大蔵委員会 第26号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/04/19
会議録
○田村委員長 これより会議を開きます。 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
○広沢(賢)委員 税務署の設置に関する問題で、税金の取り立て方についてお聞きします。 まず第一番に、家内労働者と税金の問題が前にいろいろ問題になったと思いますが、家内労働者の所得は給与所得とみなしていいのじゃないか、その点についてはどう思いますか、国税庁長官。
○泉政府委員 所得が事業所得であるかあるいは給与所得であるかという点につきましては、給与所得というのは御承知のように雇用主がおりまして、その雇用主との雇用関係に基づいて労働の対価としての賃金を支払う、こういう場合にその支払いを受けるものが給与所得、こうなるわけであります。家内労働の場合いろいろの形態がございますので、単純に申し上げるわけにはまいりかねますけれども、多くの場合、その家内労働をする場合、それは出来高幾らについて幾らの賃金ということのようでございますけれども、その製品のできが悪かった場合の危険負担の問題とかいったような点において請負と目すべき場合があるわけでございます。請負と目すべき場合におきましては事業所得として課税すべきであり、請負としての形態でない、単純にもう労働力を提供しているにすぎない、こういう場合には給与所得として課税すべきでありましょう。 したがって、その実態を十分見きわめた上でないと単純に給与所得、事業所得というわけにはまいりかねると思います。したがって、税務の調査の際におきましてはその実態がどうなっているかということを十分注意して調査した上で、あるいは給与所得として課税するあるいは事業所得として課税する、こういうことにいたしております。
○広沢(賢)委員 その判断ですが、その判断が税務署でまちまちな場合がある。たとえばこの前に問題になりましたのは、御承知のとおり、はきもの工、それから鼻緒ですね、これはだんだんと少なくなってきますが、その人たちの件については昭和二十六年六月七日の東京都主税部税務課長の通達で個人事業税が廃止されております。ところが、今度くつ屋さんですが、浅草、このうしろのところにずいぶんありますが、このくつ屋さんについては、東京都とかけ合うと、いやこれは国税庁へ行って聞いてくれということで、個人事業税をかけるということですね。前にヘップサンダル工の組合もそうなのですが、大蔵省では一つの事業をやっているとみなしている、労働省では家内労働法の適用の労働者とみなしている、こういうまちまちなことがあるのです。たとえばくつ屋さんですが、くつ屋さんは明らかに問屋へ行って材料をもらってくるのです。だから問屋と雇用契約を結んでおるような形になっている。それから仕事は持って帰るけれども、銭でもらって、縫う糸とか針とかはそれで買うというのだけれども、やはり向こうから銭をもらってくる。あとは全部、材料はもう向こうから提供される、上から提供されるのです。それから、やっている仕事は、定期的に納めて、それで出来高払いの賃金と同じようにもらってくるのですね。縫う機械、ミシンも大体借りて、それで逐次返していって、将来自分のものにすることもあるけれども、そういう形ですから、もうほとんどこれは家内労働者といってもちゃんと従属している形になっているのです。この人たちは税金をまけてくれということじゃないのです。たとえば個人事業税は取られるけれども、これは東京都で取られるわけです。所得税は給与所得にしたほうがかえって重くなる場合もある。それでもやってくれと言うのですよ。もうかなわぬと言うのです、いろいろなものを調べたり書いたり何かするのがね。そういう意味合いですから、統一した判断を下すことはできませんか。
○泉政府委員 もし税務署の間でそういったことの取り扱いが異なっておるということでございますと、それは私のほうで十分調整いたしまして、税務署ごとにそういうことの間違いのないようにいたしたいと思います。 いま御質問の御趣旨を拝聴いたしますと、都のほうでは事業税をかけておる、それは国のほうで事業所得として課税しているからが、こういうふうなお話のように承ったのでございます。先ほど申し上げましたように、そういったはきものあるいはくつなんかの下請をいたしております場合、確かにそれは材料あるいはミシンというようなものは借りてきておる場合が多かろうと思います。しかし、ミシンなんかもだんだんとその金を返していって、将来は自分のミシンになるという場合もありましょうし、それから一番決定的なものは、先ほど申し上げましたように出来高払いの支払があるわけでございますけれども、その製品を納める前に事故があった場合、その事故があったことによる危険負担をだれが負うか、その危険負担を請け負っておる人が負うということになりますと、これは請負業に該当することになりますので、その場合には事業所得とせざをる得ないと思うのでございます。ただ、私どもとしましては、私どものほうが事業所得にしておるからすぐそれに事業税を課すべきかどうか、これはまた別の問題ではないか。地方税としての事業税をどういうものに課税すべきか、これは都としての判断があってしかるべきでございます。先ほどお話のありました二十六年の東京都の通達で課税を廃止しておる場合もあるわけでございますから、そういう点からいたしますと、国で事業所得として所得税を課しているからすぐに事業税を課す、これは問題ではないかと思います。 しかし、いずれにいたしましても、労働省との間でもそういうふうな違いがあるということでございますれば、さらにその実態を調査いたしまして、どういうふうにすべきものかよく考えてみたいと思います。私どものほうで調べました結果によりますと、浅草税務署の管内におきますそういうはきものの下請業者につきましては、一部給与所得として課税しているものがあり、一部請負として事業所得の課税をしている、これは先ほど申し上げましたような危険負担の点、あるいはミシンの取得がどうなるかといった原材料の点、こういった点を考慮してそういう分け方をいたしておるのであります。なお、十分調査いたしまして正確を期したい、このように思います。
○広沢(賢)委員 危険負担というのは程度問題ですね。ですから、なるべく早くこの問題について統一した解釈で親切に指導してやらぬと、税金を納めるときになるとまたがたがたあちこちでもって紛争が起きる。これは税金を軽くするとかそういうことを考えるよりも、事務の手続の問題ですから、親切になるべく早くやっていただかぬと、東京都のほうはもう国税庁へ行ってくれ行ってくれといって逃げちゃっているのです。だから、国税庁がはっきりとした親切な指導をしていただきたいと思うのです。 それからもう一つ、最近私立保育所に個人事業税がかかってきているのです。これも同じだと思うのです。税務署からいろいろ調べに来られる、人手不足でどうにもならぬ、そういうときに困っちまうというのですね。これは足立、杉並、豊島でとられ始めたのですが、これについてはどう思いますか。
○泉政府委員 私立の保育所に対して事業税が課せられるということでございますが、私どもが承知いたしておりますところでは、東京都のほうでは自治省の通達が出ておりまして、そういう私立の保育所に対しては事業税は課さないということになっておると思います。私どもの国税の所得税のほうで申し上げますと、これは庶業所得になるわけでございまして、庶業として課税はいたしておりますが、事業税の課税対象にはならないはずでございます。
○広沢(賢)委員 じゃ、それは自治省通達ですから、自治省通達のほうが確かでしょうが、現に個人事業税としての事務がたいへんだというので困っているのです。国税のほうだと、この私立保育所というのは東京都が認めて、それで保育単価が全部きまって、そこで働いている人の定員が全部あるのです。安い給料で、行政職の俸給表(一)、(二)に準じて給料がおりてくるのです。それから修繕費も、それから営繕のいろいろな問題も、全部単価がきまっていて都からおりてくるのですね。全部きまっているのですよ。だから、結局もうけたり何かする裁量の余地がないのです。そこで今度は、子供たちに何とかというのでピアノを買ってやろうと思うのですね。都がくれないものだから、みんなでもって集めた金でピアノを買う。そうすると、ピアノは必要経費でないということで税金がかけられる。その事務が、ほんの少ない人で、一つの保育所でもって大体三人か四人ぐらいの人ですから、それでもって税金の計算や何かいろいろなことをやらなければならぬというので、これも事務の上でたいへんだというのですね。頭が痛くなってどうにもならぬというのです。ですから、これもやはり給与所得とみなさなければいけないんじゃないかと思うのですが、それについてはどうですか。
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、給与所得といたしますためには、やはり雇用関係があるというのが原則として前提になるわけでございます。ところが、いまの保育所の場合は、なるほど都から保育所経営につきましてこまかく人件費、物件費というふうに分けまして、いわゆる委託費というのが出ておりますけれども、しかし、保育所経営について別段都との間に雇用契約があるわけではございません。それからこの委託費の内訳が人件費と物件費というようにこまかく分かれておることも承知いたしておりますが、これも総額の範囲内で、保育所の経営者の手腕である程度やっていける。たとえば保母について、安い給料の保母を雇うと全体の人件費のうちで保育所の経営者のほうの手取りになる分がふえる。そういったようなことがございますので、私どものほうとしては、どうも給与所得とすることは適当でない。そこで、先ほど申し上げましたように庶業所得として課税をいたしております。給与所得といたしました場合にも源泉徴収するかどうかという点で問題が出てまいりますし、庶業所得とすれば、なるほど必要経費云々というようなことでその計算が問題になってくることもあろうかと思いますが、やはりいずれにしても、ある程度の税についての計算事務はやっていただかなければならないことであります。できるだけその事務の手間を省くような方向につきましては、税務署のほうと保育所のほうと十分御相談申し上げたいと思いますが、それだからといって給与所得として課税するというわけにはちょっとまいらないと思います。
○広沢(賢)委員 そうすると、たとえば東京都と相談して、都との雇用契約のような形に仕組みを直せばどうなんですか。
○泉政府委員 仮定の問題でございますが、雇用契約というのがはたして成り立つものかどうか、やはり全部の職員が都との間の雇用契約とならないといけないわけでありますから、保育所の経営者と都と契約を結びましても、経営者がまた保母を雇うということになりますとやはりそこに問題が出てまいりますので、必ずしも経営者だけが都と雇用契約を結んだからすぐ給与所得というわけにはまいらないものと思います。 いずれにいたしましても、事務のほうでたいへんだということであれば、その事務の手数を省く方向につきましては、十分保育所のほうと税務署のほうと打ち合わせるようにいたしたいと思います。
○田村委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田村委員長 速記を始めて。
○広沢(賢)委員 いろいろ相談して、簡単なやり方と言いましたけれども、具体的にどういうように簡単にやるつもりですか。
○泉政府委員 いま、保育所の場合には都から出ている委託費というものがございますので、大方の場合には、その委託費の金額はもうはっきりいたしております。したがって、それに一定の標準率を用いて課税するとすれば、保母の必要経費云々ということはあまりせんさくしなくても、課税としては済むのではないか、こういうふうに考えられます。そういう方向を検討したい、こう思うわけでございます。
○広沢(賢)委員 私も、これはいろいろ今後研究いたしますが、ここで働いている人たちは給料が低いんですね。給料が低くて、ここに書いてあるとおり、全部都から来ておるのです。全部がんじがらめなんです。ですから、たとえば、さっきお話がありましたピアノですね。ピアノは小さい子供を育てるのにどうしても必要なんですね。それで、無理してみんなから金を集めたり何かして、やっとこさっとこ買ったら、必要経費として認めないとかなんとかがんがん言われたんじゃかわいそうだと思うのです。だから、いまのやり方で、簡単にする方法と相まって、たとえばピアノとかその他、建物もずいぶん古くなって、老朽化しておるものもあるのですよ。だから、そういう費用については、特別に認めてやるようにお願いしたいと思うのですが、どうですか。
○泉政府委員 ピアノはおそらく三万円以上のものだと思いますので、そうなりますと、それは減価償却資産ということになって、減価償却額を必要経費として引くということになるわけでございます。購入費の全部がその年の必要経費になるというわけではないと思います。だから、そういう点は、もし税務署のほうで間違った取り扱いをいたしておりますれば是正をさせたいと思います。そして、何らか簡便な方法で、あまり事務の手数を要しないで円満に課税ができるようにしたい、こう考えておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 ちょっと関連。 国税庁長官に伺いますが、ぼくは大蔵委員会でたびたびあなたにお願いしておったのですが、御承知のように、地方の税務署の署長さんとか副署長は税務署の署員としては最高の地位についた人なんです。ところが、あなた方みたいな秀才は局長なり、長官になるのですけれども、地方の税務署の署員というものは、御承知のように、大体署長が最高だと思う。そこで、たとえば私のほうの一宮の税務署長は愛知県で第一等級である。県に第一等級のが他に五つばかりありますけれども、一宮の税務署の署長さんの所得は第一等級である。ところが、この一宮で、地方の一番上になる、いろいろの長のつく人が二十三人もおる。ところが、一宮の税務署長は俸給が十九番目なんですね。公務員の俸給が安いことにはいろいろ問題があることはわれわれも知っておりますけれども。しかし、そういうものに対してどういう待遇を与えておるのか。たとえば、昔なら、税務署の署長になれば、やめても、うちで鶏でも飼っていれば食えたのですよ。ところが、いまでは三十年つとめて、やっと署長になって、やめるということになれば悲惨な状態だと思うのです。いまの俸給ではむすこを大学へも入れられません。そこで、人事院の問題があるからいろいろ問題はありますけれども、こういう金を扱うことをやっている税務署の署員なんかに対しては、何らかの方法で考えてもらいたいことをかねて私は大蔵委員会で言っているのですが、何か御配慮をしていただいた点がありますか。
○泉政府委員 お話しのとおり、税務職員は普通の場合には税務署長というのが最高峰の地位になるわけでございます。税務職員につきましては、御承知のとおり一般の行政職の職員と違いまして税務俸給表の適用を受けているわけでございます。そういう意味で、他の一般の行政職員より約二号俸、一一%程度水準差が設けられておるわけであります。ただ、これは税務の特殊性からいたしまして、税務三等級程度までしか認めておりませんで、税務署長あるいは税務署の副署長というのは税務一等級ないし二等級なのであります。一等級、二等級ではその水準差がない形になっています。というのは、税務署長は行政職であるという扱いを受けておる関係でございます。しかし、私どもといたしましては、税務署長を一般の行政職と同じに扱うことは、せっかく調査官とか課長時代は税務俸給表の適用を受けて水準差があるにもかかわらず、一等級、二等級になると水準差がなくなることは問題だ。もとになる水準差自体もいまは一一%でございますけれども、これが昭和三十二年の現行法の給与体系ができました当時は一七%であったわけです。したがって、その水準差自体を一七%に拡大してもらうと同時に、税務一等級、二等級についても何らかの水準差を設けてほしいということを実は人事院にお願いしておるのであります。人事院にも若干ずつ年々水準差をよくしていただいておるのでありますが、それも一一・何%という、その一一%台はあまり変わらぬで、〇・何%のところが上がる程度なので、これではなかなか容易ではないから何とか抜本的な対策を講じてもらいたいということを希望いたしております。 それと、もう一つは、だんだんと税務三等級の職員がふえてくる関係上、俸給表が詰まってまいります。税務署長のうち、たとえば東京の麹町であるとか日本橋であるとか京橋のような署長にたりますと、地方の国税局の所掌の税収よりも多い税収を一税務署であげておるのがあります。そういたしますと、国税局長は行政職の一等級でありますが、税務署長は税務一等級ということで、これは行政職の二等級にしか当たらないわけであります。そういう点からいいますと、そういった巨大な税務署長はもう少しいい待遇をすべきではないか、こういうことを考えて、これも人事院にお願いしておるわけでありますが、他の官庁とのバランス上なかなか認めがたいというので、私ども苦心いたしておるところでございます。
○佐藤(觀)委員 もう一点。だいぶ税務署は建物がきれいになり、宿舎もだんだんとふえてきているのですが、御承知のようにやみの酒を摘発するあの危険な仕事をやる人、これについて前から注意をしておいたのですが、こういう点の危険手当、そういうものは一体あれ以来ふえているのかどうか。そのまま据え置かれていたのでは、危険なことをやる——私は高知県に国政調査に行ったのですけれども、島だったのですが、高知県にも非常に大きなやみ酒をつくる特別のあれがあって、非常に危険らしいのです。夜襲まで受けるというような例もあります。そういうようなものに対して、国家の仕事をやっておる人にそういう危険なことをやらせる以上は、危険手当などというようなものを設けてやる必要があるのじゃないかということを私は現地へ行って非常に感じたのですが、そういう方法については何らかの配慮がされておりますか。その一点をお伺いしたいと思います。
○泉政府委員 お話しのように、密造の取り締まりの場合には、先年もございましたように、石を投げられてけがをするなど非常に危険を伴います。それからまた、暴力団体なんかの調査に参りますと、これもまた危険を伴うことがあるわけであります。したがって、私どもといたしましては、そういう特殊な危険を伴うような勤務の場合には、危険手当と申しますかあるいは特殊勤務手当というのを支給するようにしたいということで、これも制度のほうが人事院でありますので、人事院のほうにいろいろ折衝をいたしておるのでございます。人事院の方針といたしましては、給与というものはできるだけ基本給を中心にしたいので、そういう特殊勤務手当という形で手当をふやす方向は好ましくないのだということで、なかなか承知してもらえないのであります。たいへん残念に思っておりますが、なお強力にそういう方向で推進していきたい、こう思っておるのでございます。
○広沢(賢)委員 さっきの話の締めくくりをしますと、やはり家内労働について各税務署、それから地方税の関係、全部統一した指導、きちっとした指導をしていただきたい。先ほど言われた御答弁にあったとおりだと思いますが、これを念を押しておきます。 それから、同和信用組合の問題です。私はこれはやはり問題を解決しなければいけないと思うのです。 それで、この間の国税庁長官より各国税局長あての「預貯金等の調査について」この通達はいまも生きているわけですね。
○泉政府委員 さようでございます。生きております。
○広沢(賢)委員 そうすると、やはり普遍的に個人別の預貯金の調査を行なうことは避けるということですが、同和信用組合の問題についてはこの点を十分確かめられましたか。
○泉政府委員 お話しのように、金融機関は預金の秘密性の問題がございますし、公共的な機関でございますので、預金者が不安を持つことのないように、その金融機関の取引先の納税者について預貯金の有無並びにその金額を調査いたしますときには、個別に納税者の名前をあげて調査をするということで、普遍的な調査はしないということにいたしております。 同和信用組合の場合におきましても、前に申し上げましたように、私どものほうで査察をいたしましたのは、それ以前に脱税容疑として私どものほうで査察立件いたしております五名の人の取引並びにその預金の額を調査するために査察をいたしたのであります。そういう意味では決して普遍的な調査をいたしておるわけではございません。
○広沢(賢)委員 これは水かけ論をやってもなんですから、前向きにいろいろ議論したいと思いますが、この事件が訴訟になっているということは御存じですか。
○泉政府委員 承知いたしております。それで、最初の執行停止を求める訴訟は第一審におきまして拒否と申しますか棄却されまして、それに対して第二審へ控訴しておるようであります。そのほかにもなお二件ほど訴訟が提起されております。
○広沢(賢)委員 その訴訟の結果にもよりますが、この間私がいろいろ御質問申し上げまして、いろいろ書類を渡しました。今後もその問題について十分調査して、一つ一つにわたり、これは事実か事実じゃないかをやはり吟味したいと思うのです。 きょうは時間がないから一つだけ取り上げますが、三和企業というのがありますね。この人の関係は、これはたいへんな——その前にもう調べてしまったのですね。調べてしまって、それで本店には取引関係がないということがわかっているにもかかわらず、本店に対して武装警官隊やなんか行ったという事実がありますが、これは本店にはどうして行ったのですか、この点。
○泉政府委員 これは、実は私どものほうの調査によりますと、三和企業が同和信用組合の本店と取引があるという資料がありましたので、そこで本店のほうに参って調査をいたしたのであります。ところが、よくよく調べてみますと、同じ三和企業という名前でございますけれども、実体が違っておる、もう一つ別に三和企業というのがある、そのほうが本店と取引があるということが判明いたしたのでございます。当初はそのわれわれのほうで調べている三和企業と取引があるものと思っていたものが、同じ名前であったものでございますから、そういうことがあったのでございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、名前を間違えて、それでもって武装警官隊が三百入行ってがたがたにしてしまって、そのあとどうするのですか。がたがたにしてしまったあとで、お金もなくなったとか、領置目録もつくらないということで、私は済まないと思うのですが、その点。
○泉政府委員 この三和企業も上野支店のほうとは取引があったのでございます。なお本店のほうでは、私のほうで先ほど申しました五人のうち、三和企業以外の他の二名は取引があるわけでございます。したがって、私どものほうは、その三和企業を含めましてその三名の方について査察調査をするという令状をいただいて本店に参ったのでございます。三和企業は確かに、たまたま同じ名前でありましたために、令状を請求して参ったけれども、その実体が違うということが判明いたしたのでありますが、他の二名の方については、令状を執行して、その預貯金関係を調査し得たのであります。 武装警官とおっしゃいますけれども、本店のほうにはそれほど多数参ったわけじゃございません。本店のほうに参りましたのは、査察官と警官を合わせましても二百名程度でございました。したがって、めちゃめちゃにしたというほど本店では騒ぎは起こらなかったのであります。むしろ騒ぎが大きかったのは支店のほうでございます。
○広沢(賢)委員 時間がないからあれですが、私は支店のことを聞いているのじゃないのです。本店のことを聞いているのですよ。三百名が二百名になったとしても、あとその該当者が、これは新宿企業とそれから金年珍、それから松本裕商事と李五達だと思いますが、この件についていろいろ調べた結果、どういうあれが出ましたですか。
○泉政府委員 査察調査いたしておりますので、名前は私のほうは公表いたしたくございませんので、その点御了承いただきたいのでありますが、そのうち一人の方につきましては、すべてに告発を本年一月にいたしております。他の者につきましては、なお調査中でありますが、いずれそれぞれ手続をとることになろうかと存じます。
○広沢(賢)委員 この人たちについても本店との取引関係は実はないのですよ。ないでしょう。松本裕商事は上野支店と取引があるけれども、そのほかの人はないと思います、本店とは。どうですか。
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、五名の方のうち三名の方が取引があるのかと思って調査したわけでありますが、その一つの三和企業が同名で違っておったということでございますので、あとの二名について調査をいたし、そのうちの一名はすでに告発をいたしておる、他の一名が残って調査いたしておる、こういうことであります。
○広沢(賢)委員 この問題を私が取り上げるのはどうしてかというと、これは私たちの社会党の場合は、やはり大口脱税や何か許さない、そういう点ではいろいろ税務署のあれに対して十分われわれだって応援しますが、ところが、今度の場合の事件というのは、これはもうとてもとても——銀行局長に一回聞こうと思うのですが、だれが見てもめちゃくちゃなやり方であると同時に、もう一つは、いま外国人学校法案というのが出るか出ないか、朝鮮大学校の問題がありますが、たとえば美濃部知事に対して、朝鮮大学校の認可をしたということで、右翼の暴力団がどんどん脅迫したり、いまもう警官が非常に神経過敏になっているのです。日本の平和のためにも、やはり北朝鮮との貿易、プラント輸出その他のことを、国交回復になってないまでも努力しなければならないですね。それで、ことに韓国にアメリカ軍が駐在して、そしてアメリカ軍が原子砲を持っているとかいろいろ話がある。そういう状態で非常に重要な時期ですから、やはり確かにいろいろ朝鮮の人が脱税するとかその他のうわさがありますが、今度の事件の原因も——私はこれは雑誌の全貌という、私から見ると右翼の雑誌ですが、それに私と石野久男が朝鮮ロビーだと書いてあるけれども、それを見ましても、東京国税局は該当者を査察した、これは確かに脱税をしているかもしれない、その容疑でやったのですね、それが資料を取られたと書いてある。税務署が差し押え資料を取り返された、それで国税局は何くそということで敵がい心をわかして、それでもって今度報復的なやり方をとったのではないか、そういうように私どもには見られるのです。 つまり、税務署のやり方は、いろいろのいきさつはあるかもわかりませんが、民商とそれから朝鮮商工会に対しては向こうはち巻きでもってけんかするつもりでやっているのですが、その結果、中野の問題では税務署のほうが負けてしまったのですね。営業活動を停滞させる税務調査は違法であるというので、東京地裁の判決が出た。つまり裁判で負けるようなことをやるというのは、これは行き過ぎなんです。だから問題は、今後もあると思うのですが、朝鮮人のあれだからということで、日本人がいままでずっと持っていた非常によくないそういういろいろの考え方を発揮してはいけないと思うのですが、それについて、国税庁長官、正しい考え方についてお話を願いたいと思います。
○泉政府委員 私ども朝鮮の人だからどうだというような考えは毛頭持っておらないのであります。日本人でありましても朝鮮の人でありましても、脱税をしておられればその脱税は調査して適正な課税をしなければならない、こういう基本的立場を持っておるわけでありまして、特に朝鮮の人であるとか民主商工会の人だからというのでねじりはち巻きをするということではございません。ただ、同和信用組合を査察せざるを得なかったのは、先般も申し上げましたように、私どものほうで取引があると認められるこの五名の査察立件いたしておる人につきまして、いろいろの資料を任意提供していただくように協力を求めたのであります。先般もお話がございましたような、他の人の場合には任意に資料を提供していただいた場合もあったわけでございますが、この五名の方についてはどうしても資料の提供がなされませんでしたので、やむを得ず査察調査をせざるを得なかったのであります。したがって、このような事件がそう起こるものとは思っておりません。その後も金融機関のほうにもお願いをいたしまして、査察調査を金融機関にしなければならないような事態を起こさないように、金融機関のほうで御協力をいただきたい。そのかわり、私どものほうも金融機関にそういう資料の提供をお願いするときは、普遍的な調査をするものではなく、脱税の疑いのあるもの、偽名預金、架空名義預金などもございますので、その人の預金と目されるもの、こういったものについて調査をする。こういう基本的立場をとっておるわけでございます。 〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
○広沢(賢)委員 事実の問題については、これは水かけ論になりますから、また十分調査をしていただいて、また後日お話しをしたいと思います。 もう一つお尋ねしますが、国税庁長官はいろいろなところで非常にいい意見を出されておりますが、売り上げ税については、この前主税局長は反対ですと、こう言ったのです。国税庁長官も非常に税に詳しくていい意見を持っておられますが、どうですか、売り上げ税に反対ですか。
○泉政府委員 いま私は、税制の企画、立案をする立場にございませんので、私が申し上げることかどうかわかりませんけれども、税負担の点からいたしますと、売り上げ税というのは間接税の中でも特に逆進性の高い税になるわけでございます。間接税につきましては、御承知のとおり逆進性が高いものですから、日本でも物品税などは税率を異にする、あるいは酒税でございますと、特級、一級、二級の区別をつける、こういったようなことでできるだけ逆進性を少なくする努力をいたしておるのであります。しかし、売り上げ税というようなことになりますと、なかなかこの逆進性を緩和する措置がとりにくいのであります。そういう意味では、税負担の面からはあまり好ましい税ではない。ただ、税収という点から申し上げますと、かなり低い税率で相当多額な税収をあげることができる。そういう意味では、徴税費が非常に安いという点は利点であると思っております。しかし、間接税全体のあり方、ことに個別消費税の形をとっておる日本の場合に、いまの間接税体系をそのままにして、取引高税とかあるいは売り上げ税というものを導入する点についてはいろいろ問題があるわけであります。また、基本的に直接税と間接税の割合がどうあるきべかという点についても、世間では間接税の割合をもっと高めろ、そのために売り上げ税を導入しろといったような意見もあるようでございますが、そう単純にはまいらない。やはり税負担の公平の点からいえば、ある程度直接税の割合の高いほうが望ましい姿だというふうに考えております。
○広沢(賢)委員 大蔵大臣と倉成政務次官がいたところでこれは議論するほうがいいのですが、相手がいないから。けれども、カエルのつらにしょんべんというのはこれで、まだ国会が開かれている最中に、税制の長期ビジョン、売り上げ税の創設と宣伝を始めたのです。これはけしからぬですね。主税局長までがきちっとしたことを言っているにかかわらず……。これはまたあとで大蔵大臣にお話し申し上げたいと思います。 以上で終わります。
○渡辺(美)委員長代理 只松祐治君。
○只松委員 現在、申告が終わりまして、ぼつぼつ申告に基づく調査といいますか、そういうものが各税務署で行なわれてきて、こういう問題をめぐりましていろいろトラブルが起こっております。昨年度はまあまあですが、一昨年あたり、公債が発行されなければならない、こういうことで、財政が苦しくなってまいりました。そういうことで、国税庁における徴税面というのがだいぶきびしくなってきたわけです。そういうことと関連して、私たちがたびたび指摘をしてまいりました国税庁職員の態度というのが再びきびしくなってきたように——私たちも年じゅう税務署に行っておるわけではありませんが、いろいろな態度から見て、徴税態度が相当きびしくなってきたということを感じるわけでございます。特別にそういう面の指令を出されたというようなことではないと思いますけれども、末端における吏員の態度が相当きびしい、こういうことをまた近ごろよく耳にするわけです。特別のそういう通達か何かをお出しになったり、行政指導をなさっておるかどうか、お伺いしたい。
○泉政府委員 最近特にそういう特別の通達を出した覚えはございません。私どもといたしましては、基本的には、多額の脱税をしておる者について重点的な調査をする、そして中小企業、小規模な業者については、できるだけ指導によって正しい申告納税をしてもらうようにする、こういう基本的な立場で仕事をするように言っておりまして、特に新しく通達を出したというようなことはございません。
○只松委員 私たちも、常々、税制の民主化、そういうことを私たちなりに述べあるいは促進をしてまいった。青色申告なんか、そのためにできるだけ優遇措置を講じるとともに、自主的に納税をするようにということで、いろいろいままで討議を進めてきておるわけです。 ついでながら青色申告のことにもちょっと触れておきますと、青色申告を出せ出せと言うから、出した。ところが、倍にもなった。こういうことをちょいちょい聞きます。それはいままで君らが脱税しておったのだろう、だからちゃんとつけたらそういうことになったのだからそれはしかたがないじゃないか、こういうようなことを言って納税者側には説明することがありますけれども、私なんか、個人的に、青色申告のほうがいいだろうと言うと、先生がそう言ったから入ったが、とにかく倍ぐらいになりました、何とかならないですか、こういう方がけっこうあります。これは初めしろうとだからいろいろ税務署に相談に行く。すると相当きびしく帳簿のつけ方や何か指導される。そういうことでやっているといつの間にか倍になっていた。ある人は三倍になっていたという人がありますが、これはもともとが、帳面のつけ方がよくなかったのだというふうなことですけれども、全般的に青申に転化したとたんに相当強く徴税が行なわれる、こういうことを耳にするわけです。こういうものも全般的に、税務の調査、こちら側からの申告、そういうものをあまり無理がないように、特に青申や何かする人は大体確たる業種を持っておるわけですね。営業を営んでおる。こういう人でありますから、そういう人に対する強い規制というものはできるだけ避けていったほうがいいのではないか。もちろん大口脱税やその他に対する捕捉ということは、私たちが年じゅう指摘してきておりますように、必要です。そういうものの最たるものの一つとして、私は不動産関係なんかの脱税があるということをたびたび言っておるわけですけれども、それはそれとして、結局私が言っておるのは主として——あとで税制面からサラリーマンの税金、勤労所得税などについて聞きますけれども、徴税面としてそういう中小企業者の税制の調査がきびしい。私のところへも幾つかきております。たとえば私たちがちょっと口きいたりするようなことがたまにあります、ごく親しい人について。そうすると末端のほうで、代議士が来ようが大臣が来ようが何が来ようが、おれらはそんなことは知るかい、とにかく法に従ってやっているだけだ、こういう広言を、きのうも私のうちに来られて、税務署員がそう言ったということを聞くわけなんですけれども、私は、いやそれは逆にけっこうなことだ、代議士や大臣が言って一々税法を曲げたり税額を変えたのでは、りっぱな徴税はできないのだから、そう言うのがあたりまえだろうと言って、納税者側には一応説明しておきましたけれども、私たちが言ったからどうしろこうしろ——私たちも一応やはり法に基づいて、これはこういうことでこういうふうになるのじゃないですかという程度の話しかしないわけです。決して法を曲げてしろとかなんとかいうようなことは言うわけじゃありません。そういうことに対しても、そういうふうなことがちょいちょいこのごろは出てきます。いままで久しくなかったのですが、出てくる。これが一番最初言いましたように、あなたたちが特別にそういうことでも指示し始めたのかどうかということを懸念したから聞いたのです。しかし、そういう全般的な税の調査その他について、一時民主的になりかけておったのを逆行させる必要はない。強く取ったからといってそれほど税収が大幅に伸びたり何したりするというのじゃなくて、むしろずっと打ち立ててこられたように民主的な方向に進むことのほうが長期的に見て、皆さん方の立場から見ても徴税が容易になる、国民も安心して納税ができる、こういうことになるのだと私は思っております。いままでとられてきた基本的態度を続けていただきたい。 そういう中で皆さん方がいろいろ強制査察をされる、そういうことの具体的な例を一つだけ引いておきたいと思います。これは新聞にも載ったことだから名前をあげますが、サクライ・スポーツ用品卸売り業、これを皆さん方は強制査察をされた。八千万円ですかの脱税があるよいうことで——新聞によっては六千万円というのもありますが、三億三千万円の所得があったのに一億六千万円の所得しか申告していないということで査察をされた。新聞にもいろいろ載りました。ところが、実際上は百万円の増差程度でとどまっておる、こういうように聞いておるわけでございますが、この事件の概要を……。
○泉政府委員 お話しの株式会社サクライにつきましては、本年一月に東京国税局で査察立件をいたしたのであります。ところが、査察立件をしたのは、相当多額な金融機関に対する預金があるということから調査いたしたのでありますが、調査の結果は、その簿外の預金は査察対象期間前に発生しておって、すでにその件については脱税告発をすることができない、以前のものであったということが判明いたしまして、対象期につきましては増差所得が約一千百三十九万円程度になりましたので、これは告発を見合わせまして、税務署に引き継ぎまして課税処理だけすることにいたしましたところ、先方から修正申告の提出がありまして、修正申告によって処理されておるのであります。
○只松委員 この事件をめぐっていろいろな問題が出てくるわけです。捜査のしかた、発表のしかた、あとの処理のしかた、それからその途中に起きたいろんな問題——これが新聞に載ったために幾つかのキャンセルが起こったということも私は聞いているわけなんです。それから長年取引しておったところが、あそこはおつかないからやめようということで顧客が逃げた、こういうこともある。刑法上の問題ですと、損害賠償義務や何かいろいろあります。これはこれなりに一つの問題がある。告発はしなかったけれども、その前提となる強制査察をする、そして事件の概要が判明しないのにこういうように新聞に出てしまうということになれば、経済的な大きな被害をこうむるわけです。この経済的な被害の要求をどうしていくか。へたに要らぬことを言うと、今度また税務署からにらまれるからというので泣き寝入り以外に手はない、こういうことでは、私はいつも言うように、へたな刑事事件よりも財産権の侵害が行なわれるということになるわけです。やはりこういうものの捜査のしかた——捜査のしかたがあれだから外部に漏れたのだと思います。これは故意に発表したのかどうか知りませんけれども、そういうことまできょうは私は詰めませんが、捜査のしかたとか発表のしかたとかいうものについてはもう少し配慮をしていただかないと、やはり関係者は予想外の被害をこうむる。単に一時的な被害だけではなくて、脱税会社としての一種の犯罪的な汚名を会社が受けるわけですね。そういうことで有形無形の非常な損害を受けるという形になる。私は、この問題だけでもいろいろ詰めてまいりますと、国税当局のある意味の、これだけではなくてこういう類似の問題の責任問題も出てくると思いますが、きょうはそこまで時間がないから詰めませんけれども、こういう捜査のしかた、発表のしかたというものについてはひとつ十分配慮をしていただきたいと思います。
○泉政府委員 お話しのように、株式会社サクライの場合のように、査察立件をしたけれども、本来査察立件というのは刑事訴追を目的としておるものでありますが、それが告発にまで至らない事案であったというような場合、それが新聞に漏れますと相手方がたいへん迷惑する、それもお話しのとおりでございます。したがって、私どもとしましては、査察立件の際の調査のしかた、あるいはそれが新聞に漏れることのないようにいろいろ注意はいたしておるのでありますが、令状をもらう関係からいたしまして、私どものほうで特に発表するわけではないのでありますけれども、つい新聞に漏れがちであります。この点につきましては今後とも十分注意いたしまして、そういうことが世間に漏れたために取引が停止されたりするというようなことで、不測の損害をこうむることのないように十分注意してまいりたいと考えます。
○只松委員 さっきから言いますように、こまかいことはきょうは論議しませんけれども、一般的な徴税の強化、その前の調査の強化、あるいはこうやって立件した、立件までいかなくても強制査察をしたものがこういう結末になった、こういうものを私たちが——近ごろ特に本委員会では法案の審議だけに追われて、徴税面の審議を昨年のようにほとんど論議いたしておりませんので、別の機会に税小でも開いてやっていただきたいと思いますけれども、私たちが本委員会で取り上げる以外に皆さんの方の耳に、末端税務署が苛斂誅求をやっておる、こういうことはなかなか入ってこないですね。皆さん方に入ってくるのは、通常では議員か何か来ても、むしろこういうことをお願いしますという立場のものしかこない。ですから、下からくる行政官としての報告は、こうやってこうやったということの、自分たちの正しいこと——私が当選直後のときに末端の税務署が東京国税局長にいかに虚偽の報告をしておるか、私が現場のものをちゃんと事実をつかんでも、なおかつ署員は署長を通じ、署長は局長を通じてでたらめな報告をしておる。最後は私はテープレコーダーやなんかとって、当時の局長の谷川さんに示して、谷川さんがかぶとを脱いだことがあります。それはなかなか末端の職員も、こう言ったじゃないかああ言ったじゃないかと言っても、そう言ったということはまず言わないですよ。それがまた署長を通じ局長を通じてあなた方の耳に入ることは、まずまともなことはないわけです。今国会では徴税の問題はほとんど論議しませんでしたけれども、いま私が概括的に言っておりますように、だいぶ国民の側からきびしいというあれが出ておる。私のまわりにおいてさえそういう声が出ておりますから、ぜひひとつ特別の御配慮をいただきたい。 それから次に、税制の面についてお尋ねをいたします。 現在の税調の進渉状況といいますか、いま長期税制の問題に取り組まれて、七月末ぐらいですか、大体大綱が出る、答申が出る、こういうことがいわれておりますが、そうなりますと、本国会は間もなく終わって参議院選挙に入る。税調できまると、税調できまったからきまったから、こういうことで法案をそのまま出されて、国会において事実上そういう問題について論議することなく、きまったものが一方的に押しつけられてくる、こういう傾向がいままでの傾向でございました。本来ならば税調の答申が出る前に、税調の問題についてもう少し論議すべきであったが、今度は法案を出して日にちが短かいということで論議の時間がありませんでした。この際ひとつその進渉状況等をお知らせいただきたい。
○中橋説明員 税制調査会は昭和四十年の八月に現在の委員の方々の任命を行ないまして、その任期が本年の八月一日に切れることになっております。そこでこの三年間にかけて税制調査会で、当時諮問を受けました経済の安定的成長に資する租税政策というものはどういうものがいいのかということにつきまして、いろいろ御論議をいただいておるわけでございます。そのことに関しまして一昨年の十二月に、それまでの議論を取りまとめまして長期税制のあり方についての中間答申というのが出されたわけでございます。それから別途税制調査会におきましては、そういう中間答申の長期的な考え方も織り込みまして、毎年度毎年度の税制改正につきましても議論が行なわれ、答申をなされておるわけでございます。それにつきましては、いろいろ政府といたしましてもその内容を十分尊重するようにしております。また別途、その事務を行ないます私どもといたしましては、ただいま御指摘のようなことがないように、特に国会におきましていろいろ税制についての御議論がございましたことをいつも御報告いたしまして、税制調査会の審議にも反映していただくように配意をしておるつもりでございます。 昭和四十二年度の税制改正につきましても、昨年末税制調査会において答申がございまして、それを基礎といたして今回御審議いただきました税制改正のいろいろな関係諸法案が提出されたわけでございますが、国会におきまするところの税法の審議がおくれておりますので、当初税制調査会において予定されました審議の再開を若干おくらせざるを得ない状態になっております。 そこでほぼ本月の下旬くらいに再開の第一回目の総会を行なうことを予定いたしております。その総会におきまして、先ほど申しましたように、今国会におきますところのいろいろな御論議を反映していただくように御報告を申し上げたい。かたがた委員におきましては、従来から中間答申をもとにいたしましていろいろ回を重ねて議論をしていただております点がございますので、それらを五月以降それぞれ設けられました部会において御審議いただきまして、七月末を目途に最終答申をいただくような段取りにいたしてございます。
○只松委員 そういう中で、きょうの日経なんかを見ましても、すでに相当具体的な給与所得者の税率緩和の問題が出ております。これは推測か、ある程度皆さん方のほうから出た資料かはわかりませんが、四十五年度の百万円の最低限の引き上げとともに税率の緩和ということが、これは私たちもたびたび要望しておったわけでありますけれども、きょう出ておりますが、大体こういう方向に向かって審議をするといいますか努力をされる、そういう方向が出ておるのかどうか。まだそれはそこまでではなくて単なる推測なのである、こういうことであるか、聞かしていただきたい。
○中橋説明員 先ほど申しましたように、現在税制調査会におきましては、中間答申でいろいろ所得税の問題も議論をした結果を御発表になっております。その中には、所得税の再分配の機能という観点から、課税最低限の問題あるいは税率の問題をそれぞれ取り上げられております。その中間答申におきましては、当時の状況におきまして課税最低限は夫婦子供三人の給与所得者の世帯におきまして、八十三万円程度におくことを目途に各種の控除を改定するという案を提示いたしております。それにつきましての内容は、その後における税制改正においておおよそ実現せられておるような状況でございます。ただ残っておりますのは、給与所得者についての給与所得控除に関しまして、そのときの中間答申における考え方と現在までの税制改正を実現しましたものとの間に、なお隔りがあるというような点でございます。 〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、税率につきましても、その中間答申におきまして、かなり具体的な案を提示してございます。現在わが国の所得税が持っております強い累進構造を緩和いたしますためには、やはり税率を相当直す必要があるという観点から、課税所得の税率適用の階層区分を、現在よりもかなり広げたものではどうかというようなことを例示いたしております。その後におきます税制改正におきましては、昭和四十一年に中間所得者について税率を改正せられたことがございましたほかは、実は手をつけていないわけでございますので、おそらく今後の審議におきましては、なおこういった税率の問題、あるいは給与所得控除の問題について相当討議を行なわれ、最終答申に盛り込まれるのじゃないかというふうに推測いたします。
○只松委員 これはいつも論議しておりますように、御承知のように、物価がどんどん上がってまいっております。まだ上がってきます。そういうことと関連して、春闘がいま激しく戦われておりますが、こういう賃上げ闘争が非常にきびしく繰り広げられております。そういう結果、三千円あるいは五千円という賃上げが行なわれておる。五千円引き上げられて、十六カ月計算にいたしましても八万円の賃金の上昇というものがあるわけです。年間八万円の賃金の上昇がある場合に、八万円から九万円の控除額を引き上げましても、次のランクへ行っておりますから、税率が高くなっております。そういうことで、実質上の、私たちがいつも言うように、課税の調整が一応行なわれておりますけれども、実質減税というものはほとんど行なわれておらない。これは、皆さん方サラリーをお取りになっているケースから、皆さん方身をもってお感じになっておることだと思います。ここで物価が安定したり、賃金が上がらないということは、ここ当分は考えられない。そうするならば、なおさら税率の緩和を何としてでもはかっていかないことには、ここにも出ておりますように、サラリーマンの重税感というものはなかなかなくならないと思う。大臣でも来ればその問題について一言お答えをいただこうかと思っておるわけでございますけれども、サラリーマンの、給与所得者の場合の減税、税率の緩和というものに、長期税制の中でぜひ強く取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。事務当局者のみでなく、政務次官のほうにも、この問題の推進方をぜひひとつ強く要望しておきます。
○倉成政府委員 ただいまのサラリーマンの減税の点、特に税率の緩和の問題につきましては、税制調査会が、八月が任期でございますから、それにおいて十分検討していただきたい。その答申を待って処理いたしたいと思っております。
○只松委員 次に、これも私たちが常に言っているように、わが国における経済構造は非常に複雑であるわけでございます。これが大法人と中小法人との二段階になっておるのみにとどまっておるということは、法人税の実態になかなかそぐわないのではないか。今度、青色申告の完全給与制の実施になった場合、地方税までなりますと、ぜひ大蔵省のほうで地方自治体と連絡してやっていただきたい。零細企業の法人というものは順次少なくなるのではないかというふうに思いますが、とにかく、そういう八百屋や魚屋なんかが法人になっている。そういうものの税率と、一千億、二千億というような大法人との税率が単なる二段階であるということは、私は実態にそぐわないと思う。何らかの形で三段階にすべきではないか。そうすれば徴税技術などの問題は相当むずかしくなってまいるという問題が出てまいるが、しかしその面と、租税特別措置が実施された後における大法人と中小零細法人との実効税率の差というのは——諸外国には、こんなに多くいわゆる租税特別措置がありません。あるいは全然ないところは、たとえば中小法人が二五%であり、大法人が五〇%であれば租税特別措置がありませんから、実効税率もそのままにできているという国もありますね。税率そのものも国によっていろいろ違いますが、先ほどから言うように、日本のように特殊な零細法人を持っている国のことを前提にいたしますと、大法人と中小零細法人との税率の差が少ないわけであります。その上に実効税率というものが租税特別措置によって近似していく、近寄りを示していくわけであります。私は、租税特別措置そのものをきょは論議するのではないが、この二、三年、法人税率を大法人を一%下げるときには中小法人を二%下げる、こうやって多少の開きが出てきておりますけれども、まだまだ不十分だと思う。 長期税制の立場からも、そういうわが国経済の実態を考慮して、大法人と中小零細法人を三段階にしないならば、租税特別措置というものを皆さん方なかなか廃止しないが、そうすると、何とか中小零細法人に税負担感を少なくする。これは別な意味で、交際費や広告費やなんかルーズな面がありますから、ここからそういうものがのがれていく、そういうことがあります。そういういろいろなことを規制し、いわゆる正しい税制のあり方というものを確立し、あるいは民主的な納税、徴税を行なうという意味からも、巨大法人と零細法人との税率の差をもっと開くべきだ、こういうふうに考えますが、そういうお考えがあれば、努力をするかどうか、ひとつお答えをいただきたい。
○中橋説明員 法人税の税率その他基本的な構造をどうするかということも、税制調査会においてかねて論議をしておるところでございます。特に、法人税の基本的な仕組みにつきましては、法人の段階で得ました利益について、法人税を課しましたものを配当として受け取りました株主において、どういうふうにその税金を考えていったらいいのかという調整の問題を主として検討いたしておるわけでございます。かねて、わが国の税制は法人擬制税といわれておりますように、法人の段階で納めました法人税というものを、受け取りました配当について納めるべき所得税について、配当控除という形で調整するというのが現在の仕組みでございます。その点をも含めまして、かねて税制調査会におきましては、いわゆる法人実在説と名づけられておりますような法人税と、それから受け取る株主の段階においてこれを調整しないでいいという考え方もあることを検討いたしております。もっともこういう基本的な仕組みにつきましては、いまさら申すまでもなく、いろいろな議論がございまして、非常に慎重な検討を要するというふうに考えております。 ところで、そういうような、現在のわが国の税制のもとにおける法人税率というものが、いわゆる法人擬制説のもとにおきましては、そう段階的な税率をつけるわけにはまいらないという基本的な考え方がありますけれども、昭和三十年代の初めからは、あえて二本立ての税率にいたしてまいっておるわけでございます。御指摘の租税特別措置につきましても、いろいろ中小企業面についての配慮をいたしておりますから、その点から、極端に中小企業が大企業に対しまして不利になっておるという状況はないのではないかというふうに考えております。もっとも先ほど、現在税制調査会が検討いたしておりますと申しましたいわゆる法人利潤税あるいは法人実在説の考えに基づきますところの法人税の仕組みを設けました場合に、それでは法人が実在しておる、あるいは独自の経済活動を営んでおるから、全く個人と同じような累進的な税率を設けてもいいのではないかという意見が言われることはございます。しかし、法人税というのは所得税と違いまして、所得税は個人の段階に帰属しました所得、それについての最終的な負担をかけるという意味におきまして、極端な累進税が設けられておるわけでございますけれども、発生しました法人の利益についてかけるという法人税につきましては、いわゆる法人実在説であれ、法人擬制説であれ、そんなに税率についても差等を設けるという考え方は出てまいらないのではないかと思います。しかし、もちろんその場合におきましても、中小企業の租税負担というものに着目いたしまして、標準的な税率に対して軽減的な税率を設けるということも、もちろん議論としては出てまいるわけでございますし、そういう制度をとっておるところもございますから、その辺も十分考慮されることと思いますが、いずれにいたしましても、法人税の基本的な仕組みという問題は、非常に経済活動とも密接な関係を持っておりますので、なお相当時日をかけて検討せられるのではないかというふうに考えております。
○只松委員 そうすると、いまのところ実在説に移行まではしないけれども、そういう考え方を強めるといいますか、導入するといいますか、そういう傾向が今度の長期答申の場合はあらわれてくる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか、どうですか。
○中橋説明員 現在までの税制調査会におきましては、先ほど申しましたような、いわゆる法人実在説に基づきますととろの税制というものも深く検討する必要があるということから、非常に広範に検討いたしておりますし、実は昨年は、主税当局のほうから、もしかりに実在説的な考え方をとるとすれば、こういうような考え方としての案が出ますという、いわゆる仮案を提示いたしまして、その仮案に伴いますところの種々の問題点をあわせて御議論の対象にしておるわけでございます。 それで、仮案及びその問題点についての提示で昨年は終わった次第でありますので、今度の再開後の税制調査会におきましては、その仮案及び問題点についてそれぞれ各界の御意見等を参酌いたしまして、検討が続けられるものというふうに考えております。
○只松委員 それから芸能関係の課税について、これは過日参議院において大臣が答弁をされ、税率を引き下げてもいいかのような答弁があったように新聞は報じたわけです。聞きますと、必ずしもそうではなくて、新聞の誤報といいますか、何かのようですけれども、しかしこれは御承知のように、芸能関係の税率——入場税ですね、これを引き下げてもらいたいという問題や、芸能関係者の所得税の課税の問題等でいろいろ陳情書が出てきております。 これも、時間がありませんから、簡単なお答えでけっこうですけれども、参議院で答えられたように努力をするということでありますか。それとも、いや、あれは参議院の中でも、これは新聞にも載っていたようなことじゃなくて、なかなかそうはいかないのだ、こういうことなんですか。私たちとしてはひとつぜひ、たいした額でない、百二、三十億の財源でございますから、こういうものにはもうちょっと国家がめんどうを見る、こういうことが逆に必要なわけでございます。そういう観点からも、税率を引き下げたり、諸般の問題について国家がいろんな保護をしていくということが、私は、文化国家日本として必要なことだと思う。それについてお答えをいただきたい。
○田辺説明員 お答えいたします。 先般参議院の分科会で、ただいまお話のございました入場税の免税点を中心としたお話がございましたが、その際、お答え申し上げました点は、まず事務当局としまして、この入場税につきましての免税点というのは、なかなか催しものの種類がいろいろございまして、制度としてなじみにくい点がございますという点を第一に御説明申し上げました。特にこの免税点は、現在の入場税の税率が一率の一〇%になっておりますが、この一〇%という税率は、現在の間接税の、いわば製造段階で課税いたしますものについては二割、小売り段階で課税いたしますものにつきましては一割というような、全体の体系とのバランスを考えましてできている制度と関連いたしますので、今度新しい角度からの免税点の引き上げという御要望がございますならば、それは全体の間接税の体系の中で他とのバランス、特に地方税の段階ではパチンコとかマージャン、ゴルフ場につきまして娯楽施設利用税というものを課税いたしておりますし、また、国税の入場税の中におきましてもいろいろの、競輪、競馬につきましても入場税を課税いたしておりますので、そこら辺を含めましたところで今後検討いたしていきたい、こういうふうにお答えを申し上げたわけであります。
○只松委員 時間がありませんから、大臣に、いままで私が論議しましたことをちょっとお話を申し上げて、お答えをいただきたい。 一つは、今度の国会は、増税法案や何か税法それ自体の重要な問題がありまして、徴税問題についてあまり論議することが少なかった。しかし、近ごろなかなか徴税がきびしくなってきておる。こういう問題についてあまり庶民をいじめるような徴税のしかたをしないでほしい、こういうことを一つお話を申し上げた。これについてまた別な機会に——税小をやりましてもなかなか大臣はお見えになりませんから、徴税の問題について、税制の問題等も含めてそれを取り上げてみても、税金の問題については、そう大臣は関心がないというか薄いようですから、ここでぜひこの問題についても十分お考えをいただきたい。 それから次に、税調に関連いたしまして、きょうの日経等に出ておりますように、物価が上がりまして、いま春闘で少々賃上げをかちとる、こういうことがありましても、税率の緩和がないことには名目的といいますか、八万幾らかの課税最低限の引き上げがありましても、五千円アップいたしますと十六カ月と計算いたしましても八万円の収入増になりますから、税率がまたそこに上がっておる。こういうことになりまして、実質上の減税にならなくて、サラリーマン、特に中堅サラリーマンの税負担というものが一向に消えないというようなことはそういうところにあるわけであります。ひとつ長期税制、七月一ぱい——七月一ばいというと参議院選挙が終わるころで、私たちも本委員会等でなかなか意見を述べる機会がないと思いますから、この税調に税率の緩和というものを大蔵省当局としても強く要望をしていただきたい、こういうことをお話ししたのです。 三つ目は、いま話しておりましたあなたに関することで、参議院で入場税その他芸能関係のものについて前向きで善処したいというような答弁があっておるわけであります。事務当局から聞きますと必ずしもそうでないようなお話でございますが、私はぜひこの際、あらためてそういう問題について税調で前向きの検討をするよう要望するということのお答えをいただきたいと思います。 以上三点ですが、それについて。
○水田国務大臣 徴税不合理のないように私どもは十分監督したいと思います。そうしてまた、納税者についてのいろんな救済の措置というようなものについては、いま税制調査会で特別の部会を設けてこの問題と取り組んでおりますので、この夏までには一応答申を得られるということに思っておるわけであります。この答申を得てから十分善処したいと思っております。 それから、所得税についての税率の検討問題でございますが、いままでは御承知のように、所得の少ない方に対しては何としても課税最低限を上げるということのほうが急務でございましたので、この措置に努力をしてまいりましたが、私どもが一応所期しておりました百万円までの最低限が実現するというときを機会に、今度は税率の問題に取りかかりたいという意図をもってこの検討を始めておるという次第でございます。 入場税の問題はさっき事務当局から話がありましたように、もともと入場税というものに免税点というものはなじまない。むしろこれがあることがおかしいというのがいままでの考え方でございましたが、参議院におきましてこれに免税点を大きく上げるという考えはないかという質問がございましたので、もしそういう考えを持つとすると、入場税そのものについてやはり性格というものから考え直さなければいかぬかもしれない。かたがた他の間接税との均衡という問題もあるので、そういう点を含めて検討しましょう、こう言ったわけでございまして、入場税については、やはりそういう意味で検討はしようと考えております。
○只松委員 どうぞひとつ前向きで検討していただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○田村委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○田村委員長 本件につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本件を承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認するに決しました。 ただいま議決いたしました承認案件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○田村委員長 次に国の会計及び専売事業に関する件について調査を進めます。春闘に関する問題及び塩専売に関する問題について、質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
○村山(喜)委員 大蔵大臣も本日は非常にお忙しいようでございますので、私も簡潔に質問をいたします。 したがって、大臣もこの問題について態度を明確にお答えをいただきたいと思うわけでございます。 と申し上げますのは、春闘も山場を迎えまして、すでに五千円以上の賃上げの回答がありまして妥結したものだが四百四十六組合もありまするし、六千円以上が二百四件というようなことで、一万円以上の賃上げを獲得した民間の組合等も五つほどあるようでございます。その中で、いよいよ公労協関係の事情聴取が本日をもって終わります。これを昨年に比べてみますと、昨年は調停の事情聴取の段階の中で、すでにある程度の額を労政局長を中心にいたしまして話し合いが非公式になされているわけでございますが、ことしは何にも話がないわけであります。そこで、今後の公労委の動きといたしましては、大臣も御承知のように、調停委員会の委員の全体懇談会の中で、事実上の合議に入る段階になっておるようでございます。 そこで、この問題については三月二十九日の日に、衆議院の予算委員会で堀昌雄委員のほうから大臣に質問がなされ、なお三月三十日の参議院の予算委員会において、小柳委員のほうから同じような問題が提起されて、大臣の御答弁をいただいているわけでございます。 そこで、私は大臣にこの際、昭和三十九年になくなられた池田総理と太田総評議長との間に会談が行なわれまして、六項目の問題についての回答が行なわれました。自来今日まで、その方向で政府としては努力をされていると思うのでございますが、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのは、当事者能力という問題を考えてまいりまする場合には、昨年調停段階において事実上の妥結をいたしたわけでございます。今回の国会答弁においても、小川労働大臣は、昨年と同じく調停段階で一致することは望ましい、こういうような答弁をなさっていらっしゃるわけでありますが、その問題について、調停段階でそういうような問題が解決するのが最も望ましい形だと私たちは考えるのでございますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
○水田国務大臣 私もそういうことが望ましいと考えております。
○村山(喜)委員 そういうようなお考えであるとするならば、当然大臣とされては、これらの問題については公労委のほうにおまかせをいただいて、そして大臣のほうから、その公労委を制約をするようなことはしないというふうにわれわれは受け取っていいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○水田国務大臣 これは御承知のように、もう労使の自主的な団体交渉によって協約を締結してきめることでございますので、その間において政府がこれを圧迫するというようなことはいたしません。
○村山(喜)委員 大臣の御答弁は、大蔵大臣として縛るような考え方というものは持っていない。当事者同士のそういうような能力というものを尊重していきたいというお考えでございますので、そういうような方向で今度の公労協関係のこの賃上げの問題等については対処していただくことを私は要望申し上げまして、これは基本的な姿勢の問題でございますから、この段階の中で補正予算をどうするのかあるいは仲裁裁定をどうするのかというようなことは申し上げません。やはり今日の時点において、それらの当事者能力が発揮されるように、そして十分な話し合いの中で解決ができることを期待をいたしておりますので、大臣もそのような立場から御善処方を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○田村委員長 井上普方君。
○井上(普)委員 どうも貴重な時間を拝借いたしまして、大蔵委員の諸君に敬意を表する次第であります。 先般武藤山治委員及び井手以誠委員に対しまして、塩の専売制度を廃止しようということを大蔵大臣が言明になっておるようでございます。しかしながら、この塩の専売制度の廃止につきましては非常に大きい問題が出てくるんじゃなかろうか、私どもはこのように考えるものでございます。 と申しますのは、先般、昨年でございましたか、行政監理委員会の塩の専売制度を廃止しろという案に対しまして、専売公社といたしましてはこの専売制度を堅持するという方針を打ち出して、その理由書というものでたくさん述べられておるはずでございます。ところが、この委員会におきまして、塩の専売制度を廃止するという方針が出されるということは、私どもはいままでの専売公社の方針を一てきするのかということで、大きい疑問に思わざるを得ない第一点でございます。この点につきまして、専売公社並びに大蔵省のお考え方をもう一度確認いたしたい、このように思うわけでございます。 第二点といたしまして、それじゃ外塩が非常に安いから日本も外塩に依存すればいいじゃないか、こういうお話ではございますけれども、何といいましても、塩は武田信玄の昔から国民生活には非常に重要な影響を及ぼす問題であります。そういう観点に立ちますならば、少なくとも国民が消費する塩の生産というものは国内で自給自足できるような体制に持っていかなきゃいけないんじゃないか。それには現在では約五百万トンの塩のうちの大体百二十万トンぐらい国内塩を生産しておるようでございますけれども、国内の塩の生産を確保する、むしろこれを増大する方向に持っていかなければならないと思うのでございますが、この点はいかがでございますか。 第三点といたしまして、この塩の専売制度を廃止いたしますと、はたして消費者物価に影響するかということを考えてみますと、私も外国の塩の小売り価格というものを実は調べてまいりました。そういたしますと、アメリカあるいは欧州各国におきますところの塩の小売り価格というものは、日本の小売り価格とあまり変化がない。ただ工業塩のみの価格が非常に大きく変化しておるものであります。そういう面からするならば、塩の専売制度を廃止し、外塩を大量に輸入して日本の国内塩業をつぶすということになると、これは一般消費者に対しては影響は与えないし、むしろ大企業のみに奉仕する政策になりはしないか、こういう点をおそれるものでございますが、この点いかがでございましょう。 この三つについてまずお伺いいたしたいと思うのでございます。
○倉成政府委員 お答えいたします。 塩の専売制度の問題、大臣がこの前は非常に早急の間でございましたので、専売制度を廃止したいという御発言がございました。 〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 しかし、これは専売制度をいま直ちに廃止するという意味ではなくて、やはり長期的な方向ではそういう方向にいきたいという趣旨で述べられたものと思います。御案内のように、ただいまも述べられたように、塩の生産業者も多数おられますし、また流通問題またイオン交換樹脂膜法その他新しい技術の開発についても取り組んでいる段階でございますので、そういうのを見届けた上で専売制度の問題については検討すべきじゃなかろうかと考えております。 それから自給体制の問題は、やはりわが国の塩が新しい技術の開発によってコストが非常に下がってくる、そして自給ができるということになれば、これは非常にけっこうなことではないかと思いますので、一日も早く新しい技術の開発が進んでいくことを期待しておる次第でございます。 それから諸外国との価格の比較、これはあとで専売公社からこまかく説明していただくと思いますが、確かに輸入のCIF価格で約十ドル、それにいろいろな経費を入れましても大体トン当たり四千四百円というくらいの価格でありますし、国内の収納価格が四十二年度で一万一千八百五十円、これらを考えますとかなり国内価格は高いということがいえるのではないかと思いますが、細部につきましては公社のほうからお答えいたしたいと思います。
○山口説明員 ただいまの次官のお話に若干補足的な御説明を申し上げます。 専売制度につきましては、公社側がかれこれ言う問題ではございませんが、ただいま次官からお話がありましたように、公社としても考えておるわけでございます。 それから国内塩の自給自足、あるいは増産の方向がどうかとおっしゃるわけでございますが、いまも次官からお話がございましたように、コストさえつり合いますれば国内でつくるのがもちろんよろしいわけでございます。ただいま御指摘ございましたように、五百万トンからの外塩を輸入しておるということは、日本の全般的な問題としても相当の負担でございますので、できるだけ技術の合理化によりまして食料塩といわずソーダ用塩まで国内で何とかできないかということで技術的に開発を進めておるわけでございます。技術開発も相当進んでまいりましたので、食料塩についてもそうでございますが、ソーダ用塩についてもさらに技術を進めてまいりますれば相当国内でやれるんじゃないかというような明かるい見通しも出てまいっておるわけでございます。 それから、消費者価格の問題につきましては、お話がございましたように、私どもが調べておりましても、アメリカやヨーロッパの小売り価格と大体同じ、若干の差はありますけれども、平均いたしますとほとんど同じくらいな価格で一般の消費者の手には入っていると私ども考えております。ただいま申しましたように、国内製塩自体はともかく一万一千八百五十円ということで相当外国に比べますと割り高でございますが、御承知のような専売という制度でやっておりますので、その他の中間経費、マージンがないというようなこと、非常に流通の簡素化というようなことでカバーいたしまして、消費者の手に渡るときには普通の家庭用の塩ですと同じ値段というふうになっておるように、私どもの調査でもなっております。 大体以上のようなことでございます。
○井上(普)委員 ただいま御答弁いただきましたけれども、専売制度廃止につきましては長期的に検討していくんだ、そしてまた、専売公社もそのような方向で進む、こういうお話でございますが、行政監理委員会が勧告を出しました際に、専売公社といたしましてはこれに対して批判を加え、むしろ専売制度を持たなければならないのだというような反論の文書すら出ております。これを長期的に検討する、こうおっしゃっておられますが、いまイオン交換樹脂膜法というような方法もとられておる。また、われわれ戦争中あるいは終戦後、塩の非常な不足の時期に、入り浜式の塩田であったのが流下式になった。非常に大きい合理化が行なわれた。特に塩業に従事する労働者の大量の首切りが行なわれたことも御存じのとおりです。そしてまた、イオン交換樹脂膜法という方法をとります以上は、これはかなり技術的な問題も入ってくる。ところが、この小売り価格のほうを見てみますと、先ほども公社のほうからもおっしゃられましたように、小売り価格は外国とほとんど変わらないのです。次官、そうなんですよ。だから専売制度を廃止することによって、むしろ国内におきましては小売り価格は高騰してくるのじゃないかというおそれすらあるのです。そういたしますと、物価安定のためにこの塩専売制度をなくすのだ、外国塩の安いのを入れてくるのだといいますけれども、国民一般大衆に対します値段、塩の小売り価格というものは変わらない、あるいはむしろ高騰してくるということを考えますと、あなたのおっしゃる輸入塩はわずか十ドルだというのは、これは工業塩のほうに全部かわってしまうわけです。しかも、工業塩につきましては、御存じのとおりいま船積み価格でほとんど渡しておるのが実態です。そういたしますと、塩の専売制度をやめるということはすなわち外塩を多量に輸入して、すなわち大工業に対しましては安い価格で売ることができる、しかし一般国民大衆に対しては外国並み、いまよりもむしろ高い塩を与えることになって、物価の安定に何ら役立たない、こういう結果になろうと思うのです。大臣はまあ簡単におっしゃったようでありますけれども、また、行政監理委員会も簡単に意見を出されておるようでありますけれども、塩の専売制度の廃止というものは非常に大きい問題を含んでまいります。 こういうような点から考えまして、長期的に検討すると言っておられますけれども、一体長期的ということはどういうような方法を具体的にお考えになった上での検討を重ねようとするのか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
○倉成政府委員 長期的と申しましても、それは具体的にいつまでということではなくして、やはり現在新しい技術として開発されておりますイオン交換樹脂膜法その他のものを見きわめていく、その上で塩の制度全体についてどうあるべきかという問題はやはりもう一度洗い直す必要がある、こういう考え方でございます。御指摘のように、末端の塩は必需品でありますから、これが専売制度を廃止して非常に高くなる、そういうことがみすみすわかっておりながら、専売制度を撤廃するということは考えていないわけです。やはりそういう点も十分考慮しながら、どうやったほうが国民経済から考えて一番効率的であるかという見地で考えるべきだと思っています。
○井上(普)委員 でございますと、先般水田大蔵大臣が塩の専売制度を廃止するというのは、一応検討し直すという考え方と考えてさしつかえございませんか。
○倉成政府委員 私も大蔵大臣そのものでございませんので、大臣の意図を完全に伝えることはできないと思いますが、やはり専売制度については、御案内のようにいま塩の分については非常に赤字を出しているわけであります。また、いろいろな点について問題が多い。これは生産の面から考えましても、いろいろな面について一つの変革期に来ておるということは御存じのとおりでございます。そういうものをやはり十分検討すべきではないかという意味で御発言いただいたものと思います。だから、大臣のことばを撤回すると私から申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう意味で、ごく短時間の間の質疑でございまして、こまかく議論を詰めた上でのお話ではなかったわけですから、御了承いただきたいと思います。
○井上(普)委員 それでございましたならば、まだ次官のお考え方としては——私は大蔵省の考え方として受け取っているわけでございますが、この専売制度につきましては十分な検討を加えた上で、専売制度そのものも一応廃止するということを言っておるけれども、これも検討の事項としてお考え願うという方針だと受け取ってさしつかえございませんか。
○倉成政府委員 専売制度については、御承知のとおり行政監理委員会その他いろいろ意見が出ておる、そういう意見は十分検討に値するし、そういう感じを大臣として述べられたわけでございます。したがって、いま直ちに塩の専売を廃止することは考えていないということは申し上げることができると思います。
○井上(普)委員 一応その点につきましてはやや了解ができるのでございますが……。 続きまして、私は先ほど申し上げましたように、入り浜式の塩田から流下式に変わった。しかも現在ではイオン交換樹脂膜法に変わってきております。私も一応イオン交換樹脂膜というものを取り扱った経験もございます。そういたしますと、このイオン交換樹脂膜を扱う場合に、かなり高度な技術的な問題も入ってくるわけでございます。ところが、この塩業労働者の年齢構成を見てみますと、四十歳以上の方々が実に五七%も占めておるのですね。五七%も老年労働者で占められておる。それで若年労働者が塩業に従事しないようになっている。その原因はどこにあるかということを考えてみますと、これは労働賃金が安い。四十歳以上の労働者が五七%も占める産業というのはちょっと少ないと思います。その中で、この収入が四十二年度において年間五十三万円。お宅の塩収納価格の算定基準というものはわずか五十三万円です。四十二歳の労働者で年収五十三万円しかない。これは全国の統計を見ましても非常に低いところに置かれておる。それが、塩業に対して若年労働者が入ってこない一つの大きい原因ではないかと存ずるのでございます。ために、業者でありましても、塩業組合中央会におきましてもこういう要望が出てきております。労務費が非常に安いのだ、だからこれを上げてくれ。「労務費の算定は作業条件が類似した業種、即ち化学工業賃金ベースを基準にして算定されたい。」ということを業者自身が——これは労働者ではないのですよ、業者自身がこういうことすら要求する事態になってきている。しかもこのなにを見てみますと、この収納価格の算定方法といたしまして、地方産業ベースというものを基準にいたしておるのでございます。この地方産業ベースは一体どういう——まことにばく然として意味があいまいなものでございますが、これは専売公社のほうにお伺いします。地方産業ベースとは一体どんなものか、塩は神奈川県にも岡山県にも佐賀県にも四国にもつくられておる。各地ばらばらにつくられておるのに、地方産業ベースを基準にして算定するといって、事実非常に低いところに押えておる。「労働統計調査月報」労働省の官房労働統計調査部が編集しておりますこの調査表によりましても、塩業労働者の賃金というものは化学工業の中に含まれておるのです。ところが、これを含まずに、地方産業ベースにするという理由を私は納得しがたい。この点につきまして、ひとつ大蔵省並びに公社側の御見解を承りたい。
○園部説明員 収納価格における労務費のベースの問題についての御質問にお答えをいたしたいと思います。 いま地方産業ベースというふうに言われましたのは、収納価格を塩田二十一企業を基準にして算定をしております。この二十一企業が主として瀬戸内海沿岸の県に属しております。この属しておる県の——八県になりますが、八県の賃金構造基本統計調査による製造業の各県のベースを塩業人員のウエートで修正したものが、いわゆる御質問のありました地方産業ベースということに該当するわけでございまして、塩業が存在する製造業を基準にして考えるのが妥当である、こういう考え方でございます。
○井上(普)委員 いま瀬戸内海沿岸の八県と申されましたけれども、それの賃金ベースを見ましても、地方産業ベースを基底にする以上は、私はおかしいと思うのです。と申しますのは、先ほども政務次官も言われるし、かつまた公社側からも言われましたように、将来はイオン交換樹脂膜法というような高度の技術を要する方法に変わっていかざるを得ない。それが合理化の方法なんです。ところが、それを地方産業ベースという低いところに置いておるからして、四十歳以上の労働者が実に五七%も占めるというような、老年労働者で占められるというような実情になっておるわけです。これは非常に低いところに実は押えておるがゆえに、そこに行く労働者が少ないために国内塩の生産というものも身が入らないと申しますか、実績があがっていない。この塩業の所在地にいたしましても、あるいは瀬戸内海に限局する、あるいは佐賀、鹿児島県あるいは神奈川県においてもつくられておるし、福島においてもつくられております。しかし、そこいらの地帯は都会地もありましょうし、また各県各県でいなかもございます。単に地方ベースといっても、相当な山間部とあるいは都市部との開きがあるはずです。そういうようなことを考えてまいりますと、これは各企業——あなたのおっしゃるようでありましたら、各企業企業によってベースをきめていくよりしかたがないのじゃないですか。そういうことにも私はなろうかと思うのです。 〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕 むしろ、それよりも新しい技術を導入して、国内塩を大量に生産し、しかも安い塩をつくるというような方針でいきますならば、どういたしましても合理化、イオン交換樹脂膜法というような方法でいかざるを得ない。将来はその方向に向かっていくでしょう。そのためにはどうしましても、賃金ベースを上げなければ——私は基礎になる産業別構造というものを変えて、むしろ化学工業の労働賃金に匹敵するだけの賃金を与える必要があると思う。そうでなければ、若年労働者はこれに参加しないということがあろうと思うのでございます。労働省の統計調査部の賃金構造基本統計調査でも、この塩業労働者の賃金というものは、これは化学部門で実は算定せられておるのです。労働省ですよ。公式の場においても、塩業従事者の賃金というものは化学工業部門の中に実は統計として出されておるのです。ために化学工業部門の賃金というものは、一方塩業というような低いところで押えられておりますがゆえに、全体としても低いところの統計として出され、化学工業全体に従事する労働者の賃金もこれによって足を引っぱられておるというような形に出てきておるのでございます。こういうような点からしましたら、労働省の統計調査部の賃金構造基本統計調査に応じた化学工業部門の賃金を与えるべきではないかと私は考えるのでございますが、次官、いかがでございますか。
○倉成政府委員 私も化学工業の厳格な定義は専門的にはよく存じませんけれども、塩業というのは、もちろん採かんあるいはせんごうあるいは包装その他いろいろ態様が異なっておりますけれども、やはりどちらかといえば、農業に近いものが大部分を占めておるというふうに考えておるわけです。したがって、労賃として一般の化学工業、大きな石油化学とかその他と同じものをとるというのはいかがかという感じを持っております。
○井上(普)委員 次官、これは労働者が要求しておるだけじゃないのです。実は塩業組合中央会というのでも、賃金の基準には化学工業ベースを基準にしてくれということをお願いしておるわけなんです。使用者側でもそうしなければ実は採算が成り立たない。こういうことを実はうたっておるわけなんです。 あなたはいま農業部門に近いんだ、こう仰せられましたけれども、それじゃこの塩価算定の基準になりまするところの地代についてお伺いをいたしますが、これによりますと、組合をつくってそこに地代を渡しております。これは四十年に改定をいたしました。そういたしますと、実に一ヘクタール二十万円にはね上がったわけです。その地代が七倍にはね上がったんですよ。しかも塩の収納価格のトン当たりに地代が占める部分は八百二十二円になったのです。これは百二、三十円でした。ところが昭和四十年に一挙に七倍に上げたのです。なぜ上げたんだと言ったら、実勢価格に合わせたんだ、こう言うのです。地代におきましては実勢価格に合わせたんだ、賃金においては地方産業ベースで押えるんだ、矛盾がありませんか。
○倉成政府委員 こまかい算定はひとつ公社のほうから御説明いたしたいと思いますけれども、やはり収納価格というのが、標準生産費と適正利潤ということで一つの約束ごとで、労務費であるとか、電力費、燃料費あるいは経費、金利、償却、あるいはただいま仰せの地代、大体こういうふうに分解してあるわけでありますけれども、この一つ一つをとって、農業に近いから一般の農地の小作料——米価の場合でも、御承知のとおり最近だいぶ変わってきておりますけれども、やはり統制小作料というものを一つの基準にしておる。この場合には、農地の平均実勢価格の三倍をとっておるのは御指摘のとおりで、ヘクタール当たり二十万ですね。これはむしろ塩の収納価格をある程度有利にするためにこういうものがとられたということであって、これをとったから、全部ほかのほうをそういうふうに変えなければいかぬということはいかがかと思うのです。一応これはこういうふうに分解する、一つの約束によってこういうふうに分解をしておるわけですから、この部分だけをおとりになって、これが農業の場合と違うから、他のほうもそうであってはならないという議論はいささか私はどうかと思っております。しかし、この部分については、私の専門でございませんから、公社のほうからお答えいたしたいと思います。
○園部説明員 先ほど来のお話で、地方産業ベースをとることによって、塩業労務を非常に押えているんだというお話でございますけれども、塩業が所在する県の製造業と均衡をとってやることが妥当だというふうに考えてやっておる次第でございます。したがいまして、押えるために地方産業ベースをとったというふうに考えられることはないのではないかというふうに考えております。
○井上(普)委員 次官、あなたのお話によりましても、小作料の三倍を実は予定していたのです。昭和四十年には地代は一挙に七倍に上がったのですよ。そして、トン当たり八百二十二円に相当する地代が含まれることになったのです。ところが片一方、人件費について見ますと、トン当たり千百円から千二百円くらいのところで押えられているのです。だから、地代を七倍にばっと上げてしまったというのは業者のためです。はっきり申しますと、塩業業者のためにはそれほど手厚い処置をあなた方はしておる。ところが、片一方の賃金におきましては、地方産業ベースといって、あなたは妥当だと言うけれども、妥当な理由が私にはわからない。地代にいたしましても、小作料の三倍にしておるのです。昭和四十年に一挙に七倍に上げたのです。ところが、賃金におきまして地方産業ベースというので算定しておる。しかも、業者にしましても、——労働者じゃないのですよ、私が言っているのは。業者にしましても、この化学工業ベースに合わしてくれ、賃金ベースに合わしてくれ、ということを業者自身で申し入れをやってきておるのです。ここら辺に大きな矛盾を感じませんか。どうでございますか。
○倉成政府委員 これは、地代を上げたから労務費について、化学工業ベースをとらなければいけない、また、業者が主張するからそうしなければいかぬと言うのは、いささか議論の飛躍があるんじゃなかろうかと思います。地代についてある程度実態に合わせたということはいえると思いますけれども、労務費については、それは、この地方の四十二歳で年間平均五十三万ですか、これが高いか安いかという議論はあろうと思います。しかし、これを化学工業ベースでとるというのは妥当でない、現在のやり方をやはり基準とすべきだという公社の考え方が私は至当だと思います。しかし、これが安いか高いか、もっとほかに研究する余地はないかという議論はいろいろあろうかと思うし、専売の審議会その他で御検討いただくことかと思いますけれども、地代とすぐ結びつけて、労務費は化学工業ベースでなければいけないという議論はいささか賛成いたしかねます。
○井上(普)委員 次官、地代は、業者に対しては一挙に七倍に上げているのですよ。そして小作料の三倍上げているのです。収納価格がトン当たり八百二十二円という価格になっている。労務費については千百円ということで押えているのです。業者には手厚い処置をあなた方はやっている。一挙におよそ七倍上げたのですからね。このごろ、物価は上がりますが、一年間に七倍も上がるなんてことはありませんよ。ところが、地代が塩価に占める比率というものは、トン当たり八百二十二円ですよ。これが正しいとするならば、当然賃金も上げなければならないでしょう。地代をあなた方は一挙に七倍もぽっと上げて、しかも、家賃統制令もなくなったか知りませんけれども、やはり小作料というものがあります。それの三倍も片一方においてあなた方は出しているのですよ。ところが、労働賃金のほうは、地方産業ベースということで押えている。あなたは押えていないと言うけれども、妥当なと言いますけれども、妥当な理由が私らにはわからないからお尋ねしているのですが、どうなんでございますか。
○倉成政府委員 地代の改定の経過については公社から御説明すると思いますけれども、いまの議論をそのままいたしますと、地代を七倍上げたら労務費も七倍上げなければ……(井上(普)委員「そんなことは言っていないですよ」と呼ぶ)そうでなければ、やはり一つの約束ごとで、労務費についてはその地方の地域の賃金を基準にするという一つの約束ごとで収納価格というものはきめてきているわけですから、やはり地方の賃金が上がればその分だけ上げていくというのが妥当だと思います。しかし、これが安いか高いか、もっとくふうがないかという問題は、やはり別の問題として検討すべきだと思いますが、これを化学工業ベースにすぐしなければいけない、地代が動いたから労務費を、そういう約束に基づいて一応やっているのを直ちに変更しなければならない、という理由はないと私は思っております。しかし、地代の経過については公社のほうから御説明いたしたいと思います。
○園部説明員 地代の経過につきましては、先生から、四十年の十二月に七倍に上げたというお話がございましたが、正確には、当時三・五倍程度に上げております。ただ、それ以前の、いわゆる三万円程度の地代から比べますと六倍以上に上がったことは事実でございます。当時、地代の問題が非常に問題になりまして、いろいろ実態を調査したり、あるいは塩田の価格をどういうふうに評価するかとかいうふうなことをいろいろいたしまして、戦前のほかの畑作その他の地代と塩田の地代とのバランスに戻すということが二十万円になった経過でございますし、また、当時としても、実際の地代はそれより多かったのでございますけれども、二十万円程度を認めるのが妥当だろうということで改定が行なわれております。 先ほど来のお話で、塩田、塩業労務を化学工業ベースで見るべきではないかといういろいろな御議論でございますが、政務次官からもお話がございましたように、現在の段階では塩田で働く者が相当の部分を占めております。非常に断続的で農耕に近い様相もまだ持っておりますので、労働省の調査月報で化学工業の部類に入ったから直ちに実態も化学工業だというふうにはまいりかねるというふうに思っております。
○井上(普)委員 私は地代を上げたことにつきましてはどうも納得しがたい。六倍ないし七倍に一挙に上げて、しかもそれがトン当たり八百二十二円です。こういうように業者に対しては手厚い処置を、あなた方は戦前の価格に合わしていってやるんだ。もうけておるのは業者です。しかし、労働者はどうかといいますと、入り浜から流下式に転換したときに大量の首切りをやられた。しかも、今後またイオン交換樹脂膜法に転換しようとしておりますから、これまた技術的にかなり高度のものだ。いまあなたは採かん労働は農耕に近いのだとおっしゃいますけれども、あなた方実際に——私も流下式のところに行って実情を見てみますと、非常な重労働です。そしてまた、農耕に近いというような労働ではいまなくなっているのです。でございますから、四十二、三歳で三万二千円でしたか三万五千円でしたか、それくらいで生活できますか。あなた方がきめるところの収納価格の基準というものは、年間収入が五十三万円ですよ。八十三万円までは大蔵省はそのとおり所得税もかからないような方法をとったでしょう。それにも及ばないような平均賃金で押えられておる。まことに労働者にとっては気の毒なといいますか、むしろ権利を剥奪せられたような状況下に実は生活は押えられておる。しかも、その塩田といいますものは、あなたがおっしゃるようにいなかだけではないのです。都市の中においても塩田というものはあるのです。たとえば坂出にいたしましても、また鳴戸にいたしましても、坂出市あるいは鳴門市という中にあるのです。それで消費者物価もむしろある程度都市並みの消費者物価で生活をしているのです、住居費は別といたしましても。そういうようなことがあるのです。だから、私といたしましてはこの労働賃金を上に上げなければならない、もっと上げなければ労働者として再生産にも差しつかえが出てくる。しかも、先ほど来申しますように四十歳以上が五七%、そうするといま一家の平均家族構成が四・一でしょう。ところが、四十歳が五七%も占めるような労働者の家庭というものは、おそらく平均家族構成が五人ないし六人というようなことになります。そこで三万二千円か三万五千円というようなところで押えられておったのではいい生活ができるかということを私らは聞きたい。再生産ができるかということをお伺いしたい。それで近々塩収納価格審議会が開かれるようでございますが、ここ一週間ぐらいにきめられるようでございますが、一体この労働賃金を、おたくのほうはこの審議会に出す原案といたしまして、どのような考え方で算定し、かつまた労務費に対する原案を作成せられておるのか、ひとつその点をお伺いいたしたいと思います。
○園部説明員 先ほど来お話がありますように、現在の収納価格において年間含まれている金額は五十二万七千円でございます。五十二万七千円で平均年齢四十一歳かと思いますが、女子と男子の込みで五十三万七千円になってございますので、男子だけで考えますれば六十万に近いものではないかというふうに思います。 なお、収納価格の問題につきましては、来週までいろいろ検討いたしまして提案をいたしたい、かように考えておりますが、御案内のように、最近における賃金の傾向あるいは塩業労働における最近の実態、また、現在使っております労働省から出されております賃金構造の実態調査の新しいものも参酌いたしまして、適正な塩価に占められる労務費を算定いたしたい、かように考えております。
○井上(普)委員 それではまだその原案はつくられてない、こういうことのように承りましたが、特に四十歳以上の平均年齢の人が五七%も占めております。しかも、その方々の賃金が男子にいたしましても四万円くらいだとあなたはおっしゃったでしょう。四万円としましても十五カ月にして年間の収入はわずかに六十万円にしかなりません。これでは平均の、われわれ国会で審議をし、かつまた勤労所得につきましては八十三万円までともかく免税をするという点からいたしますと、二十三万円も大きい差があるのです。いかに塩業労働者の賃金が低いかということはこれをもっても明らかだろうと思います。 こういうような点をひとつ勘案願いまして、今度の塩価の収納価格の算定にあたりましては十分な御考慮を願いたい。ただ単に最小自乗法によって八%上げたとか、九%上げたとかいうようなことではなしに、根本的に地方産業ベースというものがいかに矛盾であるかということが次官、これでよくおわかりでしょう。こういうことをお考えになって、根本的に賃金体系を変えていくような方向に進んでいかれんことをお願いするのでございますが、次官、いかがでございますか。
○倉成政府委員 御意見の向きはよくわかりました。いろいろそういった御意見を含めて検討してまいりたいと思っております。
○井上(普)委員 貴重な時間を拝借いたしまして、長々と申し上げましてまことに恐縮でございます。私は、先ほど来申し上げたことが十分今度の塩価の算定にあたりまして労務賃金に反映することを期待いたしますと同時に、十分要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○毛利委員長代理 次回は、来たる二十三日火曜日、午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十八分散会