外務委員会 第12号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/04/17
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題といたします。 —————————————
○秋田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。藏内政務次官。
○藏内政府委員 まず、ただいま議題となりました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、本年十二月四日に有効期間が満了する現行の日米原子力協力協定にかわるべき新協定の締結のための交渉を昨年十月以来米側との間に行ないました結果、新協定を締結することについて最終的合意を見るに至りました。よって、昭和四十三年二月二十六日にワシントンにおいて、わがほう下田駐米大使と米側ラスク国務長官及びシーボーグ原子力委員会委員長との間で、この協定の署名を行なった次第であります。 この協定は、本文十四カ条からなっており、その内容は、今後予想される原子力の平和的利用の急速な発展に備え、濃縮ウランの米国よりの供給ワクをウラン−二三五計算で百六十一トンと大幅に増加し、燃料用プルトニウム三百六十五キログラムの供給ワクを設定したほか、核物質、設備等が両国間に移転され得ること、この協定に基づいて移転された核物質、設備等は平和的目的にのみ使用されること、国際原子力機関が保障措置を適用するよう両国政府と同機関との間で取りきめを行なうべきこと等を規定しております。 この協定は、わが国に核燃料の長期供給を保証し、わが国の原子力発電の将来を安定した基礎の上に置くものであり、原子力の平和的利用の開発に資するものと考える次第であります。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、本年十二月四日に有効期間が満了する現行の日英原子力協力協定にかわるべき新協定の締結のための交渉を昨年末以来英側との間に行ないました結果、新協定を締結することについて最終的合意を見るに至りました。よって、昭和四十三年三月六日に東京において、三木外務大臣と英側ピルチャー駐日大使との間で、この協定の署名を行なった次第であります。 この協定は、本文十カ条からなっており、その内容は、核物質、設備等が両国間に移転され得ること、英国はわが国が英国から購入した原子炉の所要燃料を供給すること、この協定に基づいて移転された核物質、設備等は平和的目的にのみ使用されること、国際原子力機関が保障措置を適用するよう両国政府と同機関との間で取りきめを行なうべきこと等を規定しております。 この協定は、日英両国が相互協力の基礎の上に立って協力することを可能ならしめるものであり、両国の原子力の平和的利用の開発促進に資するものと考える次第であります。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○秋田委員長 以上両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○秋田委員長 次に、公海に関する条約の締結について承認を求めるの件、及び領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。曽祢益君。
○曽祢委員 すでに前回、前々回の本委員会におきまして、領海及び接続水域に関する条約の中で、軍艦の領海の無害通航権の問題に関しまして、同僚戸叶委員並びに私からこの問題を取り上げまして、政府の所信をただしたことがあったわけであります。本日はこの点に関連いたしまして、最終的の政府の見解を伺って、その上で、私自身もこの条約に対する態度をはっきりいたしたいと思うわけであります。 問題の点は、私の了解するところでは、従来の国際法の一番正しい解釈と認められるところ並びに本条約の成立の経緯、わが国の従来の態度等から考えまして、少なくとも外国の軍艦の領海無害通航については、あまり過大な権利というふうに確定するのはいかがかと思われる節があるのであります。ただ、明確と思われるのは、この条約に即して言うならば、第十六条の4、ここに言っておりまするように、これは一般の外国船舶についての規定でありまするが、少なくとも「公海の一部分と公海の他の部分又は外国の領海との間における」そういう場合の国際航行の通路に当たる場合には、これは慣例から見ても、また本条約の趣旨から見ても、無害通航と認めるのが正しいのではないか。それ以外の場合には、戸叶委員が提起され、また政府もこれは考えていいと言われました、許可制とまでいかないでも、少なくともそういう国際通路に当たらざる領海の外国軍艦による航行の場合には、やはり通告制度をしくということは当然ではないかと私は思うわけであります。 第二の点は、単に通告制度では、事実上通告だけではたして許可かどうかという問題が起こると思います。そこで、もう一つの問題は、十四条の四号にございまするように、通航に関しては「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」この規定の趣旨を考えまするときに、少なくとも、これからわが国の領海を外国の軍艦が、特に危険と思われる、つまり平和、秩序あるいは安全に非常にマイナスではないかと思われる、たとえば核兵器などを持った、その典型的なものはポラリス潜水艦ということになると思いますが、そういう危険物を持った軍艦の場合には、単に通告だけでなくて、十四条の四号の解釈からいたしまして、これは無害と認められるのではなくて、わが国の平和、安全に害あり、したがって、これは無害通航と認めないというわが国の判断があり得るんだ、当然あってしかるべきだ、かように考えるわけであります。そういう場合には、当然にわが国の主権の行使によってこれは許可しないという余地が、単なる通告制度以上に明確に出てこなければならないのではないかと考えるわけです。 以上の点をもう一ぺん集約して申し上げるならば、まず、通告制度ということは、政府の答弁に従って必要である。ただし、それは、通告制度は、私の解釈では、十六条四号のような国際通路、これは現実にこの間も私との質疑応答で明らかになったように、わが国の場合には存外、当たってみると、きまり切った国際通路に当たるようなわが国の領海というものはあまりないのです。現実には納沙布岬と水晶島の間に一つと、西南方面においては五島と平戸の間の一つ、これもそうはっきりした国際通路といえるかどうかしらぬけれども、少なくとも、この二つの場所は確かに日本の領海を通っている国際通路で、随時外国船等が通るところで、あとはほとんどないようです。いずれにいたしましても、そういったような国際通路の場合は、従来の観念に従って通航権を認めていい。それ以外の場合には、通告制度のもとに置くということが第一。第二は、いま申し上げたように、十四条の四号の解釈から、ポラリス等の核兵器を積んでいるような外国の軍艦については、わが国の安全と平和の見地から、これは無害通航と頭から認める義務はないんだ、わが国の安全の見地から、これの通航を許さない、この当然の主権を、権利を確認をしておくべきである。この二点についてひとつ政府のお考えをお述べ願い、もしその御答弁が満足であるならば、特段に留保あるいは附帯決議等の要はないかと思いますが、非常に重要な点でございますので、この前も、きょうは最終的にこの見解をはっきりしていただきたいということを申し上げておいたので、まず御答弁を伺ってから、私の意見を最終的にきめたいと思う次第であります。
○三木国務大臣 無害通航権は一般的な権利をして認められておるわけでありますから、これをむやみに制限するということはよくない。しかし、いま御指摘のように、無害通航権というものには、沿岸国の平和、秩序、安全を害さないという前提があるわけでありますから、何でもかんでも無害通航は認めなければならぬという性質のものだとは考えられません。したがって、一般的な軍艦についての通告制度というものについては、もう少し検討をしてみたい。これに対してはいろいろな実際の場合に照らしてみて検討を加えたいと思うのであります。 しかし、いま御指摘にもありましたように、常時核兵器を装備しているポラリス潜水艦、あるいはまたポラリスといわなくても、これに類似の軍艦というものは、これはやはり軍艦の通過というものが無害だとは考えていないのであります。したがって、これは原則的に断わるという考えでございます。しかし、アメリカの場合は、日本及び極東の安全のために行動するという日米安保条約のたてまえからして、特別の配慮が必要であると考えております。しかしながら、実際問題として、アメリカのポラリス潜水艦が浮上して領海を通るような場合は、実際のケースとしてはほとんど考えられないと思っております。ましてや、ほかの国はなおさらそうだと思うのであります。したがって、実際の問題としては、そういうケースが起こる場合はほとんど考えられませんが、たてまえとしての政府の考え方はいま申したような点でございます。
○曽祢委員 私の申し上げていることと趣旨においてはきわめて接近している。また、多くの点において同様なお考えのように伺いますが、第一点については、いささか外務大臣の御答弁が後退しているんではないかという感じもするのです。私は、軍艦について全部通告制にしろというようなことは言っていないのです。むしろ、軍艦については通告制でもいいじゃないかというようなお答えであったかと思うのですけれども、国際通路に関しては、これは私の考えですが、同僚委員のお考えは別として、はっきり国際通路に当たっている場合は、現実にはわが国の場合はほとんどないと思うのであります。理屈から言えば、少なくとも国際通路の場合は通告しないでもいいだろう。これは慣習法ですからね。しかし、そうでない場合には通告制度にするといっても、いまさら研究さしてくれというほど留保的態度をおとりになる必要はないのではないか。これはいま直ちに御返事がなくてもけっこうです。もう一ぺん重ねて言いますが、国際通路に当たらざる軍艦の通航については、少なくとも日本は通告制度をとるというくらいに言って差しつかえないと思うのです。 それから、第二の点については、いろいろ政治的考慮がおありのようですけれども、突き詰めて言えば、これは日米安全保障条約の事前協議の問題に触れる前の問題であるとわれわれは考える。したがって、アメリカのポラリスであろうが、ソ連のポラリスであろうが、中国のポラリス潜水艦が今後できる場合があろうが、おしなべてそういう危険なものは無害通航と認めない、現実にどう断わる、断わらないは政治の問題ですけれども、この十四条第四号にいう無害通航には入らない。いま大臣が言われたように、原則としては、それは断わるのはあたりまえだという権利さえはっきりしておけばいいのであって、何かアメリカの場合だけは極東の安全のために許すこともあるというようなことに入らないほうが、たいへん失礼な話ですけれども、原則論でやったほうがいいのではないか。こういう問題は、私に言わせれば、日米安全保障条約の適用の問題ではないのですよ。もっと国家主権の問題だと思うのですね。だから、外国の危険物を持ってくるものについては、おしなべてこれはお断わりだという基本的な態度が明確になっておればいいので、そういう意味で、これは当然単なる通告制以上の問題である。もう一ぺん、その点で私の申し上げていることに大体賛成していただけるならば、なお一そう明確になると思うのですけれども、重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
○三木国務大臣 国際航路以外のことに対して、軍艦に対する通告制をとったらどうかということは、われわれとしても前から答弁しておるように、後退というわけではない。これは実際に適用した場合のこの適用が、効果があがって目的を達成できるかどうかということに検討を加えておるので、後退はしておりません。 それからまた、ポラリスあるいはポラリス類似の核兵器を装備した軍艦については、原則的にはこれは好ましくない。ただ、私は、日米安保条約のたてまえからして、ある考慮というものは、そういう場合はもう普通の場合として想像できないのでありますから、考慮はせなければなるまいけれども、原則的に好ましいものではない。ポラリス潜水艦というものに対する原則的な考え方はそう考えておるんだということで、安保条約上のたてまえの一応の配慮というものだけは申し上げておくわけでありますが、原則的にはこれは好ましいものではないという考えでございます。
○曽祢委員 これだけでやめますけれども、第一点については、実効の点を考えて、あまり通告制度をしくというふうに大きく言ってしまうと、実際実効があがるかどうか、しかし、通告制度については、これはひとつ考える、趣旨はいいと思うというふうに伺っておきたいと思います。あとで御答弁をもう一ぺん願います。 それから第二点は、私は、そういう政治判断まで拘束するつもりはないのです。だから、十四条の四号にいう通航は、ポラリス潜水艦あるいは類似の外国軍艦の場合には、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」当然に無害通航とされるという規定じゃないんだ。だから、これは当然の無害通航じゃないんだということさえはっきり権利を留保しておけば、許す許さないということまで——私は必ず断われという言質をとろうなんということは言ってないのですから、無害通航として当然に認める義務を負わないようにしてはどうであろうか。その気持ちは、大臣が言われるように、どこの国でもそれは好ましくない、これは政治的な判断なんだから、権利義務の問題からいえば、十四条四号にいう無害通航と認められるものに入らない、無害通航じゃないんだよ、無害通航の範疇に入れないのだ、これだけをはっきりしておけばいいのですよ。もう一ぺん……。
○三木国務大臣 非常に御理解のある質問で、第一点については、いま曽祢君の言われたように、実際問題としてこれを適用した場合の効果というものに検討を加えておる。しかし、何とか国際航路以外については何らかの通告の制度というものを持ちたいという意図のもとに検討を加えております。 それから、第二の点については、この条約にいう沿岸国の平和、秩序、安全を害しないという場合の範疇には入らない。ポラリス及びポラリス類似の潜水艦はこの範疇には入らない、好ましきものではない、こういう考え方でございます。
○曽祢委員 質問を終わります。
○秋田委員長 石野久男君。
○石野委員 第三章の無害通航権の問題で、いま曽祢さんからもいろいろお聞きしましたが、この無害通航権についての規則について、まず第一番に「A すべての船舶に適用される規則」ということでお尋ねしたいのですが、一般的に条約の文中にある「船舶」というものは、商船、公船、それから軍艦、すべてを含むというふうに理解してよろしいのでしょうか。
○高島説明員 条約によっていろいろ取り扱いは違いますけれども、通常「すべての船舶」と申します場合は、軍艦、商船、漁船、すべてを含む。ただ、それぞれの条約におきまして、そのうちから軍艦を除外したり、あるいは漁船を除外したりというような例はございますが、本件のこの条文におきましては、軍艦、商船、漁船、すべてを含む意味で、「船舶」ということばが使われております。
○石野委員 米国との相互協力及び安全保障条約の地位協定の第五条にある「船舶」、この「船舶」には軍艦が含まれておるのですか。
○高島説明員 主として軍艦でございます。もちろん、軍艦以外の公船も含みますが、主として軍艦でございます。
○石野委員 本条約第三章では「すべての船舶」とあるのが、軍艦が含まれておるとの解釈が成り立つのですが、一般的に単に「船舶」という場合には、軍艦を含まないと解釈される。私どもは、一般の場合は、軍艦は「船舶」には入っていない、こういうふうに見てきておるのですが、そういう解釈はどういうふうに考えますか。
○高島説明員 先生御指摘のとおり、軍艦につきましては、国際法上の特別な地位が認められておりまして、そういう観点から、普通の国際条約におきましては、軍艦の持つそういう治外法権等に着目いたしまして、その適用を除外しておるというのが通例でございます。しかし、この条約におきます限りは、軍艦が当然に入っておりますというように解釈いたしております。と申しますのは、それぞれ別個に、軍艦以外の船舶あるいは軍艦に適用される規則というように規定がございます関係上、この条約に関する限りは、軍艦に関する規定だというふうに考えております。
○石野委員 そうすると、一般的には、「船舶」というのは軍艦を含んでいない、こういうように解釈してよろしゅうございますね。
○高島説明員 軍艦を含みますので、特にこの条約の中におきまして、軍艦について適用を除外する特別な規定を置く必要がある。でございますので、「船舶」といいます場合には、通常の場合は必ず軍艦、商船、漁船、すべてを含む、こういうふうに解釈をされます。
○石野委員 日米友好通商航海条約の第十九条ですか、「いずれか一方の締約国の国旗を掲げる船舶」とある。この「船舶」にも軍艦あるいは公船も含まれておると解釈していいのですか。
○高島説明員 この友好通商条約の適用船舶は、大体におきましてはもちろん商船でございましょうけれども、規定上は軍艦も含みます。したがいまして、それにつきましては、別に適用を除外する規定がございます。
○石野委員 そうすると、航海条約の中の「国旗を掲げる船舶」というこの場合は、特別のなにかがなかった場合、軍艦、公船も含まれるというふうに解釈するのですか、解釈しないのですか、どちらですか。
○高島説明員 船舶と申しますからには、当然軍艦も含むと解釈いたします。
○石野委員 この条約の第十四条の第一項によると、「すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有する。」こういうふうに規定してあります。沿岸国はあたかも無差別に領海内の無害通航が可能であるかのような印象を与えておるわけですが、三木大臣は、三月十五日のこの委員会で、必ずしも無制限ではなくて、公海から公海へ抜けていく、こういう場合、そこを通る以外に方法がないという場合に無害通航が許されるのだ、こういうふうに答弁された。このように大臣の答弁は無害通航を制限的に解釈されたと私たちは受け取っておるのですが、そういうふうに今日も大臣は考えておりますか。
○三木国務大臣 これは一般的な無害通航権という普遍の国際的な権利として認めた。その根拠になっておるのは、やはり国際通路としてそれを通航するということが、それ以外に全然道がない——迂回すればあるかもしれませんが、しかし、とにかくその通航が普通の場合からいって適当な通路であるということが、こういう無害通航権という普遍の一つの権利が慣習として成り立ってきた大きな根拠になっていると私は思う。だから、むやみに沿岸無害通航権があるといって、用もないのにその国の沿岸をうろうろするようなことが、無害通航権というこの国際条約でいう一つのカテゴリーに入るとは私は思っていない。
○石野委員 それでは、三月十五日に御答弁になったように、やはり無害通航権というものは無制限ではない、ある種の制限を持っておる、こういう理解に立っておる、こう見ます。 それでは、わが国の周辺の海域で外国の船舶に無害通航を認めざるを得ない場所はどことどこか、そういう所をひとつ示していただきたい。
○高島説明員 通常この無害通航の典型的な例と申しますのは、日本の港に出入りする場合、やむを得ず日本の領海を通るということが典型的な例でございまして、日本の港に入らないにもかかわらず、単に日本の領海をかすめて通るという例は実際上ほとんどございません。そういうわけでございますので、無害通航の例はどういう所かとおっしゃられますと、日本の港に入るために通らなければならない水路、その水路が日本の領海である場合におきましては、すべて無害通航であるというふうに考えております。ですから、それは、外国の商船とか外国の漁船等が日本の港に入る場合にやむを得ず領海を通る、そういうケースが典型的な無害通航の例でございます。
○石野委員 だから、そういうような場所は大体どういうところか、ちょっと列挙してもらいたいのだ。
○高島説明員 たとえば東京の場合でございますと、公海から太平洋を経て東京湾に入るという場合に、日本の領海を通って東京湾に入ってくる。この十四条の第二項にございますように、「通航とは、内水に入ることなく領海を通過するため、」これは単に領海を通過するにすぎない場合、公海から公海へ行く場合に、日本の港に入らないで領海を通過する場合、それから「内水に入るため、又は内水から公海に向かうために領海を航行する」場合、これが一番多く典型的な例でございまして、これは実は領海の通過というよりは、むしろ日本の港に入る、あるいは港から出ていく、その途中の過程における通航をとらえて、われわれは領海無害通航と申しております。それ以外に、日本の港に入る必要がないのに、日本の領海をかすめ通るということは、よほど特殊な場合、先ほど曽祢先生がおっしゃられておるように、国際航行にあてられている場合、そういう場合以外にはちょっと常識的には考えられません。
○石野委員 これはいますぐということは無理かもしれませんが、どうしても認めざるを得ない場所ですね、そういうところはどういうところかということをひとつ調べて出してください。ちょっとわれわれも理解しにくいところがあるものだから、これはあとで出してもらいましょう。
○高島説明員 そうします。
○石野委員 先ほど曽祢委員からもお話があったように、三月十五日の委員会で、戸叶氏は、軍艦は無害通航の場合にはせめて通告ぐらいしなさい、そのとき大臣は、検討しよう、こういうように言っておったわけです。いま曽祢委員の御質問に対しましての御答弁では、まだ検討した結論的なものは、ちょっと御答弁としてはいただいてないように思う。これはその後どういうふうに御検討なさっておるかということを、この際、もうこの条約をきょう上げにゃいかぬわけですから、はっきり大臣が検討したことについての結論めいたことをひとつ聞かしておいていただきたい。
○三木国務大臣 これは、私も、何らかのやはり通告する制度が必要なんじゃないか、こういう考え方を持って、実際にその通告というものを、そういう通告の制度をとるというような形で検討するように指示したわけです。これを実施した場合の利害得失、いろいろな点でいま検討を加えておるので、この委員会に結論が出れば御審議の上においても一番御便宜であったと思うのですけれども、これは今日まで結論は出ていないのですが、私自身は、何らかのそういう制度をとれないかという考え方のもとにおいて検討を加えるということでございます。
○石野委員 先ほど曽祢委員に対しては、とにかく好ましくないということの大臣の御答弁があったわけです。好ましくないようなものを、われわれがここで条約を通す場合に、未確定な形で、条約をよしあるいは悪しというふうにきめるということはなかなかむずかしいと思うのです。ことにこの問題は、ちょうど大臣が、先般の予算委員会でわが党の楢崎君の質問に対して、そのときの答えではこういうふうにに言っております。楢崎君は、それじゃいまのあれでいくと、ソ連の核潜水艦だって中国の核潜水艦だっていいということになりますね、こういう質問に対して、大臣は、それはアメリカだけ区別することはできない、こういう答弁をしておるわけです。そういうことになると、この無害通航権が、特に核兵器を積載したそういう潜水艦の通航に対しても、どの国かということの区別は全然できないわけですから、区別が全然できないままで私たちが条約を通すと、わが国の領海に対する主権行使というようなものが全く権限がなくなってしまうということになるわけですね。先ほど大臣は、アメリカの点に対しては、日米安保の関係で、わが国の安全のために特別な配慮をしなくちゃいけないということを言ったけれども、事実上は浮上して航行はしませんから、潜水しているということになれば、どの国がどうだということの選別はつかない。そういう問題に対する歯どめは全然きかないことになってくるのだが、それをどういうようにして歯どめをきかすつもりでおりますか。
○三木国務大臣 この領海の通過は、もぐっちゃいけない、浮上しなければいかぬという、これがたてまえでございますから、下をもぐっていくことはございません。そして曽祢君に対するお答えは、一般軍艦というのじゃなしに、ポラリス潜水艦あるいはこれの類似の、核を常時装備しておる軍艦、これは好ましくないということは、これについて申し上げたのでございます。一般的な原則としては、それは無害であるというカテゴリーの中には入れて考えてない、好ましくないというお答えをしたわけでございます。
○石野委員 だから、好ましくないということは、ポラリス、核を装備しているものは好ましくないということは言ったのだが、先ほどの曽祢委員も言っておるように、あるいはまたわが党の楢崎君や戸叶氏たちが質問しているように、アメリカのものとソ連や中国のもの、かりに中国でもできるかもしれないし、それからそれだけじゃない、イギリスのものも来るかもしれない。そういう好ましくない、核を装備し、あるいはまた核装備しているかどうかわからないけれども、潜水しているものが日本の領海を通ってもわからないわけです。大臣は、領海を潜航してはいけないことになっていると言うけれども、それじゃ領海を潜航するものを識別する、わが国の領海の中には何かそういう施設がございますか。
○三木国務大臣 この条約案の第十四条六は、潜水艦は「海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。」という条約規定になっておる。だから、これは旗を掲げるわけでございますし、「海面上」でございますから、もぐって行っちゃいけない、この条約のたてまえはそういうことになっておるわけであります。しかし、ポラリスあるいはまたポラリス類似の核常時装備の軍艦というものは、無害というカテゴリーの中には入れない。これはやはり好ましくない。だから、一般的な原則としては、断わるというのが原則でございます。
○石野委員 ポラリス潜水艦等は無害のカテゴリーには入れない、これは当然のことだと思うので、それはよろしいのです。けれども、大臣はいま十四条の六項「潜水艦」はと言ったけれども、これには「潜水船」となっているじゃありませんか。なぜ「潜水船」というのを「潜水艦」——「潜水船」というのと潜水艦というのとはどういうところに違いがありますか。
○高島説明員 条約審議の過程におきまして、十四条以降「すべての船舶に適用される規則」ということでございますので、この六項におきます潜水船ということばも、潜水艦を含む一切の潜水用の船舶ということに解釈することにはっきり合意がございます。
○石野委員 じゃこの潜水船というのは、軍艦と普通の潜水船、それを含めたものとして見るわけですね。それはわかりました。 そこで、第十四条六項は、「海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。」こういうふうになっておるのだが、しかし、潜航してきた場合、それはこの条約ではどういうように——それじゃ罰則があったり何かするのですか。潜航するということは絶対にないという保証はどこにあるのか。また、それを識別するというか、見分けるという施設はどういうようにしているのか、その点……。
○高島説明員 これは国際法上の問題といたしまして、領海は沿岸国の主権が及ぶ水域でございますので、その水域に対しまして外国の船が潜航してくるということは、これは国際法違反でございます。したがって、この条約の違反でもございます。そういう観点から、そういう事例が起きれば処理される、このように解釈しております。
○石野委員 そうすると、大臣は、この前の予算委員会でわが党の楢崎君の質問に対して、それはアメリカだけを区別することはできないという、この答弁は間違っていたわけですね。
○三木国務大臣 私が曽祢委員の質問に申し上げたのは、安保条約というたてまえがあって、ほかの国と同じだというふうには考えてないわけであります。安保条約のたてまえ上、考慮しなければならぬ面がなしとは言えぬと思いますけれども、原則として、日本の考え方は、好ましきものではない、無害のカテゴリーには入らない、こういう考え方でこの問題を処理していきたいと考えております。
○石野委員 そうしますと、やはりアメリカも、あるいはかりにソ連、あるいはイギリス、あるいは中国のものがきて、それをすべてを含めてという意味ですね。アメリカを含んでという……。
○三木国務大臣 原則的には好ましいものだとは考えていない……。
○石野委員 戦時における中立法規から見て、いわゆる中立国における軍艦の無害通航というものはどうなるか。これは、たとえばAとBとが交戦関係にあると仮定します。わが国はその戦時法規における中立の地位にあるとした場合、AとBに対してわが国の領海内の無害通航を認めなければならなくなるのかどうか、その辺はこの条約によってどういうふうになりますか。
○高島説明員 この条約は、戦時のそういう領海ないしは公海の地位につきまして何ら規定いたしておりません。もっぱら平時におきます領海の地位、公海の地位を定めたものでございます。そういうことでございますので、この条約に基づいて戦時における中立国の領海ないしは公海はどうなるかということにつきましては、この条約に関係しては問題が起きない次第でございます。
○石野委員 そうすると、戦時の場合は、この条約による無害通航権というものにかわるものはどういうふうにして出てくるのですか。
○高島説明員 戦時中立国の領海におきます外国の船舶の通航につきましては、もっぱら戦時法規に基づいて処理されるということでございますので、この条約によってどうこうということはございません。そのことを私は申し上げているわけでございます。 なお、現在、国連憲章のもとにおきまして、戦時というそういう事態が果たして起きるかどうかということにつきましては、国際法上のいろいろな学説あるいは政府の見解におきましても、現在の国際社会のたてまえ上は、国際連合が平和の破壊あるいは侵略、そういった事態をすべて処理するたてまえになっておりまして、戦争というものを各主権国が平等の権利として行使し得るというたてまえになっていないというのがたてまえでございますので、あるところに、そういう国際連合の憲章に違反して戦争を起こすという事態は、現在の国際社会のもとでは想定いたしておりません。
○石野委員 そうすると、そういう場合には、結局日本が中立の場合で——日本が中立なんですよ、戦争に参加していない場合ですね。その参加していない場合に、交戦国のどちらかの側から、日本は戦争に参加してないわけですから、そういうときに、この条約によって軍艦が入ってくる、無害通航権の行使ということが出てきた場合どうするかということを私は聞いているのですよ。戦争当事国は、これはもうすでに戦争しているのだから問題がないのですよ。
○高島説明員 先ほど来申しておりますとおり、この条約が適用されますのは平時における関係でございますので、戦時におきましての領海の地位については何ら規定はございません。したがいまして、戦時におきましての中立国の領海については、もっぱら中立法規あるいは交戦法規が適用されるというふうに考えております。 なお、先生の御質問の仮定の場合でございますけれども、日本がある国の戦争によって中立の地位に立つというふうな場合に、外国の軍艦の通航を認めるかということになった場合には、もちろん、この無害通航という観点から一つの制約はございますけれども、それ以外に、戦争に巻き込まれないという立場から、中立国としての交戦行為を避ける義務があるわけでございますから、交戦国の軍艦が通航することを原則としては禁止するというのがたてまえであろうかと思います。ただ、それにもかかわらず、これはある交戦国の一方の軍艦の通航を認めるという場合におきましては、当然他方の軍艦に対しても通航を認めなければならないというような中立法規の解釈でございますけれども、そういう関係になろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、この条約自体が、そういう中立国の領海における軍艦の通航というようなものを想定したものではないということだけをはっきり申し上げておきます。
○石野委員 この条約にわが国が加盟していけば、当然あらゆる船舶に対する領海内における無害通航を保障しなくちゃいけないわけですね。戦争の場合、わが国が交戦国なら、これはもう当然戦時法規を適用されると思うのですよ。しかし、われわれが交戦国にならなければ、そのならない国としては戦時法規の適用はないわけですね。そうすると、その戦時法規の適用のないわが国が、中立の立場におるものが、戦争している当事国とはそれぞれこの条約による義務規定があるわけですから、その場合どうするかということを私は聞いているわけです。いま御答弁になっているのは、戦争当事国はやはり戦争法規に照らされて云々ということを言っているのですけれども、われわれは戦争に参加していない。戦争法規に入っていないのですから、法規の制約を受けないから、それをはばむ、交戦国のいずれかを——両方はもちろんですが、いずれかのものも航行させないということをどこで保障するか、この条約はどういうふうにして保障するのか、こういうことを聞いているわけです。
○高島説明員 もっぱら仮定の問題でございますが、ある国と国との間に戦争が行なわれまして、日本は中立の立場に立つという場合に、日本と戦争していない国との関係はもっぱら平時関係でございます。これは、この条約と申しますか、こういう一般の国際法にのっとって律せられる。ただ、日本とその交戦国との関係におきましては、これはやはり中立法規、戦争中の戦時法規の一部でございますが、中立国との関係を律した法規によって支配されるということでございます。したがって、先ほど申したとおり、一方の交戦国に対してもし日本が何らかの理由によって通航を許すという事態があった場合には、他方の交戦国に対しても許さなければならないという関係に立つと思いますが、原則として、そのような場合に日本が通航を許すということは考えられません。
○石野委員 考えられないと言うんですけれども、われわれの心配するのは、交戦国の軍艦が無害通航権を乱用すると——それは交戦している双方の側は戦時ですから、当然戦争しているんだから、こんな法規は吹っ飛んじゃうと思いますけれども、われわれが戦争してないという立場、中立ということになれば、交戦しているAの国あるいはBの国とこの条約によって義務規定を持っておるとする場合、その国がわが国に対して無害通航権を乱用するということになってきた場合には、これはいま高島さんがおっしゃったようにたいへんなことになっちゃうと思うのですよ。だから、これはたいへんなことになるから、そこで、われわれとしては危険な立場に置かれるおそれがあるので、無審通航権というものははっきりしておかなければいけない。先ほど大臣は、無害通航権については制限的解釈をされた。これは私は正しいと思うのですよ。そういうような制限的な解釈は戦時の場合においてどういうふうに保障されるかということを私は聞いている。だから、戦時立法が中立国のわれわれに対してどういうふうに及んでくるのか。交戦国にはよくわかりますよ。だけれども、中立国のわれわれに戦時立法がどういう形で及んでくるかという問題なんです。
○高島説明員 その中立に関する法規というのは、第二次大戦を経過いたしまして、かなり国際法上もいろいろ変化をいたしておりまして、現在確実にこういうものが中立法規であるということがいえない状況にございます。しかし、これは将来の仮定の問題でございますが、国際連合憲章のたてまえにもかかわらず、そういう不幸な事態か起きた場合に、日本が中立の関係に立つということになったときにおきましては、日本が通航を許すか許さぬかというのは、主権国としての沿岸国の権利でございますので、日本の平和、秩序、安全に害であるということが当然想定されるような事態におきましては、日本としては断わるというのが当然であろうかと私ども考えております。ただ、一般的に申しまして、この条約によってということじゃなくて、そういう場合におきましては、交戦国との関係においてはあくまでも国際法の中立法規で適用される、その範囲内で処理されるというように私は考えております。
○石野委員 もっと突き詰めていえば、いまおっしゃったことは、国際法のどこの何条ではっきりするのか、こういうことになるのですよ。それがないと、ただ概念的にだけそういうことを聞いておって、いざというときになったらどれを適用していいかわからない。しかも、条約に加盟しておる国は、条約を放棄しない限りは権利を主張しますよ。だから、そういう権利を主張されたときに、われわれはそれじゃただ恣意的に断わるということになると、条約違反になっちゃうから、そこをどこに基づいてどうするかということを示してほしい。
○高島説明員 先ほど来申しておりますとおり、この条約は、平時における各国の関係を律しておるのでございます。したがって、戦時になった場合に、交戦国はこの条約に基づいて権利を行使するというわけにまいらない次第であります。したがって、いかなる交戦国といえども、この条約の十四条に基づいて通航させろという主張をいたすことはできない関係に立ちます。
○石野委員 わかりました。そうすると、戦時になったらこの条約は適用されないということは、この条約には明記されていない。ほかの国際条約のどこにそのことは明記されておるのですか。
○高島説明員 戦時における交戦国同士の海上における地位の関係とか、ないしは交戦国と中立国との海上における関係というものに関する国際法はございません。
○石野委員 そうすると、そういうものはないのでしょう。なければ、結局戦時になった場合に、領海及び接続水域に関する条約というのはやはり消えてしまわないですね。消える法的根拠はどこにもない。だから、そういうものをこの条約ではどういうふうに制限するかということを聞いておるわけです。
○高島説明員 先生の御質問の趣旨を必ずしも私よくとらえていないかと存じますが、仮定の戦争の場合に、日本が中立に立ったという事態を想定いたしまして、交戦国の軍艦がこの条約に基づいて日本に入ってくるという権利はございません。この条約はそういう条約ではございません。したがって、いかなる戦争におきましても、交戦国がこの条約に基づいて日本に対して無害通航権の主張をすることはできない。ただ、そういう事態におきましては、この条約を離れて、一般の慣習法規としての戦時の中立法規、これが適用されるということでございます。
○石野委員 交戦国がこの条約による無害通航権を主張できないということと、それから交戦国とわが国、中立国との周に結ばれたこの条約が無効になるということとはだいぶ違うのですね。ですから、交戦国は平時の状態の主張はしにくいということになっておりましても、やはり交戦国は当然そのことは言えると思うのですよ。交戦国と中立国との間のそれはだめだということは、観念的にはわかるのですよ。観念的にはわかるけれども、しかし、条約に基づく主張をそれはだめだということで押える、それを拒否するという法的根拠がないじゃないか、こう言うのですよ。だから、この条約の中で戦時においてはこうだああだということが書いてあれば、それははっきりわかる。けれども、ずっと見てみたけれども、それはどこにもないわけだ。だから、そういう場合には、当然条約締約国のその間の権利主張として主張された場合、われわれはやはり断わるわけにはいかなくなる状態になりはせぬか、こういうことを言っているわけですよ。
○三木国務大臣 私、御質問はよくわかるんですよ。そして、条約局の事務当局に何か根拠というものはあるのか、いま言われた、戦時になってきたら適用できないという何か根拠でもあるのかということを、私も事務当局にいま聞いておったわけですよ。こういうたてまえになっているんですね。この条約というのは、国連の会議でできた。国連というものは平和機構ですから、国連というものが戦時に対する規定というものを国連の会議の中で出すということのたてまえにはなっていない。一切国連憲章にいう平和機構の中におけるこういう条約でありますから、もしこれが戦時ということになってきて、これが適用を考えるときには、この条約というものは戦時には一切適用されない、この前提のもとに国連の会議が行なわれた。これが国連憲章のたてまえであるから、条約には書いてはないけれども、一切の大前提になっておる。書くほどのことでもないので、条約にも書いてないけれども、大前提になっておる。それは何かの文章でもあれば、いろいろ御疑問もないのかもしれませんが、まあ考えてみれば、国連の会議の中で生まれてきた条約ですから、国連というものがそういう前提のもとに生まれた機構でもあるし、したがって、もう当然のことであるということで、文章としては入れてないということが説明でございます。
○石野委員 条約局の説明は、そういうものだというその心持ちはよくわかりますよ。心持ちはわかるけれども、先ほどから同僚委員の中で、いろいろ無害通航権というものを無条件で許すということについては、主権の立場からしても非常に問題があるということが論ぜられているわけです。平時においても問題があるわけです。それを極端な形にしたのが戦時の状態なんですよ。そういう意味で私は聞いているわけですから、ただ戦時という立場だけで質問しているのじゃないです。戦時と平時とは、別に戦時は地球の外へ出ていくわけじゃないんだ。地球の中で——ちょうどきのう三木大臣が、中国と日本との関係で、引っ越しはできないと言ったのと同じことで、われわれも戦争のときに地球から引っ越していくわけにはいかない。そうなると、結局、戦時の場合も平時の場合も、形は違うけれども、内容は同じものを持っているわけです。平時において相手国の軍艦が、装備はどういう装備であるかわかっておるような、わからないようなものが無害通航権を主張して領海の中を航行されるということは、これはまずいわけですよ。そういうものについては、かりに国連はそういうようなことは予想はしてないのだ、大前提なんだといったところで、事が起きたときの処置のしかたは、やはり法に基づかなければ処理できない。もしそれを法に基づかないでやった場合には、いろいろな行き違いが出てきて、トラブルがそこから起きるだろうと思うのです。そういう意味において、無害通航権に対する制限解釈、これはやはり明確にしておくべきだろうと私は思うのです。そういう意味から、先般大臣が戸叶委員やその他の同僚委員に対してお答えしておる制限解釈の問題について、あるいはまた通告制度の問題等については、いつまでもやはり考えるだけじゃだめなんです。私どもがこういう疑義を提起しつつこの条約の審議をしておる。しかも、政府はきょうじゅうにでもこれを上げてくれと言っている。われわれも上げることにはやぶさかでない。けれども、こういう疑義を残したままで条約を上げるということは非常にむずかしくなる。したがって、通告制度の問題であるとか、あるいは無害通航権に対する制限解釈とかいうような問題について、大臣から明確に所信を出してもらうと同時に、この条約の中においてもそれが何がしかの裏づけになるような考え方を示さなければいけないのじゃないかというように私は考えるのですが、ひとつ大臣の御所見をお聞かせ願いたい。
○三木国務大臣 先ほど曽祢委員の御質問にも答えましたように、われわれとしても、国際的な通路以外の通路に普通の軍艦でもこれが航行する場合には、何らか通告する制度というものがあっていいのじゃないかと私自身がそう思うのです。しかし、専門家はいろいろな場合を適用したり利害得失を考えるわけで、私はできればこの採決をいただく前に結論を出したほうが一番いいと考えておったわけです。しかし、これは重要なことでありますから、時間をかけることもやむを得ないと思いますが、外務大臣自身が何らかそういうものがあったらいいのではないかという考えのもとに検討をいたさしておりますから、どうかそれが結論が出るまでちょっと採決をお預けというようなことを言わないで、御信頼を願って、そしてひとつ審議を進めていただきたいと思うのでございます。
○石野委員 条約に対する審議の協力はやぶさかでありません。ただしかし、私どもは、無害通航権という点で、条約の審議がこういう疑義を持っているにもかかわらず、このままで通過させるということは問題があります。したがって、やはりいま私が質問しました、無害通航権が平時の場合あるいは戦時の場合、特に軍艦についてはどういうふうになるかということについてのはっきりした——それを拒否する法的根拠がなければ、それではどうしたらいいんだ。ただ大臣の言うように、国連はそういうことを予想しないでやったのだからということでは、これは私たち納得できない。そんなことだったら何も審議しなくていいのだから。それではいけないので、いまわれわれが疑義を持って質問していることについて、それに対応すべきこの条約の中での処置はどうしたらいいのかということについての政府の考え方があれば、ひとつ聞かしてもらいたい。
○三木国務大臣 日本政府の考え方としては、この条約は、戦時における適用を一切日本政府は認めない。それから、国際通路以外の軍艦の通航については、できるだけ通告する制度というものを設けるという考え方のもとに検討を加える。ポラリス潜水艦あるいはまたこれに類似の常時核装備の潜水艦は、この中にいう沿岸国の平和、秩序、安全に無害であるというカテゴリーの中には考え入れない、こういうことを明らかにいたしておきます。
○石野委員 そうしますと、いま三木大臣の解釈は、第三章の確定解釈、こういうふうに見て、本条約の当事国の一致した解釈である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○三木国務大臣 けっこうです。
○石野委員 本条約署名に際して、社会主義諸国、特にパナマ、イラン等は軍艦の無害通航について留保をいたしているわけです。この留保を大臣はどういうふうに考えますか。不当だと考えますか。
○高島説明員 お答えいたします。 いろいろな国が多くの留保をいたしております。概略御説明いたしますと、領海条約につきましては、特にソ連圏の諸国が二つほど留保いたしております。一つは、政府船舶の地位の問題でございますが、特に商業目的に使われます政府船舶につきましても、他の通常の政府船舶と同様に認めるべきであるという立場からの留保でございます。しかし、この条約におきましては、同じ政府船舶であっても、商業目的に使われる政府船舶につきましては、通常の商船と同様に取り扱うべきであるという立場でございますので、その点についての留保がございます。もう一点は、軍艦の通航に関する留保でございまして、軍艦の通航を許可するための手続を定める権利を有するという趣旨の留保をいたしております。 前者の政府船舶についての留保、これは明らかにこの条約の規定と相反する独自の立場を主張した留保でありまして、わがほうといたしましては、そのような留保に賛成するわけにいかないという趣旨のことを、日本の加入にあたってはっきり通報するつもりでおります。 第二点の、軍艦の通航について許可の手続を定める権利を留保するという点につきましては、これは軍艦の無害通航についての通告とかあるいは許可制度というものについては特別に何らの規定がございませんので、この条約に違反するとかなんとかいう問題ではございません。国際慣行としてもその点ははっきりしておらないということでございますので、わがほうとしても、特別に何らの意見を申すことはしないつもりであります。
○石野委員 その第二項の軍艦の問題についての留保には何も意見を申し述べるつもりはない、こういうことでございますが、先ほど大臣から無害通航権に関する解釈が出た。それからふえんすれば、むしろ軍艦の場合の留保ですね、これはやはりわが国もそれに同調する、あるいはまたわが国もそういうことをむしろこの際留保しておくほうがいいんじゃないかと思うのですが、どうですか。
○高島説明員 わがほう政府といたしましても、ソ連のそのような留保につきまして特別に何らの異議を申す予定はない。といいますのは、実は、そういう留保は法律的な意味で留保と考えない。留保と申しますのは、ある規定につきまして、その規定を自分の国について適用を排除する、あるいは適用を修正する、そういう場合が留保でございます。本件につきましては、そういう規定の内容と何ら相反するものでないので、したがって、それは留保と認めない。留保でもともとないのだ。したがって、わがほうは、そういうことについて留保するということ自体が非常におかしなことになる。ソ連ではそのような留保をする必要がなかったというくらいに私ども考えております。
○石野委員 十六条の三項で「沿岸国は、自国の安全の保護のため不可欠である場合には、その領海内の特定の区域において、外国船舶の間に差別を設けることなく、外国船舶の無害通航を一時的に停止することができる。」こう規定しておるわけです。これに関連して、日本の周辺の領海全域にわたって無害通航を停止することができるか、あるいは不当であってもそれはそういうことができるか、またそれは不当であっても違法ではないのかどうか、そういう点はどうですか。
○高島説明員 第三項に書いてございますとおり、まず第一番に4の規定に従うことを条件としております。と申しますのは、国際航行に使用される海峡についてはだめだぞという前提がまずございます。その次に、その領海内の特定の区域においてという制限が第二番目にございます。したがいまして、この制限を無視して全域についてというわけにはまいらないのではないかと思います。さらに第三番目の条件といたしましては、一時的に停止できる。つまり、常時停止するということは、この規定に従ってはできない。そういう諸種の制限もございまして、しかも、それにつきましては、適当な方法で公表したあとでなければ実行し得ない、そういう二重三重の制約がございます。
○石野委員 この二十三条に「軍艦が領海の通航に関する沿岸国の規則を遵守せず、」こうありますね。この規則から、外国軍艦の無害通航を禁止する規則なりまた法律、こういうものをわが国がつくってもよい、この規則からそういうものをつくってもよいというふうに解釈していいのかどうか。立法論としてどういうふうになにしますか。
○高島説明員 先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、軍艦につきましても、一般的な無害通航の権利はあるというたてまえでございますので、そのような無害通航の一般的な権利を頭から否定するような、そういう国内の規則をつくって、そして外国の軍艦については一切がっさい無害通航を認めないということは、やはりこの第二十三条を根拠にしてはできないのではないか。つまり、この条約自体に反するのではないかというふうに考えます。
○石野委員 そういうことをわが国でつくることができない。そうすると、この「沿岸国の規則」というのは普通どういうものを意味するのですか。
○高島説明員 これは、無害通航そのものの問題につきましては、第十四条によって、沿岸国の平和、秩序、安全という観点から、沿岸国のかなり自由な判定の自由がございます。しかし、ここにございます「通航に関する沿岸国の規則」と申しますのは、通航についてどういう通路をとらなければならないとか、あるいは油を流してはならないとか、日本としますなら港則法とかいろいろ規定がございます。法律がございます。それに規定されているような法律の規則を遵守しないという場合が想定されるわけであります。
○石野委員 そうすると、これはただ航路規定とかなんとかいう、そういうものだという理解のしかたというわけですか。また、そういうことは条約の解釈上何かどこかで意味づけるようなものがあるのかどうか。
○高島説明員 その点につきましては、具体的に、通航に関する日本国の規則とはこういうものだというような合意じゃございませんが、しかし、領海の無害通航という権利に全然抵触しない範囲において、沿岸国が定める規則は一切がっさい含むというように解釈しております。
○石野委員 無害通航権に抵触しない一切がっさいを含んでいる、こういうわけですね。そうすると、またもう一ぺん無害通航のところへ戻っていきますが、結局、この規則の外に無害通航権というものはあることになりますね。その無害通航権に対する制限解釈をとるわけです。その制限解釈を規定する立法上の処置なり何なりというものをやはりわが国がしなければ、制限解釈というものの法的根拠は出てこないわけです。それに対する用意がありますか、大臣。
○三木国務大臣 やはり制限の一つの基礎になるものは、第十四条第四項の、沿岸国の平和、秩序、安全、こういう見地からして、そうして日本がそれを害しないという観点から何らかの制限を加えるというときには、これを根拠にして検討を加えるということでございます。
○石野委員 そうしますと、大臣が先般来ずっと説明し、あるいは答弁しておる、いわゆる公海から公海に抜けていく場合に、どうしてもそこを通る以外に方法がないというような場合、こういう無害通航についての一つの解釈をとっておられる。これはやはり海洋法会議、そういうところでの確定解釈というふうに見ていいのか。国際法上それを有権解釈だというふうにいま大臣の答弁を見ていいかどうか。これをひとつ確認しておきたい。
○高島説明員 そのとおりでございます。
○石野委員 さきに戻りますが、第十六条の四項で、無害通行を停止することのできないものとして、公海の一部分とそれから他の部分というのとございますが、外国の領海との間における国際航行に使用される海峡というのとどういうふうに違うのか、これをひとつちょっと教えてもらいたいのです。先ほど曽祢先生から当然だと言われたところなんですが……。
○高島説明員 この国際航行に使用される海峡につきましては、公海と公海の間の海峡、それから公海と他の国の領海との間の海峡と二通りございます。それをここに書いてあるわけでございます。日本の五島列島ですか、九州にございます海峡は、公海の一部分と公海の他の部分との間における国際航行に使用される海峡というふうに解釈されます。その他、日本には適当な例がございませんが、外国との間にそういう部分がございますれば、公海と他の領海との間の海峡、この場合には、したがいまして、そういう二種類の国際航行に使用される海峡においては、第三項にあるような一時的停止ということは、原則としては認められないというのが趣旨でございます。
○石野委員 いまの説明、ここではもうなにしませんが、あとで図式にして参考資料として出してもらいたい。 それから、日本では瀬戸内海に多くの島々が点在しておりますが、これは内水というふうにわれわれは理解しているわけです。この内水の範囲、どこからどこまでか、これをひとつ明確にしてもらいたい。
○高島説明員 瀬戸内海につきましては、この領海条約の中に直接の規定はございません。実は、この条約の審議の過程におきまして、瀬戸内海のような水域、その他いろいろ歴史的水域と称する水域につきましても議論がございまして、それにつきましては今後の検討にまつということで、この条約の中に規定を置きませんでした。しかし、瀬戸内海につきましては、長い間にわたって日本の内水であるということについては、国際間に何ら誤解はございません。現在、現実に漁業法の中に瀬戸内海につきましての範囲を定めた規定がございまして、それに基づいて、その範囲はわがほうが国際的にも主張する歴史的水域としての内水であるというふうに考えております。
○石野委員 その内水と規定されておる端と端、あとでまた図面で資料としてもらいたいのだが、大体どういうところでこの限界は出ておるのですか。
○高島説明員 後ほど図面によって先生にお示しいたします。
○石野委員 対馬の上島と下島というのですか、あの間に海峡のようなものがあるのですよ。水道ですか。あれは外国の船の無害航行権の行使される水域になるのかどうか。
○高島説明員 先生の御指摘の部分は、この条約第十六条第四項にいうような意味での海峡ではございませんで、もっと広い公海の部分というふうに考えております。
○石野委員 そうすると、それは国際通路ということに考えていいわけですか。
○高島説明員 その部分は領海でございません。公海でございますので、これは領海条約と関係のない、全然自由でございます。
○石野委員 それでは、そこは結局もう無害通船もくそもない。ずっと通れるわけですね。その間は韓国の船は行ったり来たりできる、軍艦も行ったり来たりできる、こういうことですね。 本条約は、領海及び接続水域に関する条約というタイトルであるけれども、その領海の幅については何らの規定がないと思うのです。したがって、本条約が発動したあとにおいても、領海の幅についての国際法の規定はないということになる。そういうことになりますか。
○高島説明員 この領海条約におきましては、いままでございました領海制度に関する慣習国際法を成文化いたしたものでございます。したがって、ただいま先生御指摘の領海の幅員につきましては、依然として慣習法としては残っておりますが、成文法としてはここに成文化することができなかった一つの大きな分野でございます。したがって、われわれといたしましては、慣習国際法として、依然として三海里という領海の幅員が存続しているというふうに考えております。
○石野委員 いまの慣習法で領海を三海里という規定のしかたについて、いま高島さんの答弁ではそういうふうになっているのだけれども、実際に三海里という規定ののしかたが妥当なのかどうか。現実には、やはり慣習法的に解釈すると、むしろ三海里よりもっと幅の広いもののほうが国際的には多いと思うのですよ。政府はやはり三海里をとるのですか。
○高島説明員 実は国際慣習法として三海里があるということの意味は、慣習国際法は、沿岸国が自由に領海の幅員を定め得るものではなくて、領海というものは国際法が定めるものであるというたてまえをとっておるわけであります。したがって、ソ連の主張するように、沿岸国は自由に十二海里までの範囲であるならば何海里でもかってに定めてよろしいというのが国際法ではないというようにわれわれは解釈しております。現実に、これはジュネーブのこの条約を採択する会議でそういう提案がされまして、このソ連の提案が、第一回の会議でも第二回の会議でも圧例的多数でもって否決されております。したがって、そういう観点から申しましても、沿岸国が自由に十二海里までの範囲で幅員を定め得るという慣習は、現在まだ成立していないというように解釈いたしております。
○石野委員 慣習法としては成立していないと解釈するけれども、しかし、それは違法だというふうには言えないのですね。そういう主張をすることが違法だということは言えませんね。
○高島説明員 そういう主張をしておる国は、もちろん自分が有効だと主張しているわけでございますけれども、しかし、それ以外の国、たとえば日本を含みまして三海里をとっている国につきましては、そのような幅員については何ら有効な根拠となり得ないわけであります。ただその国はかってにそういう主張をしているだけでございます。それを認める国はもちろんあるかもしれません。しかし、三海里を主張している国、あるいは伝統的な立場をとっている国は、これを否定しているというのが現状でございます。
○石野委員 高島さんにお尋ねするが、いま世界で各領海について三海里説とかあるいは十二海里説とか、いろいろありますが、その国の多い順序にずっとどういうようになっておりますか。
○高島説明員 私ども調べまして、二月現在のところでございますけれども、国の数から申しまして、いままでのところ、十二海里を主張している国が二十八カ国ございます。おもな国はソ連その他アフリカの国、あるいは中近東の国、南米の国、そういった国でございます。それからその次が、三海里の国でございまして、これは二十三カ国でございます。これは主としてヨーロッパの国が中心でございます。それからその次は、六海里をとっている国が十一カ国ございます。これは中南米の国と若干のヨーロッパの国、ギリシア、トルコ、そういった国でございます。あとは非常に数が少のうございまして、二百海里とか、そういう主張もございます。
○石野委員 いま慣習法的にいう三海里ということを政府は言っておるのだけれども、そしてほかの主張をしているのはかってだというような説明だったが、しかし、世界には十二海里の国が二十八あるわけですね。三海里というのが二十三あって、ランクは下に下がっているわけです。それはかってだと言っても、世界の国で二十八、十二海里を主張する国のほうが多いということになれば、当然そちらのほうが数を制していくわけです。したがって、やはりわれわれは、この領海についての幅の問題では相当考えなければならぬものがあるだろう、こう思います。この点についてはいま政府はどういう方向をとっているかわかりませんけれども、この事実は認めなければならぬし、われわれが本条約を審議する場合に、政府はこういう立場をとっているからというだけではなくして、世界の趨勢ということを無視してこういう条約をわれわれが承認するとか何かすることは前向きだとは言えないわけです。そういう点で、この領海の幅の問題では今後どうされるというおつもりか、その点もひとつ伺っておきたいと思います。
○高島説明員 その点につきましては、実は最初に戸叶先生の御質問があった際に、かなり詳しく述べたつもりでございますが、日本もこの条約を採択する会議におきまして、結局は失敗しましたけれども、領海の幅員につきましても、いろいろな提案について態度を明らかにいたしました。その段階におきましては、領海六海里、さらにその六海里の外側に漁業水域六海里を認めていくという提案には、やむを得ないということで賛成した経緯がございます。ただ遺憾ながら、会議の結果は、わずかの差でそれが全部採択されませんでした。したがって、日本としましては、なるべく近い将来、なるべく多くの国が参加する国際連合主催の会議でもって、そのような国際的に統一された領海が定められることが望ましいという立場で、そういう観点からいろいろ研究し、かつ努力していきたいと思っております。
○石野委員 これは、本条約をわれわれはきょうなるべく協力して上げるつもりであるが、先ほどから一番問題になるのは、やはり無害通航の問題です。これについては、いま条約に提示されている文面だけでは、文字だけではいろいろな危惧を残します。本条約をわれわれはきょうの段階でこの委員会を通すとしますと、それらの問題についてやはり院の意思を表示しなくてはなりませんし、また政府当局も、先ほど大臣からお話のあったように、なおいろいろと考えなければならぬものがたくさんあると思う。そういう問題については当然政府としても善良な配慮を払う、そして、やはりそれに対処する方策をとるという気持ちがあるかどうか、ただ答弁のしっぱなしということじゃなしに、それに対応する考え方はどうであるかということについて、最後に大臣から所見だけ聞かせていただきたい。
○三木国務大臣 この御審議を通じていろいろな質疑等にあらわれました御意見等もよく承知しておりますし、われわれは善意をもって、政府で方針をきめなければならぬ問題についてはできるだけすみやかにきめられるように努力をいたすことをお約束いたします。
○秋田委員長 伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 この領海及び接続水域に関する条約については、慣習国際法を条約にするということでありますが、特に一番大事な領海の幅について述べられておりません。いままでその件については政府側から答弁がございましたが、政府の考え方といいますか、いわゆる領海の幅を広くとるほうと狭くとるほうとの利害得失についてどのように考えておるか、まず伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 まあ、日本の場合は漁業権益の問題もありますし、あまり領海の幅員を広くするということに対しては、日本の国益上からいっても、あまり広くないほうがいいと考えております。しかし、いま石野委員の御質問の中にもありましたように、まあ世界の傾向としては、三海里よりも六海里というほうの国が多くなっていることは事実であります。日本もまた、先般の会議において、アメリカとカナダと共同提案の六海里説に賛成をしたわけです。だから、日本はいまあらためて三海里をこの際六海里にする必要はない。しかし、国際的な合意の成立を条件にして、そして六海里に国際的な合意が成立すれば、日本はこれに反対をしない。日本は、あまりむやみに領海の幅員を広げていくということは、日本の国家的利益に合致するとは考えていないということであります。
○伊藤(惣)委員 これは海洋法会議において、領海の幅の設定については、いま漁業の問題のほうから議論があったと思います。しかしまた、軍事的な面からいいますと、いろいろ問題があるように思います。一九三〇年のヘーグの法典化会議を見てまいりますと、アメリカの代表は、軍艦は無害通航権を有しない、こういう主張であったそうでありますが、一九五八年の海洋法会議では、これは国際法上の権利だと主張した。いわゆる変わったわけです。この米国の態度の変更については、国際関係における米海軍の変化がその原因である、このように言われておりますが、この点についてお伺いしたい。
○三木国務大臣 どうもアメリカの態度変更、いろいろな事情があったと思います。それはいろいろなアメリカ自身の利害の上に立った結果だと思いますが、いま私自身は、アメリカが、御指摘のような事実があったとしたならば、どうしてそういう変化をしたのかはつまびらかに承知しておりません。
○伊藤(惣)委員 先ほど申し上げましたように、そういう軍事的な面からこそ、その領海の無害通航権の議論は国際法上の権利だと、こういうふうに言っているのではないか。そしてまた、実際に海軍の立場から、非常に軍事的な利点がある、こういう面から議論されていると思います。 そこで、私も無害通航権についてもう少し詰めてみたいと思うのです。確かに、三月十五日ですか、大臣は戸叶議員に対して、軍艦が無害通航する場合は通告するよう検討する、こうおっしゃいました。そのことについてでありますが、先ほどからお話を伺っておりまして、それでは日本の国においてはどことどこにあるのかということであります。そこから伺っておきたいと思います。
○高島説明員 先ほど石野先生の御質問にお答えしたつもりでございますけれども、領海無害通航の典型的な例というものは、通常は日本の港に入るために日本の領海を通航するというのが最も典型的な例でございます。それ以外に、日本の港に入らないにもかかわらず、領海を単にかすめ通るというような例は、非常に希有な例でございまして、それはやはり石野先生の御指摘のように、国際通航に使用されるような海峡ということでございます。そういうような点では、五島列島の平島ですかの間が典型的な場所でございます。
○伊藤(惣)委員 いわゆる公海から公海に抜けるのに領海を通過する場合に、無害通航権は許されておる、こういうことでありますが、領海内を遊よくするようなことはない、これはまた外務大臣は答弁なさいました。しかし、この条約からは、絶対にそういうことをしない、してはいけないという保障がされていない、こう思うわけです。この点について見解を聞いておきたい。
○三木国務大臣 日本の港に入ってくるのはいいけれども、港にも入ってこないのに日本の沿岸をうろうろするということは、それは無害と言えなくなってくると私は思っています。
○伊藤(惣)委員 無害とか有害とかはわが国がきめるわけですね。それで、第十四条の第二項には三つの方法が述べてあります。内水、いわゆる港に入る場合、港から出ていく場合、それから通過する場合、この三つです。その三つについてでありますが、わが国は、核兵器を積んでいるものは、非核三原則の上からも絶対に寄港は認めない、このように言っているわけですね。その点大臣の御見解を伺いたい。
○三木国務大臣 核装備しておる軍艦の寄港は認めない、こういうことであります。
○伊藤(惣)委員 前には、公海から公海に抜けるため日本の領海をかすめて通るポラリス潜水艦の場合、これは事前協議を要することなく無害通航である、または認められている、このように外務大臣は答弁なさいましたが、その点はお変わりありませんか。
○三木国務大臣 通航の場合は持ち込みとは考えていない。港へ入ってきたときにはもう核兵器の持ち込みである。ただ通り抜けるような場合は持ち込みとは考えていない。だから、核兵器の持ち込みを認めないという政府の基本政策に抵触するものではない。いまこれは、私はここに十四条の規定から申し上げておるので、通航する場合、核兵器の持ち込みではない。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、先ほど参事官からお話がありましたが、私の調査によれば、五島列島、それから納沙布沖のあの水晶島のところ、それから平戸のところ、その三カ所くらいである。これがいわゆる国際通路として通られればやむを得ない、こういうように思いますが、その点……。
○高島説明員 前にたしか御答弁申し上げたと思いますが、五島列島の平島と江の島の間というのが一番通航量が多くて、それ以外も確かに先生の御指摘のようにしいてあげれば入りますでしょうけれども、非常に航行の量が少ないというふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、ここではっきり言えることは、要するに、そこのところ——私は三カ所と伺っているわけですが、それ以外は通さない、これが言えるのではないかと思うわけです。それをはっきりと外務大臣から答弁を承っておきたいわけです。
○三木国務大臣 それは日本の港に入ってくる場合もあるでしょう。通さない、頭からそういう原則は、それはちょっと無理だと思います。
○伊藤(惣)委員 一番われわれが心配することは、その航行なら航行二カ所あるいは三カ所はやむを得ないかもしれない。しかし、そのときよりも、いわゆる公海から遊よくしてくる、領海内にくるということを一番おそれているわけです。しかし、それをしてはだめだという保証はどこにもないということから、日本の領海、領水については、その三カ所以外は認めないのだということを外務大臣からはっきり言っていただけば、国際的にいっても、やはり日本の立場が明らかになるのではないかと思うわけです。その点について大臣から御答弁をいただきたい。
○三木国務大臣 実際問題として、気象上の理由から入ってくるということはあるが、気象上の影響もないのに、港にも入らないのに、人の沿岸国をうろうろするというようなことは、これは常識では考えられません。しかし、そういうことがひんぱんに起こるとすれば、やはりわれわれとしても考えなければならない。十四条の規定からもそうですか、普通の場合そういうことはあり得ないことだというので、これに対して何らかの処置は考えておりませんが、そういうことが起こり得るならば、日本の利益を守るために適切な処置をとることは当然のことだと思います。
○伊藤(惣)委員 それじゃそういうように承っておきます。 次に、公海についてでありますが、公海に関する条約の中の第二十条、二十一条でありますが、この中に、日本において海賊船を拿捕する権限があるということが述べられておりますが、その場合、海上自衛艦なのかあるいは保安庁の巡視船なのか、その点いかがですか。
○高島説明員 厳密に申しますと、海上自衛隊も海上保安庁も行ない得ると考えますが、実際上は、もしそういう海賊行為が日本近海であるという場合には、主として海上保安庁であろうというふうに考えます。
○伊藤(惣)委員 たとえば外国のどこかわかりませんけれども、そういった海賊船を拿捕した場合に、現在の日本の刑法でさばくことができるかどうか。
○高島説明員 もしそういう例が起きた場合には、日本の刑法で、該当する条項に従っていろいろ処罰されるということでございます。
○伊藤(惣)委員 現在のままの刑法で適用できますか。
○高島説明員 政府の解釈はそういう解釈でございます。現在のままでできるという解釈でございます。
○伊藤(惣)委員 次に、公海の海底には海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利をお互いに持っているわけですが、現在、公海においてその海底電線または海底パイプラインはどのくらい敷設されておるか、伺いたいと思います。
○高島説明員 わが国が公海に敷設している海底竜線といたしましては、電電公社の国内関係電線で公海にあるものが五十一区間、国際関係では太平洋横断ケーブル、長崎ウラジオストック間ケーブルがございます。
○伊藤(惣)委員 一八八四年の海底電信線保護万国連合条約、これに加盟している国、そしてこの条約に加盟していない国、あるいはこの条約に加盟しているが、一八八四年の条約に加入していない国、これがあるわけでございます。この点伺っておきます。
○高島説明員 ことしの初めの照会の結果では、一八八四年の海底電信線保護条約の当事国は二十二カ国でございます。申し上げますと、オーストリア、ベルギー、ブラジル、チェコスロバキア、ドミニカ、サルバドル、フランス、ドイツ、グァテマラ、ハンガリー、日本、モロッコ、ノルウエー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、トルコ、ソ連、イギリス、アメリカ、ウルグアイ、以上でございます。
○伊藤(惣)委員 一八八四年の海底電信線保護万国連合条約の保護すべき客体の範囲と、この条約の保護すべき客体の範囲との異なる点はどうでしょうか。
○高島説明員 一八八四年条約のほうでは、締約国の陸地に陸揚げされた電線がその保護の対象になっておりますけれども、今回の公海条約では、それに限らず、すべての海底電線ということでございます。
○伊藤(惣)委員 この条約の加盟国は、それぞれ海底電線等の損壊行為の処罰の国内立法をとっていると思いますが、各国の処罰規定はどのようになっているか、伺っておきたい。
○高島説明員 われわれ照会しました結果に基づきますと、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、オーストリア、フィンランド等でそれぞれ特別な法律を制定いたしまして、それによって保護いたしております。わがほうにおきましても、今国会に公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律案というのを提案いたしてございます。
○伊藤(惣)委員 この損壊行為を犯した者の裁判管轄権はどこにありますか。
○高島説明員 船舶の属する国の裁判所でございます。
○伊藤(惣)委員 海底電信線保護万国連合条約罰則は、七年以下の懲役ということをいわれておりましたが、今回は五年に引き下げられたわけですね。それはどんな根拠からそうなったのでしょうか。
○高島説明員 これは別途提案されております。先ほど申しました法律案の審議の過程で明らかにされるかと思いますが、他のいろいろなそれに相応するような処罰との権衡上、そういうことになったというように法務省のほうから伺っております。
○伊藤(惣)委員 過去に海底電信線の損壊行為をわが国の船舶が犯したことがございますか。
○高島説明員 いままでございません。
○伊藤(惣)委員 損壊行為の取り締まり方法はどのようにやられておるわけですか。
○高島説明員 そのために特別な取り締まりの措置をとるという現在の体制になっておりません。しかし、だからと申しまして、これに対してそういう事例が全然見のがされるということでは決してございませんので、その点につきましては御了承いただきたいと思います。
○伊藤(惣)委員 以上で終わります。
○秋田委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○秋田委員長 それでは速記を始めてください。 この際、小泉純也君より発言を求められておりますので、これを許します。小泉純也君。
○小泉委員 領海及び接続水域に関する条約の質疑の過程において、次の三点が明らかにされたと思いまするが、なお外務大臣に確認を求めたいと思います。 一、外国軍艦の領海の通航については、第十六条4にいうところの、公海の一部分と公海の他の部分または外国の領海との間における国際航行に使用される海峡の場合を除き、政府は事前通告制度を考慮すること。 二、ポラリス潜水艦その他類似の常時核装備を有する外国軍艦のわが領海の通航は、第十四条4にいうところの、沿岸国の平和、秩序または安全を害しない無害通航とは認めない。したがって、原則としてこれを許可しない権利を有する。 三、本条約は戦時には適用されない。 右の三点を確認しておきたいと思いますので、外務大臣にあらためて所見を伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 第一点については、事前通告制度をこれを実施するように考慮いたします。 第二点については、ポラリス潜水艦その他核兵器を常備しておる軍艦の航行は無害通航とは考えない。原則としてこれを許可しない権利を留保したいと思います。 第三点については、この条約は戦時には適用されない条約であると考えております。 —————————————
○秋田委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、公海に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決を行ないます。 本件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決を行ないます。 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○秋田委員長 次に、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関係交換公文の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、及び千九百六十七年の国際穀物協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。曽祢益君。
○曽祢委員 この三つの協定の中で、一番中心になりまする関税の譲許に関して、わが国と関係諸国との間のこちらが与えた譲許、それからわが国が獲得した関税上の引き下げの利益、これらを大体通覧いたしまして、日本側が相当プラスであったのか、こういう点を、まず主としてアメリカ、EEC等の先進諸国に対するわが国の譲許の模様、それから逆にわが国がこれら諸国から獲得してまいりました譲許の模様から見まして、言うならば、その収支決算と申しますか、貸借対照と申しますか、その点をまず国別的に明らかにされたいのであります。
○鶴見政府委員 ただいま御質問の点につきましては、ケネディラウンドに参加いたしました国全体に対しまして、日本が譲許いたしました合計は三十四億九千万ドルでございます。しかしながら、そのうち、十四億四千万ドルばかりはいわゆる無税の据え置きでございますので、実際に譲許いたす分では約二十億ドル見当でございます。さらにそれを対先進国十一カ国に限って申し上げますと、日本が譲許いたしました合計は約二十三億ドルでございます。しかしながら、このうち、約七億六千万ドル程度は先ほど申し上げましたとおり無税の据え置きでございますので、実際に譲許いたしますのは十五億六千万ドル程度ということになります。これに対しまして日本が得ました先進十一カ国からの譲許につきましては、全部で約二十億ドルというふうになっております。そのうち、無税据え置きは五千万ドル程度でございますから、実際に譲許する分だけを比較いたしますと、先進十一カ国から五年間で約十九億ドルの譲許を得られる。日本が譲許いたしますものが約十五億六千万ドル、計数的にはそういうことになってまいります。 ただ、先生もよく御存じでございますように、日本の場合は、現在、輸入が主として食糧等無税のものが多うございまして、五〇%以上でございますが、それに対しまして輸出は、大部分の九〇%くらいまでが有税の製品、半製品ということでございますので、こういうような関税引き下げの効果というものは、日本の輸出に対してより多く利益をもたらすということが当然考えられるわけでございます。
○曽祢委員 そこで、今度は先進十一カ国の中をさらに分けまして、日本の輸出市場として一番重要なアメリカ、それからEEC、カナダ、オーストラリア等に分けて、国別的にその点をもう一ぺん見て、大体どういうようになっておるか、御説明を願いたいのであります。
○鶴見政府委員 ただいま申し上げました先進国のうちで、特に御指摘のありましたアメリカ、イギリス、EECあるいは豪州というふうに分けて、国別に御報告申し上げますと、アメリカの場合には、日本が与えます譲許が約十一億六千万ドルでございます。それに対しましてアメリカ側から受ける譲許が十二億三千万ドルというふうになるわけでございます。ただ、日本の与えます譲許十一億六千万ドルのうちには、先ほど申し上げましたとおり、無税の据え置きの分が約二億八千万ドルございますので、実際に譲許いたしまするのは八億八千万ドル見当ということになるわけでございます。次に、EECにつきましては、日本の与えます譲許が三億六千万ドル程度でございます。そのうち、無税の据え置きは約三千万ドル程度ございます。それに対しまして、わが国がEECから得ます譲許は合計で二億九千万ドル程度ということでございますので、この場合は若干日本の譲許が多いという感じは出てまいるわけでございます。さらにイギリスにつきましては、日本の与える譲許が約一億四千万ドル、それに対しまして受ける譲許が一億八千万ドルというような計数になってまいります。さらに豪州につきましては、日本が与える譲許が約三億八千万ドル、それに対しまして先方が与える譲許というものが八千六百万ドルでございます。しかしながら、日本が豪州に与えます三億八千万ドルの譲許のうち、大部分の三億四千万ドルは無税の据え置きの分でございますので、実際に譲許を与えます分は四千万ドル程度ということになるわけでございます。
○曽祢委員 そういたしますと、大体主要国の国別に見ましても、豪州のごとく、ただ表面の計算から見ると、わがほうが与えるのが多くて、わがほうが得る利益が少ないようであるけれども、現実には与えるほうはもともと原料品の無税据え置きということで、実質的にはあまり損はない。ただ、バランスの上から見てちょっと気になるのは、むしろEECにおいて、どうも形においてこちらが与えるのが総計三億六千万ドル、わがほうが受けるものが二億九千万ドルで、いささかアンバランスのように見えるけれども、現実には、これは統計が少し古いのではないですか。六四年の統計ですね。したがって、その後の日本のEECに対する輸出の伸びから言えば、そういう三億六千万ドルと二億九千万ドルといったような大きな差はないというような見方もあると思うのですが、その点はどうですか。
○鶴見政府委員 EECにつきましては、ただいま先生御指摘のとおり、譲許の見合いの点におきましては、日本の与える譲許が約三億六千万ドル、受けるほうが二億九千万ドル程度でございまするから、若干確かに向こうに与え過ぎという感じはあります。しかし、ただいま先生御指摘のとおり、これは一九六四年の貿易量に基準を置いておりますので、その後六五年、六六年、最近に至りまして、日本のEEC諸国に対する輸出がふえておりますので、その点から見ますと、バランスを失しているということにはならぬのではないかという点は、ただいま御指摘のとおりかと存じます。
○曽祢委員 それから、いいほうだけを言うようですけれども、もう一つは、やはりこれらの主要な先進国が与えました譲許の中では、従来日本側が日本としての輸出品目になっていなかった、あるいはそれが非常に数が少なかったものが、最近になって売れているような品物で、したがって、アメリカ、EEC等の今度のケネディラウンドの譲許が、言うならば日本のただ得みたいな形で、全体としては輸出のプラスになっているという面もあるかと思うのです。それは、たとえば国別並びにおもな商品別について、そういうただ乗りのやつはございますか、どういうものでしょうか。
○鶴見政府委員 ただいま御指摘になりましたものですと、大きなただ乗りと申しますか、若干ただ乗りになりますものとしましては、アメリカとEECとの間で非常に争点になりました化学製品に関係するアメリカン・セリング・プライス、いわゆるASPの廃止問題、これによって有望な日本の重化学工業の中の化学製品、いまのところでは、まだ対米輸出はそれほど大きなウエートを占めておりませんけれども、EECの関係でASPがなくなってまいりますと、これが日本の対米輸出については、確かに大きなプラスになってくる。そういう意味におきましては、ただ乗りという意味ではございませんが、かなりの利益を日本にもたらすというふうに言えるかと思います。六四年当時には出ておりませんが、特に自動車などというものが、これによって非常に大きく伸びていく可能性があるというふうに考えております。
○曽祢委員 達観的に言って、やはり日本にプラスの面が、関税譲許のやりとりにおいて、国別に見てもそう思うのですけれども、そこで、今度は品目別に見て——通産省は来ておられますか。ひとつこれは通産省のほうがなおいいと思うのですが、大体品目別に見まして、これは輸出入両方ございますけれども、わが国のほうが与えた譲許の中で、日本として相当痛いとかいうものがあるのかどうか、つまり、これから伸びていくような非常に重要な産業について、たとえば原子力産業とかなんとかそういうものの保護等において、あるいはまたこれは農林省の関係かもしれませんが、場合によっては農林省からもお答えを願えればけっこうだと思いますけれども、わが国のおくれた中小企業あるいは農林漁業等の保護において困るようなことがないかどうかという点。それから今度は、逆にいいほうの面、日本の輸出の伸びる面で、品目別に、今度かりに五〇%にならずとも関税引き下げ、譲許の結果、日本の輸出にどういう品物が有利になるか、品目別に輸出の有利な面、ひとつお知らせ願いたい。
○川田説明員 お答え申し上げます。 こまかい品目を申し上げますと非常に煩瑣になると存じますので、概略の点を申し上げたいと存じます。 今度のケネディラウンドの譲許によりますと、非常に概略申しまして、たとえば機械でございますとか、化学工業でございますとか、あるいは鉄鋼でございますとか、いわゆる重化学工業品、こういうものにつきましては、達観して申しまして、かなり大幅に広い品目につきまして引き下げが行なわれることになっております。これと反対に、いわゆる労働集約的な産業と申しますか、繊維とか雑貨とか、こういうものは各国それぞれの国内の事情がございまして、引き下げの幅も少ないし、また、引き下げ品目も総体的には少ないわけでございます。したがいまして、わが国の立場から申し上げますと、こういう繊維、雑貨等につきましては、相手国の引き下げによりまして、さらに輸出を伸ばすという可能性が、重化学工業製品に比べますると低いし、また、その結果に対しましては、いささか私ども不満がないわけでもございません。しかしながら、重化学工業品につきましては、たとえば機械工業をとりますと、各国ともほとんどの品目につきまして五〇%引き下げになっております。その結果は、引き下げ後には関税が一〇%以下になるものが大半でございます。そうしますと、日本としましては、今後重点を重化学工業品の輸出に置いていきます方針から見ましても、今後は有利になっていくというふうに私どもは考えるわけでございます。なお、国内におきまする非常にセンシチブな、対外の競争に対して国内産業の立場を考えなければならない品目につきましては、それぞれ個別に考慮を払いまして、今度の関税引き下げにつきましても引き下げ幅を少なくし、あるいは例外にしておるわけでございます。先ほど先生の御指摘のございました原子力産業でございますとか、電子計算機その他重要なものにつきましては例外としております。 以上でございます。
○曽祢委員 外務大臣にちょっと伺うのがあるのですが、その前にこれだけ締めくくりをします。 そこで、具体的に、非常にセンシチブな、これから伸びる産業のほかに、むしろ追っかけられておる、おくれておるほうのやつはどうですか。たとえば農林漁業の産品等についてどういうことになりますか、輸入のほうで。
○鶴見政府委員 ただいま先生が御指摘になりました特に農林物資につきましては、非譲許品目といたしまして、砂糖、でん粉、米、酪農品につきましては譲許しませんでしたのは、これらの品目についての日本の立場を貫いたということになるわけでございます。それから、関税引き下げのほかに、自由化してないものもございますので、若干これらについて増額というような形でやったものもございますが、これはすべて日本側の国内事情というものを十分考えまして、無理にならない程度に押えたものだと考えます。
○曽祢委員 それから、輸出の重化学工業品と言うけれども、たとえば、具体的に言えばどういうものか。特に有利な関税譲許を得た品物で、輸出の非常に有望な品目というのはどういうものでしょうか。
○川田説明員 重化学工業の品目はたくさんございますので、先ほど申し上げましたように、一々申し上げるのは煩瑣でございますが、先ほど外務省から御説明いたしました自動車もその一つでございます。それから、ただいまはまだそれほど伸びておりませんが、工作機械等もその中に入るかと存じます。化学製品につきましてもいろいろございます。
○曽祢委員 まだ関税譲許のほうでも伺いたいことがあるのですけれども、外務大臣がほかの約束で急いでおられるようなので、ひとつ、国際穀物協定に基づく開発途上の国に対する食糧援助の問題について伺いたいと思うのです。 これは御承知のように、去年の本委員会においても私が質問をしたのです。日本側の立場としては、これは当然のことであるけれども、要するに、食糧援助の規約に基づく食糧として、特に小麦というような形の援助は困るというので、第二条のこれは、はっきり留保するということになって、そのためにケネディラウンドが場合によっては流れるのではないかというくらいに非常に問題にされた。幸いに、この点が日本の留保にかかわらず、ケネディラウンドが成功裏におさまったというので、ほっと一息というところなんですけれども、はたしてこの留保の結果、わが国がほんとうに総額においては五%の五十一億円ですかに達する援助を、日本の選ぶ、たとえば東南アジアだけの国に限って、しかも他の方法、すなわち肥料とか農機具とか農薬とか、そういったような、日本として得意な、外貨をなるべく使わないでできるような産品で援助するということが、具体的に各国に結局はいれられたのか。また、そのことによって、アジアの後進国に対する援助の計画が進んでおるのかどうか。この点についてひとつ外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○三木国務大臣 御承知のように、日本国政府がアメリカ合衆国あての書簡にこれを明らかにして、穀物援助は米を除外しない、それと、その他のいま御指摘になったような農業物資は、先方の国の要請があった場合に、それによって提供するということで、要請はあり得るという考え方でございます。今後これは二国間の取りきめによってきめられて、その結果については食糧援助規約に基づいて設立される食糧援助委員会に報告をするということになっておりますので、日本の主張は認められた、こういうふうに考えております。
○曽祢委員 それからもう一つ、これに関連して、これはもっぱら対米関係ですけれども、これはわが国も非常に主張しておりました、いわゆるアメリカの国内価格、ASPによる課税ということについては、これはもうわが国以上にEEC諸国が、主として彼らの化学製品に対する関税譲許からいっても、ぜひこれを主張しておったのですけれども、結局この点については、アメリカ政府としては、議会関係もあったかもしれませんが、はっきりとした約束ができないままに終わってしまった。さらにアメリカの関税法の適用によって、日本における価格による課税ということもあると聞いているわけです。したがって、これらの問題について、日本としては、いかにしてアメリカのほうのASPなり関税法の四百二条等による問題を有利に解決していくか、これは非常に重要な問題だと思うのです。この点が一体どうなるのでございましょう。
○三木国務大臣 ASPについては、二年以内にこれをやめるという約束で、ケネディラウンドのEECの繰り上げ実施などに対しても、これは欧州諸国も非常に利害関係が多いですから、こういうものに対していろいろ条件も付しておったようであります。日本とすれば、これは日本にもいろいろ関係のあることでありますから、できるだけ二年以内であるけれども、これを実施が促進されるように努力したい。四百二条については、これはケネディラウンドの交渉の場においてはまだ確約というところまではいかない、そういうことでございます。
○曽祢委員 それで、ASPのほうも結局は日本が加わらなかった。アメリカとEEC諸国との間の協定みたいな形で、日本は間接の受益者になるという、いささかおぼつかない立場ではないかと思うのです。 そこで、これに関連して、現在問題になっているアメリカの輸入課徴金、これをどうしても日本としても封じていきたい、取りやめさせたい。これに関連して、EECが、ASPをやめるということ、それからその他のいろいろな貿易に対する障害的な、輸入制限的な措置をとらないということを条件として、そしてEECが約束した関税譲許の繰り上げ実施に踏み切る、こういう方向になっており、これがアメリカとEECとの間の交渉課題になっておりますが、わが国においても、この輸入課徴金の問題をやめさせるために、EECと連携して、わが国もまたケネディラウンドの繰り上げ実施の決意を持って臨んでおるようでありますが、この問題の対米交渉あるいはEECとの連携等について現状がどうなっているのか、並びに今後の見通し等について伺いたいと思います。
○三木国務大臣 鶴見君からごく最近の事情等補足することがあったら補足してもらうことにしますが、とにかくEEC諸国の条件というものは非常にきびしいですね。繰り上げ実施する場合に、アメリカが輸入課徴金をやめる。そのために、繰り上げ実施するについて、ただ単純にアメリカの課徴金をやめる、繰り上げ実施というばかりでなしに、いろいろきびしい条件がついている。少しきびし過ぎるではないかということで、アメリカとEEC諸国との間の交渉が続いている。日本としては、EEC諸国との間の連携をとりながら、これはEECの繰り上げ実施ということに同調するということを日本は意思表示をしておりますから、アメリカに対してはもちろんのこと、輸入課徴金そのものに対して強く反対をしておるEEC諸国とも連携をとりながら、この繰り上げ実施によって、輸入課徴金のような、将来世界的に貿易の縮小をもたらすような懸念のあることは実施しないようにしてもらうということに対して努力を続けておるわけでございます。
○曽祢委員 それで、どうなんですか、その見通しは。輸入課徴金の問題になってしまったけれども……。
○三木国務大臣 課徴金の問題は、非常に楽観的な報告も流れておりますが、必ずしも悲観的だとは思っていない。国会の関係がありますから、ここで日本政府が予言をすることは非常に困難でありますが、アメリカとしても、これに対してはどうしてもやるという決意までは至らないで、何かEEC諸国との話し合いで、やや国会方面においても説得できるようなことが見つかれば、やめてもいいという意図もあるのではないか。しかし、まだ交渉の結果いかんによっては何とも判断のつけにくい状態ではないかと思います。
○鶴見政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたとおりでございますが、御存じのとおり、三月の初めごろに、ドイツが主として中心になりまして、EECの中でケネディラウンドの繰り上げ実施ということを言い出したわけでありますが、そのときにはまだ、フランス、イタリア等必ずしもはっきりしていなかった。そのころの段階におきまして、日本もただいま大臣が言われましたような、輸入制限的な方向よりは、むしろ拡大の方向がいいということで、日本としても、原則としてはケネディラウンドに賛成だということを打ち出したわけであります。その後、EECでいろいろとまた議論をやっておりました。その間に、御存じのとおり、イギリスが、三月十四日でございましたか、はっきりケネディラウンド繰り上げ実施を具体的なフォーミュラをつけて明らかにした。そこで、私どもも、政府といたしましてもこれに同調した態度を打ち出すことが非常にいいという考え方から、関係省で協議いたしまして、三月十九日でございましたか、日本もケネディラウンド繰り上げに大いに賛成するのだ、これを支持していくのだということを明らかにいたしまして、それとともに、アメリカ側にも通報いたしますとともに、特にEEC諸国に対して、各国の首都におきまして、日本もこういう態度なんだから、ぜひEECもそういうふうにやるようにということで、ずいぶん働きかけたわけでございます。その後、フランスの態度もなかなかきまりかねたわけでありますが、御存じのように、四月九日の経済相会議でもってはっきりした線を打ち出してまいりました。それを受けまして、四月十一日にガットで非公式会合をやりまして、そこでその問題を討議しようということになっておりましたが、アメリカとしましては、九日の直後、二日間しかたっていなかった関係もありますので、十一日の会合は流れました。そのときの話では、きょう十七日くらいにまた非公式会合をやって、イギリスを中心とするEFTA諸国、それからEEC諸国、アメリカ、カナダ、それに日本、それだけのものが集まって、この問題を討議しようということが大体いわれておりますが、現在のところ、これをはたしてやるのか、あるいはこれからやろうとするのか、必ずしもはっきりした現状ではございません。ただ、先ほど大臣申し上げましたように、アメリカのほうはどちらかというと、EECのつけている条件の書き方が非常にきびしい、そして憲法の観点から見まして、アメリカの議会を縛ってしまうようなことは対外的にコミットできないということで、問題が若干むずかしくなっているというふうに考えられますので、これらのところは、今後のガットの場あるいはEECとの直接の話し合いの場によって、何らか、EEC側が現在つけております条件の書き方を若干柔軟性を持たせるというようなことにでもいたしますれば、そこに妥協と申しますか、歩み寄りの余地というものが出てくる可能性はあるのではないか、そういうふうに判断いたしておるわけであります。
○曽祢委員 その場合に、初めから比較的かたいことを言っていたのがフランスかと思うのですね。したがって、アメリカ側の議会を拘束したくないという立場もわからないではないけれども、それを一応出発点とするならば、EEC側のASP廃止に関する条約を若干受け入れやすいように表現を変えるということになると、やはり何といってもフランスが一番強硬派だと思うのですが、フランスを説得して、そのことによって何とかアメリカの輸入課徴金のほうは断念させるように、今度はアメリカを——そういう点についての見通しはどうなんですか。たとえばフランスの態度についての何らかの観測なり情報なりは、どういうふうになっておりましょうか。
○鶴見政府委員 その点につきましては、この前のEECの中でのいろいろな討議がございまして、EECの諸国の中でも、必ずしもフランスほど——最後にはフランスの主張がある程度通ってああいう形になったわけでありますけれども、あれほどはっきりした形での条件はつけなくてもいいんじゃないかという考え方を持っている国が二、三あったようでありますし、また今度、アメリカがああいうふうに条件の書き方について特に議会を拘束するような形でのことはなかなかしにくいという事情を十分話をいたしますれば、フランスも、この前のEECの内部での話のときにとった態度というものをあくまで固執するかどうか、必ずしも最後まで固執するとは限らないのではないかという感じで私どもは見ておりますし、またそれを期待したいと思っているわけでございます。
○曽祢委員 その表現案文ですね、どんなふうになっているんですか。正確に言うと、フランスというか、フランスの意向に従ってEECがつけた条件の字句ですね、それをちょっとお知らせ願いたい。
○鶴見政府委員 御存じのとおり、四月九日のEEC経済相会議のあとで発表されましたコミュニケでございます。したがいまして、具体的なはっきりした外交文書というほどのものではない、性格としては違うと考えます。その中で、ASPの廃止につきましては、一九六九年一月一日までに廃止することということになっているわけであります。アメリカ側から見ますと、この点が困るということではないかと思います。
○曽祢委員 話がちょっとかわりまして、このケネディラウンドの関税譲許は、わが国としての関税の譲許については、これは世界のすべての国にするわけじゃないのですね。それで、いろいろ最恵国条項の約款を持ってない諸国、無条約国あるいはその他の特定の国については条件は適用されないわけです。そういう関係から、これは特に中国、中共の立場からも要請があると思うのですけれども、そこに非常にディスクリミネーションが起こるというので、だいぶ陳情があるわけです。そこで、特に中国を中心にした、それらのガット関税の譲許の適用、これは利益を受けない諸国とどのくらいの違いか、どういう問題が起こるのか、この点について御説明を願いたいと思います。
○鶴見政府委員 これは御質問あるいは御指摘がございました中共の場合ですと、何も措置をとらないといたしますれば、一九六六年の貿易量におきまして、たしか約四〇%程度のものは中共に均てんさせないという形になるわけでございます。しかしながら、中共からの輸入物資で、日本の産業上、また需給上も非常に大事だというようなもの、しかも、かなり大きなまとまったものになるというので、大豆と銑鉄等につきましては、先生御存じのとおり、別途関税定率法改正を御審議願いまして、それによって国定税率自身を下げるということによって、結果として均てんできる形にしているわけでありまして、その結果といたしまして、実際に均てんがされない品目数はいろいろとこまかい品目数がたくさんございますが、品目数としては約三百四十ぐらいでしたか、そのくらいになります。中共からの輸入品のうちの、金額的に見ますと、約二〇%程度が均てんを受けないという形になるわけでございます。ただ、こういう点につきましては、先般の外務委員会あるいは大蔵委員会で大蔵大臣も答弁しておられますが、今後具体的な品目について、日本の産業政策上の問題あるいは需給上の問題というようなものを勘案しつつ、一つ一つ洗っていきたいということを言っておられるわけでございます。
○曽祢委員 大蔵省、いまの点どうですか。日本の産業政策からいって、中共が言うから言うことをきくということでなくて、国定税率で下げてもいいようなものがあるかどうか。どのくらいいま研究されておるのですか。
○渥美説明員 いま外務省のほうから御説明がございましたようなことでございまして、現在も格差がない、それからKRの実施後も格差がないというものは、中共の場合、金額的に申しまして大体六〇%、その他の四〇%のもののうちでも、大豆とか銑鉄とかそういう十九品目につきましては、それぞれの品目がわが国の国民経済にとっても非常な重要なもので、たとえば銑鉄とか大豆とか、そういう意味合いのもの、また、国内産業事情から見ましても競合がない、そういうような判定をいたしておるものでございますから、これをKR税率まで引き下げて、国定税率とKR税率との間に格差をなくするという措置を今回の税率改正で行なっております。残りの品目につきましては、おもなものは生糸でございますとか絹織物、魚あるいはブラウスといったようなものが金額的に多い品目でございます。それぞれ国内産業の事情もありまして、ここで直ちにどうこう申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ、先般来中共との貿易の拡大といったような観点から、前向きに取り組んでまいりたい、そうして国内産業の事情の許す限り、前向きに処理してまいりたいという姿勢をとって、そう申し上げてきておるところでございます。
○曽祢委員 いつごろ結果が出ますか。
○渥美説明員 何ぶん品目が三百五十品目もあるようなことでございまして、いつまでにというようなことは、なかなか関係の各省ともいろいろ相談しないと、ここでは申し上げにくいことでございます。
○曽祢委員 もう一つ、この関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定ができたわけですが、この問題については、日本側もダンピング防止なりについて非常に強い主張を持っており、今度の協定ができたことによって若干の利益を得るのではないかと思うのですが、この今度できました協定の評価、その中にまた含んでいる問題点等もあわせて御説明を願いたいと思います。
○鶴見政府委員 これは先生も御存じのとおりり、ガットの六条、ダンピング防止関税についての、それの実施、運用にあたって、各国がまちまちにならないようにということでできました国際協定でございます。その点で日本として非常に関心のあります点は、たとえばアメリカについて申し上げますと、ダンピングの証拠のほかに、今後は具体的に損害がある、あるいは損害のおそれがあるということの証拠をはっきり提出しなければならないということになる点、またさらには、従来ダンピングの疑いありということで関税評価を差しとめて、わりに恣意的にやっておりました。そのためにも日本の輸出が押えられてしまうというふうな非常な悪影響があったわけでありますけれども、今度の場合によりますと、評価差しとめの場合には損害の十分な証拠があることが必要だという必要要件になってまいりました。また、従来は無制限に評価差しとめということができたわけでございますが、今度の協定によりますと、三カ月以内、これ以上評価差しとめをしてはいけないということになっております。また、評価差しとめを遡及して適用することも認めないというような点、こういう点におきまして、アメリカのアンチ・ダンピング・アクトの運用がそれによって改善されてくるということが申し上げられるかと思います。 またさらに、カナダにつきましては、従来のダンピングの要件といたしまして、カナダの場合には、ただその正常価以下であるということだけで、すぐにダンピングの防止関税をかけることをやっていたわけでありますが、今度の協定を承認することによりまして、もう一つの要件たる、実際に損害のある、あるいは損害のおそれがあるということをはっきり証拠立てなければ、ダンピング防止税というものをかけられないということになりますので、この点も、日本の輸出にとりまして非常に安定した要素が出てまいるということは言えるかと考えられるわけであります。 こういう点が、特にダンピング防止の今度の国際協定の日本にとっての利点ではないかと考えております。
○曽祢委員 わが国は、何といっても従来は労働力が豊富であり、アメリカあるいは西ヨーロッパの水準から見れば、労働価値も比較的に低廉であるというようなことから、とかく現実のソーシャルダンピングと思わなくとも、よくダンピング取り扱いによる不当な損害を受けたと思うのです。したがって、そういう意味で、今度の協定により、ダンピングに対する各国の措置が恣意的にならないように、普遍的なルールをつくらせ、妥当な線にしたと思うのですが、これから先、後進国あるいは開発途上の国、しかも先発した開発途上の国からの日本国内における輸入の問題についても、非常に問題が起こり得る。加えて、そこに特恵関税を与えるということになれば、なおさら今度はわが国のほうがいわゆるダンピング法を場合によっては適用しなければならぬ、そういう立場にあるわけですね。そういう意味で、今度の協定による日本の今後のダンピング防止の法の運用について特別に支障がないのか。これはひとつ大蔵省のほうからお聞きしたいと思います。
○渥美説明員 今回の関税定率法の改正におきまして、この六条の協定に合わせまして、法律改正を行ないました。国際的な義務から申しますれば、この条約を御承認いただけばそれでよろしいということになるかと思うのでございます。従来の手続規定その他がこれと合致していないというような点もございましたわけで、その辺もあわせまして今度の法律改正をいたした次第でございます。
○曽祢委員 その法律改正はいいのですけれども、今度はこっちが伝家の宝刀を抜かなければならない。日本はいままで外国市場において被害者だった。その立場から、なるべく恣意的な外国の立法並びに行政措置を食いとめるほうに回ってきたわけですよ。今度何も反ダンピングの態度としてかってなことをやっていいということではないけれども、今度は日本が伝家の宝刀を抜かなければならないことがあり得るので、そういう点において法律改正は正しいのだけれども、別にそういう点について現在においては矛盾なりあれを感じておられないのか、そういう点を伺いたかったわけです。通り一ぺんの法律改正、これは条約の規定だから法律改正は当然ですけれども、そこら辺の現実の問題というものは水平線にのぼっておらないのですか。たとえば韓国あたりのかなり安い労働力によるわが国に対する輸入の問題があると思うのです。現にあり得るわけですね。場合によっては日本から一ぺん保税輸出して、そして加工して日本にもう一ぺん輸入するというようなことで、韓国の比較的チープレーバーを使って、日本の比較的弱い繊維産業等に持ってくる場合があり得るわけでしょう。そういう点はどういうふうにお考えかということを聞きたかったわけです。
○渥美説明員 現在までのところ、不当廉売関税の規定を適用したという実例はございません。それから、現在特にそれを適用しなければならないというような問題もないと存じております。 将来の問題といたしましては、仰せのようなことが起こり得るかというふうに考えます。そのために、今度の国内法の整備も行ないまして、それは大体この六条の協定に合わせて効力を発効させるように法律で規定いたしておりますので、まだそれまでには若干時間もございますので、その手続等につきましては、目下関係省と打ち合わせてその詳細を策定中でございます。
○曽祢委員 もう一つ、これは農林省のほうに伺いますが、今度国際小麦協定が国際穀物協定という形になっており、その中で、また開発途上の国に対する食糧援助の特別の規約も協定の中にできたわけです。その実質的の小麦協定のほうですが、これによって日本が小麦の輸入国としてのプラスの面があるのかどうか、これをひとつ農林省から伺いましょうか。
○増田説明員 御承知のように、協定は、価格帯をつくりまして、上限と下限という価格帯の中で価格を安定する。したがいまして、これは世界の需給によるわけでございますけれども、供給が不足がちな場合には、上限の範囲で輸入国である日本は買い得る。そのかわり、ややだぶつきぎみがあっても、輸出国のために下限の価格で買うということになっておりまして、これは協定でございますので、相互の輸出国、輸入国の権利義務といいますかがそれらに見合うようなかっこうになっております。したがいまして、長期的に見ますと、プラスの面あるいはマイナスの面も出てきますけれども、一定の価格で安定して入手できるという点からいいますと、輸入国である日本にとっても、協定の利益は大きいのではないかというふうに考えるわけでございます。
○曽祢委員 最後に、食糧援助についてはいま外務大臣から伺ったのですけれども、これも農林省から伺いましょう。 日本の食糧援助に第二条を留保して、アメリカに通告いたしましたね。具体的に、まあ国によって違うでしょうけれども、むろん先方の希望があってという前提に立つわけですけれども、東南アジアの国の実態から見て、どういうような——肥料、農薬、さらには農機具を含みますかどうか。あるいは場合によったら米を含むのかどうか。これらの点について、具体的な計画なり話し合いなり、どんなものなんでしょうか。ひとつ伺わしていただきたい。
○増田説明員 内容につきましては、まだ具体的な話し合いは行なわれておりません。今後各国、特に東南アジアの国々等の要望等も勘案の上、内容は今後相談していくということになっております。
○曽祢委員 それは確かにそうだろうけれども、現実には若干の計画なり、少なくとも腹づもりがあると思うのですね。たとえば肥料あるいは農薬というようなこと、実績等から見てどうなんですか。何か少なくとも日本側の計画なり希望というようなものがあるのじゃないですか。具体的に予算も取っておられるわけですね。その点もう少し説明していただきたいと思います。外務省のほうがよければ外務省のほうから……。
○鶴見政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、御存じのように、二十二万五千トン分、いわゆる五%、したがいまして、円に直しまして五十一億円、年間ということでございます。本年度におきましては、御承認を得ますれば七月一日からこれを実施しようという考え方でございます。予算措置といたしましては、その半分だけをいま予算計上をいたしております。これが実際に動き出しまして、ただいま農林省からもお話がありましたように、相手国からの要請、それと打ち合わせということもございますので、どうしてもやはり若干時間はかかるとわれわれは思っております。 それから、過去の例といたしまして、こういった種類の食糧援助、緊急食糧援助という形で、インドに前に出したこともございます。これは米がたしか一万トンくらいであったかと思いますが、それ以外にたしか肥料が入っていたと思っております。今度の場合におきましては、相当部分は米を含む食糧ということになっておりますので、まず第一義的には米を含む食糧、その場合でも、日本としては、やはり米が一番という考え方に立っておるわけでございます。ただ、相手国の要請によりましては、その他の農業物資、たとえば農薬とか肥料——肥料につきましても、これは出す可能性がいままでの実績から見ましてもあり得るというように考えておりますし、また同時に、日本の立場からいたしますと、食糧自身を緊急的に低開発諸国に渡すことも非常に大事かもしれないけれども、基本的には、やはりそれぞれの国の農業の生産を上げることに大いに寄与すべきではないかというのが、日本のそういった面における経済援助の一つの基本的な考え方でございます。したがいまして、一応この留保いたしました日本の意図表明の中では、五十一億円のうちの相当部分は米を含む食糧になりますけれども、日本側の考え方といたしましては、それを含んだ上で、できるだけ肥料とかあるいは農薬とか、そういうふうに相手国の農業自身の増産に役立つものというふうに努力してまいりたいと大体考えているわけでございます。
○曽祢委員 最後に、これは政務次官に伺いますが、この協定による関税譲許の実施は七月一日からすぐにやることになると思うのですね。それでも、ほかの国に比べれば少しおくれているのかもしれません。そういうことで、条約の承認とそれから国内法の関係からいって、六月中にこれらの条約、法律等ができるということが国際的に必要になっているのかどうか、そこら辺の関係はどういうふうになっておりますか。
○藏内政府委員 曽祢委員御指摘のとおり、六月中に条約等を成立させていただくことがぜひ必要であろうと思っております。
○曽祢委員 国内法としては、関税定率法とほかに何がありますか。法律はどうなんですか。条約だけでいいのですか。
○鶴見政府委員 日本の場合におきましては、条約、この協定、ただいま御審議いただいております三つの部分がそのまま通りますれば、これに裏づけする別途国内措置というものは必要でないということでございます。したがいまして、この条約の御承認を急いでいただきたいと考えているわけでございます。
○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十九日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会