外務委員会 第24号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/05/22
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 航空業務に関する日本国政府とレバノン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とセイロン政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、船員の厚生用物価に関する通関条約の締結について承認を求めるの件及びアジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
○石野委員 最初に、レバノン共和国政府との間の協定についてお尋ねいたしますが、もうさきに与党の田中委員からもいろいろこまかいお尋ねがあったようですので、一、二不明のところをちょっとお尋ねしておきたいと思います。 第三条の四項にあります「締約国又はその国民に属していないと認めた場合には、」というのの前に「実質的な所有及び、実効的な支配」ということが出ておりますが、この場合の「指定航空企業の実質的な所有及び実効的な支配」、これは資本の率ではどういうふうにこれを見分けをつけるのか、そこのところを、この条文を読むときの解釈をひとつ説明していただきたい。
○高島説明員 この第三条第四項に「実質的な所有及び実効的な支配」ということばがございますが、これは従来各航空協定の中にしばしば使われておる同じことばでございますけれども、われわれの解釈といたしましては、その当該航空企業を左右するに足る程度の株式を所有する等の方法によって、当該企業の所有関係とか経営の実態等を判断するということになっておりまして、大体におきまして左右するに足る株式ということで、何%なんということではございません。
○石野委員 これは条約を読みます場合に、「実質的な所有及び実効的な支配」というのですが、これは何か基準がないと判定のしかたがないのだろうと思いますけれども、国際的には、これを両国の間に、たとえば投下資本何%、それから「実効的な支配」という場合でも、それを見分ける基準というのは、大体どういうところに置くのですか。
○高島説明員 先ほど申しましたとおり、各航空協定の中に必ず同じ規定を置いておるわけでございますけれども、この解釈に関しまして、ただいま先生の御指摘のように、株式のパーセンテージが何%というようなことで必ずしもやっておりません。従来これに該当しまして、実効的な支配ないしは実質的な所有関係がその国、国民に属していないと認められるような実際のケースはないわけでございますけれども、われわれ常識的に判断しまして、先ほど申しましたとおり、その国民が当該航空企業を左右するに足る程度ということを客観的に判断するということでございます。
○石野委員 客観的にこれを判断するんだけれども、たとえばこの「締約国又はその国民に属していない」という判定のしかたというものは、ちょっとわかりにくいですね。一般的にこの第四項の差し示すような方向を判定する基準というものは、やはりパーセンテージか何かなければわからないのと違いますか。
○高島説明員 いろいろお尋ねでございますけれども、実は国際航空に従事します民間航空企業というのは、国際的にも組織がございまして、いわゆるナショナルエアラインというものがどういうものであるかということは、もう国際的に周知の事実でございますので、もし万一そういうことがあった場合には、この規定を適用するということでございまして、実際上は、国際的に、また客観的に疑問の余地がない問題でございます。
○石野委員 疑問の余地はないというのだけれども、私のわかりにくいのは、その「締約国又はその国民に属していない」ような「実質的な所有及び実効的な支配」というものの最後の判定を下すときの場合では、もうほんのわずかのパーセンテージでその判定が右か左になるのだろうと思うのです。その基準がないと、力の関係だけで判定するのかどうかということです。
○高島説明員 決して力とか何とかという関係ではございませんで、左右するに足る程度と申しますのは、もちろん五〇%をこえる程度の株式を持っておるものとわれわれ考えております。そういう点では、はっきりパーセンテージを書いてございませんけれども、左右するに足る程度というのは、当然五〇%をこえる程度の株式ということでございます。
○石野委員 第六条の三項にあります「かつ、積み卸す旅客、貨物及び郵便物の運送は、輸送力が次のものに関連すべきであるという一般原則に従って行なわれなければならない。」という、この「運送は、輸送力が次のものに関連すべきであるという一般原則に従って」と、ここのところはちょっと読みにくいので、ここをひとつ説明してください。
○高島説明員 この六条の、先生の御指摘の規定は、いわゆる輸送力条項という条項でございまして、航空協定の中で最も重要な規定でございます。この規定にかんがみまして、大体相互のエアラインの間の運航に関する航空当局間の取りきめがなされるという性質のものでございます。これは掲げてございますことは、輸送力を利用する側の点が(a)、(b)、(c)と三つございまして、これに対しまして輸送力を供給する側のエアラインの、つまり便数その他の取りきめでございます。 (a)に書いてありますのは、日航でございますれば日航の運輸いたします日本とレバノンとの間の運輸の需要、つまり一般国民の日航に対しまする日本とレバノンとの間の運輸の需要をまず考慮しなければならないというのがこの(a)でございます。 それから(b)は、その日航の路線が経由する地域の運輸需要でございますから、日本とレバノンではございませんで、その間の経由地点、この付表に書いてございます各種の地点がございますが、その地点におきます各国国民の日航に対する運輸の需要というものを勘案してきめなければならないというのが、この第二点の(b)でございます。 それから(c)の「直通航空路連帯の要求」と申しますのは、直通路線運営上の一般的な経済的要求という意味でございます。運輸の需要ということではございませんで、路線運営上の経済的要求というのがこの(c)の意味でございます。輸送力は、自国を発着する貨客の運輸需要に見合うものを提供するのが大体原則とされておりますので、この原則に従いますならば、航空企業は、自国から各地点までの輸送につきましては、それぞれその区間の運輸需要に応じた座席数を持つ機種を使用しなければならないということになりますけれども、これは企業運営上きわめて困難でございますので、この原則は原則として、企業の経済的運営という点も考慮いたしまして差しつかえないという意味で、輸送力提供上の原則として、このような直通航空路運営の要求という経済的要求の規定が入っておるわけでございます。 以上三点を勘案いたしまして、日航なら日航がレバノンとの間に運航いたします便数その他の取りきめを定めなければならないというのが、この定めでございます。ここに付表には路線だけは書いてございますけれども、実際に日本とレバノンとの間で週何便を運航するかということは、別途航空当局からの交渉によって定めるわけでございますが、それがこういう規定に基づいてなされなければならない。つまり、日航が幾ら要求しましても、週三便とか四便とかいうわけにはいかない、それだけの需要が十分になければならないということでございます。とりあえずいま暫定的にきまっておりますのは、週二便でございます。現在、テヘラン、カイロ経由欧州南回り路線が週三便でございますけれども、これを分けまして、テヘラン−カイロ−ローマを二便、テヘラン−ベイルート−ローマというのを二便、合わせまして週四便、一便だけ増便するということで考えております。
○石野委員 これは、特定路線上の地点で積み込みまたは積みおろす旅客、貨物、郵便物の運送が、そういうことになるわけですね。この場合、その航空企業を指定した国以外の国の特定路線上の地点ですから、その通過するところの国からの苦情などということが、協定が一たんできた上でまた新たに出てくるとかなんとかいうことはあり得るのですか。そういうことはどういうふうになるのですか。
○高島説明員 この航空上の運輸に関する需要というのは、大体五種類ございまして、いろいろな需要がございますけれども、そのように路線の経由地点におきます積み込みあるいは積みおろしに関しましても、そういう需要があるというたてまえで、この協定は結ばれておるわけでございますので、もちろんそのような苦情等はあるわけでございますけれども、それはそれとして、また別途その国との間の航空協定がございますので、その航空協定のワク内での交渉によって調整するということになっております。
○石野委員 航空協定の問題は、レバノンだけではなしに、いま日本にとっても非常に重要だと思いますが、四月十六日にCABのパーク審議官が勧告を行なっておりますね。その勧告によると、結局ハワイ経由の中央太平洋線、あるいはまたアンカレッジ経由の大圏コースで新しくまたアメリカの航空会社が入ってくるというような事情があって、日航にとってはたいへんだというようなことから、これに対する外務省の折衝よりも、やはり運輸省がいまアメリカに行っていろいろと折衝しているようでございますね。特に日航が大圏コースのほうへ入るような体制づくりをするというようなことも考えなければならぬ情勢が来ているようでございますが、最近外務省はそういう問題についてアメリカとの間に折衝をなさっているように聞き及んでおりますけれども、いまどういうようなこの問題についての折衝が行なわれておりますか。その間の事情をちょっと説明していただきたいと思います。
○松本説明員 お答えいたします。 いま御指摘のございましたパークと申しますエグザミナーの勧告がございます。この勧告と申しますのは、手続的に申しますと、これを出しましてから各関係航空会社は利害関係人として異議の申し立てをすることになっております。それに続きましてヒヤリングが行なわれまして、それに基づきまして米連邦航空局が決定をいたします。それがさらに大統領のサインを得ることによって初めて発効する、こういう手続になっておるわけでございます。したがいまして、現時点におきましては、一審議官が勧告書を出したという段階でございますので、直ちにこれをもって、太平洋上に極端な日米間の航空勢力の変化が起こるというふうに議論を立てることは、きわめて困難な状態でございます。 しかしながら、先生御指摘のように、そのような事態がかりにほんとうに起こってまいったといたしました場合には、どの程度の便数が飛ぶようになるかということと、どのような機材が用いられるようになるかということが、実質的に非常に影響の大きいところでございます。その点につきましては、残念ながら現時点では非常に予測いたしにくいファクターが多うございます。したがいまして、先生おっしゃいましたように、現在確かにワシントンにおいていろいろ交渉しておりますが、これは、パシフィックケースと通称されておりますこの問題を特に取り上げて議論をしてまいったという段階ではないわけでございまして、日米の航空協定に基づきますいろいろな懸案事項がございますが、そういうものをひっくるめていろいろと話し合いを非公式にいたそうということになっております。したがいまして、このパシフィックケースにつきましても、その非公式会談の適当な時期において、どのような輸送力の想定からこういうふうな路線網を考え出してきているのか、あるいはいつごろからこれを実施しようとしているのか、その場合に米国企業間における競争及び米国企業と日本企業間における競争が非常に程度を越えた過当競争になるおそれはないのかというふうな点について、米国の考え方を聞きただして、さらにそれに対するわれわれの考え方も述べるという機会を持ちたいというふうに考えておるわけでございます。
○石野委員 日航は、いま太平洋航路もそうですが、それからソ連との間の問題についても、いろいろやはり問題をかかえているわけでございます。特に松尾社長は、新聞の報道などによりますと——これはソ連との間の日ソ航空協定、モスクワ協定のときにも、二カ年を経過した後においてはわが国の指定航空企業が自主運航するようにということを、本委員会でも四十一年の四月に要望決議をしております。こういう問題に関連して、松尾社長は、二年後、来年の四月から、もし日本のほうの指定航空日航が自主運航ができないような場合には、日ソの間の航空協定をもうやめちまってもいいのだというような強い腹がまえをしているやに聞き及んでおります。これらの問題と、それからいまのパーク審議官の勧告という問題は、東と西とにわたって非常に重要な問題だと思います。 これは大臣、ちょっとお聞きしておきます。時間がありませんので、この点だけひとつ聞いておきたいと思いますけれども、やはりソ連との間の協定については自主運航ができるようにならなければいけないと思うわけですが、この問題について、日本航空の社長がそういうふうに言っておるというだけでほうりっぱなしておくわけにもいくまい。外務省はだからそういう問題に対してどういうふうに対処するように側面援護をするつもりであるか、それからまた、太平洋の問題では、アメリカの民間航空局の一審議官がそういう勧告をしたにしても、いずれこの問題は、やはり太平洋上における非常に大きな過当競争が出てくるだろうと思います。こういう問題について外務省はどういう対処のしかたをしようとしておるか、その点をひとつこの際外務大臣からお聞かせ願いたいと思います。
○三木国務大臣 日ソ航空協定の議定書については、開始後できるだけすみやかに、約二年以内に自主運航を実現することを強く希望して、ソ連もこの強い希望を了承したというような合意議事録があるわけでございます。したがって、昨年の四月から開始されたのでありますから、二年とすると来年の四月、われわれとすれば、二年もたてばシベリアの上空が開放されて自主運航が開始されることを期待しておるわけであります。私も昨年コスイギン首相と会ったときにも、この点を非常に強く注意を喚起いたしたのでございます。われわれとしては、来年の四月というのでありますから、だんだんとそういう時期が近づきますので、ソ連側と本件については折衝をいたして、二年以内にシベリア上空を自主運航のできるように最善の努力をいたしたいと考えております。
○松本説明員 パーク審議官のいまの勧告が今後どのように発展するか、つまり、現大統領の在任中にそういうことになるのか、あるいはもっと先のことになるのか、そういうふうなことは現在全く予測できない状態でございます。しかしながら、先ほどもお答え申し上げましたように、うかつにこのような事態が発生いたしますと、日米航空間において非常な問題を引き起こすであろうということは、はっきりと見通せるのではないかという考え方から、今後も外務省と十分連携をとりながら、運輸省といたしましても、向こうの航空当局との間に緊密な連絡をとっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○石野委員 ソ連の側は来年の四月で、これは二年以内となっていますから、自主運航ができるような体制はこれからの交渉でございましょうけれども、現実に太平洋の中央とそれから北回りとが、これは十八社の申し入れがある中で両方とも二社ずつ入れ、しかもそれは非常に大きいものが入ってくる。ことに北回りといいますか、あるなには貨物専用の航空会社が入るようでございますね。貨物専用の航空会社が入るということは、いまレバノン問題で出ておりました運輸需要の問題との関係で、はたして貨物専用でやれるのかどうだろうかという問題も一つわれわれは心配するわけですが、そういうようなものがもし向こうから出てきました場合、日本の側はこれを拒否することはできないわけですね。向こうとの話し合いで、公文書ですか、付属書か何かの中でそういうようになっているようですね。こういう問題に対して、やはりわが国の航空業を守るということになると、相当程度の外交交渉を必要とするのじゃないだろうか、こう思いますけれども、この点については、外務省は運輸省の折衝だけでうまくいくというようにお考えになっているのでしょうか。それとも何か別に考える御計画がありますか。
○三木国務大臣 いまは運輸当局間の話し合いにゆだねられておるようでありますが、将来外務省がこの問題に関与いたしてまいるつもりでございます。
○石野委員 時間がありませんので、それはまたあとでお聞きすることにしまして、所得に関するセイロンとの間の条約の締結、それからデンマーク王国との間の条約の締結について、一点だけひとつお聞きしておきたいのですが、セイロン政府との間の締結にあたっては、これは第五条の第二項になりますけれども、船舶、航空機を運用する場合の船舶、航空機の運用から生ずる所得については、相手国で二分の一の軽減ということになっております。それから片方のデンマークのほうは、これは全免になっているわけですね。ここのところは、同じ時点でこういう条約をつくるのに、この相違のあるのはどういうところからきておりますか。
○高島説明員 この前のこの委員会で御説明いたしましたとおり、租税協定に関しましては、先進国との協定の場合と後進国との協定の場合では、取り扱いの方針が幾らか違っておりまして、先進国との租税協定におきましては、OECDのモデルに大体準じて取りきめをいたしております。しかし、一方後進国との租税条約におきましては、必ずしもOECDのモデルどおりいきませんので、どうしても後進国の側におきまする徴税権に対してかなり寛大な措置をとらなければならないという観点から、一般的に申しまして、アジア諸国、セイロンのほか、インド、タイ等との租税条約におきましても、船舶所得及び航空機所得については相互に免除するというのではなくて、五〇%軽減するという定めになっております。これはOECDのモデルに従いますれば、当然相互に免除するというたてまえをとるべきでございますけれども、若干の後進国との租税協定におきましては、必ずしも全免でなくて、五〇%の免除ということになっているわけでございます。
○石野委員 船員の厚生用物品に関する通関条約の締結についてですが、この条約の中で、この条約に違反したものの罰則というのはどういうふうに規定されておるのですか。
○高島説明員 この協定の第八条に、先生の御指摘の問題に関しまする規定がございまして、「すり換え、虚偽の申告又はなんらかの行為により、いずれかの者又は物品がこの条約に定める便益を不当に受けることとなる場合には、当該行為が行なわれた国において、その国の法令の定めるところに従って行為者を刑罰に処し、及び課すべき輸入税をその行為者から徴収することができる。」こういう定めになっております。この規定に従いまして、日本では日本の法令に従って、このようなことが起こった場合に適当な処罰を行なうということでございます。
○石野委員 この条約をわれわれ結びますが、わが国の船員用の外国におけるところの厚生用の施設及びわが国にある外国の厚生用の施設というようなもの、これはいますぐわからなければあとで表でもよろしいのですが、おおよそのところをひとつ説明していただきたいと思います。
○山本説明員 わが国の外国における船員の厚生施設といたしましては、数にいたしまして現在六つございます。一つは、カルカッタに財団法人日本海外船員厚生協会というのが運営いたしております。それからシンガポールにもございます。これも同じ財団法人です。それからラスパルマスに船員保険会という団体がございまして、運営いたしております。それからサモアに日本海員液済会がございます。これは診療所を経営いたしております。それから、これは日本の機関ではございませんが、ラスパルマスにスペインの機関で、日本船員のための厚生施設が運営されております。それからもう一カ所、それはロンドンでございます。これも日本の機関ではございません、英国の団体でございますけれども、日本船員のために施設をつくって提供しております。こういうのがございます。以上六カ所でございます。 それから、日本における外国のこういった施設の概要でございますが、これも六カ所ございます。場所は横浜と神戸に集中いたしております。アメリカが横浜に一カ所持っております。それからイギリスの機関、これは国ではございませんで、公益団体でございますが、横浜と神戸にございます。それからノルウェーが横浜と神戸に各一カ所持っております。デンマークが神戸に一カ所持っております。これはみな公益法人的な団体でございます。
○石野委員 終わります。
○秋田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○秋田委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申出もありませんので、直ちに採決いたします。 航空業務に関する日本国政府とレバノン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とセイロン政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、船員の厚生用物品に関する通関条約の締結について承認を求めるの件及びアジア−オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件、以上五件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、五件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました名件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○秋田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 外務大臣に、国際情勢の前に一つ言っておきたいのですが、沖繩で、沖繩の港の放射能問題が、ちょうど佐世保の問題と関連していろいろ問題になりまして、あそこの海水を日本に持ってきてそれを分析しようとしたことについて、アメリカの側からそれを差しとめられたというような情勢があります。これはどうもわれわれにとって不可解でありますし、またかりにどういう事情がありましても、そういう問題を日本の側で、とにかく日本人が心配して調査しようとすることは当然のことだと思いますが、なぜこういうようなことが出たのか、また、それに対して外務省はこれをほうりっぱなしにしておくというのもちょっと解せないのですが、その間の事情をひとつ外務大臣から説明していただきたいと思います。
○三木国務大臣 われわれも、沖繩でいま石野君の御指摘のようなことが起こっておるという情報がありましたので、これを詳細に実情を調査したいと思って、いま沖繩に照会をいたしておるわけでございます。多少その間の行き違いもあったようでありますから、この事情々詳細にわれわれ自身が知りまして、それによって外務省も必要があれば適宜の処置をとりたいと考えております。
○石野委員 私はこまかいことはわかりませんけれども、とにかく沖繩における海水を日本に持ってきて分析するということは、アメリカにとってもちっとも拒否される理由はないように思いますし、それができないというようなことは、どうもやはり解せない。ですから、かりにその海水の中に放射能があるにせよないにしろ、それをわれわれの側で納得のいくように検査するということは大事なことだ、こう思うのです。すでにそういう問題があったということに対して、外務省が全然それをほうりっぱなしにしておくということもよくないと思いますので、これは大臣よそごとのようにしないで、自分たちのことですから、むしろやはり日本の科学技術庁が、これはもちろん施政権は向こうにありますけれども、領土はやはり日本の領土に間違いないはずですから、ここのものをとってきて分析するということは一向に差しつかえない、こう思うわけです。そういうことは、やはりむしろ政府自身がやられたほうがいいんじゃないだろうか、そのことのほうがまた日本人に安心感を与えるのじゃないだろうか、こういうふうに思うので、そういう処置を科学技術庁との間に連絡をとって、ひとつ政府としてやるべきじゃないか、こういうように思いますが、その点、大臣はどういうふうにお考えですか。
○三木国務大臣 これはほうっておいたわけじゃないので、外務省は、この事件が起こってから直ちに、現地の高瀬大使に、事情を直ちに調べて、琉球政府、アメリカの民政府ともこの問題について話し合って、そして日本が協力できる点があったならば協力する用意があるから、こちらのほうに言ってくるようにということを言ってあるわけでございます。これは向こうの現地で解決できれば、何もこっちのほうが行って調べなくてもいいわけでありますので、現地の解決ができることが一番好ましい、こう思っておるわけでございます。それによって日本もできるだけの協力を惜しまない考えでございます。
○石野委員 佐世保の放射能問題についてのその後の状況はどういうふうになっておりますか。
○三木国務大臣 いま科学技術庁で専門家が中心になって、そして放射能がある時点において増加したという原因を究明するために努力をしておるわけでございます。アメリカからも専門家がやってきて、これに対して協力をするということで協力を得ておるのであります。まだデータが不十分なので、そういうデータを十分にそろえて、日米の専門家でもう一ぺん話をしてみようというような段階でございます。だから、できる限りこういう機会にこの原因を究明して、将来放射能からくる国民の不安を解消する一つの機会たらしめたいと考えておるものでございます。
○石野委員 佐世保問題にしましても、沖繩の問題にしても、現実に事故を発見したり、あるいは疑いを持ったときに、すぐそれをわれわれは手にとって分析し研究するということを怠りますと、問題の解決は全然できないということだと思います。したがって、いまアメリカとの間にいろいろな連絡をとりながら調査をしておることはよくわかりますが、今後の態勢としましては、その時点その時点で事実を事実として掌握する、それに対する対策を立てる、こういうことは、いま放射能についてだけでなく、原子力全体の平和利用の問題では大事なことだ、こう思うのです。ことにアメリカとの関係では、われわれが考えておることでも、いろいろ条約上の考えとか外交上のたてまえで、やろうとしてもできないことが多いようである。これを乗り越えていきませんと、ほんとうの日本人が考えている原子力の平和利用、それから放射能障害に対する防衛とかいうことができなくなってくる、こう思います。私は、やはりこの問題は一にかかって外務省の対米交渉にあると思いますので、この際、放射能に関しては、まあわれわれの側から見ると、やはり外務省の手の打ち方というのは後手後手になっているように思いますし、それからまた、かりに必要性がある場合でも何かしらんアメリカに遠慮しておるような気がしてならない。これではほんとうに放射能から日本の国民の安全が確保できないということにもなってくるので、この際、ひとつこれは外務大臣に要望しておきますが、ぜひそういう点できびしい態度と、時期を失しない対米折衝というものをしてもらいたいし、それから遠慮しない、自主性のある交渉をやってもらいたいということだけを私はこの際お願いしておきたいと思う。大臣、その点についての明確な所言だけ聞かしておいてもらいたい。
○三木国務大臣 私は、やはり今後放射能の観測体制というものを強化したらいい。いろいろ佐世保のああいう事件があっても、そういう観測する十分な体制ができて、そういう場合に、国民に対しても適切にその間の事情を説明できるような体制を持つことが必要である、こういうふうに考えます。 それから、対米折衝で遠慮しておると言うけれども、私はよくわからぬのですが、放射能で人体に被害があるというのに何の遠慮が要るでしょうか。日本人が放射能で人体に被害を受けるというのに、外交交渉で遠慮せんならぬ義理は一つもない。したがって何も遠慮はしておりません。またアメリカ自身としても、日本の港にだけ入るわけでないので、自分の港にも入っているので、原子力から放射能を出して人体に損害を与えるということになれば、アメリカ自身だってこれはやはり国民が非常に不安に思うことは明らかなので、放射能の被害から人体を守ることは日米共通の関心事でなければならぬわけですから、何もこっちのほうが遠慮する必要はないし、アメリカも放射能が出るのにそれを隠すなどという必要はないわけですから、石野さんの御心配は少しオーバーじゃないでしょうか。そういうように私は考えます。
○石野委員 大臣は私の言い方が心配がオーバーだ、こういうことですが、それは決してそうじゃないのです。大臣にいま言うような所信がほんとうにおありであるなら、先ほど申したように、沖繩などで、沖繩の住民が、アメリカの原子力潜水艦なり原子力商船あるいはまた航空母艦が出入りする港について、佐世保に起きたような事件がないだろうかということの懸念を持ち、日本にそういう海水を持ってこようとする場合に、それに対してアメリカの側から差しとめがあった、こういうような状態のときには、むしろこちらが進んでそういうようなことを排除して、こちらから行ってでも海水をとってきて、そうして安全なんだということの証明をしてやることのほうが、日米の友好のためにもいいはずなのです。ところが、向こうで持ってこようとしたやつが、新聞の報道などによるというと、アメリカ側からその必要なしということで押えられてしまった。こういうことはどうもわれわれとして解せないし、こういうことに対して、いま施政権は向こうにあるからおれは知ったことじゃないのだというような外務省の態度であるとするならば、やはり私が心配するように外務省の態度は弱いのじゃないか、こういうようになるわけなので、決してオーバーな憶測を交えたことを言っているのじゃないのです。私どもが入っているニュースあるいは情報を土台にして、日本の外交がどうもアメリカに対して腰が弱い、こういうことを心配するのですから、そういうことを心配させないように外務省にやってもらうほうがいいのですね。オーバーではちっともありませんよ。
○三木国務大臣 私がオーバーだと言ったのは、アメリカの放射能の問題で遠慮しておると言うけれども、遠慮は要りはせぬじゃないですか、これは日本人の人体が被害を受けるのに何の遠慮があるか、それは遠慮しているというようなことは石野君の独断である、これはオーバーである、こういうのでございます。そういう遠慮はしません。沖繩の問題は、話を聞いたときに直ちに現地に指示して、いま言った高瀬大使に指示して、事情を究明しろ、必要ならば日本が調査してもいい、海水なんかのね、そういうことまで言ったのでありますから、何もそんなに遠慮してこっちが日本政府としてのこの問題に対する関心を直ちに示さなかったというのでないのですよ。実際問題として、その話を聞いたので、直ちに日本政府としては非常に深い関心を持っておることを現地に申し伝えたのでございます。
○石野委員 けっこうです。大臣が遠慮も何もしないでやってくれれば非常にけっこうです。 そこで、一つだけお尋ねいたしますが、いま沖繩におけるところの海水を採取して分析する必要性を地域の住民は一応感じたし、われわれもそういうふうに考えておりますけれども、外務省はいまそういう必要はないとお考えになっておりますか。
○三木国務大臣 私は、この問題は現地で解決できれば一番好ましいと思いますよ。琉球政府も、機械の設備は十分でないのですけれども、放射能を測定する機械を多少持っているので、測定した結果は、異常な放射能は何もなかったということでありましたけれども、もっと高度な機械をもってはかる必要があるわけでしょう。そういう点で、必要があれば日本政府が協力してもいいのですが、現地で何も話がつかないで、日本がいきなり行くということも、やり方としては適当だと思いませんので、今後琉球政府あるいは民政府とも相談の結果、要は、沖繩の人たちに不安を与えない、放射能の被害というものに対しての科学的な調査が行なわれるということが根本の問題ですから、そういう角度から、われわれとして協力のできる点は協力したいと考えております。
○石野委員 大臣の意図はよくわかりますが、われわれ見ておりますと、やはり向こうはアメリカの施政権がまだありますし、やはり琉球政府は、政府としてありましても、アメリカの施政権下にあるだけに、ものを申すことも、十分対等ではなかなかものが言えないというふうに見受けられます。そういうことのために、在住している沖繩島民は、占領下にあるのと同じような非常な苦しみを受けているわけであります。 この放射能問題については、われわれが佐世保問題を非常に心配するのと同じように、沖繩島民もまた心配していることだろうと思います。そこで、必要があればということを大臣が言われましたが、われわれから見ると、これは一応調査して、しかも、アメリカ側の資料に信頼することはもちろんけっこうですけれども、どうも従来から見ると、われわれはアメリカが十分な資料を出してくれているとは思われませんし、それからわれわれの不安を解消するだけの、内容的に安全なものだともわれわれはまだ完全に思っていない。だから、沖繩においての調査はやはり琉球政府が不十分な形で調査するのにまかしておかないで、むしろ本土である日本の側から、積極的に住民が安心感を得られるような体制への協力方を進んでやる、こういうことのほうがよろしいんじゃないか。今日では施政権が向こうにあるのでどうにもならぬということが一つあります。われわれがいろいろなことをやろうとしてもできないという条件が一つあります。しかし、放射能問題については、第二次世界戦争で無条件降伏をしなければならなくなった一つの理由でもあるわけですね。原爆を通じて出てきた破壊作用、それからその後に起きている障害問題が、そういうふうに無条件降伏をしなければならないような理由になったわけであります。今日、原子力の開発の問題で何よりもわれわれが考えなければならぬのが、平和利用であり、放射能の障害からわれわれを守るということだ、こう思います。したがって、沖繩におけるこの問題については、むしろ、本国政府としては、沖繩の事情を勘案する中で積極的にこれに協力していく。こちらのほうがいろいろなことを知恵づけをして、われわれが受けておった従来の経験を土台にしてこれに対する協力をし、解明を加えていく。それが沖繩島民の安心感であると同時に、われわれ自身の安心感もそこから得られるような体制づくりをすることが、むしろ外務省としてのアメリカに対する積極的な態度であろうし、また、日本の外交を自主的にやる一つの方向だろうと思うわけです。大臣は、ここまできている段階で、必要があるならばというような消極的な立場をとることは、あまり芳しいとは私は思わないのです。これは外務省自身がやるわけではないでしょうけれども、むしろこの段階では科学技術庁などに当然協力させなければいけませんが、外務省としてはそういう態度をとるべきじゃないかということをここで聞いているわけですから、その点を大臣からはっきり聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 これは単に新聞に出たということだけで、外務省がその新聞の記事に反応して動くということは、いい場合もあるし、必ずしも適当でない場合もあるので、あれは放射能の合同調査をやることになっておったのをやめたのはどういうことでやめたのか、そして今後これに対してどう対処していこうとしておるのか、実情を調査して、必要があったならば日本政府として協力することを惜しまないというのでありますから、われわれとしては、そういう一つの態度というものは、遠慮とも、沖繩の人たちに不親切だとも思わないのです。それだけのやり方をやれば当然だと思います。
○石野委員 必要があればというところで、大臣はそこで問題を一つピリオドを打とうとしているわけです。それについて、私が大臣にひとつはっきりしてほしいというのはそこにあるわけです。それは必要があればということのとらえ方なんですね。沖繩の島民が必要があればということであれば、これは向こうから問題が提起されなければどうにもならないけれども、日本人として、この問題について懸念を持っている、疑義を持っている。たまたま沖繩の島民も疑義を持っているということは、日本人という立場で一致しているわけです。ところが、向こうは施政権下にあるという事情のもとに、問題の提起があるところで遮断されてしまった。これは本土の政府がめんどうを見てやるというのがやはり政治だろうと思うのです。そこにほんとうの自走外交の立場があるだろうし、それは別にアメリカとけんかせよとかなんとかいうことではないのですから、問題を解明するために必要だと思うので、これを言うわけです。したがって、必要があればという大臣の姿勢は、大臣がそういうことを言われるならば、それ以上私も聞きませんけれども、しかし、これはやはり大臣が必要があればというところにとまっているのを、もっと積極性を持ってもらいたい。アメリカに対して自主的な立場を持って今後やってもらいたい。これは社会党の石野というだけじゃなしに、日本人として、国民として、政府に対してそういう要望を持っているのだということを私は言っているつもりなんです。大臣としてはそれをどういうふうに受け取っているかわかりませんけれどもね。
○三木国務大臣 放射能というのは、アメリカもやはりあそこに軍隊もおることですし、原子力潜水艦が非常に異常な放射能を出して被害を受ければ、アメリカの軍人だって被害を受けるでしょうから、だから、アメリカ自身が、被害というものに対して、できるだけこれを隠していこうという、そんな感じはあろうはずはないので、したがって、放射能の測定というものに対しては、アメリカの現地の人たち自身もまた神経過敏であるはずですよね。当然ですよ。自分たちも被害を受けるわけですからね。だから、現地のほうでそういうふうな測定ができれば、日本まで送ってきて日本政府が測定しないでも、そのほうがいいと私は思うのですよ。それが何らかの事情でできないというならば、日本の政府は協力することを惜しまないと言っているのですから、何でもかんでも日本へ海水など持ってきて日本で調査しなければ対米外交自主的でないというのは、少し論理の飛躍じゃないでしょうか。
○石野委員 これはもちろん、三木さんと私との立場の違いも、考え方の違いもあると思うのですがね。私どもは、別にイデオロギー的にどうこうと言うのではないのですよ。今度の佐世保の事件を見ておっても、大体一般的な国民的な感覚からしまして、アメリカの側は、これが安全だということをできる限り納得させる方向へいろいろな運び方というものをしていくように見受けられます。われわれは別に安全なものを不安だとは言いたくないのです。そして、ことに私などは、原子力の開発の問題については、だれよりも進んでこれをやらなければならぬという主張をしている一人ですから、これはもうできる限り原子力の安全性というものを認知させるということが大事だ、こう思うので、その立場から言うわけです。しかし、従来からずっと見てきますと、日米安保条約を中心とする日本とアメリカとの関係は、対等だとは言いながらも、いろんな面でやはり日本のほうに卑屈な面があるようにわれわれは見てきた。これは独断だ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、われわれはそう見てきた。そこで、佐世保の問題が起きた場合でも、たとえば原子力潜水盤の場合はある程度航空母艦と違うので、第一次冷却水はやはり二トンくらいのものはどうしても出さなければならぬということまでははっきりしているわけです。その二トンくらいのものが佐世保湾の中で拡散してしまっていれば、ある時点で海水をとった場合、その中には第一次冷却水の拡散した部分が全然入ってない場合があります。そこを幾ら調べたって物質が出てこないのは当然なんです。その物質の流れているところをとれば、これは当然出てくるわけです。問題は、こういうふうに拡散したことがいいんだということじゃないのです。これが放射能を累積していく。これがあぶないからというので、特に海洋学者などが心配しているわけなんですし、またそれが累積し、やがて海草類とか海産物に影響するとかなんとかになりますと困る、こういうふうにわれわれは見てきている。特に放射能の問題で大事なのは、海水に拡散したからそれでもう海だけでいいんだというわけにいきません。やっぱり拡散したものは上にも出てきます。それはウィンズケールにおけるところのコールダーホール型の冷却水が流れたときに出た事故を見ればわかると思うのです。あの時点では、出たところの放射能を二週間か三週間で一応清掃できるだろう、こう見ておったところが、三カ月かかりました。三カ月かかって、その間相当広範囲にわたる、関東の半分くらいの地域の牧草を捨てなくてはならぬという事情があった。それはイギリスの実例ですね。わずかに小さな、流れた水の中から出ただけの放射能ですよ。そういうようなことをわれわれ考えますと、たび重なってくるところの停泊港、そこでそういう放出した第一次冷却水が累積していけば、半減期の長いものはたまってくるわけです。それが普遍化してきたときには、もう四日市ぜんそくのどうのこうのならないというものではなくなってくるわけです。それ以上の危害が人体にきますから、そういうような経験に基づいて、事前にそういう災害を防ぐという対策をとらなければいかぬ、こういうように考えている。そういう立場から沖繩の問題を言っているわけです。だから、沖繩の諸君がそういうことを言った場合に、本土の政府としては——これが本土に返還されれば一県ですよ。地方自治体になります。その一地方自治体の中で起きているところの問題が、われわれとしては非常に疑問が持てる、心配である、こういう立場で見るのが本土の親政府の立場でないかということを言うのです。ところが、外務大臣は、向こうからの要望があれば、必要があればという受け身の立場をとっている。積極的にこちらから能動的にいくか、受動的であるかという、この違いを私は言っているのであって、決して独断でも何でもない。この点はもう論議になりますから……。ただ、私は、三木さんの外交はそういうように非常に受け身の外交をやっているとしか見られません。それはそれでおきます。これはひとつもう少し積極的な外交を展開してもらうようにお願いしておきます。関連するなにがあるそうですから……。
○山田(久)委員 いま石野委員がいろいろ述べられた御心配は、非常に純真な、善意な動機から出ているものだとわれわれも思います。ただ、ちょっと外務大臣が触れられましたように、放射能の被害の予防と事故監視という問題は、第一、その原子力船を持っている国が自分の国民に対しては一番関心を持っていなければならないところなので、これらの国においては当然これの予防、監視については万全の措置をとっていると思う。したがって、それらの国において国民の被害防止というようなことからどういう措置を具体的にやっているかということを、もうすでにお調べになっておられるならそれを伺いたいし、ぜひそういう点を的確に把握されて、つまり、世界的な良識からいって、そういうことが相当完全に行なわれておると思うけれども、それがどういうふうになっておるか、それを踏んまえて、そして石野さんの心配になっているような点をわれわれの立場から考えるということにならないと、何かしらヒステリーみたいなことを言っていると思われたのでは、さだめし石野さんも不本意だろうと思うので、そういう点は外務大臣においてもぜひ善処されることを、ちょっと質問とともに希望を述べておきたいと思います。
○三木国務大臣 私も、けさも科学技術庁の人と会議をしたのですが、何かといったら、もう少し国民に対していろいろ解明を、山田君の言われたようなことも一つでしょうし、何か異常放射能が出たとか、いろいろな点で、国民から見れば、この用語というものはこなれてない。やはり国民にももっと十分な説明をこの機会にして、最後に——これはいま調査をしておるわけですから、調査の結論が出る場合には、そういうこともやはり解明してもらいたいということを言ったわけで、山田さんの御注意そのとおりだと思います。 また、石野さんの言われることもよくわかるのですが、沖繩の問題でも、石野さん、向こうから何も言ってきたのではないのです。こちらのほうから心配だから調べてみようと言ったので、向こうから言ってきてそれに反応を示したのではなくて、何にも言ってこないのに、こっちから調べてみよう、政府は協力する用意があるぞと言ったのですからね。そう受け身だ受け身だ、こういうふうに言うことは気に入らぬですね。
○帆足委員 関連。 いま両議員それぞれ党派を越えましての良心的な質問で、敬服しました。同じことですが、佐世保の調査につきまして、新聞は、軍事機密であること、それから立ち入り共同調査ができないこと、二つの難関があるために、とかく職業軍人というものは軍事戦略を第一義に考えるから、外務大臣がよほどしっかりしなければうやむやとなるであろうという記事が大きく出ておりました。私は、やはりそのことを心配いたしまして、先般お尋ねいたしましたら、外務大臣といたしましては、日本の原子力学者もそうそうたる方が参加されることであるから、絶対にうやむやにすることはいたしませんという心強い御答弁があったわけです。目下調査中でございますし、いまの立ち入り共同調査禁止、軍事機密という問題についてあいまいな点がありますから、いずれ次の外務委員会におきまして、さらに明確なお答えができますように、前回の御答弁をお忘れなくお願いしたいと思います。
○石野委員 外交の姿勢の問題について気に食わぬらしいですけれども、私はやはり三木さんのやり方に幾らか疑問を持っている。それはいろんな問題に出てきますけれども、たとえば、いまフィリピンで商社の営業停止の問題が一つ出ておる。そういうときに、今度はインドネシアのほうでは領事査証の手数料の問題が出ているわけですね。これらの問題は、実はわれわれが海外協力をやってきて、そして海外協力の中でも一番大きい額を出している国が——きょうの新聞を見ると、外務省はインドネシアに対して一億一千万ドルの経済援助をしよう、こういうことが出ているのです。こういうべらぼうに大きい経済協力をする姿勢を示しているところで、領事査証の手数料が取られたり、ほかとは比較にならない〇・四%の問題が出てくるとか、あるいはフィリピンにおけるところの商社の営業停止の問題なんか出ている。これなどやはり何か、その国々との関係も一つありますけれども、一つには、やはりアメリカの肩がわりをするような態勢で、特にインドネシアの問題なんかはアメリカから強く要望されているというようなことも聞いております。もちろん、日本の経済的な進出なりあるいは後進国に対する協力態勢もさることながら、そういうよその国からの要望を受けて、こちらの力もないのにやる。その上に、今度はまた姿勢が自主的でないということになりますと、いろんな障害が出てくると思います。フィリピンなんかの場合は、戦争のあと味の悪いものもまだ残っておるし、それから、かつて日本が東南アジアに進出した帝国主義的なものに対する憎しみというようなものも加わっておって、それらのものがいろいろと混濁する中でああいう問題が出てきたんだろうと思います。これは一にかかって経済外交におけるところのまずさがやはり出ておるのではないだろうか。もう一つ、こういう問題についての自主的な立場での指導がないと、あるときには非常にいいけれども、しかし、一たん向こうの側に若干の自覚が出てまいりますと、必ず問題を引き起こすだろう、こう思うので、そういう意味でも、私は、外交の姿勢というものは、もっと明確にやはり自主的な立場をとっていき、またそれの指導性を持っていかなければいかぬだろうというふうに考えるので、先ほどからの問題を言っておるわけです。これらの問題についても、あとでひとつ外務大臣からの答弁をいただきたいし、特に沖繩の問題については、政府は最近本土と沖繩一体化調査団というものを出そうとしておる、こういうふうに聞いておりますが、この問題について、沖繩経済調査団、こういう問題の提起の中で、特にこちらが予定しておりました基地周辺についての諸問題を論議の過程にあげようとしたら、向こう側から拒否されたというような報道があります。これなども、沖繩が返還される場合に、基地周辺の問題をわれわれが自主的に取り上げるという態勢がなかったら、何のために基地返還になるのかということについての意義がわからなくなります。これは、佐藤総理が沖繩問題について白紙論を依然として持っておることに関連性があります。やはりアメリカに対する外交の姿勢の自主性という問題を明確にしませんと、沖繩の返還の問題についてもはっきりした外交の姿勢を読み取ることができない、そういう意味で私は申し上げているので、いま申し上げたフィリピンの問題やインドネシアの問題と関連する中で、沖繩の諸問題についての御答弁をいただきたいと思います。
○三木国務大臣 石野さんの、アジアに対する経済協力というものは、アメリカの要請によってという、そういうものではないと私は思います。これは、日本がある意味においてもう少し国力があれば、やはり東南アジアの経済協力というものはもっと日本が力を入れなければならぬわけでありますので、このことをアメリカの要請によってやっておって、そのことが現地でいろいろ問題を起こすというふうに問題をとらえてはいないのであります。やはりこれは自主的にやっておることは間違いのないことです。アメリカが何も金を出してくれるわけでもないのですから、そういうことはないのですが、どうもやはりフィリピンの場合は、石野さんの御指摘のように、まだあと味の悪いものが残っておるようですね。だから、商社の活動でマニラ市長がやったということは、これはむろん政府としては違法であるということで取り消したのですけれども、ああいうことがどういういきさつで起こったのか、政府自体としては非常に迷惑なことだったのでしょうね、すぐに取り消したのですから。しかし、多少フィリピンにはいろいろな点でそういう感情的なものも確かにある。戦後の日本というものは、戦前の日本とは変わって、平和的な国家として、アジア諸国との間にも善隣友好の関係のもとで共存共栄をやっていこうとしておるのですから、この日本の意図というものが誤りなく伝わるような努力を今後われわれとしてもしなければいかぬ。 それから、インドネシアに対しては、一億一千万ドルというのは、これはむろん政府がきめたものでもございませんし、一億一千万ドルという数字は、石野さんが計算されてみましても、一体どこから出てくるか、容易ならぬ金額でございますから、それが政府の決定に基づいたものだという前提にお立ち願わないほうが正確を期する道だと考えます。
○石野委員 この報道はどこまで正しいかわかりませんけれども、新聞などによると、政府は意向を固めたと、こう書いてあるのですね。一億一千万ドルというのは、これは今日の段階ではたいへんだろうと思うのです。外貨事情等から見ましてもたいへんだろうと思う。そこで、この点について聞いておると時間がありませんが、ただ、政府としては、いま政府の意向と——ちょっといま大臣の言っておることがわからなかったのですが、政府としてはこういうことを考えていないのかどうか。考えているけれども、方法をどういうふうにしようとしておるのか。その点だけちょっと聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 これは一ぺんに基金から一億一千万ドルの援助を出そうということはできません。基金はそんな資金がないのです。しかし、これを何年かにまたがってプロジェクトなどによって援助していくということで、そういうものを計算してみれば、いろいろな数字が出てくるでしょう。しかし、いま海外経済協力基金を使ってインドネシアに対する一億一千万ドルの援助は可能でない、基金の事情から。そういうことであります。
○石野委員 まだお聞きしたいことがありますが、時間がありませんから、あとアジアの諸情勢について聞いておきたいのですが、アメリカのハンフリー副大統領が、プエブロの問題について、パリにおける和平会談にこの問題を持ち出すべきだということを言っておる、こういう演説をしたと報道されておりますが、こういう問題について外務省はどういうふうにお考えになりますか。
○三木国務大臣 まあ、パリでプエブロの問題を持ち出すということは、私は適当でないと思います。
○石野委員 外務省は、去る十三日でございましたか、香港の領事館でアジア地域の中国問題担当官会議を開いたそうですが、その中で、中国問題について相当論議をされておるようです。また、二十八日からアジア・太平洋地域大使会議を持たれますが、主としてこの中で問題になるのは、私は、ベトナム和平後におけるアジアの情勢、特に中国問題であろう、こら思います。この問題について、外務大臣は、和平後における中国問題、もちろんベトナム和平はどういう経緯で、どういうふうにいくのかという一つの想定がありますから、これは非常にむずかしいと思いますけれども、しかし、今日の情勢からいうと、日本の外交問題の課題として、中国問題はきわめて重要になってきておると思います。 〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕 また、これはもう人ごとではない。われわれ自身が政治の面からも、経済の面からも、これを真剣に見詰めなくちゃならぬ、こう思いますが、こういう点について、香港の領事館における会議、それから二十八日から行なわれようとする大使会議について、大臣はどういうふうにリードしようとしておられるか、この際、大臣の所見をひとつ聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 ベトナム問題が、パリ会議でいろいろな紆余曲折はあるでしょうけれども、やはり和平へ向かって大きく動いておることは事実でしょう。しかし、まだまだどういう形でベトナム戦争というものが収拾されるかということは明らかになりませんから、ベトナム戦後というものを考える場合に、これは収拾のしかたというものは影響してくると思います。しかし、とにかく戦争から和平へと、大きなアジアの流れが変化をしてきておるのですから、これに対して日本外交の果たすべき役割り、またすべきこと、してはならぬこと、いろいろあると思います。だから、これをただベトナムとか中国とかいうのではなくして、アジア・太平洋という広さで、日本の外交のこれからのあり方というものを検討してみたいというのがアジア・太平洋大使会議でございます。また、その中に、御指摘になりましたように、中国問題というものはきわめて重要であることは当然でございます。こういう中国問題等についても、その会議において十分な検討を加えたいと考えております。
○石野委員 アジアの問題で、従来は、中国問題はむしろ台湾との関係があるので、日本の政府はほとんど無関心といいますか、関心はあったのでしょうけれども、無交渉できたわけです。しかし、これからはそういう立場はとれないということだけははっきりしていると思います。問題は、中国におけるところの現在の実情というものをどのように把握するかによって外交の政策は変わってくると思うのです。したがって、私は、中国を正しく理解する、ここからやはり外交は始まらなければいけないのではないかと思います。そういう意味で、この中国の政情が今日まだ流動的、不安定な状態を続けるだろうという、こういう見方を政府はしておるのかどうか、この点、外務大臣はどういうふうに中国を見ておられるか、所見を聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 まだいろいろ流動しておる面は、これは否定できないと思います。最近にも、いろいろ中国の政府自体の新聞紙等によって発表されるいろいろなことは、流動性を裏づけるようなこともあります。しかし、全体として、私は、文化大革命は収拾の段階に向かいつつある、しかし、それがきちんとおさまったのではなくして、まだまだ流動しておる、流動性を帯びてはおるけれども、方向としては大きく収拾の段階に向かいつつある、こういうふうに見ておるものでございます。
○石野委員 いろいろな見方がありますから、政府がそういう見方をしていることは、一応わかりました。ただ問題は、憶測であっては外交はできませんから、現実にやはり中国の実情を政府みずからが知ることが大事であると私は思うのです。今日国交はありませんし、外交交渉の場というものもないということは事実でありますけれども、仄聞すると、第三国で日中大使の懇談なり領事の話し合いというものが行なわれているようにも聞いているし、あるいはそうでないのかもしれませんが、政府としては、やはりアメリカが長い間中国との間に大使会談をやっておりますね、それと同じように、中国との間の接触をどこかでとって、中国の実情というものを政府みずからが自分のはだで理解することが、いまの段階では非常に大事なのではないだろうか、こういうふうに私は思うのです。こういう点について一つ方法を考えませんと、やはりこの時点ではアジア情勢に対処することもできないし、ベトナムの和平後における対策も考えられないと思います。政府は、そういう問題について何らかの用意を持っておられるかということが一つ。 それからいま一つは経済の問題ですが、日本と中国との貿易関係というものをやはり積極的に進めていくことが大事だと思うのです。政府間の貿易はありませんけれども、しかし、覚書貿易なんかもあるし、友好貿易はもっと広い範囲で広がっていっているわけですから、こういう経済的な側面での問題をもう少し積極的に広げていく、交流を広げるということをしなければならぬだろう。これは当然やはり人的交流にもかかってくる。それからなお問題は、先ほどもレバノンとの航空協定の問題がありましたが、やはり北京と東京の航空の乗り入れの問題なども、ちょうどソ連とやっておるとの同じように、近々やることを考えることがどうしても必要なのじゃないだろうか。アジアにおける情勢を見ても、そのことをやるべき段階に来ていると私は思いますけれども、そういう点について大臣はどういうふうにお考えになるか、ひとつこの際所信を聞かしてもらいたい。
○三木国務大臣 国交未回復の国としては、日本は中国との間に接触を持っておる国だと思います。これだけやはり接触を持っておる国はそうないという感じです。新聞記者も交換されておるし、石野さんのような社会党の方ばかりでなしに、自民党の代議士もやはり北京へ参りまして、首脳部と話をしてくる。これは、これだけの接触面を持っているというのは、国交を回復していない国では、私は日本以外にはないような気がする。しかし、これで十分だとは思っておりません。将来やはり接触を強化していくということは必要でございますから、われわれとしても、どういう形で接触を深めていくかということは、今後十分検討してまいりたい。ここでこうする、ああするというお答えのまだ段階には至っておりませんが、どういうふうにして接触を強化していくかということは、十分検討に値する問題であると考えております。 それからまた、貿易とか人事とかいう面においては、これは政府としてこの問題の接触は今後とも続けていこう、ことに日中貿易はこれを拡大していこうという方針でありますから、そういう大きな方針については、石野さんとの間にそんなに違いはないと考えております。
○石野委員 もうこれでおきますけれども、問題は、私と大臣との間に考え方の違いが中国問題についてないというならば、非常にうれしいことなんです。 〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、実際にはやはりなかなかそうばかりもいかないと思います。ことに、先ほどちょっと質問しましたが、航空の問題で、やはり北京の乗り入れの問題は、どうしても考えねばならぬじゃないか、それをやっていい時期に来ている、こう思いますので、その点ひとつ大臣から答弁をいただきたい。 いま一つは、従来民間の側で接触点は確かに中国との間に多く持っておりますけれども、しかし、政府が国交回復のない時点で、ちょうどアメリカと中国との間の接触を大使間でやっているような、ああいうような形ででも、どこかで何かの形でそういうような接触点を持たないと、政府みずからが自分のはだで中国を理解することはできない。だから、プロレタリア文化大革命というものは、見方によってあれはけしからぬという見方もあるけれども、現実にあれで中国がまとまっていき、私どもの見方では、ことしの十月ごろになると、やはり国慶節の段階で大体終息する、向こうのことばで言えば、全面的な勝利の中で一つの成果が出てくると思うのです。ですから、好むと好まざるとにかかわらず、そういう事態が出てくる段階では、われわれはその国の思想とか何かともかくも接触点を持とうとすれば、そういう政権との間にやはり話し合いをせねばならぬのですから、その実態を知る方法だけはひとつ政府みずからが考えるべきではないかということを私はお聞きしているので、この二つの点についてひとつ。
○三木国務大臣 日中間の接触は、いまのままでいいとは思っておりません。これはやはり強化していくべきだと思いますが、どういう方法で接触を強化していくかということは、今後検討をしてみたい。この席でああする、こうするということを申し上げるまだ段階には達していない。 それから航空協定は、これは一つの政府間協定になりますから、国交を回復していない国との間の航空協定というものは、非常に困難がございますので、まだ現実の課題として航空協定は政府は考えておりません。
○秋田委員長 伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 安保条約について伺います。 一九七〇年を二年前にしまして、いま国民は安保条約、日本の安保体制に大きな関心を寄せております。確かに一九七〇年の六月二十二日付をもって現在の安保条約の期限が来るわけでありますが、しばしば佐藤総理は、安保条約は日本の平和と安全のために大きく寄与した、また今後は長期に堅持したい、このように答弁されております。そこで、私は、外務大臣に、二年前でございますけれども、この条約に対して、また安保体制について、どのような見通しと見解をお持ちになっておるか、まず伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 今日の世界の安全保障というものは、集団安全保障体制のもとにある、こう私は思います。したがって、日本もまた、そういう意味において、日米安保条約というものを、日本の安全を確保していく上において、自民党政府は正当な評価をいたし、これを今後も存続をしていこうという考えでございます。もちろんこれが永久のものだとは思いません。国際連合などによって安全保障に対する有効な処置ができますならば、それはやはりこれにかわるものとして考えられましょうが、現在国際連合にはそういう有効な安全保障の機構ができてもおりませんし、したがって、日米安保条約というものは、今後もこれを存続していこうというのが自民党内閣の基本方針でございます。
○伊藤(惣)委員 総理が長期堅持と言われた。大臣も長期に存続していかねばならぬ。その方法でございますが、自動延長、またはさらに十年間にわたる長期固定化ということが考えられるわけです。どちらの方法になるのか。さらに現在の条約を検討してまいりますと、非常に大きな問題があります。われわれは、安保条約こそ不平等条約である、点検してまいりますと、そのようにも考えるわけですが、大臣としては、その二つの方法、さらにまたそれ以外の考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
○三木国務大臣 いま自民党としても安保調査会という機構を持って検討しておるようでございます。自民党のコンセンサスもだんだんできていくと思っておりますが、まだ一九七〇年というのは時期もありますから、最終的に政府が方針をきめるというそこまでは行ってないわけですが、新聞紙上を伊藤さんごらんになっても、だんだん自民党の考え方が固まりつつあるというようなことは言えるのかもしれません。しかし、最終的にはまだきめていないわけでございます。 また、安保条約というものを伊藤さんは非常に不平等条約であると、こう言われましたが、安保条約というのは一から十までいいものづくめだとは私は思わない。それはマイナスの面もあります。しかし、日本の安全確保の上においてこれが役立っておるかどうかという正当な評価をこれにつけるならば、安保条約というものは、日本の安全保障に対して大きな役割りを果たしておる。こういう点で、われわれはこれを存続していきたいと考えておるわけであります。アメリカからすれば、こんな不平等な条約はない、日本だけを守って、自分を守るために日本は助けに来てくれない、こういう不平等な条約はないといって、これは完全に日米間で意見が違う。日本では不平等、不平等と言うが、向こうは、やはり不平等といってもアメリカが非常に不利な不平等だということが、国会なんかでもしょっちゅう繰り返されておるわけです。だから、その不平等というのも、いろいろ見方はありましょうけれども、日本は日本の安全確保のためにこの条約はやはり必要である、存続していきたい。そしてまた、そのためには、事前協議等の条項などもございますし、このことによって日本国兄の意思に反して安保条約というものが実施されるようなことのないように、われわれとしてはそういうことだけは安保条約の中に貫いていかねばならぬ、こう考えております。
○伊藤(惣)委員 いまお話がありましたが、確かに自民党においては安保調査会において検討しておるようであります。二つの支持する意見がある、こういうふうにも聞いております。それについて、政府は安保条約についてそういったことを検討しているのかどうかということであります。また、してなければ、いつから検討していくのかということであります。やはり国民にとっては非常に大きな問題または不平等であるという項目もたくさんございます。そういったことを考えてまいりますと、たとえ政府自民党の立場に立って考えてみたとしても、条約を手をつけずにそのまま延長するということについては、いろんな問題があるのではないかと思うわけです。その点について伺いたいと思います。
○三木国務大臣 いつまでといえば、一九七〇年の六月までいまの条約でそのままいくわけですから、それまでということですが、やっぱりこういう問題は、政府の態度を明らかにして、国民の批判といいますか、この政府の考え方に対して国民の声もいろいろ出てくるような形がいい。重要な安全保障の問題でありますから、したがって、実際は七〇年の六月ですけれども、その前に、いつだということは言えませんけれども、国民が政府の安全保障政策に対して批判を加えるだけの期間を置いたほうがいいという意見でございます。
○伊藤(惣)委員 七〇年の六月までに検討してやるということでございますか。
○三木国務大臣 七〇年の六月までに検討すればいいのですが、六月になってきてということもあんまりせっぱ詰まっておるから、少し時間を賢いて前広く政府の態度を明らかにして、この政府の態度に対して国民のいろんな批判あるいは論議、国民の意見というものを聞く機会を持ったほうがいい。だから、一九七〇年六月までぎりぎりまで持っていかないで、もう少し前に政府の態度を明らかにするほうが好ましい、こういう意見でございます。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、確かに国民が心配するわけですから、いつごろまで態度を決定するのかということなのです。六月では確かにおそ過ぎる。そのとおりだと思うのです。安保条約については政府はこのような見解でいきたい、こういう結論を出す日でございますね、おおよそのめどを伺いたいと思います。
○三木国務大臣 ちょっといつということはなかなかむずかしくて、伊藤さんも、まあ国民がいろいろ言うのにはどのくらい期間が要るかなということで、いろいろ常識的にお考え願うよりほかにないので、これは自民党でも安保調査会もあるし、政府のほうもあるし、いまここでいつまでにきめるということを言うことは少し刺激的でしょうね。もう少し時期がたてばいつだということを明らかにすることも可能だと思いますが、この際ではちょっと適当でないと思います。
○帆足委員 関連質問ですが、ただいまの国民の声を聞くという意味は、ちょっと確かめておきますが、安保の手続は、内容が変われば批准ということが起こりますが、内容が変わらずに自動的に一年延長ということになれば、国会の承認は要らないのですか。手続上の問題と、それから国民の声を聞くというのは、この外務委員会その他で大いに政府の見解を発表して論議する機会を与えるという意味ですか、それとも総選挙のような手段によって国民の声を聞くという意味ですか、してお尋ねしたいと思います。
○三木国務大臣 私が言っておるのは、この外務委員会と——か解散権ということになってくると私は持っておりませんから、ここで申し上げるのは適当でないので、これはやはり外務委員会とか、あるいはまた政府が方針をきめれば、この外務委員会ばかりでなしに、いろんな言論機関も通じていろんな意見も出てくる、そういうことで、この安全保障の問題、これはきわめて重要な問題ですから、国民的論議の中でこの問題が論じられていいのではないかということで、私は解散を示唆したわけではございません。
○帆足委員 そのままの状況で、いわゆる一年きりの短期の交渉になりましたときは、法律上の手続は正式には要りませんか。政府の意思表示だけでいいのでしょうか。それとも外務委員会の論議のほかに決議とかそのほかのことが必要でしょうか。手続上のことを大臣及び専門家から伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 ずっと続いて存続するということならば——改正すれば別ですよ。改正をしなければ、存続するということなら、何ら手続は要らぬ、こう考えております。それはしかし、意思表示はすべきでしょうね。意思表示はすべきだけれども、手続は要らない。
○伊藤(惣)委員 過日の本会議において、佐藤総理は、これは原潜の入港問題で答弁したときでありますが、事前協議の拒否権、発議権について検討する、このように答弁なさったわけですが、総理から外務省に対して何らかの指示があったのではないかと思われるわけですが、その点について伺っておきたい。
○三木国務大臣 私は、どういうふうに総理が言われたか知りませんが、事前協議は拒否権を持っておるものであります。事前協議というものは本来拒否権を持っておる。それは何かといったら、日本国民の意思に反して、日本政府の意思に反してアメリカは行動しないという約束をしておるのですから、日本がノーと言う権利を持っておるので、事前協議全般に拒否権があり、これが私の考えでございます。
○伊藤(惣)委員 発議権についてはどうですか。
○三木国務大臣 これは、発議権は、事前協議をやってくれということを四条によって日本が言うことはできる。向こうは六条によって事前協議をやろうということを言うことはできる。こういうことで、それを発議権と申しますか、日本がやろうじゃないかということを発議権と言ったらものものしいですけれども、四条によって日本がひとつ事前協議をやろうじゃないかということを申し出ることは可能であります。四条は日本から、六条はアメリカから、しかし、その権利ということになれば、六条ということになるでしょうね。
○伊藤(惣)委員 その事前協議のことについてでありますが、日米間において拒否をする場合の、また事前協議の対象としての了解事項がございますね。そのことについて、了解事項というのではなくて、それを文書にかわすとか、またははっきりと何らかの形において、交換公文なりの形において取りきめをしていくというような考えはありますか。
○三木国務大臣 この事前協議というものは、国会の論議においても非常に論議が集中される題目の一つですから、事前協議条項というものは文書に書いた以上のものになっていますね。これはもう、一つの日米間の大きな既成事実としてでき上がっておりますから、この問題をいまさら文書に取りかわす必要はないと思いますよ。これは毎回の国会において繰り返し繰り返し言われて、このことは日米間の既成事実である、これを曲げることはできない、これくらいの既成事実になっておると思います。
○伊藤(惣)委員 一九七〇年を二年前にしているわけですが、米軍の基地が現在で約百四十六カ所あるといわれております。私は、このような多くの基地がはたして日本にどうしても必要な基地なのかどうかということに大きな疑問を持つわけであります。こういった米軍の基地については、戦後二十何年かたっても政府として全然検討がなされなかったように思います。そこで、これらの基地を政府があらためて総点検をする考えはないか。また、総点検して、その基地があるために日本の平和と安全を脅かすような、そういう基地であるならば、当然返還要求すべきではないかと思いますが、大臣の見解を聞きたい。
○三木国務大臣 いままでもずいぶん基地は整理されてきたわけであります。やはり基地はできるだけ整理されることが好ましいとわれわれも考えます。したがって、合同委員会においてこの問題はやはり絶えずわれわれは持ち出して、基地はできるだけ整理されていく方向であることは好ましい。いままででも、いろんな特定の場所なんかでもしょっちゅう合同委員会に出ておることは御承知のとおりです。また、安保条約では、日本は施設及び区域を提供するといっておるわけでありますから、その提供が伊藤さんの言われるように日本の平和を脅かしておる、それはちょっとわれわれと見解が違います。しかし、基地はだんだんと整理されていくことが適当である、こういう考え方はわれわれもそのように考えております。
○伊藤(惣)委員 総点検しようじゃないか、こういうふうに日米合同委員会において大臣から提案されれば、そのような方向になるのじゃないかと思うのです。国民はいま基地のことについては非常に大きな問題として考えておるわけです。そういう考えがあるかないか、その点について伺いたいと思います。
○三木国務大臣 総点検ということばがあまり聞きなれぬのですけれども、一ぺんみな見直してみようではないかということは必要だと思います。やはり絶えずそういふうに基地を見直してみるということは必要だと思います。
○伊藤(惣)委員 最後に、もう一つ伺っておきたいのですが、自民党では集団安全保障体制、また政府としてもそのように考えているわけでありますけれども、私たちは、その集団安全保障体制という行き方は、必ずしも日本の将来にとってこのような体制がいいか悪いか、これはなかなかむずかしい問題でありますが、絶対にこのほうがいいという見解を政府は持っておるわけであります。その点についての選択した理由ですね。私は、この問題は、たとえばアメリカを敵に回す、これも日本の平和と安全にとってもちろんマイナスだと思うのです。しかし、周辺国を刺激するような、さらに現在の対決の時代において片方に寄った集団安全保障体制については、大きな疑問を持つわけです。その点について、今後も持続し選択していく理由について、政府側からの見解をはっきりと伺っておきたいと思うのです。
○三木国務大臣 いま、非同盟ですね、集団安全保障に入らないで、どことも同盟を結ばない、中立を維持していこうという国々もありますね。しかし、世界の大勢としては、やはり集団安全保障条約の体制の中にあるわけですね。典型的なものは、NATOがあり、ワルシャワ条約というものがある。現在の世界の安全確保の面からいうと、集団安全保障体制のもとにありますよ。それは中立諸国はあるけれども、みなやはりそう大きな影響力を持った国でない国が多いし、また、そういう国々でも、非常に歴史的ないろいろないきさつもあってなっておる国もあるわけです。したがって、日本のような場合、非武装中立というような考え方もあるようですけれども、何かよその国が……。何もそういうことをやったことがないですからね、歴史の中で。そういうことをどうもわれわれとしては非常な不安感がある。したがって、いま世界の安全を確保するのには集団安全保障体制の時代である。今日の時代は集団安全保障の時代と言えると思う。その時代に即応した安全保障の体制をとることが、日本としてそのほうがやはり日本の安全確保のためには確実である、こういうことで、われわれは日米安保条約というものを今後も存続していこうとしておるのでございます。先ほど一九七〇年以降の、これを延長存続する場合は何らかの意志表示が必要だと申しましたが、それは国民に対してこういうふうに日本の政府は考えるということを黙ってものを言わぬわけにいかぬ。それは必要でしょうけれども、アメリカに対して何も言う必要はない、こういうことでございます。
○伊藤(惣)委員 それじゃ大臣、時間のようですから、これで質問を終わります。 ————◇—————
○秋田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、国際情勢に関する件のうち、海外移住問題について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○秋田委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。 本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○秋田委員長 この際、御報告いたします。 本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に児付してありますとおり十二件であります。 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる二十四日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、散会いたします。 午後零時十二分散会