商工委員会 第7号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/03/12
会議録
○小峯委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日は、企画庁長官、通産大臣御一緒に来ていただいて、今後の日本経済のあり方について少し伺いたいわけでありますが、まず最初に、現在政府の経済見通しをお出しになっておるわけであります。この政府の経済見通しというのは閣議で決定をされているわけでありますから、その限りにおいては、閣議決定をされた政府の経済見通しは各省の行政をそれなりに拘束をするものだ、裏返して言えば、政府の経済見通しに向かって各省庁はその実現に努力をする責任がある、こういうふうに私は考えるわけでありますが、それについてまず企画庁長官、通産大臣からちょっとお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 いわゆる経済見通しといわれておりますものを閣議で決定いたしますときに、実は同時に「経済運営の基本的態度」というものを閣議できめております。したがって、この見通しといわれる数字よりは、その基本的態度というものが政府全体を拘束いたすことになるわけであります。基本的態度をそのようにとっていけばこのような見通しになるはずであるというのが計数としてあらわれておるわけでございます。
○堀委員 もちろん前後の関係はお話しのとおりだと思いますが、やはり計数をお出しになったことは、ともかく運営をしてそこへ持っていこうということでなければ、計数を出す必要はないわけでありますから、計数をお出しになった以上は、政府は責任を持って、努力をして経済をそこへ持っていくんだ、こういうことだと思いますが、その点間違いございませんね。
○宮澤国務大臣 基本的には堀委員の言っておられることで間違いないと思います。ただ、申し上げるまでもなく、政府が直接にコントロールし得る限度は非常に大きくはございませんために、しばしばそうならないことがあるわけでございますが、基本的には堀委員の言われるとおりだと思います。
○堀委員 通産大臣にお伺いをいたします。 いま私がきわめて原則的なことを伺っておりますのは、あとで、御配付をしております資料によってもごらんをいただきたいと思うのでありますけれども、通産省も、この企画庁が出しました経済見通し及び運営の態度について、やはりその線で日本の産業を指導していくという責任があるということにおいては同様だと考えますが、通産大臣としてのお考えを承りたい。
○椎名国務大臣 いま経企長官からお話がありましたように、政府の統制力というものが、御承知のとおり非常に限られたものでございますから、その他のいろいろな要素が必ずしもそういうふうに運ばないという場合には、見通しはそれだけ狂うわけでございます。そういうことを考慮に入れて、あとはおっしゃるとおりだと思います。
○堀委員 もちろんいま資本主義体制でありまして、計画経済ではありませんから、いろいろなガイドポストをおつくりになっても、必ずしもそれがそのとおりにいくとは限らないと思いますが、政策運営の途中で、明らかに経済の見通しと相当違うような運営がされておるということを本日私は指摘をして、四十三年度の経済についての今後の問題点を少し指摘をしてまいりたいと思います。まず、お手元に私なりに試算をした資料をお配りをいたしておりますので、ちょっとごらんをいただきたいと思います。この表1というのは、昭和四十二年度の当初見通しと四十二年度の実績見込みを並べてみまして、一体どのくらい、当初見通しが実績見込みとの間で動いてきたかというのを、ここへ並べてみたわけであります。そこに差額の金額であらわし、国民総生産が当初の見通しと実績見込みで一兆七千三百億円、ちょっと違ってくるわけでありますが、その一兆七千三百億円というのは何がどれだけ働いて変化をしてきたかというのを、その次の寄与率で見たわけであります。そういたしますと、この中で一番大きいのは、国内の民間総資本形成が一〇〇%のうち九二・四九%。この当初の見通しと実績見込みが狂ったのは国内の民間総資本形成が見通しのようにいかなかったということをこれはあらわしておるわけであります。その中でも、特に企業設備の五七・八〇%というのが実は一番大きく動いてきた。ですから、四十二年度について言うならば、当初見通しが変更してきたのは、企業設備、民間設備投資が当初予想したよりも大幅に伸びてきたということが、GNPの変更をもたらした。そこで四十一年度の実績見込みとの間の伸び率で見ますと、当初見通しの場合には企業設備の伸びを一四・八%と見ておったのですが、実際には三三・三%の伸び率になっておる。そしてその差は一八・五二%ということになってきたわけであります。 これは四十一年度実績見込みでありますが、これをもう少し正確に補正をしてみましたのが表2でございます。といいますのは、四十一年度についてはすでに実績が出てきたわけでありますから、その実績を土台にして四十二年度の当初見通しを補正をいたしまして、そしてその補正と四十二年度の実績見込みとで差を見たのが、この表2であります。このほうが現時点ではやや正確を期したということになると思いますが、それで見ましても、企業設備の寄与率というのは六五・四九%と、実はたいへん大きな寄与率を企業設備の部分が占めておるわけです。このことは結局、日本経済が大きくフラクチェーションする中で、過去もずっと調べてみて、もちろん在庫投資の非常に大きな変化のあるときもございますけれども、最近はおしなべて民間企業設備投資が当初予想したよりもはるかに大幅に動いたときに、実は景気の過熱状態が起きて国際収支が天井にぶち当たるということが、これは企画庁の資料を私なりに計算し直しただけですが、この資料で非常に明白になっておると思うのであります。 そこで、私がこの点についていまの問題を提起をいたしておりますのは、実は産業構造審議会というものが通商産業省に設けられております。この産業構造審議会というのは一体何のために設けられておるのか、これをひとつ通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
○椎名国務大臣 最近、構造的な観察をしないと企業の実勢というものはよくつかめない、これをどういうふうに指導するかということも、構造審議会において研究したものに基づいて指導する、こういうような考え方で、それが実情でございまして、ねらいはやはり構造的な問題を十分掘り下げて研究しなければいかぬ、こういうところからこの審議会が設けられたようなわけであります。
○堀委員 産業構造審議会というのは、総合部会なり各種部会がありまして、いまおっしゃるように構造の問題を検討するためというのは、抽象的には確かにそうだと思います。しかし現実にこの産業構造審議会の中で非常に大きなかかわりがあるのは、やはり民間設備投資の調整を少しここでやろうということになっておるのではないかと思うのですが、たとえば例をとりますと、鉄鋼部会というようなものが設けられておるのは、やはりそういう問題も関係があるのではないか、こう思うのですが、大臣いかがでございましょう。
○椎名国務大臣 当初の原則的なねらいというものと、今度はいろいろな部会ができてまいりましたが、その部会の構成及び働きというようなことは、必ずしもバランスがとれていない。それはやはりその部会の当面する問題が、それだけウエートが重いとかあるいはウエートが軽いとか、そういったようなことで、小委員会に相当する部会というものの構成、働きというものに、いろいろなおそい早いが出てきておるものと考えます。
○堀委員 たいへん何といいますか、ふんわりした御答弁なものですから、ちょっと話が詰まらないのですけれども、私のほうから申しますと、いま例をあげたような鉄鋼部会というのは、まさに、これから申し上げますけれども、鉄鋼の設備投資にまっ正面からこれまでも取り組んでいただいたし、これからも取り組んでいただかなければならない部会だろうと思うし、同時にそれをもう少しきめこまかく担当しておられるのが資金部会だろうと思うのであります。そこで、実は昭和四十二年度の産業構造審議会の資金部会の答申の中から、いま私が提起をしておる昭和四十二年度の設備投資に関係のある部分についてちょっと申し上げますと、「修正計画に関する国民経済バランス面からの検討」という項目がありまして、「修正計画(支払ベース)二兆三百十四億円は、四十一年度実績見込み一兆五千七百五十二億円に対し四千五百六十二億円、二九・〇%の増加となっているが、未払金等を考慮し、工事ベースに換算すると、四十一年度実績見込みは一兆六千三百六十億円、四十二年度修正計画は二兆六百六十億円と見込まれ、四十二年度修正計画の工事ベースでの対前年度伸び率は二六・三%となる。」要するに、資金部会で工事ベースで二六・三%伸びておるんだということがここにはっきり出されております。その次に、「政府経済見通し(四十二年三月閣議決定)によれば、四十二年度の民間設備投資額は、四十一年度実績見込み五兆四千億円(対前年度比一二・一%増)に対し、一四・八%増の六兆二千億円となっている。この政府経済見通しによる四十二年度の民間設備投資額と四十二年度修正計画(工事ベース)二兆六百六十億円とを対比してみると、民間設備投資全体に占める修正計画のウエイトは、第4表に示すとおり三三・三%となり四十一年度のウエイトに比べ若干上昇することとなる。」ここから先に問題があるのです。「しかし本調査の対象外である非製造業部門の設備投資の伸びが政府経済見通しの平均伸び率をやや下回り、また中小企業の設備投資も高い伸びを示した四十一年度に比べ伸び率がかなり鈍化すると考えられること等から判断して、民間設備投資全体に占める本調査対象企業(製造業を中心とする大企業)設備投資のウエイトの若干の上昇は予想されるところであり、したがって本修正計画は国民経済、バランス面からみてもとくに問題はないものと思われる。」こういうことになっておるわけです。これが実は六月十四日のものの考え方なんです。六月十四日というのは、すでに四十一年度の実績については、国民所得計算からかなりはっきりしてきているわけですから、実はかなり根っこが上がっておることが実はわかっておった時点でこういうことがいわれておるわけです。そこで、結果として見ると、いま私が申し上げたような民間設備投資は著しい増加になってきたわけです。ここで問題がないといっておって、実はこれがたいへんな問題だったということを、私はいまここで指摘をしたいわけなんです。この点については企画庁長官どうでしょうか。それは見通しの問題ですからまあいいんですが、私がきょう議論したいのは、四十二年度のことだけ言っているわけじゃないのです。四十三年度をいかにするかという問題で四十二年度を振り返ってものを言っておるわけですが、この産構審の考え方は、なるほど通産省としては戦略産業の問題、あるいは労働力を節約するための合理化の問題、あるいは資本自由化の問題、いろいろなものがあるから、できるだけやれるところは伸ばしたいという、それはわからぬではありません。わからぬではないけれども、経済見通しはただいいかげんに出してあるのでないと思うのです。日本の経済を大体そこに持っていくことがバランスがとれるということで出されておるにもかかわらず、通産省がこういう判断をやってきたことが、私は四十二年度の過熱を招いた、こう判断をしますが、企画庁長官、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 それは、悪かったのは、やはり見通しを間違えたほうが悪いという感じがしておるのでございます。もっと具体的に申し上げますと、産業構造審議会が当時考えておりましたようなことを私どもも実は考えておった。つまり非製造業の伸びがそれほど大きくはないであろう、それから中小企業は四十年、四十一年と、かなり設備投資が伸びておりましたから、四十二年はそう大きくはないであろうというようなことを、私ども自身が考えておったわけでございます。産業構造審議会に限らず、私自身もややそういう考え方をしておりました。その辺が間違っておりました。
○堀委員 宮澤さん、すでに昨年あなたは一月に、もうダイダイ色信号をしょっぱなにあげて、少し過熱になるのではないかと言っておられて、昨年の予算委員会で、私は前年やはりかなり伸びるんじゃないかという話を申し上げたことを記憶いたしておりますが、それは昨年のこととして、今度私が申し上げたいのは、なるほどカバレージが三三%であるとしても、やはりこの通産省所管のうち、主要企業の設備投資が及ぼす影響というものは、私は現実には単に三三%の問題ではないと思っておるわけです。やはりそれを受けて、中小企業の設備投資が、要するに上部だけの合理化では追いつかないというかっこうでついてくる問題というのがかなりあるわけですから、非製造業といえどもやはり片方のそういう設備投資による能力の増大に見合って、電力にしてもやはりそれに見合ってやっていかなければならない問題で、おのおのが独立をしている問題ではないわけです。その限りでは私はカバレージが三三ということは、計数的にはあるいはそう出るかもしれませんが、その及ぼす影響力、設備投資全体に対する影響力というものは、私は非常に大きいものがある、だから、通産省所管は、よほどこの点については少し押えぎみの指導ができなくてはいけないのではないか、こう思っておるわけです。実は、私かつて大蔵委員会に産構審の資金部会長である堀越さんに来ていただきまして、この問題で議論をしたことがあるわけですが、堀越さんが資金部会長でこういうお答えをしておられるわけです。私は、そのときの産構審の修正計画を見まして、資金面から見てもこの不況の中で株式でこれだけの資金は無理ではないですか、社債でこれだけの資金は無理ではないですか、減価償却はこれほど大きくないと思いますがどうですかと、個別的にこう詰めて伺いましたら、資金部会長は、あなたのおっしゃるとおり、いずれも無理だと思います、こう言われたのです。それが無理なら資金計画は成り立たないではありませんかと申し上げたら、私も成り立たないと思うと、資金部会長が公式にお答えになっているわけです。成り立たないものを、どうして答申をしておられるのですかと伺ったら、これは下から積み上げ計算で上がってきているものだから、上のところでどうさわってみたところで、それが下へはね返りようがないから、ここまできたらどうしようもないのですというのが、実は堀越さんのお答えだったわけです。せっかく修正計画等で調整しようというのなら、やはり全体をにらんで、適正な額に一回調整したら、それをやはり下へずっとおろしてきて、各社に対して、全体こうなっていますから、ここはひとつ修正計画でやり直して、出し直してくださいという話があって、それをもとにして、もう一ぺん積み上げてみて、それが大体考えられておるところにくるということが、私は、産業構造審議会の資金部会が本来の役割りを果たすことになるのじゃないか。結果として、いま積み上がったものは、上でさわってもどうにもなりませんからということでお茶を濁されるのなら、かえって、こういうものがあるために逆の効果が起きるのじゃないかという心配すら、実はあるわけです。 そこで、これは昨年のことでありますが、最近の情勢を見てみますと、日本銀行が一月下旬から中旬にかけて調査をした主要企業の資料によって申しておりますが、「設備投資(工事ベース)は、昨年十−十二月、鉄鋼、海運などの減少を主因に六期ぶりで減少に転じたが、先行き一−三月期は前期のズレ込みなどにより大幅増加を予測している。四十三年度の設備投資は前年度比二八・四%増と四十二年度の三八・九%増を大きく下回るが、依然高水準である。」これが日本銀行のほうのいまの見通しの問題です。 今度は日本経済新聞が、昨日の新聞で調査を出しております。これは大体主要二百九十社ほどでありますけれども、二八・五%の増加だ。これは支払いペースでありますけれども、二八・五%。その中で、工事ベースで調べたのでも一七%は伸びる、こう出しておりますから、日銀の調査とこれをにらんでも、大体一六、七%というのは、工事ベースでまず間違いなく行なわれるのじゃないか。おまけに、このカバレージを調べて、実は私、非常に驚いているのでありますが、千八百九十四社というので、産構審の昨年十一月の調査があるのですが、それの四十一年度の支払い実績というのが一兆五千八百六十九億円、通産省所管、これに対して、日本経済新聞の二百九十四主要業種で一兆六千百六十八億円。四十二年度で二兆一千八百六十三億円、二兆一千四百八十八億円、ここはほぼ一緒で、今度は四十三年度の見通しというところへくると、通産省の見通しでは、昨年の十一月現在でありますが、二兆三千八百四十二億円に対して二兆七千六百十七億ということで、二百九十四社というカバレージと千八百九十四とを比べてみて、ほぼ同じベースくらいになっているという問題ですね。資料上どういうふうになるのかは、少し時間がかかるから申し上げませんけれども、ここらを見て感じますことは、やはりこれはことしも、よほど産業構造審議会なり、そういったところで本気で調整をしていただかなかったら、経済見通しの実現は国内的の部分で見て非常に困難になると私は思う。国際的な問題については、この間ちょっと触れておるわけですが、やはり現在どうしても調整を必要とするのは民間設備投資ではないか、こう私は思うのですが、その点についてひとつ企画庁長官と通産大臣のお答えを承りたい。
○宮澤国務大臣 大筋は堀委員の言われるとおりだと思います。いま御引用になりましたそれらの調査、私も新聞紙上等で見ております。結局ことしの経済の基調が、私どもの思っているような運営でいけるかどうかということ、それいかんで、いま御引用になりました各社の計画の、いわゆる現実における達成率というものはたいへんに動いてくるであろうと思います。現にそういう回答をいたしました会社の中でも、年度の途中でもう一ぺん再検討をする必要があるかもしれないと考えておるところも多いと思いますしいたしますから、結局財政それから金融の運営いかんで、結果として達成率が非常に低くならざるを得ないような運営を私どもができるかどうかということにかかっていると思います。通産省が二月に各社の調査をしておられまして、その際には今回は輸出に貢献する必要があるとか、いろいろなことを単なる調査でなく、注意事項なり心がまえとして言っておられるようでありますが、その調査が出てまいりますと、もう少しはっきりした企業側の意図がわかってくると思いますが、したがって一つは、私どもがどれだけ財政金融政策を見通しの線に沿って進められるかという問題でございますし、もう一つは、やはり言われますように産業構造審議会等で、どれだけの実際上の調整をしてもらえるかということにかかるであろうと思います。
○堀委員 通産大臣実はいま産構審、資料収集中でありますけれども、ことしの経済見通しが、この間もちょっと触れましたけれども、名目一二・一%ということで、たいへん高い経済見通しになっております。この中身の問題は予算の分科会で長官と、少し予算プロパーの問題を含めて論議させてもらうつもりでおりますから、きょうは触れません。 そうして政府は大体ことしの下半期には、要するに国際収支はもうバランスを取り戻して、それからずっと景気は少し上向いていくのだ、四十四年というのはおそらく年初か年度変わりくらいのところからは、景気は上にいくのだという見通しが実は述べられておるわけです。企業の側からしますならば、もし四十四年度、それがたとえ四月であろうと六月であろうと、回復するのだという見通しがはっきりしているときに、いまここで設備投資を控えろといったって、説得力はないと私は思うのです。なぜなら、実はいまの日本の企業というものは、少なくとも日本の成長力が十分あるために、設備投資をやって損をしたところがないのだという、結局やらなかったところが損をしたということが、過去にどうも出てきているものだから、今日の状態でも企業のビヘイビアというものは決してそう慎重だとは思わない。日本の問題で非常に私は遺憾なのは、自分のところの企業さえよかったらいいのだという考えが、非常に日本の企業の経営者の中にあると思う。やはり日本の企業というものは、日本全体の経済の中の一部だから、日本経済がノーマルな、非常に正常な発展をした中で自分の会社も正常に発展しようというならいいのですけれども、自分のところの会社だけだから、まあいいじゃないか、ほかはともかく、おれのところだけはやるのだということで、きておるのが、今日の日本の経済のフラクチェーションの一番大きな原因だと思うのです。おまけに国際収支について、この間長官も、もし課徴金等で赤字が出ても、資本収支がいいから、こうおっしゃっておる。ここが私はくせ者だと思うのですよ。ともかく国内で締められたら、インパクトローンをどんどんとって、何でもいいから自分のところだけ金が入って、仕事ができさえずれば一いいのだというのが、日本の企業の経営者の感覚になっておるが、そのインパクトローンをとることが、なるほど見せかけ上国際収支にはプラスになるかもしれません。しかしそれがプラスになっても、インパクトローンによって入ってきた金が資金化されて設備となり、それによって起こってくる需要要因として貿易収支じりが悪くなるということは、これは見せかけ上国際収支が短期的によくなっても何にもならない。そういう点で今日のインパクトローンのとり方などというものは、金融引き締めのしりが抜けておると思うのですが、企画庁長官、そこはどうですか。
○宮澤国務大臣 私も普通の場合には堀委員の言っておられますようなことを実は申しておるわけでございます。ですが、もう少し先のことを考えてみますと、とにかく世界には成長したくても成長できない国が先進国に多いわけでございます。わが国はとにかく成長しようしようという意欲が強い。四十三年度の場合も確かにおっしゃいますように企業の設備投資意欲は、私は底は強いと思います。率直にそう思っております。しかし結局、そうやって設備投資をして、内需をまかない、輸出をふやすということでいままで進んでまいりましたし、これからも進めるのなら、私はやはり成長できる間に成長をするということが政策としてはほんとうは本筋なのであろう。そのためには、いま言われましたように、インパクトローンもとらなければならないということになります。まあ、あまり条件の悪いインパクトローンをとるということは、これは日本経済全体にとって問題でございますけれども、そうでない限りは、貸すほうもやはり返してもらえると思うから貸すわけであります。相手を信用して貸すのだろうと思いますので、したがって少し長い目で見れば、多少外貨上の問題があっても、成長できるときに成長していくということがほんとうはいいのであろうという気持ちが私自身に実はございます。でございますから、四十三年度といったような限られた局面では、私も堀委員が言われるようなこともよく申しておるのでございますけれども、他面で、それだけの成長力があるということは、これはやはり喜んでいいことではないかという感じもしておるわけでございます。
○堀委員 いま長官の言われる一般的原則は私もそうだと思いますけれども、しかしいまはそんな一般的原則などを言っておられるほど悠長な時期でしょうか。一昨日ですか、スイスのバーゼルで行なわれたBIS会議等で金ドル問題というものは一応落ちついたかもしれませんけれども、どうもいまの金ドル問題というものは今年中に決着をつけなければならない段階が後半には、私は率直にいってあるのじゃないかと思います。そういうような異常な状態ですね。おそらく資本主義経済始まって以来、最近ではアメリカのこの前のパニック以来最大の複雑な情勢がいまは展開しておると私は思います。おまけに輸入課徴金の問題も、まあやってもらいたくないと思いますけれども、やはりアメリカは踏み切るだろう、踏み切らざるを得ない情勢がベトナム戦争の中にもあるし、あるいはいまの金ドルの関係にもあるし、国内的な増税関係にもあるし、いろいろの面からやはり踏み切らざるを得ない問題がある。これは後半に貿易収支に必ずはね返ることは間違いない。いろいろな情勢を考えてみますと、私はやはり、政府としては、一般論はもちろんよろしいけれども、この際直してもらわなければいかぬということは、もっと明確でないといけないのじゃないかと思うのです。前にも円の切り下げ問題が出ておりますが、私もナショナルインタレストに関係があることだから言いたくないですけれども、円そのものについてああいう問題が出るのは決して私はルーマーのような問題ではないと思うのです。それだけのいろいろな判断を持った人たちが心配をしてのことで、国内におるそういう政局を担当しておられる方も真剣にこのことを考えてみる必要のある段階に来ておるのじゃないか。そういうことを引き起こさないためにも、ことしの設備投資の調整というものは非常に大きな義務があるのじゃないか、私はこう思っておるわけです。 そこで、通産大臣にちょっとお伺いをしたいのですが、私はこれまで実は鉄鋼の設備投資の関係と減産、要するに粗鋼減産の関係について予算委員会の分科会あるいは大蔵委員会等で何回か論議をしてまいりました。そうして私が常に指摘をして、ともかく早くやめるべきではないかという指摘をして——一クォーターをいつも余分にやって、たいていまた鉄鋼は過熱になったのが、実は二回繰り返されてきた。私はこの前にも菅野さんにも伺ったのですが、椎名さんにここではっきり御答弁願いたいのは、ものの考え方が二つあると思います。一つは、資本主義経済というのは自由経済で、自己責任の問題だから、設備投資をするのを国はとやかく言ってもらいたくないという気持ちが私は企業側にあると思うのです。それも一つの真理だと思う。だからもし企業側がほんとうにそういうことであれば、企業側は自己責任においてあとの締めくくりをしなければいかぬと思うのです。ところが、企業設備のほうは自分たちの思うことをかなり通しながら、もし過剰生産になってきたら粗鋼減産を法律にない通産省の勧告操短というようなことに乗っかってやってきたことが二回ある。 そこで、椎名さん、特にこれからまた鉄鋼の設備の問題はたいへん重要な段階になると思います。通産省に出ておる資料では、支払いベース四千二百七十六億円、四十二年度実績見込みで三九・一%増というたいへんなものが出ておるわけです。そこで一体椎名さんは、設備投資を自分たちで好きなようにどうしてもやろうということなら、ともかくあとは法律に定める品種別不況カルテル以外には通産省は関知しない、こういうふうにはっきりおっしゃるか、あるいは通産省の指導のもとに設備調整をやってくれ、その通産省が指導した設備調整をやった限りにおいてもし非常事態が起きたら、通産省は粗鋼減産等についても配慮しよう、どっちかをとらないと、自分たちの都合のいいほうばかり鉄鋼の経営者がとっていったのでは日本経済はたいへんなことになる。そこで、通産大臣は、どちらでもいいです、要するに自己責任に徹するか、通産省が責任を持つか、この二つの一つを私ははっきりおっしゃっていただくことが、今後の設備調整について、鉄鋼の問題について非常に大きな一つの問題提起になると思うのですが、通産大臣いかがでしょうか。
○椎名国務大臣 自己責任といいますけれども、その結果がただメーカーにふりかかってくるというなら、これはそういうことも考え得る余地がありますが、自己責任が自己責任にならない、やはり非常に広範に影響し、交錯する面がございまして、設備投資の結果、悪くても自分だけ責任を負って済むというものではない。これはもう非常に広範な影響力を持つものでございますから、その点はもう少し広く考えてこの問題を取り扱っていかないといかぬと思うのであります。でありますから、結局関係業界はもちろんのこと、あらゆる方面から構成されておる構造審議会の部会の研究調整に待って、そうしてその方向を大体指示するということでなければいかぬのではないか、かように思っております。やることはやらして、あとは粗鋼減産の制度を活用するんだという、そういう簡単なことでは私はいかぬのではないか。やはりいま各企業でいろいろ調査しておりますその結論が出てまいりまして、しかる後に調整すべき部門があれは——もちろんあると思いますが、資金部会にはかって、そうして最終的な結論を得るようにしたい、この方法でいくよりしかたがないと私は考えております。
○堀委員 それじゃ、ちょっと簡単にそこのところをはっきりさせておきたいと思います。 前段のほうはいいのですが、御承知のように粗鋼減産というやり方は、一律粗鋼減産というのは私は独禁法違反だと思います。ただ、緊急避難的な問題として、私は、通産省が勧告操短というようなことを指導して、要するに独占禁止法に風穴をあけている問題だと思うので、それが予測されておる時点でやはり問題が起きれば、ちゃんと法律に品種別不況カルテルというのがある、だから品種別不況カルテルの問題が起きてくる、だから本来的には品種別不況カルテルを一つずつ申請をして法律の定めるとおりやらせるのだということぐらいは、法治国家として私は当然だと思うのです。通産大臣、その点ですね。まあ緊急避難ということなら、場合によってはしかたがない。いまからもう緊急避難ということはないのです。これはもう二回もやってよくわかっている。私は商工委員会に来ましたから、委員会のたびごとにやっていきます。緊急避難ということにならないようにこれからちゃんとやっていきますから、今度は緊急避難というような弁解はもうきかぬということです。これまでは大蔵委員会でしたから間接射撃をやっていたようなもので、なかなかこれはうまくいかなかったが、今度は当該委員会に来ましたから、しっかりこれはやらせてもらいます。 だから、緊急避難でないということなら、いまからちゃんとそういうことにならないように企業側も責任を持ってやってもらいたいし、同時に、問題があれば品種別不況カルテルで積み上げるということでなければいかぬと思いますが、その点、通産大臣ひとつはっきりここでお答えを願いたいと思います。
○椎名国務大臣 粗鋼減産の発動は、これはなかなかやるべき問題じゃないと思うのです。やはり事前に十分な調整をやって、そうしてかようなあと始末をしなければならぬというような状況に持ち込ませないようにくふうしたい、かように考えております。
○堀委員 たいへんけっこうな御答弁をいただきましたから、ぜひその線に沿って、調整の点でひとつ責任を持ってやっていただきたいと思います。 その次に、いま八幡が御承知のように君津に一号高炉、二号高炉を一緒に建てようという問題があって、鉄鋼界たいへんだと思うのです。それはまあ、企業がどういうことをおやりになろうと、資本主義の社会ならそれは自由だといえば自由でありますが、いまのこの式が、やがてこんな式のことでいいのかどうかということにどうもなるのじゃないかという気が私はしてしかたがないわけであります。ということは、今度たしか福山ですか、ちょっと一本建って動き出すと少し生産オーバーになる部分があると思うのです。今度君津に建てる。そうすると住友が鹿島に建てる。そうなれば富士鉄は黙っていられない。鶴崎に行く。もうあっちへもこっちへもどんどん高炉を建てて競争が始まるということになると、これは実は、いまのユニットは非常に大きくなっておりますから、ともかく世界で一番大きな高炉を一本建てるわけですから、たいへんなことですね。一基大体二百五十万トンぐらいのものがどんどん出てくるということですから、たいへんなことになるので、私はやはりここらで長期的な展望について、さっき大臣おっしゃた構造上の問題、ここらをそろそろ考えていかないともう調整つかなくなってくるんじゃないか。根っこが非常に大きい上にまた大きいものがどんどんできてくるということになると、たいへんなことになってくるのじゃないかという感じがするのです。少し真剣にそういう構造上の問題について通産省は検討を開始したらどうかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
○椎名国務大臣 御指摘のとおり、非常に大型化しておりまして、もし高炉が一本建つと、今度は段階的にそれからそれへと拡張しなければならぬということになるのでありまして、それが一企業がやれば第二、第三の企業がこれに続くということでありまして、非常な増産になる。ある程度の増産は、これは私は基本的な鉄鋼業の特色によって、どろぼうを見てからなわをなうというようなことは簡単にできませんから、景気もいろいろな波がありまして、ある程度のことはあらかじめ準備してかからなければならぬと思いますが、今度の場合は、これは相当な大増産になるおそれがございますので、これは極力調整を加えてまいりたい、かように考えております。
○堀委員 私の考えております方向で大臣も調整をお考えになっているようでありますから、けっこうでありますが、今度の調整の問題だけでなく、構造上の問題として、ある程度ものを考えていかなければならぬ段階にそろそろきているのじゃないかということをちょっと私申し上げているわけです。そこについては大臣どうお考えでしょうか。長期的展望の構造上の問題です。
○椎名国務大臣 御指摘のとおりでございます。鉄鋼部会におきましても、その点は真剣に考えてもらっております。われわれとしても十分に考究してまいりたい、かように考えております。
○堀委員 何か申しましても、今度の日本経済の調査で見ましても、今度の鉄鋼の設備投資というのは、伸び率のウエートでいきますと二〇%をこえるというたいへん大きなウエートでありますから、私はやはり鉄鋼のようなところの調整がうまくいくことが全体の調整にはね返ってくるというふうに考えますので、この点は特にこれから産構審の資金部会にはかられることでありますから、申し上げておきたいのですが、さっき私がちょっと触れた、要するに積み上がってきたから資金部会では最終的にしようがないというようなことがことしはないようにしてもらいたいと思うのですが、所管局長でいいから、そこのところをひとつきちっと答えておいてください。
○熊谷(典)政府委員 先ほども御指摘がございましたように、最終的に資金部会で出てまいりましたものをいろいろ切ったり張ったりするというのは非常にむずかしゅうございます。そういう意味で、四十三年度は、前もって業界にも異例な要請をいたしております。現在各局で各業界と、将来の需給状況なり資金繰り等を勘案してできるだけ具体的に詰めたものを出していただく、こういうことにいたしております。したがいまして、今回の調整は例年よりだいぶん違ったやり方をやっておりますので、御希望に沿えるのではないか、かように考えております。
○堀委員 時間がありませんから、最後に企画庁長官に……。 さっきおっしゃったように、諸外国では設備投資がこう押し上げようとしてもなかなか上がってこないという悩みが先進諸国にある、日本の場合は、幸いにしてどうもやや行き過ぎて手綱を引き締めなければいかぬぎみで、ありがたい悲鳴だ、こうおっしゃっておるわけですが、皆さんが四十二年三月十三日にお出しになった経済社会発展計画、四十年代への挑戦というのがある。きょうが十二日ですから、ちょうど一年目です。一年たってこれをあけてみると、いま私が触れてきた設備投資の部分については、四十一年−四十六年で大体年率九・七%、四十年−四十六年で九・五%ぐらいの年率の伸びで、四十六年度において七兆七千七百億円ぐらいにいくのが望ましいのだ、こう書いてあるわけですね。ところが、ここで書かれておるのは、四十年度実績が四兆五千百億と書いてあるのですが、現実には四兆八千億になる。それから四十一年度見込みが四兆八千九百億となっておるのが、五兆六千四百億ぐらいにすでにもう動いておる。これからいくと、あと一体年率でどのくらいの伸び率になるのでしょうね。この七兆七千七百億というところへいくのには年率は幾らぐらいに下がるでしょうか、ちょっと企画庁長官お答えいただきたい。
○宮澤国務大臣 四十六年度まで四・二だそうであります。
○堀委員 企画庁長官どうでしょうね。そんなことが起こるでしょうか。
○宮澤国務大臣 それは私はこう思うのでございます。確かに四十二年度たいへんに経済が現実に違った動きをいたしました。いわば四十年代にはもうないとこの計画立案のときに考えられておったようなことが一ぺんともかく起こったわけでございます。そこで引き続いて四十三年度にやはり同じ、あるいは非常に似たようなことがかりに起こりましたら、そうしましたら、私はその計画を立てたときに考えておった基本の考え方が間違いであったということを認めてかからないといけないと思います。他方で、もし四十三年度そういう動きでなくて、私どもが考えた程度の動きでありましたら、今度はそこで決断を下すのは少し早い、間違っておるか間違っていないか、やはりもう少し見てみなければならぬということになると思うであります。したがって、いま計画を変えるかという予算委員会等での御質問には、私はいまそういうふうに思っておりませんと申し上げておるのでございますが、もし四十三年度で重ねて同じようなことが起こりましたら、これはもう考え方をもう一ぺん振り返ってみなければならぬ、そう思っております。
○堀委員 重ねて四十二年度のようなことが起こるという限界はどこらですか。要するに何%くらい伸びたら考えをお変えになるのですか。そこの限界をひとつ聞いておきたい。
○宮澤国務大臣 まあ、私どものこの経済見通し程度、つまり一割でございますか、そのくらいでありましたら、あと四十四、五、六、どういうふうな動きになるか、帰趨を必ずしも見きわめられないだろう、したがって、計画がそんなに間違っていないかもしれないという感じがいたしますし、もし四十二年度のようなことが起こりましたら、これはいさぎよく考え直すということになると思います。
○堀委員 ことしの設備投資が二五%もこえたりしたら、実際、円の切り下げですよ。そんなばかなことが起きたらたいへんなんですが、私はやはりいまの一〇%程度ということには落ちつかないだろうと思いますね。そうなると、今度はもう四・二%ですか、あと今度は二%なんて、そんなことは起こり得ないことでして、こういうののは大体資料等を拝見していつでも思うのですよ。私は、所得倍増計画のときも、迫水さんが長官だったと思うのですが、最初の初年度のところで、これはおかしいですねということでだいぶ論争したことがあるのですが、ここで私が言いたいのは、計画を変更することに実は意味があると言っているんじゃないですよ。そういうある一つの見通しを立てたら、できるだけそれに近いかっこうで経済が運営されるような努力が払われるかどうかということじゃないかと思っているんですよ。計画はいいんですよ。どんどん破れていくこと自身は悪くないのですが、そのために国際収支で天井へぶち当たって、そして金融で引き締めをやる。金融で引き締めをやるために、本来引き締めでそういう関係のないところに実はしわが寄って、肝心のところへはなかなかしわが寄らないで、インパクトローンなんかをとったり、適当にそういうところは金融引き締めがあっても自分の道をどんどん行く、そういういびつな問題を起こさないためには、押えるべきところを少し押えながら、できるだけ計画の線に近い形で誘導をしていくためにこういう計画はあるんだろうと私は思うのですね。そうでないならば、計画というものは、実際言うと出さないほうがいいのですよ。だから計画を出した以上は、それに近い方向でやる責任が政府にあると私は思う。椎名さん、そう思いませんか。どうですか。計画を出した以上は、できるだけそっちに近づける努力を通産省もやらなければいかぬ、こう思っていただきたいのですが、通産大臣、どうでしょうね。
○椎名国務大臣 引き締めでつらさを感じるのは私の立場でございます。なるべく引め締めはしないで、いわゆる引き締め万能は少し考えたほうがいいんじゃないか、これはまあ私の個人的な気持でございますから御了承を願います。
○堀委員 いやいや、引き締めをしないでほしいというのは椎名さんだけじゃない。これはだれも反対なんです。引き締めがよろしいなんて言っているやつは、私は金融機関を含めてどこにもないと思うのです。そんなことはあたりまえなんです。引き締めなくてもいいようにどうやってやるかというところに問題があるんです。通産大臣どうでしょうか。
○椎名国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○堀委員 だからそれの一番もとは、きょう一時間にわたってやってきたのは、やはり民間設備投資をもう少し真剣に調整をしてもらうということではないのか、こう思うのですが、椎名さんどうですか。
○椎名国務大臣 いままでその問題を中心に問答をしてまいったのでございます。そのとおりでございます。
○堀委員 まあ通産大臣も真剣に今度は調整をやるかまえを示していただいたし、通産省の企業局も例年にないやり方で、私が申し上げたようなことでやろうというかまえのようでありますから、本日の質問はこの程度にいたしますが、これは私は宮澤さんとしょっちゅうやりながら言うのですが、必ず証拠が出てくるのです。やったかやらないかというのがあとで必ずわかるのです。これからは私はここの委員会へ来ておりますから、こまかく点検をさしてもらいますから、そのときにあなた方、あのときはああ言いましたけれども、このときはこうなりましたというようなことを言わないように、やはり私は責任を持ってやってもらいたい。ここで一ぺん皆さん方がお答えをいただいたことは、それをきちんとたてにして、いうなれば、私が申し上げたことについて答弁をいただいた点は、私は産業界に対して一つのにしきの御旗として立つと思うのです。ここで皆さんが答弁されたことは、国会でこれだけ議論になって、通産大臣はこう答えました、企画庁長官はこう答えておりますから、皆さんもこうしてもらわなければこれは困ります。——私は何も個人の堀昌雄ということで議論しているのではない。国民の願いをそこへかけて議論をしているわけですから、決してこれは社会党の私が言っているということじゃないのです。これは国民がみなそう思っているわけです。そういう不要な引き締めによって苦しむようなことのないように、これから企業間信用がまだまだ膨大になって、すでに三十兆をこえているといわれるのですが、それの被害をみな中小企業が受け持たされるわけです。それは中小企業にも一半の責任はあるにしても、その大部分の責任はこの二百九十四社という主要製造業に問題があるのです。電力もありましょうし、その他にもありましょう。だから、どうかひとつことしの設備調整については、鉄鋼を含め、主要業種を含めて、ひとつ責任を持って、あやまちなきような調整をやっていただくということをお願いしたいのですが、通産大臣よろしゅうございますね。うなずいただけでは速記録に出ませんから、ひとつことばではっきりおっしゃっていただいて締めくくりにしたいと思います。
○椎名国務大臣 御趣旨に沿うて努力いたします。
○堀委員 終わります。
○小峯委員長 吉田泰造君。
○吉田(泰)委員 いま堀委員から非常にうんちくの深い論議がございまして、そのあとで同じようなことをまた繰り返すのもはなはだ恐縮なんですが、まだわからないこともございますし、景気の見通しとやはり民間設備投資問題ということで質問をいたします。 その前に一言ちょっと通産省にお伺いしたいのですが、スタンプ業の規制、これは本格的な質問に入ります前に、この国会で割賦販売法の一部改正が出る予定でございますけれども、最近スタンプ業が非常に蔓延をしてきておる。特に最近アメリカのゴールド・ボンド社あたりが営業所をどんどんつくっていって通産省の指導のワク内を越えた範囲内で営業活動をやっておるというふうに考えられるのです。現在そういう時点でございますが、通産省はこれに対してどういうような考えを持っておられるか。過日の新聞報道によりますと、規制を検討中というようなことで新聞に報道されておりましたけれども、どういう方向で検討し規制をされようとしておるか、まず冒頭にこの一点をお伺いいたします。
○熊谷(典)政府委員 御指摘のように、最近スタンプ業が相当はやりだしまして、特に外資も入りたいという話がございます。ただ、現在は外資の規制法がございますので、それが現在やっております日本国内の企業に大きな影響を与えないように調整して入れてまいりたい、これは現在の組織でできますので、そういうふうにやりたいと思います。 なお、スタンプ業を今後どういうようにしていくかという問題は、私どものいまの感じは、アメリカでは非常にはやっておりますが、日本でそれだけはやり得るかどうかという問題が一つございます。それと同時に、この問題はそれぞれの組合でそういう事業をやっているというような問題もございます。したがいまして、規制措置につきましては今後のはやるかどうかの見通しなり、組合関係がこれをどういうふうに受けて立つかという問題を総合的に研究したい、かように考えております。一年ぐらい余裕をいただきたい、かよう考えております。
○吉田(泰)委員 この間の二月の十二日の新聞ですか、通産省内部では、スタンプ業は普及し始めたとはいえ販売絶対額はまだ小さい、それからスタンプ業の実態がつかめないということですが、私が非常に心配するのは、最近、学校ですね、PTA、各学校に、たとえばボールをやったりいろいろなことの、そういうスタンプを父兄会で集めて、そういう通産省の見解と別に、現在百億程度ということでございますが、非常に普及しておるということは、局長御存じですか。たとえばPTAがスタンプを持ち集まっていろいろな学用品を買っておるとか、そういうふうな時点、したがってスタンプ業がアメリカのまねをして非常に多く小さい業者ができておると思うのです。これが倒産とかいうことになりますとたいへんな社会的な問題になる。大きくなる前に何とか規制をしておかないと、これは子供なんかに与える影響が案外大きいのじゃないか、かように考えますが、どうでございますか。
○熊谷(典)政府委員 これを規制いたします場合に、営業としてやる場合と、いま御指摘のようなそうでないような形態もいろいろあるわけであります。また一つの流行でございますので、非常にたくさんの小さな業者がこういうものをやりたいという御希望もあるやに聞いております。したがいまして、私どもはまだ、率直に申し上げて実態をほんとうにつかめておりませんので、至急実態を調査いたしまして、もし将来放任しますと弊害が起こるようでしたら、割賦販売法の改正というようなことを考えまして善処してまいりたい、かように考えます。
○吉田(泰)委員 スタンプ業のことについてはその程度にとめておきます。どうか間違いのないように事前に規制をしていただきたい、これを要望しておきます。 景気の見通しと民間設備投資の問題でございますが、いま堀委員の非常に格調の高い論議がございまして、そのあとでございまして非常にやりにくいのですが、私が聞いておっても非常にむずかしい問題でございますし、国民一般が非常にわかりにくいのじゃないかと思うのです。したがって、もう少し景気の見通し、特に企画庁長官、これは私は初めて議会へ出てきたのですが、非常にシャープな、優秀な人だと思って、国民はそういう印象を持っておるのです。ところが、政府の経済見通しは非常にわからない、むずかしいということはよくわかる。そういう基調はわかりますが、非常によく狂いますので、したがって国民はこれをはたして信じていいのかどうか、そういうことが非常に不安だと思います。特にこの一月五日に公定歩合を再引き上げしましたときに、水田大蔵大臣でございますけれども、年内には国際収支がとんとんで均衡を取り戻して緩和政策に移りたいというような発言をされております。政府の考え方だと思うのでございますけれども、実際現在でもその自信があるのか、あるいはまた公定歩合を引き下げるような時点、そういうことが近い将来にあり得るような見通しなのか、そういうことについて明確に御答弁を企画庁長官にお願いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 私どもは国際収支がいわゆる黒字基調になる時期というのを年度内というふうに考えておるわけでございます。それで吉田委員の言われましたのとは、したがってこの一−三月分だけ大事をとっておりますと申しますか、ずれておるわけでございます。ただ、それにいたしましても、それが、資本収支が非常に黒字が大きくなったことによって国際収支の赤字がカバーできたということではあまり意味がございませんので、やはり貿易収支が相当好転をする、ざっと二十億ドルがらみの貿易収支の黒字が出る、そのことのほうをむしろ大切に考えております。したがって、これは輸出がかれこれ一五%ほど前年度に対比して伸びるということを想定するわけでございますが、私は、それは経済運営の方針さえ間違わなければそんなに無理な注文ではない、前年度が低うございますしいたしますから、そういうふうに考えておるわけでございます。ただ、そのためには、やはり現在の引き締め基調というものは当分続けなければならないのではないかと考えております。したがって、公定歩合を引き下げる時期がいま見通し得る程度の将来にあるかというお尋ねになりますと、私はまだそういうことを考える時期ではないというふうにお答えすべきだと思います。
○吉田(泰)委員 過去の引き締めの例でございますけれども、三十三年が経済成長率を見てみますと三・五%、三十七年が五・三%、四十年が四・七%、四十三年度、今回の場合はそういう過去三年の場合よりかはるかに高い七・六%、こういうことが、過去と同じような、たとえば四ないし五%程度では非常に不況感が過度になって、高度成長を見込まなければいけないという原因は何でございますか。
○宮澤国務大臣 それは先ほど堀委員もおっしゃっておられましたように、設備投資の意欲が相当に強いということが第一にあげられるべきだと思います。 第二には、昨今は、景気の好不況によって消費が左右されるという度合いが非常に少なくなってまいりまして、消費は常に一定割合で伸びておる、私はこれは決して悪いことではないと思っておるのであります。したがって、昔に比べますと、第二に言えることは、やはり消費の基調が相変わらず一定の強さを持っておる、こういうことであろうかと思います。
○吉田(泰)委員 いま企画庁長官の御答弁の第一は、民間設備投資問題ということが非常に大きい原因であろう、私もさように考えます。堀委員からも詳細論議がありましたので、重複する分はできるだけ避けさせていただきます。ただわからない部分だけは重複をいとわないでひとつ御答弁を賜わりたいと思います。時間もございませんから非常に簡潔にお願い申し上げます。 私は、この民間設備投資は、調べてみても、正直申し上げましてなかなかわからないのです。この前の一月三十一日の本会議の答弁でございますが、企画庁長官の御答弁の中で、成長率が民間投資が二七・五%で、当初見通しの一四・八%は誤ったけれども、これは中小企業が非常に近代化されていいことなんだという御答弁がたしかございました。その問題について、これがはたして、なるほど中小企業の近代化投資はなされております、そのことも承知しておりますけれども、中小企業のほんとうの投資であったのかどうなのか。私の、通産省の調査では、資本金五千万円以上の企業の投資が三七・八%増というようになっております。平均が二七・五%。ところが大企業、大きな資本金の企業、これをどこにとるかということは問題が残るのでございますが三七・八%。そうすると、大多数の中小企業の設備投資、それはなるほど伸びておるところもありますけれども、本会議で御答弁なさったようなことは当たらないのではないか。これはどうでございますか。
○宮澤国務大臣 中小企業、かりに製造業について考えてみますと、中小企業の設備投資の伸びは四十一年度に前年対比でほぼ四割でございます。四十二年度も推定ではほぼ四割でございますから、これはやはり相当大きな伸びだというふうに考えております。
○吉田(泰)委員 通産省の企業の投資ですね。民間設備投資が三七・八%、これは五千万円以上はどういう平均でございますか。
○熊谷(典)政府委員 資本金五千万以上、それから機械につきましては従業員三百人以上のもの千八百社の統計でございます。
○吉田(泰)委員 いま長官の御答弁の四割伸びているというのは、資本構成区分はどうでございますか。
○宮澤国務大臣 それを申し上げるべきでございましたが、失礼いたしました。一億円未満をとっております。
○吉田(泰)委員 いま企業間信用のことは堀委員も御質問がございまして、再度私は確認のために長官にお尋ね申し上げますけれども、現在の企業間信用ですね。どのくらいあって、対前年伸び率はどのくらいあるのですか。
○宮澤国務大臣 これは正確には実はわかっておりません。先ほど堀委員はたしか三十兆と言われたと思います。私もどうもそこらではないかという感じがしておりますけれども、これは調査がございませんので、正確に申し上げられません。
○吉田(泰)委員 私は、ことしの初めの政府見通しのように、年度内——私が年内と申し上げたのは誤りでございました。年度内でございます。民間設備投資を去年一四・八%にして国際収支をとんとんに持っていくという、いわゆる政府の行政指導があったならば、そういうことを政府がなすべきではなかったのだろうか。また、二七・五%に誤りはなかったけれども、中小企業を含めて設備投資で非常に近代化されているんだという長官の御答弁でございますけれども、堀委員からも御質問がありましたように、そういう指導、いわゆる経済見通しのそういう線に沿った指導が行なわるべきでなかったのか。また、そういうできないことについて政府のほんとうの責任というものはないのだろうか。非常に素朴な質問でございますが、そういうことができなかったことについて責任がないのか、これはどうでございますか。
○宮澤国務大臣 私どもは、わが国の経済運営はやはり市場経済の原則にのっとっていくことが一番いいというふうに考えております。したがって、先ほどから御指摘もございましたように、産業構造審議会等々で、いわゆる説得によって、その時点時点に応じて、設備投資の調整なりあるいは共同投資なり、そういうようなことをぜひやっていってもらいたいというふうに考えることはしばしばございますし、四十三年度もまさにそういう年であろうと思いますけれども、しかし、それを権力によって行なうということになりますと、やはり市場経済の原則を基本的にこわすということになる心配が非常にある。そういたしますと、そのことは極端に申せば、角をためて牛を殺すということになりかねない、こう思っております。これはやはり考え方の問題でございますが、そう思っておりますので、政府が誘導し得る限度というものはおのずから限られておる。私は、それでいいのだろうというふうに思っております。とすればこれは、そういうことを前提にして見通しを立てるべきであって、見通しのとおりにならないからといって企業側が悪いというようには考えるべきでない。それならばそういうことを前提にしてむしろ見通しのほうを考えるべきだ、こういう考え方を持っております。
○吉田(泰)委員 長官の御答弁は非常によくわかるのでございますが、私は産業界の現状を見てみまして、おそらく経営者は、国際収支、そういうことはなるほど学問的にも論理的にも考えることは考えておりましても、みな自分の企業のことばかりだと思うのです。先ほど堀委員も指摘なさっておりましたけれども、国の収支がどうなってもいいじゃないか、自分の企業がもうかればいいじゃないかというような考え方がいま潜在しているのじゃないか。したがって、いわゆる自由主義経済でございますので、長官の御答弁のようにそれがいいだろうという、その説もわかるのでありますが、少なくともそういう産業界のビヘービアに対して、高度成長をしていくというミクロの立場から、産業界は全部成長と拡張を急いでおると思うのです。そういう環境の中で、やはり政府が何らかの政策的なコントロールでもしないと、私は政策不在じゃないか。なるほど、自由主義経済の中における立場はわかりますが、はたしてそれがいいのか、これはどうでございますか。やはりそういう説で正しいのでしょうか。
○宮澤国務大臣 人手はだんだん不足してまいりますし、技術革新が行なわれなければならないということも確かでありますし、またいわゆる国際的な規模で企業をつくり上げていかなければならないということも私ども常に考えておることでございます。したがって、そういう考え方に基づいて企業が設備投資をしていくということであれば、それが単なるシェア競争であるとかあるいは採算を無視するということでない限りは、私ども基本的にはそれはやはり認めていきたいという気持ちを持っております。ただその場合、わが国の貿易構造から申しまして、相当のものを輸出してもらわなければ日本経済全体が立っていきませんということだけは、これは企業にぜひ知っておいてもらいたいと思いますし、それを要求するのは私は無理ではないと思います。ですが、その次に、常にそのときどきの国際収支を頭に置いて行動してくれということは、そういうことはぜひそうあってもらいたいとは思いますけれども、それはやはり私ども政治に関係しておる者が主として考えるべきことであって、企業に対してしょっちゅう、国全体の国際収支をいつも考えておいてくれ、そうしなければ企業の側が悪いのだということは、私はなかなか言えないのじゃないか。ただわが国の貿易構造は常にそういうものであるということは、これを考えてくれということは、私は無理な要求ではないと思います。
○吉田(泰)委員 民間設備投資がどんどん行き過ぎまして過熱になって、シェア拡張をやっていく。なるほど採算を度外視しなければ自由主義経済のもとにおいて認めよう。ところがだんだん設備をしていきますと、その中に政策が、政府が介入することを業界はきらう。政治的な立場で考えてみれば、その意思の疎通が政策的にどこで行なわれるのか。後ほどまた質問しますけれども、矛盾しているんじゃないか。設備を放任しておいては必ず需要と供給のバランスがくずれることは、これは当然でございます。それぞれ化学繊維の業界でもいろいろな点で過当競争が繰り返されようとしています。いま堀委員もおっしゃるように、鉄鋼生産でもそういうきざしがすでに見えかけております。設備に対しては自由気ままにさせるんだといって、生産に対して——あとでまた不況カルテルの問題も取り上げますけれども、何らかの政策が介入しなければ、いま業界はいわゆる国際収支、そういうことを考えずどんどんやらすのだ、それは政治で考えるんだ、その二つのつなぎをどこでやるのか。あとまちまちでほうっておったのではどうにもならぬじゃないか。いま長官の御答弁では、政治を考えるのは政治家の仕事である、内閣の仕事である、政府の仕事である、民間に対しては、そんな国際収支なんか考えないでどんどんやらせればいいんだ、これでは全くの政策不在、こうなると思うのです。
○宮澤国務大臣 これは政府が関係する接点は幾つかあると私は思います。第一は、やはり財政及び税制であると思います。御承知のように、四十三年度のように、公共事業をかなり押えた予算を組む、あるいは税制でもそういうことはやり得るわけでございます。それが第一と思います。それから第二に、政府が直接に関係しております金融がございます。これも政府の政策の意図をすぐに反映させることができると思います。それから第三に、政府直接ではございませんけれども、中央銀行の金利及び貸し出しの方針によってある程度の影響を与えることができると思います。それから第四に、先ほどからお話のございました、たとえば産業構造審議会といったようなほうで調整をしてもらう道が、やはり政府の関与し得る接点がございまして、私どもはまあこの程度で、あとはなるべく市場経済の原則を生かすということがよろしいのではないだろうか、少なくとも過去それで大きな間違いをいたしませんでしたので、いまでもそう考えております。
○吉田(泰)委員 公定歩合の引き上げをして、いま御答弁の中におっしゃいますような公共投資の繰り延べをやる、そういうことをやってみて、現在その効果が——十月、十一月、十二月と、鉱工業生産が依然として上昇を示しておる、こういうことは、国債発行によって手元流動性が非常に高くなった、したがいまして、金融政策による景気抑制が、いわゆる限界に来ているんじゃないか、金融政策のみではどうにもならない限界点がいま来ておるんじゃないか、そういうふうに考えるのですが、長官の御見解はどうですか。
○宮澤国務大臣 昨年九月に引き締めに入りましたときに、私どもは、この効果があらわれるのは大体六月ぐらいであろうということを予測をいたしておりましたし、また公にもそういうことを申しております。確かに昔に比べますと、日本経済全体の規模が大きくなっておりますから、そう締めたからといってすぐ反応が出てこないということもございますし、今回の場合は四十年、四十一年が不況であったせいもあって、企業の手元がかなり楽であったということがございますから、それだけよけい金融の引き締めがすぐには及ばない、そういう現象があることはもう御指摘のとおりだと思います。しかしながら、四十三年度に本格的な設備投資を考えるということになりますと、自己資本だけでこれをやれるという企業は皆無じゃありませんが、非常に少ないわけでございますから、それはこれから金融引き締めがきいてくるということは、もうおそらく私は間違いないと思います。
○吉田(泰)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、通産省では去年の十月の新聞でございますが、通産大臣の、設備投資の役割りを考え直すという新聞記事を手元に持ってきたのですが、長期的な見地に立って設備投資を根本的に考え直すということで記者会見を通産大臣がなさっておられます。そのときに投資平準化の準備資金制度を取り入れようとして大蔵省に要求をした、それがだめになった、そういう時点で記者会見をなさった記事がございますが、結局認められなかった最大の原因は何でございますか。
○熊谷(典)政府委員 民間の設備投資につきましては、過去の経験を見ますと、不況時には設備投資が行なわれない、好況時にそれが集中的にあらわれるというところに経済運営としては相当問題がある。それと同時に、企業自体の体質としての問題がございます。したがいまして、通産省としてはできるだけ長期的な見通しを立て、好況不況をならした投資が好ましいのではないか、こういう考え方でございます。そういう意味で投資平衡準備金という構想を出したわけでございますが、これをやってまいります上におきましては、いわゆる特償の停止という制度が出ております。そういうものとどういうふうにかね合わせていくかという問題もございます。不況期のときにどういう助成をすれば民間が投資をやるだろうかという技術的な問題もございます。そのほか減税額の問題もございます。いろいろな点から見まして検討はいたしましたが、時間的に今回は間に合いませんので、今後の検討に待つことにいたしたわけでございます。
○吉田(泰)委員 今回は大蔵省で通らなかった。ところが細部を検討して再出発してやるんだ。細部を検討してやるという発表をされておりますが、どういう検討をしていつごろやられるか。新聞では四十何年とか何か書いてございますが、これはどうでございますか。
○熊谷(典)政府委員 御承知のように、政府の立場といたしましては、税制の審議会がございます。そこで今後土地問題の税制のあり方、あるいは法人税の問題とか、長期的、根本的に検討すべき問題が多々ございます。したがいまして、それの一環として至急検討してやりたいということでございまして、四十三年度この問題を取り上げて検討しよう、こういうことに考えております。
○吉田(泰)委員 私は通産省のこの考え方、これは非常に不徹底な点があるのではないか、かように考えるのです。一度出して、いろいろな財源の問題とか、当然これはわかり切った問題なんです。これはおそらくこの新聞にも出ておりますけれども、スウェーデンで実際に行なわれていることを参考になさったのであろうというような記事でございますが、このスウェーデンのいわゆる準備金制度と、いま通産省の考えておられる案とに私は本質的に非常に違いがあると思う。たとえばスウェーデンの場合は中央銀行に準備金を預ける。日本の場合は、企業内にそれを保留する。そういう形をもし考えておるとするならば、私は民間の設備投資の抑制じゃなくて、逆に助長する形になりはしないか、形式を間違ったならば、間違った方向にかえって助長策にならないか、企業内に金を持っているのですから。スウェーデンの場合と本質的に——形態は一緒でも、金を預かるところが違うということで、結果的にいわゆる設備投資抑制策にならないんじゃないか。このように考えておる。どうですか。
○熊谷(典)政府委員 積み立て金をどういうように運用するか、この運用のしかたによっては御指摘のような点も出てまいろうと思います。通産省といたしましては、それを封鎖する、取りくずさせないということを考えておるわけでございますが、その場合に銀行がいいか手元に置いたがいいか、いろいろな議論があろうかと思います。御指摘のような点もございます。われわれとしては、率直に申し上げますと、できるだけラッシュするときには押える、そのかわり不況期にやらせたい、こういう気持ちを持っておるわけです。その方法論としては、御指摘のように、いろいろな点でまだ詰めなくてはならない点があろうと思います。そういう意味で今後研究してまいりたい、こういうことでございます。
○吉田(泰)委員 この準備金制度が非常に無理だ。それじゃ民間の設備投資の調整を行なうのに具体的な政府の施策、私はそれを聞きたいのです。何をやってもこれはだめだ。企画庁長官から先ほどるる御説明がございましたが、結局民間の設備投資は、いろんなことを言って答弁なさいますけれども、無防備のままでございます。放任した姿のままでございます。これで何らかの調整策をとろうと思って準備金制度を取りくずす……。はたして、いろんな検討しているとおっしゃいますけれども、具体的にこういうことをして設備投資を抑制したいんだということがございますか。たとえて申しますと、政府が景気調整策として導入した重要産業合理化機械の特別償却制度、これなんかでももはや停止すべきじゃないか。はたして具体的な動きがあるかないか、何にもないのです。もし具体的にこうしたら民間設備投資を抑制できるというような具体策がありましたら、ひとつお教えを願いたいと思うのです。
○熊谷(典)政府委員 投資平衡準備金制度を考えましたのは、それだけ完全に投資の抑制なり不況時の投資の振興ができるということは考えておりません。それと同時に、やはり先ほど来問題となっておりますように、業界がそういう事態をよく認識していただいて、そうしてわれわれも、できるだけ通産省といたしましてはそういう理解を業界に深めながら、資金部会あるいはそれぞれの産業構造審議会にあります部会の場を通じて具体的な投資の計画をつくっていただく、こういう行政指導をやらないといけないと思います。ただ、この設備投資を一律にしからば法律で押えるというようなことは、これはやはり将来の需給の問題とか、いろいろな関係まで法律で押えなければならぬという問題が出てまいりますので、現在われわれがやり得る行政指導なり、資金部会、構造審議会の場を通じ、あるいはいまのような税制措置を通じて、民間の自主性をやはり尊重しながらやってまいりたいというのがいまの基本的な姿勢でございます。
○吉田(泰)委員 私は、民間設備投資を抑制するということについて特に考えていただきたいことは、そのしわ寄せが、先ほど堀委員もおっしゃっておりますけれども、必ず最終的には中小企業にしわ寄せがいくということなんです。たとえて申しますと、いまの八幡君津にしても、いろんなことを言ってみたところで、やはりやってしまうと思うのです。最後には金融機関を通じていくと思うのです。そうすると、大企業はどんなに不況になってもやっていける。最後のしわは必ず中小企業にくる。だから、こういうことをなくするために、なるほど政治的に押えられない、政策介入はできない。しかし、それでは政策不在で放任じゃないか。業界は自由主義経済の名のもとに何ら政府のコントロールがないじゃないか。結果的にはそれによって中小企業にしわ寄せされて倒産が相次ぐ。これについての政策が、いわゆるお茶を濁したような政府の政策しかないじゃないか。このことを私は訴えたいのです。大多数の中小企業者はそのことについて非常に関心が高いと思うのです。八幡がどうしようが無縁のことなんです。ただ、こういう不況なときでもやっていける、そのしわがわれわれのところにくるぞというような、いわゆるムード的な、そういう中小企業者の腹立たしさというものはぬぐえないと私は思うのです。そこに政策的な介入がないとすれば、コントロールの具体的な手段が——たとえ一つでも準備金制度を出そうとすれば、政府の見解は、これは話は変わりますけれども、現在の時点をどうしようかということだけに終始しておると思うのです。五年先、十年先を見て、英断を持った具体的な施策は、非常にむずかしいと思うのですが、何らかの意味でやっていただきたい。これが大多数の中小企業者、国民の——大企業そのものは数にしたらごくわずかだと思うのです。大多数の人がそれを望んでおるということを、この際によく私の意見を申し上げて要望をしておきたいと思うのです。 それから、これは具体的な一例でございますけれども、法人税の付加税として、非常に好況なときに投資超過税的な何かそういう具体的なものをつくるような案がございますか。たとえば好況なときに投資超過税的な税金を取るとか、欧州の国にあるそうでございますが、そういうようなことを検討されたことがございますか。いま局長の御答弁のように、いわゆる自由主義経済でございますので、自由な競争をさしておく、民間投資も自由にさしておくという、あくまでそういうお考え方でございますか。
○熊谷(典)政府委員 私から御答弁して適当かどうか疑問でございますが、御承知のように、景気調整税制といたしましては特別償却制度の停止の制度がございます。法人税の付加税の問題は、現段階においては検討いたしておりません。
○吉田(泰)委員 あまり時間がございませんので、簡単にあとの質問をいたします。 佐藤内閣が、以前の池田内閣の高度成長の是正と社会開発ということを旗じるしにして発足し、経済社会発展計画と称するもの、これは企画庁長官に答弁をお願いしたかったのですが、時間がございませんので割愛いたします。そういう計画がつくられたはずなのに、なぜそれが実際に行なわれていないのか。私の意見を述べますと、これは官僚及び産業界の独善の計画であって、国民を代表した——これはあとで御質問しますが、国会の議決を経るというような計画性が何にもない。しかも、この計画を実際に効果的に行なって実行していくだけの機関が欠けておる。計画は立てるけれどもやりっぱなしだ。 そこで私は質問いたしますけれども、この経済社会発展計画を、これは一つの私案でございますが、国会の決議事項にしたらどうかということが第一点。 第二点は、計画の実行を確保するために、たとえば産業構造審議会を改組して、産業構造審議会についてはあとで一点だけ御質問させていただきますけれども、これを改組しあるいは拡大をして、わが党がいつも主張してまいりましたような、法的な根拠を持った投資計画会議、そういうものに衣がえをされるような意思がないかどうか。これは企画庁長官にお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 経済社会発展計画を国会の議決事項にしてはどうかということでありますが、あの計画そのものが一つの見取り図のような要素を相当含んでおりますし、先ほど申し上げましたような理由から、なかなかそのとおりに経済の実態は動かない。それはそう動きませんのは、政府がなまけておるからというのではありませんで、本来、もし私が先刻申し上げておりますように市場経済の原則を中心にしていくことが正しいとすれば、私は、わが国の場合それが正しいと思っておりますが、その当然の結果として、なかなか見取り図のようには経済が動いていかないということになるのだと思います。したがって、この点は国会で議決をいただきましても、もとの仕組みそのものを変えるのでない限りは、なかなあのとおりにはいかない。これはだれかがなまけておるとかなんとかということとはあまり関係がないのではないかというような感じが私はいたします。 それで産業構造審議会云々でございますが、私はいわゆる経済を計画的にやる、プランニングをつくってそのとおり動かすということにどうもあまり信用がおけないほうのたちでございまして、わが国のように知的水準が高くて、そして勤労者欲が高いという国では、やはり一人一人の国民の創意とくふうを生かしていくという経済の動かし方のほうが、結局国民全部のためになるというふうに考えておりますものですから、いろいろな意味でその計画を立てて、そのとおり公権力でそれを実行していくということは、わが国の場合にはその必要もないし適当でもないというふうにどちらかといえば考えております。
○吉田(泰)委員 時間がありませんので、最後に一点だけ御質問いたします。 いまの長官の答弁でございますけれども、なるほどそういう点も理解できます。ただ、産業構造審議会がそういう立場の御回答であれば必要ないじゃないか。事実、政府の見通しと同じように、産業構造審議会は成長率も一四・八%と同調しております。また計画が狂ったのも、同じような形でそういう見解を述べております。いま局長答弁の中で、そういう具体的な投資抑制の考え方として産業構造審議会があるというようなことでございますけれども、それならば産業構造審議会は要らないじゃないか。また投資もある程度コントロールできないような形であれば非常にナンセンスじゃないか。何のためにつくったんだ。政府と同じような見解で同じようにいくなら必要ないじゃないか。この一点だけ質問させていただきまして、質問を終わります。
○宮澤国務大臣 それは、もしわが国にいわゆる国際収支の問題というものがない、そういう心配がないということでありましたら、これは私見になりますけれども、ああいう産業構造審議会みたいなものはたぶん要らないだろう、われわれ役人が考えるくらいのことは企業家がもう十分考えておるはずでございますから。ただ残念なことに、そういう国際収支の問題がございますから、そのほかにもあるいは理由があるのかもしれませんが、やはりああいうものが必要になっておるんじゃないかと思われます。
○吉田(泰)委員 これでやめようと思ったのですけれども、もう一点聞かせてください。 国際収支が非常にいい場合には産業構造審議会は要らないじゃないかという私見ということでございますが、大体国際収支を考えなくていい立場で企業はみな設備投資をしていると思うのです。これは先ほどの長官の御答弁のとおりだと思います。したがって、企業そのものは国際収支そのものを考えないと思うのです。考えないのに、そういう仮定のもとにそれは要らないじゃないかということも、私はちょっと納得ができないのです。業界そのものは少なくとも国際収支を考えぬで、かってな企業利益追求のために設備投資をやっておる。国際収支を考えるために産業構造審議会があるならば、国際収支の上でコントロールすべきだ。コントロールもできてないじゃないか。私は必要ないと思う。それなら何も必要ない。前提条件を抜いても必要なかろう。これはどうですか。
○宮澤国務大臣 それは、企業家が自分の企業を考える場合に、そうそう国際収支のことは考えていないだろうというのは、私もそうだと思っております。ですが、企業家が今度は一人の経済人として、あるいは財界人として、自分の企業を離れてものを考えますときには、やはりおのずから国際収支ということもこれはまた考えるであろうと思います。したがって、そういう人たちであるとかあるいは政府の役人であるとかいうものが一緒になって国際収支というものを考える場、それによって企業にそういうことも考えてもらう場というものがやはり要るんじゃないか、それが産業構造審議会だと思うのでございますが、これがそのわりには統制がさいていないではないかということになれば、これは運用の問題だと思いますが、私はやはりそういうことを考えてもらう場としての意義を果たしているんじゃないかと思っております。
○吉田(泰)委員 時間がありませんので、また機会を改めます。
○小峯委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 まず通産省の行政施策をお聞きする前に、何としてもその行政姿勢が問題ではないか、私はこのように思うわけです。まずこの点が明確でなければならないと私は思います。 昨今の汚職の続発というものはまことに目に余るものがあるわけであります。この汚職の原因として公務員のモラルの低下があげられるわけでありますが、通産省は業界との関係というものが非常に深いことからして、最もこうした公務員のモラルの低下ということを心配しておったわけです。ところが、その心配が当たりまして、JIS汚職事件で世間を騒がしておるわけでありますが、きょうはJIS汚職等を中心として通産省等の綱紀粛正等についてお伺いしたいと思います。 まず、昨年の九月に大阪の通産局で起こった自家用発電汚職についてお伺いしたいと思うのですが、自家用発電汚職で昨年の十月三十日起訴された島田、早川両名について、起訴前に依願退職を認めたというのはどういう理由によるわけですか。
○大慈彌政府委員 お答えいたします。昨年大阪通産局で電気施設の検査関係で御指摘の汚職が起こりましたことは、たいへん申しわけないことと遺憾に思っております。その際、二名が起訴をされまして、一名起訴猶予になったわけでございますが、三人とも依願免官ということでやめております。従来から、問題になりまして調べられました場合に、手続としまして依願免官にする場合と懲戒免官にする場合と、いろいろございます。いままでそういう例が両方ございますが、昨年の場合は依願免官ということで起訴前と処理をしたわけでございます。
○近江委員 一般的には、公務員が問題を起こした場合は、起訴前または同時に休職の処分をして、刑の確定を待って懲戒免職をするというのが慣例となっておるわけでありますが、なぜこういう異例の処置をしたわけですか。
○大慈彌政府委員 懲戒免官と分限休職と、それから刑事処分、こういうのは理論的には別でございますが、御指摘をいただきましたように、警察に調べられました場合に直ちに情状によりまして懲戒免官するものもございます。しかしまた依願免官で処理した件もございます。それから起訴を待ちまして休職にするという件もあるわけでございますが、一番きつい厳重な処分ということになりますと、即時に懲戒免官、こういうことになろうかと思われますが、従来いろいろな例がございまして、昨年の十月の場合は、繰り返しになりますが、依願免官ということで処理をいたしたわけでございます。
○近江委員 それでは、今回のJIS汚職で二月二十六日に起訴されている、これは一体どうするのですか。法の第七十九条、この解釈からしてこの点はどう説明されるのですか。
○大慈彌政府委員 今回のJIS汚職の連続した事件ではなはだ申しわけなく存じておりますが、四名逮捕されまして、このうちの二名が御指摘のように起訴されたわけでございます。今回は起訴前に依願免官という手続をとることをやめまして、起訴後に休職処分にするというつもりでおりますが、従来と比べますと非常に厳格な処分、こういうことになろうかと思います。
○近江委員 このように処分したとおっしゃいますが、同じ汚職事件でも、前の事件は起訴以前に依願退職を認めておる。そうしたときに、一体この汚職事件に関係した職員の処分基準というものはどうなっているのか、非常にでたらめさを感じるわけです。この点について明確にひとつ答えてもらいたいと思います。
○大慈彌政府委員 今回の件につきましても、法的といいますかには依願免官を認めるということも可能であったわけでございますが、綱紀の粛正という観点から厳重な処分をするということでこういう処分になったわけでございますが、これが今後の先例といいますか、あまりこういうことが出てほしくないし、こういうケースが出ては困りますので、大いに綱紀の粛正には努力をいたしますが、まあ先例になろうか、こういうふうに考えます。
○近江委員 そうしますと、これは要するに辞職することによって情状酌量の余地を結局与えようとした、国民は策謀じゃないかと、このように考えておる人もいるわけです。どうしてこういうような不正なことに対してそういう不公正な、国民が納得しない処置というものを通産省はやるのですか。業者というのは、同じようなJISマークの汚職に関係した業者は直ちに首になっている。その人は働くところもなく、大阪から和歌山まで朝早くから出ていってやっているわけです。公務員は、汚職をして、そしてゆうゆうと退職金ももらって、そういうような、あまりにもその処置の点においても差があり過ぎる。一般では、役人だけのうのうと退職金をもらっているのはとんでもないことだ、こういうような話も出ているのです。こういう処置についてはほんとうにどう思いますか。
○大慈彌政府委員 今回の処分につきましては、起訴と同時に先ほど申し上げましたように休職処分、こういうことになります。したがいまして、退職金はもちろん出ないといいますか、そのまま身分は存続するわけでございますが、その上で刑の確定を待ちまして、禁錮以上の刑になりますと当然退職金は出ない、こういうことになります。したがいまして、具体的な今回のケースでございますが、二十年、三十年つとめましても退職金はもちろんゼロ、こういうことであります。現在休職中でございますが、これは本俸だけの六割以内ということになっておりまして、本人の生活状況等も勘案してきめる、こういうことになっております。具体的なケースとしては弁護の費用とかいろいろかかるわけでございますが、その辺も勘案しまして、決して甘いという措置はするつもりはないわけでございます。
○近江委員 甘い処置をするというようなことはないといいますけれども、前回においてはそのような依願退職を認めて、退職金も現実に出しておるわけです。悪いことをやった上になおかつ通産省がそうした甘い態度をしておる。要するに、甘い態度をとらざるを得ない、通産省自体に根本的なそういうものがあるのではないか、このようにも考えられるわけです。ことに中西大阪通産局長は、十月十一日に通産局に贈賄容疑者の業者を呼んで、偽証教唆の疑いをかけられるような、公務員としてあるまじき行為をしているわけです。これはあなたもよく御存じのはずだ。通産省の最高幹部ともあろう者が、どうしてこういうような破廉恥な行為をするか、この点について通産大臣答弁してください。
○大慈彌政府委員 私からお答えいたしますが、昨年の秋のケースに関連しまして、本人が——まだこれは起訴中でございますが、本人が出てまいりましてからもいろいろ状況を局長に説明したようでございます。そこで局長も、どういう事実であったかということを業者に話を聞いてみた、こういうことになっているわけでございますが、そういう誤解を及ぼすようなことがあるとしますと、あまり適当なことではなかったかと存じます。
○近江委員 しかし、これは刑事事件にならないにしても、公務員法の九十九条にいう公務員の信用失墜行為として、私はこの点は処分を考えなければいけない、こう思います。通産大臣はどう思いますか。
○椎名国務大臣 十分に調査をいたしまして、これに対しては厳正に対処してまいりたい、かように考えます。
○近江委員 このJISマークのことについて、消費者の商品選別の基礎となるべきJIS制度が公務員と業者の醜い取引で適当につくられている、この事実がこれで明るみに出たわけでありますが、国民はほんとうにだまされたという、ほんとうに無念な気持でいま一ぱいなんです。ここで、以下JISに関して若干お聞きしますが、この汚職に関係のあった会社のJIS表示許可工場あるいは製品について検査をしましたか。
○朝永政府委員 今回の事件によりまして、一般消費者にJISマーク表示品に対する信頼の低下を招いている状況がございますので、JISマーク表示品に対する信頼の回復をはかるために、本件に関連します表示許可工場に対してすみやかに立ち入り検査を実施し、その結果を報告するように指示いたしました。
○近江委員 JISマークを信用していままで購入しておった、そうした消費者に対してどのように釈明をするのか、この見解を通産大臣から聞きたいと思います。
○椎名国務大臣 審査につきましては、通産省に関する限り大いに厳正を期してまいりたいと思います。
○近江委員 私はそんなことを聞いていない。大臣もよく質問を聞いてもらいたいと思うのですよ。私も真剣なんですから。 要するに、このJISマークを信用して購入した消費者へは通産大臣としてどのように国民に釈明するかと私は聞いている。
○椎名国務大臣 たまたまこういったような事件によってJISマークの権威を害するような気持を国民に与えたとすれば、まことに遺憾でございます。でございますから、この問題については十分に審査いたしまして、そしてその経過を明らかにいたしますと同時に、将来の審査にあたっては、いやが上にも厳正を期するように督励してまいりたい、かように考えております。
○近江委員 ここでお聞きしますが、このJIS汚職は一体どういうような原因から起きたと思いますか。経過等いろいろたどる必要もあろうと思いますけれども、そういったことでなくして、根本的に……。官房長から答えてください。
○大慈彌政府委員 こういう事件が起こりますのは、綱紀の粛正という点であげていたかと思いますが、何より心がまえが一番大事でないかと思います。それから、そのほか制度の運営につきましても改善すべきことがあるのではないかということで、問題が起こりましてから連続打ち合わせ会を開きましたり、検討を進めており議して、改善に努力をいたしております。
○近江委員 それでは工業技術院長。
○朝永政府委員 当面の措置といたしまして、業務遂行にあたっての責任体制の強化、それから審査、検査担当官の服務規律の厳正化につとめております。また今後の対策といたしまして、審査、検査事項、許可基準などを一そう客観化するということ、それから内部監査制度を強化する、それから審査手続を一そう合理化いたしまして、申請から許可までの期間をさらに短縮するようにつとめること、それから、従来JIS品生産の助長、中小企業の指導育成という立場から、審査の判定にあたりまして、技術的生産条件が許可基準に達しない企業につきましては、直ちに不許可といたしませんで、許可を保留し、その改善を待って、 一年以内に再審査の上、許可、不許可の決定をしていくということをいたしておりますが、企業努力を一そう強く要請いたしますために、この保留期間の一年を六カ月に短縮するというようなことを実現することにいたしております。
○近江委員 私も思うのですが、この汚職が出る根本的な点は、モラルの点とか、業界との結びつきとか、いろいろな点があります。しかしここで私思うのは、この汚職が出る原因として、許認可制度があるのじゃないかと思います。臨時行政調査会も、この許認可は整理、廃止を勧告しているわけであります。通産省も汚職の起きないシステムを検討中であるということは聞いておりますが、たとえば基準にかなったものは自動認可にする等、そうしたこれらのいろいろな施策が考えられると思います。この許認可の方向についてどういうような見解をお持ちであるか、この点をお聞きしたいと思います。大臣。
○椎名国務大臣 許認可といいましても、これは対象とする問題に応じていろいろ態様があると思うのです。いずれにしましても、公正な審査に基づいて許認可をしていれば問題は起こらない。少数の者、あるいはごく限られた狭い範囲の人間によって許認可が簡単に行なわれるというようなことは、その事柄の重大性いかんにもよりますけれども、とにかく簡単に、隠微の間に許認可が行なわれるというようなことは、これは絶対に避けなければいかぬ。そういう点はよほど気をつけなければならぬ問題であろうと思いますが、これは一がいには言えない。通産省所管の問題といたしまして、これのみではございませんで、いろいろ全般にわたって十分に再検討してまいりたいと思っております。
○近江委員 先ほどもモラルの問題が出てまいりましたが、これは二月二十一日の毎日新聞の報道でありますが、JISマーク許可に関して、贈賄容疑で逮捕された大阪通産局職員の荻野、志賀の両名の自供によりますと、志賀は、飲食のもてなしを受けたことについては、「そんなことくらいなら四百回もある。」とうそぶいている。荻野も、供応は二百五十回と自供しております。さすがの捜査員もあ然としたことだ。汚職のニュースになれた国民も、この話にはほんとうにあきれ返ってものが言えないわけです。これは本人の自供でありますから、これは絶対に間違いないと思います。これは通産省においてはあたりまえのことなんですか。
○大慈彌政府委員 酒食を受けたのは当然ではないかということを言ったとすれば、非常に不謹慎な話だと思います。まだ起訴状を正式に受け取っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、弁護士等のほうから入りました情報は、ただいま御指摘いただきました荻野につきましては十二件、七万円ちょっとの程度である、こういうことを聞いておりますが、まだその辺は確定したことではございませんので、はっきり申し上げられません。
○椎名国務大臣 官房長から申し上げたとおりでございます。
○近江委員 この汚職事件はただいま捜査中でありますから、具体的なそれ以上の問題は差し控えますが、新聞でも報道しておりますが、JISマークを取るためには三百万円が相場である、こういうような話もあるわけです。また大阪通産局においては、さきの自家用発電汚職で問題になっておるときに、その最中に幹部がゴルフの招待に応じておる。まことに公務員としても不謹慎きわまりない態度であると思う。そういうような状態が続いておる。こういう状態において、記者会見のときに、大臣の、小さいじゃないの、こういう発言は国民を非常に極度の不信におとし入れておるわけです。どういう気持ちでこういうことをおっしゃったのですか。
○椎名国務大臣 この席でひとつ私の真意を申し上げておきたいと思います。 この種の贈賄事実というものは金額がそう大きくないのでございます。そういうものはわずかと言っちゃ何だが、十万円にも達しない数回の供応で一生棒にふるというようなことになるので、わずかなことでね、こういう意味で私は話をした。もちろんこれに対しては金額の多寡ではないと思う。こういうことだけを簡単につけ加えて、大体口不調法な私でございますから、そう真意を十分に伝えなかったことは、まことに手落ちでございましたけれども、そういう意味で発言をした。しかし、記者会見は閣議の報告を主題としておりましたので、これはオフレコにしておこう、こういうことで話したのです。私の真意を伝えなかったその点は、ここではっきり申し上げます。
○近江委員 オフレコか何か知りませんけれども、私の真意でなかったにしたって、しかし国民に与えた影響の重大さから考えたときに、最高責任者として、そういうような不謹慎な発言ということはできないはずです。ほんとうに自分が心から反省をして、最高の立場にある大臣として、国民に対するおわびの気持ちがあったときに、そういうようなことばが出るわけはないと私は思う。その点は先ほど遺憾であるとおっしゃったからそれでよろしいですけれども、最高責任者として十分な反省をひとつやっていただきたいと思います。 最近、官庁乗用車の問題あるいはゴルフの問題等、いろいろと問題になっておりますが、昨年の九月一日、十日の朝日新聞に次のような投書が載っております。九月一日、「目にあまる公用車乱用」、これは東京の六十七歳の人でありますが、その文面は、私は、子や知人の息子さんたちが公務員住宅にごやっかいになっており、たびたびこの公務員住宅を訪れる。公用自動車を利用している若僧、三十歳代の課長か係長か、ゆうゆうと車を待たせて出勤する官庁は、通産省を筆頭として、建設、運輸、大蔵の公務員である。税金を払っている私にとっては、このありさまは憤慨にたえない。ここらから粛正を考えなくては、机上論に終わる。行政管理庁や各省総務部はよく調べたがよい。ことに、だれ切っているのは、利権の中心官庁通産省のようである。このように投書が載っております。また六日にはそれに対する反論がありまして、さらにそれに対して、九月十日に、「憶測でない公用車乱用」という題で、公用車の乱用という一日付声欄の非難は憶測にすぎないという六日付声欄の反論はごもっともと思いますが、しかし現実に日曜日とか土曜日の午後などゴルフ場に駐車している官庁ナンバー(た、ち、つ、て、と)の車については、何と釈明されるのでしょう。また都内でよく見かける他府県庁ナンバーの官庁車で一目で家族連れと知れる車は、どのような理由をつけて、日曜日の都内へ出てくるのでしょう。こういうような投書もあるのです。イギリスでは、大臣が地下鉄に乗って国会議事堂まで通っているというような話も聞いております。国民は、いまこうした次々と起こる汚職事件に対して、ほんとうに心からの憤りを伴った目で見ているわけです。これは一例の公用車の問題でありますが、大臣は、こうしたゴルフの問題等についても、最高責任者としてどのようにお感じになっていらっしゃいますか。
○椎名国務大臣 当然、職務上官庁乗用車をあてがわれた立場の人でも、私用で出かけるときは車を乗りかえて出かけるというような人もあるのです。まあそういうのは例にならぬけれども、全然そういう立場にない人が、あまり業者の提供する車を乗り回したり、あるいはまた、公用のときは乗用車を提供されるけれども、そうじゃないときに家族連れで乗り回すというようなことは、これはだれが見ても見苦しい問題でございます。そういう点はできるだけ——できるだけでなくて絶対にやめるように粛正の実をあげてまいりたい、私もこう考えております。
○近江委員 公用公用とおっしゃいますけれども、送り迎えはこれは公務執行になるわけですか。さらに車等においても最高幹部職員が独占しておる。私用、公用のたてまえもほとんどつかない。こういうような実際問題になってくると水かけ論になるかもしれないけれども、そういう点において少しでも自粛しようという気持ちが通産省にありますか。
○小峯委員長 そろそろ結論に入ってください。
○大慈彌政府委員 朝晩の送り迎えというものは官用になっておるかと思いますが、先ほど御指摘になりましたように、ゴルフ場に土曜日の午後なり日曜日に出かけるというのはもってのほかで、車の使用については先ほどの大臣の御趣旨もありましたので、従来以上に厳正にやりたいと考えております。
○近江委員 公務の限界というものはいろいろなケースがあるわけです。業者の招待を受けて宴会場に行くのも公務であるか、あるいはバーに行くのも公務であるか。私もこの間車の使用がどういう状態になっているか、通産省に見にいった。運転日報を見にいった。厚生管理官は見せないです。国会議員が行ってなぜ見せないのですか。何にも影響のないものであるならば見せるべきではないですか。これは何も通産省だけではないと思いますが、そういう点においても目に余るものがあるわけです。特に通産省はJIS汚職のこういう問題も出しておるわけでありますが、こういう点において、運輸省などはゴルフをしてはいけないとか、いろいろな通達を出しております。さらに二月六日の閣議のあとでも、公務員は利害関係のある業者などとの会食、贈答、遊戯などは厳に慎めと総務長官の通達を出しているわけです。通産省はどういう趣旨をもってこれを通達しますか。大臣。
○椎名国務大臣 二月の十日に綱紀粛正の内閣通達文を配付いたしました。二月十五日に通産局技術課長会議を臨時に招集して、JIS制度運営についての検討を行なった。それから二月二十一日全国通産局長会議を開きまして、私、その際に綱紀粛正の問題について厳重注意を与えた。それから二月二十八日通産局商工部長会議を開きまして、綱紀粛正問題について検討した。それから三月五日全国人事担当官会議を開いて同様の協議をいたしました。以上であります。
○小峯委員長 結論に入ってください。
○近江委員 いまモラルの点をお聞きしたわけでありますが、最近よく問題になっている天下りの問題でありますが、私も四十年、四十一年、四十二年の資料から調べてみた。営利企業への就職を承認しているそのデータが出ておるのでありますが、四十年度においては人事院から出ておるので百二十八件、その中で最高は大蔵省の三十名、次は通産省の二十八名、次はぐっと落ちて十台でございます。さらに四十一年におきましては百四十七件、大蔵省がトップで三十一件、通産省が二十一件。四十二年度においては全体で百二十三件、大蔵省が三十四件、通産省が二十二件。これを見ても、いかに通産省が業者と結びついているかということが、結果としてここではっきり出ておると思う。こういうような公務員のモラルの問題、さらにそういう業者との結びつき、こういう点を、ただことばだけではなくして、ほんとうに今後どのようにその問題と取り組んでいくか。真剣な取り組みがなければ、いつまでたってもこの汚職は根絶することはできない、私はこう思います。ですから、大阪でも、汚職で警察署に留置されているところに同僚が見舞いを持っていったり、あわれむようなそういう状態が出ている。つかまった者は運が悪いのだ、私はそういう一つの風潮のあらわれではないかと思うのです。こういう点において、国民から負託された公務員たるその自覚を持ってこれからの行政に当たっていかなければ、ここで幾らどうします、こうしますということを論じておってもどうしようもないわけです。そういう点において、最後に通産大臣に、今後通産大臣としていかに綱紀粛正をはかっていくか、それを具体的にひとつ説明をいただきたいと思います。
○椎名国務大臣 根本は官吏としての心がまえの確立であると思います。ここで手を上げてどうするというようなこまかいことを言ったって、あまり効果はない。やはり問題は根本の心がまえの問題を絶えず厳正に保つということにあると思います。何が悪くて何が正しいかということも、これはもういやしくも官吏の隊伍に列しておる限りにおいては十分に心得ておる。結局、問題は心がまえの問題が基本であると思いますから、そういう点に着目して、今後十分に省員の指導に当たりたい、かように思います。 それから、天下り人事でございますが、お話がありましたから、われわれの考え方を申し上げておきます。現在、中央官庁の職員、特に幹部職員は比較的若年の者が退職しなければならぬというような場合に立ち至るのであります。これらの職員に対しては、第二の人生の道を開いてやるということは、これはもうやるべきことなのだろうと私は考えております。国の方針をおかしてまでやるということは考えておりませんが、できるだけ第二の人生の道を開いてやる、こういう気持ちでやっていきたいと思います。それから通産省の幹部職員は、国民経済全般の見地から経済、産業の問題については相当な研さんを積んできておるわけであります。これらの知識、経験を国民経済のために有効に役立たせるということは、これは国のためにも社会のためにもいいことではないか、こういうふうに考えております。実際の今度は転出にあたっては、国家公務員法の定めるところに従いまして、人事院の公正な審査を受けて、その承認を受けて行なっておる。こういう現状でございます。
○近江委員 きょうは時間があればほかのいろいろ問題を聞きたいと思って、関係の政府委員に来てもらったわけでありますが、時間がなくてこれで終わるので、非常に残念でありますが、出席された政府委員の方は了承していただきたいと思います。この次の機会にまた質問をさせていただきたいと思いますから、よろしくお願いいたします。 本日はこれで終わります。
○小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会