決算委員会 第12号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/04/25
会議録
○鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長が所用のため欠席いたしますので、その指名によって私が委員長の職務を行ないますからよろしくお願いいたします。 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は厚生省所管について審議を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
○丹羽(久)委員 委員長の許しを得ましたので、渥美児童家庭局長にちょっとお尋ねいたしたいと思います。 児童遊園についてでありますが、児童遊園は児童に健全な遊び場を与えてその健康、体力を増進する、社会性を養うとともに、交通事故等による傷害の防止にも活用することを目的とする児童福祉施設であることは私が申し上げるまでもありません。この児童遊園につきましては、昭和三十三年以後新設に際しては、一カ所当たり十六万六千円の補助金が支出されております。昭和三十九年にこれが打ち切られたわけであります。昭和四十年からは融資に切りかえられましたが、補助金が出ておりました当時は毎年百四十カ所程度新設されておりましたものが、この昭和四十年以降の融資になってからは二十五カ所程度に減ったというこの事情です。厚生省では現在児童遊園は年間五千カ所くらいは必要であると聞いておりますが、現状から見て目的が達せられるには、こんな状態でおりますと非常に縁遠い感じがいたしますが、交通事故対策の促進が叫ばれておるときに、補助金を融資に切りかえられた理由並びに今後の児童遊園対策について、厚生省の方針を、本来をいえば大臣にお尋ねするのでありますけれども、きょうは局長に御説明を願いたいと思います。
○渥美政府委員 仰せのとおり児童遊園は児童福祉法に基づきますところの児童厚生施設の一種でございまして、子供に健全な遊び場を与えましてその体力、健康を増進して、しかも社会性を培養するという目的のほかに、最近におきましては、交通事故の激化に伴いまして、そういった面におきまするところの予防対策というふうな観点から、厚生省におきましても児童遊園の設置を促進しておるところでございます。 お話にありましたように、昭和三十三年以降補助金をもちまして市町村に補助をいたしましてその設置を促進してまいったのでございますが、考えてみますと、その補助金額もきわめてわずかでございまして、補助対象といたしますところは、たとえばブランコでありますとか遊具でありますとか、そういうふうなきわめて金額の少ないものであったわけでございます。しかも私どもで考えております児童遊園は大体平均二百坪程度でございまして、非常に地域に密着しておりますところの施設でございます。したがいまして普及をはかるためには、むしろ補助金制度でなしに、国民年金等の還元融資によりまして設置の促進をはかるのがいいのではないかという観点に立ちまして、実は昭和四十年から補助金を廃止いたしまして国民年金還元融資に切りかえたのでございます。ところがその結果は、四十年におきましては、市町村におきまして国民年金の還元融資を利用されるところがきわめて少なかったのでございます。しかしながら最近に至りましてこの児童遊園に対します年金融資の活用もだんだん上向いてまいったのでございまして、私どもといたしましてはなおこの国民年金の還元融資の制度を活用して、地域の住民に密着したこういった仕事を市町村においてしていただこう、かように考えております。もちろん補助金制度についての検討もさらに続けなくちゃいけないと思っておりますけれども、もうしばらくこれは様子を見なければならないのじゃないか、かように考えております。
○丹羽(久)委員 いま局長さんのお話を聞くと、この重要性については十分に承知しておるということでありますけれども、年間に大体五千カ所ぐらいは必要であるというようにお考えになっておるのが、打ち切られてからはもう二十五カ所ぐらいより新設していないというような事態である。それに対していまのような考え方、それから交通事故対策に対しても、児童遊園は遊び場として子供を交通事故から守っていくためにも絶対に必要だということは、いまのお話を聞いておると、あなた自身がお考えのようでありますが、さらに最後のことばとして、これに対する補助金制度をもう少し考えてみなければいかぬのじゃないかと思うというようなことをおっしゃっておって、もう少し時を見てやろうと思うというようなお話のようでありますが、あなたのほうのもう少ししっかりとした信念的な方針をひとつ聞きたいと思うのです。
○渥美政府委員 仰せのとおり、児童遊園の果たす機能は、最近は大都会におきましては交通事故対策というふうな面が非常に強くあらわれてまいったのでございます。ところが、大都会等におきましては、児童遊園を設置すべき土地の確保という点につきまして大きな問題あるいは支障があるわけでございます。したがいまして、私が先ほどことばを多少濁したのは、補助金制度によります場合におきましては、土地の取得につきましてそれを活用することができない、つまり、土地を購入するために補助をすることが一般的に不可能であるのが現状でございます。したがいまして、国民年金等の還元融資におきましては、土地の取得につきましてもその融資が行なわれるというふうな長所がございますので、私どもといたしましては、そういった土地の確保等を含めまして、国民年金の還元融資の活用をはかるとともに——設置がなかなか困難である、しかもいろいろな遊具の購入が非常に困難であるというようなことも手伝いますが、そういった見地も考えまして、補助金制度についてもさらに検討を続けたい、こういうふうに考えて申し上げたわけでございます。
○丹羽(久)委員 それでは私の調査した内容の一端を申し上げますが、児童遊園の補助金を出した当時の状況からいくと、三十三年には百九十二、三十四年には百七十四、三十五年には百四十二、三十六年には百四十三、三十七年には百三十八、三十八年には百三十九、三十九年には百四十、四十年には二十四、四十一年には二十六、四十二年には二十五、こういうようになってきているのです。必要なものがこんなに減ってきたということは、融資が打ち切られてくるとそういう形になってくるということです。そして将来の日本をしょっていく子供さんたちの遊園ということに対して厚生省が大きな関心を持っていらっしゃることは、いまの局長のことばでよくわかるのです。わかるけれども、それに伴う予算を、大蔵省なり関係当局に対して相当強い意見で獲得をしてもらって、そして実施をしていっていただきたい、こう私はあなたにお願いをするのです。方針もよくわかりましたから、ひとつ批判を受けないように、そうして、いままであった補助が打ち切られたために非常に少なくなってきたというようなことを考えてみますと、もう一度補助の復活という面も研究をしてもらう。それから場所によっては非常に安い価格で土地を求めることもできるし、うまくいけるところもあるが、都市のようなところは非常にむずかしい問題があると思いますから、その点は私は理解することもできるのです。だから、この点について十分に御研究を願って、政府の今後の児童遊園に対する方針を確固たるものにしていただきたいことをお願いするわけなんです。時間の関係で、与えられた時間が非常に短いのでありますから、これ以上のことは申しませんが、十分に頭に入れていただくことを願って、私はあなたに対する質問を終わります。 それから伊部年金局長に年金福祉事業団についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。ひとつ誠実味のある御返答をいただきたい。 年金福祉事業団は、厚生年金保険と船員保険及び国民年金の被保険者等の福祉増進に必要な施設の設置または整備を促進するための融資を行なうことを目的として、昭和三十六年に設立されましたことは御承知のとおりであります。そこで、この処理状況を見ますと、昭和四十一年度は、融資の申し込み件数は二千七百三十四件、それから申し込み融資額が六百二十一億円に対して、決定は、件数が千七百八十七件で、融資決定額が三百七十億円になっております。この中で年度内に融資を行なわれたのは五百二十八件で、たったの七十四億円である。残りの三分の二は翌年度に繰り越されました。この傾向は前年度、すなわち、昭和四十年度にもそういうことが見られておるのです。同年決定せられた千九百六十三件、三百七十億円のうち、年度内に交付されたものは百億円程度のものであり、毎年多額の繰り越し額でありますが、現状はりっぱな制度を運用面で生かされておらないように私は思いますが、きょうまでの業務の内容と今後の方針をひとつ御説明を願いたい。 いま申し上げたように、相当申し込み数があって、そしてその金額もばく大だ。しかも、それに対して融資した金が、与えられた予算のワクの三分の二よりない。一体それはどういう理由か、どういうわけでそんなに少なくしているか。それは一年だけでなくて、また二年になっておる、こういう点です。これをひとつ年金局長の御説明をいただきたいと思います。
○伊部政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、年金福祉事業団は昭和三十六年暮れに発足をいたしまして、今日まで厚生年金保険、船員保険、国民年金の福祉施設の整備のため必要な資金を融資しておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、四十一年で申しますと、借り入れ申し込み額六百二十一億円に対しまして貸し付け決定額は三百七十億円、当該年度の交付額は七十四億九千六百万円という数字になっておるのでございます。この点は実は年金福祉事業団におきます従来の取り扱いが、資金ワクと貸し付けワクとを同じに扱っておったのでございます。そこで資金ワクどおりの決定をいたしておるのでございますが、実際に資金が交付されますのは、必要な工事が逐次進行してまいるわけでございますが、進行したあとにおいて資金の交付が行なわれる。したがいまして、現実の交付は、資金の貸し付け決定よりおくれるわけでございます。その関係で翌年の交付額がふえるわけでございますが、決して貸し付けの決定のワクを不当に延ばしておるわけではございませんで、これは当該年度内に一〇〇%決定をしておるのでございますが、工事のかげんでさような運びになるのでございます。したがいまして実支出額は逐次翌年度に繰り越してまいりますので、たとえば昭和四十二年度で申しますと、資金ワクは三百八十億円でございますが、実支出額は四百五十億円といったような数字になるのでございます。しかしながら、ただいま先生御指摘のように、貸し付けワクがあって、それと資金ワクが同じであるという場合におきましては、どうしてもただいま御指摘のような問題もございますので、本年度からその取り扱いを変えまして、資金ワクと貸し付けワクとを別ワクに考える。本年度は資金ワクは四百億円でございますが、貸し付けワクは四百五十億円、したがって年度内の決定のワクは四百五十億円ということに相なっておりますので、今後この問題は逐次解消してまいる、かように考えておる次第でございます。
○丹羽(久)委員 あまりくどいことは言いませんけれども、局長さんにお願いしたいことは、決定をした、だからすぐ金を出してやるというわけにはいかないでしょう。しかし決定してもらうまでに相当の日にちがかかるのですよ。早く借りたいと思っても、なかなか貸していただけない。言いかえれば、工事が進まないのに決定ワクだけの銭をもらうわけにいかない、工事が進んだそのところの程度で金を渡していく、それが年度にまたがるというようなことで、そういうような事態が発生する場合は幾らでもある。これは理解できるのです。ところが、私の言わんとすることは、三分の二というような金を残して三分の一だけ貸して、そしてあと翌年へ回していくという行き方は、あまり手ぎわのいい行政のあり方でないというようにも考えられるのです。それは局長の責任であると私はあえて追及するのではないけれども、これはもう今年度からはそういうことのないようつとめてうまくやるとおっしゃるから、それ以上私は言わぬけれども、とにかく、先ほど申し上げたように、同じことを繰り返すようであるが、申し込み額の融資額が六百二十一億円だ、そして決定は三百七十億円になっておる。このうちで年度内に渡した金が七十四億円である。そしてあとの残った金は翌年に繰り越したというこういうあり方、これを分析すると、三分の二は翌年に回したということになるわけです。いいですか、これは大体違っていないと思う。それからさらに三百七十億円のうちに、その次の年なんかは百億円程度のものであって、もう毎年多額の金が翌年回しになっておるというようなことは、これは死んだ子の年を数えるようなものであるから、そうくどいことを言ってみたってしようがないから、この点を伊部年金局長は来年はうまくやるのだと言っていらっしゃるから、ひとつぜひうまくやっていただいて、希望するその人々に対してつとめて促進方を指示してもらいたい。翌年へ繰り越さないように、ここは決算委員会ですから、私はそういうことを希望してやまないのです。だから、さらに決意を新たにしていただけることができたら、もう一度答弁を願いたいと思います。
○伊部政府委員 先生御指摘の点は、申し込み者が多数おるのであるから、これに対してつとめてすみやかに実際の資金が渡るようにせよという御注意だと思うのでありますが、この点は御指摘のとおりでありまして、今後ともその点について一そう努力いたしたい、かように考えます。
○丹羽(久)委員 もう一点尋ねたいと思いますが、年金福祉事業団の行なう事業について、事業団法の第十七条の一号に、「厚生年金保険法第七十九条、船員保険法第五十七条ノ二及び国民年金法第八十四条の施設のうち、老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なうこと。」という事項があります。このことは資金の融資とともに事業団の目的の一つであると私は思っておる。そこで現状は施設の設置及び運営に関する政令がまだ未整備のようでありますが、現在は各特別会計が施設の運営を厚生年金においては厚生団、船員保険においては船員保険会に委託しており、国民年金関係については施設すら設置していないという状態で、資金が十分活用されておらないようであります。政令の作成時期、内容等について具体策はあるのかどうか。また施設の設置、運営については、委託運営ではなしに、本来は事業団が行なうべき業務と考えるが、以上二点について厚生省の方針を伺いたいと思います。
○伊部政府委員 年金福祉事業団は、御指摘のように、法十七条一号におきまして厚生年金保険法等におきます福祉施設の設置及び運営と、二号におきまして資金の貸し付けを行なう、二つの業務があるのでございますが、創設以来非常に多くの資金量を多数の事業主に、しかも先ほど御指摘のようになるべくすみやかに資金の貸し付けの決定をし、交付するということのために、従来は貸し付け業務に専念をして今日に至っておるのでございます。第一号業務の問題につきましては、自来検討を重ねておるのでございますが、厚生省といたしましては、明年度厚生年金保険の財政再計算期に当たっておるのでございますけれども、この時期に厚生年金にとどまらず、厚生年金及び国民年金法の全体的な改善をはかる考えで、目下関係審議会に御審議をいただいておる状況でございます。その一環といたしまして、当然年金保険の積み立て金の管理運用の問題が出てまいるのでございまして、この問題との関連におきまして、この事業団の第一号業務の取り扱いも最終的な決定をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○丹羽(久)委員 福祉事業団法の十七条の一号に、「政令で定めるものの設置及び運営を行なうこと。」という事項があるが、まだ政令のできていない時点になっておるところがあるが、その政令はいつつくられるのか、内容等についての具体策があるのかどうか、施設の設置、運営については委託運営ではなしに、本来事業団が行なうべき業務と考えるが、以上の二点について厚生省に尋ねたが、どうもぼやけた御答弁のように私はいま聞いておった。もう一度わかりよく説明をしていただきたいと思うのです。
○伊部政府委員 事業団発足以来、二号業務に集中をいたしておりまして、その機構あるいは人員あるいは全体の事務体制も、二号業務だけ行ない得るようになっておるのでございまして、一号業務につきましては、まだこれが二号業務に専念しております関係上、さような体制になっておらないのでございます。しかしながらこの一号業務の取り扱いにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、積み立て金の管理、運用の問題が本年度の非常に大きな問題になりますので、これとの関連におきまして、いま少しく問題を煮詰めて結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
○丹羽(久)委員 いまの積み立て金と政令とのにらみ合わせということは、あげ足をとって聞くのでないのですよ、私には実際ちょっと判断がしにくいのですよ。政令とその積み立て金との関連性があるから、政令がまだできていないということはちょっとおかしいように思うけれど、それは何か非常に障害があるのか、政令をつくることに対する人が足らぬのか、一体どういうことなんだということだが、あなたの説明を聞いていると、積み立て金との関連性があるから、これとにらみ合わせてそうして政令をつくる。それはぼくはちょっと納得できぬように思うのですがね。そういうものですか、政令をつくるに、片一方のほうにそういう積み立て金もあるから政令ができにくいなんていうような……。
○伊部政府委員 御承知のとおり、年金保険におきましては、将来に備えて非常に多くの積み立て金が現在あるわけでございます。あるいは将来とも行なわれるわけでございますが、そのうち四分の一をいわゆる還元融資として被保険者の福祉施設その他に充てておるのでございます。そこで、年金福祉事業団は、本来その二五%の積み立て金の管理、運用の一環として出発をいたしたのでございます。しかしながら、先ほど御説明申し上げましたように、従来から二号業務に集中をいたしておりまして、かつそのような体制になっておるのでございます。したがいまして、年度内におきまして、この政令を定めることができるような状況にはなっておらないのでございます。しかしながら、明年度は厚生年金保険の財政再計算期でありまして、積み立て金のあり方につきましても、総合的にもう一度検討をいたさねばならない時期になっておりますので、その積み立て金の管理、運用の一環として、一号業務の問題につきましても基本的に検討を加えたい、かような意味で申し上げた次第でございます。
○丹羽(久)委員 そこで、現在は各特別会計が、先ほども言ったように、施設の運営を、厚生年金においては厚生団、船員保険においては船員保険会に委託しておりますね。国民年金関係については、施設をすらまだ設置をしていないということを先ほど申し上げました。そういうような状態で、金がありながら十分に活用ができていかない。それは全部でないけれども、いま御指摘の何%というものは活用できるはずになっておる。そういうようなことについては政令できめようということになっておる。その政令すらまだやっていないということは、これはどうかと思うから、ひとつ早くその政令をつくるべきだと私が質問したら、来年度は考えてみるという話だけれども、これは一日も早くそのときがこなければどうしてもやれないというならやむを得ないけれども、できるだけその金の活用のできる方向へやってもらいたい、こう思うのです。 これは先ほどから言っておるように、厚生団だとか船員保険会だとかに委託せずして、本質に返って事業団でやるような方針はどうか、この二点を私は聞いておるわけです。この点についてはどういうふうにお考えになっておるか、この点もひとつお答えをいただきたい。
○伊部政府委員 先ほど申し上げましたように、年金福祉事業団は積み立て金の管理、運用といたしまして、特にそのうちの二五%の使い方をどうするか、その手段、方法として、昭和三十六年以来この事業団が仕事をいたしておるわけでございます。そこで、この一号業務を事業団はいままで行なっていないのでございますが、しかしながら、その二五%は全部貸し付けあるいは公害防止事業団等に対する出資のような形、あるいは特別地方債のような形で被保険者に還元いたしておるわけでございます。そのほかに、ただいま御指摘のように、厚生年金保険特別会計あるいは船員保険特別会計で各種の療養施設等を設置をいたしまして、その管理、運営を御指摘のように厚生団等に委託をしておるのでございます。したがいまして、ここで事業団が設置及び運営を行なう場合と、特別会計そのものが施設を設置するのとは性格を異にいたしておる。事業団の一号業務につきましては、あくまで積み立て金の管理、運用の方法として考えてまいりたいという意味で申し上げた次第でございます。 しかしながら、先生御指摘のように、事業団発足以来一号業務が掲げられておるにかかわらず、実施がされていないという点は確かに問題でございまして、明年度の財政再計算期におきましては、この問題につきまして早急に結論を出したい、かように考えております。
○丹羽(久)委員 もうこれで質問を終わりますけれども、局長さんに特に聞いておいてもらいたいことは、厚生団にまかしたり船員保険会に委託してやるというのを、本質に返って、事業団でやるような方向へ持っていくべきがほんとうだと思うけれども、この点はどういうふうにお考えになっておるのか。そういうことはよく承知しながら、その方法のほうがいいとお考えになっておるのか。この事業団へちゃんと戻して、事業団が直接行なっていくのがほんとうであるのか、またそれには非常に人件費がかかって、人手がかかって、もう委託せなければうまくやっていけないというのか、その点をひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
○伊部政府委員 厚生保険特別会計等におきまして、病院あるいは厚生年金会館等を設置いたしておるのでございますが、これを特別会計自身で運用いたしますと、多数の職員等を設置しなければならないといったような関係もございますので、ただいま御指摘のように厚生団等に委託をいたしておるのでございます。事業団は本来積み立て金の管理、運用の問題として発足をいたしたのでございますが、この事業団と福祉施設全体をどういうふうに考えていくかという問題につきましては、従来からいろいろ御議論があるのでございます。しかしながら、事業団は本来の積み立て金の管理、運用の問題と、さらに厚生保険特別会計の施設をどう運用していくかという問題等は、一応別個の問題であると考えておるのでございますが、御指摘もございますので、今後十分検討してまいりたい、かように考えております。
○丹羽(久)委員 伊部年金局長の御答弁では、ちょっと私はふに落ちないところがあるのですけれども、それは見解の相違かもしれない。専門的なあなたの立場と、私どもの見る目と、また考えていることと違うかもしれないけれども、どちらにしても十分にそういうような資金面の活用をしてもらったり、あるいは先ほど言ったように、決定したものは早く工事に着手するなり、あるいは前渡金を渡すのなら渡してやるなり、適当な処置をとって、繰り越し金のないような行き方をしていただくことがほんとうだ、これがほんとうの行政のいい姿だと私は思っております。そういうようないろいろの面がありますから、いま申し上げました点についても、大体来年度はやるんだというお話であるから、政令もしっかりつくってもらい、あるいは内容についても具体的にどうもっていったら一番いい効果があがってくるかということを、ひとつ局長は十分部下を督励していただいて、そしてよりよきものをつくっていただき、監督を十分にしていただきたい、これだけをお願いしまして、私の与えられた時間が非常に短いのでありますので、もっと詳しくいろいろのことが聞きたいけれども、これで終わります。どうも御苦労さんでした。
○鍛冶委員長代理 森本靖君。
○森本委員 厚生省の方にちょっとお聞きしますが、過日、私のほうの新聞で承知いたしたわけでありますが、 〔鍛冶委員長代理退席、白浜委員長代理着席〕 国立高知療養所における贈収賄事件が新聞で相当発表されておったわけでありますが、その概要を御説明願いたいと思います。
○北川説明員 ただいまお尋ねの国立高知療養所の事件でございますが、本件は本年三月の初めに、現在の当該療養所の事務系統の事務長をはじめ、関係職員と、それからさきに高知療養所に勤務をいたしておりました関係の職員、合わせて五名が、薬品の納入に関係いたしまして司直の取り調べを受け、逮捕されておるものでございます。 なお本件は、四十年の八月のころから昨年の十一月ごろにかけまして、ただいま申し上げました医薬品の納入会社から薬品を買い入れましたことに対する謝礼、あるいはまた今後の買い入れ方を依頼するための便宜の供与、こういうことに関連をいたしまして起こりました案件でございまして、現在、その後の取り調べによりまして収賄という事実が判明いたしまして、去る十六日に高知の地方裁判所に起訴をされた状態でございます。
○森本委員 会計検査院にちょっとお尋ねしますが、全国のこういう国立の病院あるいは療養所等において、会計検査院としていわゆる決算検査をする場合、現場の抽出検査というのは、年間何カ所ぐらいやりますか。
○増山会計検査院説明員 ただいまお話しの療養所でございますが、全国の厚生省の国立療養所が百七十カ所ありますが、私どもの最近数カ年の検査の施行率は、ざっと申しまして大体一〇%前後になっております。四十一年度は九%の個所について実地検査をいたしております。
○森本委員 四十年度にはどの程度やっておりますか。
○増山会計検査院説明員 四十年度には七%やっております。それから、ただいま持っている資料を見ますと、三十九年度は一〇%、こういう状況でございます。
○森本委員 四十年度の七%というのは、どこどこをやっておるわけですか。
○増山会計検査院説明員 ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんが、調べればすぐわかります。
○森本委員 それで、こういう病院、療養所等を実際に抽出検査をする場合に、この薬品の購入関係等についてはどういう検査をしておるわけですか。
○増山会計検査院説明員 薬品につきましては、やはり薬品の購入価格、それからその購入の方法と申しますか、契約の方法などを含めました購入方法、数量、それからそれの受け払い、そういった点について主として見ております。
○森本委員 そういう点で、特に医薬品の購入関係について気のついた点はないのですか、会計検査院として。
○増山会計検査院説明員 薬品の購入のしかたにつきましては、大体の施設におきましては、やはり会計法の趣旨によりまして指名競争契約が多く行なわれております。ですが、会計法規の認めておりますある限度以下のもの、少ない額については随意契約が許されておりますが、そういう方法によって契約しておるのもございます。そういったものにつきましては特に価格なども気をつけますし、それから随意契約によりますと、価格の、何といいますか、競争による公正をとかく欠きやすいので、できるだけ競争契約によれないかというような点について調べておりまして、そういう点について、これは最近でございますが、少し気をつけて見てみたい、こういうぐあいに感じております。
○森本委員 これはそれぞれの地方における指名競争入札ということであっても、限られた薬品業者だと思うのです。大体どの程度の、何業者ぐらいの指名競争入札でやっておりますか。
○増山会計検査院説明員 大体取引されておる実例を見ますと、まあ、いろいろございますが、十社ぐらいと取引している例がかなりございますし、中には二、三社に限定して契約をしておるような実例も見受けます。そういう点について、これは最近特に留意を要するということを感じ出した次第でございますが、よく実情を検討しまして、まああまり二、三社に限定した場合にいろいろまずいことが起こるおそれがありますので、ことしの年度末検査などにおきまして、そういう事態に特に気がついたところでございますので、今後気をつけて検査してまいりたいと思います。
○森本委員 こういうものはころばぬ先のつえということであって、未然に防止をするということに重点を置かなければならぬということが一番の眼目だろうと思う。そういう点で、幾ら地方であろうとも二、三社でやるということは、これはたとえば国鉄とか専売とか電電とかいうふうな、特殊な機械を買うとかいう場合には、特例として三社ぐらいの場合があるわけでありますが、普通は、大体官公庁の場合、六社、七社以上というのが一つの基準になっているわけですね。特に薬品の納入については二、三社なんということはほとんどこれはないわけであって、現実には卸売りの薬種商が県庁所在地であれば十社ぐらいはたいていあるわけでございますから、そういう点の入札についてはこれは十分に私は気をつけるべきであろうというふうに考えるわけであります。 それから薬品の中で、会計検査院にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、このごろ薬品については試供品というものが相当出回っているわけですね。要するに新しい製薬でそれを病院その他に相当大量に使ってもらいたい——これは無料で奉仕するというふうな形を各病院でとっておるのが普通ですね。こういう点について会計検査で気のついたところはないのですか。
○増山会計検査院説明員 薬品の納入にからみまして試供品とかそれからそのほか添付品というようなことがあるというようなことがいわれます。私のほうでも気をつけて見るように言っておるのでございますが、厚生省の関係の病院の薬の購入につきまして添付品というものが、ほとんどといいますか、私どもの調べておる範囲内ではこれぞというものを見受けておりません。試供品につきましては、いまおっしゃいました点がございますが、これは試みに使ってみるということでもらっておるようでございますが、これもそういった意味での試供品を受けておる事態は確かにございますが、弊害を感ぜられる程度に試供品がきておるというようなことをまだ私聞いておりません。
○森本委員 私は元来からだがあまりじょうぶでないから、よく病気にかかって病院で見てもらう機会が多いので、こういうことをよく自分の体験からしてわかるわけで、これは国立療養所とか国立病院とかいうことについてはおそらくそういうことはないと思いますけれども、普通の場合、試供品であってもこれは薬価としてとられるというようなことが往々にして市中においてはあり得る可能性があるわけですね。それから試供品といってもかなり多数の試供品を出す場合があるわけですね。だからそういう場合に国立病院あるいは国立療養所というふうなものについては、それをどういうふうに受け入れてどういうふうに出しておるかというような点についても、われわれとしてはこれは厚生省のほうに聞いたほうがいいと思うのですが、そういうのはどういう処理をしておりますか。
○北川説明員 ただいま仰せのとおり、試供品というものは元来は最近多く開発されております医薬品を、まず試みに治療に当たる医師とかそういった関係者に提供するのが、これが本来の試供品の趣旨であろうかと存じます。私どももそういう意味合いにおきまして、これは国立でございましてもやはり病院でございますので、そういった意味合いでの試供品の提供というものはあったことも事実でございますし、また現にあることも事実でございます。しかしながら先生もいまおっしゃいましたように、最近の非常に激しい新薬の開発、また激甚な業界の競争というふうなものも反映をいたしておる関係もございまして、試供品がいま申し上げましたような趣旨を逸脱をして、少量の範囲をこえて相当数、多量にわたる場合もあることも事実でございます。こういった場合に、私ども現在の指導といたしましては、やはり国立の医療機関でございますから、そういったことはできるだけ避けるように指導はいたしておりますけれども、やはりところによりましては、そういったケースが全然皆無であるわけではございません。したがってそういう場合には、ただいまのところ関係当局、検査院等とも十分に相談をしなければならない点でございますけれども、現在まで大量にわたるものにつきまして、一応会計法令上と申しますか、そういった面で受け入れの方式といたしましては好ましいことではございませんけれども、たとえば寄付なら寄付というかっこうで受け入れる、こういうことをやっているところもごくまれにはあるわけでございます。ただこういうことはまことに好ましいことではございませんので、そういうことがないように現在も留意をいたしております。今後も十分に指導をいたしてまいる所存でございます。
○森本委員 これは実際のところ試供品であっても、これがかなり製薬会社において自信があるという薬であるとするならば、これは寄付ということよりも、一応その薬を試みに買ってみるということで使ってみるというふうな形にすれば私はいいのじゃないか。これはやはり寄付を受けるというような形は好ましくないのじゃないか、また事実そういうことは帳簿上はなかなか載ってこないのじゃないかというふうに考えるわけであって、新薬については私は試供品というなら、これは一般の市中のいわゆる私立病院その他については歓迎をして使うかもわかりませんが、少なくとも国立の場合においては、こういう試供品の使い方についても少し研究する余地がありはしないかというふうに考えるわけであって、その点ひとつ十分に今後この取り扱いについては考えていってもらいたい、こう思うわけであります。 それからもう一つ、中央で購入をしてこういう国立療養所あるいは病院に配付をする薬と、それからそれぞれの病院あるいは療養所で買う薬というふうにあると思いますが、それはどういうふうになっていますか。
○北川説明員 国立の療養所につきましては特に結核とそれかららいの関係がこの際は問題であろうかと存じます。結核につきましてはパス、ストマイあるいはヒドラジッドそういった関係の一番基本的な結核治療薬、こういうものはやはり四万人からの患者がおりますので大量に購入をいたしますし、そういった意味合いからいたしましても、中央で一括して調達をするようなかっこうになっております。 それから、らい関係の治らい薬につきましても、これは特殊な薬品でございますので、これも中央調達で行なっております。 なおまた、大量に使用しますものといたしましてレントゲンフィルムがございますが、このほうも中央調達でございます。大体それ以外のものはいわば対症療法的な医薬品、こういったものは現地のほうの調達、こういう仕組みをとっております。
○森本委員 大体これで中央で購入する一括購入薬品というのは年間どの程度ありますか、たとえば四十一年度に例をとってみると……。 〔白濱委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕
○北川説明員 ただいまの点でございますが、ちょっと四十一年度の数字が現在のところ必ずしもはっきりした数字がないのでございますけれども、大体国立病院関係で申しますと百五十億見当になると思います。
○森本委員 大体百五十億円見当ということになりますが、これはどういう形で購入をいたしておりますか。
○北川説明員 ただいまの数字をもう一度申し上げますと、百五十億見当の中で中央でやります分が大体五億七千万程度でございます。それでこれにつきましては御承知のように、医薬品の関係の業者を私どものほうで登録をいたしておりますので、その登録業者につきまして指名競争でやっておるわけでございます。
○森本委員 その登録業者というのは製薬会社ですか、それともメーカーですか。
○北川説明員 これは販売会社の場合もございますし、それからいま申し上げました治らい薬のような特殊なものにつきましてはメーカーから入っておるものもございます。
○森本委員 その場合、登録しておる中から指名入札といいますか、その登録はどういうぐあいの登録ですか。
○北川説明員 これは医薬品に限らず、全般的な物品購入につきまして、あるいはまた建築工事等につきまして役所一般として行なっております会計法令上の登録でございます。
○森本委員 会計法令上の登録といっても、建設関係その他については一つの基準があって資本金その他がきまっておるわけです。それから資本金の何倍について、大体いまであれば資本金の三倍以上の建設工事は負け請えぬとかどうとか、こういう一つの規定があるわけですね。この場合にいわゆる販売会社なら販売会社は、これはどういう基準になっておるのか、製薬会社についてはどういう基準になっておるか、それを聞いておるわけです。
○北川説明員 これは私自身、率直に申し上げまして、資本金が何万円で、それからその過去の実績が幾らということは、実はいま正確にお答えを申し上げることは遺憾ながらできないわけでございます。ただやはり国立の医療機関として中央調達をしてやる品目でございますので、そういう意味合いにおきまして、従来の実績とかあるいはまた従来からの国立関係の医療機関に対する、何と申しますか、貢献の度合いとか、そういったいろいろな点を勘案いたしまして、十分なところを見きわめた上で登録をさせておるつもりでございます。
○森本委員 私はそういうことを聞いておるわけではなしに、私も長いこと議員をやっておってこういうことはかなり知っておるつもりです。どういう基準においていわゆる登録をやっておるのか。たとえば建設工事にしてもそれぞれの各省における基準があるわけです。あるいは建設省は建設省としての基準を持っているわけです。それで、たとえば十社で一つの入札をするにしても、その販売会社は十社ぐらいじゃないわけですから、あるいは製薬会社があるわけですから、それはどういう基準によって指名競争入札の中の十社というものを選ぶのか。そのいわゆる競争入札のしかたがどういうぐあいになっておるか、それを聞いておるわけです。
○北川説明員 これは、私どものほうでやっております建築工事もやはり相当多量にわたっておるわけでございますが、大ざっぱに申し上げますと、建築の場合と大体同じような基準でやっているわけでございます。つまり、一般的に申し上げますと、契約額が相当数にわたる、多量にわたる場合にはAならA級、あるいはBならB級、それから少ない場合にはC、それからまた特殊な医薬品につきましては特殊なものしかやっておりませんから、そういう場合にはそういった特別な業者だけを指定する、こういうかっこうでございまして、そのランクとしてはABCのランク、またその契約額に応じてそれぞれ契約をする、こういうかっこうでございます。
○森本委員 そうするとその中には随意契約もあるわけですか。
○北川説明員 これは現在ございません。随契はございません。
○森本委員 そうすると特殊医薬品であっても七社以上でやっておるわけですか。やはり二、三社でやっておる場合もあるんじゃないですか。
○北川説明員 治らい薬とかレントゲンフィルムとか、こういうものはいまおっしゃいますように七社ではございませんで、やっておる会社が限定されておりますからその範囲でやっております。
○森本委員 レントゲンフィルムについては何社くらいでやっておりますか——これは時間がかかりますので、厚生省のこの薬品類の納入のいわゆるABCランクとそれからその登録をしておるところの業者の一覧表、それから業者の概要、Aクラスぐらいで、B、Cになると資本金ぐらいでけっこうでありますが、そういうものと、厚生省と取引をいたしておりますものを資料としてひとつお出しを願いたいと思うのです。それを一応われわれのほうとしても検討してみてこれはやりたい、こういうように考えるわけですが、その点どうですか。
○北川説明員 御趣旨に沿いまして資料を検討してまいります。
○鍛冶委員長代理 できますか。
○森本委員 随意契約は全然ないそうでありますけれども、おそらく二、三社くらいで入札をしておるところも私はあろうと思いますので、そういう点についてはひとつ詳細な資料をお出しを願いたい。その資料によって再度私はこの問題については質問をしていきたい、こう思うわけであります。 それから医務局の関係でありますので、医者の関係についてはわかりますか。医者の配置その他についてもしわからなければ、次の機会にしますが……。 それでは無医村地区ですね。あるいはその他のところで医者が払底をして非常に困っておるという状況があるわけでありますが、特にひどいのになりますと、国立の、たとえば逓信診療所関係におきましても六年も七年も医者がおらぬ、看護婦だけしかおらぬ。こういうのがあって、そうして厚生省に頼んでもなかなからちがあかぬ、こういうような実態もあるわけでありますが、こういう点について厚生省としては医師の各地に対する配置その他については総合的な計画というものを立てておりますか。
○北川説明員 医師の需給と偏在の是正の問題は、ただいま御指摘いただきましたけれども、きわめてむずかしい問題でございます。現在の状況を簡単に申し上げますと、四十一年末の医師数が約十一万一千人でございまして、人口十万について医師の数は百十二人でございます。これは十年前の三十一年末の九万六千人でございましたころに比べますとこの間に約一万五千人絶対数としては増加をいたしておるわけでございますけれども、後段に申し上げました偏在関係という点から見ますと非常に問題がございます。すなわち地域的な分布といたしましてはやはり七大都市が最もたくさんおりまして、この次が町村でございます。町村におきましては大体人口十万単位の医師数が全国平均の六割に満たないという状態でございまして、いま御指摘の山間僻地につきまして極端な医師不足の状況なのであります。厚生省といたしましてはこういう状況下におきまして、しかも皆保険という状態でございますので、やはり絶対数の増加と偏在是正ということに十分力を入れていかなければならない、こういう観点からまず根本的には医師の養成についてその数をふやす、こういうことも昭和三十六年度から文部省に対しまして医学部の定員の増加を要請いたしておりまして、例年相当数の増加がございますが、昭和三十六年当時の入学定員が二千八百四十人でございましたものが本年四十三年には三千九百八十人というふうに約四〇%の増加を見るに至っておりまして、養成面につきましてはそういった配慮をいたしておるわけでございます。また偏在の是正あるいは特にいま御指摘のございました僻地の医療につきましては、非常にむずかしい問題でございますけれども、当面私どもといたしましては、僻地の診療所、大体三百九十ほどでございますけれども、こういったところを充実いたしますとともに、特に今年度からはそういった面での機動的な診療の充実ということを考えまして、患者輸送車あるいは巡回診療車、こういったものの整備を行なっておりまして、四十三年度予算におきましては前年度の四十二台を一挙に八十三台にまでふやす、こういう措置を講じておる次第でございます。 〔鍛冶委員長代理退席、華山委員長代理着席〕 なお、いま先生から御指摘ございましたように、この問題は非常にむずかしい問題でありますけれども、早急にかたをつけなければならない問題でございますから、いわば抜本的にそういった医師不足対策並びに偏在是正を検討してまいりたい、これが私どもの考え方でございます。
○森本委員 これはいつか機会がありましたならば厚生大臣並びに総理にもお聞きしたいのですが、この医師の偏在というものは非常に困ったものであるというふうにわれわれとしては考えておるわけです。特に大都会に集中すると同時に、地方においても県庁所在地の町に普通の町医者は集中する。ところがいなかのほうへ行くとほとんど医者がいない。こういうふうな妙なかっこうになってきておる。 それからもう一つは、医者の養成もさることながら、その養成によるところの医者の学閥といいますか、派閥といいますか、そういう一つの系統もあるのじゃないか。厚生省はその辺はどういうふうに考えておりますか。たとえば、どこそこの病院が今度新しくできる、そこでどこそこの医大に頼むということになると、片一方の医大のほうは知らん顔をする。こういうふうな弊害がなきにしもあらずであります。あそこに頼むならそっちに頼みなさい、私のほうは関係ありません。そこで一ぺん何々医大と何々病院と関係を持ったら、未来永久にその医大との関係を維持しなかったら次の医者を世話してくれぬ。こういうふうな関係がいまの医学部内にあるような感じがする。そういう方面を担当する厚生省としてどういうふうに考えておるか、私は一ぺん聞いてみたかったわけでありますが、その辺の事情というものをどういうふうにお考えになっておるのですか。
○北川説明員 ただいま御指摘のとおり、病院と大学との関係、特に大学の医学部、さらに突っ込んで申しますと教室との関係というもの、これはもう長い間のそういった非常にむずかしい関係があることは事実でございます。これはわれわれ国立医療機関においても例外ではございませんで、まさに御指摘のとおりでございます。ただ、先生もいまおっしゃいましたように、そういう状態のままで、学閥系統ということが根本になって医師が不足をしたり偏在したりということは決して好ましい状態ではございませんので、私どもといたしましては、現在これも国会で御審議をお願いしております新しい臨床研修制度というものを一つのよりどころにするなり、あるいはまたそういったものを基本にいたしまして、教育病院というふうなものを十分に充実をしていくなり、そういった方法を通じましてできるだけそういう状態を解消して、まんべんなく医師の行き渡るように努力をしてまいりたいと考えております。
○森本委員 私は、医療行政については一度半日くらいゆっくり時間をもらって、これは人命に関する問題でありますから、日本の医療行政というものに対しての根本的な一つのメスを一ぺん入れてみたいという気がするわけでありますが、きょうは簡単に質問をして終わりたいと考えておったわけです。 最後に厚生省の意見を聞いておきたいと思うのですが、これは郵政省と厚生省との連絡が不十分であって、こういう結果になったのだろうと思うのですが、簡易保険福祉事業団というのがあります。これは当決算委員会でもこの事業団の検査は当然しなければならぬわけでありますが、それが御承知だろうと思うのですが、昭和四十年に東京に成人病センターをつくるということで、これは総額十六億円くらいでありますから、相当大きなセンターであります。その成人病センターをつくるということで簡易保険福祉事業団も事前に厚生省とも連絡をとりながら進めていっておったと思います。そうして事実としては多摩川のところに約三億円か四億円だろうと思いますが、かなり大きな土地を四十年に買った。そうして四十一年、四十二年、四十三年というふうに三年がかりで成人病センターを完成をする。これができればかなりりっぱな成人病センターができる。しかもこれはガンと高血圧を主体としてやるわけでありますから、これは国民にとっては非常にいい病院なんです。普通のいまの逓信病院なんていうものは逓信の関係の職員だけしか診療されぬわけでありますが、簡易保険の福祉事業団の成人病センターは国民一般がすべて行けるわけですから、そういう点でなかなかいい計画だということで、昨年か一昨年たしか土地だけは購入しておるわけであります。ところが、厚生省のほうから、これはそんなものをつくったところで医者が一つも来ませんよということで、これは決算の問題にもなるわけでありますけれども、その土地がそのままおととしから去年にかけて二年間遊んでおるわけであります。四十三年の予算にもこれは新しく建てるということがなされていないわけであります。いわばこれは三億ないし四億というものがむだ使いということになるわけであります。その観点からわれわれはまた追及していきたいと思いますが、しかし、そういう成人病センターができるということは非常に好ましいわけでありますので、できれば厚生省あたりが郵政省とよく話をして、できるような方向に持っていってもらいたい。ところが、郵政省としては医者が来ないものを膨大な十何億円もかけてつくったところでどうにもならぬということで建物はいま宙に浮いておってつくれない、土地だけ数億円かけて買っておる、こういう事情になっておるわけです。そこで、厚生省のほうはこれに対して一体どういう考え方を持っておるのか、ちょっと聞いておきたい、こう思うわけです。
○北川説明員 ただいまの成人病センターのお話でございますけれども、実は私その点の詳細なことを現在まで承っておりませんので、この席上で明確なお答えができないことをはなはだ残念に思います。ただ、成人病センターはおっしゃるとおり非常に大きなもののようでございますし、やはりやります場合にはいろいろな周辺の状況と申しますか、事情と申しますか、そういうものも整備した上でやる必要もあろうかと思いますから、この問題は、ただいまお話がございましたので、早急によくわれわれも検討いたしまして早く結論が出るように努力をしてまいりたい、かように存じております。
○森本委員 これは郵政省は二年くらい前から計画をして土地も購入した。ところが、いまの小林郵政大臣が、そんなものをやってもだめだ、おれはもと厚生大臣をやっておったからよく知っておる。医者はとても来やせぬということでストップしておる。それで結局私から言わせれば数億円のむだ使いだ、こういうことになるわけであります。いずれにいたしましてもそういう経緯があるわけでございますから、厚生省と郵政省の間において十分に話し合いを早急にしてもらいたい。また、その結果によって私のほうから質問をしたい、こう思うわけであって、郵政省のほうに質問すると、厚生省がうんと言わないというようなことを言っておったのですが、いまの答弁を聞いてみると、厚生省にはあまり話をしていないというふうにもとれるわけであって、いずれまた郵政大臣にも聞いてみたいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても全国民が使い得るところのそういう相当高度な設備をした、しかもガンと高血圧の一般国民が気軽に治療ができるというようなものについては、われわれとしてはできることは望ましい。しかもそれは簡易保険と郵便年金のいわゆる利益金によって国民に還元をするという考え方でありますので、これはぜひ進めたいと思っておるわけでありますが、郵政省はそれもすでにあきらめて、その土地を老人ホームにでも転用したいというようなことを言っておるようであります。そんな多摩川の付近に老人ホームをこしらえたって行き手がないぞということで論議がいま行なわれている、こういう事情でありますので、ひとつ厚生省としても十分に連絡を願いたい、こう思うわけであります。 なお、いままで若干いろいろ質問をいたしましたが、この医療行政の問題については、私は医師の問題、それから薬の問題、病院の問題というふうに一応日を分けまして、一日ゆっくり質問をしたいと思いますので、その際にはひとつ十分にお答えができるように用意をお願いしたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。
○華山委員長代理 赤路友藏君。
○赤路委員 この前の決算委員会において少し質問をしかけたまま不明確な状態で、そのまま中断したわけですが、この四十一年度決算の中の厚生保険特別会計、その中で資金運用部へ預託しておりますのが厚生保険関係が一兆八千百九十八億何がしです。これだけが四十二年三月三十一日現在の預託金の金額であるわけです。そうすると、「年金勘定5箇年度間積立金増減明細書」というのがありますが、これでいきますと一兆四千四百十四億の資金運用部への預託金になっておる。それからこの特別会計の中のその他の健康勘定あるいは日雇健康勘定のほうでは、四十年もですが四十一年度に資金運用部への預託金はない。こういうことになってまいりますと、ざっと四千億ほど差ができてくるのでありますが、これはどこへどう入れられておるか、その点を一点お聞きしたい。
○中村政府委員 先生御指摘のとおり年金勘定の貸借対照表では、四十二年三月三十一日におきますところの流動資産の現金預金は一兆八千億になっております。一方年金勘定の積立金明細表では、これも先生御指摘のとおり四十一年度は一兆四千四百億になっておりまして、その差が約四千百七十九億ほどございます。これは現金として資金運用部に預金がしてございますが、決算上四十一年度の積み立て金として仕分けされていないというだけでございまして、資金は資金運用部に預けてあるということになるわけでございます。 しからばなぜそういう仕分けをするかと申しますと、積み立て金といたしまして決算いたしますものは、四十一年度一兆四千億と申しますのは、正確に申しますとこれは四十年度の決算額がここへ出ているので、四十二年三月三十一日におきましては、実は年金勘定といたしましては一兆八千億の余裕金を持っておるわけでございますが、まだ決算を終了していない四千百億につきましては、これを積み立て金というふうに仕分けをいたしませんで、おくれた支払い等もございまして、まだ動く可能性がございますので、現金預金というところで整理したわけでございます。
○赤路委員 そうするとこういうふうに理解していいですね。この積立金増減明細表にある四十一年度のものは昭和四十一年三月三十一日現在の金額であって、これから四十一年度の分として四十二年三月三十一日までの間の積み立て金——ここに「(注)1」というので「前年度の決算の結果、積立金として積み立てた額が三四一七七三二二四八五〇円ある。」こうなっているのですね。そうするとこの四十年度の「積立金」のところ「前年度決算の結果、」というこれを加えますと、ちょうどこの四十一年度の一兆四千四百十四億何がしになるわけです。これと同じようであって、これに四十一年度の積み立て金を合わしたものが厚生保険としての預託金一兆八千億何がしということになる、そういうふうに理解していいわけですか。
○中村政府委員 先生御指摘のとおりでございます。それで、四十二年度の決算の準備をただいまいたしておるわけでございますが、実はことしの三月末で厚生年金の預金はもうすでに二兆三千億を突破いたしておるわけであります。しかしこれはことしの決算ではまだそう出ておりませんが、おそらくことしの六月の決算では一兆八千億ぐらいの積み立てという数字が出てくるだろうと思います。そういうふうに積み立て金として仕分けしますものはそれだけ少しずれてまいります。
○赤路委員 それからこれはこの前にもちょっとお尋ねしたのですが、健康勘定のほうの諸支出金が三十九年から比べますと急速にふえまして、三十九年度が六千二百三十二万であったものが四十一年度は四十九億というふうに非常に伸びておるわけです。三十九年までは借り入れ金が全然ない。四十年度からぐっと大きく上がっておるのです。この諸支出金というのはほとんど金利ですか。その他に何かありますか。
○中村政府委員 これは金利のほかに、諸支出金と申しますのは保険料の還付に用いるものがございます。これは金額が少のうございまして、先生お話のございましたように借り入れましたので、これがぐっとふえてきた、こういうことになっておるわけでございます。
○赤路委員 ちょっと健保勘定を調べてみますと、三十六年から四十一年までの段階における保険料の収入と給付との差なんですが、三十六年では保険料収入が給付のほうよりも四十億ほど多くなっておる。だから健保勘定だけで余裕金が出ておる。三十七年は大体とんとんなんですね。それから三十八年は収入よりも給付のほうが七十億ほど多い、それだけ赤字になるわけです。それから三十九年が百五十億、四十年が四百五十五億、四十一年が四百三十億と、もう急ピッチに赤字がふえておるわけなんです。これはどういうわけで非常に急速に欠損分が大きくなったのか、この点をお聞きしたいのです。
○中村政府委員 正確な資料は持ってまいっておりませんが、要するに、保険料として入りますところのものと医療費といたしまして支出されるものとの差が大きくなった、つまり、入ってきます保険料の収入が伸びております。これは被保険者の賃金等が上がってまいりますので、当然保険料収入も伸びてまいりますけれども、それよりも医療費の伸びのほうがずっと大きくなった、こういうことでございます。
○赤路委員 そのとおりなんですけれども、何かそういうふうになる原因というのですか、医療を受ける国民が非常に多くなった。そうなってくると、何か体質がみな悪くなってきたような感じにもなるわけなんです。 日雇いのほうをちょっと調べてみますと、これはうんと支出のほうが多いのですが、三十七年が八十七億、三十八年が八十九億、三十九年が百七十三億、四十年が二百三十七億、四十一年が二百五十九億と、ずっと給付のほうが多い。だから、健康保険関係は政管健保のほうも日雇いのほうも非常な差がある。要するに、給付と収入とに非常に大きな差が出てきておる。これはこのままでいけばもっともっと差が出てくるんじゃなかろうかという感じがするわけなんですが、これに対して何か対策を厚生省のほうで考えられておりますか。
○中村政府委員 ただいまの先生のお尋ねは、私、担当が違いますので、お答えすることは遠慮させていただきたいと思いますが、いずれ担当の委員からお答えさせていただきます。
○華山委員長代理 担当というのはどこですか。
○中村政府委員 保険局長でございます。
○赤路委員 それではこの次でもそれをお聞きすることにして、そのほうはおきましょう。 それから三十六年から三十九年までの年金勘定を見ていきますと、収入のほうは大体三百億程度ずっと毎年ふえておるようですね。それから支出のほうは二十億円程度ふえておる。こういう状態で、数字的には三十六年から三十九年までの間に大体三百億ずつ収入関係がふえて、二十億ずつ支出のほうがふえて、それがずっと累積していっておる、こういう勘定になるわけです。ところが、四十年度で急速に収入が大きくなっておるわけです。千五百億円くらいに収入が増加になっている。支出のほうが九十五億円ほどの増になっている。これも非常なふえ方になっておりますね。それから四十一年は、大体収入のほうが九百五十億の増であって、支出のほうが百七十億くらいになっておる。こういうふうに四十、四十一年を前三十六年から三十九年までと比較いたしますと、急速にそこのところで収入のほうも支出のほうもふえておるわけですね。これはどういうことでしょうか。 〔華山委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕
○中村政府委員 まず収入が四十年度で急にふえましたことは、これは四十年の五月に厚生年金保険法の改正がございまして、そこで従前でございますと、厚生年金保険の保険料の計算の基礎になりますところの標準報酬月額というのがあるのでございますが、それは、つまり被保険者の方々に保険料をかけますについて一定のワクがございまして、そのワクによって最低、最高の限度がございます。その限度は三千円から三万六千円までのワクであったわけでありますが、四十年の五月の改正で、最低が三千円が七千円、最高が三万六千円が六万円までぽんと上げました。それで保険料の収入というのがぐんと上がってきたということになります。一方、支出のほうは従来あまり伸びなかった。最近少し上がってまいりましたが、それは年金保険は、先生御承知のとおり老齢年金というのが主体でございますので、したがって、年金制度が始まりまして初めのうちはまだ老齢年金をもらう者が非常に少ない。だんだんこれがふえてまいりますので、いままでは支出のほうが少のうございましたが、これからいよいよ本格化してまいりますと、給付のほうも伸びてくる、こういうことになります。
○赤路委員 そこで、いまお話のあったように、ひょっとしたらこれからが本格的になってバランスが大体合ってくるということかもしれません。ただ四十一年度を見ておりますと、四十一年度の年金収入のほうは、ざっと四千七百五十六億、そうして支出のほうが五百七十六億になるのですね。いまの大蔵省の決算の説明書の二四三ページなんですが、歳出関係が五百七十六億八千百七十四万九千円、それから歳入関係が四千七百五十六万一千三百五十九万八千円、こういうことになるわけなんです。ここではかなり大きな差がついているわけですね。そうすると、この調子で回転していきますと、雪だるまのように膨大なものになってくると考えられるわけなんです。何かこういう事態の中でこれがだんだん年を経るにしたがって大きくなっていく。おそらく大きくなるでしょう。ならなければどうにもならぬのだが、それに対して何か対策を考えていられますか。
○中村政府委員 年金保険の支払いに対する仕組みと申しますのは幾つかございますが、厚生年金保険の場合は一定の目標のもとに当初のうちは必要額以上に積んでおきまして、そしていずれピーク時にそれを備える、こういういわゆる積み立て制度をやっております。それに対しまして、その年度年度要る分だけを取っていくという、いわゆる賦課式という方式があるのでございますけれども、そういう積み立て制度をやっておりますので、いまのところまだ厚生年金制度が始まりまして二十五年しかたっておりませんので、現在のところまだ一見給付費と比べまして、保険料収入のほうが圧倒的に多い数字になっておるのでございますが、これはそういう長期にわたりますところの保険数理に基づきまして保険料の計算をいたしておりますので、こういうような一見保険料収入と給付との間に非常に大きなギャップがあるようでございますけれども、これはこういうしかけでいたしておるわけでございます。 それからまた、現在の保険料というものは実は修正をいたしておりまして、取るべき保険料と申しますか、平準保険料よりも低い保険料で保険料を取っておるわけでございまして、現在男子の場合、千分の五十五という保険料でございますけれども、これは現在の年金の仕組みから申しますと、それは本来取るべき保険料よりも相当低い保険料である。そしてこれは再計算をいたしまして、少しずつ上げていく、こういうふうになっておるわけでございます。現在のところ、昭和四十四年度が再計算の時期になっておりまして、明年度でございますが、ただいま、厚生省といたしましては再計算をいまいたしておりまして、それに従いまして新たなる保険料率というものがまたきまるわけでございます。そういうことになっております。
○赤路委員 おっしゃるように、この年金勘定の貸借対照表を見てみますと、貸借対照表の現金預金が一兆八千五百九十三億七千三百九十四万円ですが、ここに注がついておって、繰り越し利益一兆四千何がし、それから本年度利益四千百八十二億の金額は、厚生年金保険法に規定する老齢年金等の給付財源として保留すべきである、こういうふうにうたわれておるわけで、おっしゃるように、いまの段階ではまだ給付のほうが非常に少ない。しかしながらそれがだんだん縮まってくるだろう。いずれにしても、四十四年度には再計算をして、その結果でまた対策は考えられる、こういうことだと思います。 そこで、一つだけ、変な言い方なんですが、年金も健保も、それから日雇い健保も、これは厚生保険特別会計の中なんですね。勘定は別々なんです。勘定は別々であるのだが、その中であることは間違いない。勘定は別々だから別々にすると言えばそれはあれなんですが、こういう考え方は成り立たぬですかな。健保と日雇い健保の四十一年度の損失金の合算は、六百八十九億になります。これに対して年金勘定の利子収入あるいは金利収入ですね。これは六分五厘で資金運用部から入るやつですが、これが合算しますと大体千二十五億になる。そうすると、厚生保険特別会計の中で考えた場合、それぞれの勘定でなしに全体として考えていきますと、これは利子収入で欠損金は十分まかなえてまだちょっと余るのではないかという勘定になるわけです。ところが最近、何ですか、健保関係にいたしましても日雇い関係にいたしましても、それだけの部分で見ていくとたいへん大きな支出増になっている。保険料の収入よりも給付のほうが多くて、これではやっていけぬという感じを持つわけなんです。そこがあったので、一体どうだろうかと先ほどお聞きしたのですが、これは御答弁願えないのですが、非常にこれは変則的な、ほんとうの経理のあり方とは違うかもしれませんが、そういう考え方も大きく厚生保険特別会計の中で考えていけば考えられぬでもないので、それらの点をも加味して、ひとつ四十四年度の計算のときは十分御検討を願いたい、このことをお願いしておきます。 それだけで終わります。
○鍛冶委員長代理 鈴切康雄君。
○鈴切委員 公害問題でその名を知れわたっておりますところの三重県四日市市に、恐怖の日永肝炎が発生しているというこの事実につきまして、その経緯をお伺いしたいと思います。
○村中政府委員 ただいまお話しのいわゆる日永肝炎でございますが、これはこの地区で比較的最近肝炎が発生したということで、この名前を俗称的に使っているのでございます。昨年の四月ごろから三重県四日市の地域で約百四十名の肝疾患が出ております。そのうちの八十名がいまお話しの日永地区に片寄っているというふうな発生が見られまして、これに対して日永肝炎という名前がつけられたわけでございます。 現地では、県が主体になりまして、三重大学それから名古屋大学それから地元の医師会、三者が共同でこの調査に現在乗り出しております。これに対しましては厚生省からも若干の調査費を計上いたしまして、県の費用と合わせまして現在調査をいたしておるところでございます。まだ調査の段階でございましてその全貌は明らかにされておりませんが、大体の発生の様子から考えまして、いわゆる流行性肝炎の一種ではないかというふうな想像を現在いたしております。
○鈴切委員 原因不明のままになっている間にすでに二十名余の人々が犠牲になっているわけでありますけれども、この病気についての経過、そして並びにこの種の病気の発生した分布状況はどのようになっておりましょうか。
○村中政府委員 いわゆる流行性肝炎というふうな問題が出てまいりましたのは近々十年くらいのようでございます。ただし、学者内でいろいろ調査されてまいりますにつれて、この種の肝炎がそれよりはもっと以前にあったというふうな考え方に現在なっております。近々十年ぐらいでほぼ三十件ぐらいのいわゆる流行性肝炎の地域的発生が見られておりますが、この流行性肝炎の現因につきましては一応学者の間ではビールス性の疾患だ、ある特定のビールスが原因で肝機能障害を起こして、いわゆる肝炎を起こすのだというふうな説になってございますが、残念ながら現在の段階では、まだ犯人のビールスが確定的に発見されていないという実態でございます。しかし文献によりますと、第二次の世界大戦で、米軍からも二十万近くこういう肝炎が発生したという報告もあるようでございますが、現在のところ、集団的に発生いたしますと、その地域、地域に調査班を編成して行なっておりますけれども、全国的な発生がどういう形で出ているかというふうな全貌については、現在の段階では残念ながら把握されておりません。 ただ、二、三年前でございますが、金沢大学で、福井県のある地域を区切りまして、三十九年、四十年の二カ年間五百名ぐらいの地域住民を対象に肝臓機能の障害の検査をいたしました。この検査の結果、七%前後にいわゆる肝機能障害があるということが出ております。ただ、この肝障害と、ただいま御指摘の四日市市に出ております肝炎との関連ということにつきましては、非常にむずかしい問題がございます。ただ言えますことは、そういうふうな任意的に抽出されたある地域で、特定の対象について一般的な肝機能障害の検査をやって六、七%の障害が発見されたということは、見方によっては、ある程度広げて、全国的な一つの目安にもなるんじゃないかというふうな感じもいたすわけでございます。
○鈴切委員 私の調査によれば、昨年の十一月中旬市立病院に入院あるいは通院している肝臓疾患の大部分が日永と四郷地区の人たちであることから疑いが持たれて、直ちにその患者百三名について調査をした結果、市内の人が八十五人、うち日永地区三十六人、四郷地区十人と、この周辺に散発的に発生していることがわかったわけですが、その点はいかがでしょうか。
○村中政府委員 ただいま御指摘のような状態だと考えております。
○鈴切委員 そこで、四日市市並びに三重県当局とそれから厚生省としてはどのような処置並びに指導をこれに対してやっているかということをもう一回詳しく伺いたい。
○村中政府委員 先ほど申し上げましたように、現在把握されております百四十名の肝炎の患者につきましては、それぞれカードをつくりまして集計を現在いたしております。従来の流行的な肝炎の発生につきましては大体ビールス性のものであるという推定もされますところから、こういう形でもしも四日市市の日永地区の発生があるとすれば、推定される原因として、経口的な原因の侵入を防ぐような食物あるいは水、こういったものに対する衛生的な措置、それから肝臓疾患でございますので、食事的な面の指導が当然出てまいる。もう一点は、もしも疾患が潜在的にあるとすれば早く発見するということで、健康診断の励行ということが、対策の一応の柱としてこの地区にも実施されておる。 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この調査につきましてはわずかでございますが、厚生省でも四十二年度で予算を組みまして、調査に対しては協力いたしております。
○鈴切委員 先ほど、十年前ぐらいからというようなお話があったのですが、その十年間における発生状況はどのように推移をしてきているか。なお今後どのような見通しであるかということについてもお願いしたいわけです。おそらく十年前といまとは当然その発生状況が違うと私は思うわけでありますが、その点についての年度別の発生状況をお願いします。
○村中政府委員 ただいまの過去十年ぐらいの流行性肝炎の傾向についてのお尋ねでございますが、これは残念ながら、報告されたものについての把握はございますけれども、全国的な調査というようなものは実施いたしておりません。ただ学者間の意見としては、だんだんふえる傾向にあるというふうなことがいわれているようでございます。特に著しい例といたしましては岡山県、長野県、福井県、石川県などでの流行が報告されておりますし、実際に三重県下でもこの四日市市を中心にしまして過去において幾たびか発生があったようであります。
○鈴切委員 ふえる傾向にある、だけれどもデータはないというお話でありますが、御記憶のある限りで、いつごろからふえたというふうにお考えになりますか。
○村中政府委員 主として私が読みました文献は金沢大学の調査によるものでございますが、この文献を見ますと、昭和三十五、六年の時点で把握して、先ほど申し上げましたような形で最近ふえてきている。ですから、ごく最近の昭和三十九年、四十年の傾向はその中に入っておりませんけれども、増加の傾向ということを引き伸ばして考えますと、やはりふえつつあるのじゃないかという感じがいたしまして、特に大きな流行では、先ほど申し上げましたように岡山県の水道の飲み水による流行というのが相当詳しく報告されておるようでございます。
○鈴切委員 私の調査によると、まず該当地区の十五歳以上の住民五千百十六人を対象に、飲料水、便所、台所の使用状況、肝臓疾患の既往歴などについてアンケート調査を行なったところ、肝臓疾患で医者にかかったことがあると答えた者が三百九人、全体の約八%もありました。アンケートの調査の結果、最も発生率が高いと思われる天白町の住民について集団検診を実施しましたところ、検診は、医者による問診と、血液による肝臓の検査で、その結果、受診者二百四十三名中、異常を認めた者は九十七人、受診者の約四〇%、年齢的には三十歳以上が圧倒的に多いことが実証された、そのように私は調査しているのでありますが、その点についてお伺いします。
○村中政府委員 ただいまの数字についてでございますが、これは私どもが県のほうからとった数字でございますけれども、御指摘のようにアンケート調査をいたしまして、約三千五百名ほどの回収をいたしました。この中で身体に異常を訴えたというのが千三百二十名、この対象について肝臓の機能検査をいたしました。これでは実際には四つの種類の検査をやったようでございますが、その四つの肝臓機能検査の中で二種類以上陽性が出た、つまり肝臓機能の障害を認められているのが六十五名、それから一つだけの検査で異常があったという者が百七十四名、合計して二百三十九名が、肝臓機能検査により肝臓障害が認められたというふうな数字の報告がまいったわけであります。
○鈴切委員 私の調査によると、昨年四月ころから流行し始めて、十月に入って、患者の数は急増いたしました。百名近い数となって、現在市立病院に入院中の患者は十二名ある、そのように聞いております。いまは横ばい状態になっているが、まだまだ患者は増加するのではないか。一応あなたが言うように、ウイルスが原因だというふうにいわれますが、それでもはっきりしないわけであります。住民は、原因不明というこの病気が発生に、非常に不安におののいているわけでありますけれども、何らかの対策を考慮されておられますか。
○村中政府委員 的確な対策といたしましては、いまお話しの、調査の結論をまって処理をするということになるわけでございますが、一応肝炎が発生している、しかもこの発生の様相から考えて、ウイルス性の流行性肝炎とある程度の想像がつくというふうなことで、ウイルス性肝炎の発生防止と申しますか、対策を中心に地元住民に対しては防疫と申しますか、指導をいたしておるわけでございますが、この中で具体的にあげますと、先ほどのお話もありましたが、経口的な感染が考えられる。その一番大きな問題になりますのは水でございまして、報告によりますとこの地区は一応水道が引かれているのでございますけれども、各家庭では井戸水も使っているところがあるようでございまして、こういう水が食事などの際に口へそのまま入らないような衛生教育もやはり必要かと考えますし、できるだけそういうウイルスによる汚染がないような形で、経口的な感染を防ぐというのが一番基本的になる問題でありますが、これと合わせまして健康状態を健康診断によって把握をしていくというのが、そのあとに出てまいる対策だと考えております。 なお、調査の集計はここ一、二カ月で終わるというふうな見通しでございますので、一応調査の結果を待ちましてから、具体的な対策をしたいと思っておりますが、県当局といたしましては、四十三年度も引き続きこの調査を続けてまいりたいというふうな考え方を持っているようでございます。
○鈴切委員 私の調査によりますと、肝炎症状になる患者は、三重県の員弁町においては、昭和三十九年は計百二名、死亡五名。うち男五十名、死亡一名。女五十二名、死亡四名ですね。四十年は計百五十九名。うち男が九十一名、女六十八名。死亡は同じく五名、男のほうが一名で女が四名。四十一年度は十五名にとどまったわけです。それから同県の二見町においては、四十年は計五十九名と、このように大きな犠牲を出しております。厚生省のほうには現在報告だけでデータがないと言われますが、私の調査によるとそうなっております。この日永地区の住民の生活、それからまたいまあなたが言われましたように、井戸水と簡易水道を使っているその世帯数の比率は、どういう状態になっておりましょうか。
○村中政府委員 この調査は、私どもまだ現地からの報告を受けておりませんが、おそらくただいま申し上げました、あと一、二カ月で中身の報告が出てまいる、こう考えておりますけれども、連絡を受けた中身では、一応水道の布設地区であって、個々に井戸を使用しておる例が多いというふうに聞いております。比率についてはちょっと承知いたしておりません。
○鈴切委員 これだけ大きな肝炎が流行しているにかかわらず、厚生省としてはまだそれだけの対策を今日まで打っていなかったという点、それについて私はもっともっと真剣にこの問題について取り組まなければならないと思うわけです。その点についていかがでしょうかね。
○村中政府委員 申し上げましたように、私ども対策を実施してないということではなくて、現に昭和四十二年度では伝染病予防費のほうからさいて調査費を計上して、県と共同して調査をいたしております。申し上げますと、この調査の結果が出るのがあと一、二カ月ということで、その結果の上で具体的な対策をとりたい。ただ、いまの時点で考えられますことは、過去において発生した流行性肝炎と非常によく似た様相を持っておるというところから、ウイルス性の流行性肝炎に対する対策を現地で指導しているということでございます。
○鈴切委員 その過去に発生したウイルス性の肝炎とよく似ていると言いますけれども、それと全く同じだとは私は断定できないと思うのです。そこで、三重県の四日市に発生した例によりますと、日永、四郷の両地区が非常に多いわけです。すなわち、昨年十一月中旬に四日市市の市立病院に入院または通院中の肝炎患者の実態を調査しましたけれども、患者百三名のうち、市内の人が八十五名、その中で日永地区が三十六名、四郷地区が十名、その他散発的に発生をしておる。この両地区は伊勢湾に抜ける天白川と鹿化川にはさまれており、いわゆるゼロメートル地帯のおよそ八〇%から発生しているということでありますけれども、環境衛生の上において厚生省としてはどのようにお考えになっておりましょうか。
○村中政府委員 流行性肝炎に限らず、経口の伝染病の発生につきましては、ただいま御指摘のように環境上のいろいろな問題が出てまいるわけでありますが、これと並んで問題になりますのは、地域住民あるいは指導当局の伝染病の発生に対する衛生教育の問題が出てまいります。こういうことで、環境の条件が解決されれば、相当数のこういう経口性の伝染病の流行というのは防げるわけでございますが、これだけでは防ぎ切れないというのが従来の発生の様相でございまして、私は、三重県四日市のこの地域の環境衛生の状況に合わせまして、地域住民の伝染病に対する衛生教育というものをあわせて行なうべきだ、こう考えております。
○鈴切委員 日永地区においては、その患者の発生は大体五月から六月ごろ、また秋口にピークになる、そのようにいわれているわけです。未然の防止策並びに環境衛生を今後どのように厚生省としてはお考えになっているか、その点についてお伺いしたい。
○村中政府委員 これは仮定を置いての御説明になりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、ウイルス性の流行性肝炎というふうな肝炎の流行に際しまして、その流行がどういう形で発生しているか、言いかえますと、爆発的な、一時的な発生を見たのか、あるいはじわじわと、堤防の切れ目から水のしみ出るような形で、だんだん出てきたのかというふうなことによって、伝染の様相に対する対策が変わってまいる。今回の日永地区の患者発生の様相を見ますと、私は爆発的な流行ということよりも、ある程度の、数カ月の期間をおきながら、だんだんふえてきたというふうな感じが実はいたすのであります。こういう形の流行で一番問題になりますのは、感染をする原因がどこかにあって、それが第二、第三とだんだんだんだん病気をうつしていくというふうな形のいわゆる接触者感染というふうなことが、こういうじわじわと発生を見る場合には考えられる発生の方法であります。前者の爆発的な流行につきましては先ほどもちょっと申し上げましたように、たとえば共同施設で同じような食べものを一時に食べたり、あるいはある地域で水道が原因で同じ飲み水から爆発的に発生しておるというふうな、同じある時点での感染源に対する暴露的なものが出てくるわけです。それに比べますと、今回の三重県の四日市の場合には、私はむしろ接触者の感染の比重が高まっているのじゃないかという感じがいたします。こういう場合には、一番大きな問題はどこに感染源があるか、言いかえますれば、もしもウイルスがあるとすれば、そのウイルスを持っておる人がどこにいるのか、さらに言いかえますと、そういうウイルスを持っている患者の発見あるいは保菌状態にある者の発見ということが伝染病の防遏の一番基本になる問題だと考えます。そういう意味では私は今回の流行についてはできるだけ患者の調査と申しますか、健康調査をいたしまして、潜在しているこういう肝障害者を管理をしていく。日をきめるなり月をきめて定期的な健康診断を受けるような指導をしていくというふうなことが、直接的には流行の防止に役立つもの、こう考えております。ただ御指摘のように、一体その地域の環境的な条件がこういう病気を流行させる原因になったのじゃないかというふうな点の御指摘につきまして、私はもう少しこの調査の結果を待たなければ、はたしてそういうことが原因なのか、それもあるけれども、まだほかにも原因があるかという点の判断は、ちょっといまの時点ではできにくい、かように考えます。
○鈴切委員 問題は、今回多数の発生を見たこの種の肝炎の発生原因に問題があると思うのです。突然襲った原因不明の病気、そのようにいわれておるし、また原因不明であるがゆえに、不安も非常に大きいわけです。ところが村中公衆衛生局長さんからいまお話がありましたように、ウイルス性肝炎である、専門家はそのように見ているわけでありますけれども、実際にこの問題は非常にむずかしい問題だと私は思います。要するに肝炎に対するビールスの培養というものは可能なものであるかどうか、その点について……。
○村中政府委員 ただいま御質問のウイルスの問題についてでございますが、御承知のとおり一番ありふれておりますのは例の小児麻痺、これはウイルス性の疾患でございます。この小児麻痺の対策が軌道に乗りました根本的な問題は、言うまでもなくなまワクチンの製造ができたことであります。このワクチンは名前のとおり、ポリオのウイルス、小児麻痺のウイルスをもとにしてつくった、生きたウイルス、これを感染しないような、発病しないような状態にしておいて、しかもそれを飲むことによって人間のからだがポリオのウイルスに対する抵抗性を持ってくるというのがこのなまワクチンのねらいであります。この小児麻痺対策の成功した背景には、ただいま申し上げましたような小児麻痺を起こすウイルスの倍養がうまくいった、成功したということが原因であります。このウイルスはそのほかにもいろいろありまして、いま御説明申し上げましたように、神経に特にくっついて、神経の中でふえていく、そういうウイルスと、それからのどから気管支にかけて肺の中でふえていく、そういうウイルスとか、あるいはいま問題になっております肝臓の組織の中にくっついてそこでふえていくウイルスとか、ウイルスの種類によって特に好んで発生する場所がみんなあるわけです。ですからこの肝炎のウイルスをもしも見つけ出すとすれば、やはり肝臓の組織の中で培養されるということがまず第一の条件になってまいる。そういうことでずいぶん世界の学者が流行性の肝炎が起こるたびにウイルスという見当をつけながらこの病源、ウイルスの培養をやっておりますが、残念ながら肝臓の組織の中でウイルスを培養するというふうなことが現在まだ成功していない。この研究については、私は今後も引き続いて世界の学者が研究されると思いますけれども、こういう疾患に対しては致命的な未解決な問題がありまして、ポリオのような、小児麻痺のような的確なワクチンがつくれないということだと考えております。
○鈴切委員 日永と四郷の地区は要するに天白川、鹿化川にはさまれており、その付近には界面活性剤の製薬会社が私はあると思うのですが、四日市の界面活性剤をつくっている会社、これについてお伺いします。
○村中政府委員 私承知いたしておりません。
○鈴切委員 私は調査しております。これについては界面活性剤をつくっている会社があるわけであります。厚生省はやはりその点もよく調査をされなければ、こういうふうなビールスだけの問題では片づけられないものがあると私は思います。なお四日市は有名な石油コンビナートがあります。石油コンビナートとそれからいまのこの日永地区とはどれくらい離れておりますか。
○村中政府委員 よく承知いたしておりません。
○鈴切委員 きょうは、私はこの問題を取り上げるということは前々から通知もしているわけであります。しかも広範にわたって私が質問をするというならば、それはわからないこともあるかもしれません。しかし大事な、いまなお続発しているところの肝炎の問題について私が質問をするという立場であるならば、当然それくらいのものは皆さんのほうで資料をもって調べなければならないと私は思うのですが、その点調べてもらいたいのです。この問題はまず界面活性剤をつくっている会社が四日市にあるかどうかという問題と、それから四日市のコンビナートの場所はどれくらい日永から離れているかという問題、これについてすぐ調べてください。——じゃあとで報告してください。四日市に有名な石油コンビナートがある。石油の中には当然有害物質が含まれるわけですね。当然有毒物質としてこういうものが流れているということは十分に私は推測できるのです。空においては御存じのとおり四日市にまき散らしているところの有毒ガス、すなわち四日市ぜんそくの流行があるわけです。これもやはり石油コンビナートのいろいろのそういうものから行なわれたところの公害だ、私はそのように思うわけです。あなたは、ビールスというように一方的にいまお話になったけれども、私は、むしろそれよりも公害が原因ではないか、そのように思うわけです。その点について、あなたのほうとしては当然調査をすべき責任もあるわけでございますけれども、私が提案をしたこのことについて、ひとつ調査をしていただきたいと思いますが……。
○村中政府委員 ただいまの御指摘で、私が、この地域の肝炎の流行はウイルス性のものであると断定したような説明にお受け取りになったようでございますが、私は、初めから申し上げておりますように、従来の流行性肝炎の発生と非常によく似ている、しかし、この肝炎の流行がはたして従来の発生のものと同じかどうかということについては、調査の結論を待たなければ申し上げられないということを何回も繰り返して申し上げておりまして、この点は多少説明が足らなかったかと存じますが、御了解いただきたいと存じます。 なお、先ほど御指摘の活性剤の製剤会社、石油コンビナートの所在、この問題につきましては、後ほど場所につきましては調査をして御報告を申し上げたいと存じますが、こういうものとの今回の肝炎の因果関係につきましては、これも御指摘のとおり調査の結論を待たなければ、私は、いまここで何とも判断はできない。おそらく、こういう背景の中で発生した肝炎でありますので、当然こういう問題も入れた調査が行なわれている、こういうふうに私は理解をいたしております。
○鈴切委員 界面活性剤を製薬している会社がある。しかも、界面活性剤というのは、ミトコンドリアがおかされる。それはどれだけのABSの量によっておかされるかということについてお伺いしたいのですが……。
○村中政府委員 私、不勉強で、そういう専門のことについてはあまり承知をいたしておりませんが、十分研究をさしていただきたいと思います。
○鈴切委員 私の調査によりますと、実はこれは科学技術庁研究調整局でありますが、もしABSが細胞内に入れば千万分の〇・二グラムの濃度でミトコンドリア活性は阻害される、そのように言われているわけです。そうしますと、ほんとうにごく少量の界面活性剤によって肝臓はおかされるという事実について、やはり私は、あなたの言うようなビールスというふうな考え方だけでなくして、こういうものが大いに影響している、そのように思うのですが、その点について十分調査されますか。
○村中政府委員 伝染病の対策であるいは原因不明の多発疾患で一番問題になりますのは、特定の原因を仮想して対策を立てる、これが一番の誤りであることは定説でございますし、私どもが疾病対策をやる場合には厳に慎んでいる問題でございます。ただ、それでは原因がわかるまでほったらかしにするのかという問題が当然出てまいるわけでございます。それは、過去の経験によって知り得たいろいろな方法で次善の対策をやる、わかる範囲内の対策をやる。根本的な対策につきましては、結論が出て基本的な処理をするというのが順序だろうと私考えます。 いまの科学技術庁で研究されたという内容につきましては、先ほども申し上げましたけれども、よく承知をいたしておりませんので、今後よく勉強をしたい、こう考えております。
○鈴切委員 国立衛生試験所の毒性部長というとだれですか。
○村中政府委員 池田部長でございます。
○鈴切委員 その池田部長は、実は某研究機関の報告、すなわち「試験管内実験でABSが〇・〇二PPMの濃度で肝のミトコンドリアの呼吸酵素を阻害する」を引用して、ABSが体内に入った場合に肝を障害する可能性のあるような印象を与える記事があったが、専門学者でも非常にむずかしい人体における化学物質の毒性の評価に関して、工学者が意見を述べること自体に疑念を持つが、このことは別として、試験管内における実験結果から、直ちに人体における毒性を類推することには大きな飛躍があって、わが国の諸学者及び外国の各研究者が行なわれたインビボーにおけるどの研究においても、かなり多量のABSによっても明らかに肝障害を認めた報告は一つもない、このように池田さんは言っておるわけですが、私は、池田さんは非常にけしからぬと思うのです。要するに、科学技術庁の研究調整局のここのところに池田さんが加わっておるわけです。池田さんが加わっておるにかかわらず、こういうふうに、某研究機関の報告についてはこういうことがないというのはどういうことなんですかね。しかも、国立試験所の毒性部長が加わってこういう見解を出しておるにかかわらず、次には、要するに食品添加物及び合成洗剤ということについてはこのような見解を出しておるということについてはどうなんですか。
○村中政府委員 最初にお断わりいたしますが、私の所管でございませんので、内容につきましては承知をいたしておりません。ただ、私が判断できますことは、肝臓の機能そのものもそうでありますが、私どもが学生時代に習った肝臓機能の検査といいますと、現在とは全く様相を変えております。しかも肝臓の機能そのものについても、まだまだ生物学的にも医学的にもあるいは化学的にも究明されていない部分が残っておると考えます。そういう問題につきまして、私は、学者の間に非常な意見や論争のあることは考えられることだ、こういうふうに理解しておりますが、ただいま御指摘の、肝臓機能の障害を起こすかどうかというふうな専門的な内容につきましては、私残念ながら内容をよく承知いたしておりません。
○鈴切委員 いま申し上げましたとおり、少なくとも科学技術庁研究調整局で、その池田さんが中に入ってこの結論を出しておるわけです。それを今度はこちらの食物のほうにおいては、まるでおれは知らないというような見解を出しておる。こういうような矛盾をした、要するに、厚生省の調査官が何人いたって、それはお墨つきの調査官であって、実際日永肝炎にしたって、阿賀野川の問題にしたって、あるいはイタイイタイ病の問題にしたって、あるいはそのほかのいろいろな、いま富山県にある小矢部川の問題にしたって、私は、絶対に解決できないと思うのですよ。私は、少なくとも、こういう偏見を持って、いわゆる自分の言ったことをぬけぬけと他の場所においては口をぬぐうというような、そういう厚生省の調査官が幾ら調べてみたって、この問題は解決しないと思う。もう少し広範囲のもとにこういう問題をどんどんと調査研究する必要があると思うのですが、いかがですか。
○村中政府委員 鈴切委員のただいまの御提案、私は全面的に賛成を申し上げるというわけにはまいりませんが、不明な問題の解明に、できるだけ範囲の広い専門家を動員して調査をするということは、私自身も同感でございます。
○鈴切委員 では、これはこれまでにしておきまして次に進みます。 一月十八日ですが、新聞の夕刊に報ぜられました森永乳業多摩工場製造の粉ミルクが販売停止になった事件についてのいきさつはどういうことであるか、御説明願いたい。
○神林説明員 お答え申し上げます。 昨年末から本年の初めにかけまして、森永Gドライミルク、これは乳幼児用の特殊調製粉乳と申しておりますが、これが一部溶解不良である、あるいは酸味が強くて赤ちゃんが飲まないというような訴えが本社に直接あったそうでございますが、一方、東京都におきましても、保健所にこういう訴えが出まして、一月の十二日だったと思いますけれども、保健所がこれを調べましたところが、ビタミンCが過剰に入っているということであります。
○鈴切委員 ビタミンCが過剰に入っているということについて、当然この問題については七条によって厚生大臣のほうにその規格を出しているわけでありますけれども、それについて、過剰に入っていたその量の程度、それについてお願いします。森永はどれくらいあれで出してあって、そうして現実にはどれだけあったか。
○神林説明員 調製粉乳に入れますところの栄養素の種類であるとか混合割合は、厚生大臣の承認を受けることになっております。 このビタミンCにつきましては、厚生大臣の承認を受けたときには七十ミリグラムということになっておったのが、この当時最高のものが約六百ミリグラムである、これは最高でございますが、それ以下のものもございます。そういう結果でございます。
○鈴切委員 一月十九日の各紙の広告欄に森永乳業が「ご愛用者の皆さまにお願い」とかあるいは「販売店の皆さまへ」というようなわび状のような意味の広告が出されておったのですが、これは厚生省かあるいは東京都か、あるいはそれとも森永乳業自体が自発的に出したのであるかどうか、その点についてひとつ……。
○神林説明員 これは森永自体が自発的に出したものでございます。
○鈴切委員 その広告文の中に「ご承知のように、ビタミンCは人体に害はありません」云々とされているが、ビタミンCの過剰含有量を運用した場合、乳児の場合はどのような影響が起こるかという問題ですが……。
○神林説明員 一応、学説によりますと、ビタミンCは、摂取されて、過剰のものは尿中に排せつされる。したがって、過剰症というようなことは起こり得ないというふうに思っております。
○鈴切委員 あなたがそういうふうなことを言うならば、それじゃ——別に、ビタミンCが多かったら、要するにみんな排せつされるならばそのままでいいと思うのです。ところが、それはあなたの一方的な学説であって、やはりその過剰の飲用というものは、ひいては結石を起こすとまでいわれておる、そういう一つの学説があります。いまあなたはそういうふうに言われましたが、はたしてそれじゃ乳児にビタミンCをうんと過剰に飲ましてやった人体実験があるのですか。
○神林説明員 それはおそらくございません。動物実験はあると思います。
○鈴切委員 乳児はとにかく発育途上において大きな変化を持つものでしょう。もうわれわれみたいに大きい場合においては、これは話は別です。しかし、今後骨格ができ、その他の基礎的な形態を整えていく、そうなった場合に、乳児に対する人体実験のデータ、ビタミンC過剰がどのような影響を及ぼしていくかということについては、これはあなたも人体実験をやったことないというのですから、私はとうていはかれないものがあると思うのですが、どうですか。
○神林説明員 そういうふうに考えます。
○鈴切委員 森永のほうでは「ビタミンCは栄養品で、多くてもどうということはないが、規格にあわないものをだすのは道義上問題があるので、都の命令がある前から自主的に回収した。」こういうふうにいっている。乳児に対するところの過剰な飲用はからだにやはり毒があるんではないかという見解からいうと、これはまるきり反対のことを言っているわけです。そこで、都の命令がある前から自主的に回収したというのですが、都の命令がある前から自主的に回収したというのは、その前にも何かあったのですかね。
○神林説明員 これは私二つ意味があると思います。実はいま言った回収したというのは、すでに本社のほうにそういう訴えがございまして、それで本社もそれを一応回収したというのが今度の事件だと思いますが、その前に、もう一つ、先生あるいは御指摘の点は、やはり調製粉乳の砒素の事件のことかと私考えておりますが、これも確かに昭和三十年にございました。
○鈴切委員 私はそういうふうに言っているのじゃないです。実はこの問題を私は調査いたしました。そうしましたところが、すでにこのドライミルクが非常に各般にわたりまして、関東一円で十数件このような苦情があったのですよ。いいですか。あなたの調査にそれが載っていますか。関東一円に十数件あったのです。ところが、これをみんな薬局へ持っていく。そうしますと、薬局のほうでは直ちにあやまって、外面に出なかっただけの問題でしょう。ところがこの江戸川の一消費者は、薬局へ持っていったところが、薬局では、あの森永のミルクにしてそんなことはないといって、突っぱねられたわけです。そこで困って、これを保健所へ持っていったのじゃないですか。どうしてあなたはそういうことを言わないのですか。そういう事実があるでしょう。
○神林説明員 その点は私誤解をしておりましたが、十数件でなくて、私たち調査した結果では、東京、八王子、宇都宮、水戸、甲府、浦和、千葉、横浜に大体ございました。
○鈴切委員 ビタミンCを連用すると体内に結石ができるという報告もあります。全然無害と会社側に言わしておいて、厚生省としては黙っているということは、また、回収、販売停止を発表したいきさつから、私は何らかの説明を加えるべきではないかと思うのです。私がいまここでこのようなことを言わなければ、この問題はやみに葬られて、そうして結局は販売停止、回収ということで終わってしまうのじゃないかと思う。こういうふうな問題があったときには当然単に販売停止、回収では済まされない。社会に与える大きな影響を考えると、もっときびしい責任体制をとるべきだと思うのですが、それはいかがですか。
○神林説明員 これは調べまして大体ビタミンCであるということがわかりました。その結果、私たちはすぐ東京都の調査をするとともに、森永の本社の責任者を厚生省へ呼びまして原因を追及いたすとともに、取り扱い管理、特に添加物の取り扱い管理に相当問題があるということで、その改善を指示いたしました。 それからさらに、これは一森永の問題ではないということで、大体各社でつくっておるところの特殊調製粉乳について、その衛生管理をもっと厳重に徹底するようにということを、社団法人日本乳業技術協会に対して指示いたしました。さらに、昭和四十三年二月十日に、各社の調製粉乳を、製造所を管轄する都道府県に命じて収去いたしまして、目下衛生試験所で検査中でございます。
○鈴切委員 私はこの問題については第四条の違反に当然問わるべき問題じゃないかと思うのですが、第四条の項目についてひとつ言っていただきたい。
○神林説明員 お読みいたします。食品衛生法の第四条は、「左に掲げる食品又は添加物は、これを販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。但し、一般に人の健康を害う虞がなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。二有毒な、又は有害な物質が含まれ、又は附着しているもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。三 病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。四不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。」これだけであります。
○鈴切委員 要するに乳児が酸性の強いビタミンCの過剰によって吐く、そうして吐いてもしも肺炎を起こした場合には、これは四条違反だと私は思うのです。またビタミンCの過剰は還元作用を起こすわけでしょう。還元作用、わかりますね。それは還元作用を起こしますね。しかもこの製造工程の中におけるところの問題については私は問題があると思うのです。それは私は四条違反だと思うのですよ。どうして四条違反の取り扱いをしなかったのですか。その製造過程におけるところの状況を話してください。
○神林説明員 一応四条違反にしなかったのは、有毒、有害の物質でないという、しかも最高六百ミリグラム程度ならば人の健康をそこなうおそれがないということで、私たちは一応四条違反ではないということになったわけでございます。
○鈴切委員 六百ミリグラムで要するに人の健康を害するものでないとするなら、なぜあなたそれを販売停止して回収——しかもその処分はどうしたのですか。
○神林説明員 一応食品衛生法の第七条に、厚生大臣は食品の、あるいは添加物の規格基準をつくることができるようになっておるわけでございます。この場合、その食品の成分規格を私たちはきめておるわけでございます。それが先ほど申し上げました、厚生大臣がその種類あるいは混合割合について一応承認を与えるという制度になっておりまして、そのときの制度が、先ほど申し上げた七十ミリグラムという限度で承認したわけでございます。それに対して六百ミリグラムというような量が入っておることは、この成分規格の違反であるというふうに私たちは解したわけであります。
○鈴切委員 それは成分規格の違反は当然ですよ。そんなことはあたりまえのことです。だから四条違反です。「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。」という内容がありますね。これはぼくは大きな問題だと思うのですがね。いまあなたはそのように言われた。それじゃそのビタミンCの過剰になったという森永の製造工程の過程というものについての一切のいきさつを教えてください。
○神林説明員 私どもの調査しましたところによりますと、工場においてビタミンCの粉乳における混合の状況を一応調べようということで、特別な実験用のものを工場の中に持ってきておったのだそうでございます。それをそのままミキサーにかけまして、それが普通の調製粉乳の中に入っておったという結果になっております。
○鈴切委員 私はそれが問題だと思うのです。少なくとも試験をするための試作品のビタミンがはたして衛生検査が十分に行なわれたかどうかという問題ですよ。要するに、ビタミンの試作品を工程過程の途中において混入をしたなんということ、こんなことは考えられますか。しかも森永は世界に誇るようなそういう機械を持っていながら、工程の途中においてビタミンCあるいはビタミンC以外にもやはり混合しておると思います。Aだってあります。Dだってあります。そうした場合に当然ビタミンCも多く出るであろうし、ビタミンAだってビタミンDだってよけいに出るのじゃないですか。ビタミンA、Dは過剰にとったら体内に蓄積されて大問題でしょう。その点について、いま言ったように「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を害う虞があるもの。」ということでこの四条違反である、そのように私は思うのですがね。その点について、何かしら大企業に対しては少しお役人さんは弱過ぎるんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
○神林説明員 この場合、ビタミンCは不潔、異物というふうには私たちは解しておりません。
○鈴切委員 不潔、異物というふうに解していないとするなら、それじゃ衛生検査がはたして行なわれたか。これは衛生検査をがっちりと行なわれてやったのかどうかということ。 もう一つは、不潔、異物でないとあなたが言うならば、当然、他人の健康を害するおそれが十分あるものじゃないですか。
○神林説明員 ビタミンCでございますから、私たちは本来添加物と解しまして、そうしてこの四条にいうところの異物の混入とは解しておらない。異物とは、たとえばガラスが入っておったとかネズミの毛が入っておったとか、そういうような場合にこの四条の適用を考えております。
○鈴切委員 それで問題は、いまあなたはおっしゃるけれども、はたして衛生検査が十分に行なわれたかということなんですよ。しかもその工程中に乳児のほんとうに微妙な調合を必要とする、またそのために森永とするならば、要するに莫大な金を投じてつくったその工程過程の中において、はたして衛生検査が行なわれているかわからない。その中にネズミのあれが入っているかわからないですよ。頭の毛が入っているかもわからない。そういうふうな疑いのあるものを使ったということについて、その点どうですか。
○神林説明員 乳製品工場は、一応食品衛生法の施行令によって月一回ずつ検査をすることになっておるわけでございます。あとは、まあこの製品検査というのは別にいつもやるわけではございませんでして、ときたま怪しいと思うものに対して抜き取り検査をやっておるわけでございますが、今度の事件にかんがみまして、すでに東京都の知事から二月二日に、まず一番目にこうした専用の添加物の取り扱い室を設けてくれということを申し入れてございます。そして、それはすでにつくってあるそうでございます。それから業務分担が非常に——これはある意味で人間の管理というのですか、そういう業務分担が非常に不明確になっておったのではないかということが考えられまして、その業務分担を明確にしてくれ、責任者を置いてくれというふうにはっきりさせました。それから従来、これは原料にいろいろなものを使っておりますから、そういうものの標示もはっきり袋へ書いてくれ、まあ粉乳なら粉乳、それからビタミンCならビタミンCというような標示を明確にしてくれ。それから、これは自動ばかりを使っておるものですから、この自動ばかりの正確性というものもひとつ確認をしてくれ。それは必ず日常業務で確認をしっかりしてくれということ。それから最後に、添加物の管理体制が非常に不十分じゃないかということで、それを確立してくれということが一応東京都から言われたわけでございますが、私どものほうも、先ほど申し上げました責任者を招致したときに、そういう管理体制が非常に不十分じゃないか、ひとつ管理体制を十分確立してくれないと、これはCだったからまだ問題がなかったかと思いますけれども、ほかのものであったらこれは重大な問題だということで、管理体制の確立ということを一応本社に申し入れてございます。
○鈴切委員 私はそんなことをいま聞いているのではないのです。ビタミンCの試作品ですよね。しかも衛生検査が十分に行なわれていたかいないかわからないような、そういうものを混合したというところに私は問題があると思うのですよ。また常識的に考えられる問題じゃないですね。要するにこういうような森永の工場自体の監督というか、工程の過程において、やはり前におけるところの徳島の砒素事件というものが起こったのではないかと思う。これでもう前科二犯ですよ。あなたわかりますか、前科二犯というのが。もう前科二犯です。しかも乳児のミルクにそういうふうな前科二犯を起こすことについて、厚生省としてはどういう態度で今後臨み、しかもこれについてどういう規制を強化し、そうして指導していくか、その点について伺いたい。
○神林説明員 特に調製粉乳の工場についての衛生管理につきましては、各都道府県に十分今後監視を厳重にするようにいたしますとともに、調製粉乳の収去、検査というようなものを励行していきたい。それからまた各社に対しましては、ますます衛生管理を十分実質的に厳重にする。なおこの調製粉乳の工場には一応衛生管理者がおりますから、その衛生管理者に対する教育も徹底していきたいというふうに考えます。
○鈴切委員 最後。森永はいま言ったように前科二犯だ。前科二犯だとすれば、現実に起こった問題に対してはあなたはどのように指導し、また罰則を強化するとか、あるいはどういう処置をあなたは向こうに対してされるかということについて伺います。
○神林説明員 すでに行政処分といたしましては、一応ビタミンCが過剰に入っておるものは飼料に転用するというようなことで東京都が処分をしております。それから、これは東京都のあれでございますから、営業の禁停止ということは直接やっておらないのでございますけれども、なお、こういうものに対しては厳重に今後やっていきたいと考えております。
○鈴切委員 それはわかっております。わかっておりますが、要するにこういう工程、過程におけるところの考えられないようなミスから起こった問題について、そういう責任者に対して、また会社に対して厚生省としてはどうされるつもりですか。
○神林説明員 先ほども申し上げましたとおり、責任体制の確立ということでもって会社に対しましては対処していきたいと考えております。
○華山委員 ただいまのことにつきまして関連して伺いますけれども、ビタミンCは害のないものだというようなことを言われておるわけでございますが、それならばなぜ添加物の規格の中でビタミンCの添加の量というものを制限しているといいますか、きめているのですか。害のないものだったらほったらかしてもいいようなものだが、ビタミンCの添加というものについて制限があるということは、何かそこにあるからじゃないですか。どういう理由でビタミンCの添加を制限しておるのですか。
○神林説明員 私どものほうでは必要量だけあればいいという見解でございまして、それ以上入れさせる必要はないというふうに考えております。今後なおこうした調製粉乳の添加物類につきましては、十分私たちのほうも学識経験者の意見を聞きまして、なお量というものも厚生大臣の承認というようなことでなくて、はっきりさせていきたいと考えておるわけでございます。
○鍛冶委員長代理 それは誤って入れたのか、それとも何かの目的で入れたのか、それが一番大事だと思うが、どうですか。
○神林説明員 これは明らかに誤って入れたわけでございます。
○鍛冶委員長代理 どうも危険千万な話だね。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十五分散会