交通安全対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 66 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/03/28
会議録
○門司委員長 これより会議を開きます。 交通安全対策に関する件について調査を進めます。 まず、南海電鉄列車衝突事故及び営団地下鉄列車火災事故について、運輸省から説明を求めます。山口民営鉄道部長。
○山口説明員 南海電鉄の列車衝突事故と交通営団の火災事故の概況につきまして申し上げます。 南海電鉄の列車事故は、南海電鉄株式会社の南海本線の天下茶屋駅構内におきまして、本年の一月十八日の十七時十七分に発生いたしましたものでございますが、この事故は、臨時急行列車、これは春木発難波行の急行でございますが、それが天下茶屋駅のホームを通過したあとで、同駅の転轍器を背向きで割り出しまして、さらに反位に転換いたしておりましたもう一つの転轍器から岐線に進入いたしまして、そうして同線で待機中の臨時回送列車に正面衝突をした、こういう事故でございます。その衝突の際に、この臨時急行のほうの前頭車が回送列車の前頭に食い込んだというような状態になりまして、約五十メートル進行をして停車をいたしました。さらに、このために臨時急行の前頭車の全軸が脱線、さらに第二両目の一位軸、二位軸が脱線、それから臨時回送列車の前頭車が脱線、そのほか転轍器、線路を損傷した。この事故によりまして両列車の運転士、車掌、臨時急行列車の旅客二百九十二名、合計二百九十六名が負傷した、こういう事件でございます。 事故の原因等につきましては、一応臨時急行列車の担当運転士の制動時期の誤りというものと推定をされております。 なお、この事故につきまして現場復旧を急ぎまして、一月十八日二十一時十四分に開通をいたしております。 まことに遺憾な事故でございまして、当局といたしましても今後適切な措置をとってまいるつもりでございます。 第二に、交通営団の火災事故でございます。これは交通営団の日比谷線六本木と神谷町の間で発生いたしました事故でありまして、発生日時は一月二十七日十二時三十九分でございます。この列車は中目黒方面から北千住方面に向けております列車でございます。第B一二〇一Tという列車番号でございますが、中目黒を発車いたしまして六本木に到着いたしましたところ、車掌から床下の発煙があるという通告を受けまして、そしてこれを点検後、旅客を降車をさせまして霞ケ関の待避線まで回送するということにいたしまして発車をいたしました。その発車後、六本木と神谷町の途中で運転不能になりましたので、停車をいたしまして点検いたしましたところ、三両目の主抵抗器付近から発煙と若干の発火がございました。そこで停電措置をとりまして、パンタグラフの降下手配それから後続列車との併結作業等の手配を行なったわけであります。その間に故障列車の第三両目が全焼して、そして十五時三十五分に鎮火をしたということでございます。 この事故に関し、運転指令からは消防署に消防車、排煙車の出動を要請したということでございます。なおこの事故は、旅客を六本木駅で全部降車させておりましたために、この面の死傷が全然なかったということは、不幸中の幸いであったわけでございます。 原因といたしましては、詳細は調査中でございますが、何らかの原因によりまして、主制御器が並列第二段位置に停止して、そうして主回路に閉回路が構成された。そのために主電動機が発電ブレーキの状態となりまして、異常電流が流れた。そのために主抵抗器が赤熱をいたしまして、床下から発火をいたしたものと推定いたしております。 なお、復旧は同日の二十三時四十六分で、それまで運転を停止いたしまして、その後復旧いたしたということでございます。 なお、この所属車両は東武鉄道株式会社の所属でございまして、十八メートル車六両編成の車でございます。 この種の地下鉄の火災事故というのは、私ども初めての事故でございますので、非常に大きな衝撃を受け、今後においては適切な措置をとらなければならぬ、このように考えておる次第でございます。 —————————————
○門司委員長 これにて説明は終わりました。 質疑の通告がございますので、これを許します。板川正吾君。
○板川委員 ただいま報告のあった南海電鉄の事故と地下鉄における車両火災事故、この二件について質問をいたしたいと思います。 まず、南海の事故でありますが、御承知のように南海電鉄においては、この一年間、三回にわたる大事故を惹起いたしております。われわれ交通安全特別委員会としましては、こうした事故の原因を徹底的に究明することが事故防止の出発点にもなる、こういう意味におきまして、質問をいたしたいと思うのであります。 そこで、まず質問の前提となりますこの臨時急行列車が——これは競輪、競馬の客を乗せた臨時急行列車だそうでありますが、春木駅を十分おくれて出発をした。天下茶屋駅を通過する予定時刻は、十分おくれた場合には、一体何分になることになったのでしょうか。この資料にはないのです。
○山口説明員 この列車の時刻表によりますと、天下茶屋駅通過が十七時九分でございます。それでおくれが十分でございますから、十七時十分ないし十一分ごろに通過したと考えられます。
○板川委員 その臨時急行列車一五二列車というのは、定時であれば十七時九分の通過予定なんでしょう。ところが競輪なんかがおくれて、十分おくれて春木駅を発車したのです。そうすると、十分延であれば、十七時十九分というのが発車予定時刻でしょう。
○山口説明員 先ほどの説明は間違えました。先生のおっしゃるとおりでございます。定時が九分でございまして、約十分延で十九分ごろ通過ということになります。
○板川委員 それから二八八九という臨時回送列車が天下茶屋を出発する予定時刻は何時何分ですか。
○山口説明員 二八八九回送列車は天下茶屋を十七時十五分発車の予定でございます。
○板川委員 この報告書の概要の中には、事故の一番ポイントとなるところが抜けているんですよ。だから、これを読んだだけでは、なぜこういう事故が起こったのかということの一番のポイントがどうもあいまいです。だから、そういう点でこの調査報告というのは、あまりにも上すべりな事なかれ主義的な報告じゃないかと思う。この十七時九分の予定が十分おくれて十九分、片やそれと対抗して本線に支障を来たす回送列車の出発時刻が十七時十五分、十分延で来れば四分の差があったんですね。しかしこの急行列車がおくれたという場合は、これは鉄道の経験のある者はすぐわかるのです。おくれた場合には相当回復できるのです。各駅停車の場合には、途中で乗降客があったりしますと、なかなかおくれを回復することはできないのですが、急行列車の場合には、ちょっとスピードを出せば回復できるのです。だから、十分延で十九分であるが、しかし天下茶屋までの間に約三十分の時間がありますから、二、三分の回復というのが常識で、運転関係者であれば十分延が七分か八分延になるということくらいはわかるのじゃないですか。ところが実際は、衝突したのが、この報告にありますように、十七時十七分ですから、十分延のものが八分延になった。二分間回復してきているのです。この二分間回復してきているのに、この臨時回送電車は、十七時十五分発車のものが若干出発がおくれている。現地へ行って見ますと、十五分に発車というのが——そこから上り線を横切って上り線に臨時一五二列車というのが通過する。それを信号を赤にして、そこを横切って下り線に行って、下り線から十五分に出発するんですよ。だから、十四分ごろ、すでに出発する準備をして下り線のほうへ移動しなければならないんですね。ところが十六分ごろ、その移動の体制をとっている。しかも臨時急行列車が、十分延にしても一、二分後に通過する予定時刻です、十九分ですから。だから、そういうときに、上りの通過列車を通さないうちに、もう臨時通過列車が来つつあるのに、下り回送列車をなぜ出発させなくちゃならないか、そういう準備をしなくちゃならないか。こういう運転取り扱い上の常識を無視したところに事故の起きた一番最初の、運転取り扱い上の非常識、こういう問題があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○山口説明員 申し上げます。 通過列車と回送列車の取り扱いにつきまして、原則的には、まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、できるだけ通過列車を優先的な取り扱いということにすべきものであろう、このように考えます。これはひとり旅客扱い上という意味からだけでなく、ダイヤの構成並びにダイヤの混乱の防止という点からも、そういうことが適切であろうというふうに考えられるわけでございます。 今回の場合に、その点につきまして若干問題があったかどうかという点でございますが、結局は、当駅の助役といたしましては、列車の接近に対して十分の間合いがあるということを考えて取り扱いをしたと、このようなことが考えられるわけでございまして、こういう趣旨につきましては、先生のおっしゃるように、通過列車の取り扱い方、回送列車の取り扱い方ということにつきましては、もう一ぺん再教育する必要がある、このように考えておりまして、特に今回の事故後の措置につきましても、回送列車の取り扱いについての再検討を指示したわけでございます。
○板川委員 通過列車というのは優先的にそこを通る。それよりも重要度の低い、お客も乗っていない回送列車、この回送列車を出すために、時間がきている通過列車を場外にとめても回送列車を出発させよう、こういう運転取り扱いの常識を無視した扱い方が、この事故の出発点になっておるのです。これはもう私は、駅側の運転取り扱い者のまさに大きなミスだと思います。 また、もう一つは、いろいろ現地へ行って私も聞いてみたんですが、そこを出発させないと、あとでラッシュになる、したがいまして、回送列車の出発がたいへん困難になる、こういうことを理由としてあげておったようであります。しかし、回送列車というのは、重要度がないのですから、普通、昼間の、あまり他の列車に支障のないときにやるべきであるのに、ラッシュのときに回送列車をダイヤとして組んでおく、臨時であろうとも、こういうのは、これまた運転取り扱いの常識ではないですね。この点はどう考えていますか。
○山口説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、回送列車と通過列車の関係につきましては、通過列車を優先すべきものである。それで、特に回送列車の入れかえあるいは出発点への据え付け等のために、通過列車を場外に停車させるということは、これはもう運転上、最も不適当なことでございます。そういう運転上の面からも当然そういうことでございますし、また、客扱い上の面からいたしましても、回送列車に対して通過列車を優先的に通すということは必要であろうと思います。 それから、また、この回送列車を、できるだけラッシュ時間帯その他からはずしまして、なるべく閑散な時間帯でこれを運行する、これもまた先生のおっしゃるとおりでございまして、その点につきましては、特に回送列車の運行のダイヤの再検討をする必要があるのじゃないかということで、今回の事故後、回送列車のダイヤの再検討ということを南海に指示をいたしまして、それによりまして、この回送列車の運行の相当程度の改廃が行なわれております。今後もそういう基本的な線で、事故の起こる遠因と申しますか、動機というものをなくすということにもつとめなければならぬ、このように考えています。
○板川委員 新聞報道によりますと、南海電鉄の事故を起こした運転士の自供として、優先的に通過を取り扱うべき急行列車なのに、構内に入りかけたらそのとたんに信号が青から黄色の注意信号になった、しかも赤に変わったということで、けしからぬということで腹を立てておるうちに制動の距離を誤ってしまった、こういうこと、腹を立てて信号を無視した、こういうふうになったようですが、これは大体事実と見ていいようですか。
○山口説明員 お答え申し上げます。 ただいまの運転士の自供が、警察においてそのような自供をしたかどうかという点につきましては、確認をいたしておりません。
○板川委員 これは事故の一番大きい原因なんですが、この点について、自供したかどうかは確認はしていないかもしれないけれども、関係者からの報告として、この新聞報道というのは一体信憑性ありと思いますか。
○山口説明員 お答え申し上げます。 この天下茶屋駅の信号の状況を見ますと、これは停止信号あるいは注意信号等、現示が幾つも重なってつくってございます。したがいまして、ある地点まで入って、そこで信号が変わったという場合には、列車の転轍器が開通をしないでそのまま本線方向にあいておるというような状態になっておるわけでございまして、それにもかかわらず、その列車が岐線の方向に進入をいたしたということになりますと、その信号以前のところで信号が停止を現示したというように考えられるわけでございます。そこで、運転士がそういう供述をしたかどうかという点については若干疑問がございますが、とにかく、運転士といたしましては、信号に従って運転をしていただくということが、運転士の最大の義務でございますので、したがって、信号が突然赤になったから、それによって自分は腹を立てたということがもしありとすれば、これはもう非常にけしからぬことでございまして、運転士は信号に従った運転をしてもらわなければならぬ、このように考えます。 なお、直前の信号のために自分は岐線のほうへ進入をしたということにつきましては、初めに申しましたように、この信号現示が数段階になっております関係上、機械的にはあり得ないことだ、このように考えております。
○板川委員 信号が赤になって腹を立てたのはけしからぬし、まして信号無視した運転士の態度もけしからぬ、それは、私も、その点においては同感なんです。それを否定しようとしているわけじゃないのです。ただ、運転する運転士側とすると、通過列車をとめて、そういうことを、急にとめるのは何か重大な事故があったのかなと思ってとめればいいのですが、おそらくこれは駅の信号の扱い者の何か間違いだろう、けしからぬという気持ちであって、それが事故を誘発をした一つの原因だ、こう思うのです。ただこの運転士の勤務状況が、その事故の一カ月前から見ますと、非常に悪いのですね。だから、そういういわゆる過労ぎみな運転士が、普通なら腹を立てないんだけれども、過労ぎみであるために腹を立てる、いらいらする、こういう気持ちが心理的にあるだろうと思うのです。この運転士の事故を起こした前の一カ月間、これの勤務割りというものをちょっと見てみました。時間がかかるから私のほうで言ってみましょう。事故を起こした一月十八日の前日、所定勤務時間よりもよけいに乗務した。この所定勤務時間というのはダイヤに組んであるものだと思いますが、それよりもどのくらいよけい時間を勤務したかというと、十七日が二時間十八分、十六日が七時間、十五日が五時間二十九分、十四日は休日である。公休ですね。公休であるが実働は十二時間四十二分、拘束十九時間四十五分。休みの日に勤務をしておる。十三日は八時間四十五分、十二日は五時間二十三分、十一日は十時間二十八分、十日は四時間、九日は八時間三十五分、八日は五時間五十五分、七日は公休日でありますが、これまた出務をしまして十三時間五十分、六日は八時間三十三分、五日は所定勤務時間どおり、四日は年休、三日は特別休暇、二日は所定勤務時間どおり、一日は所定勤務時間どおり、十二月の三十一日は、休日でありますが、五時間五十五分出務をしております。三十日が八時間五十分、二十九日が所定勤務時間どおり、二十八日が八時間二十分、二十七日が四時間、二十六日が十時間二十三分、二十五日が五時間、二十四日が、休日でありますが、これまた十二時間四十五分、二十三日が八時間三十分、こういうように——この時間は所定の勤務時間を終えた後さらに乗務をした時間ですよ。こういうふうに所定勤務時間外に労働すれば、これは心理的にいらいらしてくる、こういうことがあり得ると思うのです。私はこういう勤務体制は、特に運転士の場合、運転取り扱い者の場合には、基準外労働といいますか、所定勤務時間外労働というのは、こんなたくさんやらせるような勤務体制というのは、これまた運転取り扱いの常識にはなはだはずれているのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○山口説明員 お答え申し上げます。 この事故を起こしました運転士の勤務状況につきまして調査をいたしてみましたところ、ただいま先生おっしゃいました時間につきまして一々チェックをいたしませんでしたのであれでございますが、とにかく相当の超過勤務をいたしておるということは間違いないところでございます。それからただいま先生の御指摘がございましたように、時間外労働だけでなく休日労働というものも相当やっておりまして、その点では、まさに先生のおっしゃるような勤務で、そういうような傾向の勤務であったというように考えております。それで、こういう勤務が、職員、特に運転従事員にとりまして不適当だということは言うまでもないところでございます。ただ勤務の問題につきましては、所定の勤務時間と、それから超過勤務時間あるいは休日労働の時間を考えます場合に、これは一応労働組合との労働協約の定めに基づいての拘束時間、実働時間あるいは実ハンドル時間というような点は、その協定に従ったところの問題が実はあるわけでございます。そこで問題は、そのような協定があっても、なおかつこのような実働時間あるいは拘束時間をやっていいかどうかという点につきましては、先生のおっしゃるとおり非常に問題でございまして、このような勤務というものはどうしてもこれを平準化をいたさなければならぬというふうに考えるところでございます。特に今回の事故の運転士につきましては、難波の乗務区におきましても、最も超過勤務時間の長い職員であります。平均的に見ますと、必ずしも難波乗務区がそれほど勤務時間が長いということはいえないのでございますが、特にこの職員について長いというようなことは、乗務員間の勤務の平均化ができていないというところに根本的な原因があるであろうということではないかと思います。そこでこの点につきましても、私どもといたしまして、勤務の平均化、特に実乗務時間の平均化ということにつきまして、会社に対しまして強く要望をいたしておりまして、会社もこの点につきまして着々計画を立てまして、この是正につとめております。ただ問題は、従業員の絶対数の問題との関係があるわけでございまして、従業員の数をふやしていかないとなかなかできないということで、従業員の数の増加ということにつきましてもこれを求めまして、その方針に従って現在整備中でございます。
○板川委員 労働省の労働基準局の監督課長に伺いますが、労働基準法三十六条協定では、御承知のように、「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条若しくは第四十条の労働時間又は前条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。但し、坑内労働その他命令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。」こういう規定がある。労働組合と協定すれば、基準法でいう基準労働時間外、休日出務、こういうことをさせてもいい、こういっております。ただし、ここで「坑内労働その他命令で定める健康上特に有害な業務」ですね、これは健康上というだけにしぼってありますが、その業務が電車の運転士、高速道自動車の運転手、あるいは飛行機の操縦士とか、こういう特殊の、社会に危険を及ぼす場合には、協定といえども、この上限を定めるべきじゃないだろうか、このただし書きでは、労働者の健康上というだけしかないですね。だから健康上のほかに、それが協定であっても、たとえば三時間も四時間も基準外の労働をすることは危険だという場合には、やはり頭打ち、二時間以上こえてはならない、こういうような規定を設けるべきじゃないか。健康上ばかりでなくて、その業務が危険を及ぼす——これは三十六条の改正か拡大かになろうかと思うのですが、こういう必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○藤繩説明員 労働者の労働時間は原則として一日八時間、一週四十八時間以内ということがたてまえになっておりまして、労働省といたしましてはできるだけその所定労働時間内に労働するということを原則としてもらいたいということをかねがね申し上げてまいっておるわけでございます。労働基準法もそのたてまえに立脚いたしておるわけでございますが、ただ、いろいろな事情がありまして時間外労働あるいは休日労働をしなければならないという場合には、先生ただいま御指摘のように、三十六条に基づく協定をする、そうしてなお三十七条で割り増し賃金を払う、この両方の手段によりまして、できるだけ時間外労働を一定の範囲におさめるということがこの立法の趣旨でございます。したがいまして、おっしゃいますように、かりに労使が協定をいたします場合にも、できるだけ必要最小限度の範囲にとどめるべきものであることは御指摘のとおりでございます。三十六条ただし書きにございますのは、坑内労働その他健康上特に有害な業務ということになっておりまして、これにつきましては労働基準法施行規則の第十八条に具体的に、たとえば非常に多量の高熱物体を扱う業務であるとか、あるいは逆に多量に低温物体を扱う業務であるとか、そういったものが九種類にわたって掲げられておるわけでございます。そこで、これは電車でありますとか、あるいは自動車の運転者というようなものにつきまして労使が自主的に協定をするとはいいながらも、非常に長い時間外労働を協定するということがはたして適当であるかどうかという問題に帰するわけでございます。ただいま御議論になっております南海電車の場合を見ましても、私ども直ちに監督をいたしたわけでございますが、時間外労働は実に十五時間あるいは十六時間という協定でございます。こうなりますと全く時間の制限がないということでございまして、これはたいへん遺憾だと思いまして、会社にも労働組合のほうにも改善方をお願いしたいというふうに思っているわけでございますけれども、三十六条のたてまえはあくまで自主的に協定をするというたてまえでございますから、労使の良識にまちたいというふうに思うわけでございます。ただ自動車運転者の場合には、すでにこの委員会でもたびたび御説明申し上げておるところでございますが、労使の自主的決定といいましても一定の基準が必要だというふうに考えまして、昨年の二月九日には自動車運転者等の労務改善に関する通達を出しまして、協定の時間外労働あるいは休日労働を一定の基準内におさめていただくという強力な行政指導をただいま行なっているわけでございます。電車につきましてもたび重なる事故がございますので、そのような問題についてはさらに検討をいたしまして、必要があれば自動車と同じような行政指導を加えてまいる必要があろうと思いますので、今後検討いたしたいと思います。
○板川委員 これは南海ばかりでなく、私鉄の中に同様なものがずいぶんあるんじゃないかと思います。労働基準法ですから、三十六条のただし書きは労働者の健康という点に重点を置いた規定であります。しかし、労働者の健康から、結果は第三者の大きな災害を起こすということであれば、三十六条のただし書きをもっと幅広く改正するという手もあるかもしれませんが、とりあえずはやはり自動車の場合と同様に、行政指導をもってしても、上限をきめて、そして事故の場合とか特殊の場合に、その二時間なら二時間、三時間なら三時間を絶対にこえてはならないということを言うわけじゃない。それはあとで届け出なりして、許可をもらえばいい。追認してもらえばいい。ただ原則として、こういう三十六条の協定があるが、しかし底抜けのような状態でやられていたのではいけないのであって、やはり一定の頭打ちを指導する必要がある、こう思うのです。これは特に運輸省はどう思いますか、ひとつはっきりと言ってもらいたい。
○山口説明員 交通機関、特に高速で運転をいたします列車、航空機、自動車等の交通機関におきまして、その運転の安全ということは、ただにそこに働く労働者の方の安全なり衛生という問題だけでなく、むしろ一般の乗客の安全という点が大きな意味を持つわけでございまして、そういう点から労働者の勤務体系というものが不適切の場合に、その一般の乗客の安全ということが確保できないということであっては、これは非常な大問題でございます。したがいまして、運輸省といたしましても一、労働者の就業時間あるいは勤務の形態、仕業の形態ということにつきましては非常に深い関心を持っておるわけでございまして、従前ともこのような超過労働ということによりまして安全が乱れるということのないように指導はいたしてまいったのでございますが、ただ従来この種の具体的な労働時間の問題にまで突っ込んだ指導というものにつきましては、若干欠けるところが私どもあったというように率直に反省をいたしておるわけでございまして、こういう点から考えまして、この点は私どもとして、もっとやはり突っ込んで会社を指導していく必要があるのではないか、このように考えるところでございます。今回の事故に関しましても、この勤務体系の適正化、特に仕業指示の適正化ということにつきまして、会社に対しましても指示をいたしまして、それに対する是正方を求めておるわけでございますが、さらに当該会社だけでなく、その他の事業者に対しましても、この点につきましての関心をさらに呼び起こし、また私どもからも積極的にその具体的なやり方につきまして、いろいろお願いをしておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、今後この点は大いに重点を置いて指導をしていかなければならぬもの、このように考えております。
○板川委員 私鉄の経営というものがなかなか苦しいという点もあるのでしょう。しかし、やはり交通機関の使命というのは、乗客の絶対的な安全を確保するというのが交通機関の使命であって、そういう点からいうと、所定勤務時間よりも平均一日六時間も七時間も、要するに毎日二日分ぐらいずつ働くということでは、せっかく三十六条の規定があっても、あるいは労働基準法の規定があっても、実質的には意味はない。しかもそういうことによる心身の過労から重大事故を惹起する。現にこの南海電鉄の事故は、そういう運転士の過労、精神的な心身の疲労、いらいらする、急行列車をとめてけしからぬ、こう怒っておるうちに、信号を冒進してしまった、こういうことになる。ですから、私はこれはひとつ労働省とも運輸省相談して、早急にひとつ上限をきめて、行政指導の強化をはかってもらいたい、こう思うのですが、大臣のかわりとして、運輸次官から答弁してください。
○金子政府委員 板川先生の御指摘になられておる点は、全く同感でございます。いま申し出がありましたとおり、労働省ともよく相談をさせまして、ひとつ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○板川委員 ではひとつ、それを期待しております。この報告によると、一月二十四日に運輸大臣が改善の警告を出した。改善の計画を二月十二日までに出せ、そして二月十二日に改善計画を出したが、一カ月後三月十二日、十三日特別保安監査をやった、その結果三月二十三日に再警告をした、こういう報告でありますが、この報告の中に「年次有給休暇などの計画的消化」として「勤務の実態を把握するため、特に所定外労働については一カ月間に休日出務二日、時間外労働七十時間をチェック・ポイントとして個別的な勤務管理を行ないます。」こういっておる。七十時間になったらチェックする、そして九十時間の範囲で押える、こういうことのようであります。休日出勤というのは一月のうちに二日まではいい、所定時間外労働については、七十時間については注意信号で、九十時間で赤信号、こういうことをいっておるのですね。これは私は九十時間というのはやはり運転勤務者としては長過ぎると思うのです。これは休日を除いてということになれば二十七、八日で割るのでしょう。そうすると、三時間何がしになりますから、これはやはり長過ぎるのじゃないかと思うのです。こういう点も出ておりますが、ひとつ十分の検討を加えて行政指導を強化してもらいたいということをつけ加えておきます。 それから南海問題でもう一、二ですが、ATSができれば、たとえ運転手が誤ったとしても、自動的に列車は停止するという安全装置がありますが、その後このATSの大手私鉄における設置状況というのは、ただいまここに資料をいただきました。この設置状況で一つ伺いたいのですが、営業キロに対して設置したキロ数の割合、これはどのくらいでしょうか、何%ですか。
○山口説明員 お答え申し上げます。 ATSに対する考え方をまず先に申し上げてみますと、私ども事故防止の面というのは、先ほど先生からいろいろ御指摘がございましたように、従業員の取り扱いその他主として精神的な面によってこれを事故防止していくということが第一点であろうと思います。しかしながら、そのような職員の取り扱いなり指導ということだけではなかなかいけないので、今度はそういうものがなし得るような人の仕組みの問題、先ほどの勤務体系の問題もその一つであろうかと思います。その他組織の問題というような人の仕組みの問題というものが第二にやはり考えなければならぬ問題であろうと思います。しかしながら、さらにそういう人の精神の問題、人の仕組みの問題だけではなくして、もう一歩突き進んで機械的な設備の面によって、若干の、人の精神上の問題で足りないところがあってもこれを補うということが必要である、そういうことによりまして事故防止の万全を期していくという三つのポイントがあるわけでございます。そこでATSにつきましては、結局、信号無視という点になり委しても、その場合に列車が自動的な停止をすることができるという意味でこの設置を促進をしているところでございます。 そこで、このATSの設置につきましては、たび重なる一昨年の事故にかんがみまして、一昨年の十一月に、特に問題がございます大手私鉄等十六社の代表者の参集を求めまして、ATSの緊急設置を指示したところでございます。その緊急設置の指示をいたしました内容は、大手私鉄の全線の中で、輸送量の非常に多い線区全線につきましてATSを設置をする。そうして、それを四十四年度までに完全に設置をさせる、さらにその中の特に緊急に整備を必要とする区間につきまして、これを第一次的に緊急整備期間といたしまして、四十二年度、つまりことしの三月三十一日までにこれを整備するという指示をいたしたわけでございます。 それで、その指示によります緊急整備期間が、全部で十四社で七百五十七キロでございます。それで、さらに四十四年度末までに完成すべき全区間が千三百キロ、主要線区三十六線区でございまして、千三百キロにつきましてこれを四十四年度末に完成をさせる。それから先ほど申しました緊急整備期間につきましては、十四社二十八線、七百六十キロにつきまして、それを本年三月三十一日までに緊急設置をするというような指示をいたして着々整備をさしたところでございます。
○板川委員 予定どおり三月一ぱいで四月一日から七百何キロがATSが働くようになりますか。
○山口説明員 お答え申し上げます。 ただいま申しましたのは、一昨年の秋にその指示をいたしました。その後関西におきまして重大事故が発生いたしましたので、昨年さらにこれを促進するということを各社に対して指示をいたしました。各社は、この運輸省の計画並びに指示に基づきまして、積極的にATSの設置工事を進めたわけでございまして、その結果、四十二年度末、本年三月三十一日現在の実施状況で見ますと、私どもから指示をいたしました七百六十キロを大幅に上回りますところの実績を示しました。すなわち、約千二百二十キロぐらいに達する見込みでございます。この提出いたしました資料の千百十八・八キロでございます。それで、その後さらに四月中に約五十キロが完成をいたします予定でございまして、本年五月一日には千二百七十キロくらいになる見込みでございます。ATSにつきましては、おかげさまをもちまして予期以上の整備がはかられつつあるということを申し上げることができると思います。
○板川委員 それでは次に移りますが、最後に、南海電鉄の被災者と会社側とのその後の解決ですね、解決状況といいますか、これはどういうふうになっておりますか、示談の。
○山口説明員 南海電鉄会社に対しまする賠償その他の問題につきましては、会社のほうと各被災者との間に個別的に折衝が持たれておるようでございまして、誠意を持って解決に努力をしておるというように聞いております。いま具体的に未解決のものがどの程度あるかという点まではまだ把握をいたしておりません。
○板川委員 では次に交通営団、東京地下鉄交通営団ですね、この車両火災事故について伺いますが、これはひとつこの資料を私が読んでみますから。これはかつて交通営団の地下に掲示をされた帝都高速度交通営団の公示であります。「電車火災と地下鉄について」こういってお客さんに訴えております。「もえない地下鉄の電車」「地下鉄の電車は全部鋼鉄製で、客室の床面も、車体の塗料も不燃性の」不燃性ですよ。「不燃性のものを使っておりますから、電車が火災になることは絶対にありません。」「電気的な発火事故の場合」ということで、「地下鉄(日比谷線をのぞき)は電気を、第三軌条から車体の下でとっておりますので、ときにはスパークし、床下で発火することがあります。このような場合トンネル内は暗いので火花が大きく見え、音も大きく聞こえますが、客室が燃える心配はありません。」「ドアーを手で開ける装置を明示しない理由」「もし送電をとめる前に、お客様が開扉して線路にとびおりますと、」第三軌条で「感電する危険があるし、又反対側を走ってくる電車に触れる心配もありますので、非常コックを明示しておりません。」第四として、「発火事故のときのお願い」として「電車は絶対に燃えないのですから、落ちついて係員の指示に従って行動して下さるよう、お願いいたします。引火し易い物品の持込と、車内での喫煙は危険ですから絶対におやめ下さい。」こういっておるんですね。これはまあ数年前に交通営団が施設の各所に張り出したポスターです。これから見ると地下鉄は絶対に燃えない。絶対に燃えないから心配ない。車体に燃え移ることはない。だから、へたにあわてて飛びおりると、横にある第三軌条、普通ならトロリーがあるのですが、トロリーがなくて第三軌条があって、そこがトロリーの役割りを果たしている。そこへ触れると、これはもう高圧線にひっかかるわけですから感電死しますよ。だからとにかく燃えないんだから車内にいてください。火事は起こりません。心配はありません。これが地下鉄営団がお客さんに約束したポスターの内容なんですね。お客さんも地下鉄では万が一にも火事はあり得まい、こう思っておった。ところがいま報告がありましたように、一月二十七日、日比谷線で、六本木−神谷町間で電車が燃えた。絶対に燃えないという電車が燃えたのはなぜか。私もいろいろ調べてみましたが、関係者に聞きますと、専門家に聞くと、電気には御承知のように絶縁体というのが絶対に必要であります。燃えないという、不燃というもので絶縁体はないそうです。燃えないというものなら鉄か金属です。これは燃えません。しかしそれでは絶縁をすることはできません。だから絶縁性が電気器具には必要なんですが、そのためには燃えないということはない、絶対にないのだ、不燃性、燃えづらい、難燃的な材料はあっても、不燃ということはない、こう言われておるのですね。そうすると、この絶対に燃えませんから、不燃性のものを使っていますからというのは、これは看板に偽りあったことになりませんか。この事故の結果を見て一体運輸省はどういうふうにお考えですか。
○山口説明員 ただいま先生お示しの公告は、実は私も拝見をしまして、まさに燃えない地下鉄というように書いてあるわけでございます。それで地下鉄の車両が燃えるか燃えないかという問題につきましては、車両に対する規格の問題等につきまして別にあとで申し上げることといたしますが、この公告につきましては、実は地下鉄は先生ただいま御指摘のように、非常に狭い隧道の中を通っておりまする上に、ただいま御指摘ございましたように、第三軌条が通電されているというような場合には、乗客が線路上におりるということは非常な危険を伴うわけでございます。したがって、その場合には感電だとかそういうような危険性というものも非常に多いわけでございまして、事故の場合にはやはり車外へ飛びおりるということではなくして、従業員、乗務員の適切な指示に従って行動をするということが適当であるわけでございまして、この公告の趣旨というものも、このような車外へ飛びおりる事故というものを防止するために、乗客の不安動揺をなくする、そうして乗客の安全を守るということのために車両の安全性を訴え、そうして乗務員の指示なり指揮なりというものにまつということをお願いをしたというのがこの公告の真意であろうというふうに思うわけでございまして、今後さらに車両の不燃化ということを促進しなければならぬと思います。 そこで、燃えないか燃えるかという、車両の構造自体の問題に入ってまいりますと、現在地下鉄の車両につきまして、私ども車両の構造基準という、不燃化の基準というものをつくっております。これは現在私鉄の車両、地下鉄の車両につきましてA様式、B様式、AA様式と三つの不燃化の基準をつくっております。その中のB様式と申しまするのは、これは通常の地上を走る場合の様式の不燃化の基準でございます。それからA様式と申しまするのは、隧道がかなりあるような普通の鉄道、あるいは隧道の区間が相当長いような普通の鉄道において、A様式によって使用しなければならないということをきめております。それからAA様式と申しまするのは、地下鉄車両に使う場合あるいは地下鉄に乗り入れる車というようなものに適用される様式でございまして、この様式につきましては、不燃の基準というものが一番シビアな条件でつくられているわけでございます。その内容といたしましてはあるいは車体の構造から電線の問題、屋根の問題、その他各種の問題につきましてこまかくきめておりまして、現在の段階ではこの点で相当不燃の目的を達成し得るというように実は考えておったわけでございます。ただ、先生御指摘のように全く燃えないものが燃えたじゃないかという点につきましては、まさにそのとおりでございまして、結局今後その燃えないということをどういうふうに担保していったらいいかというところに問題があろうかと存ずるところでございます。
○板川委員 これは私は不燃性の問題、絶対に燃えないというんだが、しかし、絶対に燃えないと思っておった地下鉄が事実燃えたんですね。これは結果が最良の審判で、絶対に燃えませんといったことは、これはいわば誇大宣伝か不当表示にひっかかる性質のものですよ、絶対に燃えないというのが燃えているんだから。 で、いま民鉄部長が言いましたように、地下鉄車両に対する保安基準というのが、鉄監局長通達で出ておりますね。鉄運百三十六号、陸運局長あてに「電車の火災事故対策実施要領」というのが出ていますが、これを見ましても、車体構造あるいは貫通路、主回路及び電弧、電熱発生機器等の防護等、そのほか予備灯とかいろいろありますが、この内容を見ましても、たとえば「できるだけ木材等の可燃性材料を使用しないこと。」というふうに、できるだけ使わないことといって、絶対に使っちゃいけないという意味のことは全般としていってない。それからこの基準の中には、電車内のシートとか、シートの下のあんことか、つり皮とか広告類、こういったものにも何らの規定がないんですね。だから、こういう内容でこの基準のとおりやったからといって絶対に燃えませんというのは、この公告は行き過ぎじゃなかったかと思う。事実、それは火災にあうことによってその事実を示した。そういう意味で、私はこの鉄監局長の通達の内容というのは抜本的に再検討して、利用者の、乗客の不安というものをなくす。ほんとうに燃えないんだ——しかしいまの科学、いまの技術、こういうことでは絶対に燃えないというわけにいかない。だからこの事故の経験にかんがみてこういう対策を打ちます。そして万が一それと同じような事故が起こった場合にはこういう処置をします(絶対に燃えませんじゃない、燃えづらくできておりますということで、この表示はやり直さなくちゃならないし、鉄監局長の通達の実施要領というのも再検討して、乗客の不安をなくすようにすべきだと思いますが、いかがですか。
○山口説明員 ただいま先生御指摘のように、この地下鉄の不燃化基準というのは車両の不燃化基準としては最もシビアな基準ではございますが、先生おっしゃいましたように、かなり抽象的なものが多い。特に数値化していない部分というものがあるわけでございまして、この点につきましては基準自体の問題というものを今後考えていく必要があるのじゃないかというように考えます。そこで運輸省でも、今回の事故にかんがみまして、この地下鉄の車両の構造の不燃化の基準というものをもう一度やはり洗いざらい調べてみる必要があるじゃないかということで、部内に委員会をつくりまして現在この検討に着手をしております。 それで、その検討の方向でありますが、第一に考えられますことは、一体火を出すものは何か。その火を出すものが、火が出にくくするということが第一であろうというように考えまして、今回の場合にはそういう火を出すものについての基準、回路の問題だとか抵抗器の問題だとか、そういうような点についての問題が第一でございます。 それから第二に、火が出てもそれを遮蔽をすればいいわけでございまして、その意味では抗熱板といいますか、そういうような姿でこれを途中で食いとめるというような方法はないだろうかというのが第二点であります。 それから第三点ですが、私どもは一体火が出てもそれが燃えつかなければいいということでございまして、それは車両に使っております。先ほどもお話がございましたような電線類を含めた材料というものをできるだけ燃えないものを使っていくという必要があろうかと思います。それで、現在比較的燃えやすいものと考えられておりますものは先ほど先生御指摘の電線の被覆とそれからシートのカバー、それからシートの中身、つり皮、それから塗装、こういったものが燃える内容でございまして、この燃える内容のものをできるだけ燃えないようにしていく。そのためにはそういう材料をどういうふうにしたらよいかということが問題であろうと思うわけでございます。 この三つの問題点、火が出ないことにするためにはどうしたらよいか、それがどのようにほかへ延焼していく、あるいはその熱を食いとめるためにはどうしたらよいか、第三に、本質的にその燃えるものをつぶしていくためにはどうしたらよいかという三点につきまして、AA基準の再検討の委員会をつくりまして、これを何とかつぶしていきたい。それで先生御指摘のように、場合によってはこれをさらに基準の改定というところまで進む。さらにそれを数値化するなりもっと具体化するなりということによりまして、地下鉄の不燃というものをさらに高めていくということがやはり根本であろうと思います。 しかし、それでも全くの不燃ということはむずかしいではないかということは、先生御指摘のとおりでございまして、この点につきましてはやはりいろいろ、事故の場合の措置等につきましても従業員の訓練等によって補っていかなければならぬというように思うところでございます。今後その両面についての指導の強化ということが必要であろうか、このように考えておるところであります。
○板川委員 それはひとつ検討して、乗客が安心できるような基準というものを早急につくってもらいたいと思います。 それからもう一つは、私この事故の教訓としてこういう点を取り上げるべきではないかと思うのですが、相互乗り入れしている関係各社は、やはりこういう点をこれから従業員の教育に力を入れなければいけないのじゃないかと思うのです。それは、地下鉄相互乗り入れの東武と交通営団との相互乗り入れの路線で、車は東武鉄道の車になっている。そして取り扱っておる従業員は地下鉄の従業員である。六本木駅へ着く前から車の調子がおかしいというので、それを診断する検車手が乗り込んで、この電車のどこが悪いかというのを診断をした。そして六本木へ行って折り返しをした。しかし、これは車がどうも故障だからというので、回路を遮断して、そこだけ殺して、そして引っぱって回送した。そこで、私はこういうことがなかったかなと思うのですが、それがもし自分の会社の車であれば、終着駅ですから留置線があるのだから、留置線に入れて、そしてそこでゆっくりとどこが悪いかというのをもうちょっと正確に調べてみる。この時間は十二時ごろでしょう。ラッシュじゃないのですね。だから二分間か三分間隔のところで一本うろ抜いたとしても、それほどお客さんに迷惑じゃない。だから、もし自分の会社の車であれば留置線へ入れてよく見よう、こういう気持ちがあったかもしれない。ところがよその会社の車だから、じゃ回路を切ってそれだけ機械を殺して引っぱって東武のほうへ行って、早く向こうで見てもらおう、こういうことで故障の内容を検討せずに、車を所有している会社へ早く回送して持っていってしまえ、向こうで直してもらおう、こういう気持ちがあったのじゃないかと思うのです。これは私、営団地下鉄の人を非難するのじゃなくて、同じ気持ちが東武鉄道の従業員にもあるかもしれません。地下鉄の車が来た、故障らしい、これもおれのところで直すのじゃないから地下鉄で直してもらおうというので、やはり逆に回路を切って、よく中を見ずに早く営団地下鉄の車庫のほうへやってしまえ、こういう気持ちが相互に従業員の中にあり得るのじゃないかという感じが私はするのです。これは相互乗り入れをしておる東京、大阪、こういうところで各社の従業員にやっぱり同じような気持ちがあり得る。もし今度の場合、十二時ごろでラッシュじゃないのだから、しかも終点駅へ着いたのだから、そこで一本運休してもいいからいま少しこの電車の不良個所というのを時間をかけて検討してみれば、このようなモーターを逆回転をして発電をして、普通なら起こり得ない火災事故なんというのが起こるはずはなかったのだ。そういう点で私は、相互乗り入れをやっておる各社の従業員の相互教育という点が問題じゃないかと思うのです。そういう点に対して監督官庁である運輸省はもっと親切な指導をすべきじゃないだろうか、こう思うのですがいかがですか。
○山口説明員 地下鉄の車両は現在相互乗り入れを相当にやっておるわけでございまして、相互乗り入れをいたしまする場合に当該受け入れといいますか、受け入れ側の乗務員あるいは検車掛その他の職員は、その乗り入れ側の車両の状態あるいは車両の構造だとかそういったようなものにつきまして、十分に自社の車と同様にこれを熟知をしていなければいかぬことは言うまでもないことでございまして、この点につきましては、受け入れ側と乗り入れ側の両社の乗務員あるいは検車掛等は十分訓練を受けまして、お互いに相手方の車庫等に参りまして教習を受けた上で実際の業務に従事をしておるというたてまえにしております。 それで、ただ先生おっしゃいましたように、やはりよそから入ってきた車だから早く出してしまったらいいじゃないかというような気持ちがあるかどうかという点につきましては、これは地下鉄への乗り入れという問題は旅客の便益ということを考え、また乗りかえ駅の混雑の緩和ということを考えますと、今後ますます推進していかなければならない事態でございますので、こういう乗り入れの問題というのは今後とも盛んになると思わざるを得ないわけでございまして、それが先生おっしゃいましたような自社の車は大事にするけれども、他社の乗り入れ車両は早く逃がせばいいというような気持ちを持つとすれば、これは非常に問題でございます。それで私どもといたしましては、やはり故障時の場合等の応急措置の問題だとかその他の取り扱いの問題について、自社の車と同様な気持ちで親切にこれを扱う、十分に検査をしてこれを使うということが必要であろうと思うわけでございまして、この点先生のおっしゃるように、今後その面の指導というものは強化してまいらなければいかぬ、このように考えるところでございます。
○板川委員 この場合にあったかどうかは私はわかりません。わからないが、せめてあれが折り返し点でいま少ししさいに時間をかけて見れば——一本運休するかあるいは繰り越しですかおくらせてやってもいいのですから、それほどの絶対に定時間で行かなければならないということでもないでしょう、時間帯からいいまして。だからそういう点で自社、他社関係なく車両の安全というものにお互いの会社が責任を持って、他社のものでも責任を持つ、こういうふうにやはりこの際運輸省から指導するようにしてもらいたい、こう思います。
○山口説明員 ただいまの点は先生おっしゃるとおりでございまして、私どもその点大いに進めたいと思います。
○板川委員 それではいまの地下鉄で不幸にしてまた今度同様の火災が起こった場合に、一体どういう防護の措置があるだろうか、こう思うのです。いままでは絶対に燃えません、こういっておりましたから、お客さんも安心しておった。しかし今度は結果が示すように、絶対に燃えないということはないということがわかった。ではいまの地下鉄に乗った場合に、同じような事故が万一起こった場合に、一体お客はどういうことで安全が守られるだろうか、こういう心配を持っておると思います。 それで、その心配を打ち消すということの意味もあって伺いたいのですが、地下鉄で駅に入れば比較的いいのでしょうが、駅と駅との中間で今度のような火災が起こった場合にショートしてまっ暗——いずれ火災が起こったりすると、原因があり、大体ショートして変電所がはねてしまってまっ暗になるという場合があるのですが、この安全基準からいいましても一予備灯を設備しろ、予備灯をつくっておけということになっておりますが、変電所がはねてしまって電流が来なくなっても、地下鉄の車内は予備灯をもって必ず照明が確保できることになっておりますか。
○山口説明員 現在の地下鉄車両におきましては、直接の電源が切れた場合でも予備灯が点灯いたしまして照明を確保することができる、そのような構造にしております。
○板川委員 それは自動的になるのですか。
○山口説明員 自動的にそのような措置ができます。
○板川委員 そういう緊急事態ができた場合に、駅と駅の中間にある場合に、乗務員と運転指令、変電所、こういうような連絡が可能でありますか。誘導無線があるとかいっておりますが、あるのですか。
○山口説明員 各列車に無線を設置いたしておりまして、運転指令との間に無線的に連絡できるようにしております。したがいまして、その指示その他は全部万全を期することができるのではないか、このように考えております。
○板川委員 トロリー線のある日比谷線は、それはそれといたしまして、この公告にありますように、第三軌条方式をとっておるところ、ここでは第三軌条に触れると危険ですが、電流がきているかきていないかは、これはもうわかりません。だれかが触れてみて、ひっくり返りでもしなければわからぬということになるのですが、事故があって火が燃え移ってきた、お客さんを逃がさなくちゃならないという場合に、乗務員は誘導無線をもって運転指令なり変電所と打ち合わせをして、電流を遮断するということになりますね。そしてお客を線路上に逃がすほかない。絶対に車の中に入れてくれと言ったってだめです、こういうことになっている。ですから、その場合にお客さまに、第三軌条がもう電流が遮断されておって危険はないというようなことを、これはもう混乱のときですから、車掌が一言、二言、言ったんじゃわかりませんが、マイクなりそういうものを通じて乗客に伝達できる体制にありますかどうか。
○山口説明員 車内のマイクによりまして、伝達をするということになるわけでございます。
○板川委員 電流が切れても車内のマイクでそういう乗客に対する伝達というものが十分に可能である、こういうふうに考えていいわけですね。
○山口説明員 さようでございます。
○板川委員 それから消防庁にもこの際伺っておきますが、地下鉄内の坑道における火災というのは、最近問題になっておるビルの火災と同じようで、特にこの車両の不燃基準というようなものになってくると、ビルの火事と同じように難燃材を使い、シートなり、あんこなり、こういうようなものに燃えづらい材料を使いますと、煙が非常に出ますね。これはこの間の火事でもうおわかりのように、地下鉄入り口から煙突のようにもうもうと煙が出て、近所が全く通行できないような状態になった。こう言っておる。この地下鉄の火災の経験からして、同じような事故があった場合に、一体消防の体制として、地下鉄の構造というのがいまのままでいいのかどうか。火災については燃えづらいものですから、そう簡単に燃え移ってこない。しかし煙が、これはもう猛烈に出ざるを得ないと思うのです。この防煙体制というんですか、こういうものがいまの地下鉄の構造のままで建築基準といいましょうか、そのままでいいかどうか、この点について検討を加えたことがありますかどうか。
○山本(弘)政府委員 地下鉄は、先生御指摘のように構造上からいたしまして、一たん火災が発生いたしました場合においては、消火活動上もまた避難上も非常な混乱を伴う、したがって大惨事になるということは容易に考えられることなのでございます。先日の場合は、たまたま一般乗客がいなかったにもかかわらず、やはりそれぞれ消火に従事した地下鉄側の職員の方、また消防士などにおきまして、重軽傷者を出しておるという事実があるのでございます。したがいまして、われわれといたしましては、これが防災対策の樹立は焦眉の急と考えるのでございますが、ただ地下鉄の構造を根本的に変えるということは、なかなかむずかしいことのように考えるのでございます。したがって、電車が燃えないということで不燃化をすることが第一であろうというふうに考えられます。運輸省側からも御答弁がございましたように、ただいまの地下鉄の車両の保安基準になっておるAA基準が必ずしもその実施について、明確を欠いておる部面がないわけではない。また、基準そのものも再検討する点もあるのではなかろうかということが問題になって検討するということになっておるわけでございまして、消防庁といたしましても、消防研究所というものがございますが、消防研究所におきましては、煙の動態の研究を従来からもやっておるのでございますが、ただ、この地下鉄火災に関連いたしまして、四十三年度の予算におきまして、ただいま運輸省側からも言われましたAA基準の改正にも役立てるべく、船舶技術研究所と共同いたしまして、科学技術庁が所管いたしておりますところの、特別研究促進調整費を両研究所によって研究を行なうというふうにいたしております。消防研究所の持つ部門といたしましては、車両火災時に発生する有毒ガス、煙等の調査研究並びに不燃化の問題、また消火及び避難分析に関する研究を行なうようにいたしておるのでございます。 しかしながら、先生も御指摘でございましたが、結局不燃不燃といったって、最終のところは難燃だ、現在は、とにかくこの間火災を起こしましたところのモハ二三五〇型電車におきましては、三十二トンの電車でございますが、可燃材料について調査をいたしますと、八百五キロも可燃性物質があるというふうにいわれておるのでございますが、これを絶対的に不燃にするということは不可能であって、結局難燃でございます。そうしますと、地下鉄側としましては、とにかく事故が起これば乗務員の指示に従って駅構内まで持っていくんだ、駅構内に持っていくことによって消火活動なり、また避難行動というものがある程度容易になるのだ、こういうことでございますが、しかし実際問題としては、先日の例のように、駅と駅との間に起こるということも、これはあり得るわけでございます。その場合においては非常に煙が発生します。火そのものよりも煙、有毒ガスによって、いわゆる人身事故というものが起こる可能性があるわけでございまするし、現在地下鉄はその構造上におきまして、換気口というのがございます。大体百メートルごとにございます。しかし、これはいわゆる空気を換気するということであって、現在の建材その他から発生する非常に大量な有毒ガスが煙を出すということを考えましたときには、ほとんど効果がないわけでありまして、私たち純消防的立場から言うならば、現在の地下鉄構造に対しまして、そういった駅と駅との間における事故が起こったような場合を想定します場合には、現在の換気口ではなしに、それ以上の大きな避難口なり、または消防手がその中に入って活動できるような進入口と申しますか、そういうものを設ける必要があるのではないかというふうに考えておるのでございます。しかしながら、これは大きな地下鉄構造上の問題でもありまするので、これは将来における技術的な研究と相まって慎重に話し合いを進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。 ただ一言、先生の御質問がなかったのでございますが、燃えない地下鉄ということで率直に申しまして、やや防火管理か——地下鉄の関係者における防火管理に関する体制というものは、必ずしも十分ではなかったのではないか。たとえば、先日の事故におきましても、十二時三十五分に出火をいたしておりますが、五十四分に消防署に連絡が入っております。その五十四分に入った連絡も、これは飯倉片町のやぶそばの主人が、実は換気口から出る煙を見て消防署に通知したというのが実情でございます。現地に参りましても、煙が出ておりましても、実際に燃えておる車がどこにあるかという確認というものは、きわめて困難でございます。駅に参りましても、責任者がいないからわからないというふうな問題もございましたので、早急にとるべき問題といたしましては、先日の火災予防運動あるいはまた車両火災予防運動等を通じまして、防火管理体制の確立と消防との連携強化ということ、これにつきましては早急の会議によりまして両者の緊密な連絡をいたすことになっておる次第でございます。
○板川委員 いまのお話を伺いますと、いまの状況ではああいう火事があった場合には、消防庁としても手の施しようがないということのようであります。これは、これからの基準としては、これを教訓としてこれからつくる地下鉄構造については万が一ということも考えるというのが一つあると思います。 それから、いまの地下鉄の難燃的な構造の車両等では、万が一こういう場合があり得るんだということであれば、それに対して従業員の訓練なりあるいは防災の器具、こういったものの準備をある程度義務づける必要があるのじゃないか。こういうふうに煙が出てきますと、西も東もわからなくなるのです。その場合には、やはりかって知ったる従業員が乗客を誘導するということが必要だと思うのです。お客さんは早くこっちからこう行って、上に上がって逃げてください、こういうふうに誘導する。ところが煙が来れば、従業員もいつまでもその中にいられませんから、やはり防煙マスクとか何かを、ある程度各駅あるいは電車の中に配置し、乗務員はそれを持つ。そういう中で、難燃性ですから、油の火事みたいにすぐぼんぼん燃えてしまうわけではないですから、落ちついて乗客を誘導するという体制、それも従業員がそういう防具を身につけてやれば、万が一あった場合の被害を最小限に食いとめることができるのではないか。そういう意味で、電車内や各駅に防煙マスクなりというものをある程度義務づけたらどうだろうか、こう思うのですが、消防庁、運輸省の意見をひとつ伺っておきたいと思います。
○山口説明員 東京の地下鉄は、実は昭和二年にできまして、現在まで四十年間火災事故というものが実はなかった。こういう車両火災事故というものがなかたわけで、そういう意味で、私ども非常なショックを受けたのでございますが、全くないということではない。 そこで、先生おっしゃいましたように、この地下鉄の場合には、何といっても狭い隧道の中でありますから、消火活動なりあるいは避難活動にかなり困難と混雑というものが予想されるわけでございますから、その対策の根幹というものは、車両自体が燃えないということに最重点を置いてやっていくということが、何といっても必要じゃないだろうかと思います。しかしながら、それでも万が一ということがございます。この場合には、先生ただいま御指摘のように、かって知ったる従業員の措置というものが何といっても一番ものをいうところでございます。特に、今回の事故を見ましても、第三両目の車があれだけ燃えていましたが、その隣の車にはほとんど延焼していないということ、しかも、その三両目の車が燃える時間というものも、ぼっと燃えるのではなくて、じりじりじりじり相当の時間をかけて燃えたということで、かなりの難燃性を持っていたということはやはり実証されているわけでございまして、そういう点から見ましても、従業員の処置、特に、乗務員、駅員の処置というものが非常に大きくものをいうわけでありまして、何といっても、これらの職員の監督なり指導なりというものをさらに徹底させなければならぬ。特に異常時の措置に対して徹底させなければならぬということがやはり第二に必要なところであろうと思います。 それに対応いたしまして、ただいま先生御指摘のような各種の器具の備えつけ等につきましては、消防庁等とも十分御相談いたしまして、十分検討いたしてみたい、このように考えております。
○山本(弘)政府委員 特に有毒ガスあるいは煙の場合に、乗務員が有効なる誘導活動その他をなし得るために、たとえばマスクなどを備えさせるようにしたらどうかということでございますが、全く同感でございまして、先日営団側とも打ち合わせまして 地下鉄各駅に呼吸防護器と申しますか、乗務員の方がそういった活動をされるために必要な資材を話し合いの中で置くということが相互に確認されておりますので、今後も、それのみならず、消火活動上、あるいはまた避難活動上有効な資材につきましては、よく連絡を密にしまして、当面の問題として整備をいたしていきたい、かように存じておる次第でございます。
○板川委員 最初に申し上げました、絶対に燃えないから安心だという公告の内容も変えて、そして、お客に安心して、あるいは納得して乗ってもらうような防護措置をした上でそれを公示する、こういうことが必要であると思います。そういうように関係者を指導するように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○門司委員長 兒玉末男君。
○兒玉委員 時間がないようでございますので、簡潔に、運輸省と労働基準局のほうにお伺いしたいと思いますが、第一点は、南海事故に関連して、板川委員からも質問がありましたが、特に勤務体制の適正化ということが指摘をされているし、一年間に三回も事故が発生するというのは、特に南海の場合、特殊な体制であろうと思うのですけれども、いただきました資料によりましても、労働条件といいますか、勤務体制というものが非常にルーズだったと思うのです。特に、労働基準法の三十二条に規定されました労働時間の制限、この点から考えましても非常なオーバー労働である。一月の運転士の超過勤務というのが実に十三日間で八十二時間をこえておる。常識的に考えられないオーバー労働をやっている。しかも、この人の給与というものを見てまいりますと、資料によりますと、ちょっと私不可解な点があるわけですけれども、四十二年の七月から本年の一月までの給与の中で、四十二年の八月に二十三日間の欠勤で一万六千九百四十円、それから四十二年の九月は、三十日間欠勤して一銭も会社から給料を払われておらない。それから、四十二年の十月には、十五日間の欠勤で、大体平常の半分以下。そういうことが非常に影響して この運転士は、年末の十一月、十二月、それから一月と、相当無理な超過労働によって家計のささえをしているということがまず指摘をされるのではないかと思うのですが、この辺の給与体系について、運輸省としてはどういうふうな把握をしているのか。オーバー労働をしなければ正常な家計をささえるところの賃金が得られないような仕組みになっているように判断するわけですが、まず、この辺の関係はどういうふうに把握をしているのか、お伺いしたいと思います。
○山口説明員 現在の私鉄各社の給与の形態でございますが、通常は、まず基本給がございまして、さらに超過労働に対する超過勤務手当あるいは休日手当、その他各種の業務手当的な性格の特殊手当てというような体系になっておりまして、その内容につきましては、各会社と労働組合との協定、協約等によりまして決定をされておるわけでございます。 それで、南海電鉄自体の給与が、全体として見まして、異常に安い、そのために過重な労働をしいているのではないかという点につきましては、これは必ずしもそういうことではないのじゃないか。全体として見ると、必ずしも南海が特別に低いということではないのではないかと私どもは考えます。 問題は、それでは、その全体の給与体系の中において、ただいまのような超過労働がある。そして、その超過労働のために勤務が非常に片寄っている。その片寄ったために、その人の労働の状態といいますか、勤務に臨むからだの状態等において、不適切なところがあったのではないかという点がやはり問題でございまして、この点は、先ほども板川先生から御指摘のあったところでございますが、そういう点においては、何といっても、勤務の適切な平準化といいますか、従業員間の勤務の適切な平準化ということが必要じゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。 下運転士の具体的な給与の内容につきましても ちょっとここではっきりした資料がございませんが、基本給としては、当然、欠勤等関係なく、ある程度の支給がされており、その事故的な欠勤について若干の値引きが行なわれて、そうしてあと、超過勤務手当、その他乗務手当等が加算されていくというような形態になっているのじゃないかと思います。
○兒玉委員 先般いただきました資料によりますと、昨年の九月は一銭も支給されていない。それから八月には、わずかに一万六千九百四十円、もちろんこれは欠勤が二十三日です。それから十月は五万三千六百三十一円、十五日間の欠勤で、約半分である。こういう意味で、私は、どうも合点がいかないような気がするわけですけれども、一体給与体系なり、給与に関する協定等はどういうふうな仕組みになっておるのか、この点が、私は、はっきりわからないわけですけれども、その点は、一応あとで含めて御答弁いただくことにしまして、次に問題となりますのは、これは労働省との関係でございますけれども、労働基準法施行規則の二十六条に、特に法三十二条の例外規定として、いわゆる特殊日勤の勤務もしくは一昼夜交代の勤務の例外規定があるわけです。これによりましても、大体一週間六十時間、しかも一日十時間、あるいは一昼夜交代の場合六十時間、こういうふうな一つの制限を設けて、この特殊日勤の勤務なり、あるいは一昼夜交代の勤務の、三十二条の例外規定が設けられております。その中において特に、しかし、たとえば列車とか気動車、電車等に乗務する乗務員を除くと、こういうふうに、例外規定の中においても特にこのような、一つの安全を強調される職種については除外しておる。こういう点等から考えました場合、特に今日、電車、自動車等が相当スピードアップされて、貴重な生命、財産の輸送については特に緊張した状態が継続的に要求されるわけです。ところが、この南海等の場合におきますと、先ほど板川委員もただしましたが、正常な乗務時間のほかに、一週八十時間も、一日十三時間でオーバー労働するということは、これは労働基準法の精神なり、この施行規則二十六条からも特に乗務員関係は除外されているというこの労働基準法の精神からいっても、もう少しこの辺は規制を強化する段階にきているのじゃないかというふうに考えられるわけでございますが、この辺の関連についてお伺いしたいと思います。
○藤繩説明員 先ほども板川先生にお答え申し上げましたように、労働基準法のたてまえは、あくまでも所定時間内にできるだけ労働を行なうということが原則でございまして、ただいまも御指摘ありましたように、特にこういった運転業務に従事するものにつきましては、時間外労働あるいは休日労働というものについては、普通の労働者の場合に比べて、一段ときびしく考えなければならないという点は、まことに御指摘のとおりだと思うわけでございます。したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、自動車運転者の場合につきましては、強力な行政指導を行なっておるわけでございますが、電車あるいは列車の場合も同様でございます。ただ、私ども、事情が若干違うと思いますのは、自動車のような場合には、零細な企業がタクシーでもトラックでも非常に多うございまして、労使関係も非常に不安定であるということから、特に役所といたしましては、強力な指導を必要とすると考えますけれども、国鉄あるいは私鉄におきましても、労働組合が、相当強力な労働組合が存在しておるというような場合には、やはり自主的にまず労使の良識にまつということが前提であろうかと思いますので、先ほどもお答えしましたように、十分その辺は検討いたしてまいらなければなりませんが、とりあえずは関係の労使におかれまして、協定を結ぶ際に、そういった点を十分お考えの上結んでいただきたいというふうに思うわけでございます。と申しますのは、今度の南海事件を契機に私どもも多少検討いたしました結果、同じ私鉄でございましても、会社によりまして地域によりまして、その時間外労働の幅、休日労働の幅にかなり格差がございます。会社の事情あるいは関係労働組合の事情、いろいろあろうかと思いますが、そういった格差があるということからいいましても、労使において努力する余地がまだあろうかと思いますので、まず第一にそれをお願いしまして、その上で私ども、必要があれば適正な基準を設定するというような努力をいたしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
○兒玉委員 運輸省のほうにお尋ねしたいのでございますが、ただいま労働省のほうからも前向きの姿勢で取り組む意向が表明されたわけですが、何といいましても、運輸行政の元締めは運輸省であります。しかも、この南海等の場合は、他の企業に比較して、私は、やはり経営内容というものはそんなに悪い会社でないと思うのです。そういう状態から判断いたしましても、特に相次ぐ事故の状態等から判断いたしましても、やはり私は、この勤務体制というものが、このような非常に高度に、しかも密度の高いダイヤ構成から判断しても、相当積極的な指導というものをこの際必要とすると思うのですが、中でも、オーバー労働に対する規制ということは、これはもちろん労使間の問題でありまして、第三者がとやかくくちばしを入れる筋じゃないと思うのですけれども、多数の生命財産を輸送する機関としては、当然これは運輸省としても重大な責任を伴うと思うのですが、先ほどの給与関係を含めて、この際、特にひとつ運輸省の前向きの姿勢での御答弁を私は望みたいと思います。
○山口説明員 お答え申し上げます。 労働者の労働条件の問題あるいは給与の問題は、原則的にはまさに労使間の問題でございまして、直接私どもがそれに対してくちばしをいれるという性格のものではないということは一応考えております。ただ、しかしながら、ただいま先生御指摘のように、労働者の労働の内容、特に労働時間に関するものといたしましては、拘束時間だけでなく実働時間、さらに運転者の場合におきましては実際のハンドル時間というような各種の面があるわけでございます。しかも労働者のそういう労働の態様というものは労働者だけの安全、労働者の衛生ということだけではなくして、一般旅客に対する安全その他一般公衆に対する安全というものに非常に大きな関係があるわけでございまして、そういう意味では運輸省といたしましても、これが適正な姿で行なわれる、適正に構成をされているということが必要であろう、このように感ずるところでございます。したがいまして運輸省といたしましても、今回の事故にかんがみまして、今回の事故の実情を見ますと非常に超過労働があり、そしてその超過労働が特定の従業員に片寄っているという点は非常に問題でもあるわけでございまして、そういう意味での労働時間なりあるいは実働時間なりというものに対する平準化なり規制というものを進めていかなければならないというように考えるわけでございます。そこで運輸省といたしましても、こういった面につきましては、今後旅客の安全というような見地から十分考慮いたしまして、前向きにこれをある程度の指導をやってまいるというふうにいたしたいと思います。 具体的な南海の問題につきましても、先般当方から勤務体制等適正化する必要があるという指示をいたしまして、そしてそれに対する具体的な計画なども会社からとりまして、所定外労働時間に対するチェックだとか休日労働に対するチェック、時間外労働に対するチェックというようなものも、会社の意見なども伺って、またそれに対するさらに積極的な指導というものもいたしておるわけでございますが、ひとり南海だけでなく、このような業務を担当しておりますところの各社の運転士等に対するそのような観点での指導というものも今後進めていかなければならぬ、このように考えておるところでございます。
○兒玉委員 重複する点もあるかと思いますが、なお一点お伺いしたいと思います。 特に今回の南海の事故を見てみますと、通過列車である急行が通る直前に信号が変わる、こういうことは、私は、現在の南海の運行ダイヤのシステムなり信号設備というのがそういうふうに簡単に軽わざみたいに切りかえになっているところに問題があると思う。もう一つは、そういうふうな非常に密度の高い時間帯、しかも通過列車の急行の通る区間において回送列車との線路が、そういうふうに非常に重要な線路に支障を来たすような線路構成、こういうことが私は非常に問題じゃないかと思うのです。これはおそらく南海だけではないと思うのですけれども、そういうふうな特に通過列車と回送列車の施設経路というものをもう少しこの際検討しなくてはいけない。 もう一つは、気動車なり電車の運転士の信号の見誤りということはやはりあり得るだろうと思う。スピードが百キロ以上こしますと、瞬間的な信号に対するところの判断ということが非常に問題である。こういうような相互関連性について、この際思い切った措置をとるべきだと思うのですが、この点について運輸省の見解を承りたい。
○山口説明員 今回の南海事故の問題に関連いたしまして、話どもこの内容をいろいろ検討してみた上、結局問題は、対策としてとるべきものは大きく言いまして三つの方向になるのではないかということでございます。 一つは、会社の業務上の組織の問題その他を含めて、会社の指導というものが的確に従業員に伝わり、そして全社が一丸となって事故防止をなし得る、そういう業務執行体制の問題があるのではないか、さらにそれに関連いたしまして、先ほどからお話が出ておりました労務管理の面におきまして従来の南海電鉄のとってまいったやり方について若干不適当な点があったのではないか、こういう点で業務執行体制と労務管理の面における徹底的な改善をする必要があるのではないか、それが第一点であります。 第二に、先生が二番目にお話がございました施設の面である程度これをカバーしていかなければならぬ。人のやることでありますから全く誤りはないということは言えないわけでございますから、その場合にもできるだけ事故を起こさないというような施設の面での手当てというものが必要でございまして、そういう意味ではATSの早期設置その他施設面の保進ということが必要であるというのが第二点でございます。この点は先ほど板川先生からも御指摘がございました。 第三番目に、これは先生が初めにおっしゃいました回送列車の取り扱いあるいは通過列車との関係の問題でございますが、これまた先ほど板川先生から御指摘がございましたが、この点につきましても、確かに先生のおっしゃいますように通過列車に対する優先的な取り扱い、あるいは回送列車のダイヤの問題、筋の問題というような点について若干不適当な点があったのじゃないか、そういういわば列車運転の筋なり仕組みの問題という点に不適当な点があったのじゃないか、このように私ども考えております。この三点につきまして、会社に対しまして、これを十分に整備をして今後の事故防止をはかるということを指導をいたして、また警告をいたしておりまして、会社はこの警告に従いまして着々いま整備を進めておりますが、先般特別監査をいたしましたところ、まだ不十分でございますので、さらに警告を出したような次第でございますが、この点につきましては今後ますますそういう方向で事故防止に邁進をしてまいりたい、このように思うところでございます。
○兒玉委員 終わります。
○門司委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十九分散会