農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 121 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/04/04
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 私は、本日は、日ソ漁業交渉の現在の交渉経過がどういう時点に来ているか、そういう点について政府の経過報告を承りたいと思うわけでございます。御承知のように、三月一日からモスクワにおきまして第十二回目の日ソの漁業交渉が開かれておりまして、すでに一カ月有余経過いたしておるわけでございますが、ことしは不漁年ということもございますが、同時に交渉の中では、いろいろ報道を通じて日本側の主張、あるいはソ連側の主張、あるいは最近の情勢のいろいろな変化に伴います新しい提案等が伝えられておるわけでございますが、まず冒頭に、日ソ漁業交渉の経過について、簡単に政府側から御答弁を願いたいと思います。
○久宗政府委員 御質問にございましたように、十二回の定例会議が三月一日からモスクワで開かれておるわけでございますが、例年のとおり、前段階におきましては、主として科学者のデータを相互に比較いたしまして資源論争をいたすわけでございます。今回も同様のやり方によりまして、サケ・マスにつきまして、またカニにつきまして、資源の状態についての検討をやったわけでございます。新聞紙上でも出ておりますように、双方の科学者の意見に相当の食い違いがございまして、例年でございますと、それぞれにつきまして委員会に報告すべき内容はほぼ意見の一致を見て、それを素材にして討議が行なわれるということでございますが、本年度におきましては、ごく特殊な魚を除きまして、大部分のものにつきまして意見が平行線をたどっておるといったような経過で推移しております。 したがいまして、さような素材を前提といたしまして、これからまずカニにつきましての取り扱いをどうするかという問題、それが片づきますと、今度サケ・マスについてどういうような漁獲量にするかといった交渉に入ろうという、ちょうどいま切れ目の段階に来ておるわけでございます。
○角屋委員 私ども、報道で承知をしておりますところでは、いわゆるカニ漁の問題、サケ・マスの問題、ソ連側ではこれらの双方について、同時解決といいますか一括解決をしたい、こういう姿勢で交渉に臨んできておるということであります。これは時期的にもある程度違うわけでして、御承知のようにカニ漁については十五日解禁、したがってそれまでに、本来であれば七、八日ごろには出漁いたしまして漁業区域に行かなければならぬ。こういう問題がございまして、日本側では、いわばカニ漁はカニ漁として先にやはり話し合いを済ませる、それからサケ・マスについては、サケ・マスの出漁期に間に合うように話し合いを済ましたい、こういうことであろうかと思うのですけれども、やはりカニ漁については時期が切迫してきておるので、なるべく早い時期にこれを処理しなければならぬ、こういうことであろうかと思いますが、そういう問題についてはどういうふうに話が進んできておるのか、さらに具体的にお話し願いたいと思います。
○久宗政府委員 今度の、科学者の小委員会というのがございまして、そこで意見を交換しておりますものをずっと見てまいりますと、サケ。マスにつきましては、わがほうはこの前の偶数年、一応常識的には不漁年と言っておりますけれども、それから明らかに回復傾向にあるという十分な根拠を持って、そういう論旨を展開しておるわけでございますが、ソ連側におきましては、全く逆に考えておるというようなことで、そこで意見が非常に食い違っておるわけでございます。したがいまして、調整をいたしますのにつきましても、両方の意見を併記するというような形で、科学者の小委員会が取りまとめをせざるを得ないという経過をたどっておるわけでございます。 それからカニにつきましては、御承知のとおり、昨年相当論議をいたしまして、いわゆる長期的な取りきめができておるわけでございます。そこで、私どもといたしましてはこれに従って、カニの問題はそのラインで解決さるべきものというふうに考えて臨んでおったわけでございますが、御承知のとおり、ソ連側におきましては、去る二月に大陸だな条約に基づきます国内措置をとりまして、それを前提にいたしまして、これは新しい事態であるという前提に立ちまして、昨年長期取りきめをいたします際に、いろいろこまかい規制の問題が出ておったわけでございますが、それを長期取りきめをいたします際に全部おろしまして、あの長期取りきめができたわけでございますが、そのときに出ておりましたような問題を、全面的にむし返してカニの論議をいたしておるのが現状でございます。 そこで、私どもといたしましては、どうもいままでの委員会の運営から見まして、こう食い違うことは実はなかったわけでございまして、昨年におきましても、ごく一部のものについて若干の意見が合わないという点はございましたけれども、今回のように、全面的に大事な問題がみなすれ違いになるというようなことを、実は委員会の運営といたしまして非常に憂慮をいたしておるわけでございます。 なお、御指摘のございましたような同時解決ということばがよろしいかどうか、若干問題があると思うのでございますが、時期といたしましては、カニのほうが先にきまりまして、それからサケ・マスの問題がきまるという時期的な関係がございますので、現在の段階では、カニの問題につきましての論議を尽くしまして、これの決着をつけてサケ・マスの問題に入っていくという、こういうぎりぎりの段階にきておるわけでございます。 なお、私どもといたしましては、先方の申しております論拠と申しますか、カニについて持ち出しております問題は、事柄自体といたしましては、すでにいままでの各委員会におきまして、特に昨年長期計画を進めます場合に一応は出た問題の全部むし返しでございまして、正式に新たに出たという問題ではない、そういうふうに考えております。
○角屋委員 私どもの判断からいきましても、このカニの問題を、まず時期的な問題からいたしましても片づける、サケ・マスの問題についても出漁期に間に合うように片づける、こういうことで処理すべきものだと思いますが、ただ、いま長官からお話の出た中で、この日ソの漁業条約ができてから十数年を経過しておる今日の時点で、特にこういう国際漁業の友好的な取りきめの問題については、基本に資源調査というものが共通の基盤の上になされなければならぬ。いままでもそういう立場で資源調査の問題についてはずっとやってきたわけですが、特にことしにおいて、科学者のそういう会議の中で資源問題というのが食い違ってくるというのには、何か特殊な事情でもあるわけですか。あるいは資源調査が、共通の基盤の中でやってきておることに、今日の時点で見ますと、もっとやはり強化をしていかなければならぬという問題を含んでいるのですか。特にことし、この科学者会議の中で資源問題等で食い違いが出てきた、従来であれば若干の点について食い違いがあっても、大筋においてそう食い違いがなかったというのが、ことし特にそういう事態が出てきておるというのは、何か事情があるのでございますか。
○久宗政府委員 私どもも、一カ月経過いたしまして、その点はなはだ問題があるというふうに、率直に申しまして感じておるわけでございます。 なお、今年の三月一日に開始いたしました前に、モスクワ放送で数回にわたりまして、日ソ漁業の問題、特にサケ・マスを中心といたしまして放送がございまして、その放送の論旨の中で、日本側がさっぱり資源維持に熱心でない、日本側がその資源維持について十分な関心を持っていないという基調でるる解説をいたしまして、特にその中で、日本側の当局者の中の特定の人をさしまして、こういう発言をしておる、こういう発言をしておる――もちろんこれは断片的な引用でございまして、引用そのものが間違っているわけでございますが、さような論旨を三日間にわたって展開をしたわけでございます。そこで、外務省におきましても私どももこれを重視いたしまして、委員会の開会に先立ってさような論評が、しかもきわめて独断的な論旨が展開されたことは、非常に問題があるということを、まあこれは異例のことでございますが、外務省の情報局長からの談話という形で反論をいたした経緯がございます。 そこで、委員会が開会されましてからのあとの動きをずっと注視してまいったわけでございますが、先ほど申しましたように、従来でございますと相当データに基づきまして、もちろん科学者同士でございますので、相当突っ込んだ意見が交換され――もちろん方法論の違いでございますとか、理論の違いという問題もございまして、論議が非常に白熱的に行なわれますけれども、おおよその評価につきましては合意が見られておったわけです、過去におきましては。ところが今回は、どうもそのような論議が初めから少しすれ違いになりまして、いわゆる科学的な根拠に立った十分な論議という感じを、実は持ちにくい印象を受けております。 このことは、日ソの漁業条約そのものについても問題がございましょうけれども、委員会の運営ということが非常に大事なわけでございまして、御指摘のように私どもといたしましては、一番ここの資源について関心があり、特にこれは子々孫々持ってまいりたいという資源でございますので、さような意味で、科学的にも資源調査に相当の熱意を入れて、十分な自信を持ってこのデータを提供しているにかかわりませず、さような論議がすれ違っていくということについて、実は非常に遺憾に思っておるわけでございまして、特にこの段階におきまして、ソ連側がどういうお考えであるのか、若干解しかねておるわけでございますけれども、私どもとしては、あくまでやはり科学的な根拠に立って十分説得をいたしまして、基本的な線を生かしてまいりたいという考えでございます。
○角屋委員 このカニ漁の問題については、長官も御承知のように、お触れにもなりましたが、一九七〇年までの長期取りきめとして、昨年の東京交渉で漁獲量、漁具、船団数、こういうようなものについて合意ができておるわけでございますから、ことしの二月に、例の大陸だな条約に関連をいたしまして、ソ連の最高会議幹部会の布告が出たという新しい事態が、御承知のようにソ連側としては出ておるわけですけれども、少なくとも昨年の段階で、一九七〇年までの長期取りきめというものが、すでに両国間で合意をしておるという前提がある以上、ことしの場合は、その前提に基づいて、この問題については早期に処理するということが、日本側の主張のみならず、ソ連側としても十分配慮してもらうべき筋合いのものだろうというふうに、われわれとしては判断をしておるわけです。 大陸だな条約に対するソ連側がとった措置というものは、国際的には、これは批准の国が一定数以上になれば条約は有効になる。日本がそれに批准を与えていないとかなんとかいうことにかかわらず、国際的にはそういうことがいえるのだろうと思いますけれども、しかし、これは日ソ間のみならず、あらゆる国際間の漁業問題については、アメリカとの場合でもその他の場合でも、そういうものが一方の側で国際条約上、あるいはその国独自でとられた場合でも、両国間の漁業交渉の中では、それをいわばたな上げをしながら双方の話し合いをするというのが、従来からもとられておるわけでありまして、特に先ほど来申し上げますように、カニについては、もう数日中に実際であれば出港しなければならぬ、十五日の解禁日までに西カムチャッカの漁場に行きたいという事情にあるわけでありますから、この問題については、われわれとしては去年の東京交渉の長期取りきめに基本を置きながら、早期にこの問題はまず解決をして、サケ・マスの問題については、出港に間に合うようにさらにお互いに話し合って処理する、こういうことであろうかと思います。 この際政務次官から、カニ漁の問題については、そういう姿勢で本来いくべきものだ、そうして、なるべく数日中に解決の方向で最善の努力をすべきものだと思いますが、いかがでございますか。
○安倍政府委員 いまおっしゃいましたように、カニ漁の問題は時期も切迫しておるわけでありまして、日本の基本方針も、先生のいまおっしゃいましたようにはっきりしておるわけでありますが、その交渉ですれ違いがあることは、非常に残念に思っております。政府といたしましても早急に話し合いを詰めて、出漁に間に合うように結論を得たい、協約を結びたいというふうに考えております。
○角屋委員 このカニ漁の問題については、そういうことで、日本代表として行っておられる方も最善の努力をしておられると思いますけれども、政府としてもそれをバックアップしながら、時期に間に合うように最善の努力をしてもらいたいと思います。 ただ、それと関連をして、サケ・マス問題については、そのカニの問題が、もし私どもの期待する方向で処理された場合においては、特にことしの場合、そう難航する問題はなかろうと思うのですけれども、しかるべき時期にこれは処理されるだろう、こう考えますが、そう判断して間違いございませんでしょうか。
○久宗政府委員 サケ・マスの問題については、科学小委員会におきます科学者の意見が合意されておらぬ形と申しますか、すれ違っておりますので、実際問題としては相当難航するだろうと考えるわけでございますが、私どもといたしましては、とにかく私どもの出しましたデータ、またそれに基づく見通しというものについては、相当確信がございますので、まだ若干の時間もございますので、よく詰めて最終的な合意に達したい、こう考えておるわけでございます。
○角屋委員 時間の関係もありますので、一、二点でとどめたいと思いますが、ことしの日ソ漁業交渉の今日までの経過を私ども判断してみますと、一つは、カニ問題については、日ソの漁業条約の中から別個の形で政府間交渉をやりたい、こういうソ連側の気持ちが、今度の交渉の主張の中に出てきているのではないかという感じがしないでもございません。と同時に、その問題も含めて、日ソ漁業条約の問題についても、現行条約について、場合によっては手直しをするといいますか、そういう考え方をソ連側としては持っているのではないか、こういう感じもするわけですが、これらの問題に対して、日本政府としてはどういうふうにこれを受けとめて今後やっていこうとするのか、これらの点について御説明を願いたいと思います。
○久宗政府委員 カニの問題につきましての基本的な態度につきましては、先ほど政務次官から申し上げたとおりでございますが、いまの御質問と関連して触れておきますと、例の大陸だな条約の関連のソ連側におきます国内法令を整備したという問題は、これは国際法あるいは漁業条約等の運営から見ました場合に、全く新しい事態ではないわけでございまして、どの国も条約に加入しておられる国が、それに伴う国内措置をつくるつくらないは、その国の御自由であるわけです。私どもは別の理由によりまして大陸だな条約に加入いたしておりませんので、基本的には拘束される立場ではございません。また、かりに大陸だな条約の中身に入って考えました場合におきましても、カニにつきましては、これは大陸だな資源と申しますよりは、むしろもっと回遊性の要素もございますので、公海の資源であるというふうに科学的にも考え、また証明もできると思いますので、いかなる意味におきましても拘束されないということでございます。 なお、日ソ漁業条約に伴います委員会の運営を通じまして、昨年長期的な取りきめができておりますので、その線に沿って処理いたしますのが、国際慣行におきますイロハであるというふうに考えるわけでございまして、この基本的な考えで対処してまいりたいと思っておるわけでございます。したがいまして、これに伴いますやりとりの過程で、条約と申しますよりも、この委員会で、ことしは検討するが、来年は何か別個の形をとりたいといったような提案が、趣旨はよくわかりませんがあるわけでございますが、さような性質のものではないだろう。私どもはこの条約に基づくワク内におきまして、あれだけの論議を尽くして長期的な取りきめになったということでございますので、これと全く別個に扱う必要は何もないわけでございまして、そういう考え方はとらないところでございます。 なお、条約改定の問題が、もちろんバックにあるように思いますけれども、この問題につきましても、私どもは条約そのものに問題を持ってはおりません。むしろ過去の経緯から見まして、この条約の運営自体につきましては、いろいろ不満もございますし、是正すべきものがあるだろうと思うのでございます。しかし、サケ・マスなりカニについての資源維持につきまして、両国が科学的に話し合っていろいろ取りきめをして資源を守っていくということは、私は必要だろうと思いますので、問題は、その委員会の運営いかんにかかってくるわけでございます。特に、先ほども問題にいたしましたように、ことしのような委員会の運営ということにつきましては、私どもはこういうような運営であれば、はたして科学的な運営であるかどうかという問題につきまして、相当疑念を抱かざるを得ない実情にございます。 したがって、さような意味におきましても、この委員会の科学的な論議、それに伴います両代表間におきます協議が、やはり冷静に、科学的な根拠に立って最終的な合意を得るということが、日ソの条約の将来につきましてもきわめて重要であると考えますので、今回の交渉の内容、そこにあらわれたソ連側の態度というものにつきましても、慎重な配慮を払う必要があるだろうというふうに考えております。
○角屋委員 最後に、政務次官にお伺いをしておきたいと思いますが、きょうは三月一日以降の日ソ漁業交渉の問題につきまして、政府側から従来の経緯をお伺いし、また関係者からすれば、当面カニの出航時期が迫っておる、あるいはサケ・マスについても交渉の行くえはどうかという重大関心を持っておられる問題でありますし、また私ども国会の立場からいたしましても、これら国際漁業の中で重要な位置を占めておるこの日ソ漁業の交渉の問題が、やはり最近とみに日ソ間の友好関係というものが拡大をしてくる傾向というものとタイアップをして、日ソ漁業交渉の問題について、双方の国益に基づく自己主張というものは、もちろんソ連側としてもあるかと思いますけれども、過去の経緯からいたしましても、先ほど来いろいろ私どもの若干の考え方も述べましたように、カニについては昨年の長期取りきめというものがあり、これに基本を置きながら、本来の問題あるいは今後の問題についても、そういう方向で処理してもらいたい。またカニの問題について、日ソ漁業条約と別ワクというのじゃなしに、先ほど水産庁長官の大陸だな条約に対する見解、あるいはカニ資源というものに対するところの見解というのは、私ども全くそのとおりで、日本側として主張してよろしかろうと、われわれもそういうふうに考えるわけです。 いずれにいたしましても、国際交渉というのは相手もあってなかなかむずかしい問題もあろうと思いますけれども、やはり国際漁業の非常に大きなウエートを占める日本の漁業の立場から見て、当面の日ソ漁業交渉の問題については、やはり日本としての基本的主張をあくまでも踏まえながら、しかも、国際的にもそれが共感を得るような主張に基づいて、関係者の期待にこたえるように政府としても最善の努力をしてもらいたいと思いますが、その点について、最後に政務次官からの御見解を承りたいと思います。
○安倍政府委員 御存じのように、現在の日ソ関係はきわめて友好なうちに進んでおるわけでありまして、その中における漁業交渉も、日本の国益、日本の漁業発展の上からもきわめて大事であるわけでありまして、政府としても、特にこの日ソ漁業交渉に力を注いでおるわけであります。 そこで、その基本方針については、いま長官がるる説明したとおりでございまして、われわれとしても、この基本方針に沿って完全な合意に達するために、今後とも最善の努力をしていかなければならないとかたく決意をいたしておるわけでございます。
○足立委員長 樋上新一君。
○樋上委員 私は、中国食肉輸入について若干お伺いいたしたいのでございますが、この件につきましては、二回にわたりまして質問が行なわれております。昭和四十二年十二月一日の物価問題特別委員会におきまして、わが公明党の有島議員が質問いたしておりますし、本年の三月十二日に第四分科会におきまして、社会党の石野議員が質問いたしております。ですから、私はこのお二人の質問議事録を何回も読み返しましたのですが、どうも納得のいかない政府側の答弁でございますので、さらに本日質問さしていただくのでありまするが……。
○足立委員長 樋上君に申し上げますが、畜産局はいま参っておりません。至急呼んでおりますが、食糧庁のほうは参っておりますから……。
○樋上委員 食糧庁は、時間の関係上もうやれないのです。では岡田畜産局長が来るまで、政務次官の御所見を承りたい。 こういう二回にわたって質問がありますし、前の坂田農林大臣のときに、この中国食肉輸入はやってもいいということになっておった。ですから、もう準備も万端整うて、中国肉は輸入しようう――現在内地における牛肉が高い。しかし、これはほんとうに三割も四割も安い牛肉ですから、それを輸入しようということになっていた。ところが、松野農林大臣にかわってから突然また禁止になった。この点がどうも私はわからない。なぜ大臣がかわって――さきの坂田農林大臣のときには、視察もやる、それに口蹄疫という、ものは心配がないという調査もして、そして入れるようになった。ところが、松野農林大臣になってから突然これが禁止になって、現在までそのまま禁止になっておる。こういう点を、なぜそういうぐあいに変わるのか、ひとつお伺いしたい。そしてまた西村農林大臣になったらまた変わるのか。大臣のかわるたびに、国民が求めておるところの、この物価高に安い牛肉を食べよう、業者もそれを供給しよう、こういうているときに、どうなっておるのか、その点ひとつあなたの御見解をお伺いしたい。
○安倍政府委員 中国の食肉輸入につきましては、政府としても重大な関心を持っておりますし、いま御質問のありましたようないろいろの経過があったわけでございますが、その具体的な経過につきましては、あとで畜産局長からお話をいたすわけでございますが、今日の政府の立場といたしましては、いまお話のありました口蹄疫の問題で完全な最終的結論を得てない。いままで民間団体において二、三回向こうの調査をいたして、悪質な口蹄疫の伝染は少ないのではないかというふうな方向は出ておるようでありますけれども、最終的に完全に安全であるというところまでいっていないということで、今日では、食肉の輸入に反対という立場をとっておるのであります。
○樋上委員 三回にわたり調査団を派遣して、それがだいじょうぶであるということを獣医のほうでも認めておるのでありまして、口蹄疫のほうさえ安全であるということならば、もう直ちにこれは解除をして入れるべきである。ところが、それだけにこだわって、そこに私は政治的圧力がかかっているのではなかろうかと思われる。こういう点どうも納得がいきかねる。岡田畜産局長のこの問答を見ますと、口蹄疫のことばかりにこだわっておりますけれども、それじゃほんとうに口蹄疫というものをもっともっと深く掘り下げたのか、また、その権威ある派遣団の調査報告を信用しないのか、こういうことになってくるのですね。だから私は、今度の農林大臣におきまして一日も早くこの問題を解決してもらわなくては、非常に不明朗ないろいろなことを想定するのですよ。ですから、私は畜産局長がおいでになりましたら、前二回にわたった以外の質問をしてみたい、こう思うのですが、今度の農林大臣におきましては、この問題は、この口蹄疫の問題がなければ直ちに輸入する、こうあなたはおっしゃいますか。そういう確信がありますか。そうしないと、何ぼ論議していたところで結論が出ない。
○安倍政府委員 西村大臣がどういう御見解を持っておられるのか、私まだ承知いたしておりませんが、事務当局を通じて私が聞きました範囲におきましては、御存じのように口蹄疫は、最近イギリスにも蔓延をいたしまして、わが国としてもこれが防疫のために、羽田等における措置をとらざるを得なかった、御存じのとおり非常におそろしい病気であります。そこで、いまお話しのように、三回にわたる民間の調査をやりまして、大体におきましては、中国における口蹄疫の発生の実情等から見まして、その影響というものは少ないのではないかというふうになってはおりますけれども、まだ政府として、いまの口蹄疫というきわめておそろしい病気という立場から、完全な保証がない限りはこれを輸入することに踏み切るわけにはいかない、こういうふうな立場に立っておるわけでありまして、そういうことから、いま不明な点につきまして、中国のほうから所要の資料の提供を受けられるならば、その資料について専門的検討を進めるということで、民間団体を通じて、次の点について調査を進めておるわけであります。 その一つは、過去における口蹄疫の発生状況と実害。二番目は、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的な経過。三番目といたしまして、現在使用している口蹄疫ワクチンの性状、種類、製造方法、使用目的。四番目が、現在行なっている口蹄疫の診断方法。五番目が、その他最近における不明疾病の発生の有無とその状況。こういう具体的な内容につきまして、民間団体を通じて、いま中国側と接触を保ちながら実情を調査しておるというのが、今日の段階であると聞いております。
○樋上委員 あなたに技術的なことを言ってもわかりませんので、それでは、この前の岡田畜産局長の公明党と社会党と二人の質問者に対する答弁は、これはもう会議録に載っておりますから、繰り返す時間がございませんので、要点のみを申し上げますから、お答え願いたいと思います。 それでは、汚染地域である国から、たとえ百グラムの肉でさえも、試験輸入は禁止されているということをおっしゃっているのですが、それは事実ですか。
○立川説明員 先生がおっしゃるとおりでございます。
○樋上委員 それでは、汚染地域で撲滅宣言もしていないフランスより、シャロレーという種類の肉牛を輸入して、北海道で飼育しているということがあるのですが、それは御存じですか。
○立川説明員 いま先生のおっしゃいましたシャロレーにつきましては、生きた牛でございますので、生体として輸入しております。
○樋上委員 それから、撲滅宣言をしていないいわゆる汚染地域の牛の、今度はグアム島に、現在屠場を建設していることを政府は知っていますか。また、ここで現地の肉牛とフランスのシャロレー肉牛を入れて、屠殺して日本に輸出しようとしているが、政府はこの輸入を許可するお気持ちですか、どうですか。
○立川説明員 いま先生が御指摘になりましたような事実については、われわれは了知していないわけでございますけれども、いまの御指摘になりました地域は汚染地域でございますので、輸入を認める意思はございません。
○樋上委員 しかしここは、ほかの欧州のほうからも、いろいろなところから輸入しておって、そして屠殺場をいま建設しておるということは御承知ですね。そこでこれは、まぜてそうして日本に送ってこよう、こういう計画をしておるのは、絶対に許可しないとおっしゃいますのですね。わかりました。 それでは、岡田畜産局長は、四十二年の十月二十六日十二時に、農林省畜産局において、日本国際貿易促進協会中国食肉輸入協議会代表者と面談した事実があるといわれているのですが、これはほんとうですか。
○立川説明員 私はいま、その事実があるというふうにはお伺いしておりません。あるかないか、私はっきり申し上げかねます。知らないのです、率直に申し上げまして。
○樋上委員 知らない。これは答弁にならぬ。それではそのときのことを申し上げますから聞いてください。そのとき岡田畜産局長は、中国牛肉について田中良男氏、御承知ですね。田中良男氏の現地調査報告、すなわち、中国に口蹄疫が撲滅して、現在発生のないことを認めると言ったそうではありませんか。しかるになぜ中国牛肉の輸入を認めないのか。この田中良男氏の現地調査報告ですね、口蹄疫は撲滅しているという報告を認められておるのに、なぜ輸入を認めないのか。
○立川説明員 ただいま先生が御指摘になりました日時における会談そのものは、先ほど申し上げましたように、そういうことがあったかどうか知りませんけれども、私が局長からお伺いしておりますこと、それから田中良男さんからお伺いしておりますことから類推して考えますに、田中さん御自身も、中共におきましていまの口蹄疫が、完全に撲滅されておるというふうには必ずしもおっしゃっていないと思います。われわれがお伺いしておりますところでは、先生が団長になりまして視察に参りましたときに、中共の衛生状態が非常に改善されておりまして、従来いわれておるよりもはるかに好適であるということにつきましては、先生から毛報告をお伺いしておりますけれども、完全に撲滅されておるというふうには、私たちも聞いておりませんし、あるいは局長も、同様のことを申したということはないのではないかというふうに考えております。
○樋上委員 局長がおられないのでまことに残念なことですけれども、私は、局長がこの技術問題をたてに口蹄疫の危険を言って、どうしてもその問題だけにこだわっている国会答弁を聞いておるのですけれども、あなたが、そういうことは局長から聞いておらない、こう言うのですから、本人がおらないのですから、これは確証を握れないのですけれども、まことにこの点は、私は論議を戦わすべく準備してきたんですけれども、田中氏の報告を認めないというようなことだったら、これは重大問題ですし、また田中先生のおっしゃっておることも、これは前の大石報告というのがありますね。大石先生もおいでになって、その大石先生の報告にもちゃんと出ておるのですよ。もう一つ、三回これは報告書が出ておるのです。権威ある獣医師がだいじょうぶであるということがはっきり報告書に出ておるのです。その報告書を見ておるのです。それを、いまになってまだぐあいが悪いとか、また口蹄疫のなまワクチンの製造法がわからないとか、それを公開してくれないとか、いろんな問題をいままで言うているんですね。
○足立委員長 樋上君、ちょっとお待ちください。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めてください。 それでは、樋上君の御質問は、畜産局長の出席を待って再び質問をしていただくことにして、その間柴田健治君の質問を許します。柴田君。
○柴田委員 立川参事官にひとつ、前回のときに少し触れて保留しておいたのですが、家畜伝染病に関して御質問申し上げたいと思います。 まず第一点は、ニューカッスル病が昨年から発生を続けてまいりましたが、いまどういう事態になっておるかという点の現状をひとつ御報告を願いたい。第二点は、炭疽病の発生について、これまた現状をひとつ簡潔に御報告願って、それに対してまた御質問を申し上げたいと思いますが、まずその二点だけ簡潔にお願いしたいと思います。
○立川説明員 ニューカッスル病につきまして、最近の状況を御報告申し上げます。 先生御存じのように、昨年度におきますところのニューカッスルの発生は、町村数で約三百四十九市町村になっておりますけれども、その頭羽数にいたしますと非常に多うございまして、百八十三万羽になりますか、そういうような状況でございます。これらの発生は、いずれにしましても、御存じのようにアジア型という非常に伝染性の強い病気でございまして、非常にしょうけつをきわめたわけでございます。ところがことしに入りまして、三月三十一日現在で調べまして、発生の都道府県は三十三都道府県になっておりますけれども、町村数にいたしまして百七十三市町村でございまして、戸数といたしまして五百八十六一尺五十八万羽というような状況であります。その地域は、大体昨年発生いたしました地域で断続的な発生でございまして、現在のところ、この流行が非常にしょうけつをきわめるというふうには考えていないわけでございます。 それから炭疽病につきましては、本年の一月におきまして、牛につきまして三頭、二月で牛で五頭、三月で牛につきまして四頭、それから四月になりまして滋賀県と岡山県で一頭ずつ二頭発生しておるような状況でございます。
○柴田委員 発生と現況を簡単に御説明願ったのですが、この処置についてどういう処置をとっておるのか、これまたちょっと具体的に御説明願いたいと思います。
○立川説明員 ニューカッスル病につきましては、先生御存じのように、昨年あれほどの大発生をしたわけでございますので、われわれとして一番力を用いましたのは、ワクチンの供給ということでございます。それで御存じのように、不活化ワクチンの供給増の問題、あるいはなまワクチンの使用につきまして昨年とりました措置については、本委員会でも局長から御報告したとおりでございます。幸い本年度予算におきましても同じような趣旨で、自衛防疫を強化するための予算を計上しておりますことも御案内のとおりでございます。さらに、予算的にはそういうふうに自衛防疫をやりますと同時に、そういうワクチンを使いましたあとの影響その他を確かめる意味におきまして、後代検定その他の予算的措置をとっておることも事実であります。 それから炭疽につきましては、これは御存じのように決定伝染病といたしまして、常在地域につきましては、法律上の予防注射を強制的にやっておるわけでございます。残余のその他の地域につきましては自衛防疫ということで、自衛防疫体制の中で予防注射をやるのを、一般的な措置としてとっておるわけでございます。
○柴田委員 予防措置の処置について説明を聞いたのですが、まず基本的な問題としては、こういう伝染病が発生した基本の原因というものを究明しなければならない。要するに、感染経路というものを明確にしないと予防措置、防疫措置がとれない。感染経路というものは、ニューカッスルならニューカッスルで明確に把握されましたか、炭疽病なら炭疽病で確認されたかという点を、ひとつお願いしたい。
○立川説明員 ただいま御指摘のございました感染経路でございますけれども、たとえていえば、最近発生いたしました岡山におきまする炭疽病でございますけれども、これも発生の報告を受けまして鋭意検討したわけでございます。当初、飼料なり何なりということも考えられましたので、当該企業だけでなくて、国の試験研究機関なりわれわれの動物検疫所の機関なりその他を使いまして、鋭意検討したわけでございますけれども、現在のところでは、必ずしも明確にその伝染経路を把握するということには至っておりません。飼料その他に対する疑いは、むしろ消極的に考えたほうがいいのではないかというふうに考えております。 それからニューカッスルにつきましては、これは御存じのように各地域で非常にたくさん発生しておりますので、病気にかかりました鶏がはっきりいたしましたものは別でございますけれども、いまだはっきりしないうちにあちこちに移動されるという事態も若干考えられますので、そういうことにつきましてなるべく早期に発見する、早期に病性を鑑定するということに、鋭意力を用いておるような状況でございます。
○柴田委員 どうもその点が少しあいまいに聞こえるのですが、伝染病が発生したといえば、いかなる伝染病でも、人畜の伝染病は、火災でいえば初期防火と同じように、初期に防遏をしなければならぬ。それと同時に、その感染経路、原因を究明するということが基本である。その基本が解決しないで、どんなに予算を組んでああしました、こうしますと言うたって、これはほんとうの成果とはいえない。それは事後処置の問題である。これからの問題としては、やはり基本的な問題を確認する、そうしてそれに対する処置というものが必要であって、その点欠けておるのではないか、こう私は思うのです。いまの日本では、そうした家畜伝染病の予防、また技術、指導という面の、それのどっかが欠けておるような気がするのです。 たとえば、試験機関とか研究所だとかいうものが、フルに使われていないのではないか。まして都道府県にあるいろいろな機関、そういう機関との関連性がうまくいってないのじゃないか。それぞれなわ張りがあり、モンロー主義があり、そうしたセクト主義があったりして、うちから伝染病を出したら、それが他府県に知れたら、牛の相場が下がるとか、鶏がもうだめになるのだとかいうことで、そういう一つの商法的な取引条件からくるところの、防ぐというか、なるべく真相を究明しない前に伏せてしまおうという一方的な考え方が、多少あるのではないかという気もしますけれども、何としてもいまの防疫体制、予防体制というものが、人的か技術的か、またそうしたすべての機関のチームワークがとれていないとか、そういう点の欠陥があるのではないかというような気がするのですが、その点どうですか。
○立川説明員 確かに先生の御指摘になりましたように、家畜伝染病の場合には早期に発見しまして、早期に予防するということが一番緊要な点はお説のとおりだろうと思います。われわれの現在やっております点においても、同様な趣旨でできるだけやっておるつもりではございますけれども、必ずしも十分でない点があると思います。ことに、先ほどお話のありましたように、自分の県の家畜の値段が下がる云々という話は別にいたしましても、現在の施設なりあるいは人的な技術の程度なりから考えまして、そういう事態が起こった場合に、すぐあうんの呼吸でもって直ちに出動できるという観点からすれば、まだ現在においては必ずしも十分でないという点はあると思います。 今後そういう点につきまして、施設的にも、県段階なりあるいは末端の保健衛生所なりその他の施設を整備し、それからその職員を十分訓練いたしまして、先ほど申し上げますように病性を早く鑑定いたしまして、直ちに出動できて、被害が蔓延することを防止するという観点から、できるだけ今後も努力したいというふうに考えております。
○足立委員長 紫田君に申し上げますが、畜産局長は十二時ごろまでどうしても出席いたしかねるそうでございますから、樋上君の質問がそれまでできませんので、あなたの質問を継続していただきますが、御要求の経済局長も参っておりますから、あなたの質問が終わるまで続けてやっていただきます。
○柴田委員 ある程度の欠陥を認めておられるようですが、あなた方は欠陥が腹の中ではわかっておっても、なかなか公式のばでは言えないのだと思いますから、そこまであまり究明する必要はないが、私たちがあなた方に御質問申し上げることは、やはりものを前進させて解決したいというのが考え方なんです。あなた方を究明してどうのこうのということではなくて、お互いに農民の立場に立って、そういうことで――何としても農林漁業という産業は、御承知のようにあらゆる天災を受け、あらゆる災害を受ける非常に弱い産業である。これはもう歴史的にそうなっておるのですが、そういう基本的なものをまず理解をして、そして思い切って取り組んでもらわないと、受ける農民というものは非常な不安と、またそれぞれの機関に対する不信感というものが出てくるわけです。これが非常におそろしいので、そういうことのないように、そうした防疫体制というもの、それから研究機関の相互援助というものを、もう一ぺん再検討してもらいたい。これは、ここでどうのこうの言うと時間がかかるから言いませんけれども、欠陥はあなた方はよく知っておられると思うのです。だから、そういう点を十分反省して取り組んでいただいて、今後そういう伝染病が発生しないような処置を、ぜひお願いしておきたいと思います。 それから、もう一つ検討を願いたいことは、AならAという農家で発生をした場合、区域の指定をする場合、その指定の根拠というものは、ただ単なる思いつきでなくして、その付近の農家が理解できるような区域指定というものを、もう少し科学的に、農民に理解できるような指定をやるべきではないか。思いつきで、一カ所出たらもう二郡にも三郡にもわたって指定をしてしまうものだから、その中の移動なんというものが全然不可能になってくる。だめになってくるわけですね。農家からいうと、中には自信を持っておる農家がある。われわれは年じゅう予防注射をしているのだから、絶対自信を持っておるという農家までその飛ばっちりを受けて非常な経済的な被害をこうむる、こういうことになるので、その区域指定について、もう少し検討する余地があるかないか、その点どういうようにお考えになっていますか。
○立川説明員 いまの問題につきましては、前の国会におきましても先生から、衛生課長なり局長なりに御指摘のあった点でございます。そのときにもお答えいたしましたように、その具体的に起こりました病気の状況によりまして、それで移動禁止の範囲なり何なり、そうアトランダムにやっておるというつもりはございませんけれども、いずれにいたしましてもそういう措置が、やはり農家に納得されるということは必要なことであろうというふうに考えておりますので、その点をよく考えまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○柴田委員 今年度の予算はまだこれからなんですが、昨年の予算、伝染病の防疫、予防関係の予算は十分あったのですか。
○立川説明員 御存じのように、防疫対策費につきましては、経常的なもの以外に、昨年のようにニューカッスルその他異常な発生が起こることがございますので、これについては予備費で操作するということにしておりまして、四十二年度につきましては二億九千万と思いますが、予備費を繰り入れまして、支払いは完全に済ませたはずでございます。
○柴田委員 それで十分できたと確信を持っておられるのですか。まだ残っておるんじゃないですか。その点ちょっとお伺いしたい。
○立川説明員 都道府県から申請のあがりました、事務的な手続の完了いたしましたものについては、大体全部支出できたというふうに考えております。
○柴田委員 農家からいうと、まだ清算を受けてない、新年度へ持ち越しだなんということを聞くのですが、それは都道府県の責任もあるのではないかと思いますけれども、その点は今後十分調査をして手落ちのないように、あまり言うてもいけませんから、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。 それから、経済局長見えておられますからお尋ねしたいのですが、家畜共済について簡単にお尋ねを申し上げたいのですが、いまの共済制度の方針からいうと、評価額の八〇%、八割で押えている。その理由をいろいろ聞くと、畜産物の価格の変動において万やむを得ないのだ、こういうことを聞くのですけれども、私たちは価格変動ということだけによってあの八〇%に押えるというのに、どうも十分理解できないのです。この点ひとつ見解を聞かしていただきたい。
○大和田政府委員 乳牛等の家畜共済を行ないます場合に、共済金額は共済価額の八割以内でございます。これはいま御指摘がありましたように、家畜の値段が相当動くわけでございますから、超過保険にならない程度にということが一つの目安で八割というふうに考えておるわけですが、ただ、家畜の価格と超過保険の問題ばかりではなしに、実は家畜の飼養のやり方によって相当家畜の死亡等に影響がございまして、ある程度モラルリスクといいますか、道義的な危険度といいますか、というものがございます。したがいまして、家畜が死亡した場合にある程度飼養主の責任が残るような形で家畜共済を行なうことのほうが、家畜共済を円滑に実施するゆえんだろうというふうに考えます。 したがって、単に家畜価格が変動するということ以外に、これは家畜共済ということの一つの特殊性でもありましょうし、あるいは農作物共済ということの特殊性でございましょうが、農業のやり方あるいは家畜の飼い方等によって、相当事故のあり方が変わってくるということが一つの本質的な問題であろうというふうに考えるわけでございます。
○柴田委員 先ほど畜産局にもお尋ねしたのですが、伝染病にかかって、それで命令殺を受ける、法的な屠殺命令を受ける、それに対する補償、手当て金というのが低いことは御承知のとおりでして、これの手当ての補償金について値上げを要求しておる農民がある。一方では家畜共済のほうで掛け金をかけておって、当然もらえるというのが――かけるときには、生命保険でも火災保険でもそうですか、かける者からいうと、掛け金は安いほうがいい、万一不測の災害を受けた場合、もらうときには多いほうがいいというのは、これは人間の考え方だと思うのです。しかし農民のほうは、やはり評価を受けた額だけはぜひ排け金を、少々高くてもかけておきたい、そういう農家が順次ふえているわけですね。いろんな不測の災害を受けない地帯ならぴんとこないけれども、不測の災害を受けた地域においては、特にそういうように農民の心理状態は大きく変わってきているわけです。そういう考え方に立っている地域については、やはり評価額の満額かけれるような、そういう弾力性を持たしたらどうか。それは、先ほどあなたが申されたようなことでなくして、もっと農民を守る、災害を受けても次に前進できるのだと、多少でもよくなるような方向で考え方を持ったらどうか、こう思うのですが、どうですか。
○大和田政府委員 私は、家畜共済の実際の性格からいって、共済金額を共済価額まで満額認めることは、やはりまずいというふうに思います。 それからもう一つ、十分御承知のことと思いますが、御参考までに申し上げますと、四十二年度から家畜共済のやり方を相当変えて、相当農家から喜ばれておるというふうに思いますが、共済金額の大体の動きを見ますと、従前に比べて多少はふえておりますけれども、それでも乳牛で平均五万四千円程度でございます。私どもが考えておりますような、共済金額が共済価額の八割以内というふうなところまでは、まだとうていいっておりません。そういう事情でございますので、まず共済金額を共済価額の八割程度とすることが適当ではないだろうかというふうに私は考えております。
○柴田委員 時間がないからあまり論戦もできませんけれども、もう一つ最後に、これは畜産局と両方にお尋ねしたいのですが、えびの地震についてです。あの地帯は、やはり酪振法において集約酪農地域の指定を受けておる地帯であります。あそこで、特に被害を受けておる農家が百七十戸あるのですね。それで乳牛の頭数約七百頭余りですが、これはもう乳が出ないし、畜舎も倒壊され、山くずれがくるということで、その乳牛の取り扱い農家は、もう飼料もなく、飼う元気もないしということで、市町村が預かったり県が預かったりというような地域も一部あるそうですか、そういう事態になっておるのに対する救済措置というか、ああした連続災害を受ける地域に対して当局はどういう処置をやっておられるのか、ちょっと聞かしていただきたい。
○立川説明員 ただいまお話のございましたえびの地域におきまして、例の地震のために酪農家その他が非常な被害を受けておるわけでございますが、これに対しましてとりあえずの措置といたしましては、結局家屋、畜舎の倒壊その他がございましたので、あそこに市場がございますので、その市場に集めまして共同飼育をやりまして、その応急措置としての飼料なりその他の経費につきまして、県が補助をやっております。それから国といたしましては、あそこに種畜牧場がございますので、飼料その他について緊急に融通をするとか、そういう措置をとっております。あと、残余の金融措置につきましては、経済局長のほうからお答えいたします。
○大和田政府委員 保険事故といたしましては、地震の結果死亡、廃用ということになりましたものは、当然保険事故として共済金の支払いの対象になろうと思いますが、多少乳量が少なくなったという程度では、なかなかむずかしい問題になろうと思います。なお私どもよく調査をいたしたいと思います。 災害を受けました農家で、金融の面で措置できることがありますれば、われわれ中金あるいは信連等十分指導して、資金の融通の面ではお困りにならないように努力いたしたいと思います。
○柴田委員 共済の問題は定義がよくわかっておるのですけれども、ああいう連続災害を受けるとほんとうに――いま融資が大体が一本でしょう。また融資を受けたって、もう飼育意識というか、ああいう災害地おける思い切った保護措置をとっていかないと、農民自体はもうこれ以上飼う元気がない。その融資を受け、あるいは自己資本を投下しても、いつ地震が起きるかわからないという、その精神的に受けたショックというものは非常に大きいと思うのです。その場合に、国も県も思い切った、ただ融資だけじゃなしに、ああいう災害については何らかの方法が特別に講じられるかどうか、そういう考え方に当局はなっておられるかどうか、その点を聞きたいのです。
○立川説明員 保険の対象として、先ほどのような問題もございますが、畜産一般として、そういう農家が元気を失って非常に困っておられるということに対しまして、どういう措置を具体的にとりますかは、いままでの制度で、家畜導入なり何なりでやれるものはやりますけれども、新規にどういうような制度、あるいはどういう措置をとりますかは、県ともよく相談いたしまして、今後よく検討いたしたいというふうに考えております。
○柴田委員 日本列島はもう南から北まで長いし、年じゅうどこかで災害が起きておるのですが、災害対策というものは、われわれの立場から言うと、もう少し思い切った抜本的な対策を講ずべきではないかという気がする。そのときそのときの災害において思いつきでやられたのでは、基盤の弱い産業である農業というものは一たまりもない、こういう気がするわけです。特に地震というのは三年に一ぺん、五年に一ぺんくるときもありましょうけれども、ああ連続にやられたら、二十四時間中おちおち眠っておるわけにもいかない。人間自体の生命にも不安を感じる。家畜でも、それはもうたいへんなショックを受けておる。ものを言わぬからよくわからないけれども、それがあらわれてくるのは、乳質も下がってくるだろうし乳量も下がってくるだろう、こういうことでいろいろ変化が起こってくる。それからもとに戻るのに非常に時間がかかる。その間乳質も下がれば、いまの乳価のあれからいうと安く売らなければならぬだろうし、乳量が下がればそれだけバランスが破れるだろうということも考えられるし、農家というのは、災害を受けた畜舎を改造すればそれで事足りるということではなしに、災害復旧についてはいろいろな形で尾を引くわけですから、そういう点については、営農資金にしても、運転資金にしても、施設資金にしても、いまの制度からいったら十分とは言えない。とにかく日本のいまの農村の――いずれ本委員会でも論議を深めていく今度の農林漁業公庫法の一部改正、あの問題については、日本の系統金融というかそういうものは別としても、政府がきめる金融については、一つの政策だから、政策的にああいう災害については、もっと思い切ったことをやるべきではないか、こう考えるのですが、経済局長どうですか。
○大和田政府委員 私ども、災害に対しましては、一般の制度資金あるいは系統資金の導入以外に、天災融資法その他相当思い切った施策を講じておるつもりでございます。これらの災害関係の特別な融資措置については、適用の場合あるいは適用された場合の貸し付けの実務等についても、いろいろ当初のうちは御不満が農家から出る向きもありましたけれども、少しずつはよくなって、最近では相当改善されたというふうに考えております。
○柴田委員 最後にお願いしておきたいことは、やはり不測の災害については政府のほうも、特に農林省は、もっと農民的な立場で、ひとつ十分そうした認識の上に立ち理解の上に立って、適切な処置をぜひ講じてもらいたい。それは日本語でじょうずを言うとかへたを言うのでなくして、農民というのは、家畜伝染病にしてもそうした地震にしてもたいへんな苦しみを受けておるのは事実なんですから、ただ官僚的というか役所的ないままでの考え方では救済はできないと思うので、その救済措置についてはもう少し新しいアイデアを出すべきではないか、こういう気がするわけですが、その点を強くお願いをしておいて質問を終わります。
○足立委員長 樋上新一君。
○樋上委員 畜産局長にお伺いいたしますが、きめられた時間の関係上要点のみ申し上げますと、中国肉の輸入について口締疫のおそろしさということは、前二回、分科会、特別委員会において、あなたが答弁されておることは、私は会議録でよく存じております。ですけれども、それから一歩も前進しておらず、あくまでもあなたは口蹄疫一本で、積極的に中国肉を輸入しようという意欲的なものはないのじゃないか、私はこう思いまして、きょうは通じて三回目の質問でございますけれども、私の尋ねることにつきまして確信を持って、そして何かあなたが政治的圧力をかけられて、入れてもいいのだけれどもというようなことがあるなら、はっきりそれもおっしゃってもらいたい。 私があなたにお伺いしたいのは、先ほど立川参事官とちょっとやったのですが、汚染地域である国から、たとえ百グラムの肉でも、試験輸入は禁止されていると言明しているようでありますが、それは事実そうなんですか。あなたにもう一ぺん確認をとっておきたいと思うのです。
○岡田(覚)政府委員 ただいまの御質問の点でありますけれども、輸入禁止地域に指定されておりますので、その牛の肉につきましては輸入ができない、こういうたてまえになっておるわけでございます。
○樋上委員 それでは、撲滅宣言をしてないところのフランスよりシャロレ一種の肉牛を輸入して、北海道で飼育しているということは、これは事実ですね。どうですか。
○岡田(覚)政府委員 事実でございます。
○樋上委員 それではもう一つお伺いしますが、グアム島に現在屠殺場を建設していることを政府は知っていますか。それから、ここで現地の肉牛とフランスのシャロレー肉牛を入れて屠殺して日本に輸出しようとしているが、政府はこの輸入を許可するのかどうか。この点はどうですか。
○岡田(覚)政府委員 全然聞いておりません。
○樋上委員 これは一ぺん調査してみてください。事実そうなっているのです。私どもの調査した結果はそうなっているのです。 あなたは、四十二年の十月二十六日の十二時に、農林省畜産局において、日本国際貿易促進協会中国食肉輸入協議会代表者と面談されておりますが、それは事実ですな。
○岡田(覚)政府委員 いろいろな団体としょっちゅう会いますので、いつ、どういうふうな方と会ったかということは、いま記憶がございません。
○樋上委員 それはそうでしょう。けれども、こちらのほうは真剣になって会うておるのですから、もうちゃんと覚えておる。それで、あなたのお会いになったのは何回お会いになったか知らぬが、そのときに会われた人がちゃんときょう来ておるのですからね。そのときに、はっきりあなたおっしゃっている。どうおっしゃっているかというと、田中良男先生が現地の調査報告、すなわち中国に口蹄疫が撲滅して、現在発生のないことを認める、そう言ったときに、あなたは、口蹄疫の発生がないと認めたときは、これは輸入は認めるとおっしゃったですな。
○岡田(覚)政府委員 その際、どういうことを申しましたか記憶がございませんけれども、私たちの考え方は、申し上げますと、田中先生が調査をされました結果報告書が出ております。その報告書には、いろいろな問題点はあるけれども、口蹄疫の発生は現在はないのではないかというふうな推測をされておるわけです。したがいまして、その推測だけで――田中先生は非常にすぐれた獣医でございますから、御信頼はいたしておるわけでございますけれども、しかし、調査の範囲でありますとか、調査の結果の報告を読みまして、それだけで全く口蹄疫の心配はないというふうに行政的に判断をするということは、早計であるというふうに私たちは考えております。 したがいまして、私たちは現在牛肉を世界から求めておるわけでございますから、どこの国を制限をし、どこの国を特に認めるというふうな、政治的な配慮は全くいたしておりません。ただ、病気の問題で現在輸入を解除しておるか禁止しておるかという問題だけでございますから、その口蹄疫の問題について全く心配がないということであれば、それは輸入の道は開けるというふうに私たちは考えておるわけでございます。
○樋上委員 それでは、あなたは田中氏の報告だけで認めるわけにいかぬと言いますけれども、だれの報告を認めるのですか。田中氏は信用ある獣医ではありませんか。あなた方も私たちも信用しておるのです。それじゃ田中氏は個人的に行かれたのですか。田中氏は中国に、家畜防疫に関する技術調査のために行かれたのですが、その費用は自分個人で出して行かれたのですか。それとも、あなたのほうからちゃんと依頼されたのじゃないですか。その点どうなんですか。
○岡田(覚)政府委員 日中食肉協議会ですか、輸入協議会でございましたか、そこから代表として出されたわけでございます。したがいまして、政府が旅費を支出したとか、そういうふうな関係はございません。 それで前段のお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、田中先生は非常にすぐれた獣医学者でございますから、その人の言われておることに、私たちはやはり信頼はすべきものだと思うのです。しかしながら、その報告書だけで中共の口蹄疫の問題をすべて判断するわけにはまいりません。先生の報告書にも書いてございますように、たとえば、口蹄疫のビールスがどういう種類のビールスであるとか、あるいはどういうワクチンが使われておるかとかいうことについて質問したけれども、それについてはお答えを得なかったということが報告書に書いてあるわけでございます。したがいまして、行政的に判断をいたします場合には、単に田中先生の報告書だけで判断をするわけにはまいらぬということを申し上げておるわけです。したがいまして、私たちが判断をするのに必要なものとして、五つの項目につきまして、こういうふうなものについて正確な資料の提出を受けられるならば、その資料に基づいて判断をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○樋上委員 第一問について私は反駁したいと思うのですが、この田中先生の技術調査の資金は、通産省と日中食肉協議会で支払われており、その内容は、未開発地域調査費という名目で払われておるのです。この点からしても、田中氏の訪中は単なる民間代表ではなく、完全に政府の意向を受けた代表と言えるのではないか。この点はどうですか。あなた、出ておらぬとおっしゃるけれども……。
○岡田(覚)政府委員 私の在任中の前でございましたので、実はいま御質問の点は正確に存じておりませんので、一応調べてみたいと思いますけれども、そういうふうな金が出ておったといたしましても、しかしその調査の結果の判断の問題でございますから、したがいまして、たとえ政府の調査費が出ておったとしましても、田中先生の出されました結果から、直ちに口蹄疫の心配が全くないという判断にはなり得ない。問題は、口蹄疫の心配があるかないかということでございますから、そういう点から判断をしなければならない問題ではないかというふうに、実は考えておるわけでございます。
○樋上委員 あなた、知らなんだら知らぬと初めから言うたらいいのに、出ておらぬと言うから、だから出ておると、こう私は言うのです。そうでしょう、局長。 〔委員長退席、石田(宥)委員長代理着席〕 ですから、なぜ私はこういうことを言うかというと、かってに訪中して、かってに民間のなにだから信用できぬ、こう言われるから、通産省が出しておられるのだから、公然たる調査費として出ておるのですから、政府はこれを認めている。だから今度は、田中氏の報告があなたは行政面からして納得できぬとおっしゃるのでしたら、何ぼでも、前後三回にわたって報告書は出ておるのです。大石先生のもありますわね。そのことについて、あなたがこの前の会議録でも要求されておりますが、どういう方法でどういうワクチンを打って、どういう行程によってそれがなおってきたか、その過程を知らせい、こうおっしゃっておるのですね。それはいまも変わりないですね。 そうしたら、そういう論争になるんだったら、ここにあるのですよ。中国の口蹄疫については、前後二回にわたる調査によってもはっきりしております。すなわち、田中良男氏の報告書の七ページ、三四ページの二項、五二ページの六項に明らかにされておるとおり、田中氏はわが国内外にも認められておる人であり、この報告を認めないとするならば、これは日本の獣医師会の権威を傷つけるものではないか、こういうことになってくるのですよ。 この中国の口蹄疫の型でありますが、これは大石報告――御存じですか。大石武一先生の報告です。この報告にも、三七ページの二項に、広州においてVE型、西北においてVS型が発生しておりますと書いてある。これはまた中国だけではない。昭和三十三年八月書版の「家畜伝染病」という落勇一氏の書の中にも、中村さんの報告として、最近中国ではアジアIという型が発見されておることが書いてある。 こういうぐあいにいろいろと報告をされておって、口蹄疫に対するワクチンの製造方法は、大石報告の第二十六節に、口蹄疫ワクチンの種類と簡単なる製造法が書いてある。中国には製造法がちゃんとわかるのですけれども、自分で開発したものをはたして他に教えるであろうか。あなたがおっしゃるように、生ワクチンがどうなっている、こうなっている――かりにこれは日本でも、ワクチンの種類をいろいろ研究した、それを出してくれといってすぐに教えるものではない。一九六六年に中国より帰った清水氏の話によると、多種ワクチン及び高度多種免疫血清も成功している。 こういうぐあいに、すべてのワクチンが成功しておるのです。もう再び中国には口蹄疫というものがないということが、あらゆる報告書や医学的な面からはっきりしておるのですけれども、それでもあなたは信用されないのですか。
○岡田(覚)政府委員 それではお答えいたします。 田中報告は、先生御承知のとおりでございますが、これにつきましても、報告の中を簡単に申し上げますと、「口蹄疫病毒の型及び現在応用中のワクチンの毒の型について説明を求めたのに対しての返答は、一、ソ連外蒙型と同様なもので、二、現に応用中のワクチンは西独ワクチンであるというもので、それ以上詳細な点は、国の規定によって回答できないということで知ることができなかった。その理由は何であるか、もとより知ることができないが」云々、こういうふうなことが書かれてあるわけでございます。その他の牛疫でありますとか牛肺疫でありますとかというかなりおそろしい伝染病につきましては、こちらの質問することに対して非常に詳細な説明がなされておる。ところが、事口蹄疫に関しましては、ここに書いてありますように、理由が何であるかわかりませんけれども、一切教えてもらえなかった、こういうふうな報告がされておるわけでございます。 そこで、私たちのほうは、口蹄疫という病気がいかにおそろしい病気であるかということは、先生も御承知のとおりでございまして、英国で昨年十月に発生しましてから、四十二万頭でございますかの頭数を殺処分した。そのために使った殺処分手当が二百億をこえるということでございまして、まさに畜産局の予算と同じ程度のものが殺処分手当に使われておる、こういう事態でございますから、これはたいへんなことだと私たちは思うわけでございます。したがいまして、わが国のような非常に狭い地域に家畜が密集しておるところへ口蹄疫が侵入いたしますと、きわめておそるべき状況になるであろうというふうな推測がつくわけでございます。したがいまして、口蹄疫が国内に侵入するということにつきましては、われわれとして非常に心配をいたして、絶えずこれに対する対策を立てなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。 そういうことで、少なくとも口蹄疫につきましては三十数種類の型がありまして、非常に新しい型が出てくるという事態もまたあるわけでございます。しかも、それぞれの型につきましてワクチンの種類が全くみな違う、一つとして同じワクチンできくものはないという状態でございますから、したがいまして、この点につきましてはよほど慎重な扱いをしなければいかぬというふうに思っておるわけでございます。 そこで、われわれとしまして最小限知りたいということは何であるかというと、私たちが申し上げている五項目でございます。五項目につきまして、世界のいずれの国におきましても、詳細な報告を求めると、それに対する回答というものがあるわけでございますけれども、残念ながら中国からは、それをもらえないということでございます。何のためにそういう資料が出せないのであるか。われわれとしましては過剰な資料の要求をしているわけではないわけでございまして、獣医学からいいますと、通常のベースの要求資料であるというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、そういう資料の提出を求めまして、具体的にそれがどういうふうな形のものであるか、内容がはっきりいたしませんと、私のほうとしても、安全であるということがなかなか判断いたしかねる、こういうふうなことでございまして、政治的な配慮からこれを禁止するとかしないとかというふうなことは、全く考えておらないわけでございます。
○樋上委員 それでは、あなたのおっしゃるのは、中国のほうがそれを教えない、だから安心できない。ところが、西欧諸国では中国の牛肉を大量に輸入しておりますね。いまおっしゃったイギリスで口蹄疫が出たという、その牛はどこの牛か。中国の牛か。そうじゃないでしょう。その牛の種類は何ですか。口蹄疫という病気がそれだけおそろしいということをあなたがおっしゃるんだったら、それでは西欧でワクチンを製造し、そうしてそれを注射しているんだったら信じて、中国のそれは信じないのか、こう私は考える。また、あなたはおそろしいおそろしいとおっしゃっておりますけれども、日本には口蹄疫という病気がいままであったかなかったか、御存じですか。
○岡田(覚)政府委員 過去のことは必ずしもはっきりわかりませんけれども、とにかく口蹄疫というものが日本に現に存在したということはないというのが、獣医学界の常識でございます。
○樋上委員 これも調べたんですけれども、口蹄疫が日本にないということはなかった。つまり、一八九九年-一九〇二年に三千五百頭という口蹄疫の病気が日本で発生しておる。それから一九〇八年に五百八十頭、大正、昭和年間、特に一九三三年発生して、一九五〇年から一九六〇年の間に横浜に上陸した牛に発生しており、これを発見しておる。ということは、わが国においても診断できるということではないかと思うのです。完全にそれを撲滅しておるのです。また家畜の病毒の本を見れば、必ず初めのほうに載っているのは、この口蹄疫の問題でございます。ですから、いまあなたのおっしゃっているのを聞いておりますと、おそろしいおそろしいということを言っておりますけれども、これに対して真剣に取り組んでいって、中国のワクチンの方法を教えてくれぬ、これを教えてくれぬ何を教えてくれぬと言っていると、向こうはおかんむりを曲げてしまいますよ。そうでしょう。だから、もっとほんとうにそれを考えてやっていこうというんだったら、あちらに出た、イギリスに出た、おそろしいとばかり言うておらぬと、やはり日本にそれだけ前に発生して、それでとめることができておるのだからね。 最近の医学の発展というものは、中国においては非常に速度が速い。また、アメリカやイギリス、日本でもわからないような高度な薬もできておるのです。こういうことから考えてみますときに、どこの国を信用するのか。わが国においては不明瞭な口実をつけて輸入を拒んでいるが、どうも聞いておりますと、あなたの話は筋が通らないように思うのです。いままでこうだったからああだったから、イギリスにおいてはこうだったから……。入れぬつもりならばそう言ってもいいけれども、もっともっと積極的に前向きにやっていかなければならない。 また、中国から鶏、ウサギなどを輸入しているが、過去にどれぐらい輸入してきたか、またその輸入したものから病気等が発生したことがあるのかないのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
○岡田(覚)政府委員 御承知のように、口蹄疫は偶蹄類にのみ発生する特異な病気であるわけです。したがいまして、鶏等にはそういうふうな病気の発生はないわけでございます。したがって、政治的な配慮から中共から肉を輸入しないということであれば、鶏肉等の輸入もしないというたてまえになるはずでございますけれども、そういうものについては、現に輸入を認めておりますし、輸入もいたしておるわけでございます。ただ、偶蹄類につきましてのみそういうふうな問題がありますので、実は輸入禁止がなされておるわけでございます。 外国では中共の肉を輸入しているではないかというふうなことでございますけれども、これは調査団が参りましたときに、どの程度どの国に輸出しているのかということを聞きましたけれども、その詳細は知ることができなかったということが報告されておりますし、現に世界の貿易の統計表を見ましても、中共の食肉輸入ということで統計に上がっておるのはございません。その他というのがそれぞれの国にございますから、あるいはその中にあったのかもしれませんけれども、その点は明瞭でございません。 それからもう一つは、たとえヨーロッパ等で輸入をいたしておったとしても、それなら日本でも輸入してもいいではないかということがございますけれども、現にイギリス等につきましては、口蹄疫の汚染地域、常在地帯でございます。ヨーロッパはほとんど全部そういう常在地帯でございます。したがいまして、口蹄疫の発生しない国と発生をして常在している国とはおのずから違うわけでございまして、たとえばアメリカでありますとか、カナダでありますとか、あるいは豪州、ニュージーランド等が、口蹄疫に対してどれほど真剣になっているかということにつきましては、われわれもいろいろ話を伺って、たいへん神経質な態度でこの問題に対しておるというふうなことがうかがえるわけでございまして、その点は、国によりまして考え方は若干違うと思うのです。 日本におきましては、先ほど先生のお話がございましたけれども、われわれが聞いております範囲では、国内に口蹄疫の発生したことはないという判断をいたしております。戦前におきまして、青島から牛が入っておりますときに、検疫所において口蹄疫を発見をいたしまして殺処分にしたという、検疫所におきます例はあったようでございますけれども、それが国内に侵入するということは防止できたわけでございます。したがいまして、わが国内におきましては、口蹄疫というものはかってなかったというふうにわれわれは承知いたしておるわけで、今後も口蹄疫の侵入というものは、できるだけ防止をしなければいかぬというふうに思っておるわけでございます。
○樋上委員 口蹄疫、口蹄疫ばかりで中国産の肉を入れないということだったら、いつになったらそれができるか。 〔石田(宥)委員長代理退席、委員長着席〕 ワクチンの種類が非常に進歩しておる中国においては、インシュリンの合成も成功しておりますし、これは米英どこの国でも発明されておりません。このように、ヨーロッパだけが何でもできるんだというのは間違いであって、中国におきましては、医学の水準というもの、またこういった家畜防疫の体制が充実しておる。いま私がお伺いした、牛と鶏やウサギは全然違うとおっしゃられればそれ限りですけれども、現にニューカッスルという病気が出たそのときに、どんどん日本でも出て、多くの鶏がかかった。けれどもその発生した鶏は、中国のものであるかアメリカのものであるか、これはアメリカのものであるけれども、それを一応検閲所で一週間もとめておいて、日本はアメリカに一辺倒ですから、アメリカさんのごきげんが悪いということになってはいかぬので、その検閲を延ばしておる。けれどもこの鶏に対しても、またウサギやこういったものに対しても、全部中国のものは、完全にそういった病気が発生しないように進歩しておるのだ。そこをいつまでも、ああ言うてくれないから、この五項目を言うてくれないから、その輸入禁止を解けないのだということは、ほんとうに私はどうかと思うのです。 政治的圧力はないとおっしゃいますけれども、聞くところによりますと、これは確証を得ませんけれども、日本の牛肉がアメリカ大使館を通じて向こうへ行っておる。ところが、中国の食肉輸入に踏み切ったら、アメリカ方面からそうした食肉の一切のもの、すき焼き用のものとかその他のもの、そういうものをとめてしまうというようなことがあって、それに気を使って中国の輸入をせぬでいるのではないか、こういうことも考えられてくる。あなたはないとおっしゃいますけれども、そういうことにもなってくる。 ですから、いまや民間の人たちも、また業者も、前に申しましたけれども、坂田農林大臣のときに一応輸入は認める、こう言って準備もした。けれども今度は松野農相にかわってから、突然またそれが禁止された。ここに私はどうも政治的圧力というか、いろいろ想像をたくましゅうし、なぜ一国の大臣がかわるたびに、国民が求めている安い牛肉を入れずに禁止するかというようなこと。それを今度追及してみたら、口蹄疫だ口蹄疫だと、口蹄疫ばかりにかかずらわってそれをとめているということは、私は、非常に日本のLT貿易の上においても、ほかの欧州は片貿易ですけれども、それは見返りのものを出せるという点については 私はこの際あなたの、おそろしいおそろしいということは、まことにそれは安全でけっこうですけれども、さらに一歩を進めて前向きの態勢で真剣に、どんどんもっと調査団を派遣して、納得のいくところまでやっていかなければ、中国がおかんむりになってしまう。ワクチンを教えてくれぬから輸入せぬのだなんて、先ほど言いましたように、日本でもワクチンをこしらえたら、そのワクチンをだれが公開するか、そういう点を考えてもらいたいと私は思う。輸入の促進といったところで、あなたがここで一服しておらぬと、それではどういう具体策をもってやるかという決意のほどをもう一ぺん聞かしていただきたいと思います。その口蹄疫ばかり言うてないで……。
○岡田(覚)政府委員 先ほどからお話を申し上げておりますように、私のほうは病気がなければ禁止をすべき理由はないと思っておるわけでございます。したがいまして、現在でも輸入禁止しております地域から、輸入の禁止を解除してもらいたいという要請が欧州各国から出ております。そういう国には、必要な資料の提出を求めまして調査をいたしまして、心配がないということであれば解除するという方針で臨んでおるわけでございます。中共につきましても、少なくとも輸入の問題があるわけですから、われわれがほしいという資料は率直に提出してもらいまして、それで検討しまして心配がないということであれば、禁止を解除するというふうなことは可能であると思うわけでございます。特に中共だけに、われわれとしましては特別な加重された要求をいたしているわけではございません。世界のいずれの国に対しましてもそういう態度で臨んでおるわけでございますから、その点は十分了解をされまして協力をしてもらいたい、こう思っておるわけでございます。そういうことができれば、そういう資料に基づきまして十分判断をいたして、対処したいというふうに考えておるわけでございます。
○樋上委員 その意味はわかるのですけれども、だったら積極的にあなたのほうが、いまの三回にわたる調査団の報告だけで納得がいかぬ、もう一つ納得がいかないとおっしゃるのだったら、さらに積極的に政府がこれに調査団を、もっと権威のあるもので、また前に行かれた方々と手を握られて、そうして国際的に見ても牛肉の消費水準の低いわが国においては、今後ますます牛肉不足はきびしくなることは明らかであります。そのようなおりに政府は消費者に安価な牛肉を供給するためにも、前向きな姿勢で中国の牛肉の輸入を真剣に考えてもらいたい。またその輸入に際しての差益金制度のようなものを考えて、その益金を国内肉牛育成対策に充てる、こういうことも私は考えられると思うのです。 先ほどから生ワクチンその他のことについて論争を戦わしましたが、何回この質問をいたしましても――結局政府が積極的に現地調査に乗り込んでいって、一日も早くその不安を解消して、そうして中国の食肉輸入の禁止の解除を私は願いたい、こう思う次第でございます。
○岡田(覚)政府委員 お話の点につきましては、国と国との問で直接の交渉が現在ないわけでございますから、われわれといたしましては、LT交渉の際でございますとか、それから民間の団体がおいでになりましたときには、できるだけそういうふうな資料を出していただいて、それで検討ができるような状態にしてもらうように話しておるわけでございます。残念ながら、現在までそれが実現しておらぬわけでございます。今後につきましても、可能な限りの努力はいたしたいというふうに考えております。
○足立委員長 森義視君。
○森(義)委員 私は、森林火災の問題でお尋ねしたいと思うのですが、昨日の朝日新聞の夕刊では、大阪と奈良の県境にある生駒山を中心にして、昨日一日だけで五カ所森林火災を起こしておるわけです。特に生駒山の森林火災は、まだ消えておりませんでした。五十ヘクタールがすでに焼失しております。最近の異常乾燥注意報が出されている中で、特にあたたかくなると、レジャーブームでハイカーが盛んに山に入る。そうなりますと、こういう火災がどんどんとふえていくと思うわけです。 そこで、森林火災の防災は、自治省の消防庁が担当するのか、あるいは林野庁が担当するのか、どちらが担当するのか、まずお伺いしたいと思います。
○片山(正)政府委員 お答えいたします。 林野庁といたしましては、森林火災につきまして、国有林はもとより民有林の保険加入林地もございますが、そういうものに対しまして警防措置ということから、従来の原因を調べてみますと、たき火、たばこ、火入れ等の人工によるものが非常に多いわけでございます。したがいまして、それらに対する啓蒙あるいは巡視員を派遣して巡視しまして、そういうことで予防的な措置をするとともに、あるいは早期発見というような意味で、望楼あるいは無線、そういうものを設置いたしまして、その予防並びに防火につとめているわけでございますが、これは御承知のように自治省並びに消防庁との関係もございますので、緊密な連絡のもとに実施しているわけでございます。
○森(義)委員 それでは、最近の森林火災による損失はどういう傾向をたどっていますか。
○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。 三十六年から四十一年の六年間でございますが、年平均にいたしますと約二千五百件ございまして、被害面積が一万六千百ヘクタールでございます。その損害額が十二億九千万円となっております。 以上でございます。
○森(義)委員 災害対策基本法では、各地域の防災計画をつくることをきめられておりますが、この各地域の市町村の防災計画を見てみますと、普通火災と水防の対策はございますが、森林火災の対策はないわけでございます。林野庁長官はいま早期発見、いわゆる予防的な立場でいろいろと努力をしておる、それから、一たん火災が起きた場合においては、森林国営保険でそれの救済措置を考えておる、こういうふうな答弁でございますが、第一、一般火災あるいは水防――これは建設省の管轄ですか。一般火災にはそういう防災対策がございますが、山林の場合においてはないわけです。一般火災の防災とそれから森林火災の防災とは、性格が全然違ってくるわけです。そういう場合に、全然森林の火災に対する防災の対策がない。こういうことはどういうことですか。
○片山(正)政府委員 ただいま御指摘のように、防災計画の中で森林火災の予防の措置がとられておらない、これは御指摘のとおりと思っております。したがいましてわれわれとしましては、防災計画を立案する総理府、県、市町村、そういう段階の市町村におきまして極力防災の姿を織り込んでいただく、そういう形で指導していきたい、かように思っておる次第であります。
○森(義)委員 それでは消防庁にお伺いしますが、市町村の消防団員の定数をきめる場合に、その地域が持っているところの森林面積というのは、その定員の考慮に入っていますか。
○中沖説明員 市町村の消防力につきましては、現在消防庁で、消防力の基準というものを示しております。それに基づいて必要な消防団員数の確保等をはかっておるわけでございますが、消防力の基準におきましては、消防ポンプ自動車の付置数を中心に算定いたしております。したがいまして、そういう点もいろいろ考慮いたしまして、現在、消防力の基準につきまして鋭意検討中でございます。
○森(義)委員 林野庁長官、いまお聞きになったような状態で、これは自動車の付置数で団員をきめるというような形では、森林火災の災害の場合における実際の効果は出てこないと思うのです。水もない、自動車も入らない、そういうところにおけるものが森林火災なんですね。そういう場合において、いまの消防庁のような考え方で、いわゆる一般の普通火災というものを基準にして考えておられる団員の編成では、私はとうてい森林火災を防ぐことはできない、こういうふうに思うわけです。 そこで、先ほどお聞きいたしました、森林火災はどちらが担当するのかと聞くと、林野庁長官は、自分のところが担当しているようにおっしゃったので、いまの消防庁の話を聞きますと、森林火災については全く消防庁は手放しのように思うわけです。林野庁は自分のところで、予防とかあるいはそれに対する救済措置は考えておる。そうしますと、林野庁が主としてこれを担当しておるという観点でこれからお尋ねしたいと思いますが、それでよろしいか。
○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど御説明いたしましたのは、ちょっと説明が足らなかったと思いますので、付言いたしますが、私のほうでいま予防、警防に対して力をいたしておりますのは、国有林並びに保険加入の山を対象としてやっておることを申し上げたのでございますが、それ以外につきましては、われわれとして、担当官庁でございます消防庁のほうと連絡を密にしてやってまいりたい、こういう意味で申し上げたのでございます。したがいまして、消防そのものにつきましては、わがほうの担当というふうには思っておりません。
○森(義)委員 そうでしょう。消防そのものについては消防庁が担当するんでしょう。だから、先ほどの答弁では、何か林野庁が担当しておるような立場で冒頭に答弁されましたのでちょっと消防庁にお伺いしたのです。 そこで、消防庁にお伺いしたいわけですが、森林火災の消火には、どういう訓練とどういう装備を考えておられますか。
○中沖説明員 林野火災の消防対策につきましては、私ども日ごろから、国民すべての協力を得るという意味で、火災予防運動等におきまして、林野火災の防止についていろいろPRも行なっておるところでございます。また都道府県、市町村の消防担当機関に対しましても、林野火災の消防対策について日ごろから指導をいたしておりますし、通達も出しておるわけでございますが、いずれにいたしましてもその対策といたしましては、出火を防止する対策と、それから、発生した場合の火災を防御するための火災警防対策とからなるというふうに考えております。 いまお尋ねの点は、いかなる教育、訓練を行ない、また、いかなる施設を整備するかというお尋ねでございますけれども、まず、教育、訓練につきましては、やはり日ごろからの教養、訓練がきわめて大事であることにかんがみまして、常に林野の実態を把握した上で、消防職団員が実情に即しました消火技術等の教養、訓練を行なうように十分話しておるわけでございまして、事前の計画に基づいて、単独市町村あるいは関連を有します数市町村で、関係の機関を含めまして、火災の警防演習を実施するように指導いたしておるわけでございます。 それから、必要な資機材でございますけれども、一つは、通報連絡を確保するための設備が必要であろうと思いますので、有線及び携帯無線等の通信機器の整備をはかるようにいたしております。携帯無線につきましては、四十二年度から、消防団に配置するように財源措置もいたしております。 次に、消火活動に必要な消火機器等の整備でございますが、小型ポンプあるいはのこぎり、おの等の消化機器が必要であろうと思います。そういう点につきましても、小型消防ポンプにつきましては、消防施設強化促進法による補助金を交付いたしまして、消防施設の整備に努力いたしておるような現状でございます。
○森(義)委員 いまおっしゃいました装備並びに訓練について、消防庁のほうから市町村の消防団にそういう通達が出されておりましても、実際問題としてそれはほとんどやっていません。どういうふうに確認しておられますか。そういう森林火災に対する訓練なり装備について、おたくのほうが出された通達というものが、末端においてどう消化され、実現されておるかということについて、どういうふうに把握しておられますか。
○中沖説明員 私どもといたしましては、報告等を随時求めております。
○森(義)委員 それでは、おたくのほうの通達の所期の目的に沿うような装備なり訓練が行なわれておりますか、その報告では。
○中沖説明員 私どもは、消防施設の整備につきましては、補助金等も交付いたしまして、昭和二十八年度からこの点につきまして十分努力してきておるつもりでございます。なお、今後ともこの点につきましては十分配慮いたしてまいりたいと思っております。 それから教養、訓練につきましても、報告等によりまして十分実態が把握できるように努力いたしておりますし、また、先般の大きな火災におきましては、調査官も派遣したこともございます。
○森(義)委員 いまおっしゃるように、森林火災についてのそういう訓練なり装備なりが、消防庁の意図のように行なわれるとするならば、私は、当然地域森林防災計画の中に、森林火災に対する防災対策というものが樹立されておらないといかぬと思う。それすらできていないのに、訓練や装備ができておるのだ、そんな一方通行のことはないと思うのです。あなたがおっしゃるような形が完全にとられておるならば、当然森林火災に対する対策というものが、地域森林防災計画の中に確立されておると思うのです。どこにもされていないじゃないですか。それが、片方でそういう装備やあるいは訓練が完全に行なわれておるというのは、これはそう思っておるだけであって、実際に行なわれていないんじゃないか。 それじゃお尋ねいたしますが、森林火災の場合においては、消防車は消防団員を運搬する役割りしか果たしません。ほとんど水はないし、山には消防車は入れないわけです。そこでどういう装備があるか。いまおっしゃったのは、何かかまとか、なただとかそういうもの、あるいは通信資材、そういうものを考えておられるようですが、実際に大山林火災に対してはどういう資材が必要なのか。私の考えるところでは、大山林火災に対しては航空機を使う以外にないと思うのです。いわゆる薬剤散布ですね。上から火を消す以外にない。それと、平素から防災のための防災道路をつくる。アメリカあたりではつくっておりますが、防災道路をつくる。いまでは自然の谷と川、それから林道、これが一応防災の役割りを果たしておりますが、こういうものじゃなくて、もっと大規模な防災計画というものがつくられなくちゃならぬと思うのです。そういう点について、林野庁と消防庁との間のそれぞれの任務担当を遂行する過程において、お互いに協力し合うという体制が確立されなければ、森林火災というのはこれからどんどんふえていくことが予想される中で、私は全きを期することはできない、そういうふうに思うのですが、そういう点について、消防庁、林野庁両方から御答弁願いたい。
○片山(正)政府委員 森林火災につきましては、御指摘のように非常に重要な問題でございますので、消防庁とは常に連絡を密にしております。消防庁から通達いたしていただきました火災警防につきまして、あるいは消防につきまして、こちらからも関係府県に通達をいたしまして、下部においても密接な連絡をとるような措置をいたしておる次第でございます。
○中沖説明員 林野庁長官からもお答えがありましたように、私ども林野庁とは十分連絡、協調を密にするようにいたしております。 それから抜本的な消火対策ということでございますが、現在消防研究所におきまして、空中から消火薬剤等を散布する方式等について鋭意研究いたしております。
○森(義)委員 林野庁長官は、消防庁とは連携を密にしておると言うが、連絡しておるだけではどうにもならぬわけです。林野庁のほうから積極的に、森林火災を防ぐためにこういう計画を持っておるということを、やはり打ち出していかなければいかぬと思うのです。今度の森林法の一部改正で個別の森林施業計画が出されておりますが、その中に森林火災の問題について何を考えていますか。あの施業計画の中には、一つも森林火災の問題についての配慮は行なわれておりません。地域森林計画の中にも入ってないわけです。森林計画等で、大規模な森林火災を防ぐための何か防災的な計画があるならば、それをぜひお示し願いたい。
○片山(正)政府委員 森林火災の予防の措置につきまして、山の経営においてどうあるべきかということにつきましては、地域森林計画というものを御承知のようにつくっております。その中で、いわゆる防火樹帯あるいは防火線、そういうものを織り込みまして作成いたしておるわけでございます。しかし、これは民有林その他でございますから、指導という形でやっておるわけでございますが、計画としましてはそういうものを織り込むように措置しているわけでございます。 以上でございます。
○森(義)委員 実際に、それではいまの状態で、異常乾燥がどんどん続いていく、それから山にどんどん人が入っていく、こういう状態で、予想される森林火災に対して、林野庁としてはこれで完全だというふうにお考えなんですか。そうすると、森林火災の問題について、いまの方法から一つも前進しようという姿勢が見られないわけですね。いまのやり方で、これで完全だ、こういうふうに考えておられるのですか。市町村の消防団は、山火事といったら、燃えておる、燃えておると言うだけで、全く一般火災とは無関係に考えておられるような傾向が非常に強いわけなんです。そういう点について、林野庁のほうではいまの状態で、これで完全だというふうに考えておられるのか、あるいは将来こういう方面について、森林火災を防ぐために設備をしたい、あるいは配慮をしたいという計画があれば、それを含んでお聞かせ願いたい。
○片山(正)政府委員 予防の措置でございますが、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、森林火災の原因が、われわれ調査いたしましたのによりますと、たき火が二五%でございます。たばこによります火災が二三%でございます。火入れによりまして発生しますのが一三%でございます。したがいまして、これを合わせますと六一%になりまして、六割余がこういうもので、その他が三九%ということになっておりますが、内容は、登山者その他のいわゆる気のつかない、うっかりしたところから発生する原因が主体でございます。したがいまして、それを防止するためには、やはりそれぞれの人によく理解していただくというようなことで、われわれは巡視員を相当配置しております。巡視員は、延べでございますが、八万二千人を配置してそれに当たっておるわけでございます。 なおまた、火災の発生しやすい場所には、見やすい形で表示板その他を設置いたしまして、少なくともそういう人に理解してもらう、気をつけていただくというのがまず第一番でございます。そういうことを通じて予防に万全を期していくとともに、また発生しました場合には、どうしても早期発見が必要でございますので、それに対しまする措置といたしまして望楼を築いております。大体三百三十カ所望楼を築いております。なお、無線も四十カ所設置しております。その他警報の旗とか、そういうものを数百カ所立ててその警防に当たっておるわけでございますが、そのほかの消火その他いろいろな予防につきましては、先ほど御説明いたしましたように、消防庁あるいは現地におきましても、連絡の中でこれを十分進めていくという体制をとっておるわけでございますが、今後ともそういう形で進めてまいりたい、かように思います。
○森(義)委員 そうすると、現状肯定ですね。現状で完全だ、これ以上新しい方法を考えておらないということですか。
○片山(正)政府委員 森林火災の予防あるいは警防については、方向としてはそうであろうと私は思いますが、それだけでは今後の火災発生に対するには不十分だということも考えられますので、御承知のように、現在林業試験場に防災部というのがございますが、それが真剣になって今後の新しい、あるいは的確なやり方について検討中でございます。
○森(義)委員 先ほど消防庁のほうでは、将来の考え方として、たとえばヘリコプター等によるところの薬剤散布というような、奥地森林の火災に対する装備についての検討を考えておる、こういうことでございますが、林野庁のほうではそういうふうな、たとえばアメリカで行なわれておるような森林火災に対する防災道路、そういうものを考えておられませんか。
○片山(正)政府委員 林野庁といたしましては、いわゆる森林開発という意味で林道をつくっておるわけでございますが、昨年林道の体系を整備いたしまして、そういう交通的な、いわゆる地域開発的な、したがってそういう人の通りやすい林道につきましては、あわせて開発するという態度をとって進めておるわけでございますが、その中で、そういう問題を解決していきたいというふうに存じております。
○森(義)委員 森林法の二百二条と二百三条に、この森林火災に対する罰則があるわけです。放火した者に対しては二年以上の有期懲役、それから失火の場合五万円以下の罰金、こういう罰則があるのですが、いままでの森林火災でこの罰則を適用されたなにがありますか。
○片山(正)政府委員 まことに申しわけありませんが、調査しないと、いまここでわかりませんので、後刻調査して御報告申し上げたいと思います。
○森(義)委員 森林火災の場合においては、その原因がほとんど不明だと思うのですね。先ほど、たばこだとかたき火だとか、そういうふうないわゆる一般に山に入った人が不用意にやった、飯ごう炊さんをやったハイカーがあと始末をやっていないというような問題なり、あるいは休憩して、たばこの火をほうったというような問題が非常に多いわけなんですね。したがって、森林法でいうそういう罰則を設けたところで、実際山火事になってしまえば、ふだん人が通っておらないところで火が起きるのですからわからない。したがって私は、予防の問題については十分なPRということが一番重要だと思うのですが、山火事の場合においては予防のしようがないと思うのです。問題は早期発見と、それをどう防いでいくかという問題、その次には、それによって受けた災害に対してどう救済していくかという問題なんです。救済の問題については、森林国営保険のあれで加入している人は救済される。実際山火事が起きた場合に、その森林国営保険で加入者はどのくらい救済されるのですか。それは微々たるものなんです。これは長官御存じのとおりです。数字を出してもらわなくてもわかります。いまの森林国営保険では、実際森林火災の場合においては救われません。 そこで災害補償法の問題について、これはこの前も災害対策特別委員会で申し上げたとおり、林業の災害補償法を早急につくる必要がある。そしてその林業の災害補償法をつくる場合に、森林火災による災害に対して十分な配慮をぜひ加えていただきたい、こう思います。その点について、いま林野庁では検討されて準備されておるようでございますが、森林災害について、その中に十分火災に対する救済措置を加味するように、そういう考慮を払っておられるかどうか、承っておきたいと思います。
○片山(正)政府委員 御承知のように保険問題につきましては、三十六年までは森林火災保険が中心であったわけでございますが、それが三十六年に気象災を入れていただきまして、現在運営しておるのが実態でございます。したがいまして、われわれとしましては、最近におきまして確かに気象災は大きなウェートは占めてまいりましたが、火災そのものにつきましても、従来の経緯もございますし、今後の問題もございますから、十分検討して、その中には織り込んでいくつもりでございます。
○森(義)委員 質問を終わります。
○足立委員長 次回は来たる九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会