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第58回国会衆議院1968/04/05

外務委員会 第8号

発言数
88 件
登壇者
7 名
会派数
4
開催日
1968/04/05

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事の辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事戸叶里子君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事に石野久男君を指名いたします。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 日本国とシンガポール共和国との間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件、及び日本国とマレイシアとの間の千九百六十七年九月二十一日の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題とし、、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 両協定に共通した問題で事務的なことを大臣が来る前にお尋ねをいたしますが、これは要すれば中身は賠償協定なんですね。賠償とはいっていないけれども、戦争中の不幸な与件に関する云々となっていて、したがって、これは金額によって示された物資並びに役務で援助する形式をとっている。その積算の基礎として、やはり両国に対する不幸な事件の内容といいますか、特にそれの経済的換算は、どういうことを基準にしてどういうふうになさったか。それから、この折衝は相当時間がかかっておりますけれども、先方の主張並びにわがほうの見解、それらのアウトラインを概括して御説明いただきたいと思います。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 私、初めに、この両協定が先生のおっしゃるような法律的な意味での賠償協定ではないという点につきましてだけ御説明させていただきます。  実は、サンフランシスコの対日平和条約第十四条によりまして、連合国は日本に対しまして賠償請求の権利を持ちました。当時、マレーシア地域及びシンガポール地域は英国の領土でございまして、英国は、マレーシア連邦が成立するまでの間、一回も日本に対しましてこの条項に基づいての賠償請求権を行使したことはございません。それからまた、両国が独立するにあたりましても、従来英国が持っておりました賠償請求権を明示的に継承させるというような意思表示をしたこともございません。したがって、日本国といたしましては、このマレーシア、シンガポール両国につきましては、平和条約に基づきます賠償請求の法律的な権利は持っておりませんというふうに考えております。また、この交渉を通じまして、両国も、日本と同じように、法的な意味での賠償請求権は持っておらないということを前提といたしまして、話を進めた次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、不幸な事件と関連をしておるのはどういうわけですか。「第二次世界大戦の存在から生ずる問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認し、」云々ということですね。それから、先ほど申しましたように、この協定の中においては、第二次戦争中の不幸な事件に関する云々ということがあるわけですけれども、その不幸な事件の内容は一体どういうことですか、具体的に……。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先ほども、この協定が法的な意味での賠償請求権に基づく協定でないということは申し述べたとおりでございますが、この不幸な事件は、これは当時、戦争中マレーシア地域及びシンガポール地域におきまして、日本が占領したときに起きました事件をさしておりまして、実際上、法律的にいいますと、これら両国が英国の権利を継承いたしまして、本来ならば賠償請求の権利があったにもかかわらず、これを放棄したということでございまして、それに対する日本の償いと申しますか、そういうことで、将来の両国関係を考えて、政治的に解決したという性質のものでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 不幸な事件を早期かつ完全に解決することが望ましいという立場に立ってこの交渉が始まった、それで、金額によって表示されておる経済協力が始まる。そこで、それの積算並びに額の決定は、不幸な事件を解決することが基礎になっておるわけです。すなわち、不幸な事件の規模と内容です。そういう意味で、私は、両国に対して日本政府が確認をした不幸な事件の具体的な内容と規模、これを伺っておるわけです。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 不幸な事件ということばで表示されております具体的な内容は、シンガポール、マレーシア、双方にあるわけでございますが、シンガポールにおきましては、特に日本軍が占領いたしました直後、当時の戦争裁判その他の記録にもあらわれておりますが、中国人約二千五百名ないし五千名を殺害したという事件でございます。そのほかに、少数のやはりそういう不幸な事件があるわけでございます。  マラヤにおきましては、シンガポールほど大規模な固まったものはございませんが、地域が広い関係上、各地におきまして小規模な同様の虐殺事件が起きております。たとえば、セレンバン地区におきまして九百九十人の中国人が殺害された、あるいはマラッカにおきまして千五百人の人間を逮捕して一部分を死刑に処した、あるいはその他ボルネオにおきまして、ジェッセルトン地区におきまして同じような虐殺事件が起こっておる。こういう事件でございます。  これを金額に換算するということは非常にむずかしいわけでございますけれども、シンガポール側のこれに対する要求といたしましては、この殺されました家族に対する補償、及びこのほかに、占領軍が入りましたときに華僑から献金を求めた事実がございます。こういうものに対してのいわば償いということで言ってまいったわけでございます。当初シンガポールの要求も非常に膨大なものでございまして、(穗積委員「要求は幾らでしたか。」と呼ぶ)いまの献金の五千万ドルのほかに、さらに一億ドルというようなことを言っております。マレーシアのほうにおきましても、 シンガポールと同等ということで、一億以上というようなことを言っておりました。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは人命または人体に対する被害の不幸な事件ですね。ところが、その他、物に対するものはございませんか。これは向こうは言い立てていないのですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは特に計算して突きつけておるものはございません。先ほどの献金の分だけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 わかりました。  そこで、その問題を踏まえたあとでちょっとお尋ねしますが、ここで順序として、これが一種の経済協力協定のようになっておるわけですね。有償、無償、その形式は合意の上でございますか。賠償の形式でなくて、経済協力の形式をとったのは合意の上ですか、どちらの提案ですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 合意の上でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 両方から……。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 はい。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、平和条約とこの協定との関連は、先ほど高島さんの御説明のように、十四条はもうこれで消却するものですね。それは間違いありませんね。というのは、ここに完全かつ最終的な解決というふうになっておりますけれども、平和条約との関連がどこにもうたってないわけですね。それはどういう形式で証明されますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 本来、賠償でございましたら、当然平和条約に言及いたしまして、第十四条に基づいてこの協定を締結するということになるべきものでございます。したがって、これは先ほど申しましたとおりの理由で、平和条約による賠償請求という性質のものではございません。ただしかし、従来、日本とマレーシア、日本とシンガポールの間におきまして、そういう了解はあったわけでございますけれども、文書によって賠償請求の権利を放棄したという趣旨のことばは何らかわされておりませんので、せっかくこの際こういう協定を結んだ機会を選んで、その点を確認したいというのがこのそれぞれの協定の第二条の定めでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 第二条が、さっき私の言いました完全かつ最終的な解決をされたということですね。それが平和条約による賠償請求権をこれで消却するものであるという意味になりますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 第二条にございますとおり、第二次世界大戦の間の不幸な事件から生ずるすべての問題がここに完全かつ最終的に解決されるという意味は、戦争に基づく一切の問題がこれによって解決するものであるということを述べたものであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それについては、向こうとこちらで文書になっているものはここだけですね。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 さようであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それについては解釈の違いはありませんね。議事録か何か残っておりますか。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 交渉の過程におきまして、両国間で法的な賠償請求に基づく交渉ではないという点と、それからこの第二条の定め、これによって、戦争から由来する一切の請求の問題を解決するということにつきましての了解はございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 了解しました。  次に、ちょっとお尋ねいたしておきたいのは、シンガポールとマレーシア両国の関係並びに最近の情勢、特に政治路線と政治情勢、これについてちょっと説明しておいてください。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 御承知のとおり、シンガポールに先立ちましてマレーは独立したわけでございますが、その後マレーシアの結成のときに、シンガポールが合併いたしましてマレーシアとなり、その後約一年半たちまして、シンガポールとマレーシアが分かれたわけでございます。このときに若干両首脳者の考え方の相違があったようでございまして、どちらからのイニシアチブによって分かれたかという点は、依然としてはっきりいたしませんけれども、結局、シンガポールは中国人を主とした社会であり、マレーシアはマレー人のほうが勢力を持っている、そのようなことがしこりとなりまして分かれたというふうに私どもは見ております。分かれましたあとは、経済関係その他もやや疎遠になったのでございますけれども、最近は、マレーシアとシンガポールは経済関係その他でもう少し密接にならなければいかぬというような機運も出てきたやに見受けられますので、分離当時に比べますと、両国の関係は改善されているというふうに見ております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今後の見通しはどうですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 またシンガポールとマレーシアが合併するというようなことは当分起こらないと思いますが、ただいま申しましたような経済関係を主として両国の関係は改善に向かっていく。特にインドネシアとの関係が両国とも改善されましたので、この際両国の関係も改善しようという機運が出ております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 この両国の関係について、日本の期待といいますか、希望というか、そういうものはどういうことですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 私どもといたしましては、やはりシンガポールとマレーシアというものは切っても切れない関係にあると見ておりますので、この傾向が助長されまして、この地域の協力関係というものが出ていくことは非常に喜ばしいことだというふうに見ております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 次にお尋ねしますが、この両国にあった日本の国または国民の在外財産はどの程度のものでございますか。そうしてそれがどう処理されておるか。それから、それに関連をして第三点は、二十九億何がしの積算をする場合に、それがどういうふうに考慮されておるか。その三点について一括して御答弁ください。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 シンガポールにおきましては約二十八億円の在外資産があったと推定されております。マレーシアにつきましては約五十億の在外資産があったと推定されております。この財産は、戦後の平和条約に基づきまして処分されたわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 第三点の質問については、つまり、この経済援助の額を決定する場合に、これが考慮されておるかされてないか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 この額も考慮したわけでございます。しかし、この在外財産の処分と今回の経済協力と直接の関係はないわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 つまり、これは、どれだけにしろ、在外財産のこちらの旧権利ですね、それは、これを評価する場合にリストアップされておるということですか。つまり、向こうの請求額に対してここへ落ちつくというときに、その問題が討議され、そうしてそれが了解に達してこの額になった、こういうことでございますか、無関係ですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 実情は先ほど申し上げましたとおりでございますが、今回の協定につきまして、特に在外財産の額と今回の額と見合ったということはございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 日本側としては、これはどうでございましょうね。例の日韓協定の場合も、このことは問題になったわけですけれども、日本側としては、この在外財産の敗戦国としての処分は戦勝国にまかせるにしても、実質的には戦争処理のための経済援助、その額は向こうから請求があって、交渉の結果ここに二十九億何がしのものがきまったわけでしょう。そのときに、このことが考慮されたかされないか。すなわち、向こうの要求額をここへおろす場合に、ディスカウントする場合に、そのことをディスカウントの理由としてこちらから提案したかどうか、説明したかどうか、相手がそれを理解したかどうか、そういういきさつはどういうことでしょうか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは交渉の過程におきまして、わがほうの在外財産も終戦直後において処分されておるという点は、一般論として議論はいたしておりますけれども、これによって幾ら差し引けとか、あるいはその計算が幾らになるという具体的の数字については、結びつけてはおりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それから、もう一つ事務的に伺っておきますが、これで終戦後のわが国の戦争処理に関する問題、形式は経済協力であろうと賠償であるとを問いませんけれども、それがまだ未解決で残っておるのは中国だけでございますか。そのほかにまだありましょうか。ほとんどこれが最終でございましょうか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 私どもは最終であると思っております。実はモンゴルとの話のときに、モンゴルに請求権があるということを向こうは言っておりますけれども、私どもはそれはないと思っておりますので、これが最終ではないかと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 モンゴルの問題、中国の問題は、これはこれからのことですから、向こうは向こうの言い分がありましょうし、こちらはこちらの考えでいくのですけれども、戦争当時に近隣の相手国に影響を与えた国でまだ未解決になっておるのは、その二カ国だけということですか。そのほかありますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 そのほかございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで、大臣、お疲れのところでお気の毒ですけれども、条約を承認しようということですから、念のために伺っておきたいのですが、先ほどお聞きのとおり、われわれの理解も全く同様でありますが、両国からのこの終戦処理としての要求は、おもに華僑その他の人民に対する人的な加害に対する請求を意味しているわけです。ところが、今度の経済援助の形式によるものは、供与によるものは、これは必ずしも直接償いの意味を持っていないわけですね。国の経済開発の計画にのっとって、そしてわが国がそれの計画に同意を与えて、これを物または役務で供与していこう、こういうことになっておるわけですが、そうなりますと、ことばは別ですけれども、根源は賠償という思想が根底にあるわけですね。そうすると、額のことは別として、支払いの対象並びに効果、これは大体直接被害を受けた人民大衆に及ばないということに、いささか矛盾を感ずるわけです。その点についてはどういうふうに御理解になっておられるのか。この処理でいいとお考えになっておられるか、その点に対しての疑問について外務省のお考えを伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これはそのときの被害というものもなかなか正確な調査ができてないのです。それを広く被害を受けた人に還元するというのは、それも一つの行き方でしょうが、しかし、国として、それは経済協力であっても、これの根源にはそういう償いの考えがあるのですから、直接じゃなくてもやはり還元していくような形でやることが実際的じゃないでしょうか。直接にそれを償えといっても、末端までいくと非常に零細なものにもなるし、また、それの実際の調査というものが不正確である。シンガポールはこれからですから、なるべくそういうふうに国民に対して利益といいますか、それ、が得られるような方法がわれわれとしても好ましいと思います。シンガポールがどういう物資あるいは役務などを言ってくるか、これからの問題で、私ちょうどシンガポールに参りますから、その気持ちはごもっともですから、そういう話も相手方といたしてよろしいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 特に漏れ承りますと、被害を受けた華僑の諸君が、日本の終戦処理責任についてきびしい原動力になっておるようにわれわれは聞いておるわけです。そうなりますと、国際法による基本的人権から見て、国際法上の国家だけでなくて、被害を受けました相手人民も、侵略または加害国に対して請求権があると私は思うのですよ。これは日韓の協定の場合も議論をし、特にあのときには、北朝鮮の政府並びに人民の請求権問題に関連して議論があったところでございますけれども、そうなりますと、今度のが直接社会福祉のためであるとか、それから労働の機会をつくる、社会の開発のためということであれば、やや総体的に被害大衆に対して関係がありますけれども、これは結局両国が合意の上で立てるところの今後の経済計画によるわけですね。これはまだきまっていないわけですけれども、ただ、マレーシアの場合に、船が二そうでしたか三そうでしたか、これだけはさまっておるわけですから、それ以外は両代表の合意によって経済計画が立てられる。そのとき、やはり請求権のオリジン、根源というものは、被害を直接受けた人民大衆にあるものだと解釈すべきだ。それはだれがどういうふうに、幾ら、どの程度の被害を受けた、それが経済的に換算すればどの程度の賠償請求権があるというふうなことはほとんど不可能でございますから、したがって、いま言ったように、包括的に相手国政府を通じて人民に対する賠償、補償もやるんだということ、そうなると、ここにこれから具体的な方法として、交換公文の中にありまする実施項目に対する問題が、非常にこれは手続の問題ではなくて内容に関連してくるわけですね。私ども実は率直にいいまして、この戦争処理、被害補償のような意味での処理については、人民に対する補償あるいは償いと遊離して、そして一部の支配権力あるいは階級がこれを経済的に利用して、独占をしていくという点が一点と、それから、これの実施にあたって、日本側ないしは相手側で特に未成熟な国であれば、そこに非常に経済的ロスというか、政治的な腐敗、汚職の根源にすらこういうものはなっておる。これは実に非人民的な賠償、補償のしかただというふうに、私どもはその二点について特に抵坑を感ずるわけです。そういう意味でお尋ねするわけですから、したがって、政府としては、やはり最終の賠償というものは、人民大衆そのものに償いになる結果をより多く持ち来たすような計画に対してこちらが方針を持たなければいけないのではないか、こういうふうに思いますが、大臣からまあ抽象的な気持ちというか、原則でけっこうですけれども、ちょっと伺っておきたいと思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も気持ちでは同様に考えています。もとがそういう被害を受けた人に賠償するという事柄ですからね。だから、全体として国民福祉に役立つようなことであることが一番日本の経済協力の趣旨に合うのではないかというのは、私も同感に考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それから、簡単に順を追うて、この協定、公文に従ってお尋ねをいたします。  シンガポール協定の場合に、「特別の条件」というのがありますね。「無償供与としての二千五百万シンガポール・ドル及び特別の条件による借款としての二千五百万シンガポール・ドルからなる五千万シンガポール・ドル」こういうふうになっておりますが、この後段の「特別の条件による借款」というのはどういうことですか。どういう条件ですか。これは事務当局からお答えいただいてけっこうです、技術的なことですから。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは最近タイあるいはマレーシア等に供与いたしました円借款と大体同様の条件によって供与するという考え方でございまして、この細部につきましては目下交渉中でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、この具体的な条件の内容についてはまだ未確定、これから実施にあたってやるということですか、そういうことですね。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 基本的な条件については合意しておりますが、細部の問題についてはこれから詰めるということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 次にお尋ねいたしておきたいのは、第一条ですね。第一条三項「日本国政府が同意することのある計画のために使用されるものとする。」同意、不同意の基準はあるのですか。担当セクションまたは担当官吏の恣意的なものによるのでしょうか、ケース・バイ・ケースで。同意する、同意しないの基準、ある意味では拒否権をここでとっておるわけですが、これに対してはやはり一定の客観的な基準というものがなければなるまいと思うのですが、いかがですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは先ほど先生が御指摘になり、また大田がお答えになりましたとおり、できるだけこの地域の住民の福祉に役立つために両国でいいものを選ぶという趣旨でございますが、やはりこの受益者でございまするシンガポール側がまずイニシアチブをとって計画を提示する。それに対してわがほうで、先ほど申しました趣旨からけっこうであるということになって同意するというものでございますので、非常に趣旨に反したようなものにつきましては、日本政府から異議を申し立てて計画を変更してもらうということになるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 日本国政府が同意することのある計画または両国政府が合意する計画云々ということになっておりますね。その場合に、合意をした計画そのもの、同意をした計画そのものが、計画どおりに行なわれておるかどうかということに対しての追跡権はありますか、相手の実施のプロセスの中で。プログラムだけについて発言権があるのか。その同意を与えた、または両方が合意をしたそのプログラムを相手政府が実施するわけでしょう。相手政府の責任において実施するわけですね。それが合意をいたしました、または同意を与えたプログラムと違った実施が行なわれておる、そういう場合に、日本はいかなる権利を留保してありましょうか。それはないのでしょうか。この同意の中の具体的な内容についてお尋ねするわけです。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは計画の段階におきまして、どういうものをつくる、そのどういうものがどういうふうに使われるということが提示されるわけでございますので、その段階において同意いたしますから、その非常に違って使われるということはちょっと考えられないわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは、この計画は年度別でしょう。それが時間的に見ても、条件から見ても、遅滞されたり、あるいは違った方向へそれたりした場合に、日本はそれに対して何らかの形、何らかのウエートを持って発言権があるかないかということを聞いておるわけです。私は、追跡する権利または権能が残されておるかどうかということをお聞きしたいわけです。同意を与えたのですから、その同意どおりに実施されていないものに対しては、これは異議を言い、あるいはアドバイスをし、それはいろいろあると思うのですよ。あるいは提示をしてもらう、場合によれば修正変更してもらう、実施の過程においてですね。それでなければ同意の意味がなくなるわけですから、同意は、これはプランメーキングのときだけ問題なのか、実施まで追跡することが含まれておるのかということを伺っておるわけです。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは追跡権と申しますか、先生のおっしゃったようなことはあるわけでございます。これはこの契約に至りますところで、この契約をする場合に、実施計画に合致するものでなければならないという規定がございますので、当初の合意と違ったものになりますれば、その段階においてチェックすることができると思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 つまり、アドバイスし、変更を要求し、督促をする権限が残されておる、それをもし相手が行なわない場合には、次年度の計画のときにまたそれでチェックすることができる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね、その追跡権の内容については。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 契約の段階でチェックできますので、おっしゃるとおりになると思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それから、その次に問題は、これは日本側のことでございますが、交換公文によりますと、交換公文の第三パラグラフをちょっと見ていただきたい。よろしゅうございますか。第三の第二です。それに「日本国政府は、前項にいう契約」——これは直接契約になりますからね。相手国の政府代表と日本の法人または個人業者との直接契約になるわけですが、そこで「前項にいう契約の締結を希望する日本国の国民及び法人に関する情報を、」 「シンガポールの当局」または「マレイシアの当局に提供するものとする。」と書いてある。ここである意味では、「情報」ということになっておりますけれども、おそらくは向こうが業者の選択の手引きになることになると思う。そうすると、この「情報」が、日本政府の手によって、その契約相手候補者の企業または個人に対する選択権が、実質的に行なわれるわけでしょう。そういうことにならざるを得ないと思うのですね。そうなると、この実施に伴って日本側の法人または個人業者を選択する基準、これが日本政府になければならない。ところが、最近、防御関係の買い入れについて非常に世間を震駭するような黒い霧の動きを示したり、その防衛官が自殺しなければならぬ、逮捕者を出すというような事件まで出ている。だから、日本政府と国民との関係、こういう清らかな精神にのっとるべき経済供与がそういうことに利用される、あるいはスポイルされるおそれがある。これは第三項——第三条か知らぬが、第三の第二項というものは、ちょっとそういう意味で、ここでは情報を提供する云々になっておりますけれども、実質的に選択権を含むということになると思う。そうなると、一定の基準というものがなければならぬ、そう思います。それともう一つは、これはどこがやりますか。外務省ですか、外務省でしょう。通産がやるのですか、大蔵ですか、あるいは共管ですか、明瞭にしていただきたい。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは第一項にありますとおりに、あくまでシンガポールが直接に契約を締結するものでございます。ただ、その際に、もし要請がありましたならば——「要請に基づき」と書いてございます。シンガポール側において要請がありました場合には、なるべく計画がうまくいきますように当方から情報を提供するという規定でございますので、あくまでシンガポール側が主となるわけでございます。万一要請がありまして、情報を提供するような場合には、外務省が関係各省と相談いたしまして、公平妥当な情報を提供するつもりでおります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そのときに、公平妥当であるというためには何か事前にものさしがなければならぬ。いま左での賠償その他の経済供与に対する実施の例を見ますと、その条約、協定または交換公文の審議のときには、いまおっしゃるとおりきれいごとの御答弁ですけれども、あとで伺うと、私はあまりそういうことをせんさくしたり調査をいたしておりませんが、マスコミを通じましても、あるいは同僚の議員諸君のいろいろな話を聞きましても、この公正妥当であるべきものが非公正非妥当に、しかも園児の税金ですから、これが実にむだに、かつ非道徳的に使われておるというような例を見る。さらに相手国に対しましては、向こうがちょっと日本の業者にひっかかるような場合も出てくるわけですね。手抜き工事をやってみたり、あるいは間接費をむだに多く使わしてみたり、いろいろなことがあり得るわけですね。そういう意味で、私がいま申しました基準というものが客観性がないと、そして監督権がちゃんときっちりしていないと、これは非常に好ましくない結果がいまの情勢の中では心配されるという意味でお尋ねするのですから、もう少し具体的に確信のあるところをお示しいただきたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これは、実は先ほどからお話がございましたように、まだプロジェクトについてきまっておりませんので、どういうプロジェクトが出てまいるか、それによりましてどういう業界が関与するのかという点もまだ全くきまっておりません。おそらくいろいろなプロジェクトによりましては違った形になると思いますので、具体的なプロジェクトが出てまいります場合は、ただいま御指摘のような点を十分注意いたしまして、絶対にそういう忌まわしい事件が起こらないように厳重に注意してまいるつもりでおります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっと不十分ですが、これから私どももこの実施のプロセスの中で注意を喚起して、そうして報告を受け、あるいは場合によれば実情を調査いたしまして、このことについてはまたあらためてお尋ねをし、意見を言うことにいたしましょう。  最後に、大臣にお尋ねいたします。私は、こういうような賠償または経済協力あるは開発国に対する援助に関して、二点についてお尋ねした  一つは、自力更生を非常にスポイルする。やはり経済の復興というのは、自力更生ということが基本でなければいけないと思うのですね。こういう他力依存をして経済を開発しようとすると、これはややもするとむだ使いになる、あるいは汚職に通じやすいというふうな事件が起きてくるわけですね。したがって、この計画の実施については、自力更生の問題についてきちっとしたこっちの態度がないといけないのではないか。したがって、ここに三年ないし事情によっては長期の期間において均分ということですけれども、これは全体としてある一つの計画をなさる場合に、総合的な長期のプログラム自身を求めて、そうして物資または役務を提供いたしましてもそれが地につかないような計画が立てられると、これは経済効果もありませんし、かえって援助にならない結果になりますから、そういう意味で、なるべく計画については地についた自力更生を主眼とする援助供与の体制ということを基本の原則として、日本政府としては親切に考えるべきではないかという点が一点。  それからもう一つは、東南アジア諸国においては、これはベトナム戦争の成り行き、あるいはイギリスがシンガポールから引き揚げるというような軍事的な問題等々、そういう情勢から、東南アジア諸国間における政治路線の問題がこれから非常に重要な意味を持ってくると思うのです。そのときに、この協定はむろんひもつきではないですよ。いまいった計画に対して合意権、合意の権利を保有しておるだけであって、それを通じて政治路線について干渉をする、あるいはひもをつけるということは、どこにもないわけです。しかしながら、われわれが心配するのは、そういうことが行なわれる危険がないとは限らないわけですから、それに対して、あくまでことばだけではなくて、実施の運営の中で、政治的ひもつきにならない。民族の自決の原則に従っていくべきである。自力更生と自決、この原則というものをこの際政府の援助供与の原則として確答をしておいていただきたいということを期待してお尋ねするわけです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ごもっともな話で、やはり低開発諸国が自力で更正、自力で開発をやっていこうということが出発点になることは、これは申すまでもないことであります。今日わりあいそういう機運が高まっておるということは事実ですね。諸外国の援助といっても、そんなに希望するように援助はきませんから、やはり自分でやらなければいかぬという機運は、いままでよりも高まってきておることは事実です。しかし、御指摘のように、自力で立ち上がる、これが出発点であることは言うまでもないことであります。援助がそういう機運を助長するような援助であることが好ましいと思います。また、政治的にも、そういうものは、御指摘のように、やはりその国民がイニシアチブをとって政治路線——援助して路線を変えるということは邪道ですから、御指摘のとおりに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 最後に、これはマレーシアだけの問題ですから、局長か参事官に御答弁いただいていいと思いますが、シンガポールの場合と違いまして、マレーシアについては、第一条の第三項で「外航用の新造貨物船二隻」となっておりますね。これは特に向こうのどういう必要によってどういう要望が出されておるのか。それからそのトン数ですね。それから金額、発注の予定メーカー、これがわかりましたら、一括してお尋ねいたしますから、すべてお答えをしていただきたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 これはマレーシアにおきましては、産品を外国に輸出します場合に、現在のところ全然外航船を持っておりません。主として英国船その他外国船によって貿易しておるわけでございますが、そのために支払う外貨が非常に巨額に達しておるので、ぜひ自分の船をもって貿易をいたしまして、外貨の節約をはかりたい、海運の助長の核心として今回の船を使いたいという希望から出たものでございます。トン数は、ただいまのところ一万トン級の船ということになっておりまして、まだ具体的に計画に入っておりませんが、一万トン級の貨物船二隻、金額は大ざっぱな見通しでございまして、大体二千五百万マラヤドルの見込みで、残余はほとんど少ないものになると考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 メーカー予定……。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 したがいまして、まだ全然具体的になっておりませんので、メーカーその他につきましては全然話が出ておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いや、先ほども言ったように、日本側で何か腹づもりがありますかどうかということです。向こうは日本の市況については必ずしも実情をよく知らないと思うのですね。ですから、日本側にアドバイスを求めるのが、いままでのいろいろな賠償その他の実施にあたって経験したことですから、そうすると、日本の政府のアドバイスで大体きまる。これは私念のために伺っておきますが、その場合に、公開入札で御指導になるのか、あるいは指名で直接契約で御指導になるのか、そこらをちょっと念のために……。これは向こうは非常に急いでいるのでしょう。だから、もしそれはあとで変更されてもけっこうですから、担当の外務省としてのお考えがあったら、この際あらかじめ明らかにしていただきたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 まだ細部そこまで相談に入っておりませんので、私どももメーカーその他一切現在のところ考えておりません。条約が成立いたしましてから、さっそく話し合うことになっております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは、契約の形式は競争入札ですか、指名入札あるいはその他、いままでどういうのが慣例ですか、実情は。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 マレーシアとの直接契約ということだけ規定してございまして、競争、指名につきましては規定してございません。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 曾祢益君。

曾禰益民主社会党

○曾祢委員 二つの協定について、一点だけ伺っておきたいと思うのですが、それは二つの協定の中で一番重要な相違点と認められるのは、第二条の点であります。シンガポールのほうは、御承知のように、「第二次世界大戦の存在から生ずる問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認し、かつ、同国及びその国民がこの問題に関していかなる請求をも日本国に対して提起しないことを約束する。」こうなっておりまするのに、一方、マレーシアとの協定の第二条は、このことに関して、「第二次世界大戦の間の不幸な事件から生ずるすべての問題がここに完全かつ最終的に解決されたことに同意する。」確認する、同意するは実質的には同じといたしましても、同意するとピリオドを打つ、要するに、完全かつ最終的に解決したということは合意されてはおりますけれども、やはりシンガポールの場合のように、むしろ、したがって同国及びその国定がこの問題に関していかなる請求をも提起しないことを約束する、これは、この種の問題の解決の普通のフォーミュラからいえば、当然なくてはならない字句だと私は思うのです。完全な解決、したがって、請求権の放棄というか、あるいは請求を提起しないことの約束、しかるに、何ゆえにこのマレーシアの場合にはこれがないのであるか。これが両者の間の実質的な相違にならないかどうか、この点についての外務大臣のお考えを伺いたいと存じます。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先生御指摘のとおり、両協定の第二条に関する規定ぶりは違っております。私どもといたしましては、シンがポールの第二条と同様なことでもってマレーシアの協定交渉にも当たった次第でございますけれども、内容につきましては、このマレーシアとの協定の第二条で、われわれが希望しておる内容は一応完全に規定されておると考えております。ただ、このシンガポールの第二条のほうは、したがって、今後この効力発生の後は政府も国民も請求をしないということの確認でございまして、本来マレーシアの協定の第二条だけで十分であるというふうに考えております。ただ、希望といたしましては、シンガポールの協定と同じような規定がマレーシアの場合もなされるほうが望ましかった次第でございますけれども、これはマレーシアの国内事情がございまして、特にマレーシアの華商連合会の立場が非常に強うございまして、この協定ができましたときに、特にラーマン首相に対しまして不平不満が述べられた事情がございます。当時これに対しまして、特にラーマンから華商連合会に対しまして特別に書簡を出されまして、華商連合会の立場には関心を持つが、対日補償要求には法律的根拠のないことを理解すべきである、日マ友好関係及びマレーシアの国際的地位にかんがみて、華商連合会が政府の下した解決を支持するように要請する、そういう要旨の手紙で、特に華商連合会に対して説得に当たった事情がございます。そういういろいろな事情がございまして、特にマレーシアのほうでは、政府とこの華商連合会とのいろいろな関係から、もしシンガポールと同様な規定を書きますと、いかにも従来マレーシアに法的な賠償請求権があったのを、この際この協定によって放棄せしめられたという印象を与えることによって、政府の華商連合会その他国民に対する説得に非常に困難を生ずるという特別な事情がございまして、内容につきましてはシンガポールの協定と同様にマレーシア政府も理解しておるということの確認を得た上で、特にこのような規定ぶりに合意した次第でございます。でありますから、内容につきましては、マレーシアの協定もシンガポールの協定も、政府の間には何ら誤解はないというふうに考えております。

曾禰益民主社会党

○曾祢委員 そういたしますと、政府の見解では、両協定の間に実質的な相違はない。特に、これは私の記憶の違いかもしれませんが、マレーシアのほうも大体シンガポールと同様な協定をつくろうと努力され、あるいは一時その案ができたのに、華商連合会の反対のために行き詰まって、それを打開するために、この請求権のほうを落っことした、そういうような経緯はなかったのですか。そういうことはなしに、そこまでいかないで、ただかえってそういう請求権のことを書くと内部の説得が困難になる、請求権があるのにこれで落としたというふうにとられて、説得に当たる首相の立場が困るので、そこまで最後まで煮詰めないうちに、請求権の放棄の部分はわれわれのほうとしては強要しない、そしてさらりと、請求権放棄に触れないで、しかし、完全かつ最終的解決ということで、法律的にはもう一点の疑いもない、請求権がないということははっきりしておるのだからというので、こういう案文になったのか、一たんシンガポール方式になって、それがごたごたくずれて、それで直したのか、その点はどうなんですか。これはやはり外務大臣からお答えをいただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これはいろいろな紆余曲折があったのですよ。最終的にはこのようになり、しかもこの点は、請求権というものに対して疑念はない、こう考えております。

曾禰益民主社会党

○曾祢委員 先例から見まして、こういうようなクレームに関する紛争の場合には、ただ最終解決というだけでは足りないからこそ、したがって、請求権の放棄とかあるいは請求権を提起しないということを書くのが通例だったと思うのですね。しかし、それをのかしてもだいじょうぶなんですか。理屈から言えば、先ほどの穗積委員の質問に対する御答弁にもあったように、この請求権は初めからないのですよ、サンフランシスコ平和条約の厳重な解釈からいえば。しかし、問題は残っていたのですね。したがって、取り上げて、もう一ぺん、言うならば経済協力という形で政治的に解決をされようとしたわけですね。しかも、その場合に、もう一ぺん最終解決だというなら、今度こそは請求権放棄というようなことぐらいをはっきり——請求権放棄といったら、権利があるからいけない。請求を提起しない、けっこうです。ただ最終解決とするほかに、請求を提起しないということを約束する、私はこの書き方は非常にいいと思うのです。請求権あるなしにかかわら、ず請求しないということを約束する、政府が国及び国民にかわって。もともとそれぐらい書いておくのはあたりまえなんですよ。これはもう一点の疑いもないと思うのです。しかし、政府の見方では、いま高島参事官が読まれたラーマン首相の非常な説得によって、とにかく華商連合会に、もともと請求権はなかったんだよ、気持ちはわかるが、こういう手紙を出し、そして、この協定の中には請求を提起しないということを書いてないが、最終的解決ということでもうだいじょうぶなんだ、確信を持っておるから、これでひとつだいじょうぶだ、通してくれ、こういう御意見であるか、もう一ぺん大臣から伺って、私の質問を終わります。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 そういう確信のもとに御承認を求めておる次第でございます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 伊藤惣助丸君。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 私は、いままで質問がございましたので、一問だけ外務大臣にお聞きしますが、シンガポール及びマレーシアの経済状態と今後の貿易の見通しについてという問題があると思いますので、その点ひとつお伺いしたいと思います。

小川平四郎外務省アジア局長

○小川政府委員 シンガポールは、御承知のとおり、主として中継貿易の地帯でございますが、最近だんだんと産業が興ってきております。シンガポールに対しましてはわが国が大体出超であります。そこで、シンガポールからの輸入をはかる必要があるわけでございますけれども、今回の協定によりまして各種のプロジェクトができるということは、この意味におきましても、貿易の改善の機会を与えるものであるというふうに考えております。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いまアジア局長が答えましたように、シンガポールとの関係というものは、日本の出超にはなっていますけれども、やはり日本の企業もあそこにいっておるのもございまして、いろいろな意味で、シンガポールとの経済関係というものは密接になっていくものだというふうに見ております。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  両件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 起立多数。よって、両件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次回は、来たる十日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時五十六分散会

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