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58回国会衆議院1968/04/26

外務委員会 第16号

発言数
104
登壇者
8
会派数
2
開催日
1968/04/26

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。三木外務大臣。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ただいま議題となりました南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  佐藤総理大臣とジョンソン大統領は、昨年十一月十四日及び十五日にワシントンで行なわれた会談において、小笠原群島等の南方諸島及びその他の諸島の地位について検討し、これらの諸島の日本国への早期復帰を達成するための具体的な取りきめに関して日米両国が直ちに協議に入ることに合意いたしました。よって、政府は、昨年十一月以降米側との間に協議を行ない、協定案作成の作業を進めました結果、これにつき最終的合意に達しましたので、本年四月五日に東京で、三木外務大臣と米側ジョンソン駐日大使との間で協定の署名が行なわれた次第であります。  この協定は、本文六カ条からなっており、そのおもな内容としては、米国が小笠原群島等に関して平和条約第三条に基づくすべての権利及び利益を日本国のために放棄し、日本国がこの協定発効の日からこれらの諸島の行政、立法及び司法上のすべての権力を行使する権能及び責任を引き受ける旨、小笠原群島等において米国が現に利用している設備及び用地は二つのロラン局施設を除きすべて日本国に引き渡されることとなる旨、日本国が米国の施政期間中に小笠原群島等において生じたことあるべき対米請求権を放棄するが、米国または現地の法令で認められる日本国民の請求権は放棄されない旨等を規定しております。なお、この協定の効力発生につきましては、日本国の国内手続に従って協定が承認された旨を米国政府に通知した日から三十日後とされております。  この協定は、日本国民の多年の念願であった小笠原群島等の復帰を実現するものであり、日米両国間の友好係関の一層の緊密化に資すものと考えられるのであります。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。なにとぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認賜わらんようお願いをいたします。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題とし、審査に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐々木義武君。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 私は、ただいま議題となりました原子力の平和利用に関する米国並びに英国との二つのガバメンタルアグリーメントに関しまして、若干の質問をいたしまして、早期にこの条約が批准されんことを希望しつつ質問に入りたいと思います。   〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕  まず、核エネルギーの平和利用の重要性に対して、わが国がどういうふうな体制になっているかという点でございますが、私の考えるところでは、特に最近になりまして、今年度の総理大臣の演説に対する各党の質問におきまして、この核エネルギーの問題が中心問題になっておるように記憶しております。その際、総理の主張はもちろんでありますが、それに対する各党の代表質問におきまして、社会党も民社党も、あるいは公明党におきましても、少なくとも核エネルギーの平和利用という点に関しては、非常な熱意を持って、積極的にこれを早く推進すべきだという御主張には変わりなかったように記憶しております。また、その後の新聞論調を見ましても、あるいはごく最近の四月二十二日でございますか、読売新聞の第一面を飾っておりましたアンケートの中で、日本の核エネルギーの平和利用に対する国民の全般的なアンケートの結果が載っておりましたが、たいへん私驚いたのには、積極的にこの問題に反対だというのはたった二%しかない。積極的に進むべきだというのが八四%で、自余はわからないといったようなことで、少なくともやっちゃ困るというのはほとんどないということ、言いかえれば、これこそはいま流行のナショナルコンセンサス、国民的な合意そのものじゃなかろうかというふうな感じを受けている次第でございます。こういう国民的な背景あるいは各党こぞっての支援下におきまして、政府は、総理の施政演説はもちろんございましたが、外務省並びに当面の責任者である原子力委員長といたされまして、どういうふうな考えで今度の条約案を出されましたのか、その点からまずお聞きしたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 お答えを申し上げます。  現在の原子力の平和利用の重点は、御承知のとおり発電にございます。さらにそのほかに、原子力の船を本年度から着工いたしていきたいと考えております。なお、そのほかに、原子力の利用といたしましては、アイソトープの利用がございます。その中で、最も現在急務とされておりますのは原子力の発電でございまして、現在動いておりますのは、東海の原電第一号、二十万キロワットでございますけれども、現在建設中のものがすでにもう五基でございますか、ございまして、さらにその後の建設計画がまた六、七基あるわけでございます。そのような状態の中におきまして、二、三年で大体百二、三十万キロワット、昭和五十年で大体六百万キロワット、昭和六十年におきますと大体三千万キロワット以上、四千万キロワット前後の原子力発電を行なうことになっておるわけでございます。  そのような意味におきまして、原子力の平和利用というものにつきましては、国として全力をあげてこれを行なうべきものと考え、また、その体制は一民間会社等ででき得ない問題でございますから、国の力あるいは民間の力、あるいはそれに伴ういろいろな新しい技術の開発には学者の方々のお力等も入れて、特に国の総力をあげてこれを行なう、ナショナルプロジェクトとしての開発に進む、また、これをしなければならないという強い決意を持っておる次第でございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 政府がビッグサイエンスの一番の尤たるものとして、発電、船舶あるいはアイソトープの利用等で非常に積極的にお進みになっておることはよくわかりました。その反面、その基礎になるイデオロギー的なと言ってはあるいは適当でないかもしれませんが、進める態度として、いわゆる原子力基本法、これは御存じのように、自民党並びに野党各派共同提案の法案でありまして、全部の党が合意の上で、日本の原子力というものはこういう方針で進めなければいかぬという、はっきりした方針を示してあるのでございまして、その方針に沿いつつ、いまお話のありました発電あるいは船舶等の具体的な利用に進んでいる、こういうように理解してよろしゅうございますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 ナショナルプロジェクトとしての進め方につきましては、ただいま御指摘のとおり、原子力基本法に基づきます。したがいまして、原子力基本法に書いてございます、第二条でございますか、まず平和目的に限ること、それから自主的な開発に全力をあげること、それから方針の決定方法等はあくまで民主的な方法によること、及びその成果につきましてはあくまでこれを公開主義に基づいていくこと、そういった方針によって日本の原子力平和利用というものを進めてまいりたいと考えております。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 政府の一貫した原子力開発に関する基本的な態度並びに現在の主たる開発目標等に関しましては、よくわかりました。そういう点を踏まえて、いよいよ、従来ありました両政府との条約を、このたび事態の進展に伴いまして、現情勢に応じて改正せねばならぬ必要に迫られて改正したと存じますが、その改正になりました主要点をお示しいただきたいと存じます。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 今回御提案申し上げております日米原子力協定の重点は三つ、四つあるかと思います。  その第一点は、現在日本におきまして建設中であり、さらに今後五年間に建設いたします十三基の原子力発電所、それの総合されたものは大体六百万キロでございますが、これは御承知のとおり、現在軽水炉といわれるものでございまして、低濃縮ウランを原料といたします。したがって、それの燃料をやはり濃縮しなければなりませんので、アメリカにおいて濃縮をして日本に供給する。その数量は大体百六十一トンであるということが一つ。したがって、それによって燃料は確保されるわけでございます。  その後、御承知のとおり、第二点としまして、軽水炉のほかに、日本では新型転換炉、あるいは最終的な原子炉のものといわれております高速増殖炉の研究を現在動力炉燃料事業団で進めております。おそらく五年あるいは十年前後には、これが実用に進められてまいると思いますが、その際に必要といたしますプルトニウムをアメリカによって三百六十五キロ供給できることにいたしました。  それから、日本の現状にかんがみまして、それぞれ各電力会社、民間会社等がそういった原子力の平和利用をいたしてまいります場合、原子力基本法と同じく、それに基づきます規制法によって、厳重なる管理をされるわけではありますが、特殊核物質あるいは原料物質の民間の所有というものを、あるいは民間ベースにおける取引というものを許容したことであります。  それから第四点としまして、この協定は三十年という期限を切って、相当長期にわたっておるということ等が中心になっておるかと思います。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 改正の主要なる点は、核燃料あるいは特殊核物質の両国からの提供に関するものが主体でございまして、それにその後の核燃料等の所有形態が各国ともたいへん変化をしてきましたので、その変化に相応して従来の条約の改定をした、あるいは期間を長期にわたって改定した、こういうお話でございまして、よくわかりました。私は前の条約の際に交渉いたした当事者でもございますので、その当時に非常に問題になっておりました、たとえば免責条項の問題とか、あるいは査察の問題とかいったような問題に関しましては、主として外務省関係の問題が主になると思いますけれども、そのほうはあまり変わっておらぬようでございますので、そういう質問はきょうは触れないことにいたしたいと存じます。そこで、もっぱら技術的なと申しますか、あるいは経済的な原子燃料に質問の主体が移っていくと思いますので、そのつもりで御答弁いただければ幸いだと思います。  まず、お聞きしますが、現在の原子力発電のスケジュールは一つ聞きましたが、そのスケジュールに、この核燃料を毎年どういうふうな大体の足取りで入手していくのか、そういうタイムテーブルをひとつ教えていただきたい。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お答え申し上げます。  まず、先ほど長官から御説明申しました長期計画に基づきます発電計画建設の見通しを申し上げますと、昭和五十年までに約六百万キロワット、昭和六十年までに約三千万ないし四千万キロワット、こういう計画を立てておるわけでございますが、それに要しますところの濃縮ウランは、三%の濃縮率に換算をいたしました場合、昭和五十年までに約千四百トン、六十年までの累積で一万四千トン、こういう数字になるわけであります。  それで、ただいまこの協定で問題になっております百六十一トンという数字は、ウランの二三五という分裂性の物質に換算した量でございまして、これを三%濃縮ウランに換算をいたしますと、約七千トンになるわけでございます。それでありまして、先ほど長官から御説明申し上げましたように、その七千トンは、今後五カ年間に着工が予定されておる十三基の発電所の分でございまして、その発電所が運転に入りまして、今後三十年間に必要なる取りかえ燃料をも積算した総量をいうわけでございます。したがいまして、それは発電所の基数から申し上げますと、先ほど申し上げました長期計画の内訳でございますし、それから期間から申しますと、昭和六十年以降にもわたって、昭和七十三年までに必要な取りかえ燃料まで含んでおる、こういう計画になっております。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 アメリカ合衆国との協定の中に附表がありまして、これには主として発電計画のみになっておりますが、いまの百六十一トンの中には、船舶用その他実験炉等のものを全部含んでおるのでございますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お説のとおり、百六十一トンの中には、ただいま建造を進めております原子力第一船のもの、あるいは原子力研究等にございます各種試験炉の燃料も含まれておるのでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そこで、私タイムテーブルの問題をお聞きしたのは、長期にわたって、そういうふうな十三基の発電所分にこれを充当するのだということはわかりましたが、かりにこの条約が今国会で万が一批准がおくれるというふうな不測な事態が起きた場合には、いまの政府の持っておる発電計画、その他原子力開発計画にどういうふうな影響を及ぼすであろうかというような具体的な点をひとつお聞かせを願いたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 もしこの協定が非常におくれまして、アメリカからの、いわば核燃料の濃縮ウランの輸入が不可能になった場合におきましては、率直に申し上げまして、現在大体の計画を持って進めております軽水炉の各電力会社の建設計画及びその運転に非常な支障を来たすものと考えます。これは御承知のとおり、大体それを積算してお願いしておるわけでございますから、どうしてもその意味におきまして運転及びその建設、いろいろな面から支障を来たすということ。  それから、さらにアメリカにおきまして、第二点でございますが、天然ウランを賃濃縮をするのが大体一九六九年の一月ということになっておるわけでございます、向こうの事情で。したがって、その前に、こちらの計画に基づいて、天然ウランあるいはイエローケーキ等を確保して、そういった契約そのほかを結び、具体的に進めなければなりませんので、その面におきましての支障もあるかと思います。  さらに第三点といたしまして、御承知のとおり、動力炉・核燃料事業団におきましては、次の原子炉の新しい型として高速増殖炉の研究をし、その実験炉、原型炉というふうに進んで、一日も早く自主的に日本が高速増殖炉を開発することによって、一歩を進めたいと考えておるわけでございますが、その点におきまして、現実の問題としてプルトニウムの入手が非常におくれてくる、いわば燃料の入手の目算がなくして研究を進めていくというような形にもなりますので、やはり影響があろうかと思います。現状は、御承知のとおり、賃濃縮の契約というものが現在の日米協定——新しい日米協定でなくて、現日米協定ではできませんので、そういう意味におきまして、やはり大きな影響があることが一番大きいのではなかろうかというふうに考えます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 たいへんよくわかりましたが、これがおくれた場合に、いまの軽水炉関係の発電計画に影響があるのみならず、新しくいま企図しております新型転換炉あるいは高速増殖炉、プルトニウム関係の、日本で一番本命としております、そのためにまたわざわざ事業団までつくって、これから雄渾な計画で進めようとする、その出ばなをくじかれるようなかっこうにもなるという国内的事情はよくわかりますが、反面、相手国のアメリカ側に対する賃濃縮の契約、この問題が、やはり商売ともなりますと、はっきりとした、こういう条約でもできませんとなかなか進まないと思いますので、そういう問題を進める上におきましてもこれがぜひ必要だ、こういうお話で、まことにそのとおりだと存じます。  そこで、国内の問題は大体わかったのでありますが、海外に対する天然ウランあるいはイエローケーキの入手現況、あるいはこれをアメリカの濃縮工場に契約をする場合等の手順等、あるいはいまの準備特況等をお示しいただきたいと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お答え申し上げます。  まず、原料としての天然ウランのイエローケーキの入手につきましてでございますが、御承知のように、国内におきますウランの包蔵は、量的にも、また品位の面から見ても貧弱なものでございますので、大部分を海外に依存しなければならないわけでございます。それで、現在電力会社におきましては、カナダ等の海外鉱山会社と長期購入契約を結びまして、相当程度のイエローケーキの確保をいたしております。さらに将来に備えまして、わが国の電力会社並びに鉱山会社が共同をいたしまして、海外におきます鉱山の共同開発ということにつきましても努力をいたしておるという段階でございます。  現在までに長期契約によりまして確保いたしました量を概算申し上げますと、今後十年間に約一万五千トン、これはイエローケーキ換算でございますが、一万五千トンの量に達しております。次のステップといたしまして、これを三%程度の濃縮ウランに濃縮する工程につきましては、現在国内におきましてこれを行なうだけの能力がございませんので、今度の協定によりまして、アメリカのAECの設備に委託をいたしまして、いわゆる賃濃縮をするわけでございます。これにつきましては、先ほど長官から御説明いたしましたとおり、この協定が発効いたし次第、契約をいたしまして、賃濃縮業務の開始される明年一月早々に現物を入手して、現在進行中の核発電所の燃料の加工にスタートしたい、それでやっとタイミングが合う、こういうことになっております。それからさらに、動燃事業団で、新型転換炉あるいは高速炉の開発の研究のために臨界実験装置等を使うわけでございますが、これに要しますプルトニウムは、さしあたりまして百キログラム程度要るわけでございます。それはこの夏に契約をいたしまして、米国内で加工をいたしまして、来年春に入手をいたしまして、実験工程に乗せたい、こういう考え方で進んでおるのでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そこがたいへん私重要なところだと思うのですが、まず、濃縮ウランですけれども、来年の一月にこちらで入手するのですか。それとも契約するのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 原子力発電会社でやっております二号炉の燃料等につきましては、入手を一月早々に期待をいたしておるわけでございまして、それより数カ月前に契約をしまして、先ほど申し上げました、カナダ等で手配をいたしましたイエローケーキをAECの濃縮設備に運び込まなければならぬ、こういうことでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そうしますと、カナダとのイエローケーキの契約が済んで、あとはAECとの賃濃縮の契約に入るわけですけれども、それに対しては来年一月の入手ということになりますと、こちらまでの輸送その他を考えれば、至急契約に入らなければならぬということで、この条約の批准がおくれますと、たいへん支障を来たす、こういう意味でございますね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 そのとおりでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 それからもう一つ、プルトニウム関係ですが、臨界実験装置、これは新型転換炉のだと思いますけれども、これは一体いつできるのでございますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 高速炉の実験炉につきましては、それが臨界に達しますのは昭和四十七年に予定しておりますし、新型転換炉につきましては、四十九年に臨界に達することを目標に開発を進めておるわけでございます。しかし、その開発のための前段階の試験装置としての臨界実験装置でありますとか、新型転換炉についての二領域の臨界実験というものは直ちにスタートしたいわけでございまして、先ほど申し上げました百キログラムのプルトニウム等につきましては、この夏に契約したい、それから、新型転換炉の二領域の臨界実験装置に必要なる、これは六キログラム程度でございますが、このプルトニウムにつきましては、さらにこの夏に契約いたしまして、国内の加工の期間が必要でございますので、そのようにして初めて来年の実験が開始できる、こういうようなかっこうになっております。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そうすると、私はどうも不勉強で恐縮でございますが、臨界実験装置というものはもういまできているのですね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 御承知のように、東海村の原子力研究所の中に高速炉の臨界実験装置自体はできておりまして、現在までにウランを使いましての実験は進行しておるわけでございますが、さらにこれにプルトニウムを使用いたしましての実験をやって初めて実際のデータが出てくる、こういう状況でございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 よくわかりました。たいへん急がなければならぬ条約だということはよくわかりましたが、続いて、この濃縮ウラン二三五の百六十一トンというのが日本の経済あるいは運輸等々にどういうふうなウエートを占めてくるのか、それを知りたいと存じます。  そこで、まず、このウラン二三五、百六十一トンの石炭あるいは石油に対する換算、あるいはその換算した場合に、日本のおのおのの国内生産あるいは輸入等に対する占める地位といいますか、そういう点を一応教えていただきたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 大体のところを申し上げて、正確とはあるいは言えないかもわかりませんが、百六十一トンの濃縮ウランから発しますエネルギーというものは、石炭に換算いたしますと約四億八千万トンのエネルギーでございます。石油に換算いたしますと約三億二千万キロリットルに相当する燃料といいますか、エネルギーでございます。したがって、この石油をそのまま三億二千万キロリットル輸入するとすれば、現在の価格におきまして大体五十三億ドル前後、これは価格は変動いたしますが、現在の価格に換算して大体五十三億ドル前後になるかと考えます。しかし、一方、濃縮ウランの換算もいろいろむずかしいのでございますけれども、三%濃縮として、それを現在の価格の大体のところで換算していきます場合、大体十七億ドル前後になるかと考えております。そういたしますと、大体三分の一くらいの非常な節約というようなことが言えるかと考えます。大体以上でございます。  なお、これは比較でございますから、いろいろあろうかと思いますが、これを輸送するといたしまして考えてみますと、実際において十万トン級のタンカーで石油を輸送するとしても三千二百隻というたいへんな数になりまして、現実の問題として、今日の国情から、たとえばアラビア等から運ぶということになりましても、非常な困難性があるのではなかろうか。しかし、核燃料になりますと、輸送についての安全性の問題を十分にさえすれば、非常に安く、かつ量も少なくして、二十隻前後で入ってくるのではなかろうかというふうに考えております。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 これは実はたいへんな量でございまして、日本の出炭量は年間大体五千万トン、いまそこまでいっていないかと思いますが、約五億トンの石炭に相当するとなりますと、日本の全出炭量の十年分に百六十一トンの濃縮ウランが相当するわけでありまして、経済面から見ますとえらい大きい問題だと思います。濃縮ウラン百六十一トンといいますと、普通は何だそれっぽっちかというふうに見えますけれども、経済エネルギー全体の点から見ますと、石炭に換算すれば実は一番ボリュームがよくわかるわけでありまして、日本全出炭の十カ年分を輸入するのに相当するということになりますと、これはたいへん重要な条約だろうと存じます。   〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕  話が先に進みましたので、もう少し詳しく聞きたいのでありますが、現在のところは、電力にたく石炭はあまり輸入していないので、鉄鋼、ガス等が主だろうと思いますけれども、電力に食わすのは油が多いと思いますが、これが三億二千万キロリットルということで、しかも、これはほとんど海外から来るわけですから、それを十万トンタンカーでかりに運ぶとすれば三千二百隻、こういう計算のようでございます。これが全体のその当時の日本の所要量あるいは船舶の建造量の予定等から見ますと、一体どういうふうなウェートを占めていくものですか、運輸省とのかね合いはお話ししてございませんですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お尋ねの点でございますが、全体にどのくらいのウェートを占めるかということにつきましてはつまびらかでございませんけれども、先ほど大臣から申し上げました三千二百隻は、百六十一トンに相当する石油を海外から運ぶのに十万トンタンカーにいたしました場合の延べ隻数でございまして、これを三十年間に運ぶということでございますので、一ぱいの船が年間六往復するというぐあいに仮定いたしますと、約二十隻くらいのタンカーが必要である、こういうことになるわけでございまして、かりにトン当たり三万円ぐらいの建造費だと見込みましても、六百億円くらいの船の建造費もかかる、こういうことになりますので、相当大きな問題ではなかろうかと考える次第であります。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 輸送のセーブという点からいいましても、たいへんなセーブになるわけです。そこで、ウラン二三五を百六十一トン運ぶのに、これはそのときの緊急度合いにもよると思いますけれども、運ぶ手段は当初の間は主として普通の船かあるいは飛行機だと思いますけれども、だんだん原子力船舶ができてくれば、それで運ぶという計画でやっておるのでございましょうか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お話のように、ただいま建造いたしております原子力第一船ができまして、二年間くらいの試験運転が終わりました後におきましては、できればその船を活用いたしましてアメリカからの核燃料の輸送にあてたい、それも一つの業務にいたしたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そうすると、大部分はいまつくっている原子力船で運ぶということになるわけですね。  それから、外貨の節約の面でありますけれども、これも、油で換算したのを輸入すると五十三億ドルなのが、濃縮ウランで輸入すると大体十七億ドル、三分の一くらいでだいじょうぶだということでありますと、外貨の節約という面から見ましても、たいへんな一つの国際収支に対する貢献度だと思いますが、その他、公害問題であるとかいろんな点を考えますと、日本のエネルギー政策という観点からいたしまして、どうしてもいま政府の持っておる原子力発電あるいは原子力造船の計画を一刻も早く所期の目的どおり進めるのが、一番日本の経済の将来のためによろしいのじゃなかろうかと実は考えるのでございまして、その点はもちろん政府といたしましても同感だろうと思います。したがいまして、こういう問題に対しては、おそらく各省全部協力いたしましてこのビッグサイエンスの目的達成のために努力しておるものと思いますが、そういう各省の協力関係は一体どういうふうになっているのでありましょうか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 この問題につきましては、発電だけをとりましても、率直に申し上げまして、通産省はじめ各省に関連がございます。特に通産省がその発電関係あるいは原子力船の関係、あらゆる面で御一緒に仕事をしなければならないわけでございます。したがって、そういう面におきましては、ただいま言われましたように、外貨の節約だけで一兆以上の節約ができますし、それから船舶の問題も、もしこれを石油に全部依存するということになりますと、新しい船も必要になってまいるわけでございまして、たいへんな運航計画が必要になり、さらにどうかしますと、おそらく金はあっても、今日石油をそれだけ確保でき得るかどうかという問題があるわけでございます。したがって、通産省、運輸省、特に関係のある官庁とは緊密に連絡をとり、しかもその最高方針の決定によりましては、原子力委員会に十分おはかりをして、そうして何か間違いのないように、全力をあげてそういった計画の遂行に当たりたい。また、各省の御協力も、今日のところ全然意見の相違がないわけでございまして、それに伴って非常な御協力を各省ともいただいて、ぜひひとつやってくれというようなことになっておるわけでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 原子力委員会が中心になりまして、原子力に関する限りは、各省とも従来から一糸乱れず一本になって進んできたのはたいへんけっこうなことだと存じます。ただいまお話しございましたように、日本の経済、特にエネルギー経済から見ますと、非常な事態を迎えるわけでございまして、今後とも政府部内における相互連絡と申しましょうか、総合と申しますか、そういう点で遺憾のないようにお願いしたいと存じます。  もう一つ、いままでは輸入する燃料の問題が主であったのでございますけれども、国内でどうして自給体制がとっていけないのか。国内でできれば一番実は望ましいことはあたりまえの話でありまして、特に発電計画あるいはいまの新型転換炉、高速増殖炉等の計画も大体きまって、日本としては原子力発電計画の相当長期を見通した計画がきまったわけですから、どうすれば一番燃料サイクルとして適当であるのか、その燃料サイクルの中でどの部分がいま一番欠除しているのか、そういう点をひとつお話しいただきたいと存じます。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 原子力の平和利用につきまして、ただいま言われました燃料サイクルの中で、現在一番問題になっており、また今後の大きな問題となるべきものは、第一番目に加工の問題でございます。これは御承知のとおり、大ざっぱに申し上げますと、約六社から加工をやりたいという申請が出ておりまして、この点につきましては、いま原子力委員会で慎重に、たとえば今後の需要量に対して六社を全部許可して妥当であろうかどうか、あるいはそれでよろしいのかどうかといったような詳細な検討を加えております。  次に濃縮技術でございます。これは御承知のとおり日本にはまだございません。濃縮技術につきましては、あらゆる面で、あるいは理化学研究所、原子力研究所、動力炉燃料事業団等でそれぞれ研究はされておりますけれども、まだ現在のところはございません。率直に言って、動力炉燃料事業団でやっております遠心分離法による濃縮、この点に着目をいたしまして、できるだけこの濃縮技術を国産で開発をしていくというようなことで、現在これを進めておりますけれども、残念ながらそこまでいっていない。研究段階にあると申し上げていいかと思います。  次に、サイクルの中で問題でございますのは、再処理の問題でございます。使用済み核燃料の再処理の問題は、これはどうしても四十七年度ぐらいには第一の再処理工場をつくりたいということで、フランスとの提携等によりまして、現在詳細設計中であり、現在におきましては国庫債務負担行為等の十三億も持っておるわけでございますが、場所の問題その他がございまして、まだ着工するに至っておりません。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 結局、原料の国内の生産あるいはカナダ等における確保、こういう点はわりあいにはっきりしておるようですけれども、そこで、まず天然ウランの面でちょっとお聞きしたいのは、最近新聞等でよく報ぜられておりますけれども、海水から天然ウランを取るというのが専売公社等でだいぶ進んでいるように聞きますが、これは一体どの程度真実なものか、また力を入れているものか、まずそこからひとつ伺いたいと思います。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 ちょっと。先ほど再処理工場十三億と申しましたけれども、これは設計費その他でございまして、建設費用ではございません。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 いまお尋ねの、専売公社で基礎研究をやっております海水からのウランの抽出問題については、われわれもかねてから状況は聞いておりますが、まだ研究室段階のものであるわけでございまして、実用化できるかどうかにつきましては、今後さらに基礎研究を続けてみないとわからないと思いますけれども、海水の中にウランが含まれておるということは事実でございますし、これを海水の多目的濃縮と申しますか、淡水化の問題等々も組み合わせまして今後研究を進めていけば、あるいはおもしろい可能性が出てくるのではないかとも思っております。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 問題は、結局プルトニウムを取るための再処理工場、あるいは濃縮ウランを取るための濃縮の技術、この二つだと思いますが、再処理の今後の工程等をもう少し詳しくお話しいただきたいのですが……。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 ただいま長官が触れました十三億円の設計費によります詳細設計は今年中にまとまる予定でございます。なお、工場の概略を設計いたしますに必要な程度の基本設計というものはすでにできておるわけでございまして、そういうものをもとにいたしまして、現在の計画では、本年度中にできれば着工いたしまして、四十六年度一ぱいに設備をつくり、四十七年度には試験運転を経て実際の操業に入りたい、こういうのが目下の計画でございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 いまの計画からいきますと、プルトニウムは大体どのくらい四十七年度以降できていくのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 先ほどの答弁の中で一部訂正さしていただきたいと思いますが、設備そのものの完成は四十五年度一ぱいにつくりまして、四十六年度におきまして試験運転をやり、四十七年度早々から正常の営業運転に入りたい、こういうのが計画でございます。ちょっと訂正を申し上げます。  それから、精製プルトニウムの想定でございますが、これは今度の発電所の運転の態様にもよるわけでございますが、一応の推算したものを申し上げますと、五十一年までに大体累積四トンくらい、五十五年までに累積十五トン程度、五十九年までに五十トン弱、こういった大ざっぱな推定をいたしております。これは今後つくられます発電所の炉のタイプにも左右されますし、また運転の効率等にも左右されるわけでございますが、大ざっぱな推定でございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そうすると、そういうふうにプルトニウムができていきますと、相当な量だと思いますが、いま日米協定で輸入しようとするプルトニウムは、やがて輸入の必要がなくなって、自前で今後の増殖炉あるいは転換炉等はできるのだ、こういう立場で進めておりますね。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 お話のとおりでございまして、昭和五十年ころまでは不足ぎみでございまして、それ以降は高速炉の実用期に至るまでの間は少しゆとりが出るという程度ではないかと思います。この協定に載っております三百六十五キログラムと申しますのは、当面の昭和四十五年までに必要な需要量を積算して見込んでおるワクでございまして、その後におきましては、世界の先進諸国におきましては相当程度プルトニウムの需給状態は緩和してくるであろう、こういう想定のもとに、さしあたり数年間のものをワクぎめした、こういう性格のものでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 そうしますと、国際的な査察の対象というものが一番中心問題になってくると思いますので、日本でつくった場合に、保管の場所はどこへ保管するのですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 今後発電所等からできますプルトニウムは、国内では動燃事業団のつくります再処理工場で再処理されて、そこでプルトニウムが抽出されるわけでございますが、その所有は民間電力会社の所有になるとわれわれは考えておるわけでございますので、それをどこに保管するかということについては、われわれのほうからははっきり申し上げることはできないわけでございますけれども、さしあたりは所有権は別として、保管には相当な設備を要しますので、再処理工場の中の貯蔵所に置かれるというのが現実的なあり方ではないかと思います。将来これがいろいろ核燃料体として活用できる道が開けたような場合には、それぞれ加工工場にも回されましょうし、それからさらに電力会社等にも使われるわけでございますので、その段階に至りますれば、それぞれのところで所要の十分な保安の確保ができる貯蔵設備を持ちまして保管する、こういうことになろうかと思います。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 よくわかりましたが、いろいろ規制法等で、そのプルトニウムの所在、あるいは移転、あるいは消費、そういうものは常にレコードをとって、そして現物と照らし合わせて、査察があればいつでも間違いなく示せるようにというのが国の義務であると、私どもはそういうふうに考えておりますが、そういう点から見ましても、特にその貯蔵なり、プルトニウムそのものがあぶないのみならず、そういう軍事転用のものに対する査察の問題もあるのですから、そういう点は十分研究なさって、世界で模範的な査察にたえ得るような体制をとってもらいたいと思います。  それからもう一つは、濃縮技術でございますが、これはどうしても転換炉あるいは増殖炉が完成するまで、いま日本では軽水が主ですから、濃縮ウランではこれが必要だ。ところが、これは日本ではできないということ自体が、私はどうも反省してみますと、何か濃縮技術を研究すると、すぐ妙な推測で研究をチェックするようなアレルギー的な欠陥が日本にはあるというようなことで、なかなかあれだと思ったのですけれども、やはりプルトニウムの研究だけではなくて、濃縮ウランも思い切って進めていったらいいのではないかという感じが私はいたします。先ほどの説明では、遠心分離法あるいはガス拡散法等を理研あるいは事業団等でそれぞれ研究しておるようですけれども、何しろこの面の研究は過去十年たっておりますけれども、非常におくれておりますね。ですから、やはりこれはもう少し政府としても力を入れてやるべきではないでしょうか。アメリカに賃濃縮すればいいということだけではいけないのでありまして、自給体制をとれればとったほうが一番万全なわけです。しかも、それは厳重な査察で軍事転用その他できないようにはっきり国際的な監視がつくのですから、もしそういうようなものをかりに軍事方面に使うということになれば、全部の核燃料の供給というものが海外から停止されるような情勢になっておるので、そういう点はあまり心配せずに、やはりどんどん進めるものは進めていったほうがいいと思うのであります。率直に言いまして、いままでおくれてないといえばおくれてないという議論になるかもしれないけれども、私はたいへんおくれておるという感じがしますが、そのおくれておるのは、どういう点に一番問題点があるのか、技術的な問題点のほうを主にして御説明いただければたいへんけっこうだと思います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 濃縮技術につきましては、先生お話しのとおり、確かにわが国におきましてはたいへんおくれておると存じております。これは濃縮技術そのものがむずかしいということと、それからやはり先進開発国では軍需からスタートしたというようなことから、その製造技術につきましてわが国等になかなか入ってこない、こういうようなことから、やるとすれば、みずから基礎研究からやっていかなければならぬ、こういう実態も加わりまして、たいへんおくれておるわけでございます。  濃縮ウランを現段階におきましてはアメリカだけにたよらなければいけない、こういう体制をいつまでもすることは好ましくないわけでございますので、根本的な対策といたしましては、新型転換炉でありますとか、あるいは増殖炉でありますとか、あるいは将来の新しい炉の開発に努力しなければならないとわれわれ考えておりますけれども、それに至りますまでにも相当量の濃縮ウランが必要でありますので、そこで、将来に備えましてわが国でも基礎研究は進めておるわけでございます。そのうちの一番おもなものは、先ほど長官から申しました動燃事業団における遠心分離の方法でございます。これを特に重点に見ております理由は、先生も御承知のとおり、現在米英等において実用に供されております拡散法につきましては、その生産操業のためには相当の電力を必要とする。相当安いコストの電気を使いましても、なおかつコストの中の三分の一ぐらいを電力料で占めるといったようなことでございますので、日本としては、電力が少なくて済む遠心分離法というものができれば非常に魅力的である、こういう考え方から、その基礎研究に重点を置いておるわけでございます。  ただ、いまの段階は初歩的段階でございまして、実は小さな分離機をいままでに二台つくりまして、機械的テストをいたしておりまして、ただ、中に入れております気体は六弗化ウランでございませんで、まだアルゴンのようなものを使っておるわけでございますが、四十三年度におきましては、三台目の試験機をつくりまして弗化硫黄等を使いましてやや進んだ試験をいたそう、こういうことになっております。しかしながら、これが経済的、技術的に確立をし得るかいなかの判定をいたしますにはまだ数年を要する見通しでございまして、先般、原子力委員会の中に燃料懇談会なるものが設けられまして、いろいろ核燃料に関します基本的、技術的事項を検討されたわけでございますが、その中で、濃縮技術に関しましては、今後昭和五十年ごろまでに約五十億円ぐらいの試験研究費を投じまして、先ほど申し上げましたような分離機を幾つかかみ合わせた試験までやりまして、五十年ごろまでにその技術的、経済的見通しを得ることを目標に進めるべきである、こういう提案がその懇談会でもなされておるわけでございます。原子力委員会としても、その提案を基礎にして今後考えていきたい、こういう体制をとっておるわけでございます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木(義)委員 兵器に使う高濃縮のようなものだと、これはとてもたいへんでしょうけれども、こういう三%とか低濃縮のものであれば、やる気であればそんなに時間がかからぬでいけるんじゃないかという感じが実はします。  そこで、何かぼくらの時代が頭にあるせいか、濃縮ウランの技術を身につけるということに対しては、どうも非常におっくうだというか、大胆果敢じゃないというか、そういう空気が当時はございました。いまのお話、そういう空気がだいぶ直ってきたと申しますけれども、日本はわが党も野党三派もこぞって天下に公言しておるわけで、核兵器は持たない、持ち込まない、自分でつくらぬということはみんなも一致した意見なんですから、安心して、少なくとも低濃縮、兵器にならないような低濃縮の原子力発電に使う濃縮ウランは思い切って進めたらいいじゃないかという感じがします。あまり世論にわずらわされないでこれを進めるということは、さっきも冒頭にもお話ししておりますように、全部に支持されたナショナルコンセンサスなんでありますから、そういう心がけはたいへん大切だと思います。いまのお話でだいぶ力を入れておるように聞きましたが、まだまだ足りないという感じがいたしますので、一そうの御努力を要望いたしたいと思います。  以上私の質問を要約いたしますと、結局核エネルギーの平和利用、特に発電あるいは造船等の問題は、これは各党こぞっての希望でもあり、また新聞の世論等から見ましても、国全体の国民的な合意の上に立っておるものであることは間違いないと存じます。そういうバックを受けて、これが経済に、あるいは交通手段等に、あるいは外貨節約に及ぼす影響というものは甚大なものであるのみならず、国内の技術そのものの水準を高めるし、あらゆる面から見まして、私は、一刻も早くこの条約を批准していただいて、そうしてこういう問題の進捗に国民が拍手をもって迎え、りっぱな国会だと言われるような進め方を念願したいのでありますが、そういう意味で、これは委員長にお願いするのがあるいは筋かと存じますけれども、どうかひとつ一刻も早くこの条約の批准をされんことを希望いたしまして、私の技術的、経済的な点からの質問を終わりたいと思います。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 この際、帆足計君より資料要求の発言を求められておりますので、これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私ども科学技術関係のことには比較的にうといものでございますから、ひとしお痛感するのですが、ただいまの佐々木委員の質問に対しましていろいろ有益な御答弁がありました。したがいまして、それと連関いたしまして、たとえばこの案件が成立しました後における核原料の年度別輸入数量の大体の見通し、その価格並びに価格総量見通し、それから総エネルギー、特に電力エネルギー内における石炭、重油、水力並びに核原料によるそれの将来の比率の見通し、さらに、米英と協定を結びますが、米英それぞれの割合を輸入する計画であるかということ、また、電力用並びに将来は原子力船舶用などの割合、その他、私ども審議に必要な統計数字資料等をぜひともサービスしていただくよう、委員長の名においてお願いいたします。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 ただいま御要求の資料、できるだけ取りそろえましてお出しいたしたいと思います。御指摘の中には通産省の関係の資料もあるようでございますので、通産省とも連絡をとりましてお出しいたしたいと思っております。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 石野久夫君。

石野久男日本社会党

○石野委員 質問の前に、大臣がいませんが、これは外務大臣あるいは科学技術庁長官がおりませんと質問に入ることができないのです。ですから……。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 速記を始めて下さい。  石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 原子力協定の改定に伴う日米、日英の協定案は、これを論議する前に、政府に聞いておかなければならぬ問題があると思う。昨日、大臣は野党各党の首脳者を集めて、核拡散防止条約についての説明か何かなさったようです。ジュネーブ会議ですでに論議にのぼっております核拡散防止条約の米ソの草案の第三条の規定は、原子力の平和利用について、その核物質あるいは燃料等のことについてきわめて重大な内容を持ったものになっておると思います。たとえばワシントン二十三日発のフィネー記者ニューヨーク・タイムス特約などを読みますと、これはきわめて重大です。このことは、一タイムスの記事というだけではなくて、現実に私ども自身がやはり心配していることですから、たとえばフィネー記者の記事を、一応これは大臣も読んでいると思いますけれども、ここで大約を言うと、こういうことです。「米ソ両国は核拡散防止条約に参加をしぶっている国々を参加させるために同条約の規定に新しい解釈をしようとしている。この事実は、ほとんど公にはされていないが、この解釈によれば、非核保有国は同条約に調印するか、自国のすべての原子力活動について同条約が規定する国際的査察を受入れない限りは、原子力の平和利用を進めるための援助を断たれることになるかもしれない。」こういう観測を行なっております。「例えば、米国やソ連から核燃料を得ることもできなければ、原子力発電設備を買うこともできなくなるのである。」内容はそういうことになるわけです。もしこういう事情になるとするならば、アメリカとの間に、あるいはイギリスとの間に原子力協定の改定を行なって、核物質等の購入などの約束をしても、核拡散防止条約に加盟していなければこの協定は無意味になってきます。したがって、この協定をわれわれが批准するということは、その前提として、核拡散防止条約にわが国が積極的に参加する、特にその第三条の規定を受けていくということでなければいけないことになります。これは本協定を審議するその前段の大基本的な問題だと思うのです。この際、核拡散防止条約について、特に第三条の規定について、外務大臣の所信のほどをこの協定と関連してひとつ述べていただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 核拡散防止条約の中にも、核燃料物質に対する国際査察を受けることを承認しなければならぬということがうたわれているわけで、今日、こういう核拡散防止条約がなくても、核燃料物質に対する国際原子力機構の査察というものは現に行なわれておるわけでありますから、条約に入らなければというのではなくして、条約と関係なく査察を受けるならば、核燃料物質というものの供給は受け得るということでございますから、これに入らなければどうこうというのではなく、ただ、核燃料物質に対する国際査察を受けるという原則、現に存在しているこの原則を承認するというだけでいいので、条約とは関係ございません。

石野久男日本社会党

○石野委員 この規定では、非核保有国は核分裂性物質が保障措置——まあ査察ですが、そのもとに置かれない限りということになると、条約に加盟しないでその保障措置のもとに置かれるという状況は、どういう形が出てくるのでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは国際原子力機構あるいは国際原子力機構との間にユーラトムなどは協定を結ぶことになるでしょうが、その査察を受けるならば、この条約に加盟すると加盟せざるとにかかわらず、核燃料物質の供給は受け得るということであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 わが国は、今日の情勢のもとで、米ソのすでに成案を得ておりまするこの核拡散防止条約について、いま大臣が言ったような立場でいこうとしているのか、それともこの条約の中へ入っていくという体制をとろうとしておるのか、どちらですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これはいま言ったように、条約に入る入らぬにかかわらず、これは条約に入らなければ核燃料物質の供給を受けられないとは考えていないのですから、これはいま御審議を願っておる協定とは直接の関係を持ってないという解釈でございますが、核拡散防止条約については、完ぺきなものではないけれども、核戦争防止に役立ち得るという見地から、その趣旨には賛成である。まだ国連の場において討議されておるわけでありますから、国連で採択される核防条約案というものがどういう最終案になるかは討議の結果を見なければなりませんが、この条約が目ざす趣旨には賛成であるという立場が政府の立場でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、核拡散防止条約に賛成するかしないかということもきわめて問題でありますけれども、それ以上に、この条約案の第三条の規定ですね、これはいろいろな解釈のしかたはありますけれども、しかし、米ソの間で、その査察制というものを強化することによって、結局この条約に協力し、また賛成するという体制がない限りにおいては、もう平和利用といえども核物質の供給はしませんぞという解釈をいまとろうとしているわけですね。そういうような体制に対して、外務大臣は外交交渉上あるいは国の立場からそれをどういうふうに理解し、また、そういうものに対して対処していこうとしているか、その点も考え方を聞かしていただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はそのようなことは考えていないのです。ある一つの条約に加入を強制するために、国際的査察を受けぬという国に核燃料物質の供給を停止するというようなことはでき得ることではないと思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 そういうようなことでないと思っているのは外務大臣の立場、しかし、事実上、今日の段階では、核所有の大国の姿勢というものは、非核保有国に対して、外交交渉上からも、政治上からも非常に圧力をかけていることは、これは間違いがないわけです。われわれはただ一方的にそういうように理解しておっても、解釈しておっても、事実の問題としてそういう圧力がかかってきたり、またあるいは平和利用に対する核物質の補給というものが行なわれない、こういうことになってくれば、これは事実上の問題として決して許すことのできないことになろうと思う。そしてそのことは、結論的にいえば、やはり米ソの大国主義がそこへかぶさってくるわけでございますから、それをはねのける保障がどこかでなければいけなかろうと思います。そういうことについて政府の考え方というものを明確にしておいていただかなければいけない。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 この条約に対しては、相当多数の国が賛成する、日本も趣旨においては賛成と言っておるのであります。しかし、核燃料物質というものを材料にして、そしてこの条約に加入しなければ核燃料物質を供給しないという、こういう形で核防条約というものが推進されるということになれば、かえって核戦争防止ということをねらいながら、そういう強引な手段をもし講ずるとするならば、これは世界の反発にあって、米ソがそういうまずい——この条約に加入する国々をできるだけふやし、それを促進しようとは思っているでしょうが、そういう拙劣な手段を使うとは私は信じてない。必ず世界の世論の大反発にあいます。条約は条約とすべきであって、核燃料物質を材料にして、条約に入らぬ国にはこれを供給しないということは、やはり主権に対しての非常な干渉でありますから、そういうことをするということは考えられません。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣の確固としたそういう態度は、私は了としたいのであります。ただしかし、具体的に条約の論議の場で、しかも、それが条約が締結される過程で審議内容となり、あるいはまた条約に対する歯どめをそういう形で明確にされていませんと、今日の国際情勢のもとでは、いま私が申したような危惧を抱くことは、決して故意にするものでも何でもないけれども、そういう意味で、国際場裏でそのことの明確に保障されるような外交交渉、そういうようなことをどこかでしておかなければいけないだろうと思う。わが国の態度として、そういうことをやる用意があるか、また、どういうところでそういう歯どめをきかしておくか、これについての大臣の所信を聞かしていただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 現にここに御審議を願っている協定も、おそらく核防条約よりもこのほうが早いでしょうし、これは三十年という年限で、百六十一トンですか、濃縮ウランの供給義務を負うわけですが、核防条約よりもこの協定は発効は早いでしょうから、それは石野さん、御心配にならなくても、そういうことはできませんよ。非常に世界が困るような材料を持っておって、条約に入らなければそれは供給しない、そうなってきたら、やはり原子力というものが人類の財産として、この平和利用というものに大きな人類の夢が託されているのですから、それを自分が持っておって、この条約に入らなければ供給しないというようなことは、何の保障があるかというけれども、人類の良識というものはやはり一つの大きな拘束力を持っている。そういうことは何か条約できめなければならぬといっても、このごろは、いかに大国といえども、健全な人類の常識に反したようなことができるだけの力は、今日の世界においてはない。

石野久男日本社会党

○石野委員 観念的にはそういうことは私もよくわかるのです。しかし、現実の国際政治は必ずしもそういうふうに観念的にばかり動かないということは、外務大臣自身がよくわかっていると思う。政府の態度はよくわかります。よくわかるけれども、しかし、米ソ二大国のいま核拡散防止条約を成立させようとする努力は、国際的に異常なものがあると思います。それに対して、非核保有国の抵抗は次々にいろいろな形で切りくずされつつあるわけです。非核保有国がとっている態度は、決して核戦争を望んでいるものではない。むしろ核の平和利用を保障させるために、核保有国の大国主義的なやり方を何とかして防ごうとする態度からきているものなんです。われわれはここで言うのは、核保有国の大国が平和利用に対してその力をオールマイティに振り回すという形を押えなければいけないわけですよ。いま審議されるところのこの協定も、平和利用のための一つの手段でございます。だから、平和利用のための障害を来たすであろうような核拡散防止条約の懸念がわれわれにいまあるから、そのことを言うわけです。そういう立場で、大臣が単に観念的なものの言い方ではなくて、現実的な国際条約上の交渉態度として、また、それに対処する考え方として、そのことを確立しておいてほしい、こういうことを私は申しているわけです。これはたとえば核拡散防止条約を現在の第三条規定のままでやりますと、うっかりすれば、日本がもしそれに入らない場合、核物質を補給することが断たれる危険性があるという危惧を私たちは持っているわけです。だから、きょうこういう審議に入っていく二協定案につきましては、そういう場合に、この協定が依然として効果を持ち得るような保証をどこで取りつけるのかということを先に聞いておかなければいけない。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これは御審議を願っている協定にも、核防条約に対して関係は何も結びつけていないのですから、これが皆さんの御審議の結果国会で承認を受ければ、この協定はむろん関係なく効力を発生するのですから、何も核防条約というものに関連づけた協定案ではないのです。アメリカは百六十一トンの供給義務を負うわけですから、そういうことで早くこれを御承認願えれば、何も心配要らぬ。核防条約がどうこうというのは協定にないのですが、そういう保証はこの協定の中にもある。私があなたにお答えをしておったのは、三十年という長い——三十年もたってくれば日本もみずから燃料開発をやるでしょうから、事情は変わってくるが、とにかく三十年間の供給というものは、これで核防条約とは関係なしに約束している。そういう点で御懸念はないのではないか。また、全体の見地から見ましても、そういうことは核防条約と結びつけてはなかなかできるものではないということも言えますし、また、この協定にはそういうことになっておる、これが保証である。

石野久男日本社会党

○石野委員 核拡散防止条約の第三条の規定の持つ意義はきわめて大きいと思います。そのことは、かりに本協定が三十年の期間の協定を結んでおりましても、核拡散防止条約は、同じ国際協定でありましても、やはりもっと次元の高いものになってくる内容を持っていると思います。そういうことから国際情勢の変化が来、そしてそれが二国間条約の上に変化をもたらすであろうという危惧を持っていることだけは、私はここで注意を喚起しておかなければいけないと思います。ただ三十年の契約が結ばれているからいいというのではないんだと私は思っているわけです。同時に、核拡散防止条約の第三条規定も、いまのような米ソの態度が非常に露骨なものだという書きあらわし方はしておりません。おりませんけれども、これを具体的に実施していけばそういうふうになるようになっているわけです。たとえば日米の原子力協定の改定にあたって、ここで第十条、第十一条で日本の保障措置、それからアメリカのいわゆる権利の確保、こういうものが明記されておりますが、これはものの見方によりますと、率直に言えば、向こうは売り手市場で、こっちは買い手の立場に立っておりますが、きわめて互恵平等の線を逸脱しているとさえ思うほど極端なものなんです。この内容の審議はまた別なところでいたしますが、いずれにしましても、協定の内容というものは、持てるものは非常に強い、持っていないものは非常にへっびり腰で弱い体制のものが協定の中に入っているんだから、そういう点では、特にそれを概括する核拡散防止条約の審議を国際的にやる場合、政府の態度としては、明確に、先ほど来外務大臣がここで答弁されたような態度をとってもらうことを私は期待したいと思います。  そこで、先ほどから佐々木委員が科学技術庁長官に対して質問しておりました。本協定は国際間の協定になっておりますけれども、事実上は、内容は科学技術庁の持つ原子力政策にかかわっていると思います。百六十一トンの核物質の輸入を三十年間にわたって契約に基づいて入れようとしているわけですが、それは一にかかってわが国の熱エネルギーに対する処置としてであります。しかも先ほどからお話のあるように、原子力の平和利用は、端的に言えば電力への期待だと言ってもいいと思います。もちろん船舶とかその他いろいろありますけれども、当面一番要請されるのは電力への問題だろうと思います。私は、日本のそういう原子力によるところの発電というものを考える前に、核燃料の政策そのものが、まずそれに先行する重大な問題だろうと思います。核燃料の政策を論ずれば、当然燃料サイクルの問題と炉の問題が出てくるわけでありまして、この点では、事業団の創設等に対していろいろ努力してきた過去の経緯があるわけです。  この際、私は科学技術庁長官にお尋ねいたしたいのですが、日本の核燃料政策についての大きなところでの考え方をひとつ聞かしておいてもらいたい。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 核燃料政策につきまして、大きなところといいますか、問題は、第一点は、供給をいかに確保するかということと、それから、自主的に日本が核サイクルを十分に開発でき得るかどうかという、この二つの点が重点になろうと思います。  ただ、残念ながら、第一点の供給の点は、御承知のとおり、人形峠における日本の天然ウランの資源は十分でございません。したがって、やはり日本としては海外にこれを求め、あるいは一カ所のみならず、石油の轍を踏まないように、それ以外の土地にでも鉱山をさがす、探鉱とか、あるいは共同事業をして諸外国からこれを持ってくるというような形における燃料確保、原料の確保に全力をあげて進まなければならないと思います。  第二点の核燃料サイクルの確保の問題は、御承知のとおり、そのサイクルの中におきまして、濃縮技術、それから加工技術、それから再処理というような問題が現状では欠けております。もちろん原子炉の今後の研究とかなんとかいう問題はございますけれども、少なくともサイクルの中におけるこの三点は現在欠けておるわけでございます。濃縮が一番おくれておるかと思います。加工の問題は、いよいよその加工に入ろうかと民間業者の六社がすでに申請をせられておるわけでございまして、これにつきましては大体の目鼻がついてくるかと思います。それから再処理の問題は、これは四十七年くらいからぜひ日本においても再処理工場をつくって再処理に乗り出さなければ、一方において発電がどんどん進んでまいりますと、やはり使用済み燃料というものが累積して、それを全部一々諸外国に送って再処理するというふうなことは非常に不経済でございますし、燃料サイクルの面からも決して効果的であるとは考えませんので、やはり再処理工場をつくっていくことが必要であろうと思います。  そういった意味におきまして、燃料のあらゆる面におきましてこれからの問題が多数あると思いますので、これは国が相当の資金と力を入れて、そして核燃料サイクルの完成のためにあらゆる力を総合して完成に向かって開発をしていかなければならないと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 燃料サイクルの確立ということはきわめて重大ですが、これは海外依存ということでサイクルの確立をする場合もありますし、やはり自主開発ということで核燃料サイクルの確立をしていくという場合もあるわけです。まあ事業団ができたときには、これをやはり自主開発の側面で開発しようということになっているわけでございます。私は、今度の協定で三十年間の長期にわたるところのこういう契約をされるということは——こまかいことは抜きにいたしますよ。そのことは、かえって濃縮技術の側面で自主開発をおくらせるような危惧はないだろうか、こういうことを心配するのですが、そういう点ではいかがでございますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 今度の協定におきます百六十一トンは研究そのほかの原料も入っておりますが、今後日本における五年間に軽水炉——大体軽水炉でございましょうが、それの完成される発電のために使用する核燃料の三十年間の分を確保しておく。しかも、その増減そのほかにつきましては、必要なければこれを買わないということもでき得る余地を残しておるわけでございます。  一方におきまして、日本が昭和六十年前後には三千万ないし四千万キロワットの発電をするというようなことになりますと、とても十三基などでは話になりません。おそらくその当時におきましては二つの問題があろうと思います。全部これが軽水炉でできるとは考えません。やはり転換炉の発電所もございましょうし、あるいは増殖炉等に進んできておればまことにこれは幸いでございます。したがって、そういうあらゆる点を考えて、日本の発電に関する核燃料の問題を考えていきますとき、さしあたり発足する十三基のいわば発電の黎明、夜明けに関する核燃料を三十年間に確保したということについて、やはり発電会社等はいわゆる燃料の確保に安心して進めることができ、しかもその上に立って、今後における発電のあらゆる原子炉の研究、あるいはそれに伴う核燃料の確保もまた必要になってまいります。そういうわけでございますから、決して、日本におけるそういった原子炉の発展のためなり、あるいは発電等の関係において、長期にわたって百六十一トン確保したことが、マイナスになるというふうには考えておらないのでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 今度この協定で入れる百六十一トンというのは、軽水炉へ使うということが大体前提になっていると思いますが、これは国産炉の場合でも、この輸入するところの濃縮ウラン、これを使うことができるのでしょうか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 軽水炉の場合におきまして、順次国産化していくかと思いますが、この原料を使って十分国産炉に利用できる、燃料として使用できると思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 昭和六十年度になると、大体原子力発電を三千万キロないし四千万キロワットの発電をするということが長期計画の大前提になっているわけです。そこへ持ち込んでいくために、いまは十三基というものが五十年度までに大体認可を前提としてこれは進んでいるわけですが、やはり四千万キロワットまで持ち込もうとすれば、全国的にいって、一基当たりの発電量が五十万から七十万、あるいは百万キロワットくらいになるかもしれませんけれども、総じて各所に百基くらいの原子炉が必要になるだろうと思うのです。したがって、いまここで予定しているものの約十倍近くのものをなおこれ以後に炉をつくらなければいけない、それに見合うように燃料を補給しなければならぬわけです。濃縮ウランの補給になるか、あるいは大臣が言うように、その時点で新型転換炉ができているか、あるいは高速増殖炉がどの程度できているかということにもかかわりますけれども、おそらく六十年度までには高速増殖炉はそこまでいかないでしょ。問題は、新型転換炉がどの程度まで入り込むのかということになりますけれども、私は、ユーザーのほうからいいますと、やはり効率をとうとびますから、研究機関でもないので、なるべくやはり営業用に役立つ方向へ炉を選定していくだろう、こう思います。それらの実情を勘案していきますと、なかなか新型転換炉を六十年までの間に多量に入れていくということは困難ではなかろうか、こういう見通しを持つのですが、そういう点について科学技術庁並びに通産省関係はどういうような見解を持っておりますか。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 いま石野さんが言われたことが、やはり今後の見通しとして大きな問題であろうと思います。自主開発していく動力炉燃料事業団の新型転換炉のいわば原型炉といいますか、それの臨界が大体四十七、八年前後だろうと思います。それに基づきますけれども、ユーザーのほうからいえば、やはりいろいろなことはあっても、安定し、手なれたものを使いたがるということは当然であろうし、四十七、八年度日本で臨界に達した新型転換炉を直ちに全部これを使用していくというふうなことは、なかなかその辺はそのときになってみなければわかりませんけれども、非常にむずかしいのではないかとも一応想像されるわけでございます。しかしながら、将来は当然増殖炉にいくわけでもございましょうし、この動力炉燃料事業団の日本における開発というものが、やはり五十年前後を中心にある程度一つの山が来て転換をしていくことは事実であろうと思います。われわれとすれば、やはりそれの前後まではもちろん軽水炉でいき、軽水炉が相当続き、その間に新型転換炉が開発されて、そうしてここに三年、五年たって新型転換炉が実際実用に供せられるというような形にならなければ、新型転換炉に全部が——全部といいますか、その時代に建設されるものが全部新型に移るというようなことは一応考えられない。やはり軽水炉にいく面もあろうと思います。そういう点を考えながら、今後における核燃料の確保ということも、これはいま直ちにというわけにはまいりませんけれども、やはりいまから考えて、ここ一、二年のうちには計画も立て、燃料の確保に努力をするということが必要であろうというふうに思います。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 お答えをいたします。  ただいま科学技術庁長官からお答えになりましたことと全く同じ意見でございますが、電力会社といたしましては、今後やはり発電の長期的な観点から見まして、発電の主体は、やはり十年以上進みますと原子力が主役になっていくのではないか、こう見ております。しかしながら、今後原子力発電は、いろいろ技術革新も進んでまいると思いますので、いろんな形態がとられるかと思います。しかし、やはり基本的な考え方は、安全性と経済性ということが基本になると思いますので、先生のおっしゃいますように、当面は、開発されて安全性と経済性について確認されている炉を主体に考えていくと思いますけれども、将来の問題になりますと、動燃事業団も努力しておるわけでございますし、同時に、世界的にも新型転換炉とかあるいは高速増殖炉の研究も進んでいるわけでございますので、この研究が進みまして、安全性と経済性についての確認が出ますれば、やはりより有利な、そういった新しいタイプに移っていくものと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 ここで別にエネルギー政策を論ずるわけではありませんけれども、やはり本協定を結ぶにあたってはきわめて重要ですから、いま少し聞いておきたいのですが、電力行政の上で、特にこれは通産の所見を大臣がおれば大臣にひとつ聞きたいし、また、佐藤内閣の考え方もここであわせて聞いておきたいのですが、発電規模というものは、水力や火力と比べて、原子力は非常に大きくなってきております。従来は、火力、水力でいいますと、大きくいっても、一カ所三十万キロ、そんなのはあまりないのですね。ほとんどみな十万キロぐらいのものを幾つか合わせているわけです。ところが、原子力になれば、一基が五十万キロ、あるいはタービンさえできれば百万キロ、二百万キロはすぐ出てしまうわけです。そういう情勢で、どんなに小さく見積もっても、これからの開発は一基七十万キロから百万キロになるだろうと思うのです。四千万キロワットのエネルギーが必要だ、こういう日本の産業界の要請というものは、同時にまた、発電コストが安くなることを前提としてでなければいけない。そういうことを考えますと、私は、この電力行政の上で、いま九電力があって、それがおのおのに原子力に対する一つの社の方針を出していく、それで思い思いに発電所をつくっていく、こういうような状態は、過去の水力とか火力のときはまだよかったけれども、いまの原子力の段階では、これはもうかえって過当競争になったり、あるいはロスが多くなり過ぎて、発電コストがとても安くはならないだろうし、政策上からいってもいいことではないように思う。アメリカとの間に三十年にわたるところの燃料契約をしていくという段階では、少なくとも日本の電力会社の面における統合というものをもう少し考えなければいけないのじゃないか。原子力に関する限り、九電力のほかに今度原子力発電会社があるわけですから。十になるわけです。そこへ電発が少しでも手を加えてくるとすれば十一になるわけですから、むしろ、一単位が非常に大きくなっているのに、作業をやるところの企業単位は数が多くなるというような矛盾した状態を電力政策の上で放置しておいて、ほんとうにエネルギー政策は確立するのだろうかどうだろうか、この点が今日の非常に大きな問題だろうと思うのです。こういう点について、政府、通産はどのような考え方を持って対処しておるのか、これをひとつ聞かしていただきたい。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 ただいま原子力開発は年々大型化していくという御意見があったわけでございますが、私もそのように考えております。当初原子力発電を始めましたときには、先生も御承知のように、東海村で十六万キロくらいの規模でまず一号炉がスタートしたわけですが、東京電力、関西電力で現在工事いたしておりますのは五十万キロ級の発電所でございます。それから引き続きまして次の計画を持っておるわけでございますが、次の計画は、東電あたりではすでに七十万キロ台の相当大型な開発をいま計画いたしております。世界的な趨勢からいたしましても、やはり原子力は大型化していく、こう考えます。その点につきましては、先生のお見込みのとおりだと私も考えております。  私どもといたしましての、そういった見通しの上に立った今後の電力政策の進め方でございますが、やはり私どもは、先生もおっしゃいますように、電力の効率化といいますか、経済性をより高めていくという観点からいたしまして、原子力発電の立地等とも関連いたしまして、全体としての効率を高める施策が必要だ、こう考えております。しかし、そのことは、直ちに現在の九電力の体制、あるいは電発を入れて十電力の体制、これが不適当であるとは私は思いません。むしろ今日までサービスの向上等につきましてわりあいに業界が努力して、相当な成果をあげてまいっております。やはりある程度の数がございませんと、切磋琢磨の問題もございませんし、お互いに競い合って技術開発等についても努力していくという姿勢が大事だと思いますので、私はこの体制は必要だと思う。ただしかし、そのことと、ただいま先生のおっしゃいました大型化していくということ、それから効率化していくということの結びつきをどうするかということでございますが、それはやはり広域運営を強化していくという政策が特に必要である、こう考えております。先般も、私ども、先生も御承知の電気事業審議会におきまして、今後の電力政策の基本的な方向について御検討いただいたわけでございますが、その中でも、やはり先生と同じように、今後原子力は大型化していく、そうなりますと、広域運営を一段と強化していく必要があるのではないか、それを通しまして全体としての効率を高めるという施策が必要だという結論に相なっておるわけでございまして、私ども、基幹送電線の建設につきましても、やはり原子力の大型化に対応する超々高圧送電というようなものも、全国的に連携のとれた系統をつくりまして、相互に融通し合う、それによって都会の電力会社も地方の電力会社もひとしく大型化のメリットを受け得るような運営体制を確立したいというふうに考えまして、ただいま中央電力協議会が中心になりまして、こういった広域運営についての具体的な計画を練るという方針を、ごく最近電力会社においてもさらに再確認して、実施の体制をつくっておる状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 電力会社がいろいろ自主的に論議するのはけっこうなことですが、問題は、やはり政府がどういうふうにそれを施策として打ち出していくかということ、これがいま非常に大事だと思う。ことにこの日米、日英の原子力協定は、核物質の購入をするにあたって、これの査察を受けるための規制がきわめて重要なんです。私はあとでまた触れますけれども、いままで核物質については国が管理しておった。今度は民有化に行くわけです。民有化に行く場合に、各社がそれぞれ思い思いでやっていくということになると、規制の問題も非常にむずかしいものが出てくる。それは、規制上の問題が安全性の問題と関連してきわめて重要であり、あるいはまた平和の問題と関連してきわめて私たちとしては危惧を持つものが多い。その上に能率の問題が出てくるのですね。効率が落ちるということ。したがって、私は、いま電力会社が中央電力協議会でいろいろなことをやっておられることはけっこうです。しかし、日本の熱エネルギーの問題を長期にわたって検討することになれば、たとえば九電力があって、四千万キロワットのものをかりに案分してやるとしますよ。そうすると、一社でたった四百万キロかそこらしか出ないんですよ。そうでしょう。そういうことになりましたら、これはもうとても各社とも競合し合うばかりになっていくでしょう。十社で四千万といったら、一社で四百万キロワットですね。四百万キロワットを各社でやりますと、一基が百万キロだということになってまいりますならば、四カ所つくればいい。その四カ所をそれでは立地条件の問題でどういうようにさせるのか。これはみんな各社ごとにやらしたら、安全性の問題からいってもとても問題が大きくなりますし、こういうことをやりましたら、ロスがきわめて大きいだろうと私は思うのですよ。だからこれは当然各社がどこかで共同した施設をするとか、合併した形でものを処理するとかいうことでやらなければ、立地条件の問題からいっても、安全性の問題からいっても、営業上からいっての採算点においても、すべての点で不利だ。今日のように企業規模というものが非常に大型化して、寡占状態まで各他産業が出てきているときに、電力はむしろ分散化していく、九電力よりも今度は原発ができて一つ多くなってしまった。こういうような矛盾した方向を政策の上でほっておく、政治の立場でほっておくという手はないと思うのですよ。これは政治がないということにも相当すると思うのですよ。世界的な趨勢は電力の大型化である。その大型化のときに、企業体を分散化していくという矛盾を、佐藤内閣はなぜここを指摘しないのか、これに対して適切な処置をしないのかという非難を受けますよ。私は、やはりこの段階では、もう少し政府が的確に各電力会社に対して、それはかりにわれわれ社会党の言うような国家管理とかなんかでなくても、営業自体の問題としてやはり統合しなくてはならない状態になってきているだろうし、原子力発電そのものがそれを必要としている、こういう立場から、電力政策というものを明確に打ち出すべきじゃないかということを私は聞いている。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 先生も御承知のように、電力会社が設備投資いたします形といたしましては、シェア争いをやっております一般産業と違いまして、そういった意味の過剰投資はございません。ただし、先生がおっしゃいましたように、大型化に伴って共同開発が必要になってきたり、あるいは輪番開発が必要になってきたり、そういう問題は、私は今後当然あり得ると思います。  先ほど私が申しました広域運営体制をつくっていくというこれは、電気事業審議会でもそういう御提言を私どもいただいたわけでございますが、私も全くそのとおりだと思います。やはり広域運営体制を強めていく、強める強め方といたしましては、原子力の大型化に対応いたしまして、たとえば東北電力の域内で、福島なら福島で一カ所四百万キロぐらいの大きな原子力開発をやったという場合には、それは東京電力も使いますし、東北電力も使う、そして東北電力もその大型化のメリットを享受していくというような意味の節度のある開発と、それからあまねく、都会における電力会社だけでなしに、地方の電力会社もその大型化のメリットをともに受けていくというような体制が必要だと私は思います。その点におきましては、先生と同じような考え方を持っております。しかし、それは必ずしも会社を統合してマンモス会社にしなければならぬということにはならぬ。かえってマンモス会社にいたしますと管理の目が十分行き届かない、あるいはいなかのすみずみまでサービス面に欠けるところが出てくる、いろいろな問題が起こりますが、むしろ電力は単純な企業でございますから、私は、そのような電源開発等におきまして、各社の協調体制のもとに、ただいま申しましたような広域運営体制をやっていけば、これは十分先生が御期待されているような効率的な体制ができる、このように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 それではお尋ねしておきますが、その広域運営について、各社のほうで自主的にそういう線が出てきた、政府もまた、広域運営について適切な指導をしたい、こういうふうなお話、よくわかりました。  それでは、その広域運営の大まかな骨子、それは政府はいまどういうふうに考えておられますか。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 今日までも広域運営というのをやってまいったことは、先生も御承知のとおりでございます。しかし、今日までの広域運営体制というのは、どちらかといえば相互の電力融通、つまり、東北地方が何か事故が起こったというときに、東京電力あるいは中部電力が東北電力に供給する、融通するという連携系統、そういったような体制で、電力業界は給電指令部というのを置きまして、そこで一望のもとに全部発電所の運営状況がわかるようになっておりまして、事故があれば直ちにボタン一つで融通し合うというような組織、そういったようなやり方を中心に進めてまいったわけでございますが、今後のあり方としましては、各地域によって経済発展の段階がそれぞれ異なるものがある。東北地方なら東北地方の今後の電力需要の動向、それから関東地方なら関東地方の電力需要の動向、関西なら関西、それぞれ違う発展の姿を持つわけでございます。それに応じた発電計画をつくりまして、一番効率的な開発体制はどのようにやったらいいかという計画を各社協調のもとにつくらせまして、ですから、各社それぞれ相当大規模なものが必要だという場合には、それを各社に認めればよろしいと思いますし、あるいは各社に同時に認めるのはきわめて効率的によくないということであれば、共同開発の問題もありましょうし、輪番に開発させて相互に融通し合わせるというような体制も必要だと思います。新しい時代、新しい原子力開発に備えて、そういった具体的な計画をできるだけ早くつくりたいということで、先般、審議会でもそういう御提言を受けまして、そういう体制をつくらせておるというのが現状でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 科学技術庁長官にお尋ねいたしますが、いまの通産省の意見では、各社の希望を重点として、大きなものをつくりたければ大きいものをつくらせるようにということで、企業の自主性を尊重しておるようで、非常にこれは民主的に見えます。しかし、科学技術の、特に原子力開発というたてまえからして、そういうように各企業がばらばらな考え方で開発をしていくということは、はたしてほんとうに長期にわたる原子力の飛躍的な開発というものについての路線が出るかどうか、これについてひとつ長官の考え方を聞かせてもらいたい。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 ただいま通産省の御答弁も伺っておったわけでございます。  ただいま御指摘のように、原子力発電は四千万キロであれば、一基が百万キロ前後のものになります。おそらくこれに投資せられる資金も一千億近いものになろうと思います。現在四、五十万キロのものでやって三百五十億とかなんとかいっておりますから、資金量もたいへんなものになろうと思います。これは通産省の御所見で、私が特に批判を加える必要もないと思います。企業性の中においてのよきところをとりながら、こういった巨大原子力施設、発電施設等に対しましては十分各会社が協力をいただいて、そうして公益性の面において十分果たしていくならば、その計画を当初にしっかり立てていくならば、そう支障はないのではないかと思いますが、現実の問題としては、今後いわば原子力の平和利用、特に発電の面については、膨大な資金と膨大な施設と、その発電量の巨大化ということが当然出てきますし、さらにつけ加えまして、他の用途もあるいは出てくるのではないか。あるいは現在英国等においてやられております海水の淡水化等の施設も一応考えられる一つの大きな問題であろうと思います。そういたしますと、やはり個々の企業では持ち得ない事態もあるいは出てくるかもわかりません。しかし、その点は、今日からよく考えていただいて、そうして企業体をそのまま存続していくのか、あるいは企業体を存続しながら、その公益性の面のみについて何らかの連携をとって、ただいま御説明のあったような形を強力に推し進めるということをしていくのか、これは国の政策として非常に大きな問題であろうと思います。私は科学技術庁長官でございますので、通産省の御方針に対して特に批判は加えませんけれども、少なくとも巨大化していく資金の面でも、施設の面でも、あるいはその施設に付随するいろいろな付帯的な事業の面でも、そういう点については、いまの一電力会社をあるいはオーバーする場合も出てくるだろうというふうに考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 国がものすごく大きい額をこの開発のために入れる必要があるわけです。事業団だけでも十年間で二千億円という金を入れるという方針でこの開発を進めていくときに、実際の電力会社がばらばらで、少しも意思の統一がないというようなことになりますと、これは国の施策と実際面との間の食い違いは非常に大きく出てくると思うのです。ここのところは、どこかでひとつかみ合わせをしなければならぬ。かみ合わせをしなければ、国が投入したところの予算面での資金というものはむだになってしまう、こういうことになろうと思います。ここらのところの調整を前提としなければ、こういう三十年にわたるところの協定をわれわれが結ぶということも意味がなくなってくるわけです。そこらのところに明確な政府の方針がなければならぬし、また、それが具体的に案ができていなければ、こうするのだという一つの方向づけというものがないと、われわれがこの協定を結んでも、はたして所期の原子力開発に役立つような、平和利用に役立つようなものになるかどうかさえ疑問になってくる。そういう意味で、長官に先ほど所見を承ったのです。しかし、長官は、自分のお考えみたいなことは話されましたけれども、事実上は、原子力開発という原子力委員会が担当するその部面での一つの方針というのはわからないのです。そこのところをもう少しはっきりここで聞かせていただきたい。

鍋島直紹自由民主党科学技術庁長官

○鍋島国務大臣 いま申し上げましたように、発電の問題につきましては、もう資金の面から見ても、あるいは施設の面から見ても、あるいは電力の面から見ても、巨大化していくことは事実でございます。したがって、先ほど言われましたように、九電力というものがそれぞれの企業が独立していくならば、おそらくそこは独立しておってもお互いに有無相通じ、連携をとるべく何らかの組織ができ、その組織によって運営されていくというようなことも必要になってきはしないだろうかというふうに私は考えます。したがって、これはわれわれの計画と——この計画にも通産省との間に連絡はついておるわけでございますけれども、再度そういった組織といいますか、その体制につきましては具体的にお打ち合わせをして、将来における電力業界の問題として、通産省において十分御研究をいただかなければならぬ大きな問題だと私は考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 まだ通産大臣がお見えになっていないので、これは公益局長にお尋ねするのはちょっと無理かと思いますけれども、いま科学技術庁長官が話をされたように、国は相当大きい額をこの原子力開発のために投入している。それはただ十年先にということを言っているけれども、現実にはもうあすからの炉の導入と関連しているわけです。そういうことですから、電力会社が自主的にいろいろと連携をとっていくということもいいけれども、むしろ政府がそういうような広域運営についての指導性を相当程度強く持たなければ、税金を投入してやっているものとの結節点が出てこなくなる。もしそれを十分の指導性を発揮しないでやれば、これはもう税金のむだづかいになってしまうか、あるいは効果が全然ないままに一部に偏在するというようなことにもなりかねない危険性がある。ですから、こういう点についても、行政上の政府の方針というものが明確にされなければいけないと思うのです。こういう点で大臣の所信を聞きたいところですけれども、担当している局長から、まず局長自身の考え方だけをここで聞かせてください。

井上亮通商産業省公益事業局長

○井上(亮)政府委員 その問題につきましては、通産省におきましては、単に公益事業局長の意見だけではなしに、通産大臣のもとで、先ほど申しましたような広域運営体制をやっていくという基本方針を確立しているわけでございます。ですから、私一個人の考え方ではございませんで、大臣のもとで今後の電力行政の方向づけにつきまして、特に電源開発の大型化に対応しまして、また技術革新のテンポに合わせまして、広域運営体制を一段と強化していく。そのためには先生も御承知のように、電気事業法というのがありまして、これは電力会社が設備をいたしますときに決して自主的にやっていくということではございません。政府の強烈な指導あるいは許認可の体制のもとにやらしているわけでございますから、そういった立場から、先生のおっしゃいましたような意味合いで、私どもも今後とも広域運営体制の強化につきまして努力してまいる所存でございます。このことは私の個人の意見ではございません。省全体としての方針でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 電力行政についてのいまの考え方は一応よくわかりました。ただ、私どもから見ますと、少なくとも原子力発電がこれだけ大規模化してきますと、この発電をやっている企業体である各九電力というものを何らかの形で大きな地域に——それは広域運営というか何かわかりませんが、やはり何らか統合すべきである。それは資本の統合なのかあるいは営業政策上の問題なのかどうかわかりませんが、そういうことをやらなければ効率化が期待できない、そういうようにわれわれは考えているわけです。私の考え方では、むしろ全国を一つにしてもいいと思うのですが、それがあまり極端であるならば、少なくとも二つか三つくらいに分割する形で、原子力発電に対する全力投球をするというような形にならないと、事実上は原子力に期待するような成果があがってこないだろうと思います。木協定の中で燃料をアメリカから百六十一トン入れますが、従来はほとんど政府が買い込んでおったのですけれども、これを企業体に割り当てるというふうになるのだろうと思いますが、現在予定しているところの、政府が指名するというか、認可するところの企業体というものは幾つあるのですか、いわゆる六条にいう「その管轄の下にあると認められた者と他方の当事国政府の管轄の下にあると認められた者」こういうのは、現在どういうところを予定しているかということです。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 そのお尋ねでございますれば、まず原子力関係の施設は、原子炉の設置の場合はもちろんでございますけれども、再処理工場の設備でありますとか、あるいは燃料を加工する事業でありますとか、あるいは製錬の事業でありますとか、さらには研究等に核燃料物質を使用する場合でありましても、すべての場合におきまして原子力規制法の許可を要するということになっておりますので、それらの許可を受けたものはすべてオーソライズされたものである、こういうことになると思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 規制法によって許可をされるもの、これはもう十年先のことじゃありません。今日の問題です。特に政府当局はこれを今国会で成立さしてすぐ実行しようとしているわけだから、大体予定されるものというのははっきりしているだろうと思います。それをはっきりここで教えていただきたい。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波政府委員 原子力発電所で申し上げますと、現在許可を受けてすでに運転されておりますものは、東海村にあります原子力発電会社の東海一号炉がございます。それからさらにその二号炉、敦賀でやっております建設中のもの、これも許可済みでございます。それから東京電力、関西電力がそれぞれ福島あるいは御浜におきまして建設中でありますそれぞれの一号炉並びにそれぞれの二号炉、これはまだ建設に着手したばかりでございます。これが規制法による許可がなされたわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 この点はあとでもう一度お聞きしたいのです。これだけでは私ちょっと疑義がありますので、その質問は午後に残します。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 この際、本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後七時二十二分開議

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件について、科学技術振興対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合、その申し入れを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は、来たる五月六日午後一時より開会することといたします。  本日はこの程度にとどめ、次回は来たる五月六日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後七時二十三分散会

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