P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ ☆
第58回国会衆議院1968/03/13

外務委員会 第3号

発言数
46 件
登壇者
6 名
会派数
3
開催日
1968/03/13

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  この際、帆足委員より発言を求められております。これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ものごとのけじめを一つずつつけますために、先般の穂積委員の発言に対しまして御承知のような問題がございまして、秘密理事会等を開いて御審議いただいたことも、報道並びに各理事を通じて承っておりますけれども、この際、委員会におきまして、正式にこの外務委員会として、また外務委員長としてのお取り扱いのほどを承りたいと存じております。  実は、この外務委員会から分かれました沖繩特別委員会で、私は、さきにあることばを申しました。それは、米軍は東京では紳士のごとくふるまっておるけれども、沖繩ではギャングのごとくふるまっておるということを申しましたところ、それは事の一面に触れておるけれども、委員長において適当に善処するというおことばがありましたので、そのように取り扱いが進みました。議員の発言というものは、時として勢いの激するところ、老練練達の、なくなりました吉田前首相も、大学学長に対して曲学阿世の徒と言い、そしてわれわれ民衆に対して不逞のやからというようなことばを使ったこともありますが、言論自由の場所でありますから、あえてわれわれはそういう失言をとがめませんでした。同時に一面、くちびる寒しでありまして、ことばを注意いたさねばならぬことはもちろんのことであります。  このたび、沖繩八十万の同胞が、戦後のいきさつによりまして外国の手に移り、そして、これにつきましての形容詞といたしましてただいまのような話がございました。領土、国民が外国の手に移っている、これに対して十分な措置がなされてないから、これに対する穂積君からの発言がありまして、この発言につきまして委員長は、もし不穏当なことばがあったならば適当に善処するという適切なおことばがありまして、穂積君もそれならばということで了承したように伺っております。その後、取り扱いはいかがなりましたか、正式に委員長殿から承りたいと思う次第でございます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 私からお答え申し上げます。  先日の穂積君の発言中には不穏当な言辞があったように思われましたので、委員長といたしましては、何とか当委員会の中で円満に解決をいたしたいと考え、去る八日、秘密の外務理事会を開いて、終日いろいろと御審議を願ったような次第でございます。しかし、不幸、その段階では話は妥結するに至らなかったのであります。そのため、諸君御承知のとおり、懲罰問題が新たに出てまいった次第でございまして、委員長といたしましてはまことに遺憾に存じておる次第でございます。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 昨日の予算第二分科会におきまして、私は三十分の質問時間をいただきました。しかし、遺憾ながら大臣においては七分しか御在席の余地がございませんでしたので、私はそれを了といたしました。そこで、残っておる時間に次官、局長殿から納得のいく御答弁が伺えると思っておりましたところ、大臣御不在でありましたために、鬼のいぬ間に洗たくとやらいうことばがありますが、聡明な大臣がおられぬので、各局長の方からまことに残念な態度で御答弁がありまして、平素もの腰穏やかなこの私が、十七年の議員の経歴において初めて怒髪天をつく思いがしたのでございまして、これは議員を侮辱しておるとまで私は申したのでございます。そこで、敬愛する大臣に、このことを議員の権威としても、また外務委員会の権威にかけて一言申し上げたいのでございます。  朝鮮人帰国問題に連関してのことでございましたけれども、現在五十八万の朝鮮人が流離の民として、植民地時代のあとの雪解けとして日本に滞在いたしておりまして、逐次家庭の事情等によりまして、水の低きにつくがごとく、谷川の流れのごとく、国に帰る者があとを断ちません。これは客観的社会的事実でございます。いつぞやベスロンのプラント輸出が突如としてストップになりましたけれども、機械はもの言わず、しかし、人は生きておるのでございますから、たれか故旧を忘るべきでございまして、帰ろうとする人たちは、統計学的に見まして月百人を下らないというのが自然現象でございまして、協定の登録有効期間内に一万七千人の登録も行なわれております。かりに半分といたしましても、一万人前後の人が帰国を急いでいることはほぼ察しがつくのであります。  大臣が御承知のように、私は六歳のときから十六歳まで、平壌中学に父に連れられておりましたために、朝鮮の事情はよく存じておる者の一人でございます。  さて、国交の回復が遺憾ながらございませんために、現在帰国の道が閉ざされておりまして、私がこのことを質問いたしますと、香港を通って帰れというのが第一の答弁でありました。これは人をばかにした答えでありまして、香港を通ってヘルシンキ、モスクワからイルクーツクへ行くのか、香港を通って火と燃える紅衛兵の間をくぐって、どういう径路で一体平壌にたどり着くのか、私はこういう答弁はほんとうに遺憾なことと思いますが、これは一年前のことです。  昨日のことはどういう答弁をしたかと申しますと、ナホトカ航路またはマル特船で帰ればよいと言うのです。ナホトカ航路から帰った特殊の人が一人、二人おりまして、特殊のパトロンのおる人または亡命の人であったかとも存じますが、こういうラクダが針の穴をくぐるがごとき特殊の例は一、二ございますけれども、ナホトカ航路と申しますのは、ツーリストのモスクワ行きの航路でございまして、健康診断をし、じょうぶなジャーナリスト、貿易商、ツーリストが通う通路でありまして、これが朝鮮に参るとなると非常な苦労でありまして、その航路の実情すら政府はわきまえておりません。私がお教えしますからといって、イルクーツクを通って、イルクーツクから飛行機を待たねばなりませんけれども、天候のかげんにおきましてイルクーツクで何泊もせねばならぬこともございます。中国の中を通って平壌に着くのでございますから、難民、すなわち妊産婦、病人、高血圧者、乳幼児等を連れた、しかも貧しい人たちが、五十人も百人もイルクーツク経由の飛行機で行けるはずもありません。汽車で行こうとするならば、またビザの問題も生じておりまして、微妙な国際情勢の間にあることも、大臣は御承知のとおりでございます。また、金銭に換算いたしますと、十数万ないし二十万の金がかかるおそれもあるのでございます。流離の民の締めくくりとして、日本で生活保護をさえ受けておる貧しい人たちの多いこの帰国問題に対して、このような答弁を外務委員に対してされるということは、私は、これは委員会に対する一種の侮辱を意味するのであるまいかと注意を促しましたけれども、小川局長はまずまず良識ある答えをなさいましたけれども、入管局長に至りましては、入管局長は代々外務省出身の方がなっておりますが、不幸にして交通事故のために長らく欠勤しておりまして、笛吹というこの人は、世間のうわさでは軽い精神分裂症ではなかろうかといううわさがもっぱらでございますけれども、しかもたびたび……(「個人攻撃はやめろ」と呼ぶ者あり)個人攻撃でなくて、これはゆゆしい問題であると思います。そして、それが昨日の分科会で立証されまして、彼は、マル特船並びにナホトカ航路で帰れるからということを繰り返し繰り返し、大臣がお帰りになったあと二十分にわたって同じことを言うのです。そこで、あなたは大学を出たのか、学歴詐称の人間が入り込んだのではあるまいか、ひとつ身元調査までしなければならぬとまで丁寧に申し上げたのでありますが、反省の色が見えません。さらに、マル特船というのがあると申しまして——朝鮮行きの貿易船でございます。一番大きいのがかろうじて十人入れる松濤丸というのがございますが、これは船長の特別の許しを得まして、そしてジャーナリスト、貿易業者または相当の知名の人ならば乗せてもらうことが間々できるのでございますが、その他の船に至っては二、三名しか乗ることができません。また、病人、高血圧者が乗って病気になりましたときは、船医もおりません。げろを吐きましても、船員が始末をするのもたいへんですから、海員組合においてもこれに対しては注意を促しておりまするし、船主協会におきましても、集まりまして、どのくらいの人員を収容し得るかという相談をしましたが、とうてい見込みがない。と申しますのは、出国のパスポートをもらいます、ビザ証明書をもらいますのには、何日出航の予定の何という船に乗るということも書いて出さねばなりません。貨物船の場合には、いつ出るか、船荷の都合、しけの都合、また船主の都合で、どこの港に立ち寄るかもさだかならぬ場合も多いのでございます。したがいまして、二人、三人の除外例は、帰国問題の起こる前にもそういう除外例はありました。しかし、その除外例をもちまして、百名、二百名、千名、二千名に達する帰国者がそれに乗っていけばよいではないかというような答弁を外務委員に対してなさることは、単に野党の議員に対する侮辱であるだけでなくて、与党の議員を含めて国会議員そのものに対する侮辱であると私は思うのでございます。これはよしあしの問題ではありません。国交がまだ開かれず、定期航路が開かれず、マル特船といってもほとんど乗船不可能であり、ナホトカ航路といっても、これは朝鮮航路でなくてモスクワ航路であって、ほとんど満員のジャーナリスト、貿易業者が乗っておる現時点、これは事実の問題であります。ただ、そういう事実に立って今後どうすればよいかということについて、政務次官から、帆足さんの言われることは、その事実は私はよくわかります、したがって、これに対して赤十字及び赤十字精神をもって従来善処してきたけれども、今後緩急よろしきを得てその道を開きたいという気持ちを持っております、それには時期も選ばねばならず、方法もさらに深く突き詰めていきたいと思っておりますという、良識ある政務次官の御答弁でございました。しかし、かんじんのビザ、パスポートを取り扱っております入管の局長代理の人が、帰ろうと思えば幾らでも帰れるじゃないかということをたびたび言って、二十分も私をてこずらしたのでございますから、大臣から適当な御処分、また注意を促しておいていただきたい。これは地理学に対する知識は全然ございませんから、学歴詐称かどらかも一応お調べになる必要があるのではあるまいか。私がきのう二十分どのようにいやな思いをしたか、大臣からひとつ御答弁をいただいて、下僚の諸君に対して御訓戒のほどをお願いいたします。  また、課長殿でありましたか、小川局長に対しまして耳打ちをしてせっかく進言をしておりましたけれども、この課長さんの勉強も、まだお若くて、地理学のほうにまでまだお心が回っていないようでありまして、ナホトカがどこにあるか、ハバロフスクがどこにあるか、ハバロフスクから先の航路というものはどういうものがあって、どのように困難であって、どのように冬は寒く、どのように飛行機代が高いものであるか等、全く御存じないのです。そういうことを知らないで、五十八万人の朝鮮人のうち相当数の人が帰国するというこの重大な人道問題、同時に、政治的雑音に囲まれた問題に対して、よき行政官としてまじめに取り組むことは、私は不可能であると思います。勉強不足を実に嘆くものでございます。大臣にこのことを率直に申し上げまして、御注意のほどお願いいたす次第でございます。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私はちょうど帆足さんの質問中おりませんでしたが、十七年という長い議会経歴を持つ、もの腰の穏やかな帆足さんを興奮さしたとすると、まことに残念に思う次第でございます。御承知のように、北鮮の帰還の問題は、八年という長い期間を通じて努力をしてきたわけでございますが、いまだ相当に帰国を希望する人が残っておるという事実がございます。これに対して、コロンボの会議が決裂して、その後、どういうふうにするかということは、まだわれわれとしても相談をしてないわけであります。政府としては、協定を結ぶという考え方は持っておりません。しかし、何か帰る人に対して政府のできることであるならば便宜をはかるということは必要でありましょう。したがって、まだ政府として相談もしておりませんでしたから、そういうところに帆足さんを興奮さした原因があるのかと思う次第でございます。この問題は、われわれとしても、現在の時点で政府として可能なことは考慮いたしたいと考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私がお尋ねいたしましたことにつきましては、きのう政務次官から御答弁があったことで了承しておりますが、いまお尋ねしたのは、帰る方たちが、国交がないため、旅客船がないため、現在ほとんど九九%帰国が閉ざされておるというファクト、このファクトを各行政官殿がごまかされるから、この事実は事実として認めて対策を考えていただきたい、でないと方途を誤る、このことを申し上げたのでございます。すなわち、帰る道は、現在のところ九九%ないということ、その事実の御確認を大臣にも願いたい。私は、詳細に調べた事情はもう昨日言い尽くしたのでございますから、御確認を願いたいと思うのでございます。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 帆足議員だけの地理学と申しますか、そういう点では、いろいろ造詣の浅い深いはございましょうけれども、ファクトはファクトです。ファクトというものは、造詣の深い浅いにかかわらず、ファクトはファクトでございますから、そのファクトは、だれが見てもファクトはファクトとして認めざるを得ないことだと考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまちょっとメモが来ましたので、聞き落としましたが、その事実はお認めくださる、ファクトはファクトとしてお認めくださる、こういうことでございましたか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も帆足さんだけ地理学的に詳しいわけではございませんが、私の申しておるのは、だれが考えても事実としてこういうものだということならば、認める認めないといっても、それよりほかにないのでありまして、具体的なケースというよりかは、あなたの言われる事実は事実として認めるよりほかにないではないかということは、しごくごもっともなお話だと承ったということでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 大臣からそのような率直な御答弁を伺って、私も満足でございます。この事実の上に立って、だんだん帰国者の数がたまってくる、これに対して人道的にどう善処すればよろしいかということが今後の課題でございます。ところが、行政当局においては、ことさらにこの事実を曲げようとする者がおりますから、今後二度と香港、ナホトカ航路、マル特船ということばを言う人間がいたならば、私は、大臣のことばにそむくものとして反省と懲罰を要求したいと思う次第でございます。もう二度と同じことを言わないように。会えば香港、ナホトカ、マル特船、もう実に無礼きわまることだと思うのでございます。各関係の局長さん、課長さんもよくお耳にお入れくださって、小川さんもどうぞ課長さんにきょうの速記録をお見せくださって、そしてこういう愚かなことで対策を誤り、時間を空費することのないように、切にお願いいたします。  さて、第二には、これは大臣のお耳に早く入れたかったのでございますが、国際赤十字から、コンフィデンシャルな手紙でございますけれども、重大な手紙が私のところに参りまして、過去八年、国際赤十字は、遠い国から参りまして誠心誠意お手伝いをして、人道の仕事として一応権威を確立し、約九万近くの朝鮮人をふるさとに帰国せしめた。これに対していかなる圧力も、いかなる政治的雑音もないことをともどもに赤十字の権威において善処することができた。しかるに、あとの対策をお立てにならずに、帰還協定有効期間中に、まだ国際赤十字が参加している期間にレジスターした帰国希望者だけでも一万七千人に及んでいるが、これは一方的に打ち切りをきめ得ることではなくて、両国赤十字それぞれ相談を受けるべきであると協定書に明記されてある。また、必要なる助言をなすことができるとも書いてある。しかるに、コロンボ会議の経過についても何ら報告を受けず、突如として二月中に事業を閉鎖して国に帰れという通告に接し、さらにその従業員まで二月をもって解雇するという通告に接した。このことは新聞に一言も出ていないけれども、当然新聞にも知らされるべきことであろう。まことに遺憾なことと思うという。私はいまですから申し上げますが、大臣だけに実は手紙をお見せしようと思っておりました。その後、国際赤十字委員長にお目にかかりまして、私は同じ日本国民として、これは何かの手違いでそういうことになったのだろうから、まことに遺憾であって、すぐ所管の厚生大臣にお知らせしておくということで、厚生大臣は直ちに外務大臣と御相談になったことと思いますが、とりあえず一カ月滞在を延期いたしまして、国際赤十字としては報告書も書き、そして今後の見通しも書いておきたいというような意向のようでございます。したがいまして、これを打ち切るということに内定いたしましたところ、愛知官房長官は三十日以内に次善の策を必ずつくるというお約束でありましたが、官房長官御交代になって、現在の木村官房長官及び御担当の官房副長官は、御熱心に困難な政治情勢の中で緩急よろしくこれを取りまとめようとなさいましたけれども、重大な行き違いがありまして、コロンボ会議が決裂いたしましたことを私は遺憾に存じております。それらの事情もよく調べましたから、これはコンフィデンシャルにいずれ大臣に御報告申し上げたいと思っておりますが、一番困難な問題は、双方意見がまとまりまして、窓口は赤十字にする、窓口は赤十字以外に方法はあり得ない。それから帰国の道はない、したがって、ソ連の赤十字の了解を得て乗船をする、これも了承を受けておることでございます。  帰国者の問題につきましては、国に帰るのでございまして、新たに入国するのでございませんから、帰国の取り扱いというものは、比較的楽なように考えるのが常識でございます。問題がありましたようなときには国外退去すら命ずるのでございますから、わがふるさとに帰ろうとする意思を持ち、その気持ちを持って帰る人たちに対しては、手続はむずかしいことでないということは、良識をもって考えられることでございます。出迎えの船の乗船員につきましては、一般船員は船員法によってきまっておりますし、戦時中ですら赤十字委員に対しては国際赤十字儀礼をもって迎えることがほぼ慣例になっておりますから、赤十字としては政府と内面的に連絡いたしまして、できるだけの便宜をはかるというのが従来の慣例でございます。それをわざわざモスクワに行ってビザをもらい、ナホトカに行ってもらいたいということになりますと、ナホトカから平壌に行くまではたいへんな苦労でございます。イルクーツクを通って……。一々そういうことは困難でありますから、従来は新潟港で渡しておりました。問題が起こりますようなときは、望ましくない方があったときにはあらかじめ通知いたしまして、そして赤十字委員の場合は問題ないものとして、赤十字儀礼をもって手続を比較的簡単にし、しかし、日本の法律及び国際法に従いまして、新潟でビザを支給するという便宜が取り計らわれていたのでございます。  これらのことはすべて両国赤十字はよく存じておることでございまして、問題点は、あとは政府がこの問題に深く口を出して政府協定のにおいのするような協定は、いま結びにくい事情にありますこと、私どもよく存じております。そういう事情であればこそ、また砲煙弾雨の中で敵対しておりますようなときにすら活動するのが人道の機関赤十字でございますから、外務省に朝鮮から電報を打ってくることも不可能でございますから、赤十字から赤十字へ意思を疎通いたしまして、赤十字同士の純粋の人道の話として意思の疎通をはかりまして、そして帰国者が最小限度にどうにか生命、財産の安全な方針をきめました暁には、政府は行政面との接触面において支障がない限り便宜をはかるというのが各国の例でございます。  さて、両国赤十字の意見が一致しましたときには、議事録をつくりまして、両国赤十字としてはこの議事録を互いに確認し、読み上げ、それに責任を持つ、こういう形になるのが、国際赤十字の調査報告を見ますると、各国の例でございます。したがいまして、政府協定を結ぶというならば、これは協定であって、現在結びにくいこと、また政府の息のかかった協定を結びにくいことは存じておりますけれども、赤十字が相互に相談し合ったことを確認し、責任を持つということは、国際赤十字参加の各国の例、ほとんどすべてでございまして、話し合いをしたけれども、何もその話し合いの議事録すらできず、それに責任も持たなかったという例は、話し合いの結果にないのでございます。そのことにつきましては、国際赤十字のほうにお問い合わせくださればよくわかるのでございますから、外務省においては国際感覚も発達しておられるから、私はほぼ御了解願えると思います。ただいま直ちに御答弁を求めませんから、どうか私の申し上げたことに偽りのないこと、そしてこれが国際慣例であることをよく大臣にお含みを願いまして、——主管官庁がこれはございません。そこで官房長官並びに副長官が取りまとめ役をしておりまして、厚生省の当局がいまの実務の推進をいたしております。ヒューマニストの誉れ高い園田さんがせっかく御心配なさっておられますし、四者会談のときに御参加になった田川元厚生次官も中国からお帰りになりましたから、いずれタイミングを見まして御相談を申し上げまして、そしてまた外務大臣の——政府が動くのでないのですから、政府は積極的に動かなくてもけっこうですが、御理解を得ねばならぬ順序になろうかと思いますが、昨日の政務次官の御答弁で満足でございますから、政務次官を通じて、また直接大臣にも申し上げまして、これが時期がおくれまして、ただいま昨年の十二月に帰国船が一つ出ましたから、暮れの押し詰まりは解決しましたけれども、その後、コロンボ協定がほとんど九九%成立の予想でありましたために、気の早い諸君が二、三百名帰国の準備を整えておる者がございまして、一カ月三万円の経費がかかりましても、三百人ですから九百万円の経費がかかるのでございまして、朝鮮総連が朝鮮人総会として世話をするにも、一月九百万円ではお世話もしかねる。生活保護をもらっておる方はいいですけれども、職をやめ家をたたんで生活保護をもらう気持ちもなければ、そういう恥ずかしいことを外国でしたくないというふうな、人には体面というものがございますから、きちんと従来やっておったという人はたいへんに困りまして、日夜私どものところへ訴えに参っております。デモによって不幸なことが起こることのないように——これが過去における植民地時代の宿命とは申せ、日本民族の大きな歴史上の汚点の一つでございまして、他民族を総督の力をもって征服した。沖繩の例をもっておわかりのごとくでございまして、今日の国際連合の基準から見れば、他国を植民地とすることは誤った方法である。今日の時点で深くこの問題は反省せねばならぬことでございますから、その残された艱苦不遇の立場にある朝鮮人の諸君に対して、人道的理解を持って対処ざれんことを切にお願いする次第でございます。よい答弁ならば積極的御発言を願いたいし、まことにごもっともであるけれども、いま発言の機会でないというならば、言わぬが花ということもありましょう。したがいまして、昨日の外務次官の御答弁をもって、次官と大臣は一体でございます。事務次官はほんとうの権力の所在、大臣ははげ頭のハエ、次官はしゃぼん玉のようなものなどという悪口を言う評論家もおりますけれども、私はそうであってはならぬと思いますから、政務次官のお語りになったことばは速記録で読みましたから、政務次官と同じ方向にお進みになる、こういう御答弁でけっこうですから、一言だけ念のため大臣から御答弁を願います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 政務次官は私の信頼する政務次官でございます。私はちょうど留守でございましたけれども、政務次官の発言は、私もまた同様に責任を持つべき答えであると考えます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そのおことばを信頼いたしまして、この問題が時を逸せず、タイミングを逸せず、不祥事件の起こることのないようにタイムリーに、純人道的に解決いたしますことを期待し、われわれも及ばずながら十分御協力いたしたいと思っております。  次に、ベトナムの状況に対してアジアの諸国民がひとしく心配いたしておりますことは御承知のとおりでありまして、遺憾ながらジョンソン大統領並びにアメリカのタカ派の諸君が見通しを誤ったことは、もはや歴然たるものがあるように思います。また、与党の中のタカ派の諸君も見通しを誤ったことは一蓮托生であろうと私は観察をいたしておりまして、三木外務大臣はタカ派であるか、ハト派であるか、つめのないところを見ればハトであるまいかと思いますし、飛ぶ方向を見ればはたして交通感覚がハトのごとく正確であるかどうか、私はまだ判断を差し控えて、今後の大臣のお働きに注目している次第でございます。五十二万の軍隊を上陸させながら、自分の大使館の戸締まりもできずに五時間もベトコンに占領されたとは、これいかに、常識をもって想像もできない事態でございます。  今日の新聞を見ますと、アメリカハト派の諸君は三十数名にウナギ登りにのぼりまして、そうしてタカ派の諸君とだんだん相伯仲する勢いを示しておりますし、従来タカ派でありましたニクソン大統領候補が、いまやつめを抜いて、おれはハト派であると言い出しました。きょうのこの速記録を見ますと、従来自分はベトナムにおいてアメリカ軍が勝利を占めると思っていたけれども、どうもその見通しは甘かった、世論はいまや終戦を希望している、したがって、自分は、アイゼンハワー元大統領が朝鮮戦争に果たしたと同じような役割りを果たさねばならぬようになるであろう、そういう意味のことを第一回の選挙演説で本日は述べております。そうして、それに万雷の拍手を送った何万の民衆は、口々に、自分たちもまた四年前にはタカ派であった、みずから誤った道を歩んだと叫んで、ニクソン大統領候補に期待することは平和であるということを叫んだということでございまして、これは本日のビッグニュースでございます。佐藤内閣がよくよく心せねばならぬ問題の、これもまたファクトであるまいかと思います。  それに関連いたしまして、私と日ごろ多少の文通も面識もありますフルブライト上院外交委員長が、トンキン湾の事件に対しまして調査委員会を持ちまして、上院外交委員会特別委員会の報告をもちまして、トンキン湾の事件は、アメリカが、平らなことばでいえば、スパイ行為、哨戒、敵状観察の行為をしていたのである。したがって、今日の国際法によりますと、安全航行権というのは、スパイ行為をしましたときには、領海でこれは通用いたさないのでございまして、その証跡があがったときには捕獲されることもやむを得ない、こういうことになっていることは御承知のとおりでありますから、フルブライト上院外交委員長は、いまにして、調査の結果、トンキン湾事件が不幸な偽りの事件であった、あたかも満州事変における張作霖爆破事件と同じような事件であったとするならば、ベトナム戦争に対する全権力をジョンソン大統領に与えたのはわれわれの錯誤であった、あやまちは改めねばならぬ、という重大な発言をいたしておるのでございます。まことに夢に夢みるような激しい国際情勢でございます。  また、ライシャワー博士も、郷土に帰りまして、そして極東の政治外交問題についての勉強を続けられて、そして、ベトナム戦争は果てしない泥沼に入ったようなものである、それと連関して、沖繩問題について、日本国民が心配する新聞の記事は了解できる、沖繩は両三年といわず、一日も早くこれを日本に返還して、核基地も、また潜水艦その他、国際連合で合法的に許される場所に移すべきであろうという発言をいたしている状況でございます。  移り行くこの状況を考えますと、三木さん、よほどお考えにならないと、あなたの経歴に傷がついて、次の総理はむずかしいということになりはしないか。私は、今度の事件をめぐって、頭脳明晰な福田幹事長も、これはちょっとしくじったという感を深くしておりまして、これでは、佐藤さんのあと継ぎになることに、国際情勢を誤った。と申しますのは、日本は海の国でありまして、貿易と船に依存している国でございます。貿易を人体にたとえますと、吐く息は輸出、吸う息は輸入、呼吸なくしては日本は存在しません。ほとんどすべての原材料を輸入して、それをまかなうために輸出しているのでございますから、私はこう思うのでございます。平和を阻害する者、貿易を阻害する者は国益を害する者である。だれであれ、平和をよくし、そして貿易をよくする人たちは国益に奉仕する人である。こう定義しても大きなあやまちはないくらい、日本は、日本国というより、日本丸といったほうが適当なくらいの海の国でございます。したがいまして、外務大臣は、トンキン湾事件及びプエブロ、北朝鮮の哨戒艇の事件に対しまして、国会で政府は多少軽率な発言をなさいましたけれども、この問題については、せめて判断中止だというくらいの、ゆとりのある態度を持たれることを切望いたしますが、ベトナムの状況、最近の無害航行の範囲を逸脱したスパイ行動の横行に対しまして、トンキン湾事件、プエブロ事件に対して、ただいまどのようにお考えになっておられるか、われわれの知りたいところでございますから、一言御意見を伺わしていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 移り行くアメリカの世論についていろいろ御紹介になって、意見を求められました。ことにトンキン湾あるいはプエブロ事件に対して、領海内におけるいわゆるスパイといいますか、情報収集の活動というものをどう思うかということですが、むろん、領海内に入って情報収集をするということは、これはもうよろしくないことは申すまでもない。むろん、公海のような場合は、これは自由でありますけれども、しかし、領海内に入って情報収集をするということは、その沿岸国に対して無害とはいえない場合が非常に多いのでありますから、領海内は好ましくないということだと私は思っております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 これは、今後の政局の推移、外交の推移にとってきわめて重要な問題でございますから、重ねて確認を願いたいのですが、領海内における、軍艦であれ、商船であれ、そういうもののスパイ行為は、これは国際法違反である、ただいまこう伺いましたが、それでよろしゅうございますね。——お答えになったことをもう一ぺん確認していただくだけのことですから、御相談には及ばないと思いますが……。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 この国際法違反という——少なくとも、違反といえるかどうかは別として、国際法の精神に反する。国際法は、これは無害航行でありますから、ことに、沿岸国がそれによって平和、秩序、安全に対して非常な害を受けるというような感じを持たすような、そういう領海内における活動というものは、国際法の精神に反する、こう思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務大臣から明快な御答弁をいただきまして、これは今後の国際問題の推移にとって重要なる道徳的ポイントでございますから、しかと銘記いたしまして、これを基準として、時にはわれわれの行動を、また道徳的判断を詰めねばならぬ場合もありますから、これは速記に残りましたことを私は喜ぶものでございます。  曽祢益委員からも関連質問が要求されておりますから、最後にお尋ねいたしますが、事前協議と随時協議につきましてたびたび論議がありまして、私も速記録を読みましたが、政府の御発言の中には多少のニュアンスの違いがございました。したがいまして、ただいまの結論を伺いたいのですが、第一に、事前協議につきましては、当方からは原則としてできなくて、アメリカ側のほうが提案したときにのみこちらは応じ得るという御答弁と、当方からも必要に応じては話を持ちかけることができるという御答弁との、両方のニュアンスの違いがございました。これは、私は原則を伺っておるのでありまして、個々の事実を伺っているのではありませんから、先にこの原則だけを伺っておきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私は、条約上の解釈として申し上げたのでございます。第六条でいう事前協議というものは、いわゆる装備の変更であるとか、配置の変更であるとか、作戦行動であるとか、とにかくアメリカの軍事行動に伴う一つの協議をする必要が生まれるというわけでありまするから、第六条による事前協議というものは、アメリカが申し出てくる性質のものであります。しかし、日本が事前協議をひとつやろうではないかという、こういう申し出をすることは常に可能であります。どうもそういう事態が起こっているという懸念がある場合に、日本から協議をやろうではないかと言うことは、第四条によって随時可能でありますから、私がことで言っていることは、事前協議というものが、非常に一方的にアメリカだけが事前協議を申し出る権限があって、そして必要以上に日本の権限を縮小しているのではないかという、そういう御疑念に出発した質問が多いと思いますが、そういうことはわれわれは考えてないわけです。やはりいつでも日本からもやろうではないかということは言えるんだけれども、軍隊のいわゆる行動に関しての協議そのものを議題として提供するものの申し出は、やはりアメリカがしなければ、こちらのほうからはやろうではないかということを申し出ても、アメリカの軍事行動それ自体の一つの重要な変化に伴って起こるのですから、第六条の事前協議はアメリカの申し出による。しかし、いつでもそれをやろうではないかという申し出をすることは、第四条による随時協議で可能であるというふうに考えておる次第でございます。また、交換公文は、やはり日本政府と協議するということになっておるわけで、日米両国ではということにはなっていない。日本政府と協議をするという意味が書かれておることを見ても、それはそういうことだろうと私は思っております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 もうあとはわずかの時間ですが、そういたしますと、ただいま大臣のお答えは、重大な戦力の移動のときに、移動させるのはアメリカの意思ですから、アメリカは事前協議をせねばならぬ。で、そういうような事態が起こったとき、日本側からも随時協議を申し込むことはできるというときの随時協議は、事前協議と同じような意味において、すなわち、アメリカが通告を怠ったり、または重大な戦力の移動について当然なすべき義務を故意または過失で怠ったようなときには、われわれが同じ協議を申し出ることができる。すなわち、単なる小さな事件の随時協議という意味でなくて、アメリカが重大な戦力移動について事前協議を当然せねばならなかったことを故意または過失で怠ったようなときに、われわれが申し出ることは、事前協議と全く同じ意味の重大な会議を持つことができるという御解釈ですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 アメリカが実際においてそういうふうな事前協議をしなければならぬ条項に関するような軍事行動の変化が起これば、そこで事前協議になる。全然アメリカはもうそういうことをする意思もなければ、実際にもやらぬのだということになれば、それは事前協議にはならない。だから、事前協議をひとつやろうではないかという申し出を日本がすることは自由でありますけれども、その場合に、それが議題となって事前協議をやるという場合においては、第六条の事前協議によるわけでありますが、そのときには、やはり実際において事前協議条項に関連するような軍事行動の事態が起こってくるという場合でないと、事前協議と言えない。やろうではないかという申し出はできても、事前協議そのものは、やはりアメリカがそういう意図があって、配置とか作戦行動とか装備の変更であるとか、そういうものに対して変更を加えるという意図があったときに、それは第六条でいう事前協議になるという解釈でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そこで、もう一度確かめたいのですが、その第六条による事前協議というものは、アメリカが継続的な兵力移動を行ないまして、そして最初の移動は比較的小さかったけれども、次の移動は大じかけになる、それに対して、アメリカと日本との間に、解釈の相違が軍事のことですからありまして、日本側のほうが、これは事前協議を必要とする、一部は事後であり、一部は事前にひっかかるわけですが、そういう場合に、第六条の事前協議の事項で日本側もまた申し出ることができるというふうに私どもは解釈しておりますが、そういう意味における事前協議ということもあり得るものではあるまいか、こういうお尋ねです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 帆足君、それはいつでもできるわけです、日本が申し出て。どうも日本とすれば、事前協議の条項に関連をするような事態の変化がある、だから、事前協議をやってもらいたいという申し出はできます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいま私は、重大な兵力の移動についてということで、具体的にお尋ねいたしました。それに対して、外務大臣から肯定的御答弁をいただきまして、国民各位もこのことを聞いて安心したと思いますが、だとすれば、私は率直に申して、大臣から肯定的御答弁をいただけないかと思いますけれども、例のエンタープライズが佐世保から出港いたしましたときは、直行してベトナムの領海近くに参りまして、そうしてB52が飛び立つ、それだけでも、私は、直接出撃は事前協議を必要とするという条項違反だと思っておりますが、それが一転して、膨大な兵力を持って元山沖に転進していったとなると、これも日本に及ぼす影響は重大なことでありまして、前の朝鮮戦争のときは、国際連合の占領下にありましたから、報復爆撃を受けるおそれもありませんでしたけれども、新たに朝鮮戦争に介入するような事態になったならば、おそるべき事態であろうと国民のだれしもが憂慮しております。したがいまして、これが進路をほしいままに、日本の佐世保の港から出た進路を直ちに北朝鮮に向けるというような事態は、私は、事前協議か、少なくとも事前協議に準ずるような通告があってしかるべきである。まして、それによって漁船がたくさん犠牲になったり、漁業不可能になったりいたしておりますから、これが日本に詳細な報告がなかったことは、事前協議の事項にもひっかかるし、また、少なくとも事前協議に準ずるような措置をアメリカはすべきであったと思いますが、書記官長の、この問題の国民感情に及ぼす影響は大きいからという御発言がありまして、与党の内部のタカ派がつめをといで食いついてきたと言いますけれども、私は、これは適切な御発言であった。書記官長の発言に敬服して——いや、官房長官です。われわれは明治の人間ですから、実は書記官長の嘱託をしていた時代がありますものですから、間違えまして失礼しました。ただいまのような点は、ことに外務大臣は心を配り、勇気を出していただきたいと思いますから、御返答願います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本が事前協議の条項にかかる場合は、日本を作戦行動の基地にするわけでありますから、作戦行動の作戦命令を受けてエンタープライズが出れば、これは事前協議の条項にかかるわけでありますが、作戦命令を受けて行った場合ではない、朝鮮に向かい、またベトナムに行ったという——命令を受けて行動したという場合でございませんから、事前協議の条項にはかからないわけでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 時間がありませんが、お答えが、命令を受けないで行ったというのは、どういう意味ですか。艦長がかってに散歩に行ったというわけですか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 作戦命令を受けて、そうしてエンタープライズが出撃したとはわれわれは考えられない。したがって、それは事前協議の条項にはかかるものではないと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 これは威嚇運動、威嚇で行ったわけですから、作戦予備行動として重大な戦力を移動したことは明らかである。これは直接出撃に当たるものであるし、重大な戦力の移動であるということはもう間違いないのであるから、なぜそのように外務大臣がアメリカの立場から弁護なさるか。せめてこういうことについては事前に連絡して——これは作戦行動でなくて、どういう目的で行ったか。作戦行動でなくて何でしょうか。散歩にちょっと参ったのか、デートに参ったのか、ちょっとお聞きしたいと思いますが……。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 作戦ということばが少し適切でないのかもしれません。直接戦闘行為、作戦というものの内容は、直接戦闘行為である。私が使っておる作戦ということばの内容は、直接戦闘行為である、こういうふうに解することが適当だと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 兵術の本を見ますと、作戦準備行動というものは、これは出撃の一部になっております。したがいまして、このたびの北朝鮮出動は、非常事態に対する予備行動、準備行動、威嚇行動ということが至当と考えますから、これは作戦行動の一環であると見るべきでないでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 いま私のお答えの中に使った作戦行動というのは、直接戦闘行為である、エンタープライズが朝鮮に向かったのは、直接戦闘行為ではない、事前協議にはかからない、こういう解釈でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 しからば、ベトナムでは直接にB52を飛ばしておりますから、直接作戦行動でないのでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ベトナムには、ベトナム水域に行きましても、直接戦闘作戦の命令を受けて日本を出発したのではなくして、ベトナム水域に行って、そこからいわゆる戦闘作戦命令を受けるものでありますならば、これは事前協議にかからない、いつもそういう形でベトナム水域に出発をしておる、したがって、事前協議の対象にはならぬ、こういう解釈でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 この問題は、これ以上質問を続けましても押しくら問答でございますから、私は、三木外務大臣の御解釈が多少——多少でなくて、大いにアメリカの弁護論のほうに走りまして、このままの状況では、国際情勢は非常に危険である、国民はそれを覚悟して、常に注目を怠らず、外務大臣を叱咤勉励してまいらねばならぬという印象を深くいたしましたが、曽祢さんから質問がありますから……。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 曽祢益君。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 私は、きょうは、特にいわゆる領海内における無害航行権の問題に関連して——これは全般的な質問としては、この金曜日に行なわれます領海及び接続水域に関する条約のときに、いうならば本格的な質問を同僚委員とともにやりたいと思うのですけれども、帆足君が提起された問題の関連質問という形で、ちょっと伺いたいと思うのです。  と申しますのは、最近、本委員会における外交の審議のほかに、他の委員会、特に予算委員会において、外交あるいは条約上の質問が行なわれておりますが、特にこの間予算委員会において、たとえばアメリカ軍人の家族が犯した交通違反に関する重大なる過失の問題の裁判権あるいは警察権等に関連する問題でも、どうも外務省当局のこういう問題に対する答弁が非常にあやふやだという感じがしてならないのです。この点は、予算委員会におけるその後の外務省当局の答弁の訂正によって、一応不問に付されたような形になっておりますけれども、ああいった場合でも、アメリカの軍法、アメリカの軍律に服するディペンデント、駐留軍の軍人の家族というのはどういうものなのか、そういうことと、そうでない家族との問題をはっきり区別しないと、いわゆる日本側に、そういうものが罪を犯した場合に、当然にアメリカ側に引き渡さなければならないという規定が該当するかどうか、そこをはっきりしないで、あやふやな態度でいるから、問題がこじれたのだと思うのです。その点を私はここで追及しようとは思いませんが、同様な意味において、どうも先般来行なわれている予算委員会の無害通航権、特にポラリス潜水艦の場合に焦点を合わしての無害通航権の問題、その質疑応答の模様を直接伺ったわけではありませんし、これは重大なことですから、議事録等を調べてざらに徹底的に研究しようと思っているのですけれども、どうも私はわからない点というのは、外務大臣あるいは総理大臣のこの問題に対する答弁で、領海における無害通航権という問題が、これは条約以前の国際法の問題だ、確立した問題で、これだけは手が触れられないのだと受け取れるような、やや絶対的に、領海における外国軍艦を含めて船舶全体に対して無害通航権があるやに答弁しているように思うのです。また、質問されるほうの方は、事前協議という観点から、主としてそういう場合には事前協議に該当しやしないかという観点から質問されていると思うのです。私は、両方ともその観点が必ずしも——たいへん失礼ですけれども、必ずしもピントが合っていないように思う。  第一に、無害通航権の問題でありますが、大体、外国の領海にかってに入って通航していいなんということは、どこの領海でもない。公海における自由とは全然違って、きわめて例外的にのみ認められる権利だと思うのです。外国の領土の中ですからね。領土の一部である領海、領水の中に外国の船舶、特に軍艦、さらには特に核兵器を持っている軍艦というふうないろいろな場合を考えてみると、領海における無害通航権という問題は、もともときわめて例外的にのみ認められる権利である、こういうふうに初めから姿勢を根本的に正していかないと、おかしな結果になると思うのです。特にさっき申し上げたように、何だか事前協議の話が出てくる、ポラリス潜水艦が日本の領海を通過したときに、事前協議の対象になるかならないかというと、その前に無害通航権がありますと答えておられるけれども、これはおかしいので、無害通航権の問題は、大体いままででも慣習国際法であって、絶対にそれがはっきりした権利、権限というものはないわけです。ただ、慣習的に、外国の領海といえども、場合によっては一々許可なしに、あるいは妨害されないで、そして通り過ぎることができるという例外的の権利を認められたにすぎない。何だか至上の権利を外国の軍艦に渡してしまう、場合によったら、ポラリスを積んできても文句を言えないという印象をもし与えたならば、これは日米安全保障条約行政協定の解釈だけの問題でなくて、すべての外国のポラリス潜水艦に対して、日本の領海の無害通航権というものをしかほどさように広い範囲で認めるということは、これは事重大です。安保条約の問題以上の国の主権の問題として、それは許すべからざる問題だと思うのです。私はちょっとことばは過ぎたようですけれども、そういう意味において、一体どういうふうに考えておられるか。たとえば、これがいわゆる条文化された一つの国際条約にいまなろうとしているのですけれども、領海及び接続水域に関する条約案の条項を見ましても、一体無害通航あるいは通航というのはどういう場合かということをはっきり限定しているわけですね。たとえば内水に入ることなく領海を通過する、それから内水に入るか、あるいは内水から公海に出るか。ところが、ポラリス潜水艦みたいな場合には、日本の、この第二の内水に入るために来るということは、これはもうアウトになるわけです、寄港は禁止するわけですから。内水から公海に向かうために日本の領海を通る、これしかないわけですよ。もともと領海なり内水に入ってくることを禁止しているのですからね。そうすると、問題は、ポラリスの場合は、領海を通航するためだけだ。むろん、その第二号によって、通航ということは、停船したり投錨したり、しょっちゅうそこから出たり入ったりしちゃいかぬ。これはもう、そんなものは通航じゃないですから、それは一種の基地として使うのですから、そういうことが禁止されるのは当然です。しからば、領海を通航するというのはどういう場合なのか。その場合、一番はっきりしているのは、第十六条の第四号だと思うのですね。こういう場合には原則として認めなければならぬ。これはぎりぎりの無害通航権の場合だと思うのです。それはどういうことかというと、この十六条の四号にあるように、公海から公海に抜けるときにやむを得ず外国の領海を通航する場合、あるいは公海から他の国の領海に行くときにやむを得ずその国の領海を通航する、つまり、言いかえるならば、それは国際的な通路の場合に限る。これはそれこそ典型的な無害通航で、これまで禁止したら、これは一般通商上からいってもよろしくない。だから結局限定していえば、ポラリス潜水艦なりあるいは外国の軍艦の場合に、つまり、それが来ることが、その沿岸国の見方によっては、安全あるいは平和あるいは秩序に大きな関係があり得るような外国の軍艦が日本の領海を通航するという場合は、どこでも、いつでも、かってに通航していいというような意味の無害通航権というものは、私はないと思う。そして、そういうものがどこにあるのか。これは検討してみないといけませんが、いま言ったように、日本の内水に入ってくる場合、つまり、日本の領海を通らなければ公海から公海に抜けられないようなそういう場合ですね。そういう場合だけがいわゆる無害通航権の対象になるのだ。まず、そういうふうに非常に限定されるものだということを当然に明確にすべきだ、私はこう思います。  少ししゃべるのが長くなって恐縮ですけれども、要するに、無害通航権というものは、応答を聞いていると、非常に広い無害通航権が、しかも日米安全保障条約その他の既定の条約や何かより上に君臨するような、国際法の原則としてあるのだというふうなかまえ方は、私は法律上根本的に間違っておると思うのです。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 私も、曽祢君の考え方と違った考えは持っておりません。したがって、たとえば無害通航という無害通航権の場合も、無害というところに意味がある。これは国籍によって区別はできないけれども、無害というときに、沿岸国の平和とか安全とか秩序に対して悪い影響を与えないという大きな制約がある。国籍によって区別はしないけれども、大きな制約がある。もう一つは、核の問題になってきますと、日本への核の持ち込みは認めないという大きな制約がある。したがって、これが航行をする実際の場合を考えてみると、国際水路あるいはこれに準ずる水路、いわゆる公海から公海へということが、今日の日本の政府の政策から見て、そういう場合が実際のケースとして考えられるケースである。これは曽祢君の言われるとおりであって、もしこれが無制限に、当然にもうどこの国の軍艦でも日本の領海内へ来ていいんだという印象を与えたとするならば、これは実際と異なっておる。非常な制約のもとにこの無害航行権は持っておるという曽祢君の説に私も同感でございます。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 これは非常に重大な点で、私はたいへんにその答弁でよかった思うのですが、どうも与えているインプレッションは、非常に無害通航権というものを広く与えているような感じで、これは、では日本のどの水域が日本の領海から公海に行くところだというようなことは、具体的に当たってみなければなりませんけれども、そういう具体的な詳細な問題は、金曜日以後に同僚委員とともに十分検討したいと思います。これはまあ原則的に考えてみたら、公海から公海に抜ける場合の、きまっているいわゆる国際通路にある日本の領海ならば、これは一応無害通航権として外国の軍艦を含めて認めてやるというのが、大体国際法の精神であり、いま審議しようとする条約の規定に合致すると思う。非常に制限されておる。  それから第二には、やはり無害通航権というものは認めるが、そしてかってに禁止してはいけないけれども、しかし、やはり無害通航権というものを無条件に認めておるのじゃないのです。やはり沿岸国が必要に応じて、その無害通航権というものを一応認めながらも、これを一時停止する。あるいはこういうことをするのはある意味では矛盾のように見えるけれども、一方においては、第十五条に「沿岸国は、領海の無害通航を妨害してはならない。」とある。ところが、逆に第十六条の一号には、これに反するのじゃないけれども、「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、その領海内において必要な措置を執ることができる。」とある。ですから、この点からいっても、無害通航権というものを認めても、それは絶対的なものでないということがはっきりわかる。しかもまた、十四条のより根本的な規定の中に、これは大臣も私も全く意見が一致しておるのですけれども、その沿岸国の平和あるいは安全あるいは秩序に重大な障害がある場合は、これは当然無害通航権すら認めないのはあたりまえなんです。だとするならば、国際通路の場合はそうやかましいことを言わないにしても、国民が得ておるインプレッションから、かりにポラリスというようなほんとうの飛び道具それ自身が、戦略的な核兵器を常時持っておるような危険な——これはどこの国の軍艦にせよ同じで、アメリカの場合は、そのほかにも安保条約の事前協議条項にも触れるかもしれない。とにもかくにも、そういった危険なものが日本の領海を通過するということを当然に認めなければならないというふうに考えるのはおかしいじゃないか。むしろ、これはそういうのはお断わりするというのが原則である。アメリカのポラリスであろうと、ソ連のポラリス的なものであろうと、また中国もそういうものを持つであろうが、そういったような核ミサイルみたいな装置を持ったものは、これはもういわゆる無害通航権として当然に認めるというよりも、本来ならば当然に日本としてはお断わりする、禁止する、このほうがむしろ原則となって、ただし、さっき言ったように、ここがネックで、この領海を通って公海から公海へ行く国際通路になっておるところは、そう一々やかましいこと言わないでくれという程度にしぼって、その場合はしようがないだろう、こういうのが私は基本的な日本政府の態度でなければならないと思うのです。そうでなければ、私が冒頭申し上げたように、日米安保条約だけの問題じゃないのだ。ほかの国のポラリスあるいは核兵器を持った軍艦の場合には、無害通航権というものの乱用にならないように、むしろ、そういうものは日本の平和と安全上これは断わるというのが原則であり、権利があるのだ。しかし、国際法の他の例外からいえば、公海と公海をつなぐ日本の領水の場合には、これは一種の無害通航権として認めてやろう、こういうふうにならなければおかしいのじゃないかと私は思うのですが、その点に対する御所見を伺います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 日本が海洋国家として、公海の自由ということは、非常に国としても重要な権限に属すると思います。日本のような国としては当然です。したがって、これは日本ばかりでなしに、国際的にも航行が障害なく自由にできるという、この国際的な原則は確立する必要がある。しかし、そのことがいま言ったような重大な制約があるわけです。たとえば無害という制約などは、これは非常に大きな制約であります。沿岸国の平和とか秩序、安全、これに障害を与えないという大きな制約があって、それが無制限に認められておる国際的な原則ではなくして、非常な制約のもとにある原則であるということで、これはやはり日本の場合は、そういう原則というのは、例外的な原則だとは私は思わない。やはりそういう制約のもとにある。無制限に無害航行権ということによって他国の領海を通過する権利を持っておるのではなくして、そのことは非常な制約のもとにある国際的な一つの原則である、こういうふうに解したいのでございます。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 もう少し詰めたいのですけれども、冒頭申し上げたように、この質疑応答は金曜日に残したいのです。  そこで、戸叶君から関連質問の要求がありますから、私はきょうは一応これで、質問をあと続けるということの権利を留保して終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 戸叶君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、この問題について、金曜日の条約審議のときにいろいろと伺いたいと思います。ただ、一点だけ確かめておきたいことは、いま曽祢委員と外務大臣との質疑応答の中で確かめておきたいと思いましたことは、いま出されようとしております領海及び接続水域に関する条約というような一般法と、それから日米安保条約のような特別法、それとの関連において、一体このどちらのほうが優位に考えられるか、どちらのほうが優先的に考えられるか。これは学者によってはいろいろあるようでございますので、日本の政府としては、一体どちらを優位に考えるかということを承っておいて、そして参考にして次の金曜日の審議に臨んでまいりたい、こう考えます。この点だけをはっきりさせておいていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 条約局長から答弁させます。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 これはどちらが優位というような問題ではないと思います。これは、当然両方とも二つの条約に日本が入りますわけでございますから、これは、その違ったと申しますか、矛盾した義務を負うという形になることは非常におかしな話でございまして、これは国家意思の分裂になるわけでございますから、当然、条約と申しますのは、行政府もやりますが、立法府にも御審議を願うわけでございますから、国家意思の分裂があるはずがないわけでございます。したがって、もしそういうものがあるとすれば、どちらかの条約の解釈といたしまして、たとえば、具体的にいまお話にも出ております無害通航権と安保条約との関係ということになれば、安保条約のいわゆる交換公文と申しますのが、そういうものは除外しておる。除外しておると申しますか、非常に制限された意味の無害通航権は認めておるのだ、そういう解釈に立たなければ非常におかしな話になるわけでございます。したがって、どちらが上だとか下だとかいう問題でなくて、国家意思としては、同じ矛盾しない条約を結んでおると考えるべきだと私は考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間がないですから、私は金曜日にとことんまでそれは伺いたいと思いますけれども、この場合には、効力において矛盾をしているわけでございまして、いま条約局長がいみじくもちょっと言われましたように、矛盾した義務を負った形に私はなっていると思います。たとえば、よく世間でも、一般法と特別法というものが、どちらが優先するかということは、やはり学者なり何なりによって意思が違うと思います。ところが、今日日本は、ここで一体この場合にはどちらをとるべきかというようなところに迫られているのではないか、そう考えるわけです。そうでなければ私はこの問題は解けないと思うのです。そうしてまた、そうでなければ、事前協議というものは非常に軽く考えなければ、こちらの国際条約というものは生きてこない、こういうふうに考えるわけです。ですから、その点、どちらを優位に考えるかということは、ある程度原則的にきめておかなければならないのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでございますか。いずれ、私は、これは聞き放しにして、金曜日に伺いたいと思いますけれども、原則的なことだけ伺っておかないと、あとが進みませんので、伺いたい。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 先生のお話、学者の中でいろいろ説があるというのを私存じております。その場合の一般国際法というふうに学者が言っておりますのは、たとえば国連憲章とか、それからあるいは一種の国際法的な強行法規があるかないかという論議はございますが、一種の強行法規があると考えた場合に、これが上位規範になるという学者の説もございますし、それから、国連憲章なんかの場合には、これは上位規範になるべきでございましょう。しかし、いまのこういった多数国間の条約、それと一方は二国間の条約、これが並んで出てまいりますから、どちらが上だというような話にはならないと私は思うのでございます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次回は、明後十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗