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58回国会衆議院1968/03/12

予算委員会第四分科会 第1号

発言数
301
登壇者
28
会派数
4
開催日
1968/03/12

会議録

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査をつとめることになりましたので、よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、昭和四十三年度一般会計予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管並びに昭和四十三年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行なうことになっております。  審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  昭和四十三年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  農林省所管について説明を求めます。西村農林大臣。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 昭和四十三年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算の裏づけとなっております農林水産業施策の基本方針について申し上げます。  最近の農業の動向を見ますと、国民経済の高度成長に伴う食糧需要の動向に対応した農業生産の選択的拡大、農業の機械化による生産性の向上、高度化、専門化された農業経営の形成等農業の近代化が順調に進んでいる面も見られますが、他方解決を要する幾つかの重要な問題が生じてきております。  その第一は、農産物需給の問題であります。農産物に対する需要は、近年畜産物、青果物等を中心にきわめて旺盛であり、この傾向は今後も続くものと予想されます反面、供給面においては、農家労働力の流出、兼業の増加等による農業生産の停滞が農産物価格水準の上昇や農産物輸入の増大をもたらしております。さらには、世界の長期的な食糧事情は逼迫傾向にあることをも考慮しますと、わが国農業の生産性を高め、国際競争力を強化しつつ、食糧の自給度をできるだけ高い水準に維持する必要があるのであります。  第二は、農業の生産性の問題であります。近年、農家の所得は順調に増加していますが、これは兼業化の進展に負う部分が多く、また農業所得の増加についても、生産性の向上が寄与するところもかなりあるものの、農産物の価格上昇に負うところが少なくないのであります。また、他産業に対する比較生産性の格差は、近年やや縮小しておりますが、これも農業就業人口の減少、農産物価格の上昇等の事情があずかっているものと見られ、生産性の向上を基礎として格差が一貫して縮小していくという傾向にあるとは、なお言いがたい状況にあります。今後においても、国民生活の安定という見地から農産物価格の上昇に多くを期待できない以上、農業の生産性を着実に向上させ、これにより格差是正の課題にこたえていくことがぜひとも必要とされるのであります。  第三は、農業構造の問題であります。経済の高度成長に伴う農家労働力の急速な流出を契機として、農業構造に相当の変化がもたらされようとしておりますが、当面これが兼業化の進展、農業労働力の質的低下等となってあらわれ、また一方には農地の流動化をはばむ要因も多く、このため、農地の流動化を通じて経営規模を拡大するという構造改善が順調に進んでいるとは言いがたい状況にあります。したがって、生産性が高く経営規模の大きい自立経営及び効率の高い生産組織を育成してわが国農業の体質を改善することが強く要請されるのであります。  このような情勢のもとで農政の当面する課題は、わが国農業がその体質を改善して生産性の高い農業を実現し得る構造を整えつつ、国民の必要とする食糧その他の農産物を安定的に供給し得るようにすることであり、また同時にこのことを通じて農業従事者の所得の向上をはかり、生活環境整備とあわせて農業従事者の福祉の向上を期していくことであります。  このため、昭和四十三年度においては、一、農業生産基盤の整備と農業技術の開発、普及の促進、二、農産物の生産対策の拡充、三、農業構造改善の推進、四、生鮮食料品をはじめとする農産物価格の安定及び流通改善対策の強化、五、優秀な経営担当者の確保と農村環境の整備等農山村対策の充実、六、農林金融の改善に重点を置いて施策の推進をはかることとしております。  また、林業及び水産業につきましても、それぞれ最近の需要及び資源の動向や従事者の所得の面から考えますと問題が多々存在しておりますので、これらにつきましても、生産基盤の整備、構造改善の促進、従事者に対する福祉対策の充実等諸施策を強化し、生産性の向上と従事者の所得の増大及び生活水準の向上をはかることとしております。  これら施策の推進を期するため、昭和四十三年度予算編成においては、農林水産関係予算の充実をはかることに一段と配慮した次第であります。  まず、昭和四十三年度の一般会計における農林関係予算の総体につきましては、農林省所管合計額は六千二十二億円で、これに総理府、文部省、労働省及び建設省所管経費を加えた農林関係予算の合計額は六千五百四十二億円となり、これを昭和四十二年度の補正後予算と比較しますと三百六十三億円の増加となります。  以下、この農林関係予算の重点事項につきまして御説明をいたすことになっておりますが、時間の都合もございますので、委員各位のお許しを得まして朗読を省略し、その内容は速記録にとどめることにいたしたいと存じます。御了承いただきたいと思います。     —————————————  第一に、農林漁業生産基盤の整備に関する予算について申し上げます。  農業に関しましては、土地改良長期計画に基づき、圃場条件の整備、その前提となる基幹かんがい排水施設の体系的整備、基幹農道の整備、農用地の開発等の農業基盤整備事業を計画的に推進することとし、総額一、三九三億七千七百万円を計上しております。  林業に関しましては、林道事業について総額一〇一億八千六百万円を計上してその開設を推進するとともに、造林事業について総額六五億七千七百万円を計上してその実施を図ることとしております。また、治山事業につきましては、現行治山五カ年計画の改訂を予定するとともに、総額二二八億六百万円を計上して民有林および重要流域の国有林の治山事業を推進するほか、森林開発公団の行なう水源林造成事業について国有林野事業特別会計からの直接出資および財政投融資による事業の推進を図ることとしております。  漁業に関しましては、総額一六一億九千一百万円を計上し、第三次漁港整備計画による漁港修築事業等を計画的に推進するとともに、漁港関連道整備事業、大型魚礁設置事業および浅海漁場開発事業調査等の拡充強化を図ることとしております。  第二に、農林漁業生産対策に関する予算について申し上げます。  まず、米麦生産対策につきましては、高能率、高反収の米麦生産の実現のため、引き続き、栽培から乾燥調整まで一貫した大型省力機械化技術の導入をめざす高度集団栽培促進事業、米麦生産流通合理化モデルプラント設置事業等を推進するとともに、麦作の生産性の向上と大規模な麦作団地の育成を主眼とした麦生産対策を展開することとしております。このほか、農作物種子対策、地力保全事業、植物防疫事業等を引き続き推進することとしており、以上をあわせ米麦生産対策に要する経費として二〇億九百万円を計上しております。  つぎに、畜産生産振興対策について申し上げます。  まず、飼料自給度の向上を図るため、草地改良事業の推進と併行して既耕地に対する飼料作物の積極的導入のための飼料作物増産総合対策を推進するとともに一多頭飼養による自立的酪農経営の育成のための乳牛導入制度、肉牛資源の確保のための肉牛導入制度を拡充するほか、乳用牛集団育成事業の拡充、里山利用肉用牛増殖育成事業の創設、家畜改良増殖の推進、家畜衛生対策の強化等の諸施策を推進することとし、以上をあわせ、畜産生産振興対策として九四億二千七百万円を計上しております。  つぎに、園芸生産振興対策について申し上げます。  まず、野菜対策につきましては、指定野菜の拡大、野菜指定産地の追加、生産出荷近代化事業の拡充等野菜指定産地の計画的育成を図ることとし、果実につきましては、新たに、広域の主産地の形成と高度省力技術体系の普及とを内容とする果樹広域主産地形成事業を実施するほか、特産農産物および甘味資源作物につきましては、それぞれ引き続き地域特産農業推進対策および甘味資源生産合理化推進地区設置事業を推進することとし、以上をあわせ園芸生産振興対策として三〇億三百万円を計上しております。  養蚕生産振興対策につきましては、新たに養蚕主産地域について養蚕の省力機械化と老朽桑園の改植を促進するための繭生産改善推進施設設置事業を実施することとし、一億六千一百万円を計上しております。  林業生産対策につきましては、引き続き、優良種苗確保事業、森林病害虫等防除事業、素材生産合理化事業等を実施することとし、これらに要する経費五億九千二百万円を計上しております。  漁業生産対策につきましては、中小漁業の振興のための金融措置を拡充実施するほか、動物たんぱく質の自給度の向上と国際漁場におけるわが国漁業の地位の確保に資するため、海洋水産資源の開発事業調査を実施するとともに、引き続き内水面における地域振興対策の拡充、水産資源保護培養対策の強化等を図ることとし、これらに要する経費一一億六千五百万円を計上しております。  第三に、農林漁業の構造改善の推進に関する予算について申し上げます。  まず、農業構造改善の推進のための新規施策として、土地の農業上の有効利用、農地保有の合理化、農業経営の近代化および環境の整備に関する措置を総合的、計画的に推進することとしております。また、経営規模が大きく生産性の高い自立経営と効率の高い集団的生産組継の育成助長を推進するため、農地の流動化の促進のための所要の措置を講ずるとともに、農業経営の上向発展を志向する農業者の資金需要を包括的に充足するための総合資金制度を創設し、さらに、集団的生産組織の育成、組織化の促進および中核農民の養成を行なうほか、その裏付けとなる集団的技術共同導入資金に加えることとする等、以上をあわせ農業構造改善の推進のための新規予算として一一億一千八百万円を計上しております。  農業構造改善事業につきましては、総額二五一億三千三百万円を計上し、地域の実情に即して事業の円滑な推進を図ることとしており、また引き続き、事業終了地域の経営管理の指導等を推進するほか、農業経済圏における広域の農業近代化施設等の整備を進めることとしております。  林業構造改善事業につきましては、三九億七千七百万円を計上し、事業の計画的推進を図ることとするほか、新たに事業実施済の地域に対する施設の効率的利用の促進のための指導を行なうこととしております。  沿岸漁業構造改善事業につきましては、一六億二千二百万円を計上し、経営近代化促進事業、同補足整備事業および漁場造成事業を引き続き実施することとしております。  第四に、生鮮食料品等の価格の安定および流通改善対策の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、畜産物の価格安定および流通改善対策につきましては、引き続き加工原料乳に対する不足払制度に必要な交付金等および学校給食用牛乳供給に必要な交付金を畜産振興事業団に交付するとともに、食肉センターの設置等を推進することとし、これらに要する経費一〇三億八千七百万円を計上しております。  つぎに野菜の価格安定および青果物の流通改善対策につきましては、青果物の出荷調整対策等を推進するとともに、野菜生産出荷安定資金協会が行なう野菜の価格補てん事業を拡充強化することとし、これらに要する経費一億八千八百万円を計上しております。  水産物の価格安定および流通改善対策につきましては、引き続き、冷凍多獲性魚の流通調整事業、産地流通加工施設建設事業等を推進することとし、これらに要する経費三億五千六百万円を計上しております。  生鮮食料品等の流通施設の整備等につきましては、中央卸売市場の整備を促進するとともに新たにモデル的な公設の地方卸売市場の整備を推進することとするほか、公設小売市場、大型米穀とう精施設等の設置、食料品の規格、品質等の調査、生産者および消費者向けの情報提供等の事業を拡充実施することとし、これらに要する経費二一億一千六百万円を計上しております。  なお、以上の措置に加えて、卸売市場の整備につきましては、農林漁業金融公庫に卸売市場近代化資金を創設することとするほか、小売業の近代化を促進するため、国民金融公庫に生鮮食料品関係業者を含めた食料品小売業者に対する特別の融資枠を設けることといたしております。  第五に、農山漁村対策を拡充するための予算について申し上げます。  まず、農林漁業の後継者対策につきましては、農業後継者育成資金の貸付枠の拡大を図るとともに、新たに将来の林業の担い手となる山村青年の育成を図るため実践活動の場として「青年の山」の造成を促進するほか、農業者大学校(仮称)をはじめ各種の教育研修施設の整備、農山漁村青少年集団活動育成対策等を推進することとし、これらに要する経費六億一千三百万円を計上しております。  つぎに、農山漁村の環境整備につきましては、農林漁業用道路の整備を拡充実施するとともに、農家生活改善資金の貸付枠の拡大、生活改善特別事業の拡充、住宅金融公庫の農山漁村住宅資金の活用、へき地農山漁村電気導入等を引き続き実施することとし、さきに述べましたものを含め、これらに要する経費として総額一三二億一千一百万円を計上しております。  山村振興対策につきましては、振興山村における農道および林道等の整備について特に配慮するとともに、一三億五千一百万円を計上して引き続き振興山村農林漁業特別開発事業を計画的に実施することとしております。  第六に、農林漁業の近代化の推進に必要な農林金融の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、農林漁業の経営構造改善および基盤整備等に必要な資金を拡充するため、新規貸付枠を一、八〇〇億円に拡大し、この原資として財政投融資一、三三〇億円を予定するとともに、一般会計から同公庫に対し、補給金八五億円を交付することとしております。  また、自立経営の育成を図るため、農業経営の規模の拡大と施設の近代化に必要な土地取得、土地改良、果樹の植栽、育成、家畜の購入等の各種資金を総合的に融通することを目的とする総合施設資金を創設するとともに、生鮮食料品の流通の近代化と消費者物価の安定に資するため、地方卸売市場の整備および中央卸売市場の卸売人および仲買人の近代化に必要な資金を融通することを目的とする卸売市場近代化資金を創設するほか、北海道および南九州の自然条件の不良な地域における畑作の振興を図るため、北海道寒冷地畑作営農改善資金の改善および南九州防災畑作営農改善資金の新設を行なうこととしております。  つぎに、農業近代化資金融通制度につきましては、貸付資金枠を一、〇〇〇億円に拡大することとし、所要の利子補給補助金および農業信用保証保険制度の強化に必要な経費四六億四千二百万円を計上しております。  また、農業改良資金制度につきましては、さきに述べましたように技術導入資金について集団的生産組織による一連の能率的な技術の導入を指定事業としてとり入れるとともに、農業後継者育成資金および農家生活改善資金を含めて農業改良資金の貸付枠を一〇二億円に拡大し、これに要する経費三五億四千三百万円を計上しております。  以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。  まず、農林水産業の試験研究につきましては、試験研究費の増額、試験研究体制の整備、都道府県に対する助成の充実等により、試験研究の拡充強化を図るととも、新たに、構造改善推進のための農業機械化技術の緊急開発に関する研究等を行なうこととし、これらに要する経費一二七億五千五百万円を計上しております。  つぎに、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業関係について新たに専門技術員の現地分駐を進めるほか、普及体制の整備、機動力の強化、職員設置費の是正、運営費の充実等を行なうこととし、農業改良普及事業に五七億五千三百万円、生活改善事業に一二億一千六百万円、畜産経営技術指導事業に一億六千四百万円、蚕糸技術改良事業に八億八千五百万円、林業普及指導事業に一〇億九千六百万円、水産業改良普及事業に一億九千五百万円をそれぞれ計上しております。  農業災害補償制度につきましては、掛金国庫負担金を増額するほか、家畜共済損害防止事業の強化、果樹保険事業の試験実施の推進、農業共済団体職員給与の改善等を行なうこととし、これらに要する経費三五二億五千八百万円を計上しております。  このほか、農業関係につきましては、開拓者の営農振興対策として二八億一千三百万円、農産物の輸出振興対策として一二億八千八百万円、農業資材の価格流通対策として五三億三千九百万円、農業団体の整備強化対策として三〇億八千万円をそれぞれ計上しております。  林業関係につきましては、さきに述べましたもののほか、森林計画制度および保安林の整備について六億六千八百万円、入会林野等の整備促進対策として四千一百万円、森林組合の育成対策として三千六百万円をそれぞれ計上しております。  水産業関係につきましては、すでに述べましたもののほか、漁船損害補償制度の実施費として一三億九千一百万円、漁業災害補償制度の実施費として七億三百万円、水産業協同組合の育成指導対策として四千九百万円をそれぞれ計上しております。  農林水産関係の災害対策公共事業につきましては、海岸事業および農地、農業用施設、林野、漁港等の災害復旧事業の推進を図ることとし、総額三三八億六千七百万円を計上しております。  つぎに昭和四十三年度の農林関係特別会計予算についてご説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦および輸入食糧の管理について、従来のように予算補正を当初から予定するといった慣行を是正する考え方のもとに管理制度の適切な運営を図ることとし、これがため必要な予算を計上するとともに、一般会計から調整勘定へ二、四一五億円を繰り入れることとしております。また、国内産いもでん粉および輸入飼料の買入等の実施のため、必要な予算を計上し、輸入飼料勘定へは一般会計から四九億円を繰り入れることとしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のための必要な予算を計上しており、一般会計から総額二五四億七千八百万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業勘定において、国有林野事業の一層合理的な実施を図るとともに、治山勘定において、民有林治山事業および国有林野内臨時治山事業を実施することとし、必要な予算を計上しております。  第四に、漁船再保険及漁業共済特別会計につきましては、漁船再保険事業および漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額一九億九千七百万円を繰り入れることとしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、糸価安定、森林保険および中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に昭和四十三年度の農林関係財政投融資計画についてご説明いたします。  財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫ほか三機関および二特別会計をあわせて総額一、五三五億円の資金運用部資金等の借入れを予定しております。  これをもちまして、昭和四十三年度農林関係予算および財政投融資計画の概要のご説明を終ります。     —————————————  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上をもちまして、農林省所管についての説明は終わりました。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより農林省所管について質疑を行ないます。  質疑に先立ちまして、分科会の皆さまに申し上げます。  議事進行の円滑をはかるため、質疑を行なわれる方は、あらかじめ政府委員等を御要求の上、主査に御通告をお願いいたしたいと思います。  質疑の持ち時間は、先例により、本務員は原則として一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は原則として三十分にとどめたいと存じます。なるべく多数の方々に質疑をしていただきたいと存じますので、各位の御協力をお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私は、農民の能力付与というのですか、教育という立場で、農政について農林大臣にお聞きしたいと思います。  私は、農政というものは次の三つの柱で初めて均衡のとれた推進をすることができると思うのです。第一は、農漁業基盤開発政策、第二には、保護助成の政策、第三には、農民、漁民の教育政策、能力付与政策、この三つの均衡がとれていないと、農政というものは円滑に発達をしないし、国民の税金の浪費というものが出てくる、そう考えておるのですが、いま農林大臣は農政に対する方針をお読みになったのですが、それを聞いておりますと、農民、漁民の能力を向上せしめることについて一言も基本方針に触れておられない、まことに遺憾だと思うのですが、その点についてどうも日本の農政については、補助をなす、助成はする、あるいは開発政策、構造改善政策を出しても、農民に負担を前提とした政策を出す。それでもまあ少しは考えている。しかし、農民のそういう構造改善事業その他に応ずるところの技術の養成、あるいは農業人としてのいわゆる考え方についての着意というものが一つもないように、いまのその方針で私もわかるのですが、そういうことを考えてまことに遺憾に思っておるものであります。  そこで、農林大臣として、まず農民の能力開発及び期待される農民像といいますか、一体どういう農民を期待して農政を推進されておられるのか、西村農林大臣はもと自民党の政調会長であったと聞いておりますので、その点についての識見もお持ちだろうと思いますから、まずお聞きしたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 ただいま山中さんから御指摘がありまして、私の御説明申し上げました中に、その点が端的に触れてないじゃないか、その点は文章としてはわかります。ただ、その基盤になっておる事柄について、私は当然一つ考えておることがございます。と申しますのは、農業生産は御存じのとおり工業生産と、いわゆる置かれたる質と申しますか、率直に申しますと、農業生産というのは、クリエーションのものを基盤にしている。ですから単にメーキング、物をつくる——無機物のものをつくっていく、マスプロでただ機械的につくっていくというものとは性格が違う。言いかえれば、端的に申しますと、一種のなまいきなことばでございますが、その基盤になる農政の哲学には、ほんとうの愛情、自分の育成するものに対する愛情というものが基盤になければならない、これだけはどの農民も意図するといなとにかかわらず自然発生的にも持っておられるし、それをまたほんとうに正しい姿で育てていく、そこに基盤を置く、またわれわれ農政に携わる者も絶えずそれを忘れないようにしていく、これが基本でございます。その上に立って今度は大事な、近代的な経済的な面を入れていく、こういうような考え方を一つ持っております。  そこで、今度は経済施策の面にもちろん置くわけでありますが、結局は、簡単に申しますと、物心両面から、農業というものあるいは農村に住んでも未来性があると申しますか、魅力があると申しますか、そういうところへ方向づけて、そしてそこへ定着をしていただく。しかも優秀な人たちが若い力を中心にして定着をしていただく方向へ日本の農村なり農業なりを位置づけていきたい、これが一番基本になっていくのではないか。そしてその中から今度は必要な近代的な技術、それに伴う経済施策をもっていって初めてそこで近代農業というものが、しかも国土に定着した近代農業というもの、その基盤になる農村、したがってそれにはさらにただ農業というよりは、地域社会としての総合性というものを絶えず環境整備と申しますか、そういうものを十分並行してやっていく、そんなところを基本に置きながら、微力でございますけれども、時代の進展に伴う後継者なり若い人たちを盛り上げていく、そして中心はあくまでもわれわれが引っぱるのじゃなくて、その働く方々の意欲というものを中心に持っていきたい。自発的な意欲でございますね。こういう気持ちで、微力でございますが、農政の面を担当させていただきたい、こんな感じでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 これからいろいろお考えになる——就任早々の大臣でありますから、いま直ちにまとまった御意見を期待しておるわけではないのですけれども、やはりこれからの農林大臣は期待される農民像というものを識見として持って、そうして推進をされることが非常に大事であると私は思うのです。大体、農業についても科学的な技術がどんどん進んでおるけれども、人間はそれに伴っていない、これは農林行政だけでないと思います。自然科学と技術は近代の社会をつくったけれども、またこれを破壊するのも自然科学ですから、やはりそういう自然科学、そして技術というものを使う人間の主体性というものをあらゆる行政においても確立していくという見識を各大臣がお持ちになることが非常に重要であると思う。単に保護助成だけのいまの農政だと思うのです。保護助成というのは選挙対策にはなっても、恒久的な農業の推進にはたいして役に立たない。だから、基盤の開発と農民の能力付与と人間性開発というものが、同時にこういう基本方針の中に絶えず考慮さるべきであると思うので、今後そういう方向でひとつ農林大臣の施政のあり方の中によい伝統を残す農林大臣のあり方を御検討願いたいと思うのです。   〔主査退席、小山(省)主査代理着席〕  そういう立場で私お聞きをするのでありますが、たとえば農業改善事業をおやりになるときに、その計画をまとめるのには、やはり農民の意見を聞いたり、市町村関係の意見を聞いたりしておまとめになることの努力をされておることはわかるのです。そしてすぐ着手して保護助成して進んでいきますけれども、私は一年おくれてもいいから、そういう農業改善事業の指定地区及び計画が確定をするならば、一年は教育期間として、その地域の農民がその改善事業に必要なる能力と心がまえというものを育成をしていくべきだと思う。一年おくれてもいいから教育期間を一年設定して改善事業に着手するというふうな着意、こういうようなものがあって初めて農業改善事業というものも農民のものとなり、そこに投ずる国税というものが有効に使用されると思うのですが、そういう教育期間の設定という着意をお持ちになっていない。私は、農政についてはしろうとでありますけれども、政治家として考えたときに非常にもの足らないものを感ずるのですが、その点についていかがでしょう。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 先ほどの話にも続きますが、人間を主体にした、これはもう当然のことでございます。それから国土を主体にした、これも当然のことでございますが、しかし同時に農業があまりにも非近代的な面を残しておる、そこに農業は経済であるという面も生まれてきた。そこいらを基本にして考えていく。そうして農業に対する教育という問題が非常に大事な問題だと思います。実は個人ごとを申して失礼でありますが、私も社会教育の面で十年ほど農村の青年学級の運動を推進しておりますが、なかなかこれは実際にやりますとむずかしい仕事ではございます。農村青年男女というものを引っぱっていく場合にもむずかしい。ことに構造改善事業というようなものをやる場合においても、準備ということが十分必要であろうと思うのでございます。そこで局長から御説明いたしますが、一般教育としての農業に対する教育のいろいろな諸施策というものを持っております。同時に構造改善その他に対しましても、いろいろな準備の仕組みは持っておるように思うのでございます。なお御趣旨につきましては賛成でございますが、局長その他からちょっと御説明をいたしたいと思います。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 構造改善事業を進めます手順といたしましては、私どもの手続としては、まず計画を立てます。市町村の指定をいたします。それから計画が十分整いました段階で事業に着手するための認定なりあるいは補助をする、そういうたてまえになっております。計画の指定を受けました市町村では、各種の農業団体あるいは青年なり婦人の組織といったようなものを集めまして、あるいは部落の会合を持つといったようなことで、各種の事業計画の立案といったことにかなり熱心に相談をしていただいております。そういうことで、十分地元の気分なりあるいは物心両面の準備が整いました上で事業に着手をするというふうなことで従来からも指導をいたしております。現実の状況を見ますと、実際に計画を立てまして、その指定を受けましてから初年度に実施をいたしましたのは約三割強ということで、大部分のものは二、三年あるいはまれには四、五年、十分計画を練ってその上で事業に着手しておるという姿でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 農政局長のは、私の答弁になっていないんです。それは一つの計画を決定するときに、農民にこういうやり方をすればこれだけ成功するとか、この地域の条件はこうだからこの計画がいいのだと、計画を確定するための啓蒙運動をしておるだけなんですね。確定したあとに、まずその地域の農民の再教育をするという立場から、一番最初に、あるいはそこに農民再教育施設というものを設置をして、一年間その地域の農民にブルドーザーが必要ならブルドーザー操縦の技術も教える、あるいは新しい品種の耕作をすれば、耕作の技術を教えるとか、あるいはそれに対する一応の経済的な知識も授けるというように、一年そういう教育をしたあとで着工し、国の助成をしていけば、これは本物になるのです。そうでなくて、よらしむべし知らしむべからずではないけれども、一般の農民は無知のままにしておいて、農業改良普及員だけが専門家としてただ指導して、ついてこいというやり方をずっと繰り返しておるならば、日本の国土の狭い地域における農民が一〇〇%この狭い農地を有効に使うという農業にはならないんじゃないか。そのあとに、たとえば、一年早く仕事をしたいというみんなの意欲、行政意欲があるかもしれない。あるいは政治家のほうでは、早くいいことにして、選挙に都合のいいようにと考えるかもしれぬ。だから一年ぐらいは延ばしてやるという着意をしなければ農民がかわいそうだ、私はこう思うので、いま局長の説明したあのあと、一カ年教育期間設定というふうな考えを持つべきだと言っているのです。これは農林大臣、どうですか。検討をすべき問題だと私は思うのですがね。   〔小山(省)主査代理退席、主査着席〕

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 先ほど構造改善事業の手順といったようなことで御説明をしたわけでございますが、もちろんそういった計画を立て、それから事業に着手をいたします過程におきまして、あるいは普及員が十分その話をする。また構造改善事業のいわゆる部落の指導者といったような者に対しまして各種の説明をして、研修といいますか、そういうふうなことをやる。また、機械等については特殊な技能が必要でありますから、農林省の機械の研修施設あるいは県の機械研修センターというのがございますが、そういうところでも十分機械の操作について助言をする。そういうふうなことを並行いたしまして教育なり研修をやっておるという実情でございます。また、十分こういったことの教育をしてこの事業に着手すべきだという御趣旨については、私どもも同感でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 大臣、わかりましたか。着手したあと教育しながらしていると言うけれども、それはうそなので、実際はそうでないのです。私どもの岩手県には農業構造改善事業というのはたくさんあるのですが、青年諸君がやはり教育センターをつくって再教育してほしいと言っている。これは農民の声なんです。私は観念論だけではないのですよ。やはり準備を、能力付与とそういう改善事業に対する思想形成というものをしてやれば、そこで一たん改善を事業したら、これは永久にその地域の産業形態ですからね。やはり一年間ぐらいはみっちりと再教育をしてからということでどこか一つやってみたら、これはすばらしいものができると思うので、そういうことを申し上げたのです。わかりましたか。検討してください。  同じく次に、これも私、農民に非常に気の毒だと思うので、個々の問題を取り上げて——みみっちい問題を取り上げる気はないのですが、こういう問題が岩手に起こっておるわけです。県立農業伝習場というのがあるんですね。これは農林省の指導方針に基づいてできておる。そして新制中学を卒業した人を主体として、大体農業後継者を養成するための教育機関である。ところが政府において強行採決をした建国記念日の二月十一日に生徒を集めて教育勅語を読んでおる。それは正式に昔のとおりやったのだと思うのですがね。それが県会で問題になっているわけです。この点については、これは農林大臣にお聞き願いたいのですが、義務教育では、憲法で教育しているいまの子供は——それは政府のほうは憲法軽視のムードを出している。何かあれば、アメリカから押しつけられた憲法だ。それで、後継者に農業をやろうというときに今度は教育勅語を読まれる。これは子供がかわいそうですよ。私は総括質問でも申し上げたように、国家目標というものがいずれにしても成文憲法で決定されたならば、それに基づいてその国家目標というものを教育の原理に転化をして、普遍的原理に転化をして、戦争をしない憲法があれば、人命は地球より重いのだという、いわゆる人命尊重、人間尊重の原理にこれは転化できるのです。そして国民主権という思想があれば、これは治める人と治められる人は一つだ、人の上に人をつくらずという教育原理に持っていって、そして子供はほんとうに偉大な人間に育ち、そういう人間が日本の憲法というものによって明示をされた内容をもって平和と民主主義の国を愛するという思想と一つになって、そして偉大な国民が形成されるのだ。だからそういう意味において、くだらないいろいろないきさつなど言わないで、この成文憲法というものを忠実に政治も守り、教育もそれに沿うてやれば日本の民族のエネルギーは一つの共同目標に吸収することができて、世界のどこからも侵されない偉大なる不戦国家ができると私は主張したのですが、現実に三つに分かれてしまう。政治は憲法無視のムードを自民党の政府は出す。これはもう事実出しているのです。ああいう祝祭日を強行採決でつくるような国はどこにもない。そしてそういうムードができており、それが青年の周囲を取り巻いておる。ところが学校では憲法と教育基本法でこうして教育しておる。今度は農業経営でロマンチシズムを持って伝習場に入ったところが、場長が教育勅語を読む。どうするのですか、かわいそうに。そこで私はこの農政を進めていくときに、やはり農林大臣として期待される農民像というものがあって、文部省との関係——日本の憲法があるのたから、それに沿うてやはり農民の平和と民主主義の思想形成をし、そして農業経営において採算のとれる経営者になる技術と同時に、そういう心がけを通じて農業経営に努力することが日本の憲法で保障された、国のためになるのだという内容を持った、そういう個人の利益をこえた一つの国民としての気概もできるのでありますから、少なくとも統一原理がなければ、これは民族の退廃、もう指導者からすべてのものが退廃しますね。私は非常に憂うべき問題だと思うのです。一つの農場の攻撃とか場長の攻撃は別にして、それは非常に危険なものがある。そこで、私は、少なくとも教育目標というものは、文部省主管の教育機関であっても、農林省関係の教育機関であっても、やはり子供を迷わせないように一本にすべきであると思うのですが、そういう現象が出ておるので、まことに遺憾であります。お聞きしておれば——皆さんまず聞いてないだろうと思うのですが、今後の問題として、そういうことがあちこちにあれば——古い指導者に農本主義があって、農本主義がいわゆる天皇主権と結びついておる。それはうちで自分の人生観として持つのならともかく、そういう主義で教育勅語を読む。これは文部省で教育勅語失効の通牒を出しているのですからね。そしていま青年がそうして育っているのだ、民主主義と平和主義で。国民主権思想と平和主義で育ってきているのだから、ショックを与えたり、あるいは価値観が混乱するようなことを農政の中で進めるということは、やはりよろしくない。そういうこともあるので、今後の問題として、農政局長から教育する場合の通牒にどういう方針を出しているのか、出していないのか。それに基づいて、もし文部省の課長がおれば、何か意見があればお聞きするし、最後に農林大臣に今後のことについて方針をお聞きしておきたいと思います。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 私どもが県でやっておりますところの経営伝習農場についての教育の大体のアウトラインを、教育要綱ということで出しております。県のほうではそれぞれ地方の実情に即しまして、それに対して修正を加えてやっておる、こういう状況でございます。私どものほうで出しておりますのは、何といいましても、これはいわゆる農業者として技術なりあるいは経営能力を高めるというための経営伝習の場ということになっておりますので、それぞれそういった目的に沿った教科なりあるいは課程なりをどういうふうに、大まかでありますけれども、編成していくかというような、いわば産業教育といいますか、そういった見地から大体の基準を示しておる、こういうことになっておるわけでございます。あなたがいま御指摘になりましたような事情は、教育一般に関する国の方針に関連をするといったような問題であろうかと思います。私どもとしましても、もちろん教育基本法といったようなものがございまして、個人の尊厳なり、あるいは真理と平和を希求する人間をつくるとか、個性の豊かな、文化的な創造とか、そういったことが教育の基本的な原理であることは、十分承知しております。具体的には、御指摘になりましたような地区でどういうようなことが行なわれておるかということは、私もまだ十分承知はいたしておりません。御指摘がございましたので、調査いたしてみたいと思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 文部省、何か特別な御発言がありますか。

佐藤薫文部省初等中等教育局審議官

○佐藤説明員 他省のことでありますし、実態もまだわかりませんですが、ただ、特に憲法に基づきまして制定された教育基本法というものの第一条の目的というのは、あらゆる機会にあらゆる場において実施さるべきであると考えますので、そういう見地から、特にこの場合の性格は、県の機関であり、公的機関でありますし、一種の社会教育機関といってもいいと思いますが、そういう面からも、社会教育の面においても実現さるべき問題でありますから、いまの実態は詳しく知りませんけれども、考えとしては不適当なような感じを持っております。(山中(吾)分科員「不適当な……。不適当にきまっておるじゃないか」と呼ぶ)実態がわからないからでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私が言うのは、いわゆる国家というもの、国を愛する、国というものは空ですから、内容は何かといえば、成文憲法で示したものしかないのです。国民主権というのであれば、われわれは政治の主人公だ。政治の主人公だから国に対する責任があるのだ。それで国のためにという、そういう具体的な成文憲法によった国家観というものを出すなら出さないと、それはエゴイズムになりますよ。マイホームになるんです。マイホームも非常にいい。いまの憲法は国民主権だ。天皇主権というものからきた教育勅語式で読み出せば、これは国民がかわいそうでしょうが。審議官、不適当なように思います。そんなことではだめですよ。何です。だから、いま混乱をして、みな絶望的な行動になっておる。大体政府が悪いのだけれども、少なくとも国民はもう憲法で育ってきておるのだから……。古い政治家は、旧憲法に対する郷愁で、死ぬまでこの郷愁は捨てられない。うちでしゃべっているのはいいけれども、教育施設の中へ持ってくれば、子供がかわいそうだ。危険思想でも何でもない。国民が主権者なんだ。われわれがこの国の政治の主人公だ。だからこそ、初めてほんとうの意味の国を愛するということが出るんでしょう。臣民の中から出てくる愛国心は、もう死んでおります。それを、死んだ子供をよみがえらすようなことをやらすということは、決して近代国家の日本のためにならないのだから、もっとはっきり、文部省と農林省で教育施設を持っておるのですから、緊密に連絡をしてやってください。それ以上は言いません。  それから、産業教育という場合には、技術教育だけをやる、思想形成がない、触れさせないということですね。産業教育と局長言ったけれども、それはどんな機関でも、日本の現在の国の理念、国会で承認した国の理念というものをその人のものにする、イデオロギー以前の思想形成、ヒューマニズムを基礎にしたそういうものがあってしかるべきだ。あなた、それがなければおそらく技術教育もできぬでしょうから、触れると思うんですね。だから、統一したものを持つべきであると思うので、いい機会ですから、もう少し農林省、文部省統一してください。それを希望しておきます。  それから次に——時間三十分であと五分になってしまって、どうにもならぬですね。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 御協力を願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 これは協力も限度を越えておるのですが、一問一答だけでいきます。  いま一つは、岩手の種市というところに、地方の問題であれなんですが、あそこには潜水夫の養成を数十年してきた伝統があるのです。それで、高等学校の定時制に潜水科というものを置いて、文部省と連絡をして、そして潜水技術の養成教育コースがあるのです。それは単に沈没した船を引き揚げるのではなくて、沿岸漁業振興のために、海底の漁場開発のために、アワビをつくる岩礁をつくるとか、そういう海洋科学的な教育としていま非常に役に立ってきておるわけです。科学的に教育された潜水技術というのですか、子供たちに海底の漁場を開発するための技術も教え、知識もえておる。これは私が県の教育長をしておるとき与に、そういう伝統を基礎にして、ある程度ノーマルな方法ではないけれども、文部省の職業教育課に了解を取りつけてできたものですが、全国的に非常に大きい役割りを果たしております。一方に水産開発のためのいわゆる漁場構造改善事業ですか、農業に対するのと同じように、そういうものが発達してきておるし、一つの大きい農林省の行政になってきておる。こういうものを生かして、いわゆる海洋開発という、農業でいえば農業改善と同じような、そういう開発能力を養うという一つの構想の中で、海洋科学教育施設という方向に発展をさして、そして単なる潜水技術だけでなくて、海底を開発するいわゆる専門養成ですか、そういう方向に発展をさす一つの基盤ができておると思うのです。非常に発展するのではないか。そこで文部省の職業教育課長もお見えになっておるようですが、いま高等学校の潜水の定時制があるのですが、文部省、農林省よく相談をされて、農林省の関係のいわゆる国費による開発、海底漁場開発の教育施設に発展をさすか、あるいは海洋科学高等学校という構想で発展さすか、そういう方向にされることが、これは日本全体に供給されることになっておりますから、一つの着眼であり、政策だと思うので、御意見を伺っておきたいと思います。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 水産関係の教育につきましては、特に御指摘のございました高等教育につきましては、いわゆる水産高校というものが全国で六十近くあるわけでございまして、その教育内容につきましては、文部省と御連絡をいたしまして、できるだけの御協力をしているわけでございます。ただいま御指摘のございました潜水技術の問題でございますが、御質問の中にございました、岩手県におきます特異な存在といたしまして、従来から潜水技術につきまして熱心にやっておられることは聞いておるわけでございますが、御指摘のございました海洋科学一般につきまして、特に潜水技術が非常に問題になってきておるわけでございますが、私どもは私ども自身の試験研究機関で当然これはもぐらざるを得ませんので、最近のアクアラングその他の技術を取り入れまして、やってはおるわけでございますけれども、これを広く一般の教育関係に盛り込むまでのところまで実はいっておりませんので、さような御連絡は事実いままで多少怠っておったように思うわけでございます。  ただ、御指摘のように、海洋問題が非常にクローズアップされてきたわけでもございますし、また現に漁業関係におきましても、養殖技術その他を本格的に進めるといたしますと、まさに海にもぐって現実に見る必要がございますので、かような養成が必要であるということは、痛感しておるわけでございます。ただ、若干の危険も伴います問題でございますのと、従来その種の問題につきまして、あまり突っ込んだ御相談を文部省ともいたしておりませんでしたので、これから考え直しまして、よく御相談いたしたいと思います。

望月哲太郎文部省初等中等教育局職業教育課長

○望月説明員 ただいま山中先生からお話しのございました潜水工業科につきましては、現在は一年の別科で行なわれております。これを高等学校の三年あるいは定時制でこうした四年の課程に取り入れることにつきましては、非常に新しい分野でもございますので、十分検討をさしていただいた上で、県教育委員会等とも十分御相談をしながら、この問題を慎重に取り扱いをさしていただきたいと思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 時間がまいりましたから、あと簡潔に御一問で願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 時間が短いですね。水産学校というのは、漁労とか何かいろいろそういうものがあるので、これはむしろぼくは工業高等専門学校をつくるくらいな、水産と農業を国立専門学校にしたほうがいいと思うのですけれども、政策は逆になっておるが、そういうこととも結びついて相談をしてみてください。海洋科学教育機関として出発する段階にきておるのですから……。  それで、どうも時間がないのでこれで言い放しになりますが、農林大臣にビートの問題で——非常に農民が悲惨な状況になって、政治問題として一応のあと始末ができる。これは五年前の新聞をずっと見ますと、どの新聞もこのビートを——国内甘味資源の開発についての岩手におけるような強力なああいうビートの振興策というものは、農民にとって非常に魅力があるのですね。これがうまくいけば採算のとれる農業になるのではないかという希望と、しかし、一方に政府が政策を変更して、その輸入政策を変更して、砂糖などを入れるというような転換をすれば、これはめちゃめちゃになりますから、政府はそれについて責任を持ってくれるかという問答が非常にあった。その当時貿易の自由化をやって、うまくなくなってしまった根本的な原因が、貿易自由化という政府の政策の転換からきているのです。したがって、今度新しい御指導をなさる場合については、少なくとも一定の期間、農政の周辺にある政府全体の政策というものを変更させないような見通しをつけない限りは、そういうやたらな施策を農民にやらして失望をさせないようにしてもらいたい、そういうことなんですよ。まだいろいろありますが、省略しましょう。それで大臣のお答えを聞いて終わります。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 ビートの転換、この問題は深刻であったことは、私当時もしばしば聞いております。ことにこうした国際経済との関連のある作物につきましては、これは非常にむずかしい問題が入りやすいので、ビートがああいう結論に至ったことは、まことに残念でございます。今日、御承知のとおり、転換対策が一応緒にはつきました。しかし、これを十分安定的に推進してまいるようにわれわれも努力をいたしますと同時に、こういった国際環境の中に立っております農政につきましては、政策の方向づけの点に十分従来のものとの調整はとりながらやってまいりたい。これだけは気をつけてまいるつもりであります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は、華山親義君。

華山親義日本社会党

○華山分科員 いろいろお聞きしたいこともございますけれども、三十分ということでございますから、私も簡潔にお聞きいたしますから、私と同じ程度でひとつ時間を使っていただきたい。三十分も答弁されたら、私一つも質問することができなくなりますから……。  そこで、いろいろお聞きしたいのでございますけれども、三十分ということでございますから、農民年金のことについてお聞きいたします。それにつきまして、厚生省からおいでになっているはずでございますから、農林省にお聞きする前に、厚生省のほうに一応お聞きしたあとでお聞きいたしたいと思います。おいでになりますか。——国民年金における農民の占める割合は、同割でございますか。

綱島衞保険部国民年金課長

○綱島説明員 ただいま国民年金における農民層の方が占めておる割合は、約四割でございます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 約四割の農民が国民年金から抜けた、独立をしたというふうな場合には、国民年金はやっていけますか。

河野共之厚生省年金局年金課長

○河野説明員 ただいまの先生の御質問は、これはおそらく農民年金の問題に関しまして、農民層が独立をした場合に、国民年金がはたしてやっていけるかどうかという御質問だと思うのです。それにつきましては、国民年金審議会におきまして、昨年来検討を進めておりまして、御承知のように、国民年金審議会に農民年金問題専門部会を設けてございまして、ここに農林関係者をも加えまして、農民の特殊性とニードを中心にいたしまして審議を進めておるわけでございます。このように、現在農民年金問題につきましては検討を進めている段階でございますので、厚生省としましては、農民の分離、独立というような問題は別といたしまして、年金制度全体の将来の発展方向を見きわめながらこの問題を処理してまいりたい、このように考えているわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 方針を聞いているのじゃない。現在の制度のままで農民が抜けた場合には、国民年金というものは経営ができるかということを聞いている。

河野共之厚生省年金局年金課長

○河野説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもとしましては、農民が分離した場合に独立できるかどうかということにつきまして試算をしてはございませんが、一般的に申しまして、年金なり年金の被保険者集団というものが非常に少なくなりますと、スライド制の問題あるいは年金の給付水準の引き上げというような問題もからみまして、年金財政というものが苦しくなるということは、一般的に申し上げられると思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 農林大臣は政調会長もやられたことでございますから、自民党の政策をよく御存じだろうと思いますけれども、農民年金というものは選挙のたびごとに総理大臣も言われたそうでございますけれども、これは公約でございますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 農民年金は、この間の総選挙の際に、自民党といたしましては農民年金ということばそのままなまには使ってはおりませんが、農民のために国民年金との関連においてこれの実現を期す、こういうような表現を使っております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 そうしますと、国民年金とは別の意味で、あるいは国民年金に加盟するのかどうかは別といたしまして、一般国民とは別個な年金制度を農民にはつくりたい、こういうことでございまして、これは公約になっているわけでございますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 この点が内容の問題になってまいります。簡単にお答え申し上げますと、国民年金に入っている万々をどういう形でもって農業者の特有な立場を尊重しながら、年金制度を立てるか。したがって、これを一面から見れば農民年金、一面から見れば現状の基盤の国民年金、その中で内容を漸次固めていく。こういう面で、他面から見れば農民年金であり、一面から見れば国民年金を改善発展さしていく、こういう見方で、当時まだ内容を十分詰めた公約ではないと考えております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 十分詰めた公約ではないけれども、概念的には公約なんですね。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 そうです。

華山親義日本社会党

○華山分科員 それで伺いますが、もうすでにこのことを言い出されて——この前の参議院選挙から私は言い出されたと思うが、すでに三年がたっている。もうその後の参議院選挙も始まろうとしているのでございますけれども、どういう段階まで農林省は研究が進んでいるのですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 私の記憶では、正式に自民党として公約に掲げましたのは、この前の一月の衆議院の選挙でございます。以前におきましては、おそらくそれの関係者がいろんな意味で民間その他は研究されておったけれども、自民党として正式に党の公約として掲げましたのは、昨年の一月の衆議院選挙、これで正式に登場してまいりました。それから農林省といたしましては、民間に農民年金研究会というものがございまして、そこを中心に委託をいたしまして、真剣な検討をしていただく。同時に、もちろん国民年金審議会の専門部会のほうへも農業関係者が出て検討しておる、こういう段階であります。

華山親義日本社会党

○華山分科員 それでは、前の参議院選挙で公約だといったようなことは、これは間違い。自民党の候補者、うそを言ってはいけないわけです。それは別といたしまして、公約を出される以上は、自民党としても相談をされたこともあるでしょうし、御研究になったこともあるでしょうが、詳しいことはお聞きいたしませんけれども、公約を出されたその農民年金の基礎的なものの考え方は、どういう点におありになりますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 御存じのとおり、日本農民というものは、まだ非近代的と申しますか、生活が安定していない。老後に対しても十分な保障もない。零細である。いろいろな面から、一つは、老後の保障というものを他の職種産業よりも格差是正等の意味において厚くするという一つの思想があります。いま一つは、構造改善その他農業を近代化する意味におきまして、経営移譲を促進していく、こういうような二つの面からその特殊性というものを出していく。もちろんそれには家族の関係の近代化といいますのも、当然織り込まれておると思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 いつごろから実施されるお見込みですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 お時間がないから簡単に……。大体のあれは、研究は、四十四年に国民年金と関連ある——これは厚生省の所管になりますが、厚生年金の再計算の時間になります。そこで、国民年金制度というものも改正になる四十四年、そこいらを私のほうもめどにしていきたい、こういう考え方です。もちろんこれは保険経済の問題でございますから、ただ観念で固めるだけでなくて、やはり相当後年にりっぱに維持ができるような検討も加えられなければなりませんから、その間の時間等はどの程度になるかわかりませんけれども、一応国民年金制度の改正になるような時期をめどにしていきたい。目標なしにただ研究するというわけにはいきません。

華山親義日本社会党

○華山分科員 そういたしますと、四十四年には実施するのだというふうなことで、われわれは今後了解をしてまいってよろしゅうございますね。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 これは御存じのとおりに、最終的に国民年金審議会の議を経て成案を得なければなりません。したがって、それはあくまでも国民年金が改正されるというような時期をねらっていくべきが一番穏当じゃないか。したがって、四十四年に実施されるというふうには、私はまだこの席では、財政その他も加わってまいりますし、成案を得たものを政府全体でどうこなすかということでございますから、そこまでは御確約はできませんが、一つのめどである、こういうふうにお考えおきを願いたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 そういたしますと、国民年金は四十四年というふうな大体のめど、そういうことはわかりましたけれども、海のものとも山のものともつかない、内容はもことしたそういうようなものであると理解していいのですか。一応はそういうことをしたいという自民党のお考えでもあるのですが、あるいは農林省のお考えがあるのでございますが、そこを少し具体的に、たとえば何円の掛け金で何歳後にはどれくらいやるのだといふようなめどは全然ついておらない、これから研究するのだ、そういうふうな段階でございますね。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 これは何と申しますか、一種の年金経済でございますから、また諸外国にもいろいろな例があると思います。そのような面でおそらく——私は内容的には十分存じておりませんが、この年金問題研究会という権威者のところで、あるいは国民年金の審議会の専門部会で、相当そういうものをもって検討は加えられる。ただ、内容が全然なく、ことばだけ農民年金というようなことをとってやっておるわけではないと私は思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 もう時間も惜しいのでございますから、私、なんでございますが、お聞きいたしたところ、具体的には何らのこともまだきまっておらない、四十四年には農民年金というふうなものをやるということを公約しておいでになる、そういう段階だと思うのでございますけれども、農民はそうは理解しておらないですね。そして今年あたりはもう農民年金というものができるのだ、自民党が公約したのだから農民年金はできるのだ、したがって、もう国民年金なんかにはわれわれは関係ないのだといって、国民年金の金の集めに地方によっては非常な苦労をしておる、そういうふうな混乱状態を起こしているわけでございます。  それから伺いますけれども、大臣のお耳に入っているかどうかわかりませんが、農業会議等が、あるいは別個の名前でつけてあるかもしれませんが、農民年金実現運動のために、運動なさるのはいいでしょうけれども、農民から金を集めている。そういうことをどう思いますか。どうなるかもわからないし、どれだけの掛け金でもらえるものか、さっぱりその見当がつかない。そういうふうなときに、おしなべて一戸百円。ですから、われわれの地方でいきますならば、一年間一千万円の金を集めておる。そういうふうなことは、ただ農民というものを圧力団体化するのじゃないか。そういうふうな運動について大臣どうお考えになりますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 農民団体が農政のいろんな指導をやっておられるその中において、農業者の老後の安定であるとかその他の目的を持って、そういった年金制度を立ててほしい、こういう要請があることは、われわれも正式の場におきましても聞いております。たとえば農業会議、しかし、これは農政の範囲でやっておられます。それから、もちろん民主主義の世の中でございますから、いろいろな形でもって、それぞれの職域なりの方々がいろんな意見を持って推進をされるということは、一つの政治運動と申しますか、啓蒙運動でおやりになること自体は、別にわれわれがかれこれ言うべき筋合いではない、こう思うのであります。ただ願わくは、一つの行政機関が節度をやはり持ってやっていただきたいとか、それから運動をなさる中心の方々も、あくまでも事態の推移を正常な形でやっていただきたい。お話がありました国民年金の問題で、もうどうせ変わるんだから年金の掛け金をやったって意味ないやというようなことがありますと、これは国家の現行の制度をこわしてしまいますから、そういうところは、われわれのほうからも、そういう運動をなさる方、それから団体があれば、誤解を生ぜしめないように留意をしていただきたいとお願い申し上げます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 われわれが青年等の集まりに出てまいりますと、こういうことを言いますね。農民年金というものは自民党が公約したことじゃないか、佐藤総理大臣でさえもそう言っているじゃないか、公約したことについて、なぜ百円ずつでも金を出さなくちゃいけないのか、こういうふうなことを言うのでございますけれども、そういうふうな点、農業会議の名前でやっているかどうか知りませんけれども、とにかく農業会議というのは一面公的機関です。そういうふうな団体が金を集めて運動する、これから三年か四年かかるわけですけれども、毎年、毎年一千万円の金を集めてやっていくなどということは、県によっても違うでしょうけれども、私はおもしろくないことだと思うのですよ。そういう点、農林省といたしまして、そういうことをやめろと言えない立場にあるということは私わかりますけれども、どうお考えになるのですか。できない場合にはどうなるんだ。金を集めたけれども、その人には適用されなかった場合には、一体どうなるのです。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 私は、会議所等一つの農政の行政機関自体が意見を持つ、これはけっこうなことだと思います。それから、民間がいろいろな団体をつくられまして、農民なり農政のために推進運動をなさることもけっこうだと思います。また、わが党が農民のために何らかの形、これは研究、検討を進めておりますし、またわれわれも、農民年金を、どういう内容かは別としまして、実現したいという意欲を持っておることは、はっきり申し上げておきたいと思います。この推進の過程において行き過ぎがあり過ぎたり、あるいは誤解を与える、こういうようなことだけはお互いに慎んでもらいたい、このように考えております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 それで、われわれといたしましても、農民年金そのものにつきまして反対をしておるわけではない。どういうふうなあり方かが問題だと思うのでございますけれども、これが小さな農業、いわゆる小農がその農地を捨てるといいますか、離れるといいますか、そういうことのために農民年金一いう制度を設けるとか、あるいはいまの政府の考えていられるような大きい土地、大きい規模に農業をしようというところの方便としてこれを使うとか、そういうことがあるということになりますと、われわれとしては反対をすると思いますが、そういうふうな他の農政と結びつくところのものでございますか、どうですか、伺っておきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 もちろん、との農民年金の内容につきましては、これからだんだんに多くの方々、また同時に、将来は皆さんの御意見等を伺う、そうして固めていかなければならない。その場合に、一つは老後の保障、それからもう一つは、やはり私どもとしては、日本の零細農というものが自発的に大型、近代化していくということは望ましい姿だ。そういう意味においての経営上の足しになるということも、農民年金としての方向じゃないか、こんな考え方を持っておるわけであります。

華山親義日本社会党

○華山分科員 私は、現在多くの農民の青年が、農業に対しまして、だれが何と言おうと不安を持っております。それで、そういうふうな精鋭——先ほど大臣が言われたような農民の中の優秀な人たちが農村に残って、そうしてその地方の、自分のうちばかりでなく、その地域におけるところの農業というものに貢献をする指導的立場に立つ、そういうことに対して勇気を与え、そういう意味での農民年金、それから、今日われわれの知るところでは、まだまだ家庭生活が近代化しておらない。それだから、お嫁さんになり手もない、こういうふうな実態、そういうことについて、将来の農村のことを考え、また後継者のことを考え、そして今後はますます農村婦人が農業に働かなければいけないということと思いますけれども、その人たちに希望を与え、農村に定着する、そういう意味での農民年金であってほしいと私は思います。大臣の所見を伺っておきたい。ただ離れれば金になる、そんなことで、大体小農をつぶすために農民年金なんというものをつくってみたって、役に立ちません。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 その点は、私どものほうでもそう考えております。つぶすようなための道具ということではなしに、あくまでも老後の保障として、優秀なる青壮年、また御婦人がりっぱな近代的な家庭をそこにつくって、そして老後を安定していくというような形、それから同時にまた、経営を委譲した場合でも、年金として受け取った方々に対しても一つのささえにもなる、これはいいことじゃないかと思います。そういうような意味で考えております。

華山親義日本社会党

○華山分科員 大臣のあとのつけ足しが私は気に食わないのです。そういうふうな意図を持ってやっちゃいけませんよ。年金というものは、そういう性格のものじゃない。一種の社会保障的なものなんですから、そういう政争の具に供するということは、私はいけないと思うのです。  まだ時間がちょっとありますから、お聞きいたしますが、いろいろ先ほどお述べになりましたけれども、今度の予算を見ますと、少しも農業の発展はございませんね。一体、どこに予算面に農業の発展なり農業の展開なりが出ておるのですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 官房長から……。

華山親義日本社会党

○華山分科員 大臣に聞いておる。数を言わなくたっていいですよ。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 檜垣官房長、簡潔に願います。

桧垣徳太郎農林大臣官房長

○桧垣政府委員 本年の農林省予算につきましては、昨年八月、農林省といたしまして、従来の農政の経緯の中で、特に政策的に補強を要すると考えられました、いわゆる農業構造政策の展開のために、その端緒となるような予算について措置をいたしましたこと、それから、公共事業全般の抑制的な予算編成の中で、農林水産業関係の公共事業については、相対的に予算の確保ということについて厚くしたというような事柄、さらに流通改善ということは、同時に農業の進歩にも関係があるわけでございまして、それらの点について新しい予算あるいは制度等を取り入れるというようなことで、私どもとしては、本年の予算の性格を持たせたつもりでございます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 農林省の一番重要だと思われる——私もそう思うのでございますけれども、内容については別でございますが、農業基盤の整備につきましては、昨年の一千九十四億から八十九億しか増してない。増し率は六・七%、こんなことでは事業の伸びるわけはないじゃないですか。物価に全部食われてしまう。物価にも及ばないですよ。そういう実態なんです。それからいろいろなことを見てみますと、たとえば農業経済圏整備事業というものがある。これは昨年は四億九千七百十九万、ことしは四億九千七百四十九万、三十万円ほど増しておりますけれども、こんなのはもうまるで、去年予算があるんだからそのままにしておきなさい、まあ、あるものを削るわけにもいかないだろうから、そのままにしておきなさいという意味でつけたものじゃないですか。三十万円だけよけいになっているのであります。まるで農業というものは、もう予算につきましても政治の圏外に出ている投げやりの予算ですね。そう思いませんか。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 農業基盤整備事業の予算については、先ほど官房長からも申しましたように、本年度の予算では、公共事業の伸び率は全体の経済対策上押えるという方針でございましたので、お話しのような数字になっておりますが、ただ、実質的には、愛知用水公団の事業が完了いたします等のこともございますので、伸び率としては約倍近い一二%前後の伸び率になるはずでございます。

華山親義日本社会党

○華山分科員 とにかく、この農業経済圏整備事業が去年と全く同額な——三十万ばかりつけられておるけれども、そういうふうな予算のつけ方というものは、ほんとうにまじめに大蔵省、農林省が研究を重ねたかどうか、去年ついているのだからことしもそうしようという程度のことじゃないか。私は、農業に対して政府がほんとうに考えているのかどうか、非常にあぶないと思う。そのほかにも私は一、二例をあげたけれども、何についてもそうですよ、この予算は。  それから、その点につきましてお伺いだけしておきますが、一つお願いをしておきますけれども、決算の報告を見ますと、決算の指摘事項というものは、総じてどういうところに多いか、大体寒冷地、それから雪の降るところ、そういうところに多いんですね。なぜかと申しますと、冬が早く来て、コンクリートに影響があるからなんです。内容を見ますと。それで、私は前々から申すのでございますけれども、五月の県議会で本格的な公共事業が県できまって、そして仕事を始めるのは六月。もうそれから農繁期に入って、十月ごろになってきますと、寒冷地の人々は多く出かせぎに出てしまう。人がいなくなる。そういうことで大急ぎでやる。終わらないと寒くなってからもやる。そういうことのために、私は不当工事が多いんじゃないか、こう思っている。そういうふうなところにつきましては、特に早く事業を決定する、そういうお運びを願いたいと思うのですけれども、いかがでございましょう。

桧垣徳太郎農林大臣官房長

○桧垣政府委員 まず、最初の農業経済圏の予算でございますが、これは経済圏のみに限りませんで、年次計画で財政支出額をほぼ概定をいたしておるものにつきましては、年次計画に従うわけでございまして、経済圏については実験事業ということで、総計十地区の地区数をふやしていないわけでございます。それの継続事業でございます関係上、予算がふえなかったのでございます。  それから、公共事業等についての会計検査の指摘につきまして、総体的に農林省について申しますならば、災害復旧事業のようなものに種類としては多い。それから、農業の特殊性からいって、事業の季節制約を受けるということから、そういう点が会計検査上問題になる、こういう場合が多いのであります。したがって、積雪地帯等についてその傾向が濃いということは、御指摘のとおりでございます。でございますので、地元において事業計画についての手続等の完了いたしておりますものについては、従来ともそういう季節制約をなるべく支障のないようにするよう、早期に予算配分をするようにいたしておりますが、今後ともそういう方向で検討いたし、実施をしてまいりたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山分科員 じゃお願いいたします。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 御協力ありがとう。  次は、久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 私は、主として水産庁の関係をお尋ねいたします。  時間もありませんので、簡単に二、三お尋ねするのですが、一つは船員法の問題であります。御案内のとおり、船員法の適用になる漁船の乗り組み員、これは第一条第二項第三号で、一口で言うならば、二十トン以上のものであれば船員法の適用になる。ところが、一般の船の場合は、御承知のように、五トン未満はこれは適用にならない。五トン以上のものはすべて船員法の適用範囲になるということであります。従来これは三十トンの制限でありました。それが三十八年に二十トンまで引き下げて漁船船員には適用させるとなったのであります。この船員法の適用あるいは除外という問題は、非常に大きな問題であります。特に労働慣行というか、そういうものが特殊な条件下にある、あるいは漁業そのものが、言うならばあまり近代化されていない、そういう時代もありましたので、おそらく三十トン未満は適用しない、改正でも二十トンまで下げて、一般の汽船、そういうものに比較して非常に大幅な制限を加えているということがあるわけであります。  そこで、もはやそういう時代ではなかろう。と申し上げますのは、労働力も質を高めていかなければならぬ時代に相なりました。漁労もそういうわけで、機械化、省力化の焦点で、労力の問題を解決しようとしているわけであります。ところが、船員法の適用もない小さい船、そういうところに雇われているものは、大体九万ないし十万人いるわけであります。これは何らの、と言っては語弊があるが、保護も受けていない。大きい船、いわゆる二十トン以上の船と同じ漁場で、同じ漁法で、同じ魚をとる仕事をしていながら、船員法という一つの法律のために差別をされているというのが、今日大きな問題になっているわけであります。そこで、申し上げたいのは、近代的な労働をこの中へ入れるとするならば、やはりこの制限を撤廃することの先決ではないか、こういうふうに考えるわけであります。水産庁当局としてはどうなんであるか。いままで過去の経験に徴しますれば、三十八年の改正のときにも、たしか農林大臣もそのころ御関係になっているかもしれませんが、そのときも抵抗は業者団体からあった。それを代弁すると言っては語弊があるが、水産庁の抵抗が一つはあったということで、二十トンに妥協したということを聞いております。もちろん、それは正式にはそういうことではないと思うのでありますが、そういうことを考えますと、そのまま二十トンの制限を置いて押し込めることは、安全の問題からいっても、これはたいへんだということですね。すでに昨年北洋で七、八トンのいわゆる小型底びきが引き続いて全損の遭難を受けている。こういうものを考えますと、やはりこれ一つじゃございませんが、船員法の適用、すべてが船員法が基準になっておりまして、船舶安全法の問題もそのとおり、船舶職員法の問題もそのとおりということでありますので、基本となるべきところの船員法の制限を撤廃することがまず先決だろう、こういうふうに考えるのでありますが、御所見はどうですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 漁船船員の労働条件の問題あるいは船舶安全という見地から、御指摘のような問題が二十トンを境としてあるわけでございます。私どもといたしましても、この問題を一番苦慮いたしておるわけでございますが、船員法そのものの適用につきましては、他の関連もございまして、やはりどこかに一つの線を引かざるを得ないというふうに考えております。ただいまでは船員法関係では二十トンという線がございまして、それ以下の問題になりますと労働省のほうでお扱いいただくということで、私どもそれぞれの労働省なり運輸省なりと事務的な御連絡はしておりますが、現実に数が非常に多うございますので、労働それ自体の法規の適用につきましても、行政実務上もはなはだ実は難点があるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、その切れ目の問題は依然として残るわけでございますが、いわば二十トン以下の漁船の船員の労働条件につきまして、一挙には解決はできないと思うわけでございますが、順を追いまして適用の問題を考えなければならぬということで、三省あわせまして協議をいたしておる段階でございます。  なお、御指摘のございました船舶安全法の関係でございますが、御承知のとおり、二十トン未満の漁船の海難事故が頻発いたしまして、この点につきましても、私ども一番ほっておけない問題といたしまして検討に入ろうとしているわけでございますが、あるいは後ほどの御質問で出るかと思うわけでございますが、漁船特殊規程といったようなものがございまして、これらの運用につきまして今後検討してまいりたいと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 たくさん時間がございませんから、この船員法の改正について、いまお話しのように三者で相談していこう——労働省も関係ございましょう、運輸省は当然のごとく関係があるわけでございます。きょうは運輸省から厚生課長お見えですか。——いずれにしても、長官、それじゃ具体的にどうするのか、ひとつ御明示いただきたい。三者で協議するという答弁だけではわれわれはどうも納得しがたい。この問題は、今日までも非常に長い経緯をたどってきているのでありますから、もう三十八年の改正のときにも附帯決議が当院でしてあるはずであります。だから、具体的に三者との協議にいつからどういうふうに入るか、御明示願えればいいと思うのです。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 役所風にお答えいたしますと、所管が労働と関係はないわけでございますが、私どもはさようなことは全然考えておりませんので、実際的には私どもに一番関係があることでございますので、具体的な協議を進めたいと思っておるのでございます。今日までの準備といたしましては、船員の労働の組織の方と定期的に会合を持ちまして、年数回この問題につきまして私どもの幹部全部出そろいまして、問題点を一つずつ積み上げておるわけでございます。その懇談会でいつも最終的にぶつかります問題は、問題点はある程度わかるわけでございますが、非常に隻数が多うございますので、それをかりに行政的に処理いたします場合の体制につきまして、私ども手足を持っておりませんし、また労働省におかれましても、一連の陸の関係が主体になっておられるような実情でございますので、ある問題を下におろそうといたします場合に、まず行政のどういう部局でどの程度のことをねらいにするかといった具体問題が必要であろうということが、大体労働者側の御意見もさようでございますし、私どもの痛感いたしておりますのもさような問題でございます。したがいまして、私どもこの問題をほうっておるわけじゃございませんが、相当詰めをいたしませんと、要綱なり法律を出しましても、それのほんとうの実施に自信が持てるかというところが問題でございますので、もう少し時間をいただきたいと思っております。私どもといたしましては、さらにいまの懇談会の会合を重ねまして、相当具体問題から、手のつくところからでも始めたいという気持ちでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 どうも役人の親方でありながら、何か自信がなさそうでありますね。役人というのは、命令を下せば下まで通ることになっているのですよ。あなたは実態の把握ということをおっしゃるが、これは運輸省も同じことを言うと思うのです。けしからぬと思うのです。実態の把握ができないでどうして許可漁業をやっているのですか。県知事なりあるいはあなたのほうでも直接許可しているのです。実態の把握がないのにどうして許可ができるのですか。それ一つつかまえればいいのですよ、はっきり言えば。そうでしょう。どういうことなんです。ぼくが言うのと違うのですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 おっしゃる意味はわかります。私どもといたしましては、申し上げておりますのは、相当数が多うございますので、これらの保護のいろいろな規定を設けました場合に、これを浸透させるにつきまして、正直に申しますと、自信がないわけでございます。しかし、これはあくまでやらなければならぬと考えますので、段階を追ってやらしていただきたい。また、やります場合にも、問題をある程度特定して、できるところから手をつけていきたいというのは、いま役所側で申しますと、海上保安庁、運輸省あるいは労働省、私どもの全陣容を動員いたしたといたしましても、漁船に対する労働法規の適用を浸透させることについては、現実的に非常に困難があるということを率直に申し上げただけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 それは何事だって困難のないような仕事はありません。もっとも、最近これは運輸省と労働省が、特に運輸省が担当のようでありますが、ILO百十四号、いわゆる漁船船員の雇入に関する条約、この批准をしようとしているわけでありますが、これは一番やさしいのです。現状のまま批准だけすればいいというのですからね。漁船船員の実態は二十トン未満はそのままにしておいて批准しようというのですから、これなどは、これならばできましょうということですが、こんなことは、あたりまえの話です。何事によらず、苦労しないでできるようなことはありませんよ。しかも、漁業の面はあなた御承知のように、前近代的とは言わないけれども、それに近いものもあるわけです。特に小さい船においてはそのとおり。それで、まごまごしていればどんどん死んでいくのじゃないですか。一人も残らず殺されてしまう。それを困難だからといってそのまま放置していいはずのものは私はないと思うのですね。しかし、わかるけれども、困難だからどうしたらいいか考えている。ずいぶん考えるのが長いと思う。もっとも、長官は最近におなりになったかしりませんけれども、三十八年から考えていれば、たいてい結論が出そうなものだと私は思う。やる気がないんじゃないかと思う。それは業者にすれば、いまのままのほうがいいのですよ。たとえば、さっき申し上げたILO百十四号を現状のまま批准しようというのはやさしい。二十トン未満は一番困る。雇い入れの問題がありますが、雇い入れの問題にしても、正規の手続じゃなくたっていいんですから、まごまごすれば、救われなくちゃならない者が救われていないわけです。救われなくちゃならない者を救うのが政治じゃないでしょうか。あるいは行政じゃないですか。だから、その点をひとつもう少しはっきりしてほしいのです。もっとも、あなただけの責任じゃない。むしろ中心は運輸省ですよ。だけれども、あなたに御質問しているのは、抵抗を弱めなさいということを言いたいので、私はいま言っているのです。それに対して、業者を説得しなさい。業者の抵抗をそのまま受けてきて、二十トン未満撤廃反対ということを陰になってやられたのでは困るので、この機会に御質問を申し上げているのです。どうですか、私の真意はわかっているでしょう。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 御質問の趣旨はよくわかっておるつもりでございます。私どもといたしましては、最初に御指摘のございましたように、最近の事情、またこれからの展望を考えました場合に、狭い意味の労働問題——と申しますよりは、漁業経営の長期の発展を考えます場合に、相当真剣にこの労働問題と取り組まなければならぬという態度を持っておるわけであります。所管の関係で幾つかの省に分かれておりますが、運輸省並びに労働省と突っ込んだ御相談をいたしまして、御期待に沿いたいと思っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 時間もありませんから、この問題はこの程度にしますけれども、私は忘れませんから、この国会中に再び、これは別な席で時間をかけてお話を申し上げたいと思うので、ひとつ本日からしかるべく御配慮いただきたい、こういうふうに思います。  それから次には、先ほどお話がありました特殊規則によるところの従業制限の問題は、従来から長いこと、国会において私がお願いを含めてお話を申し上げてまいりました。先ほど申し上げた北洋におけるところの五トンか六トン、大きくても七トンか八トンだというものが百海里あるいは五百海里も——五百海里はどうか知りませんけれども、三百海里くらい出ていく。そうして一週間も操業しております。これはトップ・ヘビーで、いつでも霧氷にかかってひっくりかえってしまう。結局従業制限の規定を先ほどあなたはお話しになりましたが、われわれが言うのはもうおわかりのとおり、装備能力、そういうものに応じて操業範囲をきめなさい。これは非常に古い規定でありまして、いまの日本の漁業の実態には合わないものであります。だから、これもひとつ変えなさいということを従来から言っているんだが、これは目鼻がつきましたか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 従業制限の問題につきましては、たびたび御指摘を受けまして、私どもといたしましても、この点はぜひ直さなければならぬと思っておるわけであります。一般の船並びに航行区域をきめておるものに対しまして、非常に古い規定で、昭和九年でございますので、当時としてはあの第一種、第二種、第三種の沿岸の部類とあるいは沖合い、遠洋に属するものということで、一つの考え方であったかと思うのであります。つまり、漁船の場合には、操業の場合の安全という問題が入りますために、漁業種類で分けるのも一つの考え方であったかと思うのでありますけれども、その後に大きな変化がございまして、ただいまの現況で申しますと、あのような第一種、第二種、第三種というような形で安全の諸規定を分類するということは、はっきり実情に合わぬと考えますので、私どもといたしましても、これはぜひ直さなければならぬという考えでおるわけであります。これにつきましても、すでに相当の時間がかかっているというおしかりがあろうかと思います。実はその問題につきまして、相当前から準備を進めているわけでございますが、今回造船技術審議会のほうでもはっきりした御答申が出ましたので、これを機会に、私どもといたしましても、早急にこの検討に入って、できるだけ早い機会に直したいというふうに考えているわけであります。  なお、そのために種類を変更いたします場合に、若干他の問題も出てまいりますので、一挙に一般の形と同じような形にし得るかどうか、若干の疑念があるわけでございます。さような場合におきましても、現在の場合のままであっても、早急に是正すべきものにつきましては、技術水準の向上も考慮に入れまして、同時に船舶職員法等の関係法令の問題もございますので、この辺も考えまして、それの調整のつく限り現状におきます従業制限の種類を変更いたしまして、とりあえずの措置はとっていきたい。しかし、基本的には、おっしゃるように、いまの漁業種類で分けるという方法でない方向で成案を得たい、こう考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 いつまでにめどをつけるというか、成案を得るお考えでありますか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 それはいま申しました船舶職員法関係の人的な確保の問題もございます。したがって、さような実情も考慮に入れまして処理をいたしたいと考えますので、いつまでということがはっきり申し上げられぬのが非常に残念でございますが、私どもといたしましては、今日でも事実は、漁船特殊規則の中で特殊な条文につきましては、いまの第一種、第二種という考え方でなくして、条文を直している部分もございますので、実情に即しまして、現在でもできるものはどんどん直していくし、基本的にはあのような漁業種類で分けるやり方を変えたいということで作業に取り組みたいと思っております。この機会にいつまでということはちょっと申し上げられないわけでございますが、これにつきましては全力をあげまして、できるだけ早い機会に処理いたしたいと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 いまからおやりになるようで、またこれも大きい声が出そうでありますが、遠慮しておきましょう。けれども、これは少しひどいですよ、長官。いまの話だと、これは何にもやっていないということですよ。やっておりますか。やっているなら、どうぞ文書に書いたものを出してください。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 これの作業につきましては、四十一年ころですか、事実上の作業はやっておるわけでございます。また、事実そういう方向で、現行法の中でも直すべき条文は直しにかかっているわけであります。ただ、全体の体型がいまの一種、二種、三種というかっこうで縛られておりますので、それをすっかり変えますには若干の時間を待ちたいと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 それはできるものは手直しというのですか。そんなのはどうでもいいとは言いませんけれども、それは二の次でもよろしいんです。問題は、あなたがおっしゃるように、漁業によるところの区別、いわゆる基本になっている従業規則の基本を変えるということですよ。これは非常に問題が多い。労働力の問題もございます。それから労使の関係もございます。それから許可の問題もある。そういう全体に関係することだから、一応の結論というか、方針をきちんときめてからそれぞれの対策を立てなければできない仕事です。だから、私はしろうとでよくわかりませんが、少なくとも方針なり改正するときめたならば、それをやる時期というのは、漁業権の一斉更新の時期をねらってやるべきだ。そういうものにあわせてでなければ実際はできない。そうでしょう。一斉更新はこの次は何年です。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 一斉更新は、四十二年を中心といたしまして現在の更新をいたすわけでございます。これから五年後ということになるわけでございますが、一斉更新の機会に、少なくとも私どもといたしましては、現在問題になっておりますような労働関係の問題につきましては、相当突っ込んだ議論をいたしまして、それの切りかえの現実的な可能性ということを考えまして、段階的に進もうという方針をとったわけでございます。おそらく次の更新期にかかりますまでに労働関係の諸法制というものも相当整備されるだろうというふうな考え方で、せっかくいままで積み重ねました勉強会を、これは漁業労働者の組織とも相当定期的な会合を持ってきておりますので、それらの検討を積み重ねまして処理に当たりたいと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 会合だけ重ねたってどうにもならぬわけですね。どうやらなければならぬということはわかり切った話なんです。そこへどう運んでいくかという問題だけですよ。これもあとから時間をかけてお話を聞くことにいたしましょう。  それから、最後にお尋ねしたいのは、搭載母船式漁業というものはいまでもそのままやっておりますか。漁艇を搭載していく母船式の漁業。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 搭載式のものはやっております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 搭載式のものをやっている。半搭載式はやらないというのですか、そういうことですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 漁船課長にお答えさせてよろしゅうございますか。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 いいですよ。ただ時間がないから、簡単にやっているかどうか聞けばいいです。

小島誠太郎水産庁生産部漁船課長

○小島説明員 半搭載式のものは、漁艇を本船のほうに半分だけ引き揚げまして航行する、こういう定義のものでございまして、非常に安全上よろしくないので、これはやらないように指導いたしております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 やらないように指導しているということでありますね。ところが、やっているのですよ。半搭載式は、あなたが言うとおり全く危険ですよ。  それからもう一つは、搭載式母船漁業で、搭載された漁艇が漁場を移動する場合は、小さい漁艇のままで曳航していくわけですね。非常に危険ですね。それから衛生の面からいっても、これは非常に過酷な労働条件下に置かれるわけですね。本船じゃないですからね。食事の場合もあるいはその他の場合も、小さい漁艇の中で生活をしておる。これは長官、水産庁の方はこういうものに乗り組んで実地に調査しておられるのですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 漁船の担当のほうではもちろん検討いたしておりますけれども、いまのお話の問題は、私どもの先ほども引用いたしました懇談会では、しばしば出る問題でございまして、厳密に申しますと、非常にあぶないので、そういうことてやってはいけないということになりますし、現実にそうやっているとすれば、その中に若干の施設が要るのではないかといったようなことで、実は漁業労働者の関係の中でも若干の意見の食い違いがございます。しかしながら、私どもといたしましては、方向といたしましては、あくまで安全ということを前提に置いて割り切らなければいかぬ問題だと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 この漁艇の曳航による危険というか、こういうものは再び厳重にこれは取り締まるというか、方針としてやらせないということを確立すべきだと思うのですね。時間がありませんから、これは要望しておきますが、もう一つは、先ほど私が尋ねた、水産庁の役人の人はそういう漁場へ行って漁業の実態を調査しておりますかということについてお答えがないのだが、やっておりますかということ。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 これは各種の漁業につきまして、漁業監督官として乗り組みまして、経験をいたしておるわけでございますが、小さな規模の漁業になりますと、直接私どもの関係者が乗り組んでいくということは現状においてはございません。しかしながら、水産庁におります間に、あるいは水産庁に入りますまでに、さような漁業の経験を持ったということはあるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 時間がないから、いずれも結論なしだ。大体網が切れちゃった。切れている網は、ほころびているから、これは水産庁で修繕しなさい。あの小さな船での漁法が一番問題なんですね。大きな船に乗っかって、大洋だとか大日本水産だとか、そんな母船に乗っかって調査したって、やらないよりはましですが、小さい七トンや八トンのやつにたとえ乗っていくといったって無理ですから、指導船だってあるでしょうから、それに乗って実態を調査しなければいけませんよ。長官、そういう予算は出さないの。大体調べもしていないよ。だめだよ。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 なるべくさような経験をさすようにいたしたいと思います。  なお、この種の問題につきましては、私ども実際に乗り組んでおられます漁民の組織と連絡がございますので、相当詳細に内容は伺っているつもりでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 大臣、総括的に御返事をいただきたいのですが、やりとりはいまお聞きのとおりであります。必ずしも小さい漁業、その中で働く者の立場というものが法の上で守られていない面もかなりある。危険性もある。だから、それぞれこれから御検討なされるようでありますが、積極的に取り組むように御指示と御鞭撻を与えていただきたい、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 御意見のほどは十分承りました。十分努力はいたします。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 御協力ありがとうございました。  次は、吉田賢一君。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 できるだけ簡潔に伺いますから、ひとつよろしくお願いいたします。しろうとの談義でありまして、格別深く掘り下げたものではございませんが、大臣にしかるべくお願い申し上げたいと思います。  大臣、私はこういうふうなことを考えるのです。あなたは長く在任されますならば、ぜひひとつそういう心がまえでやっていただきたいと思いますが、やはり農政というようなものは、特にきめのこまかい手が打たれるということが大事ではなかろうかと思われます。したがいまして、以下二、三点伺うことは、考え方によりましたならば、小さい問題のようでございますけれども、しかし、小さい問題のようで一般的に重要性のあるということが特に農村で感ぜられますので、そういう趣旨においてお尋ねしたいのであります。  最近、大都市を中心にしまして、人口が過密化しておりますし、農村はどんどんと労働力が流出いたしまして、過疎化しつつある。こういう現象やら、それからまた、最近のことですが、消費ブームが食糧消費の状況を一変いたしまして、非常に多様化、高度化といいますか、しておるのでございます。こんなようなときに、国際的な大きい流動がある際でございますので、食糧の生産という観点から、もう一ぺん掘り下げて根本的に考え直す段階にきているのではなかろうか、どうもこういうふうに思われます。  そういうような前提に立ちまして、私の一、二指摘したい点は、特に構造改善の施策のうちの農業労働力の確保の点についてでございます。非常にむずかしい問題でございますけれども、労働力を農業に確保していくということは、基本的にはどうしたらいいか、具体的にどうしたらいいのか、一体どこにほんとうの隘路と解決の道があるのか、それをひとつまず前提に端的に伺っておきたいと思います。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 農村のほうから労働力が都市に近年流出をしておりまして、農村においてもある意味では労働力が窮屈になってきておるというふうな事態が起こっております。そういうことに対しまして、私どものほうでやっておりますのは、農業委員会を中心にいたしまして、労働力の季節的な調整をはかっていく、あるいは地域的な調整をはかっていくというふうなことで、短期的な対策としては考えてやっておるわけですが、ただ、御案内のように、労働力のこういった流動化というのは、やはり経済の成長に伴う一般的な傾向ということでありますから、根本的には、そういった労働力が流出いたしまして、ある程度人口が減ってくるといったようなことに対応して、経営が十分やっていけるように、いわゆる労働生産性の向上といいますか、あるいは技術の革新といいますか、そういったことで対応できるような技術なり経営のあり方を指導していくということが根本であろうというふうに思っておるわけであります。  それからもう一つ、そういった量的な面もございますが、質的にはやはり近代的な農業経営をになっていく経営者を育成していくという意味で、特に経営者の質の向上ということに政策としては重点を置くべきであるというふうに思っておるわけであります。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 私は、最近、たとえば国会論議におきましても、また世論の動向から考えましても、端的に言って、農政が非常に大きくクローズアップしたということは見ないのであります。ここに私は大きな問題があると思います。それはわかるのです。もちろん、機械は高い、技術は低い、また百姓は引き合わない、そこで、労働力が流出する、こういうことになりますから、残っているのは、じいさんとかばあさんとか、嫁さんとかいうことになっていくのでありまするが、それは、根本的にほんとうに取り組む姿勢が私は欠けているのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですね。そこで、それならば、引きとめるというて、いまおっしゃるようなそんな程度で、一体実効があがっていくのだろうか。現に、論より証拠、統計の示すところによりましても、ごく、最近、兵庫県あたりにおきましても、兵庫県は百万の農業人口を持っておりますが、現実に中高卒が四十年度で定着しましたのは三%しかないのであります。これが実情なんです。全国統計、四十一年に六%とかといっておりますが、これが実情なんです。都市近郊の農村などになりますと、断然流出が圧倒的絶対性を持っておる、こういうふうにいっているのです。こんなときに、中途はんぱな引きとめなんということではどうにもなりません。どうすればもっと採算のとれる百姓ができるのか、どうすればもっと流通に便利な農村であり得るのか、つくったものをもっと便利に運び出せる道はどうしたらいいのか、あるいはまた、機械をもっと安く、技術をもっと高く、あらゆる角度から手をつけていかなければいかぬ、こう思うのです。いまのような程度では労働力を確保するということは不可能であることは、論より証拠、統計が示しております。統計ではもう絶対量は減るのみであります。減ることが理想だという議論もございます。しかし、それはまた別の角度からの議論でございますので、ひとつよほど腰を入れぬと、大臣、これはいかぬと思いますがね。だから、あなたといたしましても、いまの農業構造改善の中核は労働力確保にあり、労働力確保ということについて、もっと画期的な断固たる重要施策をこの際打ち出すということをしなかったならば、農政は前進をしませんよ。だから、米の高いのをねらうという百姓ばかりになります。都市近郊は、農地を宅地化して売っていくという百姓ばかりになります。この間、青森あたりへちょっと旅行してみましたら、やはりリンゴ畑を宅地にしたい、なぜか、宅地だったら売れるから、こういうようなことを百姓がしているという傾向が全体に風靡したら、これはたいへんであります。米は、外国では、アメリカあたりにおいては半値です。こういうことを思いましたならば、輸入量の実情から考えましても、私は、もっと真剣にこれは取り組んでいく必要があって、その焦点を労働力確保という点にしぼるということが、大きな農政の柱になってしかるべきじゃないかと思うのです。これは事務的な処理じゃなしに、私は国策といたしまして重要と考えます。言うならば、基本構想であり、施策の重点にあるべきだと、こういうふうな考え方を持っております。どうでございますか、大臣。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 吉田先生の御心配、ごもっともで、私も同感であります。大きな農政の曲がり角といわれてここ数年来きておる。ただ、御存じのとおり、日本が近代国家として全体の経済の飛躍もしなければならない、その中においてのまた農政である、こういうむずかしい両面があるわけであります。また同時に、農業の占める使命と申しますか、そういったものも考えますと、これは経済だけではない、経済以外の面からいっても、農業の占める地位というものは非常に大きなものがある。そこで、どうしたらいいか。農業の近代化と申しますか、経済の面から見ても採算のとれる農業、もう一つは、農業をやること自体が誇り得るのだという形を周辺からつくり上げていかなければいけない。金だけの面でいけない面も私はあると思います。それら両方を考えつつやっていく。そうしてその中に最終的には質のいい人を残していく、こういうことになると思うのであります。単に労働力の量だけではなくて、やはり質の向上という問題も当然起ってくると思います。  そこで、私どもは、具体的にこれをあらわしてまいりますと、構造改善であるとか、それを基本にしてのいろいろな具体的施策というもの、ただ、これは一挙に急激に何かやり得るのかというと、やはり今日までに構造改善事業等も農業基本法を土台にしてずっと推し進めてまいっております。それをやはりさらに発展、推進さしていく、これが私は方法ではないかと思いまして、急激な変化というものを期待しても、これはあり得ない。基本は、しっかりいまあなたのおっしゃるような生産性を向上するために必要な労働力の確保ということに置くことは当然だと思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 これは、きょうは予算分科だから、あまり詳しくお尋ねする時間もありませんからやめますが、たとえば西ドイツあたりにおきましても、あれだけ工業が進んだ国におきましても、農政はうまくいかぬのです。実際うまくいっておりませんです。私も現地を見ました。日本におきまして食糧輸入の統計なんか調べてみますと、三十五年に五億四千七百万ドル、四十一年には十六億七千六百万ドルに増加しております。一二%が一七・六%に増加しております。こんなことを思いますと、日本が食糧をほんとうに自給し得る体制をつくり得るのでなければ、いろいろな面におきまして経済は破綻します。農業基本法はできましたけれども、言うならば、絵にかいたもちだということはよく批判されるのでございますが、自来七、八年たっておりますけれども、一向に農村の体質は改善されず、農政は進行せず、農業の生産性は上がらず、依然として引き合わない、過疎農村化していくのが現状であるということを思いますと、きょうは御答弁はなくてもよろしいが、労働政策につきましては中途はんぱではいかぬということをあらゆる面から——労働は労働だけ独立いたしておりません。いま申しましたように、生産、流通、生活、それから所得、機械、あらゆるものが要素となりまして、労働が定着し得る、そういう可能性ができるのであろうと思いますから、これは広範な政策を打ち立てていく必要があろうと、こう思います。そういう意味において、どうかひとつ、一そう現実的、具体的な権威のある施策が、構造改善事業として労働対策を中心として打ち立てられんことを私は強く御要望申し上げておきます。  それから第二点は、最近の都市近郊の——都市近郊と申しますと、消費地から半径四十キロと一応規定いたします。都市近郊の農業というものは、やはり急速に第二種兼業に傾斜的に進みつつあるというのが現状でございます。したがいまして、これは一ヘクタールの百姓をやっておりましても、大体において九割まで他の労働、特に自由労働に出るというのが現状でございます。したがいまして、近畿地方あるいはまた近郊型の農業といいますか、こういった方面の進行しつつある兼業につきまして、兼業は兼業なりのよさを生かしていくということも、この際ねらうべきものではないか。兼業として他の収入を合わせて、そうして農業は近代化せい、機械化せい、機械化すれば生産性は上がる、農業自体の所得ももっとふえる、そうして価格も安定し、供給し得る、こういう農業を都市近郊の農業といたしましてはぜひ積極的に育成しなければなるまい、こういうふうに思われるのですが、この点につきましてはどんなお考えで政策が打ち出されておるのですか、ひとつこれも明らかにしておきたい、こう思うのです。

桧垣徳太郎農林大臣官房長

○桧垣政府委員 都市近郊農業の特性は御指摘のとおりでございます。都市近郊農業につきまして有利な点と申し上げますれば、これは消費第一地域をすぐ近くに控えておるわけでございますから、条件としてはすぐれておるということでございますが、しかし、お話のように、労働条件が非常に悪いということ、さらに土地の壊廃等による規模の零細性が一そう進む、また兼業化するというふうな、農業プロパーの観点から問題があるわけでございます。こういう地域では、現在でもそういう傾向を持っておるわけでございますが、狭小な土地の上で生産量の多くをあげるという形の農業、たとえて申し上げますならば、施設園芸のような野菜、果樹、花卉というようなものの生産でございますとか、あるいは中小家畜の多頭羽飼養というような形が伸びておるのでございます。こういう特殊条件を生かしまして、兼業農家につきましては、いわゆる技術の導入なり、あるいは資本の投下なり、あるいは機械等の導入も含まれるわけでございますが、資本の投下なりあるいは販売条件の優位性をねらうというようなことで、協業化あるいは集団的な生産組織というものを確立する必要があるだろう。これに対しましては、私どもも、政策的にも今後協業化の助長あるいは集団生産組織の育成というようなことを進めてまいりたい。主としてこういう地域につきましては、そういうことのために必要な資本、資金の投下について政策的な手当てをしてやることが非常に大事であろうというふうに考えておるわけでございまして、現在そういう政策を進めておる次第でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 しかし、ただ資金、資本の投下と申しましても、金は金利の高いほうに流れていきますから、たとえば系統資金にいたしましても、農業信基あたりの資金にいたしましても、他の工業等に流れまして、なかなか農業に出し渋っているというのが現状ではないでしょうか。新しい企画をする、たとえば付近農家一同そろって養鶏をやる、あるいは新しい畜産、酪農の計画をするということになりましても、なかなか資金面で苦労しておるのが現状でございます。容易に出しません。これが実情なんです。したがいまして、そうでない面にたよろうとする傾向が強い。これはやはり農村無視です。したがいまして、今日の系統資金にいたしましても、一体、本来の任務、使命は何ぞや。いたずらに膨大な預貯金を誇るという傾向は断じて邪道であります。こういうふうなことを思いましたならば、百姓が多くの金を貯金するということに誇りを感ずるのでなしに、一体どうして資金を導入し得るかということに関係者みな協力すべきだと思うのです。農林中金にいたしましても、他の工業等に出す金があるならまず農業へというようなかまえでもできるような農業であってほしい、こういうふうに思うのです。だから、資金面、資本面ということはおっしゃいますけれども、そうたやすく動かし得ないのが現状です。これは間違いないのです。あなた御自身がお百姓になって何かやってごらんなさい。何をやろうとしましても、選択的拡大と言って果樹をやろうが酪農をやろうが養鶏をやろうが、何名かの者と組んでやろうといたしましても、簡単に金は出ません。これが現状です。ということを思いましたならば、資本投下容易にあらず。したがいまして、新しい企画を持って新しい農村もしくは近郊、地方の農業を企画していくというようなことを思いましても、これは夢です。でありますから、農業高等学校等々、農業の専門の学校にかりに青年が入るといたしましても、出たらくわを持って百姓をいたしません。トラクターを動かして自分は百姓をいたしません。これが現状です。これがなお続いているということが嘆かわしいのです。基本法ができて六年も八年もたって、まだこんなつまらぬ素朴な議論をしなければならぬのは、農政がないことです。百姓のない農政が行なわれておるからです。ほんとうはそこに焦点がしぼられていくべきだと思うのです。もっと大々的に農政は声をはり上げて、百姓はこうあるべきだということを農林省は高らかに方向を示していってもらいたい、こう思うのです。協業と申しましても、構造改善とおっしゃっても、基盤整備とおっしゃっても、なかなかうまくいっておりません。基盤整備がうまくいったら、それは工業化する前提です。そのこともお考え願いたいのであります。  第三番目に、大都市周辺と申しますか、これは四十キロと規定してよろしゅうございますが、近畿、中部、関東地区、こういった地区における農業はどうあるべきかという一つの理想プランをお立てくださって、そして現実のものをお立てくださって、これに右へならえということをやるぐらいのことはできぬものだろうか、こういうことをしろうとながら一つの夢を持っておるのでございます。こういうことは大臣どうでございましょうね。大臣にその答弁をしていただくのも無理かもしれませんけれども、こういう面にやはり一つの理想を描きながら、ここへ来たれというようなことにしなければ、百姓の青年もついてこなければ、百姓に魅力のあるそういう農村はできません、できやしません。間違いありません。東京付近の近郊のお百姓、たとえばじいさん、ばあさんやらおかあちゃん、みんながどろんこになって百姓をしているのに、自分は自家用のハイヤーで工場通いをしているというような、まことに奇妙なコントラストをわれわれは見るわけです。こんなバランスのくずれた状態というのは社会破壊です。農村破壊です。そんな百姓はありゃしませんということさえ思うのであります。そういう理想的なプランというものはできぬものでしょうかね。

桧垣徳太郎農林大臣官房長

○桧垣政府委員 御指摘の中にもございますように、都市近郊農業の典型的なタイプをつくって、それを普及させていくということは、端的に言って、非常にむずかしい課題の一つであると私は思います。ただ豊業は、ごく初歩のことを申し上げますと、土地と資本と労働、この三つがそろわないとできないのでございます。  第一は、住宅事情あるいは工業用地の事情等のために、土地が無計画に壊廃されることを避ける必要がある。そういう意味では、私どもはいま用意をいたしております農業振興地域の整備に関する法律というようなものを実施いたしまして、優良な農地については集団的にこれを保全し、農業の振興の基礎に持っていくということを考える必要があるだろう。そこでの土地総合利用というものを地域によって計画を立てまして、その上で立地に適合した農業というもののタイプを考えていく。その場合に、概括して申し上げますれば、都市近郊農業のタイプとしては、先ほども申し上げましたように、資本集約的な農業というものを考えざるを得ない。施設園芸でありますとか、中小家畜の集団飼育でありますとかいうような形のものでなければ、都市近郊農業としては成り立ちにくいというように思いますので、それらの立地に適した作目を選んで、集団的に生産をされる団地をつくっていくことが必要であろうと思うのでございます。  つきましては、これについて農業の側からもそういう意欲が出てくる必要があるのでございますが、系統農業団体でも、集団生産地の育成というような農協自身の立場からの計画も進んでおるようでございますので、これらと行政当局とが密接に連絡をいたしまして、技術なりあるいは資金の手当て等についてできる限りの施策を集中的に行なって、どこかで典型的な、モデル的な団地をつくるということに努力をいたしていきたいというふうに考えております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 次に、私は、開拓営農について若干伺ってみたいのでございます。  私は兵庫県でございますが、兵庫県は特殊な開拓営農の地域になっております。全国二十万余りの入植者のうち——兵庫県はやはり一種の都市近郊の農業の形態をなそうといたしております。しかし、ただ喜ぶべきことは、一般的にさっき申しましたように〇・三%といったような定着率にありますにかかわりませず、相当な割合——相当といいますか、かなりの高い定着をいたすのでございます。全国的な統計について見ましても、やはり全国が中高の学卒の六%余が定着のようでございますが、これが開拓営農になりますと一八・九というような高率になっております。この傾向は、私は、やはり農業を志向する一つの風潮がなお開拓地域にはあり、こういうふうな判断をいたしております。これは大臣、はぐくまなければいけません。ことし、来年で営農資金の特別会計の資金も打ち切られるようでございますし、また、九万もそれぞれ離農しておるようでございますが、しかし、この開拓農こそ、の広野にさまよって農業をした人もございますし、あるいは戦時中都会から来ました疎開者もございますが、しかし、戦後二十年間営々として、この不便な土地、経済条件の悪い、立地条件の悪いところで、しがみついてやってきて、なお離村率が低い、約二割近いものは中高卒が定着しているというような実情にありますので、見のがすべからざることであると私は思います。だから、開拓営農につきましては、もう大体ここらでおしまいになるという一般的な政策のかまえらしいのだが、さらにもう一度、いまのこの時点、段階におきまして、日本の開拓営農について、特に私は兵庫県の開拓しか詳しい事実は知りませんけれども、あれを見ますと、やはり開拓営農に積極的な施策をして、そして資金面からも、あるいはまた労力を成長さす意味からも、技術、機械を導入する意味からも、あるいは道路を整備するという意味からも、流通機構にほんとうに合っていくように改造するという点らも、あらゆる角度から、私は、開拓営農のいまのあり方にもう一ぺん再検討を加えまして、これはこれなりにひとつ伸ばしていくという段階に来ておるのじゃないだろうか、こういうように考えるのですが、この点、突然の御質問ですが、大臣どうでございましょうね、もう一ぺんできましたら御検討いただいたら、こう思うのですが……。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 農地局長から答弁させます。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 吉田さんから、開拓者に対するたいへんあたたかい御意見を承ったわけでございますが、先生御承知のように、現在十一万五千戸ほどの開拓者がおりまして、それに対しましては数年来農業振興計画というのを樹立させまして、それに対応した資金の貸し付けをいたしておりますが、約五万八千戸の農家につきまして振興計画の樹立を終わりまして、四十三年、四十四年の残り二年間で当初の資金の貸し付けはおおむね完了することになっております。そのほかに、道路その他の関連の公共事業につきましては、地元の要望等を十分聞きまして、四十三年度の予算で地元の要望のほとんどすべてが満たせますような予算の計上等もいたしてまいったわけでございますが、それらの計画が一段落をいたしましたあとで、どのようにするかということにつきましては、ある程度過去における借財、負債等もまだかかえております点等もございますので、開拓審議会という専門家による諮問機関もございますので、その審議会の先生方の御意見等も今後十分伺いながら、逐次一般農政の中へ移行していくという方向を頭に置きながら、具体的にはいまの審議会の御意見等を十分参酌をいたしまして、情のある対策をとっていきたいというふうに思っております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)分科員 それじゃ締めくくりにひとつ、大臣、開拓は、私の少し見たところでございますけれども、千ほど見たのでございますが、六、七割——七割というと大きいが、六、七割は専業です。これはうれしい状況です。六、七割も専業というのは、そんな世界は日本には開拓地だけしかございませんです。ですから開拓地につきましては特段の御注意になって、不便なところではありますけれども、大臣もひとつ開拓地ぐらい一ぺんお歩きになって、これは一つの大事なものがあるかなというふうな、ほんとに新しい施策の何かのきっかけをひとつつくっていただきたい、こういうふうに思われます。開拓地も千差万態でありまするけれども、私は開拓地の風雪に耐えてきた過去を思いますと、この人々らには特にそんな感じがしてならぬのでございます。何かと非常に大事な問題をかかえて日本の食糧生産のにない手として重大な国民的使命を持った農家でございますので、開拓者といわず農業につきまして、特に労働力を確保することは、それは真に魅力のある産業であり、魅力のある土地であり、魅力のある生活条件、こういうふうにしていかなければならぬと思いますので、ひとつがんばっていただきたいと思います。何かひとつ大臣決意を示していただいて、これで終わります。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 農政全般について御激励をいただきました。非常に困難な問題もたくさんございます。しかし、同時に、この農民の、また特にただいまお話のありましたような意欲的な面も十分生かしつつ、実情に沿ったようにひとつ推進をしてまいりたいという決心でございます。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原分科員 私は、時間の関係もあるのですが、肉牛の飼育、特に大規模草地の問題と、それから農民年金と、時間がありましたらカズノコの問題、これを質問いたしたいと思います。  第一は肉牛の問題ですが、戦後の経済変動の中で出かせぎや兼業がふえ、そして農業も機械化するということで、役牛が急速にいなくなったわけです。しかし、一方では、肉の値段が上がって、食糧自給という立場もありましょうし、選択的拡大で構造改善事業の中で、乳や卵や肉、こういう問題の占める位置についていろいろ議論があるわけでありますが、この肉牛の育成、それから食糧政策の自給度の向上の中におけるその位置づけ、こういう大きな点について、ひとつお考えを最初にお聞かせをいただきたいと思います。これは、肉牛についてどういう方針でこれから位置づけをしていくのか、こういうことをひとつ……。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 お答えいたします。  牛肉は、国民食生活の向上に伴いまして需要が増加をしてまいっておりますことは御承知のとおりでありますが、肉用牛はどうかと申しますと、近年の農業機械化が進みましたこと、あるいは化学肥料が普及をしてまいりましたこと、それから農業労働力が流出をいたしますこと等の経済的、社会的事情の変化に伴いまして、一貫して減少を続けてまいったわけでございます。そこで、農林省といたしまして、昭和四十一年の五月に肉用牛振興施策等の実施方針をきめまして、肉用牛の生産振興施策を総合的に実施することにいたしたわけでございます。この結果、四十二年に入りましてから、飼養頭数の減少傾向は、横ばいが基調に変わってまいりまして、最近子牛生産頭数がだんだん増加をしてまいっておりますので、今後の牛肉の供給事情といたしましては、漸次改善されてまいるというふうに考えております。われわれといたしましても、できるだけ肉牛の生産の増加をいたすような施策を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、当面は需要が強いということもございまして、牛肉の輸入をいたしておるわけでございますが、そういうこともございまして、価格につきましては、輸入牛肉が出回るにつれまして、高級品につきましては比較的高水準で推移をいたしておりますけれども、中級品あるいは下級品等につきましてはやや弱含みの傾向で推移をいたしておる状態でございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 大体、国際市場の需要供給の関係はどうなっていますか。それから、輸入量はこの数年来どうなっているのですか。二、三年でよろしゅうございますが……。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 国内へ輸入をいたしておりますものを三カ年申し上げますと、四十年は一万八百十四トンでございます。四十一年は一万三千四百九十三トンということになっております。四十二年は一万三千七百九十三トンというふうなことでございます。  国際的な需給につきましては、現在のところ、比較的安定的に推移をいたしておるというふうな状態でございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 これは輸入しようと思えば幾らでも輸入できるのですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 現在のところ、わが国の輸入に事欠くという状態はございません。

大原亨日本社会党

○大原分科員 そういたしますと、国内でのこれからの自給度の拡大、生産量の拡大についての見通しと計画、こういうものを大まかにひとつ……。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 試算をいたしておるところによりますと、五十一年に二百五十頭程度というふうに考えております。肉の自給につきましては、先生も御承知のように、牛肉、豚肉、鶏肉というふうな肉がございまして、最近の趨勢といたしましては、豚肉の伸びあるいは特にブロイラーの伸びが非常に著しいというふうな、流動的な形で肉の消費が行なわれておるわけでございます。したがいまして、特に牛肉につきまして将来幾らになるかということは、豚肉や鶏肉との相関的な関係からまいるものでありますので、一がいに需要量が幾らであるということを想定いたしますのは、現在の段階ではなかなかむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。所得の伸びにつれまして需要が伸びることは間違いないというふうに思っておるわけでございますが、五十一年で試算をいたしてみますと、大体国内で全体的に見ますと九〇%程度は自給ができるのではないかというふうにも考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 牛肉でも、特に内地産の牛肉は非常にいいということで貴重品になりつつあるわけですが、しかし、一方、昭和五十一年で二百五十万頭というお話もあったわけですけれども、生産をする農民の立場になってみると、価格についてある一定の安定線がないと、投資をしたり、あるいは若い人々が将来をそういう畜産にささげる、こういう目安をつける際にもやはり非常に問題があると思うわけです。したがって、私は具体的な問題について申し上げたいと思うのですが、価格の政策について、今日並びに将来農林省としてはどういうふうにお考えになっておるのか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 牛肉につきましては、先ほど申し上げましたように、比較的高水準にあるわけです。したがいまして、そういうことの刺激も一つはございますし、肉牛の増産政策ということも影響がございまして、生産がふえつつあるというふうな状態であるわけでございます。そこで、そういう事態を前提にいたしまして、今後も増産をしなければならぬということの努力をいたしておるわけでございますが、価格が低落をいたしまして生産者が非常に困るというふうな状態になりますと、せっかくの生産にブレーキがかかるということにも相なりますので、昭和四十二年度から肉牛につきまして子牛の安定基金というものを設定いたしまして、それによりまして価格の安定をはかり、生産者が安心して生産に励めるような措置をとることにいたしておるわけでございます。現在、数県におきまして子牛安定基金を設立いたしておるというふうな状態でございます。これに対しまして、農林省といたしましても助成をいたしてまいることにいたしておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 子牛の安定基金の新しい施策について話があったわけですが、私、ひとつ具体的な問題で、広島県山県郡芸北町といいまして広島県の北海道なんですが、これはいま四年目を迎えておるのですが、相当地元の犠牲をなにして大規模草地の施策を進めてきたわけです。私どもは、選挙とかなんとかいう立場になると、そういう奥地なんかに行っても実際にはあまり票なんかには関係がないわけです。人も少ないし、戸数も少なくなっているから、能率はあがらぬ。それは、選挙をやる立場に立ってそういう議論をするのですが、しかし、農村でそういう奥地に残っていて畜産をやっておる人は、たとえば宮崎の大学を出たりいろいろな各方面から大学を出たりして、若い人々がそういう牧野農業協同組合に自分の将来を託してやっておる姿を見ると、国の施策というものがぴしっと確立していないといけない。これは非常に少数の人ではあるが、あるいは日本の将来の農業から考えてみても、看過すべからざるものがあるのではないか。そういう意味において、乳牛についてはたくさんの問題もある、酪農資本もあって、いろいろな観点から刺激が多いし、問題の提起があるわけですが、しかし肉牛については、これは言うなれば回転率も悪いから、これに対して一生懸命やろうという人々の勤労意欲にも、いろいろ問題が出るのではないか。そこで私は、農林省の肉牛のそういう集団飼育、大規模草地等の施策に対する考え方を聞きたいと思うのですが、二百二十五ヘクタールもある大規模の草地をつくって、牧野農業協同組合をつくって、町も相当な投資をしてやっておるわけですが、それを育成する局は農地局ですか、大規模の草地を開拓するまでは。でき上がったものを育成するのは畜産局だと思うのですが、私は、これは局を分けておいて、つくったらそれで終わった、こういうことでなしに、やはりあとあとまでアフターケア、あとあとまでの育成助長について、一貫して責任を持ったような措置をとることが必要ではないか、こういうことを痛感しておるわけです。そこで、そういう肉牛を中心とした大規模草地で、交通の便の悪いところでそういう新しい農業をやる、こういったところは全国でどのくらいあり、そして現状においてどういうふうに問題があるかという点の把握を、大体農林省はしておるのか、こういう問題の把握をどういうふうにしておるのか、こういう二つの点について、まずお答えをいただきたいと思います。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 肉牛の生産振興をはかりますためには、草地造成の推進をいたしまして、粗飼料の受け入れ態勢を整えるということが必要だと考えております。御承知のように、従来肉牛はおおむね使役ないしは採肥というふうなことで飼育されておりまして、したがいまして、一頭を舎飼いするというような形が多かったわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、だんだん農業の機械化が進むし、あるいは化学肥料が普及してまいるというふうなことから、そういう使役なり採肥として使用するという形は少なくなってまいったわけでございます。おおむね肉の生産ということを目的にしまして飼育をするというふうな形になってまいったわけでございますが、そうなってまいりますと、やはり相当多数の飼育をしていくということが必要になるわけでございます。肉牛は、先ほどお話がございましたように、乳牛等に比べますと収益性は低いわけであります。そこで、やはり大規模な草地に入れて、そこで一緒に飼育をするという形が合理的だと思うわけでございますけれども、従来はそういうふうな形がなかったのであります。新しくそういう形が逐次発展してまいるというような状態になってまいっておるわけでございます。そこで、牧場の管理を有効にやるという技術が、必ずしも従来日本にはなかったわけでございます。もちろん外国には、大規模な生産が行なわれておりましたことから、そういう技術は発展をいたしておったわけでございますけれども、日本におきましては、初めての試みと申して差しつかえがないという状態でございます。したがいまして、有効な管理、大規模な牧場の管理技術が十分でなかったというふうな点が一つございます。それからもう一つは、やはり草というものはつくるものではなくてできるものであるという伝統的な観念が比較的支配をしておったと思うわけでございますが、これは経済的な肉牛の生産をやるとか乳牛の飼育をやるということになってきますと、当然つくるべきものだというふうな観点から、草の反当収量というものを飛躍的に上げていくということが必要になると思うのでございますけれども、そういう点につきまして、そういう技術を持った人が比較的少なかった、こういうふうな点から問題があるわけでございます。これに対しましては、われわれといたしましては、そういう牧場の管理者というものにつきまして徹底的な教育をいたしまして、十分なる技術を身につけるという講習等を現在実施をいたしておりまして、そういうことを通じまして非常ににすぐれた技術者を養成いたしまして、それがすぐれた管理をするということにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、そのほか牧場をつくりましてしばらくの間は、やはり赤字が続く、数年間は赤字が続かざるを得ないというふうな状態にあるわけでございますが、したがいまして、飼養管理費につきましてある程度の助成等をいたしておりまして、合理的に牧場が運営をされるということを促進してまいっておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 一応いま話がありましたように、地元へ行っていろいろ聞いてみますと、若干元牛に対しては助成策として利子の補給があるわけですね。しかし、全部の牛についてはないわけです。これは数に限りがあるわけです。たとえばここの例一つをとってみましても、大規模草地というのは全国で三、四カ所しかないと思うのですが、こういうところが失敗してしまうと、あとは次から次にやろうと思うところが全部やらなくなってしまう。そうすると、全部放棄して都会へ出ていく、出かせぎに行く、こういうことになってしまうと思うのです。そういう広島県の北海道という、雪はなんだし、いろいろなことがある、制約がある、しかし、そこでもこれが成功すれば、やはりとどまって一つの近代的な農業をやろうという意欲がわいてくるわけです。それで、全国的に見ても相当に、あるいは広島県や中国地方で見ても、いろいろな人が視察に来て、それはうるさいくらいです。これは国のほうからあそこへ行け行けと言うので。しかし、視察員を案内したり、それにちょっとお茶を出したり、コーヒーを出したりする費用なんかくれはせぬわけだけれども、行け行けと言って、そのために地元は大迷惑をしているわけです。しかし、それは別の話だ。それはともかくとして、元牛の購入に対して利子の補助やその他は全額をやってもらわぬと、たとえばそこだけでも一年間五、六百万円の利子補給が必要になる。そうなると、地元の町がこれはある程度見てやらなければいけない、こういうことなのです。これは建物を建て、草地を開拓するまでは、相当助成金を融資をいたしまして見るわけですが、できたものについては行き届いたアフターケアをしないのが問題があるのじゃないか。そういう利子の負担、元牛の購入に対する助成、そういうもの等についても、私は、やはり経営全体を見て、これが成功できるのを見届けるまでは、きちっと周到な、親切な指導が必要じゃないか、こういうことを一つ問題として指摘するわけですけれども、この点だけについてもう少し配慮ができないものか、こう思います。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 御承知のように、肉牛の増産対策の一環といたしまして、肉牛の導入の対策を行なっておるわけでございます。これは県有貸付と農協貸付という二つがございまして、農協貸付につきましては、利子分の助成をいたすというような考え方をいたしておるわけでございまして、これは農家の頭数規模、経営規模を拡大するというふうなために、そういうふうな助成措置をとっておるわけでございます。  単価等につきましては、かなり上がってきておるというふうなこともございますので、それに相応いたしました単価で助成をするというふうな考え方で、四十三年度の予算にも計上をいたしておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 昨年来——昨年末ごろから枝肉の値段が下がった、こう言うんですけれども、それはどういう理由なんですか。  それと、たとえば広島県だったら、芸北町だったら広島へ出るまでに二時間何ぼかかるんですよ、トラックや何かに積んだりなんかしていると。大きな屠殺場といえば神戸ですよ。神戸に持っていくわけですよ。行っても直ちに金にならないで、冷蔵庫は最近は整備されたから、冷蔵庫に入れておいて、その中で、たとえば二十頭非常に苦労して持っていけば五頭分の金しかくれない、こういう値段が最近下がった、それはどういう理由なんですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、需要に対して供給が不足しておるというふうなことから、昭和四十二年におきましては約一万四千トンばかりの牛肉を輸入いたしたわけでございます。これが国内の供給量として市場に出ておるわけでございます。その結果、上物につきましては、あまり影響がないわけです。比較的少なかった。ところが、中物でございますとか、それからすそ物に対しましては、若干の影響が出ておるわけでございます。御承知のように、外国から入れます——現在は主として豪州、ニュージーランド等から入っておるわけでございますけれども、これは外国種の肉でございまして、しかも冷凍されたものでございます。そこで、国内の牛肉と比較をいたしまして、やはり和牛のいい肉というものは、これは比較しますとやはり国内生産牛の肉のほうがよろしい、日本人の嗜好には合っておるわけでございます。そういうことから、上肉につきましては比較的価格に及ぼす影響というものは少ない。しかし、中肉とか並みの肉になりますとやや影響がございまして、多少弱含みであるということは申し上げられると思いますけれども、しかし、輸入によりまして極端に価格の上に影響が出ておるというふうなことはございません。

大原亨日本社会党

○大原分科員 ぼくが言うのは、消費者の立場に立てば値段が安いほうがいいんですよ。だから、輸入もしなければならぬわけです。しかし、生産者の立場に立つと、ある程度の安定度が必要なわけです。消費者もそうですけれども……。だから、ぼくがこう言うのは、食管法なんかで、食管法のような構想で、輸入も必要があればどんどんしていくけれども、しかし、生産価格についてはある一定度は保障するというような措置が必要じゃないかということが一つです。  それからもう一つは、やっぱり肉牛、和牛の集団飼育というのは、交通の便が悪いところなんです。いいところは、ぼくはやっぱり酪農をやると思うんですよ。しかも回転率が悪いんですから、そういうところは、やはり流通過程やその他の問題について、ぼくは生産者の立場に立って、流通過程における、消費者にわたるまでの不合理な方法を排除するようなことを、積極的に総合政策を農林省全体で、あるいは通産省その他と立ててやるということが、第二の問題として必要ではないか。生産価格の安定とその問題、それらの展望の上に、助成についてもいろいろな方法があるわけですから、たとえば競馬の金とかいろいろな問題があるわけですから、ぼくはそういう点を見ながらきめのこまかい指導をしてもらいたい。あそこへ行ってみたら、大規模草地の実験場があるぞということで視察団を送るたけでなしに——行って迷惑をかける、行くときには旅費くらい持っていって、皆さん方だってほかの人だって。そうして人がわざわざ休んで案内したりなんかしなければならぬのだから、たいへんですよ。毎年、季節になると毎月。そういうことも配慮しながら、きめのこまかい行き届いた指導をやって、そうして肉牛の協同組合による大規模のそういう飼育というものが成功をするように、今後も私は十分現地をアフターケアについて調査してもらいたいことが一つ。  この問題に関連して、農免というものがある。農免道をここで取り上げているわけです。それは大体北海道を聞きましてもみなこういう肉牛の集団飼育の場所はそうなんですが、やはり交通の便が悪いところがあるわけです。農免道とか農道、林道、特に私は農免道の問題をここでやっているわけですが、予算の流し方が、たとえば七月よりおくれて八月、九月に流れていって、そして十二月には雪が降る、こういうことで仕事ができなくて、なかなか事業が進まない。あるいは地元負担が農免道のほうはわりあい少ないからみんな希望するが、配分する量が少ない。そういう点を考えたら、私はそういう道路の問題、交通機関の問題も大きな問題ですから、たとえば予算の流し方を六月あるいは七月ころには早く流す、それで工事を十二月までに終えてしまう。そうすれば、他のほうから高い賃金の労働者を雇い入れてきてやらないでも、やはりその地域の人々が働くということになるわけですから、そういうことについても、私は連絡をとりながら、実態に基づいて、各省に対して十分——農免道は農林省の中だが、そういうことについてはできるように、それであらゆる面からこれを成功させるような、そういう政策をとるべきではないだろうか、こう思うわけです。農免道の問題について、工事の時期を早める問題あるいはいま二カ年目かに入ると思うのですけれども、これをどういうふうに実施するかという問題、この問題についてお答えいただきたい。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 ただいまお話のございました芸北地区の農免道路は、四十二年度の新規事業でございますが、御承知のように、昨年はたしか四月、五月と、暫定予算の関係もございまして、新規事業の予算の配分が六月以降になりまして、そういうことがあったと思いますが、これは四十三年度は継続事業でもございますし、なるべく予算の配分は早目にするように、現在でも準備をいたしておりまして、いま御指摘のようなことがないように努力をいたしております。

大原亨日本社会党

○大原分科員 農林大臣、ぼくが言うのは、そういうふうに肉牛については、日本の牛はいいわけですよ。ここはやはり男の牛を去勢して中性化して肉をつくっているらしいけれども、ほんとうの最良の肉じゃないらしいけれども、肉はやっぱり女の肉で三歳、産まずの牛と、こう言って、三歳目のお産をしない——お産をしたら落ちるそうだから、三歳目くらいでお産をしない女の肉が一番いいそうだが、それをここは雄の牛を去勢してやっているらしいけれども、中性化してやっている。それでも上肉らしい。日本のそれはやはりおいしくて、価格は上がるわけですから、これはどんどん生産をして、従来からも有名な肉があるわけですから、これは育成していくべきだと思う。そのためには、私は第一に、大臣、一応つくって四年目に入っておる。これで将来さらに有望だということになれば、他の地域でもその周辺がどんどんやるわけです。やろうといって意欲を燃やしておるわけだ。だから、私は四年度ぐらいから、アフターケアとしては重要な問題がたくさんあるので、これについても指導だけでなしに、助成その他についてもやるということと、それから農道その他農林省全体、政府全体でこういう問題を解決すべきだという問題流通の問題等を含めて、やはりそういう問題を一つ一つ総合的に解決していくということで、つくったらつくりっぱなしというふうな、たとえば開拓地なりその他というようなことは一つの例で言われるのだけれども、そういうものでなしに、総合的な政策を立ててもらいたい。こういうことを農林大臣に要望しておきまして、私の質問を終わりたいのですが、大臣の御所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 私も着任早々ではありますが、いまの芸北の一つの例で、畜産奨励、特に肉牛の奨励につきまして、具体的なお話を承りました。特に、きめがこまかくて、しかも親切な指導と申しますか、実情に合うような指導、それから、将来に向かって魅力を残すという点、これは大事なことでございます。そういう心得でやってまいりたいと思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は、石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野分科員 農林大臣にお尋ねいたしますが、私は今度自民党の古井さん、それから田川さんたちが行って、取りきめてこられました日中覚え書き協定に関連して、特に農林省に関係するものが非常に多うございますから、米とかあるいは食肉のことでお尋ねしたいと思うのですが、この際、農林大臣に、この覚え書き協定についての農林大臣の所見をまず先に聞かしてください。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 協定全般につきましては、私はまだ使節として行かれました方々に直接お目にかかっておりませんから、特にいろんな政治面の問題等につきましては、それを承った後に私の所信を申し上げたいと思いますが、少なくとも経済に関係いたします。特に私のほうの食糧庁でも受け入れるわけでございます。買うわけでございますから、それで、従来はLT貿易、今度は覚え書きといいますが、LT貿易の促進なり拡大をされていくことは喜ばしい、このように考えております。

石野久男日本社会党

○石野分科員 今度の協定の中では、特に米の輸入の問題は、やはり日中の貿易の額をふやす上において非常に大きなファクターになっております。最初に政府の考えておった輸入量を相当程度増額するための努力をなさった結果、順調ではありませんけれども、相当古井さんあるいは田川さんたちの努力の実が結ばれるようになったと思うのです。あの協定の中には、やはりまだ十万トン以上の含みがあったというように記憶しておりますし、私も実は先般中国へ参りまして、このLTの問題を話し合いをするための努力をしたといいますか、周総理からのお話を預かってきた本人としまして、やはり貿易は、今日の日本の実情からいいますと、日中の関係の貿易を増大させることが、特にポンド、ドルの危機、それから日本の経済界の実態から見ても、非常に大事なことだと思っているわけです。そういう関係で、日中の貿易が双方バーター的になっているということを考えますと、やはり日本で買い込みを相当程度しなくてはいけないことも事実であります。したがって、米の輸入について十万トンをもっと上積みするということに対する配慮、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、この点ひとつお伺いしておきたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 この点につきまして、実は昨年度の国内産米の状況は御存じのとおりで、大豊作であったわけです。したがって、繰り越しが相当な量になるであろうというようなことから、準内地米の輸入量というものが、前年に比して非常に大幅に減少する今年の見込みである。そこで、中共米につきましては、かりに前年を考えれば二十万トンということになっておりますが、これを維持することは非常に困難である。事務当局、食糧庁でずいぶん苦労されましたが、十万トン程度はということで、ぎりぎりでございましたけれども、しかし、事柄がLTというような一つの大事な問題でもございますし、可能な限りはひとつわれわれのほうも努力すべきではないか、こういうような観点から十万トンまでは限度に引き上げよう、四万トンをふやしたわけでありますが、そのかわりひとつ品質、価格条件——これはあくまでも経済の面がございますから、品質とか価格条件というものを満たしていくように、そうして十万トンまでは最高持っていこう、こういうような考え方でわれわれのほうは考えて、その意思を非公式に関係の方面に御伝達を申し上げたのが、当時の状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野分科員 そこまではもうわかっておるのですが、しかしやはり実質的に、古井さんたちが話し合いの中で十万トンをまだ上積みするという努力をお約束してきておると思うのです。そういうものについての見通しです。これは国内の産米の事情なども十分わかっておられるわけでございますが、しかし、覚え書き協定というものを拡大する意味から言いますと、これは非常に大事であると思いますし、これにあまり上積みの希望がないとすれば、やはりおのずから限界が出てまいりまして、全体としての日中の貿易の量をふやすことは非常に困難だと思う。当局として、特に大臣はその点についての努力をどういうふうに考えておるかという所見を聞かしてもらいたいのであります。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 新聞を通しまして、そういう十万トンをこえる努力目標ということは、拝見はいたしております。ただ、私どもの立場が六万トンをこえることさえも非常な努力でございますので、最高の十万トンをこえるということは、これは非常に困難なことだ、国内事情からいって。そういうふうに申し上げたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野分科員 そうすると、米については、もう十万トンをこすということは、ほとんど政府としては考えていない、こういうことでございますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 おっしゃるとおりです。

石野久男日本社会党

○石野分科員 米の問題について、私どもの観点からすると、やはりこれは米は各方面から入れておる、日本にもありますけれども、まだ相当入っておりますから、配慮されるべきものだと思いますが、政府の意見がそうであれば、一応承っておきます。  問題は日中の貿易量をふやすということが非常に大事だ、こう思うのです。この観点からしますと、日中貿易を進めるための今度の協定の中では、やはり吉田書簡の問題もありましたし、それから特にまた農林省と関係のある食肉の輸入の問題があります。吉田書簡の問題はまた別になにしますが、食肉関係の問題はやはり農林省の関係でもございますので、食肉についての輸入の点でいま当局としてどういうふうに考えていられるか、この点をひとつ伺いたい。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 中共の食肉につきまして輸入をするということにつきましては、関係団体からの要望も相当出ておるわけであります。御承知のように、中共治下にある中国大陸と申しますのは、戦前には口蹄疫とか牛疫とかいう悪性伝染病が多発をいたした地域として知られておるわけでございます。そういう関係から、家畜伝染病予防法に基づきまして、食肉の輸入を禁止する地域ということにいたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、最近中共産食肉の輸入をする要望が非常に強いことにかんがみまして、最近二回ばかり民間団体による調査が行なわれたわけでございますが、その調査の結果を見ますと、中共の家畜の衛生状況は、想像以上に悪性伝染病、特に口蹄疫に対する危険度は少ないのではないかというふうにいわれております。しかし、安全であるという確実な保証は現在のところまだ得られないという状態にあるわけでございます。そこで、農林省といたしましては、最近の二回の調査報告をもとに、家畜衛生関係の権威者を集めまして、中共からの食肉の輸入をいかに考えるべきかということで諮問をいたしまして、技術的な検討をお願いしたわけでございますが、その結果、御承知のように口蹄疫というのは、牛をはじめといたします偶蹄類にとりましては、最も危険な病気とされておるわけでございます。したがいまして、この食肉の輸入につきましてはきわめて慎重な態度で臨むべきであるというふうな意見でございまして、そこで中共から必要な資料の提供を受けて、その専門的検討の結果を待って適切に対処したほうがいいというふうに考えておるわけでございます。特にわれわれが知りたいと思っておりますものは、過去における口蹄疫の発生の状況と実害、あるいはいままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的な経過であるとか、口蹄疫のワクチンの性能、種類、製造方法、使用目的あるいは口蹄疫の診断方法、その他不明の疾病があるかないか、こういう点につきまして、全部技術的に明らかにされた後において考えるべきものであるというふうに考えて、まさに衛生技術的な問題として考えておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野分科員 中国における口蹄疫病についてのいまの岡田さんのお話は、やはりいま現実に中国におけるところの食肉管理といいますか、これらについてまだ明確な保証がないからということだと思うのですが、私はやはりこの問題については、ただ従来はそうだったからということだけでなくて、今日の段階で、中国はやはり西欧諸国に対してもずいぶんと食肉の輸出をしております。しかも、そこからは何の問題も出ていないわけです。岡田さんからいまお話がありましたように、すでに三回にわたりまして調査団が行っているわけですね。それらの報告は、非常にいい報告が出ているはずです。諮問委員会で出ていることについてのそれを確証するために、私はやはり実質的に当局が、いま国交がないからというので政府が直接の派遣はできないかもしれませんが、任務を持たした調査団を出して、それでやはり明確な資料をとるということはできるはずだと思うのです。それから現実にも、やはりいままでは高碕事務所を通じて、向こうの中国糧油食品進出口公司からの調査資料というのは、毎月毎月きているはずですね。そういうようなものを通じて、もう少し正確な安心のできる資料をとるという配慮といいますか、処置、それをやはり早急におやりになったらいいじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 その点に関しましては、二回の調査結果は、おそらく口蹄疫はないであろうという推定をいたしておるわけです。そこで、先ほど申し上げましたように、われわれとしましては、聞くところによりますと、口蹄疫を撲滅するために生ワクチンを使用したとかいろいろな話を承っておるわけでございますけれども、そういうものにつきまして、一体どういうふうな内容であるのか、実態であるのかということの資料が実はほしいわけでございますが、二回の調査団が参りましたときに伺いましても、そういうふうな資料については明確な答弁は得られなかったというふうな点が調査報告書にもあるわけでございます。そこで、われわれといたしましても、昨年のLT貿易交渉がございました際に依頼をいたしまして、先方にその意思を伝えていただいたわでございますけれども、残念ながらその結果明確な回答に接することができなかったし、また資料の提供を受けることができなかったというような状態でございまして、民間団体等がおいでになる場合には、そういうふうな趣旨を申し上げまして、できるだけそういう資料を得られるように御協力を願いたいということを申しておる次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野分科員 いま岡田局長からの話によると、とにかく依頼したけれども、皆さんが要求されただけの資料が十分こなかったということで、それで当局としてはこれに対しては禁止解除をしない、こういうことのようですが、しかし、実際には私はやはりそういう問題も、依頼というのが権威を持たした依頼ではなかったろうと思う。しかし、食肉に関連する業者の方やあるいはそれに関係する識者は、事実上中国の肉に対しては心配要らないということを言っておるわけです。特にこの三度にわたりまして調査に行った諸君の、たとえば高松博士あるいは食肉協議会の大石会長さんるはじめとする調査団、それからまた四十一年にはもと皆さんのところにおられた田中氏が行っておるわけですね。こういう諸君が、それぞれもう安定を確証するというような報告をしておるわけです。私は、この段階で、日中の貿易問題で食肉の占める位置が非常に高いということから考えますと、これはいま岡田さんの言われることについてもう少し大臣がはっきりした態度で、むしろ責任を持って農林省がその調査なり何なりするということの必要があるのじゃないかと思うのです。これは問題は中国の肉を入れるという——入れたくないということになればもうその必要はございませんけれども、しかし、覚え書き協定の内容からいっても、食肉の持っておる重要性が非常に大きい。こういう立場からすると、私はやっぱりこの際農林省が権威を持った——自分で出せなければ、権威を持たしたそういう調査団を出すべきである、こういうように考えるのですが、この点について大臣にひとつどういう所見をお持ちか、聞かしてもらいたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 米の問題については、今後まだまだ困難な問題が出やすいいわゆる国内状況がある。肉につきましては、私は技術的な問題だと考えております。ただ、残念ながら国交がない関係ではございまするが、しかし、何らか専門的、技術的な検討というものがすみやかに終えられるような方法をあちらのほうもひとつごくふう願いたいし、日本のほうの立場においてもくふうはしていかなければならぬと考えております。あくまでもこれは技術的な問題であります。

石野久男日本社会党

○石野分科員 私は、単なる技術的な問題であるならば、もう少し技術的な不明を解明するために努力する誠意がなければいけないのじゃないか、こう思うのです。実はわれわれの承知しておるところでは、昭和三十二年の段階で東亜食肉輸入協同組合に対して約六頭の見本牛を入れた経験がございます。その後、それがよかったというので枝肉約三百トンの輸入を許可しました。しかし、ちょうどそのころ岸内閣の時期であって、日中関係が非常にまずい状態が出てしまって、それでとだえてしまったわけですね。ちょうど見本市問題でごたごたしたときです。したがって、日本の政府が一応許可したものであるから、技術的問題というのはもう解明しておると私たちは思うのですよ。この点私はいろいろほかに理由があると思いますので、むしろやはり岡田局長が技術的な問題を非常に強くおっしゃられるのならば、むしろその点は具体的に権威のある調査団を出して、いつも人さまに頼んだところがいい資科が得られなかったというような逃げ口上ではいけないと思うのです。私は、なぜそれが許可にならないのかということについては、ここであまりとやかく言いませんが、しかし、せっかくLTがこういうような形でまだ細いながらもパイプがつながれて、日中の間におけるところの貿易を拡大するという一つの道ができたときに——いまニュージーランドやあるいは豪州から来るものはみな片貿易ですよ。ところが、日中関係はバーターですから、入ったものに対しては見返りを輸出することができるわけです。そういう意味で、もっと中国の肉を入れるということについての誠意のある態度が出てこなければいけないのではないか。大臣はいま簡単に技術的な問題だと言いましたけれども、私どもは技術的だと見ていないのです。むしろこれは政治的な側面からくることが多いのじゃなかろうか、こういうように思う。だからその点、もし技術的だけであるならば、早急に政府は責任を持った解決の方法をとるべきだと思うのですが、いかがですか。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 政治的というお話がございましたけれども、決してそういうことではございません。それは現に鶏肉でありますとか卵でありますとか、そういう畜産物につきまして、現在中共から輸入をいたしております。そういう状態でございますから、衛生技術的に問題が明らかになって、だいじょうぶということになれば、牛肉の輸入もあえて拒否すべきものではないというふうに私たちは考えておるわけで、政治的に中共からの牛肉の輸入を阻止しようというような考え方は全く持っておりません。  そこで、調査の問題でございますれけども、過去高松博士からすれば三回でございますが、具体的調査団としましては二回でございます。その際、その資科の要求をいたしましたけれども、資科の提供を受けられなかったというふうな事情がございます。ほかの病気につきましては非常に詳細な資科の提供を受けておるわけでございますけれども、口蹄疫につきましてはお願いしました資科の提供が受けられなかった、こういうふうなことがございまして、先般もLT交渉の際にそういうことをお願いいたしたわけでございますけれども、それが得られなかったというふうなことで、何らかの事情があるのではなかろうかというふうに考えております。われわれとしましては、そういうふうな資科の提供を受けまして検討させていただければ、それで問題がなければ輸入をしてもいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。現に国際的に見まして、食肉の輸入禁止地域にしております地域におきましても、わが国に対して輸入禁止の解除方の要求が出てまいっておるわけでございます。そういう場合には、もちろん必要に応じて調査をいたしまして、それでこちらの要求いたしますあらゆるデータの提供を受けまして検討をいたしまして、口蹄疫その他の悪疫の発生がない地域であるということが確認されれば輸入禁止を解除するという方針をとっておるわけでございまして、中共もその例外とは考えてないわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野分科員 岡田局長は、前に行った二つの団に対して依頼したけれども資科が出てこなかったからということだけで、そのようなお話でございますが、四十一年の段階で坂田農林大臣は解除の方針をきめた。そしてそれがまたその後やみに消えてしまったわけです。農林大臣が一応解除の方針をきめたものが——これは一応きめたのですね。

岡田覚夫農林省畜産局長

○岡田(覚)政府委員 坂田大臣のときにきめられましたことは、輸入の地域をできるだけ拡大するというふうな方針をきめられたわけでございまして、当時非常に牛肉の生産が減りまして、それである程度輸入せざるを得ないというふうな状態になってまいりましたこともありまして、輸入の地域としましては、特定のところに片寄るよりできるだけ広いほうがいい、こういうふうなことから、輸入地域を衛生上の問題がない限りはできるだけ拡大するという方針をきめられたわけでございまして、中共の輸入禁止を解除するという方針がきめられたというふうには、私たちは承知をいたしておらないわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野分科員 これはあんまり時間がないから論争はできませんが、三十二年の段階では三百頭の輸入の許可があったのです。それが岸内閣のときの不慮の事故のために立ち消えになったわけです。岸内閣のときも、やはり日本は肉を入れるという方針は政府が出したわけです。その時分は社会党の内閣じゃない、自民党の内閣ですよ。自民党の内閣のときに一たん輸入の許可が出た。坂田さんのときに出た解除方針というものは、説明はそういうしかたをしますけれども、事実上はやはり中国肉を入れるという方針が出ておったわけです。それはいいです。ここでは論争しません。  問題は、大臣、一たん入れるという方針が出たわけです。それが今日の段階では、口蹄疫病とかいろいろなもので、これは技術的な問題があるということでもたもたしているわけです。これはいつまでもこういうふうにしておいてはいけないと私は思います。しかも日本の実情から見ても、食肉は毎年一・五倍ずつの状態で需要がふえていっているわけでございますから、これはいろいろ国内的に肉をつくらなければいけませんけれども、やはり需要に追いつくような供給もしなければいけない。同じ供給をするならば、外貨事情が非常に悪いときに片貿易の肉を入れるよりは、バーターでできるような肉を入れるほうが、日本の経済的な側面からしてもよろしいわけです。私はそう思うのです。こういう点について、大臣はどういうようにお考えになりますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 経済的にいいまして、それは全くお説のとおり、多角的に、しかも経済の採算に合うようにすることは当然でしょう。ただ問題は、日本の家畜衛生というものもたいへん大事なことである。それを解明する資料が整わない。そうなると、その問題を解決するには、日本側にも努力しなければならぬ点があるかもしれぬが、同時にまた輸出なさる国にも十分な御協力を願う必要があるのではないか、こういうふうに考えております。

石野久男日本社会党

○石野分科員 私は技術的な側面はしろうとでありますが、今度中国に参りましたときに、肉の精製の工場を見て参りました。実は上海で東風肉類加工工場というのを見せていただきました。ここで上海食品公司の中で肉の生産が行なわれている事情も聞き、そこでの検疫の状態なども、私なりに聞いてまいりました。しかも実際に顕微鏡を当てて検査しているところをずっと見てまいりました。非常に整備されたりっぱな工場です。事実上従業員が八千七百人おりまして、その工場は約二千人ほどの工場でございますが、非常に清潔な状態で屠殺もやっておるわけでございます。公司から出ておるところのこういう病気に対する資料も、非常に整ったものがあるように思いますけれども、しかし、日本の政府の側ではそれは確認できないということであるならば、まだ国交がありませんからそれはできないとしても、政府が権威を持たした形で一応向こう側と接触する、そういう中でいまの不明なところを確認していく、そして取引を進める、こういう形にするのが、この段階では非常に大事じゃないかと思います。そういうことは、私は政府さえ腹をきめればできることだと思うのです。それからまた向こうも、その点については隔意なく受けてくる態勢があると私は信ずるので、ひとつ覚え書き取引をする事務所を通じてでもよろしいと思いますから、そういう態勢をとるという腹があるかどうか、ひとつこの際大臣から所見を聞かしていただきたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 この問題は、決して政治をからませるとかそういう意味ではございません、広い意味では私も政治の関係者でございますけれども、この米とか肉とかの問題は。したがって、そういう材料を得られるような方法については、私のほうも検討し、また輸出をなさろうという国のほうでも十分検討していただきたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野分科員 じゃ最後に、ひとついま大臣からお話があったことでもちろん岡田局長さんのほうでもいろいろ仕事はすると私は思いますが、これは一つは実質的には事務局の仕事になってまいりますから、岡田さんのほうで技術的な側面をほんとうに解明するという腹がないと、これはなかなかできないと思うのです。ひとつ大臣からいまのようなお話があったのですから、その点は十分着実に成果があるように努力してもらいたい。このことをひとつ希望しておきます。  これで終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 本会議散会後直ちに再開することとしまして、暫時休憩いたします。    午後一時三十八分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管について質疑を続行いたします。中野明君。

中野明公明党

○中野(明)分科員 私は、日本とインドネシアの漁業交渉のことについてお尋ねしたいと思います。  御承知のとおり、三十五年にインドネシアが従来の領海三海里説をくつがえしまして十二海里に広げる一方、島と島との間の広大な海域を内水ときめまして、一方的な内水宣言をしたわけであります。この点は大臣も御承知のことだと思うのですが、あらためて大臣にこの内水宣言に対する見解をお尋ねしたい、このように思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 インドネシアの内水宣言をやりましたその国の事情は別といたしまして、わがほうとしてはこれを認めておりません。

中野明公明党

○中野(明)分科員 いろいろとこのことについては三海里説、十二海里説とございまして、今後またの機会に議論したいと思いますが、このインドネシアの不当な内水宣言によりまして、わが国の漁船がこの海域におきまして不当に拿捕されております。今日まで拿捕された漁船の数はどれくらいあるのか、長官に伺います。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 十八隻でございます。

中野明公明党

○中野(明)分科員 もちろんただいま言われたのは直接拿捕された漁船でありますが、その他に拿捕の危険にさらされて非常に操業にも支障を来たし、逃げ帰ったような船も相当数にのぼっておりますが、ただいま言われた直接拿捕されたことによって受けた損害は、大体どれぐらいと掌握しておられますか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 個々の案件につきましての積み重ねの数字はただいま持っておりませんが、御承知のように、わがほうといたしましては、インドネシア側の内水宣言を認めているわけではございませんので、事故が発生いたしましたつど厳重な抗議を申し出まして、同時にそれに伴う損害賠償の請求権を留保いたしておるわけでございます。

中野明公明党

○中野(明)分科員 長官はいま個々の状態については手元に持っていない、こうおっしゃっているわけですが、私はあえてこの機会に申し上げたいのですが、水産庁そのものはどこまでも漁民を守り、そしてまた漁民の生活のことを真剣に考えていっていただかなければならない役所であると私は思っております。過年来非常に大きな問題になっております。こういう問題になっておりますやさきにおいて、長官が直接心配をなさっている船主あるいは業界に、一体どれくらい損害がいままでにあったのかということぐらいは承知しておいていただきたい。その辺からしても、この問題に対する水産庁並びに農林省、あるいは政府の熱意というのですか、その点を私たちは非常に心配するわけです。というのは、これはもうきのうやきょう始まった問題ではございませんで、相当長年にわたっての懸案であり、漁民の要望であります。にもかかわらず、今日に至って、いま交渉を持たれております段階においても、まだ長官のほうが、幾ら日本が損害を受けているか、漁民の人たちが損害を受けているかということを頭の中に持っていらっしゃらない。私非常に残念だと思うわけです。そういう点、問題を解決するにはやはりその辺から真剣に考えていただかないと、この問題の解決はないと思います。きょうは私は焦点をしぼって質問しておりますので、外務省の方も呼んでおりませんが、いままで承知しておられるこの種の事件に対して、どのような抗議並びに損害賠償の要求を繰り返してこられたか、長官のほうから……。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 この拿捕の問題は、御承知のとおりに昭和三十五年、六年ごろから問題が起こりまして、初期の時期に相当まとまった被害があったわけでございます。最近三、四年の間は断続的でございまして、件数もずっと減っておるわけでございます。それで御承知のとおり、こういう種類の問題でございますので、拿捕されましたときに直ちに抗議をいたしておるわけでございますが、それに伴います損害と申しますか、先方に言うべき損害とそれ以外の問題と分けられると思います。額を示して具体的な損害要求という形にはなっておりませんで、要するに損害賠償についての権利を留保するという立場を堅持しておるわけでございます。  それから最近の事情でございますが、当初はふなれな問題もございまして件数が非常に多かったわけでございます。その後、ここ数年の間に起こりました問題といたしましては、たしか昨年でございますか、相当長期間にわたる拿捕の問題がございました。同時にそのころから私どものほうといたしましてもインドネシア側と本格的な漁業交渉をするというような下地がございましたので、それと関連いたしまして、一番最近の拿捕につきましては、外務大臣から直接先方の最高幹部に話をして釈放させるといったような努力を払いました経緯は御存じのとおりでございまして、こういう問題を全部ひっくるめましてこの種の拿捕に伴います損害の権利をどう留保するか、またこれをどう展開するかという問題が今後の漁業交渉と関連して問題になり得ると思います。

中野明公明党

○中野(明)分科員 昨年秋に、佐藤総理の東南アジア歴訪の一環として、インドネシアにおいて佐藤・スハルト会談が持たれて、私どもは、その会談によりまして長年の懸案が一挙に解決すると、このように非常に大きな期待も寄せておりましたし、水産業界としましてもそのことの成果を期待して、先ほど長官は最近事故も少なくなったというようなお話でしたが、そういうことを考慮に入れて業界が自粛をしておったということも大きな理由の一つになっております。ところがそれから今日までいまだに解決がつかず、漁師の人たちはもう待望に待望を重ねてどうすることもできないという状態で、自衛のため、生活のために、みんなの合意を破ってでも行こうというような危険な状態が起こっておりますし、また事実行ってきたのもあるようであります。そのあらわれの一つが、本年の初めに再び起こりました第十五幸漁丸の事件でございます。そういうことで、ちょうど現在、佐藤総理が向こうへ行かれて合意に達した点から出発して、十二月の末から日本とインドネシアの漁業交渉が持たれておるようでございますが、その現在までの経過あるいは合意点、そういう点について長官のほうから御説明願いたいと思います。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 御承知のとおり、インドネシア側との交渉は昨年の前半期から外交ルートを通じましていろいろな準備が進んでおったわけでございますが、先方におきましてはいろいろ関係の筋がたくさんございまして、交渉いたすにいたしましてもなかなかまとまりにくいということで、その点交渉のしかたについて苦慮しておったわけでございます。たまたま総理が向こうへ参られるという機会をとらえまして統一的なお話の場を設けていただくようなステップを踏んだわけです。それが十月の段階でございます。その後私どもといたしましては、当然そのあとすぐ特別な機構が動き出すものと期待しておったわけでございますが、残念ながらたびたび督促をいたしたにかかわりませず、年内にはそういう動きになりませんで、年末も押し詰まりましてからさような委員会が開かれる段取りになりまして、本年一月に入りましてからは急速にそれが動き出したわけでございます。そこで私どもといたしましては、従来外交ルートを通じまして諸般の説明をしておったわけでございますが、特別な機構が動き出しましたのを機会に水産の専門家を派遣いたしまして、また民間からも御協力をいただきまして第一回の交渉に入ったわけでございます。  現在までのところの交渉の内容は、現在継続中でございまして差しつかえがございますので、留保させていただきたいわけでございますが、努力してまいりました第一点は、やはり日本の漁業そのものを理解していただくのに実は相当時間を食ったわけでございます。その説明に相当の時間をかけました結果、従来先方で考えておられましたことにつきまして、だいぶ日本側の漁業の実態についての認識を深められたように思うわけでございます。現在のところ交渉の段階といたしましては若干の問題にしぼられてまいりまして、あと少しでほぼ事務的な吟味は済むという段階に近くなっているわけでございます。何ぶん急速な詰めをいたしましたので若干の問題が残っておりまして、なお相当の見解の開きのあるものもございます。本日あらためて交渉の継続という意味で水産の専門家を向こうに派遣いたしまして、残りの問題の詰めをいたそうというふうに考えておるわけでございます。  大体の経過はさようなことでございます。

中野明公明党

○中野(明)分科員 交渉に当たっているところの日本とインドネシアの代表の人たちの名前はおわかりになりますか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 これは正式の委員会がございますので、名前は後刻申し上げますが、特徴といたしましては、その特別の機構で御相談をするわけでございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、内水宣言そのものを私ども了承するわけにいかないという形になりますので、全体としての国対国の協定と申しますか、そういう形が非常にとりにくいと思います。そこで最終的な形は、先方は政府、わがほうは民間という形にならざるを得ないのではないかと思います。しかしながら、さようなお話の段取りをつけますのと、問題を整理する意味におきまして、政府間のお話をしておるというのが実情でございます。

中野明公明党

○中野(明)分科員 私たちが承知しております範囲では、インドネシアの代表の話の中に直接取り締まりの当局である海軍側の発言が非常に少ない、非常に不気味だ、そういうふうなことも入ってくるわけであります。こういう点で私たちはこの交渉の経過というものを非常に心配しておるわけであります。いま長官は交渉の途中だからなるだけ経過の発表はしたくないとおっしゃっているわけなんですが、すでに雑誌なり新聞にはほとんどその内容が全部公表されておるわけです。本年の二月二十八日の新聞にも、水産庁と水産業界が明らかにしたところによると、このように新聞なんかでもすでに明らかになっているわけなんです。あるいは水産庁の生産部長が見解を新聞に述べておられます。ですから、長官としても、いままで合意になった点はこの点だ、今後検討しなければならないところはこういうところなんだということをお話しになって差しつかえないんじゃないですか、私はこのように思うのです。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 いまのような特殊な事情で民間の代表も出ております。また、現実におきます先方の発表がこちらの新聞にはね返るという問題もございますので、私差し控えたいと申しましたのは、正式に政府の見解としてこのような場所ではっきり申し上げることは差し控えたいと言っただけでございます。すでに新聞にも出ておりますので、さような意味で内容を申し上げますと、非常に広範囲な論議をいたしたわけでございますが、だんだん問題が二、三の点にしぼられてきておるわけでございます。わがほうの基本的な考え方といたしましては、先方の港湾なり基地を使用いたしますので、さような意味の便宜供与を受けます場合の所定の料金を払う、それと関連いたしまして安全操業の保障を得るというラインが基本的な線になろうかと思います。  さような問題で残っております主たる問題は関係水域の範囲、たとえばバンダ海というもので具体的にそれをどういう区域として考えるかというような水域の範囲の問題、これがまだ技術的な問題として若干残っております。  もう一つは、日本漁船がさような取りきめによりまして先方に参りました場合に入港をする問題がございます。つまりある程度、何隻来たかということをチェックしたいという先方の希望がございまして、その港へ入らなければならぬかどうかという問題でございます。これはいろいろな問題と関連をいたしますが、第二点と料金の問題につきまして額の問題は当然まだ相当の懸隔があるわけでございます。大体その三つにしぼられてくるように思うわけでございます。

中野明公明党

○中野(明)分科員 いま長官からもお話がありましたが、新聞にも一部そういうことが報道されておりますが、この料金制の問題、このことについても非常にいろいろの問題が残されておると思いますが、いずれにしましても、先ほど大臣もわが国では内水宣言は認めておらぬ、国際法上からいってもこれは当然の主張でありまして、この食い違いをいつまでも平行線をたどっておったのではどうしようもないというところから端を発しておると思いますが、ここまでいかなければこの問題が解決つかない、そこら辺にいままでの交渉、私はそういう点に非常に不満を持つわけですし、また弱さを感じるわけです。と申しますのは、すでにインドネシアに対しましては戦後賠償の問題もございましたし、その後経済的な非常に多額の援助をしておるということは、これは国民周知の事実であります。そのような国においてすらこういうふうな交渉がまとまらないということは一体どういうものだろうかというのが国民全体の素朴な疑問であります。これは先ほどから長官も、現在交渉中だからといって非常に遠慮ぎみなお話をなさっておられるわけですけれども、そういうところからやはり交渉においても響いてくるのではないか。ほんとうにこの問題を解決して、そして事実迷惑をこうむり、非常な苦しみを受けている漁民の人たちに一日も早く安全操業をさせて、自営はもちろんのこと食糧の供給に大いに働いてもらおう、そういうふうなことであるならばもっともっと強気で交渉していいんじゃないか、私はそう思うわけであります。そうでなければ、世論の上から見ましても私たちは非常に不満足を感じるわけです。何と弱い話じゃないか、こういうふうに感じるわけであります。  しかしながら、もう一点から見ますと、業界が乗り出してここまで積極的にやらなければならぬその裏には差し迫った実情があるわけですから、その点当局として責任は感じておられると私は思うのですが、本来ならばこういう問題は国と国とが交渉してきちんと解決していくのが当然の姿であります。にもかかわらず、すれ違いのために万やむを得ずということがついておると思いますが、業界が乗り出して向こうと話をしなければ解決ができそうにない。ここまできた、業界はやむにやまれず立ち上がったということを考えたときに、非常に私はいままでの手ぬるい外交交渉並びに漁民の憤りというものをその裏にひしひしと感ずるわけです。その点について長官並びに大臣はどう責任を感じておられるか、一言だけお答え願いたいと思う。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 交渉中ではございますが、たいへんいい時期にいい御意見を言っていただいたということは非常に感謝いたしております。確かにおっしゃるような意味の全体としてのインドネシアとわが国との関連ということが総合的に判断されてしかるべきだというふうに思うわけであります。今日まで漁業の交渉がおくれましたのも、わが方は一つの体系を持って先方と話し合うわけでありますが、総理までおいでいただいてその場をつくっていただくというようなことで、なかなか交渉の相手をしぼりますのに苦労いたしたわけであります。さような意味におきまして、漁業の問題とあるいは経済援助の問題との関連といったようなことが若干私たちの感覚とはずれておるように思うわけであります。その点につきましては私どももはなはだ遺憾に思っておるわけであります。今後の交渉といたしましては、当然この種の問題が関連して総合判断さるべきだと考えますので、さような趣旨に伴いまして交渉を急ぎたいと考えます。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 この問題は、私、議員といたしましても事情をよくわきまえておりますし、時たまたま総理がインドネシアに行かれましたときにも同行いたしまして、同行議員の立場からも対面交渉いたしております。幸いに総理が行かれまして、スハルト大統領代行以下の専門家の会議を開いて折衝しようというところまではっきりしまして、それから自来話が急激に進んでおる。私としましても、ぜひこれは解決させたい、同時に、漁民と申すよりも国民全体がわが国の当然要求すべき権益というものは強く国会を通じてお述べになるのは当然のことである。またわれわれはそういう立場からも、日イ両国の友好ということはあくまでも基礎でありますが、主張すべきことは十分主張しながら漁民の、あるいは国益の確保というものをはかってまいりたい、こういう考え方であります。

中野明公明党

○中野(明)分科員 この問題につきましては、私の出身の高知県にも非常に関係が深うございまして、絶えず切々とした訴えがまいります。ほんとうに現実に現場で働いている人たちが拿捕されて、それによって受ける心配、これは関係者はもちろんのこと家族——先日も御承知のとおり黒潮丸のごときは百日になんなんとする間、抑留もされて、その上に食糧費まで払わされておるというような事態であります。漁民の人たちの素朴な手紙の一節にも、本人の書いたままですから誤りがあるかもしれませんが、あくまで国際的に公海であり、日本も全面的に認めてないバンダ海域での一方的なできごとであり、李ライン同様のものである、この操業について、政府は私たちのことをほんとうに考えてくれておるのかどうか、生活に窮しておるというような内容の訴えが切々と届いております。ほんとうにそうだと私も思う。国と国との交渉がうまくいかないその陰で、力の弱い漁民の人たちが犠牲になって何年もしんぼうしていなければならない、こういうことは非常にかわいそうだと感じる一人でございます。ぜひとも、こういう問題につきましても、今回の交渉の妥結を——いま大臣の決意をお伺いして、私も非常に心強いものを感じますが、それとともに、将来の問題になるかもしれませんが、そういう陰で非常に苦しんできておった、そしてまた、不平に思い、また、政治に対する不信の気持ちまで持つような状態にまでなっている関係者、この人たちのことも含めて考えていただきたい、私は、このように強く要望したいわけであります。幸い、大臣のほうからも答弁がございましたし、私も与えられた時間がもうほとんどなくなりましたので、日本とインドネシアのこの漁業交渉が、いま大臣の言われたように、友好を基本としながらも、互いにお互いの言い分を述べ合って、そして、今後同種の事件が起こらないような、円満な解決をしていただいて、漁民の人たちが喜々として自分の生業に励めるように努力をしていただきたいとお願いしたいわけであります。  最後に、大臣のほうからもう一度御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 十分私はこたえてやるつもりでございます。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 御協力を感謝いたします。  次は、岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私は、今年度の予算分科会の席上において、日ソ漁業条約交渉の総括と、ことしの交渉に対する展望について実はお尋ねをいたしたいと思います。  去る一日より日ソ漁業条約の交渉が、昨年に引き続いて、いわば、条約の自動延長下における第二回目の交渉、こういう態勢で交渉が開始をされたわけです。しかし、モスクワ放送や最近の一連のソ連のこの交渉に対する動き等から判断いたしますと、交渉は非常に難行が予想されるのではないか。こういう点で、この交渉に対して国民は非常に注目と期待をいたしておる、かように考えるわけです。そこで、この第十二回の漁業交渉の結果というのは、将来の日ソ漁業のあり方をきめる、いわば分岐点の交渉ではないか、こういうように理解を私はいたしておるわけです。それだけに、昨年の交渉の結果を総括をして、わが国の代表団としても、相当な決意と明確な方針を持ってこの交渉に臨んでおる、このように私は理解をいたしておるのでありますが、本交渉に臨んでいるわが国の基本的な態度、この点について明確にひとつ承っておきたいと思うわけです。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 本年の日ソ漁業交渉の位置づけは御指摘のとおりと考えるわけでございまして、この準備にあたりました私ども、あるいは現在モスクワにおります代表団も同様の考え方で会議に臨んでおるわけでございます。しかしながら、具体的には、御承知のとおり、今回の会議もやはり現在の条約下におきます定例の委員会という形をとりますので、私どもといたしましては、一貫いたしまして、科学的な基礎に基づいて論議を尽くし、合意に達したいということで、しんぼう強い交渉をいたしたいと考えておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 日ソ漁業条約はいま自動延長下にございますけれども、私はこの前文の精神である、いわゆる北大西洋における魚類その他の資源状態と、その利用を考えながら、漁業の最大の持続的生産を維持する、こういう立場で漁業条約が結ばれて十二年間を経過をいたしておるわけです。もちろん、これから交渉を進めるわけですが、この交渉に臨むにあたって柱になる主張点というものは明らかであると思うわけです。この点について、どういう点が一体わが国の主張のポイントなのか。もちろん、来年の漁獲の量もあるでしょう。それ以外に、当然わが国として今回の交渉に対して主張する柱というものが明らかであると思うのです。この点を明確にしていただきたいと思います。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 お話しにもございましたように、昨年来、ちょうど切れ目に参りましたので、今後の行き方にも関連いたします論議が相当突っ込んでなされたわけでございます。そこで当然予想される問題で、わがほうが一番基本的にこの段階で考えておかなければならぬという問題は主として長期取りきめの問題であろうかと思います。  ソ連は、昨年の会議でも、あるいはその以前からも多少気配があったわけでございますが、サケ・マスに限りませず、世界のあらゆる漁場において日本に追いつけ、追い越せといった、五分五分でいきたいという主張が何か基本にあるようでございまして、それがサケ・マスの問題とも関連いたしまして、昨年の委員会で論議をいたしております最中に出てきたわけでございます。それは、日本側と五分五分にしたい、しかも、日本の北海道の、内地も含めました沿岸の漁獲も含めて五分五分にしたいという話が出てまいりました。もちろん、直ちにではないけれども、将来の展望としてそういうことは考えられぬか、それを何らかの意味で長期的な取りきめで考えたいということが非常にはっきりした形で出たわけであります。私たちは、これは非常におかしいではないか、つまり、お読みいただきました前文にも出ておりますように、科学的な基礎に基づいて魚類の保存を考えなければなりませんし、長年あそこにつちかいました日本の実績というものは当然尊重さるべきであって、しかも、私どもとしては、その上に科学的な考慮を加えて資源の保存につとめようというわけでございます。五分五分というのは、これは配分論でございまして、いままでわれわれが努力してきた行き方とも全く違うし、考え方としても非常に受け取れないということで、実ははね返したわけでございます。特に、日本の沿岸まで含めてということになりますと、そもそも何のために資源を保護するのか、これはサケの系統も違うわけでございますので、十年間も続けました科学的な検討を全く一てきして単なる配分論に持っていくということは非常におかしいということで、これははねつけたわけであります。今回も、科学小委員会の経過でさような話はまだ具体的には出ておりませんが、おそらくその種の主張が出てまいると思うわけでございまして、これは私たちは絶対に受け入れられない、これは条約の本旨とも違うという考え方で、これははっきりお断わりしたい、こういう考え方が基本的な問題点でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 今年度の漁獲の量については、過去六年間の実績の十一万トンを主張し、いま長官が言われた長期取りきめをやりたい、これは昨年わが国も主張したけれども、ついにきまっていないわけです。それと同時に、資源の調査について、わが国としてもこれは重大な関心を払う問題であり、しかも今日日ソ間における資源の調査の面についてはきわめて不十分な状態にある。これは条約の精神に反するのではないか、かように私は考えるわけです。そういう意味で、共同調査、特に実地調査、この面については、西カムは一部しか調査できませんし、東カムについては、全然調査に入ることはできない。わが国はいわばシャットアウトを食らっている。むしろ向こうのほうからは、沿岸監視についても人を派遣するという要求が行なわれている。こういう片手落ちの面があると私は思うわけです。したがって、条約の精神からいけば、やはりこの面を明確にすべきではないか。ここが十二年間かかってもなおかつ解決されないという点に問題がある。実はこう理解いたしておるわけです。したがって、これから交渉が進められるわけですが、これは先ほどから申し上げましたように、本交渉が長期的な日ソ漁業交渉の分岐点になるという理解に立つならば、相当な決意を持って臨まなければならないのではないか。そうして、日ソ漁業条約の精神というものを明確にまっすぐに生かしていく、こういう姿勢が堅持をされなければならないと思うわけです。そういたしますと、これからの交渉の経過にもよるでしょうが、昨年は豊漁年でありながら、東京で交渉して十万八千トン、ことしは不漁年であって十一万トンを要求しておるわけですが、交渉の重大性から考えれば、当然政府全体としてこの漁業交渉の最終決定には——何しろ出漁期日が間近に迫ってからいつでも問題を起こしているわけですから、そういう面についてはやはり相当な高度な態勢でこの打開をはかる、こういう決意が必要ではないかと考えるわけです。そういう意味で、昨年から倉石農林大臣に対してソビエト側から訪ソの要請等も非公式に行なわれておったように私は聞いておるわけですが、この交渉の重大性にかんがみて、農林大臣としてどういう決意をお持ちか明らかにしてもらいたいと思うわけです。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 ただいま水産庁長官から、日ソ漁業交渉に対する基本的態度を申し上げたわけです。私も全く同じ考えであります。わが国の漁業の歴史的実績、資源保護に払ってきた努力を尊重する立場に立ちまして、わが国の漁業の利益を最大限に確保するように努力する、これが目標でございます。したがって、ことしは不漁年でもありますし、相手には相手の主張もありましょうから、なかなか難航する面もありますが、しかし、またこの問題は資源の保護に十分考慮を払いながらも、科学的根拠で審議を尽くそう。専門家的な意見が十分に出尽くさなければいけない。それを見守りながら、私といたしましてはそれが成立するように、日本においてこれを期待しまた努力をするわけでありまして、私自体が直接訪ソするということは、現段階においては考えていない。あくまでも専門家の線で、ひとつ思い切りわれわれのほうの主張を基盤にしてわが代表は詰めていってもらいたい、こういうことを考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 漁業委員会でわが国の主張が通って解決されることが一番望ましいわけです。しかし、十二回の漁業交渉の経過から考えて、ソ連のこの交渉に対する出方等を分析すると、わが国の主張が漁業委員会でそう通るというような情勢にないと私は思うのです。交渉場所はモスクワである。こういうことを考えれば、わが国の主張が通らない場合、通すためには、大臣みずから出かけてもこの主張を通すというぐらいの決意がなければいかぬのではないかと思うのですが、いかがですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 それは一つの御意見ではありますが、しかし私といたしましては、いまあくまでも、これは専門家の段階において思い切り詰めていくということを考えているわけであります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 先ほど久宗長官が説明されたわが国の主張点については、今交渉は日ソ漁業のあり方の分岐点である非常に重大な交渉である。そういう理解に立てば、ある程度出漁期がおくれてもわが国の主張を十分相手と話し合いながらこれを貫いていく、こういう決意はおありですね。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 再三大臣がお答えしておるわけでありますが、先生も御承知のとおり、ある時期におきまして、大臣がわざわざ行かれまして、何トンというところまでをきめるような段階が数年前まではございました。その後御承知のとおり、本問題はいわばきわめて事務的に、科学的な根拠に基づいた交渉が行なわれまして今日に至っておるわけでございます。昨年来若干様子が変わってまいりまして、先ほど御指摘のございましたような、たとえば資源調査にいたしましても、若干の問題がございますし、またそれまでは、ほぼ委員会におきます科学者の意見というものは一致いたしまして、それから結論に入るということでございましたけれども、昨年は若干の部分につきまして意見を併記せざるを得ないというような問題がございまして、本年もさような意味の困難さはあるわけでございます。しかしながら私どもといたしましては、今回の交渉におきましても、サケ・マス資源が上向きになっておるかどうかということにつきまして、相当の資料等を準備いたしておりますので、先方の資料がモスクワに行って、向こうから出たわけでございまして、今日科学者が突っ込んだ検討をしておりますので、御指摘の資料の不足な点、私どもがもっと知りたい点というような問題を含めまして、おっしゃるように、今後の分岐点になるような問題でもございますので、あくまでも科学的に詰めたら一体どうなるのかという問題を事務的にぎりぎりのところまで詰めたい、こういう気持ちでおるわけでございまして、この点を御了承をいただきたいと思うわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 いずれにしましても、わが国は資源の有効利用と、持続的生産性の維持、こういう方向で伝統的に北洋漁業というものを維持してまいったわけであります。そういう立場が、ソビエトの河川に遡上するものの捕獲にたよっておる漁法とは違うわけです。そういう段階であるだけに、お互いに資料は公開をする、こういう門戸が開かれないで、そのときそのときの交渉で漁獲の量がきまる、あるいは規制が次々と強まっていくというのは、対等な交渉のあり方ではないおじやないか。こういう点について、特に私はこの機会に決意を促しておきたいと思います。  それと同時に、日ソの漁業条約は一応自動延長下に入っておるわけでございます。この姿が望ましいとは政府も思っていないだろうと思うわけです。当然安定的な漁業条約が締結されることがきわめて望ましいと考えるわけです。しかしながらこの交渉が始まるまで二回の交渉も自動延長下で進められなければならなかった。一体この交渉の中で、日ソ漁業条約の締結、こういうものについて方向をきめるという、そういう漁場の安定、日ソ間の漁業の安定をはかる、こういう考え方を持たれて交渉に臨んでおられるのかどうか。これは権限外の事項なのか。そういうことが交渉の進展過程では、話し合いが十分深められていく、こういう場合もあると理解していいのか。やはりこういう態度が明確にされていないところに、今回の交渉に私は若干の危惧を抱くわけです。こういう点についてはどう考えられておるか。お伺いしたいと思うのです。  それと同時に、この交渉をめぐって、安全操業の問題等がからみ、三木外務大臣の訪ソ、あるいは赤城議員の訪ソ報告、こういう一連の経過をたどって、日ソ漁業条約の改定の交渉は、昨年秋に行なうべきであったという御意見も外務省筋にあったことは間違いない事実であると思うのです。この重大な交渉にあたり、その点については意見が、水産庁、農林省と外務省の間に調整されておるのかどうか。その点についての明確な態度をお聞きしたいと思うわけです。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 いまの条約の改定の問題につきましては、これは委員会の権限外でございます。このような問題は、政府間で交渉すべきことであります。ただ御承知のとおり、昨年来自動延長になりまして、また関係者が長年この問題に関連しておりましたものでございますので、なるべく安定的な、将来の問題についてどうしようかというようなお話は非公式には出ております。そこで私どもといたしましては、条約そのものよりも、今日までの日ソのいろいろな一連の問題を考えてみますと、委員会の運営に相当問題があったのではないかというふうに理解しているわけであります。過去におきましては、それぞれの時点で合意いたしておりますので、形式的な問題といたしましては、双方合意でやったことではないかということでありますけれども、ざっくばらんに申しまして、相当力で押し切られたという感じを持っているわけでございます。今回の交渉におきまして、委員会を通じて科学的な議論その他をいたしました上でどういう結論が出るか、その間にどのような動きをソ連側でなさるのかということは十分承知した上で、次の問題を考えたいというのが水産庁の基本的な態度でございます。外務省との間におきましては、何らそごはないわけでございまして、安全操業の問題も確かに昨年の秋の段階で出たわけでございますが、私どもは少なくともこの日ソの条約に基づきます委員会の問題じゃなくて、安全操業の問題はこれは全く別問題で、権限外の問題であるので、この問題には触れたくないと考えて、さような態度で臨んでおります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 そういたしますと、この交渉の結果、わが国は日ソ漁業条約に対して廃棄の態度をきめる場合もあるし、あるいはまた引き続き不備な点を補うという条約改定の方向の積極的な意思表示をする場合もあるのだ、こういう理解をしてよろしいのですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 条約そのものの評価につきましては、私どもは必ずしも満足はしておりませんが、日ソの条約が資源の保護につきまして相当の役割りを果たしたということは相互に評価しておるわけでございます。ただ現実の問題といたしましては、委員会の運営やその他につきましては相当いろいろな問題を私どもとしては持っておるわけでございます。特に先ほどお尋ねのございました、昨年来出ておりますような科学的な検討と若干異質な、純然たる配分論といったようなものが出てまいりますことにつきましては相当異論があるわけでございまして、さような考えを持ちながら、そのような考え方をかりに先方が捨てないといたしますと、相当問題があるのではないだろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。もちろん私どもも長期的な安定が得られることが望ましいわけでございますが、その場合にはあくまで科学的な根拠に基づいて、しかもわれわれが長年あがなってまいりましたこの北洋の権益と申しますか、資源の問題につきましても、われわれはこれを一番大事に考え、子々孫々に伝えるわけでございますので、さような意味のわがほうの権益が十分尊重される場合に初めて一つの合意点に達するのだろう、こういう考え方でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 外務省から来ておりますけれども、昨年来の一連の日ソ間の外交交渉のあり方、経過、それと今度の日ソ漁業交渉に臨むわが国の態度、この面に私はずいぶんギャップがあったのではないか、こういう感じがするわけです。三木外相の訪ソ、これに引き続いて赤城さんの訪ソ報告、それから向こう側からの交渉開始への意思表示、しかしこれに対しては答えなかったわけですね。そしていまこの十二回の漁業委員会の交渉に入っていったわけです。したがってこの一連の昨年からこの交渉までの動き、こういうものが今度の交渉の中に当然向こう側から関連を持って出されてくるのではないか、こういう判断を私はせざるを得ないと思うわけです。したがって、そういう従来の対ソ外交交渉のあり方から見て、当然これを受けて立つというくらいの姿勢がなければならないのではないか、こう私は考えるのですが、この点についてはいかがですか。

岡田晃外務省欧亜局外務参事官

○岡田説明員 昨年来日ソ間の種々の外交交渉が行なわれておりますわけでございますが、漁業関係に関しましては、赤城先生が川島先生と一緒にいらした場合、これは政府の代表ではございませんですが、三木大臣がいらっしゃいましたときに、ただいま先生から御指摘がございましたオホーツク海の資源の状況について調査をしてみたい。一方的にソ連だけが調査するということは必ずしも公平ではないので、日ソ双方で共同で調査してみたいという提案をコスイギン首相に対して行ないまして、コスイギン首相はそれを応諾して、ひとつそれじゃやってみようじゃないか、ただ具体的やり方については専門家の間で話し合いをしようということであったわけでございます。その他安全操業の問題等につきましても前にいろいろ打診が行なわれたわけでございますが、安全操業それから漁業条約の延長の問題、それらの問題一括いたしまして、政府レベルで適当な時期にいろいろな話をしようということになっておったことは、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、時期に関しまして水産庁といろいろ協議いたしたわけですが、この間何ら外務省と農林省の間に意見の相違はございませんわけでございまして、いろいろの都合で今日まで延びておるわけでございまして、日ソの今回の漁業委員会は漁獲量をきめるということが主でございまして、漁業条約ないしは資源の状況をどういうぐあいにするかということ、安全操業というようなことは政府間の問題でございまして、話の間に当然いろいろそういうことは非公式に出てまいるかもしれませんけれども、正式の交渉ということになりました場合は、当然別個のルートで交渉が行なわれるということになります。その際は、私どもといたしましては日本の実績ないしは国益を十分考慮して対ソ交渉を進めたいと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私はいずれにしても一連の経過というものは無視できないと思うわけですよ。したがって、今回の交渉にもそういう点でもう密接不可分の関係にあるわけですから、当然出てくると予想されますので、この面は大臣十分ひとつ外務大臣と打ち合わせをされて、どのような事態にも対応できるという態勢をひとつとってもらうようにこの機会に強く希望いたしておきます。  たいへん時間がありませんから、次に急ぎますけれども、今回の国会で海洋法の四条約の批准について、そのうちの二つの条約の批准案件が二月十六日の閣議決定に基づいて国会承認を求める、こういう段取りになっているわけです。しかしそれ以外の二つの条約については依然として政府はその態度をきめていないわけですが、しかし漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約についてはすでに二十六カ国がこれに対して加入をした。しかもわが国は当時この条約に対しては棄権をした。あるいは大陸棚に関する条約については三十七カ国がすでに加入しておる。わが国はこれに対してこの条約には反対をした。こういう経過を実はたどっているわけです。しかし先ほど問題が提起をされましたように、インドネシアの内水宣言の問題あるいはまた南米諸国の領海四百キロの主張、とにかく久宗長官の言をかりると、まさしく陣取り時代に入った、こういう評論家的な表現で久宗さんが話をされたということを聞いておるわけでありますけれども、しかしわが国は海洋国であり、漁業国であるという立場から見れば、国際的に孤立をすることは国益にとっても私は非常にマイナスであると考えるわけです。そういう意味では、これらの世界の趨勢に合わして明確な態度をむしろ積極的にとるべきではないか。こういう意味であとの二条約についても、政府の態度というものを早急にきめるべきだ。むしろ積極的に加入をして、わが国の主張を通していく、こういう姿勢が大事ではないか。あるいは日米交渉では領海専管水域十四海里、こういう態度を明らかにしておるようでございますけれども、しかしこの点についても、いままでの政府の態度では領海は三海里だ。専管水域についてはなかなか明確な態度を示さなかったわけです。しかし今後の交渉のあり方から見れば、領海は三海里なのか六海里なのか。専管水域と領海の関係は一体どうなるのか。こういう統一見解を持たないで国際漁業においてわが国が主導的な発言をするということは不可能だと思うわけです。こういう孤立主義からどうわれわれ脱却するか、どう清算するか、これがいまわが国の水産行政に課せられた最大の課題であろう、このように思うのですが、この点についてはいかがですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 四条約にわたる問題でございますが、共通の問題といたしまして御懸念の点は、日本が領海三海里説に固執して世界の大勢におくれておるのじゃないかという趣旨の御質問と思います。確かにジュネーブ会議が成功いたしませんでした結果、専管水域を各所で一方的に宣言した。そういうのが相当大きな傾向になっておることは事実でございます。私どもの基本的な考え方といたしましては、別に三海里にこだわっておるわけではないのでございまして、本来あの際に、ジュネーブにおきます会議で合意が得られますならば、それに従ってよかったと思います。ただ、そこで一番な重要な点は、かりに三海里でありましても六海里でありましても、領海外に漁業だけの専管水域を設けました場合に、その中で既存の漁業がいかに保障されるのかという点が明確になるのであれば、私どもも何ら反対がないわけであります。たまたまその時期に合意が得られませんでした結果、現在各国で専管水域を主張いたします場合に、それぞれの国におきまして、その専管水域の中で既存の漁業をどう取り扱うべきかということについて、全くルールがないわけです。ある国は、一方的に全く恣意的に一切の関係を認めないというところもございます。こういうことでは専管水域を一方的に承認するわけにはまいらないわけでございまして、私どもといたしましては、現に十二海里の専管水域の中で相当の実績を持っておりますので、実はそれに対する対処のしかたといたしましては、一般的に抽象論で争ってはいけませんので、具体的に実績を持っております私どもがそれぞれの国と話し合ってみますと、それぞれいろいろな取りきめのしかたがあるわけです。さような意味におきまして、まず米国との間に法律問題をたな上げにいたしまして、十二海里の専管水域内におきますわが国の実績を具体的に認めさした話し合いをいたしまして、同時にニュージーランド、メキシコ、いまもオーストラリアとやっておるわけでございます。さような形で具体的に一つ一つ固めておるわけでございます。それがおそらくかりにこの次に専管水域問題について世界各国が集まる場合におきましても、実績のある国がそれぞれと話し合ってみれば、こういう取りきめのしかたがあるという国際慣例の積み重ねになるというふうに考えるわけでございまして、さような意味で個別にお話を進めてきたわけでございまして、決して三海里にこだわっているわけではないわけでございます。さような意味におきまして、私どもとしてはいずれ必ずこの問題が世界海洋の問題と関連して問題になると思いますので、その際の国際慣例をむしろつくるといたしますと、現に実績のあります私どもがそういうものを固めていくのが必要だというふうに考えますので、実は非常に前向きにこの問題と具体的に取り組んでいるというふうに評価していただけば幸いでございます。事実さようなことで相当のところと話し合いがつきましたので、これが一つの行き方ではないかというふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 その議論は時間がありませんから、また別な機会に譲るとして、最後に、私は昨年も質問をいたしたわけですが、例のサケ・マスはえなわの出漁期の釧路基地一カ所だけが三日間のおくれ、依然ことしもこのままの方針で臨む、こういう態度を水産庁は示しておるようなわけです。御承知のように、釧路基地の場合には二百二十隻から八十四隻に激減しておる。このまま推移していくと、さらに少なくなるおそれがあるのではないか。基地としては陸上基地もありますし、そういう関連から考えてこの問題は当然ことし解決すべきではないか、こういう意見を述べておきます。特にこの問題をめぐって、最近の調査によれば三日というのは実質データでは大体一・八日、こういうデータも出ておりますし、むしろ三十八年に機械的に三日間、こういうおくれをきめたことが政治的なんですよ。政治的にきめたのですよ。サケ・マスの漁業についても、一切の規制があるわけなんですから、昨年は出漁してむしろ切り上げを命じられた、こういう事態さえあるわけなんです。それをいつまでも放置をしている。業界の意見といったって一部分、たった一つの基地が釧路で、あとは東北関係です。釧路基地を使用しているのは新潟と石川、裏日本の船だけなんです。事情ははっきりしているじゃありませんか。これを解決できないというのは、私は行政の公正を欠く態度だ、このように指摘せざるを得ない、ことし解決しますか。明確にしていただきたい。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 この問題、いろいろな経緯がございますのは先生よく御承知でございますので申し上げませんが、実は私どももこんなことでごたごたいたしますのははなはだどうもまずいのでありまして、北海道の御関係の方及び内地の御関係の方とだいぶ突っ込んで実は議論をしたわけでございます。もうちょっとというところでどうも私どもの力が足りませんで、お話し合いがつかなかったわけでございます。しかし、この問題はやはりごく常識的に解決すべき問題だというふうにも考えますし、また同時に流通問題にからんでおりますので、若干いろんな考慮が要るかと思いますけれども、私どもといたしましてはこれはやはり業界で話をつけていただきたいという気がいたしまして、なお引き続き関係者とも調整をいたしまして、しかるべき結論に向かいたいと考えております。ただ無理ができませんので、御了承いただきたいと思うわけであります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 岡田君に申し上げますが、持ち時間がまいりました。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 そうすると、いまの長官の態度ではことしはまたできぬということなんですね。業界といったって、これはいま言ったように少数派ですよ。少数派でも正当な主張が通らぬという時代はおかしいし、それを行政指導ができないというのは行政上公正を欠いていると言うのですよ。その点について、これは大臣どうですか。

久宗高水産庁長官

○久宗政府委員 これを私のほうで割り切ってきめましたのでは、業界のほうがむしろメンツがないのではないかという感じが私はいたしますので、もう少し業界の中でしっかりと話し合っていただきたいという気持ちであります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 それではいずれまた……。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次に小川三男君。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 これは農林大臣にお答え願いたいのですが、新国際空港の推進本部ができていますね、これは本部長が中曽根運輸大臣、農林省はこれに参加しているかどうか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 推進本部には農林省といたしましては関係者が参加いたしております。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 そうしますと、これは一体どういう立場で参加しているのか。農地を守り、農業政策を遂行するために参加しているのか、それとも単に国際空港をつくればそれでよろしい、周辺の農地は全部壊滅してしまっても差しつかえないのだという立場で参加しているのか、農林省の参加している態度ですね。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 事柄は農地の買収というような問題もありますし、同時に、買収を受けた方々が転換先に代替地をいただいていく、それらに関連していろいろな事柄もある、そういうような面から農林省としては関係をいたしておると思います。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 これは農地局長からお答え願いたいと思うのですが、かりに成田新国際空港がいまの千六十ヘクタールの——これは国有地と県有地と民有地を合わせて千六十ヘクタールという形で押えているわけです。ところが、その押え方に運輸省、空港公団の間にも大きな問題があるのは、羽田でも誘導灯がありますね、海面にずっと誘導灯が出ている。この間のカナダ航空の事故は、あの誘導灯の手前から進入してきて、岩壁にぶつかって事故をやった。誘導灯が長く海に出ているわけです。それは成田国際空港の場合でも、誘導灯は必要なはずなんです。ですから、千六十ヘクタールで押え得ない、これは明らかです。そういう点が一つと、それからぼくのあげるだけでも、かりにあそこで国際空港ができるとして、油を得るための油送のパイプラインが必要、これはまさかタンクローリーで運ぶわけにいきません。それが一つ。それから根本名川改修の計画をいま県で発表しておりますが、これは水面で六十メートル、それから東関東縦貫道による計画を道路公団で進めている。これは建設省関係で進める。これが約八十ヘクタール。国道五十一号線の拡幅工事が進んでいる。高速鉄道の用地がある。これはまだ鉄道の関係で発表していませんが、高速鉄道によってつぶれる農地がある。それから空港建設に伴う資材置き場、これが成田の地先で水田だけで約十ヘクタール、それから成田市北部の印旛沼の台地の北部ニュータウン、こういう土地がつぶれるわけです。それから北総東部用水、これは利根河口ぜきから持ってきて佐原の上からあけて成田へ持ってこようとしておる、こういう北総東部用水路の開発があるわけです。それからこの千六十ヘクタールの毎日使う水とあわせて大きな水を排水するためには、こんな根本名川だけでは地勢からいっても間に合わないわけです。さらに九十九里方面へ流すためには、芝山地先の高谷川の改修を行なわなければならない。こういうような数をあわせて、つぶれる農地をあなたのほうで把握していらっしゃれば、それを発表してもらいたい。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 いまいろいろな事業の種類ごとに数字をあげてお話がございましたが、私どもが現在承知しております確定的な部分は、空港の敷地全体で千六十五ヘクタールというふうに運輸省のほうで計画をいたしておりますが、そのうちの農地が四百四十八ヘクタールということでございます。それ以外の縦貫道路とかあるいはニュータウンとかというのは、まだそれぞれ地元でもいろいろ計画の段階でございまして、正確に場所も確定をいたしておりませんので、そのうちにどの程度の農地が含まれるかということについては、現在は正確にお答えを申し上げるほどの把握はいたしておりません。  なお根本名川の改修につきましては、空港ができますことと関連をいたしまして、根本名川を使って排水をいたしますためには相当の拡幅と申しますか、川の改修をして幅を広げる必要があるようでございますが、その川幅を広げますために約百六十ヘクタールの農地がつぶれるのではないかというふうに想定をいたしておりますが、それと関連をいたしまして、この区域には現在県庁側から圃場整備事業の要請等もございますので、現在県側の準備、実態把握等を待ちまして、県側と打ち合わせをして処置をしたいと思っておりますが、その計画が先ほど申し上げましたように百六十ヘクタール。それ以外には、冒頭申し上げましたようにまだいろいろな話がございますが、最終的に確定をいたしておりませんので、農地がどの程度つぶれるかという数字の把握はないわけでございます。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 農林省がこういう問題について把握しておらないということ自体、これは問題なんですよ。東関東縦貫道は建設省、道路公団でもうすでに図面を作成して用地の交渉をやっている。それを農林省は知らないということはないでしょう。これは畑地とたんぼとだけで八十ヘクタールつぶれます。現に富里村の地先では、道路公団立ち入り禁止といってなわを張って反対運動をやっているのです。しかも農林省へもそのことについて陳情に行っているはずです。どうですか。これもそうですよ。これも請願書が出ている。これは空港公団だけではなく、県へも農林省へも送ったはずだ。これは資材置き場として農地がつぶれるからといって、地元の農民が、水田だけですが、四十七名署名して陳情に出ています。こういうように農地がどんどんつぶされる。運輸省は、国際空港をあそこへつくることによって北総台地が開発されるんだという盛んな宣伝をやっています。北総台地が開発されるというのは一体どんな方法で開発されるのか。少なくとも大工業資本や大商業資本のためには開発されるかもしれないけれども、農業政策の立場からいって農民のためにどんな開発がされるのか、この点は農林省が担当すべき重大な、また推進本部で発言すべき、あなたのほうの当然の責任があるわけです。いまもって農地がどれだけつぶれるかということを農林省が把握していないなどということ、これは問題ですよ。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 小川分科員御指摘のように、空港の直接の施設、あるいはそれに関連いたしまして、ある程度農地をつぶして道路をつくりますとかあるいは輸送用の鉄道を敷きますとか、一部の川の改修をいたしますとか、そういうことの必要性が出てまいっておるわけでございまして、純粋に農業側の立場で申しまするならば、農地がつぶれることはそう好ましくはないということは先生の御意見のとおりだと思いまするが、御承知のように昭和四十一年の七月でございましたか、当面の日本政府としての緊急な重要政策ということで、成田に空港を設置することがきまったわけでございますので、私どもとしてはその設置に伴います各種の関連の事業について、できるだけ農地がつぶれる面積が少なくなるようにということは、もちろん期待もし指導もいたしますとともに、あわせてそれに関係いたしまして、農地を失う農家につきまして、具体的にいろいろ対応策を空港公団と協力をして考えていかなければいけないという立場にあるわけでございます。  そこで、まず空港敷地につきまして、先ほどもちょっと触れましたように、約四百五十ヘクタール弱の農地がつぶれるわけでございますが、これにつきましては空港公団において、その中で農業をやりたい農家のために代替地の造成をいたしまして、引き続き農業を続けたい人のために農地を確保するということを約束いたしております。その場合の予算あるいは事業は、公団のほうで直接いたすわけでございますが、必要な技術的援助につきましては、私どもも協力をいたしております。  それから第二には、県庁からの要望として、関連の農地開発と申しますか、公共事業が二つございます。  一つは、空港周辺の畑地帯につきまして、畑地かんがい事業を実施してほしいという希望でございまして、現在のおよその県庁の見積もりによりますると、三千ヘクタールぐらいの受益地について関係農家が千戸ぐらいでございますが、そういう区域について畑地かんがいの実施をしてほしいということでございます。これは現在成田の現地が御承知のような実情にもなっておりますので、なお十分の調査設計等が進んでおりませんが、空港の建設工事の進展と関連をいたしまして、今後できるだけ地元の要望にこたえるような畑地かんがい事業を実施をいたしたいというふうに考えております。  それから第三番目と申しますか、県庁側からの要望の二つ目は、先ほどもちょっと申しました根本名川の河川改修に伴いまして、川幅を広げることと関連して若干農地面積がつぶれますので、その付近の農地全体をくるめまして、圃場整備事業を実施して川のふちにたまたま立地をしておりました農家だけが農地がつぶれることのないように、全体で圃場整備事業として共同減歩等の方式で圃場整備をし、その後の農業経営が効率的に進むようなことをくふうをいたしまして、今後の農業経営の近代化等に支障を来たさないようにしたいということを要望しておりますので、これについても現在県庁における調査等を待ちまして十分相談に乗りたいというふうに考えております。  当面の公共事業関係として、空港に関連して私の所管で対応したいと考えておりますのは以上の三点でございます。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 あなたのほうでは、それはいまあなたはくどく説明したけれども、全然実態を把握してないですよ。空港公団は法律によって農地を買収して代替地を造成するなんて法的根拠を持っていませんよ。空港公団にはそんな事業をやる法的根拠はないです。したがって千葉県に委嘱してやっているのです。だから現地で何と言っておるか。新国際空港公団ではなくて、あれは千葉県空港公団だ、こう言っておる。空港公団は農地を買収して、土地を造成して代替地を割り振るというような作業できないですよ。法的にそんな根拠はありません。それが一つ。  それから根本名川のようなああいう——あれは山と谷合いですよ。あのまん中を流れておる川幅をこれだけつぶしたら、水田農業をやっておる農家はつぶれますよ。土地造成などということはできる道理はないですよ。少なくとも根本名川の流域の農家は大半つぶれます。耕地がなくなるのですから。しかもあそこは水田専用農家です。単作地帯で、ほとんど水田だけでやっておる農家です。これが水田を失ったら農業は立っていきませんよ。そういう点をもっと明確に農林省は把握しなければならぬ。  北総東部用水についてもそのとおりです。あそこに反対運動が起こっておる。これは耕地がつぶれるからです。しかも何と言っておるかというと、畑のまん中に川を掘ってするのだと言う。そうすると今度はそうじゃなくて、いやパイプで送るのだ。パイプで送ったって農地はつぶれますよ、パイプをそこへ置くのですから。それから畑地かんがいをすると言うけれども、現在畑地かんがいをやろうとしておる富里の地先が東関東縦貫道で、あそこの新木戸という部落は旧でいけば約十六町歩の農地が全部つぶれて、そこの部落はそこで農業をやっていくことができなくなるのです。  そういうような点について、農林省として農業を守る立場に立って少なくとも農業政策を遂行するということであるならば、もっと強力な発言権をもってもらわなければならぬ。あの空港推進本部にだれが出ているか知らないけれども、少なくとも農林省として農業を守る立場に立ってやってもらわなければ困る。全部後退でしょう。あなた、農民が抵抗しているのですよ。その農民の抵抗の先頭に立って農林省は戦いなさいと言っているのじゃないですよ。少なくとも農業の実情を把握して、いま農民があれほど強力な抵抗をしているのは、農地を守らなければならない、農地を守るということは農民にとっては自分の生命を守ること以上に大切な仕事としてやっているのですよ。そうでなかったら、あんな流血の事態を起こしてまで農地を守るなんということはやっていませんよ。それを農林省が手をこまねいて、他の官庁のやる仕事に無抵抗のまま農民を難民のごとくに追い出すような政策をやっていられては困るということなんです。したがって農林省としては、農地を守る立場、農民を守る立場から、どんな態度で今後これに臨むのか。しかもあなたのほうで、すでにどんどん農地を調査したり図面をつくってきて、ここは道路になりますよと言っているのに全然知らないなんて、そんなばかなことはないですよ。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 私の説明が十分でなかった点があるようでございますので、もう一度補足さしていただきますと、空港全体の敷地約千ヘクタールのうちに四百五十ヘクタールぐらいが農地でございますが、それに関係をいたします農家で、その場所を変えた他の場所で農業を継続したいということを希望している農家のためには、空港公団に代替地造成部という部がすでに公団設立以来設置されておりまして、そこに予算を計上して、現在農地でない場所を開墾して農地にする工事を実施いたしておるということを先ほど申し上げたわけでございます。所有関係その他は、県有地等もございますから、その上で公団が工事を実施するわけでございます。それを県庁が農業を継続したい人たちにあっせんをして売り渡しをしていく、こういう趣旨で申し上げたのでございます。  それから第二の根本名川につきましては、先ほど申しましたように農地がつぶれることは事実でございますので、たまたまその周辺に立地をしておる農家だけが農地を失うということになりませんように、付近の関係の農地全体をくるめて圃場整備事業を実施して、新しい区画をつくって、特定の人だけが犠牲にならないように、そして圃場整備が終わりましたあとで効率的な農作業ができますような対応をいたしたいということを申し上げたのでございます。  なお、北総東部は空港とは全く関係ございません地区での土地改良事業でございますので、空港と直接関連をした対策としては私どもは考えておりません。  なお一般的には、冒頭にも申し上げましたように、この空港の建設が日本政府として当面緊急の事業であるということで閣議決定をされておりますことでもございますので、私どもの立場は、でき得る限り関連する農業者への影響を少なくし、また移転をしたりその他しなければならない人たちに対して、現行の制度なり予算のワクの中でできるだけお世話をして、それらの影響が少なくなるように、また今後の農業経営に支障を来たさないように、そういう趣旨で地元の県庁とも打ち合わせをしながら対応策を考えていくという立場でございますので、御了承いただきたいと思います。

小川三男日本社会党

○小川(三)分科員 時間がないのでこの問題はあらためてやりますが、農林大臣、いま農地局長は北総東部用水が空港と関係ないと言ったが、そんなことないですよ。北総東部用水は空港のどまん中の天神峯まで持っていっているでしょう。北総東部用水は明らかに空港で使用する用水であるということを発表していますよ。佐原の市会が議決をして、そして調印をとっているのですよ。——まあ、この問題についてはいいです。時間がないから。またあらためて農林水産委員会でやります。ともかく農林省として、この周辺のつぶれる農地を少なくとも計数の上で全部掌握してもらいたい。この点はお願いをしておきます。  それからもう一つ、あそこにいま三里塚、芝山という二つの空港反対同盟がある。その中で、芝山ばかりじゃありませんが、芝山が最も強力に反対しているのは、あそこに丸朝園芸農業協同組合という組合がある。この団体をこの前も農林水産委員会で聞いたら農林省は全然知らない。ところがこの組合は日本一の出荷率を持っているのです。単位農協では日本一の出荷率だ。四十二年の四月からことしの三月までのこの年度に、あと二十日ほど残っているけれども、八億をこえる販売数量を持っているわけです。これは米、麦、落花生、そういうものは除いて、蔬菜と園芸だけで八億以上の販売量を持っている。きょう組合長に電話したら、八億をこえます。それは確信を持って言っています。こういうような農業があそこに空港ができたらつぶれますよ。ですから、空港公団や運輸省が年収百万以上は確保しますよといって宣伝したって、そんなものは問題にしていませんよ。スイカだけでも年収二百万を取っている農家がたくさんある。ここには、農林大臣、農林省の希望どおり、出かせぎの農民は一人もいない。日雇いに行っている者も一人もいない。なぜかといえば、計画栽培、計画出荷しているからです。ですから、三十万の都市をつくりますが、三十万くらいの人を相手にわれわれは仕事しておりませんと言う。これは、青森から九州まで出荷網を伸ばして、毎日のように計画出荷ができるように計画栽培をしてやっているのです。しかも、町の補助も、県の補助も、国の補助も、この園芸農協は一銭も受けておりません。そうして、自主独立で一生懸命に仕事をしているわけです。これがつぶれるのですよ。あの人たちは、いま資金を集めて、公団が畑地を百二十万で買うなら、われわれは百三十万で買う、こう言っておりますよ。老人決死隊を組織したのはこの丸朝園芸農協の組合員たちが中心なんです。婦人行動隊にしてもそのとおりです。老人決死隊の諸君は、死を決してもこの土地は守らなければならない、こう言っているのです。この農民の切実な要求や経済的に結びついた仕事を農林省自身がもっと把握して、これを公団なり運輸省なりに、もっと強力に発言をやってもらわなければならない。そうでなければ農民はますます怒るだけですよ。このままいったら空港はできませんよ。昭和四十六年の四月に飛行機を飛ばすなんて、そんなことはできるわけがない。それは絶対にできません。いまの状態のまま推移するならできません。しかも、運輸省の、この空港がこのまま推移していったら農地がどれだけつぶれるか、そういう立場に追い込まれる農家が何戸あるのか、そういう点をすみやかに掌握して、これに対して農林省としても、むしろ進んで積極的に農林省としての方針を確立して、推進本部に進言してもらいたい。私は、その点を要望して終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は、美濃政市君。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 私は、自作農特別措置法によって買収、売り渡しをした、その土地が、国が被告となって、ある程度の件数に対する買収の取り消しあるいは売り渡しの取り消し等、訴訟事件になっている、この件についてお尋ねしたいと思うわけですが、まず最初に、何件これが訴訟事件になっているか、現在係争中のものをお尋ねいたします。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 いま、その件数の総計をちょっと手元に持ってまいりませんでしたが、一般的な傾向としては、当初から比べますと年々減少はしてきておりますが、しかし、現在まだ相当件数は係属いたしております。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 端数がちょっと不正確かもしれませんが、現在一審、二審、三審を通して係属中のものは九百九十くらいあります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 あとからある程度具体的に、売り渡し関係が何ぼ、あるいは買収取り消しが何ぼという概要の都道府県別あるいは種類別の件数の資料をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。  それでは、このようになっておる問題につきまして、まず農林省側の見解を承りたいと思います。  すでに、一審二審等で国が敗訴して、上告手続をしておる件数、これも何件あるということは、いまよろしゅうございますが、かなりの件数があるわけです。この取り扱いについて、いわゆる自作農特別控除、行政上買収売り渡しをした過程におけるものが間違いであったと考えておるのか——もちろん、間違いでないと思うから控訴をしておると思うが、この見解を承りたい。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 最初に、数字を訂正をしてもう一度申し上げます。買収売り渡しというふうに明確にはわかっておりませんが、農地改革の際の既墾地の関係で申しますと、国単独になっておりますのは一審で二百三十一、二審で八十、三審で二十二、それから、国、農業委員会、県等を当事者としたもので、その場合には国が入っておりましても、国は単独ではなくて県知事と一緒に訴えられておったり、農業委員会と一緒に訴えられておったりする件数でございますが、それが一審係属中が四百四十四、二審係属中が二百十三、三審係属中が三十五、両方あわせまして合計で一千二十五でございます。それから未墾関係は、国単独の訴訟が一審で五十二、二審で十二、三審で六、合計七十、それから県庁、農業委員会等が一審五十二、二審二十一、三審三ということで合計七十六ということになっております。  一般的な基本方針でございますが、これらのうちの大部分は、農地改革そのものに対しまして基本的に反対という立場に立った人たちが、無効とか取り消しとかいうようなもので出てまいっておるものについては、農地改革の成果を維持するというような立場で、全体として、最終段階まで争ってでも既定の方針を守っていきたいという強い考え方でおりますが、何ぶんにも、当時非常に短期間に大面積について事務処理を県庁でいたしました関係で、たとえば、まだ登記が終わっていなかったというようなことで、所有者を事実誤認をいたしましたり、その他農地法上買収すべからざるものをいろいろな事務的なミス等で買収してしまったというような例もある程度ございます。そういう事案につきましては、できるだけ訴訟の経過の中で原告側と話し合いをしまして、和解という形で処理をして、関係者にあまり大きな迷惑のかからないように処理していくという基本的な考え方で処理をいたしておるのが一般的な方針でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 いわゆる控訴中のもので、私自身二十数年地元の農地委員から引き続き会長をやりまして、私が農業委員会長としてとった措置に対する事実誤認から、三時間か四時間でございますけれども逮捕状が執行されたことがあります。きょうは時間がありませんから具体的なことは申し上げませんが、私の村で同一事件で敗訴した事件が、私の証言によって被告有利に裁判が終始した問題があるわけであります。あるいは年月が長くたってきますと、当時の自作農の特別措置法によって買収売り渡しを進めたその事件になる問題は、訴願なり異議の申請なりで、県当局あたりも、行政措置について再調査をして確認をしておるわけです。おそらくそのものが多いわけです。そうして県の農地委あるいは農業委員会あるいは農業会議等が確認をして間違いなしという認定に基づいておるわけです。それらの経過——私自身が二、三件の問題で司法当局との見解の相違から全く苦しめられたことがあるのですが、それは正当に解消されておりますけれども、そういうことについて、農林省側は、この判決文その他を見て、上告しているものの中にそういう点があるかどうか、そういうことを感ずることがあるかどうか。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 何ぶんにも、買収をしてから相当の期間が経過をいたしまして、現地の事情も当時とは非常に変わってきているというようなこともあり、現在の社会情勢を前提にしただけで御判断をいただくことは、農地改革の仕事をしてまいりました当時と違った判断になりやすいというような点について、私自身もかつて農地改革の仕事をし、また、訴訟で法廷に出たこともありますので、控訴なり上告をいたします段階の現状と当時の事情との変化に対応して、いろいろと訴訟について法務省と打ち合わせをしながら処理していきましたが、いろいろ微妙な苦労はいたしておるわけであります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 ただいまお聞きのようなお話が農地局長からありましたが、これに対する法務省の見解を伺っておきたい。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 いま農林省からお話が出てまいりましたように、いろいろな法律解釈の問題もありますが、事実関係をどういうふうに裁判所によく認識してもらうかということにつきましては、何ぶんにも非常に昔の状態をいまの考え方で、しかも、その付近の状況なり何なり相当変わってきているのに、現在の状態なり考え方で見られる、こういう傾向が比較的裁判所にあるのでございます。私どもといたしましては、その遂行にあたりまして、買収の手続を進められた当時の状況を裁判官によく認識してもらって、そういう方向に訴訟の重点を従来置いているわけであります。しかしながら、個々の事件におきましては、遺憾ながらわれわれのほうの主張がいれられない場合もあります。また、判決によりましては、そういう場合にそれぞれまた上訴審で是正してもらっている関係も相当たくさんあるわけであります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 これだけの件数があれば逐次判決がされていくと思いますが、特に買収時点の現況と今日の現況とが相違していない場合は、これは農地でございますから経済的な取り扱い方の問題も少ないわけでございますが、特に大きな問題で訴訟に該当しているもので現況が変化をしている。今日ではすでに買収売り渡しをしてから約二十年の年月がたっている。その間に、農地法第五条のいわゆる転用申請をして、それぞれ法律的に許可をとって宅地になっている。したがって、それを取得して、建築をしている者は、法律上善良な第三者と私は言えると思うのです。しかし、数多い件数の中で、それが判決によって、たとえば買収取り消しという判決が下った場合の措置はどう考えるか。現況は変化しておる。取得しておる者は善良な第三者で、建築構造物という資本投下をしておる。これがそのまま、その判決によって買収取り消しとなった場合に、まず第一番にその取り扱い方をお伺いしたい。農林省側が買収を取り消してするのか、それとも判決によって、法務省が法務局に命じて、実情のいかんにかかわらず所有権は取り消されてしまうのか、どういう取り扱いになるのですか。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 判決で買収が起こったことが取り消しということになりますれば、その判決があったことだけですでに形成判決でございますから、行政行為そのものも取り消しになるわけでございます。  なお私どもといたしましては、係争中の場所について転用等の申請は、農林大臣の許可をいたしますような事項については、絶対いたさない。あとの紛争もありますので、いたさないという基本的な方針でやっておりますし、また地方庁が評可をいたしますような範囲につきましても、できるだけ判決の確定があるまで、そういう形質変更の農地法上の許可がその場所に行なわれないように一般的には指導をいたしておりますので、係争中の場所に、特にいまおっしゃるようなことがありましたようなケースというものは、全国的にもきわめてまれなケースでございます。現在も、先ほど申しましたような係争中の事案も相当ございますので、極力いま申しましたように、係争中には形質変更が行なわれないような、そういう考え方で、将来の紛争を未然に防止するようなそういう措置で進んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 しかし現実には、ただいまの係争件数も全部とは考えておりませんが、現実には私どもの調査しておる範囲でも、全国的に何件か宅地になったものが係争の対象になっておりますが、これは御存じでしょう。私がこの際御質問したいことは、特に価値も変わっておりますし、取得しておる者は善良な第三者ですから、法律上のあらゆる手続をされて所有権、いわゆる登記もされておるわけです。売った者は——登記簿上は買収して、知事が代行したといえども、当局は農林省ですから、農林省が売り渡す。これは国です。それが無効だということになった場合、非常に大きな悲劇を受けるわけです。たとえば農地であった場合には代替措置とかあるいは経済的な悲劇は当該買い受け者の耕作権の問題になってまいりますし、農地であれば、現在の所有者に対する軽重の問題は別といたしまして、経済的に経済価値というものはかなり違うわけであります。その進め方でなくて、取り扱い方はどうなるのかということをお伺いしたいと思います。   〔主査退席、小山(省)主査代理着席〕

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 いまお話しのように、無効確認の判決あるいは取り消しの判決が確定いたしますと、旧地主は、土地の取得者のほうに対して、土地の返還の請求ができることになっております。いまお話しのように、売り渡しを受けてから土地の原状を変更しておる、あるいはまたさらに転売を受けた、こういうような関係者がいろいろたくさんあるわけであります。その収拾方策になりますと、非常にむずかしい問題に相なるわけであります。従来のいろいろな例を見ますと、そういう判決が最終的に確定しました際に、また旧地主のほうと売り渡しを受けた者、あるいは転売を受けた者との間で事態の収拾についてお話し合いがあって、また場合によっては県のほうでいろいろ換地をあっせんされまして、折り合いがつくように持っていかれる、こういうのが多いように見受けられますが、そこまでいかない場合には、場合によっては、国家賠償ということで、国のほうにそこから受けた損害を請求されておる事案もあります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 折り合いをつけるというと、これは示談ですね。示談解決という方法も確かに一つの方法ですが、私のいま尋ねておるのは、折り合いのつかぬ場合を聞いておるのです。つかない場合と折り合いがついたとしても、その前に取り扱いを受けておるのですが、いまの御説明ですと、判決を受けた者が現在所有者に交渉する。そうですか。交渉するその間の登記はどうなるのですか。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 いろいろな訴訟法で、原告のほうからどういう形の訴訟が起こされておったかにもよるわけでありますが、ただ単に、国なりあるいは農業委員会なり知事を被告にした行政訴訟でありますと、それが取り消されて、無効確認ということになりましても、直ちに現在土地を占有しておる者から明け渡してくれ、こういう趣旨の判決になっておりません。したがって、その判決に基づいて直ちに明け渡しの強制執行というわけにはまいりません。新たに旧地主のほうから現在占有しておる者に対しまして明け渡しの訴えを起こして請求していく。訴えを起こしていく、こういう手続がまた必要になってくるわけであります。その問いろいろまた話し合いも行なわれる、こういうことに相なると思っております。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 そうすると、ちょっといまの御答弁を確認しておきたいと思いますが、判決謄本によって、法務局で現在の所有者の意思のいかんにかかわらず所有権を取り戻して、もとの所有者に登記が変わるということはない、こう確認してよろしゅうございますか。その手続をしなければならぬ。明け渡しの訴訟によって解決するのだ。これは話し合いの場合は別ですよ。法的な取り扱い……。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 いま申し上げましたように、訴えの形で、当初から原告のほうで取り消しの訴えなり、無効確認の請求のほかに登記の抹消の請求をされておる事案もあります。さような事件で、その判決が確定いたしますと、その判決に基づいて、登記をもとの旧地主のほうに戻していくということが直ちにできるわけであります。ところがそういう請求がつけ加わっていない訴えでありますと、また登記のほうは別途の手続を要する、こういうことになるわけであります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 次に、私は先ほどお話のありました国家賠償についてお尋ねしたい。これだけの件数が、ただいま報告がありましたように、しさいな資科はあとになりますが、概要の御報告でもかなりの件数がある。その中には、私どもの承知しておる範囲でも、大都市周辺でこれが旧地主の勝訴に帰すということになると、かなり大きな問題が発生する、すでに宅地化しておりますから。そういうものを全部は私は承知しておりませんが、二、三のものについては承知しておるわけなんです。一体これは国が買収して売り渡して所有者は善良なる第三者ですから、たとえば示談で話し合いをつけるといっても、これはもちろん再び裁判になって判決によろうと、示談で話し合いをしようと、それに対する国家賠償責任というものは、これははっきりあると思うのです。これはもう所有権を移転しておるのでありますから。この国家賠償に対して、この種のものは、再びまたこの訴訟に負けた国民が、国を相手どってこの国家賠償法の定めるところによって訴訟によって解決するというようなことであるとすると、これだけの件数があり、これが逐次判決のいかんによっては事態は発生するわけですから、国民は国を相手どって訴訟で解決しなければならないというのは、まことに冷酷だと思うのです。これは国家賠償責任ということが明確になっておるわけですから、この種の国家賠償に対する基準なり、あるいは起きた場合には具体的な問題はケース・バイ・ケースでなければならぬですが、ケース・バイ・ケースで処理する基準というものができておるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 現在でも、国家賠償の事件が数件係属いたしております。   〔小山(省)主査代理退席、主査着席〕 国家賠償法の請求の訴訟におきましてやはり一番の問題点は、さような買収の手続をしたり買収処分をした場合に、農業委員会なり県のほうに過失があったかどうかという点が一番論点になる。提起された訴訟を遂行するのが私どもの任務でありまして、各事案を見まして過失はないのだと見れる事件は、さような主張をいたしております。最近一、二の事件でやはり過失があるのだということで、国家賠償の請求を認められた案件もあります。しかし、一番論点は過失があるかどうかというところに問題がいきまして、それで国家賠償の請求が成り立つか成り立たぬかがきまってくることだ、かように思っております。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 しかし、判決取り消しになったものは、何かそこに過失というよりも、取り扱い上裁判所が理由があるから取り消すのでしょう。過失という表現が正しいかどうかはわからぬ。そうすると、買っておる者は、現実に私は宅地の場合をさしてお尋ねしておるわけですが、善良なる国民の第三者に大きな被害が及ぶわけですから、それが過失があるかないかという問題ではないと思うのですが、この賠償を受けて立つところはどこになりますか。法務省ですか、農林省ですか。

青木義人法務省訟務局長

○青木政府委員 国家賠償の請求は、国を被告にして訴えが起こされるわけです。あるいは場合によっては府県を被告にして訴えられるといったよう訴えもあります。国家賠償法では、国を被告にいたしましても、府県を被告にいたしましても、いずれの方法もできることに相なっておるわけであります。国を被告にいたします場合に、法務大臣が代表いたしますが、私どもが県のほうと実質的によく連絡をとって訴訟遂行に当たっておるわけであります。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 農林大臣にこれをお伺いしたいのです。  この問題は必ず大きく出てくるのですが、この場合、取り扱った主管は農林省になるわけで、県を相手にするにしても、国を相手にするにしても、発生させたものは農林省ということになります。これは、今後これだけの件数が訴訟になっておるわけで、中には大都市周辺でかなり大きなものがあるわけです。国家賠償責任も、かなりの単位の国家賠償が必要となる問題が、判決の結果によっては将来発生するわけであります。これに対してどうお考えになりますか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 ただいま御質問ずっと聞いておりまして、一応の事情はわかりましたが、国家賠償責任という一つの法律の基礎に基づく論議でございます。したがって、今後これに対処しますには、法務省と十分協議して対処してまいりたい、こういう考えでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃分科員 終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は、神田大作君。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 まず、大臣にお尋ねいたしますが、私は生鮮食料品の流通改善について、特に非常に値上がりと値下がりの激しい青果物の流通改善について、政府も努力をすると思うが、予算面から見ましてもわずかな予算しかついておらないようでありますので、特に日本の食糧需給の問題あるいは消費者の生活安定の問題からいたしまして重大な地位にあるところの青果物の流通改善について、まず大臣の所信をお聞きいたします。いろいろ時間の関係がありますから、ひとつ簡潔に、よろしくお願いします。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 基本的に申し上げますが、もちろん農業の生産面におきましては、構造改善その他の近代化、同時に、生産の面にも影響いたします流通の近代化、これは生産者にとってもきわめて大きな影響がありますし、同時に、これは一般の消費者にとっても影響があります。したがって、流通の改善と申しますか、同時に近代化というものに対しましては、今年度もできる限りの予算措置等で、一般経費あるいは融資、こういう面からいろいろ御審議をお願いしておるわけであります。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 大臣はそういうような考えであるが、しかし、この流通改善のための施策としての予算がまことに微弱であるが、このような予算ではとうてい思い切った改善はできないだろうと思うのですが、その点について具体的にどのようにやっていくつもりであるか、お聞きします。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 私ども生鮮食料品、青果物の流通改善につきましては、ここ数年来相当な努力を続けてまいっております。四十三年度の予算につきましても、まず、生鮮食料品の流通のかなめであります中央卸売市場の施設の整備につきましては、相当の補助金の増額をいたしておりますし、中央卸売市場と並んで流通の衝に当たります地方市場につきましては、いままで国としては何らの施策を講じておりませんけれども、四十三年度の予算から、基幹的な地方市場につきましては、中央卸売市場の施設の整備と同様な助成をいたすことにいたしておるわけでございます。また従来は、生鮮食料品の流通関係につきまして特段の国家的な金融制度はなかったわけでございますが、新しい制度といたしまして、卸、仲買いあるいは地方市場の整備等につきまして、農林漁業金融公庫に相当なワクで融資いたすことになりましたし、また小売りにつきましては、国民金融公庫に百三十億の特別のワクをつくりまして、その近代化につとめていく方針でございます。四十三年度の予算につきましては、四十二年度に比べて相当な予算上の増加があったものと考えておるわけでございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 具体的にはどのくらい増になっておるか、申していただきたいと思います。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 おおよその数字で申し上げますと、中央卸売り市場の整備につきましては、四十二年度におきましては約九億でございましたものを十三億五千万円ほどにいたしましたことと、それから地方市場の整備につきましては、四十二年度におきましてゼロでございましたのを、新しく六千万円計上したわけでございます。さらに、食料品の公設の小売り市場の設置を四十二年度から進めておりまして、四十二年度に十二カ所の施設をいたすことで一億二千万円の補助金を組んでございますが、四十三年度におきましても同様の金額を組んでおるわけでございます。  なお、融資につきましては、先ほど申し上げましたように、農林漁業金融公庫に三十億の卸売り市場の近代化の資金、それから国民金融公庫に生鮮食料品等小売り業の近代化の資金として百三十億の特ワクを設けておる次第でございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 非常に複雑化しておるところの現在の流通機構を改善するのに、たとえば地方の卸売り市場は全国に千五百カ所くらいあるわけです。それに対して、六千万円の金をどういうふうにして使うのですか。十分だということを言いますが、われわれは、こういう千五百カ所もあるところの地方の卸売り市場の整備のために六千万の金を出したところで、これはどうにもならぬと思う。市場の操作というものは非常に近代化し、また設備も合理化しなければならぬときでございますから、長い間放置されておるところの市場の整備のために非常にばく大な金がかかるのでありまして、中央卸売り市場の整備と同時に、地方の卸売り市場の整備が非常に必要である。逆に、地方卸売り市場が整備されないために、わざわざ中央から逆流して地方へ青果物が流れるという状況が見られるのであります。私は、大臣あるいは局長が答えるように、これら重大な生鮮食料品の流通機構の改善のためには、十分な施策はこれではできないと思いますが、それについて大臣はどうお考えですか。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 地方市場につきましては、御指摘のように千五百以上の地方市場があることは事実でございます。ただ、その中身を考えますと、公共団体がやっております公設のものはごくわずか、数%でございまして、あとは株式会社その他のいわゆる商売人といいますか、会社の経営しておりますものが大部分でございますから、地方市場全体に対して中央卸売り市場に対すると同じような国の助成措置を行なうということは、私はたてまえとして無理であろうというふうに思います。したがいまして、六千万円の補助金というのは、地方市場のうちでまず公設市場、それからその地方地方における基幹的な市場であって、流通の中心となるべきものの施設をいわばモデル的に補助金を出して整備をいたしまして、それとあわせて一般の地方市場につきましては、先ほど御説明申し上げました公庫の融資でやっていく。とにかく地方市場というのは、中央卸売り市場と同じように、生鮮食料品、青果物、水産物ともに大体中央卸売り市場と半々の荷物の取り扱いでございますから、御指摘のように、中央卸売り市場の整備だけでは流通改善のたてまえからいって足らないので、地方市場の整備につきましては、今度新しく制度を打ち立てて、これから整備に乗り出すということでございます。したがいまして、六千万円だけで私ども地方卸売り市場の整備をするというふうには考えておらないわけでございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 これは基本的なことを言っていると時間がなくなるから、あとで農林水産委員会でまたお尋ねすることにいたしまして、中央卸売り市場の場合も、われわれが行ってみてわかるように、非常に狭隘で、しかも混雑をして、改善しなくちゃならぬ点がたくさんありますが、この点はまた答弁を願うと長くなるからあとにお願いして、特に私が指摘したいのは、卸売り人の手数料が非常に高い。八・五%の手数料を取っておるようであるが、この点についてどのように思われますか。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 卸売り市場の手数料は、実は三十九年の九月から手数料の引き下げを行ないまして、御指摘のように、蔬菜が一〇%でありましたものを八・五%にし、くだものが八%でありましたものを七%にいたしたわけでございます。手数料をそれだけ下げますと、そんなに利益のあがる商売でもありませんから、一時は相当な影響がございましたが、その後、取り扱い高の増加あるいは企業努力等によりまして、一般的に申し上げますれば、確かに卸売り人の経営状況というのは相当健全に推移をいたしておると思います。しかし、三十九ないし四十一年、ごく最近の財務状況をしさいに検討いたしますと、相当な配当率をあげておるものもございますけれども、無配の卸売り人もありますという状況で、経営の中身をよく洗いますと、どうも卸売り人の人件費と申しますか、従業員の人件費が、他の業種、卸売り業種でも、比べてみますと、相当な隔たりがあるわけでございまして、青果物でありましても、水産物でありましても、中央卸売り市場の卸売り人の経営のある程度多少でも余裕が出てきましたことの一つとして、人件費が相当低く押えられているということがあるようでございます。これ以外にいろいろ事情もございますけれども……。  したがいまして、今後の労務状況等の推移を見まして、人件費等の今後の上がり方を考えますと、いますぐ卸売り人の手数料を引き下げるという余裕はどうもない。これは、無理に手数料を引き下げまして、経営をきわめて不安定にして、荷主に迷惑をかけるということでも困るわけでございますから、ただいまの段階では、卸売り人の手数料を引き下げることは無理であって、もう少し経営の推移をながめて、その上で判断をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 経済局長は卸売り人の経営がよくないというようなことを言われましたが、しかし、現在は各地において蔬菜の集団栽培が行なわれ、集団出荷がなされておって、数量はばく大な数字になっておる。昭和三十八年あたりから考えてみますと、これは非常に膨大なものでありまして、私は、局長が言うように、そのような卸売り人の経営が困難であるとは思われないのですが、あなたはこの卸売り市場に対する監査などを行なってそのようなことを言われるのかどうか、お尋ねをします。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 私ども監査も行なっておりますし、また各社から財務報告をとって検討いたしております。私が申し上げておりますことは、卸売り人の経営が苦しいというふうに申し上げておるのではございませんで、三十八年に手数料を引き下げて以来、取り扱い高がふえ、企業努力もありまして、だんだんによくなってきておりますけれども、ここでいま手数料を引き下げることはまだまだであろうということを申し上げておるわけでございます。決して卸売り人の経営が悪いというふうに申し上げておるわけではございません。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 この八分五厘という高額な手数料は、ほかのいろいろの手数料から比較いたしますと、たとえば末端でやっておるところの、単協が集荷する場合においては二・五%の手数料、それから全販がやる場合には〇・三%、経済連の場合は一%、こういうことから考えてみますと、卸売り市場の八・五%は非常に高額なものであって、このために生産者は非常に犠牲を払っていると私は思うのです。また、独占的な中央卸売り市場でございますからして、現在の段階においては政府の善良なる監督によってこれを引き下げる余地が私は十分あると考える。全国の生産者はこの高い八・五%の卸売り手数料のために泣いておるのでありますからして、この点はもっと誠意をもってひとつ検討を加え、善処してもらいたい。もう五年もたっておるし、取り扱い数量はばく大なものになっております。その点ひとつ御答弁願います。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 繰り返して申し上げることになりますけれども、私ども手数料を引き下げる余裕があると申しますか、引き下げるべきときにこれを引き下げないというふうに申し上げておるのではございません。これは三十八年のときでも、一・五ないし一%青果物について手数料を引き下げたわけでございますから、不断に検討はいたしております。ただ、いますぐということは無理であろうというふうに申し上げておるので、今後におきましても引き続き手数料の検討、これは結局会社の事業内容の検討ということになるわけでございますが、その検討は絶えず十分に続けていくつもりでございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 それでは十分検討をして考慮するということに了解してようございますか。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 いまの段階でということではございません。将来の問題として十分検討させていただきたいと思います。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 それでは、この中央卸売り市場から荷主に従来交付されておるところのいわゆる荷主交付金の問題についてお尋ねいたしますが、荷主交付金は大体何%交付になっておりますか。そして交付をするようになりましたいきさつ等を簡単に御説明願います。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 荷主交付金を交付いたしますいきさつは、それぞれの卸売り市場が産地から荷主を引きます場合の一つの魅力としてということでもございましょうし、また生産者団体の活動を側面から援助するという趣旨でもあったというふうに思います。  ただいまいろいろなやり方で荷主交付金を出しておりますけれども、大体千分の六ないし千分の七程度が平均であるというふうに御了解願いたいと思います。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 この荷主交付金の基準は、昭和三十五年、三十六年、三十七年の三カ年の総取り扱い金額の平均七億二千万円の大体千分の七・五ということにして、いまもってこれを改正しない。このままやっておる。いまの取り扱いは、三十五年、六年、七年から比較すると倍以上になっておると思うのですが、それでもこれでもってやっておるということは、中央卸売り人のほうへ利益を与えていることになって、これを変更しないということは不都合ではないか、その点どうです。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 私ども、荷主交付金の問題につきましては、できるだけ産地の大型化を育成するといいますか、産地が大型化されて、したがって荷口も大きくなる、主産地形成を流通の面からも促進するという意味で、大型産地の優遇ということで考えておるわけであります。したがいまして、現在のといいますか、従来の荷主交付金制度につきましても、大型産地を優遇するといいますか、大型産地を育成するという見地から、現在検討中でございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 局長は、三十五年、三十六年、三十七年の六年も七年も八年も前の年を基準にしておるこのような金額は、不合理であるということを認めますか。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 荷主交付金あるいは売買参加者に対する交付金というものは、それぞれ伝統のあるものでございまして、それをどういうふうに見るかということで現在の手数料率が適正であるかどうかの判断の材料になるわけでございます。私は、ただいま御指摘のように、現在の荷主交付金がいきなり不合理だというふうには考えませんけれども、しかし、手数料あるいは荷主交付金、売買参加者に対する交付金等をにらみ合わせて、荷主交付金につきましては、大型産地を優遇するたてまえから、現在検討をいたしておる次第であります。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 大いに検討を要すると思いますが、これはあとの機会に私は詳しく質問を申し上げます。  次に、全販等が集配センターを計画しておるようであるが、これは直接生産者から消費者へというような考えのもとに、非常にわれわれは期待をしておりますけれども、これに対して農林省はどのような考えを持っておりますか。

大和田啓気農林省農林経済局長

○大和田政府委員 私ども流通改善の問題を考えます場合に、中央卸売り市場というのはやはり一つの大きなかなめであると思いますけれども、中央卸売り市場だけで流通改善ができるかというと、どうも必ずしもそうではございません。したがいまして、全販が戸田町で流通センターをつくって生産者と消費者とを直結するという試みを考えましたときにも、それに賛意を表しまして、四十二年度の予算で補助金を出したわけでございます。現在用地の買収に努力中で、まだ建物が建ってもおりませんし、動いてもおりませんから、それがはたしてどういう役割りを示すであろうかということは、具体的には私ども判断の材料がございませんけれども、一つの実験的な試みとして私はそれなりに評価をいたしておるわけであります。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 補助金を出しておると言うが、まことに微弱な補助金で、私はこのように生産者から消費者へというようなこういう設備に対しては、もっと農林省は積極的な助成をし、これが育成に努力してもらいたいということを申し上げます。  次に、時間がありませんから簡単に揮発油税に関連いたしまして農免道路の問題を質問いたしますが、本年度はこれらの農免道路の金額並びにそれが基礎は、どういうような基礎でこの予算を組みましたか、お尋ね申し上げます。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 四十三年度の予算案に計上しておりますガソリン税見合いの農道整備事業の予算ワクは、百五億五千万円でございます。計算の根拠は、ガソリンの消費をいたします農機具、たとえば動力耕うん機でございますとか、トラクターでございますとか、それから動力の散粉機、噴霧機、そういう機械の所有台数を過去の統計をもとにいたしまして推計をし、さらにその一台当たりといいますか、一件当たりの年間消費量を、過去の実績なり統計調査部の調査によりまして使いました数字をかけ合わせますと、四十三年度のそのようなガソリンを消費いたします農機具によって消費されますガソリンの総キロ数が四十三万四千キロリットルというふうに推計ができます。ちなみに四十二年度は、四十万一千キロリットルでございます。これに対して、揮発油税額として国が取っております税金は、一キロリットル当たり二万四千三百円でございますので、四十三万四千キロリットルに二万四千三百円をかけ合わせました百五億五千万円が予算ワクになっております。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 いまこまかく質問をする時間がありませんから、その資料をひとつお出し願いたい。あとで委員会で質問申し上げます。  それに関連いたしまして、揮発油税というのはいわば道路整備のための税金だと思いますが、いま全国で千百六十カ所ある自動車教習所において使っておるところの揮発油に対して、何らの措置もしないでこれを取り上げっぱなしにしておりますが、この点について大蔵省から御答弁願います。

田辺昇大蔵省主税局税制第二課長

○田辺説明員 ただいまお話のございましたように、現在のガソリン税は道路整備の目的財源として使われておるわけでございますが、ガソリン税は基本的にはガソリンの消費に対する税ということでございまして、そのような意味におきましては、純粋な意味での目的税ということにはなっておらぬわけでございます。  お話のございました教習所の自動車ということにつきましては、道路を使うという場合と道路を使わない場合、たとえば教習所の中でその車を使う場合といろいろございまして、一がいにこれをそのままガソリン税の課税対象からはずすことは、制度の趣旨その他の点につきましていろいろと問題がございますので、現在のところは一般の自動車用のガソリンと同様に課税している次第でございます。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 これはとんでもない話です。全国で約四十億になるところのガソリン税を、あなたたちはただ取りしているわけです。教習所の連中は、道路を走っていない。走るやつはあるけれども、それはちゃんと税金払っている。いわゆる練習用にしておるガソリンは、全国で約四十億から五十億という。四十億、五十億を何年となくただ取りをしているわけです。これをあなたがそういう言いのがれでここを糊塗するということになると、大問題ですからね。私は時間がありませんから追及できませんけれども、ここにちゃんと書いてある。地方道路税法の課税目的及び課税物件というのに、道路をつくるために取るということをちゃんと書いてある。目的税です。これはとんでもない。そういう言いのがれをあなたは参議院でも答弁しているようでありますが、これはわれわれとしては見のがすことができないのであります。いわゆる自動車教習所は、公共の目的のためにやっておる。一年に五十億もの金をただ政府に取られて、そのまま泣き寝入りしておるというわけにはいかないのであるからして、あなたきょう確実な答弁ができなければ、大臣と相談して後刻御答弁を願って、それに対して質問することにいたしますが、われわれは国民に対して、さかのぼってこれを交付してもらわなければならぬと思っておるのです。農民に対しては農免道路で還元するけれども、教習所で使った揮発油税はやらないという、そういう不公平な話が一体どこにありますか。これはどこでそういうことがきまっています。国の政治としてそういう不公平な政治をやっていいのですか、それをお尋ねします。

田辺昇大蔵省主税局税制第二課長

○田辺説明員 ただいま先生のお話は地方道路税のお話かのように承りますが、私が先般、ただいま答弁いたしましたのは、国のガソリン税の話でございますので、若干先生のお話と答弁が食い違っておるように思います。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 いや、これは揮発油一キロリットルにつき四千四百円の地方道路税を地方道路税法によって取っているのですよ。この税金をぼくは言っているんだよ。これは完全に目的税でしょう。

田辺昇大蔵省主税局税制第二課長

○田辺説明員 お話の点でございますと、大蔵省と若干所管が違いまして、自治省でございますので、後ほど連絡いたすようにいたしたいと思います。

神田大作民主社会党

○神田(大)分科員 この問題は重大な問題でございますから、私は質問を保留して、予算委員会の最終にもう一回御質疑を申し上げることにいたしまして、きょうは時間がありませんから一応これで終わりますが、これは保留しておきますからね。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次は、樋上新一君。

樋上新一公明党

○樋上分科員 私は、近郊農業問題について大臣にお伺いいたしたいと思うのでございまするが、最後になりましたので重複する点があるかもわかりませんが、その点は確認する意味におきましてお尋ねいたしますので、答弁願いたいと思います。  近年、わが国の都市化は急激に進んで、今世紀に都市の人口は九割以上に達するのではないかとまでいわれておりますが、そして都市化の影響が最も早く、最も集中的にあらわれる近郊農業が日本農業に占める比重はきわめて高いものがありますが、急激な都市化の進展に伴い、近郊農業も大きく変容せざるを得なくなってきました。これに対し、政府においては建設省、通産省、農林省等がそれぞれその対策を考え、また立法化もはかろうとしていますが、そこにはいろいろな問題が生じています。私どもはこのような問題化した近郊農村を視察して各地の状況をつかんできましたが、今日は時間の都合もありますので、その一部を農林大臣にお伺いいたしたい、こう思う次第でございます。  現在、農業地域に対する工場立地には、それを規制する政策は行なわれていません。確かに工場の適正配置ということについては、一応の指導を行ない、地方でも工場用地を造成して、そこへ誘致を行なっています。しかし、実際的には工場がどこに進出するかということは、全く企業側の自由意思にまかされておりまして、その無秩序な進出がその地域の土地利用計画を混乱させている事実が全国各地で見られる。これに対して厳格な法規制をして、その無秩序な農地への進出を阻止すべきであると私は思うのでございますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 午前中にもお話が多少その点に触れられた方がありますが、再度申し上げます。  農地の保全と申しますか、日本経済の中に占める農業生産というものも、きわめて大事なことでございます。そこで、一方におきまして都市化現象というのは、これは近代国家における一つの現象でもございますが、一方、国土というものがわが国は狭隘であることも当然でございます。そこで先般来申しましたように非常に施策の上で大事なことは、国土の効率的な利用、いわゆる土地利用計画、その中における農地をどう保っていくか、保全していくかということであります。私のほうの立場といたしましては、したがって今国会に提案をいたしたい、皆さまに御審議を願いたいと考えておりますが、農業振興地域の整備に関する法律案なるものを用意をいたしまして、一定の国土の地域を指定いたしまして、もちろん市街化地域あるいは工場立地と調整を保ちながら農地の保全を保ち、農政の安定の基盤をつくってまいりたい、こういう考えでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 それはわかるんです。今度の法案が出まして、それを慎重審議しなければならないと思うのですが、都市の近郊農村、市町村では、たいてい工業地域、住宅地域、農業地域と色分けした土地利用計画をすでにつくられておる。しかし、それは役所の机上計画だけで、一たび工業地域や住宅地域に指定されると、その地域の農地はたちまち何倍かにその地価が値上がりしてしまう。そのために実際に工場や住宅がやってくるときには、その工業、住宅地域を敬遠して安価な農業地域に進出することが多々あるというのです。計画上の農業地域は工場、住宅地にかわって、工業、住宅地域が依然農地のままで次第に荒廃していくという奇妙な現象が、いま起こっておる。それは役所の机上計画はそうなっておるのだけれども、実際行ってみたらそうじゃない。こういう現象が各地に起こっておる。私はこれをさらに具体的に調査いたしました例で申し上げると、こういうようなことがあるんですね。たとえば愛知県の春日井市に王子製紙が進出したのは昭和二十八年。当時から都市計画を作成して、工業、商業、住宅、農業等の地域指定を行なっていたのですけれども、実際には昭和三十三年中に工業用地に転用されて、そしてその農地の四万坪のうち、都市計画の工業地域内で転用されたものは三件しかない、二千坪である。全転用面積のわずか五%にすぎないというような結果が、そこに出ておるのです。これでは市町村の土地利用計画は何ら生かされておらず、かえって害を及ぼしているわけです。このような現状に対して、政府はどのような具体的な対策を講じようとされておるのですか。

桧垣徳太郎農林大臣官房長

○桧垣政府委員 現状についての実例をもってお示しがあったわけでございますが、現状についてはまさにそういう事例が数多くあると思われるのでございます。これが問題でございますので、ただいま農林大臣から申し上げましたとおり、制度として農地の保全と農業の振興をはかるべき地域というものを確定をいたしまして、そこでの土地利用計画を計画的に推進をしていくという法律上の規制を加えようというのが、私どもの現在検討しておる法律案でございます。この法律案と、建設省で現在提案しております都市計画法案、さらにあるいは今国会に出るかと思いますが、通産省で用意しております工業立地適正化法、そういう制度の調整の上に、初めて私は、さしあたり日本の国土の有効利用ということがはかられる制度が一応整備するということになろうかと思っております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 こういうことを申しますと、計画しておる、どうしておるというように、役所の机上計画ばかりで、実際あなた方がこういうところを見られて——それを一日放任すれば、皆さんが知らぬでいる間にどんどんそういったことになってくる。だから、実地にどれだけの優秀な農地がそうなっておるか。工業用地、宅地として転用される農地の大部分が優良農地である。優良地がつぶされて不良農地が多く残されるという結果にいまなっておるのですね。これに対して、あなた方はどういう具体策を持っておるか。こう言えば、いま考えておるとおっしゃいますけれども、私はこれを検討いたしまして、A級、B級、C級、D級、E級と分類すると、このうちのどれだけの農地がつぶされているかということは御存じですか。お調べになったことはありますか。大臣、どうですか。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 最近におきまして農用地が農業外に転用されます面積は、年によって変動がございますが、およそ年間二万六、七千ヘクタールぐらいが農地法の手続によって許可を受ける数字でございます。農地法ではもうずいぶん以前から農地を一種、二種、三種というふうに区分をいたしまして、第一種が優良農地である。集団的に存在をし、土地改良投資も実施しておるようなところは第一種農地ということで、原則としてそこでの農地の転用は許可をいたさない。第三種農地というのがございまして、これは都市の周辺でございますとか、もうこま切れになりましたような形の農地でございますとか、排水等の事情が悪いとかいうようなことで、そういう悪い土地は優先的につぶしてもらいたいという考え方で基本的な方針は進めてまいっておるのでございます。ただ、先ほど先生からも御指摘があり、官房長も認めましたように、いわゆるドーナツ現象というような形で、都市計画区域等の地域指定が行なわれますと、そこの地価が上昇いたしますために、相対的に地価の低い場所に工場なり住宅を無秩序に立地をするという傾向が出ておることは事実でございまして、これは都市の立場からもはなはだ適当でない。また、私ども農業を守っていこうという立場からも適当でない事態でございますので、従来は、首都圏あるいは近畿圏、中部圏等の整備法、あるいは旧来の都市計画法等でおよそ事務的に話し合いをいたしまして、用途指定をかけました区域についてのみ転用するという基本的な方針で運用してまいっておりますが、それでは不十分でございますので、先ほど来申し上げておりますような制度化をいたしまして、さらにいま申しましたような気持ちを一歩進めて処理をしていきたいと考えておる段階でございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いま私も調べました。この王子製紙の場合、優秀農地がどれだけ変わっておるか。愛知県の場合は、A級が四六・四%、Bが八・五%、Cが二一・八%、Dが一八・四%、Eが四・七%、こういうような状態になりまして、その六〇%は優良農地がこうしてつぶされていっておるという状態でございます。まだ詳しく統計を持っておるのですけれども、時間の関係上申し上げられません。  それでは、さらに変えまして、農業構造改善事業にしてもどういうことが述べられておるか。今後都市化、工業化等により農用地面積が著しく僅少になると見込まれる等の理由によって、事業の実施が不適当または著しく困難と認められる市町村は指定しないものとするとして、計画地域の指定から近郊農業を除外しているといわれているが、実際にはどうなっておるか。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 構造改善事業の指定のやり方でございますが、明らかにその地区が都市化をする、あるいは工業化が予定されておる、たとえば都市計画法によりましてここは住宅用地にする、ここは工業用地にするというような指定を受けた地域につきましては、もちろん構造改善事業をやろうという希望もございませんでしょうし、またそういうところでやることも適当ではないということで、そういう地域について計画を立てることはいかがかということで除外をいたしております。ただ、近郊の市町村で、たとえば一つの地域がそういう状態でありましても、他の地域はまだ農地が相当残存をしておる、また、その地域内の農業者にかなり今後農業をやっていこうというような希望がある、また、構造改善事業をやろうというようなところにおきましては、事情をよく精査いたしまして、計画を立てる、また、事業をやろうという場合には、事業実施の承認をするということになっております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いまそうおっしゃいますが、私が調査したところによりますと、三十七年から四十年の農業構造改善事業実施地域千百十五のうちには、経済地帯別で都市の近郊に含まれる地域が百九もあるのですね。全体の約一割にも達している。これはどういうわけか、このような原因はどこにあるのか、お考えになったことがありますか。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 御案内のように、構造改善事業は、私どものほうで一定の基準をつくりまして、地元のほうで希望があり、また計画が立案をされるというようなところにつきましては、それほど押えておるようなつもりは実はございません。先ほど言われました全体の実施地域に対する近郊の地域の比率は、実績としてはほぼそういうふうになっておろうかと思いますが、私どものほうで別段それを押えておるというようなつもりはないわけでございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いや、押えているのというのじゃないですけれども、それじゃ、一地域に対して構造改善事業として幾らお出しになっているのですか。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 標準的な金額といたしましては、一地域の事業費が一億二千万ということでやっておりますが、それぞれ地域によりまして具体的な事業計画を立てますと、そういうことにおさまらないという場合もございますから、一応それは標準的なめどということで、事業計画によって弾力的に運用しておるという状況でございます。

樋上新一公明党

○樋上分科員 一地域に対して一億二千万でしたら、百九地域ありますと百三十億という金がむだになっておるのじゃないですか。これは農林省のミスじゃないですか。明らかに農林省の見通しの誤りである。これは農林省の責任じゃないですか。

森本修農林省農政局長

○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、都市近郊におきましても、将来相当農業を長く続けてやる、また農用地としてもかなり続くであろうというふうな地域について構造改善事業をやるということは、一向これはむだになるというふうなことでもございませんので、そういうことでむだになったという御質問の趣旨がちょっとよくわからないのでございますが、私どもとしては、そういう地域について構造改善事業をやることがむだになる、あるいはむだになったというふうには決して思っておらないわけであります。

樋上新一公明党

○樋上分科員 いま私が言いました質問がわからないとおっしゃいますけれども、三十七年から四十年の間に農業構造改善事業実施地域が千百十五あったというのです。そうでしょう。それを経済地帯別で都市近郊に含まれる地域が百九もある。全体の一割にも達しているというのです。これはどういうわけか、こういう原因はどこにあったかと私は尋ねた。そうしたら、一地域に対してその予算は一億二千万とおっしゃいましたね。そうすると、百三十億という金がむだになっているのじゃないか。そこで、あなたは、その構造改善費を農村のほうへそれだけ出しておる、決してむだになっておらぬと言いますけれども、都市計画区域は現行法の区域を引き継ぐことになっていますね。また、現在都市計画の適用されておる地域にはわが国農家並びに農地面積の約六割が含まれているが、一体農林大臣はこのことを認識していらっしゃるのですか。また、将来このような農地の六割を消滅しようとする計画に対してどう対処していかれるのですか。その具体的な方法等とその可能性について大臣にお答え願いたいと思います。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 ただいま、現行の都市計画法は町村単位に地域指定をいたします関係で、指定をされました町村の中に含まれております農地を計算いたしますと、御指摘のように、全国の農地の六割になります。しかし、それがすべて市街化をするという考え方ではないわけでございますが、そこの区分を従来よりも一そう制度的に明確にいたします意味で、先国会に建設省から提案され、現在継続審議になっております都市計画法案では、その指定を受けました市町村の区域の中を二つに分けまして、ここ十年前後の間に市街化をいたします区域と、市街化を抑制いたします区域とに区分するという考え方でおるわけでございます。その場合に、市街化区域につきましては、今後当分農業が集団的に行なわれると予想されますような地域を含まないようにいたしますために、市街化区域を指定するにあたりましては、あらかじめ農林大臣と協議をした上で、建設大臣が指定をいたすわけであります。それで、指定をされました市街化区域は、ここ十年ぐらいの見通しの中で市街化をする区域ということでございますので、農地法の転用の許可は要しないというふうに考えますが、それに対応して市街化区域に含まれませんでした、いわゆる市街化を抑制しようとする市街化調整区域につきましては、農地法による転用許可はもちろん必要でありまするほかに、都市計画法そのもので今後の開発行為を抑制していくという考え方に立っておりまして、現在のようにただ市町村単位にその町村の全区域を都市計画区域というふうに指定をしない、そういうやり方で処理していくわけでございます。なお、官房長が先ほどもお答えを申しましたように、私ども農林省でいま考えておりますし、今国会に御審議をいただきたいということで準備を進めております農業振興地域に関しまする法案では、このような区分をいたしました。都市計画上、都市化を抑制しようとしておる調整区域につきましては、農業振興計画を立てて農業振興を進めていきたいというふうに考えております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 大臣、そのとおりですか。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 おっしゃるとおりでございます。  簡単に申しますと、都市計画の区域というのは、町村単位で非常に広い。そこで、都市計画新法、いままだ起案中でございますが、これは市街化地域と、市街化を抑制する、逆に市街地化を押えていく地域、この中にはもう農地が相当あるわけです。それから、農地はそれ以外にもございます。そしてわれわれのほうとしては、それらとその他を合わせて農業振興地域をきめていく、こういうふうに考えております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 私が案じるのは、その農地が指定されても、そのとおりじゃなくして、市街化区域と指定してあるのに、農地をどんどんやっていく、そして地価を暴騰させていく。私は一つの提案があるのですけれども、たとえば、一定の広さの農地は、むしろ農地保存法というようなものをつくって、ある一定の年限の間は政府の保障のもとに農地としておくという方法を考えられたらどうか、こういう一案を私は持っているのですが、この点はどうでしょう、大臣。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 しかし、大体、いまの抑制区域、あるいはわれわれのほうで考えております振興地域、それらがやはり裏から見るか表から見るかの違いで、新都市計画法によります抑制地域というものも、農地の転用、いわゆる他に転用することには非常に厳格になっている。同時に、農業振興地域というものは、それを全村的にあるいは全体的に農地保全を中心にやってまいりますから、同じよなうところにお考えが落ちつくのじゃないかと思います。

樋上新一公明党

○樋上分科員 現実に建設省の新都市計画法案、また通産省の工業立地適正化法案が今国会に提出される予定になっておるいま、こちらの農林省といたしましても、振興地域の予定になっておるというけれども、それがそれぞれの別個な審議をやっていきますと、ばらばらになっていきますと、国時に、各省がその法案をお互いに連絡し合っていけばいいのですけれども、それぞれの立場がそれぞれの立場でやっていく、そうすると、 つまり、後手になってしまった、一たん宅地化や工業化したら、農地に戻すことが不可能に近い、こう思うのです。だから、私たちはまずこの農地を保存しなければならない。市街化区域によって近郊農業全部つぶされていったら、もうどうにもならない。一たんなったら戻すことができない。そこで、後手にならないように、その農地保存法というものをある一定期間守ってやったらどうかということを私は御提案申し上げているのです。どうでしょう。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 農地保全についての非常に熱心な御意見、それは農林省の立場でありがたいことでございますが、われわれのほうから考えてみますと、やはりそれを保全するにも法律がいるわけでございますね。と同時に、農業振興地域ですか、整備法、これも当然法律でそれを守っていく、それから同時に、新都市計画法自体も全部を市街地にするのではなくて、抑制区域というものは相当広範囲であります。しかも市街化するには、農林大臣が承知しなければかってにはきめられないわけでございます。市街化するにつきましても、今度の新法は、そういう意味では、従来と違って制度的にきちっとしてまいる。もちろん、これは国会において、各省間あるいはその他の点についての調整については、十分御論議を願うべき事柄だと私は思っております。

樋上新一公明党

○樋上分科員 そこで、私は申し上げたいのですけれども、農地転用は地価の高騰をもたらす。それがまた農地転用を増大さす。地価の高騰は農民の生産意欲を低下さすから、経営規模拡大をも不可能にしてしまう。最近、特に都市近郊で地価騰貴に伴う相続税の高額化が問題になっているのです。  都内の練馬区のある二ヘクタールの専業農家は五千六百万円の相続税を課せられた。五年年賦くらいで納めることにしたが、利息だけで一日一万円以上になる。とうてい農業経営では負担し切れるはずもなく、すっかり労働意欲を失ってしまったという例があるのですが、こういう点、大臣どうお思いになるでしょうか。これは事実あるのです。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 農地の転用が地価を引き上げておるというお話がございましたけれども、先ほど来ずっと申し上げておりますように、市街化が進めば、いまよりは地価が上がるというような感じがあります。いろいろ思惑的なものが動いておることは事実でございますが、ただいま政府が考えておりますような制度ができて、市街化区域と市街化調整域区というものが区分をされ、調整区域については市街化を抑制して、農業振興というふうな政府の考え方が法制度の上で明確になりますれば、むしろ、そういう思惑を抑制して、今後調整区域における地価は引き下がるであろうというようなことも期待をされると思うのでございます。  なお、練馬区の相続税云々のお話がございましたが、これは農地としての固定資産税評価額ではなくて、多分その付近の土地が農業以外に転売をされるとすればこうなるであろうという評価で相続税をかけたという、そういう例ではないかと思うのであります。

樋上新一公明党

○樋上分科員 この点については、時間がございませんので、次の機会に譲るといたしまして、最後に、これは農地転用許可基準の第三種農地における農地がありますね。純農地としてではなく、周辺の宅地価格に準じてこれは評価されておる。したがって、今後も農業を続けていきたいという農家があっても、周囲に転用があって、いま都市計画法でそれを転用されると、都市的性質になっていかなければなりません。そうすると、上下水道、ガスが新設をされた。そうすると、自動的に農地の評価が宅地並みに上がってくる。第三種農家が、税もそういう近郊になってくると上がってくるというのです。それで、高額な相続税を課せられることになってくるのです。もし、こうした評価方法が続けられるならば、世代の交代とともに近郊農業は消滅せざるを得ない、そう私は思うのですが、政府はこの点どのような対策を考えておられるか。また、指定されるところはよいが、指定されずに残されたところはどうなるか、こういうことを考えていきますと、都市近郊の無計画な農地壊廃は、近郊農地の優良農地を減少させるばかりでなく、虫食い転用による公害や地価の高騰等をもたらして、近郊農業の荒廃の主原因となってくる。こにに対する政府の具体的な案はあるのか、大臣にお答えを願いたい。

和田正明農林省農地局長

○和田(正)政府委員 先ほど来、新しい都市計画法案を御審議いただいておりますが、都市計画法案で申し上げましたように、農林省と協議して指定されます市街化区域、それはごく近い将来に、十年くらいの見通しの中で市街化を予定している区域でございます。その区域につきましては、先ほどもちょっと申しましたように、農地法の転用許可をはずしまして、将来の市街化をここで期待をする。ただ、市街化区域の中に編入をされましただけで直ちに宅地化したり、工場敷地にはならないわけでございますから、市街化区域に編入をされたことのゆえをもって固定資産税の評価額において、それを農地以外の、たとえば宅地で評価するということは、直ちにはいたさないということは、当事者間で話し合いがついておりますが、調整区域、つまり、将来にわたって市街化を抑制をすることになる区域というものが、制度上区分が明確になりますれば、当然都市近郊といえども抑制区域内にある農地については将来とも農地として保存をしていくということが、政府の方針として明らかな地域でございますから、そこでの土地評価は、当然農地としての評価となるというふうに御理解をいただくことがよろしいかと思います。

樋上新一公明党

○樋上分科員 時間がありませんから、もう少し突っ込んで聞きたいと思うのですが、ちょっと最後に一つだけ。  公害問題ですが、私の調査したところによりますと、東京都の町田市の場合に、年間子豚千頭を搬出しておるある養豚組合が、同地域の宅地化に伴い周辺の住民からの苦情を避けて、自発的に自宅から二キロメートルほど離れたところの山に、コンクリート製のりっぱな近代設備を持った豚舎をこしらえた。ところが、一年もたたないうちに、その隣地にブルドーザーが入ってきて宅地造成をやり出した。新しい住宅が建ち、たちまち移転問題が起きているという現象があるわけです。これは明らかに無計画な宅地計画による農民への圧迫である。このような農民に対してどのような対策を講じているのか、私はお伺いしたい。  また、し尿処理問題は年々深刻になってきたが、浄化槽一基が百万円以上もするというのです。しかも、これで豚が五十頭、牛で十五頭分程度の処理能力しかないといわれている。現在の養豚経営では、それほどのし尿処理費を負担できるような収益をあげられない。ある養豚農家は、そんな金があったらほかの作物に転換する、こう言っておるんですね。こういうことは政府は御承知かと存じますが、これらの農家の将来はどういう方向に持っていくか。また、転用統制の廃止によってその地域の農業者に不安を与えるならば、生鮮食料品、畜産、酪農を中心とする農畜産物の都市への円滑な供給が支障を来たしてくる。そういう危険性がある。この点はどうか。または生産力減退によって都市需要に間に合わず、物価高を招くおそれがあるが、どうか。こういうことをいろいろ考えてみますと、政府も慎重に、農業政策というものについて、近郊農業について、真剣に取り組んでもらわなければならぬと思う。新都市計画やその他のもので、こうやっているから、ああやっているからと役所の机上計画ばかりで、一つも現状を見ずしてずさんな無計画なことを言っておったら、農民圧迫になってくるのではないか、こう私は思うのです。願わくは、時間がありませんが、私の要求といたしましては、いま申し上げましたようなことを大臣はよく心得てもらって、この計画をやっていただけるかどうか。最後に大臣の決意をお聞かせ願いたい。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 確かに、指導の面とか従来の計画制度の中でも、養豚地域とかいろいろやっておったけれども、それが必ずしも効率が上がらない。その間に経済だけに伴ったスプロール現象が、安い土地に入っていっては、そこにまた団地ができる。それでいまのような現象が起こる。これはわれわれも十分、おそらく全国民がこの事実は知っておられる。そこで、われわれも机上の空論をやるわけではありませんが、一日もすみやかに国土のいわゆる効率利用、その中においての農地の保全、これに対してわれわれのほうも一つの案を皆さまの前に御提示を申し上げまして、十分に御議論願って、国民のためになるような方法を、できるだけすみやかに御協議願いたい。その試案をいずれ近く国会に提案をいたす次第でございます。よろしくお願いいたします。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 本日の会議はこの程度といたしまして、次回は、明十三日午前十時より開会し、経済企画庁所管について質疑を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十六分散会

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