法務委員会 第16号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1968/04/02
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 まず第一にお聞きしたいのは、この改正は、民事訴訟の当事者、証人の日当を千円から千二百円に、また鑑定人その他、弁護人も入りますが、日当を七百円から千円に引き上げるというのでありまして、この法律案の提案理由の説明書を見ますと、「最近における物価の状況その他諸般の事情を考慮いたし」云々となっておるのであります。こういうように上げられた積算の基礎とでも申しますか、そういうものがあるはずでございますが、これについて、まず御説明をいただきたいと思います。
○佐藤最高裁判所長官代理者 積算の基礎ということで御質問がございましたので、この案につきましての予算上の積算の基礎を申し上げます。 まず、証人の日当でございまするが、最高限千二百円につきましての予算上の積算の基礎は六百円、いわゆる単価と私ども申しておりまするが、六百円でございます。それから鑑定人、通・翻訳人、国選弁護人でございますが、この案でございますと、支給の最高限を千円とするという案でございますが、その場合の予算上の積算の単価といたしましては八百円、かように考えておるわけでございます。
○大竹委員 次にお伺いしたいのでありますが、今年度の要求された予算額、また決定された予算額は、どのようになっておりますか。また、昨年の当事者、証人、鑑定人等に対する支給状況は、どういうことになっておりますか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 まず、予算上の措置のほうから先にお答えを申し上げます。 今回、案のとおりの改正によりまして必要となりまする経費を申し上げますると、まず、証人の日当につきましては、値上げ部分が三百二十六万四千円でございます。これは値上げ分のみでございまするので、全部の証人の日当の分といたしましては三千九百十三万二千円というようになります。それから鑑定人でございます。今回の案による値上げの分のみをまず申し上げますると、六万九千円でございます。全部の費用を申し上げますると四十七万八千円、かようになります。通・翻訳人の日当でございまするが、まず値上げの分は七万五千円でございまして、全部の予算額は五十一万八千円と相なります。それから国選弁護人の日当の値上げの分は、九百六十六万でございます。その全部の額が六千七百五十四万六千円、かようになります。以上、双方合計の値上げの分のみをまず申し上げますると、一千三百六万八千円でございます。全額が一億七百六十七万四千円、かようになります。 それから従前の支出の状況はどうかというお尋ねでございますが、それについて申し上げます。これは支出いたしました後の資料の集計ということからいたしまして、昭和四十一年度になるのでございますが、昭和四十一年度におきまする支出の実績を申し上げます。まず、証人についてでございまするが、各裁判所通じまして申し上げますると、二千九百五十六万八千円でございます。それから鑑定人につきまして、同じく昭和四十一年度の支出の実績を申し上げますると、四十九万二千円でございます。次に、通・翻訳人について昭和四十一年度支出の実績を申し上げますると、五十三万三千九百二十円でございます。最後に、国選弁護人の昭和四十一年度におきまする支出実績を申し上げますると、六千九百八十三万二千七百六十円、かように相なっております。
○大竹委員 次に、このいただきました法律案参考資料の九ページの2に、訴訟費用等臨時措置法施行後のずっと年代を追うて変わってきた金額が出ておりますが、これについて昭和十九年に、当時は証人その他が五円、それから鑑定人その他が十五円というように、鑑定人その他が金額が高くなっておりますが、その後ずっと変わってきまして、昭和三十七年に至りますと、証人のほうが千円になって鑑定人のほうが七百円、ここへきて逆転しているわけでありますが、その事情をひとつ御説明いただきたいと思います。
○川島説明員 仰せのとおり、従来の経過を見ますと、昭和三十七年までは証人の日当よりも鑑定人の日当のほうが高い額できめられておりました。それが昭和三十七年以降逆転したということになっております。これはどういうわけかということでございますが、鑑定人の日当、それから証人の日当の性質をどのように考えるかということとも関連する非常にむずかしい問題であろうと思います。鑑定人の日当にいたしましても、証人の日当にいたしましても、その中には実費弁償的な性質を含んでおる。裁判所に出頭するために特別の行為を要するわけでありますから、それに伴って何らかの実費を要するであろう。その実費を弁償するという意味が、その中に含まれております。それからもう一つは、裁判所に出頭いたしますと、その間時間の拘束を受けるわけであります。その期間労働をして収入を得るということができない状態になりますので、その間のいわば損失補償的な意味も付加されなければならないというわけで、日当には実費弁償的な意味とそれから損失補償的な意味と二つがあると思うのでございまして、その内容を証人、鑑定人についてどのように考えるかということと関連してまいるわけでございます。それから証人の場合には、事件に何らかの関係を持つ者でございまして、その裁判を行なうために裁判所に出頭して証言を行なうということは、その証人に課せられた一種の義務であるというふうに考えられますが、鑑定人の場合におきましては、必ずしもその事件に直接関係がある者ではない。ほかの者であってもいいわけでございますが、ただ特殊な、専門的な知識を有しておりますために、裁判所に呼ばれまして、そこで鑑定を行なうということに相なるわけでございます。こういったいろいろの要素をかみ合わせて考えました場合に、裁判所に対する義務という面を強く考えますと、証人は特にその証言をする義務が強い。それに対して鑑定人は代替性がありますから、それほどこの人でなければならないという義務の面が強くないということが言えるのではないかと思います。そういった考え方をとりますと、義務の強い証人においては最小限度の補償で済ましてもよいけれども、事件に直接かかわりのない鑑定人に対しては、比較的損害のないように配慮すべきだという考えが出てくるのではないかと思います。おそらくこういった考え方から、当初は証人に対する日当よりも鑑定人の日当のほうが高かったということになっておるのではないかと思うわけでございます。しかしながら、他面鑑定人の場合におきましては、鑑定料を受けることになっております。ところが、証人の場合には日当だけしか受けられないという点で、裁判所に出頭いたしましても、その実費弁償の面ではかなりの相違が出てくるわけでございます。ことに最近国民の所得などが上がってまいりまして、実費弁償の面をか在り重く考えなければならないということになりますと、鑑定人につきましては鑑定料があるから実費弁償の面はそれほど強く考えなくてもいいけれども、証人については日当の中で実費弁償的な意味をかなり深く考えたほうがいいということになってまいりまして、そういうことの結果、三十七年の改正によって証人の日当がかなり増額された。その結果、鑑定人よりも日当の面におきましては証人のほうがその額を高くきめられている、こういう関係になろうかと思います。
○大竹委員 そこで私は、いまのお答えについて二つの点についてお聞きいたしたいと思うのであります。第一点につきましては、これは私別に詳しく調べたわけではないのでありますが、たとえばアメリカあたりでは、この証人はさっきおっしゃったように義務だという観念から、日当なんか払わないのが原則になってかるというようなとこを聞いております。ヨーロッパのほうではどうなっておるかよくわからないのでありますが、アメリカでは原則として証人には、いわゆる義務だということから日当のようなものは支払わないのが原則になっておるということを聞いておるのでありますが、その点はどうでありますか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 お答えいたします前に、まことに申しわけなかったのでございますが、今回の予算上の措置のところで数字を間違えましたので、それをまず訂正することをお許し願いたいと思います。 その部分は、鑑定人日当、通・翻訳人日当及び国選弁護人日当のトータルの部分を間違えましたので、訂正させていただきたいと存じます。鑑定人日当の今回の予算措置のトータルを申し上げますと五十四万七千円、通・翻訳人日当については五十九万三千円、国選弁護人日当につきましては七千七百二十万六千円、こういうことに在りまして、その総計が七千八百三十四万六千円ということになります。訂正をいたします。 それからただいまの諸外国について証人等の日当がどうなっているかという御質問でございますが、正直に申し上げますと、詳しく承知しているわけではございませんが、現段階において承知している限りの限度で申し上げさせていただきたいと思います。 まず、証人について先に申し上げます。アメリカはどうなっているかということでございますが、先ほど御質問の中にもございましたように、コモンローの上におきましては、裁判所に出頭して証言するということは市民の一般的義務だということが強調されまして、市民はその出頭のためにこうむった損害の補償を請求する権利はないのだという考えであったようでございます。しかしながら、現在におきましては、連邦におきましても、また各州におきましても、制定法によりまして証人に対して日当を支給することにいたしております。そこで連邦法ではどのようになっているかということをかいつまんで申し上げますと、証人に対しましては日当、それから宿泊費、旅費、この三本立てでございます。そこで日当は一日当たり四ドルときめられております。邦貨に換算いたしますと千四百四十円でございます。ただ、これは出頭しないおそれがあるとして証人を収監してしまうこともできるわけでございますが、収監いたしました証人に対しましては一日当たり一ドル支給する、かようになっておるようでございます。それから宿泊費でございますが、居住地から尋問の場所まで距離があって日帰りで往復できないような場合に限りまして、一日当たり八ドル、邦貨に換算いたしまして二千八百八十円、これが法定されて知るわけでございます。それから旅費は、居住地から尋問場所までの距離一マイル当たり八セントという割りで支給される、かようなことになっております。州に至りますると、ほぼ連邦と同じような規定のしかたでございまするが、その法定されておりますところの日当の額は、非常にまちまちでございます。最高は八ドルというような州もございまするし、また最低は五十セントというような州もございます。それから一日当たりの日当額のほか、半日当たりの日当額を法定いたしまして、半日当制をとっている州もあるというようなわけでございます。それから宿泊費につきましても、支給する州と支給しない州というふうにまちまちの模様でございます。 次に、イギリスでございまするが、刑事裁判手続における証人と民事裁判手続における証人とで、その取り扱いを異にいたしております。いずれにしましても、法律及び規則によりまして証人に対して日当等が支給される、こういうたてまえでございます。通常の証人に対しましては損失手当、それから生計手当、宿泊費、旅費、そういうものが支給されまして、専門的証人に対しましては専門的証言の手当、宿泊費、旅費、これらが支給される。この損失手当と申しまするものは、証人として出頭したために失ったところの利益、すなわち逸失利益を補償するものであるという思想に立っているようでございまして、その一日当たりの最高額は法定されておりまして、現在六十五シリング、邦価に換算いたしまして約二千八百円、ただしこれは尋問時間等の時間に応じましてその支給を段階的にする、かようなたてまえのようでございます。生計手当と申しまするものは、証人として出頭したために生じました諸雑費、いわゆる湯茶弁当代というようなものに相当するものを補償するものでございまして、その額は証言のために必要な時間というものを基準といたしまして段階的に法定されておりまして、四時間以内の場合は六シリング、これは邦価に換算いたしまして約二百六十円、四時間をこえ八時間以内の場合は十二シリング六ペンス、約六百六十円といったように、段階的な支給が行なわれております。 それから専門的証言の手当、これはおそらく鑑定人のような人たちに対する手当ではないかと思うのでございますが、一日当たり最高額が法定されておりまして、それは現在八ギニー、邦貨に換算いたしますと約七千二百四十円ということで、ただ、証言のために必要な時間が四時間以内にとどまる場合には、原則として半分の四ギニー、邦貨に換算いたしまして約三千六百二十円支給するというような、これもまた段階的な支給が行なわれております。そのほか、宿泊を要する場合には宿泊費が支給されるというようなことであります。 その他ただいまの英国における刑事手続のことでございますが、あまり詳しく申し上げまするとややこしくなりまするので、ちょっと英国の刑事手続について概略申し上げまして、次に西ドイツのことを御説明いたしますると、証人に対しては支出経費に対する補償、いわゆる出頭によりまして生じた諸雑費、湯茶弁当代の補償、それと逸失利益に対する補償、そのほか宿泊料、旅費が支給される、こういったたてまえでございます。この逸失利益に対する補償は、証人が出頭のために要しました時間というものをやはり基準といたしまして、定型的に処理しておるわけでございまするが、明らかにその逸失利益がないというような証人の場合には補償しないというようなことになっておるようでございます。 フランスでございまするが、証人に対しましては、出頭に対する補償、滞在費、旅費が支給されます。出頭に対する補償というのは、定額でございます。その性質は逸失利益の補償と理解されておるようでございまして、パリにおきましては五・五フラン、邦貨に換算いたしまして約四百円、パリ以外の土地におきましては四フラン、邦貨に換算いたしまして約二百九十円というようなことになっているようでございます。 次に、鑑定人でございまするが、アメリカにおきましては連邦では鑑定人と証人とは区別して取り扱ってはいないようでございます。州におきましては取り扱いが区々でございまして、連邦と同様に証人と区別してないという州と、追加的な手当というものがありまして、その追加的な分は当事者が支払うんだというたてまえをとっておる州もあるようでございます。 イギリスの場合でございますると、鑑定人に対しましては、証人の場合と同様な算出方法で宿泊料、旅費が支給されるほかに、鑑定料が支給されます。この鑑定料は、出頭及びその準備に対して、事件の性質、必要とされた仕事の内容などを考慮した結果、裁判所が相当と認めるところにより支給されるということで、その額に制限はございません。 そのほか西ドイツでございまするが、やはり証人の場合と同様の算出方法で鑑定人についても支給されます。ただやはり鑑定人に対しましては鑑定料、鑑定のための支出経費に対する補償が支給される、こういうことでございます。 フランスでは、鑑定人に対しましては、証人の場合とほぼ同様な算出方法で滞在費、旅費が支給されるほか、出頭に対する日当、鑑定料が支給されます。出頭に対する日当は、裁判所が裁量的に支給して、定額であるということで、その額は六・五フラン、邦貨に換算いたしまして約四百七十円ということに相なっておるようでございます。以上、かいつまんで申し述べました次第であります。
○大竹委員 それで、いま得べかりし利益の喪失という、日当はある程度これも加味しているという御説明であったのでございますが、そういたしますと、たとえば日本で今度改正されて千円から千二百円とされたわけでありますが、いま普通職人の日当にしても、たとえは自動車の運転手その他のあれからいたしましても、千二百円というのは相当安いように思うのでございますが、幸いこの法律は何々以内、こうなっているようでありますから、もっと最高限を上げておいて、その中で適当に裁判所で裁量されて渡すという方法のほうがよろしい、最高限をもっと上げるべきじゃないかと思うのでありますが、その点はいかがお考えになりますか。
○川島説明員 証人、鑑定人に対する日当の最高限をもっと上げるべきではないかという御意見、非常にごもっともだと思うのでございますが、御承知のように、証人、鑑定人に対する日当を支払いますと、それは訴訟が終了いたしました場合、民事訴訟の場合には訴訟の当事者が出す、刑事訴訟の場合には有罪の判決を受けました被告人が負担するということが、原則になっております。したがって、これを負担する者の立場も考えてその額をきめなければならないという要請があるわけでございます。この要請と、それから証人、鑑定人として裁判所に出頭した者に対してある程度の損失を補償するという点とをいわば折衷いたしまして、大体この限度が適当ではなかろうかということで、今回の千二百円、千円という最高限を考えたわけでございます。 先ほど申しましたように、日当の中には実費弁償的なものと、それから損失補償的なものとがあるわけで、ただいま佐藤刑事局長が御説明になりましたように、外国ではこの実費弁償の部分と損失補償の部分とを別々にきめておる例が非常に多いわけでございますが、日本の場合はこれが一緒に規定されておるわけでございます。その内訳を考えてみますと、実費弁償的な意味の部分といたしましては、一般の公務員が出張する場合、この場合の日当の性質は実費弁償であるというふうに言われておりますが、その公務員の日当が現在どれくらいになっているかということを見てみますと、これはたとえば総理大臣が出張された場合には日額千円というふうに、段階的になっておりますけれども、ごく下のほうの六等級の職員が出張した場合は、四百円ということになっておるわけでございます。そこで、証人の場合、また鑑定人の場合にも、少なくともこの程度の実費弁償は見なければならないということになりますと、そのほかの部分が損失補償的なものということになるわけでございます。そこで、証人の場合には、千二百円から四百円を差し引きました八百円が、大体損失補償に充てられるということになるわけでございまして、これは証人として裁判所に出頭するのに要した時間なども関係があるわけでございますが、現在の情勢から見まして、大体八百円あれば何とか損失補償的な趣旨は貫けるのではないかということで、この千二百円という額を考えたわけでございますが、そのほかに、たとえば裁判所で仕事をいたします調停委員とかあるいは鑑定人というようなものもございます。こういう方々にも日当が支給されるわけでございますが、これらの方々に対する日当も、現在では千円あるいは千二百円ということになっておりますので、証人とのバランスから考えましても、こういった鑑定人、調停委員の方々とつり合いをとるためには、その額が適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○大竹委員 次に、これに関連してこまかいことでありますが、民事訴訟費用法の第九条、刑事訴訟費用法第二条を見ますと、「証人ノ日当ハ出頭又ハ取調一度二付キ」と規定されているようでございます。しかし、先ほど来のお話から見まして、実費にいたしましても、また損失補償の面から考えてみましても、たとえば非常に遠くから来て、一日も汽車に乗って二日がかりで来るというような場合、もちろん出頭や取り調べは一度ということになりますけれども、往復、行き帰りで一日ずつかかるというような場合、もちろん汽車賃その他は実費は出るのでありましょうが、さきの日当の趣旨からいたしますと、そういうものも私は見てやるべきじゃないかと思いますが、そうなると、この規定には合わぬということになるように思いますが、そこはどうお考えですか。
○川島説明員 仰せのとおり、裁判所に出頭するのは一日一度だけであるけれども、その往復に二日も三日も要するという場合が考えられるわけでございまして、この場合に現在の規定によりますと、「出頭又ハ取調一度二付キ」何円以内ということになっておりますので、一度分の、いわば一日分の日当しかお支払いでき雇いということになるわけでございまして、この点は御指摘のように合理的ではないと考えております。ただ、運用の実際におきましては、なるべくそういうことのないように、たとえば裁判所が遠隔の地におります者を証人として調べる場合には、裁判所のほうから裁判官が出張して尋問を行なうとか、あるいは証人の所在しております地の裁判所に嘱託をして、その裁判所に取り調べをしてもらうというような方法をとっておりますので、実際には仰せのような場合はそれほど多くはないと思うわけでございます。ただ、それにいたしましても、制度といたしましては確かに不合理な点がございますし、また実際にもそういう場合が絶無であるということは言えないわけでございますので、この点につきましては、民事訴訟費用法なり刑事訴訟費用法なりを改正いたしまして、そういった場合に遠隔の地の証人が不利益をこうむることのないよう配慮すべきであろうというふうに考えておるわけでございます。 ただ、この点につきましては、現在ほかにもいろいろ問題がございますので、それらの問題とあわせて、民事訴訟費用法あるいは刑事訴訟費用法を改正していきたいというふうに考えておりますので、今度の提案には間に合わなかったわけでございます。そういうことで一応御了承を願いたいと思います。
○大竹委員 次に、刑訴費用法の第七条を見ますと、「刑事訴訟法第三十八条ノ規定二依リ弁護人二給スヘキ日当、旅費及宿泊料二付テハ第三条乃至前条ノ規定ヲ準用ス」云々とあるわけでありますが、民事訴訟法のほうには刑訴法三十八条に対応する規定がないのでありますが、これについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
○川島説明員 実は御質問の御趣旨が十分に理解できていないかとも思うのでございますが、刑事訴訟におきましては、刑事被告人が自分で弁護人を頼むことができない場合には、国が弁護人を付する、これは憲法にも規定があるわけでございます。こういう規定がございますので、刑事訴訟法におきましては、被告人が貧困であるとかあるいは未成年者であるというような場合に、弁護人がいないときは、裁判所がその者のために弁護人を選任するいわゆる国選弁護人の規定があるわけでございます。この弁護人は国が選任するわけでありますから、一応国がその費用も払うということでこういう規定ができておるわけでございますけれども、民事訴訟法の場合には、国が当事者にかわって弁護人を選任してやるという制度はございませんので、したがって、これに相当する規定もない、こういうことに相なるのではないかと存じます。
○大竹委員 わかりました。次に、最後にいま一点だけお聞きしたいのでありますが、訴訟費用等臨時措置法は、御承知のように、昭和十九年に制定されたのでありますが、「特例ハ当分ノ内本法ノ定ムル所二依ル」こうなっております。当分というのはどれだけかということは言えないにしても、昭和十九年から今日まで、現在四十三年ですから、すでに二十数年もたっておるのでありまして、当分はとっくに過ぎておると私は常識的には考えられるわけでありますが、これについてはどうお考えになっておられますか。
○川島説明員 この点は、仰せのとおり昭和十九年に制定された法律でございまして、その当時は戦争の末期に当たりまして、経済事情がかなり悪化してまいりました。物価にも変動が生ずることが予想されましたので、そういった事態に対応する臨時措置としてこの法律が制定されたわけでございます。第一条に「訴訟費用二関スル特例ハ当分ノ内本法ノ定ムル所二依ル」とありますのも、その趣旨を示したものであると考えております。そしてその後、戦後のインフレの激しかった時代にこの法律は何回も改正されまして、そのときどきの事情に合った訴訟費用額を定めてきたわけであります。その限りでは、この臨時措置というものは非常に意味があったということが言えるわけでございます。ただ、現在のように経済状態が安定してまいりまして、物価にも特にはなはだしい変動がないという事態になりますと、こういった特例を存置しておくということは、仰せのとおり、あまり望ましいことではないのではないか。したがって、なるべく早い機会に廃止して、これを本法である民事訴訟費用法あるいは刑事訴訟費用法に盛り込むべきであるという点につきましては、先生と全く同様に考えております。ただ、今日までこういう措置がとられませんでしたのは、一つには、こういった特例措置がありますために、訴訟費用の額を改定するにつきましても、この臨時措置法を改正したほうが簡単であるということが一つあったかと思うのでありますが、もう一つの別な理由といたしましては、単に形式的に訴訟費用臨時措置法を廃止して本法の改正を行なうというだけでは、あまりに芸がないと申しますか、そういった考え方があったわけでございます。と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、民事訴訟費用法あるいは刑事訴訟費用法は、いずれも非常に古い法律でございまして、内容的にかなり不備な点がございます。それから最近の訴訟の実情などから見まして、内容的にも新しいものをつけ加えなければならぬという事項もかなり考えられておりますので、どうせこの本法を改正するのであれば、それらの事項も一緒に織り込むような改正をしたいという気持ちが、われわれとしてはあったわけです。目下、その点について検討中でございますので、遠からず、先生御指摘のような改正が行なわれるものと考えております。
○大竹委員 質問を終わります。 ————◇—————
○永田委員長 次に、法務行政に関する件、裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。高橋英吉君。
○高橋(英)委員 いま委員長の御発言によると、裁判所関係のみのように言われましたが、裁判所関係だけではないので、法務省関係、特に検察庁関係、それから警察庁関係についても関連して質問したいと思うのですが、警察のほうはきょうはどうしても手が抜けられないとかいうので、一応裁判所関係とそれから法務省関係について質問をいたしたいと思います。 私が質問したいと思うのは、特に東京都周辺の人口の激増している地区対策の問題ですが、すなわち、裁判官の定員問題とか、待遇問題とか、それからまた検察官の定員増加の問題とか、待遇改善の問題とか、そういうふうな問題について質問したいと思うのです。 先日、新聞紙上でも報道されましたが、大島判事という浦和地方裁判所の判事さんがあまりに過労であったがために死を招いた。すなわち、裁判所の法廷で裁判をやっている最中に裁判官としてのいすの上でなくなったという非常に痛ましい事件が起こっておりまするが、こういうことは新聞紙上だけでもはっきりしておりますのは、いわゆる裁判官に対してあまりに負担が重過ぎるというふうなことでございまして、また、検察庁関係でも、浦和の地検あたりの検事の数、警察官一人当たりの全国平均の例、こういうものを聞いてみますると、たいへんな負担の感じだというふうになっておるようでございます。何か地検のほうでは、一人が病気になっておるし、ほかの大多数は成田事件や王子事件で東京に応援に行って、ほかの事件は少しも進展しないというふうな、そういうふうな状態であるそうですし、それから警察官なんかも、全国平均ではほとんどその二倍に達するというふうなことだそうですが、人口の増加の率からいくと、毎年二十万近くの人口が増加しておるということでございまするが、裁判官や検察官、警察官の定員は依然として増加していないというふうなことなんですが、これに対する対策、実情、そういうものを一応お伺いしたいと思います。まあ警察官のほうはあれとして……。
○川島説明員 まず、検察官の定員の実情について、私から御説明申し上げます。 検察官の現在の定員は、検事が九百四十名、それから副検事が七百八十四名でございます。本年度、つまり昭和四十三年度におきましては、検事を十名、それから副検事を二十名増員することに予定をいたしておりまして、予算上の措置もそのようにお願いしておるわけでございます。御指摘のように、検察庁の事務はかなり増加いたして寄りまして、ことに、最近のように大きな事件があっちこっちで起こるということになりますと、そのたびに現地へ五名、十名という検察官が応援に行かなければならないということのために、かなり事務処理は忙しくなっておるわけでございますが、こういった状況からいたしまして、本年度は、道路交通法による反則制度ができますので、事件数はかなり減る面もあると思われたのでございますけれども、特に予算上の手当てを要求いたしまして、それがある程度認められて、いま申し上げたような若干の増員が認められた、こういう実態に相なっております。
○高橋(英)委員 これは全体的の定員の問題ですが、あの法案について、御説明によると、相当解決できる、根本的な解決までいかなくても相当程度まで解決ができると思って賛成したのですが、これは実情から見ますと、御承知のような世相でございますので、まるで焼け石に水というふうな定員の増加ではないかと思いますが、法務省関係も、裁判所関係も、予算要求に対してあまり遠慮し過ぎるのじゃないかと思うのです。治安関係の問題なんかもあとからあとから新事態が出来いたしておることは、御承知のとおりでございます。幾らあっても警察官でも検察官でも間に合わないのじゃないか。したがって、裁判官のほうでも間に合わないのじゃないかというふうに考えられますが、こういうことに対して根本的に対策を講じていただきたいと思います。焼け石に水でない根本的な解決をしていただきたい。それから検察官のほうの問題につきましては、これはいろいろな制約があるらしいので、全国的に見ると、比較的ひまな検察庁もあるのじゃないかと思われますのに反して、非常に事件が多過ぎてほんとうに手が足りないというふうな地区、したがって、重要な事件もどうしても解決がおそくなる、調べがおそくなるというふうなこと、そういうふうな弊害が顕著にあらわれておるのじゃないかと思われる節がありますし、ことにいまの都周辺の人口の激増地区、これは東京都と同様に取り扱わなければいけないと思うのです。だから、この周辺地区のごときは、東京の高等検察庁が管轄しているようでございますけれども、これは大東京地検というふうなもので一括してやってしまうというふうな根本的な対策も講じてやらなければいかぬと思いますが、いまも申し上げますように、比較的ひまのあるようなところから事件の非常に多過ぎる手の足りないようなところへ、ほんとうに機動的に、自由に能率的に検察官に平等な仕事をしてもらうように善処してもらいたいと思うのですが、それについては旅費とか滞在費とかいろいろな費用についてその捻出方にお困りになるので、自然そういうものもできないというふうなことも聞いておりますが、そういう実情ですかどうですか。もしそういう実情だとすると、そんなのは遠慮なしにじゃんじゃん請求せられて、そういう費用を捻出されて、機動性を発揮してもらうようにしたいと思いますが、どうですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 先ほど検察庁の関係についてお話がございましたが、裁判所の関係は、先般も裁判所の職員定員法の関係の際に十分御審議いただきましたので、こまかいことを申し上げることは省略させていただきますが、現在、先般定員法改正で増員していただきましたものを含めまして総計二千五百二十二人でございまして、しかも本日も人事局長が新任の判事補の採用につきいろいろやっておりますが、四月の初めにおいてはこれがほとんど充員できるという見通しでやっておるわけでございます。 いまお話しの地方のほうの事件の少ないところから大都会のほうへ裁判官なりその他の職員を移すということは、これはもう私どももっとに考えておる問題でございまして、最近にも電子計算機を導入いたしまして、事件計算について精密な調査をいたしまして、そして大体三年間の件数を基準にして定員の配置をかえていくという施策を、逐次やっておるわけでございます。東京都はその関係でかなりふえておりますし、それから先ほど来お話しの浦和につきましても、ここ二、三年来、簡裁、地裁、支部それぞれわずかではございますが増員しているわけでございます。また、確かに周辺地区に事件がふえていることは間違いございませんけれども、しかし、人口がふえる割りには私どもの統計上はふえていない面もありますので、その事件統計に基づきまして精密な計算をして、定員の入れかえをやっているわけでございます。 それから最後にお尋ねの旅費の問題でございますが、実はこの点に従来かなりの隘路がございます。そこでいま参議院のほうで御審議をいただいております四十三年度の本予算におきましては、特に赴任旅費というものを重点的に要求いたしまして、従来と別個に約一億円というものを計上しているようなわけでございます。 こういうことで、高橋委員つとに御承知の、いろいろ各方面にバックアップをいただきまして、これによって体制を整えるということで逐次進んでまいっておるような現状でございます。今後ともさらに一そうそういう方面については努力いたしたいと考えておりますので、何ぶんの御支援をお願い申し上げたいと存じます。
○高橋(英)委員 いまの答弁は、大体において裁判所関係では定員の増加とか、またひまなところの判事さんを減らすとかいうような問題につながるように思いますが、しかし、ひまな判事はないのですから、減らすということはお考えにならずに、電子計算機によってふやす方向の計算をしていただくようにしたいと思うのです。とにかく御承知のようにどこでも水増しの吹っかけ予算要求をやるのですから、裁判所もいまの十倍か二十倍に吹っかけられたらちょうどいいところへ落ちつくのではないか、あまり最初の御要求が少な過ぎるから自然こういうようなことになると思うのですが、裁判所についても、臨時機動的な措置というふうなものについてはあまり関係はないかもしれませんけれども、それでもやはり臨時的な、応援的な機動体制というようなことについてもお考えくださって、そういうふうな場合に、旅費とか日当、宿泊費とかいうふうなものがやはり関連すると思いますので、そういうものを遠慮なしに要求されて、比較的ひまな判事さんに忙しいときに臨時に応援さすというようなことにぜひ御善処願いたいのですが、検察官に至ってはさらにその必要性が切実なものがあると思うのです。機動性すなわち応援性ですね、事件が集中的に起こったとき、それから臨時に大事件が起こった場合には、全国から比較的余裕のある検事さんに応援してもらう。それが費用の関係でできないというようなことになってくると、たいへんな問題だと思いますので、そういう点についてぜひひとつ善処してもらって、われわれがお使いできることがあればどんどんやりますから、ぜひそういう方面について国民が満足しますように、成田事件が起こったから、王子事件が起こったからというのでほかの事件をほったらかして、ほかの事件が進まないということがあるとすると、これはたいへんなことになると思います。先般の裁判官や検察官の待遇改善の問題でも、田中角榮さんが大蔵大臣のときに、たとえば検事さんの超勤手当などが支給されないことになっていたのを復活する結果、どういうような計算になるかということを、先ほど御説明になりましたように合計千八百人ぐらいだそうでございますが、これは年に十万にいたしましても一億八千万円にすぎないということで、五万や十万の金で裁判官や検事さんが十分働きができるんだったらいつでも出すというふうに、当時の田中大蔵大臣は言われましたので、これを法制化するために、私が法務委員長のときに法制化の準備を進めたこともあるわけであります。とにかくわれわれ自身当たってみて痛切に感ずるのは、この検事さんや裁判官や警察官の人手不足——だんだんこういう世相になっているのですから、大事件が次から次に起こるわけですから、十分検事さんも機動性を発揮していただいて、それぞれの場合において適宜に善処応援ができますように、そういうふうにお考え願いたいという希望を申し上げておきます。
○川島説明員 たいへん御同情のある御意見、感謝いたしておる次第でございますが、おことばにもありましたように、現在の検察庁の事務はかなり多忙でございます。その一つの理由は、最近公安関係の事件が、非常に重要なものがふえておるということでございます。それからもう一つは、自動車事故に基づく業務上過失傷害の事件、これが全国的にふえているということでございまして、予算の関係におきましても、この二つに対する対策を中心として人員の要求そのほか検察関係の旅費等の要求をいたしておるわけでございまして、現在のところ旅費の関係で特に苦しいというほどのことはないかと思いますけれども、これも今後の情勢によることでございますので、十分にその点を検討してみたいと思っております。 それから人員の点につきましては、先ほどお尋ねがございました配置の関係では、かなり事件数に応じた配置をいたしております。事件数の少ない検察庁はできる限り人員を減らすようにして、そうして大都市、特に東京及びその周辺の人員を増加するように配置いたしておりますけれども、この関係ではまだ必ずしも十分とは言えない状態でございますので、今後とも必要な人員の確保につとめたいと考えております。そのほかいろいろ事務のやり方なども改善する必要があろうかと思いますが、広い範囲で研究いたしておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。
○高橋(英)委員 どうも答弁のうちに、定員の積極的増加じゃなしに、配置転換の問題、事件の少ない所の判事さんを減らすとか検事さんを減らすとかいうふうな消極的な意見がちょいちょい出るようなんで、非常に残念なんですが、たとえば私個人の点からいいますと、愛媛県の八幡浜市の裁判所というのは、常駐の判事さんがおらないので、地元からぜひ一人判事さんを常駐してもらいたいという要望が起こっておる。この間まであったのですが、とうとう出張判事になってしまったから、私の生まれ故郷の連中弱っておるのです。そこで、これはぜひ常駐してもらわなければいかぬという陳情を申し上げたいと思っておるところなんですから、そう現在の定員のワク内で善処するということじゃなしに、積極的に定員増加を要求してもらう、そういう対策を練ってもらうということに主力を注いでいただきたいと思うのです。とにかく時勢が変わって革命時代に入ってきたのですから、いまも大竹君の質問の間、濱野君から盛んに、王子にやって来い、テレビや新聞なんかで見るよう左ものではないのだ、戦場みたいなんだ、これを見ればわれわれの頭脳も一変してしまうというふうな話を先ほどから聞いて、それはぜひひとつ見学に行こうというような約束をしたくらいで、情勢が変わってきているのですから、従来のような消極的な少しばかり毎年ふやすというようなことでなしに、もっと革命的と言ってもいいと思うのですが、そういうような要求をひっさげられて、この革命時代に処していただかなければならぬ。これはひとり裁判所、検察庁ばかりではない、警察のほうに対してもわれわれはそういうふうに要望したい。すなわち治安関係というものが、日本の将来、じゃ安い、現在を規正することになる運命の岐路に立っておるわけですから、もっと非常時的な考え方で格段の御配慮を願いたいというふうに申し上げたいのです。 一応この程度で希望的な応援的な質問だと思うのですが、自民党ではみんなそういうふうな気持ちです。きょうはほかの党派はあまり来られておらぬようですから、率直なところを申し上げますが、ぜひひとつ裁判官、検察官、警察官の増員をして、治安対策が完全なように、それからまた臨時的な事件のためにほかの事件が放てきされないように、御善処を願いたいと思います。
○永田委員長 次回は、明後日四日、午前十時より理事会、理事会散会後に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十七分散会