法務委員会 第5号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1967/12/22
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。 すなわち、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大坪委員長 起立多数。よって、本案について閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に、 裁判所の司法行政に関する件 法務行政及び検察行政に関する件 国内治安及び人権擁護に関する件 以上の各案件につきましても、閉会中審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○大坪委員長 これより請願の審査に入ります。 今国会において、本委員会に付託されました請願は、四件であります。 請願日程第一より第四までを一括して議題といたします。 まず、審査の方法についておはかりいたします。 各請願の内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会で御検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 これより採決いたします。請願日程第三の請願、殺人犯罪の防止に関する請願、及び請願日程第四の請願、不動産登記名義人の表示に関する請願の両請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました請願以外の請願は、いずれもその採否を留保いたしますので、御了承を願います。 次に、おはかりいたします。 ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○大坪委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、外国人登録法の一部改正に関する陳情書外三件であります。この際、御報告いたしておきます。
○大坪委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡沢完治君
○岡沢委員 私は、日本一忙しいといわれる官房長官にお越しいただきまして、しかも与えられました時間が二十分、それを厳守するつもりでございます。十一時四分まで、三点についてお聞かせいただきたいと思います。 その三点を最初に申し上げますが、昨日衆議院で公開されました原爆被爆記録映画に関する件が一点、それから東京大学、京都大学等でその大学院に自衛官を入学させることについての拒否問題がございます。それともう一点、宮城前の建築物の制限についての、俗にいわれる美観論争ということに関連してお聞かせをいただきたいと思うのです。 簡単なものから先に聞かしていただくことにいたしまして、原爆被爆の記録映画につきましてお尋ねをいたします。昨日私たちにもその上映を参観する機会を与えられました。ところが、その場所に参りました秘書官も、一部見ることを拒否されて帰った例がございます。この原爆被爆の記録映画は、どういうルートでどこから返されてきて、現在どこで保管されておるか。そしてまたこれの公開について、どういう基本原則をお持ちであるか、お聞かせいただきたいと思います。
○木村(俊)国務大臣 詳しいことは文部省の当局からお答えすると思いますが、大体この映画は、広島、長崎における原爆の影響につきまして、主として学術的な記録映画でございます。アメリカの政府が日本政府の利用に供するため複製を準備して、こちらに引き渡しを受けたものでございます。したがって、この使用につきましては、日本政府に全部一任されておると、私どもは考えております。本映画の利用につきましては、学術的見地からの利用に供することを主として考えておりますが、適当な方法によってできるだけ公開もしたい考えでございます。目下文部省を中心にいたしまして、学識者の間の意見を聞きまして、検討中でございます。なおまだ結論を得ておりませんが、ただ、特に人体に関する部分については、この原爆の影響を取り扱った、特に被写体となった生存者または御遺族の方のお気持ちも十分配慮する必要があると思いますので、ただいま学識者の間で強調されております点もあわせて考えまして、そういう配慮を行なうことを考慮のもとに、現在いろいろ検討しておる最中でございます。
○岡沢委員 学術映画であることはわかりますし、そしてまたおっしゃるように、人体関係で個人的な人権問題があることもよくわかります。そういう点につきましては十分承知いたしながら、しかし、日本が世界において唯一の、しかも最初の被爆国であり、しかもそれについての貴重な記録映画であるということを考えました場合に、世界から核戦争をなくするという効果のためにも、これは思い切って、日本だけではなく、全世界に公開するむしろ権利と義務を日本民族は負っておるのではないか。一部のカットの問題、あるいはあまりにも若い年少者に見せるかどうかという問題はございますけれども、原則は、私は公開すべきだというふうに信じますけれども、官房長官に重ねての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○木村(俊)国務大臣 私どもも、いまの御趣旨に反対ではございません。できるだけ核のおそろしさを全世界に知らせるためにも、こういう記録映画はたいへん効果があると思います。ただ、いま申し上げましたとおり、この被写体になっております方々の人権問題もあわせて考慮しなければならぬ。この公開については、慎重に考えております。特に学識者の御意見を十分拝聴したいと思います。御了承を願いたいと思います。
○岡沢委員 官房長官のお答えで大体わかるのでございますけれども、巷間伝えられますように、この映画がいわゆる反米闘争をあおるのではないだろうかという意味の政治的な配慮のもとの非公開の原則で、ただいまの御趣旨が曲げられないことを希望いたしまして、この件の質疑を終わります。 次に、官房長官にお尋ねをいたしますが、本年七月十日の東京大学新聞によりますと、東大総長の大河内一男氏は、次のように言っておられます。大学院の入学に際しては、一つは、従来から他の職業を持った者の入学は認めておらず、もちろん自衛官の入学も拒否してきた、この方針は今後も変えるつもりはなく、現職の自衛官が大学院に入ることはあり得ないと述べておられます。この事実を知っておられますか。
○木村(俊)国務大臣 存じております。
○岡沢委員 私は、この考え方は、憲法十四条の法の下の平等、あるいは二十六条の教育を受ける権利、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」この規定、ことに教育基本法第三条の「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」という憲法並びに法の精神に反すると思いますけれども、官房長官はいかがでございますか。
○木村(俊)国務大臣 大学院に限らず、そういう学校の入学に際しましては、もっぱらその当人の能力によってきめるべきものだと思います。したがいまして、特にいまお話のありました自衛官の入学問題、これはまず自衛官という身分を持っておるがために入学許可を左右するようなことは、憲法に定める機会均等と申しますか、むしろ教育の機会均等の原則に反するものではないか、この点については文部当局にいろいろ検討をしてもらっておりますが、今後の方針につきましては、まだ政府としては固まった考えはございません。
○岡沢委員 いまの官房長官のお考えは、私は正しいと思うわけでございますが、しからば、国立大学であり、しかも日本の国立大学の中でも最も権威ある大学といわれる、その総長が、かかる言明をなされ、同じような趣旨の態度が京都大学にも見られる。しかも、東京大学は、官房長官個人の母校でもあると思います。また、総理である佐藤さんの母校でもあると思います。影響するところはきわめて大きいし、また、自衛隊の士気あるいは質の向上その他にも、私は大きな関連があると考えます。このままの態度を放置されると——先ほど読み上げましたように、この言明は本年七月十日にあったわけであります。それについてただいまのりっぱなお考えを具体的な行為として、内閣としてこの管理下と申しますか、影響力のもとにある国立大学の総長に対して何かなさったか、あるいはなさる意思があるか。あるいはなさるとすればいつどういう方法でなさるお考えであるかをお答えいただきたいと思います。
○木村(俊)国務大臣 いま申し上げましたとおり、これははなはだ好ましからないことと思いますので、政府におきましても、何らかの措置、対策をとりたい考えを持っております。しかしながら、一面におきまして、大学の自治との問題もございますが、これは憲法そのものに関する問題でもございますので、慎重に考えてまいりたいと思います。現在どういう措置をとっておりますか、文部事務当局からお答えいたさせます。
○宮地政府委員 官房長官のお答えになられましたことに関連して、補足いたします。 御質問のように、憲法二十六条で「ひとしく教育を受ける権利を有する。」という規定がございます。ただ「法律の定めるところにより、その能力に応じて、」ということでございまして、それを受けまして学校教育法では、いま直接御質問の趣旨の大学院でございますが、学校教育法の六十七条で「大学院に入学することのできる者は」「大学を卒業した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。」、この大学と申しますのは、いわゆる学校教育法一条に定める学校で、東京大学とか京都大学とか早稲田大学とかいった大学であります。ただ、防衛庁の防衛大学校は、学校教育法一条でいう大学ではありませんが、文部大臣がこれと同等以上の学力があると認めるという項で、同等以上の学校として認めております。したがいまして、これに基づいて大学院に入学する資格はございます。それからこういう規定を受けまして、学校教育法の施行規則では、学生の入学、退学その他ずっとございますが、そういったようなものは教授会の議を経て学長が定めるということになっておりまして、御質問の東京大学につきましては、修士課程の入学につきましては、これは自衛官に限りませんで、官公庁に在職の者は、入学試験に合格しても、退職するかまたは休職にならなければ入学することができないという規定が設けられております。したがいまして、文部省の職員にも経験があるわけでございますが、文部省の経験から申しますと、文部省で人事院の試験の上級職試験に受かって採用しておった。この者が続いて数年たって修士コースに入りたい、そういう場合にも、この者は現職のままいけませんで、退職していっております。また、東京大学の助手である者が東京大学の大学院に入ります場合も、助手も公務員でございますので、これは入れておりません。そういうようなことから、ひとり自衛官だけを差別待遇しておりませんので、ちょっと形式的には不都合はないのではないか。ただ、民間との関係で若干問題もございますので、それにつきましては、東京大学にもその旨を申しましてを続けてもらっております。
○岡沢委員 官房長官のお答えで、大学の自治との関連でのお答えがございましたけれども、私は、大学の自治はきわめてむずかしい大きな問題ではございますけれども、教育の内容とかあるいは教授の任免とかいうことには大きく響きますけれども、この法の下の平等とは、むしろ大学といえども憲法のもとにあることは当然でございますし、これをからめてお考えになることは、少し問題点をそらされる方向に進むのではないかという感じがいたします。 それからいまの局長のお答えでございますが、そういたしますと、休職の扱いであれば自衛官にも東大は入学を許すというたてまえと聞いてよろしゅうございますね。
○宮地政府委員 公務員でこういう規定に該当して休職で入っておる者はおらないようですが、この規定からいけば、自衛官に限りませず、官公庁在職者は休職であればよいということですから、その限りにおいては入り得るというふうに私どもは考えております。
○岡沢委員 この問題も時間をかけて論争したいわけでございますが、与えられた時間があと八分くらいでございます。 自衛隊は、申し上げるまでもなく、ばく大な国民の予算を使い、しかもわが国の平和と独立を守り、国の安全を保つために、直接侵略及び間接侵略に対してわが国を防衛することを主たる任務として、また必要に応じて公共の秩序の維持にも当たるきわめて大事な存在である。その質の向上あるいは隊員の士気ということは、国民生活に直接響く、そういう点から関連いたしましても、同じ国の管理のもとにある大学の最高権威者が、先ほど読み上げましたような態度、あるいは京都大学でも同じような態度をなされるということの影響は、きわめて大きい。官房長官の最初の御答弁の趣旨に従って善処されることを希望いたしまして、この点の質問を終わりまして、次の都市景観についての質問に移りたいと思います。 官房長官は、建築審議会がことしの十二月十三日付で建設大臣あてに出しました「都市景観についての基本的な考え方に関する建議」というのを御存じでありましょうか。
○木村(俊)国務大臣 いま手元に持っており、存じておりますが、まだひまがありませんので、中まで検討しておりません。
○岡沢委員 お忙しいからよくわかりますが、御正直にお答えいただきましてありがとうございました。この建築活動と国民生活は、密接な関連がございます。また、都市景観は、都市における建築活動に深い関連がございます。また佐藤内閣は、住宅建設あるいは建設全般につきまして、きわめて大事な重要施策の一つという方向を示しておられると思います。そういう観点からお尋ねしたいわけでございますが、この答申あるいは建議の内容を見ますと、結局従来は産業経済の機能を重視し過ぎて、そのために人間環境についての配慮が足りなかった。人間環境のための都市建設、好ましい都市環境づくりの形成ということを強調しているというふうに解します。問題の宮城前関係、丸の内地区の都市景観については、特に一章を設けまして論じているわけであります。これによりますと、結局巷間伝えられておりますような意味での、皇居前がいわゆる天皇の御住所であるというようなことで特別な政治的な配慮をするというような要素は全然見られませんで、むしろ逆に、ここは日本における代表的な都市中心の業務のセンターであるというようなことを考慮されて、またその効率的な土地の高度利用というようなことから、むしろほかの地区よりも建築物の高度については特別な配慮があっていいというような趣旨にも解される建議がなされているわけであります。これにつきまして、官房長官として、あるいは内閣として、あの付近が宮城前であるということのために、何か特別の政治的な配慮をなさる御意思はあるのか、あるいはそういう点は全く考慮されずに、一般に都市計画あるいはいわゆる歴史的な建物としての考慮は配慮するという考えであるか、その辺についての御見解をお聞きしたいと思います。
○木村(俊)国務大臣 私、まだその答申の内容を詳しく拝見しておりませんが、いま岡澤委員からお話がありましたとおり、従来の建築基準法の考え方、これは非常に古いのじゃないかと私は思います。したがいまして、今回審議会から出されました建議の趣旨とか答申の内容をよく参酌いたしまして、将来というより、もっと近い機会に、この建築基準法の改正案を国会で御審議願ったらどうか、こういう基本的な考えを持っております。 いま特に具体的にお示しになりました丸の内地区の問題、あそこに超高層のピルを建てるという話がございます。建築計画がございますが、これにつきまして先般の予算委員会でも総理並びに保利建設大臣からいろいろ御発言がございましたが、あそこの丸の内地区に超高層ビルを建てることがいいか悪いかというような端的な問題の取り上げ方より、むしろ丸の内地区というものが、これはもうだれが常識的に考えても非常に大事な地区でございますから、あの地区にどういうふうに都市美あるいはいまおっしゃった人間環境を入れた整備をするかという大きな観点から、これをとらえたほうがいいのじゃないかと思います。総理がよく皇居周辺だからということばも口にいたしておりますが、総理も一般の普通日本人と同じように、皇室に対して非常に尊敬の念が強い方でございますから、総理個人として、ああいう皇居の周辺地区にそういう超高層の、ある意味ではバランスのとれない、しかも皇居の内苑を見おろすような、そういう建物が建ってほしくないという気持ちはあると思います。しかし、これはあくまで総理の個人的な意見でございます。これによってこの建物を押えたり、あるいは法令に基づかずにこういう建物の規制をするような考えは、もちろんございません。その点は、ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
○岡沢委員 法令に基づかずに云々ということをおっしゃいまして、当然だと思いますけれども、いまの建築基準法によりますと、あの制限等につきましては都知事に権限がございますけれども、法令に従いまして、法令の改正がない限り、皇居前であるからということで特別の規制は政府としてはできないと思いますが、法令の改正の御意思もないというふうに解してよろしゅうございますか。
○木村(俊)国務大臣 先ほど一般的にお答えしましたとおり、建築基準法が非常に古くなっておりますので、建築基準法の改正はいたさなければなりませんが、特にこの丸の内地区の超高層ビルを目標にしてこの改正をするつもりは、毛頭ございません。いまお話のありました建築許可につきましては、私詳しいことは存じませんが、いま何か事務的な手続が進められておるそうです。建築確認の手続が事務的に進められておるそうでありまして、これについて何ら問題にする段階ではないと思います。
○岡沢委員 与えられました時間が参りましたので、これで終わりますけれども、私は、むしろ天皇の御住所である宮城ということよりも、そのことも含めまして、この辺が日本の政治センターである、あるいは国権の最高機関である国会も含むということで、格別の配慮、たとえば風俗営業的な規制をするというような点の御配慮が当然考えられていいと私は思いますけれども、いまの憲法上の天皇の御地位からいたしましても、われわれも象徴としての天皇に対する敬意はもちろん失いませんけれども、それがために政治的な配慮がなされるということは、かえって憲法違反のむそれも出てくるのではないかという点につきまして、御指摘をいたしたい。 最後に、官房長官もたびたび仰せになりましたけれども、私は、建築基準法の時代おくれ、不合理性ということについては、ここでやはり大きく内閣としてもお考えいただく必要があるのじゃないか。建築問題が先ほど指摘いたしましたようにきわめて重要な国民生活に密接する問題であり、しかも法規が昭和二十五年に制定され、全く時代に合わないし、また建築基準法だけでなしに、事建築に関しましては、たとえば建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、不動産登記法、民法、借地法、借家法、都市計画法あるいは各種の特別立法があり、きわめて各般に影響いたします、また関連する法規を持ち、官庁を持っているわけでありまして、ひとり建設省だけの問題ではなしに、内閣全体がこの不合理性あるいは改めるべき点を総合的に研究される必要があるということを指摘申し上げまして、私の質問を終わります。
○大坪委員長 横山利秋君。
○横山委員 本院は本日關谷代議士に対する逮捕の許諾請求に対しておそらく承諾を与える日でありますが、その前にどうしても国民の疑惑を晴らしていかなければならぬ緊急な問題があると存じます。それはこのLPガス問題に関連をして、警察当局に対する不信の念が飛び火として発生をしたということであります。問題は二つあります。一つは、すでに御存じと思いますが、三十九年十一月三十日午前、市田理事と井上専務理事が当時の太田寿郎大阪府警捜査二課長をたずね、指導を受けたいと頼んだ。そのときには、業界の三大問題であったLPガス課税、免許制撤廃、自動車取得税に対する業界の態度や運動方法を述べ、予定している寄金は東京で一億五千万円程度、京阪神では一億円程度であり、相手は自民党が主体になることを明らかにし、反対運動と政治資金規正法による政治資金が取り締まりの上でどのような関係になるのかと尋ねたのだ。尋ねて教えてもらったようなやり方をしたのにかかわらず、いまごろ検察当局の追及を受けるのはおかしい、こういう言い分であります。それに対して、どういうふうに教えたかについては若干双方の言い分に違いがありますけれども、これは本人たちがかってな言い方をしておっても、国民の疑惑は晴れません。おそらく警察庁としては、当時の府警捜査二課長がこういったことについて問題となり、その調査をなすったと思いますから、そのときにどういうふうに正式に答えたのか、その点を承りたいと思う。
○内海政府委員 お答えを申し上げます。私ども、ああいうふうな新聞発表が行なわれまして、業者側が発表したというその内容についてたいへん心外に思っておるところでございますが、これにつきましては、前捜査二課長でありました太田君が新聞記者会見をいたしまして、その自分が述べたことについてこれを明らかにいたしましたし、また私どもも、この事実につきまして太田君から詳細事情を聴取いたしたところでございます。その結果について御説明申し上げたいと思います。 太田君の記憶によりますれば、そしてまた彼がとどめておきました日記によりますと、昭和三十九年の十二月の二十四日ですか五日ですかに、二人の人が質問に来たそうでございます。その質問の概要は、大阪においては中央政界とのつながりが非常に少ない。しかもタクシー事業についてはいろいろ中央政界に陳情したりあるいは教えてもらわなければならぬことが多いので、政党に対して献金をいたしたいと思うというふうなことで、これについての、要するに法律上どうであろうかという質問があったようでございます。これに対しまして太田君は、この政治資金の寄金という問題については、法律としては政治資金規正法があって、これに規制される部分がある。したがって、まず政治資金規正法に違反しないということが必要でござるという点が第一点。それから第二点は、その政治資金規正法に基づいて法的な手続が間違いなくできておっても、その献金の趣旨あるいは献金の時期、あるいは献金をする相手方によってはわいろと認められる場合もあるので、具体的な問題については弁護士とよく相談をされる必要がありましょう。これが第二点でございます。そうしてなお太田君の私どもへの申し述べておる点では、その時期あるいはそういうふうな状態から、太田君個人としては万一これがわいろ等になるおそれがあれば、自分たちも捜査官として捜査をしなければならない立場でありますから、そういう意味で、時期的に考えても適当ではないんではないかというふうな意味合いの意見といいますか、アドバイスをしたように記憶をしておる、こういうふうに私どもに答弁をいたしております。それ以外の事柄につきましては、答弁を何らいたしておりません。 なお、参考までに申し上げますと、太田君は日誌もきちっとつけておりますし、名刺もきちっと保管いたしております。また、本人の当時におきます捜査二課長としての勤務につきましては、きわめて厳正であり、清廉潔白な仕事を続けておったところでございます。
○横山委員 これによりますと、LPガス側の言い分によりますと、太田課長は「寄金は、政治資金規正法にもとづいてするのなら問題はないと思うが、業界の反対運動の際でもあるので、政治家個人に直接寄金することは避けて欲しい。寄金額の主体が自民党など政治団体であれば全く問題はないが個々にする場合は政治資金規正法の届け出をした後援会にし、必ず領収書を受けとるよう注意されたい」それから「同二課長は「これは個人の見解である」とつけ加えたが、同日午後井上専務に「関係者とも協議した結果、先ほどの回答でよい」と連絡があった。」あなたの話よりももう少し具体的なんです。そのときは個人的見解だというふうに大事をとったのです。しかし、あとでまた太田さんは、上の人かだれかに相談して、府警としてはそれでよろしいと裏打ちした。そういうあとの事実は確認をされましたか。
○内海政府委員 私どもは、太田君につきまして、事柄がきわめて大事でございますから、当時をできるだけ正確に思い返して、そして発言した事柄あるいはそういうふうなことに対してどういうふうであったかということを聞いてみました。その結果は、概要を整理して申し上げますれば、私が先ほど申し上げた内容のとおりでございまして、あとから電話でさらにどうこうしたとかいうふうなことは何らいたしてないというふうに、本人は申しております。 また、具体的な内容については触れておりませんが、しかしながら、あるいはその説明の過程におきまして、政治資金規正法というものの手続によらなければならないという問題と、それからいわゆる趣旨、あるいは時期、あるいはそれを献金する対象というふうなものの具体例として、たとえば政党にするということと個人あるいは個人の後援会にするというふうなことでは違いが出てくるということは、いま申しました時期あるいは献金の対象というふうなことの例示としてあげておると思いますが、具体的な問題については一切申しておらない、そういう問題についてはすべて弁護士に相談されるように、こういうふうに言っておると言っております。
○横山委員 太田さんと違って、市田理事が当時の事口捜査二課次長に会って「大タク協が大阪府選出の代議士や関係先の後援会にお歳暮をかねた寄金をしたい」と言ったところ、「「あくまで後援会に寄金し必ず領収書をとれ」と注意をされた。」ところが、また電話で呼び出されて、どうもほかの協会の某業者から国会で問題にするということがあるから、歳暮寄金を見合わせて時期を見て慎重にやったらどうか、具体的にと言われるなら次期選挙に寄金するのが最善策だと思う、と言われた。そして、上京中だった諸君に対して連絡して、これを中止した。これもきわめて具体的であります。これは、ある程度いいと言っていたけれども、事口さんが思い直して、どうも問題になるからやめたほうがいい、適当な機会にやればいいと具体的に教えて、そのとおりにしたということでございます。ですから、私は、太田さんの言うことを信用しないということはないのだけれども、どうも言った説明のしかた、受け取った受け取り方にズレがあることは、こういう事態であるから明白でありますけれども、しかし、こういうような受け取り方をするような余韻というものが、この事口さんの場合と違って太田さんの場合はあったのではないかという感じがするわけであります。これは不徳のいたすところと太田さんは言われるかもしれないけれども、あなたのおっしゃるように、明白にそんな疑われるようなことは一言も言ったことはないとは言い切れない点があるのではないかと思う。誤解しないでほしいのでありますが、国民は税金を納めているから、行政からサービスを受ける権利があります。この当時、まだこの人たちは被疑者でも何でもない。やるかやらないか、違法になるかならないかということを念のために、警察にしても、行政当局に聞きにいくということは、国民に許された権利だと私は思うのです。それに対して親切に教えることも、また義務だと思うのです。今度のことが原因になって、役所の連中が、あとでたたりがこわいから、ちょっとしたむずかしいことはいいころかげんに答えて責任を回避するというような雰囲気があっても、一般の国民にとっても迷惑だと思うのです。そういう点で、警察としては今後どういうふうにこの種の問題を処理なさろうとするのか、承っておきたいと思います。
○内海政府委員 仰せのように、私ども質問があればできるだけ親切にお答えするということは、やはり私どもの義務だと思っております。しかしながら、おのずから質問に答える私どもの限界というものが、それぞれの職務によってあるように私どもは自覚をいたしております。太田君の場合、くどいようですけれども、捜査二課長という立場であり、しかも大阪府の捜査二課長という地位は、それ以前にも何ぽかの捜査二課長の経験をし、練達の士を、そして一番信頼できる人物を大阪には一あるいはその他ももちろんそうでございますけれども、特に大府県には人選をよくして持っていっておる人物でございます。そういう受け答えについても、きわめてみずから慎んで、間違いのないようにということを常に考えておる人物でございます。私どもは、将来に向かいましても親切に質問に答えるということはありますけれども、しかし、同時に誤解を与えたりあるいはまたそのことが警察の立場を越えたような、たとえば弁護士法にいうその職務の範囲にわたるというふうな事柄は、厳に慎まなければならないところでございますから、今後ともに十分にそういう点は戒心をしてまいりたい、かように考えております。 なお、念のために申し上げておきますと、今回の太田君の場合、先ほど申しましたように、非常に注意をしてみずから答弁したということを、非常に強くそのときも意識しておるようでございますから、そういう点では私どもは間違いのない答弁が行なわれたもの、こういうふうに確信をいたしております。この点は念のために申し上げておきます。
○横山委員 法務省の刑事局長に一般論として伺いたいのですけれども、たとえば国民はサービスを受ける権利がある。行政がどうなっておろうと、法律がどうなっておろうと、サービスを受ける権利がある。それを教えた人の、たとえば太田さんを善意と見て、納税者なり国民が自分かってに解釈して、そうしてやった場合には、これは名誉棄損とでもいいますか、そういう問題に発展をする。ところが、教え方が悪かったために、そのとおりやったという場合も、また別な面である。お役人の言ったとおりにやったために損害を受けたという場合には、どういうことになるのでありましょうか。私は、前に大蔵委員で、よく税務署の若い担当者がそうならこうなさいと言っておいて、担当者がかわった。かわったら、そんなことはあなたのところはだめなんですと言って、税法に暗い納税者に対して、それは間違っているから税金を出さなければいかぬ、そういうことが間々あるわけであります。今回の太田さんの問題は一応別にいたしまして、一般論といたしまして、教え方が悪かった場合、あるいは教え方は適当であったにかかわらずそれを悪用したという場合には、法律上はどういうことになりますか。
○川井政府委員 一般論としてのお尋ねでございますので、ごく抽象的な一般論としてお答えしなければいけないと思うのですが、具体的な問題に直接関係のあるその事項を所管しておる責任の当局に出頭いたしまして、事情を具体的に説明して、どういうふうにしたらば適当かということでよく事情を話して、その責任の当局者から指示を受ける。その指示に基づいて国民が行動をしたところが、その結果においてまた別なことが問題とされたというふうな事態を想定して考えてみますと、責任のある当局者が責任のある立場において間違いなく具体的な質問について答えたということが明らかな場合においては、刑事事件と民事に分けて考察しなければいけないと思いますけれども、私、刑事が専門ですので刑事のほうでいえば、その指示を受けながらやった行為がたまたま法律の外形的な要件に該当しておったというふうな場合でありましても、御承知のように犯罪は違法性がなければ成立いたしませんので、その場合には、その犯罪構成要件に当たりましても、責任ある者の指導を受けてそのとおりに行動したということが立証されますれば、それが場合によって犯罪の違法性を阻却する、違法性をなくするということが考えられますので、外形的には犯罪要件に当たりましても、犯罪が成立しない場合が考えられる。ごく一般論でございます。 それから民事的には、あまり権威はございませんけれども、やはり同じような考慮に基づいてその人の行動が他人に民事的な損害を与えたというような場合に、損害賠償の責任を負うかどうかという問題になってまいりますけれども、その場合にもいま言ったような行動に基づいてやったということになりますれば、証拠に基づいて立証されれば、それは故意でもないし、また過失に基づく行為でもないというようなことに結びついてくるならば、損害賠償の責任を負わなくても済むというような事態も、当然予想されるのではないかと思います。 ただ、具体的な場合に、よけいなことですが、この種の事件をやりますと、私どもでも、つてをたどりまして知っている検事のところに行ってあらかじめ事情を聞いておく、事柄が問題になった場合に、実は前にこれこれの検事のところに行ってこういう話を聞いたからこうやったのだという弁解が、しょっちゅう出るわけでございます。よく聞いてみますと、責任のない、担当者でない者に一般論として聞いたことを具体的な問題としてあれされているということです。私は、やはりその事柄に関係のある、責任のある当局者によく事情を確かめて正確に指示を受ける、そういう事実行為が前提になりませんと、最初に申し上げた法律論がくずれてくると思います。大体そんなところではないかと思います。
○横山委員 私は、本件とLP汚職全体とを関連して見まして、何かこういうようなことを暴露戦術的に取り上げたLP業者側に、この直前に行なわれたことについていささか疑念を抱いているわけであります。こういうやり方によって、いま政治的課題であるLP汚職についての方向を変えようとしているという感じがなきにしもあらずだと思うのです。しかしながら、他方において、内海さんの言う、太田さんという人はりっぱなんでそんな誤解を与える人ではないということを百パーセント信用するにいたしましても、これが経緯で国民が受けられるべきサービスが萎縮してしまうということがあっては、私はならぬと思います。したがって、本日同僚諸君とともにこの種の問題の実相をできる限り明らかにしたい、そうして本質的なLP汚職に対する追及について、ごうも関係のないといいますか、そのほこ先が鈍らないようにしたいというのが、私の念願であります。 最後に、もう一つ内海さんに聞いておきたいのでありますが、もう一つの警察に対する不信は、このLP汚職に関連をいたしまして、警察から業界へ退職して入られた方が証拠隠滅で逮捕されたという事案であります。退職をした以上は警察は責任はないと一がいに言ってしまえない何かが、偶然ではありますけれども、この種の問題ができますとあるわけであります。タクシー業界のみならず、いろいろな飲食業界あるいは遊戯業界、この警察の監督下にあります業界に警察を退職された人が、ある場合には天下りに、ある場合にはまた一般的に就職をされていることが、非常に多い。それに対して監督権は全然ない。しかしながら、こういうような事実が出ますと、警察当局の威信にやはり影響いたしますことは、言うまでもないことであります。たいへんむずかしい言い方でありますが、どうなさるおつもりであるか、ひとつ意見を伺っておきたい。
○内海政府委員 東京旅客自動車協会の専務理事に就職いたしました者が、今回証拠隠滅の容疑で逮捕されました。たいへん遺憾なことであるとともに、本人がもと警視庁に、しかも幹部として勤務しておりました者だけに、私どもも同じ警察の職場に勤務する者といたしまして、申しわけのないことだと考えております。しかし、事柄は今後の捜査、取り調べにまつものでございますから、この点につきましては、私は遺憾の意を表するとともに、陳謝の意を表するのみにとどめたいと思います。なお、現に警察の何らかの関係のある業界または団体等にも、ある程度警察を退職した者が就職をいたしておるわけでございますが、これらにつきましては、やはりもと警察に職務を奉じたという、その事実によって、でき得べくんば本人がその仕事を行なうにあたって常に自覚をして、間違いのないように、警察の勤務をしたということに傷のつかないように、しっかりやってくれること、これのみを私どもは希望するわけでございます。そしてまた、私どもとしては、そういうふうなところに就職しておる人のみならず、警察をやめた人にもできるだけ日を届けて、機会があれば鼓舞もしまた助言もしていくというふうにいたしたいと思いますが、これはおのずから限度のあることであり、またそういうふうなことは差し出がましいと言われる場合もあろうと思いますので、事柄は非常にデリケートでございますので、私、いまここでどうすることが一番いいかということをはっきり申し上げることができませんが、私の、しかも本部長として自分の部下を就職させた経験のある者としましては、その人たちが就職した先で間違いなくその仕事をなし遂げるようにということをこいねがいつつ、また機会があればできるだけアドバイスもしていく、こういうふうにしていくことが望ましいことではないか、こういうふうにも思っておるわけです。要するに、私は声を大きくして言わなければならないのは、そういうふうに就職した人たちが、おのずから責任を感じ、みずから自覚をして、りっぱにその職務に当たってくれる、こういうことでございます。
○大坪委員長 松前重義君。
○松前委員 私は、先般人権問題についてお尋ねをいたしました。それはプロ野球におけるドラフト制は、これは人権じゅうりんの場合があるのではないかという疑問であります。たとえば高等学校を出て進学をしたいという切なる希望を持っている野球の選手が、それを捨ててプロ野球にいかなければならないという周囲の環境をつくられる。それによってやむを得ず自分の生涯の進学の意思を捨てて、そちらのほうにしかるべき取引によってやられていく、こういう事態が非常に多いのでありまして、これに対して、これは人身売買に似たような、あるいは人身売買そのものというふうに見ても差しつかえないのではないかというような御質問をいたしましたところ、それに対して法務省から御回答を書いたもので受けたのであります。しかし、一応この委員会を通じて速記に残しておきたいと思いますから、ごめんどうでも御答弁を願いたいと思います。
○堀内説明員 お尋ねのプロ野球におきますドラフト制、新人選手の選択規定があたかも人身売買に似たような人権問題があるのではないかというお尋ねについて、お答えを申し上げます。 いわゆる人身売買は、人間を物と同様に売買をする。すなわち、生きた人間を売買の目的物といたしまして、一定の期間他人の恣意的な支配に隷属させる。そしてその対価として金銭などを授受するという契約であるとされております。すなわち人身に対する事実的な支配の移転が行なわれるということ、二番目はその対価として金銭の授受が行なわれる、三番目が不当に人身の拘束を伴う、四番目が人権を著しく阻害するような労務の提供を強制するということなどの要素を含んでいるのが、人身売買の本質的な特徴であるとされておるようであります。 ところで、この野球におきます新人選手との契約交渉権を指名球団に専属させようというドラフト制度は、右のような人身売買的な特質を持っているものとは、私ども認められないと思っております。その理由を申しますと、選択会議におきます指名行為自体は、まだ新人選手に対しまして事実上の支配を及ぼしてはおりません。なぜかといえば、その指名された選手は、当該指名球団に入るかどうか、あるいはどの程度の契約金あるいは参稼報酬ならば入団してよいかという、いろいろな条件をみずからの自由な意思に基づきましてまだ決定することができるからでございます。また第二に、契約締結後に授受されます契約金や参稼報酬などは、人身に対する事実的な支配の移転の対価として行なわれるものではございません。なぜならば、それらの授受は、選手契約という民法上の雇用契約に類似した契約、あるいは請負契約と解する説もありますが、このような契約に基づきまして、指名球団と新人選手との間の合意によりまして授受されるからであります。さらに入団の後に不当に人身を拘束し、あるいは人権を著しく阻害するというような労務の提供を強制すると一いう内容の制度でもないと思われるからであります。 以上に述べましたような理由から、ドラフト制自体は、人身売買とは全く異なるものである、こう考えられるものでございます。 しかしながら、他方におきまして、ドラフト制の実施によりまして特定の新人選手を指名をいたしますと、その選手を獲得しなければほかの球団と比較しまして不利になるということがございますために、指名をいたしました球団が契約の成立を熱望いたしまして、新人選手の両親その他の家族、あるいはそれらの親族、そのほか第三者に働きかけまして、その結果、右の君たちが当該新人選手個人の意思を無視をいたしまして、事実上承諾してしまう、または新人選手に対しまして承諾を強く迫る、あるいは強制的または圧迫的な態度に出るということもなしとしないといわれております。私どもの調査によりますれば、目下のところその実情は不明でありますけれども、もしも右のような事実があるといたしますれば、やはりこれは人権上好ましくないということは言えるのでございます。すなわち、選手契約は新人選手とその指名球団との間で交渉締結されなければならないものでありまして、当該選手が未成年者でありますれば、その親権者または後見人の同意を得まして契約しなければならないのでありますが、その同意はあくまでも選手個人のためを考えまして行なわれなければならない、親権者あるいは後見人がその権限を乱用しまして、自分の利益のために選手個人の意思を無視してはならないと考えます。このことは、契約の交渉に当たるプロ野球関係者、あるいは選手の家族及びその他の関係者の双方とも十分に留意すべき事項であると思われます。 以上、人身売買ではないか、あるいは人身売買に似たような問題がありはしないかという点にお答えをいたしましたが、もう一つの面では、職業選択の自由との関係がございますので、それについて申し上げます。 ドラフト制は、選手契約の締結交渉権を指名球団に専属させるものでありますので、新人選手がほかの球団へ入団することを希望しておりましても、当該球団は契約締結交渉権を持っておりませんために、希望する球団に入団することができない。そして、指名球団に入団しない限りは、プロ野球の選手となることができないという結果に相なります。この点では、職業選択の自由を侵すのではないかという疑問が起こるわけでございます。しかしながら、職業選択の自由といいましても、本人が希望すればいつでもその望む職業につくことができるということまでも意味するものではないと思われるのであります。求人側の意思のいかんによりましては、求職者がその望む職業につくことができないということがあるのも当然でありまして、これをもちまして職業選択の自由が侵されたと言うことはできないと考えます。そして、ドラフト制度は、球団側の——プロ野球という技能を競い合う特殊な社会におきます自主的な規制措置でありまして、指名をしなかった球団は、その新人選手の採用を希望しなかったのと同じことになるのだろうと思います。これは一般人の求職過程におきまして、求人側が特定の求職者の採用を希望しないために求職者がその欲する職業につくことができないという場合と異ならないと考えられるのであります。また、選択会議におきます球団の指名によりまして、契約の相手方となるべき新人選手は、一定期間指名球団以外の球団と選手契約を締結することができなくなるのでありますが、このことは、この新人選手がプロ野球の選手となることまでをも否定しておるものではないのであります。さらに、このドラフト制度が実施されるに至りました社会的背景、すなわち、契約金の暴騰を防止する、そうして球団間の格差を是正して、プロ野球の資質を向上させ、その健全な発展を期す、こういう利益を考えますと、このドラフト制度は、その制度採用前に比較いたしまして、新人選手に対して不利益な結果をもたらすことがあるといたしましても、やむを得ないものでありまして、いずれにいたしましても、職業選択の自由を侵すまでには至っておらないのではないかというのが、私どもの見解でございます。
○松前委員 いろいろ承りましたが、ただいまのお話を総合いたしますと、ドラフト制そのものは人権じゅうりんにはならない。しかしながら、その入団を勧誘するときの過程において、本人の意思に反して周囲の強制によって入団しなければならぬようになる、こういうふうにお金の力でしむけていくことが問題になるということですね。
○堀内説明員 さようでございます。
○松前委員 そうなりますと、たとえば、大学の卒業生はさほど問題はないかと思うのですが、高等学校の場合は、そういう現象が非常に起こり得る可能性が随所に見られております。その可能性のある現象に対して、普通の人身売買の場合は警察権でもってしかるべく取り締まっておられますけれども、こういう問題に対しては、ほとんど放任して全然ノータッチでおられるような感じがするのでありますが、そういうドラフト制そのものでなくて、むしろこの交渉の過程における本人の意思を無視した現象、しかもそれが金によって動かされる現象、こういうものに対して、何らかしかるべき取り締まりと申しますか、指導と申しますか、これをおやりになるおつもりがあるかどうか、承りたいと思います。
○堀内説明員 ただいまお尋ねのありましたような点につきましては、球団の関係者、当該選手の親、親権者、後見人、その他の関係者たちが十分選手本人の意思を尊重するように考慮していただきたいというのが、私どもの念願でありますが、おっしゃいますような事案が具体的に非常にたくさん起こりまして、私どもも傍観するに忍びないというような事態に相なりました場合には、何らかの措置をとりたい、かように考えております。
○松前委員 もう一つ書面をもって回答をちょうだいしたものがあります。それは法務省と文部省に関係したものであります。 最近、大学の問題が非常にやかましくなってきました。そうして、この問題の一つの現象といたしまして、かつて昭和女子大から一人退学処分を受けました。それが裁判になりまして、一審では学校に復帰せしむべし、退学は妥当ではないという判決を受けました。それから、高裁においては、これは学校にまかすべきものであるから、退学は妥当であるという結論を与えられた、こういうような動揺きわまりない状態になりますということは、これは非常に学生側にとっても学校側にとっても迷惑しごくでありまして、この辺に具体的な文教の立場と同時にまた法務省の立場との間に明白な軌道を与えておかなければ、相当にこれは混乱を免ずる可能性がある、こういうことを痛切に感じておりますので、この点についてどのような考え方を持ってお臨みになるのか、文部省にお尋ねしたのが、この答弁となってまいりました。もう一度ここでその内容についてお示しを願いたいと思います。
○宮地政府委員 お答えいたします。いま御指摘の点につきましては、最高裁判所の判決で、要するに、学校が生徒学生に対して処分をいしまたした場合に、その処分が社会通念上著しく妥当性を欠くと認められる、あるいは全く事実無根のことを原因として処分をしたといったような場合を除きまして、学長の裁量権であるという最高裁の判決でございますが、一方学校教育法の規定によりますと、校長、学長、こういうものは教育上必要があると認めます場合には、その当該学校の、大学でありますれば大学生、高等学校以下でありますと生徒に、懲戒を加えることができる、ただ体罰を加えてはいけないという規定が学校教育法にございます。それからそれに基づきまして、学校教育法の施行規則では、いろいろ懲戒の種類等を述べておりますが、懲戒には退学、停学、訓告、こういったようなものが。ございまして、いかなる場合にそれではそうした懲戒に処するか、この問題につきましては、三つ、四つ掲げておりますが、たとえば性行不良で改善の見込みがない、あるいは学力劣等で成業の見込みがない、あるいは正当の理由がなくて出席をしない、あるいは学校の秩序を乱し、その学校の学生または生徒としての本分に反した、こういったような者に対しましては、それぞれその事由の濃淡にもよりましょうが、学長、校長の権限として、退学なり停学なりいろいろの処置が行なえるというふうに法律では規定いたしております。したがいまして、学校といたしましては、要するに学校教育法にも書いておりますように、入ってきました学生、生徒に対して、高等学校であれば高等学校としての教育を施さなければなりませんし、大学であれば、大学を卒業すれば、所定の単位を取れば学士の称号が与えられるようになっておりますが、それもただずるずると四年たてば卒業してよいということでなくて、所定の単位を取らなければいけない、単位を取らないで、四年たったらすぐ卒業できるというものではございません。したがいまして、要するに、大学生には大学生として必要な教育を施して、十分教育効果があがったと認める者を大学としては卒業させるわけでございまして、その大学としての教育を受けるにふさわしくない、あるいは勉強をしてもこの男はあまり意味がないといったような者については、当然これは退学なり停学なり懲戒に当たる者は懲戒をする、こういうふうになっておるものと、私どもは解釈いたしております。
○松前委員 そこで、法務省からもいただきましたのですが、大体似たような内容ですけれども、法務省の御見解を承りたいと思います。
○堀内説明員 大学におきます懲戒処分につきまして、その懲戒処分が学長の裁量のもとにあるということは、ただいま文部省のほうからお答えしたとおりでございます。しかしながら、懲戒による退学処分の理由のいかんによりましては、人権上問題となったことがあり得るだろうと思われます。それは、たとえば学生が特定の思想、信条を持っておるということ、それだけの理由によりまして退学処分に付したというような場合であります。こういう処分は、憲法及びこれに基づく教育基本法の根本精神に違反いたしまして、基本的な人権を侵害するものだろう、こういうふうに考えられます。これは国立、公立大学はもちろんのこと、私立の大学でありましても、その公的な性格にかんがみまして、そういう思想、信条に基づく退学処分というものは、許されないだろうと思います。もっとも、学生が特定の思想、信条を持っておるということだけではなくて、学則その他の規律に違反するというような行為に出まして、これが学校の秩序を乱したと認められる場合には、当該学生を退学処分に付することが許されるものと思われます。 なお、松前委員のお尋ねには、退学処分の効力を争っている裁判が長引くことによって、当事者の不確定の地位が長く続くということで非常に困る場合がある。それについての見解をお尋ねでございましたが、これにつきましては、この退学処分に対する効力を裁判によって争われております場合、その裁判の終結まで非常に長期間を要する結果といたしまして、学生の身分が長期にわたって不安定になります。これは学校側にとりましても、学生側にとりましても、好ましくないことでございます。しかしながら、これは裁判によって争われておりますために、やむを得ない結果であろうと考えます。これはやはりそれを是正する方法は、訴訟的な方法をとっていただくよりほかは方法がない、こう考えております。
○松前委員 時間がありませんから、一言。文部省の御見解も承りましたが、この際、私は、文部省、法務省において大体御答弁になったような内容を持ったものがいいか悪いかは別として、そういうような一つの基本的な方針を明確にしておく必要がある。そうしないと、なかなかいわゆる基本的な方針が不安定な状態にありますので、学生も困るが学校当局も困るというような事態がだんだん累積してまいりますので、この辺のところをひとつ明確に打ち出しておいていただくような具体的な方途を講じていただきたいと実は思うのであります。ただいまのような退学処分を受けた、あるいは裁判になってそれから四年も五年もかかる、その間に年をとってしまって復学なんて現実的にできはしないというような事態にならないように、ひとつこの際、学校側の指導とそしてまた学生に対する指導をするというようなことが必要じゃないかと思うのであります。この点に対しまして、特に文部省の態度というものが私は非常に大事じゃないかと思いますが、法律にある、その法律の示す精神、これらに対しましても、こういう際に、特にこの辺の問題について確固たる筋骨を与えることが必要じゃないか、こういうふうに思うのでございますが、いかがでありましょう。
○宮地政府委員 御指摘の点は、ごもっともなことと存じます。御趣旨は十分わかりますし、私どももその必要があろうかと思います。ただ、この場で具体的に、それでは通達を出すとかあるいはどうするとかいった具体的なことは、少し研究をさしていただきたいと思います。ただ、方法といたしましては、学長会議とかあるいは学生部長の会議とか、いろいろそういうこともございますし、また必要がございますれば、いろいろな規程を取り寄せまして、その結果必要な指示をすることもでき得るかと思いますが、いずれにせよ、御趣旨に異論はございませんので、できる限りそういった混乱の起きない適正な処置を学校がとるようなことは、今後学校に十分警告を発し、注意をさしていきたい、このように考えております。
○松前委員 私は、これで時間になりますので、終わります。
○大坪委員長 山田太郎君。
○山田(太)委員 前もってお断わりいたしておきたいことは、私は、いわゆる法律家ではありませんので、質問が専門的でもありませんし、勇み足もあるとも思いますが、御容赦を願っておきます。法務大臣も、私には非常に答弁しやすいのじゃないか、そのように思っております。ただ、国民の立場に立って、真剣に質疑を行ないたいと思いますので、よろしく願います。 このたび、勇断ともいえるような關谷勝利議員の逮捕許諾請求に踏み切られたことは、新聞等によりますと、非常にうれしいことである。ところが一面では、新聞論調等によりますと、このタクシー汚職事件も、大山鳴動してネズミ一匹で、小ものが犠性になって、逮捕許諾請求のみをクローズアップし、これまでのあまたの汚職事件と同じく、また黒い霧の人物があったとしても、それにふたをしてケリをつけるのじゃなかろうかという声があります。この声に対しての法務大臣の所感をまずお伺いしたいと思います。
○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。このたびの大阪のタクシー事件は、まことに遺憾な事件と考えておる次第でございます。御承知のように、目下捜査の最中でございまするので、この事件の内容とか、あるいはこれが将来の発展はとか、どうとかいう見通しのような問題は申し上げかねますので、その点御了承を願いたいと思います。
○山田(太)委員 法務大臣のそのような御答弁であろうかとも思っておりましたが、しかし、国民は真剣なまなざしをもってこの事件の処理を注視しております。ここに武州鉄道の汚職事件、売春汚職事件等の新聞の切り抜きも持ってきております。その当時の国民の世論がどのような過程を経て政治不信につながってきたか、事件に対する要望がよくわかっております。できればこの論調を全部でも読み上げたいところでございますが、時間の関係で一、二だけ読ましていただいて、大臣の注意を喚起しておきたいと思います。 まず事柄は違いますが、売春汚職事件に対しての昭和三十二年十二月十九日の毎日新聞の社説「売春汚職の捜査は、贈賄側といわれる「全性」二幹部の保釈によって、事実上ゆきづまったようである。まだ今後の取調べいかんによっては、進展が予想されるといっても、いままでの捜査の進行ぶりからみて、大きな期待は持てない。売春という不道徳行為にからんだ、極めていやらしい政界汚職が、こんな不徹底な形で終ることには、だれもが痛憤を禁ずることができないだろう。 こんどの売春汚職摘発は、通常国会の開幕までだといわれてきた。その国会がこの二十日から始まるので、捜査当局の中にも、これ以上のびるのは〃物理的〃にむずかしいという声があるそうだ。しかし、世間に「どうも政治的な圧力があったのではないか」という印象があることを、当局は忘れてはならない。もちろん、基本的人権を無視したゆき過ぎ捜査は、避けなければいけない。だが、たとえ国会が始まっても、政界人の取調べはできるし、逮捕が必要ならば、国会に許諾を求めることもできる。政治的圧力といった誤解を一掃するためにも、今後とも捜査を進めてもらいたい。 それとならんで、重要なことは、金をもらった疑いのある政界人のすべてに対し、捜査が進まなかったことである。〃運悪く〃シッポをつかまれた連中だけがバカをみて、ひっかからなかったものがヌクヌクとおさまっている。こういう不公平な結末には、絶対に承服できない。国民全部が納得のいくまで、捜査に努力をはらってもらいたいものである。 この際、我々は当局側にも反省を望みたい。当局側には、技術的にいろいろないい分はあると思う。大体汚職事件は、その性格からいって、摘発はむずかしいものだという。こんどの売春汚職では、徹底した証拠隠滅が行なわれ、また政治生命を気づかう政界人と〃仁義〃にあつい業者側が口ウラを合わせて、自供をこばんだのが特色とされている。しかし当局がもっと早く適切な手を打てば、こんな結果にならなかったのではないか。ことに、政界工作に使われたという膨大な金は、全国の業者から集められているのだから、その出所をついていけば、おのずから事件の発展は違ったものとなったろう。問題となった中央工作のほかに、各地区、各選挙ごとの地方工作もあったはずである。東京地検だけでなく、最高検の指揮下に警察側の緊密な協力を得て、全国的な規模でやるべきではなかったか。売春汚職がうやむやになりそうなことは、なんとしても残念だ。」このように述べてあります。まだあとも武州鉄道事件の汚職についても、やはり同じような世論と同じような新聞の社説等もたくさんあります。このような問題について、このたびのLP汚職事件と考え合わせて、法務大臣はこれを何と思われるか、御答弁を願いたいと思います。
○赤間国務大臣 このたびの大阪タクシー事件につきましては、検察当局が一致団結をいたしまして、この事件の捜索に非常な努力をして当たってきたことを私は認めておるのでございます。 それから特に申し上げたいことは、外部からこれに圧力を加える、あるいはその他この事件の捜査その他に妨げとなるようなことは、一切行なわれなかった。検察当局を信頼をいたしまして、検察当局のやる仕事が十分でき得るようにわれわれは見守ってき、連絡をしてきた、これは今度の事件につきましては、間違いなく私は言える。正しい明るい検察陣が今度の事件と取り組んでくれておる、かように私は考えております。御了承願いたいと思います。
○山田(太)委員 うやむやに終わったことは非常に残念であると、最後のほうにありますね。そういう事柄については、どう思われますか。
○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。うやむやに終わったとかいうことは、まだいま申し上げる段階ではない。いままだ捜査の途中でございますので、そういうことは、法務当局としては考えておりません。
○山田(太)委員 法務大臣は最後まで究明していくという御決意であると、こちらは承知してよろしいでしょうか。
○赤間国務大臣 お答えしますが、私の信頼する司法当局は、十二分にこの事件については捜査を遂行していくもの、かように私は信じております。
○山田(太)委員 では、次にお尋ねしたいことは、総理大臣をはじめ法務大臣も、国民の納得のいくようにこの汚職事件は必ず処理すると言われてまいりました。そこで、關谷議員に対しての逮捕許諾請求は、どういう理由であったか、それを聞かしてもらいたいと思います。
○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。去る十九日に大阪地検におきまして……。(山田(太委員「簡単でけっこうです、時間がありませんから」と呼ぶ)それじゃ……。とにかく逮捕するに必要な証拠を獲得をしました。それで大阪の地方裁判所に逮捕の請求をいたし、国会開会中でありますので、大阪の地方裁判所は内閣に逮捕の書類を回してまいったような次第でございます。
○山田(太)委員 その容疑はどういう容疑だったか、聞かしていただきたいと思います。
○川井政府委員 逮捕状を検事から請求いたしまして、裁判官が、検察官の疎明は十分であって、逮捕状を発付することは相当だ、こう認めて法律の規定に基づいて院の許可を申請した、こういう段階でございます。したがいまして、逮捕状請求書は訴訟書類の一部をなしておりますので、この容疑の内容につきましては、法律的にはまだここで公にすることはできないところであります。したがいまして、詳細申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、その容疑の概要は、この事件に関係をいたしまして、LPG法案の審議に関係して職務に関して収賄をした、こういう容疑でございます。
○山田(太)委員 では、川井刑事局長にお尋ねしますが、この収賄容疑は、だれが何をどうしたかということは答えていただけますか。
○川井政府委員 それはまだお答え申し上げる時期に来ていないように思いますので、お許しを得たいと思います。
○山田(太)委員 では、これもお答えないかとも思いますが、いままで何人調べて、あるいは参考人を何人呼んで、それはお答えできますか。
○川井政府委員 前代議士一名、それからいま問題になっております關谷議員のほかに、参考人といたしましては、国会議員を含めて数十名の方々について事情を聞いております。すべてが国会議員ということではございません。その中に若干の国会議員の方もおられる、こういう意味でございます。
○山田(太)委員 国会議員を含めて数十人という御答弁でありますが、できれば、その中に国会議員は何人いらっしゃいましたか、お答え願いたい。
○川井政府委員 純然たる参考人でありまして、検察の調べに協力なさった方々でございますので、名前はもちろんのこと、その数につきましても申し上げないほうが誤解を受けないでいいんじゃないかと思いますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
○山田(太)委員 もう一度お尋ねしますが、その数をもし答弁になったときに、どのような、捜査に差しさわりがあるのか、あるいは名誉棄損に差しさわりがあるのか。ただの数ですよ。それを答弁できない理由というものは、どういうものですか。
○川井政府委員 いろいろすでに巷間に名前とかなんとか伝えられておりますが、さようなさなかにおきまして何人という数字を申し上げることも、いろいろ伝えられるところとからめてまた誤解を生むおそれもあると思いますので、それらの方々に不必要な御迷惑をおかけしたり、またそれらの方々は純然たる参考人、検察の捜査に協力をしていただいておる方々でありますので、今後の協力を期待できなくなるという意味におきまして、今後の検察権の行使に重大な支障を及ぼすというふうにも思われますので、さような観点から答弁を差し控えさせていただきたい、こう思います。
○山田(太)委員 では、その点は納得しておきましょう。 では、もう一度あらためてお尋ねしておきますが、汚職議員の逮捕許諾請求の容疑は、LP課税事件についての収賄であると先ほどお話があったように思いますが、間違いないかどうか、もう一度返事してください。
○川井政府委員 ごく概略、大綱はそういうことでございます。
○山田(太)委員 では、ことばをかえてお尋ねいたしますが、もし本日の段階で——仮定ですよ、衆議院の本会議でもし逮捕許諾が可決になったと仮定して、關谷議員がいま入院中でありますが、取り調べに応ぜられない容態であった場合、どのようになるのか。これはきょうの読売新聞でございますが、「關谷代議士の病状が拘置に耐えられないと検察側が判断した場合=年内の逮捕執行は見送り来年に持ち越す公算が大きい。これは臨時国会閉会後の二十四日から通常国会召集の二十七日までの間に逮捕しても年内に釈放しなければならないという見方があり、通常国会開会後逮捕するときには再び衆院の逮捕許諾が必要となるからだ。さらに二十八日から来年一月二十日すぎまでは自然休会で、この間許諾請求が出されても議長職権による以外本会議が開かれないので早急に結論が出ない。こうした時間的な条件の制約で、同代議士の病状が悪ければ捜査は一時中断、越年して再開する。」このように新聞にも報道されておりますが、この点についてどうなりますか。
○川井政府委員 肝心の衆議院の許諾がまだ出ておりませんし、許諾されるのかどうかも私どもといたしましてはわかりませんので、その現在の段階において、その後の事態に対してどうするかということについては、ちょっとお答えできないと思います。
○山田(太)委員 もうわずかの時間で決定するわけでございますが、ただ關谷議員のことに関してだけでなしに、この逮捕許諾請求というものは、個人の問題でなく、議員全体の問題でもあるし、また全国民の注視の問題でもありますし、だから個人的な事柄に関連して尋ねているわけじゃない。したがって、御答弁願いたいと思います。
○川井政府委員 かりに許諾がなされたといたしました場合に、それは裁判所に対して許諾が参りますので、その許諾を前提として裁判官はあらためて逮捕状の発付ということについて考慮をして、逮捕状の発付という経過になるだろうと思います。逮捕状の発付を受けて、大阪地方検察当局が事態を十分慎重に見きわめた上で必要な措置をとるであろう、法務当局としてはかように考えて期待しております。
○山田(太)委員 時間がないので質問を省略しなければならない事態ですが、先日予算委員会で公明党の浅井委員の質疑ときに、山中議員から異例の一身上の弁明があったことは、御承知のとおりです。法務大臣も川井刑事局長もあの席におられたことですから、全部読み上げるのは省略させてもらいますが、ここで私なりにわからない点があるものですから、これは教えていただくわけです、質問も兼ねて。一部分を読みますね。これは予算委員会の会議録です。「ところが、四十一年の九月に——中旬でありますが、關谷先生が私の部屋に来られまして、そろそろ選挙ですね、まあそう、選挙必至でしょうね、という前置きをいたしましてから、金を差し出されました。その場であけたわけではありませんが、何ですかと聞きましたところ、先般、税法の問題で、私の顧問をしておると申し上げた大阪相互タクシーという会社のことで御心配をかけた、したがって選挙前でもあるし、ということでございました。私は關谷先生に、それは私としては関知せざることであります、国会議員として、先輩のあなたがわざわざ来室されて、税法の解釈について相談に乗れと言われたので、私ども同僚の当然のつとめとして、私はそれに対して大蔵省の解釈を頼むために、秘書にそれを持たしてやっただけですから、そのようなことをしていただくつもりはございませんし、お断わりいたしたい、さように申しました。当然、そのときは衆議院選挙直前でございますから、政治資金のあり方をめぐって一連の黒い霧で騒然としておる背景にあるわけであります。全く何も考えないで、ダボハゼみたいにすぐに飛びつくようなことがあり得るはずがありません。關谷先生に再三辞退をいたしました。關谷先生はさらに、いや、それは謝礼ということではない、今後ひとつ税法その他の問題等で、私も知らないし、いろいろと指導していただきたいということでありました。」そうしてこのあとで、後援会のほうに特別会費として入れました、そうしてそのあとで、LP課税が非常に、最初きまったものが実施が延期されてきた、四十四年三月までということは、これは書いてありませんように思いますが一ありますね、それも書いてありますね。そのようなこととの関連性といいますか、この問題についてはどのような御見解を持っていらっしゃるか、法務大臣に答弁なり、教えていただきたい、こう思います。納得できないかもわからぬが、もう一ぺん読みます。
○大坪委員長 時間がありませんよ。
○赤間国務大臣 山中議員の弁明は、私は次のように感じたのであります。金は若干もらったが、LPガス法案には全然関係がない金で、今回の事件には全然関係のない金をいただいた、こういう弁明の趣旨に私は拝聴いたしました。
○山田(太)委員 法務大臣はその感じたとおっしゃるわけですね。 これは時間がないから次に移ります。委員長が目をむいていますからね。
○大坪委員長 山田君、お約束の時間がだいぶ経過しております。あと二人ありますから、そのおつもりでお願いします。
○山田(太)委員 では、最後の質問に移りますが、法務大臣は、このような政治献金にからむ汚職要因を未然に防ぐためには、政治資金規正法の改正、及び刑法のうち収賄罪の一部改正はどうしても必要だという声がちまたにあふれておりますが、法務大臣の所見を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○赤間国務大臣 政治資金規正法の改正は、私は必要に考えております。おそらく来たるべき通常国会にこれが提出をせられることと信じております。 刑法の改正につきましては、いろいろな面から刑法の改正をいま研究中でございます。
○山田(太)委員 以上で終わります。
○大坪委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 私は、人権擁護の問題について法務大臣に所見を伺いたいのですが、日本においては労働者は就業人口の六割を占めております。この人たちの人権を守るということは、人権擁護の仕事の中でも非常に大事なものであると考えておりますけれども、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。労働者について、勤労者の団結権のような、いわゆる憲法の規定する基本的な人権が尊重されなければならぬと、私は考えております。労使間の紛争に関連して、このような権利の行使を妨げ、あるいは暴力を行使するというような事件が発生するということは、人権擁護の上からも非常に遺憾なことであると考えておる次第でございます。法務省といたしましても、人権擁護の観点から適切な措置を講じていかなければならぬ、かように考えております。
○松本(善)委員 現状において労働者の人権は守れているというふうに考えておられるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○赤間国務大臣 労働者の人権は、私は、現在においては一部においては守られてないような場合があり得る、かように考えております。
○松本(善)委員 最近、裁判所で労働者が勝訴をしたり、労働委員会で不当労働行為の救済命令が出たにもかかわらず、その結論に従わないで労働者の人権を侵害をしておるという事例が、非常に多いわけであります。例をあげますと、大阪の大淀区の神戸電機株式会社に勤務しておりました渡辺健一という労働者が解雇をされました。大阪地労委で原職復帰の命令が出ました。それからさらに、この命令について大阪地裁で原職復帰の緊急命令まで出したのに対して、会社側は過料の制裁を受けても緊急命令には従わないということを放言をしております。こういうような事態がある。また大阪にもう一つ同じような事件もあります。大阪証券取引所で首を切られました島吉君という労働者に対して地労委で救済命令が出て、地裁でさらにそれに対して緊急命令が出たにもかかわらず、大阪証券はこれに従わない。十月二十四日に二十万円の過料に処せられました。その事件について大阪地検が、裁判所から非訟事件手続法に従いまして過料に処することについて意見を求められたのに対して、なんと大阪地検の総務部長は、あろうことか、処罰は不要であると思料するという意見を出しておる。検察庁は、使用者が労働者の権利を侵害し、不当労働行為を行なうということを支持しておるというふうにも考えられる。法務大臣は、この裁判所や労働委員会で命じられたことに対して、公然と使用者が従わないということを言ったり、検察官がこういう処罰はしなくていいんだ、こういうようなことを言っている事態について、どのようにお考えになりますか、意見を伺いたい。
○赤間国務大臣 いまお述べになりましたような具体的な問題については、まだ報告を私は受けておりません。調査してお答えをしたいと思います。
○松本(善)委員 あらためてまた伺いたいと思いますが、こういう事例は大阪に限ったことではありません。次にあげますことは、法務省にも事前に連絡をしてあることでありますので、お聞きしたいと思いますが、東京江戸川の日本建設機械商事株式会社で、都労委がやはり原職復帰の命令を出し、その実行を使用者に求めたところが、社長が入っていった労働者に暴行を加えるという事件がありました。しかもこの会社は、未払い賃金を債権として製品、材料等を労働者側が差し押えましたそのときに、使用者側はその封印を破棄をいたしました。そうして物件を運び出しております。これに対しては労働組合側が地検に告発もしたし、東京地裁の執行官も封印破棄窃盗ということで、その使用者を東京地検に告発をしております。ところが、告発後今日に至るまで約三カ月もたっておりますのに、検察庁は何ら積極的に行動していない。労働組合側が担当検事に面会を求めても、二、三度にわたって面会を拒絶をされておる、こういうような事態があります。こういうふうなことを見ますと、検察庁は労働者の権利は守らなくてもよいんだというふうに考えている、会社側の違法行為は黙認をするというふうに見ざるを得ないと思います。法務大臣にこの点についての見解を伺いたいと思います。
○赤間国務大臣 日本建設機械株式会社の人権問題につきましては、十分取り調べてみたいと思います。
○松本(善)委員 取り調べてみたいということは、その取り調べで遺憾な点があれば正すという意味ですか。−記録に残らないから、ことばで答えてください。
○赤間国務大臣 それではことばで申し上げます。本件につきましては、現在まで人権擁護機関に申告等がないので、事件の内容を承知していないので、人権侵害の疑いがあれば、十二分に調査をいたすことにしたいと考えます。
○松本(善)委員 法務大臣の答弁は、先ほど頭をこっくりされましたので、わかったということに伺ったのですが、それでは全く見当違いであります。執行官が告発さえしている事態、労働者の債権で差し押えした物を使用者が持ち出している。それで、執行官さえ告発をしているというのに、検察庁が何ら動いていないということです。そういうばかなことはないのです。そういうことを是正するということでなければならないはずです。法務大臣はそういうことについて、人権擁護局にこなくても、これは当然やらなければならないことであると思う。厳格な処置を求めたいと思います。 それからさらに、こういう事例はほんとうに枚挙にいとまがないほどあります。調布にありますキューピー株式会社、これはキューピーマヨネーズをつくっております。ここでは労働組合の正副委員長、書記長、執行委員らを解雇した。そうして中労委では全員に原職復帰を命じました。ところが、会社側はその直後に、原職復帰を命じられた六名の労働者のうち、正副委員長、書記長三名をもう一度解雇すると称して原職復帰を拒んだ。ほかの執行委員三名については、中労委を相手にして裁判を起こして原職復帰を拒みました。これに対して中労委は、初めの三人については再解雇というのは救済命令の履行を免れるためのものだということで、不当労働行為の救済命令が不履行であるという通知を東京地裁に出しました。さらにそのほかの残りの三名については、裁判所から原職復帰の緊急命令が出された。そうして会社は三名の原職復帰を約束するに至った。ところが、その三名が会社に入りました十月二十四日以来、出勤が不能になった十一月二十二日に至るまで、前後十数回にわたって係長ら職制を先頭として数十名の男が、計画的、組織的に集団暴行を加えておる。そのやり方は、てめえら出ていけ、おまえらはぶっ殺すぞ、片腕をもぎ取ってやる、てめえらのからだをたたきこわしてやるというようなことを言って脅迫をし、突き飛ばす、ける、体当たりをする、腕をねじる、指で目や顔、鼻などを突く、耳を引っぱる。それから机や壁にぶつける、両手両足を押えて首をねじ曲げる、みぞおちをたたいたり突いたりする、首を締めあげる、わきの下をくすぐる、からだ中に爪を立てるなど、傷を外に残さない範囲でありとあらゆる考えられる陰険卑劣な方法でリンチをいたしております。しかもこういうことは非常に計画的で、閉じ込めて外から見えないところでやる。傷を残さないようにして、肉体的に弱い部分を責める。入れかわり立ちかわりやっています。係長らは直接手を下さず、そのやり方を監視する。暴行のあとが残っているうちは外に出さない。課長以上は陰に隠れている。こういうようなことが、労働委員会で救済命令が出され、裁判所の緊急命令まで出ている労働者に加えられている。その結果二名は一カ月から二カ月の入院、一名は一週間の加療を要する状態となって、会社に出勤できなくなった。法務大臣、人権擁護局長、この事実を聞いてどういうふうに考えるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○赤間国務大臣 本件は、本年十一月十五日に東京の法務局で受理して、目下調査中でございます。その詳細につきましては、人権擁護局長をして答弁をせしめます。
○堀内説明員 ただいまお尋ねの事件につきましては、解雇無効の中労委の命令がありましたのに対しまして、会社側が不服であるとして行政訴訟を起こしておりますが、これにつきまして、中労委の申し立てに基づきまして裁判所の発した緊急救済命令によりまして就労をしようとした第一組合員三名に対して、使用者側と第二組合がタイムレコーダーを押させない、あるいは帰れというようなことを言って連日いやがらせをする。そして不当に就労を妨害して、その結果二人の人がノイローゼなどの病気になってしまった、こういう申し立てがありました。なお、ただいまお話しのような事実は、今後調査の上で何らかの処置をしたいと考えます。
○松本(善)委員 この事件につきましては、私たちの党の中央委員会の労働組合部長の袴田里見氏、社会党の勝間田委員長、総評の堀井議長、こういうような人が告発人になって調布署に告発をしております。ところが、この告訴、告発は十一月三十日にされているにもかかわらず、警察はいまだに加害者に対して捜査もされておりません。警察庁は、こういう事態についてどういうふうにお考えになりますか。
○三井説明員 ただいまの点につきましては、十一月三十日に告訴、告発状の提出がございました。警察におきましては、さっそく告訴人から事情を聴取するとともに、目下捜査を鋭意続行中でございます。告訴人の中に入院されておる方もあって、事情を詳細聞けない点もございますが、すでに数回事情を聴取いたしておりますので、さらに細部について調査を進めるということで、目下捜査中でございます。
○松本(善)委員 そういう通り一ぺんの答弁では済まない事態です。そういう、いまここで簡単に述べたようなたいへんな暴行事件が行なわれている。もう二十日もたって、そして当事者は入院せざるを得ないというような状態になっていながら、会社側を警察はいまだに一人も調べていないということを聞いております。そういうようなことでは、検察庁にしろ、それから警察にしろ、労働者の人権をほっといてよろしいという考えであるとしか考えられない。こういう裁判でありますとか労働委員会で勝ってからでさえ、こういう事態でありますので、一般の人権侵害は非常に多いわけです。 労働省にお聞きしたいのですが、裁判所や労働委員会が、労働者に対する勝訴判決を出したり、あるいは救済命令を出した後に、それがどのように実行されているか、実際に復職をしているかどうかというようなことを調べ、法制上あるいは救済の措置上遺憾な点があるかどうかということについて調べているかどうか、その点をお聞きしたい。
○松永政府委員 ただいま御質問の点につきまして、緊急命令あるいは地裁に指示された命令がいかに実行されているか、あるいはまた裁判所で確定した判決が実行されているかという点につきまして、全国的に調べました資料はございませんが、それぞれの該当の地労委あるいは中労委におきまして、労働委員会規則によりまして、関係者に対しましてこれらの命令の履行状況の調査ができるたてまえになっておりまして、ただいま御指摘のキューピー事件等につきましても、中労委から使用者側に対しまして履行状況の報告をせいというようなことを言っておりますが、全国的に統計的に調べました資料は、ただいま持っておりません。
○松本(善)委員 裁判所にお聞きしたいのですが、この労働者の関係の裁判、雇用関係存在確認の訴訟でありますとか、地位保全の仮処分などは、非常に時間がかかっている。期日をきめるのに、仮処分事件でも証人尋問をきめるのに、東京地裁では四ヵ月くらいかかるというようなことはざらになっておりますけれども、おそければ六カ月もかかっておるというような事態です。終結してから判決まで二年もかかっているというような事態が起こっております。こういうことでは、労働者の人権というのはとうてい守れないと思うのです。裁判所の見解をお聞きしたいと思います。
○菅野最高裁判所長官代理者 御質問のとおり、労働事件につきまして裁判のおくれておると申しますか、具体的に申しますと、証人取り調べの期日が四カ月先になり、あるいは六カ月先になるというような事実があるのでございまして、これは労働事件の一つの特殊性によるわけではございまするけれども、しかしながら、この事態というものは改善せらるべき事態であろうというふうに考えておりまして、東京地裁におきましては、昨年は二部でありましたのを三部にふやした。それからその前に、三十八年までは一部であったのを二部にふやした。それを昨年さらに一部ふやしたというようなことで、極力事件の促進をはかり、労働者の権利というものの擁護に欠けるところがないようにいたしたい、こういうふうに思っておるわけです。
○松本(善)委員 法務大臣に伺いたいのですが、いま質疑の中で、簡単ですけれども明らかになりましたように、警察庁もこの労働者の人権の擁護については非常に不十分で、むしろ放置をしておる。裁判に勝った場合であってすら非常に権利が実現されてないという実情であることは、おおよそおわかりになったと思います。これについて、法務大臣として、また閣僚の一人としてどう考えられるか、その点を伺いたいと思います。
○赤間国務大臣 人権の擁護ということにつきましては、今後とも一そうその実があがるように、最善を尽くしていきたいと考えております。
○松本(善)委員 裁判に勝った場合でさえそうでありますので、裁判にならない前のは人権の侵害はほんとうにひどいものであります。 たとえば川崎の三豊製作所というところでは、就業規則で、従業員を構成員とする団体を会社内で設けるときは許可が必要だ、共産党の支部に対して、結成年月日、結成目的、責任者氏名、構成員氏名、活動状況を文書で報告して許可申請をするようにということを通告したり、就業規則そのものが憲法違反だというような事例が幾つもあります。あるいは労働基準法で休憩時間中は自由に利用させなければならぬというようなことがはっきり書いてあるにもかかわらず、その間に「赤旗」を配ったということで首にするというような事態もあるわけであります。こういう労働者の思想、信条、それから結社の自由、こういうような自由を守ることについて真剣な努力を払わなければならないと思いますが、法務大臣の担当者としての御意見を伺いたいと思います。
○赤間国務大臣 法務大臣といたしましては、すべての人の人権擁護ということに今後大いに意を注いでいきたい、かように考えております。
○松本(善)委員 これはすべての人というふうに言われましたけれども、労働者がわが国の就業人口の六割を占めております。そうして、いま述べましたように、きわめて放置をされている。むしろそれに触れないことがまるでいいかのように−警察にしても検察庁にしても、それから裁判所も、遺憾な事態でありながら、少しも改善をしていない。労働省にしても、それが自分たちの出しました命令の実行状況についての調査はきわめて不十分である。こういうような事態をどうしても一掃しなければならない。それでなければ、佐藤内閣がいまやっております——口ではいま法務大臣も人権擁護のためにやると言っておりますけれども、実際の事実は民主主義に反する事態が進行しているのであります。これは通り一ぺんのことばでは、決して解決しない問題であります。どうしても事実をもって改善するような努力を払われなければならないと思います。あらためて、さらにそういうような実際の事実を指摘しての話ですけれども、実効のあがるような措置をとるかどうかということについて、もう一度法務大臣の決意を聞きたいと思います。
○赤間国務大臣 すべての人に対しまして、実効のあがるような方法によって人権擁護の実をあげていきたい、かように考えております。
○松本(善)委員 質問を終わります。
○大坪委員長 中谷鉄也君。
○中谷委員 二、三法律問題についてお尋ねをいたしたいと思います。大臣にお尋ねをいたします。 国会議員に与えられている不逮捕特権は、国民から選ばれて国会議員が国政に参加をする、審議をする、そのようなきわめて重大な権利であると思いますが、逮捕許諾があった場合、それは、あくまで不逮捕特権は令状請求の、令状発付の要件であって、逮捕状の執行にあたっては、社会的身分、ことに貧富の差などによって逮捕状の執行は何ら左右さるべきものではないと私は考えますけれども、法律問題としてお答えいただきたいと思います。
○川井政府委員 大臣にお答えいただく前に、法律問題についてということでございますから、私から簡単にお答えすることをお許しいただきたいと思います。 許諾は発付の要件でございますので、逮捕状が出た暁におきましては、その逮捕状は、法律の命ずるところによって厳正公平に執行に着手するということになろうかと思います。
○赤間国務大臣 刑事局長が答弁したとおりに考えております。
○中谷委員 最近、いわゆる逃げ得というふうなことばがはやっております。特に組関係の人が、逮捕状の執行であるとか、あるいは勾留状の、いわゆる令状の発付等にあたって、病気であるということを申し立てる場合が非常に多い。あるいは保釈にあたっては、病気であることを申し立てて保釈の請求をして外へ出る。あるいは収監状の執行にあたっては、これまた病気であることを申し立てて収監状の執行を妨げるというふうなことが、往々にして行なわれるのですね。ことにそのようなことが行なわれるのは、組関係の人と、いま一つは、いわゆるかなり社会的な地位が高くて、医者などとの間でいわゆる特別な関係がある人において多いと思われるけれども、このようなことは、厳正な検察、いわゆる公平な法務行政のあり方からいって、断じて許すことのできないものだというふうに考えるけれども、大臣はいかがでございましょうか。
○赤間国務大臣 検察当局としては適切妥当な方策を講ずるものと、私は考えております。
○中谷委員 次に、刑事局長にお尋ねをいたします。 具体的に、逮捕状の執行等にあたって被逮捕者が病気の申し立てをした場合には、厳正な逮捕状の執行を確保するという意味において、どのような措置をおとりになっているか、この点についてはいかがでございましょうか。
○川井政府委員 個々の場合に、ケース・バイ・ケースでその事情に応じて適切な措置をとっております。
○中谷委員 特に提出されてくるいわゆる診断書というのが信頼性が少ないと思われる場合には、検察としては、そのような被逮捕者の診断等については、どのような措置をおとりになるかをお答えいただきたい。
○川井政府委員 具体的な問題についてどういうふうな措置をとるかは、今後の大阪地検の出方を見たいと思いますけれども、(中谷委員「大阪地検のことを言っているのではない。」と呼ぶ)過去の事例からいうならば、そういうふうな場合には、厳密な検察としての立場からの再調査をいたしまして、その再調査の結果に基づいて執行あるいは執行を猶予するというふうな、それぞれ適切な措置をとってまいりました。
○中谷委員 重ねて法務大臣にお尋ねをいたしまするけれども、不逮捕特権というのはあくまでも令状発付の要件であって、逮捕状の執行という問題については、社会的身分とか地位とかというものによって左右されないということに相なりますると、たとえ国会議員であったとしても、逮捕状の執行については、一般国民と同じ厳正な逮捕状の執行の対象になる、このことだけはひとつ大臣から明確にお答えをいただきたい。
○赤間国務大臣 検察当局といたしましては適切妥当なる方策をとるものと考えております。御了承願います。
○中谷委員 適切妥当というのは、措置が適切妥当であることは、当然期待さるべきことなんです。私がお聞きしているのは、問題は、いわゆる社会的身分、地位、あるいは議員であるとかないとかというふうなことによって、逮捕状の執行が差別される、あるいは平等を欠くというふうなことはあってはならないと考えるが、いかがであろうか、こういうふうにお尋ねをしているわけです。
○赤間国務大臣 私は、すべての国民は法律の前には平等である、こういう原則を全部堅持をいたしております。個々の場合においては適切妥当なる方策をとっていく、こういう考えであります。
○中谷委員 一点だけ法律問題をお尋ねしておきたいと思います。 かりに逮捕許諾があって令状の発付をされた場合、その会期が終了し次の会期が召集されたという場合、その会期中あるいは会期と会期の間逮捕状の執行ができなかったという場合には、どのような措置がその後とられるか。かりにですね、さらに次に召集された会期中において逮捕をしなければならないという相当性と必要性があるという前提に立った場合には、どのような措置が必要か、この点はいかがでございましょうか。局長のほうからお答えいただきたい。
○川井政府委員 非常に問題になっておる——一般論ということではございましょうけれども、この事態でいろいろ言うことは問題があろうかと思いますので、仮定論としての御質問でございますので、そういう段階に立ち至ったときに検察としては適当な措置を考えるということ以外に、ちょっとお答えのしようがないと思います。
○中谷委員 最後に、一点だけお尋ねをしておきますけれども、今度の大阪地検の今日までの努力の積み重ねについては、国民の多くは非常な期待と、そうしてこれを支持しておると思う。そういうような中で、本件におけるところのいわゆる逮捕許諾を求められるまでに至ったところの検察としては、あくまでも人権尊重の立場に立ちながら、罪を犯した者はいけないんだ、そうしてその罪というものについては、罪を犯したと疑うに足る相当な、いわゆる疑いの証明と、そうしてまたそのような確信と、そうして逮捕の必要というものについては、十分な確信を持って今後ともいろいろな捜査を続けていかれるということについての決意のほどを、最後にお伺いしておきたいと思います。
○川井政府委員 およそ検察官といたしましては、お教えのような態度をもって事に当たるものと信じております。
○岡沢委員 二点お伺いいたします。 先ほどの山田太郎委員の質問に関連いたしまして、法務大臣のほうで政治資金規正法の改正の必要を認めるという趣旨の御答弁がございました。私も、前回、十五日の委員会におきまして、高橋委員の発言その他と関連をいたしまして、政治資金規正法がざる法というよりも、むしろ違法の隠れみのになっておる、犯罪の隠れみのになっておるという場合すらあり得る。ことに具体的な例といたしまして、ただいま問題になっております關谷代議士に関連いたしまして、後援会が二つあって、松山会、二十日会、その二つの後援会をたらい回しすることによって、さらに一そう政治資金規正法の適用をあいまいにしておるというふうな報道もなされておるわけであります。政治資金規正法は、申し上げるまでもなく、「政党、協会その他の団体等の政治活動の公明を図り、選挙の公正を確保し、以て民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」とうたわれておりますけれども、実際の運用は、これとは全く逆な、政治資金規正法が逆に政党、協会その他の団体の政治活動の不公明を助長したり、あるいは民主政治の健全な発達を阻害するような、あるいは不健全な発達を逆に助長するような道具として使われておるというような事実を否定できないような感じがするのでございます。法務大臣は自治大臣ではございませんで、選挙の立場からお答えになったのではないというように私は解します。政治資金規正法の改正は、ことしの四月四日の選挙制度審議会の答申と関連いたしまして、選挙法の改正と結びつけて改正案が論議され、現在、本国会におきましても公職選挙法特別委員会におきまして取り上げられている問題ではございますが、先ほどの御答弁の趣旨は、その選挙制度審議会の答申、主として選挙関係から見た規正法の改正の必要ではなしに、ただいま私が指摘いたしましたような関連、ことにLPG汚職に関連しての御答弁を考え合わせますと、やはりこの贈賄事件の隠れみの、あるいは必ずしも贈賄事件とは限りませんけれども、政治の不公正を是正するという意味から、改正の必要性を認められたというように私は解すべきだと思いますが、間違いございませんか。
○赤間国務大臣 政治資金規正法は、ずいぶん前から改正の必要が皆さんから認められておるのであります。今度のLPGの問題に関してどうとかこうとかという問題ではありませんで、とにかくりっぱな政治資金規正法をつくっていくということは、国として必要なことである、そういう意味で、この通常国会にはりっぱな政治資金規正法の案が出るものと信じておる次第でございます。
○岡沢委員 もう一点、変わった角度からお尋ねをいたします。今度の開谷代議士の逮捕許諾請求が、法務大臣の御了解のもとに大阪地検に請求することをお許しになったというような記事と関連いたしまして、大阪地検の関係者、別所特捜部長等がほっとしたという、あるいは非常に喜びを隠し得なかったというような報道記事が出されております。あるいはまた、十六日の強制捜査に踏み切られたときにも、やはり大阪地検としては、関係特捜検事が喜び合った意味の報道があります。それからまた、種々この問題に関連いたしまして、検事総長の更迭等で非常に事件の捜査の態度とかスピードに変化があったというような記事もございました。私は、この種事件が厳正公平に、またただされるべきはただす、真実追求に意欲を燃やされることは正しいことであり、それを求めるものでありますけれども、いかにも犯罪者の出現を喜ぶという意味の報道が——これはそのままことばとしてあらわれているわけではございませんけれども、しかし、報道関係の方々がそういう趣旨に取られるような態度を担当の検察官あるいは当局が取られるということは、私は關谷代議士をかばうとかそういうことは抜きにして、少し行き過ぎではないかという感じを持つのでございますが、この辺についての法務大臣の御見解を聞きたいと思います。
○赤間国務大臣 岡沢議員のお考えと全く同感であります。私は非常に残念なことだということで、一種の、何と申しますか、悲しみを感じたのであります。ただしかし、好ましくない、やむを得ないことだけれども、これをやはりしなければならぬかなという、ほんとうに何と言うか、やるせない気持ちで事件を見たのであります。おそらく検察当局も、何も人を憎んだりするのではなくて、やはり罪を罪として取り扱わなければならぬ、そういう感じのものであると私は信じて、ほっとするとか喜ぶとかいうような、そういう心理状態は私にはわからない。岡沢さんと全く同じ考えでございます。
○岡沢委員 終わりますけれども、解釈はちょっと食い違うかもしれませんが、大臣もやはりそういう記事をどこかでごらんになってそういうような感情をお持ちになったとすれば、私も同感でございます。検察庁の御努力に対しては敬意を表しますけれども、しかし、強制捜査に踏み切られたとか、あるいは被疑事件が大きく前進したというようなことで喜びをするということは、行き過ぎであって、真実の究明については厳正であるべきだけれども、やはり私は、それとは別個に、検察官の態度は客観的に冷静であるべきだし、また、単なる感情を表面にあらわされることは、何かこの事件がまた別な意味で社会に迎合しているという印象をも与えるもので、私としては避けてもらいたいという感じを持ったので発言したわけであります。終わります。
○大坪委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会