運輸委員会 第3号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1968/03/05
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 運輸大臣の都合により、午前十一時三十分まで休憩いたします。 午前十時二十八分休憩 ————◇————— 午前十一時三十九分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 陸運に関する件、航空に関する件及び港湾に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。
○板川委員 過日当委員会で表明されました運輸大臣の所信に関しまして、若干の質疑をいたしたいと思います。 昨年、内閣改造の際に、中曽根運輸大臣が出現したときに、世評は期待する点がわりあいにあったように思うわけです。それはどういう点かというと、大臣の若さと行動力、持ち前の歯切れのいい論調、あるいは古いものに対する旺盛な批判力、新しい感覚を持つ政治家として、中曽根運輸大臣ならば、従来沈滞、腐敗しておった運輸行政を抜本的に改革するだろう、こういう期待が国民の中にあったと思います。われわれもまた、大臣のそうした行動力なりに期待する点があったのでありますが、この所信表明を一読いたしますと、どうもわれわれの、あるいは国民の期待に反する、いわば中身のない所信表明ではないかと思うのです。臨時国会の場合は、大臣、なりたてでありますから、大きな問題と取り組むわけにはいかなかったと思うのです。しかし、三カ月間たって、今日、通常国会を迎えたならば、いま少し私は内容のこもった、また国民や委員会の委員と対話するような内容を持った所信表明があってしかるべきじゃなかったか、こういう感じがするわけであります。 大臣は、この所信表明の中で、就任時に言ったサービス官庁に徹すること、免許や認可行政から経済官庁としての使命を貫くこと、事故防止をして、交通安全を確保する、こういう自分の主張したことが正しかったということを確信する、こういうことを冒頭に言っておりますが、しかし、この所信表明の内容は、運輸行政全般を今後根本的に再検討する、あるいは南海、地下鉄の事故報告、日本海における漁船の安全問題の報告、成田空港の建設を促進するという声明、そして最後に綱紀粛正に触れておるだけでありまして、これはこうした問題の表面だけ上すべりに主張したにすぎなくて、問題の本質について十分な検討がなされたと思われない節があるわけであります。官僚の作文をただ読んだというにすぎないのでありまして、こういう点から言いますと、この所信表明の中から、大臣に国民が期待した運輸行政の抜本的な改革、これがあるのかどうか、実ははなはだ疑問に感ずるわけであります。大臣、どうでしょう。この運輸行政の抜本的な改革を本気でやる気があるのかどうか、ひとつまずその点を伺っておきたい。
○中曽根国務大臣 運輸行政の抜本的改革をやろうという大きな決意をいたしまして、目下いろいろ施策をやろうという準備をしておるわけです。運輸省の機構や機能の問題、あるいは経済官庁としての大きな方向転換の問題、あるいは民間と国がやる仕事の調整等の問題、そういういろんな問題につきまして、いま、ある部分は委員会をつくり、ある部分は学者に諮問し、ある部分は自分でも考えまして、予算が通りましたら、いよいよ本式に手をつけていきたいと思っておるのであります。現在はそのためのいわば潜伏期間であるとお考えいただいて差しつかえないと思います。しかし、いろいろ国会との応答を通じまして、何を考え、何をやろうとしているかということは、いずれ明らかにしていきたいと思っております。
○板川委員 「運輸行政全般のあり方について根本的な再検討を加えてまいりたい」、さらに「運輸省の組織、行政事務、定員、法令等の全般につき再検討を加え、当面の具体的な改革案を作成して実施に移す所存であります。」こう言われておりますが、一体いつごろまでに全般の検討が終わり、いつごろまでにどのような方向の改革案をつくろうとしておられるのでしょうか。大臣、なりたてのときに全般的な再検討というのは、どなたもやるのです。しかし、一年間くらいやっておって、結局研究倒れで、着手もしないで次に交代していくという例が多いわけであります。大臣の任期中、せめてこれとこれとこれだけはやりたいなと思う点があれば、この際ひとつ明らかにしていただきた いと思います。
○中曽根国務大臣 一番早い手がかりになりますのは、六月三十日までに答申を要する行政刷新の内容であります。このために省内に行政刷新本部を設けまして、政務次官を長といたしまして、いま調査を進めておるわけです。これは二つの分科に分かれておりまして、一つのほうは運輸省のほうの政策、機能を中心に点検をする。そうしてそれは経済官庁としての性格を強く打ち出す。そのほか陸海空全面にわたるいろいろ統一や調整の問題もございます。また、運輸省の政策中枢が非常に弱い。まあ端的に申し上げれば、運輸省というところは、大臣は課長か係長が大臣なのであって許認可権を握っておる。そういう実権者は下のほうにある。大臣というのはいままでは——いままでというと語弊がありますが、まあ飾りものみたいな要素がある。主権在課長、在係長みたいな要素があったと思うのです。また、それだけ自己批判すれば、通産省やその他はわりあいに自由化で権限を民間その他に委譲しまして、結局課長、部長というのは、自分の政策力とか見識で業界を調整したり説得したりするので、個人の実力を非常に要請するし、高級官僚としても非常に練磨されていくわけです。しかし運輸省は、ややもすれば許認可の権限を握ってそこに眠ってしまうものだから、高級官僚陣においてもほかの省に比べて練磨が足りないという自己反省をわれわれはしなければならぬと思っておるのです。これはやはり許認可に眠っておるから、そういうことになる。そういうような弊風を打破して、トップマネージメントの方式に変えなければならぬ。上は大臣から下は係長、班長に至るまで、長とか何とか名前のつくものがアイデアを出して、そうして機関車になっていとくいう体制に、役所の方向を逆流する方向に向けようと実は思っておるのであります。それがこの現代の非常にビビッドに動いておりまする日本の社会の改造に不可欠の要素をなしておる、非常なスピード性を要するわけです。しかもその先手が政治であります。あとからくっついていくのじゃいかぬ。もう先手先手でいけ。それにはもうトップマネージメント以外にはないわけであります。そういう方向に省の体制を切りかえる。また現代の要請に合うように機構改革もやりたいと思っておるのです。つまり政策中枢を強化する。まあ簡単に言えば鉄道監督局というのがありますが、一体現代、監督局というものがはたして合理性があるかどうか。そういう点も疑問に思うところがあります。国鉄と運輸省の関係等についても、どちらが目方が重いか批判されている要素もなきにしもあらずです。そういう部面について、やはり自己反省を加えながら新しい先手を打つ。経済官庁としての要素を増していく。それに必要な機構の刷新もやろう、そういうふうに考えておるわけであります。 それから、現代は国際収支の問題が非常に大きな問題でありまして、これは観光事業も含めまして国際収支のバランスを回復するという大命題をかかえております。特に海運国である日本が、ことしだけでも八億ドルに及ぶ貿易外収支の赤字を出してきておることは、これはざんきにたえぬ次第なのでありまして、いままではやれ利子補給であるとか、あるいは輸銀の融資であるとか、そういうふうな局部的なことをつついていた感がありますが、もっと大きな、日本の海運発展策というものを大所高所からつかんだ大きな政策が出べきである。そういう意味で、いま海運造船合理化審議会に答申を求めておりまして、予算編成前にもっとスケールの大きい、世界全体を相手にするような海運国として乗り出すだけの施策を実はやっていこうと思っておるのです。この八億ドルに及ぶ貿易外収支の赤字というものは、今日の日本人としてまことにざんきの念にたえぬと私は思いまして、そういう面の打開策を大きく展開していくということも必要であります。あるいは通勤対策等にいたしましても、国鉄あるいは公団等がやる仕事のほかに、民営の事業者のやっている仕事が非常に大きな意味を持っているわけであります。現代は郊外の——郊外というのはサバーブスという意味ですが、都市近郊の時代に移りつつある。ケネディが勝ったのもそうですし、美濃部さんが勝ったのもそうでしょう。そういうふうに日本全体が太平洋ベルト地帯等を中心にして非常に大きな変化をとげておって、政治のヘッドライトを当てる大事な対策は、一つはそういう郊外の問題があります。そういう都市近郊という問題を担当しておるのは、実は私鉄の力が大きいわけです。もとは私鉄は不動産をやったり、あるいはデパートをやったりしてもうけておりましたが、近ごろはそういう役目を果たさせるためにいままでどおりでいいかどうか。多分に公共性を持った仕事にもなりつつあるわけであります。そういうふうに私鉄についても、いままでのような、単なる私企業という感覚からこれを監督するというやり方でなくして、むしろ助成、誘導して大衆の希望に応ずる方向に大きく変えていく必要があると思うのです。 一、二申し上げれば、そういうこと等々につきましてもいろいろいま省内で自分の考えを出しまして、事務的に検討させておりまして、おいおいそういう施策を実現したいと思っているのであります。いろいろまたお知恵をお貸しいただければありがたいと思っております。
○板川委員 きょうは開会の時間もおくれまして時間がないので、大臣とゆっくり議論したいと思いますが、時間がありませんから簡単に申し上げます。 世評で、悪口言いますと、中曽根ラッパということばがあります。非常に着想はいいが、はたしてほんとうにそれを実行するだろうか、こういう世評があるわけであります。ただいまの名論、たくさん答弁をされましたが、実際にその中の半分でも大臣の時代にやる、そしてその半分でもあとに芽を育てて残す、こういうぐあいな気持でひとつ実施をしていただきたいと思います。詳しい議論はまたあとでいたしたいと思います。 次に、国鉄の運賃値上げについて伺いますが、今度の予算等の一連の書類の中には、国鉄の定期券の値上げが当然のこととして計上されております。また、その上に立っての説明もあります。大臣は、運輸省は経済官庁としての使命を認識して行政を行なう、こう主張されておる。国民生活に重大な影響を持つ国鉄の定期運賃の大幅な引き上げ、経済官庁に徹するというのと国鉄定期運賃の大幅な引き上げというのは、どうもわれわれは、国民の側から見ると矛盾した議論ではないか、こういう感じがするわけであります。国鉄運賃法の第一条には、御承知のように運賃料金の決定には、「賃金及び物価の安定に寄与すること。」ということが、四つの原則の中に一つあります。定期運賃の大幅な引き上げというのは賃金及び物価の安定に寄与するものではないと思うのでありますが、この定期運賃値上げをなぜ認めようとしておるのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
○中曽根国務大臣 昨年、国鉄が定期運賃を上げようという考えを出しまして、私着任してそれを知りましたときには、これはなるたけ避けるほうがよろしい、そういう考えを持っておりました。国鉄の定期代というようなものは、一部分的には食管会計の赤字的、社会政策的要素があるわけでありますから、必ずしも国鉄だけの経済的合理性を追求して認むべき問題ではない、そういう考えがありましたし、政治といたしましてやはり物価問題に一生懸命やっているということを誠実に示し行なう必要もあると自分は考えておりましたので、予算編成の機会を通じまして最大の努力をしようと考えておったのであります。ところが今度の予算編成の過程におきまして、市町村納付金の問題がありました。百二十八億円であります。この市町村納付金を大蔵原案どおり廃止してもらえればかなり力が出てきます。それから財政投融資及び利子補給の資金を国から引き出せば、この定期券の値上げというものは相当に回避できるという感じがしておりまして、その線に向かって非常に努力をしたのでございます。しかし遺憾ながら、ことしの財政緊縮予算のあおりを受けまして、一番大きな市町村納付金の問題がくずれましたので、やむを得ず涙をのんで、定期の値上げを一部認めざるを得ぬということになりました。しかしその際にも、当初考えました社会政策的要素というものはあくまで入れなければならぬと思いまして、義務教育のものは据え置き、中学校までは据え置き、高校は国鉄の上申案をさらに削減する。それから母子家庭とかそのほかの要保護家庭についても現状維持、そういうような若干の修正を行ないまして認めざるを得ない、そういう情勢に立ち至ったのであります。国鉄定期の値上げの問題は国民生活に非常に影響を及ぼすのでありまして、来金、再来年、そのほか現在の国鉄の経済状況を見ますと必ずしも楽観を許しません。そこで国鉄の財政確立のための委員会をつくりまして、あらゆる面に検討を加えてもらいまして、この七月ごろまでに答申を求めまして、来年度予算にそれを強く盛り込んでいきたい。そういう納付金その他の問題等につきましても正式の政治の場にあげまして、国民や政治家の議論の対象にしていただきまして、長期的に国鉄の財政を安定する方向に進めるように努力していきたいと思っておるのであります。
○板川委員 国鉄予算説明等の資料を見ましても、国鉄が実際にこれこれで運賃値上げをしなければやっていけないという説明がないですね。そして出された資料で検討してみますと、この「昭和四十三年度日本国有鉄道予算説明 運輸省」とある資料のには、人件費が収入に対して三九%です。それからこちらの「日本国有鉄道予算参考資料」によりますと、給与その他諸費というのを含めまして四七%、国鉄経理の最大赤字をなすものは人件費の高騰であるということをしばしば聞いておりますが、しかし私鉄の収入に対する人件費の支払い率、これは中小私鉄では六二%をこえております。大手十四社では四十一年で四九%です。これから見ると、要するに一番財政を圧迫しておるという人件費の支払い率、収入に対する人件費の支払い率というものから見ますと、国鉄のほうがたいへんいわば経営内容がいいというふうにもとられる。しかしそれは、私鉄あるいは中小私鉄と国鉄と同じ財務内容ではないですから、それならば運賃値上げをなぜしなければならぬか、認めなければならぬかということをいま少しくこういう資料の中で説明されるべきだ。出された政府の資料、運輸省の資料の中では、国鉄が幾ら赤字で、だから定期料金を値上げせざるを得ないという説明は一つもないんです。これはどういうわけでしょう。
○中曽根国務大臣 国鉄財政が苦しくなっておりまする理由は幾つかございますが、一つはやはり人件費の問題もありますし、それから利子負担が非常に大きいということもありますし、あるいは保安、安全施設の強化、通勤輸送の強化等のためにかなり資本を寝せなければならぬという条件もございます。いろんなものが複雑にかみ合わさりまして国鉄財政の今日の苦況というものが出てきておるのでありますが、この国鉄の給与、労務賃金等の問題で一つ考えさせられますのは、平均年齢が非常に高い。国鉄の平均年齢はたしか三十七・何歳くらいになっておるのです。これは終戦以来のいろんな事情がありましてそうなっておるのでありますけれども、そういう点なんかもやはり一つの問題点でなければならぬだろうと私は思います。しかし一番大きいものは、何といっても通勤輸送のために国鉄がかなりの犠牲をしいられて、いろいろ設備改善や増強をやらされているという面にも理由があるのでありまして、この面は国家がかなり肩がわりしてやらなければできない要素であろうと思っております。そういう意味で、ことしから初めて五十四億円の利子補給をもらいまして、国が肩入れをし始めたわけであります。こういうような面をさらに強化して、それに財政投融資等ももっとふやしまして、できるだけ国鉄だけでその公共負担を負わないように努力していかなければならぬと思っております。
○板川委員 きょうは全般に触れるので、国鉄財政問題はまた後日ゆっくりやりたいと思っておりますが、国鉄財政が非常な危機におちいっておるという根本的な原因は、いま大臣も触れられたように、大都市通勤輸送の増強、これに非常に資本費がかかる。それから主要幹線の輸送力の増強、あるいは過密ダイヤになればなるほど保安設備の万全化、そういうものの前向きの投資に大きな金がかかるということであろうと思うのです。まあ、政府の資料にはありませんが、そのほかの雑誌等によると、国鉄の財政が非常な危機に立ち至っている、抜本的な改善策を立てなければおそらくこれは破産の運命にあるだろうという説もありますが、私は、やはり国鉄の財政の根本的な立て直しは、公共負担分を政府が負担してやるとか、あるいは国鉄負債の一部を肩がわりするとか、膨大な国鉄に対する出資、こういったものを見なければこれはやっていけない段階にあるんじゃないかと思うのです。そうでないと、運賃値上げを続けてやらざるを得ない状態になっておるんじゃないかと思うのですが、この問題についてはまたひとつあらためて議論してみたいと思います。 時間がありませんから先に進みますが、次は南海電車の事故と、世上伝えられる人事介入というものについて若干触れてみたいと思います。 事故防止の点については交通安全対策特別委員会でいずれ大臣と議論はいたしたいと思いますが、この所信表明の中で大臣は「南海電鉄に対しましては、短期間に二度ならず三度も大きな事故を起こしました責任をきびしく追及し、事故絶滅の社内体制を確立させることといたします。」こういうことばで非常にきびしい表現を使っております。社内体制を確立させることといたします、こう言っておるのであります。 世上、一月十八日の南海の追突事故のあと、大臣は、しかるべき筋を通じて、南海電鉄の首脳陣の退陣を求められた、こういうことが伝えられております。最近の週刊誌等においても、「財界」という雑誌のトップ記事として、「不発に終った南海電鉄首脳の責任追及劇」「総理に注意されて手を引いた?中曽根運輸相」というようなことが書かれておりますが、一体この真実はどうであったのか、この点ひとつ大臣の口から明らかにしてもらいたいと思います。
○中曽根国務大臣 南海電鉄が一年の間に三回も事故を起こしたということは、まことに監督官庁として申しわけない次第でございまして、この場所をおかりいたしまして遺憾の意を表明したいと思います。 南海電鉄の人事刷新の問題でございますが、私は、板川さんも御存じの福島交通の問題と南海電鉄の問題をかかえておりまして、両者ちょっと性格が違うように思って、実は取り扱いも違えたのであります。 福島交通の場合は、労使間の紛争ではありますが、ややもすれば使のほうに社会的公益性を無視した要素がかなりある。しかも、年末を控えて県民の足が奪われるという寸前まできまして、これはできるだけ回避しなければならぬ、公共性や公益性を維持するために、われわれはここである程度入ってもよろしいという決心を持ちまして、ある程度私も関係者を説いて、その緊急事態に対処するかなり強い力を使ったことも、真相を申し上げれば、事実であります。 しかし南海の場合は、安全対策、社内の士気の刷新ということがあるのでありまして、こういうものは必ずしもその緊急的措置をやったからといって実効があがるものではない。むしろ、資本主義の世の中でありますから、いろいろな銀行筋との関係もありますし、社内のいろいろな人間系統との関係もありましょうし、必ずしも権力を持っている者が乗り出してうまくいくとは限らない。要は安全を確保することである。そうして、その過渡期において社内の内紛が起きたり、乱れが起きて事故を起こすということを一番おそれておるのであります。したがって、そういうバトンタッチは、安全確保を堅持しながらスムーズに行なわれることが望ましいのである。すぐぱっさりやることは、腕前のさえを見せるようなかっこうで、かっこうはいいかもしれませんが、それが必ずしも国民や住民の期待に沿う結果を引き起こすかどうかわからない要素が多分にあるわけです。そういう意味から、現在の首脳部に対して、安全措置の確立を懸命にやらせまして、ある一定段階がきて、もうこれでだいじょうぶだというあと始末がついたら、首脳部は首脳部で進退を決したらいい、そういう考えを持っております。そういう点については、首脳部ともよく話しまして、その私の考えはよく了解されて、そういう方向に事は動くものであると私は信じておるのであります。 そういう会社の問題について外部からいろいろ干渉がましいことや強制がましいことがあるということは、これは不適当であると私は思っておりまして、話し合いと納得の上で、円満、スムーズにものが動くように、南海の場合は処置しておるのであります。雑誌がいかなることを書いているか知りませんが、自分はそれが正しいと思いまして、いまのような方針でやっておるのであります。
○板川委員 まあ雑誌の中にはたいへん無責任な書き方もありますし、あるいは事実と違う点もありましょうが、この中で、「法的には権限があるが」ということをいっております。運輸大臣として伝家の宝刀を抜いて役員解任をさせるということは、法的権限があるということが記事の中にありますが、私は法的にどこに大臣に解任権限があるかということを実は見たことがないように思うのです。いま福島交通問題と両方を大臣言われましたが、福島交通の場合には、経営者が明らかに法令違反です。法律を無視して無許可でも廃止をする、そうして、罰金を納めればいいんだし、法令に反して鉄道、自動車を全部やめる、こう言ったのであります。これは地方鉄道法三十七条に「法令違反等の行為に対する制裁」として、取締役その他の役員を解任するということが大臣権限にあります。しかし、私は事故があっていいと言うんじゃないですよ。事故を起こしたということで、安全措置上どうもいかぬから役員を解任させろという権限は、運輸大臣にはないんじゃないかと思うのであります。あるいは運輸省設置法の三条の任務、四条の権限の中で運輸大臣の権限が規定されておるかどうか、その点を伺っておきたい。これは念のためです。法律上当然だという考え方、行政的なばく然とした注意、こういうようなことなのか。法律上当然解任権があるんだということでは、私は間違うんじゃないかと思う。この点、三十七条は法令違反を言っておるのです。設置法の四条の権限の中にもないし、設置法四条の権限を行使する場合でも、法令に基づかなくてはやってはならないという規定がありますから、念のために伺います。
○中曽根国務大臣 ただいまの雑誌の記事の中で、総理大臣に言われて云々というのがある由でありますが、そういう事実は全くありませんので、ここで念のために申し添えます。私は自分の考え方と信念に基づいてあくまで行動しようと思いますので、外からの助言はあくまでこれは慎重に拝聴いたしますけれども、事の始末は、運輸大臣としての、責任者である私の責任にかかっておることでありますから、そういう考え方で一貫してやるつもりであります。総理大臣から言われた云々ということはありませんので、この際ここで申し述べておきます。 それから解任権の問題でありますが、私は法律に基づいて解任することができると言った記憶はないと思っております。しかし、いま法律の解釈の問題として板川委員が御質問でございますが、南海電鉄の場合には、法律に基づいて解任することはなかなかむずかしいだろうと私は考えております。しいて条文を見れば、いまの三十七条の中の「其ノ他公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ」ということが、その辺に接近してきている。しかし、それがそのまま当たっておるかどうかは、よほど検討してみないとわからぬことであろうと思います。そういう関係もありまして、この法令上の権限に基づいて内部を刷新するというようなことは適当でもないと考えてもいたのであります。しかし、私は、個人的意見として、この地方鉄道法はもうだいぶ古い昔の法律でありますので、必ずしも現代に適しているかどうかわからぬと思うのです。特に先ほど申し上げましたように、近郊都市の公害という問題が非常に大事になってきている。昔は私鉄でも民鉄でも、土地を買って不動産をやって、デパートをやったりチヱーンストアをやってもうけて鉄道の赤字を埋めたり、唇歯輔車の関係でもうけ合ってきたということがありますが、今日の段階になると、複々線にしたり、あるいは非常な安全措置を命ぜられたり、あるいは車両の増強を命ぜられたりして、必ずしも経済的採算だけではいかせないという部面が出てきております。それから土地を買収するにしても非常に高い土地代になってきて、おそらく私鉄の経営だけでそのままやったら、相当赤字が出るということも予想される。そこで、デパートとかあるいは不動産業というものとの関係をどうけじめをつけながら、民鉄の経営と公益性を維持していくかということが課題になっていると思うのです。私は、ある意味において監督を厳重にしながら、国が低利資金を見てやるとか、あるいは土地収用上の権限を認めてやるとか、あるいは、あるときには補助金も与えてやる必要もあるだろう。そういうふうに誘導型に、民鉄に対する行政はやっていかなくちゃならぬ。そういう意味では特別立法をしようと実は考えて、事務当局に命じてあるのです。 しかし、一面においてそういうような助成策が講ぜられれば、一面においては監督権も強化されるのは当然でありまして、その際にこういう役員の人事その他に関してどの程度の介入をなすべきかということも検討させようと思っておるのであります。
○板川委員 私が言いたいのは、この雑誌の中で、あるいは記者の勘違いでしょう、法令に権限があるんだというふうに書かれている点について疑問があったのです。私は、交通事故をなくす、予防するということも大切です、人命、財産に影響ある問題ですから。だからといって、今度のような場合に、大臣権限があまり先走って、そうしておまえは事故を起こしたからやめろという形があまり先に出る習慣がつきますと、やはり独善的な権力行政に流れる傾向があるんじゃないか、こういう点を心配するのでありまして、その点においてはひとつ常識的であり、また世論の先行——世論なり国会なりがそれは許さぬぞ、辞任しなければ許さぬぞというような圧倒的な声が出るという形のほうがいいじゃないか。あまり大臣の権力というのが先走ると多少問題もあるだろうというふうに考えまして、一言その点に触れたわけであります。 次に、いま私鉄問題が出ましたからこの点について触れたいと思うのですが、まあ鉄道といえば国鉄が主体であることは、どなたも異論がないのであります。しかし、意外に私鉄の重要性というのもあると思うのです。我田引水ではないのですが、四十一年の実績で国鉄、私鉄の割合を比較いたしてみました。そうしますると、輸送人員においては私鉄が全体の中の二八・三%、国鉄は二一・三%、輸送人員においては私鉄のほうが輸送力を持っておるのであります。ただ輸送人キロになりますると、私鉄の場合には短い区間ですから二一%であり、片や四四%、こういうふうになりまして、人キロにおいては国鉄の二分の一、しかし輸送人員においては国鉄の四割増し、こういうふうな割合を持っております。私鉄といいましても、二つあります。大手十四社を中心とする大都市交通を担当するグループ、さらにもう一つは地方の交通を担当する地方中小私鉄、この二つあると思います。私がいま問題にしたいのは、この地方の中小私鉄の問題であります。地方の中小私鉄というのはいわば全く転機にきておって、つぶれているか、いつつぶれるかという状態だろうと思うのです。おそらく今後五年十年のうちに、地方中小私鉄で生き残ろうという鉄道はほとんどないんじゃないかと思うのです。一年間に大体十社から十五社が廃業していっておる状況であります。四十年七月に、時の運輸大臣の諮問機関で中小私鉄振興に関する懇談会というものができて、そして中小私鉄の振興に対する答申をしました。それが答申をされて、政府も中小私鉄振興に大いに力をいたすということになったのであります。しかし、その後中小私鉄振興に関する懇談会の意見に対して、実際具体的にこれを実行したというのはあまりない。形式的な点、それは若干補助率を引き上げたとか、若干はありますけれども、結局そういったものでは根本的な——今日の中小私鉄の危機というのに対しほとんど効果のない対策しか立てられない、こういうふうに考えるのであります。この点は運輸省の民鉄部でも、実は中小私鉄に対する対策というのをあまり持っていないのですね。運賃値上げがあればケース・バイ・ケースでやりますとか、多少の融資に対する金利の低いのをあっせんしますとかいうふうな程度のことしかないのです。私は、抜本的な運輸行政を大臣が考えるという中に、もちろん国鉄や大手私鉄のような前向きの対策も必要であります。しかし一面、この百社をこえる中小私鉄、これに働く従業員約七万、この中小私鉄をどうするかということを今後ひとつ考えてもらいたいと思うのです。特に中小私鉄の中には、まあいわばガンみたいなもので、早期に発見して放射治療をすれば、ガンの発育を押えてともかく健康は保てるという体質のもの、あるいは手術をして患部をはぎ取ってそうしてあとは放射治療等をやって当面持つもの、あるいはもう廃線、お葬式を出すに至らざるを得ない、こういうものというふうに分かれておると思う。これを一緒くたに何か対策を考えようとすると、なかなか名案が浮かばないのでありますが、私はそうした幾つかの型に地方中小私鉄というものを分類をして、そうしてこれに対する対策というものを考えてもらいたいと思うのです。この点に対する大臣の見解を伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 地方の中小私鉄は地方住民の足として、また地方開発のためにかなり大きな役目を果たしておるのであります。しかし遺憾ながら経営状況はきわめて悪うございまして、約六〇%は赤字会社であるといわれております。理由は、農村地帯が過疎地帯、特に山村地帯が過疎地帯になりましてお客が減ったり、道路が整備されて自家用車が非常にふえたり、それから私鉄の人件費が増大したり、そういういろいろな理由によるものだろうと思っております。 そこで、一面においては、その地方の路線として重要な役割りを果たしておる中小私鉄については、その経営の合理的、近代化を行なわせる。そのためには、資金について国がある程度低利融資等を確保してやらなければならぬ要素が非常に大であると思います。また欠損補助とか踏切保安設備整備の補助とか、あるいは固定資産税の軽減であるとか、そういう面においても国としていろいろ助成してやらなければならぬと思います。しかしまた一面において、道路交通の体系の変換に応じて、それほど重要度がない、変わってきた私鉄等については、バスとの調整を行ないながら、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、そういう要素もやはり必要であるだろうと思うのです。したがいまして私鉄の実態、実態に応じてそのような強化策、補助策をとると同時に、場合によっては廃合ということも考えなければならぬ、かように考えております。
○板川委員 時間がありませんので、先に進みますが、地方鉄道軌道整備法というのがございます。これの三条の三号には「設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道であって、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のある」鉄道については欠損補助をする、こういう規定があるのです。それから第八条で、「政府は、第三条第一項第三号〔老朽化した地方鉄道〕に該当するものとして同条の規定により認定を受けた地方鉄道につき適切な経営努力がなされたにかかわらず欠損を生じたときは、当該地方鉄道業者に対し毎年、予算の範囲内で、当該地方鉄道業の欠損金の額に相当する金額を補助することができる。」中小私鉄が赤字が続いて経営困難だという場合には、こういう補助規定もあるのです。しかし、その補助規定は実際の段階になりますと、十九条で利子補給金の限度とかいろいろ条文がつきまして実際にこれが動いてないのです。だから、これで救済を受けて地方私鉄が生き延びられるという性質のものじゃ実際ないのです。ことしの予算を見ますと、昨年と比較しまして、この地方鉄道軌道整備法の予算が半減しております。本来なら年年この法令が動いて、地方鉄道にある程度の救済をして、地方交通を守るということがあり得てもいいのですが、実際の予算がことしは半減しておるのです。この法律が実際あるけれども、有名無実、たいして効力がない。これは内規等でこの運用をきびしくしぼっておる、こういう点が大きい原因だと思うのです。この際ひとつそうした内規の規定のしぼりを緩和することによって、実質的に中小私鉄が救済できるような、法の目的を果たすような法律に生かしてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○中曽根国務大臣 御趣旨は同感でありますので、その線に沿って努力してみたいと思います。
○板川委員 最後に、運輸官僚の汚職問題について大臣に伺います。 大臣の所信表明の中には、厳重に綱紀粛正については通達したからもうだいじょうぶだ、それが証拠にはおのれの代になってからまだ事件が起こってない、こう書いてあります。これは間違いです。それはまだ大臣、三カ月だからわからないだけです。あと一年か二年たってみなさい。中曽根運輸大臣のときに私はこうやったというぼろが、どんどん出てきますよ。ただ一片の通達だけでは私はこの問題は解消するものじゃない、こういうことを強調したいのであります。なぜ運輸官僚に汚職が多いか。この「経済評論」という雑誌の二月号、この中に高木三郎という人の「監督行政の行き詰りと運輸官僚」という記事がございます。この記事を拾い読みしますと、こういうことをいっているのです。これは大臣もひとつ心して聞いてもらいたいと思うのですが、「運輸省が発足したのは昭和二四年、それまでの鉄道省のうち鉄道総局が日本国有鉄道として省内から切り離され、新生運輸省には鉄道監督局が残された。」「鉄道省時代、ここの主流を占めていた優秀な鉄道官僚がごっそり国鉄に引き抜かれた結果、運輸省鉄道監督局は監督とは名ばかりの一部局になっている。」「本省各局の勢力関係をみると、海運と鉄道監督の両局が一応Aグループ、航空、港湾がこれに次ぎ、自動車、船舶、観光、船員の各局がCグループという形に大別できそうだ。そして大臣官房はこれら原局より一段と格の低いDグループといってよいほど無力である。この点が今日の運輸行政をきわ立って特徴づける組織構成であり、ここから各局別の徹底したタテ割り行政が生まれてくる。どこの官僚でも原局はその管轄下にある業界との結びつきが強く、全体としては業界の利益保護政策を掲げるものであるが、各局の要求、主張を大臣官房が調整して、最終的には一省の方針が打ち出されるのが、普通である。ところが、運輸行政の場合、各局の主張が対立すると、官房の総合調整機能が働らかず、あい対立する二本の政策が運輸省の方針として打ち出されるケースがままある。最近の例を取ると、米国のワールド航空に代表される不定期航空便の増大に対して、観光局は国際観光振興、観光旅行収支の改善という見地から歓迎しているが、航空局は日本航空の旅客シェアが国際的にアウトサイダーである不定期航空会社に食い荒らされているとして規制措置を検討しており、いまだに運輸省の方針は決まっていない。したがって各種輸送機関にまたがる運賃政策や都市交通対策、流通近代化政策など、官房を主体とした横断的な協力関係が必要となる行政部門は二の次ぎに回され、海運業界、造船業界、自動車業界などの個別業界の行政指導が優先する。」「ほとんどすべての運輸省幹部官僚の意識の底には“三等官庁”であることへの劣等感が宿っている。」「しかし、運輸官僚の政府各省内における地位が低下し、政策上の権限が制約されればされるほど、運輸官僚は、“固有の権利”である許認可行政への執着を強めていく。政府各省のうちで最も許認可事務が多いのが運輸省だ。」「この許認可権は絶大であり、この権限を堅持している限り運輸省は永久に安泰だとさえいわれている。いわば運輸官僚に与えられたスぺードのエースがこの許認可権なのだが、それだけにこの権能を操作することは大きな魅力であろう。ここに政治が介入する素地があるわけで、あとに述べる一連の陸運汚職事件の背景ともなっている。」これは私、どういう論者かわかりませんが、運輸官僚行政の中で非常に汚職が多いというのは、やはり免許、許可、認可、こういう事項があまりにも多いのですね。本来この免許、許可というものは、一般的には禁止されておるが、公の機関が特定の場合にそれを解除する、許してやる、こういうたてまえで免許、許可というのができておる。しかし、この公の機関がそういう特定の行為を解除して許してやるということになって、行政府があまり権限を持っちゃいけない。そこで具体的には詳しく免許基準、許可基準というのを法律の中に書いて、そして官僚の自由裁量というのをできるだけ少なくする。これだけで汚職を——自由裁量が多ければ多いほど汚職の根源になるわけです。だから、そういう基準をできるだけ法律で明記しておるわけであります。ところが、この運輸の法律では、たとえば道路運送法あるいは地方鉄道法、こういうものの中にはごく簡単にしか、免許基準というのが、抽象的、一般的にしか書いてないのですね。これは道路運送法の六条には、道路で自動車をもって運送する業者の免許基準というのがありますが、これはほんとうに一般的、抽象的なものです。具体的なほんとうの基準というものが法律にないのです。たとえば、個人タクシーなんかもそうです。個人タクシーの問題に対しても、十年以上の経験、四十歳から五十歳の年齢、その他幾つかの内規が基準としてあるようであります。そういうのをもうかってに運輸官僚がつくって、そうしてこの基準なんかもまことに抽象的だから、解釈が自由なんです。だから個人タクシーの免許がどんどんと山と積まさっておってもそれがなかなか解消しない、こういう点があるんですね。ですから私が言いたいのは、やはり免許基準というものをもっと具体的にぴしゃっとして、そうして官僚の扱い者の自由裁量というのができないように法律を整備すべきではないかというふうに考えるのです。この点大臣、見解いかがですか。
○中曽根国務大臣 生命の安全とかそういう交通安全等に関する部分については、ある程度許認可は必要だろうと思います。タクシーその他の免許にいたしましても、これを放置すると非常な過当競争が出て、かえってお客さんが迷惑をこうむるという事態も過去に出てきております。そういう面からある程度の規制は、私は、こういう生命の安全に関する部分については必要だろうと思っております。しかし、御指摘のような問題の免許基準等につきましては、できるだけ基準を精細に書いて、それに合致したものは法律上当然認可されなくてはならない、そういう方向に改革していくという御方針には賛成でございます。
○板川委員 約束の時間、ちょっとおくれましたから以上で終わりますが、そうしますと、個人タクシーなんかは全国で約一万二千台ありますね。個人タクシーの免許基準や扱いなんかもやっぱり、私はタクシーに乗るたびに運転手に聞いて、一体それは法律のどこにあるのだろうかと思うことが、法律にないことが陸運行政の中でかってにやられているんですね。そういう点に汚職のもとがあるのじゃないかと思うのです。たとえば個人タクシー業法なら個人タクシー業法というものをつくって、そういう関係を明快にしておくことも必要だと感ずるわけですが、私の時間が以上で尽きたようでありますから、またの機会にひとつ質問を継続したいと思います。 以上で終わります。
○大野委員長 中川一郎君。
○中川(一)委員 板川委員に続いて二、三運輸行政についてお尋ねいたしたいと存じます。 板川委員から先ほど、中曽根ラッパという話がありました。そのラッパは一体どのくらい響いておるのかということでありますが、末端を回ってみますと、中曽根さんが運輸大臣になってから非常に陸運行政その他の官庁が引き締まってきたということを耳にいたして、非常に喜んでおるわけであります。河野さんも建設行政を引き締めをした、活を入れたということで有名であり、非常に好評を得ております。ひとつ中曽根大臣にも、河野さん以上の力というか、行政を運輸行政の中に入れていただきたいというふうに感じます。今日までとってきたことは非常にけっこうでありますが、今後も一そうやっていただきたいという意味において、中曽根運輸大臣の今後の運輸行政に対する活の入れ方について御所見があろうかと存じますので、この機会に承っておきたいと存じます。
○中曽根国務大臣 やはり、運輸行政というものはサービス行政である、それをまず徹底することだろうと思います。サービス行政というのは、安く早く安全にそれを実現することで、それをしかも親切に行なうということだろうと思います。 それから運輸省自体の問題といたしましては、これは大臣から地方支分部局の職員に至るまで、いわゆるトップマネージメントという方向に行政実務の体系を変えて、上にいけばいくほど責任が重く、仕事をしければならぬ。そうして自分のアイデアを持って引っぱっていかなければならぬ、そういう形に運輸行政というものが変えられなければならぬと思いまして、その線に沿いまして、また努力してまいりたいと思います。 なお、この社会経済状態の変化に応じて、日本経済成長の動脈を預かっておるのは輸送の問題でございますし、また都市化、近郊化に応じて国民生活の利便に非常に影響しているのも交通問題であります。 それから国際収支の問題で日本のガンになっているのは貿易外収支の赤字という問題でありまして、これも運輸行政の大きな要素であります。そういう時代の推移に応じて非常に大事になってくる諸問題を事前にとらえて、先手を打った政治を行なうように今後とも努力してまいりたいと思っております。
○中川(一)委員 時間がありませんので要約して質問いたしますが、先ほど板川委員からもお話がありました個人タクシーの問題であります。個人タクシーを許可するときには、相当社会から批判もあり、いろいろな意見が出て今日に至っております。今後個人タクシーをどのように扱っていくのか。私どもの聞くところでは、個人タクシーは非常にサービスもいいし、評判がよろしい。できるならばこの方向で伸ばしていったほうがいいのじゃないかという気がいたしますが、過去を振り返って、今後会社による営業タクシーと個人タクシーをどのように扱っていかれる方針であるか、お聞かせをいただきたいと存じます。
○中曽根国務大臣 個人タクシーは利用者にも非常に好評でありますし、また、まじめな運転者が自己の計算で採算を持って営業を行なうというのは非常に大きな刺激にもなりますので、今後ともこれを増強していく考えです。この三月までに大体いま免許のきまっていない部分の相当部分を整理して免許する方針でおります。 それから法人タクシーにつきましては、乗車拒否等で非常に一般の批判がきびしいのでありますが、最近のこういう経済条件の変化に応じて、大きな法人タクシー等は運転手の補強等でも非常に苦労しておるようでありまして、経営についてもかなりむずかしい問題も出てきているようであります。これらは実情に応じましてできるだけ指導監督を適正にやっていくように努力していきたいと思っております。
○中川(一)委員 いまの乗車拒否の問題ですが、これは目に余るものがあるのじゃないかという気がいたします。われわれも二、三経験をいたしておりますが、一体この点については、自動車局長来ておられれば聞きたいのですが、具体的に法人に対してどんな監督をしておられるのか、もっと厳重にやっていただきたいという気がいたします。
○渋谷説明員 乗車拒否等の取り締まりにつきましては、運輸省ひとりだけでできる筋合いのものでもございませんので、警察機関の協力を得まして、一そうその強化をはかることといたしております。
○中川(一)委員 そう突っぱねられると、もう少ししつこく言いたくなるわけですが、警察の権限を借りないと運輸行政ではできないわけですか。
○渋谷説明員 事柄の性質上、運輸省の陸運局のみではとうてい処理し得ない問題と思います。
○中川(一)委員 そこに許可、認可の問題が出てくるのじゃないですか。許可、認可をしているのは、そういうことをさせないために許可、認可をやって免許をやっておるわけですから、その辺からできる範囲というものはあるような気がするのですが……。
○渋谷説明員 私がただいま申しましたのは、直接的な取り締まりを申し上げたのでありまして、根源的にこの乗車拒否の原因がどこにあるかということはまた別でございまして、運輸省といたしましては、その原因がたとえば日雇い運転手のものでありますれば、そういったものを排除するために先般運輸省令を改正いたしまして、日雇い運転手を絶対に雇ってはならないというような通達を流しまして、対策をいたしております。
○中川(一)委員 そうすると、乗車拒否に対して打った手は、日雇い運転手を雇ってはいけないということをやっただけですか。
○渋谷説明員 それからもう一つ。さらに、新たに雇い入れた者につきましては、少なくとも五日間の指導を行なった後でなければ運転者として乗務させてはならないというようなことを定めております。
○中川(一)委員 攻撃しようと思っているわけじゃないのですから、もう少しやわらかく、親切に御答弁をいただきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 乗車拒否の問題は、取り締まりや監督が非常にむずかしい問題でありまして、何が乗車拒否であるか——私も銀座へ行って、実際、乗車しようと思ったら、一時間ばかり寒空のもとに全部拒否された経験がございます。あれは運転しておりまして、手をあげたりした場合にちょっと見て、そうしてスローでとまらないでおる。これは拒否じゃないのだ、運転しているのだ。それをとめて、幾らですか、だめですと、こうやると拒否になる。警視庁でも法律的な取り締まりが非常にむずかしい。だから乗車拒否のくろうとの運転手どもはみんなそうやって、そうして相手が金を持っていて少し行きそうだというやつは、幾ら幾らとスローでいきながら目で勝負しますね。これは、それがそうであるかどうかという認定が非常にむずかしい問題なんです。 そこで私は、一体どうしたらよいか、自分では考えてみてはおるのですが、これは私のまだほんとうのアイデアですが、こういうことはどうか。中川さんもひとつ御検討願って、よければやってみたいと思うのですが、タクシーに全部、十五分ごとにどこにいたかということを書かせるわけです。そうしてタクシーのあれを全部警視庁なら警視庁、運輸省の所管事務局なら事務局へ置いておいて、乗車拒否にあった場合お客さんたちがはがきで手紙を出す。何時何分、どこであった、番号は何である。そういうのが来たら、それを運転者を呼び出してみて、その移動の記録と照らし合わせてみて、その場であったらこれは怪しい、そういうものについては厳重に追及するとか——それでおそらく乗車拒否かどうかということはわからぬと思うのです。わからぬけれども、呼び出しを受けて時間を浪費されるのはいやだから、あるいはだんだんそういうものはなくなるのじゃないか。これも一つのアイデアだと思いまして、いざとなればその程度のことをしなければこれはなかなかできないのじゃないかという気がしております。単に外からだけの取り締まりというのでは、脱法行為がうまく行なわれていますから、いろんな方法をこれからやっていきたいと思っております。
○中川(一)委員 先ほども河野大臣の話をしましたが、河野大臣というのは、庶民がほんとうに困っている声を即日実行に移した人です。昼間工事されたら庶民が困るからというので、夜しか工事をさせないようにして庶民の要望にこたえておる。ひとつ中曽根大臣、局長をもう少し督励して、われわれも知恵をかしますから、今後提携して、中曽根大臣の力によって乗車拒否がなくなるようにやっていただきたいということを要望しておきます。これはほんとうに庶民の声です。 次に、航空問題について一、二お尋ねをしたいと思います。 成田空港、非常に世上騒いでおります。その中でわれわれ気にいたしますのは、成田空港は何か軍の飛行機をつくるのだというような宣伝、あるいはマスコミにもそれらの声が載っておるようでありますが、これは大きな間違いじゃなかろうかと思います。そんなことはあってはいけない。当委員会においてひとつこの点を明らかにしていただきたい。もしそんなことがあったとしたら、これはたいへんなことでありますから、この機会に明らかにしていただきたいと存じます。
○澤政府委員 成田空港は、御承知のように、羽田が昭和四十五年の終わりごろに能力の限界に達しますし、近くまた747、あるいはコンコード、アメリカのSSTというような超音速の飛行機が日本にやってまいりますので、どうしても四十六年の四月までにはこれをつくらなければ、国際航空の需要を満たすことができないということで建設に邁進をいたしておるのでございまして、これを軍用に供するというようなことは絶対にございません。このことは、前大臣また現在の中曽根大臣の名前におきましてもたびたび声明をいたしておりまして、決してこれを軍用に供するというようなことはございません。また、軍事基地にいたしますのには、御承知のように、地位協定に基づきまして、合同委員会において日本政府の了解がなければ、これを軍用基地に提供することができないことになっております。そのようなことに日本政府が了解を与えるということは絶対にございません。
○中川(一)委員 われわれ聞くところによれば、成田空港の反対派というのは、もう全体の数パーセント、大部分は賛成に回ったと聞いておるのですが、どのくらいの割合になっておるのですか。
○澤政府委員 これは、敷地内と敷地外で状況が違いますが、敷地内に権利を有しておられる方につきましては、約八〇%の方が条件賛成派でございます。現在反対派の勢力の中心をなしておられる方は、敷地外の方が大部分でございます。
○中川(一)委員 敷地外の方は何が支障になるのですか。困ることがやっぱりあるのですか。
○澤政府委員 敷地外の方の言っておられる反対の理由として聞いておりますことは、一つは、先生がただいま言われた、軍事基地になるということ、それから第二点は、騒音の被害が非常に大きいであろうということが主たる反対の理由のように伺っております。
○中川(一)委員 そこで、昭和四十六年までにどうしてもやりたい——取りかかった以上はぜひやっていただきたいと思います。できるならば、北海道あたりの土地の安いとこに、そして、反対のない、どちらかというと、デモを出してぜひ来てくださいと言ってはち巻きをして陳情する地帯がたくさんあるわけであります。これから超音速の性能のいい大型の飛行機がどんどん発達をしていくだろう、そういうところからいくならば、今後十年あるいは十四、五年先を考えると、どうしてももっともっと大きな飛行場が必要になってくるのじゃなかろうかと推測をいたします。そういう意味においては、我田引水になりますが、北海道にはいつでもオーケーの土地がありますので、この辺のところもひとつまじめに御検討をいただいたらいいのじゃないか。アメリカに入るときに、アンカレジに入ります。あそこはちょうど北極圏のあまり人の住んでおらないところですが、非常に重要な航空基地になっております。この例になるのじゃなかろうかと思いますが、北海道も、こういった意味でもひとつ大いに御活用をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 昭和四十一年に、運輸大臣、防衛庁長官、北海道開発庁長官、この三者で申し合わせましたとおり、北海道に大型空港をつくることにつきましては前向きに検討いたしたいと思っております。特に、冬季オリンピックが札幌で行なわれます関係もありますし、成田の空港は成田の空港としてこれを至急に完成させまして、そのほか、北海道あたりに大型空港をつくるということは、日本の航空事情から見て適当であると思いますので、この運輸大臣、防衛庁長官、北海道開発庁長官の三者で申し合わせましたとおり、前向きに進めてまいりたいと思っております。
○中川(一)委員 ぜひお願いいたしたいと思います。 もう一つ航空関係で、例の国内航空を一体どうするのかという問題であります。これは地方の問題になりますが、たとえば帯広路線、東京直通あたりは黒字路線である。非常にいい路線であるけれども、国内航空に飛行機がない、あるいはまた操縦士がいないために休まざるを得ない、こういう実態であります。国内航空はああいった形で、国民の大事な足というか、輸送網を持つああいった機関がいまのままでいいのかどうか。合併するなら合併する、あるいは国内航空を育てるなら育てる、やはり基本方針を早めに出す必要があるのではないかという気がいたしますが、国内航空の問題についてお漏らしいただければこの際承っておきたいと思います。
○澤政府委員 国内航空は、御承知のように膨大な借金、繰り越し欠損を持っておりますので、昭和四十一年の五月、閣議了解ができまして、国内航空は昭和四十六年をめどとして日本航空に合併する、それで、それまでに国内航空の繰り越し欠損をなくすということで、これは運輸省、銀行、日本航空が一緒に集まりまして、国内航空の再建整備計画をつくりまして、目下その線に沿って国内航空の再建を急いでおります。それで、御承知のようにたとえば幹線のジェットは日本航空に運航を委託するというようなことで、国内航空の再建は整備計画のとおりに進んでおります。それで、四十六年に日本航空に合併をいたしまして、各地でいろいろ御不便をかけていた向きに、その経営内容が確定してから十分御満足のいくようなサービスをさせてまいりたい、このように考えております。
○中川(一)委員 そういたしますと、昭和四十六年までは不便をがまんしておれ、こういうことになるのですか。
○澤政府委員 四十六年までがまんしてくれというのではございませんで、国内航空の経営内容が立ち直りますにつれて、漸次サービスをふやしております。現に国内航空も近くYS11二機を購入する予定を立てております。会社の再建に従って航空機をふやしていく、このような計画に相なっております。
○中川(一)委員 最後に一つ、港湾行政についてお尋ねして私の質問を終わりたいと存じます。 港湾の整備が必要なことはいまさら言うまでもありません。運輸省も今日まで非常に努力されてきたのですが、ことしの予算、すなわち昭和四十三年度の予算編成において、新しい港湾五カ年計画が決定を見なかった、ただし、一兆円を限度として港湾計画を立てることを認めたということに相なっておったかと存じます。ぜひともこの港湾計画は、国の産業を伸ばす上において、あるいは物価高を抑制するという意味において、いろいろな意味において港湾整備は緊急の課題であります。われわれも一日も早くこの整備計画ができることを望んでおるわけでありますが、その後の動き等について御説明をいただければ幸いだと存じます。
○宮崎(茂)政府委員 御承知のように四十三年度の予算閣議の最終の日に港湾整備五カ年計画、つまり、現行の計画は昭和四十年度からでございますが、これを昭和四十三年度を初年度といたしまして一兆円を下らない額でつくる、四十三年度からスタートするということが閣議の了解になりました。これはぎりぎりの閣議了解でございましたが、それに基づきまして私ども努力いたしております。その前に、実は私どもといたしましては、一兆二千億の計画をつくっておったわけでございます。したがいまして、この一兆二千億を手直ししなければならないということになりまして、これには、国全体の経済社会発展五カ年計画というのがございますから、それに基づきましてマクロ的な検討というものが一つございます。それからまた、マクロ的な検討だけではどうしても大蔵省のほうで納得いただけないものですから、やはり大きな港を拾い上げまして、港ごとにこういう姿になるということも説明をいたしております。私どもは、あるいはこの一兆円ということで運輸省でおりますれば話はすぐ済むかとも思いますが、実は一兆円を下らないということでございますので、私どもは一兆二千億円、こう言っておりましたが、いま大蔵省に出しておりますのは一兆一千四百億と六百億ほど切りまして、そういう線ではいかがでございましょうかということで折衝いたしております。 また、今国会に港湾整備緊急措置法の改正をお願いをいたさなければなりませんので、ぜひとも三月十五日ぐらいまでの間には大ワク、つまり全体の金額でございますが、これを一兆一千億にするとか、その大ワクだけでもどうしてもきめていただかないと、法律案の提出が困るんじゃないかということで、大蔵省のほうといたしましては三月十五日までにそれじゃひとつやりましょうということで検討を進めております。何せ大蔵省といたしましては、治山治水五カ年計画というのが、御存じのように二兆四千億という建設省の計画に対しまして、二兆円を下らないということがございました。目下治山治水のほうに相当努力しているようでございまして、こちらとの関連と申しますか、公共事業の横のバランスということも大蔵省としては非常に重視しているようでございます。私どもといたしましては、現在のところ三月十五日までにいろいろ中身の多少の説明はいたしまして、全体のワクをぜひ決定するように努力します。そのあとで、今度は、中川先生の御郷里でございます北海道分の分け方をどうするかという問題がございます。それからまた、経済企画庁の御所管分の離島のほうに幾ら回すのか、あるいはまた、おのおのの港の姿をどういうふうにするのか、こういう非常にむずかしい問題がございますが、大体最終的にぴしっと各港がきまるのは、この前のときの例によりますと、七、八月ごろにはきまる。しかし、今回はなるべく早く、三月の十五日に大ワクがきまりましたなら、実は前にちゃんと計画もできておりますので、早急にきめたい、こういうふうに考えております。
○中川(一)委員 非常にうまくいっているようでけっこうでありますが、ぜひともひとつ三月十五日までには少なくとも大ワクをきめて、いただき、それに基づいての個所別といいますか、配分をしていただく。けっこうであります。ただ一兆二千億必要だったものが七百億か六百億削られた程度でいけば、まあまあ成功じゃないかと思いますが、二千億も削られてしまうことになると、運輸省の考えた港湾計画というものができないのじゃないかと心配をいたしますので、ひとつ強い折衝をし、閣議の了解事項が守られるようにお願いをいたしまして、時間も参りましたので、私の質問は終わらせていただきます。
○大野委員長 次回は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会