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58回国会衆議院1968/03/16

予算委員会 第17号

発言数
418
登壇者
21
会派数
3
開催日
1968/03/16

会議録

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十三年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とします。  去る十二日から四日間にわたって審査を行なってまいりました分科会の審査ば、昨十五日をもって全部終了いたしました。  この際、各分科会議主査より、それぞれ分科会における審査の報告を求めます、  まず、第一分科会主査森山欽司君。

森山欽司自由民主党

○森山委員 第一分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会の審査の対象は、昭和四十三年度総予算中、皇室費、国会、裁判所、内閣、総理府(防衛庁、経済企画庁を除く)、法務省、文部省所管、他の分科会の所管以上の事項であります。  審査は、三月十二日各省各庁当局より、それぞれ所管予算の説明を聴取し、引き続き各省庁ごとに質疑を行ないましたが、その間、質疑者の数は延べ四十六名、質疑時間約二十五時間、また、質疑項目は三十項目にわたり終始熱心かつ活発に行なわれました、その詳細につきましては、会議録をごらん願うこととし、ここでは質疑の二、三について簡単にその概要を御報告申し上げます。  まず、総理府所管につきましては、特に最近各省全般にわたって公務員の汚職が続出し、国民の信用を失墜せしめている。これまでに汚職で検挙された人数はどうなっているか、また、このような汚職事件を発生せしめている原因は機構にあるのか、もしくは機構の運営にあるのか、また、その責任は職階のどの段階でとっているか。また、最近官庁においては、上下とも出勤時間、勤務時間中の私事など、綱紀の弛緩がはなはだしいように見受けられる、たとえ下級職員の汚職であっても、事の性質によっては次官、局長にまでその責任は及んでよいのではないか、汚職発生防止の対策をいかに講ぜんとしているか、との質疑が行なわれました。  これに対し、政府は、被疑者として取り扱った者は、昭和四十年度一千四十五名、その内訳は、国家公務員四百四十七名、地方公務員五百九十八名、四十一年度九百三十二名、国家公務員三百十二名、地方公務員六百二十名、四十二年度は七百四十四名、国家公務員百六十七名、地方公務員五百七十七名となっており、このような汚職が発生していることはまことに遺憾である。原因は、学歴、職歴の関係で前途栄進の希望を失っている者に多く見られる、したがって昇給制度についても考慮を払わなくてはならない面もあろうかと思われる。運用面においては、係長、課長等の所掌事務と、その責任を明確にし、相互チェックシステムをとることとしているが、なお、管理者と下級職員との意思疎通をはかる機会を持たせることが大切である。服務規律に関しては、公社の別の明確化、人事管理の適切な実施などを人事院規則で定めているが、なお、最近の実情にかんがみ、本年二月六日総務長官より、公務員に公私の区別をはっきり自覚させ、職務上利害関係のある業者等との会食、遊技その他国民の疑惑を招くような行為を厳に慎むこととの通達を出し、綱紀粛正の徹底を期することとしている。要は、上に立つ者が率先垂範し、公務員一人一人が真に自覚することが最も肝要である。また、出勤時間等の厳守については、定例的に各省人事課長会議を開催し、実態を把握し、指導している、との答弁がありました。  次に、文部省所管関係の質疑としては、大学の七〇%の比重を占めている私立大学についての国の助成は、はなはだ貧弱なため、父兄の負担を著しく増大せしめているのみならず、最近授業料値上げ問題が随所に発生し、社会問題にまで発展しようとしている。近時、大学教育に対する国民の関心が高まっているおりから、私学に対する国の助成の必要性が痛感されるが、政府の私学助成の根本方針はどうか。私立大学の授業料は、国立大学のそれに比べ約十倍という大幅な格差があるが、私立大学への助成を強化し、格差を縮小せしめる考えはないか。明年度予算において、経営の健全化に寄与するため新規に経常の教育研究費として三十億円を計上することとしている。この措置は、私学助成の一歩前進として敬意を表するものであるが、このような少額の予算額ではたして経営の健全化に寄与することができるか、また、この三十億円はどのような大学に、どのような基準で配分するか、三派全学連の活動している大学には配分を差し控えるのか、また、将来大幅に増額する意図はないか。これに対し、政府は、私学を国立と比較することには無理がある。国立は国の責任において経営している、私学は独自の立場で経営を行なっているが、戦後私立大学への進学者が大幅に増加し、その役割りも大きくなったので、国民の側に立って考慮を払い、思い切った助成をしなければならないと考えるが、経常的経費に助成の措置を講ずる場合は、私学存在の基本について十分検討を行なわなければならない。教育研究費三十億は、四年制二百五十六大学の四十二年度末の教員の実数、文科系、理科系の実情、大学院の有無等を考慮し、一人当たりの金額を定めて算出し交付する方針である。ただし、認可されて四学年を満たしていないもの、また、運営がはなはだしく正常を欠いているもの等は除外することとしているが、細部について補助要綱をつくって実施することとしている。一部秩序を乱す学生の在学を理由として補助の対象から除外するようなことはしない。なお、この助成措置の増加については今後一そう努力したいとの答弁がありました。  以上の質疑のほか、国会職員の処遇問題、国立国会図書館の図書整理点検方法、神奈川県須崎区における御用邸新築の件、執行官の汚職、刑務所の移転、亡命者の取り扱い、地域格差是正、明治百年記念行事、同和対策、えびの地震の災害対策、公務員の給与体系、沖繩における人権、北海道開発庁、青少年交流、交通基本法等の交通安全対策、三派全学連と破防法の適用の有無、学校公害、叙勲、科学技術庁、国民体育大会とジプシー選手、自動車教習所、刑事補償法及び国家賠償法の改正、同和教育、国立学校の施設、大学自治と学生自治、重要文化財の保存、書道科の一そうの推進、出入国管理等の問題について質疑応答が行なわれました。  かくて、昨日質疑を終了し、分科会の討論採決ば本委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、簡単ではありますが、御報告を申し上げます。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、第二分科会主査野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原委員 第二分科会の審査の経過及び結果を御報告いたします。  第二分科会の審査の対象は、昭和四十三年度総予算中、会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管のものでありまして、去る三月十二日より昨十五日まで四日間、慎重に審査いたしました。  それぞれ各省庁ごとに予算の説明を聴取いたした後、質疑を行ないました。質疑は終始熱心かつ活発に行なわれましたが、その詳細は会議録でごらんを願うこととし、ここでは二、三の点を報告するにとどめます。  まず、外務省の関係では、領海内の軍鑑の無害通航権について、これを無制限に認めることは、場合により核兵器の持ち込みにも通ずるもので危険である。領海及び接続水域に関する条約の第二十三条の趣旨からいっても何らかの規制を行なうことが可能であり、まだ必要ではないか、との質疑がありました。これに対しましては、領海内の通航といっても、公海から公海へすうっと通過するという場合に限られ、領海内にとまったり、故意に蛇行するといったような場合は含まない。また、これは米国の軍艦に限って認めるわけではなく、いずれの国に対しても同様である、との答弁がありました。  ほかに、ベトナム和平、日中貿易、沖繩におけるB52の撤去、北朝鮮人の帰還、米国の沿岸警備隊の性格、安保条約の事前協議、モンゴルとの国交回復、その他に関する質疑がありました。  次に、防衛庁の関係では、米軍が新しく全国十二カ所に電波障害制限区域を設けるよう申し入れてきているが、その理由は何か。おそらくこれは米国の薄いABM体系の整備と関係があると思われるがどうか、との質疑がありました。これに対しましては、電波障害制限区域の設定は、周辺地区の市街地化などに伴う障害除去に理由があると思われるが、いずれにしろABMとは関係がない。ABM体系は、これから米本土を中心に展開されるものであり、日本は考慮のほかにあるということが、去る一月の日米安保協議委員会の下の段階での打ち合わせで米国側から確言を得ている、との答弁がありました。  また、楢崎分科員の三光化学株式会社及び細谷火工株式会社に関する質疑に対しまして防衛庁当局から、三光化学は旧海軍の施設、機材の払い下げを受けて創業し、化学薬品等を取り扱っているが、防衛庁の調達量は、昭和二十七年度から三十二年度の間に催涙球二万五千個、昭和三十五年度から三十八年度までの間に催涙筒二万九千七百五十個となっている。また、細谷火工からの調達量は、昭和三十八年度から四十二年度の間に、催涙球八千三百四十四個、昭和三十九年度から四十二年度までの間に催涙筒一万二千個となっている、との回答がありました。  ほかに、空対地ミサイルの研究開発、弾薬費の内訳、郷友連盟での長官の発言内容、北富士演習場の返還、自衛隊員の逃亡、その他の問題について質疑がありました。  次に、大蔵省の関係では、国際通貨不安の原因とその見通しはどうか、また、いまの財政金融政策のままで、はたしてこの国際経済の危機に対応し得るのかどうか、という点が問題となりました。  これに対する答弁は、ドルに対する信認が国際通貨制度の基礎である以上、アメリカが一日も早く自分自身の政策をはっきりさせて、ドルの信認を回復するよりほかない。その際、輸入課徴金のように他国に重大な不利益をもたらす政策ではなく、増税あるいは金融引き締めのように自分の国内だけで解決し得る政策が望ましいし、また、それにより危機を回避することが期待される。日本の場合は、イギリスなどに比べるとまだまだ余裕があり、現在程度の財政金融政策でこの国際経済情勢に対処し得ると思う。国際収支対策としては、やはり総需要を抑制すべきだが、国債発行下では、金融引き締めよりも財政政策を基本とすべきである。そのためにも財政の体質を改善して、フィスカルポリシーを実行する必要がある。以上のような答弁がありました。  ほかに、国庫債務負担行為の制度とその運営、公債の市中消化、製造たばこの価格引き上げ、日中貿易、会社型投資信託、同和対策、その他の問題に関して質疑がありました。  なお、田中武夫分科員の金管理問題と産金政策についての質疑中、政府が新産金の一部を一グラム四百五円で強制的に買い上げていることと、憲法第二十九条との関係に関する問題は十分なる解明がなされておりませんでしたので、これにつきましては、可及的すみやかに、他日適当な委員会において再度質疑を行ない得るよう努力することとなっております。  最後に、会計検査院の関係では、検査院の地位の特殊性と職員の処遇、住宅公団に対する検査、その他に関する質疑がありました。  なお、質疑終了後、分科会の討論採決は本委員会に譲ることに決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、第三分科会主査田中正巳君。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 第三分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会の審査の対象は、昭和四十三年度総予算中、厚生省、労働省及び自治省所管でありまして、去る三月十二日より昨十五日まで、四日間にわたり慎重に審査いたしました。  審査は、十二日、十三日厚生省、十四日労働省、十五日自治省の順に、各省当局より説明を聴取した後、直ちに質疑に入ったのでありますが、連日終始熱心かつ円滑に行なわれました。  質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録に譲ることといたしまして、ここでは若干の点について簡単に申し上げます。  まず、厚生省所管について申し上げます。  保育所問題について、無認可保育所に対する助成及び低利融資等の措置と憲法八十九条との関係について質疑が行なわれたのでありますが、これに対する政府の答弁は、無認可保育所に対し、都道府県が委託費として支出する場合は、憲法八十九条の違反とはならないが、低利融資となると公益法人または社会福祉法人の認可を受けなければならない。しかし、助成措置についてば検討したい、とのことことでありました。  以上のほか、零細事業所に対する健康保険の適用、千葉県立血清研究所の小児麻痺ワクチン不正販売問題、重度心身障害児者対策、無医村地域、特に辺地無医地区対策、児童手当制度の実施、ハンセン氏病患者の援護及び療養施設改善対策、同和対策、王子の米軍野戦病院問題、薬品の配置販売制度のあり方、血液対策、医師及び看護婦の不足問題、アルコール中毒患者対策、山谷及び愛隣地域対策、人口問題、自閉症児対策、公害対策等の諸問題について質疑が行なわれました。  次に、労働省所管について申し上げます。  労働災害防止関係につきまして、労働災害防止五カ年計画の答申の内容及びこれに基づく予算措置、基準監督官の増員及び災害防止の強化等について質疑が行なわれたのでありますが、これに対する政府の答弁は、労働災害防上五カ年計画の重点施策は、安全衛生管理、災害原因の科学的究明、機械設備の安全度向上、職業病対策の強化等である。予算措置としては、鋭意努力しておるが、昭和四十二年度に比べ増加額が少なく遺憾に思っている。基準監督官は、今年度わずか十五名の増員であるが、業務の性質からして、今後もその増員について行政管理庁に強く要望していく。また、労働災害防止行政の強化充実は当然のことであり、科学的災害防止対策として、今年度、安全衛生関係顧問十人を設置することにした、とのことでありました。  以上のほか、港湾労働者対策、労災法の保険金額及び死亡一時金の引き上げ、地方公共団体の清掃事業の終末処理の業者委託問題、教職員特別手当と労働基準法との関係、中小企業の労働力確保問題、地方公営交通の民間会社への譲渡問題、失業対策事業、中小企業労使間の紛争処理問題、北九州市田川職業安定所の就労停止処分問題、同和対策、予備費と国家公務員のベースアップ問題等について質疑がありました。  最後に、自治省所管について申し上げます。  過疎対策、特に辺地帯に対する特別の財政措置等について質疑があったのでありますが、これに対する政府の答弁は、辺地帯に対する財政措置としては、特に地方交付税の傾斜配分に重点を置き、毎年度増額してきたが、昭和四十三年度は市町村分として百五十億円を計上した。その他辺地債についても、対前年度比五割増しの四十五億円を予定しており、また、国民健康保険についても、事務費の引き上げ等により、超過負担の解消につとめている。さらに、医師の不足対策として、特別交付税である程度の手当てをしている、との答弁がありました。  以上のほか、消防庁の防災関係予算及び東京の大震災対策、地域開発の総合計画性、下水道対策、電気ガス税の不合理性、首都圏行政と東京都の区長選任問題、地方行財政の改革、地方公営交通事業の再建と路面交通の規制、同和対策、青色申告の専従者控除及び完全給与制度の実施、定年制問題、消防施設に対する財政措置及び高層建築物等の防災対策、地方公営競技の利益の均てん化問題等の諸問題について質疑が行なわれたのであります。  かくして、昨十五日質疑を全部終了し、質疑終了後、本分科会の討論、採決は、先例によりまして本委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、簡単ではございますが、御報告といたします。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、第四分科会主査代理小山省二君。

小山省二自由民主党

○小山(省)委員 第四分科会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  本分科会における審議事項は、昭和四十三年度総予算中、農林省所管、経済企画庁所管及び通商産業省所管に関するものでありまして、三月十二日より十五日までの四日間、所管各予算について説明を聴取した後、分科員と政府の間に熱心にかつ慎重な審査が行なわれたのでありますが、質疑応答の詳細は会議録をごらん願うこととし、以下質疑の若干を紹介することといたします。  まず、経済社会発展計画並びに設備投資について、経済社会発展計画は、本年度は民間設備投資は二七・五%と当初予定一四・八%を大幅に上回るため、同計画を改定する必要があるのではないか。また、現在、過度の設備投資を強行している部門に対しては、不況になったからといって不況カルテルを許してはならないと思うがどうか、との質疑に対し、政府から、経済社会発展計画による物価安定、経済の効率化、社会開発の三方針は変える必要はない、また、本年度の民間設備投資が目標どおり九・七%台に落ちつけば、同計画の実行は不可能とは思わないが、一〇%以上の伸びがあれば修正の必要が生ずると思う。また、過度の設備投資競争は望ましくないし、不況カルテルの制度そのものは否定しないが、しばしば行なわれることは困る、との答弁がありました。  次に、消費者物価問題について、わが国の消費者物価の騰貴率は先進国中最も高く、同様にわが国の通貨の増発率は、先進国と比較してもはなはだ高いことから見て、通貨の膨脹が物価高の原因であることは明らかであり、物価抑制のため、通貨政策に重点を置くべきではないか、との質疑に対し、政府から、従来諸政策の中心は完全雇用を実現することにあり、その結果国民総生産は大幅に増加し、貿易は拡大し、円の価値は全く心配はない。しかし、擬似完全雇用に近い状態に達した現在、管理通貨の運用も新たな局面を迎えているため、一段と慎重な経済政策のかじをとるべきである。四十三年度においては、困難な財政問題の中で国債の増加率を引き下げ、今後四十四年度、四十五年度も引き続いてこれを定着させながら、巨額の国債発行によって生ずる弊害を除去したいとの答弁がありました。  また、日中貿易問題については、日中覚え書き協定で、米の輸入量は十万トンにきまったが、中共側はそれ以上の買い入れを望んでいるようであるが、政府の見解はどうか、との質疑に対し、政府は、四十二年度産米の豊作により、手持ち量が増加し、十万トン輸入が限度である、との答弁があり、このほか、吉田書簡及び輸銀使用、ポンド建て決済の円建てへの切りかえ、ココムリスト、ケネディラウンドの非通用国である中国の輸入の不利益の解消等について政府の見解がただされました。  また、万博工事の進捗状況は、計画より大きなおくれを出し、また、参加国の申し出の状況、さらに行政のセクショナリズム、万博倒産の問題等々、あと二年後に迫った万博の成功に不安がないかという点について、多くの分科員より、現状の組織、予算、契約あるいは労務費、資材費等の問題について質疑が行なわれたのでありますが、なお、分科員より、万博担当の責任大臣を置き、事業の成功を期すべきではないか、との質疑に対し、椎名通産大臣より、工事のおくれがあり、近く現地を視察した上しさいに問題を点検し、その上で責任大臣を置くことを具申するかどうかをきめたい、との答弁がありました。  また、経済協力の問題について種々質疑が行なわれたのでありますが、田中武夫分科員の質疑のうち、円借款の取りきめに関する宮澤経済企画庁長官の答弁には満足できないとして保留されておりました点につきましては、同君から、後日適当な機会に明らかにされたいとの留保がなされましたことを申し添えます。  以上の質疑のほか、ゴールドラッシュ、米国の輸入課徴金、陶北問題、特恵関税、装置産業の災害防止、鉱山保安、中小企業対策、流通機構の整備、農業基盤整備、酪農振興、農産物対策、農民年金等々、行政各般にわたる質疑が取り上げられましたが、その詳細は省略いたします。  質疑終了後、本分科会における討論、採決は、慣例により本委員会に譲ることに決定し、第四分科会における審議はすべて終了した次第であります。  以上をもって報告を終わります。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、第五分科会主査松浦周太郎君。

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員 第五分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会の審査の対象は、昭和四十三年度総予算中、運輸省、郵政省及び建設省所管であります。  審査は、去る三月十二日より十五日まで、四日間にわたって行なわれました。各省当局よりそれぞれ所管予算の説明を聴取したのち、延べ六十六人の分科員が、三十五時間、連日熱心に質疑を行ないました。  その質疑の応答の内容は、きわめて広範多岐にわたっておりますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたしまして、ここではごく簡単に御報告申し上げます。  まず、建設省所管につきましては、住宅建設五カ年計画の実施を中心とする住宅対策、中小河川改修事業の推進、国土開発幹線自動車道の建設の促進、本州・四国連絡架橋の問題、土地対策、下水道事業の促進、都市交通対策、高層ビルの建設等の諸問題について質疑が行なわれたのでありますが、高速道路の料金について、現行の料金制度のあり方について問題になったのであります。また、東名高速道路の部分開通にあたっては、料金をどのようにするのか、との質疑に対しまして、政府の答弁は、高速道路の供用区間が長くなってくると、従前の料金の立て方が問題になるので、道路審議会の中に料金部会を設けて、そこで高速道路の料金制度のあり方を検討してもらっている。東名高速道路の料金については、料金部会の審議の結果に基づいて料金をきめたいが、部分供用になるものについては、とりあえず暫定的な考え方でやっていきたい、というのであります。  次に、運輸省所管について申し上げます。  海運業の再建整備に関しまして、系別、専属会社の中には、所期の目的を達していないものもあるが、そのうちのオーナーについての対策はいかん、との質疑に対しまして、政府の答弁は、オーナーにおいてはまだ償却不足、延滞金等の問題が若干残っているけれども、これらについては、整備期間中に大体解消するものと見込まれる。しかしながら、完全に所期の目的を達成するには、オーナー対策として、できるだけ用船料等について中核会社にめんどうを見させる、あるいは計画造船で有利な船を保有させるようなことをしてきた。また、中核会社に比較して中小企業であるので、中小企業対策という観点からも対策を考えていかなければならないというのでありました。  以上のほか、都市交通対策、航空機事故の防止対策、本州・四国連絡架橋と海難事故防止対策、津軽海峡トンネル試掘事業の促進、中小私鉄の振興、海上交通法案、板付飛行場の米軍用機の使用、国鉄財政の再建対策、通勤通学定期の割引率の引き下げ、国鉄の合理化計画等の諸問題について質疑が行なわれたのであります。  最後に、郵政省所管につきましては、電話使用料金の値上げ、電話架設の増加と電話収入との関係、都内の電話使用基本料金の値上げ、日中郵便協定の早期締結、郵便貯金の目標額達成に関する不正事件、郵政事業における機械化、郵便番号制の採用、都会における無集配局の設置と国営化、小笠原諸島返還後の通信、郵政問題等の諸問題について活発に質疑が行なわれました。  かくて、昨日質疑を終了し、その後、本分科会の討論、採決は、先例により本委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 以上をもちまして、分科会主査の報告は終了いたしました。  なお、第二分科会の主査報告中、田中武夫君の質疑に関連する部分の取り扱いにつきましては、野原主査と協議して、適当に善処いたすことといたします。      ————◇—————

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  昭和四十三年度総予算審査に関し、本日午後に、日本銀行総裁宇佐美洵君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  午後は零時三十分より再開し、締めくくりの総括質疑に入ることといたします。  この際、暫時休憩いたします。    午前十時四十七分休憩      ————◇—————    午後零時三十七分開議

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより締めくくりの総括質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。河野密君。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 当予算委員会における質疑は多岐にわたっておりまするが、特に本予算委員会においては核の問題が重要問題として取り上げられ、これに対する論議が集中してまいりました。しかし、その途中におきまして、御承知のように国際経済情勢に対する非常に重大なる問題が起こりましたので、私は、まずこの問題から質問を始めたいと思います。  御承知のように、昨年の十一月十八日にポンドの切り下げが行なわれました。それを機会としていわゆるゴールドラッシュというものが台頭してまいりました。この問題は、その後断続的に続いてまいりましたが、三日前の去る十三日に爆発的な情勢に発展をいたしまして、ついにロンドンの金市場は閉鎖される、取引所も閉鎖されるという事態に立ち至りました。  私たちは、昨年ポンドの切り下げが行なわれましたときに、これは国際経済異変の前兆である、これを大きく評価すべきであるということを申したのでございまするが、事態はそのようになってまいりました。金に対する需要、いわゆるゴールドラッシュは、ついにいま申し上げたような事態に当面したのでございまするが、おそらくイギリスの国会あるいはヨーロッパの国会でありまするならば、政府から、この問題について政府の情報機関を総動員して集め得たる資料というものを国会の前に披露し、国会自身もこれに対しておそらくけんけんごうごう、徹宵の議論をするのが当然であると思うのでありますこの意味におきまして、私は、われわれと情報その他にことさらに違ったところがあるとは存じおせんが、政府が情報機関を駆使してつかみ得た限りにおいて、いかなる事態になっておるか、いかなる事態に発展しようとしておるか、御説明を願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国際通貨制度の維持ということについては、関係諸国がきわめて緊密な協力体制を持っておるということでございまして、いろいろの世界金融情勢についての情報は、常に交換もいたしており、相談もするという体制になっておりますが、ただ金融問題、特に通貨体制に関する金融問題というものは非常に微妙なものでございまして、一つのルーマが飛んだことによってもいろんな事態を起こすというようなことがございますので、国際間においていろいろ情報の交換や相談があっても、そのつどこれを一々外部へ発表するというようなことはお互いの国でやらぬというような形でなされております。特にこういう微妙な問題についての苦悩国のそれぞれの公式意見とか、あるいはたとえば英国のポンドの問題について、各国の協力が、国別に金額はどうとかなんとかというようなものも、できるだけこれは言わないというようなことでいままで処理されておりますので、したがって、いまおっしゃられたようなことはございましたが、その点はなかなかほかの問題とは違った取り扱い方がされているというのが現状でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は、特に政府が情報機関等を駆使して得た情報は、当然国民に知らせるべきものは知らせなければならないものだと思うのであります。しかも、この事件をどういうように受けとめるかということは、きわめて重大な問題だと思うのであります。一九二九年のウォール街の異変が世界恐慌に発展をいたしました。私は決して悪い予想を立てようというのではございませんが、われわれの率直なる気持ちにおきましては、私は、今回の事件というものは、これは来たるべき世界経済の異変の前兆、糸口である、こう受けとめなくてはならないと思うのであります。なまやさしい問題と考えてはならないと思う。新聞等にあらわれる論調の中にも、これは投機業者のスペキュレーションであるというようなことを言っておりまするが、スペキュレーションの要素も多分にあるでありましょう。しかし、スペキュレーションが世界経済の支柱をなしておる、言いかえるならば、世界の資本主義の支柱ともいうべきアメリカの土台骨をゆさぶるに至ったのは一体何であるか、こういう問題をわれわれはこの際においてはっきりと受けとめておかなければならないと思う。これについての当局のお考えはどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど、最近の実情についてどういうように政府が考えているかということで大蔵大臣から概要を申し上げました。河野君がいま御指摘になりますように、ポンドの国際決済通貨としてのその地位が大変動を来たし、さらに、それに関連いたしましてドル自身の国際決済通貨としてのその地位がたいへん心配になる、しかも、そのドル自身の不安というものが、結局はゴールド、金の問題だ、こういうことにつながっておる、これはもう御指摘のとおりであります。そうしてまた、そういうことが一部の投機者の投機、そういうことで一そうそれをあおっておる、こういうようなところが見受けられるのであります。したがいまして、いまお話しになりましたように、国際恐慌というようなものをこの際招来するようなことがあっては、これはたいへんだと思いますし、また国際デフレになってもいかぬ。かように私ども考えております。そういう意味で、この対策等について非常に慎重な態度をとり、また、あまりうわさなどが起こらないように、実は政府自身も注意してきたと思います。しかしながら、ただいままでのところ、もうすでに新聞その他によっても詳細に報道されておるように、いわゆる金プール七カ国といいますか、それらの国の動向、それらの国の中央銀行の総裁の会合、それなども非常に短期間の間に次々に行なわれておる。きょうはちょうどその日にも当たっておる、こういうことでありますから、いずれこれらに対する対策がここ数日ならずして明確になってくると私は思います。私は、日本がいままでドルの強化、それには協力する、しかし同時に、ドルを強化するといっても、円自身が弱体化する、そういうようなことがあっては国益にも反するのだ、こういうことでドル・円、これは一体化とでも申しますか、そういうような意味でこの協力をはかっていこう、したがって、ドルも強く、また円も強くなければならない、かように実は思っておるのであります。  さらに、おそらくお尋ねが進んでくるかと思いますが、いまの金の問題になってまいりましても、わが国が特別金保有が少ない、こういうような実情に置かれておる。また国内においても金の兌換は停止しておる。しかしながら、国際関係におきましては、金為替はそのまま維持しておる。これは申すまでもなく、ドルというものがその場合において使われておるのでございます。したがって、いまのドルと円の一体化ということは、これは国民並びに産業界の方にはよくわかっていただけると私思います。そういう意味で、いまは何といいましても、国際決済通貨としてのドルの地位、それを安固にするということ、これを安全なものにするということが、これは何よりも大事なことだと思います。そういうことが同時に国際恐慌を防ぐゆえんでもあるだろう、私はかように考えておる次第であります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私も、国際通貨としてのドルがその価値を堅持することを期待いたしております。  具体的にお尋ね申し上げますが、いまお話がありましたように、きょうニューヨークにおいて金プール諸国の中央銀行総裁の会議が開かれます。ロンドンの市場は土曜日でありますから閉鎖されております。いまの情勢で、この金プール諸国の中央銀行総裁の会議において、何らかの結論が得られるものと御期待になりますか。月曜日から何ごともなかったようにロンドンの市場が開かれるとお考えになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私はそう簡単にいかないと思います。あるいはまだ一、二日の休業というものが続くのではないかと思われます。しかし、こういう問題でございますので、長引くことはやはりいろいろ問題を起こしますから、もし、きょうきめるというようなことになるとしますと、むろん、このドルの切り下げとかいうような問題は起こらないと思います。しかし、中央銀行間の金価格の相場あるいは自由市場相場というようなことで、金の二重価格制というような方向のものがきめられる可能性もございますし、ここらはいまのところはっきり予想できませんが、ここまできた問題を、明日から何らの考慮なくして平常どおりこれを開いていくというようなことは、これはやはりとうていできない問題だと思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 大蔵大臣も金市場が月曜日から開かれるとは考えておらない、明確になりました。  現在、あしたの午前三時と予想されております金プール諸国の中央銀行総裁の会議も、早急に結論が得られるものとは考えられない。もしこれが決裂をするというか、何らかの結論が得られなかった場合はどうなりますか。日本としては、これに対してどういう態度で臨まれますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国際協力が決裂するということは最悪の場合でございますので、これは何らか決裂しない措置がお互いの国によってとられると思います。かりにそういう事態がきましても、米国は各国の中央銀行に対して金を一オンス三十五ドルで売る、この形が停止されるような事態は、これは起こらないと思います。米国は従来の宣言どおりこのことはやるでございましょう。金プールがもし停止されるというようなことになりますと、金の自由市場ができてくるというような事態が起こるかもしれませんが、これはいまのところ、まだ私どもにははっきりした予想がつきません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 おそらく考えられる方策というのは、いまお話しのありましたように、アメリカとしてはオンス三十五ドルという公定金相場を維持するであろう、しかし、そのほかに、金の自由市場というものを認めるような妥協的な方策が一番考えられる道じゃないか、こういうように聞き取れるのでありますが、大蔵大臣としては大体そういう予測を立てていらっしゃるのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そういう予測を立てているというわけではございませんが、しかし、何らかの規制が協議されなければ市場再開ということはできないということはわかっておりますので、国際協調の相当強化しておるときでございますから、ここで何らかの知恵を関係国が出すというふうに私は見ております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そこで、お尋ねしますが、今度の金に対する異変、いわゆるゴールドラッシュというものは、直接の原因は何であったとお考えになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昨年のポンドの切り下げ以来一連の問題を含んで今日まできたものでございますので、直接の原因というよりは、やはりなぜこの不安が解消しないで今日まできたかという根本原因のほうが私は大事なことだろうと考えています。それは結局アメリカ自身の政策に基因するというふうに私は思います。やはりアメリカの国際収支改善策というものがはっきりしないことがドル不安を起こしておる。アメリカの国際収支改善策がはっきりしないということの原因は何かと申しますと、アメリカの国際収支の赤字の原因には非常にたくさんの要素を持っております。貿易収支が四十億ドルの黒字でありながら、なおかつ四十億ドルの赤字を出すということは、ベトナムの問題をはじめとして対外援助費の多いこと、観光渡航費のこととか、あるいは海外への投融資が非常に多いというようなことが——国際収支の赤字の原因としましたら、ベトナム問題はほかの要素と比べてそう多い要素じゃない。しかし……(「何言ってるんだ」と呼ぶ者あり)いや、まあそれは国際収支に関する限りは十億ドルから十五億ドルぐらいの影響を与えておると思います。しかしそれよりも問題なのは、米国の国内の予算、財政の赤字ということでございます。この赤字の原因は、もうこれは世界の通説になっておりますが、これはベトナム戦費が非常に高い、そのためにアメリカ国内予算の赤字が非常に多額にのぼっている、この赤字をどう消すかということが私どものやはり関心事でもございまして、米国がもしベトナムにこれだけの金を使うとするなら、ほかの経費を削減するか、しからずんば、あるいはアメリカが増税するかによってアメリカが自国のインフレを押えて、そうして国際収支をきちっとする基礎をアメリカ自身がまずやるべきだというのが私どもの考えでもあり、また、欧州協力各国の考えでもございまして、相当アメリカに対してそのことを私どもはずいぶん申しておりましたが、これが後手後手になっておくれて今日の事態になったのは非常に遺憾に思っております。しかし、アメリカもこういう事態に臨みましたので、いよいよ増税の問題も真剣に取り上げてきたようでございますし、それから、とりあえず金融の引き締め策というものをはっきりとって、そうして法定金準備の撤廃もアメリカの国会がやったということで、初めてアメリカがいろいろな国際収支に対する——対外政策じゃなくて、国内の自分自身の財政金融政策をきちっとし出したということでございますので、これが今後のドル不安、従来の不安に対しては、またこれは相当の影響を与えるアメリカの決意であろうというふうに考えております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 いろいろ申されましたが、一言にして言うならば、アメリカの国際収支が赤字である、そこに問題の原因があると思うのです。要するに、アメリカの国際収支は赤字である、生産力の増強とか経済の成長とか、いろいろなことはありますけれども、とにかく、それにもかかわらず、アメリカの国際収支が赤字であるという点にすべてが帰着しておると思うのであります。赤字があるからこそ、アメリカのドルに対する不安は、どんなに説明をしても、どんなにアメリカの政府が強調しても、国際的な信頼を得るに至らなかったのである、ここにすべての原因があると思うのであります。国際収支の赤字という点について、ポンドもそのとおりであります。わが国の円もそのとおりではありませんか。国際収支の赤字という一点を考えてみる場合においては、われわれはもっともっと考えなければならない点があると思うのであります。  いま、ベトナムの問題も要素の一つになるだろうと言われておりまするが、大体アメリカの国際収支の赤字は、御承知のように三十五億ドルないし四十億ドルといわれておるのであります。その三十五億ドルないし四十億ドルの赤字のうちで、一体一番大きな要素をなしておるものは何ですか、あなたも言われたようにベトナムの戦費じゃありませんか。ベトナムの戦費、この問題を解決することなくしてアメリカの赤字克服は——どんなに海外旅行者の制限をすることによって五億ドルとか、あるいは海外投資を切り詰めることによって十億ドルとか、本年の一月一日にアメリカのジョンソン大統領が声明書で発表しても、そういうものは気休めにすぎない、世界がそういうふうに受け取っておる。国際収支の赤字という面が重要な要素であるとはあなたもお考えになるが、その赤字の原因というものがベトナムの戦争にあるということはお認めになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま言いましたように、国際収支の赤字原因というものはアメリカにたくさんございます。やはり一番大きいのは、金額的に見ましたら、海外投融資のバランスの問題だと思います。その次にやはりベトナムの十五億ドル、国際収支コストが十五億ドルだといいますれば、これもその次ぐらいの原因になるのだろうと思います。四十億ドルの赤字原因の要素はたくさんございますが、しかし、それよりも、アメリカのいまの国際収支対策を私どもが見ますと、ジョンソン大統領の決心は非常に強くて、海外に支出したそういうものの削減をするとか、いろいろな一連のことをやっておりますが、そうじゃなくて、貿易をふやすにしろ何するにしろ、国内の経済の主体強化ということがやはり基礎でなければならぬということを考えますと、ベトナム戦争によって出ている国内の財政赤字というものをきちっとすることが、根本的にはドルの信用をつなぐ一番の原因であるというふうに考えて、私どもは、アメリカが輸入課徴金を課してこの赤字を減らすことに骨を折るとかいうようなことじゃなくて、やはり国内の財政経済体制をきちっとすることのほうが大事だということを考えておったわけでございますが、ようやくそこへ一歩踏み出してきたというのがいまの段階だろうと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 要するに、あなたの説明によってわかりますことは、国際収支の赤字が原因である、しかしそれを、ベトナムの戦争というものが一つの要素には違いないが、大きな要素とは考えない。ただ、国際収支の赤字対策について、いままでアメリカの政府がきわめて怠慢であったといういうことについてはお認めになるわけですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 明らかに怠慢であったと思います。私は、去年イギリスのカラハン氏のお話を聞きましたが、カラハン氏の言うのには、自国の通貨が国際通貨になっておる苦しみというものはたいへんなものだという衷情を訴えられました。国際基軸通貨になっている国の責任というものは、私はそれだけ重いことを感じてもいいと思います。やはりいまの通貨体制を維持しようとするためには、基軸通貨圏がやはり自分の国の国際収支の赤字を減らすというようなことについて特段の、つらいことでありましょうが、責任を感ずるという必要があろう。そういう意味でいいますと、私は、英国も米国もそういう点において万全の措置をとっておったというふうには思いません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 国際収支の赤字克服のためにはもっともっととるべき手段があった、こういうことはお認めになったわけであります。それからすぐ結論に持っていくことは性急でありますから、私いたしませんが、そこでお尋ねします。この処理をするにあたって、おそらくアメリカは同じような怠慢をするのではないか。国際通貨の見地からするならば、非常につらいことではあるかもしれないけれども、ドルの価値を金とのリンクから断ち切るという方向に行ったのでありますから、それを貫いて、はっきりした態度をとるべきではないか。その点はどういうふうにお考えになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 なるたけ金と離脱した、いままで各国で協議してようやく合意になりましたこのいわゆる、SDR、これをこれから発達させるという方向へ各国が努力すべきだと思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私の聞きますのは、おそらく、アメリカとして考えられていることは中間的な考え方で、ニューヨークにおいては各国政府からの金の交換は認めている。ロンドンあるいはパリに自由な金市場を開いて、金の自由価値を認めると巷間伝えられております二重価格制というものになるのではないか、それが一番可能性が多いのじゃないか、こう思われるのでありますが、二重価格制度になった場合に、いまドルにリンクしております円であるとか、各国の通貨の価値はどういうことになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 ドイツの中央銀行の総裁もきょう言っておるようでございますが、そういうときになったら、金プール国の今後の結合ということが、いままでよりはもっと大切なことになるというふうに申しておりまして、やはりそういうことになっていくのじゃないか。そうでなければ、やはり国際通貨体制というものは非常な混乱を来たす。むしろこれからは、そういう国際協力を強くしていかなければ非常に困る時代になるというふうに考えております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は、先ほど申しましたように、金プール諸国の協力というものが得られるならばそれはけっこうでありますが、できるだけ協力を得るようにしなければならないと思います。思いますが、私は、金の自由市場を認めるという政策をとるならば、各国の為替相場というものはまちまちのレートにならざるを得ないと思うのであります。とにかく、そういう場合に、大蔵大臣にお尋ねしますが、それじゃ、円を守るためにはどうなさいます。われわれは円を守ることを考えなくちゃならない。円を守るときにはどうなさいます。そのレートをどういうふうにしておきめになりますか。アメリカと相談しておきめになりますか。円を守るという立場においてどういうレートをきめようとなさるのですか。そういうことになりますれば、一つの例は、いま申し上げました日本の立場でありますが、日本がとらなければならない防衛政策は、いずれの国でも自分の国を守るためにはとらざるを得ないと思うのであります。そういう場合に、一体世界の経済情勢はどういうふうになるとお考えになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまのこのIMF体制は、ドルの価値を中心としてきめられておるものでございますので、したがって、ドルを中心にする国際通貨体制が大きくゆらぐということが一番困ることでございまして、まず、これをゆるがせないでおくということ。円を守る方法のまず基本的な問題は、国際通貨体制をゆるがせないということが一つ、それからもう一つは、外国の経済がどう動こうとも、やはり自国の経済の主体を強化するということが大事でございまして、日本は、いま私どもがやっているような引き締め政策によって国際収支の回復を早急にやる。そうして国際収支の赤字をなくするということが、円を守る一番必要なことであるというふうに考えますので、国際体制を混乱させないということと、自分のことをしっかりやるという、この二つによって円を守るよりほかないのではないかと思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 国際収支の赤字をなくするとおっしゃいますが、日本の国際収支の赤字をなくするのには、これは貿易の伸長以外にないと思うのですが、ほかにありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 貿易の伸長でございます。それには、こういう問題を機として、今後やはりさっき言いました国際協力を強化するということと同時に、このあとにとられるいろいろな米国そのほかの措置によって、世界を縮小貿易の方向へ追い込んでしまってはいけないということで、全部の国が英米のデフレ政策に追随するというようなことを国際協力の上において避けなければならぬ。そういたしますと、黒字国であるEEC諸国というようなものが、逆にこれはある程度の外貨を犠牲にしても、ここで成長政策をとって、国際的な経済縮小をはばむという協力が欧州に求められなければならぬ。こういう問題の相談に、これから国際諸国が入っていくだろうというふうに考え、また、入っていく必要があるというふうに考えております。(「逃げているじゃないか」と呼ぶ者あり)逃げているというのですが、そうではなくて、日本もOECDの会議にも参加しておりますが、この間各国で、欧州の諸国は一応そういう方向にいこうではないかと、いま相談をやっているときでございまして、逃げているのではなくて、積極的にそういうふうにしようという相談が、いま国際的に行なわれております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は、いま大蔵大臣のお話で、急所に触れておると思うのです。それは、国際収支の赤字を解消するという私の提言、それが問題だという点についてはあなたも同意見。しかも国際収支の赤字を解消するのには、一つの国がいかにさか立ちをしてもできるものではない。国際協力というものが必要である。国際協力をする前提は何だ、ということになってまいりますと、国際協力をする前提をいまのアメリカは持っておるか、私はこれが問題だと思うのです。現在、この重大なる問題がかかっておるアメリカの議会に、五十二万五千人をこえてさらに二十万人の派兵を認めるかどうかという、いわゆるエスカレーションの案がかかっておるわけであります。そういう戦争のエスカレーションを認める、そういうことによって国際協力というものが得られるかどうか。赤字の問題を解消するのにも重要なるポイントは、いわゆるベトナムの戦費をいかに縮小するかという問題である。国際貿易を縮小しないためにも、現在もしアメリカが考えておるような自由金市場を設けるというような政策でいくならば、おそらく各国まちまちの自衛手段をとらざるを得なくなるであろうが、その自衛手段を国際協力の方向に持っていくためには、ベトナムの戦争をまたこれはやめざるを得ないではありませんか。どちらから見ても、私は、アメリカの問題は、ベトナム戦争をどうするかという問題の一点にしぼられてくる、かように考えるのでありますが、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 その問題は、今後アメリカ自身が判断されることと思いますが、必要なことは、とにかく貿易収支において四十億ドルのまだ黒字を出している国でございますから、この経済の力というものは非常に多い。その多い力の中で、いまやっているベトナム問題が自分の国で処理し得る力の範囲内であるかどうかということは、これはアメリカ自身が、自分のことでございますから認定するでございましょうが、私どもが問題としておりますことは、このアメリカの政策をどうこう言うわけではございませんが、一定のそういう国内政策をとったらとったでよろしゅうございますので、まずアメリカがはっきりと財政の赤字をなくするような思い切った措置をとる。そうして国際基軸通貨国である責任をとってもらって、ドルの不安をなくするということをアメリカが国内政策としてしっかりやってもらわなければならない、これが世界のためになるということを、私どもはアメリカにいま要望しているところでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 日銀総裁がいらっしゃるのは二時だそうですから、そのときにまたこの問題に立ち返ることをお許し願うことにいたしまして、別の問題に、と申しましても関連がある問題ですけれども、移らしていただきたいと思います。  第一番目の問題は、核に反対する非核三原則、核をつくらず、持たず、持ち込ませずというこの三原則は、私はこれは佐藤内閣の政治の方針だとは考えない、これは日本の政治の方針であると考える、これはどこにも適用されるものであると思うのであります。小笠原が返ってまいりますれば、小笠原に適用される、沖繩が返ってくるならば、当然沖繩にも適用される、こういうふうに考えるのでありますが、佐藤総理はこの問題について白紙である、こういうことをしばしば答弁されておりますが、白紙とはいかなる意味でありましょうか。沖繩に当然非核三原則は適用されるものということを、はっきりとお答え願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 非核三原則というと、ちょっとことばが不十分かと思います。私は、核兵器についてはこれを持たない、これを製造しない、これを持ち込みを許さない。核兵器とはっきり言っているのです。したがいまして、わが国内におきましても、新しい時代、この時代におきまして、核エネルギーを平和的に利用すること、これはもうやぶさかではない、いな、積極的であるべきだと私は思っております。個々の点について、あるいはいろいろの批判がございますが、核三原則というだけではいかぬ、核兵器三原則、これはひとつさように御了承いただきたいと思います。  そこで私はもう一つ、将来沖繩が返ってきたら、そういう際に沖繩の軍基地のあり方をきめればいい、ただいまそういう意味で白紙ということばを使いました。しかし、この白紙ということばのためにいろいろ誤解を受けておるようですが、なぜ私がただいま沖繩についてどういう態度であるかということを明確にしないか、そういうことを、お尋ねがあったと思いますが、申しますと、これは御承知のように、いまどんな基地、どんな防衛をし、米国がここにどんな基地を持っておるか、これも十分勘案しなければならない、十分これを理解しなければならない。また同時に、これから起こるであろう国際情勢の変化というものもありますし、またもう一つは、何と申しましても科学技術の進歩というものがございます。いまの核兵器そのもの、ただいま始まったばかりだといってもいいようなものだと思いますので、これから先の発展、これはなかなか予測はできないものであります。またもう一つは、国際世論、あるいはことに国内の世論の動向というものも考えなければ、政治はやれるものではありません。こういうような状態にあるときに、沖繩に対する政府の態度を明確にして外交交渉をするということは、私は、望ましい姿ではないと、かように思いますから、ただいま、申し上げるような諸点を明確にすることのほうが、先だというのが、私が今日白紙だというゆえんでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 核兵器三原則でもこの場合はけっこうですが、核兵器三原則というものを厳重にお守りになるならば、沖繩も、帰ってきた場合においてはその三原則は当然貫かるべきものである、これが日本の政治の原則であるならば、当然貫かるべきものである。それが白紙であるということはあり得ないと思うのですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま私が白紙だというゆえんを一応説明いたしました。また重ねてのお尋ねでございますが、私は前言どおりを申し上げます。ただいま、何といっても施政権はアメリカが持っておる。そうして、そのもとにおいてアメリカ自身が軍基地のあり方を自由に自分たちで考えておる、こういう状況でございますから、沖繩が返ってくる前に、十分継続的にこれらの点について話し合うことが必要だ、十分理解を持つことが必要だと、かように私は思います。私がかように申しましたからといって、いわゆる核基地つきを私が予定している、こういうようなものでもございません。アメリカの中にも、すでにこれは河野君も御承知のことだと思いますが、こういうものは無条件で日本に返せというような有力な知日派の人の説もございますから、これなどももちろん十分考えるべきことだと、かように私は思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 同じことを何べんも繰り返そうとはしませんが、はっきりしておきたいのは、非核兵器三原則にいたしましても、それをあなたがお持ちになるというならば、少なくとも非核兵器三原則というものを貫く方向においてアメリカと交渉する、これは当然だと思う。アメリカに交渉する態度は、非核兵器三原則の態度でもって交渉する、これは間違いないと思うのです。核兵器について、結果において、あるいはこちらの言い分が通らない、その点を白紙だとおっしゃるならば、これはやむを得ないけれども、そうじゃなく、こちらで交渉する態度としては間違いなしにそういう方向でいく、これだけははっきりしておいてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 その交渉の態度、これをどういう態度で臨むか、この点が、実はいまのような前提を全部含めて私の態度をきめるのでございまして、ただいま言われるように一つの前提でものごとを交渉するという、これは非常にはっきりしたことでございますけれども、それはしばしば誤解を受けることだと思います。相手方のあることでございますから、十分交渉の成果をあげるためには、私は、ただいまの態度を変えないことが望ましい姿じゃないかと、かように思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 非核兵器三原則を持たないという態度であるならば、結局無原則ということです。そういうことはあり得ないと私は思うのです。  そこで進めてお尋ねしますが、B52が沖繩に来ておる。B52が沖繩に来るについては、アメリカ側から通報があったと思うのでありますが、一月の二十六日にアメリカ側から通報があった。それは、朝鮮の問題が険悪になったので、その限りにおいてB52が沖繩に移駐するという通報があったということでありますが、それは間違いありませんか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 一月の二十六日に、移駐ということではありませんが、移駐を考慮しなければならぬかもしれない。それは朝鮮だけではありません、緊迫した極東情勢にかんがみということで、朝鮮とかどことかいうことの指定しての話ではありませんでした。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そのときに、あなたのほうの返事はどういうんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは日本の承認を得るという問題でもありませんので、アメリカはそういう意図を持っておるということを通知をしてきたというだけで、われわれとしては聞きおいた程度でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どういう理由で通報するのですか。向こうは通報の義務はないが通報してきたというには、特別の理由がなければならぬと思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御承知のように、一月の二十六日というのは、二十一日にゲリラ部隊の事件があり、二十三日にプエブロ事件があった。われわれとしても、朝鮮半島の状態というものは非常に緊迫を感じたわけであります。そういうときで、日本としても極東情勢に非常に不安を感じておるということは、アメリカ自身としてもよくわかることでありましたので、これは義務というのではなくして、アメリカがそういう意図を持っているということを、考え方を日本に述べて、こういう極東情勢の緊迫に対してアメリカはこういう考えを持っている、こういうことを述べてきたのであって、それが特にB52だからどうということではなかったと私は思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 作戦行動をするという前提のもとに通報してきたのですか。そうなんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 作戦行動というよりかは、やはり朝鮮というもの、かその時点からして——そのときはまだテト攻勢は起こってなかったわけです、一月三十日ですから。だから、朝鮮を中必とした緊迫した状態に対して、アメリカとしてもそういう対応する処置——その場合においては直接戦争を朝鮮半島でするという意図でもないでしょうが、やはり大きくいえば抑止力といいますか、そういうふうな意味だというふうにわれわれは受け取ったのでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 B52は現在沖繩を発進基地としてベトナム戦線に出動していますね。これは通報がありましたか。なお、ベトナム戦線に出動しておるということ、極東情勢の緊迫に応じて移駐するかもしれないということで来たB52が、ベトナム戦線に出動しておるという事実に対して、佐藤総理はどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 通報してきたかというので、私がお答えしたほうが適当だと思うのですが、アメリカは沖繩をB52の恒久的な基地にする意図はない、これを申し出てきた以外に、B52がどういうことをやっておるかということを通報した事実はございません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま沖繩からたぶん出かけているだろう、こういう私どもも想像はいたしております。しかし、これをはっきり確認するような材料はいまございません。これだけはっきり申し上げておきます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 事実は私のほうで確かめてありますからお答えを願わなくてもいいのですが、B52が沖繩を発進基地としてベトナム戦線に出動しておるという事実を、佐藤総理としてはどうお考えになりますか。これを是認していらっしゃるのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いわゆる是認というわけじゃございません。アメリカの施政権下にある、アメリカがそれを使っておる、かようなアメリカの考え方だ、かように私は思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 無責任だと思うのですね。一体沖繩の基地に対して、B52が移駐する場合においても、わざわざ向こうから通報がある。しかるに、B52が沖繩を発進基地としてベトナム戦線に出動すると、いうことに対して何らの通報がない。しかもそれに対して一音半句も日本の総理大臣がものが言えない。こういうことば無責任じゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま申し上げるように、これを使ってはいかぬということは私どもが言えない状況ですが、しかし、ここに住んでいる百万の同胞、これらのことを考えますと、日本政府は黙っているわけにいかない。これらの同胞の感情というものを十分考慮をしてほしいということは、アメリカに申し入れがしてあります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 考慮してほしいという、ただそういうことでなく、日本は、沖繩が返ってくるならば、B52の沖繩進駐ということはあり得なくなるわけです。また、沖繩における核基地というものは、われわれの立場からすれば——佐藤総理もそれはお認めになると思うのですが、われわれの立場からすれば、核基地を置いてはいかぬ、こういう考え方。そういう場合に、B52が沖繩に来て、しかも爆弾を積んで、それを発進基地としてベトナムに出動する、こういうことを見のがしておくという論理が、私は成り立たぬと思うのです。論理が成り立たぬばかりでなく、われわれの感情も許さぬと思うのでありますが、これに対して、ただ考慮を願うのだというような、そういう弱い態度で臨むべきではない。もし沖繩を発進基地としてベトナム戦線に出動した場合において、発進基地たる沖繩がどこかの国から報復を受けるということをお考えになりませんか。報復があってもふしぎではないというふうにお考えになりませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 沖繩から出ていった場合に、いわゆる侵略行為があった、かように私は考えません。ベトナムで爆弾を投下したか、そういうことは別として、それを侵略行為と見るか見ないかということが、一つの問題だと思います。したがいまして、侵略行為に対する報復手段というものは考えられましょうが、しかし、それ以外に沖繩を攻撃する、そういうようなことはどこの国も考えていない、かように私は考えております。したがいまして、いまの状態では、沖繩が攻撃を受けるということは、その危険は全然ない、かように私は思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 では、佐藤総理にお伺いいたしますが、ベトナム戦争が始まって——エスカレーションしてからといってもいいと思うのですが、エスカレートしてからでも三年たっております。その三年の間に、沖繩を発進基地としてベトナムを攻撃したということが明白にわかった、住民はもちろんのこと、みんな日本国民の中にわかったというのは、今度が初めてではないですか。どうですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 河野さん断定して、ベトナム爆撃にB52が行っておるという前提でお尋ねになっておりますが、われわれには何らそういうふうな確証はないのであります。したがって、B52の発進については、むろん肯定もいたしませなければ否定もできないという立場でありますから、これがB52が発進基地にしておるという前提の御質問にお答えするのは、私は適当でない。しかし、作戦基地としては従来沖繩は使ってなかったことは事実であります。補給基地であったことは事実でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 政府としては、そういう沖繩を発進基地としているかいないかということを調べる義務はないのですか。現在はっきりしている。嘉手納基地のすぐそばまで道路が通じておりますね。嘉手納基地のわきから爆弾を運び込んで、そうしてB52に爆弾を積み込んで、そのB52が毎日一定の時間に出動をして、それをどこかに落として帰ってくる。これだけ事実がはっきりしておっても、それでもその発進基地としているかいないかということについての立証にならぬ、こうおっしゃるのですか。どういう点に立証されるならば、政府はそれを沖繩を発進基地として使っておる、こういう立証だとお考えになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 一番端的な場合は、アメリカがそういうことを、これを発進基地に使っていると言うことが一番明白でしょう。それ以外に立証の方法——一番明確な立証は、アメリカがそういうことを……(河野(密)委員「聞いたらどうですか」と呼ぶ)私は、だから、アメリカに対してそういうことを——こういうB52というものは、いま言ったように、いわゆる条約上からはアメリカは基地の自由使用ができる権利を持っているわけですね。また、安全保障条約の役割りを沖繩基地は持っているわけです。しかし、われわれ日本政府が、にもかかわらず、条約とかあるいはまた軍事上のそういうアメリカとして持っておる権利とか義務とかいう問題ではなくして、沖繩の人たちがB52が移駐したことに対して不安に思っている、こういう沖繩の人々の不安というものに対してきわめて重視をしておるわけである。したがって、アメリカに対しても、条約上の権利からすれば当然にアメリカは自由使用ができる権利を持っておる、にもかかわらず、日本の政府が善処をアメリカに対して要望するということは、沖繩住民の不安というものを政府が重視したからであります。これに対してアメリカは、永久的な基地にしないという回答を日本政府に対してしておるわけです。そういう場合にも、いろいろと河野さんが御疑問に思うような点もわれわれも話すのでありますが、アメリカは、軍事行動に対してどうしておる、こうしておるということを明らかにいたしたことはないのでございます。これをわれわれは権利とか義務とかいうのではなくして、どうしても基地を有効に使用するためには、現地民の理解と協力が要る、沖繩の人たちが不安に思っておるということは、これは注目しなければならぬということで、申し出もいたしますし、最近にまた、沖繩に大浜沖繩問題懇談会会長が行かれる機会に、現地の事情をよく調べてきてもらいたい、政府が今後いろいろアメリカと協議する参考にもしたいということで、日本の政府としては、この沖繩の人々の不安というものにはできるだけこたえようという態度をとってきておると考えておる次第でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 日米琉諮問委員会で内地との一体化を進める、こういうことでありますが、その一体化という中には、当然核基地あるいは沖繩の基地というものの使用を内地と同じようにするということが含まれていると考えるのでありますが、含まれておりまか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 この日米琉の諮問委員会は、内地一体化の前提のもとに社会、経済その他の問題を検討を加えようというのでありまして、その根底にあるものは、内地一体化というものが一つの大きな根底にあることは御指摘のとおりでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そういう一般的なことを……。(「防衛のことは」と呼ぶ者あり)

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 防衛の問題については、これは日米琉諮問委員会の諮問——諮問といいますか、あそこの協議事項外になっております。いわゆる基地の問題、あるいはそういうふうな防衛上の諸問題は、日米琉諮問委員会の権限外のことになっておる次第でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 佐藤総理は施政方針演説の中でこう述べておるのであります。「二十世紀後半の人類は核時代に生きております。この核時代をいかに生きるべきかは、今日すべての国家に共通した課題であります。」こう言って、核兵器に関しては、「われわれは、核兵器の絶滅を念願し、みずからもあえてこれを保有せず、その持ち込みも許さない決意であります。」こう言っております。その具体的方法としては、核拡散防止条約の早期締結とか、核軍縮の達成とか、核保有国の威嚇、使用を不可能とする国際世論の喚起、人類の理性が核兵器を支配する国際環境をつくる云々と言っております。私は率直に申しますが、佐藤総理の施政方針演説の中で、この一節は従来に例がなく格調の高いものだと思います。私は、こういう政治方針なり政治の考え方というものを佐藤総理が貫かれることを期待してやまなかったのでありまます。ところが、これはだんだんだんと質疑応答を重ねる間に馬脚を出してまいりまして、いま言うように、非核原則ではない、核兵器三原則であるというようなことを言ったり、核三原則と核に対する四つの政策というものを組み合わせなければ、これをワンセットとしなければ、国会の宣言にする、あるいは決議にすることはできないとか、だんだんだんだんと何が何だかわからないようにしてしまったのであります。  私はそこでお尋ね申しますが、現在ベトナムの戦争は非常に険悪な状態にあります。一月二十三日にはプエブロ号事件というのが起こって、極東の情勢も険悪であります。プエブロ号事件が起こりましたときに、アメリカの世論あるいは国会の権威筋のことばの中に、核兵器を使え、少なくとも戦術核兵器を使え、核兵器を使わなければ核兵器を持っている値打ちがないじゃないか、いつの日にこれを使うのだ、こういう議論が相当に横行してまいりましたことは御承知のとおりであります。一月三十日にテト攻勢が起こりましてから、その議論はさらに盛んになりました。現在はケサンの攻防戦がクライマックスに達しておりますが、ケサンの攻防戦に関してアメリカのホイーラー統合参謀本部議長が国会での秘密会で証言をしたといわれる中に、ケサンを第二のディエンビエンフーにする考え方は持っていない、ケサンを第二のディエンビエンフーにしないで済むために核兵器を使わなくともやり得ると思うのだ、こういうことを答えておる。核兵器を必ずしも使わないとは言わない、核兵器を使わなくともケサンを守り得ると思う、こういう微妙な発言をしておることは御承知のとおりであります。さらにその際、ガーウィンという戦術核兵器の専門家をひそかに南ベトナムに派遣しておるのだ、こういうことも明らかにされておるのであります。  私は佐藤総理に率直にお尋ねしますが、核のかさとか核の抑止力とか佐藤総理はよくお使いになりますが、アメリカがもし南ベトナムにおいて戦術核兵器、小型核兵器であっても核兵器を使われたらどうなさいますか。核兵器を使うという考え方に対して佐藤総理はどういうお考えを持っておりますか、これを明確にお答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私はいま、核の抑止力という基本的な考え方に、やや河野君と私との間に誤解でもあるのじゃないか、かように思います。核の抑止力といって私どもが申しておりますものは、強大なアメリカの核兵力そのものが、核戦争を起こさない、あるいは世界戦争を起こさない、そういうものを抑止する力があるものだ、実はかように考えておるのであります。このことは同時に、アメリカが先に核兵器を使うということばまたないということでもあります。この点は、前国防長官もさようなことを国会において証言をしておる。自分の国が他の国よりも先に核兵器を使う、そういうことはない、こういうことを申しております。そのこととあわして考えてみますと、核の抑止力ということは、アメリカが強大な核兵力を持っておる、そのために戦争勃発を押える力がある、だれもこういうものに対してしかけていくところの国がないということだ、かように私は考えておるのであります。もちろん、一たん戦争が開かれれば、この強力なるアメリカの核兵力というものが報復的に出るだろう、その報復的に出るだろうということを恐れるがゆえに戦争はないということであります。  また、ベトナムについて小型のものでも使うのではないかというお話が出ております。私は、どこの国でもタカ派、ハト派、そういう連中の間に、ずいぶん発言の行き過ぎもあるように思います。(「君は何派だ。」と呼ぶ者あり)私はただいま総理ですから御心配のないように。  そこで、私はいま申し上げておりますように、いま一部でそういう議論がありましても、ジョンソン大統領のもとのジョンソン政府は一体何と言っているか、そのことをはっきりひとつ考えていただきたい。国会における証言、これは一九六六年、一九六七年、もう二回、前長官並びにラスク長官なども証言をしております。私はその証言を信頼しております。最初、基本的なものとしての、アメリカが先に攻撃はしないと言っている。同時にまた、そのことは大戦ばかりではなく、ベトナムであろうが、韓国であろうが、同様なことがアメリカに期待ができ、私どもはそれを信頼できる、かように信じておる次第でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私はそういう一般的なことを聞いておるんじゃない。ベトナムについて核兵器を使うという情勢に対して、あなたはどうなさいますか、こういうこと。私がなぜそういうことを聞くかと申しますと、いまホイーラー統合参謀本部議長のことを申しましたが、ちょうどそのときに、イギリスのウイルソン首相がアメリカを訪問しておって、ウイルソン首相がCBSを通じて、小型核兵器にしても、戦術核兵器にしても、これを使うというようなことは気違いざたであるということを堂々と述べて、アメリカに対して核兵器を使うことに対する反対の意思表示を堂々としておるのであります。御承知のように、昨年の十一月十八日のポンドの切り下げ以来、ウイルソンの国内における人気というものはがた落ちであります。いつおまえはやめるんだ、おまえはいつ辞職するんだ、こういうことが堂々とイギリスの新聞、雑誌に見えるくらいにウイルソンの人気はがた落ちである。そのウイルソンがこの核兵器の問題についてアメリカで堂々と、気違いざたであるという反対意見を述べたということで、このことばイギリスの新聞、雑誌もみんな取り上げて、ウイルソンの見解を支持しなければならない、こういう態度を示しておるのであります。私は、かりにもハト派であろうとタカ派であろうと、とにかく戦術核兵器というものを使おうという、そういう声があるときにおいて、佐藤総理としてこれに対してどうお考えになるか。われわれは戦術核兵器であっても、小型核兵器であっても、さようなものを使わぬのだ、使うことに対しては、アメリカであろうとどこの国であろうと反対である。堂々とそういう意見を述べてしかるべきだと思う。国会を通して述べられても、私はちっとも差しつかえないんだと思う。それを言をあいまいにしておって、態度を明確にお示しにならぬということは、かえって誤解を招くゆえんじゃないか。はっきりしたらいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私の態度ははっきりしている。また、私の先ほどのお答えではっきりしている。ウィルソン首相が当時話をした。これは一部そういうようなばかげた話をする人もあったから、おそらくイギリスの首相は答えて、それは気違いざただ、かように言ったのだと思います。私は、ただいまアメリカは使わないと言っている、したがって、政府筋ではっきり使わないと言っている場合に、ここでばかげた気違いざただとかいって力み返ることもないんじゃないか、私はかように思いますので、私自身がはっきり申さなかったように言われますけれども、アメリカ政府のこの証言を信頼したらどうか、かように私申しておる。私もこれを使うことは反対です。はっきり申し上げておきます。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 この際、河野君に申し上げます。ただいま参考人として日本銀行総裁宇佐美洵君が出席されましたので、この点お含みの上御質疑願います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そこで、初めの問題に立ち返りますが、宇佐美日銀総裁がいらっしゃらない前に、現在の金の異変の問題について御質問をいたしたのでありますが、宇佐美日銀総裁はいろいろな点において直接の御関係が深い。情報その他の点について十分いろいろのものをお持ちであると思うのであります。私は、いままであなたが手に入れていらっしゃる今度の金の異変の問題につきまして、日銀総裁としていままで収集し得た情報について概略をお述べいただいて、同時に、それに対する日銀総裁としての受けとめ方をお伺いいたしたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 御承知のように、昨年十一月にポンドが切り下げをいたしまして、その後、次に来たる不安はドルだという気分も出てまいりました。十一月の下旬になりますと、やはり金に対するいわゆるゴールドラッシュが起こりまして、そのときは七カ国のゴールドプールの諸国が一致して金の価格を維持するということを声明しましておさまったのでございますが、十二月中旬になりまして、さらにそういうドルに対する不安が盛んになってまいりまして、そのときはアメリカのファウラー長官あるいはマーチン連銀の議長が、やはり同じように金価格を維持するということを声明いたしまして、さらにことしの元日になりますと、ジョンソン大統領が御承知のようなドル防衛策をいたしてまいったわけであります。したがって、その後やや小康を得ておりましたけれども、先月の末あたりから再びこの問題が出てまいりまして、前二回と違いまして今回はかなり激しいゴールドラッシュと私は見ておるのであります。これに対しまして、やはりゴールドプール諸国は金価格の維持を声明いたしましたが、今度はその声明だけではなかなかおさまらないというような状態で、急遽それらの国の中央銀行総裁がワシントンにおきまして十六日からこの問題を相談しようということになっておるわけであります。こういうふうになりました原因は、いろいろこまかく申し上げますと問題でございますが、大ざっぱに言いまして、やはりアメリカの国際収支がよくならないというところに基本的の問題があろうかと思うのであります。  それでは、アメリカの国際収支がなぜこういうふうに悪いのかという問題でございますが、実はアメリカの国際収支は一九五〇年、いまから十五、六年前以来、たぶん五七年だけを除きますと毎年赤字でございます。最近にアメリカの国際収支が非常にやかましく言われるようになりましたけれども、実はずいぶん長い間赤字が続いておるという状態でございますが、そういう赤字が生じました理由をさらに大ざっぱに申し上げますと、やはりアメリカが、世界各国と申してもいいと思うのでございますが、民間の投資が非常に盛んである。また政府の援助も非常に盛んである。こういうようなアメリカの資金が、これは結局において世界の貿易あるいは経済の拡大に役立っておりますし、また、貿易の振興にもなっておるわけでありますが、そういうのが非常に大きな赤字の原因だと思います。さらに最近は、軍事費を中心にいたしました戦費といいますか、そういうものを中心にしました支出もだんだん増大してくる、さらにアメリカの国内の景気も回復してまいりまして、インフレ的様相もだんだん出てきておる、そういうようなことが最近重なってきておるのであります。アメリカとしましては、この国際収支の赤字が非常にふえてきたことを心配いたしましていろいろ対策を練っておるのでありますが、やはり基本的には、どの国でもそうでございますが、国際収支の改善には、第一には国内の経済を調整するということが非常に必要だと思うのであります。その点について非常に努力はしておることに認められるわけでございますが、その処置がいろいろおくれておるという点が、最近のドル不安を起こしておる原因ではないか、かように考えております。  日本といたしましても、御承知のように、貿易の関係からいいましても、また経済全体からいいましても、アメリカに依存度といいますか、非常に影響を受けておりますので、ドルがこういうような状態になりましたことについては非常に心配し、私どもは一日も早くまず国内のいろいろな施設——政府自身が考えておる施設もございますし、また民間の考えておることもございますが、いずれにいたしましても国内の調整を早くして、そうして国際収支の改善をやってもらいたい、これが一番大事な国際収支の改善の道だ、かように考えておるのであります。  一方、日本の経済のほうは、御承知のように昨年は経済は非常に拡大したのでございますけれども、国際収支は非常に悪化いたしました。つまり、輸入が、昨年は世界の経済の伸び方が非常に低うございまして、しかも日本はそういう経済拡大をいたしましたために、輸入は非常な高さでふえてまいりました。国際収支は日本もまた悪くなってきておるのであります。それで昨年秋以来、政府でもこの点を心配されて、財政の繰り延べなどもされましたが、日本銀行といたしましても金融引き締めの処置をとり、さらにその後の形勢を案じまして、ことしの一月さらに再引き上げをやって、現在その方針を進めておるのでございます。この政策は当初はなかなか浸透しないようでございましたが、昨今はようやく浸透のあとを見せてきております。したがって、この浸透が今後どういうふうにいくかということについて、私どもはその成り行きを注目しておるのでございますが、いまのところ、海外の情勢も必配でございますが、国内の引き締めは次第に進みつつあるように思います。そこでこのいまの政策をさらに浸透するようにかじをとりながら進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そこで、日銀総裁にお尋ねしますが、この事件をあなたも非常に重大な事件と受けとめられておると思いますが、この重大な事件の原因は、アメリカにおいても国際収支の赤字にある。日本も現在たいへんな国際収支の赤字を見ておる状態である。この事態に当面して、日本の現在進めつつある財政経済政策、従来のままをそのまま進めておってよろしい、こういうお考えですか。それとも、この際、この昭和四十三年度の予算を中必といたしまして何らかのここに政策上の転換と申しますか、強行策というか、そういうものを新たにとるべき必要があるというふうにお考えになるのか、その点を明確にお答え願いたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、まだ現在金の問題あるいはドルの問題は、各方面で相談され、論議されております。また、いずれはわれわれもこれに相談に参加してやっていかなければならぬと思っておるのでありますが、まだ諸国がいま検討中でございますので、今後この問題がどういう方向に向かうか、軽率に判断はいたしかねるわけでございます。そこで、われわれとしましては、容易じゃないということはよくわかるのでございますが、同町に、われわれの態度といたしましては、これから、せっかくここまで浸透いたしてきておりますので、さらにこの浸透のぐあいを見て、そうして私どもが考えておるように浸透が進んでまいりまして、国際収支がいいほうに向かえばそれでそのままに現状ぐらいの程度でいけるかと思いますが、今後のことばいろいろな情勢を見ながら進めるよりいたし方はないと思うのであります。  ただ、われわれは、それでは昨年及び一昨年から続いております赤字、これの裏を考えてみますると、やはりそれだけ日本の国際競争力もかなりついてきているのじゃないか、いまの情勢では世界の貿易は非常に飛躍的にふえるとは思いませんけれども、努力をしてさらに輸入の調節をやっていけば、まず日本は非常な危険な状態になるとは思っておりません。しかし、用心は非常に必要でございますので、今後の情勢によって用心をしながら進めていく、こういうふうに考えておるわけであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 残念ながら、問題の受け取り方についてわれわれと非常に違うのであります。われわれはもっと問題を重大に考え、この深刻なる事態にはおそらく一あなたがいない前に私は意見を申しましたが、一九二九年の世界恐慌の糸口とわれわれは受け取っておるのであります。それほど重大な問題と受け取っておる。これを、世界恐慌を回避するということがあるならば、国際協力というものがもっと高まらなくてはだめである、あるいは各国のこれに対処するところの姿勢というものがもっと改まらなければだめである、こういうふうに考えておるのでありますが、私は日銀総裁の何か非常にのんびりしていらっしゃる、いかにも対岸の火災でも見るような感じでもってこの問題に対処していらっしゃること、非常に不満です。そういうようななまやさしい事態じゃないと思うのであります。金の一部の投機業者のスペキュレーションがあるにしても、とにかくそのスペキュレーションによって、世界経済の一番支柱といわれておったアメリカの経済がゆすぶられたのであります。この事実がどこから生じたかということについて、私はもっと深刻な反省があってしかるべきだと思うのであります。さっき私はラジオで聞いておりましたが、イギリスにおいては、せんだって日本に参りましたブラウン外相が辞職した。この問題についてとにかくウィルソン首相と意見を異にするからやめる。昨年の十一月十八日のポンドの切り下げについても、ブラウン外相はウィルソンと意見を異にしたといわれておりましたが、私も日本へ参りましたときに会いました、そのブラウン外相もやめる。あるいはイギリスの労働党の内閣は崩壊するかもしれぬ、こういう報道すら受けておるのであります。そういう重大なる事態であるということの認識が足らぬと思うのであります。もう少し真剣にこれはお考えを願わなきゃならぬ。  それではお尋ねしますが、明日の午前三時から開かれるという金プール諸国の中央銀行総裁の会議において、何らかの結論が出るとお考えになりますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま河野さんから、おまえは非常にのんびりしておるというお話がございましたが、私は、いまの情勢がきわめて容易じゃないということを認識いたしておるつもりでございます。私の表現がのんびりしているとおっしゃれば、心では決してそんなものではないということを、まずお断わり申し上げておきたいと思います。  現在私どもは、いまの問題が非常に重大であることは考えております。しかしながら、やはりいま金プール諸国が非常な努力をしていることも事実でございます。私から申し上げるまでもなく、この問題は非常に複雑でございます。簡単にいかない点は、たとえば、ある方策をとりましても、それが各方面に影響するところが非常に大きい。抜本的の方法は、各国の事情も違いますし、私は、なかなかとれないと思う。したがって、やはり相談しながらだんだん行くという点でつとめなきやならぬと思うのでありますが、しかし同時に、たとえばIMFなどでも、四年前からこういう金融制度の研究もいたしております。これは私どももこれに参加しておりますが、各国の事情が非常に違うという点からいいまして、難航を続けておりますが、ようやく過般、まあ一応の妥結をしたようなわけであります。国際金融というものは、一国でいかにやりましても、なかなかむずかしいものでございます。利害それぞれ違いますし、考えも違います。しかし、そういうものをまとめていくということが必要でございますが、そういうことは、努力をすると同時に、やはりアメリカはアメリカの国内のいろいろな政策を——元来、国際収支が悪くなってきた場合には、その国がいかにこれを処理するかということが一番大事でございます。同時に国際協力ということも非常に大事でございます。したがって私は、アメリカとしては、この際すみやかにいろいろ出されている方策を実施されることを望んでおりますが、同町にわれわれも、いま各国が協力しつつありますが、各国の協力もぜひ必要だと思っておるのであります。いま日本だけでこれをどうこうすることはできません。ただ問題は各国の協力によって改善すると同時に、日本自身が国際収支の改善に、国内におけるいろいろの施策について真剣に考えなければならぬときと思います。  したがって、先ほどもお話がございましたように、今回のがどういうふうに発展いたしますか、よく注意すると同時に、あるいは私どもも財政についてもお考えを願わなければならぬときもあると思うのであります。こういう問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、財政と金融がすべてに相談して、そうして日本に最善の方策をとっていくというふうに進めてまいりたいと思っておるものであります。決してのんきには考えておりません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 いま日銀総裁がそういうお考えであるならば、一般予算について注文を出すということは早計かもしれないですけれども、財政投融資について、ことしの財政投融資はどうだというような点はお出しになってしかるべきだと私は思います。財政投融資がいまのまま実行されて、それでよろしいとお考えになっておりますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 一般予算にいたしましても、財政投融資にいたしましても、日本銀行の立場からいいますと、総括的にはいろいろ申し上げられます。個々の内容につきましてはこれは国会でも御審議になることでもございますし、そういう個々の問題については日本銀行としてはくちばしをいれるべきではないと考えております。しかし総体として、全体の金額、総額としては、私はいまの財政のやり方につきまして予算決定が行なわれました後は、やはりその運営につきましては、たとえば財政につきましても、財投にいたしましても、やはり日本国内の情勢あるいは海外の情勢によって弾力的にやっていただかなければならぬと思っております。一年の計画でございますので、いまのように非常に流動的な世の中におきましては、予算がきまったからといって、それをすべて機械的に実行されては非常に困る場合が多いと思うのであります。その点につきましては、総理にも、大蔵大臣にも、情勢によって弾力的にやっていただきたいということを申し上げておるのであります。私としてはその点では総理も大蔵大臣も了解されておると確信いたしております。したがって今後はそういう情勢によって、これをいろいろ時々申し上げたいと考えておりますが、個々に予算決定前にいろいろ申し上げることは、私は日本銀行のワクとしては申し上げても、内容については申し上げることはかえって全体の問題として慎むべきことだ、かように考えております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 参考人としてあなたの御意見を承ったわけでありますから、堂々とお述べになって差しつかえないと私は思う。日本の経済の現状はこうであるから、こういうふうに国際情勢に対処して、たとえば財政投融資というものは、もう少し削るべきではないかというようなことは、堂々と——参考意見ですから、それを取捨選択する、採択するかいなかは国会にあります。それを国会の採択取捨選択まで制肘するならば、これは悪いでありましょうが、そうでなければ一向に差しつかえないこと、だと思います。  途中でありますから、私の気持ちの通じないところもあったと思いますが、私はいま宇佐美参考人のお述べになったことでぴんと来たことが一つあるのであります。それは、アメリカにおける国際収支の改善のためのいろいろな措置が手おくれになっておる、あらゆる意味において、政治的配慮か、政治の怠慢か、あるいは政治の機動性の欠如か、何か知らぬけれども手おくれになっている部分が多いんだ、こういうことをおっしゃられました。私は全くそのとおりだと思うのであります。この問題について、イギリスの労働党が崩壊するかもしれない、分裂するかもしれないと伝えられるような情勢に追い込まれておる、そのように深刻なる問題であります。それに対して果断に対処する、残念ながらアメリカの現在の指導部には、政府には、そういう力がないんじゃないでしょうか。そういうものが欠けておるんじゃないでしょうか。ジョンソン大統領という人にそういう政治的識見がないんじゃないか。そこらのところに私は問題があると思うのであります。  これはしかしアメリカのことではございません。私は日本の現在のわれわれとしても考えるべき問題ではないかと思うのであります。佐藤さんにはたいへん失礼な言い分をするかもしれないけれども、もう少し政治というものは、足して二で割るとか人事をどうするとかいうような政治ばかりでなく、識見を持ち、見識を持ったところの政治を行なわなければ私は乗り切れない段階に来ておるのじゃないか。それらの点について、われわれは、さっき申し上げましたように、核の政策についてあなたは初めて政治哲学ともいわれるようなものをお出しになった。これは見直さなくちゃなるまいかと思った瞬間にもう肩すかしをしてしまう。全くそういう意味合いにおいては私は残念千万だと思うのであります。  そこでお尋ね申し上げますが、こういう情勢において一番国際収支の面において赤字を累積さしておるのは、各国を通じて軍費だと思います。軍事費に金を使うことが、各国の財政経済状態を悪化せしめておるところの根本の原因であると思うのであります。その軍備をどういうふうに縮減していくかということが、これからの政治的課題でなければならない。イギリスは御承知のように、十一月十八日のポンドの切り下げをやると同時に、その対応策として極東における軍隊を撤収する、核兵器をつくらぬということを宣言をいたしました。私は、現在核兵器をつくっている国々が困り抜いておると思うのです。核兵器を使うことはできない、しかし核兵器を持たないわけにはいかない、惰性でもって困り抜いておると思うのであります。そのときに、私は、日本の国会がもし非核宣言というものをいたしまするならば、各国はおそらく大干に雲霓を望むというような歓迎をすると思うのであります。言い得ないところをよく言ってくれた、日本の国会の見識に対して敬意を表すると私は思うのです。われわれはそれでありまするから佐藤総理に申し上げておることは、われわれはむずかしいことを言わなくてもよろしい、核をつくらず、持たず、持ち込まず、きわめて簡単な点だけで挙党一致、国会一致してこれを決議をするならば、世界に与える影響というものはきわめて重大じゃないかと思います。これを提唱しておるのでありますが、何がゆえにこれができないのでありますか。何がゆえにこれに対して反対をなさるのでありますか。きわめて簡単なことじゃありませんか。私は、おそらく、この世界の経済情勢をもし破滅なしに、破綻なしに切り抜けていこうとするならば、各国はそういうところに行かざるを得ないと思うのであります。この意味におきまして、日本の国会が、何も先見の明を誇る必要はないけれども、この際このときにこの問題を取り上げることはきわめて時宜に適した問題である。政治家は先を見ることが必要であります。佐藤総理大臣はこれに対してどうお考えになりますか。勇断これに賛成をするお考えはないかどうか、伺いたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 新しい時代、核の時代に生きる道というものは、私は施政演説で詳しく申し上げました。またそれは先ほども河野さんが引っぱり出されておるように十分御記憶にあるようであります。ただ、私の考えと異なりますのは、そのうちの一点だけを採用されたということであります。私はワンセットだと、かようには申しませんけれども、ただいま、核兵器のない世の中を望む、またその方向で努力をする、しかし核兵器が現実に存する限り、日本の国の安全の確保のためにはやはりアメリカの核の抑止力にたよる、こういうことを実は申し上げておるのであります。この点は社会党の皆さんから、矛盾だ、せっかく核兵器三原則を言いながらアメリカの核兵器にたよっているということは矛盾じゃないかとしばしば言われてまいりました。しかし、現実に他の国が核兵器を持っておる限り、日本の安全を確保する場合に、日本の総理として、どうしても日本の国の安全のためにアメリカの抑止力にたよる、これは私、その方法だと思っております。(発言する者あり)ただいま、これは不規則発言でありますが、日本の国自身が持ったらどうだ、こういうような御意見がございますけれども、これは私まさか社会党のお考えじゃないだろうと思います。私は先ほど来申しておるような考え方でございます。  そこで、ただいま核兵器について、ウイルソン首相の話も引き合いに出されました。私は、ウイルソンがまだ党首になる前、またそうして総理になる前にも会いました。そしてウイルソンがその当時申したこと、いわゆるイギリス自身は核兵器を自分の力以上のものを持とうというようなことはしない、しかしNATOに対しては保守党よりもより忠実な政権をつくってみせる、こう言って胸を張ったことをいま思い起こすのであります。私は、その集団防衛体制というものはやはりウイルソン自身も必要だ、かように考えておるに違いないと思います。イギリス自身が核兵器をもうつくらない、そしてこれからもさらにそれをやめていこうという努力をされるなら、たいへん私どもはけっこうなことで、これと手をつないでいくことができると思います。またそういうことで世界世論をつくるべきじゃないかと思います。  いま先見の明を少しは誇ったらどうかというたいへんなお話が出ております。確かにいま国会ではどこの国でもまだ非核三原則というような決議をしたところはございません。これは御指摘のとおりであります。日本もひとつ他の国に率先してそういうことをしたらいいじゃないか、こういう御意見だと思います。しかし私は、先ほど申すようにどこかに核兵器がある限り日本の国の安全のために必要だ、かように申しております。また国会はそれこそ最高の権威でありますから、いまの状況のもとにおける核兵器のあり方から、将来の核の進歩ということも考慮しなければならないそのときに、末長く日本国民をしばるということ、私はこれはいかがだろうかと思うのです。こういう点はさらに掘り下げて考える必要もあるだろう、かように思います。したがいまして、ただいまこの点については国会でおきめになることがきまれば、私もそれに従うことにはもちろん異存を申すわけではございません。これはきまればです。しかし、先ほど来申しますように、私ども、核に対する核兵器の三原則だけを抽出してそれで決議をすることは、どうも私自身やや必配であり、どうも不安にたえない。これがいまの私の考え方でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 核兵器に対する三原則をきめるのが心配だと言うんですが、それならば一つずつお尋ねしますが、核をつくらず、これはけっこうでしょう。どうですか。核をつくらずということはあなたといえども賛成でありましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政府は政策として核をつくらない、持たない、持ち込みもしないと、はっきり実はそういうことは申しております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どこが心配なんですか。心配をするところをお尋ねする。核をつくらずということをきめたからといって一つも心配するところはない。核を持たずときめても、これも心配することはないと思うのですが、それは何かありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはもう先ほど申しましたように核兵器をつくらない、核兵器を持たない、核兵器の持ち込みをしない。しかし核の自由平和利用というか、これはもうしゃんときめておるんですから、そうしてこれはもうしゃんとそういうことでございますから、ただいま申し上げるようにこの四つのうちから一つだけを抽出してそれを決議にすることにはいかがか、私はかように申しておる。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 論理が一つも一貫しておらぬ。私の言うところに答えてください。  核をつくらず、これはあなたもどこも心配することもないし、何にもない。核をつくらず、核を持たず、これも心配ない。問題はそうすれば、持ち込まず、この点にあるんですか。持ち込まずという点に心配があるんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、核兵器に対して政策的に佐藤内閣がとっておる態度、これは国民が支持されると思います。同時に日米安全保障条約、これを締結して、そしてアメリカの核の抑止力にたよっておる、この状態もこれまた国民の支持するものだ、かように考えております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 核兵器三原則と安保条約とは何の関係もないじゃないですか。何の関係もない。つくらず持たず持ち込まず、持ち込まずというところにあなたは問題がある、心配があるというならば、そこがわれわれとしても心配なんです。その点が……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 核兵器についての三原則は、これはあなた方と私どもも一緒かもわかりません。しかし、安全保障条約になり、同時にまたアメリカの核抑止力に依存するというそのことになると、これは反対のようです。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私たちは安保条約の問題をいま持ち出しているんじゃない。核兵器に対する三つの原則を言っておるので、核の平和利用ということも決して問題にしているわけではないし、核兵器の絶滅ということも問題にしているわけではない。安保条約も問題にしているわけではない。いまここでは三つの原則を問題にしておる。その一つずつについて、つくらず、これはけっこうだというならば、持たず、これもけっこうだ。持ち込まずというところに何かこだわるなら、そのこだわる原因を、どういう点にこだわるか、それをはっきりしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはもういま日本自身は、また佐藤内閣自身としては、つくることは絶対にございません。またその意味において持つことも絶対にございません。またしたがって、これを持ち込ませもいたしません。それははっきりしております。しかしもう一つその問題は、この三原則だけ抽出してそれを決議するということは、これはたいへんな誤りを生ずるのじゃないか、かように私は心配する。だから、私どもは日本の国の安全、また国民の国民感情を守るという立場に立っていろいろものごとを考えております。だから、これはしゃんと安全保障条約のもとにおいてアメリカの核抑止力にたよっておる限り、日本は製造も持つことも持ち込みも考えない、これでもういいのです。さように御了承いただきたい。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どうもわからないですね。私のほうはそのように先のことを何も言っているわけじゃない。三つの原則だけで、その原則にあなたもいい、われわれもこれをいいというのだから、その原則の点について話し合いをしようではないか、一致したものは一致したところで国会の決議にすればいいではないか。持ち込むという点についてどういう点にあなたとしては懸念があるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 超党派でこういう問題を国民的な意見としてきめることができればたいへんけっこうだ。私は、そういう意味で河野君のいまの御提案もそうじゃないか、これは大事な基本的な問題だ、だからそういう意味でコンセンサスをつくるのだ、こういう意味でお互いに共通の部分だけでものごとをつくろうじゃないか、かような御提案かと思います。私はそういう意味だろうと思いますが、基本的に相違しておるものがある。これは何かと言うと、アメリカの核抑止力にたよるかたよらないか、この問題が違っておる。この点が賛成されて異存ないということなら、私は国民的コンセンサスをつくるというのは楽だと思うのです。また私どももそういうような方向であってほしいのです。だから、それはいまいろいろお尋ねになりますが、河野君の希望されるような答弁を私がしないからといって、これはけしからぬといっていまおしかりを受けている。しかしそうじゃないので、これは全体をよく説明をし、そうして御理解をいただきたいことなんです。だから、これはいま自分たちが予定するようなことを言わないからといってそれでけしからぬというわけのものじゃない。これは、私のほうの主張はやはり理解していただいて、そうして国民の世論の統一をはかることができればこれにこしたことばございません。これはたいへん日本のしあわせだと思います。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 河野君に申し上げますが、申し合わせの時間はすでに過ぎましたから……。   〔発言する者あり〕

河野密日本社会党

○河野(密)委員 ではもう一ぺん。佐藤さん、総理、はっきりしておいてください。私はさっきから繰り返し言っておるように、つくらず、これはもう問題ない。持たず、これも問題ない。持ち込まず、ここであなたがこだわられるならば、あなたは持ち込むということを潜在意識として潜在的に持っていらっしゃるんだろうと、こうわれわれは言わざるを得ない。だからそこのところははっきり言ってくださいよ。その点をはっきりしてくだされば、われわれとしても反対するところは反対するし、その点はどうなんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私もさっきはっきり申し上げたのでございますが、日米安全保障条約のもと、アメリカの核抑止力に私ども日本はたよっておる、そのもとにおいて、これはつくらない、持たない、持ち込みもしないと、これもはっきり申し上げております。さように御了承をいただきます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 持ち込まないと——三つの点を私は一つずつ念を押して、総理がこれをお認めになるならば、それならば、その限度において国会の意思は一致しているわけだから、その国会の一致した意思を表明してもちっとも差しつかえないと思うが、どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 どうも食い違っておりますが、私は、ものを考える場合に、やはりものごとの背景あるいは基礎になるようなもの、そういうものを考えて、そしてものごとを一つの構想を立てるのです。だから、いまの非核三原則ですか、核兵器をつくらないとか、持ち込まないとか、あるいは持たないとか、こういう事柄は、一つの背景があって初めて言えることなんです。その背景を無視して、そうしてその三つだけがぽっかり出てくる、こういうものじゃございません。だから、その背景についての意見をいま述べた。それさえ十分御了承できれば、それはもう問題ございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それじゃ私はもう一歩進めてお尋ねしますが、昭和四十一年の外務省の統一見解で、あなたが心配なさっていることは外務省が統一見解として出しておる。これには、安保条約によってかりに核兵器の抑止力にたよったといえども、持ち込まないということでいいんだ、こういっておる。そうすれば、あなたの立場で安保条約を云々と言われるが、安保条約といえども持ち込まなくてもいいんだと、こういっておる。統一見解がある。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 外務省の見解は、核抑止力というものを強調して、核抑止力と持ち込みとは違うという、そういう意味の外務省の見解を発表したことがあるということを私も記憶しております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それなら安保条約を理由として持ち込まずということを……。   〔閣内不統一じゃないか、おかしいですよ」「総理の答弁と違う」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。   〔「統一させなければだめですよ」と呼び、その他発言する者多し〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。——静粛に願います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ここに、昭和四十一年に「日米安保条約の問題点」ということで、抑止力について外務省の見解を発表した文書、河野さんお持ちになって御質問になっていると思うのです。このことは、主たる点はこういう点であります。武力攻撃というものは、核攻撃を含むあらゆる武力攻撃に対して日米両国が対処するということが一点。それから第二点は、米国の核戦力が、日本に対する核攻撃を未然に防止する主たる抑止力となっている。これが第二点。それに対して、そのことは、日本に核兵器を持ち込み、あるいは日本が核戦略に参加するということは別個の問題である。こういう文書があるわけでございます。これは、この文書に対しては、何も核戦力に、アメリカの核の抑止力にたよるということは——核抑止力というものは、ポラリス潜水艦もあるし、ICBMもあって、むしろポラリス潜水艦とかICBMが抑止力の中核をなしておるわけです。だから、何も日本に核兵器を持ち込まなければ核抑止力にならぬという意味ではないのであります。したがって、核抑止力というものが、日本に核兵器を持ち込まなければ抑止力がないというふうには考えないといっておるわけであります。そのことは、総理の発言との間に何も矛盾をしない。総理が言っておることは、三原則というものに対して、何も総理は特に反対だということではない。ただ、安保体制のもとにおいて三原則ということを言われておるので、総理のいままでの発言は、このことと矛盾をした発言を総理はされておるとは私は思いません。(拍手)

河野密日本社会党

○河野(密)委員 総理の論理からいっても、持ち込まずということは抵触するわけはないということを外務省が統一見解として発表しておる。だから、総理は持ち込まないというならば、その持ち込まないというところだけ明言して、持ち込まないということを決議すればよろしいので、それ以上のことは問題にならないじゃないですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この議論をしていてもしかたありません。いま言われるように、核兵器をつくらない、核兵器を持ち込まない、また持たないというこの三つですね、これは皆さんと別に違いはございません。ただ、私が指摘しておるのは、これに私どもが賛成しておる背景には、安保条約、アメリカの核抑止力にたよっておるのだ、したがって、こういう事柄がございますが、これはもうどうしても河野君と私との間では意見は一致しないようです。しかし、私は、国会の決議そのものを否定しようというものじゃございません。だから、国会でそういう決議を成立されれば、私は拘束を受けるのは当然であります。さように御了承いただきたい。   〔「関係があるというのと、ないというのとは違うよ、意見不統一だよ、統一しなさい」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私は、総理の発言もここで一部始終聞いておりましたが、私の発言との間に何にも矛盾はありません。同じことを言っておるわけです。ただ、抑止力というものが、核兵器を持ち込まなければ抑止力がないんだと、総理はそういう発言は一つもしていない。関係があるというのは、持たず、あるいはつくらず、持ち込ませない、これでも安全に対して総理が確信を持てるということは、安保体制の上に立って三原則を承認するということであって、問題のとらえ方の基本が違うということで、核兵器の三原則については、総理自身はそのことに対しては賛成すると言っておるのですから……。(「関係があるのかないのか」と呼ぶ者あり)関係はないということは、総理自身も、核兵器を持ち込まなければ核抑止力がないという発言は、総理はしていないのです。そういう発言はしていない。   〔「関係があると言ったじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 われわれは、核兵器三原則というものと安保条約というものは関係がないものだ、核兵器はつくらず、持たず、持ち込まず、こういう点において意見が一致しておるから、お互いに決議をしましょうと、こういう話し合いをしている。ところが、総理は、それに対して安保条約を持ち出して、核兵器の抑止力という前提がなければいかぬ。ところが、外務省は、そういうものは無関係ですと統一見解を出しておるのです。関係がないと言っておるのです。だから、総理の考え方と違う。きょう初めて、総理もああいう外務省の統一見解があることを御存じになったのでしょう。驚いていらっしゃる。全然違っておる。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 河野さん、総理の言うことと私の言うことと全然違わない。関係が、私自身も、日本へ核兵器を持ち込まなければ核の抑止力にならぬというふうではないと言ったわけで、総理もそう考えておる。ところが、お互いの、総理も私も、その考え方の背景にあるものは日米安保条約なんですよ。日米安保条約があるから、何も日本に核を持ち込まなくても核の抑止力はきいておるということで、考え方ば全然同じです。何にも違いはありません。(「違うよ」と呼ぶ者あり)違いありません。背景にあるものは安保条約なんですよ。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これにて河野君の質疑は終了いたしました。   〔「何が終了ですか」「見解が違っているのだ」   と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に小平忠君。   〔「委員長、こんな大事なところで打ち切ったら尾を引きますよ」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 理事以外の方は御着席願います。   〔「こんなことで次に入れますか」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 ただいまの河野密君の質疑に関する問題は、後刻理事会において協議することといたします。  引き続いて総括質疑を継続いたします。小平忠君。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、まず第一に、沖繩問題について質問をいたしたいと思います。  総理は、昨年の十一月、アメリカのジョンソン大統領との首脳会談におきまして、懸案の沖繩、小笠原問題の解決に努力せられ、その御努力については敬意を表する次第であります。しかしながら、アジアの情勢は日一日と緊迫の度を加え、なかんずく、いまなお未解決にあります沖繩問題は、基地その他をめぐりいよいよ重大な段階になってまいりました。私は、ここで沖繩返還の再交渉について、佐藤総理の忌憚のない御所見を承りたいと思うのであります。  去る三月一日から高等弁務官に対する日米琉諮問委員会が発足いたしまして、日米共同声明にうたわれております、いわゆる経済、社会福祉面での本土との一体化が協議され、推進される体制がとられつつありますが、沖繩住民が真に期待するものは、米国の施政下における本土との一体化ではなくて、一刻も早く祖国復帰、一刻も早い祖国復帰であることは、多言をするまでもないところであります。日米首脳会談後すでに五カ月を経過いたしておりますが、佐藤総理が帰国後言明いたしました、両三年後に返還のめどがつくと確信する、そのことばを具体化するという動きがその後表面的に何ら示されていないということは、沖繩住民の不安と疑念を増大させるばかりでなく、最近におけるB52の沖繩配備に対する住民の不安、また沖繩住民が、ベトナム戦争の激化や朝鮮危機の高まりに伴って沖繩の返還が長期に延ばされるのではないかというようなことで、真剣に心配をいたしております。そこで、佐藤総理は、二、三年後に返還のめどをつけるとおっしゃったこの言明をここで再び再確認できますかどうか、お伺いいたしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたしますが、いま沖繩の同胞百万、これは戦後いまなお異民族のもとにその支配下にある。私は、こんな不幸な気の毒な状態、これを長引かしてはいけない、できるだけ早期に祖国復帰、これを実現すべきだと思います。まず第一にその点をお述べになりましたが、私も、小平君と同じように早期に復帰を実現さす、これが同胞の念願でもある、かように理解しております。  そこで、アメリカに昨年参りました際に、ジョンソン大統領とひざを交えて話をした。そのうちに、さきの戦争のあと始末というものがまだ十分できていない。サンフランシスコ条約はできたけれども、日本の領土がアメリカによって支配されているものがある。小笠原諸島並びに沖繩だ。アメリカに行って言うことではありませんが、北の領土もソビエトに占領されておる、そういう状態だ。これをやはり民族的な願いから言うならば、早く祖国に復帰させてほしいのだ。それで、こういう点についてほんとうにひざを交えて話をした結果、小笠原については早急に祖国復帰、これをひとつ話し合おう、また沖繩については、ただいまの状態で右から左ということはできないかわからないが、しかし、日本国民全体の願いとしては、右から左に祖国復帰ができないならば、両三年のうちに祖国復帰のめどをつける、そのくらいの話し合いはぜひしてほしいんだ、こういうことを実は率直に申したのであります。  そこで、共同コミニュケでは、ただいまのような点に触れて、沖繩の返還というその基本的方針のもとにおいて、長期的にひとつこれから協議しよう、いろいろ意見の交換されたことを前提にして、ただいま言うようなことを協議していこう、こういうコミュニケであります。したがいまして、アメリカはその実情をよく知っておる、私はかように理解しております。また、アメリカ自身も、日本国民の協力なくしては、私は、アメリカの軍基地の意義というか、価値というか、それは十分発揮することができないものだ、かように思います。そういう点を考えると、必ず両三年のうちにこれらの問題は返還のめどをつけ得る、かように私は確信をしておるのであります。  すでに、小笠原については、近いうちにも発表の時期に至るのではないだろうか、かように思っております。いま外交ルートでいろいろ折衝しておる。そのほうがまず片づけば、次の問題は、ただいまの沖繩問題とこれは真剣に取り組まなければなりません。また、各党とも非常な期待をこの点ではかけておる。これを解決するだろうということで、非常に期待をかけておる。そうして同時に、私ども政府は鞭撻を受けている、かように思っております。  そこで、問題は、この鞭撻を受けるにいたしましても、何が何でも早期に祖国復帰を実現さそう、こういう観点に立つ、その皆さん方の気持ちを政府は体して、そうして最善の努力を払っていきたい、かように思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 わかりました。両三年内に返還のめどをつけるということであるならば、具体的に外交折衝、これらが日程にのぼらなければならないと思うのでありますが、沖繩返還のめどをつけるため、どのようなレベルでこの外交折衝をなさるのか、すなわち、昨年のようにアメリカの大統領と総理との首脳会談によってめどをつけるのか、あるいは外務大臣レベルにおいてめどをつけるのか、この点は総理いかようにお考えでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま二つの問題を披露いたしました。小笠原と沖繩。小笠原はただいま交渉しておる最中であります。そこで、沖繩についての問題がおくれておる、かように皆さん方も考えて、政府を鞭撻して、もっと早くやれ、こういうお気持ちから、ただいまのようなお尋ねが出たのだと思います。  そこで、一つ困ったことは、このコミュニケでは、もしも大統領選挙において約束したジョンソン大統領がそのまま選挙されず、私自身がまた党の総裁の任期の問題もございますが、そういう状態だ。そういう点でいろいろコミュニケの効力について心配される方があるようであります。しかし、私はこの際に申し上げたいのは、これは両国の最高首脳が責任のある地位で話し合って約束をしたのでございますから、次の時代におきましてもまずこれは継続されるものだ、かように御了承いただきたい。ことばを濁したじゃないかと言われるかもしれませんが、これは私が非常な極端なまれな例を考えて申すのであります。何らか非常な革命でも大変革でも行なわれると、こういうような約束も間々ほごにされることがある。しかし、それでない限りこの約束は必ず実施される、かように私は確信をしております。そこで、こういう問題は、それこそ最高首脳の間で話しをするにふさわしい問題だ、かように実は考えて、ただいまいろいろの準備が進められておる、かように御理解をいただきたいと思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 いま総理は、私が伺わないことまで御丁寧に触れられたのでありますが、それは、アメリカ大統領の選挙が本年秋に控えておる。これは選挙でありますから、その結果ははかり知れないものがあるけれども、しかし、アメリカの大統領がかわっても、また日本の総理大臣がかわっても、すなわち、昨年の日本とアメリカのこの首脳会談の共同声明、共同コミュニケは変わらないということを前提として、少なくとも返還のめどをつけるというような重要な問題は、やはり首脳会談というようなレベルでこれを進めるべきだ、そういうことで目下その準備が進められておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、かくあるべきものだ、かように思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 そういたしますと、やはり両三年内ということになりますれば、具体的にこの問題を進めるということになれば、総理は再度渡米をしてこの話を煮詰める、返還のめどをつけるということになると思いますが、さようでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まあ、私ということを申すわけじゃございませんが、日本の総理が必ず出かけるだろう、かように御了承いただきたいと思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 ばかに総理はその点を濁されたが、それは、おそらく総理はことし秋の総裁公選を一応考慮しての発言だと思うのですが、それは理解できます。しかし、総理が総裁として留任し、引き続き政権を担当するという場合においては、当然昨年の首脳会談の考え方を踏襲してこの話を進められると思うのでありますが、それは率直に申し上げて、いま総理の御答弁のように、しからばその再渡米の時期はいつごろと考えてよろしいのでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、こういう問題を申し上げますが、まあ昔からだいぶ旧式な人間ですから、教えられたものが。来年のことを言うと鬼が笑うと言います。これは老少不定、どういうことがあるかわかりません。したがって、ただいまのようにだれがということは言わないで、しかし、必ず日本の総理が出かけてそういうものを解決するだろう、こういうことを実は申したのでございます。そこは誤解のないようにお願いをしておきたい。これはたいへん正確なものの言い方をしたのだ、かように御了承いただきたいと思います。  そこで、それじゃその時期は一体いつか。しかし、この時期につき、あるいは春だとか秋だとか、こういうような事柄については、まあ両三年のうちに返還のめどをつけるのでありますから、その準備でき次第、かように考えていただきたい。準備もできないのに飛び出してもしかたありまんし、そこらは十分成果のあがる時期、かように御了承いただきたいと思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 その沖繩問題についての総理の重要な話相手であります、総理の諮問委員会の沖繩問題等懇談会の座長大浜信泉氏が、去る一月七日石垣市において、沖繩復帰問題に関する講演においてきわめて重要な発言を行なっております。すなわち、第一に、「佐藤総理は来年三月再び渡米し、沖繩の施政権返還について話し合うことになろう」第二は、「施政権返還の時期は一九七二年とみられる」このように大浜氏は発言をされておりますが、総理、この発言を肯定いたされますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、大浜沖繩問題等懇談会会長のその発言は、沖繩住民の考え方、ものの感じ方、これを率直に表明したものではないかと思います。また同時に、本土における私どもの、早期に復帰が実現するように、そのためには早期に話し合いができて、安心できる、安堵できるようにしてくれという、そういう気持ちが大浜さんの発言になったものではないかと思います。私はまだ大浜君と最近相談はいたしておりませんが、その準備が全部それまでに完了してただいまのようなことになればたいへんしあわせだと思います。あるいはその一九七二年という帰ってくる時期については、いろいろ御議論があるでしょうが、少なくとも来年三月に返還のめどができるという、そういう早い見通しが立つということは、沖繩の同胞ばかりではなく、本土の皆さん方も、さような意味で早く話をつけろ、かように言っておられるのじゃないかと思います。私は、大浜君のその発言は、おそらくこれらの国民的感情、国民的な願いを率直に表明したものじゃないだろうか、かように私は受け取るのでございます。まだお目にかかっておりませんから、はっきりしたことはわかりませんが、さように想像いたします。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 わかりました。  そこで、やはり来年という場合を想定してみるのに、一月、三月、七月あるいは私、これらの四つの時期を考えられるのでありますが、一月は新大統領の就任式等ございましょう。また、来年の三月といえばわが国も予算審議のさなかでありましょう。いろいろ考え合わせて、総理の胸中にはいつの時期を選ぶべきか、また外務省当局もこれらを勘案いたしまして、アメリカ当局と具体的にこれらを打ち合わせ、いま折衝中であることを勢頭に総理からも話があったのでありますが、いずれにしろ、ただいまの総理の答弁によると、大浜氏とは最近会って具体的な打ち合わせをしていないけれども、一日も早く返還のめどがつくということは、沖繩島民、いな日本国民としても、これはしあわせなことである、したがって、それを期待したいということは、私は、おそくも来年三月ごろまでに再渡米してこの話を煮詰めるというように理解してよろしゅうございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 とにかく普通考えられますことは、大統領選挙が終わることがまず一つの問題だ、まあ政治的な問題も日本国内にもあると思います。私は、最初にワシントンを訪問いたしましたのが一月でありました。ちょうど国会がそのときは休みのときといいますか休会中、これで出かけて話をいたしました。しかし、ただいまのような重大な、また非常に喜ばしい事柄、そういうことができるというなら、皆さん方も出かけろ、国会は空白にしてよろしいから出かけろと、必ず御声援をいただくのじゃないかと思います。問題は、いまそんなことを議論するよりも、一体アメリカとのいろいろの準備が円滑にできるかどうか、そういうことをうまく取り運ぶことができればそれにこしたことはございませんから、私は、いまこの機会にせっかくのお尋ねですが、また国民の皆さま方にこの審議を通じてその時期を明確にすることができればたいへんしあわせだが、それができないことを残念に思います。小平君がせっかくそこまで聞いてくださるので、一体何月行くか、それは同時にその準備にもつながることでありまして、その運びはしておりますが、いままだ見通しをつける時期でございませんので、それらの点はひとつ御了承をいただきたいと思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 総理のその考え方も理解できないわけではありません。ただ、めどをつけずして再渡米することは悪味がないことであって、もちろん、再渡米をするということは、一つの見通し、話し合いがつかなければ不可能でありましょうから、そのめどがつき得るならば、一日も早く、できれば、大統領のいわゆる就任式が済まなければならないから、その直後でも再渡米をして、早く進めたいという意思に理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 沖繩百万の同胞のためにも、私はそういう時期が早く来ることを心から願っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 わかりました。  それでは、その返還の時期でありますが、たまたま大浜氏が一九七二年ということを一応まあ公の席で表現されておるのでありますが、これはやはり根拠なしでこの発言はなさらぬと思う。したがって、この返還の時期であります。めどでなくて、時期でありますが、一九七二年ころと考えて、われわれがこれを促進する、またそういうことを念願する、期待するということで、総理はどのようにお考えでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは私にわからないのです。大浜君がどういうつもりで一九七二年と言ったか。おそらく、あるいは四、五年ぐらいかかれば返還が実現するんじゃないのかという、ばくとしたものの考え方かもわかりません。昨年この話が起きたんだ、それから考えてみて四、五年といえばちょうど一九七二年、その辺になろうかと、かように思います。これはもう全然見当のない話でありますし、これは沖繩問題懇談会、そこでいろんな話も出ておりましょうから、もっとそれは会ってよく話ししないと、またこれこそ大事なことで、期待はずれになると、これはたいへんなでたらめを言ったとかいうようなことにもなりますし、これは政府としてもこの責任のある予算委員会を通じて国民に話をする、そういうものでございますから、十分検討して、確信のあるものをこちらが一つの案として持ったとしても、そういう案で皆さん方が了承されるかどうかと、よく考えなければならないことだと思います。私は、ややその一九七二年というのはどういうような意味から出したかなと、かように首をひねるのでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 返還の時期に対する、一九七二年というものに対する総理の考え方はわかりました。しかし、返還のめどをつけるということについては、ただいまの総理の御答弁で、秋の総裁公選で留任し、引き続き政権担当の場合には、でき得るならば来年の一月、大統領就任後再度訪米して結局めどをつけたい、このように答弁があったので、これは沖繩島民だけでなく、多年の懸案事項であるだけに、私は、一日も早くこれを実現していただきたいことを特に強く政府に訴えまして、次の問題に移りたいと思います。  第二は、ベトナム和平の具体策であります。  ベトナムの和平方策、きわめて重要でありますが、特に一月テト、いわゆる旧正月の大攻勢以来、ベトナム戦局はきわめて危険かつ拡大の方向をたどりつつあるのであります。これは単にベトナムというインドシナ半島の一角に起きた局地戦争にあらずして、全世界が不安と危惧の念を抱き、その成り行きについて憂慮を持って注意している問題であります。これに対しては、すでにイギリスのウィルソンあるいは国連のウ・タント事務総長あるいはローマ法王パウロ六世などの指導者が、憂慮と不安を持ってその解決に努力されております。私は、アジアの先進国と称しているわが国が、この和平工作をこれらアジア以外の地域の指導者にまかせて、単に拱手傍観をしているということはいかがでしょうか。これは私は政治の怠慢じゃないかと思うのでありますが、まことに遺憾であります。したがって、私は、現下のベトナムの情勢に対処して、総理はこのベトナム和平についてどのようにお考えか、お伺いいたしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ベトナムで和平が一日も早く来るようにと願わない者はだれもないと思います。  したがいまして、それぞれの立場においてこの和平招来への努力をしておるはずであります。私が昨年南ベトナムへ出かけた。私は、率直にただいまの和平招来への努力を話しかけてまいりました。また、南ベトナム政府、これはチュー大統領にいたしましても、自分たちもぜひ早くそういう北との話し合いが始まることを願っておるのだ、そういう手紙も自分たちも出すんだ、こういう話までしております。また、マルコス・フィリピン大統領も同様に、この問題はアジアの問題だ、したがって、アジア人でお互いにこの解決への努力をしなければならないことだ、こうまでも言ってくれております。  しかし、私は、われわれの希望にもかかわらず、必ずしも和平への道をいま進んでおるとは思えない、たいへん残念な状態にあると思います。ただいまお話がありました国連のウ・タンさんも、これはたいへん努力しております。非常な精力的な活動をしておられる。また、日本政府におきましても、ソ連にも呼びかけ、ソ連から日本を訪問された外務大臣、あるいは最近ではバイバコフさん、これらにも話しかけて、そうして一日も早く和平への端緒ができるようにと、こういうことを申しておりますし、アメリカ自身が心から願っておることは、もう私があらためて申し上げるまでもございません。  私がこういう問題を見るにつけましても、ただいまの国際的な和平、平和というものは、やはり米ソ二大強国がかっちりと手をつながないとほんとうの和平は招来されないのじゃないのか、かようにも思います。また、そういう意味で、この米ソの両者の間の和平への努力を各国とも願っておると思います。御承知のように、中近東問題が火を吹きそうだった。幸いにして、これについては米ソ両国が非常な慎重な態度をとった。この結果、火を吹かないで済んでおります。ベトナムは、過去の経過があるにしろ、今日において最も必要なことは、米ソ両国の話し合い、そこらにあるのではないだろうかと思う。でございますから、表面上の問題は、あるいはジュネーブの原則による、あるいは南北の話し合いを進める、いずれのことがあるにしろ、舞台裏においては、やはり強国がお互いの立場を尊重し合って、そして世界の和平へ努力するという、そういうことでないとこういう問題は解決しないんじゃないだろうか。私は、そういう意味で、われわれも二大強国を責めるばかりではありません。そういう意味の努力もまたしなければならぬのじゃないか、かように私は思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 総理が昨年東南アジアを歴訪された際のベトナム問題についての努力を、私はまっこうからそれを無視するものではないのであります。ただいまも総理がいろいろ述べられました。しかし、ことばが数多く述べられたからといって、これは実践力のない単なる外交的ゼスチュアでものごとが処理されるものでもないし、また、ベトナム問題はそのような安易な段階ではないと私は思うのです。現在のベトナム戦争の実態というものは、その当事国であるアメリカや、あるいはベトコン、北ベトナムというような戦争当事者にまかしておくことだけでこと足りるか。しからば、だからといって、イギリス、ソ連、あるいは先般カナダのマーチン外相の発言もありましたが、これらの特定国家の和平調停に乗り出すというようなことについて、私は、これらの戦争当事者のメンツというか、あるいは自己戦力の自信過剰からくる調停というようなもので、なかなか困難だろうと思う。   〔委員長退席、小川(半)委員長代理着席〕 したがって、この際、私は、ともあれ和平協定のテーブルにつかせるというそのためには、この特定国家の実力ではなくて、やはりいまや第三次世界戦争の勃発を憂え、人類世界の平和確立に満腔の悲願を込めておりまする全世界三十四億の人々の、すなわち国際的世論の圧力以外に解決の道は私はないと思うのです。こういう観点に立って、総理はもう一歩進んだ和平工作に対するお考えございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま小平君が言われるように、国際世論、これを背景にして和平を進めたらどうか、そのとおりだと思います。いまこのかぎを持つところの二大強国にいたしましても、国際世論を無視はできないだろう。それこそ、国際世論によってやはり動かすことができるのだ、やはりそういうところが動き出さないとこの話は終局を見ないんじゃないか、かように私は思うのです。先ほど来の話もそういう意味の発言でございます。問題は、いまわれわれが平和国家として、日本が平和国家として、それで経済的な力を持ってきた。しかし、その立場において世界の平和に貢献し得ることは、国際正義をここに打ち立てるとか、あるいは国際世論を正しい方向に育てていく、それによって、必ずそのもとにおいて平和が維持される、そういうような状態をつくるべきだ、私もさように思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 総理も努力される、そういまおっしゃられたのでありますが、しからば、その第一着手として、総理みずからがソ連におもむき、ソ連を説得し、問題の一番根源というか、困難であってもその困難な根源を突いて、みずからその問題のいわゆる中心点を浮き彫りにして、解決の方向に努力するというようなことがどうであろうか。すなわち、ジュネーブ協定の参加国の協議を開く、そして、これはイギリス、カナダ、インドなど、いわゆる国際和平のあっせん団をつくってはどうか、こういうようなことを提唱し、説得するというために、総理みずからがソ連におもむくというようなことを総理お考えにはなられません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私が出かけて話がつくことなら、私も重い腰を上げるにちっともやぶさかではございません。また、いまのような点について、英国の首相がたびたびモスクワへ出かける、あるいはウ・タントさんが北の代表とパリで会うとか、あるいはパリにおきましてもソ連と接触を保つようないろいろの方法がとられる。日本においても、先ほど申しましたように、さきにはグロムイコ外相、またバイバコフさん等万と連携をとったということでございますから、これはおっくうがることはない、もっと積極的に活動しろとおっしゃる。御鞭撻をされること、これはもっともだと思います。私は、ただ、動く以上何らかのものがもたらされることが望ましいように思います。ただいまの状況で、もうそういうことになっておるとも思いませんが、しかし、出かけることによって役立つなら、必ず重い腰でも上げることにやぶさかでないことを御披露しておきます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、佐藤内閣が、これはわれわれの目から見るならば、やはり非常に対米依存、アメリカの外交政策、アメリカのいろいろな問題に気がねをする、これはわれわれは強く指摘しているのであります。このことが結局、みずから総理がソ連を訪れて説得するということに、何か腰が重いとか、いわゆる積極的な面を欠くとかというようなことばとなると私察せられるのでありますが、決してこれは別にちゅうちょすることも何もないと思う。もちろん、訪ソをする前提としては、十分に対米との根回し、これらも必要でございましょう。また、すでに英国のウィルソンがいわゆる英ソ首脳会談をいたしておるのでありますから、私は、やはりこの際、もっと積極的にこのベトナム問題解決のために腰を上げる、こういうことに踏み切られてはいかがかと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御鞭韃を受けました。そのお話はよく伺っておきます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 ばかに声が小さいので……。私は、もう一歩進んで、やはり総理自身が出かけられる、和平工作に乗り出すというその前提に、幾つかのいわゆる外交ルートというか、手段は必ずあると思う。先例として、総理の特使を派遣した過去の例もあります。したがって、総理が直ちに乗り出すというその前に、やはり外務大臣レベルか、あるいは総理の特使として大もの級を派遣する、こういうようなことも一つの方法でないか、こう思うので、私は、この点についてさらにもう一点伺いたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 小平君から、御親切に個々の具体的な問題についてまでいろいろ御意見を述べられました。私も、確かにそういうような問題があると、かように考えておりますし、また適当に、あらゆる機会をつかまえて私どもがベトナム和平への努力をしなければならぬと、かようにも考えておりますが、ただいまのお話もつつしんで伺っておきます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、昨今の国際通貨の一大危機に直面して、この重大な時期に、やはり進んでベトナム問題解決の方策を一段とアメリカもしいられると思う。こういう現時点でありますから、私はこのことを強く総理に要求いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  第三は、わが国の安全と自主防衛の問題でありますが、私は、これからの政治が解決すべき重要課題の一つは、今日のゆれ動く国際政局、なかんずくアジアの緊張激化という大勢の中にあって、わが国の安全保障を今後どうするか、特に防衛という国家存立の基本問題について国民の合意を確立するためにはどうしたらよいかという点を真剣に考え、その対策を確立しなければならないと思うのであります。佐藤総理は、昨年十一月の日米首脳会談から帰られてから、国民に対して国防の気概を訴え、自主防衛の必要性を強調されましたが、国民はその内容があまりにも不明確であるために、むしろ奇異の念さえ抱いておるのであります。また、国内におきまして憂うべき風潮の一つは、国家にとって重要課題である防衛問題を反米運動の道具として利用する動きが活発化していることであります。いま一部で騒がれている一九七〇年闘争の本質は、まさにこれにほかならないと思うのであります。こういう観点から、佐藤総理は、今日の防衛論をめぐる著しい国論の分裂ないしは分極化の動向をどのように考えるか、また防衛に関するナショナルコンセンサスの確立をいかに果たそうとするのか、その対策、方針を承りたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 一国の安全という問題で、ただいまのように国内でいろいろの議論が出ておること、私もたいへん残念に思っております。しかし、いずれの国におきましても同じような道をたどってきているのではないかと、かように思いますから、ことに民主主義のもとにおいて、あらゆる議論の出ること、これはむしろ歓迎すべきことではないだろうかと思います。しかし、ただいまお触れになりました自主防衛というか、みずからの国はみずからの力によってこれを守るということ、そういう気概だけはいずれの政党も持っておると思いますし、またそれだけは持たなければならないと思います。ただ、みずからの国を愛し、みずからの国に尽くし、みずからの国を守る、その行き方において、それぞれの政党の間に相違があるのではないだろうか、かように私は考えますが、ただいまの状態ではあまりにもその間に大きな開きがあり過ぎる、この点が私は非常に残念に思うのであります。   〔小川(半)委員長代理退席、委員長着席〕 おそらくこれらの点も今後順次、平和憲法のもとで日本のあるべき姿、どうしたらいいか、これがはっきり理解されれば、おのずからただいま申すような自主防衛体制もできるだろう。少なくとも気概は、独立を進めていくという上において何よりも望ましいことは、みずからの国をみずからで守っていくという、それこそが独立への道だと私はかように思いますから、そう心配したことはないように思います。こういう事柄でいろいろな議論をされる、議論は大いにするがいい、そうして最終的には国民がいずれの方法が最も望ましいか、これをきめるものだ、これは民主政治のあり方として当然の事柄だ、かように私は考えておりますから、あまり心配はいたしておりません。また、ただいま御指摘になりましたように、一部において、反米とまでは言いませんが、これは力に対する抵抗とでも申しますか、事あるごとに抗米の考え方が出ている。これは考え方によると非常に困った問題でもありますが、しかし、このことがやはり独立への道を歩む当然の帰結だと考えると、これでまた理解もできるのではないだろうか、かように思います。いずれにいたしましても私は、みずからの力によってみずからの国を守る、国を守り国に尽くす、そういうような考え方に徹することがいいのじゃないだろうか、かように思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私の理解では、防衛問題についてのナショナルコンセンサスの確立という根本課題は、日米安保の評価、位置づけについて国民の共通理解を確立することが、私は基本であろうと思うのであります。すなわち、日米安保が持つ利害得失、自主防衛と安保との関係、あり方について国民が正しい理解を共通に持つ態勢を確立することなしに、防衛に対する国民の共通意識の確立はあり得ないと私は思うのであります。しかしながら、わが国の現状は、御承知のように、日米安保をめぐる政党の意見が極端に対立いたしまして、これを反映して国民もまた意見が分裂しておるというのが、今日の現状であります。特に、日米安保をめぐる現行安保の長期固定化論と即応破棄論、こういった論は、水と油の極論であって、日米安保に対する国民の理解に避けがたい混迷を与えておることは事実であります。このような現状を総理は一体どう理解し、これをどのように打開していこうと思っておられるのか、承りたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この問題、先ほども社会党の河野君から核兵器についての考え方を聞かれましたが、やはり基本的にものごとが相違している——それぞれの政党のニュアンスの相違の程度なら、ナショナルコンセンサスをつくることも困難ではないと思います。しかし、水と油だと、なかなかこれはナショナルコンセンサスをつくることもできにくいのじゃないだろうか。各政党の持っておられる安全保障体制、どうしたら安全が確保できるか、こういう問題については、この機会に小平君からおすすめはございますが、他の政党の考え方にも触れるのでございますから、あまり批判をしないほうがいいのじゃないだろうか。総理として、そういう批判はどうか差し控えさせていただいて、そして具体的な問題としてお尋ねがあればお答えしたい、かように思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、総理のそのような態度がいかぬと思うのです。政党間の対立があるから、また選挙で多数をとればこれが国民の信任を受けたのだから、安保は自民党の考えておる長期固定化論で押しまくるのだ、これが私は根本的な誤りだと思うのです。問題は、この問題はいかに重要であるか、そしてどういうことの方法によるならばある程度国民の合意を得られるか、こういう努力をすること——現にわが国の政党で長期固定化論、即時破棄論、改定論、こういう三つの大きな主張があって、国民もたいへんな迷惑だと思うのであります。しかし、一九七〇年は、これはどうしても安保について何とかしなければならない時期がきている。私は民主政治の、民主主義のルール、これは一人でもこの安保の実態について正しい判断を加えて、これを政治の上に、外交の上に反映するのが筋だと思う。したがって、いままで幾回かの選挙においてこの安保の問題を論じられたことはありますけれども、この安保の問題を中心に国民の信を問うたということはかってない。わが国憲法において国民投票というようなことがあるならば、そういうことができ得ましょうが……。したがって、私は総理にこの際お伺いいたしたいのは、この安保について国民の率直な意見を問うというようなことをおやりになる考えはないのか。すなわち、安保について国民の信を問うというようなことが、最も民主的な方法でないかと思うが、総理いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 国民の信を安保について問うことばどうだと、こういう御提案でございます。私は、いまの民主政治というものは、機会あるごとに国民の意思、それによって実は育てられ、守られるものだと思っております。なるほど日米安全保障条約そのものを引き抜いて国民の信を問うたことは、いままでございまん。しかしながら、あらゆる選挙を通じこの問題が必ずその討論の一つの課題になっておったと、そういうことを私は想起するのでありまして、したがいまして、ただいまのような点が、いまの状態でこの問題だけについて信を問う必要があるかどうか、これは私もっと考えなければ結論はまだ出ないように思います。過去におきましても、しばしば選挙の機会にこういう問題は問われております。これはもう私どもの自衛隊をつくり、そうして自主防衛、このことば、平和憲法のもとにおいても国民も認めておるのだ。これだけではこの国の安全を確保することは困難だから、日米安全保障条約を締結して、そうして集団防衛の一翼としてそういう日本の安全が確保されておると、かように思っております。また、このことは国民自身も、そのもとにおいて日本が繁栄を続けてきたと、かように思っておりますから、もういまさら国民にこの問題だけで信を問う必要はないのじゃないだろうかと、かように思います。ただ、いろいろ議論が紛糾してくると、ただいま言うように、こういう問題だけでもそれは信を問わなければならぬときが来るかもわかりません。しかし、いまそういう時期が来ていると、かように私思いませんし、また将来そういうときが来るかどうか、あまり望ましいことではありませんので、私はそういう時期は来ないことを望んでおります。  私は、いまこの安全保障についての自民党の行き方を一言触れましたけれども、これは小平君の党におきましても、自主防衛を言っておられ、また有事駐留の話をしておられる、有事駐留を主張しておられる。また事実、この有事駐留の形に日本の本土の日米安全保障体制はなってきたと私は思いますよ。戦後あの条約を結んだ当時のアメリカの兵力は、本土からどんどん撤退したじゃございませんか。いま有事駐留とまでは申しませんけれども、この国にとどまっておる兵力は、よほど少なくなっておる。そういうことを考えると、皆さん方の主張も、日米安全保障条約を承認しておられる限りにおいては、私どもと話し合いのつく問題ではないだろうかと思う。また公明党の方も自主防衛を言っておられる。しかしながら、この段階的解消ということを言っておられる。この段階的解消ということはどういうことですか、後ほどあるいは伏木君あたりから話が出るかと思いますが、これはしかし、おそらく現状においてはそういうものを認めておるのじゃないか。ただ私は、いまの非武装中立論だけは明らかに私どもの主張と違う。これはもう最初から非武装中立、それ以外に日本の安全を保障する道はないのだと言われる。これはもう根本的に食い違っておる。その点は、いままでもしばしば選挙の場合にこれが争点になっている、そういうことでやられてきたと、かように私は思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 ただいま総理の御発言の中で、わが党の自主防衛論に触れられて、有事駐留なることばがございましたが、これは総理、的確に私のほうでは駐留なき安保体制ということを主張いたしております。これはおのずから有事駐留とは異なっております。わが党は安保体制そのものは認めながらも——十年前、十五年前の国際情勢と大きく変わりつつある今日において、あの安保条約の中身そのものが、現実に総理もいまおっしゃったように、終戦直後の占領下における日本の米軍のいわゆる基地なりあるいは在日米軍の装備、数などとは、今日は大きく変貌いたしております。こういう点から、われわれは日米安保条約の体制そのものは認めながらも、現下の国際情勢に適応する日本の安全保障の姿というものはすでに変わっておる、その姿は駐留なき安保体制である、こういうふうにこれは総理、非常に大事なところですから、誤解なさらぬで、他党の、ほかのほうのことはともあれ、わが党のことについてはっきり御認識をいただきたい。そういう意味でわれわれは、真剣に外交権、特に外交の窓口は政府でありますから、そういう面において真剣に取り組んでいただきたい。それはこの問題について国民に信を問う、国民の意思を聞くということは、この安保問題だけに限りてその必要はあるとかないとかという問題は、これは議論があるところでしょう。あるところではあるけれども、私は断言をいたすことは、この安保について必ず国民に信を問わなければならない段階がくると思います。それは昭和三十五年、一九六〇年において岸内閣が安保問題で瓦解をした。これは当時岸内閣が安保問題について事前に国民の信を問うておったならば、私は事態は変わっておったのでなかろうか。これらの点について総理自身も深く反省、御認識をされるならば、明後年に迫った一九七〇年の安保に対して、事前に国民に信を問うということが最も望ましい、私はこう考えるのでありますが、総理いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 国民に信を問うということは、これはそう簡単に結論を出して申し上げるわけにいかない問題であります。ひとつそういう御意見のあることもよく伺っておいて、忘れないように、その時期が来ればそういうことも考えざるを得ないと、かように御了承いただきます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 総理にもう一応——実は去る一月三十一日の本院本会議においてわが党の西村委員長が総理に本件について尋ねられたことに対して、総理は次のように答弁されております。すなわち、御意見は私ははっきり承りました、お聞きいたしました、そして私の胸のうちにとめておきます、このように御答弁されておるのでありますが、御意見は承った、胸のうちにとめておくというおことばと、ただいまの御答弁は、全く同一のものであると解釈してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私、あまり別なことは申しません。同じことであります。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 そうしますれば、これはやはりそのようなことが機が熟し、その必要があるならば、そのように善処したい、考えたいということに理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私が先ほど申したように、しゃんとまたもう一度よく速記を読んでいただくようにお願いします。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 時間の都合もありますので、次に移りたいと思います。  次は、北方領土の返還と安全操業の問題でありますが、北方領土がソ連に不法占有されて以来、この海域で拿捕された漁民は、実に一万三百七名に及んでおります。いまなお拘留されております者が約百四十名。また拿捕された漁船は、千二百二十四隻を数えております。このような事実は、北海道はもちろん、本土の関係漁民の生活に大きな脅威を与え、まさに独立国家といたしましてはゆゆしき問題であるのであります。さらに、北方の安全操業を確保するというこの道は、結局は領土問題が未解決に放棄されているというところに原因があると思うのであります。したがいまして、政府として、南千島海域の安全操業確保、これをソ連と現在までどのような接衝を続けてこられたか、また本件に対してどのような認識を持っておられるか、お伺いいたしたいのであります。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 北方領土の問題、安全操業の問題についての点は、これは日本政府としても非常に関心を持たざるを得ない問題でありますので、昨年の暮れに中川大使とソ連政府当局との間に、日ソ間の諸問題、領土問題もあれば安全操業の問題もある、これの総ざらい的な検討を始めておるのであります。いままで中川大使との間に数回会談をいたしておるのでありますが、その中には、安全操業の問題も取り上げて、ソ連の当局と話し合いをしておる。それに外交交渉でありますから、まだここで御報告を申し上げるような事態の解決には至ってないのですが、今後ともこの問題については、安全操業の問題、領土問題については、政府も十分ソ連政府との間に話し合いを進めてまいりたい所存であります。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 外務大臣、北方領土の問題はもちろんのこと、この現在いまだに抑留されておるところの問題やあるいは安全操業の問題で、一体真剣に外交折衝されておられるのですか。私はただいまの答弁でも、その外交の面で実際理解はできない。特にまた、この安全操業という面については農林大臣の所管でありますが、西村新農相がこれらについてどのように引き継ぎをされているのか、もっと具体的に承りたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 安全操業の問題は——領土問題というものは時間がかかる、相当腰を据えて日ソ交渉をせぜるを得ない。しかし、安全操業の問題というものは、これは日本の漁民の、漁業の上において非常にいつも問題を起こすわけでありますから、この問題については、外交交渉の上においても特に力を入れているわけでございます。ただ、しかし、この問題の背景には、やはり領土問題というものが相当に大きく横たわっておる、そういうところに困難はありますけれども、困難な情勢のもとにおいて、安全操業の問題は特に外交交渉の中で力を入れてまいっておる次第でございます。

西村直己自由民主党農林大臣

○西村国務大臣 先へ拿捕の問題を申し上げます。歯舞、色丹の周辺北方水域では、ソ連が領海として御存じのとおり十二海里を主張しておる。そしてわがほうとはその点が食い違っておるために、日本漁船の拿捕事件が発生しておるのであります。そこで私のほうとしては、所管の面もございますので、拿捕されました漁船の返還、抑留されました漁船員、これは非常に気の毒な状態、家庭の環境もございます、そこで早期釈放につきましては、もちろん正式の外交ルートの外務省を通じまして、ソ連と交渉を続けてまいりました、また今後も続けてまいる。同時に、国際法上不当な行為による拿捕に対しましては、損害賠償の請求権を留保しておる、これが拿捕に対する態度であります。  いま一つ、安全操業のほうでございますが、これはすでに外務大臣から基本にお話があったのでありますが、従来からその解決は強く望んでおるのであります。一昨年イシコフ漁業相、グロムイコ外相が相次いで日本に参りました際にも、この問題につきまして十分な意見は交換したのでありますが、安全操業を認めるかわりに、当時ソ連漁船の日本の港への寄港を要求したわけであります。これは漁業の関係から見まして大きな影響がありますので、この点は話し合いがもちろんできません。他の方式でさらに何らかの道を発見したい、こういう点で今後も外務省を通して折衝してまいりたい、こういう考えでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、この安全操業の問題で、外務大臣もまた農林大臣もさらに認識を深めて、今後外交折衝に当たっていただきたいと思うのでありますが、特に昨年は、本予算委員会としましても、この北方の安全操業の現地を——特に海上保安庁の船を出してもらって、歯舞、色丹、さらに国後、択捉の見えるところまで保安庁の船を進めて、この安全操業の現地を実は視察したようないきさつから、深刻な問題であります。もっとこの問題について本腰を入れて私は外交折衝を進めてもらいたい。  そこで、私は外務大臣に領土問題でお伺いいたしますが、一体日本政府としまして、千島列島というものは、日本固有の領土と考えておられるのかどうか。ソ連の主張によりますれば、領土問題はすでに解決済みであるということを言っておるわけであります。この点で外相の御所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本の領土と考えておればこそ、領土問題というものが日ソ間の懸案になっておるわけであります。領土でないと考えるなら、これは問題はないわけであります。しかし、日本は固有の領土である、したがってこの返還を求めたいということで、日ソ間で交渉を始めておるわけでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 それでは、日ソ共同宣言によりますれば、この歯舞、色丹諸島は、日ソ平和条約の締結後に返還されるというようになっておるのでありますが、その他の諸島については全く触れていないのであります。これらはソ連の主張するように解決済みの領土に含まれている、こういうふうに解釈されますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 その点が日ソ間の意見の食い違いで、こちらは固有の領土であるといい、ソ連は解決済みである、ここに日ソ間の外交的な交渉が必要になってくるわけであります。これはなかなかソ連も、今日まで日ソ間話し合っても、解決済みであるというソ連の主張を変える徴候は出ていないのであります。したがって、この問題は、相当時間をかけて日ソ間の外交交渉を進めていくよりほかにはないと考えております。しかし、日本はあくまでも固有の領土であるという立場に立ってしんぼう強く日ソ交渉を進めていく、続けていく所存でございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 それではさらにお伺いいたしますが、南千島の全諸島を今日ソ連が領有いたしておることについて、国際的な常識から見て、こういうことが通用するのか、また、国際法的に見て合法性があるのかどうか、この点は、外相、いかがでございましょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 合法性があれば、日本は何もこれを返還してくれとは言わないのです。合法性がないということで、日本はソ連に対して返還を求めておる次第でございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 それでは、ソ連の領有は不当である、こういうことになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ソ連は合法性を持っていない、こういう立場で——しかしソ連は解決されたと言う、日本の主張と違うわけであります。いつでも、国際問題というものの懸案というのはそういう形になるわけであります。したがって、日本は、自分の主張を通すべく外交交渉をやっておるということでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、政府が、表現はともあれ、今日南千島諸島はわが国固有の領土である、これをソ連が不当に占有している、こういう見地に立つならば、やはりこれを国際司法裁判所の判断を受けようではないかというようなところまで発展させてみるお考えはございませんか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御承知のように、国際司法裁判所は、相手国の同意も要るわけで、日本だけが提案してというわけにはいかない。ソ連も同意しなければ、国際司法裁判所には持ち込めない。まあ、私どもは、これは相当腰を据えて、外交交渉を通じて領土問題を話し合っていきたい。国際司法裁判所に持ち込むという考えは現在のところ持っていないのでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、いまだに日ソ間の平和条約が締結されないというこの今日の事態にかんがみて、国際司法裁判所の判断を待つといってもなかなか困難であるということから、ただじんぜん日を送るということが、一体日本の外交のあり方かどうか、私はまことに憂慮にたえないのであります。したがって、私は、一つの提案をしたいと思うのでありますが、今日ソ連がこの北方領土の問題についてもなかなか積極的でない。昨年三木外相がソ連を訪れられて、コスイギン首相との話し合いで、ある程度進んだかのごとく見えたけれども、これは、御承知のように、全く中間的なものであり、事実ぱあであります。こういうことを考えてみるときに、一体これは那辺にあるのか。一部には、すなわち在日米軍の基地がソ連をして非常に悪感情を持たせておるというようなことがいわれておるのでありますが、もしこれが事実とするならば、私は、この際、その当事国であるアメリカも加わって、日ソ米の三国の会談を開いて、これらの問題を逐次進めていくというような方向にいってはどうですか。これらは不可能でありますか。いかがでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 安保条約というような一国の安全保障の問題は、やはり一国の最高政策から出てくると思います。これを領土問題とからませて考えるべきではない。領土問題は領土問題、安全保障政策は安全保障政策、こういうふうに考えないと、この問題をいろいろからませて考えてまいりますことは、やはり国の政策として非常に混乱を起こす危険を持っております。したがって、これは関連して考えない。また、日米ソで北方領土の問題を解決するための国際会議というようなものの開催は、現実的な考えであるとは私は思いません。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 これは決して私の思いつきや何かではなくて、昨年の九月十五日アメリカの民主党上院院内総務であるマンスフィールドが、下田において、私が述べたような一つの方法もあるではないかという発言を現にされております。アメリカの有力なる政治家である。だから、外相は、全く問題にならないような答弁であるけれども、そういう形が北方領土問題や安全操業問題を解決する道でありますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 マンスフィールドの発言は、極東全体の一つの安全、平和という問題について日米ソがいろいろ話し合う必要があるのではないかという提案であって、択捉、国後問題、こういう領土問題の解決に焦点を合わしてそういう会議を開けという提案だとは私は解釈していないのでございます。しかし、将来日米ソというものが、極東の安定に対して非常に関連を持った国であることは間違いがない、こういう国々かいろいろ——会議というものはみな各国が同意しなければできません。しかし、いろいろ話し合うということは必要性を否定するものではありません。しかし、択捉、国後問題で、現在日米ソが国際会議を開くということは現実的だとは私は思っていないのでございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、決してそういう極端な話を申し上げたのではございません。それは、もちろんそういう話の中には、懸案である北方領土全体の問題や、あるいは安全操業の問題にも触れ、さらに大陸だなの問題にも触れるでありましょうが、そういう形から、私は、一歩一歩ほぐしていく外交折衝が実は望ましい、いかがかと伺ったのであります。政府においても、これは、今日ともすれば沖繩・小笠原問題に集中して、北方問題がなおざりにされがちであります。しかし、わが国の国民としては、領土問題、安全操業問題、これは南北平等の問題でありますから、私は、今後とも真剣に取り組んでいただきたい、これを申し上げまして次に移りたいと思います。  次は、国際危機とアメリカの輸入課徴金問題についてお尋ねをいたします。  昨日来の米英におけるドル・ポンド危機と金の投機買いなどをめぐる事実上の国際通貨危機に対しまして、佐藤総理はどのような見通しに立っておられるかということであります。一たんドル危機が深まれば、それは直ちに円の不安及び単にわが国だけでなく、隣邦韓国、台湾、フィリピン、タイなど、わが国同様にドルに近い通貨の危機を招来すると思うのであります。この意味において、佐藤総理は、従来のようなドル不安についての希望的観測をこの際捨てて、アメリカ及びヨーロッパにおける激しい情勢変化を正視すべきではないかと思うのであります。私は、佐藤総理に、現段階における現状認識、これをいかようになさっておられるか、現状認識についてお伺いいたしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 昨年、御承知のように、ポンド危機、それから発端いたしまして、ただいまドル危機、ゴールドラッシュ、いろいろな問題が起きております。ちょうど私がワシントンを訪問をいたしました際、ジョンソン大統領自身からも、ずいぶん東南アジア諸国を訪問しているので、あるいは国際情勢について考えるところがあるかわからないが、いまたいへんなポンドの状態だ、これについてわれわれがお互いに手をつないでこれに対策を立てていかなければならない、こういう話を率直に相手方からされました。私は、もちろん日本の経済が一国の経済でなくて、国際経済としてただいまのような繁栄をしておるということでございますから、国際情勢についてはあらゆる機関を動員してこれに対する対策を絶えず立てておるのであります。したがいまして、ジョンソン大統領からその話を持ちかけられた際に、すでに私が出かける前に大蔵当局から詳細なポンドの実情についての話を聞いておりますので、その話を実は率直にしたのであります。これは、私どもが国際環境のもとにおいて日本の経済があるという、そういう認識のもとに立っておるという一つの証拠でございます。  その後、成り行きを注視しておりますと、次々に問題が起きておる。申すまでもなく、夏、日米間の経済閣僚協議会が持たれて、そうしてその際も話し合いが進められた。また、IMFの総会が秋にはリオデジャネイロでやられた。その際も大蔵大臣はIMFの幹部並びにアメリカから国際情勢の悪化しつつあるものについての警戒の話も伺っておる。また、そういうことを前提にしてのホノルル会談であったとも思います。事務当局同士の話し合いであったと思います。  その後、暮れにはジョンソン大統領のサンアントニオの声明があり、それに基づいて、正月に私ども訪問して、日本の協力方を求められた、こういういきさつがございます。  最近の情勢については、次々に起きておる問題、ことに金の問題について、これはもう詳細に新聞も報道しておる。したがいまして、ただいまの状況のもとにおいて、状況の推移といいますか、それについては、私は正確なる把握をしておる、かように考えております。こういう問題に対処するために、日本の国のあり方がまず心配だと思います。  そこで、申すまでもなく、昨年の予算編成にあたっては、いわゆる安定成長への予算を組んだ、こういうことを申して皆さん方の御協力を得たのでありますが、ことしの予算の編成にあたっては、どうも昨年の予算では十分の効果があがっておらない、ことしはさらに抑制型の予算にする、かように申しまして、ただいま皆さんの御審議をいただいておるのでございます。財政硬直化云々等がございますが、基本的にはいまの国際環境のもとにおいて、日本経済がやはり抑制型の予算を組まなければとんでもないことになるのだということであります。また、昨年二度にわたっての公定歩合の引き上げをいたしましたが、これまたその一環であります。こういうことによって縮減をはかって、そうして国内の設備投資を鎮静さし、安定成長へ持っていこう、こういうことをやってきたのであります。  同時にまた、しばしば皆さん方から御批判がありますように、ポンドの防衛、ポンドの実情、さらにまた、ドイツのいろいろの苦心等も予算の説明でしばしば申し上げますように、ドイツやあるいはイギリスのような状態を引き起こしてはならないんだ、前もってわれわれはこれについての対策を講じなければならないんだ、そういう意味の縮減予算をただいま御審議をいただいておるのであります。いわゆるころばぬ先のつえとでも申しますか、これらの問題を考えていま予算を組んできておる。そこに持ってきてただいまのような金の問題が起きてきておる。そうして非常にむずかしい状態になっておる。で、この日本でとってきた事柄、これをアメリカ自身がもっと率直に、もっと端的に早目に政策をとるならば、今日のような危機は起こらなくて済んだんではないか、これは先ほどの社会党の河野君の質問に対する水田大蔵大臣なり日銀総裁などの率直な表現でございます。  私は、これらの事柄を考えてみますると、現在の状況のもとにおいては、ただ単に輸出振興というばかりではございません。輸出の振興にも大いに力を入れます。国際収支のバランスをとると申しますが、何と言っても国内の経済に対する対策が必要である。これが財政の面、金融の面からの処置でございます。これらの点を御理解いただけば、日本政府がいまとっておることも御了承をいただけるのではないだろうか。私は、いま日本経済は一国の経済ではないんだ、国際経済の中においてはじめて日本の繁栄があるんだ、こういう立場でものごとを見ております。御注意は十分ありがたくその御注意を伺っておきますが、全然何もしないというものじゃないということを重ねて申し上げたい。私は、ただいまの状態なら、まずそれぞれの効果をおさめつつあるのではないかと思います。しかし、変動する状況に対して、なお今日開かれるいわゆる七カ国の中央銀行総裁の会議、それによってどんな処置がとられるか、それは、御説のように、その成り行きをさらに正視して、それに対する対策も立てていく必要があればそれをとるんだ、こういうことを申し上げます。今日まで歩んできた道は、すべて一応警戒的な処置をとってきたんだ、かように御了承いただきます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 総理は、現在の国際通貨の危機についての現状は十分に把握している、こうおっしゃられたのに対しては、私はきわめて現状認識が甘いと思う。特に、今日のドル・ポンドの不安、さらにわが国の金準備不足については、特にわが党は数年来、歴代の自民党内閣にしばしば警告を発してまいりました。しかるに、今日のこの危機を招いて、特に、ただいま総理もおっしゃったように、わが国経済というものは、これは日本独自の経済ではないんだ、国際経済の中に大きく支配される日本経済の今日の現状であるといいますならば、きわめて重要な問題です。特に総理は、この問題については、内閣としても十分なる警戒と対策を講じてきたとおっしゃったけれども、一つ具体的な事例を申し上げますか。特にわが党の国対委員長である佐々木君は、この金の問題について、昭和三十三年の第三十回国会の本予算委員会、それから今日まで予算委員会においては、この記録にもあるのでありますが、三十回、三十三回、三十八回、四十八回、四十九回と、前後五回にわたってこの予算委員会で、歴代の総理大臣、大蔵大臣に警告を発してきている。特に佐々木委員の場合は、金の問題、金準備の不足について警告を発して、非常に熱心に党を代表してこの問題について警告を発してきたんです。三十回の三十三年十月には、総理大臣、あなたが大蔵大臣です。そのときは岸内閣で、あなたが大蔵大臣、三木さんが経企庁長官。それから、三十三回の昭和三十四年は同じく佐藤総理は大蔵大臣である。三十八回の三十六年のときには、これは池田内閣であって、大蔵大臣は水田さんです。四十八回の四十年のこれは総括質問でありますが、そのときは総理はすでに政権を担当されておった。四十九回の四十年八月にはいまの幹事長の福田さんが大蔵大臣である。そうしてみれば、歴代の自民党内閣といっても、現実佐藤内閣の閣僚なり総理自身が大蔵大臣として、ずっとここ十年というものは、具体的にこの金準備について警告を発してきている。特に本年の一月の本会議においても、わが党の西村委員長は、強くこれを指摘して総理の答弁を求めております。何にもやっていないじゃありませんか。私は参考に、昭和三十三年、わが党の佐々木委員が本委員会において、当時の佐藤大蔵大臣に金準備の不足についてこれを指摘した。当時、一体フランスはどういう状態にあったかといえば、例のいわゆるアルジェの問題で、結局、手持ちの金はゼロであった。直来十年間、今日フランスの手持ち金は幾らですか。五十億ドルを突破しているという。このフランス・ドゴール政策が、この金恐慌の中で大きな示唆を与えておるじゃありませんか。にもかかわらず、今日、日本の金準備保有高は大蔵大臣幾らなんです。昭和三十三年から今日まで幾ら努力して、今日の金の保有高はどうなっておるんですか。私はまずこの点から大蔵大臣にお伺いいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 IMFのゴールドトランシュを入れまして五億一千万ドルくらいがいまの保有状況でございます。  そこで、私はいまのお話について、少し私のほうもお話ししたいことがあるのでございます。きょうのある新聞の論説にまで出ておったことでございますが、確かに金は多く保有することのほうが私はやはり望ましいと思っています。それよりもさらに、準備外貨をもっと多く保有する、そうして国際収支の天井を上げるということのほうがさらに望ましい。もしそうであるとすれば、一々経済政策に波を打たせなくても済むということでございますので、できるだけわれわれは外貨を保有したいと思っております。そこで、日本のような国、三十年来からの高度成長を遂げた日本経済の今日までの足取りを見ますと、外貨の形でこれを持ったほうがよかったか、生産力の基礎になる設備という財産で持ったほうがよかったかといいますと、やはり今日までの日本経済をここまで持ってくるためには、生産力を持つためにある程度外貨保有の蓄積を犠牲にせざるを得なかった。これはどっちがいいかということになると、功罪いろいろあって、この余裕がなくて今日までやってきたが、その間に、たとえば十年間で三十兆以上の設備投資を日本が持って、これが今日の百何十億の輸出の基礎になっているということを考えたら、そのままドルを持っておったがいいか、あるいはさらに金を持っておったほうがいいかというのは、これはなかなか私は簡単でない問題だと思っています。で、今日まで金を持ちたかったのですが、そういう意味で国の経済の成長政策とからんで、多く持てなかった、余裕がなかったということと、また、これをドルで運営したためにクレジットの利便を得て今日まで来たという、いろいろな積極的な理由もあったことでございまして、私は、金を過去何年かの間に日本が保有量が少なかったということが、日本の政策としてそうまっこうから非難されることかどうか、これはまたこの問題として、一ぺんひとつじっくり皆さんに御検討願いたいと私は思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 大蔵大臣がばかに大みえを切って弁明されたけれども、しからばお伺いしますが、現在のような国際通貨の一大危機を迎えて、大蔵大臣はドル並びにポンドのいわゆる防衛策はどういう手が打たれるか、伺います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 先ほども申しましたが、やはりいまのIMFを中心とする国際通貨体制をくずさない、そうして、さらに流動性の問題の解決のためには、やはり金と離れた新しいSDRというようなものを早くここで発足させるという方向へ努力するということを一面やっておきながら、日本自身の国内政策というものをはっきりして、そうして、いま私どもが直面している国際収支の不均衡というものを急速に回復する措置をわれわれがとる、そのことが円の信用を一番つけるゆえんであって、インフレが一番通貨の価値の信用を落とすものでございますから、私どもは、何といってもここで日本は国内政策をはっきりすることが国際経済の波にぶつかっていける道だと思って、それを昨年からひたすらに自分は自分の政策としていまやってきましたが、大体少しずついま効果が出てきているというふうに私どもは思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 そんな抽象論を聞いておるのではないのです。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 そういう抽象論を私は聞いておるのではなくて、一体ポンドの防衛、ドル防衛が具体的にどのように今後進行するか——この不安解除のためにですよ。具体的に申し上げます。一体、ポンドの再切り下げが必至と思いますが、いかがですか。さらに、ドルの切り下げはどのように考えますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、明日の国際金融会議でどういうことがきめられるか知りませんが、しかし、世界の中央銀行に対して米国が金の売りどめをするという事態は、おそらくないと思います。そうすれば、金の値を上げるとか、あるいはドルを切り下げるという事態は、大体これは避けられると思います。で、もしそういう事態になって、しかも金の自由市場ができるというようなときになったら、これは金の二重価格ができますが、こういうものが存在するということになりますと、今後やはり基軸通貨を絶えずゆすぶっていくこれは一つの要因となろうと思いますので、なかなか今後、ドルの防衛ということもむずかしいではございましょうが、当面ドルの切り下げということには、今回の措置はつながっていかないというふうに私は考えています。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 ドルの切り下げは行なわれないであろう、しかし、ポンドの切り下げは必至、その場合に、現状の公定歩合では、これはもういけなくなってきている。かりにドルの切り下げが食いとめられても、その防衛策として考えられるのは、私はやはりアメリカがとる手段としては、やはり予算の圧縮、増税、輸入課徴金の実施、さらに海外投融資の制限、こういった問題が考えられると思いますが、大蔵大臣いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 最初ことしの正月にロストウ氏が来られたころは、アメリカはいわゆるボーダータックスを考えておったようでございますが、だんだんに変わって最近いわゆる輸入課徴金を課するという方向へくる可能性が非常に強まっていると思います。政府としましては、これは世界の貿易縮小につながる最も悪いやり方だというふうに考えまして、あらゆる機会に米国にこれはやめてもらいたいということをいま働きかけておって、特にこの問題について日本の抗議が非常に強いということは、アメリカにこれは非常に響いておりまして、いろいろの連絡において、できるだけ向こうもやりたくないという方向で私どもともずいぶん相談はしております。こういう事態になると、あるいは課徴金というものがあるのじゃないかというふうにも考えますが、まだ米国の考えがいま固まっているとはいえないと思います。少なくとも今月末に十カ国蔵相会議もございますし、国際協力の問題がいろいろ出ているときでございますから、そう簡単には私はまだ米国はこれを踏み切るというまでにはいかないのじゃないかと思いますが、可能性はいま十分ございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 可能性とおっしゃったが、私は具体的に聞いているのです。まず予算の圧縮、それから増税、輸入課徴金の実施、海外投融資の制限、これらが予想されますが、どうお考えですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 ジョンソン大統領が声明したこれら一連の措置は、私は一応全部やるのだろうというふうに考えています。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 これはきわめて重要な発言ですが、大蔵大臣はそのようなことを一体予期されておられたのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これはもうことしの正月に大統領が声明したことでございまして、むしろ米国があの声明のとおりに早くいろいろ手を打たれることが今日の事態を招かなくて済んだのじなゃいかとさっき総理も言われましたが、私どもも、あの正月に声明された措置をやはりもっと早く国際経済のためにとってほしかったというふうに思っております。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 きわめて重要な事態であります。特に私が非常に憂慮いたしますことは、ここ数日のうちに金の二重価格制というものはこれはどうしてもとられる。その場合に一体その被害を、その打撃をわが国としてはどう食いとめ、どう対処するか。いかがでございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そうなりましても、いまさっき申しましたように、中央銀行が金を一オンス三十五ドルで買うということは、これは停止されるということではございません。自由市場ができるというときには自由市場の金は上がるでございましょうから、民間におけるいろいろ工業用金の問題というような問題は出てきょうと思います。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 このことが円に対してきわめて重大な打撃を及ぼす結果になるのであります。率直に申し上げて日本は外貨準備が非常に少ないということ、円はドルの弟であってその巻き添えを食うんだということ、日本はやはり債務国であるのだというようなことから、以上のような影響としてすでにもう海外市場では円売りが始まっています。また国内では円の危機で不動産株が上がっている、こういうような状態から非常に円の不安が激増しているのです。ただいまの大蔵大蔵の答弁のようなことでこの事態を収拾できますか。さらにお伺いいたします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 何といいまして、この国際収支の悪いということが、円にしろ、ドルにしろ、ポンドにしろ、不安の一番の原因でございますので、これをよくするということ以外にはございません。そういう意味から申しまして、昨年来からとっている私どもの措置がようやく効果をあげてきて、国際収支の改善の方向も、まだこれがいまの傾向が定着的なものとは見るわけにいきませんが、昨年の暮れから比べてはっきりと一つの道をとってまいりますので、これをゆるめないでやっていけば、私は国際収支の改善というわれわれの目標は必ずことしの後半期には達成できるのじゃないかということを考えています。また世間も日本の経済には注目しておりまして、日本経済の収支改善がうまくいくかいかないかをみんな見ております。たとえば、ロンドンでああいう円の切り下げというようなルーマが飛んでも、全体は日本がそう悪化の方向に行ってないということを見ていますから、ここで円が動揺するというようなことはないというふうになっていますので、これを見ましても、何といっても日本自体の経済を強化していくということにわれわれは専念すべきだというふうに思っています。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 私は、今日世界を吹きまくっておるこの国際通貨の一大危機に対処して、総理並びに所管の大蔵大臣の現状認識は非常に甘いと思うのです。もっと真剣に取り組んで、このことの影響を最小限度に食いとめこれは直ちに貿易に、さらに日本の零細な中小企業やあるいは輸出業者にも直ちにはね返ってくる問題、日本の産業、日本の経済に直ちに影響する重大な問題であります。特に、私が先ほど指摘したドルの防衛策としてアメリカが必ず近くとるであろう四つの問題など、これを具体的にどう対処するかは私は喫緊の問題であろうと思うのであります。  そこで総理にお伺いいたしますが、報ぜられるところによりますれば、宮澤経済企画庁長官をアメリカの輸入課徴金阻止のために、近く政府の代表として派遣されると報ぜられておりますが、それは事実でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 きのうきょうの問題を別にいたしまして、課徴金制度をアメリカは考えている、こういうことが報ぜられて、経済界におきましても産業界におきましてもたいへん心配している。ことに繊維関係あるいは雑貨方面、これなどは非常な心配でございます。そうして、いわゆる課徴金というような制度が設けられないことを心から願う、こういう意味で、あらゆる方面でアメリカ側に反省を求めておる。しかし私が昨年参りましてジョンソン大統領と話したときも、ボーダータックスあるいは課徴金、そういうようなものを設けることになると、国際貿易は縮小の方向へいく。均衡はしても縮小均衡ではいかぬじゃないか。もっと積極性を持つべきじゃないか。せっかくできたケネディラウンド、そういうものの方向について拡大均衡を願うべきではないか。これが自由主義国家群としても当然あるべき姿なんだ。こういうことで、それをひとつ反省してくれということを申しておきました。ところがまた、そのときは一応やみましたが、三月、四月、こういうようなときになると、課徴金制度がひとつ問題だ。明日、日本の経済界から代表が出かけるということであります。これらの方はどういうような方向で運動されるか、これは別といたしまして、政府は政府なりに、国民に対しましてもこういう問題について、ただそういうものをやめてくれろということだけでなしに、もっと積極的な意味、建設的な意見を述べるような方法があるんではないか、こういうことで、ただいまのようなことも一つの問題として考えております。しかし、宮澤経済企画庁長官をただいま直ちに派遣するという決定を見たわけではありません。政府も、今回の模様の発展ぐあいによっては、これに対する適当なる対策をとるべきではないか、こういうことを実は考えて、それにはまずアメリカ政府に対して建設的な意見を述べられるような、そういうものを考えるべきじゃないか、かように実は思っておるのであります。このことはまだこの段階では、私ははっきりきまったとは申しません。しかし、ただいま皆さん方心配していらっしゃるような一連の問題とも関連がございますから、時期を失せないで、適当な時期、チャンスに送り込むなら送り込むようにしなければならぬ、かように思います。  そこで、先ほど金のお話が出ております。あるいはもう大蔵大臣からお答えしたので、もうこれでいいかと思いますが、この一オンス三十五ドルという金の価格は、小平君も御承知のように、一九三四年にきめられた。いまからちょうど三十四年前だ。この三十四年間、一オンス三十五ドル、それでずっと引き続いてやってきたんだ。だが、そこに投機が起こるのは当然なんだ、そんなに長く続いて金の価値が維持される、かように思わないのが人情だと私は思います。そこにスペキュレーションがある程度行なわれる。そこで問題が紛糾している。しかし、一オンス三十五ドル、これは守るというのがアメリカの考え方でもあり、またこれに賛成をしておる欧米の国も、これを守ろうとしてあらゆる努力をいましておるわけであります。そのことはもう百も御承知だと思います。  そこで、先ほど大蔵大臣が説明いたしましたように、日本の金準備は少ない。だからもっと金貨をたくさん持っていたら、金塊を持っていたら、こういうような議論が出ても心配はなかったんだ、皆さん方はこう言われ、そして金準備をふやさなかったのは政府の責任だ、こう言って追及される。このこともわかります。しかし、大蔵大臣が説明しておりますように、金自身では、ゴールドだけでは設備投資はできない。金だけでは利子はつかない。だから、三十四年間無利子な状態で一オンス三十五ドルで守られているという、そういうところはどちらがよかったか、かように考えると、政府が持てなかったことも——持てなかったと正直に申しておりますが、経済成長の形においては、これはなかなか持てなかった。しかし、ドルを持ち、そして設備投資をしたことのほうが日本の経済を発展さすことができた、かように実は思っておるのであります。したがいまして、いま私が申し上げるまでもなく、三十四年間、金利計算してみると、七・二%なら十年で倍額になる。したがいまして、これは弁解のようですが、一応ただいまのことをひとつ御理解いただいて、今日の状況において、いま、これから先金の価格が必ず上げられる、かように言われますけれども、その形がどういうような形になるのか。あるいは二重価格になる場合においてはその損害はあまりないだろうと思いますし、さらにこれが自由価格できまるということになれば、これはたいへんなことだと思いますし、それらのことなども、まあ大国である日本はもう少し事態を慎重に正視して、そうしてそれに対する対策を時期として誤らないような、そういう方法をとらしていただきたい。これは皆さん方のお話も政府鞭撻、叱正、さような意味において私は傾聴いたしておる次第でございます。

小平忠民主社会党

○小平(忠)委員 金準備の不足をいかにして補い、このことがわが国経済の動向にどういう影響をもたらしたか、すなわち設備投資に重点を置くことが云々、これらの問題は、いま総理がいろいろ説明されましたけれども、私は率直に申し上げ、先ほどフランスの例も取り上げました。しかし、現実に、それはいかに釈明されようとも、わが国経済が国際経済に伍して今日非常に危険な状態にあるということは——確かに戦後二十数年の間に生産は伸びている。貿易の帳じりも上がった。数はふえたけれども、今日のようなこの国際金融恐慌の中で、いま円というものが非常な恐怖の中にされされる状態というのはここに原因することを、私は佐藤内閣としても十分に留意しなければならぬと思うのであります。  宮澤経済企画庁長官の渡米の問題について、総理がいま率直に述べられました。これは総理の御答弁のように、私は賛成であります。おそらく総理としましては、昨日、今日の状態がなければ、予算も衆議院をあがって参議院に回りますけれども、やはり一日も早く政府代表として宮澤経企長官を派遣したいという意図であったでしょう。しかし、今日のアメリカの現状は、まさに火事場であります。不安定である。そういうところに無定見にいま直ちにやるということについては、これはやはり四囲の情勢を十分に把握し、正視して、そして的確なる情勢把握のもとに対処してもらうことが適切だろう。これは私は賛成であります。ただ、報道によれば、自民党の代表として福田一氏が、これまた近く渡米されるような報道も聞くのでありますが、今日この輸入課徴金の問題あるいはこの国際通貨危機の問題などは、単に政府与党だけの問題でなく、全国民的な問題であろうと私は思うのです。したがって、やはり事情が許すならば、超党派の意味において国会代表あるいは超党派の代表を送り込んで、これは適切なる時期を見なければならないけれども、ほんとうに国民が一体となってこの問題に取り組むという姿勢を総理みずからがまず示すべきでないか、私はこのようにも思うのでありますが、最後に総理の御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 国会から議員の方々が出かけて、そうしていろいろアメリカと相談なさる、これは一つの行き方だろうと思います。国会におきまして十分ひとつ御審議をいただいたらどうだろうか。政府でとやかく言う問題ではございません。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これにて、小平君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田春夫君。      ————◇—————

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 社会党を代表いたしまして、若干の質問を政府にいたしたいと思います。  最初に、政治家の発言というものは千金の重みがあるといわなければならないと思うのですが、今国会における閣僚諸君の御答弁を伺っておりますと、どうも平然と前の答弁を訂正されている傾向が非常に多い。こういう傾向は最近の国会で非常に珍しいことであります。こういう点では、私は国民の政治に対する信頼を強める意味におきましては、各大臣が十分御留意を願わなければならないと思います。私はきょう質問いたすのにあたりまして、私の質問は全部速記録と対比してそのままで質問をいたします。したがって政府の御答弁も、前の速記録に基づいた正確な御答弁をお願いしたいと思います。特に総理大臣の御発言については、その及ぼす政治効果というのは非常に重大であります。こういう点では総理大臣も十分御留意を願っておるとは思いますけれども、重ね重ね私から要望いたしておきます。  そこで、まず第一点といたしましては、私は憲法問題について若干御質問をいたしたいと思いますが、今月の六日に、総理大臣は衆議院の外務委員会において、自民党の委員の質問に答えまして、次のように答弁をされております。その答弁は、私どもは平和憲法第九条第一項をどこまでも守り抜くつもりである、私どもははっきりした平和憲法のもとで自主防衛を行なう、このように答弁をされました。総理が憲法の第九条の第一項をことさら取り上げて、これをどこまでも守り抜くという決意を強調されたことは、九条の第二項との関連において重大な意味を持っていると私は考えております。最近のように、アメリカのベトナム侵略によってアジア情勢が極端に緊迫化いたしまして、特に昨年十一月の日米共同声明以来、灘尾文部大臣の国防教育論、あるいはいわゆる倉石発言のごとく軍国主義復活の風潮が日に日に強くなっている今日において、憲法の九条第一項だけをことさら主張して、その反面において自主防衛という名のもとに第二項を軽視し、事実上それが否定されるような結果になるのではないかという疑念を持たざるを得ません。  まず第一点としては、総理はこの点についてどのような見解をお持ちになっているのか、この点からしてお伺いをしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  岡田君御承知のように、九条第一項は戦争の放棄と申しますか、国際紛争を武力によって解決しない、そういうことでございます。いわゆるこれが平和主義だ、われわれが言っているそういうものだと思います。しかし私は第二項を否定したとか、こういうものでないことだけはこの機会に申し上げておきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、ただいまの御答弁で私はこのように明らかになったと思います。憲法第九条第二項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」この条文についても第一項と同じようにあくまでも守らなければならないと総理大臣は決意されておらるる、このように私は理解してもよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 申すまでもなく、総理大臣は現行憲法のある限り、その憲法を順守することが当然でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 自衛権の行使ということばは、いままで侵略戦争を合理化するためにとかく使われる傾向が多かった。これは日本の場合においても、戦前においていわゆる日華事変あるいはいわゆる満州事変というような場合においても、自衛権の行使であるというような形で日本の侵略政策を合理化するというあやまちを犯してまいりました。最近の場合においては、アメリカの国会において、トンキン湾事件の問題についても自衛権行使の拡張解釈ではないかというので、たいへんに議論になっていることは私が言うまでもないわけであります。  そこで、総理が、憲法第九条は言うまでもなく総理大臣としてはあくまでも守るのだ、こういう御決意であるとするならば、自衛権の概念について政府の見解をあいまいにさせてはならないと思います。少なくとも自衛権の概念については厳格な解釈を明確にすることが今日大切な点であると思いますので、これはあらためてお伺いをするようでございますけれども、自衛権についての政府の確定解釈をお伺いをしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 法制局長官にお答えさせます。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答え申し上げます。  自衛権の範囲の問題につきましては、これも御承知のとおりに、従前しばしばお答え申し上げておりますが、簡単に要点を申し上げますれば、わが国に対する急迫不正の侵害があったときに、国民の生命安全を守るために他に手段がないという場合に、必要最小の限度において働くというものだと解しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 総理大臣、いまの法制局長官の答弁でよろしいわけでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 よろしゅうございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私がこれを非常に厳格に申し上げるのは、先ほどから総理大臣も再三うなずいておらるるとおりに、自衛権の行使という名のもとに侵略戦争が行なわれている過去の幾つかの経験があるからです。そういう意味で私は特に厳格にお伺いをしたわけであります。  それじゃ、具体的にこれに結びついてお伺いをしたいと思いますが、この憲法の規定に基づき、ただいまの自衛権の解釈に基づいて、自衛のためと称してかりそめにも一つの特定国を仮想敵国にする、あるいはまた防衛上の対象国にするというようなことは許されないと思うが、これは総理大臣いかにお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはもうしばしば申し上げましたように、仮想敵国あるいは特定の国を考えて、それに目標を置いてというようなことはございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう一度総理大臣に伺っておきます。それは非常に重要な点なんですが、その点は憲法上許されないという御理解でございますか、どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私はいま政策的なことを申しましたが、同時に憲法上も、出かけるというようなものではないのです。こちらの国から出かけるというようなものでないという、いわゆる自衛の範囲というものはこれはもうはっきりしておりますから、さようなことはございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私は出かけるなどということを申しておりません。自衛のためと称して特定の国を仮想敵国として考える。その場合において、自衛隊が出かけなくても考えることはあり得るわけであります。特定国を防衛対象国として考えて準備をする、こういうことは許されるのかと伺っているのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 仮想敵国は考えてないとはっきり申します。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 同じく憲法九条の規定に基づいて、一切の戦争放棄を規定した現行の憲法のもとにおいては、わが国は戦争状態、いわゆる戦時、このようなことを予定しあるいは想定をして準備することは許されない。したがって戦時を予定した立法——法律ですね、立法あるいは戦時を予定したところの国際法、国際的な取りきめです、これは憲法上認められないと思うが、いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答えを申し上げたこととも関係がございますが、わが国の憲法第九条、これは戦争の放棄という条章の規定のもとに第九条がございますが、第九条の解釈として、自衛権は否定しておらない。そうして自衛権の行使ということがあることも御質問の中ではうかがわれるように思いますが、いまの御質問の前提としては、そういうことをまず前提に置いてのことかと思いますが、そういう急迫不正の侵害があって、わが国の国民の生命等の危険に瀕した場合にそれを防衛するという事態、これは理論上ないとはいえないわけでございます。そういう場合についてのいろんな法律上の措置あるいは対策といいますか、そういうものについてまですべて憲法に違反するということには相ならないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ法制局長官、自衛権の行使の結果として行なわれる事態を国際法上いうところの戦時状態というのだという前提でこのような答弁をされたのですか。それならそれで伺っておきましょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 いわゆる憲法九条一項は、国際紛争を武力で解決することはいたさないということがございまます。それは放棄をするということでございますが、それについていわゆる戦争というもの、これは国際法上の概念でございますが、そういうものについては、先ほど来の御設例にありますような、本来戦争というものは国家固有の一種の権能といってはおかしいですが、自由というものが認められておりましたが、だんだん国際法が発展するにつれて一種の自衛行動というものだけに限定されてまいったというのは国際法社会においても大体同じであります。それがわが憲法におきましては国内法をもって自衛のための構想、これは認めていないとはいえないというその限度における一つの武力行使の状況、これは憲法が認めているから、その限りのことは法制上もやはり考えることがあって差しつかえない、こういうことを申し上げたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 長官にもう少し伺いますが、戦争という概念については幾つかあるはずであります。いわゆる戦時国際法を適用されるような戦争というものもあるはずである。これは憲法第九条の国権の発動としての戦争の問題、武力の行使というのがそのあとにあります、威嚇の問題は別として。この武力の行使というのは、戦時国際法の適用を受けない、いわゆる武力の行使として行なわれるというものであるが、これを一つの戦争の概念という意味で、これすらも否定をしておる。あなたは、第三の点として、自衛権の行使は認めるのだから、それでは自衛戦争はあるのだ、こういう御答弁ですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 通俗語でいわゆる戦争、これは、そういう意味における自衛戦争ういうものはよくいわれて使われることばでございます。しかし岡田さんの御質問でございますから、そういうことではなしに、戦争という国際法上の概念からいってどうかという御質問かと思います。  これは非常にむずかしい問題でございますが、いままで国際法上の戦争というものは、やはりたとえば交戦権というものが伴う、これは自衛行動権というようなものとはおよそ品質の違うものである。そういう交戦権が伴うような戦争、そういうものは憲法が否定しておると言わざるを得ない。ただ憲法が認めておるのはそういうような国際法上の概念、交戦権が伴うような戦争ではなくて、自衛権に基づく自衛行動としての——これは通俗には戦争と申します、そういう意味で戦争ということをいってもよろしいかと思いますが、厳密な意味でもし区別するなら自衛行動、自衛構想、そのための行動権、それがあるということを申し上げておるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 法制局長官、私はここで通俗小説をやろうと言っておるのではないのですよ。だから最初に申し上げたように、発言は非常に重要である。だから私は先ほどから国権の発動としての戦争、戦時国際法の適用に基づくもの、武力の行使といわれるいわゆる戦争関係、それと自衛戦争とは違うのだ。しかもそれは自衛権の行使と厳密にこれは区別しなければならない。こういうことまで具体的に、しかも厳密なことばで私は申し上げているわけです。ですから私の申し上げるのは、先ほどの御答弁で、最後の部分で私は了解をするのですが、これは戦争という概念ではなくて、憲法第九条一項に、規定するその戦争ではなくて、あくまでも自衛権の場合は行使の問題だ。そういう点で政府の理解をはっきりしておいてもらわないと、先ほどから申し上げたように自衛権の乱用の問題が起こってくるわけであります。  そこで、時間が、こういう点にあまり使いたくないので進めますが、ひとつこの点ははっきりしていただきたいと思うのですが、戦時、戦争状態、これは厳密なことばにおいて戦時あるいは戦争状態というものは、憲法九条第一項に、基づく国権の発動としての戦争並びに第二項に基づく交戦権、これらのものを否認したというか、こういう形のもの、そういう戦争状態、戦時であって、これは自衛権の行使とは全く違うものである。この点ははっきりしていただきたいと思いますが、いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ただいまの御質問でございますが、厳密な意味でお話がございますから、私もそういう関係で申さなければなりません。戦争というのは、実は一国の意思だけでできるものではなくて、わが国が自衛権の行使として武力の行動を起こすという場合に、相手国が戦争の宣言をする、宣戦の布告をするという場合には、いや応なしに戦争ということになるわけでございます。大事なことはそういうことではなくて、われわれの憲法のもとでわが国の武力を行使できる範囲は何であるかということになれば、再々申し上げるように自衛権というものによって制約を受ける。その制約をされた自衛権の行使は、最も有効適切に行使する必要があるけれども、中身はそういうものだとしなければいけない。これは憲法九条がある以上は、そう考えなければならない。しかし戦争というものは、いま申し上げたように、他国が戦争宣言すれば、これは国際法の分野においては戦争にならざるを得ない、このことだけを申し上げておきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは非常に重要な問題ですから、ほんとうはもっと議論をしたいのですが、ほかの問題を進めなければなりませんので……。  これは、いま法制局長官は非常に重要な提起をされておる。日本が戦争の中に巻き込まれるという場合に、相手が宣戦布告をした場合、その場合どういう態度をとるかという問題として、しかもその場合においても、国権の発動としての戦争は放棄をしているんだから、日本としては宣戦布告はできないはずです。宣戦布告はできますか。宣戦布告の権限はないのですからね。あるとおっしゃるならおっしゃってもいいですが、日本は宣戦布告はできないはずです。したがって法的な意味における戦争状態はあり得ない。もう一点だけそれじゃ伺っておきますが、相手が宣戦布告をした場合、日本はこれに対して宣戦布告なり何なりに基づく、あるいはそれに基づかなくても、国際法上の戦争状態というものはあり得るという法制局長官の御答弁ですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 先ほどのお答えですべて申し上げたつもりでございますが、わが国の憲法九条は自衛権というものの完在を否定しておらない。これは最高裁も認めております。最高裁も言っておりますように、自衛のための措置をとること、この中身は言っておりませんが、そういうことも認めておる。日本のいまの現行法制のたてまえでは、自衛隊法というものがあるのは、その判決に合わせていえば、これは見るほうの立場でございますが、自衛のための一つの措置であるという、ふうにいえると思います。それがたで人形としてあるわけではなくて、やはり自衛権の行使という場面になりますと、そこに武力の行使というものが起こらざるを得ない。その場合に相手国が宣戦の布告をすれば、それは国際法上は戦争状態ということにならざるを得ないということをさっき申し上げたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、そういう場合に戦跡国際法の適用はあり得るという御理解ですね。これはたいへん重大な問題の御答弁だと思うし、国権の発動の戦争並びに交戦権というものを否認しないということになる。戦時国際法の適用になると交戦権を認めるわけですからね。憲法九条第二項の交戦権の否認とどういう関係になりますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ただいま申し上げておりますように、国内法と国際法の両面の関係があるわけですね。それで国際法の関係で、日本が憲法九条があるからといって、まずそういう悲惨な目に合うことがないといっていても、これは他国が侵害するということを法律でもって防御するわけにはむろんいかない。したがってそういう事態が生ずるかもしれない。生じた場合には、国際法の関係でいえばそれは戦争状態になるだろう。相手国が宣戦布告をするなりすれば、国際法の分野においてはそういう関係が生じないとはいえない。しかし先ほども申し上げましたように、大事なことはそういうことではなくて、わが憲法の上でやれるのは一体何であるかといえば、そういう場合の侵害を排除するという一点に尽きるということ、その場合に交戦権があることになるではないかとおっしゃいますが、憲法上は交戦権は否認しておるわけでございますから、もっぱら自衛のための措置、つまり再び侵害を受けないように自国の国民を守るという限度のものは、直ちにこれを交戦権の行使であるというふうにおっしゃることはないと思います。これはあくまでも自衛権の行使としていけばいいし、またそれが限度である、こういうことを申し上げたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたが交戦権の行使の問題を言っているのであって、私はそんなことは言っていませんよ。自衛権の行使じゃないかと言っているのです。あなたが戦時国際法の適用を受けるんだと言うから、それじゃ交戦権を認めたことになるじゃないかと私は言っているので、あなた自身のことですよ。私はそんなこと言っていませんよ。それはいいでしょう。進めます。  そこで、若干時間がおくれましたが、本論に入りますが、本日質問をいたします論点は日米安保体制の問題であります。私は、今日の安保条約は危険な対米従属の軍事同盟であると考えております。そしてその最も危険なものの一つはいわゆる極東条項であると考えております。アメリカのベトナム侵略がエスカレーションをして米中戦争に発展するような場合においては、この侵略的な極東条項があるために日本が戦争に巻き込まれる。そこでこの極東条項については、六〇年の安保審議の際にも非常に議論があったところだ。それに対して当時の岸総理大臣は統一見解を発表した。その統一見解は、若干長くなりますが、読んでみますけれども、このように速記録に残っております。「実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域ということになるわけであります。こういう区域としては、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれるということであります。」と答弁をしている。これについては佐藤総理大臣も御意見はないと思いますが、そこで一つ伺っておきたいのは、これは外務大臣にお伺いをしたいと思いますが、今度小笠原並びに付近の諸島が日本に返還されることになります。そこで、この地域が新たに日本の領域となった場合、この日本の領域の周辺は一体どうなるのか、安保条約上。統一見解によれば、日本及びその周辺の区域ということが極東の範囲であると規定されているが、具体的にいって小笠原諸島の周辺であるマリアナ諸島、グアム島は極東の範囲に含まれるか、この点を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も岡田委員の御指摘のように、極東の範囲というものをいま読み上げられたように考えておるわけでございます。そうしてマリアナ群島の点については……(岡田(春)委員「グアム」と呼ぶ)グアム、これは条約局長に答えさすことでお許しを願います。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 小笠原が返りましたときに、日本周辺という意味で小笠原周辺が極東の範囲に入りますということは当然でございます。マリアナ諸島が周辺に入りますかどうかということは、私はまだそこまではっきりアメリカ側と話しておりませんでございますから、御答弁を遠慮させていただきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは重大な御答弁です。まだそれはアメリカと打ち合わせておらないとおっしゃるならば、この予算委員会中におきめいただかないと私は予算を成立させるのは困る。それはそうですよ。安保条約の規定に基づく極東の範囲、日本領域の周辺、これはグアム島、マリアナ群島が入るかどうかということぐらいは、外務省がお調べになっておらないというのは、いま返還交渉をやっているときにこういう点が不明であるというのは、おかしいじゃありませんか。どうなんですか、外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ちゃんともう地理学的なことばではなくして極東の範囲というものが、安保条約に関してそういうことをいっているわけでありますから、一つの島、この島は入るか入らぬかということになってくると、条約局長の申すように、これはいろいろ検討してお答えする必要が私はあると思うのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 だってさっき私が言ったようにあなたは答弁で賛成されたじゃないですか。「この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域」、周辺というのは当然そうなるじゃありませんか。しかもその中に「フィリピン以北」「日本及びその周辺の地域」、日本及びその周辺区域、当然これは入るじゃありませんか。それはいつ御答弁になれるのですか。来年ぐらいになって答弁されるのですか、どういうことなんでございますか。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 お答えいたします。  小笠原返還協定はいま交渉いたしておりますので、この小笠原返還協定が成立いたします間には、当然そういうふうな話も問題になると思います。それで、いずれにせよ、マリアナの問題、マリアナで、非常に何といいますか、あまり可能性のない問題でございますけれども、マリアナあたりで戦争が起こったというような話になりますれば、当然そこの影響が小笠原にも響いてまいりますのですから、やはり極東の平和安全という問題では同じような問題になってくると思います。しかしいずれにせよ、小笠原返還協定の際には当然話になると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私はほかの問題で重大な問題があるので、あまり深く入りませんが、マリアナ、グアム島あたりで戦争がないと思うなどというお話はとんでもないことであります。いまベトナムでアメリカはどんどん負けておるのですから、負けたついでにグアム島まで来るかもしれませんよ。考えたらいいですよ。とんでもない話です。そういうことではなくて、問題は日本領土の周辺ということになりますと、マリアナ、グアム島、これは大体日本に来るのと同じ、むしろ近いかもしれません。しかもこれが極東の範囲の中に入るとするならば、グアム島、マリアナはフィリピンの以北ではないのであります。南であります。これは一体どうなるのですか。統一見解はどうする。こういう点についてお答えいただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは、小笠原の返還協定のときに、こういう岡田君の疑義にも明白に答えるようにいたしたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ進めます。  総理大臣は昭和四十年の五月三十一日この予算委員会の席上、わが党勝間田委員の質問、アメリカの北ベトナム攻撃に対する質問で次のように答弁されました。北ベトナムに対してですね、佐藤総理大臣はこのように言っています。「いわゆる極東の地域ではございません。しかしながら、極東周辺というか、周辺ということばで表現すればいい、その範囲だ、かように思っております。」また当時の椎名外務大臣、そこにおりますが、同年の四月十四日外務委員会でこのように言っている。「ベトナムはフィリピン以北ではないけれども、しかし周辺である、しかもその周辺に起こった事実が極東の平和と安全に至大の影響を持つものである、こういうことでございまして、ベトナムにおける行動は、いわゆる安保体制のワク内における行動である、こう考えるのであります。」こういうようにそこの椎名外務大臣、向こうを向いたけれども、そういうように答えました。そこでその当時の総理大臣である佐藤総理は、御自身も答えておられるし、その閣僚の一人である推名、当時の外務大臣も答えておりますが、この点は間違いございませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 極東の範囲、これはもう先ほど読み上げられたとおり、また私が周辺ということばを使ったこともそのとおりでございます。いまもそういうように考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この間プエブロ事件に関連して、わが党の川崎君が三木外務大臣に、北朝鮮は極東に入るが、この質問に答えてこのように言っている。こっちの速記録のほうが明確ですね。二つあるのですが、「御承知のような朝鮮半島における情勢は極東の平和に関係を持つことは事実であります。北鮮が極東の範囲内に入るものではない、入らない。しかしあの状態というものが極東の平和に関係を持つことは、これは事実である。」それからもう一つの答弁では、これも川崎君に対する答弁、「極東の周辺であっても、いわゆる極東の範囲という中にはベトナムは入らない。北鮮も入らない。」こういうように答弁されています。そこで伺いたいのは、極東の範囲内に北朝鮮は入らないけれども、しかし極東の周辺に入るという意味の答弁をしておられるが、そういう意味でよろしゅうございますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 (韓国を極東の中に……(岡田(春)委員「北朝鮮と書いてある」と呼ぶ)含まれておるわけですから、したがって朝鮮半島の動向というものは極東の情勢に非常に影響を持つ周辺であることは間違いない。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 北朝鮮は極東の周辺であるという御答弁です。  これは同じくこの予算委員会で、公明党の矢野君の質問に対して総理大臣はこう答えておる。中国の問題です。「アジアの諸国を昨年歴訪いたしますと、中共自身が核兵器を持っておるということに脅威を感じない国はどこにもございません。」「みんな脅威を感じておる。」と答えました。そして安保条約に基づく日米安保協議委員会、過去七回やっております。この七回の安保協議委員会の中で、これは公式発表ですよ。最初の一回と二回には出てないが、三回以降において毎回中国問題が論議されております。とするならば、今日の中国はアジアの諸国に脅威を与えている地域という意味で、極東の平和に密接に関係をしているという意味で、極東の周辺という理解を総理大臣はとっておられるようですが、そうでございますか。極東の周辺です。そういうことでしょう、脅威を与えているのだから。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの東南アジアの諸国が脅威を感じておるということと、極東の範囲とは、これは別に関係はないことです。これは私がずっと歩きましたところの各国が持っておる感じを私自身が感じたので、それを率直に披露したのです。またそれは……(岡田(春)委員「極東の周辺じゃないんですか」と呼ぶ)それはどうも豪州、ニュージーランドまで入れるわけいにいかぬじゃないですか。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 豪州、ニュージーランドの質問を私はしたのじゃないのです。中国はどうなんだと言ったのです。中国は極東の周辺になりますかと聞いているのであって、豪州、ニュージーランドがどうかなんて私言っていませんよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまのなにを取り違えましたが、東南アジア諸国というものが中国の核兵器の開発を脅威を感じておる、こういうことを申したので、その東南アジアの諸国といううちには豪州、ニュージーランドも入る、こういう意味のことを申したのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ総理大臣、あらためて伺いますが、北ベトナムも極東の周辺、北朝鮮も極東の周辺、中国は北ベトナムと北朝鮮のまん中でしょう。これは極東の周辺ではないとおっしゃるのですか、あると言うんですか、どうなんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 安保条約について、私は率直にこう考えておる。一々烏、地域をとって、これを極東の範囲とか周辺とか、一々これは言うか、これは言わないかということは、やはり結局は日本の安全、ひいては極東の平和と安全、こういうものに重点を置いて考えないと、地域に重点を置いて、この地域が入るか入らぬかということになってくると非常に誤解を生ずる。一番の中心点は日本の安全であり、極の安全ということを軸にして、そしてこれが一体影響があるかどうかということを考えるべきであって、そのことを抜きにして一々島や地域をさして、これが極東に入るか入らぬかということは非常に誤解を生じます。そういう意味で、中国においても非常な大問題があって、それが日本の安全に影響するようなことになれば、いわゆる安保条約による極東の周辺というものに入るでしょう。しかし、影響がないような場合は、極東の範囲に初めから入らぬのですから。しかし影響がある場合においては、これはやはり極東の周辺と言っても私はいいと思う。重点は、日本の安全と、極東の平和と安全を軸にしてものを考えるべきである。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 三木さん、そうおっしゃいますが、日米共同声明の中に書いてあるじゃありませんか。中国の脅威と書いてあるじゃありませんか。核兵器の開発に基づく中国の脅威について日米間は合意したと書いてあるじゃないですか。これは脅威という問題があるという限り、アジアにおける脅威という問題がある限り、極東の周辺に規定することになるじゃありませんか。どうなんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 おそらく、私は、日米共同宣言の中の一つの意味は、東南アジアの諸国が、中共が核兵器の開発をしたりして、そういうことで脅威を受けるようなことのないように、しっかりした体制を東南アジアがつくるということにアクセントが置かれた共同声明だと私は解釈しております。中共それ自体の脅威をとやかくいっておるのではなくして、そういうものがあっても、これに対して脅威を感じさせないような東南アジアの強い体制をつくるということに対しての理解だと解釈をいたすものでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 三木さんのその御答弁ではきわめて不十分ですが、入る場合もあるんだと先ほど御答弁になったから、核開発の場合には入る場合もあるんだ、そういう意味で私は理解いたしまして、進めたいと思いますが——まだ答弁するんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 核開発が入るというのではないのですよ。核開発が入るというのではなくして、中共の動向が日本の安全と極東の安全に対して非常に影響を与える場合であって、核兵器……(岡田(春)委員「与える場合があるんでしょう」と呼ぶ)与える場合があるというのではなくして、あればという前提であって、(岡田(春)委員「あれば範囲になるんでしょう」と呼ぶ)あれば極東の周辺——範囲ではありませんよ、極東の周辺。ですから私が言いたいのは、あまりそういうことに重点を置かないで、日本の安全に重点を置いてものを考えないと、これは非常にミスリードするということを強調したいのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう場合には、日本並びに極東の平和に脅威を与える場合には極東の周辺に入る、こういう御答弁だったと思いますが、そこで中国、北朝鮮、北ベトナムは安保条約にいう極東の範囲ではないという御答弁、それは先ほどの統一見解に明らかなとおり。極東とは、在日米軍が日本の施設、区域を使って武力攻撃に対する防衛に寄与し得る地域、いわゆる安保条約にいう極東とはアメリカの防衛地域、私はだから安保条約をこのように、統一見解のように解釈する限りにおいて、中国、北朝鮮、北ベトナムが極東の範囲に入らないという解釈は、その限りにおいて私は正しいと思います。私は入るんだと言っているのじゃない、正しいんだと言っているのです。だから何もあなた、あわてなくていいんですよ。ただ問題は、いいですか、ただ、中国、北朝鮮、北ベトナムがこのアメリカの防衛地域の平和に重大な影響を及ぼす極東の周辺であるという政府の答弁は、これはまことに、重大な答弁です。その点ははっきりしないといけないのです。極東の範囲でなくても極東の周辺である、こういう意味の答弁はきわめて重大な答弁です。なぜならば、いいですか、なぜならば——増田さん、私、いまあなたにこれから質問しますから、ちょっと待ってください。なぜならば、安保条約六条に基づく米軍は、日本の駐留目的である日本の安全と極東の平和、安一全のためならば、この米軍の行動は何ら制限がないのです。米軍の行動に制限はないのです。いいですか。アメリカの防衛地域である極東という範囲を防衛するためには、六条に基づいて日本に駐留する米軍は、その防衛地域の防衛のためにはどこでも行動できる、極東の周辺に行けるということです。なぜ行けるか。椎名外務大臣は答弁している。これは安保体制のワク内の行動であります、北ベトナムに対する行動は安保体制のワク内の行動であります。これによって明らかに、六条に基づく米軍は北ベトナムに対して行動することができると言っている。それならば三木さん、北朝鮮、たとえば先ほど言われたような事態における中国、これに対して、日本に駐留する米軍は、これらの地域に対して行動することはできるわけでしょう。北ベトナムに行動できると同じようにできますね。この点は伺っておきます。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本の安保条約、これはやはり国連憲章による集団安全保障であります。だから、不正の侵略に対してでなければアメリカは行動を起こすことはできない。これは安保条約の憲章による行動しか許されていない。これが一点。もう一つは、事前協議によって、戦闘作戦行動に日本の基地を使うときには、政府の合意がなければ使えない。これだけの制約を持っておりますから、岡田さんの言われるように無制限にどこへでも米軍が行動できるという性質のものではないということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、事前協議の適用は受けるわけですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 一切の戦闘作戦行動に対して日本政府が……(岡田(春)委員「いや、いまの私の質問に対して」と呼ぶ)戦闘作戦行動に出れば事前協議の対象になることは明らかである。またその上に国連憲章による集団安全保障体制であるという大きなワクが入っておるということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 事前協議の条項は、あなた御存じのように第六条を実施するための制限規定ですね。だから当然第六条は適用されているということですよ、あなたの答弁によれば。だから行動できるということですよ。日本の基地を使って戦闘作戦行動以外のことならば行動できるということをあなたは答弁されたわけです。それでいいのでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 事前協議の条項は、もうここで申すまでもなく、戦闘作戦行動に日本の区域及び施設を使うときには政府の同意が要る、これだけの制約を受けておる、こういうことでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そんなことは聞いてない。私の言っておるのは、事前協議が適用されるということは六条が適用されることが前提である、したがって日本の基地を使って北朝鮮、中国に対しても行動できるということをあなたもお認めになったのだということだ。あなたは条約上できるという答弁をした。現実にもそうなんですよ。やっているんですよ、今日在日米軍は、増田さん、どうですか、在日米軍のやっている証処は、今日在日米軍が使っておる防空鑑識圏ADIZ、これは朝鮮の場合は、あなた御存じのはずですが、ADIZの北限は三十八度じゃないですよ。三十九度ですよ。三十九度まで行動できるということになっている。明らかにやっておるじゃありませんか、北朝鮮で。明らかに在日米軍は日本の基地を使って北朝鮮の中に侵略をしている。ADIZのその例ははっきりしているじゃありませんか。どうですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田さんの御指摘のADIzというものの北限がどこまで行くか、日本におけるADIZは海上二百キロまで行くだけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 日本におけるというのはどういう意味ですか。私は先ほど、在日米軍の、と申し上げました。北限は北緯三十九・度線までです。間違いないです。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 日本におけるADIZは在日米軍も使っておるのでございまして、その到達距離は海上二百キロのところまで行くだけでございます。したがって三十八度線以北にまではADIZは行かないわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そんなことはありません。あとであれしますが、あなたは日本におけるというのは、日本自衛隊のという意味ですか。府中のCOCはあなた日本の専管ですか。日米共管でしょう。あそこにあなた行ったことがあるでしょう。あのCOCの地図を見たでしょう。われわれだって新聞に出ておるのを見ていますよ。あれは全部朝鮮半島は出ておりますよ。あなた見てきたじゃないですか。あれは在日米軍の範囲ですよ。私は自衛隊の範囲を聞いているのではありませんよ。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田さんにお答えいたします。  日本において在日米軍が使っているレーダーサイト、これが二十四カ所ございまして、その行くのは二百キロまで到達いたします。その二百キロ先までの、航空法に違反して、不法侵入せんとするものはキャッチできます。しこうしてそのセンターがCOCであることば御指摘のとおりでございます。アメリカのCOCと日本のCOCとが共管であることは御承知のとおりでございます。そのCOCに在日、在朝鮮のアメリカのレーダーがどういうふうに来るか、あるいは大韓民国自身のレーダーのキャッチした線がどういうふうに来るか、これはつまびらかにしていないのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 増田さん御存じないようですが、御存じなくても目があるんだから、あそこへ行かれたらわかるわけであります。御存じなければ私のほうで地図をあなたにごらんに入れてもいいのですが、きょうはこの問題が主題じゃありませんから進めますが、しかし三十九年度線が北限であります。在日米軍は御承知のように、アメリカの空軍は第五空軍でしょう。第五空軍の管轄区域は日本だけではありませんよ。いわゆる韓国、沖繩、これ全体を統括する地位にあるわけであります。こういう点はあとでまた伺ってまいります。  そこで、もう一度話をもとへ戻してまいります。総理大臣、先ほど、憲法上から言っても政治的にも、特定国を仮想敵国にしたりあるいは防衛上の対象国にするということは適当ではないという、この場合日本の政府は中国、ソ連、北朝鮮など、これらの特定国を防衛対象国にしているんじゃありませんか、どうですか。していませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 仮想敵国は考えておらないのです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 仮想敵国ではなくて、防衛上の対象国を特定国にしておりますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 在日空軍は、いまの活動範囲は日本の範囲内だけでございまして、大韓民国にございます第五空軍はそれぞれの活動範囲を持っております。沖繩におけるアメリカの空軍はそれぞれの活動範囲を持っております。しこうして、日本の自衛隊の航空部隊の活動範囲というものは日本のADIZだけでございまして、他に何ら警戒管制装置もございませんし、対象国その他のことは考えていないのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃもう一度念を押して伺いますが、日本の自衛隊は特定国を対象にはしておらない、こういう御答弁ですね、防衛上の対象国にはしておらないということですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田さんにお答えいたします。  私は、仮想敵国はもとよりのこと、対象国ということばも使ってはいけない。こういうことで、対象国ということばを使ったこともあるようでございますが、昨年の二月から全然使っていないということをこの際明瞭にいたしておきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そのことばは使っていないとおっしゃることは、それを対象国——具体的に言ったほうがいいですね。中国、ソ連、北朝鮮は防衛庁としては防衛上の対象国にはしておらない、しておるんだが、対象国ということばは使っておらない、そのいずれですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 具体的に、中共とかソ連とかいうものを対象国にはいたしていないのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 中国とかソ連を対象国にしてはおらない——しておったらどうですか。もししていたら、あなた責任を負われますね。念を押しておきます。これは総理大臣はどうですか。私はさっきから総理大臣に伺っているのですが、それは対象国にしたら、認めないでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどはっきり申しましたように、仮想敵国という考え方は持っておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私は仮想敵国の話をしていません。防衛対象国の話をしているのです。防衛対象国にはしておらないと増田さんは言ったのですが、それでよろしいですかと言っておるのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 仮想敵国を考えていないということははっきりとしたことです。防衛対象国、それはたいへんまぎらわしいことばのように思いますが、私は、仮想敵国を考えてないということではっきりする、防衛庁長官の答えたのもそのとおりだと思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ちょっとあいまいにされた感じですね。増田防衛庁長官は、対象国には考えておりませんとはっきり言ったわけです。あなたは仮想敵国にはしておらないが、防衛対象国ということばがあいまいで、それについてはどう言ったのだかわからない。防衛対象国にはしておらないという増田さんの答弁は正しいのですかと伺っている。どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは増田君が正しいということをはっきり申し上げます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 増田君は正しいとただいま言われました。あった場合にはこれは責任を負ってもらわなくちゃならない。  そこで、それでは伺いますが、昨年、昭和四十二年十月の五日から九日まで五日間、航空自衛隊第二航空団のはやぶさ演習、これは北空般第八十四号に基づく航空自衛隊の演習、並びに昭和四十二年八月二十五日付北方般命第六十五号に基づく陸上自衛隊の第十一師団の演習、略に称して菊演習、このはやぶさ演習、菊演習は陸海空の合同演習である。この合同演習を昨年行なったのでありますが、この点は長官御存じですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 各種の訓練をしておるのでございましょうが、具体的には存じません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 はやぶさ演習、菊演習ばやっておりますか。それは防衛庁長官が知らなければ教育局長が知っているだろうと思いますが、お答えをいただきたいと思う。

中井亮一防衛庁教育局長

○中井政府委員 お答えいたします。  昨年の十月に十一師団の演習が菊演習という名前で行なわれております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは菊演習はお答えがありましたが、はやぶさ演習はどうですか。

中井亮一防衛庁教育局長

○中井政府委員 お答えいたします。  四十二年の十一月に北部防空演習というのが行なわれておりますが、名前は了知しておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういうことでは困りますよ。はやぶさ演習というのがあるのです。教育局長が御存じないということは——いいですか、御存じないと防衛庁長官おっしゃるが、防衛庁長官、知らないうちに制服の軍人がどんどんやっているわけですな。そういうことですな。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田さんにお答えいたします。  陸上自衛隊も海上自衛隊も航空自衛隊も、有事に備えまして訓練を激しくやっておることはあたりまえである、国民に対する義務である、国民を守るための義務を果たしておる、こう考えておる次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかし、あなたは先ほど知らないとおっしゃったじゃないですか。知らないのに制服の軍人がやったんでしょう。——いいですよ。進みます。いいですか。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。静粛に。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 はやぶさ演習の想定状況を申し上げます。  第一部 第一段階演習想定状況 想定 1 樺太K、千島C、沿海州Eを領土とする赤国、北海道、本州等を領土とする青国は、——これは日本ですよ。四十二年九月三十日早朝から交戦状態に入った。交戦状態、憲法違反の交戦状態です。赤国軍の配置状態、全部書いてある。(1)AOB、南中沿海州にはMBが百三十配置されている。南樺太地区にはFBが五十、西千島地区にはFBが三十、中樺太地区にはFIが五十。(2)GOB、樺太には四個師団、沿海州には十個師団、千島には一個師団。(3) NOB、沿海州にはMB80、これが配置になっている。しかも、この合同演習をやった菊演習では、この赤国を敵とはっきり書いている。(3)地上部隊。敵北海道占領を企図する……(「ばか者」と呼ぶ者あり)北海道……   〔「ばか者とは何だ」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います——静粛に願います——静粛に願います——静粛に願います。  この際、委員長より申し上げます。  議院の品位を汚さないように慎重に願います。岡田春夫君。   〔発言する者あり〕

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私は、ただいまのばか者と言われたことをお取り消しにならない限りは、発言を続行いたしません。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 この際、委員長から申し上げます。  ただいまの不規則発言につきましては、後ほど理事会において協議の上、善処いたします。  岡田君におかれましては、質疑を継続願います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 先ほど総理大臣は、そういう対象国は認められない、仮想敵国も認められない。それから増田防衛庁長官は、昨年の二月からそういうものはもうやめてしまった。にもかかわらず、はやぶさ演習並びに菊演習において、防衛対象国並びに敵ということば、これは仮想敵国であります。こういうものをはっきりつくった想定に基づいて、先ほど教育局長は、この訓練が、演習が行なわれたと答弁している。実際にやった。これは三矢の場合と若干違う。三矢の場合には図上演習という形であった。今度の場合には、実際に自衛隊という実力を使った。こういう点できわめて重大であります。仮想敵国に対して、日本自衛隊というものを使って演習をやった。したがって、この仮想敵国、防衛対象国はないのだということばに反して、このような演習が行なわれた。一々そういうことは私は知らないと増田防衛庁長官はお答えになったけれども、事実行なわれている。そこでそのような政府の方針、総理大臣の方針に反するような演習が行なわれているならば、その演習の想定状況の全文を資料としてお出しいただきたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま調査中でございまするが、繰り返すようでございまするけれども、われわれは仮想敵国ということを考えておりませんし、対象国ということばもやめさせた。というのは、侵略者というものは四つの団体が想定されるからでございます。すなわち、国家というものは最後にくるわけでございまして、国際法上の交戦団体というものもあり得ますし、また権威というものも考えられます。それから大規模の海賊というようなことも考えられるわけでございます。そこで、いま赤、青というようなことは、普通赤勝て、青勝てといったような、こんなようなことです。そういうことに想定しているわけでございます。私どもは、それ以上のことをもしするならば許しません。ことに具体的に名前を掲げるというようなことは、私の意図に反するわけでございまして、私がよく調査をいたしました結果お知らせを申し上げます。要するに演習のことでございまするから、想定をいたしまして、侵略者が北から来た場合にはこうするとか、南から来た場合にはこうするとか、東から来た場合にはこうするとか、そういうようなことを想定して訓練しておればこそ、自衛隊の職責を果たしておると私は考える次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 具体的な場所を指定したことは私は許しません、その点については調査をいたします、こういうお話でした。私が申し上げているのは、最初に申し上げたように、私もここで言う限りはいいかげんなことを言っているのじゃない。政治家の発言というものはきわめて重要であるという前提に立っている。樺太(K)、千鳥(C)、沿海州(E)、しかも兵力の配置状況としては、沿海州に十個師団、そういうように全部書いてある。これは資料をお出しにならない限りは、私はこれをはっきりさせるわけにはいきません。私たちはいいかげんなことをここで言っているように見られることは不本意であります。資料はいま調査中でありますからという——お出しになるのですか、お出しにならないのですか。この点は、この私の質問時間中にお出しいただかないと、私は困るわけであります。質問時間中にお出しになると増田防衛庁長官がお答えになったと了解してもよろしゅうございますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま調査中でございますが、機密にわたらない範囲におきまして、御審議を仰ぐために申し上げるつもりでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いや資料としてお出しいただかなければ——私のほうも資料がございます。ここにいま私が読んだとおりであります。そういう資料に基づいて、あなたのほうで私の言ったことについてもはっきりしないと、私自身が審議ができないのです。資料としてお出しをいただきたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま調査してお答えを申し上げるということは、国会法にも衆議院規則にも書いてございますから、その点はお許しを願いたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは増田さん、その前に伺っておきますが、あるんですね。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 調査をして申し上げるべき点は申し上げますから、これは国会法や衆議院規則に許された範囲でございますから、どうぞその他の点について御質問を願いたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私は増田防衛庁長官に、その他の点について質問しろなんて命令を受けるあれはありませんよ。教育局長はあると言ったじゃありませんか。あなたはあるということを認めにならないのですか。あると言ったじゃありませんか。演習をやりましたとはっきり言ったじゃありませんか。やっていないのですか。やっておるんでしょう。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私が申し上げたのは、演習、訓練をしておるのは、これは自衛隊の義務である、こういうことを申し上げました。個々のことについては知らないと申し上げましたが、政府委員が十一月、十二月等において、御指摘のような一方の名前は、菊という名前にあるということを申し上げました。一方の、はやぶさとかいう名前はまだよくわからないということでございます。それから、その内容はまだよくわからないというのが教育局長の発言内容でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、はやぶさ、菊というものはあるということをお認めになった。そこで、その菊をお認めになったとするならば、それに基づいて当然想定状況というものはあるわけだ。それはありますね。あるわけです。演習をやっているなら想定状況がなければ演習できないわけだ。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 演習、訓練をしておるのは、これは職責上当然であるということを私が申し上げるわけでございます。  それから菊、はやぶさという名前の演習をしておるということは事実でございます。しかしながら、各部隊部隊がやっておるわけでございまして、その部隊について調査いたしませんと、いまここで詳細には即刻という、即答はいたしかねるわけでございまして、どうぞしばらくお待ちを願いたいと思います。  そこで、その他の御質問にお答えいたしたいというのは、その他の御質問が私に対してございましたならばお答えいたしますと、こういうことでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ資料の出るまでお待ちさしていただきます。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 岡田君、岡田君に申し上げますが、質疑を通じて事態を解明されるよう、政府側も答弁するそうでありますから、質疑を続行願います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃお答えいただけるそうですから、まず第一に菊演習、はやぶさ演習というものが行なわれたということをもう一度確認してまいりたいと思いますが、いつどこで行なわれたか、これをひとつはっきりお答えいただきたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 菊演習なるものは、昭和四十二年十月一日から十月十日まで北海道央及び道南地域において行なったわけでございます。その目的は第十一師団の指揮、幕僚活動及び部隊行動の総合的の演練をいたしたわけでございます。また、はやぶさ演習というのは、しかとはやぶさというのかどうかほんとうはわからないのでございますが、北部防空演習でございます。それを行なったのは昭和四十二年十一月二十八日でございまして、場所は北部防衛区域でございます。その目的とするところは、要撃戦闘機の訓練でございまして、司令官は北部航空司令官でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私の調査をしている点で、合う点と合わない点がある。菊演習はお認めになったが、はやぶさ演習と私が申し上げているのは、あなたのお答えと違うような気がする。はやぶさ演習は、北空般第八十四号に基づく第二航空団の演習、その時期は昨年の十月五日から九日、予備日は一日とって十月十日まで、しかも、このはやぶさ演習は菊演習と合同演習である。この事実はお認めになりますか。

中井亮一防衛庁教育局長

○中井政府委員 お答えします。  いま大臣からお答えしました程度のことしか目下私の手元には資料がございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは私は困るのです。それじゃ、委員長、菊演習ははやぶさと合同演習です。ですから、その合同演習の片一方を知らないというお話では、私は審議は進められない。この事実をひとつ早急にお答えをいただきたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いまお答えいたしましたその演習のことは、概略申し上げたわけでございます。その詳細等はお許しを願いたいと思っております。  それから日時等は、菊演習は昨年の十月一日から十月十日に及んでおる十日間でございます。それからはやぶさ演習というのは、しかと表題はわからないのでございます。御指摘のはやぶさ演習に該当するとおぼしきものは、北部の防空演習でございまして、昭和四十二年十一月二十八日でございますから一月以上の、一月半もずれておるわけでございます。その演習の目的とするところは、北部の防衛関係の要撃戦闘機の訓練でございまして、でございますから、陸上部隊の訓練とは関連をもってやる場合がございますけれども、この際は要撃機の要撃能力等を訓練するのが十一月二十八日に行なわれた幹部の演習でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 先ほどから同じことばかりお答えになっておられますけれども、文書番号はそれじゃ何番ですか。私は、文書番号は先ほど申し上げたように北空般第八十四号、ここまではっきり申し上げているのですが、文書番号は何号ですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 北部航空方面隊の行なった演習等は、幕僚部等にはきているかもしれませんが、なかなか防衛庁口弁にはこない。すなわち、こまかいと言っては語弊があるかもしれませんが、当然日常なすべき演習訓練をいたしておるわけでございまして、その文書番号等はいますぐということはわかりにくいのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それ、防衛庁長官ごらんなさい。制服の軍人がかってにやっているということじゃありませんか。内局のほうは知らないんだと言うじゃないですか。教育局長も、内局だって知らないじゃありませんか。制服の軍人がかってにやっているということを、それをあなたはおわかりにならないじゃありませんか。それじゃ、あなた防衛庁長官として監督はどうできるのですか。できやしないじゃありませんか。しかも、私の質問したいのは、その内容はどうですかと伺ったら、先ほどあなたは、内容は申し上げられませんとお答えになった。内容は私が質問をしても申し上げられないのでございますか、再度伺っておきます。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 はやぶさ訓練というのは、内容は要撃戦闘訓練でございまして、一方は地域の防空の訓練でございます。十一師団の管轄下にある地域の防空の、防護の演習でございます。この範囲のことは部隊部隊にまかせてあるわけでございまして、一々幕僚長等の許可を得なくてもやり得る範囲でありますということは御承知願いたい次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 先ほどは、はやぶさは知らないとお話しになって、いま、ばやぶさはこうなっているという御答弁なんですが、それははやぶさでございますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 この称号がはやぶさであるかはわかりませんが、あなたの御指摘になった線らしきものが十一月二十八日に行なわれた防空の訓練であるということを申し上げたわけでございまして、まだ名称等は明瞭になっておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ増田さん、私は質問を続行できません。はやぶさとおぼしきもの、しかも、私が申し上げているのは、文書番号並びに実施の期日まで申し上げている。あなたがおぼしきものと言うのは、実施の期日が違う。じゃあなたの言われた演習もあったんでしょう。私の言っている演習もあったんでしょう。二つあったのですね。そこら辺がはっきりしない限り、私は審議はできません。これが第一点。  第二点は、あなたは、内容はいま言われた以外には言えないと、こういうお話ですが、そうですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田さんにお答えいたします。  ただいま申した二つの演習は行なわれました。それから目標、目的とするところもいま申し上げました。そこで、どんな想定のもとにどんな訓練をして、戦車が何台出て、飛行機が何機出た云々ということは申し上げにくいわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ進めますが、はやぶさ演習の想定に、樺太(K)、千島(C)、沿海州(E)を領土とする赤国、これは明らかにソ連です。だって樺太、千島、沿海州を領土とする国、赤国、これはソ連です。領土とするまではっきりある。地域になんかなっておりません。北海道、本州等を領土とする青国、これは日本です。四十二年九月三十日早朝から交戦状態に入っている。交戦状態、これは先ほど法制局長官の言ったように、総理大臣の言ったように、国の交戦権は否認をする、この点に反する。こういう想定が書かれているという事実をあなたはお認めになりますか。増田国務大臣 いつも私があなた方との対話の中には大前提があるわけでございまして、すなわち、自衛隊は自衛隊である、防衛庁は防衛庁である、侵略があって初めてそれに対するやむを得ざる正当防衛として行動するというのが常識でございます。でございまするから、その前提をいつも忘れてはいけないと私は考えておるわけでございまして、その前提に立ちましても、いわゆるでございます、いわゆる防衛戦争の場合の各般の行動等は平素想定し、訓練しておく必要がある。しかしながら、仮想敵国だとか対象国ということばを昨年の二月まで使っておりましたが、侵略の可能性のある団体というものは幾種類もあるわけでございまして、国に限りません。交戦団体もございまするし、大集団の海賊もございまするし、また権威もあるわけでございまするから、私どもがそういう演習があったかどうかということはいま取り調べ中でございまするが、とにかく北のほう略ら侵略者が侵略してきた場合、東のほうから侵略者が侵略してきた場合、南方から侵略者がというような、つまり四つの団体がございます。四つの団体が侵略者になり得るわけでございますから、その四つの団体が侵略してきた場合ということを想定して訓練に励んでおるということは自衛隊の職責ではないかと考えておる次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私の質問に答えてはいないじゃありませんか。樺太、千島、沿海州を領土とする赤国と書いてありますねと言っているのに、あなたはそれについて何にも答えないで、何だかわけのわからない精神的なことを盛んに言っておりますが、わけのわからない点はともかくとして、しかし、そういうことが書いてありますかと聞いているのです。それはありますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いまのところわかっていないのでございます。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 防衛庁長官、お答えありますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いままで申し上げた線で御了解いただきたいと思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 了解いたしません。私ははっきりとこのようにあるんだと、こう申し上げている。しかも先ほどから総理大臣は仮装敵国、防衛対象国などを使うのはこれは非常にいけないことだ、ここまで言っている。防衛庁長官もそう言った。それなのに、それについてはお答えができない。調査いたしておりません。こういうことでは私は、あなたの言っていることを、その御答弁だけでは了解できかねます。審議できません。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 この際、暫時休憩いたしまして、再開は七時三十分ということにいたします。    午後六時四十九分休憩      ————◇—————    午後七時四十八分開議

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  岡田君の質疑を続行いたします。  なお、岡田君に念のため申し上げますが、持ち時間は、中断瞬間を差し引きまして三十六分間であります。お含みの上、御質疑願います。  岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは続行いたします。  まず第一に、はやぶさ演習、菊演習をあらためて確認いたしますが、それをやったことをお認めになりますか、どうですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 その後調べてみまして、両方が合同でやったということをお認めいたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、その合同でやりましたはやぶさ演習、菱演習の想定の中に、先ほども読みましたが、もう一度読みますけれども、想定1 樺太(K)、千島(C)、沿海州(E)を領土とする赤国と、北海道、本州等を領土とする青国は、四十二年九月三十日早朝から交戦状態に入っている。2赤国軍、これは沿海州、樺太、千島それぞれにこれらの領土を持っている赤国、すなわちソ連でありますが、これらの軍隊の配置状況が明確になっております。この事実をお認めになりますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 ただいまわかっている線は、菊演習、これは陸のほうの演習でございます。はやぶ演さ習、これは空の演習でございまして、合同で、一方は十月一日から十月十日まで、一方は、空のほうは十月五日から十月九日まであったということでございまして、その以外の御指摘の点は私どもはわかっておりませんし、またそういう想定のしかたはしかるべからずと考えておる次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかしこれは、しかるべからずということは、間違いである、こういうことですか。その事実があるのかないのかはっきりしないと私は審議ができないのですが、その事をお認めになるのですか、どうなんですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 お答え申し上げます。  自衛隊の演習につきましては、侵略者の態様等を考え、これを防衛する側のまた態様等を想定いたしまするが、しかしながら、仮想敵国あるいは対象国というものを想定はさせないのでございます。  いさいのことば、演習想定の資料は担当方面部隊について調査をいたしまして、善処をいたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それはだめです。それをお認めになるのか、お認めにならないのか、それをはっきりしない.ことには、私は質問が続行できません。だめですよ。委員長、しかも私の聞いていないことをあれこれ言って時間をことさら意識的に食われるような形では、私は了解できません。その点について、はっきりその事実をお認めになるのですかどうなんですか。はっきりしてください。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私は、仮想敵国あるいは対象国ということは断じて想定してはいけないということを言っておりまするし、その事実は認められないのでございます。内容についてもまた申し上げがたいわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 委員長、だめだ。そんなことでは私は了解できない。委員長、それは了解できません。私の質問に答えておらない。事実があるのかないのかということを聞いている。それじゃ資料を出してください。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 調査をいたした結果、善処いたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 だめですよ、それでは。時間をはずしてくださいよ。そういうことで時間をとられては困りますよ。こんなことで時間をむだにできませんよ。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 昨年の四月以来、私はきびしく仮想敵国——仮想敵国というのはもう前からないのです。ずっと前からないのですが、対象国ということばも考えたり想定したりしてはいけない。ただ青組、赤組というようなことは想定して演習したでございましょうが、御指摘のようなことは私が厳重に戒めておりまするから、そういう事実はないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 こういうことで私は時間をとりたくないです。ですから、樺太、千島、沿海州というものを書いてある事実をお認めになりますか。このことについてお答えください。それだけです。もしこれに満足な御答弁をされないならば、私は委員長にもう一度これは資料として正式に要求いたしますので、委員長のお取り扱いを願いたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 詳しいことは調査しないとわかりませんが、われわれの考えを徹底させるために、すなわち特定の地域をさすなんということはとんでもないことでございまして、そういうことはさせないというのが私どもの考えでございます。私が長官として部下を指揮監督する場合において、そういう用語を使ってはいけないということを言ってあるわけでございます。  詳細なことは調査の上、善処いたしますということを申し上げておるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは防衛庁の機関である北部方面の自衛隊のその制服の軍隊がつくったものなんです。それを認めるか認めないかということをはっきりしない限りは、私は審議を進めるわけにはまいりません。したがって私は、もしいまのような御答弁ならば了解いたしませんので、正式に資料として要求をいたします。委員長としてお取り扱いをいただきたいと思います。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。  岡田君に申し上げますが、先ほどの理事会におきましても資料の問題が話題になりました。しかし、岡田委員からは、質問通告にあたって、事前にかくかくの資料という御要請もなかったようでありますから、防衛庁側としましては、これをととのえるためにはいま即刻というわけにはまいらないようでございます。したがって、いま長官が善処されるという御答弁があったものだと思いますので、資料は資料としてさらに理事会でこれに対処いたしますから、質疑は質疑として続行願います。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 この際、防衛庁長官より発言を求められております。これを許します。増田防衛庁長官。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 岡田委員御指摘の演習想定状況はあるかもしれませんが、仮想敵国を想定した演習は、今後ともいたしません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 問題は、私はまだ明確になっておらないのですが、先ほど御質問を申し上げました樺太、千島、沿海州、この点については、委員長のもとにおいて、ひとつあるかどうかをお調べいただいて、ある場合においては、これは御報告をいただけるでしょうか。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 委員長におきまして、十分関係筋と連絡をとりました上に、善処することにいたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 善処ということは、ある場合には御報告をいただける、こういうように私は理解いたします。  問題はまだまだありますけれども、応問の制限もございますので、進めてまいります。  次は、事前協議条項について若干質問をいたしてまいりたいと思いますが、事前協議の問題につきましては、これはもう再三総理大臣からも御答弁がありますとおりに、これはいわゆる一定の歯どめの役割りを果たす。これは、岸総理がその当時言っておりました、第六条に基づく米軍の行動が無制限に許されるわけではない。日本の平和に危険が及ばない限り、その点については歯どめの役割りを果たす。特に、この点については事前協議条項の三項目の戦闘作戦行動というものは非常に重要な点であります。戦闘作戦行動の原文は、このようになっております。条文のまま読みますと、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」これは事前協議の対象になる、このようにはっきり言っております。これは外務大臣にお伺いをしたいのですが、この意味は、第六条に基づいて米軍が日本の施設、区域を使用する場合、戦闘作戦行動の基地としてこれを使う場合には、これは事前協議の対象になる。ことばを変えて言うならば、日本の施設、区域の使用のしかたについての制限規定である、このように私は理解いたしておりますが、いかがですか。時間がありませんから、簡単にお答えください。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も、そのように考えています。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは続いてお伺いをしてまいりますが、たとえばエンタープライズが佐世保港を出港した、その場合に、出港するまでに戦闘作戦行動の命令が出ていなければ事前協議の対象にはならない、このように御答弁になっていると思いますが、この点はいかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 そのように考えています。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 続いて外務大臣にお伺いをしてまいりますけれども、そのエンタープライズが佐世保を出港して日本の領域外に出てしまった場合においては、その命令を、戦闘作戦行動の命令を受けても事前協議の対象にならない、こういうことですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本の施設、区域から出発する時点、これを事前協議として対象とするものであって、日本から公海に出ていろいろ命令を受ける場合もあるでしょう、これは事前協議の対象にはならない、こういうふうに解しています。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 佐藤総理は三月の六日の外務委員会において、作戦行動、そういう命令を領海内で受けたときだけこれは問題になる。いわゆる日本の領海の中で、佐世保の港を出港しても領海の中にいる場合には問題になる、これは事前協議の対象になるという意味ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 施設、区域の使用ということを先ほど御指摘になりました。でありますから、外務大臣の言うとおりでございます。先ほどお答えしたとおりでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう一度総理大臣、御理解願いたいのですが、外務大臣にはそのことを私はまだ聞いてない。出港をして公海に入った場合、日本の領海外になった場合には対象にならないが、領海内にある場合には、佐藤総理大臣は、これは問題になるのだ。問題になるのだというのは、事前協議の対象になるのだという意味ですかということを聞いている。どういうことです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 施設、区域の使用、そういうことだと思います。したがって、ただいまの非常に領海内という——佐世保を出まして、それから公海にまでは出ないけれども、領海内にいたときにそういう命令を受けた、もうすでに発進しているときだと、施設区域の利用、そういうこととはもう離れておるんじゃないかと、かように私は思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それならば対象になりますかというのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 対象にならないように思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは答弁がだいぶ前と変わってきておりますが、佐世保の港をすでに出港したら、たとえば日本の領海の中においても事前協議の対象にはならない、こういうように了解してもよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私はさように思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 わかりました。これは従来の答弁とだいぶ違います。だいぶ違います。それならば、この点についても、もっといろいろ問題はありますけれども、きょうは省略をいたします。  それでは戦闘作戦行動というものは一体どういうことですか。これは外務大臣はこの問題については見解の統一をされているはずですが、戦闘作戦行動とは何ですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はしろうとではございますけれども、あんまり用語——普通の軍隊用語とは違っておるかもしれませんが、とにかく命令を受けて、戦闘作戦の命令を受けて、そして直接に発進するということで……。それ以上のことはなかなかむずかしい。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 三木さん、これは外務省でもそれから法制局でも、総理も加わって、一月の末に事前協議について意思統一をしているはずだ。そのときには、戦闘戦行作動というものは戦闘命令の発令である、このように意思統一をしているはずだ。この点については、あなたはそうではございませんか、どうですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 したがって、私も最初に申し上げたのは、やはり出動の命令を受けるということが前提になることでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは非常に問題があるのです。というのは、日本の基地を使う場合に戦闘作戦行動の基地として使う。その戦闘作戦行動というものの概念をできるだけ狭く解釈している。たとえばあなたは、哨戒とかあるいは偵察とか補給というものは含まれないという理解にまで入ってきている。これは従来の解釈と違うのです。この点については、そのような解釈を行なわれました今日の政府の理解については、私は、岸総理大臣がその当時答えた理解と違うという点を指摘いたしておきます。  そこで、具体的な例で少し伺ってまいりたい。日本に現在駐留している米軍は、言うまでもなく陸海空の三軍であります。しかし、この陸海空の三軍の米軍の中で、陸軍と海軍は後方支援部隊が主であります。実際の実力部隊といわれているのは在日米空軍、いわゆる第五空軍であります。この第五空軍が、ただいまの総理大臣の御答弁からいうと、日本の基地から緊急発進をした場合、その場合には当然事前協議の対象になると思いますが、その点はどうですか。総理大臣。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはなるように思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは、緊急出動が全部、緊急発進がなるのならば、いままで一年間に二百回緊急出動をやっております。これは全部事前協議の対象になっておりますね。これは伺っておきたいと思います。これはたいへんなことです。これは重大なことですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ちょっと私が間違えているようですから、防衛庁長官からお答えさせます。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 私からお答え申し上げますが、在日米空軍のスクランブルも自衛隊の航空部隊のスクランブルも戦闘作戦行動ではないのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 戦闘作戦行動ではないとおっしゃるが、それは迎撃行動が戦闘作戦行動ではない。これは総理大臣、さっきのを取り消してもらわないと困りますよ。迎撃行動は戦闘作戦行動ではない。しかし迎撃のために出動したアメリカの飛行機が、スクランブルの中では撃破命令が出される。この撃破命令は戦闘作戦行動に該当しましょう。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 普通スクランブルといえば、警戒のために出撃するわけでございまして、在日米空軍も自衛隊の航空部隊も同じことでございます。そこで、もし警戒のために出動した場合に、正当防衛その他で武器を使用する場合がございましょうとも、そのときば日本を基地とする戦闘作戦行動とはいえないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 注意してください、時間がないから私はできるだけ簡単に聞いているのですから。撃破命令は戦闘作戦行動であるかどうかということを聞いているのです。迎撃行動というもの、迎撃命令は、私は疑義があるけれども、迎撃命令は戦闘作戦行動ではない。これは佐藤総理がさっき正直に言われたのが私は正しいと思うのだけれども、まあ、ないと解釈をしている。ところが迎撃命令と撃破命令は違うのです。撃破命令の場合には、戦闘作戦行動であるかどうかということを増田防衛庁長官に伺いたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いわゆるスクランブルの命令を受けて行った場合には戦闘作戦行動ではないのでございまして、最初から基地から出るときに戦闘行動をとれといって命令を受けた場合には戦闘作戦行動だと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 たとえば撃破命令を受けてスクランブルをする場合はありますね。その場合当然入るのでしょう。戦闘作戦行動として事前協議の対象になるのでしょう。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 まず日本の基地を根拠地といたしまして撃破命令を受ける、戦闘作戦行動をとるというような行為を最初から駐日軍司令官が命令するならば、それは戦闘作戦行動だと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いま御答弁のとおり、そういう場合には事前協議の対象にならなければならない。それではそういう命令はどこから出ますか。在日米軍の場合だけ。自衛隊のことはいいです。在日米軍のそのような、いわゆる戦闘機が出動するその命令を発令するのはどこですか。府中の、もっとはっきり言いましょう、府中のCOCですか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 これはまあ、そういう場合はあまり想定したことはございませんが、太平洋空軍司令官シャープが命令する、その命を受けてマッキーという第五空軍の司令官が発する。これは非常に慎重に扱うべき問題だと私は思っております。そこで戦闘作戦行動に日本の施設やあるいは地域を、すなわちベースを、基地を使う場合には、当然に第六条による交換公文上の事前協議が必要である、私は第五空軍司令官等がすぐ戦闘作戦行動を命じ得ないという感じがいたしております。具体的に申しますと、やはり太平洋空軍の総司令官であるシャープ大将だ、こう思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 どうもあいまいにされますが、府中のCOCは、これは第五空軍の司令官の所属であり、太平洋米空軍の権限を委任されて迎撃行動並びに撃破行動に対して指揮権を持つことになっています。したがってCOCが緊急の場合における命令権を発令することができることになっているはずです。この点は違うとおっしゃいますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 まず日本にとって意味のあることという立場で、お互いに現実的な問題として対話をいたしたいと思います。  そこで日本に所在する米軍あるいは日本本土に、つまり日本の施政権が行なわれている範囲に対して攻撃があると思われる場合に迎撃命令が出るわけでございまして、そういう場合には私は相当慎重を要する。いろいろな委任命令があろうとも、府中のCOCだけではできない、私はやっぱりハワイのシャープ大将である、こう考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういう答弁では困るのです。COCが指揮権があるか、命令発令権があるかどうかを聞いておる。COCだけではありません。全国にあるADCC(防空管制所)それからADDC(防空指令所)この二つにも撃破命令を出す権限がある。ないとおっしゃいますか、あなた。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 外国の命令はしかとはっきり知っておるわけじゃございませんが、ADCCもADDCも中間の指揮所でございまして、やはり日本の在日空軍はCOCが最高指揮官でございます。しかしながら無線ですぐ連絡がつくわけでございますから、やはりハワイの太平洋空軍司令官等が、そういう大なる戦闘作戦行動をとれなんていうことはやはり最高指揮官が命令すべきことであって、普通のスクランブルだったら、これはいつでもやっております。在日米空軍もやっておりまするし、自衛隊もやっておるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そういうごまかした答弁は困ります。あとで具体的に申し上げます。日本専管のADCC、ADDC、この二つには第五空軍の連絡班ADOTが配置されている。連絡班というのはADOTです。これは航空総隊司令官が希望して配置したものである。このように増田防衛庁長官はお認めになるはずです。

島田豊防衛庁長官官房長

○島田(豊)政府委員 在日米軍の、COC、ADDCあるいはADCC、これの場所におきましては、わがほうのADCCあるいはADDCには米軍人がともに勤務をいたしておるわけでございまして、その米軍人も結局上からの権限を与えられておるというふうに考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ私の言ったとおりじゃないですか、権限があるという口じゃありませんか。  そこで、そのような権限を与えているその法的な根拠というのは、一九五九年九月二日の松岡・バーンズという二人の間の日米軍事秘密協定がある。この日米軍事秘密協定に基づいてこれらのことがすべて決定されている、そうではありませんか。

島田豊防衛庁長官官房長

○島田(豊)政府委員 秘密協定のことは承知しておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 増田さん、松岡・バーンズの取りきめというものは御存じでしょう。一九五九年、もっとはっきり申し上げましょう、一九五九年九月三日に、「日本の防空実施に関する取扱い」というものを航空自衛隊航空総隊司令官とアメリカ第五空軍司令官の間に取りきめを行なっている。その署名者は、航空総隊司令官松前未曽雄空将、第五空軍司令官ロバート・W・バーンズ米空軍中将、この二人の間で協定が結ばれている。この協定をあなたは御存じないとおっしゃった。内局の官房長も知らないと、いや、ないとおっしゃった。それはますますシビリアンコントロールがこのように破壊されていることを明らかにしている。この二人は制服の軍人じゃありませんか。航空総隊の司令官という制服の軍人が、アメリカの空軍司令官とかってに協定を結んでいる。その協定の中にはこう書いてある。防空に関する態勢及び防空警報のおくれが、日本の防空を危うくするような場合、一方的に処置することができる。ここには事前協議の条項は全然ない。明らかにこれは、名目上の事前協議を破棄して、実質的にこれが行なわれているということを立証している。松前・バーンズ協定と称されるものがあるはずだが、これについてお答えをいただきたい。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 防衛局長が休んでおりますので、臨時代理の意味でお答えいたしたいと思います。  先生御承知のように、あれは昭和二十八年だったかと思いますけれども、いわゆる岡崎・マーフィー往復書簡というものがあるわけでございます。ちょうどその当時、北海道に侵犯機がだいぶ見られたわけでございまして、日本政府からの要請に基づきまして、岡崎外務大臣からアメリカ政府に対して、これに対して適当な措置をとることの要請を行なっております。それに対しまして、アメリカ側からまた返答が来ておるわけでございまして、この協定は、この往復書簡は、新安保条約が締結されましたときに、適当に読みかえて継続するということで、相互の意思が合致しておるわけでございます。したがいまして、その政府の意思に基づいた一つの話し合いでございまして、米軍は米軍の指揮系統、それから自衛隊は自衛隊の指揮系統によって日本の防空をやるという趣旨のことを規定した一つの取りきめがあるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いま政府委員の答弁によると、あるということをお認めになったんだと思いますが、そうでございますね。あるんですね。これは長官からお答えください。あるんですね。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま人事局長の認めた範囲でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 認めた範囲というのは、この取りきめがあるということでしょう。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 話し合いがあるということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 話し合いといったってあなた、協定を結んで署名しているじゃありませんか。しかもこれは日本の国内の「航空総隊司令官の命により 監理部長」として、「日本の防空実施のための取扱に関する通達」、総隊発防第二百三十五号に基づいて、この協定は、全国航空自衛隊の各部隊長に通達が出されている。これはもう明らかに申し合わせ、協定ではありませんか。署名がされているじゃありませんか。松岡・バーンズ協定というのはないというようにあなたはおっしゃるのですか。(「そんなものあるわけないよ」と呼ぶ者あり)ここにもあるよ。この本にも書いてあるよ。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 文書にはなっていないようでございまして、話し合いでございます。話し合いをいたしておると、こういうことでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 だめですよ、そういうことじゃ。文書はここにあるんですから、そんなことを言っちゃだめですよ。文書はないんですか、あるんですか。文書はあるのかないのか。文書があるかないか、はっきりさしてください。だめです。だめですよ、それは。   〔「いいかげんな答弁じゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 静粛に願います。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 先ほど申しましたように、日本の防空につきまして、自衛隊は自衛隊の指揮系統、それから米軍は米軍の指揮系統で防空を密接にやるということになっております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 文書はありますか。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 はい。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 増田防衛庁長官、いま政府委員は文書があると言った。あるんでしょう。あるんでしょう。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 政府委員の申し上げたとおりでございます。私も倉卒の間でございまして、打ち合わせがうまくできておりませんでしたが、政府委員の申し上げたことに私は責任を負います。政府委員の申し上げたとおりでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 文書があることは確認されました。文書のあることは確認されました。その文書の中には、先ほど申し上げたように、防空に関する態勢及び防空警報のおくれが日本の防空を危うくするような場合、一方的に処置することができる。アメリカが一方的に処置することができる。票前協議ではないという証拠は、この現行の安保条約の締結をされたのは一九六〇年一月の十九日である。松前・バーンズ協定の結ばれたのは、それから半年前である。一九五九年九月の二日である。したがって、この協定の中には事前協議の条項がないのは、この時期をもってしても明らかである。この文書を見ても、明らかに事前協議の規定はない。一方的にこれは事前協議は筒抜けになっているように制度上明らかになっている。こういう点をお認めになりますか。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 お答えいたします。  先生も十分御承知のように、事前協議事項は、極東の平和と安全の維持のために、日本から行なわれる戦闘作戦行動のための基地として施設及び区域を使う場合のことを規定しておるわけであります。先ほど長官が文書がないというのは、松岡・バーンズということばでありましたので、おそらくそういうお答えをされたと思うのでございます。松岡・バーンズ協定なるものはありません。名前が……。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 松前……。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 それから、いずれにしましても、日本に対して武力攻撃が行なわれた場合に対しては、事前協議事項が該当しないことは、すでに先生、十分御承知のことだろうと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ伺いますが、防空に関する態勢及び防空警報のおくれが日本の防空を危うくするような場合、一方的に処置することができる。このように書いてあると思いますが、この点は間違っておりますか。どうですか。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 お答えいたします。  私も、それについて関係しましたのはだいぶ前でありますので、現在正確にどのような規定があったかということば明確には記憶しておりません。しかし、先ほど申しましたように、その趣旨とするところは、在日米空軍と航空自衛隊とが密接な関連を持って日本の防空を遂行しようという趣旨にあるわけでありまして、その指揮といたしましては、それぞれの指揮系統を通じて行なうというのがその本旨とするところであるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ、増田防衛庁長官、それだけではない。日本の航空警戒管制組織、日本の専管のレーダーサイトであります。このレーダーサイトは韓国の軍隊に対して航空情報を送り、また受けなければならない、送受しなければならない義務がこの協定の中にはっきり書かれている。すなわち、日本とアメリカだけではない。韓国と三国におけるところの共同防衛体制がこの協定の中に明確になっている。この点が一つ。  第二の点は、この計画の中には戦時緊急計画についても触れている。したがって、この協定が文章としてあるならば、資料として御提出を願いたい。日韓米の共同軍事同盟の体制がこの協定の中にある、そしてまた、日本の国民の命を危うくするような撃破命令についての指揮権がこの中に書いてある、また戦時緊急計画についても触れているのであるから、この協定をお出しいただきたいと思います。この協定をどうしても出していただかないと、これは非常に重大な問題であります。

麻生茂防衛庁人事局長

○麻生政府委員 この話し合いの文書は、日米のそれぞれの権限ある者が話し合いをした文書であるわけでございまして、こちらだけで出すというお答えをいたしかねるのが残念でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 憲法違反のきわめて重大なものです。これを出すまで、私は審議できません。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 岡田君に申し上げますが、二時間の申し合わせの時間がもうきております。   〔発言する者、離席する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 理事以外の方は御着席願います。静粛に願います。   〔「正式に理事会を開こう」と呼び、その他発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 議席にお着きください。理事以外の方は御着席願います。   〔委員長退席、小川(半)委員長代理着席〕

小川半次自由民主党

○小川(半)委員長代理 委員長は、岡田君が二分間席をはずすことを認めます。   〔小川(半)委員長代理退席、委員長着席〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御着席願います。  本日は、この程度にとどめ、明十七日午前零時五分より開会することとし、散会いたします。    午後十時四十九分散会

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