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58回国会衆議院1968/05/06

外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号

発言数
162
登壇者
10
会派数
3
開催日
1968/05/06

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、外務委員長たる私が委員長の職務を行ないます。  原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題とし、審査に入ります。     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 今回提出をされました日米原子力協定の条約でありますけれども、実は午前中にも参考人がお見えになりましたので、若干の質問をいたしました。そのときにも私は申し上げたのでありますけれども、将来のエネルギー源としての原子力の問題は、国内政府問題だけではなくて、国際的にも非常に大きな影響力を持つ重要な問題である。それは、一つは、軍事的な問題として大きな問題になるわけでありますけれども、この軍事問題は、あとで若干触れたいと思います核防条約に示されているような問題にもなっておるわけであります。それからあと一つは、将来石油の資源が一体どのくらいあるかということは、まだ確定はいたしておりませんけれども、大体現状で八十年、しかし、そのうち三十年分ぐらいはいわゆる石油化学による合成繊維その他に回すということになりますと、石油は大体五十年ではないか。それで、それにかわるものとしては原子力以外にはない。アメリカでは、御承知のように、石油専焼火力発電所というものを最近ほとんどつくっておりません。これは、一つは、将来の資源の問題として石油を確保するという問題と、それから、石油専焼火力発電所というものについては相当公害が多い、こういう問題で石油発電所をつくらないで、もっぱら原子力の発電に力を注いでおるという実情になっております。  それに関連するところのいろいろな技術的な問題というものもあるわけでありますけれども、あと一つ、ここに忘れてはならぬというか、注目すべきことは、御承知のように、現在の通貨制度の問題があります。通貨は——ここ十年ぐらいの間に世界の生産は倍になったけれども、金は、御承知のように、二割程度しか増産できない、こういうことで、金と世界で用いておる通貨をリンクさせるということについては、ゴールドラッシュに見られるように、非常な無理があるのではないか。世界ではそれにかわるべき通貨として、トリフィンの言っているような新しい世界中央銀行をつくれという意見も出ておる、あるいはまた、フランスのリューエフみたいに、全部金でもって決済しろというふうなことを主張する人もありますけれども、世界通貨の問題は、これから先相当重要な課題になるだろうと思っておりますけれども、将来この濃縮ウランの関係は、世界で一括して管理をしなければいけないのではないかという議論が出ております。それに関連して、金は確かに貴重なものではありましょうけれども、それほど重要な工業的価値を持っておるわけではありません。ところが、濃縮ウランというのは、国の死命を制するエネルギーを小さな形でもって確保しておこうということになりますので、この濃縮ウランの関係は、将来の通貨兌換の基礎になってくるのではないかという意見が出始めておるということは、きわめて注目すべき問題ではないかと私は思っております。これは決して架空の議論とばかりは片づけられない。そういう点で、この核燃料の問題というものは、きわめて重要な問題として、慎重に扱わなければならぬと思うのでありますけれども、この原子力協定を見ますと、非常に納得のできない点がたくさんございますので、これから順次質問をしたいと思っております。  まず最初に、日本の将来のエネルギーとしての核燃料をいかに確保するかという問題についての現在の政府の態度というものに対して、われわれは満足できない点が多々あるわけです。これは午前中も参考人にいろいろ聞いたわけでありますけれども……。  そこで科学技術庁長官に伺いたいのであります。大体日本で核燃料の所要量というのは、昭和六十年度になると約二千二百トン、これはまあ軽水炉として使うことになると思います。アメリカの八千トンの大体四分の一をこえるそういう量が、日本では昭和六十年には入り用になるであろう。そういうことで、この濃縮費だけを考えましても、昭和六十年までに五千億円、昭和七十五年になりますと実に三兆五千億円という資金が要るという、膨大な額にのぼってくるわけであります。したがいまして、これをアメリカ一国だけにまかせてしまうというようなきわめて不安定な形であってはならないのではないか。  あと一つ問題は、アメリカ自身の最近の濃縮能力は、大体、日本に与えられました今度の原子力協定の百六十一トンを十分まかなうだけの能力がある、こう思われますけれども、現在の埋蔵量は、大体、アメリカで三十万トン、カナダが二十万トン、それから南アフリカが二十万トン、その他全部合わせて八十二万六千トンぐらいではないか、こういわれておりまして、アメリカは、三六%程度の埋蔵量を自分の国に持っておるということがいわれております。  ところで、アメリカが天然ウランを採掘する能力、これは大体いまのところ一万五百トンであります。これが将来計画といたしまして大体一万四千トンから一万六千トン、このくらいの能力になるであろうということが予定をされておるようでありますけれども、さてそれでは、アメリカの需要は一体どのくらいのものかというと、アメリカの需要は、一九七〇年に天然ウランで大体一万トンであります。一九七五年になると二万トン要るということになる。ところで、いま申し上げたように、アメリカの生産能力は将来ふえるとしても一万五千トン。ということになると、アメリカの天然ウランとしては、明らかに、一九七五年になれば、自分の国で生産したものでは十分でないという数字になってくるわけであります。そうなりますと、アメリカ自身がほかから原鉱石を買ってこなければならぬ。あるいはまた、アメリカ自身が買わないまでも、採掘をして、これを製錬してほかの国に送るという能力は、アメリカは全然ないわけであります。そのときに、日本の核燃料を確保する対策は一体何か、こう言いますと、金属鉱物探鉱促進事業団というものがありまして、これがカーマギーなんかと提携をして、わずかながらカナダのほうの探鉱をいまやっております。カナダのエリオット・レークというところで、たいへん有望だそうではありますけれども、しかし、まだどのくらいとれるかという見通しは立っておりませんが、これも非常にささいなものであります。これで日本のウランの需要を十分満たすことができるかというと、こんなものではとても十分ではない。一万五千トンぐらいというふうなことがいわれておりますけれども、日本の必要とするところから見ますと、これは数年分しか満たすわけにいかぬ。これは全部そっくり持ってきても、そんなかっこうになるわけです。そういうことになりますと、一体この重要な核燃料を、アメリカと原子力協定を結んだから、アメリカに濃縮してもらうのだから、それでいいのだという、非常に安易な態度が政府には見られるのではないか。一体アメリカ自身が自給自足できないという状態のときに、アメリカと原子力協定を結んだからもう日本の核燃料は大丈夫だ、こういうふうな安易な考え方が非常に強いのではないかということを私は痛感いたしておるわけであります。  将来アメリカで不足をするという実態、それを一体どうやって日本で補給するか。将来のエネルギーは、石油はもちろん外国から全部買っておるわけでありますけれども、石油が枯渇した後の新しいエネルギー源としての核燃料、濃縮ウランというものを一体どうして——これは、濃縮ウランが百六十一トンくることになっておりますが、アメリカでそっくりそろえて送るという可能性は、現実問題としてないのです。それを一体どういうふうに打開していくか。その問題からまず科学技術庁長官の御意見を聞きたいと思う。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 ただいまの御質問でございますが、百六十一トンは、これは大体アメリカ及びカナダからの天然ウラン、イエローケ−キーを入れてこれをすることになっておりまして、いま石川先生の言われましたように、将来におけるアメリカの需要あるいはその他の需要を考えますと、それほどその間に——日本といたしましても、カナダなりあるいは南米なりで探鉱をして——日本で開発をするのはもちろんでございますけれども、それ以外に、どうしても天然ウランを探してくるということは必要だと考えます。決して安易な気持ちでやっておるつもりはございません。  ただ、百六十一トンに関しましては、おもにカナダの原料を主体として、これをアメリカに持ってきて、イエローケーキーを賃濃縮してこちらへ持ってくる。その点はアメリカ自身も協定として引き受けておるわけでございますから、十分できるかと思いますが、さらにそれ以降に進んできた場合における、十年、二十年以降の将来、それらのことを考えますと、日本といたしましては、国産の天然ウランが多くございませんから、どうしてもこの原料を外国に求めなくてはならない。そのためには、最も生産国であるカナダなりあるいはその他の国へも共同探鉱と申しますか、協定を結んで、そして、この燃料の確保に全力を尽くしていかなければならないというふうに考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 科学技術庁長官は当然その衝に当たっておるわけでありますから、自分としては何とかしたいというお気持ちだけはわかりますけれども、政府全体がそういう体制になっているかというと、私はそうでないと思うのです。何か原子力協定ができれば、百六十一トンそっくり充足できるのだというような、きわめて安易な考え方があるのではないか。ということは、金属鉱物探鉱促進事業団、これは銅と鉛と亜鉛をやっているのであって、これは実際にウランの採鉱も製錬も全然経験はないわけですよ。こういう仕事こそ、ほんとうに国家として本腰を入れて何とか自給自足の体制をつくり上げていく。一九七五年にはアメリカ自体としては、日本に供給する原鉱石はないわけです。したがって、それまでの間には少なくとも日本でこの採鉱の見通しを立て、そして日本で濃縮をするという技術を身につける、こういうことをやらなければ、とんでもないことになる。  それで、いま長官の言われたように、南アフリカあるいはインド、オーストラリア、南米というような名前がちょいちょい出てまいりますけれども、この実態を御存じかどうか知りませんが、念のために申し上げますと、南アフリカとの取引というものは非常に困難があります。これはいわゆる人種差別の非常にきびしいところで、世界の批判を受けておりますことは、今度のオリンピックの問題でもよく御理解願えると思うのでありますけれども、南アフリカとの取引をやれば、ほかの国から非常な苦情が出るという事情があって、南アフリカから原鉱石を簡単に買うという問題は、これは軌道に乗りません。それからインド、オーストラリア、ラテンアメリカ、これは絶対に輸出いたしません。自分の将来のたいへんなエネルギー源であるということで輸出禁止になっておるわけです。そうすると、頼むのはカナダだけ。しかし、カナダだって、世界じゅうから殺到するという状態になれば、日本にだけそう自分のところのものを安易に出すとばかりは考えられない。そうなると、共産圏とも交際をしなければならないとか、国際協力を考えなければならぬというふうなことが当然出てまいります。ところが、原子力協定によれば、そういうことはできないような仕組みになっている。この自給自足の体制をほんとうにつくるということについて、これは国務大臣としての三木外務大臣に伺いたいのでありますけれども、日本の需要量は、昭和五十年に大体四千トンになります。これは、南アフリカとカナダの生産量を両方合わせたものの大体五分の一です。現在は、アメリカを除いて南アフリカとカナダがほとんど——アメリカは、日本に出してくる能力がもうないわけですから、そうなると、南アフリカとカナダが現在残された、われわれが手に入れる可能性のある国である。しかも、南アフリカについては相当問題がある。しかし、南アフリカとカナダの生産量の五分の一のところまで昭和五十年には日本の需要というものがふえてまいります。それから、昭和五十五年になりますと、南アフリカとカナダの生産量の大体三分の一に達してしまいます。そういうことでありまして、これはきわめておそろしい状態になるのではなかろうかという見通しが持たれるのでありますけれども、現在のような体制で、原子力協定を結んだからそれでいいんだというようなことにはなかなかならない。これは、政府として核燃料をほんとうに確保しなければいかぬのだというような体制になっておるかどうかという点については、私は非常に寒心にたえないのですけれども、その点についてひとつ三木外務大臣の国務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 まだいまウランについては各国とも探鉱をやっておるわけで、現在の埋蔵量というものがこれだけで、新しくウランの鉱床が発見できないというものではないので、非常に重要な鉱物資源になったわけですから、各国ともウラン鉱の探鉱に対しては非常に熱心になって、カナダのごときも、やはり盛んに探鉱をやっておるようでありますから、現在の状態で前途を推測して悲観するのには当たらないのではないか。しかし、御指摘のように、南アは非常に問題があります。やはりカナダに重点を置かざるを得ないと考えられます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 確かに埋蔵量は石油と同じでもって、まだ開拓の余地があるとは思いますけれども、しかし、現在想定し得るものの計算を入れて、私は先ほど五分の一、三分の一という数字を申し上げたわけなんです。南アフリカが入っていてそうです。南アフリカとの取引が十分にいかないということになれば、カナダ全体の採掘能力から見て、これはもう昭和五十年くらいで、カナダの生産量の三分の一くらいとらなければいかぬ、こういうような形になってまいります。そういうことで、私は現在のような、まあそのうちにふえてくるだろうというような安易な考え方ではなしに、将来のエネルギーは原子力にたよらざるを得ないということは必至でありますので、もっと慎重に取り組んでもらわなければ困るということをはっきり申し上げておきたいと思います。  そこで、採鉱、選鉱、精錬技術は、日本では原燃で細々ながら人形峠というものを中心として、東濃というところも最近発見をされておりますけれども、これはあまり豊富な含有量ではありません。しかしながら、貧鉱は貧鉱なりに、日本独特の技術というものが開拓をされておるわけであります。それから、選鉱分級という方法、あるいは水力採鉱法、これはウラン鉱ではやっておるのは日本だけです。それから、一貫精錬法、これも、イエローケーキをつくるという段階を抜いてしまって、いきなり精錬をするということで、これも外国ではどこでもやっておりません。貧鉱なるがゆえに、日本ではこういう製錬の技術というものも、ほかの国にはない特異なものを持っておるわけであります。そのためには、日本の現在の人形峠は採算が合わないとかなんとかいうような意見も、政府側には若干出てき始めておるようでありますけれども、これはやはり大事に扱って、日本の製錬技術というものをつくり上げていかなければならぬ、こう思うのでありますが、その点の科学技術庁長官の御所見を伺います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 いまのお説のとおりでございまして、〇・〇五%ぐらいの品位のものを合わせまして、大体五千トン前後認めておるわけでございます。そこで、国産のウラン鉱をどう処理していくか、どういう方向でこれをしていくかということは、現在のままではやはり問題があろうと思います。動力炉・核燃料開発事業団がこの処理に当たっておるわけでございますが、率直に言って、日本の需要に対して、貧鉱までそれを掘りながら技術修得と、それから技術の研究と開発をやって、そうして掘り尽くしていくべきか、あるいは次には、非常に品位のいいところを研究用としてこれをイエローケーキになし、あるいは濃縮技術の修得へ進めて、そうして日本の技術開発へ資していくか、あるいはそのまま温存するかというように、三様に考えられるのでございますが、この点につきましては、ことしの秋と言わず夏ぐらいまでに十分政府としての方針をきめまして、動燃事業団ともよく話し合って、そうして、日本における国産天然ウラン資源の処理につきましては、方向を定めてまいりたいと考えております。したがって、どうするということは、ここ数カ月のうちに、私としては、日本としての方向をきめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、探鉱につきましては、現在も動燃事業団その他によって、でき得る限り国内の新しい天然ウラン資源の開発あるいは探鉱に当たりたいと考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それからウラン濃縮の技術であります。これは午前中にも参考人の方に聞いておりますから、あまりくどくは申し上げません。くどくは申し上げませんけれども、気体拡散法というものがあり、遠心分離法があり、あるいは最近西ドイツでノズル法というものが開拓をされつつある。あるいはまた化学分離法という方法がある。  御承知のように、アメリカでは、シャーウッド計画というものによりまして、核融合の非常に膨大な予算をつくって計画を始めました。ところが、これがなかなか成功しないということになりますと、結局反転をいたしまして、プラズマの正体を解明するところから出発をし直すということで、基礎研究に戻っているわけであります。  ところで、ウラン濃縮は、どうしても日本で一九七五年をめどにして完成をさせなければならぬというのが、これは大方の一致した意見ではないかと思っております。一九七五年というと、そう長い年月があるわけではありません。動燃団のほうでは、御承知のように、遠心分離法を、田中正之助博士が中心になって、アルゴンをもとにしてやっておりますけれども、これはまだ軌道に乗るというところまで行っておりません。そうすると、日本がガス拡散法でもってやろうとしても、これは相当たくさんの電力を食うので、日本ではこれはちょっと容易ではなかろうと思っております。アメリカのように、電力が非常に豊富で、しかも、軍用のものをたくさん製造するという場合には、ガス拡散法によってもある程度安い値段で品物ができる。この価格の点については、あとからまた質問したいと思っておりますけれども、しかし、日本で気体拡散法というのをやることは非常に不得策ではないかということになりますと、日本独自の濃縮ウランをつくる濃縮技術というものを、一体どういうふうにして進められていくか。一九七五年をめどとして、これが一体日本で濃縮できるかどうか。御承知のように、現在のような状態でいきますと、アメリカに完全に日本のエネルギーの首の根っこを押え切ってしまわれるわけですね、今度の日米原子力協定では。そうすると、どうしても日本としてはこれを多面化する、日本自体のウラン濃縮の技術を持つということでなければとんだことになると私は心配でたまりません。そういうことで、この濃縮のほうの関係の技術を一体どういうめどを立てて、一九七五年というときにはアメリカが全然日本に供給できないという時点で、日本でもウラン濃縮はできるんだという体制をつくらなければならぬと思うのです。これは全面的に自給する体制をつくることは不可能でしょう。しかしながら、少なくともある程度濃縮についての自給能力はあるんだということにしなければとんだことになると思うのでありますけれども、その点の見通しは一体どうなっておりますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 濃縮技術は、すでに石川先生御承知のとおり、まだ日本において十分ではございません。ただ、日本で現在研究いたしておりますのは、御承知のとおり、動燃事業団において、遠心分離法による基礎研究からこれの開発に当たりたい。その一つの道筋は、ただいま言われましたように、原子力委員会の中にございます燃料関係の懇談会において、一九七五年、すなわち昭和五十年までにとにかく基礎研究を完成して、経済的に成り立っていくように、どうしても日本としては濃縮技術を一応軌道に乗せなければならないというような計画はあるわけでございます。それに基づいて、動燃事業団は遠心分離法による研究を現在しておりますが、まだまだ初歩の段階でございまして、十分研究成果が——直接天然ウランによって濃縮技術を開発するという段階にまで至っておりません。  なお、理化学研究所におきましては、気体拡散法も、ささやかではございますが、研究をいたしておる事態でございます。したがいまして、これは一科学技術庁というのみならず、国として大きな技術開発の問題として取り上げていただいて、そうして、国の資金といいましょうか、力で、あるいはより多くの環境整備をして、そうして、いま言った原子力委員会の軌道に乗せるように持っていきたい、また持っていかなければならないというふうに考えるわけでございます。現在におきましては、これは完成するということを私がここで言明を申し上げるというほど、まだ確信はございませんけれども、少なくともその軌道に乗せながら、遠心分離法による濃縮技術の開発、修得に進めておるということを申し上げておきたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 技術的なことを掘り下げて質問する場所ではございませんから、これ以上あまり申し上げませんけれども、しかしながら、遠心分離法は、世界の学界の定説としては、これはちょっとものにならないというのが定説なんです。容易なことじゃなかろう。これができれば、年三十トンくらいの非常に小型な場合には非常に安く、こじんまりとできる。しかしながら、これができますというと、隠れてあちこちでもってつくるかもしれぬというようなことで、アメリカでは遠心分離法の開発は禁止をしております。日本でこれを学会で発表しようとしたら、アメリカから、ちょい待ったという声がかかって発表できない。非常に奇怪な問題も起こっておりますけれども、その点については、場所が違いますからあえて触れませんけれども、そういう問題が出ております。そうして、結局は、ウラン濃縮の方法を考えるにいたしましても、もとに戻って基礎研究から出発をしなければならぬ。これは、シャーウッド計画が失敗して、中央突破ができないということになると、プラズマの研究に戻ったと同じような形で、非常に回り道ではあるけれども、基礎研究から出発しなければならぬということが大体の定説になっております。  そこで、これは三木さんもちょうどいらっしゃいますから、閣議で大いに強硬に主張してもらいたいと思うのですが、実は日本で研究テーマを持った——そのテーマは大体六万件くらいあります。学界の研究、あるいは民間の研究に、そのテーマを選んで出している金が一体幾らか、五十億円です。科学研究費は五十億円です。これは未開国よりもひどいんじゃないかと思うのです。飛行機十台減らせば五十億円は出るのです。倍になる。このわずか五十億円ですら、学術会議と文部省との間でもって非常なもんちゃくが起こっておるという実態は、御承知のとおりだろうと思うのです。日本がほんとうにほかの国に追いついて追い越していくということのためには、基礎研究に戻らなければならぬ。その場合に、わずか五十億円ぐらいでもって、この貧乏世帯でやり繰りをして、文部省と学術会議が相対立をするようなかっこうでやっているような状態で、はたして日本のほんとうの研究が前へ進むだろうか。ということは、原子力研究所の問題もあるのでありますけれども、原子力の研究については、原子力研究所がいままで一番実績を持っております。原子力研究所では、大体新型転換炉の概念設計までやっておるのですね。ところが、原子力研究所をボイコットして動燃団というものができた。このいきさつについては、いまさら多くを申し上げません。申し上げませんけれども、原子力研究所の予算は全然ふえておらない。人間は全然ふえておりません。材料試験所のほうへ逆に四十名とられて、減った人間の補充をやっていない。研究テーマはどんどん理事者のほうで切りかえている。こういうなかっこうで、原子力関係の基礎研究というものが確立できるかどうかという問題も含めて、基礎研究というものによほど考え直して重点を入れなければ、日本の科学は進歩いたしません。それはビッグプロジェクトと称するものに対してはたいへん熱心というか——これだって予算は、ほかの国に比べたら問題になりませんけれども、やろうという意欲があっても、これがどうも国威宣揚意識が半分以上働いているように私は思うのです。そんなことではなしに、ほんとうにビッグプロジェクトをつくろうとすれば、基礎になる段階の基礎研究という土台がしっかりしないと、これは砂上の楼閣だと思うのです。そういう点で、原子力に限らず、基礎研究というものをもっと重視しなかったら、ほんとうに日本の科学というものは、いつまでも技術導入にたよらざるを得ない。技術導入にも限界があります。昔は、ルーターの原理が発見されますと、それが製品化されるまでに六十年もかかっている。いまは、原理がわかれば二年か三年でどんどん製品ができています。非常にテンポが早い。こういうときでありますから、なおさら基礎的な研究というものに重点を置かなければならぬのじゃないか、こう思うわけでありますけれども、この点について三木さん、何か御所見があれば伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 御所見というより、石川君に全く同感であります。やはり原子力の場合でも、核兵器を日本が開発しない、平和利用の面で日本は一流国にならなければいかぬわけです。そのためには、やはり基礎研究というものが大事だということは、御説のとおりだと思います。来年度の予算には、科学技術庁をバックアップして、基礎研究というものをもっと充実するように努力したいと思っております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 力強い御発言をいただいたわけですが、これは科学技術庁の予算じゃないのですよ。文部省の予算です。別に科学技術庁が管轄をしておるわけじゃありません。しかしながら、その基礎研究という面では、科学技術庁が扱っているビッグサイエンスだけを考えてはいかぬと私は言いたいのです。そういう面から出直さなければ、日本の科学は本物にならぬという点で、ひとつ今後とも御協力を願いたいと思います。  実は私は、まだ条約のことについて全然触れていないのですが、この条約はアメリカ語の翻訳で、私は条約とか法律に弱いものですから、わからない点がたくさんございます。それで、これは大臣でなくて、局長でけっこうでございます。国連局長か原子力局長か、そういう方で適当に御答弁を願いたいと思うのでありますけれども、大体二十五くらい不明な点がありますので、その点を次々と質問をいたしますから、ひとつ明快に、簡単明瞭な御答弁を願いたいと思います。  まず第一に——これをお持ちですか、原本はこれですか。これが原本でしたら、このページで申し上げます。簡単に質問してまいりますから、明快に御答弁を願いたいと思います。  七ページ、第二条のB「秘密資料は、この協定に基づいては通報されないものとし、」と、こう書いてあります。「それが秘密資料の通報を伴う場合には、この協定に基づいては行なわれないものとする。」この協定以外のいかなる場合に、秘密資料というものが交換されるのか、この実際の場合がちょっとわからないものですから、これをちょっと伺います。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 お尋ねの点は二条Bでございますが、この規定は条約に関係するところだけを書いて——もちろん、たとえばアメリカが国内法によって秘密資料としておるところは、アメリカはアメリカの国内法に基づいて出さないだろうと思います。しかし、この条文は、この条約の実施に関係しておるところだけを書いたものでございますから、先生が御指摘になったような、こういう文言になったのでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 その次に、九ページ、第四条Aの最後のほうですが、「合意される量だけ、かつ、合意される条件により、一定の応用のために両当事国政府の間で移転される。」こう書いてあります。この「合意される条件」というのは一体どういう条件か。  それから、その前ですね。「商業的に入手することができないときは、」こう書いてあります。「商業的に入手することができないとき」とは、いかなるときをさすのか、それを教えてもらいたいのです。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 四条Aの御指摘の点は、第一に「合意される量だけ、かつ、合意される条件により、」これは条約の字句の意味になりますが、結局、この条約に書いてあることで入手できないときは別途これを入手するということでございます。それじゃ、条約に書いてない条件で別途入手するときはどういうことになるか。したがいまして、ここに量も条件も、そのときどきに合意すると書いたという意味でございます。したがって、いまの段階において、この量の内容、合意される件の条内容ということは、この条約ではまだブランクになっております。  それから「商業的に入手することができないとき」というのは、たとえばアメリカ側から入手しますときに、価格の問題、そのときにおけるいろいろなストックの問題、そういう意味の商業的な条件が合わなくて、商業ベースでは入手できないという状況になったときには、両国政府間でこれを入手できるように合意を行なう、こういう意味でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それじゃ答弁だけ伺っておきまして、あとで疑問点をまたあらためて伺います。  それから一〇ページ、第五条、この第五条はA、B、Cがございませんけれども、「その情報が正確であること又は完全であることを保証せず、また、その情報、資材、設備及び装置がいずれか特定の使用又は応用に適合することは保証しない。」といって、完全にこれは免責条項ですね。アメリカでは出しっぱなしで、あとは責任を持たぬぞ。たとえば、いま日本でも、原子力研究所の中でJPDRに応力腐食という大きな問題が起こっております。あとで同僚から質問があると思いますけれども、こういうふうな輸入して持ってきた器具が故障する、いろいろな場合に、これは完全にアメリカのほうは責任を持たない、こういう条項になっておるわけです。これは対等の条約とかなんとかいううたい文句であるけれども、私はまことに不合理千万ではないか、こういう感じがしておるのですが、その点はどうなんでしょうか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この情報その他が実際上の「使用又は応用に適合することは保証しない。」という問題は、これは考えようによっては、御指摘のとおりでございますが、原子力平和利用の部面におきまして、各国同種の協定を見ても明らかなとおり、原子力の平和利用については、あまりにも不確定要素が多いものでございますから、この条約のみならず、各国が結んでおります条約には、こういういわば免責条項と裏から申しますが、そういった条項があるのでございます。そして、この五条の書き方は、一応大体相互に免責し合うというかっこうになっておりまして、必ずしもこの五条の規定が片務的である、それからまた、現在のこういった種類の一般国際協定の内容とかけ離れておる、そういうことにならぬと存じます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 確かに日本からも輸出をするという条件であれば、これは双方対等ということになります。しかし、現実にはもう向こうからもらうだけでしょう。ですから、これは、アメリカは、完全に私のほうは責任持ちませんということになってきますね。この点については、あとでまたほかの同僚議員から質問があると思いますけれども、これの安全性という問題が、日本の場合には非常に国民の関心を集めている重大な問題です。安全性の問題は一体どうなるのだということも、これによって出てくる問題です。  それから、この保障措置といういわゆる査察の問題が、核防条約にも出てまいりますけれども、こっちに出したら日本の責任だ、アメリカの責任ではないというふうに免責条項をつけて確立をしておるのだったら、何も器具や何かの設計あるいはその施設を査察するという、そういう資格はぼくはないのじゃないかと思うのです。向こうは責任を持たないのですから。向こうから輸入してきたものなんかについては査察の必要はないんじゃないか、そういうことは言えた義理ではないんじゃないか。私は、いまの国連局長の御答弁ではありますけれども、これはたいへん片務的なものだという結果にならざるを得ないと思うのです。このことは、あとからまたほかの議員から質問があると思いますから、意見だけを一応申し上げておきます。  それからその次、一一ページ、第六条のAの「一方の当事国政府又はその管轄の下にある認められた者と他方の当事国政府の管轄の下にある認められた者」、この「認められた者」というのは、具体的にはどういうことになりますか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 その「認められた者」と申しますのは、原則としてわが国の法令、まあ原子炉等規制法等でございますが、それにより原料物質、特殊核物質または原子炉等を輸入し、所有し、または使用することを許された者、日本に関してはそういう意味でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 具体的にどうなりますか。この裏に附表がありますね。そうすると、日本原子力発電あるいは東京電力、関西電力、そういうふうな具体的な会社をさしているのですか、どうなんですか。その点、念のため……。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 附表にありますようなものも、その一部になると思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 そうすると、この附表にないものというのは、どういうものを予想されますか、「認められた者」というのは。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 この原子炉設置のほかに、たとえば加工事業者等につきましても、将来日本に加工事業者が出まして、原子炉等規制法によりまして許可を受けた者でありまして、アメリカから濃縮ウランを入れて加工をする必要があると認められた者につきましては認めるということになると考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 まあそのくらいにしておきましょう。  ここで問題は、「他方の当事国政府の管轄の下にある認められた者」これは一体何をさしますか、原子力局長。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 御質問は、アメリカ側の「認められた者」をいかに解釈するか、こういう御質問だと思いますが、アメリカと日本では、いろいろ法令の体制並びに運用が違うところもあろうかと思いまするので、日本の場合のようにはっきりは申し上げかねると思いますけれども、いろいろ向こうにも、たとえばイエローケーキから六弗化ウランに転換する工場でありますとか、あるいは原子炉を製作するメーカー等があるわけでございます。それらが原子炉あるいは物質を海外へ輸出する場合には、それぞれのアメリカ国内の法令、規則等があるはずでございますので、それらに照らしまして輸出してしかるべきものが認められるのではないかと解釈いたしております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私の認識とちょっと違うのです。アメリカの場合は原子力委員会じゃないですか。アメリカの場合は原子力委員会が窓口になって、日本の民間の業者はそこと折衝するということになっていますね。そうしたら、こちらの民間の業者は向こうの民間の業者とかってに取りきめできますか。アメリカはAEC、原子力委員会が窓口になって、そこを通して全部やるということになっているのであって、かってに、そこを通さないで民間ベースで民同間士の話し合いはできないことになっているはずだと思うのです。その点お伺いします。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 御承知のように、ウランの濃縮業務につきましては、現実問題としてアメリカのAECしかやっておりませんので、相手方はAECに限られると存じますが、それ以外のもので、民間で行なっておるものにつきましては、民間で直接取引ができるという道を開いた条項でございまして、先ほども申し上げましたように、もちろんそれには両国間のオーソリゼーションが要ることが前提ではございますが、そういうことでございます。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 御指摘のありましたアメリカの合衆国原子力委員会は、この条約のたてまえ上は、この条約にいう「当事国政府」の中に含まれているという条約上の定義がございますから、この条約でいう場合には、この委員会は合衆国政府の中に含まれます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 ちょっとはっきりいたしませんけれども、一応質問だけしておきます。前に進みます。  それで問題は、設備あるいは施設という問題は別にいたしましても、濃縮ウランの関係は、完全にアメリカは原子力委員会が統括をすることになって、唯一の窓口になるわけです。日本の場合には、それを統括する機関が何にもないのです。みんな民間で、濃縮ウランについては直接アメリカのAECと交渉するということになっておりまして、その点は私は非常に問題だと思うのであります。たとえば、今後どういう炉を持ってくるのがいいかとかなんとか、いろんな判断があると思うのですが、それについて、日本の国としてこういう型のものをやろうとかいうような方向を立てまして、それでどこかでもって一元化して持ってこないことには、いろんな型のものがいろんなケースでもって入ってくるというふうなことになりますと、非常に不統一になる。それにあと一つは、九電力でそれぞれやるわけでありますけれども、九電力といいましても、九電力の電力懇談会のほうでは、この原子力発電は広域性を持たして、いろいろ広域業務として運営しようじゃないかというふうなことが出ておりますけれども、私は、その必要は当然出てくると思う。これは東電とほかの地方の電力会社とでは、財政的な力も全然違う。そういうことで、力のあるものだけがどんどん進んでいくということにもなりかねないし、非常にアンバランスな形で発展が遂げられるということと、それから機械、器具の統一、これから日本の進むべき方向というふうなものを見きわめていかなければならぬ場合に、民間で個々ばらばらに交渉するというようなことであっては、今後原子力の発展のために統一のある、能率的な、計画的な方向づけというのができない。そういう点では、原子力局なんかは一応関心は持つでありましょうけれども、どこかが責任を持ってその方向づけを与えてやるのだという機関が、たとえば原子力発電会社というのがある、たとえば原子力委員会というふうなものがある、そこが統括をするのだという何らかの規制がなしに、民間で個々ばらばらにかってにやるということであったのでは、日本の原子力の発展というものに対して相当障害が出てくるのではないか、こういう心配があるわけです。その点は科学技術庁長官、どうお考えになりますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 いま石川委員の言われました点は、その点のこととしては一応考えられると思いますが、現段階におきましては電力懇談会があり、その電力懇談会がそれぞれ原子力委員会あるいは原子力局と話をしながら、法律操作としては、通産省のいわわる電力行政と科学技術庁の原子力行政、これと緊密に連絡し合って、現実にどういう炉をつくるか、あるいはどの程度の核燃料が要るか、あるいはどういう形式で、どうやっていくかというようなことにつきましては、緊密に連絡をいたしておるわけでございます。大型プロジェクトに失敗は許されない、また片一方には安全規制法もあるわけでございまして、それらの点を活用すれば、一応総括した責任体制と一本にしぼっていくということとは別に、現在ある電力会社の創意くふうといいますか、そういったそれぞれの立場を生かしながら進めていくということで十分ではなかろうかと考えます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは、わが党としても、私としても、そうでありますけれども、核燃料は軍用という危険性ももちろんあるし、それから非常に安全性の問題で管理をしなければならぬという性格のものであります。したがって、今度は民間に取引をまかせるということになったわけでありますけれども、これはやはり本質的には国家が管理をするというたてまえをとらないと、相当大きな問題が将来出てくるという点で、これは意見として一応申し上げておいて、あとは同僚の質問におまかせをしたいと思っておりますけれども、これは私はどうしても国家管理——国家の財政措置やその他でもって、国の予算措置上なかなか容易ではないというふうなことで、そういうふうなことからも民間に移したということは、わからぬことはありませんけれども、しかし少なくとも管理の面は、国が責任を持って統制力を持たなければとんでもないことになると思うのですよ。これは電力懇談会というものがあるとか、実際上の運用としては間違いのないようにするとかというお話は、ことばの上ではわかりますけれども、本質的にはこれはやはり国が全部管理をするのだというたてまえを持つべきではないかという点で、私は、この点、実を申しますと、たいへん不満なんです。民間がばらばらにやってしまうというたてまえが、そもそも誤っておるのではないか、私はこう思いますが、これはあとの質問者に詳細の点は譲りたいと思っております。  それからその次、一二ページ、「その管轄の下にある認められた者」、これは具体的には一体何をさしているのか。  それから「この協定の附表に掲げる動力用原子炉の計画において燃料として使用するための同位元素U−二三五の濃縮ウランの日本国のすべての必要量を供給する。」ということになっておりますけれども、この附表の電力会社以外に、たとえば燃料を交換しなければならぬというふうな場合も出てくるわけでしょう。すでに使っておるものについてですね。百六十一トンというものは、そういうことは予想していないと思うのであります。あるいはまた十三基以外に、新型転換炉というものを早急に完成させなければならぬということになっているときに、これは三十年の協定でありますから、そういう新しいものが出てくる可能性が出てくるわけであります。そういう場合には、十三基以外の計画分については一体どうなるかという問題もあるわけでありまして、その点についてひとつ御説明願いたいと思います。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 最初の御質問の「その管轄の下にある認められた者」、これは、先ほど御指摘になりましたのと同じ意味でございまして、これはちょっとわかりにくいことばでございますけれども、日本なら日本の管轄のもとにあって特に承認されたものという意味でございます。  それから第二の「すべての必要量を供給する。」ということに関連して、現在附表に掲げられておる計画以外の問題はどうなるのかということでございますが、私、外務省でございますから、条約上の御説明しかできませんが、条約上は、ここに書いてありますとおり、附表そのものは、両国政府間の同意により、協定の改定という形ではなくて、両国が合意すればその内容は変えることができる、こういうことを規定しておるわけであります。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これはあとの条文で、またこれに関連するものが出てまいります。いまの御説明では私の納得できない面があとから出てまいりますから、それはそのときにまたお伺いします。  単純な字句の質問でありますけれども、一四ページ、のいまと同じ条項のA(2)の最後ですが、「同位元素U−二三五の濃縮ウランを売却することがある。」これは移転とどういうふうに違うのですか、ことばの上の単純な質問でありますけれども。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 ことばの意味でございますが、移転には賃貸、売却その他が含まれますが、これは所有権の移転という意味で、売却だけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 原子力局長、これは「移転」の場合に、現実に賃貸ということがありますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 現在の協定に基づきまして原研等が研究用に使っております少量の研究用のウランは、賃貸形式で移転されております。そういう例がございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 若干飛ばしてまいりますから、時間のかかる点は御了承をいただきます。  一五ページ、いまの七条のCですね。Cの「第三国若しくは国際機関への移転のため、特殊核物質を、個個の移転について合意される条件により、移転することができる。」、この「第三国」というのは一体どういうことなのか、これをちょっと伺いたいと思います。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 これは当然アメリカ、日本以外の国でございまして、日本からそういうものを第三国へ移転する、すなわちアメリカに移転するのではなくて、第三国に移転をするという意味でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 まあそのくらいにしておきます。実際問題としてはこういうことはあり得ないような感じがいたしますけれども。  単純なことばで御質問を申し上げますが、第八条のAの(1)の「認める者」と、「認められた者」というのは違うのですか。いままでは「認められた者」、こう出ておりましたが、原文を知らないものですから。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 これは全く同じ意味でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 一八ページの第八条のBの最後のほうでありますけれども、「合衆国委員会の要請に従って契約が締結されない場合には、合衆国委員会は、このようにして契約の締結を要請した同位元素U−二三五の濃縮ウランに関するすべての義務を解除されることが了解される。」こうあるわけです。これは先ほどの問題とちょっと関連があるわけですけれども、もし日本が、先ほど申し上げた核燃料というものを確保しなければならぬということで、中国と契約をするというふうな場合だってないとはいえないと思うのです。三十年間という長い間ですから、いろいろな場合がある。その場合に、そういうことでは納得できないというアメリカの意向によって、これは全面解除ということになる可能性が出てくるわけですね。これは双務協定とはいいながら、実際問題としては、日本は全面的にアメリカから濃縮ウランを購入するわけですから、移転をさせるわけですから、そうなりますと、不足分をほかの国から買うものだから自分の国が商売にならぬというようなことが出てきた場合、この十三基分の濃縮ウラン百六十一トンの残った全部について解約することも、これは可能なわけですね。国連局長でも原子力局長でもいいですが、どうですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この状況は、実際問題として濃縮をアメリカに頼む場合、アメリカ側としては、自分の濃縮の計画その他を持っておる必要がある。そこでこういうことになりますが、先生のおっしゃったように、この規定から、かりに百六十一トンの大部分がまだ入手してないという場合に、その他の部分が全部解除されるという意味ではございません。

石川次夫日本社会党

○石川委員 「合衆国委員会の要請に従って契約が締結されない場合」というのは、いろいろな場合が出てくるのじゃないですか。そういう単純な場合だけに限定してよろしいのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この「合衆国委員会の要請に従って」というのは、その前に「合衆国委員会は、」これこれのことを「日本国政府又は前記の者が契約を締結するように要請することができる。」この「要請」だけを受けているので、いかなる要請を合衆国委員会がするかは自由だというのではございません。前の「要請」を受けて、その延長としてこの最後の規定があるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 どうも納得できませんけれども、これはいずれあらためて質問する人がおると思います。この条項はちょっと引っかかるんですがね。「合衆国委員会の要請に従って契約が締結されない場合」というのは、前のものを受けているということはわかりますけれども、日本国政府または前記の者が契約を締結するように要請することができるけれども、合衆国の要請によって契約が締結されない場合は全部御破算になるという可能性は、これから出てくると思うのです。前にもうちゃんと締結をしてしまったものを解約してしまうとかなんとかいう場合は、これは向こうでも憤慨して、しっぺい返しをするということがあるかもしれませんが、ほかから購入しようという、方向転換をはかろうという場合だって、三十年間という長い期間——これ自体か問題なのですけれども、そういう長い期間には、どういう情勢の変化が出てくるかわからぬわけですよ。これによったら、アメリカの言うとおりにやらなかったら全部解約をするぞという、これはもう完全なおどし文句だというふうにとられてもしかたがないのじゃないかと思うのです。これは完全な片務的なものじゃないか、こういう感じがするわけです。これは意見だけ申し上げます。向こうは「すべての義務を解除されることが了解される。」ですからね。だから、こういう点はどうも納得はできないのです。納得はできませんが、これはあとで同僚議員からまたあらためて詰めてもらいます。  それから一九ページのいまのC項の最後ですけれども、「U−二三五を二十パーセントをこえる割合で含む資材として提供することができる。」という場合は、これは濃縮度が二〇%という意味だろうと思いますけれども、そういう場合は一体どういう場合をさしていますか。  それとあと一つ、念のためにお尋ね申し上げておきますけれども、二〇%をこして上限があるかどうか。九〇%とか八〇%とか、そういう上限というものがここでは考えられておるのかどうかという点。ということは、この高濃縮のものは、たとえば高速増殖炉なんかには若干要るということはわかっておりますけれども、しかし、高濃縮のものは軍用に必ず使える。これはあとで査察の問題で触れたいと思っておるのでありますけれども、低濃縮のものは軍用には使えない。したがって、高濃縮のものについては相当厳重に監視をしなければならぬ性格のものだと思いますので、この二〇%をこした場合というのはいかなる場合で、その濃縮度の上限というのは一体考えられておるかどうかという点を伺いたいのです。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 具体的に申しますと、材料試験炉等に使います燃料は、高濃縮のものを要求いたします。濃縮度の上限につきましては制限がございません。現実的には、材料試験炉の燃料等につきましては、九〇%程度あるいはそれ以上のものを入手するということになろうかと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 わかりました。わかりましたけれども、この濃縮ウランの関係は、これは十三基のものについてだけいっているのに、そういう場合が出てくるかどうかということです。こういう疑問がありますね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 百六十一トンの内訳は、正確に申しますと、そのうち百五十四トンが商業用原子炉、附表にあります十三基のものでございまして、あとの差額は、ただいま申し上げました材料試験炉その他研究炉、あるいは原子力第一船の燃料その他に充てるものとして計上されているのでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 わかりました。  それから二〇ページの第八条のD、「別途合意される場合を除き、」というのが六行目に出てまいります。これはどういう場合ですか。減量または打ち切りの場合に、残量が入手不能になるという場合が出てこないかどうかという点が若干問題になるわけです。「別途合意される場合を除き、」「純量の最大限が減少することが了解される。」こう書いてあるわけです。当該計画のための割り当ての残量を入手することができなくなるというような、非常に一方的な、押しつけ的な、先ほどと同じような形の条文じゃないか、こう思うのでありますけれども、「別途合意される場合を除き、」という場合は、一体どういう場合ですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この「別途合意される場合を除き、」はいかなる場合かという御質問だと思うのでございますが、この点はもうちょっと研究してからお答えしたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 原子力局長は意見ありませんか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 ちょっと補足して申し上げますと、たとえば附表に載っております将来の計画炉の計画出力等が変更などいたしまして燃料の所要量が減ったような場合とか、あるいは三十年の間の途中から、ほかで入手し得る事態が発生したというような場合を考えまして、この附表に載っております総量は要らなくなったような場合に、この附表の量より少ない量で契約する、あるいは契約の締結後に途中で打ち切るといったようなことを考えておるわけでございまして、その場合には、あとの残量については、別途合意されない限りは権利放棄と解釈する、こういう意味だろうと思います。別途合意する場合といたしまして、われわれが想像いたしておりますのは、附表の変更ということは、この条文の中にもうたわれておるわけでございまして、その可能性があるわけでございますので、それらの間におきまして、新たなる炉の計画が出てまいりましたような場合に、そちらの炉用に充てるというようなことが合意されますれば、それが認められれば生きてくる、こういうぐあいに考えておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これはとにかく前提として三十年間の契約だということを頭の中に入れて考えてもらわなければ困ると思います。先ほど申し上げましたように、ウラン濃縮の技術は日本でどうしてもつくらなければならぬ。そういう場合に、原鉱石を直接カナダから日本に持ってくる、そうして、日本で濃縮の技術をものにして軌道に乗せて、自国で供給するという可能性もあるわけですね。そういう場合も契約を途中で減量するということになるわけです。そうすると、そういうことを日本でやってはけしからぬ、だからあとのものは全部供給しないぞ、こういうことだって、できないことはないでしょう、この条約では。そういう危険性のあるような条項を本文の上に載せておくということは私は非常に問題だと思うのです。それで「別途合意される場合を除き、」というのは、具体的には一体どういうことなんだということをはっきりさせておかないと将来に禍根を残す。三十年の間には当然日本だって原鉱石を持ってきて製錬をし、イエローケーキをつくるかどうかは別として、それをまた濃縮ウランに仕上げるだけの技術を身につけなければいかぬのです。そうすると、そういうことをやったのでは自分のほうは商売にならない、あるいは前の契約とは違うというような場合が出てこないとも限らない。そういうような場合、向こうでは「純量の最大限が減少することが了解される。」こう書いてありますから、この条約をたてにとって、おまえのところは濃縮なんかやるのはやめろ、おれのほうから買わなければ、おれのほうは供給するのを全然やめるぞ、こういうことがこの条約で言えるわけです。こんな危険な条項は締結すべきではなかったのではないか、こういう気がしてならないのです。この点どうお考えになりますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 この条文は、ここに書いてございますように、わがほうが途中で、この計画どおりは要らないという判断をいたしまして申し入れた場合に限って適用される条項であるわけでございます。相手方に対しましては、ウラン濃縮設備の運営計画にも関係することでございますので、この程度の条件がつけられるのはやむを得ないのではないかと考える次第でございます。  なお「別途合意される」という場合は、私どもは、先ほど申し上げましたように、ほかの炉の計画にそれを充てるといったようなことで合意されることが望ましいと実は考えておるわけでございまして、そういう合意ができますれば、この数量を減少しないでも済む、こういうことにもなろうかと思っております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは、この問題だけやっておりますと、たいへん時間がかかりますので、先に進むほかはないと思うのですが、これはきわめて片務的ですよ。これはアメリカといつまでも非常に友好関係が保たれるという前提で好意的に善意に解釈しておるのだろうと思いますが、日本の自給能力なんかつけた場合は、いつどういうことになるかわからないという可能性がなきにしもあらず。ということは、特に三十年間という長期にわたる条約ですから、そういう点であらゆる場合を想定しておかなければならぬということになると、この条項をたてにとって向こうは高圧的に、今度は全然供給しないぞというようなことや、ほかの国と取引しようとすれば、それじゃおれのほうの計画が狂うからというようなことで、あとは全部解約するとかという可能性が出てくるわけです。これは非常に問題だと思います。これはあとからまた同僚の議員からおそらく質問が出るだろうと思いますけれども、私は非常に片務的な条約の一面というものをここに見出すことができるということだけを指摘しておきたいと思うのです。  ちょっと私、質問するのを忘れまして、一七ページに戻りますけれども、価格の問題ですね。「付加金が通常の基本価格又は基本料金に加えて賦課されることを条件とする。」とか、それから「引渡しの時にアメリカ合衆国内の使用者について適用される価格又は料金とする。」こういうことになっております。いまのところは、大体価格の公定表みたいなものがあって、その価格に基づいて取引をやっておるということになっておりますけれども、アメリカは、これは軍用で、先ほど申し上げたように、相当大規模なガス拡散法によって、ばく大な電力を使って生産をしておりますけれども、軍用という大きな需要があるものですから、価格というものは、その軍用というものにささえられて比較的安い値段に——安い値段か高い値段か、それはわかりませんけれども、少なくとも軍用がない場合よりははるかに安い値段で、現在のところは政策的に濃縮ウランというものをわれわれのほうに譲るというかっこうになっておりますが、完全な独占体制ができた場合、あるいはまた、核軍縮ということが大きな問題になっておるわけであります。核軍縮はどうしてもやらなければならぬというふうなことで、アメリカが全面的な核軍縮どころじゃなくて核撤廃、軍用撤廃というようなことにならなければいかぬというのがわれわれの念願であるわけでありますけれども、そういうことになれば、この値段はいつも公平な値段でどうのこうのというのじゃなくて、相当高い値段になる。だからこそ、われわれとしては、自分の国でもって濃縮することを、やはり自主開発をやらなければならぬということにもつながってくるわけでありますけれども、そういう点の価格というものは、いまの値段で計算をし、いまの値段で譲ってもらうということを前提として、日本のエネルギー、日本の電力というものは石油よりも安いのだとかなんとかいうことが言える時代がそう長く続くかどうかわからぬという可能性があるわけですね。その点、科学技術庁長官はどうお考えになっておりますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 現在アメリカのAECが発表いたしております賃濃縮役務料率は、一作業単位当たり二十六ドル、こういうことになっておるわけでございます。先般アメリカAECの高官が訪日いたしましたときに公表いたしました将来の見通し数字というものがあるわけでございますが、将来、現有設備で足りなくなった場合に、相当規模の新工場を建設いたしました場合のコストは、その二十六ドルを上回ることはなく、むしろ下回るであろうということを公表いたしておりますので、将来物価水準等の大変動でもあれば別でございましょうけれども、われわれといたしましては、そのAEC責任者の公表事項を一応念頭に置いておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは将来の見通しの問題ですから、別に条約と本質的な関係はありませんけれども、しかし、やはり非常に膨大な軍需要というものにささえられて現在の値段ができておるということは間違いないと思うのです。したがって、軍需要というものが、核兵器撤廃というふうな情勢がわれわれの望むような方向で決着をするということになれば、いまの見通しなんというものは雲散霧消しますね。相当高いものにつくという可能性もあるわけです。したがって、その点を十分に考えながら自主開発の体制を日本でもつくらなければならぬということになってくるであろうということを一応念のために申し上げておきます。  それから、その次でありますけれども、二一ページ、これは単純な字句の解釈をお願いしたいのでありますが、第八条のG、「前記の認められた者の債権勘定となり」というこの意味を、国連局長でも原子力局長でもけっこうでありますけれども、教えてください。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 結局、債権勘定というのは、そちらのものになる、権利になるということでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 どうもここのところの解釈が私よくわかりませんから、あとでまたゆっくり考え直します。  次に進みます。二三ページ、第八条の一の一番おしまいの「特殊核物質又は燃料要素が合衆国委員会から日本国政府又は同政府のために行動する者」、この「行動する者」というのは、「認められた者」というのとは違うのでしょうか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 字句としては、「行動する者」は、政府の名において行動する者というもので、前の「認められた者」とは別ものでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 特殊核物質または燃料要素が、さっきの「認められた者」以外に政府の名前で行動する者に対して引き渡されるというのは、具体的にはどういうことになりますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 これは、日本政府の代理人として働きます、たとえば商社のようなものでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 そうしますと、商社とかあるいは輸送業務に携わる者とか、そういった場合をさすわけですね。  では二四ページ、第九条のA「十六万一千キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って」と、こう書いてありますね。この「又は」という場合は、いかなる場合ですか。ここでは百六十一トンが上限ということになっておるわけですね、この量をこえてはならぬということになっているから。「又は」という場合は、どういう場合をさすのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 「十六万一千キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量」というのは、十六万一千キログラムをふやす場合、両国政府が憲法及び法律のワク内で合意をする、そういうことでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 二八ページ、第十条、これからがちょっと重要な問題になってくる。これは三木さんにいろいろ御意見を伺わなければならぬと思っております。これは核防条約の関係の査察の問題に相当関連があるし、それから、これからあとの部分は査察の先取りなのですね。ところが、あとで申し上げますけれども、査察にないところまでこれによって査察をされるということになっております。これは、巷間よくうわさされるところでは、ドイツなんかにもそういううわさが出ておりますけれども、この原子力協定に基づいて濃縮ウランを全面的に供給するから、そのかわり、核防条約については同意をしろ、こういうふうなアメリカからの強い要請があるという話も聞いておりますが、その事実の有無はここであらためて伺うことはやめますけれども、しかし、この協定の本文それ自体は、完全にこの査察条項を含めて核防条約を前提としてここに協定が結ばれておる。したがって、事実そういうことに同意したとか、アメリカが核防条約に日本が賛成しろということについて同意したとかしないとかいうことを抜きにいたしまして、この条項に関する限りは、もう完全に核防条約を肯定している、こういう性格を持っておると思うのです。それはあとでだんだんにお話をいたしますけれども、少なくとも「アメリカ合衆国政府は、次のことを保証する。」と、こうなっておりまして「原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的に使用されないこと。」こういうふうなことをアメリカ合衆国は保証するという文句になっておるわけです。  これはあとからまた問題が出てきますから、その先に進みますけれども、十一条のA、これは二九ページにあります。これについては十一条のB——あるいは十一条のAもそうでありますが、「共通の関心を強調する。」Bのほうでは「保障措置が第十二条に規定する両当事国政府の合意により国際原子力機関」これはIAEAのことでありますけれども、この「国際原子力機関の保障措置によって代置される範囲を除き、次の権利を有する。」こういうことになっておるわけであります。  この機会に私は保障の問題について、これは核防条約の審議のときに、いずれまた具体的な意見を申し上げる機会を持ちたいと思っておりますけれども、この保障という問題については多くの問題があるわけです。ここで一応念のために伺っておきますが、技術的にひとつ御回答を願いたいと思っております。  これは条約の一条、二条、四条、五条、これについてひっくるめていろんな意見がありますが、その中でただ一つ、この際伺っておきたいのは、核兵器を除く核爆発装置を製造、取得せず、また援助も受けないということになっておりますけれども、しかし、高速増殖炉の関係のための臨界実験装置、あるいはプルトニウムの同じ装置、または核融合の研究装置、こういうものだって核爆発装置ですね。そうすると、ここで言うところの平和利用の核爆発というものの定義は、一体どこを限界にするのですか。これは原子力局長。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 いまお話の出ました高速増殖炉の実験装置でありますとか、あるいは新型転換炉の臨界実験装置でありますとか、そういうものは、私ども核兵器とは解釈いたしておりません。関係の諸外国でも、そのようには解釈いたしておりません。すなわち、核兵器とは、たとえば原子爆弾等のように、核分裂あるいは核融合によってエネルギーを瞬間的に発生する装置を言いまして、臨界実験装置でありますとか、あるいは原子炉でありますとかいうように、コントロールをいたしまして分裂反応を継続させ、あるいはその臨界状態を試験をするというようなものは、その範疇に入らないというぐあいに解釈いたしております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは原子力局長、制御装置というものがつけば、それは大体において核兵器ではないし、核爆発ではない、こうおっしゃいますけれども、学界の定義はきまっておりませんね、この問題は。軍用の核爆発あるいは平和利用の核爆発、それからあと一つ言えば、たとえばカリフォルニウムというものがあります。これはきわめて小規模で、しかも放射能の出る量というものは、プルトニウムに比べて千分の一であるということがあるわけですね。そういうものは平和利用ができる、平和利用に使いたいということがあるのだけれども、そういう場合の限界は一体どこに線を引くのか。制御さえされておればこれは核兵器ではないのだという大ざっぱな線の引き方だけでは、この定義、この限界というものは明確にならない。そういう点で、この定義づけということは、核防条約には全然書いてない。非常に大ざっぱな、非常にラフなものになっているという点が一つの問題であろうし、それから先ほど言ったように、日本の現実の問題としては、カリフォルニウムであろうが何であろうが、核爆発実験を平和利用にするのだということを公然と言えば非常な危険につながるということもあって、私はそれを推進させようという気持ちは毛頭ありませんけれども、しかし遠い将来にまたがって、平和利用の研究のための核爆発というふうなものの権利まで、その潜在的な利益というものを放棄してまで、全面的に平和利用の核爆発も全部アメリカに依存をするのだというようなことは、どうしても日本としてはとるべきではないのではないかという気がするわけであります。  これは直接条約の関係ではございませんから省略いたします。いずれ機会をあらためてその点についての意見を申し上げたいと思っておりますけれども、このIAEAのいままでの査察、これは日本が世界で一番数多く受けているのです。したがって、三木外務大臣にも御記憶いただきたいのでありますけれども、このIAEAによるところの保障措置、査察というものは、日本がいろんな点で非常に積極的に、一番数多く受けているという点で、保障措置、査察については相当積極的に発言する権利を日本が持っているのではないかと思うのです。だから、相当自信をもってこの保障措置についてはいろいろ発言をしてもらいたいと思うのであります。ここはそれを申し上げるべき場ではありませんから、核防条約の審議ではありませんから省略いたしますけれども、結論的に言えば、条約の加盟国すべてが、国際査察というものは平等に、兵器も含めて受けるということでなければならぬと私は思うのです。  それから、今度の核防条約で変わることは、こういうことがあると思うのです。従来は、被査察国が合意でもろて申し出をして、その上に立って査察を受けるということになっておったのであります。ですから、いままでは施設ごと、あるいは場所ごと、こういうことを両方の合意の上でもって、日本の国からアグレマンを与えて、それで査察を受けるというかっこうになっていたわけでありますけれども、今度は向こうが強制的に一国全体のベースでもってやる、こういうことになってきたわけです。しかも、どんどん施設はふえております。技術的に非常に多種多様になってまいりまして、現実の問題として、いままでのようなこまかな査察はとうてい実際問題としてはできないだろう、こういうことがいわれるわけです。そういう点で、査察というものは一体どういうふうにさせるかという具体的な案を、日本政府としては、経験が非常に豊富なだけに、それを具体的に持って、それでアメリカを説得すべきである、あるいは国際原子力機関にそれを働きかけるべきである、こう思うわけなんです。一応そのことを申し上げておきます。  それで問題は、核防条約とそれから今度の原子力協定の問題でありますけれども、たとえば、その次の三〇ページに、こういうことがあります。この(1)の最後のほうでありますけれども、「提供された原料物質、特殊核物質、減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材のいずれかを使用し、加工し、若しくは処理する次に掲げる物の設計を審査する権利」こういうことになっております。これは外務大臣にも、それから科学技術庁長官にもよく御記憶を願いたいと思うのでありますけれども、核防条約では「減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材」、これは査察の対象になっていないのですよ。でありますから、考えようによっては、この原子力協定のほうが核防条約よりもさらに範囲が広い、さらにきびしいものになっておる。でありますから、これを認めるというふうな前提に立てば、核防条約に全面的に同意をしているということが、これによって裏書きされることになる。なぜ、 この「減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材」、こういうものを認めたのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 いま御指摘の点は、全くごもっともな御意見と存じますが、この条約に書いてある減速材物質あるいはアメリカ側が指定するその物質、実を申しますと、これはNPT条約にもございませんが、いままで日本が原子力機関の査察を受けておった範疇には入っておるわけでございます。そして、この協定、ことにこの協定の査察の部分と、それから核不拡散条約における査察の部分とどういうふうになるかというのが、先生も御指摘のとおり大問題でございますが、この協定を調印したときの段階におけるアメリカ側との話し合い、これは核不拡散条約における査察が具体的になったら、それに照らしてこれを再検討しょうという話し合いにはなっております。ただ、それが具体的にこの条約に書けませんでしたのは、核不拡散条約における査察というものが具体的にどういうものになるかということは、いま発表されておりますこの条約のテキストを見てもわからないのでございます。これから各国協議して、原子力機関と協議してきめるということになっております。したがって、その場合には、この協定も改定するように協議をするということが、ここには書けなかったわけでございます。しかし、考え方としては、核不拡散条約における査察の条項がはっきり——すなわち条約ができただけではなくて、それに基づく査察の協定ができました後は、この協定、日英協定もそうでございますが、その査察の部分はそれに合わせて改定するという含みになっております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いまの答弁は、私まことに納得できません。ということは、この文句自体もちょっとかんにさわるのですけれども、第十一条のBで、アメリカ政府は「次の権利を有する。」こうなっておりますけれども、アメリカ政府がこういう権利を全部持っているけれども、ただ「国際原子力機関の保障措置によって代置される」——「代置」という訳語を使っている。原文は読んでおりませんから、どうかわかりませんけれども、代置しなければ、アメリカが全部この権利を持つわけですね。これは向こうでは日本に全面的にエネルギー源を補給するのだからという気持ちがあるのでしょうけれども、アメリカが本来なら次の権利を持っているけれども、国際原子力機関の保障措置によってかわりにやる。かわりにやった場合は、それは除くのだ、こういう考え方でしょう。そうすると、国際原子力機関が世界的な観点でもって査察をするというのではなくして、この原子力協定に関する限りは、アメリカが本来はやるんだということがここに出ているわけです。そういう権利を持っているのだ。ただ国際原子力機関に一部代行させるのだ、こういう思想はちょっと私は心外なんですね。こういうのを納得した神経がちょっと疑わしいと思うのです。これは片務協定の尤たるものだと思うのです。  「減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材」、これはいま国連局長が言われましたけれども、いまの説明では全然納得できません。  ということは、たとえば減速材物質にはいろいろあります。重水なんかは日本では高くつくので、いまつくらぬという問題はありますけれども、潜在的にこれをつくる能力を日本では持っております。これは技術的な問題でなくて、値段の関係でこれを用いないだけでありますけれども、この減速材物質は、アメリカのほうがいまのところはだいぶ安い。重水をアメリカから輸入する。この前も、こういう問題があった。重水にかこつけてアメリカが査察をするという問題で、相当もんちゃくが起こったことがあるのです。  それから「合衆国委員会が指定するその他の資材」ということになりますと、これはいろいろなものが考えられるのです。日本でメーターをつくればいいのだけれども、アメリカにちょうど手ごろなものがあるというので、向こうから買ってメーターをつける。そうしますと、「合衆国委員会が指定するその他の資材」にそれが入ってくるのです。そうすると、メーターを一個つけただけで、原子炉の中へもぐり込んで査察することができるということになってくるのです。これは、いまのところは、軽水炉は全部アメリカのものを輸入するというたてまえになっております。しかし日本は、どうしても新型転換炉をはじめとして自主開発をするということになって、そのうちのメーターをアメリカから買う。そうすると、「合衆国委員会が指定するその他の資材」の中にそれが入って、しかも、どんどん入り込んできて査察をする、こういう権利をアメリカに与えてしまっているのです。私は、アメリカからそっくり買った場合には、ある程度査察を受けてもやむを得ない場合もあろうかと思いますけれども、それだって向こうは、故障が出たら全然責任を持たないということをこれにうたっておきながら、しかも、査察だけはやる、こういうこともたいへん片務的だと思いますけれども、それ以外に「減速材物質若しくは合衆国委員会が指定するその他の資材」まで、これをきっかけに査察をするということになったのでは、工業機密なんかとても守れません。どうして黙ってこんな文句をのんできたのか、私は不思議でしかたがない。これを受け入れておいて、しかも、核防条約の対象になっていないもあのまで含めて査察範囲をどんどん広げておいて、今度核防条約のときに、査察を何とかしてくれといったって、これは言えないと思うのです。この点は三木外務大臣どうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 核防条約の査察は、非核保有国全体に適用されるものでありますから、この平和利用の面における査察制度というものは、非核保有国全体がやはり大きな問題点にしているわけであります。ことにユーラトムとの関連において、なおさらユーラトム以外の国々というものは重大な関心を持っているわけであります。したがって、これは何もこの条約に右へならわなければ文句が言えないという性質のものではない。これは日本だけではなくして、各国がともに、商業機密であるとかその他科学技術の進展が阻害されないような方法に対して神経過敏でありますから、これにとらわれることなく、査察制度というものは検討される性質のものである、こういうように考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 おことばは一応わかりますけれども、こういうふうに査察の範囲を核防条約よりも広げて、しかも、内容をこまかに言いますと、切りがないのですが、非常にこまかな査察を与えなければならぬというような条項をこの原子力協定で結んで、あらかじめそれを認めた上で、さて核防条約のときには、そうではないのですということを言ったって、それは原子力協定のほうでこういうものを結んでいるじゃないか、何を言うのかということになったら、ぼくは返すことばがないと思うのです。そういう点で、この原子力協定は、核防条約の前提として相当障害になるのではないか、私はそれを非常におそれているのです。これを認めてしまって、いよいよ核防条約のときにはいろいろの意見を出すと言っても、効果はあまり期待できません。そういう点で、実際は核防条約に同意するという前提でこの条約を結んだのではないかというような見方はありますが、それはそうではないと仮定しても、現実の問題としては、これはもう肯定してしまっておるのです、原子力協定で。そういう点で、これは核防条約の先取りとして非常に重要な意味を持っている。私は、なかなかおいそれと賛成をするわけにはいかない性質を持っているのではないかと思うのです。このこまかい点で保障措置あるいは査察の問題について質問……。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いま石川さんは非常に御懸念であったようで、この条約の承認にも関連をいたしますから言っておきますが、バイラテラルなこの条約が——世界全体、核防条約の査察というものは大問題でありますから、おそらく一番重要な問題点でありますから、このことによって、核防条約にいうところの保障措置というものが影響を受けるものではない、これは切り離してお考えを願いたいと思うのでございます。これは念のため強く申し上げておきます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 ちょっと関連して。いま大臣のおことばですけれども、矛盾するんですよ。いま石川さんが、そういうこまかいところまで査察の対象になるということになれば、これはたいへんなことだということで質問をされましたところが、これは検討すべきものだ、こういうお答えであったわけです。検討するなら、これは核防条約のところで検討するというように聞えたわけですが、そういうことなんですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いま石川さんは、核防条約と結びつけて、この条約が査察制度の先取りである、こう言ったので、先取りの意味は持たない。査察問題については世界的な問題点であります。したがって、日本とバイラテラルにこういう条約があったからといって、査察制度というものがこの条約に右へならえという性質のものではない。そういう意味において、核防条約にいう査察制度の先取りだとは言えない、こう申し上げたのでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 世界全体非核保有国に対しては、いま大臣の言われることはわかるのです。日本にとってはそうではない。日本にとっては、その査察は一体どこがするのですか。やはりIAEAに委託するわけでしょう。そうすると、これは日本とアメリカとの二国間の協定だから査察はちょっとゆるくせい、これは核防条約の中におけるところの査察だからというので、そういう差別をつけることはできないわけです。査察ということを非核保有国が非常に問題にしている今日、こういう条約によって先にこんなことをきめてしまうということになったら、これはたいへんなことにならないかという質問ですね。先取りというのは、そういう意味です。何も核防条約を先にやったというわけじゃありません。別の協定、協約によってそういうことが現実になされるじゃないか、日本は差別をつけたところのやり方をやられるじゃないか、こういうことを非常に心配しているわけです。その点を明確にしていただかなかったら、大臣の答弁はちぐはぐになってくる。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はちぐはぐと思わないのです。核防条約にいう、この条約が効力を発生した場合における査察は世界一律なんですよ。日本だけ、こういう条約があるからといって区別をするものではないわけです。全部一律な査察制度、しかも、その査察が、各国とも非常に関心を持っておりますから、IAEAとの間に今後協定を結ぶことになるわけですね。ユーラトムというのもそこへ入ってきて、査察制度というものが大きな問題になってくる。もしその査察制度がこの条約との間に非常に不均衡な点があれば、交換公文において、両国で協議をするということになっておりますから、したがって、そういうこと、条約の改正ということも日本が提議できますし、そういうことで、この条約を結んだことによって、核防条約による査察制度というものに対してこれが全体を束縛するような影響力を私は持っておるとは思わない。これはこれとしてバイラテラルの問題である。しかも、核防条約による査察制度がこの条約の査察制度との間に非常に不均衡になれば、これは改正の手続をとる、こう申し上げておるのでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 三木大臣の言われるように、これにこだわって、核防条約というものはこれが前提だということになって交渉されては、全くそのとおり、私は困ると思うのです。これはあくまでも非核保有国の共通のいろいろな問題がたくさんあるわけでありますから、第三条というのは相当もみにもんで、やっと第二次草案のときに出てきたという性格のものであるということは承知をしております。   〔秋田外務委員長退席、田中(榮)外務委員長代理着席〕  ところで、この核防条約でもっと査察の問題をゆるやかにするということができたとしても、この原子力協定は残るのですよ。この原子力協定は、核防条約によってこの査察の内容がきまれば、それに準じてこれを改正すると、これには明記してありません。したがって、核防条約でどういうゆるい査察条件がきまったといたしましても、これは依然として残るという点で、これは相当問題ではないかと思うのです。  それから、あと一つ、たいへん片務的な問題があるわけです。三二ページの第十一条のBの(4)、これには「B(2)の規定の適用を受ける原料物質及び特殊物質の計量に必要なすべての場所及び資料に日本国内において近づくことができる要員を指名する権利。」、これをアメリカが持っているのですね。これは、アメリカ合衆国は「次の権利を有する。」というものの対象として、日本の国内に派遣する要員を指名して、この人間がおまえのところへ査察に行くぞということを指名する権利をアメリカは持っているのですよ。それで核防条約のほうはどうかといいますと、いままでもそうなんですよ。いままでもそうなんでありますけれども、工業機密漏洩防止の観点から、査察員は被査察国のアグレマンを必要とする、こういうことになっているのです、 現在でもでですよ。ですから、アグレマンというのはアグリーする権利ということで、断わることができるという権利もこの権利の中に入っているわけです。したがってこれは、完全な合意の上で、断わることのできるという権利を持っておって、拒否することができるというのは、現在核防条約でもそうなっているのです。現在でも拒否することができるという権利を持っておるのに、これでは「必要なすべての場所及び資料に日本国内において近づくこととができる要員を指名する」ことのできる権利をアメリカが有するということになっておるわけです。だから、現在核防条約で、すでにこれを拒否することのできる権利を持っているのに、この日米原子力協定によれば、断われないのですね。拒否するという権利は、どこにも書いてありません。これはちょっとおかしいんじゃないですか。これから核防条約は直そうというのですが、現在の核防条約においてすらアグレマンを必要とするのに、これではもう指名されたらそれを受け入れなければならぬということになっておるので、これまた、きわめて片務的である、こう思わざるを得ないのです。こういう点で、この原子力協定は相当多くの問題があるし、査察という問題が核防条約で緩和された後でも、こういう問題が残って生きているということになれば、核防条約でどんなに奮闘されたところで、これが残ってしまったのでは何にもならない。こういう心配があるわけです。この点、どうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 さきの点は、これはいまの質問でありませんけれども、交換公文にこういう文書のあることを石川君に申し上げておきます。「両当事国政府は、協定の規定がその時に存在する新しい状況に対処するに不適当となったときはいつでも、協定の規定を改正する目的をもって相互に協議する。」この交換公文の規定が査察の問題にも——そのときの状態に適さなくなったときには協議をいたす所存であります。これが一つの根拠であります。  いまは、この条約による査察はIAEAの査察に移管をしてありますから、移管をしてある間は、その権利は眠っておる。IAEAで日本が持っておるアグレマンその他の権利は、この条約のもとにおいても生きておるという解釈でございます。特別なものではない。これは移管するのですから、移管したときには、権利は持っておっても、IAEAの査察の規定そのものに従うということでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私も交換公文は承知しておりますけれども、何回も申し上げますように、現在の核防条約のもとにおいてアグレマンの権利、アグリーする権利、断わる権利があるというのに、この原子力協定でそれがなぜ確認できなかったか。これではせっかく核防条約の査察の条件を何とか緩和させようという努力を日本がしょうとし、また、日本が査察を受けた経験が一番豊富だという点で主張する権利を持っているといいながら、この日米原子力協定の原文に関する限りは、完全に拒否できない。こういう片務的な条約を、現在の核防条約よりも後退したような片務的なものをなぜ結んだか。私はどうもこの点は納得できかねるということだけは一応申し上げておきたいと思います。  それで、日本国政府はまた逆に義務を持っているわけですね。「この条に定める保障措置の適用を容易にすることを約束する。」、なぜここまでへりくだらなければいけなかったか。「保障措置の適用を容易にする」というのは、現実的にはノーズロでもって受け入れるということではないのでしょうけれども、しかし、適用を容易にすることを日本国が約束したという、まことにへりくだった、見方によっては卑屈な条約になっているという点は、私は何としても納得できないものを持っておるわけなんであります。  そのほかにも、いろいろ交換公文その他についてありますけれども、ここで科学技術庁長官が、今度の核防条約については、査察の問題を含めていろいろ外務省と折衝をしなければならぬ責任があると思うのです。  そこで、この原子力協定に基づいて行なわれようとする査察は、核防条約よりもきびしくなっている。範囲も拡大されている。拒否する権利もないというような点で、これはきわめて問題だと思いますけれども、そういうことも含めて、この先取りということばを使ったことは、三木外務大臣としてはいろいろの御意見もあるようでありますけれども、現実の問題としては核防条約の前哨戦という形で、それよりはるかにきびしいものになっているということでありますから、相当これは反省をして、核防条約については、この原子力協定も含めて、積極的な意見をひとつ出してもらいたい、こう思っておるわけであります。  先ほども申し上げたように、今度の核防条約の保障措置というのは、いままでのように一つの場所、一つの地点でもって、合意でもって査察をするというのじゃなくて、国全体を強制的に査察をするんだということで、きわめてきびしいものになっているし、それから、先ほど申し上げたように、技術的に、施設がどんどんふえてくる、いろんな型のものができてくるということになって、IAEAで一手にこれを査察するといっても現実の問題としては、いままでやったような、査察のしかたをしたって、これはとうてい手が回らない。とてもやれるものじゃないのです。したがって、これを簡素化するという点について、どうしたらいいかということについての何か御意見がありますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 科学技術庁としての立場を申し上げますと、大体核防条約の査察は、おそらく核燃料物質について相当広範囲にくるという点があるのじゃなかろうか。しかしながら、現在の査察の面は、これは協定によりまして、いわば核燃料物質以外に、あるいは施設、原子炉、そのほか相当技術的な面に詳しくなってきております。そこで、いま石川さんが言われましたように、ある面では、核防条約のほうが、非常に広範囲にわたりますけれども簡素化したものであり、現在われわれが課せられておるIAEAの査察は、場合によっては非常に緻密といいましょうか、そういったものもあるのじゃなかろうか、そういった相違点もあるいは出てくるのではなかろうかと思うわけでございます。  日本の原子力の平和利用という立場から今後の開発を考えてまいります場合、核防条約等ができてきた場合において、この査察をどうしても一本化していただかなくちゃならぬ。それはどうしても国としての交渉によって、IAEAの査察が、ある協定を結んだ原子力関係の査察と、あるいは核防条約のみに入っておる国の査察とが食い違いができてきたらまことに困るわけでございます。そういう意味からは、原子力委員会もそういうふうに決定をしているわけでございますけれども、やはり交換公文に基づいて、さらにアメリカとの協定をして、査察を一本にしていただくということに科学技術庁としてはお願いをするということでございます。   〔田中(榮)外務委員長代理退席、秋田外務委員長着席〕

石川次夫日本社会党

○石川委員 先ほど申し上げましたように、アメリカでは、IAEAで保障されて代行して査察をした以外に、減速材物質あるいはその他のアメリカ合衆国の指定する資材というものについての範囲があるわけですね。これは核防条約が緩和されても、私は残ると思うのですよ。そうしますと、重水を向こうからもらうと、すぐ飛び込んでくる。あるいは日本でつくった新型転換炉にメーターか何かをアメリカから持ってくる。それにかこつけてそれを見にくるというようなことができるような現在の原子力協定なんです。これは私は非常に危険千万だと思うのです。核防条約が緩和されても、これが残る限りは、やはり同じような危険がつきまとっておるという点が一つ。  それからあと一つは、いま非常に大ざっぱな御答弁をいただいたわけでありますけれども、査察の問題は、科学技術庁長官なら長官らしい態度で、具体的にもっと案を持ってもらわなければ困ると思うのですよ。ということは、午前中に私が参考人にも伺ったのでありますけれども、大体濃縮度二〇%以下は軍用には使えないのです。二〇%以上というのは軍用に使うという危険性が出てくるという意味では——原子力産業会議なんかでは五%といっています。低濃縮と高濃縮をまず分ける。低濃縮のものについて軍用にならないという以上は、そう厳重な査察を私は必要としないんだと思うのです。ところが、この核防条約あるいはまた原子力協定でも、低濃縮、高濃縮という分類は全然やっておりません。もちろん低濃縮のものであるといえども、これは濃縮ウランというものを持つことによって、そこからプルトニウムというものが出てまいります。したがって、その限りにおいては全然放置していいというものではないと思いますけれども、しかしながら、いま申し上げましたように、低濃縮のものは、これは絶対に軍用にはできないというのが現実です。これはできるとしても非常に力の弱いものになる。そういう点では、高濃縮のプラントあるいはまた高濃縮の材料、こういうものに査察の目を相当きびしくするということは、ある意味ではやむを得ないかもしれませんけれども、日本で使う場合は、ほとんど五%以下です。高速増殖炉の場合には若干用いるかと思いますけれども、ほとんど低濃縮です。高濃縮のものはほとんど使ってはならぬし、また、日本は軍用を絶対にやらないという前提であれば、高濃縮のものはほとんど使えません。そういうことになれば、低濃縮と高濃縮というものをはっきり分けて、低濃縮のものはこういう具体的な査察でいいではないかということを主張して、私はちっとも不合理ではないと思うのです。高濃縮のものでも何でも一緒くたにして一から十まで調べる——具体的に言うと、たくさんあります。私はこのノートに二、三枚査察の問題の内容について書いてあるのですけれども、基本的には低濃縮を分けるということから出発すべきじゃないか、私はこう思っておるのですが、科学技術庁長官、どうお考えですか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 第一点の査察の問題でございます。この協定による査察と、あるいは核防条約等が成立をいたしまして、それに基づくIAEAの査察、これは同様にIAEAの査察になるわけでございますから、やはり簡素化するほうに一本化していただくということに、私たちのほうは、国としての協定に基づく御協議の際お願いをするというふうに考えます。  それから第二点の、高濃縮、低濃縮の問題、この問題は、現実に、率直に申し上げまして、非常に困難な問題であろうと思います、具体的に申し上げるのは。しかしながら、いま言われるように二〇%以下が軍用になろうとは考えません。しかし、この点は、原子力委員会そのほかにおきまして十分審査を願いまして、具体的な案として、ひとつそういった点に、いわゆる査察の簡素化という点において、政府としての内閣総理大臣に答申といいましょうか、申し上げて決定をしていくようにいたしたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは外交折衝によって、高度な政治判断でやるという性質のものではないと思うのです。相当技術的な問題が入ってまいりますから、この査察問題については少なくとも科学技術庁として相当果たさなければならない役割りがあると思うのです。  いまのような非常に高い概念的な話では、私はちっとも前進しないと思うのです。低濃縮、高濃縮を分けるということと、あとたくさんありますけれども、二、三だけ申し上げますけれども、この査察員がこちらに来て、独自の判断に基づいていろいろな査察をやっているということですね。これは世界的にどういう基準を設けて、それを公開して、その基準に基づいてやるという原則を確立しないというと、査察員自身の判断でやってしまうというようなことであったのでは、私は非常にまずいのではなかろうかと思います。いまでもそうなっておりますけれども、査察員がもっと詳しく見たいということになると、動かしていくというと、工業機密に触れるところが出てくるということになって、どうしても炉をとめなければならぬということになります。とめるということになれば、これはたいへん損失も大きいというような問題があるのですが、そこらについての保障というふうなものも、今度の核防条約ないしはこの原子力協定には全然触れられておらない。こういう点、私は非常に不満であります。  それから、技術情報が要求されることになっております。原子力協定でもそうです。それから核防条約でもそうです、技術情報といいますと、設計法や試験の実績、あるいは製作法、こういうふうなものも全部含めて技術情報を提供しなければならぬということになると、これはノーハウの問題にひっかかってくるわけですね。一体こういった義務があるんだろうか、こういうふうな問題も出てくるわけです。  それから、建設中は査察をすることになっております。建設中の査察なんというものは、完成したときに試験の成績を出せば、それで十分なんじゃないか。そういうものまで要求してくるのは少し行き過ぎじゃないかというような問題があります。  それから、原子炉自体だと非常に簡単なんでありますけれども、これが再処理の問題とかなんとかいうことになりますと、非常にむずかしい問題も出てまいります。特に原子炉の場合でも、未記録のものをどう出すか、あるいは使用済み燃料中で、どれだけが燃えて、どれだけのプルトニウムができたかという数値を示すことは非常に困難です。ところが、現実には要求される問題になっている。あるいはまた、一キロ単位でもっていろいろな数値を出さなければならぬことになっておりますけれども、五十万キロ、七十万キロという原子炉がどんどんできた場合に、一キロ単位で精密な報告をするということは不可能です。そういう点で、いろいろな具体的な、技術的な問題があるわけですけれども、そういう点について検討された何かの結果というものを持っていますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 概略申し上げまして、あと局長に答弁をさせますが、実は査察基準の問題は、要領がIAEAにあるわけでございますけれども、実を言うと、査察基準というものは確かにIAEAにあって、それによって査察をしておりますが、実際は公表されておりません。一つは、やはり日進月歩で進む、いわば原子力のこういった進歩でありまして、基準というものを公表して、それに基づいて査察をしておると、さらにその査察基準がおくれてくるというようなことがあって、なかなか公表されないかもわかりませんけれども、従来とも日本としては、IAEAに対して、少なくとも査察基準の公表というものを特に主張して今日に至っておるわけでございます。  なお、技術情報、あるいは原子炉、再処理等の問題につきましても一応研究し、審査はしております。ひとつその点は詳しく局長から申し上げたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 査察の具体的なやり方は、おっしゃるとおり、技術的にきわめて複雑な問題を含んでおるわけでございまして、新たなる技術発展に即しまして、どうしたら最も正確なる、かつ合理的な査察ができるかということは、各国でも関心を持っておるところでありますが、担当をいたしますIAEAにおきましても、いろいろな委員会を持ちまして、各国の専門家の間で研究、討議を重ねております。つい最近におきましても、再処理工場の査察のやり方に対します委員会が持たれまして、当庁からも担当官の派遣をいたしたわけでございますが、今後、おっしゃるとおり、数もふえますし、非常に重要な問題でございますので、われわれといたしましても、IAEAあるいはその他の各国の専門家とも協力をいたしまして、できるだけ合理的、簡素な査察技術の開発に努力をいたしてまいりたいと考えます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 査察の問題は申し上げると切りがないのでありますから、大体私の要望だけ申し上げておきます。それは設計の審査基準、それから計量の制度及び査察基準というようないろいろな基準を一応きめて、これを公開する。これはそうしてもらわないと、できてはいるんだけれども公開をしないといいますと、結局わけがわからない。査察を受ける国は全世界共通に、平等に受けるわけでありますから、これは特に隠していいという性格のものではないと思うのです。そういう基準を一応確立して公開するということは、これは厳に要求をして、実現をさせてもらわなければならぬ問題だろうと思います。それは一キログラム単位でありますけれども、一キログラムというのは、大型炉の場合には非常に困難ではないか。そういうものも含めて、ひとつこの基準を確立し、あるいは具体的な案というものを日本の国自体が一応つくって出す、査察を一番たくさん受けているわけですから、そういうものをつくりやすい立場にある、主張する権利があると思うので、具体案をひとつ日本の国でつくるということぐらいは、科学技術庁でもって責任を持ってもらわなければいかぬと思うのです。  それから、定期査察をする場合のほかに、抜き打ち査察みたいなものがあるわけですけれども、あるいは疑問査察という場合もあるでしょう。それはどういう基準でそういう査察をやるか、こういうような基準もやはり一応きめておいてもらわなければならぬと思います。  それから先ほど申し上げた低濃縮、高濃縮、これは五%がいいのか、一〇%がいいのか、あるいは二〇%でいいのかといういろいろなものの考え方がありますけれども、低濃縮は軍用にならぬ点で、この査察はいたずらにきびしくやるべきものではないと思う。いたずらにきびしくやるとすれば、ノーハウを何とか盗み取ろうとする意図以外には考えられない。あれは軍用にならないのですから、まあプルトニウムの追跡は必要かもしれませんけれども、あまりこまかな査察をするということは、非核保有国の機密保持というものを何とか探り出すという意図以外には考えられないと思うのです。したがって、低濃縮と高濃縮をはっきり分けてもらいたい。  それから、いままでもそうであったわけでありますけれども、今度は非常に強制的な形に核防条約が変わりそうなんで、非常に懸念があるのは、先ほど申し上げたように、いままで被査察国のアグレマンという権利があったわけです。同意をしなければやれない、拒否する権利というものを含めて、アグリーする権利というものを被査察国が持っておったわけでありますけれども、これをやはり明文化してもらいたい。  それから、そのほかたくさんありますけれども切りがありませんから、そのおもな点についてだけ、あと、原子炉とか再処理とか、いろいろのこまかい内訳の問題はありますけれども、それは科学技術庁のほうの判断におまかせするとして、こういう基本的な問題の具体的な対策というものを用意をして、それで核防条約に臨んでもらわなければならぬ、こう思っておるわけです。そういう準備、そういう心がまえができておるかどうかという点について、残念ながらわれわれは確認しておらないし、また、あまり腰がきまっていないのじゃないかという懸念をわれわれ持っておるわけです。査察の問題を含めての核防条約というものは、国連で審議の対象になるわけですけれども、こういうことについての具体的な案か何かできておるのですか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 いま言われました四つばかりの項目の中の、査察基準の公開につきましては、これは従来とも実はIAEAに対して相当主張をしてまいっておりますが、まだ実現に至っていないわけでございます。  また、第二の抜き打ち査察の点につきましては、実を言うと、まだ受けたことがないそうでございまして、この点はまだ、率直に言って、議論の段階ではなかったのでございますが、取り上げてまいりたいと思います。  そのほか高濃縮、低濃縮の問題、あるいは非保有国に対しまして査察する場合において、それに人間の拒否権といいますか、アグリーメントをとる。そういう点、それぞれ原子力委員会あるいは専門部会等で話には出ておりますが、まだ明確にこれを主張として原子力委員会は出してはおりません。したがって、ただいまいろいろ御注意もございましたので、われわれは、積極的に核防条約もいま論議になる際でございますから、日本として、あるいは科学技術庁としての立場を率直に言いまして、急いでそういった立場を固めてまいりたい。そして、政府をしてそれが主張できるようにいたしたいと考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 国連でこれは具体的にもう論議の対象になっておるわけです。それも私の申し上げたのは、しろうとが言っておることですよ。そういうふうな基準がまだきまらないで論議をしておるというふうなことでは、実際私は怠慢だと思うのです。これは高度な政治判断で三木さんが腹芸でもってやるということではなくて、査察の問題はほんとうに技術的な問題なんで、これは科学技術庁が非常に怠慢だったと言われても返すことばがないんじゃないか。これは、三木さんにこういうことを要求しても無理だと思うのですよ。しかし、それを補佐して、こういう基準で非核保有国のノーハウを漏洩させないとか、あるいは費用の問題とか、その他いろいろありますけれども、そういう点で、もっと具体的な原案というものを具体的に科学技術庁が早くつくらなければとんだことになるのじゃないか。われわれはせっかく査察を一番たくさん受けておって、主張する権利を持ちながら、非常に大ざっぱなことで、外務大臣が腹芸でもってやってしまうということだと、今度のアメリカとの原子力協定の中にあるように、これはとんでもないものをしょい込んでいますからね。現在の段階では、アメリカから濃縮ウランというものを持ってこざるを得ないし、そういう現実はわかりますから、そういう点では、この条約に全面的に反対するというわけにまいりませんけれども、しかし、こんな内容ではたして協定を結んでいいかという点についても非常に私は疑問を感じております。  こういう点で質問をしたいことはたくさんありますけれども、ほかの同僚の議員諸君が控えておりますし、私はいずれまた機会があるでございましょうから、あらためてまたこの点については質問をしたいと思っておりますけれども、一応私の質問はこれで終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 今回議題にのぼっております原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、並びに原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定、この二協定の問題に関連をいたしまして、同僚の石川君に引き続いて、数点にわたって御質問申し上げたいと思います。最初に、私、きょうは議事録を持ってきませんでしたけれども、三木大臣にお伺いしたいのであります。今度の国会で、私、総理の施政方針、それから三木外務大臣の施政方針を聞いておりまして、総理は二十一世紀に向けて核時代を迎えるというようなことでいろいろお話しになった。また、三木大臣もその点については重点項目の一つとして触れられておりますが、内容をお聞きしておりますと、少しく持ち味が、率直に言って、違った感じを持ったわけであります。議事録を持っておりませんので、具体的に項目を指摘して申し上げることができませんが、私の印象では、率直に言って、佐藤総理の核時代というのは、何か軍事的要素というふうなものが少しニュアンスとして含まれたような印象のように受け取りました。三木外務大臣の原子力時代という形は、われわれの考えておるような方向で考え方を率直に述べられたように思うわけです。冒頭にひとつ、これからのいわゆる原子力時代と佐藤内閣が言っておる、その基本的な考え方、方針というものを、大臣としてどういうふうにお考えか、簡潔にまずお伺いしたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 核については、現実に核兵器の問題あるいは核の平和利用の問題、この二面が私はあると思います。  核兵器の問題は、これは一面から言えば、このことが一つの恐怖の均衡と申しますか、適当なことばではないかもしれぬが、そういうことで世界大戦を引き起こすような事態というものをチェックしておることは事実でしょう。戦争という性格が昔とは変わってきた。勝ち負けというのではなくして、人類全体の生存に影響する性質を帯びてきた。そこに、核兵器を多量に持っておる米ソ両国というものが、いわゆる核戦争を防止するという点については完全に意見の一致を見ておる。このことが、いろいろな核防条約などに対しても一致して推進をしておる。また、世界戦争の危険をはらんだような国際問題に対しては、米ソ両国が戦争の拡大を防ぐために動いておるような傾向も見られておる。中東問題のときには、そうだった。こういうことで、核兵器というものが世界戦争というものを防ぐ大きな一つの要素になっておることは、まあ残念ながら認めざるを得ない。しかし、一面において、核兵器が世界人類に与えておる不安、これは現実にあるのですから、核戦争の危険に絶えずわれわれがさらされておるわけです。したがって、次には、どのようにして核兵器というものをなくしていこうか、そのためには核軍縮、核の国際管理——だから、このことによって戦争を防ぐ大きな役割りを果たしながらも、核兵器そのものに持っておる不安というものに対して、これをなくしていく国際的な努力というものが一面においてなされなければ、平和というものが絶えず脅かされてくる面を持っておる。  これは、核の平和利用という面では、人類に無限の希望を与えておると思います。ことに後進国の場合には、エネルギー源を得るということはいろいろな制約があるわけです。それが、こういう原子力の平和利用という面で低廉な燃料が供給できるということになれば、このことが、後進国のみならず、世界に対しての大きな次の時代、一九七〇年代は必ず原子力時代という時代でしょう。そうなってきて、このエネルギー革命で、低廉豊富な核エネルギーというものが提供されて、やがては核爆発エネルギーなんかも、人類の平和目的のために使われるということになれば、これは非常な進歩をもたらす。それからまた、アイソトープなどの利用が、医学、土木その他の方面に対しても非常な貢献をする、こういう点で、われわれは、いまもうすでにそうだと言えるかもしれませんが、本格的に一九七〇年代は原子力時代に進んでおる。この時代に対応して日本がやらなければならぬことは、核兵器には近づかぬのですから、平和利用の面において、日本は世界の一流国になっていかなければならない。そのために、いま石川さんにも、基礎的な研究というものにもっと金を出すべきだということに、私は率直に全く同感であるということを言ったわけです。こういう点で、日本は一流国家になるための準備をして、原子力時代を迎えるべきである、こういうふうに考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、戦争の末期に長崎で原爆にやられた経験を持っておる関係で、原爆問題、特に戦争兵器問題にはおそるべき実感を、率直に言って、持っておるわけです。今度のアメリカとの原子力協定、それからグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の原子力協定、この二つを条文にわたってずっと見てみると、これはなるほど相手国が違うと言えばそれまでですけれども、アメリカとの関係のほうの表題は、これは訳の問題が一つあると思いますが、「原子力の非軍事的利用に関する」、こういうことになっておりますし、それからグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定では「原子力の平和的利用における協力のための」というタイトルになっております。内容を見てみますと、アメリカとは日米安保条約あるいはまたアメリカから原子力潜水艦の寄港、あるいはエンタープライズの寄港等、軍事的ないろいろな問題が起こっておる、そういうことも関連があると言えばあるのでしょうけれども、平和利用といいながら、条文の中身に入って、アメリカとの関係では、たとえば第一条のところでは、Cに、「原子兵器」というようなことが入ってくるし、あるいはIのところでは「秘密資料」というようなことばが入っています。あるいはMのところの「保障措置」では「いかなる軍事目的を助長するためにも使用されないことを」というような文言が入っていたり、さらにずっと石川君も触れられましたけれども、条項のあとのほうへまいりますると、第十条以降の「日本国政府は、次のことを保証する。」の(2)あたりのところでは、「原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的に使用されないこと。」というふうなことが出ておりますし、またBの(1)のところにも、「原子兵器、原子兵器の研究若しくは開発又は他の軍事目的に使用されないこと。」云々というふうになっております。石川君は十一条の査察問題に触れられましたけれども、この原子力協定の二つの文章を見てみますと、アメリカも、あるいはイギリスの場合も、核保有国ということでは同一なんですけれども、条約の協定の内容を見ますと、基本的に条約の条文の書き方というのが非常に違っておりますね。これは性格として違っておるという内容を持っているのですか。別に性格としては変わっていないけれども、しかし、たまたまアメリカ合衆国との関係の協定では、いわゆる軍事的なもの、非軍事的なものということで、条約の中にも両方の面を含めて、そうして貫いておるのは非軍事的利用である。イギリスとの関係のほうでは、アイルランドも含んでおりますけれども、要するに、そういう文言というのは全然出てきていない。これはやはり日本の置かれておる条件から見て、こういう内容に違いがきたのか。たまたまそういうふうになったのか。どういうふうに受け取ればいいのか。その点ひとつ承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 このいきさつは、国連局長のほうがよろしいと思うのですが、要するに、結局は、この原子力協定の一つの急所というものは、核兵器に転用しないということですね。だから、アメリカの場合はいま申したように非常に用心深く書いておるとするならば、やはりアメリカとすれば、各国との間にこういう条約を結ぶ場合には、こういう点を非常に厳重に書くような一つの慣習にもなっておると思います。別に意図があったものだとは思いませんが、しかし、貫いておるものは、濃縮ウランのような場合には、これはもう転用というものを非常に警戒せざるを得ないわけですから、そのことで貫かれておることはやむを得ない。しかし、国によって、その点を強く強調するのとしない場合は、格別の理由は持っていない。両方ともその精神は貫かれておることが、やはり条約の一つの基礎になっておることは明白である、こう思っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この条約の期間がいずれも三十年というふうになっておるわけですけれども、これはアメリカとの関係は十四条のB・グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との関係の協定では第十条の(3)。国際的な二国間の原子力協定の最近の事例から見てどういうケースが多いのでしょうか。  また、今度の原子力協定の場合に、三十年とした理由。特にアメリカとの関係においては、濃縮ウランの長期安定的供給という問題ももちろん一つの理由であったかもしれませんけれども、しかし、もう一つのほうの原子力協定の場合は、少なくとも現段階においては東海村のいわゆる十六万六千キロワットのコールダーホール型の原子炉、これに対する核燃料の供給、それ以上には、少なくとも私の承知しておるところでは、両国間の関係では直接ないのではないか。しかし、その問題で、今後いわゆる原子力発電所の創設を進めていく場合に、単に、アメリカからの軽水炉時代というふうな形が進行してくるのではなしに、イギリスその他の国からも、日本が国産原子炉を開発する段階までは買い入れていくという、その中にイギリスも含まれておるのだというふうな考え方を持っていいのかどうか。その辺のところをひとつ御説明願いたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 一応このアメリカとの協定では、十三基の約三十年間の使用、及びそのほかに研究用等のものが少しばかり入っておるわけでございます。いま言われましたように、やはり十年後くらいになりますと、おそらく新型転換炉あるいはその他の新しい型式の炉、さらに進んでは増殖炉等の時代が来るかと思います。したがいまして、そのことは、今後そういうふうに進んでいくということで、明確に何年ごろこれができるというふうにはなかなか言えないわけでございます。現段階において一応想定されるのは転水炉であって、一応軌道に乗り、しかも、安全性が十分であるものを基準にしてこれができておるわけでございますので、考え方としては、あるいはイギリスからでも新型を入れるというようなこともあり得るかと思います。しかし、それはそれとして、現段階におけるものとしては、十三基の約三十年分というような形で協定が結ばれておるものと考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 それでは事務当局から、最近の原子力の二国間協定で、年限的に見れば、どういう事例の傾向にあるか、簡単に御説明願いたい。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 最近のものでは、たとえばアメリカ・ユーラトム協定、これは三十五年でございます。それから、一方をアメリカとして、他のほうの相手をスペイン、スイス、スウェーデン、豪州、ノルウェー、これらの協定はいずれも三十年というふうに、日本と同じになっております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 「原子力開発利用長期計画」という科学技術庁原子力局で出しておる資料の中に、さっき石川君のほうから、ウランの将来展望の需給問題が出ておりましたけれども、海水のウラン含有量の問題について触れて、とにかく海水中に含まれるウランの問題は、今後研究が進んでまいりますと、総計約四十億トンと推計されるウランを含有しておるというふうなことが出ておるわけですね。この問題については、この資料によれば、日本自身としても今後やはり研究を進めていかなければならぬということを述べておるわけであります。もちろん国内のウラン資源の探鉱問題、あるいは開発問題、あるいは国際的な濃縮ウラン等の安定的供給問題も、これは原子力発電を今後計画的に推進する場合には重要なことでありましょうけれども、そういう問題の研究、これはどういう現状と将来のプランであるわけですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 海水の中に、きわめて微量のパーセンテージではございますけれども、ウランを包含しておるということはお話しのとおりでありまして、これが技術的、経済的に採集できることになりますれば非常に魅力あるできごとであるわけでございまして、午前中の参考人の中でも、東京大学の三島教授が言っておられましたように、大学の研究室等でも、ほんの基礎研究ではありますけれども、これを手がけておる面もございますし、それから先般来、専売公社のほうでも、海水から塩をとることに関連する研究ではございますけれども、実験室段階での研究を行なっておるような段階でございます。まだ、これらがどの程度技術的、経済的に発展し得るかということははっきり申せない段階だと思います。まだ実験室の段階でございますので、次々とその研究をスケールアップしていってみないと、実際の見通しは立てられないかと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ウラン資源の問題が、国際的にも、これからの原子力の平和利用と関連して注目されていくわけですけれども、トリウム燃料というものに対する将来展望というのは、どういうふうに見通しておられるのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 トリウムにつきましても、将来の核分裂性資源といたしまして注目すべきであるということは、原子力委員会で立てました長期計画の中にも触れられておるとおりでございますが、世界的に見まして、トリウム自身の性態解明を含めまして、トリウム炉の開発はまだ相当手間がかかる問題である、こういうぐあいに理解されていると思います。わが国におきましても、トリウムから得られますU二三三が分裂性物質として価値があるわけでございますが、それの入手自身も世界的に簡単ではございません。ごく微量しか国内にも持ってきておらないといったような状況でございますので、まだほんの基礎研究の段階でございまして、相当長期的な態度で研究を進めていきたいと考えておるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 海外ウラン資源の確保の問題では、先ほどもいろいろ触れられましたけれども、短期契約購入のやり方、あるいは長期契約購入の方式、開発輸入方式、これらをミックスしてやっていかなければならぬと思うわけですが、このウエートの配分は、今後、アメリカとの原子力協定の締結が非常に大きな比重を占めてくると思いますが、運営の問題として、今後どういうふうにウラン資源の確保として考えていくか、長期展望の問題としてお答え願いたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 まず、ウランの原料資源のほうでございますが、これはイエローケーキの形で海外から手に入れなければならぬ。国内の資源につきましても、先ほど長官から申しましたように、品位を〇・〇五%くらいのところまで拾えば、イエローケーキに換算をいたしまして五千トンくらいはあるわけでございますけれども、昭和六十年までに必要とするイエローケーキは累積九万トン、こういわれておるわけでございますので、大部分は海外に依存しなければならない。  その方法につきましては、まず考えられますのは長期購入契約でございます。この具体例は、現に電力会社とカナダの二つの鉱山会社と提携いたしまして、一万五千トンのものが、十年契約が成立いたしております。  それから第二の方法といたしましては、海外の鉱山を、日本の資本と合弁で探鉱をいたしまして、ウランが見つかりました場合には、それをまた共同で開発をいたしまして、日本へその半分を持ってくる、こういう形の共同開発契約でございますが、これにつきましても、すでに具体例といたしまして、つい最近でございますけれども、わが国の電力会社、鉱山会社とカナダのカーマギー社との間で、長期にわたります共同開発計画の一つが成立をいたしたような次第でございます。  なお、将来は、先ほど来お話がございますように、より多角的にこの資源の確保を講じなければならないと思います。  さようにして得られましたイエローケーキを、現在の軽水炉でありますれば、アメリカのAECに、この協定に基づきまして賃濃縮業務を委託いたしまして、わが国に持ってまいりまして、それを、できれば日本の加工事業者で加工をいたす、こういうことを考えております。加工事業につきましては、比較的近い将来、日本の国産技術が確立するものとわれわれは期待しております。  なお、長期的な基本的方向といたしましては、いま動燃事業団が手がけております新型転換炉とか高速炉等を実現いたしまして、濃縮ウランが要らない原子炉をつくる、こういうことを考えておるのでございます。  なお、高速炉等が今後の問題でありますので、実現が相当先に延びるといったようなことがあると思います。あるいは午前中の御議論のように、アメリカ一返倒が、濃縮設備の容量からいって、できなくなるといったような問題が出た場合に備えまして、濃縮技術につきましても、昭和五十年を目標にいたしまして、関連の基礎研究を続けておりますことは、午前中もお話が出たとおりでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ウラン濃縮法については、先ほども石川君のほうからも触れられましたように、遠心分離方式のみなず、気体拡散方式も含めていま検討を進めて、実際問題として五十年代の初期に、国内で必要量のどの程度のものをカバーできるという前提に立って、いま研究を進めておられるのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先ほどもお話が出ましたように、昭和五十年ごろまではアメリカの供給設備にも相当の余力があると認められますのが一つ、それからもう一つは、やはり濃縮技術というのは、なかなか外国から技術導入をするわけにまいらないというようなことで、基礎研究から相当気長に研究投資をしていかなければならぬといったような実態もございまして、五十年までかかりまして、どういう方式を中心に、どの程度の規模のものを建設するのが日本として国情に合っているかという判断資料がやっと出るというところが正直のところでございます。したがいまして、現段階におきまして、いつから、どういう規模で日本の国産濃縮をやるかということは申し上げられない段階でございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 再処理の問題について先ほども若干触れられたと思いますけれども、第八条のFの条項がその問題に該当するのじゃないかと思いますが、実際問題として、これからこの協定による三十年間というものを一応展望してみて、Fの具体的運用というのは、どういうふうに、いまの段階では考えておられるわけですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 わが国の再処理設備につきましては、最初の小規模のものを動燃事業団が四十七年までにつくるという計画で進んでおるわけでございまして、それができました暁におきましては、まずそこで再処理をするということを考えておる次第でございます。何か特別の理由がございまして、海外に委託しなければならぬというときは、そのつど検討をいたしまして、海外に委託することもあり得ることとは考えております。原則としては、日本の再処理工場で処理すると考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 再処理工場の計画の問題は、別の機会に、ここにおられる石野委員が、いま爼上にのぼっておる具体的な候補地の問題について触れられたわけです。あのとき有澤さんも、原子力担当大臣も、再検討ということばを使われたかどうか知りませんが、現地の実態を十分見きわめまして、第二の候補地といいますか、そういうものを含めて検討をいたしたいというふうにお話があったように記憶しておるわけです。さらに、この将来展望を考えますと、かりに四十七年段階で、いずれかのところに再処理工場をつくり得ても、五十年の中期ごろまでには、新しい第二の再処理工場をつくらなければならぬだろう、それは原子力発電所の配置がどういうふうになっておるかということを十分にらみながら、いわゆる中心的な再処理工場という性格のものを第二の問題として考えざるを得ないだろう、こういうふうに言われておるわけでありますが、この第二の再処理工場も含めて、これからどういうプログラムで具体化をしていくのか、その辺のところを少しお考えを承りたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 再処理工場につきましては、現在予定しております場所におきましていろいろ問題があることは御承知のとおりで、これはもう科学技術特別委員会でいろいろ御論議があったとおりでございます。  なお、有澤委員長代理が申し上げました原子力委員会における検討につきましても、そのとおりでございます。しかし、どうしてもやはり四十七年度前後には第一の再処理工場をつくり上げるとともに——つくり出すといいますか、進めてまいりますとともに、第二の再処理工場もそれに付随してつくっていかざるを得ないのが、今日この発電の状況から見ればそのとおりだと思います。その場所につきましても、原子力委員会でそれぞれ検討はしておりますけれども、現在その場所が、御承知のとおり、いろいろ問題がございますから、さらに検討を加えて、それから発電所の配置あるいは電力会社の協力、それらのことも勘案して、まず第一をきめ、その後直ちに第二へ入っていくというふうにいたしたいと考えます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 時間の関係もありますから、ポイント程度にとどめたいと思いますが、アメリカとの協定の附表「日本国の濃縮ウラン動力用原子炉計画」、こういうことで「建設中、計画中、考慮中」ということで具体的に書いてあるですね。最初の敦賀、福島、美浜というのは具体的に建設をやっているわけですね。あと「計画中」というのは、中部第一号から原子炉のスケールまで書いてあります。あるいは「建設開始時期、必要とされるU−二三五の総量」というふうに、いかにも正常にルートに乗るように書いてありますけれども、この「計画中」というのは、ずばりちゃんとした候補地の目当てはおおむねここだということで書かれておるわけですか。それとも難航はするだろうけれども、こういうことでこの年次までにはやりたいという意図も含めてですか。いかがでございますか。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 お答えをいたします。  ここに附表にあがっておりますのは、「建設中」につきましてはもうすでに立地もきめ、建設をやっておるわけでございますから、 これはもうはっきりしておりますが、なお「計画中」のものにつきましては、相当具体的に進んでいるものと、まだ立地問題に努力しておるというようなところと二つございます。しかし、いずれにいたしましても、ここに掲げてあります計画につきましては、大体計画どおりいまのところやりたいというような意欲のもとに努力しておるというのが実情でございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この附表の取り扱い上の問題は、第七条のAの条文解釈は、私はこういうことであろうかと思うのですけれども、これは協定の改正ということでなしに、この進展状況と見合って「必要とされるU−二三五の総量」等の問題は随時修正——だから附表はこういうふうに書いてあるけれども、実際に具体的な進展状況と見合って随時修正の取り扱いをする、こういうふうに解釈していいわけでしょうか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 おっしゃるとおりに解釈いたしております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 石川君がだいぶこまかい内容の問題まで触れられまして、私もある程度お聞きしようと思ったのですが、重複するといけませんので、若干の点について二、三内容的に触れておきたいと思います。  まず第一条のC「原子兵器」というところに「原子力を利用する装置で、その主たる目的が兵器、兵器の原型若しくは兵器の試験装置としての使用又はそれらの開発にあるものをいう。」その次に「ただし、その装置の輸送又は推進のための手段は、それが当該装置の分離及び分割の可能な部分である場合には、含まれない。」こういうふうに原子兵器のところにただし書き以下が書いてあるわけです。「原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」で、そういうただし書きの解釈でいきますると、原子力潜水艦あるいは原子力空母、これはこのただし書きの条項に解釈として入っているのですか、それともこれは全然別個な問題なんですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この協定のたてまえとして、原子力兵器というのは、御指摘になりましたように、たとえば核弾頭と分離し得る、それを運搬するロケット、分離する場合にはロケットは入らないということでございます。したがいまして、例にあげられました推進力が原子力である、これは商船も軍艦もいろいろございましょうが、推進力が原子力であるということだけでは、ここの協定にいう「原子兵器」には入らない、こういうことでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ここでは論争しようと思いませんから……。  そこで、第八条のAの(2)のあとのほうに、「ただし、そのようなより短い期間の予告のため合衆国委員会が負担した例外的な生産費を補うために合衆国委員会が妥当と考える付加金が通常の基本価格又は基本料金に加えて賦課されることを条件とする。」これは商業ベースということが言えるのかどうか知りませんけれども、付加金なら付加金というものがつく場合に「合衆国委員会が妥当と考える付加金が通常の基本価格又は基本料金に加えて賦課されることを条件とする。」こういう形でいいのでございましょうか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 予告期間につきましては、現在アメリカ合衆国内の使用者について適用されていると同様に考えるということに書いてあるわけでございまして、これは数カ月前に予告すればいいということになっているわけでございますが、あとのほうに書いてありますのは、工事工程との関係で即刻ほしい、何かはかと振りかえてでもほしいといったような特別の条件を出した場合には、場合によって、それによって生ずる増加費用等を負担してもらいたい、こういう趣旨から出たものと考えておるわけでございまして、通常はそういう特別付加金がない状態で、十分なる予告期間をもって契約をしたいというぐあいに考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私の問いに必ずしも的確に答えておるとは思わぬのですけれども、核燃料の民有問題というのが新しいケースとして出てくるわけです。そうすると、通常であれば純然たる商業ベースというふうに言い切れないのかもしれませんけれども、「合衆国委員会が妥当と考える付加金が通常の基本価格又は基本料金に加えて賦課されることを条件とする。」双方の、いや、それでは高過ぎる、この程度ではないのかという話が通常あってしかるべきものだと思うのです。何か向こうの言うたものをそのまま、 この条文からいくと、のむ形に解釈されがちなんですけれども、これは実際の具体的な運営としてはどうなるのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 これは、例外的に短い期間にほしいという場合の規定を書いておる、その陰においては日本側に有利な規定であるわけでございますが、そのためによけいに費用がかかった場合には、その分はよけいもらいますよということを書いた意味でございまして、われわれ現在考えておりますのは、それほど多額の付加金がつけられるとは考えておらないのでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 第八条のIですね、「ある種の原子力資材は、注意して取り扱い及び使用しない限り、人体及び財産に有害である。」云々といって、ずっとあとのほうへいきますと、「その特殊核物質又は燃料要素が合衆国委員会から日本国政府又は同政府のために行動する者に引き渡された後は、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。」これは、国際的には、こういう取り扱いが慣例なんでございますか。何か、こういう場合でも、因果関係なり、あるいはまた事故解析をやった場合に、当然供給国に要因の相当部分のものがあるというふうな場合においては、この解釈だけではいかぬのじゃないかというケースも、常識上予想されるわけですけれども、これは国際慣例として、こういうふうな取り扱いをするのでございますか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 先ほどあげましたアメリカと他の国との協定には、大体このような規定をつくっております。それからまた、この規定は、政府間だけの問題でございまして、民間の者と取引があった場合の問題は、この規定には含まれていない。政府間の免責だけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 内容的には、細部にわたってはまだ、核燃料サイクル問題等々、若干ありまするけれども、いずれまた、原子力発電所を中心とするような、これからの平和利用問題は、科技特自身でも取り上げる機会があろうかと思いますので、きょうはこの程度で質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 大臣が七時に退場なさるそうでございますので、特に大臣に最初にお聞きしたいと思います。  この中で、プルトニウムについての問題でありますが、協定で三百六十五キログラム確保しているように明示してあるわけでありますが、この価格について、ウランの場合には協定があるわけでありますが、この点について何ら明示されてないわけです。こういう点において、アメリカの政治的な価格で一方的にきめられるのじゃないか、このように思うわけです。こういう点、どういうふうに政府として解釈しておられるか、この点をまずお聞きしたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは、アメリカ原子力委員会の世界的にきめてあります建て値に従うということでございますので、特に明記しなかったわけでございます。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 具体的に申しますと、現在一グラム四十三ドル、将来におきましては多少下がるかもしれないという見通しを持っております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この協定の第六条において、資材、設備あるいはまた装置、あるいは特殊核物質等の移転について、日米の両国政府の管轄のもとにあると認められた者を、一方または両方の当事者として行なうことができる旨を、ここに規定してあるわけでありますが、政府は、どのような基準をもって、当事者となり得るかいなかを認定するかという問題です。  それから、わが国の認定をアメリカが認めない場合は考えられないのかどうか。言いかえれば、アメリカの大企業が日本の民間企業の活動を、この協定を通じて左右するおそれはないか、この点をお聞きしたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 具体的に申しますと、原子炉等規制法によりまして許可を与えられました電力会社等で、アメリカから濃縮ウランを入れなければならないという計画につきまして、政府として認めるということになるわけでございます。  それから、わが国政府が認めました計画につきまして、アメリカ側がそれを拒否するということはないと考えております。現に今回の附表を作成する際におきましても、わが国のほうで立てました計画を、そのまま全部のんでもらっておるというような実態でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 外務大臣、その件につきまして、外務省としていまの答弁でよろしいですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 外務省も、そのとおりに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 旧条約においては、政府間の貸借関係にあったものが、この協定によって四つの方式による取引関係になるわけです。一つは日米政府、二つは日本政府と米民間、それから三番目は日本の民間と米国政府、四番目は日本の民間と米国の民間。この際管理あるいは監督というものに、今後政府がどのように介在していくか。これは従来の規制法では非常に明確でないので、国内法を改正する必要があるのではないか、まずこの点を一点お聞きしたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 詳しくは局長より申し上げますが、日本におきまする安全性あるいは事業の認定、設定等は法律によってすべてきめられておりますし、あるいは核燃料物質の持ち込みに対しまするあらゆる認可は、規制法に基づいております。この規制法は、政府が所有しましょうとも、あるいは民間が所有いたしましょうとも、この規制法を厳重に施行していくわけでございますから、その間に特に支障はないかと考えております。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 ただいま長官から答弁申し上げましたとおりでございまして、アメリカの燃料を使う場合でありましても、あるいは国産の燃料を使う場合でありましても、同様に規制法でその目的、技術的能力あるいは安全性等を審査いたしまして許認可をいたすわけでありまして、でき上がりました後の運転につきましても、運転計画でありますとか、あるいはそれに伴いましてできますプルトニウムの生成量でありますとか、事平和目的に限らるべきこと、あるいは安全性確保のために必要でありますことは事こまかに、記録の保持義務でありますとか、あるいは報告の提出義務でありますとか、あるいは保安規定の義務でありますとかということを通じまして、十分に政府が監督をすることができるようになっておるわけでございますので、外国から入れました特殊核物質のみならず、それから生まれますプルトニウムにつきましても、十分に管理できるものと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この協定の第二条B項に「秘密資料は、この協定に基づいては通報されないものとし、また、資材若しくは設備及び装置の移転又は役務の供与は、それが秘密資料の通報を伴う場合には、この協定に基づいては行なわれないものとする。」このようになっておるわけでありますが、この秘密の範囲はどのようなものであるか。この点を外務省としてどのように考えていらっしゃるか、この点を明確にしていただきたいと思います。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 この秘密資料を通報しない、たとえばアメリカの秘密資料を日本に通報しないという場合は、当然アメリカの国内法において秘密となっておる事項ということでございます。私、いま具体的に述べられませんが、たてまえとしてアメリカの国内法の問題である、こういうことでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 そうしますと、秘密の内容に盛り込まれているもので、日本側が必要とみなさないものは拒否する権利というものを保有することができるのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 御趣旨がちょっと私、はっきりしなかったのでございますが……。

近江巳記夫公明党

○近江委員 要するに、秘密という内容ですね。この点をいま明確に答えていただかなかったわけでありますが、時間もありませんのでそこまでいけませんが、要するに、内容において日本が必要とみなさない。アメリカはそのように秘密事項の中に入れてきておるわけです。だけれども、日本としてはそのことはすでに開発されておるし、秘密として認めないという場合において、日本として拒否する権利を保有しておるかどうかということを聞いておるわけです。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 御質問は、日本として秘密と認めていないけれども、アメリカは国内法で秘密としておること、これを、日本のたてまえでは秘密ではないから要求できるかどうか、こういう御質問だと思うのでございますが、しかし、たてまえとしては、やはりその情報がアメリカから来るものであれば、アメリカの国内法によるということになると思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 そうしますと、アメリカの国内法に完全に縛られてしまう、このようになるわけですね。そうした場合に、秘密資料の提供にあたっての費用というものは私はばく大なものになると思うのです。このときに、条約の交換の際に、秘密としてのいわゆる日本政府が払う額ですが、これは限度額というものが大体あると思うのですけれども、どのくらい見ていらっしゃるのですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 必ずしも御質問にぴったりするかどうか存じませんが、一般的に申しまして、アメリカの秘密保護法というものは非常にきついものでございます。日本については、御承知のとおり、原子力基本法で平和、公開でございます。したがって、御心配のような事態は、現状ではちょっと起こらないのではないかというふうに考えます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この秘密条項の受け入れに対して、何らそれに対して規制する条項が織り込まれていないということにおいて、今後のわが国産業の発展のための企業者の擁護、あるいはまた、経済性というものを考えておるのかどうか。あくまでもアメリカの意向の一辺倒ではないか、したがって、この条約は非常に骨抜きにされておるのではないか、このように思うのですが、その点どうですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは、アメリカとすれば、日本の原子力発電に協力しようということでこういう条約を結んだわけでありますから、根本においては協力をするという体制でありますが、しかし、向こうが国内法によって、秘密保護法などによってアメリカが秘密とされておるものは日米間の協力の対象にしないということだけでありまして、対象にしないのですから、それに代価を払うというようなことはないということでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この協定の条項について、秘密資料の選択ができるように、何らかの方法で日本政府はアメリカに対してそれを要望すべきことが大事だと私は思うのですが、その点どうですか。

重光晶外務省国際連合局長

○重光政府委員 御指摘ではありますが、アメリカは、アメリカの理由によって国内法で秘密にしておるわけでございます。そして、日本は、ただいま申しましたように、原則としては、一般公開でやっております。その場合、アメリカに秘密を解けと言うことはなかなかむずかしいことではないかと考えます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この辺がちょっとかみ合わないと思うのですが、最後に大臣にお聞きしたい。  日本側がアメリカよりもより有効な技術資料を得た場合に、アメリカのこういった秘密資料を拒否する権利を保有することを私は強くアメリカに要求すべきだと思います。これに対して政府として、今後のことを考えるならば、覚え書きなり声明をとるべきではないか、私はこのように思うのですが、この点非常に追従といいますか、弱いように思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 アメリカは、原子力に関しての機密保持に対してはきわめて厳重ですから、向こうが秘密としておるものを初めから渡さないのですから、こちらから拒否するといっても、国内法によって秘密とされておるものは、日米間の原子力の平和利用に関する協力の対象にしないのですから、拒否も何も、対象にしてこないのですから、したがって、そういう問題は起こらぬと思います。向こうとすれば、日本の場合は原子力基本法の公開というたてまえがありますから、非常な秘密なものを日本に渡すということができない限界があるので、それを協力の対象にしていない。したがって、こちらが拒否しなくても、初めから向こうが秘密のものは情報を提供しないのですから、そういう御心配のようなことは起こらないと私は思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 では、長官にお尋ねしますが、この協定には附表として、先ほどからもいろいろな質問が出ておりましたが、十三基の原子炉のそれぞれの建設の開始時期、あるいはまた、その必要な濃縮ウランの量があげられておるわけでありますが、この十三基の型式は確定されたかという問題が一つ。  それから、第八条D項によれば、これら十三基の原子炉のために必要な濃縮ウランの入手を確保するために、それぞれの原子炉が計画に従って建設されることが要求されておるわけでありますが、ここで問題になってくるのは、原子炉の敷地の選定、それからまた、それに伴う設備、あるいはまた運転要員の確保等、いろいろな問題があると思われるわけでありますが、各炉の建設計画の見通しについてお聞きしたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 大体、通産省からもお答えがあると思いますが、建設中のものは確かに現在建設中でございます。そのほかに計画中の中で、実際具体化しておるものとまだ具体化までいかないもの——具体化と申しますと、建設敷地等も明確にきまっておるもの、あるいはきまらないもの等がございます。  なお、炉の型式におきましても、おそらく大半が軽水炉型式をとるかと思いますが、その後におきますいろいろな変化から、あるいは新型転換炉というような違う型式に場合によってはなる場合もあり得るかとも思います。そういったような状況で、大体この計画はこのまま実行されていきますが、非常におそい部面におきましては、あるいは多少の変更はあり得るかと考えております。  次に、この敷地の選定の問題におきましては、これは通産省におかれてかと思いますが、二十カ所ぐらい数年前に選定をされて、それに基づいて、いろいろな調査あるいは各電力会社との連絡等をやっておいでになりますので、実際上におきまして、現在これを実地に移す場合は、まだ反対運動があったりいろいろいたしておるわけでございます。しかし最近に至っては、誘致運動も二、三出てまいりましたところもございまして、この敷地の選定につきましても、大体いけるのではなかろうかというふうに考えております。  なお、設備、人員等につきましては、特に人員等が一番大事なことでございまして、これは文部省のほうの関係でございますが、その要員の確保あるいは原研等におきまして研修そのほかを、現在電力会社等もそれぞれこの計画にのっとって、それに働く方の実地訓練といいますか、実地研修については原子力研究所等に派遣をせられて、その準備をはかられておるのが実情でございますので、大体この計画は進められるものと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この附表にある原子炉について、核燃料の供給というのは、大体アメリカの意思に左右されるということになると思うのです。この核燃料の供給先を多角的に求めていくためにも、炉の型式を多様にしていかなければならない、このように思うわけですが、どのように考えていらっしゃいますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先ほども申し上げましたが、ここ当分の間は、この附表にございますように、大半を軽水炉にたよらざるを得ないのが実情でございますので、どうしても濃縮ウランが必要であるわけでございますけれども、長期的観点から、先般できました動燃事業団では、濃縮ウランを必要としない型の炉、具体的に新型転換炉あるいは高速炉というものの開発を急いでおるわけでございます。そういうものが実現した暁には、濃縮ウランにたよるウエートがそれだけ減っていく、こういうことでございます。しかし、将来の長期的な問題は別といたしまして、現在イギリスとかカナダとかで開発されております、軽水炉以外の型の炉の導入等についても検討すべきではないかという議論もあり得るわけでございまして、関係の方面では検討をいたしておる分野もあるわけでございますが、これらにつきましては、まだ具体化はいたしておらない段階でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 これはすでに御承知のとおり、中部電力の芦浜の建設予定が中止になった、こういうような状況から考えても、この敷地の問題は非常に大きな問題だと思うのです。この確保について、設置者のみにまかせておいてよいものであるかどうかという問題です。もっと積極的に、経済的な条件あるいは立地条件、安全性、そうした設置の適正地域を、原子力委員会あるいはまた科学技術庁なりで調省し、指定するとか、そういうような、国として果たすことのできる面が相当あると私は思うのです。こういう点、いままで民間にまかせっきりであったのは非常にまずいと思うのですが、その点どのように考えていらっしゃいますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 先ほど申し上げましたように通産省におかれて、もちろん科学技術庁も関連をいたして、実は昭和三十八年以来、地形とか、水利とか、人口、そのほか電力系統の関連等から、全国で二十カ所ぐらいを選定いたしております。そうして、そこの点についてできるだけのPRをし、また、それらの点に電力会社と緊密な連絡のもとに電力会社のほうからもそれぞれ御協力をお願いをしておるわけでございます。当初原子力発電所といえば何か危険視せられまして、反対運動等もあったことは事実でございますが、最近におきましては、だいぶこの点における御認識も得、また、われわれもその御認識を得るためには、安全性をどこまでも確保して進まなければなりませんので、そういう点は、技術庁と通産省と相まって御一緒になっていきたいと考えております。  なお、御希望があれば、二十カ所等の資料がございますから、差し上げたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いま安全性ということをおっしゃったわけでありますが、安全性の確保の問題について非常に議論が多いわけでありますが、具体的な基準はどうなっているか、この点が私、非常にあいまいに思うのです。往々にして政府があいまいに残している。したがって、この協定にあるものだけでも見ていきますと、一九七一年までに三百五十から七百五十メガワットの発電用の原子炉が建設に着手される、あるいはまた、長期計画を見ていきましても、一九八五年、昭和六十年には、三千ないし四千万キロワットの原子力発電施設が予定されているわけです。さらに、これに加えて、発電所のほかに研究用の原子炉等もどんどんと設置されるでしょうし、あるいは核燃料の再処理施設等の建設も考えられます。これに備えて、安全性確保の目安となる基準、これをひとつ早急に検討して民間にも明示していく、これは非常に大事だと思うのです。この点どのように考えていらっしゃいますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 これは、安全性は一番大事なことでございまして、規制法に基づきましてこれが運営をいたしておりますし、もう設計から運転に至るまで、あるいは運転後の安全性につきましても、これは万全の上に万全を期すような規制を実は行なっております。その実態は、原子力委員会のもとに、あるいは放射能の審査委員会、あるいは安全性審査委員会というふうに、それぞれの専門分野の専門委員会がございまして、その専門委員会における技術的な安全性に基づく基準を一応設けて、それに基づいて設計から最後の運転中に至るまで、規制をして、万全を期して、安全性を保つようにいたしておるわけでございます。したがって、公表といいましょうか、非常に技術的な問題でございますので、その関連の方は十分御存じだと思いますけれども、公表してもちっとも差しつかえないものがあるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 あまり時間もないようですが、これはここで確かめておきたいと思うのですが、過去の例で、遠心分離機によるウラン濃縮技術の機械を東芝がつくって核燃料事業団に納入した。この核燃料事業団の今井副理事長がその技術を公表しなかった。その理由は、いろいろといわれておるわけでありますが、アメリカから言われてやめたのではなくして、東芝に悪いから発表しなかった、このようなことも聞いたわけなんですが、ある人は、米国から、発表してはならない、そういう圧力があったからだ、そういうような話もちょっと聞いているわけです。この辺の内容について、知っておられたら、ちょっと教えてもらいたいと思うのです。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 その遠心分離法の問題の東芝あるいはアメリカ等の問題につきましては、アメリカから照会があった由で、それは聞いておりますけれども、それ以外は私は存じておりません。現実に動力炉燃料事業団におきまして遠心分離機を現在二機ですか三機ですか発注をし、それがあって、現在実験を促進しておりますし、さらに今後も遠心分離機を設置して実験をして、でき得る限りこの遠心分離法による濃縮の技術を開発したい。これは開発でございますから、なかなか予定どおりまいらないかもわかりませんけれども、進めておるのが実情でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 その辺のところをまた今後何かの機会にお聞きしたいと思いますが、こうした商業的な秘密の名のもとに、民主、自主、公開のこうした原則から見た場合、今後政府としてどのように考えていらっしゃるか、このところをひとつお聞きしたいと思うのです。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 原子力基本法に基づきまして、いま言われました民主的運営、自主的な開発及び公開の原則をあくまで堅持いたします。  ただ問題は、その間におきます極小の部面におきまして、いわゆるノーハウと称する商業的機密というものはあるわけであります。これは日本のためにも、あるいは会社のためにも、その点は認めていかなければならぬかと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これにて連合審査会を終了いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十二分散会

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