P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
58回国会衆議院1968/03/13

予算委員会第三分科会 第2号

発言数
395
登壇者
33
会派数
5
開催日
1968/03/13

会議録

田中正巳自由民主党

○田中主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計及び昭和四十三年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員になられたお方は三十分程度にとどめることとなっておりますので、御協力を願いたいと存じます。  なお、政府当局においても、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますよう特にお願い申し上げておきます。  これより順次質疑を許します。柴田健治君。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 時間がございませんので、単刀直入に御質問を申し上げますから、答弁のほうも簡潔に要領よくお願いしたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいのは、災害救助法に関連いたしまして、「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償について」の点についてお尋ねしたいのですが、全部一応目を通してまいりますと、この中で矛盾の点がたくさんございます。その中で、ぜひ善処していただきたいという点がございますので、見解をお尋ねしたいと思うのです。  まず、たき出しによる食品の給与という点でございますが、これは御承知のように昨年改正されたわけでありますが、いま一日当たり百円以内ということになっております。それまでは一日九十円以内で、それが昨年十円値上げし、百円以内になったわけであります。三日間を過ぎると今度は百三十円になりますが、三日間の百円以内というのが、われわれ第一線でこの災害救助法の適用を受ける罹災者の救助措置、そういう活動をしてまいりまして、あまりにも矛盾だ、こんなことではできない、こういうわれわれの悩みがあるわけです。どこに基準を持ってこういう数字をきめられたのか、この点について、はっきりお答えを願いたいと思うのであります。  一日百円というのは、厚生大臣、よく考えてもらいたいのですが、野犬狩りをして、野犬を保健所が連れてくるでしょう。あれは一週間飼わなきゃならぬのです。あの一週間の飼い賃と同じなんですね。人間尊重だといわれながら、こんな——罹災者は犯罪者とは違って、物心両面のショックを受けてどちらかというと栄養をたくさん与えなきゃならぬときだと思うのですね。それを百円以内というのは、何としても割り切れない。名厚生大臣であるから、この点は一を言えば十を知っていただいて、十分御理解願えると思うのですが、これは厚生省はどういう基準でやられたのか。これはふしぎなんですよ。ただの握りめしで、これは燃料費や副食費を含めて一日百円、しかも三食分ですよ。一食百円ならわかるのです。ところが、三食で百円以内で押えなければならない。実質的に足りないから、市町村の持ち出し分として負担をするわけですが、これでは話にならない。こんな救助法の実費弁償方式というものは、これは実情に合わないし、住民感情からいっても、人をばかにするな、こういう考え方が出てくるわけですが、この点について御見解を聞きたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、ただいま改定の要求をしておりまするが、ただいままでの計算の基礎については、局長からお答えいたさせます。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 お答え申し上げます。  いまのお話の前に、いまお読みになりました通牒の基礎を申し上げますと、たき出しから避難所からいろいろな項目について、法律は一々厚生大臣の承認を得てやれ、県が条例なり規則なりできめる、こう書いてありますが、それでは間に合いませんので、ここに書いてあるものについては無条件で承認があったものとしてやってもらってけっこうだ、それによりがたい場合には電話ででも厚生省に連絡をとってくれ、こういう二段がまえにしてございます。先ほどのたき出しにつきましても、それが長期にわたってやられるというふうな場合に、電話で連絡をしてもらって基準を上げる、特例基準というものでやっておる例もございます。  それから、いまのお話でありますが、なるほど仰せのとおりに、一日百円というのは非常に低いという状況でありますが、これがきめられました経過は、現実には新潟の大洪水のような場合でも、握りめしと梅干しとたくあんぐらいしか配れぬという現状がありまして、あの当時米が六百グラム、みそ、しょうゆがどのぐらいという計算をして、最初九十円、それから百円となったわけであります。こまかい内訳は、ほんとうにたくあんとか梅干しとか、みそ汁とかしょうゆとか野菜とかいう程度のものと握りめしというかっこうでつくり上げたものでありまして、百円ということになっておりますが、去年の改正によりまして、それが四日以降については百三十円。これは四十一年度の総理府統計によりますと、第一五分位、一応一億人のうちの二千万人ですね。第一五分位、第二五分位、一番上が第五五分位ですが、第一五分位の二千万人の勤労家庭の一人当たり一日の平均食費が大体百三十円、百二十九円三十六銭ということになっておるので、最初の三日はほんとうの緊急事態ということで、握りめし百円ということで、四日以降につきましては第一五分位並みの百三十円ということにしようじゃないか、こういうことできめたわけでございます。これもいろいろ物価の騰貴その他の問題がありますし、内容改善を含めて今後とも折衝いたしたいというふうに思っております。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 どうもあなたら、数字だけで出してくるからこんなことになるので、やれるかやれぬか実際見てごらんなさいよ。塩だきでたいてゴマを入れたらできやしない。梅干し一個いま何ぼしておるか。つけもののこうこがどのくらいしておるか、あなた知っておるのか。実際やってごらんなさい。できやしないですよ。こういう数字はぜひ是正してもらいたいと思う。厚生省がいかに気ばっても、どこかに隘路があるのか。大蔵省が認めないのか。もう少し相手は人間だということを考えて基準を出してもらいたいと思うのです。弾力性があるということをお答えになったのですけれども、各都道府県の災害対策基本法に基づく地域防災計画の中に、この基準はちゃんとどこの県でも載せてあるのですよ。弾力性があるように一つも指示してないのです。各県の地域防災計画を目を通していただけばよくわかります。この点を早急にもう少し是正してもらいたいと思う。  それから、あわせて仮住宅の問題でもそうなんですね。それから応急修理の問題でも、応急修理の場合三万円なんです。これではできっこないですよ。どうも実費弁償の各項目、いろいろな借り上げ料にしても、どこのものを借りてきたらこんな数字が出てくるのだろうか。時間がございませんから数字は申し上げません。厚生大臣、これは至急に直してもらいたい。早急に大蔵省と話し合いをして、もっと基準を上げてもらうように、そういう誠意あるところを示してもらいたいと思う。いかがでしょうか。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 各県の防災計画等も、さらに県と連絡いたしまして、財政当局とも相談をいたします。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 次に、ハンセン氏病について、昨日山口代議士のほうからいろいろお尋ねがあったと思いますから、私はハンセン氏病の病気の問題よりか、まず施設の現状を訴えたいと思うのです。  特に岡山県には長島、邑久と町方あるのですが、この現地を見せていただいて、建物の老朽化、特にあの患者は、御承知のようにいろいろな障害者の中では悲惨な障害者であることは間違いないのですが、こういう方々が療養しておられる建物を、もう少し何とかよくしてやれないものか、だれが見ても直観的に感ずる点だろう、こう思っておるのです。あの療養所の老朽に対する改築についてのお考えを聞かしていただきたいのです。いかがでしょうか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 らい療養所の建物が非常に老朽化しておることは、御指摘のとおりでございまして、癩予防法施行後五十年以上たっておりますので、施設が非常に古くなっております。そういう意味で、らい療養所も結核療養所もすべて建物の整備等を急速にやらなければならぬ状態でございます。  らい療養所につきましては、さしあたりまず重度の障害者をいい建物に入れよう、それから中等度、軽度というぐあいに順次伸ばしていこうということで、ここ数年来重度障害者の病棟の整備をやっております。そのために、三十八年から四十年にかけましては年々一億七百万円の整備費を投じてきましたが、四十一年度には一億四千万円、さらに四十二年度は一億五千七百万円というぐあいに、逐次整備費を充実いたしまして整備をはかっております。大体明年度で重度の障害者の病棟が全部更新されますので、さらに中等度、軽博というふうに伸ばしてまいりたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 それならば、軽度の分まで含めたら何年で改築が終わる計画ですか、年次計画としては。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 軽度のものにつきましての整備計画までは、まだ年次計画をきめておりません。といいますのは、軽度のものにつきましては、単身者の場合と、あるいは夫婦者というような非常にいろいろな条件がでございますので、それらのものをどういうふうに取り扱っていくか、どのような形の施設にするか、アパート的なものに高層化するか、あるいは世帯でございますので平家的なものにするか、そこら辺のところは将来計画としてまだいろいろ検討中でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 早急に計画を立てて、順次早くやっていただくように強く要望しておきます。  続いて、建物もりっぱにしていただかなければなりませんが、当面、毎日治療をやっていただくお医者さんが、厚生省できめておる基準の定員がいま半分もいないというような実態なんですね。岡山の長島が十四名の定員がいま七名という実態なんです。半数のところは珍しいのですが、特に長島のごときは半数しかいない。その中で沖繩に派遣されており、それから台湾か何か知らないが、南のほうに派遣されておる。足りないところへ持ってきて、南のほうに派遣要員として派遣されてしまって、実際実務について毎日診療、治療していただくお医者さんの数が少ない。その他応急処置として岡山大学から臨時に契約をしておいてちょこちょこ来てもらう、こういうような治療方式なんですね。それでは患者自体が不安である。  それから、現在おられる医師も、年齢的に見れば相当古い人なんです。それはまあ医学的に見れば相当経験を積んだりっぱな医師ではあろうが、行動力もなければ、やはり年齢によって無理ができない。こういうことで、医師に対する一つの不安というか、心配というか、そういうものも患者の側から見れば持っておるわけですね。この医師の充足についてどういうお考えがあるか、また今後どういう措置をとっていかれるのか、お考えがあれば聞かしていただきたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 らい療養所における医師の充足率が悪いことは事実でございます。しかし、総体といたしてみますと、らい療養所は十一カ所ございますけれども、その医師の総定員は百十六名でございまして、総数としては百四名充足しております。したがって、ほぼ九〇%充足しておることになるわけでありますが、御指摘の長島愛生園につきましては、ほぼ半数しかおりません。しかし、隣の邑久光明園はほとんどふさがっております。また都会に近いような、たとえば東京の近くの全生園というようなところはほとんどふさがっております。そういうところで、確かに地域的にアンバランスがございます。そういう意味で、長島につきましては本来の定員の充足に努力しなければならぬことは確かでございます。  そのほかに、私どもといたしましては、療養所一つ一つに、たとえば整形外科とか、眼科とか、耳鼻科というような専門の職員を置くことはなかなか困難でございますので、専門的な職種につきましては、各園相互に応援してもらうような形をとり、あるいは大学等の応援を受けるというような形で、個別的な対処をしているわけでございます。  長島につきましては、確かに各医師が非常に少のうございますので、今後とも新しい常勤の医師をとるために努力してまいりたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 長島は特別極端なああいう現象が出たと思うのですが、それなら、いまあなたが答弁されましたように、ほかはある程度十分、十分とはいかないけれども、やや満足のいく定員でやっておると言われるが、それなら派遣をしたらどうですか。人事の配置がえをしたらどらですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 強制的な配置がえという問題も、現在の世の中の状態ではなかなか困難でございます。特に医師につきましては、強制的に配置がえをしようといたしますと、やめてしまうというような事例も起こりますので、そこら辺は個々のケース、ケースによりまして説得し、あるいは納得ずくでないとなかなか困難でございますので、そういう意味で、臨時的な応援という形は比較的スムーズにまいりますけれども、強制的に配置がえというようなことについては、個々のケースによって慎重にやってまいりたいと思っております。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 看護婦もあわせてお尋ねしたいのですが、看護婦も足らない。この看護婦は公立、私立、療養所であろうと、個人の病院であろうと、全部足らないわけなんですが、看護婦のほうも医師ともどもに充足していただくように配慮願いたい、こう思います。  引き続いて大臣にお尋ねしたいのですが、いま看護婦が全国的には約三万二、三千名も足らないということをよく聞くのですが、看護婦と医者というものもあわせて、何とかこの際、厚生省あげて力を入れるという、そういうお考えがあるかないか。あればひとつ聞かしていただきたいのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医師と看護婦の充足は、何ものにも優先してやらなければならぬと思いますが、やはり一番大事な点は、医師、看護婦の特殊技術に対する処遇の改善をしなければ、いまの人事院の給料の中の体系ではなかなかうまくいかぬと思います。したがって、これは人事院と一ぺんよく相談をしてみて、思い切った待遇の改善をしなければならないのではないか。これが基本問題であって、看護婦等についても、経常上病院等で看護婦の養成所をやめるようなこともございますし、あるいはまた、一ぺんやめられた看護婦さんを復帰させるという点もありまして、根本問題は待遇の改善が主であると思いますが、そういう点を検討しながら、医師と看護婦を充足することが何よりも先決問題であると思います。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 大臣は非常に理解をされ、研究をされて、よく実態を把握されておりますから、これ以上お尋ねしなくてもわかるのですが、ただ、問題は、具体的に、たとえば処遇改善については、どういう方法で、どういう手続で、将来この一、二年の間にこういうふうなことをやりますという、何か具体的なものがあれば聞かしていただきたいのですね。  要するに、看護婦が看護婦養成所を出てすぐやめてしまうとか、途中でさじを投げるとか、また看護婦になって勤めてもすぐやめてしまうとか、こういうことについても、いろいろ大臣も認識しておられるのですが、そういう欠点や矛盾の実態を把握した上で、それからその処置をどうするかということですから、どういうことでこの取り組みをされるか、具体的な約束をひとつ聞かしてください。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医師の現在の待遇は、一般民間の待遇よりも下回っております。看護婦のほうは、民間と頭を並べておるか、頭を出しておるところもございますが、ただいまのところでは、重症心身障害児とか、あるいは特殊な技術を要するところ、こういうところに特別調整費を出して特別手当を逐次引き上げておりますが、しかし、問題はそれでは解決いたしませんので、やはり人事院の給与体系の中における、医師、看護婦の地位というものを画期的に引き上げることが先決問題である、このように考えておりますが、それまでの過渡期の問題としては、それぞれの場所における待遇の改善を逐次いたしております。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 医師については、これはもうどこでも悩んでおる。健康保険でやっておる市町村立の診療所に至るまで、全部医師が足らない。僻地にいくほど医師が足らない。そういう場合、ある町村によれば、医師を養成するために研究費も出す、学費も出すということで、若い時分から養成費を出しておる。それから県においては、ある程度研究費も助成しておる県もあるという。国も、もう少し何らかの形でそうした地方公共団体とタイアップして、そうした養成をする熱意があってほしいと私は思うのですね。その点についてどらですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、いろいろ民間、公立その他の病院の実態を逐次調べておりますが、非常に経営不振で赤字があって困っておる。それが院長をかえてから、院長が医師の待遇を飛躍的にふやし、看護婦の処遇を飛躍的に増したために、数年間のうちに医師、看護婦の働きばかりでなく、全般的にその病院が黒字になったという先例等もございまするから、こういう病院等の実情をよく検討いたしまして、同時に、財政当局並びに人事院、厚生省からも現地に行って見ていただくなりして、どうやれば医療行政の実があがるか、その根本的な問題は医師、看護婦の待遇にあるということを明らかにしてもらいつつ、折衝を開始するつもりであります。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 時間がございませんから、もう一点だけ最後にお尋ねしたいのですが、民生委員の問題です。  いま全国で民生委員がたくさんおるわけです。数は申し上げませんが、この民生委員の任命は、厚生大臣の辞令が出ておるわけであります。厚生大臣の手足ですが、民生委員の任務と役割りというものは、法的においても、また社会的においても、いままでの慣例からいっても、いろいろ役割りがあるわけですね。これだけの経済の変動期にあって、いろいろな問題がその地域地域によって複雑な様相を示しておるが、その中で民生委員の活動というもの、役割りというものはたいへんなことなんですね。いまその民生委員に対してどの程度厚生省は手当を出しておるのですか、ちょっと伺いたいと思います。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 お答え申し上げます。  実は民生委員の手当と申しますか、これは国からは直接出ておりませんで、交付税交付金で——民生委員とそれから児童委員と二枚看板があります。それで両方で交付税交付金としましては、四十三年度からは五千円、四十二年度までは四千円で二千円、二千円、こういうことでございます。県によっては六千円、七千円出しておるところもありますし、あるいは三千円というところもありますし、非常に低いところもありますが、これは、いわゆる給与というかっこうではなしに、実費弁償的な性格のものでございます。そのほかに国としましては、民生委員の、実務研修、あるいは事務をどう取り扱うべきか、あるいは法令の説明、研究というふうなかっこうで、ちょっといま資料を持っておりませんが、約一億円ほど国費を出しております。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 私は、手当というのは交付税の中に入っておるから国が処置しておる、そういう解釈なんです。交付税で出しておる。実費弁償というか手当というか、本人がもらうのは、国からいえばそう思っておるし、民生委員からいうと、厚生大臣の辞令はもらって県からくれたから、国から手当をもらっておるんだ、こう解釈しているのですよ。県のほうも、交付税で国のほうから基準財政需要額の中へ入ってきているのだから、民生安定事業の協力費というか事務費として……。だから、各県においては五千円なら五千円まるまる出しておるところもあるが、ある県においては二千円ピンはねしておって、二千円しか出していない。児童委員と兼務しておりますから、二つ兼務で二千円、一つ千円かという相場をつけている。辞令は厚生大臣のいい証書をくれるけれども、手当のほうはもうたいへんだ。雪の中でも夜中でも、それ来てくれ、調査に行ってくれ、何日までに書類を出さなければならない、生活扶助の審査をしなければならぬ、いろいろな仕事で、民生委員の仕事というのはたいへんな仕事なんです。山の中へ行けば行くほどたいへんな仕事なんです、僻地へ行くほど。そういうことから、大臣が辞令を出すのだから、もう少し何とか、手当というものじゃなしに実費弁償というか、これを何とか考えてくれたらどうかという意見があるのです。そういう点を考えた場合に、もう少し民生委員に対する考え方を変えたらどうかという気がするのです。その点についてどうですか、大臣もお答え願いたいと思います。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの民生委員それから児童委員、婦人相談員、こういうものがありますが、ただいま厚生行政をやるについて、厚生省と一般国民との間のパイプがわりに切れかかっておって、国民の痛いところが具体的に響いてこない、あるいは厚生省がやろうとすることが直接いかない、こういう点が、いまの民生委員、婦人相談員あるいは児童委員というものの中で、至るところに生じがちでありますが、そういうものが大事な問題であります。  任命いたしました経緯からいたしまして、当初は名誉職みたいなつもりで、しかもわりに余裕のある方のつもりでやった関係上そういうことになっておるのでありまするが、だんだんそういう方々が年をとってこられて、若い者の悩みを受けるような立場にない人もある、あるいは地方自治の、場所によっては専門の関係上、任命されてずっとその場所で重なってやっておるというような方があって、ある意味ではそういうことがあります。ただいまでは、これを実費弁償ではなくて正式な報酬をやったらどうかという意見さえも起こっておるわけでありますが、そこまではなかなか踏み切れぬと思いますが、いまの手当の問題につきましては関係省とよく相談をして、民生委員の方々が誇りを持って責任を尽くしていただくようにやらなければならぬと考えております。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 民生委員の人数は、各町村ごとに人口で違うのですが、大体一人当たりの各地区の基準をどの程度に置いておるのですか。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 これは県ごとに大体基準をきめるわけでございますけれども、全国で十二万九千五百幾ら、約十三万人でございます。したがいまして、これは低所得階層で割るのか、全国民平均で割りますのか、その辺が非常に問題でありますけれども、十三万人で一億人全部を担当しているというかっこうになるわけであります。ですから、これが一体もっとふやしたらいいのか、あるいはこの辺の現状でいいのかというふうな問題があります。  それからもう一つ、非常に根本問題でありますのは、昔は名誉職でありまして、地主さんとかしかるべきその土地、土地の名門家であったわけですが、最近都市部では非常に自分自身の生活も苦しいというようなかっこうで、活動がしにくくなっておる。したがって、将来名誉職は名誉職として残しても、なおかつ何か民生委員の心配ごと相談所とか、何か事務所のようなものを地区ごとにつくって、そこで専任職員みたいな人が補助できるようなかっこうにしてもらったらどうか、そうがかり切りになれぬというような議論も出ておりますので、内々いろいろ検討しておる状況であります。

柴田健治日本社会党

○柴田分科員 これで終ります。

田中正巳自由民主党

○田中主査 渡辺芳男君。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 最近問題になっておりますが、昨年の四月一日を期して、厚生省がかねて計画をしておりました国立三島病院を分院に格下げをして、三カ年計画で東静病院といいますか、に統合するという方針で進められておりますが、この最大の原因ですね。統合計画を進めることについて現地では非常な反対をしておりますが、その理由をひとつ明確にしていただきたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 国立の医療機関としては国立病院、療養所がございますけれども、国立病院につきましては、静岡県におきまして、伊豆の南から湊病院、熱海病院、三島病院、沼津病院、静岡病院、浜松病院というふうに、静岡県には国立病院が非常にたくさんございます。しかも、非常に地域が近接しております。  そういう意味で、国立病院の機能をもっと専門化、高度化したいという意味から、非常に近い三島病院と沼津病院を統合いたしまして規模を大きくし、かつ近代化し、しかも、これをガンあるいは救急の専門的医療機関にするという意味で、そのために急速に近代化する。そこで、近接する二つの施設を置くよりは、これを統合いたしまして、より合理的かつ効率的な運営をはかりたいというのが、今度の統合の趣旨でございます。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 あの三島の国立病院は、国鉄の三島駅から大体数分のところにあるのですね。交通の便も非常にいいし、立地条件もいいわけです。いま説明されたガンとか救急医療病院の専門的な病院にする、こういうことについては、現地ではそういうことに別に賛成しているわけではない。総合病院としてこれからもやってもらうということが最大の要望だと思うのです。あの病院は戦後開設をされて、地域の住民に非常に親しまれてきたわけですね。それが初めといいますか、昭和二十年代、三十年代の前半くらいまでは、一日八百人くらいの患者があったわけですね。最近は、縮小、統合ということもあって、一日大体百五十人から二百人ぐらいしか患者が訪れない。こういうふうに医療行政として、また地域住民の信頼度というものはたいへん薄らいできた。なしくずしにつぶしてしまおう、こういうふうな傾向を、地域の住民の皆さんが非常に残念に思ういいますか、遺憾に思う、こういうふうなこで、たびたび皆さんのほうへ陳情があると思うのですね。存続して、むしろ拡大して、病院の施設を強化してくれぬかという逆の陳情が強いわけです。三島の市会もそうでありますし、それから駿東郡下の各町村、それから田方郡下の町村なども、それぞれ前後数回にわたって、市町村で存続要請の決議をしているわけですね。そういう強い要望があって、しかも、昨年の六月でしたか、坊厚生大臣のときに、三島の市内大体九〇%ですが、一万六千世帯が、つぶしては困る、廃止しては困る、こういうふうな陳情書を、署名捺印して提出してあります。しかし、そういうことには厚生省当局としてはあまり顧慮しないで計画どおり進めておられるわけです。地域の人たちというのは、自治体も住民もそうですけれども、これに対して何ら納得をしていない。厚生大臣どう甲いますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 統合の経過において、地域住民の方々の十分御納得を得るような努力は当然なすべきだと考えておりますが、事務当局から聞きますと、病院は統合されて一方は分院にしているというようなことでございますので、今後そういう問題については十分留意をして、地域住民の納得を得られ、しかも、協力を得られるように努力すべきであると考えております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 そこで、現地ではまだまだこの問題は非常にくすぶっておるわけです。政府として、厚生省としてこれこれしかじかですから、皆さんの御期待に沿うように、統合の暁はこういうふうな規模にしますということについて、まだ納得をしていないわけです。そこで私は、この統合の計画というものについて地元の皆さんの意向というものを十分知っているだけに、政府が進められていることについては反対なんです。一歩譲って、三島国立病院の分院と東静病院と統合した場合に、その規模は、両方の従来の病院の規模、医師の数や看護婦の数、ベッドの数、医療器械に至るまで、そしてまたその病院の近代化をはかり、ベットの数なんかを増設する、職員の数に至るまで、こういうことについて、これはもう全然劣らないか。両方の病院を統合した規模以上にできるのかできないのか。合理化して職員の数も減らしていこう、医師の数もそんなに要らないじゃないか、こういうふうになっていくということになったら、これはなおさら反対の火の手が上がるわけです。こういう点の計画というものを、時間がございませんから、簡明率直にひとつお答え願いたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 先ほど申し上げましたように、これを専門的な病院にいたしますので、規模を大きくし高額な器械設備等をする必要がございまして、両方の施設の規模を減らさないでこれを統合する。したがって、職員その他の首切り等もやらないという方針で、決して縮小統合の線はとらないようにしております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 これはいろいろ理由はあるのですが、現地の人たちが三島国立病院の廃止反対ということについては十分御承知でしょう。皆さん方はこれについて、いやそうはいってもわれわれの計画はしかじかということで、正面切って皆さんの御要望に応じられませんという姿勢にはなり切れないでしょう、現地の人たちの要望を聞いてみれば。厚生大臣、前の坊厚生大臣のときにも、私も一緒に現地の人たちと陳情しておりますが、この三島の市に限らず、工業整備特別指定地域になっておりまして、あの辺は人口の密集地帯になっております。東海道メガロポリスとかよくいうのですけれども、人口がどんどんふえているわけですよ。新幹線も来年の十月には三島駅を開業する予定である。で、文教都市として——特に沼津市の半分から西のほうが工業都市になりますね。富士山の南側です。沼津市の半分の東側というのはむしろ住宅地域、こういう傾向にあって、非常な住宅地が増設をされている状況にある。三島には、いま社会保険三島病院というのが一つある。人口は従来そう多くない市でありましたが、どしどしふえている傾向にあります。したがって、病院が一つでも多いほうが確かにいいことには間違いない。あとで申し上げますけれども、静岡県の医療行政というのは、病院数から何からして、きわめてお粗末なんです。ですから厚生省としては、先ほど言われました国立病院が比較的静岡県は多いんじゃないか、七カ所あって一カ所くらい統合してもいいじゃないかというその考え方は、てまえがってだと思うのですよ。  そういう実情からして、これからあなた方が地域の住民に理解をしてもらう最大の条件というものは、あの辺の地域の人たちが——沼津市が十八万、それから三島や周辺の田方の奥のほう、御殿場のほうまで利用しなければなりませんから、おそらく三十万以上の人口を背後に持っている。でありますから、この問題について、私は地域の人たちが心配をしているということについて十分わかるような気がする。皆さん方はこれから統合をしていくということになりますけれども、沼津には確かに市立病院はあるが、私は、こういう問題については少し遺憾だと思うのですよ。どうでしょう。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 静岡県は、お話に出ましたように、総体的に病院、病床は少ない地域でございます。しかし、三島地域は、比較的静岡県の中でも病床数が多い地域でございます。そういう意味で、いまお話のありました三島、沼津地区は、人口三十万かどうか私正確に知りませんが、そのかなり広い地域の中心的な病院にしたい。しかも、救急あるいはガン等の専門治療をやりますと、相当な人口をカバーするだけの施設でございませんと、高額な器械等を効率的に運用することがなかなか困難でございます。そういう意味で今度の沼津病院、三島病院を合わせまして東静病院とし、東静岡全般のための専門的病院という意味で東静病院という名前にし、そして広い地域をカバーする専門病院にするという、そういう趣旨からこの計画をしたわけでございまして、確かに一般病院としては、手近に幾つかたくさんあるほうが住民のためには好ましいことには違いないわけでございますが、国立病院というものの性格から考えまして、単に一般病院として小さなものをたくさん置くよりは、大きくして、しかも高度の機能を持たせることが、県全体あるいは東静岡全体の医療を向上するために必要であるという、大局に基づいてこのような計画をしたわけでございます。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 それでは医務局長、大臣にも要望しておきますけれども、はっきり数えなければわかりませんが、全部で十二町村が決議をしているのです。廃止統合反対について地元の三島市周辺は、前後三回にわたって厚生省にそういう要望書を出しております。ひとつ責任ある立場で一度事情を説明する、地域の自治体にそういう機会を、別に正式な会合でなくてもけっこうですから、持っていただきたい。来いと言えば来ますよ、現地の人たちというのは非常に重大な関心を持っているのですから。この点、大臣いかがでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 係官を現地に派遣して相談をするか、または御指摘のとおりに来ていただくか、いずれにしても計画が進行したからといってほうっておくべき問題ではありませんから、さらに渡辺委員からも御意見を後刻詳細承って、これに対する住民の方々の御納得のいくように、あるいは計画の一部をどのように進めていくか、あるいはどのように修正するか、こういう点も率直に考えてみたいと思っております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 それはひとつお願いをしてねきます。  先ほどから少し触れておりましたが、時間もおりませんから、静岡県下の医療施設等がきわめて貧弱でありますので、この点若干申し上げて政府の対策をひとつお伺いしたいと思うのです。  静岡県は人口三百万ですが、将来人口がどんどんふえていく地域です。現在医師や病院などが、人口の比率から見ると非常に少ないといわれているのです。これは最近そういうことでなくして、戦前、戦後を通じて医療施設というものがきわ出てお粗末である。医療行政というものがりっぱにやられているとはいえないわけです。その点厚生省あたりでも把握しておったかどうか、それが第一点です。  そこで、最近の状況を少し申し上げます。県の医療審議会、あるいは新聞等でもたいへん騒がれて、県下ではいろいろと問題になっておるのです。静岡県下の病院数は百二十三、そしてその病院も、医療法の規定による医師の数が、最低三人いなければいけないというふうな規定に満たない病院もたくさんあるといわれているのです。医師の定着性もないわけなんです。施設もお粗末であるからそういうことになろうかと思うのですが、医師の数が病院、開業医を合わせて二千五百五十八人、そのうち病院の医師が七百八十七人、看護婦もそれに伴って非常に少ない。ベッドの数は一万九千六百三十五だ。人口比率から総合的にいって、この医療水準を見ますと全国で四十五番目だ、こういう状態だといわれています。これが静岡県の実態なんです。  そこで、ひとつこれからの政府の医療行政の指導方針のあり方、これらを充実しなければならない。地方自治体も熱意がなかったかもしれない。そういうことも考えていきますと、早急に対策を立てていかなければならないと思うのです。これについてどういうお考えを持たれるか、ひとつお伺いをいたしたいと思うのです。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 静岡県が、いわゆる東海道のメガロポリス地帯にあるにかかわらず、医療従事者の数、医療施設の数が非常に少ないということは、これはお話しのように非常に昔からのことでございまして、最近になってもあまり改善がないという面も事実でございます。そういう意味で、国立病院等も比較的かたまって静岡県に存在するということも、結果としてなったものと思っております。  施設の拡充につきましては、これは地方庁あるいは自治体がそれぞれ努力することがございますが、私どもといたしましては、病床の不足地域に公的な病院を設置する場合に、その援助をするというたてまえをとっております。私的の病院、診療所につきましては、政府直接の援助ではございませんで、医療金融公庫等の融資によってこれを助成する。しかも融資の場合も、病床不足地区等につきましては、積極的に優先的に融資を行なうという方針で実施しております。  開業医等が定着するしないという問題は、これは非常に個人的な問題でございますので、政府として直接的にこれに手を下すということはきわめて困難でございます。しかし、そういう意味では、静岡県でもどうしても医師の養成機関である医科大学等がないと、やはりなかなか定着が悪いということから、大学の設置等も検討するというような動きも出ておるやに聞き及んでおります。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 無医村などについては、全国的にどこでも後進的な地区というので問題になりますね。静岡県あたりでもやはり四十九カ所もあるのです。村全体にというわけじゃないけれども、ちょっとへんぴなところへいくと、ほとんどないわけです。将来の人口動勢などに見る東海道地域というものは、おしなべて人口が非常にふえていく、密集地帯になる、こういうことは、口の先ではわれわれも言っていますが、医療施設の充実ということがきわめてこういうようにお粗末なのは、国会でこういう話をすること自体が、これは政府も地方自治体もそうですけれども、政治の第一線にある者の恥ずかしいことだと思うのです。最近ようやく問題になってきたということも、私自身も痛感をしているわけです。  手っとり早い話が、公立病院などを建てていくというやり方をしていけば一番いいと思うのです。静岡県自身だって、清水市にたった一カ所県立病院があるだけなんです。浜松なんかは、先ほどあなたが言われましたように国立病院はある。だがしかし、その他の公立病院などは——あそこは人口四十万ですよ。その背後地の町村などを加えれば、おそらく五十五万ぐらいになると思うのですが、ないわけですよ。だから、そういうことを考えていきますと、地域的にも特にいろいろ考えなければならないことがあるのです。この指導は、当然のこととして厚生省がやらなければいけないと思うのです。この問題は、ひとつ積極的に取り上げていただきたいのです。  いまお話があった医科大学の問題も、これは結論としてはそういうことをしなければいけないのじゃないか、こういうふうな空気が出ていることは事実です。  しかも、最近の調査によると、医師の平均年齢は全国的に見て五歳も年とっているというふうに老齢化をしている状況であります。そうしてまた、毎年医科大学などに入学をする、進学をする者が六十名程度しかいないというのです。これでは補充さえきかないわけです。ですから、医師に対する認識の度合いというものが、県民自身もなかったかもしらぬ。政治の場面でPRもしなかったかもしらぬ。そういうおくれた行政しかとっていなかったかもしらぬ。お留守になっていたかもしらぬ。こういうことを考えていきますと、早急にこの面を強調してやっていかなければいけないと思うのです。  いまの廃止しようという三島のあの敷地も八千何百坪でしたか、私もちょっと記憶しておりませんが、約九千坪あると見ておりましたが、非常に広大な地域ですね。ああいうところを、うわさによりますと、大臣、一般の民間業者に売るとか売らないとかいう話が去年から出ておるのです。そういうことになりますと、これはたいへんな問題になるわけですね。こういうところを利用して、文教都市として旗じるしを掲げているあの三島市のことだから、どうだろうかというふうなところもあるのです。こういう点はどうでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見に総括してお答えをいたしますが、静岡県は御指摘のとおりに、お医者さんの数を見ましても、十万当たりの密度が全国で四十番目、ベッドの数を見ましても、全国で四十四番か四十五番という地位でありますが、この原因については県当局も検討しておるところでありますが、厚生省でも正直のところ、なお的確に把握はいたしておりません。  ただ、私はいなかで育っておりましたが、往々にして都会の周辺の人々は、いままでは、地方自治に携わっている者も住民も、近くの都会の施設にたよって、そうして案外都会の近くのほらが一番おくれておる。ところが、医療行政に対する時代の要求と住民の要求が変わってきた。その断層に気づかないままに、静岡県が非常におくれているところに大きな原因があるのではないか、このように考えます。  そこで、その問題は、ただいまの国立病院の廃止に地域住民が反対しておられます実情を見ても、それのあらわれじゃないか。したがって、御指摘のとおりに文部省の所管ではありまするが、医科大学を設置するとかあるいはいろいろな施設を、公立あるいはそういう医療行政のようなものに利用してもらうとか、あるいは厚生省も十分注意をして、いろいろな施設あるいは行政指導等は県のほうと連絡をして、この断層を取り返さなければならぬと考えております。

渡辺芳男日本社会党

○渡辺(芳)分科員 たいへん前向きな姿勢ですから、それを期待しておりますから、十分医療行政の指導の面において手を尽くしてもらいたいと思います。  最後になりますが、昨年から富士山の大沢くずれが非常に激しくなってきた。これは国会でも取り上げられ、閣議でも取り上げられましたが、最近富士山周辺の、これは国有林の場合もあるし、公有林の場合もありますが、アカマツ、カラマツが大部分です。これが非常に伐採をされまして、観光政策審議会でもたいへん問題になっておるといわれておりますが、これは確かにおそまきの状態にあるわけです。これは前々からいわれておったのです。しかし、これが取り上げられて、富士山周遊道路や、あるいは山ろく地域の開発というものが進んでまいりますと、特に伐採したあとの植林というものは、そう簡単に木は大きくなるものではないし、水資源の問題もありましょう。それから大沢くずれの周辺というのはなかなかたいへんなものですから、これは相当な資金を投入して防止対策をしなければなりませんが、いずれにしても国有林や公有林の伐採をどしどし許可をしておる状況にあるわけです。私も知りませんでしたが、自然公園法によりますと、厚生大臣がやはり監督しなければいけない、こういうことになっておるようですね。富士山周辺は、ともかく最近いろいろ問題を提起しておるのです。そういうわけでありますから、この点はひとつ厚生省として、大臣として、目を特に注いでもらって、あまり伐採を地方の自治体にまかしておくような状況でなくして、十分な指導をして制限をする。そうしないと、どうもこれは将来なお一そうの問題に発展をしていくような可能性があるようです。この点をひとつ希望しておきますけれども、御所見を承りたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの問題は、新聞等でも騒がれたこともありまするし、なおまた閣議等でも話題にのぼったことがあるようでございます。国立公園内の山林の保護は林野庁と私のほうとで協議をして、保護計画を定めることになっておりますが、この場合は、林業の施業上の必要性と自然保護との面から相談することになっておりますが、富士山のいまの御指摘の点は、申しわけないことながら、同然保護という点がやや弱まってきた関係上、乱伐の結果であると考えます。これについては十分今後とも注意をいたしまして、特に観光その他の開発が進むにつれてそういうことが大事であるということを一そう認識して、林野庁とも協議をしてやりたいと考えております。

田中正巳自由民主党

○田中主査 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私は、アルコール中毒対策の一点にしぼって御質問したいと思います。  これは、園田厚生大臣に特にお聞き願いたいのですが、坊大臣のときにこの問題を要望いたしまして、アルコール中毒が野放しになっておる関係から、家庭崩壊の状況にあるという悲惨な状態、特に北海道、東北等の寒いところが多いのですが、そういうことを要望して、これを検討するということで、本年度の予算には厚生省も取り上げて、アルコール中毒対策についての予算要求をしたと聞いておるわけです。その結果を、まず局長から御報告願いたい。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 昭和四十三年度の予算案には、アルコール中毒対策費として三百二十五万円の啓発宣伝費を計上しております。(「三百万か」と呼ぶ看あり)この執行につきましては、スライド一パンフレット等、アルコール中毒に関する啓蒙宣伝資料を作成する。こういう予算を計上しておりまして、これは保健所をはじめ各関係機関に対して配布しよう、こういう考え方でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 聞くところによりますと、本年度においては、アルコール中毒対策として六千九十万円の要求をされておる。そのうちアルコール中毒防止普及事業については百十五万、アルコール中毒の調査研究事業として二百九十七万、そして酒害防止センター——アル中を入れて矯正をして社会に復帰せしめる施設として四千九百四十万、これだけの要求をされたが、財政の硬直化で、いま単位が違うのじゃないかと言われるほどわずかな、三百二十五万だけが計上されておる。まことに私は遺憾なのでありますが、どうも大蔵省で査定をされるときに、一律主義で、何かあるとばさっとやる。価値観、価値評価というものがないということを、私、非常に遺憾に思うのですが、この点についてもう少し認識を深めていただきたいと思います。  主計官おいでになりますね。本年度の酒税はどのくらいですか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 四十三年度で五千五百三十三億六千百万円でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 五千五百三十三億という、これだけ酒飲みから税金をお取りになる。昨年は四千四百九十二億。ずいぶん多くなっておりますが、これだけ飲んで国家に貢献をしておる結果、アル中にかかって、妻子を泣かしあるいは社会に迷惑をかけ、そして一つの村にアル中の人が二人おればその村じゅうが非常に不安を感ずる。しかも、アル中になっておる人は、わりに素質がいいのですよ。素質のいい者がむしろ逆にアル中になって、社会的に大いに活動できる人が、そのために地域において非常に不安な状況を与え、家庭を破壊し、家庭において子供を不良化するというふうな実態なので、私は、わずかな予算であるから、せめてこういうものを救済することぐらいはおやりになっていいのではないか。  大体、五千五百三十三億といま主計官から御報告を受けますと、千分の一だけ還元してやっても五億もある。道路協会あたりの圧力団体から言われると、ガソリン税はすぐ道路に還元をするが、こういう人間を守る点については何の関心も持たないということは、まことに遺憾です。ヒューマニストである厚生大臣のお考えをひとつ……。しかも、理論的には、これだけの、五千億の酒税を取っているのですから、それくらいは当然じゃないでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘の問題については、アメリカ等では酒の売り上げ税の九%をそういう事業に回しているようでございまして、交通事故の原因も、あるいは各家庭におきましても、精神病等に入れるべき範囲ではないが、かといって家庭では非常に困っておる。これは、あるいは金銭の問題、あるいはその他の問題、いろいろ問題のあることは十分存じておりまして、ただいま御指摘を受けてまことに申しわけないと思っておりますが、私も予算折衝の場合に、これは財政当局の責任ではなくて、私自身が、つい、この問題について、重点を払い、強く主張いたしませんでしたことを正直におわび申し上げます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 君子改むるにはばからずですから、ひとつ本日改めて、厚生大臣が次の予算まで在職するかどうかは不明ですけれども、少なくても責任を持って次の厚生大臣には重要な問題として忘れないように引き継いでいただきたい。  これはヨーロッパあたりも、全部調べますと、酒税の三分の一くらいはみなアルコール中毒対策その他に還元しておるのですね。日本だけですね、酔っぱらい天国で、酔っぱらいが一番特権を持って、そうしてずいぶん民族のエネルギーを浪費し、工場においてもどこにおいても、アルコールのためにどれだけ能率が下がっておるか。これは国民の精神衛生上も、わずかな金だけれども重大な問題だと思うのです。主計官は、わずか三百万であるけれども、一方で良心的に酒害防止協会とか禁酒同盟、これは片山さんが会長ですが、そういうように民間で人道的な立場で努力をしておる人たちの熱意にこたえる方向に運営できるような、たった三百万でもできるような配慮があるように聞いておるが、これは間違いないですか。これは局長にお聞きします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 四十三年度に予定いたしております三百二十五万円につきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、一応国民の啓蒙宣伝費に使いたい、こういう予算でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私、偶然讀賣新聞の「人生案内」をひょっと見たらこれが出ておるのです。認識を深めるためにこれを読みますから、大臣は聞いておいていただきたい。  家庭においておとうさんとか長男とかがアル中で困っておる相談が一番多いという。そして人生相談には三つの型がある。夫が酒乱で困るという妻からの訴え、それからおとうさんが酒乱で困るという子供からの訴え、それから長男が酔っぱらってあばれて困るという親からの訴え、大体この三つの型がある。  たとえば子供から親に対する訴えでは、「高校二年の女子、義父は非常に酒が好きで、朝から酒ビンを手放しません。家業の養豚は母まかせで、仕事にはいっさい手をつけず、一日中酔っ払って騒ぎ散らしますので、家庭はいまにも崩壊しそうです。」という訴え。今度は奥さんから夫に対する訴え、「三年前、男の子を一人連れて再婚しました。夫は立派な公職にありながら、朝から寝床の中で酒を口にする人です。アルコールが回ると執念深くなり、つまらないことで暴力を振るいます。一歩外へ出て酒が切れている時はまるで別人のようで、腰も低くやさしい人間なのです。」「人生にいや気がさしてしまいました。」これは奥さんの訴えです。それから、長男が困るというので、その父親は「農業を営んでいますが、酒好きで外へ出たら夜も帰らず、二日も三日も飲み続けることも珍しくありません。疲れると帰宅して仕事もせず、食べて寝るだけ。四、五年前、精神科の病院に十か月ほど入院したこともありますが一向になおりません。」これは長男に対する訴えです。いま精神病院に入れても、アルコール中毒者としての特別の矯正をしないからなおりっこないのですね。だから結局回答者もこれについては手がないのだ。  そしてこれに対して回答者はどういう回答をしておるかというと、おとうさんの場合は「父をはずして母と子で家計その他一切をやる決心をすること、」とある。「第二に傷つけられそうになったら逃げ、おさまったら帰ること、第三に夫婦なら別れる道があれば別れること、第四に酒乱にこだわらず、別の希望を作ってこちらはそれで生きることです。」こういう回答しかないのです。これは政治不在です。それで、一生これで悩む。  われわれも若いときに酒を飲んで少し身につまされることがありますが、これだけは救ってやるべきじゃないか。たいした金じゃない、矯正施設をつくるといっても、全部でたった六千万ですね。これは少しの金でも、こういう政治の中で細心の注意を払い、ヒューマニズムをもって予算をつけることによってどれだけ家庭が明るくなるか。これがずっといきますとやはり酒害に対する一般の思想普及にもなり、ずいぶんと民族のエネルギーというものは善用できると思うのです。こういうことを考えて、財政的には非常に小さな問題であるけれども、政治としては非常に重大な問題だと思うのです。そういう点を自分の問題のように考えて努力をしてくださる厚生大臣がいない。これは努力すればできると思うのです、わずかな金ですから。また来年あたりは園田厚生大臣はいなくなる。そういうことを永久に繰り返すのでは困るのですがね。そうでないように、まず厚生大臣のこれに対する積極的なお答えをここで聞いておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見全くそのとおりでありまして、その害はうんと大きいわけでありまして、一言もございません。いままでの手落ちをおわび申し上げるとともに、明年度の予算については必ず責任を持ってそのような諸施設に第一歩を踏み出すことを誓います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 園田さんの熱意のあるお話を聞いて私は非常にうれしく思いますが、あと実現に私らも努力いたしたいと思いますので、大蔵省の主計官も、そのうち栄転するかどうか知らないが、よく覚えておいてください。いいですか。主計官の気持ちだけ聞いておきたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 四十三年度の予算につきましては、厚生省ともいろいろ議論をいたしましたが、何ぶんにも新規の予算でございますので、当面最も重要であると思われます啓蒙宣伝費の予算を計上した次第であります。今後の問題につきましては、厚生省当局ともよく相談いたしまして検討いたしたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 そこで、これに関連して、法務省の刑事課長さんがおいでになっておられるので、なおお聞きしておきたいと思いますが、酔っぱらいによって起こる事故ですね、これは警察でとどまって、検察庁まで来ないものもあると思いますが、アル中ばかりでなくて、酔っぱらいに基づく犯罪あるいは警察の対象になったものについて、大体どういう状況にあるか御報告願いたいと思います。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 検察庁では、大体年間五百万人の被疑者を受理するわけでございますが、その中には刑法に違反する者もございますし、道路交通というような、いわゆる特別法犯とわれわれ称しておるような犯罪もあるわけでございます。その全部につきまして、酒酔い、あるいはそれを過ぎました、めいていについての統計はできておりませんので、わかる範囲内におきまして分けまして御説明申し上げたいと思います。  まず、刑法犯、刑法に該当する行為といいますか、それにつきましては、酒酔いについての統計はございませんが、めいていについての統計はございます。大体三%ないし五%がめいていによる犯罪というぐあいに統計上出ております。その内容は、傷害であるとか、公務執行妨害であるとか、業務上過失致死傷、殺人、強盗等が多いようでございます。  次に、実刑を受けまして刑務所に入った者につきましては、幸いなことに矯正当局におきまして犯行時飲酒であった者という統計が出ております。それによりますと、大体一七%ないし二〇%が犯行時飲酒であったというぐあいになっております。  なお、そうした重大犯罪を除きまして、いわゆる交通事故というものについて見てみますと、これも警察の統計でございますが、交通事故の際に、酒酔いが一応原因になったであろうと思われるものが、事故の死亡件数のうちの約二・八%を占めているということでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 こういうふうな酔っぱらいが原因のいろいろな事故があることが、統計に出ておりますが、アル中対策を出すということが、同時にこういうものに対する思想的な影響があるので、やはり富士のすそ野をずっと広げて国民の税金を有効に使おうとした対策だと思うので、この点も大臣に十分認識をしておいていただきたいと思うのです。  それから、総理府の青少年局長がおいでになっておりますので聞きたいが、青少年の問題で、アルコールの関係からだんだんと不良化するという傾向が非常に多いと私は思うのです。いろいろの研究の発表を見ると、大体十代において不良化する経路は、一番最初はたばこをのむ、その次は酒、酒をのむ場所は必ず女性がおる、そこで女性との関係が出る、女性との関係が出ると金が要る、金が要るから親の金を盗む。たばこ、酒、女性、どろぼう、窃盗、そしてだんだんと犯罪少年になっていくというのが、大体私の知っておる限りにおけるそういう関係の学者の報告、あるいは青少年心理学者の報告です。経路はきまっている。最初はたいてい十代の場合は、おとなのまねをする。一番まねのしやすいのは、たばこと酒なんです。おとなと同じように、法律で禁止されておるものを破っておとなのまねができるのは、酒とたばこなんですね。それが必ず女性がおるところなんです。それが必ず金がかかるので、窃盗に入っていく。これは定説だと思うのです。  したがって、未成年時代に酒から守ってやるということは、青少年対策として案外要点だと私は思うのです。それからアル中になっておる者は、大体十代から飲んでおる。一定の年齢に達して、三十くらいから、疲れたからというので飲んでおる者はいい酒で、アル中にはなっていない。十代だけは酒を飲まない習慣をつくってやるということが、私は非常に大事な対策であると考えておるのです。青少年局においては、それについての何か対策を立てておりますか。

安嶋彌総理府青少年局長

○安嶋政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、全く同感でございまして、各省庁におきましても、厚生省につきましてはただいま御答弁があったわけでございますが、それぞれ施策を進めておるわけでございます。文部省におきましては、御承知のとおり中学校の保健体育という教科で、三学年におきまして酒とたばこの問題について特に触れておるわけでございます。高等学校におきましても、生活指導その他の面におきまして留意いたしておるわけでございます。  それから、取り締まり官庁といたしましては、警察庁があるわけでございます。警察庁におきましても、未成年者の飲酒、喫煙の問題につきましては、かなり徹底した取り締まりを行なっております。数字等もあがっておりますので、お尋ねがございますればさらにお答えをいたしたいと思いますが、そういう状況でございます。  それから、警察以外に少年補導センターというものがございます。補導センターにおきましても、酒、たばこについての補導にはかなり重点を置いております。  政府の各省庁におきまして行なっております事業はそういった点でございますが、さらに青少年局が補助をいたしております事業といたしまして、そういった問題を取り上げている事例がかなりあります。  社団法人青少年育成国民会議というものが四十一年の五月に発足いたしたわけでございます。同時に、都道府県におきましても青少年育成府県民会議というものが、沖繩も含めまして四十七の都道府県に設置されております。ここにおきまする非行対策の一環といたしましての運動方針にも、少年に酒やたばこを売らない運動を展開する、少年に酒やたばこを買いにやらない運動を展開する、こういった運動事項をあげております。  で、青少年育成国民会議あるいは府県民会議につきましては、各種の補助金が支出されておるわけでございますが、その中でこれに関連のあるものを一、二申し上げますと、機関紙等広報活動の経費でございますとか、あるいは青少年健全育成の推進地区を設定する経費でございますとか、そういったものがございます。この予算事項自体には酒、たばこのことは明示してございませんが、青少年を健全に育成するための経費でございます。実際の使われ方といたしましては、酒、たばこの問題に使われる事例がかなりあるわけでございます。  北海道、秋田県、群馬県、栃木県、北九州市、佐賀県、鳥取県、滋賀県、徳島県等におきましては、未成年者に対する酒の害に関連する運動を展開しております。秋田県の例を一つ申し上げたいと思いますが、——よろしゅうございますか。そういう運動を展開しておりまして、総理府から秋田県に補助をいたしました。国民運動広報活動事業費がそういったほうに使われておる、そういう事例がございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 大体寒いところに酒害が非常に多い。よく人生相談なんかに出ておるのは北海道、東北地区に非常に多いのですが、酒から未成年者を守る会というふうな、母親中心の民間の団体が盛んにできておるわけです。それに対する助成などは、やはりもっと具体的に考えてもらう必要があると思うのです。これはどういう管轄になりますか、青少年局になるのだと思うのですが、厚生大臣も御検討願っておきたいと思うのです。  刑事課長、現在の日本の法律で国民が一番守らない法律は何だと思いますか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 私のほうは、守らない場合に処罰するのと、守らせるようにするので、守らないのがあればそれをやるわけでございますのでちょっとお答えしにくいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 厚生大臣、どうです。一番守らない法律は何ですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 それは酒とたばこですか。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 私は、選挙法と未成年禁酒禁煙の二つだと思うのです。守る者はばかだということになって、非常識が常識化しておる。一番守らないでいばっておるのは未成年禁酒禁煙と選挙法です。  この選挙法のことはわれわれ自身の問題で、これはなかなかずるいから直りそうにないのですが、未成年の禁酒禁煙だけは、これは守らすということは、身体の発育からいって、それから不良化の道を断つことになる。そこで、一番抵抗なく順法精神を養うのにはこれが一番いいのですが、教育的な立場からいっても、あるいは厚生行政からいっても、青少年行政からいっても、これを中心にしてやることが案外要点だと私は思う。そういうことも含んで私はこの問題を特に取り上げたわけでありますから、非常に小さい問題であるけれども、案外重要な政治の課題であるというお考えをもって来年はぜひ実現していただきたい。そして地方におきましては、非常に良心的な人が打算をこえていま心配をしておる問題であります。しかも農村においては、出かせぎその他も含めて父親が外に出ていく。また酒で失敗をする。家庭内においては^特にああいう地域においては、どぶろくもあるものですから、家庭崩壊の最大の原因になりつつあると私は思う。その点について、まじめにひとつ検討していただきたい。  きょうは、厚生関係及び大蔵省の主計官も、法務省の刑事課長、その他総理府の青少年局長もおられる。ひとつ来年度の予算については一律主義でなしに、あるいは受益者負担というより、これは国が酒をうんと奨励しておるから、受益者負担原則で予算編成をするなら、加害者負担原則を一つ入れてもらわなければならぬ。これは加害者ですよ、国は。加害者負担の原則を入れないと不公平だ。もっと価値観を入れて——予算編成については新規事業はだめと言って、ばあっと切るような、これは価値観不在の予算編成だと私は思う。やはり憲法の価値観の上に立って軽重判断をして、具体的に予算編成をするということを含んで、こういう小さな、財政的に少ないものですから、ひとつ要望いたしまして、私の質問を終わります。

田中正巳自由民主党

○田中主査 福岡義登君。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 私は、身体障害者対策につきまして質問いたしたいと思います。  一つの具体的な例に基づいて、身体障害者対策全体について考え方を聞きたいのでありますが、広島県の三原市に「のぞみの家」というのがあります。これは昭和四十一年の六月に、三原市内に居住をする脳性小児麻痺の子を持つ父母の会というのができまして、それは二十五人でできておるのでありますが、この人々が、この「のぞみの家」を発足をさせたということになっておるわけであります。将来は本格的な法人化を目ざしていろいろと準備を進めておるのでありますが、現在では十一人の重症児童を朝から夕方まで収容しておる。預っておる。そういう仕事をしておる。しかしその経費は、市の建物を無償で貸しておるということだけでありまして、他のすべては、一切父母の負担を中心にいたしまして、善意の人々の力もときとしてかりておる、こういう状態なんであります。したがって、嘱託のお医者さんあるいは嘱託でお願いしておる看護婦さん、そういう人々は一切無報酬である。専従でついておる保母さんが二人おります。これも無報酬である。もちろんその十一人のお母さんが毎日一人ずつ交代で保母さん二人の手伝いをしておる。三人で十一人のめんどうを見ておるのですが、これももちろん無償であることは間違いない。これは、全国的にこの種の施設をやっておるのは少ないようでありますけれども、いずれにいたしましても、全体的なそういう施設が非常に不足をしておるために、やむを得ずこういうことをやっている。しかし、何らの公的援助、補助というものがなされていない、こういうことなんです。  そのほか例をあげると幾つかあると思うのですが、ここでは広島県の三原市の「のぞみの家」の例を出したけれども、こういう事実について一体厚生大臣はどう考えておるかということを、まず初めにお伺いしたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 肢体不自由児、心身障害児に対する対策は、いままで非常に不十分でありまして、財政硬直のおりからでありますが、明年度の予算からいろいろな新しい事業を始めたわけであります。  しかし、それにいたしましても、全国の肢体不自由児の数から考えると、なお不十分であって、年々飛躍的にその対策を講じていかなければならぬ。しかも、これは単なる問題ではなくて、両親の立場から考えると非常に重大な問題でありまして、これと関連をして、安楽死だとか、いろいろな問題が指摘されております。したがいまして、いまのような問題も直ちに詳細調査をいたしまして、これに対する対策を講じたいと考えております。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 昭和四十一年に厚生大臣に対しまして、行政管理庁のほうから身体障害者対策についての一つの勧告がなされておる。その中に社会福祉施設の整備の項がいろいろ書いてありまして、その次に「し体不自由児施設、精薄児施設は著しく不足している。厚生省は都道府県を指導し、要収容者の実情をつかみ、施設の計画的か整備を図る必要がある。」こういう指摘を一つしておるのであります。  さらに、同じく勧告の中に重症心身障害児等の援護の項があるわけであります。それを、簡単ですから読み上げてみますと、「重症心身障害者は昨年八月現在、」これは四十年ですが、「十八歳未満の児童十七万三千人を含め計十九万三千人(厚生省調べ)だが、これら重症心身障害者の援護については、各福祉法に規定がなく、現在民間施設が六カ所(四百七十六床)設置されているに過ぎない。厚生省はさる三十八年から、施設に収容されている重症児の療育費を国庫補助し、また四十一年度には国立施設を五百二十床設置することとしている。しかし、厚生省の整備計画では、重症心身障害者を全員収容するためには今後約二十年要することになっており、実情にそわない。このため、重症心身障害児の援護について法律に明確に規定するとともに、重点的に施設を増設する必要がある。」こういうように書いておるわけです。昭和四十一年で五百二十床、昭和四十二年で五百六十床できる。さっき勧告の中にありましたように、現在の総数が十九万三千人、これは少ないと思いますが、十九万三千人に対して五百や六百では二十年間かかる、こういうことになる。  この勧告に基づく具体的な作業というものは、どこまでされておるのか、それをお伺いしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 肢体不自由児施設あるいは精神薄弱児施設に関しまして、行政管理庁から勧告をいただいております。したがいまして、その点につきましては毎年その施設整備費を計上いたしまして、スピードを上げまして整備をするということにいたしておるわけであります。  なお、御指摘の重症心身障害児の問題につきましては、現在のところ私どもの調査では、一万九千三百名のうち一万六千五百名の子供及びおとなを収容するということにいたしております。行政管理庁の勧告では、いまのままで進めば二十年もかかるのじゃないか、こういうふうなお話でございましたが、来年度の予算を編成するにあたりまして、二十年というのではあまりにも長過ぎるということで、今後四十三年度からおおむね七年間くらいの間にこの一万六千五百名の子供あるいはおとなの人を収容するということにいたしまして、ただいま御審議をいただいております予算案の中では、来年度といたしまして千四百八十床というふうなベッドをつくるように計画をしておるわけでございます。かようなテンポで参りますれば、おおよそ七年間には重症心身障害児あるいは重症心身障害者も収容することが可能ではなかろうか、かように考えておるところでございます。  なお、行政管理庁が指摘いたしました重症心身障害児施設を法律化せよ、法律の制度に乗っけろという勧告につきましては、昨年の特別国会において御審議をいただきまして、児童福祉法を改正いたしまして、重症心身障害児施設を児童福祉法上の一つの施設の種類といたしまして明定いたしたのでございます。  以上によりまして、行政管理庁の勧告もありますし、私どもの姿勢といたしましても、この対策をさらに充実していきたい、かように考えておるところでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 いまのお話の中で、一万九千三百というお話、一万六千幾らという数字をあげられましたが、これはけたが一つ違うのじゃないのですか、十九万三千という意味でしょう。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 私どもが昭和四十年八月現在におきまして、身体障害者の実態調査を行ないまして、その結果、身体にも重要な障害があり、かつ精神的にも、たとえば知能指数の点におきましても非常に低いという、ダブった障害を受けておりますところの子供、おとな合わせまして一万九千三百ということに相なっておるわけでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 さっきの数字ですが、行政管理庁は、厚生省調べで昭和四十年八月現在で十九万三千おると、こう書いておるわけです。  同じく去年ですが、九月二十一日の読売新聞によりますと、これは全国で重症の関係者の調査が出ておるのですが、厚生省の調査と対比させて、非常に厚生省の推計が甘過ぎるということを指摘しておるのです。これによりますと、二十二万六千六百十四人、こう書いてある。  その後行管も十九万三千という厚生省の調べをあげておるのですから、大体二十万前後ということで厚生省も理解されておるという理解をしておったのですが、いまのお話によりますと、要収容者数については一万九千幾ら、こういうお話なんですが、これは相当話が違うのじゃないですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 障害者の種類によりましていろいろな調査がなされておることは事実でございます。身体障害者自体につきましては、先ほど御指摘のような数字になっておるわけでございますが、私が先ほど一万六千五百というふうに申し上げましたのは、たとえば身体障害の程度が一級、二級、これは身体障害者福祉法の別表に定める非常に重度の障害を受けられた方でございますが、こういった身体に障害を持っておるとともにかつ知能指数、IQですが、知能指数が三五以下、こういうふうに二つとも重度である。二つの障害がダブっていらっしゃる、そういった収容を要する方々の数が一万六千五百、こういうようなことでございます。したがいまして、いろいろと、たとえば精神薄弱者自体の数が、最近の調査によりますと、特に厚生省でケアしなければならない方々の数が五十万、こういうふうなデータもございますし、私がいま申しましたのはダブった重症の方々の数でございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 非常に時間が制限されておりますので、こまかいやりとりができませんが、いまの数字の問題についてなんですが、一般的に厚生省の推計調査というものは甘過ぎるということは、これは新聞社もいっておるし、私どももそういう認識をしておるわけです。  そこで、今後対策を立てようとすれば、勧告にもありますように実情を十分知らなければならない。その調査の方法についてひとつぜひ要望しておきたいのですが、たとえば伝染病は医者が届け出なければならない義務がある。たとえばのことで、この身体障害者につきましても、そういうようなくふうをすれば実態というものが正確につかめるのではないか、これが絶対正しい、いいということではなしに、一つの例として申し上げるのですけれども、ぜひ正確な実情を調べる方法について考えていただきたい。ここでいま局長のおっしゃった数字が間違いであるとか、どうであるとか、甘過ぎるという論争をする時間がございませんが、いずれにしてもお話のあった数字は非常に低きに失しておる、こう思いますから、正確な実情調査ができるようにひとつくふうをしていただきたい、こう思うのであります。  それから、初めに申し上げました具体的な例についてなんですが、厚生大臣からああいうお話を聞いたんですけれども、具体的にこういう施設をやっておる、それについて何らかの公的な援助、将来は本格的な施設をつくって法人化するということをここの会の人も言っておるのですけれども、それはそこへ早く努力をしなければならぬと思いますけれども、どうもそこへ行くまでに、こういうことをやっておるこういうものについて何らかの措置を来年度、昭和四十三年度からとっていただきたいと思うのですけれども、どうですか

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘の三原市にある「のぞみの家」の問題でございますけれども、従来から児童家庭局におきましては、こういった肢体不自由児の方々は、病院でありかつ施設であるところに収容いたしまして、生活指導あるいは機能訓練、こういうことをやってまいったのでございますが、同時に、小さい子供さんなどにつきましてほ、おかあさんとともにそういった施設に入園をしていただきまして、おかあさんにも子供を指導する力をつけるというふうなこともやってきたのでございます。  ただ、いずれの場合におきましても、収容するというふうなことが重点になっておりますけれども、やはり施設と家庭とが、ともに手を握りまして子供の訓練をするということになりますと、やはり収容しないで子供さんだけを通園訓練をするという、そのタイプを考えなくてはいけないということは事実でございます。したがいまして、現在厚生大臣の諮問機関でございますけれども、中央児童福祉審議会というものがございまして、その中央児童福祉審議会におきまして、通園をするタイプにつきまして検討をいただいておるわけでございます。したがいまして、これは医学的な面からもあるいは心理学的な面からも、いろいろと、どういうふうな運営方法でやるかという問題もございまして、研究をしていただいておるわけでございますが、その結論が出ますれば、そういった通園システムの肢体不自由児の施設をつくって、そうして、したがいまして公的な国の援助の手を差し伸べるということも考えられるわけでございます。早急にその児童福祉審議会の方々の御審議をいただいて、その御意見を尊重いたしまして、行政の実施に移したい、そういうふうに考えております。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 通園施設をつくるべく諮問中だ、これは一歩前進だと思うのです。  ところが、聞くところによりますと、これは結局私がいま例示しておるようなものには適用されないだろう。第一、規模を大体四十名に考えて検討されておるようである。そうすると、大都市なら四十名ぐらいはそういう対象者がいると思いますが、いま申し上げました三原市は、十万前後の中小都市なんです。そういうところで、そういう身体障害者を四十名もということになると、通園するといいましても、よそから、遠くから来るわけにはいかぬのですから、三原市なら三原市内という程度になると思います。そうすると四十名ということは、大都市においては別でしょうが、中小都市においては適用されぬのではないか。いまの三原市の「のぞみの家」の例は十一人ですからね。  しかも、いまの諮問されておるというのは、四十四年度からというような方針のようです。ところが、いま言っておるのは、もう昭和四十三年度から具体的に、過渡的な措置でもいいから、なるべくこういうものについてやっておるところへは補助できないか。元気な子供は、御承知のように保育所というのがある。それから、いま局長がおっしゃった通園施設にはおかあさんがついていく、そうすると家計の苦しい事情の中から共かせぎをしようと思っても出られない。ですから、そういう面もくふうしてきますと、健康な子供に保育所という一つの公的措置がなされておるのだから、こういう肢体不自由児についても、将来抜本的な改正はいろいろ検討するとしても、過渡的に何か考えられないか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの問題は、ことしの夏結論が出るそうでありますから、その方針に従って将来の問題は検討するといたしまして、とりあえず——一つの事業でもなければ営業でもなくて、困った方々が集まって、しかも職員は無報酬でやっておられるということを聞いてはほうっておくわけにはまいりませんから、何らかの方法を検討いたします。やむを得ざる場合には、御寄付等願ったものを活用するかどうか、何か方法を考えます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 非常にありがたいのですが、いまの大臣の御回答は、昭和四十三年度から考えていただけるということですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 そのとおりでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 たいへん積極的な御回答で感謝するのですが、以上で、時間ももうありませんから、私の質問を終わりたいのですが、いま一つの例を申し上げて、答えをいただいて……。  それはそれで問題は解決したようなものですが、根本的にはやはり大きく残っておると思うのです。いまさらどうこう言う筋合いでもありませんが、日本の経済力というのは、御承知のようにもう飛躍的な成長を遂げておるわけです。世界で四番目くらいの実力があるといわれておるのですが、そういう日本において、いまから七カ年計画でやるという説明がありましたが、実情というものは非常におくれておる。  この間、新聞を調べておりましたら、身体障害者の子供を持った家庭が非常に多くの心中、あるいは自分の子供を殺して自分もあとを追うというのが、この五年間に五十一件ある。私の調査漏れがあるかもしれませんが、五十一件も、そういう殺人とかあるいは心中という事件が起きておる。国力がないのならやむを得ぬのですけれども、申し上げましたように、いまの日本の国力というものは、もう世界で四番目だといわれるのですから、この七カ年計画にあまりこだわることなく、これを五年計画にでも繰り上げるように、ぜひ努力をしていただきたいと思うのであります。それは憲法の精神でもあるし、児童福祉法の精神でもあるわけですから、園田厚生大臣になられまして^厚生行政に期待する面は非常にたくさんあるわけですから、ぜひ抜本的な対策というものを一刻も早く進めていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中主査 和田耕作君。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 厚生大臣にお伺いしたいのですが、きょうは、いまの御質問と関連をしておる問題なんですけれども、精神薄弱児の問題にしぼりまして、厚生省の今後の方針、あるいは文部省の特殊教育の問題にも関係をして御質問したいと思うのです。  昨年の五月ごろでしたか、私、島根県のある友人から手紙をいただきまして、昭和三十九年に埼玉県の秩父学園に入園を希望した、間もなく入れると思ったがなかなか入れない、それで実情を調べてもらえぬかというようなことで、厚生省に電話で聞き合わせましたら、現在秩父学園、千人待っているうちの五百番だというのですね。つまり昭和三十九年に申し込んだ人が、昭和四十二年にまだ五百人も待たなければならない、全体で待っている人が千人おる、こういうふうなことだったのです。  私はそれまでは、施設としては相当あるだろうと思っておったのですけれども、そういういまの実情に対して、今後の施設の拡充の計画と並んで、大臣に全体的な所感をお伺いしたいのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいま御指摘の問題は、特に私は重点を注いで考えていきたいところでありまして、財政当局においても、新規事業等は採用しない方針でありましたが、心身障害児の問題については、いろいろ新規要求をいたしまして、飛躍的に予算はついたものと考えますが、しかしそれもたびたび申し上げますとおりに、ただいままでの基礎数字が低いわけでありまして、だからといって満足すべきものではなくて、いまなおその施設に入れない方々が多数あるわけであります。今年度新規事業で計画いたしましたベッドの数等も、実は厚生省が考えて、本年度これくらいしかはけないだろうと思っておったところが、予算がきまりますと、各県から、人員等は県のほうで準備するからふやせという要求が非常にふえてきております。これはいい傾向ではありますが、いずれにいたしましても、私自身のところへも個人から直接投書が参っておりますが、それはことごとく、両親が、このままでは子供を殺して死ぬ以外に方法がないという意味の深刻な手紙でありまして、各方面の関心等も、幸いにして激励をいただいておりますので、ただいま御指摘の方針に従って、まずこの点をやっていきたいと深く考えております。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 これは私、昨年も大蔵大臣に、予算委員会の一般質問で御質問申し上げたのですけれども、全体をやりましてもそう金のたくさんかかることじゃない、大体二百億くらいの金があれば充足できるということになると思うのですけれども、先ほど局長からお話がありましたような早いテンポの年次計画を確立されて、ぜひともひとつ実現していただきたい。  と申しますのは、これは順位を待つ性質のものではないのですね。同じ程度の人が、一人の人が五年前に、あとの人が五年後にまで残らなければならぬという形のものじゃない。同じレベルの人のことですから、あまり長い年度計画だと、そのような目的は達成できない。同じ人を同じレベルでということになりますから、できれば三年くらいでこの問題は解決しなければならないというたちのものだと思うのです。そういうようなところを、ぜひともひとつお考えいただきたいと思うのです。  それで、現在収容しておる施設並びにその人員、そして今後収容しなければならない人員と収容している人員との懸隔が、ここでいろいろお尋ねすることは省きますけれども、非常に懸隔があるということなんで、しかも、いま申し上げたように、優先順位がつけられないという人なんですから、ぜひともひとつ速急にこの問題については御処置をいただきたいと思うのです。  これと同じような問題、少したちが変わりますけれども、文部省の特殊教育課長さんお見えになっておられますので、お伺いしたいのです。この特殊教育、特殊学級のほうに子供を入れておるおかあさんから非常にひんぱんに手紙をもらうのですけれども、特殊学級で対象にしておる人と、厚生省の精薄児施設で対象にしておる人との違いを、ひとつ文部省と厚生省の方からちょっとお答えいただきたい。どの程度の人を特殊学級の対象にしておるのか。あるいは厚生省の精薄児の施設の人は、どの程度の人なのか、ということですね。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 ただいま御指摘のように、精神薄弱児に対する福祉面の対策あるいは教育面の対策が、その数に比べれば非常におくれておるというふうな現状でございます。したがいまして、子供によりましては、特殊教育に来る者か、福祉施設に来る者か、多少あいまいな点もございます。考え方は、大体こういうふうなことで文部省と整理をしているわけでございます。  施設に入ります子供は、六歳未満の子供は、これは当然学校教育でございませんので、厚生省関係の施設でやるということ、これはまず第一でございます。それから学齢期にある子供さんにつきましては、大体知能程度が比較的低い、たとえばIQが五〇以下、大体こういうふうな線で分けておる。IQの高い者については特殊教育、低い者については施設のほう、こういうふうな考え方で見ておるわけでございます。しかしながら、もちろん施設の中にも、場合によりますと学校教育の分校などを設けてやっているところもございますので、一応のめどであるというふうなことでございます。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 その区別は、精薄の問題ですからなかなかつけにくいと思いますけれども、区別をめぐりましていろいろ悲劇が出ていると思うんですね。特殊学級へ入る人の数は、必要と思われる人の中でわりあい少ないというんですね。できるだけ普通の学校でめんどうを見てもらいたいという人が多いという話を聞くんですが、課長さん、それはほんとうですか。    〔主査退席、登坂主査代理着席〕

寒川英希文部省初等中等教育局特殊教育課長

○寒川説明員 先ほど渥美局長からお話がありましたとおり、教育措置を必要とする子供と、施設の対象になる子供、この判別をめぐっての問題が一つの問題となっておりますが、私ども教育的な見地から、子供の教育の可能性というものの見通しのもとに、教育によって将来社会に自立するかどうかという観点でもってIQ、あるいは社会生活能力、あるいは運動能力、社会適応能力、そういうふうな総合的な判断をいたします。もちろんこれは学校の教師が中心になりますが、やはり心理学的な立場、あるいは医学的な専門家の方、そういった方々の総合的な判断で、そういうものによってその子供の判断をいたしております。もちろん地域によりましては特殊学級、あるいは養護学校がまだできてない、そういった実態から、施設等に入らざるを得ないような状況もございます。そういったことで、親の願いであるこの特殊学級なり養護学校に、必ずしも入れないというふうな実態が部分的にはあるかと思いますが、いずれにいたしましても、この教育の場を拡充するというふうな方向によって、そういう親の願いにこたえてまいりたいというふうに考えております。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 私、手紙をもらっている人は、五十前後の人じゃないかと思うんですけれども、精薄で、どこへ行っても受け付けてくれない。やっと頼んで入れてもらったけれども、何か妙な差別的な扱いを受けることもあるということで、学級、学校へ子供を通わしながら、いつ断わられるかわからないというふうなことで、おずおずしておられるんですね。そういうふうな感じを持っている人が、あの学校に入れているそういう下のほうの人の中には非常に多いのですね。  こういう状態とともに、もっと知能指数の高い人は、学級に入れないで、普通の学校でめんどうを見てもらいたいということで、特殊学級というものの対象にしておる人が、何か宙ぶらりんな感じを受ける。したがって、必要とする人があまり入れない。また入りたい人はおずおずしたようなかっこうでそこで教育を受けなければならないということで、たとえば私のほうで申し上げたら、ひょっとしたらまた上のほうから逆にいじめられるかもわからないという心配さえしておるのです。こういう問題は、何とか解決しなければならない問題の一つですね。これを解決するためには、つまり厚生省の施設の運営のしかたを考えるということも大事な問題だと私は思うのです。こういうふうなことを、今後運営の問題としてぜひとも考えていただきたいと思うのです。  私がきょう御質問申し上げたいのは、そういうことを関連をした質的な問題なんですが、現在日本の社会保障制度というものは、これは保険制度にしましても、いろいろな制度にしても、一応かっこうはとれてきた。こういう施設の問題にしても、施設はつくられておりますけれども、その中身はどうもよく整っていない。健康保険の問題でもそうだと思うのです。それから生活保護の問題でも何の問題でも、共通しておる問題である。現在中身の問題を、しっかり検討しなければならぬ時期に来ていると思うのですね。これは施設をどんどんつくると同時に、その問題はそういう意味でこれから御質問申し上げたいのですけれども、たとえば特殊学級というところには担当の先生が八人に一人ですか、おられる。また、厚生省の精薄児施設には、大体六人に一人の児童指導員という方がおられるということでやられておるのですけれども、特殊学級の先生も、精薄児施設の指導員も、その資格は大体小学校、中学校の先生と同じ資格なんですね。大学の、たとえば心理学部を出るとか、厚生省は、大臣が認めた、普通の頭のノーマルな子供を教える先生と同じ資格を精薄児を指導する先生に与えておる。しかも、これをかなり厳密に守っておられるという点に関してなんですけれども、そういうふうなことで、今後施設をどんどん拡充、拡張していく必要がある。八人に一人、あるいは六人に一人ということになりますと、何万という人を扱うためにたくさんの先生が必要なわけです。指導員が必要なわけです。そういうふうな場合に、そういう先生なり指導員というものが、施設の拡充に見合って、はたして得られるかどらかということですね。その見通しをひとつお伺いしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 仰せのとおり、施設を幾らつくりましても、そこに働いていただく児童指導員でありますとか、あるいは保母さんの確保がなければ、ほとんど意味がないわけでございます。御指摘のように、児童指導員なり、あるいは保母になりますためには、一定の資格要件が必要でございます。ただ、保母につきましては、学校教育の上に、保母の資格をとるための養成所がございますけれども、その養成所、指定養成学校もございますが、そういった施設あるいは学校を出ますと、自動的に保母になれるというシステムと、もう一つは都道府県の知事さんの試験に合格いたしまして保母になるという二つの方法がございます。現在のところ、両方ともにフルに活用いたしましてやっておるわけでございます。もちろんこれだけの施設が将来できるということになりますれば、相当の数は要りますけれども、そしてまた学校あるいは養成所を拡充することも必要でございますが、いまのところある程度見合っておるというふうに言って差しつかえないのじゃないかと思います。  しかしながら、いずれにいたしましてもこれは本質的な大きな問題といたしましては、そういった職員の処遇の問題に関係がありますので、私どもは毎年その処遇の改善、あるいは保母なり指導員が受け持っておる児童数を少なくしてやる、こういうような努力によりまして、環境の整備とか、あるいは処遇の改善とか、こういうことをともに併用いたしまして確保につとめなければいけない、かように考えておるわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 いまの問題は、いまのところ一応バランスがとれておるというお話なんですけれども、私特殊学級を最近二、三ヵ所拝見をし、そしてこういう施設の内容を見たんですけれども、つまり精薄の方々を対象にした教育は、普通のものを教えれば理解できるような子供を相手にする人とは、はっきり違った性質を持っている。それを同じ資格にすることは間違いじゃないか。あるいは間違いというよりは、もっとそれを補足するものがなければならぬじゃないか。  たとえば特殊学級の例を見ましても、八人なり十人なりの子供がおり、先生が一人おる。教えていることを見てみますと、たとえば何か遊戯をしている。たまをころばす、それを拾ってくることまで全部先生がしなければならない。つまり教えることよりも、いろいろな雑務も含めてのからだでの教育ということになるのですね。こういうことは、つまり一般の生徒を教えるような、百人でも千人でも、ものによってはテレビやラジオでやれるというものと全く違うのですね。そういうふうな内容の教育をする人に、普通の先生と同じ資格の人を充てても、特殊教育を二、三年やれば今度普通教育にかわっていくというふうなたちの人、あるいは施設の指導員であれば、これを三、四年すれば、これはあまりおもしろくないから他の職業へかわっていくということになって、一向落ちついていかないという問題があると思うのですね。  そういうふうなことですから、そこに二つの問題が出てくると思うのです。一つは、教育内容が全く違うわけだから、たとえば現在特殊学級で八人に一人の先生がいる、あるいは精薄児童の施設では六人に一人の先生がいるという場合に、先生の生徒を見る数は、かりに十五人にしてもいい。その先生に有効な助手がついて、助手に二人の人が雇えるわけですね。助手は月給半分の人として、倍にすれば二人雇える。そういうふうな教育のシステムを、この問題はとる必要があるのじゃないか。つまり資格のある先生一人が、いままでの倍以上の人を見てもよろしい。しかし、その先生の補助をする教育の補助者をつけるというような形が、もっと実情に合っているのじゃないか、そういうような気がしてならないのですが、その問題はどういうようにお考えになりますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 まことに先生のお話、ごもっともだと思います。一応の資格を持った者が、精神薄弱者施設に入ってくるわけであります。したがって、特別の訓練なりトレーニングをする必要があるわけでございますので、私どもは国のレベルにおきましても、あるいは都道府県のレベルにおきましても、あるいは地域のレベル、たとえば県の社会福祉協議会とか、そういうふうないろいろなレベルにおきまして、絶えず研修会、講習会をやって、必要に応じた新しい知識を取り入れて子供の教育に当たるということはやっておるわけでございますが、それにしても仰せのようになかなかむずかしいと思います。絶えず今後も努力をしてまいりたいと思いらのでございます。  いまの先生の具体的な御提案の問題でございますが、大体こうなっておるわけでございます。たとえば五十人収容の精神薄弱者の施設におきましては、職員が十五名おるわけでございます。このらち保母、指導員と称する資格を持つ者が十名でございます。したがいまして、五人に一人というところで教育を行なっておるわけでございます。  これをもう少し経費を節約して、そういうふうな特殊な人を雇ったらどらかというふうなことなんでございますが、実はこの十人だけでもいまのところ足りないわけでございまして、専門の職員でもございますので、そういうふうないわゆるボランティアの活動のような方々につきましては、別の考え方、別の経費でこれを雇っていかなくてはいけないんじゃないか。たとえば、農耕関係でありますとか、あるいは畜産関係だとか、そういうふうな特殊な方をこの十人の中で雇えればいいのでございますが、雇えないというふうな問題もございまして、結局は経費をやりくりしてやらなくてはいけない。ところが、経費が足りないものですから、結局民間のボランティア活動の力にたよっているというのが現状でございます。今後、いまの先生のお話のようなアイデアは具体的にはどんどん取り入れたいとは思っておるわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 理論的にいえば、経費の問題からすれば私のいまの提案申し上げていることは、たとえば特殊学級の先生あるいは精薄児の施設の指導員に五万円の金を出しているとしますね。五万円の金を出しておれば、三人おれば十五万円ですね。それが八人の子供を見ている。一人が八人でなくて十五人の人を見るとなれば、その五万円でたとえば一万五千円の人を三人雇えるということですね。そういうふうにしたほうが、より効果のあがる教育ができるのではないかということを私申し上げておるのです。同じ高度の、八人の人を見る人がずうっと並んでいく。その高度の人が、たとえばたま拾いまでやらなければならないような、からだでもっての教育なんですから、そういう教育の対象から見て、扱う子供の数を多くして、その多くした分だけ先生は少のうなるわけです。その先生の少のうなる費用でもって補助者を二人ないし三人雇えるというかっこうになるわけですね、現在のままでもですよ。  そういうふうなことは単にお金のことじゃないのです。私の申し上げておるのは、この精神薄弱児の教育というのは、普通の子供と違うわけですから、非常に熱意のある人でなければだめですね。ほんとに愛情のある人でなければだめですね。愛情のある、熱意のある人のエネルギーなり気持ちを、そういう精薄児の教育の体系の中に何とかして組み入れられないかということなんですね。そのいまの三人の補助者という人は、そういう非常に熱意を持って何とか子供に尽くしてあげたい、自分の子供であれば、自分の命にかえても何とかしてあげたいという気持ちを持っておられる人がたくさんおられるわけですね。そういうふうな熱意なり愛情を持った人を、いまの精薄の教育の体系の中に、合理的に組み入れることができないかということを頭に描きながらいまの提案を申し上げておるのです。なんぼ能力がある、知恵のある、学問のできる先生でも、熱意がなければ、こういう人がおってもこれは意味ないのですよ。また熱意があるにしましても、いま申し上げたように、正しいことをしゃべってそれを理解する相手じゃないのです。手を取り、からだでもって教えなければならぬ教育なんです。したがって、そういうふうな教育を扱う場合には、そういうりっぱな先生が一人でたくさんの人をよく見ておるという立場におって、そしてその先生の手足になって愛情を持って子供を見ていくという助手がたくさんできる、こういうふうな問題を考えなければならない。これを私申し上げるのは、最初申し上げたように、施設をどんどんふやしていこうとおっしゃる、またそれはやってもらいたいけれども、こんなに施設はございますという申しわけだけのものであればこれは意味がなくなる。そういうことですから、つまり先生の不足を補うためにも、そういうふうな一つの愛情を持って臨んでもらいたいということを申し上げておるわけなんです。  その提案と、もう一つお考えいただきたいのは、精神薄弱の子供さんを持っておる家庭が非常にたくさんあるんですね。この厚生省の調べによりましても、精薄の総数は四十八万なんぼおる。この最近の調べによって、施設に収容を要する人は十六万七千人おるという。そのうちでおとなは十万人で子供が六万七千人もおる。こういう十六万七千人というたくさんの人を施設に収容しなければならない。そういう子供なりを持っておる方々は、いろいろ違いはありましょうけれども、非常な熱意を持っておる人が多いわけですね。こういう人たちのおかあさん方の中から、先ほどから申し上げておる教育者の助手になる、補助者になる、そういう人の充当というチャンネルは考えられないかということなんですね。こういうようなことをするためには、たとえば精薄児を持っておる親御さん、おかあさんの会を、厚生省がいろいろあっせんをして、全国的につくり上げることも必要でしょう。そういう人たちの中から、できるだけ教育のある、資格のある人を選んで、そういう助手に採用をする、こういう人はいまでも全く無償でやっているんですから。それで、特殊学級へ行く私の知っている人は、朝六時半に起きて、おやじさんを送り出したりいろいろやって、そしてもう七時には出て、八時には学校へ行っているんですよね。そして四時には子供と一緒に帰ってくる。そして家庭でもってまたいろいろ仕事をして、十一時ごろまで見てやっている。子供と一緒に学校へ行ってやっているおかあさんがたくさんいるんですよ。施設でもそういう人はおると思います。こういうふうな人の中から、しかるべき人を助手として使えるような教育体系が、どうしてとれぬだろうかということを思うわけなんです。厚生大臣、ひとつこの問題についての御所見をお伺いしたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの助手の問題は、きわめて適切な御意見と拝聴いたしまするが、保護者の中から助手を選定して、それを施設の職員にするということは、現在やっている場所もありますが、いろいろ問題がありまするので、御意見を主にして検討したいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田分科員 私は、いまのそういう直接関係者を先生にするということは、特殊学級の場合でも、施設の場合でも、いろいろ問題があることはよくわかっております。わかっておりますけれども、この精薄児の場合は、子供を持っておる親御さんたちは、他の問題と違って非常に連帯感を持っております。自分の子供はむろんかわいいけれども、他の子供も同じようにかわいいという連帯感を持っておるのです、社会から特殊扱いされるわけですから。そういう連帯感が非常に深いということを考えられて、連帯感の深い人の中から、あの人に頼めばという人がおるから、選ぶ方法があると思う。そういう方法があると思うかう、ひとつ普通の学校教育と一緒に見ないで、形だけを見ないで、教育の内容も相手も違うのですから、それに合ったように教育の体系をぜひとも考えていただきたい。特に心身障害児を持っておるおかあさんの熱烈なるエネルギーをこの教育の中に入れ込むような方法を講じてもらいたい、こういうことによりまして、必要な要員も得られると私は思うのです。いままでこういう資格がなければというような資格をもってすれば、先生だってなかなか得られませんよ。そういう先生だって、おれはしようがないから二年ぐらいやるけれども、あとかわって普通の先生になりたい。それはそうでしょう。先生の生きがいというのは、自分が教えた子供が、こういうりっぱな人間になってくれるというのが先生の生きがいなのは間違いない。しかも精薄の人を、そういうふうな見方ではなかなか見られない。違った愛情が必要なんです。こういうふうな人を、普通の先生と同じレベルの人を先生にする、しかも厳重にそれを保っていく、こういうところはぜひ法律を改正してもこの問題を何とか解決していただきたい。こういうことがつまり精薄問題に示されておる社会保障体系の、形だけでなくて、中身をまともなものにする一つの方法だと思うのです。そういうふうなことでぜひともひとつお願いをしたいと思うのです。これは多かれ少なかれ精薄の問題だけではなくて、肢体不自由児の問題にも、あるいは身体障害者のいろいろな問題にもつながっていく問題だと思うのです。こういう点を形式的に見ないで、中身に合うように、教育の問題でも、これは教育者としてはこういう資格がきまっているんだから、しようがないのだというふうに考えないでひとつこういう問題を考えていただきたい。どうせ資格があるとかないとかいっても二年間三年間行くか行かないかの違いなんです。内容的に見てたいした違いはないんです。ぜひともこの問題をお考えいただきたいと思うのです。  こういうような形で、ただいま申し上げたように、現在日本の社会保障制度のほとんど全部の問題が当面していると思われるのは、形は一応ついてきておるけれども、中身がなっていない。現在のままの中身であれば、この中身のままで拡大すればかえって害になるというような問題が非常に多いと思うのです。そういうふうなことですから、形式だけでなくて内容の問題をぜひともお考えいただくと同時に、特にこの精薄の教育につきましては、この問題について格段の御配慮をいただきたい、このことをお願い申し上げたいと思うのです。どうもありがとうございました。

登坂重次郎自由民主党

○登坂主査代理 工藤良平君。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 私も、ただいまの質問と関連をいたしますが、特に重症心身障害児並びに国立療養所の統合問題等についてお聞きをしたいと思います。  先ほどから厚生大臣の決意につきましては、私お伺いいたしたわけでありますが、特にたった一人の不幸な人がいても、やはりそれをみんなの力で救ってやるということがほんとうの厚生行政であるし、政治の姿だ、こういうように考えているわけであります。したがって、これから具体的に端的にお伺いをいたしますので、率直な考え方をお聞きをしたいと思います。  まず、重症心身障害児の問題につきましては非常に深刻でございまして、たとえば私どもの大分県のようなところでは重症心身障害児を収容する施設がございませんので、一年間にわずかに五、六名の人が、長崎の施設に、しかもそれが何年がかりかでやっと入れるというようなことで、非常に深刻でございます。そういった意味から、私は施設をつくっていただくということも非常に大切であろうと思いますが、それと同時に、いま潜在的におる者の把握を一体どうするのか。この点について先ほど福岡委員の質問によりまして、ある程度数字の発表がなされたようでありますが、それでほとんど把握されておられるのかどうか、その点をまずお聞きをしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 先ほどの御質問に対する答弁の中で、一万六千五百名の重症心身障害児者が把握できた、こういうふうに申し上げたわけであります。実はその調査を行なったときに、各都道府県の児童相談所でございますとか、あるいは福祉事務所でございますとか、そういう専門の方々の手をわずらわしたわけでございます。したがいまして、国全体としては一万六千五百名でございますが、たとえば東京あるいは大分とか、こういうふうな県によりましては県ごとに、児童相談所なり福祉事務所におきまして、接触はいたしてございます。したがいまして、県の担当の部局等におきましては、実態を把握しておるものと私どもは考えております。なお、把握しないでも把握する努力をするようにはお願いをしておりますし、またそういった子供さんを持っておる家にも、児童相談所の職員をして訪問指導などさせております。そういった予算も組んでおりますので、把握率は相当確実であろう、かように考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 私が知っておる範囲内におきましも、潜在的に、まだ家族の人たちが、世間をはばかってなかなかそれを言わないという人があるわけであります。したがって、私は先般も中央児童相談所の職員の方々ともいろいろと意見交換をしたわけでありますけれども、みんなの合いことばとしては、草の根を分けてもさがし出せという合いことばのもとに進められておるわけであります。しかし残念ながら、その具体的な行政的な指導の面になりますと、非常に手ぬかりではないだろうか。特に重症心身障害児の発見については、早期発見ということが一番大切ではないか、こういうように考えるわけでありますが、特に私どもの場合も、三歳児の一斉健診をやりたい、こういうことを言っておるわけでありますが、なかなか予算的な措置が伴わなくてできないという実態があるようであります。この点について本年度の予算においてどのような配慮がなされておるか、特にお伺いをしたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 児童相談所におきましても、ほんとうに草の根を分けてもさがせ、こういうような指導も私いたしておるわけであります。把握のしかたといたしましては、児童相談所の職員なり、福祉事務所の職員をやりますが、同時にいまお説のとおり、三歳児の健診というものを、保健所を中心として全国一斉にやっております。現在のところ三歳児の健診のいわゆる受診率というのがそう多くございません。約六〇%をこえる程度でございます。したがいまして、こういった受診率を上げるというふうなことは、三歳児の健診によりましてこの重症心身障害児をさがし出すということも一つの大きな武器だと思います。来年度予算におきましては、特に三歳児健診の中で、従来は身体的の機能あるいは症状を把握しておったのでございますが、来年度からはさらに心理判定員を三歳児健診の場所に立ち会わせまして、知能の遅滞等を中心にこの心理判定によってやらせるということで予算化をいたす予定にしているわけでございますので、こういったいろいろな方法を通じまして重症心身障害児の把握には万全を期したい、かように考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 それは一件当たり幾らくらいの積算になっておりますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 三歳児健診の健診料は、一人当たり従来は七十四円であったのでございますが、それを九十八円に増額するわけでございます。この一人当たり増額分が、心理判定員をお願いいたしまして心理判定、精神発達の異常を検査するように相なるわけでございます。したがいまして、三歳児健診の額も全体といたしまして国の補助額が五千五百十二万九千円、かように相なっております。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 先ほどのお話によりますと、大体三歳児のうちの六割程度を健診をなさっているということでございますが、したがって、まだ四割は残っているということになりますね。しかも全体的な予算が五千何百万ということでありますから、一億の約半分程度でございます。そういうことではたして全三歳児の健診をやるという熱意があるのかどうか、私は疑わざるを得ないわけです。これは各県にとりましてもそれぞれアンバランスはもちろんあろうと思いますけれども、こういうことでは、潜在的にある重症心身障害児を見つけ出すということは、ことばの上では言えても、具体的な政策としては私は納得できないわけです。この点についてはぜひひとつ厚生大臣のほうからも熱意のある回答をいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 今後御意見の方針に従って、どんどんこれは増大をして、早期診断ということについて進める所存でおります。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 さらに、それと関連をいたしまして、現在そういった不幸な子供を持つ者にとりましては、やはり児童相談所というものが一つのよりどころでございます。しかし、この児童相談所の所在さえも全然わからない、どこに相談を持っていったらいいかわからないというのが現実の問題としてあるわけでございます。私は、いろいろと児童相談所の現在の実態というものを調べてみましたけれども、たとえば国が実施をする研修の会議がある。研修の会議には出たいけれども、そっちのほうに金を使えば巡回のほうができなくなる。巡回を回っておれば研修のほうには出られないということで、どちらかを選ばなければならないということで、実際の児童相談所の運営というのは、相当窮屈なもののような実態があるわけでございます。これについても、もちろん国が指導し助成をされていられるわけでありますが、ここにも現在の国の姿勢というものが、きわめて不幸な者に冷淡な予算というものが組まれている。この点について、ひとつ考え方を明らかにしてもらいたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 第一線の機関でございますところの児童相談所の職員には、たいへんな御苦労をかけておるということは、私は認めざるを得ないのでございます。しかも、たいへん忙しいむずかしい仕事を押しつけておるということで、児童相談所の運営につきましては、従来からそのてこ入れをもっと十分にしたい、かように考えているわけでございます。  現在のところ、児童相談所は百三十六カ所でございまして、運営費といたしまして、国といたしまして三億六千二百万円ばかり補助をしておるわけでございます。この中の費用でいろいろと動いていただいておるわけでございますが、来年度におきましては一ヵ所を増設の予定でございまして、全国で百三十七ヵ所、金額も四億一千八百万円というふうに相当の増額にもなっておるわけでございます。第一線の充実は当然今後ともますますはかっていきたい、かように考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 私は通り一ぺんの回答はいただきたくないわけであります。たとえば私の県——これは県のミスもあったようでございますけれども、四十一年に国から十三万八千円ですか補助をいただいたそうでございますが、それをそのまま踏襲するということで四十一年度の予算で出したそうであります。県が、五〇%国が補助するのを八〇%に計算をして出した。ところがそれが間違っておりましたために、前年度より——四万近いお金を最終的に年度末に返納しなければならなかったということで、実質的には九万幾らの金しかもらえなかったという現実が調査をしている段階で出てきたわけであります。私は、これはただ単なる事務的なミスということで済ますのでなくて、もしもそういう誤りがあるとするならば、国のほうでこれを修正をし、補正をしてやるという姿勢がなければならない、こういうように具体的には考えるわけであります。  そういった意味から、話によりますと、かつて厚生省の社会局にあった当時においては相当予算があったけれども、児童局に移ってからは予算が半減をされたという話も聞くわけでありますが、そういう事実がありますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 いまの具体的な例につきましては、調査をいたさなければちょっとわかりかねるのでございますが、そういうことはないはずでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 私は、特に社会福祉の関係における予算的な問題については、総体的に見ましてもわずかな金額であろうと思います。伸び率からいたしますと、確かに一一四%、一二〇%というように伸びている予算の科目がありますけれども、総体的な予算そのものがこれはごくわずかなものでありますから、この点についてはぜひ最重点を置いていただいて、児童相談所に対する措置あるいは三歳児の健診に対する措置等につきましては、早急に改善の方策というものをとっていただきたい、こういうように申し上げておきたいと思います。  さらに、先ほどちょっと触れました重度心身障害児の収容施設の問題でございますが、これは先ほど私が申し上げましたように非常に深刻でございますし、ぜひこれを充実をしていただくように決意をお伺いいたしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 しばしば申し上げまするとおりに、予算が伸びてはおりまするが、いままでの基礎数字が低かったために、決して満足すべきものではなくて、第一歩を踏み出した程度でございます。  なおまた、具体的な大分県の助成金については、後刻調査をせしめて十分検討いたします。  なお、施設につきましては、第一は、偏在をしておる。第二番目には、待っている人が非常に多くて収容されてない。なおまた、人員についても、厚生省当局は相当真剣に検討はいたしておりますものの、御承知のとおりに家庭そのもので隠すという風習がいまだ残っておるし、あるいは役所で調査いたしまするものは、やはり各種の機関とか団体等の協力を得てやる調査でありますから、役所の調査というものは当然実際よりも甘くないかという反省を絶えずしなければ、他の政治その他についてもそういう御指摘を受けるおそれがあると思いますから、十分注意をして今後検計いたします。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 特別児童扶養手当の問題でございますが、これは昨年度一人当たり千七百円であったようでございますが、本年度はこれが若干伸びるようでございます。この内容についてお伺いをいたしたいということと、さらに、母子家庭の場合に、他の手当と併給できないのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 特別児童扶養手当の手当額につきましては、ただいま予算案を御審議をいただいておるわけでございますが、予算案の内容といたしましては、この十月から月二百円アップいたしまして千九百円、こういうふうなことでございますし、またたとえば所得制限の緩和でございますとか、いろいろ支給条件の改善が、さらに内容的には含まれておるわけでございます。  それから、母子家庭のいわゆる児童扶養手当でございますが、これも金額といたしましては、特別児童扶養手当と同じように二百円のアップということに十月からする予定にはしておるわけでございます。  それから併給の問題でございますけれども、私どもの関係では児童扶養手当と特別児童扶養手当は、併給できるのではないかということは前からいわれておるわけでございますが、現在のところ、やはり観念的にはこの児童扶養手当も、特別児童扶養手当も、一種の社会保障、所得保障の一環であるというふうなことで、併給はいたしておりません。ただ、いろいろと国会等におきましての御議論もございます。それからこの法律、児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当の御審議の過程におきまして、いろいろ附帯決議等もいただいております。というのは、特別児童扶養手当は、これは介護料の一種じゃないか、したがって併給してもいいじゃないか、こういうふうな御議論もございます。したがいまして、そういった点につきましてはさらに将来検討を続けていきたい、かように思うわけでございます。  なお、御承知のように、一つの母子家庭におきまして、一人が特別児童扶養手当の対象であり、一人が児童扶養手当の対象であるという場合には、その額の多い分を受けられるという仕組にはなっておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 この点については、額の引き上げの問題につきましても、あるいは十月から実施というのも、私はきわめて不満でありますし、特にこういう児童を持った家庭がどんなみじめなものであるか、こういう実態を考えてみますと、私は施設の充実していない現在においては、やはりこれは大幅に増額すべきである、しかも母子家庭等につきましては、やはり併給をしてささえてやるということが一つの道ではないだろうか、こういうように考えますので、この点についてはぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、保母の問題についてちょっとお伺いをしたいわけでございますが、現在保育所の保母の基準がございますが、三歳未満が六人に一人ですか、それから三歳以上が三十人に一人という基準があるようでございますが、この保母さんの実態から考えますと、三歳児を何とか特別の措置をとってもらわなければ、三十人という基準については非常にたいへんだという実態があるわけでございますが、この点についてひとつお伺いしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘のとおり、三歳児の子供さんは、これを世話をするのはたいへんむずかしゅうございます。手数もかかります。したがいまして厚生省におきましても、従来から中央児童福祉審議会におきまして、三歳児の保母さんの受け持ち数を減らせ、三十人の子供さんについて保母さん一人というのを、二十人に対して一人にせよ、こういうふうな勧告もいただいております。来年度の予算編成にあたりましては、こういった勧告を十分尊重いたしまして、いろいろと検討したのでございますが、来年度におきましては、保母さんの受け持ちを三十人の子供を二十五人にする、二十五対一ということでまいりたい、かようなことで現在御審議の予算の中にそれを計上さしていただいておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 もう一つは保母さんの問題で、先般大分の「みのり学園」という施設が火災にあいまして、実は六人の子供がなくなったわけでありますが、これをいろいろ調べてみましても、一応国の最低基準は満たしていたわけでございます。したがって、経営者を責めるということもできませんし、もちろん保母さんがアイロンをつけ忘れて子供たちと一緒にやすんでおったという事実があったわけでありますけれども、この保母さんを責めるということもできない。しかし、六人のとうとい命がなくなった、こういう事実があったわけでありますが、この厚生省の最低基準という、国のいわゆる良識というものが、実はこの忘れられた子供たちの命を救う前には無力であったということが証明されているわけであります。この寮の宿直は、寮母は一人おればいいという規定に、もちろん合致はしておるわけでありますけれども、人の手をかりなければ外に出ることもできない人たち、そういうものを考え合わせますと、やはりこの基準についても、何らかの形で改善をはかる必要があるのではないだろうか、こういうように実態を見て感ずるわけであります。もちろん、これは基準の改善と同時に、保母の養成、あるいは待遇改善、勤務時間、こうした非常に重要な問題がありますので、この点についてもぜひ前向きの姿勢で御検討いただきたい、こういうように思いますが、その点、御意見をお伺いしたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 「みのり学園」の事故は、まことに私どもも心から残念に思っているわけでございます。精神薄弱児の施設におきましては、精神薄弱児五人につきまして一人の保母さんということで配置しておるわけでございます。これは先ほど触れました中央児童福祉審議会の勧告にも五人に一人ということに相なっておるわけでございまして、その点につきましては一応基準に合っているわけであります。しかしながら、当時非常に強風であって、異常乾燥であったこともありましたし、また施設自体が、昭和二十六年にできました非常に老朽なものでございまして、その後ペンキで塗装などやってごまかしているというようなことで、施設自体の近代化というものが大きな要素をなしておる、かように思っているわけであります。したがいまして、そういったいろいろな点につきまして、今後私ども十分努力してまいらなければならぬと思っております。  同時にまた、保母さんにおきましても、いまお話しのように養成確保、あるいは処遇の問題、あるいは勤務条件の改善の問題、いろいろ課題がございます。こういった点一つ一つたんねんに予算化し、あるいは充実してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 この問題については、もちろん人間の良心あるいは慈善に訴えてみても、それにはおのずから限界があろう、このように私は考えるわけであります。ぜひこの点については助成なり、あるいは保母の待遇改善、あるいは勤務時間等の問題につきまして、基準に対して十分な監視と、やはり改善の方向というものを見出していただくようにお願いいたしたいと思います。  最後に、国立療養所の統合問題について、これは大臣にお伺いをいたしたいと思うわけであります。  御存じのように、国立療養所の統合問題と、それから国立療養所の会計を特別会計にして、独立採算にするという話を私ども聞くわけでありますが、いま大分では、御存じのように別府に三つの国立療養所がございまして、これを一つに統合するということが具体化しているようでありますが、この内容によりますと、従来よりも前向きの形で統合が行なわれるとか、御存じのように、大分県は恥ずかしい話でありますけれども結核日本一で、死亡率も日本一高いわけであります。何とぞ私たちは結核を少なくしていきたい。そうして在宅患者をなくして、潜在的な結核というものをなくしていこうという努力をしておるわけでありますが、そのやさきに、話によりますとベッド数を減らすというような考え方もあるようでございますけれども、その点についてお尋ねをしたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 お話しのように九州地区は日本全体で見ますと、まだ結核が非常に多い地区でございます。ある意味では、結核対策の後進地区といえる地域でございます。したがって、その地域における結核ベッドの確保ということは、まだまだきわめて重大な問題でございますので、厚生省の国立療養所といたしましても、現在国立の結核ベッドを縮小するというような考え方は毛頭ございません。しかし御承知のように、国立の医療機関というものは、国立・陸海軍病院であるとか、あるいは軍人療養所でありますとか、いろいろの前身がございまして、ある意味では全く無統制に設立されたものをそのまま引き継いだ形になりますので、別府において三つの療養所がある、市内において三つの療養所があるというような、ある意味においては非常に偏在した形になっております。したがって、そういう意味で、療養所をできるだけ合理的に整備していくためには、一カ所にまとめたほうがいい。しかも非常に至近の距離にございますので、一カ所にまとめたい。同時に、現在の石垣原は子供の結核棟を入れておりましたり、あるいは筋ジストロフィー棟を入れておりましたりして、子供のための長期療養施設としての性格を持ってきております。そういう意味で、結核病床も減らさず、また子供の長期療養施設としての性格も強化していくというような意味で特徴を持った、しかも近代的な療養所にしたい。そういう意味で三院を統合して整備することにいたした。したがって現在患者は総数で五百二名入っておりますが、私どもの整備目標は約六百床を目標にして整備することにいたしております。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 現在三院を合わせますと六百五十床あるということを私ども聞いているわけでありますが、そうしますと、六百床ということになりますと、現実には減るということになりやしませんか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 六百五十床というのはどういう計算か、私ちょっとわかりませんが、医療法では、建物の病室収容能力によりまして医療法のベッド数というものはきまっております。それで計算いたしますと六百二十床でございます。そういう意味では、国立の療養所というものは非常に広大な施設を持っておりまして、約六万床の収容能力を持っております。つまり、それが医療法のベッド数でございます。施設としての収容能力を目標にしたベッドでございます。ところが、国立医療機関は六万何千床の収容能力がありますけれども、現実の患者は四万程度、そのようにすでに非常に空床が多くなっております。別府三院の合計も、建物としては確かに六百二十床分の収容能力を持っておりますが、現実の患者は五百三名、しかも結核患者が将来ともふえるということは予想できませんで、若干ずつでございますが、減っていく。それに対して、それを結核患者だけにしますと、どんどん減って四百になり、三百になるということになりますけれども、国立の医療能力を結核だけに限定して逐次減らすということは適当でございませんので、結核の中に特徴のある子供のカリエスであるとか、子供の結核というものを特にここに集中し、さらに重症心身であるとか筋ジストロフィーというものをつけ加えまして、総合的に整備していきたいということでございますので、六百二十床を、医療法の六百二十床ということにこだわることは必ずしも適当でないと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 私どもの聞いている範囲では、まだまだ入院をしたい人が大分県にはずいぶんいるようでございます。県の調査によりましても、四千七百名という患者がいるということがいわれておりますけれども、財政的な問題、命入の数が非常に少ないという関係もございまして、やはり財政的にどうしても入れないという人たちがまだ在宅でやっているわけでありまして、そういう意味を考え合わせますと、必ずしもベッド数が余るということは言えないわけです。むしろ医療の助成をどうしてやるかということが緊急な問題だろうと思います。したがって、私は三院を合併するということは、確かにいろいろな面で合理化できると思います。したがって、そういう面は、ベッド数をふやすなり施設を充実するという立場で患者にそれを還元をしてやるということが、最もいい方法ではないか、そういうように考えますし、そういう点については前向きで、現行以上のベッド数を確保するということについては、ぜひ私は確約をしていただきたい、こういうように考えます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見の中に、特別会計にして療養所の採算が独立採算制になるのかという話がありましたが、これはございません。今年度も、四百二十億の中の二百五億、約四五%は一般会計から繰り入れてございます。なお、明年度引き続いて一般会計から入れる予定でございまして、これはあくまで経営の収支は一般会計から繰り入れるものであるという原則をもってやりたいと考えております。  それから統合の問題は、いまの特別会計の移行とは関係なしに、保健所、療養所は近代的合理化の線に従ってやるものでございますが、なおまた、ベッドがあいたということは、簡単に病床利用率から見て結核患者が減ったのだという見方はほんのうわべしか見ていないのであって、やはりいま御指摘のような負担その他の面から入れない者がおるんではないかということは、これは率直に考えながら行政を進めていかなければならぬと考えております。特に特別会計に移行しましたあと、患者の負担等がふえる、あるいはその他のために、病人は減らなくて患者が減ったということは、国立の医療行政としてはたいへんな問題でありまするから、これは事務当局にもよく命じて、その点は反省しつつ、少なくともそういう統合したことによって人員、ベッド、その他のものが縮小しないように、十分注意をしてやっていくつもりでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤分科員 時間でありますからこれで終わりたいと思いますが、ただいまの大臣の御回答、ぜひひとつ具体的に実現をしていただきたいと思います。  実はこの前、日本患者同盟の人たちが厚生省に交渉に参りましたときに、厚生省の加倉井という国立療養所の課長さんが、実は患者を追い出してでも特別会計制を実施をするのだ、あるいはまた、六カ月も入院をすれば結核患者というものはもうたくさんだ、在宅患者がしたがってふえてもやむを得ないのだ、こういうことも交渉の席上で言ったそうであります。病院は、一体何のためにあるのか。病人をよくするためにあるのでしょう。私はこういう事実を聞きまして、まことに遺憾だと思う。いまの大臣の考え方と職員の考え方というものは、まっこうから大きな開きがあるわけであります。不幸な人たちをしあわせに変えてやるという厚生大臣の考え方を、ぜひ貫いていただきたい。もしもそういう職員がいるとすれば、その職員に対しまして、私はきちんと大臣の所信というものを伝えていただきたい。まことに遺憾であります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 本日も、朝、患者同盟の方々とこの問題で意見を交換してまいりました。特別会計移行の折衝の段階においてそういうことがあったとするならば、これは単なることばではなくて、心がまえの問題で、きわめて重大な問題でありまするから、よく取り調べをいたしました上、その事実がありまするならば、大臣から深くおわび申し上げ、その当事者に向かっては、厳重訓戒をいたしまして、心がまえを変えるようにさとす次第であります。

登坂重次郎自由民主党

○登坂主査代理 午後は一時三十分から再開することといたし、この際暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十五分開議

田中正巳自由民主党

○田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 園田厚生大臣に同和問題と一般的な社会保障問題についてお伺いをいたしたいと思います。予算委員会の分科会でございまするから、予算に関係したことを重点にして申し上げたいと思います。  先日、予算委員会の一般質問で、私は同和問題について、総理大臣をはじめ、ことに園田厚生大臣の御出席をいただいているところで、御質問を申し上げたわけでございます。前から先輩の政治家でありまして、政治全般に御熱心であられます厚生大臣には、同和問題について深い理解を持っておいでになることを信じ、また期待をいたしているわけでございますが、あの際質問を申し上げた同和対策審議会の答申の完全、急速な実施の問題、それから十二分な内容のある同和対策特別措置法を本国会に間に合うような早い時期において提出をなさる問題について、総理大臣からお約束をいただいているわけでございますが、その点について、国務大臣として、また厚生省の長官として、また有力な政治家として、あらゆる意味で総理大臣より以上に御熱意を持ってこの問題を推進していただきたいと思いますが、その点について、園田厚生大臣の前向きな御熱意と御決意を承らしていただけば非常にしあわせだと思うわけであります。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 同和問題は、人類普遍の原理と憲法に基づく重要な問題でありまして、年々逐次進んではまいりまするものの、いまなお十分ではございません。法律案の成案を得ることについては、関係各省の一つの省として最善の努力を尽くしたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 前向きな御熱意を伺いまして、非常にうれしく存じます。ただこの問題については、推進について非常に困難な事情がございます。と申しますのは、国会議員の方々をはじめ、政治に直接、間接に関係のある方々、また厚生省の高級公務員の方々をはじめ各省のそういう方々に、理解の度合いにものすごく濃淡があるわけであります。政治全体について熱心な方であっても、たとえば青森県の方でありますと、そんなものは一体性にあるのかというようなことに、非常に頭のいい方で政治に熱意のある方でもなります。また園田厚生大臣は熊本県の選挙区でいらっしゃいますが、九州でも福岡県にはその現象、密度が集中をいたしておりますが、九州の中で熊本県はややその点が薄うございます。そういう点でいろいろと地域的に認識、熱意について差があるわけでございます。したがって、この問題を推進してこられた諸先輩も、推進してまいりました私も、いろいろな点で認識が深まって、こうやろうということになりましても、その問題がかなり時間がかかりますので、年月がたちまして、たとえば大臣がかわられる、局長がかわられる、担当官がかわられるというようなことになりますと、その地域的な原因からくる無理解のために、前の線まで戻すのにまた半年間とか一年間の努力が要るということで、非常に困る状態になります。  そういう意味で、同和対審の答申の出ました三年後、そうして同和対策特別措置法の制定の機運が与野党ともに非常に高まっております機会にかちっとしませんと、それをのがしますと、またそこまで持っていくのが一年かかる。その間、差別と貧乏が消え去ることがそれだけおそくなるということでございます。どうか閣議におかれましても、また厚生省の代表が、この問題を審議いたしております同和対策協議会に、次官が行かれるか、またほかのかわりの方が行かれるか存じませんが、行かれることがあるかと存じます。また同和問題閣僚協議会というものが制度として置かれておりますけれども、不敏にして私それが開かれた例を伺っておりません。そういうような例でございますが、あらゆる意味で国務大臣として、また厚生大臣として、また厚生大臣自体がお出かけにならないで次官以下の方が厚生省の代表としてお出かけになる会議でも、推進役を、大臣はもとより、ほかの厚生省の全員がやっていただくようにお願いをいたしたいと考えておるわけでございます。同和問題は、最初この問題が本格的に討議をされるまでは、厚生省の生活課が窓口のようなかっこうでございました。この問題を推進されたりっぱな歴史があるわけでございまして、他省の方々をリードされるつもりで御推進をいただきたいと思うわけでございます。  そういう点について申しますのと、それから、何ぶんにも最後の決着は金が要ることでございます。大蔵省のほうでは、この前の大蔵大臣の答弁にありましたように、何ぶんにも財政硬直化でございますので、ということがすぐ出てまいります。財政硬直化ということばを、同和問題に大蔵省がお出しになっていらっしゃいますならば、同和問題の同の字もまだ理解をしていないということになろうかと思います。財政硬直化ということはここ一両年の問題であって、同和問題というのは、何百年の不当なことを解決するために、明治以後——明治百年がいわれているときに、同和問題から見ますれば、百年を上回るそのような差別と国民の抑圧の歴史であったということが言えるわけであります。この百年の最後の年にその糸口を開かなければ、明治百年は民主主議をその国民に対しては猛烈にじゅうりんした歴史になるわけでありますから、どうしてもことしは解決しなければならないのであります。したがって、そういう点について、大蔵省は非常に忙しい大事な仕事をしておられるか知りませんが、非常に各省の中で理解が少ない。主計官が特にここにおいでになっておられますから、厚生大臣に申し上げるとともに、主計官には一言残らず覚えておいていただきたいと思います。大蔵大臣も、いつも言っているから財政硬直化と出たのでしょうが、何百年の問題である同和対策をとめるということは、政治家として許されるものではございません。しかも岸内閣総理大臣と私どもの質問の中で国会と政府の約束になっていることは、いま考えられておることの有効なことはどんどん予算をふやしてやっていく。ただしそれでは部分的で本格的ではない。そのような総合的な審議会ができて、その答申が出たときには、それを基礎に、それを基盤に、飛躍的に予算を増大し、法律を制定し、あらゆる政策を確立する。飛躍的にそこにやって数年の間に問題を解決するというのが政府と国会の約束、したがって政府と国会を通じて国民との約束になっているわけでございます。  ところが、どこの役所の方もずいぶん新陳代謝が激しいので、昔の約束についてはほとんど知っておられません。いきなり出た問題でこんな金が要る問題は迷惑だという考え方で、大蔵省の中で対処をされるとしたらとんでもないことでありまして、その点について、長いこと話しましたけれども、ひとつ厚生大臣が御推進いただきますのと、厚生省が要求された同和対策の予算、その問題について今度の予算要求では十九億六千九百万の要求をされました。これ自体がはなはだ少ない。私は心外にたえないわけでございますが、それを十三億四千四百万円に削減をされておるわけでございます。削減をされた厚生省も、この問題についてほんとうに腰がすわっていたとは言われませんが、それをびた一文でも削減した大蔵省は、この問題にはほんとうに本格的でない、ブレーキをかけているということになろうかと思います。少し長くなりましたが、その点についての厚生大臣のお答えをひとついただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりに、これはもともと厚生省の所管でありましたものが総理府に直ったわけでございますが、それはやはり観念ではなくて、行政の上で平等にするためには、多面的な行政にわたっておりますから、それを総括の意味で総理府に回したのであって、かかる制度を平等なものに直すということは、厚生省の本来持っておる所管であると考えて推進したいと考えております。  なおまた、予算につきましては、将来これを同和対策だけまとめて予算をつくったほうが獲得しやすいか、あるいは個々にやったほうがいいか、こういう点は検討して閣僚懇談会等では主張したいと考えておりますが、今年度の予算については、財政硬直化のおりからではありますものの、前年度に比して二〇〇%の要求をして一四〇%に伸びました。それは全体的な数字からいえば基礎数字が低いわけでございますから、決して十分であるとは考えておりません。将来御注意を十分守って折衝したいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 総体的に前向きな御答弁で非常にけっこうだと思いますが、平等ということばを厚生大臣が言われました。その問題はもちろん私が理解しているようなおつもりでお使いになったと思います。平等にしなければならないわけでございますが、不平等なことが、この九十五年間、明治政府以後、その前までいけば何百年行なわれてきているわけでございますから、それをほんとうの意味の平等に直すためには、相当特別中の特別の措置を各般でやって平等にしなければならないということになろうかと思います。厚生大臣はそのおつもりで言われたと思いますが、往々にして大蔵その他は、その平等ということばを悪用しまして、逆用して、だからこれだけはふやせないのだというようなことを言う人があるわけです。そういう意味ではなくて、特別中の特別な措置を急速に十二分にやることによって、平等をおくればせながら回復をするというお考えであったと思いますが、そのとおりかどうか、ひとつ……。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 そのとおりに解釈いたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 実はこの予算については、削減されたのは非常に遺憾でございますが、いままで考えられるあらゆるものについてどんどんふやしていくという国会と内閣との約束であります。ところが問題が複雑でありますから、結局いろいろな調査その他が要りますから、事態に比していままで予算の要求は、これはもう九牛の一毛の要求しかしていない。それをさらに削減されるということはとんでもないことであります。  大蔵省に特に注意していただきたいのですが——主計官ちょっとこっちを見てください。——特に注意していただきたいのですが、この問題は、いままでの政治的な約束の計画と本質から見ると、これをただ一円削ることもその本質を間違うということになります。たとえば武士階級にその当時二億一千万円の秩禄公債というものを発行いたしました。その貨幣価値は私の計算では、いまで換算すると五千億ぐらいの値打ちになると思う。それからそのときの公債は八分利子にしましたけれども、それは公債を持っているということではなしに、一般的に活用したとしまして計算して、三分の複利がずっとつくとすれば、御計算になるとわかりますが、四兆か五兆というすばらしい数字になる。しかも武士階級というのは、この同和地区の住民よりもはるかに人数が少ない。武士階級には、そのほかに高級公務員と下級公務員に登用して、りっぱな職場を確保した歴史があります。また帰農するについても、特別に農耕の適地をあっせんをして、農業のできるようにしました。時間がかかるから再度申しませんが、あらゆる点についてほかの階層にはそうしましたけれども、部落の大衆には、いままでの経済的な特権を取り上げて、そうして徴兵と納税の義務を負わせて、そうして農地を一つも分けない。それから、差別を撤廃するような措置をしなかったから、商売上も、労働者として成り立つ道もふさいだ歴史があるわけです。したがって、その問題の何十年のズレにあとからでも追いつくというためには、ものすごい金が要るわけです。いま金を出してもしかるべきである。武士階級との対比でいえば、十何兆の要求をしても不当ではありません。また、開発途上国が先進国に対して、毎年国民所得の一%の支出の要求をしている。それがその意味において正当であるならば、国内においてこうしたものに対して国民所得の一%を支出することも、当然といわなければならない。そうしましたときに、年間何千億というものが必要である。ところが、いまの予算は六十一億五千万円。七十七億の各省の要求を削減をして六十一億五千万円。厚生省の要求も削減をしている。直ちに何千億ということができるとは思いませんけれども、その本質をわきまえられたならば、この問題に関する限り、一文でも一円でも削減をするということは、内閣と国会の約束をじゅうりんしたものといえるわけです。  そういう点を厚生省もよく勘案をされまして、今後、来年度に飛躍的な予算を組まれる。こんなちびった予算ではない要求をされる。そしてその要求されたことについては、どんなことがあっても、びた一文も削減をさせない。大蔵省はこの問題に関する限り、要求が一兆になってからなら削減してよろしい。今年は七十七億、来年は飛躍的な百億以上のものが出るでしょうけれども、その対比を考えたときに、この問題に関する限りは、一文も削減してはならないという考え方で対処していただかなければならないと思う。その点についての厚生省の御決意、それから大蔵省の答弁は時間がないからあといいです。大蔵大臣、聞いておいてください。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 そういう心組みで折衝いたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 同和問題については、時間が非常に少ないので、残念ながらまた続けてあらゆる場で申し述べたいと思いますが、一応打ち切ります。  厚生省の今年度の予算要求の中で、ふえたものもありますけれども、あまりふえていないものもございます。さらっと見ますと、血液対策費が減っているというようなことがあります。厚生省のものはふえなきゃならないものばかりをかかえているときに、減ったというのは非常に奇異な感じがいたします。それから、たとえば非常に重要な問題であるガン対策費が、計算をしてみますと前年度に比校して約三%しかふえていない。その点については、厚生省自体が取り組みが、熱意が非常に足りなかった。それからまた、出されたものを大蔵省が削減されたということの二つに通ずると思いますが、ごく簡単に、どのくらい要求したけれどもどのくらい削減されたか、あるいは厚生省自体がこの問題については本年度はぼやっとしていてあまり要求しなかったか、一言ずつ、時間がもったいないですから、関係局の方からひとつ……。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 血液の予算の減った理由でございますが、血液の予算は、財政当局と相談をして、実は四十二年度、つまり今年度から二カ年計画で血液のいろいろな施設を整備するということが了解ができてきたわけでございます。そこで、四十二年度分の予算は、御存じのように一億二千万くらいの予算を初年度分として見たわけでございます。第二年度の四十三年度分としましては、いま御指摘のように減っているわけでございます。これは年次計画自体がすでにそういうかっこうで最初から見てきたということです。それからもう一つは、ことし一年間、予算を消化するについていろいろ各県当局と折衝しました結果、施設をつくりますと、どうしても医者、看護婦、こういうような専門職員の充足というものが当然それに応じまして必要になってくるわけでございますが、そういう専門職員の充足というものが、若干各地方自治体の財政状況等もありまして、私どもの計画どおりいかなかった。したがいまして、結論的に申しますと、二カ年計画という当初の年次計画を三カ年計画にずらしていった。したがいまして、御指摘のように血液の予算が減った。もちろんこれは四十四年度まで続くかっこうになっているわけでございます。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 ガン対策の経費につきましては若干の増でございます。要求が幾らであったかという点はいま承知しておりませんが、数十%以上の増額を要求したはずでございます。その中で、診療施設に対する整備は、前年度に比べまして約九千万円の増。それから研究助成費が約二千万円の増。それから技術者の養成、訓練に対する費用は、前年度より減、ガンの集団検診に関する車の整備の費用が若干減少しております。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 厚生大臣に伺います。問題は詰めて、社会労働委員会に私、席がありますから、また伺いたいと思いますから、それ以上深入りする時間がないのは残念に思いますが、省略をいたします。  お聞きいただいているように、ガン対策費が前年度よりも三%しかいろんな施設も研究費も含めて、平均してふえていない。血液の対策費が減っているという状態。ガン対策費が必要なことは、厚生大臣、十二分に御承知のとおりだろうと思います。私もほんとうに必要なことだと思います。時間がありませんので、その例をあげて申し上げることは省略をさせていただくのを非常に残念に思いますが、これはとにかく施設の面でも、研究費の面でも、あらゆる面で国家資金を投入して、それで現在の患者が早く発見されて、早く処置を受けて命を全うする。それからどんどん研究が進んで、どんどん早くなおるようにする。予後もできるようにする。あらゆる点について金が必要なわけであります。その点は、多くの人たちの命を全うすることになり、またその間における精神的な、また経済的なあらゆる苦しみを軽減することになりまして、これほど大切なものはほかには少ないのではないか。それが厚生省の予算全体の伸び率よりもはるかに少ない。実額自体もそう膨大でないのに少ないという点は、ほんとうに適切でないと思う。  血液のほうにしても、ことしの一月に、同じ型の保存血液が足りなくて手術ができないというようなことが、東京都でございました。そういうようなときに、そんなものを二カ年計画を三カ年計画にして、人員が充足できないというようなことでほうっておけるものではありません。車にしたって、設備にしたって、人員充足のことについても、厚生省があらゆる点について推進することです。拡大が少ないことは、これは許されないことであります。これが一時的に前よりも実額が減ってくるということは、とんでもないことだと思います。そういうことで、これは非常に大蔵省に責任があると思います。  ところで主計官、こちらを見なさい。大蔵省は数年前からけしからぬ予算編成のやり方をやっている。というのは、たとえば数年前は三割、五割の時代もあったけれども、三割の時代がだいぶ長い時代がありました。いまは二割五分になったけれども、予算要求を各省の前年度予算の何%増にとどめてもらいたいというようなことを、ぬけぬけと大蔵省はいつも言うわけであります。それを閣議で決定されて、各省は各省のワクの中で要求額を整理しなければならないということになってくる。これは確かにけしからぬ問題であろうと思う。国政のアクセントが要るわけであります。厚生省のように、医療保険について一生懸命やらなければならない、生活保護について一生懸命やらなければならない、年金について一生懸命にやらなければならない、公害対策について一生懸命にやらなければならない、部落対策について一生懸命にやらなければならない、ガン対策について一生懸命にやらなければならない、全部ほんとうに国民の大切なことに密着をしていて、やらなければならない問題をかかえておられるところに、前年度の予算の何%増しというワクをはめることは、国政の一番大事なことのアクセントをそこで消すことになる。各省が必要と思われる予算要求を全部制限なしに出す。それを各省と協議のもとに、主計局が事務的に一番骨が折れるかと思うけれども、その中で国政全体のアクセントの一番大切な支出に対して予算編成をやるのがあたりまえなのに、それが事務的にめんどうだということで、その要請で制約されて、その中での予算編成で取捨選択をしようという、このような大蔵省主計局の怠慢な態度のもとに、国政の大切なアクセントがくずれるという問題がある。それが五割から三割、去年は二割五分、そういうようなやり方に対して、国民の大切な生活と権利を預かっておる厚生省としては、断じてこれに抵抗されなければならないと思う。厚生大臣は、予算編成期のあとに御就住になって残念でございますが、このような大切な国政のアクセントを消すやり方について、今度閣議でそういうことが出ましたときには、ただの一人になっても、横になっても、さかさまになっても、そうはさせぬというような決心で、ほかの閣僚を説得して、総理大臣がそれに理解を示さなかったならば、自分の地位と引きかえるつもりで総理大臣にそれを直させる、そういう決意を持たれないと、厚生行政全体がとまることになると思いますが、それについての厚生大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 しばしば申し上げまするとおりに、厚生行政というものは、いままでの慈善事業であるとか、あるいは古い時代の治安対策の一部として、民生安定のための一手段であるという時代とは変わりまして、憲法二十五条に規定してある国民の権利を国家が守る義務があるのでありまするから、社会保障、福祉事業等の予算は、政治の最重点である重要な施策の一環であり、その中心であるということで、絶えず推進し、これを具体的に実行してまいるという決意でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 いま、やや抽象的に言われましたけれども、私の申し上げたことについての厚生大臣の答弁を願います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いま言われましたその精神のもとに、予算折衝その他全般について、そういう方針で進みますという決意の披瀝でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 問題の取り上げ方がちょっと順序を逆にしてしまった形がありますが、生活保護の問題について伺ってみたいと思います。  それは先ほどの問題と関連があるわけですが、生活保護費というのは、厚生省の要求する予算の中で、実額的に見て非常に大きな部分を占めております。したがって大蔵省が削減をねらう的になるわけです。大蔵省がここでこういうことを聞いておられて、今度、それでは生活保護費の率をちょっと削減するとずいぶん金が浮いてくる、それでガン対策や血液対策の予算をたくさんつけて、それでごまかしてやろうというようなことを大蔵省はお考えにならないと思うけれども——そんなことを考えたらとんでもないことになる。生活保護というのは、日本の社会保障の最低の基盤であって、断じて前進をしなければならない問題だと思う。憲法二十五条を受けている社会保障は生活保護法であります。それは生活保護法にも明らかに出ているわけです。生活保護法と憲法の条章では、国民に健康で文化的な最低生活を保障することに法律上明記をされているわけであります。ところが、この生活保護の実態の内容は、健康な生活を保障するには足りません。文化的な内容にも足りません。したがって、いまの生活保護費の引き上げ率、いまの生活保護費支出の額は憲法違反である、あるいは生活保護法違反であるということを申し上げても過言でない内容だと私は考えております。  そこで、生活保護費の内容についてひとつ伺いたいのですが、本年度の予算要求の中で、生活保護費の中の食費で、四級地の七十歳以上の女子の食費は、いま一月当たり幾らになるか。突然申し上げましたので、その点局長に失礼だと思いますが、おわかりだったら教えていただきたいと思うし、おわかりでなかったらあとでけっこうです。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 性別、年齢別のは持ってまいりませんでしたが、四級地では、いわゆる標準四人世帯の一人分は一日九十九円九十三銭で、百円がちょっと切れます。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 さすが局長です。こんなこまかいことをいきなり申し上げましたけれども、数字を出していただいて、よく推進をしておられることがわかりました。その点敬意を表します。  一日に九十円ですね。九十円ということは、人間は一日三食食べますから、一食にすると三十円ということになる。ところが、数年前に埼玉県で、犬を預かって預かり料をよこさないということで裁判になったものの判決では、払わぬやつはけしからぬ、犬の預かり料の食費として一食分五十円の割りで計算して払えという判決が下った。そういうことで、犬の一食分は五十円が至当であるということが裁判で認められているわけです。そういうことでございます。ところが、健康で文化的である日本国民の生活のあれが、等級と性別と年齢で違います。一級地の男子にして最も働き盛りの者になれば五十円をこす部分もございますが、少なくともいま言った例で一食三十円というものがあるわけです。そうすると、こういう食費では、飢え死にするわけではございませんけれども、その人が八十まで存命できるという体質を持っておるのに七十で命が終わることになる、七十まで生きれるのは六十四、五で生命が終わりになる、こういうことになるわけであります。したがって、健康的なではなくて、自分の命を縮めておる基準になる。こういう基準でございますから、大蔵省の実にけしからぬ生活保護費に対する査定の態度に対して、厚生大臣が今度非常に奮闘せられまして、猛烈に努力をして奮戦されたことは私どもも知っておりますけれども、まだそれでも足りないということをしみじみ感ずるわけであります。  いま申し上げたことについて、ことしの生活保護費の引き上げ率が例年よりも減っているということについて、厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 生活保護の基準はその国の社会保障制度の基準を示すものでありまして、これが西欧諸国に比して著しくおくれておる。したがって、審議会からもこれに対する勧告を受けておりまして、年々その格差を圧縮する方向でやってまいりたいと思います。本年度は、経済企画庁の見通しの国民消費生活水準の一四%に劣らないものであれば格差を縮めていけるものと考えておったのでありますが、しかし、現実には一三%になったわけであります。この点からいうと遺憾ではございますが、昨年の民間賃金の伸び率は、一月から六月までの実績によると八・六%、明年度の雇用者の一人当たりの賃金増加率は、経済企画庁の見通しで計算しますと約一〇%、それから国民の消費生活の伸びは、人口増から計算しますと一・九%ということになっておりますので、一三%で満足だとは思いませんけれども、財政硬直化のおりから、財政当局も配慮して、こういう点を補うために教育手当、住宅手当も幾ぶんか上げたし、なお、これを実施する面についてはそれでも不十分でありますから、いままで事故あるいは天災等による保険料とか補償料というものを差し引いてやっておりましたから、そういうことはしないように、四月一日から実施するようにただいま検討しております。しかし、御指摘のとおりに、これはどういう面からいってもさらに引き上げるべきでありますから、さらに十分注意してまいりたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 いまの御答弁は御答弁として伺っておきますけれども、非常に不十分であります。財政硬直化とかなんとかいうことをこういう問題で言わせるのはいけないので、これは憲法で規定された国民の健康で文化的な最低生活をする社会的な権利の根本的な基盤であります。そういうものは、政府のやり方で財政が硬直化したとかなんとかいう問題でゆるがされてはならないものであります。ほかの資本活動について政府が考えているようなこと、これは財政が苦しかったらやめたらいい。あるいは租税特別措置法をやめて、もっと歳入をはかって、硬直化をその点で解けばいい。これはもう絶対に国民の権利ですから、こういうもので支配されてはならない。  しかも、社会保障制度審議会から昭和三十七年に出ました勧告では、昭和三十六年の西欧諸外国のベースに対して昭和四十五年までに到達をする、そのために少なくとも生活保護基準は実質三倍にしなければならない、少なくともこれは最低のものであるということになっております。いままで生活保護費はどんどん上がっているように宣伝をしておられるようですが、物価との点から言うと、名目的に二・五六倍になっただけで、実質的には一・七九倍にしかなっていない。この十年間の計画の八年を経過して一・七九倍、これは最低実現をしなければならないということで社会保障制度審議会が勧告をしておる問題に大きく違反をしているわけであります。それを、ことしの財政硬直化というようなことで、こんなことでブレーキをかけられる筋のものではございません。断じて厚生大臣は、大蔵大臣と取っ組み合いをするような勢いで、国民のほんとうの権利の問題、その問題については財政上の削減は許さぬ、それをできないというならば、大資本に対して租税特別措置を全廃しても、経済的に一時困るといっても、そっちのほうはもうけが少なくなる問題だ、こっちは国民の基本的権利の問題である、そちらで処理するということでやっていただきたいと思います。  実は年金のことを質問したいと思いましたが、これは社会労働委員会に残念ながら譲ります、時間がありませんので。  いまのガン対策や血液対策は一つの例であります。厚生省全体が国民の命や健康や生活のためにやらなければならない問題が多い。それを、厚生省の中でお互いに牽制して整理させるような、そういう大蔵省のやり方で厚生省が縛られることは断じて取り払っていただきたい。大蔵省に対しては断固たる態度で、厚生大臣以下全員が、それがきかなかったら辞表をたたきつけるというような勢いで、あらゆる問題について要求を十二分にし、それを一文も削減をさせないで獲得をするよう態度で予算についてはやっていただきたいと思います。それについての前向きな明確な決意を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘の点は私も十分そのつもりでやってまいりましたが、なお不十分でありますから、十分留意してやります。

田中正巳自由民主党

○田中主査 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 厚生大臣にお伺いしたいと思いますが、先日の堀委員の質問に対して大臣はまことに明快な御答弁がございました。一番気に入った答弁でございまして、それは、血液は人間の身体の一部であるから売買の対象にならないものであり、してはならない、こういうように決意を表明されたのであります。私は全くそのとおりだと思います。大臣は、やはり血液は人間の身体の一部であるから売買の対象にしないという方針を持って今後の血液行政に対処する決意だ、このように思いますが、その件についてお伺いしておきたいと思います。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 血液を売買することは断じていけません。やはり身体の、生命の一部である、このように考えて今後厳重にやってまいりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 やはり現在でも献血運動が行なわれておりますし、それが労働組合等によりましても、いまもう全国的な組織の上に立って全国的に行なわれておる現状であります。したがって、そのいわゆる献血によるところのいろいろな血液の今後の利用状況、活用状況、こういうようなものにつきましては、十分われわれとしては配慮していただかなければならないし、すべきであると思います。  現在、二百cc千六百五十円、これだけ払わなければならないように承っておりまするけれども、これでは献血も売血も全部一緒の計算じゃないかと思いますが、献血に対してはやはり何か措置すべきである。もしいままで報酬としてか、その対価として少なくとも五百円くらいが支払われておったとするならば、この点等はやはり今後の運営上考慮すべきである、こういうふうに思いますが、大臣いかがでございますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 血液の代金の問題でございまするが、いまお述べになりましたように、現行の血液代金は千六百五十円ということで医療機関に売買されているわけでございますが、この血液代金の取り扱いについては、御案内のように各方面からいろいろ御意見がございます。その中に五百円の血液代金の相当額も入っておりますので、私どもといたしましては、できるだけ早い機会にその千六百五十円という現行単価を合理的なものにするという方針で目下作業を始めておりまして、近々に大臣の裁断を仰いで実施をしたい、こういうところまできておることを申し添えておきます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 先ほど大臣の決意の一端を承りましたが、やはりそれは具体的に今後行政の面にも及ぼしてもらいたいと思います。たとえば救急病院が指定されておるわけでございまするけれども、この救急病院でさえも日赤の血は使わない。やはりこの血は商業血液銀行のものを使っているところがあるということを聞いております。こういう事実があるでしょうか。もしあるとしたら、今後の行政指導としてどのようになさる決意でありますか、お伺いしたいと思います。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 現在のわが国の血液は、売血といわれる商業銀行の従来の血液はすでにほとんどなくなりまして、現在日赤及び都道府県を中心とする献血というものが、全体の七五、六%ぐらいまできております。残りはいわゆる預血というふうに世間でいわれている血液があるわけであります。確かにいま御指摘のように、医療機関の一部において献血の血液を使わないで預血の血液を使っているというようなところも若干ありますので、この点については、献血というものを閣議決定に基づきまして今後推進するという方策をとっているたてまえからいたしましても、私どもは献血一〇〇%という目標をできるだけ早い機会に達成するという考え方をとっておりますので、こういう考え方から申し上げましても、官公立病院等が献血の血液を使用しないというようなことのないようにということで、先般来から、文部省及び厚生省の医務局あたりと、この問題についてはできるだけ早い機会に献血の血液を使用してもらえるようにということで、いまその方策を協議中でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 その協議の結果、やはり大臣がいま申しましたような、血は肉体の一部である、この考えに立って、今後献血を中心にして、少なくとも国立の病院の中でもまだ使っていない向きがあるかのように聞いておりますが、行政指導によってこれは全きを期しておいてもらいたい、こういうように思うわけでございます。私のこの献血に対しての質問に対する答弁は、私は満足するものであります。しかし今後はやはり行政措置にかかわりますから、最後に大臣の御意見も承って、次に移りたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 献血につきましては、労働組合が最初やられて全国的な組織になり、文部省等にも依頼をいたしてやっておりまするが、御指摘のとおりに大事な問題でございますから、将来献血によって全部補うようにやりたいと考えております。  なおまた、御指摘じゃございませんが、学生の献血運動等で、実際の場所において、何かこの献血の血か、あるいは売られた血かはっきりしておらないので、患者のほうでは困るという問題、あるいは価格の問題、あるいは何か——はっきりあとで調査をしたいと思いますが、献血の場合に何か特殊な人が入ってきていろいろな問題があるというようなことを聞いておりまして、献血運動等を阻害するようでございますから、その点も十分取り締まって、献血運動が全国的な運動になっていくように、行政上、財政上いろいろな措置を講じていく覚悟でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 次に児童手当の問題についてお伺いいたしたいと思います。  総括質問の中で大臣の児童手当に対しましての決意は伺っております。そして各省間の意見がまだ統一された段階ではもちろんございません。そしてまた強力な今後の指導が必要である段階であることも十分知っております。しかし、四十三年度といったこの言明、当時その言明あったなし、こういうような議論よりも、たとえば四十四年度からとしても、一年おくれてしまった事実だけは見のがせないことであります。そこで今後その残る一年に全力を傾注すべきである、こういうふうに思うわけです。  児童手当懇談会、これはいつごろ結論が出る見込みでございましょうか。構想を承りたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 児童手当懇談会は昨年十一月二十八日に最初の会を開きまして、以後五回にわたって会議を行なっております。なお、今月の末にもう一回開くというような形になっておるわけでございます。私どもとしましては、できるだけ早く児童手当懇談会にお考えをまとめていただきたい、こういうことをお願い申しておるわけでございますけれども、当初懇談会が発足するにあたりまして、四十三年度の半ばごろまでにはお考えをいただきたい、こういうようなお願いを申し上げておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 四十三年度の半ばは六月ですか。八月になりますか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 大体夏ごろまでにというふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そうすると、夏は六月から八月まであって六月、こういうふうに私どもは結論の日を理解しておいて次に進みたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 懇談会の結論につきましては、懇談会の先生方の御意見によらなければならないと思いますけれども、私どもとしましては、先生のおっしゃいますように、できれば六月ごろにもいただけば非常に幸いだというふうに考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 児童手当懇談会での結論が出てからこの問題は当然もっと討議すべきである、こういうふうに思います。もうすでに五回、また三月末にもこれを行なう予定である、こういたしますと、ほぼその構想はおわかりのことと思います。構想について、対象、年齢、財源、支給額、こういうような点について御発表を願いたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 対象、支給年齢、財源、そういったような問題につきまして、いろいろの考え方が出ておりますけれども、懇談会としまして、それらについて総括的にやはり問題を詰めてまいらなければなりませんので、個々の問題につきまして、まだ懇談会としての意向が固まっておらない現状でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そうすると、財源についても、国が、使用者が、また関係者がということは、この構想の中に何ら述べられてございませんか。また支給額は、たとえば三千円にしたならば何千億、たとえば月二千円にするならば何千億とか、こういうようなこともすでに論議されていることだと承っての質問なんです。この構想の概略を説明してもらいたい、こういうことなんです。概略ですから決定じゃありません。その点、かみしもをぬいで御発表を願いたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 構想につきましては、先ほども申し上げましたように、まだ固まっておりません。  先生のおっしゃいますように、対象児童につきまして、一人当たり二千円を支給すれば幾らになる、そういう計算につきましては、私ども資料といたしまして提出をしております。たとえばこれは第一子から全部ということになりますと、十五歳未満、義務教育年齢未満で二千五百万人でございますから、一人当たり一千円といたしまして、三千億という金になる。二千円の場合には当然その倍の六千億、それからかりに第二子から行なうということにいたしますと、約その半分になる。こういったような金額につきまして、これをたとえば事業主で負担をしていただく、あるいは被保険者の負担をどの程度考えるか、そういったような点についていろいろ考え方があるわけでありまして、それぞれにつきましてこまかい計算等はもちろんいたしておりますけれども、いまだ懇談会としての結論を得るまでには至っておらないわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 わかりました。ただ、対象年齢としては義務教育の終了までの全児童、それから財源については国庫負担を原則とする、支給額については児童の養育に必要な最低限度の額を下回らない、こういうような常識的な、世界的な基準は大体あるのじゃないか、こう思いますが、こういう基準さえもありませんか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 現実的な制度といたしまして、この制度を発足させるのにどのような構想をとるべきかということにつきましては、いろいろの考え方がございまして、したがいまして、いまのところこういった構想であるといったようなものを申し上げる段階になっておりません。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 まだないのですか。あっても発表しないのですか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 いろいろの考え方があるということだけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 とにかく私、言っているのは、概略でいい、まだきまってないはずですから、アウトラインでもよろしい、最低の線として常識的に考えられるのはこの程度じゃなかろうか、こういうようにまず親切に聞いているのです。ましてこの試案ぐらいはいつでも出せるのです。そういうようなことも出せないというような官僚答弁では私はどうも困るのです。この程度までなら考えております、こういうようなことは言えるはずなんです。概略なんです。これも言えないのですか。大臣どうですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 児童手当のねらう方針は、いまおっしゃいましたような条件をどうやって満たしていくか、あるいは最悪の場合にはどういう条件を落としていくかということになります。そこで、懇談会の結論が八月になるか六月になるか、これはきわめて重大な問題でありまして、懇談会の結論がおくれたことによってこの問題を延引するという事態ではもうございませんので、大臣はさらに懇談会にも要請をして、早く結論を出してもらうように——率直に言ってこれは財政当局との話し合いが一番困難であると思いますから、早く結論をいただいて、その結論に基づいて財政当局と折衝を早く進めたい。そうして年金の財政検討期である四十四年度には出して責任を果たしたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 児童手当制度の創設は緊急の課題でありますから、ぜひただいまの言明のとおりに進めてもらいたいことを心からお願いをいたしまして、次の質問に入りたいと思います。  次は、私は心身障害児対策、この問題について入っていきたい、こう思っておるわけであります。  つい最近のことでございますけれども、私どもは、近所の手足の不自由な、いわば小児麻痺後遺症にかかっている人、またその人たちを親とともに訓練している場所、ここへ行ってみたのでございます。しかし、そこにいる人たちは、まさに喜喜としてはおりません。親も子も一生懸命訓練に励んでいる状態です。しかし、六週間子供と一緒にいるとまたすぐ交代しなければならない。こういうような状態で、まだまだその施設が不足じゃないか、こういうような声が強くわれわれに訴えられたわけです。それで、この同じような心身障害者の問題がたくさんございます。たくさんございまするけれども、こういうような状態で親と子供と再起を目ざして一生懸命に母子訓練に励んでいる、こういうような場所は、ほとんど数えるほどしか全国にはないそうであります。このような訓練の場所をもっともっとふやしてやるべきだと思う。そしてそのあと入学適齢期になって、もしからだがよくなったとしても十分ではございませんけれども、学校へ行く、社会復帰、これも困難だ、こう訴える母親はまことに哀れであります。  こういうような状態からいたしまして、心身障害児の更生医療、育成医療、保護施設、こういうようなものを国がもっと地方公共団体と力を合わして増設してやるべきじゃないか、こういうふうに思っているのですけれども、これは予算の関係でしょうか、厚生省の計画の不足でしょうか、大臣の御答弁を承りたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの施設の不十分というのは、今年度の予算では、財政当局は他の新規事業はなかなか許さなかったのでございますが、心身障害児の予算については新規事業を多数認めておりまして、相当伸びを来たしておりまするが、いままでの状態が非常に低い状態であったために、いまなお施設その他が非常に不十分でありまして、今年度の予算が第一歩を踏み出したという点について、これから飛躍的に伸ばしていかなければならぬ切実な問題であると考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 同じような状態で、まだ母子訓練に励めるだけ希望があるのです。しかし中には、重症心身障害者の人は、もうすでに適齢期になっても意識さえもない、寝たままである。しかし、やはり呼吸をしている。ある人は安楽死をさしたらいいんじゃないか、こういうふうに言って、それも選挙前にそういうようなことを言ったがために、世論の批判を受けた人もございます。しかしそれは別にして、こういうような人こそ終身保護ができるような施設が必要だと思うのです。そうして保護者の負担を軽減してやると同時に、専門的な治療によって機能の開発をはかってやる。こういうような日の当たらないところに住まいする人に対するあたたかい思いやりが、私は厚生行政の中の中核でなければならないと思うのです。いまのような状態に対してはどのようにお考えでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、私もこれを重点施策の中の第一にあげてやってまいったものであります。両親その他から私にも直接投書が毎日のように参っております。こういう点については早急に考えてやりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 同じ身体障害者の問題の中で、明るい一つの行き方は、各官庁や民間がやはり率先して採用してやるシステムです。身体障害者雇用法ですか、これがあるということは、せめて明るい見通しの一つだと私は思っております。しかし、これとても各官庁で一・五%、局間で一%。しかし本年は百二十万名ほどの人がおるのじゃございませんですか。前年は百十四万ですから、また交通事故が多い現在ですから、おそらくふえたとしても、百二十万名ほどの身体障害者で雇用を要する人があるんじゃないかと思われます。いままでと同じように一・五%くらい、民間では一%くらい、これでは微々たるものです。やはりその職業の開発も必要じゃないかと思います。道路公団の切符渡しやエレベーターガールや、その他身障者でもできる仕事がたくさんあるじゃありませんか。やはりこういうような点をもっとあたたかく指導して、一・五%といわずに七%くらいを採用して適職につけてやる。また民間の一%、こう言わないで、せめて二%か三%ぐらいまでつけてやる。そして職場の指定も強化してやる。こういうような配慮をすることによっても、もうすでに相当程度の雇用者が見込まれることになると思います。  私は、こういうふうな点からしても、専門の職業訓練所を増設して、この訓練によって職業の適性の範囲の拡大をはかってやったり、また現在のような身体障害者雇用促進法、これをもっと改正して身体障害者の労働権も確立してやる、いわば雇用を義務づけるような身体障害者雇用法、これは仮称でございますけれども、こういうふうな法律によって抜本的に改正をはかってやることが、今後の厚生行政としては必要なんじゃないか、こう思いますが、大臣いかがです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの雇用の問題、それから職業の補導の問題、これは所管は労働省になってはおりまするものの、しかしながら、本質的にいっては一番大事なものは私どものほうでございますから、それまでの機能回復及び職業補導を受けろ場合の指導、こういう点に十分注意をし、関係各省とも相談をして、御指摘のような方向に進んでまいりたい。特にありがたいことには、こういろ心身障害児に対して社会の目が大きく向けられてまいりまして、各方面で回復をした人々を雇ってくれるところがふえてまいっております。なおまた御承知のとおりに、ここの施設におる人々は、ある面は不自由でありますが、ある面は非常に発達をしておって、適材適所に使うと普通の人よりもさらに能力があるような点も多々ございますので、そういう点も十分注意をして真剣にこの問題と取り組んでまいりたい、このように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 それを一日も早く実現されるように願ってやまない次第です。  あわせて総合的な研究組織を確立して研究費の大幅な増額をはかってやる。そしてそれによって発生予防と適切な治療、こういうふうにして事欠かなくしてやる。それとあわして、今度は法律、行政というものを一本化することにより、予防、治療、アフターケア、教育、能力の開発、職業訓練及び生活保障、こういうふうな一貫した施策を実施させる、こういうような一つのシステムも当然考えられなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  私は、この際やはり総合的な福祉法をもう一回——労働省にわたるのもあるでしょう。他の省にまたがっているのもあるでしょう。厚生省が中心になって、公害関係の法律の主管官庁は厚生省であり、その大臣は厚生大臣である、こういう意味においても、ひとつ心身障害者の総合福祉法というものも今後考慮しておいていただきたい、またそうしなければならない、こう思うのですが、これに対する決意を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見は、全く私もそのように考えておりまして、諸般の問題でありますが、特にこの問題については、ただいま個々に形を整えてきたというかっこうのものを総合的に体系的に組み立てて、高所からこれを見てやっていかなければならぬ段階であると考えております。したがって、そういう意味でこれは行政的にも法律的にもひとつ検討をしてその方向にいきたい、こう考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 あと残す時間は二分であります。それで端的にお伺いいたします。公害関係のいままでの質疑応答は、対策特別委員会の中で行なわれてまいりました。すべて私はこれを知っております。要らないところ全部抜きます。ずばり一言で質問いたします。  イタイイタイ病やその他でまたしても発生しております水質関係、ああいうような公害が発生しておるわけでありまするけれども、公害にかかる紛争の処理及び被害の救済に関する法律案、これはいまいろいろ手続をとられて審議されておるようであります。これだけはどうしても本年中に成立させるようにはからなければならないし、はかるのがこれ厚生大臣の賢明なる、進歩的なる一つの行政手腕になる、こういうように思うわけです。これだけは何をおいてもやらなければならないと思います。総理大臣とおそらくは一騎打ちをやっても、産業優先じゃなく健康優先であるというような基本法の立場から、一日も早くこれは成立させなければならないものだと思います。大臣の努力と、これに対する決意を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 公害が重大な問題であるにかかわらず、その関係法律案については苦しい答弁を続けてまいりましたが、騒音の規制についてはすでに各省との話は終わりまして、大気汚染については折衝中ではございますけれども、近くこれも終わる見通しでございまして、この二つの問題は大体見通しがつきました。御指摘の紛争の処理と救済については、いまなお各省と論議中ではございますけれども、これもいつまでも論議するわけにはまいりませんので、通産大臣とも話をして、期限を切って、あとは問題点を公にしつつこれを問題にしていって調整をしたい、このように考えておりますが、審議会のほうにも、特にこちらの案が出ない前に並行して審議を願うことにもいたしておりますので、ぜひ紛争の処理と救済については、これは重大な問題でありますから、そのようにしたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 大臣の高通なるその御意見を今後は実施される日の早いことをこいねがいながら、大体いままでの答弁だけは満足しております。答弁だけは満足であります。これを一日も早く実施される日を期して、私はこれで質問を終わる次第です。

登坂重次郎自由民主党

○登坂主査代理 西風君。

西風勲日本社会党

○西風分科員 これから二、三の問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、いままでの厚生大臣の答弁を評して、合気道の呼吸のような答弁で、もう一つ態度よりは内容に誠実さが感じられない。全体じゃありません。部分的にですが、そういう批評もあるようですけれども、きょう私どもがこれから聞きます問題は、あなたがやる気にさえなればすぐにできる問題ですから、ぜひそういう角度でいろいろな点についてお答えをいただきたい、こう思うわけです。  まず第一の問題は、日本はいろいろ後進国援助とかいうようなことをやっておりますけれども、しかし、後進国援助もちろん必要でありますが、日本にまだ広範な後進地帯というのが残されております。過密とか過疎とかいうむずかしいような問題まで発展させなくとも、東京には山谷、大阪には、昔は釜ヶ崎といい、いまは愛隣地区というように言うわけですけれども、これらの日本の政治の結果生まれてきた非常に不十分な地域というものがあるわけであります。こういう山谷とか愛隣地区とかいうような点について、本年度厚生省としてはどういうふうな施策を具体的にやられるか。これは労働省との関連ももちろんありますけれども、厚生省としてどういうふうな考えでこれらの問題について当たられるか、まずお聞きしたい。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 お答え申し上げます。  まず愛隣地区の問題につきましては、これは先生御承知のように、約五万七千人、まあ六万人ぐらいというふうな一つの地帯があるわけであります。厚生省としましては、従来とも、隣保館をつくったり、生活館をつくったり、あるいは救護施設をつくったり、保育所をつくったり、いろいろ問題をやっておりますが、医療面がとりあえずは一番手薄である。現在、済生会の診療所がありますが、あれを本格的に直そうじゃないかということで、市と府とのほうから申し出がありまして、あそこに百ベッドの病院をつくるということになりました。これは実は主体が労働省の施設でありまして、その上の四階以上に百ベッドの病院をつくろうということになりまして、予算的にはカヵ年計画というので約四千八百九十五万円というものを計上いたしております。  それから、それ以外の問題につきましては、従来どおり生活館、それからいろいろの相談室、保育所、そういうふうな問題については府と市よく打ち合わせの上、従来以上に進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから山谷地区につきましては、これは東京都は昔から非常にいろいろな施設をつくっておりますが、それの強化であって、新規に特に何をつくるというようなものは出てきておりません。それについては目ぼしい予算というものは出ておりません。

西風勲日本社会党

○西風分科員 厚生大臣、これは山谷、愛隣地区に対する厚生行政の基本的な観点、基本的な視点は何かということを聞いておるわけです。どういう点ですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 同地区の生活環境の改善が基本的な問題であると考えております。

西風勲日本社会党

○西風分科員 それでは、本年度、厚生省として山谷、愛隣地区に対してどの程度の予算が対策としてとられているか、明らかにしていただきたいと思います。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 いま申し上げましたように、大阪の愛隣地区につきましては、医療施設の四千八百九十五万円というようなもの。それからそれ以外に、あそこにたくさんありますいろいろな収容施設、あるいは保育所、診療所というふうなものにつきましては、たとえば生活保護あるいは保育所予算というふうに大きな柱で国一本でとっておりますもののうちから厚生省が配分をするというかっこうでありますので、直接的に項目としてどのくらいになるということはちょっと申し上げにくいと思います。

西風勲日本社会党

○西風分科員 この問題について基本的な視点は何かということをお聞きしたら、厚生大臣は、生活の改善である。それはもうまさしく中心的にはそうなんですけれども、同時に為政者の側が、ああいう地区の問題についてからだを張って——からだを張ってということばが適当かどうか知りませんが、わかりやすく言いますと、からだを張って為政者がこういう問題について解決のために努力をする。むしろ中へ入って積極的な話し合いをする。それらの要求を——役所がされただけが要求ではありませんから、もっと血の通った関係というものがそこへ要るのですよ。そういう点について、いままで厚生大臣がかわられるたびに、半日か一日程度車に乗られて視察されるというようなことはあったわけですけれども、それがもっと継続的にこういう地区の問題を基本的に解決する。と言いますのは、成田あるいは佐世保その他で、政治上の問題、外交政策なんかの問題をめぐって若干の衝突がありましたけれども、こういう地区で起こる衝突というものは、もっと質の変わった、もっとわれわれとして考えなければならない問題を含んでおるわけです。現に、たとえば大阪の例で言いますと、愛隣地区では夏になると必ず衝突が、大きなものにならないでも、小さなトラブルが無数に起こるわけです。しかし小さなトラブルの火のつき方によっては大騒動が起こる。大体釜ヶ崎の労働者なんか言っております、騒動を起こさなければ厚生省や大阪府や大阪市は一銭もわれわれに銭を出さぬ、騒動は銭取り騒動だ、ということを言っておるわけですね、そこらにおるもののわかった労働者というものは。だから、大体日本の政治は全体がそうですけれども、こういう愛隣地区や山谷の問題について、もっと先手先手と愛情のあるやり方——必ずしも銭という量の問題だけではないのです。もっと質の問題が重要なのです。だから、そういう点についてどういうふうな総合的な対策をお持ちか、こういうことを聞いておるわけです。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 それは申すまでもなく、十年もあるいは十数年も前から、ことに山谷なんかにつきましても、これは第一線は東京都、それから大阪で言いますならば市と府ですが、非常に頭を痛めております。毎年夏になりますといろいろ問題が起きるというふうな問題がありますので、医療面、あるいは医療と申し上げましても、別に日雇健康保険の手帳を持っているわけでもないという人も多いしというので、済生会に預けて無料診療というようなかっこうにしたり、あるいは職業安定の問題は労働省でありますけれども、それ以外に生活相談、あるいは貯蓄奨励をやってみたり、あるいはいろいろなサークル活動みたいなかっこうに引っぱり込もうとしてみたり、地元の市のほうでも非常な苦労と企画というものをしたことを、私ども詳細知っております。そしてそれを、現在の児童福祉法、あるいは生活保護法、あるいはその他の医療保険の運用というふうなものでできる限りの運用をするということで、内容そのものはよく存じておりますし、私どもも——実は私、二回あそこをずっと見ておるのですが、関係の方々の、たとえばお医者さんの不満とかいろいろ聞いております。その一つとして芽ばえましたのが、ことしのいわゆる百ベッドの病院をあそこの中につくらなければならぬ、こういうふうな問題でございまして、決して私ども、遠い大阪であるからといって手をこまねいておるという気持ちはございませんので、御了承いただきたいと思います。

西風勲日本社会党

○西風分科員 これは大阪の場合でいえば、万国博覧会ですか、これを一つのめどとして、愛隣地区、釜ヶ崎という地区が相当大きくふくれあがることはもう明らかです。よそへ分散して宿舎をつくるとかいうふうな点があっても、結局みなそういうことに対して忌避したりなんかしますから、そういう労働者に対する差別、正しくない考え、観念というのがまだありますから、そういう点でいまよりもさらに複雑な内容になる可能性がある。これは労働省のやるべき問題がかなりあるわけですから、厚生省だけの問題ではございませんけれども、そういう点については、厚生省と労働省あるいは現地の大阪府、大阪市というようなのが十分連絡をとって、さまざまな対策がいまやられているかどうか。事件が起こりますとすぐできますけれども、あとは月に一回か二月に一回か飯を食う会合をして、あとは解散状態になっておる。大体そういうことになっておると思う。だからそういう点についても、いま起こってからやるのではなしに、さっきからたびたび繰り返して申し上げておりますが、起こらぬ先に起こさぬようにどうするのかという積極的な手を打つのが政治なんです。   〔登坂主査代理退席、田中主査着席〕 だからそういう点でどういうふうなことが考えられているか。これはさっきからたびたび言いますが、労働省との関係がありますから、あなたのほうだけじゃなく、労働省との間でどういう連絡機関がつくられて、どういう話し合いが行なわれているか明らかにしていただきたい。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 これはお話のように、実は一昨年でありますか、例の大騒動がありまして、そのときに当時、建設省が仲に入って、橋本建設大臣が、これは厚生、労働、建設、文部と集まって対策を練ろうじゃないかということで、いろいろ考えまして、市や府も入れまして、例の労働福祉センターというふうなものをつくろう、それと病院を併設しようというのが本年度の予算で実を結んだ。労働省は四十二年度でも入っております。  それから、たとえばいま万博景気でどんどん山谷のほうが減っております。そして大阪のほうが景気がいいですから、大阪のほうにどんどん流れております。それらの情勢はよく存じておりまして、労働省の職業安定局長あるいは事務担当の課長さん方というところで会合をしておりまして、それには府あるいは市の職員もときどき参加してもらう、こういう方向をとっております。

西風勲日本社会党

○西風分科員 それでは連絡会議みたいなものをやっているわけですね。引き続いていままでやっておりますか。いままでどういうことをきめておりますか。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 当面の問題は、この労働福祉センターの問題と関連した医療機関というものの整備が一番大きい問題でございます。したがって今後は、だんだん夏場に向かいますし、また手配師——これはあまり言いたくないのですが、手配師の問題、その辺の問題がありますので、なるべくトラブルが起こらぬようにする。それからもう一つは、これは直接社会局としてはまだ結論はありませんけれども、保育所あるいは託児所というふうなものをもっと増設する余地がないか。ただ、土地の問題で労働福祉センターが一年間たな上げにされております。この用地買収が非常にむずかしい。その辺をどうするかということで、厚生省部内でも労働省といろいろ話し合いをしなければならぬと考えております。

西風勲日本社会党

○西風分科員 この間もあそこの診療所にいる本田良寛氏ですか、この人が中心になってやっている社会医学研究会ですかが子供の調査をやっておるわけです。その子供の調査の結果、あなたは何かしたいことがありますかというのに対して、そんなものはない——全部じゃないですが、ないというのが多数です。あなたは将来何になりたいと思いますか、わからない、何か具体的にやりたいような要求のようなことが——ことははもっとやさしく書いてあるでしょうが、あるのかというような問いに対して、あそこで育っている子供は、ほとんど絶望的な回答をしております。そこらの子供と違うわけです。  そういう点で、単にあそこに働いている労務者の問題のみならず、あの中で生活している非常にたくさんの人々に——山谷の場合もそうですが、そういう人々に対してもっと積極的な施策をしてもらう必要がありますし、そのためには——それだけで解決するわけではございませんが、厚生大臣、従来のような大名行列的視察ならせぬほうがいいですよ。来られたほうが迷惑です。その前にいろいろ掃除をしたりする。二時間くらいはきれいになりますけれども、あとは、さらにたいへんなことになるわけです。ですから、そういう大名行列ではなしに、厚生大臣が何人か連れて単身で——これは先ほどから言いますように、まず労働省その他と関係がありますし、暴力手配師というものはどういうものかということを知るためにも、型破りの視察というものをやる御意思があるかどうか。あなたはうまく答弁されると思いますけれども……。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ことばだけでなしに、内容も誠意を持ってお答えいたします。知らないものは知らない、できないものはできない……。  いまの愛隣地区の問題につきましても、予算折衝中病院についての話を聞き、考えておっただけであり、その他の問題については、ただいま御意見を承っていろいろ考えているところであります。したがいまして、御指摘のとおりに、早い機会にそういうかっこうで何気なく拝見をして、それも視察ということでなしに、勉強のために必ず参ることをお約束いたします。

西風勲日本社会党

○西風分科員 次に、先ほど説明のあった病院の問題ですが、財政硬直化その他理由はわかりますけれども、いまあそこでは、もうほんとうにその日その日指で数えるほどの人が死んでいっているわけです。ちょっとした努力で死ななくていい人が死んでいっているわけです。またそういう環境になっているわけです。そういう点で、最初あの病院は大体三億程度で、一年くらいのできるだけ短い期間で建ててしまう。病院の規模その他ももちろん大きいほどいいわけですが、すみやかに建てるということが、ああいう病院には必要なわけです。だから、これは二年計画で五千万円ずつですか、そして大阪市、大阪府がさらにそこへつけ足すということになっておりますけれども、ああいうものは一刻も早く建てる必要があるわけです。そういう点で、財政上はそういうことになったけれども、政府に努力を願って、もっと早い時期に、二年かからずに一年間でやろうというような積極的な意思、情熱があるのかどうか。これはまさに愛情のあるやり方です。どうせ建てるのですから。しかも千億も二千億もというなら、それは配慮したり考慮したり、段階も追わなければならぬけれども、わずか一億や二億の問題ですから、そのことによって、あそこにいる数万の労働者が、われわれにもやっと何か手を差し伸べるような、まじめな足しになるようなことをしてくれたということになるのですから、そういう点で、もっと早く建てるような積極的な手だてというものをお講じになる御意思があるかどうか、お伺いしたい。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 お説のように、実は私ども一ぺんでやってしまいたいというように思ったわけです。ところが、これは先生御承知でしょうが、例のお菓子屋さんですか、その用地買収が最近やっと目鼻がつきかけて、労働福祉事業団のほうでかけられる。その着工ができますのはおそらく夏にかかるのではないか。しかも四階以上を建てるということになりますと、どうしても年度内完了は無理だというので、大阪府の民政局長さん、市の民政局長さんともよく打ち合わせまして、これはやはり二カ年度に割ってもらうよりしかたがないというかっこうになりましたが、私どもとしては一発でやりたかったという気持ちであります。

西風勲日本社会党

○西風分科員 私は園田厚生大臣をはじめとする努力は認めているわけです。しかし、その努力を実りあるものにするためには、せっかくやるのですから、さすがは園田厚生大臣のときには——合気道だけではなしに、やはりほんとうの人間のあれがこもっていたというあれにしてもらうためには、さっきからたびたび言いますように、何十億、何百億、何千億というようならやれないけれども、二億くらいの金ですから——政府にしたら一億ですよ、五千万、五千万ですからね。その程度の金ですから、いますぐプラスせいとまでは言わないにしても、一年で完成さすように、大蔵省その他を説得してもらいたい。園田さんの実力をもってして、五千万程度の金が一年先支払われるということができないはずはないと思うのですよ。これはもう世の中でそういうふうに言っていますから、そういう点で、一年間で何とかやるような、そういう手だてを講じていただけないかどうかということをお伺いしておるわけです。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 それは、労働省で四十二年度に予算をとりまして、繰り越さざるを得ないかっこうになるわけです。やっといま話がつきかかってきたので、もう一押しという状況で、始めれば、これは予算は二年計画だといっても、ただ年度がまたがるだけであって、工事は一発でやってしまうということでございますので、手をつけ出したら早い、こういう状況でございます。ただ、どうしても本年度内には労働省の分と私どもと両方が完了に至らないというので、予算技術上そういうふうに分けただけであって、実態は一ぺん勝負でやるということでございます。

西風勲日本社会党

○西風分科員 やり出したら早いじゃなくて、やること自身を早くしてもらわなければいけないのです。やり出したら早いと言ってもしようがないわけですから。しかし、まあそれでもたいへん感謝しておりますがね。  そういうものをつくり出して、やっぱりつくる限りは、多少、そこらの地域の人、医者——専門的には医者でしょうけれども、医者とかさまざまなこういう問題に関心を持っている人ですね。ただ病院をつくっただけでは、必ずそれが役に立つということにもならないわけですね。その病院のつくり方、たとえば労務者とかそういう人が入りやすいような雰囲気とか、さまざまなこまかい点がいろいろあるわけですね。そういう点について、建設をやっていく計画——すでに始めておられると思うのですけれども、その中でどういう形でそういう意見を吸収されるか、お伺いしたいと思うのです。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 これはまだ大阪市、それから府のほうから、その手順については、いま先生がおっしゃいますように、できるならば地元住民参加のいろんな希望をまとめ、あるいは運営協議会みたいなかっこうにしたらどうかという御意見がありますけれども、実はそこまでまだ府のほうから聞いておりません。ただ、率直に申しまして、非常にむずかしいと思うのは、ああいう地域の人方はいろいろ気風も変わっておりますので、看護婦さんとかお医者さんをどこから集めてくるか、おそれをなして三日目に夜逃げというようなかっこうになるんじゃないかということを、大阪府や市では非常に心配をしておるのです。ですから、それはやはり地元の人のほんとうの御協力をいただかないとなかなかむずかしいのではないか。実は金よりもそっちのほうが心配だということであります。

西風勲日本社会党

○西風分科員 そういう点は、たとえば医者の問題については、本田良寛さんをはじめとする大阪の市大の医学部のグループ、こういう人ができるだけ積極的に参加しようという意思を持っているわけですね。市大だけでいいかどうかは別としましてね。そういうふうな幾つかの社会奉仕的な意味を含めたグループもあるわけです。そういう人々の意見を聞くような、何とか審議会みたいなものばかりをつくる必要はありませんけれども、懇話会でも懇談会でもいいです。そういうものをつくって、そういう人の意思が反映し、しかもその話し合いを通じて、病院に対する協力の輪が二重、三重にできるというような、そういう過程をつくって病院が建設されなければならぬ。そういう点は、そういうふうなことができるような、さまざまな人々の協力を得られるように配慮していただきたい、こう思うのです。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 それは地元でも非常に頭を痛めていると思いますが、私どもしょっちゅう会っておりますので、その問題は、今後そういう方向で十分に研究してもらいたいというふうに相談するつもりであります。

西風勲日本社会党

○西風分科員 それじゃ、これから万国博覧会にかけて、山谷も愛隣地区も夏にああいうような事態が起こらぬようにする自信があるわけですね。それをお伺いしておきたい、厚生大臣。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 予算の審議が終わりましたら、早急に現地に参りまして、いろいろ勉強いたし、御意見等も承りまして、そのように決意をして、また病院等も早急に一年間でやるように努力しつつ、諸般の問題を勉強するつもりでおります。

西風勲日本社会党

○西風分科員 それでは、あと二つばかりやろうと思ったのですが、時間がありませんから、中心の点だけお尋ねして、あとは社会労働委員会その他、他の機関でまた質問さしていただきたいと思います。  一つは、最近、盲人の職業分野に対してさまざまな制約が加わって、いままで長い間にわたってあんま、マッサージ、指圧、はり、きゅうというような点について、まさに聖職とさえ考えて、公共に奉仕しながらみずからもそれで生計を立ててきた視力障害者の職場が、だんだん確保されにくいような状況が出ているわけです。詳しいことはまた社労委員会その他でやりますけれども、トルコぶろ、サウナというようなものができたために、あの行為によって、だんだんそういうものが侵されつつあるのです。そういう点についてどのように考えておられるかをお伺いしたいのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 このサウナ、トルコぶろ、こういうものが正式の免許を持たないでやっておるということはしばしば聞いておりますが、なかなかこの取り締まりは規制が困難で、どのようにしてやるか、あるいは思い切って関係省と連絡をとってどこか一カ所ついてみるか、このようなことも検討しております。なお、そればかりじゃなくて、同じ業者の中でも、目のあいた方が職場をどんどんふやしておるし、あるいはまた施設についても、晴眼者の治療施設の新設とか増加とか出てきておりまするから、この点は法律で規制することが許されておりますから、この点については、その実情を見ながら規制していきたい、このように考えておりますが、御意見のとおりに、職場が非常に押しつぶされている、何とかしなければならぬ、このように考えております。

西風勲日本社会党

○西風分科員 じゃもう一つ、最近、大阪をはじめとして各地で肢体不自由児、からだの不自由な子供さんを持つ親御さんが、車いすの国鉄の車内持ち込みという問題で全国的な運動を始められておられるわけですね。これはいまでも持ち込みが禁止されているわけじゃないのです。しかし、私どもが聞いたところによりますと、費用を取られるし、その上、手続が非常にめんどうなんです。一々何とか駅長とか何とか駅の何とか掛に連絡をしなければならぬというような、そういう状況になっておるのです。そういう点について、近々、これらの代表者が国鉄及び厚生大臣に陳情その他に参りますので、陳情のときにぜひ会ってもらいたいということと同時に、そういう点について国鉄と交渉するときに、厚生省としてできるだけ積極的な援助、配慮をお願いしたい、こういうふうに思うのです。その点どうですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 お約束をいたします。

西風勲日本社会党

○西風分科員 それじゃ以上で終わります。

田中正巳自由民主党

○田中主査 岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私は、人口問題の基本的な点と優生保護法について、若干の質問をいたしたいと存じます。  政府は、昨年、人口問題審議会を発足をさせて、しかもその総会の席上で委員から、政府は一体どういう基本的な立場でこの人口問題審議会にはかったのか。この質問に対しては、きわめて中立的な態度であって、政府としては特段基本的な意見というものは持っていない、自由にひとつ審議をして答申をしていただきたい、こういう態度を示したように聞いておるわけです。その審議会が回を重ねておるわけですが、伝えられるところによれば、今年十月ごろには答申がなされるのではないか、こう承っておるわけですが、この答申は一体いつごろになるのか。また、分科会が開かれておるわけですが、その中の分科会の報告、あるいはまた審議会として中間答申がそれ以前になされるのかどうか。人口問題が非常に政治的に大きな課題となっておりますので、この面について明らかにしていただきたいと思うわけです。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 昨年四月に人口問題審議会に対しまして、わが国最近の人口問題にかんがみ、人口問題上特に留意すべき事項について諮問を行なったわけでありますが、同審議会では、総会に引き続きまして、ただいま諮問特別委員会というものを設けまして、そこで審議を行なっております。先生、先ほど、本年の十月ごろというふうにおっしゃいましたが、審議会といたしましては、この問題が非常に広範多岐にわたる問題を含んでおりますので、最終的な答申につきましては、明年春ごろを予定に、そのころまでに審議をしたい、こういうような御意向のようでございます。  なお、中間答申をどうするかといったような問題につきましては、今後特別委員会の審議によりまして御検討になるということになっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私は、昨今の人口問題を勉強いたしますと、できるだけ早くこの問題は政府として総合政策を必要とする状況になってきたのではないか、こう考えておるわけです。したがって、先ほど質問のありました児童手当の創設等も来年度に考えられておるわけですが、これらも一連のこういう政策の中に位置づけることができれば、私はきわめて望ましいのではないか、こういう考え方すら実は持っているわけです。そういう意味で、来年度予算編成前に厚生省としてはある程度の中間答申といいますか、そういう報告を受ける姿勢があることが望ましいのではないか、こう考えるのですが、見解はいかがですか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 人口問題は非常に広い部面に属しておりまして、単に厚生省だけで問題を処理するというものに限らないわけでございます、私どもといたしましては、もちろん人口問題審議会の答申が出る以前におきましても、人口問題の観点から、厚生行政において特に留意すべき問題につきましては、十分検討をいたしまして対策を進めるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 厚生大臣にお伺いしますけれども、わが国の人口が昨年四月に一億をこえた。実に明治百年を迎えて、わが国の人口が三倍に達したということになるわけです。そうして、最近の特徴としては、世界に類例のない人口革命といわれた少産少死の傾向というものが、非常に特徴的にあらわれてきているわけです。したがって、私どもは、今日の日本の人口というものが幼児の死亡減少によって平均寿命は延びましたけれども、平均余命年数の面では、まだ先進諸国から見れば少ないわけで、大体三年程度の延長、こういうような統計が出されているわけです。しかし、きょう生まれた子供は、二十年後にならなければ満二十にはならないわけですから、そういう意味で、今日の人口構造というものが、長期的に老齢人口構造に変わっておる。このことは、わが国の国勢上にとってもきわめて重大な問題だと私は考えるわけです。  そこで、人口問題で類型的に分けますと、マルサス主義的な立場をとる抑制型、あるいはまた積極的消極的は別として増加型、大体先進ヨーロッパの国々はいま増加型の政策をとっている、私はこう見て差しつかえないと思うわけです。あるいはまた、このいずれにもくみしない中立型といいますか、こういうことが考えられるわけですが、厚生大臣として、この十年間も経過をして出生率のきわめて低い、しかも、将来の新しい追加労働力が昨今非常に問題になってきておるこの時期を考える場合に、人口問題に対してどういう型の方向が望ましいとお考えになっておるか、この点見解があれば承っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御質問の問題はそのとおりでございまして、十年間人口の出産率は逐次減っておりまして、その率は世界で最下位でございます。閣議でこの点を主張して、二十年先のことを考え、人口構造を考えるならば、ここで何らかの方途をとらなければならぬということを主張いたしましたが、私の趣旨は認められながらも、注意されたことは、いま国防の問題があり、愛国心の問題があるから、それについて生めよふやせよという誤解を受けてはならぬから、そういう誤解を受けないようにやれという話がありまして、閣議においてはこれは了解したところでありますが、日本におきましても、そういう誤解は受けないようにしつつ、やはり増加型の方向へ持っていかなければ、このままでは、十年、二十年後にはゆゆしき問題が起こると考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 人口問題研究所の予測では、一九八五年、昭和六十年のわが国の総人口は一億二千九百万人、こう想定をいたしておるわけです。そういたしますと、これは年率で一・八%、百四十万人の増加、こういう年率でこの人口に達する。しかし、今日の増加率は年率で一%、大体百万人の増加となっておるわけです。いま大臣が、増加型の方向でやはり政策を考えていかなければならぬというのは、まさしくこの数字がそのことを裏づけをしておると私は思うわけです。  ただ、ここで問題になるのは、いまのままであっては、予測しておる人口に到達することも困難であろうし、その後長期的にいえば、これが漸減あるいは急減する、そういうおそれが私は十二分にあると思うわけです。そういう面から考えてまいりますと、特に人口の密度、総人口という問題は、どういう角度から考えなければならないか。いわば物理的な人口密度あるいはまた経済的な人口密度、この両面があるわけですが、一応いま一億三千万程度の人口が、ほぼ現時点における予測としては、総人口としては大体妥当ではなかろうか、こういう意見が非常に多いと思うわけです。しかし、経済発展計画等から考えていく場合に、この点については、まだまだ総合的に検討を加えなければならない余地というものが非常にあると思うわけです。しかし、最近の傾向から考えて、厚生大臣としては、この人口密度に対して、総人口に対して、こういう予測というものについて、いまのお考え方というものは、そういう一応の概括的な予想に立たれて、増加型の傾向に踏み出さざるを得ない、こういう御意見ですか、いかがですか、お聞きしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 現在の環境は、子供を生むにいたしましても、社会保障あるいは福祉事業その他が、安心して子供を生めない状態にあるとか、あるいは児童手当がいまなおできていないとか、いろいろな問題がありまするが、やはり将来を考えますと、ただいま言われました一億三千万を下回ってはならぬと、私はこのように考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 最近視聴率の高い「旅路」では、雄一郎夫妻が子供が一人、良平夫妻が十一人ということで、いろいろな面で実は話題に富んでおるわけです。特に、毎日新聞社の人口問題調査会の世論調査では、これは調査の方法にもよりますが、一応五十歳以下の婦人に対して、子供は何人ほしいか、こういうアンケートを出して、三人はほしいと答えたのが四五・八%、二人と答えたのが二五・四%、その次が四人と答えたのが八・七%で、平均すると二・七人という数字に実はなるわけです。ただ現状ではどうか、現状では二人だ、こう答えたのが七一%であって、二人というのが圧倒的に多いわけです。そうして計画産児のそういう理由では、子供によく教育をしてやりたい、そういう意味で現状では二人だ、こういうように答えておるのが三七・一%、また大学にやりたいのかという面では、ぜひやりたいと答えたのが八六。四%、こういうような数字がずっと世論調査の結果出ておるわけです。この数字は、経済事情が許せば、半分の人は三人はほしい、それから特に子供を持っていない新しい人は概して二人、こういう動向がいま国民の、何人子供がほしいかという問いに対するほぼ的を射た答えではなかろうか、このように私は受けとめることができるのではないかと思うわけです。そういう意思表示と見ていいのではないか、こう思います。  そういたしますと、結局、いま人口増加率が世界最低で非常に憂慮すべき状態にあるわけですが、そういう経済的な問題が解決すれば、子供を三人ほしいという人が過半数おるのだとすれば、厚相がいわれておる児童手当、こういうものを、やはりそういう一つとして位置づけをしなければならないのではなかろうか。あるいはまた児童手当をつくるにあたって、現在の扶養控除、これは御存じのように配偶者、それ以外の子供は、第一子でも第五子でも同じ控除率になっているわけです。これを実態調査から見れば、第三子になりますと相当、家計の負担が六割程度を占めるような数字も出ておるわけですから、そういう面では、単に児童手当だけではなくして、税制の問題、扶養控除の問題、こういう面が、また積極的に検討の場合に考えられてしかるべきではないか。あるいは、児童手当が十五歳までとすれば高校まで行っている。普通民間では、家族手当は十八歳まで支給する。こういう民間の扶養手当制度も、それぞれの労使間で協定されておるが、これが一般的になっているわけです。もちろん、この手当が企業者負担という問題も当然出てまいると思いますけれども、そういう意味ではこれらの面を少なくとも十分検討して、先ほどの、単に一般厚生上の問題ではなくて、こういう点に位置づけた方向というものを来年度打ち出していく、こういう姿勢に立ってしかるべきではないか、こう思うのですが、御所見はいかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいま私が答弁いたしました問題は、全く御意見を承ってからの私の所見でございまして、いまなお政府並びに厚生省としての具体的な検討、計画に入っておらぬことは事実でございますが、御指摘のとおりに、政府として的確な方針をきめ、答申を待ってその方向をきめなければならぬ、このように考えておりますが、その推進役は厚生省でありますから、この点については、将来の大きな日本の国の方向を決定づける要素として、重大に考えたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 いずれにしても、これからの人口政策というものは、問題は労働力をどう活用していくか、人間能力というものをより高めていくためにどうする、あるいは核家族化に対しては一体どういう対策を立てるか、あるいはまた老人に対する社会保障、社会福祉の問題、あるいは老齢年金、また教育上の制度の問題も当然これに関連してくると思うわけです。あるいは普通われわれがいっている社会開発全般について、これらの問題等について当然考えられなければならぬ問題であるわけです。  先ほど厚生大臣は、閣議で発言されたと言われた。そしてまた前に早川労働大臣も、閣議でこの問題を提起しておるはずです。そういたしますと、一応人口問題、審議会は厚生省所管の形になっておりますけれども、この答申が出れば、単に厚生省というのではなくして、わが国の国勢の基本に関する問題なのですから、内閣としてこの問題を受けとめる、そういう体制を強く主張すべきではないか、このように私は考えるのですが、御所見はいかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見のとおりでありまして、これは単にわが国ばかりでなく、あるいは中共、あるいはソ連、あるいは他の国々に参りましても、人口問題については相当真剣に、しかも相当な覚悟を持っておるようでありますが、各国において、大体人口問題に対する方向の目当てをつけた時期であって、日本はややおくれておると考えますので、これは当然政府の重大な仕事であると考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 これは人口問題とも関連ないわけではございませんけれども、質的には別な問題だと思いますが、優生保護法の問題でございます。昭和二十七年にわが国は、終戦後のああいういろいろ混乱した中で、事情もございまして、一応政策の転換といいますか、そういう意味では、特にこの中で十四条の四号のいわゆる妊娠中絶、これが医師の認定でできる、こういうことに転換をいたしたわけです。その後この問題は、最近に至っては非常に各団体からもいろいろな意見が出ていることは、厚生大臣も御承知のとおりです。また、一応統計上八十三万九千六百五十一件がこの四号で登録されておりますけれども、これ以外にもいろいろ問題があるのではないか。なかなか実数はつかめないのでありますけれども、そういうことすらも普通一般にいわれているわけです。最近では「一に整形、二に堕胎、三に金冠よき時代」、こういう話がありまして、整形というのは美容のほうでございますけれども、そういうこともいわれておるぐらいでありまして、非常に関心を呼んでおるわけです。  私はこの問題は、もちろん方法はいろいろございますけれども、一つの政策の、優生保護のあり方の、また再び転換期に来ているのではないか、そういう気がするわけです。しかし、私はこれを機械的にもとに戻せ、こう言うのではなくして、実際にほしくない子供は妊娠しなければいいわけです。母体保護の面からいっても、当然そうあってほしいわけです。そういたしますと、この数字を見る場合に、一段と衛生思想というものを普及する、その指導体制というものを強化していく、特にいなか、農村において、むしろ率としては高いようでありますから、そういう統計上あらわれておる面に政策を強めていく。そうして子供がほしくなければ妊娠しなければ一番いいわけですから、ここにやはり積極的な力を注ぐと同時に、国民の合意を求むるためにまず啓発の機関を設ける、そういうふうな体制の中から、私は十四条の四号については従来の考え方を変えていく。そういう前提がないと、急激にやるとやはり問題がございますから、国民の納得と理解を受ける、そうして衛生思想も高めていく、こういう点をやはりある程度やって、転換をはかるべき時期にきているのではないか、こういう判断を持つわけですが、厚生大臣としていかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの問題で意見を出しますると、非常に反響が大きくて驚いたような事実がありますが、御指摘のとおりでございまして、国民の合意を求めつつ、ここで転換の時期に来ておると私も考えます。  なおまた、堕胎天国と日本がいわれたり、あるいはそのために母親の健康を害したり、性道徳が著しく乱れたり、こういう点もあわせまして、いまの十四条については新たな観点からこれを考えてもいいだろう、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 いずれにしても、戦後二十数年を経て今日までの、いろいろな政策の貧困もございましたでしょうし、状況も許さないという面もあるでしょうけれども、いずれにしてもやはりこれらの問題は、国民の生活水準というものがまず上がっていかなければなかなか問題が残る気がするわけです。そういう意味で、ひとつ総合的な施策の展開を望んでおきたいと思います。  最後に、一つは世界の人口というものが、いまものすごく爆発的にふえて、今世紀七十億に達するのではないか、しかも後進地域が大体七〇%を占める、アジアがその過半数、五六%を占めるというのが一応の常識的な予想であるわけです。そういたしますと、世界的な人口の増加、特にアジアにおける爆発的な人口の増加ということは、インドあたりは三倍ぐらいになるのでしょうが、これは日本として無関心でいられない問題ではないのか。この動向というものは、やはりもちろん政府としても綿密に把握しなければなりませんでしょうし、アジアの外交、また経済協力、あらゆる面で十分わが国として配慮を払わなければならないのではないか。そういう意味で、こういう面にもやはり積極的な予算をつけて、また日本としては、アジアにおいて人口問題においてはいろいろな面の経験者でもありますから、そういう面からの指導的な立場というものをいつでも用意しておく、こういう考え方が私は特に大事ではないかと思う。これはそう遠い問題ではないわけですから、そういう意味で、三十年間ぐらいに倍になるという情勢なのでありますから、そういう体制が必要なのではないかと思うのですが、こういう点について厚生大臣の見解を承っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 今日アジアの諸国の人口の急増問題は、これは各国で非常な悩みでありまして、アジアの国々から、家族計画の実施等についていろいろ相談等があるところもありますが、各国から要求があれば、その時代が来れば、日本が持っております経験資料等を提出して、指導的役割りを果たすのは当然であると思います。誤解を受けますのでうかつに出せませんが、御意見のとおりに、それに対する諸準備及び具体的構想を準備する段階であると考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 最後に、今日保健行政については、たとえばそれぞれの府県の保健所が一番地域末端の機関としてこれを扱っておるわけです。したがって、衛生思想の問題とか、こういう面を考える場合に、やはり過疎地帯、いなか、辺境地域、農村地帯、こういうところについては、衛生思想の普及について、もう一段と力を入れていいのではないか、こう実は考えるわけです。こういう点について保健行政上いろいろの問題があって、定員上いろいろの問題があるようでありますけれども、ぜひこの点はこういう立場からも、十分ひとつ僻地の保健衛生について配慮をしていただくように要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中主査 木原実君。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 大臣お疲れですけれども、引き続いてしばらくお尋ねをしたいと思います。  最初に私が問題にしたいのは、自閉症という子供のことでございます。御承知のように、たいへんそういう気の毒な子供がふえております。三歳ごろから大体七、八歳、学齢に達するころまでの間の子供たちが多い、こういうことでたいへん社会的な問題にもなっておるわけなんですが、一体そういう気の毒な子供たちについての、何か概況の調査でもおやりになったことがございますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 自閉症あるいは自閉様症状とも称されるわけでございますが、純粋の精神病の範疇に属するものもありますし、あるいは一種の精神病質というふうなことで自閉様症状というような呼び方もあるわけでございますが、自閉症の子供たちにつきまして、その実態を調査したことはございません。と申しますのは、先生御承知のように、この自閉症の子供の問題につきまして学会に報告されましたのは、いまから十数年くらい前の比較的新しい症状でございます。そういうふうな関係で全国的の調査はございませんが、たとえば、日本児童精神医学会等の学者の方々のお話を承りますと、現在のところわが国で大体三千人ないし五千人程度自閉症あるいは自閉様症状を呈する子供がいる、かような御意見はいただいております。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 学説もなかなか定まらないという状況なんですが、ただ、自閉症あるいは自閉症状を持つと称せられる子供たちがふえてきておるということは確認できることだし、一説によりますと、九万人ぐらいいるのじゃないか。これは対象にする子供のとり方の問題はいろいろありましょうけれども、しかし傾向としましては、学術の進歩あるいはまた社会形態の変化、そういう中からこういう子供たちがふえていくであろうということは推定できるわけですね。  ことしの予算の中では、何がしかの予算を厚生省のほうでもお取り上げになっておるわけなんですけれども、何か政策を立てる前提になるものを、少しきちっとする必要があるのじゃないかと思うのですが、何かお考えになっていることがございますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 ごもっともの御意見でございます。来年度におきましてこの自閉症の診断、治療、そういった面に関しまして学会の方々に特別研究をしていただこう、そういった医学的あるいは心理学的な研究の基礎に立ちまして施策を講ずべきであるというふうなことを考えておりまして、その特別研究費を計上する予定にしておるわけでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 二千八百万円の予算というのですが、そうしますと、それは基礎的な研究、診断ということですが、たとえば、施設の面は何かお考えですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 いま私が御説明しましたのは、自閉症に対しまする治療なり教育なり訓練なり、そういった行政施策を打ち出すための基礎的な調査としてそういう特別研究を行なう、こう申し上げたのでございます。もちろんその研究にまつわけでございますが、しかしながら、研究をまっても、こういった子供たちの処遇は早急に取り上げなければいけない、こういう観点に立ちまして、来年度の予算の中で東西二カ所に四十床ずつ、合計八十床の病院兼施設を設置いたそう、かようなことを考えておるわけでございます。もちろん四十床の二ヵ所で八十床と申しましても、研究の結果、これを全部収容するか、あるいは通院を相当考えるか、こういった点については、その研究の成果を至急出していただきまして、それによってこの施設の運営をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 自閉症の問題を取り上げたということは、予算の額には不満があるにしましても、一つの進歩であることは間違いないと思うのです。御努力には御礼を申し上げたいのですけれども、ただ、いままでわかっている範囲のことから言いましても、この種の子供たちに対して、幾つかの問題点が出ていると思うのです。たとえば、おっしゃいましたように、診断、治療あるいは基礎的な研究、あるいは八十床の施設、こういうことなんですが、そういう側.面にさらにどうしても人の問題が伴ってくるわけですね。いろいろ文献等を私ども見ましても、この種の子供たちには、たとえば一対一の専門的な治療士が要るとか、それから言語障害を伴っているわけですから、ことばの問題についての特別な指導が要るとか、施設をつくりますと当然保母さんとか、それに伴う人たちが要るわけですけれども、そういう人たちの養成ということも、これは裏表の問題としまして必要欠くべからざる面だと思うのですが、その点についての御配慮はいかがですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 理想的な運営の問題につきましては、先はど御説明いたしましたように、学者グループに最終的にはゆだねることに考えております。しかしながら、当面の考え方といたしましては、この自閉症の施設は医療法でいう病院であり、かつ対象が子供でございますから、児童福祉の一種の施設にすべきであろう、こういうような本質的な性格を持つものであると思います。したがいまして、その中で働きますところの職員につきましても、当然児童精神科医、あるいは臨床心理学者、あるいは精神科のソーシャルケースワーカー、あるいは言語障害の治療士、これはアメリカではスピーチセラピストといっておりますが、こういう職種の人が配置せられる上に、子供でございますから、児童指導員とか保母とか、こういった職種の人にその中で働いていただかなければいけませんし、また症状によりまして、先刻お話がございましたように、非常に症状のあつい者につきましては、一対一のケアをやらなければいけないというような問題も起こると思います。また収容にすべきかあるいは通院にすべきか、それもその子供の症状によろうかと思います。いずれにいたしましても、これらいろいろな問題点につきましては、早急に学者グループの研究を得まして、来年度予算に計上を見込んでおりますところの施設も、その意見を聞いた上で直ちに着工したい、かように考えておるわけでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 特に私、強調したいのは、厚生省関係は他にもいろいろな施設を持っておられるのですが、どこでも人手不足で困っておるわけです。しかし、新しくこういう問題に取り組もう、こういう前向きの姿勢が出てまいったわけですが、そうしますと、施設はやはり建物ですから、これはある程度の予算をつけて建物を建てれば解決をするのですけれども、この種の専門的な治療士というような人を養成するのには、実は年月もかかるわけですね。そうしますと、やはり施設をつくるのなら人の問題もあわせて取り組まないと、建物はできたけれども中身はなかった、こういう片手落ちなことになると思うのですが、その辺の配慮は何かございませんか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘のとおり、人を得るのは非常に困難でございます。現在のところ自閉症に関心を持って数人あるいは十数人、みずから子供たちの訓練をしているという方々も非常に少ないわけでございます。もちろん、精神医学者あるいは心理学者等は多くても、これに関心を持っておる方は非常に少ないというふうなことで、その点につきましては、実は私どもも非常に寒心にたえないところなのでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような日本児童精神医学会等ともよく私ども連絡を密にいたしまして、どういうふうなことで、どういう方法で職員の確保なりあるいは養成なり訓練をするのかということも、あわせて検討してお教えを請うというふうにしていきたいと思っております。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 どうもこれだけ問題になっているわけですけれども、主として学会の中の特殊的に研究をしておる先生方にたよる面が——これはたよるのはいいと思うのですが——たよる面が多くてなかなかまだ結論が出ないというふうに受け取れるわけなんです。  しかし、現実の問題としましては、かりに五千世帯なら五千世帯の母親たち——私どものほうも二、三の母親たちの涙の訴えを聞きましたけれども、たとえば親御さんにしても、非常に苦しみ迷っているわけですね。自閉症という診断を受けて、たとえば精神病でなかったということで、あるいは精薄でなかったということで一安心をしたけれども、しかし、この自閉症の子供をかかえて、年齢が年齢ですから、大部分が家庭の中で措置をされている。あるいはようやく幼稚園にサクラの咲くころ行くことになって気がついたというので、母親たちがあわてふためいておる。どこにも相談に行くところがないのですね。普通の病院に行ってもなかなかわからない面があるし、そうかといって専門家はお医者さんの中でもごく限られた方々だ、こういうことになります。しかも、専門家筋の意見等を聞きましても、それだけにやはり、たとえば自閉症をかかえた家庭の、特に母親なんかに対する一つの教育といいますか、カウンセラーの面も必要だ、こういうようなこともいわれておるわけですね。  そうなりますと、やはりせっかくつくる施設ならばそれにプラスをして、絶えずそういう母親たちを教育をして、家庭の面でも自閉症の子供たちに対する対処のしかたを相談に乗ってやるとか、指導を加えてやるとか、こういうことも必要ではないかと思うのですね。ですから、雲をつかむみたいなところがまだある段階ですけれども、はっきりしていることは、そういう相談にも乗れる専門治療士というような先生方が限られていますから、それからまた特にそういう人が少ないわけですから、いまからもう手をつけて人の養成をやらないと、建物はできたけれども機能としてはあまり発揮できないのだ、こういう点をおそれるわけなんです。ですから、これはもう要望になりますけれども、どうぞひとつ、困難なことはわかりますけれども、方向としましては、なるべくすみやかにこういう子供たちに専門的に対処する人を得るような御努力と、それからできました施設は親を含めて十分にめんどうを見てやる、そこまで踏み切るといいますか、そういう方向にいくような御配慮はございませんでしょうか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 この自閉症に関する問題意識が非常に高まってまいっております。したがいまして、こういった専門臨床家、あるいは専門の心理学者の養成ということも、先ほど申しましたように必要でございますが、当面、全国に百三十六カ所の児童相談所がございますが、私どもこの間も児童相談所長会議等をやりまして、こういった問題意識を十分に持つように、そしてまたそこにつとめておりますところの心理学者等にも、自閉症に関する知識をみずから勉強するように、こういう指示はしておいたわけでございます。したがいまして、児童相談所に行かれますれば、まだいますぐは無理かもしれませんが、漸次御相談に乗り、御指導申し上げられるようになろうか、かように考えておるところでございます。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 御配慮はけっこうだと思うのですが、この問題の重要性ということはおいおいわかってきておるわけですから、ぜひそれの裏づけになるようなものを御配慮いただきたいと思うのです。  それから、何といいますか、特に言語障害の子供たちが多いわけですから、ことばの面での指導、これもなかなかむずかしいと思いますけれども、学校の先生方の御協力をいただくとか、でき得べくんばやはりこの子供たちの言語指導に当たれるような専門的な方たちの養成ということも含めて、御配慮をいただきたいと思います。  それから、それに関連をして、文部省の方見えていらっしゃいますかしら。——ちょっとお伺いしますけれども、実はいまの問題でございますが、幼稚園から学齢期にかけて症状が出る子供たちが多い。したがって、学校に入学をするという問題が非常に大きな問題になっておるわけなんです。私どもがいろいろ調べた範囲の中では、全くケース・バイ・ケースで、特にその学校長の御理解を得たとか、学校の先生方の善意とか、こういうことで入れてもらう。入れてもらっても、子供がやはり全体の中で異端視されるものですから、途中でやめなくちゃならないとか、いろいろな問題が出ておるわけですが、何か文部省としてお考えのことがございますか。

寒川英希文部省初等中等教育局特殊教育課長

○寒川説明員 普通の小学校等におきまして教育の可能な子供につきましては、もちろん普通学級で扱っていただきたいというふうなことを考えておるわけでございますけれども、どうしても不可能な場合が中にはあるわけでございまして、異常な行動をとる子供、そういった場合などにはやはり入院治療、そういう措置をする必要がある場合もあるわけでございます。したがって、現在自閉症児の入学につきまして統一的な指導、これはできかねている段階でございまして、先生のおっしゃったとおり、個々のケースごとに学校長と親の御相談の結果に解決をゆだねざるを得ない現況でございます。  この自閉症児に対する教育的な配慮ないしは扱い方、これにつきましては、まだまだ未開拓、未解明の問題が多いわけでございまして、文部省といたしましては、現在三重県の津市にあります県立高茶屋病院内の「あすなろ学園」、ここには小学校、中学校各一学級の特殊学級が置かれております。この「あすなろ学園」を実験学校として指定いたしまして、教育の方法あるいは内容、さらには教育の効果等につきまして研究を進めていただいております。こういった成果を得つつ、またこの治療との関連のもとに今後この教育をどう進めていくか、そういった教育の場のあり方あるいは教育内容、方法のあり方、そういったものについて検討をいたしてまいりたいと思うわけであります。  なお、この子供たちの教育を検討する基礎資料といたすために、実は四十二年度におきまして、自閉症の問題を含めまして心身障害児の全国的実態調査をいたしております。この調査は目下集計中でございますが、自閉症の疑いのある子供たちが、この調査におきましてつかめるわけでございます。これを基礎資料といたしまして今後の対策を検討いたしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 これは文部省は少し勉強が足りないと思うのですよ。いまようやく厚生省のほうはともあれ一歩を踏み出したわけですから、これは同じ政府の行政官庁としましてぜひ厚生省のほうと話し合いをして、一歩も二歩も進めてもらいたいのです。  いま私の手元に、大阪の自閉症の子供を持つおかあさんたちが手記を書いた印刷物がきております。どれをとりましても学校の問題で困っておる。しかもここには、「今思い出しても、学校へ入学したことはたいへん良かったと思います。」こういう一文を書いたおかあさんがおります。それからある親御さんは、「一般の先生方の御理解よって、通学させていただき、」こういう文句、それから、「是非とも格別の判断で、配慮していただき、」こういうような手記、それから、「さまざまな曲折の末、やっと入学の日を迎えました。」こういうふうに書いておるおかあさん、みんな学校のことです。  それについて、いま私が申し上げましたように、この地域の教育委員会で何があったか知りませんけれども、大半は学校の校長さんなり担任の先生方の善意といいますか、配慮といいますか、あるいは別のことばで言えば恣意の状況で、任意のことにまかされておるわけです。それで、こういう子供たちを持ったおかあさんたちは学齢期を迎えて、いま時期ですから、一人一人のケースをとってみれば、ほんとうに死ぬ思いで学校の先生へお百度参りをしていると思うのです。入れてもらうと一学期二学期やる、うまくいった場合はいいですけれども、まずくいった場合はまた死ぬ思いをしておる。学校へ行ったケースはいろいろあるでしょう。しかし、手記なんかにあらわれている範囲ですと、やはり学校へ行って集団の中で社会性を身につける、そういうことによって、自分の子供が家にいたときよりは学校に行くことによって少しはよくなった、こういうことが出てきているわけです。少なくと入学という問題については、たとえば特殊学級の中に入れて、特別に自閉症の子供に対する教育方針を立てるとか、特殊学校があるような場合には入れるような配慮を願うとか、また入れられないならばそれにかわる教育の何かがあるのかとか、いろいろ行政上の問題としても考えるべき余地があると思うのですが、しかしそういう状態では、全く末端にまかしっぱなしというのでは、ちょっと手おくれだと私は思うのです。  ですから、これは厚生大臣にお願いをするわけですけれども、学校の場が、ある種の症状を持つ子供たちには、確かに治療上からも教育上からも効果をあげておる、こういう側面がある。それから親御さんの悩み、しかも一方受け入れる学校側についても、問題児ですから、確かにいろんな負担がかかる、こういう相矛盾した問題があると思うのです。しかし、過渡期のことでもありますから、これは文部当局のほうとぜひお話し合いをいただきまして、厚生省が一歩踏み出しましたそういう行政上の効果を、さらに教育の面からも補強してもらう、ぜひ入れてもらう、こういう御配慮はできないものですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 自閉症の子供の、その症状や障害にもよりますけれども、やはり場合によっては、ある点においては非常にすぐれた子供がおるし、あるいは多数の場所へ行くと、自閉症的症状がなおってはしゃいでみたり、それから逐次なおってきたりする点もございまするから、症状の程度によるわけでありますが、なるべく普通の学校へ就学できるように、関係者省と連絡をいたしたいと考えております。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 時間がございませんので、それはぜひお願いをいたしたいと思います。  それから、特に厚生当局はようやく一歩を踏み出したわけでございまして、完全なものを望むのはまだ無理かもわかりませんけれども、こういう気の毒な子供たちがふえていく傾向にあるということは確かなことだと思いますから、少し先を見通した形で、できるだけのことをしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  時間がございませんので、実はもう一つ問題を持っておりましたけれども、ちょっと問題を変えます。  これは厚生省の関係でございますけれども、児童の養護施設の問題です。ここもいろいろ問題があるわけですけれども、これまた社会的な環境の変化その他で、昔の孤児院でございますか、いまは養護の施設ということになっておりますけれども、ここでもまた健康な子供たち、親から離れた子供たちがおるわけですね。これもいろいろな社会的な問題を持っておるわけですけれども、ここで働く職員の人たちですね。非常にむずかしい環境の中で、善意に基づいた人たちが大ぜい働いておるわけですが、御承知のように給与が必ずしもよくない。公共の施設の場合には、それぞれ自治体の職員並みの基準ということで手当を受けておりますけれども、いわゆる法人の施設の場合は、非常に気の毒な場合がある。国からいろいろな人件費に見合うものをいただいておりましても、なかなか人件費に回せない、こういう状態をわれわれも見聞するわけです。何といいましても、そういう人たちの半ば献身的な御協力なしには運営ができないという面があるわけです。しかも、そこに働いておる人たちは、平均的に学歴も高い人が多いわけですから、善意の気持ちを持っておるだけに、これは国としてもそういう人たちの犠牲と善意にたよるという側面をなくして適切な裏づけをしてもらいたい、こういう強い希望があるわけですが、ひとつ御見解を聞きたいと思う。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 養護施設におきまして、現在三万数千名の子供たちが成長しておるわけであります。施設の職員の御苦労は、先生御指摘のしように非常なものでございます。したがいまして、私ども毎年これらの、特に職員の方々の給与のアップ、給与の改定、改善をはかってきております。同時にまた預かっておる子供の一人当たりの数を少しずつ減らしていく、そのことが同時に処遇の改善にもなるわけでございます。したがいまして、来年度の予算で御審議中の分におきましては、学齢前の子供たちに対しましては子供の数を減らしたのでございます。つまりそれだけ労働が少なくなる、こういった考え方も実施に移しておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、他の職種に比べましてこれらの職種は待遇が悪いことは事実でありますので、今後ますますこういった点については努力いたしまして、職員が安んじて働けるように考えてまいりたいと思います。  同時にまた、来年度におきましては、これらの職員給与の全体的な調査をいたしまして、どういうふうになっておるかということも、おくればせではございますがやってみまして、いま申し上げましたような給与の改善、処遇の改善ということに重点を置いてまいりたい、かように考えておるわけであります。

木原実日本社会党

○木原(実)分科員 わかりました。時間がありませんのでこれで終わりたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中主査 岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 最近、病院におきまして赤ん坊を取り違えたとか、あるいはまた赤ん坊が盗まれたとか、また赤ちゃんの未熟児室で火事がいったとか、いろいろそうした事件が相次いで起こってまいりまして、新聞紙上でも非常に大きくそれが問題視されるようになってまいっております。これは日本の看護制度の中に根本的ないろいろ重要な問題があるから起こってきた問題である、こういうふうに私は思っておりますし、私自身医療機関を運営しておるものでありますから、医療機関を運営しておるもの、あるいはまた多くの看護婦の諸君に接しておるもの、そういった立場からこの問題を少し掘り下げて、この機会に厚生大臣並びに関係当局の方々と検討してみたいと思います。  最初に、厚生大臣からお尋ねをいたしたいと思いますが、こういうような不祥事件は、基本的には、一番大きな問題として看護婦の人手不足によるものでありますが、厚生省としてはこれに対してどういうふうな対策をお講じになりましたか、また今後どういうふうに対処していこうとされますか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 各種の事件等が頻発しておりますので、先般各病院に対して、特に産婦人科の病院に対して、いろいろな制度、規則そういうものの総点検を命じて、厚生省からも逐次各所に参って検査するようにいたしておりますが、いずれにいたしましても、理由はたくさんございますが、やはり看護婦の定員不足からくる任務の過重、それからまた一つには不足の看護婦を充足するために、いろいろまざった職種の人が多いという点などがあるようであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 最近、私のほうの病院へもいろいろな調査が参っております。しかしながら幾ら調査をされましても、それだけでは解決しない。また、幾らどうしろという指示を出されましても問題は解決しない。やはり何といっても今日の看護婦の数の絶対的な不足というもの、これを解消するということを根本的に考えていただかなければならないと思うのでございますが、看護婦不足というものはいつごろから始まって、どういう対策を講じてこられて、いま現状はどうなっておるかという点について、医務局長からでもひとつお答え願いたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 看護婦不足の実態は、かなり長期に続いております。特に戦後の国民生活の向上、特に経済の向上に伴いまして医療需要が非常に増加いたしましたし、それにさらに徹底的な拍車を加えたのが、やはり社会保険の充実でございます。したがって、三十六年度の医療保険の達成というような時期を契機にしまして医療需要が非常にふえて、診療所の数、病院のベッド数等も急速にふえてまいりました。  ところが、ちょうどその三十六年ごろに、日赤その他の医療機関を中心といたしました看護婦のストライキというものが起こりまして、白衣の天使というきわめて魅力のあるイメージが、低賃金労働者である、あるいは酷使されている労働者であるというような形に宣伝されまして、このために、この時期を契機にしまして、看護婦の志望がばったりと減ってまいりました。この影響が三十九年、四十年ごろになって徹底的に出てまいったわけでございます。したがって、その四十年ごろを中心にいたしまして、おそらく理論的に計算いたしましても三万、四万という数の不足が起きました。したがって、私どもも、ひとつその不足の起こりました時代から将来を見越しまして、できるだけこの緩和をはかりたいということで、総合的な看護婦の充足対策ということを始めたわけでございますが、何ぶんにも学校教育、養成所の教育というようなものがございますので、なかなか一挙にできない。これで私どもは大体四十六年ころをめどに大体解決できるのではないかという計画を計算いたしまして、そうして理論的には四十六年度に一応の数がバランスをとれるということに見通しをつけたわけでございまして、その間養成所の施設の数、募集人員の増加等に必要な施策を講じ、また遊休看護婦の就業化というようなものもあわせて行ないまして、おおよそその目標に到達できるであろうという見通しを持っております。したがって、一時三万ないし四万程度の不足と考えられましたものが、現在ではおそらく二万数千程度の不足、理論的計算においてその程度、そうしてもう三年くらいたちますと、大体理論的な不足が解消するという見通しを持っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 いま医務局長は、医療需要が国民皆保険と一緒に増大してきた、それに見合って看護婦がふえなければならぬのに、ストライキなどのために白衣の天使というイメージが破壊された、それが今日看護婦が不足する大きなモメントの一つになっておるというような御説明でございますけれども、しかし、イメージの破壊の前に、破壊されてもやむを得ないような実態があったということを、これは医務局長としては御存じだと私は思うのです。痛感していられると思うのです。だから、そういう点を強調していただかなければならぬのではないかと思うのです。そういう実態があるからああいうことが起こるのです。看護婦になろうというものには少なくとも奉仕の精神を持たないものはありません。また医療機関から奉仕の精神というものを抜きにしたら、医療機関で働けるものではありません。だからそういう意味においては、私はそのような奉仕の精神で働く者に対して、あまりにも報いるところが少なかったということが白衣の天使のストとなり、それが看護婦の待遇改善となって出てまいりまして、今日では待遇は相当改善されております。たとえて言えば、民間医療機関の中でも、あるいは公的な医療機関の中でも、一般職よりも看護職のほうが少し上回った給与が、多少とも上回った給与が出るようになったということそのこと自体が、看護婦の職種というもの、またその実態というものに対する認識が高まってきたということの結果であると思うのです。しかしながら、まだまだそれに対して不十分な点があることが、充足できない一つの大きな原因であると思うのです。  統計を見てみますと、昭和三十一年には、病院と一般有床診療所を合わせますとベッド数が六十八万あるのです。それに対して看護婦の数が十三万八千五百人となっている。これは概数です。それから四十一年の実数では、それが百十三万にふえておる。そうして看護婦が二十四万六千人になっております。そうしますと、この十年、十一年の間に、看護婦一人当たりのベッド数というものが、三十一年には四・九一であったものが四十一年には四・五九になっております。そのことは、一見その当時とほぼ同じに順調に看護婦の数としてはバランスがとれているかに見えますね。しかしながら、その十年の間に、日本の医療というものは画期的な変化を起こしてきております。医療技術における技術革新というものは……。他の製造業なんかでは、技術革新は即人手の省略に結びつくんですよ。ところが医療に関する限りは、技術の革新はさらに一そう精密な検査をやり、さらに一そうむずかしい手術をやる。だからより多くの人手が要る。こういうことになってきておりまして、医療の実態というものは、医学が進めば進むほど人手がよけい要る。こういうことになってきておりますから、実質的には三十一年の看護婦不足状況は、この四十一年には全然緩和されておらない、こういうことを言っても私は言い過ぎではないと思うのです。それは大臣おわかりになっていただけるでしょうね。だからそういう意味では、少しずつ緩和されてきたかのような医務局長のお話でございますが、数字的にはなるほど幾らか緩和されました。しかしながら、実態という面では、全然緩和されておらないということをこの際はっきりと認識しておいていただきたい、私はこのように思います。  そうして、その原因は何か。まず第一には重労働であるということですね。その重労働に対して報いられるところが少ない。重労働、低給与です。その次には特殊な労働条件、深夜における勤務であるとか、またたとえて言えば重症の患者の大小便の世話とか、それから褥瘡の世話とか、普通の人ではとてもしにくいような、親身の者以外ではとてもできないようなことをすべての人にやらなければならないというふうな点で、看護婦の仕事というものはなかなかそう楽なもんじゃないということですね。その次には養成機関が少ない。こういうように三つの点を重視しなければならぬと思うのでございます。  そこで、私はこの際指摘しなければならぬのは、日本の看護婦体系というものは一体どうなっておるか、このことがまた一つ考えなければならぬ問題だと思うのです。日本の看護婦というものは、一応看護婦を主体とするということになっておるわけですね。ところが実質的には、現在就業しておる看護婦あるいは養成機関というものが、その実態に沿っておらないと思うのでございますが、一応医務局長から、一体私の言っておることが間違っておるかどうか伺いたい。それからまた看護婦の就業数ですが、正看、准看の別、あるいは養成施設を、正看、准看の別で一応お示し願いたいと思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 医療の基本を規定しております医療法の中で、その施行規則の中で、病院の基準といたしまして、およそ四ベッドに一人の看護婦を置くというような場合には、ただ看護婦それから准看護婦ということになっておりまして……。医療法の中では看護婦という名前になっております。この看護婦は、実際は、御承知のように看護婦と准看護婦がございまして、医療保険等の取り扱いでは、この構成を四、四、二であるとか五、三、二であるとか、いろいろの規定をいたしております。現実には、看護婦といった場合に、広い場合には当然看護婦、准看護婦を含むわけでございます。この比率も、現在の保険の医療体系等の面から見ましても、およそ半数程度ずつを期待しているわけでございます。四、四、二というような制度がある場合に、看護婦四、准看護婦四、看護助手二というような意味でございますので、およそ同数を期待しておる。ところが、二十六年に看護制度が発足いたしました当時は、すべてが看護婦になっておりました。その後、准看護婦の制度ができましてまだ十数年でございますが、現在の状況では、いわゆる看護婦と、それから新制度による准看護婦とがほぼ同数に近くなりつつあります。まだ現在は看護婦の数が若干上でございます。おそらく四十四年、五年ごろには准看護婦の数がむしろふえる、看護婦を凌駕する予定でございます。  そこで、そうなりますと、やはり程度の高い看護婦が相対的に不足してまいりますので、私どもといたしましてはできるだけ看護婦を多くつくっていかなければならぬ、准看護婦からまた看護婦に橋渡しをする制度を拡充していかなければならぬということで、特に最近は、いわゆる准看護婦から看護婦になる養成課程の拡充に大いにつとめておりまして、現在の時点におきましては、看護婦の卒業生が約六千名、それから養成課程の卒業生が約二千六百名、それから准看護婦の卒業生が大体約六万人というような状況でございまして、現在の状況からいってもなお看護婦の養成が非常におくれておりますので、この比率を確保するためにも、看護婦、あるいは准看護婦から看護婦への移行という問題を、相当深刻に考えなければならぬというふうに考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 いろいろこの数字の中に重要な問題があると思うのです。それで、いま局長がおっしゃいました昭和四十一年現在で、正看の数が十二万五千八百、それから准看の数が十二万、いま局長がおっしゃったとおりほぼ均衡がとれているようです、四十一年現在で。しかし、この十二万五千の正看護婦の中には、旧制度の看護婦が相当いるんですよ。大体これわかりませんか。この中で旧制度の看護婦が何ぼで、新制度の看護婦が何ぼだということは……。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 現在の時点におきまして、看護婦の中で、旧制度と新制度がほぼ半数程度になっております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 そうしますと、正看といえども昔の准看に近いような程度の教育を受けた人が、経過措置で正看になっているというのが半数であるということなら、結局十八万と六万でありまして、実際においては三分の一ということになるわけですね。それでいま正看、准看のバランスが大体うまくとれてきたとあなたはおっしゃるけれども、実質的には三対一の比率において運営されているというのが実態であって、新制度におけるところの正看護婦というものがきわめて少ないということ、これは問題にしなければならぬことだと私は思うのです。  それで、この正看護婦になった人が、私の見るところ、私の身近な感じですが、たとえば私のところが正看を採用しますね、そうしますとじきに結婚してやめるのですね。正看護婦はとにかく教育課程が長いから、正看護婦になるのは二十三かそれくらいになっている。そうすると、もう結婚年齢ですから、すぐ結婚しちゃうんですね。結婚するのはいいのですが、じきにおめでたになるでしょう。子供ができたら、もう全部といってもいいほどやめていきます。やめざるを得ません。だから、正看護婦をせっかくつくっても、就業年数というものがきわめて短いのですね。  だから、そういう点で、厚生省は今後そういうような四、四、二の比率に持っていきたい、これを基準看護と称しておられます。健康保険の中で行なわれておるところの基準看護の制度というものは、これは一応われわれとしても、国がいろいろ検討した結果の権威あるものの考え方、やはりこれにはある程度妥当性はあると思うのですよ。四、四、二という比率くらいは、そういうふうな構成にしてもらいたいということはわかりますが、しかしながら実態がそれに沿っておらない。看護婦の数の実態が四、四、二の比率になるようには現在なっておらない。それから、四十六年ですかにはそういうふうになる予定だといま局長はおっしゃいましたが、三対一のものを、しかもきわめて少ない養成数でしょう。とてもなりっこないのですね。これは別に特に考えてみる必要もないくらい養成課程の定員が少ない。  それで、いまあなたの言われた准看の数字と、この間厚生省で出してきましたのとはちょっと数字が違っておりますがね。看護婦の養成の数が、正看の入学者が八千八百三十二、定員が九千四百二十一だ、准看護婦は、入学者は二万八千百八十とっておる、ただし定員は二万七千百四十八だ、こういうふうなことをお答え願ったのですが、准看護婦の養成の人員が六万だというのは、あまり飛び離れて違っておりますが、何かのお間違いじゃないですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 四十二年の養成施設の入学定員を申し上げました。それでは、准看護婦の養成所の養成定員が四万九千人、それから看護高校でやはりこれは准看護婦を事実上養成しておりますので、これが一万一千九百、合計いたしますと約六万一千という形になります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 そうすると、最近とみに急速に、四十一年から二年にかけて二万七、八千であった定員が六万にふえた、こういうことでございますね。間違いございませんか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 失礼いたしました。ただいまの六万人というのは、学校全体の定員でございますので、二年課程でございますので、一年生の数は半分です。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 三万ですね。それでわかりました。  そこで、定員として片や看護婦は九千四百である。准看は約三万だ。そういたしますと、この養成施設でも、すでに三万と一万切れているということになるでしょう。そこで、あなたは四・四・二だと言われる。そうすると、同数の者が養成されて、そしてそれが同じ年数だけ勤務するということで四・四・二の供給が行なわれるわけですね。ところが、それが逆に片や一で片や三だ。一対三で、依然として看護婦の養成課程の中でそのような大きな開きがあるということですね。だから、そういうことからいきますと、この大体四・四・二の比率が日本の看護体系として望ましいのだ、厚生省はそういうふうな願望を持っていらっしゃるが、しかしながら、もう現在が三対一だ、そして養成課程も三対一だということになると、そういうふうな日はいつになってくるかということです。これはきっこないのです。言うなれば、体系としては厚生省はそういうことを打ち出しておられる。正看四、准看四、それから補助員二という体系を打ち出しておられる。体系をそういうふうに四・四・二の比率において打ち出し、しかも基準看護はこうしなさい、こうしなければ基準看護料はあげませんよというので、ペイの面でもそれをきちっと切っておられる。ところが現状は、それを充足するにはとても足らぬ。それでは、新たに養成課程を出てくる者がどうかといえば、それもはるかに足らぬ。こんなことじゃ、これは医療機関は四・四・二ということはできっこない。できっこないことを厚生省は——保険局長はきょう見えていますか。——できっこないことを医療機関に要求して、それでなければ基準看護料をやらぬぞ。幾らサービスをまじめに気ばってやっても、献身的な奉仕をしても、もらそういうふうな形できちっと収入を押えるというふうなことは、これは厚生大臣いかがですか。これは非常に矛盾したやり方であると思うのでございます。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 ただいま先生は、看護婦の総数の二十四万名というものを基準になさいまして、その中で実質的に、旧制度の検定看護婦時代のものを准看並みに計算すれば、六万対十八万で三分の一しかいないというお話でございますが、病院の現実の実態はそうではございませんで、たとえば、診療所が約六万ございます。これの勤務者はほとんど准看護婦でございます、大部分が。そしてまた、基準看護をとらない施設も相当ございます。現実に病院の中で現在つとめております看護婦について見ますと、大体七万と八万で、看護婦の数が若干上でございます。ただし、これは旧制のいわゆる検定に類するものが全部入っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 数の問題について議論して、うかうか議論に夢中になっていて時間を食ってしまってはなんですから、これはまたいずれ社会労働委員会でやりますが、もっと重要な問題について議論しなければいかぬと思うのです。  その次に問題になってくるのは、やはり看護婦の、どうして結婚したら勤務できないのか。せっかく本人も努力し、いろいろな養成機関も費用をかけて養成しておきながら、勤続年数が短い。これをどうすればいいか。それについて、厚生省としてはどういう考え方を持っておられますか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 私どもといたしましても、看護婦が結婚によって職場を離れるということは非常に残念でございますので、できるだけそのようなことのないようにといろいろ考えておるわけでございます。国立病院の例をとってみますと、現在、四割以上が結婚生活をしながら勤務しております。そのような者で、現実に妊娠、育児等の関係で夜間勤務等が困難な場合には、それを外来勤務にするとか。あるいは注材、手術室の勤務に回すとかいうようなことで、できるだけそのような便宜をはかりつつ、職場を離れなくて済むような方途を講じております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 国立病院のような非常に大きな施設では、ある程度そういうことが可能かもしれません。同時にまた、一応特別会計制度といえどもある程度国費の補てんのある場合にはそういうこともやり得る。しかしながら、完全に独立採算をやらなければならぬというところでは、なかなかそういうことが困難なんですね。そこで、どうしてもそういうところでは定員を増加して、国立病院と同じように、あるいは国立病院より以上定員をふやすことによって、看護婦のいろいろなそういう勤務上の、主婦でもまた母親でもつとめられるような形を整えていかなければならない。そういうふうなことで定員を増加する。それには医療法を改正しなければなりません。  それと一諸にもう一つは、何といっても私は保育施設が必要だと思うのです。最近東京都でもって、民間の保育施設についていろいろ議論に花が咲いておりますが、これは医療機関としても、いままでよくなれて働いておる看護婦を引き続いて働いてもらおうと思うには、どうしても私設の保育所を医療機関自体が持たなければならない。そうなってまいりますと、たださえ健康保険は低単価でございますので、その低単価でやっと運営しておる、みんなの努力によってやっとバランスをとっておる医療機関が、そういう保育所まで併設するということは、かなり経費の上から困難なんですね。だから、これに対してどうしてもある程度の公的な補助というものが——これは私設保育所が個人のなにによって行なわれる場合、委託費として公的な資金の援助があるとするなら、医療機関が私設の自分のほうのなにを、公開はしていないにいたしましても——あるいは一緒に公開してもいいんですよ。そういう場合に、公的な援助というものが当然行なわれてしかるべきだと思いますが、厚生大臣、いかがお考えになりますか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 お話しのように、相当多数の女性がつとめる職場でございますので、保育所という施設が必要であることは重々承知しております。しかし、何ぶん相当の看護婦がおりましても、なお赤ん坊の数というものは非常に少ないものでございますので、したがって、数名とかいうことになりますと、単独の保育所というものの経営がなかなか成り立ちませんし、当然私立保育所、無認可保育所になってしまいます。そういうような形で、われわれとしてもできるだけそういう施設は望ましいと考えておりながら、まともに保育所がなかなかできない。したがって、公立の正規の保育所が利用できる範囲内でできるだけ利用してほしい。どうしてもできない場合に、保育所といえない無認可の託児的な施設も場合によってはやむを得ない。そういう場合には、施設の中で一部の部屋の提供というようなことの便宜は当然はかられなければならない。また、職員の互助組織である共済組合等でも、そういう場合に若干の援助をするというような方向で、現在こそくながらやっておるわけであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 いま局長のおっしゃっておるのは、これは国立病院であるとか大きな医療機関についてのことを言っておられるのですね。それはもちろんやっていただかなければなりませんが、しかし、それも実態は、きょうも看護婦さん傍聴にきておられるようですが、私は医療機関を運営するものの立場から伺うつもりでおりましたが、看護婦さんに私がいろいろ意見を聞きましたら、そういうような施設はあっても、それは経費はほとんど利用者負担だ。つまり、働いておる者がその経費を持ち出して運営をしておるのだ。だから、それがそういう意味でせっかく働いても、その中の相当な額をそういう施設の運営に、保母さんを雇い入れたり、そういうような施設の運営に出しながら働いていかなければならぬ。そんなんなら、いっそやめて、自分が主婦として家庭の中におさまっていたほうがまだましだ、こういう考え方も出てくるわけなんです。ことに民間の医療機関ということになりますと、全然そういうなにがないわけですね。せめて努力してスペースぐらいはこしらえることはできましても、運営費から何から全部医療機関持ちということになると、非常に困難であります。  したがって、私は厚生大臣にいまお尋ねいたしましたが、そういうふうな努力を企業でいたしました場合に、企業努力でもって看護婦不足を補うために保育所をつくった場合に、一体厚生省はそれに対してどういうふうな態度をとられるのか。  さらに、自治省に来ていただいておりますが、自治省はそういうふうな場合にどうされるのか。自治省は次官通達で、看護婦充足に必要な、たとえて言えば養成機関をつくった場合には、その費用は別に見ましょうというふうな次官通達が出ています。そうすると今度は、保育施設に対してはどらされますか。いま問題になっておる東京都のなにのように、自治体の委託しておる仕事として補助を出していくというふうな考え方をとっていただけるのか。  厚生省並びに自治省両方から、厚生省のほうは大臣のほうからお答え願いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見の中の、まず最初の看護婦の体系と、それから実質の現状と、それから養成機関との間に食い違いがあるという御意見は、これは率直に承りまして、事務当局に相談して検討したいと考えております。  それから、ただいまの保育所の問題は、こういう時期に看護婦さんが家庭におられることはまことに遺憾であると同時に、子供さんのあるような家庭を持った御婦人の看護婦さんが、かえって看護に対する処置は徹底しておるのでありますから、何とか復帰してもらいたいというので、結婚した方及び家庭におられる方の御意見を直接聞いてみますると、やはり勤務する環境がそろってない。その中の大きな問題は、やはりいまの保育所の問題のようであります。また保育所の問題でも、昼夜の保育所の問題があるいはあったにしても、往復の遠いところを車代を払っていって一々預けるわけにいかない。次には、それをやったとしても費用の問題がある。こういう点もあるようでございますが、いずれにいたしましても看護婦の充足は、今日の医療行政の重大な問題でございますから、どのような方法でやるか、よく検討、研究したいと考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)分科員 時間が参りましたから、この程度で希望意見だけ申してやめさせていただきますが、とにかく看護婦不足というものは、日本の医療の中でも非常に大きな問題である。そしてその中では、やはり看護婦が結婚するまでの勤務だけでなしに、生涯の仕事としてやっていけるような体系をつくっていただく必要があるということ。それからもう一つ、きょうお尋ねしていろいろ掘り下げて検討していきたいと思っていた問題に、いまの養成課程の問題がございますが、これはまた社会労働委員会でゆっくりやらしていただく、議論させていただくことにいたしまして、この程度で打ち切りますが、とにかく厚生省並びにその他関係の政府機関全部が、ひとつこの際心を合わしていただきまして、医療機関並びに看護婦その他、そういうようなその道で働く者の意見を率直によく聞いていただき、それをくみ取っていただき、日本の看護体系というものが十分改善されるように、御努力をお願いいたしたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中主査 岡本富夫君。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 私は厚生大臣に、このたび公害対策基本法が制定されて、もうずいぶん日がたちますが、その第二章五節第二十一条に、「政府は、公害に係る被害に関する救済の円滑な実施を図るための」必要な制度の整備を行なうものとする、こういうようにして法が明文化されておりますけれども、新しく大臣になられまして非常に期待をしております。それで、これに対するどういうような手段を講じ、またどういう制度をつくり、どうやっていくかということを明確にひとつしていただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 公害関係については、しばしば御意見も承りましたし、私のほうからも説明してまいりましたが、まず今国会では、公害対策のための公害防止事業団の事業対象を拡大する等の法律案の改正を、ただいま提出いたしております。  なお、基本法に基づく関係法案のうち、騒音の規制はほぼ各省の意見がまとまって、近く成案を得る段階に至りました。  大気の汚染のほうは少しおくれてはおりますものの、これも各省との調整はつく見込みでございまして、これもなるべく早い機会に成案として準備したいと考えております。  一番大事な公害の紛争の処理と救済の問題については、いまなお各省の意見調整中でございまするが、しかし、今日公害の重大性にかんがみますと、このままほっておくわけにはまいりませんので、事務的な折衝もある段階を設けて、ある段階が来ましたならば、ひとつ論点は論点なりに公にして、公のもとに各関係省と調整を続けたい。なお公害審議会にはその点を申し添えて、役所と並行して公害に対する紛争処理と救済の問題で対案を願っておりますので、これも早急に成案を得たいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 新聞報道によりますと、富山県のイタイイタイ病の患者の人たちが、いよいよ慰謝料請求を三井金属を相手取って提訴しております。提訴しているような状態になっておりますけれども、いま一番困っているのは、かつて厚生大臣のところへ、三人ばかり現地の被害者の人を連れてまいりまして、厚生大臣から非常に強い、明るい激励を受けて喜んで帰ったわけでありますけれども、その後、年末には若干の医療費というものをいただきましたけれども、こういうことでお茶を濁してしまいますと、この企業責任を追及しておるこういう戦いもいつ果てるかわからないし、そうしますと、ますます困るのは患者であり、そしてなくならなくてもよい人がどんどん人命を落としていく。こういう面を考えますれば、そんな、これからまだ各省と調整をしておる、こういうことでは私は非常に不満足であり、また直接被害者の人たちが非常にふびんでならない。これはもう国民の大きな声であります。今度の公害の対策基本法の二十一条にも、こういうようにはっきり明確にされておるわけでありますから、もう少し具体的にここで答弁をいただいて、そして国民に安心をさせていただきたい、こう思うわけです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 大気汚染とそれから騒音規制の二法案は、今国会に間違いなく提出できる準備になっております。紛争処理、救済についても、なるべく早急に提出したいと考えております。  なおまた、ただいま御指摘のイタイイタイ病に関する研究班の調査が、三月の末に結末をつける予定でございまして、四月の初めに厚生省に報告になるわけであります。従来の経緯等も十分聴取いたしておりますので、この結論をもととして、厚生省は公害対策の立場から取り扱いをいたしたいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 三月末、四月の初めにイタイイタイ病患者の結論が出る、こういうお話でありますが、結論が出たら、患者の救済は、この法案を待たずしてできるという意味でしょうか、どうですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 本来ならば、そういう救済の制度が明らかに樹立されておりまして、そしてこのイタイイタイ病患者を公害にかかる疾病というふうに認定をいたしまして、その制度によって救っていくということが本来の姿でございます。しかしながら、ただいま大臣からお話しになりましかように、この制度自体の樹立に多少まだ時日がかかるわけでございます。しかしながら、現実にそういう起こっております患者さん方の、特に医療という問題につきましては、放置できる段階ではございませんので、来年度におきましては二千万円の公害医療研究費補助金というものを新たに計上して、御審議いただいておるわけでございます。そのイタイイタイ病の報告が出まして、それを公正な立場から、公害にかかる疾病と認めましたならば、その医療研究費をもって治療の万全を期するようにしていきたい、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 助成措置が、予算措置として二千万の予算をあげた、こういう話でありますけれども、いま全国で公害患者と目される人は大体どれくらいあるわけですか。厚生省でつかんでいる数です。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 ただいままでに現実にそういう措置をとってまいりました患者といたしましては、御承知のように熊本県の水俣病の患者さん、これは現在生存患者が六十九名おるわけでございます。それから阿賀野川の水銀中毒事件、この問題も生存者が二十二名ございます。それからただいまのイタイイタイ病の患者さんは、御承知のように要治療という段階で七十名ということでございます。それから四日市は、ただいま市のほうで認定いたしておりますのが三百九十名というふうに承知いたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 ある新聞の報道によると、大体いま公害患者と目されるのが一万二千名あまりいる、こういうようにいわれておりますけれども、まだ厚生省のほうで対象にしていない人がずいぶんいるのではないか。そうすると、かりに一万二千名としますと、二千万では一人一千六百六十円ですか。こんなことでは、私はとても救済できないと思う。あなたのほうでは重点的にやっていく、こういうことでありますけれども、この救済の措置というものは、私はいままで厚生大臣に対しては非常に希望を持っておったのですけれども、非常に少ない、こう思います。  そこで救済法につきまして、聞くところによると公害基金ですか、これもつくろう。最初こういうような御構想であって、非常に安心しておりましたが、これも後退した。その後退した原因はどこにあるのか、ひとつ大臣にお聞きしたいのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 公害基金の問題は、ただいま御審議を願っておりまする予算には、その二億の金は出ておりません。出ていない理由は、これはいまなお関係各省の間で法律案の成案ができない。その法律が見通しがない場合に、これを正規の数字としてあげることは手続上問題であるというので、これは載せなかっただけでありまして、紛争処理及び救済の問題は、法案ができ、この基金が必要になれば、それぞれの必要に応じてこの基金を出すだけの連絡はいたしております。  そこで、ただいまの二千万の問題は、これはイタイイタイ病であるとかその他の当面困っておる人々の、この救済基金ができるまでのつなぎとしてわれわれは準備をしておるわけであります。足尾銅山が九十年かかってようやく解決したというような問題で、なかなかこれは訴訟にかかった問題でありますから、われわれが公開の席上でとかく言うことは、成否に関係いたしますからことばを慎みますが、公平に見まして、いままでの公害から考えて、被害を受けた人は一人一人の個人であって、何ら資金のない、生活の弱い人である。その上に寿命を縮め、あるいは身体に障害を来たしておる。一方は相当な資本金を持った企業でありまするから、この訴訟はなかなかむずかしい。しかも、日本の法律は疑わしきを罰せず、証拠がなければならぬということで、これはなかなか問題でありますから、紛争処理についてはそのようなものではなくて、学問的に調査をし、その害がわかり、しかも世間が識者と納得するその委員が公害であると認定したならば、その認定に基づいてそれぞれの対策を講ずるというようにしたいというのが、その基本的な考え方であります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 そこで、いまの認定の問題ですが、今度のイタイイタイ病の結論を、大体三月の終わりから四月の初めに出します、こういうお話でありましたが、厚生省が出したところの結論に対して、よく通産省が横やりを入れるとかなんとかいう話を聞きますけれども、この厚生省の調査は権威のあるものであると信じますけれども、各省を納得させられるだけの権威のある結論が出ますかどうか、厚生大臣にひとつお願いしたいと思います。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 イタイイタイ病の研究につきましては、御承知のように昭和三十八年、それから四〇年から四十二年にかけまして、厚生省で研究班を組織いたしまして研究いたしてきたわけでございますが、この研究の成果につきましては、できるだけ現時点において最も科学的と考えられるような精度を期待し、そういう方法をとりながら進めてまいっておるわけであります。たとえて申しますれば、検体をテストいたします、分析いたします場合でも、単に一カ所でやるということでなくて、三カ所等に分散をいたしまして、そこで独自に調査、分析した結果をさらに持ち寄ってチェックをするというような方法等で、出てまいりました数字が信頼性の高いものに持っていくような苦心を払いつつ研究が行なわれてまいりました。私どもは、現時点におきます考えられるものとしては、十分満たし得るような条件を備えているというふうに考えておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 阿賀野川の水銀中毒事件の結論は、厚生省としてはどういうように出たわけですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 食品衛生調査会に諮問をいたしまして、その前に行なわれました疫学班あるいは試験研究班、臨床研究班のそれぞれの研究報告を、さらにその調査会で慎重に検討いたしました。結果として、結論は、文章は省略いたしますけれども、昭和電工鹿瀬工場においてのアセトアルデヒドの生産に伴って出された水銀が、阿賀野川を長期広域にわたって汚染をしている、それが魚の中に入り、かつそれを多量に食べた人間の水銀蓄積が異常に高められた、これがやはり基盤であるという考え方に立っておるわけでございまして、その考え方をそのまま厚生省の見解として、科学技術庁に申し出ておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 科学技術庁の研究調整局長に伺いますが、この阿賀野川の水銀中毒事件の見解、結論はどうでしょうか。

梅澤邦臣科学技術庁研究調整局長

○梅澤政府委員 ただいま厚生省からの御答弁がございましたが、厚生省で御意見を出されましたものにつきましては、われわれも十分これを尊重しておりますが、いまの基盤と厚生省でおっしゃいましたが、そういう関係で、通産省のほうから一部見解の相違したところがございまして、その関係を、現在データその他で見解を判断しているというところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 いま、私は何を言わんとしているかと申しますと、結局、イタイイタイ病で今度たくさんな費用をかけて厚生省がきちっとした結論を出しても、また阿賀野川のように通産省の横やりが入っていつまでも引っぱっていく、こういうことでは、これはせっかくこうした結論が出てもまた何にもならない。そういうことでありますので私はいま言っているわけですが、科学技術庁の見解は、これはいつ出ますか。また、通産省のほうではこの水銀中毒事件のはっきりした検査をしたのかどうか、それに基づいて見解を出したのか、これをひとつ、梅澤さんからお聞きしたいと思います。

梅澤邦臣科学技術庁研究調整局長

○梅澤政府委員 ただいま科学技術庁におきましては、いま大臣からはなるべく今月中、三月一っぱいにできるだけ見解を大臣のところに持ってくるようにという命令をされておりまして、早急にいま考えておるところでございます。  それから、通産省のほうからの問題につきましては、意見書をもらっておりますが、私たちのほうは、厚生省からのデータと、それから通産省からいわれましたものと、この二つを対照いたしまして現在検討しているところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 通産省の吉光さん、あなたのほうはどういう見解だというのですか、この阿賀野川の場合は。

吉光久通商産業省化学工業局長

○吉光政府委員 通産省といたしましても、原因物質が有機水銀でありますこと、あるいはまた昭和電工の鹿瀬工場からもメチル水銀が排出されておったということは、異存がないところでございます。  ただ、この種水銀中毒事件等の発生を未然に防止するためにも、あるいはまた原因者を早期に確定いたしますためにも、さらにメチル水銀の物性等につきまして研究が進められていく必要があるのではないだろうかという点が第一点でございます。  それから、第二の関係でございますけれども、今回の直接の事件原因者の問題につきまして、私ども、特定の期間内に多数の患者が集中的に発生したということをどのように理解したらよいかという点につきまして、実は確信を持ってお答えすることができなかったということでございまして、その旨を科学技術庁に進達いたしたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 あなたのほうでは、水銀中毒によってそういう患者がなったということは認めておる。あとは、なぜそういうように一ぺんにたくさん出たのか、この問題に対する疑問だけですね。これはまあ科学技術庁のほうでひとつはっきりした見解を出してもらいたいと思います。いいでしょうか、梅澤さん。

梅澤邦臣科学技術庁研究調整局長

○梅澤政府委員 わかりました。できるだけ早く見解を出させていただきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 それでイタイイタイ病も、やはりこのように長い間引っぱった結論になりますと、これはまた問題だと思うのです。ですからこれはイタイイタイ病のほうも、厚生省の結論が出れば——あとでこれはもう一ぺん聞きますけれども、この間商工委員会で聞きましたところでは、このイタイイタイ病の原因がカドミウムであるということを、これを調べておるのは厚生省、それから流れてくる経緯について、予防措置としていまやっておるのがこれは通産省、こういうように今度六百万の調査費を出してやっているのだ、こういうお話でしたが、梅澤さん、間違いありませんか、どうですか。

梅澤邦臣科学技術庁研究調整局長

○梅澤政府委員 ただいまおっしゃられましたとおりでございまして、私たちが、特別研究調整費を通産省から御要望がございましたときに、原因につきましては厚生省でやっていただいております、したがいまして、今後万が一の問題があってはいけない、そういうために予防対策としての問題について、通産省にはお金がありませんので、われわれのほうで考えましょうということで出したわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 そうすると、厚生省の結論がやはり政府の結論になってくる、こういうようにとってよろしいでしょうか。梅澤さん、どうですか。

梅澤邦臣科学技術庁研究調整局長

○梅澤政府委員 イタイイタイ病につきましては、先ほどの阿賀野川のように、われわれのほうが出てどうということではなくて、できるだけ各省所管のところで十分その意見を取りまとめていただくという形で考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 何かわからぬような答えですが、厚生大臣、ひとつしっかりしてもらいたいと思うのです。実はこの前の阿賀野川のときは、あなたではありませんでしたけれども、今度のイタイイタイ病の富山の場合は、厚生大臣のあなたが当の一番の責任者でございます。したがって、厚生省が出したところの結論というものは、これはもう各省が何と言おうとも間違いないのだという確信のあるところの報告書にしていただくと同時に、それを認めさしていく、ひとつそれぐらいの態度でやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 厚生省の出した結論については、各省もすでに異論のないところであると考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 時間が迫ってまいりましたが、大気汚染防止法、それから騒音防止法、この二つにつきまして、今国会へ出すつもりをしております、早い時期に出すつもりをしておりますというお話でありますが、大体いつになるでしょうか。大体何月とか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 騒音防止につきましては、ほぼ今週中からも法令の検討に入るという段階になっておりますので、それがまとまり次第ということでございますので、おそらく月のうちには十分出てまいると思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 三月のうちにですね。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 はい。それから大気につきましては、多少まだ問題は残されておりますけれども、これはまだいつという段取りまでいま申し上げるところまでいっておりません。これはできるだけ並行してやっておりますが、最短期間でもって上がりますような方途をいろいろ並行して考えております。ただ、いつというところまではまだ正確にはお答えしがたい状態でございます。しかし、なるべく早くということで、いろいろな並行の作業を進めております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 騒音防止法は三月、大気汚染防止法はちょっとおくれるけれども今国会にはと、これははっきりいたしました。  時間がありませんので、次に、神戸あるいは桑名やあっちこっちでつくっているビニールサンダルですか、これに使うゴムのりによって中毒患者を出しておるということが発表されておりますけれども、これはベンゾールのりだそうでありますが、ベンゾールのりにかわって厚生省が安全だと称して使用をすすめたところのフェルマルヘキサンというのですか、これだということが出ておりますが、これについては環境衛生局長さんどうですか。聞いておりませんか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 この問題は、おそらく労働衛生の問題と私どもは理解しておりまして、私自身は直接聞いておりません。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 最後に、これも食品衛生だと言うと思いますけれども、これはあとで知らせてもらいたいと思いますけれども、漂白イトコンニャク、こういうことで阪神方面に相当出回っておる。肝臓障害のおそれがある。漂白亜硫酸が多量に入っておる、こういうようなことが出ておりますけれども、厚生省のほうではこれはどうでございますか、この見解について……。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 ただいま正確な数字は記憶しておりませんが、コンニャク等についてのそういうものの許容限度は、品質基準としてきめられておるわけでございます。もしそれをオーバーするようなものがあれば、全部違反食品として取り締まるというたてまえで進んでおるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 これは最近の新聞でありますけれども、兵庫県の衛生部が八日に研究発表しておりますが、三月九日に報道されております。これについてまだ調査あるいはまた何らかの指示は出していないわけですか、どうですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 私、直接その報告をまだ聞いておりませんけれども、個々の食品の取り締まりについて措置をいたしますのは、都道府県知事がやってまいるわけでございます。したがいまして、そういう違反があれば、都道府県知事がみずからいろいろな適当な処置をとるたてまえでございます。一々厚生省から指示というものではございません。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 その場合、厚生省のほうに各県知事、あるいはまたそういうところから報告があり、また、どうしたらいいだろうかというような相談があるんじゃないでしょうか、どうですか。

松尾正雄厚生省環境衛生局長

○松尾政府委員 非常に困難な問題であれば相談が出てまいります。しかしながら、明らかに検出できるような、違反というものがはっきりわかった場合には、必ずしも私どもに相談をすることなく、都道府県知事が独自に処理をするということができるようになっております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 では、この問題はこれくらいにしておきますけれども、最後に一点だけ……。  これは厚生大臣に直接お聞きしたいのですが、最近、兵庫県の尼崎というところがありますが、そこに園田の保健所の設置について陳情がおそらく厚生省に来ているわけです。これについての御見解をひとつ……。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 まだ聞いておりませんが、参りましたならば、よく検討してお答えをいたします。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 では、時間が参りましたからこれで終わりますけれども、いずれにしても公害対策基本法ができてもうずいぶんになるわけですが、人の命はとうといものですから、この三法案に対しては強力に積極的に厚生大臣が取り組んでいただきたい。そして一日も早く法制定をし、国民の健康を守っていきたい、こう思うわけですが、大臣のひとつしっかりした決意をお願いしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見のとおりに重大な決意をもってやる覚悟であります。  ただ、公害につきましては、しばしば申し上げますとおりに、起こった公害をあとから追っかけておってはなかなかたいへんなことで、非常に困難であります。むしろ公害を未然に防止することが必要でありまするから、いろんな法案をつくります場合には、そのことによって、企業者あるいは事業をやる人々が、公害を与えてはならぬという観点から企業をすることが望ましいことであって、公害が起こったあと訴訟になって、九十年もたってから解決するようなことでは、これはたいへんでありまするから、そういうことを基本にして決意を新たにしてやりたいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)分科員 終わります。

登坂重次郎自由民主党

○登坂主査代理 次に中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 きょうは時間が許しますれば、原爆の問題、あるいは当面重要な身障者、保育所、諸問題についてお尋ねをしたいのですが、三十分ではどうすることもできませんから、社会労働委員会でどうせ法案が出るわけでございますから、原爆問題はその際お尋ねをしたいと思います。  この際、大臣にひとつきっぱりお答えを願いたいのです。先般もちょっとお話をいたしましたが、今度出されておる特別措置法に、原爆の援護審議会の制度を考えていない。御承知のとおり現行医療法の中には医療審議会がある。国会の決議によって被爆者援護の方向に進む、ある意味においては、二十数年間被爆者が援護強化を叫び続けてまいったその足がかりをつくったという意味では、私は画期的であると言えると思う。ところが、援護審議会をつくらなければ、これから先、被爆者の援護強化ということがなかなか困難になってくるのではないか。もちろん大臣がその席に長くとどまっていただくということになりますと、期待が持てるわけでありますけれども、やはりこの際援護審議会をつくる、こういうことで強力に閣内においてがんばっていただきたいものだと思う。被爆者もこれを強く望んでおります。かつて官房長官にもこのことについていろいろお話ししたことがあるのです。援護審議会をつくることは、当然じゃないかという見解を漏らしておった。必ずしも閣内において強い反対というものがないのではないかと私は思います。援護審議会についてどのようにお考えになっておられるか、経過と、これからの大臣の取り組み、決意について伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 中村委員から、先般、医療審議会を援護審議会に改組しようじゃないかという御意見を承ったことは、十分記憶いたしております。今度の立法を機会に、被爆対策が医療の面から総合的な面に飛躍的に踏み出すことは事実でありまして、それに伴って、これの実施にあたっては、各方面の御意見、あるいは学識経験者等の御意見を承って、実施に万遺憾なきを期したいと考えておりまするが、いまの医療審議会を改組したがいいのか、あるいはあらためて援護の関係の審議会をつくったらいいのか、この点十分検討いたしましてから御相談をしたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 いずれにしても、いまお答えがございましたように、現行医療審議会を改組するか、新たにつくるか、その点について検討したい、だから被爆者援護の問題については、学識経験者その他、各層の意見を十分聞く機関をつくらなければならぬということについては、大臣の考え方は固まっていらっしゃると理解してよろしゅうございますね。——それでは、大臣そのとおりだと態度で表明をされたわけでございますから、どうかひとつ大きく期待をいたします。  それでは、具体的な問題は次に譲るといたしまして、大臣に考え方をこれまた伺ってみたいと思うのですが、御承知のとおり、昭和四十年に六百十八万と人口の六・三%にすぎなかった六十五歳以上の高齢者が、昭和六十五年には千三百七万人、総人口の一一%になってくるわけですね。九十年にはこれが二〇%をこえるであろうといわれる。一方十四歳以下の幼少人口は、将来に向かってずっと減ってきつつある。三十年後には十四歳以下の総人口に占める割合は四十年の二四%から一八%になる、こういう統計が実は出されておるわけです。将来のわが国産業にとって欠くことのできない幼少人口が減って、反対に老齢者がふえる、こういうことになってくる。そのことは、十五歳から六十四歳までのいわゆる生産年齢人口が、近い将来ずっと減少するということ、これはたいへんな問題だろうと思うのです。  だから、これはただ年寄りがふえるのだ、幼少の人口が減っていく、生産年齢人口がずっと激減をしていくのだということだけでこれを受けとめるのではなくて、やはりわが国における人口問題ということでこれを受けとめていかなければならないのじゃないか。そうすると、どうするかということが答えとして出ていかなければならないのですが、大臣としては——これは厚生大臣一人の人口問題という形で受けとめるということになってまいりますと、それだけではもちろん事は処理できないわけでございますけれども、やはり当面担当の大臣として、人口問題として受けとめる場合に、どういう対策が考えられるのか、伺ってみたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 人口問題は非常に重大な問題でありまして、単に厚生省だけではなくて政府として、的確な人口計画、家族計画を持たなければならぬと考えます。なおまた、その計画については、他国の関連等も考えてやらなければならぬ問題だと考えます。政府は、ただいま審議会に諮問をいたしておりまするが、その答申を待って具体的に研究をしていかなければならぬと考えておりますが、私のただいまの考え方では、やはり人口が逐次低下していく、出産率は世界最下位であります。この点に十分注意をして、やはり西欧諸国と同様に、人口増加の方向へこれを持っていかなければならぬのじゃないかと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 年寄りがふえるということは、若い者に荷が重くなってくるということですね。そうすると、一人の働きでは生活をささえることはできないから、共働きをしなくてはならぬ。そうなってくると、その子供をどうするか、幼児の保育の問題が出てまいりますから、保育所の問題が出てくる。そこに老齢者対策、それから幼児の対策というのがずっと出てくる。それらの点についていろいろお伺いをしたいのですが、これは時間がございません。これもまた適当な機会に譲りたいと思います。  そこで、きょうはこの一点にしぼってお尋ねをしなければならぬと思いますが、昨日でございましたか、堀委員から献血の問題について簡単な質疑がなされて、大臣も非常に情熱を傾けられて、近く血液センター等を見てみたいというような御意向であったというように伺ったわけです。私も、この血液の問題というのは、国の行政の面からいたしまして非常に重要な問題であるということで、強い関心を持って血液センター等にも行ってみましたし、いろいろと資料等も見まして、私なりに勉強してまいりましたが、どうもこれほど重要な血液の問題に対して、厚生省の取り組みが、端的に言って私は弱いと思うのです。大臣も就任されてからそれぞれ御調査になっていらっしゃる、実態は把握しておられるとは思うのでございますけれども、私が以下お尋ねをすることによって、特に認識を深めていただきたいということを強く期待をしたいと思います。  そこで、局長にお尋ねいたしますが、輸血用血液の何%が献血で、それから預血が何%で、売血がどの程度であるのか。  それから、時間の関係で続けてお尋ねいたしますが、血液の需給状況はどうなっておるのか。お答えを願います。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 現在のわが国の血液の需給関係でございますが、お尋ねのように売血といわれているものは、現在もうほとんどございません。したがいまして、残りますのは献血と預血でございますが、献血が大体七五、六%、残りが預血、こういうことに相なっておるのでございます。  それから需給関係でございますが、結論から申し上げますと、現在のわが国の血液の総製造量というものは、大体年間四十三万リットルというのが実績で示されているわけでございます。一応これでそう大きな血液不足という状態は年間通じてないわけでございますが、年度途中におきまして、たとえばO型が不足するというような事例が間々ございますので、私どもの観測といたしましては、現在のところこの年間四十三万リットルという実績を、大体四十七、八万くらいのところまで持っていきましたら日本の血液状況というものはほとんど正常化する、こういうふうに思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 お示し願った数字は、私の調査したところとは違いますが、これはあとでまた伺ってみることにいたします。  そこで、この血液供給の機関というのが、御承知のとおりに日赤がやっている献血と、それから血液銀行がやっている預血、また日赤のセンターがない数県にわたって県自体が血液センターを持ってやっている。そうした比率がどういうことになっているのか。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 血液の供給関係並びに配給の関係でございますが、いまお述べになりましたように、日赤と、それから若干の都道府県立と、それから民間の商業血液銀行、この三本立てになっているわけでございますが、いわゆる献血を担当する日赤なり都道府県、こういうもので先ほど申しましたように大体七五、六%を取り扱っているわけでございます。残りが預血という形で民間血液銀行が取り扱っているわけでございますが、日赤なり県のやっております献血の配給ルートは、大体三つございます。つまり日赤なり県が直接に配給してやるという直配方式と、それから適当な団体とか法人等に委託している委託方式、それから民間にございます薬局等の既存のそういうルートを通ずる方式、この三つの方式をとっているわけでございます。私どもが先般調べたところによりますと、日赤なり県の直配方式というのは、現在のところ非常に数が少のうございます。大部分は第二、第三の委託方式なり、民間の薬局を通じて配給しておる、こういう状況になっております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 そこで、あなたは血液がたいして不足していないとおっしゃったのですけれども、血液が非常に不足している、不円滑であるというために、手術をする輸血が必要だが、間に合わないから、患者のまわりの人、そういう人たちの輸血で、これは結局好ましくない生血の輸血をする。しかし、それでも生命を取りとめるためにはやむを得ないのですね。二十人、三十人の人たちに輸血をしてもらう。そういった患者のまわりの人たちが供血をする。それは献血でもなければ預血でもないわけですが、それはどれに入るのですか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 新鮮血と言われまして、直接患者に対して適当な人から血を集めるものは、私どもは一応献血なり預血のグループに入れていないわけでございますが、いま先生おっしゃいました患者の周辺の親戚なり友人なり、そういう縁故者をたよっての採血、これは私どもの使っております用語でまいりますと、いわゆる指定献血ということで献血のグループの中に入れておる、こういう状況でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 まくら元輸血でないならば、新鮮血という形になる。いまお答えになった指定献血というのは、全くこれは問題がある。結核病院で、結核患者にその指定献血を強く要求する。私はいつ取り上げたことがある。ひどいのは、結核で入院している患者の血液をとっておる事実もあるのです。そういうことでありながら、いま局長は、血液については見通しはきわめて明るく、楽観的な答弁をしている。私が以下お尋ねすることによって、大臣はその深刻さを御理解いただけるだろうと私は思うのです。  そこで局長、現行制度の中で、主として献血の問題が中心となってくるわけですが、問題点をどういうように受けとめていらっしゃいますか。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 現行の厚生省、つまり政府が提唱をしております献血制度は、三十九年の閣議決定以来実施しているわけでございますが、現在の制度上、どういう点に問題があるかという率直なお尋ねでございますので、項目だけを申し上げますと、まず第一点は血液の供給価格の点であります。千六百五十円というふうにきめられているこの価格を、どういうふうに合理化するかというのが第一点。第二点は、先ほど来先生が御指摘のように、配給制度なり需給の調整というものを、もっと能率的に合理化していくという点でございます。それから第三の点としましては、先ほど私、血液は非常にだいじょうぶだと言ったように先生おとりになっておられますが、四十三万リットルを大体四十七、八万リットルまで伸ばしたいということを言っておるわけでございますので、早く、そういうふうな血液不足の状況が全国的に解消するように、もう少し一般国民に対するPRというものをやっていきたい。同時にまた、献血の組織の育成、献血の組織化をやっていきたい。そういうようなところに現在の制度上の問題点が残されております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 確かに御指摘のとおり、それらの点は問題でありますが、私はもっと根本的な問題点があるような気がいたします。それは、七五%が献血とお答えになったですね。全くそのとおりです。私の調査ともぴったりする。そうすると、厚生省設置法の中に献血というものはないのです。何があるかというと、現行の法律は採血及び供血あっせん業取締法という法律がある。大臣、いかがですか。いわゆる売血の時代のものです。あっせん業を対象とする法律がそのまま生かされて、これによって事務運営がやられているのですね。そして七五%という献血に血液行政が依存をしなければならないにかかわらず、この献血の問題に対する何らの規定もない。ここからもう全く献血行政というものが混乱をしている。問題はここにある。これから出発しなければいけないと私は思う。  そこで、献血の扱いというものに、いま申し上げたように全国的に不統一がある。それで中央では献血とか預血とかいっているのですが、県段階になって、もう末端になってくると、献血とか預血とかいうのは混乱してしまって、さっぱりわからなくなってくる。そしてその預血というのに県が今度は献血証明を出しているという事案も私る。血液銀行、いわゆる商業銀行というのは献血をやらないのですね。預血だけしかやらないでしょう。やらないのだけれども、献血証明をこういう形で出しているのです。県が業者のものに献血証明を出しているという事実もあるようです。緑十字というのがありますが、これは兵庫のやつです。これは愛の献血証というのです。東京にもあるのです。だが、それは出していないのですね。だから同じ緑十字証でも、こういうように混乱して、いわゆる一本化した姿というものがない。そしてただいま申し上げたように、県段階、もう末端に行くほど混乱をしておるという状態です。こういうことは献血の問題そのものにいろいろと影響してきておるわけです。  そこで、どうでしょう、私が申し上げた七五%という数字になっておる血液行政の中心である献血、これに対応する何らの規定もないということですが、これでよろしいのかどうか。大臣はいまお聞きになって、感じとしては大体お答えが出るのではないかと思いますが、どういうふうにお考えですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 血液の問題は、単に医療救急ばかりでなく、保健管理の問題からも非常に大きな問題であることは事実でありまして、それに、御指摘を受けましたとおりに、厚生省の行政機構そのものが、今日の血液の問題に対応する機構になっておりません。正直申し上げまして、ただいま薬務局の細菌製剤課がこれを所管しておりまして、直接血液を担当しておるのは補佐三名と係長一名、係員三名、このうちの一名が専任でありますから結局二名でやっているようなことでございまするので、この点からも検討し、なお法令上の問題も検討しなければならぬと考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣の率直なお答えです。もうそのとおりですよ。私はきのう行管関係で分科会で質問いたしました。木村長官にも、あなた人を減す減すと言う、そこにばかり力こぶを入れる、機構の問題についてあるいは人の問題について、どういうところをふやさなければならないか。その中でこれを取り上げたのです。それから公正取引委員会の問題もあげました。会計検査院なんかの問題もあげました。そういうようなことがあって、ふやさなければならぬところはふやしていくということを、きっぱり木村長官も答えました。大臣、これはもうさっそく取り組まれて——薬務局の細菌製剤課の中にたかが係長と専任が一人と私は聞いているのですが、そういうことでは話にならない。だから、これではいけないとおっしゃいましたが、さて、それをどうするかということ、その点ひとつきっぱりお答え願います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 これは行政上の問題でございますから、ここで確答は避けたいと思いまするが、やはり一つの課をつくるなり、あるいは定員を充実するなり、機構の問題から逐次検討改革をして、法令の問題も早急にやらなければならぬと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 売血がないと局長答えられましたが、大臣、実は売血があるのです。相当な売血です。昔の山谷のような、ああいう形の売血じゃないのです。ところが、それになりかねない。なぜかというと、いわゆるあっせん業でしょう。あっせん業だから、その業者が病院に人を送り込むのですよ。そして登録をしておいて、いわゆる新鮮血の輸血をやるというやり方。預血でもって血液を預かって、そして預血手帳を渡すというやり方もあります。ところが、いま申し上げたようなやり方で、人を送り込むというやり方が行なわれていますよ。これは明らかに売血でしょう。十分な検査もできません。大体献血をやると、六十九時間ですか、検査をやらなければいけないのですね。梅毒の検査なんというものは完全には行なわれない。そういうことですから、これはきわめて危険なんですね。そういうやり方が行なわれている。  それからもう一つ、預血手帳というのがもうどんどん売られています。手配師なんかがプレミアムつきで預血手帳を売っているのです。これも預血の名による新たな売血ですよ。私は、こういう事実を局長が御存じなくてお答えになっておるのではないかと思います。大体厚生省の取り組みがわからないのです。どれだけ必要なのか、どれだけ採血が行なわれておるのかということを御存じない。ただ、この間の東京都の事件のように正月休みなんかやって、さあ血が足りなくなったといってばらばらやる。ああいうときにはすぐわかる。ところが、計画的に行なわれてないから厚生省はおわかりにならない。これは問題です。ですけれども、いま制度上そういう欠陥があったのでございますから、大臣がそういう機構面、制度上これを直していく、こういうことでございますから、これから私はよくなるであろう、こう思います。ですからきょうはもう責めません、答えは出ておるわけですから。そういうことであってはならぬと思います。  こういうことをお話し申し上げると、きりがございません。いまの価格の問題でも、実は二百cc千六百五十円、これも人を信頼しなければなりませんけれども、お医者さんを疑うようなことはこうした公式の席上では触れませんが、やはりそういう点にも問題がある。患者が預血をしてはたして幾らもらっておるのか知っているだろうか、わからないのです、それはどういうふうになっているか。それから献血をしてもらう場合に、献血した患者に謝礼みたいなことで、三百円でジュースを飲ましたり、手帳を渡したり、いろいろなことをしている。別に二百円を、車を買ったりなんかするというための積み立てをしている。この前お尋ねしたときに、局長は、これは好ましくないからやめるとおっしゃった。やめていない。やめておればけっこうなんです。これはそれだけ前進ですね。  ところが、この三百円もおかしい。ほんとうに三百円なのかどらか。これは三百円——人の大切な血液を献血をしてもらって、それからピンはねなんか、まさか日赤はしておるとは私は思いません。ですけれども、明瞭でないということだけは十分念頭に置いて調査なさる必要がある、そういう画一的なやり方でいいのかどうか。ともかく大臣、血液というものは、金を出して集めるとか、そういうような取り組み方であってはならぬ。血液は生きております、人間の生命が宿っております。これは非常に貴重なものです。そうした嵩高な気持ちを持って献血の問題に取り組み、血液行政を精力的に推進していくということでなければならぬと私は思います。  同時に、地方にそれぞれの協力機関がありますが、これもさっぱり動きません。学校等についても、むしろ私は学校の児童に対し、道徳教育とかなんとかやれというなら、こういうような問題こそ児童に教育をしていく必要がある。そうして相互扶助の精神で、ともかくお互いの生命を守ろうじゃないか、こういうような態度でお取り組みにならなければいけないのではないか。嵩高な気持ちで血液の問題に対処していただきたい。  それから、先般テレビで、十一月十七日であったと思うのですが、ベトナム戦争で負傷した兵士に対して、生産に四ヵ月もかかる貴重な血清を売ったということが報道された。これは何かあとで誤報であったというようなこともちょっと聞いたのでございますけれども、その経過をお聞かせ願いたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 まず前段のことからお答えをいたします。  血液については生命であって、これは業者にまかすべきことではない、こう昨日も答弁いたしましたが、そのとおりでございます。実は昨晩、献血の学生運動をやっている係の方から、献血運動をやっていると壁にぶち当たる、それは献血か売血か何かわからぬ。何かわからぬ手合いが出ていろいろなことをやる。また血をもらうほうからいえば、売血より献血のほうが高くつくというようなわけのわからぬ話を聞いてきたのですが、きょうの御指導を聞いて思い当たることが多々ございますから、これは局長と相談してよく改善いたします。  なお、あとの問題は、血清ではなくてガスえそ抗毒素の問題だと思います。これは一時請求がございましたけれども、私のほうで断わりまして、これは誤報でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 これで終わりますが、保存血液を薬局で売らせている問題、これも調査してください、そういうことでいいかどうか。時間的に無理があるのじゃないか、あるいは速急に間に合うためには車でもって病院に運ばなければなりません。これは血液を扱う問題というのは夜通し、いつ何どき必要であるかもしれません。ですから、薬屋に売らせて、二十一日間以上これを保存できない。しかも、温度というものは非常にむずかしい。どんなに精巧な冷蔵庫か知りませんけれども、一般の薬と同じように、薬店に血液をおろしてこれを売らせるということがいいかどうか、これも私は重大な問題であると思います。管理上の問題としてこの点も早速調査して対処していただきたいと思う。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 数々の御指導、お礼を申し上げます。ただいまの問題はすでに中止をさせております。

田中正巳自由民主党

○田中主査 内藤良平君。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 厚生大臣おいででございますから、きょう早くからたいへん御苦労さまでございますけれども、一言だけ御質問申し上げます。  ことしの四十三年度予算の編成方針を拝見しますと、いわゆる施策の重点としましていろいろ掲げておりますけれども、主として地域格差の是正また解消、この文字が全然ない。私は秋田の出身でございますけれども、今日のわが国の現状を直視しまして、この地域格差のあることは、しかも年々なお格差が増大しておるという点は、これは客観的に言えると思いますけれども、特に厚生関係はいろいろ広範な問題をかかえております。地域の格差の問題、特に恵まれない地域の問題、大きな要素があると思います。私は率直に申し上げて、天草、これも日本の格差のある地域だが、そこの御出身の大臣でありますから、たとえ予算の編成方針では施策の重点には掲げてございませんけれども、厚生大臣としては、地域格差の是正ということについてはお考えがあろうかと私は思うのでありますけれども、なお率直に、その点につきまして一言お答えをいただければと思って御質問申し上げます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘の問題で、特に大きな問題は僻地の医療行政の問題、それからそればかりでなく、全般的な保健所とか、あるいはその他の均等すべき医療行政等が非常におくれておることは事実でございまして、この格差の是正をはからなければならぬことは御指摘のとおりでありまするが、今年度の予算において、私の不行き届きから、その点は十分にいってないことを深くおわびを申し上げます。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 予算の面では、施策の重点には取り上げておりませんけれども、地域格差是正のために、園田厚生行政でそれをひとつやっていただきたい、こういう気持ちなんですよ。その点いかがでしょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘を待つまでもなく、格差の是正には強力に今後進んでいきたいと考えます。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 いまの大臣の御答弁をいただきまして私申し上げたいのは、お医者さんの問題であります。これだけに限って伺いたいと思っておりますけれども、今日いろいろいわれましたところの無医村の問題は、形の上では解消されたというぐあいに聞いております。ただ私たちの東北、秋田あるいは山形、こういういなかのほうでは、村の中でお医者さんのいない地区がまだまだたくさんあるわけであります。これにつきましては、政府、厚生省でもいろいろ御心配になりまして、予算面でも何かと御配慮をしておるようでありますけれども、今年度につきまして、特にこれらの問題につきまして、お医者さんが足りないという、いわゆる無医地区といいますか、こういう地区に対する対策はいかようなものがございますか。特徴的な点でもございましたならばお知らせ願いたい、かように思います。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 僻地の数は、まだ相当たくさんございます。この地域に、何とかして医療を普及させようということで、昭和三十一年以来、私どもでは僻地医療対策を実施してまいりました。当初におきましては、できるだけそのような僻地にも診療所を設置して、医師に行っていただきたいという方針をとりまして、年々僻地の診療所を市町村に設置させ、それに補助していくという方法をとりました。しかし、最近に至りまして、約四百ヵ所の診療所を設置いたしましたが、これ以上は、もう医師に行っていただけるような地域もなかなかございませんで、今後におきましては、僻地性自体を解消していくということで、非常にへんぴなところからは、むしろ医師のいる町、市にまで出てきていただく、そのために輸送機関を各地に確保しようということで、輸送力を市町村に確保するという方向に大きな転換をいたしております。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕 それでも、なお足りないところは、細々とでも巡回診療その他の方法でもってまかなっていくという方法をとっております。したがって、明年度予算におきましても、僻地の診療所の設置を十三カ所、また、患者輸送車を八十二台、そのほかに、海の、島をやりますために輸送艇をつくる。そのほかに、僻地巡回診療あるいは無歯科医師のところの歯科の巡回診療等をやりまして、さらに国立病院の医師を適時無医地区に派遣したいという趣旨で、国立病院に二十名の非常勤医師を置きまして、これを適時派遣するという方向で対策を講じております。その予算額は明年度二億八千八百万円となっております。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 診療所の設備に対する改善の補助、あるいは巡回移動診療班の整備の補助、こういう面で、いわゆる無医地区の解消のためにいろいろ御配慮のことと思います。ただ、たとえば、私のいなかの秋田で見ております際に、いろいろそういう施設をいたしましても、あるいは整備をいたしましても、お医者さんが定着しない。これはまた、いなかの診療所だけではありません。町の公立の、県立、市立の病院の場合におきましても、お医者さんが、ある時点になりますと開業してしまいます。こういう点で、どうも公の医療機関あるいは僻地の診療機関に、医師が定着しないわけですね。これは、問題がどこにあるか。大体わかるわけですけれども、私は、お金の問題だけではないんじゃないかと思うのです。お金も、いろいろ予算をつけまして、村長よりも高いお金をくれておる、こういうところもあるようですけれども、それでも押えることができない。問題はどこにあるのか。その原因ですね。これは、率直なところを聞かしていただきたいと思っております。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 僻地において、僻地と言いませんまでも、比較的いなかの地域におきまして、医師の定着が悪い。特に小さな病院の勤務医師の定着が非常に悪い。最近そういう問題が、非常に大きく浮かび上がっております。なぜ医者が行かないかということになりますと、もちろん、経済的な問題もさることでございますが、何ぶんにも医師という職業は、最高の教育を受けました文化人でございますために、生活それ巨体が、かなり文化的なものを要求している。したがって、いなかのほうでは、なかなか生活環境があきたらないという点、また、ことに病院勤務の医師というものは、比較的若い医師が多いわけでございますので、そういう医師は、研究意欲といいますか、勉学意欲に燃えております。にもかかわらず、いなかのほうの小さな病院では、そういう医学あるいは医療自体の勉強の機会がなかなか少ない。また、もう一つは、いなかのほうの病院に長いことくすぶっていると、将来都会へ出てきても、いい地位に恵まれる機会が失われてしまうというような点、あるいは、子供が大きくなりますと、子供の教育をする上に、都会地でないと子供を進学させることもできないというような点もございます。そういういろいろな難点がございますので、こういうことは地域それ自体にもからみついた性格でございますので、単に待遇その他だけを改善いたしましても、なかなか根本的に解決されないというのが現実であろうと思います。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 そこで、これは何か妙策がないかということですね。これらの問題につきまして、何かお考えになっていませんか。このままにしてはおかれぬということは御同感だと思い出す。何か妙策がないか、もしお考えがありましたらひとつ……。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 直ちに普通に考えられますことは、若い医師あるいは学校を卒業したての医師等を、ある程度義務的に特定の地域に勤務さしてもらえないかという意向もずいぶんございますけれども、私は、こういう方法は、現在の社会環境の面から見て、なかなか実施困難であろうと思います。そういう意味で、強制的にやるということはできませんので、どうしても自発的にそういうことが行なわれるようにしなければならぬ。  そのためには、先ほども申しましたような欠点の中で、将来また勉強ができる、また将来いい地位につけるようなチャンスを失わないというようなことが一つの解決策であろうかと思いますので、そういう意味で、僻地等に勤務した医師が、都会の相当な病院にまた帰ってきたいというような場合に、優先的に受け入れる、特に国立医療機関等においては、僻地に勤務した者を、優先的に受け入れるというような方法が一つあるのではないかと考えます。  もう一つ、現在のいなかのほうの病院といいますと、だんだん単位が小さくなりまして、五十床、百床というような単位の病院が多うございます。これではどうしても医師の勉学意欲、研究意欲というものを満足させることができませんので、いわゆる地方病院というものをもう少し規模を大きくして、広い地域をカバーして、そして、そのかわり、施設も大きくりっぱにして、研究的なことも行なえるというような形に持っていくのが、そういう地域における医師定着に効果があるのではないか。そういう意味で、私どもは、将来地方の病院というものを、さらに広範な地域をカバーしながら相当りっぱな施設にしていく、そして、交通機関の発達と相まちまして広範な地域をカバーしていくというような方法が、将来の方法として適当ではなかろうかという考え方を持っております。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 それでは、こういうことをひとつ申し上げておきたいと思います。私たちの秋田県では、人口十万に対して七十八人の医師の充足率、お隣の山形県は八十二人、全国的には百十一人、こういう数になっているわけであります。全国的には百十一人が平均でありますけれども、これと比較しまして、秋田、山形というようなところは少ないのです。こういう少ない県というのはやはり相当全国に多いものでしょうか。県単位に考えてください。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 ただいまのお話のように、人口十万対の医師数を見ますと、全国平均が一二・三でございますが、北海道が八九・四、青森が九六・九、岩手が一〇〇・六、宮城が一三三・七、秋田が七七・七というようなぐあいで、結局、岩手とか宮城とかいうような大学の所在地は、比較的よろしゅうございます。ところが、大学から離れれば離れるほど医師の充足が悪い。同じ東海地区でも、静岡のように大学のないところでは、秋田県に匹敵する程度に、八八・一というような少ない地域もございます。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 私たちのいなかの町村長の会合で、こういうことを決議しておられるわけであります。国費による医師の養成を強力に行なって、町村に対する計画的医師の配置の措置を講ずること——これは厚生省関係で、お医者さんの国費による養成等強力な対策云々と言いましても、ちょっと的がはずれるかもしれませんけれども、実際現地の町村長たちは、お医者さんをつかまえるのにたいへん頭を痛めておるわけであります。いなかから見ますと、絶対数が足りないのかと思うわけであります。また、いまの町村長の決議でございますけれども、養成につきましていま局長さんのお話がありましたけれども、大学医学部のあるところは比較的歩どまりがいいといいますか、定着率がいいようであります。  それから、ちょっとおかど違いかもしれませんけれども、秋田では、秋田大学に医学部を設けてもらいたいという声がいま出ているわけです。これはどこから問題が出たかといいますと、無医村の問題で医師が定着しないという問題です。それじゃ県内の方々を大学に入れたらそういう場合に歩どまりがいいんじゃないか。特に女性の場合は、秋田県の場合を例にとりますと、男女で約十万の人口の差があります。男性が七十万で女性が八十万くらいです。ですから、女性は案外いなかからあちこちに飛んでいきませんから、たとえば秋田大学に医学部を設けて、女性がその方面に伸びていく、そして医師として定着する、こういうことも可能じゃないかということなんですね。ところが、これはまた文部省関係になるわけでありますけれども、なかなか新規の大学、特に医学部ということは困難なようであります。率直に言いまして、私また明日の文部省の分科会でこの問題を取り上げて申し上げますけれども、やはりお医者さんの量を——量と言っては失礼でありますけれども、多くしなくちゃならぬ。これは厚生省でもそれにも取り組まなくちゃ、この問題は解決できぬじゃないか。お金をかけて診療所をいろいろやり、あるいは車を買うなどいろいろやりましても、どうも定着ができない。これは強制もできない。それを率直に言いますと、開業するお医者さんのほうが所得が多いわけですから、そこまで押えることはできないでしょう。女性のことを申し上げて恐縮ですが、決して男女の差別を考えているわけではありませんけれども、私たちの考えでは、そういうぐあいにやった場合なんかうまくいくんじゃないか。また、外国の例を見ましても、お医者さんあるいは学校の先生は女性の方が多いといわれている。日本なんかも、人口の変化、労働力の変化でそういうぐあいになるんじゃないかと思うのです。それらも考えて、この大学医学部を設置する問題につきまして、厚生省として、いままでいろいろ論議しましたこの観点から、これを強力に進めるというお考えはできないものかどうか、これをひとつ大臣にお聞きしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの僻地の問題は、御意見のとおりでございまして、僻地に診療所をつくっても居つかない、かといって機動性を付与して巡回診療等をやってもなじまない。結局はお医者さんの研究心というものは、ただ単に設備だけではなしに、人脈的な問題も非常に多いわけでございます。したがって、その大学を中心にして、近代設備を持った地方病院を根拠地にして、出先の診療所に出ていくというふうに、三カ所をつなぐことを考えなければ地についた診療はできないと考えます。そういう点から、絶対数のこともありまして、その中心地に医大等を設置されることについては厚生省としても望むところでありまして、具体的にそういう問題が起こりましたならば、私としても、極力これに対し、所管ではございませんが、国務大臣として文部省にも要請をする所存でございます。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 これはくどいようですけれども、大臣、無医村の問題は、いま申し上げたとおり、やはりこの数の問題、人脈の問題、大臣のおっしゃるとおり、出身大学の系列といいますか、こういう問題もあるようですから、ぜひ厚生省当局としても、無医村の問題、無医地区の解消問題から、この問題を強く文部省に提起してもらいたいわけであります。文部省側から、たとえば秋大の医学部設置というぐあいに出てくる前に、国民の健康を守る、あるいは地域の格差解消、特に農村の恵まれない皆さんの医療関係を確立していこうといいましても、結局お医者さんがいなければどうにもならないから、これはひとつ積極的に厚生省から乗り出していただきたい。予算の点になりますと、これはまた金もうんとかかるようでありますけれども、しかし、ある意味では、厚生省である程度の予算をもってこれに乗りかかってもいいのではないかと思いますけれども、文部省関係の予算だけでなくして、厚生省自体でもこの問題に対しての予算を持つ、養成という意味で、厚生省としては看護婦さんの関係なんかやっておるじゃないですか。そういう点などいかがでしょうか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 おっしゃるように、医師の絶対数自体も不足であると思います。私どもの統計でも、先ほどのように、日本は人口十万対一一一でございますが、この程度の数はイギリス、フランスと同じでございまして、アメリカは一五〇、ソビエトは二〇〇近い数になっております。そういう意味では絶対数が不足であることは間違いないと思いますが、それよりも現在一番困っておりますのは、最近の医療需要の増大でございまして、一人の年間の入院日数というものは、十年前に比べて八割以上ふえております。一人のお医者さんの扱う患者数は、大体八割程度ふえております。そういう意味で、医者もまた非常に重労働におちいりつつあります。そういう意味で、医師の絶対数をどうしても増さなければならぬ。そういう趣旨で、私どもも昭和三十六年以来医師の定数増加をはかっておりまして、三十六年現在で医学校の入学定員が二千八百二十名でございましたが、これを年々ふやしまして、昨年が三千八百六十名、さらにまた明年度も百二十名ふやしまして三千九百八十名になるわけでございまして、三十六年と比較いたしますと、この八年間で千三百名ほどの増員をはかっております。しかし、これが学校を卒業して出てくるまでにはまだまだ時間がかかりますので、実際に出てきますのは、昭和四十三年が三千六十七名でございますが、四十四年には三千百名になり、四十五年には三千三百名になる。五十年になりますと四千三百名というぐあいに、この効果がようやくそのころにあらわれてくるわけであります。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 ぜひこの点は積極的にやっていただきたい。文部省だけにまかせないでやっていただきたいと思うのです。  次に、健康保険関係です。いろいろ問題もありますけれども、まあいろいろな形の健康保険組合があります。健康保険組合それ自体は、力を持っております。財力もある。ですからお医者さんの養成を——これは厚生大臣のいわば所管の中にありますが、健康保険組合の皆さんとも話し合いをされて、そして医学関係の大学の設置のための財源といいますか、何かそういう方法なんかあるのじゃないか、まあ国の予算が窮屈だというぐあいに増えた場合ですよ。医師をふやすためにはi健康保険組合はお医者さんが少なければ困るわけでありまして、有力な組合は大体都会地に多いのですけれども、ある意味では、健康保険組合ということになりますと、大きい意味では連帯感があるわけでありますから、そういう点でも何かいろいろ話し合いをしてみるならば、なお強力な打開の道が開けるのじゃないか。私は、やはり園田厚生大臣の園田厚生行政でこれなんかひとつ強力に取り上げていただきたい、かように存じますけれども、くどいようですが、大臣から一言だけ御答弁をいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見を十分尊重いたしまして、その方向に研究してみたいと考えております。

内藤良平日本社会党

○内藤(良)分科員 それでは私の質問はこれで終わります。

田中正巳自由民主党

○田中主査 谷口善太郎君。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 国立療養所の特別会計への移行の問題ですが、この移行の利点として、一、借り入れ金による長期な資金投入ができる、二、剰余金は療養所で使える、三、予算をこえた収入があった場合、直接収入増に要した経費に回せる、四、不用財産は処分して整備費に充てることができる、大体大まかな言い方をいたしますと、こういうところにあるというふうに新聞報道ではいっておりますが、これはそういうお考えですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 私ども、大体お話しのように考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 借り入れ金をした場合、それではその借り入れ金の利子はどこで払うのですか。国が一般会計で払ってくれますか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 借り入れ金の利子は、一般会計で払っていただくことになると思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 元金は、だから療養所の特別会計が処理するということになりますが、それなら事実上の独算制とわれわれは考えざるを得ません。この性格ははっきりしておかなければならぬと思うのです。これはこういう一つのことだけで言っては正しくないと思いますが、時間がないから一番特徴的なこと、借り入れ金をやって、それに対する責任を負う会計独算制、事実上そういうものだということをはっきりしておく必要があると思うのです。  第二項の、剰余金を出す、つまり予算を余すように努力するというようなことをいっていますが、これはどういうことですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 予算を余すという趣旨ではございませんで、万一経理に剰余金が出た場合には、それは一般会計でございますと、そのまま国庫へ入ってしまいますが、これは特別会計の積み立て金等に回すことができる、こういう意味でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 つまり節約でもするのですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 節約をするという意味ではございませんが、万一剰余金があった場合、一般会計に吸い取られずに、そのまま特別会計で利用、活用することができるという趣旨でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 万一のようなことを、利点の重要な第二項にあげるなんてばかなことはないでしょう。  実は私、ここへ療養所患者自治会の訴えの手紙をもらっております。手紙を読むといいのですが、時間の関係で私のほうでまとめて言いますが、医師の定員は大体十四名だが、現在六名不足している。正確に言いますと、五名不足で、最近一名やめる。一名は最近沖繩へ行く、こういうことです。だから全部で七名、半分になる。看護婦も全く困っているので、準夜、深夜など一人で一病棟受け持つような状態だ。手紙のことばで言いますと、そのために五百名の患者は日夜生と死の間をさまよう危険にさらされている。こういうふうにやれば予算は余りますね。定員で予算をとっておいて、実際は半分しか雇っていない。こういうことを徹底的にやるというふうにわれわれは考えざるを得ないのですが、どうですか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 ただいまのお手紙にありました施設は、どこか明らかでございませんが、定員十四名、らち六名という数字が、ちょうどある療養所の実態に非常に合っているわけでございますが、そういう施設は非常にまれなことでございまして、国立療養所全体といたしましては、医師、看護婦とも九十数%の充足率になっております。したがいまして、医師の定員が少ないということは、節約をするために医師を雇わないのではなしに、ある療養所ではなかなか医師の来手がなくて、非常に苦慮して医師を集めていても、なおかつ、そういうような状態になったという施設があるということではないかと思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 局長は、その療養所はどこかわかりませんがと言うが、いいかげんなことを言っちゃいけませんよ。京都にきまっている。私は具体的なことを言っている。でたらめなことを言っているのではない。なるほど、ここは特殊なところであるかもしれないが、他の資料を見ますと、あなたの言っているようなことは言っちゃいませんね。時間がありませんから多くを言いませんけれども、私は特徴的なことを言ったわけです。こういうことをやって節約するなんというばかなことはあり得ない。また、そんなことを放置するようなばかなことは、大臣、ないわね。これはあり得ません。けれども、現にこういうことがなされているわけです。もしこういうことが特殊であるというならば、具体的に私は言ったのですから、宇多野の医師を直ちに充足しますか。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 宇多野の療養所に勤務してくれる医師があれば、直ちに充足いたします。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 何というあなたはひどいことを言うのですか。勤務する医師があれば直ちに充足する。それは人の言う言い方じゃありませんか。こういう状態にあって、患者が困っているのだったら、あなたは積極的に医師をさがし、医師がそこへ行って働く条件をつくって雇うのがあたりまえだ。何ということを言うのです。来る者があったら雇ってやるとは一体何だ、これは失言ですよ、取り消しなさい。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 もちろん、現在私どもの療養所としても、職員確保のために大いに努力しております。したがって、そういう医師があれば、努力してさがしておりますので、勤務してくれる医師があれば、直ちに雇うという意味でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 これは直ちに充足して、この患者たちの苦しい状態を救済するようにしてもらいたい。  第三項の予算総則をこえる収入増加ということは、これはどういうことですか。これはこの質問に入る前に先に言っておく必要があると思う。政府は、すでに予算内でも、施設の改善や三基準の実施を口実に、いままで行なっていました入院費、医療費の二割引きの制度と経費減免制度を廃止するということをきめている。これは長期の療養をやっている患者たちに、いままで以上の現金負担をもたらしまして、彼らの療養継続を一そう困難にすることは必至なんです。このことにつきましては、今度の特会法改正にあたりましてのたくさんの陳情が患者の方からもきております。また医師、看護婦その他の従業員の方も、これをもしやりましたらひどいことになるということをみんな言っている。必ずそういう方向にもたらすと思いますが、これは私はたいへん重大なことだと思うのです。しかし、これは結局予算の中のことです。その計画をやって、その計画のもとに予算をつくっていらっしゃる。  この第三項は、そういう予算上の収奪の上に、さらに予算のほかで、予算をこえる収入を得ると、こういっている。これは一体どういうことをやろうとするのですか、これをひとつ聞かしてもらいたい。

若松栄一厚生省医務局長

○若松政府委員 予算をこえるという意味でございますが、私ども一年間に大体何名くらいの患者が入るであろうということを基礎にして予算を計上いたしております。しかし事業でございますので、予定しているよりもたくさんの診療が行なわれることもございますし、予定しているよりも少ない診療の行なわれることもございます。もしも予想していたよりも多数の、多量の診療が行なわれれば、当然予算額を上回る収入も入ってくるということになるわけでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 その計画も皆さん持っていらっしゃるようです。今度の、本年度のこの予算計画では、たとえば基準料金をとるというような場合だとか、あるいは二割引きの問題でも、新しい患者から二割引きの問題なんか取っていこうということだそうだから、古い患者をみんな追い出して、新しい患者にかえればもうかる。そういうこともやりかねないということも労働組合の諸君の報告には書いている。  要するにこれは、私は時間があったらこまかいことをやりたいと思うし、研究はしたんですが、結局独立採算主義と企業主義で徹底的な合理化をやろう。設備の統合もやる。あるいは療養所内にあります食堂だとか、掃除の関係だとか、洗たくの関係あたりまで下請に出す。長時間勤務を労働者にやらせるというような、合理化を徹底的にやろうということに間違いないというふうにわれわれは考えざるを得ないのです。これは厚生大臣、全国に百六十くらいあります国立療養所というのは、あなたよく御承知の結核、精神、筋萎縮、重症必身障害者など、非常に困難で長期の療養を要する人々を対象とした、わが国ではただ一つの社会福祉的な施設なんです。国立病院が同じ特会制に移りましたとき、第五国会です、必ず企業主義でもってひどいことになるだろうといって絶対反対されたのは、失礼ですけれども、あなたの奥さんです。いやほんとうです。私は知っている。こういう大事な、一番弱いものに対して、それの救いの道になっている施設に対して、再び国立病院と同じような企業主義の方向に踏み出そうとしているのが今度の特会制の問題です。私はこういうことばを使いたくないが、政府はやはり財政硬直を名として、こういう重大な、日本の国民のためになる施設を、企業主義のもとに支配して破壊していくという、そういう意味しか——あなた方の意図はどうであろうが、そういう本質しか今度の改正案は持ってない。だから、直ちにこの特会制を撤回して、新しい、ほんとうに正しい立場の国立療養所の発展に尽くすべきだと思うが、大臣の御所見を伺いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいままで、結核治療のために貢献してきました療養所が、非常に老朽化をしている。行ってみますと、ひどいところは吹きさらしのところに、真冬でも電気ストーブ数個ぐらい置いてあるところで療養されておりまして、極端にいうと、薬が新しくなったからいいようなものの、そういう環境についてはほとんど顧みられない状態で、まことにこの状態では申しわけないと考えております。したがって、この百六十の老朽した療養所を、設備を更新し、あるいはこれに対する環境を改善するのにはいろいろ苦労してまいりましたが、一般会計ではなかなか困難でありまして、しかし、特別会計に移行すれば、その会計の性格から、ややもするといま御指摘になったような点から、患者その他に負担が押し寄せられるという心配がございまするから、その点がないように、特別会計に移行する場合の諸条件及び今後についての必要な経費は、一般会計から必ず繰り入れるということで私は特別会計移行に踏み切ったわけであります。今年度も、総額予算は四百二十億だと覚えておりますが、そのうちの二百五億、約四九%は一般会計から繰り入れてあるのであります。しかし、また一面から、いろいろいままでのやり口からいたしますると、それはそうではなくて、移行する場合の甘い条件といたしたのであって、あとは逐次独立採算制に移行していくのではないかという御心配もあると思いまするので、その点は十分所管大臣として私は財政当局と詰めてまいったところであります。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 あなたの御努力は多といたしますけれども、本質それ自身が、あなたがおっしゃったとおり、国立病院と同じ轍を踏んでいくだろう。つまり、独立採算制と同じ状態でもって企業主義が貫かれるだろうということを、私どもはいまから予言しておきたいと思う。  次に問題を移しますが、健康保険特例法の問題ですけれども、これはもう実施されましてから六カ月たっております。この間、被保険者の受診率が大幅に減って、保険財政は次第に赤字が克服されたというようにいわれておりますが、これは事実はどうですか。

加藤威二社会保険庁医療保険部長

○加藤政府委員 特例法は、昨年の九月から本人の窓口の一部負担の方法、それから十月からは薬の一部負担が実施されたわけでございますが、その結果、受診件数は九月は八月に比べましてほとんど変わっておりませんが、十月は、本人につきまして前月に比べて九・六%の受診件数の減少になっております。十一月は五・九%減少。十二月になりますと一・九%の増ということで、十月、十一月は前月に比べて若干と申しますか、少し大幅に減少している数字が出ておりますが、十二月には再びそれが上昇傾向に移っている、こういう状態でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 政府からいただいたこの資料ではほんとうのことはわからぬ。前年比が私のいただいたものには出ていない。しかし、大幅に減っているということだけは事実でありますし、私どもの持っております前年比の資料で見ますと、特例法の効果といいますか、結果として減っているということがはっきりしているわけであります。  私はここで聞こうとしているのは、そのために保険財政がどれだけ助かったか。患者が減った、医者にかかる人が減った、そのために支払い基金が医療機関に支払う金が減るわけですから、その保険財政上の問題としてどうなっているかということですね。

加藤威二社会保険庁医療保険部長

○加藤政府委員 私どものほうで赤字の見通しについて計算をいたしておりますが、その計算は現在のところ昨年の十月までの、実績で計算をいたしております。したがいまして、九月の初診料の一部負担については、先ほど申しましたように、あまり受診件数の差はないわけでございます。十月から大きく減ったということでございますが、一応赤字の見通しにつきましては、その十月分までの実績をもとにして計算いたしたわけでございます。当初特例法が成立いたしましたときには、四十二年度年度末までに三百二十億の赤字が出るだろうという見通しでございますが、十月までの実績に基づきまして再計算いたしますと、その三百二十億の赤字は約百八億になる。切り上げまして百九億、二百億ばかりの減少になります。しかしこれは、先ほど申しましたように、十月までの実績でございまして、十月一カ月分、特例法が施行されましてからの一カ月分だけの計算でございまして、結局その二百億ばかりの減少というのは、赤字の見通しと現実の医療費の推移というものに食い違いがあった。その食い違いはどこにあるかといいますと、主としてこれは特例法の実施前の受診率が見込みよりも落ちてきております。一日当たり金額とかあるいは一件当たり日数は予想とほとんど変わらないわけでありますが、受診件数が、この特例法の以前から、見込みと実績との間に差がありまして、その結果二百億程度の赤字の減少になっておる。しかし、その二百億の赤字というものは、特例法の実施後のはっきりした見通しはありませんが、従来の、特例法以前の受診率の減少によってそういう赤字の減少が生じておる、こういう実態でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 私どもの資料を持っておるのでありますが、これは京都の安井病院の資料であります。一部負担の増額が実施されました九月以後、つまりその負担に耐えかねたという原因から、九、十、十一月と、毎月大幅に減っておりますが、薬代一部負担が実施された十月以後には、前年比でもぐんと減っております。激減しております。このことを見ましても、私どもは、一部負担あるいは薬代の負担ということが、いかに労働者に深刻な打撃を与えたかを明白に知ることができるわけであります。労働者というものは、金を取られた場合には医者にかかりたくてもかかれないものだということにつきましては、私は昨年社会労働委員会で言ったわけです。皆さんもお認めになったわけでありますが、この事実をやはりはっきり認めておく必要があるのじゃないか。そういうところに労働者というものはいるということを、はっきり認めておく必要があると思うのです。  そこで、私は次にもう一つ聞きますが、この特例法実施以降、医者にかかって診療を続けなければならぬ人間で、診療を中止をした者は、これも六カ月間しかたちませんから、そう長期間の統計は出ないと思いますが、この動向について何か資料を持っていらっしゃいますか。

加藤威二社会保険庁医療保険部長

○加藤政府委員 この特例法の実施後に、特例法の一部負担のために、診療の継続の必要があるのに診療をやめられた被保険者の数というものは、いまのところまだ私ども手元にないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、先生おっしゃるように、赤字が減っております。それからお医者さんの収入が十月以降減っておるということは事実だと思いますが、それは受診件数の減少もございますけれども、同時に薬価の引き下げを一〇%やったわけであります。医療費にあれしますと四%くらいになります。したがって、薬を非常に多く使っておられたお医者さん方は、そういう意味でも非常に収入の減が十月、十一月はおありになったのではないか。したがって、収入の減というものは、患者の受診件数の減ということもありまするけれども、そういう薬価の引き下げということが相当大きなウエートを占めているのじゃないかというぐあいに考えられるわけでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 私は、そういうことを尋ねていたわけでないのです。診療中断者、この数の動向はどうかと聞いたわけでありますが、これも私ども調査いたしました。もちろん、長い調査はできるわけじゃございませんので、九月から十月にかけて、つまり薬代の一部負担が始まりました時期にどうなったかということを調べましたが、これは先ほども申し上げました安井病院の資料でいいますと、診療継続を要する患者四百十八名中九十九名が前後してやめた。あしたから薬代が要るということになるとやめた。これは事実なんです。私どもは、特例法を実行した場合には必ずこうなるということをあの法案審議中から言ってきた。労働者の負担を重くする。そのことは、実際上労働者がこの制度で医者にかかるということをできなくする、そういう結果を必ず生むということを言ってきたわけです。今後この点についても、もっと追跡調査をやらなければならぬと思いますが、少なくも現在調べたところでは、すぐあらわれてきておる。これは非常に重大なことでありまして、明らかに日本の社会保障制度の抜本的な改悪ですね。その第一歩をあの特例法は踏んだというふうに私どもは解釈しておりますが、大臣、この点についてはどうお考えになりますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 医療行政は重大な問題でありまするが、これは国が担当しなければなりません。その費用は、国がやる場合には、国民から税金でもらうか、保険でもらうか、あるいは受益者が一部負担するか、いずれかの方法をとらなければならぬわけでありますが、しかしそれを前提といたしましても、特例法が実施されたことによって患者が減少したのではないか、こういうお尋ねであります。事務当局は、必ずしもそうではなくて、これは季節的な自然減少である、こういうわけでありますが、率直に私が考えてみまして、やはり患者の負担がふえてまいりますと——ただいまの表に出てまいりました数字は、制度の変革によって急激に起きたものであって、これは逐次もとに復するとは考えますが、それが完全にもとに復するかどうか。何%ふえるどうかは別として、やはり幾らかはふえるものであると考えておりますので、今後の回復の数値、あるいはどのように回復していくかという数字は、この次の抜本改正の場合の重大な参考意見として私は考えております。  そこで、抜本対策につきましては、保険というものは、やはり医療行政をやるための単に手段でございます。その手段の保険というものを安定させるために目的である医療行政というものに制限を加えることは、所管大臣としていかにも耐えがたいところでありますから、保険財政の安定ということだけを重点にしないで、医療行政及び総合的な全般の社会保障の問題を考慮しつつ保険の問題を改正をしていきたいと考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 いまおっしゃった、一時減ったにしてもやがて回復するだろうということにつきましては、私ども反論がございます。そのこと自体労働者がどんなとこにおるか。つまりもう現金負担が多くなって、医者にかかりたくてもかかれない、そういう状態にいたけれども、病に勝てないので泣く泣く行くでしょうという、その事実を示していることですから、最も残酷なことをあなたが説明したということになると思うのです。それはそれでよろしいです。  そこで私は、あなたがいまちょっと触れられましたが、特にはっきり聞いておきたいことがございます。それは昨年の秋ですか、厚生省はいわゆる抜本改悪の試案、そういうものを御発表になりましたが、世論の反論を食って引っ込められた。いま再検討中だということですが、再検討中でありますから、これは当然この問題に対する根本的な、原則的なことは政府としてはさまっていると思う。いまあなたは、財政上のことだけを考えないで、国民の医療という点も勘案していきたい、こう言いましたが、あくまでもそれをやりますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いま出されております試案というものは、改正試案でありまして——あなた方は改悪と考えておられることでありますが、いずれにいたしましても、しばしば私が表明しておりますとおりに、この試案は事務局の試案であります。特に、事務局試案といたしてありますゆえんのものは、各方面、各団体の御意見を率直に承って、その上でこれに対する徹底的な修正を加えてほんとうの案としたい、こういう考えでありますから、その点については事務局にも基本的な方向を示して検討を命じておりますが、なお、各団体の御意見等も十分いま承っておる段階でありまするから、いま申し上げました方針に基づいてやりたいと考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 方法のことを聞いているのじゃないのです。いわゆる宮澤構想といい、あるいは財政硬直といっているこの時期です。その時期に保険主義をとって、被保険者、人民に負担を転嫁する方向で改正するのか、つまり財政問題としてやるのか、それとも国民の健康を守るというこの制度本来の使命に徹するその立場からやるのかということです。それについての考えはどうだということです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 もちろん国民の健康ということを考えて、しかしながら、前提に申し上げましたとおりに、税金でいただくか、保険でいただくか、受益者負担でいただくか、いずれかにしなければ保険自体が崩壊しますから、ただし、それは従として考えてまいります。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 それは原則じゃないですよ。どっちをとるのですか。これは国民健康というものを重視して、それに対する重大な制度だというふうに考えるならば、労働者に負担をかけると、労働者はそれだけでも——特例法だけでも医者にかかれないという実情を生んでいるのです。だから、そういう方向は絶対にできないのです。私どもがいうように政府、資本家全額負担によるそういう制度に向かっていく以外にないわけなんだ。その態度をとるかどうかということなんです。あるいはそうではなくて、あくまでも受益者負担と称して、人民大衆に負担を転嫁するというやり方、あなたはいわゆる事務局試案だと言いましたけれども、あれにはっきり書いてあるでしょう。このことを言ったのでは、あなたはまだ研究中だと答えるから言わぬだけであって、あれにはっきり書いてある。いま十割給付のものを、八割とか九割に落とすでしょう。各制度を一本にして、そして国庫負担をなるべく出さぬようにするというんでしょう。それから償還制度をとるということでしょう。その上に料率決定の実権を大臣が握るということです。そういうやり方をあなた方は示しているのですから、私どもは、根本的に皆さんはどう考えているかを知りたいわけです。  しかし、もうはっきりしました。時間がございませんから結論を言います。  私は、あなた方の医療保険制度に関する観点は全くさか立ちしていると思う。この問題を、財政問題としてだけ考えている。あなたは、ことばとしては言いますけれども、事実としては、国民の健康を守るというこの制度の本来の使命、これについてはもうごうまつも考えてない。口ではそう言いますが、やっていることは違う。ですから、先ほど申し上げましたように、国立療養所にしましても、独立採算制の方式をとってやってきておるわけでありますが、全く同じ立場だと思う。  しかし大臣、こういうやり方は長続きしない。こういうやり方で押し切っていけば、制度そのものが破壊されるから、したがって人民は許しません。戦いが続きます。私はそういう意味で、大臣が新しく非常な新進気鋭の大臣として出られたんだから、この根本問題について、ほんとうに奥さんと同じように根本的に考えて対処されることを切望してやみません。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いま御意見を申されましたが、まだ厚生省の最終試案は出ていないわけであります。ただいま考えております問題につきましても、給付、それから負担、こういうものの不均衡  の是正、それから患者の貧富による不均衡の是正、こういうことも考えておるわけでありまし  て、御意見は御意見として承りますが、案が出ていないところへきめつけられることはまことは不本意でございます。ただし御意見は十分承ってお  きます。

田中正巳自由民主党

○田中主査 本日はこの程度にとどめ、次回は明十四日午前十時から開会し、労働省所管に対する審査を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗