内閣委員会 第13号
- 発言数
- 191 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/04/16
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 先日、小笠原の返還協定が調印されまして、沖繩特別委員会等において小笠原の暫定措置法等の審議が始まるわけですが、この措置法をめぐり、また政府においては旧島民の意識調査をやっているように伺っております。そこで、おそらくは今国会で承認され、そして実際の返還が六月ごろになるのではないかというふうにいわれておりますが、その返還の見通しについて大臣からはっきり伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 御案内のとおりに、われわれのほうの返還に関しまする具体的な措置と申しまするものは、外交交渉が前提に相なりますので、外務省の関係が、協定が調印されましたらば直ちに暫定法の御審議をいただくようになるわけでございまして、その中におきましていろいろと島民の現在おります者あるいはまた帰還を希望いたしまする者、そういうふうな意識調査の結果に基づく具体的な応急措置をやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。暫定措置のほうの御審議は協定調印後にお願いをいたしまして、発効と同時に成立いたすように準備をいたしております。
○伊藤(惣)委員 返還協定は調印されたわけですよ。現在審議中なわけですね。ですからわれわれとしては、おそらく今国会中にこれが承認されて、批准後一カ月というのが協定の中にございますから、六月ごろだろうと、こうめどをつけているわけです。そのとおり間違いないかどうかということです。
○田中国務大臣 そのとおりでございます。
○伊藤(惣)委員 政府は一月の下旬に第一回調査団を派遣したわけでありますが、先日もその調査団の状況報告についてはいわゆる小笠原の調査団長である守谷さんから報告がございました。私はその報告を聞きまして、確かに実態はそうであるからこそ、次に第二次調査団もしくはそれにかわる技術専門家を派遣すべきではないか、このように主張してきたわけでありますけれども、聞くところによりますと、各個にそれぞれの専門家が行っておる、このように伺ったわけです。その状況について伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 ただいまお説のとおりに総合的な調査団を終わりまして、今度は各省おのおの専門、専門に従いまして調査をいたしておるわけでございます。なお、さらに詳細なことにつきましては担当官から御説明いたさせましょう。
○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。 いま長官からお話がありましたように、総合的な調査団が派遣されましてから、その後にわれわれがとっております措置といたしましては、三月三十日に気象関係の専門家、その他無線関係等、それから四月九日に水産関係の専門家三名、それから四月十三日に農業関係が四名、郵便関係二名、水道、医療、教育等八名その他計十八名、この中には東京都の方ももちろん入っております。十三日にはその十八名を派遣いたしました。今後、四月の二十二日にやはり気象関係、航路標識関係、空港関係、無線関係、水産、道路、港湾、教育関係等加えまして十七名、もちろん東京都の職員も入っております。その十七名を派遣する予定でございます。さらに、今後、必要に応じまして、専門的な調査をするために専門家を派遣する予定になっております。総合的な調査団というものを派遣するかどうかにつきましては、さしあたって返還まではその意図はございません。今後復興の問題にからめて、そういうことが必要になれば派遣する方向で考えてまいりたいと思います。
○伊藤(惣)委員 ただいま伺いましたが、この第二次調査団ともいうべき、各部門における専門家の派遣は、旧島民にとっては非常に注目していることであります。それが終わった後に政府は政策を打ち出すのだろうと思いますが、いつごろ完了する予定でやっているのか、そのめどを伺っておきたいと思います。
○加藤(泰)政府委員 ただいま派遣しております専門家の方々の報告に基づきまして、返還の実現直後にわれわれがやらなくてはならない措置をとるという方向でございます。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、先ほど大臣から、六月ごろ実質返還になると言われた。したがって、六月くらいまでには専門家の調査を終わりたい、こういう考え方でございますか。
○加藤(泰)政府委員 大体そのように考えております。
○伊藤(惣)委員 次に、本土に住む旧島民の意識調査について質問いたしたいと思います。 私も、小笠原に行ってまいりまして、父島さらに母島、硫黄島等と調査してまいりましたが、旧島民は、話には聞いておるけれども、ニュースでは見ておるけれども、はたして、どのような実態なのか、非常に不安がっております。さらに、最も大きなことは、政府がどのような措置を講じてくれるのかということであります。 そこで、意識調査についていろいろ批判の声が出ております。その一つは、ジャングルのようなあの島に帰って、私たちは現在ですら食うのにいっぱいだけれども、政府がどのような援助をしてくれるのか——たとえば、母島に住んでおった旧島民は、現在でも八丈島あたりで農業をやっているけれども、帰った場合の住宅の問題は政府はどうするんだろうとか、または農業開発については少なくも三年以上かかる、その間の生活の保障はどのように考えてくれるのだろうかとか、数えていけばたくさんございます。そういう点で伺いたいわけでありますけれども、旧島民の意識調査をするときに、ある程度政府としての施策というものを、こういう計画でいきたい、こういう構想でいきたいということを島民は聞きたがっているわけです。そのことについての政府の考え方を伺っておきたい。
○加藤(泰)政府委員 旧島民の意識調査をする段階におきましては、まだ具体的な施策はできていないわけでございまして、その意識調査の結果に基づきまして、どの程度の復興計画を立てたらいいのかということがきまると思います。そういう意味で意識調査を基礎にして今後の計画を立てていきたい、そういうふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 そこが少し問題になるところだと思うのですが、それでは、具体的に一つ一つ伺って、大臣から、また担当官から基本的な姿勢だけ伺っておきたいと思います。 たとえば、小笠原はほとんど農業あるいは漁業くらいしかない、こういわれておりますが、特に漁業関係者については、返還がきまってさらに帰島して後に漁業についていろいろやったのでは間に合わないというので、現在すでに漁業組合をつくり、現地の住民と打ち合わせて自発的にいろいろやっております。そしてまた、いろいろな要望を政府に要求しているわけです。その観点から考えてみますと、旧島民の、特に漁業関係者に対する施策といいますか、対策についてどの程度まで考えておりますか、伺いたいと思います。
○加藤(泰)政府委員 水産業関係者に対する施策につきましては、水産庁が現在検討しているはずでございます。われわれといたしましては、水産庁と協力してそれを具体的にやっていきたいと思っておりますが、さしあたって、われわれが今度の法律案の中で考えていかなければならぬと思っておりますのは、やはり、ここの資源を確保するといいますか、少なくも旧島民、それから現島民の方々に優先的にそういう漁業の資源を確保していく道を講じたいということで考えておりまして、その点につきましては、相当具体的にいろいろ検討しております。その資源を一応確保した上で、それではどういうふうに生産手段を講ずるかということになろうかと思うのでありますが、その点につきましては、水産庁で融資その他の道を考えてくれているはずであります。 その次に問題になりますのは、とった魚をどういうふうに運搬するかということになろうかと思います。その点につきましては、水産庁の職員が現在向こうへ行っておりまして、協同組合の設立等についてもいろいろ指導をいたしております。その協同組合の機能としては、冷蔵等のことも考えていけると思いますし、また、運搬につきましては、いろいろ今後問題がございますけれども、施策としては、できるだけ本土に運搬ができるように、これは東京都及び水産庁でいろいろ検討してくれているはずであります。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、水産庁と東京都、そして漁業関係者が、積極的に——航路の問題とか、協同加工場といいますか、冷凍工場とか、そういう一連の施設が漁業にとっては必要なわけでありますが、そういうことを一切政府のほうで強力にバックアップするということで政府は考えているわけでございますか。
○加藤(泰)政府委員 まだ具体的になっておりませんけれども、いま申し上げましたような点は、少なくも、小笠原の水産業の振興といいますか、復興といいますか、そういうところへ持っていかなければならないと考えておりまして、その実現のためにいろいろな方策を考えていきたい、そういうぐあいに考えております。
○伊藤(惣)委員 大臣に伺っておきたいのですが、やはりこの点が大事なことでございまして、帰ったはいいけれども、やはり生活ができずに戻ってきたということが考えられるわけです。戻ってくるようになってしまうのじゃないかという不安があるわけです。そこで、政府が、どのような具体的な応援といいますか、どこまで政府が手を打ってくれるのかということにみんな迷うことがあるわけです。したがって、いまの答弁では私はちょっと不満足なわけですが、水産庁が行って調べ、東京都が行って調べ、さらに漁業組合をつくったり、いろいろな施設をつくる。これはわかりますが、それに対して政府がどのくらい応援をなさるのか。たとえば、私が言いたいことは、現在離島振興法というのがあります。これは日本の離れ島に対する振興を考えてみますと、非常に予算措置が少ないわけです。そのような少ない予算で、たとえば漁業に対しての措置を講ずるならば、小笠原の県民は帰れないわけですよ。そういう離島振興に対する同等の援助を与てえいくのか、または、そうじゃない、あくまでも小笠原は、考えてみればそれは戦争の犠牲になった人たちなんですから、そういう補償も含めて援助していくのかということは、非常に大事な一つのポイントになると思うのです。その点の考え方を大臣に伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 おっしゃるとおり、たいへんその点が問題であると思うのです。それで、暫定法におきましては一応筋を立てますが、今後のそういうふうな小笠原に対しての業態別の特別保護の問題は、結局小笠原開発振興法といいますか、復興法といいますか、そういったものでなければほんとうの軌道は敷けないと思うのですけれども、しかしそれにしても、漁業関係の方々がお帰りになるときに、一応のいろいろな先行投資というものは、これがなかったら帰ろうにも帰れないということになるわけです。その先行投資の度合いいかんによってはまた帰る方がふえもするし減りもするというようなことでございまして、いまのお話の点は非常に重要な問題だと心得ております。たとえば、いま離島振興だとか、それに準じた特段の高率補助規定を立法するとかなんとかというふうなことになりますと、これはやはり復興法に譲っていかなければならぬものと思っておりますが、われわれとしましては、一応のめどを立てまして、暫定的な先行投資をこの暫定法では考えなくちゃならぬ、かように考えております。
○伊藤(惣)委員 はっきり御返事を聞けないわけですが、これは非常にむずかしい問題です。しかし、考えてみれば、できないならできない、できるならできると、こういう基本姿勢だけは伺っておきたいと思います。ということは、現在本土においてもゆうゆうとやっておる人もおります。それが、帰ったがためにまた五年、十年と苦労するなら、帰らないほうがいい、こういう方が非常に私たちの調査によれば多いわけです。したがって、政府の基本的態度、姿勢を非常に気にしているわけです。 それに関連しまして、今度は農業についてでありますが、農業の場合、漁業とはちょっと性格が違いまして、農業のほうは漁船だとかそういうもので最初お金はかからない。ただ、住む住宅の問題と、それから、三年ないし五年間ぐらいの、いわゆる農地を開墾していく期間があるわけです。その間の生活保障を政府としては考えているかいないか、その基本的な態度について、大臣から伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 現地に参りました担当官のほうがほんとうは詳しいと存じますけれども、考え方の問題でございますからお答えいたしますが、まず耕地の問題がございまして、この耕作権をいかにするかという問題が現在の島民と競合しておる面にはございましょうし、またそうでないジャングルになっておりまする地帯の開墾等につきましては、また別途な考え方がございます。それからもう一つは、農業関係の基盤でございますけれども、戦前におきまするような、いわゆる小笠原の非常に温暖な気候を利用しての季節的なトマトや何かの栽培というものは、これからの農業ではもうちょっと無理なんじゃないか。それからもう一つ、病虫害が非常に多いということから、内地に持ってくるという場合の検疫や何かの問題がありますし、それからそれに先行する天敵なんかの問題もいろいろございましょう。そういうことで、農業というものがしかく簡単にはなかなか再開できないのじゃないか。それから現地に相当な員数の人がふえますれば、現地需要というものも考えられますが、本土を中心とした市場生産ということになりますと、これはなかなかむずかしい、そういうふうなこと等もございまして、特にまた耕作権の権利関係等々もございまして、農業の問題は特に慎重に考えたい、かように考えております。
○伊藤(惣)委員 その点、基本的な姿勢なんですがね。私は予算の額を聞いているわけじゃなくて、たとえば農業開発については応援する、また生活の保障も、政府としてはその点保障する、これは予算の額という量的な問題はまた別でございます。そういう基本姿勢が私は知りたいわけなんです。たとえば幾らでも帰りたい者は全部受け入れる、こういう場合と、予算は少ないし、あの島は小さいのだから、こういう計画で、この程度しか受け入れない計画だ、この二つの見方があると思うのです。だから、政府としてはその場合、いわゆる基本的な態度、姿勢というものをどちらに置いて考えているのか、それを伺っておきたいと思います。
○加藤(泰)政府委員 農業の問題につきまして、いま長官がおっしゃった点を補足さしていただきますと、農林省では農地法の施行の一環といたしまして、入植、開墾のためのいろいろな措置がとられているわけでございます。そういうものを今度の小笠原の復興にからんでどういうふうに適用していくか、あるいはさらにそれ以上の補助をしていくかという問題は、復興法の段階で十分検討したいと思いますけれども、一面、いま申し上げましたように、農林省で所管している農地法の関係の入植関係の措置も一つの参考になるのじゃないかというふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 大臣は空から調査なさって、実際におりてないようですから、あまりわからないかもしれませんが、私はこの目で見てきたわけです。非常にたいへんなところなんですね。ですからこそ政府としては、いろいろな関係があってたいへんだから、予算はこれしか組めない、しかも島は、全部集めたって伊豆の大島よりもちょっと大きいくらいなんだから、あまり人は行けない、だから、基本的には、たとえば農業をする者については、開発するその二年なり三年なりは保障するという基本的な態度はある、さらに漁業についてはある程度政府としても応援してあげる、でもそれにはいろいろ条件と、しかもまた島の広さから見て制限するぞ、こういくのか、帰りたかったら全部帰ってもいい、そのかわり予算のほうはある程度だめだというのか、これは非常に大事な問題なんですよ。これをはっきりしてもらわないと、大臣、旧島民は現在、たとえばこういう人がいるのです。現在本土で漁業に従事しておる人もおりますし、建築屋さんをやっている人もおりますし、それから自分はこれから家を建てたい、または仕事をやっている、でも、返還がきまった、仕事をやめて帰りたいという気持と、しかも政府のほうでそれがあいまいなために、そのまま何となく事業が中途はんぱになっておる人も多くいるわけですよ。そういう点で、予算の額じゃなくて、いま参事官からお話がありましたように、確かにその後のことについては、復興法について詳しく帰島のプログラムをつくることはわかっております。その前の政府の基本姿勢が非常にあいまいだというわけですよ。たとえば小笠原の暫定措置法というのは、現在四十四世帯、二百十七人の住むあの欧米系原住民に対して、一つは日本に戻ったら、すぐに法律的に保護するような措置法ですよ。しかし、旧島民に対して返還——いま急に始まったことじゃない。去年の十一月の共同声明以来返還がきまって、いままで来たわけです。旧島民はいろんな夢や希望を持っているわけですよ。そして早く政府の調査団の結果を聞きたい、政府のいわゆる担当大臣の意見を聞きたい。この間、たまたまある新聞に自治省の復興計画が出ました。自治大臣に伺ったところが、あれは新聞社がかってに書いたんだ、全然いま白紙である。私はあれを見まして、まああのとおりだとたいへんだと思いますけれども、しかし島民が心配しているんだから、前向きでそういうプログラムなり、また復興計画なり、ある程度の基本姿勢というのを政府は示すべきじゃないか。いままでに何回も取り上げてまいりましたけれども、まだ大臣からも出ていないわけです。聞くところによると、総理府は総合調整するところなんです。だから、これは自治省がやるんだ、どこがやるんだというのでなくして、もし旧島民がそういうふうなことで迷っているのであれば、自治省に対して早く出しなさい、さらに旧島民に対しては、そんな条件ではだめだというような基本姿勢というものを大臣から伺っておきたい、こう思うわけです。
○田中国務大臣 まあ現在のところでは、ほんとうにジャングルになったたいへんなところでございまして、そこには原住民と現在住まっている人と帰島を希望する人とがある。そこで、いまの暫定的な措置にいたしましても、やはりおっしゃるように、あるべき一つの方向というものに従っての当面の暫定措置でなければならないので、単に暫定措置だからといって無計画にやることは一番慎まなければならぬと考えております。そこで私どもは、若干の時日のおくれはあるかもしれませんけれども、その辺をよく詳細に考えまして、そうしてあとあと乱脈にならないように、あとあときちんとした計画性を持った開発といいますか、復帰になるようにしていきたい。まあ拙速をたっとぶ場合もありますけれども、何でもいいから一々許して、かってに帰島をさせるといったようなことだと、あとあといろいろ問題が起こったり紛争が起こったりするでございましょうから、そういう権利関係なんかもよく調べまして、計画性を持った第一歩を踏み出したい、こういうふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 もう一つ伺っておきたいのですが、ほとんど島の八〇%近くは国有地であるというふうに言われておりますが、しかし島によっては、たとえば母島のすぐそばにある聟島なんというのは、非常に全島農耕地に向く土地なんですね。しかもそれが現在国有地になっております。非常に、農業に従事する人から見れば開放してもらいたい土地なんですね。その国有地の開放について、大臣どのように考えていらっしゃいますか。
○加藤(泰)政府委員 復興計画を立てる段階で十分検討していかなければならないと思いますが、自然条件といたしまして、あの島はちょっと水が不足しているような報告でございますので、はたして普通のいろいろの農業が適当かどうか、これはちょっといまの段階ではわかりかねます。まあ畜産あたりに使うならば、あるいはいいのかもしれませんけれども、そういう意味で、もし十分利用価値があるならば、復興計画の段階でそれを取り入れるように考えていきたいと思います。
○伊藤(惣)委員 昔は非常にいい場所は、旧島民が使っておったわけですよ、かってに。だから実際昔も使わしてもらったから今度も使わしてもらいたい。しかし、ただ借りるのもなんだから、国有地を開放してもらいたい、こういう旧島民の声もあるわけであります。確かに聟島は、前は牧場などに使われておったそうです。農耕地というよりも牧場に使われておったそうです。だからそういうような国有地を開放するのかしないのかということです。
○加藤(泰)政府委員 御承知のように、小笠原の復興を考えます場合に、小笠原の島は、いわゆる耕作に適するようなところが非常に少ないわけでございますので、耕作に適するような、あるいは放牧に適するような土地がございますれば、その点はできるだけ計画に入れて利用していくようにしたい。いままでこの島は、御報告によりますれば現実に放牧に利用されていたようでございますので、大体そういうことになるのではないかと思います。
○伊藤(惣)委員 じゃ硫黄島について伺っておきますが、いままでの硫黄島の開発計画ですと、防衛庁が使うということしか言われておりません。現在米空軍、沿岸警備隊、少し海軍がおりますけれども、そのあとをそっくり自衛隊が引き継ぐ。またあの島は、非常に不発弾も多いし、また万余の遺骨もあるし、あそこの島を開発するのに見通しがつかない。やるならば戦傷公園ぐらいを考えておる、このように言われておるわけです。現在のままいってしまいますと、自衛隊だけの島になってしまうわけです。何といっても、旧島民は、特に硫黄島から引き揚げてきた約千名の旧島民は、やはり硫黄島に帰りたい、こういう考え方を持っております。しかしよその島と違って、いまも言いましたように、不発弾がものすごくあるということです。日本人の遺骨もそのままになっておると言われておるわけです。これは早急に不発弾処理と遺骨の収集をしなければならないと思うのです。できるならば、現在技術専門の調査団が行っているわけですから、それと並行して、遺骨の収集もやるべきじゃないかと思うわけです。その点の大臣の見解をお伺いしたい。
○田中国務大臣 硫黄島には私も参りまして現地を見てまいりましたが、旧市街地なんかというのは完全なジャングルになっております。同時に、非常に不発弾が多いことは、ただいまお説のとおりでございまして、あそこをどういうふうに開発していくか。まあおいでになったと存じますが、摺鉢山から見ました硫黄島というのは、もし土壌の関係さえよければ、非常に農耕地に適したようなフラットなものでございますから、いいようにも思うのでございますが、しかしこの開発計画につきましては、十分にそういうふうなことも念頭に置きまして今後計画を立ててまいりたい、かように考えております。
○伊藤(惣)委員 遺骨の収集をまず第一にやるべきじゃないかと思います。そうして不発弾を処理して、その後にどうするかという問題が出てくると思うのですよ。その点の考えがあるかどうか伺っておきます。
○田中国務大臣 もちろん御遺骨の収集というものは一番先にやらなくちゃならないことだと思います。しかしながらこれとても、口では申しますけれども、たいへんなことだろうと実は考えられます。
○伊藤(惣)委員 そこで伺いたいのですが、硫黄島に住んでおった旧島民の一部には、もし硫黄島の開発がおくれるならば、一たん母島か父島に行きたい、こういう考え方も持っております。そういう点についてどのように考えておりますか。
○加藤(泰)政府委員 いま大臣のおっしゃいましたように、遺骨の収集それから不発弾の処理等には多少時間がかかると思いますので、もちろん硫黄島に人が住めるようになる時間というものがございます。それまでの時間がどうしてもございますので、やはりわれわれといたしましては、父島をまず開発の根拠地的に利用する必要があるのじゃないかというふうに考えております。したがって、父島にまず国として開発の第一歩を踏み出していく、それから母島、硫黄島ということになろうかと思います。そういうふうに計画的に進めていきたいと考えております。
○伊藤(惣)委員 父島、母島、硫黄島とだんだん開発していくということでありますが、現実は、むしろ私が見た目では、農業開発をする場合には母島にたとえばベースキャンプをやって開発したほうが早いと思いますよ。父島のほうはほんとうにジャングル化しておりますけれども、母島のほうはちょうど農耕地に向く評議平がある。あの辺は現在ですら砂糖キビだとかオレンジだとか、また段々畑になっており、非常に荒れてはおりますけれども、開発については父島よりは早く可能である、私はそういうふうに見てきております。その点について担当官から……。
○加藤(泰)政府委員 母島に確かに農耕適地が相当多いという調査報告もございます。ただ何といたしましても、人が住むためには食糧の運搬その他の問題がございます。ところが、現在使える港といたしましては父島の二見港だけでございますので、やはり第一歩といたしましては父島にまず根拠を置くべきであろうというふうに考えます。おっしゃるように、母島につきまして農耕地——特に農業を中心に考えますれば母島に相当早く開発の手を伸べなければならぬと思っておりますが、いま申し上げましたような意味で、食糧の確保等の問題がございます。そういうような点を考慮して、先ほどそのようなことを申し上げたのでございます。できるだけ早く母島についても開発を進めてまいりたいと考えております。
○伊藤(惣)委員 母島には北港がありますね。それから、いまもお話にありましたが、父島を拠点にしてまず父島を開発すると申しましたが、いずれにしても現在欧米系住民の住んでいる家を借りるわけじゃないわけです。ですから、やはりキャンプみたいなものをやるわけですね。であるならば、母島でやってもこれは同じわけです。三十トンくらいの船でしたら北港にもいまでもつけるわけですし、父島を大きな船の拠点としたならば、また三十トンなり四十トンなりの船でどんどん母島に行って開発を同時にしたほうがいいのではないかと私は思います。そのことを私は要望しておきます。 時間の関係上進みますが、現在総理府に小笠原準備室という名前で総合調整をやっているように聞いておりますが、総理府が総合調整するのはけっこうだけれども、何をするにしても各省がばらばらという形でなくて、仮称でいいから小笠原開発協議会または復興協議会、名称は何でもいいと思うのです。小笠原準備室というような、いつまでもそんな名前でなくて、そういうちゃんとした名前をもって、そして総合調整するならするでけっこうですから、積極的に各省に対して具体的な指示をするなり処置をとるなり、そういうふうな行き方を強力にしていただきたい、こう思うわけですが、大臣の御所見を伺いたい。
○田中国務大臣 名称が協議会になりましょうとも、対策本部になりましょうとも、また準備室になりましょうとも、その名称は別といたしまして、御趣旨の線でみなも非常に張り切って努力いたしておりますから、その点はどうぞ御安心いただきたいと思います。
○伊藤(惣)委員 次に問題になる点はいわゆる復興法のことでございます。 この次の国会には必ず出てまいると思いますが、その復興法の作成にあたっては自治省が担当になると思います。その基本的な考え方でございますが、一つは、先ほど言いましたように、離島振興法との関係、かね合いを見て組んでいくのか、また戦争の犠牲者だという観点からそれもあわせて考えていくのか、それによって予算規模がきまっていくと思います。その点についての基本的な考え方を伺っておきたい。
○田中国務大臣 離島振興のお話も出ましたけれども、むしろ復興法の場合は奄美大島の前例に従いました振興法的なものになると存じます。(伊藤(惣)委員「あれは低いんだ。」と呼ぶ)いまちょっとそれを尋ねたのでございますけれども、いまのいろんな補助率その他が高率補助がどう適用になるか、まだ私は詳細に知っておりませんが、何しろ小笠原の場合は奄美大島と比べてみますともっともっと条件が悪いですから、よほど助成その他のことも考えなければならぬと思います。
○伊藤(惣)委員 前に自治省がつくった小笠原復興計画は、調べていきますと、どうも奄美方式というものを参考にしているように思えたわけです。それは非常に低い、百五十億くらいですね。最初東京都知事は五百億、こう見積もったわけです。ところが自治省と思われるあの復興計画は百五十億で、しかもそれが五年ないし十年間という長期にわたる予算措置である、こういうふうにいわれておるわけです。しかも帰る人間を約二千人に限定してやるのですから、こんな、予算が非常に少なく長期的なプランには、旧島民はものすごく反対するわけです。ですから、できるならばいわゆる戦争犠牲者というものを離島振興法にプラスして、しかも長期ではなくて短期に、少なくとも三年くらいのうちには旧島民全員が帰島できるような処置、そして私は五百億としても決して高くはないと思うのです。美濃部さんのおっしゃるそういう額を政府が考えているかどうか、その点を伺っておきたい。
○田中国務大臣 奄美方式なるものが御不満のようでございますけれども、一応あるべき考え方としましてはそういうふうなことになるのではないかと思うのでございます。ただ、その中に盛り込まれます一件一件の助成の補助率や何かというものは、これまたそのときになって考えられると思うのであります。 それから、どのくらいの経費が一体妥当なんであろうかということになりますと、これは多いに越したことはない。また先行投資としても、十分な港湾ができ道路ができ、あるいはまた中間的な畑作についての仮開墾くらいまで国のほうの責任でやっておくならば、これまた帰島する方も量的にも非常に伸びるだろうと思いますが、その先行投資の度合いによっては、とてもまだ帰れないというようなことにもなるわけでございます。非常にむずかしいところでございますが、と同時に、また小笠原というものの投資効果、国全体の視野から見た場合のいわゆる経済効果、国民的な一つの視野から見た判断というものはまたおのずから出てくるわけでございましょう。この復興法の問題は、まだいま考えております暫定法すらいろいろな問題が非常にふくそうして、どれを暫定法にどういうふうに盛り込むかということが問題のときでございますから、暫定法で一応目安をつけまして、さらに復興法はゆっくりと考えて、真剣に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに考えます。
○伊藤(惣)委員 旧島民が最も心配している、また望んでいることは、小笠原復興法によって明らかにされることであります。これはもうだいぶおそくなりそうですか、どうか計画だけは早く出していただきたい。さらにどうも奄美方式を踏襲するように考えられますけれども、それは政府の施策としてやむを得ないかもしれない。しかし、確かに戦争の犠牲者で、政府の命令によって引き揚げ、さらに政府のいろいろな命令によってかってにあっちへ行けこっちへ行けと言われてきて、非常に長い間苦しんできたのが小笠原島民である、このように言われておるわけです。したがって、どうか政府はそういう意味も含めて積極的にまた復興計画についても早く、また予算措置についても旧島民が納得できるような予算措置を講じてもらいたいと思うのです。大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 御希望はよくわかっておりますので、全く同感に思います。
○伊藤(惣)委員 以上で終わりますが、どうか自治省、関係各省に対してもそのことを促進していただきたいと要望して終わります。
○受田委員 関連して。いま伊藤さんの提案された小笠原関係のうち一つだけ、先日やろうと思ってやめた問題がありますので、一問だけお尋ねをいたします。 小笠原返還に伴う大事な国民の関心事は、観光開発あるいは水産業、いろいろと小笠原自体に対する期待があるわけでございます。ところが、それに関連して小笠原をいち早く開発するためには、少なくとも航空機の発達した現在、小笠原一帯に飛行場が整備されなければならないという問題があります。これは運輸省、防衛庁、両担当国務大臣の御所管ではありましても、総務長官としてその調整の責任者であられますので、小笠全体の問題として空港の認識をどの程度総務長官はお持ちになっているか。硫黄島の飛行場はかつて米軍がわがとうとい英霊の尊体をあるいはその飛行場の地下に埋没したまで飛行場を敷設したといううわさも飛んでいる。たくさの方々が、あの島を死守したとうとい英霊が眠っておられる、その遺体の上に路面が敷かれておるといううわさまで流れているわけです。路面を発掘すると下から遺体、遺骨が掘り出されるのではないかというほど、小さな島で、ばく大な犠牲者が出たわけです。その意味からも、この硫黄島の飛行場はわれわれにとっては涙とともに敷かれた、わが国から見た場合に悲劇の飛行場である。その飛行場をそのままに米軍から防衛庁が引き受けるという連絡を総務長官は受けておられるのかどうか。同時に民間飛行の発達した今日、父島、母島等に飛行場を敷くほどの余地が豊かにあるとは私は思いません。したがって、やはり硫黄島の飛行場はそこを改良して、軍と自衛隊と同時に民間飛行機が自由に発着できるような規模にこれを整備しなければならぬと私は思っておるのでございます。現に、軍と民間航空とあわせ用いている飛行場には板付の飛行場のような例もあるわけでありまして、あそこで狭い土地を最高に生かすために、しかも航空機の発達が小笠原の開発に基本的なよい影響を与えるという意味から言うたならば、飛行場をどういうふうに用意されようとしておるか、自衛隊とさらに民間航空との調整を総務長官としてこれはおやりにならなければならないと思っておるのです。なわ張り争いをする運輸省と防衛庁との対立抗争をさけて田中総務長官の円満な人柄で、小笠原返還に伴う最も主要な任務を持っておられる田中国務大臣からこの空港問題を御答弁願いたいと思います。
○田中国務大臣 私どものほうにおきましては、ただいまお話しのございましたように、小笠原を持ちます以上は、その連絡は何と申しましても航空機でございます。さような関係から、たとえ自衛隊が使用するようになりましても、民間航空と共同使用という方針で話を進めております。
○受田委員 はっきりした方針をお持ちのようでございまするから私は懸念いたしませんけれども、軍と民間との共同使用の場合にはいろいろと秘密保持とかやっかいな問題も起こってくる、しかし、小笠原に関する限りは、そこを自衛隊のほうもはっきり割り切って、久しく恵まれざる地域でふるさとをしのびながら苦労された人々、及び小笠原を拠点にして祖国の発展に貢献しようという熱意を持った皆さんに報いるためには、自衛隊の従来の制約などは思い切って押しのけて、民間の航空機の発着が自由にできるように、またそれを置かれる場所も、硫黄島が場所としてはいま既設の飛行場もあるので非常にいいと思いますが、父島、母島その他にも小飛行場、ヘリ等を幾つも置けるようなところをあわせて考えておられるのかどうか、これも御答弁を願って私の質問を終わりたいと思います。
○加藤(泰)政府委員 父島、母島に飛行場をつくるのに適する土地があるかどうかという点は検討中でございますが、昔、父島に軍の飛行場がありまして現在は八百メートル程度の状態でございます。この飛行場あとがその程度でございますので、これをいまの飛行機の発着というにはちょっと無理ではないかという気がいたします。そういうようなことから飛行場がつくれるかどうか、非常にむずかしい問題があるように考えるわけです。水上機は二見湾に十分着水できますので、方法といたしましては水上機の活用というようなことも考えられるのではないかというふうに考えております。
○受田委員 質問を終わります。
○三池委員長 大出俊君。
○大出委員 経済企画庁の岩尾さんお見えになっておられますね。人事院の総裁まだお見えになりませんが、やがてこちらにおいでになる予定になっておりますが、実はいまの時期をはずしますと参議院選挙になってしまいますからね。そうすると、選挙後国会を開くといったってすぐ開けるわけでもないので、そうなると、八月に人事院勧告が出てしまうことになるわけであります。となりますと、どうも所管の内閣委員会が忙しい委員会でございますから、そんなことをのんびりやっていると、一局削減なんというのはまさに廃案になってしまいます。したがって、この際総理府というところでものを言う以外にないわけでございます。佐藤人事院総裁の御了解も得ておりますので、総務長官のほうもひとつ御了解をいただいてお答えを賜りたい、こう思うわけであります。 そこで、どうも気になりますのは、宮津さんの宮澤構想なるものが出されまして、これは本会議にも宮澤さんは何べんか答弁をしておりますし、この席でも前に私が何べんか質問したことがあるのでありますが、それが政府の財政政策一般にからんでいるわけであります。したがって、単なる構想だと、こういうことにはなっておりますけれども、私は現在生きているという感じがいたします。そこで経済企画庁の側で、宮澤構想というのは具体的にどういう点に生かされているか、あるいは生かされようとしているかというふうな点、そういった角度から、現在宮津構想というのはどうなっているのかということを大ざっぱでけっこうですけれども、お答えをいただきたいと思います。
○岩尾政府委員 昨年の秋に提言されました宮澤構想、これはあくまでも宮澤長官の私的な見解でございまして、実際上役所がそういう提言を政府内でしたということではございません。そこでいま御質問にございましたように、実際上の政府の施策、特に四十三年度予算編成に際しましてどういうふうに提言がいれられておるだろうかというお話でございますが、これは非常に主観になるかもわかりませんが、私らといたしましては宮澤構想というのは柱が二つあると思っておるのでございます。 一つは、予算の硬直化その他いろいろなことがいわれておりますので、そういった硬直化を是正するためにある程度、従来の制度、慣行等によりまして毎年年中行事的に、たとえば米価あるいは公務員給与というふうに補正予算が組まれておるというのを一度断ち切る必要があるのではないか。断ち切った間にそういった制度、慣行について根本的な検討をやっていただいて、四十四年度からは新しい方向で進めるようにすべきではないか、これが第一点でございます。それから第二点は、現在の財政の体質からいいまして、ちょうど四十年の不況の際に、公債と減税という二つの方策によりましてあの不況を乗り切ったわけでございますけれども、現在ではやはり減税と公債というのが大きな財政上の負担になっております。そこで、本来の財政体質というものを改善するためには公債の発行をできるだけ減らしたい。減らすためには何か手段がないだろうか。これにはやはり財政支出というものが、国民の税金は正しく使われておるという概念で理解できるような効率的な歳出を行なう必要があるのではないだろうか。そこでこれは例示でございますけれども、いろいろなことを申し上げて、かりにこういうことをやったらもう少し効率的な財政支出ができるのじゃないだろうか、そういうことによって出てきた財源というもので公債を減らして財政の体質を正す、こういう二点が実は構想の柱であったわけでございます。 そこで、第一につきましては、これは予算のほうでは総合予算主義ということで、予算編成の際にあらゆる経費について年間どれくらい必要であるかということをあらかじめ見当をつけて、そうして互いに編成する際に、公務員給与にこれくらい金を入れることはいいのであるかどうか、あるいは公共投資にこれだけ金を投ずるのがいいかというような比較検討が十分できるようにしたい。そういう意味で、従来は補正があれば補正予算で出すということを前提に、当初予算ではあまり組まなくてもいいというような慣行であったわけですけれども、それを当初予算編成の際に、あらゆる経費の必要度というものを並べて検討できるようにいたしたい。ということは、四十三年においては、従来経常的に行なわれていたような補正予算はもうやらないというつもりで——天変地異があれば別でございますけれども、つくる。これが総合予算主義ということでございます。そういう意味合いで今度の予算ができておるということは、宮澤構想にありますように、その間に制度、慣行等についての根本的な検討がなされるならば、私らは宮澤構想の提言の趣旨が総合予算主義の中に十分盛り込まれておるのではないかというふうに理解をいたしておるわけでございます。 それから第二点につきましては、御承知のように七千四百億円の公債発行が六千四百億円ということで約千億円近く、減っております。なお、体質等につきましてもできるだけ効率的な予算を編成するということで検討はされておりますので、この点も現在の予算には十分反映をされておるのではないか、われわれはかように考えております。
○大出委員 ありがとうございました。 いま岩尾さんがおっしゃるとおりなんですね。いままでしきりに、宮澤構想というものがいまお話にあったように宮澤さん個人の構想だ、こういうことなんですが、佐藤さん御執心の宮津さんですから、個人だとは言いながらも、そうそう簡単に個人の構想を発表したのではない。一体いま御答弁にありましたように、宮澤構想の持つ二つの柱、これは佐藤総裁、お見えになっておりませんでしたから繰り返すようでございますが、この宮澤さんの構想の二つの柱の一つが、予算の硬直化の是正という意味に流れていますね。これは国会でも本会議で答弁をされております。これが米価の問題あるいは補正の断ち切り、来年度はあらためて手直しをやる、こういうことになっている。それからもう一つ、二番目の柱は、三十九年からの不況にあたって減税と公債という形で何とかこれを切り抜けようというので、ある意味では財政主導型ということにもなりましたが、やってきている。だから、この公債をどうしても減らさなければ正常な収支というところにつながっていかない。ここに一つ問題がある。その意味では財政収支の効率化ということですね。これは初めから宮澤さんの構想で持っておりますけれども、その柱になっております。したがって、これが予算上生かされて総合予算主義が今回とられた。だから年間予算をあらかじめ見当をつけて、当初の編成にあたって、まさにそれこそいまお話しの天変地異でもなければ補正ばしないんだぞということで全部並べてきめていってしまう。現に、今回この方式をとっているわけですね。それから御説のとおり七千四百億円の公債も千億円減らしているということですね。つまり個人構想だとはいわれていたのだけれども、実際には政府の方針になっている。この点は指摘をしたいわけであります。 そうなると次に問題になりますのは——私は衆議院、参議院の予算委員会を通じての財政、予算に関する討論を相当気をつけて読んでまいりました。人事院総裁おいでになりますが、給与という問題をめぐりましても実は気をつけて見てきたわけであります。どうも、質問をする側と答弁をする側とのすれ違いがあるわけであります。ということは、宮津構想というものが政府構想になって定着をした形になっておって、その具体的な形というのが総合予算主役になってあらわれている。公債の減額になっている。という前提で政府の側はものをいう。ところが質問する側はそうでなくものをいう。かみ合わない。すれ違う。こういうことなんですね。たとえば、補正はするのかしないのかというと、やらないとは言い切れませんという答弁をする。しかし、水田さんの、そのやらないとは言い切れませんなるものは、天変地異、驚天動地のことでもなければやらないんだということでなければならぬのですね、この趣旨からいうと。ところが、受け取る側はやはり補正するだろう、こうなる。そうすると、これは先行き政策問題として大きな食い違いを生ずることになる。実は私はそこを非常に心配をするので岩尾さんにきょうお出かけいただいてそこを詰めたいと思ったわけです。そうしないと人事院に質問ができない、総務長官に質問ができない、こういう筋合いになると私は思っているわけです。 そこで具体的に申し上げますと、この宮澤さんの構想なるもので当時宮澤さんがあげておりますのは、まず米価の問題、公共料金の問題、それから国債の問題、いまは公債といわれておりますが、それから公務員賃金の問題、これは明確に入っておるわけです。それから地方財政の問題、これがつまり具体的に申し上げれば、言うならば財政政策の今日の政府の泣きどころでもあるわけですが、ここを宮澤さんという人は突いておるわけであります。そこで、それがさらに具体的にどうなるかといえば、減税の見送り、それから公務員賃金のくぎづけ——くぎづけということばはいいか悪いかは別ですよ、くぎづけ、それから米価のくぎづけをやって、食管の廃止とまではいかないまでも、そういうふうなところに流れそうなものの考え方をしておられる。それからもう一つは社会保障の現状据え置き、といったらこれも言い過ぎかもしれませんけれども、それに近い構想、こういうかっこうでつまり表に出てきたわけであります。したがって、政府の政策になっているという今日の事情からすれば、公務員賃金というものについてもまさに補正なし予算の中に予備費という形で見込んでいるんですけれども、つまり財政政策的に公務員賃金を予算に組んだということですね。そうすると、これはにわかにこれが変わってきたのでは政府の側にとっては困るんですね、官澤構想は生きないんだから。そういう性格のものだというとらえ方をしておきませんと、これは議論がかみ合わないのですね。人事院勧告が出て、幅があったらその幅だけは何とかするんだろうというようなことになっておると、そういう意図で組んだんじゃないのですから、と私は考えているのですが、岩尾さんその辺のところはどうですか。
○岩尾政府委員 先ほど申しましたように、宮澤構想はお読みになりましたならば一つ一つの文章というものは私見でございます。先ほど申し上げたように、いまの政府の予算編成、予算の内容を見ると、そこに生かされておるというだけでございます。したがって、いま大出委員のおっしゃいましたようないろいろな見方はあると思いますけれども、政府の政策としてどういうふうに取り上げられておるかという側面から同時に判断するというふうにごらんをいただきたいと思うわけでございます。
○大出委員 そこを岩尾さん、ごまかすということばは使いたくないけれども、ぼかすと議論がかみ合わぬと私は言っているのですよ。つまり宮澤構想というものは、私見だったけれども総合予算主義にあらわれる、あるいは公債減額にあらわれる、こういうあらわれ方をしている。特に総合予算主義にあらわれているということは、この中身は一体何かといえば公務員賃金というものも一つの政策的な幅あるいは財政政策的なワクというものを越えてもらいたくないのですね。だから財界その他も好感を持って迎えているんでしょう。だから、そのことはそのことではやり率直に言っていただかぬと、一つ一つとらえればそれは私見でございまして、ここにあらわれているのは私見でございましてという、こういう言い方をするのはいかぬですね。やはり率直に政府の考えはこうだというふうに言ってもらわないと、そこを詰めていくと、いや、そういう見方をおやりになりますけれども、これは私見でございましてと逃げてしまうと、少なくとも政府はいま予備費なら予備費に千二百億なりを災害含みの経費があるのかないのか知りませんけれども、予備費を組んでおる。自治省の方もお見えになっていらっしゃるのだけれども、財政計画の中では一般行政費の中で何がしかを組んでおる。これも総合予算主義に合わせて組んでおるわけですね。そうでしょう。そうすると、そのワクを越えてもらいたくはない、こういう考え方がなければ総合予算主義は成り立たない、そうでしょう。そこのところをはっきりしておいてほしいのですよ。
○岩尾政府委員 わかりました。私は別に逃げているわけではないのでして、たとえば宮澤構想の中でたばこの値上げはやらぬと書いてありますけれども、これは今度たばこを上げることになった。そういうような意味で、いまの政府の政策が宮澤構想のそのものの反映ではないということを申し上げておるわけなんで、精神は私は採用していただいておると思いますが、それ自体ではない。そこでいま先生もおっしゃいましたような意味で、現在の政府の方針あるいは予算編成のかまえというものがどういうものであるかということを言います場合には、先ほど来申し上げましたような意味で、政府の施策についての意味で御答弁を申し上げた、こういう趣旨でございます。 そこで、いま申されました大きな、四つぐらいありましたわけでございますけれども、宮澤構想の精神という意味からいいますと、先ほど申し上げましたように、それをくぎづけてしまおうということを強く書いておるものもございますけれども、気持ちは、できるだけ現状のままで、その間にいろんな根本的な改正をやらないとなかなか追いつかないという意味で根本的な検討をやってもらいたい、そういう意味では、ちょうど米価につきましては米審がございますし、それから地方制度につきましては、ちょうどことしの八月ごろには地方制度につきまして地方行政の国と地方との業務の分担の方向というものの答申が出るはずでございます。また公務員につきましても現在非常に各界で検討されておるときでございます。また昨年、一昨年、現在のような人事院の勧告のあり方でいいだろうかどうかというようなことでいろいろ議論がございますが、そういう意味でできるだけ国民各層の間に根本的な解決の方法を考えてもらう、その間少し凍結をしてといいますか、スタンドスティルと申しますか、立ちどまっていただく必要があるのじゃないかというのが趣旨でございます。そういう意味では現在の政府のかまえもできるだけ現状を守っていく、しかし、たとえば公務員賃金につきましても人事院の勧告があればこれはできるだけ尊重いたしますというたてまえをとっておるのであって、決してくぎづけするとかなんとかいう意味ではございません。
○大出委員 スタンドスティルといまおっしゃったわけですが、ちょっと立っておってくれというわけですね。そこに立ちどまって待ってくれというわけですね。いつまで待つんだ。スタンドスティルなることばば、これまた予算が組まれたわけですから、人事院のほうは四月調査をおやりになるのならば聞きますけれども、スタンドスティル、そこで立ちどまってくれといういまのことばは人事院にもひっかかる、あなたのほうは世の中に言っておるのですから。そうするとあなたのほうから見ると、その気持ちというものは総合予算主義に流れていくわけですね。その考え方というものは御採用いただいたというお話がございましたが、政府が採用したわけですから、宮澤経済企画庁長官の私見である宮澤構想を総合予算主義という形で取り上げて予算を組んだのだから、この底に流れておるものはそこに立ちどまってくださいよという気持ちがある、こう見なければならない。そうなると、いつまで立ちどまらせるのかわからぬけれども、政府が総合予算主義でそれをいうとすれば、そのこと自体か人事院に対する——総裁は、そんなことを言っても私は勧告すると言うと思うけれども、また言ってくれなければ後世の歴史家がろくなことは言わないと思うが、おそらくそれはやることはやるんだと言うと思うけれども、客観的に第三者が見れば、待ったをかけておるのではないか、立ちどまっていてくれということをどういうふうに回っていって人事院にいくのかわかりませんが、人事院にもいっておる、あるいは総務長官にもいっておるということになる、政府の予算ですからね。そこのところをはっきりしておきたかったわけです。たばこの値上げはしないと言ったが値上げをした。そうですよ。私が言った公共料金でも、公共料金は据え置くと宮澤さんは言ったが、やたらに上がってしまった。そういうできないこともあります。ありますが、できておるものもある。米価の問題でも、これは予備費の中に入っておるのか入ってないのか予算審議の中にいろいろなものになっておるけれども、生産者米価と消費者米価と合わせて上げるということになれば食管会計の差額、赤字増大ということがないのだから、そういう構想に立つとすれば予算というものは当然要らない。だからそこらのところをしさいにずっと見ていくと、一番底を宮澤さんの構想が流れてきたということに間違いない。ここのところの考え方をはっきりさせておかないとうまくないと私は思っておる。 そこで、もう一つこのあたりで聞いておきたいのは、インカムポリシーではない、所得政策ではないという、検討するまで待ってくれと言っているだけなんだ。宮澤さんは私が質問したときにはそう答えている。だがしかし、一つ間違うと、予算の予備費の中でこれこれありますよと言ったら、それはある意味ではガイディングポストというんですか、ガイドポストと言っておる。これは信越化学の小坂徳三郎さんあたりでも、ことしの春闘に当たって勇敢にそのくらいのことは政府も財界もある意味ではガイドポストみたいなものをずばっと出すべきであると言っておるのですよ。要求されて四の五の言う前に、ことしは経済の諸般の情勢あるいは国の予算の情勢等をながめてみたらこのくらいなんですよということを言うべきである。宮澤さんにもその頭はあった。同じ思想ですよ、その限りは。だから、そこで問題は、いま予算に組まれている予備費、予備費の中に含まれている給与予算というものは、一体その意味では、宮澤さんの構想からいってこのくらいのところにしておいてほしいという予算の組み方ではなかったのかと思うのですよ。そこのところはどうですか。
○岩尾政府委員 先ほどスタンドスティルと申し上げたわけですけれども、これはたとえば公務員給与自体をスタンドスティルということではなくて、一番最初に申し上げましたように、現在非常に惰性的に流れておる制度、慣行というものがそのまま惰性に流れるのを立ちどまってもらうという意味で、従来と同じように毎年、年中行事的な補正予算を組むということはやめようじゃないかという趣旨で、スタンドスティルということを申し上げたわけです。 それから、いま申されました予備費でございますが、これは政府といたしましては、大きくは先ほど申し上げましたように当初において総合予算主義をとって補正はしないというかまえをとるとともに、人事院勧告は尊重しますということも一つの大きな柱でございます。この二つの柱でことしの財政運営なり公務員給与の決定なりをやっていきたいというつもりでございますので、したがって、予備費の中で人事院がどれくらいの勧告をされるのかもわかりませんし、幾ら組んであるということもございませんし、全体として国の財政執行の予備費として千二百億を組んでおるということでございます。
○大出委員 ここで、大蔵省の津吉さんがお見えになっておりますから、ちょっと議論がかみ合わないので伺っておきたいのですが、この総予算制といいますか、総合予算主義といいますか、いまの岩尾さんのことばで言えば総合予算主義なんですが、総予算制なんて言っている人もいますね。この中身、特に予備費の中における人件費の面ですね、これらのはじき方は、まあ単価がいずれにしてもあるんでしょうね。人件費の単価ですね、それと人員、これをかけて人件費が出てくるんだろうと思うのですね。そういう解釈でいいですか、津吉さん。
○津吉説明員 お答えいたします。 もちろん人件費の単価がございまして、それに定員をかけるという計算になるわけでございます。
○大出委員 ということになりますと、これはつまりだいぶ立体的になっておるんですね。片方では定年制なんて問題がおもてに出てくる。これは地方公務員の場合ですよ。国家公務員の場合はやりたくてもいまはできないんです。なぜできないかというと、各省ごとに違うからですよ。肩をたたいてもうおやめになりませんかということでやってきて不文律になっている年齢が、みんな各省ごとに違う。まずそこらあたりから片をつけていかないと、へたに六十歳なんて言った日には、まだあるのか、もう少しつとめていようということになってしまいますからね。特に学校の先生なんか、女の先生なんかそうですね。だから、県知事さんはあまり一生懸命にならない。なぜかというと、女の先生の方々は、大体五十くらいで片っ端からやめていく。六大都市の場合は、公務員法ができて施行された二十六年以前はみんな定年制条例という条例があった。私が官公労事務局長をやっておるころ地方公務員法ができた。地方公務員法によれば法律に規定されていなければ公務員はやめさせられないことになっている。では一体、条例でやめさせるのは地方公務員法違反かどうかということになったら、とうとう自治省は定年制条例などという条例でやめさせるなんていうことは地方公務員法違反でございますということを言って、文書で通達を流した。だから横浜市だってそうですか、方々の六大都市は定年制条例の取りくずしをやったわけですね。そうすると、そこにおる方々ば、頭を押えられたものがなくなったということになるとだんだん長くつとめる人が出てくる。おれたちの権利だということになる。ところが県というのはもともとそういう条例がなかった。ないから長年の慣行どおりに確立をされてこう出てきているから、女の先生なんというのは五十歳くらいになるとおやめになる。それが五十七歳だの八歳だのと言った日には、そこまでつとめましょうということになったらたいへんだというので、県知事さんのほうはさっぱり動かない、そういうことですね。つまりそういう事情はあるけれども、ことでねらいとするのは何かというと、やっぱり単価が高くなるからなるべく新陳代謝を求める、こういうかっこうで総体的に単価を下げていこうという考え方ですね。それは岩尾さん、至るところに出てきているんですよ。そういう中で、なるべく人件費というものはそういうかっこうでしぼっていこう。今度の定員法だってそうです。五十万六千何がしですよ、押えておいて、あとは政令できめてばんばん削っていこう、三年間で五%云々といっていますが、そうするとそれは総体的に人件費総ワクがだんだん縮小してくる。余ったものは、じゃふやせ、そこからふやせということになるとすれば、そこに総合予算主義の意義があるわけですね、問題は。そういう解釈、そういう動き方をいましているわけですね。こういうふうにしなければならぬとぼくは思うのですね。そこらのところはどうですか、津吉さん。
○津吉説明員 いろいろ先生おっしゃいますような問題があり、処理すべき状態に来ておるということは明らかでございますが、予算的に、いまおっしゃいましたように新陳代謝をはかりまして一定の人件費ワク内にどうでもはめ込もうというような観念が先行いたしまして人件費の計算がやられておるというわけではございません。
○大出委員 わけではございませんがそういう考え方が流れているということなんですね。これはさっきも、宮澤さんの宮澤構想というものはあくまで私案でございます。この総合予算主義に取り入れていただいておりますという形になる。それはそれでそこまで申し上げておけばいいのですけれども。 ちょっとそこで、この宮澤さんの構想とあわせまして、フランスのモネ・プランをまねたような、あれは日本語に訳すと何となりますか、経済社会開発発展計画ですか、そういうことに訳しますけれども、あの趣旨の発展計画、四十二年からですね、たしか私の記憶では、四十二年は違いますけれども、四十三年から四年間というものは同率の成長率を見込んでいるのじゃないかと思いますが、どのくらいになっていますか。
○岩尾政府委員 経済社会発展計画の経済成長率でございますけれども、全体を通じまして実質八・二という一応の基礎でやっておりますが、前半高く後半低くというかまえで大体やっております。
○大出委員 特に本年はどのくらいに見込んでおりますか、現時点で。
○岩尾政府委員 これは経済社会発展計画は、五年間の目標を定めただけでございまして、大体こういうような運営の方針で、いま言った目標に向かって経済の発展、あるいは開発、安定というようなことに努力しようという計画でございますが、四十三年がどうかということはきめていないわけでございます。ただ、政府の経済見通し、予算編成の際にその基礎となります経済見通しにおきましては、実質成長率七・六%ということにしております。
○大出委員 そこで先ほど岩尾さんのお話でスタンドスティルのあとのほうは、つまりいろいろな旧来の制度をそのまま踏襲していたのでは、いささかどうもこれは考えものである。人事院なんというものも毎年毎年やれ七%だの七・九だの勧告をやっている。そのたびに大さわぎが起こっている。制度的にもこれは考えねばいかぬ。さすがにその勧告の高い低いということは、人事院の所管ですからおっしゃらぬけれども、そうでしょう。ところでそのいろいろ検討している中に、昨年もおっしゃいましたが、高橋衛さんの高橋試案であるとかあるいは奥野さんの奥野試案であるとか、いろいろなものが一ぱい出てきたわけですが、先般これも委員会で一ぺん取り上げたことがあるのですけれども、ここに算式があるのですね。十年間の平均上昇率、これはベースアップと定期昇給の過去十カ年間の平均上昇率かける十カ年の平均成長率を分母といたしまして予定経済成長率、これは予定経済計画と書いてありますが成長率でいいのです、これをかけるという算式ですね。これを計算しますと、給与局長きょうお見えになりませんが、前に私ここで詰めてみた。計算しますと、大体過去ほどの高度の成長をいまから考えていない、だから分子が小さくなり分母が大きくなる。この算式でいく限りは公務員の賃金の出てくるパーセンテージは下がるのです。それを四十三年度ということで考えて計算をすると、答えが九・三前後になる。九・三前後になりますと、これを昇給原資その他を差し引き計算しますとおおむね五という数字になる。当時補正なし予算で組んでいる公務員給与の予算というのは予備費に入れるのは大体五%が目安であるということになっておった。いみじくも高橋さんの試案に基づきますと、この計算というのが五%になる。だから、これはある意味では公務員の長期安定賃金みたいなものです。考え方としては。奥野さんのもございますけれども、財政、労調その他のほうからいろいろ見てきておるわけですけれども、これでいくと、何をねらっているかというと、人事院の勧告権というものが一つここにある、これはまことに迷惑だというわけです。だから予算を組んだら、政府が先に公務員給与を改定してしまえというわけです。そうすれば、五%の限度と書いてある、これはしろうとの言うことですけれども、書いてあるから、人事院は勧告しないだろう。つまりそこまでいろいろ考えてしまうと、これも試案でしょう、試案でしょうけれども、これは宮澤構想から引き続きそこまで考えてしまうと、まさにスタンドスティルどころじゃない、長期にくぎづけをしようという考え方につながっていくわけです。その第一年度は本年度だということになるとすると、これは公務員諸君にとっては、——皆さんでもいい、公務員ですからね。ここにお見えになっている方も人事院が勧告すれば給与が上がるほうなんで、津吉さんだって自分で上のせか押え込みか、はじいているのだと思う。上のせだとすれば——私のほうも上のせだと思っているのだけれども、そこのところはどうもこういうことになるとすると、ちょっとぼくらのほうもこれは警戒を要するわいということにならざるを得ないのですけれども、そこで私は実はそのことを前段にはっきりさせておきたい。この高橋私案なんというものは歓迎すべきものとお考えですか岩尾さん。
○岩尾政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれが従来の慣行、惰性をやめていただきたいという意味では、宮澤構想の中にあるいは今回の総合予算主義におきましてもどういうことを意図しておるかと申しますと、年度途中で補正が出るようなことはやめてほしいということでございます。これはもっと基本的に申し上げますと、勧告の時期をもう少し考えていただけないだろうか、最初から予算に盛り込めるような勧告の時期なりやり方、そういうものを考えていただきたい。したがって実際上の公務員の賃金が幾らであるべきか、あるいはどうすべきかということについては、実は総合予算主義もあるいは宮澤構想も何も言っていないわけでございまして、党内にいろいろと御議論があることも私ども存じておりますけれども、長官からお答えになったと思いますが、われわれといたしましては、現在所得政策というのは外国でもやっておりますけれども、これはやはり利潤、利子あるいは労働の分配その他全般的な問題をそろえていかないとできないことで、給与だけをねらって所得政策をやるということは不可能で、全体の利潤なり利子なり資本の配当というものはどうあるべきかということを考えないとできないことですから、そういうことを意図して私どもは総合予算を考えておるわけではございません。
○大出委員 私は、それは否定されてもいいのですがね。人事院の勧告が幾らであるとか、あるいは公務員賃金が幾らであるべきだなんということを経済企画庁でもあるいは総理府でもどこでも言えないですよ。公務員法違反になってしまう。これは人事院に権限があるのですから、それを百家争鳴にしてはまずいですから、これはお言いにならぬ。だからそこのところに触れないで回り回っているのだが、ねらいはまん中にある。そういうふうに受け取らなければ意味がない。それだけは私は言っておかなければならぬと思って言っているのです。 そこで経済企画庁の皆さんがお見えになっておりますから念のために申し上げておきますが、昭和三十五年を一〇〇といたしまして高度成長云々という時期から昨年まで毎年毎年労働組合の方々が賃上げをやってきております。ところで、数字的に幾らになっているかと言いますと、あの当時を一〇〇といたしますと一七六ですよ。名目七六%上昇です。ところが物価高その他を入れてこれを実質でながめてみますと、三十五年当時を一〇〇といたしますと一二七ですよ。実質二七%しか上がっていない。ところが同じ経済企画庁の資料に基づきますと、長々申し上げていると時間が足りませんから簡単に申しますが、皆さんが取っている資料の中で三十年を一〇〇として資本のストック率というものがあります。資本のストック率からいきますと大体昨年で三六四、三・六四倍ぐらいです。数字が逆に三・四六倍かもしれません。一々資料をあげるとめんどうくさいですから簡単に申し上げているのですけれども、いずれにしても三・四六倍ぐらいになっている。一方労働者側の賃金の上昇率は同じ三十年を一〇〇とすると一五〇ですよ。片や資本のストック率のほうは三・四六倍ぐらいになっている。ところが実質賃金の上昇等をながめてみますと一五〇ですから一・五ですね。たいへんな開きがあります。いま所得政策に関連してお話があった労働分配率なんかも、あれだけ左前になった西ドイツでさえ三九をこえている。ところが日本のように中小零細企業がたくさんあってこっちは非常に分配率が高いのだけれども、それを入れても三七・二ぐらいです。そうすると、非常に今日、日本の労働分配率は低いということになる。そういう時期に賃金の側を硬直化あるいは宮澤構想という形で押えにかかられては私どものほうからするとかなわぬわけです。だからそこらのところをやはり明らかにしておかなければならない、こう実は思っているわけです。 そこで、ひとつ津吉さんに承りたいのですが、前に、宮澤構想からくる総合予算主義云々ということになっているわけですが、いつか佐藤総裁のおられる本席で津吉さん、まことに名言をお吐きになった。予備費に組むというのは一体どういうのですかと聞いたら、津吉さんいわく、それが押え込みになるのか上のせになるのかまだ明確でない、そういうお話だった。それで、結果的に押え込みになったのですか、それとも上のせになったのですか、いずれでしょうか。
○津吉説明員 先ほど来、岩尾官房長がお答え申し上げておりますように、政府の人事院勧告尊重の立てまえというのは何ら変更したわけではございません。また反面、従来追加財政需要として発生しておりました災害復旧、給与改定あるいは義務的経費の精算というような諸需要につきましては、四十三年度は予備費を充実することによりまして年度中途の補正を避けていく、できるだけその要因を削減するというふうな方針で予算処理がやられておるわけでございます。したがいまして、両者勘案いたしますと、先生御指摘のように押え込みか上のせかわからない段階であるということを申し上げたかもしれませんが、性格上やはりどの段階に至りましても押え込みでも上のせでもない、こういうことでございます。
○大出委員 上のせなんだと言ったら宮澤構想がどこかへいっちゃいますし、押え込みと言ったら人事院がおこりますからね。われわれもおこりますから、これは津吉さん、いまだにいずれでもないという妙なことになったわけですが、そう答弁をせざるを得ないと思いますがね、給与課長という立場からいけば。そこで上のせでも押え込みでもないということですが、さっき岩尾さんがお答えになった中身からすれば、岩尾さんも大蔵省出ですからわかっているけれども、お話からすればもう天変地異でもなければ補正はしない、こうおっしゃるがそうでしょう。いまから先、天変地異があるかどうかわからない、まずないほうがいいので、ないと思わなければいけない。天変地異があってくれと思うほうが間違っている。そうすると、天変地異はそれこそあってくれては困るというものの考え方に立てば補正はしないということですね。そうすると、人事院がどんな勧告をしてみても、補正がない限りはいま予備費に組んである金しか使えないと思うのです。間違いないと思うのですが、どうですか。
○岩尾政府委員 そのとおりでございます。
○大出委員 だから私はさっきから言っているわけです。ここに問題がある、それは補正予算というのは天変地異以外はないんだから。天変地異が起こっては困るのですから、これは補正はないと見なければならぬ。そうすると、いまお答えになったとおり、予備費にある金しか使えない、こうなる。あと差し繰ってみても、単価かける人員と私さっき申しましたが、この面で相当落ちてくる。総定員法なんかともからんで五十万六千何がしという定員を押えてあとは政会できめる、こうなるのですけれども、その中で新陳代謝をはかりながら落としてみた、こういうことが顕著にあらわれてくれば、あるいは人件費予算というのはそっちのほうから浮いてくるかもしれぬ。せいぜい考えるとしてもそのくらいのことです。 そこで、念のために聞いておきたいと思うのですけれども、尾崎さん、最近人事院はベースということばをお使いになっておりますか。ベースというのは、かつて、言うならば総平均賃金だったんだろうと思うのですが、公務員の単価を計算する一つの基準として、これは大蔵省の皆さんとは違うと思いますけれども、いまどういうふうな言い方をしておりますか。
○尾崎政府委員 公務員給与のいわば計画でございますけれども、従前のときには公務員給与の中の計画を総称しまして、その平均給与額をもってたとえば何円ベースということで呼んだということはございます。これはある面では、予算のほうからいえば一つの単価ということになるかもしれませんが、人事院のほうから申しますと一つの給与計画ということになるわけでございます。最近ではそういう言い方はあまりされておりません。従前は計画がときどき大きく変わったものでございますから、そういう関係があったわけでございますけれども、最近はそういう関係はあまりいわれなくなってきておると思います。
○大出委員 そうすると、これはまた津吉さんに聞かなければならぬのですけれども、大蔵省で予算をはじく意味での単価と称するものは、これは一般会計特別会計いろいろございますけれども、大体一つの通念といいますか、そういうふうなことでどういう計算をされるのですか。
○津吉説明員 前年度来継続しております標準予算的なものがございます。それに前年度給与改定が行なわれました結果のアップをいたしまして、さらに理論昇給率に新陳代謝を勘案いたしまして昇給原資率を加える、それを出しまして定員にかけるというのが給与費の計算の概要でございます。
○大出委員 そこで今回の予備費なんですけれども、それしか使えないとなればこれはしようがない。予備費で大体どのくらいあるかということにならざるを得ないのですけれども、これは大体千二百億というワクで災害その他が組まれている。こういうわけですが、昨年度はこれは七百億組んだのですね。そして、途中で多少減額をいたしておりますね。予備費は百七十億くらい減額しておったと思うのです。そうして差し引きをいたしますと、七百億から百七十億減額いたしますと、五百三十億ということですね。この五百三十億の使い方を調べてみると、災害対策で四百二十三億円使っていますね。その他で百三億円使っている、こういうかっこうになっている。とすると、本年千二百億に含まれる災害関係等予定をされるワクですね。これはまん中にワクがあるのかないのか——ワクがないと言っておいたほうが皆さんの側には都合がいいんだと思うのですが、積算の基礎を一応明らかにしてみても、なかなかそのとおりにはならぬのです。 そこで私は、皆さんがものを言いやすいように、昨年の七百億から百七十億減額して五百三十億残った、残ったうちで災害関係にお使いになったのが四百二十三億、その他が百三億ですよという意味のことを前提に申し上げて、してみると、ワクだ云々だということは別として、災害関係は大体どのくらいに見込んでおけばいいのか、長年おやりになっているので、津吉さんもその道の専門家でしょうから、ひとつそのあたりでお答えをいただきたいと思います。
○津吉説明員 予備費といいますものは、すでに先生御承知のように、年度途中における予見しがたい予算の不足に充てるための追加的経費でございます。したがいまして、予見しがたいという以上は積算のあるべき性格のものではございませんで、いまおっしゃいましたような諸種の項目に分けまして、たとえば風水害はどれくらい起こるであろうというようなことを計算いたしまして、いわゆる積み上げをやっておるわけではございません。われわれ、めどといたしまして考慮いたしておるところは、少なくとも三十八年度以来を見ますと、先ほど申し上げました追加的財政需要につきましては、予備費で措置したもの、あるいは従来補正予算が提出されておりましたが、補正予算で措置をいたしたもの、それらを総合いたしまして、平均的に千ないし千二、三百億というふうな数字になるわけでございます。
○大出委員 ということになりますと、平均的にと、こうおっしゃるのですが、給与改定を毎年やっておるわけですね。給与改定を例年やってきた。それをひとつ踏まえて、予見しがたいわけですけれども、いまから政府のほうは、昨年並みに実質七・九%、名目七%の予算だなんということは、人事院の勧告権にかかわりますから言えないでしょうが、しかし人事院がそういう勧告をしてきた流れがあって、完全実施していれば、まともに七%でござい、実質七・九%でございということになるけれども、完全実施しませんから、そうしますと、これは落ちるわけです。実施月数によって五・四%かに落ちる。だから、そういう計算をしていきますと、大体ことしは人事院勧告は昨年並みに出るとして、八月実施というものは当分変わらないだろう。石の上にも三年といいますが、前に九月実施が三年かかったんだから、そうすると八月実施で割り掛け計算するとこれで足りる、こういうふうに見たわけでしょう。予見しがたいんだけれども、いまのお話でいくと……。
○津吉説明員 先ほど申し上げましたように、必ずしも公務員給与は公務員給与というふうに特段に把握いたして計算しておるわけではございませんので、あえて八月実施ということを前提にして計算をしたわけではございません。したがいまして、災害その他、先ほども申し上げましたが、給与改定はもちろん含めまして準備をいたした額千二百億、こういうことでございます。
○大出委員 尾崎さん、昨年は八月実施で、五月実施が八月になりましたね。五、六、七、三カ月切れるわけです。そうすると、八月から三月まで八カ月、名目七%、実質七・九%を十二カ月に引き伸ばしますと、大体何%くらいになりますか。
○尾崎政府委員 目の子でございますけれども、五・数%ということになろうかと思います。
○大出委員 五・幾つになりますか、違ってもいいですから。私が計算するより専門家のほうが早いでしょうから。
○尾崎政府委員 私のほうの勧告は水準のアップでございますけれども、昨年の五月からということで、昨年度の関係だけを十一カ月の中で八月からというふうに計算をいたしますと、五・六%前後になるのではないかというふうに思います。
○大出委員 さて、そこで昨年の人事院勧告によりますと、こういうふうに金を書くのがいいか悪いかという論議はございましたけれども、昨年は約三百十九億円、これは一般会計で、人事院所管の会計でございますけれども、人事院勧告の中で三百十九億円、こういうふうに見込んでいるのですね。ところで、大蔵省の側で昨年のベース改定は八月実施で予算は結果的にどのくらいかかったわけですか。人事院の計算になったものが当時は新聞に出ていろいろ錯綜しましたがね。資料をここに持っておりますけれども、私のほうからいろいろ言うのはめんどうくさいですからお答えいただきたいのですが、大体昨年は幾らくらいかかりましたか。
○津吉説明員 一般会計で申し上げますと、五百四十八億円が所要額でございます。ただし、そのうち三十億円は経費の節約あるいは不用額の充当というようなことによりまして処理をいたしました結果、補正予算で五百十八億円、こまかいことを申し上げますと、五百十七億九千何百万ということになるわけでありますが、五百十八億円というのが補正計上額でございます。
○大出委員 ところでこの五百十八億、それに不用額あるいは節約財源三十億を入れて昨年改定をした。そこで単価の面でどのくらい移動がございますか、何%くらい。一〇%前後だろうと思いますが……。
○津吉説明員 勧告どおり七・九%アップでございます。
○大出委員 はね返りその他全部入れてですか。
○津吉説明員 そうでございます。
○大出委員 そうしますと、七・九%アップしておりますから、そこで本年の八月に七・九%の勧告がもし出たとすると、七・九%アップしているところへ七・九%出たとすると、この五百四十八億はどのくらい上がりますか。
○津吉説明員 おおむね五百七十九億という計算でございます。
○大出委員 そうしますと、千二百億組んである、五百七十九億だといま言うのですが、もちろんこの五百七十九億というのは八月実施ですよね、これはそうなる。ということは、五百四十八億は八月実施で七・九%アップなのですからね。七・九%アップをさらにいわく上のせをして人事院勧告が出るわけでありますから、五百七十九億というのは八月実施。そうなると大体千二百億組んであれば、例年見てまいりますと災害が五百億前後である。五百億をこえたときもあります。それから四百億台に引っ込んでいるときもあります。大体五百億を見当にして上に出たり引っ込んだり、こういうかっこうになる。あと七百億たらず残っておる。そのうちで五百七十九億、大体六百億と仮定いたしましても、こうなりますと百億残る勘定。昨年その他というのは百三億あるのですね。そうすると、人事院勧告なんというようなものを完全実施をしない腹をきめれば、まことにうまいぐあいにぴたっとおさまりそうな勘定になっておるのですね、千二百億の予備費というのは。私、昨年の例をあげましたが、七百億から百七十億減額すると五百三十億残る。その五百三十億のうちで災害関係が四百何十億、こういうわけでありますから、まことにうまいぐあいにでき上っているわけですね。災害対策が四百二十三億、その他が百三億。予見しがたいものは公務員給与と災害だけではないですからね。そうすると六百億を限度としてみれば、これはその他にも使える予見しがたいものをおおむね含む、人事院が少しがんばってよけい勧告をしてみても、節約財源その他を考えれば、完全実施をしなければまあまあ何とかなりそうだ、こういうことになるわけですね、この予備費は。まあくろうとが組むのですからなかなかうまいと思うのですが、そういうことになりますな。
○津吉説明員 先生おっしゃるような勘定というのも、もちろんなさることはあり得ると思います。私のほうで計算をいたしましたといいますか、めどとして処理をいたしましたのは、先ほど申し上げましたように必ずしもそういう緻密なる計算をして予備費を計上したというわけではございません。
○大出委員 これはある程度緻密らしい計算をしてみたら偶然に一致したわけですね。大蔵省というのはあんまり緻密な計算はしない省だとは思ってなかったのです。大蔵省ぐらい緻密な省はない。岩尾さん、あのころいたと思いますが、大蔵省に緻密な計算をされて、こっちは往生したことがありますからね。ずいぶん緻密な計算をするものだと思って感心していた。いまいみじくも計算をしない省だと言うけれども、私のほうのラフな計算と大体偶然に一致するという勘定。おそらく緻密に計算をやり直していただけばもっとぴたっと合ってくるのじゃないかと思うわけですが、大体そんな見当になっているわけですね。大体おわかりいただけると思うのです。だからかきねをどこで引いてくれと言っているのじゃない。そんなことはあなたのほうは言いっこないのだからね。総体をながめればうまくできているということになる。ただしかしこまかい計算ではない。こういうようなことで、宮澤構想に端を発し、そして総合予算主義になって予備費が千二百億組まれてきて、その中ではいま申されたように緻密な計算はいたさないようなのですけれども、まことにうまいぐあいにでき上がっている、こういうわけですね。 そこで私は、完全実施の問題もありますけれども、人事院と総理府の両方からお答えをいただきたいのでありますが、当時いろいろいわれておりましたように、奥野さんあるいは高橋衛さんの試案なんかにひっついております考え方からしますと、給与改定を先にやってしまえというようなことが書いてある。これは長官、ひとつ先に聞きましょう。最新式の六千七百事業所を調査して集計をするというのは統計局がやるわけです。人事院がやっているのじゃない。そうだとすると、一番能力がありそうなところは人事院を差しおけば総理府、おまけに人事局がある、こういうわけでありますけれども、人事局あたりで俸給表あるいは給与改定をおやりになるような気がありますか。
○田中国務大臣 ただいまのお話は非常に重大な問題でございます。われわれのところではさようなことは絶対に考えておりません。
○大出委員 そうなりますと、これは人事院の勧告を待つということになる。そういうことでいいですね。
○田中国務大臣 さようでございます。
○大出委員 先ほどの予算の額からいきますと、総裁、七・九%アップをした現在の公務員の給与、これがさらに七・九%ことしアップするということが八月勧告で出たらどうなるのだと言ったら、先ほどのお話で五百七十九億だ。そうすると、千二百億のほうから災害で五百億ぐらい引いても七百億残るのです。予見しがたいもの百億ちょっと抜いても、なおかつこの五百七十九億にはなる。間違いはない。少し金が残る、こういう計算でございますから、そうすると総裁、七・九%アップを出すことについては、それが八月実施なら安心して、予算がございますから今度こそだいじょうぶでございます。出せるわけでございますが、さて、八月実施でなくて完全実施となると足りないということになる。それにしても、大体昨年並みの勧告はまかり間違ってもやっていいことになったわけであります。私はそこから上のところを総裁に承りたいのでありますけれども、前段として、この調査時期、実施時期、勧告の時期等々をながめまして、大体昨年のような方向でおやりになろうとするのか、あるいはそういったすでに計画をお立てになっているかどうかですね。そこらのところをひとつ承っておきたい。
○佐藤(達)政府委員 勧告の方式等につきましては、私どもはやはり従来どおり民間水準をとらえて、その水準にはせめて絶対に追いつかせていただくという方針を堅持しているわけで、ことしもそれによって臨むつもりでおるわけです。例年四月調査ということでやっておりましたので、ことしももうその手配は一通り終わりまして、いよいよこれから六千数百の事業所に向かって調査員の方々が出動されるという態勢にあるわけであります。まず一応そこまでお答えしておきます。
○大出委員 昨年八月の勧告は六千七百事業所を調査されたわけですね。そうして公務員の平均年齢三十八・一歳という数字ですね。そして俸給が四万二千二百八十円、扶養手当が千九十五円、暫定手当が九百六十円、計四万四千三百三十五円、こういう調査結果の見込みを立てられて、その上で勧告をされた、こういう書筋きですね。本年、実はいまこの機会を失いますと、参議院選挙になってしまいますからね。そうすると、これはお互いに各党とも悪戦苦闘する、しのぎを削るわけでありますから、その途中でちょっと心配だから人事院総裁出てこい、内閣委員会だというわけにいかない。そうすると、七月投票が終わってああだこうだという中に、さてすぐ国会をといっても、これまたそう簡単にいかない。だいぶくたびれちゃったからちょっと休憩してということになりかねない。そうすると、そのうちに勧告が出てしまうのですよ。だから、少し先ばしって恐縮なんだけれども、実はきょうお呼び立てしたわけなんです。そういう意味でいささかわがままかってな質問で恐縮なんですけれども、本年の春の賃金引き上げを方々でやっております傾向をながめておりますと、鉄の四千四百円というのが一つありますが、電機なんかながめて見ましても、昨年四千五百二十円ですね、東芝なんかでも、最終回答が。ところがことしはしょっぱなの回答がそのくらいですよ。そうすると、これは物価の上昇その他等いろいろ入れますと、ことしの場合は相当な額にならざるを得ぬですね。現在ながめていると、昨年に比べて相当な高い民間の上昇率が出てきそうですね。そうすると、さっきの津吉さんの御説明によって、昨年並みということであるとすれば、こまかい計算を私は申し上げませんが、大ざっぱに言ってあの中に含まれる額である、八月実施ならば。こういうわけなのでありますけれども、ことしはどうもそういうわけにいきそうもない。六千七百事業所を調査された結果というのはおそらく私はそう出ると思うのです。その場合に総裁、いま予算を横目でにらむのでしょうけれども、公務員法あるいは給与法のたてまえからするならば、独自の勧告になるはずなのでございまして、そこらのところを、これは念を押す必要もないのでありますけれども、一応総裁も新たな任期の期間にお入りになりましたから、そういう意味でひとつもののけじめでこれは聞いておきたいのですが、やはりこれは予算がどうであれ六千七百あるいはその前後の事業所調査をおやりになって、旧来のシステムで勧告は勧告でぴたっとする、こういう筋書きになるのだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
○佐藤(達)政府委員 あらためてお尋ねを待つまでもないことでありまして、先ほど申しましたように、私どもの基本的の立場はやはり官民の比較に絶対的な根拠を置いていくわけであります。したがいまして、春闘の動きそのものにつきましても重大な関心は持っておりますけれども、さて、わがほうがその結果どうなるだろうかということは、わがほう独自の調査をあけてみませんとこれはどういうパーセンテージが出るか全然わからぬということになるわけであります。いま予算との関係のお話も出ましたけれども、予算は千二百億の予備費は確かにある。その中に鯨が泳いでいるのか金魚が泳いでいるのかわかりませんけれども、われわれはまず鯨ぐらいは泳いでいるだろう、それで万一足りないときは、われわれの念願は完全実施でありますから、完全実施のためにまた適切なお手当てをしていただかなければなるまいという気持ちでおるわけであります。
○大出委員 これは津吉さん、えらいことになりましたよ。鯨が泳いでいるそうですけれども、その鯨も大鯨であったということになりますと、これが完全実施ということになると予算が足りない。先ほど岩尾さんは天変地異でもあれば補正すると言ったのですけれども、人事院の本年の各企業の賃上げの趨勢に従って勧告が出た場合尊重するとさっき言われたのですが、その場合にどうも予備費では足りない、あるいは差し繰りをいろいろやってみても、去年は三十億ばかり不用額と節約財源なんか入れておりますけれども、だから、人事院総裁安心してほんとう言うともっと高い勧告を出して、なおかつ予備費が要るということになりそうです。節約財源があればいいですが、完全実施となるとそうはいかない。これも天変地異の一つですね。やむを得ざる事情ですね、勧告権が人事院にある限りは。そういう場合に、いま予算が通って審議の期間を過ぎてしまったのですからもういいわけでありますが、予算審議中にまさか補正なんということを言った日にはどうなるか、それならそれを出しなさいと言われるから言えないでしょうけれども、これはいままでの予算委員会の討論の中で見ますと、それでは絶対に補正予算を組まないのかと詰められたら、水田さんは、いやそういうことはございませんと言っておる。いま組んである予算でできるだけやろうとしておられるようですけれども、つまり努力しようとしてもできない場合があるということが言外にある。その限度まで大臣は言っておる。だから、総裁がいま言っておる点、どうしても予備費で間に合わなかった場合はどうしますか。
○津吉説明員 先ほども申し上げましたように、政府の人事院勧告を尊重して処理するというたてまえは変わっておりません。また財政事情、経済情勢等を考慮いたしましていかなる措置をすべきかという点についても考えなければいかぬという点も変わっておりません。したがいまして、従来の人事院の勧告処理に対しまして、本年は総合予算主義のたてまえに基づいて、年度当初から予備費をもってその改定に備えて拡充をはかってあるという点が例年と違う点でございます。
○大出委員 そうすると、あとは例年の方針でいくというわけでありますから、予備費をもって備えておるというところが違う。したがって、予備費で足りないということになれば、これはどこかで補正するより手がない、ないものはないのだから。この委員会がもし完全実施をきめたとすれば、これはないものはないのだから何とかしなければならぬ、そういう理屈にやはりなりますな。
○津吉説明員 先生おっしゃいますように財政処理の道具といいますか手段という面から見ますと、補正するかせぬかという問題になるかと思いますが、財政ももちろん日本の経済情勢に立っておるわけでございまして、実質的に給与改定の勧告が出ておりませんので、まだ何とも申し上げる段階ではございませんけれども、その段階に至りました際にその時点における最適の処置をすべきであるというふうに考えております。
○大出委員 筋としてはということでないのだから、補正するよりしようがないということになる。まだ現実に出てないのだからということですから、理屈はそうでありますので、私はおきたいと思います。 そこで、あと二点ほど承りたい点がございますが、それは地方財政の分野につきましてあわせて承っておきたいのでありますけれども、総合予算主義にあわせてこの給与の問題について自治省関係の皆さんのほうではどういう措置をおとりになっておりますか。
○皆川説明員 財政計画におきまして八百五十億、これは給与費と災害等を考えた費用でございますが、包括的に組まれております。
○大出委員 昨年の勧告は予算委員会答弁によりますと、時間がないから申し上げますが、やはり人事院にならって七・九%と答えておりますね。それで昨年は幾らくらい予算を必要といたしましたか。
○皆川説明員 七百五十億であります。
○大出委員 たしか七百四十九億何ぼだと思いましたね。おおむね見当で七五五十億、こういうわけであります。そうするとその残り、八百五十億といういまお話でありますが、その中身は何と何です。
○皆川説明員 おもなものは年度中に考えられます災害関係の追加ということでございます。
○大出委員 地方公務員の場合でも本年七・九%上がりましたから単価が上がりますね。したがって、これは例でございますが昨年並みの勧告が出るとすれば、七百四十九億では足りないことになる。幾らぐらいになりますか。
○皆川説明員 財政計画では若干いままで計画に算入されていなかった職員等を入れておりますので、ちょっと数字をはじいておりません。
○大出委員 これもやはり八百五十億という中で処理をする努力をする、こういうものの考え方ですか。
○皆川説明員 地方財政につきましては、主として給与改定につきましては、国の例に準じておりますので、大体国の措置に準じていきたい、かように考えております。
○大出委員 あと総理府には公務員制度審議会の問題が実はあるのでありますが、人事院の佐藤総裁、参議院のほうでお忙しいようでございますので、あとは大体選挙でも終わってからにならざるを得ぬと思いますけれども、大体さっき旧来の方針を緊持するということで、おまけに完全実施でいくのだということでお話ございましたから、ぜひひとつそういう方向で御努力をいただきたい、こういうふうに申し上げまして、総裁に対する質問を終わっておきたいと思います。 経済企画庁の皆さんのほうにも、大体宮澤構想なるものの定着したありさまというものをいろいろ聞かしていただきましたから、大体津吉さんのほうの側も押え込みか上のせかどっちかわからぬです。上のせのほうであるとすれば、はじいておられる御本人のほうも上のせの側に入るわけでありますから、なるべくひとつその辺はひねり出していただきたいと思います。おおむね御回答いただきましたので……。 そこで自治省の皆さんのほうに承りたいのでありますが、公営企業に関しまして、これから自治省は一体どういうふうに考えていこうとなさっているのか、これを実は承りたいわけであります。 地方公営企業法の改正が行なわれまして、再建方式がとられたわけでありますが、実は六大都市あるいは指定都市という段階でいろいろな苦労がいま積み重なっているわけでありますが、賃金の改定ができないというところが、公営、交通等にはいろいろ出ておりますけれども、現状どの程度できないというところがどのくらいあって、六大都市あるいは指定都市ということで御説明いただきたいのでありますが、大体どの程度ができてどの程度ができないかというふうなところを踏まえて、将来これをどうするかというふうなところを御説明を賜わりたいわけですが。
○皆川説明員 全国で公営企業のうち百五十五団体が再建計画をいたしております。そのうちまだ実施の目鼻が立っていないのが十二団体であります。
○大出委員 第八次賃上げの給与改定が行なわれていないところが十二ということですか。
○皆川説明員 そうです。
○大出委員 ちょっとあげていただけますか。
○皆川説明員 先ほど申しましたように、百五十五団体あるわけでございますが、そのうち十二を除きました団体については、給与水準あるいはまた給与改定の内容からして会計の余裕があったわけでございますけれども、それ以外いまだ実施に至ってない団体につきましては、非常に困難な状況でございます。
○大出委員 それはどこですか、十二というのは。都市をあげていただけませんか。
○皆川説明員 水道は海南市でございます。交通はいわゆる七大都市、山口市それに鹿児島市、九つでございます。それから病院が二つ、合計十二でございます。
○大出委員 それで七大都市、これは北九州市を含んでいるわけですね。これでできそうなものありますか。みんなできそうもないですか。
○皆川説明員 七大都市については非常に困難じゃないかと思います。
○大出委員 そうすると、自治省はこれは困難であるから上がらなくてもしようがない、こういうわけですか。
○皆川説明員 給与改定について私のほうで判断するのはいかがかと思う点もございますけれども、現在の状況からすればやむを得ないのじゃないかということでございます。
○大出委員 これは藤枝さんが自治大臣のときにこの席でずっと論議してまいりまして、やむを得ないのではないかと言っていない。事情をいろいろ自治省にあげていただいてよく承りたい、そうしてケース・バイ・ケースということになると思いますけれども、みんなで知恵をしぼってみましょう。こういうことで私この席で三回ぐらい質問しておりますが、この賃金引き上げの時期にそういう決着になっているわけです。このことは地方行政のほうでも似たような決着であります。したがって、やむを得ないのじゃないかというふうに言っていないのですよ。そこのところはどうですか。大臣がそう答えているのです。
○皆川説明員 その点については、実は私ども前のこの委員会における論議も読ましていただきましたが、確かにケース・バイ・ケース、個々の内容について検討してまいりたいということでございます。それでさっき申しました百五十五のうち十二団体を除いては可能であった。それ以外につきましては、まだ具体的に地方団体のほうから別に案が出ていないわけでございます。私のほうだけで見た感覚では非常に困難ではないかということを申し上げたわけであります。
○大出委員 細郷財政局長がきょうは地方行政においでになっているようですから、きのう私は電話で話しましたが、部長さんが何人かお見えになってそれぞれ言ってはお帰りになった、それから先は、具体的にあるという話になっていない、こういうお話で、したがってそれが具体的になってくれば、これは聞いていただき、検討していただき、知恵をしぼっていただかなければならない、こういう筋合いだと思っておりますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○皆川説明員 そういうことであろうと思います。ただ非常に安易な期待を持てないのではないかということを申し上げたいと思います。
○大出委員 国会でどうしても考えなければならぬ問題だと思いますが、時間がありませんから具体的な例をあげて申し上げます。 私は横浜ですから横浜の例が一番確実にわかるわけでございますから申し上げますが、一番最初の再建計画第一号ということでお認めいただいて、再建計画ができているわけです。これは昭和四十二年から五十四年までこの元金等の均等返済、均等償還の形をとっていくことになっているわけです。そこで当時の横浜の借金、赤字と申しますのは六十六億八千万円ございました。これを均等償還をしていく、四十三年から五十四年まで、こういうわけです。そこでじゃ一体横浜の交通に償還をしていく財源が浮いてくるのかというと、そういうわけにはいかない。なぜかというと、軌道撤去をやれというから軌道撤去をやった、さらにワンマン電車を走らせろというからワンマン電車を走らした、四十八時間を四十四時間に切り下げろということで切り下げて、やれることを全部やってきた。将来地下鉄が四十六年にひける。それまでは手の打ちようがない。じゃ、一体バスのほうはどうなっているか、軌道を除いて。パスのほうは、自治省の言い分は、バスの料金を上げてそれから軌道のほうに回しなさい。バスでもうけて均等償還の中に入れて返しなさい。そうでしょう。あなたはおいでにならないと思うんだけれども……。ところが今度は、バスの料金値上げは運輸省の管轄です。運輸省は何と言ったかというと、バス料金を上げてその浮いた分で軌道のほうを埋めることはこんりんざいまかりならぬ。自治省はこっちでもうけてこっちを埋めろと言う。運輸省はとんでもない話だ、軌道に持っていくのはいけませんということで、バス料金は三十円で押えられた。三十円で原価計算をいたしますと、三十円に上げてとんとんでございます。全くのとんとんです。そうすると、これは四十三年から五十四年まで償還をすると何が残るかというと、六十六億八千万円の穴があいているからというので、再建方式をとっていただいて返還をしていくのでありますけれども、返してしまうと、横浜市の交通関係に赤字としてこの六十六億八千万円がそのまま残るというわけであります。返した分だけ赤字となって残るというわけであります。一つも再建のしようがない。できない。バスのほうはとんとんでございますから、そうなる。そこへもってきて、今度は賃上げ、先ほどもお話がございましたように、公務員に準ずるというが、やっておりません。きのうで一般会計その他のほうは全部やってしまった。資金的には払ってしまった。交通だけ裸になって残っておる。これをもしやるとすれば、平年度三億三千万かかる。ちょっと大きく見て三億四千万です。これが三億四千万で一体四十三年から五十四年までどういうことになるかといいますと、賃上げ分だけでおおむね三十七億円要りします。そうでしょう。そうなるとせっかく公営企業法の改正をして再建方式はとっていただいたが、しかしながら赤字は赤字で埋めてもらった六十六億八千万円がそっくり返還をされれば、それがまた赤字で残ってしまうということになる。バスはとんとんです。そして賃金が上がる分だけ、それだけで三十七億になる。そうすると、もたもたしていると、八月にまた勧告が出たり、第九次賃闘、それからまた来年の第十次賃闘がくればどうにもならぬ。そうなるとこれは上げなさるなということになる。しかもバス関係は電車と違いましてあとから入ってきておりますから、給料はうんと低い。電車のほうが昔から高い。そこの低いほうが上げられないことになる。実はこういう状態が今日あるわけです。そうすると、これが七大都市ほとんどの現象だとすれば、ことしはやれたって来年はやれないでしょう。どこの市もそうでしょう。そうなると、その現象を一体どうとらえて、どう解決するかということは、地方公営企業法を改正された皆さんのほうでお考えいただかなければ、何のために一体再建計画を法律を改正してまでつくったのだということになる。そうでしょう。そこのところはいかがですかと私は聞いておる。
○皆川説明員 再建計画を立てました際には、横浜の場合は実は若干特殊な事情がございまして、売却すべき財産というものもないということで、非常に長い再建計画の期間を、十四年でございますが、とっておるわけでございます。計画自体では最終年度は赤字が若干残りますけれども、いわゆる不良債務はなくなる、こういうたてまえでやっておるわけでございます。まだ発足しまして再建計画に入りましてからあまり年数がたっておりませんので、実態は詳細ではございませんけれども、若干当初考えておったより違う要素も出ておるようでございます。その一番大きな問題は、路面の渋滞による走行キロの低下ということが若干問題があろうと存じます。したがって、これが将来どういう程度に変わってくるのか見通しも非常にむずかしい問題でございますけれども、一般的な常識としてはだんだん窮屈になっていくんじゃないかというふうに考えられるのでございます。これは企業外的な要因ではございますが、これについて新しい態度で取り組んでいかなければならないんじゃないか、こういうように考えまして、実はそういった問題を取り扱う場面をひとつつくってもらいたいということで、主として物価を担当しておられる経済企画庁のほうに申し入れまして、まだ発足いたしませんが、そういった企業の環境を取り巻く諸条件の改善について近く新しい措置をとっていただく、かように考えておるわけであります。
○大出委員 時間がありませんからなるべく簡単に申しますけれども、もうじき終わります。つまりこれは横浜の例を単に申し上げただけで、横浜だけのことじゃない。今日、いまお答えになりましたように、七大都市は全部起こっておる。四苦八苦してやりましても、これはことしはよしんばできたにしても、来年はできない。これが大多数です。しかもその都市環境と申しますのは、本来地方公営企業制度調査会というものをこの委員会にかけて審議をしてきめた。そのときに私はもう冒頭に指摘しておいたのです。何もそこにつとめておる人間が悪いわけじゃない。市の理事者が悪いわけじゃない。公営企業の理事者が悪いわけじゃない。環境がどんどん変化されて走れなくなる。走行キロはどんどん詰まってくる。しかも政府がインフレ政策をとるから物価はどんどん上がってしまう。そうすると、ベースアップ、賃金改定がどうしても出てくる。出てくればそれだけ経営が苦しくなるのはあたりまえです。そうそう料金改定をして市民に転嫁はできない、限度がある。そこでどうしても赤字になる。よしんば地下鉄を掘ったって全く赤字です。どこの地下鉄も一カ所として採算はとれておりません。山手線の六倍もかかる。東京の地下鉄の一号線だってできていない。先行きどうするかという問題が初めからあるわけです。これは環境の変化のせいです。もう一つ言えば物価が上がるせいです。何も企業の責任ではない。だとすると、この状態というものはどうしても解決しなければならぬ。これは政治的責任である。だから、そういう意味では、私は交通関係閣僚協議会というものの中だとか、特に佐藤総理大臣に、行政責任者として、この七大都市に起こる現象をどう処理するか、長期のプランを立てていただく、そういう意味で七大都市の資金事情、財政事情というものを相当深く御存じいただかなければ困る。こういうように私は実は思っておるのです。この問題はそうしないと解決をしない。そしてそこから先どうするかという問題だけれども、全営企業法の改正が必要だということになりますが、借りかえ債の方式がとれるわけです。また、法改正をしなくても、起債を認めればやっていけます。環境改善も含めて、たとえば四十六年度で地下鉄ができる、赤字になりますが当面は続いていきます。そうすると、そっちに切りかえていくのに、これは名古屋の場合だってそうですか、最初は名古屋駅から栄町まで地下鉄を敷いた、それを池下まで延ばした。最初の第一号線でいえば予定乗客の六割、それが池下まで延ばしたから七割に上がっている。そこから先はあれは今度は放射状に走るわけでしょうが、そうなってくれば路面電車は全部撤去して、将来は地下鉄を走らせることになる。それでも四十六年先です。そうすると、これらの総合計画の上に立って、起債の年限延長か、借りかえ債の方式をとるか、さもなければ、法律に手をつけないとすれば、そのいまの借金である起債のワクを皆さんのほうでどうお考えいただくか、いずれかの形でいかなければならぬ。これは今年だけではなく、先行きの問題としてそういうふうなことをやはりぼつぼつお考えいただかなければならぬ時期に来ている。企業法の改正をまともに受けているわけですけれども、ぜひそうしなければいかぬ、こういうわけであります。 さらにもう一つだけ、時間がないから言ってしまいますけれども、利子補給を三分五厘から七分五厘までの間、これは国会で修正したからこうなっているのです。ところが実際に六大都市、七大都市の借りるのは八分以下の金は一切借りられない。最低限度八分で借りている。そうなると、金がないから再建するのに利子補給というのはいいのだけれども、八分でなければ借りられないものを七分五厘までということになると、そこにどうしても超過負担という問題が起こる。だからそういう点の問題をどうするかという問題だってあるのです。これは幾らでもない問題でありますが、それでも赤字で苦しんでいるところにそういうものまで負担させることは筋が通らぬ気がする。小さいことではあるが、そこらのところを総合的に勘案して、一体どうするかという点を自治省でぼつぼつお考えいただかないとたいへんなことになると思うのです。これは実は電話で、きょうお見えにならないということだったから、細郷財政局長には話しておいたのですが、雰囲気が雰囲気だからいまいきなりというわけにはなかなかいかぬと思うけれども、将来の展望についてはここで考え直さなければいかぬでしょう。交通関係閣僚協議会だとかあるいは総理等にもっと実情を知ってもらおうということには同感だという意味のお話がございましたが、ぜひそういう点で前向きにこの問題をとらえて御努力いただきたいと私は思う。いかがですか。
○皆川説明員 大都市交通の現状、特に将来の認識について一般の理解を深めてもらいたい、特に最高の行政全般に関係のある閣僚の方については一そう理解を深めてもらいたい、こういう気持ちであることは全く同感でございます。
○大出委員 私のほうから横浜の具体的な金の動き、実情を申し上げましたが、全くそれはそのとおり、正直に申し上げておるのです。これは横浜だけではありません。参事官のお立場でそこから先の答弁を求めるのは無理があろうと思うのです。問題の提起をしているわけですから、ぜひひとつ持って帰っていただきたい。赤澤さんがたまたま早川さんにおかわりになって自治大臣になられたときに、六十億の問題のとき、料金ストップのときでして、たいへんな論争を、私も赤澤さんといたしましたが、メリットシステムという形をとって、あのとき解決した。その赤澤さんがいみじくもまた自治大臣になったんだから、事情はよく御存じのはずだ。そういう意味で、ぜひ皆さんのほうで、これらの問題について、大臣に、私も言いますけれども、逐一御進言いただいて、何とか将来の展望を立てて、当面の問題をどうするかということを突っ込んで検討する。あわせて自治体のほうも努力する。努力をして、努力した結果を自治省に持ち帰る。各方面知恵をしぼって、大都市の問題の一つなんですから、何とかこれを解決する方向へ道を見い出す、こういうふうに御努力いただきたいのですが、よろしゅうございますか。
○皆川説明員 はい。
○大出委員 総務長官に最後に承りますが、公務員制度審議会はどういうことになりましたか。
○田中国務大臣 御案内のとおり、昨年の十月二日に開きまして以来、任期も終わりまして、委員の方々も今日はおられないわけでございますが、われわれといたしましては、政府の既定方針に従いまして、ぜひすみやかに再開いたしたい、かような次第で、ただいま人事上の問題について鋭意努力いたしておる次第でございます。
○大出委員 そうすると、昨年の十月二日ということは、任期期限切れの前日になりますね。ここで皆さん一ぺん再開をされたわけですね。辞表を出しておられる前田さん欠席のもとに。それで延長ということをおきめになったわけですね。これは間違いないですね。
○田中国務大臣 そうです。
○大出委員 そういたしますと、延長をおきめになって、それきりにしておくという手はないと私は思う。これは、国会でも、本会議でも政府から御答弁いただいておるわけでありますから、これは、再開への努力を早急にやっていただきませんと、国際的な事情もございますし、たいへんまずいと私は思うのであります。そこら辺のところはいかがでございますか。
○田中国務大臣 その問題は、できるだけ早く開きたい、かような次第で私も努力いたしておる次第でございます。
○大出委員 与党の皆さんの労調の関係の方々の中で、どうも公務員制度審議会なんというものを開けば、つまり、労働法関係の基本に触れる問題、権利ですね、つまり、スト権だ云々だというような問題まで論議せざるを得なくなるんじゃないか。しかも、そういった中で、最近の全逓の東京中郵判決であるとか、あるいはドライヤーミッションであるとか、新しい情勢もあるから、公務員、公営企業を含めて、十ぱ一からげにスト権を剥奪しているという今日の事情は、そのままで押し通そうといっても、無理な状態が出てくるのではないか。ある程度のストライキ権というものを認めざるを得ない情勢にいくのではないか。だから、安易に公務員制度審議会を開くべきでないのである、しかも、本会議で開くと答弁してしまった、また、十月二日に再開をきめてしまったことはまことに不用意である、こういう意見を呈しまして、そして、政府に定見かないままに——つまり労働各法の基本に触れる問題についての定見、きまった方針がない。ないから、そこへ出ていく使用者側である政府の代表あるいは人事局、こういうところが、運営の面からいっても、自由にものを言えなくなっていたりする。それとあわせて定見がない。だから、そういう時期に開くべきでないのだ、などという意見等が出ているのであります。長官は、一体これらの意見についてどういうふうにお考えになりますか。
○田中国務大臣 さようなことは全くございません。 それで、一日も早く開きたいと、ただいま人事の問題につきまして努力いたしております。
○大出委員 中身については触れませんけれども、公務員の組合の団体の方々が、長官に、賃金を上げてくれという趣旨の要求を出して、回答をいただきたいというようなことの動きもあるように聞いております。それから、いまの公務員制度審議会のすみやかなる再開ということについても、お目にかかりたいという意味の申し入れがいろいろいっていることもあるわけであります。しかも、二月に、長官は、すみやかに開くということをおっしゃっている。もう四月ですから、これは捨ててはおけない。そこで、辞表を出している前田会長は、この衆議院の予算委員会で、辞表を提出以来今日まで心境の変化はございませんかという質問に対して、全く心境の変化はございませんと言い切っておられる。そうすると、もうこの辺で、政府の責任で、これらを含めた処理を一日も早くお急ぎになる筋合いである。こういうことですが、そこらのところはいかがですか。
○田中国務大臣 官公労の公務員共闘の方々も私に面会を申し込まれております。おくれましたのは、私が入院いたしておりました等の物理的な関係でございます。 なおまた、会長人事につきましても、私のほうといたしましては鋭意努力いたしておりますので、近いうちに必ず再開ができると思います。
○大出委員 たいへん前向きの御答弁でございました。おからだが悪くてお休みになっていたことも私は重々承知いたしておりますので、その点よくわかりますから、二月にお話しになりました筋で早期に再開されることをお願いするとともに、かつまた、関係の方々に早急に会っていただきたいと思うのでありますが、そこらはいかがでございますか。よろしゅうございますか。
○田中国務大臣 はい。
○大出委員 それではひとつ早急な再開をお願い申し上げておきまして、その努力をするという御回答をいただきましたから、その点を確認いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○三池委員長 これにて質疑は終了いたしました。 —————————————
○三池委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。 総理府設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○三池委員長 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。藤尾正行君。
○藤尾委員 長官にお伺いたしますが、恩給審議会の答申も得まして、その内容といいまするものが新聞等に報道せられておるわけであります。 そこで、この恩給の本質に関する問題が早急に今後処理せられてまいると思うのでありますけれども、この恩給の本質について、政府として一体どのようなお考えを持っておられるかということを長官にお伺いいたします。
○田中国務大臣 ただいまの御質問は、今回の恩給法改正についての本質の問題というお話でございますが、これにつきましては、恩給なるもののいろいろな精神的な見方もございますが、同時にまた、損失補てんという一つの理念というものが貫かれてあるわけでございます。さような事態におきまして、そのやり方等々につきましては、またいろいろと論議が分かれるのでございます。
○藤尾委員 私は、この恩給の本質についてということでお伺いしているのは、この審議会の答申といいますものを考えますときに、そのものさしとして恩給というものは一体どういうふうに変わるかというものさしがないと、審議会の答申を中心に恩給問題といいますものの論議はできない。 そこでお伺いをしているわけですが、たとえば、恩給というものは一種の社会保障、生活保障であるとか、あるいは在職中の労に対する報酬なんだとか、あるいは国家に対する忠誠に対しての報酬であるとか、あるいは非常に年をとられた恩給受給者というような方々の所得能力といいまするものがだんだん減っている、その減っているものを補てんしなければならぬという考えに立ってその恩給ということを考えていくのだとか、いろいろな説があるわけであります。そういったものさしがありませんと、この審議会の答申といいまするものも考えられない。そこでお伺いをしたのでありますけれども、いま一度お答えをいただきたい。
○田中国務大臣 われわれの考え方としましては、冒頭に申しました精神的な考え方というふうなもの、生涯国に対しまして奉仕されました官公吏、公務員の方々に対しまする国としての報恩感謝の一つのシステムという考え方のほかに、あるいはまた社会保障制度的なものの考え方もございます。いろいろございますけれども、老後におきます経済能力を失いました方々に対しまする一つの救済をしていかなくちゃならないということは当然のことでございまするが、しかしながら、社会保障制度というものとは異質のものである、かように私は見ております。
○藤尾委員 社会保障というものと恩給というものが根本的に違うのだ、こういう御認識なのですか。
○田中国務大臣 これはいろいろ説がございますが、非常に広い意味で社会保障制度ということを言われる方がございます。そういう場合には、恩給、年金というものを全部この中に包含されて言われますが、ただいま私どもの申しましたのは、狭い意味の社会保障とは異なるものと考えております。
○藤尾委員 冒頭になぜその点が非常に大事かといいますと、いま長官がお示しになりました中に入っておると思うのでありますけれども、社会保障の一種であるということになりますと均等でなきゃならぬ。しかしながら、そういったものじゃないということになりますと、これはそれぞれの状況によって違ったものになってくるということを含んでおるわけでございまして、その点明確にしていただきたいと思いましてお伺いしたのであります。お答えはけっこうであります。 その次にお伺いをいたしますが、長官のおからだもお悪いようでございますから、長官に対する質問を先にまとめてしまいますから、ひとつそのようなおつもりでいていただきたいと思いますけれども、今回の恩給審議会からの答申に対して、政府はどういう考え方をもってお臨みになるつもりでございますか。
○田中国務大臣 今回の恩給審議会の御答申に対しまして、審議会が二カ年間にわたりまして非常に詳細な検討を遂げていただきましたことにつきましては非常に感謝もいたし、この審議会の答申を政府といたしましては尊重いたしてまいらなくてはならないと考えておりますが、この審議会の御答申の根本になりまする今回の答申の問題は、調整規定の運用の問題であると心得ます。 この調整規定の問題になりますると、いわゆるスライドの問題でございます。これにはまたいろいろと議論もございましょうが、御答申の、消費物価に応じて五%程度の上下の際にこれを考慮するといったような御見解、あるいはまた、他の公務員給与との比較においてさらにこれを調整していくといったような三本の柱をお考えになりまして、これによって調整規定を運用してまいろう、こういう御答申でございました。私どもは、それに対しまして今後十分に研究いたしまして、ぜひ答申の趣旨に沿うように全力をあげて努力いたしたい、かように考えます。なお、そのほか六十項目にわたりますいろいろな具体的な問題につきましても、尊重してまいる考えでございます。
○藤尾委員 いま長官がお述べになりましたことは非常に大事な問題が含まれているわけであります。つまり答申の趣旨というものを尊重していきたい、こういうことは処理方針として答申どおりにするということではないわけでありまして、そこに当然長官としてあるいは政府として、これはこのようにしなければならぬという処理方針がさらにいろいろとつけ加えられ、あるいは考慮されてまいるであろう、かように私は伺ったわけであります。と申しますのは、たとえば消費物価というようなものをとりましても一体何が消費物価なのかという問題もありますし、五%というめどをおとりになりましたけれども、五%にならぬときには一体どうするかという問題も起こってくるわけであります。いまの恩給というものにつきましては、御案内のとおり、戦後の七、八年間というものは放置されておりましたし、また、昭和二十九年に出発をいたしましたときから後におきましても、常に現状というものを追っかけ追っかけやっとの思いでそれぞれの改定を施してまいったというのが実情でございまして、かりにいまの消費物価の五%というものが上がらない、かりに四・八%というような統計が出てきたときに、それではこれは全然考えないのかということになりますと、やはり答申には五%と書いてあるから、かりに三・八%でも、四・六%でも、そういったときにはこれはかからないのではないかという法律解釈だってできるわけであります。そういうときには、これはその場合の財政上の理由により少しストップというようなことになりますと、この恩給受給者の立場というものがますます悪くなる。私はそこに非常に大きな問題の焦点があるという気がするのでございまして、特段と恩給受給者といいます者の年齢構成とか、あるいは置かれております社会環境というものを考えてみました場合に、むしろこれを先行させてやるくらいのあたたかいものの考え方、配慮といいますものが政府にあるというのが当然の措置なんで、これをただ単に尊重していきたいというような文字どおりのおことばでは、私どもは満足のできないものがある。この点をどうしても長官に述べていただきたい、かようなつもりで申し上げたのであります。
○田中国務大臣 私どもも、今回の恩給審議会が非常によく勉強していただいたことにつきましては敬意を表しておるのでございますが、われわれ恩給を考えるものといたしましては、あの調整規定の運用の問題につきまして、まだまだ遺憾の点が多いのでございまして、いかなる場合に調整規定を発動するかという運用の問題につきましても、今後いろいろともっと研究いたさなくちゃなりませんし、ことに、これが本来ならば自動的になることが一番望ましいのでありますが、そういった環境がたとえ整備された場合におきましても、なお特段の行政措置なり何なりがなければできないといったようなこともございます。かような次第で、今後なお、恩給審議会の今回の答申につきましては、まだまだいろいろと検討を要する面があると存じます。
○藤尾委員 いま一点だけ、ひとつ長官にこれはどうしてもお伺いしておかなければならないと思うのでありますけれども、いま一般に、俗論でありまするけれども、財政硬直ということがよくいわれるのであります。そうして、その財政硬直の一つの大きな要因として恩給というものがあるんだ、恩給は財政硬直の一つの大きな原因になっておるではないかというような論議が行なわれておるのであります。私どもといたしましては、これはそうでないという見解に立ってこの問題を処理しておるわけでありまするが、政府はこの問題について公式に、一体どのようにお考えになっておられるかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 本年は財政の硬直化ということが早くから叫ばれましたわけでありますが、われわれは、一部の人が主張せられますように、恩給とか年金とかいったようなものが財政硬直化の最大の原因であるというような主張に対しては、断じてくみするものではございません。われわれは、こういうふうな問題は給与の問題と一つの相関関係を持った一体の考え方でやはり考えていかなければならぬ、ことに公務員その他の能率の問題から申しましても、あるいはまた官紀の振粛の上から申しましても、こういうふうな退職後の措置というものはやはり相関関係を持つ考え方で初めて行政が円滑に運営されるものである、かように考えます。
○藤尾委員 長官もずいぶん長い間この委員会に詰めておられるのでお疲れのようでありますので、もうけっこうであります。あとの技術的な問題は、ひとつ技術的にお話を伺います。 そこで、恩給局にお伺いをいたしますが、四十三年度の予算におきましても恩給の増額がなされまして、それぞれ増額率が一般に引き上げられておる。しかしながら、この引き上げ率といいまするものがしっかりした根拠に基づいておるかどうかということは大事な問題でございまして、この機会にひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○矢倉政府委員 お答え申し上げます。 実は増額につきましてはそれぞれ、先生の御指摘のようにそれなりの根拠が必要でございます。したがって、今回の改善率はどういうところから引き出したかということでございますが、この点は、御承知のように昭和四十二年の十月に改定実施を行なったのでありますが、改定実施いたしましたその改定のしかたについて、その後の物価の上昇というものをながめてまいりますと、かなりの増率に相なっておったわけでございます。そこでその計算の結果は、大体二年間のいわゆる物価上昇が見込まれておりません。それを見ていきますと約九・三%に相なりますので、そこで昭和四十二年の改善のしかたは、すでに御承知のように、昭和二十六年を基準として消費水準の上がりというものを見ていったところが、約一〇%の穴埋めをすべきだということで、四十二年の改善率の基本を一〇%の増額といたしたわけでございますが、それをその後の状況として本年度の改正をながめるときに、ただいま申し上げましたような物価の九・三%を埋めるというふうに考えていきますと、この基礎の一〇%を二〇%に上げることが至当である、こういうふうなことで、基準になりますところを二〇%に引き上げました。したがって、昨年度改正の二〇%は、それによって、いわゆる二〇%に対して昨年八・五%というもう一つの老齢者と傷病者優遇という線を出しておりますので、その老齢者、傷病者優遇を同じくことしの二〇%改善に合わしてまいりますと、昨年二〇%のものはこれを二八・五%に上げていくことが至当である。さらに昨年は最高二八・五という改善率にいたしました。この改善率は、いわゆる遺族に対して月額一万円、年額十二万円保障しようということでございましたので、その線を維持するために二八・五%という一番高い率を保障すべきであろう、そこで二八・五をことしの場合に中間位の人に引き上げを行ないましたので、さらに最高の二八・五の人に対する改善率はそれよりも上回る改善率にすべきである、この点についてはいわゆる給与等の諸要素を勘案いたしましたときに、三五%の改善率が必要であるという数字を得ましたので、最高三五%、中間位二八・五%、低いほうを二〇%という改善率にいたしたわけでございます。
○藤尾委員 ただいまお答えの中に出てまいりましたように、ここで政府も非常に努力せられて、三年連続して恩給を上げておられるのですね。そしてお上げになって、その結果出てまいりました支給される恩給というものは、戦没者がかりに並みの兵隊であられるという場合には、ようやく年額にいたしまして十二万円、月額にいたしまして一万円に相なった、こういうことだと思うのであります。そうしますと、いまの生活保護家庭というものを引き合いに出してみますると、これは四人家族で月額二万六千円もらっておるわけですね。そのほかに、病気にかかられれば医療手当があり、小さい子供さんがあれば教育手当がある、また年末には年末手当と申しますか、そういった意味合いのものも出てくるというようなときに、戦没者の遺族にはまるきりそういうものがついていない、そしてようやく月額にして一万円なんということになってきた場合に、これを比較して考えますと、私は、いまの恩給の実態というものを考えるときに、政府は、こういったものを横目で見ながら非常に考えていかなければならない面がある、そういうように思うのです。そういった考え方が一体今回の審議会の答申の中にどれほど生かされておるかということを、あなたは考えておられますか。
○矢倉政府委員 ただいま先生御指摘のように、恩給というものといわゆる生活保護費との比較が試みられ、私たちもそういう御指摘を常に受けておるわけであります。したがって、先ほど恩給というものの本質についての総務長官からのお答えがあったわけでございますが、恩給受給者の問題を恩給審議会としてどういうふうに考えるかということについては非常な論議がありました。その論議の中で、いわゆる恩給は社会保障ではないかもしれないが、社会保障というものが充実していく中では恩給というものを、これを無縁として考えるというわけにはいかない。したがって恩給受給者の生活という問題を考えるという考え方を、審議会としても当然考えなければならない一つの理解の本旨としていくという立場を恩給審議会の答申の前文に今回も明確にされております。したがって、今回の審議会の答申の趣旨なるものは、先生御指摘のように、やはり恩給受給者が他の少なくとも生活保護を受けられる人、そういう人との対照においても、十分にいわゆる経済的取得能力減損補てんという本旨をその中において考えていくべきであろう。 ただ、ここで申し上げておきたいと思いますのは、恩給審議会でも論議になりましたのは、恩給受給者というのは、長期に公務に従事された方のいわゆる国の使用主としての責任において解決すべき課題なので、したがってそういうことが恩給の個々の改善策の中にあらわれてこなければなるまい。こういうところから実は調整規定等につきましても、ほかのそれぞれの社会保障制度の中にも類似の規定はあるわけですけれども、やはり恩給というものの緊急性から考えると、他のそれぞれの制度の運用をまつまでもなく調整規定のあり方を明確にしていくべきであろう、かような点が今回の二条の二の運用のあり方にも示されたのではなかろうか、かように考えます。
○藤尾委員 いまの御答弁の中にも示されておるわけで、私どもも非常に安心もするのでありますけれども、一つの例を退職公務員にとりましょうか。そうしますと、永年つとめられて退職をせられた小学校の校長さんとか郵便局長さんとかというような方々が、現在ほんとうに月に一万円にも満たない恩給をもらっておられるわけですね。しかしながらその昔一応の待遇を持っておられたということのために、持ち家があるというときには生活保護が受けられない。しかしながら物価がどどん上がっていって、恩給がその物価にとても追いついていかないという現況において、その恩給でしか食えない方、生活できない方も中にはおられるわけですね。そういった方々に対しまして、一般的な通念だけでこれを一体処理していっていいものだろうかという問題がまた別個に起こってくると思いますが、こういった問題についてはどうお考えになっておりまか。
○矢倉政府委員 先生の御指摘のように、恩給受給者というのは、かつてたとえば文官であれば校長あるいは学校の先生として非常に尊敬を受けた方々であります。この人たちが退職後どのような生活をしておられるかという点については、国民感情に与える影響も非常に大きゅうございます。したがって、私たち政府側といたしましては、恩給受給者のこういうふうな生活の実態というものに目をおおうわけにいかない。こういう点につきましては、実は恩給審議会もそういう事情をつぶさに知るために地方に出かけまして、いま御指摘のようないわゆる涙の出るようなかつての先生方の話もお聞きになりまして、私たち政府側の考える点と審議会とは、その意味において同じ立場で考えるという意識をかなり高められて今回の考え方に相なりました。したがって政府側もこういう問題の取り上げ方は、先生の御指摘のように、旧来はそういう身分をお持ちであった方々である、そういう点に着目して、できる限りの恩給の改善措置を考えていくべきである、こういうことで努力をしてまいったのでありますが、実は遺憾ながら必ずしも期待どおりにまいっていない、そういうところに先生御指摘の考えがあらわれているように考えます。したがって今後審議会の趣旨も十分に取り入れ、これらの問題に対する解決策を用意してまいらなければならぬだろう、かように考えております。
○藤尾委員 非常にけっこうなお考えで、私どもも安心をするのでありますけれども、大体御案内のとおりで、四十二年度の予算で申し上げますと、恩給の予算額とこれをもらう人員というものを考えますと、金額にいたしまして平均しますと六万七千円、月額に直しますと平均いたしまして五千六百円、こういうのがいまの恩給の実態であるということがものの考え方のスタートにならなければいけない。そういうことが非常にいまの物価騰貴とあるいは恩給の使い方、これも調査ができておると思うのでありますけれども、そういったものと比べてみて、このスタートにおいてもうすでに相当な狂いが出てきておるという考え方で出発をしていただきませんと、一応いまの考え方を基礎にして、今後消費者物価の水準を、五%になったならば調整規定を運用してこれにスライドしていくのだというような考え方でやられたのでは、私は恩給の本質からいって、それは国の当然行なうべき措置として妥当なものであるとは言いがたい、かように思うのです。この点はいわゆる予算時期になりますと、遺族会にいたしましても、あるいはそれぞれの退職公務員にいたしましてもそれぞれの団体が、別にデモをやるわけでもなければ投石するわけでもないのですね。陳情される。その陳情が何か圧力であるかのごとき印象をもって受けとめられて、何か圧力団体によって恩給がこのようになったんだとかというようなたぐいの評価を受けておる。これは非常に不当な評価である。その評価を変えるような実際的な措置を政府が当初においておとりになっていただきませんと、そういった非常にお気の毒な方々に対しまして、政治というものがどのように働いておるのだということを、私どもは逆にかなえの軽重を問われてもしかたがないと思うのです。そこの点を、これは行政的な面で、われわれの立場とは違いますけれども、あなたは長年恩給問題を取り扱っておられて、現状を顧みてどのように考えておられるのかということを、これは感想でけっこうでございますので、ひとつ……。
○矢倉政府委員 確かに先生の御指摘のように、いわゆる予算の面と、それから受給者の年限割合からまいりますと、金額にいたしましても、いま御指摘のように月額五千何百円という、額としても、決して世間でお騒ぎになるような額のものではなくて、むしろ逆に非常に恩給額が少ないじゃないかという印象のほうが強かろうと思うのです。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 ただ、ちょっとお断わりを申し上げなければなりませんのは、先生も御承知のように、恩給の制度の立て方が、いわゆる恩給受給者の勤続年数と、それからその方の最終俸給が一応基礎になって、その後それをそのままに維持するということは恩給の意味をなしませんので、そこで実質価値の保持という形で恩給の額の調整をそれぞれいたしてまいっております。したがって、年限の非常に短い方がおられるということが、平均額においてかなり低い額を示しておるという実態もございます。しかし、そうは申すものの、やはり恩給というものを、先ほど来申しておりますような、また先生の御指摘のような恩給の本旨からわきまえていきますと、これでいいとはいえない。したがって、恩給額についてそういうふうな問題を切実に感じておられる恩給受給者が自分たちの実情を訴えるということが圧力だともしいわれるなら、これはもう圧力でないといわなければならないし、切実な訴えをすることのできるのは、今日のいわゆる言論の自由のある中では、必然的に自分たちの生活実態を訴えるというその訴え方に問題があるという指摘のしかたは、私たち感想としては、むしろそれを払拭していくべきだ、かように考えるわけでございます。
○藤尾委員 いまのおことばで十二分に満足をするのでありますけれども、なるほど勤続年限に従って恩給というものは考えられておる。そうすると、たとえば高級職業軍人というようなものの場合を考えてみましても、昔の中将の方でいま受けておられます金額が、年額にいたしまして三十五万三百六十六円ですか、中佐の方で二十一万七千九百円、その戦没遺族で三十七万八千三百九十五円、二十五万四千九百四十三円、こういうことになっておるわけですね。そうすると、こういった方々の受けておられます恩給といいますものが、生活保護を受けておる一家と比べて、実際問題として全然変わりないわけでしょう。これが生活保護を受けておられます一家が四人家族の場合には年間大体三十五万円くらいになると、いうことになりますと、恩給というものに対するものの考え方が、いま言っておられるようなものなんであって、この点は十二分に頭を変えていただかなければならぬところだと思うのです。別にお答えは要りませんけれども、私の設問に間違いがあるといけませんから、どのように考えられるか、いま一度御見解を伺いたい。
○矢倉政府委員 確かに、軍人恩給にいたしましても、職業的におやりになった方はそれだけの勤続年限があるわけです。その勤続年限のある人、あるいは学校の先生にいたしましても、たとえば古く御退職になった方々は、今日で直してみますと、かなり低い恩給額というふうに、これは一般的、常識的に感覚としてあろうと思います。したがって、そういう点についても何らかの補正が可能になる範囲は、御承知のように、いろいろな措置をこれまで講じてまいったのでありますが、しかしこの点については、十分にまいっているということには言いかねる点がございます。したがって、今回の審議会の答申の中にも、さような点について若干の項目にわたっての是正の是認をいたしておる、かような点がございます。われわれは、審議会の答申のそれらをどういうふうに生かしていくか、今後にかかる問題ではなかろうか、かように考えております。
○藤尾委員 そうすると、今度いよいよ恩給審議会の答申に基づく問題に入っていくわけでありますけれども、調整規定を運用する場合に、そのしわ寄せというものは、これは一々立法化する必要があるのですか。
○矢倉政府委員 恩給審議会の答申によりますと、この点につきましては、制度化をするという、そういう措置によってこの調整規定の運用のあり方を、一応政府としても明確にその措置ができるような根拠を明らかにしている、こういうことに相なっておりますので、さような点について今後のあり方を検討してまいる、かようなことになろうかと存じます。
○藤尾委員 またもとに返って、消費者物価五%ということにめどが出されておるようでありますけれども、五%といいますものの根拠は一体何ですか。
○矢倉政府委員 消費者物価五%というこの審議会の答申が出されましたのは、改定につきましてはやはり一定の基準がなければなるまい、その基準がないと、改定そのものが非常にばく然としてしまいますので、そこで五%という線を出されたのでありますが、この五%は、御承知のように、国家公務員の給与改善につきまして、国家公務員法第二十八条の規定の中に、いわゆる五%以上の公務員給与の改善を必要とする場合には人事院は勧告をもってこの改善のあり方を実現するようにという基本的な考え方が示されております。そこで、恩給受給者もかつて公務員だというところに目を向けまして、ここに審議会は五%という線を打ち出すということをせられたのであります。
○藤尾委員 そうすると、公務員給与等はこの場合は考えられないわけですか、要素として。
○矢倉政府委員 この審議会の答申は、いわゆる消費者物価はつまり不可欠の要件だということで示されておりまして、したがって、五%のこの消費者物価については、政府側としては、これを実現していくという意味においてこれを義務づけられるという点が非常に強い感覚で示されております。しかし二条の二という調整規定には、国家公務員給与という問題もございます。それから国民の生活水準という問題も示されております。したがって政府側はこれらのもう二つの柱について、政府の責任においてこれらの公務員給与についても、いわゆる生活向上分という考え方でその問題についての考慮を払うべきであるという示し方をいたしておるわけでございます。
○藤尾委員 時間も長くなりましたので、幾ら聞いたって切りがないので、今度恩給審議会の会長さんをお呼びになってその話を承り、各党からの御質問も行なわれるようでありますから、その際に詳しいことを申します。 最後に一問お伺いをいたしておきますが、今回の答申において示された調整規定といいまするものの運用は、一体いつからなさるおつもりですか。
○矢倉政府委員 調整規定の運用につきましては、いわゆる規定そのものをどういうふうにしていきますかという点について、なお検討を要する問題がございますので、その調整規定の実施の時期は当然のことでありますが、この制度の立て方とからんでまいりますので、なお政府側においては今後のできるだけ早い時期にその問題についての結論を出してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○藤尾委員 それではもう予鈴も鳴ったようでございますから、さらに質問もたくさんございますけれども、それはそれといたしまして、本日の質問はこれで一応打ち切ります。
○浦野委員長代理 次回は来たる十八日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十三分散会