石炭対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/03/21
会議録
○多賀谷委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 石炭対策に関する件について、本日、参考人として石炭鉱業合理化事業団副理事長田口良明君及び理事田原正邦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○多賀谷委員長代理 御異議なしと認めます。よって、田口良明君及び田原正邦君を参考人とするに決しました。 ————◇—————
○多賀谷委員長代理 石炭対策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君。
○井手委員 当面の石炭対策について二、三お伺いをいたしたいと思います。 石炭の再建について、近いうちに通産省は石炭鉱業審議会に再建策を諮問されるようであります。いつごろお開きになり、どういう手順をお考えになっておるか。私はもうこの委員会で多く申し上げることもなかろうと思います。事態も明確でありますから、対策は速急にしなくてはならぬと思いますので、そういう意味で通産省の態度をお伺いいたしたいと思います。
○中川(理)政府委員 ただいまいろいろ事務的な準備をいたしております。非常にはっきりしたスケジュールということを申し上げかねますが、気持ちといたしましては、できるだけ早い時期に石炭鉱業審議会に諮問をしていただくように大臣にお話ししたいと思っております。最終的なスケジュールといたしましては、いずれにいたしましても四十四年度予算に次の対策が間に合うようにスケジュールを組んでいきたい、こう考えております。
○井手委員 そうしますと、七月一ぱいくらいまでには審議会の方針がきまり答申がある、こういうことですか。その前にきめて準備を進めていくということでございますか。
○中川(理)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、四十四年度予算で新しい石炭政策の予算をつくりたい、かように考えておりますので、そう考えますと、各省から大蔵省に事務的に要求案を出します時点が八月でございますので、それまでには審議会の答申の結論を得たいと思います。もし無理でございましても大筋は得たい、かように考えておるわけであります。従来の例によりますと、若干延びまして、仮の要求案を出してあとで組みかえするというようなこともやっておるようでありますが、これは全く不可能ではないと思いますけれども、少なくとも政策の骨格と申しますか骨組みみたいなものは、その時点までには、中間報告であれ何であれ、しっかりしたものを出していただけるのが望ましいと考えておる次第でございます。
○井手委員 いま私企業としての限界が来て、革新的な対策が各方面で要望されておりますので、各社の末端ではかなり動揺もあるようです。来年度予算に間に合えばいいということじゃなくて、基本的な方向というものは早くきめるべきではないかと考えております。その点についての追及はいたしません。早く方針をきめていただきたいと思います。 そこで、審議会におはかりになる、おそらく来月初めごろになるかもしれませんが、すでに事務当局では審議会にかける通産省の構想というものが、成案までにはいかぬでも、大かた見当がついておるのではなかろうかと思います。聞くところによりますと、西ドイツのラインシュタール・プランと申しますか、あの方式を参考にして、縮小再建というようなことをお考えになっておるようでありますが、具体的なことを詳細まで聞こうとは思いませんが、方向としての考え方を承りたいと思っております。
○中川(理)政府委員 私ども、いま通産省の考え方というものを確定しておる段階ではございません。石炭局案というようなものさえ、まだつかみかねておる状況でございますが、いろいろ基礎データは集めましたし、それから一通りの問題点と申しますか、対策は問題点に対する見合いでございますので、問題点だけは誤りなくつかみたいということで、いろいろ準備をいたしておるわけでございます。その間いろいろな御意見もございますので、それぞれの御意見につきましても、私ども、その中身を、あるいはお気持ちを、理由を、いろいろとお聞きいたしまして、それぞれの説の長所短所というものを検討しておるという状況でございます。 井出先生おっしゃいましたラインシュタール案は、これまた、私どもが問題を考えます上にたいへん貴重な案でございます。エネルギー革命の中における石炭鉱業というものを考えます場合に、ドイツの石炭鉱業も日本の石炭鉱業も、ひとしく需要面あるいは原価面での問題を持っておることは同様でございます。この点は大いに参考にする余地があろうかと思っております。ただ、ドイツの場合の政策は、先生御承知のように、石炭の経営というものと鉄あるいは化学といった事業との結びつきが、一社で兼業をしておる場合もございますし、あるいはまた資本的に非常に強いつながりを持っておる場合もございます。そういう状態と、わが国の石炭鉱業をになっております企業の状態とはたいへんかけ離れた違いがございます。そのことは経営力と申しますか、かりに石炭部門で欠損を出しておっても、他部門で大きな収益をあげており、会社として見れば必ずしも赤字ではない。しかしながら、このまま石炭部門の赤字を累増するままにまかしておったんでは問題があるというところに、基本的なドイツの問題点があるようでございまして、その点は、過去の急激かつ大幅な合理化によりまして非常に大きな実質赤字を抱えており、あるいは通常の企業に見られぬような大きな債務を抱えておる、しかも若干の兼業部門はやっておるにせよ、会社としてもいずれも収支均衡し得ない赤字の状態で来ておるというのが大部分であるわが国の企業の場合とは、だいぶ違うのでございまして、私どもはエネルギー革命の中に置かれた石炭鉱業というものを考えます場合に、ドイツの考え方というものは十分考慮する必要があると思いますと同時に、いまの企業の違い、この重荷の解消ということに対しての別個の考え方というものを日本の石炭政策を考える場合は考えなければいかぬ、これが実は財政的にも大きな問題になり得る点でございます。これらのことを十分に判断した上で考え方を定めていかなければならぬのではないかと思っておる次第でございます。
○井手委員 中川さん、要点だけの答弁を願います。 そうしますと、問題点のおもなるものはどういうものですか。
○中川(理)政府委員 一つは、今後の石炭鉱業のあり方というものをどのような規模のものとして考えていくかということであろうと思います。これは単に従来のような需要面からだけの考え方ではなくて、最近顕著になりました労働力需給の動向をも見定めたものとして考える必要があろうと思います。またもう一つのファクターは、いずれの規模で石炭鉱業を考えてまいりましても、相当の財政的な支援と申しますか助成が必要であろうかと思います。いろいろな合理化によりましてもなお残るその助成の額の見当というものをつけなければいかないのではないか。以上申しましたように、需要面、労働力面、それから財政面といったものから石炭鉱業の長期的な時点における規模というものを考えなければいかぬだろう、それが一つでございます。 第二点は、先ほど申しました現在の石炭企業が持っております過去の赤字あるいは債務といったものをこのまま引き継いでまいりますと、いかなる形で再編成するにせよ、それらの重荷が将来残すべき石炭産業の負担になることがはっきりいたしておりますので、これらをどのような形で国が助成することによって切り捨て得るかということが大きな問題であろうかと思います。その場合に、第一の問題でも申しましたように、私どもは将来の石炭産業に従事する労働者の問題というものを、いままでとは違った意味で、いままでにも増して重要な要素だと考えております。安定した職場を確保するという意味合いでも、いままでのような離職者対策というよりは確保対策というものを大きく考えなければいかぬ、かように考えております。 なお、派生的な問題といたしましては、ある意味での再編成と申しますか、いまの企業形態そのものに触れることを考えなければ対策が成り立ちにくい情勢にございますので、形はどうであれ、いろんな意味での再編成ということが考えられなければならないかと思いますが、その際に、いま石炭会社が経営をいたしております他部門のことについての配慮もいたさなければならないのじゃなかろうか、かように考えております。 思いつきましたまま問題を申し上げました。
○井手委員 いま石炭局長から問題点を伺いましたが、一つは労働力を含んだ規模の問題、旧債の問題、企業形態の問題に大別されるだろうと思います。私企業としてもう限界にきていることは申し上げるまでもないわけですけれども、植村構想と申しますか、西独方式と申しますか、大体方向はあると思います。見当はつくと思います。その場合に一番考えられますことは、出炭規模というものを現状に近いものでされるのか、石炭の経済的立場から縮小再建ということでお考えになるのか、これが当委員会における一番大きな問題であろうと思います。引き合わないから、立っていけないから、やれるところでやらせようということであれば、石炭の特別対策というものは意味がなくなるわけです。従来石炭対策については、国内資源、国内エネルギーの安定供給と国際収支、地域経済、こういった立場から石炭対策というものが立てられて、五千万トン出炭あるいはそれ以上を委員会としては要望してまいりました。この石炭の位置づけというものがすべてを決すると思う。この石炭の位置づけについて、通産省はどういうお考えをお持ちか、これを承りたいと思います。
○中川(理)政府委員 井出先生おっしゃいましたように、地域経済の問題その他いろいろな関連もございますので、石炭の生産規模と申しますものにつきましては、可能である限り現状に近いものであることが望ましいという考え方は、私どももさように考えておるわけでございます。反面、先ほど申しましたように、不可能なことを考えてもしかたないわけでございまして、将来にわたりまして確保できる労働力の限度というようなものも考えなければいけませんし、また逆に先ほど申しましたように、どのような規模でございましても、いまのようなエネルギー事情でございますと、これは将来も続くと思われますが、助成なしに石炭産業の維持ということはできないわけでございまして、維持費用の範囲なり幅なりというものについて見定めも持たなければいけないのではなかろうかと思います。気持ちといたしましては、なるべく現状に近いものであってほしいと思いますが、その限りにおきましていろいろ制約条件もございますので、適当な規模というものを考えなければいかぬと思います。ただ従来の経緯から見まして、出炭規模をあまり固定的なものと考えて固執いたしますと、実際との間にいろいろ方問題を起こしますので、先ほど申しましたように、たとえば労働力の問題でございましても、いずれも想定と申しますか、推定によって考えざるを得ない要素がございます。そういう点を考えますと、比較的労働力の確保しやすい状況のときには規模をふやし得る体制、逆な事態が出ましたときには、さほど問題なく減らし得る体制、こういった状況変化にフレキシブルな形の仕組みというものを持たなければいかぬのじゃないか。現存の企業体制でございますと、その辺がこの状況変化に非常についていきにくいところがございますので、これは今後の問題をめぐりまして、昨今いろいろな議論が出ておりますけれども、いずれの場合にもお考えになっていることの一つには、この状況変化に適合し得るような新しい仕組みというものを持ちたいというふうなお考えが共通して流れているのではなかろうか、私はかように思います。
○井手委員 気持ちだけでは石炭対策というのはなかなか実効があがらないのです。植村構想によりますと、昭和四十八年度に三千万トン台になる——台というよりも、むしろ三千万トンになる。いまおっしゃったように、価格の面、労働力の面が、現状がそうである、現状に沿ってやる、財政の許す限り助成はするけれども、現状はいたしかたがないということであれば、従来の径緯からいっても、植村構想のようになってしまうのじゃないか、こういうふうに思います。 それでは、この際お聞きしますが、いまのままでまいりますとどういうことになるでしょうか。いわゆる若年労働力はだんだん減っていく。価格の面や賃金の面で赤字がふえていく。魅力はなくなる。いまの状態のままでいけば、出炭の見込みというのはどういうことになっていくでしょうか。これはあっさりした話です。対策は別です。
○中川(理)政府委員 先ほど申し上げましたことが、多少ことばが足らなかったかと思いますが、私が申し上げましたことは、新しい仕組みを中心に考えていくわけでありまして、必ずしも現状の体制のままでいくということではございません。出炭規模については、可能であれば現状の水準に近いものを維持したいという気持ちは持っているということを申し上げただけであります。 そこで一番困りますことは、先生のいまの御質問にもございましたように、現状が非常に悪うございまして、このままでいきますとどういうことになるかという点でございますが、一つは、資金の面で大きな問題が出てくるかと思います。もう一つは、労働力で大きな問題が出てくるだろうと思います。いまの企業のままで、それぞれのたとえば鉱業所で必要だと思われる人員に対して一割ずつ足りないというような状況があって生産が順調に進まない、各社の経理状況も悪くなるということでございましたならば、むしろトータル量としての一割の生産規模を落として、残ったもので必要な労働力を十分確保できるような体制というものが望ましいのだ、こういう気持ちでございます。そして絶えずささえるべき石炭企業の規模に対して十分差手だてが行なわれるという安心感がございませんと、だらだらと悪くなっていく。先ほどの御質問に関連して申しますと、いままでもずいぶん思い切ったスクラップ・アンド・ビルドをやってきたわけでございますので、ここで大きなつまずきが出てまいりますと全体に影響するという事態、少し大げさかもしれませんけれども、なだれ的な現象が起こるという心配をいたすわけであります。そこで、いまいろいろな対策の必要性が叫ばれておるわけでございます。私どももそう思います。規模の問題は別にいたしまして、かりにある程度の縮小を考えなければいけないという状況であると判断いたしました場合でも、この縮小を計画性を持たせて自主的にやっていけるように、金繰りがつかぬところから崩壊していくのだという形を避けたい。減らす場合であっても——減らし方にも問題がありましょうけれども、個々に年次の計画を持って整斉と縮小が行なわれるということが必要だ。ただいまの先生の御質問はいろいろ影響するところもあるわけでございますが、極端に悲観的な見方をいたしますと、そう長くこのまま放置しておきますならば全体にひびがいきかねないという気持ちは持っております。
○井手委員 ただいままでの中川さんのお話を聞いておりますと、努力はするけれどもある程度の縮小はやむを得ない、縮小再建だ、ほうっておけばなだれのように閉山してしまう、それを今度の石炭対策である程度に食いとめよう、こういう腹のようであります。経済合理主義からいけばそういうことも考えられるでしょう。そうなりますと、従来の石炭政策の転換ではないか。五千万トンはどうしても必要だからあらゆる手段を打っていこう、それが実は対策が手ぬるかったためにすでに三回失敗いたしましたが、しかし、意欲としては五千万トン確保しようというのが石炭政策であって、なだれのように閉山されそうなのをある程度で食いとめようというのがいまの一貫した考えのようですが、そう在りますと、政策の転換ではないか。これは見解の相違にもなってまいります。われわれも、五千万トンだからびた一文まけぬとか、百万トン減ったからけしからぬというものじゃありません。けれども、石炭政策はその目標に向かって努力するところに政策があると私は思っております。総くずれになる前に企業形態を変えて、たとえば一社にして、個々の企業が相次いで閉山することのないようにある程度に食いとめていこう、こういうことですか。その石炭の位置づけ、政策転換という問題についてやむを得ないというお考えですか。スローガンはおろさぬ、そのためには価格でも引き上げてやろうとかなんとかあらゆる手を——資本主義にとって一社案というのは革命的なものです。そういうこと自身を石炭業界や業者も頼らざるを得ない事態になっておる今日ですから、今度はもう少し抜本的な対策、石炭がほんとうに必要であるというならば、将来石油の寿命がどうなるという場合にも備えて、やはり地下資源だけは何とかしておこうというつもりであれば、御承知のとおり私のほうは国有化法案を出しておりますが、縮小再建ではなく、もっと積極的な方法をとられるのか、いや、そう言ったって財政の都合があるからやむを得ない、ある程度食いとめるだけは食いとめていこうというのか、その点を承っておきたいと思います。
○中川(理)政府委員 いままで申しましたことは、まだ私の段階で考えていることでございます。井出先生の基本的な御質問に関しまして、これは現状では五千万トンということで進んでいるわけであります。これは先ほど来私が述べましたような、私の個人的な意見でお答えをいたしますことは非常に差しさわりがあるわけでございます。規模の問題はどう考えるかということでございますならば、大臣以下上司とも御相談し、政府部内でもまた相談をしなければきめかねることでございますので、この席上で私がお答えするのは非常に不適当かと思います。ただ、私は、個人といたしましては、いろいろな要件を考えてみました場合に、五千万トンを堅持するということを言うのはいかにも現実離れがしていないかという感じは持っております。 それからもう一つつけ加えさせていただきますが、何がしかの縮小を考える場合でございましても、年次を追って計画的にやりたいという気持ちは先ほど申しましたが、それともう一つは、やはりどんなに考えても最小限これだけほしいというミニマムの数字は持っておらなければ在りません。そうして条件が許せば、その最下限よりは上のところでやっていけるものである限り、その努力はいたすということはしなければいかぬと思います。最後のミニマムの数字がなくて単純な経済性だけを議論いたしておりますと、石炭は場合によってはゼロに近いものになりかねないこともあるわけでございまして、そこが世の経済合理性だけで石炭問題をお話しになる方とは私は意見が違っております。いかような場合でもミニマムこれくらいは持ちたいというものはしっかり持っていかなければいかぬのではないか、その上のところで、どの辺の数値をとるかということは、いろいろな要件とそのときの情勢というものの間で無理のない姿を考えていくのが適当かと考えております。これはあくまで個人的な意見でございます。
○井手委員 この機会に合理化事業団の理事長にお伺いいたします。 過去とってきた石炭政策の当否についてはお誓えをいただくことが無理かと思いますけれども、実務に当たっておられる事業団として、ひとつ率直な意見が聞かれぬものか。従来のやり方がややこうであったとか、こうあってほしいものだとかいうことを、実務をなさっている立場ですから、あるいは具体的にこれはどうだと聞いたほうがお答えしやすいかもしれませんし、また、政府の石炭政策がきまらなくてはお答えしにくい問題であることも承知いたしておりますが、実務をとっておられる合理化事業団として、ほんとうにスクラップが順調にいき、ビルドがこれまた順調にいったとか、現状ではどうであるとか、将来こうしたほうがいいという実務の立場からひとつお答えが願えれば承っておきたいと思います。 申し添えますが、実務の立場ばかりではなくて、エネルギーの権威者と申しますか学識経験者と申しますか、そういうお立場も含めて、この際のあなたの御発言があるいは今後の石炭政策にとって非常に貴重なものになるかもしれませんので、あまり当たりさわりのないことだけでは意味がないし、そんな人ではないと私は思っておりますから、ある程度率直に言える範囲は、植村さんでもあれだけ言い出したのですから、ひとつお願いいたします。
○田口参考人 ただいま井手委員から非常にむずかしい御質問を承ったわけでございますが、また同時に、非常にあたたかい温情のある御発言でございまして、当初合理化事業団の副理事長にというお話でございましたが、おつけ加えいただきまして、学識経験者というような、私といたしましてはまことに身に余る光栄な御発言でございました。できるだけひとつ、ただいまの御質問に誠心誠意を持ってお答えできれば、私といたしましてもほんとうにしあわせな機会であると存ずるわけでございます。 ただいまここで、いまさら申し上げるまでもなく、私どものとってまいりました仕事は、炭鉱のスクラップ・アンド・ビルドの仕事がおもでございまして、これが大きな柱となって今日まで参ったわけでございます。 スクラップにつきましては、当初昭和三十年合理化法の制定当時は、全国に八百七炭鉱があったわけでございますが、その後最近の実績は、スクラップの進捗に伴いまして、非常に合理化が進捗したわけでございますが、ただいま大体全国で百六十の炭鉱の数に減ったわけでございます。生産数量につきましては、大体におきましてやはり五千万トン近くの四千七百万トン、三十年ころは四千二百二十万トン程度であったと記憶しておりますが、そういうような状況でございまして、スクラップにつきましては、それだけの炭鉱の数が減り、しかも生産数量につきましてはほとんど横ばいの実績をたどったということは、言いかえれば、それだけ能率があがったということに相なるわけでございます。 また、ビルドの面につきましては、いままでに、大体におきまして融資関係がございますが、近代化資金とそれから整備資金、再建資金、こういう三つの種類の貸し付けをいたしておりまするけれども、四十二年の十二月末日現在におきまして、貸し付け累計が七百八十二億円に達したわけであります。この間百二十二億円の償還がございましたために、残高は約六百六十億ということに相なっておるわけでございます。こういう貸し付け業務のほかに、整備保証業務とかあるいは経営改善保証とかあるいは運賃延納保証というような保証業務をいたしまして、いろいろ炭鉱の救済に当たってきたわけでございます。 それによりまして、効果と申しまするか、このビルドにつきましては、貸し付けた炭鉱の、昭和三十五年度に対しまして完成時には、この貸し付けによっての合理化効果が一七六%に上昇した。労務者につきましては、十万七千五百人程度であったこの貸し付け炭鉱の三十五年度に対しまして、完成時には六万三千七百人というようなことで、この労務者の減り方が五九%であったということでございます。能率につきましても、当時三十五年には十九・四トンであったものが、最近の完成時におきましては五十七・二トンというふうに、飛躍的に能率が増大してきておるというようなことでございまして、この自産炭の費用につきましても、総費用において九四%の節約に相在ったということでございます。 そういうようなことでいろいろ申し上げたいこともたくさんございまするけれども、このスクラップ・アンド・ビルドというものの業務が、これは本委員会におきまして、その当時から超党派的に諸先生方の真剣なる御審議のもとに合理化法が成立いたしましてから、すでに十二年に相在ったわけでございまして、ただいま御質問がございましたように、この長い年月にわたってスクラップ・アンド・ビルドの仕事をやってきたものとして、実際の仕事にあたってどうであったかという問題に相なるわけでございまするが、まず一言にして申し上げまするならば、まことに微力のために、この業務が法律の命ずるところに従ってほんとうにうまく運用されてきたかどうかという点については、いま静かに顧みるときに内心じくじたるものがあるわけであります。ただ誠心誠意、石炭の再建のために微力を尽くしてきたというつもりではございましても、なかなか事志と違うことは世の習いでございまして、その点まずもっておわびを申し上げなければならぬと思うわけでございます。 そこで、いままでの過去の経験から見てどうであったか。これは人間といたしまして、また業務に携わっておる者といたしまして、そこに何らかの反省の事項なり、あるいはいろいろな問題についての感じなりは、当然あるはずであります。私も、石炭事情が、今日こういうような、ほんとうにせっぱ詰まった事態に追い込まれてまいりまするにつきましては、静かに過去の通ってきた道を顧みて、こういうふう主点はこうでなければならなかったのじゃ雇いか、あるいは今後はこれをもととしてこういうふうな点を考えなければならぬということを、これは当然考えておかなければならぬ点でございまして、私も、そういう点について、いま静かにこれが整理をいたしておる最中でございます。ただこの間にありまして、スクラップの面につきましても、スクラップのいままでの経過から見まして、あるいは新方式とか、あるいは旧方式、いろいろな方式の変遷もございましたけれども、地元の人たちにできるだけ迷惑をかけないようにするということが、やはり基本の精神であったわけであります。こういう点につきまして、やはり交付金凍りあるいは買収の評価金額なりが、とかく予算の関係もございまして、十分でなかったということは一つの点であると考えております。 それからなお、事務が思うように進まない。この点は一つの鉱害の問題についてもあるわけでありますが、いろいろ各方面の話し合いその他の問題を経て後にこれが解決に進んでいくということに在りますると、なかなかそこが思うようにいかないという点もあったように考えられます。またビルドの面につきましてでございますが、せっかくスクラップをいたしましても、同一企業内の炭鉱の一つをスクラップをした場合に、そのスクラップに要する費用が、ただいま申しましたような関係でとかくビルド山の足を引っぱる。一山一社の場合と違いまして、せっかくビルドをしようということで援助をしておる山の、要するに企業全体の足を引っぱるというようなことになる。こういうことが最近積もり積もって、結局、炭鉱の赤字の累積のために、これが重圧になっておるということに帰するわけでございます。そういうようなことで、ビルドをやりましても一方で足を引っぱられるという結果を招来するというようなことはまことに残念であったと思うわけであります。さらに予算の面につきまして特に最近その傾向が激しいのでございますが、炭鉱あっての、すべてのそれに対する付帯の問題が多いわけでございまするが、そういう付帯的な問題にとかく予算がついて、前向きの、炭鉱を生かす面に予算がとかく少なかったということは、これはまあいろいろな事情もあるからあるいはいたしかたがないという考え方もあると思いますが、私はやはり、炭鉱あっての付帯事業でございまするので、炭鉱の主体性というものを十分に考えてやっていってもらわなければ、十分な石炭対策の予算措置だとは考えられないと思うわけであります。 問題は、予算の問題に移りましたけれども、そのほか石炭産業について私は思うのでありまするが、石炭産業は何と申しましても、政府の施策にしてもあるいは事業団の運用の面につきましても、そのもとは石炭の生産者が本元でございまするので、石炭生産者が最善の努力を尽くしてくれておったかどうかということにつきまして、私はやはりそこに十分でなかったという点を率直な気持ちとして感ずるわけでございます。これにつきましてはまだまだ大きな問題として、また広範な問題として、今後十分これを掘り下げてまいらなければならぬと思いまするけれども、何と申しましても石炭産業は石炭を採掘する会社がもとであり、その会社の人たちが、これは労使を含めて私は申し上げるのでありますけれども、外国や何かの諸炭鉱の状況を考えるときに、あまりに日本の炭鉱の組織なり何なりが複雑多岐である、こういうような点をもっともっと簡素化することによってコストの引き下げや何かにも適用できるのじゃないか。あるいはもっといまの点につきましては、賃金制度や何かについてももっと簡略な方法によって能率をあげ、冗費を節約することができるのじやないか。そういうようなことがいろいろとあるわけでありまして、きょうは突然の御質問でございまするので、いろいろな点につきましてまとまってございません。いずれまたそういうふうな機会をぜひ持ちたいと考えておったやさきでございまするので、きょうは井出先生から何か腹の底をえぐられたような気分がしたわけでございますが、これは私はほんとうに、この仕事に携わっておる者として当然の責任であると思うのです。この仕事を通して、いままでどうであった、またどういう点をもっと改善してもらいたかった、今後はもっとどういうようにしてもらえばよろしいのかというよう主点は、これは当然あるべきはずです。 また私も事業団の末席を汚してはおりますけれども、田口個人としてやはり感慨なきにしもあらずでありまして、特に私はただいまの御質問に対しまして満腔からの敬意を表するとともに、ぜひこれをひとつ——私はきょうは、まだいろいろな点がまとまってございませんので、まことに残念ではございまするが、まずもって一般的な気持ちを申し上げたわけでございます。
○井手委員 ありがとうございました。私が聞きたかったのは、最後にありました企業の努力が足りなかったというような点がほしかったわけです。突然のことでございましたから、用意もどうであろうかと思いましたが、ひとつ、事業団としての反省ということばは悪いかもしれませんが、いままでとったことに徴して、どうあるべきかというものを、個条書きでもけっこうですから、私までお示しをいただきたいと思います。
○田口参考人 承知いたしました。
○井手委員 石炭局長にお伺いいたします。 従来の石炭企業の保護という面ではなくして、やはり国民経済の立場から今後は特に取り上げねばならぬと思いますが、一つの問題は価格にあると思います。これはもう申し上げるまでもございません。昨年の九月末北海道に参りましたときに、北海道の電力用炭は二千四百円ぐらいで引き取っておったと思います。いまの石炭価格というよりも、電力会社の経済状態、物価の趨勢から考えて、これはあまりにひどくはないか。私は、あれほど巨大な利益をあげておる電力会社が、石炭引き取りに対して補償をとるなどということは、地域的に独占しておる電力会社の経営道義としても言えることではないと思っております。ここではその点についてあまり多くは申し上げませんが、やはり価格を引き上げなくては、これはどんな手を打ってみても同じだと思うのです。どんな構想を実行しても同じことだと思う。この電力用炭を中心として、たとえ石油が安いという場合があっても、あるいはプールということも考えられるでしょう。石炭は若干縮小しても絶対必要である、物価の情勢はこうであるということがあるならば、私は価格についてこの際検討する時期にきておるではないか。だれが考えても、あれほど苦労して掘った石炭、ほかに買い手がないという足元を見たような二千四百円の置炭、しかも今後四時までにしかトラック輸送は認めないというその火力発電所のやり方、私はあまり小さいことは申し上げたくないのですが、石炭価格というものを考え直さなくては、どんな方式をとってみても同じことだと思う。しかしそれを、石油の関係がありますから、全般的にどうこうというわけにまいりませんが、少なくとも電力用炭については、私は社会の道義、常識からいっても、もっと引き上げていいじゃないか、電力会社は安いほうがいいかもしれませんけれども、独占企業に対してはそれだけ国の恩恵を受けておる会社ですから、いま少しものが言えないはずがないと思う。電力用炭の価格引き上げについて、その勇気があるかどうか、これが一つ。 いま一つは、石油の資源保有国と国際カルテルの対立、あるいは先般のアラブにおける国際紛争などいろいろ考えますと、日本に近い海外に原料炭を求めて、たとえば石油が最近やっておりますように、自給体制を固めていくということがこの際必要ではないか。国内ばかりじゃなくて、石炭問題についてはあまり遠方でありますと安全保障ということが困難になってまいりますが、近い東南アジアその他に原料炭を確保する積極的な考え方、今度の一社案でございますか、どの方式にせよ、私はそこまで積極的に考える必要はないか、まずこの二点をお伺いいたしたいと思います。
○中川(理)政府委員 第一点は、石炭側でいろいろな合理化手段をやっておっても、合理化効果によって吸収し得ないコストの上昇率というものを念頭に置いたときに、炭価を据え置いておくということではなかなか問題解決は困難になるのではなかろうか、少なくとも電力用炭の価格引き上げを考えなければいかぬのじゃないか、こういう御質問だと思います。私どもといたしまして、これからの政策を考えます上で、確かに石炭の価格を上げることが可能でありますならば、それだけ対策を打つことがやりやすくなるわけでございまして、念頭にはこの採掘された石炭の価格についての問題意識は絶えず持っておりますが、実際問題として、他局の所管に関することでもございますので、なかなかこの段階で申し上げることはむずかしかろうと思っております。また現在の仕組みが、先ほど先生は北海道での引き取りのことをお話しになりましたが、揚げ地におきましては、御承知の増加引き取り交付金ということで、重油との価格差、トン当たり約千二百円というものの補給をいたしておりますので、いまの仕組みのままでものを考えますと、炭価を上げれば上げただけ価格差補給金も上げなければいかぬというようなことで、石炭特別会計の負担にはね返ってくるわけでございます。積み地での引き取りは、現状ベースでは積み地の石炭価格というのは重油とコンペティティブであるという考え方から、これについての価格差補給をいたしておらないわけでございます。価格問題というのはたいへん大切な問題ではございますけれども、これがそう簡単に実現できるとは私は考えておりませんし、また電気には電気の考え方があって、おそらく公益事業として考えますならば、電気の消費者に対する立場が何にも増して優先するはずでございます。可能な限りコストを引き下げて料金に反映させるというのが公益事業政策の基本でございますので、石炭の価格を上げてくれとは単純には言えない仕組みになっております。現状におきましては、先ほど申し上げましたように上げれば上げただけ財政負担をふやさなければいかぬという制度に相なっております。この点は大切な問題だとは思っておりますが、当面見通しは立たないという段階でございます。 第二点は原料用炭の確保について、国内炭だけでなくて比較的近い地域における海外原料用炭の開発というようなことを考えるべきではないかという御意見であります。これは私どもも先生の御意見どおりそういう必要があると考えております。御承知のように四十二年度の実績、四十三年度の推定、いずれの面から見ましても、私どもが一定の出炭規模の中で原料炭の生産に重点を置いて考えました計画が、実際上は原料炭の出炭がはかばかしくないという事態もございます。これらのことを考えますと、もう少し政策的に原料炭確保に傾斜がつけられないかというようなことは私どもの念頭に絶えずあることでございますし、また、先ほどの御質問に戻りますが、将来の出炭規模を考えます上におきましても、鉄鋼側の生産の伸びというものが長期的に相当大きいものとして考えられる以上、原料炭の確保というところにわれわれの考え方の中心を置きたいという気持ちは御意見と同じでございます。その際に国内原料炭田の開発も鋭意やっておりますけれども、いろいろ問題がございます。海外の原料用炭を考えろということは、当然のこととして私どもも考えなければならない時点にきてかると思います。むしろ石炭産業全体としては、もっと早い時期にそういった長期的な考え方の上で海外の原料炭確保という問題に着手していなければいけなかったのではなかろうかという気さえするくらいでございます。今国会でお願いしております予算の中でも、わずか百万円オーダーの数字でございますのでとても胸を張って申し上げるようなことではございませんけれども、豪州、カナダ等の原料炭の炭田開発につきましての若干の調査費というものも計上いたしまして、いま需要原局である重工業局とも相談をしながら、ただいま御指摘のありました海外の原料用炭確保ということにつきましては、なるべく今後の石炭政策の中で可能な努力をいたしたいと思っておるわけでございます。なおいろいろな構想が出ておりますけれども、今後の石炭政策の中で中心的になる問題の一つとして海外原料炭の開発事業、あるいは先ほどの価格問題とも関連がございますが、石炭販売の一元化というようなことはあらゆる案に共通してある思想でございます。これらの点は私どもも十分承知して次の施策を考えていきたいと考えております。
○井手委員 販売の一元化については、いずれにしても一社案になろうかと思います。当然になると思いますが、政務次官、いま後段に申し上げました海外原料炭の開発、これは政治性のある問題ですが、手おくれになっておりますから、鉄鋼会社は専用船と申しますか自家用船と申しますか、そういう計画があるようであります。ひとつ御検討をいただきたい。 なお、価格問題については、私はこれは石炭局長としてはその限界があろうと思いますが、私が申し上げておるのは、電力料金にはね返るようなことじゃなくて、十分そのくらいの——政府に引き取り増加分の価格差補給をもらわねばならぬような電力会社ではないと思っています。それを要求するような社会的道義が通ずるとは、私は思っておりません。石炭が一社にならなくてはならぬという事態に、ばく大な利益をあげている独占企業の電力会社が、何十億かの金で政府に要求するのは少し虫がよ過ぎるのじゃないか。だから、それは事務的には現在の機構、組織、法令というものがあるでしょうけれども、政務次官には、ひとつ電力会社はそのくらいは吸収すべきである、料金にはね返らぬようにできるはずですから、そういう点についてご検討願いたいと思っております。
○藤井政府委員 原料用炭の海外開発の問題につきましては、先ほど石炭局長からもお答えをいたしましたとおり、実は私突然なことを申して恐縮ですが、大東亜戦争中ボルネオ、ジャワ、その辺にも行っておりまして、やはりただ石油資源だけでなくして、石炭資源の手近なところの自給の計画、こういうものについては積極的に取り組んでいくべきであることは同感でございます。せっかく御指摘でございますし、努力いたします。 それから価格の問題につきまして、御指摘の趣旨はよくわかります。公益性のある電力事業でありますから、公共料金である電力料金にはね返らないというこの前提は申し上げるまでもないことでありますから、また井手委員そのことはよく御承知の上での御発言でございまして、よく事情を検討いたしまして、御趣旨のような点が実現できる実態があれば、果敢に問題解決に進みたい、このように考えております。
○井手委員 先刻田口さんから、顧みてせっかくの石炭対策に対して会社の企業の努力が足りなかったのではないか、不十分であったように思うという御発言がありました。これに関連してお伺いいたします。 今度植村構想に対する石炭協会の回答の中に、官僚機構、官僚統制にならぬようにしてほしい、企業の競争原理を生かしてほしい、これはわからぬでもない。しかし、第三番目に金融機関、一般債権者、株主に損害を与え互いよう善処することという文字があり、あまりにも虫のよい協会の態度ではないかと非常に非難があったようであります。私もけしからぬことだと思っております。五千万トン出さねばならぬ、そのためにあれほど国民の税金を石炭政策に投入しておる。それが四千七百万トンを割るような事態に在った。それは石炭対策の実行のおくれもあるでしょう、いろいろな問題もあるでしょうけれども、私は企業としての、経営者としての責任が足りなかったと思う。また少し企業を甘やかしたんではないかという当局の態度も反省があっていいのではないか。いろいろな石炭協会幹部の発言を見ておりますと、どうもそういう気がして在りません。かつてエコノミストが、石炭協会というのはいかにして閉山炭鉱を高く売りつけるかというその組織である、協会であるということを書いておりましたが、どうも最近そういう気がしてならぬのです。地域に与える影響、これはあとでも申し上げますが、石炭は大事だから国から、なるべくよけい出してもらう。その管理炭鉱なんかにおいては、それは制限もあってなかなかむずかしい点もありましょうけれども、人も集める、どうしたらよけい出せるかという努力が私は足りなかったと思う。あれほどの国の保護を受けておるならば、国の要請する出炭計画には沿う措置を当然とるべきである。かつてオーストラリアから原料炭をたくさん輸入する長期の契約を結んだ。それもやはり業者の努力が足りなかった結果である。申し上げたいことはいろいろたくさんありますが、一言にしていえば、虫のよ過ぎる業者——業者の気持ちがわからぬでもないけれども、ほかの製造業であったらどうなる。何のために国がこれほどばく大な石炭対策を出しておるかということを考えるならば、もっと社会的に責任を持ち、生産に責任を持つべきであると私は考えております。言うべきものは言うてもいいけれども、責任も持たなければならぬ。今回行なわれようとする抜本的な再編成の対策について、われわれは国有という法律案も出しておりますが、伝えられる政府並びに業界の考え方は一社案である。その場合に、いままでのようなしようがない、しかたが互いという出し方でなくて、やはり責任生産、これはいかなる場合でも私は貫いてもらわなければならぬと思う。その努力を十分に果たしてこそ国に対していろいろな要請もできるはずです。株主に損害を与えないようなどということが一体どんな口で言えるのか。私は、今日までいろいろ個人的には意見はあったけれども、石炭は守らなければならぬ、企業よりも石炭を守ろうということでずっと法案にも賛成してまいりました。ところが政府の対策も手ぬるかったけれども、業者の態度も必ずしもよくなかった。 そこで、最後にお伺いいたしますが、責任生産、企業者の努力というものに対して今度の再編成はどういうようにお考えになっておるか。これは政務次官と石炭局長両方から簡単でけっこうですが、その決意を承っておきたい。
○藤井政府委員 御指摘の点は私全くごもっともだと思います。このたび二年足らずしてまた再編成という事態にきたわけでございまして、いわゆるエネルギー革命下における第二度目の石炭業界の再編成にあたりましては、いま御指摘の責任生産体制、これはこの山ぐるみのかまえとしてそういう線が出ることをわれわれも期待し、またそのような方向に政府も施策を展開しなければならぬ、このように考えております。
○中川(理)政府委員 私の気持ちも御指摘のとおりでございまして、在来どうも政策に対してのもたれかかりと申しますか、非常に依存度の強い産業ではございますけれども、それに名をかりてみずから表すべき努力を十分にしておったかどうかという点では、私もかたり問題があると思っております。在来政策が財政的な限界もございまして、いろいろな意味で非能率と申しますか、悪いほうの救済に傾斜がかかっておったというきらいが顧みてないわけではないと思います。どのような仕組みでいま御指摘の趣旨を政策的な展開として考えていったらいいかということは、今後の問題でございますけれども、一生懸命やっている人がばかを見る、そうでない人もひとしく救済を受けるというような形は、だれが考えても望ましいことではございませんので、御趣旨を体しまして今後の政策を考える上で、十分配慮いたしたいと思います。
○井手委員 事務当局でけっこうですが、企業再編成を一社案と申しますか、そうした場合のメリットがどうなるかということです。先刻申し上げた昨年九月の末、北海道を回りまして、北空知の炭田を調査したときに、一社になれば、北空知だけでもいいが、北空知一社になった場合には、管理、運送、販売、採掘、各方面にわたる合理化によって、経費の節減によっておおむね千円前後浮くでしょう、節約になるでしょう、こういう業者のお話もありましたし、札幌の石炭部長も申しておりました。こまかい点はわかりませんが、一社になった場合にどのくらいのメリットがあるか、節約になるのか、試算があれば、この機会に承っておきたいと思います。
○中川(理)政府委員 はなはだ申しわけございませんけれども、現在私ども一社化した場合のメリットを数値的に評価する資料は持っておりません。 御指摘のとおり、理論上の問題点といたしましては、販売関係あるいは輸送関係の一元化、あらゆる意味でのいまの企業の本社経費と申しますか、一般管理費的なものの節約、それから投資、その他における合理化というものは考えられます。ただ、いまの一般管理費、これをもっと端的に申しますと、おそらくホワイトカラーの余剰部門の合理化ということになると思いますが、これは炭鉱労働者の合理化とはいささか違った趣のものでございます。実際問題としてどれくらいやれるか、その人たちの将来の職場あるいは退職金の支払いというようなことを考えますと、実際問題としてなかなかむずかしい問題でございます。企業関係部門も同様でございますが、これは少なくとも相当なメリットがあがることは確かでございます。ただ投資関係の点につきましては、先ほどお話の出ました西ドイツのルール地区で単一会社でやっているといった場合のメリットと比べますと、先生の御指摘の空知のごときは、これはもう日本でも代表的に統合メリットのあがる地区にございます。その他のところは、ルール等と比べますと、それほど大きなメリットがあがるというふうには私ども考えておりません。むしろ大きさとしては販売関係の一元化、あるいはもし管理部門の徹底した合理化ができるのであれば、これのメリットのほうが大きいのではなかろうか、全国的規模におきましては、こう考えております。ただ先ほど申しましたように、最近の労働力事情でございますので、若干は変わってきているとは申しますものの、ブルーカラーの労働需給というものとホワイトカラーの労働需給というものが非常に違っております。この辺については、どういう考え方なりあるいは手の打ち方があろうかということで、いま実際問題として頭をひねっておるところでございます。組合的に申しますと、炭職組関係の職員というような人たちにどういう考え方で臨めばいいか。おそらく実際問題としては何らかの計画期間を持ち、計画期間内になだらかに縮小することが可能であれば、このメリットは相当大きく評価していいのではないか、こう考えております。御指摘のような全体の数字をまだはじいておりませんが、基本問題を検討する上でいずれつくらなければならない数字でございますので、私どもなりに作業いたしてみたいと考えております。
○井手委員 北空知では特殊な事情もあるかもしれませんが、トン当たり千円の節約になるということでした。中川さん、あれを考え、これを考え、右左、四方八方気を使っておられるようですが、言うべきところは言ったほうがいいんじゃないですか。何もきょうはそれを論戦するつもりはございませんから、多くは申し上げませんが……。それではルールの場合はどのくらいになっておりますか。
○中川(理)政府委員 いま数字を持っておりません。
○井手委員 金融についてちょっとお伺いいたします。 最近の金融はどうであるか、いわゆる政府で肩がわりした千億円、それに利子、当時とかく将来についていろいろ不安がられておりましたが、実際はどうなっているか、承っておきたい、前と現状について。
○中川(理)政府委員 概括的な説明になって恐縮でございますが、結論を申しますと、あまりいい状態ではございません。私が石炭局へ参りましてから資金繰りの上で二度ばかり節がございまして、昨年の年末をどう切り抜けるかというのが一つの節、二回目は、この一−三の資金繰りについてどう切り抜けるかということでございます。当面一−三の資金繰りは、これも概括的ではございますけれども、支障はない、こう御判断いただいてよろしいと思いますが、そうは申しておりますものの、三月はもう過ぎておりまして、四−六から先の四十三年度の資金繰りというものにつきましては、はなはだ心配すべき状況にございます。これは四十二年度の生産実績がああいうことになりましたので、大手だけについていいますと、再建整備計画で四十二年度一トン当たりの赤字額が二百八十三円という想定でおりましたものが、いまの時点で見ますと、おそらく五百円に近いだろうと思います。この幅のものだけが実質上資金繰りに支障を来たす大きな材料になってくる。そこで、これは先生御心配していただいておりますお気持ちと実情とは同じでございますが、金融機関一般といたしましては、石炭企業に対しての融資残高がふえることに対しては、極端に警戒をいたしておりまして、返済に見合ったものをまた貸す、返済金が来て、返したものについてまた貸すというぐらいのところは、企業が著しく先行き悪いということでない限り、一般的には金繰りがその限度まではついておりますけれども、いわゆる純増という形ではなかなかいかぬというのが、率直にいって、一般的な状況でございます。 そこで、もう一つ事を分けて申しますと、これからの資金繰りを考えます上で、私ども、個別の会社の状況を見ました上で絶えず念頭に置いておかなければいかぬのは、いわゆる貸し増しになる資金需要であるのかどうなのか、それから主力銀行のウエートが高いか低いかということで、概して言いますと、一般的な状況としては先ほど申しましたようなことでございますが、特に協調銀行と申しますか、主力銀行があってお手伝いをしておるという銀行の態度のほうがよりきついわけでございます。会社ごとに見ますと、主力銀行のウエートの高いところは、多少の心配があってもまあまあいい。協調銀行のウエートが比較的平均値よりも高いというところのほうに、私ども、より気を使って事柄を見ておる、こういう状況でございます。それらも、ただ単に市中金融というだけではございません。きょういらしている田口副理事長の合理化事業団からの融資、それから開銀の融資というものが全体としてのウエートが高いわけでございますので、これからの資金繰りにつきましては、開銀、事業団という財政資金の融資をてこにして、いま申しましたように、一般的には不承不承という形が強いわけでございますが、これらの動向を見ながら財政資金をてこにして引っぱっていくという手だてが必要であろう、いままでもそうやってきたわけでありますが、そういうふうに考えております。なお、もう一つ心配でございますのは、いまのような状況でございますので、貸し増しになるような形の場合に、従来にも増して提供すべき担保物件というものが底をついてきておるというところが一つの問題点であるということを申し添えます。
○井手委員 石炭に対する市中銀行の融資状況は大体わかりました。貸し増しは困難である。今後の四−六がまた心配される。そうであろうと思います。私は要望だけにとどめておきますが、昨年の一千億円の肩がわり、あのとき一番心配されたのは、それで炭鉱と金融機関は縁を切るのではなかろうかという不安でございました。最悪の事態ではございませんが、もしそうなったら、あれほどの石炭対策というものが意味を失うわけですから、金融機関融資に対して、もちろん金融機関としての採算、危険性というものは考えなければなりませんが、従来貸しておったのは企業の立場から貸しておった、政府の勧奨ではなくして、当事者、金融機関と炭鉱の間に貸し借りされておったものを、国が肩がわりをしてやった、先刻の石炭協会への話じゃございませんが、それを考えると、そう冷たく金融機関が扱うべきものではないのでありますから、この点はひとつ大蔵省方面とも連絡をとって十分指導してほしいと思います。 そこで、その次にお伺いしますが、石炭会社が、石炭政策以前にもあったけれども、特に三十六、七年ごろから、いろいろな関係傍系会社に投融資をいたしております。ごく最近でも、何十億と一挙に投融資した実績もあるようです。これは将来を見越してのことかという説も一部にあるほどであります。石炭政策によって金が入ってきたものを、たとえ表面は離職者対策というものがあるにしろ何にしろ、社外に投融資することの是非という問題は、これは非常に重大であると思うのです。石炭が困ればこそ国は金を出してやった。それほど苦しい炭鉱が、どうしてほかの会社に投資をしたり融資をしたりする余裕があるのか、私はこの点は今後もひとつ追及してみたいと思っておりますが、きょうはその資料だけにとどめておきます。最近わかったところで、大手十七社は炭鉱の第二会社を含めてどのくらい投融資しておりますか。総額だけ、投資が幾らか、融資が幾らか、もしわかりますなら、そのうちに炭鉱第二会社は幾らか、そういうふうにひとつお示しいただきたい。
○中川(理)政府委員 私、手元に持っております数字では、投資と融資の区別がございませんので、突っ込みでお答えしますが、大手の社外投融資の四十一年度末残高——ちょっと古うございますが、四十一年度末残高は八百三十三億九千七百万円、そのうちいわゆる第二会社、美唄炭鉱でございますとかいったものが二百六十八億一千二百万円、これを引きますと五百六十五億八千五百万円という数字に相なります。ただし、これはもう一つ分解しなければいかぬので、いま私のほうの事務に作業をさせておりますが、この中で石炭経営に必要な、たとえば輸送部門でございますとか、石炭経営と密接不可分な、いまの井出先生御指摘の全く別のところへ出したという性質でないものがやはり相当入っておりますので、もう一回この区分をいたしてみたいと思っております。
○井手委員 この社外の投融資については、今後再編成なり国有化なり、いろいろな場合に問題になります。昨年肩がわり法案が出されたときに、私はこの点について当局に注意を促したことがございます。もっと審議を深めたいと思っておりましたが、最後の段階に所用のために委員会に出ることができませんでした。石炭がこういう事態に在るであろうということは前からわかっておった。これは常識でございます。それに備えてかどうか存じませんが、観光事業であるとか、あるいは不動産の土地であるとか、そういったものにか在り巨額のものが最近出されておる事実がたくさんございます。私は何としてもこれは納得がいかないのです。昨年の夏からはかなり当局のほうでも規制があっておると承っておりますが、きょうはもう時間もだいぶ経過いたしましたから、警告だけにとどめておきますが、国からあれほど手厚い保護を受けていただいた金を、社外に投融資する。それは直接部門の問題もあるでしょう。第二会社の問題もあるかもしれない。けれども、なぜ今日になって直接関係の部門を切り離さなくてはならないのか。かつてある石炭会社は、石炭からあげた利益によって有力な産業へとなります会社を分割したことがございます、十億と四億に。石炭のほうは四億、十億は切り離してしまった。もうけたものはそのほうで切り離してしまう。そういうことを繰り返してはならぬのです。ひとつ十分注意をしてほしいと思います。 それからもう時間もたっておりますから、きょうはこの程度で終わりますが、最後に閉山処理について事業団と当局にお伺いいたします。突き詰めた質問ではございませんが、御配慮をいただきたいと思っております。 先刻田口さんはスクラップの場合には、地元に迷惑をかけ雇いようにというお話がございました。鉱害の問題その他について、地元に迷惑をかけないように、もちろん交付金の限度もございます。けれども、当事者としてはある程度納得できるものでなくてはならぬはずであります。その点は合理化事業団も整理交付金交付の場合には原則となさっておると思いますが、間違いございませんね。
○田口参考人 先ほども申し上げましたとおり閉山にあたりましては、地元の人たちに迷惑をかけないというようなことに関しましては、法律なりあるいは業務方法書在りそういう面でも十分うたってあるわけでございます。たとえて申しますると、たとえば交付金の申請をいたす場合に、申請者である業者のほうから念書をとるということになっております。この念書につきまして業務方法書の三十九条と思いまするが、この面でも十分うたって各項にわたって規定してございますので、事業団といたしましても十分その趣旨を体しまして、できる限りの措置を講ずるということにいたしておりまするが、特にこの鉱害の問題でございます。鉱害の問題につきましては先ほども申しましたが、やはり留保割合であるというようなことで、十分でないために、事志と違ってやはり結果的には非常に迷惑が及んだというようなこともございまするので、私どもといたしましてもできる限り業者と被害者との話し合いというようなことにつきまして、これが納得がいくように勧奨しておるわけでございます。何と申しましてもこの交付金の総額が少ないために、また鉱害につきましては非常に膨大な鉱害にのぼっておるところもございまして、十分なところに参らないというきらいもございますが、私どもといたしましては一応その業務方法書、それの命ずるところによりましてできる限りこれの迷惑の排除につとめておるわけでございます。
○井手委員 事業団の幹部としては、そういう御配慮があることは承知をいたしております。ただ全体的に考えますと、やはり書類で解決をする、実態よりも書類で解決していこう、交付していこうというのはある程度やむを得ないこともあると思いますが、最近閉山になっておるところの炭鉱のやり方は、いかにして鉱害の処理を少なくして済ませ、その余った金を一般債権とかあるいはほかのほうに回そうかという努力が非常に強いのです。私の近所に更生会社になったところがございますが、当時更生会社の指定については、鉱害関係者は全然知らなかった。法律は知らないからといってできるものじゃございませんが、その指導が全然地方公共団体においても、通産局においても、事業団においてもなさっていなかった。もちろん、そういうことはめったにないことですから、これを責めるものじゃございません。一つの例として私は申し上げるわけです。たとえ資本の圧力で無理やりに判を押させられた当事者の話し合い、書類に出てくる時分はこれは解決ということになるわけですが、実態が非常に違っておる場合が多いのです。最近閉山いたしました大きな炭鉱、あえて名前は申し上げませんが、石炭特別委員がわざわざ閉山についてお伺いしたときに、きれいな閉山をいたします、迷惑はかけませんと私どもに確約した炭鉱があります。その炭鉱が最近鉱害水道について打ち切り補償をいたしております。民事関係についてはあまり多くは申し上げません、一点だけ、その鉱害水道だけ申し上げますが、従来鉱害のために炭鉱が水道を施設しておった、また近々布設しなくちゃならない、井戸の水が渇水した地域がたくさんございます。そういう地区に、本来ならば閉山水道という特別の取り計らいもある、それを知ってか知らずか、あるいはほかの補償が伴うという不安を考えてかどうか存じません、打ち切り補償をしておる。上がってきた書類には、それは当事者で承知をしたということであれば、これは通っていく場合が出てくる。しかし、いずれにしてもそれはあとになって、一年先、二年先になってたいへんな問題になるのです。また一たん鉱害で井戸の水が渇水いたしますと、その水というのは、あとで閉山によって復元した水というのはもとの水じゃないのです。中には、一割くらいはもとの水と同じものが出る場合もありましょうが、大体、八割、九割は濁った表流水が井戸に入ってくる。それでも復元したと称して打ち切りが行なわれておる。私はこういう閉山の処理はどうしても納得がいかないのです。私の手元には、いろいろな問題が上がっておりますし、その炭鉱についてもいろいろなことがございますが、あまりそういうことを公の委員会で申し上げるのも、本日の段階ではどうであろうかと思っております。被害者は表に迷惑になりましたとは申しませんでしょう。けれども、私のほうは、もう何月何日で閉山いたします、鉱害被害者や残留者はもう市民ですから、市のほうで全部責任を持ってもらいたい、こういう閉山炭鉱の態度というものがはたして石炭政策に沿う企業家の道徳でしょうか、やり方でしょうか。私がきょう申し上げたいのは、そういう炭鉱がございますから、ひとつ調査団とは申しませんが、本省なりあるいは事業団本団から御調査をいただき、適切な指導をしていただきたい。特に最近、閉山になりますと、ボタ山の防災工事というものがきわめて不十分です。それは最初交付される二割五分の金から工事をやらなくちゃならぬ、鉱害じゃありません、鉱害予防工事ですから。そうなりますと、たくさんの債権者が控えておりますから、防災工事というものがどうしてもやれなくなってくるのです。五割は退職金、未払い賃金、あと二割五分が鉱害補償金、そうなりますとボタ山の防災工事という金は一体どこから出てくるのか、現実問題なかなかむずかしいのでありますし、また出そうとしても金がないかもしれませんが、あまり会社も閉山炭鉱についてはそれについての関心を持っていないのです。ところが従来、佐賀、長崎の閉山になりますと、山の中腹にボタ山を置いておりますから、いつボタ山が崩壊するかわかりません。また、七、八年いたしますと風化作用が起こって、だいじょうぶだと思ったところが谷川のような線が幾つもできて、どんどん下流の堤防なり農地在りその他を決壊しておる事実がたくさんございます。少なくともコンクリートによる防災工事が絶対必要であるものがたくさんございます。ボタ山の処理については非常に不十分です。どこでも不十分です。私も炭鉱側から恨まれるほどにやかましく言い、当局のほうにも打ち合わせてやらしたところがございますが、何ぶん五百万円、一千万円の金では完全な防災工事はできません。皆さん方そういう現状は東京におられると見ることがないと思いますが、たいへんな量ですよ。上から流れてくる。一雨で膨大なボタが下流に押し流されております。その防災工事ができないのです。いまのボタ山処理の事業ではやれないのです。しかし私は、いまの閉山炭鉱に完全なものをとは申し上げませんが、閉山をする場合には少なくともボタ山の工事、たとえ有資力であろうとある程度工事が進行した後に交付金を交付すべきではないか、金をもらったらあとは野となれ山となれでは困るのです。従来その点についての十分な対策がなかった、それを責めるわけではございませんが、閉山水道なりボタ山の処理については、なるほどこれならばよろしいという常識の線で整理が行なわれなくちゃなりません。被害者が判をついたから、書類を出さなかったからそれで終わりというものではございません。 そこでまとめて申し上げますが、今後そういう実態に対して、大きなところに対しては調査をする、地元の事情を調べてみる、そしてボタ山あるいは鉱害水道などについては、現地を調べた上で、工事が進行しておるという段階になって初めて交付金を交付するという方針を実行していただきたい、この二点を事業団にお伺いいたしたいのであります。
○田口参考人 ただいまの御質問、二点あったと思います。一つは公害のうちで上水道と申しますか井戸水の問題、もう一つはボタ山の問題、この二点と思います。 水道の問題につきましては、先生には地元でたいへん、またいろいろお世話をいただきまして、会社側並びに市当局や何かにつきましていろいろごあっせんの御努力をなされまして、非常に円満にその問題が解決に向かっておるということも伺っておりまして、この点私どもといたしましてもお礼を申し上げます。 なお、ただいまの井戸水の問題でございまするが、この問題につきましては、大部分が打ち切り補償がされておる、そういうような話も聞いておりまするが、問題は、井戸水の問題になりますると、これは人道問題であります。ほかの公害とはまた違いまして、人間の生活上非常に重要な問題でございまして、ただ単に交付決定をしたからあとは野となれというようなことで済まされるべき問題ではないと思います。でありまするから、やはりこういう問題につきましては、ただいまお話しがありましたように、十分調査をするということはもちろんのことでございますると同時に、この問題につきましては、鉱害の工事の差異もございまするが、十分ひとつ関係方面とも連絡をとりまして、この問題の解決に善処したいというように考えておるわけであります。 さらに、第二のボタ山の問題でございまするが、このボタ山の問題につきましては、先生もすでに御指摘のとおり、非常な膨大なボタが流れ出るという問題につきましては、とかくこれをおろそかにして、五百万やそこらでお茶を濁すというふうなことがやはり数の中にはあるものでございまして、こういうような点につきましては、これは保安上非常に重要な問題でございまするので、鉱山保安監督局の意見を徴しまして必要な措置を講ずるということにいたしたいと考えております。この問題につきましては、砂防の問題それから汚濁水の問題並びにボタ山の崩壊を防ぐための地ならし、この三点の問題があるかと思いまするが、この点につきましては、鉱山保安監督局のほうの結論も十分伺いまして、これが処置については遺憾のないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○井手委員 私の質問はこの程度で終わりたいと思いますが、ただいまの閉山処理について、せっかく閉山水道については特別の措置がございますので、それに乗るように御指導を願いたい。ボタ山については、鉱山保安監督局が防災施設について案を立てる、これを地元に示して了解を得る、この点が必要だと思います。なお今後委員会も開かれるでございましょうから、今後の山の閉山処理についてはあらためてお伺いすることにいたしたいと思います。通産省の意見は承りませんでしたが、同じ答弁であろうと思いますので、ひとつ十分な御指導を願っておきます。 以上で終わりますが、石炭対策はきわめて重要な段階になってまいりました。最後の答申などと何回もいわれておりましたが、これはもう、これこそ起死回生と申しますか、ほんとうの最後の段階であろう。 私は最後に申し上げたいのは、かつては、いや、いまでも石炭関係の役人は石炭官僚として優秀であったと私どもは聞いておりますし、そう見ております。将来を考えると、いろいろ御配慮なさらねばならぬ点はあると思いますが、いま何といっても大事なことは勇気だと思うのです。石炭企業が、一社にしなくてはならぬ段階において、それは資本主義を守ろうとしても守り切れないいまの石炭企業の実態でございますから、通産当局としてもやはりそれを——同じようないまの組織ということじゃなくて、革命的ということばじゃ悪いが、革新的な対策が必要であり、勇気が一番大事だと思っております。幾ら出炭量が減っても、三千万トンになっても、六百億円の石炭特別会計はおれのものだという考えであってはなりません。国民経済という立場から、石炭特別会計というものが生かされなくてはならぬのです。三千万そこそこで、私はたとえそれが三年先、五年先になっても、さほど大事な石炭対策とは思いません。業界の既得権であってはならぬと思います。あくまでもそれは安全保障の立場から、安定供給のために必要な施策のために使わるべき石炭特別会計です。 そういう点について、ひとつ特段の御研究と努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○多賀谷委員長代理 次回は、来たる二十七日水曜日午前十時理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二分散会