沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第8号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/04/18
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 沖縄に対する財政措置その他の援助に関する臨時措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。川崎寛治君。
○川崎(寛)議員 ただいま議題となりました沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨時措置法案について、提出者を代表し、提案の理由を説明申し上げます。 戦後二十年余、百万人同胞が、依然として北緯二十七度線を境にして、本土と分断され、他民族の支配下に苦しい生活を続けていることをわれわれは夢寐にも忘れてはならないのであります。 太平洋戦争末期沖繩においては、二十数万の同胞が生命を失い、しかも健児の塔、ひめゆりの塔に見られるごとく、けなげな中学生、女学生が祖国のために若い生涯をささげたのであります。 彼らの祖国、母なる国は、その後一体沖繩に対していかなることをなしたでありましょうか。 対日平和条約三条により、沖繩を「合衆国を准一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」と規定し、沖繩住民の意思を何ら聞くことなくアメリカの施政権のもとに置くことに定めたのであります。 その後、わが国は国際連合に加盟いたしました。国連憲章第七十八条は「国際連合加盟国の間の関係は、主権平等の原則の尊重を基礎とするから、信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」と規定しています。ゆえに、わが国が国際連合に加盟した以上、信託統治を前提とする平和条約第三条は国連憲章違反としてその効力を失ったものと、われわれは解しているのであります。 しかるにアメリカ政府は、すでに過去において、沖繩に対する信託統治提案の意思のなかったことを表明しておきながら、他方では、沖繩を極東軍事戦略の重要なかなめとして基地化し、アジアにおける最大の核基地として保有しているのであります。しかも昨今においては、アメリカのベトナム侵略戦争のエスカレーションに伴って、その前進基地として、爆撃、修理、補給などの作戦展開に欠かせない役割りをになわされているのであります。このため沖繩においては土地の新規接収、軍事演習などによる被害が頻発し、沖繩住民の不安は日々つのるばかりであります。 沖繩の住民は、このようなアメリカの不当な沖繩占有に反対し、祖国復帰を念願し、施政権の即時返還、軍事基地の撤去を要求し続けております。この祖国復帰の念願は、沖繩住民の願いであるばかりでなく、日本の全国民の願いでもあります。しかるに歴代の自民党政府は、沖繩住民や日本国民の真の悲願である施政権返還、軍事基地撤去の早規実現に努力しようとぜず、若干の財政援助を予算に計上することによって問題の本質を隠蔽しているのであります。沖繩住民の米軍基地に依存した質しい生活と低い行政水準を解消することは、とりもなおさず、施政権返還、軍事基地撤去と一体の関係にあり、日本政府みずからもこれを認めているはずであります。しかるに自民党政府は、この沖繩住民の悲願を軽視しているために、沖繩と本土との各種格差はますます拡大する傾向にあります。したがいまして、われわれは沖繩の施政権の返還が一日も早く実現するよう努力することを誓うものであります。 その施政権が返還されるまでの間、沖繩住民の生活と福祉を増進させ、経済の発展をはかることが緊急に必要であることを痛感し、本法律案を提出いたした次第であります。 言うまでもなく沖繩経済、民生の現状はきわめて貧しく、特に基地経済に極端に依存しているために、産業構造はアンバランスで、第三次産業が圧倒的に高く、そのため就業者一人当たりの所得額においては、第一次産業、第二次産業ともに本土の約半分にとどまっているのであります。特に農業においては、膨大な軍用地接収によって耕地面積は年々減少し、耕作面積は全く零細であり、農家経営はきわめて不安定におちいっているのであります。中でも沖繩の基幹産業としての糖業は近年発展しつつはあるものの、相場の異常な変動、市場の狭隘性のために不安定経営を続けております。また、教育、社会保障、住宅、消費生活、治山治水、海岸保全等々、行政水準の低さのために、本土に比較してきわめて不備な実態にあるのであります。さらに沖繩の水利権は米民政府に握られ、水道、電力は米民政府の公社が経営し、石油も米民政府の管理下にあって、沖繩経済は完全に自立体制を失っているのであります。沖繩が日本の領土であり、沖繩住民が日本国民でありながら、このような差別が許されてよいものでしょうか。 本法案は沖繩住民の福祉に寄与し、経済の発展に資するため、もし沖繩がかつての四十七都道府県のうちの山県であったならば、県、市町村並びに住民に交付されるであろう日本政府からの補助金等の財政措置その他の援助を琉球政府に対し、行なわんとするものであります。もちろん、施政権のない沖繩に対し財政措置を行なうものである以上、琉球政府の申し出がある場合に交付するものであります。 次に、琉球政府の統治機関として国の事務並びに事業については、財政措置の対象からはずしました。 さらに、沖繩住民からの日本政府に対する納税の方法もなく、かつ基準財政需要額並びに基準財政収入額の算定も困難でありますので、わが国における地方交付税交付金に相当する財政措置は、別途の措置を講ずることとし、本法律案から除外することにいたしたのであります。 これらの原則に基づき次のごとく規定いたしました。 第一は、国の事務または事業に相当するものに対する財政措置、第二に、法律による地方公共団体等の事務または事業のうち、法律または政令により国の負担並びに補助割合が明確な場合、これに相当するものに対する財政措置、第三は、法律による地方公共団体等の事務または事業のうち、国の負担または補助の割合が明定されていない場合、これに相当するものに対する財政措置、第四は、国の負担または補助が法律の根拠に基づかない、いわゆる予算補助を行なっている場合、これに相当する事業または事務に対する財政措置及びその他必要な財政措置、第五には、琉球政府の申し出がある場合の資料の提供、助言、職員の派遣その他必要な援助、以上の財政措置並びに援助を行なうことといたしたのであります。 ことに、沖繩は戦後二十年余、わが国政府から放置されていたことにかんがみ、第二の事務または事業の負担または補助の割合は、奄美群島振興特別措置法に規定するものと同一の高率を適用することといたしました。 本法律案の施行は、沖繩における援助受け入れの法整備の準備の期間も必要でありますが、置の必要性にかんがみ、昭和四十三年四月一日に遡及して施行することといたしたのであります。 何とぞ慎重御審議の上、可決あらんことをお願いいたします。
○床次委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○床次委員長 次に、沖繩島都制に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 お尋ねをいたしたいと思います。 前回私は、諮問委員会が権限として議題となし得る事実、それは一体どういうことなんだろうか、逆にいうと、なし得ない事実は一体どういうことなのかということについてお尋ねをいたしました。そこで、少なくとも交換公文によれば、諮問事項は、経済的な社会的な事項並びに関連事項ということになっていることは争いがない。そうすると一体、高等弁務官が要するにアメリカ本国に相談しないで独自の権限でできる問題というのは何なんだろうか、こういう点が一つ疑問になってまいります。できるということについて権限を広く解釈したいという立場で御答弁が前回あったと思うけれども、次のようなことは間違いなしにできるんですかということで具体的な例をあげて重ねてお尋ねをいたしたいと思います。 たとえば、現在特に沖繩の労働者の諸君が問題にしておりますところの軍労働者の賃金引き上げの問題、これは諮問委員会の権限事項なのかどうか、これをひとつお尋ねをいたしたい。また、税負担の問題は一体権限事項なのかどうか。特に私が当委員会において常に問題にしてまいりました問題は、損害賠償額の限度は一万五千ドルということの上限がある。頭打ちになっている。そういう損害賠償額の限度引き上げの問題というのは諮問委員会の対象となり得る事項なのかどうか。要するに予算を伴う問題でございますね、こういう問題は。別なことばで言いますならば、米本国の議会の承認を要する事項は一体どうなのか、これらの問題について、長官から明確に御答弁をいただきたい。
○田中国務大臣 御質疑の点が非常に詳細な問題にわたっておりますので、担当者からお答えをいたさせます。
○山野政府委員 布令百十六号を中心にしますいま御指摘になりました軍労働者の賃金引き上げの問題は対象になるか、それからあるいは税負担の問題はどうか、あるいは損害賠償の問題はどうか、こういう問題でございますが、諮問委員会の権限は、経済、社会及びそれに関連する事項であって、高等弁務官の権限内の事項ということがこれは明確になっております。したがいまして、やはりたとえば沖繩統治の基本に触れるような問題、はっきり申し上げますと、たとえば大統領の行政命令の問題とか、それから純政治的な問題、この前も議論になりましたけれども、たとえば施政権返還の問題といったような純粋に政治的な問題こういう問題は諮問委員会の権限外に属することは当然でございます。 軍労働者の賃金引き上げの問題にしましても、これはその制度として考えますと、内地のたとえば米軍基地の労務者との関係の比較の問題が制度としては考えられるじゃないかという考え方もあると思いますが、その点は沖繩の米軍基地の特殊性ということも私どもは同時に頭に置かなければならぬものですから、単純に制度論としてその問題を取り上げ得るかどうかには私は疑問があろうかと思います。ただ、そうかといって、それじゃ賃金引き上げの、軍労務者の賃金問題はあるいは一般に労働者の賃金問題は一切話に出ないか、あるいは話をしてはいかぬのかと申しますと、それはそういった問題じゃなくて、やはり関連事項として諮問委員会の議題になることはあり得る、こういうぐあいに私どもは現在は申し上げたいのであります。 それから、税負担の問題等につきましては、やはり沖繩の税の中で、国税に当たるもの、県税に当たるもの、あるいは市町村税に当たるもの、それぞれが本土復帰の際に、わが国の国税なり県税なり市町村税とコンパラティブに比較して、やはり制度を近づけていくという問題は十分私どもは検討しなければいけませんから、したがいまして、こういう問題は税制の問題としてやはり問題の対象にはなり得るのじゃないか。 それから損害賠償の問題につきましても、個々の損害賠償の事案をこういう諮問委員会に取り上げることは、私は適当ではないと思います。しかし、そもそも一体損害賠償というものの制度面から見た本土の取り扱い方と、それから沖繩における取り扱い方との差異の問題、そういう問題をめぐっては、やはり議題にはできないということは言えない、やはり議題になっていくべき問題だと思います。しかし、いま直ちにそういう議題をまつ先に取り上げるかどうかは、これはおのずから別の問題だと思います。
○中谷委員 質問はそういうふうな長い御答弁をいただかなければならないような質問ではないわけなんです。議題ということばの話、端的にいえば、諮問委員会で三者が寄って、茶飲み話なんかでできるかできないかなんというようなことを聞いているのではないのです。私が申し上げているのは、要するにアメリカの本国の予算措置を要する事項について、その事項について諮問委員会の権限になり得るかどうか、たとえば賃金問題というのは、これはワシントンで決定することなんですね。そのことは一体どういうことなのかと聞いている。損害賠償額の上限引き上げの問題だって、同時に同じ問題だと私は理解をしているのです。この問題を諮問委員会の中において議題となし得るとは一体どういう意味なのか、賃金引き上げについてどういうプロセスで議題となし得るのか。こういう予算を伴う問題について、要するに諮問委員会は社会的な経済的なその他関連事項というふうなことでいろいろなことをおっしゃっている。美辞麗句を並べておられるけれども、具体的に何ができるのかということをしぼってみますと、議題としては悪くはなかろうとか、議題になり得ないわけではないだろうというふうな、ウナギのしっぽをつかむようなことでは納得できないのです。だから問題は、これらの問題が明確にこの諮問委員会の中において解決できる問題なのかどうか、この点を一点お答えをいただけばいいのです。これは権限の基本に関する一つの問題ですから、長官からお答えいただきたい。
○田中国務大臣 この諮問委員会の内容という永のは、いわゆるアドバイザリーコミッティーとして助言し勧告をするということになっております。だから問題は、議題とするかしないかというよりも、勧告をするか助言をするか、その対象になるかということになると思うのでありますが、それで社会的、経済的並びにそれに関連するというんですが、この中の軍労働者の労務条件の問題等、百十六号の問題それ自体が取り扱われるか扱われないか。私は扱われるものもあるし、そうでないものも具体的にはあるのではないかと思います。それからまた予算を伴うもの、これも御承知のとおりに、あれは本国のほうの議会において承認を得て予算が承認されれば出されるケースもあります。それからまた損害賠償の問題になりますと、御承知の軍司令官の権限に属する損害賠償法に基づくいろいろな演習場の問題とかあるいは補償の問題があります。こういうふうな問題は、当然高等弁務官の権限内事項としてやれることでありますから、当然議題となり得るだろうと存じます。 要は、議題とするしない、三者が、諮問委員が助言し勧告をする内容をどうするかというところにあると思います。
○中谷委員 労働大臣の御出席をいただきましたので、この機会にお尋ねをいたしたいと思います。 布令百十六号、この布令については、すでに一九六六年、立法院において、労働者の自由と権利を守らなければならないという全会一致の決議をもって、この布令についての問題点も指摘いたしております。そういうふうな情勢の中で、労働大臣にひとつ私は次のようなお尋ねをいたしたい。 労働者の本来基本的人権として持っている団結権、団体行動権あるいは団体交渉権、そういうような基本的人権の立場から見て、この布令百十六号というのは、どの点が少なくとも改められなければ、沖繩におけるところの軍労働者の基本的人権というものは保たれないというふうに大臣としてはお考えか。すでに大臣は、本会議において布令百十六号についての御見解をお述べいただいておりますが、布令百十六号のまさに改変されなければならない諸点、これについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○小川国務大臣 本会議で申し上げましたように、沖繩における駐留軍労務者につきましても、その他位の向上、労働条件の改善ということにつきましては、私ども強い関心を持っております。その観点からいたしまして、現在の布令百十六号は改善のために研究をすべき若干の問題点を持っておると存じますが、ただ、これからこの問題を前進させていきまする上においては、友好的な雰囲気のもとで意思の疎通をはかっていくことが必要であろうと存じまするので、この際この布令百十六号の内容につきまして、私がこの場でかれこれ論評を加えるということはいかがかと実は考えておるわけでございます。
○中谷委員 基本的人権という問題を提起をいたしました。そうすると、かりに布令百十六号というこの布令が基本的人権に反する条項を含んでおったとしても、日本政府はその布令百十六号の内容について批判し、論評することができない。そんなばかなことが一体あっていいのでしょうか。布令百十六号は日本国憲法の精神に照らして、あるいは世界人権宣言の趣旨に照らして、どういう点に問題があるかというふうなこと——沖縄の軍労働者を縛っている布令百十六号についての論評ができない、友好的ということばによってそのような論評ができないというようなことは私は納得ができない。本来本土との一体化というのは、日本国憲法の完全適用という問題でしょう。将来のそれに向かっての努力だと政府は言っているんでしょう。友好的ということは、日本国憲法に反するような内容を含んでいると私は考えている。反するとも反しないとも私はそういうことは言えませんというような、そんな態度が対米従属だというふうに指摘されてもやむを得ないのではないでしょうか。私はいまの大臣の御答弁には全く納得ができません。お答えをいただきたい。
○松永政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたのは、具体的な点につきましてどこをどのようにするかということは、今後の問題として具体的にはいろいろ出てくるであろうという意味から申し上げたと考えるのでございますが、いわゆる労働基本権というものが日本国憲法で保障をされておる。外国の憲法においても保障をされておる。その内容はいわゆる団結権、団体交渉権、争議権——団体交渉権と争議権を合わせて団体行動権、こういうようにいっておるわけでありますが、たとえば布令百十六号におきまして、第一種被用者については団体交渉権、争議権が禁止をされておる、否定されておるというようなことが問題としてはあるわけでございます。それからまた、そのような禁止そのものが基地という問題からもし禁止が必要であるという限りにおきましては、そのような禁止をされるいわゆる代償と申しますか、労使の主張の不一致の調整方法につきまして、たとえば第三者機関というようなものが置かれるのが普通の労働法のものの考え方でございます。そのような点につきまして、団結権、団体行動権につきましての制約と、それからまたその制約をどの程度撤廃できるか、縮小できるかということと、それからまた制約がやむを得ない場合におきましてどのような代償的な措置が考えられるかというようなことが、考え方としての基本の考え方になると思っております。
○中谷委員 大臣にお尋ねをいたしたいと思います。基地の特殊性というふうなことが基本的人権の侵害を許していいということには断じてならないということだけは、少なくとも私は大臣の御答弁としてお答えをいただきたいと思います。その点は一体どうなんでしょうか。 いま一つ、本件の布令百十六号の経過について申し上げますと、去る十二月の十六日に当委員会に参考人が出席をして、布令百十六号の問題点について意見を陳述をした。十二月十九日、高等弁務官は布令百十六号は近く廃止をするという談話を発表いたした。そこで、その後の新聞報道によると、総合労働布令なるものが準備されているということが報ぜられておる。大臣にお尋ねをいたしたいが、改善すべき諸点があるという御答弁があったけれども、総合労働布令の内容というのは一体どういう内容なのか、布令百十六号との関係においてどうなのか、布令百十六号と総合労働布令とはどの点が違うのか、この点についてまずお答えをいただきたい。
○小川国務大臣 ただいま準備がなされつつあるという総合布令につきましては、情報として聞いておる程度でございまして、必ずしもこれが正確なものであるかどうかを申し上げるわけにはいかない段階でございますが、聞いておりまする限りで、ただいま労政局長からお耳に入れさせます。
○松永政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、私どもも、総合労働布令というものが具体的にどういう内容であるか、正確につかみたいと思っておるのでございますが、実際にはまだ現物を見ておりません。それから情報によりますと、これも南連で知り得た情報、それから沖繩の新聞等から得た情報でございますが、総合労働布令というものが、アメリカ本国に参りまして、労働省、国防省等の関係の係官のところで協議をされたけれども、いろいろな意見があってすぐ実施ということにはとうていいかないだろうというような情報も聞いておるのでございます。いずれにいたしましても、直接内容をつかんだわけではございませんが、聞くところによりますと、たとえば現在の第一種、第二種の被用者両方をAグループとする、それから第四種その他の従業員をBグループとする。そしてAグループではスト権、団交権は認めないけれども、Bグループには認めるというような内容であるという情報も新聞紙等には載っております。それからその他、労働委員会の制度につきましても改善を加えたいというふうに語っておるということは琉球政府の当局者から私は直接聞いておりますが、いずれにいたしましても、内容についての成文そのものは、私どもとしてはまだ見ていない段階でございます。
○中谷委員 あと川崎委員に関連質問ということになりますので、大臣に一点だけお尋ねをいたしておきます。 占領下の本土におけるところの軍労働者——雇用形式は若干違いましたけれども、少なくともストについて権利が認められていた。まして刑罰を科するようなことはなかった。手錠をはめるようなかっこうで労働はさせなかったということなんです。第一種被用者についてのストライキの禁止の問題については、ストライキ禁止などということは断じて許されないという私は法律的な信条を持っておるけれども、少なくとも刑罰を科するというふうなことは、労働者の基本的人権に反すること、はなはだしいと思う。いわゆる春闘を控えて、沖縄の軍労働者の諸君がストライキに突入をするという状況がある。少なくとも労働大臣として、布令百十六号の中にある第一種被用者の諸君について、刑罰が科せられるというふうな問題については、きわめて不当だとか、やむを得ないのだとかというふうな、その程度の意見の御開陳をいただかなければ私は納得がいかない。この点についての御答弁を求めて、大臣に対する私の質問は終わりたいと思います。
○小川国務大臣 御指摘の点は確かにこの問題点であろうと存じております。
○川崎(寛)委員 関連して。——この布令百十六号の問題は衆参の予算委員会においてもたびたび問題になりましたし、諮問委員会等に入れるのだ、こういうふうなことを政府側は答弁しておるわけですね。ところが現実には、労政局長の言われているように、内容がわからぬ、こう言っているのですね。そうしますと、本土の軍労働者が受けておる権利あるいはその制度、そういうものと沖縄の軍労働者がいま置かれているという問題について、本質的に、本格的に諮問委員会でどうやろうとするのかわからぬわけですね。しかも根本においては何かということになりますと、私は、これは沖縄の軍労働者がどう置かれるべきかという点については、少なくとも本土と変わらないものにするというのが原則でなくてはならないと思う。本土と同じものにしていくという態度をお持ちなのかどうなのか、お尋ねしたいと思います。
○小川国務大臣 本土におきまする労使の関係は、条約に基づいて駐留をしておりまする外国の軍隊と日本人労働者との関係でございまするし、沖縄の問題は沖縄で施政権を持っておる国の軍隊と沖縄の労働者の関係でございますから、そこに若干の相違はあると存じます。また、日本においては、本土においては、いわゆる間接雇用の形がとられておるわけでございますが、この点につきましても、日本政府の行政能力と琉球政府のそれとも対比して考えるべきであるのじゃなかろうかということも考えておるわけでございます。しかし、政府の方針が、沖縄の返還に際して生ずることあるべき摩擦を最少限度にとどめるために一体化を促進していくということにあります以上、日本本土におきまする駐留軍と日本人労務者との関係は確かに一つの目安たり得るものだ、かように考えております。
○川崎(寛)委員 返還に際してという先の将来のことじゃないのですね。現実に、軍の労働者は、労働者としての基本的な権利を求めて、おそらく全面的なストライキにも入ると思うのです。そういう非常に緊迫した情勢にあるわけです。その中で、そういう間の遠いはるかかなたから見ておるようなことではならぬと思うのです。施政権云々を言われました。私は施政権を前提にしても議論はできると思う。では、大統領行政命令の十二節、基本的な自由、つまり基本的な人権というものの保障については、大統領行政命令十二節が定めておるわけなんです。大統領行政命令の十一節の権限に基づいてやるにしても、十二節では、その点は「基本的自由を保障しなければならない。」こうなっておるのです。だから、それであるならば、施政権というものを前提にしたにしても、本土の軍労働者が受けておる権利というもの、それと沖縄の軍労働者が受けるべき権利というものに差別があってはならぬと思うのですね。フィリピンにしてもあるいは韓国にしても、沖縄の軍労働者以上の権限というか、保障があるわけです。沖縄の労働者だけなんです、いま軍労働者で権利を奪われておりますものは。でありますから、情報だなんだというそういうまだるっこいことを言っておる限りにおいては、いかに諮問委員会が役に立たない機関であるかということが明確であろうと思います。どうですか。やはりこの点は一番基本の問題ですから、友好関係だなんてそういうことでなくて、それはぶつかるのは当然です。権利関係をきちんとしょうと思えば、相手側とぶつかるのは当然ですけれども、しかし百万の国民の中で二十万からこの軍労働に依存をしておるという非常に大きなウエートを持っておる軍労働者の問題でありますから、この点についてはそういう間の抜けたようなことを言わぬで、もう少しきちんとした基本的な姿勢を明確にしていただきたいと思います。
○小川国務大臣 現実の問題といたしまして、こちらの施政権が及んでおりませんために、ほかのもろもろな問題と同様に今日まで手の及びかねる問題であったことは、これは事実でございます。ここで一体化の方向に一歩を踏み出そうとする機運が生まれたわけでございますから、これからは公式にも非公式にも双方の意思を疎通し、事態の改善をはかっていく機会が出てくるに違いない。したがいまして、今後改善のために実情に応じてできるところから手をつけて、問題を一歩でも二歩でも前進させていきたい、このように私は願っておるわけでございます。
○川崎(寛)委員 くどいようですけれども、お尋ねします。 この布令百十六号の問題あるいは軍労働者の賃金問題等については、日本政府としては諮問委員会に入れるといったが、現実には、アメリカ側で出してくる総合労働布令、そういうものには指をくわえていて主張ができない、こういうふうに理解をしてよろしいですか。そういう状態なんですか。それとも、日本政府としてももっとやれるんだ、やるんだということなんですか。
○小川国務大臣 高瀬代表が出発されるのに先立ちまして、この布令百十六号について、私どももあとう限り詳細に説明をいたしたのでございます。またこの問題をめぐりまする琉球政府あるいは現地の労働組合の動き等についても説明をいたしました。高瀬代表は十分な予備知識を持って現地に向かわれました。この問題を諮問委員会の議題たらしむべく最大の努力をただいま払っておられる、かように聞いておる次第でございます。したがいまして、私どもはこの問題が諮問委員会で十分検討されることを期待いたしておりますし、それに先立って、伝えられる総合布令なるものが突如として出され、当方が指をくわえておらなければならないというような事態は万々起こるまいと信じておる次第でございます。
○川崎(寛)委員 それでは、時間の関係があるようですから、簡単にしたいと思いますけれども、本土側と変わらないように努力できるというんですか、それとも努力するというんですか。具体的に手をつけられるというのですか、手をつけられないというのですか。
○小川国務大臣 現状を少しでも改善いたしまするために、現に私は今日まであとう限りの努力は払ってまいりました。今後もそのつもりでおります。
○川崎(寛)委員 終わります。
○中谷委員 労働大臣に対するお尋ねはございません。 長官にお尋ねをいたしたいと思います。 一昨日及び本日私がお尋ねしているのは、諮問委員会の実質的な権限というのは一体何かということをお尋ねをしている。それがために、一つの問題として布令百十六号を論議の対象として持ち出しているわけなんです。そこで先ほど若干経過を申し上げましたが、十二月十七日、当委員会において布令百十六号について、沖縄の軍労働者の諸君などが参りまして、参考人として意見陳述の機会を持った。それに追っかけるように、十九日、高等弁務官が記者会見の中で、布令百十六号は廃止をして総合労働布令を公布する努力をするということを発表した。しからば今日まで、この布令百十六号の問題点について、日米間においてどのような点がどこで論議されたか、その経過を私はまず最初にお聞きいたしたいと思うのです。大臣の御答弁をお願いをいたします。
○田中国務大臣 どのような場所でどうこうという御質問でございますが、布令第百十六号の問題は、われわれの代表であります高瀬諮問委員に対しましては、これの軍労務のいわゆる改正方を常に主張いたしまするように連絡をいたしてございます。高瀬委員もこの布令百十六号の問題並びに総合布令の今後のあり方等につきましては、重大な関心を持って折衝を続けておると存じております。
○中谷委員 そうすると、高瀬代表に布令百十六号の問題点について改善方の指示をされる以前は、布令百十六号の問題については、日米間において協議がなかった、それまで放置しておったということになるのかどうか。
○田中国務大臣 そんなことはございません。現に私が沖縄に参りましたときにも、百十六号の改善処置をちゃんと公文をもって弁務官に折衝もいたしております。
○中谷委員 さてそこで、そういうふうな経過が御答弁になって、質疑が進んでいきます。はたしてしからば、長官自身が沖縄に行かれて、むしろ人権問題としての布令百十六号の問題、労働基本権の問題としての布令百十六号の問題について意見の陳述をされた、要請をされた、要求をされた。さらに高瀬代表のほうにおいてもこれについての交渉をしておるという御答弁なんです。そうすると交渉はやみくもな交渉というものはありませんね。布令百十六号の問題点は一体何か、どの点が労働基本権に反するのか、どの点が世界の労働法の水準から見て欠落、脱落をしておるのかという点がまず問題にならなければならない。長官御自身は、ではどの点を高等弁務官に要求されましたか。さらに高瀬代表に対してどのような点の交渉方を指示されましたか。
○田中国務大臣 私は、この日米琉諮問委員会の内容が、経済的、社会的並びにそれに関連する事項、こういう意味におきまして、労働者の諸君の社会的地位の向上という意味において、この百十六号の問題を主張いたしております。なお、雇用関係は日本の場合は間接雇用でございましたが、沖繩の場合は直接雇用でございます。さらにそれを分解すれば、一種、二種、三極、四種というふうなこまかい問題もございます。しかしながら、そういういわゆる雇用の問題、百十六号の基本権の問題としてでなく、一般の労働者諸君の社会的な地位の向上という意味から申すならば、私は当然これは経済的、社会的並びにそれに関連する事項として主張し得る問題として申し述べておるのでございます。
○中谷委員 質問をもう少し私のほうも明確にいたします。労働者の社会的地位の向上ということは、それを法的な側面でとらえてみますると、労働者の持っている団結権、団体交渉権並びに労働協約締結権、ストライキを行なうことのできる争議権、これらの権利を保障することだと思うのです。これは私が思うのじゃなくて、労働者の基本的人権なんです。結局社会的な地位の向上というのは、労働者にそれらの基本的人権を保障するということなんです。一般的な沖繩の軍労働者の諸君の社会的な地位の向上を要求をしたというふうなことでは、私は納得できません。団結権の問題、団体交渉権及び労働協約締結権、争議権の問題についてどのような改善方を要求されましたか。特に私が強く指摘をいたしたいのは、世界の労働法の常識は、手錠をはめたかっこうで、手錠をはめるぞというどうかつの中で労働させてはならないというのが労働基本権の一番基本だと思うのです。これらの問題について具体的に要求をされたかどうか、要求をされていなければおかしいと私は思う。いかがでございましょうか。
○田中国務大臣 担当官から御説明申し上げます。
○中谷委員 私がお尋ねをしておるのは、長官が沖繩へお行きになって要求をされたとおっしゃるから、そういう要求をされましたかとお尋ねをしておるのです。
○田中国務大臣 御案内のとおり、私は、二十何項目につきましての包括的な折衝を高等弁務官にいたしました。さような意味におきまして、いまの、労働基本権を具体的に一件一件あげて折衝をいたすような姿ではございませんでした。その点ははっきりと申し添えておきます。 なお、百十六号の問題は、いわゆる労働者諸君の社会的な地位の向上という意味におきまして、われわれは当然主張すべきものである、かような意味におきまして申しましたが、あなたが御指摘になりますような、それを分解して交渉するという姿ではございません。
○中谷委員 百十六号の問題というのは、こういうことでございますね。沖繩の軍労働者の諸君の社会的地位の向上にブレーキがかかっている、改善すべき点があるという点については、長官と私の意見はその点の認識については一致しておると思うのです。だとすると、そういう要求をしたかどうかという、かどうかの詰め方は、では、やめます。どの点が沖繩の軍労働者の諸君の社会的な地位の向上にブレーキをかけておる条文なんですか。どの点が沖繩の労働者にとって不都合なんですか。それは、もう当然長官の御認識としてなければならない。長官の御見解を承りたい。
○田中国務大臣 ただいま申しましたように、私は包括的な交渉をいたしたのでございますが、その事前と事後におきまして、特連局長は残りまして、具体的な交渉をいたしております。それにつきましては、特連局長から御説明をいたします。
○山野政府委員 どの問題が問題であるかという御指摘でございますが、ただいま労政局長から答弁がありましたように、たとえば労働者の団結権なり団体交渉権なりあるいは争議権なり、そういう問題と、それからそれをどの程度認めるかということと相関連した問題として、軍労働者の保障をする、たとえば労働委員会のあり方とか救済機関の問題とかが関連して問題になろうかと思うのであります。そういうような問題のこまかい点につきましては、まだ向こうの原案も固まっておりませんし、したがいまして、長官からは一般的な要望をされたわけでございます。
○中谷委員 特連局長にお尋ねをいたしますけれども、こまかい問題というのは、いかがな御答弁でしょうか。労働基本権というのは基本的人権なんですよ。こういうことは、私が指摘するまでもございませんね。労働者の社会的な地位をはかるメルクマールというのは、労働者の団結権が保障されているか、争議権があるか、憲法に規定されているところの団体行動権、団体交渉権があるかというその問題でしょう。それを離れて、そういう権利が制約されておるところに、代償措置としての労働委員会制度というものが出てくる。もちろん権利が保障されておっても、そういう制度は必要ですけれども、その一番基本的な問題について指摘できない。これは指摘しないのじゃなくて、指摘できないのじゃないですか。労働基本権を守りなさい、争議権を認めなさい、団体交渉権を明確に保障しなさいということが、こまかい個々の問題じゃなしに、一番大筋の大元の基本の問題について相手のアメリカと交渉ができないというのが実態じゃないでしょうか。そうじゃないでしょうか。
○山野政府委員 私どもも、先ほど来労働省なり私から申し上げましたように、いま御指摘になりましたような問題点を認識していないというわけではございません。完全に認識しておるつもりでございます。ただ、沖縄においては、施政権がアメリカ側にありまして、そのもとで特殊な雇用形態をとっておる軍労働者の地位の改善の問題は、本土と同じような立場から端的に問題を提起できない面もあると思うのでございます。したがいまして、私どもはそういうものを救済的な面とからみ合わせてどういうぐあいに改善していくか、一歩でも二歩でも前進するような改正を強く望んでおるわけでございます。
○中谷委員 長官にお尋ねをいたします。 諮問委員会は経済的、社会的、それに関連する事項について議題となし得る、またその点については拡大的に解釈をしたいのだというのが政府の一貫した答弁なんです。だとするならば、重ねてお尋ねをいたします。 近く陸軍省の承認を得て新労働布令が公布されるという状況になっておると新聞は報じています。だとするならば、新労働布令というのは、沖縄軍労働者の社会的な地位の向上をはかりますというふうな一般的なものではございませんね。布令である以上は、一条から三十条あるいは五十条という条文なんですね。その新労働布令の内容は、長官のほうで御存じかどうか。それが一点。 いま一つは、新労働布令については、当然団結権、団体交渉権、争議権についての規定があるはずなんです。沖縄の労働者の社会的な地位の向上をはかることを要求したというようなあいまいなことでは許されませんね。布令についての見解を述べる以上は。そういう布令についての見解を述べる場はあるのか、述べるとすればどの点を述べるのか。そういうことを述べられなくて、沖縄の労働者の地位の向上をはかるということなら、一体諮問委員会で何を議題とするのですか。百十六号が議題となると言ったって、全くそれならある意味では陳情でしかないじゃないですか。争議権はどうするのだ、団体交渉権はどうするのだ、労働協約締結権はどうするということが火花を散らした議論になるのですか、ならないのですか。なるとするならば、それらの問題についての原案というものが政府のほうになければならないじゃないですか。いかがでしょうか。質問が少しごたごたしましたけれども、原案がなければならないじゃないですか、お答えいただきたい。
○田中国務大臣 新総合労働布令というものが出るという情報はございます。なお、また、その労働布令なるものについては、諮問委員会において検討が行なわれることをわれわれは期待をいたしております。しかしながら、いまお説のごとくにわれわれは諮問委員会という新しい機関によりまして、本来であるならばそういうふうなことはむずかしいことでありますが、現在まだ施政権のない沖繩におきまして、日本政府が意思を表示することができるように新しく諮問委員会の窓が開かれたわけであります。しかし、それに対しまして、この新労働布令がはたしてこれに議題としてかけられるものかどうか。それは、私は、いまだここでしかとはわかっておりません。しかしながら、われわれは、それを期待し、同時にその総合布令に対しましても見解を表明すべき場ができますことを要望もし期待しております。
○中谷委員 だから、私は全くいまの御答弁は納得できません。要するにこういうことなんでしょう。新労働布令というものが出てしまえば、出てしまったものを議題にすることが一体できるのかどうかということについて疑問だとおっしゃったのですね。しかし問題は、新労働布令というものがいま立法の過程にあるという前提を先ほど御答弁になったと思うのです。だとするならば、まさに社会的、経済的、それに関連する事項として、その労働布令の中に沖繩の労働者の基本的人権を守るためにこれらの条文は入れるべきだ、これらの条文は入れるべきではない、制約的な条文あるいは制裁的な条文は許容すべきではないということを、諮問委員会が政府がおっしゃっているように拡大的に解釈をする権限があるなら、当然それは議題にすべきじゃないですか。論議されるべきじゃないですか。それについて重ねてお尋ねをいたしまするけれども、沖繩の労働者の地位の向上をはかるのだというようなことで、労働基本権の問題を議題にしないのだ、するとは思っていないのだという答弁ではお話になりません。争議権の問題、団体交渉権の問題、団体協約締結権の問題について議題にしなければならないと私は思う。一体それらの問題について議題にするのですか、しないのですか。 それと同時に、労働布令というようなものを情報として——というのは、知っている程度だということになれば、全くわれわれの知らないところで、沖繩の県民が知らないところでそのようなものが立法されておるということなのでしょうか。そういうようなことで、一体諮問委員会というものは何ですか。布令が出てきた、それについて文句を言う、泣き言を言う。まさに新しいものができる。百十六号の経過から言えば、そのことについてわれわれは十分論議をしたのです。けしからぬことだということをわれわれは言った。そういうふうなものについて、いまこそ新布令が出る前に文句を言うべきじゃないですか。意見を言うべきじゃないですか。これらについてひとつ長官の御答弁をいただきたい。
○田中国務大臣 いまの対米関係のそういった問題は、あえて諮問委員会だけが機関であるわけではありません。だから、日米協議委員会の議題として取り上げても、また外交交渉の問題としてもやってもよろしい。しかしながら、いまのあなたの御質問は、諮問委員会の権限あるいはまた沖繩におけるその活動状況に局限して質問されておるわけでございます。ですから、われわれは、その諮問委員会が、日本代表として、布令の問題につきましても大いに積極的な発言をするであろうと存じまするし、また、さように指導もいたしたい、かように考えております。
○山野政府委員 いまの長官の御答弁を補足いたしたいと思いますが、この布令百十六号の条文の問題点は、いま中谷先生から御指摘がございましたけれども、これはもう日米琉三者わかり過ぎるほどわかっておるわけでございまして、いまさらどこでどうして指摘する指摘しないの問題ではむしろないと思います。この問題につきましては、たとえばフェーラー労働局長がワシントンへ行きましたし、それからまた軍労働者の代表もワシントンへ行きまして、いろいろ交渉もいたしました。それからまた先ほど来労働大臣からもお話がありましたが、高瀬代表にも詳細が説明してある。そこで、われわれとしましては、この労働布令の問題を諮問委員会の題議にしたいということで、日本政府代表側からはすでに提案をしております。しかし、それをいつの時点でどういう形で取り上げるかという合意まではまだ取っておりません。 それから、向こうの総合労働布令でございますが、これが近く出ると新聞にはございますけれども、私どもの承知していますのは、まだ三カ月後か四カ月後かわからない。したがって、その内容につきましても一部ある筋からまことしやかな改正の内容が新聞等と出ておるようであるけれども、これは必ずしも確実な情報ではなくて、むしろ流動的であるというようなことも聞いております。まだそういう流動的な状態でございますので、私どもは新労働布令が正規に出る前に日本政府側としては当然知らしてもらえるし、またそれに対して適当な機会をとらえて発言をしていくことは十分可能である、かように考えております。
○川崎(寛)委員 関連して質問しますけれども、一体化をやろうという諮問委員会の法案の提案理由の中にも、総務長官は、沖繩の社会、経済構造の本土との一体化、こういうように言っておるわけです。あるいは佐藤・ジョンソンの共同声明の中にもこうした点については少し触れておるわけです。そこで、総理府がこれまで一体化をしていこうという一つの基本方針の中には、あるいは現地の一番大きな要求の一つには、布令、布告を廃止してくれ、こういうことがあるんです。それが一つの方向なんです。布令、布告を廃止せねばならぬときに、このように総合労働布令を新しくつくってくるということがまた問題なんです。だから、百十六号を廃止する、そのことを諮問委員会でやるならなりなさい。それを日米間でやるべきじゃないか。そこで、この百十六条を廃止をする。十年前に労働三法をつくったときに、この百十六号の布令を即日やってきめたわけですから、労働三法のほうにまかせる体制をつくっていくことが大事じゃないですか。その一番基本をはずして、総合布令の内容がどうか、新聞情報しかわからぬとか、そういうことで、間の抜けたことを言わぬで、新しい布令を出すこと自体がおかしいんだ、こういうことできちんと、き然とした態度で、布令、布告の政治を廃止していこうという方向なんですから、そのことをまずきちんとやりますかどうか、そのことを総務長官にお尋ねします。
○田中国務大臣 御承知のとおりに、まだ一体化、施政権の返還はでき上がっておるわけじゃありません。ですから、われわれとしましては、できるだけその方向に最善の努力をつくすことが一体化であり、同時にまた、諮問委員会の職能でなければなりません。御承知のとおり、基本的には布令を廃止する、そういうような意味からこの前は二十九件の布令の廃止があって、これにかわる立法措置が行なわれつつあるわけでありますが、さような意味におきまして、布令、布告の廃止という、そういうふうな線に対しましてはわれわれも同じような考え方を持ちます。しかしながら、今日まだ施政権の返還が実現しておらないという現状はどうか、御承知置きを願いたいと思います。
○川崎(寛)委員 具体的に、この労働総合布令については突如として出てきたということを労政局長も言ったわけでしょう。情報としてそういうことを聞いたし、また突如として出てきました、こういうことなんです。そうしていま総務長官は、布令なり布告なりは廃止の方向というものを希望しておるわけでしょう。だから、そういう情報をつかんでいるのなら、新しいそういう労働総合布令なんていうものは困る、そういうことはやらぬでくれ、具体的にやりましょう、こういう方向でやることが社会経済構造一体化、そういうことでしょう。あとで私は諮問委員会の法案の審議でもう少し根本的にやっていきますけれども、だから抽象的に布令全体のことを言うのではなくて、いまの労働総合布令そのものについて出すことを出させないように要求しますか、しませんかということです。
○山野政府委員 一般的な布令、布告の廃止の方向につきましては、総務長官がただいま申し上げたとおりですが、この軍労務者の地位に関する労働布令は、基地の運営とも非常に深いつながりのある布令でございますので、おそらく民政府のほうとしましても、軍基地の維持に直接関連するような最小限の布令は残さざるを得ないということをかねてからいっておるわけでございます。したがいまして、私どもも、望ましいことは、ただいま御指摘になります趣旨はよくわかりますが、それが廃止されるということは、これはもう私どもとしましては予測はできないわけでございます。
○川崎(寛)委員 予測でなしに、そうしたら要求はやらないということですね。
○山野政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、私どもとして、直接布令の廃止ということは、なかなかむずかしいだろうと考えます。
○中谷委員 特連局長に、あと質問を終結する中でお尋ねをしておきますが、あなたは先ほど、この布令百十六号の問題点については三者の中でもう論議され尽くして、問題点というようなものももうわかり切っているんだ、こういう趣旨の御答弁がありましたね。しからば、この問題点というのは何ですか。どの点が世界の労働法の水準から見て欠落、脱落、その水準に達していないという点なんですか。わかり切っているということですけれども、労働法を一応勉強した私にとりましても、かなりタ・ハ法等の関係等においても問題があるんですよ。しかし、だれが見ても問題点という問題点は確かに指摘できる。それはしかし、あなたの口から、わかり切っている問題点、逆に言うと、許容することのできない点、あるいは世界の労働法の水準に達していない点、どちらの表現でもけっこうです。また、日本国憲法の立場から見まして、憲法の精神に反している点、これらの問題点なんです。これらの点をひとつ列挙していただきたい。
○山野政府委員 いろんな点から問題点となると思いますが、私はどういう見地から考えて問題点ということはあえて申し上げませんが、この労働布令に関しましては、やはり争議権の問題がございます。団体交渉権の問題がございます。団結権の問題がございます。それから、そもそも一種から四種に分けているその区分けの問題がございます。それからさらには重要産業の範囲が問題でございます。それからその救済機関としての労働委員会の構成なり職能なりの問題が問題でございます。さらには、たとえば組合費の天引きの問題とかあるいはショップ制の問題とか、その他、この布令百十六号の問題点としては、私どもは、おそらくこれは日米琉相互に問題点としては認識をしておると思います。
○中谷委員 その問題点というのは、争議権については、第一種被用者についてはない。第二種被用者についても事実上禁止されているという点が問題だということは、争議権そのものが問題じゃないのですよ。争議権のそのような状態が問題だという趣旨であるということは、これはわかり切ったことだけれども、確認をしておきます。 いま一つは、団体交渉権についても、また労働協約締結権についても、第一種被用者についてはそんな権限がないという点が問題点だという点も指摘をしておきます。 なおさらに、重要産業などという指定をする、要するに気ままに労働情勢が緊迫化してくると重要産業の指定ができるような、そのような法構造になっている点、それが問題点だ。 争議権の問題、団体交渉権の問題だけじゃなしに、そのような制約が問題なんです。逆に言うと、そのような制約が世界の労働法の水準から見て欠落、脱落、水準に達していないという論議のある点が問題点だというふうにお聞きしておきますが、聞かずもがなのことかもしれないが、念のために聞いておかなければ困る。ひとつお答えいただきたい。
○山野政府委員 まあ、問題点としての取り上げ方はそういう見方になろうかと考えます。
○床次委員長 関連質問の要求がありますので、これを許します。山田久就君。
○山田(久)委員 いま中谷君から御質問のあった件について、結局これは比校してくるのは、世界の一般の労働法というよりも、問題が問題だけに、軍雇用労務者、つまり世界でこの種軍事基地に働いている者についての労働関係の規約で沖縄のほうが特にそれよりも異なって過酷であるというような問題点、ここが特に問題だと思うのだが、その点についてもしおわかりだったら、これに関連してお聞きしておきたいと思う。
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました問題点は、資料の要求が過般ございまして、韓国なり南ベトナムの同様な制度を目下照会中でございますので、それが参りましたらはっきりすると思います。
○山田(久)委員 それには西欧関係も含まれていますか。
○山野政府委員 いや、この間資料要求のございましたのは韓国と南ベトナムでございます。
○中谷委員 資料要求が山田先生のほうからありましたので、これはあとで理事会におはかりいただきます。 私の調査し、聞き及んでいるところでは、ヨーロッパなどにこういうふうな手錠をもって労働を強制するなどというふうな関係がないことは事実。占領下の日本における軍労働者、駐留軍労務者についても、このような基本的人権、労働基本権の制限がなかったことも事実。ただ私が知りたかったのは、どうも沖縄の軍労働者の状態というのはベトナム以下であり、韓国以下ではないか。フィリピンにこういう制度がないことは事実。ということで、ひとつ長官にこれは要望しておきますけれども、とにかく現在血を流しておるベトナム以下というふうな、そのような労働条件の中で沖縄県民が軍労働者ということで働いておるということになれば、これは私は許容できないことだということ、これはひとつ長官もその点を十分に考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 そこで、次に次のような点を私は申し上げておきたいと思います。いよいよ四月の二十日以降、沖縄の軍労働者の諸君——民間労働者の諸君もそうですけれども、いよいよ春闘の中で布令百十六号の撤廃、いま一つは賃金の引き上げをめぐってストライキに突入する、こういう状況である。この状況の中で、私は次のような点でひとつ長官の意思をお確かめをいたしたいと思うのです。 要するに、ストライキ権の禁止あるいは団体交渉権の不存在というふうな問題については、私は許すことができないことだと思います。しかし、かりに、その問題が現実にある法としてそのようなものがある中において、沖縄の軍労働者の諸君がストライキに突入したというふうな場合に、私の調査では世界に類例を見ない、刑罰権を持って処断される、要するに刑務所にほうり込まれる、手錠をはめられるというふうなことは、私は納得ができません。刑罰権というものは、法律にかりに懲役二年以下と書いてあったとしても、これを発動するかしないかということは別個の問題なんだ。少なくとも日本政府としては、そういうふうな手錠をもって労働を強制するということが間違いなんだ、そのことによって、その布令の改廃を求めておるということとは別に、現実に四月二十日以降軍労働者の諸君がストライキに突入した場合に、アメリカ軍政府がそれらの諸君に対して刑罰権を発動するというようなことは好ましくない——私は違法だということをあえて言いません。私は違法だと思っているけれども、あえて申しません。政府の立場から見て好ましくないということで適切な措置をとられることが適当ではないか、そのことについて、長官にそのような意思があるかどうか、これらの問題について長官の御答弁を求めたいと思います。
○田中国務大臣 ただいまお話しのような事態が絶対に起こってもらいたくないと心から念願をいたしております。
○中谷委員 私の質問を終わります。
○床次委員長 川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 日米共同声明で沖繩の軍事基地の重要性をまず認めたわけですね。そして「残存している経済的及び社会的障壁を除去する方向への実質的な進展」こういうふうなことが共同声明でも言われたのですね。それからまた交換公文——この交換公文の性格については、外務大臣とまたあらためて少しやりますけれども、この交換公文の中の米国側書簡の中で「日本本土と琉球諸島との間の経済的および社会的格差が減少しおよび除去され、」と、こういうふうにいっておるわけですね。 そこでお尋ねをしますことは、この共同声明で残存している経済的社会的障壁あるいは交換公文でいっておる日本本土との間の格差、これはどこから出てきておるとお考えになりますか。
○田中国務大臣 それは施政権がないということから出ております。
○川崎(寛)委員 施政権がないからこうした社会的な経済的な障壁が生まれた、あるいは格差が生まれたということをいま長官は御指摘になられたわけです。そうしますと、アメリカ施政二十三年に及びます沖繩の統治というものは、少なくとも沖繩県民にとってはたいへんに不幸であった。そうしてその中から民主主義と自由と平和のため、こういうことで進めてきておる沖繩の統一というのは、しょせんこうした経済的な格差なり社会的な格差なり障壁なりというものを生み続けるものだ。それが続けばさらにこれが残っていく、そういう格差なり障壁というものをもたらしていくものであるとお認めになりますね。
○田中国務大臣 やはり血は水よりも濃いのでございまして、養子の身分よりも実家に帰ったほうが……。それは当然のことでございます。
○川崎(寛)委員 それでは要するに、アメリカの施政が今日の沖繩の経済的な立ちおくれ、社会的な立ちおくれを生んでおるのだという点をはっきり御指摘になられたわけでありますから、アメリカの施政は悪かったということは明確ですね。
○田中国務大臣 何はともあれ、一日も早く帰ってくるように努力いたします。
○川崎(寛)委員 もう少し勇気をもって施政が悪かったということをはっきり言いなさいよ。
○田中国務大臣 基地経済という一つの問題がございます。われわれはその問題を等閑視しては一がいに論ずることができませんが、しかしながら、一日も早くわれわれのふところに戻ってくれることをほんとうに血の叫びとして念願をいたしております。
○川崎(寛)委員 同じことを繰り返しておっても、総務長官はそれ以上言えないと思いますから、残念ながら先に進みます。 それでは、一体化というものは私どもは決してほんとうの一体化でないと思うが、先ほどの布令百十六号の問題等の論議を通じてみても、きわめてその根本的な点に触れておるわけであります。そこで政府が言う一体化というものの根本は何でありますか。そして一体化というものはどうしようというのか。施政権が返還されるときに摩擦がないように徐々にしていくのが一体化なのか、その一体化というのは何をどうしようとしておるのか、この施政の根本をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 一体化というのは、その根本のねらいは日本に帰ってきてもらう、これが目的でありまして、それに至る道程としての一体化でございます。
○川崎(寛)委員 それでは一体化を続けていけば施政権返還につながる、こういうふうに言われるわけでありますか。
○田中国務大臣 さようでございます。
○川崎(寛)委員 とんでもないことですよ。いま進めようとしておること、たとえば昨年本委員会で通りました失業保険法の相互主義の適用の問題にいたしましても、これはちっとも一体化じゃないのです。格差はちゃんとある。あるいは教育の問題にいたしましても、援助費はなるほどふえたが、沖繩と本土との教育の中身というものは、依然としてたいへんな格差があるわけです。そうしますと、総務長官は一体化を進めていくということは施政権の返還につながるのだと言うのですが、どこに根拠がありますか。一体化を進めていったら施政権が返ってくるのですか。
○田中国務大臣 日米の交換公文にもございますように、両三年以内にめどをつけるという一つの外交交渉と相まちまして、そのために支障となるようなことがないように、円滑に戻ってきてもらえるための一体化でございます。
○川崎(寛)委員 だから一体化というものの根本的な姿勢が明確でないのですよ。総合的にやるのですか、それとも部門的に個々に沖繩との間に少しずつ援助をふやすなり制度を改善するなりして及ぼしていけば、それが一体化ですか。
○田中国務大臣 この一体化としてのわれわれのいろいろな措置をやれば、それでもって自動的に施政権が返ってくるとは考えられないのでありますが、それはもちろん外交交渉なり何なりと相まって、そのときにおいて支障があってはならないためのレールを敷いておく、これが一体化の本質でございます。しかし、それだけでも制度的にもあるいは現実的な問題といたしましても非常に困難がたくさんある、そのことは御承知のとおりでございます。それを少しでも解消して、そうして外交折衝でその目的が遂げられる日におきましては、ほんとうに本土と格差がないようにいたしたい、これがわれわれの努力目標でございます。
○川崎(寛)委員 施政権がアメリカにあることが格差なり立ちおくれというものを生んできたんだ、こういうふうに先ほど言われました。それでは沖繩百万の県民を一体化政策で本土との間でじういうふうにしていこうということですか。
○山野政府委員 沖繩の本土復帰には、大別しまして問題が二つあるわけでございます。一つはいわゆる沖繩の基地をどうするかという問題、これは高度の政治的な課題でございます。それからいま一つは、沖繩の経済、一番大きい問題は経済問題でございますが、そのほか、民生福祉、教育制度、そういうものをどうして復帰のときに、施政権を返還されるときに、本土と同じ程度にしてスムーズに本土へ復帰できるような状態に持っていくかといういわゆる沖繩内政問題が一つあるわけでございます。この両方が施政権返還の外交交渉を通じて、返還のめどの時期までに解決されなければいけないと思うわけでございます。 そこで一体化施策は、その後者のいわゆる沖繩内政のあらゆる分野の水準を本土の相当県に近づけていく、そのためには、いまから総合的、計画的に各分野における一体化の具体的な施策を立てて、それを、向こうに施政権がありますから、直ちに本土の制度に持っていけないものも相当あると思います。ありますけれども、あらゆる行政上、社会上の連帯を強化しまして、つながりを密接にしまして、つながりを密接にするのはレベルアップもしなければいかぬわけであります。そうしまして、本土に返ってくるまでに沖繩と本土国民とのその間の民族的な一体感も盛り立てていく、そういう行政上、社会上あるいは国民感情的な問題を含めてのレベルアップ、あるいは緊密化、そういうことを総称して私どもは一体化施策と申しておるわけでございます。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、レベルアップ、いみじくも言ったレベルアップ、それから緊密化、こういうことになりますが、そうすると依然として施政権が返らない限り本土国民との間の差別、つまり本土と全く同じにはできぬのだ、施政権が相手にあるのだからできぬのだ、こういうふうにはっきり言っておられるわけですね。施政権が返らぬ限り、一体化というのも要するにいまのレベルをアップしていく、本質的にはそういうものが限界だ。そこには限界があるということはお認めになりますね。
○田中国務大臣 その問題は、高等弁務官にいたしましても、アメリカにいたしましても、近い将来において施政権を返還するのだという前提に立って、そしてことに諮問委員会ができましてからは、先方でも新時代ということばをよく使うのでありますが、この新時代下におきまして、あるいは行政の関係におきましても、レベルアップに対して非常に積極的であり、また協力的でございます。
○川崎(寛)委員 だから、しょせんレベルアップだということをお認めになりますかということです。
○田中国務大臣 いまのレベルアップというものは、本土と同じような姿に行政の関係だけでもまずやっていきたい、こういうことであります。
○川崎(寛)委員 それは沖繩県民が日本国民だからでありますね。
○田中国務大臣 もちろん日本国民だからでございます。
○川崎(寛)委員 それは日本国民は当然憲法で守られておるわけですね。そして憲法に基づいて法の適用が具体的になされているわけです。ところが沖繩の県民は、日本国民である、日本の領土であるが、平和条約第三条で施政権をとられておる。だから沖繩県民は、世界で最も自由と民主主義を守るチャンピオンだということをもって任じておるアメリカが二十三年間施政をしても、要するに本土との間の格差というものはできておるし、社会的、経済的な障壁というものが生まれてくる。それが軍事占領だということの実態をあらわしておるわけであります。それを返還という基本方針のもとに、返還のときに摩擦のないようにレベルアップしていこう、少しずつ摩擦をなくしていこう、こういうことですね。そうしますと、それは沖繩県民を日本国民として同等に扱っている態度ではないと私は言わざるを得ないと思う。日本国民として扱うならば、憲法で受けておる権利というものは沖繩県民も当然享受すべきではないですか。そのことをなぜやれないのですか。
○田中国務大臣 どうもお話がぴんとこないのでありますが、これは確かに日本国民でございますけれども、現在占領下にあります。現実の姿は施政権というものが日本にない。つまり、言えば潜在主権はありますけれども、日本国の憲法はそのまま妥当しない特殊区域、こう相なるわけでございます。でございますから、日本人ではございます、われわれの同胞ではございますが、それが制約されておるというのが現実の姿でございます。
○川崎(寛)委員 大統領行政命令十二節をさっきも布令百十六号の問題で私は取り上げました。総務長官は、この大統領行政命令十二節をあなたの一体化を進めていくという施策の場合に、これをどういうふうに位置づけますか。読んだことがありますか。
○田中国務大臣 つまり、言いますれば、われわれは基本的人権の問題につきましては、どうしても一体化施策の中におきまして、先ほど申しました社会的、経済的並びにそれに関連する事項として、あるいは外交交渉を通じあるいは諮問委員会を通じ、いまのわれわれと同等にできるだけすみやかにしたいという努力を払っておるのが、これが一体化の内容でございます。
○川崎(寛)委員 私はそういう抽象的なことをお尋ねしてないのです。つまりここで大統領行政命令十二節がいっておりますことは、「高等弁務官は、第十一節を含むこの命令を実施するにあたっては、琉球列島にある人々に対し、民主主義国家の人民が享受している言論、集会、請願、宗教並びに報道の自由、法の定める手続によらない不当な捜索並びに押収及び生命、自由又は財産の剥奪からの保障を含む基本的自由を保障しなければならない。」つまりこれは近代法の最も尊重すべき基本的人権の尊重をうたっておるわけなのです。日本国民は新しい憲法の中において、国民の権利として、基本的人権の保障というものは最も大きな憲法上の問題として定められておるわけですね。抽象的に言えば、それらのものを沖繩県民にも保障しなければならぬ、それを制度としても持っていかなければならぬのです。私たちは平和条約三条については無効だという意見を持っておるけれども、しかし平和条約三条による施政権というものを、よしんば二歩三歩後退をして、現存するものとして見たにしても、その日本国が、本土の日本国民が持っておる基本的人権の保障というのは、この十二節で沖繩県民も保障されなくてはならぬのですよ。そうでしょう。ですから、その基本はそう思いますか。
○田中国務大臣 この十二節にもまさにおっしゃるとおりのことが書いてあるのでありまして、基本的自由を保障しなければならない、かように書いてございます。
○川崎(寛)委員 だから、たとえば具体的に言いますと、この二十五条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」これから社会保障関係の法律が出ているわけです。二十六条から義務教育の法律が出ている。二十七条、二十八条、労働の問題についてもそのようにして日本国民は基本的人権の保障というものが憲法の中になされているわけです。そのことを原則的には十二節は言っているわけなのです。だから制度としてもそれを制度化するということが一体化の根本になくてはならぬ。つまり、本土国民が持っておる国民としての権利、それと同等のものを沖繩県民にも保障する、制度化していく、そのことが根本でなくてはならない。そのことをどう思いますかということです。
○田中国務大臣 基本的にはそうあるべきものだと存じます。
○川崎(寛)委員 そうしますと、先ほどの布令百十六号の問題にいたしましてもそう、あるいはいろいろの社会保障の制度あるいは教育制度、こういう問題についてもそうなくてはならぬわけです。だから私たちは、いま、この委員会の最初に私から提案理由の説明をいたしました沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨時措置法案、総務長官も謹聴しておられたと思うのでありますけれども、この財政措置法では、本土の国民が受けておりますその権利というものに基づいて保障されているものを、こういうふうな形で沖繩の県民にも保障すべきだ。私たちは施政権がアメリカにとられておるということをちゃんと一応認めて——認めるというか、現実としておきながら、財政特別措置法というものをこういうふうにしてやっているわけです。だからこれをやることがほんとうの一体化じゃないですか、どうですか。
○田中国務大臣 ただいま御提案になりましたその原文につきまして、まだ私詳細に拝読をいたしておりませんので、ただいまの御議論につきましては私は十分にわかりませんけれども、しかしながら、おっしゃる筋というものはまことにけっこうなことであって、そうあるべきものだろうと存じます。
○川崎(寛)委員 あなたはこの間行かれたときに、沖繩の知事のつもりでやるんだ、こう言われた。九十六万県民をほんとうに本土の国民と変わらない国民として扱っていこう、そういう方向に持っていこうというのであるならば、たとえ野党が出したものであろうとも、少なくとも教育に関するもの、公衆衛生に関するもの、社会保障に関するもの、こういう形で、本土において施行されている法律を体系づけてこれを沖繩に及ぼすべきだ。そしてそれは琉球政府から要求があれば、それに対して琉球立法院が法の制定化を行ない、そして本土側からこれに対して予算を計上して流していく。そういう方向にいくのが本土とほんとうに差別のない沖繩県民の扱いなんです。そのことと、いま政府が進めようとしておる一体化とは、質的にたいへん違うということはお認めになりますか。
○田中国務大臣 まずわれわれが考えておることはほとんど御趣旨と同じだと思うのであります。そこでただ問題は、沖繩の現在の制度が内地の本土の制度とはだいぶ違っております。それでございますから、直ちに日本で予算を計上したからそれが先方のほうにそのとおりに流れていく、また高率補助を決定したからといって、それが必ず現地にいくというわけでもございません。同時にまた、異なる施政権下にあります立場から申しますならば、日本が予算を計上いたしましても、それは一応琉球政府なり何なりに入りまして、それから向こうの琉球政府としての配分というようなクッションをいたさざるを得ない。日本の法律が直ちに先方に妥当するというわけではございません。そういうことで、御趣旨のほどはよくわかりますが、われわれは、さらに御提案の御趣旨を十分検討させていただきまして、お答えをいたしたいと思います。
○川崎(寛)委員 私は、総務長官が言われたように、ちゃんと提案理由にも書いてあるのです。ですから一体化、一体化とばかの一つ覚えのように言わぬで、もっと本質的な、憲法に基づいた、そして沖繩九十六万の県民を差例をしない——上からやってやれば、恵んでやれば喜ぶんだ、そういうふうな考え方を持ってやってはいけないということをまず言っておきたいと思います。これを議論しておったら時間がかかりますから、この本質的な点だけ触れておきたいと思います。 それで、アメリカ側の書簡にも長期経済計画について勧告する云々とありますけれども、これは総務長官は御存じないと思いますから、特連局長でけっこうでありますが、六二年にケネディが沖縄に対する新政策を発表した。そしてその後自治の拡大ということで、たいへんあなた方本土政府は得意になったわけです。そのとき野田総務長官でありましたか、小平総務長官でありましたか、二代くらいにわたって政府側からずいぶんたくさんの調査団を出して、長期経済計画の策定に入りました。ずいぶん騒いだのです。しかしとうとう日の目を見なかったのですね。なぜでありましたか。
○山野政府委員 確かにケネディ声明以来、その前に向こう側からもケイセン調査団が参りましたし、その後においても米側から調査団も行きましたし、わが国からも調査団が送られまして、それぞれ報告がなされておるわけでございますが、これはだいぶ前の話ですから私の想像の域を出ませんが、当時は、あのケネディ声明以来初めて日本の経済的な参加を、沖繩に対する日本政府の援助を歓迎するという線が出たわけでございます。したがいまして、日本と沖繩とのアプローチがあれで初めて可能になった次第でございまして、したがいまして、また本土と沖繩との行政上、社会上の関連が今日ほど密接な関係ではなかったわけであります。したがいまして、本土と沖繩との渡航問題を例にとってもそうでございますが、ほとんど交流というものがなかった。そういう関係から、両国政府でそれぞれ沖繩の調査をいたしましたけれども、それが具体的に沖繩施策に強力に反映するような全般的な雰囲気になかった、こういうことが影響しておるのじゃないかと私は想像いたします。具体的にそれがどういうわけで実施にならなかったかという詳細は知りませんが、私は以上のように想像しております。
○川崎(寛)委員 そのようにせっかくやってみたけれども、琉球立法院の諸君もその中身を知らされることなく、やみからやみに葬られたわけです。 それからあとは短期のものをやっておるわけでありますけれども、長期計画というものを立てる場合に、施政権返還のプログラムなしに、あるいは基地の存在というものをどのように、つまり基地に依存しておる沖繩経済の実態というものをどのように評価をするのかという点を明確にせずして、返還のプログラム、沖繩の基地というものの評価をやらずに長期計画が立てられると思いますか。
○山野政府委員 これは現在の沖繩の総生産五億ドルの中で、米軍が直接間接に寄与しておる基地経済が二億五千万ドルをこえていると見られておるわけでございます。したがいまして、この基地経済をどう見るかということは即沖繩の経済計画の本質的な重要な要素になるわけでございますから、したがいまして、現時点におきまして、たとえば最近行なわれました大来報告等は、現在の沖繩の基地経済を横ばいに見た上での計画のように聞いておりますが、この基地経済がたとえばなくなった場合を想定しての計画とか、そういうような問題もなかなかたいへんな問題だろうと思います。それからもう一つは、いま御指摘になりました施政権返還のめどという問題も確かにあります。しかし、それはめどがいつになるにしましても、たとえば五年計画あるいは十年計画、そういう年次を限っての計画は立てられると思いますが、問題は基地経済をどう見るかということが最も根本的な問題でございます。したがいまして、その基地経済を現在の状態で横ばいにさせるのか、あるいは基地経済の依存度を五%ぐらいずつ減らしていくのか、一割ぐらいずつ減らしていくのか、そういうような問題をやはり基本的な与件として想定しつつ、いろいろな幾通りもの経済計画というものを考えなければならない、かように考えます。
○川崎(寛)委員 そうしますと、そういう与件というものを前提にしながら幾通りかつくっていく、こういうことですか。それとも実行可能な長期経済計画というものが立てられるということなんですか。
○山野政府委員 これは別に私は政策的な面からは申し上げません。ただ具体的に経済計画として考えた場合には、私どもが当面考えられるのは、たとえば基地経済を現状のままにしておいて、そしてどういう政策が可能かということなら、これはむしろつくりやすいわけでございます。基地の構造というのは、これは見方によっては非常にむずかしい、これは川崎先生も十分御承知だと思いますが、どういう基地経済の見通しで計画を立てるかというのは、これは政策の問題にも属しますから、なかなかむずかしい問題であります。
○川崎(寛)委員 政策の問題に属しますから、総務長官にお尋ねします。この交換公文にある長期経済計画について、総務長官はどういう政策でいこうとしておられるのですか。
○田中国務大臣 まずもって佐藤・ジョンソン会談によりまして、新時代、それで返還をしようという先方側の意図のもとに進んでおりますから、あるいは琉球政府の機構改革の問題にいたしましても、あるいはまたその他の諸制度の本土との一体化の問題にいたしましても、先方が協力的であるという意味におきまして、いま申しましたような前提を置いて考えるならば、少なくともわれわれは行政関係あるいはまた公共事業計画等におきましては、本土との一体化の問題はプランが立ちやすい、またそれを着々と実行してまいる予定でございます。
○川崎(寛)委員 個別的な問題をお尋ねします。弁務官資金というのがございますね。これはやはり、制度的な面からいっても、いろんな面からいっても、障害になっておると思うのです。特に十一月に立法院選挙なり首席公選なりというものを控えまして、これまで弁務官資金というものが与党の特定候補に対して、橋をつくってやったり、道路をつくってやったり、公民館をつくってやったりという、たいへんいけない作用をいたしてまいっておるわけです。そういう事実を総務長官は御存じですか。
○田中国務大臣 弁務官資金につきましては、私よく存じませんから、局長からお答えさせます。
○山野政府委員 確かに高等弁務官資金というのがございまして、約米側の援助に相当する程度の額のものがございます。しかし、まあこれにはいろいろ従来からの経緯もございますし、またこの沖繩の、いわゆる基地を中心とする全体の施政というものについては米国の施政権に基づいて向こうの考えで運用されてきておるものですから、これをまあ私どものほうからいま直ちにどうこうということはなかなか言いにくい、こういうぐあいに私どもは考えております。
○川崎(寛)委員 私はそういうことを聞いているのではない。もっと次元の低い、もっと具体的たことをお尋ねしているのです。その弁務官資金が選挙の妨害あるいは選挙の誘導、そういうものをたいへんだびたびやってきておるということについて、事実をお認めになりますか。
○山野政府委員 まあ高等弁務官資金は、いろいろ水道事業とか電気事業とかあるいは市町村の交付金とかあるいは市町村の簡易水道のために使われておるとか聞いておりますが、それが政治目的のために使われているということは聞いておりません。
○川崎(寛)委員 聞いておりませんというのは、日本政府の役人としては言えないのかもしれませんけれども、これはもう沖繩の各地を回られたら具体的に至るところで聞くことなんです。だれだれ議員はたいへんりっぱな議員だ、だからこの人をぜひ出してほしい、そのためには私は弁務官資金でひとつ公民館をつくってあげよう、橋をつくってあげよう、あるいは道路をこうしてあげましょう、こういうことが現になされてきているのですよ。そういうことが財政やあるいはその他経済、社会、いろいろな制度的な面においてもすっきりしたものにしていこうという場合に、よしんばそういうものに使われた額が総体的に見れば小さいにしても、これはたいへんいけないことなんです。ですから、そういう事実をあなたは知らないとしらっぱくれるわけだけれども、ではそういう事実を調査いたしますかどうですか。
○山野政府委員 まあ高等弁務官は、沖繩施政全体につきまして公正な立場で行政の全責任を負われておる人でございますから、かりそめにもそういうことは私どもはないと考えております。
○川崎(寛)委員 私たちは、それをやっておると、こう見ておるから、あなたに、総理府にそういう事実をひとつ調査してほしいというのです。
○山野政府委員 日本政府の立場からは、そのような調査をするということはなかなかむずかしい、かように考えます。
○川崎(寛)委員 まあそれ以上追ってもあれでしょうから、次に移りますが、援助の方式です。これはあとで財投の法案の際にも当然大蔵大臣にも出てもらってもっと論議をしなければならないと思っておるのですけれども、現在日本政府が、沖繩に本土政府から予算を通して援助しておるわけでありますけれども、いわゆるいまのピックアップ方式、これは制度として好ましくないと私が予算委員会で大蔵大臣に質問しました際にも、大蔵大臣もそういうふうに答弁しておるわけです、好ましくないと。総務長官はどう思いますか。
○田中国務大臣 お話しのピックアップ方式なるものは何をピックアップするかということでございますが、施政全般をと申しましても限りあるものでございまして、やはりわれわれが重要であると考えたものから逐次それに対して援助いたしてまいるということにならざるを得ないのじゃないかと考えます。
○川崎(寛)委員 冗談じゃないですよ。あんまりおとなしく聞いていると総務長官、ばかにしたような答弁しなさんなよ。何をピックアップするかなんという、そんなことをいまごろ言ってどうしますか。あなた、総務長官なんでしょう。教育が足りないよ。 それじゃ総務長官、お尋ねしますけれども、本土政府からの援助がふえればふえるほど、琉球立法院における審議の内容は狭められていくということをあなたはおわかりになりますか。
○田中国務大臣 どうもおっしゃることがよくわからないのでありますが、日米技術委員会によりまして、予算の問題につきましては琉球政府も入りまして十分協議を遂げたものが日本政府のほうに要求として出てきておる。あなたのおっしゃるように、その限りにおいて琉球政府の権限が、また立法府の権限が制約されてしまっていくんだ、こういうふうにお考えになりますことはどうかと思うのであります。琉球政府の意向というものを十分に日本政府が事前に技術委員会で折衝いたしまして、そうして形においては、それが去年までは民政府というような姿をとって要望が出てまいっておるわけでございますが、実態的には琉球政府と日本政府との間に、さらにまた諮問委員会ができまして、南連事務所も日本政府代表となりました。今後将来におきましては、十分に琉球政府と日本政府との間に緊密な協議を遂げて、先方の意向のもとにわれわれは各種の援助をいたしてまいる。それが立法府の権限を制約してまいるということはちょっと私わかりませんが、もう少し御説明いただきとうございます。
○川崎(寛)委員 いまの援助はアメリカ側が項目を立てますね。立てるときには日本政府との話し合いもあるでしょう。しかし、立てる。そしてアメリカ政府が援助をやっていく、それに日本政府が援助の額をきめていきますね。日米協議委員会そしてさらに日米技術委員会で詰めますね。しかしいまのいわゆるピックアップ方式、項目別にこういう予算額をこまかにつけていくやり方をしていけば、琉球立法院は日本政府とアメリカとの間できまったことだから、審議外ということで、審議の対象からはずれていくのです。ですから、本土政府からそういうふうに援助額がふえればふえるほど、琉球立法院は審議できない部門がふえていくわけなんです。だから、自治権の拡大という方向には進んでいない。将来沖繩を日本の府県の一つとして円満に育てていこう、こういうことを考える場合には、そういうやり方をしておったんでは審議の幅というものはどんどん狭められていくわけだし、琉球立法院の予算審議の幅がなくなるわけです。そのことは、自主的に沖繩県民百万のための審議をしていくという琉球立法院の議会における審議権というものは、たいへん狭められていくということが理解できませんか。
○山野政府委員 端的に、援助がふえればその部分は日米協議委員会できまっちゃうから立法院の審議の幅は狭まる、こういう御指摘でございますが、必ずしもそう言えるかどうか。それは一般的には言えると思います。しかし、予算そのものが全体がふえてまいりますと、割合として自己財源もふえますし、たとえば立法院の審議の幅が狭まるとは必ずしも言えませんが、御指摘の趣旨は十分私どもわかります。したがいまして、これはたとえば今後沖繩援助費をどうきめていくかという問題にも関連すると思いますが、現在米側から提案があって、その事前に琉球政府なり私どものほうと話し合いをやるわけであります。その過程において何らか立法院の意思を反映さす機会ができるかできないか、あるいはまた、かくしてきめられた予算の中でも何か審議の対象にできる方法があるかないか、これはいろいろ疑問点がありますからはっきり申し上げませんけれども、そういう点について今後私どもは検討していかなければいかぬと思います。しかし、現在のところは、いま直ちにそれをどうこうはできませんけれども、日米協議委員会その他を通じまして、立法院の意思がそういう日米経済援助にも何らか反映していく方法を検討してまいりたい、かように考えております。
○川崎(寛)委員 総務長官、大体おわかりになったと思うのです。そうしますと、そういう根本の問題、先ほど私が言いました大統領行政命令十二節に関連をする、また憲法の基本的人権という本のに関連をする、そういう根本、あるいはいまの援助の制度にいたしましても、そういう根本をきちんとせずして、幾らあなた方が一体化、一体化とやってみても、そのことは単なるうわべの傷をいやしておるにすぎない、あるいはわずかばかり胃袋をふくらましておるにすぎないのです。ほんとうに円満な沖繩百万県民の自治を伸ばしていく、あるいは返還をされたときに円満な自治体として成長していけるという体制には、いまの一体化を進めてもならないという根本的な点について御理解になりましたかどうですか、総務長官。
○田中国務大臣 私はお説にはちょっと承服しがたいのであります。いまの予算の決定のしかたにおきましても、特連局長から申しましたように、その間に何らか立法院の意思が反映するような方法はないものか、また琉球政府あるいはまた諮問委員会あるいはまた日本政府代表部、こういうふうなものと今後の運用の問題におきまして、何らか自治体としての成長が遂げられるように、われわれも努力をいたさなくちゃならぬと存じます。とは申しながら、それでは包括的に、琉球政府に百五十億とか二百億とかいうふうなものを与えて、そうしてその中で予算編成をどうこうということも、事実上非常にむずかしい問題じゃないかと思うのでございます。この問題は、決しておまえの言うのはまやかしだというふうにおとりにならないでいただきたい。同時にまた、日本政府の援助もほんとうに誠心誠意、逐次増額もしてまいるし、その限りにおきましては、制度的にもいろいろと自治権の拡大の方向に向かってわれわれも改正もいたし、努力もいたしてまいりたい、かように考えておりますので、どうかその面に向かいましていろいろと御注意なりいいお考えがございましたらばお示しもいただきたいと存じます。
○川崎(寛)委員 それでは、その前段のいまの援助方式では妥当でないということについては、総務長官はお認めになりますか。わかりましたか。
○田中国務大臣 そこなんですが、私はいまの状態においてはちょっとこれ以外の方法がないんじゃないかと思いますのでありますが、それは考え、意見の相違かもしれませんけれども……。
○川崎(寛)委員 それは大蔵大臣も制度としてまずい、こういうふうに言っているんですよ。財政制度は、ちゃんと法律があるんだから、そこで、何が本土と一体化か、そして進めていく方向はどうあるべきかということについては、財投の際に譲らなければいけないと思います。その際、大蔵大臣の出席も求めて徹底的にいたします。総務長官はそれまでの間にひとつよく勉強いたしておいていただきたいと思います。 そこで、総務長官にお尋ねいたしますが、諮問委員は総務長官の指揮監督の権限にありませんですね。
○田中国務大臣 これは内閣総理大臣と外務大臣との所掌を受けることに相なっております。
○川崎(寛)委員 諮問委員は総理府の職員ですね。
○田中国務大臣 そのとおりでございます。
○川崎(寛)委員 それでは南連の事務所長は——きょう衆議院の本会議で、総理府設置法の一部改正が上がったわけですが、南連の事務所長もあなたの指揮監督のもとにありませんですね。
○田中国務大臣 これは違います。南連のほうは私のほうの所掌でございます。
○川崎(寛)委員 冗談じゃないですよ。きょう上がったんですよ。「この事務が外交事務に属するので、その執行については外務大臣が指揮監督を行なうこととする。」ということになったのですよ。
○田中国務大臣 それは一部じゃないですか。「協議に関する場合は」ということであって、全般といたしましては、総理府の所掌下にあるというふうに考えます。
○川崎(寛)委員 それでは一部外交事務に関する点は外務大臣という点で、これまで全面的にあなたの指揮下にあったのがはずれる面ができた、こういうふうになりますね。そうしますと、総理府に置かれておる職員でありながら、そこの長の指揮監督を受けないような職員が日本政府の行政機構の中にどこにおりますか。
○田中国務大臣 全般的には四条のとおりに内閣総理大臣の所掌を受けておりますから、私は問題はないと存じます。
○川崎(寛)委員 各省庁の職員で、その各省なり各機関におる職員で、そこの長の指揮監督の権限を受けられない職員というのはないでしょう。これだけでしょう。
○山野政府委員 南連事務所というのが総理大臣の指揮下にございますから、総合的な面では南連所長はやはり総理大臣の全面的な指揮監督にあるわけでございます。しかし、今回加わった協議という権能は、これは……。
○川崎(寛)委員 私の言っているのは諮問委員です。諮問委員は特別職だけれども、総理府の職員なんです。しかし、その総理府の中におる職員は総務長官の指揮監督を受けないのでしょう。諮問委員は受けないのですよ。総理大臣及び外務大臣の指揮監督ですよ。
○山野政府委員 総理大臣というのは総理府の長としての総理大臣でございますから、したがいまして、実際上はこの総務長官と外務大臣で指揮監督するという形になるわけでございます。
○川崎(寛)委員 法文の上に総理大臣及び外務大臣となっていて、総務長官は入っていないじゃないですか。同じ国務大臣でありながら、総務長官ははずれておるのですよ。そういうような議論では承服できません。
○山野政府委員 総務長官は、法律上は総理府の事務を総括することになっておりますが、その総理府の長は内閣総理大臣ということになっておりますから、内閣総理大臣と書いたわけでございます。しかし、これは総括する立場から、事実上は総務長官と外務大臣ということになるわけでございます。
○川崎(寛)委員 しかし、法制的には指揮監督の権限はないわけですね。
○山野政府委員 法制的にはございませんが、内閣総理大臣の法律上の指揮監督権は総務長、官がかわって行なうことになるわけでございます。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、次に沖繩の行政主席というのは、つまり施政権がないから日本政府との間の関係はないわけですね。つまり、特に私はここで言いたいことは、主席が公選になるわけであります。主席が公選になるが、その主席の権限というものは大統領行政命令の今回の改定の中では何ら権限の新たな改定はないわけですね。そこで、せっかく公選になっても、この主席が責任を持って本土政府との間の関係をつけるということは、いまの機構上はできませんですね。
○山野政府委員 現在の制度におきましては、これはたしか琉球政府章典だったと思いますが、琉球政府には外交権が認められておりません。したがいまして、主席が公選されましても、いまの制度のままでございますと、そういう直接的なこの法律上の交渉の権限はないということでございます。
○川崎(寛)委員 そのことは、つまり本土との一体化というものをいろいろ進めていく場合に、権限を持たずに、とにかく話し合いを総理大臣なり総務長官なり外務大臣なりとしなければならないのがいまの主席の関係ですね。このことはやはり不都合だと思うのです。これは当然に将来変えていかなければならぬ。いまは施政権がないから言えない、こういう立場ではなくて、将来府県の一つという位置づけをするなら、あるいは現在においても府県の一つという見方をしていくならば、今日の主席のあり方というものは妥当ではないわけですね。その点の改善について要求をいたしますか、どうですか。
○山野政府委員 今回行政主席が沖繩百万住民の意志に基づいて選挙されるということは、私どもは自治権の立場から非常に画期的な意義のあることだと思います。権限は確かにいま具体的には拡張されておりません。しかし、沖繩百万住民の選んだ主席というものは、これは選ばれた後の行政主席の地位というのは非常に大きく期待できるのじゃないかと私は思います。したがいまして、今後のいろいろの問題、ただいま御指摘のような問題もございますが、いろいろな面からこの新しい制度が好影響を持ってくるだろうというぐあいに考えます。ただ、いまの時点では、御指摘の点を米側と交渉するか、こうお尋ねになりますと、いまそれに対してこうこうするという具体的な御答弁はできませんけれども、私どもは新制度に非常に深く期待しておるわけでございます。
○川崎(寛)委員 最後に一点。 本土から沖繩に行きます渡航者の場合もいろいろと現地で問題を起こしているわけですね。たとえば長期滞在者の場合に、布令違反ということで罰金や追っ払われたりということもあるわけです。昨年の暮れコザで簡易裁判所で判決がございました。日本国民だし、憲法は適用されているんだということで、コザの判決はこれを無罪にしたわけです。総理大臣も、私予算委員会でやりましたときには、その判決を支持するという、明確ではなかったけれども、それに近い答弁をしておるわけですね。そこで渡航の問題やあるいは権利権限の問題等について、その差別をなくしていくということは、当然そういう方向でなければならぬ、こう思います。 そこで、問題は二つありますね。一つは渡航の問題ですが、実は先般の委員会で中谷委員から質問があったことですが、社会党の井岡国民運動局長に対しては、会合が終わったあと出たわけです。これは四日間の余裕があったのです。昨年の七月でありましたか、当時の塚原総務長官が沖繩にまいります場合も四日間です。これは明確にちゃんとわかっているのです。そうすると、総務長官の場合は四日間とちゃんと出ているのです。井岡国民運動局長はこれまで三回行っている。しかも二月に行っておるのです。その井岡国民運動局長に対して入域の許可がおくれたということは、私はたいへん憤慨にたえないわけであります。アメリカの市民権を持っておる者は自由に出入りしておる。学生であろうが何であろうが、自由に出入りしている。本土の国会議員、しかもこれまで何回も行っておる者すらこういう妨害をして、会合が終わったあとに出す、こういうことは絶対に許されぬ。この点について総務長官の明確なお答えをひとついただきたいと思うのです。あわせて衆議院の議長が渡航の申請を出しております共産党の諸君にいたしましても、共産党の国会議員が常に拒否にあっておる。このことは国会の名誉にかけても許せないと思うのです。これらの点については、電話一本でアメリカの学生は市母権があるからということで自由に出入りできるのに、本土の国会議員が日本の領土に自由に行けない、こういう点は許されてはならぬと思います。その点ひとつ総務長官の明確なお答えをいただきたいと思います。
○田中国務大臣 われわれは渡航に関しましてはできる限りのお世話をいたしております。しかしながら、入国管理というのは施政権と一体の非常に厳重な一つのあれでございまして、でございますから、われわれといたしましては、潜在主権のありまする、ことに日本人の沖繩に対しましての渡航にはできるだけ努力をいたしております。しかしながら、施政権の返っておりません現時点においては、先方の入国管理事務というものに対してそれを否定することはできない現状でございます。
○川崎(寛)委員 時間の関係もありますし、たいへん長くなって恐縮ですが、最後に奄美大島の沖繩在住者の問題でお尋ねしておきたいと思います。 一月三十一日現在沖繩で永住者が千六百二十五人、半永住者が五千六百九十三人、合計いたしまして七千三百十八人、これは十四歳以上だそうであります。これだけのたくさんの奄美大島、つまり鹿児島県に本籍を持つ奄美大島の出身者がいま沖繩に行っておるわけです。そしてそれぞれの方面で沖繩の経済、沖繩の社会発展のために努力をしておるわけでありますけれども、これらの諸君は選挙権、被選挙権を奪われております。あるいは金融機関からの融資の面においても差別を受けておるわけであります。これは渡航の問題やその他全般的な問題もございますし、それはもう基本論で議論が並行しますから、奄美大島のこの問題に限って少し詰めたいと思うわけでありますけれども、沖繩の立法院においてもこれらの問題がいま議論になってきておるところでありますから、これは当然本土政府として責任のある面だと思いますが、この奄美大島出身者の諸君の問題について、選挙権なり被選挙権なりあるいは金融面等のそういう差別をなくしていくということについて努力をされるかどうか、お答えいただきたいと思います。
○山野政府委員 奄美大島の沖繩に在住されておる方々のいろいろ身分上の問題等につきましては、私どもも永住権の取得その他について努力をしてまいっておりまして、若干改善もされてきております。ただ、御指摘のように選挙権、被選挙権の問題あるいはその他若干の問題について差別されておる、これは私どもは好ましいこととは思いません。したがいまして、従来からもいろいろな公式、非公式に話をしておりまして、現在、立法院でも、いま御指摘のように、琉球政府の側でも検討されておるように聞いておりますので、日本政府としましても善処してまいりたいと考えます。
○川崎(寛)委員 具体的に、善処とはどういうことですか。
○山野政府委員 よくこの問題の処理についての琉球政府側の動きを見ながら、私どものほうも南連事務所その他、あるいは諮問委員会には高瀬代表もいらっしゃいますし、それらを通じまして、ひとつただいま御指摘になったような方向で善処してまいりたいと思います。
○川崎(寛)委員 終わります。
○床次委員長 これにて総理府総務長官に対する質疑は終了いたします。 次回の委員会は明十九日開会し、理事会の決定のとおり、本案について議決を行ないますので、さよう御了承願います。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十三分散会