内閣委員会 第16号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/04/23
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
○大出委員 先般の内閣委員会におきまして、恩給に関する審議会答申をめぐって、私からいろいろ御質問申し上げましたが、特にこの理事会、その他で相談をしながら進めてまいりました旧満州国関係に関します諸問題の中で、日−満−日のケースあるいは日−満のケースまた満−日のケースと、こうあるわけですが、これらをめぐりまして——これは、もちろんあわせて琉球政府との関係もございますので、この答申をめぐって質疑をいたす過程で大体四党の話し合いがついて、この中から落ちる満−日のケースの期間完全通算に関しましておおむね四党の意図するように進んでいるわけでありますけれども、たまたまこの問題が諸般の新聞に数多く載りまして、中には誤り伝えられていると私自身が理解せざるを得ない文面もございます。それから、これまた直接承ったわけじゃございませんけれども、次官会議なり、政府の部内なりで多少の異論のような論議が行なわれていることを耳にいたしましたり、あるいは恩給審議会の会長さんの御発言なり、恩給局の御発言なり、大蔵省の御発言なり、いろいろなことが耳に入ってまいっております。せっかく審議をしてまいりまして、事の真相を明らかにして、著しくお気の毒な方々を救済をすべきであるというまじめな観点でものを考えてきておりまする立場からすると、心外にたえぬ面がたくさんあります。したがって、これらの点をひとつ正しく解明をしていくべきである。これが審議の立場にある者の責任であろうと私は考えるわけでありまして、そういう意味で、ひとつこの点についてまず御質問申し上げたいのでありますが、総務長官は、衆議院におきまして、過去足かけ三年にわたりまして、当担当委員会で前後二回のこの問題に関します附帯決議がついていることを御存じでございますか。
○田中国務大臣 よく存じております。
○大出委員 そこで、昨年の決議を読み上げておきますが、これは一昨年決議をいたしまして、四党満場一致の決議でございますが、これが少し文章がていねい過ぎて、もう少しきつい決議をすべきじゃないかという意見に昨年はなりました。そこで、昨年の決議は少しはっきりした決議になっております。 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は次の事項について速かに検討の上善処するよう要望する。 一、外国政府職員、外国特殊法人職員の最短恩給年限をこえる職員期間及び抑留、留用期間の通算並びに最短恩給年限に達していた者が、外国政府職員、外国特殊法人職員となった場合の職員期間の通算について、その早期実現に努めること。 二、最短恩給年限に達していた者が、琉球諸島民政府職員となった場合における在職年の通算並びに内地の官公署職員から、琉球諸島民政府職員となった場合における在職年の通算について、その早期実現に努めること。 三、傷病恩給症状等差調査会の報告の取扱いについて、従来の傷病恩給受給者の既得権が十分尊重されるよう配慮すること。右決議する。 こういう文面で、昨年の恩給法改正案を審議いたしました本内閣委員会で、四党満場一致の附帯決議がついているわけであります。ここで念のために申し上げておきますが、私、ここに非常に長時間費やしました私自身の質問の議事録を持っておりますけれども、質問の過程で、日−満−日、日−満、特に満−日、この辺につきまして附帯決議をひとつ本委員会で取りきめたい、そういう意味で各党の御賛同をいただきたいという趣旨の質問をいたしましたことに対して、国会のほうでそうお進めいただければありがとうございますという意味の塚原前総務長官の答弁がございました。これは責任継承の原則がございますから、総務長官おかわりになりましたが、総務長官というお立場ではこの御発言に責任を負っていただかなければならぬと思うのでありますが、あわせて決議が採択をされましたときに政府側から御発言がありまして、その趣旨に基づいて努力をするという意味の御発言があったはずであります。したがって、この事実について、中身のニュアンスは口頭で申しておりますから多少の相違はあるかもしれませんが、そういう気持ちの応答があったことについてお認めになりますか。
○田中国務大臣 前長官以来、その考え方は変わっておりません。
○大出委員 前長官塚原さんのたいへんな御理解をいただきまして、御本人も、どうもこの満−日ケースが完全通算をされないなんというのは非常に大きな差になってしまうのだという意味のことを個人的に申しておられたことまであるわけであります。そういった上でいまの御確認をいただいたやりとりになっているわけであります。したがって、今回の審議会が審議をするにあたりまして、総務長官が少なくとも附帯決議の趣旨に基づいて努力をされるのだということをお話しになっておりました限りは、その総理府の傘下にある恩給局を含めまして、今回の恩給審議会の論議の過程におきましては、国会の再度にわたる決議の趣旨というものを当然審議会の中にお生かしを賜わらなければならない筋合いでありまして、これは私は当然の政府の義務であろうと思うのでありますが、そこらあたりは、簡単でけっこうでございますが、矢倉恩給局長のほうでどういうお取り扱いをなされておるか、承っておきたいのであります。
○矢倉政府委員 恩給審議会の審議過程の中で、前回にも申し上げましたように、政府側において恩給等課題になっている問題はすべて審議会にかけるという方針をきめて提出をいたしたわけでございます。したがって、問題になっております満−日のケースにつきましても、当然重要な課題として提出されました。なかんずく国会で、衆議院内閣委員会及び参議院内閣委員会において数次にわたって附帯決議が付せられておりますので、その附帯決議の文章を、そのたびのものをそのままに実は印刷をいたして配付をいたしました。なおその配付の上に、実はこれがいかなる理由で内閣委員会の附帯決議になったかという経緯もあわせて詳細説明いたしております。
○大出委員 そこで、私は理解のしかたといたしまして、恩給審議会なるものは政府がこの審議会に諮問をしたわけでありますから、その意味で政府に責任を負うという形で答申が行政府に出される、こういう筋合いの審議会だと思うのです。したがって、その限り、国会とは全く関係がないとおっしゃられれば、まさにそのとおりだろうと思う。だから、国会でいかような決議が数次にわたって行なわれておろうとも、行政府に対する責任を負うという意味で審議会が別なことを答申をされることに異議を差しはさむものではありません。ところが、新聞の文面にいろいろ出てくることについて、私のほうで何人かの方々にその出どころ、真偽を確かめてみました。ところが、審議会の会長さんのところの門をたたいて、いかがでございますかということを聞いている方々も当然ある。これは当然でありましょう。また聞きでございますから、そうでないということであればそれでよろしいわけでありますが、どうも審議会長さんのおっしゃっていることを間接的に耳に入れております限りでは、審議会答申の趣旨に対して、国会がこれを全く無視して四党で修正するなんというのはよろしくない、けしからぬという意味の御発言があったやに間接的に承っているわけであります。もしこれが非公式な話であれば、それなりに私はその責めを云々ということを申し上げる気はありません。ありませんが、気持ちの上で私は釈然といたしません。なぜかというと、審議会の立場が、行政府に対する責任という意味における答申を出す、こういう立場だとするならば、国会が決議をしてきている趣旨で、四党でたとえばその審議会の答申に沿わない形で修正を行なっても、それがけしかるとかけしからぬとか口を出す筋合いのものではない。もし国会に対して、国会のやり口が審議会の答申の趣旨に沿わないからけしからぬとおっしゃるならば、今日まで国会が再度にわたる決議をしてきていることについて、われわれの側には、政府を通じても、総理府を通じても、あるいは恩給局を通じても、一言もその意向を聞きたいというお話もなければ、恩給審議会の過程においてその方々の意見を申し上げたいというお話も聞いたことがない。全く無連絡であります。そうだとすると、もし国会と関係があるという意味の御発言であるとするならば、国会で決議をしていることに対して、国会の委員会の決議無視であるということを今度こちら側から申し上げなければならぬ。なぜならば、こちらのほうが、私自身まる三年近くにわたってこの問題を取り上げてきているのでありますから、したがって、よしんばそれが陰の話であろうとも、審議会の方々が、答申の趣旨に沿わない方向できめるなどということはけしからぬというようなことを言うとすれば、これは私は重大な問題だと考えておるのであります。その意味で私は審議会長さんに再度ここにおいでをいただいて、責任を云々はいたしませんが、真偽のほどを確かめたい、こういう気持ちであります。したがって、もしこの討議の過程でその必要がある場合に、私はあらためてその点を提案をいたしたいと存じます。 そこで総務長官に承りたいのでありますが、審議会というのは一体どこに責任を負うのでございますか。
○田中国務大臣 ただいまのお話は、審議会は、行政府でございます政府が行政の参考にいたしまするために設けておる次第でございます。法律の御制定等々の問題に相なりますと、これは立法府の御意見を尊重しなければならぬわけでございます。
○矢倉政府委員 ただいまの件で御判断の参考になると思いますので、ちょっと申し上げておきますが、実は先ほど申し上げましたように、当委員会の附帯決議につきまして審議会の経過で説明をいたしておりますので、その段階で、この結論が出た過程の中において、やはり国会は国会としての独立の権限に基づいておやりになるのだし、当審議会は政府側の諮問に基づいて一つの結論を出すのだから、そういう点では両者に違った意見が出てもやむを得ないであろうということが、実は審議会の過程で出たことをあわせて御報告申し上げておきます。
○大出委員 もしそうだとすれば、陰で私の耳に入るようなことを会長さんが言うはずはないことになる。ますますもってその真偽のほどをただしたいわけであります。お呼びいただきたいと思いますが、きょうすぐというわけにはもちろんまいりませんでしょうが、そこでその点は、もし会長さんの口からそのことが明らかになるとすれば、これは了解することにやぶさかではない。私は実は残念ながら、先般新居会長さんがお見えになったときに、諸般の事情もあり、いろいろな方のお口添えもございまして、満−日ケースについては会長さんの真意をただすことを差し控えさしていただいたのであります。いまになりますと、そのことがまさにどうも事の行き違いになったような気がするのでありまして、あの時点で遠慮なく申し上げておけば、今日のような騒動にならぬで済んだような気がするのであります。なぜかといいますと、満−日のケースの方々が今日非常に不平等な、しかも気の毒過ぎる取り扱いを受けておる。しかも本年三月末日で退職になる方々が、国鉄、公社、電電もわざわざ退職期間延長をして、国会の附帯決議の趣旨がどう生かされるかを待っているという形になっている。これはそういった特に緊急度合いの強い問題でございますから、この方々が、たとえば改善をされましても、どうも世上あの諸君はかってなことをやったんだとか、何かしらぬけれども選挙対策だとかいうようなことをいわれながら改善をされたのでは、長年泣いてきた方々だって気持ちよくはないはずです。一生懸命やってきた私どものほうも釈然としない。それらの点がありますので——私は三年前から今日の選挙対策をやった覚えも何もないのであって、不平等過ぎるということで真に気の毒だから救済をしたいと思っているわけであります。だからそれらのことも、実は会長さんの言動の中でふに落ちぬ点等がありますので、実はただしてみたい気持ちなんです。そうではないというかわっての御答弁があればこれはまた別でありますが、いまの恩給局長のお話では、違った角度の結論が出ることもやむを得ないという意味の審議があったということでありますから、そのことは会長さんも十分お含みであった、こういうふうにこの席で、公の席でございますから、理解をしてよろしいのかどうか承っておきたいと思います。
○矢倉政府委員 私が審議の経過に立ち会っておりますので、その経過の中で承知している限りにおきましては、ただいま御答弁申し上げましたとおり、会長としては公式にはやはり審議会の分というものを十分心得ての発言であったように考えておりますので、この点は公式にもさようなことを申し上げられると思います。
○大出委員 立ち会っておられた矢倉恩給局長さんからの御答弁でありますから、会長さんもおそらくそういう御理解なんだろう。私も直接承ったわけではございませんので、あまり不用意な発言をいたしかねるので、ばく然たる実はいまのおことばの引用をしたわけであります。それ以上は、私的に御迷惑をかけたくありません。したがって、おそらくそうであるというふうに理解をさしていただきたいと存じます。 そこで、総務長官に承りたいのでありますけれども、この満州におられた方々、特に満州国政府なりあるいは満州の鉄道なりあるいは満州の電電なり、こういうところにおられた方々の問題が時の政府によって正面から取り上げられた時期があるのでありますが、そういった過去の事実について御認識でございますか。
○矢倉政府委員 ただいまの件は昭和十八年かと思います。
○大出委員 これは総務長官に聞いておいていただきたいのですが、その後に岸総理の時代に総理御自身がお取り上げになったことがある。岸元総理は満州に二年ほどおいでになった経験がある。当時の有名なことばに、二キ三スケなどという時の一番トップクラスの有名な官僚諸君のことばであるとかあるいは財界の人のことばであるとかがありましたが、非常に縁の深い方であったわけでして、満州電電なり満州鉄道なりというものは本来ならば、これは政府機関に類するあるいは政府機関、日本の政府機関とまでいっていい筋合いのものだということから、このとき取り上げられたのは満鉄なり満州電電なりの性格なんです。性格は一体何であるかということです。現地にあって採用されたとか日本から行ったとかまた日本に帰ってきたとか、日本から行って向こうでやめたとかいうことを問題にしたのではないのです。満鉄というものの性格は何であり満州電電という会社の性格は何であるかというのが当時のものの考え方の中心であります。これは時の国際的な情勢その他でそういう措置をとったのであって、日本政府がほとんどやっておるのだ、それと変わらない状態にあったのだという根本的な理解が日−満−日あるいは日−満、満−日という問題を前に進めた理解の根底に横たわっておった問題なんです。ここらあたりの御理解のほどはいかにおとりになりますか。
○田中国務大臣 これは国家機関そのものではございませんけれども、ほとんど国家機関同様のものであったと存じます。
○大出委員 ところで総務長官、満鉄ができたのはいつごろか御存じでございますか。
○田中国務大臣 日露戦争の後でございまして、当時満州の経営を日本が国家機関として行なうべきところを国民的なあれに均てんするという意味で、会社組織にして株式を国民全体に分けた、こういう意味でございます。
○大出委員 いみじくも長官の御尊父の時代であったのではないかと思うのでありますが、明治三十九年でございまして、ポーツマス条約が締結をされた以後、つまり日露戦争のあとに勅令百四十二号というので——当時はすべて勅令でございますから、ここで満州鉄道株式会社ができ上がったわけであります。時にこの勅令が出されたときのくっついていることばの中には、十万の生霊と二十億円の国費を費やしたということが書いてある。つまり十万の生霊と二十億円の国費、当時の金で二十億といったら、これはいまの日本の金にしてたいへんな金だと思うのです。それだけのものを日本が投じてつくったのでありますから、形式的な性格はいま長官のおことばどおりであります。でありますが、その実質は明らかにこれは日本の国の責任において、十万の生霊の上に二十億円の金を投じたという文言どおりに、勅令百四十二号で、ポーツマス条約のあとにつくられた。しかも当時の状況を読んでみますと、鉄道だけやっておったのではないのです。撫順の炭鉱だとか、税金の取り立てみたいなものを含むとか、ずいぶん広い範囲にわたってこの満鉄というのは仕事をしている。まさに政府機関の代行を相つとめておったということで、税金みたいなものまで取っておった。そういうことになるとこの会社の性格というのは明らかに形式的にはおっしゃるとおりでございますけれども、中身は日本の政府機関であると自主的に解してもいいほどのものであったということだけは間違いのない事実であります。電電のほうは後ほどできたわけでありますけれども、性格的にはこれまた似たようなものであります。この性格が、岸総理の時代に、満州のこの種の問題は前向きで、性格のよってきたるところ、解決すべきであるということになっていったという実は事情がある。ここまでのところ実は御認識をいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
○田中国務大臣 全くお説のとおりでございます。
○大出委員 ということになりますと、ここで一つ例をあげて私申し上げたいのでありますけれども、ある一人の現職でいま国鉄公社においでになる方に例をとりますと、満鉄で、明治三十九年にできたのでありますから、非常に長期に満鉄につとめている方があるわけであります。現地満州で満鉄に入った方で、入って満鉄に十八年と七カ月在職しておられた。この十八年七カ月目なるものがつまりソビエト参戦、こういうかっこうになって終戦につながっていったのであります。それまでに、満鉄だけに勤続年数十八年七カ月つとめておられた。その後紆余曲折がありまして、抑留だ云々だいろいろございましたが、日本に帰ってきて日本の国鉄におっとめになった。そして国鉄におつとめになっているが、在職期間満了でございまして、おやめになる寸前なんでありますが、その国鉄在職年数が十八年と九カ月になる。この方の例をとりますと、満鉄に十八年七カ月おつとめになった、日本の国有鉄道に十八年と九カ月おっとめになった、こういうことであります。しからば、いまの満−日ケースでいった場合に、この方の恩給というのは一体どうなるかということなんです。これは足してあとから端数その他は整理するのでありますから、そういう意味で計算をいたしますと、これは大体三十七年四カ月になる。まあ約三十七年半。ところが、いま国鉄は共済年金をやっているわけであります。共済年金は御存じのとおり、かって恩給法納金を払っていた方は十七年で三割三分三厘、共済長期をおかけになっていた方が二十年で三割三分三厘、これを統合いたしまして二十年に切りまして四割ということにしたわけであります、恩給は共済年金という形に変わりました。そうしますと、これは合計いたしまして三十七年と六カ月おつとめの方が二十年分だけしか見られないのであります。そうしますと、三十七年六カ月から二十を引きますと十七年六カ月というものはこれは通算をされないのです。じゃ一体、十七年六カ月というのはどこにいた期間かといいますと、満鉄に勤めていた十八年七カ月のうち十七年六カ月は通算をされない。そうなると、何とこの満鉄にいた部分の一年一カ月だけとっただけであって、あとはほとんど切り捨てられたことになる。満鉄に勤めていたうちの十七年ばかりは全く切り捨てられて、恩給の勤続年数に一切入らないということであります。一生を鉄道の事業に打ち込んでこられた方、鉄道従業員として一生を働いてきた方、三十七年も働いてきた方、この方が日本に帰ってきて十八年と九カ月、二十年に足らぬ、一年何カ月分だけを満州時代の勤続年数のうちから見られるだけで、あとは全部すっぱり切られるということになると、それじゃ一体もらう恩給というのはどうなのか。日本から満州へ行って帰ってきたあるいは日本から満州へ行ってやめたなんていう方のケースと違いまして完全通算をされないのですから、同僚と比べて恩給は半分しかもらえない、こういう結果になる。しかも問題は満州で現地採用で満州の鉄道へ勤めたんでありますから、日本に終戦後帰ってきて、満鉄が今日存在すればこれは子飼いなんですから相当な地位にいくはずでありますが、日本に帰ってきた関係で、前任者はたくさんいる、前からポストのある人が一ぱいいる、だからその中でいつも下積みで、いつも登用されないで、今日でも役職の面でも非常な格差がついている。ずいぶん不遇な日本に来てからの十八年九カ月を送っておられる。だから給料も他に比べてそれだけ上がらない。同等の人と比べて給料のほうも、役職が上がりませんからうんと低い。その上にまた半分近くも満鉄でぶった切られて、最終在職年の最後にやめる俸給が基準でありますが、その俸給が非常に低いところにもってきて通算期間が半分近くも切られる、この実情を黙って見ておけというのかどうかという問題ですね、実際問題として、現実に。だからそうなりますと、日本に帰ってきて、本年は昭和四十三年なんですから、昭和二十年を境とする終戦のときから考えてみますと、抑留期間その他を入れると、大体いま国鉄なり電電公社なりにつとめている、満州で採用されてこっちに来た方々は、おおむねこの方と同じように十八、九年、二十年近く日本にいるので、もしこれが二十年つとめている人の場合であれば、満州の期間は一年も一カ月も通算をされないでまるまる切られて二十年で押えられる、こういうことになる。それじゃ、日本の国策会社として満州で苦労されてきた年月というものは全く無意味になってしまう。それを捨てておけというのかという問題なんですね。恩給局なり政府側の答弁としては、満州で採用されて終戦で日本に帰ってきた人、日本から満州に行って日本の帰った人、日本から満州に行って恩給年限に達して終戦と同時にやめた人、何で一体この日−満−日、日−満というケースは完全通算をして、満−日というケースだけは最短恩給年限で切るのかという、ここ三年来の私の質問に対して皆さんの答えは、満州で採用された人は自由意思で採用されたんだ、日本から満州に行った人というのは大なり小なりほとんどがみずからの意思を拘束されて行ったわけじゃない、私も当時郵便局の現場におった、満州郵政にたくさんの人が行った、偉い人で命令をされて行った人はたくさんあります。しかし末端のほうは全部ワクをきめて何人この際向こうで採るからというようなことで、青雲の志を抱いて出かけて行った人もあれば、一旗上げに行った人もあれば、向こうに行ったほうが徴兵の関係でうまくいくということで行った人もあれば、千差万別で、みんな自由な意思で下のほうは行っている。そうなるとそのことを理由にあげること自体理由にならぬ。あくまでもこれは満州鉄道なり満州電電なりの性格の問題なんです。これをどう見るか。さっき岸総理の時代に戻って、だからこそこの問題が当時前に進んだということです。そこのところが私どもとしては、幾ら政府のほうでそういうふうに言われても納得ができない。 最後にもう一つつけ加えておきますが、総理もそういうことを言い出して一応の線がきまったあとから、恩給局の理由づけをした。当時三橋さんだったと思いますけれども、理由づけをした。ソ連参戦の日というものを持ち出して、そこを先にするということから始まって理由をつけた。だから、理由はあとからついておるんですね。そこのところを考えますと、ほかのほうが完全通算をされて、同じかまの飯を食ってきた人間が、現地採用であったがゆえに恩給年限を半分切られてしまうということは、いかに何でも放任しておくのは酷ではないか、こう私どもは考える。これに対する明確な反論というのを、私どもはいまだ聞いたことがない。だから、塚原さんではないけれども、ありがとうございますのことばが出てもあたりまえのことだと思うのですが、総務長官、御反論があればひとつ承りたい。
○田中国務大臣 決して御意見に誤った点はございません。いなむしろ、当時の満鉄におられました方々は、軍以上に第一線においてたくさんの犠牲を出された。それから、終戦後抑留されたりなんかして日本に帰られました方々が、国鉄その他に奉職されまして、年齢的に見ますとちょうど定年の時期に相なっておりますので、そういうふうな、特に満−日だけ取り残された現時点におきましては、国民として何とかこれを調整していかなければならないと考えて、おことばをありがたく拝承いたしました。
○大出委員 それから、もう一つつけ加えて申し上げておきたいと存じますのは、この附帯決議の趣旨からいたしまして、私は、ほんとうを言うと、これ全部をこの委員会で今回取り上げて解決をしていただきたいという気持ちなんです。何もこの中から一つだけ満−日ケースを取り上げて云々という気持ちはない。ないのだけれども、これにはいわく因縁、故事来歴がある。昨年の暮れに四十億五千五百万円の予算要求をして、大蔵省と与党の恩給部会の方々なりいろいろな方がやり合っている過程で、どうやら満−日が落ちそうだという段階に来た。三カ月くらいおくらして何とかしょうという話が陰で進んでいた。こういう時期がある。で、私どもは、その結果としては、多少おくれるけれども救われるものと理解した。関係者ですから非常に心配をした。そういうふうに承っておった、関係の当局の方からも、あるいは与党の皆さんの側からも。ところが、さてふたをあけてみたら、これだけ置いてきぼりを食ったという現実が残った。しかも、私は昨年の国会でこれを逐一質問をしたわけでありますが、たとえば恩給資格を持ってもうすでに恩給がついた方、これが向こうに行った場合には、恩給をもらっているんだからというので通算されない。それならば払い戻しをさせる方式をとって、見てやったらいいじゃないかという意見を私のほうからはいた。審議会は私と同意見で今度答申をした。ここにあるものはほとんどお認めになっておる、抑留期間その他を含めて。沖繩問題もそうであります。これは矛盾だらけだから、ほとんど前向きで認める。にもかかわらず、大蔵省との過程で問題が起こったからなどということで、率直に申し上げて——審議会の事務当局に大蔵省の方が何人入っておるか、それは知らぬ。知らぬけれども、そういうようなことで満−日だけ抜けてしまった。しかたがありませんで黙っていられる筋合いではない。無理なことを決議したのではないのですから。理由はおのおのあるのです。それだけ落っことすとは何事だということになる。それ相当の理屈があるかもしれない。確かに恩給の上では、どこまで入らすか、どこまで救済するかという限度がある。そんなことは、私も長年論議に参画しておりまして、マイヤース勧告の時代から知り抜いております。知っていますけれども、この種の理由から、本人のこれから先の一生の経済的な収入の減損補てんに該当すべきものが、日本に来てさんざん不遇な上に半分に切られてしまうのはほうっておけない。だから、そういう意味で取り上げていただこうと考えたわけでありまして、何もこの附帯決議の中から一つだけ取り上げて、突如に云々という意味ではない。この点は念を押しておきたいと思う。 それからもう一つは、恩給審議会の中で、出された答申で国会の附帯決議等に賛成をしていないものを、何かそこだけやるのはおかしいじゃないか、そんな緊急性があるのか、こういうお話がありますが、さっきも私が申し上げたように、ここ三年も、皆さん待ちに待ってきておって、しかも三月末日退職の方で期間を延ばしてやっているというような万々がたくさんあるという現実、みんな老齢ですから。そうだとすれば、そういった現実を踏まえて、いま片づくものならば片づけたいという気持ちになることは、いままで三年間の論議の経過からいえば無理からぬことだ、決して選挙対策でも何でもない、こういうふうに御理解をいただきたいと思いますが、答申を受けられた総務長官から無理に御答弁をいただこうとは思いませんけれども、私の申し上げている真意のほどをおくみ取りいただきたい、こう考えるのでありますが、いかがですか。
○田中国務大臣 御説のほどはよく拝承しておきます。
○大出委員 そうしますと、次官会議だとかあるいは閣議だとかでいろいろというような話が耳に入りますが、単なる流説であるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 政府側の態度といたしましては、これは審議会等とも慎重に検討しておったのでございます。
○大出委員 あまりだめ押しをしていいのか悪いのか、ここまでくると迷いますけれども、慎重に検討していた——もっともこれは政府が諮問をしたのでありますから。審議会の会長さんの言によれば、履行をするのが政府の当然の義務なんだということをおっしゃっているわけでありますが、確かに慎重にならざるを得ないというのは私も理解をする。しかし、私の理解をする限りでは、この委員会は理事会で運営を進めております。そういった機関を通じまして各党御了解をいただいている、これは事実であります。各党御了解をいただいているからこそ、歴年附帯決議をもつけたわけであります。したがって、あと問題は、六千人なら六千人の方にとって七千万なら七千万の金が要るということになるのだと思うのでありますが、そこらのことを含めた御理解がいただければ、この点は委員会できめられるわけであります。そこらの件について、私は、この審議の過程で前向きで進んでいたというふうに理解をしているのでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 この法案を御審議いただきました国会といたしましては、委員会として、立法の問題につきまして各党一致の非常な御努力がなされたと思います。一方また政府のほうも、審議会のほうに諮問いたした立場もございますので、一応行政府といたしまして答申を尊重をいたしております。
○大出委員 尊重はいたしているけれども、理屈があればやむを得ないということ、そのやむを得ないというところが言えないことに、お立場上なっているというふうに思うのですが……。まあ、笑っておりますから、それが腹のうちであろう、うなずいておられますからそうであろう、こう理解をいたしますが、よろしゅうございますか。——この件につきましては、新聞の皆さんかいろいろお書きになりましたが、私はやはり筋のあるものは筋があるのであり、間違いであるものは、どこのどなたが賛成をされても、間違いは間違いでありますから、三年前の筋はあくまでも通して、誤解のないようにひとつ御理解をいただきたいというふうに考えるわけであります。皆さんを相手にだけ審議をしているわけではないのでありまして、ぜひそういうふうにいたしたい。 それから、新聞にいろいろ記事が載りましたことをめぐって私もかつての資料を振り返って洗い直してみたのでありますけれども、筋道として、やはりこれはどうしても、何があっても決着をつけておかなければいけない、こういう気持ちになって、実はなおそれでこういう質問をしたわけであります。事の真意をおわかりいただければ幸いだと思います。——それでは御理解をいただけたようでございますので、あと若干の問題につきまして質問が残っておりますので、その点だけひとつ簡単に承ってまいりたいと思います。 特定郵便局の局長さんの恩給額について。これは琉球政府でありますが、この琉球政府の局長さんの恩給額、これは請負時代が二分の一通算、公経理になりましたから、こういうことになっておるわけでありますが、この件について恩給局としては一体どういうふうにお考えでございましょうか。
○矢倉政府委員 琉球政府職員につきましては、御承知のように敗戦という特定の事情によりまして、旧来沖繩県所在の職員であったわけでございますが、そういった意味ではできるだけ同じような扱いをすることが望ましいわけでございますが、御承知のように特定郵便局長につきましては、従来手当形式で行なわれておりました。それが、その後日本の本土における特定郵便局長はそれぞれ本来の俸給形態に変わりました。そこで特定郵便局長につきましても同じような扱いにしてもらいたいという要求がございますので、本件につきましてもそのような趣旨でこれを解決していくことが望ましい、かようなことでございます。
○大出委員 これは、二十八年八月一日の元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律という法律がございました。これに基づくわけでありますが、この中に「現状においては技術的な困難性が内在するものと考えられるので、」と書いてありますが、「技術的な困難性」とは一体いかなるものか、この点だけ伺いたいと思います。
○矢倉政府委員 給与制度が琉球政府職員につきましてはその後変わっておりますし、したがって、これを措置してまいりますときに琉球政府職員の俸給、それを日本側の——実は属人主義で恩給法を適用しておりますので、そこで日本の給与制度をそのまま適用するわけにまいりませんので、そこでその間の調整を十分にはかってまいらなければならない、かようなことを申したわけでございます。
○大出委員 なるべく前向きでお答えをいただければ、どうせあとでまた法案を作成するという時点がございますから、そこで申し上げたいと思います。 なるべく簡単に申し上げますが、次に、「本土の公務員であった琉球政府職員の恩給に関する問題」、これは先般の国会でいろいろ意見を申し述べたりしたところでありますが、大体立法の段階では幾つか条件がつきそうな気がするのでありますけれども、そこらも含めて大体そういった趣旨でいいのかどうかということをお答えいただきたい。
○矢倉政府委員 琉球政府職員につきましては、大出先生からも御質疑がございまして、大体そういう趣旨を含みつつこの審議会の結論が出ておりますので、御趣旨のとおりに進められるかと存じます。
○大出委員 この(3)の「普通恩給権を得て琉球政府職員となった旧外地官公署職員の通算に関する問題」。これもたしか返戻方式が一つ考えられてということになっているのではないかと思うのでありますが、そこで「最短恩給年限に達しているものについては、」というここのところが返還方式を含めてという意味にとるのかどうか。
○矢倉政府委員 御趣旨のとおりこれが調整をされますので、実際的には金を支払うことにはならぬだろうと思いますが、そういう御趣旨でけっこうだと思います。
○大出委員 「元沖繩県吏員の恩給に関する問題。」これはちょっと問題がいろいろあるように思うのでありますが、これは朝鮮、台湾等にもあった制度、これがあって、くずれたわけでありますね。傭人でなく判任官でもない、つまり吏員、吏員恩給というものだと思うんですね。ここらのところ簡単でけっこうですけれども少し御説明いただきたいのです。
○矢倉政府委員 吏員に対する恩給につきましては、実は旧来恩給制度が官吏と地方吏員とは区分して、地方につきましては退隠料等によって行なっておりました。その趣旨がやはり琉球の場合においても問題になろうかということで、審議会といたしましてはそのたてまえがくずれるということでかような措置を考え、そして同時にここに「一般財産権と同様」ということを申しておりますのは、そういった趣旨で、別に解決策を講ずるならばその財産権と同じように考えていく必要がないか、かような趣旨でございます。
○大出委員 これは日本の公務員になった場合は通則法がありますからやれると思うんですね。そうでない場合をさすとすれば、恩給局長先般の私の質問にお答えになっておりますけれども、恩給に関連あるものということで恩給の中にできるだけ入れて解決したいというお考えのようでありますが、そうするとこれに入らないというケースが考えられる。だとすれば財産権という形で別途の解決法を考える以外にはない、不合理といえば不合理だ、こういう趣旨に受け取りたいのですが、いかがですか。
○矢倉政府委員 旧外地のこういう恩給といいますか退隠料によって処置されていた人たちが、敗戦という特殊事情で一切を失ってしまうということには問題があるのではなかろうかという趣旨は理解ができるのでありますが、これを恩給法的に始末をするという点に問題があるのではなかろうか、こういう点で、後ほどまた出てまいります外地の吏員についても一切同趣旨のことを審議会としては答申をいたしておるようであります。
○大出委員 次の「特例扶助料に関する問題」でありますが、二十九年の二十国会当時、旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律、これが一つの基礎だろうと思うのであります。議会修正で、二十八年の軍人恩給復活のころ、旧来のたまに当たって死んでこい式の日本のものの考え方、だから馬からおっこちて死んだってだめだぞといったそういうきびしい——当時の思想としては当然でありましょうけれども解釈、したがって病死なんてことはということもありましょうが、これも確かにいまになればそうばかりも言えないわけであります。だから手直しが出てきておる。ここのところは、大東亜戦争の性格等から見てシナ事変当時はだめだとかいろいろあるのでありますけれども、この辺の考え方の基礎になるものを簡単にお話し願いたいと思う。
○矢倉政府委員 この特例扶助料につきましては、立法の過程で、御承知のように、特例扶助料そのものは本来の公務扶助料と比較してどういうふうに見ていくかといういろいろな議論があり、そうして、特例扶助料は公務扶助料からすれば若干その条件をきびしくする、こういうふうなところから、当時その過程でいろいろなことが考えられたようでございます。 その時の一つの問題点としては、この扶助料を認定するときの資料が、大東亜戦争になると非常に困難だ、あの当時は非常に大量動員になりましたので。そこで、そういう特例扶助料を認めるのには、そのように資料的にかりに欠けていても、その当時においては、職務関連のこういう死傷をされた方には、特例扶助料として支給すべき条件が備わっていたと見ようということです。それからいたしますと、シナ事変の場合はそれほど条件が悪くなかったと考えられるところから、そういう差異をつけてまいったわけでございます。
○大出委員 この四年以内という問題が一つありますね。したがって、養生をして病気をなおそうというのでみんなが非常に苦労をして長生きをした。それが四年を過ぎてなくなったというふうな場合には入らないで、早くおなくなりになった方は入るというようなことになる。ここらあたりに問題があるというのは一つの問題提起だと思いますが、そこのところを恩給局はどうお考えになりますか。
○矢倉政府委員 四年、十二年というふうなことで、旧来一つの制限を設けておりましたけれども、本来は、その死亡の時期によって区分をすべきではない。むしろおそくなくなられても、そういう場合には当然同じような条件で考えるのが筋ではないかということでその条件を撤廃する、かようにいたしておるわけでございます。
○大出委員 戦犯の方及び公職追放の方の問題でありますけれども、どうもこれは、あっさりいいじゃないかということになるケースのように思うわけでありますが、兵の階級でちょっと兵隊に終戦まぎわに行った、ところがそこで——本人の意思のあるなしという問題はありますけれども、戦犯云々ということに該当するようになって、六、七年拘束されたということになると、これは恩給がつく、こういうケースが出てくるわけですね。これを平たく解釈すれば、偉い方々のほうは、何となく戦争遂行という意味の国民に対する責任の所在という問題とからむような気がするのです。ここらあたりは、どういう論議をおやりになりましたでしょうか。
○矢倉政府委員 戦争責任的立場じゃなしに、これを考えられましたのは、結局、本人の意思にかかわらず戦犯として拘束を受けていたというそこだけに着眼をして、そういうケースに当たる人たちはそのような加算を考えよう、こういうようなことにいたしておるようでございます。
○大出委員 そうしますと、本人の意思にかかわらずということが前提になるとすると、立法の時点で、本人の意思にかかわらずということが立証される、されないという問題の関連では、法律的には技術的な方法がございますか。
○矢倉政府委員 立法過程におきましては、おそらく戦犯拘禁を受けた人はほぼ同様の条件にあったという考え方で、この一律の適用ということにならざるを得ないだろうと思います。したがって、それは状況判断の問題として、戦犯はどうであっただろうかという、つまりこれを是認する理由として、そういうふうに審議会はあげておるのでございます。
○大出委員 非常にむずかしい問題で、一律にそうせざるを得ないだろうというところに、実はひっかかる問題があるわけであります。どなたがどうということを申し上げる気はありませんけれども、どうもそこのところに、国民に対する責任の度合いというものが、全くそういうものに触れずに、立法技術的な面から一緒にせざるを得ないのだということで済むだろうかという気がするのであります。非常に微妙な御答弁でございますから、それが一体どういうふうにあらわれてくるかという点を、一ぺんあらためて考えさせていただきたいと思います。私はそこに少なからぬ抵抗を感ずる一員であり、そうすなおにはなれないような気がするのです。これはケースによって違いますから、一がいにどうということは言えませんけれども、その点だけ意見として申し上げておきたいと思います。 それから、「戦犯拘禁期間の通算条件に関する問題」でありますけれども、これは今度は最短恩給年限までこれを全部見るということになるだろうと思うのでありますが、ここのところでもやはり似たような基準があるのでありますが、同じ趣旨でここのところはどういうふうな論議をおやりになったのか。つまり国民に対する責任云々ということでなくて、やはりこれは本人の意思にかかわらず、こういうことになる筋合いではないかと思います。どうもだいぶ本人の意思であった場合もあるのではないかと思いますが……。
○矢倉政府委員 前段の問題もそうでありますが、いまの御指摘の問題につきましても、結局職務に関連してそういった条件に置かれざるを得なかった、かような点に目を向けてまいりますので、したがって、ただいまの両方の問題はほぼ同じような立場で考えるということになろうかと存じます。したがって、このような制限を一応いままで付しておりましたが、そのような状態にあった人については、その条件の廃止が適当である、かように結論されたようでございます。
○大出委員 次の「公職追放期間の通算に関する問題」などでありますが、これは中には非常に気の毒過ぎるケースもあるし、あるいは気の毒でない方もあり、いろいろケースによって分かれるところだと思いますけれども、何かこれも例示的に論議をされたことがございますか。
○矢倉政府委員 公職追放者につきましては、この戦犯との関連性も非常に議論になったわけでございますが、やはり戦犯で一応勾留されている人たちとこの公職追放者にはおのずから程度の差が考えられますので、そこで、この公職追放者につきましては是認をするということが適当ではなかろうか、かように考える次第であります。
○大出委員 この公職追放者に対する一時金については、どうも政府の側にいままでミスがあったのではないかという気がするのであります。たとえば、三年で三カ月とか五年なら五カ月とか、二十七年の講和条約発効という時点が一つの時期になって一時金が出てきておると思うのでありますが、二十一年、二年、その人がやめた時点の給料が当時基準になって小さな金額になっていた。ところが、その後三十九年ですか、このころに、本来ならば政府がもう少し直すべきものは直しておかなければならなかったのではないかと思いますが、どうも少しここのところは手が抜けたのではないかという気がするのでありますが、そこらのところはいかがですか。
○矢倉政府委員 実は三年から十七年未満という一人たちに対して、追放解除時に一時恩給を出したわけであります。ところが、いま御指摘のように、昭和三十九年に、七年から十七年未満の方につきまして解除時ベースと追放時ベースの差額を一時金として出したわけでございます。そこで、三年以上七年未満の人が抜けてしまったかっこうになっておりますので、その人たちについても上と同じ条件で一時金を支給してはどうであろうかということでございます。
○大出委員 抜けたことに気がつかなかったかどうか知りませんがミスであったと言いたいところです。そこをいま直そうと、こういうわけですね。 その他の問題で簡単に承っておきたいのでありますが、この未帰還公務員の在職期間に関する問題、これは三十三年ごろに帰ってきた人もいるわけであります。これもどうもおかしなことになっておったものだと、いまになれば気がするのでありますが、そこらのところはどうお考えになりますか。
○矢倉政府委員 この件につきましては、御承知のように一応未帰還公務員の方々の家族を考えますと、生活に非常に困るという点もございまして、そこで昭和二十八年の八月一日当時まだ帰国しておられない方につきまして一応退職されたものとみなして、いわゆるみなす形でこの恩給資格を取得した、こういうことにしたわけでありますが、いまお話のごとくその後に帰還をされた、そういう場合にはその退職されるまでの全期間を恩給期間として見るのが本来の筋でございますので、そこでこの場合はそれを見ていこう、こういうことでございます。
○大出委員 時間がありませんので、その他のところいろいろありますが、またの機会に申し上げることにいたしまして、二つばかりだけにいたします。 一つは、この間も申し上げましたが、たとえば夫婦で学校の先生をやっておった。この御主人のほうと奥さんのほうと、御主人に間違いがあった場合には奥さんのほうがこれは当然そのあと扶助料なりなんなりということになるのでありますが、逆に奥さんがおなくなりになるようなことがあって、御主人が働けないような状態になったというような場合に、これはえらいやかましい条件がつくそうなんでございます。日本という国は、どうも皇室典範なんかでも女性に皇位継承権がないというようなことになっているおかしなところでありますが、公務員法のたてまえからいけば平等でなければならぬことにもなります。憲法のたてまえからいっても当然であります。ここに男女差めいたものが出てくるということは解せないのですけれども、これは一体いかなる理由であるかというのが一つ。 それからもう一つが、看護婦さんの問題でございます。これもある意味では、どうも普通の軍人さんよりも看護婦さんのほうがたいへん苦労されたたくさんのケースがあります。この方が日赤であったというようなことでどうも取り扱い上たいへんに妙なことになっているということは、これまた納得しかねるのでありますが、ここらのところどうも審議会の申し分が私はわからぬわけであります。いかがでございますか。
○矢倉政府委員 いわゆる夫に対する扶助料という点については、論議の過程ではやはり今日の憲法下においては夫婦を同権に見ていくという立場で理解してはどうだろうかという意見もあったのでありますが、一方共済制度にかような主として公務員たる妻の生計による云々という規定がございますので、それにならっていくという考え方を立てたわけでございますが、その点では多少いまの御趣旨の点からすれば舌足らずという感じがあるかもしれないと思われます。 それから日赤の看護婦につきましては御承知のように昭和四十一年の改正で戦地、事変地に勤務をせられた看護婦さんに対して恩給通算の規定を設けたわけでございますが、当時の考え方といたしましても、日赤の看護婦さんがそのまま公務員であったというわけにはまいるまい。そこで公務員に準じた形で考えるというところからそのような扱いをしたわけでありますが、今回の審議会におきましてもそういった論議がなされた中で、やはり恩給公務員として見るというにはちょっと問題がありそうだ、こういうところでかような結論が出されたわけであります。
○大出委員 理屈はあるんだということですね。別途の措置を考えなければならぬということになるのですが、これは意見だけにしておきます。受田さんが、もう十分ぐらいいいというお話ですから、あと二点だけ。この恩給法の一部を改正する法律案、この法律案そのものについて質問しておりませんので、申し上げておきたいのでありますが、先般の論議のときに私は、どうも年齢差によってアップ率を変えるということはいささかもって筋が通らぬじゃないか、老齢者優遇の気持ちはわかるけれどもということを申し上げた。なぜならば、十八号兵のところを基準にして、Cのところですね、一万円年金、こういうことで十二万九十六円ということで逆算をしたからそうなったと私は考えておりますが、先般お認めになったようでありますけれども、ところがこの一〇%、二〇%、二八・五%を今回は理解しているという言い方じゃないのですけれども、四十二年のところでひとつ線を引いて考えますと、逆に六十五歳未満のほうが二〇%、それから六十五歳から七十歳のところが二八・五%、そうして七十歳以上のところが三五%、こうなっておるわけですね。これを前年度比で見てまいりますと、六十五歳未満が九・一%、それから六十五歳から七十歳のところが七・一%の増額、それから七十歳以上のところが前年度比で五%の増加、こういうふうに直してきたわけですね。これはこの間ちょっと質問を本筋のところでいたしましたが、今回のこの九・一、七・一、五%というのは一体どういう数字なのか、何が一体根拠になっておるのかという点を伺いたい。
○矢倉政府委員 本年の改善の内容をいかようにするかということでいろいろな論議をいたしてまいったのでありますが、これまでも御議論のありましたように、一方で恩給審議会の中間答申がございまして、その中間答申ではその意図するところが緊急的に措置をするということで内容改善という答申を出しております。したがって、その点について、実は本年改正の問題について中間答申が得られるかどうかという点についての論議をしたのでありますが、ちょうどその論議のときには翌年三月末にはすべての答申が出る段階でございましたので、そこでできるだけ旧来の中間答申にも一応目を向けつつ四十三年の改正を考えてはどうであろうか。そこでその見方をしてまいりましたところが、実はいわゆる消費者物価が九・三%ばかり上がっておりましたので、そこでまるめて一〇%の修正をしていこう。そこで一〇%に対して一%の修正ということでございますので、四十一年の仮定俸給をもとにして四十二年度の改善措置の中身を一〇%改善するということになりましたので、いま御指摘のように一〇%の改善でありながら実質は九・一%という御指摘のような線を出しまして、そういたしますとかれこれ九・三のそれと合ってくる。昨年の実は改善のときにも申し上げましたように、この改善のしかたというのは、基準的なものを昭和二十六年の消費水準基準にとりまして、その消費水準の伸びというものを見たところが、大体一〇%になるという線が出たものでありますから、基準線一〇%の昭和四十二年改正というかっこうにいたしたわけでございます。そこで、その点を基本にして、消費者物価を積み上げていくということにいたすのが、いわゆる基準的なものの是正というかっこうで考えていいんじゃないか。以上のものは大出先生御指摘のように、年齢が恩給の給与額というのはおかしいという、確かにその点はございますけれども、しかし改善の内容として実は恩給の増額の中で始末をしようとする非常にラフな考え方を昭和四十二年とったものでありますから、そこで年齢構成というものとそれから傷病者というものを考えて、それへの積み上げ、つまり基準率一〇%、今度の場合二〇%ですが、それへの積み上げ分として考えていくということでございましたので、そこでまあ昨年二八・五が最高でございましたところから中間位を二八・五に持ってまいろう、それから最高は、それによって何らの恩典を受けないということは適切でないので、必ずしも合理的な根拠があったわけではございませんが、三五%というそれへの積み上げ、それが実質五%の増になりますので、そういうところにめどを置いて考えたわけでございます。
○大出委員 この件は答申を受けてもう一ぺん手直しをするという御答弁を前にいただいておりますから、三本立てを調整をしろということになっておりますから。ただまあ、いまようやく、先般の改定、いささかラフだということをおっしゃったんですが、先般の私の質問のときにはなかなかそうおっしゃらなかったわけです。また先般のときは物価という問題を重点にお取り上げになっていなかったというふうに私は思うのであります。これはもちろん審議会に答申を永める立場から、調整規定と名がついておりますから言えなかったのだろうと思うのであります。まあともかく、これを論議しておりますと時間がかかりますので、おっしゃられることを承っておくということにさしていただきたいと思います。 最後に、老齢福祉年金と公務関係扶助料及び増加恩給との併給限度額の引き上げ、これはどうも不納得なんであります。この言っていることはわからないわけじゃない。ただ問題になるのは、普通恩給、普通扶助料の場合に二万四千円が一つの限度額になる。月二千円ですね。だから七十歳になって二万四千円もらう。厚生年金も同様でしょう。月二千円もらうということになると、これは一銭ももらえない。併給できない。これはどうも私は、この限度額というのはいささか理解しがたいところなんであります。このあたりはどういうことなんですか。これは普通にもらっている人の場合でありますから、どうもこの老齢福祉年金と公務関係扶助料及び増加恩給との併給限度額の引き上げということをこのところ毎年出しておるのでありますが、いまのところがどうもひっかかるのでありますけれども。
○矢倉政府委員 実は老齢福祉年金の改正は本来厚生省所管でございますが、この恩給との関連が出てくるものでございますから、便宜この恩給法改正とあわせて措置したわけでございます。これは老齢福祉年金の併給制限として二万四千円分が旧来維持されてきておりますので、今回の増額措置によってこれを維持いたしておきませんと、実はこの恩典がなくなる。こういうところから、いわゆる恩給の増額に必然的に伴う措置の範囲としてこの規定改正をしようとするわけでございます。
○大出委員 まあこれは厚生省と関係もあると思いますから、私のほうで矢倉恩給局長さんだけ詰めてみてもどうにもならない点があります。お話を承っておきまして、あとひとつ論議の場所を見つけたい、こう思います。 時間の関係がございますので、以上で私の質問を終わらしていただきます。たいへんどうもお忙しいところありがとうございました。
○三池委員長 受田新吉君。
○受田委員 長官は途中で御用のためちょっと御退席されるそうですから最初だけ。 今度の恩給審議会の答申をめぐって国会の内外でいろいろ論議が展開されているのでありますが、この恩給法という法律は減損補てん説、公務員の在職中におけるいろんな国家への有形無形の奉仕に対応したいろいろな補いをつける、私企業にも参加できない、ばかもうけなどもできない、わいろなどもとれない、そういう非常に清廉潔白な公務員生活をやった者に対する減損補てん説をもとにした給与というものが恩給である、こう解釈をしておられるようであります。したがって政府のお考えになっておられることも恩給審議会の考えておられることも大体その点では一致していると思うのでございますが、退職時の俸給を基礎にしてその後適当な生活ができるように維持させようというこの趣旨からいったならば——これは事務当局は御答弁要りません。そういう趣旨であるならば、退職時の俸給というものは時代の変遷とともに変わってくる社会情勢に応ずるために適当に変化させなければならない。したがって、古い制度の犠牲者として、戦前のたとえば巡査とかあるいは学校の教師とかこういう者は、判任官という低い待遇で非常な過重の労働を課せられて、あまつさえ退職金というのが当時はなかった。かすかに年功加俸というものが加わっている程度で、期末手当というようなものも賞与としてささやかなものが出されておった。そういう時代に公務に奉仕した人が今日社会的にも非常な困難な経済情勢の中で生き抜いていくためには、いまの公務員の退職した場合における恩給あるいは共済年金に対応したものが、そういう古い人にも与えられなければならぬと私は思うのです。ところが、現実に、昭和二十三年六月三十日以前の退職者あるいは二十七年の十月三十一日以前の退職者は、途中で何回か改定をされてその低い水準を上げるために努力をされたのだけれども、依然として低水準に残されている。たとえば、今日の学校長は地方公共団体の府県の職員の部長クラスの給与をもらっている。昔の小学校の校長というものを例にとりますならば、大体どん詰まりがいまの県庁の係長かあるいは課長補佐の程度で行き詰まっておるのです、比較の場合を申し上げますと。そういう場合に、古い公務員を当時は低い身分であったからそれを尊重する、いまは時代が変わったのだからいまの例によるという行き方は、恩給法というたてまえからいうならば、退職時の俸給を基礎にしてその後適当な生活を維持するというこの目的からいうならば、古い公務員に対して、その旧時代の低い身分に即応した給与をいまの身分に、いまの分までとは言いませんけれども、せめてそれへ大幅に近づけていく。途中で何回か改定措置がされたけれども、その近づけ方をもっと大幅に接近させるという政策は政策として是か非かを御答弁願いたいのです。
○田中国務大臣 受田先生の御質問の要点は、主として老齢者優遇のみならず文官恩給との断層の問題が一番御論点だと存じます。それにつきまして、御案内のとおりに、何回か調整をいたしたわけでございますが、なお不十分な点が多々残存いたしておりますことは御承知のとおりでございまして、今後ともにこれらの問題につきましての調整の努力を続けてまいらなくてはならぬ、かように考えております。
○受田委員 長官だけの御質問を急ぎますが、たとえば今度の答申書を見ましても、これはよほど審議会も御努力の不足した点を認めざるを得ないと私思うのですけれども、特務士官の給与に対する措置について、旧特務士官は、少尉の場合は、その少尉の最高俸が千四百七十円、大尉の初任給は千四百七十円。少尉の古い人と大尉の新しい人とは給与が同じだった。それが仮定俸給では一本にされてしまっておったのでありまして、退職時の俸給を基礎にする仮定俸給を設けなければならなかったのを、古い観念の階級制度のきびしさのために、特務士官がせりかく高い給与をもらっておりながら、一般士官と同じような仮定俸給をつけられていた。これは悲劇です。退職時の俸給に即応するというならば、その仮定俸給も退職時の俸給に即応したものがなければならぬ。特務士官の仮定俸給が別になければならぬ。ところが、昔は階級差が非常にきびしかったもので、少尉なら少尉、中尉なら中尉でびしっと切ってしまったために、もらった俸給と仮定俸給との差がほとんどないような形で特務士官はもらっている。特務士官の少尉と一般士官の大尉と俸給は同じようなところで退職しても、同じ俸給が、一方は二階級上の仮定俸給がつけられておるという悲劇があったわけです。こういうものを、ここで古い制度のきびしい階級制度を温存したかっこうで答申が出ておるということ、これは私はゆゆしい問題だと思うのです。これは恩給法の古いタイプをそのまま踏襲している。恩給法の退職時の俸給というものを基礎にしたら、これは改定されなければならぬ。これをひとつお答えを願いたいのです。
○田中国務大臣 御案内のとおり、昔、軍では特務士官というものは非常に執務期間も長かった、そういう重要な役割りを持っておったのでございますが、戦後の恩給の場合に一階級一俸給ということに相なったために、いまの特務士官なんかの場合が、お話しのような結果に相なっておると思いますが、仮定俸給の制度の根本問題でございますので、この点はひとつ今後ともにまだわれわれに検討させていただきたいと存じます。
○受田委員 今度の審議会の答申の中で、また私一つの疑点を発見したわけです。それは基本問題に入りますが、基本的な恩給のスライド制、調整規定、これ見ますると、国民の生活水準とか公務員の給与あるいは物価の位置というようなものを勘案して調整規定が設けられてある。ところが、物価だけを取り上げている。現に、最近十カ年間における消費者物価と公務員給与の上昇率を比較してみますると、昭和三十三年の消費者物価指数を一〇〇、あるいは公務員給与を一〇〇とした場合に、昭和四十二年の時点においては、消費者物価指数は一五四・三となる。これは総理府統計局の調査によっているわけでございまするから間違いないと思います。それから公務員給与のほうは一八七・八と、これは二割以上の大きな差ができているわけです。それを、物価指数を中心にして、物価の上昇によって改定しようという答申である。 一方、公務員の給与というのはかってにきめたのかということ、これはもうきちっとした国家公務員法の中にうたってある。このうたってある規定はよく御承知のとおり。国家公務員法の六十四条には、俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定めるということになっておって、いろいろな事情を考慮して公務員の給与はきめられておるのです。物価等も当然その考慮の中に入れられてある。それからその二十八条には、情勢適応の原則が掲げてあって、「俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」と書いてある。これは、国家公務員の給与というものがかってにきめられるものでなくて、その他人事院の決定する諸事情を勘案して定められておるということになるならば、少なくともこの調整規定、恩給法二条ノ二というものは、公務員の給与そのものが物価とかその他の諸事情も十分勘案してきめられているとするならば、公務員給与を基準にしたスライドを設けるべきであったと私は思うのです。それを、物価上昇を基準にしてスライドを実施しようとされる答申が出ている。この答申の扱いにおいて政府はどのような意図を持っておられるか。少なくとも公務員の給与というものは、退職者といえどもかつて公務員であったという点においては、一貫して、現職、退職を通じて、公務員というのは一本の姿でその生活を守るという原則が貫かれなければならぬと思うのです。それをあえて物価に力を入れた答申が出ているということは、恩給審議会というものは非常に片寄った調整規定をお考えになられたという断定を私はせざるを得ない。もちろんこの恩給審議会の答申は、政府が諮問されて答申を得られたわけで、行政府の御処置でありまするから、これをどう扱われるかは政府の御意図である。また国会は国権の最高機関でありまするから、行政府が答申の扱いを、審議会の扱いをどうされるか、政府の出されるのを、国権の最高機関で唯一の立法機関でありまするから、ここで堂々と是正して、国民の名において直していったって一向それはさしつかえないものである。ただ行政府が国会を支配するような動きが最近間々見られる傾向がある。この審議会の答申は尊重しなければならぬですけれども、選ばれた人は十人である。たとえその人が有能な方々ぞろいでも、事実そうであると思いますけれども、そうであったとしても、しかしながら国会はこの委員会だけでも二十五名もおる。これがみんな有能でなくて審議会の人よりも低劣な人というわけではないわけです。これはみんなそれぞれ勉強し、高度の政治判断力を持っている国会議員でありますから、この点は、審議会の答申の中に国会の意思を無視するような形のものは、筋としてあくまでもがんばられるということは審議会としては当然のことでありまするけれども、その扱いは政府の独自の判断で法案を提出されるべきであり、また国会は国民の名においてこれを審査決定する責任があるわけでございまするから、おのおのの分をそれぞれ守りながらここでお尋ねをさせてもらうのでありますが、審議会の答申の中に物価上昇だけをたいへん大事な条件にされているところの政治的な御判断を伺いたいと思うのです。
○田中国務大臣 今回の審議会の答申の、二条ノ二と申しますものは、どっちかといえば、英米法の考え方からすれば物価を基準にし、フランス、ドイツ等々の考え方からすると公務員給与を基準にいろいろ調整規定が考えられておるようでございますが、今度の分がその物価を基準に答申がなされまして、そうしてその五%ということを一応の目安に考え、同時にまた公務員の給与の問題、その他三本の柱を一応掲げられております。これにつきましては今後調整規定の運用につきまして、審議会の答申を十分に尊重はいたしますが、同時にまたわれわれ行政の責任を持っておりますものといたしましては、皆さま方の貴重な御意見も、十分に御協力をいただきまた参考にいたしまして、今後処理してまいりたい、かように考えております。
○受田委員 答申は、その答申をすみやかに実施に移せと書いてあります。この実施時期をいつに置いておられるか御答弁願いたいのです。
○田中国務大臣 この調整規定が、実はわれわれが前々から恩給等におきまして考えておるような自動的なものではございませんので、調整規定によりまして予算編成の時期なり何なりにおきましてこれを折衝しなければならぬ、こういう内容を持っております。このあとの問題といたしましては、これを法律によるか政令によりますか、今後の問題でございますが、いろいろと御高見を拝しまして今後ともに検討してまいりたい、かように考えております。
○受田委員 まだ実施時期はさだかでないようでございますが、現に公務員給与は四万七千円ベース、それから退職者のベースは二万四千円、それで今度の改定措置がされるわけでございますから、今度改定されても三万円前後と私は判断する。そうすると、現職者の大体六割程度のところに、退職者の給与が改定されたとしてもとどまっておるわけです。これは著しい変動の対象になるのか、現時点は大体六割程度というものは著しい差があると見るのか。現に物価上昇五%という答申はありますけれども、この現実はすみやかに改定する段階かどうか。私自身の見解としては、少なくとも現職の公務員の八割ないし八割五分程度までは退職者に共済年金が支給されなければならない。戦前は恩給というものは大体そういう水準で、安定した時代には大体現職者にバランスがとれていたのです。いまはしかし現職者が四万七千円ベースになる。退職者が二万四千円から今度改定をされて二割程度の措置を平均してされたとしても、依然として六割程度にとどまっているわけです。非常に大きな差ですね。これをどう御判断になりますか御答弁願います。
○矢倉政府委員 受田先生御指摘のように、公務員給与は確かに四万七千円というベースを維持いたしております。これに対して恩給のベースという考え方、先生も御承知のように、昭和四十年改正のときからベースという恩給の考え方をなくしておりますので、したがって今日昭和四十二年の改正及び今回の改正というふうなことを考えてまいりますと、これがどの程度の額になっているかという点をベース的に申し上げるというのは非常に困難なのでございます。しかし一般社会通念としては、恩給が低いじゃないかというふうな申しようが是認できょうかと考えられます。したがって、恩給の年額改定という問題については、先生御指摘のように、それなりに公務員給与との比較考慮ということも当然出てまいりますので、ここが前回も御説明申し上げましたように、生活維持分と生活向上分的考え方を審議会で示しておるのですが、現在の二条ノ二をどのように理解し運用してまいりますかという点につきましては、先ほどこれは著しい変動と理解できるかどうか、確かに六割の明確な差が出てきた場合にはそのような考え方もできようかと存じますが、しかしいま申しましたように、ベース的な考え方が非常に困難でございますところに完全な比較がわれわれ技術的には困難ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○受田委員 比較できますよ。それは二万四千円ベースというところに一応ベースができておる。それから先の改定措置というものが大体今度上がって二割ですから、社会通念として昔のベースに直した場合ちょうど三万円前後のベースになる。結局現職の六割と見れば私はいいと思う。これは厳たる事実だと思うが局長さん、そう思いませんか。
○矢倉政府委員 先ほど申し上げましたように、私たちはベースという考え方では非常に算定しにくいし、現在もその算定をいたしておりません。ただ、先生御指摘のように、確かに高いところをとってまいりますと、三万一千円ぐらいになります。したがっておそらく先生の御指摘は四万七千円と三万一千円ぐらいの格差というものを常識的には認めたじゃないか、こういうことであろうかと存じますので、そのような御指摘に対してはお説のとおりといわざるを得ないと思います。
○受田委員 田中大臣、局長のお説のとおり、社会的に見て大体四万七千円と三万一千円と判断していいと思う。この事実は戦前の退職者と現職者の比較においてほとんどその差が変わらなかった当時に比べると、著しい格差になっている。しかも古い退職者は退職金ももらっていないし、期末手当、超勤手当もない時代、そういうときに苦労した人が老いてこのきびしい経済社会の中でいかに生きるかということは、私は容易でないと思うのです。しかも退職年金で共済組合法では最低八万四千円という保障がされているにかかわらず、恩給法は御存じのとおり六万円で押えられている。そうして扶助料の場合におきましては、退職年金は六万七千二百円と規定しているのに三万円という扶助料で押えられている。したがって二万四千円以上の扶助料をもらう人は、二万四千円の国民年金平均の恩典にも浴さない。これは実にきびしい実情です。だからむしろこの際生活保護を受けて、かつて公務員であった誇りを捨てて、生きるためには手段を選ばずという道を選ぶ人も相当出てくるのではないかと懸念をしている。これは局長御答弁されて、大臣の政治的御判断をいただきましょう。これをどうお考えになりますか。
○矢倉政府委員 確かに先生御指摘のように、恩給のただいまお話しの最低保障は、共済に比較しても低いということで、いわゆる片方は八万四千円、片方は六万円という、ことに扶助料におきましては一そう格差があるという、それはそのとおりでございます。今度恩給審議会の答申では、実は最低保障額の引き上げの問題が出されまして、他の公的年金制度との関連を考慮しつつ是正していくことが望ましいというふうな答えが出ておりますし、これも先生御指摘のような長期に在職した方の恩給が非常に低過ぎるじゃないかという観点であり、しかもいま御指摘のような生活保護費、その他老齢福祉年金との関係を考慮した場合、恩給額についてなお是正措置を要するという観点は、これはわれわれも今後の努力をすべきであろう、かように考えられますし、審議会の答申もそこらにあるのじゃなかろうか、かように考えております。
○受田委員 他の公的年金との比較論においては逆に他の公的年金に格下げをしようというところもこれは出てきておるわけです。他の公的年金との比較論でいったならば、恩給法の性格が本質的には無視される危険があると私は思うのです。この点はいかがですか。
○矢倉政府委員 実は他の公的年金制度というものを考えるという立場は、これまでも申し上げたかと存じますが、考え方といたしましては恩給の独自性ということは十分に打ち出されていかなければなるまい、こういうことを前提としながら、なおこの恩給についても一つの社会的存在でございますので、いわゆる他の制度の進み方を全く無縁のものとはできまい、こういうところに一応他の公的年金制度というものも十分に配慮しつつ恩給の独自性を実現するような方向で考えていくべきが筋ではなかろうか、かように考えます。
○受田委員 答えが出たわけです、田中大臣。老齢者に対する恩給制度は非常に冷酷であって他の公的年金制度よりもはるかにおくれを来たしておるという現実は、具体的にいま私が数字を申し上げたとおりです。これは老齢退職公務員をお粗末にしている政治のあらわれである、かように判断をしていいのではないかと思うが御答弁を願いたい。
○田中国務大臣 こういうふうな制度上の欠陥がなおいろいろとございます。今度も審議会がいろいろと調整規定ほか六十項目にわたりましていろんな示唆を与えていただいておりますけれども、それだけではなく、今後にわたりましてもこの恩給の問題というものはなおきめのこまかい検討を遂げ、またいろいろと御相談をしながらこれをできるだけいいものに、りっぱなものにつくってまいらなくちゃならぬ、かように考えております。
○受田委員 老齢に達した退職公務員は、かつて厳正な勤務をしたその姿をそのまま残して、社会に非常に崇高な生活をしておられます。これはわれわれが周囲でながめるかつての公務員という誇りを依然として持っている。渇して盗泉の水を飲ますという生活をしておる。こういう人々を今日他の公的年金制度が、年金額において八万四千円を出しているときに一方は六万円に押えておる、こういう現象。いわんやその奥さんが三万円で押えられておる。これはかわいそうな、月二千五百円しかもらっていないのです。そういう人たちがこの世の中にたくさん老後を生き延びておられる。こういう方々に対する対策は、そうした青年時代、壮年時代を犠牲にして奉仕した人に、他の公的年金よりもむしろ高い金額を差し上げるべきだ、これはいかがですか。
○田中国務大臣 そういう点ではまだまだいろいろと欠陥はございますけれども、過ぐる改定におきまして、老齢者の方々に対しての三五%という比率を出しましたのはさような気持ちの上のあらわれと存じますが、なお多くの欠陥を残しておりますことははっきりと認める次第でございます。
○受田委員 退職時点における恩給額のアンバランスという問題が別にあるわけです。特に基準になったのは勅令第六十八号を発せられた後において、二十三年の六月三十日以前の退職者の給与が著しく旧制度の犠牲になって低い。それを是正しよう。それから二十七年、九年というふうな段階を設けて退職時のアンバランス是正措置がされてきた。しかし、そのアンバランス是正措置をされたことに関して、ここへ答申の中には二十三年六月三十日の時点における給与よりもその後における恩給額のほうが逆に低い場合を考慮せよという答申が出ておる。これはちょっと変なお尋ねをするわけですが、これは退職の時点の一貫した再検討を加えて、そこに現時点に比べて、二十三年六月以前のほうがそれ以後のものよりもいいというような点が一部には出て来ておるでしょう。しかしながら全体を通じたら、やはり古い退職者というものは現在の公務員が退職した場合の共済組合の額に比べると、著しく低水準に置かれるということを考えるときに、退職の時点を中心にした各断層のアンバランスをきちっと体系的に整理して現在に近づけるという努力が根本的に必要である。そういう問題がこの答申の中に出ておらぬ。全面体系上の再検討の答申のことが出ておらぬ。これはどうしたことでしょう。
○矢倉政府委員 実はそこに昭和二十三年六月三十日以前と以後の人の調整を答申としていたしておりますのは、御承知のようないわゆる給与制度の改正に伴って二十三年七月一日以降の人たちの格づけが実は必ずしも一律に行なわれなかったことによって、その後の格づけによって六月三十日以前に退職したほうが高いという方がおられます。そこでそういう場合にはたまたま新給与制度で新しく切りかえられたことによって不合理な扱いを受けている、こういう人を救済しないわけにはまいらないというところから、これはそういう問題がかねがね提示されていたところに、一つの答えを出しておることは先生御指摘のとおりでございます。 そこで、おそらくそういうことになった場合には、そういうことを考えるなら、その後の給与制度の変遷があるじゃないか、その給与制度の変遷の中で、たとえばかつての局長と今日の局長では非常に格差があり過ぎる。こういうものをどういうふうにして制度的に考え直していくかという点が先生の御指摘の点だと思いますが、本件につきましては、恩給審議会といたしましては、そういう給与の基本的な改革であるところの昭和二十三年とは性格を異にするものであるという考えに立ち、したがって旧局長を今日の局長と同じように処遇するということについては、確かに今日の給与というものは職務給的その他のいろいろな要素が入っておりますので、そのとおりにするということには問題があるという考え方から出発しているようでございます。
○受田委員 これは時代の流れとともに身分の変遷史というのが当然考えられるわけです。これは現時点にその方々は生きている、生存しておいでるのです。生存しておいでる方々がいまの身分と給与との関係において、われわれは著しく低い水準に置かれているということを、別にあまり強くは訴えないけれども、心の中ではやはりわれわれは犠牲になったという気持ちをお持ちであろうと思うのです。これはやはり現在の職務とその給与というものを考えながら、古い身分の、そうしてそれに伴う低い給与をもらった方々を、これに接近させる努力というものを私は体系的にしていただかなければ、恩給法は退職時の俸給を基礎にして、その後の適当な生活を維持するという基本的な原則が確立されており、またがって公務員であったという特別の文化生活もある程度考えてあげないと、生活保護を受ける人よりも低い水準で、かつての公務員の誇りを今日持たせようというのは、これははなはだ酷である。それは答申にはなかったけれども、局長さんがいますなおに仰せられた点を長官、田中先生、ひとつこれから政治的判断に基づく行政措置として御検討をいただかなければならぬ問題であります。御回答願います。
○田中国務大臣 これは御案内の答申の中におきましても、二十三年六月三十日以前のあるいは教育職員、警察、監獄職員、こういうふうなものに対しまして、このような点を含めてさらに調査を行なわなければならぬということも記し、また、不均衡の限度においても、最終的な調整を行なうことが適当であると答申も認めておるような状態でございます。これらの老齢者優遇という問題につきましては、まだまだ私どもは、答申自体もみずから欠陥を認め、指摘しておりますように、ひとつこれらの是正、調整につきまして、真剣に努力してまいりたい、かように考えております。
○受田委員 身分の変遷というものが、戦前と戦後で、戦前の官僚政治の支配下にあった当時の公務員というものには著しく差があった時代で、それから、いまでは民主的国家となって相当な改善がされた段階である。また生活給一本時代の公務員給与体系時代が戦後まで続いてきたわけでありますけれども、占領下から独立後にまでわたって続いたのでありますが、その生活給を基本に最も典型的な通し号俸時代の恩給改定が昭和二十三年六月三十日時代のものです。したがって、それには非常に身分の低いところは低いところに格づけされておる。いまのような局長クラスと部長クラスに対応するような、たとえば警察官で言ったら、警部補、警部というものは認められていなかった。校長の場合でも同様です。つまり、給与変遷史と恩給法がちょうど並行してきたのでありますが、その中に、ごく最近の給与というものの中には、管理職というものを非常に重視する傾向が起こって、その待遇改善がなされておる。かつての公務員であった管理職の立場にある人々は、それが移行されないかっこうで今日の恩給仮定俸給をきめられておる、こういうことも一方にあるわけです。そういうようなものをすべて勘案して、答申をお受けになったこの機会に政治的配慮というものを設けられて、あまり多くの数ではない先輩公務員を大切にする政策をひとつ打ち立てていただきたい。田中先生の御在任中におそらくこの答申に基づく給与改定、恩給改定なるものが提案されると思いまするが、あなたの生涯を貫く高度の人道政策の実践をしていただきたいと思うのです。
○田中国務大臣 私も全く同感でございますので、何とぞ御協力のほどを切にお願いします。
○受田委員 非常にごりっぱな答弁です。そのとおり御協力いたします。党派を越えてお手伝いします。 今度は答申の具体的細目にちょっと触れさしていただきますが、私は、今度の答申書の中で細目にわたるにあたりまして、先ほど大出委員の質問されたところにちょっとだけ触れておきます。 これはもうかれこれ申し上げませんが、日−満−日、日−満、この勤続者の通算措置がすでにされている。これはもう日−満−日は十年以上前に措置されておる。それにひっかけて日−満が扱われておる。満−日が残っておる。これはかいらい政権として指摘される外国政府であり、また特殊法人である、そういうところに勤務した人を日本政府に勤務した人と同じに見るべきことは、今時点においては、国民はだれも異論をさしはさまない。いわんや満−日ケースの職員のほうの通算措置を従来の最短距離の年限にプラス措置をしようということに必要な経費は七千万円というわすかな金で公平が期せられるということであれば、国民のだれも異議を持つものではないと思うのです。これはあえて日−満−日、日−満を救って満−日を取り残すという、そのことがむしろふしぎなことである。これは別に私心をはさまない観点から見ても、満−日のケースの皆さんは、満から日に変わって。公務員あるいは公社職員となった場合に、その俸給の格づけが、満州勤務時代の給与というものの取り方が低い水準に置かれたがゆえに、初めから日本に勤務した人に比べて何号俸か格づけが下げられておるということも、これはもう統計の上に出ているわけです。かつ、退職金などにおいても、それが波及して相当な開きが出ている。おまけに、恩給通算もきびしくされて、十七年以上は認められないというようなことになったのでは、同じ国家の公務に従事して、内地、外地を問わず祖国の発展に貢献した人々に対しての差別待遇と言っても過言ではない。こういう意味で、ひとつ大所高所から見て、日−満−日、日−満がとられたときに満−日が残るということの不合理性と、現実に著しい低水準に置かれているこの措置を是正するという意味において、このあたりにおいて答申書もすかっとやられるだろうと思っておったのだが、えらいところに答えが出ている。こういうところは依然として古い恩給法の精神ばかりお取り上げになっている。そういうところがあるかと思うと、一つ幅のあるところもあるという、筋としてはちょっと一貫しないところを私は答申書に発見しておるわけでございますけれども、この答申書の扱いについては、政府として、すかっとした——国民的に見ても疑義を差しはさむ筋はないと思う。このことに、総務長官もひとつすかっと踏み切っていただきたい。別に役所の縄張り争いでもなければ、また、別にこれが選挙にどうこうというわけでもない。党派を越えた動きであるから、どの党も有利ということになればなるわけなんです。不利ならば不利ということになるわけです。だから、その意味においては、政府としては、良識を持った国会の意思を尊重されるということが、答申の扱いとしては、政治的判断のより高度のものであると判断をします。
○田中国務大臣 御高説は十分拝聴いたします。
○受田委員 次の問題に入ります。 少しテンポを早めてすかっとお尋ねするから、すかっとお答え願いますが、この答申の中で、傷痍軍人恩給関係の規定が非常にたくさん出ているわけです。これを一々お尋ねすると時間を要しますから、ポイントだけをお尋ねしましよう。 この中で、従来ちょっと問題になって、政府もなかなか頭をひねっておられたことの中に「増加恩給受給者の普通恩給に関する問題」という一項がある。また、「普通恩給と併給される傷病年金の減額制に関する問題」等があるわけであります。ここで一つ兼ね合わせてお尋ねしたいのでございますが、七項症の増加恩給をもらう方々が一方で普通恩給をもらっている。ところが、増加恩給をもらった方々は、恩給年限に達せずして増加恩給を受け、普通恩給を併給されるようになったのでありますから、そこに、普通恩給のほうでは、年限が達しないから減額措置がとられているわけです。その減額措置をされたままで増加恩給と普通恩給を受けているという現実を終始念頭に置かなければならぬ。職業軍人として長く勤務された人は別だ。また普通恩給を受ける、特に、長い年限勤務された職業軍人の皆さんが傷病年金をもらう場合、その傷病年金は今度二割五分ほど減額措置がされているのでございますが、この比較において、減額措置が、傷病年金をもらう人の場合は、増加恩給をもらう人よりも傷が軽いのだから、傷が重い増加恩給をもらわれる七項症以上のものに給与がなってはならない、こういう御趣旨のようです。そこで、これの答申の中にも「しかしながら、」云々として、一応現実の答えが出ておるわけです。緩和措置がこれに書いてあります。減額しない場合がある。しない場合とはどう いう場合ですか。
○矢倉政府委員 実は、この規定のとおりにまいりますと、ちょうど二五%の減額措置ということが法の規定に現在なっておるわけですが、これを緩和する方法としていろいろな問題を討議いたしたわけでありますが、この七項症と一款症との額を実際的に計算していってみますと、結局、現在の状況では、大体八割ないしそれを少し上回る程度に緩和すれば大体この減額措置というものがおおむね目的を達し得ると考えられるのですが、しかし、計算上は、実際的には、その適用をしなくても七項症の内輸でおさまる一款症の状態の人が出てまいりますので、そのような人にはまあ減額措置を必要としないというふうなことで、緩和またはこれを廃止していくというふうなことでこの答申がなされたわけでございます。
○受田委員 そうすると、七項症の金額以下になることはない、そう判断してよろしゅうございますね。——この緩和措置をひとつ適正にやっていただきたい。 同時に、すでに昭和四十二年三月に症状等差委員会の、これは報告書ですか、報告が出ている。この報告の扱いに関しまして、このたびの国会の審議にあたって、すでに過去において附帯決議もなされた。この症状等差の扱いの処理については、金額が張るという意味で予算措置がされなかったのかどうか、お答え願います。
○矢倉政府委員 症状等差調査会というのが設けられまして、これは主として症状判断についての専門家による御報告をいただいたわけでございます。これは恩給審議会と違いまして、総務長官の実は諮問に答えていただく調査会となったわけであります。総理府といたしましては、こういう症状等差調査会の御報告は、こういった症状等差について非常に長期にそのままの状態で維持されてまいりました実態にかんがみまして、医学の進歩等もあって、ぜひそこにいわゆる柱の立て方を改善してまいりたい、こういう政府側の意図に沿って御報告を求めたわけであります。したがいまして、総理府側としましては、できる限り早期にこの内容の実現をはかりたいということを意図してまいったわけでありますが、しかし、本年の予算には、この点が十分間に合う状態になりませんで、したがって、なおしかし一面、この症状等差については本国会でも御指摘を受けているように、いろいろ検討を要すべき問題もございますので、そこでなお若干の時期を検討の時期にかけたい、かようなことで今日の状態になっております。したがって、金額的には、御指摘のように、実はこれを年次計画的に実施するということになりますので、その面における問題は比較的少ないんではなかろうか、かように思います。
○受田委員 初年度千人対象にして一億八千万程度、こういう方針でおやりになられたろうけれども、ついに実を結ばなかった。恩給局は、それは努力された。しかし、実を結ばなかったと了解してよろしゅうございますか。
○矢倉政府委員 ただいま御指摘のように、確かに総理府といたしましては、予算化をし、できるだけ早期に実現をはかりたい、こういう意図でございましたが、しかし、諸般の状況、及びなお総理府側においても検討を要すべき問題が残っておるという点を考慮いたしまして、一年間見送るというかっこうに相なったわけであります。
○受田委員 そうすると、来年は必ずこれを通すという御決意ですね。
○矢倉政府委員 来年度予算にはぜひ確保してまいりたいというのが総理府の一致した考え方でございます。
○受田委員 症状等差調査会は、圧倒的にお医者さんばかりなんですか。
○矢倉政府委員 お医者さんが主でございまして、お二人ばかり行政の経験者も入っております。したがって、その両者の判断をもとにして考えようとしたわけでございます。
○受田委員 お医者さんが圧倒的に多い関係で、二人しか行政担当者がいないということで、そこで自然に専門的になってくる。たとえば、上膊あるいは上腿から切断された場合が三項症である、それを根もとから切断されると二項症に上がる、これはなかなか専門的で、ここの根もとから切断された場合には、装具をつけるのにたいへんだというようなことで、格上げされたところは認められる。しかし、一方においては、格下げ、たとえば片目失明の状態に近いような人は五項症から一款症に下げる格下げ、この格下げについては、その給与の減額措置はしないと恩給局長からも御答弁があった。それは今日も変わりありませんか。
○矢倉政府委員 御指摘の点は変わりございません。
○受田委員 そこで、五項症の片目失明に近い皆さんが一款症になると、すなわち、増加恩給から傷病年金に変わってくる。そこで、併給される普通恩給というのがどうなるわけですか。それは既得権として残すということですか。
○矢倉政府委員 減額は、変わらないということにいたしておりますので、そのように御理解いただけばけっこうだと存じます。
○受田委員 その形は、併給される普通恩給がそのまま憲法二十九条の精神で残されると了解してよろしゅうございますか。
○矢倉政府委員 ただ、この点につきましては、なお私たちのほうで、どういうふうにこの項症から款症に移るという場合の減額処置をするか、これらの点については実は相当慎重な検討を要すべき問題かと考えておりますので、もうしばらくの時間をちょうだいいたしたい、かように考えております。
○受田委員 田中大臣、この症状等差調査会の報告は、格上げされるほうの量が多くて、格下げされるほうが少ないという形にはなっておるようです。しかしながら、この格下げされた皆さんの場合を考えると、すでに既得権としてちょうだいしている給与というものが引き下げられるということは、たいへんな問題です、特に国家公務に従事された皆さんとしてね。たとえば鉄道の乗車券の枚数も減ってくる、項症と款症では。そういう差までみなついてくる。せめて併給された普通恩給並びにそういう既得権である乗車券等のそういう権利は、いままでと変わらないからだなんですから、その変わらないからだで格下げされたという悲劇を、せめて待遇の上では期するような御努力をされるかどうか。いま恩給局、非常に苦労した決意の表明がありましたが、田中大臣も同様にお考えであるかどうか、お答え願います。
○田中国務大臣 この症状等差の問題につきましては、お説のようなことになっておりますが、われわれといたしましては、この既得権は十分に尊重いたさなくてはならない、かように考えております。
○受田委員 明確な御答弁、それをひとつぜひ実行してもらいたい。 いま一つ、目症度の皆さんは、例の戦傷病者の特別援護法、特援法によって手帳を交付されておる。これは非常な特典がある。たとえば所得税の免税措置などに身障者と同様の措置をするなど特典があるが、その他に何ら特典がない。長い間苦労された人が、他の公的年金との比較で一時金で打ち切られた。この問題でピリオドを打つという形ではなくて、一つの国家公務に従って目症度の障害者となったという面でいうならば、国家公務を前提とした場合に、これはこの障害を他の場合と違った意味の何かの形の扱いが必要じゃないか。答申にはそれが書いてないのでございますが、何かの形をひとつおとりいただくのが筋じゃないかと思うのです。金額は少額でけっこう、しかし、国家の公務で目症度の障害を受けられた人というのを何かの形で考えていくということも、田中大臣いかがでしょう。
○田中国務大臣 御指摘の問題は、ひとつ研究をさしていただきとうございます。
○受田委員 もう一つ、ここに出ているこの増加非公務死、これは恩給法の七十五条でしたか、あの辺にある第三号規定です。つまり、増加恩給を受ける皆さんが死亡された場合に、公務にあらず死亡した場合の扶助料の措置、これはいま、この答申にも出ておりますけれども、何ら考慮の必要はない、公務以外で死亡したのだから別に考える必要はないといいますけれども、現に増加恩給、普通恩給という給与をもらっている。それがもし戦死であるならば、公務扶助料にかわる。ところが、公務に従事して、戦傷者となった分の考慮というものが、公務扶助料の場合にもっと大きく反映していいと私は思うのです。これは全然反映する必要はないとお認めになるのか、これはある程度の考慮を必要とするのであるか。これは私は多年要望しておるのでございますが、現実に公務で戦傷者となった、そしてその結果が増加恩給と普通恩給を受ける身分になっておる。それを前提とした扱いが、増加非公死という意味でなくして、何かの形で、その死亡の直接の原因は公務でなくても、戦傷の原因は公務であるということを前提に置いて考える必要はないかと思います。
○田中国務大臣 その年額につきましては、答申の次第にもございますので、十分検討いたしたいと思います。
○受田委員 有期の傷病恩給に関する問題点として、受傷または罹病後二十数年経過した、その非常に長期の有期の傷病恩給の問題が出ておるのですけれども、二十年以上たつと、ある程度病気は固定化してしまうと思うのです。特にその対象になる人は結核とか、そうした機能が障害しているような方ですから、もう二十年以上という長期の場合にはこれを固定宣言でもしてあげる、たとえば未帰還公務員あるいは未帰還の旧軍人が行くえ不明が長く続く場合には、その家族の希望によって戦時死亡宣言というものを厚生大臣ができる規定ができました。それと同じような形でここでひとつ、二十年以上、ある長期の期間を経た分の有期の措置については、固定宣言というものを恩給局長に裁定権を与えてやられるというような形が、この現状を尊重する上には非常に大切だと思うのですけれども……。
○矢倉政府委員 ただいまの先生御指摘の点、確かに二十年もたてばほぼ固定する段階に至るかと考えられますが、しかし実際に私どもが症状判断をいたしておりますと、その類型の中には、よくなられる方もあれば悪くなられる方もございます。そこで、そういう点を十分配慮していくことが恩給上の措置として必要ではなかろうか、かようなことで、依然として有期恩給を是認していくという考え方に立っておるわけでございます。確かに、先生御指摘の点もございますので、今後の検討に十分まちたい、かように考えます。
○受田委員 職務関連の内地発病の方々に対する恩給特例法と同様、なくなられた方と同じような措置を、この答申に出ているし、それからそれに対しては、普通の形の七割という程度のものを当然出すという筋合いだと思います。これはなかなか答申としてはよろしい。また特別項症の増加恩給年額に関する問題の措置なども大体いいと思います。ただ増加恩給の基礎となった階級を兵に置いてある。これは私多年主張しておる、せめて下士官の中の軍曹というのが、ちょうど平均した階級のポイントであると訴えてきたわけでございまするが、軍曹の階級に基点を置くという御努力をお続けいただけるかどうか。
○矢倉政府委員 増加恩給につきまして、現在は、御指摘のとおり、兵のいわゆる仮定俸給を基準にいたしておりますが、このような点については、年来受田先生の御主張の点でございまして、実はわれわれもこの審議会の過程の中で、これは軍曹の階級にということも検討をしていただいたわけでございますが、一応増加恩給については、御承知のように一定の間差に基づく額の形で定められておりますので、その辺が一つの配慮の対象になっておりますところから、まず現状においていかがであろうか、こういうことを考えておるわけでございますが、なお先生の御主張もございますので、今後さらに検討をさしていただきたいと考えております。
○受田委員 みんな迫っておるようですから、私自身のあせり——皆さんの圧力があるのだが、ひとつ最後に一言。その他の問題は、みな大出委員とは変わった観点からお尋ねをしたいと思って、ずらりと抜粋しておるのですが、飛ばします。飛ばして、最後に一つ、長官、あなたは非常に人類愛に徹しられたお方でありまして、特に公務に従事された先輩を大事にしなければならないという理路一貫したものを拝見しておるのでありますが、今度の答申の扱い方は、今度は、総務長官、あなたがひとつ責任者で政治的措置をされるわけでございますので、物価上昇を柱にして、他を補完とするという行き方は、これは公務員給与のきめ方が、いま申し上げたいろいろな条件を前提にしてきめているという以上は、公務員給与を前提にし、あるいはこれに物価も一緒に考えていくという——答申を尊重する意味からいえば、物価上昇、それに公務員給与をひっつけていく、これは同等に配慮する、これは政府として答申を尊重したことになるのですが、物価のことも尊重し、公務員のほうもつける、この政府の措置、この二つを中心にされて、現在の給与が、いま申し上げたような、六割程度に下がっているのをせめて八割から八割五分ぐらいまで引き上げる措置をお考えになるかどうか、著しい変動の対象になっていると判断されるかどうか、これが非常に大事なポイントです。それを御発言をお願いいたしたい。
○田中国務大臣 たいへん重大な御発言でございますが、この答申の趣旨は、政府側の配慮を要望いたしておる次第でございまして、それらの問題につきましても、十分意の存するところをよく体しまして、今後善処してまいります。
○三池委員長 伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 簡単に答弁をいただきたいと思います。 恩給審議会の答申にある調整規定の件についてでありますが、その調整の基準を五%以上の消費者物価の上昇に置いた理由及び根拠について伺いたいと思います。
○矢倉政府委員 この消費者物価の上昇による判断をいかようにするかということは非常に重要な問題でございますが、御承知の公務員給与につきましては、五%以上引き上げを要するという場合には改定措置を講ずるという国家公務員法第二十八条の規定がございますので、そこで公務員であるということを前提にしつつ考えたときには、ここに五%という基準線を、どうしても改善すべき一つの率として考えることが適切である。かような判断でございます。
○伊藤(惣)委員 国民の生活水準及び国家公務員の給与は、消費者物価の補完的要因ということになっておりますが、これはどういうことなのか、また将来調整規定の運用を行なう場合、これらをどのように取り扱うつもりなのか、伺いたいと思います。
○矢倉政府委員 答申の趣旨といたしましては、恩給法第二条ノ二には並列的に要件を掲げております。そこでそれをいかようにするかという点については、解釈、運用において方法がきまってくると考えられますが、そこで審議会の答申といたしましては、消費者物価を不可欠の要件とするという考え方に立ちました。そうして不可欠の要件とすれば、その他の要件は不可欠というわけにはまいりませんので、そこでその裁量の範囲が出てまいります。その裁量のしかたとして、国家公務員の給与をまるっきり考えないということは恩給額の調整として適切でない。そこで、一方の消費者物価は生活維持分として考え、生活向上分としては公務員の給与とか国民の生活水準、かような考え方から二段がまえの是正措置として考える、こういうところから公務員給与を補完的という表現を使われたわけでございます。
○伊藤(惣)委員 現職公務員の給与と恩給年金との格差が大きいわけでありますが、恩給年金は当然現職公務員の給与にスライドされるべきものであるというふうに考えまするが、その点についてお伺いいたしたい。
○矢倉政府委員 確かに御指摘のように、恩給は退職公務員の問題でございますので、公務員給与にという考え方はそのまま筋の通った考え方であろうと存じますが、ただ審議会の審議の過程では、一体公務員給与の内容というのはいかなる内容を持っているかということが非常に慎重な審議をなされまして、そこでその公務員給与には、ここにいうところの物価もあるいは生活水準もその内容をなしているかもしれないが、その要素の構成部分がどのような状態にあるかが非常に不明確になりました。そこでやはり物価というものを不可欠要件としながらその他の諸条件を加味して考えていくという、いわゆる補完的考え方というふうに進んだわけでございます。
○伊藤(惣)委員 恩給年金の最低保障額、すなわち恩給年額六万円、扶助料年額三万円は、生活保護費と比較いたしましてあまりにも低過ぎるわけです。これは当然是正すべきであって、審議会の答申でもこの点に触れているわけでありますが、審議会では具体的にどのようなことが論議されたのか、伺いたいと思います。
○矢倉政府委員 最低保障につきましては、いわゆる公的年金のそれぞれについて最低保障制度がございますので、そこでそのそれぞれについて現在どのような保障額になっておるか。先ほどちょっと出ましたように、共済年金も八万四千円、それから遺族に対しては六万七千円というふうな金額に相なっておりますので、そこらの辺をにらみ合わせながら最低保障額というものの限度額を引き上げていく必要がある、こういう論議でございます。
○伊藤(惣)委員 三年以上七年未満の旧軍人に一時金を支給する問題について、下士官以上だけをその対象とした理由は何であったか、伺いたいと思います。
○矢倉政府委員 下士官につきまして三年以上ということにいたしましたのは、文官との均衡も考慮してさようなことが適切であろう、こういうことでございます。
○伊藤(惣)委員 戦前の法律がそうであったという理由だけで兵を除外するということはおかしいと思うのです。公明党としては、旧軍人恩給について、その階級差による不均衡があまりにも激しいので、これを改めるべきである、このように主張しておるわけでありますが、この一時恩給問題について、審議会ではどういう論議がかわされたか、その点伺いたい。
○矢倉政府委員 この点については、御指摘のように、下士官以上に限るということには一つの問題が存しないかという議論もございまして、したがって、是正措置を講ずるならば、兵の階級までおろしてはどうだろうかという話もございましたが、やはりいわゆる下士官ということで拾うことによって大半の問題が解決するかもしれないという議論も存したわけでございます。そうして結果的には、ただいま御指摘のような戦前のそれと比較しながら、審議会答申としてはこういうふうな下士官以上ということでおきめになったわけでございます。
○伊藤(惣)委員 最後に、恩給の裁定事務については、申請受理から裁定までに半年から一年ぐらいかかる、こういう現状だと聞いておりますが、その能率化迅速化について、恩給局としてはどのように考えておられるか。総務長官から伺って質問を終わります。
○田中国務大臣 裁定の迅速化の問題につきまして、先般も恩給局の現場に参りましたが、膨大な量に相なっておりまして、事務的にこれを迅速にということは非常に困難な現状でございますけれども、そういうふうないろいろな事務をできるだけ効率化いたしまして、御期待に沿うように事務の能率を向上いたすよう、せっかく努力をいたしておる次第でございます。どうぞよろしくお願いします。
○伊藤(惣)委員 以上で終わります。
○三池委員長 ただいま委員長の手元に、井原岸高君外三名より、本案に対する修正案が提出されております。
○三池委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。井原岸高君。
○井原委員 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案に対する自民、社会、民社、公明、四党共同提案にかかる修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 案文はお手元に配付してありますので朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、外国政府及び外国特殊法人職員が公務員となった場合、現在の恩給法では、その外国政府及び外国特殊法人の職員としての在職期間は、普通恩給最短年限に達するまでを限度として通算することとしておりまするが、この制限を、昭和四十四年一月から廃止して、その在職期間のすべてを通算しようとするものであります。 よろしく御賛成をお願いいたします。
○三池委員長 この際、国会法第五十七条の三の規定により、本修正案について内閣の意見を聴取いたします。田中総理府総務長官。
○田中国務大臣 本修正案につきましては、恩給審議会の答申におきましても、この場合の普通恩給の最短年限に達しまするまでという制限を廃止するということは適当でないという意見を示されておりますので、これを諮問いたしました政府といたしましては、答申を尊重いたす意味におきまして直ちに賛同いたしがたいところでございますが、本修正案が可決されました場合におきましては、政府といたしまして院議を十分尊重いたすことといたしたいと存ずる次第でございます。
○三池委員長 これにて質疑は終了いたしました。
○三池委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。 恩給法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、井原岸高君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○三池委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○三池委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。 これにて、本案は修正議決すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○三池委員長 次に、行政機構の簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。 〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
○大出委員 時間がたいへん短いわけでございますけれども、いずれにしても問題のある点につきましては時間の許す限り審議をしておかなければならないと考えますので、三十分足らずしかございませんけれども、何点かについて承りたいと思います。 まず、自治省の場合には選挙局をなくすということでございましたが、これは一体自治省の発意でございますか、それとも何か特別の事情でもございまして選挙局を廃止なさろうとするわけでございますか、まずその点を承りたいと思います。
○赤澤国務大臣 決して自治省の発意ではございません。
○大出委員 大臣の御答弁によりますと、選挙局を廃止することは決して自治省の発意ではない。こうなりますと、担当の行政長官がみずからの発意でないというに至っては、どうもなくしたくないという方にどうしてなくしたのかと聞くのも妙な筋合いでございますが、発意ではないが、しかしなくすことにきめた、こういうことでございますか。
○赤澤国務大臣 少し詳しく申し上げなければなりませんが、御案内のとおりに、総理が、一つの姿勢として行政の簡素化に踏み切るのだ、ついてはぜひ各省庁一局削減の準備をしてほしいということで、あれはアメリカに出発されるときでしたが、言い残して行かれたようでございます。私、その後自治大臣に就任した次第ですけれども、たまたま選挙制度審議会に出席しておりまして、制度改正の一番重要な時点でもあるし、ぜひ自治省だけはごかんべん願いたいと言ったのです。なぜかと申しますと、自治省はたった四局しかないのです。しかも一局削減ということになりますと、どうしても行政局、財政局、税務局を減らすというわけにはいかない事情がある。そこで、人数から申しますと選挙局というのはわずか三十名ばかりですから、これを減らしてみたところで大きな行政の簡素化にプラスするわけではない。しかしこの姿勢で、そういう姿をまず出発点とするということでございますので、行管の長官にもいろいろ苦衷を申しておりましたけれども、総理は非常にきびしい口調ですし、また行管の長官は、総理の志というものを実に微に入り細をうがって私たちの説得にかかられたわけでございます。最終どの省庁も全部一局削減するというなら、自治省だけがんばるということもこれまた政府の施策に影響するところでございますので、文字どおり涙をのんで了承せざるを得なかった、こういういきさつでございます。
○大出委員 この問総理府の総務長官に、何で青少年局を、総理の施政方針演説の重点であったにもかかわらず、わずかに二年ばかりで廃止をされるのかと聞いたら、決して簡素化ではなくて拡充強化であるという御答弁でございました。どうもこの法律そのものには簡素化と書いてあるのですけれども、その中の一つである総理府の機構が拡充強化というならば、簡素化に関する法律ではなくて拡充強化に関する法律と書き直してもらいたいと言ったところが、そこから先は答弁にならない答弁でございました。どうも各省の意によらざる削減ということでありますので、したがってそこまではっきり自治大臣の答弁をいただきますと、いやだいやだ言っている人に質問をしてみても、本来、だからいやなんですということになる筋合いのものだと思うのであります。いずれにしても、これは各省皆さんに聞いてみて、どうしてもこれは困るというのに、それでもなおかっと総理がおっしゃるなら、総理においでをいただいて、そこで総理自身に聞かなければならぬ、かようなわけであります。 たまたま赤澤自治大臣の場合には、かつて早川さんのあと自治大臣をおつとめになった練達の大臣でございまして、公営企業問題など困難な問題をおかかえになって、片をつけていただいたいきさつもあります。その大臣が、行政、財政、税務、選挙、全部で四局しかないうちで、選挙——しかも第五次選挙制度審議会の答申などもあって、政治資金規正法というのは一体どこが担当局かといえば、これまた間違いもなく選挙局であるはずであります。また、小選挙区であるとか比例代表であるとかいう問題をめぐりましても、これまた選挙局であります。かりにもここで国民一般からながめて、減って、なくなっちゃうのだというような感じを与えること自体が、参議院選挙も目の先にとりついているのでありますから、私は非常にまずいという気がするのであります。自治省だけはごかんべんをいただきたいということを強硬におっしゃった大臣に聞くというのはまことに御無礼なんですけれども、今度出ている法案でございますので、自治省の行政の長官でございますから、筋がどうも通らぬ気はするのですが、これは聞かざるを得ないということになるわけです。そこで、どうしても削減せよと言われたからしたのだということだと、国民一般に与える影響は、何か知らぬけれども自治省は、選挙を前にして、しかも制度の問題あるいは政治資金の問題等があって、国民を忘れて論争だなんということが新聞に書いてあって、その時期に選挙局がなくなるということを国民一般がどう受け取るかという心配が私あるのですけれども、そこらのところを行政長官というお立場で一体どうお考えになりますか、承っておきたい。
○赤澤国務大臣 今度は選挙局が部になるわけでございますが、先ほども申しましたように、選挙局は主として制度を扱う、また法律を扱う局でございますので、選挙の実務は言うまでもなく扱っておりません。若干政治資金の届け出などがありました場合にこの扱いが手数がかかるということでございまして、それで、かりに部になりましても倍旧の努力はいたしますということを答弁ではしてきておりまするけれども、大出さんの御指摘のとおりに、選挙というものは、いま議会政治、民主政治の中にありましては一番大事なことでございますので、これが廃止というよりも格下げになったような姿になりますと、国民に与える影響というものはよくないと判断いたします。私はやはり行政の簡素化という面からだけ論じますれば、たいした人数を擁しておるんではないんだからそれだけプラスになるんだとは考えない。しかし、さっき申しましたように総理の一つの姿勢として、いままでやろうとしてやれなかった行政の簡素化を徹底的にやるんだという決意だと考えた場合には、また一応マイナス面を補うだけのプラスもあると考えて、私は、終局は格下げに踏み切ったわけでありまして、これは大出さんのおっしゃること、私最も重要なものとして、その辺をたいへん憂慮はいたしております。
○大出委員 私も、どうも審議をせざるを得ないところに追い込まれたかっこうでございまして、実はこれは審議したくないのでございます。審議したくない、したがって審議をしない、いつの間にか、出てはきたが消えていったというほうが無難であろうと思っておったのでありますが、どうも皆さんの側からすれば、出したものをそう簡単に、個人的には腹の中で反対だと思っておられても、これはまとめて法案を出したんだから審議してくれ、こういうお立場なんですね。私もこれは非常に迷惑だけれども、やむを得ぬと思って、いろいろ関係の資料を引っぱり出して見てみたわけです。ここに、しきりにこの規制の問題や制度の問題を論じている書物があります。これをながめてみたところが、この発行場所というのは都道府県選挙管理委員会連合会なんですね。ところが、この都道府県選挙管理委員会連合会なる方々が大挙お集まりになりまして私どものところへお出かけになり、選挙局を廃止するなんて政府は血迷ったんではないか、この重大な時期に国民に与える影響をいかに考えるか、こういうことで、政府ではない私どもが実はたいへんおしかりをこうむるという状態であります。そうなると、わが意を得たりではございますけれども、それはしかしお門違いなんだから政府・与党、特に自治大臣にお話しをいただきたい、こう私は申したわけでございます。したがって、どうもそこまでくると、むしろいまやまさにお困りになっているのは政府・与党の皆さんであって、一局削減ということでお出しになったけれども、方々から種々文句ばかり出て、たとえば労働省の安全衛生局なんていうものは、労働災害がどんどんふえてこれは大きな問題になるというのに、一体これはどういうことなんだということになるというふうなぐあいに、厚生省だって公園局廃止だとおっしゃるんだけれども、公害基本法の本来の原案をつくったのは厚生省なんですから、公害をかかえておる。そうなると、これはまだ直接この席で承っておりませんけれども、園田さんだってああいうものをなくされちゃ困る。困るけれども、しかしどうしてもなくせというならば、勢力分野ということで公園局が一番力が弱い。公園局は三十何名というわけで、これは規模として一番小さいわけでありますけれども、しかたがないからそういうところへしわを寄せて削減に応じたというようなことで、まことにもってどうも筋の通らぬ話で、実は審議する気になろうとしてもなかなかなれぬ。とにかく大臣自身が困ると言うているのに、何であなたはなくするんだといっても、これはしようがないという感じがする。まことに迷惑千万。できるならばこれはひとつあっさりと、定員法のほうも、所管の行政長官のほうではしきりに裏表の関係だから通すんだなんてそこでおっしゃっておられますけれども、めんどうだからこれは一緒にまとめて、じゃあひとつ廃案にしていただこうということにしようかといま考えながら実は質問をしているわけなんであります。しかし材料を並べなければ質問になりませんので、大きな点だけひとつ承っておきたいと思います。 たまたま選挙局が現在あるのであります。まだなくなっておらないのであります。なくなるかどうかいま審議中でありまして、したがって現在選挙局がある。そこで政治資金規正法などは間違いなくこれは選挙局の所管であります。そうすると国民の心配の中に、どうも第五次選挙制度審議会等から出てきた答申があって、黒い霧騒ぎの世の中にということで、国民の政治に対する信頼をつなぎとめるという意味を含めて総理も相当な熱の入れ方で、御承知のような経過をたどった。赤澤さんはそのほうの党内大有力者でございますから、政府・与党関係すべてにわたってこの問題にお詳しいわけであります。ところでこれが今国会にまたまたどうも顔を出してこない。それだけならばまだしも、プラスアルファで選挙局がなくなる。一体何を考えているんだということですね。国民の気持ちを一体どう考えているかということになっておるわけでありまして、せめて先ほどの、私と同じような御心配をお持ちになる大臣として、この国会に政治資金規正法の成案をお出しになるのが筋ではないかという気がするのであります。ここに、総理が指示をされておりまして、自治大臣の名前もここにあがってきておりますが、この前の新聞には、与党の皆さんのほうがおまとめになった妙な案が出ておりました。そこらとの関連で、いまごろこう載っておりますけれども、私に言わせれば、休会明けというところをねらって——これはすべての委員会で決着がついてしまう。選挙後二カ月国会だ、三カ月国会だ、こう思いますけれども、これは選挙の結果いかんでありましょうから、あまり景気のいい結果にならなければなかなかそういうわけにもまいらぬだろうと思いますが、そこまでの話が出ておる世の中に、一方ではどうも首相指示なんということを書いている。何かキツネにつままれたような気がする。国民一般は知らぬが、私ら現実にこうやって法案を審議しているから、何が出てきても通りそうもない世の中に、こうなってくるとどうもわからぬので、この辺のところを、選挙制度についてあるいは政治資金規正法についてしろうとである人間に、この辺のいきさつがわかるように大臣から御説明をまずいただきたいと思いますが、どんなことになっているわけでありますか。
○赤澤国務大臣 規正法のことについてお触れになりましたが、選挙制度や資金規正法をいま成案を得るべく努力をしていますけれども、別にそのことと選挙局が部になることとは直接の関係はないわけでございますし、いま選挙局にはやっかいな公職選挙法その他に関して内外の政策を研究しておるベテランをそろえておるわけでございます。それ以上にまた人を入れる必要もないし、またこれを減らすこともはなはだ困る。しかし規正法はこの国会で成案を得て提出するというつもりで、与党は最終の調整の段階に入っておるわけでございます。しかし、いま大出さんは実にしろうとみたいなことを自分でおっしゃるけれども、あなたはたいへん詳しいことをよく私は知っている。前にILOの問題のときにあなたとたいへん議論した記憶があるけれども、実にああいうことにはお詳しいわけなんですね。しかし選挙に関する制度は、資金の問題も含めて、それぞれ選挙をやっておる国はみな悩みを持っておって、いまアメリカでも西ドイツでもイギリスでも、政治資金につきましていろいろ議会に提案をされておるものが通らないで懸案になって困っておることも御承知だと思う。日本人は短気と申しますか、一たん出たからには決着をつけろということでたいへんやかましい。しかし残念ながら先年来いろいろな不正事件が起こっておる。ですから政界の浄化と申しますか、政治の姿勢を正しますためには、やはり私たちは強い決意をしなければならぬ時期が迫っておる。総理もそのことをたびたび申しておられるわけでございまして、こういった意味におきましては、議会政治を守るというか、政党政治の将来を考えて、政治そのものが国民の信頼をつなぐためにはこういう国民の声にこたえなければならぬという強い決意を持っておりますけれども、しかしこの法案に限って実に意見が多くて、党内でも始終議論を尽くしておりますけれども、なかなか最大公約数が見当たらない。しかし、ただ最大公約数でこれはきめるべきものではないと考える。やはり規正法には規正法の一つの筋があるわけでございますので、どこからごらんになっても一応いい案というところでまとめたという姿のものをつくりたいと思って努力を重ねておる段階でございます。
○大出委員 承っておきたいのは、そうするとこの国会にお出しになるというわけでございますか。
○赤澤国務大臣 たびたび、成案を得て審議に供する、こう申しておるわけでございます。
○大出委員 与党の皆さんの案が新聞に出ていたり、それから自治大臣を総理がお呼びになっていろいろお話しになった、このいきさつも載っておりますが、大会社の献金を損金算入限度額まで拡大するかどうかという点が一点です。それから派閥、個人への寄付総額を政党と同額まで認めるかどうかという点が二点。法人会費を寄付と見なし、届け出を義務づけるかどうかというのが三点。同法改正案をめぐる政府・与党の意見調整が難航している問題点はこういうことなんですね。いまのお話では、ぎりぎりまで煮詰まって調整の段階であるというのでありますけれども、この三点の調整、まさにこれがポイントでございまして、これがなくなってしまえば規正法ではなくなってしまう、こういうわけでございます。これはアメリカの腐敗行為防止法やイギリスの腐敗及び不法行為防止法の制定当時の、政党に対する二律背反の原則があってという論議などを読んでみましても、やはり似たようなことが出てくるわけですね。そういう点からいたしますと、当然ここにぶつかるのでしょうけれども、やはりそれだけにここに関心が集中をするのも当然なんです。少なくとも自治省という立場でいまお考えになって、さきに通らなかった案もございますが、あの案と対比をいたしまして、これらの三点について、あの案程度のもの、あるいはあの案よりももっと厳正に規制をしていこうということにする、あるいはだいぶ後退をする、大きく分けて三つぐらいしかない。その辺のところ、自治省は専門家を集めてというお話が先ほどございましたが、制度審議会の答申もあるわけでありますから、そこら辺を踏まえてその辺くらいは一もうここまで来れば、この国会といったって連休に入ってしまいますから、ただ単に、出すつもりでせっかく努力中と言うだけではどうも歯切れが悪い。政府も実はここまで考えて、政治資金規正法等も前向きで出すんだ、だから選挙局がなくなるなどということと関係がないのだ。−国民の受け取り方は逆なんです。何か選挙局がなくなる、片一方では政治資金規正法一つ出てこない、こういうことでは、こういうふうに一般の方はきわめて素朴に受け取りますから、そういう意味で、いま申し上げた論点、このあたりを、詳しい大臣のことでありますから、少しお触れをいただきたいと思うのであります。
○赤澤国務大臣 自治省案をつくりまして審議の結果、野党に御支持願っても法案は通過しないわけであります。ですから、議院内閣制ですから、やはり与党側と政府との調整というものが必要でございまして、議論百出の法案ですから、調整段階で骨の折れることは私は十分覚悟しております。しかし国民の御期待に沿うような筋だけは通したいと思っておりますけれども、党内における議論の過程で、マスコミの諸君もなかなか取材熱心でして、飛び出した議論をそのまま克明に新聞に御発表になるわけでありますから、そういった議論がなかったとは申しませんけれども、まだそれでまとまったというわけではございませんので、いまそれの最終取りまとめをする役目にあります私のほうで内部のことを一々申し上げますと、それがすぐまた与党の調整段階で響いてまいりますので、この際は、内容について一々私の意見を申し述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
○大出委員 これは答申もあるし、あるいは論議をすれば、八幡判決なんかでも一審、二審の違いもありますし、非常に幅の広い論議になっていくことは事実です。だからお説のように、うかつに調整段階で担当の、衝に当たる大臣が公のところでものを言ったなどということになれば物議をかもす、それもそうかもしれません。しかし私は選挙局をなくすという筋の通らぬ、妙なことを審議させられている立場でございますから、せめて、どうあってもこの国会に出すなら出すのだということぐらいは——調整にいかに手間どっても、困難であっても、今度ばかりは会期がきまっている、選挙がございますから待ったがききません。そうすると出す出すといって出したんだけれども、時期がもうぎりぎりで、だれがどう考えたって通る可能性がないときにお出しになった、こういうことになるのですね。だからそこのところを、本気でこれは今国会を通そうというつもりでお出しになるのか、その気がほんとにあってのことか、それとも、こう言っておかないとぐあいが悪いからこう言っておくというのか、そこまで疑わざるを得ない今日の情勢なんです。そこらのところを、これは中身を言ってくれというのではないのですから、はっきり答えていただけないですか。
○赤澤国務大臣 なかなかそこがむずかしいところでございまして、成案を得て皆さんの審議に供する、それを今国会には必ずということを、総理は二月まで三月までといって期限まで切ってやかましく督促されましたけれども、実際私どもは一時のがれのふざけたことを言っておるわけではないのでして、やはりこういった問題は早く終止符を打って、その他の問題に全精力を傾けたいという気持ちを持っておりますけれども、なかなか思うにまかせぬ。そこでただ出すということが、自治省の玄関から外へ出すということならこれはできるわけですけれども、成案を得て国会に提出するということは、やはり一応与党のほうでよく了承を得て、そうして皆さんの審議に供するということを意味しておるわけです。そういたしますと、やはりここで何ぼつらくても、時間がかかっても、与党間に一応御了解を得ておきませんと、出てから前の国会の審議と同じような経過をたどる危険性がある。極端に言えば、与党内で意見調整ができて、まずこれならということで出されたものは、そう時間をかけないでも通るわけですね。そう言えば、野党の皆さんには審議を十分しなかったという御不満もあるかもしれませんが、極端に言えばそう言うこともできる。私はそういうことは好みません。やはり審議は十分尽くすべきであると思っておるが、ただ今回はきわめて変則な国会です、参議院の半数改選の年ですから。それで私就任したときにたいへん心配して、どうも提案できないこともあり得ると言ったら、出さないというふうに書かれて、たいへん私心外に思ったこともあったのですけれども、そういうふうな心境でおりまするので、私どもといたしましては一日も早く成案を得て出したいということで日々努力をしておるところでございます。
○大出委員 いまの御説明によりますと、ともかく早く成案を得て出したい、こういう御発言でございますので、この国会どん詰まりになりましてもお出しになる気があるのだろうということで、前向きで受け取りたいわけであります。 そこで選挙局それ自体は、局を廃止いたしまして、人あるいは中身の異動というものはどういうふうに動きそうでございますか。
○赤澤国務大臣 中身は変えるつもりは持っておりません。ただ局が部になれば、やはり局長は動くと思います。しかしこれをまだ最終的にきめたわけではございませんので、ただいま申し上げかねる段階でございます。
○大出委員 そうしますと、簡単に言って、局長が部長になるということですか。
○赤澤国務大臣 現局長が部長になることは意味いたしません。しかし部になればそこに局長はできるわけはございませんから、大体そういうふうに御判断いただいてけっこうでございます。
○大出委員 そうするとこの一局削減というのは、特定の名前の何のだれべえがどうなるというのではもちろんありません、機構でございますから。しかしながら、国家行政組織法的に言えば、組織論的に言えば、局長という一つの職、ポストですね、これがだれが行くかは別として、局長というポストが部長というポストに変わった、これだけのことだという理解をしてよろしゅうございますか。
○赤澤国務大臣 実務から申しましても、先ほど申しましたように三十何名の者を一名減らす、二名減らすなんといったことは、私は目下のところ考えておりません。大体現在の陣立てでやるつもりでおります。
○大出委員 ある意味のショック療法だというのかもしれませんが、私はここで一つだけ意見めいたことを申し上げて、ちょうど本会議の二時になりますので、きょうのところは終わりにしておきたいと思います。 しきりに一局削減ということで世の中に通っているわけです。一局削減というのはどうなりましたなんということになる。その一局削減の印象だけが国民の皆さんの頭に入っている。中身がどうなるのかさっぱりわかってない。機構の改革なりあるいは定員の削減なんということはいままで何べんも例がありますが、国民の皆さんというのは、機構を縮小するのです、人を減らすのです、こう言いますと、それはおれたちの税金で食っているのだから、そんなものは減らしたほうがいい、こう言うに違いない。ところが減らすのが学校の先生ですと、PTA総立ちで反対だということになる世の中です。陸運事務所へ行って車検をとるのにずらっと並んで待っていれば、たばこの煙がもうもうとしていつまでたっても自分の番が回ってこなければ、おれたちも税金をはらっているのだから何で人をふやさないのだということになる。だからこれはやっぱり行政組織の問題としては、機構という問題からすれば、昭和二十四、五年のころに旧定員法をめぐってずいぶん議論があった。その議論の中にあったのは、国家行政組織法その他の法律のたてまえからして、機構と職員との関係ということなんです。ところで、一つの行政機構ができ上がる。公務員自体は公務員法が制定されてから思い切って変わりましたけれども、そこに一つの職、つまりポストがきまる。そこに人間がいる。これが恒常的にいなければならない場合逆にいえば恒常的にあるポスト、その職に人がいる。その人間を何というか。これは職員である。人事院としてはかって、非常勤の場合であっても恒常的非常勤だなんということばを編み出したわけでありますが、そういううらはらの関係にあるのですけれども、この機構、定員との関係を国民へのサービス行政という形でものを考えた場合に、てっぺんのほうでは一局ずつ減らしますと言ったり、あるいはつかみで、三年間でこういった下のほうを何%減らします、これだけでは私はやっぱり国民に対する説得力にならないと思うのです。やっぱり一番末端の国民と密着をしているところ、そこの機構というものが一体どうすれば国民全体の生活に直結した機構になるかということ、陸運局に人が足りなければふやす、あるいは先生が足りなければ人をふやす、かくて国民と密着するところの機構というものが考えられて、箱の中に入っている人は、つまり郵便局の窓口でも駅の窓口でも片っ端からいばるものだと国民の皆さんが思っているのだから、そうじゃないのだということになって、かくてそのうしろのほうの機構の組み立て方は本省の大臣までのところはということで、この末端のサービス行政が動いていくためにかくのごとき批判を積み重ねていけばという一つの筋立ての上に機構と定員というものがきまらないと、それはばらばらに、片方は一局削減で局長が部長という名前になるだけで、片方は機構とは関係なくて三年間で何%か減らそうとする。そのために国会で審議すべきものを向こうへ持っていって政令できめるということばあまり筋が通らぬということなんです。説得力がないということになるのです。かつての定員法を分解して設置法に移すときに、職員の定数というものを、機構とうらはらの関係だからというので、機構をきめておった設置法の中にあわせて定員を入れた。設置法ができ上がって、設置法の中に定員が入ってきた経過ですから、そういう長年日本の行政府におられる方々がとってきた理論というものを、いつの間にか一つの立場としてしまって、片や一局削減でございます、片や三年間で何%でございますということを言っても、なかなか説得力を欠くと思う。だから本来ショック療法だというなら、その意味ではある程度の効果があったかもしれない、ふやそうと思ったのがふえなかったというくらいの意味では。しかしそうでなければ、一局削減というものが通ってみたって、みなくたってたいして天下の大勢に影響がない。まさか自治大臣も、選挙局長が部長になったから選挙行政の手がゆるむなどとお考えになってはいないと思う。そうだとすれば、どっちでも一緒なんだと思います。という意味で、大臣、選挙局が部になりましたといった場合に、影響する何らかのものがありますか。おそらく私どもと同じ考えだと思うのだけれども……。
○赤澤国務大臣 せっかくこういう手荒な措置を行なうことになったわけなのでありまして、総理も、これを行政改革の手始めにというお気持ちのようです。各省庁それぞれ、これを契機としてという決意があることと思いますが、私は数多い地方公共団体に関係しておりますので、やはり思い切った行政改革をこれを機会にやりたいと考えておる。いま大出さんがおっしゃるように、ただ一省庁一局削減で事を終わるのかとおっしゃると、そういうことであっては全くこの改革の意味がなかったと思うのでありまして、私は、いま発表の段階でございませんけれども、重大なことを実は作業を始めておるのであります。 御指摘のとおりに単に人員削減、人減らしをすることが行政の簡素化ではないと思っておる。それに先行して行政の事務そのものが合理化、簡素化される、したがって仕事の分量もずいぶん減ってくる。ただいまおっしゃったように許可、認可を受けるために行列をつくって、おれでも税金を払っておるのだという気持ちが起こるような、そういう複雑な行政そのものをほうっておくということが悪いのでありまして、そういうものを思い切って簡素化していく、合理化していくということが前提になると思うのです。その上でやはり定員のことにも関係してくるかもわかりませんが、やはり終局は国民の意思、住民の意思というものを尊重しなければなりませんので、そういう方向で地方団体のほうにお願いして、できるだけ今回の行政改革の意味というものをよく承知していただいてやっていただくように指導したいと考えておる次第でございます。
○大出委員 腹の底をぶちまけていえば、いまの論点からすれば、お互いにそう変わったことを言っていないわけであります。 いまちょっとお話があって、まだ時間がありそうだという話を聞きましたが、実は資料をたくさん持ってきましたが、二時までに本会議が始まるという前提で、話をはしょってまとめてまいりました。ここでまた店を広げ直してやり直してみても、これまた何時間やってみても、大臣自身が好まざるところに削減という風が吹いたり、お隣にいる木村さんのほうも、総理が言うので、行政管理庁長官ともなれば何としてもやらなければならぬということになることもまた人情無理からぬことだと思う。だからそういうことになったのだろうと思う。ただしかし、あまりたいした理屈はない、ほめられたことではないということだけは間違いないと思いますから、あまりこれ以上やってもしかたがありませんので、この辺で質問を終わりたいと思います。
○藤尾委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後二時九分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕