外務委員会 第11号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1968/04/16
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 大臣は、今度シンガポールへ行ってこられて、東南アジアの情勢を身につけて帰ったわけでございます。記者会見等での話を聞くと、アジアの曙光が見えたということでは、各国とも非常に歓迎していた、ベトナムの和平について話し合う姿もきわめて真剣味にあふれていた、こういうお話でしたが、いま、ジョンソン声明以来今日の情勢を見て、このジョンソン声明に対するハノイの答え、それの現在の状態と、それから、これからの見通しはどういうふうに感じておられるか。
○三木国務大臣 御承知のように、予備的な会談ですね。本格的な話し合いというものは、その予備的な会談が済んで、そこで段取りがきまることになる。予備的な会談の場所について、なかなか折り合いがつかない。アメリカは何か大使館があるところでないと、施設を利用するのに非常に困る。しかも、どちらにも片寄らない中立国でやらないかということでございます。そのためにいまアメリカが提案しておるところは、ラングーン、それからジャカルタ、ビエンチャン、インド、こういうところであります。向こうは、カンボジアのプノンペン、ポーランドのワルシャワ、これを提案しておる。この話し合いがまだまとまってない。しかし、これだけの話し合いをしようといったハノイとアメリカの話が、この場所というようなことで御破算になるというようなことは、これはあってはならぬことだと私は思います。したがって、この場所はどこになりますか、話し合いはつくものだと思う。 そこで、アメリカとハノイとの本格的な話し合いというものを一体どう進めるかということが議題になるし、北爆の問題もそのときに議題になる。あるいは非武装地帯などに対する北からの南への浸透ということも問題になる。戦闘行為の縮小という前提の上に立って、本格的な話し合いの段取りをつけることが予備的な会談の大きな役割りだと私は思うのです。 ところが、本格的な会談ということになってくると、いろんな問題がそこに出てくる。いまは南ベトナムの政府もあるいはまたベトコンも出てきてないわけです。こういうものがやはり何らかの形で話し合いに入ってこなければならぬし、非常な紆余曲折はあると思いますけれども、しかし、あの話し合いに応じようということをハノイとアメリカとが受諾したということは、ここらでひとつ話し合いによって解決しようという一つのゼスチュアだと私は思わないのです。両方ともこの際に話し合いで解決しようという意図があったから、このジョンソン提案に対してハノイがこれに応じて、予備的な会談をしようということになりましたから、紆余曲折はあるけれども、大きな方向としてはベトナム戦争の収拾の方向に向かう、その過程が一体どれくらいかかるかということは、これはなかなか——前のジュネーブ協定でも朝鮮の戦争の場合でも長期にかかった例もありまして、今度も私はそのとおりにかかるとも思いませんが、これは相当な期間が要るであろう。いままだ予備会談の話し合いの場所もきまらない段階でありますから、これをどうだという予測を立てることは非常に困難だと考えております。しかし、方向としては収拾の方向である、戦争は拡大の方向でなくして、戦線の縮小の方向である、こういうふうに考えております。
○石野委員 大臣もいま指摘しておるように、ジョンソンが演説をした中で、この戦争を終わらせるために、いかなる場所、いかなるときにも米国代表を送る用意がある、こういうふうに言っているわけでして、世界はまたこの呼びかけに対して非常に共鳴したし、また、そのことによって戦争の終結がもう早急にでもあるかのような錯覚さえも起こした。しかし、その後の情勢から見ると、戦線は必ずしも言われるようには縮小はしていないし、特にいかなるとき、いかなる場所にも出すと言った、この場所がなかなかきまらないということは、どうもジョンソンの声明がどこに真意があるのかわからない。特に社会主義圏では、たとえばソ連でも中共でも、この声明はぺてんだ、こういうふうに言っておりますが、大臣はこういう見解のあることを見ながら、このジョンソンの声明が実施されないことについてどういうお考えを持っておられますか。
○三木国務大臣 私は、今度の話し合いというものは相当長期にかかるでしょうから、いろいろ段取りを——次の国際会議まで持っていくのでしょうから、その段取りをきめるのには長期にかかるから、両方の大使館があって、そういう施設を利用できるということも両方が望むだろうと思うのです。そうでないと、自分の在外公館がないとなかなか連絡等に不便ですから、そういう点で、両方の大使館があるということは、もう非常に最小の前提になってくるのではないでしょうか。その上いろんな注文というものは、注文をつければつくでしょうが、しかし、最小の条件は、やはり大使館が両方にあることが便利であることはだれが見ても明らかだと思います。したがって、ジョンソンの提案がぺてんだと私は思っていない。アメリカ合衆国の大統領が世間をぺてんにかけるようなことは、それは私は信じたくはない、そういうことはあり得ないことである。ただ、この話し合いをできるだけ自分が便利な——ちょっと一ぺん会うというのではないですから、今度の場合は話し合いをこれから相当長期にわたって始めていこうというのですから、できるだけ便利なところをということを希望するということは、一応無理からぬ点がある。しかし、世界にあれほどベトナムに平和が来るという希望を与えたジョンソン声明、ハノイのこれに対する反応、これをいつまでも場所のことにこだわってこの話ができないということは、世界に失望を与えます。両国がいろんな自分の立場からすれば便、不便というものもありましょうが、この話し合いは、早く話し合いの場所をきめられることをわれわれは強く希望するものでございます。
○石野委員 ジョンソンが明確に場所はどこでもよいということを言った。それがもう声明を演説してから半月になっています。ただ場所のことでなかなか応諾をしないということになりますと、これが皆さんと相談の上で云々というならいいけれども、この戦争を終わらせるために米国はいかなる場所にでも代表を送る用意がある、こう言っておりますから、私どもとすると、どうも当時言った気持ちと現在のアメリカの考え方との中には違ったものがあるのではないかという疑念を持ちます。これは、大統領の考え方をわれわれがあれこれ簡単に憶測することはよくないと思いますけれども、しかし、事実は、これだけ言い切った内容を大統領みずからがほごにするということになると、これはやはり戦争終結に対する熱意の問題で私ども疑わなくちゃいけない。ただそれだけではなくて、一方では増兵をする、それは多くても少なくても増兵という事実が出てまいりますれば、これはやはり戦争終結への真意を疑わざるを得ない、こういうふうに考えるのです。こういうような実情に対して、大臣はアメリカのよき相談相手という立場で、こういう不信を買うような大統領の演説に対して、何らかの忠告か何か与えなければならぬのでなかろうかというふうに私は思うのですが、大臣のいまの話だと、ただ大使館など長期にわたるような通信の便だとかなんとかいうことが問題なんだというふうに言います。しかし、私は、それはこの演説の内容を熟読玩味して言えることばのようには思えない。やはりソ連だとかあるいは中国がぺてんじゃないか、こういうふうに言っておることの裏書きになるように思うのです。ハノイはこれを受けるにあたって、アメリカ帝国主義はベトナムを長期に分割し、南ベトナムを彼らみずからの新植民地、軍事基地に変えようと企てておると言い切っておる。そういう考え方から見ると、やはりこの大統領の交渉場所の選定の問題についても判定の下らないということは、やはりぺてんだと見られるよりしかたがないという感じがするのだが、そういう問題について、大臣ふしぎに思わないか。
○三木国務大臣 世界に対して大統領があれだけの提案を行なって、これはベトナムの戦争の早期収拾を望んでおる世界の人々に対して、何か収拾できるんじゃないかという希望を与えたのですから、それを単なるゼスチュアということは、私は断じて許されることではない。やはり世界のリーダーというものがそういうことをやることは考えられないことであります。したがって、戦争を話し合いによって収拾しようというアメリカの真意は私は疑いたくはないのであります。いろいろアメリカの国内事情などを見ましても、やはり大統領がこれだけ決意する、それは決意するいろいろな内外における諸条件もあったと思います。そういうことで、われわれとすれば、これが長引くということになるならば、われわれとしてもいろいろ申し上げたいと思っております。必要があれば忠告もするわけでありますが、いまはアメリカの言うことも、両方に大使館があってなるべく中立的なところでできないか、中立諸国、この戦争に対する中立的な立場をとった国でできないか、こう言っておる。そのことも、アメリカの立場としてはわからぬことではないわけです。したがって、いまの段階では両方の話し合いが行なわれておるわけでありますから、これを早く話し合いの場所をきめられることを希望しておるのですが、このことであまり時間をとるということになって、必要ならば、われわれとしてもいろいろ日本の立場からこれに対して発言をする場合があり得ると考えております。
○石野委員 大臣は、それではこの場所がきまるという時期的な見通し、いまの情勢のもとでどういうふうに見ておりましょうか。
○三木国務大臣 これはなかなかむずかしいことで、いま時期の見通しを言えということはむずかしいが、私は、この場所の問題がなかなかきまらないで非常な時間を費やすということは考えていない。やはりこれはいろいろ困難はあっても、これくらいのことは両方お互いに譲歩してきめられなければならぬので、場所がきめられないためにこの話し合いが御破算になるということは信じておりません。
○石野委員 いや、いずれはきまるだろうという見通しはよく大臣から聞いたわけですが、しかし、世界はこのジョンソンの呼びかけに対して早急に平和がくるものと思っているわけです。しかし、ハノイのほうは、今度のこの交渉はあくまでも予備交渉だ、こういうふうに言っておるわけです。その予備交渉が始まらなければ本交渉に入れないのは当然なんだ。だから、予備交渉に入る場所の選定がなければ、これはどうにも話が進まないことになる。その時期がなかなか大臣に見通しがつかないとすれば、アメリカの呼びかけで、どこにでも行きますと言っておるたてまえ上、私は、ハノイの要求する場所にきまらざるを得ないだろう、こう思いますが、大臣はそれについてはどういうふうに考えていらっしゃるか。
○三木国務大臣 私は必ずしもそうは思わない。ハノイも、大使館があって、ハノイに対しても悪い立場をとってない国であれば、ハノイが初め言ったようなプノンペン、ワルソー、これだけを固執するという態度で終始するとも思っておりません。しかし、その場所が非常にアメリカ側に片寄ったようなところであるならば、それは応じないでしょうね。しかし、そうでない、ハノイともいい外交関係を持っているような国であれば、そういう国であれば、両方の大使館があって、ハノイが必ずしも応じないものとは考えておりません。
○石野委員 ジョンソンが、いつでもどこへでも行くということを言ってこういう呼びかけをしたのは、ハノイを欺くだけじゃなく、世界を欺くものである、こういう批判はやはり全世界的に出ていると思うのです。私はこういう問題で論議をしておってもしかたがありませんが、いまアメリカは、北と南とにおけるいわゆる爆撃とか、戦争行為はどういうふうに展開しておるのでしょうか。非常に縮小されたのでしょうか。われわれの感じでは、やはり相当範囲が広くなお爆撃は続いているように見受け、そういう情報を耳にしているわけだが、大臣はどういうように理解していますか。
○三木国務大臣 もう少し詳しいのは事務当局から申しますが、とにかく北緯二十度以上は爆撃しない、その二十度は、人口の九〇%は爆撃の地域に入らない、こういうことで、これはずっと実行をされておるようでありますから、ああいう提案がジョンソン大統領によって行なわれた前とあととでは、戦線の縮小されたことは事実である、こういうふうに見ております。
○石野委員 爆撃が相当程度縮小されるどころか、かえって広がっているという情報をわれわれは得ておる。というと、結局この声明の持っている意味というのは、和平へのための一つのぺてんだ。そのぺてんの意味するものは何であるかというと、当時のドル危機というもの、それから国内におけるところの増税反対というようなものに対する政治的なもろもろの術策、こういうアメリカの国内に対するやはり一つのごまかしと、それからまた、ハノイや世界に対するごまかしだったというふうに見受けざるを得ないような情勢がいま出ていると思うのです。こういう情勢の判定をもし誤るというと、国の外交の上でも非常な大きな誤りを来たすだろう、こう思うのです。私が大臣に、ベトナム戦争というものがどういう状態で終結するかについての見通しを先ほど聞いたところでは、これはもうやがてはそうなるだろうと言うのだけれども、それじゃ、この一カ月の間くらいのところで交渉が始まるというふうにでも見ておるだろうか。
○三木国務大臣 予備的な会談というものは、そうじんぜんと先に延ばしていくわけにはいかぬ。予備的な話し合いが始まったときには、本格的な話し合いの段取りをきめるまでにはやはり相当の時間を要する。それはその次にくる——ジュネーブ協定の精神を尊重するといいましても、いろいろそのときとは今日条件も違っておりますし、具体的に本格的話し合いの段取りをきめるということは、やはり相当にむずかしい問題が含まれておりますから、それには相当な時間を要する。予備的会談が始まっても、それが次の本格的会談に入るまでには、いろいろのむずかしい問題を含んでおりますから、時間がかかると見ております。
○石野委員 この問題についてのハノイの受け方と、それから南のほうの民族解放戦線のほう、いわゆるベトコンの受け方は、どういうふうに外務省はキャッチしておりますか。
○三木国務大臣 これは、ハノイがジョンソン大統領の提案に対して、これに応じて予備的な話し合いをしようということでありますから、南のベトコンなどもやはり推移を見守っておるというのが現在の状態だと見ております。
○石野委員 外務省の情報では、ただ見守っておるというだけであるのか、それともやはりこれに対して解放戦線のほうでは交渉は進んでいるというような見方をしておるのか。
○小川政府委員 ハノイが代表を送るという声明をいたしました後に、解放戦線の放送がこのハノイの声明を支持しておりますので、解放戦線はハノイと態度を同じくしておるものとわれわれは観測しております。
○石野委員 同じように見ておるということですが、そうなれば、結局、北のほうでは、交渉の場所についてまだ問題を残しておるというよりは、アメリカの言うことよりも、むしろハノイはハノイの主張をしておるわけです。この交渉というのは実際に始まらないとすると、やはり戦局はどういうふうに推移していくだろうか、こういう問題が一つ出てきますが、南のほうの戦局はどういうふうに動いているのですか。
○小川政府委員 現在までこのジョンソン声明及びハノイ声明が出ましてからは、大きな目立った戦闘はございません。特に注目されておりましたケサン地区におきましては、むしろ両軍の引き離しが行なわれておる模様でございます。そのほか、局所的に両軍の攻撃があるところがございますが、大きな戦闘は起こっておらないようでございます。
○石野委員 いま、アメリカはやはり南ベトナムのほうへ増兵をする決意を進めておるようですが、その状況はどういうふうですか。
○小川政府委員 ジョンソン声明にもございましたが、テトの攻勢がありました直後に、米軍の増援が約一万三千でしたか、あったわけでございますが、それに対する支援部隊として同じく一万三千を送るという声明がございました。現在それが行なわれている模様でございます。これは声明にもありますとおり、支援部隊ということで、主として補給その他を担当するもののようでございます。
○石野委員 最近、ジョンソンと朴正煕との間の話し合いが行なわれるようですが、そこではやはり韓国の兵隊をもあそこへ送るようにという強い要請がある、こういう情報がありますが、その点はどうですか。
○小川政府委員 新聞報道にそういう報道がございましたが、私どもは事実を承知しておりません。韓国の報道では、要請があっても韓国は送らないというようなことも言っておりますので、そういう話は出ないのではないかと予測しておりますが、事実はわかりません。
○石野委員 今度SEATOの会議がありましたが、そこではこのベトナム問題はどういうふうに論議されておりましたか。
○小川政府委員 ちょうどジョンソン声明の出た前後にSEATOの会議があったようでございますが、これにつきましては、米国からジョンソン声明の意図が説明されたようでございまして、SEATO会議の後に出ました声明におきましても、この米国の平和意図を支持する、同時にまた、その平和の解決というものは公正なものでなくてはならぬというふうに言っておりまして、公正な恒久的な平和を確保するため、SEATO諸国は協力するというふうな趣旨の声明が出ております。
○石野委員 いま情報を聞いておると、ジョンソン演説があったあとでも、依然としてやはりベトナムに対するアメリカの増兵の決意は変わっていないようです。こういう情勢の中で、もし予備交渉がここ半月ないし一月くらいの間に行なわれないような場合には、このジョンソン声明というものは、もうほごになってしまうのではないだろうか。ハノイに対するジョンソン声明というふうに考えざるを得ないのですが、その点は、大臣はどういうふうに考えておられるか。
○三木国務大臣 私は、これは世界各国ともそうだと思いますが、ジョンソン声明が出て、ハノイもこれに応じようということになったことを世界はどこの国も歓迎しておるわけです。したがって、これをほごにさせないようなあらゆる努力というものを世界各国がすべきであると思う。これをほごにして——ハノイもせっかくこれに応じて話し合いをしようというし、アメリカもああいう提案をしたのですから、この喜ぶべき平和への曙光が見え始めた。この喜ぶべきベトナム問題に対する一つの大きな傾向が、これが逆戻りのないように、世界各国はあらゆる努力を傾けるべきだと思いますし、またわれわれもそういう努力をいたすつもりでございます。
○石野委員 これをほごにしてしまわないように世界各国はあらゆる努力をすべきだ、われわれもその努力をするつもりだ、こういうふうに大臣は言ったが、そういう一つの大臣としての構想をお持ちですか。
○三木国務大臣 これは、いままでベトナムの平和的解決について、われわれとしてはこの問題を中心に話し合った国の数は非常に多いわけです。こういう国々とも連絡をとりながら、こういうせっかく生まれてきた平和の曙光を実らすように、これは世界の諸国とも連絡をとりながら、われわれとしてできるだけの努力をいたす考えでおります。
○石野委員 そのために大臣はどういうことをやろうとしておるか。
○三木国務大臣 いままだ——石野君の少し先走った仮定ですが、これでいまみなが何とか話し合いに持っていくようにというのが世界各国の願いですからね。だから、いまはその話し合いというものが順調に行なわれていくように、そのために世界各国とも当事者にまかせてはおりますが、これは声援を送っておるわけですからね。いま少し、その結果を悲観的に見てというふうには考えないほうがいいのではないか。しかし、そういう場合にはあらゆる努力をするということは、先ほど申し上げておったとおりでございます。
○石野委員 一部報道によると、たとえば東京あたりでそれをさせたらいいではないかというような意見もあったりする。それができ得ないのはどういうわけですか。
○三木国務大臣 東京というのは、ハノイとアメリカとの話し合いですか。
○石野委員 ええ。
○三木国務大臣 ハノイは東京に外交機関がないですから、それは不便ですよ。東京東京と言う人もあるけれども、実際問題として、在外公館もなくて、いろいろ連絡がとれない場合に、東京というものは、実際これはハノイとアメリカとの会談の場所としては非常に有力になると思いません。もしも日本にハノイの在外公館があったら、これはきわめて有力な——アジアの問題でもあるし、またアジアにおける日本の地位からして、東京というのはきわめて有力な話し合いの場所になり得たと思いますけれども、ハノイのいわゆる在外公館といいますか、そういう外交機関がないから、私は、東京というものはすでに無理であるという考えでございます。
○石野委員 ハノイの在外公館がこちらにないからということももちろんですけれども、私は、やはり日本は平和憲法を持っておって、どの国にもほんとうに片寄らないでいくのだったら、こういうときにやはり引き受けてもいいわけですけれども、それができないのは、結局、日米安保とかなんとかいうもので実質的には平和憲法が消されておるということもあって、できないのだと思います。しかし、おそらくそんなことを言ったって、ハノイは受けやしません。おそらくそれは結局、ハノイの要求する場所にきまらざるを得ないだろう。アメリカが受けないとすれば、これはなかなかことばだけはあるけれども、実際には実現する可能性はないように思う。とにかくジョンソン声明の内容というのは、どうも最初から非常に見せかけはよかったけれども、その後場所も決定しないし、北爆も広がっていく、戦線は決して縮小していないというふうにわれわれは見ているわけです。こういう情勢の中での推移は、われわれにとって、ここ一週間ないし十日くらい見ておる間にはっきりしてくるのじゃないかと思う。私は、やはりジョンソンがこういうことでぺてんにかけないようにということを希望して、大臣が案外安易な形で見ている見方には警戒すべきだということを言っておきます。 時間の関係もありますが、最後に一つだけ。大臣は、今度の海外旅行、シンガポールからの帰りで、わが国としては、アジアの新情勢に対処して、できるだけ経済協力が必要だと考えている、しかし、中国問題については、いまのところそう意識していないのだというような新聞記者会見をしておりますが、こういう情勢の中で、中国がいまハノイをどう見ているかということ、それからまた、中国問題をどういうふうにわが国は見るべきかということについて、大臣の所見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○三木国務大臣 私が帰ってきて申しましたのは、会議で中国問題というものが非常に論じられたか、そういうことはなかったということを申したのです。その記者会見で申したことばはそういうことでございます。 また、ハノイと中国との関係というものについては、これはハノイもかなり自主的な態度を持っておるようですが、しかし、中共との間の関係は深いことは申すまでもないことであります。しかし、いろいろな判断の場合に、やはりハノイというものが相当自主的な態度で判断をしているというようなことをわれわれに感じさすものがございます。したがって、中共自身が今後この話し合いの過程にどういうふうな態度をとるかということは、いま予測はできませんが、しかし、アジアが安定していくということ、アジアの安定をもたらすために、中共自身にもこれはやはり寄与してもらわなければ困る。だれもこの不安定なアジア情勢というものを喜ぶ者はないのですから、そういう点で、アジアの安定のためにやはり中共自身も寄与するような中共であってほしいと願うものでございます。 日本と中共との関係は、いまの中共との間にできるだけの接触を積み重ねていくということで、貿易とか文化、人間の交流などを通じて、中共を封じ込む政策には日本は加担しない、中共との間に接触を深めて、中国との関係をできるだけ改善していきたい、こういうことは変わらない、ベトナムがどうなろうとも変わらない日本の外交の方向でございます。
○石野委員 中国は、今度のジョンソン声明とその後の推移を見ておって、二度ほど中国側の所見のようなものが報道されております。その見解は、今度のジョンソン声明というのは、ジョンソンの和平交渉は時間かせぎだ、これは完全なぺてんだ、こういうふうに言っておる。そして、ジョンソンがおそらくベトナムから引き下がるというようなことは、こういう交渉を通じては絶対にやらないだろう、こういう見方をしておるわけです。こういう中国の見方についての大臣の見解はどうなんですか。
○三木国務大臣 私は、そういうようには見ていないのです。もちろん、このベトナム戦争の解決というものは、ジュネーブ協定の振り出しに返らざるを得ない。永久のものだとは思いませんが、やはりある時期は南北に分かれざるを得ないでしょう。しかし、できるだけ民族自決の原則が適用できるような環境を早くつくるということでしょう。したがって、その間は米軍にかわる国際的な保障というものがやはり必要になってくると思います。協定に対するその実施を保障するような何らかの国際的な保障というものが必要になってくる。そういうことで、ベトナムから米軍は撤退していくものである。いつまでも南ベトナムにアメリカの軍隊が駐留するというようなことはない。その撤退の時期というものに対しては、あれだけの大軍ですから、すぐにというわけにはいかぬでしょうけれども、しかし、ある時期において米軍は撤退するものである。中国が考えているように、いつまでもアメリカは南ベトナムに居すわるものではないと私は考えております。
○石野委員 ハノイのホー・チミンのほうでは、一九五四年のジュネーブ会議でだまされて、これがもうきつく脳裏に残っていると思うのです。今度呼びかけをして、この話し合いの中で、やはりその前のジュネーブ協定、そういう線で話がまとまっていけるようなふうに理解されているか、大臣はそういうふうに今度の問題がまとまっていくというふうに理解しているかどうか。
○三木国務大臣 これは、戦争当事者がやはりジュネーブ協定の線に沿うて何らかの解決策を見出さなければならぬというのは、もうどこにも異存がないようであります。しかし、ジュネーブ協定というものに対して、それはハノイはハノイとしてのいろいろな意見もあるでしょうから、そのままの形で、ジュネーブ会議に招集された国も同じような国で、そのままの再現であるかどうかということは疑問ですけれども、一応ジュネーブ協定の線に返ってこの収拾をはかるというよりほかには現在の場合ない。これに対しては、ハノイもアメリカも、南ベトナムでも反対はない、こう考えております。
○石野委員 ハノイは、むしろ直接交渉を希望しているのであって、ジュネーブ会議の方式というものはいま考えていないのじゃないですか。
○三木国務大国 ハノイが直接の交渉、それはアメリカとの間は直接の交渉ですけれども、最後においては、やはりこの会議の締めくくりというものは、国際会議というものが要るのではないかとわれわれは考えているわけです。話し合いは、ジュネーブ協定の線に沿うて当事者でつけていくということが本筋ですけれども、それがやはり一つの国際的な会議によって、これの協定というものがどういう形になりますかわかりませんが、なされる、そういう国際会議は必要であるのではないかとわれわれは考えているわけでございます。
○石野委員 私は、これは日本のアジア外交の上でも、ハノイの戦争がどういう形で収拾されるかということについての見方は大事だと思うのです。私の見方では、ジョンソン声明を受けたハノイの姿勢というものは、決して国際会議の場で戦争を終結させようというふうには考えていない。予備交渉を通じて接触段階がある。この接触段階は、おそらく——今度のこれは事情は違いますけれども、中国と日本とのLTの交渉をやる場合に、やはり接触ということが言われた。私が周総理と会ったときに、その接触のことばが出て、今度の古井、田川両氏が接触の場で政治三原則の非常に強い要求を受けるというような事情があって、本交渉の前にそういう前段交渉としての基本的なものが論議された。私は、今度のジョンソンの呼びかけに対する交渉は、もしハノイがほんとうに民族解放戦の戦いを組み、ほんとうにやはりアメリカ帝国主義を払いのけるんだという、今日まで行なってきたその戦略路線でいくとするならば、おそらくは、この予備交渉というものは、そう簡単に和平のテーブルにつくようになっていくものとは思わない。これはやはり基本的にはアメリカが撤退するという前提を持たなかったら、その場は出てこないだろうと思う。しかも、その交渉は国際会議ではなくて、むしろ単独交渉、直接交渉、こういう形になるだろうという読みをしているわけです。この点は、大臣の読みと非常に違うようでありますけれども、しかし、今後のわが国の外交を進める上に、アジアの外交に対するわれわれの施策の上においても、きわめて重要だと思うので、最後に一つそれだけを聞いておきたいと思います。
○三木国務大臣 私も、いろいろな基本的な話は当事者の間で行なわれることになると思います。最後に、これを長続きのする平和というものを確立する上において、国際会議の必要性というものがあるのではないか。しかし、基本的な問題は当事者で話し合わなければ、いきなり国際会議というわけにもいかない。したがって、いま言われたように、当事者の間でいろいろな諸問題というものが論じられて、そしてある程度の話し合いの合意というものが必要だろうということを否定はいたしません。しかし、最後にやはり国際的な会議というものの必要性を持つのではないか、こう見ておるのでございます。
○秋田委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 ベトナム戦争を終結する方向で、部分的であっても、北爆を一方的に停止するというジョンソン声明があり、また、これに応じて北ベトナム側が、むしろソ連に対しても中共に対しても相当思いきった独自性を発揮したような形で、アメリカの北爆の全面的一方的停止を確かめる目的という注釈つきではあるにせよ、とにかく予備会談に応ずるということになった。そこで、当時、外務省の情報文化局長の談話が出ておりましたが、わが国としては、アメリカ及びベトナム側の措置を歓迎するとともに、日本としては、できる限り側面的援助を惜しまない、こういう基本的な態度を表明しておったと思うのです。そしてまた、これに基づいて、アメリカに対しても、しっかりやってくれ、それから、特にジュネーブ会議の共同議長国である英ソ両国に対してあっせん方を強く申し入れたということが伝えられているわけであります。それからまた、一方においては、現地の実情を視察するという意味でございましょうが、近藤審議官をベトナムその他の東南アジア方面に派遣した。これらのことがいろいろなされていると思うのです。 そこで、抽象的に、日本としてはできる限り側面的援助をすると言っているが、それは一体どういうようなことを現におやりになっているのか、また今後の発展に応じてどういうことを考えておられるのか、こういうことを伺いたいと思うのです。 特に、たとえば、ただいま石野委員との質疑応答の中にあらわれておったように、少なくとも予備交渉の場所について、行き詰まりと言っては語弊がありますけれども、話が停とんしているような感じがあるわけであります。これは、アメリカ側としてはいろいろ事情があるにせよ、何といっても、国際的な世論、大義名分からいくと、損な立場じゃないかと思います。いつでもどんな場所でも話があれば行くのだと言ったというたてまえからいけば、なるほどこの予備交渉が重要なものであるということはわかるにせよ、いつまでもこの問題で——むしろ、アメリカ側のほうがあとから条件をつけたということはまずいんじゃないか。そこで、いまの外務大臣の石野委員に対する答弁の中でも、たとえば日本がこういう問題についても発言する場合があり得るということを言われたと思う。これは新聞報道ですから真偽のほどはわかりませんけれども、たとえばイギリスあたりでは、友誼的立場から、アメリカに対して、予備交渉と本交渉とを分けて考えてもいいのじゃなかろうか、予備交渉の段階においてはそう場所にこだわらなくてもいいのではないか、むしろ予備交渉の段階でひとつ一手北ベトナム側に譲ったほうがいいではないかというような勧告をするやに伝えられているのです。私も、これは責任のない立場からの議論かもしれないけれども、そのくらいのゆとりがあってもいいのじゃないかと思う。何といっても早く予備交渉の段階にこぎつけて——その予備交渉は、北ベトナムの公式論からすれば、むろん、彼らが見た侵略者であるアメリカが、まず北爆その他北ベトナムにおける一切の軍事行動を無条件に全面的に停止することにある。それがすべての始まりだということを言っておりますけれども、現実に話に入ってみれば、またアメリカ側から見れば、アメリカの全面的な北に対する攻撃停止に対応して北側が現実にどういうことをやってくれるのだろうということを、条件ではないにせよ、話の中から当然に確かめたいというのはあたりまえだと思うのですね。そういうようなことで、予備交渉が早く開かれる。そのためには、場所の問題については、場合によったら、そう理屈ばかり言わずに——たとえばポーランドは確かに中立国ではない。しかし、少なくとも国際監視委員会のメンバーでもあるというようなこともありますし、ポーランドの最近の動向から見ても、東ヨーロッパのポーランドというものは、中立国でないにせよ、アメリカ側から見ても、あそこでやることがそう非常に不利だとも考えられない。そういう面から、初手から両方ともかけ引きが多過ぎるような感じがするので、日本としても、あまり場所の問題にとらわれず、早く予備交渉の場所をきめて、とりあえず予備交渉をやってしまえ、こういうようなアドバイスをすべきではないかと私は考える。その点に対するお考えと、冒頭に申し上げたところの、外務省が考えているあらゆる側面的援助というものは、そういう点を含めて現にどういうことをおやりになり、あるいはおやりになろうとしているのかということ、これをお示し願いたいと思うのであります。
○三木国務大臣 前段のほうでは、話し合いが始まろうというときでありますから、話し合いが始まったときには、この話し合いにはいろいろな紆余曲折があると思います。しかし、現在のところは、こういう好ましい収拾への一つの曙光が見え始めたのですから、各国との間に、従来とも日本がベトナム戦争の収拾について非常に緊密な連絡をとっておった国がありますから、こういう国との連絡は緊密にしていきたい。それからまた、近藤審議官などは、このことが南ベトナムなどにはどういう影響があるか、またその周辺の国々も回るようにということで、現地の実情というものを把握さしたい、そして、今後これはいろいろな問題が起こってくるでしょうから、そういうときには、日本としても、そういう諸外国とも連絡をとりながら、その時に応じた適切な外交的努力をしていきたいというふうに、いまはそういう一つの段取りをさせておるということでございます。 それから、第二の場所の問題については、このことであまり日がたっていくということも好ましいことではないので、これはわれわれもしょっちゅう連絡を受けているわけで、この問題がどうにもならぬところまできているとは見ていないのであります。いろいろな意見が出ているわけですね。両方の必ずしも言わないような場所でどうだというような意見も出ているので、したがって、そういう動きなどもにらみながら、あまりにも日がおくれてきて、このことによって何か収拾への熱がさめるようなことになってはたいへんでありますから、われわれとしては、アドバイスも必要であればいたす考えでございます。
○曽祢委員 場所についても、私は、必要なアドバイスは必要に応じてやられたらいいと思うのですが、特に三木外務大臣が本国会の劈頭の施政方針演説の中でも言われた、いわゆる相互保障方式といいますか、これは段階によって、予備会談の段階から直ちに相互保障方式もちょっと早いような気がしないでもありませんが、しかし、とにもかくにもこの予備会談が行なわれることが第一です。これはもう予備会談が開かれれば、その中から自然と次のいわゆる全面的な北における戦闘停止、これに見合う北ベトナム側の措置、続いて直ちに南における停戦の問題等が、これはもう膚接して起こってくると思うのです。そこで、そういう場合に、もう言うまでもなく、一方においては、南ベトナム政府はあまり喜ばないでしょうけれども、しかし、どうしても南ベトナムの民族解放戦線、ベトコンといわれるこの勢力の取り扱いの問題を取り上げなければならぬ。そういう場合に、日本としては、一方においては南ベトナムに対して、ベトコンが話し合いのテーブルにつくということについても、まあまあと言って、何と言いますか、いやなことでもアドバイスをする、こういうことは当然必要だ。そういう場合に、ベトコンはやはり事実上、実際上の交戦団体なんですから、これが何らかの形で、あるいは南ベトナムとベトコンとの話し合いになるか、あるいはアメリカと北ベトナム、さらにそれのパートナーみたいな形で南ベトナムとベトコンが加わるという一種の四者会談——事実的には二者であるけれども、形の上においては四者が加わった停戦の会談となる、そういうことは当然必要だと思う。そういう場合に、さらに、単にベトコンの交渉への資格の問題だけでなく、やはり将来の南ベトナムにおける停戦後の平和処理の段階において、やはりベトコンが正式な政治勢力として、地下活動でない政治勢力として、選挙等の政府づくりに参加する資格を認めていくというほうがほんとうじゃないか。そういうようなことを一方においては南ベトナムやアメリカ側に認めさせる。それからもう一つは、やはり両方の軍隊の撤退——両方というのは、外国軍隊ですね。アメリカ及びアメリカの与国である韓国とかその他のオーストラリアだとか、そういったような国の軍隊の撤退、それから北ベトナム軍の南からの撤退、こういう問題で、やはり撤退について、特にアメリカ側の究極的な撤退について、北側に日本が正式会談の前にそういうことを保障してやる。そういうことがやはりあなたの言われる相互保障というような意味ではないかと思うのです。そういうようなことを日本が先ほど言われた側面的なあらゆる援助をする。日本の東京で場所を貸して、そして交渉を行なわせるということよりも、そういうはでなことよりも、現実に建設的な側面的援助、アドバイスも含めてそういうことが必要じゃないかと思うのですが、これらに対しての外務大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
○三木国務大臣 まあ、相互保障方式というものは、両方がわりあいハノイとアメリカとの考え方の差というものは狭まってきておったのですね。話し合いのテーブルにつくならば北爆の停止も考えようということで、非常に接近しておったのに、なかなか話し合いのテーブルにつけないということで、何らか、本人同士が話し合いがつかなければ、第三者の保障によって話し合いに入れないかということが第一段階としての相互保障方式、これはある意味においてそういうアイデアというものが現実に実現したわけですね。両方が、完全な北爆停止じゃないけれども、部分的といっても北爆を無条件で停止して、予備的であっても話し合いに応じようというのですから、今後いろいろな話し合いにおいて、まだまだ場所などを見ましても相互の不信の感じというのは非常に強いものを感じられますから、どうしてもやはり国際的な友好国の保障というようなことが必要な場面が出てくるのではないか。こういうことで、まあ第一段階の話し合いのテーブルにつくという、そういう考え方は実現をしたわけですが、さらにベトナム戦争の収拾をはかるためには、どういう形になるか、あるいは国際会議などというのも、そういう国際的な保障の問題というものが起こってくるのではないか。そういうことを考えてみると、相互保障というような、形はともかく、アイデアというものは、常に話し合いの進行によって、また現実の考え方として生きてくるのではないか。そういうことで、われわれとしては、これは単に自由諸国だけでなしに、ベトナム問題について共産圏とも連絡をとっておるわけです。そういうことで緊密な連絡をとっておりますから、第一段階としては、ベトナムの平和達成に対してせっかくのこの機会を逸しないように、これがやはり本格的な話し合い、そしてその話し合いが妥結に持ち込めるように、日本とこの問題についていろいろ話し合ってきておる諸国とも連絡をとりながら、いろいろなことが起こってくる、この現象に対応する外交的な努力を今後続けていきたいと思っております。また、どういうことになってくるか、やってみないとわかりにくいですから、一々その場合、この場合というふうなことをいろいろ仮定して、われわれ自身としては検討を加えておりますが、申し上げる段階ではございませんが、そういう変化に即応した外交的努力をいたす覚悟でございます。
○曽祢委員 実際何人が考えても、これからの発展を的確に予想することはできないのですから、抽象的なお答えになるのはやむを得ないと思うのです。ただ、まあ大体しろうとで考えても、まず予備会談に入るということが第一。それのためのいわゆる相互保障は要らなくて、当時者同士が予備会談につくということはたいへんけっこう。ところが、予備会談を開いたとたんに、へたをすればぶつかってしまう可能性があるわけですね。さっき言ったように、北ベトナムの原則論だけからいえば、アメリカの全面的な、しかも一方的な北に対する攻撃停止をする、これを確かめるだけだ。しかし、現実にはそうはいかぬ。そこで、そこにまた相互保障かどうか知らぬけれども、アメリカが正確に直接に北ベトナムに聞けないことでも、事実上、あるいはまた最近のケサン方面における軍事行動がそれを意味しているのかどうか知らぬけれども、やはり北がこれに対応して、少なくとも北爆の部分的停止にせよ、いわんや全面的停止の場合に、それを利用した軍事行動の激化はやらないという内容が何らかアメリカに事実上知らされるということは、予備会談を、テーブルについただけでなく、成功させるための絶対必要な条件ですね。 それから第二には、いよいよ今度は、さっき言ったように、北ベトナムとアメリカとの正式の停戦交渉と並行して、南ベトナム政府とベトコンとの間に行なわれるのか。おそらくそれは非常にむずかしいであろうから、結局アメリカは、そう言っちゃ悪いけれども、南ベトナム政府代表を連れ子みたいにして連れていく。北ベトナムと民族解放戦線がワンチームになって、実質的の四者が二つの側に分かれて、そしてまず南ベトナムを含めた停戦の交渉が始まるということ、これが原則としてきわめてあり得るフォームですね。そのときすでに、その前から、南ベトナムに引導を渡すといっちゃ悪いけれども、ベトコンがテーブルにつくことに反対をさせない、また南ベトナム及びアメリカにベトコンがつくことを承認させるというような、これはまたいろいろそこに日本の役割りというものが出てくる。 それから第三に、かりにその全面的停戦の協定ができるという段階になると、直ちに停戦そのものをどうして監視し、そしてそれを適用していくか、違反がないことを見届けるか、必ずその監視問題が起こる。そうなってくると、すでにそのことが単に四者会談でなくて、関係諸国、少なくとも五四年のジュネーブ会議協定の共同議長国、及び少なくとも停戦監視委員会の関係国、つまり、ポーランド、インド、カナダというような国々がどうしてもその話し合いの場に出てこざるを得ない。つまり、国際会議というのは必然だと思うのですね。必然であるとともに、それは非常に望ましいのである。そしてそこに、中共もいろいろな言い分と姿勢はあるにせよ、そういう国際会議に出てくることが、みずから行動において、アジアの平和の問題について主張を持ちながら、建設的、積極的な役割りをするという意味において、中国の今後の行き方は、ほかの諸国民に対して安心を与える材料にもなるわけです。わが国としても、一部のアメリカの考えのように、いつまでも中共を封じ込めておけばいいんだという考え方は根本的に間違っているのですから、こういう機会に、中共が当然その持つ大きな力と責任においてベトナム戦争の収拾、少なくともその平和解決の保証人の立場に立ってくれることが望ましいことは議論の余地はないわけです。そういう意味で、国際会議に発展し、それが少なくとも一九五四年のジュネーブ会議の規模における国際会議ということが望ましいのではないか。 そういうふうにいろいろ段階を考えてみると、いま一つ一つその点についてどういう手がというようなことは申しません。いろいろわが国がなし得るし、なさねばならぬ積極的な、しかもじみちな——表面には出ないかもしれません。非常に具体性のある、役に立つ平和への補助役というものがあるのじゃないか、かように考えますが、これらについて、もう一ぺん大臣のお考えが伺えれば幸いだと思います。
○三木国務大臣 おそらく御指摘のとおりだと思います。このベトナム戦争の平和的解決に果たす日本の役割りというものはたいへんである。だから、いまからいろいろな場合を考えていって、われわれは準備をしなければならぬのです。そのための予備的な根回しといいますか、そういうものも要る。だから、われわれとしては、いま御指摘のような内容に関する諸問題について積極的な接触というものを指示してあるわけです。そして、いろいろこれから発展すべき諸問題、これに対して、日本がいま御指摘のように、この問題はパブリシティーは弊害がありますから、だからじみちに、和平達成という方向に向かって日本がじみちな貢献ができるように、ほんとうに日本の外交というものは大いにやりたい、またやらなければいかぬ、こういうふうに考えております。
○曽祢委員 そこで、その日本のこれからの役割りにも触れるわけですけれども、やはり相対する戦闘した部隊をディスエンゲージ、引き離して、それが南ベトナムにおける政治の安定あるいは選挙等に関連して、なるべくすみやかに、しかも順序を追うて撤兵していかなければならぬのですね。それから、停戦そのものの監視ということも非常に重要であるし、それから外国軍隊の撤退、それから、やはりそれに関連して、南ベトナム以外の地域、それは北ベトナムを含めて、そこからの武器その他の輸送なり密輸というもの、これをチェックしなければならぬことは当然だと思うのですね。その上において、初めて外国のあらゆる力から左右されない南ベトナム人の南ベトナムの国づくりというものができなければならぬ。したがって、どうしてもそこにアメリカの力は後退するということが当然でしょう。これにかわると言っては語弊がありますが、そういう大国の帝国主義的侵略というふうにとられがちな、また、そのことが、ほんとうの民族主義者を実質的な共産党の側につけてしまうような失敗もおかしておるので、これの反省の上に立って、アメリカの軍隊の存在ということは、これはマイナスですね。しかし、かといって、そこに何らかの国際的な権威、あるいは少なくとも協定ができたら、停戦協定にしろこれを監視する、いわんや、平和条約によって南ベトナムが国際的に独立と中立が守られるということができるならば、そのことをしばらくの間でも——かもしれませんが、何らかの一定の時期くらいは国際的な監視的な機構というものがなければなかなかむずかしい、こう考えられる。したがって、そういったようなことで、これがときとして国際的な監視部隊になったり、それが国連の部隊になったり——国連というのでは、おそらく北ベトナムとしてはなかなか国連を賛成しないというか、やはりジュネーブ会議的な中立国混成監視班ということになりますか、それが監視部隊になりますか、そういうことは当然予想されることなんですね。そういうことに応じて日本としては、かりにそういう場合に日本が参加を求められたならば、一体日本はどうするか。そういう場合に、日本が部隊としての自衛隊を派遣するということは考えられないと思うのです。目的は平和であっても、場合によっては、部隊が海外に行くこと自身が国会の参議院の決議にも反するのじゃないかと思います。少なくとも憲法の解釈なり国民感情が許さぬ。しかし、そうでなくて、いわゆる監視委員会みたいなものに平服の日本人が来てくれという場合にはどうする、いろいろな問題についても、これはほんとうに真剣に検討していかなければならない、この点どうお考えになるか、伺いたいと思います。
○三木国務大臣 これは何らかの協定ができれば、その協定に対しての監視といいますか、その協定が守られるかどうかということの国際的な保障というものが必要になってくる。そういう点で、ICCのメンバーも、いまは参加国必ずしもああいう式そのままでいまのような協定の監視として十分だとは思えないわけです。もう少しICCのいまの機構というものが改編されることになると思います。そうなる場合に、日本なども国際的な監視の機関というものに参加を求められれば、曽祢君の言われるように、自衛隊の派遣というものはいろいろな疑義を生じてよくない。しかし、シビリアンの場合は、国際的な監視委員会などに日本が参加をするということは、私は、これは考えてもいいのではないかという意見でございます。
○曽祢委員 さらに日本の役割りとしては、東南アジアの経済及び社会的開発に対する援助、これにはすべての関係国、ソ連も、なし得るならば中共も加わった形で、そういう国際的な経済社会開発の大きな仕事に、日本も分相応の——ということは、かなり大きな役割りを演じなければならぬと思います。 その点はその程度にいたしまして、今度は若干観点を変えまして、こういったようなアメリカの言うならば苦悩に満ちたベトナムに対する戦争によって、北ベトナムの浸透の意思をくじこう、そういうことによって南ベトナムを守るという公約を果たそう、これは軍事的にも無理があり、政策的にも間違っていたということを、そういうことばで表現しなくても、認めたと私は思います。そこで、アメリカの政策の転換の始まりだというふうに考えることは正しいと思う。言うならば、それはアメリカの軍事力が万能ではない。後進国においてその国の国民の心をつかんだ、いわゆる外部からの武力浸透に、共産主義の暴力革命に対抗する十分なる体質がないのに、アメリカという大きな軍事力がそこにいって、代理戦争というか、自分が戦争の正面に立つというようなやり方ではこれはいかぬ。したがって、オーバーコミットメントはこれをつみ取るということは、これはある意味ではおそかりしことではあっても健全な方向だと思って、歓迎すべきだということです。 そこで、アメリカの政策が転換する、これは当然であり、正しい方向だと思う。ところが、その一つの転換が始まるというと、どこまで一体転換するのか。予想が非常に幅広く、たとえば戦略的にもマリアナまでいきなり引っ込んでしまう、アメリカはベトナムで手をやいたから、あとは野となれ山となれで、すべての公約はどうでも引っ込んでしまうのじゃないか、こういうような予想も、これは私は個人的には、いろいろ転換の始まりであってもそこまで読み切れるものでもないし、そういうふうに信じ込んでしまうことにやはり一つの大きな危険をおかしておるものがあると思うのです。正確に言うならば、そんなことはなかなかあり得ない、こう考えるわけです。たとえば、少なくとも南ベトナムの隣の国においてこういうものをどう見ておるか。外務大臣はちょうど東南アジア開発閣僚会議にも出られ、会議の表面の空気だけでなく、いろいろ東南アジア及びインド、パキスタンまで含めた、あるいは大洋州の国々の外相級ともひざを交えて話される機会があったのです。これらの国々といえども将来の転換を読み切っている国はおそらくない。一部の不安を持ちながら、ある意味においてはアメリカの転換を歓迎しつつ、そこに同時に、何といっても大きくささえた軍事力の一種の後退という現象に対する不安もあろう。そういうことについて、アメリカの戦略的な転換、あるいはアジア、特に中国の周辺の政治的にも軍事的にも経済的にも社会的にも弱い地域に対するアメリカの政策の今後の修正なり転換なりをどういうふうに見ておられるのか。また、そういう意味でよく言われるドミノ理論といいますか、ベトナムで手をやいたアメリカが究極的には協定によるにせよ撤退するということは、これは将棋倒しの原理で、東南アジアにおいていままで共産主義の諸国と浸透作戦に戦ってきたすべての国々、言うならばアメリカの与国が今後どうなるのだろう、こういう問題についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○三木国務大臣 アジアの諸国は、アメリカがベトナム戦争におけるオーバーコミットメントというものの反省からアジアからすっかり手を引くというような事態は考えていない。現にアメリカは、いろいろな個別的な安全保障条約あるいは集団的な安全保障条約を結んでいますから、そういうアメリカが、ベトナム問題から現に保障を与えている安全保障上の責任を回避するとは、アジアの諸国は全然考えていない。したがって、これに対してアメリカが手を引くのではないかというような不安は持ってはおりません。しかし、シンガポールのようなところは、一九七一年英軍が撤退したあとは軍事的に真空状態になる。ですから、セキュリティの問題をどう考えるかということをやはり大問題として考えているようでして、これもアメリカが取ってかわるというのではなくして、イギリスとシンガポール、マレーシア、ニュージーランド、豪州という英連邦内部でこの問題を解決しよう、これに対して、英軍の撤退後にアメリカの軍事力を迎え入れようという考え方を持っていないようでして、おそらくアメリカとしても、ベトナム戦争というものがアメリカのアジア政策の上においていろいろなよき教訓を与えたに違いない。今後アジアからアメリカも手を引く。アメリカは今日はアジアに対して手を引けるアメリカではない。手は引けないけれども、ジョンソン大統領も、ベトナム戦争の最中であったのでそれがすなおには受け取られてはいないようですが、ボルチモア演説などにおいて、ラオスも含めて十億ドルのアジア開発のためにわれわれは金を出す用意があるということ——あれがちょうどベトナム戦争の進行中であったから、その真意は曲げられはいたしましたけれども、やはり今後においても、ベトナムの教訓というもので、軍事力の限界というものを感じたに違いない。そこで、経済社会開発を通じて民生の安定というものが必要である。共産主義でも、ドミノ理論といっても、みながしっかりして、国内態勢が共産主義を迎え入れる勢力がなければ、共産主義が浸透するといったって浸透する手がかりがないわけです。共産主義の水はいつも低いほうへ流れておる。このことは、やはり共産主義というものを考える場合に心しなければならぬことで、今後はやはり社会経済開発を通じて民生の安定ということがかなり大きな流れになる。軍事的な面も相当大きな要素にはなりますけれども、もう重点を軍事面だけにかけるようなことでは安全の確保はできない。もう少しやはり国内建設というものが大事になってくる。だから、シンガポールで開いた東南アジア開発閣僚会議においても、じみちにみながもっと地域協力をやっていこうじゃないかという感じが、一回、二回よりもずっと高まっていったような感じがしたのでございます。
○曽祢委員 よく世間に、中国とアメリカとが、むしろアメリカが中国政策を一夜にして大転換して、日本の知らぬうちにアメリカと中国が手を握っていた、日本の政府がそのときに瓦解するなんということを言う人がいるけれども、文字どおりばったりそういうふうにいくものではないのではないか。しかし、いま外務大臣の言われた中にもあったように、やはりアメリカの中共に対する見方そのものは変わらない。アジアにおける共産主義の、中国の国境を越えての浸透というものを非常に軍事的に考えて、そしてその土着の力による抵抗ということを無視した。そういう意味で、一方ではアジアのナショナリズムの力を過小評価し、また中国の出方に対する読みの単純さ——ソ連が第二次世界戦後の軍事的空白状態に乗じて、ベルリン問題等をゴリ押しをした、それに対するNATOといったような、ヨーロッパにおけるソ連のかつての軍事的な進出に対する対応策と同じようなことをアジアにやったことの失敗、これはやはりいい意味で身にこたえて覚えたと思うのですね。そういうことから、やはり自然と中国の周辺の諸国が、みずからの力を主としながら、あるいはお互いに連携しながらと言ってもいいですが、必ずしもアメリカの軍隊を引き寄せることによってでなく——引き寄せることは、むしろ腐敗であったり、買弁政府になる危険があるのですから、そういう形によってみずからを助けて、それをアメリカが経済的にあるいはずっとうしろのほうから、海の向こうからバックアップするというような形で修正していく。それに伴うて、アメリカの中国に対する政策もやはり変わっていくのではないか。いい意味で変わってくれるように日本としても考え、また施策しなければいかぬ。私は、二月六日の本院の予算委員会における総理に対する質問の中で、どうも日本の総理大臣——外務大臣もその責任の一半以上を持っておられるのかもしれないけれども、ワシントンにおける佐藤・ジョンソン会談の少なくとも共同コミュニケが示しているように、単純な、中国の特に核を中心とする軍事的な力に対する警戒、主として軍事的なことを意味しているようにとられるような対応措置を考える、そういうことで、日本とアメリカが中国の政策で完全に意見が一致したということを喜ぶべきではなくて、むしろ日本とアメリカとが、当然その国の置かれた立場からいっても、中国に対する態度が必ずしもぴったりいかないほうがいいんだということを言ったわけです。そういう意味で、中国に対する態度ですね。いまも言われたように、石野委員に対する答弁の中にも少なくとも日本は封じ込め政策じゃだめだ、むしろ積極的に国際会議に引っぱり出すということばは少し強過ぎるかもしれませんが、招請する、出られるように勧誘する。ジュネーブ会議的な、ベトナム戦後を論ずる会議があるならば、これは中共が来なきゃいかぬので、来るのがあたりまえなんだ。次にはやはり国連においても中共の正当な地位を——これは中共がその条件ではイエスと言わない場合もむろんあり得るけれども、少なくとも日本としては、中共を一定の条件で国連に迎える積極的な、むしろ提案者くらいになる。中共問題をたな上げするほうの提案者の片棒をかつぐのではないというふうに、ひとつ日本も今後積極的な、建設的な中国政策、前進的な国際的地位を認める。したがって、それに応じて日本との国交調整も含めて、そしてまた、将来はアメリカと中国との間の一つの和解の分野を広げていくような意味の政策というものを、当然にいままで以上に強く浮き彫りにしていく必要があるんじゃないか、かように考えるのですけれども、この点についてのお考えをあらましでもけっこうですからお示しを願いたいと思います。
○三木国務大臣 御指摘のように、中共を除いて、は、アジアの平和、安定というものは私は考えられない。したがって、ジュネーブの国際会議、ジュネーブ協定によるような国際会議、こういうようなときには、当然にやはり中共も招待されるべきである。中共が入らぬといったらその会議は成り立たぬものだとは私は思わない。入らないということならやむを得ないけれども、やはり誘うべきである。アジアの平和と安定に対して持っておる一つの中共の影響力というものは非常に大きいものがある。だから、われわれの態度としては、中共自身がやはりアジアの平和、安定というものに貢献する中共であってほしい。そういうふうに中共の態度をしむけていくということが必要だと私は思います。しかし、中共はどう言うか。中共が入らぬから成り立たぬという意味ではない。だから、私は、ジュネーブ協定のそのままの形が再現されないかもしれないと言っておるのは、こういうことも頭に入れて申しておるのでございます。 そこで、中共との関係ですが、私も曽祢君と同じように、米中関係が一晩明けてみたら仲直りができておるというふうに、そんなに簡単に思っていない。それはできておればけっこうなことで、そういうことは、非常に世界の緊張緩和に役立つが、そうは思っておりません。しかし、ベトナムの平和的解決の後には、米中関係の改善は来る、私はこう思っています。しかし、それが米中の和解と称し、日本が腰を抜かすような米中関係が一夜にしてできるという焦燥感は私は持っていない。むしろ、それは、日本が米中間に対してこれを改善するために、いろいろ骨を折らなければならぬ場面が出てくるのではないか。自分が目がさめてびっくりするような場面よりも、日本がいろいろと果たす役割りというものが出てくるのではないか、そういうふうに考えております。中国との関係というものは、これはどうしたって、日本は引っ越しはできないですからね、この地理的な条件というものは。中共との間に接触なしで生きていこうということは、日本はできない。しかし、できないこととできることとごっちゃにして、あまりできないこともそれを無理してやるということも、これはやはり外交の邪道だと思いますから、できるだけやはりできる範囲内のことで腹をきめればできるということで、日中関係を改善するための努力をしていくことが必要である、そういうふうに考えております。中国問題というのは、日本にとって非常に大きな課題であることは、もうだれもこれは否定することはできない、こういうふうに考えております。
○曽祢委員 私は、日米関係、たとえば安全保障条約の問題、あるいは沖繩問題にどういう影響があろうかとか、あるいは輸入課徴金の問題等についていろいろ伺いたいことが多いのですけれども、私の持ち時間といいますか、これ以上私だけで使うのは恐縮ですから、また別の機会にいたしまして、本日の私の質問を終わります。
○秋田委員長 伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 前回も国連局長及び条約局長、外務大臣に伺いましたが、朝鮮における三十八度線の武力の接触は、最近ひんぱんにありまして、わが国としても無視できないのではないか。一方、ベトナムにおいては和平のきざしが芽ばえたということから見て、緊張が逆に非常に緊迫しておる、こういうふうに感ずるわけです。 そこで、これは二月の初旬でございますが、韓国の朴大統領は、国連における十六カ国共同提案国に対して武力の援助を求めました。参議院の予算委員会等においても、防衛庁長官から、確かに韓国からの要請はあった、このようにも伺っております。 そこで、伺いたいわけですが、この共同提案国になったことが私は非常に問題である。また、十六カ国共同提案になったその背景、さらにその提案国の中にはどんな義務があるのか、またいわゆる実体的なものは何も伴わないのかということであります。そういったことについて外務大臣の所見を伺いたいと思います。
○重光政府委員 ただいま御質問にありました十六カ国とおっしゃいましたのは、おそらく朝鮮事変の際、安保理事会の勧告にこたえて、朝鮮に兵を出した十六カ国という意味であろうと存じます。そして日本が共同提案国になりました六六年以降の国連総会における決議案の提案国と、いま御指摘になりました十六カ国とは、全然別問題であろうと思います。そういう意味で、事務的ではありますが、先生のおっしゃいました、十六カ国に対して韓国政府が手紙を出して援助を求めたということはございますが、それは日本が参加しました、共同提案国になりました決議案とは関係がないことでございます。
○伊藤(惣)委員 この問題に入る前に、国連の決議及び朝鮮協定のことについて同僚議員から質問が出ました。その答弁等も伺っているわけですが、非常に納得がいかない点が多くあるわけであります。 そこで、時間がございませんが、簡単にこれは伺っておきたい。そして、国連局長の見解といいますか、回答にいささか疑問がありますので、その点を条約局長なり外務大臣にはっきりと伺っておきたいと思います。 まず、三月十二日の衆議院の予算委員会において社会党の横山議員が在韓国連軍について質問をしたとき、政府は、朝鮮問題に関する国連決議第三七六号(V)の解釈に対する統一見解を出されました。この統一見解には重大な条約上——条約上といいますか、意味があるわけであります。すなわち、これは「国連軍が三十八度線を越えて行動することの道義的な裏付けを国連総会が与えたものであるという関係を述べたものである。」そして「国連軍が前記の目的のために必要と認めた場合三十八度線を越えて行動することを排除したものではないと解される。」これを日本は支持する、このように統一見解で出たわけであります。その点の確認をしたいと思います。
○三木国務大臣 一九五〇年十月七日の総会決議三七六(V)は、国連軍が三十八度線を越えて行動することの道義的な裏付けを国連総会が与えたものであるということを述べたのでございます。厳密な法律的な立場に立って政府の見解を述べれば、一九五〇年の六月の二十五日及び二十七日の安保理事会の決議は、国連の加盟国が武力攻撃の撃退と、この地域における平和及び安全の回復とのため必要な援助を韓国に提供することを勧告した決議であります。したがって、国連軍が前記の目的のために必要と認めた場合は三十八度線を越えて行動することを排除したものではないと、こう解釈しておるのでございます。一九五〇年の十月七日の総会決議は、国連軍の行動に関しては、前記の安保理事会の決議を背景にして国連軍が三十八度線を越えて行動することに対して道義的な裏づけを与えたものであると、こう解釈しておるのでございます。したがって、三十八度線を越えた武力行使の法的な根拠が何であったかといえば、いま言った安保理事会の決議である、こういうのが答弁でございます。
○伊藤(惣)委員 ここで前回にお伺いしたわけですが、国連局長は、休戦協定が行なわれた、そのことによって、前の条約はあとの条約によって消える、休戦協定以後は前の協定は死んでいる、このように答弁なさいました。さらに参議院の委員会等においては、弾力的に、全然死んでいるとは言わない。すなわち、いま言ったように、前の条約はあとの条約で消える、こういうふうに答弁が少し変わったわけでございます。 そこで、伺いたいのですが、このただいま大臣が申されました二十五日、二十七日の決議は、死んでいるのかいないのかということです。
○三木国務大臣 休戦協定ができたわけですから、三十八度線を越えて国連軍が行動するときには、新たなる安保理事会などによる決議がなければ、休戦協定ができておるのに、またこの決議によって三十八度線を越えることはできない、私はこう思っております。 専門家でないものですから……。常識のほうが正しい場合がある。
○伊藤(惣)委員 大臣が知っていただかないと困るのです。何回も国連局長から教えてもらったわけです。はっきり申し上げまして、委員会等における答弁を聞いておりますと、どれがほんとうなのかわからない。そこで、大臣に尋ねても、大臣はいつも国連局長とおっしゃる。私は、その点で非常に問題だと思っているわけです。そこで、一つ一つ確認しているわけですが、国連局長は前回は死んでいると言ったのです。さらにもう少し申し上げますと、たとえば一九五一年二月一日の国連総会の決議で消えている、七項目のうちどれとどれが消えているのか、これは参議院の矢追委員が質問したわけでありますが、国連局長は、消えたのは一項、四項、五項で、六項は何とも言えない、それ以外は残っている、このような発言をなさっているわけです。私はこの点にも非常に疑問を持っているわけです。たとえば決議というのは、それが消える場合には、それだけの手続をしなければならない。確かに前の条約があとの条約によって発展的に解消する、これは常識として当然だと思います。しかし、このようにその中の項目が消えたとか生きているとかいうことについての見解がわからないわけです。局長に伺います。
○三木国務大臣 要するに、休戦協定ができたから、軍事行動に対しては、やはり新たなる決議でもなければできない。しかし、ほかの項目に対しては、国連軍の組織とか、いろいろな軍事行動以外のことは、これはもう死んでいるとは言えないですよ。これに対しては、やはりその決議というものは生きておる。しかし、軍事行動に対しては、やはり休戦協定ができたから、三十八度線を越えて軍事行動することはできない、こう思っております。
○伊藤(惣)委員 国連局長、そこで、伺いたいのですが、あなたは、先ほど私が言いましたように、死んでいるとか生きているとかおっしゃいましたけれども、そういうことがあり得るのですか。それとも、その場限りの、われわれに対して、わからないから適当に言っておこうという考え方でおっしゃたのですか。これは私が質問をいたしまして、そのときの答弁と変わっているわけですよ。そこで、私は局長に対して非常に不信感を持っているわけです。はっきりおっしゃっていただきたい。
○重光政府委員 いろいろ誤解があったようでございますが、私が前から申し上げましたのは、休戦協定ができました以後は、軍事行動については、それまでの決議の内容、すなわち、軍事行動に関する決議の部分は法律的にないものになっている。しかし、それ以外のこと、たとえば二月一日の総会決議を引かれましたし、それから前には五〇年の十月の総会決議を引かれましたが、これらの決議の中には、軍事行動以外のことがたくさん書いてあるわけでございます。その点については、いま大臣から申し上げましたように生きておる、こういうふうに御説明申し上げておるわけであります。
○伊藤(惣)委員 要するに、誤解があったとおっしゃいましたが、それは誤解といっても、記録に載っているわけですよ。それはいまの発言によって、休戦協定以後であっても、前の条約は死んでいない、こういう考え方でよろしいですか。そうしますと、いままで死んだとか生きたとかいうことはどうなりますかね。
○重光政府委員 具体的に申しますと、ここで問題になっておるのは、条約と申しますよりも、国連の決議、安保理事会または総会の決議でございますが、それにいたしましても、いままで申しましたとおりに、軍事行動以外の点はそのまま法律的に効力が残っている、そういうことでございます。
○伊藤(惣)委員 要するに、大臣がさっきおっしゃったように生きているわけですよ。そうですね、条約局長。
○佐藤(正二)政府委員 先ほど国連局長から申し上げたとおり、最初に決議がございまして、そのあとに休戦協定が入りまして、その休戦協定を承認する決議があったわけでございます。したがって、その関係に関する限りは、前の決議が変更されたというふうに解釈すべきじゃないかと私考えております。
○伊藤(惣)委員 その面についてはそれはわかるのですよ。ほかのものについてはどうかということなんです。
○佐藤(正二)政府委員 したがって、ほかの部分については、前の決議のままで生きているということでございます。
○伊藤(惣)委員 生きているわけですね。わかりました。国連局長、あなたの考え方は間違っておったわけですよ。それをはっきりしてもらいたいのです。そんなことを言っても時間がありませんから進めますけれども、そういうことになりますと、要するに、休戦協定というのは平和条約ではないわけです。そうですね。その点も確認しておきたいと思います。
○重光政府委員 平和条約ではなくて、休戦状態を始めた協定でございます。完全にと言えば、まだ戦時でございますが、戦闘行為が行なわれていない戦時にあったということでございます。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、あなたの理論から言いますと、結局休戦協定以後は、前のものは死んだということになると、これは大きな問題がある。そこで、きょうは、その点を一つ一つ根拠をあげてこちらからはっきりしたかったわけですが、条約局長のおっしゃるように、あくまでも休戦協定以外の面についてはいまでも生きているということから、今度質問を前へ進めますけれども、その休戦協定以後、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、これが出てくるわけです。それに関して吉田・アチソン交換公文等が出てくるわけでありますが、これも当然、そうなるとはっきり認められるということになるわけです。そして、こういう一連の協定が日本にあるということは、たとえばアメリカが日本の基地を、または国連軍という名において日本の施設・区域を自由に使うことができる、こういうことが言えるわけです。そこで、かつて大臣は、安保条約の第六条によって事前協議はできる、歯どめがちゃんとある、こうおっしゃいました。しかし、この国連の軍隊の地位に関する協定については、日本があらゆる援助を国連にする、こう書いてあるわけなんです。 そこで、もう一歩進めて伺いたいことは、確かに安保条約の第六条によって事前協議の対象とはなっても、これらの協定がある限りは実際に拒否できない。事前協議の問題は、それを対象とし拒否できる、これはもう外務大臣から何回も私は伺っております。しかし、国連憲章の第四十三条等にあるような、または国連憲章第二条にある、いわゆるあらゆる援助ということについての条文からすれば、たとえば国連が日本の基地を使う場合には、事前協議の対象としてもそれは拒否できない。実際には事前協議は骨抜きになっている、こういうふうに考えられるのではないかと思うわけです。そしてまた、そのあらゆる援助という中にはどういうものが入っているのか。いつかのときには、あらゆる援助とは核も入っている、このようにも言われているようにも聞いております。その点の外務大臣の所見をお聞きしたい。
○佐藤(正二)政府委員 先生の御質問の中に二つ問題があると思います。国連軍の一員としてアメリカ軍が日本の基地を使いまして行きますときには、それが事前協議の対象にならないのじゃないか、これが一つあると思います。この点は、新安保と申しますか、現在の安保条約ができましたときに、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文という非常にめんどうくさい交換公文でございますが、これは岸・ハーター交換公文でございますが、これの中の三項に、「千九百五十年七月七日の安全保障理事会決議に従って設置された国際連合統一司令部の下にある合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従って行なわれる取極により規律される。」こうなっておりまして、米軍に関する限りは、国連軍協定では規律いたしませんで、安保条約によってこれを規律するということになっております。したがって、米軍が国連軍の頭をかぶって出て行ったにいたしましても、やはり安保条約はかぶりまして、そして事前協議の対象になるような行動をやる場合には、事前協議の対象になるわけでございます。 それから、もう一点のおそらく問題になると思いますのは、米軍以外の国連軍が日本からいろいろ武力行動をやるときにどういうことになるかという問題があると思います。この点は、国連軍の地位に関する協定を結びましたときに、もともとこの国連軍と申しますものは、日本におりましたものはほとんどいわゆる武力行動に従事するような国連軍はいなかったわけでございますが、そのときにはっきりと、第五条に関する合意議事録の中に「日本国政府が日本国において国際連合の軍隊の使用に供する施設は、朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵た(ヽ)ん(ヽ)上の援助を与えるため必要な最少限度に限るものとする。」ということにいたしまして、兵たん基地としてしか施設は使わせないということで、はっきりそこで歯どめをつくったわけでございます。したがって、その両者とも——両者と申しますのは、二つの場合ともに国連軍がこちらから、いわゆる安保で言えば、事前協議の対象になるような武力行動をやるというようなことにはならないようにできております。
○伊藤(惣)委員 それはいろいろ解釈があるようでございますが、一つは「あらゆる」という中に核も含まれておる、こういうふうに伺っているわけですが、その点についての見解を伺っておきたいと思います。
○佐藤(正二)政府委員 これは私から申し上げるのはあれかと思いますが、「あらゆる」と申しましても、それは国連軍の地位協定の中の前文に出てくるわけでございますが、実体規定は国連軍の地位協定の中に入っているわけでございます。したがって、その「あらゆる援助」と申しますのは、憲章の中のことばを引いたわけでございます。ただ、その「あらゆる援助」というものの内容の判断は、これはやはり加盟国自体がやるべきものでございまして、核も何も、その加盟国自体の憲法に反するような、あるいは根本政策に反するような、そういうふうな援助までやらなくちゃならないというような義務を負ったものとは解釈できないと思います。
○伊藤(惣)委員 これは大事な問題でございますので、うかつに答弁はできないと思うのですが、確かに核も含まれているというふうに私は聞いているわけであります。たとえば核を持ち込む場合には、わが国にとっては非常に重大な問題であります。「あらゆる」という中には核は含まれない、このように考えてよろしゅうございますか。
○三木国務大臣 これは重要な政府の基本政策ですから、これは持ち込むことはできません。持ち込みは認めない。「あらゆる」といっても、いま条約局長が申したように、憲法、国の基本政策に反したものは「あらゆる」の中には含まれていないと解釈すべきものと考えます。
○伊藤(惣)委員 そうしますと、話が最初に戻りますが、たとえば韓国から軍事的な援助を要請されたわけです。それは防衛庁長官がおっしゃいました。やはり向こうは根拠なくして言わないわけです。それは共同提案国の一国であるからこそ日本に言ってきている、このように私は伺っているわけです。したがって、その十六カ国共同提案国になったということについての義務はいかなる義務が伴うのか、また、実体的には何もないものなのか、その点について伺っておきたいと思います。
○三木国務大臣 先ほど申し上げておりますように、十六カ国という参戦国の共同提案国ではないのであります。日本は軍事援助に対して韓国に何らの義務を持ってない。隣接の国でもあって、ほかの国にも出したような手紙を日本にも出してきたものと思いますが、これは非常に重大な日本に対する申し入れとは解釈をしておりません。
○伊藤(惣)委員 いまのところが非常に大事なところだと思うのですが、要するに、何ら義務がない、これでよろしゅうございますか。十六カ国提案国になったということは、これは国連において毎年総会があるわけですね。そしてその総会において、朝鮮における国連軍の問題がいつも決議されているわけですね。そこで、わが国は、その提案国の一国となっているわけです。そのような、いわゆる提案国になったがゆえに言われてしまう。さらにまた、提案国になるからには、それだけの義務や、またその実体の上からいって何らかの援助を与えるような、そういうものがあるのかどうかということです。
○三木国務大臣 先ほどから申し上げておるように、日本は十六カ国の提案国になってはいないということでございます。それから、安保条約とか国連協定、これの義務はあるでしょうが、その韓国から来た手紙に対して日本が援助をするというような義務は何も持っていない。既成の条約、協定などによる義務は、これは当然にあるわけでございます。
○伊藤(惣)委員 十六カ国の共同提案国になっていないとおっしゃいますか。
○重光政府委員 十六カ国と申されますが、十六という数字は、一九五〇年に安保理事会の勧告を受諾して朝鮮に兵を出した国が、アメリカをはじめ総計十六カ国でございます。日本が六六年に共同提案国になりました決議、これは二つございますが、これはもちろん軍事行動と全く関係がない問題でございますけれども、これは一つは十二カ国、一つは十八カ国、その中の一国に日本はなっておるわけです。十六カ国とおっしゃいましたのは、おそらく当初の参戦国の数ではないかと私は思うのでございますが……。
○伊藤(惣)委員 そうしましたら、私の十六は十八のことだと思うのですが、その十八カ国になった理由は何でございますか。
○重光政府委員 理由と申しましても、なかなか——国連でこういう決議が採択されますときに、共同提案国というのが名乗りをあげるわけでございます。この六六年の場合に、これは十八カ国ございますが、これはなぜ日本が提案国になったかというと、この決議は、朝鮮における事態を平和的手段によって解決していきたい、そうして、そのためにやっておる国連の活動を支持する、そういう内容でございます。したがって、朝鮮問題に最も重要な利害関係を持っている国として、その問題を平和的に解決するという決議に共同提案国の一つになったわけでございます。
○伊藤(惣)委員 そろそろ時間がきましたので、結論にしたいと思いますが、どうも国連局長の話は私は信用できないわけです。いままで何回やりましても変わっていくもので、条約局長に伺いたいのですが、要するに、十八カ国の共同提案国の一つになったということであっても、これは私は、何も提案国にならずとも、その問題が出てきたときに賛成するなり反対するなりして、提案国にならないほうがいい。さらに、できれば、日本の平和と安全のためならばやむを得ない面があるかもしれないけれども、極東の平和と安全のために、安保条約では日本の施設・区域を提供するというふうにありますが、さらに、極東以外の周辺国であるベトナムに対しても、日本の施設・区域は使われているわけであります。そういうことから考えてみても、極東またはアジアにおける紛争には常に日本の国が戦争に巻き込まれていく、当事国にはならないとしても、常に後方基地として利用されていくということから、いたずらに社会主義国に刺激を与えている、こういう面も私は非常に問題として考えるわけです。わが国は太平洋の中にあっても、いわゆるソ連、中共、そしてアメリカのちょうど中間に位置する、アメリカの極東戦略の中においても、さらにまた中共やソ連にとっても非常に大事な場所にいるということから、私たちは常々、日本の国は中立でいくべきである、どちらのほうの国にも追随しない、同調しないということからも、今回のこのような提案国になったということ、さらには、積極的にそのような討論に加盟して地位協定をつくったということ、または吉田・アチソン交換公文等を通して日本にそれらの施設・区域を貸すことを義務づけるという一つの交換公文等を考えてみた場合にも、私は、あくまでもこれらの条約やこれらの取りきめが日本の平和と安全のためにプラスにはなっていないということから、提案国になることもやめるべきである、さらに国連軍に関する地位協定も破棄すべきである、また吉田・アチソン交換公文も当然破棄すべきである、こういうふうに考えるわけです。外務大臣の所見を伺っておきます。
○三木国務大臣 ここで決議案の内容の原文を読んでみますと、いま朝鮮半島に重大な関心を持つ日本が、この決議案の提案国になるということがいけないとは私は思わない。ここに書いてあることは、これは内容でありますが、国連が平和的な手段によって朝鮮に統一、独立、そして責任のある形態における政府によって代表される民主的な朝鮮、そして国際的平和と安全をこの地域に回復する、こういうことが決議の内容になっていますから、あまりいま御心配になるような——日本と朝鮮がこれだけやはり関係が深いのですから、こういう内容を持った決議案に日本だけがごめんこうむるという必要はないのではないか、この内容は、だれに見せても恥ずかしいものではないと私は思います。
○伊藤(惣)委員 それだけならばいいわけです。ところが、中国がおこっておることは、いわゆる国連の非難決議を日本は支持しているわけですよ。さらに、先ほど言いましたが、統一見解等においても、三十八度線を突破しても向こうに行くことができるということを政府が支持しているという面、これはお互いに相反することを同時に日本は考えているわけですよ。ですから、悪いほうを切れ、さらにその心配のおそれのあるようなものはなくせ、こう私は主張するわけです。
○三木国務大臣 前の安保理事会の決議のときは、日本は国連にも加盟していないのです。だから、この決議は、これ自体として考えなければならない。この決議自体として考えたときに、この決議というものは、日本が提案国になって一向に差しつかえない内容のものである。いろいろ安保理事会で決議をしたときは、まだ日本は国連にも加盟していない時期である。
○伊藤(惣)委員 そこら辺が自民党政府との見解の相違になるかと思います。 私のほうから申し上げておきますが、いずれにしても、相反することを同時に承認し、また中国問題等についても、政経分離と言いながらも、吉田書簡であるとか日華条約は別にする——別にできないものを別にするというようなことを述べておるところに、佐藤内閣の外交の基本方針は少しおかしいと、私はそのように思うわけです。したがって、これ以上言いましても見解の相違でありますのでやめますけれども、どうか外交という問題は、基本的には超党派で行なわるべきが当然ではないかと思います、ということからしても、われわれ野党が納得できるような、そういう外交姿勢、そしてわれわれが納得できるような、危険な道には絶対にいかないような、国民を常に平和と安全のために、そしてほんとうに平和憲法のもとに日本の国はこのような外交姿勢をとっていくのだということを今後は堂々と掲げて、日本外交の路線を打ち出してもらいたい、このことを希望して、終わります。
○秋田委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 外務大臣に若干ベトナム問題でお聞きしたいと思いますが、時間の関係もありますので、要領よくお聞きしますから、外務大臣も聞いたことにお答えいただきたいと思います。 ベトナム問題に入ります前に、一つ確かめておきたいことがありますのは、四月二日の参議院の予算委員会で、私の党の春日議員の質問のときに、安保条約の事前協議条項のいわゆるゼントルマンズアグリーメントの中身を文書にして出してほしいということを申し上げて、外務大臣はこれを整理をするということを承知されて、さらに議員各位に配ったほうがいいかもしれないということを言われたわけですが、相当時日がたっておりますので、用意ができていましょうか。
○三木国務大臣 これは私、国会にということでないのでしたけれども、一般の人にこれがみな周知するような形がいいのかもしれませんから、考えましょうとお答えをしたわけですが、これはできるだけ整理して、事前協議の条項にかかるのはこういう一つの考え方だということを、これはみなに徹底さすようにいたすことにいたします。
○松本(善)委員 きょう用意ができておりませんでしたら、この次の委員会にでもひとつ間に合わしていただきたいと思いますが、できましょうか。
○三木国務大臣 承知いたしました。
○松本(善)委員 それではベトナム問題をお聞きしたいのですが、先ほど来同僚委員もお聞きしたので、重複しないようにいたしますが、ジョンソン大統領は、サンアントニオ演説のときから、また今度のテレビ演説でもそうですけれども、どこへでも行くという演説をしていたわけです。いまは、ベトナム民主共和国の提案をしておりますプノンペンあるいはワルシャワへは、これは否定的な意向を出している。これはいままでのアメリカの態度、言っていたことに反しているというふうに思いますが、外務大臣、見解はいかがでしょう。 もし内容が問題でしたらお続みしましょう。 昭和四十二年九月二十九日のサンアントニオ演説では、「私は、信任されたアメリカ代表を世界のいかなる地点にでも差し向け、ハノイの代表と公的ないしは私的に話し合わせる用意がある。」と言っています。今度のテレビ演説でも「これまでと同様に現在も、アメリカは、この戦争を終結させる方法を討議するため、いつ、いかなる討議にも代表を送る用意がある」、こういうふうに言っています。
○三木国務大臣 サンアントニオ演説は、私もそういうふうに考えておりました。今度の場合は、ただ公式、非公式に会うというよりかは、本格的な話し合いにまで場合によったら進むかもしれないわけですし、その段取りが少なくともできることは事実でしょうから、通信機関とか、いろいろな便宜のあるところ、そういうことを考えているのだと思いますが、この問題は、ハノイのほうとしても、できるだけ便宜なところで話し合いをするということはいいので、それに、何か話し合いをそのほうが有利にするという意図があったらいけないと思いますね。しかし、いろいろな施設その他、両方が便利なところで話し合いをするということ、そういう段階もあっていいのではないか。しかし、曽祢委員にお答えしたように、場所がきまらぬために、世界が一日も早く話し合いを望んでおることがおくれるようなことはよくないと思っております。
○松本(善)委員 先ほど来の大臣の答弁、全部聞いておりますので、さきに言われたことはもうけっこうでございます。 佐藤首相も、この、いつどこへでも出かけるということを支持して言っておるのです。たとえば四十二年の十二月十一日、衆議院の予算委員会で松野委員に対する答弁で「とにかく戦争はエスカレートしておる、これは一体困るじゃないか、しかしそのアメリカ自身が和平のためならいつでも、またどこへでも出かける、かように呼びかけておる。この気持ちをもっと率直に南北両国が、両ベトナム当事者が考うべきじゃないかというのが私の結論であります。」こういうふうに言っておる。これはベトナム民主共和国の提案しているところに行くようにするというのが、いままでのアメリカの言明からするならば当然の話なんです。それを推進するという態度をとらないのかどうか。アメリカが変わってきたら、今度はアメリカが変わったようにまた変わるのか。この辺はたいへん不信を感ずるのです。これはアメリカが言ったことと違っているのじゃないかということ、違っているか違っていないかということについて、もう一度お答え願いたいと思います。
○三木国務大臣 場所については、アメリカとハノイで接触しているようですから、そういうことでアメリカとハノイの両方が合意すれば、これはそれでけっこうだと私は思う。場所でなかなか合意ができぬということになれば、アメリカがいろいろ言っておった発言なども、これはやはり注意を喚起せざるを得ないと思いますが、いま両方がお互いに便利であるという場所を——これは長い話ですから、両方がこちらの言うところでなければいかぬというふうに、何か入り口からこちらの主張が勝ったとか負けたとか言わないで——アメリカとハノイとの間に、非公式ないろいろなルート、直接でなくとも、あるいは第三者を通じても、この場所の話し合いはやっておるようですから、両方がこういうところでどちらの主張がどうと言わないで、もっともっと困難な問題をたくさんかかえておるのですから、両方が話し合って、この問題が円満に解決できることを私は一番望んでおるのでございます。
○松本(善)委員 ジョンソン演説と、それからベトナム民主共和国の声明、これは両方とも佐藤内閣は歓迎するということを言ったのですけれども、しかし、内容的には非常に重要な違いがあるわけです。ジョンソン演説の中には、北爆をさらに部分的ではあるけれども継続するという問題があるし、南ベトナムへの増派の問題がありますし、北の反応によってはさらに大きくするという問題があります。これらの点は、ベトナム民主共和国は非常にきびしく糾弾をしておるわけです。佐藤内閣は、この問題についてはどう考えておるのか、この点をちょっとお聞きしたいのです。
○三木国務大臣 これは、ジョンソン提案の中にも、北爆の部分的な停止であるということで、全面的な北爆停止という呼びかけではなかった。やはりある部分は残して、それ以外の北爆は無条件で停止するということであったのでありますが、その呼びかけの解釈に、両方の受け取り方が多少違った点はあるのかもしれません。しかし、これに対して、ハノイもこれに応じて話し合いをしようというのですから、やはり話し合いをした場合に、これが本格的な話し合いになるかどうかというときは、北爆の問題あるいはアメリカからもいろいろなことを言うかもしれませんが、そういうことが、一日も早く話し合いを始めてその場で論じられるべきであって、一つの提案という短い文章だけで、お互いにいろいろ理解のしかたが違うならは、話し合いを始めて、そこで——ハノイはほんとうの話し合いと言うてないのです。アメリカの北爆停止や戦闘行為の中止ということに対して確認するというような条件をつけていますから、話ができぬわけではないので、話し合いをしたら、何もこれはアメリカの言うことの前提に立って今後の話し合いを進めていかんならぬというのではないので、ハノイが条件をつけていますから、早く話し合いをすることが一番大事だと私は考えております。
○松本(善)委員 どうもそのまま問いにお答えいただけませんので、別のことを聞きたいと思います。 いまの北爆の現状でありますが、四月一日には百五波、二日には百十三波、三日には百九波、四月七日には百五十四波、八日には百二十二波、九日は百三十一波、しかもハノイ、ハイフォンに近いタンホアをたびたび爆撃をしておりますし、それからベトナム民主共和国の北の国境のライチャウも爆撃している、あるいはそのほかの地域へも空中偵察をしている、こういう状況であるわけです。このアメリカの行為を、行動を佐藤内閣としては支持しているのか。これは、いままで北爆を支持したことはないということを、あのジョンソン演説以来、佐藤内閣、政府としてはさんざん言っておったわけです。現にされておるわけです。いま続いておりますこの北爆を一体佐藤内閣は支持をしているのか、それとも反対なのか、この点をお聞きしたい。
○三木国務大臣 これは、北爆を支持する人があるでしょうか。これはけっこうでございますと、だれか言う人があるでしょうか、それはだれもない。北爆はけっこうです、しっかりやりなさいと言う人はない。やはり何とかしてそれを終わらすために、北爆とか、あるいはまたアメリカからいえば、南への浸透というものもあるでしょう、いろいろな点で、いわゆる戦闘行為というものを停止してベトナムに平和をもたらすということが、これはだれもの願いであるわけですから、北爆はいいか悪いか、そういうふうに考えて、けっこうでございますと言う人はだれもいない。どうせ話し合いが始まれば、北爆の問題というのは第一番の大きな問題になるでしょうから、やはり早く話し合いを始めて、そうしてせっかく世界が非常に大きな平和の曙光を感じ始めた、その世界に対して、アメリカとハノイがこたえてもらいたい、こういうことを願っておるわけでございます。
○松本(善)委員 この問題は、これからの話し合いが進んでいくかどうかという問題として、いま外務大臣も多少言われましたけれども、そういうことで非常に重要だと思っているわけです。この北爆ないしベトナム民主共和国に対する戦闘行為を一切やめるというのが話し合いの条件だというふうに民主共和国のほうでは言っております。いまこういうようにアメリカの北爆が続いている状態では、話し合いは進まない、アメリカがやめない限り。私たちはこういうふうに考えておるのですけれども、外務大臣はどうお考えになりますか。
○三木国務大臣 私は、そうとも思ってないのですよ。そうとも思ってないということは、やはり話し合いを始めて、こういう一切の戦闘行為の停止ということが、話し合いのときに大きな問題として提起されるに違いない。しかし、ジョンソン提案というものが、戦闘行為というものを全部停止するということでなくて、あの提案の中にはいろんなことが書かれてあるわけですから、そういうことものみ込んでハノイは話し合ってみようということで、そのために用心深く、アメリカの戦闘行為の中止というものをさらに確認するというような意味のことを言ってあるわけです。したがって、話し合いが行なわれることによって、こういう問題にもやはり解決がつけられるものだと考えております。
○松本(善)委員 ベトナム民主共和国ははっきり声明の中で、アメリカがベトナム民主共和国に対する爆撃とその他一切の戦争行為を実際に無条件に停止したことを立証すれば、ベトナム民主共和国とアメリカの話し合いが開始される、こういうことを言っております。それから、日本の三大新聞、朝日、毎日、読売、それぞれアメリカの北爆の無条件停止ということが必要だということを言っております。念のために読んでおきますと、朝日の四月五日には「アメリカに求められているものは北爆の無条件、全面的停止の実行ということになる。こんどこそアメリカはその実現に誠意を見せなければならない。」こう言っております。毎日新聞の四月五日は、それぞれ社説ですけれども、「まず、当面の問題としては、予備交渉を正式交渉に発展させる前提条件として、北爆の全面的停止が絶対に必要であろう。」こう言っております。読売新聞もやはり四月五日の社説で、「この際は、まずアメリカが北爆の完全停止に同意することを望みたい。」こう言っております。それぞれこれは日本の世論でも、北爆の全面的停止とベトナム民主共和国に対する戦争行為の一切の停止ということを強調しておるのです。先ほど外務大臣、これは必ずしもそうは思っていないというふうなことを言われたのは、こういう日本の世論——新聞だけが世論じゃありませんけれども、三大新聞の論説にも反対だ、こういう趣旨でしょうか。
○三木国務大臣 必ずしもそう思っていないというようなことをあなたに何も答えた記憶はないですからね。いわゆる北爆を、だれもこれに対してけっこうだと思っていないし、北爆はやめるべきだとみなが考えていることは当然です。その場合に、やはりこれによってベトナムの平和達成の話し合いが行なわれる、やはりこれを全体の平和解決ができるところに持っていけないかということ、われわれとしても、何かこれがきっかけになって戦争当事者が話し合いのテーブルに着くことができるように持っていけないかということが願いであって、北爆を、これはけっこうでいつまでもやったらいいということはだれも考えていない。何かそのことによって話し合いのきっかけにならないのか、全体に平和的解決に役立つような形で収拾できないかということだけのことで、北爆というものを、だれもがこれはけっこうなものだと考えておることはない。みな、北爆というものは、これはできるだけ早くやめてもらいたいというのが世論であるということは、私もそう思います。
○松本(善)委員 いまの時点で、この問題、もっと厳格にはっきりしておく必要がある。話し合いが始まるかどうかの条件だからです。 そうすると、外務大臣の言われることは、北爆の無条件全面停止、戦争行為を一切やめるという、ベトナム民主共和国が言っておりますこの条件は、支持をするということでありますか。
○三木国務大臣 これは、ジョンソンの提案をハノイは受諾して話し合いが始まろうとしておるのですからね。そこで、曽祢君も御指摘になりましたように、やはりハノイは北爆の全面停止と言うだろうし、アメリカはいろいろ言うだろう。そこで、いろいろ本格的な話し合いが始まってくるという段取りができるかできぬかと問題になってくるというので、両方が話し合いをしようというので、場所をどこにするかということでやっておるのですからね。いまジョンソン声明と、これを受けてハノイは話し合いに応じようというのですから、この際に、日本政府が何を支持する、ハノイの言うことを全面的に支持するとか、アメリカの言うことを全面的に支持するとか、そういう必要は私はないと思う。早く両方が話し合いを始めて、そしてベトナムの平和的解決に役立つようにしてもらいたいということでいい。いまから話し合いをしようということでしょう。場所だけが問題なのですから、いまここに新たに、アメリカの言うことは違うとか、全面停止だとか、一切の戦闘行為をやめなければいかぬ、いろいろ新たなる条件をつけないほうがいい。あのことで、あの状態において話し合いを始めようというのですから、当事者の話し合いにゆだねて、そして、みんな世界の各国ともベトナムの早期の平和的解決を望んでおるのだから、平和解決が促進できるように協力することが必要である。
○松本(善)委員 場所の問題については、先ほど不十分ですけれども、一応済んだつもりでおります。ただ問題は、それが進むかどうかということで、これは非常に大きな変化が出てくる。もしこの北爆をやめなければ話し合いはできない、こうベトナム民主共和国は言っておるわけです。もしそうなれば、ジョンソン演説の場合に、いわゆる対応措置がないことになる。それは、正式の話し合いに入らないということははっきり民主共和国は言っておる。そうしたら、ジョンソン演説でいけば、今度はもっと大きな北爆の拡大ということになるかもわからない。北爆を全面的無条件に停止をするかどうかということは、これは話し合いが進んでいくかどうかという、いま世界の世論が注目をしている一番問題点なんです。それはいま別なんだ、いまは場所のことだからいいのだというわけにはいかない。もしこの北爆の無条件全面停止というベトナム民主共和国の要求を支持しないということになれば、これは結局において北爆を支持している。口では、北爆はもちろんいけませんと外務大臣言っておられるけれども、実際問題としては、その態度は北爆を支持をしているという結果になると思います。いかがでしょうか。
○三木国務大臣 ここにもハノイの声明がありますが、「米国のベトナム民主共和国に対する銃爆撃と他の一切の戦争行為の無条件停止を確定することをめざして話合いを始めるため、」目ざして話し合いを始めるということでありますから、そしてアメリカもこの話し合いをしてみようというわけですから、この話し合いというものは、いろいろ弾力的な話し合いが行なわれることは当然であって、両方がいま目ざして、アメリカ提案に応じてハノイが派遣しようと言っているのですし、目ざして話し合いを始めることに代表を派遣してアメリカの代表と接触する用意があると、こう言っているのですから、いまここでいろんなことを、当事者以外が、これはもっと条件を付さなければハノイが話し合う必要はないのじゃないか、そんなに言う必要はないのじゃないですか。やはり両方がこの問題を平和的に解決するためには、一方的な自分の意思だけで問題は解決できないですから、いろいろ向こうの主張というものに耳を傾けなければならぬ。そうでなければ、一方的な考え方を押し通すということで、話し合いの必要はない。両方が話し合いをしてみよう、両方が平和を早く達成しようというこの意図というもの、これをわれわれが側面的に、できるだけこの話し合いが早く行なわれて、ベトナムの平和が実現するように努力すべきであって、いまここでハノイが承諾して話し合いに応じようというのに、この上何かもっときびしくしなければいかぬと言う必要はないと思う。
○松本(善)委員 そうじゃないのですよ。ハノイの声明の内容の問題です。いま外務大臣読まれましたけれども、その訳は不正確であります。きょうはその時間がありませんので、指摘するだけにしておきますが、その正確な訳は、私たちのほうで言いますと、新聞で多く出ております「めざして」というのは違う。これは「ベトナム民主共和国政府の側としては、ベトナム民主共和国にたいするアメリカの爆撃とその他のいっさいの戦争行為の無条件停止をアメリカ側とともに確定し、そのようにして話し合いがはじめられるようにするため、アメリカ代表と接触するために代表を任命する用意があることを宣言する。」これが正確な文章であります。これはあらためて訳文を検討していただきたいと思います。 同時に、私は、いまの外務大臣の御答弁では、結局北爆を支持するということになると思います。その点での詳しい議論はいたしませんけれども、昭和四十二年十月五日に、外務大臣自身が日米協会の午餐会で演説をされました。外務省の情報文化局の出しておるもので言いますと、こういうふうに言っているんです。「私は、「アメリカは、とにかく北爆をやめてみよ。そうしたらなんとかなる」という風に簡単には考えておりません。だまされたと思って先ずやめてみよ、そして「三、四週間」たっても、北越が戦闘を縮小もしなければ、話し合いのテーブルにつく用意も示さなかったら、北爆を再開すればいいではないか。こういう主張もあります。アメリカ人の中にもあります。」しかし、それよりももっと違うんです、外務大臣。「しかし私はそれはむしろ危険な冒険と判断します。戦争を一層拡大する危険をはらんでいるからです。」ここで外務大臣の言われているのは、ベトナムの反響を見てみろ、それでうまくいかなかったら拡大しろ、こういう意見にも反対だ。初めに向こうの対応措置をはっきり確かめてやらなければもっと危険だ、外務大臣のこの演説からするならば、当然に、私は、ジョンソン大統領の言っている北爆拡大の演説を支持する、ベトナム民主共和国の完全に北爆を停止するということを支持するというようになってないんじゃないかというふうにとれるのです。そういう考え方では、ベトナムの和平というのは、私は口だけではないかと思うのです。この点についての外務大臣の所見を伺いたいと思います。
○三木国務大臣 この文章というものは、読む人によってそんなに違うものですかね。私の言ったことが……。読む人によってこれは北爆を支持——どこに支持しておるか。北爆というものは、いつも私は国連でも言っておる。だれも北爆がいいという者はいない。だから、このいま行なわれておる一つの形というものは、私が望んでおった形ですよ。相互保障方式と私が言ったのも、ただ一方的にやめて、そうしてまたやめたことによって話し合いが始まらぬということでは、アメリカでまた戦争を拡大しようという論者もおりますから、やはり非常な危険性がある。だから、非公式でも公式でも、両方が戦争を終わらすということで北爆の問題も話し合いができないのか。それで、いま行なわれようという形式は私が願っておった形式なんです。これは両方が不信感情を持っておるから、第三国がこういうところへ持っていけないかという相互保障方式というものの第一段階の適用をこういう場合に考えておったので、いま松本君の解釈を聞けば、北爆は賛成で、そうしてますますエスカレーションしろ、いまのあなたのお話を聞いて、文章を読む人によってこんなに違うものかというおそろしさを感じた次第であります。
○松本(善)委員 結論を申しますが、それではあとからこれをじっくりお読みください。そういう国会のここの答弁だけで、それは私がかってにあれしている、おそろしさを感ずるなんて、私はそのとおり読んだだけですよ。もしおそろしさを感じたとすれば、御自分の言われたことにおそろしさを感じたのではないかと思うのです。そういうことではやはりよくない。いま世界の人が民族の独立と平和ということについてほんとうに考えておる時期なんです。もっと真剣にこの問題に対処してもらいたいということを申しまして、質問を終わります。
○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明十七日午後一時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後七時六分散会