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58回国会衆議院1968/04/12

外務委員会 第10号

発言数
179
登壇者
7
会派数
3
開催日
1968/04/12

会議録

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 質問に入る前に、議事進行について発言をいたしますが、与党の自民党の諸君は、国会の権威を強く主張されて、そして他党の者まで国会の権威のゆえをもって懲罰動議を出されたりしておりながら、このありさまは、これは何ですか。政府与党のお出しになった条約をわれわれ協力して審議しよう、場合によったら、質問が終わったらきょうこれをあげてもよろしいといっておるのに、定足数も足りない。これで国会の権威を主張する資格がありますか。委員長、定足数をそろえてください。いかがですか、御所感は。

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 ちょっとお待ちください。——それでは質疑を続行します。穂積君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 質問を進める前に、前回私からお尋ねいたしまして、政府間でまだ意思統一ができていなかった問題の御答弁が留保されておりますので、この際、冒頭に、政府部内における統一解釈というものをお示しをいただきたいと思っております。  それは、前もって申し上げておきますが、二点でございますね。第一点は、一九三〇年条約に入っていて、そして六六年条約に入っていない国とわが国との関係、それからもう一つは、いずれにも入っていない未加盟の国との関係、その未加盟国については、二つに分けまして承認国と未承認国とあるわけでありますが、それについても差別がありましたら、明確に基準をお示しいただきたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 お手元にお配りしてございます四枚の紙でございますが、ごらんいただきたいと思います。「一九三〇年の満載喫水線条約の当事国と一九六六年の満載喫水線条約の当事国との比較」という一覧表を差し上げてございます。前回の答弁におきまして、若干数におきまして誤りがありましたので、この際、訂正させていただきたいと思います。この表の説明をいたします。  まず第一点に、一九三〇年条約の当事国は現在七十五でございまして、今度の七月二十一日に発効いたします一九六六年条約の当事国は現在のところ十九カ国でございます。つまり、七月二十一日に当事国となる国の数は十九でございます。なお、この条約にいままで署名しておりますが、まだ手続をとっていない国が四十二カ国から十九を引いた国でございまして、この四十二カ国がいままで署名をし、そのうち十九カ国が批准加入の手続をとっているという関係にございます。  なお、現在一九三〇年条約の当事国でなくて、新条約に署名しておる、あるいは加入の手続をとっておるという国が五カ国ございます。その国を申し上げますと、その表の三ページ目にモルディヴという国がございます。モルディヴはすでに加入手続をとっております。モロッコもさようでございます。それから最後のページにソマリア、これも加入手続をとっております。それからトリニダッド・トバゴとチュニジアも同様に署名し、かつ加入の手続をとっております。したがいまして、この五カ国は、現在の条約には入っておりませんが、新条約には入る国でございます。  なお、一番最後に、このうち百万総トン以上の船腹を有する国といたしまして、ここに二十二の国が○じるしをつけてございます。  以上が今日現在の正確な国の一覧表でございます。  そこで、わが国がこの新しい条約に加入いたしました場合の、ほかの国との条約の適用関係を細説明いたします。  わが国は、この条約に入りましてから二年間は、新旧両条約が並存いたすわけでございます。したがいまして、ほかの国もまた同様に、新条約に入りました場合には、二年間は新旧両条約が並存いたしまして、その場合におきまして、わが国と同様に新旧両条約に入っている国との関係におきましては、もっぱら新条約が適用される。それから、旧条約に入っておらないけれども、いま申しました五カ国のように、新条約にのみ入るという国との関係におきましても、同様に新条約が適用される、当然でございます。  それから、二年間新条約に入らないで、依然として旧条約にのみ入っているという国との関係におきましては、わが国は新条約に入っておりますけれども、その関係においては旧条約が適用されるということでございます。  それから、二年間たちましたときにおきましては、この前御説明いたしましたとおり、この条約を採択した際におきまして採択された勧告におきまして、「各政府は、できるだけ早くこの新条約を受諾し、かつその二年後に旧条約を廃棄し、かつ新条約を適用するように相互に協力する」という勧告を採択いたしておりますので、二年後には、わが国もしたがってほかの国と同様に廃棄する手続をとります。そういたしますと、その後からは新条約のみがわが国には適用されますので、新条約国との間においては当然新条約が適用されますが、旧条約しかない国、つまり、新条約に入らない国との間におきましては、遺憾ながら無条約という状況になります。つまり、旧条約のみに入って、二年後になりましても依然として新条約に入らないという国との関係におきましては、条約関係は存在しないということでございます。  それから、この二年後になっても廃棄しない国、これは当然新条約はそのままわが国との関係においては適用されます。その国は旧条約がございましても、わが国との関係においては新条約が適用されるということでございます。  それから、全然新旧両条約ともに入らない国、穂積先生お尋ねの、全然いずれの条約にも入らない国との関係においては、いま申しました旧条約にしか入らない国と同じように無条約関係になるということでございます。その点につきましては、わが国が承認し、国交を結んでおるという国と、結んでいない国との間において、特別の相違はございません。やはり依然として、条約的に申しますと、条約上の権利の関係は存在しないということになるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大体御答弁は了解をいたしました。  そこで、起きる問題は、旧条約のみに入っておる、その旧条約がまだ有効期間を継続しておる最中に、わが国とその国との関係は旧条約によって取り扱われるわけでございますね。そういたしますと、新条約に伴ってきめました喫水線というものは認められなくなるわけでしょう。そうすると、船の新造または改造等で非常な食い違いが生ずるわけですが、それは実際問題は——外務省はいま条約解釈でございますが、実際上はどういうふうにされるのか、これは運輸省のほうがむしろ関心が深かろうかと思いますが、どちらからでもけっこうですが、そこに食い違いかまたは矛盾が生じますね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 その件につきましても、運輸省と打ち合わせをいたしましたので、私のほうから答えさせていただきます。  わが国が新旧両条約に入っていて、相手国が旧条約にしか入っていない国との関係におきましては、わが国の船舶はそこの港に行きます場合、当然旧条約によって律せられるということでございます。ところが、この条約によりますと、新造船につきましては、むしろ条件が緩和されまして、喫水線が深くなるわけでございます。したがいまして、旧条約締約当事国は条件がきびしいので、法律的に申しますと、その国に行った場合に、旧条約によってきびしい条件によって証書を検査されるということになりますので、確かに法律的には多少問題は起きるかと思いますけれども、この新条約採択にあたりまして、この条約自体のたてまえがいままでの条件を緩和したものでございますので、旧条約のみに入っている国も、時間のズレはございますけれども、いずれ近いうちに入るということが当然の前提として考えられますので、たとえ法律的にはそのような差異がございましても、実際上の取り扱いにおいては、新条約による新造船の喫水線について、相手国はそれを認めてくれるというような了解でこの条約が運用されるだろうというふうに解釈いたしております。なお、それにもかかわらず、どうしても旧条約の条件でないといけないという場合に、その船が二重の満載喫水線を持つというわけには当然いきませんので、これは二国間の関係、あるいはこの条約のスポンサーになっております政府間海事協議機関等におきまして、そういう場におきまして調整されることになろうかと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなりますと、こちらが新条約、相手が旧条約という場合は、旧条約によってというのが法理解釈でありますけれども、実際は新条約の基準によって相互了解によって運用される。その場合に、相手がこれを了承しない場合は、最後の御答弁の部分ですが、その場合は一体どういうことになりますか。二重の喫水線を持たなければならなくなりますね。それはどういうふうにするのですか。最後のところちょっと不明確なんですね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 お答え申し上げます。  実は、本日船舶局長は運輸委員会のほうに出ておりますので、かわりまして御答弁申し上げます。  ただいま御指摘の点でございますが、一応新条約を優先して考えまして、条約証書は新条約に基づく証書を発行いたしますが、指導といたしましては、旧条約しか認めないという国に入港する場合には、船長にそのように行政指導いたしまして、向こうからクレームがつかないようにしてまいりたい、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは事前に相手にケース・バイ・ケースで了解を求めて出航する、向こうに入港するということですね。そういう意味でございますか。私の聞いておるのは、そのときに、わがほうは旧条約しか入っていない、しかも、その旧条約は有効である、効力は継続しておるので、それでわがほうはあくまでやりたいと言ったときには、どうするかということですね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 新条約と旧条約との満載喫水線の標示の位置は、計算いたしましても非常にわずかな距離しかございませんし、標示する場所は同一の地点でございますので、同町に二つの条約に基づく標示は困難である、かように考えますので、実際問題としましては、二つの満載喫水線の標示は困難でございます。したがいまして、新条約の適用されます新造船につきましては、新条約に基づく満載喫水線にいたしまして……(穗積委員「それで相手の了解を求める」と呼ぶ)そういうことでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私の聞いておるのは、それで了解を求めれば、新条約によって相互了解の上でスムーズに取り扱われるわけですけれども、相手があくまで旧条約の基準を主張した場合には、国際関係でどういう処理の方法があるかということを聞いておるわけです。それはないわけですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 満載喫水線は、新しい条約に基づきます喫水線を標示をいたしますが、貨物の積む量を制限いたすようにいたしまして、旧条約の満載喫水線を越えないような行政指導をしていきたい、こういう意味でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それで、その方法で大体いままでのいろいろな相手国の実績から見て円滑にいく見通しでございましょうか。そこで、私がお伺いしたいのは、こういう二つの条約が並行して有効である。   〔野田(武)委員長代理退席、鯨岡委員長代理着席〕 しかも、その制限規制の中身が違うというような場合は、そこでもし国際間に意見の不一致が生じた場合には、何らかの処理機関というものあるいは処理の方法というものが条約の中に明示されていなければおかしいと思うのですね。本来言えば、法律的に、条約にいたしましても、国内法にいたしましても、抵触する内容の法律が新たに施行された場合には、旧条約または旧法律というものは、その発効の日から実はなくなるわけですね。それが常識でしょう。それが今度特に二年間をめどとする並行有効ということになっておりますから、そうなりますと、それによる食い違いから生ずる国際間の意見の不一致、紛争とまではいかぬにしても、それをどういうふうにして処理するかということを、条約の中へ、あるいは議事録の中でもけっこうですけれども、そういう取りきめをしておくべきだと思うのですね。これは条約の構造上大きな手落ちだと私は思う。御所感いかがですか。相手の了解が得られるであろうということの仮定をたよりにしてこの条約が施行されるわけですから、ちょっと矛盾しておりはしませんか。矛盾というか、欠陥があるのじゃありませんか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先生のお尋ねの、新旧両条約並存してその間に複雑な法律関係が生ずる、その複雑な法律関係を解決する方法について何らかの取りきめがあるべきだ、私も全く同感に思います。ただ、条約の文言上に特別にそういう規定がございませんが、この条約自体を採択にあたりまして、主催をいたしましたロンドンにございます政府間海事協議機関、これは当然そういうような問題については解決する任に当たるということが、各参加国の当然の了解でございますので、特別にそういう規定が置かれなかったわけでございます。  なお、一般の条約につきまして、このような新旧両条約が並存する法律関係というものは、多数国間の条約におきましては、国内法の場合と違いまして常に生じます問題でございまして、われわれその法律関係の複雑さを解決するのに非常に困難を感ずる場合があるわけでございますけれども、このように二年間とかあるいは一年間というのは、これと同様な性質の条約で、海上人命安全条約も、たしか一年間そういう暫定期間を置きまして、その間に各国はできるだけ多く批准するということで、並存させた例も実はあるわけでございます。これもやはり同様に、政府間海事協議機関がそういう紛争の解決と申しますか、に当たったのでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 不十分ながら大体了解いたします。  そこで、問題は、現在は三〇年条約に入っていて、それが二年たってかその後になるかわかりませんが、時期は不確定だけれども、とにかく失効した場合には、それとの関係は無条約関係になります。すなわち、それは未加盟国と同じ状態になるわけですね。だから、無条約状態ということは、未加盟国とわが国との関係と全く相違はないわけですね。そういう意味でございますね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 そのとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは一括してお尋ねいたします。そうなりますと、いわば未加盟国、わが国との関係は無条約状態の国、それについていまの御答弁は、わが国が承認しておる国と承認してない国との間には、この条約の取り扱いについては差別はしないということの御答弁があったわけですね。それはそのとおり間違いないとしてよろしゅうございますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先ほど御答弁いたしましたのは、新条約に加入しない国との関係におきましては、この条約発効後二年後におきましては、つまり、条約のない関係に立ちますので、そういうない国との関係という点から申しますと、わが国は、その政府を承認しているかいないかによって、条約が適用されないという事実においては同じでございますので、そういう意味で差はございませんということを申し上げた次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなりますと、たとえばここで例を言えば、キューバがその例にもなりますね。キューバ、中国との間、あるいは朝鮮民主主義人民共和国、あるいは北ベトナム、これらは全部同様に取り扱われるわけですね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 つまり、新条約に加入しない国との関係におきましては、そういうことでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで、私はこの前もちょっと触れましたが、未加盟国、両方ともに加盟していない国、それから三〇年条約に加盟していて、それが失効になって無条約国になった場合、それは同じでございますけれども、いわばその未加盟国、無条約状態の国との間に、何らかの、二カ国間の取りきめというか、事務協定とまでいかぬにしても、やはりそれに類する一定の基準を持った了解取りきめをとっておく必要があるのではないかと思うのですね。   〔鯨岡委員長代理退席、野田(武)委員長代理着席〕 そうでありませんと、ケース・バイ・ケースになりましょう。その点は外務省、政府としてはどういうふうにお考えになっておられるか。このことはいささか政策上の問題でもありますから、政務次官からでもお答えをいただけたらけっこうだと思います。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 前回の委員会のときにも、その問題に多少触れてお答えを申し上げたつもりでございますが、両国間、日本とそれらの無条約国、これらの間に必要が生ずるならば、事務当局間のいわゆる事務取りきめを結ぶことになるだろう、そういう方法を考慮することは、それは可能であるということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その場合も、承認国、未承認国の差別はございませんね。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 そのとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなりますと、特に私は貿易量あるいは船の往復の実績統計というものをつぶさに見ておりませんが、特にアジア諸地域の近接地域は、これから未加盟国との経済交流というものがますますふえる傾向にあると思うのです。そうなりますと、たとえば目の前の中華人民共和国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、これらとの間にそういう事務的な取りきめをやることが望ましいと一般的に言われたわけですが、具体的にそういう御意思がございましょうか。わがほうから取りきめを結ぼうということを提案する用意がおありになりますかどうか、それを伺っておきたいのです。特に中国並びに北朝鮮……。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 今日までのところ、日本に近接した、いま御指摘のような諸国につきましては、特別にそういう事務取りきめを締結しなければならぬ必要性を感じた事態というものは発生いたしておりません。将来そういう事態が発生いたしまするならば、その時点において考慮いたしたいと存じております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、これは運輸省から御説明をいただいたほうがいいかと思いますけれども、現在北朝鮮並びに中国は相当の取引量と往復があるわけですけれども、それは実際は、いままだ新条約はわが国に発効していないから、三〇年条約を基準にしてやっておられるのですか。二カ国間で特別の了解基準を置いて取り扱っておられるのですか。それをちょっと御説明願いたい。  それからさらに、一括して質問しておいたほうが促進のためによかろうと思うので伺いますが、その場合にはあくまで相互主義でございましょうね。こちらと向こうとの間に同じ平等相互の条件で取り扱っておるのだろうと思いますが、それらについても二緒に御答弁いただければ望ましいと思います。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 第一の点につきましては、三〇年条約に基づいてわが国の国内法が整備されておりますので、これが一応外国から入ってくる船につきましてすべて適用されておるわけであります。  第二の点でございますが、相手国の国内法によって律せられるものでございますので、したがいまして、相手国の技術基準がどうあるかということでございますが、これはほぼわが国の技術基準と同等のものが設定されるように聞いております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、実際は、いまそれらの国との関係は、三〇年条約の条件を基準にして、相互平等の条件で取り扱われておりますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ほぼ同様の基準でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、その間に、相互入港の時期が違った、船の種類が違った、あるいは政治情勢の変化があったというようなことで、ケース・バイ・ケースで違った条件が提案されるというようなことが、これからの情勢の中ではなきにしもあらずと思う。そうなりますと、一般的な三〇年条約の条件を基準とするような了解事項というもの、あるいは了解覚え書き程度でいいですが、そういうものを取りかわしておくことが必要ではないでしょうか。全然無条約、無協定あるいは無了解、そういうことで、実際上は相互の国内法で取り扱われておる、これは全く便宜的で不安定でございますね。ですから、私は、やはり相手が国際条約に入っていない、入れないでおる場合は、これは二国間の何らかの覚え書き程度の、ケース・バイ・ケースでなくて、一般的、包括的な何らかの了解の成立というものが望ましいし、必要ではないかと思うのですが、現在まではうまくいっておったから、それほど必要を感じていないといういまの次官の御答弁ですけれども、それは必ずしも安定した保障はないわけですから、そういう意味でお尋ねをするわけです。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 満載喫水線の問題は、非常に技術的な問題でございますので、それぞれの国の国内の事情に応じた国内法の基準において律するのが必要だと考えておりますが、その場合にあたりまして、自国船以上に他国船に対しましてきびしい条件をかけるということはないと考えておりますので、現状において差しつかえないのじゃないかと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それじゃ、ちょっとまだ十分な満足を得られませんけれども、今後そういうことを情勢の変化、発展の中でぜひ積極的に考慮されることを要請をいたしまして、前へ進みたいと思います。  そこで、これはこの間も与党の委員の方からもちょっと触れましたが、沖繩の船舶についてお尋ねをいたします。  第一、沖繩の船は国籍というか、船籍はどこになっておりますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 船籍は沖繩でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 沖繩の船籍に対して——実は施政権者はアメリカですね。といたしますと、三十二条でしたか、この証妻発行については統治権者アメリカ政府の宣言が必要ではないのでしょうか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 新条約では、先生のおっしゃるとおり、三十二条に「地域」という規定がございまして、そのような国際関係について責任を有する締約政府が適用の宣言をすることができる規定になっております。沖繩につきましてもし適用されるとすれば、現行条約が適用されるわけでございますが、現行条約のそれに相当する規定といたしまして第二十一条にございます。その第二十一条というのは、これは戦前の古い条約でございますので、一般的に「殖民地ニ対スル適用」という関係になっておりまして、沖繩のような地位にあるところに対する適用は想定いたしておりません。また、したがって、アメリカもこの現行条約第二十一条に基づいて沖繩に対する適用を特に宣言いたしておりません。したがって、沖繩につきましては、この条約は適用されてないというのが現状でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、対外的な効力はどうですか、沖繩の船の。——ちょっと質問の順序を変えましょう。そうすると、外航用の沖繩船が証書を保有するためには、私の解釈では、統治権者アメリカの宣言が必要であると思う。それがないとすると、日本の政府が宣言をするのでしょうか。どういうことになるのですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現行条約のもとにおきまして発行いたしております証書は、これは日本政府の責任において発行しておりますが、沖繩は未加盟国でございますので、ほかの外国に行った場合、これが有効かどうかといった点については、必ずしも有効であるとは言いにくい面もございますが、日本政府の過去の実績に照らしまして、それが有効に受け入れられているように考えています。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、旧条約にのっとって日本政府が宣言をして、日本政府が証書を出して、それで国際的に通用するものと期待しておる、相手は義務はないけれども、期待をしておるということなんですね。ところが、新条約によりますと——私実は旧条約をあまり調べてないのですけれども、それは違法ではありませんか。第一、旧条約、つまり現条約で、そこの地域並びに人民に対して統治権を持ってない政府が宣言をして、その国に対して証書を発行しておるということは、現条約の経過並びに細部にわたって私調査しておりませんけれども、法理的にそういうことはあり得べからざることだと思うのです、国際法の通念からして。統治権を持ってないものが——どういう取りきめになっているんですか。統治権者アメリカ政府から委託を受けておるのなら別だ。代理行為として宣言をし、代理行為として証書を出しておる、日本政府がアメリカ政府の下請機関になっておれば、あるいは受託機関になっておれば、それで権限が継承されると思うけれども、それでは、全然関係がないものが、たとえば台湾政府が宣言したり発行したり、そういうこととどう違うのでしょうか。台湾政府が出した場合と日本政府が宣言し発行した場合と、法理的にどう違いますか。何ら根拠はないじゃないですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ただいま沖繩船舶に対しまして証書を発行いたしております。それにつきまして、若干補足説明いたしますと、沖繩政府からの要請に基づきまして、証書を発行しているものでございます。現行条約におきましては、ある国、加盟国の政府の要請がございましたら、他の国の政府は条約証書を出してもよろしいという条文適用がございます。したがいまして、外国船舶に対して条約証書を発行するのは、現行条約のもとにおいては許された行為であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなっているのですか。そうすると、条約加盟国というものは何ら必要がないですね。友好国のある国さえ入っておれば、その国に要請をして、その国の宣言と証書を発行してもらえば、これは国際航行の一つの制限と権限だけですから、何も加盟の必要はなくなる。加盟、未加盟国に全く無差別だということになって、どうも納得がいかないのです。先ほど言ったように、私は現条約を実は詳しく調べないで、新条約、ここに提案されておる条約だけ問題にしておったものですから——外務省の解釈は、おかしくはありませんか。そういう場合は、国際条約に、一般から見て、ないんじゃないでしょうか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 国際法上の効力をそれに付与するという意味では、私はそういう例はないと思いますが、これはそうではなくて、新しく新船をつくる場合に、もっぱらその技術的な観点から、技術的な証明をするということが認められているというのであって、その認められた証書を国際的に認めろという強制力は何らございません。ただ技術的な観点からのみ定められた証書でございますので、それを相手国が実際上日本の証明であれば当然尊重するであろうという期待が持てるという程度にすぎません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それならわかる。そうなると、お医者さんの予防注射の証明書みたいなものだ。どこでやってもいいわけだ。その注射の証明書を出したお医者さんが、日本の医師法によって認められておる医師であればよろしい、こういうことですから、そうなると、アメリカが宣言しても当然いいわけですね。アメリカが宣言し、かつ証書を発行しても、沖繩についてはいいわけでしょう。本来はそうあるべきですね。法理的に言えば、残念ながらそうだ。あるいは隣のほうが便利だというので、琉球政府の外交方針や考え方が変わって、台湾政府にひとつやってもらおうというので要請しても、それでも同じことだ。どこのお医者の注射だろうと、そんなことは証明力に違いはないわけですから、そういうことになりますね。一般的にいって、そうですよ。そういう矛盾が生ずるのだ。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 一般的に申しますと、先生のおっしゃるとおりになります。ただ、現行条約をアメリカが沖繩に適用するというのは、現行条約の規定の書き方から申しましても、不適当ではないかというふうにわれわれは考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで、この条約を加盟し承認をするにあたって、私は、やはりアメリカ政府との間で、この問題をきちっとしておくべきだと思うのです。そこで、沖繩返還の問題に関連をするワンステップであると私は思うのです。事実は、一体アメリカ政府は黙認になっておるのですか。琉球政府と日本政府との関係は外交関係ですよ。その外交関係を結ぶのに、統治権者であるアメリカ政府がそんなことを知らぬ顔しておるというはずはない。それを黙認しておるなら、きちっとした取りきめをすべきですよ、日米政府間で。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 沖繩におきましては、日本と全く同じ船舶安全法が制定されております。そうしてその技術基準も全く同じでございます。したがいまして、沖繩の船を日本で修繕した場合には、われわれのほうの検査官が依頼を受けて検査をしている場合もございますし、トン数の証明をしている場合もございます。これは、本国に帰って向こうの政府があらためて証書を出し直す場合、それからただいまの条約証書のようなものをそのまま持っていくというケースもございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 技術的にはそれで了解がつくんですよ。どこの医者で注射してもらったって同じだということですよ。ところが、その場合は、国内の医師法によって、すべての患者とすべての医師との関係は無制限になっておる。ところが、この船の証書の場合は、統治権者があるわけですから外交関係になるわけですよ。琉球政府が日本政府にそういう宣言と証明を要請するということは外交行為なんですね。国内の患者が国内の医師に注射を要請して証明書の発行を要請する場合と全然違います。  外務省にお尋ねいたしますが、第一、そういう違法的な不合理な方法をなぜ一体アメリカは承認しておるのでしょうか。日本人である沖繩人がわが国に渡航するのにパスポートなくては出られない。そのときに、この前この委員会で通過いたしました旅券法の修正で——それで、いままでは琉球政府に出し、あそこのアンガー民政府長官ですか、それの許可によって、それの発行する旅券で来ておった。それが今度は新たな取りきめによって、日本政府がこれの発行名義人になった。ところが、実質は、審査並びに決定はわが国にはない。全く裁判所の前の代書人にすぎないわけだ、日本とアメリカの政府の関係は。それを単に代書人でなくて、直接要請を琉球政府から日本政府に、外交行為であるにかかわらず、それをなさしめる、実質的な審査、決定も日本政府になさしめる、証書の発行も自本政府になさしめる、これは異例なことですね。そうでありますならばけっこうなことです。その点については沖繩が日本に近づく、近づいておることですからけっこうですが、そうであるならば、その事実をアメリカ政府が日本に明らかに移譲する、わがほうはそれを国際法上の権利として認める、そういうことをきちっとすべきだと思うのです。これは道理にかないませんよ、そんなもの。アメリカ政府が一体宣言もしない、証書も発行しない、そうして便宜的に日本にやらしておる、これは一体どうなっておるんでしょうか。人間の渡航についてもそういうふうにしたらどうですか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 穂積先生のおっしゃるような意味での、日米両政府間でそういうことをお互いに認め合うという覚え書きあるいは取りきめのようなものはございません。ただ、琉球政府が日本の政府に対しまして、行政官庁でございますが、そういう要請がございまして、その要請に基づいて運輸省のほうで手続をしているわけでございます。このことは、琉球政府がそういうことをするについて米国は認めておるわけでございますので、特別にわれわれのほうといたしましても、日米両政府間のレベルでそういう了解をしなければ琉球政府はできないというふうには考えておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、ちょっと違った角度からこの問題をお尋ねいたしましょう。  アメリカが宣言や証書発行をなぜやらないのですか。その理由は何でしょうか。政治的、経済的、技術的な理由があろうと思うのですね。日本政府をしてなさしめる……。これは事は船舶の検査並びに証明の問題ですけれども、国際的に見ますと、これは外交行為ですよ。それを統治権者アメリカ政府があえてやらないで、それで暗黙の間に日本政府にやらしておる。やらせるならやらせるで、権限がこれは本来日本のものである、日本人であるという立場に立って、日本政府の宣言、検査、発行を認めるという権利移譲があってしかるべきだ。それをやらないでやるとは何事でしょうか。アメリカは全く御都合主義ですよ。南ベトナムについても、国際的に示すことのできるような取りきめはありはしない、ゴ・ジン・ジエムとの間に。それで、あれは軍事同盟国だなんと言っている。日本が満州をやったときすら、日満議定書というものを国際的に発表された、きちっとした制限があった。こんな不確定な状態で、しかも沖繩問題が重要な段階に来ているときに、そういうだらしのないやり方というものは、私は納得がいかない。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 琉球と日本との関係につきまして、問題によりまして、日米両政府間レベルで取りきめなければならないものと、そうでなくて、非常に技術的な問題につきまして、向こうの行政府と日本の行政当局との間で取りきめをすることが可能な問題と、二種類あろうかと思います。単にこの問題だけじゃなくて、日本の行政官庁と向こうの行政官庁との間でいろいろの取りきめを結ぶことを認められております。これは当然米国がそういうことを許容しているということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 聡明な高島さん、ちょっとこっち向きなさい。よく聞いてください。この証書は、二カ国間の、日本と沖繩の船の間の便宜的な証書じゃありませんよ。対外的な効力を持たしめるための証書ですよ。だから、アメリカが便宜的に民生に関係のあることだというので——私はほかにどういうものが具体的にあるか存じません。存じませんが、そういうものもあり得る。政府間における権利移譲なくして、便宜的にやっているものもあるから、これもそうだ、だから、あえてそうやかましいことは言うな、こういう意味だろうと思う。ところが、発行する証書というものは、国際的に対外的な効力性を要求するものなんですよ。これはわが国としても外交行為なんですよ、この検査並びに証書の発行というものは。その証書は日本と沖繩にのみ有効であることが期待されているのではない。むしろ対外的だ。対外的に効力を要求する、外交関係の効力を要求するものでありますから、したがって、私は、日本政府とアメリカ政府との間でこの点はきちっとしなければ、こんなことをだらだらやるから、今度の沖繩返還についても、わけのわからぬような共同声明の文章になってくる。すなわち、軍事的義務は何を負うのか。そういう点は、私はこの際きちっとすべきだと思うのだ。外交関係ですよ、これは。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 もう一度はっきりいたしておきますけれども、満載喫水線の証書自体を国際的に有効なもあとして通用させるという効力は全くございません。ただ、技術的な観点から、日本政府は要請に応じてそういう証書を発給するのであって、条約に基づく証書としての国際的な効力はございません。これは先ほどちょっと例が悪かったのでございますけれども、医者の発給する証書とこれはちょっと性質が違うものでございまして、ただ、日本の政府はそういう技術的な観点から、検査したものは、当然国際証書と同様の効力があるということで信用されるというにすぎないのであって、外交上あるいは国際法上当然に法律的な効力があるというようなものでは絶対にございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 だからこそ、不確定なものだというのですよ。ますますそれで必要が生じてくるんだ。日米関係で、米国政府から、この問題の行為については、検査並びに宣言、発行については権利の移譲を受けるべきだ、正式な取りきめで。だから、白紙でいっても同じだということでしょう。それでは沖繩船が持っている日本政府発行の証書は、法理的にいえば白紙と同じです。持たなくてもいいわけだ。効力はそれは法理的にはそうだ。しかし、実質的にはこれは国際効力を持っているのですよ。持っているに違いない。それじゃ第一、運輸省にお尋ねいたしますが、こういう外航のための船舶で、いままで日本政府が検査をし、証書を発行したものは何隻ぐらいありますか。航行の相手国はどこどこですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 沖繩船舶に出しました証書は、ちょっといま調べておりますが、さほど大きな数ではございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ラウンドナンバーでもいい。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 沖繩船舶自身が外航船が二十四、五隻でございますので、全部出してもその程度でございます。——全部で二十五隻でございます。このうち、日本で検査したものにつきまして便宜出しております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 日本で検査したものがそのうち何隻ですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 それはちょっといま——ほとんど日本で検査したようでございますから、一応二十五隻という数字になっておると思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私がある資料で見たのによると、もっと多いのですが、間違いありませんね。  それで、沖繩船舶が航行しておる相手国はどこどこですか。どこというか、範囲は地域で言えば……。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 台湾、それから東南アジア、日本ということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ほぼそれらの国に限られていますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 さようでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 近い将来、それ以外の地域との取引あるいは航行の計画はございませんか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ただいまのところ、それ以外の地域については聞いておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、それらの国との関係がもうそれほど実績が積み重ねられていて、それでなおかつ、それは国際的に効力のない、効力を主張できない、白紙に近い証書が行なわれておる。それで、私の解釈では、アメリカ政府が、過渡的に、暫定的に統治をしておる沖繩の船舶については、その船体検査並びに証書の発行は日本政府においてしかるべくやってもらいたい、移譲しますということをやはり取りきめるべきだと思うのですね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 沖繩につきましては、現行条約上、先ほど申しましたとおり、アメリカがまず沖繩という地域に適用するということをしない限りは、アメリカがいかにそのようなことをいたしましても、国際的な効力を生じないという考え方でございます。実は現行条約第二十一条というものは、いわゆる戦前の植民地に対する条約の適用でございまして、そのような規定を援用してアメリカが適用するということは、われわれとして好まないところでございます。現実にもアメリカはそういう規定を援用して適用いたしておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いや、この規定によらなくてもよろしい。この条約によらなくてもいいのです。この条約に依拠しない二国間の取りきめでいいんですよ。これと関係がない、私の言うのは。だから、たとえば教育とか社会福祉の問題とか医療とか、そういうことについて日本が便宜をはかり、責任を持ち、それから対外的にも日本が代行するというような事務がふえることはけっこうなことです。そういう意味で、私は、これはぜひ一ぺん日米協議会できちっとされる必要があると思う。されなければおかしい。政務次官、いかがですか。お聞きのとおりですから、もう事態は明瞭でございます。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 研究いたしてみたいと思っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなると、証書の効力が問題でございますが、日本は、自分が検査をし、発行した証書によって、その基準で琉球政府の船が来たということでよろしゅうございましょうが、それが外国へ行った場合に、その効力は主張できないけれども、実際は日本の船が日本の証書を持って行ったと同様に取り扱われておるという事実があるだけでございます。その点はもう少し、こういう条約をきちっとここへ提案されて承認される以上は、そういうものは全部整理して明確にする必要があろうと思うのですが、いかがでしょう。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 お答え申し上げます。  沖繩の船舶が持っております満載喫水線条約に基づく証書、日本政府が発行しておる証書でございますが、これは諸外国の港に参った場合は、沖繩は現在加盟国でございませんので、その国はその証書を有効なものとは見ないわけであります。しかしながら、日本政府が書いた内容は一応技術的には信用されておるということでございまして、向こうの国内法に照らして、その内容が正当か不当かということを確認する場合に、便宜の用に供しておるという状態であります。したがいまして、同じように今後も、条約証書ではございませんが、そういう類似の内容を持ったものをもってわれわれのほうは証明いたしまして便宜に供したい、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、実際は、その性質がちょっと技術的な証明書みたいなものですから何ですけれども、そういうふうに外航の船舶に対して日本が検査をし、証明書を発行して、それが相手国に信用され、有効と同じ実績をいままでの経験から獲得しておるということになりますと、この船には日本の旗をつけてしかるべきだと思うのですね。沖繩を返還せしめたいという意欲から見れば、そのきっかけはある。証書というものと国旗というものとは、むろん法理的には別ですよ。別でありますけれども、そういう基礎事実、実績ができつつあるわけですからね。その船舶の安全性、その船舶の技術的信用度、それらはすべて日本政府が検査をし、発行しておる。それが国際的に信用されており、通用しておると同じ効果を発揮しているという、これだけの事実を見ても、その二十五隻というものに対しては、日本船と同様の対外的な信用度があるわけですから、それが国旗と全部合致するわけではありませんが、わがほうとしてはそのくらいの主張はしてしかるべきだと思うのです。おかしな三角の琉球なんという船旗でなくて、次官、どうですか、あなたに愛国心があらば何とか言ってみてください。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 船舶と国旗との関係につきましては、いま御審議願っております公海条約に若干の詳しい規定がございまして、その船舶と国との間の真正な関係がなければならないということになっております。その真正な関係とは何かということにつきまして、行政上、技術上、いろいろな関係で、その旗の属する国と船舶との間にそういう密接な関連がなければならないということになっておりますので、たまたまこの満載喫水線の問題については、日本と若干の関係があるわけでございますけれども、一般的に申しまして、沖繩船舶の船籍は沖繩にございまして、そういう真正な関連という点から申しますと、沖繩船舶は現状では遺憾ながら米国の統治下にある沖繩にあるということでございますので、そういう観点から、日本の国旗を掲げるということは、まず公海条約上できないというふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 だから、私は言うのですよ。それではさっきの検査証書の発行の権限は法律的に日本側にないですよ。何を根拠としてそんな権利を行なっておるのでしょうか。いまの国旗の説明は大体わかります。そういうことであれば、逆に言えば、その裏である、沖繩船が外航する場合の国際的効力を期待する証書を発行する、そのための検査をする権限は、一体どういう条約、どういう法律を根拠としてやっておるのでしょうか。何もないと思うのです。行為自身がもう白紙です。だから、証書は対外的には白紙にひとしい。効力を主張する権利はない。期待は持っても、権利はない。同様に、日本政府自身が沖繩船に対して要請に従ってでも検査をし、証書を発行する法的根拠というものはどこにあるのでしょうか。国際法のどこにあるのか、国内法のどこにあるのか、ちょっと示してもらいたい。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 一応法的根拠といたしましては、船舶安全法第十四条に、「日本船舶ニ非ザル船舶ニシテ左ニ掲グルモノニハ政令ヲ以テ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用ス」と書いてございまして、これを準用しておるという考えでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 国際条約上は何が根拠になっておりましょうか。——その前に一つ聞きましょう。そのときは、費用ほどっちが負担しているのでしょうか。その検査の費用並びに証書発行の費用、それらは日本政府か、琉球政府か、どっちの負担ですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 日本船舶と同様に、沖繩船舶でございましても、船舶所有者がそういう手数料を払っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それから、国際法上の根拠はどこですか。そんな権限がどこから与えられておるのでしょうか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 これは国際法上の効力を要求するものではございませんので、そういう国際法上の根拠は特別にございません。ただ、国内法上そういうことができる、琉球政府と日本政府との間にそういう取りきめができるというふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 聡明な外務政務次官はお聞きのとおり、もうかってにやっておるわけですね。便宜主義ですよ。こういうことは、やはり沖繩問題がこうやかましくなり、小笠原の次には沖繩ということでございますから、ずるずると、あるかのごとく、なきかのごとく、わがものであるかのごとく、人のものであるかのごとく、それでほおかぶりして、国際的にはこの有効性を期待する、こういうことは日本国政府の権威にかかわると思う。日本国政府の品位にかかわることですよ。ですから、この際、それはきちっとされるべきことではないか。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 穂積先生の御主張もよく理解できますので、十分検討してみたいと思っております。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 関連して。これは、いわゆる国際条約の根拠に基づいて、行政事務の主管庁の間での取りきめというふうなことをやるのは、国際法上、こういう多数国間の行政関係に関する条約でいつもあることですよね。したがって、私は、おそらく、あそこのこの問題を担当しておる行政主管庁と日本国運輸省との、つまり行政主管庁間の取りきめでこれをやり、それをやることをアメリカの政府が認めているということなんです。ただ、そこでいけないのは、ほんとうは、そういうふうにすれば、今度は主管庁間でこういう処置をとっているということを、単なるサービスということじゃない、国際的にはいろいろな問題があるから、主管庁が各国にそれを通報しておくという措置が欠けておると私は思うのですよ。それをやっていないでしょう。そこが欠けているので、普通多数国間条約で行政関係についてのそういうものを委託されて、その両方でやるということは、これはこの条約に限らず、郵便関係であっても、電信関係であっても、その他輸送関係も、みなあることだからね。政府はそれをお互いに認めているという、こういう関係になっておる。ただ、それがよそに関係を持った場合に、通報しておかないと問題が起こる。その点が欠けておると思うのだが、どうでしょうか。そういう性格のものだと思うが……。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ただいま先生から御指摘をいただきましたとおりでございまして、今後検討いたしたいと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それで問題はだんだん発展してきた。そうなれば、向こうの何省というのか、何局か知らぬけれども、琉球政府の所管機関と運輸省との間で、協定か覚え書きか何かがなければならぬはずだね。それが行なわれておれば、これはアメリカとの間に取りきめがなくても、これは何というのか、明らかに事実承認による承認になるべき外交行為ですよ。それがないから、いまの通報も何も、そんなものは通報の根拠が大体ないのだ。諸外国に琉球船が出ていく、たとえば台湾、フィリピン、タイ、それらの相手国に対して、あるいはこの条約の加盟国に対して、沖繩琉球船籍を持ったこれこれの船舶については、こういう取りきめによってわが政府は責任を持って検査をし、証書を発行しておるので、しかるべく取り扱ってもらいたいという通報ができる。それがないからできないですよ。取りきめの根拠がないから、だから、本来言えぱ、私の言うように、沖繩統治権者であるアメリカ政府と日本政府との間でそういう取りきめをやって、しかる後にいまの所管政府機関同士の事務取りきめをやって、それからそれにのっとって諸外国へ事前通告をしておく、こういうことになろうと思うのですね。根本がないからですよ。蔵内さんわかったでしょう。道理に従った——ないんだ。いま言っただろう。ないと言っておるじゃないか。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 両方の間で往復文書がある。委託してやってくれという、それはむろんありますよ。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 一件ごとに向こうの通商産業局長からこちらあての依頼の文書が来るだけでございます。取りきめというのは、相互の取りきめがないということでございまして、一件ごとに何丸が検査を受けるからという、そういう検査の依頼があるのでございます。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 それに限ったことではない。局長間でもってやっているほかの例がたくさん翻るでしょう。広義の主管庁の取りきめというようなものは、そういうものなんですよ。ちゃんとはっきり言わないから……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、これは事後になってもいいから、どういうことになっておるのか、資料としてその文書を一ぺん出してもらいたい。  どうも御答弁が不十分で、むだな時間をとっておりますが、問題は重要なことですから、理解をしていただいて、そういうことを期待いたしまして、前へ進めましょう。  今度お尋ねしたいのは、第六条の問題でございます。免除規定がありますね。それで、免除規定第六条、これのいままで免除をいたしました実例はありますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 韓国との間に免除しております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは一カ国だけでございますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 その一カ国だけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、この第六条によりますと、「適用することが不合理又は実行不可能であると認めるとき」となっておりますね。どれに当たるのですか、韓国は。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 不合理というぐあいに解釈いたしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 不合理の根拠を示していただきたい。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現在韓国とわが国との間の水域は沿海区域になっておりまして、したがいまして、そういう沿海区域を航行するような短距離のものは、このような満載喫水線——つまり、満載喫水線というものは、船舶の安全性を考慮したものでございますので、沿海区域を航行する場合には、必ずしもそれほど安全性は阻害されるものではないという観点に立ちまして、お互いに免除し合っておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 韓国のすべての港が沿海区域ですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 そのとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 現在韓国の支配の及んでいない地域、朝鮮ですね、その地域の港についてはどうですか。これは技術的な点ですよ。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 全部沿海区域になっております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、将来南北朝鮮が統一をした、または統一前に朝鮮民主主義人民共和国との間の協定上の必要が生じてきた、この協定による関係が出てきたときには、これは差別なしに免除になりますね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 理論的にはそういうふうになるのじゃないかと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで、これは第三項の政府間海事協議機関には通報してありますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現行条約では通報の義務はかかっておりませんので、通報しておりません。今度の新しい条約によりまして通報義務が生じたわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、当然新条約になれば通報をやりますね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 新条約がもし発効するようになれば、そのような手続をとることになろうと思いますが、その場合、沿海区域などの部分までを免除区域にするかということは、あらためて検討の必要がある、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、沿海区域外の地域も考えられますか、朝鮮半島全体について。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 沿海区域以外には考えておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 きょういただきましたこの表の中の朝鮮というのはどこのことですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現在の韓国をさしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは不当な表示ですね。これは資料ですから、あえてやかましく言いませんが、これは不当な表示じゃないですか。外務省さんどうです。

藏内修治自由民主党外務政務次官

○藏内政府委員 当然韓国と書くべきであろうと考えます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで、問題は、二カ国間の、つまり、韓国の船が向こうからこちらへ来るのには、沿海区域であるから、この条件によって規制することが不合理だというので、免除されるわけですが、しかし、国際航海に従事する場合もあり得ますね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 日本と韓国間は、これは国際航海でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうですね。それになぜ免除をするのでしょうか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 国際航海のうちで、特に先ほど来の不合理その他の理由で免除するという規定が盛られておるのでございまして、したがいまして、そういう過去の実績等を考えまして、免除しておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、その船が日本のほかの外国へもむろん航行しますね。そのときはどうなりますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 その場合は、条約証書を持たせておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうなりますと、免除する必要がないのじゃないでしょうか。韓国はこの条約に加盟国である。前条約にも加盟国である。そして、その基準によって船舶を建造し、その基準に従って喫水線を標示しておる。それに従って検査を受けて証書を持っておる。それなのに、あえてわが国がこれを免除する理由というものはないと思うのですね。わがほうも免除されているのですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 相互の船舶が免除されているわけでございます。韓国のみに航行する船舶について免除するのでございまして、したがいまして、わが国から韓国に行くわが国の船舶並びに韓国からこちらに参ります向こうの船舶は、お互いに免除するということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私は、あまりあの海を船で渡ったことがないのですけれども、距離の短い遠いというよりは、あの海の航行における安全性の問題については、それほど違わないのじゃないでしょうか。そうであれば、これはもうまさに国際間の安全性確保のためにやっておることでございますから、したがって、相手に利益を与えるというよりか、お互いに自分の船及び貨物並びに人命の安全を確保するためのあれとしてやっておるわけですから、だからむしろ、これは免除しないで適用すべきだと思うのですね。大体、造船のときの技術からいきましても、造船の基準からいきましても、また、現在は相手は日本を、こちらは韓国を航行するのが専用の船になっておりましても、場合によりますれば、情勢の変化でそれ以外の地域にも航行するわけですから、およそ国外に出る船はお互いに全部やはりこの客観的に正しい条約の基準に従ってやるほうが——国内の造船技術からいっても、あるいはまた必要に応じてこれを他の航路に転用するにしても、そしてまたお互いに安全性を信頼し合う点からいっても、何らこれを免除するという理由が私には納得がいかない。これはやはり一律規制のこの条約の規制の中へ入れる。むしろ免除することが、先ほど伺った理由だけでは、私は不合理だと思いますね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現在船舶航行区域には、遠洋区域、近海区域、沿海区域、平水域、四つに分けてわれわれは考えておりまして、このうち、平水、沿海という区域は、比較的静穏な地域であるというぐあいに考えております。これは過去数年間にわたる気象、海象のデータをとりまして、大体そういうことが安全だという水域のみをとって、沿海、平水に指定しておるわけでございます。したがいまして、そういうところにしいて満載喫水線を標示しなくても安全に航行できるのじゃないか、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これはこの条約に参加されれば、すぐ通報しなければなりませんね。通報した場合に、これが大体認められるという事前折衝をしておりますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 この条約会議の際に、IMCO当局は当然免除されるであろうということを了知しているようでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これはやっぱり私の推定でございますが、どうも海事のことをしろうとでさっぱりわかりませんで、見当違いの推測かもわかりませんけれども、これは国際的に合理的な技術に従ってこの程度の喫水線を設定する。しかも、今度は三〇年条約よりは緩和されておるわけですね。そういうことでございますから、したがって、季節によってあるいは条件の変化によって免除特例を認めるということは、危険を承知の上でお互いに満載量をふやそう、そういう意図によるものではないかと思うのです。しかも、最近のあれを見ますと、国際航海の中におきましても交通量が相当ふえてまいりますし、気象の激変等もあって、わが国または外国の比較的小さい船が沿岸地域で遭難をしておる例もあるわけです。安全性の確立の問題でございますが、安全性の確立というのはだんだんと変化をするし、安全度の率ももっと尊重すべきではないかというふうに私は思うのです。だから、これはやっぱり両国の造船の技術からいきましても、基準からいきましても、自国の利益のために安全性をお互いに守る、そういうことから見ましても、これは免除しないほうがいいんじゃないか。また逆に言えば、免除することによってそれほどの利益はないのではないか。つまり、免除するということは、危険を承知の上で満載量をふやそうということでしょう。そういう便宜主義は、船員並びに貨物に対する安全性確保の良心にいささか欠けるのではないかというように私は推測するわけですが、どうもこの点の不合理の根拠がまだいままでの御説明ではちょっと納得がいかない。逆に言えば、安全性についての責任の程度に疑惑を多少持たざるを得ない、こういうことでございます。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 御参考までに現在世界で免除されておるところを申し上げますと、五大湖におけるアメリカとカナダとの航海、カスピ海におけるソ連とイランとの航海、これは一応免除になっております。韓国の場合は、戦前は同一国でございましたので、満載吃水線規程は適用してないということでございます。したがいまして、戦前すでにそういう実績がございますことにかんがみ、また、そういう水域における海難の実情にかんがみまして、それほど危険なものではない、かように考えておるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 十分でありませんが、これ以上なんですから、それでは最後に一点だけお尋ねいたしますが、中華人民共和国とは、御承知のとおりわが国との貿易量、相互交流が非常にふえてまいっておりますが、これは現在まではどういう取りきめあるいはどういう了解によって、さらにどういう基準によって相互に行なわれておるか、実情を伺っておきたいと思うのです。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 取りきめはございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 なければ、どうやってやっておるのですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現在中国本土等で就航しておりますわが国の船舶は、船舶国籍証書、船舶検査証書等を査閲されることがあるという程度に聞いております。また、わが国に来た場合も同程度の確認をしておるというぐあいに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは三〇年条約の基準によるものですね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 さようでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 相手国、中国の側の基準も大体同じ条件でございますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 大体同じでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 双方とも国内法の基準に照らしてほぼ同じであるというので、それに従って双方入港することを認め合っておる、こういうことでありますね。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 そのとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、包括的に日本の政府、すなわち、所管は運輸省だと思いますが、運輸省が向こうのそれに見合う機関にこういうことでやりたいと思うという提案をし、または向こうから提案を受けたことがありますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 特にそういうことはございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、ケース・バイ・ケースであれするときは、船会社が向こうの政府に了解を求めるわけですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 その辺の手続はよく承知いたしておりませんが、一応想像でございますが、船会社が向こうの政府と話し合っているのではないか、かように想像しております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、日本政府は全然ノータッチということですね。ただ日本政府が発行した証書を他の加盟国と同様に中国でも取り扱ってもらうような折衝を船会社がすることを期待をし、そしてそれを相手政府が同等に取り扱ってくれることを期待して出しておるだけであって、その発行いたしました証書の効力、有効性というか、メリットといったほうがいいかもしれませんが、利益については日本政府は全然関知しないというのが実情でございますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 先ほど御説明申し上げたように、無条約国と条約加盟国との関係と全く同じでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 同じはわかっているのです。それはさっき一般論として伺っております。実際の取り扱いの実情を伺っているわけです。その国が未加盟国、無条約関係であっても、一般的な取り扱いの基準としてこういうことでいきたいと思う、すなわち、わがほうはいままでは三〇年、これからは六六年協定の基準によって喫水線を決定いたします、それに従って、あなたのほうもその基準で相互主義で円滑にやってもらいたいという期待を述べることは必要だと思いますね。これはどの会社のどの船ということでなくて、それは当然の国益に合致した行為じゃないでしょうか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 現在までのところは、さほどのトラブルは起こっておりませんが、将来そういう事態が発生いたしましたときに検討いたしたい、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ここらでやめておきます。

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 速記を始めて。  伊藤惣助丸君。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 一九三〇年の満載喫水線条約においては日本の沿岸が季節的冬期帯域であったわけですが、この条約では年間を通じて夏期帯域になったわけですね。その会議のいきさつと、この帯域になったときの利点について伺っておきたいと思います。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 一昨年の条約会議におきまして、わが国は、日本近海の海象、気象を過去十年にわたりまして詳細に検討した資料を提出いたし、これが各国政府から支持を得まして改正されたという結果になったわけでありますが、その内容といたしましては、夏期帯というものは、これは風の速さの階級がビューフォートということばで言われておりますが、ゼロから十七までございまして、ビューフォート八以上の風が、計測回数十回について一回というものを一〇%というはかり方をいたしますが、一〇%をこえないという状態であればこれは夏期帯にしようというふうな一応の基準がございまして、その基準に合致するということを証明いたしまして、それによって皆さんの御賛同を得たという結果になっております。その結果、東京、室蘭、函館、新潟等で出入港する船の喫水が夏期喫水まで沈み得るということで、積み荷の量は三ないし四%増加するという状態になっております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 利点はどういう点でございましょうか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ただいま御説明申し上げましたように、積み荷の量が三ないし四%多く積めるということでございます。したがいまして、それだけの利潤があがるということになろうかと考えます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 季節冬期帯域が北海道の一部にかかっておりますけれども、そのかかっておりますおもなる港でございますが、どこでございましょうか。それから、その港から出港及び入港は、夏期帯域の日本の他の港から比べると不利益になるのではないかと思うわけですが、その点具体的に説明願いたいと思います。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 小樽、留萌、稚内、この港が主要な港でございます。これから出入港する隻数は本日資料として持ってまいっておりませんが、それほど多くの隻数じゃない、かように考えております。さらに根室港も入っております。ただし、これらは外国航路に従事する船舶のみが今回の対象船舶でございますので、そう影響はない、かように考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 具体的な説明の資料がないというお話しでございますので、あとでもけっこうでございますから、資料を要求いたしておきます。やはりわずかであっても不利益な取り扱いを受けるということについては、それらの船舶に対して非常に問題だと思いますので、その点も、こまかい数字をあげてこの資料を要求しておきます。  次に、国際満載喫水線に違反するような行為をした場合、たとえば積み荷を多く積んだ場合、その罰則は国内法にあるのですか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 船舶安全法十二条によって、航行停止その他の処分ができる行政処分がございます。さらに同法十八条に、罰則といたしまして罰金がかかることが書かれてございます。さらに海上保安庁法十八条によりまして、保安庁の取り締まりの結果、停船命令、航路変更、指定する港への回航、危険な場合下船命令、積み荷の陸揚げ命令、このような取り締まりの方法があるということになっております。さらに船舶職員法の規定によりまして、船舶職員の免状が取り消されるということ、これは船長に対する罰則でございますが、そのような罰則がございます。さらに海上運送法によります事業の停止その他の処分ができるというふうな罰則が書かれてございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外国船が日本の港に入港して違反した場合、国内法の適用ができるかどうか。また、違反の場合は満載喫水線まで荷物をおろす権利があるかどうかということについて伺っておきたいと思います。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 船舶安全法は外国船舶がわが国に入った場合も準用されておりますので、日本船舶と同じ罰則がかかってまいります。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 その場合は、ある程度強制的に荷物をおろす権利があるかどうか、運用面について伺いたい。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 ただいま海上保安庁法によって御説明いたしましたように、できると考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 今度は、日本の船が外国の港に入港して違反した場合は、やはり同じ適用を受けるかどうか、また、同じように満載喫水線まで荷物をおろす権利が他国にもあるかどうか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 これは各国の国内法の適用を受けます関係で、各国の国内法がどういう法体制をとっておるかはっきりつかんでおりませんが、国によってはそういうことも起こり得ますし、国によってはそういう道がないというように考えておりますが、具体的には詳細わかっておりません。しかし、わが国の船が行ってそういうことをやるということは、職員法等の免状停止等の問題がからんでまず起こり得ない、かように考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 船舶の検査及び標止をすることのできる団体はどういうところでございますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 日本海事協会でございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 その海事協会の性格について、簡単に御説明願いたい。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 船級協会というのは、これは一般的の議論でございますが、保険業者、海運業者、船舶所有者、造船業者、そういう方々から構成された団体でございまして、一定の構造基準——船舶を建造する上の基準でございますが、そういうものを設定して、豊富な経験と有能な技術を要する管理組織によりまして検査を行なっておるということで、その結果を登録いたしまして、その船はどういう内容の船だということを一般に知らせるというようなことをおもなる業務内容としておるわけでございます。日本海事協会につきましては、明治三十二年に帝国海事協会という名前のもとで発足いたしまして、それが戦後改名いたしまして今日に及んだ非常に歴史の古い団体でございます。現在は船舶安全法第八条により、運輸大臣の認定した船級協会であるということで、政府の監督を受けておるという状態でございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 この協会が検査及び標示をした場合、最終的な責任はどこにございますか。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 新しい条約の十三条におきまして、「主管庁は、検査及び標示をそのために指名する検査員又は主管庁の認定する団体に委託することができる。すべての場合に、主管庁は、検査及び標示の完全性及び実効性を完全に保証する。」ことになっておるということで、政府が責任をとることになるかと考えます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 このような条約は、世界のすべての国が加盟すべきであると思うわけです。その点についてお伺いします。

春永盛生運輸省船舶局首席船舶検査官

○春永説明員 お説のとおり考えております。したがいまして、新条約と旧条約との間に二年間の並存状態が起こりますが、漸次旧条約国が新条約へ加盟してまいるのではないか、かように考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 もし中共が加盟したいといった場合、この条約に加盟できますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 第二十七条に、署名、受諾及び加入についての規定がございまして、この第一項によりますと、国際連合または専門機関あるいは国際司法裁判所規程の当事国、これらの国の政府が、当事国として受諾できるという規定になっております。中国につきましては、現在二つの政府がございまして、国際連合加盟国の地位を持っておりますのは中華民国でございますので、この規定によりまして、中共は当然には当事国となることはできません。したがいまして、これは国連における中国代表権問題が片づかない限りは、この条約の関係においては当事国となることはできないというふうに解しております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 精神からいいまして、すべての国に開放するような条約というふうに考えられるわけですけれども、ただいま参事官から答弁ございましたように、二十七条の第一項が問題なわけです。こういうことに対して、わが国においては、今後この点もはっきりした見解を持って国連においても主張すべきであると思いますが、見解を伺っておきます。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 現実に世界のすべての国が入ったほうがいいと思われるような条約につきましては、前回の国会でも御承認いただきました宇宙条約、あるいはその前に御承認いただきました核実験停止条約、そういったものにつきましては、すべての国が参加できる方式をとっております。したがいまして、そういう条約には、たとえばドイツの場合を見ますと、西独と東独と両方が参加する、あるいは韓国、北朝鮮、ともに入るというふうな可能性も常に開放されておるわけでございますけれども、遺憾ながらまだすべての条約についてそういう態度をとるというわけにはまいっておりません。これは、国連の組織あるいは国連と密接の関係がございます専門機関が主宰してつくる条約、こういったものは、やはり国連における代表権と切り離して加入方式を定めるわけにいきませんものですから、そういう国連における代表権問題の解決を待って、すべての国が参加できるような仕組みになっておるわけであります。  なお、中国につきましては、いままで、たとえば核停条約、宇宙条約、その他戦争における傷害者の待遇に関するジュネーブ条約というものがございます。こういった条約は、すべての国が参加できる方式をとっておりますけれども、中国に関しましては、たとえば国民政府が入る条約については絶対に中共が入らない、中共が入る条約については絶対に国民政府が入らないという関係になっておる。これは当然のことでございまして、中国は一つ、そういう立場から、すべての国に開放いたしましても、中共と国民政府と両方が入るということは絶対にあり得ない、この点だけは御了承いただきたいと思います。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 最後に言っておきますが、確かに中国は国連に加盟しておりません。わが国のいままでとってきた態度からいっても、非常にその点は複雑であります。しかし、最近の政府の姿勢からいっても、対中共問題については非常に前向きで取り組むべきである、このような情勢にもなっているわけでありますから、このようなすべての国が加盟したほうがいいという条約については、たとえ背景に複雑な問題があったとしても、前向きに積極的に今後国連において主張していっていただきたいと思います。要望しておくわけです。

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本件を承認すべきものと決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました     —————————————

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十一分散会

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