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58回国会衆議院1968/04/10

建設委員会 第13号

発言数
29
登壇者
8
会派数
2
開催日
1968/04/10

会議録

加藤常太郎自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  都市計画法案、都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  両案に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田之久君。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 大臣があとでお見えになるそうでございますから、一応政務次官その他政府委員の方々に対して質問を行ないたいと思います。  都市計画法案及び都市計画法施行法案の審議に際し、法実施に関する諸問題を中心として若干の御質問を申し上げたいと思うのですが、既成市街地における過密、また都市周辺部におけるスプロール化の進行など、現在の都市をめぐる混乱に対処して秩序ある都市形成を行なうためには、いまや都市の発展に関する機能と形態に即した全体的な基本計画を策定することは緊急の課題であるとわれわれも考えます。現行法によって進められてきた都市計画が、公共施設の整備を中心とした施設計画とこれに伴う規制が主となっているものであって、近年の著しい都市化の進行による過激な都市発展に対処する点からいえばきわめて不十分なものであったことを考えるならば、今回の都市計画法の抜本改正は、むしろおそきに失するのではないかという感さえするわけでございます。そこで、都市計画法案は、都市のマスタープランの策定を前提として、土地利用計画及び開発行為の規制面に重点を置いて、都市の広域化に伴う合理的な市街地形成をはかり、計画的な都市づくりをはかろうとするものであり、その意義は高く評価できると思うのでありますけれども、しかしながら、また非常に多くの問題点をも持っておりまして、特にその実施上疑問とされる点も多いといわなければなりません。  そこで、まず第一番にお聞きしたい問題は、都市計画において、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化をはかるため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めることとしておられますが、この市街化区域、市街化調整区域及び開発行為の規制は、緊急の必要性を考慮して、当分の間、大都市及びその周辺の都市の都市計画区域その他政令で定める都市計画区域に限って適用し、地方の中小都市には直ちに及ぼすことはしないというふうに規定していると思うのでございますが、そういうふうな解釈でいいのかどうかという点をまず御質問申し上げます。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内(藤)政府委員 私ども、附則の政令で、都市計曲区域につきましては、相当都市化いたしております地方都市につきましても、都市計画区域として指定をいたしまして、そこで都市計画をつくってまいる。土地利用計画あるいは都市施設、あるいは場合によりましては区画整理事業というようなものも相当行なわれておりますので、そういうような場を都市計画区域としてつくってまいりたい。ただ、市街化区域、調整区域に分けて、そして開発許可制を働かす都市計画区域は、附則におきまして、当分の間政令で定めるところによる、こうなっております。私どもといたしましては、人口、廃業が非常に集中して市街化が相当進んでいるという地域につきまして、当面開発許可制をしいてまいりたいというふうに考えておりますので、具体的には、首都圏、近畿圏、あるいは新産、工特あるいは地方拠点都市というようなものを政令で指定してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 ですから、結局、非常に急激な人口の急増を来たしている地域あるいはスプロールの非常に激しい地域、そういうところに限って新法を特に活用していこうというふうに解釈できると思うのです。  そこで一番問題になりますのは、市街化区域、それから市街化調整区域の区分は、本法の一番重点的な柱になると思うのでございますが、しかし、これはまた地域住民の利害ときわめて密接な関係がございます市街化区域指定を求める住民あるいは市街化調整区域指定解除を求める住民等の猛運動が地域指定の際に起こることは、十分に予想されるところでございます。したがって、この区域区分の指定基準がきわめて合理的なものであって、かつ、住民に十分納得を与えるものでなければならないというふうにわれわれは考えるわけなんです。実はこの間の政府の御答弁によりましても、市街化区域というものは必ずしも同心円的なものではないというふうなことも、小川委員に対して答弁しておられました。そういうふうに、非常に入り組んだ市街化区域あるいは調整区域というふうなものができてまいりますと、それは地域住民にとって非常に判別しにくい問題を残しはしないかというふうな点について政府はどのようにお考えになっているか、まずお伺いいたします。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内(藤)政府委員 市街化区域と調整区域に分けますことは、これは先生おっしゃるような非常にむずかしい問題を含んでおると思います。この法律におきましては、都市計画標準を政令できめることになっておりますが、具体的に市街化区域、市街化調整区域の設定区分の標準というものは都市計画標準として政令できめられることになろうかと思います。そのために、建設省に付属機関として都市計画中央審議会を設け、ほのか規定は一年以内ということになっておりますが、その規定だけは直ちに発動させようということになっておりますので、都市計画中央審議会にはかりまして、できる限り具体的にきめてまいりたいと思いますけれども、考え方といたしましては、すでに連檐市街地を形成しておりますような地域と、それに続いて市街化しておりますような、いわゆる既成市街地のほかに、今後十年間ぐらいに人口を収容できるような、あるいは産業を収容できるような新しい住宅地あるいは工業地というような新市街地の規模をまず想定いたしまして、それを具体的な場所に落とすわけでございます。その場合に、市街とするに適当であるかどうか、自然的条件が適当であるかどうか、あるいは市街地発展の動向がどうであろうか、あるいはそこまで主要な公共施設の整備が及ぶかどうか、あるいは優良農地の分布等を考えまして、具体的に計画的に市街化をはかるべき区域をきめまして市街化区域にしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。手続といたしましては、これは実は農業振興地帯整備法においてもそうでございますけれども、市町村の段階におきまして市町村建設の基本構想というふうなものに基づいて都市計画をきめるということになっております。したがいまして、結局、地方の意見、市町村の意見を聞くことになっておりますので、その総意に基づいて知事が最終的には決定する、そういうような形によりまして優良農地を含みます市街化調整区域と市街化区域というものをきめていかなければならない、きめていく手続になっておるわけでございます。ただ、そういうような市街地の連檐化しておりますような、国として重要な関心を払わなければならないような首都圏近畿圏というような地域につきましては、最終的には建設大臣の認可ということもございますので、そこの地域間のアンバランスの調整というようなことは当然行なっていかなければならないというふうに考えております。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 そこで、市街化区域につきましては、これはだれしも非常に性格がよくわかるわけですが、いわゆる調整区域、これの持つ性格、これはここ十年間市街化を抑制しよう、スプロール化を押えていこう、そういう意味が主たる意味である区域であろうというふうに考えるわけです。そこで、この都市計画を推進するにあたって何よりも大事なことは、「建設大臣が市街化区域に関する都市計画を定め、若しくは認可しようとするとき、又は都道府県知事が市街化区域に関する都市計、画を定めようとするときは、あらかじめ、農林大臣に協議しなければならない。」という点がこの法案の第二十三条にも明記されてございます。したがって、私は、今度のこの法案の提出あるいはそれをめぐる関連法案の提出のされ方についても、十分に建設省と農林省とが連絡協議の上でなさっているものであるというふうに了解しなければならないと思うのです。それであるとするならば、今度農林省が提案されている農業振興地域の整備に関する法律案というものが定めようとしている農用地区域というものが出てまいっておりますけれども、この農用地区域と市街化調整区域とは一体どういう対応をする性格のものであるのか。概念的には、農用地区域というものは、あくまでも近郊農業を振興させていこう、その他全般の農業の基盤整備をしていこう、これはきわめて積極的なものです。それから市街化区域というのも都市計画推進上きわめて積極的なものです。しかし、調整区域という区域は、都市計画の面からいえば、むしろ抑制するという面、当分の間に限っては消極的な性格を付与されている地区といわなければならない。そういう地区と、それから農業振興を中心とする農用地区域、これが完全に別個なものなのであるか、あるいはきわめて同一的な地域として交差包含していく性格を持つものなのであるか、こういう点につきまして、農林省の農地局の管理部長さんもお見えのようでございますから、ひとつ双方から、われわれは調整区域についてはこう考える、あるいは農用地区域についてはこう考える、これは交差しているものなのか、しないほうが望ましいのか、そういう点につきまして少し御説明をいただきたいと思います。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内(藤)政府委員 私どもの法案におきまして、都市計画区域を市街化区域と調整区域に分けること、調整区域におきましては、無秩序な市街化のおそれのある区域であって、この区域につきましては、都市全体を計画的に段階的に市街化をはかるという立場から、ここにスプロールが進みませんように、宅地開発を原則として禁止するという必要がある、そういう意味におきまして、市街化調整区域を設けて市街化を抑制するということにしているわけであります。この区域は、現状は主として農地、山林であろうと思います。私どもといたしましては、農業振興地域法の条件に適合いたしますところは当然農業振興地域に指定されるというように考えております。そとで、先生おっしゃいますように、重複の問題、重複させるべきかどうかという問題が起こるわけでございますが、先生御承知のように、市街化調整区域というのは、市街化区域にわりあい近いところが多いと思います。ここにおきましては相当強い市街化の圧力というものがあるわけでございます。したがって、そういうような地域におきまして農用地を保存するというのは、農業サイドの立場から抑制するという措置がとられますと同時に、都市サイドのほうからも、市街地の広がりを規制するという立場から抑制する、この両面から制限しなければ、とうてい市街地周辺の市街化の圧力のあるところで優良農地を保存していくということはできないのではないか、私どもはこのように考えまして、市街化調整区域の中に農業振興地域があっていいし、それをむしろまた除外しないほうが農業振興上もいいのではないか、かように考えているわけでございます。

中野和仁農林省農地局管理部長

○中野説明員 市街化調整区域は、農林大臣と建設大臣とが協議をいたしまして定められた区域でございます。それにつきましては、いまお話のございましたように、調整区域は、都市側から見れば都市化を抑制する区域、それを農林省といいますか農林側から見れば、農業を今後ともやっていく区域だというように考えております。したがいまして、市街化区域と市街化調整区域につきましては、われわれのほうの法律での農業振興地域の指定を当然いたさなければならないというふうに考えておりますし、その中での農用地区域につきましても優良な区域は全面的に指定をすべきであるというふうに考えております。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 いまの管理部長のお話によりますと、市街化調整区域については非常に積極的に農用地区域等も指定し、かつ農業振興のために万般の施策を施していこうというふうな意味のように受け取ったわけでございます。  そういたしますと、これは次官にお伺いいたしたいのですけれども、この市街化調整区域と申します区域は、市街化の予備軍的な区域なのか、あるいはあくまでも抑制して十年後には再検討するとしても、相なるべくは、さらに十年、さらに二十年というふうにあくまでも農業用地としてこれを確保するようにしむけていこうとする地域なのかどうか、その辺のところがはっきりしないと、いま農林省のおっしゃるように、これはあくまでも農業用地として守ります——農業用地として十分に守られてありながら、しかも内心は、早ければ五年、おそくとも十年後には、おれたちの地域は指定を受ける、晴れて市街化区域になるんだ、こういうふうな気持ちをもしか農民が持ち続けているとするならば、これはやはりいろいろな面で矛盾を生じてくると思うのです。そういう点につきまして、われわれはどういうふうにその交差する地域を考えればいいのか。農用地区域と調整区域とが交差いたしてまいります。その交差する地域の住民に対してわれわれは今後どういうふうに説明していけばよいのかという点をちょっとお教えいただきたい。

仮谷忠男自由民主党建設政務次官

○仮谷政府委員 これはいろいろ議論の余地のあるところだと思います。ただ、市街化区域に指定するところは、大体十年間というものの一応の見通しをつけて、そうしてスプロール化を防いで市街化をはかっていこうという考え方で、調整区域は、できるだけそういうふうなスプロール化を防ごうという考え方で進むわけですから、したがって、農業関係の農用地として指定して積極的に農業の振興をはかっていこうという考え方で進めていいと私は思います。  さればといって、じゃ十年先になって、それから先さらに市街化がどんどん進んでいこうという情勢になってきた場合に、はたしてそれをいつまでも農用地としてとどめておくことができるかどうか、あるいは農民自体が、その場合に、むしろ市街地としてやることを望むのか、あくまでも農用地としてやっていくことを望むのかといったら、やはりそのときによって一応いろいろ変わったケースが出てくるのじゃないかと思います。だから、考え方によっては、一面、市街地の予備軍的なものとも考えられるし、それから農用地として振興しなければいかぬ地域とも考えられますし、はっきりとどちらにするかという、割り切って問題を処置するということについては、いささか現実の問題とからみ合わせて考えなければならぬ問題ができてきますので、その間はやはり運用の問題で適切に処置していかなくてはいけないんじゃないか、そういう考え方もできるわけじゃないかと思っています。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 確かにお答えのとおり、形式的にはそういうお答えで通ると思うのです。しかし、次官が申されましたように、実際上の運用の問題では、いろいろとこれは非常にむずかしい問題をはらんでまいります。特に現地の思惑が——特に近郊都市周辺の現在農地である地域の住民たち、あるいはそこの市町村長たちの考え方としては、いますぐ市街化区域になることは無理であろう、しかしやがてこの地域も市街化区域にしてほしいものではある、 ついては、当分の間、思い切ってたとえば農免道路をつけてもらおうじゃないか、あるいは農業用排水路を完成しておこうではないか、いわば農業用地としてのレベルアップをはかりながら、将来市街化区域として指定される場合に、より容易にそれに切りかえができ得るような条件をひとつこの機会に有利に備えていこうではないか。補助率の問題がございます。市街化区域に指定されるよりも、むしろ農業用地域として、当面はそのほうで、今日非常に貧しい市町村の財源を考えるならば、有利な方法で両面にわたる、どちらへでも切りかえのきくレベルアップをしていこうじゃないかというふうな配慮が非常にあると思うのです。したがって、その辺のところをそれぞれ思い思いに考えながら地図の色を塗っていきますと、あとで住民の側や理事者の側で、あるいはその間で、相当な紛争、摩擦、思い違いであったという問題などが出てくることになりはしないかという点を私どもはいまから心配するわけなのです。したがって、私は、むしろこの調整区域の中に二つの性格——調整区域をBならBとして、BとBとが実際はあり得るんだ、調整区域ではあるけれども、この分についてはやがて市街化せざるを得ないであろう、この分についてはあくまでも可能な限り農業用地として振興さしていきたいんだというふうな二つの区分と申しますか、持ち味と申しますか、そういうものを含んで現地に対応していかないと、あとで問題を残すのではないかというふうな気がするのですが、そういう懸念は要らないでしょうか。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内(藤)政府委員 市街化区域、調整区域をきめます場合には、それぞれの区域の整備、開発、保全の方針というものをきめることに法律上なっております。したがいまして、市街化調整区域のほうの整備、開発、保全方針をきめます場合には、先生のおっしゃいましたように、優良農地として保全すべきところ、あるいは自然環境がいいから保全すべきところ、あるいはその他それぞれの法律によりまして特別に保全を義務づけられておりますようないわゆる保全的な地域と、それから、現在のところはその市街化区域で間に合うわけでございますが、将来やがて市街化区域が一ぱいになった場合には市街化をきせていかなければならぬというような市街化が予想される区域というようなものを、ある程度、方針といたしましてそれを考えていくということは必要になってくるかと思います。その辺は市街化調整区域の整備、開発、保全の方針のところでそれぞれ都市計画策定者がそういう方針を立てて、そして開発許可の運用にあたりましてそれを指針にしていくということが必要であろうかと思います。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 正直に申しまして、調整区域というのは、コウモリ的な性格を当分持つだろうと思います。  そこで、実際個々の都市計画を策定していくときに、先ほども次官がおっしゃいましたけれども、現地の事情、将来の見通し等を十分に考慮されまして、これは予備軍的な意味を持つであろう、あるいはあくまでもこれは抑制すべき地域であるとかいうあたりの指導を政府の側からもよほどしっかりしておいていただきたいというふうに考えるわけでございます。  大臣がお見えになりましたが、もう一つだけ政府委員にお尋ねをいたしておきたいと思うのです。  この新法の第八条に、一から十二までいろいろな地区を書き出しまして、こういう地区を都市計画区域の中で定めなければならないというふうになっているわけでございます。ところで、この地区の中で、たとえば風致地区であるとか、あるいは古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による保存地区であるとか、緑地保全地区であるとか、こういうところはこれは市街化区域なんですか、市街化調整区域なんですか、その辺のところをひとつ……。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内(藤)政府委員 風致地区の場合には、たとえばそこの弁慶橋のところも風致地区になっておりますように、市街化区域の中に設けられる風致地区と、あるいは京都の山にかかっておりますような市街化調整区域に風致地区がかかる、両方の場合があり得ると思います。それから首都圏近郊緑地保全法に基づきます特別保全地区とか、あるいは古都の歴史的風土特別保存地区というようなものは、大体は市街化調整区域にかかるというふうに考えられます。ただ鎌倉のように、非常に市街地に近接いたしまして歴史的風土特別保存地区が設定されておりますところもございますから、そういうところにつきましては、市街化区域の中に一部歴史的風土特別保存地区がきめられる場合もあり得るかと思います。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 実は大臣がお見えになりましたので、この間、内海委員の質問のときに、大臣がいろいろと御答弁の最中に、たとえば古都保存の奈良などの場合に、産業都市化しようとしてそこに煙突が建ったりなどすることはまことに愚かなことであると思うというふうなことをはしなくもおっしゃっておるわけなんですが、これは一体どういう意味でおっしゃった発言なのか。あくまで、京都とか奈良とか、いわゆる古都として保存すべき地域は別世界としておこうじゃないかというふうな発想から出た御答弁なのかどうか、ちょっと……。

保利茂自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○保利国務大臣 私は一つ頭にありますのは、東京にしましても大阪にしましても、あるいは名古屋にしましても、たとえば東京都中心に動いている地域、南関東のごときは、神奈川県だ、千葉県だ、東京都だ、埼玉県だというようなことでなしに、もはや一体としての地域計画というものが必要ではないのか、そういう意味におきまして、大阪であるとか兵庫であるとか、奈良でありますとかいうところも、一体としての地域計画というものが必要じゃないだろうかということが頭にあるものですから、そういう発言をいたしたと思うわけであります。奈良県にいたしましても——奈良県も広うございますから、奈良県全体をさしてどうこうというわけじゃございませんけれども、しかし、考え方としては一体的な考え方を持って計画を持ってしかるべきじゃないか、こういうことが頭にありまして申し上げたわけでございます。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 やはり大臣は、特に奈良県のうちでも奈良市とか、あるいは京都の中心の、古社寺のある地域については特別の保護の対策をしなければならないという考え方を非常に強く持っておられると思うのです。われわれはもちろんその考え方に反対するものではございません。しかしながら、いかに保存しようとしても、今日都市化傾向がかくも激しい時代に、一つの地域だけを全然いまのあるがままに保存しようということは、事実上不可能なのではないかという問題にわれわれは絶えず当面しているわけなんでございます。特に、一つの地域のことで申しわけございませんけれども、平城宮跡の場合ですね、あの平城宮跡の東側を奈良バイパス——平城バイパスと申しますか、これを通そうじゃないかということで一つの計画がまとまっている。文部省のほうも一応それでよろしいという回答をしておった。ところが、発掘調査を行なった結果、さらに東に平城宮跡が延びておることがわかったので、あの計画は取りやめてもらいたいというふうなことがまた文部省のほうから来ているわけなんです。そういうことであるならば、幾ら計画をしても、すべて至るところそういう史跡の宝庫とまでいわれているような古都においては、何一つバイパスをつけることもできないし、都市計画を推進することもできなくなるではないかというふうな問題で、いま非常に神経質になっているときでございますので、やはり別世界にばかりしておくわけにいかないじゃないか、むしろ、そういう古都を保存するということは、ただ歴史的に保存するだけではなしに、今日日本の、あるいは世界の人たちにそれをよく知らせしめるという意義を持っていると思うのですが、現状では、とてもその古跡のところまであるいは文化財のところまでたずねていくこともできないほど交通が渋滞しておる、道路がいたんでおる、またバイパスもつくることはできない、そういう問題が現に起こっているわけなんです。こういう問題について大臣は具体的にどういう解決をしようとお考えになっているか、お尋ねいたしたいと思います。

保利茂自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○保利国務大臣 私は、とにかくこの文化財と申しますか、われわれの祖先、先輩が築き上げられているそういう文化財、これはわれわれ次代の国民の大きな財産でありますとともに、将来への国民の大きな財産でもあると思うわけであります。したがって、なるほどここへ道をつければ便利だということはわかっておりましても、やはり長い民族の歴史の上からいきまして、残せるものならばとにかく大事に保存していくべきじゃないか。御指摘の二十四号線でございますか、バイパス計画で、平城宮跡に当初はそういうことはなかろうということで想定されたのが、案外、発掘してみたところが延びておってそこへかかっておる。文部大臣ともこの間もお話をいたしました。そういうものを大事に残していくという努力を現代の国民は払ってきたんだということを未来の国民に残していくというところに大きな意義もあろうかと思います。したがって、何でこんなに不経済な回った道を通ったのだろうということは、逆にこの遺跡が文化財としていかに貴重なものであるかということの証左にもなるのではないか。経済的に見ますと、そろばんにのらないことがあろうと思いますけれども、そろばんだけを急いでおって、大事なものを失っていくというようなことは考えなければならぬところじゃないだろうかということで、私は、平城宮跡の場合にいたしますれば、天に橋かけるようなことをすればどうということはございませんでしょうけれども、それはたいへんなことでございましょうし、多少不経済でどうかというようなことがありましても、それは逆の意味においてそういう努力を払っていくべきだ、すなわち、路線は変更して差しつかえないということでひとつ地元の御協力もいただきたい、こういうふうに思っておる次第であります。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 ところが大臣、変更してもまた同じようなことになりはしないかというのが、いまの現地の心配なんです。たとえばここに地図がございますけれども、これが現在走っている二十四号線、奈良のどまん中、シカの遊園地のまん中をダンプでみんな通り抜けるものですから、これでは観光になりません。したがって、ここに一つの奈良バイパスをつくろうじゃないか。ところが、発掘調査をしてみたところ、平城宮跡の東部を縦断することになるだろうから、考え直してほしいということが、文部省の記念物課長から去年の十一月八日に同等が来ておるわけなんです。大臣のおっしゃるとおり、われわれもそれならばひとつこの古都を保存するために協力しようじゃないか。しかし、もう少し東のほうへひねってみると、またウワナベ、コナベという古墳にぶつかるわけなんです。これも非常に由緒ある古墳なんです。そこで、工事を始めたとたんに、非常に重要な史料が出てきたからストップ、そして結局ノーだというふうなことになったのでは、もうどこへ行ったって全部ぶち当たるばかりではないか。これではわれわれは近代社会に対応する生活ができないじゃないかという悩みをかかえておるわけなんです。たまたまそういうときに建設大臣のほうからも、古都をあるがままに保存しようじゃないかと言わんばかりの表現の御答弁がもしもあったとするならば、これはどちらを向いたって、われわれは救われないじゃないか。われわれは今日まで地域の住民の力によって古都を守ってきたんだ、そして発掘調査に対してはわれわれも心よく農地を提供してこれに協力してきたんだ、その協力したことがあだになって今日われわれが大きな制約と束縛を受けるというふうなことでは、われわれはしょせんどうにもならないじゃないか、たまらないじゃないかという気持ちが、悲痛な陳情として出てきておるわけなんですね。大臣のおっしゃるような方法は、私は一つだけあると思うのです。それは地上は現にあるがままに断じて守ろう、しかし、どうしてもそこに道をつけなければならない。ならば、全部地下道でも掘るというくらいのことをすれば、それはほんとうに守ることができると思います。しかし、そういう採算のとれないことはしない。ともかく協力しろというだけでは、これは今後の古都を守っていくとか、あるいは緑地を守るとか、いわゆるこの都市計画が一つの大きな柱としております保存の面を完全に遂行することができなくなるのではないかというふうな気がいたすわけでございます。その点いかがでございますか。

保利茂自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○保利国務大臣 両論があるのでございます。それはもちろん、当初バイパス計画を立てましたときは、できるだけ利便のために、そして奈良の発展を祈念して計画を立てた。たまたまそういうところにぶつかって、理屈を並べ立てたらなかなか際限のない話になりそうなことになってきまして、ほかに適当な路線を見つけることができないのか。できないわけでもない。できないわけでなければ見つけたらいいじゃないか。吉田さんのお話のように、たまたま見つければ、またそこに何とかかんとかとある、こういうのでございますが、この間、文化財の局長ですか課長でございますかも、今回変更をしたいというコースにつきましては、文化財のほうでも、決定的な支障は、そっちの面から見て不都合はなかろうというようなことを申しておりまして、新しい線についての協力のかまえを示してくれておりますから、ひとつできるだけ早い機会に最終的にきめて、そして奈良の地元の方々の要請にこたえなければならぬ、かなり金もかかるようですけれども、どうもやむを得ないんじゃないかというように考えております。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 文化財保護委員会のほうの記念物課長お見えでございますね。この点について、いま大臣のほうからもこの種の御答弁がございましたけれども、やはりどこかで折り合いをつける以外にない。完全に保存しようと思えば何事もできない。あんどんの生活で、わらじをはいて歩いてろというようなことになってしまうと思うのです。そういうことは今日の住民にしいることは絶対にできません。そういう点で多少の問題点があっても現在のルートを変更するとして、重要な古墳がぶつかってきた、いままでならばそれは直ちにストップをかけるべき状態であったとしても、やはり都市計画の推進、あるいは大きなスプロールを防止していくための都市の再開発と調和に対応する考え方を文部省自身もお持ちになろうとしているかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

中西貞夫文化財保護委員会事務局記念物課長

○中西説明員 平城宮跡は、国が指定しております史跡の中でも最も重要な史跡の一つでございます。いまお話しのように、この史跡の指定地の東側に道路をつくるということで発掘調査をいたしておりましたところ、はからずも従来の学説に反しまして東側に広がっている。そういうことになりますと、この道路は宮跡のまん中を縦断するということになりまして、この特別史跡であります平城宮の保存上非常にぐあいが悪いということで、建設省に道路の変更をお願いしたわけでございます。  そこで、もし新しい路線が考えられました場合に、遺跡が出てきた場合にどうなるかというお尋ねでございますけれども、これは遺跡の価値からいたしまして、平城宮跡に及ぶような遺跡は、現在のところ、あすこの付近では、道路をつけられる地域には予想できません。したがいまして、私どものほうといたしましては、道路の決定がなされましたならば、その調査は一応さしていただきまして、しかし、それは保存ということではなしに、記録にとって保存するということで、道路工事の実施に支障のないようにやらせていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 道路局長もお見えのようでございますから、特にこの点でさらにもち一点だけ御質問をいたしますので、大臣もよく聞いておいていただきたいと思うのですが、実はいま奈良のほうで観光三大バイパスというのがあります。その一つが、いま申し上げました奈良バイパス、これは奈良県のほうでそう言っているわけでございます。それからもう一つは橿原バイパス、これは藤原宮跡を走っておりまして、同じような問題とぶつかっております。いま一つは奈良−郡山−斑鳩線で、ずっと県道を新設してまいりましたところが、たまたま法起寺というところで高速道路が横を通るとすれば、それは三重の塔に振動を与えるからだめだということで文部省からストップがかかって、延々続いている道がそこでどうにもならなくなってしまっておるというふうな状態が至るところで続出しているわけなんです。こういう点につきまして十分道路局長も御承知いただいているはずでございます。いま文部省のほうからも説明がございましたが、やはり文部省と建設省がこういう点では絶えず事前の調整、意思の疎通をはかっていただかなければならないのじゃないかというふうに存じますので、その点いかがなものでございましょうか。

蓑輪健二郎建設省道路局長

○蓑輪政府委員 ただいま御指摘の奈良のバイパス、橿原のバイパス及び天理の高速道路の問題でございます。これにつきましては、奈良というところは、どこの道路をとりましても、いろいろ埋蔵文化財が非常に多いところでございます。そういうことで、文化財保護委員会とよく打ち合わせをして、できるだけその周辺の文化財の将来の発掘に支障のないような事前の発掘、そういうようなことでこの問題を解決してまいりたいと思っております。橿原のバイパスにつきましては、これは一応都市計画決定もございましたが、これにつきましても、やはり橿原の藤原宮跡のあとの発掘の問題がございまして、これにつきましては、さらに道路としては奈良バイパス以上にもっと選択の余地があるように思われますので、できるだけそういう文化財を残しまして、道路の計画を地元の了解のもとにこれを変更していきたいというふうに考えている次第でございます。そのほかの奈良の道路全体につきましても、いま言いましたように、文化財の問題につきましては文化財保護委員会と十分協力していきたいというふうに考えております。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 ちょっと大臣、別な問題で質問をいたしますが、今度この都市計画が進められてまいりますと、特に市街化区域につきましては、農地の転用についていままでよりも非常に手続が省略されるということになっていると思うのです。ところで、それぞれの農業地帯におきましては、現在みな土地改良区などを設けまして土地改良事業を推進いたしております。農地が宅地に転用されていく場合に、現在は農業委員会等の承認を得なければなりませんので、そこで、脱退の際の決済をして手続を踏んでおるというふうなことで一つのチェックの方法があったわけであります。今度はそれがなくなってしまうのではないか、きすれば農地は急激に宅地化する、しかも土地改良区等の事業は全部採算がとれなくなってしまう、こういう心配があるようでございますが、これにつきましては、建設大臣として農林大臣とどのような意見の調整をはかられておるのかという点をお聞きいたしておきます。

保利茂自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○保利国務大臣 この都市計画法、都市再開発法は、全国国土開発計画——これは天井にかいた絵じゃないかと私は思う。今度地におろしてきて、現実にしからば全体計画に相応じてどういうふうに国土の利用計画をはかってまいるか、そしてその地域に豊かな住みよい社会をつくっていくかということが現実の計画として必要である。したがって、都市計画法というものはそういう考え方の上に立って策定をされなければならぬ。先般来申しますように、日本の国情に照らしまして今後の農村、都市のありようというものをどういうふうに策定してまいるかということは、一番大きな国土利用の上の問題であろうと思うわけであります。したがって、農林省で提案せられております農業振興地域に関する法案と、この都市計画法というものは、全く唇歯輔車の形で運営をされていかなければならない。したがって、なわ張り争いとか権限争いとかということでなしに、むしろ農林、建設抱き合いでこの運営をはかっていくというようなかまえが必要じゃないか、私はそういうふうに感じているわけであります。そこで、市街化調整区域はおおむね農地でございましょうが、市街化調整区域については、御懸念のようなことは、農業政策上のもろもろの保護を徹底的に受けてまいる、おそらくは農業振興地域として指定される地域が大部分を占めるのじゃないかと私は考えております。ただ、市街化区域の中にある農地、この扱い方というものは、ただいま吉田さんお話しのように、よほどこまかい配慮をしないと、不測の迷惑をかけるようなことになるのじゃないか。したがって、市街化区域を設定するにあたりましては、そういう優良な農地あるいは農業経営が営まれているところはできるだけ避けるということが第一だろうと思います。しかし、全体の都市計画の上からいたしまして、十年くらいのうちには市街化区域になるのじゃないかというようなところが出てまいりましょうから、その中に農地がある場合に、なるほど農地法上の適用は排除されることになるわけでございますけれども、しかし現実に農地である、しかも優良な農業経営が営まれているというようなところにつきましては、これは一ぺんに市街化区域になるわけじゃございませんから、その過渡的な扱いとしては、あるいは災害が起きた、災害復旧しなければならぬ、これは農林省が当然めんどうをみてくださる。したがって、都市環境が整備せられるまでは、私は、やはり農地として大事にして扱っていくというようにしなければいかぬじゃないか、こういうふうに考えます。

中野和仁農林省農地局管理部長

○中野説明員 ただいまの転用決済の件につきましてお答え申し上げます。  農林省といたしましては、先ほど大臣のお答えになりましたように、優良な農地については、原則的に市街化地域にならないというふうには思っております。ただし、都市周辺につきまして、かつて土地改良をやったところが順次入ってくる場合がある、その場合に、土地改良法によりますと、資格を喪失するということになります。喪失者が土地改良区に通知しなければならない義務があります。そういうふうに法体系はできておるわけでありますが、現在では、先ほど御指摘がありましたように、農地転用の機会に、あらかじめ、土地改良区の地域内であれば、土地改良区に意見書をつけて出すことになっております。ところが、先ほどお話がありましたように、市街化区域につきまして農地転用の許可をはずすということになりますと、その場合に、現在われわれ考えておりますのは、省令で、農業委員会を経由して市に届けた場合にはこの許可は要らないということにしたいと思っております。そうなりますと、農業委員会を経由する機会に、土地改良区に通知連絡をするというような指導をいたしまして、決済金が取れなくなるということはできるだけ避けたいというふうに考えております。

吉田之久民主社会党

○吉田(之)委員 農林省とのこれからの調整、配慮というものは、この都市計画推進の上で非常に大きな問題になってくると思うのです。実はきょう大臣がお越しになるまでの間いろいろと政務次官や局長さんらに御質問をいたしておりましたのですが、一番問題になりますのは調整区域であります。この調整区域が、いわゆる農業振興のための新しく設定される農用地区域ですか、これと交差してくるということは十分に考えられます。交差しないところも出てまいります。その辺の農民が、おれたちは十年間ただ待たされるままなのか、待ったって今度は市街地にならないでそのまま待たされるのか、ならば、われわれは農地としてよほど本格的にこれと取り組んでいかなければならない、こういう迷いやいろいろな思惑や誤算が出てくるおそれがあると思います。したがいまして、いまも大臣は、過渡的な段階といえども、市街化を抑制する地域については、われわれは十二分にそれを農地として守っていく施策の万般を推進していかなければならない、そのためには農林省とも格段の連絡をはかっていくというふうな御答弁と私は受け取っているわけなんでございますけれども、この辺のところが非常に大事だと思いますので、どうか特に配慮を払っていただきたいと思います。  なお、地価抑制の問題であるとか、あるいは不法建築物に対する抑制の問題であるとか、いろいろ具体的な問題で質問いたしたいのでございますけれども、他にいろいろときょうは都合もあるようでございますので、一応本日はこれで質問を終わらしていただきます。  委員長にお願いいたしておきたいのですが、後日もう少し時間をいただきまして残りの質問をさしていただきたいと思います。

加藤常太郎自由民主党

○加藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明十一日木曜日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時八分散会

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