外務委員会 第3号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1968/03/05
会議録
○委員長(三一木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 まず、昭和四十三年度外務省関係予算及び今期国会に提出を予定されております外務省関係の法律案及び条約等につきまして説明を聴取いたします。内田外務参事官。
○説明員(内田宏君) 昭和四十三年度外務省予算案について御説明申し上げます。 資料といたしましてお手元に差し上げました六ページにわたります「予算重点事項総括表」を基礎に申し上げます。 国会に御提出いたしましたのは、正式書類はこの印刷いたしました「予定経費要求書」でございますけれども、これは非常に予算技術的に分かれておりましておわかりにくいと存じますので重点的にまとめましたので、このまとめ方につきましては、かなり各細目について大まかにまとめておりますので、この「予定経費要求書」と、この「重点事項総括表」とは端数において多少合わない点がございますけれども、大まとめにまとめてこの要点を御理解願うという意味でこの総括表に基づいて御説明申し上げます。 外務省予算本年度要求額は三百五十四億でございまして、昨年度は三百十九億、三十四億の増でございます。この細目に入ります前に新年度予算の特徴を簡単に申し上げますと、第一に経済協力でございまして、これは最重点を置いた予算の一つにいたしました。金額につきましては、いまだ不十分でございますけれども、約十四億円の増額が認められております。このうち特に農業協力と医療協力との経済協力の各分野でまあ効率的に配分をされておりますということと、まあ長年の懸案でございました海外技術協力事業の強化拡充がある程度行なわれたというところに特徴があると存じます。 第二の重点といたしましては文化活動でございまして、海外におきます広報文化センターの設置と、それから国際文化交流の強化、在日私費留学生、いわゆる招聘留学生でない私費留学生の待遇改善、この金額については後ほど申し上げますが、かような点につきまして増額が認められております。 第三番目の要点といたしましては、在外邦人——海外に進出いたしております邦人の保護でございまして、海外におきます日本人学校等を始めまして、子弟教育関係、いわゆる向こうへ行って働いている人たちの子供さんの教育関係の費用、これが相当大幅に増額を見ました。それから中南米等におきまして向こうへ移住している方々が事業を始めるための投融資、これにつきましても投融資関係の増額が認められております。それからサンパウロの文化会館等の拡充が認められております。 それから第四の重点といたしまして、外交活動の基盤の強化と申しますか、具体的には電信関係の経費とか、それから、在外職員があまり外国にいてぼけるといけませんので、まあ研修をかねて帰国をさせまして、かなりひんぱんに帰国さして非常に進展の早いわが国の現状を熟知させるという意味の研修帰国制度が織り込まれております。あと、現地補助員に対する給与の改善、それから調査機能の拡充等が認められております。この外交活動の基礎条件と申しますか、それについてかなりの前進が認められたという点、かいつまみますと、経済協力と文化活動の強化、在外邦人の保護、外交活動基盤の強化という四つが特徴としてあげられるのではないかと存じます。 ではこの六ページにわたります総括表に基づいて逐次御説明申し上げます。 この経済協力の推進、ただいま申し上げました十四億の増でございまして、第一にタイのメナム河にかけます橋梁のための実施設計費一億円が認められております。それから技術協力の改善強化につきましては、この外国から招聘いたします一般研修員、これが従来千六十名だったのを千百五十名、九十名の増、それからこちらから派遣する人間も四十二名の増と、かなり受け入れもそれから派遣のほうも認められております。それから機材供与につきましては五千四百万円の増が認められております。その次に大きな柱といたしまして、農業・医療協力の拡充でございますが、これにつきましては、農業協力の面におきまして一億五千九百万円、それから医療協力につきましては一億八千万円の増額が認められております。この実施細目につきましては目下関係方面で打ち合わせ中でございます。それからその次の第二ページに参りまして、日本青年海外協力隊の拡充、これは通称平和部隊でございまして、これは今回は人員二十名増でございますが、このほかの特徴といたしまして、携行機材——従来平和部隊はわりあいに、労力奉仕というような意味から、発足当時におきましては十万円程度の携行機材しか持てませんでしたけれども、だんだん高度な技術も要求されるようになりまして、折衝の結果、これを携行機材十三万円の増額をいたしまして、人数とともにこの携行機材面におきましても改善を見た次第でございます。 その次に、アジア諸国に対する経済技術協力計画作成及び効果測定のための調査、これはいわゆる追跡調査と言いまして、大事な税金を使いまして海外経済協力をいたしますわけでございますので、それがはたして効果をあげておるかどうか、反省すべき点がないかどうか、今後どういう方面に改善を加えて、どういう方面に重点を置くべきかというようなことをやるために、これは駐在大使館も常時注意してはおりますけれども、特に専門家で構成されました調査団を派遣してその効果を測定するというのでございまして、とりあえず新年度におきましてはフィリピン、インド、インドネシアの三カ国に専門家の調査団の派遣を計画いたしております。また、海外技術協力事業団の整備充実は、国内研修施設の整備拡充として、現在ございます第二中央研修センターを拡充することと、茨城にございますセンターの拡充が認められております。それから、事業団の機構、定員につきましても、職員の増員二十三名を含めまして、一億三千万円の増をいたしております。これはいわゆるバイラテラルでございますが、その次に今後は多角的経済技術協力の強化につきましては、APO——アジア生産性機構に対する拠出金を増額いたし、それから東南アジア漁業センターへの拠出金、これは一昨年東京でやりました東南アジア開発閣僚会議におきまして、具体的な案としてこれが提起されまして、昨年度マニラにおいて正式に決定を見たものでございます。とりあえずの拠出金として二億六千五百万円は本年度の補正予算でいたしましたけれども、新年度におきましては二億七千万円、正規予算として計上されております。その次に、この漁業センターの拠出金とともに、これに対して専門家派遣、十一名派遣いたします。それからアジア開銀等の関係で五名派遣いたします。これが五千百万円計上されております。 三ページに参りまして、このほか、各種国際分担金及び拠出金の増額、特に国連の分担金は、日本のGNPが非常に急速に伸びました結果、分担率が上がりまして、四億七千万円の増を見ております。このほか、世界食糧計画それから国連開発計画——これはUNDPと訳されております——国連開発の拠出金、これが約一億六千万円の増、これは、ただいまニューデリーでやっておりますUNCTADの会議等に備えまして、特に増額をしていただいた次第でございます。 その次に、経済外交の推進等につきましては、大体低開発国との経済交流の促進、東西貿易関係の拡大、その他経費の予算がついております。 それから第四に対外文化活動、これにつきましては、先ほどの重点の第二にあげましたように、非常に重点を置きまして、日本研究講座、これは大学等に講座を寄贈するわけでございまして、講座の寄贈と教授の派遣でございます。これは十名ついております。大体きまっておりますのは、タイ、フィリピン、香港、マレーシア、インドネシア等の東南アジア諸国といたしまして、日本語に限らず、日本の研究の講座の寄贈と教授の派遣の経費が認められております。それからその次には、各大公使館の文化活動の拡充増額と、それから国際文化振興会、これが二千百万円、これは事業費の増額でございます。それからその次に、「在日留学生受け入れ体制の拡充(国際学友会の整備を含む)」、これは先ほどの重点で申し上げました私費留学生でございまして、文部省のほうは招聘学生——官費で招聘する留学生でございますけれども、外務省が予算で計上いたしまして国際学友会に出しておりますのは私費で来る学生、この間に、この待遇等においてこちらが低かったわけでございまして、この調整につきまして相当認められまして、千六百万円の増を見ております。 次に、四ページに参りまして、在外邦人対策の強化及び移住の振興でございます。これは先ほどの重点の第三で申し上げました点で、在外邦人子弟教育事業の拡充、文部教官が十三名新たに認められております。これは台北、香港、バンコック、ラングーン、ニューデリー、ボンベイ、カラチ、クアラルンプール、シンガポール、カルカッタ、マニラ。それからアフリカ、中近東ではテヘラン、それからアメリカではニューヨーク、シカゴ、欧州ではブラッセル、ハンブルグ、ロンドン、モスクワ、それから大洋州はシドニー、中国米はペルーのリマ、ブエノスアイレス、サンパウロ等が認められております。それから校舎借料、これも大体ただいま申し上げました文部教官のついたところを主といたしまして、校舎借料は十五校分ついておりまして、人数においてはまだまだ十分じゃございませんけれども、相当大幅にこちらの要求が認められております。それからその次に、新年度はハワイに日本の移民が最初に到着いたしましてから百年目になりますので、ハワイで大規模な百年記念事業が行なわれますので、これに対しまして、この移民の功労者その他に銀杯ないし木杯を差し上げようということで二百万円計上してございます。 それからその次に、6に、情報収集機能の強化、この報償費につきまして一億円の増額、これは在外向け一億円の増額が認められております。 それからその次に、国際問題調査研究体制の整備、これは国際問題研究所に対しましての補助金の増、それから香港の総領事館の調査研究機能の充実強化で、調査員の五名の増が認められております。 それからその次に、広報活動の強化拡充、広報文化センター、既設の十五カ所の増強のほかに、サンフランシスコとウェリントンに新設が認められております。次に第五ページ移りまして、海外広報資料の増強、対外報道情報宣伝事業費と、それから視聴覚啓発活動の強化費というのが計上されております。 それから九番目に、外交機構の整備でございまして、在外公館の増強二十五名、六カ月分につきまして、今回は特に、従来頭でっかちになりまして、官房事務等、文書とか電信とか、そのほうが非常に足腰が弱い脆弱公館が多くなってしまいました。と申しますのは、新興国がどんどん独立していきまして、どんどんつくっていかなければならない。それに予算の制約があるというわけで、三名、四名というような脆弱な公館ができてしまったわけでございまして、今回は新設公館は極力しぼりましてチュニジア一カ国にいたしまして、あと、既存の公館をしっかりした機能を発揮するようなものにするという意味で、既設公館の増強費二十五人を認められております。 それから、したがいまして、本省定員の増は今年度はなしでございます。 それから現地補助員につきましては、これは大体かねがね内外の御同情を得ておるわけでございますけれども、昇給率が悪くて、いい現地補助員がだんだんとなくなる、あるいは入ってこないというようなことであるし、かつ、大公使館の重要な戦力の一部になっている現地補助員に対して、大体五%アップぐらいのベースアップができるということになって、これで優秀現地補助員の確保と、それから、雇い入れ側といたしても一歩前進ということが見られたと存じます。それから在外公館国有化の促進、これは本年度の財政難から昨年度よりはるかに小規模なものになっております。 それから、そのページの最後の飯倉分室、これは外務大臣公邸と資料館と合わせたものでございまして、昨年度調査費で六千万円とってございますが、今回は二億七千万円の金額が計上されております。 それから最後の第六ページに参いりまして、これは先ほど重点のところで申し上げました休暇研修帰国制度の強化。在来これは七十五名だったわけでございまして、特にいままでの休暇研修帰国制度におきましては、先進国では四年たたないと帰ってこれない、それから後進国でも二年たたないと帰ってこれないということでございまして、先進国の場合、四年たった場合は、これは任国の幹部のほうがよほど日本の事情を知っているというようなことが起こりまして、もっとひんぱんに帰す。後進国の場合は一年たったら帰す。それから、先進国の場合でも二年たったら帰すようにということで、人数も七十五名を百五十名と企画したわけでございますけれども、財政的な制約から五十名の増加、結局百二十五名ということに新年度はなりました。これもなるべく有効に使っていきたいと存じます。 それから、その一番最後の欄外に、海外移住事業団出資、これは財政投融資からでございますが、これをふやしまして五億にいたしまして、四億の増ということになります。これは、先ほど申し上げました移民を送り出す金ではございませんで、向こうに定着いたしました移民の方々が向こうで事業を興こされるために貸し出す金でございます。 以上重点を申し上げましたが、外務省予算は冒頭申し上げましたように、総額三百五十四億円でございます。 それから、これは重点事項にはございませんが、ここに実は国会に予算として御提出いたしました「予定経費要求書」の中の三百五十九ページの十四項に「啓発宣伝事業委託費」となっておりまして、これに内訳として一億円計上されておりますが、これは実際に委託費になりますけれども、どういうふうにこれを委託するか、振り分けるかということは、まだ決定いたしておりません。 以上、御説明申し上げます。 それから法案が一件でございますので御説明申し上げます。外務省関係法案は本年度は一件でございまして、これは万博の政府代表設置に関する臨時措置法案でございます。これは昭和三十九年に国会の御承認を得ました万国博覧会条約の第十五条に基づきましてこの政府代表を任命しなければならないことになっております。この十五条はちょっと読み上げますと、「国際博覧会への参加を招請する政府は、政府を代表し、かつ、外国の参加者に対する約束の履行々保障する任務を有する一人の政府委員又は代表を指名しなければならない。政府委員又は代表は、さらに、展示される物品の物的損害に対する保護について必要なすべての措置を執らなければならない。」というのがございまして、これは従来外務公務員法の二条によります政府代表で、奥村代表が当たっておられたのでございますけれども、万博の切迫とともに仕事も非常にふえます。でございますので、いわゆる無給のパートタイムの方ではとてもできないということが、ずっと感ぜられたわけでございます。従来、戦後、万博はブラッセルもモントリオールも政府の直営でございましたので、今度のように万博協会を使うということは初めてであったわけでございます。それで、従来の形で政府代表でとにかくやってみたわけでございますけれども、非常にむずかしいということがわかりましたので、今回、終了後一年間有効な時限立法をお願いをするわけでございまして、外務公務員特別職といいまして、任務は日本政府代表として条約上の約束を履行するという任務と、それから俸給月額二十六万円という、任務と俸給を定めた時限立法をお願いしまして、これによりましていわゆるフルタイム・ジョブとしての政府代表を任命して、本格的に万博に取り組み得る体制をつくりたいということで御審議をお願いしたわけでございます。以上。
○委員長(三木與吉郎君) 高島外務参事官。
○説明員(高島益郎君) 今国会で御承認をお願いいたします条約案件全部で二十一件でございます。この二十一件につきまして、ごく概略、この表に基づきまして御説明申し上げます。 まず最初に、小笠原返還協定がございます。これは御承知のように、アメリカが対日平和条約第三条に基づきまして施政権を行使しているうちの小笠原につきまして、その施政権を放棄して日本に返還するということを定めるものでございます。なお、現在まだ交渉中でございますので、その詳しい内容につきましては、どのように決定いたしますかわかりませんので、この段階でお話しいたすことはできませんができるだけ近いうちにこの協定をまとめまして国会に承認のため提出するという努力をいたしております。 次にケネディ・ラウンド関係の諸条約は三件でございます。これはまず最初にジュネーヴ議定書、次に国際穀物協定、第三番目にガット第六条の実施に関する協定、この三つでございます。これは、一九六四年以来昨年まで約三年間にわたりまして、ガットの場で全世界的な規模で行なわれました非常に大きな貿易交渉の結果まとまったものでございます。当初の目的は、世界貿易の拡大をはかるために、現在各国が課しております関税の五〇%削減を目標に交渉をいたしたわけでございますけれども、その結果は必ずしも五〇%という目標に達することはできませんでしたが、なお、かなりこれに近い削減譲許を達成することができました。これによりまして世界の貿易が飛躍的に拡大するということが期待される次第であります。その第一番目のジュネーヴ議定書はそのような意味での関税譲許を定めたものでございまして、今後五年間に、つまり一九七二年の一月一日を最終目標といたしまして、それまでに、いま申しました関税譲許を逐次段階的に下げていくということを約束したものでございます。すでに一部の国ではことしの一月一日から関税譲許を始めております。わが国は国会等の都合もございまして今年の七月一日から実施をする予定にいたしております。 次に国際穀物協定でございますけれども、これはケネディ・ラウンドの交渉におきましては、工業品だけでなく、農産物、特に穀物、それから食肉、酪農品、そういったものを加えまして特別の協定をつくるということで始めたわけでございますけれども、この穀物以外の酪農品、食肉につきましては協定に達することができませんでした。つまり、工業品だけでなくて、農産物の輸出に依存している国も多々ございますので、こういった国の利益をはかる必要があったわけでございます。この穀物協定は二部から成っておりまして、その一部は、現在ございます国際小麦協定を全面的に改正する部分、第二部が、今度新しく追加されました食糧援助規約といわれる部分でございます。これは商業的な基盤における小麦の取引だけでなくて、援助、特に新興国に対しましての食糧援助を必要とするという観点から、それについての大体の計画を立てておく必要があるということでできましたものでございます。わが国といたしましては、そのような食糧援助の規約を穀物協定の中に置きますことにつきましては主義上いろいろ問題があるということで反対をいたしまして、そういう原則につきましては特に留保いたしました。ただし、食糧援助ということ自体につきましては政府として大賛成でございますので、その留保とは別途、日本の選ぶ方法で、日本の選ぶ食糧あるいは日本の選ぶ農業機材、そういったものを必要とする国に援助するということを政府の方針として明らかにしております。そういうことによりましてやっと妥協ができまして、この食糧の規約を含みます国際小麦協定ができたわけであります。 第三番目は、ガット第六条の実施に関する協定と申しますのは、いわゆるアンタイ・ダンピング・コードと略称いたしておりますダンピング防止に関する細目の取りきめでございます。これは国際貿易の拡大のためには、単に関税の引き下げだけではなくて、やはり関税以外にもいろいろの障害がございます。こういった障害を取り除かなければほんとうの意味の国際貿易の拡大はできないという観点から、特に従来ダンピングという名前を使っていろいろ輸入を制限するというふうな傾向が見られました。その原因は、このガット第六条の規定は非常にあいまいで、ダンピングに関する規定が各国の恣意にまかされた傾向がございます。この点に着目いたしまして、このケネディ・ラウンドの協定にはダンピング防止に関する詳しい実施取りきめを定めました。これがこの協定でございます。 以上三件がケネディ・ラウンド関係の三条約でございます。 次に、経済協力協定というのが二件でございます。これは御承知のとおり、第二次大戦中に、シンガポール・マレイシアの両地域におきまして非常に不幸な事件が起こりました。これが原因になりまして、昭和三十八年ごろからマレイシア及びシンガポールで非常に日本人に対しまして強い要求がございまして、これに対する何らかの措置をとることを迫られました。その結果、いろいろわが国として交渉いたしました結果できましたのがこの協定でございまして、両国に対しまして無償の経済協力を行なうことによってこの戦争中の不幸な事件を最終的に解決するというのがねらいでございます。無償の経済協約の内容は、シンガポールに対しましては、日本円に換算いたしまして二十九億四千万円の日本の生産物及び役務を今後三年間にわたって無償で供与するということになっております。また、マレイシアに対しましても、同様に二十九億四千万円に相当いたします無償援助を与えるわけでありますが、マレイシアの希望によりまして、外航用の貨物船二隻を日本でつくって、これをまず第一義的に与える。なお余力があった場合には、マレイシアの希望に沿うて、日本の同意する生産物及び役務をこれに充てるという取りきめになっております。いずれも、したがいまして、無償援助の内容は額は同じであります。 次に、原子力平和利用協定二件ございます。これは現在日米、日英間に原子力の平和利用に関する協定がございまして、ことしの十二月に失効いたします。これに対しまして全面的に新しい協定を締結する必要がございまして、昨年以来交渉した結果がこの両協定でございます。特にアメリカとの平和利用協定におきましては、これまでの研究段階から実用段階に入ったことにかんがみて、非常に画期的な協定の内容になっております。日本といたしましては、原子力発電のために十三カ所の原子力発電所を建設する予定になっております。この十三カ所の原子力発電所に供給いたします濃縮ウランを確保する必要がございます。これに対します必要量が百五十四トン、今後三十年間に必要といたします量が百五十四トンでございます。これとあと七トンの研究用の濃縮ウラン、合わせまして百六十一トンの濃縮ウランを確保することに取りきめがなされました。そのため、従来政府間でのみ取引されましたそういう原子力燃料問題につきまして、今後はそういう発電所と米国側の原子力関係の機関との間でそういう濃縮ウランの取引ができるような仕組みにいたしております。以上が原子力平和利用協定でございます。 次に、漁業協定が二件ございます。これは最近各国でとられておりますいわゆる漁業水域の設定に対しまして、日本の漁業実績のある国につきましては、この実績を確保するための取りきめをいたしております。その第一がニュー・ジーランドとの協定でございまして、これは昨年の夏にすでに妥結いたしましたけれども、十二海里内でニュー・ジーランドが外国に対しまして禁止しておる漁業法につきまして、特に日本の実績を認めさせまして、これを一九七〇年の暮れまでに限って日本の漁業を認めさせることにいたしました。それからメキシコのほうは、これもやはり日本のマグロ漁業の実績がございまして、漁業水域十二海里の内部で一九七二年の末までの取りきめをいたしました。いずれにいたしましても、日本といたしましては、漁業水域の設定に対しまして、日本の実績はこういう形でもって確保していくという方針で臨んでおる次第でございます。 次に、航空協定が一件だけございます。これは中近東には従来テヘランとカイロだけにしか寄航いたしておりませんが、ベイルートが中近東におきます航空市場の上で非常に重要な地位を占めておりますので、そこに一つの日本の寄航し得るところを新しくつくるわけであります。 次に、この前御調明いたしました租税条約が四件ございます。セイロン、デンマーク、ベルギー、ザンビア。このうちデンマークとの租税協定は、現在ありますものを全面的に改正したものでありまして、それ以外の租税条約が新しい租税条約であります。これまで十六件の租税条約がありますので、これも加えますと全部で十九カ国と租税条約を結ぶという結果になるわけであります。 国際満載喫水線条約、これも現在ございまして、すでにもう三十年以上たっておりまして、いろいろ造船上の技術、その他科学的な進歩に対応いたしまして、非常に現在の条約が即応しない点がございますので、これを全面的に改めたものでございます。内容は、船舶あるいは船舶に積みます貨物や人命の安全をはかるために、船舶の構造に対しての一定の要件を定め、これに応じまして積載し得る貨物の限度を定めたものでございます。そういうことによって船舶の安全をはかろうというのがこの条約の骨子でございます。科学の進歩によりまして、従来より以上に貨物を積載しても差しつかえないような構造になってまいりましたので、そういう点もいろいろ改正されております。 それから海洋法関係条約が二件でございます。これは一九五八年に、ジュネーヴで国連の主催のもとに、海洋法に関しまして四つの条約が採択されました。そのうちの二つでございます。これ以外の条約こいたしましては、大陸棚に関する条約、公海漁業に関する条約、この四件が採択されましたけれども、ここにございます公海及び領海に関する条約以外の二条約につきましては、非常に立法的な要素が多くて、従来の慣習国際法に即応せず、日本としても海洋漁業を確保する意味からいって非常に不便でございますので、実情に合いませんので、この公海に関する条約だけを批准するという方針で臨んでおります。いずれも従来の慣習国際法を成文化したものと言って差しつかえございません。新しい点は若干はございますけれども、大体において従来の慣習国際法を成文化したものと、かようにお考えいただいてけっこうでございます。 アジア=オセアニア郵便条約、これは御承知のとおり、万国郵便連合という組織が国際的にございまして、国際郵便につきましては、この規律のもとに行なわれておりますが、それ以外にこの万国郵便連合のもとに地域的な連合がございまして、世界に八つほどございます。そのうちアジアにございますのがこれでありまして、アジア=オセアニアと申しますのは、アジア及び大洋州のオーストラリア、ニュー・ジーランドを含んだ地域連合でございます。現在まだ加盟国は少のうございまして、あまり大きな活動をいたしておりませんけれども、実は来年わが国に万国郵便連合の大会議というのを招集しておりまして、その会議の前に日本としては当然アジア地域におきます地域運動をもう少し強化しておきたいという観点から、今回条約を批准することにいたしたものであります。なお、条約ができました場合には、この加盟国間におきます郵便物の郵便料金が若干軽減されるというような利点もございます。 船員の厚生用物品に関する通関条約、これはILOの要請に基づきまして、ブラッセルにございます関税協力理事会が作成した条約でございます。遠洋航海に従事いたします船員の船中におけるいろいろな厚生のために雑誌とか書籍、映画、スポーツ用品、そういったものを自由に船中で使えますように、各国の主要な港に置いておきまして、船が入った際にそれを積みかえて航海に向かうという仕組みになっております。そのために、そういう再輸出を条件といたしまして、そのような厚生物品を無税で輸入することを認めるというものでございます。現在日本に約六カ所そのような船員のための厚生施設がございまして、また日本も外国に約六カ所ほど船員のための厚生施設がございますが、この条約ができますと、そういう所でもいろいろと船員のための厚生物品が税金が免除されて輸入されることになるわけであります。 最後に、漁船員の雇入契約に関する条約、ILOの百十四号条約でございます。かねてから船員関係についてのILO諸条約の批准促進という観点から検討いたしました結果、この漁船員の雇入契約につきまして、国内法の関係から言いましても、船員法で十分必要な規定がなされておりまして、この条約を批准することに何ら差しつかえないという結論に達しまして、御承認をお願いするわけであります。現在まで海運関係のILO条約につきまして日本が批准いたしておりますのは八件でございます。これを合わせまして、これができますと九件になる次第でございます。 以上、全部で二十一件の条約につきまして概略御説明を申し上げました。
○委員長(三木與吉郎君) 以上で説明を終了いたしました。ただいまの説明に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十分散会