予算委員会 第3号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/12/18
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求についておはかりいたします。 本日、補正予算三案審査のため、宇佐美日銀総裁の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。 なお、この手続等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計補正予算、昭和四十二年度特別会計補正予算、昭和四十二年度政府関係機関補正予算。 以上三案を一括して議題といたします。 一昨日に引き続き、質疑を行ないます。柳田桃太郎君。
○柳田桃太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、防衛、外交、財政等の諸問題について総括質問をいたしたいと思います。 まず、国会法の問題でございますけれども、政府にも重大な関係があることでございますので、総理大臣として、また自由民主党の総裁としての総理にお伺いをいたしたいと思いますが、従来から、また今回もそうでありますが、国会における防衛論争を見ておりますと、常に意見の対立したまま終末に至るようでございます。このことは全国に波及いたしまして、国論分裂の激化を来たすばかりでございますので、私は非常に憂慮をいたしておるものでございます。国の安全保障という問題につきましては、これは与野党とも重大な関心を持っておることでございますが、主義主張を異にするために、その方法論についてはいろいろ意見があることは、これは当然でございます。この問題を、従来は国会におきましては内閣委員会におきまして審議をいたしておりますが、これは、重要案件を多数抱えております当委員会におきまして時間をかけて十分に審議されるとも思われません。したがいまして、国会法改正の機会に、新たに常任委員会を設けて、この問題を専門に検討してはいかがと思うのでございます。もちろん、各政党間の意見が一致するとは思われませんが、その国会における論争を通じ、あるいは公聴会、あるいはいろいろな審議を通じまして、科学的に理論的にこの国防と安全保障の問題を検討し、あるいはとうとい実績を分析して、なお、その方法論を研究する等のことによりまして、正しい情報を国民に伝え、判断を誤らないようにすることが大切ではないかと思うのでございます。 総理は、今回の国会におきまして、みずからの手でみずからの国を守る気概を持たなければならないと主張されましたけれども、ただこのままでは、国民の大部分の人の中には、これは再軍備につながる、あるいは徴兵検査をまたやるのではないか、あるいは徴兵をやるのではないかというような非常に素朴な結論を持って、この総理のことばが国民的同意を得るには、まだなかなか困難であろうと私は考えておるのでございます。かつて、あるいは最近行なわれますいろいろな新聞等の世論調査におきましても、まだまだ判断のはっきりしないものが非常に多数にのぼっておることを見ますときに、私は、この国会の中に、国会法におきまして常任委員会を一つ新設したほうがいいと考えておりますが、総理はどういうお考えを持っておられますか、お伺いたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 常任委員会設置の問題は、これはどこまでも国会の問題として決定さるべき問題だ、かように私は思っております。政府でそういう点についていろいろ意見を述べるとかいうことは、逆に誤解を受けるかと思います。また、ことに私は自民党の総裁ではございますが、やはりその仕事は国会でおきめになる、そういうことにつきましては、私は別にこれという意見をただいまは申し上げませんが、国会で適正に処理なさるように、私はかように考えております。
○柳田桃太郎君 それは、総理がそういう御答弁をなさると思いましたが、総理も、重要な問題でございますので、御考慮を願いたいと思います。 次に、中共の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、中共の核兵器の脅威に影響されない状態をつくりあげるということでジョンソン大統領と合意に達したということが共同コミュニケに出ておりますが、この問題は、具体的にはどういうことを内容としてお考えになっておるのでございますか、お伺いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの事態におきましては、軍事力だけが全部をきめるというものではございません。このことはおわかりだろうと思います。そういうことを前提にいたしますと、国が経済的にも政治的にも安定し、整備される、こういうことも一つの自信を持つゆえんだろうと思います。しかしまた、軍事的な問題もこれは軽視はできません。それぞれの国がそれぞれの方法を求めて、いわゆる集団安全保障、そういう形に進むべきだと、かように私は思います。
○柳田桃太郎君 このことは、必ずしも、先般来から総理が沖縄の交渉にあたり両三年中に核つき返還の交渉になるかもしれないというような誤解を持つような御答弁をなさったことではないということで私も承知をいたしておきます。 次に、よく言われる問題でありますが、中共をわれわれは承認をいたしておるわけではございませんけれども、中国大陸には人口七億を擁して核を持っているという非常に大きな国がございます。しかも、日本としては、すでに人事、文化、経済の交流をいたしておる状態でございます。総理は沖縄に参りまして、沖縄の返還がない限り日本の戦後は終わらないという、非常にりっぱなことばを御発表になりましたが、このことばを借りて申し上げますならば、アジアにおける真の戦後は日中両国の国交が正常化されなければ終わらないと私は思いますが、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がしばしば申し上げますように、日本と中国大陸との関係、これはもう歴史的にも、文化的にも非常なつながりがある。おそらく柳田君は、まだ若いときを中国で過ごされた、そういう経験からも、中国人ともっと親密な度合いをつくるべきだ、こういうかねての御主張だろうと思います。私は、政治的な、また文化的な、経済的なつながりのある中国大陸を無視はできない、それはお説のとおりでございます。ところが、戦後のわが国——サンフランシスコ条約で、私どもは、中国の代表権といいますか、これはもとの中華民国との間に講和条約を結んだ、いわゆるその点では中華民国に対しまして国際法上の権利と義務を持っている、義務を負わされている、かように考えております。ただいまの状態では、中国大陸にある北京政府、また台湾にある中華民国、そのいずれもが、中国は一つだ、こういう主張をいたしておりまして、いままでも国連でしばしば問題になりましたが、いつも重要問題としてのこの問題が解決を見ないで、中共自身の国連加入ということがまだ実現しておらないのであります。 このことは、とりもなおさず、重要問題にいたしましたゆえんは、こういう中国問題を解決するような事態の大問題を一票や二票の過半数できめるというようなことであってはならない。世界、国際的な大勢がきめた、こういうことが望ましいのだというので、ただいまも重要問題としてこれは扱うことにしておるわけであります。したがいまして、ただいまのこの代表権をめぐり、あるいは中国の加盟をめぐって国際的にいろいろの問題が起こっておりますが、私どもは中国と隣だと、こういう立場において、この法的の問題は別として、従前どおりの親善友好関係をひとつ続けていこう、これがいわゆる政経分離の形におけるつき合いでございます。その意味におきまして、お互いに独立を尊重し、お互いに内政に干渉しないという、そういう立場なら必ずや親善友好はできる、並存ができるのだ、平和共存とは申しませんが、とにかく平和のうちに共存ができる、そういう道を、ぜひ強化していきたい、ただいまとっておりますのがいわゆる政経分離、その形においてお互いにそれぞれの立場を尊重して、そうして共存していこう、これがいまの態度でございます。したがいまして、いま言われますごとく、この問題が片づかなければアジアに平和はない、極東に平和はもたらさない、安定がない、そのお考えは私ももっともだと思います。しかし、今日のようなこの国際環境、これは私どもがつくっただけでございませんので、すべての国が、この国際環境、これまた現状においてはやむを得ないという給論を出しておる、かように思いますので、双方におきましてこの問題改善に努力する、こういうことであってほしいと、かように思います。
○柳田桃太郎君 総理のお考えはわかりましたが、しからば、政経分離のもと徐々に国交を進めていこうというお考えでございますならば、しかも、今回の公同コミュニケにおきまして中共が非妥協的な態度を捨てて国際社会において共存共栄に向かうことを希望すると述べておられますが、政経分離のもとであれば、従来から問題になっておりましたプラント類の輸出銀行資金使用の問題くらいはすでに解決してもいいんじゃないかと思いますが、これをまだやらない理由はどういうところに存するのでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) LT貿易事務所のあることは御承知のとおりでありますが、ことしもまた広州交易会においてそれぞれのアイテムについての交渉が進められており、ことしもいろいろな経済政治上の問題をめぐって問題がありますために、必ずしも拡大されたとは申しませんが、とにかくこの貿易は順調に進んでおります。交渉は持たれておる。そこで、ただいま御指摘になりました輸銀の資金の問題でありますが、これについてはいろいろな御意見があろうかと思いますけれども、私どもの態度としては、個々の具体的な商取引についてわれわれの態度をきめていけばいいんじゃないか、自主的にそういう立場できめるべきものだ、かように思っております。したがいまして、もうすでに短期的なものではこれが扱われておる、かように承知しております。今後とも具体的な問題については具体的に処理していくという考え方でございます。
○柳田桃太郎君 輸銀資金使用の問題についてはケース・バイ・ケースで考えていくというお考えのようでございますから、その点はこれで質問を打ち切りたいと存じます。ただ日本の一つの大きな政治のビジョンは、日中両国がお互いに内政に干渉せずして、相提携して極東の平和と安全を保持していき、さらにまた世界の繁栄にも貢献するということであろうと考えておりますので、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。 次に、東南アジアの問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。これは総理の所信表明の中にもございますが、東南アジア諸国に対する経済協力の拡大と条件の緩和をしてやりたいということでございます。しかるに、一昨日の総理の答弁を聞いてみますと、国民所得に対する一%の援助目標というものがあるが、なかなかこれが達成は困難で、自分は心がまえだけを述べたにすぎないというような答弁に聞こえたのでございます。これは、非常に低開発国の皆さま方に対しては、言行不一致を来たすような、不信のもとになりそうでありますから、必ずしもそうではなかろうと思いますので、私は質問をさせていただくのでございます。特に今回は西ドイツ、英国において、財政硬直のために対外援助を減少するということが報道されており、わが国においても財政が逼迫してきておる状態でございますので、こういう開発途上国に対する経費援助はとかく打ち切られがちのもの、あるいは減少されがちのものでございますので、総理の声明の趣旨もあり、そういうことは少なくとも昨年より少なくならないように努力を願いたいと思いますので、総理の見解をただしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはOECDのDAC決議で、私どもも賛成し、その決議をいたしたのであります。ただいま心がまえとか、何か方針みたような言い方をされましたけれども、そうではなくて、政府自身がこの決議に参加し、そして積極的に実現を期そうとしているのであります。ただ、今日の状態でまだ一%になっていないということは、同時に、たいへんまだ残念だということを申し上げたのであります。かように思います。したがって、心がまえだけを申したというようにおとりになりますと、これはたいへん遺憾に思います。そうじゃなくて、実現を期している。しかしながらまだなかなか一%に達していない。そこにいろいろな事情もございます。そのうちの一つのものには、何といっても条件の問題かございます。そこで、この問題が今日実現しておらない。また、財政硬直化ということを言われますと、こういう問題について手をつけるのではないか、そういう御心配もあろうかと思いますが、それは確かに財政硬直化の一つの原因ではございましょう。しかし、長い目で見て、そして各国の協力のもとに世界の繁栄をもたらす、これが望ましい姿だと、かように思いますので、この上とも努力するつもりでございます。
○柳田桃太郎君 これは外務省の外務大臣の問題かと思いますが、海外経済協力基金を見ますと、この白書の中に、かなり毎年度資金の残高を残しておるのでございます。これを新聞報道で見ますと、アメリカやイギリス、フランス等に比べて日本の貸し付け条件が非常に厳格に過ぎるというようなことが述べられておるものもございますので、そのために巨額の資金が残るのではないかと思われますが、そういうことはないかどうか、関係大臣から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、条件が日本は諸外国に比して非常にきびしい、したがって、海外経済協力基金も、実際はもう少し弾力的に運営をできるようにすることが必要だと思っております。したがって、基金の構想そのものを現在検討を加えておるわけでございます。もう少し世界的な趨勢に合ったような、協力のできるような方法というものを検討してみたいということで、基金制度に対して、いま検討を加えておる次第でございます。
○柳田桃太郎君 次に、開発途上国に対する経済援助あるいは技術援助の質と量の問題でございますが、従来の海外経済協力あるいは技術援助というものが、少数階層の利益に奉仕したり、あるいは非常に見かけはりっぱであるけれども、国民大衆には直接の利益にならないというようなものがあったというようなことがよく伝えられるのでございますが、私は、総理が、貧困と飢餓と疾病からこの東南アジア諸国を救済しければならないということを総理は強く述べられましたが、この問題で私は特に同方面にも関心が深いものの一人として、東南アジア諸国の教育水準を上げ、民度を向上させるということで、長期計画で東南アジア諸国の立ち直りに協力すべきではないかと思いますが、今後の援助の方針をそういうほうに持っていくお考えはないかどうか、これは外務大臣からでもお答え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 工業化の面においていろいろな協力をすると、何か国民一般にその協力の恩恵が均てんしないような感じを受けますが、回り回ってみれば国民全体が利益を受けることは明らかでありますが、いま御指摘のように、もっと端的に国民全般に対しての協力の効果があがるようなことに今後力を入れていく必要がある。農業の開発の協力、あるいは御指摘のような教育に対しての、教育改革と申しまするか、教育の普及に対する協力、あるいは医療の普及に対する協力、こういうような端的に国民がその協力の恩恵を受けるというような点に今後意を用いていく必要があると私も考えております。
○柳田桃太郎君 続いて外務大臣にお尋ねをいたしたいのですが、外務大臣は太平洋自由貿易地域構想を持っておられるということがいわれておりますが、太平洋自由貿易諸国、特に日本、アメリカ、カナダ、豪州、ニュージーランドの相互貿易額は、一九五六年で九十二億ドル、一九六五年には百八十億ドルと、かなり躍進を見ておりますが、もし欧州共同市場のように、これが関税障壁を撤廃して自由貿易圏を形成するならば、非常に貿易が伸張し、特に工業国である日本の立場も有利になるのではないかということがいわれておりますが、この世界の二大貿易センターであるところの太平洋自由貿易地帯の一つの連合体をつくるお考えが日本にあるかどうか。私は早くこの連合体ができるならばつくってもいいという考えでございますので、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 太平洋の先進諸国——豪州、ニュージーランド、あるいは日本、カナダ、アメリカ、こういう諸国が非常に緊密な、経済的にもすでに緊密な関係を持っておりますし、将来においても緊密な関係を持っていくということが、アジアの開発を考えた場合においても非常に必要である。しかし、これがすぐ自由貿易地帯ということになりますと、これはなかなかやはりその条件が——それは一つの私は構想だと思いますが、そこまでいくためには、いろんな条件が整わなければなりませんので、いますぐにそういう構想を具体化するというまだ機は熟してないと思いますが、この太平洋先進諸国がどのように今後経済的に緊密な関係を持っていくかということは、日本として考えるべき将来の大構想の一つだというふうに考えております。
○柳田桃太郎君 次に、ベトナム戦争の見通しと日本の役割りについてお伺いをいたしたいと思います。 これは、特にベトナム戦争については、主義主張を異にする者の立場もあって、非常にアメリカの立場をきびしく批判する風潮が出ておりますが、総理は、今回の訪米によりまして、この南ベトナムに対するアメリカの援助を肯定し支援をしておるわけでございます。私自体はこの内容を知らないでもありませんが、国民の前にも少しはっきりと、なぜアメリカがここに進駐してあれだけの巨額の軍費と生命の犠牲を払って戦っておるかということを、はっきり総理の口からお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) アメリカはしばしばベトナム紛争に対するアメリカの戦争目的というものを明らかにしておる。その言っておることは、アメリカの求めるものは、南ベトナムにおける自由と独立である、アメリカは南ベトナムに永久の基地を設けようとも思っていないし、いつまでも軍隊を駐留さそうという意図はない、自由と独立が保障されるならば、アメリカの兵隊は六カ月以内に撤退する、とまで言っておるわけであります。こういうことでありますので、われわれは、そういうアメリカの目的——結局において力によっていろいろな考え方を押しつけるということはよくない。やはりベトナムにおける平和の回復のためには、将来はベトナム人が自分の運命をきめるべきでありましょう。しかしとりあえず、あれを、戦争を終わらすためには南北が——南、北というものが一応共存の体制をとる以外にない。そういうことから考えてみて、アメリカが自由と独立を、南ベトナムを守ろうという今日のアメリカの達しようとする目標に対しては、われわれは理解を与えるということ、個々の戦闘行為に対してこれを支持するというわけではないが、アメリカが達成しようという目標に対しては、われわれは理解を持つことができるということでございます。
○柳田桃太郎君 ただ、総理もしばしば御発言になりますように、一日も早く平和が来ることを希望すると申されております。私もまことに同感でありますが、今回の和平につきましては、所信表明の中では、北ベトナムがすみやかに和平交渉のテーブルに着くことを希望するというようなことを述べておられます。しかし、南ベトナムにもあるいは北ベトナムにもそれぞれ強力な支援団体の、支援国のあることでありますし、これらの支援国相互のいろいろな意思の疎通もはからなければならないということに、ベトナムの和平が成立するかしないかというかぎがあると思うのでございますが、せんだって、十二月十六日の新聞に、私の考えておりましたようなことが出ております。特に三木外相は、この東側の三国に対して協力を求め、日本側はまた南ベトナム、アメリカ側に話をするというようなことが出ております。私は、この話の進展を心から希望するものでございますが、実際の現在の見通しはどういうぐあいになっておるのでございましょうか、発表できる程度のことを承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の政府としては、このベトナム戦争、これが収拾の見通しは立ってないわけで、いつまでもこういう戦争が続いていくということは、しかも、アジアの青貝として、日本は深刻なこの前途に対して、非常にこの戦争の前途を憂えておるわけであります。何とかしてこの戦争が早く終わるわけにはいかないか。しかも、いつまで戦ってみたところで、結局、この問題は政治的に解決しなければならない。その政治的解決というものは、北が南を共産国化することはできるものでもないし、すべきものでもない。また、南が北のハノイ政権を倒すというようなことは、考えるべきでもないし、できることでもない。そうなってくると、一応は南北ベトナムが共存をしてですね、将来安定した基礎の上において、ベトナムの将来の運命をみずからきめるというところよりほかにない。結論はきまっておる、この戦争は。きまっておるのに、なぜ戦争を早く終わらすことができないのか。これは戦争当事国にも強く言いたいのであります。いつまでこういう戦争を続けていくのか、強く言いたいのであります。ところが戦争当事国が、両方が、お互いに、相互不信があるわけであります。みんなやはり疑心暗鬼で、なかなか話ができない。したがって、ベトナムの平和に関心を持つ第三国というものが、もう少しこれに対して調停の役割りはできないか。そういう点で、東ヨーロッパ諸国などは、これはハノイ政権と非常に関係を持っておるのでありますから、そういう国々あるいはアメリカの友邦諸国——まあ日本もそうでありますし、その他の国々もある。こういうその両方——ハノイ政権とも友好関係を持ち、また一方においてはアメリカと友好関係を持つこういう国々が、お互いにこの戦争を終わらすという努力ができないかということを考え、また、こういうことでわれわれとしても今日まで努力をしておるわけであります。東欧諸国の大使連中とも、これはその目的のために寄ったのではございませんが、過般、東欧諸国を訪問したときに、いろいろ世話になった関係もあって、そういう者と晩さんを共にする機会があったときに、ベトナム問題の話も出たわけでありますが、しかし、まだこういうふうな国際的な一つの第三国による保障方式といいますか、こういうことでベトナム戦争の収拾をはかるというようなことが、具体的にはまだ成果はあがっていないということが現状でございます。
○柳田桃太郎君 次に、北方領土とシベリア開発の問題について、外務大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、ソ連との平和交渉がなかなか進まないということは、領土問題がからんでおるといわれておりますが、われわれの知るところにおきましては、ソ連は歯舞、色丹は、平和交渉が成立すれば返還をするということでございますが、しかもこの返還は、日本の国土から外国の軍隊が徹退することを条件にするというようなことを言っておると聞いております。これにつきまして、日本側は、どういうことをいま国後、択捉島の問題についてソ連側に申し入れをしておりますか、簡単にお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、日ソ間では一番最大の懸案は領土問題であります。ところがこの領土問題について、ソ連側は解決済みである。日本は捉択、国後、歯舞、色丹はもちろん固有の領土である。こういうところに意見の食い違いがあって平和条約の締結をはばんでおるわけです。こういう話を私は率直にコスイギン首相にいたしたわけであります。日ソ定期協議の場合にいたしたわけでございます。 コスイギン首相も、どういう解決の方法があるかよくわからぬが、何か中間的な処置はとれないものであろうかという提案が行なわれたわけでございます。むろん領土問題の解決のためにという前提でコスイギン首相は言ったわけではないのですが、日ソ間の平和条約締結に至る中間的処置というものは考えられないであろうかという提案があったので、それで日ソの外交交渉を通じて、ひとつ話し合ってみようということで、第一回の会議を、先般モスクワにおいて中川大使をしてソ連政府との間に第一回の日ソの外交交渉をいたしたのでございます。今後一気にこの問題を解決することは困難でございますが、しかし、今後少し腰を据えて日ソ間の懸案を解決して、そして日ソ間が長期に安定した基礎の上に友好関係を築き上げたい。日ソ間の長期的な友好関係を樹立することは、日ソ両国の利益に合致する、こういう考えで、今後ともソ連との間に外交交渉を続けていく考えでございます。
○柳田桃太郎君 続いて関連を持っております日ソ貿易のことについてお伺いをいたしたいと思いますが、日ソ貿易は、昨年は約一年間で五億一千万ドル近くになったといわれておりますが、日本側から見れば非常な輸入超過になっておるのでございます。これに対しましては、船舶の輸出等に対する政府の承認の基準が非常に困難で、こういった片貿易になっておると聞いておりますが、はたしてそうかどうかということでございます。続いてソ連としては、極東地区の経済開発について長期計画を立てて、森林や石炭や銅鉱山やあるいは鉄鉱石の開発をはかることに日本の参加を期待をしておるやに見えるし、日本の財界、実業界でも非常に動きを見せておりますが、これは官民合同でこれに参加をしてやらなければとうてい困難だと思われますが、政府のお考えはどうでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 日ソ貿易については、相当ソ連の延べ払い等の条件が合致せない点もあるわけでありますが、長期金利、あるいは延べ払いの期間等、西欧諸国も相当ソ連に対しては緩和された条件で貿易をやっておるようでありますから、ソ連としても、日本に対してもそういう要請が非常に強い。そういう点でうまくいかない面もありますが、しかし日ソ貿易の将来というものは、やはり拡大していく傾向にあると思います。また、シベリア開発については、まだ具体的にどうという段階ではありませんが、日ソ経済委員会のような民間の交流が盛んになって、そしてソ連との間にどういう点をシベリア開発に対して日本が協力できるかということをいま検討をしておるわけであります。このシベリア開発の協力というものは、やはり日本の利益に合致するものでないと、ただ単純にシベリア開発に協力するというわけには、こんなことでは長続きしませんから、日本の利益にも合致し、またそれがソ連の利益にも合致するという、そういう開発の対象を両方で選び出してそうしてやるということになる。この点について、どういう開発をやるかということをいま検討を加えている段階が現在の段階で、まだ具体的にシベリア開発に乗り出していくという、そういう段階ではないということでございます。
○柳田桃太郎君 外交面のいろいろな隘路の打開が経済交流から進められていくということはよくあることでございますので、北方領土のむずかしい問題を解決する一つのあと押しとして、シベリア開発の問題も十分考えていただきたいと思っております。 次に、時間がありませんので財政の問題に移りたいと思います。わが国の財政が非常に硬直をしてきたという御発表がありまして、新年度の予算の編成に非常に難航をしているということを聞きまして、われわれが思うに、昭和四十二年度に平年度において、三千六百億の大幅の減税をして、しかも続いていろいろな予算の伴う法律を認め、そうして国土の長期建設計画等も次から次に認めていきまして、やや大幅に義務的経費のあるいは当然増となるものを認め過ぎたきらいがあるのでございますが、われわれは政府与党といたしましても、年間においてどのくらい当然増あるいは準当然増がふえていくかということは、なかなかわかりにくいものでございます。大蔵大臣にお聞きいたしますが、毎年度あるいは昭和四十一年、昭和四十二年度では当然増が六%か八%であったものが、にわかに一三%、一四%となるならば、これは議会にあるいは何らかの方法でこれらの予算膨張のきざしが見えるときに予告をし、警告をすべきものではなかったかと思いますが、大蔵大臣はどういうお考えを持っておられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる予算の膨張、圧力という問題でございますが、自然増がある。この自然増の中で、いわゆる当然増というようなものに応じ得るものは、昔はそう多い比重ではございませんでした。ところがいまそうではなくなって、国全体の既定当然義務的経費、準義務経費というもので、もう予算の九〇%を占めるというときになってきますというと、この既定経費の圧力で、少なくとも予算を十何%もふやさなければいけないというところへくるということになりますというと、もう経済成長との均衡がとれなくなってしまう。もともとこの間申しましたように、これくらいずつの義務経費を制度化しても、法制化してもやっていけるだろうというのがいままででして、相当の成長率がございましたから何とかやってきたのですが、四十年度へ入って、もとのような成長率の確保はできないというときになってきて、過去そういう計算をして法制化したのではございませんから、この累積がここへきてそういう大きい圧力になってきたということで、このままいったら、全然経済成長に見合った予算の編成というものはできないというところへきたのでございますから、本来ならもっと早くからこの問題は当然警告すべきことでございました。財政当局は、そのつどこれは後年度の負担を多くするということはやってまいったのでございますが、現実は経済が伸びて相当の自然増が得られるというときでございましたから、なかなかこの訴えがきかないで、こういうふうになってきたと、この責任は当然私どもにあると反省はしておりますが、過去それが可能であったから、ある程度放漫に流れてもやってこれたということだろうと思います。今後もこういう方式はとてもやっていけないというのが現状でございます。
○柳田桃太郎君 これは政府も、それらを認めたわれわれ与党にも非常に責任がある問題でございますので、この際、勇断を持って財政の硬直化を再建していく責任があると思いますが、大臣は非常に勇気を持ってこれを処理していくお考えと思いますので、御所信を承っておきたいのでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 勇気を出さなければ、もう現実の予算編成は不可能であるというところへきておりますから、これはもう一大勇気を出して事に当たるということでございます。
○柳田桃太郎君 その中で、勇気の内容についてお伺いをいたしたいのでありますが、一省庁一局を削減するというようなことは、心理的影響としては非常にいいことと思います。しかし、この定員を、欠員定員を三カ年に数万人整理するということは、これは出血を伴わない整理を考えておられるのか、あるいは出血もあえて辞さないという考えであるのかということを承っておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) まず、この部局の整理をするということをきめて、今度はやはり仕事を減らす、過去において必要であった事務であっても、もう不要なものもございますので、こういうものを整理することによって定員の縮小も考える。三年間に五%程度の目標をもろてやろうというのがいま政府の決心でございますが、かりに定員の切り込みまでにいけない——毎年いま一万四千人ぐらいふえておりますが、このふえるのをとめるというこの一つで国費は百四、五十億の節約になるということでございますから、もう単に定員がふえるのをとめるだけじゃなくて、いま言ったように積極的に定員の縮小ということへ入れば、相当のこれはやはり硬直化の改善になるというふうに私ども考えております。
○柳田桃太郎君 次に、この定員のプール化を考えておるというようなことがちらちら報道されておりますが、このことは人事の交流やあるいは人件費の膨張を防ぐ面からも、あるいは各省庁間の従来からあった多少のセクショナリズムやいろいろな点を解消する上にも、非常に効果があるように思いますが、また抵抗も非常にあって、定員のプール化ということはむずかしいことと思いますが、やる腹があるかどうか。これは大蔵省ですか、関係当局はどちらですか。定員の問題についてプール化の問題が進められておるかどうかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 現在行政改革の一環といたしまして、国家行政組織法で、そこで各省庁全体の定員をプールいたしまして、各省庁に対する機動的配置は政令でやる。現在は各省庁の設置法でやっております。そういう考えのもとに、まだ政府として決定しておりません。そういう考えのもとに研究中でございます。
○柳田桃太郎君 次に、この財政硬直化の大きな原因を構成しておるいわゆる既定経費、当然増の原因になっておるいろいろな諸法令というものを、ほんとうに整理しなければな財政の硬直化は是正できないことと思いますが、これは各省庁においてこれを積極的に新規財源を生み出すために、みずからの手でやろうとしておられますか。あるいは政府は、大蔵省は、大体どの程度の当然増ならば今後ともまかなっていけるというお考えでございますか、お考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) どの程度ならばという御質問でございますが、いまの法律、制度、慣行の上に乗っておる限りは、この圧力だけで、もう新規施策はできないというところへきておりますので、これをほんとうに解決するためには、やはり制度、法律の改正にまで及ばなければいけないというふうに考えておりますが、これはなかなか一年でやることはむつかしいことでございますので、私はとりあえず当年度の負担を、増を避けるための暫定措置と申しますか、ほんとうの解決は年次計画にでも立てて、あとへ譲るとしましても、とりあえず将来ふえないような措置をとる、この解決の芽ばえを今度の予算で各項目に全般にわたって実現していくと、こういうやり方でいくよりほかには方法ないのじゃないかというふうに考えております。
○柳田桃太郎君 さて、さきの国会で公債を発行するときに弾力性のある財政のもとにおいては、景気が過熱したときには予算を縮め、不景気のときには予算の規模を、政府の財政支出の規模を拡大して、これがフィスカルボリシーとして景気の刺激をするというような御発言があったように聞いておりますが、現在はすでに硬直しておるので、その弾力性を失いつつあると考えますが、さりとて、これはいま新聞に毎日のようにいろいろなことが出ますが、急激に予算を緊縮をするということになりますと、非常ないろいろな面に影響が出るし、また、批判も受けると思いますが、およそやはり来年度のこの予算の規模と申しますかは、もうすでにお考えとしてきまっておるのでございますかどうかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ来年度の経済の見通しというものはいまきまっておりません。
○柳田桃太郎君 来年度は民間設備投資は、日銀等の金利引き締めとポンドの切り下げ等、あるいは輸出不振等で、相当に下降線をたどるというふうに見えますがどういうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、今年度、前年度に比べまして三割近い伸びが見込まれます。明年度はむろんこれに比べてマイナスではないと思っておりますが、とうてい三割というような大きな伸びはないであろう、こう考えております。
○柳田桃太郎君 現在の政府の財貨サービスの支出は、国民総支出の中に占めるウエートが二〇%ないし二三%という非常な大きな重要部分を占めておりますので、これがこの景気不景気を左右する力が非常に大きいと思い、そこに来年度の民間設備投資があまりふえないという状況下におきまして、やはり政府は、かなり大型の予算を組まなければ景気の維持ができないのではないかと思いますが、これは経済企画庁長官は、どうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 民間設備投資が今年度に比べてマイナスになるというのではございませんから、やはり七兆をこえる新規の設備投資があるであろうというふうに考えます。それから、消費の伸びは、概してやはり堅調であるというふうに思いますし、輸出についても一段と努力をいたさなければなりません。したがって、それらのことを考えますと、政府の財貨サービス購入は、中央地方を通じましてやはりかなり押えぎみに考えてもらいませんと、国際収支総合で赤字の幅が縮まることがむずかしい、こんなふうな見方をいたしております。それで十分景気の維持は可能である。どちらかと言えば、まだ私ども、景気の上昇基調が強め過ぎるのではないかというような見方をいたしております。
○柳田桃太郎君 わが国の税負担及び社会保険の負担の問題をお聞きいたしたいと思いますが、統計の上からだけ見ますと、日本の一人当たりの国民所得に対する税負担、社会保険の負担率というものは、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア等が、日本と同じ程度の国民所得を得ておった当時の比率と比べましては、非常に低くなっておるのでございますが、この点は政府はどういうように見ておられますか。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりだと思います。
○柳田桃太郎君 低額所得者に対する減税の問題等は、きわめて重要な問題だと私は思います。しかし、よりよき国、よりよき社会をつくる、よりよき福祉国家をつくるための税の負担というものについては、やはり欧米先進国に比べて、わが国の政府は国民に対する訴えが必ずしも十分でないように思いますが、むしろ税をなるだけ下げて、そしてよけいに負担してやろうというように、いままでわれわれとしては見えたのでございますが、これは私の錯覚ありましょうかどうでしょうか、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりだと私も考えます。政府の提供するサービスも、結局は負担者は国民であるということでございますので、サービスの質の向上ということは、やはり負担増と結びついたものでございますが、負担を軽くしてサービスの内容をよくするということは、結局はできないことでございますが、従来この点についての相当安易な運営があったということは、やはり今日の硬直化の一つの原因にもなっておりますので、やはり政府のサービスをよくするという反面、国民が税の形であるか、あるいは受益者負担の、税以外の保険料その他の負担という形でいくか、いずれにしろこの均衡はとりながらやらなければ、この財政というものはやっていけないというふうに考えます。
○柳田桃太郎君 大蔵大臣もはっきり言われておりますが、やはり国民に対して受益者負担的なもの、あるいは間接税的なものはもう少し負担してもらわなければ、よりよき国家財政はやれないんだということをはっきりともう打ち出す時期が来ておるんじゃないかと思いますので、所見を申し上げたわけでございます。したがいまして、これは物価に非常に関係のあることでございますが、受益者負担的な公共料金の問題、あるいは米価の問題等も、本年度においては物価抑制のために何とかやりくりができても、いずれはこれは負担をしてもらわなければならぬ、そうしなければならぬものではないかと私は考えておりますので、意見として申し上げておきます。 次は、これは農林大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、私も農民の一人でありますが、消費者米価と農民から買い上げる政府の生産者米価との差額は五百八十九円でございます。これには、もちろん配給のいろいろなマージンは含んでいないものでございますが、これはいすれば、いまは上げないでも、この逆ざやだけは負担をしていかなければならないものじゃないかと私は思いますが、農林大臣はどういうお考えを持っておられるのでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 従来は、御承知のように生産者米価を決定いたしました後に消費者米価がきめられて、バランスがとれてまいりました。しかるに最近では、この生産者米価と消費者米価の間においてすら、御存じのように逆ざやの現象があるわけであります。私どもといたしましては、この生産者、消費者両米価の逆ざやをなくして、食管の運営が正常に行なわれるようにつとめるべき段階であると存じておりますが、ことに本年のように、非常に豊作のために、需給事情が緩和されてきておるわけであります。それらのことも勘案いたしまして、ただいま申し上げましたような趣旨で、慎重に対処してまいりたいと、こう思って検討を進めておるわけであります。
○柳田桃太郎君 いま農林大臣からお答えがございましたが、昨年度政府の買い上げましたお米は、八百六万トンと承っておりまして、これは総生産に対しまして六三%でございましたが、本年の予想を見ますと、非常な豊作でもありますが、九百五十万トンぐらい、そのパーセンテージは六七%の買い上げ率になるようでございます。これを国民の食糧安全保障という面から見ますと、喜ぶべきことでございますが、食管特別会計としては、半年分以上の貯蔵米を持って、非常な経費もかさんで、さらにこれが損失の累増になる傾向にありますが、これらに対する根本的な対策について、農林省としてはお考えになっておるかどうかを承っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまのお話しのような事情でございますので、ただいま各方面の御意見を承りながら、根本的対策について鋭意検討を続けておるわけのございます。
○柳田桃太郎君 次に物価の問題に触れたいと思いますが、時間がございませんので、特に地価の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 建設大臣にお伺いをいたしますが、この地価の最近の暴騰は、十カ年に八倍ないし十一倍という非常な大きな値上がりを示しまして、これが国の建設事業に対する用地補償費の割合を高め、平均で二二%あるいは都市計画事業のごときは五〇%が用地補償費ということで、予算の伸びがありましても、事業量そのものには躍進が見られないような事態になっていること、並びにそれが住宅などの単価を高めておるということをどの程度理解し、これに対してどういう手を建設大臣は打とうとされておりますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) お話しのように、地価の問題は、需要にもよりますし、地域にもよりまして、一律にどうということも申し上げられぬと思いますけれども、お話しのように、公共投資の面を見ましても、だんだん投資効率が用地確保のために落ちてきておる、これは非常に注目しなければならぬ。これは先ほども申し上げましたように、政府の基本方針としましても、四十年十一月に地価に関する基本方策というものを打ち出されておりまして、大体やらなきゃならぬ方向は、そのことに示されております。結局は、宅地から中心に地価の高騰を引き起こしておる。宅地の地価を押えてまいりまするためには、どうしても宅地の大量供給、計画的な供給を持たなけりゃできない。そういうことでまあ都市計画法の全面改正であるとか、あるいは都市再開発法等もただいま国会の御審議をいただいておるようなことでございます。そういう手を講じて新しい市街地の建設、都市の再開発、そういうものを相当じみちな計画を立てて実行していかなければ、考え方だけではどうにもならないんじゃないか。で、実行できるようにひとつ力を出してみたいと、こういうふうに考えます。
○柳田桃太郎君 次に、地方財政の健全化の問題でお聞きしたいと思いますが、従来から地方財政は人件費の重圧を受けておるとよく聞いておりますが、詳しいことは、お聞きするいとまがありませんけれども、小規模地方団体ほど、職員の老齢化によって困っておるということで、毎年度市町村会等においては、定年制の問題を持ち出しておるようでありますが、自治省としては、再雇用制度の問題であるとか、定年制の問題であるとかいうものが条例でつくられるような措置を考えながら、これらの地方団体に対する職員の将来について、何かの考えを持っておられるかどうかをお聞きしたいと思います。 また、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、地方財政は健全化しておる、あるいは出世払いということを言っておりますから、健全化されておるので、地方交付税がふえてくるので、この税率を下げるとか、あるいは本年度の増収分を、いままでの立てかえ分に回すとかいうようなことを考えておるようでありますが、これは国の財政が硬直化したそのしわを、またさらに地方財政に持ち込んで、地方財政が節度を守りつつも何とか黒字を出していきよるのに、さらにこれを悪化させる結果になるということで、私は反対でありますので、御意見を承りたいと思います。 次に、市町村道路税、目的税の問題がよく議論になりますが、これらの問題について、大蔵大臣の御所見を承っておきたいと思います。 自治大臣に、この定年制あるいは再雇用の問題について考えておるかどうかということを、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(赤澤正道君) 定年制の問題につきましては、市長会あるいは町村会から、それぞれ最近ずっと毎年御要望もありますし、地方公共団体の組織の内部を、新陳代謝を活発にして、常に若々しさを保つことも、当然必要でございますので、そういう御期待にこたえる意味で、目下地方公務員法の改正につきまして、いろいろ検討しておる最中でございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 中央の財政と地方財政は、これは両方がよく調整のとれたものでなければならないと思いますが、三十年代においては、地方財政が非常に窮屈であった。そのために、いわば調整資金という意味において交付税も順々に上げられて、ただいまのような率になっておりますが、そういうような措置によりまして、最近の地方財政というものは非常によくなってきておると私は思います。硬直化の問題もございますが、しかしたとえば国債の依存率を見ましても、国が十何%の依存率を持っておるのに、地方財政のほうは年々下がりまして五%を割ってきておるというようなことで、こういう点では相当の改善が見られておるというときでございますので、一方国の財政がこうなっておる場合に、地方財政との調整というものは、やはり適切に今後考えられにゃならぬ。そういう意味から、いま私どもはいろいろこの問題について検討中でございます。
○柳田桃太郎君 時間の都合で要を尽くさない問題もありますが、以上をもちまして私の総括質問を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして柳田君の質疑は終了いたしました。
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、鈴木一弘君の質疑を行ないます。鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 日銀総裁はちょっとおくれておるようでございますので、それまでの間物価問題についてまず入っていきたいと思います。 消費者物価指数の今年度の動きについて、まずこれを経企庁長官にお伺いしたいのですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、夏前まで消費者物価がむしろ下降の傾向にあったわけでございますが、八月ごろから上昇に転じまして、ただいまもやや上昇過程にあると思われます。政府の年度内の対前年比の消費者物価上昇の見込みは四・五%でございますが、まずその範囲にはとどまるというふうに、ただいま考えております。
○鈴木一弘君 いまの答弁から見ても、八月以降はかなり上昇傾向で、十月現在で対前年度同月比で五・二%の上昇を示しておるわけです。 で、これは総理に伺いたいのですが、消費者物価については、改定された見通しでも、当初の見通しと同じ四・五%をとられたわけですが、いまの答弁では、私どもちょっと納得しがたいものがある。その四・五%の範囲内にとどまるかどうかということが、非常に疑問なんですが、総理としては、どういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま経済企画庁長官からお答えしたとおりでございますが、まず年度当初は比較的順調にいった。しかし、ことしの下半期において上昇率が大きい。だが、年間を通じて見ると、四・五にとどまるだろう、こういうことでございますが、一つここに心配なのは一−三月、こういう一−三月に、主として野菜だと思いますが、生鮮食料品、そういうものがどんな傾向をたどるだろうか、実はここに一つの心配がございます。これが例年どおりにまたその円滑な流通ができれば、私は四・五を維持することは、そう困難ではないだろうと思いますが、ただ物価の問題ですから、ことしさようにいきましても、また、来年度これまた一つの心配があります。まあいろいろ考えてみますると、この物価の上昇の問題は、内閣の重要政策と言いながらも、どうもこれらの点において、なお十分の効果があがってない。そこらに心配のものが次々にある。これを認めざるを得ないと思っております。
○鈴木一弘君 いまの総理の答弁からしても、非常に心配な点が、野菜の値上げ、そのほかの問題であるということでありますが、そのほかの問題で、ここのところで、ふろ代であるとか、あるいはパーマであるとか、交通料金であるとか、こういうものが上がってきております。これは、今回の改定見通しの中には入れてあったのかどうか、そこまで考えて四・五と押えられたのかどうか、それをお伺いしたいのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、消費者物価対前年度比を考えますときには、一つ一つの品目を積み上げるということが事実上困難でありますために、マクロ的な観察と、それから過去、その特定の品目がどういう動きをしたかというトレンドを調整したりしてやっておるわけであります。もっとも、今年度の場合には、十月から消費者米価が一四・四%上がるであろうということは、年度の当初に、ほぼ予想がついておりましたので、この分は考えには入れております。しかし、一つ一つの物価を積み上げておりませんので、このものは入っておったか、このものは入っておらないかという御質問には、お答えすることはできないわけでございます。
○鈴木一弘君 いまの問題は、あとで続けてお伺いしたいと思いますが、日銀総裁がお見えになりましたので伺っておきたいのですが、非常にここでポンドの下落、それからドル防衛、あるいはドルの不安ということが、国民の間に大きな不安をかもし出してきております。その点で、いろいろ伺っておきたいのですが、最初に伺いたいのは、このような、現在イギリスが八%という公定歩合をとっておりますが、またアメリカも最初引き上げて、四・五に上がった。再引き上げの心配があるわけであります。それについて、日銀の見通しとしては、これから先、引き締めが、来年の秋には、好転期を迎えるであろうというようなことを言っておられたわけでありますが、現状でも、同じように、来年の秋になれば景気は好転すると見られているのか。あるいは引き締め措置というのをさらに一そう長くする、あるいは公定歩合の引き上げというような強化策をはからなければならんというふうに思っていらっしゃるのか、その点の御意見をひとつ伺っておきたい。
○参考人(宇佐美洵君) ただいまの御質問にお答えいたします。 御承知のように、日本では九月から、まあ本格的と申しますか、引き締め政策をとったのでございますが、十一月になりましてから、イギリスのポンド切り下げをきっかけにいたしまして、確かにいま世界は、通貨の問題あるいは金の問題等について、かなり不安定な状態になっております。したがいまして、私どもは、いまでも日本の国際収支が早く均衡をするようにということを願っておりますが、当初考えましたときよりは確かにむずかしさが加わってきていると言わざるを得ないのであります。国際環境もきびしくなってきているわけであります。 で、ただいま御質問の、アメリカの公定歩合は、十一月に〇・五%上げたけれども、さらに上げるのではないかという御質問だろうと思うのでございますが、これはアメリカの公定歩合でございますので、私からはっきりは御返事いたしかねるわけでございますが、率直に申し上げますと、アメリカの国際収支が問題でございます。したがって、アメリカとしては何とか国際収支を改善したい。また各国も、アメリカの国際収支の改善をぜひしてもらいたいということを申しているのでありますが、御承知のように、アメリカの貿易収支は、非常にいまでも依然として大きな黒字でございます。三十億ドル以上、ことしも黒字ではないか。ただ海外投資であるとか、あるいは財政支出のために赤字を続けているような次第でございます。したがって、アメリカとしても、国際収支の改善には努力いたしているわけであります。 金の価格維持の問題がいま大きな問題になっておりますけれども、私どもは、この金の価格あるいはドル自体の問題につきましては、アメリカはいろいろな点で確かに悪くはなっております。御承知のように、通貨量に対する金の準備も非常に下がっておりますし、また海外の、外貨準備としてドルを持っている諸国を合計いたしますと、やはりアメリカの金が、いつでも金にかえると言いながら、その量は非常に減っていることは事実でございます。しかし私は、アメリカの通貨の維持ということは、単に金の量だけの問題ではございません。やはりアメリカのうしろに控えております世界にずば抜けて大きい経済力の強さというものも、これは厳然としてあるわけでございます。ドル自体の通貨につきましては、いまさっそく危機がくるとは思っておりません。しかし、一方におきましては、だんだん確かに数字的に見ますると、悪くなっておりますので、やはりアメリカとしては国際収支改善に全力を尽くすのではないかと思うのであります。 これについては、あるいは財政の削減であるとか、増税とか、いろいろのことを議論されているようであります、が、いずれにいたしましても、国内の調整として——海外との金利その他の問題もむろん重要な問題でございまするけれども、国内の調整をしなければならんということは事実だろうと思うのであります。したがって、これはアメリカ自身の判断にまかせるよりいたしかたございませんけれども、その可能性はないとは申し上げかねると思うのです。その可能性と申しますのは、アメリカの公定歩合引き上げでございます。全然ないとは、私は申し上げることはできないのであります。今後アメリカがどういう政策をとりますか、私どもそれを云々はできませんけれども、そんなような感じを持っているわけです。
○鈴木一弘君 いまのアメリカの公定歩合の引き上げがあるであろう、あるかもしれぬというお話でありますが、その場合に、わが国としては、こういう高金利時代に入り、わが国としては——日銀の考えとしては、公定歩合の引き上げということをお考えになるのかならないのかということを伺っておきたいのです。再引き上げがアメリカで行なわれた場合です。
○参考人(宇佐美洵君) お答えいたします。 ただいまのアメリカが公定歩合を上げるだろうとは申していないので、上げる可能性もないとは申し上げかねるということでございます。そういう仮定でございますが、これに対しまして、アメリカと日本——ドルは御承知のように世界の準備通貨、あるいは貿易の決済通貨でございますので、影響するところは特に日本にもございますし、日本としては御承知のような状態でございますので、影響は相当あると思います。したがって、かりに万々一、ドルがそういうふうになった場合には、日本銀行として、これは、もう日本全体として考えなければならない問題だと思います。ただ、それでは、向こうが上げたから、すぐ日本も機械的に上げるのかということになりますと、私は、やはり日本は日本の通貨で、金利でございますので、日本の内部の情勢もよく考えなければいかぬと考えております。決してそんな機械的に考えることではなく、それも大きな考慮の材料でございますけれども、しかし、やはり何と言いましても、いまわれわれが進めようとし、そうしてなるべく早く——延びたといっても、なるべく早く、その国際収支の均衡を一日も早くしたいという念願には変わりございませんので、日本がそれに対して、いまのわれわれのとっております引き締め政策をどういうふうに国内で対応してくれるか。最近の情勢を見ますると、国内も一時はなかなか産業界に引き締めが浸透しないのではないかというふうにも見られておったのでございますが、最近の情勢を見ますると、産業界でもだんだん非常に深刻な情勢を認識されておるようであります。それらの点を十分考慮いたしまして、これをどうするかということをきめたいと思っております。
○鈴木一弘君 いまの問題についてですが、これは政府当局のほうとしては、どういうお考えでございますか、伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まだアメリカが公定歩合を引き上げるかどうかということはわからない問題でございまして、昔と違って国際協力が非常に強くなっておるときでございますので、いまポンドそのものもみんな強力に助け合うという体制をとっております。したがって、これに関係のあるドルの防衛の体制もいま進んでおりますので、私は、高金利競争というものを世界に起こさぬように、ここで国際協力の線を強くして、この事態に対処するのが一番いいというふうに考えております。また現に、そういうふうに主要国は動いておるときでございますから、簡単に今後どうなるだろうという予測はむずかしいと思います。
○鈴木一弘君 いま大蔵大臣、すでに四・五%になり、またイギリスが八%という未曾有の金利を取ったわけです。そうなりますと、短期、長期の金利が結局上がってくることになるわけです、アメリカにおいて。すると、わが国の資本収支というものは、これはいままでのような黒字というわけにはいかないのではないか、ユーロダラーの進出もありますし。そういう点になってくると、どうしても政治情勢から考えてみても、金利引き上げということも、公定歩合引き上げというような措置も出てくるのじゃないか。その辺を懸念するわけですけれども、ただ国際協力でドルを防衛しているからいいというても、それじゃわが国の資本収支も赤字になる。いわゆる国際収支の総合収支で明年度は赤字の見込みを立てた上でやる、そうして公定歩合についてはそういじらないと、こういうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 日本は日本で、まず自分の円を動揺させないために、この国際収支の改善策、内政としてこれを思い切ってやるという態度をいまとっておりますので、これは、この方針でいくということと同時に、国際通貨問題については日本も協力体制の中へ入ってできるだけのことをするということによって、 これ以上のドル、ポンド不安を避けるということに協力する。この二つのことをこれから私どもはやるべきであるというように考えております。
○鈴木一弘君 非常に大蔵大臣の答弁では、私は不安はぬぐい去れないと思うのですけれども、ほかの問題でちょっと、日銀総裁の時間の御都合もあるでしょうから、先に伺っておきたいのですが、これは総裁、伺いたいのですが、ポンドの切り下げに伴ってドルの不安がある。で、けさの新聞では、再び金価格に対するドルの価格というものを切り下げないということをアメリカのほうではいっておりますけれども、実際問題として、すでに韓国でもウォン貨の切り下げあるいはアメリカの大銀行会長の、ファースト・ナショナルシティー銀行のムーア会長が、金の平価の変更ということを考えねばならないということをうたっておるわけです。そうなりますと、金価格の引き上げということが行なわれ、まあ大体いわれているのは、一オンス三十五ドルときめたのは一九三四年の一月です。それに比べれば、現在の金の価格というものはおそらく倍になっているであろうということも一つの要因でありますし、アメリカが、前回金価格を引き上げるだろうといわれたときには、国際収支の均衡が数年間のうちに取り戻せるということからやったと伝えられているのですが、そうなってきますと、今度は一面には、いわゆるドルの平価切り下げといいますか、そういうことが心配になってくるわけです。そういうことは、もうおそらく先のことだから夢想だというかもしれませんけれども、国民のほうでは、もしそういう不安がだんだん増大していけば、わが国の通貨自身も下がってくるのではないか。そこで伺いたいのですが、金価格引き上げの際には、わが国としては、それに追随をして一ドル三百六十円のIMFレートそのままでいくのか、あるいはアメリカがたとえば一オンス七十ドルにした場合、つまり金価格を倍にしたときに、わが国は一・八倍というようなふうにやっていくのか、どちらのほうを考えられるのかということと、それに伴い国内においてあるいは平価の切り下げとかあるいは国際通貨の呼称単位の変更、こういう措置が行なわれるかどうかということは、ものすごく国民の中には不安があるわけです。そういう点についてのお考えを伺っておきたい。
○参考人(宇佐美洵君) 確かにいろいろの点で先ほど申し上げましたとおり、従来よりはいろいろの市場が悪くなっておることは事実でございます。そうかといいまして、やはりこういう世界的通貨の問題は、いまは各国の協力ということが一番大事なものだと思うのであります。同時にアメリカの経済力は、私は非常に大きなものだと思っております。したがって、各国が協力し、現に十六日でございましたか、財務長官のファウラーさんとフェデラル・リザーブのマーチン議長の連名でそういう金価格の変更はしないのだということを言っております。これを各国がサポートいたしております。そういう点から見ますると、私は、金は切り下げはむろん行なわれない、またドルもそういうふうには行なわれないと、かように考えておるのであります。
○鈴木一弘君 これは現状においては確かにそうでありましょうけれども、わが国としては非常に金準備も少ないし、また産金も少ないということから考えると、どうしてもそういう不安というものがあるわけです。だから、私が答弁をいただきたいと思うのは、たとえばドルが国際通貨の面で、管理通貨の面で下がったとしても、わが国の円はそれに追随して下がったとしても国内通貨対策においてはどうなのかということなんです。その辺を伺いたい。
○参考人(宇佐美洵君) 確かに日本の外貨準備はほかの国に比較しまして低うございます。また金準備も、金の保有も少ないことは御承知のとおりであります。したがって、やはりこれはだんだん強化していくべきだと思いますけれども、現状は、それよりも世界の決済通貨である、また準備通貨でありますドルの維持のほうが目下のところ急務であると考えております。したがって、そういう将来のことは努力しなければならぬと思いますけれども、しかし、それよりも私は、日本として現在つとめなくちゃならぬことは、日本の国際収支の改善でございます。そうして外貨準備が、やはり外貨準備というものは、国際収支が改善されてそうしてたくわえられるものでなければならぬと思うのであります。そういう意味からいいまして、私どもはこの現在とっております引き締め政策を浸透させまして、そうして少なくとも基礎収支、つまり貿易収支と貿易外収支及び長期資本の収支、その三つをひとつ何とかしてよくしていかなければならぬ。短期のものはこれはそのときそのときによって変わってまいりますし、したがって、これは決して軽視してはいけませんけれども、それよりも基礎的収支というものの改善に最善の努力をしなければならぬ。それにはやはり私は現在の引き締め政策の浸透が最も必要だと考えております。将来どうしたらいいかというようなことにつきましては、いまそういう努力の最中でございますし、また世界各国ともドルの変更は好んでおりません。したがって、各国と協力して何とかしてドルを強くするということをやっていかなければならぬと思っておるのであります。
○鈴木一弘君 どうも御答弁をいただけないようなんでありますけれども、これは政府としてはどういうようにお考えですか。たとえば、先ほど申し上げましたように、一つは、もしも、いまのところは飛躍している、夢想というような問題ではなくなってきている、金不安の問題は。そのときに一オンス七十ドルになるような場合にわが国としては追随していくのか。あるいは追随した上で金保障というようなものを求める気か。また、そうでなければ、たとえばいままでの、まあ現在持っているドルについては一オンス三十五ドルでやるとか、そういう保障を求めるとか、あるいは、わが国だけ一・八倍というような——片一方が二倍の金価格にしたときに一・八倍というようないわゆる円価の切り上げということになると思いますけれども、そういう措置をとるのか、それに対して、国内ではそういう事態が起きたときにはいわゆる平価の切り上げなり切り下げなり、あるいは呼称単位の変更なりということを考えているのか考えていないのか、それを伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) さっき日銀総裁も言いましたように、ドルの背景、米国経済というものは相当力を持っておる。貿易収支において三十億ドル以上の黒字を出しておる。これを背景としたドルでございますので、そう簡単にドルが切り下げられるというふうには考えません。国際協力の線が強くなっていくことと、米国自身もまたこの経費を思い切って切るという仕事は当然やるんでしょうが、そういうようなことによって私は金が三十五ドルをこしていくという事態は完全に防げる。で、ドルが切り下げられるという事態がないというふうに見ておりますので、いまあなたの御質問のような点のところまでは私どもは考えておりません。
○鈴木一弘君 大蔵大臣そうおっしゃいますけれども、実際問題としては、国民の間に一番の不安は、国内通貨においても平価の切り下げなりあるいはデノミがあるんじゃないかということのものすごい心配をしているわけです。考えてないのか、やらないのか、どちらでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、財政演説で申しましたように、日本もいま貿易収支は年十五億ドル以上の黒字を出す円の背景というものは非常に強くて、資本収支で赤字を出しておりますが、これも債務の返済していること、また延べ払い輸出の増加と、いろいろ関係しているのでございまして、基本的に円が動揺する根拠はないというぐらいに、世界の通貨のうちでも比較的安定している円でございますので、いまやっている国際収支改善の政策の裏打ちを受けるんでしたら、円自身の動揺というものはないという確信のもとにいま一連の政策をやっているというところでございます。
○鈴木一弘君 その点については、先ほど答弁のあったように答えられないということになるわけですね。結局、ドルがもしもという場合、そういうことは、まずそんなことはないという前提でお答えなんですけれども、そういうことの不安がある。すでにファースト・ナショナル・シティー銀行の会長あたりが平価の問題を取り上げなきゃならぬと言っているときなんです。しかも、十年も前から言われていることです。そういう点から見て、もしそういう心配があったときはどうなんですかと私は聞いたんです。そうしたら、そういった心配はないという否定だけでもって終わっているわけなんです。それでは国民の不安は除かれないと思うのです。もう一度御答弁願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) いまIMFにおきましても、御承知のとおり、特別引き出し権というものをきめて、そうしてお互いの国の国際収支の天上を上げるということによって国際経済の安定をはかろうという、もう一歩踏み出しておりまして、本年度中にはこの問題はできるというような世界の動向から見ましても、私は、いまいろいろ不安に思われておるこのドルの防衛というようなものがりっぱにこれができるというふうに考えておりますので、これができなかった場合にはどうこうというようなことをいま考えなくて、日本は日本の円を守る国内措置をとっていくと同時に、国際間のいま見られるような協力をお互いに強くするということによってこの事態は切り抜けられるというふうに私は考えております。
○鈴木一弘君 いままでの質疑で大体はっきりしてきたと思うのですが、総理にお伺いしたいのですが、金戦争や急激なドル不安、こういうことは結局はアメリカの国際収支が悪いということから起きたんだろうと思います。それについては、ドル防衛の協力ということを総理はジョンソン大統領との会談でお約束をなさってきたんじゃないかと思いますが、もしなさったとすれば、その内容を伺いたいということと、いま一つは、その際、フランスあたりで言っておりますように、アメリカは国内体制そのものも増税そのほかでもってやらなければならない。これを要求することは内政干渉かもしれませんけれども、しかし、こちらに協力を求めるからには、アメリカ自身も体質の改善をはかってもらわなければならぬと思うのですが、そういう点についてはどういうような話し合いをなさってこられたか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私向こうへ参りましたら、ポンド危機といいますか、そういう問題が話に出ました。私、幸いにして出かける前に大蔵当局からのポンドのあり方についての材料を持っておりましたから、したがいまして、ジョンソンから初めて聞いた話ではありません。こういう際だからドルも円もひとつしっかりしようじゃないか、こういう話でありますから、これはたいへんけっこうな話ですし、私どももそういう基本的態度でひとつしよう。そこで、ただいま言われるように、ドル、円、これは両方とも強化する、現地位を守る、こういう態度で臨もうということを両者で確認をしたわけであります。そこで、私どもがなおドルについて協力が具体的にできるかどうか、そういう問題も話がございました。しかし、これを突き進んでやれば、先ほどもこの委員会で申しましたように、円の価値をそこなうことなしにドルの防衛ができれば、協力ができればこれはたいへんけっこうだけれども、最初、基本的にドルも円もひとつしっかりしょう、現情勢を維持しよう、こういうことでスタートしておりますから、これはおのずからそのうちに事務当局でよく話をすれば結論が出る。大統領と私の間で具体的な話はいたしておりません。また、ドルの、これは主として国際収支ではなくて国内問題だと思いますが、増税その他のことは新聞等でこれは知っております。しかし、それらについて日本のほうで増税するというような話は伺っておりません。自分のほうでたいへん国際収支の悪いのは、それは多額の戦費を必要としているからだ、こういうことは率直に認めております。同時に、私のほうもいまたいへんな問題なんで、財政は硬直化しつつある、そういう意味で、実は、出てくる前に一省庁一局廃止、そういう整理の方針も実はぎめてきたところだ、こういうようなことで、お互いに同じような立場にございますので、その辺では比較的に議論なしにお互いの立場を了承した、こういうことであります。
○鈴木一弘君 それでは、その場合に、話は、そういうような、具体的にドル防衛を何億ドル日本がささえるとか、そういうことはなかったにしても、現在ではどういう状況になっていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 現在では、その後どうなっているか、大蔵当局から説明させます。
○国務大臣(水田三喜男君) 国際収支の問題につきましては、総理と大統領との間において、いままで私どものやっておりました閣僚会議の下部機関というものをつくって、そこで両国の事務当局でいろいろな起こった問題を相談するということを取りきめてまいっておりますので、こういう機関にかけて今後いろいろ相談していきたいというふうに思っております。
○鈴木一弘君 伝えられるところでは、いわゆる第三次防に関する兵器の購入であるとか、中期債券の購入であるとか、あるいはそのほかの出資の問題ですね、開発銀行等の、そういうことについての話し合いがなされているように新聞そのほかでは承るのでありますが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ議題としてこれは相談するというような段階には至っておりません。
○鈴木一弘君 一月に行なわれるところの会議でやるようになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 一月のこの会議ではそういうような話はむろん出ることというように予想はしております。
○鈴木一弘君 国際的な高金利時代に対して、長期、短期の外債の募集、こういうものについての影響は必ずあると思うのです。それについての条件は大蔵大臣どういうふうに政府としては考えますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 条件はもちろんいい条件にこしたことはございませんが、一定の基準をもっていろいろ市場の様子を見ておりましたが、従来考えておった条件ではなかなかいかぬのじゃないか。最近の情勢から見て、若干条件はいざというときには訂正しなければならぬというふうに考えておりますが、私どもの方針としましては、環境が変わって外債発行が可能になったら外債を発行したいという方針で、いま外国市場を見守っているところでございます。
○鈴木一弘君 その場合、先ほどの論議に戻るのでありますけれども、わが国の公定歩合というものも考えなければならぬでしょう。そういう点で、私は先ほど申し上げましたように、公定歩合のわが国における引き上げというものは避けられないのじゃないか、どうしてもそういう感じがするのですけれども、これから先、アメリカがそのような措置をとって、さらに四・五%という金利を上げた場合にもわが国は上げない、こういうお約束はできますか。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ、日本の金利を引き上げるというときは、これはいろいろの影響、たとえばいま日本で取り込んでいる欧州短資というようなものが相当多量に流出するというような事態があるか、あるいは、この前のように円シフトが起こってくるかというような影響によって考えれば考えられるということでございましょうが、いまのところ、米国、カナダが公定歩合を引き上げても、まだそういう影響は起こってきません。ユーロ・レートはポンド切り下げ以後上がっておりますが、それでもまだいまそういう大きい変化が起こってこないときでございますので、さっき日銀総裁が言われたように、こういう問題はわが国において機械的に考えなくて済む問題で、やはり日本の国際収支の状況そのほかを勘案してきめればいい問題だと思っております。
○鈴木一弘君 そんな簡単にきめればいい問題だと思っているというのじゃなくて、いますでにその辺のところの見通しというものはある程度なきやまずいでしょう。一体、日本の経済というのはどっちへ船を進めていくのか、羅針盤がないのじゃないか。だから、その点で一番不安があるから伺っているわけです。
○国務大臣(水田三喜男君) いま金利の状況を言いますと、ドイツが三%、イタリア、フランスが三・五%というふうに、まだ欧州諸国の公定歩合は低いのでございます。で、アメリカが四・五%でございますが、日本はまあ五・八四%という水準にございますので、いまのところの内外の金利差から申しますというと、そう日本はいまどうこうしなければならぬという状態ではないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは総理、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいま大蔵大臣がお答えしたように考えております。大体、金利の問題というのはなかなかデリケートな問題です。したがいまして、いわゆる学者諸君は、いろいろ金利を動かす条件をそれぞれかみ合わせまして、そうして金利はいかにあるべきか、なかなか勇敢な説明をされます。しかしながら、実際問題として、われわれはそれを担当している、そういう立場におる、そういうところから見ると、学者の説に、そう一がいに無視はできませんけれども、そう簡単に賛成はいたしません。私は、ただいま最も大事なことは、いま御指摘になりましたように、国際情勢が非常に変化している、この影響がどういうふうになるのか、まだまだよく精査する必要があると思います。もう今日から、金利が必ずそのうちに動くのだ、こういうような見通しのもとにスペキュレーションするということは一番あぶないと思います。投機的なことは一切この際避けていただく。そうして、先ほど来大蔵大臣が言っているように、ただいまの状態では円ばしっかりしているのですから、また、国内金利そのものも高い水準なんですから、いまの国際情勢によって直ちに影響があってこれを変えなければならぬ、かようには私は考えておりませんから、この点ではどうか誤解のないようにお願いしたいと思います。
○鈴木一弘君 ソビエトが非常にドル不安に対して心配をしていて、日ソ貿易に対して金約款をつけてほしいというような、そういうドル保証条項をつけるように要請しているということでありますけれども、通産大臣、これについてはどういうふうになされているわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本の対ソ輸入に対して、しばしばそういう提案がソ連からありましたが、そういうことは行なわれておりません。その理由等につきましては、先ほど来大蔵大臣からるる御説明がありましたところを前提として考えましても、特に申し上げる必要はないと思います。
○鈴木一弘君 三分の一しかわからない。
○委員長(新谷寅三郎君) 通産大臣、よく聞こえなかったようですから、もう一ぺん御答弁を願います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) その理由は、現在、ドルに対する不安がない、その必要性はない、こう考えます。
○鈴木一弘君 今後ともそういうドルの不安がもしあった場合にも、それに対しては、ドルでなくて、ドルが不安のときには金で支払いますというような、そういう貿易の約款はつけないということですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それでなくともこの国際通貨に関するいろいろなルーマが伝わっておりまして、もしもこういうことを特に入れるということによって、いわば平地に波瀾と申しますか、起こさなくてもいい不安をまた助長するということになるわけでありますから、つける必要は絶対ないと、こう考えます。
○鈴木一弘君 先ほど総理、大蔵大臣や日銀総裁に伺ったことでありますけれども、いわゆるドルが下がったときには国内通貨のほうはどうするか、これは国民の最大の不安になっておるわけであります。その点、総理としては、いわゆるデノミも行なわなければ、平価切り下げも行なわない、こういうお考えなのか、どうなのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのところ、その心配はございません。
○鈴木一弘君 いまのところ心配がないというのではなくて、将来そういうふうになったとき、どうなんですか、こう聞いているわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんな大変化があると、こういうときに私どもはそれをほうっておくわけにはいきません。しかし、ただいまのところ、さような心配はない、かように申しておるわけです。
○羽生三七君 関連。ドル防衛について、世界各国が中心的な通貨を守るという意味で協力しておるから、日本もその一環としてこれを守りたいという従来の説明、それはよくわかっております。内容は、意味はとにかく、われわれも理解できるわけです。ただ問題は、日本自体の国際収支の改善なり、あるいは日本経済自体の将来のいろいろな施策を進めていく場合に、ドル防衛に対するそれと、日本自身の政策との間に、一定の、ドル防衛に対する協力の限界というものがあるんじゃないか、そこが問題だと思うんですね。ドル防衛に対する日本の協力と、日本自身の、わが国自身の国内経済にとるべき施策と一致すればよろしい、しかし、それが矛盾するような場合、その場合には、ある一定の、ドル防衛についてもわが国には限界があるんじゃないか。それをいまデノミネーションをどうするとか、あるいはその他そういう金融上の直接の問題の微妙なところはかりにお答えできないにしても、そこには何か一定の限界があるような気がするんで、その辺をひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) これはおっしゃるとおり、限界があろうと思います。たとえば流動性をなくして資金繰りに困るというようなことになったら、これはたいへんでございますので、そういう形にしない協力のしかたというものはございますし、これはやはり限界がある。その限界を守りながら円を守っていく措置は万全の措置をとるということだろうと思います。
○鈴木一弘君 総理はドルに不安はないと言っても、私はまだドルに不安があるので非常に心配なんでありますけれども、時間が時間でありますので、再び物価に戻りたいと思います。 先ほどのときに、物価指数の、消費者物価指数はもとのままにしておいた、しかし、現実にはいろいろな不安の要因があるわけです。まずここのところで運輸大臣に伺いたいんですが、バスの値上げの申請、私鉄の値上げの申請が行なわれている、あるいはタクシーの値上げの申請もあります。すでに臨時物価対策閣僚協議会で決定したもの、申請中のもの、その中のおもなものだけでけっこうでありますが、言っていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般の閣僚協議会で、京都市と、それから神戸市の公営企業については値上げを認めました。これは再建団体に指定してありまして、再建整備計画を確立して、それに伴うて認めたものであります。大体二十円を三十円にするというものであります。それ以外のものは、大きなものはいまのところはございません。ただいまのところでは、苫小牧市、姫路市、鳴門市等で同じような申請はございますが、検討中であります。それから中小私鉄では、蒲原鉄道、越後交通、松本電鉄、大井川鉄道、豊橋鉄道、広島電鉄等が申請してございます。これも現在検討中でございます。それから六大都市等につきましては、いまのところ、大きな案件はございまん。それから地方の中小バスにつきましては、約四十業者が申請しております。それからタクシーは、六大都市を含めまして約八十地区でこれも申請がございます。しかし、これらはまだいずれも事務的検討以前の段階にありまして、申請を受け付けてあるという程度でありまして、本年度はできるだけ値上げは回避するように措置してまいるつもりであります。
○鈴木一弘君 これはそうすると、運輸審議会にかけるのは相当あとにしたいと、こういうことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最初に申し上げました蒲原鉄道以下の六本の中小私鉄、それと、それから公営バスのうち、苫小牧、姫路、鳴門、これは運輸審議会にかける考え方であります。これらは大体企画庁ともいまいろいろ検討しておりまして、ある程度やむを得ないであろうという見込みを持っておりますが、審議会の答申を待ってから処理する考え方であります。
○鈴木一弘君 これは総理に伺いたいんですが、公共料金については利用者負担の原則を出すと総理は言っている。また、宮澤経企庁長官は公共料金の値上げはたな上げせよと、こういうふうに政府の部内においても意見が食い違っておるわけでありますが、総理の見解はいかがでありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この公共料金といえども、経済原則、それを無視はできない。だから、一時ストップいたしましても、その期間を経過した後の問題はございます。したがって、必ずしもストップが十分の効果をあげるとは思いません。私は前の応益者負担、そういうことが望ましいのだと思います。しかし、その応益者負担と申しましても、やっぱり受益者がその負担にたえるような前提があると思います。言いかえますならば、何でもかんでも上げさえすればいいんだ、これは気に食わなければそれでいいじゃないかというようなものではなくて、この受益者がその負担をするためには、やっぱり経営の合理化その他の点で受益者が十分納得のいく、最後の手段としてこの負担を加重せざるを得ない、そういうものでなければならないと思います。ことに全国的な問題である公共料金の取り扱いについては、特にその点を強く考えなければならない。したがいまして、部内で可能な合理化、さらにまた適切なる施設、これは積極的にやらなければならない。しかる後に、最後に、ただいまの受益者負担による料金の改定と、こういう方向へ進む、これが何にしても大事なことである、かように私は考えております。
○鈴木一弘君 これは運輸大臣に。いまの総理の答弁からは、経営の合理化など、そのほかのことを十分やった上で、やむを得ざる場合に受益者負担ということです。そうすると、臨時物価対策閣僚協議会等できめていったのは、言えば、その前提は完全にあったと、こういうことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりでございます。
○鈴木一弘君 これは自治大臣にこの問題について伺いたいんですけれども、非常に都道府県については格差があるわけです。格差があるのに、地方のほうが、バス料金についても、電話料金についても高い、公共料金が高い、その点で格差の是正をはかっていかなきゃならぬ、これは前から言われていることでありますけれども、都道府県別の予算についての一人当たりの、人口一人当たりの予算額ですね、それがどういうふうになっているか、ちょっと伺いたいのですが。
○国務大臣(赤澤正道君) こまかい数字でございますので、財政局長をして、かわって答弁いたさせます。
○政府委員(細郷道一君) ただいま手元に、本年度の九月現在の府県別の現計予算を基礎にいたしました人口一人当たりの数字を持っております。全国を平均いたしますと、一人当たり三万六千八十円となっております。で、県別に見てまいりますと、高いところでは、新潟、福井あたりが五万円台、それから低いところでは、埼玉あるいは六大府県等が二万円台、あとは大体三万円から四万円にかけてというような数字になっております。ただ、この数字は何ぶんにも年度途中でございますので、年間なお予算の編成をする機会もございますので、これだけで一年間全体というわけにはまいらないと考えておりますが、全体の傾向といたしまして見ますと、人口のふえてまいります府県が、わりに一人当たりが低く出ます。人口の減っていく府県が一人当たりの額が大きく出るというようなことが、全般的な傾向として申し上げられると思います。
○鈴木一弘君 では、東京とかあるいは埼玉、千葉、神奈川、まあそういう関東近県だけでいいですから、具体的な数字を言っていただきたい。
○政府委員(細郷道一君) 埼玉が二万五千七百七十円、千葉が三万八十円、東京が四万九千百五十円、神奈川が三万六千五百五十円、こういうことになっております。
○鈴木一弘君 これは総理大臣にお伺いしたいのですが、先ほど、受益者が負担にたえるような前提というものが必要だというようなことが話がありました。ところが、これはタクシー料金一つを見ていただいてもわかると思いますが、東京都内では現在百円であります。ところが、一歩外へ離れれば百二十円なり、夜間料金が午後八時半から百四十円に上がるというようになっております。ところが、一人当たりの都道府県の予算というものは、東京は、いまの答弁のように四万九千百五十円、埼玉が二万五千七百七十円、千葉が三万円、神奈川が二万六千五百五十円というように、やはり非常な格差がある。一人当たりの予算額の多いところが、公共料金そのほかについても安いわけであります。電話についても同じです。ところが、一歩外へ離れれば、神奈川でも川崎へ行けば、一つの市の中で四つの局から五つの局がある。そういう点で、これは、それがしかも、先ほどのいろいろな値上、げの問題が来ておりますのを見ると、ほとんどが地方の中小バス、地方の中小の私鉄であるということになるわけです。そうすると、応益者負担の原則といっても、その受益者が負担にたえられないと私は思うのです。そういう是正というものをすべきじゃないか。値上げのストップをはかってもいいから、そういう一方できちっと予算額において見てやるとか、格差の是正をするとかということが強力に打ち出されない限りは、これはますます富の大都市集中を招くばかりである。農村は一年ごとに疲弊をするばかりということにならざるを得ない。これは総理も歩かれればわかると思いますが、関東地方あたりは一年ごとに疲弊している現状です。そういう点から、どういうふうにお考えになっておるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、いまのは一例をとらえた、あれはタクシー料金、そういうものをとらえたんだと思います。
○鈴木一弘君 バスも水道も。
○国務大臣(佐藤榮作君) ところで、まあバスは違いますが、水道料金になれば、これは自治体が経営しているものでございますから、いわゆる合理化をまずしなきゃならぬ。そうして受益者が負担する。こういうものはもう使わなきゃならないものですね。ところで、他の交通機関の場合ですと、あるいは、もっと安いものがあれば、そちらにたよるようになるだろう、あるいは不便をかこつようになるだろう。この経営者自体から見ましても、利用者が減るような仕組みになるわけですね。これは料金を上げるということは意味をなさないことになるんですね。だから、やっぱり適切な限度はあるわけですね。でありますから、そこらに納得するというか、双方歩み寄りの料金ができるんではないか。もし一方的に非常に高いものをつくれば、その利用者が減りますから、事業主体が成り立っていかないということになるわけです。また、いなかがだんだん住みにくくなって、都会のほうが住みいいという、そういう点も、こういうこともあるだろうと思いますね。ただいまのような点も加味されて、どうも、いなかよりか都会のほうが住みいい、こういうことがいま言われておる。だから、これらのいわゆる過疎対策——過密対策も必要だが、同時に過疎対策としてのものを考えなきゃならない。在来からそういう点では一体どうしているのか。ものによりまして、いわゆる自治体の経営するものについては、交付金等、いろいろめんどうを見ているものがあります。だから、そこらに問題があるし、また、民間の企業だと、時に事業を廃止せざるを得ない、こういうようなことにもなるだろうと思います。しかし、これは廃止されればたいへんな不便ですから、何とかひとつ存続してくれと、そういう主張は絶えずやられますが、しかし、経営者自身とすれば、とにかく赤字経営はできない。しかし、それについての特別な補助がそれではできるのか。しかし、この補助のほうも、これは限度があると思います。したがって、だんだん変わらざるを得ないんじゃないかと、私はかように考えております。
○鈴木一弘君 総理の御答弁だと、だんだんいわゆる富の集中していない地域は、ますます貧すれば鈍するという状態におちいるような、そういう印象を私は強くします。少なくとも、公共料金と言えるような、いわゆるバス料金にしても私鉄の料金にしても同じだと思うんです。国民の生活にそれを利用しなければ動けないというのは、地方の場合も同じです。水道だって同じことであります。値段が高ければ井戸水をくめというわけにはこれはいかないんです。とすれば、なお一そうのこと、これは格差の是正ということもあるし、いま補助を与えればどうこうというわけにもいかないだろうと言われるんですけれども、政府として強力な手を打たなきゃならない。いまのような御答弁だと、ますます悪くなってもしかたがないじゃないか、住みいいところをさがすなら東京へ出てこい、大都市へ来いというふうに私は聞こえるんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 必ずしもそうでなくて、私の締めくくりとして、過密対策も必要だが、同時に過疎対策が必要だということを申しておりますから、そういう点も含めてこれが解決に当たるべきだとかように私は思います。
○鈴木一弘君 くどいようですけれども、それでは、いまの公共料金そのほかのという料金問題については、過疎対策としては総理はどう考えますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの水道料金あるいは準自治体が行なっておりますものについては、これは特別なくふうが現在されておる。しかしながら、純民間経営のものについては、ただいまのところ、そういう対策はございません。これはもうはっきり申し上げます、特別な地域でかつて自動車、鉄道の補助をしたことはございます。しかし、最近はそういうものはほとんどないと、かようにいま理解しております。鉄道の補助はそういうように思いますが、バスのほうについては、自治体そのものが特別に援助しているものはあるように聞きますけれども、政府自身が援助しているものはない、かように思います。これらの点は私の知らない点もございますから、運輸大臣からさらに補足して説明をさせます。(「運輸大臣いない」と呼ぶ者あり)それじゃ経済企画庁長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはたとえば、先ほど運輸大臣の言われました公営企業財政再建でございますが、これもやはり国がひとつ手助けをする道でございます。それから水道などにつきまして、広域水道に対して補助金を出すといったようなことも最近の施策でありますが、一つの道であると思います。それから多くの地方団体で、一般会計がある程度負担をするというようなことをいたしておりますが、結局、そうなりますと、それは地方交付税の問題にもなるわけでありますから、やはり終局的には、中央地方の財源、行政の再配分という問題に帰着することになるだろうと考えます。全くの民間のバスについて、これはたとえば政府関係の金融機関からある程度の特殊な設備に対して融資をするといったようなことは施策としては行なわれた例が多少あると思います。
○鈴木一弘君 例があるということ、これは担当の大臣じゃないからあれでしょうけれども、しかし、例があるということだけじゃしようがないわけです。私が申し上げたように、地域格差ということから考えたって、地方へ行けばバス代が高くて、それが、富の集中している大都市へ行けば、バス代が安いというような矛盾というのは、これは直さなければならない。これはどうしても直さなければたいへんなことになるのじゃないか。そうすれば、私鉄であるかあるいは私経営のバスであるから一つもめんどうを見ることができないとか、あるいは物価としては押えられないとか、そういうことでは納得できない。国民のほうは、公共料金といえばそれが全部入っているという考え方ですから。いままではやったことはございませんという答弁では困るので、総理にお約束をいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) どう言ったら納得されるか、地方でどうしてもその交通は確保したいという、たとえば通学のような問題になりますと、これは通学バス、スクールバスを現に出しております。だから、最小限度の必要な、どうしても確保しなければならないものについては、これは地方自治体がそういうものと取り組んでいく、こういうことであります。いわゆる純民間だ、こういう場合だと、結局は会社自身がそういう経営に合わない、どうもしかたがないのじゃないかと私は思いますけれども、いまの必要度によりまして確保する、こういう立場で今日取り組んでおる、かように申し上げておきます。
○鈴木一弘君 物価問題で最後に総理に伺っておきたいのですが、再販問題あるいは協定価格というふうな問題が、これが小売り物価を非常に押し上げているわけです。総理府の小売り物価についての報告書を見ますと、三百七十何品目かある中で、季節によって下がったものは除いて、二十八品目しか下がっていない。しかも、その下がり方は百グラムについて十銭であるとか五銭であるとかいう下がり方で、ほとんどが上がったようなかっこうになっているわけであります。こういうようなことは、再販制度あるいは協定価格その他の価格についてどうしても厳重に考えなければならぬということ。いま一つは、ドゴール大統領そのほかが行なっておりますように、ものによっては品目を指定して物価のストップ令を政府が出している。そういうような点については、総理はやる意思がないか。国民をほんとうに思ってあげなければ、かわいそうです。その点でもお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段の問題につきましては、公正取引委員長がおられませんので、私から申し上げます。 現在再販の指定を受けております品目の中には、確かに私ども見まして問題のあるものがあるように思います。指定されてから相当長い期間も経過しております。これらについて、現在、公正取引委員会で現在の指定が妥当であるかどうかということをすでに再検討を始めておられるように承知しております。それと別に、再販価格維持契約なるものがはたしてどういう法的な保護を受けるべきかということに関連して、法律案の改正を公正取引委員会が考慮、研究しておられます。それから特定のものについて物価のストップ令を出すことはどうかということについては、私はそういうことは考えておりません。
○国務大臣(佐藤榮作君) 現在においては、その必要はないと思っておりますが、さらに物価の問題ですから、非常な混乱を来たすとか、非常なむちゃくちゃな価格が形成されるとか、どういうような心配があれば、時に強権の発動もやむを得ないかと、かように思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。 午後一時半再開することといたしまして、これにて休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————————————— 午後一時四十六分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、北條雋八君、村田秀三君が辞任され、その補欠として二宮文造君、羽生三七君が選任されました。 —————————————
○委員長(新谷寅三郎君) 午前に引き続き質疑を行ないます。矢山有作君。
○矢山有作君 私は、今回の共同声明の特徴は、強く中国を意識して軍事面が前面に押し出されてきたという点、それとうらはらに経済援助が密接に結びついて、軍事と経済が分離できないような形で、経済協力もアジアの自由主義陣営の防衛に奉仕するという姿が強く打ち出されておると、この二つの特徴が出ておると思います。そこで、この共同声明をめぐる問題でいろいろお伺いしたいんですが、まず第一に経済協力の問題についてお伺いしたいと思います。 まず総理に伺いたいんですが、総理はアメリカで国民所得の一%援助を記者団と約束するというようなことを記者会見でやっておられますが、援助額を具体的な数字でひとつ構想があるなら示していただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 昨年度のは国民所得の 〇・六九、五億四千万ドルというのが昨年度の海外協力の累計であります。おそらく総理は、何年の後に一%にしたいという具体的な年次計画ではなくして、しばしばOECDの会議等において、一%までできるだけすみやかに持っていきたいという、そういう道義的な責任もあるわけでありますから、その大きな方針を述べたので、具体的な年次計画を持っての発言はないものだと私は承知しております。
○矢山有作君 それじゃ外務省のほうに伺いますけれどもね。この十月に国民所得の一%援助の試算というようなものでつくられておるはずですがね。それは具体的にどうなっていますか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府委員から……。
○政府委員(廣田しげる君) お答えいたします。ただいま御指摘のあれは、外務省でこの五年間に、国民所得の伸びも考えて、そしてそれに一%、五年目に一%を達成するためには毎年どの程度の額でならなきゃならないかという単なる試算でございます。
○矢山有作君 その試算の数字を言ってくれと言ったのですよ。
○政府委員(廣田しげる君) 数字につきましては、手元にいま資料がございませんので、後刻申し上げます。
○矢山有作君 何だ、国会に出てくるのにそのくらいの資料を持ってこなくちゃだめじゃないか。経済協力のことを聞くということは通告してあるだろう。たるんでおるよ。
○政府委員(廣田しげる君) 政府ベースと民間ベースと合計いたしまして、四十二年度には六億八千六百万ドル、四十三年度には八億、四十四年度には九億六千百万ドル、四十五年度には十一億四千八百万ドル、四十六年度の最終年度には十三億六千五百万ドル、大体こういう数字にならなきゃいかぬ、こういうことでございます。
○矢山有作君 共同声明の中で総理は東南アジアの援助を非常に強調されておるのですが、具体的にはどこの国を大体重点的に考えておるのか、また東南アジアに重点を置いて援助をやろうというその目的、それは何ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 東南アジアと一口に申しますが、大洋州はこれは除く——豪州、ニュージーランドですから。しかし、その他の東南アジア諸国というのは、いま貧困、飢餓、疾病、そういうところから出ようとたいへんな努力をしておる国々であります。しかも、これらの国々の国民所得はたいへん低い。日本のいま一番身近な東南アジア、これらの諸国がまず援助を受けるべきだ。この前も申したと思いますが、低開発国というのは、東南アジア、アフリカ、あるいは中南米等にございます、開発途上の国々が。ところが、この東南アジアに対しては、各国の援助が比較的少ないところです。同じ開発途上にある国でも、アフリカに対する援助はわりにございまして、中南米もそれに次いで、東南アジアひとり非常におくれておる、かように考えますので、日本の責任もさることですが、各国からの、域外からの協力をぜひこの地域に望みたいのです。そういう意味でこの点についての話し合いが進んだ、かように御了承願いたいと思います。
○矢山有作君 この前発行されました通産省の経済協力白書を見ると、後進国援助の型というのが一応大まかに分類してありますが、その中に、日本の援助は貿易拡大型だと、大ざっぱにこういうふうにつかんでおるようですが、この立場は今後も変わらないのですか。私は、共同声明の結果、こういった形がアメリカの経済援助の特徴である自由圏防衛型に変わっていくのじゃないか、こう思っておるのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 援助の防衛型とか、あるいは援助の経済型とか、こういうことは私ちょっとわかりかねますが、日本のやるものは、これは申すまでもなく、日本はいま基本的には、軍事的には憲法という制約がございまするから、その点でございます。しかし、援助する以上、やはり日本もあまり利己的な考え方を通してはその援助が生きてこない、かように実は思うのでありまして、そういう点でもっと幅広い考え方でこの援助と取り組んでいく、かように私は思っておるのであります。利己的だということは自分のほうへ必ず返ってくる、しかも非常な短期の間にこの援助の効果が返ってくる、こういうような言い方では十分経済援助は効果をあげかねる、かように私は考えておる。それを利己的でない立場で援助すべきだ、かように私は思っております。
○矢山有作君 利己的でない立場で援助するというのはわかるのですが、私は、従来の経済協力の態度よりも、共同声明が発表された段階で、これからの経済協力の政策というのが強くアメリカの政策に協力するという方向で動いていくのじゃないか、このことを心配しているからお尋ねしたのです。私は、そういうふうになってくる傾向が多分にある、こういうふうに思います。 次にお尋ねしたいのは、総理が確約した一%援助の達成ですね、これでいくと四十六年度の援助額が十四億ドル弱になるわけです。こうしていくと、一そう私は、いま財政硬直化の問題が問題になっておりますが、この財政硬直化に拍車をかけることになるし、また、日銀でも懸念しておるように、国際収支の悪化を来たすのじゃないかと思うのですが、財政上からしてこのような援助が実際に可能なんですかどうですか、これは大蔵大臣なり経企庁長官からお答えいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一応大まかに申しますが、いまなかなか一%、これが実現しないのであります。これはもうすでにDACの決議でもございますから、そう努力はいたします。しかも、その条件等について、いろいろ日本には日本の固有の条件がございます。これらの条件は開発途上の国はなかなかすなおに受け入れてくれない、こういうようなこともありますので、両国の意見が合致しない。そういうので、この実施はなかなか早急に達成できるとも思いません。また、いま御指摘のとおり、これが計画どおり進めば、御指摘になりましたように、財政硬直化の一つの原因にもなる、かように理解いたします。
○国務大臣(水田三喜男君) 年々日本の経済成長の度合いによって絶対額を増していくということはできますが、国民所得の一%という比率を達成するということは、これは容易なことではなかろうと思っております。現に、この昭和三十七年以来の対外援助を見ますと、二倍以上も金額で対外援助を伸ばしている国は日本だけでございまして、欧米諸国といえども国民所得に対する経済協力の比率は年々下がっておるというのが実情でございまして、日本のように急速に経済成長のある国、国民所得が増大する国におきましては、この一%を完全に確保するということは財政上から容易なことでございませんので、なかなか簡単にはいかない、むしろ年々普通なら率は下がっていく、各国の傾向もそうでして、日本もやはりそういう傾向になるのじゃないかというふうに私は考えています。
○矢山有作君 外務省の見解と大蔵省の見解とかなり違っておるように聞いておるんですが、外務大臣のほうはそれでいいんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 傾向として大蔵大臣はいつも渋いことを言うわけですが、しかし、これは国際会議においても、しばしば、年限は約束していないが、そういう方向に向かって努力をしていきたいということを申しておるわけでありますから、もちろん日本の国際収支のそのときどきの状況によって、海外の援助に対しても、その日本の事情等もにらみ合わせなければならぬことは申すまでもないけれども、方向としては一%に向かって努力するということが責任を果たす道だと私は信じております。
○矢山有作君 外務大臣にお伺いしたいのですが、米国の過去数年の政府ベースによる経済援助の推移ですね、これがどうなっておりますか。今度の国会で非常に大幅な削減を受けたようですけれども、その削減を受けた理由はどの辺にあると分析をしておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、アメリカ自身も、海外援助というものは、世界各国に援助をいたしておるわけであります。また最近は、ベトナムに対する紛争もございますし、そういう点で、どうしても海外援助というものに対する、国際収支の面から、今日の段階においては、アメリカとしてもあまりこれをふやさないというよりかは、むしろ削減というような方向もあるわけであります。むろん、しかしこれは一つの一時的なアメリカの国際収支の状況からであって、やはりこれが永久にそうだとも私は思わない。しかし、現状においては、全般の国際収支の関係から、海外援助に対する積極的な政策はアメリカはとっていない。数字は政府委員から申し上げます。
○政府委員(廣田しげる君) アメリカの援助額でございますが、六四年会計年度、全世界に対しては四十六億一千万ドル、そのうち東南アジアに対して三億一千九百万ドル、六五年度におきましては、全世界に対して四十八億二千八百万ドル、うち東南アジア三億九千三百万ドル、それから昨年度——六六年会計年度におきまして五十六億一千六百万ドル、うち東南アジアに対して八億六千百万ドル、こういうようになっております。
○矢山有作君 ごらんのように、総理大臣、アメリカの援助は、国際収支の関係だとかいうような関係、また私は援助効果があがっておらぬという点もあるだろうと思いますが、そういうようなことから大幅に減っている。わが国では、今度は共同声明の中で、一そうふやしていく、こういうことを約束しておる。これはやはり考えてみると、アメリカの肩がわりではないですか、私はそう思うのですがね。
○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカの肩がわりではないと思っております。別に肩がわりしてくれというような約束ではございません。また私どもは、東南アジア諸国に対する経済援助、技術援助等いたしますが、これは独自の立場においてするわけでありまして、その結果がどうであれ、とにかく私は独自の立場でいたします。
○矢山有作君 肩がわりですとは言えませんね、なかなか。次に、わが国の経済援助ですね、これの過去の実績、それからこれの問題点、これをそれぞれの関係の大臣から説明してください。
○国務大臣(三木武夫君) 数字のことは各省から御報告することになると思いますが、私は問題点は、やはり経済協力に対して、受け入れ国においても十分な計画が立案されていることが必要である。こういうどうしても発展途上国においては、企画といいますか、調査、企画の点において弱い点がある。これはやはり、協力しながら、実効のあがるような協力に対する計画を立てるということは非常に大事な点です。それからまた、日本の協力の場合においても、いままでは条件は必ずしも寛大な条件とは言えないわけであります。しかし、発展途上国は非常に条件が悪いわけでありますから、金額の点もあるけれども、その条件は相当緩和されたものであることが必要である。今日の世界的な傾向としては、大体発展途上国に対する経済援助は、二十五年以上、金利三分以下、こういう大きなやはり世界的な一つの流れといいますか、そういう傾向が生まれつつある。こういうのに比べると、日本の条件、この条件というものは急には、いろいろ各国には事情がありますから、そう急には緩和できないにしても、そういう条件などについても、どうも日本の条件というものは相当世界的な傾向に比べてきびしい条件である。 それからもう一つは、経済協力で私は来年度の予算に要求しておるのですが、協力をしたということだけではいかないので、一体これがどのように実効をあげていくかという追跡調査といいますか、これをやはり相当力を入れて、そうしてそれがどういうところにうまくいかない原因があるか、今後の政策をどう反省しなければならぬということで、単に出した、経済協力をしたというところでそれが終わりにならないで、それが出発点として、そのやはり効果というものを検討するという、こういう点もこれは力を入れていきたい。そうなってくると、われわれの考えておるのと実際の現地の事情との間に食い違いがあってうまくいかない場合も起こり得るわけでありますから、こういう点も今後は改めていきたい。思いついたままでありますが、私の考えてある点を申し述べた次第であります。
○矢山有作君 効果の点はどうなんですか、援助した結果の効果は。
○国務大臣(三木武夫君) 効果、全体としての効果は、やはり経済協力の効果というものは非常にある。全体として、いままで日本の経済協力というものが、各地において、それが各地にも歓迎もされておるし、非常に効果をあげておるので、経済協力全体——個々にはいろいろ問題がありますけれども、全体としては、開発途上国に対する経済社会の進歩に大きなやはり貢献をしているという評価を私はいたすものでございます。
○政府委員(廣田しげる君) わが国の経済協力の数字を申し上げます。 これは政府ベースのものと民間ベースと合計したものでございますが、昭和三十六年ドルで申しますと三億八千百四十万ドル、三十七年が二億八千六百二十万ドル、三十八年二億六千七百六十万ドル、三十九年二億九千百二十万ドル、四十年四億八千五百九十万ドル、昨年——四十一年度が五億三千八百八十万ドルであります。
○矢山有作君 次に借款に対しての具体的な問題としてお伺いしたいのですが、台湾の曾文渓ダムですね、その借款内容、それから設計施工の進行状況、こういったものを担当大臣のほうから御説明願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 曾文渓の多目的ダムでありますが、これは御承知のように一九六五年に中華民国政府に対して一億五千万ドルの円借款の供与を協定をいたしました。この対象の一つに曾文渓のダム——これはかんがい、給水、発電、洪水調節、こういうものの多目的ダムであります。日本の協力は、海外経済協力基金から四千四百万ドル、そうして御承知のように本年の一月の二十七日に日本工営との間に実施設計の契約が成立をいたしました二百二十六万ドル、それでこれからいよいよ工事にかかっていくということになるわけで、十月から正式に着工に入った、こういうふうに承知いたしております。
○矢山有作君 この曾文渓のダムの問題は、この前の予算委員会で向井議員のほうから質問があって、総理のほうは、よく事情はわからぬので、詳しく事情を調査して結果を報告する、こういう約束になっているのですがね。総理のほうからもう少し詳しい状況というのを御説明願えませんか、総理の約束だから。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣がお答えしたとおりでございます。
○矢山有作君 そうすると、円借款の成立は四十年の四月でしょう。それから日本工営との設計契約ができたのは、いまおっしゃったように四十二年一月ですね。二年近くかかっているわけですよ。その間に台湾政府の監察院で非常にこの問題が表面化した。どういう問題が起こったのかということを御存じですか。それからまた、そのためにこれはこんなに時期がずれたのですか。この辺のいきさつを承知しておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) その辺の事情は私は存じません。しかし、中華民国政府部内で自主的にこれをきめるについて、いろいろの調査等もいたした、その結果ではないだろうかと思います。
○矢山有作君 十分調査して報告するとおっしゃっているのに、監察院でどういう問題が起こって、どういうことが論じられたのかということがわからないのですか、調査したことにならぬじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 何ぶんにも他国のことでございますから、そこまではよくわかりません。
○矢山有作君 なるほど、遠くのことでわからぬとおっしゃる……。
○国務大臣(佐藤榮作君) いや。他国のこと。
○矢山有作君 いや、他国のことであっても、私は、あなたが調査して報告するとお約束されたから、もう少しはよく知っておられると思う。あなたが知られぬのなら、私のところで調べた限りのことを、いろいろありますから一応申し上げておきます。そういう事実があるのかないのか、あらためてこれはよく調べてもらいたい。一つは、四十年四月に円借款が成立しておりますね。次いで、台湾政府の要請で外務省はコンサルタントとして電発と日本工営とを推薦しました。電発は二百五十万ドル、日本工営は五百万ドルの見積もり価格を台湾政府に提出をいたしました。続いてK元総理の政治工作がありました。このことが問題になったわけです。四十一年の二月に日本工営に内定をしております。それから四十一年の七月に、いま言った監察院でこれが問題になりまして、日本工営に設計契約を内定しておったのを、これが破棄されました。そうして電発を招請しようという案が出されたわけです。ところがK元総理は、その情報で電発に対して非常な圧力をかけた。現に企画理事の首が飛びそうになっております。そういうところから、電発は自分でもうこの設計には参加しないということで棄権をいたしました。四十一年十二月に日本工営が再内定をして、四十二年の一月に本契約が結ばれた、金額は二百二十六万ドルです。 設計契約に至るまでの私のところでわかった経緯はこの程度です。したがって、総理は肝心なところを逃げておられる。こういうことがもし事実であるとするならば、これこそ政治の腐敗をさらに助長する。こういうものの調査を約束する——疑問が向井議員から出されたのだから、調査を約束したのだから、それでやはり真剣に政治の姿勢を正そうとするなら、調査して報告しなければいかぬじゃないですか、自分自身で。
○国務大臣(三木武夫君) これは外務省に関してこういう間の事情がございます。一九六五年ですから一昨年十月に日本工営と電源開発、これの一社を日本政府に選定してもらいたい、こういうことを、これは書簡で国民府府から日本の政府に対して申してまいったのでございます。外務省はこれを、そういう立場にないということで断わっておる。ところが、その翌年の二月に、中国側で日本工営を選定したという、これも日本政府に対して通知をしてまいったのでございます。それから契約のできたのが今年の一月二十七日でございます。その間は、いろいろ矢山さん御指摘になりましたけれども、まあそういうようなことはわれわれとしてない、そういういろいろなことがあろうことはないと信じております。
○矢山有作君 幾ら他国のことを信じられても、なかなか他国のことだからその辺のいきさつがわからなかったのでしょう。私はないと信じたということだけでは問題は解決せぬと思います。したがって、この問題はまだ今後も調べていきたいと思いますが、ひとつ完全に、台湾の政府でどういう議論が行なわれたかということを私も知りたいわけです。一部しかありませんから、速記録が。この速記録の全文をひとつ取り寄せるように努力をしていただきたい。台湾政府監察院経済委員会の第二百四十二次会議の速記録、この全文を取り寄せていただきたいと思うのですが、外務大臣できますか。
○国務大臣(三木武夫君) 国際慣例と申しますか、よその国の監察院の委員会の速記録を私の権限で取り寄せることは、これはできませんので、この点は何かほかの方法で手に入れられるなら別として、私が権限において政府からそういう文書を取り寄せることは、これは実現はできませんので、お約束をいたしかねます。
○矢山有作君 まあ権限で出せということは、これはできぬのはあたりまえでしょう。しかしながら、事態の真相を明らかにしようと思うなら、できるだけそういったものを取り寄せる努力をして、そして真相を明らかにしていかぬと、調査をして報告をした、それのために全力をあげて努力しましたということにはならぬと思うのですね。まああなたのほうでできなければしかたがありません。しかし、まあできるだけ努力をしてください、私のほうもできるだけ自分でも努力したいと思っております。 次に、日本工営と台湾政府との間の契約内容は、設計と施工監督の両方が含まれておったと私は思っておりますが、この点どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) コンサルタント・フィーということで承知しておりますが、これは事務当局からお答えをいたします。
○政府委員(原田明君) 私どもが知ります限りでは、日本工営が受けましたのは設計監理だけであります。
○矢山有作君 そうなると私よけいおかしいと思うのですがね。私は日本工営の決算書をちょっと調べてみたのですが、そうしたら曾文水庫工事は設計は入ってない。監督ということで八億余万円がちゃんと決算書に出ております。それで私が得ておる情報からすると、日本工営が設計契約を結んだが、台湾政府のほうで日本工営の技術水準を信頼できないというので、自分のほうで高給で米人技師をたくさんかかえて設計をやらしておる、こういうことなんです。これはどうなんですか、御存じないですか、他国のことだからわからぬですか。
○政府委員(原田明君) 日本工営には、現在日本におきまして、いわゆるコンサルティング業務におきましては非常に有名な会社でございます。そのコンサルティングの業務を引き受けたというふうに存じております。
○矢山有作君 それでは答えにならない。決算書には設計は設計としてちゃんと載っておる。設計でないものは設計と書いてないのですよ。設計として載ってない。話がまるで逆じゃないですか。調べてないのですか。コンサルティングだ何だと英語で逃げようたって無理ですよ。あなたがちゃんと、交換公文には設計施工をちゃんと契約しているじゃないですか。設計、施工、監督がちゃんと契約書に載っているだろう。うそでごまかしてはいかんですよ。
○政府委員(原田明君) 日本工営の決算書がどうなっているかというのは、いまただいま私存じないわけでございますが、日本工営が引き受けましたのは、英語で申しますとコンサルティングと一般にいわれている設計その他ということで、施工、工事それ自体をやるというほうは含んでいないというふうに聞いております。
○矢山有作君 だから、私の言っているのは、私の言っているのは答えてないでしょう。設計は設計、施工監理は施工監理として、ちゃんと決算書に分けられて出てきている。そうすると向こうの表現とまるで違うでしょう。設計、施工監督を二百二十六万ドルでやっているわけです。設計は全然やってない、私の言うのは。その辺を知らないで済ませますか。飛行機で行って調べてくることだね。
○政府委員(原田明君) 先生の御指摘はどういう意味か、はっきりわからないのでございますが、日本工営はいわゆる設計と言いますか、そういうものをやったわけでございまして、それを引き受けて仕事をしたということになっているのです。ただ、その過程で、自己の責任において引き受けたところの一部をアメリカ人の技師に聞いたとか、そこらのところは、会社が自分の業務を補完するためにやるというふうなことは、ごく通常のことでございます。日本工営が自分の責任においてやったというふうに了解しております。
○矢山有作君 これは誤解されているようですから、すわったままで言わしてもらいたいのですが、契約は設計及び施工監督で出ているはずなのですよ。ところがそれをやっておる日本工営のほうの決算書では設計は出てない。工事監督だけになっている。工事監督だけになっている。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をつけて。
○政府委員(原田明君) 私どもが存じておりまするのは、日本工営が受けましたのは基礎設計とか、その他のコンサルティングでございます。それを日本工営が決算書においてどういうふうに書いているかというのは、私どもの権限外でございますので、現在ここに資料を持ち合わせておりませんし、わからないのでざいます。
○小林武君 関連して。いまの件は、そういう設計、監督両方について、それは借款の条件になるのかならぬのか。借款の条件になっておるとすれば、私は関知せざるところであるなんというような答弁をやるのは、これはおかしい。その点の問題はどうなっておるのか明らかにしてもらいたい。もし条件になっているし、借款についてはそういう点も十分検討した上でなされるものだとしたら、いまの答弁というものははなはだ不届きだと思うのです。その点ちょっと……。
○委員長(新谷寅三郎君) 委員長に質問されるより主管大臣に質問してください。主管大臣から御答弁願います。
○小林武君 外務大臣……。
○矢山有作君 実際設計をやっていないというのです。決算書に出ておるとおりに、実際設計を日本工営はやっていないというのです、情報では。それだからそのとおり決算書に出ておるわけです。そうすると契約とはものすごい相違が出るんじゃないのと言っておるです。
○国務大臣(三木武夫君) その点は、これは大事な点でもありますので、十分調べまして、後刻お答えをいたします。
○矢山有作君 それでは調べて御報告願います。 次に、もう一つ指摘しておきたいのですが、工事施工はすでに鹿島建設に内定したという新聞報道があります。ところが、鹿島の台湾での交渉を担当したのは、この三月に退職した前の台湾公使の中田豊千代という、こういう人が鹿島の顧問になってこの交渉をやったと、こういわれております。そうするとこれはこういう事実があるとするならば、これはますますいろいろな問題が起こってくる、あるんじゃないかと推察される、そういうことになる。ですからこの点も明らかにしてもらいたい。次に、日本工営の筆頭株主は鹿島建設、そのこともこの際申し上げておきます。 外務省は一九六〇年以降毎年度賠償調査団を現地へ出しておるはずです。その賠償調査団の報告と、先ほど外務大臣が言われた、全体として経済協力の効果は各地であがっておると、こうおっしゃったんですが、それは非常な大きな食い違いがあります。そこでインドネシアについて経済協力、これがどうなっておるのか。特にインドネシアに問題があるのです。ですから調査をされたら、それはおわかりのはずですから、御報告を願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 賠償の調査団は去年までに第六回を出しておるわけです。この調査団の報告は、まあ経済協力でなしに、賠償の調査をやったわけです、賠償調査団は。経済協力の調査は、いま申したように、来年度から私はやりたいと……。
○矢山有作君 広い意味で経済協力の中には入るんですね。
○国務大臣(三木武夫君) 広い意味にはなりましょう。まあ、しかし、これは賠償であります。この中で賠償もうまくいっている場合が多いのでございますが、しかし、御指摘のインドネシアには賠償のプロジェクトが二十四件あった。その中で実際においてまだ完成していないプロジェクトが七件あったと私は記憶しております。なぜそういうことになったかというと、一つにはインドネシア自体における現地通貨の不足、あるいは外貨が足りなくなって原料の入手難、あるいはまた、最初の計画というものに対して計画というものが精密な計画でなかった点もありましょう。まあ、こういう点でインドネシアの中には賠償によって施工されたプロジェクトで動いていないものが七件あるということは事実で、賠償調査団の中にもうまくいっていない原因として私が述べたようなことを指摘されておるわけでありますので、最初にお答えしたときにも、全部が全部日本のものがうまくいっておるとは申さなかった。中にはやはり問題があるけれども、全体としては日本の経済協力がアジアの経済社会の進歩に役立っておるという評価は、私はこれは間違いがないと。しかし、個々の問題についてはいろいろ問題を含んでおる。その中でインドネシアなんかは一番問題を含んでおる国であることは間違いがないと思う。
○矢山有作君 私は調べたところが、インドネシアに対して過去十年間に有償、無償で合わせて約十億ドル近い経済援助をやっております。これは広い意味でやっておるんですよ。しかし、その結果は、このように実に惨たんたる状況なんです。私の手元にある、これはまだ発表されていないようですが、資料で分析してみた結果を申し上げてみたいと思うんですが、インドネシアに持ち込んだ大型プロジェクトは四十七です。そのうち、ほぼ完成を見たものが二十二。また、二十二のうちで曲がりなりにも経済ペースに乗って操業を見ているのに、賠償関係で三、PS関係が三、合わせて六企業にしかすぎない。すなわち、賠償では、ホテルインドネシア、ネヤマ排水トンネル、ムシ川橋梁、PSの分では、北スマトラ石油、東カリマンタン森林、スラウェシのポマラ・ニッケル、この程度が効果をあげておるにすぎぬ。残りは、ウイスマ・ヌサンタラ会館のように立ち腐れのような状態になったり、あるいは、バリのホテル、ボコール乾電池工場のように全く開店休業、こういう状態なんです。これらの原資は、これは国民の税金と貯蓄で出しているんでしょう、すべて。ところが、こういうことでは、インドネシアの民衆も何らこの経済協力の恩恵を受けておらぬということになるんです。ばかをみたのは日本人だけじゃないですか。そして、その間に利益を得たのが、一部の政治家と政商と独占資本と、この一握りの連中が利益を得ただけなんだ。賠償を中心にした経済協力でこの現状をほっておいて、佐藤総理は、ジョンソンと援助の増額を約束して来ておる。こういう現状の認識に立って、私は、総理からあらためて答弁をいただきたいんです、経済協力というものをこの実態で一体どうして今後進めていくのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 経済援助については、先ほど外務大臣が答えましたように、なかなかうまくいったものもあるし、うまくいかなかったものもある。特にインドネシアの問題については、ただいま御指摘のとおりであります。私もジャカルタに行って見て、開業していないビル、中途半端な状態に置かれておるその姿を見て、なかなかたいへんな問題だと、かように実は考えて参りました。そこで、インドネシアに対する経済協力、これは近くオランダで債権国会議と申しますか協力会議が持たれることになっております。ことしの問題は、その会議の結果、どういうように経済協力をするかということがきまるのでありまして、私に対するいろいろの希望、期待はございましたけれども、このアムステルダムの会議もまだ明らかになっていないので、その結果をよく見て、しかる上で経済協力ということについても応分のものを考えよう、かように実は返事をして参ったのであります。インドネシア政府当局としては、二億五千万ドルないし三億五千万ドルの海外からの協力を期待しておるようであります。しかしながら、このアムステルダムの会議におきましても、最近の国際情勢、経済情勢等から見まして、なかなか困難ではないかと、私はさように予想いたします。十一月中にも会議が開かれるようでございましたが、いまなお、会議が開かれる、あるいはいついつ開くというような、まだ招集を受けておらないというようないまの状況であります。いずれにいたしましても、真に経済協力がこの国の経済の安定発展に寄与する、そういう形でなされなければならないことは、御指摘のとおりであります。われわれも、そういう観点に立って今後の援助計画を進めてまいるつもりでございます。
○矢山有作君 私は、援助をほんとうにそういう立場から効果的にやろうというならば、いままでの経済協力の実態はどういうものであったかということを調査したら、なぜ正直に発表しないのですか。いま外務省が発表しておるこの実施状況の調査の報告書によると、各国ずっとあげてあるけれども、ほとんど問題はないのです、処理された場合。インドネシアについてももう順調に進んでおり、一部何か少し調子の悪い点があるくらいな書き方しかされていない。ところが、別にあなたのほうで発表されない文書を私が調べてそれを全部集計してまとめてみたのは、先ほど言ったような状態なんです。これでは、表に発表されているものと、政府が実際に調べてつかんだものと、まるで食い違っておるということですよ。こういうように真実を発表しないで国民をごまかしていこうという性根でこれから経済援助というものを正しくやっていけますか。私はそれを言うのです。
○国務大臣(三木武夫君) 賠償調査団の報告書というものは、世間に出したものと秘密な内部の書類とが違うように言われておりますが、私はそういうことはないと思います。やはり調査団の報告書も、いろいろインドネシアには問題がある、こういう点で問題があるということを指摘して、インドネシアの賠償の実施がすべてうまくいっておるという報告ではありません。その中の原因はそういう原因があってうまくいっていないものもあるという報告は出ておるわけでありまして、これは公表はしておりませんけれども、しかし、公表用と内部用とを二重の書類をつくっておるというようなことは断じてございませんから、これは外務省の名誉のために申し上げておくわけでございます。
○矢山有作君 それは委員長、答弁……。現実にあるのだから、ここにおいて。外に発表されたのは、インドネシアについてもほとんどもう欠点というのは指摘していない。わずかありますよ。ところが、内部の書類を分析すると、たいへんな問題だ、いま言ったように。裏と表と違うということなんです。この点を認めるのですか、認めないのですか、外務大臣。そこですよ、違うのですから、現実に。何だったらお目にかけますよ、全部。
○委員長(新谷寅三郎君) 矢山君、それは再質問されたらどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、賠償は国民の税金にも関係するわけでありますから、賠償の実施、経済協力に対して、政府は国民に対して厳粛な義務を負うておるものだと私は思っております。したがって、そういう文書が二重に作為的に出たものではないわけですけれども、文書の調子が多少違ったように私は見ていないのですけれども、そういうことがあるのかもしれませんが、そういうことはよくない。今後はやはり国民の前に実情は明らかにするようにいたします。そういうことがあるとするならばよくないと実は思っておりますが、見ていない。したがって今後は悪くないものは悪くない、うまくいっていないものはうまくいっていないと、正直に国民に言うべきであります。これは私は今後そのように注意をいたします。
○鈴木強君 関連。いまの問題ですがね、総理大臣はインドネシアに行かれて、さきに矢山君の指摘された問題については、自分もそう思ったと、こう認められたんです。ですから、外務省が正式に発表しておる海外援助のそのことについて、その書物の中には、矢山君御指摘のように、非常に抽象的に書いてあるじゃないか。しかし、一方、あなたのほうで、部内用かなんか知らないが、つくっておる資料によると、いま矢山君の指摘した幾つかの問題がうまくいっていない、こういうことがあるわけです。しかも、総理大臣はこれを認めておるわけですから、あなたの言うように断じてないなんということは、全くそらぞらしいことですよ。だから、印刷しているものの内容について発表のしかたが悪いでしょう。そういうことがやはり国民の税金でまかなわれる賠償であるならば、はっきり公の文書をなぜ出さなかったんですか。出せなかったならば、こういうわけで別に資料をつくったんだと、こうおっしゃるならわかりますけれども、事実は事実としてやはりこれは認めておかなきゃならない。断じてそういうことはないという外務大臣の答弁は取り消してもらいたい。
○国務大臣(三木武夫君) おそらくこういうところに食い違いがあったと思うんです。どういう文書をごらんになっているか知りませんが、全体としての経済協力の評価というものが、おそらく全体の文章の中にはそういうことが出るんです。賠償調査団というと、賠償それ自体を、賠償をやっておる国に各省からこれは十名ぐらいのチームで行くわけですから、各省からの専門家が寄って、もっとやはり緻密に検討するから、そこにやはり文章が、賠償に焦点を合わすのと経済協力全体に焦点を合わすのでは、多少文章の調子が違ってくると私は思います。しかしながら、賠償は、これは国民に対しても、ありのままに国民に知らす義務を持っておりますので、今後そういう文書をつくるときには、私は注意をいたしますと申し上げておるわけでございます。悪いところは悪いと、こういうことで国民の前に明らかにする責任がある、かように考えておる次第であります。
○委員長(新谷寅三郎君) いまの答弁で不満ですか。
○鈴木強君 いまの問題ですが、ですから、私は、外務大臣、議事録をごらんになってみればわかると思いますが、あなたは発表のしかたについての問題と関連をして、現実にこういう点だけはっきりしてもらえば私はいいんですが、矢山君が指摘したような、賠償によってそれぞれホテルを建てたりやっておりますが、事業を興しているわけでしょう。そういう事業の中でうまくいっていないという幾つかの例があがりましたが、これはあなた認めるわけでしょう。これを認めてもらえばいいんです。そしてそういう点が落ちておった分についてはまずいから、今後はそういう点もはっきり国民の前に事実は事実として発表しますと。おそらく賠償金でやられることですから、国民に与える影響等を考えて、意識的に、一部の点についてうまくいっておらぬというところもあるかもしらぬという抽象的な表現によって公の文書を出しておると思うんですよ。ですから、そういう政治的な配慮がいろいろ疑義を生むわけですから、あなたのおっしゃるように、事実を認めてもらえるかどうかということと、今後真実を書いてもらう、こういうふうにしてもらえれば、私は納得できるんですよ。
○国務大臣(三木武夫君) 私がいま申したのは、おそらくこのことによってうまくいっていない例があるわけです。そのことによって経済協力全体がこれはうまくいっていないんだという印象を国民に与えることはよくない。全体としたならば、経済協力は低開発諸国の開発あるいは安定のために非常に役立っている面が多いんだと。しかし、その中にはうまくいっていないものも事実あるということで申し上げたので、全部が全部うまくいっているのだというようなことを申す意図はないので、現にうまくいっていないものもあるんですから、そういう点も国民の前に明らかにして、そうして賠償の実施の状態というものは国民に正直に知ってもらうように今後はいたすことをお約束いたします。
○矢山有作君 それはね、おかしいんですよ。外務省のほうで「賠償及び無償経済協力の実施状況」こういうものを発表して、それに各国別にずっと書いてあるんですよ。ところが、これを見て、特に顕著なインドネシアの場合におきましても、あまり問題点が出ていない。ところが、私のほうの別のあなたのほうで調べられた資料全部まとめてみたら、いま言うように、賠償とPSプロジェクト、これに限ってみても、いま私が申し上げたような数字なんですよ。ですから、このことはあなた認められなきゃいかぬ、インドネシアはそのとおりなんだということを。
○国務大臣(三木武夫君) 中にうまくいっていないものがあるわけです。その原因は、私が申し上げるように、インドネシアの経済的な状態が非常に悪くなって、そうして外貨も不足だし、あるいは賠償担保などに対しても支払い能力を失ってきたわけですから、そういうことで国際会議を開かれるようになったので、もしそういう現地通貨などがあればうまくいっていない工場でもそれは動く工場もあり得るわけでありますので、これが全部賠償のプロジェクトが最初から誤ったんだと私は見ていない。それはインドネシアのいろいろな状態が重なってうまくいっていないプロジェクトもインドネシアの賠償の中にはある、その事実はそのとおりであります。その原因はある。しかし、それが誤ったんだという評価は、これは少しあまり議論としては進み過ぎるのではないかと思います。しかし、うまくいっていないことは事実であります。しかし、全部が全部でない。その中にはうまくいっていないプロジェクトもあることは、これはもう御承知のとおりでございます。
○矢山有作君 うまくないのがほとんどなんです。
○小林武君 関連。先ほどの質疑を通して私が聞いたところによると、四十七件だね。四十七件のうちほぼ完成したもの二十二件。ほぼですよ。そのうち経営がまあまあというものが六件ということになっている。これは外務大臣ね、あなたがおっしゃる部分的には悪いものがあるということにはならない、数字の上からいったら。そうでないですか。四十七のうち二十二がほぼ完成だけれども、そのうちの六件がまあまあで、あとのものはだめだということになったら、結局は四十七件のうち六件じゃないですか、向こうから喜ばれるような状況のやつは。この大筋からいったら、あなたは全面的にインドネシアの場合はだめだと、そこまであなた言わなくてもいいけれども、とにかくこれは失敗ですと書かれなければいかぬですよ。その点をあいまいにするというところが、質疑者との間に私はやはり食い違いが起こっていると思う。インドネシア八百三億円、賠償担保借款のために、残は。いまのような問題点をどう一体お考えになっているか。そういうあなたがおっしゃることが、四十七件のうち六件だけでもそれでもうまくいっているというふうにお考えになるならば、これは話にならぬですよ。だから、その点はっきりもろと答弁してもらいたい。
○国務大臣(三木武夫君) これは原因が幾つもあると思うんです。たとえば外貨が不足したために、工場は建てたけれども原料の入手ができない、あるいは工場建設中であるけれども現地通貨が調達が困難である、こういうふうないろいろなそのケースによって、私は原因があると思う。それが完成すれば、それは実際に賠償というものが役立つものは、いまうまくいっていなくても、完成すればうまくいくものもあるでしょうから、全体として、賠償全体がうまくいっていないんだということを私に承認せよということは、少し私は御無理だと思う。それはいろんな原因があるわけです。その原因を今後の経済協力の中に、そういう賠償を実施してみていろいろうまくいかなかったようなところを反省して、経済協力をやる必要があると私は思う。しかし、原因が、全部誤ったんだと、こういうことも頭から言えない。いろんな原因があって、それが効果をあげていない場合もあり得るので、全体がだめだという断定は、少しそれは無理だと私は申し上げておるのでございます。
○小林武君 まあぼくが何も質疑しているわけじゃないから、長く取りかかる必要はないんですけれどもね、外務大臣、ぼくはあなたの答弁というのはちょっとおかしいと思うんですよ。先ほど数字をあげて言ったように、あの程度やはり失敗の度合いがあったら、これはこちらの意図がどうであっても、受け入れ側がそうであったということになれば、むだになった、これは間違いない。その点はあなたのほうではっきり国民の前に明らかにすべき責任があるわけですよ。同時にね、いまお話の中に、相手方のいろいろな事情によってその問題が起こったというような場合、これは私はそれについてはやはりこちらの手落ちじゃないですか。その受け入れるほうの側が一体どういう条件にあって、その条件を一体どういうふうにカバーしてわれわれが賠償の目的なり何なりを果たすかということになったらですよ、これはわれわれが十分にその間において条件を検討してやるべきがほんとうじゃないですか。先ほど来問題になっている台湾の問題だって同じじゃないですか。私はそういうところに粗漏があると思うんです。こちらのほうでは一体、設計その他を含んだ、監督も含めて、そうだというのに、やってしまえばあとはどうでもよろしいんだ、中身の問題については知りませんというような先ほどの答弁なんかは、無責任きわまる話だと私は思う。こういうやり方の中から十分にその目的に沿うたような結果は生まれない。いわばやりっぱなしだと私は思うんです。だから、外務大臣から御答弁願えるのは、インドネシアの問題に関しては、とにかく幾多の問題がたくさんあるということを確認されて、今後その点については厳重にやっぱり日本の側からも研究の上、今後そういうことのないようにするというような話ならともかく、全部だめだと、そんなことを言わせるのは無理だというような、そういう話はないですよ。やっぱり外務大臣は、さっぱりするところはさっぱりして答弁してください。
○国務大臣(三木武夫君) さっぱりいたしました。小林さんのいま言われるとおりなら、そのとおり承認いたします。問題がたくさんある。今後注意しなければならぬ。とにかく賠償などでもですね、ただいま御指摘のように、渡してもらえばそれで済むというものでは私はないので、やはりいろいろその国のことに生かされていかなければならぬので、ただ渡したというんでなくして、それがうまく効力が、やはり実効があがるようにこちらのほうも責任を持っていくのが、言われるようにほんとうだと思います。いまのおことばなどは全面的に承認をいたします。
○矢山有作君 私は、総理、やりとり聞いておられるから、よくおわかりいただいたと思うんですがね、実際に調査したら、それをやっぱり率直に発表するところに、初めて真剣に反省をしておるということになるのであって、実際に調査したきわめて悪いところは全部伏せちまって、そしてたいした問題はないんだというような発表のしかたをやるということは、これはほんとうに反省の上に立ってこれから問題を処理していこうということにならぬ。だから、その点では、やはりこれから調査の結果は率直に発表してもらう、こういうことを一つはやってもらわなければいけないし、また、そういうように大多数がインドネシアの賠償関係は失敗なんですから、この認識の上に立って問題処理を考えてもらいたい、こう思いますが、総理のほうの御答弁を願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの発表の問題ですが、これは私、発表したものもしなかったものもというふうに全然知りませんが、いま言われるように、これは二になるとかあるいは三になるというようなことではいけない、かように私も思いますから、これから十分注意してまいるつもりであります。 また、インドネシアにつきましては、いろいろ批判すべき問題はあるようでございますが、しかし、今回私はスハルト大統領代行といろいろ話をして、まあ過去は過去として、その責任もさることだが、これからも経済援助、これは真にこれからの経済建設に役立つものにしよう、こういうことは率直に両者で話し合って帰ったのでございます。したがいまして、これらの点をぜひとも御理解いただき、今後の問題、これについて間違いのないようにいたしたい、 かように思っております。
○矢山有作君 その賠償はね、他国で起こっていることだけじゃないのです。足元にもこのでたらめな賠償の典型的な例がありますから、それを申し上げてみたいと思います。 渋谷区の西原にインドネシア留学生会館があります。これはいろいろとスカルノとの関係でうわさをされた東日貿易が請け負った。その敷地も建物も、これは賠償から出されているのですが、建物の構造も坪数も、外務省の認証と実際とは食い違っております。価格にも問題がある。詳細な資料、私の手元にここに持っておりますがね。金額は七億程度です。ところが、七億程度の物件であって、外務省の認証額と当時の市価と二億近い相違がある。いわばこれが使途不明です。足元にもこういうようなのがあるのです。ですから、賠償の問題はよほど私は気をつけていただきたいし、また、このインドネシア学生会館の実態、御存じであったら、これは関係の大臣の方から答えていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) インドネシアの学生会館、いま御指摘のように、土地が、昭和三十六年に土地を購入して、土地は二億一千五百万円、それから建物は四階、地下二階、四億九千七百八十七万円、約七億円。御指摘のとおりです。これを賠償の中から、賠償借款として出されたので、請け負ったものは東日貿易の久保という者がこれを請け負って建築をやったものでございます。こういうふうに、承知しております。
○矢山有作君 もう時間がありませんから、繰り返しませんがね、問題点はいま指摘したとおりです。これは十分調べてください。私のほうもなお調べます。時間の関係で、きょうはこの問題こまかく立ち入りませんから。 それから、国税庁の長官、来ておると思うのですがね、東日貿易が脱税容疑で、この脱税容疑というのはおそらく私は賠償にからむ使途不明金の関係だと思うのですが、昨年調査をされたと聞いております。ところが、現在そのまま調査をしつばなしで、竜頭蛇尾だということになっておるようですが、どうなんですか。
○委員長(新谷寅三郎君) 矢山君にちょっと申し上げますが、国税庁長官、もうすぐ来るそうですが、ちょっといままだ出席していないそうです。ちょっとお待ちください。すぐ来るそうですが、まだこの部屋に入っていないそうですからそのままでお待ちください。
○羽生三七君 関連。インドネシアの問題については、いままでの過去のことは別として、今後についてはスハルト氏その他インドネシア当局に懇談をして、今後は効果的な活用ができるようにということで総理もお話をされてきたことですから、過去のことは過去のこととして、いま矢山君の言われたとおりですが、今後のことは、総理と先方とのお話はそれはそれとして、大蔵当局なり外務当局が見て、いまのインドネシアの政情から、あるいは経済状態から見て、効果的に使われる客観的条件は存在しておるのかどうか、その点、お聞かせいただければ幸いだと思うのでございます。
○国務大臣(三木武夫君) これは御承知のように、日本の経済協力というものは、輸入を使うにしても、条件も金利も、期間も相当な便宜を与えられるわけでありまから、これに対しては国民に対しても有効に使われるという方法で、今後とも過去のいろんなうまくいかなかったような点を反省しながら、新たなる日本とインドネシアの関係を樹立しなければならぬ。四月にマリク外相が来たときにこの点を私は強く申したのであります。新たなる日本とインドネシアの関係を打ち立てようじゃないか、スカルノ時代にはいろんなうわさがあることは事実だが、やっぱり新たなる出発をしようじゃないかということで、マリク外相もそうだということで、そういう会談が私との間にあったのでございます。その後インドネシアの政情でございますが、これは何ぶんにもインドネシアの経済が非常な困窮におちいっているわけです。国民生活の面においても、あるいはインフレの面においても困難を一ぱいかかえておるんですが、しかし、インドネシアのスハルト政権が真剣にインドネシアの困難に取り組んでいっておる姿は、われわれとして評価いたすものでございます。これがスハルト政権にかわってほかの政権がこのインドネシアの安定のために役立ち得るというふうに私どもは考えない。スハルトがせっかく困難な問題と取り組んでおるんだから、このスハルト政権を、日本だけではどうにもなりませんから、まあ約九カ国ぐらいの国際会議によって、インドネシアを助けようという国々との間に国際協力を通じてインドネシアの経済安定のために尽くすことがアジアの安定のために役立つという考え方のもとに、今後も日本の国力に応じて協力をしていきたいという考えでございます。それはインドネシアの将来に対して一〇〇%確信を持っておるかというと、それはなかなかやはり問題は多いと思いますけれども、それならば、ほかに方法がないとするならば、スハルト政権を助けてインドネシアの安定をはかることが、われわれアジアに影響力の多い国でありますから、インドネシアは。そのことが今日われわれのとるべき方法ではないかということで、世界の諸国とも協力しながら今後とも協力していきたいということでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。矢山君。
○矢山有作君 長官ね、東日貿易が脱税容疑で調べられたと思うのですが、その結末が何か竜頭蛇尾でさっぱりはっきりせぬのですがね。その脱税容疑というのは、賠償問題にからんでの使途不明金のあったというようなことも関係があるんじゃないかと思っているのです。そこで一体この東日貿易の脱税容疑を調査した結果、その実態はどうだったのかということをひとつしゃべってください。
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。 私まだ東日貿易につきまして査察を行なったということを聞いておりません。したがいまして、さっそく取り調べました上で、後ほどお答え申し上げることにさしていただきたいと思います。
○矢山有作君 それではあとで聞かしてもらいます。私はきょう出した問題は、またあとに引き続いていろいろとお聞かせ願いたいと思っております。しかし、まだこのインドネシアの問題については、輸出保険の特別会計の問題、あるいは川島借款の問題等々いろいろあるのです。ですが、時間の関係でそれはきょうは質問は保留しておきます。 以上の私の質疑の中から、従来の経済協力が多くの場合効果をあげず、さらにそれには政治的な不正もからみ合っていたことが推測できるわけです。ところが、これに対する十分な反省もないままに、今後いわゆる中共の脅威に対してアジアの自由主義諸国を守るのだということで、軍事と経済とを密着させて、日米共同の安全保障体制を確立していこうという共同声明の立場から、アメリカの政策に追従して経済協力を推し進めていくということになると、一体どうなるか。ますます私は効果があがらぬ、しかも不正を伴う経済協力が国民の犠牲の上で進められ、それがアジアの緊張を激化させて、日本の安全をそこなう結果を招くと、こう考えております。経済協力というのは、軍事優先のアメリカの極東政策から抜け出して、そして緊張緩和のための努力を全力をあげてやる、その中で、真に相手国の住民の繁栄につながっていくような十分な配慮をしてやるべきだと思います。これに対する総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま共同コミュニケ、これが対中共に対する一連の対策の経済協力をうたっている、こういう認識のもとに立ってのいろいろの御意見を述べられました。あとのほうの御意見のところには私は賛成ですけれども、ただいまの前提ではちょっと困るのですが、そこはさような意味での前提ではないのであります。中共は中共、またアメリカはアメリカ、日本は日本、こういう立場で共同コミュニケは考えられておりますし、中共の核開発、それをねらいとして、それに対抗する意味の経済協力、こういうものではないのであります。私は大事な経済協力を、日本自身が財政的に国力として十分樹立したとまだ言えない今日でございますから、この海外経済協力は十分その国の経済の発展に努力する、協力する、そういう効果があがるような方向で日本が経済協力する、この趣旨には私賛成であります。今後もそういう点では気をつけてまいるつもりでございます。
○矢山有作君 私が言った前のほうの意見には賛成できぬとおっしゃるのですが、共同声明、これを読んでみると、読んだ人はたいてい私の意見に賛成されると思うのです。賛成されぬのはあなたなり政府当局者だけです。こういうふうに私は考えます。 あとの質問は次にまた残しておきまして、沖縄と防衛の問題についてお伺いいたします。現行の日本の安全保障条約では、交換公文で第六条の実施に関して事前協議の制度が設けられております、御承知のとおり。この事前協議はどういう立場から、意味から設けられたのか、これをお伺いしたいのです。
○国務大臣(三木武夫君) 日米安保条約は日本の防衛というものを中心にして結んだわけでございます。日本の防衛が極東の情勢とも関連することは事実でありますが、しかし、必ずしもアメリカの極東戦略と一致しておるとは申せません。したがって事前協議、いわゆる日本を作戦行動の基地として使う場合に、あるいは重大な装備の変更等は日本国民の同意が必要である、こういう点から事前協議条項というものが設けられたものでございます。
○矢山有作君 私もそういうことで事前協議の制度が設けられたと思うのです。そのことは、裏を返していうと、日本の安全と極東の安全は一体不可分なものではないということを承認しているわけです。認めているわけですね。そう解していいでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのところへ話を持っていかないで、やはり日本には日本の行き方がある。日本の憲法あるいはその他自衛隊法、それぞれのものがございますから、日本独自の立場の問題だと、かように御理解をいただきたいと思います。私はしばしば申し上げますように、極東の平和、安全と日本の平和、安全、これは密接に結びついておる、こういうことをしばしば申し上げております。ただいまのような表現では不適当だと思います。しかし日本には日本の行き方がございまするから、幾ら極東の安全と平和に日本の安全と平和がつながっておりましても、これはアメリカ側の考え方どおりに日本が考える筋のものではない、日本には日本の行き方がある、かように御了承いただきたいと思います。
○矢山有作君 いまの両方の方の答弁を聞いておりますと、外務大臣のほうはやはり日本の防衛というものを中心に考えておられるようです。総理大臣のほうの考え方は、日本の防衛が中心だが、やはり極東の問題と離されないというところに少し比重がかかっている、まあニュアンスの相違だと思いますがね、そういう違いがある。ところが、総理のそういうような考え方はどこから出てくるかというと、総理は日米会談のあとで、日本の安全と極東の安全は一体不可分である、こういうことを盛んに強調しておられましたね。これは私は事前協議を認めた立場から言うならば、これは大きな転換ですよ。そう思われませんか。あなたははっきり言うておる。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はそういう矢山君のような結論ではございません。別に矛盾を感じておりません。いままた外務大臣がお答えしたのも、私の考えと別に変わりはないように私は理解しております。
○矢山有作君 それでは総理あらためて聞きますが、あなたは衆議院の本会議で勝間田委員長の質問に対して、日本の安全はアジアの安全と平和なくして確保できない、こう言い切ったわけです。これは簡単に言うと、日本の安全と極東の安全は一体不可分だということを言ったわけでしょう。そういう思想でしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 極東の安全、繁栄、その中に日本の安全と繁栄もある。しかし日本自身がそれでは極東自身につきまして防衛の責任があるか、これはやるつもりはございません。これは日本の憲法の命ずるところがはっきりしております。それから日本の自衛隊法その他の法律から見ましても、日本は防衛力、これも最小限度の自衛の手段としての防衛力、これを持っているわけでございます。だから、いまのように、関係があるからといってそこまで拡大して私は防衛しようというのではございません。これはひとつその意味で御理解をいただきたいと思います。私はしかし、日米安全保障条約の際に、極東の範囲はどこかと、ずいぶん国会において議論されました。私はそれほど極東の安全と平和というものは日本の安全と平和につながるものである、かように私も思います。だけど日本が、それでは日本の安全と平和につながるからそこまで行くのかというと、それについてはちゃんと限度がある、これはもうかつて数年前に議論済みじゃないですか。
○矢山有作君 そうすると、日本の安全と極東の安全が不離一体ではない、これは矛盾する場合もあるのだ、こういう立場で事前協議というものの運営をやっていかれますね、今後。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は日米安全保障条約というものはそういうものなんで、日本で担当できる範囲というもの、アメリカ自身が日本防衛のため担当してくれる範囲と、これは食い違ったからといって、その区域に相違があったからといってもちっとも差しつかえない、かように私は考えております。
○矢山有作君 私がなぜこの日本の安全と極東の安全が一体不可分であるという総理の発言を問題にするかといいますと、そういう思想に立っていったならば、これからこの事前協議の運用について態度が一変してくるだろうと思うのです。あくまでも日本の防衛というのを重点に考えていくならば、これは事前協議の条項をこれは大きく適用していけると、いきたいと。ところが両者とも一体不可分だというような形になっていくと、事前協議のこれは骨抜きが始まる、骨抜きが。そのことは在日米軍基地へ行く行く核持ち込みを認めたり、あるいは在日米軍が基地を使って作戦行動をやっていくのを大幅に認めていくと、こういうことになるおそれがある。したがって、私はそのことを、特に一体不可分という考え方はやめなければいけませんぞということを言うわけです。一体不可分という立場で運営されたら、これはせっかくあなた方が事前協議を入れて日本の防衛というものを重点に考えて、何もかにもアメリカについていくのじゃないという立場を確保した、そのみずからの立場をくずすことになりますよ。これだけはしっかり守ってください。いいですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は先ほど来からお答えしております。また、私がやり得る、また、日本国がやり得る範囲、これはもう憲法その他でちゃんと制限を受けておりますから、それより以上のことは考えるわけにはいきません。この点では、いわゆるそれぞれの持ち分においてそれぞれが考えていく、かように御了承いただきたいと思います。
○矢山有作君 あのね、総理はね、アメリカの核のかさの下で日本の平和と安全が守られるんだと、こういう考え方をしておられるようです、いままでの発言を通じて考えるとね。私は、アメリカの核のかさの下におることがなぜ日本の平和になるのか、この点がわからないのですがね。ひとつ防衛庁長官、あんたもう専門家ですからね、どういうことでそういうことが言えるのか、その戦略、戦術的な立場からひとつ説明してもらいたい。専門的な説明をしなければいけませんよ。
○国務大臣(増田甲子七君) よく核のかさと、こういっておりまするけれども、われわれはそうは言わないのでございまして、アメリカの核の抑止力によって戦争が抑止できる、侵略が抑止できる、そういう効力が日米、安保体制にあるのでございます。
○矢山有作君 なぜその平和が確保できるのですか。そこのところがわからぬからわざわざ質問したのです。
○国務大臣(増田甲子七君) いま世界各国の核兵器というものの開発の状況を見ますというと、米ソが一番多いのでございます。あとの英国とフランスと中共とは知れたものでございます。そこで、この米ソの核兵器を比べてみますというと、これは専門的見地で言うわけでございまして、米とソとの核兵器の威力というものは、核兵器のバランスによって世界の、平和が保たれておるのではなくて——これは、専門家が言うことでございますから。アメリカの圧倒的の報復爆撃によって人類がせん滅されるような危険もあるというようなこと、それくらいの核兵器を備えていることによって残虐なる侵略とか戦争とかいうものが抑止されておる、すなわち、核兵器の不均衡によって世界の平和が維持されておる、こういう状態でございます。というのは、無責任なる軍国主義者が核兵器を使うというようなことをなくなすためにアメリカが核兵器を整備充実さしておるわけでございます。
○矢山有作君 それじゃお伺いしますが、日本が核攻撃を受けたら、アメリカは必ず核によって報復をして守ってくれるのですか、日本を。
○国務大臣(増田甲子七君) 矢山さんにお答えいたしますが、日本が受けたら——受けないようになるのです。侵略が抑止される。
○矢山有作君 そんなことはない。
○国務大臣(増田甲子七君) その核の抑止力ということはそういうことなんであります。一たびそういうことがありますればもうおしまいでございますから、そこで、備えることによって核兵器、あるいは通常兵器の侵略も抑止されるのですから、そこにきき目がなかったら、お互いがこうやって生きておって国会論議なんかする必要ないんですから、どうぞ御了承願います。
○矢山有作君 それはあんたおかしいですよ。じゃ日本が核攻撃を受けた場合を想定したからあなたあるいはそうおっしゃったかもしれぬから、じゃ日本が攻撃を受けた場合、アメリカはほんとうに核をもって守ってくれるでしょうか。そんな約束しておるのですか。
○国務大臣(増田甲子七君) いま仮定のことについて私はなかなか答弁しにくいんですけれども、アメリカの核兵器のカバレージですね、全体をおおう範囲というものは全世界に及んでおります。でございまするから、日本に対する無責任なる軍国主義者が侵略をしてくるということはないんですから、そこで、あなたの御質問に対しては、仮説のことにはお答えしにくいという吉田先生のおっしゃるようなことを私が繰り返すようになるのです。
○矢山有作君 あなたも仮説じゃないか。私が仮説の立場に立っておる、あんたもそれ仮説ですよ。アメリカとの間に、絶対に核をもってでも日本を守ってあげましょうという約束がないのに、日本が攻撃された、アメリカが核でその日本を攻撃したところをやっつけたから、今度はやっつけられたほうはアメリカを核で攻撃するのですからね。だからね、私はそういう理屈で進めていたら、核のかさの下におるから日本がだいじょうぶなんだということは、あなたが一応口でそう言うだけで、決してアメリカはそこまでの腹を持ってないですよ、そんな。何であんた核をもってまで防いでくれますか。 それじゃ次に聞きたいのですが、ソ連の核というのはきわめてこれは強大なものでしょう。私はアメリカの核に匹敵すると思うのです。あるいはそれ以上かもしれない、ところがね、最近はソ連の核の脅威というものはほとんど口にのぼらぬのですよね。いまの共同声明にも出ておるように、中国の核の脅威というものが盛んにいわれておるわけです。これどうしてなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) ソ連の場合は核拡散防止条約にも率先してこれに入り、あるいは核停条約、あの空中爆撃、空中爆発、これに対しても条約に入り、一つのこの国際的に協調していこうという態度で、軍縮委員会などのメンバーでもありますし、そういうのが、中共の場合は、そういう国際的な核の問題に対していろいろな国際会議があっても、これに参加しないわけでありますから、そういうことで、何かソ連の場合は、一つの国際的な協調といいますか、国際的制約の中に服していこうという態度があるのですが、中共の場合はそういうものに一切入ってこないでおるわけでありますから、中共とソ連というものを国際的にも少し区別して考えるようなことが生まれるのだと考えております。
○矢山有作君 それじゃちょっと私は納得できぬのですがね。中国のほうはなるほど核を持っているでしょう。ところがね、核保有国の首脳会談をやって、核を使わないようなその約束をしようじゃないかと言うて盛んに呼びかけていますね、なぜソ連にしても米国にしても、これは応じないのですか、中国のほうからね。ソ連のほうは非常に国際的な協調の姿勢があるが、中国はない、核については、少なくともそう言って中国は呼びかけておる。それに、よろしい、賛成だ、そんなら核不使用の協定を結びましょうといって言ったことありますか、アメリカの人は。
○国務大臣(三木武夫君) この、たとえば部分核停条約、これに対しては中共は参加を拒否しました。これなども放射能というものの被害があるわけでありますから、これはみなやはり入って、そうしてとにかく不徹底ではあっても、こういう放射能の被害から人類を守るということは世界的な世論でもある、不徹底であっても。そういうものにも中共は入ってこない。そういうことで、ただ核の問題ばかりじゃなしに、軍縮委員会というものに対しては——核ばかりでもないと思いますよ、軍事力というものは。軍縮というものは核ばかりでもない。ほかの一般軍縮というものも、やはり人類の脅威、これをなくしていくためには、それも伴わなければならない。そういう世界的な軍縮というような会議に対して、これはずいぶん中共の参加は誘うておるんですけれども、中共は軍縮の会議には入ってこないという態度であります。こういうことが、何かこの核の問題、軍縮の問題というものに今日の中共が国際的に協調していこうという態度が出てこないところにですね、いろんないまのような提案もわれわれも承知しておりますけれども、何かやはり国際的に協調して核の問題、軍縮の問題をやっていこうという意図が出てこないところにいろんな不安もあるんだと私は考えております。
○矢山有作君 部分核停条約はありますね。これは私もある意味で存在意味は認めますが、しかし、これがあっても米ソは何ら核実験やることに差しつかえないんですよ。地下実験どんどんやって、それをささえにして核軍備をどんどん増強していきおるわけですよね。ところが、中国のほうはおそらくまだ地下実験できないでしょう、空中実験だけで。だから、私は、この問題を論議するより、核を使わぬようにしましよう、なくしましょうという呼びかけをしているんですから、これ応ずるほうがやっぱり先じゃないですか。それから、もし国際機関に入っていないとか、何とかかんとか誘っても入らぬとおっしゃるなら、なぜ日本は中国の国連加盟に対する重要事項指定方式の提案国になったりして国連加盟のじゃまするようなことをするんですか。やめたらいいじゃないですか。要するに、ソ連の核の脅威は問題にならないで、中国の核の脅威だけが問題になるということは、米ソの関係がずっと改善されてきたから、したがって、そういうような平和的な空気が米ソの間で出てきたからそうなったわけでしょう。ところが、米中の問題に対してはそれが改善されていないわけですよね、米中の関係というものは。だから中国の核ばっかりを問題にするわけでしょう。ですから、核のかさで守ってもらうとか守ってもらわぬとかというような議論じゃなしに、要は米中関係の改善をはかっていく、緊張緩和に全力をあげていくということのほうが先なんじゃないですか。そうすれば平和を守れるんですよ。核のかさに入っていけば、ますます中国を刺激して、緊張状態を激化するだけですよ、これくらいな理屈がわかりませんか、防衛庁長官。
○国務大臣(三木武夫君) 中共の核だけが脅威だというわけではないわけで、それはソ連でもアメリカでも、核というものは人類に脅威を与えているということは事実。一方においては抑止力にもなっておるけれども、それ自体としては脅威を与えていることは事実です。したがって、日本が核拡散防止条約に対しても、軍縮ということを強く言っている。軍縮という意図が、核拡散防止条約の中に、核保有国は意図を明らかにせなければわれわれはその条約には賛成できぬとまで強く言っておるわけは、これはやはり核兵器をなくしていきたいということが最終的なわれわれの目標であります。一ぺんにはそこに行かぬ、だから中共だけのが脅威であるというわけではない。そうなってくると、中共もまた、それは核の問題も含めて、軍縮などということは世界人類の大きな願いですから、軍事力をあまり持っていない、核兵器を持っていない国は、やはり軍縮をやって、やがては核兵器をなくしてもらいたいという、この人類の願望にこたえて、そして軍縮の国際会議などには中共が入って、そして人類全体の持っている脅威、これをなくするために努力をするような態度を中共がとってもらいたいと思うのでございます。御承知のように、将来において米中関係は改善されなきゃならぬでしょう。いまはなかなかそういうことにもまいらぬけれども、大きくアジアを考えたときに、やはり中国問題が解決されるということは、アジアの安定の大きな条件として、私どももやがては米中関係というものは改善される日を希望するものでありますが、現実にはそれをはばんでおる原因がたくさんある。しかしながら、いまはとにかく核という問題がこれは世界的な大きな国連においても問題になっておりますから、そういう国際的な大きな動きに対して、中共も協調的な態度をとる中共になってもらいたい。なかなか中共もそこまでこないことに非常にわれわれは残念に思っておるということでございます。
○国務大臣(増田甲子七君) 私も聞かれましたからお答えいたしますが、いま三木外務大臣のおっしゃったとおり、われわれが理想として、あらゆる武器に対してさらばと言いたいのでございます。ことに核兵器に対してはそうでございます。しかしながら、現実の問題としてどうか、現実の問題といたしましては、まず第一にあなたの先ほどお聞きになったことに対してお答えいたしますが、安保条約第五条の第一項というものがございます。それをさらに注釈をつけたものとして、約三年前の佐藤・ジョンソンコミュニケの中に、あらゆる攻撃に対して日米は共同して対処する、アメリカは日本を守る、こういうような意味合いのものが書いてあるわけでございます。これは日本国という施政権下、日本の施政権下にある日本本土でございます、正確に言えば。それが攻撃を受けた場合には、あらゆる攻撃に対して日本を日米が共同して守ると、こういう共同声明がございまするが、これは安保条約第五条の第一項の公の解釈であると私は思っております。総理大臣と大統領との共同した解釈である、これにたよっておるわけでございます。 それから、なお、核兵器のことにつきましては、私どもは、中ソがどうしてけんかをしたか、けんかの原因も幾つもありますけれども、毛沢東が、たとえ核兵器の洗礼を受けて三億人が死んでも、あとの残った三億人が理想的の共産社会をつくればいいじゃないかということを言ったときに、人類がなくなって共産社会をつくるなんということは意味がない、たわけたことであるということをフルシチョフが言い、これを受け継いだのがコスイギンであり、ブレジネフでございます。そういうようなその精神をかえてもらって、そしてミリタントである、軍国主義的であり、膨張主義的であることを、しかも核兵器を使ってやろうなんという、その核兵器、われわれから言えばごく原始的なものであります。その原始的なものくらいは、これはいまからやったって、あの国力、国情に照らしてみて、中国なんというのは非常に哀れな姿なんですから、日本の国力の半分ぐらいしかないその中国が核兵器を使うなんということはとんでもないことですから、この米ソを含めた五つの国は、ぜひ軍縮の方向へ進んでほしいというのが私どもの願いでございます。
○矢山有作君 外務大臣、軍縮会議に参加しろといってもしないと言っておると、こういうのですね。いま部分核停条約がありますね、それで、米ソは部分核停条約があっても幾らでも核実験やって核軍備を増強していけるのです。そういうときに、それをそのままにしておいて、中国だけ軍縮会議に入ってこいということでそれを押しつけるというのでは、中国のほうとしては言い分が出てくるのじゃないですか。そこまで言うなら、なぜ日本が中国を国連加盟させるために骨を折らぬですか。中国の国連加盟という問題をアメリカと一緒になってじゃまをしておいて、軍縮会議だけには入ってくれ、入ってこないのだ、部分核停条約にも入らない、それのほうがけしからぬ、それは間違いですよ、そういう言い方は。そのところをよく考えなさい。 それから、もう一つは、私は、日本がアメリカの核のかさのもとに入って、核抑止力という立場に立って、相手よりももっと核を自分が持とう、持っておれば向こうが攻めてこぬのだろう。一方も、相手よりももっと核を持っておったら攻めてこぬのだろう、こういうことでいったら、これは果てしない核軍拡競争ですよ、これは。それで、そういう中に日本が核のかさに入るのですから、そうしたらこれは緊張激化だけじゃないですか、緊張激化だけじゃないか。それよりも大事なことは、日中関係の改善、米中関係の改善に対して努力をする、平和的な雰囲気をつくるために努力をするということが先決問題じゃないですか。そのためには、まず一番になさねばならぬことは、中国の国連加盟をじゃましなさんな。日本はなぜじゃまするのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 中共の国連加盟をじゃましておるわけではないわけであります。それは御承知のように、アルバニア決議案というのは、国民政府を追放して、そして代表権を中国に与えるということで、単純なやっぱり国連の加盟ではないわけです。そこにいろいろ複雑な問題があるので、したがって、そういう重大な問題を含んでおるような問題は、もう国連はほとんど三分の二の議決でやっているのです。過半数というものの議決はほとんどないわけです。したがって、これだけの重要な内容を含んでおるこの案件は三分の二の議決できまるぐらいの世論というものが成熟することが必要であるということで、国連の加盟を阻止するためにしておるのではないわけです。この重大な案件が過半数すれすれというようなことでは将来に問題を残すから三分の二の議決を要するというのが重大事項の指定方式と言われておるものの内容で、中共を締め出すというためのものではないわけであります。そういうことは誤解のないようにしていただきたい。私も国連の演説の中に、中共を締め出すためにこういうことを考えておるのではないということを現総会においても演説をいたしたのでございます。したがって、これは締め出すためではないので、中共もそういう点では、できるだけ軍縮という——核の問題を中心とする軍縮という国際的なこの空気に対しては、やはりこれは協調するような態度を私は期待したい。しかし結局は、言われるとおり、国際的な緊張というものを緩和するということが大きな前提であることは私も同感であります。ただ、核の抑止力であるからだいじょうぶだというんではなくして、そういうふうな核がなくてできるような国際情勢をつくるために努力をするために外交というものはあるのであって、いきなりもう軍事的に核競争をやってその中に平和を求めるというのは外交の邪道である、国際緊張を緩和してその中に安全を確保するということが外交の本筋であるというお説には、私も同感でございます。
○瀬谷英行君 開運。外務大臣の答弁はもっともなように聞こえるけれども、それは、自分の行動はとびらを押えといて、締め出す気は毛頭ございませんと口の先で言っておるだけじゃありませんか。今日、まだそうでしょう。それは表向きのことばはどうあろうとも、実際の行動においては中共を締め出すために日本は過去においてアメリカと同調してきたという事実だけは、これは認めないわけにはいかないんじゃないですか。その点は率直に認めてもらったほうがいいんじゃないかと思う。 それから、防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、あなた先ほど、米ソは相当核を持っておるけれども、中共の場合はしれたものだと、こういうふうにおっしゃったわけです。そうですね。しれたものだというふうにおっしゃったけれども、そのしれたものに対する、中共の核の脅威ということを特に強調しなければならぬというのはどういうわけなのか。いままで中共の核の脅威ということをさんざん強調して日本の防衛力の強化ということも行なわれてきているんじゃないかと思うのでありますけれども、しれたものだったならば、何もそういうものを目標にして日本が防衛力を一生懸命に強化する必要はないんじゃないか、こういう気がするわけです。その点は、防衛庁長官の先ほどの言明とこれからの方針というものが一致しなければならないので、どういうわけなのか、ひとつここで解明をしていただきたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) 中共をアメリカと一緒になって締め出している政策をとっておるというそのお説は、これは事実と違うと私は思います。アメリカは中共貿易もしておらない。日本は中共との間に——国交回復ということは今日の段階でできません。これは御承知のように、中国は一つの中国を主張しておるわけですから、これはやっぱり時間がかかりましょう。しかし、人間とか貿易を通じて中共と接触するほうがいいと。アメリカの政策とわれわれは違うわけであります。そして、六億ドルの貿易というものは、共産圏貿易としては小さい数字ではない。これを続けておるわけですから、中共政策に対して、アメリカと一緒になって中共を締め出す政策をとっておるということは事実と違う。やはりわれわれは中共との間に、できることとできないことがありますから、できる範囲内においては接触を保つことがいいという立場に立って、この点はアメリカの意見と違っておるわけです。そして中共との接触を続けておるのでありますから、いま一緒になって中共を締め出すということはこれは事実に相違するものである。明らかにしておきます。
○国務大臣(増田甲子七君) 瀬谷さんにお答えいたしますが、第一回から第六回までの実験をしているその過程を見ておりますと、われわれは、中共の核兵器はあるにはあるけれども、米ソの核兵器に比べてはたいしたものではない、ごくプリミティブなものである、こう考えております。しかしながら、一九七〇年ないし七五年の過程におきましてはICBMもこれを開発するであろうと言われております。しかし、現段階ではたいしたものではございません。
○委員長(新谷寅三郎君) 瀬谷君、簡単に願います。
○瀬谷英行君 もう一問。それじゃ外務大臣にもう一度確認いたしたいと思うのですが、そのようなことをおっしゃるならば、これからの日本の外交方針というものは、中共を国連に加盟させるために前向きで積極的に尽力をする気があるのだというふうに理解をしてもよろしいものかどうか、そういう点、これが一つ。 それから防衛庁長官に対しては、たいしたものじゃないけれども、一九七〇年までには相当なものになるかもしれないのだ、こういうふうなことをおっしゃっておられますけれども、それならば、さっきの矢山君の質問と逆な言い方を私はいたしますけれども——矢山君の質問は、日本が核攻撃を受けたならばアメリカは報復をするのかどうか、こういう言い方をさっきしたのですけれども、逆に、日本に対して中共が、一九七〇年にでもなれば、この無防備の日本に対しても核攻撃を考える可能性があるのだというふうに判断をされているのかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私は中国問題を国連で解決するのはなかなかむずかしいと思っています。中国問題そのものが解決をしないと、国連の表決だけで中国問題を解決することは、非常に現実問題として困難が私はあると思う。したがって、日本はやはり——いまの国連に出ておる決議案は、国民政府をいまの国連の安保理事会の常任理事国のメンバーとしておるわけですね、これを追い出して、追放して、そして大陸中国に代表権を認めようというこの決議案が出ておるわけです。これに対して、このような重大な決議案は三分の二の議決を要する事項である。たいていの、たいした問題でないのもみな三分の二ではないか、国連の決議は。これを二分の一というようなすれすれでこの重大な問題を議決することの議決の案件に適せないという、こういう点から、日本はこれに、重要事項指定方式に賛成をしておるわけでありますから、やはり日本もまた、いま言った中国問題というものが国連の表決によって解決できるというよりも、中国自体の実態というものが、やはりこれがどういう方法かは別として解決されるようなことになって、そして中国問題というものが大きな国際問題、国内問題にならないで解決する日を望むのでありまして、いま国連においての態度というものは、いま言ったような決議案が出れば、今後とも日本はやはり重要事項指定方式のような考えで、三分の二の議決を要するという考え方は、これは急に変える考えはないのでございます。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は外交のことを離れました純軍事的、純兵器的の見地から申し上げます。 まず、矢山さんの御質問には一応お答えいたしましたが、さらにもう一ぺんお答えいたします。すなわち、瀬谷さんの御質問もございましたから。それは昭和四十年の一月の佐藤・ジョンソンコミュニケの中に、あらゆる攻撃に対して施政権下の日本を米国は防衛すると書いてございまするから、核の抑止力にはわれわれは信頼を寄せているわけでございます。それからこれも米国の国防省の見込みを発表したものでございまして、直接に公報としてわれわれは受け取っていないのでございますが、一九七〇年までの間において短距離弾道弾を中共は開発するであろう、それから一九七〇年の初期において、すなわち七〇年から七五年までというふうに普通の人は言っております。その間において若干のICBM、大陸間弾道弾を開発するであろうと、こう言われております。でございまするから、相当の脅威でございますが、しかし、わが国の自衛隊は、瀬谷さんの御承知のとおり、通常兵器に対処し得る通常兵器をもって構成する実力部隊が自衛隊でございまして、その限度はあくまで逸脱しないというかたい政府の決意もございまするし、また、原子力基本法もあるわけでございまするが、しかし、脅威は脅威でございまするから、日米双方協力してこの脅威には対処しなくてはならないと、純軍事的、純兵器的の見地からお答え申し上げます。
○木村禧八郎君 関連ですから簡単に質問いたしますが、防衛長官、純軍事的な見地から御質問申し上げますので御答弁願いたいと思います。 先ほど矢山君の質問に対しまして、核の戦争抑止力につきまして、われわれが常識としてこれまで軍事専門家から聞いているところとたいへん異なった御説明をされました。いままでわれわれが聞いてまいりました核の戦争抑止力には三つの前提条件があるということを聞いているわけです。その一つは、もう長官は御専門家だから御存じだと思うのです。その第一は、第二番目の撃破力の問題です。最初攻撃すると、その場合全部——たとえばアメリカがソ連を攻撃した場合全部破壊されないで、今度はソ連にアメリカを報復して撃破していくだけの力が残る、英語ではアッシュアド・デストラクティブ・キャパシティとか言ってますね、御存じと思うんですよ、第二撃破力。また、今度はソ連がアメリカを攻撃したとき全滅されないでソ連を報復するだけの力が残る、そこで簡単に相手を原子兵器で攻撃できない、そこで抑止力になっているということが核の戦争抑止力の第一の条件だというのが専門家の常識であります。ところが、さっき防衛長官は、アメリカが圧倒的に強いんだ、アメリカの原子兵器の力は世界でも圧倒的に強いから、よそで攻撃できないで、これが核の戦争抑止力になっているという、そういう均衡論と違った御説明をしたんで、これは世界の珍説だと思うんです。不均衡だから抑止になってると、これは珍説ですよ。 それからもう一つの抑止力になっている条件は、核を持っている国が必要ならば相手を攻撃するかもしれない、そういう可能性があるということが抑止力になっている第二の条件ですね。 第三の条件は、アメリカが発表してますね。もしアメリカがソ連を攻撃したときにはソ連の報復によってアメリカの人口二億が一億ぐらい死亡せしめられる、一億——半分の人口が犠牲になる。また、今度はソ連がアメリカを攻撃したときにアメリカの報復によってソ連の人口が七千万人死ぬ、そういう条件があるからこれが抑止力になっているというのが通説なんですよ。核兵器が戦争抑止力になっている三つの条件というのは常識であります。 そこで、もし今度は日本がよそで攻撃されたときにアメリカはソ連を攻撃する、そうしたらソ連の第二抑止力が働きますからアメリカの人口が半分に減っちゃうのですよ。一億の人が全滅しちゃうのです。そういう危険があるのにアメリカの核のかさの中に入って安全であると言えるかどうか。アメリカはそれまでの犠牲を払って日本を守るかどうか、そこが矢山君が質問したポイントだと思うのです。アメリカの核の中にあるから、核の下にあるから安全なんだ。アメリカがそれだけの、自分の人口が半分になるだけの犠牲を払ってまで日本をはたして守るかどうかということですよ。あなた仮定の問題に答えられぬと言うけれども、純軍事的な面からいってそういう点が常識なんですよ。だから、純軍事的な面からいって、核のかさにあるから安全だということは言えないというのが専門家の見解でしょう。いかがですか。その点、純軍事的な点からひとつ御説明願いたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 軍事ということばをしばらく使わしていただくことをまず前提としてお答えいたします。 矢山さんの御質問は、木村さんの御質問と違うのでございまして、だいぶ矢山さんの御質問を木村さんはパラフレーズされて、拡張されておられますが、核兵器で日本が攻撃された場合にアメリカは一体リタリェーションをやるのかどうかという質問が、報復爆撃するのかという質問が矢山さんの御質問だったと思います。それに対して安保条約第五条の第一項と、それから昭和四十年一月の佐藤・ジョンソン共同声明を引用してお答えしたわけであります。それから木村さんはアッシュアド・デストラクティグ・パワーとか何とか言われましたけれども、私はこれこそは珍説であろうと思います。というのは、一たび一発でも行けば、もう人類の半分とか——たとえばアメリカが五千万と普通言われております。アメリカに一発くれば五千万すぐやられる。五千万やられたときにどうなるということをほんとうは計画しておるわけなんです。その次にアメリカが受けて立つのですから、必ずどっかに攻撃するものがおるわけでございます。受けて立った場合にマス・リタリェーションというその力があるかどうかということをソ連のほうでも研究しておるわけでありまして、そのマス・リタリエーションをした場合に、大量報復攻撃をした場合にロシアが全滅されるということがわかったならば、これはアメリカの五千万なくなるのもたいへんなことですし、大体広島の十五万でもたいへんなことですから、一発でもやらないというところに人類がきておるのである。それが人類の常識であります。
○矢山有作君 大体、増田防衛庁長官の答弁というのはふまじめですよ。少し。われわれは時間の制限があるからしゃべりたいことをしゃべらないわけだ。あなたはそれを逆手にとって自分の都合のいいことだけ問題にしてしゃべるというのはけしからぬ。こんな議論をやっておったら、いつになってもこの防衛という問題はすれ違いになって建設的な討議はできませんよ。首相どう思う。けしからぬですよ。まじめに答えろ、まじめに。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあいろいろいきさつもあるようですが、お互いにまじめにひとつ審議をお願いいたします。
○矢山有作君 大体けしからぬぞ。増田長官、あなたもそう思わぬのか。人の言うのを逆手にとって何を言わんとしているのかという真意を一つも理解しようとしないで、都合のいいような発言だけをとらえて、時間の制限がないから言いたいほうだいのことを言っておる。そういうような形でこの国会における議論というのが建設的な方向に向くと思っているのか。けしからぬぞ、大体。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は世界的な常識をこの機会において明快に国民に訴えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 関連。防衛庁長官は、いまわからないのは毛沢東だと結んだけれども、毛沢東の考え方をだれも質問しないじゃないですか。毛沢東はどういう考え方を持っておるか、それはわからぬけれども、そのことをいま議題にしているわけじゃないのでしょう。純軍事的にどうかということを言っておるのですから、その質問の要旨に対してやはり答えてもらわないと、毛沢東のほうまでいっちまうと、話がこれはわからなくなりますよ。それは毛沢東の話はもうたくさんだから、いまの木村さんの質問に対して、純軍事的にやはり解明されてない点があると思うのです。だから、その点はやはりまじめに答えていただきたい。
○国務大臣(増田甲子七君) いままでのお答えでお答をいたしてございますが、純軍事的の見地からも、とにかく一たんメガトン級のものが用いられれば、人類は壊滅してしまう。その端緒をどちらからもつくってはいけないということを、いまや米ソ両方の当時者はわかってきているということを私は木村さんのお答えといたします。
○矢山有作君 この問題で時間を取りますが、私は増田長官に言いたいのは、毛沢東があの発言をやったその意味が何かということをやはり理解すべきなんです。核のおどしがあるからといって、それだけでおどされて自分の立場を殺してしまうようなことはしませんぞと、こういうことを表明しておるのであって、核が使われて、三億死んでもかまわぬのだ、そんなことを言っておるのじゃないのでしょう。そこのところを誤解しちゃいけない。もしあんたがそういうことを言うんなら、こういうことばの端をとらえて問題にするなら、なぜ中国が核不使用のための首脳会談を申し込んだのを、これを受けて立たない、そのほうが問題じゃないか。そのほうを問題にすべきなんだ。核不使用の協定をまず結んで、そこから実験、製造をやめ、核保有をなくしていく、こういう方向に進んでいくのが本来の姿じゃないか。その肝心なものを問題にしないで、たまたま三億死んでもかまわぬのだと言ったことだけを、そのことばの真意を理解しないで、一方的にしゃべるということはけしからぬ。あなたは少し反省しなければだめだ。総理、こういうふまじめな審議をやるということについては反省しなさいよ。あなたが任命した大臣だ、これは。こんなでたらめな話はない。もう少し、ほんとうの平和を確保しようと言うんなら、まじめに、いかにしたら平和を確保できるかということを論議する方向に進むべきなんだ。それを抜きにして、とんでもないものを引き合いに出してどうだとか、こうだとか言っておる。この態度というものはけしからぬ。 それではこの際一つだけお聞きしますが、この間の、沖縄返還の時期について合意に達する時点においては、沖縄基地の返還の方式も、これはやはりきまっているということになるだろうというような意味の答弁が総理から出ております。あと、いろいろなものがつけ加わっておりますが、しかし、大事なのはその点なんで、そこはそのとおりに解釈してよろしいか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの軍事基地についてのその地位について話がだいぶ煮詰まらないと、その返還という問題はなかなかきまらないだろう。これは巧妙、とは申しませんが、率直に外務大臣がお答えしておりますが、あの速記があるだろうかと思いますが、これが一番よく実情を伝えているのじゃないだろうかと思います。これはもちろん返還のとき、最終的にはそのときでなければきまらないことです。今日、しかし白紙の状態で交渉すると申しますが、いろいろ交渉する限りにおいては両者の意見が交換されることはもちろんでありますから、そうしてその交換された意見が食い違っておりましても、順次どこかに煮詰まってきて、そうして一致の方向をたどる。そういう際に返還の問題が具体化する、かように考えております。
○矢山有作君 私は、沖縄基地というものをきわめてアメリカが重視している、その意味はどこにあるかというと、沖縄が施政権のもとにあって自由に使用ができるというところに最大の評価がなされているわけです。ですから、そういう立場からして、また、共同声明の中での、あの沖縄の基地の重要性をあなた方両方で合意をした以上、私は沖縄の核つき自由使用という点をアメリカは必ず突っぱってくると思う。そのときに、あなたは返還方式を前からきめておく必要がないのだとか、あるのだとかいうことを言わないで、核つき自由使用は認めないのだ、こういう立場を堅持して話し合いに入らなかったら、これは押しまくられて、核つき自由使用を認めることになります。そのことは日本の将来の核武装につながるし、完全にアメリカの極東戦略体制の中に組み込まれてしまうことになる。したがって、その点について、核つき自由使用を認めないという立場をもって交渉していただきたい。どうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはこの前から申し上げたとおり、私ははっきりした前提のものでなしに、いまのところ白紙で当面するということを申しております。しかし、矢山君のような熱烈なる御意見も出ておりますから、それはよく伺っておきます。
○矢山有作君 これで、まだこの問題も中途半端になってしまいまして、十分その点の議論ができません。しかしながら、時間がまいりましたから私の質問はやめますけれども、総理がほんとうに日本の立場を堅持して平和を守ろうというのであるならば、私は核つき自由使用は断わるという態度を堅持をすべきだ、なぜわれわれがそれを言うかというと、沖縄の施政権をアメリカが持っている根拠というものは、法的にはないということが大体世界的に共通した考え方ですから、私はその点をふまえて、返していただくためにお願いするのじゃない、返させる、こういう見地に立って交渉に臨んでいただきたいと思います。 私、質問を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして矢山君の質疑は終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時七分散会