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58回国会衆議院1968/02/05

予算委員会 第1号

発言数
101
登壇者
14
会派数
1
開催日
1968/02/05

会議録

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  今回、はからずも私が予算委員長に選任されました。その職責の重大なることを痛感しておる次第であります。はなはだ微力ではございますが、誠心誠意、最善を尽くす所存でございます。幸いにして練達たんのうなる委員各位の御協力を賜わり、本委員会の円満なる運営をはかり、もって予算の慎重なる審議を通じ国政の上に遺憾なきを期したいと存じます。何とぞよろしく各位の御協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ――――◇―――――

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 まず、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。  委員の異動によりまして、現在理事が二名欠員となっております。つきましては、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は       北澤 直吉君    広沢 直樹君 を理事に指名いたします。      ――――◇―――――

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これより昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十三年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。     ―――――――――――――  昭和四十三年度一般会計予算  昭和四十三年度特別会計予算  昭和四十三年度政府関係機関予算   〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 まず、三案の審議について政府の説明を求めます。水田大蔵大臣。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昭和四十三年度予算の基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議において申し上げたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするにあたり、あらためてその概要を御説明いたします。  昭和四十三年度予算の編成にあたりましては、先日の財政演説において申し述べました財政金融政策の基本的な考え方にのっとりまして、当面の経済情勢に対処し、財政による景気抑制機能の実効を期すると同時に、硬直化した財政体質の改善の第一歩を踏み出し、将来にわたり財政が本来の機能を十分発揮することのできる基盤を確立することにつとめることといたしております。  第一に、一般会計、財政投融資計画ともその規模の増大を極力圧縮することといたしました。  第二に、公債依存度の大幅な引き下げをはかり、公債発行額を六千四百億円にとどめることといたしました。なお、政府保証債につきましても、その発行額を三千六百億円に圧縮いたしております。  第三に、予算の組み方につき、新たに総合予算主義をとることといたしました。  すなわち、四十三年度予算におきましては、恒例的な予算補正の慣行を排除することとし、公務員の給与改定等に備えて予備費の充実をはかると同時に、食糧管理特別会計への繰り入れについては、年度の途中において、米価の改定等事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式の確立を期することといたしております。  第四は、財源の適正かつ効率的な配分を行なったことであります。  まず、税制改正等につきましては、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移にかんがみまして、中小所得者の負担の軽減に重点を置いて、平年度一千二百五十億円の所得税の減税を行なうほか、当面の経済施策に即応し、輸出の振興、技術開発の促進、中小企業の構造改善等に資する税制上の措置をとることといたしております。また、四十三年度の経済の推移を勘案し、所得及び物価の水準等の状況に応じて、酒税の税率の調整及びたばこ小売り定価の改定を行ない、歳入の充足をはかることといたしました。  歳出面におきましては、財源の効率的な配分につとめ、限られた財源の中において、きめこまかな配慮を行ない、施策の均衡をはかることとしております。  同時に、補助金の整理合理化等、既定経費の更新と行政経費の節減及び定員の縮減を行なうことにより、行政能率の向上をはかることに配意いたしました。  以上により編成されました昭和四十三年度一般会計予算の総額は、歳入歳出ともに五兆八千百八十五億円でありまして、四十二年度補正後予算に対し六千百五十一億円の増加となっております。  また、財政投融資計画の総額は、二兆六千九百九十億円でありまして、昭和四十二年度当初計画に対し、三千百六億円の増加となっております。  まず、一般会計について申し上げます。  歳入予算の総額五兆八千百八十五億円の内訳は、租税及び印紙収入四兆六千九百七十八億円、税外収入四千二百九十億円、公債金六千四百億円及び前年度剰余金受け入れ五百十七億円となっております。  租税及び印紙収入四兆六千九百七十八億円は、昭和四十二年度当初予算に対し八千九百二十六億円の増加、補正後予算に対し六千二十六億円の増加となっております。  この租税及び印紙収入四兆六千九百七十八億円は、現行税法を前提とする四十三年度の収入見込み額四兆七千五百二十八億円から税制改正による減収五百五十億円を差し引いた額であります。  税外収入四千二百九十億円は、昭和四十二年度当初予算に対し、八百五十五億円の増加となっております。これは、たばこ小売り定価の改定等による専売納付金の増加五百五十億円を含むものであります。  次に、公債金六千四百億円は、財政法第四条の規定により公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源に充てるため発行する公債による収入でありまして、民間の資金需要との調和に十分配意して決定したものであります。  前年度剰余金受け入れ五百十七億円は、四十一年度に新たに生じました剰余金を受け入れるものでありまして、四十二年度予算に計上された額に対し、四百九十六億円の増加となっております。  次に、歳出のおもな経費につきまして、順次御説明いたします。  社会保障関係費といたしましては、総額八千百五十七億円を計上し、施策の充実をはかっております。  すなわち、生活扶助基準を一三%引き上げるほか、児童保護、老人福祉、身体障害者保護、心身障害児保護等の充実をはかっております。  また、国民年金のうち福祉年金につき、年金額の引き上げを行なうことといたしました。  さらに、原爆障害対策につきましては、認定疾病患者に対し、新たに月額一万円の手当を支給することとする等、格段の強化をはかることとしております。  また、国立療養所を国立病院特別会計に移行させ、その経理を明確にし、施設、設備の整備を促進することといたしました。  文教及び科学振興費といたしましては、総額七千二十四億円を計上しております。  すなわち、初等中等教育につきまして、引き続き学級編制基準の改善を行なうほか、義務教育教員の給与改善、教材費の計画的拡充、公立文教施設の整備等を進めることとしております。なお、このほか、義務教育教科書無償給与につきましては、その範囲を中学三年まで拡大する措置を講ずることといたしております。  また、低所得階層の児童生徒に対する就学援助の内容改善、僻地教育、特殊教育の振興、学校給食の改善につきましても所要の措置を講じております。  次に、大学教育につきましては、大学入学志願者の増加に対処して、引き続き学生を増募する措置を講ずることといたしております。  私学に対する助成につきましては、新たに、私立大学教育研究費につき補助金を計上する等、その強化をはかることといたしております。  さらに、科学技術の振興につきましては、これが将来にわたるわが国の発展の基盤であることにかんがみ、動力炉の開発、大型工業技術の研究開発、宇宙開発、原子力船の開発等の重要研究を推進いたしますほか、研究費の拡充を行なうことといたしております。  また、税制面におきましても、企業の試験研究費の税額控除制度を拡充する等により、技術開発の促進をはかることといたしました。  国債費につきましては、国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計に繰り入れるため、二千十三億円を計上いたしております。  恩給関係費につきましては、恩給年額の引き上げを行なう等その改善をはかることとし、二千五百四十一億円を計上いたしております。  次に、地方財政について申し上げます。  まず、地方交付税交付金といたしましては、昭和四十二年度当初予算に対し一千九百四十二億円、二一・六%増の一兆九百二十三億円を計上いたしておりますが、この算定にあたりましては、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかる見地から、地方交付税交付金の法定額から四百五十億円を減額しております。  このほか、地方財政におきましては、地方税等の歳入の大幅な増加が見込まれるのであります。が、現下の経済情勢にかんがみ、国と同一の基調で節度ある運営を行なうことを期待するものであります。  防衛関係費につきましては、四十三年度予算において四千二百二十一億円を計上し、国力に応じた防衛力の充実につとめることといたしております。  公共事業関係費につきましては、最近の内外の経済情勢にかんがみ、その規模を抑制しておりますが、各事業の緊要性を勘案して着実な推進をはかることとし、一兆七百一億円を計上いたしております。  住宅対策につきましては、住宅金融公庫、日本住宅公団等に対する財政投融資とあわせ、住宅建設五カ年計画による建設戸数の確保をはかることとし、政府施策住宅として約五十万戸の建設を行なうことといたしております。  生活環境施設の整備につきましては、下水道、公園緑地などの拡充をはかることといたしております。  次に、治山、治水事業につきましては、最近における局地災害の発生、山地の荒廃、河川流域の状況の変化等に即応して現行の五カ年計画の改定を予定することとし、国土の保全の強化に配意することといたしております。  さらに、道路整備につきましては、交通安全対策事業、万国博覧会関連事業等、当面緊急に整備を要するものに重点的配慮を行なうこととしております。財政投融資計画におきましても、日本道路公団等三公団の有料道路事業に所要の資金を投入することといたしております。  また、港湾の整備につきましては、最近の貨物取り扱い量の増加等の事情の変化に対応して五カ年計画の改定を予定することとし、空港につきましても、新東京国際空港をはじめとして、その整備を促進することといたしております。  なお、日本国有鉄道におきましては、通勤輸送の混雑緩和と過密ダイヤの解消につとめることとし、また、日本電信電話公社におきましても、引き続き施設の整備を推進することといたしております。  貿易の振興と経済協力の推進の面におきましても、重点的に施策の拡充をはかることといたしております。  まず、貿易の振興につきましては、日本輸出入銀行に対し、二千六百三十億円の財政資金を投入し、貸し付け規模の拡大をはかることといたしました。  次に、経済協力につきましては、海外経済協力基金の事業規模を拡大するとともに、ケネディラウンドの交渉の結果に基づく食糧援助費及びマレーシア、シンガポールに対する経済協力費を新たに計上することといたしました。  また、税制面でも、重点的に輸出振興税制の充実をはかることといたしております。  なお、昭和四十五年に大阪で開かれる予定の万国博覧会の会場の建設を推進し、政府出展を準備するため、四十二年度に比べ経費を大幅に増額いたしております。  中小企業対策につきまして、その近代化を引き続き推進することとし一財政、税制、金融の各面からの諸施策を総合的に講ずることといたしております。  財政の面におきましては、中小企業振興事業団の資金量を拡充いたしますほか、小規模事業対策、中小企業指導事業につきましても、その内容の充実をはかることといたしました。  次に、税制面におきましては、中小企業近代化促進法の指定業種に属する中小企業者が構造改善計画を作成実施する場合に、その企業の保有機械設備につき割り増し償却制度を設ける等、中小企業の構造改善に資するための措置を講ずることといたしております。  さらに、金融面におきましては、財政投融資計画におきまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の貸し付け規模を拡大するため、三千四百七十八億円を振り向けることといたしております。  なお、流通部門の近代化、合理化をはかるため、国民金融公庫、中小企業金融公庫に特別の融資ワクを設けることといたしております。また、信用補完制度の円滑な運営を行なうため、中小企業信用保険公庫に対し、引き続き出資金を計上いたしております。  農林漁業につきましては、その近代化を推進するため、圃場、農道等の生産基盤を整備し、また、農林漁業の構造改善を推進して、需要の変化に即応する生産の選択的拡大をはかることとしております。このほか、農地法の改正など農業構造政策の推進に配慮することとしております。さらに、農林水産物の流通合理化のため中央・地方の卸売り市場の整備等を推進することといたしております。  次に、金融面におきましては、農林漁業金融公庫、農業近代化資金及び農業改良資金につき、その融資ワクをそれぞれ拡大することとし、また、農業構造政策の一環としての総合施設資金及び生鮮食料品の流通近代化のための卸売り市場近代化資金を農林漁業金融公庫に新設することとしております。  食糧管理特別会計につきましては、食糧管理勘定に生ずると見込まれる損失に対処するため、調整勘定に二千四百十五億円を繰り入れ、また、輸入飼料の売買に伴う損失を補てんするため、輸入飼料勘定に四十九億円を繰り入れることといたしております。  産業投資特別会計におきましては、日本輸出入銀行に対する出資をはじめとして総額六百八十九億円の出資を行なうこととし、これに要する財源の一部に充てるため、五百九十六億円を一般会計から同特別会計へ繰り入れることといたしております。  交通安全対策につきましては、四十二年度に引き続き歩道橋、信号機等交通安全施設の整備、踏切道の構造の改良、ダンプカーの規制の強化等の施策を推進することといたしておりますほか、新たに、地方公共団体に対し、交通安全施設の整備に要する財源を充実するため、交通安全対策特別交付金を交付することとしております。  公害対策につきましては、公害の調査、規制、防止に必要な経費を計上いたしますほか、公害防止技術の研究に要する経費を大幅に増額し、また、公害防止事業団の資金量の充実、融資条件の改善のため必要な措置をとることといたしております。  なお、沖繩住民の福祉の向上、沖繩における経済開発の促進のため、沖繩に対する援助を大幅に増強いたしますほか、新たに財政投融資計画において、琉球政府に対する二十億円の融資を計上することといたしております。  予備費につきましては、公務員の給与改定等に備えて増額することとし、千二百億円を計上することといたしております。  以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的配分と経費の効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  財政投融資につきましては、以上それぞれの項目において御説明いたしたところでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計六百八十九億円、融資原資として資金運用部資金一兆七千九百十八億円及び簡保資金二千六百六十億円を見込むほか、公募債借り入れ金等五千七百二十三億円を予定しております。  次に、その運用の内容につきましては、輸出の振興、住宅の建設、生活環境施設の整備、中小企業金融の充実に重点を置くほか、鉄道、道路等の社会資本の強化に特に配慮することといたしております。  また、地方財政につきましても、地方債について必要な措置を講ずることといたしております。  以上、昭和四十三年度予算につきまして、その概要を御説明いたしましたが、なお詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。  引き続き、順次政府委員の補足説明を許します。村上主計局長。

村上孝太郎大蔵省主計局長

○村上(孝)政府委員 昭和四十三年度予算の概要につきまして、補足して御説明いたします。  まず、一般会計予算の規模等でございますが、昭和四十三年度予算におきましては、総合予算主義のもとに予算を編成いたしておりますので、補正後予算について伸び率を比較いたしますと、四十三年度予算の四十二年度補正後予算に対する伸び率は一一・八%となっており、四十二年度の一六・二%、四十一年度の一九・六%を下回るのみならず、三十九年度を除けばここ十年来で最も低い伸び率となっております。  また、昭和四十三年度における国民経済計算上の政府の財貨サービス購入の四十二年度実績見込みに対する伸び率は一一・七%となり、国民総生産の伸び率一二・一%を下回ることになります。が、これは、経済に対する財政の抑制的態度を示すものであります。  さらに、昭和四十三年度の予算規模に占める公債収入の割合は一〇・九%となっておりますが、これは、四十二年度予算の一六・一%を大きく下回っており、政府の当面の経済に対する姿勢を示すとともに、財政体質の健全化に資するものであります。  次に、定員の縮減と機構の簡素化について申し上げます。  定員については、既定定員につき三年間五%の計画的削減を行なうことといたしましたが、他方、行政需要の増大に伴うやむを得ない増員を織り込んで、なお、総定員を約六百人縮減いたしました。総定員が前年度より減少するのは、昭和二十九年度以来のことであります。  また、行政機構の面におきましても、各省庁一局削減を行なうとともに、各省庁の部局、公庫、公団等の新設は行なわないことといたしました。  第二に、歳入であります。  税外収入四千二百九十億円の内訳は、専売納付金二千三百十八億円、官業益金及び官業収入二十六億円、政府資産整理収入二百十九億円、雑収入千七百二十七億円となっております。  専売納付金二千三百十八億円のうち二千三百四億円は日本専売公社納付金でありますが、これには、たばこの小売り定価の改定による増収五百五十億円を含んでおります。  また、官業益金及び官業収入が四十二年度補正後予算に対し百三十七億円の減少となっておりますが、減少のおもな理由は、国立療養所の国立病院特別会計への移行によるものであります。  なお、雑収入のうちおもなものは、日本銀行納付金八百三十二億円、懲罰及び没収金三百三十一億円であります。  公債発行の対象となる経費の金額八千九百七十五億円の内訳は、一般会計予算総則第七条に掲げました公共事業費七千六百三十九億円のほか、出資金千百八十八億円及び貸し付け金百四十八億円であります。  なお、公債発行対象経費八千九百七十五億円と公債発行額六千四百億円との差は二千五百七十五億円でありまして、四十二年度当初予算の六百九十六億円に比べて大きく増加しておりますが、これは公債発行対象経費にできるだけ多くの一般財源を充当し、公債政策の健全な運用をはかろうとする政府の姿勢を示すものであります。  次に、前年度剰余金受け入れ五百十七億円は、四十一年度決算の結果新たに生じた剰余金であります。このうち、百八十七億円は地方交付税財源-に、百二億円は道路整備費の財源にそれぞれ充てられ、これを差し引いた二分の一相当額百十四億円は、財政法第六条の規定により、国債償還の財源として国債整理基金特別会計に繰り入れることとしております。  第三に、歳出について申し上げます。  その一は、社会保障関係費であります。  社会保障関係費八千百五十七億円は、昭和四十二年度当初予算に対し九百四十二億円の増加、伸び率は一三・一%となっております。  まず、生活扶助基準の改定であります。  生活保護費のうち、生活扶助基準の改定は一三%でありますが、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、生活扶助のための支給額は二万三千四百五十一円から二万六千五百円に増額されることとなります。  次に、福祉年金につきましては、老令福祉年金を月額千六百円から千七百円に、障害福祉年金を月額二千五百円から二千七百円に、母子福祉年金を月額二千円から二千二百円にそれぞれ引き上げるとともに、本人及び扶養義務者につき、所得制限の緩和をはかることといたしております。  また、原爆障害対策といたしましては、認定疾病患者で医療を受けている者に対する医療手当を月額三千四百円から五千円に増額いたしますとともに、認定疾病患者に対し月額一万円の手当を、特別被爆者のうち、特定の疾病に罹患している老人、身体障害者、母子世帯の世帯主に対し、月額三千円の健康管理手当を、また、介護を要する者に対し介護手当を、それぞれ、新たに支給することとするなど、格段の配慮を払うことといたしております。  さらに、国立療養所につきましては、その経理の明確化をはかり、施設、設備の整備を促進するため、これを一般会計から国立病院特別会計に移行させることといたしましたが、その内容におきましては、施設費の増額、医療内容の充実、患者の処遇改善等、その充実をはかるとともに、重症心身障害児のベッドを八百八十床増設することといたしております。  その二は、文教及び科学の振興であります。  文教及び科学振興費七千二十四億円は、昭和四十二年度当初予算に対し七百七十八億円の増加、伸び率は二丁五%となっております。  まず、義務教育の充実でありますが、義務教育諸学校の学級編制基準の改善は、計画の最終年次として一学級当たり最高児童生徒数を四十六人から四十五人とすることを内容とするものであります。  また、教材費につきましても、四十二年度予算の四十四億円から五十億円に増額することといたしております。  次に、私学の振興につきましては、まず、私立学校振興会の貸し付け規模を三百十億円から三百四十億円に拡大するのに必要な措置をとることといたしております。また、四十二年六月の臨時私立学校振興方策調査会の答申を尊重して、私学の教育研究水準を高めるため、新たに私立大学に対する教育研究費補助制度を創設することといたしました。これらにより、私立学校に対する助成費としては、四十二年度予算に対し、約五割増の九十五億円を計上することといたしております。  次に、科学技術の振興には、特に重点を置くこととしており、動力炉の開発については、四十二年度の十五億円から五十八億円に、宇宙開発については、二十三億円から四十一億円に、大型工業技術の研究については、二十七億円から三十九億円に、それぞれ増額計上することとしており、科学技術振興費としては、四十二年度予算に対し百三十億円増の七百三十五億円を計上いたしております。  その三は、国債費であります。  国債費二千十三億円の内訳は、国債償還のための経費六百九十三億円、国債利子等千二百七十五億円及び国債事務取り扱い費四十五億円であり、四十二年度当初予算に対し八百六十億円の増加となっております。  その四は、地方財政であります。  地方財政関係といたしましては、地方交付税交付金を大幅に増額計上いたしておりますほか、四十一年度に発行いたしました特別事業債の交付団体分の元利償還に充てるため、九十億円を交付することとしております。  その五は、公共事業関係費であります。  公共事業関係費といたしましては、四十一億円の特別失業対策事業費を含めて一兆七百一億円を計上しておりますが、これは、四十二年度当初予算に対し六百九十六億円、七・〇%の伸びとなります。また、災害関係を除いた公共事業費の四十二年度当初予算に対する伸び率は六・五%であります。  その六は、日本国有鉄道であります。  日本国有鉄道につきましては、工事規模を三千七百八十億円とし、財政投融資を四十二年度の当初計画の二千百五十億円から、二千六百四十億円に増額しております。  また、日本国有鉄道の財政再建に資するため、新たに第三次長期計画の工事資金にかかる支払い利息の一部を工事終了の翌年度から七年間に限り補助することとし、四十三年度においては五十四億円を計上いたしております。  その七は、貿易振興及び経済協力関係であります。  貿易振興及び経済協力費四百八十一億円は、昭和四十二年度当初予算に対し、百十六億円の増加となり、伸び率は三・八%となっております。  まず、日本輸出入銀行におきましては、産業投資特別会計からの出資金四百八十億円を計上すること等により、その貸し付け規模を四十二年度当初計画の三千億円から三千三百五十億円に増額することといたしております。  さらに、海外経済協力基金におきましては、その貸し付け規模を四十二年度当初計画の二百九十億円から四百四十億円へと増額することといたしております。  また、万国博覧会関係に百五十八億円を計上しておりますが、その内訳は、万国博覧会事業費二百十一億円に対する補助百二十一億円及び政府出展準備費三十六億円等であります。  その八は、中小企業関係であります。  中小企業対策費三百八十二億円は、昭和四十二年度当初予算に対し、三十四億円の増加となっており、その伸び率は九・八%となっております。が、当然減となりました商工組合中央金庫出資金を除いてみますと、その伸びは一五・二%であります。  まず、中小企業振興事業団につきましては、その融資規模を四十二年度当初計画の百七十八億円から二百六十億円に拡充することといたしておりますが、このため、一般会計において織布事業関係として八十二億円、一般高度化資金として七十五億円等、合計百五十八億円の出資金を計上いたしますとともに、財政投融資計画において九十億円を予定いたしております。  さらに、政府関係中小金融三機関に対しましては、財政投融資三千四百七十八億円を計上しておりますが、その内訳は、国民金融公庫千五百八十五億円、中小企業金融公庫千七百五億円、商工組合中央金庫百八十八億円となっております。このほか、一般会計において商工組合中央金庫への出資金十億円、国民金融公庫への補給金五億円を計上いたしております。  また、中小企業信用保険公庫への出資金九十五億円の内訳は、保険準備基金二十五億円、融資基金七十億円となっております。  その九は、農林漁業関係であります。  まず、構造改善事業の推進につき、農林水産業構造改善対策費として三百七億円を計上しておりますが、その内訳は、農業関係二百五十一億円、林業関係四十億円、沿岸漁業関係十六億円となっております。なお、農業関係につきましては、六百地域、林業関係につきましては百三十地域の新規着手を予定しております。  さらに、農林金融につきましては、まず、農林漁業金融公庫におきまして四十三年度の貸し付け計画額を千六百億円から千八百億円に拡大することといたしております。  また、農業近代化資金につきましては、その融資ワクを四十二年度の九百億円から千億円に、農業改良資金につきましては、その資金ワクを四十二年度の八十二億円から百二億円に拡大することといたしております。  最後に特別会計及び政府関係機関であります。が、一般会計の関連する項目において、それぞれ御説明いたしましたので、説明を省略させていただきます。  なお、特別会計につきましては、経済援助資金特別会計及び余剰農産物資金融通特別会計を昭和四十三年度において廃止することといたしましたので、特別会計の数は、四十五から、四十三に減ずることとなります。  以上であります。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、吉國主税局長。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國政府委員 昭和四十三年度の租税及び印紙収入予算額につきまして、提案理由を補足して説明を申し上げます。  昭和四十三年度の一般会計における租税及び印紙収入予算額は四兆六千九百七十八億五千二百万円でございまして、昭和四十二年度の当初予算額三兆八千五十二億二千七百万円に対しまして、八千九百二十六億二千五百万円の増加となっております。また、これを昭和四十二年度の補正後の予算額四兆九百五十二億九千百万円に比較いたしますと、六千二十五億六千百万円の増加となっております。  この予算額は、昭和四十三年度につき、現行の税法によって見積もりました場合の租税及び印紙収入見込み額四兆七千五百二十八億六千六百万円を基礎としておりまして、昭和四十三年度の自然増収額を、昭和四十二年度の当初予算額に対しましては九千四百七十六億三千九百万円、補正後の予算額に対しましては六千五百七十五億七千五百万円と見込んでいるわけでございます。その収入見込み額から今回の税制改正に伴う所得税減税、租税特別措置の拡充等による減収見込み額千九十一億六千八百万円を差し引き、これに間接税の負担の適正合理化、租税特別措置の整備等によります。る増収見込み額五百四十一億五千四百万円を加えたものが、昭和四十三年度の一般会計の予算額となるわけでございます。なお、この一般会計における予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となりまする地方道路税、石油ガス税の地方譲与分及び特別とん税の予算額と石炭対策特別会計の歳入となりまする原重油関税の予算額千三百八十一億八千八百万円を合わせますと、昭和四十三年度における国の租税及び印紙収入予算額の総額は四兆八千三百六十億四千万円となっております。  以上が、昭和四十三年度の一般会計における租税及び印紙収入予算額の概要でございますが、これを二つに分けて御説明申し上げます。  第一に、現行法に基づきますところの昭和四十三年度の租税及び印紙収入見込み額の見積もりでございます。この見込み額は、昭和四十三年度政府経済見通しを基礎といたしまして、最近までの課税及び収入状況等を勘案して見積もったものでございます。わが国の経済は、昭和四十二年度において予想を上回る拡大を示しましたが、その反面、国際収支が赤字基調を続けてまいりましたため、再度にわたる公定歩合の引き上げ等の景気調整措置が講じられておりまして、引き続き経済の安定的成長のための調整の年とされている昭和四十三年度におきましては、前年度に比べまして国民総生産の伸びは一二・一%、鉱工業生産の伸びは九%と、かなり低下するものと見込まれております。  しかしながら、昭和四十二年度の活発な経済活動を反映いたしまして、法人税収入は昭和四十三年度においてもなおある程度の増加が見込まれますし、また、雇用、賃金水準、個人消費等は堅調な推移を示すものと予想されますので、所得税や間接諸税につきましても、相応の増収が見込まれる次第でございます。  ちなみに、九千四百七十六億三千九百万円の自然増収額のうちで、所得税が三千九百二十四億三千九百万円、法人税が二千九百七十五億二千百万円となっておりまして、所得税は自然増収額のうち四一・四%、法人税は三一・四%を占めております。  第二に、このような現行法による租税及び印紙収入の見込み額を前提として行なわれます税制改正の大要と、これに伴いまして生じます増減収額につきまして御説明申し上げます。  今回の税制改正は、昭和四十三年度の予算編成方針に基づきまして、最近における国民負担の現状と経済情勢の推移に顧みまして、中小所得者の負担軽減に重点を置いて、平年度千二百五十億円程度の所得税の減税を行なうとともに、輸出の振興等、当面の諸要請にこたえる税制上の措置を講ずるほか、酒税の税率の調整等によりまして、歳入の充足をはかることとしておるわけでございます。  その大要は次のとおりでございます。  第一は所得税減税でございまして、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限を現行の七十三万九千円から平年分といたしまして八十三万三千円に、十万円程度引き上げることを目途といたしまして、基礎控除等の引き上げを行なうことにいたしております。そのほか、障害者控除、寡婦控除等の引き上げにも配意いたしております。これらの措置を中心といたしまして、所得税減税は平年度千二百五十一億三千万円、初年度千五十億七千三百万円となる見込みでございます。  第二は、租税特別措置の拡充をはかるとともに、既存の特別措置の整備合理化をはかることでございます。まず、租税特別措置の拡充でございますが、これにつきましては、輸出の振興、技術開発の促進、中小企業の構造改善を重点といたしております。他方、これに対しまして、価格変動準備金制度等の既存の租税特別措置の整備合理化につとめることといたしておりまして、これらによる増減収の差額は生じないこととなる見込みでございます。  第三は、間接税の負担の適正合理化でございます。これには二つの点がございます。その一つは、酒税の税率の調整でございます。酒税の税率が所得水準、物価水準の変動にもかかわらず定額に据え置かれているために、税負担が相対的な低下を来たし、他の諸税の負担との間に均衡を失してきている点を考慮いたしまして、今回、その調整合理化をはかる次第でございます。その増収額は、平年度五百億八千二百万円、初年度四百五十億三千七百万円となるものと見込まれます。  他の一つは、物品税の暫定措置の整理でございます。昭和四十三年中に期限の到来いたしまする暫定的軽減または非課税の措置につきまして、最近の課税物品の生産及び取引の状況等にかんがみまして、整理合理化をはかることといたしたわけでございます。これにより、平年度七十億五千万円、初年度五十億二千二百万円の増収となる見込みでございます。  以上のような税制改正の結果、先ほど申し上げましたとおり、昭和四十三年度においては、千九十一億六千八百万円の減税が行なわれる一方、税制の調整合理化によりまして五百四十一億五千四百万円の増収が生ずることとなり、差し引きいたしまして一般会計租税及び印紙収入予算では、五百五十億一千四百万円の減収が生ずるのでございます。なお、昭和四十二年度におきましては、製造たばこの小売り定価が十数年来据え置かれているため、消費税に相当する部分が相対的に低下を来たしておりますので、この負担を適正合理化することをねらいといたしまして、たばこ小売り定価の改定を行なうことといたしております。これによる増収額は約五百五十億円にのぼることとなっております。  最後に、国民所得に対する国税、地方税を通ずる租税負担率は、昭和四十三年度には一九・六%となる見込みでございます。これは、昭和四十一年度に不況克服のため多額の国債を発行しつつ大幅な減税を行なって租税負担率が一八・六%に低下したものが、ほぼそれ以前の水準に復しつつあることを示しているものであると思います。  また、昭和四十三年度における直接税と間接税の割合は、昭和四十二年度とほとんど変わらず、五九・七%と四〇・三%となるものと見込まれます。  以上をもちまして、昭和四十三年度の租税及び印紙収入予算の補足説明といたします。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、鳩山理財局長。

鳩山威一郎大蔵省理財局長

○鳩山政府委員 昭和四十三年度財政投融資計画及び財政資金の対民間収支見込みについて、補足説明を申し上げます。  まず、財政投融資計画の規模についてでございますが、昭和四十三年度の財政投融資計画は、総額二兆六千九百九十億円でございまして、これを四十二年度当初計画額二兆三千八百八十四億円と比較いたしますと、三千百六億円の増加で、率にいたしますと一三%の伸びとなっております。これは、この十年間の最も低い伸び率でありまして、財政投融資計画の規模を極力圧縮して、財政による景気抑制機能の実効をはかろうとするものでございます。  また、政府保証債の発行は、金融情勢にかんがみまして、総額を極力圧縮することといたしまして、四十二年度当初計画額に対しまして千五百億円減の三千六百億円といたしております。  次に、原資につきまして御説明申し上げます。「昭和四十三年度予算の説明」の中の七十一ページの右上の原資見込みの表を見ていただきたいのでありますが、まず、産投会計の出資は、六百八十九億円を計上いたしまして、四十二年度当初計画額六百十二億円に対しまして、七十七億円の増加となっております。  次に、資金運用部資金は、四十二年度当初計画額に対しまして、三千八百二十四億円増加の一兆七千九百十八億円を見込んでございます。  このうち郵便貯金につきましては、四十二年度当初計画額に対しまして二千四百億円を増加いたしました八千億円を見込んでおります。厚生年金につきましては、七百十三億円増の五千百十七億円、国民年金につきましては、百五十三億円増の九百二十四億円を見込んでございます。  次に、簡保資金につきましては、四十二年度当初計画額に対しまして、五百六十億円増の二千六百六十億円を予定いたしております。  また、公募債借り入れ金等につきましては、四十二年度当初計画額に対しまして千三百五十五億円減の五千七百二十三億円となっております。四十二年度より下回りましたのは、さきに申し上げましたとおり、政府保証債の発行を三千六百億円に圧縮いたしましたこと、公募地方債を四十二年度当初計画に対しまして四十億円減の六百二十億円といたしましたことと世銀の借款の既契約分の四十三年度引き出し額が四十二年度の引き出し額より減少いたしたこと等によるものでございます。なお、公募債借り入れ金等のうち、住宅公団が生命保険会社及び信託銀行から借り入れる借り入れ金は、千百三十億円を見込んでおります。  以上の原資を合計いたしまして、二兆六千九百九十億円でございます。  次に、運用でございますが、これは七十一ページから三ページに及んでおります資金計画に掲げてございますが、これらは先ほど大臣からも御説明申し上げましたとおり、輸出の振興、住宅の建設及び生活環境施設の整備並びに中小企業金融の充実に重点を置きますとともに、鉄道、道路等の社会資本の強化にも特に配意いたしてございます。  各機関に対します運用につきましては、Ⅱの資金計画に掲げてあるとおりでございますが、これらにつきまして重要な事項につきましては、すでに御説明がありましたので、これらを目的別に整理いたしましたⅢの使途別分類表によりまして簡単に御説明申し上げます。  七十三ページでございます。(1)の住宅、(2)の生活環境整備、(3)の厚生福祉施設、(4)の文教施設、(5)の中小企業、(6)の農林漁業、これらにつきましては、国民生活に最も密接な関係を有する部門でございまして、これらに対します財政投融資は、総額一兆四千四百二十一億円で、対前年度の伸び率は一四%となっております。  (7)の国土保全・災害復旧、(8)の道路、(9)の運輸通信、(10)の地域開発は、いわゆる社会資本を形成する部門でございますが、七千九百六十億円の財政投融資を行なうことといたしておりまして、これは九・四%の増加率となってございます。  また、(11)の基幹産業、(12)の輸出振興についてでありますが、(12)の輸出振興には海外経済協力も含まれておりまして、総額二千八百三十億円、対前年度伸び率は一九・四%と、大幅に増加いたしております。  以上で、昭和四十三年度の財政投融資計画の補足説明を終わります。  次に、財政資金の対民間収支でございますが、四十三年度の国庫収支の見込みについて、別途資料を御提出申し上げております「昭和四十三年度予算に関する参考資料」合計欄の数字のとおりに、二百億円の散布超過と見込んでおります。  まず、一般会計におきましては、前年度剰余金を使用いたしますことによりまして、過去の蓄積資金の散布が行なわれますので、五百二十億円の散布超過が見込まれております。また、食管会計におきまして、食糧証券の発行増加によりまして、百億円の散布超過が見込まれ、資金運用部におきましても、繰り越し資金によりまして国債の引き受けが行なわれまして、五百億円の散布超過が見込まれるのでございます。  以上合計いたしまして、散布超過要因が一千百二十億円になります。  他方、国庫と日本銀行との間の納付金、法人税あるいは利子、割引料等のやりとりや、その他の特別会計等の収支との関係で、二百五十億円の引き揚げ超過要因が見込まれますので、これらの要因を差し引きいたしますと、外為資金以外の国庫収支では、八百七十億円の散布超過が見込まれる次第でございます。  最後に、外為資金につきましては、四十三年度の国際収支の動向等から見まして、六百七十億円の引き揚げ超過が見込まれますので、これを差し引きいたしまして、四十三年度の国庫収支全体といたしましては二百億円の散布超過を見込んだ次第でございます。  もとより、これらの見込みは、予算やその基礎となった経済見通しがそのとおり実行されましたと仮定いたしましたものでございます。  以上で、国庫収支の見込みにつきましての補足説明を終わらしていただきます。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 次に、赤澤経済企画庁調整局長。

赤澤璋一経済企画庁調整局長

○赤澤政府委員 予算の参考として、昭和四十二年度の経済情勢と昭和四十三年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しにつきまして、概要を御説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます「昭和四十三年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」をごらんいただきたいと存じます。  初めに、四十三年度の出発点となります四十二年度の経済情勢について申し上げますと、御承知のとおり、四十二年度のわが国経済は、個人消費支出の堅調、企業設備投資の増勢を中心に予想外の拡大を続け、一方国際収支は海外景気の低迷とも相いまちまして、年初来赤字基調を続けました。このため、四十二年九月には政府及び日本銀行は、財政支出の繰り延べ、公定歩合の引き上げ等一連の景気調整措置を実施し、また四十三年一月には公定歩合の再引き上げが行なわれました。これら景気調整措置の本格的な影響は、次第に経済全般に浸透していくものと思われますものの、四十二年度の経済は、前年度に引き続き大幅に拡大する見込みであります。  反面、国際収支面におきましては、海外景気の停滞に加えて、スエズ運河の封鎖、ポンドの切り下げに引き続く英米等諸国の公定歩合の引き上げ、さらに米国のドル防衛策の強化等国際環境は急速にきびしさを加え、わが国の国際収支を圧迫することとなりました。  すなわち、輸出の伸び悩みと輸入の大幅な増加によりまして、貿易収支は十二億ドル程度の黒字と前年度を大幅に下回り、経常収支においては、二億三千万ドル程度の赤字となり、総合収支は、七億ドル程度の大幅な赤字になるものと見込まれます。  物価について見ますと、卸売り物価は、年央以降騰勢に転じ、年度問で前年度比一・五%程度の上昇が予想されます。消費者物価は、年度後半にはかなりの上昇となる見込みでありますが、年度当初比較的落ちついていたこともありまして、年度間の上昇率は、四・五%の範囲内におさまるものと見込まれます。  わが国経済の現状は以上のとおりでありまして、四十二年度の国民総生産は、ほぼ四十二兆六千八百億円の規模となり、経済成長率は実質一一・六%程度となる見込みであります。  次に、昭和四十三年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しについて御説明申し上げます。  四十三年度は、高い成長を遂げた反面国際収支の大幅な赤字を記録した前年度経済のあとを受けまして、これを安定的な成長路線に乗せるためのいわば調整の年とし、国際収支の均衡回復を第一義的目標といたします。  このためには、財政規模及び公債発行額を極力押えるとともに、金融引き締めの効果を一そう浸透させることによりまして、総需要の抑制と輸入の減少をはかり、特に輸出振興につきましては、政府民間一致協力して、あらゆる面にわたり格段の努力を傾注してまいる必要があります。また貿易外収支の改善につきましても同様であります。他方、このような国際収支均衡回復のための内需抑制の結果、国内経済が過度に沈滞するようなことは、これを避ける必要があることは申すまでもありません。  以上のような認識のもとに、四十三年度におきましては、さらにきびしさを加える国際環境の中で、特に国際収支の推移と国内経済の動向とを慎重に注視しながら、財政金融政策を中心とする経済政策の弾力的運用をはかることといたします。  これとともに、四十三年度におきましては、消費者物価が昨年秋以降騰勢を強めているおりから、その安定に格別の努力を必要といたします。このため、公共料金対策、低生産性部門の近代化、流通機構の改善、競争条件の整備等物価安定に関する対策を総合的かつ強力に推進することといたします。  以上要するに、四十三年度におきましては、国際収支の均衡回復と物価の安定を二つの柱として経済の運営に当たるものとし、あわせて諸施策の重点的実施によりまして、わが国経済の体質を強化して、長期にわたる経済社会発展の基盤を整備し、国民生活の充実をはかることといたす考えでございます。  以上のような経済運営のもとにおきまして、四十三年度の国際収支は、年度間としてはなお総合収支で三億五千万ドル程度の赤字を残すといたしましても、年度後半におきましてはほぼ収支均衡の状態を達成し、また経済成長率は実質七・六%程度になる見込みでございます。  次に、この場合における経済の主要項目につきまして、簡単にご説明申し上げます。  まず、個人消費支出でございますが、基調的には堅調を続けるものと予想されますが、経済活動の鎮静化に伴ってその伸びは鈍化し、前年度比一四%程度の伸びになるものと見込まれます。企業設備投資につきましては、景気調整措置の効果の浸透によりまして、伸び率は九・七%程度と前年度に比べてかなり鈍化し、投資規模は七兆九千億円程度になるものと見込まれます。また、在庫投資は、経済活動の鎮静化を反映いたしまして、九千億円程度の規模、民間住宅建設は、二〇・八%程度の着実な増加を示すものと見込まれております。  次に、政府の財貨サービス購入でございます。が、前年度に比べまして、一一・七%増の九兆五千五百億円程度となるものと思われます。  このような需要面に対応する供給面でございますが、まず、鉱工業生産は、国内需要の落ちつきに伴いまして、前年度比九%程度の上昇にとどまるものと見込まれます。農林漁業生産は、全体としては高水準であった前年度をやや上回る生産が見込まれます。  以上のほか、国内輸送面では貨物輸送の伸び率は鈍化、人員輸送の伸び率はほぼ同程度と思われ、また雇用関係は引き続き不足気味に推移するものと思われます。  次に国際収支でございますが、輸出は、国内経済活動の鎮静化が見込まれ、また欧米を中心とする海外景気が徐々に立ち直りを示すものと予想されますことから、年度間百二十一億五千万ドル程度になるものと期待され、輸入は、国内経済活動の鎮静化に伴い、百一億五千万ドル程度にとどまるものと思われます。したがいまして、貿易収支は前年度をかなり上回る二十億ドル程度の黒字になるものと期待されます。また、経常収支は六億ドル程度の黒字へと好転するものと思われます。  他方、長期資本収支につきましては、世界的高金利傾向、アメリカのドル防衛策の強化による影響も予想されますので、前年度を若干上回る九億五千万ドル程度の赤字になるものと見込まれます。  この結果、四十三年度の総合収支は三億五千万ドル程度の赤字になることは避けられないものと思われます。  最後に、物価でございますが、卸売り物価は、経済活動の落ちつきに伴い、安定的な動きを示すものと予想されますが、前年度の上昇傾向の影響もございますので、一%程度の上昇になるものと思われます。また、消費者物価は、その騰勢はきわめて根強いものがありますが、各般の物価対策を強力に推進することによりまして、四・八%程度の上昇にとどめるよう努めるものといたしております。  以上、四十三年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、御説明申し上げた次第でございます。

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 以上をもちまして補足説明は終わりました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は二時から再開し、昭和四十三年度総予算に対する総括質疑に入ることとし、暫時休憩いたします。     午前十一時十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時十分開議

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、公聴会の件についておはかりいたします。  御承知のとおり、総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、この際、昭和四十三年度総予算について、議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御異議なしと認めます。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。      ――――◇―――――

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これより昭和四十三年度総予算に対する総括質疑に入ります。  この際、委員長より申し上げておきますが、閣僚諸君にあられましては時間を厳守願いたいと存じます。  福田一君。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、これから質問をさしていただくわけでありますが、最近の長崎県の佐世保に起きました事件というものは、まあいろいろの見方もございましょうが、そのうちでも、学生が暴走あるいは暴力を使ったということは、われわれにとってはまことに不可解なことであり、まことに遺憾なことであると私は存じておる次第であります。  そこで、その長崎といいますか、佐世保の問題がいろいろのまた反響を巻き起こしたのでございますが、しかし、そのうちで、私たちとして、非常に、ある意味で、結果的には日本のこれからの政治の問題をまじめに検討していくという意味では一つの刺激を与えておるのではないかと思うのでございまして、たとえば、このことによって、安保条約というものがはたして有効か無効かというような論議がまた再度出てまいっております。中立をやっておればそれで日本の防衛ができるというような考え方も出てきておるのでございます。私は、同時に、核武装の問題とか核の問題ということもここに大きく取り上げられてきておるのでありますが、要するに、こういう問題を国民に対して政府としては明らかにされることが非常に必要であります。また、政府に対し私たちが質問しますが、与党の立場においてもわれわれがどう考えておるかということを明らかにする、また、野党の諸君もその立場において十分御質問をなさることは、まことにけっこうなことであると思うのでございます。これを要するに、私たちがここで質問をいたしておりますところの気持ちというものは、決して総理と私が質問をしており、それで理解を深めるというのが目的ではございません。ただいま野らで働いておられる農家のお方がラジオを聞いていながら政府がどういうことを考えておられるかということがわかるように、あるいはまた、オフィスで働いておるBGがどういうことを政府が考えておるかということがわかるように、あるいはまた野党がどういうことを考えておるかということがわかるようにこの資料を出し合う、そうして国民に正しい判断をしてもらう、店番をしておるところの主婦のお方にもわかってもらえるような、こういうことが私は一番大事であると思うのでございます。  こういう見地から考えてみまして、大体疑いが起きるというと、世の中には不信感が起きてきます。家庭におきましても、やはり不和が起きるのは、これはもっともなことでございますが、この不信と不和が起きないようにしていくというためには、どうしてもよくわからせる、こういう努力をすることがこの予算総会のまた大きな任務である、かように私は考えますので、ひとつ政府におかれましては、私が申し上げたような意味において、あるいは私の質問は幼稚な質問をするかもしれませんけれども、私がそういう意味で御質問を申し上げておるということをひとつ十分おわかりを願って御答弁を願いたいと思うのであります。  そこで、私は、まず第一に、先般の本会議におきましても、いわゆる非武装中立をしておれば、これで日本の防衛はうまくできるのである、海外から侵略されることもないし、心配も要らないのである、こういう御意見がございましたけれども、私はそれについてやはり異なった意見を持っておるものでございます。  およそ中立ということは、自分の国はよその国を侵略するとか攻め込むということはしません、また、よその国と一緒になってほかの国に攻め込んだりあるいはまたほかの国の領土を侵したりするようなことはいたしません、こういうことを明らかにすれば、そうしておけばよその国もまたその国を侵すようなことはないのである、こういうのが理論的な根拠ではないかと思うのでございます。しかし、いままでの歴史の姿を見てみましても、こういうような中立を宣言したからといって、その国の独立が完全に守られておったという例はほとんどありません。しかし、そういうことを私が申し上げますと、スイスのような国があるじゃないか、こう言われるけれども、スイスがあの中立が守れたのは、今日までのところにおいては、スイスという国はいわゆる利用価値がなかったと言わなければならないと思うのであります。山と湖において、そうしてあの国は非常に平和な生活をされておりますけれども、しかしながら、軍事的に見て利用価値がなかったということが、今日スイスが独立をかちとっておった理由であると思うのであります。同時にまた、私は、スイスという国の国民が、いざというときには武装をして、国民皆兵の姿において立ち上がるという意気を持っておったがゆえに、第二次大戦のときにおいてもヒットラーの威圧に屈しないで済んだと思うのでございます。  このように考えてみますときに、私をして言わしむれば、中立というようなことを言っておったからそれで国が守り得るというのは、これはどうも現実には合わない。例があるいは間違うかもしれませんけれども、たとえば私たちが、私はどろぼうをしません、私はよその庭へなどは入りません、こういうことを玄関先にかけておいたらどろぼうがうちの中に入らないだろうかというと、私はそんなものじゃないだろうと思う。そんなようなところならひとつ入ってみようかというのが、どろぼうからいえば当然の考え方です。  そういうことを考えてみましても、私は現実の姿として考えてみると、中立ということを言って、そうして世界に宣言をしておくと、その国は絶対に守れるというような考え方というものはどうしても納得がいかないのであります。これについて政府の所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま中立というお話です。中立の国、これはございます。中立の国は。しかし、非武装中立という、そういう国はない。ここをやはり区別していただく。ただいまおあげになりましたスイス、またその他の諸国にいたしましても、中立ではある。また非同盟という態度をとっております。しかし、武装しないという、そういう国はない。百二十ばかりの国がございます。が、ただいま非武装でその国の安全が保ててる、こういうことはどこの国も考えてない、必ず分相応あるいは分相応以上の武装をしておるというのが現実でございます。したがいまして、非武装中立論ということは、たいへん耳には入りやすいことであります。しかし、なかなかそういう国は現実にない、こういうことで私のお答えといたしますが、私はこの際にもう一つつけ加えて申し上げたいのは、政府といたしましてやはりこの国の安全を確保する、こういう立場に立ってみましたときに、国力相応の自衛力は持つというのがわが国の態度でございますが、しかし、それだけでなかなか日本の安全は確保されてない。今日の状態では、いずれの国にいたしましても、単独で自分の防衛に万全を期す、こういうような国はどこにも実はないのであります。したがいまして、必ず集団保障の体制のもとで安全を確保している。国連の保護のもとに安全を確保するということが一番望ましい姿だろうとは思います。しかし、まだまだ国連はそこまでの力がございません。そういう意味で、日本の場合は日米安全保障条約、そのもとにおいてわが国の安全を確保する、これが日本の行き方であります。また、これは日本ばかりではありません。世界各国の模様を見ましても、アメリカと安全保障条約を結んでいる国が四十幾つあるように思います。また片一方で、ソ連の同盟、その安全保障の条約のもとに安全を確保している国が十数カ国ある、こういうことであります。したがいまして、一国がみずからの力でこの国を守り抜こう、こういう決意は必要でございますけれども、現実の問題といたしまして、そのことは現実にはなかなかできない。そこで、集団あるいは安保体制のもとに安全を確保するのであります。私は、ただいまお尋ねのありましたように、中立、そういう国はある。しかし、非武装中立、そういう国はどこにもない。やはり安全を確保するには政局を担当する者としては最善の方途を考える、これはもう当然のことだ、かように私お答えいたします。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 いわゆる中立宣言だけでは国を守れない。少なくとも現実の問題としては、武装をして中立という国があるけれども、非武装中立などという国は絶対にない。また、今日の世界の実情から見て、また日本のこの国力から見て、あるいはまた平和憲法という立場から見て、日本の安全を保障するためには、どうしても集団保障が必要である。その集団保障とは日米安全保障条約をさしておられると思うのでございますが、私は、その意味において御趣旨には賛成であります。  で、一体、日米安全保障条約というのは、防衛上非常に大きな、私たちが安心をして生活ができる、いわゆる国が侵略されないという効果をあらわたしと思いますけれども、しかし、経済面においても大きな効果をあらわしておると思うのでございます。たとえば、よその国は、大体まあ三〇%とか四〇%の予算を軍備に向けておるけれども、日本の場合は、その自衛のためには一〇%内外を振り向けるだけで、その他はいわゆる民生の安定とかその他公共施設の増強、いろいろのことに予算を使い得た、このことが、一つは日本の経済発展を促した大きな理由でもあると思うのであります。こういう意味において、また、非常に日本人がまじめに働く意思を持っておったということと、そしてまた、防衛の方面に予算を大きく使わなかったということが、今日の日本の経済を大きく発展さした道であると思うのでありますが、これはまあ政府もおそらく私の意見に賛成であると思いますけれども、私がこういうことを申し上げるというと、それでは一体、日本の総生産というものは四十三年度においては四十七兆八千四百億円にもなって、アメリカに次ぐ非常に大きな生産力を持つに至った、にもかかわらず、われわれの生活が十分でないのは政治のやり方が間違っておるのではないか、安保条約の効能を説かれても、実際面において、しかももうかっておるというか、生産がふえておるのに、所得がふえないのはおかしいじゃないか、こういう素朴な意見があると思うのであります。これについて私は、企画庁長官からなぜしかるかということについて御説明をお願いをいたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 御指摘のとおり、国防費が国民総生産に占める割合は、わが国におきましてずっと逐年総生産のほぼ一%、それを上回ったことはございません。今年もさようでございます。これを他国に比べますと、たとえばアメリカにいたしましても、あるいは推定するところではソ連にいたしましても、ほとんど国民総生産の一〇%を占めております。中共などもかなり高い率でございますし、インドなどでも四%に近いといわれております。したがって、これは一年だけのことではございませんで、安保条約ができましてから十五年ほどでございますが、その間この程度の防衛費で済ましてきた場合とその何倍かを使ってきた場合とを比較いたしますと、ただこの十五年の差額の総計だけではなくて、それが国民経済に累積的に与えた影響というものは非常に大きなものであったろうというふうに想像されます。御指摘のとおりであると思います。  次に、したがって、わが国の経済は非常に成長をしてまいりましたが、それにもかかわらず、なお生活水準あるいは生活感情というものがGNPほどには世界的に高い地位を占めていないということをどう考えるかということでございますが、これは結局、わが国の場合、戦後いわゆる蓄積なしの状態で立ち上がりました。ストックのない状態で立ち上がりました。毎年かせぎながらそれを蓄積の再累積ということに充ててまいったというふうに考えております。つまり、現在の時点の生活をある程度のところで満足しながら、将来に向かって成長の要因を国民全体がこの十年余りつくってきたというふうに考えております。私ども国民生産のほうでまいりますと、この点は、いわゆる政府並びに民間経済の固定資産形成という形で御承知のとおりあらわれておりますが、これがわが国の場合外国に比べて非常に高うございます。GNPの三〇%に近いわけでございまして、わが国にやや近いのは西ドイツでございますが、これが二五程度でございまして、その他の国ははるかに下でございます。したがって、この十年余り国民一緒になって将来のより高い生活をつくるために蓄積をし、固定資産をつくりつつあるというのが今日の現状であると思います。したがって、その証拠には、わが国の一人当たりの国民所得も逐年非常に成長してまいりまして、わが国ばかりでなく外国の学者によりましても、それがやがて千ドルから二千ドル、二千五百ドル、三千ドルという域にいまのままでいくと遠からず達するであろうという予測をしております。これはやはり固定資産形成のためである、こういうふうに考えております。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 ただいまの御発言は、日本は戦争に負けて非常に貧乏になった、そしてまた借金をしておる、そこで、収入が非常にふえてくるけれども、その収入を全部生活の面に使うことができないから、そこで、よその国と比較してあまり楽な生活ができないのである、こういうふうな意味に私は、解釈をさしていただきたいと思う。  そこで、安保条約というものが必要である。そうしてこの安保条約は、日米間の友好と信頼に基づいてこれができておるのでございますけれども、またそれが非常な効果をあげておるのではありますけれども、しかし、その条約というものは、決してすべてのことをアメリカが受け持って、何でも日本を守ってやるという条約ではないと思うのであります。やはり日本人が、自分を守る意思を持っており、さらにまた、分相応の装備もやって、そうして自分の国を守るということをする、これが義務づけられておると思うのでございまして、この点については、いまさらお伺いするまでもないと思いますので先へまいりますけれども、そこで、自分を守るといういわゆる自主防衛と申しますか、この必要というものは、先ほど総理が言われたように、独立国家にはみなそれは必要である。また同時に、いま私が申し上げたように、日米安保条約というものの義務からいっても、やはりこれは当然必要なんだ、私らは国を守る気持ちはありません、アメリカさん守ってください、これでは日米安保条約というものは成立する道理がないのであります。こう考えてみますと、防衛の意思ということが非常に私は大事であると思うのであります。防衛の意思を持つということ、まず意思を持つことだ。そして、そこに武器が必要になる。防衛の意思がなければ、もしよそから侵略を受けたときには、武器を置いて逃げてしまうというような姿が起きてくるのでありまして、何ら意味がない。すなわち、防衛の意識というものを持つということが非常に大事であると思う。これについては、総理は自主防衛ということを言っておられますが、しかし、なぜ日本においてこの防衛意識が少なくなったかということを考えてみますと、私は、やはり戦後におきまして、あの大東亜戦争の善悪の問題は別としても、国のために働いた軍人あるいは軍人の遺家族が十分にめんどうを見てもらえない。われわれは国のために働いても意味がないじゃないかという思想が国民の中に起こってきたことが一つの大きな理由であると思います。さらにまた、一方、生活面において非常に当時は苦労をいたしておりまして、生活が苦しかったものですから、とても国の政治のなんというようなことには頭を向ける余地がなかったということが、一つは私は防衛意欲が少なくなった大きな原因であると思うのでございます。この意味から言いまして、私は、国民に意欲を持たせるという意味において、政府はどのようなことをお考えになっておられるか承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まず、国が独立しておる場合には、その独立を保つといいますか、進めていくのにどうしたらいいかということをまず考える。ここらに、いわゆる独立の決意ない場合には、国を思うこと深切ならずというようなことばが出てくる、かように私は思います。また、しばしば言われますように、アメリカにいま従属しているのじゃないか、日米安全保障条約から見まして、アメリカに何もかもたよるということならこれは従属だ、あるいはその一部をなすのだ、かように非難されましても、これはまあある程度当たるのじゃないかと思う。したがいまして、いまお説で御指摘になりましたように、国を守る、独立するというそのことがまず第一の問題だ。日米安全保障条約も、アメリカはアメリカの責任を果たすが、日本は日本の独立国としての責任を果たす、これが必要だと思います。  ところで、その独立心を養うのにどういうことをするか、これはもうあらゆる場合にそういうような機運が醸成されなければならないと思います。教育においてそういう点がまずあげられるだろうと思います。私は総理といたしまして、国民一人一人が国を守る気概がほしい、こういう表現をいたしております。私は、ひとり若い者ばかりじゃありませんし、おとなもまた若い者も一緒になりまして、国を守るというそういう決意を持つことを、あらゆる機会に植えつけることが必要だろうと思います。そのためには、国を守るというその守るべき客体、その客体をはっきりさすことが必要ではないかと思います。  いままでは、戦後におきましては、どうも国家というようなことを言うと保守反動だと言われる。昔の軍国主義につながる。愛国心を説くとこれまた昔の軍国主義につながる。こういうことで、戦後は国家だとか愛国心というようなことばは大体禁句になっていたようです。しかし、私は今日になってよく考えてみると、安全保障条約が効果をあげるためにも、こういう点についてはもっとはっきりした、徹底した考え方を持つことが必要だろう、かように思います。そういう意味であらゆる面に総力をまとめあげて、そうしてまずその国を愛し、その国を守るという、そうしてりっぱな国をつくる、そこに独立の気概も出てくるのではないだろうか、かように私は思います。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 この防衛の問題につきましては、守るに足る国家をつくることが必要である、こういうようなお説があるのでございまして、これは私はごもっともな一つの意見であると思いますけれども、しかし、私は実を言いますと、一昨年中共に約一カ月行ってまいりました。また、昨年は五十五日間に十六カ国を回ってまいりました。そうしてこの国々の事情を見てまいりましたけれども、私はその経験に徴してみますと、現在の日本がすでに十分守るに足る国である、こういうことを私は信じておるのであります。  この守るに足るか足らないかとか、良否の問題ということは比較でございます。絶対のものというものはございません。どうよその国よりいいか悪いかということでこれがきまるのでございまして、そういう意味からいったならば、私は今日の日本はまことに自由である、そしてみんなの生活が比較的しやすい、しやすい国であるということは、私はこの目で見てきております。そうしてまた、海外の人も確かにそういうことを実はわれわれに言い、よくなりましたねえということをよく言われるのでございます。  こういうように、すでに守るに足る国でございますが、しかし、ここで私がこういうことを申し上げただけでは、国民の皆さまはあるいは納得していただけないかもしれぬ。それは比較をさせるということが必要なのであります。比較をさせる材料をつくることが必要である。同時にまた、できる限り青少年等を海外へ派遣する。そうして日本の国とよその国とがどういうふうに違っておるかということを、身をもって体験させるということが、一番よいいわゆる国を守る意識をつくらせる道であると、かように私は考えておりますが、これについて政府の所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お説のとおりでございます。最近、明治百年を記念いたしまして、ことし青年の船がただいま東南アジア方面に航海いたしております。私は、青年諸君にぜひとも外国と交流していただいて、そして外国のいいところも見ていただくが、同時にまた、日本を外からもひとつ見ていただきたい、かように思いまして、これについてはさらに力をかすつもりでございます。また、すでに先進工業国といたしまして、いわゆる日本版平和部隊というものもすでに東南アジアや諸地域に出ております。(発言する者あり)これらの諸君も、そういう意味では十分効果をあげる、かように考えております。お説のとおりでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 いまちょっと不規則発言ではございましたけれども、教師などもひとつ海外へ出したらいいじゃないかというお話があった。私はこういうものも出されてもいいと思っておるのであります。要するに、国民にみな身をもって比較をさせる。政府の所見でどうだこうだということも大事でありますけれども、しかし身をもって体験さして、そこから出てくるほんとうの愛国心というのでなければ、私はほんとうの国を愛する道にはならないと思うのです。この点を特に申し上げた次第であります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 それは青年に限ったわけではございません。あらゆる階層の方々が外国へ出かける、交流をしげくする、これはもう必要なことでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そういう意味で第三次防について一つだけお伺いをいたしておきますが、第三次防に盛られた予算は、平和憲法という意味からいっても、あるいはまた、自主防衛の見地から見ても、日米安全保障条約という見地から見ても、これで十分であるとお考えになっておられるかどうか。ひとつ長官の御意見を承りたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 福田さんにお答えいたします。  第三次防は昨年から開始いたしまして、昭和四十六年をもって終わるわけでございまするが、その間の経済社会発展計画の国民総所得は二百二兆円と見ております。それに対しまして、二兆三千四百億、上下幅二百五十億というのが総理大臣の裁断でございまして、われわれは、企画庁長官もおっしゃいましたけれども、列国に比べてきわめて少なくはございまするが、わが国の国力、国情に応じましてまずまずこんなところであろう、こう考えておる次第でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで私は、この防衛ということが必要であり、また日米安全保障条約というものが効力をあげておる。今後はやはりほんとうに国を愛するような人を大いにつくる方策を考えていかなければいけない。もちろん国を愛するのも度合いがございましょうが、そういうことを申し上げてみたのでありますが、ここで私はこの間の佐世保の問題についてお伺いをいたしてみたいと思うのでございます。  エンタープライズのような原子力によって航海する水上艦艇が寄港をいたしたのでありまするが、これは事前協議の対象にならないということを政府は申されておるのでございます。軍の重要な配置の変更にも当たらないし、あるいはまた、重要な装備の変更にも当たっておらない。あるいはまた、日本よりする戦闘作戦行動にも当たっておらないのであるから、条約に定められた事前協議の対象ではないと、こう言っておられますが、これは間違いございませんか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 お説のとおり事前協議の対象にはかからない解釈でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 条約の解釈上、これは事前協議の対象にならないと外務大臣は発言をされておるのでございますが、それでは私は、ここでひとつ具体的にお伺いをいたしてみたいと思うのであります。  大体エンタープライズというのは、アメリカの一番強い艦隊である第七艦隊のうちでも最も有力な、最も強いというか、大きなりっぱな軍艦であるということになっておるのでございます。その軍艦が護衛艦を連れたりあるいは補給艦のようなものを連れて、そうして佐世保へ来るということは、これは軍の配置の変更ということに当たるのではないか、こういう疑義を持たざるを得ないのでありますが、これに対する長官の御意見を承りたいと思います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 福田さんにお答え申し上げます。  いま外務大臣がお答えいたしましたのは、事前協議には重要なる配置の変更、装備の変更並びにわが本土を作戦基地として作戦行動に出た場合でございまして、そこでこの配置かどうかということが問題でございます。配置というのは、常駐してある一定の期間おるということでございまして、あとで御質問があればお答えいたしまするが、寄港というものは、常駐という関係ではないから配置ではない、こういう意味合いにおいて事前協議の対象にならずということを、外務大臣はお答えになったものと私は考えておる次第でございます。  それから、福田さんの御質問の、エンタープライズは非常に有力なるものではないかと、有力であることは認めます。しかしながら、これは原子力で推進するという点が他の空母と違うだけでございまして、滑走路等は約十メートル一般の空母に比較して長いのでございまするが、まず相違といえばそれだけでございまして、あとは艦載機が約七、八機よけい載せ得る、七十機ないし百機載せ得る、ほかのアメリカ型とかフォレスタル型とかいう一般の重油その他の力によって推進する航空母艦に比べまして、やや力がまさっておるだけでございまして、航空母艦としての作用、能力等においては本質的な相違は認めていないのでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 ただいまの長官のお答えは、エンタープライズは最強の軍艦ではあるけれども、いわゆる配置の変更には当たらないのである、こういうお答えでございますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 いま外務大臣が事前協議の対象にならずというのは、すなわち寄港であるからして配置ではない。配置というものは、ある一定の期間常駐する関係である。だから、配置にならないから事前協議の対象にならずということのお答えが一つと、もう一つは、相当の部隊が常駐した場合には事前協議になりまするが、このいわゆる相当の部隊というのは、海軍におきましては一機動部隊以上ということでございまして、一機動部隊の中に五つのグループが分かれておりまするが、その五つのグループであって、一機動部隊まではいっていない、この両方面から事前協議の対象にならず、こういうふうに外務大臣は答えましたが、私も全然同感でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 配置の変更でない、二つの理由で配置の変更に当たらないのである、こういうふうに私は理解をいたします。これは条約の解釈上両国においてそういうことはちゃんときめておられるのだと思うのでありますが、そういう意味で政府はお答えになっておるものと私は了解をいたすのであります。  次に、過日の衆議院の本会議において、社会党の江田三郎君の御質問がございましたが、そのときに、大多数の新聞、雑誌等が、エンタープライズが核兵器を積んでおるのは軍事専門家の常識であると言っておるし、われわれとしても、これは軍事専門家の定説だと考えておる。エンタープライズが核兵器を積んでおるということは、これはもう軍事評論家の定説であると考えておるというような発言をされておったやに承っております。はたしてそうでありましょうか。私は、実は昨年アメリカへ参りまして、向こうの有力な新聞記者にお会いいたしまして、こういう問題についてもお話を承ったのでありますが、そのときの説によりますと、もういまはエンタープライズなどには核兵器は積まないのだ。ただしかし、核兵器を積み得るいわゆる飛行機といいますか爆撃機が載っておることはこれは事実である。しかし、戦略上から見ても、戦術上から見ても、すでにポラリス潜水艦というようなものが出てきたり、あるいは渡洋爆撃ができるB52というようなものが出てくる今日においては、航空母艦にわずか三百キロくらいしか足のないようなそういう爆撃機に核爆弾を積むというようなことは、もうその必要がないということで、定説になっておる、こう聞いておるのであります。これについて長官の御意見を承りたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 お答え申し上げます。福田さんが外国で聞いてこられたということもつけ加えられての御質問でございまするが、先般の本会議における江田さんの御質問の中にございました、エンタープライズが核兵器を積んでおるということは軍事専門家の常識であるということには納得がいかないのでございまして、これは軍事専門家の間では、核兵器を積んでいない、日本に来る場合ばかりでなく、これは第七艦隊あるいはその他の  これは第七艦隊の一つの航空母艦でございまするが、第七艦隊にいたしましても、第一艦隊にいたしましても、第六艦隊にいたしましても、第二艦隊にいたしましても、四つの艦隊がございまするが、その航空母艦の艦載機に核兵器を搭載していないというのが軍事専門家の常識でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 なぜこのようなことになるのかということを私は聞いてみたのでございますが、それはこういうことを言うのであります。それは、その艦載機が足が大体三百キロ前後である。そうすると、航空母艦がもし核を、そんなものを積んでいって、そしてもし必要であって爆撃をするとしても、そんなことをするよりは渡洋爆撃でやったほうが効力がある。また、ポラリスを使ったほうが、所在が明らかでないからもっと効果がある。しかもまた、このようなものは、もしそこから飛ばしたという場合には、航空母艦が今度は攻撃を受ける可能性――非常に近づいて爆撃機を飛ばすのですから、航空母艦自身が非常にあぶなくなるような可能性もあるのであって、そういう意味からいっても、もうそういうことは行なわないことになっているのだ。これがもう定説なんで、それは御心配要りませんよと、実は私もこういうことでいろいろ国内において議論があるから特にこれを申し上げておるのであります。私は、アメリカの国会においても、マクナマラ長官やあるいはまたラスクさんが、そういうことについて発言されておるということも聞いておりますが、軍事専門家の定説であるということは、これは明瞭に間違いである。そして、軍事専門家はほとんどがそうでないという解釈をとっており、また、その理由も、いま私が御説明申し上げたことでおわかりが願えるというように思うのでありますが、長官はこれについてもう一度はっきりとこの点を明らかにしていただきたい。   〔発言する者あり〕

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 御静粛に願います。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 軍事専門家の常識は、日本に来るときのみならず、一般に遊よくしておる海域において、どこの海域においても核兵器を搭載していない、これが常識でございます。江田さんはその常識をはき違えていらっしゃると私は考える次第でございます。その理由等は、戦略的の核兵器がすでに開発されております。すなわちB52あるいはポラリスあるいはICBM等の戦略的の核兵器が開発されておりまして、戦術的の核兵器に属するところの、つまり航空母艦には艦載機に核兵器を搭載し得るということは、福田さんのおっしゃったとおりでございます。搭載し得ますけれども、核弾頭等は平素は航空母艦に搭載していないというのが軍事専門家の常識でございまするし、また、われわれ政府の確信でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで、われわれが一つ不審を抱いておることがあるのであります。それは、新聞社のお方がこの艦長に、この軍艦には核兵器を積んでおるかどうかということを聞かれたときに、その艦長か何かが、向こうの海軍の軍人が、これについてはノーコメントである、こういうことを言われている。そうすると、ノーコメントということになれば、積んでおるかもしれぬし、積んでおらぬかもしれぬじゃないか、こういう疑問がやはり国民の間に起きてくると私は思うのでありますが、なぜこういうような発言が出てきたのか、これについて何か御意見があれば承りたい。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 これは私の、はきっりはわかりませんから想像でございまするが、すなわちアメリカの軍人等は、相当の軍機保護法のもとに縛られた軍人の服務規律というものがございます。そういうわけで、駐日米軍等も申してはおりません。しかしながら、いままで国会において、ケネディ大統領が一九六二年にすでに、航空母艦等は戦略部隊ではないということを明言いたしております。すなわち戦略核部隊というものは、先ほど申し上げましたB52の一部と――一部というのはグアム島におるのではございません。B52の一部と、ポラリスの四十一隻と、それからICBMの千五十六基、これが戦略核部隊であって、あとのものは一般部隊である。その一般部隊であるという中にメースBもあるにはございますが、地上に核兵器が厳重に管理保管されておりまして、最高軍司令官である大統領の命令によってのみ搭載することになるというふうに考えておるのが軍事専門家の常識でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私も同じような意見を聞いております。この前、大西洋におきまして落ちた場合には、あれは大西洋方面において使っておる爆撃機には積んでおるということをアメリカは明言をいたしております。そしてこの太平洋におきます。る配備におきましては、これを積まないのが定説であり、そしてまた、そういうことも明らかにしておるわけでございますが、特に核の問題につきましては、向こうには防諜の法律がございまして、そうして故意にこういうことを言ったり、あるいは知らないでもこういうことを明らかにした場合においては処罰をするという法律があると聞いておるのでありますが、これは事実でありますか。

増田甲子七自由民主党防衛庁長官

○増田国務大臣 福田さんにお答えいたします。  これは軍人のみならず一般国民を規律する厳重なる法律がアメリカにあるわけでございまして、そういうわけでございまするから、軍機に関することはノーコメントであるのは当然でございましょう。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、一般の人もさることながら、特にまた軍人としては、そういう問題を聞かれたときには、日本の場合においても、あるいはこれがイギリスの艦隊においても、新聞記者に、軍の機密にいささかでも関係があり、法律で禁止をされているようなことについて、イエスとか、ノーとかいう答弁をされるはずがないと思うのであります。  この点は明らかになっておると思いますが、そこで私は、この際核兵器に触れてまいりましたので、総理が核の問題についていわゆる三原則というものを申し述べられております。この三原則については、総理は総理の政治生命をかけてもこれを守る決意を持っておられるのかどうか、ここで明らかにしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 核を製造しない、持たない、持ち込みもしない、これは非核三原則とかように言われております。同時に私は、しばしば申しますように、わが国が唯一の被爆国である、そういう意味から、核兵器を憎み核兵器の絶滅を期する、こういう態度をとっておる。同時に、第三といたしまして、平和利用には原子力の開発に努力するということを申しております。また、そういう状況のもとにおいて、日本は日米安全保障条約のもと米国の抑止力によりまして安全を確保する、こういう態度を堅持しておる。したがいまして、核兵器についてだけの三つを切り離して、ただいまの四つの考え方と別にそれだけを切り離すことはいかがかと私は思っております。ただいま申すような四つの柱、これは私が私の政治生命をかけてでもこれを守り抜く、こういう考え方でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 すなわち、つくらず、持たず、持ち込ませずということと同時に、いわゆる平和利用というものも非常に大きな問題である、こういう意味において四つということを言っておられるのでありましょうか。安保の問題から見てそういうことは必要である、こういうことを言っておられると思うけれども、いずれにしても、切り離すか切り離さないかは問題といたしまして、今日の日本国民の一部に非常な疑惑が持たれておることは、総理が言われるところのつくらず、持たず、持ち込まずということを、ほんとうに総理はそのとおりやる決意があるのかどうかということを、実は一番問題にしておると思うのでございます。安保条約によってそれが必要によって発動される場合があるのかどうか、そういうようなこともまた非常に心配をしておる向きもあるかもしれません。いずれにしても、この三原則というもの、つくらず、持たず、持ち込まずということだけは、断じて総理が、そういうような自衛隊に持たせるとか、あるいは工業界につくらせるとか、あるいはまたよそから持ち込ませるとか、そういうことはしないということを、総理が政治生命をかけてここで明らかにされることが、国民の疑惑を一掃する道であると私は考えますがゆえに、あえて再質問をいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 核兵器についての三原則、お説のとおりでございます。しかし、同時にこれは核に対する政策、その一環であるということ、これははっきり国民の方も御了承いただきたいのであります。したがいまして、核兵器は製造せず、持たず、持ち込みを許さない、かように申します。第二といたしましては、核兵器を憎むがゆえに、核拡散といいますか、この核拡散防止、その方向で核兵器の絶滅を期する、その努力をする。第三は、平和利用はやる。そういう場合の日本の安全を確保するのにはアメリカの核の抑止力にたよる。この四つが必要だということであります。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで、私は承りたいのでございますが、実はこの間の本会議の席上におきまして、いわゆる非核武装決議案というものを出された場合においても、総理としてはその必要がないということを言われました。私はこれはもっともな御意見であると思うのであります。何となれば、私たち自民党も、また政府も、いままでいわゆる核の問題について、特に核兵器の問題については、持たず、持ち込まずというようなことを数次にわたって何度も何度も繰り返して申し述べておるのでございます。言うなれば、まあ薬を、この薬は非常にきくんだから飲んだほうがいい、こういうことでございます。その場合においてわれわれはすでにその薬は十分飲んだ、五回も十回も飲みましてからだの中はもうその必要を認めない。ところが野党の人の一部のうちには、そういう場合でもおれらと一緒にもう一ぺん飲んでみたらいいじゃないかということを言われるのでございますけれども、いまさらそんなことをしないでも薬のきき目はもう十分あらわれておる。いわゆる屋上屋を重ねる必要は私はないと信じておるのでありますが、総理の御意見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 確かに屋上屋を重ねるようなことはしたくないということ、お説のとおりでございます。しかし、なおさらによく考えていただきたいのは、私はただいま核政策というものを四つ提示いたしました。この四つはまだ与野党間ではっきりまとまったものではございません。私どもがさような主張をしておるわけであります。したがいまして、野党の諸君のうちには、安全保障条約は必要はないんだ、そういうものはあぶないんだ、こういうような考え方もございます。私は新しい核の時代にいかに生きるかというのは国民自身がもっと考えるべきだと思います。ただいま核の平和利用と核武器、これがまだせつ然と分けてものを考えるような状況になっておらない。核といえば何かこう一貫してアレルギーがあったり、原子力平和利用――基本法はございますけれども、どうもこの趣旨を十分はっきりしておらない。かような状況でございますので、私は国会が決議することは時期尚早ではないか、かように実は思っておるのです。私はもっと国民の皆さん方も核の時代に生きるためにはいかにすべきか――この四つの政策について私どもと同じような考え方になれば、これは将来国会におきまして決議をすることも私は別に異議はございません。しかしながら、ただいまの状況ではどうも時期が尚早じゃないだろうか。ことに核拡散防止条約、これがいまようやくできようとしておる。これに対する最終的な態度はまだきめておりませんが、そういう際にただいまの核兵器に対する三原則だけ決議することは外交的に見ましても私はあまりりこうな方法じゃない、かように思います。したがいまして現時点においては時期尚早だ、かように私は考えております。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 しからば、この核拡散防止条約については、御承知のように一月の十八日に米ソから十八カ国委員会に提示されたのであります。が、この核拡散防止条約については、これはその趣旨を進めていくけれども、しかしそれだけでは十分ではないのであって、核兵器を根絶するということを目途として、今後日本は外交においてそういう面を強く強調して、そして目的を達していく考え方である、そういうような状況下にあるときに、この非核武装決議案というようなものはまだ国際的に考えてみてもそこまでいかぬでもいいのだ、こういう意味で御発言があったものと了解をいたしてまいります。  そこで次に、その場合においても私はいわゆる平和利用というものは非常に大事だと思う。私は今度の総理の施政方針演説の中で、いわゆる核の平和利用ということをおそれてはいけないのだ、またこれからは核の武装でなくて核の時代に入ってくる、これにおくれると、経済面からいっても生活面からいっても非常なマイナスになる、こういうことを強調されたと思うのでありますが、しかし、私はもしそういうことであるならば、この核のまた基をなすところのウラン鉱であるとか、あるいはその他のそういうようないわゆる原動力をなすものについての手当てというものが予算面において十分できておるかどうかということになると、どうも私は明らかでないように思う。この点についてどういうお考えをお持ちですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 核の時代がこれから始まる、そういう際におくれをとらないように核の時代に生きていく、その平和利用にもっと力をいたす、これは当然やらなければならないことであります。ただいま御指摘になりましたようにウラン鉱、それらの探鉱等日本国内でもいろいろいたしております。しかし、いままでのところ日本国内のウラン鉱はたいへん貧弱な状況だ。これはもういままでの調査ではそのとおりであります。しかし、今後とも私どもは国内においてりっぱなウラン鉱を見つけるように努力はいたしてまいりたいと思います。同時にまた、外国との間にもそういう濃縮ウランその他の提供あるいはその供給、そういうようなことについて話し合う機会はあるわけであります。そういう方面からも進めてまいりまして、平和利用におくれをとらないように今後とも努力するつもりであります。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 エンタープライズは佐世保からプエブロ事件で日本海へ急行したわけであります。が、その第三のいわゆる事前協議の対象になっておる、日本からの戦闘作戦行動をやるときには、これは事前協議の対象になるということをいっておるのであります。私はこの条項はなかなか適用がむずかしい面が起こり得ると思うのでございまして、これは世界の情勢というものを十分認識をして、そしてこの事前協議というものが空文にならないように措置をされることが非常に大事だ、この点は特に必要であると思うのであります。それは核兵器を積んでおらないとか、あるいはまた部隊の配置の変更というようなことは、目で見えることでもあるし、そしてまたわりあいに理解がしやすいけれども、しかし日本からする作戦行動というようなことになるとなかなかこれは明らかにされない面が起こり得ると思いますので、政府はこの点においてはこの条約をうまく運営するという意味において特に十分なる配慮を払っていただきたいと思いますが、これについて外務大臣の御意見を承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 福田君御指摘のように、事前協議の条項というものは安保条約で重要な条項であると思います。このことによって国民が安保条約に対しての国民的な意見というものの表示ができるわけでありますから、この運営については御指摘のようにきわめて厳重に事前協議条項の適用を考えてまいりたいと思っております。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで、いままでの答弁を通じて私は事前協議の問題についていろいろと承ったのでございますけれども、エンタープライズが佐世保に寄港したことは、安保条約に基づくところのいわゆる権利をアメリカが行使したのであって、日本政府としては表向きこれに反対することはできない。この、向こうの権利を行使したということに表向き反対することはできないという意味が明らかにされておったと思うのであります。  そこで私は承りたいのでございますが、昨年の十月の二十日にアメリカ大使館から日本に対してエードメモワールがきております。いわゆる覚え書きというのでございますが、その覚え書きの内容には、原子力を使っていわゆる航海をするところの水上艦艇の寄港は、原子力を使って航海する潜水艦と同様に、これは寄港をしても事前協議の対象にはならないけれども、しかしながら、国民の感情といいますか、日本国民の懸念ということがあることを承知しておるから、だからあらかじめこのことについては一応御相談を申し上げる、こういうような意味のエードメモワールが来ておりますが、これは御承知でありましょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 福田君御指摘のように、十月二十日に覚え書きを送ってきておる。これは、安保条約上当然寄港できるんであるけれども、日本国民の懸念を考えて日本政府と協議をする。そうしてその覚え書きには、重要な二点について指摘をしておるわけであります。一つは、事前協議の条項、すなわち核兵器を持ち込む、重要な配置の変更をもたらす、あるいはまた直接作戦行動に日本の基地を使う、こういうようなことに対しては、日本政府の意思に反してアメリカは行動しない、これが一つの約束である。もう一つの約束は、そのエンタープライズの航行に際して、安全上あるいは事故に対する責任、あるいはまたもう一つは放射能などに対しての被害防止に対する責任、あるいはまた損害に対する補償、こういうものに対してアメリカが責任を負うということを明らかにしてあること。この事前協議と、いわゆる安全、損害に対する責任並びに補償、この二つの要素からなっておる覚え書きをわれわれは受け取ったものでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私はこのエードメモワールの点から見てみましても、米国においても日本の国民の懸念ということを非常に心配をいたしておる。日本もまたこれについては心配をいたしておるのでございます。それについては、そういうような核兵器を持っておらないというようなことをはっきりさせてから佐世保に入港してもらうほうがよかったんじゃないかと思うし、特に御案内のように、この佐世保というのは長崎でございまして、長崎は原爆の洗礼を受けたところであります。そういうようなところに、そういう疑義がまだはっきりしないこの艦艇を入れてくるということになりますと、たとえ私は、これは権利があるとしても、これは必ずしも賢明な道ではなかったんではないかという感じがいたすのでございます。われわれはそういうことを好むものではございませんので、それで私はこの機会に、ひとつこの議場を通じて、一国会議員ではございますけれども、米国政府並びに米国民に訴えてみたいと思う。私は米国政府の善意は疑うものではありません。条約上の権利を持っておるものが、その権利を行使することは、国際通念から見て当然である。しかしながら原爆の被害を受けた日本国民が、特に原爆の直接洗礼を受けた長崎県民が、異常なまでに原子力に敏感であり、平和憲法によって戦争に巻き込まれないことを信じておるにもかかわりませず、そうしてまた、これに近づくことを極端にきらっておるその日本国民の感情を承知されておりながら、休養の目的も補給の理由もさだかでないエンタープライズ号、しかもその寄港直後、他の水域に行くのならばいざ知らず、戦火のちまたであるベトナムの水域に出動することを予定されているエンタープライズ号をこの佐世保に寄港させられた、その真意は那辺にあるかということを疑わざるを得ないのであります。私はいまもなお米国の善意を信じております。日本と米国の友好と信頼を永続させる念願には燃えております。それでありますから、あえて米国がこの種の権利を行使するにあたりましては、将来一そう賢明にして慎重なる態度をとられんことを切望してやまないものであります。  そこで私は、ここで政府にもう一つお伺いをしてみたいと思うのでありますが、一体エンタープライズの入港については、事前協議はなかったとしても、事前通告はあったのではありませんか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 事前の通告は二十四時間前にあるわけですが、しかし協議を、いまの十二月二十日の覚え書きというものは、それで事前に協議をするということで覚え書きをよこしたわけでありますから、協議は事前にあったものでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 事前の結局通告があり、したがって協議と解すべきことが行なわれておった、こう言われておるのでございますが、それならばなぜそのときに、いままででもこの日本の国民の懸念ということについて、アメリカといろいろと相談をしておられたのでございますから、それは絶対に核兵器などは積んでおらないのでしょうねというようなことを明らかにする措置をおとりになったほうがよかったのではないかと私は思う。済んだことについて私はあえて追及はいたしませんが、今後の措置といたしましても、私はこういう点において政府がいわゆる条約の解釈、運用の面において十分留意をされて、そうして日米の友好関係を阻害することがないように、国民の一部がその疑惑を持つようなことがないように、ひとつ大いに努力すべきではないかと考えるのでありますが、これについての御意見を承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは事前にアメリカからそういう希望がありまして、原子力委員会において安全の点について十分検討を加えたわけであります。一方において安全の面というものがあります。また核兵器を積んでおるかどうかというような問題については、アメリカは覚え書きにおいてこれを保証した、そういうことはいたしませんということを保証した。一方において安全の点においては、日本の原子力委員会において十分な検討を加えて、そして差しつかえはないという原子力委員会の答申を政府が受け取った。こういう手続をして、エンタープライズの入港に対して政府は承認を与えたものでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私はその場合において、そういう手続をとられたことは承知をいたします。しかし、その手続をとられたことを国民によく納得する方途をとられたほうがよかったのではないかということを申し上げておる。今後の問題においても、こういうようなことが起こり得る場合があっても、そういう国民に疑惑を与えるようなことがないような措置を十分考えていただきたいということをここに申し上げておるのでありますが、これについてどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 必要以上に国民の疑惑、摩擦が起こることはよくない。今後できる限りそういう点では、国民にその趣旨を徹底するような努力をいたすことにいたします。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで私は、安保の問題にも関連をいたしますが、論旨を沖繩の問題に進めてみたいと思うのであります。  沖繩の施政権の返還につきましては、総理は昨年ジョンソン大統領と会談をされまして、そうして小笠原の問題はもうすでに承認、そして沖繩については返還の軌道を敷くことに成功されました。このことは、私は深く敬意を表します。その効果はすでにあらわれてまいりまして、二月の一日にアンガー沖繩高等弁務官が主席公選ということを発表されたわけでございます。これは沖繩住民の多年の希望であったのでございまして、そうしてこれが実現したということは、沖繩返還が一歩前進をしたという意味において、大いに慶賀すべきことであると思います。しかし、今後さらに本土との一体化と復帰への準備を進めてまいりますためには、あるいは予算の問題とか法律とかその他いろいろの問題がありますが、こういうことについては順次この準備を大いに進めていかなければなりません。これについては、かつてすでにもう愛知議員から本会議においてもいろいろの点について触れられておりますから、私はここにあえて述べることはいたしませんが、しかし、この際われわれとして特に考えなければならない、また自由民主党としても特に考えなければならないと思いますことは、いわゆる沖繩住民の要望を本土国政に反映させるために、多年にわたって国政参加を沖繩の住民が求めておる、このことに思いをいたしまして、特に佐藤・ジョンソン会談で施政権復帰への軌道が敷かれてまいった以上は、ここにわが国会における沖繩住民の代表権を認める準備を講ずべきであると私は考えるのでございます。この意味におきまして、わが党が公職選挙法を改正する、これについては野党の方も御賛成であるようでありますが、この公職選挙法を改正し、そうして沖繩住民の代表者のために議席を増加して、復帰した暁においては直ちに国政に参加するような措置をとることを考えておるのでありますが、これについて総理の御意見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 福田君ちょっと急いでおられるようですが、私が申し上げるまでもなく、ただいま沖繩はアメリカの施政権下にございます。したがいまして、沖繩に公職選挙法を適用するというわけにはまいりません。また、沖繩住民、同胞と申しましても、ただいま直ちに国政に参加さすというわけにはできないのが現状でございます。しかし、すでにもう自治権は拡大されて、ことしから主席は公選される、また日米琉諮問委員会も近く発足する、かような状態でございますから、私は、何らか沖繩の同胞がわが国の国会におきましても……。(「オブザーバー」と呼ぶ者あり)いまオブザーバーというお話もございましたが、オブザーバーというか、あるいは議席を持つ、あるいは何らかの方法を考えられないだろうか。こういう点は、政府自身もさることですが、やはり国会におきましても積極的にこういう点についてもいろいろくふうされることが望ましい状況ではないだろうか、かように思います。政府も、そういう意味で反対というような考え方でございませんし、一体化の方向で政府も考えられることをくふうしてみたいと思いますので、国会におきましてもそういう意味のくふうをされることが望ましいのじゃないかと思います。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 この際、私は、沖繩の地位について本質的な問題に触れてみたいと思うのであります。  沖繩は、敗戦の結果日本がその施政権を失ったのでございまして、いまや権利者はアメリカでございます。しかしながら、沖繩の復帰というものは、沖繩の施政権返還ということについて住民が非常な熱意を持ち、一生懸命それをやりたいと考え、また、われわれ日本国民の感情といたしましても、復帰をしてもらいたいという熱望があるのでありますが、それを総理が現実にいわゆる結実したというか、実らせられたということになると思うのであります。そうしてこの復帰の問題は、権利があるからお返しなさい、アメリカに対して、われわれは返してもらう権利があるのだといって主張されておるのではないと思いますが、これについての御意見はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、昨年ワシントンに参りまして、ジョンソン大統領と懇談をいたしました。沖繩同胞百万の念願、さらにまた一億の国民の意思を率直に披露し、そうして沖繩の祖国復帰が一日も早く実現するように最善を尽くしてまいりました。もちろん私の交渉で十分の効果をあげたとは私思っておりません。しかし、ようやく沖繩を祖国に返還するというその方向で今後継続的に日米間で協議しようという、いわば最終的な結論を出すような、そういう方向の基本ができた、かように思います。不十分ながらまあとにかくできたと思います。したがいまして、今後の努力といたしましては、一日も早くあの申し合わせによるように、沖繩が祖国に復帰するそのめどをつける、そういう状態に継続して協議を遂げていきたい、かように私は思っております。したがいまして、施政演説でもその点を率直に伝えたと思って表現をいたしたのでありまして、私は、まず祖国復帰を実現することだ、これが今日最も大事なことだというお話をしたのでございます。しかし、この祖国復帰を実現します前には、やはり沖繩の基地についての話し合いが日米間でさらにもう少し煮詰まらないと、ただいまの状況ですぐ復帰を実現しようといってもこれは無理じゃないか。したがいまして、国民の皆さんもともどもに、ただいまの祖国復帰、その場合の基地のあり方についての話をもっと煮詰まらすということが必要だ思います。しかし、この点につきましては、いずれ復帰がきまればもちろん国会の承認も得るわけのものでございますから、これをいつまでもないしょにしたり秘密にするつもりではございませんけれども、ただいまの状況のもとにおいて基地のあり方をいかにきめるかという、これは私はまだきめておらないのであります。したがいまして、国民の皆さんからもしばしばどうするのかわからないわからないといわれますが、まだ実は一度も表現したことはございません。この点では国民の皆さま方ともどもに、いかにすれば一番いいのか、この点を十分考えてまいりたい、かように思っております。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 総理は、核の問題、いわゆる核基地の問題にも触れられたのでありますが、私は、沖繩にある核基地は、いわゆる安保条約に基づく米国のかさの一部をなしておるのであって、こういう意味においては、あるいは日本の安全を保障しておる面があると思いますが、同時にまた、アメリカの立場から言えば、日本のみではない、東洋の平和を確保するという意味における核のかさとして認めておるのではないかと思うのでございます。こうしまして、いわゆる極東における友好国のことも考えておる、このように解釈しておるのでございますが、これについてはどういうふうなお考えをお持ちですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 日米安全保障条約で、日本の施政権下と申しますか、本土について私どもが考えること、これとただいま施政権を持たない沖繩についてアメリカが考えること、これは全然別なものだと御理解をいただきたいと思います。  まず日本の本土について考えれば、私どもは、憲法のもとまた自衛隊法のもとでわが国の安全を確保する、そのために必要な自衛力を持っておりますけれども、これは御承知のように、どこまでも防衛的なものであり、そうして本土防衛、その一翼をなすもの、あるいは考え方によっては思想的には中心をなすものでありましょうが、それだけでは不十分だからというので、アメリカの核の抑止力、これにもたよっておるというのが日本本土の防衛体制でございます。しかし、沖繩の場合は、これは私どもの施政権が及ばないのでありまして、現状におきましてはアメリカの施政権下にある、その施政権下にある沖繩、これに対してアメリカがいろいろのくふうをする、いろいろのことを考える、もちろん日本本土の防衛もするでしょうが、同時に極東全般にわたっての防衛もする、これはただいまの状態ではアメリカ自身が施政権を持っておりますから、私どもはとやかく言うべき筋のものではない、かように御了承いただきたい。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、総理が言われないという意味は、沖繩の核基地について考えてみましても、将来科学が進歩して、そうしていわゆる新鋭兵器ができて、核以上のものができるということも考えられないわけではありません。それからまた、現在すでにポラリス潜水艦というものがございますが、動く基地のほうが有効であること、これはもう戦略上当然であります。そういうものがたくさん配備されれば、これは沖繩のいわゆる核基地の値打ちはそれだけなくなるということになる、あるいはまた極東の平和が確保され、世界の平和が確保されるということになれば、もうその必要もなくなる、あるいはまた核兵器全体の国際協定ができるということになれば、これも必要がなくなる。いろいろの将来、予測――いまからきめてかかれない問題がたくさんあると思うのでございます。だから、そういうような問題があるときに、権利者でもないものが権利を持っているアメリカに対して固定した条件を出すということは、これは決して沖繩を早期に返還さぜる道ではない。であるからして、この場合においては、この沖繩返還についての準備をいろいろ進めておいて、そうしていよいよ最後の段階になったときに、基地の問題について最終的な腹をきめればよろしい、こういうのが私は総理の腹ではないかと思う。そうしてまた、その場合において、それでは佐藤総理がきめたからといって、そのものがそのままずばりと通るかどうかはわかりません。日本には国会というものがあるのでございます。それを承認するかいなかということは国民がきめるのである。私たちがここで、私がまたあなたにこうして申し上げておるのも、国民に対して、ほんとうにどういう事態になっておるか、どういうことを考えておられるかということをよくわかってもらう、そうしてわかってもらって、いざというときに国民の意思によってこの問題を決定していくのだ、そういう意味で私は御質問を申し上げておる。またあなたが、いまはノーコメントだと言う意味も、私はそういう将来不確定の問題があるときに、早期の返還を願うのであれば、いざというときに腹をきめればいいのであって、権利のないものがいまから、こういうことでなければ返してもらいませんよなどと言うことは、早期返還に役立たないのだという考えで言っておられるのではないかと私は考えるが、これについて御意見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 福田君のお説のとおりであります。私もそのとおりに考えております。ただいま御指摘になりましたように、今日では絶対に基地が必要だとかいう議論もありましょうが、しかし国際情勢の変化によりまして、そういう基地は必要でなくなる場合もありましょうし、また科学の進歩によりまして、そういう基地がどんどん変わっていくということも考えなければなりません。先ほどもエンタープライズの話が出ておりましたが、かつて航空母艦に核兵器を持ち込む、装備するというようなことは一つの手段でありましたけれども、最近はそんなものは航空母艦には考えない、こういうように変わってまいっております。したがいまして、ただいまの科学技術の進歩から、核そのものに対する考え方もどんどん進んでいく。したがって、今日から一つの固定した考え方でこれと取り組むことは、これは間違いだと思います。また基本的に、日米の間の相互理解と協力によりまして祖国復帰を実現しようというのであります。その観点に立てば、十分両者が意思の疎通をはかって、そうして納得のいくような結論を出すこと、これが望ましいことであります。幾多の事情等を勘案して、復帰の問題と取り組まなければならないのでありますから、ただいま御指摘になりましたように直線的な方向で交渉するということは、これは私、間違っておると思います。そうして、最後におきましては、お説のように国会というものが最終的にきめるのだ、これは国民の皆さんがきめられるのだ、こういうものもございますから、私はこの問題は別に心配は要らないし、また国民が最後にチェックする方法はあるのだ。したがって、私自身がいかように考えましょうとも、これは私だけできまる問題ではない。これはただいま御指摘になりましたとおりの考え方でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで、私は問題を北方領土の問題に移してみたいと思うのでございますが、北方領土の返還は、これは沖繩と同様に、わが国民が非常に熱望しておるところでございます。そうして、このことにつきましては、さきに三木・コスイギン会談におきまして、いわゆる中間方式というもので検討をすることになったと承っておるのでございますが、しかしその後のいろいろの発表その他を見ますというと、どうもいわゆる北方領土問題はもうすでに解決したんだというような記事がしばしば新聞紙面をにぎわしておるのであります。これは国民も非常に疑惑を持っておるところでございますが、その経緯について外務大臣のお話を承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ソ連は従来から、北方領土は解決済みであるという態度をとっておる。日本は、固有の領土である。これは日本に返してもらわなければ困る、これは日本の立場。そこで、去年の七月にコスイギン首相と私と会談いたしましたときに、コスイギン首相から、平和条約の締結に至らなくても、中間的な処置というものは考えられぬだろうか、両国の外交機関で研究してみてはどうかという、こういう提案があったわけであります。この提案に従って昨年から日ソの外交交渉が始まっておるわけでございます。しかしながらこの領土問題というものは、なかなか一気に解決は困難でありますけれども、日本は、固有の領土である、こういう立場はどんなに時間がかかっても変えることはございません。したがって、新聞紙上に、もう解決済みだというようなことは出るはずはない。日本はあくまでも、時間はかかっても北方領土の返還に対する日本の公正な主張というものは解決のために努力をしようというのが日本政府の態度でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私が申し上げておるのは、日本がこの問題は解決したということを言っておるという意味でお伺いしたのではございません。ソ連のほうで、この問題はもう解決済みであるということをしばしば新聞、通信等を通じて発表いたしておりますので、これに対して日本政府はどのような考えを持っておられるかということを承ったのであります。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ソ連は終始解決済みであるという態度をとっておるのですが、日本は解決済みではない、これは未解決であって、北方の領土は返還をしてもらわなければ困る、これは固有の領土である、こういう主張をあらゆる場合において政府は続けておるわけでございます。たとえば先般バイバコフ副首相が日本に参ったときも、この日本の政府の立場というものを強く副首相に対して、われわれは主張を申し述べたのでございます。したがって、ソ連がそういう意向であっても、日本の政府は、解決はされていない、日本の固有の領土であるという立場をずっとあらゆる機会にわれわれは主張し続けておるわけでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は最近の新聞紙面その他を見てみますと、日ソ両国の間におきましては、経済問題はしばしば話し合いが出ておりますけれども、領土の問題については、ソビエト側の一方的な発言しかないように聞いておるのでございます。これはわれわれ国民としては非常に遺憾でございまして、そういう場合、日本にとっては、沖繩の問題と同様に北方領土が解決しなければ、経済問題がどのようになろうとも、日本の国民感情というものは満足しないのである。したがって、そういうような意見が出たときには、政府は、そんなものはまだ解決済みではないんだ、あくまでも強くそういう主張をしておるということを明らかにされることが国民の疑惑を解明する道ではないかと思うのであります。こういう意味において、北方領土問題についてもう一つ真剣味を持って、国民が何を考えておるかということを頭の中に入れてこの処置をとっていただきたいということを特に要望をいたします。  そこで、私は防衛の問題あるいはまた核の問題あるいはまた沖繩の問題、北方領土の問題について触れてまいったのでございますが、ここでひとつ質問の論旨を内政問題に向けてみたいと思うのでございます。それについて、まず第一に私が承りたいと思いますことは、昭和四十三年度予算の編成にあたりまして、政府は総合予算主義の原則のもとに、公務員給与の改定等に備えて予備費の充実をはかったと聞いております。これは私は非常に大きな進歩であったと思うけれども、法制その他がございますから急にはやれないと思いますけれども、来年度、再来年度予算の編成にあたっては、一そうこの趣旨を徹底したいと思うのであります。  しかし、この際承りたいことは、まず第一に、この予算ができて、今後公務員の給与の改定について人事院の勧告が行な一われ、そうしてそういうような勧告が出てきても予算の補正は行なわないという、また行なわないで足りるのだというお考えであるかどうか、これについて大蔵大臣と関係大臣の御答弁を求めたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いままでのように年度の途中で大きい補正要因に対処する税収の見込みというものがないということから、こういう予算の編成のしかたをいたしましたが、したがって、人事院の勧告というものが今後あるといたしましても――一応そういうこともあるために、ただしどういう勧告があるかはあらかじめ予見できませんので、したがって予見しがたい予算の不足に対処するための予備費というものを私どもは増額して、これに備えておるという事情でございますから、人事院の勧告が行なわれたというときにも、この予備費の範囲内において最善を尽くして人事院の勧告を実現することにつとめるという立場でございまして、私は補正予算をしないという立場でいま臨んでおる次第でございます。

田中龍夫自由民主党総理府総務長官

○田中国務大臣 ただいま大蔵大臣が御答弁になりましたように、本年度はあらゆる財源をくふういたしまして、そうして総合予算主義をとる、こういうたてまえをいたしてまいったのでございます。さような意味で予備費の充実をいたしてまいっておりますが、したがいまして、公務員給与改定にあたりまして人事院勧告が行なわれましても、予備費でまかなうことが、これがたてまえでございます。しかしながら、これはいかなる場合にも予算補正を行なわないという意味ではないのでございまして、今後の情勢の推移、たとえて申しますれば、予備費をもってはとうてい対処できないような異常な災害等が発生いたしましたような場合におきましては、公務員給与の改定をも含めまして、経費の組みかえ等によりまして予算補正ということもしなければならない場合もあるかもしれません。  去る本会議にあたりまして私がお答えをいたしましたのは、まことに言葉が足りませんために、あるいは真意をおくみ取りいただけなかったかも存じませんけれども、私の申し上げました趣旨は、ただいま大蔵大臣の言われました異常な災害が発生したような場合、不測の予備費の支出がございまして予備費が足りない、枯渇したというような場合の組みかえ等によりまする場合を申したのでございまして、との点は決して大蔵大臣、私との間にあれはございませんから、その点あらためて申し上げておきます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、大蔵大臣の答弁と長官の答弁とを見るときに、本質的に考えてみれば、すでに予算においては補正はしないような経費が入れてあるのだから補正はしないのである、しかしそうは言っても、大災害が起きるとか、あるいは突発的に何らかの事情が起きたときには、やっぱり人事院の勧告をいれて補正をやらないわけにはいかないのだ、こう総務長官が言っており、大蔵大臣の言っておるのは、そういうような補正は原則として行なわないのであるということを言っておられるのだと思うでありますが、これについて、もう一度両大臣の御意見を承りたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 予備費を使用して対処するか、あるいは補正予算を組むかということは、法制上大体政府にまかせられておる問題だと思うのでございますが、私どもは、今度の予算編成におきましては、人事院の勧告というようなものも考えまして、できるだけ多く予備費を組んでおるという事情でございますので、人事院の勧告がございましても、この範囲内においてあらゆる努力をしてこれに対処する、補正予算は組まないという大体考え方でございます。

田中龍夫自由民主党総理府総務長官

○田中国務大臣 ただいま大蔵大臣の申されたとおりでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、予備費でもってやっていくやり方で十分措置ができる、こういうことを大蔵大臣が言われたのは意味がよくわかります。そうであるべきだと思う。しかし、たとえば天変地異が起きるような、大災害でも起きて、同時に人事院勧告が出、そしてまたそういう災害でも起きたら、やはりそれではまかないきれない場合が起こるだろうと思うのであります。そのときには、長官の言うように、やはりそこで何らかの補正予算を組まざるを得ない場合も起きるのではないか、こういうふうに考えるですが、もう一ぺん大蔵大臣の御意見を承りたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それは当然そういう場合には長官の言うものがあり得る。いかなる場合にも、大きい天災地変が起こっても補正予算は組まないという立場ではございませんので、この点は別に意見が違っておるわけじゃございません。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 趣旨は了承いたしました。  そこで、次に私は、もう時間もだんだん迫っておりますが、予算の問題で倉石農林大臣に、今後の農村対策ということについてどういうお考えを持っておられるか、ひとつ承りたいと思うのであります。

倉石忠雄自由民主党

○倉石国務大臣 政府は、中小企業とか農業とかというような比較的低生産部門について、昭和四十三年度予算においても特段の財政的配慮をいたしたということは、大蔵大臣も御説明申し上げて・おるとおりでございます。  そこで、私どもは、やはり農業基本法が差し示しておりますような経営規模を広げる方向にあらゆる施策を集中してまいりたい、そうして国民の食糧に対する自給度はこれを維持、拡大してまいる、こういう方向で四十三年度予算も編成いたしておる次第であります。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 そこで私は、米審の委員の選考について一言承りたいと思うのであります。  私は、実を言いますと、審議会というものについては、審議会というものは決定機関ではないという考え方を持っております。審議会が決定機関であったならば審議会にまかせればいい。したがいまして、審議会というものは重要なる参考意見を述べるというものであると思うのであります。その重要なる参考意見を述べる場合において、私は、いろいろのこともあったと思いますが、議員は、これはいままでの経緯から見て、議員が入っておってうまくいかない面があったとか、あるいはその他いろいろの米審の今日までのあり方が、混乱はあっても結論が出なかったということは、これは事実であります。これはどなたも認めておいでになると思う。そういうように混乱があってしかも結論が出ないというようなことでは困るので、やはり政府としては一つの意見が出てくるような審議会にしたい、しかしその審議会の意見はそのまま取り入れるのではない、こういうお考えを農林大臣は持っておられると私は思うのですが、この審議会というものについて本質的にいかなるお考えを持っておられるか、承りたい。

倉石忠雄自由民主党

○倉石国務大臣 審議会につきましては、私はお説のとおりだと思います。農林省設置法によりますれば、農林省としては米価を決定する前に米価審議会の意見を聞き云々となっておるわけでありまして、意見は聞きますけれども、米価審議会が国民に対して責任を負う機関ではありませんで、政府はその意見を承って、政府の行政責任において決定する、こういう考えを持っております。  そこで、今回の審議会の委員のことでございますが、ただいま御指摘のように、すでに二年にわたって米審は答申が不可能でございました。そこで、そういう米審というものは、御存じのように、生産者米価、消費者米価を決定いたしますときに、従来は大体三日間でございます。三日間というもので集約をして、いろいろな意見をやりとりするわけでありますが、やはりいま申しましたような立場にある審議会というものは、三日間ぐらいやってもらうということではだめだ。国民の全体の人が主食として食べておるこの米の価格というものは、農政上もそうでありますし、国民経済上重大なるウエートを占めておるものでありますから、そういうものの価格を決定いたします。ためには、年間を通じてこれは専門的な人に勉強してもらって、大所高所から意見をしてもらって、政府はそれを参考にするがよかろう。その間に、その審議会におきましては、生産者及び消費者その他の各方面の意見を十分に聞くようにしてもらいたいということは、この間米審の委員の指名をいたしましたときに私の談話でもそのように述べておりますし、将来の運営はそのようにしてまいるつもりでありますし、のみならず私は、政府におきましても同様にそういう態度をとるべきであるというので、実は昨年の米価決定にあたりましては、いままで例のないことでありますが、八回にわたって生産者団体と食糧庁の事務当局はそれぞれの数値を持ち寄って、非常にこまかく検討をいたさせました。こういうことについて生産者団体も非常にその労を多といたしておるわけでありますが、これからはさらにトップクラスの会談等もやりまして――御承知のように、農業団体と申しましても五つ、六つ有力なものがあります。そういう関係者の御意見を米審においても政府においても十分これを参照いたしまして、そうしてそういうものを一般の世の中に公表することがいいと私は思うのでございます。そのようにいたしまして、私がかねて申し上げておりますような納得のできる米価というものをきめてまいりたい。こういうことをするためには、たった三日間だけ農業団体の方々がおいでくださるというようなことでは、不十分ではないか。そこで十分に、あらゆる機会をつくって、年間を通じて生産者、消費者の御意見を徴するようにやってまいりたい。私は、これが一番まじめな態度であり、生産者、消費者の御期待に沿うゆえんであると確信をいたしまして、今回のような人選をいたした次第でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、この米審の委員の問題でございますが、審議会というものがいわゆるその意見をそのまま実行に移すのではない。それからまた、審議会というものは一年じゅうを通じてでもこの問題に十分取り組んでもらいたいから、そうして今度早く任命をしたのだ、こういう御趣旨はわかります。しかし、いささか国民から見て感ずることはどういう点かというと、いままで米審の委員であった者が、今度は米審に参考人として呼ばれて、それで意見を言われるというのであれば、何か自分らが軽視されたのじゃないかという感じを持ちはしないかということを私はおそれるのであります。しかしながら、米審できめたことをそのまま政府がやるのではない。だから私は、農林省としては、生産者また消費者の意見というものを十分聞く機会を、あるいはまたそういう一つの組織を持って、そうしてその意見を十分徴して、そうして米審から出た意見ももちろん重要なる参考意見とするけれども、また農民の意見も十分これを徴して、その上に立って自分の政治的責任において、政府の責任、農林大臣の責任において、いわゆるだれにも左右されないでこれが一番正しい米価であるということをきめて、これを実行する、そうしてその責任は自分がとる、こういう態度をとられることが最も必要であると思うし、また農林大臣もことばの端々にそういうことを言っておられたのでありますが、この点を私はもう一度明瞭にしていただきたいと思う。われわれは、決して農村を無視する考えもなければ、農家はどうなってもいいなんという考えもない。ところが、今日までの動き方を見てみますというと、とかくそういうようなアジが起こってくる可能性があるのであります。私はこれをおそれる。そういう考えはわれわれは毛頭持っておらない。十分に生産者のことも考えてやろうと思っておるのに、そういう疑惑を持たせるということは、これは賢明な方法でないと思う。だから、生産者の意見も十分聞く。また消費者の意見も十分聞く。また、中立委員の答申も十分検討する。聞くけれども、しかし、その上に立って政府の責任において米価は決定するのであるというき然たる政治的態度を、この際示していただきたいと思うのであります。

倉石忠雄自由民主党

○倉石国務大臣 御意見全く同感でございます。もちろん御指摘のように、われわれは、先ほどことばが足りなかったかもしれませんが、生産者、消費者の利害関係者の立場を十分に考慮すればこそ、このたびのような運営をいたすわけであります。したがって、そういう方々の意見を十分に参考にいたしまして、国民に対する米価決定の責任は当然政府が負うてやるわけでございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 だんだん時間も迫ってまいりましたので、いろいろのことがありますが、この際、LT貿易の問題について一言承りたいと思うのでございます。  われわれは、平和憲法に基づきまして、世界のどこの国とも仲よくしていくというのが、これがわれわれの方針である。また国の方針でもございます。そういうことでございますから、私は、中国というものがある、七億の民をかかえた一つの事実上の存在があるという以上は、しかも隣であるという以上は、向こうに害意がない限りは、日本をどうしてやろうとかなんとかいうような害意がない限り、この意味におきましては――私は、思想面においては非常にむずかしいと思います。何となれば、私たちは自由主義でございますから、日本において社会主義をとってはいけないとか、そういう発言をしてはいけないとかいうことはできないのであります。しかし、いやしくも経済の面を通じて日本に政治的に何か干渉をするとか、何かそういうような措置がとられるとすれば、これはわれわれとしては納得がいきません。そういうことでない限りにおいては、よその国と同様にこれは貿易を進めていっていいのではないか。特にいろいろドルの防衛その他について、日本としてもアメリカにおいていわゆるドル資金を求めない、すなわちEEC諸国においてこれを求めるような方策をとるとか、いろいろ協力の方途をとっておられるのである。そういうことから見れば、やはり中国がそういう意味の害意を持たない限りにおいては、貿易をできるだけ進める。いままでの関係から見ましても、いわゆる輸銀は使用するかしないかというようなこともあるが、向こうがそういう意思を持たないということであれば、当然輸銀の使用も認めてよい時期にきておると私は思う。こういうことについて、これは非常に重要な問題でございますから、短時間の間にその結論といいますか、御答弁を求めるのはあるいは無理かもしれないけれども、これについての総理の御意見をひとつ承りたいと思う。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 隣国中国との交流、経済交流の問題についてのお尋ねでございます。施政演説の中にきわめて簡単に申しましたが、在来のわが国の方針を持続していく、ただいま変えるような考え方はないという、いわゆる政経分離で経済交流も文化交流もやっていく、こういうことをはっきりいたしたのであります。御承知のように、昨年この貿易の面においても、最もその大きいパイプであるといわれておるLT貿易、これが一応期限がきている。その後がどうなるかわからないということで、たいへん心配しておりましたが、最近は岡崎君あるいは古井君、田川君等も出かけまして、ただいまちょうど交渉に入ったところだろうと思います。私は、在来の方針に変化がないのだから、このLTのパイプをそのまま続けていくようになることを望んでいる。ただいま交渉していることに期待をかけている、これが実情でございます。  さらにまた、ただいま輸銀の使用の問題にもお触れになりました。これにつきましては、そのつど考えていくべき問題で、私ども、最初から原則的な話はしない、いわゆるケースバイケースにそのものをきめていこう、こういう態度でございます。これはどういうように交渉がなりますか、ただいまその交渉の結果を見守っておるような状態でございます。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 私は、この日中間の問題につきましては、私たちはただいま申し上げたとおり、相互にいわゆる害意を持たないというたてまえである限りにおいては、どこの国とも同じような立場をとって、そうしていわゆる経済交流その他を行なっていくという趣旨であるべきだと思うのであります。したがって、そういう意味で誤解を受けることがないように、われわれも注意をいたさなければならない。われわれができるだけそういう注意をして措置をしても、向こうが害意を持ってくるという場合ならば、これはいたし方がございません。それをどうしてもやらなければならないというほど、日本は弱味を持つ必要はないと私は思っております。しかし、こちらから向こうにそういうような感触を持たせることだけは、これは厳に慎むべきである、かように考えておりますので、今後の施策運営にあたりましては、私が申し上げたような措置をおとりを願いたいと考えておるものでございます。  次に、私は国際収支の問題について承りたいと思うのでございますが、一体日本の国際収支の動向はいかがなっておりますか、簡単に御説明が願いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国際収支は御承知のように、この四十二年度は最終的に七億ドル前後の赤字を出すだろうというふうに想定しておりますが、問題は四十三年度でございます。いま提出しているこの予算がかりに成立いたしましたとして、これによって景気が調整され、輸入速度が緩和されて輸出圧力がかかるという状態になって、大体年間貿易収支で二十億ドルの黒字を期待するというのが、いま私どもの計画でございます。  一方、国際情勢は非常に流動的で、むずかしゅうございますが、英米のとったいろいろの措置が国際経済の拡大を抑制する作用を相当いたしますので、この点に私どもは懸念を持っております。が、しかし、欧州諸国は、昭和四十三年度は各国とも経済の成長政策をとっておりますので、そういう点から申しますと、いろいろ見方はございますが、きびしい環境であるといっても、四十二年度よりは国際環境が少しよくなるんじゃないかというふうに私は考えております。そうしますと、いま経済企画庁でも予想しておりますように、国際貿易も昨年よりは拡大いたしますし、日本の弾性値を二倍以上見るということにしましても、年率一五%くらいの輸出増を期待できるんじゃないか、またそういう情勢も世界情勢の中にはございますので、問題は、この予算執行にこういう経済情勢を見ながら弾力的な運営をすることが肝心でございまして、この運営の態度を誤らなかったら、私は昭和四十三年度中、国際収支の赤字を消すことはできませんが、後半期において均衡を確保する、年間としては三億五千万ドル程度の赤字にとどめたいというのが、いま私どもの考え方でございまして、その線に沿って全力をあげたいと考えております。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 一応政府の考え方として承ったわけでございますが、しかし、日本のいわゆる手持ちの外貨といいますか、今日やはり二十億ドル前後でございまして、これがどういうふうに動いていくかということについては、経済界をはじめといたしまして、国民全部が、もしこれが急に減ったらどうなるであろうか、また持っておるその外貨、ドルが、いわゆるポンドの切り下げによってドル不安というものを起こしておる、そうしてそのドル自体が今度は非常に不安な状態になったならばどうなるであろうかということをみな心配をいたしておるのが、今日の姿でございます。私は、あなたに承るところによるというと、いや、そのことについては、国際通貨新準備資産というものをつくるからもう心配は要らないのだというようなお話があったやに覚えておるのでございますけれども、このことについて、ドル不安というものは起きないんだ、またアメリカがとっておる政策によって、いわゆる新準備資産というものが今度国際的にきまったから、それでそういう心配はないのだと、こういうふうにお考えになっておるかどうか、この点について国民の心配を一掃されるような考え方があるのでありましたならば、この際承りたいと思う。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 国際流動性の不足が世界経済の拡大を抑制するということがあってはならないというような見地から、現在の国際通貨体制を補完する新しい準備資産をつくりたいということで、この四年間各国が集まってこの相談をしておりましたが、ようやく昨年の夏この問題に終止符を打って、リオデジャネイロの総会におきまして、今年の三月一ぱいにIMF協定改正の成案を得るようにということをきめられましたので、近くこの協定改正の案ができると思います。そうすれば、この新しい特別引き出し権というものが各国に配分されて、国際収支に因った場合にこれを引き出すことができるというような道が開かれます。ことは、国際流動性の問題の解決に非常に役立つというふうに思っておりますが、これはいまから手続をしても、実際に発動されるのはおそらく来年の春だというふうに思っております。しかし、それは確かにこういう国際流動性の問題の解決に将来非常に役立つということははっきりしておりますが、いまの問題はこれとは違いまして、そうなったからといって、各国とも現状の国際収支の問題を自力によって解決しないわけにはまいりませんので、御承知のように、私どもはいま自分の国の国際収支改善対策をしておる。で、まず国内政策によって、自分たちの力によってこれを解決する以外方法がございませんので、いま言ったような措置を私どもはとっておるのでございます。が、これとあわせて、将来IMFの特別引き出し権というものが解決すれば、これは国際収支の天井が高くなったことでございますので、それだけ、いまのように各国ともこの天井の低さのために始終経済政策を引き締めたりゆるめたりするような、こういうことをとらなくて済むという事態になりますので、非常に好ましいこととは思いますが、これは先の話でございまして、当面いま私ども日本の直面しておる国際収支改善対策は、いまの経済政策を強力に推し進めていくということによって解決する以外には方法はないと考えています。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 この点については一応お考えを承ったことにいたすのでございますが、そこで、もうすでに二時間になりました。私も予算委員長をいたしまして、実は時間を厳守しませんとみんなが迷惑をするということを申し上げておったのでございまして、その私がここであまり引き延ばしたのでは申しわけないと思いますから、もう結論に入りますけれども、ただ、この際、ひとつ承りたいと思いますことは、今日プエブロ事件が起きて、日本海にたくさんの米国の艦艇があり、あるいはまたソビエトの艦艇その他がありますために、いわゆる漁業を行なうのに、非常に不便を感じておるような事態が起きておるようであります。こういうような問題が起きたときに、政府としてはすぐにこれに対して何らかの配慮をしていただきたいと私は思うのであります。  同時にまた、私はきのうくにの福井へ帰ってきましたが、東北あるいは北陸においては非常な豪雪が参っておりまして、これがどういうことになるかということはまた非常に心配しております。私があえてこういうことを申し上げますのは、要するに、政府といたしましては、いろいろの問題がそのときそのときに起きてくるのであります。そのことをよく国民にわかりやすく、そうして親切な措置をとられて、初めて政治というものが国民全般に信頼を受けることになる。そういうことが起きたからといって知らないよというような顔をしておってはいけないと思う。こういう意味で、建設大臣や農林大臣、その他いろいろなことがありますけれども、まあいまさしあたり考えられることはそのようなことでございますので、建設大臣や農林大臣から御意見を承りたい。

倉石忠雄自由民主党

○倉石国務大臣 ただいま日本海における事件の結果、漁業者が萎縮をいたして、出漁に非常に支障を来たしておるというお話もございますので、あの事件が起きまして間もなく、外務大臣と私とが協議をいたしまして、関係国はやはりアメリカであり、ソ連であり、韓国等でありますが、そういう国々との間にどのようにしていただくか、私どものほうでは、漁業保護の立場で外務省と連絡をいたして善処するようにただいまお話し中でございます。  もう一つの豪雪につきましては、これは申し上げるまでもなく御存じのように、大体豪雪のあとはとかく特段の冷気が襲ってきて、農業等についても災害があるわけであります。農林省におきましては、長期の気象情報等を常に当局と連絡いたしながら、これに善処してまいる。つまり、たとえば植え付け等についてもし遅延するような場合にはどのようにするかといったようなことの対策をただいま鋭意検討中で、状況に応じて対処してまいる準備をいたしておるわけであります。

保利茂自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○保利国務大臣 東北、北陸方面を襲っております雪害、積雪状況でございますが、二月一日、二日、三日というようにかなりの大雪が襲っておる。ちょうど三十八年に襲いました豪雪等にほぼ近いところへきておる。それにもかかわりませず、とにかく主要道路の道路交通は確保されておるというのが現況でございます。  詳しく申し上げますと、今日午前九時の状況は、青森県、山形県、新潟県、この三県に建設省としましては警戒態勢をとって、北陸地方建設局、東北地方建設局はそれぞれ雪害対策本部を設けまして、道路交通の確保に全力をあげておるわけでございますが、三十八年に近い豪雪にもかかわらず主要交通が確保されておりますのは、やはりこの道路あるいは機械等がかなり進んだものになってきておるという証拠でございます。全力をあげて交通確保をいたしまして、なお油断はなりませんけれども、ただいまのところは降雪状態も小康状態のようでございます。降ったり降らなかったりといったような状況でございますが、気象状況は福田さんも御存じのように、けさあたりでも、今夜あたりからまた相当降るんじゃないかというようなことを伝えておりますので、十分の警戒をいたし、そして度合いに応じまして対策を誤らないようにいたしてまいりたい。

福田一自由民主党

○福田(一)委員 時々刻々の問題について適切なる措置をとられたいということを私は例として申し上げたのでございますが、私は、今日の国際情勢は容易ならぬものがございますし、それからまた、経済の面においては、いま言ったようなドル不安というものが払拭されておるわけではございません。こういうような問題があり、一方、ベトナムにおいては戦火がますます拡大しておるような姿があるのであります。こういうときに政局を担当いたしていただいておるのでございますから、佐藤総理におかれましては、いかなる事態があっても冷静に事態をはっきり把握され、そうして勇断をもって施策を実行に移し、国民の期待に沿われることを切に希望をいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)

井出一太郎自由民主党

○井出委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。  次回は明六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会

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