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58回国会衆議院1968/04/22

決算委員会 第10号

発言数
270
登壇者
23
会派数
3
開催日
1968/04/22

会議録

大石武一自由民主党

○大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、外務省所管について審査を行ないます。  まず、外務大臣より概要の説明を求めます。三木外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 昭和四十一年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は三百十六億一千八百十九万四百十九円でありまして、支出済歳出額は三百七億七百一万三千百七十六円、翌年度繰越額は七億三千六百四十二万五千七十円、不用額は一億七千四百七十五万二千百七十三円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額二百八十五億二千六百六十七万四千円、前年度繰越額四億八千百八十七万二千四百十九円、予備費使用額(ラオス外国為替操作基金拠出金、国際連合特別拠出金、インド食糧危機救援費及びインドネシア食糧等救援費に要した経費)二十六億九百六十四万血千円でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は、海外技術協力実施委託費二億二千三百四万八千八百九十三円、移住者渡航費交付金九千一十一万八千四十六円、在外公館施設関係費一億六千八百六十万五千四百八十円であります。  支出済歳出額のおもなものは、科学技術振興のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として、九千二百七十五万三千六百四十円並びに国際連合その他各種国際機関に対する分担金等として三十一億五百八十万二千八百八十八円、また、貿易振興の一環として、外国におけるわが国商品の輸入制限運動に対処して、関係国の議会公聴会及び関税委員会公聴会に出席し陳述をする等輸入制限問題に関し、政界、業界首脳のわが国に対する理解を深めしめるとともに、輸入制限動向の実情調査、分析を行なって、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌等マスコミに対する啓発宣伝工作、PRパンフレットの配付を行なう等輸入制限運動阻止のため三億九千九百八十五万五千六百十二円、次に、経済協力の一環としての技術協力の実施につきましては、コロンボ計画等に基づく技術研修員千百五十九名の受け入れ及び専門家百三十一名の派遣業務並びに海外技術センター事業、メコン河開発事業調査、投資前基礎調査、海外技術協力事業団交付金、低開発国経済開発技術援助拡大計画及び国連特別基金の拠出等に要した経費六十九億八千四百二十五万一千五百三十二円、さらに、移住振興につきましては、中市米等への移住者千五十九名を送出及びこれを援護するため等の経費十六億一千三百二十一万七百七十円であります。  次に、翌年度繰り越し額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰り越しのものは、七億二千四百八十四万四千七十円でありまして、その内訳は海外技術協力実施委託費五億五千九百七十二万九千円、在外公館施設関係費一億六千五百十一万五千七十円。  また、財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰り越しのものは海外技術協力実施委託費一千百五十八万一千円であります。  不用額のおもなものは外務本省の項で文化人等派遣外国旅費及び外国旅費等を要することが少なかったこと、移住振興費の項で移住者渡航費交付金を要することが少なかったこと並びに在外公館の項では、職員諸手当及び赴任帰朝旅費を要することが少なかったこと等のためであります。

大石武一自由民主党

○大石委員長 次に、会計検査院当局より検査の概要について説明を求めます。斎藤会計検査院第一局長。

斎藤実会計検査院事務総局第一局長

○斎藤会計検査院説明員 昭和四十一年度におきまする外務省所管の決算について検査をいたしました結果は、違法または不当と認められることはございませんでした。

大石武一自由民主党

○大石委員長 これにて説明聴取を終わります。  なお、本日は外務省所管審査のため、参考人として海外技術協力事業団より理事長渋沢信一君、理事北川勝敏君、監事原馨君、及び海外移住事業団より理事長廣岡謙二君、理事太田亮一君、監事笹田正大君の御出席を願っております。参考人からの意見聴取は委員の質疑により行ないたいと存じますのでさよう御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 きょうは外務省の決算に関連をいたしまして、主として海外協力援助の問題についてお伺いいたしたいと思っております。  さきに予算委員会で若干この点に触れたのでありますけれども、時間的な制限もございましたので、きょうはひとつじっくりと納得のいく御答弁をいただきたい、こう思っておりましたところ、また残念ながら大臣には十二時までということであるそうですが、その間大臣にはひとつ十分に納得のいく説明をしていただきたいと思うわけでございます。  そこでまず大臣にお伺いいたしますけれども、海外援助といいますか海外協力、これの理念と目的、これをひとつ端的に言っていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 今日の世界が、やはり全体として世界の平和、繁栄をはかるということが人類の大きな理想になっております。また孤立してわれわれ生きていけない事情は、そのことが回り回ってみずからの平和、繁栄にも大きな関係を持ってきておる。しかも今日先進国と低開発国との格差が非常に拡大してきている、そのためから来る世界の平和あるいは繁栄に大きな障害になっている。そういう世界情勢のもとにおいて、日本は戦後国民の努力と相まって今日では国民総生産の上では世界第三位といわれる実力を擁してきた。国内にもいろいろ問題をかかえておるけれども、この日本の今日の実力からして相当な国際的な責任を果たしていく立場に日本は置かれておる。こういう世界全体の必要性と日本自身の持っておる国力、このことが、やはり低開発国に対する援助を日本がしていく、そういう責任が国際社会の上に生じてきておる。そのことが、回り回って日本の繁栄にも関連をして、短い計算をすれば日本の援助というものは出費というふうにも見えましょうけれども、長い目で見れば日本の繁栄にもそれは通じておって、日本の国益にも合致するものである。国際的責任を果たし、同時にそのことが日本の国益に合致する、こういうことが理念でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 国連憲章の前文と五十五条a項に、援助についての精神をうたってあると思うのです。一節を読みますと「一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進」させ云々というような理想がうたってある。これはこれといたしまして、ジョンソンが対外援助についての教書の中でははっきりとアメリカのためにやるんだ、こういうように言っておりますし、いままでのアメリカの援助を見てみましてもたとえば余剰農産物を出すとか、あるいはシップアメリカンということでその援助に使うところの船賃なんかは全部アメリカの船で運んでおる。この運賃は普通のものより高い。こういう点ははっきりと過去に出ているわけなんです。そこで日本ももちろんいま大臣おっしゃったような理想の上に立ってやるべきであろうと思いますが、同時にこれは国民の血税であり国民のささいな金であります。したがって海外援助の中にはやはり何といっても国益、ナショナルインタレストを考えていかねばならないと思うのです。そこで相手国あるいはひいては東南アジア全体の経済の開発と日本の経済の発展といいますか、ナショナルインタレストをどこでマッチさせるか。これがむずかしいと思うのです。そういうことについて、ただおつき合い、アメリカ等から特に依頼があったそういうおつき合い援助であるならば、私は間違っておる、少なくとも、国際的な視野の上に立ってもなおかつナショナルインタレストということを考えるべきじゃなかろうかと思いますが、いかがでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 先ほどのお答えの中にも国益に合致すると私は申したのであります。これは当然にみなサンタクロースになれるわけではないし、やはり国益をふまえて、そのことが低開発国のためにもいいし日本のためにもなるということだと思っております。そして日本の海外援助というものは八割くらいアジア地域であります。その八割くらいの中で四、五割は東南アジアである。だから海外援助の重点というものがこういう地域に置かれておるということは数字からも明らかでございます。将来もしこの地域が安定——非常に不安定なものである。ベトナム戦争というものがどれだけの不安を国民に与えておるかということを考えても、この地域が安定してくれることが日本の平和の上にとって非常に重要な要素になっておる。もう一つは経済発展の上においては日本の産業構造が重化学工業というものに重点を置かれてきた場合に、どうしても欧米先進国——将来に云いても貿易はわれわれとして拡大していかなければならぬと思いますが、しかし重化学工業という産業構造の変化に即応した有望な市場はやはりアジア市場であることは明らかであります。産業発展の過程がいきなり重化学工業という過程にはいかないのでありますから、日本の産業構造の変化に即したきわめて有望な市場がアジアである。しかも東南アジアというものは地理的に最も近接しておる地域であります。日本の平和と将来の日本の経済発展、こういうことが日本の国益というものの内容の中には含まれておる。このことは、長期的に見れば日本の利益に合致する、ただ、三年とか四年とか短期的に見ればいろいろ問題はありましょうが、長期的に見ればこれは日本の国益に合致するものである、こう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 経済援助は、ずばり言うならば、慈善事業ではない。したがって、国連憲章等でうたっておるこの理想の上に立って、なおかつ日本の国益とも見合いながらやるべきであろうと思います。ところが、今日までの日本の海外援助はそのような方向をとったであろうか、あるいは、そういったような観点に立った場合になおかつ成果をあげておったであろうかという点については大きな疑問がございます。逐次それを明らかにしていきたいと思うわけでありますが、その前に基本的なことをお伺いいたします。  経済協力協定、援助借款もいろいろあろうと思います。こういうものはすべて、国連憲章百二条によって国連事務局へ報告をし、これを公表いたしますか、いかがでございますか。これは政府委員でけっこうです。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 国連憲章百二条の解釈につきましては、国連の憲章ができました後に、これの実施について、委員会も設けましていろいろ論議がされております。憲章自身には、すべての条約、国際取りきめを登録することになっておりますが、実際上の慣行といたしましては、なかなか全部が全部を登録するというわけにはいかないものでございますから、国連の事務局の解釈といたしましては、このどれを登録するかということはむしろそれぞれの国の判定にまかしたい、そういうことによって、だんだん慣習が積み上がりまして、結局、そういうふうな何らかの形の協定と申しますか、国際取りきめが登録されるようになるであろう、そういうふうな見解を述べておるわけでございます。したがいまして、わが国といたしましても、どういうふうなところでどういうふうな国際取りきめを登録するかということは、一応わが国にまかせられておるようなことになるわけでございますが、わが国の慣習といたしましては、大体国会に御承認をお願いしているような条約については全部登録しております。したがって、二年くらい前から、行政取りきめにつきましては原則として登録いたしておりません。ただし、国連憲章百二条の二項にございますとおり、ここに登録いたしませんと、各国に対する対抗要件ができないものでございますから、対抗要件をつくることが必要だとわれわれが考えております協定につきましては、例外的に登録しております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 国連憲章の百二条には、すべての条約、すべての国際協定とあるけれども、それは慣習によって、登録するかどうかは当該国の意思によって行なわれておる、ただし、国連事務局へ報告をし、これを公表しなければ、いわゆる当事国以外の第三国に対する対抗要件を持たない、こういう説明であったと思います。  そこで、国連憲章百三条は、国連憲章優先の原則というのがうたわれております。そういう点から見れば、これは国際的慣行として、いま条約局長が言ったようなことであろうと思いますが、私は、そのものずばり言うならば、すべての国際協定は登録すべきであり、それが、百三条の国連憲章の優先の原則によってしかるべきものであろうと考えるわけです。しかし、実際事務的にそうしておるとおっしゃるなら、これ以上問題の発展、議論はやめますが、そういたしますと、憲法七十三条三号でいう条約と、国連憲章で現に登録し公表していることとは、同じ性格のものであると解してよろしいですか。いまの説明によると、国会の承認を得るようなものについては登録しておる、そういうことであるから同じであると解してよろしいですか。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 これは、国連憲章上の解釈といたしまして、その条約が日本の憲法の七十三条三号に申します条約と同じものであるということではないのでございますが、日本の慣行といたしましては同じことになっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そういたしますと、国連憲章百二条で日本国が国連事務局へ報告しこれを公表するものと、憲法七十三条三号の条約とは同じものである、少なくとも日本においては、そう解していいわけですか。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、対抗要件をつくりたいとわれわれが考えましたときには、行政取りきめでも登録しておりますが、その点だけ食い違っておりまして、それ以外は同じものだと考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 条約局長からは、実際的なやり方について説明があったと思います。国際法はいわゆる国際慣行が積み上がっての法体系でありますので、そういうことで許されるかもしれぬと思いますが、私はなお疑問を持ちます。  そこで、法制局長官、国連憲章百二条でいうところの国際協定と、憲法七十三条三号でいうところの条約——条約局長の説明では、そのうち行政権によって結ばれるもの、すなわち七十三条二号であっても、対外的な対抗要件を必要とするものだけは除外する、そういう説明ですが、法的解釈上いかがでしょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 先般田中先生からのお尋ねがありました際に、あまり突っ込んだ御質問また御答弁もできなかったわけでございますが、いまあらためて申し上げますけれども、憲法と国連憲章上の条約と、はたして同じものであるか違うものであるかということでございますが、まず条約ということからいいまして、そう違うはずはないと私は思います。ただ、いま政府委員からお話がありましたように、国連憲章のほうの条約というものは、やはり第二項を踏まえてのことでございますので、実際の取り扱い上としましてはやはりその第二項の考慮が入った取り扱いをするのはやむを得ないと申しますか、もっともな点もあるのではないかと思います。ところで、それでは憲法七十三条三号の条約はどうかということになりますが、これはただいま申し上げたように、国際法上の観念としかく違うということはあり得ないと思いますが、日本の憲法にはやはり日本の憲法独自のたてまえというものがございますので、やはりそれには多少考慮を加えつつ申さなければならぬと思います。もしよろしければ、重ねてその点を申し上げてもよろしゅうございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 実はこういう議論をじっくりとひとつ詰めたい、そして外務大臣に聞いていただいておいて、結論を大臣から求めたい、こう思っておったのです。そこで、ひとつ三時間くらい大臣の出られる日ということできよう要求したのですが、十二時までということで、これをやっておると、せっかく大臣に来ていただいて、大臣に聞く時間がなくなるので、この点はペンディングのまま次に進みたいと思います。  私は、憲法七十三条三号でいうところの条約とは、国家間で合意ができて、そうして何らかの形式による文書の交換が行なわれる、これはすべて七十三条三号の条約である。それでは二号は何か。すでに予算等で承認を国会から得ておる範囲、そうしてすでにでき上がっておる条約の解釈に関する覚え書き、あるいはそういった国会の承認を得た協定、条約等の解釈とか、その実施に関係するところのものも二号だと思うのです。したがって、たとえばどこそことわが国とが、名前は交換公文であれ何であれ意思を合意し、そしてそれが日本の何らかの債務を負担する要因行為となるものであるならば、当然国会の承認を得べきものである、私はこのように解釈をいたしておるのです。間違いでありましょうか。どうでしょうか。この結論に来るまでには、相当の論議の上来るわけですが、時間の関係で飛躍しましたが、知の結論は間違っておりましょうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 多少先生のおっしゃったところと言い方が違うかもしれません。憲法七十三条の二号の外交関係を処理するということと、それから条約の締結ということをさい然と分けておっしゃいましたが、私どもはやはり外交関係を処理するという過程で条約の締結というものが出てくる問題だろうと思います。したがって、同じように条約の締結を外交関係の処理ではあるけれども、条約というものについては、特にその締結は内閣の行政権の範囲内であることは当然であります。事前に、または事後に国会の承認を経るということになっておるわけで、取り上げて条約というものは何かということになりますが、先生おっしゃいますように、国家問の文書による合意というのが一般的に言われております。ただし、国家間の文書による合意というのが一般に言われておりますけれども、やはり一般に言われておる人々自身が、たとえば国家間の契約であるとか、あるいは条約の実施の細目であるとか、あるいはその授権に基づく協定であるとか、あるいは既存の法律関係に基づかない権利義務を新たに設定するものでないとか、あるいは行政権の範囲内でやれるものとか、そういうものをそれぞれ例外的に皆さんお考えでございますから、概括的に文書による国家問の合意であるということはよろしゅうございますけれども、同時にいま申し上げたことをあわせて申し上げないと、的確なるお話ができないことになるというふうに考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 七十三条の二号はいわゆる外交に対する行政権です。そうでしょう。そこで大臣、これはもう半時間以上論議して尋ねることになっていたのですが、時間の関係でやむを得ませんが、私は、今後経済援助、海外援助の協定、それによって日本国に何らかの義務ができるもの、新たなる契約といいますか、協定、これはすべて国会の承認を得べきようにせられるべきであろうと考えますが、いかがでしょうか。議論の上に少し飛躍があったから、それはどうかと思いますが、そうしなければならないという大臣の答弁が出るまで議論をして聞くつもりだったのですが、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 現在やっておりますのは、政府間の借款協定の中で大ワクをきめて、実施の具体的な取りきめは輸出入銀行なんかでやっておりますので、政府は、輸出入銀行にしても、あるいはまた海外協力基金にしてもその予算に対しては国会の審議を受けておるわけでありますから、したがって政府間の協定のつど国会の承認を受けるべきものだとは考えていないのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 間が少し抜けておるからそういうことになるのですが、私は、新たなる契約、かっこうは交換公文であれ、何であれ、合意は国会の承認を得べきである、こういう持論を持っておりますので逐次お伺いいたします。  そこで、四十一年度に、オーストラリア請求権の処理に必要な経費として六百万余り出ておるわけです。これはオーストラリアのある種の債権を処理するというような、ある種になっておる。このある種はどういうものか、大体想像つきます。これは国会の承認を経ずして出されたものなのです。ところが同じようなものでオランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する交換公文というのがあります。これは二十四国会、昭和三十一年の通常国会において承認を求めておるわけなんです。この両方の交換公文——片方のオランダのほうは議定書になっております。それからオーストラリアのほうは交換公文になっております。この中を見ましてもそうあまり変わらないと私は思うのです。ただ一方のオランダの議定書のほうは、国会の承認を得ておりますので、国会の承認を得た場合にどうだとかいう批准の手続等について規定がある。しかし、一方はそうでないから、初めからそのつもりはないからそういうことは書いてない。しかし、内容は同じものではないかと思うのです。それに一方は国会の承認をいい、一方は単なる交換公文として、言うならば憲法七十三条二号によって処理せられておるわけです。こういうのが何かはっきりとした、こういう場合は国会の承認を得る、こういう場合は政府の行政権といいますか、政府段階において交換公文等によって処理をするというけじめがあるかどうか。もちろん文書の中に、日本の法律に定められた、法律によってとか、予算の範囲内とかいうことは書いてあります。しかし、そのこと自体は政府がかってに書くわけなんです。言うならば、国会の承認を得べきかいなかは政府の文章の表現等によってきまるという結果になるのですね。それでいいのでしょうか、その点いかがでしょう。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 先生御指摘のオランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する議定書と申しますのは、いわゆる吉田・スティッカー書簡と称する、平和条約のときに交換いたしました書簡に基づきまして請求権を解決したものでありますが、この場合には実はこの請求権の解決のための日本国からの支払いについては五年年賦によって払うことになっております。したがって、この協定自体は当該年度の予算ばかりではなく、それから四年間の予算をある意味では拘束するような形になるわけでございます。これに反しまして、オーストラリアの請求権の解決につきましては一回限りの支払いでございまして、その際に賠償等特別会計で予算の範囲内でこれをまかない得るために実は国会の御承認を得ないでやったわけでございます。これは私らがきめるわけではございませんが、大体私らの事務の処理のやり方といたしましては、予算の範囲内、法律の範囲内でやれるものは国会の御承認を得ないで、ただ、次年度からの予算を拘束するような性質のものでございましたら、国会の御承認を得る、そういうような事務の取り扱いをいたしております。これは最終的にきめていただくのは法制局のほうでもやっていただくわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大臣、いいですか。何年間かにわたる場合は国会の承認を得ます、すでにきまった範囲であるので、一年間の場合は要らなかった、こういうことです。しかし、ともに、この交換公文あるいは議定書によって、日本国が何らかの債務負担をするという点においては変わりないと思うのです。なるほどオーストラリアに対する六百万円何がしの金は予備費から出ておりますから、憲法の規定によって予備費はまあ政府がかってに使うことができる、ただし、国会の事後承認を得るんだ、こういうことになっておる、だからいいんだ、こういうことじゃないかと思うのですけれども、私はそうではないと思うのですよ。新たなる債務はともかくいずれにせよ発生するわけなんです。いわゆる国庫債務負担行為なんです。国の債務負担行為なんです。そういたしますと、憲法八十五条による国会承認が私は必要じゃないかと思う。少なくとも文章が何であれ、あるいはそのやり方が輸銀を通す、あるいは基金を通す、これはもちろん予算がきまっておるから予算の範囲内ということになるわけです。だからそういうことを書くことによって国会審議をのがれようとする政府の態度だと私は思うのです。しかもずっと調べてみますと、だんだんと国会の承認を得ないものが多くなってきておる。言うならば、同じようなものでもかつては承認を得ておった。ところが、だんだんとそういうようなへ理屈といいますか、理屈をつけて国会の承認を得ないような方向にきつつあるということは、あまり言いたくないことばですが、国会軽視という態度が、外務省というか政府にあらわれておる。少なくとも債務を負担するところの要因行為をなすところのもの、これが議定書であれ、交換公文であれ、国会の承認を要するものであると考えるが、法律的にいかがでしょうか、法制局長官。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 まず、国会の承認を要する条約と考えるかどうかという問題につきましては、内閣法制局としては非常に神経質でやっております。したがって、もしお話しのように、昔は国会にかけたけれども近ごろはかけなくなったというようなことがありますと、これはたいへん私どもとしては気になるおことばでございますが、私どもはやはり国会の承認にかけるものだけを法制局の審査の対象にしております関係もございますけれども、そのほかのものでも注視を怠っていないつもりでございます。しかし、ただいまそれを申し上げてもせんないことで、具体的に一体じゃ法制局はどう考えているかということでございますが、これはさきの委員会でも申し上げましたけれども、政府の権限内でやれること、たとえばいまお話がありますように、法律の範囲内でやるとかあるいは予算の範囲内でやるとかというようなことになりまして、行政権に——予算でいえば支出権限、法律の範囲内でいえば執行、そういうものの範囲内でできることについては、当然内閣がやることについて国会はもうお認めになっておることであるから、その権限の行使の点についての協定であるので、特に国会の御承認を得る条約と考えることはないんではないかという考え方をとっております。  もう少し補足して申し上げますれば、それは実際上も理論上も、国会の立場といいますか、国会の御意思といいますか、そういうものを何ら拘束することはないのでありまして、法律の範囲内であるということであれば、国会がそれをけしからぬと思えばその法律をいじることも可能でありますし、予算の範囲内であるといえば、それもすでに支出権限を与えた権限の範囲内でございますので、そういう意味合いでは政府限りで事を処理するという慣行を従来からとっておりまして、いま新たにそういう立場をとっていることではございません。そういう御答弁もまたいままでも何回かしていることと思いますが、従前の考え方とちっとも変わりはございません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 八十五条との関係は。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 八十五条の関係につきましては、要するに国費の支出についての国会の議決、こういうことでございますが、この国会の議決としては、予算がその議決の形式でございますが、その予算の中に国庫債務負担行為なりあるいは予算の金額なりというものがあって、その範囲内のことは、財政法に規定がありますように、債務を負担することができる。しかし、次年度以降にわたる、後年度にわたるようなものについては、別途もし国庫債務負担行為にそれがなければ協定を国会の御承認にかけるなりして、その御承認を得た上で支出ができるということになる、これは当然のことだと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それじゃ具体的に伺いますが、四十一年七月一日の交換公文、すなわちインドネシアに対して三千万ドルの借款を与えた交換公文、そしてこれは外務省からもらった資料なんですが、その一五ページに、「四十一年七月一日の交換公文に基づき、百八億円(約三〇百万ドル)の円借款を供与した」——交換公文に基づきと外務省は書いておる。ということは、三千万ドルの円借款、すなわち貸してやろうという日本の債務、これは四十一年七月一日の交換公文によって発生したのでしょう。そうするならば、この交換公文は当然国の債務負担行為であり、憲法の規定に従って国会の承認を得べきではないか。しかも交換公文はまだその内容は公開されておりませんね。されておりますか。こういうのはいかがでしょう。

上田常光外務省経済協力局長

○上田政府委員 いま先生のおっしゃいました、その交換公文に基づいてというところでございますが、この交換公文、もちろんこれはまだ公表してございません。それからこの交換公文は、そのほかのそれ以後結びましたリファイナンスその他の交換公文と同じ性格でございまして、つまり交換公文に基づいて直ちに国の債務が発生したわけではないのでございます。したがって、いま先生がおっしゃいました、私のところ、外務省から先生のお手元に差し上げました文書に書いてあったという点でございますが、それは厳密な法的、条約的な意味で書いた文章ではないと思うのでございますが、その七月の交換公文と申しますのは、両政府間のいわば一種の政策の表明でありまして、具体的な債権債務が発生しますのは、輸銀とインドネシア側との協定があって初めてそこで債権債務が発生するのでございまして、政府がやりましたのは、決してそれから直ちに政府の義務が発生するという性格のものではないのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大臣お聞きのように、三千万ドル、百八億円もの金がとにもかくにも日本国から出ておるわけです。しかも、そのもとをなすものは、何と説明があろうとも、四十一年七月一日の交換公文がもとであることは、言うをまちません。しかもそれは非公開です。まだ公開せられていないわけです。一体それで国民が納得しますか。どうでしょう。しかも私さいぜんから言っておるように、いわゆる政府間の協定によって、そこで債権債務の関係が発生し、その実施を輸銀あるいは基金を通じてやる場合もあります。ただ交換公文に基づいてこれこれを供与すると言うておって、その具体的なのは法律の範囲内とかあるいは予算の範囲内とかいうことによって、輸銀とインドネシアの、これは政府か国立銀行かは知りませんが、それとの間に契約を結んだときに、初めて債権債務の関係が発生するのだということは、私は詭弁だと思うのです。政府間において何らかの協定、約束がなければ、輸銀がかってに結ばれるはずがないです、結びません。そういたしますならば、先ほど来言っておるように、文書の構成によって国会にかけるかかけないかがきまっておるではないかということ、これはそのとおりだと思うのです。しかもこれは、相手国の希望もあるかもしれませんが、少なくとも国民の金——輸銀には財政投融資がおもだと思います。これは国民の零細なる郵便貯金とか郵便年金その他の金です。そういうものがやみのうちに——国民も国会も知らされざる間に金が動いておるということについては、大臣や事務当局がいかに弁明をしようとも、私は国会も国民も納得できないと思うのですが、いかがでしょうか。内容はまだ非公開なのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 内容の点については、インドネシア政府の希望があって、御指摘のように公表されていないのでございます。しかし、三千万ドルについては、実際問題としては、政府間協定を受けてということになりましょう。しかし理屈を言えば、輸銀の段階でまとまらぬ場合もあり得るわけであります。だから、実際上の取りきめは輸銀とインドネシア側とにおいてやって、そのときに日本の債務が生じると見るのが、実際問題として適当だと思います。この三千万ドルは、輸出入銀行の資金については、すでに国会の御承認を受けて、その資金の内部においては輸入出銀行の運用というものにまかされておる。その使途については、この決算委員会もあり、また、決算委員会のみならず、インドネシアに対する日本の借款は、常に国会のきびしい論議を呼んでいる。こういうことからして、やみと言われるのはおことばが少し過ぎるのではないか。これはやはり、国会の論議、決算委員会などにおいて、国民の前にこれに対する批判は受けているわけであります。しかし手続としては、そういう考え方のもとに、国会の承認を得ずして可能である、こういうことの上に立ってわれわれはやっているのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大臣の答弁はおかしいですよ。前段は私の言っていることを肯定しておるのですが、あとのほうでうやむやということで、いままでのことでやりたいのだ、こういうことなんですね。これは私はこれ以上責めませんが、よく考えてもらいたいと思うのです。しかも、予算において云々と言われますが、輸銀にしろあるいは基金にしろ、財投の部分は予算参考なのです。承認事項じゃないのです。そうでしょう。財投は書類としてついて出てきます。しかしこれは、詳細にわたって審議の対象になっておるはずです。しかも、その交換公文が今日まだ公表されておらないというところに、何らか疑惑があるわけです。やみと言わないでくれというように大臣はおっしゃったが、そういうところに国民なりわれわれの疑惑が生じる原因があろうと思うわけです。少なくとも今後は、はっきりと一つの基準を設けて、国会の承認を得べきもの、得べからざるもの、あるいは公表するもの、しないものは一体どういうようになるのか、そういう基準を設けて、その基準を国会において——これは法律とか国会法によるところの承認というようなものではないかもしれません。しかし、少なくとも、そういう基準ぐらいは設けてわれわれに示し、そうしてそれはどうであろうということについて、国会と政府との間にひとつのルールというか基準というものをきめておかなければならないと思います。でなければ、いかに弁明をされようとも、今日までの援助協定が必ずしも明瞭であったとは言いかねます。しかも、予算を見た場合、一目瞭然として本年度は一体どこの国に幾ら何を通じて援助するかということはわからないわけです。あっちをひっくり返し、こっちをひっくり返してようやく数字を調べるというようなことでもしない限り——それも全貌はわかりません。たとえば、いま直ちにインドネシアに対して、過去幾らの援助なりあるいは技術協力等も含めていっているのか、これを外務省に聞いてもずばりでないのです。いいですか、大蔵省しかり、経済企画庁しかり、通産省しかりですよ。そしてようやく通産省から出しておりますところの「経済協力の現状と問題点」を見ても、これもあっちをひっくり返し、こっちをひっくり返してみてなお数字が合わぬというのが実情なんですよ。こういうことについてはいかがでしょう。  そこで時間の関係もありますので、私はもっと議論してから提案の予定だったのですが、一つは、この政府と国会の間に、この種のものについて、どういうものは国会の承認を得るんだ、こういうものは七十三条第二号によって処理いたします、私はすべて公表すべきだと思いますが、あるいは相手国等の事業もあるからできないということもあり得るかもしれません、ならばどういうものは非公開でがまんを願いたい、こういった一つの基準を国会に政府として示すべきであるというのが第一点。  さらにもう一点は、これは大蔵当局に考えてもらわなければいけないのですが、予算を見たときに、本年度の経済援助はどこに幾らなのかわかりません。あるいは何省を通じて何が行なわれるのかもわからない。あるいは輸銀なり基金なりといろいろあるその機関を通じてやるのかどうかということもわからないのです。そこで予算書に一項目設けて、経済援助としてはっきりと予算書を一目見ただけでもその全貌がわかるような予算の編成を考えてもらいたい。まずこの二点を提案いたします。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 第一点は、予算、法律の範囲内で行政措置として国会の承認を得ずして協定は結び得るというのが政府の従来の解釈でありますので、検討の余地はございません。  しかし、第二の公開の点は、御指摘の点はやはりもっともな点があると私は思うのでございます。したがって、この協定に対して相手国との関係があって全部公開という点に無理な点もあろうかと思いますが、しかし非常にごもっともなお話でありますので、公開の点については十分検討を加えます。  第三の海外援助というものが一体どの国にどうなっておるのか、どうも非常にわかりにくくなっておる。これは民間でやるような場合は捕捉しがたいでしょうが、それでも輸銀を使った場合には捕捉できるわけでありますので、これは整理をいたすことにいたします。明確にしなければいけない、こう思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 予算書のつくり方については、大蔵省どうですか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原説明員 予算書の問題でございますが、予算書は御承知のとおり歳出予算につきまして書くわけでございますので、ただいま御提案のことでございますと、歳出予算を通すものはそれは項ということになりますが、輸銀その他でやるものにつきましてそれを項にまとめるというのはちょっとできないのではないかと思います。説明がわからないじゃないか、説明のやり方としてどうするかということについては、さらによく検討さしていただきたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 どうも了承できかねるのです。予算書は各省款項目となる。それから説明書は、あなたは説明書で全部一まとめにしたい、こういうことですね。それはやりますね。私の言うのは、予算書なり説明書を見たときに、すぐにわかるような方法をとってもらいたい。今日のではわからないのですよ。わかりますか。  それでは、大臣の点はあとまわにして、お伺いしますが、まず、今日までの海外援助の総額幾ら、それから、それが各省庁機関別に出ていたのが幾ら、その内容、たとえば賠償も含めます、賠償あるいは円借款、あるいは物資援助あるいは技術協力、民間協力は幾ら、相手国、たとえばインドネシア幾ら、インド幾ら、韓国幾ら、こういうような統計が直ちにできますか。できるならば要求をいたします。どこがつくりますか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 援助というものの中にはいろいろなものがございます。非常にソフトな直接借款もございます。それからわりあい商業ベースに近いもの、完全な商業ベースもございます。そういう意味で、いまDAC国際機関においてもいろいろな定義がございまして、いろいろな分類方法があるわけでございます。いま仰せになった援助の総額については、私ども大体DACの数字によりまして整理をいたしておりますが、たとえば……。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 一々ここで聞いてもしようがないから、そういう要求したものが出せるなら出してください。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 そういうようないろいろな分類の方法がございますのが第一点と、もう一つは、商業ベースのものについては非常に計算がむずかしい点がございます。頭金がどうだ、輸銀資金がどうだというむずかしい点がございますので、はっきりと直接借款というものはどうだ、あるいは賠償はどうだということであれば、数字は出ると思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 少なくとも税金あるいは財投、こういう国民の金を使ったものに限定しましょう。純民間ベースはやめましょうね。いいですか。そしていま言ったように、総額、年度別、相手国別、内容別、機関別、この五つ、お願いします。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 輸出入銀行についても、政府の出資が行なわれております。また、郵便貯金も使われております。しかもそれが商業ベースの援助、あるいは商業ベースに近い援助もございます。したがって、その限界をどのあたりにとるかということなどがございますので、そういう点をよく考えまして、いまおっしゃいました中でどれだけのものが正確にお示しができるか検討してお答え申し上げたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それはどういうものが出るか、その後に検討するとしても、大臣、お聞きのようにいろいろとあるんです。われわれ見ても、すぐにはわからぬわけです。またあとではっきりさしていこうと思いますが、輸銀を通じてというが、その輸銀が、輸出保険の問題等で、そのからくりは私、あとで申し上げますが、やはり国民の財投が使われておるわけです。だから、もっとわかりやすいものにすべきだと思うのです。でなければ、現在の状態であれば、国会も国民もつんぼさじきに置かれておるわけですよ。そういうところにいろいろなうわさなりあるいはまたいろいろな勘ぐりが起こると思います。先ほど大臣の言われましたうちで、第一点を除いては一応了承しますが、第一点は、問いをもって答えたというふうにしか感じられません。それは言うならば憲法七十三条の二号と三号はどう違うのかということだけになると思うのです。それならばいつまで議論しておってもらちがあかないわけなんです。はたしてここで行政権の範囲においてやれるものであるのかどうかが問題なんです。行政権の範囲においてやれるものは、国会の承認はかけません。これは当然です、公式の答弁においては。しかし、何がそうなのかということは疑問があるわけです。少なくとも一つの基準をいまここで示してくれとは申しません。しかし、そういうようなことを外務省が考えてもいいのじゃないか。国会の承認をかけるものとかけないものと、あるいは公開するものと公開しないものとは、こういう基準の範囲でやりますよ、こういうことぐらいは示していただくほうが——今後、より海外援助という問題は重要になってまいります。たとえば、いままで国民総所得の一%と言っておった。それが日本では〇・七%幾らくらいだ。しかし、先日のニューデリーで行なわれましたいわゆる国連貿易開発会議では、国民総生産の一%を要求したですね。そうなってくると、ぐっと日本の場合はかさが上がるわけですよ。直ちにそこまでいかないとしても、相当な金額がふえてくるわけなんです。そうであるならば、より一そう今後この種の問題が起きてくると思いますので、私は明確なる基準を——法律の条文のように、行政権でやれるものは、そうでないものはということでなくて、ある程度国会と政府との間に一つの合意が必要だと思う。でなければ、しょっちゅうこんな問題をやっていなければいけないと思うのです。しかも十分に論議をしたいと思っても、大臣を三時間も四時間もとれない状況なんです。それとも大臣がもう一ぺん四時間でも来るとおっしゃるならば、ぴしぴしと一項一項、あるいは公開せられておるいろいろな議定書なり交換公文の文書を一つずつ押えながら、これはかけるべきかかけるべきでないかということを論議せねばなりません。しかし、大臣もそれだけのいとまがないと思うのです。だから、ひとつここで、いつまでにそうしろとは申しません、そういうものが必要であるということだけはお認め願いたいのですが、いかがでしょう。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 予算内、法律の範囲内で行なうことが行政権の範囲であるというこの原則を変えるわけにはいきませんが、しかしこの点は、今後海外援助なども増加していくでありましょうし、その原則までにさかのぼって研究をいたすというお約束はできませんが、いま御指摘の、言われる趣旨も理解できる点もございますので、研究はいたすことを約束いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 釈然といたしませんが、ひとつ次へまいります。私はあくまで研究じゃなしに、研究の結果をわれわれに示していただきたい、そう要求いたしておきます。  四十二年、去年、インドネシアに対して、六千万ドルのうち一千万ドルは贈与、五千万ドルが借款、これの交渉等も、私は直接聞いたわけじゃないのですが、いろいろ聞くところによると、初めは六千万ドルの借款だ、インドネシアは三%の金利を要求した。日本は五%を下ることはできないということで、そこですったもんだの結果、それではということで、インドネシア側は、いままで借款なり援助を受けたもののうち、一部はリベートとして日本の政治家にお返ししております、もし何ならスカルノを裁判にかけてその点を明らかにいたしましょうかというようなことを示唆したそうですね。そこで一千万ドルを贈与ということにして、あとの五千万ドルに五%の金利、全体含めてインドネシアの要求が入るようにしたのだ、こういうように伝えられておるわけなんです。そして交換公文が結ばれたわけなんです。その交換公文はいま言ったようなことで、国会の承認はもちろん受けておりません。そういうことがあったのかなかったのかは別にいたしまして、そういうことがいわれるところに私、問題があると思うのです。スカルノを引っぱり出して聞いてみようか、そのうちの一部は日本の政治家に戻っておりますよと言われたのでしょう。そうかと思えば、新しい船だといって出した船が中古品であったり、三隻分の金をとっておりながら二隻しかつくらずに、一隻分は関係者が寄ってたかって食ってしまったということです。そうでないとおっしやるなら、どこそこの造船所でだれとだれとが関連したということを申し上げてもいいですよ。そういうことがうわさせられるということ自体に私は問題があると思うのです。したがって少なくとも三木さんが、私はあなたを信じているわけです、尊敬しています、その三木さんが外務大臣のときに一つの基準ぐらいつくってくださいよ。今後もっと大きな仕事をなされるときにあなたがやりよいわけですよ。いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 政治家にリベートを——それを返してもらいたいというような話は借款交渉のときに私は聞いたことはありません。しかし、とにかく賠償とか低開発国の援助というものをめぐってうわさが出るということは、まことに私は遺憾なことだと思います。事実はともかくそういううわさでも出るような事態というものはよくない、そういうことで今後インドネシア、これは援助の中では一番金額が多くなる国でありますから、この賠償——賠償でなしに、賠償はもうほとんど済んだのでありますから今後は借款でありますが、借款については、いままでも私は言っておることは、もういろいろなルートは許さない。いろいろなルートがあって、そういうことでなくして政府の窓口一本である。(「いままであったんだ」と呼ぶ者あり)いままではあったかないかは別として、うわさがあった。うわさがたいへんにあったということで、今後におけるインドネシアの借款というものに対しては厳重な、これは私自身の責任において監督をいたしてまいる覚悟でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 まあ波長が合わなかったようで、私の問いに対してずばりお答えがなかったようです。いまおっしゃったことを、私は実はそういうことを最後に申し上げるつもりであったのですが、三木外務大臣がこれは外交ルート、公式ルートのみでやろうということを三木・マリク会談においてきめられたことは私はいいことだと思うのです。ところがそのあとすぐに佐藤さんがスハルトと直接交渉をやった。いわゆるホットラインといわれるそうですが、そういうところにも私は問題があると思いますが、いま微妙なときに三木さんを前にして私は佐藤さんの批判はやめましょう。しかしあなたの考えておられることはわれわれは支持します。少なくともいろんなあの手この手ではなくて、公式ルートによる外交交渉のみが窓口であるということ、そして少なくとも各省ばらばらなものを、これを何とか窓口を一本にするような方法を考えてもらいたい。でなければ、先ほど来言っておったように予算書を見てもぴんとこない、こういうことでございますので、これは、三木大臣が公式ルートのみでやるのだと言われたことはわれわれは支持しますから、三木・マリク会談においてきめられたことをあくまで堅持して貫いていただくと同時に窓口一本化のためにやっていただきたいと思います。いかがですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いまも各省に関係するところが多いですから、緊密な連絡をとってやっておるのですが、一そう各省問の連絡というものは緊密にしないと、こういう外交に国内における各省のセクショナリズムというものがあらわれてくる非常な弊害がありますので、これは一そう緊密な各省問の連携をとっていって、将来は海外の経済協力というものの機構についても再検討を加えるべき必要があると考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 去る三十三年第二十八回国会で一億七千六百万ドルの焦げつき債権をインドネシアに対してキャンセルした、それ以後賠償を除きインドネシアへ幾らいっていますか。——この数字を調べたのですが、どうにも計算の方法によって幾らにでも出てくるのですよ。すぐ出ますか。——輸銀の再融資とか、そんなものを入れるとちょっと出ないと思うのです。

上田常光外務省経済協力局長

○上田政府委員 時間がかかります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私も調べたのですが、調べる態度と調べる統計によって数字が違ってくるわけですよ。これをひとつ公式な二十八国会において焦げつき債権をキャンセルして以来賠償を除き幾ら、インドネシアへいっているか、資料として要求いたします。  大臣、こういう調子なんですよ。少なくとも外務、通産——通産省は直接関係はないかもわからないが、大蔵省がおってすぐに数字が出ない、そこに私は問題があると思う。したがってその点については、大臣もいまの発言で、私はこれ以上言っていただかなくても大体気持ちはわかったと思いますので次へまいります。  次は、これはきょうからですか、オランダのロッテルダムで開かれるインドネシア債権国会議、そこでも金額が示されないので、各国に了解を求めるために森審議官が苦労をしておられるようです。この段階において本年度は幾らインドネシアに援助をするのかということを聞くことは無理であろうとは思いますが、これは何なら聞いていただくだけでいいと思いますが、まず予算では六千万ドルとなっている。ところがすでに日本は一億一千万ドルするのだということを正式にアメリカの議会でいっているわけですよ。佐藤さんが去年行って調子のいいことを言って帰っているのですよ。少なくとも三分の一ぐらいは持つべきだ、したがってインドネシアは一億一千万ドルぐらいはしてくれるものだと期待しておるわけなんです。先日スハルトが来たのはどうもその催促なんですね。国家元首となって初めてやってきたわけです。そういうように見ましたときに、重要な問題があると思います。賠償の金額についてはいま大臣に六千万ドル出るのか出ないのかということを聞くのは無理だと思いますが、そういう点についてどう考えておられますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御指摘のように、日本に三分の一程度のインドネシア援助を期待しておることは、アメリカばかりでなしに西欧諸国もそうだと思います。しかしこれは、日本の場合は日本としての財政事情もございますし、必ずしも世界の期待と日本が実施できる金額が合致するものとは限りませんし、また三億二千五百万ドルという全体の数字についてもこれが検討を加える余地があるのかないのかという問題もございますから——この問題は世界が期待をしておるということは事実である。日本の財政事情が許せば全体の金額はやはりできるだけ有効に使用できるような金額に詰めなければなりませんが、三分の一程度の寄与ができれば好ましいとは思います。しかしそれは日本の財政事情があるので、したがってその期待どおりにいくことは、これは全体としての総額のきめ方にもよるがなかなか困難ではないかと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そこで、予算で六千万ドルですね。それを上回ってやる場合があり得ると思うのです。その場合、上回った分については国会の承認を得るようなことを考えておられますか、それとも予備費から出して、例によって例のごとく二年先に予備費の支出の承認を求める、こういうような方法でおやりになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 予備費を使う意思は持っておりません。しかしこれは一面においては基金法の国会の御審議を促進していただいて、海外援助からいうと輸銀と基金という二本立てにして、輸銀は商売を加味していく、基金というものが援助である、これが一つの海外援助に対する日本の機構の大きな整備につながると思うのです。これはどうか野党各位にも審議促進に御協力を願いたい。ぜひとも通したい法案であります。これによって海外援助が整備されるわけです。そういうことで、その基金の中においては基金の資金をどの方面に使うかということは、いろいろ基金運用は弾力的にできましょう。しかし新たなる財政的な処置が必要なときには当然に国会の承認を得なければならぬ。しかし現在承認されておるワク内の処理というものは弾力的にできると考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 昨年六月に大臣の名前で交換公文に署名せられた。いわゆるインドネシアに対するリファイナンス、再融資交換公文、これが問題になっておるわけです。これによって四千五百万ドル、実際は四千三百何万ドルと出ておるわけです。これは結局は回り回って日本の輸出保険会計へ戻ってくるわけですね。このからくりについては私も予算委員会でちょっとやりました。その後わが党の木村参議院議員が参議院の予算総括でだいぶん詰めた質問をしておられます。  そこでずばりお伺いいたしますが、このインドネシア焦げつき債権を保険金でカバーした金額はいかがですか。と申しますのは、原田さん、あなたのほうからもらったやつには九十六億何がしとなっておる。椎名さんの木村さんの質問に対する答弁は百八十二億円となっております。これは時期のとり方が違っておるのではないかと思うのですが、いま問題になっておるインドネシアのいわゆる輸出に対する代金が焦げついて取り立てできないので、輸出保険の保険金ということでカバーした金額は幾らですか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 焦げつき債権を輸出保険特別会計で払ったというふうによく誤解をされるわけでございますが、輸出保険会計では焦げつき債権を払ったことは一ぺんもないわけでございます。先生よく御存じのとおり、保険は輸出契約を結びました者がその契約代金をもらえないときとか輸出ができなくなるというような場合に、ばく大な損害をこうむるわけでございますので、あらかじめ保険契約を結んでおきまして、もしそういう事態が起こったときには保険金を払ってもらうという契約でございます。インドネシアの場合にも同様な契約を結んで輸出をしておったところが、向こうの中央銀行が払えなくなってまいりましたので、保険金を払ったのであります。したがいまして焦げついている債権を払ったということではございませんで輸出ができなくなって払った分もございますし、また期限が来ない分というようなものはこれから返してくるというようなものもございます。したがいまして保険の関係では、保険契約を結んでおったが所期のとおり輸出が行なえなくて、あるいは代金がもらえなかったというものについて、払った分だけでございまして、その分はインドネシア関係では去年の十二月まで累計をいたしまして百八十二億円を払っているわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうするとあなたのほうからもらった九十六億というのは、これは時期が違うのですね。これはあとにしましょう。  もう三木大臣の時間が来たようですから、大臣にだけ締めくくりの意味において若干の質問をいたしますが、大臣は最近東南アジア閣僚会議に出席された。そしていろいろのことをおっしゃり、また聞いて帰られました。そしてジョンソン声明が出されて、まだ予備会談の場所をどこにするかということもきまらない状態である、北爆はなお続けられておるが、ベトナム和平ということについてのある程度のあかりが見えたことは事実だと思います。そこでこの種の問題について外務大臣としてどのような見通しを持っておられるのか。さらにベトナム和平後、ベトナムの復興に対して日本はどんな役割りを持つべきか、あるいはその後の日本のベトナムとの経済外交のあり方はどうか、そういうことについて、きのうですか、読売新聞主催の座談会にも出ておられたようですが、ひとつ大臣の時間の許される範囲でお考えを説明していただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ベトナムの和平というものについてはまだ予備会談の場所もなかなかきまらないというわけでありますので、この和平の話し合いというものがいかに複雑な内容を包蔵しておるものかということが、このこと自体の中にもあらわれておると思います。しかし私はこの会談の場所もきまらずに、両方話し合ってみようというこのベトナム戦争に対する平和への曙光が御破算になるというふうには考えていない。これはアメリカもあるいはハノイも、話し合って何とか解決の道を見出してみようという意思が予備会談というものをやろうということになったのでしょうから、したがって時間はかかると思います、前のジュネーブ協定も一年二カ月もかかっておりますから、なかなかこれは予備会談から本格的な会談になり、そして最後には——国際会議なども必要になるのではないかと思います。そういうことを考えてみると、相当長期にかかる可能性を持っておりますが、しかしこれがあとに戻るということはない。またあとに戻って戦争が拡大するというふうには私は見てない。私の願望も込めてそういうふうに願っております。  しかしどのような形でベトナム戦争が片づくかということは、将来のアジアに対して大きな影響がある。この片づきぐあいというものは、いすちょっと予測することはなかなか困難です。これが非常に長期にベトナムに対する安定というものをもたらすような解決になるのか、なおかつ相当な不安を残しながら一まず戦争は終わるという形になるのかということは重大な影響があると思います。しかしいずれにしてもベトナム戦争が一応片づくということは非常に大きな、いい影響をアジアの全般に対して与えることは事実で、現にベトナムの周辺諸国についても、ベトナム戦争というものの不安から、いろいろ国内建設というものに本腰を入れにくい情勢がある。どうしてもやはり戦争の拡大を防いで、自分の国を防衛せんならぬというところに重点が置かれますから、本腰を入れて国内建設ということにはならない。これが戦争が片づくという——片づきぐあいにもより出すけれども、いずれにしてもあそこの戦争が収拾されてくれば、次にはやはり平和的な国内建設に移るので、ベトナムでもあの戦争で荒廃したのでありますから、ここにはやはりただ戦争の復旧ということではなしに、東南アジア諸国の長期の安定という一つの構想が生まれて、そういうことに対する国際的な経済協力ということが生まれてくる必要がある。ただ戦争でいろいろいたんだから、それを復旧するというのではなしに、もう少し東南アジア諸国の安定あるいは民生の向上というようなことについて、国際協力という形における何らかの一つの戦後復興計画というものが生まれてくる可能性があるし、また日本などもそのように考えるべきだと思うのです。日本一国で、協力するといっても戦後の復興をひとりで引き受けるわけにはとてもいきませんし、何か一つの国際協力の形というものが私は生まれてくると思う。そういうことで、その場合においては、いま申したように、日本の国益にも合致するわけでありますから、このベトナムを——ベトナムばかりではなしに東南アジア、その周辺諸国もひっくるめて国内的な建設、それからくる経済的な、社会的な向上ということにできるだけの協力を日本がしていくべきであるというふうに考えております。これはなかなか具体的にいまどうこう言いにくいのは、ベトナム戦争の収拾がどういう形になるかということがまだ予測できない段階でありますから、われわれとしては具体的にこうだと言い切れませんが、必要なことは、あらゆる可能性を考えて、日本がこの戦後というものをどうすべきかということに対して、日本自身の案を持たなければならぬということだと思います。また世界もそれを期待すると思います。  そういうことで、われわれとしてはあらゆる可能性というものを考えながら、ベトナム戦後というものを一体どうすべきか、その間に日本が果たすべき役割りをどう考えるかということについては、われわれとして今日から検討を指示し、私自身もいろいろと考えながらその構想をまとめておる次第でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いままでは、そうでなかったとおっしゃるかもわかりませんが、いわゆる外交にしても貿易にしてもアメリカ依存型である、これはお認めになると思うのです。いまこそ私は経済にしろ外交にしろ、日本がほんとうにドルと核のかさから離れて自立するときである。また三木大臣はアジア太平洋会議ですか、何か新しい構想も考えておられるようです。もちろんそれは中国を除いては考えられないと思います。そういう上に立って、ひとつアジアにおける日本の果たすべき役割り、隣国中国との関係——私は予算委員会のときにも申しましたが、現在の時点に立ってみた場合、短期的にはなおアメリカとの関係のほうが深いと私は思います。しかし長期的に見た場合には、これは何といってもお隣の中国との関係のほうがより大事であろうと考えるわけなんです。そういう意味をも含めて、三木大臣の構想であるアジア太平洋会議がどういうようなことかこれは別といたしまして、いまこそ外務大臣として日本の百年の外交の基本を樹立し考えていただきたいと思っています。これだけ答弁していただけばけっこうです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いまのおことばに、アメリカと離脱してというお話があったのですが……(田中(武)委員「離脱とは言いませんがね。」と呼ぶ)まあしかし私はそのようには考えない。日本とアメリカとの関係というものは、貿易の上からいっても輸出入で三割占めておるわけです。そういうことで、これはやはり各方面に貿易の市場を開拓していくべきでしょうが、日米貿易にかわる市場が私はあり得るとは思わない、経済的に見ましても、あるいはまた安全保障の上においても、それは御意見の違う点でありますが、安保条約というものに対してわれわれはある評価をいたしておるわけで、これを存続さしていきたいというのでありますから、このアメリカとの関係をできるだけ断ち切っていこうという外交政策は私はとるべきではない。それは日本の国益に合致するものではない。ただしかし、言えることは、もう少しアジアがイニシアチブをとらなければならぬということであります。ただ、アメリカ自身のアジア政策に協力するという形ではいけない。やはりアジア自身がイニシアチブをとって、そうしてそれに対してアメリカの協力を求める。どうしたところで、今後のアジアの開発はアメリカの協力を除いては私は考えられない。これはとてもアジア自身が、日本が一生懸命でやるといっても、あるいは西欧といっても遠いですからね、どうしても私は——アジア太平洋圏構想というゆえんは、アジアというものがこれからも世界の国際的な問題というものの中心舞台ですよね、これが一番不安定なんですから、ベトナム戦争が終わったからといってアジアが安定するという保証はない、そういうので、アジアの安定は世界の安定に通ずる、そういうことでアジアの開発というものを促進していくためには、世界各国からの協力を得なければならぬが、何としてもアジアの動向に重大な関心を持っておる太平洋先進諸国、それは豪州であり、ニュージーランドであり、アメリカであり、カナダであり、こういう国々と日本、それにアジアの諸国というものが、ただ狭いナショナリズムというのではなくして、もう少しリファインされた形で、ナショナリズムというものが国際協力というものをすなおに受け入れるような、そういう一つの機構というものが生まれて、そしてアジアの開発というものが促進されるような一つの大きな構想が打ち出せないのか。これは急に、すぐにEECのようなわけにいきませんからね。アジアと太平洋先進諸国とを結ぶというのは、これは人類の大事業でありますから、一日にしてはできませんが、将来はそういう形でアジアの開発というものを考えていくべきではないか。そうでなければ開発というものはあまり進まないと私は思う。そういうことがアジア太平洋圏構想といわれておる問題のねらいであって、アジア太平洋圏という広さの中でアジアの南北問題を解決したい、これがこのねらいであります。そういう機運がだんだんと広まってきておるわけです。アジアの地域協力も進んできておるし、太平洋先進諸国との連携も強化されておりますから、必ずや近い将来にこれは非常に画期的なそういう機構、しかもこれがリージョナルな、排他的なものでなくして、もう少しやはりアジアの開発が世界の平和と安定に通ずるという高い次元に立った機構のできることを期待し、そのために努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 まだいろいろと大臣とは論議を深めたい点がございますが、一応約束の時間が参りましたので、また外務委員会にも参りまして十分お考えを伺うことにし、私の意見を述べることにいたします。きょうは大事なオーストラリアの首相が見えておるそうですから、大臣はけっこうです。  それでは政府委員を相手に若干質問を継続してまいります。  先ほど原田局長は、答弁の中で、インドネシア国立銀行が支払いを停止したと言う。しかし、インドネシア国立銀行が支払いを停止するであろうということは、六五年末にはもう考えられることなんです。わかり切ったことなんです。   〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕 言うならば、残念ながらもう何日かしかもたないことがはっきりわかっておるガン患者にばく大な生命保険をかけたのと一緒なんです。支払い停止になることがもうわかっておるはずですよ。通産省はじめ外務省もそうでしょう。インドネシア国立銀行がどういう状態であるかということはジェトロ等を通じて十分調査をしておられるはずなんです。そういうことがわかった後の輸出に対して契約を結んでおるわけです。言うならば、先ほど言ったような死ぬことがわかっておる人に多額の生命保険をかけてやったのと同じことであって、これが民間の保険会社であるならば、黙って保険金を払うはずがないと私は思います。いかがでしょうか。六五年にわかっておった事実なんです、

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 輸出を保険を結びました上で遂行することは非常にむずかしく、なかなか努力を要するところでございます。特にリスクが多くて、そういうリスクをカバーする何らかの制度がなくては輸出がむずかしいということで、輸出の振興を行なうために設けられているのが輸出保険制度でございます。したがいまして、ある国に対して、その国が事故の対象になるような事態が起こるか起こらないかという判定をすることは非常にむずかしいところでございます。先生御指摘のとおり、四十年の末ごろからインドネシアの経済がかなり悪くなっているということは事実でございます。九月三十日に政権の交代もございまして、その後インドネシアの経済は悪い状態が続いていたわけでございます。しかしながら、実際には輸出代金はインドネシア国立銀行はずっと送金をいたしてまいっております。一般的な経済情勢は悪いわけでございますが、輸出代金の送金はずっと続けられておりまして、十二月末に至る主で続いていたわけでございます。向こうが送金を続けております間に送金がとまるであろうとか、輸出代金を払ってもらえなくなるであろうからということをきめて輸出の保険をとめるというようなことになりますと、輸出がとまってしまって、輸出振興が行なわれないということになりますので、そのころ非常に慎重に向こうの経済を見守り、かつ、向こうの中央銀行の代金支払状況というものを見守っていたわけでございまして、遂に二十八日になりまして、銀行からインドネシア中央銀行が手形を決済してくれないという報告が出ましたので、直ちにそれをもってインドネシア中央銀行の代金支払いを免責条項にしたわけでございます。しかし、それにもかかわらず、またそのあくる日も向こうは代金を払ってきております。しかし、もう代金支払い事故の報告が出たわけでございますので、それ以後中央銀行が払わないということは保険の事故としては認めないという免責条項の発動になったわけです。しかし、そのほかの事由、つまり戦乱でございますとか、為替、輸入制限をやりましたとかその他の事由による分はまだ予想されるわけでございますので、インドネシアに対しまして、中央銀行の代金支払い不能、遅延ということ以外の事由については保険がかけられているわけでございます。インドネシアは現在でも相当な資源をもちまして輸出をいたしておりますので、その輸出代金等から獲得しました外貨で払ってこれる分とか、そういったものを元手にしました輸出というものが現在も実行せられておりまして、民間その他でももうそろそろ保険ももとどおりに開いて輸出振興に大いに役立ててもらいたいという非常に強い要望がございますけれども、中央銀行の代金支払い不能というところだけを免責条項にして続けておるという状態でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 原田さんは何とか言いのがれようとしておられますが、少なくとも商社は商売しておるのです。相手方のふところぐあいというものは十分知っておるはずなんです。本来ならば、そういうところへは輸出しないと思います。しかし、親方日の丸で政府の輸出保険がある、これを利用しよう、そういう考えであったことは明らかです。何とおっしゃられようとも、あの当時、四十年、六五年のインドネシアの経済ということは、しろうとでも、われわれにもわかります。いわんやそこへ社員を派遣し、あるいは通産省としてもジェトロ等を通じて国際市場の調査ということをやっておられるわけなんです。また外務省は外務省の出先公館を通じてやっておられるわけなんです。何と言われようとも、先ほど言ったように、少なくとも当事者においてはもう死ぬことのわかっておる病人にばく大な生命保険をかけたと同じですよ。どういうような事態が起ころうとも八〇%は、ものによっては違いますが、補償してもらえる。しかも、商社のおもだったところが所属しておる東京、神奈川、大阪、兵庫、こういうところは一〇ないし一五%の追加保険といいますかをやっておるわけです。合わすと九五%までの補償があるわけなんです。そういうことで親方日の丸式な商売をした、それを保険会計で見ていたということだけは、何と言われようとも、私はそうだと確認したいのです。それは理屈は何とかつけられましょう。大体この輸出保険の契約は国と商社その他輸出業者だと思うのですが、そういうようなことについてチェックするのは通産省のどこがやっておるのですか、どういう人がやっておるのですか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 輸出保険特別会計の事務局であります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そこで、私は、六五年の、四十年のあの秋以来の状態からそんなことがわからなかったはずはないと思うのですよ。これはあくまで保険金の支払いについてはというか、支払いの保険契約自体が私は問題だと思う。輸出保険法十五条一項で不服の申し立てができることになっておりますね。何でしたら私がやりましょうか。別に不服の申し立て人を限定しておりませんね。輸出保険法十五条一項、支払いに対して不服がある場合は申し立てができると、こういうことになっていますね。一ぺんその不服の申し立てを、契約が無効だということでやってみましょうか。いかがです。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 確かに相手国の経済の判断といいますか、この国に出せば必ず代金はもらえないことになるはずである、そういう非常に困った経済にあるかどうかという判断は非常にむずかしいところでございまして、世上一般とてもあぶないという話が起こったりするわけでございます。しかし、それにもかかわりませず、実際上中央銀行というものを持っております国は、やはり金融機関としての権威、国の信用ということもございますので、最後の最後までやはりその信用を維持するために払ってまいるわけでございます。したがって、払ってまいります限りは、国全体の経済はかなりあぶないという情勢でございましても、やはり輸出の代金は回収されるわけでございまして、現に私どもが保険の免責をいたしましたあとでもまだ払ってきたという事例がございます。したがいまして、もうこれはあぶないからというので早めにぽんと締めるという政策もとらないわけでもございませんが、それをやっておりますと、できるだけいかなる国にも相当努力をして輸出を振興しなければならないという輸出振興のほうの努力がおろそかになるわけでございますので、そういう輸出振興の要請と、あぶない経済に対しては自重しなければならないという要請とを勘案いたしまして、どの辺でどういうタイミングでそういう事態を発動するかということは非常にむずかしいところでございまして、インドネシアの場合にも、保険免責を発動いたしましたあとでも金を払ってきているという事例があるということから見まして、やはりその当時としてはやむを得ないタイミングであったのではないかというふうに存じます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 何とおっしゃろうとも、とにもかくにもインドネシア関係として保険金によってカバーしたのがいま言ったように百八十二億あるのですよ。そうして、そのために保険会計が赤字になるということです。四十一年度は予備費から二十八億四千三百万円輸出保険特別会計へ入れておるわけです。去年は補正予算で三十億という命を入れておるわけです。しかも、輸出保険法一条の四の精神から見ましたときには、これはそういう一般会計から金を入れるのじゃなしに——発足のときにはもちろんそうです。その後は見合うところの保険料金を取ることによって、独立採算ということが法律の趣旨ではありませんか。しかるに、そのようなおおよそのといいますか、損をするであろうと予見せられる、事故が発生するであろうと予見せられるものに対して保険契約を結んだ結果が、インドネシア関係だけで百八十二億の保険料を払っておるのでしょう。そうして、先ほど言ったように、四十一年度は予備費から、四十二年度は補正予算からやっておるのでしょう。そのこと自体も輸出保険法の精神から私は間違いだと思うのです。言うならば輸出保険法一条四の精神を曲げてそういうことまでやっておるじゃありませんか。少なくともこれは予見し得べかりし事故に対して保険をかけた、何とおっしゃろうと私はそう思います。いかがですか。——いかがです、言ってもそうですとは言わぬと思うのです。私は、そういうような立場をとっていまから質問を続けますが、よろしいか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 どうも先生にそうおっしゃられると非常に困るわけでございますが、保険会計が収支償うように独立採算の原則でやれという法律の規定になっていることはおっしゃるとおりでございます。ただ、その趣旨は、ある会計年度、その年が常に収支償うようにやれという意味ではございませんで、輸出に伴うリスクはインドネシアの場合のように非常に大きいわけでございます。数年間何事もなく過ぎて、その次の年に予見せざる事故が動乱や国の政変等に関連して非常に大きく起こるということでございますので、普通の一般の民間の保険会社などではできないから、国でやっておるという制度でございます。現に輸出保険の歴史におきましても非常に多くの年が黒字でございますが、やはり赤字になった年があるわけでございます。このインドネシアの事故につきましても、百八十二億円という非常に巨額の保険金支払いをせざるを得なかったわけでございますが、これはやはりこういう保険会計、国がやるという輸出振興のための保険という制度にはつきものの宿命みたいなものではないかという感じがいたすわけでございまして、諸外国におきましても、百億円以上に当たるような保険事故を出した例がございます。ただ去年補正予算その他で出資を追加していただき、さらに予備費のほうは、これは会計のたてまえ上準備金みたいに積んでおきまして、こういうことのために使うためにある予備費でございますので、そのつど御報告を申し上げてそちらのほうに使わしているわけでございます。それから出資のほうは、実は昨年、先ほども九十六億というようなお話がございましたが、当初予算ではインドネシアに対する保険金の支払いはこのように大きく起こることはあるまいという予想であったわけでございます。それは再建計画が進んでおりまして、リファイナンスが当初の予定どおり行なわれておれば、保険とは関係がなくて済むということで、きわめてわずかの保険金支払いという予定でございましたが、非常におくれておりまして、その結果資金繰りがちょっとつかなくなるというかっこうで、その間は措置をしてもらったわけでございます。しかしその後順調に回収が行なわれておりますので、保険特別会計といたしましては、ことし、来年というようなことで、この大きな赤字を一ぺんになくしてしまうということはできないわけでございますけれども、長期的に見ますと、やはりバカンスをしていくということに持っていけるのではないか、かように考えたわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 商工委員以来長いつきあいだから、私はここであなたを立ち往生させようとは考えていませんが、あなたがそういう答弁をするなら言わざるを得ない。なるほど回収金として逐次回収する。ところがその回収金は再融資交換公文による日本輸出入銀行から出た金です。これもやはり国民の金なんです。予備費はそのようなときに使うためにあるということは少し言い過ぎでしょう。保険会計に使うということだけじゃないのです。保険会計はいま言ったように、一条四によって独立採算のたてまえである。しかも予備費支出のこの説明を見ますと、輸出保険事故の増加に伴い云々なんです。いいですか。したがってあなたの答弁はごまかそうとして長くするからもうよろしい。少なくとも予見し得べかりし事故に対して保険をかけたということは、いかに言われようともわれわれは承認できない。そして先日木村参議院議員が参議院において明らかにしたように、そういうことによって、保険金によってカバーしてもらった大手八社の商社が四十一年七月一日より四十二年六月三十日、この一カ年間に約九千万円の政治献金をしておる。  そこで自治省にお伺いいたしますが、公職選挙法百九十九条の特別の利益を伴う契約とはどういうものですか。

植弘親民自治省選挙局管理課長

○植弘説明員 お答えいたします。  特別の利益を伴うと申しますのは、請負等におきまして特別の利益を伴うところの請負契約でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これはおそらくあなたが持っているものの抜粋だと思います。自治省選挙局の公職選挙法逐条解説、そうですね。

植弘親民自治省選挙局管理課長

○植弘説明員 そうです。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それの九〇八ページから九〇九ページにかけて、文章が長くなるから要点だけ申し上げます。「当該契約が一般業者が参加できない特恵的又は独占的な利益を得るようなものである」、これがいわゆる特別の利益を伴うところの契約だといっておる。それでいいですね。

植弘親民自治省選挙局管理課長

○植弘説明員 はい。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほど原田局長は、私に対する答弁の中で輸出保険契約とはそのようなものだ、すなわち、損をする、それを国の金で補うということがたてまえだ、そういう性質だとおっしゃったのですね。しかもこのいわゆる保険契約ができるのは輸出業者の一部に限る一もちろん法律的には輸出するものはだれでもできるようになっておると思います。しかもこれは、あなたがいま言ったように、一般の民間保険会社のいわゆる民間ベースではやれない保険、特殊な保険である。したがって特別の利益、いうならば事故のときに保険金を払ってもらえるという、リスクに対する特別な利益を伴う契約ですよ。国が当事者です。したがって、百九十九条の「特別な利益」を伴う契約であると私は断定します。したがって、これら商社が一年間にわたって約九千万円の献金をしたのは、その間に四十二年一月には総選挙がございました。公職選挙法百九十九条の違反の献金であり、そのことはそれを受け取った国民協会等々は政治資金規正法二十二条違反の献金を受け取った。いわゆる商社は公職選挙法百九十九条の違反を犯し、国民協会等々は問題の政治資金規正法二十二条の違反を犯しておると私は断定します。法律的に私に納得ができる解釈が願えるならば、法制局長官でも原田局長でも自治省でもよろしい、お願いしましよう。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 いまのお話、私実はこの席でただいま伺ったことでございます。先生はそれが政治資金規正法違反であると断定をされるわけですが、私はそうでないということをいまここで先生御納得いただけるように詳細にわたって申し上げる研究を積んでおりません。同時にそれが断定すべきであるというのも私は賛成をすることはできません。やはり事もかなり重要な問題でございますから、それについて、もし必要であれば研究の時間をお貸し願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほど、自治省の出しております「公職選挙法逐条解説」の要点を私は読み上げました。すなわち一般業者が参加できない特恵的契約をいう、特別な恩恵を与える契約だ、こういうことなんですね。いいですか。しかも先ほど来原田局長がるる私に説明したように、民間の保険べースではやれないのを、国がそのリスクを担保してやるのだ、そうして赤字が出たからといって予備金の支出あるいは補正予算で一般会計からの支出は、これは保険会計の性質上当然であると言ったのです。すなわち、国からの特別の利益を与えるものであると私は思うのです。これ以上の議論はいたしません。したがって法制局から私の納得のいくような、後日でけっこうですが、説明をしてください。でなければ、次は警察庁を呼びまして、この場において告訴をいたしましょうか。何ならすぐに警察庁の刑事局長でも呼んでください。刑事訴訟法によれば告訴告発は書面または口頭をもって司法警察員にこれをすることができるとなっている。したがって、ここで警察庁の刑古局長を呼べば、私は口頭をもって告訴ができるわけなんです。黒白を決するというなら、そういう方法をとってもけっこうです。これは法制局、まずその前段として、法律的に私の納得のいく解明を後日していただけますか。いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 私先ほど、いま断定的なお答えはできないと申し上げました。それは当然そういう重要な問題ですから研究の時間が必要でございますが、しかし、この問題は法制局よりもやはりその主管の当局において御答弁申し上げるのが自然だと思います。むろん私のほうは相談にはあずかりますが、法制局が表面に出まして御答弁申し上げることはお許しを願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私は、法の解釈の、行政的最高解釈は、内閣の法制局が下すのだと思います。したがって、内閣法制局がその関係の省庁に事実を聞いたり、何か意見を聞いたりしてやられることは当然だろうと思いますが、私は一行政官である何々省の局長の答弁をもって法律の最高、少なくとも行政的最高解釈とは思いません。行政的最高解釈は内閣法制局長官ですよ。いいですか。だから、少なくとも行政的法の最高解釈を求めておるわけです。それで私が納得できなければ司法的解釈を求める、そういうことです。いかがです。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 おっしゃることはよくわかります。御指摘があるまでもなく、内閣法制局はいろいろな問題で、私が直接申し上げるまでもないことでも、いろいろ相談を受けてその結果について申し上げておることはございます。私がいきなりここで申し上げるのはいかがかというわけで、関係当局が私のほかに申し上げることがあればお聞き願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ここまでくれば、私は、たとえば原田局長の答弁は要求いたしません。時間をとるだけです。したがって、輸出保険法十五条一項による不服申し立てをするか、あるいは公職選挙法ないし政治資金規正法の違反としてこれを告訴するか、これは自後のことにいたしまして、いわゆる行政担当官の解釈はもう求めません。  そこで、会計検査院にお伺いいたしますが、国が契約を結ぶ場合、たとえばいま言っておる輸出保険の場合は、会計検査院はどの程度の検査をいたしますか。すなわち、形式的な書類審査なのか、内容に立ち入って、その契約が正しく結ばれておるのかどうか、そういう点まで立ち入っての検査をやりますか、いかがです。

鈴木治久会計検査院事務総局第四局長

○鈴木会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもが検査いたしますのは、担当の当該地方通商産業局、それから特別会計を取り扱っております本省、これにつきまして検査をいたしますが、私ども検査の材料として見ますものは書類だけでございまして、先生おっしゃいますように、具体的内容そのもの、実態についての検査、商社あたりに行ってというふうなことになりますと、いたしておりません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 会計検査院のほうから見て形式的検査だけでいいのか、その契約の内容に立ち入ってやれる権限があるかということになれば、私は後者をとりたいと思う。やれる権限ありませんか、いかがです。

鈴木治久会計検査院事務総局第四局長

○鈴木会計検査院説明員 私どもの検査といいますか、担当いたしておりますのは輸出保険特別会計でございまして、そこの保険契約、それにつきましては検査はいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 だから、契約の判がそろうておるとか添付書類がどうとかいうことだけなのか、その契約の中身が何なのかということ、さらに支出した場合に、この保険金の支払いは正当なりやいなや、そういうことは当然やるのでしょう。

鈴木治久会計検査院事務総局第四局長

○鈴木会計検査院説明員 はい、やります。引き受けそれから事故、その他につきまして検査はいたします。引き受けにつきましては輸出契約があるか、信用状のようなものが添付されておりますれば、その内容は検査いたします。支払いにつきましてはその金額が正当かどうかという点について検査いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いま私は、輸出保険の支払いについて疑義あり、あるいは契約それ自体について疑義ありと言っておるわけです。あらためて輸出保険特別会計にわたって会計検査院の検査を要求いたします。いかがです。

鈴木治久会計検査院事務総局第四局長

○鈴木会計検査院説明員 四十一年度分までは確認いたしておりますが、四十二年度についてはただいま進行中でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 四十一年度は確認をした。しかし、その後疑義が出てきたという場合、やれるのでしょう、やれませんか。なんでしたら、これは会計検査院長と会計検査院の権限という問題で後日あらためて論議をいたします。

鈴木治久会計検査院事務総局第四局長

○鈴木会計検査院説明員 御要求もございます場合、あるいは検査院といたしましてももう一度見直すべきだというふうに判断いたしました場合にはやることができると思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 原田局長、昨年日本からインドネシアに経済援助という名目で怪獣映画が出されておるのですね。これは保険がついておりますか、ついておりませんか。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 援助によるもので、ついてないのではないかと思いますが、なお調べた上で答弁させていただきます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 経済援助ですよ。その中に怪獣映画が出されておるわけです。そこで、これは輸出保険がついておるかついていないか、もしついておるとするならば、当該契約に対して追跡検査を会計検査院に要求いたします。よろしいですね。

原田明通商産業省貿易振興局長

○原田政府委員 私の記憶によりますと、怪獣映画を含めて映画が出ました分は、その円借になります対象が、向こうとの取りきめあるいは債権国会議の決定、合意に従いまして、インドネシア側においてボーナスエクスポート——普通BEといわれます制度によって選ばれた品目を援助の対象にするということできまりました結果、映画がBEの中に入りまして、したがってそれが自動的に認められたという形で行なわれたものと思っております。しかし同じBEでございましても、経済開発といいますか、援助の対象としてそういう種類のものがインドネシアの経済に役立つかどうかというような点についてかなり疑問を生ずる向きもないではないというようなことから、その後先方と話し合いをいたしまして、この種のものは入れないようにしてくれぬかという話を向こうにいたしまして、現在ではこういうものが出ないたてまえになっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 長い答弁要らないですよ。  保険契約の対象にそれがなっておるかなっていないかということを調べてもらうことと、もし保険契約の対象になっておるならば、会計検査院はそれを追跡検査をしてもらいたいということです。  そこで、これは大臣がいないので議論がから回りになると思いますが、インドネシアに対する今日までの援助は、私は義理にも効果をあげたとは言いがたいと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、新造船だということで出した船が中古品であって、つながれたままになっておる。ある造船所は三隻の注文を受けて三隻分の金を受け取った。だが、実際は二隻しか出していない。その一隻分の金は関係した人たちの食いものになっている、こういう事例はまだあります。あげろというならあげます。  そこで、これは大臣でないと答弁できないと思うのですが、経済援助に対して追跡調査の必要があると思うのです。そういう機関を置くべきだと思いますが、政府委員の段階において答弁できますか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田政府委員 われわれも、先生御指摘のとおり、追跡調査の必要を十分認めて、本年度そういう予算もちょうだいいたしましたので、そういう方面に向かって努力しようと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 はしょってまいりましたけれども、経済援助がはたして所期の目的を達しているかどうか。あるいはその経済援助の名のもとに出されたものが相手国において十分消化せられておるかどうか。それが特定の人の私腹を肥やす結果に終わったかどうか。あるいは商品を——今度は基金法を改正して商品で援助するといっておるのですが、商品を出した場合に、その価格が国内的あるいは国際的に見て妥当であったかどうか、往々にして基準の価格、適正価格を上回っておる場合が多いです。アメリカ等におきましても、運賃等は、シップアメリカンということでアメリカの船を使っておるが、経済援助は三倍もとっておるそうです。そういうことがなかったかどうか。これは外務省としても追跡調査が必要であると日時に、会計検査院がはたしてそこまで——あるいは海外まで出かけていってできるかどうかということについて、私なお問題があろうと思います。相手国との関係において、主権の問題あるいは内政干渉の問題があろうと思う。しかし沖繩に対しては、いままで出張した例があります。  そこで、会計検査院が海外まで追跡検査ができるような方法を考えるべきだと思います。しかし、これは相手国の主権との関係がございますが、幸いことしの五月の下旬、東京において国際会計機関の最高会議が持たれます。ひとつそのときの議題として、お互いに今後ますます海外援助、海外協力が複雑化してくるならば、お互いの会計検査機構が協力し合って、そういうようなことに対して追跡調査あるいは海外へ出ていってまで調査する、そういうことができるような方法を国内的にも、あるいはそういう国際会議に提案してやる必要があろうと思います。そこまでいかなくても、たとえば商品を輸出した場合に、その商品の価格が適正であったかどうか、あるいは設備を契約した場合、その見積もりが適正であったかどうか——いままではでたらめですよ。そういうことは国内でもできるわけです。そういうことについて会計検査院はどのような考え方を持っていますか。

斎藤実会計検査院事務総局第一局長

○斎藤会計検査院説明員 まず第一点の、国内において検査をすることができるかどうかということでございますが、これはもし国が補助金等を出して、その補助金を受けた団体等が物資を購入し外国に送るというような場合に、その契約の方法なり、あるいは相手方なり、あるいは価格なり、あるいは検収の方法なり運送の手段なりというものが妥当であったかどうかということについては、当然検査ができるわけでございまして、検査をいたした事例もございます。  ただ、これが外国に行って外国の手にわたってしまった後におきましては、沖繩の場合のように覚え書き等によりまして相互の合意がないと、これはできないというぐあいに当然考えられるわけでございます。  それから第二点の国際会議に議題として提案してみたらどうかという御意見でございますが、これはたいへんごもっともな御意見だと思います。しかし、この次の国際会議は五月二十日から始まりまして、この議題につきましては四つの議題がございまして、これは一年くらい前から各国から持ち寄りまして、理事会にかけてどういう議題をこの国際会議の議題にするかということをすでに決定いたしまして、参加国数十カ国に送付いたしまして、それぞれのレポートを集めておりまして、それを整理しておる段階でございます。したがいまして、この次の五月の国際会議に議題として提案することはちょっと無理があるのじゃないか、これは理事会にもかけてやっておる議題でございますので、ちょっとまあ私としては、国際会議の最高の責任者ではございませんが、さように考える次第でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 議題はきまっておるように新聞にも出ておりましたが、私はこれは重要だと思うのですよ。それは議題外にサロンで話してもいいと思うのですよ。議長が取り上げようと思えば取り上げられるわけです。だからこれは正式議題に持っていくまでに工作は必要だと思いますが、ぜひひとつそういうことをやってもらいたいと私は思います。  それから、輸銀であれ、基金であれ、金が出て商品援助をした場合、あるいはプラント輸出をした場合、これは当然その見積もりなり価格が適正であるかどうかは調べるべきである。ことに今度はインドネシアに対する援助を商品で行なうため、しかもそれをいままでのような輸銀でなく基金で行なうための法律改正まで出しておるわけですね。だからこのことにつきましては、会計検査院に対して十分今後はそういう面に対してもやっていただくことを要求します。いかがですか。

斎藤実会計検査院事務総局第一局長

○斎藤会計検査院説明員 従来も必要な範囲においてやっておりましたけれども、今後いよいよ経済援助というようなものが、先ほどからのお話のように活発になっていくと考えられますので、十分将来にわたりましても注意をいたして努力をいたしたい、かように考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 会計検査院はそういうことによって十分な会計検査院としての独立的な権能と同時に責務を果たしていただくことを要求します。  これは大臣がいなくて答弁できるかどうかと思うのですが、この前にこの委員会においても問題になったと思いますが、在外公館の国有化の問題、たとえば総領事館だとか公邸とかあるいは大公使館もそうです。私たち外国に行って相当聞くのですが、買ったほうが得ではないか。ところがいまだに高い家賃を払っておる。そこでそういうものに対して外務省はどういうような計画、方針を持っておるのか。現在借地料、借家料ということで、年間幾らの金が出ておるのか。  それからもう一つ、これは一昨年、私アルゼンチンに行ったときのことなんですが、海外移住者あるいは派遣者の子弟の教育ということについていろいろ陳情も受けました。そういう移住者ないし派遣者の子弟の教育等についてはどのような方針を持っておるのか。大臣がおられませんからあらためて伺うとして、答弁があなた方のところでできて、方針があるなら示していただきたい。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 在外公館並びに在外館長の公邸につきましては、いま先生御指摘のように、借りるということよりも買ったほうが有利であるということは原則としてそのとおりでございます。ただし使う金に制限がございますので、方針を三つ立てております。  第一は、適当な売り家もなく借家もなく新築によらざるを得ない場合、こういう場合には建てております。  それから第二には、現在借家に住んでいるが購入しなければ機密の保持ができないというような客観情勢がある場合には、建てるとかないしは買うという方針でございます。  それから第三に、現在借り上げ使用をしておる建物でございまして、家主より買い上げを要求されているもの、しかも買い上げなければ、ほかに適当な移るべき借家がないという場合には建てるないしは買うということいたしております。  大体こういう方針に従いまして、四十三年度におきましては十一億六千万円を計上しております。  御参考までに申し上げますが、従来国有化しました件数は二十七件ございます。  それから、移住者の子弟の教育につきましては、これは中南米・移住局長から御答弁申し上げますが、在留邦人の子弟教育ということに外務省といたしましては非常な重点を置いておりまして、予算の中にもかなり高度な計画を入れてございます。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 移住者の子弟の教育につきましてお答えいたします。  在外におります日本人の子弟は、大別いたしますと二つになりますが、それをまた細別いたしますと三つに分けられると思います。  一つは在外に短期間両親が滞在する者の子弟下ございます。これは商社、メーカー等、それから外務省その他から派遣されている者、そういった者の子弟の教育という問題がございます。これにつきましては、ただいま官房長からお答えがあった点でございます。次には、移住ないしは長期的に外国に定着し、その国に適応した者、そういった者の子弟の教育というものの問題でございます。その次には、両親が移住いたしまして、まだ十分に定着しておらず、定着の過程にある者、争ういった三つのカテゴリーに分けるべきであると考えております。  第一につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、第二、第三の点についてが御質問の要旨かと存じます。  原則といたしましては、もともと父兄の意向によって子弟の教育というものは与えらるべきものであり、またきめらるべきものだと考えておりますが、政府といたしましては移住者につきましては移住先の国においてよりよい教育を受けるよう勧奨しておるわけでございます。ただし、場合によりましては、その国の法令に反しない範囲でできるだけ教育の面の補助を移住者に与える。ことに希望が強い場合にはこれを行なってきておりますし、将来も行ないたいと考えている次第でございます。これは父兄が移住先国におきまして、日本から持ってきた日本の文化その他日本人の資質のうちのよい点をより子弟に理解させたいという希望者がある場合、それがまた実際にはかなりあるわけでございますが、そういった場合には日本語の普及その他の教育を現地の教育の補助の一環といたしまして行なっているのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 もう移住先の国籍を持っておるような人、すなわち二世等も含めて、やはり、その考え方がいいか悪いかは別として、大学は日本の大学へ行かしたいというのが親の願いのようです。そのためには日本語の教育、これをやはりやってもらいたいということなんです。  それから家族を残して赴任するような場合、あるいはある程度子供を連れて行っておったが、今度学齢期になったとか、あるいは高等学校に入る時期になったとかということで日本へ子供を戻すような人、いろいろケースはあると思いますが、子弟の教育ということについてはいろいろ行った先でわれわれも話を聞いておりますので、これは十分にひとつ外務省でも検討してもらいたい、これだけを要望しておきます。  それからなお委員長、まだ外務省の決算に関してはあるのです。あるのですが、大臣がおられないので残余は留保します。  そういうことで、外務省の問題につきましては若干留保いたしますが、せっかく来ていただいておるのだから、もう時間もない、というよりか、だいぶたっておりますので、簡単に海外技術協力事業団にお伺いします。  賠償は、相手国からいえばこれはあたりまえだと思うのです。経済協力にいたしましても、こちらが考えておるほど向こうはありがたく思っていないので、利子も取るのだから商売ぐらいにしか考えておらぬ。そうなると、これからは技術協力ということが大きな役割りを果たすべきであり、また果たすであろうと思うわけです。  そこで、海外技術協力事業団ですがね、事業団の目的は一体何ですか。もちろん、その法第一条を読めば書いてあるが、ずばり一言で言ってください、事業団の目的は何か。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 簡単に申します。相手国の人づくりに寄与するということを根本の方針といたしております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 事業団の目的は、法第一条に明確に規定してあります。そうして私が指摘したいのは、「技術協力の実施に必要な業務を効率的に行なう」、法律には「効率的」ということがはっきりとうたってあるわけです。はたして、今日まで事業団のやられたことがこの効率的ということに対して十分であったかどうか。一々伺うつもりですが、時間がないのでもう簡単に言いますが、事業団はあまりにも、やることがというか、手をつけたものが多過ぎる。したがって焦点がどこかということ、いわゆる効率的運営というか、これに欠けていると思うのです。そうではないですか。もしそうではないということになるならば、反省がないとおっしゃるなら、一つ一つ事実をあげますが、いかがです。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 あまりにやることが多岐にわたって散発的になったというきらいはあると、私率直に思います。ただし、相手国の要請が非常に多いので、ある程度はそれを加味しなければならぬということがございますが、われわれのほうといたしましては、できるだけ重点主義に持っていきたいというつもりでございます。たとえば調査団などを出しますのでも、どうも件数が多くておざなりのものになりがちだ、そこでこれからは件数を少なくいたしまして、一件の人数等はかえってふやしていく、こういう方法をとっていきたいと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 なぜ私が言ったかというと、効率的運営ということが法で明確にうたってあるわけですよ。ところが中小企業センターあり、農業開発何とかあり、青年海外協力隊あり、何でもやっている。なるほど、相手国の要望にこたえるということは必要でしょう。しかし事業団法が、第一条目的において効率的ということを特にうたったのは、たくさんやりたいことがあるけれども、そのうちに特に効率的にやるのだということが法の精神だと思うのです。したがって今日まで、たとえば何とか調査、あるいは文部省から委託を受けた、通産省から委託を受けた、これもけっこうでしょう、なるほど業務の範囲にあるのですから、できぬことはありません。しかし、目標があまりにも多過ぎて、一体何をやっておられるのか、こういう感じを受けます。したがって、法の精神によって効率的運営を効果的にやられるように要望いたしますが、いかがです。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 ただいまの御要望はまことにごもっともなことと思いますが、一つ申し上げたいことがあります。それは効率的とは何ぞやということでございます。そうしてわれわれのほうでやります仕事は、効果が早くはっきりするものがありますし、しないものがあります。たとえば相手の放送局とかあるいは電信電話というようなところに協力いたしますと、その効果はすぐわかるのでありますが、農業とか中小企業とかいうものは相手が数千万人に及ぶ場合が多いのであります。そこである程度のことをしましても、それがすぐ表に効果が出てこないではないかというきらいがあることは事実でございます。しかし、それだから農業や中小企業に対してやらぬでもいいということに私はならぬと思いますので、効果という点につきましては、非常に長期的にしんぼう強く見なければならぬ、こう思っておるわけです。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 法律は効果はいってないのです。効率的運営です。わかるでしょう。たとえば中小企業をやってはいけないとは言いません。中小企業センターあり、農業センターあり、かと思うと、青年海外協力隊があり、農業開発協力室あるいは開発技術協力室、いろいろなものがあるのですね。一体この協力室というのは何をしておるのか、こういうことも伺いたくなるわけです。たとえば調査にしても、アジア等の地域における公共開発計画調査というのを十地区にしたわけですね。その結果は一体どこに報告したのです。公式にどこかに報告しましたか。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 調査は相手国の依頼によって調査をいたすのでございます。したがいまして、原則といたしまして、その報告書は相手国政府に提出いたします。そして同時に政府のほうに対してもそれは必ず報告いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私、最初に言ったように、こまかく言うなら幾らでもあるのですが、いまの調査ですが、相手国の依頼によって十地区行なって、相手国に報告した、日本の政府へも報告しておるのですね。これは公表するのですか、しないのですか。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 御希望があれば直ちに見せます。ただし、その相手国政府のほうにデリケートの関係があるようなところはしないこともあるかもしれませんけれども、原則としていたしております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 調査の結果は報告しないことがあるかもわからぬということがぼくは問題だと思う。これもやはり会計検査院の検査対象になると思うのです。御希望があればいたしますとこういうことですが、国民はいまどこの調査をやって、その結果がいつ出たかわからないのですよ。  じゃ要求しましょう。いままでの調査、全部資料を出してください。御希望しましょう。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 私のほうでいたしております調査はいつでもお見せいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 だから、その資料要求として、いままでの十地区の調査報告を全部いただきましょう。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員長代理 何か印刷物になっておるのですか。

渋沢信一海外技術協力事業団理事長

○渋沢参考人 なっております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員長代理 それではいつでも出ますね。——それでは出してください。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうすると、それをいただいた上で、はたして効率的運営であったかどうかあらためてまたお伺いする機会を留保いたします。  ついでですから、海外移住事業団に来ていただいておるのでちょっと伺いますが、海外移住事業団は一口に言って何をやっておるのです。

廣岡謙二海外移住事業団理事長

○廣岡参考人 一口に言いまして、移住者の援護、援助、それを通じて受け入れ国家に対する経済協力をやっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 前に進みます。法二十一条六号に「海外において、移住者の定着のために必要な福祉施設の整備その他の援助を行なう」こういうのがあります。私、あれはたしかアルゼンチンだったと思うのですが、参りまして、海外移住事業団の駐在の方の案内を受けて行ったわけです。ずばり言って一番きらわれるのがイタリア人だそうですね。その次、日本人もあまりよく思われないという。その一つは、おしめなんかをばっと干しておるからということなんです。しかし日本には脱水機など幾らもあるのでしょう。一戸に一つということは無理としても、一つの集団に適当な数ということは言えると思うのです。きらわれるのは、日本人はマンションでも満艦飾ですね、あれが先進国としてはどうも恥ずかしいというか、そういうようにぼくは話を聞いたわけですね。それなら、脱水機などというのは日本は世界でも一番いいのができておるはずですよ。もちろんボルトの違いとか等はあると思います。しかしそんなものはかえればすぐ使えるわけですね。そういうのは福利施設にならないですか。そういうのを支給することによってあの満艦飾——おしめを窓へ干したりあるいは家のまわりへ干しておるのは東洋人というか日本人が多いということを聞いたわけです。そういう点はどうですか。それが一点。  それからもう時間がありませんから続けますが、海外移住についての調査です。かつてドミニカ移民等について、行ってみたら話が違っておった、こういうことがありましたが、そういう調査あるいは移住先の追跡といいますか。先ほど来追跡ということばをよく使っていますが、追跡までしてめんどうを見ておるのかどうか。さらにこれは移民で行った人かあるいは前から行っておった人かは別として、現地でいろいろ苦しんでおる人、困っている人がある。そういうものに対する援護の手はどうなっておるのか。たとえば昨年ですか、栃木のほうだったと思いますが、ブラジルへ移住して主人がなくなった、そこで二人の子供をかかえて母親が帰国の途中、悲観して船の中から身投げをした、孤児だけが日本へ帰ってくるというようなことがありましたね。もっと援護あるいは親切な相談の機関なり手が伸べられておれば、御主人が病気で死んだことは別といたしましても、その後の悲劇は食いとめ得られたと思うのです。もう時間がありませんから総括します。  そういうようなことについてどういうふうにやっているのか、また今後どうしようというのか、そういうような点をまとめて御答弁願います。

廣岡謙二海外移住事業団理事長

○廣岡参考人 ただいまアルゼンチンにおきますおしめの例を引いて、きわめて評判が悪い。なるほどそういうものが満艦飾になって干されておるというのはかっこうのいいものではございませんけれども、しかし大体としまして日本の移住者は、アルゼンチン政府のみならず、中南米の移住先国においては勤勉と努力、精進ということが非常に高く評価されております。また実際彼らも、そのやっておりますことにおいてその国の経済的な発展に相当協力しておるという事実が認められておるわけであります。ただ、そういうおしめのようなものを一つ一つ福利施設ということで考えることはどうかと思いますけれども、私どもにおきましては農協の組合があるようなところにおきましては、組合の施設としてそういうことを考えたらどうかというように指導いたしております。  また移住者に対して親切に指導すべきではないかということは、仰せのとおりでございまして、私ども移住者という人間を対象にして、その将来がどうなるかというような移住者の方に対しましては、相手方の身になって考えることも必要でありましょうし、あらゆる援助、指導の手を差し伸べるということは当然大事なことであると思うのであります。  ただいま、たしか栃木県の出身の方でありますが、第二トメアスへ行かれた方が非常なりっぱな若い人であったようでありますけれども、不幸にして病魔におかされまして、前途半ばにして、これからというときになくなられた。そして未亡人の方がまだ子供さん二人をかかえておられたのでありますけれども、若干ノイローゼぎみになりまして、船の中から投身自殺されたという、きわめて悲惨な遺憾な事態が出たのであります。私ども現地のベレンにおきましては、そのコロニアの日系の方々も、あとに残ればできるだけのお世話をするということを指導も申し上げたのでありますけれども、どうしても帰るということで帰国の途につかれたというようなことでありまして、投身するまで、船中におきます監視も十分に手を尽くしておったようでありますけれども、ああいうことになったことは、私ども非常にお気の毒のきわみだと考えております。今後一そう、さようなことで指導、援護をいたしてまいりたい、こう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 少なくとも、移住した約束が違うじゃないか、こういうことのないようにひとつやってもらいたい。  たとえばそういうことの一つとして、向こうに行って金を払ったけれども、いわゆる土地に対する権利、地権とでも申しますか、それがまだ自分のものにならない、したがって不安定だという事実もありますね。そういうようなものについては、その国によって若干日本と違うと思いますが、少なくとも日本と同じような制度、おそらくあまり大差はないと思いますが、登記の終了までめんどうを見なければいけないと思います。金を払ってそこを開墾した。しかし所有権はまだこない、こういうのもたくさんあるわけですし、そういうことも含めて、私は外務大臣におってもらって、両事業団の今日までの業務、これからのやることに対する要求あるいは希望、これをやりたいと思っておりましたが、もう大臣も退席されたわけですし、参考人を相手にこれ以上やっても効果はあがらないと思いますから、それにきょうは大体一時を目標に質問に入ったわけで、自後の質問は外務省の決算が終わるまでにもう一ぺんやる、あるいはそれができなければ、予備費のところでもう一度行なう、そういうことで保留をいたしまして、えらい長くなりましたが、私の質問は一応きょうは終わらしていただきます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員長代理 華山親義君。

華山親義日本社会党

○華山委員 お伺いいたします。  先ほど田中委員からお話のありましたオーストリア等の補償に関する予備費が出ておりますけれども、これは両国間において事実上話し合いがついたのはいつですか。

岡田晃外務省欧亜局外務参事官

○岡田説明員 この問題につきましては、オーストリア政府側から昭和二十九年に申し入れがございまして、その後、昭和三十八年から四十年まで、約十回にわたり話し合いが進みまして、そして四十一年の十月二十二日ごろから非常に精力的に両国間の話し合いが引き続き行なわれて合意されたものです。

華山親義日本社会党

○華山委員 この経過を見ますと、四十一年の十一月二十九日に交換公文の閣議決定が行なわれている。その翌日の十一月三十日に国会が召集されている。そしてこの国会には補正予算が出ている。そして四十二年の二月、三カ月もたってから予備費の支出の閣議決定が行なわれた。なぜ明日に国会召集を控えて、そしてそこに補正予算が出ているのに予算を計上しないのか。何か知らぬけれども、国会にはこの問題は出したくない、予算にも出したくない、そういうふうなことから、十一月二十九日というものを急遽きめたんじゃないのか。これは自然の成り行きだったのか。三十日の国会召集を前にして、とにかくきめようということできめたのか、私は、ここに、政府の国会に対する思惑があるように考えられてならない。この間の考え方はどうなのか。

岡田晃外務省欧亜局外務参事官

○岡田説明員 これは、タイミングに関しましては全く偶然の問題でございまして、単に当初オーストリア側は、六十六万七千ドルの要求をいたしましたものを、一万六千ドルにまで減額いたしたわけでございまして、時たまたまここまで折れてまいりましたときに、オーストリアのここにおります大使が辞任するという事態がございまして、早急にきめなければ、事態はまた変わるかもしれない、六十六万ドルでございますから、約四・七%に減額したような次第でございますので、これは急遽話し合いを妥結することになったわけでございまして、その間に何らの政治的な考慮というものはございませんでした。

華山親義日本社会党

○華山委員 外務省がそういうことを言われるならば、私はこういう事態を幾多の例をもって——国会の召集の前に急遽外務関係につきましてはこれをきめる、そして国会の審議を免れる、そういうことが行なわれている。この場合がただ特別の場合であるということならば、私はこの次に、その他の場合につきまして例をあげまして、なお質問いたします。きょうは資料を持っておりませんから、ここで保留いたしますけれども、その他の場合におきましても、こういうことがしばしば行なわれてきている。  それで、この問題につきまして、田中委員の御質問に御回答がありましたが、なお私了解をいたしかねたこともございますので伺いますけれども、法律あるいは条約というものと予算、予算というものがあれば法律とか条約というものはなくてもいいんだ、そういうふうなことでは、私は、決してない。法律なり条約、条約といいましても名称の問題は別ですけれども、それは予算と無関係に審議され、かつ国会において意思の決定がなさるべきだと思うのでございますけれども、法制局長官の御意見を伺いたい。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 すべての国際合意が、予算の関係に影響を持つということは必ずしもないと思います。私、先ほど、条約といわゆる行政取りきめとの区別について申し上げました。その主眼は、先ほど不十分だったかもしれませんが、その国際合意の所管事項が既存の国内法の執行として、あるいはその許容する範囲内で実施することができる事項に限られる。したがって、国家の意思力の発現といいますか、そういうものに及ぼす拘束が、行政権の機能による国権の発現の分野にとどまって、立法権など他の機能による国権の分野に及ぶことがないという点で、いわゆる国会に締結について承認を求める条約とは、基本的に性格が違うんじゃないかというのが基本でございます。しこうして、そういうものには金銭の債務を負担するものがあるとはきまらない。しかし金銭債務を負担するものについては、御承知のとおり、憲法八十五条で債務を負担するものは国会の議決を必要とするということがありますので、その手続はまた別途なければならないが、その債務を負担することについて、すでに既存の予算にそのことが掲げられてあれば、つまり国会がそれについて御議決があれば、その範囲内であれば問題はないだろう。しかし債務の負担について、国庫債務負担行為なりあるいは当該年度の予算の範囲内をこえるものがあったり、あるいは法律で認められている事項の範囲に入っていないものであれば、行政取りきめといっても、債務を負担する観点から国会の御議決が必要であろうというのがわれわれの意見でございます。したがって、繰り返しになりますが、債務の負担について、すでに国法上要求されている手続が済んでいる範囲内のものであれば、あらためて国庫の債務負担について国会の御議決を得る必要がないであろう、こういうことを申し上げているわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 そういたしますと、その間の考え方は、法律、条約については違うわけでございますか、どうなんです。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 御趣旨をあるいは的確にとらえておらないかもしれませんが、法律と条約の違い……。

華山親義日本社会党

○華山委員 予算との関係……。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 予算との関係、これはいずれにしましても、国費の支出あるいは国庫の債務負担、国の債務を負担する、それについては、いずれにしても国会の議決が必要である。しかし法律で債務を負担する、あるいは条約でと申しますか、国際合意について国会の議決を経て債務を負担するということになれば、それはいずれにしても同じだと思います。国際合意の場合の債務負担につきましては、別途法律によって認められているときもあるし、あるいは当年度の予算で認められていることもあるし、あるいは国庫債務負担行為によって認められていることもあるし、そういう場合が出てまいりますけれども、一般的に法律と条約との違いをお尋ねではないと思いますので、その点だけ申し上げておきます。

華山親義日本社会党

○華山委員 私これは了解をいたしかねるのですけれども、予備費というものはばく然としたものです。予備費は個々の問題について国会が審議をしたものではない。したがって、具体的に言うならば、オーストリアに対するこの新たなる義務というものは、これは予備費があるからそれでいいんだ。予備費の限度において国会というものが政府に対して権限を付与したものじゃないと私は思うのです。たとえば災害等の場合には、これは災害に関する法律がある。したがって、その法律の範囲内において予備費を使われるということは、私はあり得ると思うのです。あるいは法律に基づかないで、行政権だけでやれるものがある。それは予備費の範囲内でやっていいと思うのです。しかしいまお話しがあったふうに、原則として新しい義務として国会が審議をしなければならないというものについて、予備費があるからといってその予備費を使うということ、私は行き過ぎじゃないのか。予備費の精神に反するのじゃないかと思うのですけれども、長官の御意見を伺っておきたい。   〔委員長退席、田川委員長代理着席〕

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ただいま御指摘の問題はごもっともな御質疑だと思います。したがって当否の問題というような問題については、あるいはいろいろ仰せになるような点があるかもしれません。しかし私の立場で法律的に申し上げる限りは、予備費は確かに予見しがたい予算の不足に充てるため、国会の事後の承諾という条件のもとに、内閣の責任で支出することができることになっております。国会の議決を受けたものでありますから、国会の事後承諾というのが特別に予備費であるからございますが、その点に特異性はありますけれども、その支出は一応国会の議決に基づくものということが私は言えると思います。その証拠といってはおかしいのですが、財政法の三十五条の規定によりますと、予備費使用書が閣議で決定されたときには、これに掲げられた経費については、予算の配賦があったということに法律上なっております。したがって、法律問題として申し上げればそのような御説明を申し上げることができますし、それでいいと思います。特に今回のオーストリアの場合には、特に賠償等特殊債務処理特別会計の関係の支出でございますので、その点は一般の予備費とまた違って申し上げる余地もあるんじゃないかと私は考えます。

華山親義日本社会党

○華山委員 長官がこの特別会計の予備費は特別のものだというふうなことは、私は了解いたしかねますけれども、そういいますと、たとえばこのたび国立病院の特別会計にかえるという法律案がございますね。幸いに通るかもしれませんが、あれが通らなかったときには、そうだったならば予備費から出せますか。月給は払えない。特別会計が成立しなければ月給は払えない、患者に対する支出もできない、こういうことでしょう。しかし予備費はある。一般会計の予備費はある。特別会計に移せなかったんだから、その予備費を出してもいいんじゃないかという議論が、長官のいままでのお話によるとできそうでございますけれども、それはどうでしょう。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 それはちょっと話が違うように思います。法律のたてまえが、改正をされないでおりますと、いままでの法律のたてまえとの関係でいって、法律上それが問題になるという点がありますものですから、やはりこの歳出のほうについても、いかに予備費があるからといって、特別会計のほうに入れられたものについて特別会計法上の措置がなされていないのに出すということは、いま申し上げた点から当然に出るのではなくて、やはり別個の要素が加わりますので、それはいま申し上げたとおりの結果にはならないと思います。

華山親義日本社会党

○華山委員 田中委員と同じようなことになりますけれども、そういうことであるならば、この特別会計ですね、外国に対する賠償等の特別会計については、この国とこの国とこの国にはやるんだ、そういうふうなことが明らかになっていなければわからぬわけですよ、国会は。それでこの中に含まれていないから予備費を出すんですというふうにならなければわからぬわけです。大蔵省、どうなんですか。その点明確にいままでやっているんですか。予定してないといって、なぜ予定してないのかなんかわからぬでしょう、国会では。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 賠償関係の特別会計法第一条にこういう規定があります。「本邦が連合国その他の国及びこれらの国民に対し、戦争の遂行の結果」ちょっと省略いたしますが、「又は戦争の遂行」「に関連して負担する債務で平和の回復に伴いその支払を要するもの」に「関する政府の経理を一般会計と区分して行うため、特別会計を設置する。」この「戦争の遂行の結果」というところで本特別会計ではこういう問題が取り扱えるというふうに解釈しております。

華山親義日本社会党

○華山委員 私がお聞きしているのは、それですから予算の中に、どの国にはどれだけを払うのだということが積算されているかということをお聞きしている。初めの予算において。毎年の予算ですけれども、そうなっているかどうかということをお聞きしている。また予備費というものはどういう算出の基礎で計上されているかということをお聞きしたい。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 一応積算の根拠はあるわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 一応といったって、それじゃどこの国にやるつもりだったのですか。予備費を出すようになった……。四十一年度につきましては、どういう国に出すつもりだったのですか。

奥村輝之大蔵省国際金融局次長

○奥村説明員 予備費についてはどういう国に出すかということはきめておりません。

華山親義日本社会党

○華山委員 いや、予備費ではない、本予算について——いまお調べになっていますから、時間を倹約する意味で、調べてください。  それで私はこれは長官にお聞きしたいのですけれども、私はどうもおかしいと思うのです。予備費というものはそういうふうな性質のものじゃないと思う。国会で与えられた法律に基づくものでなければならないし、また行政権が法律に基づかないでもやれる、あるいは条約に基づかないでもやれる、そういうものについて予備費というものはあるのであって、私は当然こういうふうなものは、新しい義務を生ずるものは国会の議決を経なければいけないのじゃないか。いわんやこれが予備費だからいいということになると、私は会計が乱れると思うのです。この点はこの程度にいたしておきますが、御研究を願いたいと思います。  その次に伺いますが、昨年ベトナムの難民救助に予備費から出ておりますけれども、あのときにはいろいろ憲法の問題といろいろなことについて私伺いましたが、政府の御回答は二転三転いたしましたけれども、結局ベトナム協会のやったのは、国内におけるところの物資の調達なり現地に対する輸送だけなんだ、ベトナム現地におけるところの責任は外務省がやったのだ、こういうふうな答弁にとにかくまとまりました。それで伺いますけれども、この援助物資は外務省がベトナムにおきましてだれに手渡して、そうしてこれはどこに配給されたのか、追跡していらっしゃいますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 本件の物資はベトナム政府の難民問題庁に引き渡されまして、難民問題庁によって国内の配給計画を立てまして、各地の難民救済委員会に渡されまして、さらに末端の難民収容所に配布されたわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 具体的にその難民収容所はわかっておりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 具体的に先方から、逐次配給のつど、配給の状況の報告を受けております。四十六カ所の難民収容所にいっております。

華山親義日本社会党

○華山委員 この問題につきまして私は、私の耳に入るところでは、アメリカあるいは南ベトナム軍かもしれませんけれども、ベトコン地区の一画を画して、そしてそこでベトコンの掃討を行なう、その際にその一区画の住民を強制的に立ちのかせて収容所に入れる、その収容所に使われたということを耳にいたしますが、私、実際に調べたわけではございませんから確信を持ちませんけれども、そういう性格のものに使われたのですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは実際に援助をいたしましたのは一昨年の三月でございますが、当時その前年に洪水がありまして、また戦禍によりまして難民が急速に全国にわたってふえておったわけでございまして、このため各所に難民の救済機関ができたものでございますので、これに配給されたわけでございまして、特に戦闘の過程においてわざわざ立ちのかせて、そのために、難民のために配給したという事実はございません。

華山親義日本社会党

○華山委員 現地を見てきた人の話でありますから、私に対する話はその人の間違いだと私は了解するほかにありません。私の憂えるのは、そういうことであるならば、難民救済事業といっても一つの戦略的なものではないかということをおそれたわけであります。それで最近またベトナムにおきまして難民が非常に多くなった、都市部についても多くなったという話を聞きますけれども、南ベトナムからは援助の申し出等がございますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 特に最近の戦局が激化いたしましたために難民がふえている事実はございまして、旧正月の戦闘の結果非常に難民がふえている事実がございます。これに対しましてベトナム政府側からは各国に対しまして援助の要請がございました。しかしながら日本といたしましては、これに対して特に前回のような緊急援助というようなことは実施いたしません。既定の医療協力の範囲において実施している次第でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 この前やって今度やらないというのはどういうわけですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 前回援助をいたしました後からは、予算において医療協力の経費を計上していただいておりまして、医療協力が継続しておりますので、その範囲において実施しているわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 この前の援助につきましては医療という面はほとんどありませんでしたね。家庭薬品をわずかばかりで、あとは毛布とか、それから綿織物とか、そういうふうなものだったんですけれども、そういうものはあまり役に立たないのだ、医療品を送るのが一番いいんだ、こういうふうな考え方から今後はおやめになる、ということでございますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 当時は特に先方からの要請もあって、医療品を主として援助したわけでございます。今般は特にどういう種類の援助という要請がございません。われわれといたしましては従来実施しております医療を強化することによって援助ができる、こういうふうに判断したわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 どういう薬品を送っておりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 ただいま細目の品目は記憶しておりませんが、先ほど申しましたとおり、医療協力の中心が病院の拡張その他になっておりますので、その病院において患者その他を治療いたしますための薬品を主として送付したわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 時間もありませんから次に移りますけれども、昨年も問題にいたしましたが、インドネシア大使館事務所は新しくつくられましたが、先ほどおっしゃいました三原則のどれに基づいて新しくつくられたのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 御承知のとおりに、インドネシアにおきましては経済情勢が当時からひっぱくしておりまして、一般民間会社の入る建物がございませんで転々……

華山親義日本社会党

○華山委員 いや、大使館のことを聞いているのです。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 そういう事情で一般に非常に悪い情勢でございまして、外務省の庁舎を借りるにあたりましても、庁舎に相当するようなものがございません。したがって、建てるか買うかということでございましたが、買うものもないということで建てた次第でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 それでこの庁舎の非常な大きな部分は商社に寄付をさせた。外務省は今後も何か海外において大きな大使館をつくる場合にはその辺の貿易業者、その土地の貿易業者に寄付をさせて大きな大使館をつくる計画ですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 おっしゃるような方針はございません。インドネシアの場合に、あそこの特殊事情に基づきましてああいう措置を講じたわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 このことにつきまして、とにかく昨年のいろいろのお話では、交易上の問題その他の必要があるのでというお話がございましたけれども、どうしてここにはジェトロは入ってないのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 当時大使館からジャカルタに駐在しておりました各民間会社に、もし大使館にできるべき余剰のペースにおいて事務所を持つ希望があるならばお貸ししてもいいということを申しました。そういう希望に応じて当時申し述べてきたのが十二社でございまして、ジェトロはその中に入っておりませんでした。

華山親義日本社会党

○華山委員 そうしますと昨年とちょっと違いますね。昨年は大使館のほうから、国のほうから寄付を求めるようなことはしなかった、こう言った。いまの御答弁では政府のほうからそういうふうな寄付を求めるような働きかけをしたんじゃないですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 もとより国有財産でございますので、わがほうから申し入れたというのではございませんで、当時各民間会社からああいう、もしスペースがあったら使いたいという希望がたくさんございました。わが政府としましてそれを検討した結果、大使館も直ちにそのスペースを大使館事務所として使う必要がないと認めましたので、そういう希望を勘案しまして、当方から申し入れたというのが実情でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 あなたのお話によると、大使館を建てたんだが使わない部分があるから使わせた、こういうことですけれども、そういうことをしたのじゃない。寄付をさせたじゃないですか。よけいな部分は業者から寄付をさせたじゃないですか。話が逆ですね、どっちがほんとうなんですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 当時大使館の規模から申しまして、それほど広い建物を必要としなかったわけでございますが、インドネシア政府の方針といたしまして、あの大使館の存在します通りにおきましては、一定の高さ以上のものにしてもらいたいという希望がございました。これは非常に強い希望でございますので、先方の都市計画に協力するという意味でこれを認めました。したがいまして、当初の事務所の計画からいいますと、多少スペースが出るというのが実情でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 西ドイツは同じような構想の建物でありますけれども、単独で建てましたね。日本はけちけちして、これは外務省が悪いんじゃないでしょうけれども、業者から金を集めて、そして建物として寄付をしてもらった、こういうことでしょう。昨年の答弁では外務省はそういうことは言っておるのじゃないのだ、あちらから申し入れがあったから、私のほうは受け取ったということですが、いまのあなたのお話では、外務省のほうから希望者を募ったんじゃないですか。その中にジェトロが入って入っておらなかったから入れなかった。私はこういうことをきょう追及しようとは思いませんでしたけれども、昨年と答弁が違うから伺っている。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 お答え申し上げます。  問題は、その寄付の部分についての民間側との話し合いと、その寄付していただきました結果出ましたある程度のスペースを使うことについての民間側との話し合いと二つございました。スペースを寄贈したいという民間側の申し出については、これは民間側の意図でございます。それからそれによってできました事務所のスペースを使うということにつきましては、先ほど申しましたように一般の事務所事情からいって、民間側にそういう希望があるということなので、わがほうからそれなら差しつかえないから、それには希望者が相談して話を持ってきてくれ、それがのめるものならば政府は国有財産法の規定に基づいてこれに応ずるということで、その点については当時の事務所事情に基づきましてやむを得ないものと考えましたので、わがほうから話をしたわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 あなたの言うことは少し強弁ですね。二つに分けておっしゃるけれども。  そうしますと、大使館を建てることについては、これは別にこちらから言ったわけじゃないけれども、商社のほうは無条件にお建てなさいと言って金を出したんだ。   〔田川委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 しかしつくってみたけれども、余るからひとつ使いなさい、こういうことのように聞こえますが、そうなんですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 そのとおりでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 少しあなた、強弁じゃないですか。ちょっとものの言い方がひど過ぎるじゃないですか。それだったならば、なぜ寄付した人だけに貸しているんです。一般に解放したらいいじゃないですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 先ほども申し上げましたように、外務省としては一般に、希望者全部に事務所のスペースを使わせる意図があるということを、関係者全部に申しました。当時その中にジェトロは入っていなかったというのが実情でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 ジェトロの問題は先ほどお聞きしたからそれでいいですけれども、何かあなたのおっしゃることは強弁じゃないのですか。それだったならば、一番最後に、貸すときに、困っている連中を入れればいいのであって、寄付をしたものだけ入れたというのはおかしいじゃないですか。話が別だというならばですね。どうなんです。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 これは、繰り返し申し上げて恐縮でございますが、当時希望のあるもの全部には相談したということでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 希望のあるもの全部には相談したというのは、寄付をすることを相談したのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 そうではなくして、事務所を使うということについてでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 ところが結論は、入ったのは希望した人だけであった、こうなったわけですね。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 入るに至りましたのは、入ることを希望したものでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 だから局長、あなたの言うことはおかしいじゃないですか。最後に希望者を募ったどころが、寄付をしたものだけが全部希望した。それだったら、初めから、そういう約束で、また去年の回答もそうだったが、寄付をしてもらって、そしてそれを余っている部分に、寄付をしてもらった分は貸すからということでやっていた。争ういうことで初めから計画的にやったのでしょう。そうじゃないのですか。去年と話が違う。知は正直に答えてもらったほうがいいと思うのですがね。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 私としてはあくまでこれは別の問題でございまして、寄贈してもらった部分がたまたまスペースとして余ったわけでございます。これは最初申し上げましたように、外務省には外務省の必要スペースについての計画がございまして、寄付された部分が余りましたので、その部分に対して、初めは御承知のように職員宿舎を建てようという計画もあったのでございますが、当時建物それ自体が宿舎に適当しないということで宿舎に使うことをやめまして、希望者に使わせるということにしたわけでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 あなたのおっしゃることは、ここにはほかにもたくさんの人が聞いているけれども、私は了解できないと思いますよ、そういうふうな強弁は。別な問題とかなんとか言ってですね。それだったならば、別の問題であるならば、なぜ使用料を安くしているのです。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 使用料につきましては、これは当時の情勢から二百五十万円というものにきまったのでございますが、その後これは低いという感じがいたしますので、現在改定方を検討中でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 私が改定しろと言ったから言っているのでしょう。なぜ二百五十万円なんていう安い金で貸したのです。改定するのはあたりまえなんです。寄付してもらったから安くしたのでしょう。そうじゃないのですか。別問題だとするならば、寄付してもらったということと使用料とは別個の問題なんだ。相関連するから非常識な二百五十万円というふうなべらぼうな安い金でスラマット会に貸している。これはどういうことなんですか。寄付してもらったから安くしたんじゃないのですか。寄付してもらったから安くしたんじゃないということになりますか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 寄付は御承知のように建物で受けまして、もちろん寄付した行為に対してはこれに報いたいという気持ちがございまして、そういう意図が入っていると考えます。しかしその後先生方の御指摘もございまして、それにしても少し安いという考え方を持ちましたので、再検討することにいたした次第であります。

華山親義日本社会党

○華山委員 あれが少し安いのですか。一年間二百五十万円というあれが少し安いのですか。私はたいへんに安いと思うが、どうなんです。たいへん申しわけないけれども、何か役人の、責任をのがれようとばかりしている。どのくらいに上げるつもりですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 上げる率につきましてはただいま関係官庁間で協議いたしております。ただこれは、御承知のように現地の事情からいって、事務所不足ということからあまり高い借用料を課すこともできませんし、しかも現在の借用料を急激に上げるということも適当ではないというように考えておりますので、その率についてはただいま検討中でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 検討中というのは、いつごろきまるのです。ことしの予算にはどういうふうに計上されていますか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 なるべく早く決定いたしたいと考えておりますが、予算には計上してございません。

華山親義日本社会党

○華山委員 使用料の収入は予算に計上してないのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 ただいま検討中でございますのでいつということは申し上げられませんが、なるべく早く検討したいと考えております。ただ本件は、先生御承知のように予算の問題ではございませんで、国有財産の使用料、借用料の問題でございますから、別の問題と御了解願いたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山委員 あるいは私少しとんちんかんな、方向違いな質問をしているかもしれませんけれども、とにかく国の収入なんだから、国有財産であろうと何であろうと、これは予算なりそういうところに計上してなければいかぬと思うのですが、これは計上してなくてもいいのですか。大蔵省にちょっとお伺いしたい。

斎藤整督大蔵省国有財産局国有財産第一課長

○斎藤(整)説明員 行政財産の使用料につきましては、それぞれの省庁におきまして使用を許可されるわけでございまして、その使用料につきましては、それぞれの省庁の予算の収入として収入に入るものと考えております。

華山親義日本社会党

○華山委員 だから、予算には計上してなくていいのかということです。

斎藤整督大蔵省国有財産局国有財産第一課長

○斎藤(整)説明員 予算科目としては、外務省のほうでどうなっておるか存じませんが、たとえば使用料とかあるいは雑収入とか、その省庁によって予算の立て方は違っておるんじゃないかと考えます。

華山親義日本社会党

○華山委員 ですから雑収入なり使用料なりになぜ外務省は計上してないのですか。予算には計上してませんと言ったでしょう。

山崎敏夫外務大臣官房会計課長

○山崎政府委員 お答え申し上げます。  先生もう御存じのとおり、これは一時使用許可でございまして、一年を限って使用を許可するわけでございますから、その使用料についてあらかじめ予算に計上してはおりませんが、入りました収入はもちろん雑収入として外務省で処理いたします。

華山親義日本社会党

○華山委員 主計局に伺いますが、そういう性格のものですか。もう入ることは明白なんです。雑収入であろうと使用料であろうと明白なんです。そういうものを予算に計上しなくたっていいものですか。大蔵省の主計局の御意見を伺いたい。

山崎敏夫外務大臣官房会計課長

○山崎政府委員 もう一度申し上げますが、それは一年を限って許可したわけでございまして、四十二年度に許可をいたしたが、四十三年度に許可するかどうかきめておりませんでしたので、それをあらかじめ収入として予算に計上することはいたしかねた次第でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 そうすると、一年ごとの契約だから許可するかどうかはわからないから入れなかった、こういうことでございますね。

山崎敏夫外務大臣官房会計課長

○山崎政府委員 さようでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 ちょっと私聞いておりますと、外務省の答弁というのは、昨年のベトナム協会以来そうですけれども、開くたびにおっしゃることが変わるのですね。何か国会においてはそのときそのときにうまいぐあいに答弁さえしておけばいいんだ、こういうものの考え方があるのじゃないですか。ですから、先ほどのこの一時使用についてだって、昨年とはまるで違うことを言っておる。昨年はとにかくそういう高い建物を建てなければいけない、大蔵省に予算を要求したけれども、大蔵省では認めてくれなかったので、業界に、できたならば入れてあげるからひとつ寄付を出す人がないかということで寄付を集めたんだ、こういうお話だった。私はそれでわかると思うのですよ。ところが今度は建てたことは建てたんだけれども、寄付をした人には無条件で貸すなんということは何ら約束もしてない。建ててみたところが余った、希望者を募ったところが、希望者は寄付をした人ばかりだったからその人に貸した、偶然の結果だと、こういう。まるでつくりごとみたいな答弁じゃないですか。それでどういうふうな方針で、どれだけに上げるのですか。いま二百五十万円でしたかね。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 現在そうでございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 二百五十万円なんてただみたいなものですよ。あれは地代と維持管理費程度のものでしょう。ただだということなんです。そういうことは許されるのですか。どうなんです。どのぐらい上げるのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 先生御指摘のとおりに低いということは認めますので、これをなるべく早い機会に改定したいというふうに考えております。

華山親義日本社会党

○華山委員 どの程度ならば日本内地におけるところの使用料に該当しますか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 これは厳格に国内法を解釈いたしまして計算いたしますと、約二千二百万円になるのではないかと思いますが、ただ、現地においては管理に要する経費とかあるいは管理人の雇い上げ等のために、これはスラマット会自身が支出いたしておりますので、そういう点も考慮して、それより下回るところで落ちつけたいということで関係官庁と相談しております。

華山親義日本社会党

○華山委員 内地だったならば二千二百万円、多少維持管理費等が引かれるのでしょうけれども、それを二百五十万円で貸しておいて少し安過ぎるという答弁はないでしょう。あなたさっき少し安過ぎると言いましたね。答弁を何とかうまくやろうというふうなものの考え方というものは私はきらいだね。正直なことは正直に言って、間違えたならば直したらいいし、そういうことでなければ私いかぬと思う。それだったならば二千二百万円のものを、とにかくそれは二千万円程度になるのかどうか私わかりませんけれども、とにかく二百五十万円で借しておる。べらぼうな話だ。あなたの言われるとおり寄付は寄付、入ることは入ることで別だということであるならば、ちゃんと内地だったならば幾らで借すかということを基準にして直してもらいたい。しかもこれは行政財産ですね。一年ごとの約束なんです。一年ごとの約束ということは料金だけの一年ごとということではない。都合があればいつでも出てもらうという意味なんです。ですから、借すのじゃなくて使用料を取っておるわけですね。そういうふうなもので、すみやかにこれを改正すべきだと思うし、それから当然取るべきものはすみやかに取ることを私は要望します。先ほどから話のありましたとおり、まことに遺憾なことである。インドネシアの援助につきましては現地において何かしらんあれだけのもやもやしたものがある。日本までにそれに巻き込まれて、そんなことしておったらおかしいじゃないですか。事は国庫に関する問題で、国の収入が二千万円になるか二百五十万円程度になるかの問題でもありますから、すみやかにきちんとした形に直していただきたい。そしてできるだけ早く出てもらう、こういうふうな形をとってもらいたいと思います。この点、お答えを願いたい。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 先生の御指摘のとおりに、国有財産の使い方につきましてはなるべくこういう形にしないことが望ましい、これは外務省としてもそう考えております。事務所の客観情勢並びに外務省事務所の必要性を勘案いたしまして、外務省といたしましてこれはすみやかに解除したほうがいい、一時使用を中止したほうがいいという時期が参りましたならば、すみやかにこれを取りやめたいと考えております。  それから一時使用料につきましては、これも先生御指摘のようになるべく早く改定いたしたいと思います。ただ、何ぶんにもいま二百五十万円から引き上げることでありますので、なるべく悪影響を少なく、円満にいたしたいという念願でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 そんな遠慮する必要はないですよ。あれだけの政治献金をしておる貿易会社なんでしょう。——貿易会社ばかりではないでしょうけれども、あれだけの余裕があって、先ほど田中委員おっしゃったように献金までするような会社ですから、何も遠慮する必要はない。やりなさい。そういうことをやるから政治家とそういう大企業との問がおかしいと言われるばかりではなくて、役人と大企業との問もおかしいと言われるのは、そういうところからも出てくる。ことにこれは国費の収入に関することである。私はこれを見守って、来年決算委員をやっておるかどうかわかりませんけれども、毎年追及しますからね。すみやかに直していただきたい。  いままではたいへん外務省に対しまして追及のことを申し上げましたが、私これから外務省に同情論をひとつ申し上げたいと思います。  ということは、いままではドルというものが安定的でありましたし、大体ドル建てで在外公館の経費あるいは給料等をまかなって、それであまり支障がなかったと思うのでございますけれども、いまドルが不安定になってきて、日本との交換格差といいますか、そういうものが出てまいりますと、これは私もかつて非常に苦労した時代がございますけれども、在外公館の給料あるいは在外公館の経費というものが非常に切り詰められてくる、何ともならないような状態になってくるというふうな場合があると思うのでございます。いま、一つの例を聞きますが、ベトナムの物価というものは在外公館の経費等で見る限りどうなんですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 数字手持ちにございませんので、必要ならば、あとからお送りしたいと思いますが、非常な値上がりをしておりまして、特に住宅につきましては、平常の数倍になっております。

華山親義日本社会党

○華山委員 住宅の問題は、住宅は大体官給でしょう、公館職員に対する。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 館長以外は官給でございませんで、ただいま在勤俸の費途のうちで一番困っておりますのは、住宅費でございます。  まことに蛇足で申しわけございませんが、在勤俸の改定にあたりましては、非常にこの値上がりのために影響を受けました住宅に関するものというものを、これは十分考慮しなければならない、そういう状況にございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 いつ改正するのです。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 これは、できれば来年度の予算で改定したいということで、現在特別の組織をつくりまして、検討中でございます。

華山親義日本社会党

○華山委員 来年までといって、来年まで、あなたがまんするつもりですか、在外公館の職員の苦しみというものを……。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 御同情にあずかりましてまことにありがたい次第でございますが、法律のたてまえが、先生御承知のように、これは法律をもって在勤俸をきめるという非常に大原則がございますので、われわれもその原則に従って、できればその際に最も適正なる在勤俸額をきめたいというふうに考えております。

華山親義日本社会党

○華山委員 いまに始まったことじゃない。なぜ、ことし法律案を出さないのですか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 終戦後二回改定を行ないまして、そのつどそのときの重点を変えてまいりました。あるときは、次席ないしは非常に下級の職員にそういう点の困難があるというところに重点を置きましたし、いろいろ重点の置きどころを変えてまいりまして、今年度検討した結果、これは改定したほうがいいということになったのでございまして、これはできればすぐにでも変えたいわけでございますが、先ほどのような事情がございますので、来年度は必ず行ないたいというふうに考えております。

華山親義日本社会党

○華山委員 私考えますのに、在勤法の改正というふうなものは、私もやったことはありますけれども、これは低目、低目に大蔵省押えますよ。そうしますと、大体どういうことをいまでもやっておられるか。蛇の道は何とかということがありますね。大体私わかりますがね、何をやっていらっしゃるかは。私はそういうことはお聞きしませんけれども、やられるべきだと思うし、その年、その年に、その場合、その場合に、法律を改正していくということでなしに、物価の騰貴あるいはドルに対する比率ですね、それが著しく下がったときには、これこそ予備費の支出でも何でもいいから、自動的に変えられるような基本的な法律をつくっておくべきじゃないですか。どうなんですか、その点、御研究になっておりませんか。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 これも、先生に御指摘するのは恐縮でございますが、この在外職員の給与法におきましては、第九条でございますか、法律によることのできないような緊急性のあった場合には、政令でもって予算の範囲内で改定して、そのあとの国会で報告をしろというたてまえになっております。私は、先生のおっしゃいましたようなスライド制というものが最も望ましいとは考えますが、日本の財政のたてまえもございましょうし、また一方従来ドル建てということで比較的安定してまいりましたので、従来は問題はございませんでした。今後、ただいまの財政法のたてまえも考慮に入れながら、ひとつ検討をさせていただきたいというように考えております。

華山親義日本社会党

○華山委員 財政法といったって、財政法の特例法をつれくばいいのでしょう。在外公館の職員というふうなものは、日本人と違って、物価が上がったからといってそうみじめな生活もできませんよ。在外公館の人は、家賃が高いといったって、じゃ来月まで待ってくれなんというわけにはいかぬでしょう。私は気の毒な面が非常に多いように思うのです。特に下級の在外公館の職員についてはそう思うのですよ。だからそういうものは何らか、財政法とおっしゃいますけれども、財政法の特例をつくってでも——それはいつでも毎月毎月変わるというふうなことはどうかと思いますよ。しかしある割合、率というふうなことを考えまして、それを越えた場合にはどうするのだというふうなことは、これは在勤俸でしたか、在勤俸のあり方につきましてはそういうことをやらないと、私は大蔵省の会計課長としてはいまずいぶん無理しておられるのじゃないかと思うのです。何も在勤俸を高くしてぜいたくのできるようになんということをしなくたっていいのですけれども、あまりひどい貧乏はさせないように、その貧乏を救うために外務省が妙な金の使い方なんかしないように、ひとつその点何らかの基本的な原則をお立てになったほうが、ドルもああいう状態ですからいいのじゃないかと思うのでございますが、この点につきましては外務省の御意見とともに主計局の御意見もひとつ聞いておきたいと思います。

齋藤鎭男外務大臣官房長

○齋藤(鎭)政府委員 外務省といたしましては、先生の御助言を十分考慮さしていただきまして、最も適正な在勤俸が得られますように努力したいと思いますし、大蔵当局にもその趣旨はよくお願いして実現をはかりたいと思います。

華山親義日本社会党

○華山委員 では終わります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員長代理 鈴切康雄君。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 これは、海外移住事業団から出されておりますところのパンフレットであります。その概要を見ますと、第一ページに「海外移住政策の基礎となるべき理念は、国民に日本とは事情を異にする海外における創造的活動の場を与え、これを通じて、直接、間接に国民の具有する潜在的能力をフロンティアにおいて開発しその結果相手国への開発協力と世界福祉に対する貢献となって、日本および日本人の国際的評価を高めることにならなければならない。」「当事業団は、この答申に従い制定された海外移住事業団法に基づき、移住者の援助および指導その他海外移住の振興に必要な業務を国の内外を通じて効率的に行なうことを目的とする。」とこのようにうたわれております。  そこで私は、昭和四十一年度と四十二年度の国別移住形態別送り出し実績表を見てみましたが、四十一年度においては自営開拓は百七十一名、公募雇用農が二百六十八名、指名呼び寄せが三百八十七名、技術移住が二百三十三名、計千五十九名、四十二年度においては自営開拓は九十七名、公募雇用農が三百四十名、指名呼び寄せが二百四十六名、技術移住が二百一名で計八百八十四名という数字になっております。全部を合わせても約千名前後でありますが、特に四十二年度のごときは千名を大幅に割っているという原因についてお伺いいたします。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  移住者の数が減りました原因につきましてはいろいろあるわけでございますが、一つは外地から引き揚げた人がもう一回海外に出よう、戦後満州その他そういった人が大体一応出ていって、そういう人の間に希望者がなくなったということ、それから国内の雇用事情がよくなったために、国内で働きたいという人が職を得たという点、そのほかやはり生活水準が国内で上がりましたために在外の移住地に行くことを必ずしも希望するものでないというような人がかなり多くなった、そういうような幾つもの事情が重なりあって減ってきたわけであります。  これをまた別の角度から見ますと、過去三回にわたりまして行ないました移住希望者のアンケートにおきましては、希望者の数はだんだん上がってきております。昨年度行ないましたアンケートにおきましては、六%以上の成年男子が移住を希望しておる次第でございます。そういう点におきましてもこの移住者の希望者というのが十五人に一人は移住を希望しているというような状況でございます。したがいまして移住地ないしは移住の条件がよくなれば、まだ移住者はふえていくという潜在的要因が強いと私どもは観察している次第でございます。  それからもう一つ、先ほど御指摘ありました統計で若干お気づきのことかと存じますが、単身の移住者がふえてきているということは、十年ぐらい前に比べまして一つの新しい要素であると思われます。現在約五五%の移住者が単身で出ておる次第でございます。したがいまして過去何千人出たという時代、家族構成で平均五人といった場合の五千人ということは千家族でございます。そういった面から比べますと、戸数という点からいえば必ずしも非常な大幅な減少ではないのではないかと考えられる次第でございます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 いま中南米局長が言われたことは、それは一応の理由であるかもしれませんが、しかし私は実際にはまだまだ中南米の移民に対しては棄民というその域を出ていないように思うわけです。それからもう一つは、海外で働くということは余剰人口のはけ口であるというふうにもまた思える点もあるのです。それからもう一つは、そのいい例ですが、受け入れ国側においても単なる労働力の流入に終わることを警戒している。あなたたちもそれを認めておられる。その点についてはあとで申し上げますけれども。それからもう一つは、移住者に対するところのアフターサービスが行き届いていない。こういう点が、私は南米の移住者が減ってきている一つの原因ではないかと思うのです。南米におられる移住者が、ほんとうに生活が満ち足り、そして移住の目的を十分発揮できる状態にあるならば、向こうの人たちが日本の国内の人たちに対しても働きかけてくることは当然であるし、またそのように実績も上がってこなければならないと私は思っております。そういう意味において中南米におけるところの移住というものは、私が申し上げた点のほうが強く働いているのではないか、そのように思うのですが、いかがでしょう。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 私どもといたしましてはただいま先生の、棄民的な政策というか、アフターサービスが足りないために、現地から次の後継者を求める動きが非常に弱いからだという御指摘につきましては、ある点でそういった面もあるかとも存じますが、それが一番大きな要因だとは考えておらない次第でございますし、また棄民というような意味で戦後の移住者を扱ったことは、私どもといたしましてはないと考えております。  それからアフターサービスにつきましては、これは予算の制約その他で、十分なものを期したいとは存じますが、現在まで必ずしも十分であったということは言えないと思いますが、戦前の移住者に比べましては、移住者の援護、補助もかなり手厚くなっているということが言えると思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 先ほどあなたがおっしゃいましたところの、要するにわが国の経済の発展に伴い労働力が海外に流れ出る前に国内産業へ吸収される傾向が強いということ、それも一理ではありますけれども、それよりもあなたのほうで出された海外移住に関する世論調査の中に、「最近、外国人労働者の導入の是非が問題になるほど国内において労働力が不足しているといわれているにもかかわらず、「いまの日本は人手不足だから、移住希望者はなるべく思い止まるように指導する」という者は、前回同様」——ということは二回目ですね、二回目同様「わずか三・八%にすぎず、七三・九%の者は「移住希望者には資金その他の便宜をはかる」必要があるとし、かつ、そのうちの五六・三%の者が「海外移住を積極的に進める」必要があるとして、いずれも第二回の調査結果を大幅に上まわっていることは注目すべきことである」このように書かれているわけであります。そうなりますと、結局はあなたのおっしゃるとおり、国内における労働力が足りないということよりも、むしろ中南米における移住の政策自体に問題があるのではないか、そのように私は思うわけですが、いかがでしょうか。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 ただいま御指摘ですが、中南米における移住政策と申しますと、受け入れ国の政策という意味に解してよろしゅうございますか。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 けっこうです。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 その点につきましては国によって若干違っておる次第でございますので、一がいにそれがそういった政策的な点で、受け入れ国のほうの条件が悪くなったために、移住者の増加が減っているというのが全般的な現象だとはいえないと思うのであります。たとえばアルゼンチンそれからパラグァイ、ボリビア等につきましては、受け入れ国の条件は変わってないのであります。南米のうちで従来も一番よけい移住し、また現在も一番中南米のうちでは多いブラジルについて、若干そういうことが出てきた次第でございますが、それだけで、相当移住者が減るというほど大きな要因というふうには考えられないのでございます。これは御質問の地域とちょっと離れておりますが、カナダに対する移住者は相当伸びておりまして、四十二年度では、ほとんど中南米全体に対する移住に匹敵するほどふえております。こういった新しい国では、受け入れ国が積極的に日本人の移住を受け入れる、そういった条件も出てきておりますので、そういう外的要因ばかりで減ってきた、そういうふうには一がいに言えないのではないかと思っております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 同じくそのあなたのほうで出された世論調査の中には、第二回の調査では、ブラジルが二一・五%、アメリカには一八・一%、中国は八・一%、オーストラリアは七%、カナダは六%であったが、今回の調査では、アメリカが二二・四%、ブラジル二〇・二%、カナダ一〇・七%、スイスが五・七%、オーストラリアが五・六%、相当変動を来たしている。そのように、要するに移住希望の国が変わってきているということは、ブラジルあるいは中南米一帯の移住政策自体が、ほんとうに移住民を中心としての施策が行なわれているかどうかということ、その実績があがっていないがゆえに、こういうふうにしてきびしい世論が調査の中にもあらわれているんじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 たいへんむずかしい問題であると存じますので、端的にどんぴしゃりといった御答弁ができるかどうかはわからないのでありますし、また受け入れ国につきまして、あまり批判的なことも、これまた公の場所としてあるいは十分な御説明ができない点があるかとも思いますが、アメリカ、カナダ等が移住希望の国としてふえてまいりましたのは、わが国の農業人口が総体的に減ってまいりました結果、現在農業に従事している人が、また外国に行って農業をやろうという人の数が減ったという点が一つあげられると思います。それからそれに反しまして、一応手に職を持った技能者のうちで、海外に出たいという人が非常にふえてきておるということが言えると思います。先ほど申しましたカナダへの移住は、ほとんど全部が手に職を持った技能者でございます。農業関係者は非常に少なくて、それ以外の技能者の移住が多いわけであります。こういった職業ないしは技能を身につけた人の問では、アメリカとかカナダ、そういった先進国に行った場合に、最も自分に適した職業が得られるのではないか、そういう期待感が強い。そういう点で、ブラジルに対する希望者が二位になってしまったということが言えると思いまするが、現在におきましてもほんとうに農業で将来やっていきたいというような人の間には、やはりブラジル等中南米に対する移住、そういうものに強い希望を持っているということが言えると思います。と申しますのは、日本におきまするのとまたけた違いの経営規模ということが実現できる、そういった将来性があるのだという点にやはり魅力が残っている、そういうふうに感じております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 この問題については、後ほどいろいろ現地の声、そういうものを通じて論点を進めていきたいと思いますけれども、さてその約千名を切っているところの移住事業団の仕事らしいものは、その中の約三分の一にも達していないように思うわけであります。皆さんのほうから出されている昭和四十一年四月から四十二年三月に至る昭和四十一年度の損益計算書によれば、損失項目が合計十五億二千九百万円になっております。そのうち業務諸費として事業費八億九千四百余万円、移住者渡航費が一億二千四百万円ということになっておりますが、右のうち移住事業団の事業費八億九千四百余万円について、その内訳を御説明いただきたい。

太田亮一海外移住事業団理事

○太田参考人 事業団の業務を行ないますための支出、そのやり方が二通りあるわけでございます。一種類は外務省の一般会計を通じましての交付金でございます。これによってまかなっておりますのは国内国外を通じましての援護関係の業務、啓発宣伝の業務、それと全般の管理事務費でございます。それからもう一種類の資金は、財政投融資計画の中に入っております政府からの出資金、それから資金運用部からの借り入れ金、こういったもので、これが現地におきましての入植地の業務、それから融資の業務、この原資としてこれを運用いたしております。  それで損益計算書に出てまいりますもののうち、先ほどの交付金業務のほうは、これは使われましたものは全部損金に上がりますので、全額ここに計上されております。内訳は続いて御説明申し上げますが、そのほかいまの財政投融資計画のものでございますと、これは運用いたしました利息等の収入が片方に上がりまして、たとえば借り入れ金でありますと借り入れ利息、あるいは現地において運用いたします場合に、利息に対して現地の税金がかかる、こういったものが融資管理費というような形で損金に上がってまいります。そういう形でございますので、ここに損金に立っております十数億の中で、交付金のほうは毎年使いました分だけ全部まるまる損としてここに上がっておる、こういう性質でございます。  そこで、四十一年度におきましての交付金のおもな支出の中身でございますが、この中で業務諸費としてあがっておりますのは、事業費と移住者渡航費支給費となっております。もう一つ現地法人交付金という項目がございます。このうち移住者渡航費支給費は、移住者にそのまま右から左へいくと申しますか、基準に従いまして交付したものでございます。普通の意味で申します事業費とちょっと性質が違います。事業費とそれから現地法人交付金、この両方約十一億、これが移住事業団の国内外における事業費でございます。  四十一年度の決算の関係で見てまいりますと、このほかに前年度からの繰り越し等の金額がございます。支出決定済み額といたしますと海外、国内合わせまして十三億八千六百万という数字が出ております。国内で約六億、海外で七億七千万、これだけの金額を使ったということでございます。国内におきましては、特に啓発宣伝でございます。この国内の業務でございますが、六億一千六百万円の中でおもな項目だけ申し上げます。人件費関係が三億、それから外国旅費が六千三百万円、そのほか本部におきましての一般業務諸費一億二千万円、地方事務所における業務諸費五千五百万円、移住センターにおける業務諸費二千二百万円、このほか施設費が二千四百万円、こういうかっこうでございます。  海外におきましては、人件費二億三千六百万、それから一般業務諸費、これは庁費とか旅費とかその他のものが入っております。一億三千六百万。あとこれらの事業と別個に、個別の業務としまして、営農指導に使いましたものは千六百万円、自治体育成費六百万円、それから医療衛生費約四千万円、教育文化費千七百万、それから車両運搬具の購入二千九百万、施設費が四千八百万、道路の補修工事三千三百万、大体こういうかっこうになっております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 いま御説明願ったわけでありますが、その中において、事務費のうち、要するに南京の本部費いま言われた人件費、外国旅行一般業務費というのがほとんどであって、移住に実質的にはあまり使われていないという結果に終わっておる、そのような判断をするわけでありますが、事務費は本部費に使われていて、むしろ実際に向こうへ渡航して移住のために使われる金というものは非常に少ないということを私はいまここで感じたわけですが、その点いかがでしょう。

太田亮一海外移住事業団理事

○太田参考人 表面的にいいますと、数字としては人件費と事務費だけに大部分使われているように見えています。ただ移住事業団の業務そのものが本来的にサービス業務でございます。そして物も売ったり買ったり、あるいはつくったりというような仕事と違いますので、特に海外におきましても、移住者のためのたとえば営農指導等につきましては、これはうちの職員が現地で移住者の人々を相手にいたしまして、あるいは営農のための講習会を開く、あるいはわずかの農場でございますが、そういったもので展示効果をあげるというようなやり方をして、人間が主として動いておるわけでございます。そういったような性格もございますので、一見ごらんになりますと人件費、事務費ばかりいっておるというような御印象があるかもしれません。  なおもう一つ現地の業務につきましてつけ加えさしていただきますと、先ほど申しました入植地業務、それから融資業務、これらを扱っております人間の人件費、事務費も全部交付金のほうに入って支出されております。その関係で、これらの人間分もかかえておりますので、ますますその比率が高いように見られる、こんな傾向もあります。ちょっと付け加えます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 いずれにしても移住協力事業団は、いろいろな金を加えて十数億円前後の資金を使っておる。それに見合った実績が数百名という状態ですね。先ほどから言いますとおり、全くお粗末な状態でありますが、この点どのように思われておるかということ。もう一つは効率的な移住がはたしてできておると思っておるかどうか、またこの実績に満足しておられるかどうか、それについてお伺いします。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  事業団の職員、それから事業団で扱っております交付金その他は、現在毎年移住していく移住者の選考、それから送出業務のほかに、いままで戦後移住いたしました約六万人の移住者の援護指導という点、そういう過去において移住いたしました者に対する融資その他の業務をかかえておる次第でございますので、送出数と事業団の使用している資金の額という点だけで比較はできない。むしろ毎年移住者が送出される、つまり移住者が移住地に入植するにつれまして、それの援護事務というものがふえていく次第でございます。ことに最近技術移住者で単身で行く人がふえておるというような情勢にありますので、この独立自営のための指導ないしは資金の手当というような点で、かなり事務量がふえつつあることは事実であります。  この八百数十人の人数で満足しているかどうかという点と、今後の見通しについてどうかという点につきましては、私どもといたしましては、昨年度のアンケートで、十五人に一人は潜在的な移住の希望者がいるという点から考えまして、現在の移住者の数は少ないというふうに考えております。それでは将来ふえるかという点につきましては、これは必ずしも中南米に対して急速にまたふえる可能性があるということを意味するものではないといたしましても、アメリカ合衆国、カナダその他若干の国に対しましては、それはふえていくというふうに考えております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 特に新しい傾向として、技術者移住というものは出てきておりますが、しからばあなたの言う技術者についてのその内容、そしてそれらの人の年齢、どういう相手方のところで働いておられるか、またそれらの人々の将来への保障、現況についてどのようになっているか、御説明お願いしたい。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 これは先ほど申し上げました、カナダに対する移住者と中南米に対する移住者では、かなり異なっております。中南米に対しましては、技術移住者の大半がブラジルに集中している現状でございます。そのうち年齢的に申しますると、大体二十代、三十代の年齢階層で約六〇%を占めておるというような状況でございます。カナダにつきましても、これはやはりある程度同じような状況だと記憶いたしておりますが、カナダのほうにつきましては、看護婦その他そういった職業から、工場で働く労務者、それから大学等に奉職する講師、そういった非常にインテリ的の職業につく者まで、かなり階層は広くなっております。そして行った人のうちの大部分は一応満足した状態であるということが言えるのであります。ブラジルに参りました技術移住者のほうでは、かなり独立自営ということが大きな問題でございまして、ブラジルに行けば小さな工場でもいいから自分の手で持ちたい、そういうような気風が強い。そういう点でカナダに参っている移住者が大体においてサラリーマンとして、ないしは賃金を得て働く労務者として終始してもいい、まあ機会があればそれは独立自営ということをもちろん希望はいたしておりますが、一応は当分の間つとめ人でいいというような考えを持っているのに対しまして、ブラジルに参ります技術移住者は、若干その希望ないし心がまえにおいて異なっているということが言えると思います。  こまかいデータにつきましては、後刻また御提出することもできると思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 私はカナダのことを聞いているわけではないのです。中南米局長ですから、ことに中南米のことについてはもちろん詳しく御承知でもあろうし、そういう点についての技術移住というものが、はたしてその内容、それらの人々の年齢、どういう相手方のところで働いておるか、またそれらの人々の将来の保障、現況についてもう少し詳しくお話しをお伺いしなければ納得できないわけであります。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 事業別に見ますると、外国系の企業、これは現地の企業が大部分ですが、三五%。それから日系の進出企業が二二%。日系の現地企業が四三%ということになっております。現地企業と申しますると、日系人が自分で経営している企業でございます。この点につきましては、移住事業団からお答えすることにいたしたいと思います。

廣岡謙二海外移住事業団理事長

○廣岡参考人 ただいま南米移住局長から大体お話があったことで尽きていると思うのですけれども、確かに南米、特にサンパウロを中心にしております日系の方々、あるいは最近に至りましては、外国系企業のほうからも技術移住者を求めるという傾向が出てまいっております。それで、今後私どものほうでさらに努力をいたしたいと思いますのは、いままで外国系企業の就職につきましては、若干そのあっせんについて足らざるところがあったように思います。したがって、今後は日系企業に就労を開拓すると同時に、外国系企業に対しても就労の道を開いていきたい、積極的にやってまいりたい、こういうように考えておるわけであります。現に向こうで就労いたしておりまする技術移住者の現状は、一部はやはり入りました企業が気に入らないとか、あるいはほかのほうがいいように見えまして、転々とその職場を変えておる人もございますけれども、大体の技術移住者はその場所で積極的に勉強する、意欲的に働くという傾向があると私どもは見ておるわけであります。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 私は、技術者の移住というものは、決して相手国に対する労務者の提供であってはならないと思います。日本自体において若い技術者が不足しておる、一人でも貴重な存在であるわけでありますが、それを提供するということは、本人の将来についても、また相手国にとっても十分に役立つ、喜ばれるものでなければならない、この点をどのようにお思いになっておりますか。私はそう思うのですが。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。まことに先生のおっしゃられるとおりでございまして、先方の受け入れ国において喜ばれるものであるということと同時に、本人自身がところを得たという感じを、十分移住地において持つということが重要なことだと考えております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 移住事業団でやっている事業は、確かにりっぱな目的によって行なわれているようでありますけれども、世間一般の受け取り方は必ずしもそんな甘いものではないと私は思います。世間では、どうも日本政府がやっていることは、和も変わらず棄民の範囲を出ないのではないか、こんなやり方をしておるんだったら移住事業団なんかよしてしまえ、そういうふうな批判も私は耳にしているわけであります。その裏づけのように、あなたのほうの財務諸表の中にははっきりとこのようなことが書いてあります。「一方受入国側においても単なる労働力の流入に終ることを警戒し、後進地域の産業開発に貢献する度合を問題とする態度に変ってきている。」このように書いてありますし、さらに、「また、既移住者の定着安定及び移住地の環境整備の促進は依然として急務とされている。」このようにあなたのほうでも認めていろわけであります。結局政府は相手方への開発協力というのは、一応私のほうの考え方から言うならば名ばかりであって、実際には棄民政策以外の何ものでもないというふうに思われるわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 先ほども申し上げましたように、政府といたしましては棄民というような考えは全然ないのでございまして、移住をしたいという希望者に対して現在置かれました環境において最大限の援助をしているということであると考えております。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 それではいま言った財務諸表の中に、「一方、受入国側においても単なる労働力の流入に終ることを警戒し、」そのようにあなたのほうでも認めているということは、要するに、いままでの政策自体は少なくとも十分でなかった、そういうことが私は言えるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になられました点は、三十七年に移住審議会におきまして答申いたしたものの中の一節であると存じます。三十七年のころにそういった条件が一部の国に見えてきたということは事実であります。しかし、現在まで約五年半を経過いたしましたところで観察いたしますると、その動きと申しますのはやはりそれほど強いものではなく、また日本の移住者に対して差別的なことを意味するものでない。ただやはり受け入れ国の自主性というものについて、その当時、三十七年ころと現在とやはり同じ程度に自主性というものをより強調している。それは過去の十数年前の状態と若干異なっているということは言えるという点であると思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 三十七年に一応あなたのほうでそのようなデータのもとに言われておりますが、それでは現在においてどれだけ中南米に対するところの移住政策が進展し、具体化されたか、どれだけ進んだかということについて具体的にお尋ねしたい。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  三十七年当時と比べまして、現在移住の入植地その他の条件が著しく改善されているということは言えると思います。  それから融資その他につきましては、より円滑に行なわれている。これも予算の制約がございまして、必ずしも十分だというふうに受け取られていないかとも思われますが、その当時に比べましては明らかに改善のあとが見られるという点が言えると思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 私は、海外で働くということは、現在では、余剰人口のはけ口という考え方ではなくて、それはどこまでも地域開発に貢献するという理念に基づいて行なわれるべきであると思うわけです。したがって、低開発国へ移住させるということは、むしろ移住ということばそのものがおかしい。それよりも相手国の開発に協力するという考え方から出発しなければならない、すなわち、中南米の一部の国のように、いわば後進国に属する地域への移住は、その国の経済開発計画の一環として考えるべきである、そのように思うわけであります。移住事業そのものについての根本的な考え方について、政府並びに事業団当局の御所見をお伺いしたい。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  政府並びに事業団の根本的移住政策と申しますのは、先生が一番初めお読みになられました。パンフレットの頭にあります点でございますので、これを繰り返すことは避けたいと存じますが、私どもといたしましても、移住者がその受け入れ国において十分貢献することができることを最も希望いたす次第でございます。戦前の移住者につきましても、ブラジルにおきましてはサンパウロにおけるコーヒー、綿、その他幾つもの作物につきまして、非常に日系人の貢献が大きいのであります。また、アマゾン地方におきましてはジュート、それから黒コショウ等の導入におきましても、日系の移住者が、戦前には非常にブラジルの経済に貢献いたした次第でございます。戦後の移住者につきましてもブラジルの経済についてはそれなりに貢献いたしておる、そういうふうに考えておる次第でございまするが、最近特に、先ほどから申し上げておりまする技術移住者の渡航がふえてきておるということは、これはもう直接に、着いたその日から向こうの経済活動に対して寄与しておるのだということが言えると思います。したがいまして、この移住者が渡航していくということは、本人の意思であるのではございまするが、それが本人のためにもなり、また受け入れ国のためにもなるというふうに、両方のためになるように、指導援護するということが私どもの仕事である。そういうふうに考えておる次第でございます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 あなたがいま日系人の功績とか貢献が多いということを言われたわけです。確かにそれはそう思うのですが、それは何も海外移住事業団の功績とか移住局の諸政策よろしきを得てそのような状態になったのではなくて、日本民族が優秀であるからそういうふうな状態に大きく貢献したことと思います。そういう観点から考えたとき、あなたたちがうわべだけを見ておって、実際には移住政策の底辺にあってあえいでいる人たちがかなり多いということは、もう幾多の例をまたなくてもわかると思います。私はいまここに昭和四十二年十二月二十一日の毎日新聞に載っている「ボリビア移住民を救おう!」という記事を持っておりますけれども、その状況を一応新聞の中から拾ってみたいと思います。これは「雨の日も毒ヘビの道をハダシで通学」「貧しい子らに運動ぐつが送られる」ということで、女子高校生の善意が実った例であります。「高校二年の女子ですが、先日一人のシスターから、日本人移住地であるボリビアの話を聞いて深く考えさせられました。そのシスターは二日前にボリビアから帰ってきたばかりですが、移住地には日本政府から何の援助もこないそうです。そして開拓の苦しさに加え、考えられないような貧しい生活をし、子供たちは粗末な校舎に九キロもの道を、雨の日もハダシでかよっています。毒ヘビにかまれたりしながらも……。そのシスターは移住地の学校教育を助けるため、来年早々先生になりに行くそうです。お願いというのは、シスターたちが出発するとき、子供たちにくつを届けたいのです。」という幼い子供の純心なるボリビア移住民を救おうという声であります。それに対してそのシスターは、実際に見てきた状況を「ボリビア移住地の子供を見たとき、私は大きなショックを受けました。雨の日にハダシでカサもなく通学する子供たちの姿。各家庭の壁には“忍耐は成功のもと”と書いた紙がはってあり、」あなたが言うようなそんななまやさしいものじゃない。「“忍耐は成功のもと”と書いた紙がはってあり、みな歯を食いしばって物資不足に耐えながら開拓しているのです。ボリビアという国は、昔は米を外国から輸入していたのですが、日本人移住者がきてからは、その開拓地からとれる米で国内の米の全需要をまかなっており、ボリビア政府は日本人の優秀さ、勤勉さにおどろき、ボリビア人は日本人を尊敬しはじめている子うです。私たちの仲間が、それほど海外で活躍し、国際親善に大きな役割を果たしているのに、日本政府は移住者を援助してやろうとしません。海外に送りだしたあとは放りっぱなしです。こんなことでよいのでしょうか。私は現地を見たときに決心しました。この子供たちを教育し、将来立派な市民に成長さしてあげなければ……と。私は移住地に永住するつもりです」  このような状態で毎日新聞で取り上げられております。そのほか幾多の例を私はいま持っているわけでありますが、時間がありませんので、この新聞だけを通して言えることは、はたして移住者に対して海外移住事業団並びに政府はどのよう作アフターサービスをしているかという問題であります。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 その点についてお答えいたします。  現在その新聞記事の対象になりましたのはサンファンの移住地のことかと存じまするが、そういった新聞記事に出ていることは全然なかったしいうことは言おうというつもりもございませんが、また非常に極端な例が新聞に出ているのだしいうことを若干御指摘いたしたいと思います。しかし現在におきましても、ある移住地につきましては状況がよくないということが言えると思います。これは過去におきまして、非常に移住の希望者が殺到いたしまして、非常に大ぜい出ていきたいという希望者があり、その送出事務をいたしたために、若干そういった希望者の人数に圧倒されて、幾らかの移住地につきましては、必ずしも経済性という点が十分検討されないままに入植されたということがあったわけでございます。しかし移住事業団が発足して四年半ばかりになりますが、その後はこういったことを繰り返さないという点では、この方針がかなり徹底しているというふうに考えております。先ほどお読み上げになられました新聞に出てまいりますサンファンには移住事業団の支部がございまして、数人の職員がつとめており、そしてまた、そういう職員によって指導援護の措置がとられておるということでございます。したがいまして、子弟の教育、それから医療、衛生というような面、また道路の改良、改善、そういったことに力を注いできたと了解しておる次第でございますが、しかしまだ若干の移住地につきましては、条件の悪いところがそのままになっているということが言えると思いますので、こういった場合につきましてはさらに転耕等につきまして将来指導援助をしていきたい、そういうふうに考えておる次第であります。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 移住者に対しては何でも人間を送り出せばそれで事業団の仕事は終わったとでも考えておられるように私は受け取れてならないわけです。私は帰国した移住者の方々が募集条件とあまりにも違っていたがために、事業団を相手どって損害賠償請求の訴訟を起こしているということを知っておりますが、それは何が原因でありましょうか。

廣岡謙二海外移住事業団理事長

○廣岡参考人 ただいま御指摘のありました訴訟問題と申しますのは、おそらくプナウにおける黒崎、宮崎君、両名の事業団に対する損害賠償というような案件をさしておられるのだろうと思うのであります。しかしこの問題について直接お尋ねがあったということでなくて、やはり移住地の中において必ずしもよくないところがあるというような点、先ほどからそういう御趣旨の質問もございました。私どもは決して移住者を棄民扱いをしておるという考えは毛頭ございません。三十七年の移住審議会の答申に見られるごとくに、あくまでも棄民という観念でなくて、先ほどお話のございましたような移住者の福祉向上をはかることはもちろんでありますけれども、相手国に対する経済協力という面を非常に重視されております。また移住者諸君も、戦前は一つの政策として奨励的な意味もあったと思うのでありますけれども、あくまでも戦後の移住者は、自分の意思と判断で責任を持って移住しようという人たちを相手にいたしております。最近出かける人はそういう考えを十分に持ちまして移住している人が大部分であると思うのでございますが、先ほどお話のございましたような移住地につきましては、中南米全体におきましても数十の移住地がございます。集団移住地もあれば、あるいは三々五々入って今日に及んでおるというような移住者もあるのでありますが、決して私ども移住地全体が非常によく整備され、環境もよく、営農の成果もあがっておる、移住者自身の生活も非常に安定しておるというように見ておりません。いろいろ移住地によりまして、あるいはその国によりまして、差はございますけれども、しかしわれわれの目的とするところは、移住地を整備し、または移住者を定着、安定せしめる、そのためのあらゆる施策を、あるいは営農の面において、融資の面において、あるいは医療、教育の面におきまして、あるいは農協の助成とか自治体の育成とかあらゆる面においてこれをよくしていこうということに懸命の努力を払っておる次第であります。したがって、アフターケアは全然やっていないじゃないかということは、決してございませんで、先ほど御指摘のありましたサンファンの移住地におきまして、本年度をもって終了するわけでありますけれども、サンファン再建の五カ年対策というものを立てまして、道路を整備し、あるいは移住地のいろいろな面の改善をはかってまいりまして、だんだんと明るい見通しを移住者諸君が持ってくれるようになったという事態までまいっております。決して移住地が最善、完璧であるとは申しませんけれども、いろいろな意味において定着、安定させるために、あるいはその生産物を工業化する、企業化するという必要があるものにつきましてはそのほうに助成をし指導をしておるというようなこともやっておりますし、魅力ある移住地にするために従来の方式を再検討いたしまして、現在一つ、二つの例を申しますならば、第二トメアス、パラグアイのイグアスの移住地に既成園の分譲ということを新しいテストケースとして考えております。これは移住者が入りまして密林にいどみ、これを爆破して、それからさんざん苦労して営農をやっていくというやり方につきましては非常にロスがあるのじゃないか。それよりかある程度既成園として、トメアスにおきましては三千本のピメントを植えつける、あるいは住む住居も設備する。イグアスにおきましても草地の造成をやりまして将来畜産を容易ならしめるような方法を考えてまいるというような、魅力ある移住地を今後考えていかなければならぬということでやってまいっておるのでありまして、御心配をいただいておることは私どもも十分参考にいたしまするけれども、私どもそういう面から一そして相手国の受け入れ国に対しても、これが結果的に経済協力に続いて国際親善を進めていくという面にあることを御理解いただきたいと思います。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 ボリビアのような、あるいはパラグアイのような国では、日本人の移住者に対してアフターサービスを加えることがすなわち移住者を助けることにもなるし、それ自体が間接的に経済援助になり技術協力をすることになる、私はそのように思うわけです。そういう意味においてもっとどしどしアフターサービスを強化していくべきじゃないか。いま私があげました一、二の例は、必ずしも一、二の例でなくて、やはり多くの移住民の中にもそういう問題があるということであります。聞くところによりますと、パラグアイのドイツ人の移住地では、入植以来もう大体五十年もたっておるのに、いまだに教育だけは本国政府が全面的に補助をし、教師の派遣や移住地出身青年の給費留学生の制度も実施されている、そのように承っております。現在パラグアイの大統領がドイツ移民の二世であるということも、このような本国政府の態度からして決して偶然ではない、知はそのように思うわけであります。  政府はパラグアイについてもだいぶ努力をしているようにいま承りましたけれども、今後この問題についてどうお考えになっているか、すでに五十年を経過したブラジル移民に対しての政府並びに事業団の御所見をお伺いしたい。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  ただいま廣岡理事長からお話がございましたように、既成園の分譲というのはことしの四十三年度予算に認められました新しいいわゆる大型移住という構想でございます。これが従来の移住を代替するものではないのでありまするが、こういった移住の形態をとることによりまして、早く要するに経済的に楽になるということができるのじゃないか。そういうことは若干の自己資金を持っていった人に対して最初の苦労のところを事業団のほうで肩がわりしてやるということが一つの基本的な考え方になっておる次第でございますが、そればかりでなく、そういった点を含めまして四十三年度の予算におきましては事業団の出資金は五億円認めていただいた次第でございます。これが結局はそういう新しい試みやその他先ほど先生から御指摘のございますような従来の移住者で所を得てない人に対する援護措置を講ずるというための資金を、ある程度ことしの予算では確保したということがいえるのではないかと存じます。決して十分だとは思っておりませんが、こういった予算措置を、昨年に比べましてかなり出資金を増額していただいたということにつきまして、これをできるだけ有効に使用してその成果をあげたいというふうに考えておる次第でございます。  パラグアイにつきましてはイタプア製油株式会社というアブラギリの製油設備と同時に食料油もしぼれるという会社を設立いたしまして、目下それの建設に取りかかる段階になっておる次第でございます。これにつきましても事業団の数年にわたって研究した結果でございまして、パラグアイに移住した、ことにアルトパラナ、フラム地方に移住した移住者に対しましてはアブラギリの木を植えるようにということをすすめた関係上、いざ実がなってくるという段階におきましてこれを日系の企業において搾油するということによってコンスタントに買い入れる、こういうことが可能になる、そういうことを一つの大きな目的といたしまして、また同時にキリ油の値段というものはフラクチュエートいたしますし、あまり高く売れるものではございませんけれども、一方食料油というものは——ラテンアメリカは人口が毎年三%ずつ増加するという現状におきましては、食料油の需要というものは非常に強いのであります。したがいましてこれからイタプア製油において食料油の製油装置を兼ね備えるということがアルトパラナ、フラム、チャベス方面に移住された方々が、近い将来におきましてあるいは大豆を、あるいは落花生を、あるいはなたねを、あるいはゴマを大量に栽培できるようになるのでございます。そういったことも目下着手いたしましたので、いろいろ従来の経緯について満足のいかない点もあるのでございますが、鋭意改善に努力しているという点をおくみ取りいただきたいと存じます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 あと一点……。  去る二月中旬ボリビアの沖繩移住地第一コロニアが大水害に見舞われ、たいへん大きな被害を受けたと伝えられておりますが、その被害の状況と、どのような救済の手を具体的に打たれたか御説明を願いたいと思います。

廣岡謙二海外移住事業団理事長

○廣岡参考人 ボリビアのリオグランデ川のはんらんというものは非常な未曾有の水害であったようでありまして、その余波を受けまして沖繩の移住地の第一移住地が相当な被害を受けました。一万八千何がしかのヘクタールの面積を持っておりますけれども、一番ひどいところになりますと一万一千ヘクタールに及ぶ浸水を受け、また移住者も半分ちょっと以上が浸水を受けたということで、これに対しまして私ども当面の措置といたしましては、たき出し等の必要を感じまして、さっそく千ドルの見舞い金をかねての送金をいたしました。その後、救農土木事業、道路の被害を排除するというようなことで、また病気を心配いたしまして衛生上の措置といたしまして合計五百十七万の金を送付いたしました。しかし問題は今後にあるわけでありまして、だいぶ水が引いたようでありますけれども、相当浸水被害を受けております関係上、今後各移住者ごとに調査を行ないまして、立ち直るための、再建するために必要とする融資を考慮いたしております。現地の支部にも命じましてこれを指示しておるのでありますが、その調査の報告を待ちまして、今後遺憾のないように援護の措置を講じてまいりたい、こう考えております。これ以外に外務省からはしかるべくやはり見舞い金なり援護の金を送金されたのでありまするが、そういうような当面の処置はいたしておるのであります。  なおこの機会に、前回の御質問で誤解があってはと思いまして申し述べるのでございますが、訴訟事件に関しましては私ども黒崎、宮崎両氏の言い分を必ずしもそのとおりであるとは考えておりません。しかしこの訴訟に対処いたしまするためには、国の利益を代表いたしまする法務省の訟務局に手続訴訟を依頼いたしまして十分に論駁をいたし、決して黒崎、宮崎両氏の言うような実情ではないのだということを法廷において明らかにせんとしておる次第でございます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 これは沖繩のタイムスに出ておる内容でありますけれども、「救援を待つ移住地(ボリビア)」として「水害はボリビアの六つの県にまたがる広範囲にわたっており沖繩の第一コロニアは十年余血の出るような苦難をのりこえて開拓した土地が土砂に埋まり、この四、五年は農耕は不可能だとの見通し、日本本土および、全沖繩からの救援と激励を贈ってほしいと強く訴え、現地のもようを伝えている。」こういうことでありますが、なお「救援金品の末端配布はそれほど希望のもてるものではない。沖繩出身者は口にこそださないが、日本政府、琉球政府、および郷土の同胞の救援を待ち望んでいる。」そういうふうに切々にるるに訴えられておる問題であります。いま事業団の理事長からお話がありましたとおり、言うならばわずか見舞い金としては事業団が一千ドル、そして外務省が三千ドルに、道路の施設に対するところの金が三百一万円と、わずか四百五十万円足らずの金しか送られていないわけであります。今後これに対するところの対策が私は必要ではないかと思いますので、どうかそのことを一段と留意をされまして、処置をしていただきたいと思いますし、またアフターサービスについてもさらにさらに力強く推進をしていただきたいと思うわけでありますが、最後にその御所見についてお伺いいたします。

安藤龍一外務省中南米移住局長

○安藤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生のお読みになられました数字のうち、事業団のすでに沖繩第一移住地に対する援護措置として送りました金額の総額は五百十七万、いま理事長の言われた数字でございます。そのうち、約二百万が医療衛生の費用に当たっております。外務省のほうといたしましては三千ドルの見舞い金のほかに、ボリビア国全体に対しましてさらに三千ドルというのを支出しております。そのほか来年の米作の収穫ができるときまでの生活費その他の補給に対しましては、その状況によりましてある程度措置をしたいというふうに考えておる次第でございますし、先ほど理事長からも御説明ございましたように、再建のための融資ということを考えておる次第でございます。もともと沖繩の第一移住地は大体水害の定期的に来るところであったわけでございまして、それが、水がかぶるためにいい土がやってくるというので好んでそこを米作地帯とした次第でございますが、ことしの水害はまたけたはずれに大きく、それで冠水したままなかなか水が引かないばかりでなく、非常に状況が悪くなったので、こういう土地に将来とどまらないという移住者の方も出てくるということが予想されております。そういった点につきましても、どこか適当なところをあっせんするという必要があると考えております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員長代理 参考人各位にはお忙しいところ調査に御協力をいただきましてありがとうございました。本日はこれにて散会します。    午後三時二十六分散会

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