商工委員会 第8号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/03/13
会議録
○小峯委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。 これより本案に対する質疑に入ります。中村重光君。
○中村(重)委員 法案の審議に入る前に、通産大臣に覚書貿易の問題について、一言お尋ねをしておきたいと思うのですが、代表団が帰られて佐藤総理もお会いになったようですが、通産大臣ももちろんお会いになって、調印に至るまでの経過、その間の事情についていろいろとお聞きになったことだと思うのです。きのう外務大臣も分科会における穂積委員ほかの委員の質問に対して答えておりますが、政治三原則、政経不可分の関係、これは当然なことだというような、妥結の内容を非常に評価する答弁をしておられる。また吉田書簡、輸銀資金を使っての延べ払い輸出の問題についても、大臣も私の質問に対して、あとはまあ台湾政府の意向というようなものを聞かなければならぬということを言われたのですけれども、ともかく延べ払い輸出をするために輸銀資金を使うということについては、外務大臣とも話し合いをやって、積極的に対処していきたいという意味の御答弁があったわけです。大蔵大臣も記者会見で、延べ払い輸出に対して輸銀資金を使うことは当然ではないかという、非常に積極的な答弁がなされているわけですが、大臣によって非常に消極的な発言があり、積極的な発言がある。全くばらばらだと申し上げていいように思うのです。事きわめて重要な問題でございますので、通産大臣としてはこの点に対して、その後行かれた代表団とも話をされ、あるいはまた閣内においてもいろいろと意思統一までいったのかどうかわかりませんけれども、話し合いをされたんだと思うのでございますが、吉田書簡の問題、それから輸銀使用によるところの延べ払い輸出の問題、あるいは政治三原則、政経不可分の関係、それらの点について大臣の考え方をひとつこの際お聞かせ願いたいと思うのです。
○椎名国務大臣 輸銀資金の問題についての取り扱い方針は、ただいまのところは政府で別に食い違いはございません。具体的な問題に当面して、ケース・バイ・ケースで検討する、しかも慎重に検討する、こういう行き方については、別に食い違いはありません。ただ私は、それ以前にこの問題をすっきりした形で打開するためには、やはり中華民国政府との間にある程度の了解と申しますか、その他、とにかく台湾政府との国交を犠牲にするという問題がそこにありますので、それでやりかねておる。この問題を解決すれば、ケース・バイ・ケースなどと言わないで、他の場合と同じように、輸銀資金というものは輸出しようという場合には当然つきまとう問題であるということで、問題にならない。ただ、いまのようなケース・バイ・ケースで慎重にやるのだというようなことを打開するためにはどうすればいいかということを申し上げたわけでございます。別に実際の取り扱いの上においては食い違いはございません。
○中村(重)委員 そうすると、台湾政府が吉田書簡というものは生きているんだ、当然この書簡によって日本政府は拘束されなければならぬという考え方を持っておるということになりますか。いまのあなたのお答えの中からは、中国に対するところの延べ払い輸出をするために輸銀資金を使うということは、台湾政府との関係が悪くなっていって、台湾との貿易というものがだめになってしまうのだ、その点をおもんぱかっておるんだというお答えがあったわけです。そのことは、私が申し上げましたように、吉田書簡に対する台湾政府の考え方というものはどうなのかということです。そのことをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○椎名国務大臣 吉田書簡というものにとらわれないで、われわれは日華関係というものを害しないで、国交を害しないでいけるということになればこの問題は解決する、こういうふうに見ております。ただ吉田書簡は、その当時の日本政府の方針に沿って出されたものでございますから、吉田書簡、吉田書簡、こういって、一応は意味が通ったわけでございますけれども、吉田書簡そのものには何ら拘束力はない。ただその当時の日本の方針にのっとって書かれたものであるから、それで便宜上吉田書簡ということばが使われた、こういうことに解釈するのが、私は一番正当だと思います。
○中村(重)委員 大臣は当時から閣僚であられるわけですから、特に事情はわかっていらっしゃるわけですね。中国に対する延べ払い輸出は、吉田さんが台湾へ行って、そしていわゆる吉田書簡というようなものを台湾政府に渡すまでは、輸銀資金を使って延べ払い輸出というものを積極的にやっておった。したがって中国貿易というものは伸びたわけです。友好貿易も伸びたけれども、今度は覚書貿易ということになるんだそうですが、LT貿易というものは非常に伸びてきた。ところがこの吉田書簡によって、輸銀資金を使っての延べ払い輸出というものをストップさせたのだ。日立の問題しかり、それから例の紡績関係のプラント輸出しかりであります。そして今日に至っておるわけです。だからいまあなたが、吉田書簡というものによって拘束されないのだ、当時の政治方針として、その吉田書簡というようなものに拘束をされたというようなことなんだけれども、もうそれは解消したのだからとおっしゃる。それならば、吉田書簡が出る前の状態に戻らなければ筋が通らないし、またあなたがお答えになっておることは、何というか、生きてこないということになります。矛盾するということになってまいります。だから、そこらが少しお答えの中では混乱しているように思います。すっきりしているんだとおっしゃるのだけれども、答弁からうかがわれるところは、どうも混乱しているように思いますから、そこをひとつはっきりしておいてください。
○椎名国務大臣 吉田書簡というものをしばらく念頭から去って、何が障害であるかといいますと、日華の国交というものがそれによって害せられる、そういうことがこの問題の障害になっておる。でありますから、その関係を調整することによって障害が除かれる、こういうふうに考えていいのではないかと思います。
○中村(重)委員 中国輸出に対して輸銀資金を使うということは、台湾政府との関係上どうもおもしろくない、台湾貿易というものが阻害されてくるし、貿易だけでなくて、台湾との国交上も不円滑になる、こういう意味のように受け取られるわけですが、いまあなたがお答えになった調整というのはどういうことなんですか。
○椎名国務大臣 こういうことによって両国の関係が少しも害されないという状態になればいいわけです。
○中村(重)委員 それならばやはり何じゃございませんか、吉田書簡に拘束されるということになります。先ほども申し上げたように、吉田書簡が出るまでは順調に輸銀資金を使って延べ払い輸出をやっておった。それからストップしたのだから、吉田書簡というものに拘束されないのだということであるならば、当時の状態に戻って——特に今度覚書貿易で、この協約というものが存続されることになったのだから、またそのことを代表団も約束をしておるでありましょうし、中国も期待をしておるであろうと思います。したがって、いかに国交回復が中国との間にないとはいいながら、やはり国際信義という関係等も出てくると私は思います。それは日中友好、日中親善という方向ではなくて、今度覚書貿易による協定ができたのですから、全く悪い結果を招いてくることになるような気が私はいたします。だからそこらあたりははっきりされる必要があると思う。 それと、どうもお答えが説得力がないですよ。あなたばかりではないですね。各閣僚の答弁を聞いておりましてもそういう感じがする。大体三木外務大臣が、具体的な問題に対処すると、いまあなたが言われたとおりのことをいつも答弁しておられるようであります。ケース・バイ・ケース。これは三年前から同じようなことを言っているのですよ。少しも前進もなければ発展もないじゃございませんか。今度の代表団が行って、いわゆる覚書貿易ということで協定をしてきたということについては、これはある程度政府との話し合いというものがあったのだろうと私は思う。しかも従来のLT貿易というものは準政府間貿易なんだから、その貿易の中身についても米がどうだの、肥料がどうだの、具体的に話し合いもやっておられたのだから、そういうあいまいな態度というものは許されないのじゃございませんか。
○椎名国務大臣 とにかく輸銀資金問題については懸案のままで話がついたというわけでございます。こういう状態が日中貿易を進める上において、長く支障がないかどうかということになりますと、これは事ごとにこれが一つのブレーキになっていくであろうということは考えられますけれども、今度はこの問題を未解決のままで話がついた、こういうわけであります。
○中村(重)委員 未解決のままで話がついた、それは何でしょう。形式的には民間代表という形でございますから、そういうことになったのだろうと思う。しかしながら、日中貿易というものが積み重ね方式でこれから伸びていく。ましてや今度の妥結というものは、従来になかった、いわゆる政治三原則、政経不可分の関係というものを、日本もこれを認めてきたのだから、従来の協定以上に重要な意義があるし、責任というものも日本には出てきたと私は思う。しかしあなたもこれ以上の答弁をなさらないようでございますが、お答えになったケース・バイ・ケースでいくというのは、どういう場合が予想されますか。
○椎名国務大臣 ケース・バイ・ケースでございますから、一口に将来はこういくのだ、こういう場合はだめで、この場合はいいのだということを言い得るならば、ケース・バイ・ケースではないので、やはりケース・バイ・ケースで考えていく。割り切った原則はそこに生まれてこない。だから非常に答えにくいです。また御理解もしにくいと思うのです。どうぞその程度に……。
○中村(重)委員 それでは困るのですよ。あなたも外務大臣も、具体的な問題が出た場合に対処する。ケース・バイ・ケースでいくのだ。ケース・バイ・ケースの定義がはっきりしておらぬでは国会に対する答弁にならぬじゃございませんか。ケース・バイ・ケースとは、具体的に延べ払い輸出をしようとするとき、前にストップしている日立造船の船舶輸出、これがいいのかどうか、あるいはこれまたストップした紡績のプラント輸出、これはいいのか悪いのか、そういう問題によって具体的に輸銀資金を使うのか、これは使わぬのかというのがケース・バイ・ケースというようなことになるのかどうか。まあ、これはこれはとおっしゃったが、これはこれはというのは、何が政治的な関係なのかわからないですね。やはり国会に対してそうしたケース・バイ・ケースというような形でお答えになる以上は、こういう場合が予想されるというくらいのことはお答えにならなければいけないのですね。
○椎名国務大臣 輸銀資金の適用と申しますか、そういうことがもはや何ら日本にとって外交上においても支障がないというような状況にはっきりときまれば、ケース・バイ・ケースというようなことを言わぬでも済むのじゃないか、こう思われます。
○中村(重)委員 それはあたりまえだ。そこでお尋ねしますが、輸銀資金というのは、これは経済関係ですか、政治関係ですか。
○椎名国務大臣 これは純粋に経済関係です。
○中村(重)委員 経済関係。日本の企業育成をして貿易を伸ばす力を与えていく。完全に経済関係。政府は政経分離ということをおっしゃいます。経済関係であるところの輸銀資金を使うのに台湾政府がこれに干渉をしてくる。したがって、台湾政府の意向を全然無視して輸銀資金を使っていくと台湾との関係がうまくいかなくなるということは、政府が言う政経分離ということにはならないのじゃございませんでしょうか。
○椎名国務大臣 この輸銀資金というものの使用をしないで、純粋に物を外国に売るということも純粋の経済。それから輸銀資金を使って外国に輸出貿易する、これも純粋の経済。ただ、そういうことが政治的な理由によって非常に不円滑になるということは、これは別に政治と経済をからませてやるというわけじゃございません。いろいろな純粋の経済行為をやる上において、これはどうも支障になる、支障になるから見合わせようというような場合の、その支障になるような問題は避けて通る。そういうわけですから、別に政治と経済をからませて一緒くたにやるということじゃないわけであります。
○中村(重)委員 それは一緒くたです。一緒くたにするものじゃないとおっしゃる。それはあなたはわかるのでしょうけれども、ほかの者が聞いちゃわからないんじゃないでしょうかね。先ほどこれは純粋に経済関係であるとお答えになった。そういうことでほかの国に対しても輸銀資金を使って延べ払い輸出をどんどんやっておるわけですね。ところが台湾政府がいろいろ文句を言うので、中国に対してだけは輸銀資金を使った延べ払い輸出ができないのであります。いかにあなたがいろいろなおことばをお使いになって、政治とからませているのではないとおっしゃっても、現実にあなたの御答弁の中からはからませておるということになります。 それで伺いますが、あなたは私の質問に対して、先日の委員会で、ともかく輸銀資金を使って延べ払い輸出を強力に進めていくようにしたい、そのために外務大臣とも話をしたいということをおっしゃったわけです。大蔵大臣も、輸銀資金を中国の貿易に使うということは、これはもう当然だ、別にこれは問題はないのだというようにお答えになられた。肝心のさいふのひもを握っておるところの大蔵大臣が明確にお答えになった。貿易関係の担当大臣であるあなたが、どうも非常に——それは閣僚の一人でございますから、全般的なことについて気をお使いになるということはわかるけれども、せっかく代表団も行って、苦心惨たん、ようやく妥結をしてきたわけですから、この覚書貿易というものは伸ばしていかなければならぬと私は思う。御承知のとおり、友好貿易というものと従来のLT貿易というものでは、LT貿易のほうがずっと貿易量は大きかったわけです。それが吉田書簡以来ぐっと下がってきたわけですね。友好貿易というのは、これは中国ベースでやるわけでしょう。いわゆる友好商社というので、もうその商社の指定まで中国がやる。いろいろな条件も全く向こうさんまかせ。友好商社ですから、中国の気に入らない団体なんかに所属するような、そういう商社は非友好商社であるというので、もうそのままだめになってしまう。こういうことですから、ある意味においては友好貿易というものは日本の自主性というふうなものを阻害されるということにもなってくるので、私は好ましいことではないと思う。少なくともこの覚書貿易というものは強力に進めていかなければならないと思います。担当大臣であるあなたは、この前の答弁よりも後退する答弁であってはならぬと思います。その後、外務大臣あるいは大蔵大臣等、あなたの足を引っぱるようなうしろ向きの答弁というものはことさらなさっておるわけではございません。したがって、そうした関係大臣と話し合いをやって強力にこれを進めていくとおっしゃったのだから、もっと先日の委員会よりも前向きの形の答弁があってしかるべきだと私は考えるのであります。どうお思いになりますか。
○椎名国務大臣 いや、この前も申し上げた線に沿うて努力しようと思っておることは別に変わりございません。変わりございませんが、ただ現実のいまやっておることはどういうことかと言ったら、やはりケース・バイ・ケースで慎重にやっていく、こういうことをいわざるを得ない。これを打開するためには、たびたび申し上げるように、そのほかにもいろいろな考えなければならぬ事情があるかもしれません、また起こるかもしれません。しかし、いまのところは、主として日華両国の関係を阻害しないでいく、こういうことだろうと思います。
○中村(重)委員 私は、必要のないことだ、日本は自主性を持って、き然たる態度をもってやるべきだ、こう思います。あまり台湾政府あるいはアメリカに気がねしておるやり方は、自主性を持っておる態度ではない、このように考えますが、政府としては政府の方針がございましょうが、それではそうした阻害要件を除去するために台湾政府と話し合いを進めておる、そうして問題の解決に当たる、こういう考えだと理解をしてよろしゅうございますね。
○椎名国務大臣 さよう御理解いただいてけっこうだと思います。
○中村(重)委員 佐藤総理が特に強調されるわけですが、自分の自主性を持てとか、国を愛する気持ちを強めていけとか、いろいろおっしゃいます。私は、いま政府が国民に対して求めておるそのことは自分に言い聞かせなければならぬと思います。とにかく自主性を持て、自分の国は自分で守れ、自分の国を愛せよ、そのことは、この輸銀資金の使用等におけるところの貿易を伸ばしていくというような、そういうような問題にこそ、ほんとうに自分の国の国益というものは何か、自主性とはどういうことかというようなことで対処していかれる必要があると思います。 それでは中小企業の問題についてお尋ねをいたしますが、大臣、この中小企業が倒産には倒産というので毎年毎月記録を更新していく、ウナギのぼりにのぼっていくという実態でございます。三十八年が千七百三十八件、三十九年が四千二百十二件、四十年六千百四十一件、四十一年六千百八十七件、四十二年が八千百九十二件ですね。四十三年の一月になっては七百五件、二月はたしか九百三十数件であったと思います。どうしてこう不景気になっても景気になっても倒産というものが減らないでふえていく一方なのか、構造的な関係があるのか。いろいろと倒産原因というものは出ておるようであります。たとえば放漫経営あるいは連鎖倒産、販売不振、売り掛け金回収難、こういうものが倒産原因の中では高い数字を示している。しかし、いままでの私どもの倒産というものに対する概念、常識というものは、やはり不景気になれば倒産だ、好況になったならば倒産というものは非常に少なかった、そんなものだというように私どもは考えてきたわけですね。ところが、こうした倒産が絶えず記録を更新するということに対して、特別に政府が、これは大きな問題である、単に中小企業の倒産というようなこと、それで限定して考えるということよりも、これは社会問題である、日本の経済構造という点からして相当重視していかなければならぬというようなことで、特別な配慮またはこれに対する取り組みをやっておられるようには感じません。なるほど中小企業庁長官が、年末資金——これは倒産の問題も含めてでございましょうが、日銀とかあるいは大蔵省、その他関係方面との話し合いということ等をやって、それなりの対処をしていらっしゃるということは、新聞報道等を通じて承知いたしております。しかし、そういう金融というような問題だけで解決できるものじゃございません。もっと根本的にこの倒産というものに対する原因を究明して、これをなくする、いわゆる常識的なあり方にこれを戻していくというようなことでなければ私はならないと思います。大臣は、この倒産が増加の一途をたどっておるという現象に対してどのようにお考えになっていらっしゃるか、またどういう取り組みをしておられるのか、伺ってみたいと思います。
○椎名国務大臣 中小企業に対しては、近代化あるいは構造改善、そういったような基本的な対策を進めておりますけれども、これはなかなか十分に行き渡っていない、まだ過程にある、こういう状況でございますから、当面する対策としてはやはり金融の問題、それによって、金が足りなくて倒産するというようなそれだけの原因であるならば、それは何とか防ごうというわけで、いろいろな関係方面と一緒になって、中央、地方、中小企業の当面する問題の対策をどうすればいいかということについての協議機関等を設けて、ここにおいては政府関係の金融機関のみならず、一般の金融機関、そういうものに呼びかけて、これに対処しておるわけでありますけれども、どうも遺憾ながら、十二月、それから今年に入って一月、やや倒産件数が少なくなったかと思うと、二月がまた倒産件数が非常にふえた、こういうことでございまして、その原因は何かということについての探求はいたしております。いたしておりますが、おもなる原因としては、同業者の乱立による過当競争、それから労力不足、人件費の高騰というようなもので耐え切れなくなって倒産件数がふえてきておるのではないか、かように考えておる次第でございますが、最近では販売不振による倒産というのも目立ってきておるようであります。これらの問題につきましては、もう少し具体的に検討を進めて、それぞれ対策を講じてまいりたいと考えております。
○中村(重)委員 倒産の問題に対して全然政府が取り組みしておられないとは私は申し上げません。だがしかし、そういう対症療法的なことでこの問題は解決いたしません。やはり根本問題にメスを入れていくということでなければならぬと思う。中小企業基本法というのを御承知のとおりつくりました。与党自民党も出しました。社会党も出しましたし、民主社会党も出しました。若干の差はありましたけれども、二重構造というものを解消する、そういう期待があったということだけは、共通的なものがあったと思います。いわゆる大企業との格差是正。ところが今日、基本法によって中小企業政策は進めてまいりましたけれども、格差が縮小し二重構造解消の方向に進んでおるのかということになってまいりますと、そうではございません。むしろ格差は拡大をしておるというこの事実はどこに原因があるのかということを考えてみなければならぬじゃないでしょうか。私は、倒産対策、中小企業のこの問題というものは、単に金融や税制の問題だけで片づくものではないと思う。やはり大企業の中小企業分野に対するところの進出という問題がある。中小企業分野の確保というものをこの際やはり確立する必要があるのではないか。あるいは官公需の問題にいたしましても、官公需の受注の機会の確保ということだけではなくて、ほんとうに中小企業の官公需を確保するというような、そうした態度が必要になってくると思います。 さらに、中小企業は若年労働者というものをなかなか充足することができません。そのために、大企業に働く労働者と中小企業に働いておる労働者の賃金というものは非常に違っておる。半分あるいは三分の一という状態である。そうした低賃金の中に、中小企業に働く労働者というものは、長時間にわたって相当過重労働をやっております。しかし、そうした労働者に対するところの低賃金、非常に悪い待遇であっても、中小企業者自体にとっては非常な重荷になっておる。中小企業に働く労働者、若年労働者を引きとめようとすると、賃金も引き上げていかなければならないし、一時金も相当出さなければならないし、その他の条件というものを大企業にそう劣らないような形において確保しなければならぬということになってまいりましょう。そうすると、中小企業自体が今度は立ち行かないという形になってまいります。そうした根本的な問題というものを究明し、これにメスを入れて中小企業の問題を解決をしていくということでなければならないのじゃないでしょうか。 同時に、中小企業の貿易面を見ましても、大体五〇%程度でございましたが、最近若干下がって四五%程度のようであります。いわゆる生産量、出荷量、貿易額、それらの点に対しても十分注目をし、日本経済の中において中小企業をどう位置づけていくのか、そうした根本的な問題というものが真剣に検討され討議されて取り上げられていないというところに問題があるような感じが私はいたします。そうした根本的な問題にメスを入れて適切な対策を講ずることなくして、ただ対症療法的な金融、税制、そういうことだけで中小企業問題の解決をはかっていこうとするところに、こうした倒産が増加の一途をたどっておるという根本的な原因があるのではないか、私はそのように考えるのです。大臣はいかにお考えになりますか。
○椎名国務大臣 一がいに中小企業といっても、非常に態様が違いまして、その違った形態にそれぞれ応じてメスを入れていかなければならぬのではないかと私は考えますが、こういったような根本的な問題に関して、ただいま中小企業政策審議会におきまして研究をしておるわけでございます。今年の六月ころをめどに一応の成案を得たい、かように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 それから中小企業政策に対して、私は、この際大臣に十分考えていただきたいことは、中小企業政策は、いたずらにアイデアマンであるなかれと私は申し上げたいのです。もっと身近なところに、足元に、中小企業にとってよほど重大な重要な問題がある。市街地農協の大型スーパー的な、小型百貨店的な状態というものも中小企業にとって大きな問題点であります。そういう問題をどうするか。それからいろいろと、中小企業政策として近代化資金補助であるとか、あるいは高度化資金、今度は中小企業振興事業団ということになってまいりましたが、いろいろとこれらの点に対して政府は中小企業政策を強力に進めてきている、そういうことを強調してまいられました。ところが、そうした政府の施策というものが現実にどう消化されてきておるのかということになってまいりますと、どうでございましょうか。不用額というものはあまりにも大きいということであります。三十八年度を見ましても、不用額は高度化資金の場合、高度化資金融通特別会計を見ますと、これが一五%、三十九年四七%ですよ。四十年度は五八%です。四十一年四四%、不用額ですよ。いいですか、支出済み額よりも不用額が大きいという、こういう数字をどうお考えになりますか。どこにこうした原因があるとお考えになりますか。ただ予算要求のときに大蔵省と折衝だけをする、そして予算は獲得する。そしてその予算がいかに効率的に使われ、中小企業の振興にこれをどう役立たせるかということに対する取り組みが弱いのです。そうして次から次に新しい政策ばかり考えていこうとする。大臣がかわり、長官がかわると、何か新しいものを出さなければならぬというような、そういうところに気をとられ過ぎる。もっと中小企業政策というものは、メスを入れなければならぬところにメスを入れて、こうした実態というものを把握して中小企業政策というものをきめこまかくやっていくということでなければならぬと私は思う。どういうお答えがあるのか伺ってみたいと思いますが、時間の関係もございますから続いてお尋ねをいたします。 今度の昭和四十三年度の、こうした倒産がどんどん増加している中において、中小企業庁、大蔵省はどういう考え方で予算の編成に当たったのか私は知りませんけれども、比率において昭和四十二年度の予算よりも四十三年度の予算が下回ったというこの事実、これはどうしても納得いかない。四十二年度においては総予算に占める比率は〇・七四%、四十三年度は〇・六九%、これは私の持っている資料ですから間違いがあれば御訂正願いたいと思うのでございますが、絶対額はふえているけれども、比率は下がっている。それから倒産が非常に増加している中において、金融が逼迫しているということだけは明らかでございます。そのあらわれとして出てまいりましたのは、選別融資が金融引き締めの中で非常にきびしくなってきた。市中金融機関はなかなか貸してくれないので、政府金融機関に殺到するということ、政府金融機関ですらも保証協会に対するところの保証の要求という形になってあらわれてまいりました。そうして代位弁済というものはどんどんと増加の一途をたどりました。代位弁済の次にはいわゆる求償の要求という形になってあらわれた。これも増加の一途をたどっている。ところが、そうした中において、中小企業の金融面にとって非常に大切な問題は、政府関係のいわゆる融資をいかにふやすかということ、それから信用補完制度を強化するという立場から、信用保険公庫の融資基金や準備基金というものを大幅にふやしていくということでなければならぬと考えます。なるほど準備基金はそれがこの法案の中身でございますが、二十五億ふやすことになりました。ところがどうですか。昨年は融資基金は九十五億でございましたよ。ところが四十三年度において七十億と、二十五億これが削減されたというこの事実、だれがこれに納得する者がおりましょう。準備基金というのはいわゆる代位弁済、求償、そういう形において赤字が出たのですから、当然これは準備基金もふやして補わなければなりませんが、これをふやしたからといって融資基金を減額をするということをどうして中小企業庁は了承されたのか。大蔵省がまたなぜにこういう無理を押しつけられたのか、私は了解できないところです。大蔵省も主計官が御出席でございましょうから、これらの点に対する御説明を伺いましょうし、それからそれぞれ中小企業庁長官並びに、きょうは信用保険公庫の総裁もお見えでございますから、ひとつお考え方を率直にお聞かせ願いたいと思います。
○乙竹政府委員 お答え申し上げます。まず第一点でございますが、従来の政府の中小企業政策が理屈に走り過ぎておって、現実に足がついておらなかったのではないか、高度化資金特別会計も非常に膨大な不用額を出しておったのではないかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございます。この原因を反省いたしてみますと、結局政府の持ち分、出し分、それから地方庁の出し分に加えまして、約半分を自己資金、手金で出さなければならなかったというところに原因があったのではなかろうかと考える次第でございます。高度化資金特別会計ではうまくいかぬということで、中小企業振興事業団にこれを改組したわけであります。今度の事業団におきましては、発足早々ではございますけれども、非常にこれの需要が多うございまして、団地、次に商業卸売り団地に関する需要は非常に殺到しておるということでございますので、今回の事業団は、これを慎重に運用いたしますならば、地についた施策ができると期待しておる次第でございます。 第二点の、一般会計の中におきます四十三年度の中小企業予算のシェアでございますが、御指摘のとおりシェアは若干落ちております。しかし絶対額においては伸びておりまするし、特に財政硬直化のおり、必要な資金につきましては財政当局としても相当の努力をしてくれたと思っておるわけでありますが、特に中小企業の施策で必要な金は財政投融資で確保せねばならないということで、中小企業三機関等に対します財投の確保につきましては全力をあげたところでございます。 第三点でございますが、この信用保証制度に対しまして、準備基金が昨年よりも今回は減額になっておる。金融引き締めのおりから、さらに強化しなければならない信用保証制度に対する基金要求が減額になっておるのはどういうことであるかという御指摘でございます。私たち及び大蔵財務当局といたしましては、乏しい原資の中から十分の努力をしたのがこういう結果になったわけでございますが、これは先生も御承知のように、融資基金は毎年積み増しになっておるわけでございます。昨年度の九十五億に対しまして本年度七十億ということで、減額になっておるようでありますけれども、根っこに四百二十数億の融資基金の積み分がございますので、その積み分に対しまして七十億を乗せるということで、五百億弱の融資基金の運用をもってこれからの保証制度の運用に資してまいりたいと思う次第でございます。
○岩瀬説明員 お答えいたします。大蔵省といたしましては、ただいま中小企業庁長官からお答えになりましたのと大体同趣旨でございますが、特に先生の御指摘の融資基金につきましては、昨年が九十五億でことしは七十億というのは、絶対額から見ますと確かに減っておりますけれども、先ほど長官から御説明ありましたように、上積みでございますので、四百九十八億の融資基金ということになるわけでございます。対前年度一六%増という融資基金が確保されておるわけでございまして、中小金融対策としては十分これで行なえるというふうに確信いたしておるわけでございます。
○長村説明員 ただいま御質問の保険の準備基金二十五億、これは御承知のように法律上当然必要な操作の金でございます。私どもは、昭和四十三年は、保険準備基金の二十五億の政府からの追加がございますならば、保険それ自身の運用にはまずまず差しつかえない、かように考えております。 融資基金につきましては、御指摘のように、数字からいきまして昨年よりは減ってはおります。先ほど政府の御答弁にもございましたように、累計いたしますと五百億の金があるわけでございます。今後の保証増大の関係から申しますと、将来ますますこれはふえていくべき性質のものであるとは存じますけれども、財政の関係その他から四十三年度はまずこれでやむを得ない、またこれで運用してまいると、かように存ずる次第でございます。
○中村(重)委員 総裁もそういう答弁をせざるを得ない。長官もこの予算折衝の中で話をつけて引き下がったんだから、政府という立場に立つと、いまのようなお答えをせざるを得ない。立場においてやむを得ないということは、私もわかっております。しかし、長官、そういう態度ではだめなんだ。第一、答弁が理由にならない。いままで信用保険公庫に対する融資基金というのはずっとふやしてきました。それでもなおかつ不足しました。いいですか、ふやさなければならない要因は非常に高まってきております。あなた、どうしてそういう答弁をしますか。これでは満足できなかったけれども、財政硬直化ということで引きさがらなければならなかった、こう言われるならばわかる。しかし、ずっと上積みしてきているんだ、絶対額はふえているんだから、これはこれで当然だというような態度は、いかにあなたの立場を善意に理解をいたしましても、あなたの答弁の中身は理解できない。あなたも一生懸命がんばったはずなんです。七十億でおめおめ、よろしゅうございますと引きさがったんではないでしょう。相当がんばられたはずだ。どうしても大蔵省にかなわなかった、涙をのんであなたは引きさがったんだろうと私は思う。これではどうにもならない。どういう結果が起こってくると思いますか。結局、保証協会に対する融資というものはできなくなってまいります。そうすると、保証協会は保証をしなければならないものに保証ができなくなるわけです。零細な中小企業の金融というものは、問題がさらに深刻になってまいります。いま倒産の問題は、負債額一千万以上を数字として出しているにすぎないんだ。それ以下の負債額による倒産というものはどれほど大きいかわかりません。保証協会の保証によって経営を維持していかなければならない人は、いまの信用保険公庫に対するところのいわゆる融資基金あるいは準備基金というものに関係がある階層の人たちなんです。昨年よりもこれを減額したということは非常に非常識なんだ。財政硬直化であろうとも、政府が必要であるという防衛関係は防衛庁の要求どおり素通りして、それがそのまま通っている。治安維持という関係から機動隊の国庫支出というものも、これもそのまままかり通ったんです。これほど深刻な中小企業の問題、特に零細企業者にとって大切な信用補完の問題が昨年よりも減額をされるというようなことで引きさがるべきではなかったし、また大蔵省もこれを押しつけるべきではなかった。あらためて私はまた質問をいたします。きょうは分科会等の関係上、それぞれの予定があるわけでありますから、そういう答弁ではこの法律案の審議にやむを得ませんという形で引き下がるわけにはまいらない。政府側の改正案をお出しになって、これで国会の同意を得られようということでございましょうから、もう少し説得力のある、なるほど、これはやむを得ないのだという形で、私どもがこれを納得するような答弁を用意をしておいていただきたいと思います。 きょうは質問を保留して、これで終わります。
○小峯委員長 吉田泰造君。
○吉田(泰)委員 中小企業信用保険公庫法の改正については、いま中村委員からもお話がありましたように、政府の財政投融資の金が非常に少ないということにつきましては、原則的に同じような考え方でございます。ただ、現在私はこの法案の審議にあたりまして、特に最近倒産が非常に多くなって、代位弁済がふえておるこの問題について、ちょっと御質問を申し上げたいと思います。 非常に代位弁済がふえておるというのは、大都市で特に今年度になってから非常に多いようでございますが、私はこの問題についていろんな理由があると思うのです。先ほど通産大臣の御説明も、倒産の理由としていろいろ原因を項目的にあげられましたけれども、私はここで、一番肝心なこと、中小企業者が、みな非常に心配していることは、金融基調が変わったならば、すぐたちどころに中小企業者に影響が及んでくるということについて非常に疑問に思うのでございます。たとえて申しますと、四十一年度あるいは去年の九月ごろの金融の引き締めにかかる前は、比較的余裕があって、零細企業者、信用力もたいしてないところにどんどん貸し増しをしていった。ところが金融基調がちょっと変わったならば、直ちに影響してくる。この金融政策ではたして代位弁済を減らすことができるかどうか、不可能であろう、こういう問題について通産大臣並びに長官はどういうふうに考えておられるか。当然起こるべくして起こった代位弁済でございます。これをひとつ冒頭に御答弁を願いたいと思います。
○椎名国務大臣 確かに御指摘のような現象が突然起こってまいりまして、四十三年度においても相当の代位弁済が行なわれる可能性があると思います。それは結局、金融事情が相当ゆるやかでありまして、従来そこまで及ばなかった、つまり保証の対象として不適格な人たちが浮かび上がってきて、そしてとにかく保証の恩典に浴することができたのであります。ところが、金融の基調が変わってまいりまして、それらの人が代位弁済のやっかいにならなければならない、こういうような状況でございまして、いい悪いの問題じゃございません。もちろん、そういう方面にまでこの制度の恩典が及ぶということは、たいへんけっこうだと思います。思いますが、いままで及第しなかった人が及第して、そうして金融の基調が変わってきて、そのために代位弁済が多くなってくる、こういう状態であろうと思いますが、なお、この詳細に関しましては、局長から申し上げます。
○乙竹政府委員 保証協会によります代位弁済が非常に上がってまいった原因は、四十年、四十一年、当時の金融緩慢期に根ざしておるものとは思うのでありまするけれども、御指摘のように、最近金融機関の金融基調が変わってまいって、引き締め基調に入ったということが非常に大きな影響があり、今後さらに影響が出てくるということを心配しているわけであります。御指摘のように、金融機関の金融基調そのものが中小企業者に対して非常に大きな関心の的でございますので、私たち中小企業庁の者といたしましては、金融機関の一般基調が中小企業に不当にしわが寄らないようにということに至大の関心を持っておるわけでございます。そういう立場から日銀当局、大蔵省当局と密接な連絡をとりまして、とかく引き締め時になりますと、全国銀行等が中小企業に貸し出しておった、これを引き揚げるとか、地方銀行等の中小企業に本来サービスすべき機関が、金を引き揚げて、コール市場等に流すとかいう心配がありますので、今回の引き締め時におきましては、そういうことが厳にないように大蔵、日銀、通産三者協力して監視をしていくという態度で金融機関の一般的なしわ寄せ、中小企業に対するしわ寄せを防ごうとしておる次第でございます。 〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕
○吉田(泰)委員 金融基調が変わってきまして、特に九月の引き締めから非常に——金融のしばらく緩慢期に、銀行はどんどん資金量が余ってくるものですから、リスクはいやだ、しかし貸したいということでこの保証を利用する。金融引き締めになってくると、直ちにそれをやめていって、やはりリスクのない大企業に金が流れる。ところが、長官のいまの御答弁の中で、しわ寄せを中小企業にこないようにしよう、もしそういう配慮があるならば、たとえば年末金融のときの大蔵省との折衝のときでも、財投融資がおそらくもう少し中小企業のために流れたと思うのです。なるほど大きな世帯で、国の大蔵省のことでございますので、無理解で私は申し上げておるのではないのです。しかし、何らかの手を積極的に打ったということは、私は言えないのではないか。現実に代位弁済がこういう形で急増しておるのではないかということは、金融基調が変わったことが直ちに影響してきた。これを私は角度を変えていまお尋ねしたいのですが、保証業務について、なるほど保証を利用できる中小企業者の金額的な総量といいますか、ボリュームが大きくなってまいりまして、したがって中小企業者は恩恵に浴していることは事実でございます。だが倒産すると何も恩恵じゃなくなるのです。ということは、金融政策の場合、特に中小企業の場合、最初の金は出してくれる。しかし、持続的に出ていく資金需要が、急に金融がとまってくるとやれなくなる。販売実績の低下も倒産に導く大きな原因でございますが、それに、保証で金を借りたけれども、あとの金が続かなくなったということが原因の一つの大きなものになるのではないか。 ここでお伺いいたしたいことは、この保証のことで一番もうかっているのは銀行ではないか。自分のところの資金が余っているとき金を出そうと思っても、信用力がないから出せない。それで保証をとらして、リスクをなくして出していく。しかも現実に、あとで御答弁願いたいと思うのですが、金利についても保証料をとられて、リスクのない貸し付けでありながら、案外同じような金利であるということなんです。したがって銀行側としては、一銭も損はしない。資金量のないときにはそれを引き揚げていって、大企業に金を流していく。大企業の民間設備投資はほったらかしておくというような形の悪循環、これでは中小企業がいつまでたっても浮かばれないし、また代位弁済が減るような理由が見当たらないと思うのです。どんどんふえるような政策を行なっているじゃないか。なるほど、金融的な措置としてはいいけれども、どんどん代位弁済がふえなければならないような形になっているのじゃないか。もし、そういう時点をとらえるならば、財政投融資でぽんと金を出すべきじゃないかという考え方を持つのですが、長官それに対してどうでございますか。
○乙竹政府委員 財政投融資の金は逐年ふえておりまして、特に昨年の暮れは、年末及び年度末に対します対策として、千六十億の追加を得たわけでございますが、御指摘のように、これで十分というわけでは決してございません。私たちも、今後引き締めの状況を十分警戒の目で見て、必要な対策を必要な場合にとっていく必要があるというふうにいま考える次第でございます。 次に、この保証制度で民間の金融機関が非常に得をしておるということ。これは確かに保証がございますと、金融機関のリスクは全然ないわけでございますし、一〇〇%の代位弁済を受けられるわけでありますから、これは金融機関としては非常なメリットであるわけであります。ただしかし、これを裏返しますと、そういう保証がなければ一般中小企業に金が流れなかったであろう。一般金融機関から、保証制度というものを媒体にいたしまして、中小企業に金が流れた。また、そういうあり方、信用を補完することによって一般の市中金融を中小企業に動員するという方向は、これは非常にけっこうなことで、強化をしていく必要があると考えるわけでございますけれども、ただ一般市中金融機関がそれならば保証付の債権に対して金利あたりをもうちょっと配慮すべきではないか。さらに歩積み・両建て等の問題も実はありまして、この辺につきましては、私たちも先生御指摘の点は十二分に実は従来も気づいておりまして、機会あるごとに努力をしてまいったのでございます。大蔵当局も必要な行政指導を逐次いたすということでございまして、中には、保証付の債権である場合には一般の金利よりも若干下げるというふうなのもあるようでございますが、しかし、まだ一般的にはどうも保証付でも依然として金利は相当高いということでございまして、今後保証付のものは、リスクは少ないのだから、金利は引き下げるように、さらに金融当局とも協力して、努力をしてまいりたいと思います。どうも御指摘のように、確かに保証制度で金融機関は得ばかりしておるという感じがなきにしもあらずでございますけれども、最初申し上げましたように、しかし、保証制度があるがゆえに、金融機関から信用力の弱い中小企業者に金が流れるということであろうかと思う次第でございます。 〔宇野委員長代理退席、鴨田委員長代理着席〕
○吉田(泰)委員 この問題については、たびたび大蔵委員会でもいろいろな意味で論議をされておることでございますので、これは私が幾ら言っても、非常にむずかしい問題だし、また、簡単に解決つく問題だと思っていません。ただ、あくまで言い続けたいことは、なるほどいま長官の御答弁のように、リスクがないから銀行がもうけているじゃないかという。私の議論に対して、それはそうじゃない、そういう信用補完制度にたよって融資を受けなければならぬような中小企業に恩恵を施したんだという考え方が成り立つと思うのですが、私、銀行の現状を見てみまして、これは信用保険公庫の総裁もおいでになることですし、各地の保証協会とお話しをされる場合に、ぜひとも要望してもらいたい。ということは、いままで保証をとらないような際でも、銀行は案外とっているのです。めんどうくさいから保証をとっておきなさいというような考え方。これはいままでそこそこ貸しておっても、中小企業者の場合、全然リスクのない会社は非常に少ないと思うのです。したがって、あわよくば保証をとっておこうという考え方で、保証があれば出しますよということで、そこそこの、下のランクのいままで保証を必要としなかったところに保証をとる。したがって、相互銀行、信用金庫、信用組合あたりがだんだんそういう市中銀行に自分の貸し付け先を荒されるものだから、つい下の底辺の零細企業者まで、下に甘い判断でやっていく。それで自分の貸し付け金額を確保する。これは金が余ったときは、そうだと思うのです。そういう形で中小企業者の恩恵ということだけではなくて、大企業の商売を助けたみたいな形、そういう形が現実にある。これは議論をしても私は結論が出ないと思うのです。これは今後よく大蔵省も——銀行といえども、国の保証で成り立っておるのだから、収益をあげておるのですから、もう少し堂々と、いわゆる中小企業者のための具体的な施策として、何か金融機関に振り回されない指導なり育成をやってもらいたい。これは口を開けば、中小企業の金融問題については、歩積みの問題とか、いまの保証の問題とか出てくる問題ですが、何とかそういうことを、実態を検査しまして——検査する権利はないかもしれませんが、銀行に報告を出させて、そうして実際どういう保証でどういう金利で出しておるか、いま長官、それをおわかりになりますか。これは公庫の総裁どうですか。たとえば、おもな銀行のいま保証で貸し付けしておる大体のレートですね。それは御答弁願えますか、どうなっておるか。
○長村説明員 保証付の貸し出しの場合に、銀行が元利ともに一〇〇%確保されておるわけです。これは非常に安全なわけでございます。理屈から申しましても、当然金利は下がるということで、いろいろ調査もいたしておりますが、先ほど長官のお話のように、全部が全部とは申しません。最近はかなり——と申しましても一厘ないし二厘ですけれども、保証付のものが保証のつかないものに比べまして金利を下げつつあるという傾向は、比較的多くなってまいっております。
○吉田(泰)委員 それは、総裁の御答弁ですが、数字でなるほどそうだ。原則論は、そういうふうに保証料を二厘取られておりますから、協会によって違いますが、そういう答弁がはね返ってきてもあたりまえです。しかし現実は、個々にお当たりになるとそうじゃないのです。総裁、現実に当たられたことありますか、たとえば業者をピックして、どうですか。個々の運営が保証協会どういうふうに行なわれておるか、あるいは銀行との関連において、現実に、私は大阪でございますが、私はいま総裁が御答弁願うような、大阪の業者からの、実際私らはお世話もいたしましたけれども、そういう回答が返ってくるような事例にぶつかったことが残念ながらないのです。どうですか。
○長村説明員 私申しましたのは、個々に当たりました結果ではございません。公庫は協会との関係で仕事をしております関係もございまして、それで各協会につきまして調査をいたしておるわけでございます。
○吉田(泰)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、たとえばこういうことができないものですか。行政指導上といいますか、大蔵省と通達を出したり何かして、保証を取るものについては、保証料を取って、リスクがないのだから、そのくらいの協力というものは政策的に、その分だけは金利を下げてやるという、きめのこまかい政策というのはできないものでしょうか。当然国が保証しておるのですからね。協会も保証しておるのですから、リスクがないのだから全部取れる。それならば、せめて保証料くらい金利を下げて貸し出しをしてやれという指導はできないものでしょうか。どうでしょう。
○椎名国務大臣 これは直接の所管ではございませんが、関係官庁と十分に折衝して、そういう方向に進めてまいりたい、こう考えております。
○乙竹政府委員 一応私のほうで信用保証協会から四十二年十二月の保証の分につきまして引き下げておるかどうか、引き下げ幅について回答を求めた数字がございますが、これは後刻提出いたしますけれども、一応この表面上の数字でございますと、二厘程度下げておるというのが実は相当あるのでございます。ただどうも、先生御指摘のように、われわれも聞いてみますと、実感としてはあまりないという感じでございます。 大蔵当局は本件につきましてたびたび通達を出しておりますけれども、四十二年の八月に銀行局長通達が出ておりまして、そして保証つきの貸し出しにつきましては、リスクがないんだから金利を極力引き下げるようにしろ、特に財務局長に対してはそういう指導をせいという通達が実は出ておるわけでございます。関係者はみな努力をしておるのでございますが、何ぶんどうも銀行の貸しております金利には実はいろいろ種類がございますし、また、私たち、大蔵当局の態度はよくわかりませんけれども、あまりきつく言いますと貸さぬというふうになりますとアブハチとらずになりますし、この辺のところは非常にむずかしいところで、しかし、とにかく機会あるごとに努力をしていくということでやってまいりたいと思うわけであります。
○吉田(泰)委員 いま長官の御答弁で、なるほどおっしゃるとおりだと思うのです。銀行側に資料の提出を求めたところで、非常に金利は画一的なものではございませんし、相手もコマーシャルベースに乗った問題でございますので、どういうデータをとるかというのはむずかしゅうございます。ただ私言えることは、銀行で、いままで保証がなかったとき、これほど普及していなかったとき、自分のペースで借りておった金利と、世上変わってきて、金利の高低はありますけれども、それと全然変わらないような、保証をとってもやはり同じであるという、現実としてそれがあるということです。 この問題を幾ら商工委員会で言ってみたところで、なかなかたいへんだと思うのですが、私特にこの法案が商工委員会にかかっておる関係で、大蔵省の態度——そう言えばはね返ってくるのは中小企業者自身なんです。したがって、みんな言いたいけれども言わない。それを何とかするのが私は政治の場だと思うのです。公庫でもそうなんです。保証協会でもそうなんです。各銀行と人間関係ができてけっこうだ。なるほど仕事の上ではいろいろな意味でいいと思うのです。貸し付けを申し込む、保証協会へ行けば銀行とツーツーになって話が終わってしまう、そのこともいいのです。ただその場合に、どなたが見てもこれだけ国の資金が流れるんだから、大小は別として、不足はございましても、流れておるこの現在時点で何とか正しく運用をしていただきたい。中小企業者は自分にはね返ってくるから言わないので、認めておるんじゃないのです。また量がふえたと言いますが、量は、日本の経済が伸びて、全部ふえているのです。したがって、中小企業者がただむやみに恩恵に浴したということではないと思うのです。したがって、そういう意味で広い全般の国の施策の上において何か思い切ったことを——私はここで言ってもなかなか効果がないと思いながら、やはり言わざるを得ない、言い続けたい。そのうちに大蔵省もそんなに頑迷なことを言わなくなるだろう、中小企業政策にもほんとうにもう少し力を注いだそういうものが生まれてくるんじゃないか、かように考えるのです。したがって、いまの銀行の問題でございますが、銀行でもなかなかむずかしい、まあまあ、そんなことはわかっているんだというようなことではなくて、具体的な施策として一つでも二つでもやっていく、またそういう資料を銀行にも求めて、うその報告じゃなくて、二厘引いていますということじゃなくて、何らかそういう意味の行政指導が望ましい。中小企業者個々の声は、あっても言わないということなんです。それは自分の首を締められるから言わないんだというようなことをよく認識をしていただいて、金融基調に振り回される中小企業者、それを何とか救う道を考えていだきたい。 いろんな意見で申し上げたいことがたくさんあるのですが、時間がございませんので——特に代位弁済がふえていく、現在時点においてこの代位弁済がふえたのは当然の結果だ、私はそういうふうに言いたい。したがって、それをもしこの予算で何らかの意味でカバーしておくならば、この出資金にしても現在の法改正にしても、まだまだ金額的に何とかできなかったのか、年末融資にしてももう少しできなかったのか。これは大蔵省のことでございますので、特に私は要望しておきまして、最後に、この問題についての長官なり大臣なりの御答弁をいただきまして、私の質問を終わらしてもらいます。
○藤井政府委員 先ほど来の吉田委員のたいへん御熱心な、しかも理屈の通った御質問、まことに同感でございます。ところが、いま長官から答弁いたしましたように、相手があり、制度はできておるが、人がこれに当たって運用しているということで、われわれがこうありたいと思っても、なかなか簡単にいかない。すでに銀行局長から、去年の八月でございましたけれども、保証つきの金利は下げるように指導しろ、こういう通達を、財務局長並びに銀行協会、それぞれの団体の長にあてて出しております。なかなか思うようにまだいっておりませんけれども、私は御趣旨の点はごもっともと思います。したがって、これが実施にあたって、もう一度よく内輪で体制を固めて大蔵省にも話をし、政府ぐるみでこの問題の解決に当たりたい、このように考えております。
○鴨田委員長代理 次は近江君。
○近江委員 先ほどからもいろんな問題が出ておるわけでありますが、中小企業にとって最大の問題は、当面する倒産問題と思います。御承知のように、四十二年の一月から十二月までで八千百九十二件、それからことしに入って一月が七百五件、二月が九百十四件、いずれにしても戦後最高のこうした記録を示しておるわけです。この中小企業倒産の根本的な原因をどこにしぼって考えていらっしゃるか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
○乙竹政府委員 金融の引き締めが一つの近因と申しますか契機であることは否定できないと思うのでございますが、御指摘の倒産の状況は、一昨年、昨年からの数字を見ておりますと、引き締めに入る前から非常な高水準になってきております。したがいまして私たちといたしましては、この原因を単なる金繰りだけに求めることはできない、もっと根の深いものであるというふうに考えざるを得ないと思います。そうなりますと、私たちも実は倒産者または政府の中小三金融機関等から機あるごとに原因の勉強をしておるのでございますけれども、やはり中小企業者の立っておる地盤が大きく変わりつつある、賃金にいたしましても、また商品のマーケットにいたしましても、技術にいたしましても、中小企業者の立っておるいわゆる構造条件と申しますか、この地盤が大きく変わりつつあるというところに倒産の真の原因を認めざるを得ないというふうにわれわれはねらいをつけております。 さらに、業種全部を通じてそういうことでございますけれども、業種の中でも特に倒産の多い業種がございます。ここ年間を通じまして、ほとんど第一位でございますのが建設業でございます。それに続くものが繊維及び繊維の販売業等でございますが、建設業なり繊維の販売業なり、この業種につきましては、おのおのやはり特別の原因がある。建設省とも研究に入っておるのでございますけれども、現在の建設請負契約も必ずしも科学的でない、こういうふうな契約であるにもかかわらず、一面労賃が急上昇をしておる、こういうふうなところにも建設業の倒産原因があるのではないだろうか。あるいはまた繊維におきましては、特に婦人子供服関連業者が多いのでございまするが、これあたりは所得の増大に伴いまして需要が非常に大きく変わる、この辺のところにやはり原因があるのではなかろうかと思っております。したがいまして、これを要しまするに、私たちといたしましては、金融の引き締めはこれは単なる契機であって、根の深い中小企業の立っておる構造原因、そこに倒産の原因を求めざるを得ないのではないだろうか、こういうふうに考えております。
○近江委員 その根の深い構造原因、それに対して中小企業を健全に育てていく対策をあなたはどのように考えていらっしゃるのですか。
○乙竹政府委員 私たち一貫いたしまして中小企業の構造改善対策に取っ組んでおりまするのは、いまの先生御指摘のような点、また私申し上げましたような問題意識からでございまして、結局これは中小企業個々の体質を改善すること、また業種ぐるみの構造を立て直すこと、そして国際競争力を持った、また近代化していく日本経済の中でふさわしい地位を占めるような中小企業に形を変えていくということが、政策のねらいとして一番大事なことであるというふうに考えております。
○近江委員 そうした個々の体質あるいは業種ぐるみの体質を国際競争力を持ったそうした体質に変えていく、これはどうやっていくのですか。何が必要なんですか。
○乙竹政府委員 いま申し上げましたようなねらいを達成するのは非常にたいへんなことであると思います。中小企業がいわば脱皮をしていかなければならないということでございますから、非常にこれはたいへんなことであると思います。何と申しましても、しかし脱皮をするのは中小企業者でございますから、中小企業者及び個々の中小企業業種ぐるみの自覚、業種をあげての自覚と申しますか、と努力が一番まず先であると思います。それに対しまして私たち政府におる者といたしましては、まず必要なのは、どういう方向に中小企業、その業種が変わっていくのであろうか、すなわちそのよって立っておる原因の変化、構造要因の変化はどういうところが変わってきたのであろうか、こういうような条件が変わっていくとこの業種としてはこういうふうにいかなければならないのではあるまいか、というような目標をまずサゼストすることが政府としては一番大事だと思います。この目標に向かう場合に、まず努力は中小企業者が自分でするわけでございますけれども、当然力の弱い中小企業者でございますので、それに対してまず第一に必要なのは金融上の対策であり、それに伴って税制上の対策であるとか、あるいは組織面のいろいろ対策であるとか、こういう諸対策がついていくというふうに考えております。
○近江委員 中小企業に自覚を持たすとおっしゃっていますが、それは中にはいいかげんな、ずさんな経営をしている人もあるでしょう。しかしほとんどの人は何とかして資本自由化等に対しても、真剣に体質を変えなければならない。少なくとも自分の会社なり自分の店を倒していこう「なんという人はだれもおらぬわけです。自覚を持ってない人なんかおりませんよ。だけれども、要するにいま長官がおっしゃった構造要因、それに対して目標を与えていく——なるほど中小企業庁は」いろいろな目標を与えておられるでしょう。しかしその目標に向かってどうやっていけばいいか。力のない中小企業は金なんか借りられない。結局尽きるところは、いまあなたがおっしゃった融資の問題であり税制の問題になってくる。その他いろいろなことがありますけれども、結局は、尽きるところは、構造改善するにしても何するにしても金融ですよ。この点に対してどれだけあなたのほうが力を入れていらっしゃるか。私は年末にも、予算編成のときに、中小企業庁としてはどれだけ予算獲得に向かっていらっしゃるか、従来に比べると非常に積極的な姿勢を聞きました。しかしながら、結果においては非常に情けない結果しか出ていない。四十二年度が二百五十四億一千九百万、四十三年度においては二百八十五億六千七百万、一二%の増加です。それはいろいろとあなたのほうも苦労なさっておると思いますけれども、現実にそこに結果を出さなければ、これだけ中小企業のためにやりましたといっても、これは何にもならぬわけです。こういう点においてどれだけあなた方のその積極性、熱意というものが反映しておるか。戦後最高のこれだけの倒産を出しながら何らここに結果が出てない、全体としても。これに対して、長官並びに通産大臣は、中小企業というものに対してほんとうにこれを何とかしなければならないという決意で臨んでおるのかどうか。結果が出ないという点に対して私は疑いを持つわけです。あなた方の真意をここで聞かしてください。
○乙竹政府委員 さしあたりの対策は金融引き締めの対策等でございますが、これにつきましては、いままで概略は申し上げたとおりであります。さしあたり引き締めの効果が、不当にしわが寄ることを極力防ぐ、具体的に申しますと、倒産が出ることを極力防ぐということにさしあたりの対症療法と申しますか、さしあたりの対策は集中せねばならないという努力をしておるわけでございますが、原因は先ほどから申しましたように深いところでございまして、日本の中小企業が構造改善といいますか脱皮をしなければいけないということでございますので、これは一朝一夕にはできないと思うのでございますが、中小企業庁といたしましても、確かに財政が非常に苦しいときでございますので、総額としては先生御指摘のような、予算におきましては前年度一二%増しか計上できなかったのでございますけれども、中身におきましては、特に中小企業の構造改善に重点を置きまして、中小企業振興事業団、これの事業を大幅に拡充する、特に発足をしております——これはモデルケースでございますが、繊維の構造対策は、前年度の倍を計上するというふうな手でございますとか、また何といっても一番問題は技術でございますので、技術対策について大幅な計上をいたしますとか、このような諸対策のほかに、問題は先生御指摘のように金でございまして、その金は特に財投が大事でございますので、財投につきましては前年度対比一九%増というふうな伸びを計上いたしまして、そしてまず中小企業の近代化、合理化、協業化、組織化、これに対します努力に着手をしておるわけでございます。しかし、これは容易ならぬことでございまして、日本の中小企業が近代的中小企業に脱皮することは非常に容易ならぬことでございまして、まずその方法論におきましても根本的に勉強する必要があるということで、現在中小企業政策審議会を開催いたしまして、これによって抜本的な対策を勉強しておる次第でございます。
○椎名国務大臣 長期的な対策としましては、やはり倒産原因そのものを究明して、これの解消に当たらなければならぬ。そのためには、いま長官から詳しく申し上げました体質改善、いわゆる近代化、それからまた構造改善、そういったようなものをじみに進めてまいる。当面の対策としては、何といってもやはり金融政策であろうと思います。これらの点につきましては、まことに業界が非常に幅広い層でございまして、それに対して十分というわけにはいきませんけれども、とにかく政府関係の三機関をはじめ、広くその他の金融機関に呼びかけて中小企業の問題に取り組んでもらっておる、こういう状況であります。
○近江委員 それで、毎年の通産省の中における中小企業庁の予算ですが、全体の予算において〇・五%より上がったことはない。少なくとも五千五百億円ぐらいの税金というものは中小企業関係で払っているわけです。これに対して、実際いまおっしゃった根本的な構造改善もしていかなければならない、内部的にいろいろやりくりしておりますと言ったって、全体のワクがこんな小さなことで、どうだこうだやったってどれだけの効果が出るかということなんです。政府は中小企業に対して力を入れますと言っておったって結果が出ておらないじゃないですか。これに対する根本的な、そういう口だけではなくして——日本の産業体制においても、中小企業の占める割合というものはもう御案内のとおりです。ほんとうに守り育てていこうというならば、予算案に厳然として出てこなければ私はうそだと思う。口ばかりで幾ら言ったってどうしようもないわけです。この点をあえて私は申し上げておきます。 さらに、きょうは法案の審議でありますから、内容的にも入っていきたいと思います。 まず長官にお聞きしますが、四十二年度において保険金の支払い、これは幾らぐらい払っているのですか。
○乙竹政府委員 九十五億円であります。
○近江委員 本年度は、一連の倒産が上昇していく、そうした事情から考えて、どのくらいの額を見込んでおられますか。
○乙竹政府委員 四十三年度は保険金支払い額を百八十四億予定いたしております。
○近江委員 それで、今回のこの法案からいきますと二五億増額をするというような対策をとっていらっしゃるが、それで十分なんですか。
○乙竹政府委員 これは保険料の収入、それから回収金も入ってまいりますし、保険準備基金の本年度取りくずした残額もございますので、二十五億程度追加をいたしますれば百八十四億の保険金支払い額には十分であるというふうに考えております。
○近江委員 信用保険公庫ですけれども、これは四十二年度に幾ら払ったのですか。
○乙竹政府委員 保険公庫が各保証協会に支払いました保険金の支払い額は、四十二年度九十五億三千万円であります。
○近江委員 それから、あなたはそれで足りるとおっしゃっておりますが、結局それは政府として全体の貸し付けのワクとかそういうもので締めてその数字に持っていくだけなんです。実情はそれの何倍かになるだけの申し込みもあるし、結局そういうところで押えていった上で、ただあなた方が計画なさっているところで押えているというにすぎない。 ここでもう一つの問題は、保証協会の保証料の差が非常にあると思うのですが、大体の現況について各府県別にひとつ説明してもらいたいと思うのです。
○乙竹政府委員 いろいろ各協会、差がございますので、詳細は資料によって提出をさせていただきたいと思います。 高いものは四厘五毛から、低いものは三厘まで、非常に差がございます。
○近江委員 いまおっしゃった四厘五毛というところは四県ありますね。山梨、鳥取、佐賀、長崎。三厘のところは群馬。ほとんどが大体四厘から四厘四毛のところに集中しているわけですが、なぜこのような差があるのですか。
○乙竹政府委員 先生御承知のように、保証協会は各府県、市でおのおの自主的にできまして、いままでの間で財政的な基礎もいろいろ協会によって違うわけでございます。また、府県並びに市町村当局の保証協会に対します援助のしかたも差があるということで、この五十一の保証協会には相当財政的に差が出ておるわけであります。こういうことから、保証料につきまして差が出ておる。これはあまりいいことではございませんので、私たちといたしましては、この差を極力なくそう、特に保証料の高いところにつきましては、融資基金の活用等によりましてこの保証料を下げようという努力をしておりまして、幸いにして五十一協会の保証料の差も次第に狭まりつつございますし、また、平均の保証料も下がりつつあるという状態でございます。
○近江委員 確かにその努力をされているという姿勢はわからないこともないのですが、これはいつも問題にあがっておりますが、なかなかそういう形になっていない。根本的な問題は、結局保証額あるいはまた保証件数等の増大が最も根本的な問題でありますが、この利率も非常に下げてほしい、これは実際の声です。やっていますと言ったって、私はいつも結果論を言いますが、実際上はそんなに下がりもしていないし、こういう点において政府として積極的に今後全国的に、若干の差異はしかたがないとしても、これは均一化していく、さらに引き下げていく、こういう点について今後積極的に努力されるかどうか、この点をもう一度お聞きします。
○乙竹政府委員 各協会の間の保証料の差も次第に縮まりつつございますが、特に自主保証料率と申しますか、平たく申しますと保証料の平均でございますが、これは三十七年から申し上げますと、年の分でございますけれども、三十七年が一・六六分、三十八年が一・六三分、それがだんだん下がってまいりまして、四十年は一・五四分、四十一年には一・五一分というふうに下がってきておるわけでございます。この保証料率が引き下がってきたということは、府県当局も出捐金について非常に努力しておるのでございます。私たち中小企業庁といたしましても、先ほど申し上げましたような融資基金の活用等によりまして、特に料率の高い協会はねらい打ちにするということで努力をしておるわけであります。これは中小企業金融体系の中の非常に大事な部分でございまして、先生御指摘のように、料率いかんが、結局中小企業者がこれを活用できるかできないか、また役に立つか立たないかの境目でございますので、今後とも私たちとしても最善の努力をしてまいりたいと思う次第でございます。 〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕
○近江委員 いつもこれは取り上げておる問題でありますが、歩積み・両建てが特に市中銀行、相互銀行あるいはまた信用金庫、こういうところで、これは政府としていろいろな監督はなさっておると思いますが、現実にこれがあとを断たないわけです。これでいきますと、利率にしても、実際に信用金庫なり相互銀行で借りた金利が高いものについておるわけです。これは中小企業にとっては切実な問題です。監督を厳重にしていきますと言うけれども、これだって全然結果が出てない。これに対して今後どのように抜本的に規制していくのか、その態度をひとつ明確に答えてもらいたいと思います。
○乙竹政府委員 保証協会の保証づきのものにつきましては、全然金融機関として危険がないわけでありますので、危険を防止するような意味での拘束性預金、歩積み・両建て等は全然必要がないわけであります。したがいまして、この件につきましては、私たちから大蔵当局にも始終特に強く依頼をしておるのでありますが、大蔵当局としても非常に強い態度でもって臨んでおりまして、昭和四十二年八月一日に出ました銀行局長通達の中でも、こういう拘束性の預金は整理解消しておるはずである、しかし、まだ残存しておるということを指摘されるのはほんとうに遺憾である、もしこのような預金が万一残存しているということが見つかった場合には、あるいはまた今後新たに創設されるという場合には、厳重な行政措置を講ずる、ということをはっきりうたって財務局長あてに通達を出しております。私たち大蔵省との連絡会議においてもその問題について申しましたところ、銀行局長としては、銀行検査の最重点項目の一つにあげておるということであります。そういうことで、大蔵当局も非常に努力をしておるのでありますけれども、しかし先生御指摘のように、まことにどうも遺憾な事態がまだ残存しておるのではなかろうかという話をわれわれは聞くわけでありまして、これはまことにけしからぬことでございますから、今後強い態度でもって私たちも努力いたしますとともに、大蔵省に対しても要請をしてまいるというふうにしていきたいと思います。
○近江委員 時間もありませんので、できるだけ簡潔にしていきたいと思います。 それから特別小口保険のことでありますが、この制度は、たしかできたのが四十年二月の五十一国会だと思いますが、このときに附帯決議をいたしましたね。その附帯決議をもう一度ここで明らかにするために発表してもらいたいと思います。
○乙竹政府委員 五十五特別国会の決議でよろしゅうございますか。——五十五国会の委員会におきまして附帯決議ができております。それは特別小口保険の付保限度額を引き上げるべきである、他種保険制度との併用を認めるべきである、それから具備すべき要件を緩和すべきである、で、すみやかに改善に努力すべきであるという御決議をいただいております。 その後努力いたしました結果、まず、要件緩和でございますが、これは例の所得税ないし所得割りの納税保険でございます。この緩和については、大体身体障害者等、特に控除を受けて納税をしないというふうな人に対して、特別小口が借りられないのはかわいそうだからということで、その場合には借りられるようにということで大体話がついております。これは近くそういうふうに実施いたしたいと思います。 第二に、他種保険との併用でございまするが、特別小口保険は他種保険が使えないような、ほんとうに信用力がないと申しますか、零細なと申しますか、こういう利用者に対して特別に無担保無保証というような保険制度ができたわけでございまするので、立法の趣旨からいたしまして併用ということはむずかしいのでございますけれども、しかし、特別小口保険にかかわる保証を受けておった中小業者がさらに他の保証を受けよう、平たく申せば、さらに上乗せて保証を受けよう、こういうことは十分考えられるわけでございますので、その上乗せて保証を受けます場合には、百万円までの保証につきましては——これは特別小口保険は五十万円まで入っておったわけであります。その上上乗せて、前の分まで含めまして百万円までの保証を受けるという場合には、これは法律的には他の種の保証に色変わりするわけでございますが、保険料といたしましては特に低率な保険料を適用するということと、特にあらためてかつての特別小口分について保証人等のものは徴求しない、こういうことで実施してまいりたい、これで事実上小口保険の趣旨は相当分実現ができるのではなかろうかというふうに考えております。 それから特別小口保険の付保限度額を引き上げるということでございまするが、さしあたりいま申し上げましたようなもので事実上経済効果としては百万円程度まで相当この御趣旨が実現できるということで、特別小口そのものの限度額を引き上げるかいなかにつきましては、いろいろこれの危険率等の点も——実は実施されてからまだ日がたっておりませんので、その辺も十分データがそろいました上で検討いたすということでいたしたいと思います。
○近江委員 この制度ができてもうすでに二年近くなるわけです。こういう点において附帯決議がそのようになされておって、結局あなたのいまおっしゃったのはほんの一部のそうした推進です。こうした点においてやはり附帯決議がなされた以上は、少なくとも百万円ぐらいまで引き上げるべきである、こうした決議がされているわけですので、今後こうしていきたいという前向きの意見は確かにわかりますけれども、すみやかにそれを実現していく、こういう方向にもっと強力な推進をしていかなければならない、私はこう思うのです。この限度額を百万円に引き上げる、この点についていつごろ長官はそれを実行なさる気持ちでおられるのですか。この点ひとつあなたのはっきりしたところをお聞きしたいと思うのです。
○乙竹政府委員 経済的な実質としては百万円まで、特にそのうちの五十万円までについては無担保無保証ということで、しかも低料率の保証が受けられるということでございますので、さしあたり折衷案でございますけれども、これでしばらくつないでまいりまして、そして危険率等の勉強を十分いたしまして、検討いたしたいというふうに思います。
○近江委員 検討はわかるのですが、あなたとして、どうもまたそこにひっかかりるものがあるのですが、附帯決議に基づいてやる気があるのですか、どうなんですか。
○乙竹政府委員 附帯決議でお述べになりましたところを、極力努力をいたしまして、私たち一年間努力いたしましたのがいま御報告申し上げたようなことでございます。これで附帯決議の御趣旨は相当程度実現をいたしたと思うのでございますが、今後なおその方向に向かいまして努力をいたしたいと思います。
○近江委員 どうも煮え切らない答弁ですが、もう時間もありませんから……。 それからもう一つの問題ですが、金融の実態として、設備資金は、あまり長期とは言いませんが、まあ期間がかなりある。しかしながら運転資金については非常に短期です。この運転資金を何とか長期にしてもらいたい、こういう声が非常に圧倒的です。この点についてどのように今後改善されていくか、その具体的な構想をひとつ示してもらいたいと思います。
○乙竹政府委員 長期の運転資金を確保しようということで非常に努力しておるわけでありますが、さしあたりいままでといたしましては、融資基金の追加出資、本年度認めていただきました九十五億の中の二十億を活用いたしまして、長期保証推進特別貸し付けということで貸し付けを行なって、この長期の運転資金に対する保証の拡大に努力をしておる次第でございます。
○近江委員 さらに、この点はそれで以前よりも一歩前進の具体策がわかったわけでありますが、いずれにしても、いろいろな点で併用したり何したりということではなくして、制度として、運転資金についても長期にこのようにしていく、そういう点をひとつ明確に、今後は制度としてやっていってもらいたい。このことを特に要望しておきます。 最後に政務次官と大臣に。中小企業はこれから幾多の難問をかかえているわけです。こうした点において、倒産にしてもますますふえてもくるでしょうし、非常にかわいそうな状態にあります。今後この中小企業に対しまして、ほんとうにことばだけでなくして、真剣に政府として中小企業を守っていく、守っていかなければならない、私はこう思います。そういう今後の中小企業に対する根本的な皆さんの決意を、最後にひとつ聞かしてもらいたいと思います。
○椎名国務大臣 中小企業の人口はもう農村人口よりも多いような状況でございますし、それからまたその実勢におきましても、日本の輸出産業のほとんど半分近い実勢を示しておる等々から考えまして、わが国の繁栄というものは、中小企業問題を抜きにしては全然問題にならないというくらい大事な問題でありまして、歴代の内閣において、相当この中小企業の問題と取り組んでまいっております。私も実は官吏生活を商工省でやってまいったのでありまして、学校を出てすぐ中小企業問題を取り扱っておる課に配属されて、そして多少その当時の雰囲気をまだいまだに覚えております。その当時から見ると全く隔世の感がある。中小企業に関して、政府の施策はまことに遅々としてのろいような気がいたしますけれども、その当時の状況から見たら隔世の感がある。ことに保証保険のこの制度なんというものは、私はすばらしいものじゃないかと考えております。私は、今後ともこの問題にあらゆる努力を払って、日本の中小企業というものの近代化、構造改善を進めていくという決意でございます。
○近江委員 それでは時間がありませんから、これでけっこうです。
○小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十六分散会