェーデン、スイス、イギリス及びアメリカ。したがって十二ヵ国。ただし、そのうちの一つはEEOでございますから、ばらせば五ヵ国さらにプラスになっております。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 品目は。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 品目は小麦ということになっております。食糧援助規約は、小麦及びその他の雑穀といいますか、米を除く穀物ということになっておるわけであります。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 その食糧援助を与えることはたいへんけっこうでございますけれども、そういうようなことを、いつまでという期限なしに、必要はいつまでもいつまでも続くらしい、与えることはいつまででもそういうものが与えられるような状態にあるのでございますか、どうでございますか。たとえばアメリカの場合、余剰物資なんかもあまりたくさん与えて底をつくというようなことを聞いておりますけれども、そこはどういうようなお見通しなんでございますか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) この食糧援助規約は一応三年間の有効期間を持っておりますので、三年後にどうなるかということはちょっといまから予想し得ない点でございますが、そのときの時点において食糧援助をまだ欲している国が多数後進国の中にあるということであれば、おそらくこの当事国がこの条約を更新するかどうかということが、おそらく集まる場合に、また議論されるのではなかろうかと思います。  それから第二の御質問の点でございますが、確かにこの食糧援助規約を討議しました段階におきまして、特にアメリカを中心とする主要な生産国における在庫が非常に減ってまいりまして、したがいまして、この食糧援助を行なう場合に、ただ余ったものをこれに回わす、つまり余剰をただ回わすというかっこうでは食糧援助を継続的にできないので、むしろこの食糧援助に回わすものも計画的な生産の中に入れる必要があるのではないかということから、毎年、これは今度の規約では四百五十万トンでございますが、目標をきめて、それに合わせて各国がそれぞれシェアを分担するという生産計画ができるということでこの規約ができたわけでございます。したがいまして、三年後にこの規約が同じような量の援助が続くかどうかということは、そのときにおける特に後進国の必要性、つまり、この三年の間に後進国がどれだけ食糧増産の努力をするかどうかということにかかっているのではないかと思います。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 日本の技術援助は非常に評判がいいように聞いておりますけれども、平和部隊の活動というのもその食糧増産の技術援助の中に含まれるのでございますか。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 平和部隊の任務、あるいは実際にどういうことをしているかということは私つまびらかにいたしませんけれども、食糧援助とは必ずしも関係ないのではないかと思います。むしろ、私の承知いたしておりますところでは、インド、パキスタンその他日本の近隣の米作国において、日本がモデル・ファームといいますか、一種の実験農場みたいなものをつくりまして、そうして品種の改良なりあるいは土質の改良、あるいは肥料のやり方、その他実際に技術者が行きまして、いわば篤農家みたいな土地の人を指導するというかっこうでやっておりますので、あるいはそういう場を通じて日本の食糧増産の、先ほどの基本的な考え方というものを訓練あるいはしみ通らせるということではないかと思います。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 最後に、その食糧の援助の問題でございますけれども、日本のいまのやり方はたいへんに私妥当なやり方だと思っております。ただ、外務大臣にもいつも申し上げておりますけれども、その食糧援助の問題と関連して開発途上の国々の人口の増加の問題、これをもっと真剣に外務当局でも考えていただいて、その問題を取り上げなかったら、これは際限なく食糧が不足するのが実情だと思います。この人口問題との関連ということももう少し真剣に取り上げていただきたい。えらく遠慮深くて、なかなかそういう問題についてはお取り上げにならないんでございますけれども、やはり、取り上げ方もあると思いますけれども、これはどうしても考えていただかなければ、まるで底なしの沼の中に入り込んでしまうようなことになるんじゃないか。これはたいへん大事な問題だと思いますので、私の希望を申し述べておきます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 なかなか加藤さんはやはり列国議会同盟あたりでたいへん苦労しているわけですから、人口増加と食糧と、これは食うのは人間だからな。そこで、この小麦を現物で援助される被援助国というのはどういうところを言っているんですか。あなたのお話を聞いていると、何だか、東南アジアは米作地帯だと言って、これは対象からはずれているような感じもするんだが。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) 食糧援助規約で援助を受ける国がどこであるかということは、必ずしも条約上書いてあるわけではございません。ただ、この二条の規定の中に、食糧援助を受ける国を食糧援助を与える国がきめることができるという規定があるわけでございます。したがいまして、この二条によっても、つまり、食糧援助を与える国がやはり自分の従来経済的あるいは歴史的に非常に関係の深い国に援助を行なうことが当然予想されるわけでございます。たとえば、アメリカは南アメリカの諸国であるとか、あるいはEEOはそのかつての植民地であったアフリカ諸国。当然、従来の関係から言って伝統的な密接な関係を持っている被援助国というものがあるわけでございます。したがいまして、日本は二条そのものは留保いたしましたが、そのときに同時に、日本のインテンションを表明した手紙の中におきまして、従来日本がやっておった二国間あるいはそれ以外の適当な方法で援助を供与するということは、当然のことながら、やはり日本の隣国である東南アジアの諸国に対する援助を主として考えておるというふうに解して差しつかえなかろうと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その文書というのは出ていないんでしょう、資料として。だいぶ、いつもそれが引き合いに出されるが。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) いまの書簡は、たしか参考資料といいますか、ケネディ・ラウンドの案件の一括の資料の中に入ってございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それから四百五十万の五%……

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) トン数計算で二十二万五千トンでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 金で五十一億、それで済むなら、一応国際的な立場でせっかくこういう皆さんがお集まりになってきまったことを、特に留保しないで五十一億を出してやれという意見は政府になかったんですか、通産、農林、大蔵、外務集まって。そうすれば一応メンツ立つんだというので、五十一億出したんだと堂々と通れる、特に肥料だ、土地改良だなんということを言わないで、ほんの一つまみの金だと、だれかがんばった者はいないのかね。

鈴木文彦外務省経済局外務参事官

○説明員(鈴木文彦君) これは相当いろいろ問題がありましたけれども、日本ががんばりましたのは、やはり金額の問題というより、日本の援助のしかたについて、この際やはり通せという決定が政府にあったと了解しております。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、三案件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会      —————・—————

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