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58回国会衆議院1968/04/22

沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第10号

発言数
98
登壇者
13
会派数
2
開催日
1968/04/22

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。臼井莊一君。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 今回、衆議院におきまして、従来の沖繩問題等に関する特別委員会が沖繩及び北方問題等に関する特別委員会という名称に変わりましたことは、かねてから北方領土問題の被害者的な立場にあると申しますか、かつての北方領土の住民の方、ことに根室に引き揚げた一万六千人からのうちの八〇%が根室におるのですが、それらの方々が、昨年の九月に当委員会から北方領土問題、辺境のことを視察に参りました際に、切々として、どうも沖繩が非常に論議が盛んになって、それはけっこうであるが、北方が置き忘れられたようなことはまことに遺憾である、こういうことを申したのです。私どもは決して置き忘れたことではなく、ことに政府においては機会あるごとにソ連とも折衝している。しかし国会において、「等」という中に北方が含まれているということは、まことにけしからぬことであるという御意見でありましたが、今回ようやくこれが沖繩と並んで北方問題等特別委員会になったことは、現地においても非常に喜んでおるということでございまして、私どもも北方の方にいささかそういうささやかな気持ちをくみ上げたということにおいて喜んでおるのであります。  そこで、この北方問題でございますが、総理はちょうど昭和四十年に沖繩へ参りまして、「沖繩の返還なくして戦後は終わらない」というまことに名文句といわれることばをおっしゃったのですが、私どもから見ますと、沖繩の返還ができただけでは、戦後は終わってないのじゃないか、ソ連との間の平和条約も結ばれない、それはやはり領土問題にからんでありまして、北方領土問題が解決し、平和条約が結ばれるか、何らかその辺の一大進展がなければ、私は戦後は終わったと言えないのじゃないかとさえ思うのであります。しかし、ソ連と関係する領土問題においては、ソ連においてはいかなる理由にせよ、一応得た領土はなかなか解決が困難だといわれております。それは戦争によってか何か、とにかく得たのだといいながら――国際法上は一方的に宣戦布告すれば日本もソ連との戦争当事者になったと思いますが、しかしながら、これは日ソ不可侵条約の有効期間中でもあり、いわば友好の関係にあったソ連から宣戦布告をされるとは夢にも思わなかった日本としては、どうもソ連と戦ったという感じがないわけです。またそういう点からいたしましても、ソ連が北方領土を、いわゆる日本が放棄したといわれる千島あるいは南樺太、これを占領いたしました際にも、どうもソ連としてもそこまでやるつもりがなくて、何か進み過ぎたのではないかというふうに私どもも考えます。たとえば歯舞、色丹にいたしましても、北海道の歯舞は現在根室の歯舞村の一部であります。国後、択捉にいたしましても、固有の領土だということは、国内の学者全部そろってそう言うことであり、国際的にもアメリカも認めているわけなんです。  そこで私がお伺いいたしたいのは、ソ連が現在占拠している千島、南樺太、これは日本が返還、返還と申しますが、返還でなくて、むしろソ連が占拠しているのをひとつ一部解いてくれ、少なくとも国後、択捉、歯舞、色丹については占拠を解いてくれというような交渉であるべきが筋だと思うのでございまして、この点については、条約で沖繩の施政権をアメリカに渡しているのとは本質的に違うことでもあり、またその他のソ連がかつて獲得した領土、たとえば中国との間にいろいろの問題がありますが、あるいはベッサラビアとか、オーデル、ナイセの線に対する国境の問題、これらとは非常に性格が違うように私ども思うのであります。この点について、時間がありませんからきわめて簡単ですが、日本政府の見解をお伺いいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 戦後の処理として、領土問題の解決というものは非常に大きな戦後処理の中心的な問題であることは御指摘のとおりで、ソ連との間にも、昨年の暮れからモスクワにおいて中川大使とソ連政府との間に話し合いが進められている。ソ連はもう領土問題は解決済みであるということで話はなかなか進展をしないのでありますが、いま臼井さんも御指摘になりましたように、日本との領土問題といっても、われわれは戦後たくさんソ連が領有しているものを全部返してくれというのではない。従来、歴史的にも固有の領土で、日本の固有の領土でない場合はなかった歯舞、色丹、択捉、国後は、これはやはり日本の領土だからもとの状態にひとつ返してもらいたい、こういうことを言ったわけであります。したがって、日本との領土問題というのは、いま臼井議員も御指摘になりましたようなオーデル、ナイセの問題であるとか、中共との間にある新疆、沿海州その他の問題であるとか、あるいはルーマニアとの間にあるベッサラビア、こういうものとは性質が違ったものであることはそのとおりだと私は思う。日本が降伏後、ソ連が進駐してきたわけで、一万人ほど四つの島に住んでおったわけです。ソ連の進駐が少し行き過ぎたような面もあるので、このことがほかの領土問題に非常に影響するという性質のものとは違うのではないか。四つの島の問題ですね。もし四つの島の問題が解決をすれば、欧州諸国との間に持っておるあるいは中国との間に持っておるソ連との領土問題に大きく響くからということであるならば、これはよほど性質の違うものである、こういう観点から日本はソ連との間の話し合いを進めていきたい。何かこう、ソ連の領土になったものを返還というのではなしに、少しソ連の進駐が行き過ぎた面もあるのではないか。だから一たん持っておったものを返すというよりかは、降伏後の一つのそういう状態、非常に降伏後はいろいろ混乱した状態でありますから、そういう点も頭に入れながらソ連との領土問題というものは話をしてみたいと考えておるのでございます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 国後、択捉、歯舞、色丹――国後、択捉も固有の領土だと言うのは、いまだかつて日本以外にいずれの国もこれを統治したことがなし、領有したこともなし、また日本民族以外にソ連人といえどもそこに住んだこともない。またソ連自身も、安政元年の条約においても、あるいは明治八年の千島と樺太の交換条約においても、クリリアイランドというのは現在の日本のいわゆる北、中千島、得撫島から占守島に至る十八島だという名前まであげてこれをかつて認めております。したがって、国後、択捉も、ソ連は過去において条約においても日本の領土だということを認めておる。そういうようなことで、しかもこれを占拠いたしましたのも、八月十五日の日本の終戦以後において進駐した部分が非常に多いので、いま私は、大臣のおっしゃったように、ソ連も少し――どこの防備も日本の兵隊がいたからこれを追って進駐したということで、行き過ぎがあったというふうに私どもも解釈いたしております。  いずれにいたしましても、日本は憲法の前文において、日本国民は平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、日本の国の安全と、そして生存を保とうと決意したといい、また九条においても、国際紛争を解決する手段としては、戦争は放棄した、そのために陸海空の軍隊及び戦力は持たぬというような世界に類例のない、われわれから考えるとまことにいじらしいくらいの平和を愛好する誠意をここに示しておるのでありまするので、私どもも、こういう日本の現在のたてまえから、やはり公正と信義にこたえる。正義にいささかでも疑いを持たれるようなことは、日本も、また関係国においても、そういう態度をとっていただかないことが将来の平和を一そう緊密化するゆえんで、私どもはソ連と隣国であり、将来ともに円満に仲よくしていかなければならぬ。そこにいささかでもそういうことに障害になるようなことはできるだけすみやかにこれを除いて、そうしてほんとうに公正に、何人といえども、いずれの時代になっても、そういうような正義に反するようなことが続いていることのないようにしたいということで、大いに政府においてもがんばっていただきたいと思います。  このことについてはいろいろ問題がありますけれども、きょうは時間がありませんし、あと箕輪君の御質問があるそうですから、私はこの程度にとどめておきたいと思いますが、どうかひとつ政府においても、大いにそういう方面で交渉をお進めいただきたいということをお願い申し上げます。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 箕輪登君。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 ただいま臼井先生から、北方領土の問題についてたいへん有益な質問がございまして、また大臣からも確固たる信念に基づいた御答弁がございまして、いささか私も安心いたしたのでありますが、私のお尋ねいたしたいのは、若干趣を変えまして、大臣も御承知だろうと思いますが、昨年国後島沖合いにおいて起きました北島丸事件の判決が本年三月二十九日に釧路地方裁判所で出ました。御承知のとおり、わが国の統治権の及ばざる海域における事犯だからということで、無罪を言い渡されたわけであります。この北島丸事件に関連いたしまして、若干領土の問題その他につきまして大臣に御質問申し上げたい、かように考えるわけであります。  この判決文を読んでみますと、どうも私どもが納得のいきかねるような字句が所々に見られるわけでありますが、きょうは時間もございませんから、その中で二点だけお尋ねをいたしたいのであります。  国後島は昭和二十年の九月二日、連合国最高司令官のいわゆる一般命令第一号によってこれを「合法的に占領した」島であるという旨が判決文の中にあるわけであります。どうも合法的占領ということばが、私は司法権に介入する意味ではございませんけれども、どうしても納得がいかないのであります。大臣の御見解をいただきたいと思います。政府委員でもけっこうです。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 ただいま御質問の一般命令第一号と北方領土の関連でございますが、確かに一般命令第一号には、千島方面の日本軍はソ連軍に降伏すべしというのが入っておったわけであります。しかし一般命令第一号はあくまでもSCAP――占領最高司令官の出した命令でございまして、講和条約発効とともにこの一般命令第一号も全部消滅した、効力を失ったという立場でございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 それで私からちょっと私なりに解説を加えてみたいと思うのでありますが、私は合法的な占領ではないと思うのであります。この判決文だけを読んでおりますと、何か一般命令第一号によって合法的にソ連軍が占領したというふうに解釈されるわけでありますが、御承知のとおり、九月二日の日にこの一般命令第一号が出されたものであって、その以後にソ連が占領した島ではないと思います。ただいまも臼井議員がおっしゃいましたとおり、わが国の終戦を内外に宜したのは一九四五年八月十五日であります。しかも八月の十八日午前一時三十分、カムチャッカの先端から大砲を撃ってまいりまして、占守島とカムチャッカの先端とは非常に至近の距離にあります。特にわがほうは、すでに札幌方面本部のほうから電報が入りまして、九十一師団は十七日の日には、占守島の各小高い山や海岸の見えるところには全部白旗を揚げていたのであります。そういう状態の中で対岸から大砲を打ってきて、かつなお上陸用舟艇、さらに護衛艦の艦砲射撃の援護のもとにソ連軍が上陸してまいりました。札幌方面本部の訓令によりますと、無条件で降伏せよ、ただし、自衛のための戦闘はやむを得ないという電報が打たれております。これは千島の戦史を読んで私はいろいろ調べたのであります。こういうふうに白旗を掲げておるところに戦闘状態で攻めてきたということは、私は、たとえそれが軍事占領にしても、合法的な占領とは言えないのではないかと考えるわけであります。  そこで、ちなみに申し上げますと、一九〇七年のヘーグ条約、われわれ普通戦時国際法といっているあの陸戦法規を調べてみますと、その第二十三条において、「特別ノ條約ヲ以テ定メタル禁止ノ外特ニ禁止スルモノ左ノ如シ」の「ハ」の事項で、「兵器ヲ捨テ又ハ自衛ノ手段盡キテ降ヲ乞ヘル敵ヲ殺傷スルコト」、明らかにわが九十一師団は、陛下の終戦の詔勅を聞き、また上官の命令を聞いて、白旗を掲げて降伏を乞える状態にあったわけであります。これは戦時国際法違反のもとに占守島を占領したことになるのではないだろうかと考えるわけであります。  もう一つ、御承知のとおり昭和十六年、わが国とソ連の間には日ソ中立条約が締結されました。五年間の有効期間であります。すなわち、二十一年の四月二十五日まで有効であったのであります。ところが、昭和二十年の二月に、わが佐藤大使にソ連国はこれを廃棄することを通告してまいりました。御承知のとおり、ただいまの安保条約と同じように、一年前にどちらかの一方の国が廃棄することを通告することによってこの条約は解消することになっております。その条約事項に沿うてソ連国は一年前に通告してまいったのであります。でありますから、二十一年の四月の二十五日まではこの条約が有効であることをソ連のほうも認めていたのであります。そういう状態の中で、八月の九日に、一方的に宣戦布告をしてまいりました。そしてただいま申し上げたような状態で、戦争状態の中でこの千島の最北端占守島を占領したのであります。わがほうは白旗を掲げておる。こによってわがほうは六百名余りの人が死んでおります。これもまた重大なる日ソ不可侵条約、日ソ中立条約に基づくところの国際法違反ではないだろうか。そしてまた、この二つの国際法違反のもとにソ連が占守島に次々と軍事占領をやっていることであって、決して合法的な一般命令第一号によって合法的に占領した島だとは考えていないわけであります。これについて外務省のお考えをお聞きしたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 ただいまのソ連側の行動の事実と、それに関連いたしますこの二つの国際法上の点につきましては、私どもも全く同意見でございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 何か大臣が非常に忙しいから、四十五分ごろまでに大臣に対する質問だけは終わっていただきたい、こういうことであります。まことに困っておるのでありますが、それではこの千島列島というものの考え方でありますが、この判決の基礎になったと思われる寺沢一東大教授でありますが、千島列島というのは、いわゆる国後、択捉も全部含まれるのであるという鑑定書を出しておることは御承知のとおりであります。  そこで私もちょっと調べたのでありますが、これをお手元にお渡しいたしますから、大臣、ちょっと見てください。これはソ連のものであります。この地図は七枚書かれておりますが、一番目から六番目までの地図は、一九五三年度のソ連初等学校歴史教程付図であります。七番目の地図は、一九四〇年版のソ連鉄道水路図であります。すなわち、大東亜戦争が終結をする五年前の一九四〇年のソ連鉄道水路図であります。これを見ておりますというと、十六世紀から十八世紀――一番初めでありますが、千島列島といわれているもの、そのうちで国後と択捉は日本の領土であります。おかしいことに、樺太もまた全部日本あるいはソ連の領土でないように書かれております。次の同じ十七世紀でありながら一六四八年、これは千島は全部ソ連の領土でないように書いております。しかし、樺太は全部自分の領土であるというように書かれております。これから判読をいたしますると、十六世紀ないし十八世紀の地図というものは、領土に対する観念というもの、地図に対する観念というものが非常にあいまいであったと言えるのではないかと私は想定をするわけであります。  そこで三番目は一七六三年でありますが、千島も樺太も全部これはソ連の領土であるということを主張しております。これはもう幕末のころになってくるというと、だんだんこうなってくるわけであります。一八七〇年も同様であります。  そこで、一八七六年と申しますと、御承知のとおり、樺太と千島の交換条約が一八七五年でございますから、その翌年の地図を見ますと、確かに交換されておるのであります。ところが、3、4、5と関連をつけて考えてみますると、3、4において千島も樺太も自分たちの領土であるといっておるのでありますから、交換のしょうがないじゃないかということになるのでありまして、これもまあ信憑性がないということになるのではないかと私は考えます。  そこで六番目でありますが、これは一九一四年であります。ポーツマス条約の後でありまして、すなわちここにも番いておりますが、樺太のところには、南樺太一八七五年から一九〇五年までは、これもソ連の領土であったということが書かれております。それから千島列島に至っては、一七一一年から一八七五年まではソ連の領土であったということを教えているのであります。  これはともかくとしても、最後の七番目の地図であります。すなわち一九四〇年のソ連鉄道水路図でありますが、ここでふしぎに思いますことは、いままで国後、択捉まで含めて千島列島といっていたわけですが、どう考えてみても、得撫島以北を千島列島といっているように思うわけであります。すなわち得撫島と占守島まで千島列島とソ連のとこばで書いてありますが、国後、択捉は書いていない。非常に疑問に思うわけであります。  そこで、先ほど申し上げました千島の戦史を読んでおりまして、そのとき、その戦史に出てきます当時の九十一師団の主任参謀でありました水津満という方がおるのでありますが、この人がまだ生きているというものですから、実は私お目にかかる機会を得たのであります。そしてこの水津参謀から当時の模様を聞き、さらにまた水津さんが書かれた文書もいただきました。聞いてみますと、占守島に上がってきたソ連の軍隊は、わが九十一師団長の堤さんに、自分たちの駆逐艦に乗ってだんだん一つずつ南下して、島々にいるところの日本軍の武装解除に立ち会ってほしいということを申し入れたのでありますが、堤不來貴師団長は、それを断わりまして、いま申し上げた水津満主任参謀をつけてやることにいたしたのであります。水津さんは、若干ロシア語がおできになったそうでございまして、この水津さんがついて、北の点守島から一つずつ島々をめぐって武装解除をやりました。そうして八月の二十八日に得撫島まで参りましたが、そこで非常に何か状態がおかしい、上がるか上がるまいかというような状態、何時間もたってから得撫島に上がらずに船が出てしまった。初め占守島を出るときには、千島列島の南端まで行くからついてこいということでついて行かされたのだけれども、初めどこへ行くのかなと思いまして、今度は択捉島だろうと思っていたのでありますが、針を見たら北上している。そこで向こうの参謀長に、一体この船はどっちのほうに行っているのだと言ったところ、いま来た道を帰るのだ、こういうことです。どうして国後、択捉に行かないのだと言ったところが、国後、択捉はアメリカの管轄である、われわれの管轄ではないと言って、また北のほうへ帰った。これは水津さんの手記にも残っております。こういう状態であります。  そうすると、どうも終戦前後のソ連の考え方としては、明らかに千島列島というものは、得撫島以北の、先ほど臼井先生や大臣がおっしゃっておったそういうところを千島列島と考えていたような傾向があるのであります。ところが終戦を宣してから二週間たっても、アメリカ軍がこの国後、択捉には上がらないと見ましたので、一挙に上陸して歯舞、色丹まで占領をしたと思われる、こういうことを当時の水津参謀が申しておるのであります。こういうところから考えてみて、私は、先ほど大臣もおっしゃったように、やはり自分たちの領域は得撫島までであると考えていたのだけれども、アメリカが上がってこないから上がったのだ、占領したのだというのが正しいと考えるわけであります。したがって、こういうグローブな地図ではありますけれども、ソ連の地図を見てわれわれが判断してみても、やはり国後、択捉はわが国固有の領土である、こういうふうに実は考えておるわけであります。  そこで、大臣にそういう想定のもとでお尋ねいたしたいのでありますが、大体一国の司法機関が判決のために領土に対する法的地位というものの見解を発表するような場合には、外国の例をとりますと、たとえば米国では国務省、英国では外務省の意見を聴取して、それを参考にして裁判の資料にするように私は聞いております。そこで今回の釧路の地方裁判所でもって外務省に対して、日本国政府としての国後島の法的地位はいかにというような質問があったかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 ございませんでした。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 そこで、この判決について、いままで大臣からも述べられましたし、さらにまた外務省の見解等も従来述べられておりますが、この判決によって今後政府の北方領土に対するところの考え方や態度を変更するような考えは絶対にないと思いますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 領土問題に対しての政府の従来の考え方を変更する意思は全然ございません。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 これは大事な領土の問題でありますから、お尋ねするのでありますが、しからば政府は、現在ソ連が――私どもは不法にということばを使いたいのでありますが、占有しているところの歯舞、色丹及び国後、択捉の法的地位をどのように解釈しているか、はっきりお答えをいただきたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 歯舞、色丹につきましては、日ソ共同宣言において、平和条約締結と同時にこれを引き渡すということをソ連が約束いたしております。日ソ共同宣言は、日ソ両国政府によって調印されたものでございますので、その意味におきまして、歯舞、色丹につきましては、平和条約ができて、これが日本に引き渡されるまでの間ソ連側はこれを事実上占有しているということを事実上黙認しているということだろうと思います。  それから国後、択捉につきましては、もともと日本の領土でございまして、これが日本に返還方を強く要求しておりますが、不幸にして日ソ共同宣言の交渉におきましてこの話がつかなかったところでございますので、これは平和条約まで継続審議という形になっております。その意味で、日本政府といたしましては、あくまでその継続審議というたてまえのもとにその返還を強く要求していくということでございます。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 美濃政市君。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私は、この際外務大臣にお尋ねしたいのですが、ただいまも千島の解釈について質疑があったわけですが、まず第一に、北島丸事件はああいう判決が出まして、いま北方水域において漁業秩序が多少乱れてきまして、これは行政上何とかしなければならぬ、こういう道側の説明をきょうも私は聞きまして、考えているわけでございます。この問題は、本日は質問いたしません。これは、いずれ機会を見て別の機会に質問をし、対策をしなければならぬと考えております。  この裁判に際して、わが国の公式な見解と称する鑑定人の鑑定書が訓路裁判所の依頼によって出ております。その鑑定書が非常に食い違っておる。松本俊一鑑定人あるいは寺沢鑑定人の鑑定書というものの中身が、サンフランシスコ条約から基因をいたしましてかなり食い違った鑑定が――これは、日本国の公式見解として出されておる。公式見解とこれは書いてあります。裁判所に提出された全文を私持っておりますが、日本国の公式見解であるという表現を使っている。そこで、こういうものを見まして、この問題は、やはり日本国政府として公式な統一見解というものを国民にはっきりしなければならぬ。千島の領土問題に対して、サンフランシスコ条約から今日まで、今日の時点――サンフランシスコ条約の時点における公式見解は、条約批准の国会審議の中で明らかになっておると思うのです。その速記録も私は調べております。しかし、念のために、千島に対するサンフランシスコ条約時点における公式見解、今日の時点における公式見解を承りたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 サンフランシスコ平和条約の時期におきましても、今日においても、公式の見解は変わっておりません。それは、歯舞、色丹、国後、択捉は日本の固有の領土である、戦争の処理に対して固有の領土まで奪われることはない、ずっとこういう一貫した考え方のもとに領土問題を考えておるわけでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 そうすると、固有領土に対する考え方ということになりますが、固有領土に対する考え方を千島に対してそう持つとするならば、これは旧ロシア帝国との領土条約の時点は違っておりますけれども、千島全島が奪取したものでもなければ盗取したものでもない、固有領土には間違いないのであります。それをどうして二様に区分するのか、これを伺いたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 歯舞、色丹、択捉、国後以外の千島の島々は、平和条約によって放棄したという解釈をとっております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 平和条約において放棄したということになると、この条約を審議した二十六年十月二十二日という記録に間違いないと思うのですが、衆議院の平和条約及び安保条約特別委員会において、当時の西村条約局長は、千島列島の範囲とは、北千島及び南千島両者を含む、こう答弁しておるのですが……。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 その西村政府委員の答弁につきましては、その後、政府の統一見解として、同じ外務委員会において統一見解を発表して、それを訂正いたしております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 しからば、いま申し上げました、同じ固有領土として主張するのであれば、北と南を区分して主張するということには――どういうわけで違うのか、もう一回明らかにしていただきたい。私どもは違わないと思うのです、固有領土として主張するというのだから。千島は全部同じだと思うのです。ただ、サンフランシスコ条約の時点とかなんとかいう問題になれば別ですけれども、日本人として、これは日本の固有領土である、いわゆる領土不拡大を意味するポツダム宣言なりこういう国際条約からいけば、千島全島を日本の固有領土であると主張することは間違いないと思う。なぜそれを、得撫島以北は日本の領土でないのだという考えはどこから出てくるのですか。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 得撫以北の島は、これはよく御存じのように、かつてのソ連との間の国際条約において二度問題になったわけでございます。その間、これは取引の対象になった地域でございまして、私どもといたしましては、いまだかつて一度もソ連の領土でなかった固有の領土、こういう意味で、歯舞、色丹、国後、択捉――得撫以北の島はかつてはソ連の領土であったこともあったという意味において区別をいたしておるのであります。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 政府の統一見解が変わったというのでありますが、これは、統一見解は、日本政府だけが変えても、条約調印国相互間の統一見解が一致していないと、国際的な効力にはならない。見解を日本政府が述べることは自由でありますから、それはいいですが、その点はどうなんですか。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 西村条約局長のそのおりの答弁、まことに不幸なことでございますが、その内容につきましては、桑港条約の主たる起草者でございます米国政府との間に、国後、択捉、歯舞、色丹という範囲につきましては、はっきりした了解がございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 アメリカ国務省から来ておるこの文書を見ると、アメリカという国は非常に柔軟な字句を使って、どうとも判断できるのでありますが、希望的な観測ともいえるでありますが、いわゆるこういう見解を通じて日本政府の統一見解が変わったというふうに了解して間違いないかどうか。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 米国政府のどの文書を委員がおさしになるかちょっと私存じませんが、特にそういうことではなしに、もともと日本側の従来からの立場をすなおな形でまとめましたのが統一見解でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 では、その問題は時間の関係でこの程度にしておきます。  次に、具体的な問題で一つ外務大臣にお尋ねしておきたいと思うのは、いまさしあたって北方問題で大切なことは、安全操業の問題であります。それからさきに、先ほどもお話のありましたいわゆる日ソ共同宣言で、歯舞、色丹は平和条約を締結後引き渡す。そこで根室市から来ております資料によりますと、これは北方水域が全部日本の漁業区であった場合ですが、その場合といまと比較すると、漁獲高で、今日の時点では大体八十七億くらい漁獲高がこの海域が使えないことによって少なくなっておる。そこで、歯舞、色丹の水域を、前に赤城さんが農林大臣当時、赤城試案というものを出して交渉をいたしております。あの程度に海域を広げることによっても、かなりの漁獲高が確保できるわけです。外務大臣が去年行ってこられたときのいわゆる中間措置ですね。中間措置の中でさしあたり、赤城試案程度のすぐ返すと言っておる島の周辺の漁業を広げるということを直ちにできないか。いま交渉の中にそういうものを入れておるかどうか、これをお伺いしておきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 コスイギン首相との間に、中間的な措置を外交機関で検討しようということになって、去年始まったわけですね。そこで、この交渉は領土問題というパターンじゃなく、日ソ間のすべての懸案というものを総まくり的に検討してみようということが日ソの外交交渉の基礎になっておるわけです。その問題の話し合いの中には、御指摘のような安全操業の問題というものも当然に含まれて、この問題も何らかの解決策を見出すために努力をしたいと考えております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 交渉の過程、希望、そういう点についていまの過程をお聞きすることは無理でしょうか。できれば可能な範囲においてお答えをいただきたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 とにかく領土問題等もあるわけでありますから、日ソの交渉というのはなかなかむずかしい交渉で、まだ具体的な問題にまで進展をしていないというのが現状でございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私の大臣に対する質問を終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私は大臣に沖繩の布令百十六号の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  二十四日に軍労働者の諸君が布令百十六号の撤廃を目標に掲げてストライキに突入をするという緊迫した状況に相なっている。そういうふうな状態の中で、布令百十六号の問題というのは、問題点があり過ぎるくらいあるのですけれども、争議権の問題、団体行動権、労働協約締結権の問題、重要産業指定の問題等が大きな問題だと思うのです。そこで、それらの問題についてどの点が改善、修正さるべきであるかという点についての明確な見通しというものがない限りは、軍労働者の諸君としても、撤廃要求を掲げている以上、突入せざるを得ないという状態にあると私は思うのです。  そこでお尋ねをいたしたいのですけれども、日本政府としては、民政府に対して少なくともどの点の改善を求められるか、どのような点が改善されるべきだとお考えになるか、まずこの点を、軍労働者の諸君も非常に期待をしていると思いますので、お答えをいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 われわれとしてもこの問題については重大な関心を持っておるわけですが、本日の午前にアメリカ大使より外務省の牛場次官に対し、こういうことをアメリカはしたいということを申し出てきたのであります。それは、高等弁務官のもとに在沖繩米四軍を含む合同労働委員会を置く、この委員会と沖繩全軍労とが、賃金、労働条件、労働処理等に関して団体交渉を行ない得ることとするとの発表を本日一時三十分に行なう、それから従来米四軍がそれぞれ独立して軍労働関係を処理していたのが、賃金問題等の解決がやりにくかった事情もあり、今回の処置により米側が一元化して、しかも軍労と団体交渉を行なうことになった点では、制度的にこれはかなりの進歩であると思えるのであります。このようなアメリカの新たなる提案によって、非常に緊迫した沖繩の軍労との関係が改善をされることをわれわれは期待をしておるものでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最初に指摘申し上げましたとおり、団体交渉権と団体行動権、特に争議権、この三つが私は労働基本権であろうと思うわけなんです。そこで、雇用形式は違いますが、本土との一体化ということに相なりますと、争議権がまず認められ、団体行動権が認められなければならない。そこで、いまのその発表は――若干労働法的な問題になって大臣に恐縮ですけれども、団体交渉権についての発表のようですけれども、それはまず団体協約権でございますね、労働協約締結権を含む趣旨なのかどうか、日本政府としてはそのように御理解になっておられるかどうか、この点いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 これはきょう午前中にアメリカから言ってきた。制度的には私どもは新法だと思う。しかし、軍労に対する罷業権ということになれば、これはいろいろ問題があると私は思う。しかし、アメリカが今度団体交渉をすると言っておることが、労働法的に言えば団体交渉のどういう性格のものかということはまだ詳細にわかっておりません。これは日本政府としても重大な関心を持っておりますから、今回の制度の改正は十分に労働省とも打ち合わせて検討を加えたいと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、こういうふうにお尋ねをしておきます。団体交渉権の当然の帰結として、少なくとも日本政府としてはさらに一歩を進めて、労働協約締結権がもし認められていないようなものだとするならば、団体協約締結権を認めるような方向で善処する、そういう方向で努力をされるということにお伺いしてよろしいかどうか、それが一点です。  もう一点は、争議権の点については問題があるということでございます。そこで、その点は、私はもう当然争議権は認めらるべきものだと考えますが、本日はその点についての論点を次のようにお尋ねいたします。  少なくとも争議権を認めている、認めていないということとは別個に、争議をした場合に、刑罰権をもって処罰をする、布令百十六号はそういう規定になっておりますが、端的なことばで申し上げますると、手錠をいつでもはめますよというかっこうで労働をさせるというようなことは、世界の労働法の水準に達しないと私は思うのです。将来本土並みということを政府は発表しておるようでありますが、それらのことについては早急に改善されるべき点だと考えますが、大臣の所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 この布令百十六号に関して、制度的な改革をアメリカが行なったことは明らかであります。しかし、これがどの程度の改革であるか、これに対してわれわれがその改革についてどういう見解を日本政府が持つかということは、先方における今回の改正というものとにらみ合わせて、労働省とももっと検討を加えて、お答えをしたいと思います。  ただ、われわれはこういうことを受け取ったいまの状態で、いろいろ込み入ってお答えをすることは、まだこの段階では適当でないと思います。いずれあらためて見解を述べる場合がございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 じゃ、質問を別の問題に移したいと思います。  実は、去る三月二十九日に軍のメイドさん、沖縄の方ですが、殺害をされました。これは新聞の報道によりますと、現場の状況などの記載によりますと、強盗殺人という、当然日本の法律のもとにおいては死刑ないしは無期というふうな重大事件だと私は思うのです。そこで、こういうふうな事件が布令八十七号の関係において琉球の警察に捜査権がないというこの現状、これは、政府は今後八十七号の改正という点についてすでにもう方針をお示しになっておられる。ただ、私はこの際に大臣にお答えをいただきたいのは、当面緊急に八十七号の問題点の改正という以前に、たとえばそういう被害者の遺族が、身内の者が死んだという場合に、その立ち会いというふうな所為、そういうふうな配慮、さらにまた、捜査がどうなっているというようなことがわからないような問題について、少なくとも琉球警察に捜査状況についての報告をするというふうな措置、これが二つでございます。いま一つは、事実上裁判が公開せられておらぬというふうな実態があります。これについては何といっても、裁判の公開というのはもう基本的なものだと私は思うのです。そういうふうな点についての配慮、いま一つは、同時に裁判結果の通知などというふうなことについての早急な措置をとられるべきであると考えますが、いかがでしょうか。同時に、このメイドさんの殺害事件については、日本政府としても、捜査がうやむやに終わらないように、重大事件でございますので、少なくとも全力をあげて捜査権を持っておるところの軍警察のほうにおいて捜査をするというようなことについての申し入れ等をおやりになる意思があるかどうか。どうも三月二十九日発生した事件で、必ずしもそれほど犯人がわかりにくい事件のように私は思いませんけれども、いまなおやみの中にこの事件があるというようなことは、非常に遺憾だと思うのです。この点についての御答弁をお願いいたします。  これで終わります。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 軍と警察との関係というものは、裁判権の問題などに関連して、現行のもとにおいてはなかなかうまくいかぬ面があるようでございます。まあ軍法裁判は非公開ではあるけれども、結果は通報するように変わっておるようであります。しかし、まだ、現地の人からすれば、いろいろなトラブルが起こる。だからこの問題は、裁判権の問題としてでなしに、日米協議委員会でこういう問題は取り上げてみたい、こういうふうに私は考えております。今日の段階では、制度的な点から、こういう点を改革をするようにわれわれがここでアメリカと話し合うというようなことがなかなかむずかしい現在の制度である。したがって、これは協議委員会等でこの問題を取り上げてみたいと考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 外務大臣の時間がわずかでありますが、二十分まで西風勲君。

西風勲日本社会党

○西風委員 それでは、時間がないようですから、ごく簡単に二、三の問題だけをお伺いしたいと思う。  一つは、ジョンソン声明以来、国際政局の中に流動状況が出てきている。この中で日本がアジアの外交の上でかなり先進的な役割りを果たさなければならない条件が成熟してきているのではないかと思う。そのためには、日本がアジアの各国に呼びかけるという消極的態度ではなくて、日本自身が、平和のために、外交政策それ自身を体質改善しているという具体的な事実がなければ、アジアの各国に呼びかけても説得力が少ないのではないかと思う。その点で私どもがやれる具体的な事実は、沖繩がアジアの緊張激化の要因になるのではなくて、緊張緩和の要因に転化していく、平和の基地に沖繩がなっていくということが、中国に対する具体的な呼びかけであり、アジア諸国民に対する平和の提案ではないかと思う。そういう点で、きょうの読売新聞を見ますと、パネル調査という中で、沖繩が日本の防衛に役立っているかどうかという質問に対しまして、四五%、圧倒的多数の人が役立っていないということを答えております。さらに、沖繩が日本に返還されるときに核基地があったほうがよいかどうかというのに対して六六%、これまた圧倒的多数であります、わからないという部分がありますから、それを含めますと、圧倒的多数の人が、沖繩は核基地でないほうがいいということを言っておるわけですね。この際外務大臣は、佐藤内閣が平和の姿勢を世界に示すためにも、佐藤内閣を長引かせる道にもなるのですが、長引かせたほうがいいのかどうかわかりませんけれども――そういう点で、沖繩問題で核基地つき返還というのはわれわれはとらないのだということをこの際内外に明らかにする意思があるかどうかということが第一であります。  第二の点は、ベトナム戦争は交渉地その他の問題で若干まとまっていないようですけれども、ベトナム戦争が終結するというのは世界の大勢であります。そこで、最近のうわさでは――うわさだということを私どもは望むわけですけれども……

床次徳二自由民主党

○床次委員長 西風君、簡潔に願います。

西風勲日本社会党

○西風委員 朝鮮の三十八度線の国境でこの秋ごろに新しい軍事紛争が起こる、局地戦争が起こるというようなうわさがされておるわけです。そういう点ではそういうことがないように、アメリカその他関係国に対して積極的に働きかけをする必要があると思いますが、その点どうですか。  いろいろありますけれども、時間がないようですから、以上二点を御質問申し上げたい。

三木武夫自由民主党外務大臣

○三木国務大臣 沖繩の問題については、総理からもしばしば答弁されておりますように、日本がちゃんとした方針をきめて、日本はもうこれでなければ沖繩の返還交渉はしないというような態度でなくして、日米間でいろいろな、基地の問題ということには、いま御指摘のような極東情勢というものは非常に基地のあり方に影響します。こういう問題で話し合ってみようということで、いまは旗を立てていけ、核基地はもう日本は絶対認めないという旗を立てて交渉しろということでございますが、外交交渉というものは、そういう行き方もございますが、日米間の交渉はやはり日本が一つの日本の方針、これは日本として変えられない方針だという、そういうふうな態度でなくして、日米間で交渉をいたしたい、もちろん交渉する場合に国民の世論の動向というものは重要な参考にすることは当然でございます。  それから第二の点については、ベトナム戦争が片づいても、また朝鮮半島に新たなる緊張が起これば、これはベトナムに平和が来たといって喜んでも、これは日本の場合はもっと深刻な影響を受けるわけでありますから、プエブロ事件のときにもアメリカに対して非常に自重を要望いたしました。また、韓国に対しても、常にわれわれはそのことを望んでおるのでありまして、北鮮のほうとしてもいろいろ激しいことは言っておりますけれども、まあゲリラ部隊のようなものは激増しておるようでありますが、大規模な軍事行動が三十八度線を境にして行なわれるようなことは私どもはないと考えておりますし、日本の外交を通じても、そういうことのないような努力はいたすことは、御指摘のとおり、当然のことだと考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 大臣、時間ですから、どうぞ。  箕輪登君。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 引き続いて質問をいたしたいと思います。  総務長官はたいへんお疲れの御様子でございますから、まず総務長官に二、三点だけまとめて御質問申し上げまして、御答弁をいただいたならば、どうぞお引き取りいただいてけっこうでございます。  その一つは、大臣も御承知だと思いますが、千島の引き揚げ者の方々がつくっております団体は、大体、北方三団体といわれておりまして、三つございます。それらの三団体に対するところの政府の経済的な援助というものがきわめて薄いのであります。そのうちで、総理府が所管いたしておりますいわゆる千島連盟といわれております社団法人千島歯舞居住者連盟、これは長官の御所管であります。現在の島民が一万三千人おるのであります。これに対しまして道費――北海道の道の補助金が七百万円で、国の補助金は全くないのであります。しかもこれが全国組織になっております。  さらに、ちょっと話題を変えますが、いわゆる南方同胞援護会法に基づく沖繩、小笠原に対する諸施策の充実に比べまして、北方引き揚げ同胞に対する施策はきわめて希薄でありまして、これは比較になりません。そこで、私は以上申し上げたような三団体に関連する中央団体、つまり南方同胞援護会のような新しい北方関係の組織をおつくりになるのがよろしいのではないか、かりに北方同胞援護会といったようなものをおつくりになって、政府はこれに積極的に経済的な補助をしていくというような姿勢を示すことによって、領土問題も前進してまいると思うのであります。特に財政力の非常に弱い根室市あたりが、昨年度あたりで二千三百万円程度も、これは地方財政としては非常に大きい財政負担だと思いますが、領土復帰の対策費を出しております。こういったようなことに関連いたしまして、ぜひ北方同胞援議会というようなものをひとつ研究していただいて、法律をつくれといえば北方同胞援護会法などもお互いに検討してまいりたいと思うのでありますが、積極的にひとつ進めていただきたいと思います。  いま一つの問題は、以上の北方地域の墓参の問題であります。ことしもやがてソ連との交渉の始まる時期が近づいたと思います。去年もたいへんがんばっていただきまして、択捉も墓参地域に含めろという交渉をしていただいたわけでありますが、ついに択捉は認められませんでした。調べてみますと、択捉が一番多いのであります。物故者の数でありますが、歯舞群島は三百一柱、色丹島は百六十三柱、国後島が千五百二十柱、択捉は一千二百二十二柱で、非常に多いのであります。でありますから、やはり択捉島にも墓参ができるようにひとつ特段の御配慮と御交渉を賜わりたいと思います。  それから、もう一つだけ大臣にお尋ねしたいのですが、お尋ねというよりも、これはお願いであります。総務長官が御就任になりますと、必ず沖縄にはおいでになるわけでありますが、残念ながら歴代総務長官で北方問題に関心を持たれて、北海道、特に根室あたりまで行かれる方はいまだかつて一人もいないのであります。いま北海道は総務長官の御来道をたいへんお待ちいたしております。ただ、大臣は最近ちょっと健康を害されて、いま回復中でございましょうから、直ちに北海道へ行ってくれというようなことは申し上げませんけれども、一日も早く全快されまして、この夏にでもひとつ北海道に行っていただきたい。それをひとつこの席でお約束いただければたいへんありがたいと思います。  以上、三点お尋ねいたしまして、お答えいただければどうぞお帰りになってよろしゅうございますので、よろしくお願いいたします。

田中龍夫自由民主党総理府総務長官

○田中国務大臣 お答えをいたします。  ただいまお話しのまず第一点は、北方同胞援護会のごとき新団体をつくってはどうか、今日ございますのは、御案内のとおり、北方協会並びに南方同胞援護会の一つのブランチと申しますか、千島関係のものと、それから千島連盟の三団体でございますが、非常に弱体なものであるので、より強力な援護会をつくってはどうかという御意見、私どももまことに御趣旨のほどはよく理解できますので、この点につきましては、さらに検討さしていただきたいと存じます。  次に、墓参団の問題でございますが、昨年択捉島につきまして、外務省を通じて強力にソ連政府に交渉いたしましたが、ついに実現できなかったことは非常に残念でありますが、ことしも八月下旬に北方墓参を実施するにあたりまして、択捉島を含めまして、これは積極的に折衝いたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから、私の視察の問題でございますが、実は、当初、今日からあれいたしますと、明後日でございますか、ぜひ行くようにということでございましたが、遺憾ながら、明後日に参りますことは、まだちょっと無理だと思います。しかしながら、できるだけ早い機会にあらためてぜひ現地に参り、そうして向こうの方々と現地におきましていろいろとお話もいたし、また今後の方針毛折衝いたしたい、かように考えておる次第でございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 欧亜局長にお願いいたします。  引き続き、北島丸事件の判決の問題でお尋ねをいたします。先ほど二つの問題について大臣から御答弁をいただいたわけでありますが、その他たくさん聞きたいことはあるのですけれども、きょうは大臣も御都合でお帰りになりましたので、またの機会にいたしたいと思いますが、局長さんにお尋ねしたいことが一、二点ありますので、御答弁いただきたいと思います。  この判決文の中に、こういうことばがあります。日ソ共同宣言、これによってやがて日ソ間に平和条約が締結されたときには歯舞、色丹を日本に返すことを約束いたしておりますが、その件に触れまして、「日本国に対する特別の配慮から、ハボマイ群島およびシコタン島の主権を日本国に移転するということであって、」これはソ連がですね。「いずれにしても、日本国としては、現実の引渡しがなされるまでの間は、従前どおり、これらの地域に対しソ連邦が支配することを認めたものと解される」。平和条約が締結されるまではソ連の支配を日本国として認めたと解しておるわけであります。私どもは、たとえば千島列島全部をサンフランシスコ平和条約で放棄したかもわからないけれども、国後の問題は別として、それをソ連国の支配を認めたというふうには一億国民ほとんどが解していないのではないかと思うわけであります。この点、係争中の問題で御答弁がしづらいかもしれませんけれども、三権分立だといっても、行政府は行政府、司法府は司法府で、お互いに平等の三権の一つでありますから、所信ははっきりと申し上げておったほうがよろしいのではないかと思いますので、明快な御答弁をいただきたいと思います。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 本件判決は、まだ最終的のものでもございませんし、それから、司法府の中間における判決の結果及び内容に関しまして、行政府のほうからとかく内容に立ち入りますことはいろいろ問題もあろうかと存じますが、いまの御質問の点は、まさに行政府の対外関係に関します非常に重大な問題でございますので、外務省としての見解を申し述べさしていただきます。  確かに、支配を認めるということばは不穏当、不当であろうと思います。行き過ぎであろうと思います。私どもは、歯舞、色丹に関しましては、先ほど申しましたとおり、これら諸島がわが国に現実に引き渡されるまでの間はソ連邦がこれらの島を現実に施政のもとに置いておることを、日ソ共同宣言という法的文書により黙認しているというのが私どもの立場でございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 その黙認ということばもあまりはっきりしないのですが、黙認は、認めるというのとどの程度違うのですか。この判決文は認めるということばを使っております。外務省は何か奥歯に物のはさまったような黙認ということばをいま使われたわけですが、認めるというのと黙認というのとはどう違うのでしょうか。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 現実に歯舞、色丹の二つの島をめぐりまして、たとえば漁夫の拿捕の問題、あるいは先ほどから問題になっております安全操業の問題、いろいろな問題について事実上ソ連政府との間に話し合いを常時行なわざるを得ないのが現実でございます。そこで、これを不法行為として全く認めないということになりますと、これらいろいろな漁夫の拿捕問題とか操業の問題――漁夫の問題につきましても、全くこれは話ができないという事態になるのをおそれるわけであります。  そこで、歯舞、色丹につきましては、平和条約ができれば返すということにはっきり約束ができておりますので、それまでの間、返還までの間に歯舞、色丹をめぐって起こりますいろいろな処置の問題につきましては、有効な話し合いをソ連政府と行なわざるを得ないわけでございます。そこで一応黙認という字を使ったわけでございますが、しかし、これは、あくまでも、積極的に認めるということではございません。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 消極的に認めるということですね。

北原秀雄外務省欧亜局長

○北原政府委員 端的に申しますれば、黙認している状態であるといっても、これはやむを得ないというのが真意でございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 わかりました。  それでは、法務省並びに水産庁もお見えのようですから、少しお尋ねしたいと思います。  もうすでに御承知だと思いますが、この判決によって、というよりも、この判決はわが国の統治権が及ばない海域の事件であるから、わが国の漁業法の適用はできないというたてまえから、無罪の判決が出たわけでございましょうから、そこで刑事局長さんにお尋ねいたしたいことは、あなたではないのでありますが、前の刑事局長さんのときに法務省の見解というか、が出ております。これは北海道の町村知事さんが、一昨年の四月二十日、水産庁長官あてに――丹羽雅次郎さんのときであります。この海域に漁業法や北海道海面漁業調整規則などが効力が及ぶかということを照会を出したわけです。そこで水産庁長官は、自分たちは及ぶと思ったけれども、司法担当の行政府である法務省の貝解を求めて、四月二十七日に水産庁長官名で、この件に関して法務省刑事局長あてに照会を出しております。その回答が昨年の五月二日に法務省刑事局長津田實さんから水産庁長官あてに出ておりますが、「所問については、いずれも積極に解する。」すなわち、漁業法の適用ができるという見解を示されたわけであります。そこで、水産庁長官は、この法務省刑事局長の水産庁長官あての回答を添えて、五月四日に北海道知事に回答いたしておりまして、この海域においても、すなわち北方国後海域においても漁業法の適用ができるということを通告したわけであります。したがいまして、直ちに、一昨年の五月六日、北海道としては、釧路地方検察庁、水産庁、北海道警察釧路方面本部、根室海上保安部、北海道水産部、五者が共同声明書を出しました。「国後島等の南千島周辺及びハボマイ色丹海域における漁業操業について、漁業法の適用があるかどうかについては疑問なきにしもあらずであったが、今回法務省並びに関係官庁において漁業法の効力は、当然これらの海域にも及ぶとの統一見解が明らかにされた。よって今後これら海域における違反操業については総て検挙取締りを行うことにしたので同海域における操業漁民は漁業法、北海道海面漁業調整規則、これら関係法令に準拠して操業されるよう望む。右声明する。」というものを五月六日に出したわけであります。そのあとで起きたのがこの北島丸事件でありまして、先ほどからくどくど申しておりますような状況のもとに判決が出されたのであります。すでに水産庁やあるいは外務省はその見解を――見解といいますか、統一見解を新聞等に発表されております。この声明書が出るもとは、やっぱり法務省の見解が出されたから、この五者による声明書が出たわけで、しかるに係争中だからでございましょうけれども、非常にやりづらいところはわかるのでありますが、法務省のこの判決に対するところの見解というものは一つも新聞では出ておりません。またその他からも聞くことができません。ただ、国民のほうから見ておりますと、事、領土の問題に関係する問題でありますから、法務省がこの海域にもわが国の漁業法が適用ができるのだということを言っておきながら裁判所が適用できない、こういったことについて非常に疑問を持っているわけであります。国後は一体どこの島だろうか、特にこの判決の基礎になったと思われる寺沢一教授の鑑定書は、はっきりと国後島は現在ソ連の領土であると書いています。こういうふうになってきますと、ほんとうに国民のほうはどういうふうに解釈していいのかわからない。せめて法務省の見解はどうかということをおそらく聞きたいだろうと私は思うのであります。法務省の見解が司法府によってまっこうから否定されたということについて、刑事局長としてどのようにお考えになっておられるか、ひとつこの際はっきりと御答弁いただければありがたいと思う次第であります。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 私は前の局長がした見解を変えるつもりはございません。  それからまた、具体的な事件につきまして裁判官は弁解をしないということが昔からの一つのしきたりになっております。それは判決によって自分の所信を明らかにする、こういうことだろうと思います。  それから、裁判にタッチいたします検察官も、それに準じまして、行政官ではございますけれども、具体的なケースについてとかくの弁解をしないということが、これも従来の慣行に相なっております。私は、これは裁判の独立を守っていこう、こういうような趣旨から申しまして、検察官も具体的なケースについてとかくの弁解をしないということがやはり適当だろうと思っております。  ただ問題は、三月二十九日に検察官の主張と相反する判決がありまして、その後に裁判書きを十分に検討いたしました結果、検察官としては全面的にこの判決理由に承服することができない、こういうことで、四月九日に札幌高等裁判所に検察官控訴の申し立てをいたしております。したがいまして、この事件は高裁の段階においてあらためて新しい判断が示されるものと期待しているわけでございます。検察官といたしましては、申すまでもなく国家機関でありまして、国家の意思を代表して控訴を遂行している、こういうことになっておりますので、検察官が検察官控訴をした、こういう事実は検察官がこの判決について承服することができなかったということを明確に外部に対しましても表示しているものだ、こういうふうに御理解を賜わりたいと思うわけでございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 言われるとおりなのでありますが、やはり外務省や水産庁が見解をはっきりと新聞で発表されておりますし、やはりさっきから言ったように、この統一見解のもとになったのは、あなたではないけれども、法務省の前の局長さんが出された見解に基づいてこの声明書が出て取り締まりになったわけです。そうすると、法務省としてはやりづらいことは十分わかるのですけれども、やはりさっきから言う三権分立の上から司法権にあまり介入することは避けたい、しかも係争中の問題だ、その気持ちはわかるのだけれども、事、領土の問題に関する限りは、司法権をおそれる必要はないじゃありませんか。われわれ悪いことをしているわけではありませんから、堂々と見解は表明されたほうがよろしい。またそうあるべきだ。どろをかぶったってかまわんじゃないか、そういう気持ちでやはり堂々と見解を表明されたほうがいいんじゃなかろうか、こう思うわけです。そこで、あなたのいまのお話を聞いておりますと、苦しいながらも、私は前の局長の見解と変わるところがありません、こうおっしゃっておるのですから、これは漁業法が適用できるというふうに解釈しておるものと思って間違いありませんか。この海域においても、日本の漁業法が適用できるんだ、その見解に全く間違いがないというふうに私ども解釈してよろしゅうございますか。いかがでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 検察官が国家機関としてこの事件の公訴維持に当たっておるわけでございますが、検察庁が行ないますこの検察活動についての法律的な見解については、法務省の刑事局長が当面の担当者としてこれを取り扱っておるものでありますし、同時に、およそ刑罰法令につきましては、国会にかかります法令すべて私のところを通るわけでございまして、私のところを通らない刑罰法令というものはないわけでございまして、検察官は法律解釈につきましては法務省の刑事局長の見解に従って行動をとっておる、こういう法制の仕組みになっておりますので、その検察官が全面的に承服できない、こういうことで控訴の申し立てをしたわけでございますから、私の考え方が大体那辺にあるかということはきわめて明白であろうと思うわけでございまして、それで御了承を得たいと思います。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 それじゃこれ以上追及いたしませんけれども、水産庁の方はいらっしゃいますね。お聞きいたします。――刑事局長さんのほうはこれで終わったわけじゃありませんから、関連していきますから、帰らないでください。  漁業法の第六十六条第一項「中型まき網漁業、小型機船底びき網漁業、瀬戸内海機船船びき網漁業又は小型さけ・ます流し網漁業を営もうとする者は、船舶ごとに都道府県知事の許可を受けなければならない。」と書かれています。この判決は、国後島の領海はわが国の統治権が及ばない海域であるということで、公海、領海の区別を考えながら何か属地的な解釈のもとに漁業法が適用できないというふうに言っているように私は思うわけですが、いま読んだ漁業法第六十六条一項の中に明らかに書かれておりますように、「中型まき網漁業、」から始まって「小型さけ・ます流し網漁業を営もうとする者は、」となっております。「船舶ごとに都道府県知事の許可を受けなければならない。」ですから、海域がどこであろうが、それがわが国の領海であろうが、公海であろうが、外国の領海であろうが、そうした属地的な解釈に基づかないで、いわゆる属人法的な解釈で私は適用できる法律だと思いますし、また水産庁もそういう考え方で適用できると考えたのではないかと思うのですが、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。

岩本道夫水産庁漁政部長

○岩本説明員 水産庁のほうからお答え申し上げます。  漁業法の取り締まりの効力の問題でございますが、漁業法六十六条第一項にございますように、「漁業を営もうとする者は、船舶ごとに都道府県知事の許可を受けなければならない。」というふうに規定してございまして、漁業を営むという概念は、単に海において魚類を採捕する事実行為のみでなく、その採捕を中心といたしまして、採捕した魚を根拠地に持って帰って販売する、利益をあげるという一連の営業行為を意味しておると思われます。したがいまして、単に海上における魚類を採捕する行為のみが漁業を営むという内容ではございません。根拠地、事務所を含めまして一連の営業行為を意味するものと思います。したがいまして、日本の港を根拠地とし、日本の港に事務所を持って漁業を営みます限り、少なくとも日本人が日本の船舶で海上に出てまいりまして魚類を採捕する限り、その営業行為が日本にあるわけでございますので、公海のみならず、外国の領海におきましても漁業法の効力が及ぶというふうに一貫して解しております。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 それでは欧亜局長何か会議があるそうですからお帰りになってけっこうです。北米局長も、外務省よろしゅうございます。また別の機会に外務大臣と一緒にお尋ねいたしますから、きょうのところはよろしゅうございます。  ただいま水産庁からわりあいにしっかりした御答弁をいただいて安心いたしました。そこで、この一審の判決とはいいますが、今回の判決によって、これまで政府が示してまいりました統一見解に基づくところの行政指導が全面的に否定されたわけであります。全く正反対の判断が下されただけに、統一見解に問題があるかどうかお尋ねしたいと思いますが、いま水産庁ははっきりと漁業法の適用が及ぶという見解を出されました。  そこでもう一つの行政府であります法務省にお尋ねいたしますが、先ほどで大体ごかんべんいただきます、おわかりいただきますというととでございましたけれども、この際統一見解として水産庁のいまおっしゃったこと、私の質問をもう一回言う必要はないと思いますけれども、属地法ではない属人法であると私は解釈しておるのですが、それについて法務省刑事局長として御見解を御披露いただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 先ほどの前局長の見解の結論を出す前提として、当然ただいまおっしゃったようなことを前提として、ああいう結論を出したわけでございます。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 それでは法務省、水産庁、全く昨年の四月の統一見解に間違いがない、今後もその見解は改める必要がないとお認めでございますね。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 検察庁からの報告によりますと、ああいう判決が出ましたけれども、確定をさせないで控訴した、こういうことでございまして、したがいまして、その後におけるこの種事件についての取り締まりの基本方針として、判決が出る前と全く同じ方針でもって取り締まりをしてまいりたい、こういう趣旨に現地における関係各省との協議の結果決定して、そういう方針で続けている、こういう報告がまいっております。

箕輪登自由民主党

○箕輪委員 大体わかってまいりましたが、あの海域における漁業秩序は、先ほど美濃委員からもお話がありましたように、たいへん乱れておるかに聞いております。ああいう判決が出たために、これは法律違反ではないのだということで、密漁というかっこうで漁に出た船が、そのあとで五隻も一ぺんに拿捕されているというような記事を新聞で拝見いたしました。私は、今後も方針を変えないでひとつ取り締まりをやっていただきたいと思うわけでございます。これはうわさですからわかりませんけれども、どういうものか、しょっちゅう行って密漁している方々はソ連の船に拿捕されないということを現地の漁師の人々が言っているのでありますが、これはたいへんなことだと思うのであります。沿岸から二・五マイル――彼らは十二海里説を言っているのだけれども、二・五マイルまで入っても、その船が行ったらつかまえない、ソ連と何かあるのではないか、こうまで言われております。私どもの固有の領土であるから、そこへ行って魚をとってきたり、あるいはその他の水産資源をとってくることについては、私どもは、ほんとうは拍手かっさいしたいのです。こんなことを言うとおこられるかもしれませんけれども……。しかしながら、やはり漁業秩序というものは大切にしなければならないと私は思います。そういう意味で、先ほどから言ったように、確かに、こういうような漁業を営もうとする者は、船舶ごとに都道府県知事の許可を受けなければならないと書かれていることは、属人法的な解釈でいかなければいけないのだ。何も公海だとか領海だとかあるいは外国の領海に関係なしにでも、全然政府の見解も聞かずに、ソ連の領土であるなどというその鑑定書に基づいて、そういう先入観念で日本の司法官が、この漁業法の適用ができないというようなことを言ったとしたならば、私はこれはたいへんなあやまちだと考えるわけです。そういう意味で、せめて行政府の法務省なり水産庁は、これからも同じような考えで、漁業秩序を守る意味で、徹底した方針でこの海域における漁業の取り締まりに当たっていただきたいと御要望申し上げます。  もっとたくさん聞きたいことはありますけれども、いずれまた大臣その他がお見えになったときにお聞きすることにいたしまして、すべてを留保し、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 美濃政市君。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 時間も非常におそくなっておりますので、二、三お聞きしたいと思いますが、総理府の方はおいでになりますか。――御存じだと思いますが、根室市は、拿捕問題の処理やあるいは領土返還対策で二千数百万ないし三千万近い経費を使っておるわけです。これは聞くところによると、歯舞、色丹は日ソ共同宣言によって将来領土として期待できるので交付税の対象にするということで若干の財政援助をしておるようですが、国後、択捉については、自治省の見解は全然そういうことにならないということで去年はあったわけです。ことしになって、この根室市の財政援助はどういうように考えておるか、またどれだけの措置をしようとしておるか、これをお聞きしたいと思います。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  交付税の問題につきましては、自治省といろいろ打ち合わせをしておりますけれども、自治省のほうではっきりしたものがまだ出ていないようであります。私個人としては――もちろんこれは個人としての話でございますが、日本の領土であってある程度行政的な事実関係、行政的なものが出るものについてはそういう道を開く余地があるのではないかと思っておりますけれども、まだ自治省と十分意見の調整が進んでおりません。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 それはしかしおかしいじゃないですか。いわゆる解釈によって、その運動を続ける経費、根室市の使っておる経費が過剰であったというなら別だけれども、正当に必要だということになれば、国のいわゆる基準財政需要額を見込んで財政措置をするのが正しいことではないでしょうか。これはまだ相談もしていないということはおかしいと思います。行政的な取り扱いはどうなりますか。やはり行政の筋道としては、総理府からそういう協議を申し込むのがたてまえだ。領土問題の所管は総理府ですから、総理府のあなた方から自治省に協議を申し込む誠意がなければならぬ。どうでしょうか。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 ただいま私申し上げたつもりでございましたが、自治省にはそういう点で検討してもらうように申し込んであります。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 結論が出ていないということですか。申し込んでおいたがまだどれだけのことをするという結論に到達していないということですか。そこをちょっとはっきりしてください。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  自治省の側で十分検討が進んでいない、こういうふうに私は了解しております。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 次に、条約局からおいでになっておるので伺いたいが、人が違うから御答弁が違うと思いますが、答弁できなければあとでもよろしいですけれども、先ほどの質疑の中で、歯舞、色丹は黙認あるいは黙認の形であるというような答弁ですが、しかし私の個人的見解ですが、いわゆる日ソ共同宣言で、条約締結後、歯舞、色丹を引き渡す、それでよろしいという国際間の調印をすれば黙認ではないと思いますが、公式に講和条約を締結するまで、ソ連の領有というか占拠というか、ソ連が占領しておることを認めたというふうになるのではないですか。黙認というのではなくて、日本政府は公式に認めたのではないですか。引き渡す、それでよろしゅうございますという調印をしたのですか。そこはどうなりますか。黙認か公認かという問題です。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 この問題につきましては、これまでしばしば国会におきまして政府から答弁いたしておりますが、先ほど北原欧亜局長から答弁しました趣旨は、日ソ共同宣言という条約におきまして将来の平和条約締結後に引き渡すということを日本が認めたということをああいう趣旨で説明したものでございます。したがいまして、先生がおっしゃるような意味で、ソ連の領有下にある領土を日本にくれるという意味では決してございませんで、あくまでも日本の領有権のもとにある本来日本固有の領土であるその歯舞、色丹をそれまでの間ソ連が引き続き占有するということをあの条約によって認めたということをお話し申し上げた次第であります。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 そうすると、黙認ではないわけですね。黙認か公認かはどうなりますか、解釈は。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 黙認と申しましたのは、日本は決して積極的にああいうものを認めたということじゃないという意味をあらわしたことばでございまして、公式文書によって認めたということは明らかでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 大体それでいいです、なかなか苦しいところでしょうから。  次に、北島丸事件でちょっと法務省の見解を承っておきたい。  三権分立といいますけれども、これは行政と関連しない、たとえば刑法上のいろいろ問題がありますが、行政と密接に関連しない判決、これはまたみだりに行政の立場から司法権に介入すべきでないと思うのですが、しかし、行政と対立する問題ですね。先ほども水産庁から話があったように、現地では協議会を開いて、やはり密漁事犯として今後も取り扱うという基本方針を再確認した。片一方は、司法権のほうは、これは事犯でないというのです。こういうものは、三権分立という性格でなくて、調整をしなければならぬと思うのですがね。行政の考え方と司法の考え方との調整が必要になると思うのです。三権分立だから、それは裁判所がかってに判決を下せばいいんだ、行政府は行政府で既定の路線で力んでいくんだ、私は、そういうことが三権分立でないというふうに解釈する。三権分立とは、やはりみだりに行政府が司法に介入するということは、これはもう慎まなければならぬし、やるべきでない、こういう問題が二つあるわけですね。もう一つは、農地法の国の買収した、これは、私は、ことしの予算の分科会でもちょっと言ってありますが、調整するというふうに農林大臣は答弁しておりますが、そのとき法務大臣は来ておらなかった。行政措置と裁判所の判決とが食い違って、行政措置はあくまで正しいんだという解釈に立つわけです。三権分立というけれども、これはやはり調整する必要があると思うのですが、そういう考えは司法当局にはないのですか。調整をしなければならぬという意思はないのか。それがあくまで三権分立というものの介入になる、介入になるのだとしたら、これは困ったことだと思うのです。行政府はあくまで正しいという再確認をしている。片一方は事犯でないというのですよ。こういう問題はどうなっていくか。いずれもこういう問題は、卑近な例を申し上げると、殺人犯や放火犯というふうなそういう単独犯罪を裁判で判決したものと性格が違いますから、そのうしろにはいろいろの経済上のめんどうな問題がその判決によって付属して出てくるわけですね。それによって大きな経済上の被害も関係者に起きているわけです。そういう相関関係はどう判断しておるのかですね。これは法務省と裁判所の傾向がそういう点は従来はどうなってきたか。今後そういうものは調整する必要があると考えているのか、それとも、裁判官はやはり独自の権限で、いかなる状態が起きようと、実際に行政府とどういう摩擦が起きようと、独自の権限で判決を下していくということが正しいと解釈しておるのか、その点の見解をひとつ明確にしていただきたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 三権分立ということを本日私はここで申しておりませんけれども、いまの御趣旨をあるいは私が取り違えているかもしれませんが、面が二つあるような気がします。  一つは、検察官というものは、刑法並びに罰則に違反した行為で法秩序を保つために裁判所へ起訴をする。その結果、裁判所によって、検察官の主張するような趣旨を認めて何らかの判決がある。そういう行為を通じて法の秩序を維持していこう、これが検察官の主たる職分だ、こういうふうに私ども理解いたしております。  そこで、本件につきましては、漁業法の効力は及ぶんだという積極論でもって検察官が起訴しましたところが、裁判所は、先ほどからお話がありますような理由でもって、及ばないんだということで消極の判決をした。この段階では、行政を代表いたしております検察官の立場と、それから、司法権を行使しておる釧路地方裁判所の見解とは全く相反したわけでございますので、行政と司法とがのっぴきならないような状態に衝突しておる、こういうことで、国民としましてはたいへん迷惑な状態におちいっている、こういうわけでございますが、御承知のとおり、判決のほうは、高裁と、最高裁と、三審制度をとっておりますので、判決はありましても、確定化しない場合におきましては、実質的な効力は生じてまいりません。社会的にはいろいろもちろん絶大な効力がありますけれども、法律的にはそういう効力がありません。特に検察官が控訴をして未確定の状態において高等裁判所の判決が期待されるというふうな状況にありますので、この状況を見ていただきますというと、行政の立場というものは、依然として判決が未確定であるということを理由といたしまして、行政の立場は終始変わらざる方針で貫かれているわけでございまして、裁判官のほうの司法権のほうは、いま係属中という段階になって、あらためて新しい裁判の意思が示されるまでは、検察官の控訴によって行政と司法との対立というものは法律的には解消されて、なくなっているという状態にあるわけであります。したがいまして、それを前提といたしまして、私ども取り締まりの立場から申し上げますというと、従来どおりの行政の積極的な立場でもって、関係官庁が協議の上でもって、前と変わらないような立場で取り締まりを推進していく、こういうことを先ほど別な委員の質問に対してお答えを申し上げたわけでございます。  それから、もう一面のほうは、現在未確定の状態で具体的なケースが裁判所に係属していま審理中である。これは、国としまして、そのケースを、争訟を司法権に預けて、そうして裁判をして、審理を見守っておる、こういう状態にあるわけでありますので、そういう状態にある場合においては、なるべく立法権も行政権も司法の独立を尊重して、未確定の状態にある場合においては、公な立場においてあれこれと意見を述べないで、裁判所が独自の公正な立場において判断をするようにこれを見守ってやるということが、また別な面における三権分立の精神に沿うものではないか。その場合において、検察官は、当該事件については行政を代表する立場でございますので、国の立場として具体的には、先ほどからの外務省のほうの特別な意見というふうなものは、検察官を通じてその裁判所に向かって強力に政府の立場を主張していく。また、別な立場は、弁護人を通じて裁判所に対して別な立場が主張される。そこで、国の主張する立場が正しいか、弁護人の主張することが正しいかということを公平な第三者の立場において高等裁判所が審判をする。これがやはりこの姿におきましては、三権分立ということをまた別な意味において尊重するゆえんではなかろうか。御質問の御趣旨に沿っているかどうか、必ずしも自信がございませんけれども、御質問を勘案しまして、三権分立という面で議論するならば、何かそういう二つの面があるような気がするわけでございます。私が具体的な答弁を渋りましたのは、現に審理中の事件でございますので、その審理をしている一方の当事者は検察官で、その検察官を統括しておるのは私のやっております法務省の刑事局長という立場でございますので、いわば一方の当事者と間接につながっておるような立場にございますので、そういう立場の者が国会という権威の場に出てまいりまして、具体的な事件について、法律解釈についていろいろ断定的なことを申し上げるのは、ひいては三権分立の国の立場の三権分立の精神によからぬ結果を及ぼしては困るというふうな不安から、なるべく断定的なはっきりしたことは申し上げないというほうがよかろう、こういうような立場で、先ほどのような答弁を申し上げた、こういうことでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 いや、係争中の問題ですから、本件に関してどうこうと私も言っておるわけじゃない。この結果の帰趨をどうこう言っているわけじゃないが、たとえば、刑事訴訟法によるものであれば、いまお話しのように、国を代弁する検察官が国の立場でその刑事訴訟法によって起訴するのですが、しかし国が相手どられた民事訟訴もあるわけですね。検察官がいない訴訟もあるわけです。それが、行政措置をしたものと、裁判所が下す判決に食い違いが起きてくる――行政が非常に誤っておる場合はこれはやむを得ぬと思いますが、しかし、行政府のほうはあくまで誤っていないという主張を貫くということになると、これはどういうふうに解釈したらいいか。行政府はあくまで裁判の判決があってもそれには応じられぬという。そのうしろには、いま申し上げたように、単に単純な刑事訴訟や刑事事件判決と違って、国民経済あるいは社会秩序という問題がある。私どもが常識的に判断する社会秩序が、その判決によって常識が乱されるような方向へ行き、大きな損害が起きてくる。まじめな者に大きな損害が起きてきて、言うならば、勝訴になった者よりも、その判決によってまじめな者に経済上大きな被害が起きてくる。そうなると、裁判の信憑性というものを疑わざるを得ぬような心境になるのです。そういうことは、通例、裁判もそれから法律も、常識的に社会秩序を守るものでしょう。社会を破壊するために裁判するのじゃないでしょう。その結果、まじめな者の生活が破壊されるという方向へその判決が向いていくというようになったら、これは重大な問題だと思うのですよ。三権分立だなんという問題じゃないと思うのです。まじめにやっておる者の状態が破壊されていく、その判決によって。そうすると、私どもの考えでは、行政措置が正しいのだという――この問題に限りませんよ、そういう事犯が出てくるわけですね。特に例を出すと、農地法関係の異議の申し立てに対する判決の中でそういうものが出てくるわけですね。行政府としてはあくまで正しいと言って主張するわけですね。しかし、裁判の判決によってその結果、正しい者に被害者が出てくる。そうなるとこれは問題だと思うのです。そういう点はどう考えておるか。三権分立などというものではなくて、常識的に判断して、まじめな者が被害者になる。その判決が正しいと言って、その判決によって社会秩序が確立された場合、まじめな者が被害者になっているのです。これはどういうことか。裁判の趣旨というものはそういうものじゃないと思うんですね。社会の秩序を守るために法律をつくっておると思うのです。法律というものは私は高度な社会常識だと思うんですよ。その常識がその判決によってひっくり返ってしまうというのじゃ、これはたいへんなことになると思うのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 刑事事件は検察官が原告官として御承知のとおりやっております。それから、行政事件は原則として私の法務省にあります訟務局の検事がこれを担当して鞅掌いたしております。そこで、刑事事件にしましても、行政事件にしましても、行政の立場を代表するものでありますから、裁判を通じて、おっしゃる健全な常識を貫いていくということは私どもに課せられた責務であり、最も大切な点だと思います。したがいまして、訴訟の維持のために証拠の収集とかあるいは法律の解釈とかいうふうな面について全力をあげてその趣旨の徹底につとめなければならないということは申し上げるまでもないことでございますけれども、法律解釈、事実の認定におきまして、間々裁判所の見解と私どもの見解とが食い違うことがあるというのも、またこれ、こういう制度を設けている趣旨から申しまして、ある場合におきましてはやむを得ないことかと思うわけでございます。  それから一審でそういう相反する判決がございまして、二審でも同じような判決があった、最高裁判所まで持っていきましても一審と同じような趣旨の判決があったということになりますと、これは解釈が司法部の最終的な解釈として決定した、こういうことになりますので、憲法の明文からいきましても、行政府はその司法部の最終的法律判断に従わなければなりませんので、その段階におきましては行政府としてはその見解を尊重して何らかのまた別な立法を考える、あるいは行政の措置を講ずるというようなことをしなければならない、こういうふうに思います。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 私の申し上げておる、法律というものは高度な常識で、社会の秩序を維持するということは、これは間違いないでしょう。ですから、どうかひとつそういう点に十分御注意をいただきたいということで、これ以上どうこう言うことも差し控えたいと思います。一応この点でとどめておきます。  それからもう一つ、これは総理府の方に質問しておきたいと思いますが、聞くところによると、この北方領土は急激に占領されて、何か向こうの島の財産とか、たとえば戸籍簿あたりでも、こっちに引き揚げて新たに戸籍をつくったというようなことで、戸籍簿から何からみな向こうへ残して、命からがら引き揚げてきたというような状態で、何か領土復帰した後における措置等についての記録が不十分だというふうに聞いておるのだが、その点はどうなっておるか伺いたい。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 これは法務省のほうから聞いていることでございますが、不動産の登記につきましては、釧路地方法務局根室支局に登記簿は保管されているようでございます。現実には、もちろん現地の不動産登記の関係でございますので、実際問題として登記の事務は再開されておりませんが、登記簿そのものは根室の支局に保管されているそうでございます。  それから戸籍につきましては、これはこちらに引き揚げてきましてから、法務省の指導によりまして、転籍の手続をとって、本土の市町村に本籍が移されたような形で、事務が不便を生じないように、不都合を生じないように処理していく、そういうことでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 その登記簿が保管されているというのは間違いないですか。ようでありますでなくて、もういまの時点ですから……。

加藤泰守総理府特別地域連絡局参事官

○加藤(泰)政府委員 法務省の話で、確かに保管されているということでございます。

美濃政市日本社会党

○美濃委員 もうきょうはおそいし、大臣もおりませんから、あなた方にちょっと要請をしておきます。時代も変わってきておりますし、旧農地地主補償から引き揚げ補償もしておるわけですから、実質一万数千名といわれておりますこの島の引き揚げ者に対する補償の問題、これはやはり、もう時点も長くなりましたし、この時点で、漁業権なりあるいはそういう問題の補償措置を考えるべきである、こう思います。あるいは、もう一つは、小笠原も返ってきます。小笠原が返ってくると、これからあの島を平和な豊かな島にするというのであれば、いわゆる本土ではもう農地改革もやっておるわけですから、名目的に旧資産を主張して、そのまま、実質に島に行って――たとえば小笠原の場合でも、実質に島へ入って島の発展に努力しようとしないで、旧財産を主張するものだけを認めていったとしたら、そういうところの地域開発というのはずっとおくれてしまうと思うのです。これは戦後北海道の開拓のときでも、そういうことが非常に多かったわけです。たとえば旧軍の飛行場やなんかを開放する、五町として開放しましたが、そうすると、実際に農業をやるといって開拓者となって五町の土地をもらいながら、現実にそれは名目で、権利取得であって、入らない者が三〇%以上あった、そういうようなことも過去の歴史の中にたくさんあるわけです。ですから、これからの沖繩問題にしてもあるいは小笠原問題にしても――まあ沖繩は住民がきちっとおるわけですから、その問題は別になってきますけれども、小笠原の問題、北方領土の問題、そういう問題は十分注意をしていかなければならぬ。そうすると、この北方領土問題あたりは、さらにこれから期間が経過するわけですから、この時点で、補償で、一応古い関係のものを整理しておく。補償で整理しておいて、返ってきたときには新たな国土開発計画で、旧資産関係の因果を補償措置で断ち切っておくということが必要だと思うのです。そういうことをしないと、いつまでも旧資産を認めておく、二十年も三十年も――二十年以上これで経過してきたわけです。ここで北方領土問題は、しかるべき補償を出して、旧因果関係を一応整理する、これが私は必要でないかと思うのです。そういう点をひとつ、きょうは答弁は要りませんから、検討を願っておきたい。いずれ別の機会にまたあれします。  以上で終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 中谷君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 簡単に二点だけをお尋ねをしておきたいと思います。  刑事局長に、基本的な取り締まりの方針については変わらないという御答弁がありました。ただこの種判決の影響が漁業秩序に及ぼすであろうところの具体的な現実の事実というものは、やはり無視できないと思うのです。そこで基本的な取り締まり方針は変わらないということと、その基本的な取り締まり方針に基づいて本件判決後具体的な取り締まりが一体どうなっているか、現実に、もちろん先ほど若干の質疑応答の中から、この判決後漁業秩序が荒れるという傾向があらわれてきているということを同僚議員が指摘をいたしました。そこで具体的には検挙ということは一体どうなっているか、その点について資料はお持ちじゃないと思うけれども、基本的な取り締まり方針は変わらないというだけでは安心ができないものがあるので、本日お答えできないようでしたら、資料等を用意していただけるかどうか、お答えいただきたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 私まだ具体的に報告書を見ておりませんが、聞くところによりますと、判決後に同じような種類の事案で、六隻の船を検挙して捜査中だ、こういう報告が来ているようでございます。なおその後における取り締まりの実績について、もう少し詳細な報告を求めて、適当な機会にまたお答えをいたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 基本的な取り締まり方針が変わらないという趣旨の答弁は、起訴基準あるいは求刑基準、そういうものは変えない、こういう趣旨にお伺してよろしいですね。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 そういうことでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 沖繩の布令、布告の法的な構造と沖縄の法的な地位との関連で水産庁にお尋ねをいたしますが、この種事件が現実の問題として、沖繩のいわゆる領海ということばが適当かどうか、あり得るかどうかという問題は別として、いわゆる法的な構造との関係の中でお尋ねをいたしたいが、漁業法違反になるという場合、これと同じようなケースですね、という点については、水産庁はどういうふうに思いますか。

岩本道夫水産庁漁政部長

○岩本説明員 先ほどもちょっとほかの委員の御質問に御答弁申し上げましたように、水産庁としましては、日本の港を根拠地としている、少なくとも日本人が日本船舶によって漁業を営む限り、しかも漁業法の目的であります漁業秩序の確立、維持という目的に必要であります限り、公海といわず外国領海といわず、漁業法の取り締まりの効力が及ぶという見解を従来から一貫してとっておりますので、御質問の場合におきましても、そういう考え方で処理する所存でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、法務省の刑事局長さんの御答弁もこの機会にお伺いしておきたいと思います。現実の問題として、というよりも、沖繩の法的地位との関係において、この問題について御答弁を、漁業法とのかね合いといいますか、関連において、漁業法違反というような問題が出るのかどうか、そういう点をひとつお答えをいただきたい。  同時に、先ほど水産庁の御答弁は、漁業秩序の維持ということですけれども、それは漁業秩序の維持、漁業秩序に対する破壊、影響というのは、客観的に、具体的に、そういうふうなものがなければ漁業法違反にはならないのか、要するにそういうふうな無許可営業、無許可操業というものが、それ自体漁業秩序に対する破壊、悪い影響というものを含んでおるという前提でお答えになっておられると思うのだけれども、この点も念のためにひとつ刑事局長さんのほうから……。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一般論として申し上げますと、私は、漁業法の効力は日本の領域外にも及ぶ、こういう見解でございます。

岩本道夫水産庁漁政部長

○岩本説明員 漁業法で許可制をしいております理由は、漁業秩序の維持、確立のためでございますので、御質問のとおり解釈いたします。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十九分散会

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