農林水産委員会 第20号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/05/09
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 この際、御報告申し上げます。 長らく本委員会の委員として御活躍をされておりました小沢佐重喜君が、昨八日逝去されました。つつしんで御報告申し上げます。 この際、故小沢佐重喜君の霊に対し、ここに哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。御起立を願います。 〔総員起立、黙祷〕
○足立委員長 御着席願います。 ————◇—————
○足立委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 本日は、特に乳価問題について、参考人の方々から御意見を聴取することといたします。 本日御出席の参考人は、雪印乳業株式会社副社長伊臣第一郎君、日本飲用牛乳協同組合副理事長高梨芳郎君、愛知県酪農業協同組合連合会会長日高啓夫君、中央酪農会議事務局長山口巖君、以上四名の方々でございます。 参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。 ただいま、本委員会におきましては、乳価問題につきまして調査いたしておりますが、本問題につきまして、参考人の方々の忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。 なお、はなはだかってではございますが、時間等の都合もございますので、参考人各位からの御意見の開陳は、お一人おおむね二十分程度にお願いいたしたいと存じます。 まず、日高参考人にお願いいたします。日高参考人。
○日高参考人 ただいま御紹介をいただきました私、日高でございます。本日は、政務御多端の先生方に、酪農農家の代表といたしまして、不肖私から意見並びにお願いを申し上げることのお許しをいただきましたことは、この上もない幸いでございまして、厚くお礼を申し上げます。 すでに先般来、諸先生方に対しましては、中央の酪農団体の代表者並びに先生方のお地元の酪農民代表の各位から、当面いたしておりまする昭和四十三年度の飲用向け原料乳価の改定問題につきまして、陳情を申し上げておることと存ずるのでございますが、本日、あらためてこの問題に関しまする経過を御報告申し上げますとともに、これらの問題点につきまして供述させていただきたいと思います。 まず第一に、本日まで私ども酪農家が乳業者に対しまする交渉の経過、これをかいつまんで申し上げたいと思います。なお、特にこれは市乳原料についての価格問題にしぼって申し上げたいと思うのでございます。 順序から申しますと、昨年の十二月二十六日に全国の各都道府県の指定団体会長会議におきまして、飲用乳原料価格につきましては、昭和四十三年四月から改定をしてもらいたい、また、一キログラム当たり五円の値上げを決議いたしまして、その実行につきましては、全国乳価対策協議会に、会長一同委託を申したのでございます。このことに関しましては、本日お手元へお配りを申し上げましたその冊子の四ページ並びに五ページに、その根拠につきまして詳細記載いたしてありますので、後刻御検討をいただきたい、かように思うのでございます。 即日、十二月二十六日でございますが、前述の決定に基づきまして、全国乳価対策協議会の正副委員長が、大手乳業四社に対しまして、かつまた政府御当局に対しまして、これらの値上げ問題につきまして、その実現を強く要望して回られたのでございます。このことに関しまして、乳業者側は、四十二年度は財源がないんだ、卸売り価格の改定が行なわれない限り、値上げの要求には応じられない、こういう回答でございまして、一方また政府側は、生産者乳価の引き上げに関して、直ちに行政介入を行なう意思はないんだということがはっきり判明いたしたのでございます。 越えまして一月十六日に、大手四社と中央交渉を開始いたしまして、二月末までに三回ほど中央交渉が行なわれたのでございますが、メーカー側はいずれも財源不足の一点ばりで、交渉の進展は少しも見られなかったのであります。交渉が非常に難航いたしまして、いわゆる膠着状態という結果に相なっておるのでございます。 三月七日に、全国の乳価対策協議会を中央で開催いたしまして、これらの事態に対しまする打開方策、中央交渉の促進をいたしますと同時に、地方におきましても、各都道府県あるいはそのブロック、それぞれ出先の工場長を中心にいたしまして、地方でもこれらの問題について、実態を知っておられます出先の工場長に交渉を移したらどうか、こういうようなことを相談いたしたのでございまして、そうしたことを中央、地方連携をいたしまして、ずっと今日までやってまいったのでございます。 七日のその会議の結果、三月八日各都道府県の指定生乳生産者団体は、三月末までには何とか各取引乳業者との間にこの改定の問題につきまして、四月からは乳業者との取引契約が一応打ち切りになりますので、取引契約の改定をいたすために、強力にその実現について地方においても行なったのでございますが、大手メーカーは、中央交渉の結果待ちだ、中央がきまらなければ、出先では何ともならないということで、言を左右にして、これまた実質的な進展は見られなかったのでございます。中小の乳業者につきましては、これは大手がきまれば何とかしようと、全く大手四社依存の態度でございまして、そうした状態でずっとまいったのであります。 さような状態でありますので、以後中央において、大手四社との交渉を数回行ないますと同時に、三月二十八日には、中央より大阪に代表が出向きまして、大阪の比較的堅実な中小メーカーの代表と交渉を行なったのでございます。これまた、同様な結果だと御判断をいただきたいと思います。 四十三年度の、いわゆる加工原料乳の保証価格の告示がございまして、これに対しましては、先生方の御努力に対しまして、市乳原料を生産いたしております地域の私ども一同も、たいへん感謝を申し上げる次第でございます。こうした結果をとらえまして、直ちに中央交渉を四月三日また開催いたしたのでありますが、これまた乳業者側は、依然として値上げの要求拒否の回答を変えておりません。いわゆるゼロ回答という形でございまして、いよいよもってこの交渉が長期化、難航するのではないかという様相を見せてまいったのでございます。 こういうようなことを繰り返しておってはらちがあきませんので、再びこの四月五日に、全国乳対協議会は、現時点における局面の打開が困難であるから、キロ五円以上の値上げ要求を再確認いたしますと同時に、今後の交渉をさらに地方でも強く行なうようにということで決議をいたしたのでございまして、四月に入りまして、それぞれ地方におきましても、ブロックあるいは府県ごとに交渉を行なったのでございます。 私、愛知県でございますが、私どもは名古屋市乳圏を中心にいたしまして、岐阜県、三重県、愛知県三県一致をいたしまして、このブロックをもって交渉をいたしておるのでございますが、大手四社の出先機関は、やはり中央できまらなければわれわれ工場長では何ともできないのだ、酪農家の実情はよくわかるのだけれども、ということでございます。私どものブロックにおきましては、実は四月二十五日に三県の実際の酪農家数十名が、東海農政局あるいは各府県庁の行政御当局に対しまして陳情を申し上げますと同時に、みずからの立場としては、この際ひとつわれわれも強い決意をしようじゃないかということで、いわゆる実力闘争の準備をいたしたのでございまして、これが三県それぞれ末端の酪農家まで同意されまして、これが闘争資金等につきましても、キロ十銭程度全酪農家が拠出をしようじゃないかという決議を行なって今日に至っておるわけでございます。 以上が、大体の交渉の経過でございますが、乳業者側の言い分を分析してみますと、前段申し上げましたように、現在の卸、小売り価格を値上げしない限りおまえさんたちの乳価の値上げはできないのだ、支払う金がない、こういうことを申しておるのでございます。そういうことを申すかと思いますと、一方、ある大メーカーの重役の責任者でございますが、交渉に参りますと、会社も苦しいのだ、去年は相当もうかったのだけれども、従業員がストライキの体制を組んだので、ストライキがこわいから従業員の賃金は上げなければならぬ、あなたたちに金を払うために、卸価格をもう少し上げたいのだけれども、これまた強固な卸売りの業界があってなかなか上げてくれないのだ、へたに上げると、過当競争の結果社運に関係をする、あるいはまた卸売り業者は不払い同盟と申しますか、売るだけは売ってくれるけれども、会社に金を払ってくれない決議をする心配がある、したがって価格は上げられぬ、結局、酪農家はしんぼうしてもらいたい、こういう一方的な申し方を、堂々とわれわれ酪農家の前でしておいでになる。ただいまの四大メーカーは、こういう考え方でございます。 そこで、当面の市乳原料乳価の要望でございますが、今年の市乳向け原料生産農家は、その生産に必要な労働賃金、自給飼料の生産費、あるいは乳牛自体が最近非常に値が上がってまいりまして、これらの償却費の上昇等、まだたくさんの生産要素の上昇があるのでございますが、この値上がりに対しましては、何といたしましても四十三年度に乳価の改定をいたしませんと、結局実質的には、私ども酪農家は四十三年度には乳価の値下がりを見たという結果に相なるのでございまして、何といたしましても再び酪農意欲の衰退を招いてはということで、この問題につきましては、ほんとうに全力投球のつもりでただいま私どもはやっておるのでございますが、大手のほうで何とかこれらの交渉に対しまして、いま少し弾力的な交渉の推進ができますように積極的に行政当局、特に牛乳が、ただいまの時点では、主食と一連の重要性を持っております現在、生産の促進あるいは増産に対しましては、政府の責任でこれらの問題に介入をお願い申し上げたい、御指導をお願い申し上げたい、かように思うのでございます。かつまた乳業者は、支払い能力をたてにとってゼロ回答をしておるのでございますが、これらの点に関しましても、生産者といたしましてはほんとうに一方的な態度であると思うございまして、はなはだ残念、遺憾しごくでございまして、政府の指導にまたなければ、われわれの自力だけではなかなか解決いたさないような諸要素が、現在の酪農農家の状態ではなかろうかと思うのでございます。 一般農家が、戦後農地解放やその他非常に民主的に、自主的に相なってまいっておるのでございますが、酪農に関しまする限りは、御承知のように、歴史的な酪農家対乳業者の関係がいまだ非常に強うございまして、農地解放はされたけれども、酪農に対する対乳業者との関係に関しましては、何か隷属的小作関係がいまだに続いておるような状態でございます。いわゆる心の解放がまだできていない現状を御推察いただきまして、適切な御指導、また先生方の御協力をお願い申し上げたい、かように思うのでございます。 次に、政府の市乳政策でございますが、この点について申し上げたいと思います。ただいままで申し上げましたことは、当面の価格問題でございますが、前述の乳業者側の言い分から見ましても、今後の政府のとられます市乳対策こそ基本的な問題ではなかろうかと思います。すなわち、本年の消費者価格の引き上げが、物価抑制政策の一環として好ましくないということは、一応私どもも理解できるのでございますが、今後とも物価抑制対策の犠牲で、純良な白いフレッシュ牛乳のみが小売り値段が抑圧されるということで、その結果、生産者価格が押えられるということは、政府といたしましてもはなはだ片手落ちな政策ではなかろうか、かように断ぜざるを得ないのでございます。 生乳の生産性は他の農産物に比較いたしまして著しく高まっております。多頭飼育という形態で、あるいは牧野改良等の自給飼料の生産性向上というような形態で、酪農家はそれぞれ生産性の向上に努力をいたしておるのでございまして、このことは、農林統計の資料によりましてもはっきりいたしておりまして、単位労働時間当たりの生産量の推移を申し上げますと、お手元の資料にもございますが、昭和三十五年を一〇〇といたしまして、四十一年度の数字でございますが、米の場合は、単位時間当たりの生産性は一二五と相なっております。牛乳の場合は一六七というような生産性の向上を見ておるわけでございます。したがって、生産者価格の上昇率も他の農産物、米はもちろんでございますが、その他の野菜、くだものあるいは特殊農産物の価格に比しまして、牛乳ははるかに低い上昇率でございまして、これは生産者乳価、卸、小売り価格を通じて申し上げられると思うのでございまして、その他農産物以外の一般小売り物価の上昇に比較いたしましても、低いことを私どもは信じておるわけでございまして、これは、私から自己宣伝を申し上げるより、先生方からひとつ政府に御質問をしていただきまして、十分御認識をいただきたい、かように思うわけでございます。 しかしながら、生産性が向上はいたしておる牛乳でございますけれども、なおかつコストがかさみまして、現状の乳価では耐えられない。これは、主として労働費の上昇にあるのでございますが、このことは、一般物価政策との関連におきまして論ぜられるべき問題でございまして、牛乳のみを対象にすべき問題ではないと思うのでございます。 御参考までに申し上げるのでございますが、牛乳の単位当たりの労働報酬は、これまた政府の調査でございますが、非常に低位になっております。昭和四十一年度の数字でございますが、一日当たり家族労働報酬を他の生産物と比較いたしてみますと、ミカンにつきましては三千五十二円、米の労働報酬が一日当たり二千三百一円、お茶の場合が二千八百六十三円、リンゴが千六百八十円、鶏卵におきましては千八百八十二円、牛乳の場合、酪農家の一日当たり家族労働報酬は八百七十一円と千円にも及ばない低い報酬でございます。物価抑制の一環として牛乳のみにそのしわ寄せをするとすれば、過重な労働に耐え、かつ低賃金のもとにあえいでおります酪農業は、どうして振興はおろか、まず第一に後継者がなくなるだろうと私は思うのでございまして、酪農崩壊の一途をたどるよりしようがないだろう、かように思います。 時間がございませんので、結論を申し上げたいと思いますが、以上申し述べましたような理由によりまして、政府におかれましては、生乳生産者の適正なコストと、それから先の小売りに至りますまでの一連の処理、流通経費を算定していただきまして、もしそれが現在の小売り価格を上回るのであれば、適正な小売り価格をすみやかに御指導いただくべきであり、このことは、単に農林省と申し上げるよりは、私は政府全体の責任において御検討をいただかなければならないのではないか、かように思うのでございます。こうした理にそむかないような御指導によって小売り乳価が形成されまするならば、おそらく一般の消費者も、また新聞等のマスコミも、かつまた公正取引委員会におかれましても、これは御理解をいただけることではなかろうか、かように私は思います。 以上申し述べまして、他の参考人も大ぜいおられますので、私はお願いをこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○足立委員長 ありがとうございました。 次に、山口参考人にお願いいたします。山口参考人。
○山口参考人 本日の参考人といたしまして、申し上げたい点が二点ございます。 その第一点は、当面の飲用原料乳価格の問題でございますが、この点につきましては、日高参考人からただいま詳細に御報告がございましたとおり、取引当事者相互の話し合いではもうにっちもさっちもならぬという状態に立ち至っております。このままに推移いたしますると、当然飲用原料乳地域の生産者の生産意欲は減退いたしまするし、また、現実に無契約状態で取引が行なわれておりますので、その結果流通が非常に混乱をいたしまして、ひいては国民大衆に御迷惑をかける事態が発生することが予測されるわけでございます。 なお、この点につきましては、加工原料乳価を中心にいたしまする三月二十八日のこの農林水産委員会におきまして、飲用原料乳の価格については、当面政府は適正な価格が形成されるよう指導せよという貴重な御決議がなされておるわけでございまして、あらかじめ今日の事態の発生を予期された、まことに適切な御決議であるとわれわれ感服いたしておるわけでございますので、この機会に、即時この決議を実行に移していただきたいとお願いいたす次第でございます。この決議の実行に関しまして、政府当局を御督励いただきたいのでございます。 現在の乳価の事態は、もはや一日も遷延できないような深刻な状態になっております。でき得るならばこの委員会におきまして、行政指導を行ないます日限を切りまして、また行政指導の内容を限定されまして、具体的な形におきまして政府を御督励願いたいとお願いいたす次第でございます。これが、全国の酪農民一同のほんとうに心からのお願いでございます。先生方、ひとつよろしくお願いいたします。 参考人といたしまして、次に申し上げたい点は、今後の飲用原料乳価格の形成の問題でございます。このことは、同時に、冒頭申しました当面の乳価紛争解決のための行政指導の裏づけとしても非常に重大な意義を持っておることでございますので、お聞き取り願いたいと思います。 御案内のとおり、乳価形成の仕組み、方式というものは、不足払い制度が実施されて以来と実施以前とは大きな変革があるわけでございまして、その中で特に重大な点は、乳業者との取引にあたりまして、不足払いが実施されて以来は、用途別に価格を取りきめるということになったわけでございます。従来は混合乳価と申しまして、われわれがつくりました牛乳は、一本の価格で取引されたのでございますが、この不足払い制度によりまして、大ざっぱに申しますと、バター、チーズ、粉乳、練乳等の乳製品向け生乳の価格と、牛乳としてそのままなまで飲用いたします価格と、この二つに大別いたしまして、それぞれで価格を決定せよということに法律上相なったわけでございます。このことは、従来乳業者が飲用牛乳の製造販売でもうけました分を加工原料乳地域の乳価として支払う、あるいは乳製品でもうけました利益を飲用原料乳地域に支払うという、いわゆる乳業者のどんぶり勘定による支払いというものをやめまして、最も近代的な、いわゆる製品別の取引価格をきめろという画期的な法律であったわけでございます。 しかしながら、反面におきまして、このことが今日の乳価交渉におきまして、乳業者が、飲用牛乳はいまの価格ではもうからない、したがいまして、われわれに支払う財源がないという口実を与える結果になったわけでございます。事実、乳業者の経営をわれわれはわきから見ておりますと、またわれわれ生産者団体も乳業工場を持っておる団体が幾つかございますが、そういう経営を見ておりますと、われわれがつくりましたなまの牛乳をびんに詰めまして売ります普通牛乳ではもうかっておらない。残念ながらアイスクリームとか、あるいはコーヒー牛乳とか、なまの牛乳を使用する以外の製品を売る企業がもうかっておるのが実態でございます。したがいまして、用途別取引のたてまえをとります以上は、乳業者の、飲用牛乳については支払い財源がないんだという理屈を聞かざるを得ない悲しむべき状態に置かれているわけでございます。私は、この法律は、取引の近代化を進める上においてまことに貴重な法律であると確信いたしております。したがいまして、この法律の趣旨に沿うならば、現在のわれわれのつくったなま牛乳を主原料とする普通牛乳の値上げを行ないまして、この採算を向上させまして、飲用牛乳価格の上昇をはかる以外に道はないのではないかと確信いたすものでございます。 なぜならば、もしそういうことを行ないませんと、いわゆるまじめになまの牛乳をびんに詰めております業者、特に私たち農業団体が行なっております工場は規模が小さい、いわゆる単品生産を行なっておる工場でございますが、こういったところの工場の採算性はますます悪化をいたしまして、大企業、いわゆるいろいろな製品をつくっております。コーラのような清涼飲料水をつくっておる大企業、こういったところがいたずらに利潤を得るという事態が発生するわけでございますので、今回の乳価問題にも非常に重要な影響を持つ問題でございますから、この点につきましては、先生方にとくと御理解を賜わりたい、かようにお願い申し上げる次第でございます。 次に、この乳価の仕組みの中で、不足払い制度で重用な点は、乳製品に向けられました原料乳、これにつきましては、御承知のように政府が不足払いを実施して再生産価格を保証いたしておるわけでございますが、飲用に向けられました生乳、飲用原料乳につきましては、取引当事者相互で自由に価格を取りきめる、いわゆる需給均衡価格をたてまえとしろということになっております。同じ日本の酪農民のつくる生乳のうち、片や政府の財政負担をもって補給金を出し、片や一銭も財政負担を行なわないという、一見きわめて矛盾したたえまえをとっておりますが、法律を提案いたしました当時の政府の見解といたしましては、加工乳製品が当時は非常に市況が悪かったので、加工原料乳地域におきましては、不足払いをしなければ生産の振興ができがたいという状態にあったことは事実でございまして、加工原料乳地域に比しまして飲用原料乳については、市場の拡大が今後ますます行なわれるだろう、需要がますます旺盛になるだろうという状態が現実にございましたので、この需給均衡価格をもっても十分再生産が確保し得る取引価格が実現されるんだということが前提にあったわけでございます。これが法律提案のときの政府の説明でございました。確かに当時の情勢としては、今日のようになま乳に粉乳やバター等の乳製品をまぜました、いわゆるトーンドミルクと申しますか、調整牛乳とかあるいは粉ミルク、脱脂粉乳ですね。脱脂粉乳にバターと水を混合いたしました還元乳、こういったものが出回っておりませんで、飲用牛乳とは国内の生乳が使われるものであるという前提のもとに、このような判断が行なわれたわけでございます。当時の情勢といたしましては、私はやむを得ないことかと存じますが、事実そういう状態の中で、またそういう判断が行なわれたということを御銘記願いたいと思います。 ところが、現実に現在の市場の情勢はどうでございましょうか。従来夏場のみ出回っておりました還元乳が、お手元の冊子の一九ページにございますのでごらん願いたいと思いますが、年間を通じましてコンスタントに出回っておるというのが実態でございまして、特に、最盛期の夏場におきましては、昭和四十一年度の九月の時点を見ていただきたいと思いますが、三万二千トンも出回り、全体の飲用牛乳としての出回り量の二割近くを占める数量に達しておるわけでございます。年次を比較してみましても、三十九年にはわずか一万トンに満たない還元乳の出回り量でございましたが、現在では二十四万トンと急増いたしておるのが実際でございます。この数字は農林省の発表数字でございますが、現在の市場の実態、こういうものを見、また乳製品の輸入量の増加の実態を見てまいりますと、この数字をはるかに上回る還元乳が流通していることは事実でございまして、われわれとしては、還元乳とわれわれのなまの牛乳とが市場において競合していると判断せざるを得ないのが実態でございます。 確かに、農林省が不足払いの法律を提案いたしました当時判断いたしましたように、飲用牛乳の全体としての消費は、対前年比、四十一年の一一六・六%、四十二年の一一〇・七%というぐあいに着実に伸長いたしておるわけでございますが、このような飲用牛乳市場の拡大がイコール飲用原料乳需要の拡大につながらないところに、今日の最大の問題があるわけでございます。 ところで、いまや飲用原料乳と市場において競合関係に立っております還元乳の原料とは、一体何であるかという点をお考えいただきたいと思います。これは二種類あります。その一つは、外国からの輸入乳製品でございます。お手元の冊子の二三ページの表にもございますので、ちょっとごらん願いたいと思いますが、乳製品の輸入量は最近急増いたしております。特に、還元乳の原料である脱脂粉乳の輸入量は驚くべきものがございまして、国内生産量の二・五倍以上の脱脂粉乳が輸入され、国内に流通しているのが実態でございます。また、仄聞するところによりますと、最近は還元乳の原料といたしまして、現在自由化されております乳糖、カゼインを使って粉乳を合成いたしまして、これを原料として還元乳をつくっておる、いわゆる代用牛乳をつくっておるということをわれわれ聞かされておるわけでございます。あるいはそういった代用牛乳に植物油脂を混入するという悪質業者もあらわれているやに聞いております。 このような事態を放置することは、単に当面の乳価問題だけではなく、日本酪農の前途にとってきわめて重大な問題と判断せざるを得ないのでございます。なぜなれば、なま牛乳の鮮度と芳香をもとにした健全な飲用牛乳市場があってこそ初めて、この零細な国土におきますわが国酪農の存立の可能性があるわけでございまして、それがなくしては、日本では酪農を続ける値打ちがないのでございます。この点は、先生方によく御理解をいただきたいと思います。 還元乳の原料としての第二の問題は、国内乳製品でございます。これは前の輸入乳製品に比較いたしますると、国内の製品でございまするので、飲用原料乳生産の委節的な偏差とか、あるいは一部の消費者の嗜好を充足させる意味においては理解されるわけでございますが、ここで問題になるのは、この国内乳製品の原料、すなわち加工原料乳に、政府の財政支出をもって不足払いが行なわれているという事実でございます。このことによる経済的な影響でございます。現在、加工原料乳の集乳というものは、これはほとんどが大メーカーが担当いたしておるわけでございます。なぜかと申しますると、乳製品工場というのは、飲用牛乳の製造工場に比較いたしまして、固定資産が非常に多くかかるわけでございますので、中小乳業ではこれはできがたい。こういう実態から、加工原料乳の集乳というものは、ほとんど大メーカーが掌握いたしておるわけでございます。しかも、加工原料乳には不足払いがあるがゆえに、再生産補償の責めからこの大メーカーは解放されておるわけでございます。再生産補償の責任というものは政府が負っております。したがいまして、これら大メーカーは、その当該地域、加工原料乳地域において、農民の再生産を補償する義務から解放されておるわけでございます。いわゆる、相対的には一定の利潤を保証された安い基準取引価格をもって原料乳を買い入れて乳製品をつくりまして、これをさらに市乳地域の自家工場で、飲用牛乳に化けさせて販売いたしておるのが実態でございまして、二重の利益を得ているのが実際の姿でございます。 これに比較いたしまして、中小乳業者はどうでございましょうか。中小乳業は、いわゆる事業団払い下げの外国の脱脂粉乳をもって還元乳をつくる以外に手がないわけでございます。この払い下げ価格と申しますのは、安定指標価格の上限四%以上をフロアプライスとすることに法律上なっております。したがって、常に中小乳業は大手より高い原料を使わなければならぬという実態に置かれておりまして、この還元乳の横行が続く限り、中小乳業の大メーカーへの系列化は、ますます速い速度をもって進まざるを得ないというのが実態でございまして、資本の集中化が促進される理由でございます。 このことはさておきまして、われわれ農民にとりましてもっと重大な問題は、飲用牛乳地域の農民が、不足払いの恩恵を受けた乳製品のために、市場において価格競合の関係に立たされ、脅威にさらされているという事実でございます。 以上のような観点におきまして観察してまいりますと、現状においては、市場における飲用原料乳の需給均衡価格というものは、当初の政府の予測に反しまして、とうてい成立しがたいというのが結論でございます。また、最近のように、企画庁等が物価抑制政策のしわ寄せを一方的に飲用牛乳価格にかぶせておるこういう実態の中におきましては、なおさらそう言わざるを得ないのが実情でございます。 飲用原料乳価格形成のこのような現状は、なま乳の生産、流通の面にも当然影響を与えるわけでございまして、生産の面におきましては、二一ページの表を見ていただきたいと思いますが、加工原料乳地域と市乳地域との生産伸長率にはすでに大きな偏差が生じておりまして、このままでは、市乳地域の生産は停滞の一途をたどるのみでございます。また、流通の面におきましては、一八ページの表を参考にごらん願いたいと思いますが飲用向け処理量に対しまして、加工向け処理量が急増いたしております。また、一七ページの表に見まするように、市乳化率は年々下降する傾向に置かれておるわけでございます。このため、不足払いの対象乳量は年々増加をいたしまして、政府の財政負担がますますふえるというまことにおかしな、奇怪な事態が発生いたしておるわけでございます。このことは、不足払い法制定の趣旨に全く背反した現状と言わざるを得ないのでございます。 このような、まことに好ましかざる現状に置かれておりますので、不足払い法制定の本旨にのっとりまして、この法律はまことに酪農民にとって貴重な法律でございますから、この法律の本来の精神を生かすために、飲用原料乳の価格形成の仕組みにつきまして、あらためて御検討を賜わりたいということをお願い申す次第でございます。特に当委員会におきまして、政府に対し、早急にこの検討を進めて、具体策を提示せしめるようお取りはからいを願いたいとお願い申す次第でございます。この点が、当面行き詰まっております乳価問題を解決するきめ手になると、私どもは確信いたしております。 これに関連いたしまして、具体策の内容につきまして、二、三御注文、御要望をお願いいたしたいと思います。 まず第一点は、飲用牛乳市場の健全化をはかることでございます。先ほど申しましたように、飲用牛乳市場は全く混迷におちいっております。混乱におちいっております。外国の乳製品がびんに詰められまして、なま牛乳と誤解されて飲まれておるのが実態でございます。こういう現状を一刻も早く是正いたしまして、われわれのつくりましたほんとうのフレッシュミルク、鮮度と芳香を持つ日本の国産牛乳、これをもちまして飲用牛乳市場をおおい尽くすという方針を確立していただきたいのでございます。 これには、まず第一に、現在の消費者価格の体系の問題でございます。現在、なま牛乳をびんに詰め、そのまま販売いたします牛乳を普通牛乳と称しております。それから外国の乳製品やあるいは外国のバター、これに水をまぜましてつくりました還元乳、これを加工乳と称しておるわけでございますが、消費者価格の実態を見ますると、われわれのなま牛乳を詰めた普通牛乳は二十円で売られております。また粉と水をまぜました加工乳は、二十二円から二十五円で売られており、まことにおかしな現象があるわけでございます。こういうような価格体系を改めませんと、フレッシュミルクは普及いたしません。いい牛乳が安いのでございますから、安いことは採算が悪いということでございまして、決して消費は拡大いたさないのでございます。これは皆さん方がテレビをごらんになってもおわかりと思いますが、大メーカーが宣伝する牛乳は全部加工乳でございまして、普通牛乳の宣伝は絶対いたしておりません。また、小売り店が宣伝いたしておりますのも全部加工乳でございまして、もうかる加工乳を宣伝する、売る、これは現在の資本主義社会の常道でございます。しかしながら、こういうことを放置しておきまして、こういう価格体系を前提とする限り、日本の酪農は滅びる以外にないのでございます。私は、この際、やはりフレッシュミルクを普及するためには、普通牛乳の大幅値上げを断行せざるを得ないと断ぜざるを得ないのでございます。この点をぜひ、日本の酪農百年の大計のためにお考えいただきたいと思います。 普通牛乳のマージンは、現在小売りマージンが七円四銭、加工乳は七円九十六銭、すでに一本売りますと九十二銭のマージンの差が出ております。乳飲料もしかりでございます。したがいまして、もうかるものにやはり販売努力をするというのは常道でございますので、この価格体系を改めない限り、飲用牛乳市場の健全化は絶対実現しないと断ぜざるを得ないのでございます。 次に、還元乳の問題でございますが、還元乳の問題につきましては、昭和四十六年度を目途といたしまして漸減措置をとっていただきたいのでございます。このためには、市場規制法等を御提案願いまして、法律的に還元乳の製造を禁止する以外に道はないわけでございますので、この点につきましては、長期的な計画で御検討を賜わりたいと思います。 次には、加工原料乳地域からの市乳化の促進でございます。現在、北海道では生産がおかげさまで非常に伸長いたしておりますが、北海道のなま乳は内地にほとんど流入いたしておりません。しかし、現在のように非常に輸送施設が進んでまいりましたので、これはやろうと思えばできない話ではないわけでございます。船で運べば、冷蔵コンテナ等もございますので、技術的には十分達成できる問題でございます。こういう加工原料乳地域からの市乳化の促進、飲用牛乳原料としてそのまま市乳地域に牛乳を移動することによりまして、国内全体が潤うということは火を見るより明らかでございますので、この点に対する政策を御考慮願いたいと思います。 時間がございませんのではしょって申し上げますが、次には飲用原料乳並びに市乳価格につきまして、指導価格を設定していただきたいということでございます。先ほど申しましたように、現状におきましては需給均衡価格は成立できがたいという現状に置かれております。したがいまして、こういう状態の中では、価格を決定するには、政府の指導価格による以外に道はないわけでございますので、これは当然のことであろうと考える次第でございます。また、市乳の末端価格にいたしましても、いまや準国民食糧的な位置づけになっておりますので、末端価格につきましては、需要者と供給者の価格調整をはかることが政府の責務であろうと私ども考える次第でございます。 以上の点を御要望いたしまして、時間がございませんので、これをもって参考人の供述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○足立委員長 ありがとうございました。 次に、伊臣参考人にお願いいたします。伊臣参考人。
○伊臣参考人 本日は、当社の瀬尾社長が出席するように、当初御指名があったそうでございますが、本人はやむを得ない用事のためにただいま北海道に行っておりまして、かつ、御指名を受けましたのが昨日のことでありましたので、何とも日程の都合がつきませんので、お許しを得まして、私がかわりに出席さしていただいた次第でございます。本人からも、くれぐれもよろしくおわびを申し上げてくれという電話がまいっておりますので、御了承賜わりたいと思います。 きょう、お尋ねの趣旨と申しますかは、本年度の市乳向け乳価交渉が現在どういうふうになっておるか、また、これに対してどういうふうに考えておるかということについて、大手メーカーの立場から話をしてもらいたいというふうにあらかじめ伺っておりましたので、そのような趣旨に沿って申し述べてみたいと思います。 ことしの市乳向け原料乳価につきましては、先ほどちょっと日高さんからお話がありましたように、去る三月八日の全国酪農民大会におきまして、キロ当たり五円の値上げを要求するということで、大会の当日、正式に大手四社に対して要請が行なわれたわけでございます。それに引き続きまして、酪農団体側の御要請によりまして、乳価対策委員の方々と大手四社の担当重役との間の懇談会が二回、その後同じく大手四社の社長との懇談がたしか四回、都合六回の会談が行なわれたわけでございます。私、社長クラスの会談には立ち会っておりませんので、あとから社長に聞きましたとおり申し上げますと、現在までの最終の会談におきまして、四社側が申し上げましたことは、本年度は収支の見通しが非常に暗いので、ただいまの段階では、まことに不本意ではありますが、前年度乳価にさらに上積みすることは困難である、したがって、四月から始まります本年度の乳価については、さしあたり前年度乳価を踏襲さしていただきたい、しかし、状況の変化ということもございますので、七月ごろあらためて御協議するということではどうだろうかということでございます。酪農団体側はこの回答に御不満でありまして、その後、いわゆる中央交渉と申しておりますが、それが中絶しておりますが、各府県におきましては、またそれぞれ別の立場で、各会社との交渉が行なわれておりますように報告を受けておる次第でございます。 そこで、先ほど、本年度は収支の見通しが非常に暗いということを申し上げましたが、これにつきまして、皆様方の御理解を得ますために、少し具体的に御説明いたしたいと思うのでございます。 従来、市乳事業の収益を酪農家に還元するということにつきましては、私どもは私どもなりに努力してまいったつもりでございます。現在、市乳の原料乳は、需給関係から見て不足しておりますので、これはメーカー同士の原料争奪戦が、メーカーをしてさようあらしめた、経済現象として見ますと、あるいはそういう言い方が正確かもしれないと思うのでございます。農林省の御発表の資料によりますと、東京とその周辺の県につきましての牛乳小売り価格の構成比、つまり生産者取り分、メーカー取り分、販売店取り分でありますが、構成比は、小売り価格一〇〇に対しましてメーカーの取り分、これは製造費、償却費、販売その他の諸経費一切を含むのでありますが、昭和四十二年度におきまして一七・七五%という数字が発表されております。実際の計算では、実はもう少し少ないのでございまして、一五%くらいでございますが、おそらくこれは、私どもが酪農家に支払っております契約乳価以外のいろいろな支出、あるいは販売店に対しましても、正式の卸売り価格のほかに、期日に支払いがありました場合には完納奨励金というようなものを出しておりますが、そうしたものが表に出ていないためではないかと思うのでございます。かりに農林省の御発表のとおりに一七・七五%といたしましても、このメーカー取り分は、諸外国の水準に比べると非常に低いわけでございます。 ただいまちょっと申しました数字は、昭和四十二年度のものでございますが、以前はどうであったかと申しますと、昭和三十年度はこれが二五%でございました。三十九年度には二三%、そして四十二年度はさらに下がりまして一七・七五%というふうになってまいったものでございまして、相当努力をしておるわけでございます。しかし、こういうふうに下がってまいりますと、生産の合理化もそろそろ限度にきたというような感じがするのでございまして、卸売り価格の引き上げ、先ほどからいろいろ問題が出ておりますが、これはすなわち小売り価格の引き上げにつながるわけでございますが、卸売り価格の引き上げをしないで、生産の合理化だけによって酪農家に支払う財源を捻出するということは、だんだん困難になってまいっております。生産の合理化につきましては、私どもメーカーといたしましても、今後も精一ぱい努力を続けてまいる決心でございますけれども、最近におきまする賃金の上昇、資材や運賃の上昇、これは急激に進行しておりますので、こうしたものを合理化によって吸収してまいるだけでも、実はなかなか容易ではないのでございます。 しからば、一五%というメーカー取り分で牛乳の製造、販売経費は一体ペイするかどうかと申しますと、これは、先ほど山口さんからもちょっとお話がありましたように、実はペイをしておりません。普通牛乳で赤字を出していないメーカーは、まずほとんどないのではないかと思うのであります。加工乳になりますと、大体すれすれか少し赤字くらいということになりますので、したがって、白もの牛乳全体といたしましては多少赤字ということになりまして、この赤字を、いわゆる白もの以外の製品、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳でございますが、あるいは乳酸菌飲料、発酵乳、あるいは乳業とは全く関係のないしろものでございますが、ジュース類などの黒字によりまして、市乳事業全体の収支を維持しているというのが、多少の例外はあると思いますけれども、乳業界全体の姿でございます。 こういうような状況の中で、御承知のとおり、昨年の夏ごろから小売り価格の値上げ問題にからみまして、乳飲料と加工乳の表示と成分の問題になりまして、今日に至っているわけでございます。これにつきましては、近く業者の自主規制の案が告示されるということになって一段落を見ることになってはおりますが、この問題のために、数字的に申しますと、加工乳の売り上げの伸張率が、最近非常に低下をしております。全国数字で見ますと、加工乳の昭和四十一年度の前年対比の伸び率は一二二%、二割二分増でありますが、四十二年度はこれが一〇八%に下がりました。また乳飲料につきましては、昭和四十一年度は前年対比一一一%でありましたが、四十二年度は、前年度を割りまして九四・七%というふうに低下をいたしたのでございます。この数字は四十二年度一年間を通じての数字でありますけれども、問題になりましたのが昨年夏ごろからでありますので、最近の月別の数字といたしましては、たとえば乳飲料の前年対比は、大体八五%くらいに落ちておるわけでございます。 昨年、三年ぶりで小売り価格の改定が行なわれまして、私どもこの辺で一息つけるのではないかと実は思っておったのでありますけれども、実際上は、中央交渉で協定されました酪農家に対する乳価の引き上げ、キロ六円四十銭という中央協定であったのでありますが、実際上は、各地の事情によりまして、各府県ごとに乳価の上積みが行なわれました結果、この金額をかなり上回りました。また、ただいま申しましたように、加工乳あるいは乳飲料等の比較的採算のいい商品が、売れ行きが著しく低下をいたしたために、収益関係が非常に悪くなっているわけでございます。 こういう経過をたどりまして、昭和四十三年度に入ったわけでありますが、加工乳、乳飲料の売れ行き減退、これは先ほども山口さんからお話がありましたように、普通牛乳の赤字をそうした商品によりましてカバーしているということが現実の姿でございますので、もし現在のような姿のまま進行いたしますと、四十三年度の収益は、四十二年度よりもなお悪くなるということが予想されるわけでございます。実は、昨年どおりの乳価をお払いいたしますことにつきましても、なかなか容易でない実態でございまして、私はこれにつきまして、もし事実に相違するとお思いになるならば、農林省で会社の経理をごらんいただいてもさしつかえないということを申し上げておるわけでございます。 こういうことを言われる方があるのであります。小売り価格の改定が行なわれた年は、確かにかなり大幅の乳価の引き上げが行なわれるんだが、小売り価格の改定が行なわれなかった年でも、メーカーは企業努力で何がしかの乳価を上積みしてきたのではないかということを言われる向きがあるのでありますけれども、ことしの乳価交渉にあたりまして、残念ながら、先刻申し上げましたような不本意な回答をいたしております理由の一つは、ただいま申しましたように、加工乳、乳飲料の急激な売れ行きの減退という、きわめて特異な事情の発生によるものでございます。 さらにもう一つ、本年度におきます特殊な事情を申し上げますと、私どもは企業経営のあり方といたしまして、事業の種類別にそれぞれ独立採算が望ましい、独立した収支を維持することが望ましいことは考えておりますけれども、ときによりましては、あるものの赤字を他の収益部門の利益によって穴埋めをするということもまた可能でございます。そこで、しからば市乳事業の赤字を他の収益部門の黒字で補うことによりまして、市乳向け原料乳価の引き上げが可能ではないかということが考えられるわけでありますが、たとえば、私どもの会社を例にとりました場合に、北海道を主要な地盤としております関係上、売り上げに占める乳製品の比重はかなり高いのでございます。しからば、この乳製品事業のことしの収支の見込みはどうであろうかということにつきましてちょっと申し上げたいと思いますが、昭和四十三年度の加工原料乳に対する基準価格は、前年対比キロ一円七十九銭アップに決定をされました。これは政府の御決定でありますので、私ども経営のいかんにかかわらず引き上げなければならない乳価と考えておるのでありますが、これに調整粉乳向けの原料乳価、これは基準価格にスライドするのが従来の慣例になっておるわけでありますが、これの引き上げ分を合算いたしますと、私どもの会社の場合だけで、その金額が十億以上になるのでございます。私どもの年間の計上利益が約十五億でございますので、これは相当な負担になることを御了解いただけると思うのでございます。 しからば、現在の乳製品の市況はどうかと申しますと、御存じのとおり、ここ数カ月以来市況ははなはだしく低迷しておりまして、指標価格すれすれあるいは多少下回っておるのが現状であります。多くの乳製品メーカーは相当の在庫をかかえておりまして、これに対する金利負担あるいは倉敷料の負担も少なくないわけでございます。それに加えまして畜産振興事業団もまた多量の在庫をかかえておりますので、現在の乳製品市況がにわかに回復するとは考えられないのでございます。そうなりますと、本年度の乳製品事業の収益の見通しもまた暗いわけでございまして、乳製品事業の収益に期待することも、現状においては困難でございます。 しからば、この際市乳の卸売り価格を引き上げまして、乳価引き上げの財源を捻出したらどうかという問題が出てまいるわけでございますが、卸売り価格の引き上げは当然小売り価格の引き上げに結びつくわけでありまして、これまた現在の客観的な状況のもとでは至難なことであります。これにつきましては、時間の関係もありますので、あえて御説明を申し上げません。 私どもは、酪農家の乳価引き上げの御要請と、小売り価格引き上げに対する世論の強い抵抗との間に板ばさみになりまして、乳価引き上げの財源に苦慮しておるというのが現状でございます。 酪農団体の方々の乳価引き上げの御要求も、表面上はキロ五円ということになっておりますが、実際の交渉過程では、せめて保証価格の引き上げ幅の二円十三銭くらいは何とかならないだろうかというお話も出ておりまして、私どももお気持ちは十分理解をしておるのでございます。と申しますのは、昨年は小売り価格の引き上げに財源を求めまして、かなり大幅な乳価引き上げが実行されましたけれども、一方加工原料乳に対しましては、昭和四十一年度から政府によって支払われることになりました保証金などを考慮いたしますと、市乳原料地帯の酪農家の方々としては、相対的にどうしても割りが悪いとお考えになるのが当然だと思うのでございます。しかも、本年度さらにその保証金がキロ二円十三銭引き上げられたわけでありますので、せめてその程度はこの際上げてもらいたいとお考えになるのは、無理からぬことと考えております。 また、私どもの営業面から考えましても、昨年は大幅な乳価引き上げが刺激材料になりまして、本年に入りましてから、幸いに市乳地帯の生乳生産がやや増大してまいったのでありますけれども、今後の需要の伸びを考えますと、まだまだ不足でございますし、乳価の引き上げによりまして、さらに一そう増産に刺激を与えるということは必要と考えております。これは国の酪農政策の立場から見ましても、同様であると思うのでございます。しかし、かりに市乳向け乳価の引き上げ幅を保証価格の引き上げ幅同様キロ二円十三銭といたしましても、大手三社の負担は約三十五億円に達するわけでありまして、これはほぼ三社の総利益に相当するものでございます。しかもそれに、先刻述べました加工向け原料乳の乳価の負担増が加わりますので、これは、私どもの誠意というようなことだけでは解決できないわけでございます。 そうなりますと、現状では乳価引き上げの財源は、小売り価格の引き上げに求める以外にないのでありますけれども、小売り価格の引き上げは、牛乳が主食に次ぐ国民食糧となってきております現在、消費者の抵抗が非常に強くなってきておりますので、容易に実行できないようになってきております。 一方、政府におきましては、昨年、従来行なってまいりました牛乳の小売り価格に対する指導を廃止いたしまして、いわゆる自由価格形成という考え方を打ち出されておるわけであります。しかし、政府全体としての御方針としては、依然物価引き上げ抑制の措置をとっておられます。先ほど委員長から、忌憚なくというお話がありましたので忌憚なく申し上げますが、昨年の小売り価格の引き上げにあたりましても、政府の高官の方から、それを抑制するような御趣旨の発言もあったのでありまして、消費者の抵抗と相まちまして、メーカーと販売店は袋だたきのようなかっこうになったわけでございます。 特に、牛乳という商品は、各メーカーの製品の内容につきまして、少なくとも大手に関する限りはほとんど差異がございません。卸価格にいたしましても、小売り価格にいたしましても、自然に同じ価格に落ちつき、また落ちつかざるを得ない性格を持っているということにつきまして御理解を得たいのでありますが、このようなことを現象的に見ますと、公正取引委員会としては、談合が行なわれたのではないかという疑念を持たれまして、捜査に入るということになるわけでございます。現に、都県の牛乳小売商業組合連合会の段階で、三カ所で独禁法違反の告発を受けまして、現在審判中でございます。一体このような環境のもとにおきまして、市乳向け原料乳の適正な増産を達成するに足る小売り価格の自由なる形成というものが、はたして実際問題としてできるかどうかという点につきまして、御説明をわずらわしたいのでございます。 欧米の酪農先進国におきましても、おそらくこうした実際上の経験から生まれたのだと思いますが、原料乳価と小売り価格との間において、ある関係を維持できるようなルールを政府において設定されておりますのが一般でございます。わが国におきましては、欧米諸国以上にこのルール設定が必要だと思うのであります。 その理由は、欧米の酪農先進国におきましては、現在すでに需要の増加が停滞しておりますが、わが国の場合は、国の食糧政策として、特に市乳原料乳の増産が必要であるということが第一点。さらに第二点といたしましては、生乳の増産のためには、乳価と米価との間に一定の均衡を保つことが必要でありますが、米価の決定につきましては、政府の御決定にゆだねられておるわけであります。第三番目といたしましては、同じ生乳の中で、これも山口さんから御指摘がありましたとおりに、加工原料乳に対しては、すでにルールが設定されているのに、市乳原料乳に対してルールが設定されていないということでございます。これが市乳地帯の酪農民に、その将来性につきまして不安感を持たせることになり、結果として、最も必要だと政府自身が考えられております市乳向け原料乳の増産をはばむということになるのでございます。 市乳向け原料乳価に関する紛争は、決して本年限りの問題ではないと考えるのでありまして、どうかこの際政府御当局におかれましても、この問題を抜本的に解決するために、乳価と小売り価格とを一定の関連のもとに同時に調整し得るようなルールの設定につきまして、すみやかに御検討の上御実施いただきまして、酪農家が安心して酪農に精進できるよう、また、私どもも乳価闘争といったようなことについて労力を空費いたしませんで、メーカーとしてよりよい製品をより安くつくるという本来の任務に専心できるようにさせていただきたいのでございます。 以上、お願いをつけ加えまして、私の公述を終わります。御清聴いただきましてまことにありがとうございました。(拍手)
○足立委員長 ありがとうございました。 次に、高梨参考人にお願いいたします。
○高梨参考人 私、全国に二千軒以上ございます中小乳業の経営者の一人としまして、本日乳価の問題につきまして、この席上でお話をすることの機会を得ましたことを、たいへん感謝いたしております。私ども中小乳業は、先ほど来いろいろお話がございました中にもございますように、ほとんどが牛乳が中心でございます。その牛乳の値段の問題で、きょうここに申し上げる機会を得ましたので、時間の許す範囲で申し上げたいと思います。 市乳の全体の消費の中で、私ども二千軒が受け持っております牛乳は、四〇%ぐらいの量が常に出されております。歴史から申し上げましても、牛乳の仕事が企業化されましてから百年くらいはたっていると思いますが、その中でわれわれは、五十年以上経験した者が、ただいま第一線で牛乳の仕事に取り組んでいるわけでございます。その点が、大手乳業者の方とは違うわけでございます。自然、ただいま問題になっております乳価の問題につきましても、われわれは生産団体の方々、特に生産者の方々と、取引上庭先で話をしております。あまり問題がございません。 と申しますのは、昨年の乳価の改正のときの例を参考に申し上げますと、キロ当たり小売り価格が六円四十銭全国で上がったわけです。メーカーの手取りと申しますか、メーカーが一合について三十銭利幅がふえる計算が出たわけです。私どもは当時の生産事情から、やはり庭先で話をするような環境からも、この三十銭を差し上げているわけです。ですから、標準よりも三十銭高く買っておるわけです。そういうようなことで、取引関係はたいへん円満にいっておるわけでございますが、今回の値上げの問題、これはその上にまた価格が上がるわけです。そういうことは、われわれの仕事の中でいろいろ合理化をやっておりますが、その合理化の中で今度は処理ができない。といいますのは、われわれ二千軒の中には、販売店を持っていない業者もございます。しかし、大多数は販売店を持っております。大手の方と同じ方法でやっておるわけです。そういうような関係もありまして、卸価格の改正が、いまの販売の事情から、あるいは消費者の事情からいってもたいへん無理な点が多いようです。結局、販売価格が上がらないと、現在の取引価格よりも乳価を上げることができない状態です。 われわれの仕事の中で、先ほど山口さんもちょっと申されましたが、白ものでは損だ。国の予算の中で、牛乳になってから一番たくさん予算を使っておりますのは、これは御承知のように学校牛乳です。この学校牛乳を受け持っていますのは、私ども中小のものでございます。大手の方ももちろんやっておりますが、中小の比率が高いわけです。その学校牛乳の卸販売価格というものは、白ものよりもむしろ悪いわけです。ですから、何とかしなければわれわれの経営は立たないわけです。結局、よけい働いているわけです。ただ、よけい働くことが続くといいますのは、われわれはこれ専業でございます。先ほど申し上げましたように、大多数の者が二代もこの仕事を続けているわけです。まあほかに商売がないということで、たいへんまじめにやっております。経済にはいろいろ事情がございますが、いまの事情から申し上げますと、まじめにやって精一ぱいやっても乳価が上げられない。これは、どうしても市乳に対する原料の購入制度と申しますか、指定団体を通じましてのいろいろの動きの中で、われわれがやっていけるような方法を先生方にお考えを願い、国会でおきめ願って法文化していただきたい。どうも中小は割りの悪い部分をやっております。しかしながら、やっておる仕事はなかなか重要です。学校牛乳も相当高い比率やっております。それから白牛乳にしましても、品切れのないような経営をしております。これがやっていけることが、やはり業界の発展、ひいては牛乳を、食糧を通じての重要性の中でも十分考えていただきたいと思います。 大手の方は乳製品の仕事だけでなく、あらゆる部門の仕事に多角の経営をなさっているわけですが、われわれは学校牛乳とか、団地牛乳とか、わりあい利益の少ない牛乳をやっている点で、なかなか経営が骨なことは前から申し上げているような次第でございます。 指定団体の制度ができまして、各県に指定団体が設立されたわけでございます。それで原料の用途別の内容につきましてもなかなか問題がございます。われわれがその原料をたやすく入手することは、やはり量の少ない関係、それから地域のいろいろな事情もございまして思うようにまいりません。それで、私のいま経営しております工場の最近の経営事情、これを申し上げて参考にいたしたいと思います。 私のところは横浜で工場をやっております。現在、一日の処理数量が三百石前後でございます。三十万本ぐらい詰めているわけです。そして原料は、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、長野県まで行って買っております。わずかな原料を集めるのに、どうしてそれだけの区域を回らなければならないかということに、中小乳業の悩みがございます。販売のほうでは、大手の方と中小のわれわれが一緒になりまして競争が行なわれている中で、われわれは、常にお得意さんの争奪の中で苦労が絶えないのでございます。やはり宣伝の届いた大手の牛乳がいいようなことになっているわけです。ところが、中小といえども、私どもいまやっております仕事の中で最高の技術者を養成しまして、そうして製品も規格に合っているわけです。ただ、総合経営とわれわれの差がそこに出ているわけでございます。 そういうような経営を続けまして、大体一年の売り上げが十六億から十七億あるわけでございますが、毎年従業員を一〇%ぐらい人員で減らしております。給料では逆に一二%ぐらいふやしております。そして配当も一割やっておりますが、働く時間は、一般の標準よりも、私はじめ相当長い時間働かないとその仕事がうまくいきません。そういう苦しい経営の中で、乳価を上げることはできませんが、牛乳の仕事を横から縦から御研究願うと、われわれの規模でも、方法いかんによっては今後十分できるという結論が、いろいろな角度から出るのでございます。と申しますのは、ほかの産業と違いまして、一つの工場の大きさといいますのが、いま申し上げました私の経営している工場が、大手、中小入れまして大体標準の上の大きさでございます。そういう牛乳の特殊性といいますのは、地域地域の輸送その他の事情がございまして、その地域の要求にこたえる大きさが、適当な工場の大きさということでございます。今後、いろいろの仕事の中で、原乳の流通の面について、中小に、いままで以上の方法で原乳の入手ができるようなことが願えますれば、今後、生産者の方の要求されております乳価の問題等につきましても、いまよりも一歩努力をして、御期待に沿いたいと思っております。 何ぶんにも中小は力の弱い点が多いわけでございまして、金融の面その他にもいろいろ御援助いただきたいと考えております。 以上でございます。(拍手)
○足立委員長 ありがとうございました。 以上で、参考人の御意見の開陳は終わりました。 参考人各位には、御多用中にもかかわらず長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 —————————————
○足立委員長 引き続き農林水産業の振興に関する件、特に乳価問題について質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ツ林弥太郎君。
○三ツ林委員 ただいま参考人の方から種々述べられたところでありますが、ことに飲用原料乳の価格につきましては、生産者と乳業者との間で交渉中でありましたが、現在決裂といいますか、停とんいたしまして、参考人の言われますとおり、メーカーには財源がない、また現行価格に上積みすることは困難であるという一点ばりであります。また、農林省におきましては行政介入の意思はないということで、重大な段階にきていると思うのであります。 そこで、それらに関連して逐次御質問いたしますが、まず、わが国の酪農にとって、最近ことに心配いたしておりますことは、なま乳生産の伸びが鈍くなっており、乳製品輸入が急増していることであります。三十八年度までは前年比一〇%台でふえてきたのが、三十九年度以降は一けたでしか伸びない。四十二年度は四・六%増で、戦後最低である。このように、なま乳生産の伸び率が三十九年度以降減少してまいりましたのは、どこに原因があると考えておりますか、これをお伺いいたします。
○岡田(覚)政府委員 お話しのように、わが国の牛乳の生産は、三十八年までは一〇%をこすというふうな高い伸び率で成長しておったわけでございますが、三十九年以降伸び率が減退してまいったわけでございます。この第一の原因といたしましては、当時においては、酪農生産におきます収益性が、他のものに比べて必ずしも高くなかったというふうな事情が一つございます。特に、酪農生産の中で合理的な経営と考えられます多頭飼育が逐次進展いたしてまいりまして、乳牛の頭数もふえておったわけでございますけれども、一方で、脱落いたします零細農家のものを、十分吸収しなかったというふうな点があろうかと思います。第三の点といたしましては、牛肉の需要の増大に対して供給が十分でないということから、牛肉の価格がかなり騰貴をいたしたわけでございます。そういうふうなことで、乳牛の屠殺が進行してまいったというふうな点があるわけでございます。いろいろな事情があるわけでございますけれども、主として以上の三つの事情が、大きく影響しておるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 これに対しまして、不足払い制度の実施でございますとか、あるいは昨年の乳価の改定でございますとか、あるいは酪農振興特別事業の実施でありますとか、いろいろな施策が行なわれました結果として、四十二年の九月ごろから急速に生産の回復が見られるようになってまいりました。昨年の十二月から、大体、対前年同月比としまして一〇%をこえるような伸び率が続いておりまして、最近におきましても、なおそういうふうな情勢が続いております。われわれといたしましては、このような情勢が、今後も引き続いて行なわれることを期待いたしておるわけでございます。
○三ツ林委員 先ほど参考人から強く言われておったわけですが、乳製品の輸入が、たまたま加工原料乳不足払い制度が発足した四十一年度以降急増した。四十二年は学校給食用、飼料用以外の脱脂粉乳が三万一千トン、バター一万七千トンと、四十年に比べ十二倍、二十六倍の輸入で、他の乳製品も軒並み急増している。このような輸入増加は、もちろん国内のなま乳生産が停滞したためであろうと存じますが、不足払い制度が発足してから急増した結果になっているのはどういうわけか。いまの話とちょっと違うと思うのです。 また、国内の加工原料乳地域のなま乳生産を保護するための不足払い制度がありながら、一方では乳製品輸入が大幅にふえるということはどういうふうに理解すべきであるか、承りたい。
○岡田(覚)政府委員 お話しのように、四十一年から脱脂粉乳、バター等の乳製品の輸入が著しく増大するという結果が出ておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、三十九年から生産の伸び率が停滞をいたしてまいったわけでございまして、それが結果として極端に出てまいったのが四十一年ということになるわけでございます。たまたま不足払い制度が四十一年から発足をいたしたわけでございますけれども、この不足払い制度が出発いたしましたのは、まさに三十九年以降そういうふうな事態が出てまいっておることに対処いたしますために、不足払い制度ができたものだというふうに思っております。したがいまして、不足払い制度の結果としまして、輸入が急増したという事実はないというふうに実は考えております。先ほども申し上げましたように、不足払い制度ができましてから、実施の結果効果があらわれてまいりますのは、やはり若干時間的なずれがあるわけでございます。そういうふうな点から考えてみまして、四十二年の後半から生産がかなりふえてまいっておるというふうに私たちは考えておるわけでございます。
○三ツ林委員 次に、なま乳生産の伸びが鈍化してきた根本的な理由は、生産費の上がる一方、これに見合って適正な価格が保証されてこなかったことにあると思う。加工原料乳については、幸い国の保護によって、一応再生産確保の保証価格制度がありますが、飲用原料乳については全然保護がない。生産者団体は、飲用原料乳価格についてキロ五円以上値上げを要求しているが、生産費の値上がりからすれば当然な要求であると思います。加工原料乳地域の生産費は、前年度より五・三%上がったことを認めて、キログラム四十二円五十二銭の保証価格がきまった。飲用原料乳地域でも、当然生産費は上がっているはずであります。最近の統計調査部の調べ、本年二月と前年二月の対比によっても、なま乳生産費としては五ないし六%の値上がりになっているはずであります。飲用原料乳地域のなま乳生産費の値上がりについて、どのように考えておりますか。
○岡田(覚)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、加工原料乳につきましては、御承知のように、交易条件が非常に不利であるというふうなことで、再生産の確保がむずかしいということでございまして、そのために、四十一年から不足払い制度が実施されたわけでございます。飲用原料乳につきましては、消費というものは今後相当拡大していく、そういうふうな事情のもとにおいては、自然の自由な価格形成のもとにおきまして合理的な価格が形成される、また市乳化の促進がされるというふうなことが考えられまして、特に価格制度というものは考えず、自由な取引の価格形成のもとにおいて実現ができるというふうに考えておったわけでございます。四十一年、四十二年とそういうふうな価格形成ができてまいったというふうに思っておるわけでございますが、たまたま本年度の市乳原料乳価格につきましては、メーカー側と生産者側との話し合いが進んでおるわけでございますけれども、まだ結論を得るに至っていないというふうな状態でございまして、われわれといたしましても、この両者の話し合いがつきまして、適正な価格が形成されるように努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○三ツ林委員 そこで、なま乳生産費が値上がりしているのに、価格は従来どおりであるということになれば、農家は、現在の生活水準を下げるか、または生産を縮小するか、ほかに手がなくなってくるわけであります。米に次ぐ第二の国民の食糧であります牛乳の生産を放置しておくわけにはいかない。幸いに農林大臣おいででありますので、このようなことについて、先ほどメーカー側におきましても、生産者の実態はわかる、要求は無理からぬことだ、こういうふうに言っているわけでありますし、また、種々の条件があるために上げにくい、こういうことであります。しかし、栄養価の高い、国民生活上一番大事なものについては、国民に安く供給するというのはけっこうでありますけれども、それをつくる生産者農家のみにしわ寄せをさせてしまっている、そういうふうな農政といいますか、これは、国としても非常に大きな問題だろうと思います。そこで、そういうふうな事柄について、農林省、いわゆる政府はどういうふうにお考えであるか、ひとつ大臣にお聞きいたします。
○西村国務大臣 ただいまお話がありましたように、なま乳の問題は、食生活が変わってまいりまして、米に次ぐ国民の関心の強い食糧である。これは全く同感であるし、また、将来の方向として、私らも十分その方向づけというものをやっていかなければならぬ。そのために酪農振興というものを基盤的にやっていかなければならぬ、これがまず基本的態度だと思います。ただ問題は、それを価格の面だけで是正し得るかどうかという問題が一つあるわけで、基本的にはやはり酪農振興というものが必要だろう。ただし、それには時間が少しかかるであろう。どうしたって時間がかかる。これは御了解願えると思う。 そこで、当面酪農をやっておられる方々の間で、四十一年から加工原料乳については不足払い制度というものをつくったが、片方なま乳につきましては自由価格で、その間において詰め合っていこう、こういうことでありますが、昨年は、御存じのような経過を経て、小売りの段階まで含まれてこれが最終解決を見た。ただ、こういう状態を繰り返し繰り返しやっておるということは、酪農振興という国民主食を保つ上には非常に残念なことであるから、私は基本的なものをできるだけ早く確立する、あるいはそれの実効をあげるようにまず努力してまいりたい。 それから同時に、今度は価格制度でございます。そこで、さしあたり当面の問題としては、保証価格はきまったのでありますから、今度は市乳のほうに対する問題を、当面県の段階で詰め合っておる。これが全然ストップしたわけではない。詰め合うのに、お互いにそれぞれの利害の中から解決していかなければならぬ。これにつきましては、できるだけ私らのほうも大局に立ってごあっせんいたし、あるいは県の段階におきましてもあっせんしていくように努力をしてまいりたい。もちろん、それ以外に将来に向かっての価格の問題を、やはり生産の増強だけでなく考えられなければならぬ。市乳の価格問題につきましては、われわれも今後さらにすみやかに検討を加えて、毎年こういう状態が少しでも繰り返されぬように一そうの努力を続けていきたい、こういう考えを持っております。
○三ツ林委員 この価格につきましては、将来にわたっていろいろ考えるという大臣のお話でありますけれども、当面、御案内のように、飲用原料乳の価格について、ストップということでなく詰め合っておる、こういう話でありますが、実際問題としてはもう行き詰まっておるというようなことで、先ほどお話しいたしましたとおりに、上積みは困難であるとか、メーカー側の一点張りの実は状態にあるわけでありますので、この問題についての事情等につきましても農林当局も御存じだろう、かように考えておるわけでありますが、当面この問題を打開するのに、行政庁として積極的に行政指導といいますか、それに入る意思があるかどうか、これをひとつ承りたいと思います。
○西村国務大臣 一番端的な、前にやりましたような指導価格をぴしゃっとつくれという御要求も、私は耳にいたしております。ただ、そういうような形でいくには、少し最近の経緯というものがあります。そこで、そういう形ではないにしても、私のほうとしては、この問題は大事な国民の食糧であり、同時に酪農というものは、非常に苦労な生産であろうと思います。そういう意味で、できるだけ前向きにごあっせん等は努力をしてまいりたい、こういう気持ちは十分持っております。
○三ツ林委員 時間等の都合で、以上で質問のほうはやめますが、衆議院の三月二十八日の決議等もございますので、この問題が早急にひとつ解決できるように農林当局に要望をいたしまして、以上で終わります。
○足立委員長 美濃政市君。
○美濃委員 私は本年に入りまして、還元乳あるいは加工乳等の出回り状況、それから農業総合パリティの上昇によりまして、生乳生産価格を上げなければ生乳の生産は破壊される、こういう現実に立ちまして、本委員会におきましてもすでに三月二十八日に三項にわたる決議をして、その強力な実行方を要請してきたわけであります。その結果、私どもの見ておる範囲では、あの決議の趣旨に基づく政府、農林省の行政指導措置は、非常におざなり、緩慢に過ぎてきたのではないか、こういうふうに見受けておるわけですが、まず第一にこの点につきましてどのように——将来の問題は別といたしまして、この三項のうち、特に当面適正な乳価が形成されるよう指導を要請したわけですが、この指導に対する考え方、それからとった措置につきまして御説明をいただきたいと思います。
○岡田(覚)政府委員 先ほど参考人からも、乳価交渉の経過のお話があったわけでございますが、三月末ごろから交渉が始まったわけでございますが、私どもといたしましても、市乳の原料価格が適正にきまるということが、酪農振興の上からいってきわめて望ましいことでもあるし、必要なことでもあるというふうな観点から、両者のあっせんにできるだけつとめたいというふうなことで、それぞれ乳業関係者あるいは生産者等につきましてその意見を聞きながら、両者の数度にわたります交渉等につきましても、常に話し合いが円滑に進行いたしますように努力をいたしてまいったわけでございます。努力をいたしてまいりましたけれども、先ほどお話がございましたように、乳業メーカーのほうは支払い余力がほとんどない、こういうふうな意向でございますし、生産者のほうはキロ当たり五円の値上げ、こういうふうなことで、両者の間に非常な意見の懸隔がございまして、なかなか詰まるというところまでまいらなかったわけでございます。何とかしてまとめるということで、私たちも御援助を申し上げたわけでございますけれども、残念ながらそこまでまいらなかった。したがいまして、中央におきまして統一的に基本的な考え方をまとめるということはむずかしいというふうな判断を、生産者側においてもまた乳業者側においてもされておったわけでございます。したがいまして、生産者側におきましては、中央段階の交渉はストップいたしまして、地方におきまして、取引当事者の間で直接交渉するというふうなことになったわけでございます。 そこで、われわれといたしましても、各都道府県で取引当事者間の話し合いが円滑に進行いたしまして、適正な価格形成が行なわれるよう積極的な指導をいたすようにということで、各県に依頼をいたしておるわけでございます。御承知のように四十一年におきまして、ちょうどことしと同じような事態がございました。中央では統一的な方針がきまらなかった。それはやはり取引当事者の間で話をする以外にないということで、四十一年に行なわれたわけでございまして、その際も、都道府県が積極的にあっせんにつとめたというふうな経験もございますし、都道府県といたしましても、できるだけ過去の経験等も生かしながら、積極的に協力するということの態勢になっておるわけでございます。われわれといたしましても今後におきましても、必要に応じて努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○美濃委員 ただいま起きておる状態は、無契約取引の状態が起きておると私は思うわけです。それは農業は弱いですから、毎日生産される乳を投げるわけにいかないですから、意識的には全く不満足な中で言いなりで取引がされておる。公正な取引状態とは言えないと思うのです。ですから、意識的にはかなり紛争状態である、こう私どもは言えると思うのです、この取引関係は。そうすると、酪農法二十四条の農林大臣の紛争調停の項目から見て、二以上の県にまたがるものは農林大臣が調停する。それは、「生乳等の取引関係に悪影響を及ぼすおそれがあるときは、」となっております。現時点におけるこの取引関係は、大きな悪影響が起きてきておると言わざるを得ぬと思うのでありやすが、この調停事項から見ても、単に話し合いがつかぬから地方でする、こう言いますけれども、現在の集乳体系を四大メーカーが掌握している以上、私どもの感じでは、この交渉が、地方へ移って解決されるなどとということは想定できないわけですね。 なお、全国畜産課長会議ですか、その会議で、これは私どもは会議に出席していないのですから、あるいは誤報かもしれませんが、生乳問題にあまり深入りし過ぎるな、あるいは、相なるべくは再調停あっせんを本省へ持ち込んでこないようにというようなことが、その会議の席上で口頭で示達されたというふうに聞いておるのですが、その事実はどうですか。
○岡田(覚)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、私たちは本問題を積極的に解決しようという前向きの姿勢で対処いたしておるわけでありまして、畜産課長会議におきまして最近の情勢を話しまして、県のあっせん方について話をいたしたわけでございまして、それにつきまして、ただいまお話がありましたような事実は全くございません。われわれとしましては、いかにして積極的に解決するかというふうな考え方で、県に話をいたしておるわけでございます。
○美濃委員 次にお尋ねしたいことは、生産者団体から要請書がきておりますが、たとえば、この要請書のとおりキロ五円上げて、集送乳経費を含めて六十六円二十三銭、こう仮定しても、現在の日本の物価、この中での牛乳という商品価値、カロリー計算をするとこれは決して高いものではないと思うわけです。もう一つは、こういう問題が派生してくるのは、これは前にも私は申し上げておりますが、いわゆる景気を刺激する放漫財政から派生する通貨インフレに原因があるわけであります。その原因を、いわゆる国民の主食に次ぐ大切な食糧であるといいながら、先ほども申し上げた農業の総合パリテイが、御存じのように経済企画庁で発表しておるように上がる中において、生産農民の生産価格を上げなければ、その部門の生産は崩壊する、これははっきり言えるわけです。片や国民の中に、こういう問題をめぐって不信感を伴う論争が行なわれているということ。これは大臣にお聞きしたいわけですが、政府としてはこういうことを意図しておるのですか。これは、非常に国家社会がよくなるいいことだとお考えになっておりますか。どういうふうにこれを見てお考えになっておるか、これをお伺いしたいと思います。
○西村国務大臣 先ほど申し上げましたように、飲用乳の国民生活の中におけるウエートというものは、これは上がってくる。また、上がってくるということは私はけっこうなことだと思う。したがって、問題は、この基盤というものを一日もすみやかに強化する、これには私どもも特に力を入れてみたいと思っております。ただ、これは時間がかかります。したがって、その間に生産農民の立場において再生産確保であるとか、特に私は、酪農の生産者の労働というものはなかなかたいへんなものだということは、よく理解しているつもりでございます。ただ、現行の制度において、御存じのとおり片方に不足払い制度があり、片方は自由価格である。そしてメーカーと生産者の間に、利害が相反する問題があって対立をしておる。それから一方におきまして、確かにおっしゃるように一般の国民の生活を守るというたてまえからいけば、経済の総合的な観点から物価を安定させていくという大きな問題をかかえておるということ、これはどなたも一致しておるところでございます。しかしその中において、やはりあるべき姿というものはおのずから考えられると思います。牛乳の価格があまりにも生産費を割ってまで国民生活の中で飲め飲めと言ったって、これはつくる人がいなくなるし、そこのところが価格政策としては非常にむずかしい段階だと思います、正直に申し上げまして。 そこで、私は、毎年こういうことを繰り返さないような方向で経済政策そのもの、酪農基盤そのもの、こういったものを強化していくと申しますか、経済政策の運用を気をつけながら、さてその中においての当面する市乳価格をどう解決するか。そこで、おそらく皆さんの中には、不足払い制度を広げたらどうか、こういう御意見も一つの御意見としてはあり得ると思います。しかし、今日の段階において当面する事態を解決して、国民の、あるいは生産者の、また企業をやっているメーカーの、とにかく仕事というものを円滑に進めさせるということが大事なことでございます。 そこで、いまの制度の中では、私としては地方の段階で詰め合っていただくことも必要だが、同時に私としても、担当の局長以下督励いたしまして、できるだけ前向きと申しますか、積極的にこの詰め合いと申しますか、話し合いをやってまいる。それでもまだ解決がつかない、それはまた別にいろいろな場面も出てくると思いますが、とにかくその努力を重ねてまいりたい、こう思います。
○美濃委員 もちろんこの生産対策の強化、これは日本の酪農振興の長期展望に立ってやる、これは大臣のお話しのとおりと思うのですが、当面するこの問題はこの問題なりにすみやかに解決しないで、先のことばかり言っておっても現実がどうにもならないわけですから、現実のこの問題はこの問題で、先行きの振興対策は振興対策として、別の角度で、この問題は緊急措置として、当面対策を必要とするという観点に立たねばならぬと思います。 その中で、飲用乳の末端指導価格という行政措置を、これはやめておりますが、なぜこれをやめたのか。やはりこういう一貫した体制の措置なしに、単に酪振法の二十四条の規定で農林大臣が紛争調停をする、こういっても、一貫した行政指導体制の上に立ってものごとを処理しないと、メーカーに振り回されて、農林大臣としての権威も指導力もない、指導措置もない中で、ただ会合の場所をあっせんしたりなんとかかんとかと意識的なことを言うておったって、現実の解決の方法はないのではないか。そういうふうに考えると、指導価格等をいかなる理由で廃棄したのか、こういう点を明らかにしてもらいたい。同時に、これを復活する用意があるかどうか。こういうものを復活して、一貫指導体制と行制指導措置をあわせてやっていかぬと、場所を提供して両者の言い分を聞いておる範囲だったら、いつまでたっても解決せぬと思います。さらに話し合いを進めると言っても、これでは七月になったって解決のめどはつかぬと私は思います。
○岡田(覚)政府委員 昨年指導価格制を廃止して、自由な価格形成が行なわれるということにいたしました結果、二円の値上げが行なわれたというふうな状態にあるわけでございます。やめましたのは、三十九年のときに指導価格を出したわけでございますが、そのときは、非常に小売り価格が暴騰するというような事情もございまして、それを適正に押えるというふうなことで、三十九年の指導価格は出したわけでございます。 指導価格につきましては、国民生活審議会等いろいろな機関におきまして議論が行なわれまして、必ずしも妥当でないというふうなことが勧告として出されておるわけであります。その事情と申しますのは、現実に小売り価格と申しますのは、その経営なり販売店によりましていろいろな価格があるわけでございます。したがいまして、現在のような流通過程におきましてはさらに合理化の余地がある。したがいまして、それは競争を通じて実現されるべきものであって、特定の価格をきめるということになりますと、合理化がされない。将来さらに合理化をしていく必要があるにもかかわらず、合理化がされないというふうな点もございまして、やはり現段階においては、競争によりまして合理化をさせることが必要であるというふうな観点から出されたものだというふうに私たちは考えておるわけでございます。自由な価格形成のもとにおいて、形成されるのが適当ではないか、こういうふうな判断から指導価格制をとるということは、昨年やめたわけでございます。
○美濃委員 時間がありませんので、もう一問で終わりますが、いまの答弁は非常に客観的で、責任を回避した無責任な姿勢じゃないか、こう思います。やはり現況は、いわゆる日本円そのものが、ポンドやドル不安とともに非常に国際価値も低下をして、日本経済も必ずしも安定した経済ではありません。こういうときにおいては、やはりそういう大切な指導措置を、いま言ったような客観的な、いわゆる無責任な逃げ腰で、自由がいいんだといってやめたそのことに対して、私はやはり責任を感じていただきたい。 同時に最後に、将来の振興対策は別といたしまして、現況時点の上に立って、何ぼ上げてこの紛争を解決してやらなければ、再生産が確保できないで、いわゆる酪農振興が後退する、生乳生産が後退すると判断しておるか。その理念なしに、さっき言ったように、ただ場所をあっせんしたり、何とかするんだ何とかするんだと、ここで何ぼ局長の話を聞いても、それでは私は了解できませんので、たとえば、キロ当たり要求どおり五円上げる必要があると考えるのか。どれだけ上げなければ、この生産者に対しての再生産の確保ができないと判断しているのか。もうこの時点でありますから、その見解の表明を願いたいと思います。その理念に立って指導を進めてもらわぬと、逃げ腰の無責任体制で、ただ客観的な指導体制を何ぼ続けたって、われわれが横から見ておって、指導にも何にもなっていないわけですね。これでは困ると思います。
○岡田(覚)政府委員 とりあえず私からお答えを申し上げますが、実は市乳地帯の生産費につきましては、地域により経営によりまして非常な違いがございます。それからもう一つは、農家の受け取り価格というのも、地域によりまして非常に違っておるわけでございます。したがいまして、一律に何%ということを申し上げるということは非常にむずかしいわけです。現実に、昨年のように中央でうまく話がついたというふうな事情とややことしの事情は、先ほどの参考人のお話からも御了解いただけるように、違っておるわけでございます。一方の支払い能力の問題もございます。したがいまして、個々具体的に取引当事者の間でそれはきめていかなければ、必要な要求と必要な支払いとの間できめるという形でないと、一律に幾らということがなかなか言いにくい状態で、それがまたなかなか中央できまらない事情もあるわけだと私は判断しております。したがいまして、その地域の実情に応じまして話し合いを進めていって、それで妥当な解決をはかっていくということが、一番適切なんではなかろうかというふうに判断いたしておるわけであります。
○西村国務大臣 これは、昨年指導価格をやめまして、そうして今日に至っている経緯であります。したがって、私といたしまして、今日のこうした深刻な対立という事情は、大体私も存じております。ただ、直ちにそれでは何%一律にというような指導でなくて、やはりそれぞれの取引関係あるいは地域の状況に応じての詰め合いというものを見て、それでもって私どもとしても前向きのごあっせんをして、行くところへ行くのが妥当ではないか。 ただ、市乳の価格というものを、将来どういうふうな価格形成にすべきかというような一つの基本的な問題というのは、まだまだ私も検討の余地があろうと思いますが、いま直ちに、それではこれを支持価格であるとか、他のそういうふうな固定した価格の方向へ直ちに誘導するという前に、昨年支持価格をやめました行政の方向というものをより生かしながら、この中で、今回の事態というものの解決に私どもも努力してみたい、こういう考えでございます。
○美濃委員 以上で質問を終わりますが、意見として、いろいろ御意見を承りまして、まず第一点として、農業総合パリティの上昇、これは国の経済政策でありますから、これに対する責任は明確に果たすように、農民にそれを転嫁することのないようにしてもらいたい。それから第二点として、先ほどお話のありましたメーカーの支払い能力というもの、これを、やはり大切な国民の食糧であるだけに、メーカーの支払い能力にまかせておくということは、現実的にこの国民の大切な主食に次ぐ食糧として不適当だと思います。そうすると、この二点についてはどうしても制度改正が必要である。その制度改正はどういうふうにするかは、きょうは時間がないので、制度改正についてこれ以上質問はいたしません。とにかく、いまのようなメーカーと農民との直接取引価格の体制では、いろいろ出ております問題が全部解決できない、これはやはり制度改正が必要である、こう考えますので、いずれ時間のあるときに、またこの問題で質問いたしたいと思いますが、大臣においても、この問題は日本の農業の基本政策として、逃げ腰でなしに、前向きでひとつあらゆる問題に取っ組んでいただきたいと思います。 以上で終わります。
○足立委員長 神田大作君。
○神田(大)委員 時間の関係がありますので、端的にお尋ねをいたしますが、いま飲用乳価につきまして、深刻な対立をしておるようでありますが、政府は一体、この飲用乳を今年は値上げをすべきであるか、あるいはこのまま、メーカーの言う値上げしないでこれを通すということに対しまして、その値上げをする必要はないとお考えになっておるのかどうか、端的にお尋ねを申し上げます。大臣にお尋ねします。
○西村国務大臣 これはただいままでにお話が出ましたように、私どもとしては、労賃その他も上がり、したがって保証価格のほうにおきましても、計算方法を多少変えて、不足払いにつきましても計算をしておる、これはすでに御存じのとおりでございます。したがって、労賃、資材費その他いろいろ生産費が上がってきて、再生産確保という意味で酪農家が上げたいと言うことは、これは当然だろうと思います。問題は、そうすると今度は、取引相手としてのメーカーのほうが支払い能力があるかどうか、こういう問題で意見が対立しておるわけでございまして、今日は、残念ながらゼロ回答であるということで、深刻な対立になっておるわけでございます。しかし私は、話し合いの余地は全然ないかというと、それぞれのお立場を聞かれれば、それぞれがそういうお立場をおっしゃるかもしれませんが、私はやはりこれは煮詰めていく方法はあり得る、また私どもはそのほうへ向かってごあっせんを申し上げ、努力もしていく、こういうふうに考えております。
○神田(大)委員 そうなると、政府は生産者の飲用乳の価格の値上げは当然である、これはやむを得ないことである、いまのままことしも据え置きにするというようなことは納得できない、やはり値上げしてもあたりまえのことである。そういう政府の考えであるとすれば、乳業会社は支払い能力がないと言っておるようでありますけれども、しかし、支払い能力があるかどうか、政府はこれを検討したときがありますか、お尋ねします。
○岡田(覚)政府委員 先ほどから参考人からもいろいろお話がございましたように、必ずしも支払い能力が十分あるというふうな状態ではない。しかし、両者ともなお交渉をしようという意思があるわけでございまして、私たちのほうは、全く支払い余力がないというふうにも考えておらないわけであります。
○神田(大)委員 そうすると、政府は値上げは当然である、やむを得ない、片方において畜産局長は、乳業会社としては、大メーカーとしてもその他のメーカーとしても、支払い能力がないとはいえない、こういうことであれば、これは解決することじゃないですか。私はいままで参考人のいろいろな話も聞いておりますが、それは払うほうは一銭でも多くは払いたくない。生産者としては、再生産を確保するためにどうしても値上げしなくちゃならぬということでありますから、私は、政府が本腰を入れてこの交渉に当たれば、この問題は、このような緊急事態にならなくても解決することであったと思う。政府がいままでのらりくらりと責任回避をして逃げ回っておるから、こういう事態になったと思うのですが、大臣はどう思いますか。
○西村国務大臣 もちろん、われわれとしてはその努力を続けてまいっております。中央においてあるいは地方において。そうしていよいよ最終の——やはりこういうものは両者が、特にメーカーの場合には、支払い能力がございませんと言っているわけですけれども、やはりものごとはだんだん熱してまいりまして、最後に私どもがそれこそ、おっしゃるように本腰の本腰を入れるという段階になれば、私どもは、こういうものはおのずから帰するところに行き着くので、利害の対立の中に入りますと、どうしてもそれはだれしもが、自分の利害を中心に御主張があるわけであります。それを十分考えていかなければなりません。 それからいま一つは、当年度の問題だけでこういうものを解決しようとするだけでない考え方も、考えなければならぬ場合だってあり得るかもしれませんし、そういうようなことを含めて、利害というものを打開しながら解決の方向へはかっていきたいと思います。
○神田(大)委員 いま私が質問したように、値上げの必要がある、乳業者としてはこれを支払う能力もある、私はこういうように考えておる。だから、これはもう時期が時期ですし、緊迫しております。もし出荷拒否というようなことにでもなれば、これは重大な問題になっていくのであるから、この際政府は本腰を入れてこのあっせんに乗り出して、わが国の酪農振興を守っていってもらいたい。今日、一年二年の間に、あるいは二十倍も三十倍もの輸入の乳製品がふえておるというのを、政府、行政当局が傍観しておるというようなそういう態度は、これはないのです。こういうばかな話はないのです。その原因はとっくにわかっておるわけですから、政府はびしびしこの問題に対して取り組むべきだろうと思うのです。 時間がないから私はこの辺でやめますが、還元乳等についても、政府はこの還元乳の問題について高上がりであると、この前私の質問に対して答弁したようでありますが、高上がりになって損するものが、どうして一年のうちに何倍という輸入をしてやっていけますか。これは私も資料を持っておりますけれども、還元乳でもって業者はたっぷりともうけておるのです。そういう問題をきょうここで言う時間がありませんが、どうか先ほど大臣が言ったように、将来のこともありますが、しかし、差し迫ったことでもありますから、この段階でもって政府は思い切って、酪農家を守る立場に立って、現在の状況を十分勘案いたしまして、これが解決に乗り出すことを強く要請いたしまして、私は質問を終わります。(「大臣の答弁」と呼ぶ者あり)大臣の答弁を願います。
○足立委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めて。 —————————————
○足立委員長 この際、おはかりいたします。 昭和四十三年度飲用乳価決定促進に関する件にについて決議をいたしたいと存じます。 すなわち、本件につきましては、先刻来各党間において御協議を願っていたのでありますが、その協議がととのい、ただいまお手元に配付いたしてありますとおりの案文がまとまりました。 便宜、私から案文を朗読いたします。 昭和四十三年度飲用乳価決定促進に関する 件(案) 本年度飲用乳価の決定は中央交渉において行きづまりをみ、目下地方段階の交渉が行なわれているが、政府は、飲用乳価の決定が酪農振興の上に重要なる基本事項であることにかんがみ、酪農民の生産意欲が高揚できるよう早急に左記のとおり措置すべきである。 記 一、飲用乳価の決定を促進し、酪農生産の安定と増強をはかるよう積極的に行政指導を行なうこと。 二、酪農振興の諸施策特に飲用乳に対する価格支持制度の検討及び飲用牛乳消費の拡大措置を促進すること。右決議する。以上であります。 本件について、別に御発言もないようでありますから、直ちに採決いたします。 ただいま朗読いたしました案文を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、ただいまの決議について、政府の所信を求めます。西村農林大臣。
○西村国務大臣 ただいま御決議のございました飲用向け原料乳に関する件につきましては、本問題の酪農振興上の重要性を十分認識いたしておりますので、誠意を持って善処いたしたいと考えております。(拍手)
○足立委員長 なお、ただいまの決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は来たる十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十六分散会