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57回国会衆議院1967/12/14

法務委員会 第2号

発言数
296
登壇者
16
会派数
5
開催日
1967/12/14

会議録

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより会議を開きます。  この際、赤間法務大臣及び進藤法務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。法務大臣赤間文三君。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ただいま御紹介賜わりました赤間文三でございます。  私、このたび、はからずも法務大臣の重責をになうことになりました。御承知のように、法務省の仕事につきましては、未経験でございます。法務委員の皆さま方の今後格段の御協力と御指導、御鞭撻を衷心からお願いを申し上げる次第であります。  なお、この機会に、私の法務大臣としての心がまえの一端を申し上げ、何かと御支援を賜わりたいと存ずる次第でございます。  法務行政は、検察に関する事務あるいは民事行政に関する事務など、社会正義の実現と国民の権利の擁護にかかる非常に重要な事項を所管しておると思うのでございます。これは申し上げるまでもないことでございます。法秩序を維持して、平和な日本国民の生活を確保していくということは、非常に私は重要な問題である、私に課せられた一番大きなつとめであると考えておりまして、微力でございますが、皆さま方の御協力を賜わり、全力を尽くして職務を完全にやっていきたいと念願しておる次第でございます。  次に、検察権の運用についてでございますが、私は、今日まで検察の伝統を尊重しまして、あくまで不偏不党、しかも厳正公平な明るい態度で事に当たりまして、さらに今日まで検察が国民から信頼を受けておりますが、この信頼をさらに一そう高めていくということに力を用いていきたいと考えております。  なお、この際に綱紀の粛正について一言申し上げますと、国政に携わる者の綱紀の弛緩というものは、国民の国政に対する信頼を失わせて民主主義の基盤を危うくするものと、私常々から考えております。国政に携わる者の綱紀の粛正を厳粛にいたしまして、国民の信頼を政治につなぎとめるということに、今後一そう皆さま方の力をかりて努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。  最後に、法務省は刑法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。皆さま方にいろいろと御審議をわずらわしておるように承知をいたしておりますが、この問題につきましても、よろしくひとつ実現しますようにお願いし、その他民法、商法、刑法等、所管の法律についても改正の用意を目下盛んに検討いたしておりまして、これらについても、整備のでき次第御審議をわずらわしたいと存じておる次第でございます。  何ぶんにも未熟な者でございますが、今後皆さま方の一そうの御支援、御鞭撻を特にお願い申し上げまして、簡単でございまするが、一言就任のあいさつにかえさせていただきます。(拍手)

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 法務政務次官進藤一馬君。

進藤一馬自由民主党法務政務次官

○進藤政府委員 このたび、赤間法務大臣のもとに法務政務次官を拝命いたしました進藤一馬でございます。  ただいま法務大臣から所信を述べられましたが、その旨を体しまして、私も全力をあげて努力する決意であります。  私、まことに未熟で愚鈍でありますが、何とか誠心誠意職責を果たしたい念願であります。皆さまの御協力と御指導をお願いする次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 まず政府より提案理由の説明を求めます。赤間法務大臣。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。  政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみまして、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、以下簡単に改正の要旨を御説明申し上げます。  第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますので、今回もこれらの職員の俸給の増額に対応して、これを増額することといたしております。  第二に、その他の裁判官の報酬及び検察官の俸給につきましては、おおむね、その額においてこれに対応する一般職の職員の俸給の増額と同一の比率により、これを増額することといたしております。  なお、以上の改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十二年八月一日にさかのぼって適用することとし、また、一般の政府職員の例に準じ、昭和四十三年四月一日以降、暫定手当のうち一定の額を報酬または俸給に繰り入れる措置を講ずることとし、これを両法律案の附則において定めております。  以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 以上をもちまして、両案に対する提案理由の説明は終わりました。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 二、三の点について質問いたしたいと思いますが、まず最初に、何といいますか、非常に素朴な質問でございますが、一般政府職員は給与と、こういっておりますし、裁判官は報酬、それから検察官は俸給、こういっておるのでありますが、これはいろいろのいままでのいきさつとでも申しますか、沿革とでも申しますか、そういうことがあると思うのですが、どうしてこういう−何か一定したあれにしておいたほうがよろしいように思うのでありますが、この点についてまずお伺いいたします。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、給与と申しますのは、一般に俸給とその他の手当などを含めた意味に用いております。したがいまして、一般の職員につきましても俸給と手当というものがありまして、それを含めた意味で給与ということばを使っておるわけでございます。検察官につきましては、やはり一般の職員と同じく俸給と手当とございまして、それを含めた場合には給与ということばを用いておりますが、検察官の俸給法では、主として俸給に関する規定が設けられておりますので、俸給等に関する法律、こういう名称を使っております。それから裁判官の場合には、俸給に相当するものを報酬と呼んでおりますが、これは憲法の規定に裁判官の「報酬」という用語を使っておりますので、それにならいまして、特に裁判官だけは、俸給といわずに報酬ということばを使っているわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 ただ、ここで私感じたことを申し上げますと、民間では役員の給与は報酬といっておりますし、一般の従業員は給与、こう通称いっておりますので、どうも裁判官の報酬というのは、何というか、公務員の中でも一般地位的に高いという意味で報酬というのを使っているというような気がしてならないのでありますが、そういう点はないのでありますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 報酬ということばが特に裁判官についてだけ使われておりますので、御質問のような印象もないではないように思いますが、ことばの意味から申しますれば、両者同じことであって、別にどちらを地位の高いものに対して用いるというような差別されたものではないと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、この法案について二、三お聞きしたいと思うのでありますが、たしか一般の政府職員の給与の引き上げ率は七%と聞いておるわけでありますが、裁判官、検察官の報酬、給与のアップ率は、一体どういうことになっておりますか。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 まず政府より提案理由の説明を求めます。赤間法務大臣。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。  政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみまして、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、以下簡単に改正の要旨を御説明申し上げます。  第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますので、今回もこれらの職員の俸給の増額に対応して、これを増額することといたしております。  第二に、その他の裁判官の報酬及び検察官の俸給につきましては、おおむね、その額においてこれに対応する一般職の職員の俸給の増額と同一の比率により、これを増額することといたしております。  なお、以上の改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十二年八月一日にさかのぼって適用することとし、また、一般の政府職員の例に準じ、昭和四十三年四月一日以降、暫定手当のうち一定の額を報酬または俸給に繰り入れる措置を講ずることとし、これを両法律案の附則において定めております。  以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 以上をもちまして、両案に対する提案理由の説明は終わりました。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 二、三の点について質問いたしたいと思いますが、まず最初に、何といいますか、非常に素朴な質問でございますが、一般政府職員は給与と、こういっておりますし、裁判官は報酬、それから検察官は俸給、こういっておるのでありますが、これはいろいろのいままでのいきさつとでも申しますか、沿革とでも申しますか、そういうことがあると思うのですが、どうしてこういう−何か一定したあれにしておいたほうがよろしいように思うのでありますが、この点についてまずお伺いいたします。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、給与と申しますのは、一般に俸給とその他の手当などを含めた意味に用いております。したがいまして、一般の職員につきましても俸給と手当というものがありまして、それを含めた意味で給与ということばを使っておるわけでございます。検察官につきましては、やはり一般の職員と同じく俸給と手当とございまして、それを含めた場合には給与ということばを用いておりますが、検察官の俸給法では、主として俸給に関する規定が設けられておりますので、俸給等に関する法律、こういう名称を使っております。それから裁判官の場合には、俸給に相当するものを報酬と呼んでおりますが、これは憲法の規定に裁判官の「報酬」という用語を使っておりますので、それにならいまして、特に裁判官だけは、俸給といわずに報酬ということばを使っているわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 ただ、ここで私感じたことを申し上げますと、民間では役員の給与は報酬といっておりますし、一般の従業員は給与、こう通称いっておりますので、どうも裁判官の報酬というのは、何というか、公務員の中でも一般地位的に高いという意味で報酬というのを使っているというような気がしてならないのでありますが、そういう点はないのでありますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 報酬ということばが特に裁判官についてだけ使われておりますので、御質問のような印象もないではないように思いますが、ことばの意味から申しますれば、両者同じことであって、別にどちらを地位の高いものに対して用いるというような差別されたものではないと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、この法案について二、三お聞きしたいと思うのでありますが、たしか一般の政府職員の給与の引き上げ率は七%と聞いておるわけでありますが、裁判官、検察官の報酬、給与のアップ率は、一体どういうことになっておりますか。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 まず政府より提案理由の説明を求めます。赤間法務大臣。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。  政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみまして、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、以下簡単に改正の要旨を御説明申し上げます。  第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますので、今回もこれらの職員の俸給の増額に対応して、これを増額することといたしております。  第二に、その他の裁判官の報酬及び検察官の俸給につきましては、おおむね、その額においてこれに対応する一般職の職員の俸給の増額と同一の比率により、これを増額することといたしております。  なお、以上の改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十二年八月一日にさかのぼって適用することとし、また、一般の政府職員の例に準じ、昭和四十三年四月一日以降、暫定手当のうち一定の額を報酬または俸給に繰り入れる措置を講ずることとし、これを両法律案の附則において定めております。  以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 以上をもちまして、両案に対する提案理由の説明は終わりました。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 二、三の点について質問いたしたいと思いますが、まず最初に、何といいますか、非常に素朴な質問でございますが、一般政府職員は給与と、こういっておりますし、裁判官は報酬、それから検察官は俸給、こういっておるのでありますが、これはいろいろのいままでのいきさつとでも申しますか、沿革とでも申しますか、そういうことがあると思うのですが、どうしてこういう−何か一定したあれにしておいたほうがよろしいように思うのでありますが、この点についてまずお伺いいたします。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、給与と申しますのは、一般に俸給とその他の手当などを含めた意味に用いております。したがいまして、一般の職員につきましても俸給と手当というものがありまして、それを含めた意味で給与ということばを使っておるわけでございます。検察官につきましては、やはり一般の職員と同じく俸給と手当とございまして、それを含めた場合には給与ということばを用いておりますが、検察官の俸給法では、主として俸給に関する規定が設けられておりますので、俸給等に関する法律、こういう名称を使っております。それから裁判官の場合には、俸給に相当するものを報酬と呼んでおりますが、これは憲法の規定に裁判官の「報酬」という用語を使っておりますので、それにならいまして、特に裁判官だけは、俸給といわずに報酬ということばを使っているわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 ただ、ここで私感じたことを申し上げますと、民間では役員の給与は報酬といっておりますし、一般の従業員は給与、こう通称いっておりますので、どうも裁判官の報酬というのは、何というか、公務員の中でも一般地位的に高いという意味で報酬というのを使っているというような気がしてならないのでありますが、そういう点はないのでありますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 報酬ということばが特に裁判官についてだけ使われておりますので、御質問のような印象もないではないように思いますが、ことばの意味から申しますれば、両者同じことであって、別にどちらを地位の高いものに対して用いるというような差別されたものではないと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、この法案について二、三お聞きしたいと思うのでありますが、たしか一般の政府職員の給与の引き上げ率は七%と聞いておるわけでありますが、裁判官、検察官の報酬、給与のアップ率は、一体どういうことになっておりますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 裁判官について申し上げますと、今回の裁判官の報酬の引き上げ率は、裁判官の官職あるいは号俸によってそれぞれ違っておりますが、全裁判官を通じまして今回の給与改定による引き上げ率を平均いたしますと、おおむね九・七%ということになっております。それから検察官のほうは、同じく全体を通じて申しますと九・一%、いずれも一般職の職員の俸給の改定率よりは幾分高くなっております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 そうすると、裁判官は二・七%、検察官のほうは二・一%高いということになっておるのでありますが、たしか前回の改正のときには、この引き上げ率は一般政府職員のアップ率とほとんど変わりなかったように思うのでありますが、今回は相当差異があるというのはどういうことですか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 昭和四十一年、つまり前回の改定でございますが、その際は、一般職の職員の俸給表の全体の改定率が六%、それに対しまして裁判官のほうは五・一%、それから検察官のほうは五・二%、今回とは反対に裁判官、検察官のほうが少なかったわけであります。今回これが逆転いたしまして、裁判官、検察官のほらが高くなっておるのはどういうわけかという点でございますが、御承知のように、一般職の俸給表の改定におきましても、個々の職種、それから等級によりまして、改善率は必ずしも一様ではないのでございまして、非常に引き上げ率のよいところでは一一%をこえるものもございますし、低いところでは七%を割り六%程度になっておるところもございます。そして全体を通ずると、先ほど仰せのように七%ということになるわけでございますが、全体を通観いたしますと、比較的指定職の部分が高くなっておるわけでございます。  ところで、裁判官の報酬あるいは検察官の俸給につきましては、従来から、御承知のように、対応金額スライド方式によりまして、金額において対応する一般職の職員の俸給と同じ率によって引き上げるという方法をとってまいりました。ところが、今回の一般職の俸給表の改定におきましては、指定職の部分が比較的改善率がよい。それに対応いたしまして、裁判官の多数を占めております判事が、すべてこの指定職の部分にスライドして上がっておる。それから、検察官の場合には、検事の一号から八号までが指定職の部分にスライドして上がっている。こういう関係で、裁判官、検察官につきましては、比較的高いところにスライドする部分が今回は多くなっているということで、全体の率が高くなっておるわけでございます。  なお、なぜ一般職の俸給表の中で特に指定職の部分が引き上げ率が高くなっておるかという点でございますが、これは一つには、指定職以外の職員につきましては、今回の改定によりまして勤勉手当が〇・一カ月分増額になっておるという事情がございます。それからもう一つは、指定職の部分につきましては従来引き上げ率が低かった、それを多少是正するという意味が加わっておったためであると思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それではいま一点お聞きしたいのでありますが、これは民間でも同じことでありますけれども、最近の人間の不足、したがってこの確保をするために一番問題になるのは初任給でありますが、これは裁判官、検察官のいわゆる初任給のアップ率はどうなっておりますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 裁判官の場合の初任給と申しますと、判事補の十二号がそれに当たるわけでございますが、この十二号について見ますと、アップ率は七・三%でございます。検察官の場合には、検事の二十号がこれに当たるわけでございますが、それは判事補の十二号と同様でありまして、同じく七・三%でございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 そういたしますと、一般の裁判官、検察官が九・七、九・一というようなことで、どうも初任給のアップ率は私は少ないように思うのですが、そういうことないですか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 これは先ほど申しましたように、対応金額スライド方式によりましたために、今回の俸給の改定におきましては、判事補よりも判事のほうの部分が引き上げ率が高くなっておる。検事につきましても、八号以上の検事のほうがアップ率が高くなっておる。そういう関係で、どちらかと申しますと、下のほうの号俸につきましてはアップ率が幾ぶん下がっておるということでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、来年の四月一日以降、裁判官、検察官については暫定手当の一部を逐次報酬、俸給に繰り入れることになっておりますが、その内容を……。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 仰せのとおり、今回の給与改定におきましては、暫定手当の一部を俸給に繰り入れる措置を講ずることにいたしております。これは一般の政府職員につきましてこういう措置がとられることとなりましたので、裁判官、検察官につきましても、同じく同様の措置をとることにいたしたわけでございます。この暫定手当と申しますのは、御承知のように、昭和三十二年に勤務地手当が廃止されましたときに、従来勤務地手当の支給を受けておりました者が、これが廃止されることによって不利益を受けることを避けるために、臨時的に設けられた、その名のごとく暫定的な手当でございます。したがいまして、この暫定手当が設けられました当時から、暫定手当は将来において逐次俸給に繰り入れてこれを整理するということが確認されておったわけでございます。この方針に沿いまして、すでに過去二回にわたりまして暫定手当の一部が繰り入れられたわけでございますが、今回はそれに引き続いて第三回目の繰り入れを行なうことになっております。  それで、この繰り入れの内容でございますが、非常に複雑になっておりますので、従来の経過から説明申し上げないとおわかりにくいのではないかと思います。それで少し以前のことから申し上げますが、この暫定手当というのは、俸給の月額によって支給額に差異があることは当然でございますが、このほかに、在勤する地域によって支給額に差異が設けられておったわけでございます。すなわち、暫定手当を支給する地域は、一級地、二級地、三級地、四級地と四段階に分かれておりまして、たとえば一級地において千円の暫定手当を受ける者は、二級地に行けば二千円の暫定手当を受ける、三級地に行けばその三倍の三千円の暫定手当を受ける、四級地に行けば四倍の四千円の暫定手当を受ける、こういう関係になっておったわけでございます。ところが、過去二回の繰り入れによりまして、そのうちの二千円分が本俸に繰り入れられました。それに対応して一級地と二級地では暫定手当は支給されないことになったわけでございます。それで現在では、先ほどの例で申し上げますと、三級地に在勤しておる者には千円の暫定手当を支給する、四級地に在勤しておる者については二千円の暫定手当を支給する、こういう形に変わってきたわけでございまして、そこで今回は、三級地に在勤する分の暫定手当を三年間にわたって俸給に繰り入れる、こういう措置を講ずることにいたしました。その繰り入れる方法といたしましては、それをさらに三回に分かちまして、三級地に在勤する者に支給する暫定手当のうちの五分の一を昭和四十三年四月一日から俸給に繰り入れる。それから、さらに残りの五分の二を昭和四十四年四月一日から俸給に繰り入れる。最後に残りました五分の二を昭和四十五年の四月一日から俸給に繰り入れる、こういう繰り入れ方をすることになったわけであります。これは一般職員の場合でございまして、たとえば特別職でありますとか指定職俸給表の甲欄に掲げております職員につきましては、多少形が変わっておりますけれども、要するにそういう形でもって三回に分けて暫定手当を俸給に繰り入れるということになったわけでございます。これに対応いたしまして、裁判官、検察官にも同様の措置を講ずることになるわけでございまして、繰り入れることになったわけでございますが、裁判官、検察官の報酬、俸給への繰り入れにつきましては、今回提出いたしました各法律案の附則でそのことを規定してあるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次にお尋ねしたいのでありますが、人事院の勧告で都市手当というものについて勧告をしたものを、今度は調整手当という名目で一般職に給与するということで、裁判官、検察官についてもこれに準ずるということになったわけでありますが、いまの御説明を聞きますと、暫定手当と都市手当に相当する調整手当との関係が、どうも何だか重複するような、一方においてはなくする方針でいながら、同じ趣旨のようなものをまたつくるというように思われてならないのですが、これは法務省へ聞く筋合いのものではないかもしれませんが、その点についてどうお考えになりますか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 仰せのとおり、今回の改正におきましては、一方において従来の暫定手当を整理していく、他方において新たに調整手当を設ける、こういう措置を講ずることになっております。これはまあ確かに多少趣旨の似通ったものを、一方は廃止して一方は新設するという形になるわけでございますが、今回設けられました調整手当というものは、主として、民間の給与が非常に高い、したがって、公務員の給与との間にはなはだしくアンバランスを生ずる。その他物価、生計費が非常に高いという地方におきましては、公務員の採用が非常に困難であるというような点を顧慮いたしまして、新たに設けることになったわけでございます。従来の暫定手当というのは、先ほど申し上げましたように勤務地手当を廃止する、その暫定的な措置として認められていたものでございまして、これは昭和三十二年に暫定手当が設けられましてから、その額は定額で据え置かれました。かえって、先ほど御説明申しましたように、少しずつ整理されてきているものでございます。そこで、この暫定手当をそのまま復活させて新しい地域的な調整を行なう手当として使うということは、制度的にも非常に趣旨が一貫いたしませんので、廃止すべきものは廃止し、新設すべきものは新設する、こういう前提に立って今回の措置がとられたものである、かように理解いたしております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それでは、この調整手当の内容、ことにこれはたしか甲地、乙地に分けて支給をされるのだと思いますが、これを具体的にちょっと説明してくださいませんか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 調整手当は、ただいま申し上げましたように、民間の給与、物価、生計費などが著しく高い地域に在勤される公務員に対して支給されるものでございます。その根拠となります規定は、一般職の職員の給与に関する法律に新設を予定されております十一条の三の規定でございます。この規定によりますと、特に調整手当を支給する必要があると認める地域は人事院規則で指定することになっておりまして、その指定された地域に在勤している職員がこの調整手当を受けるということになるわけでございます。そうしてその支給額は、俸給とそれから俸給の特別調整額、それに扶養手当を加えたものの月額を基礎といたしまして、人事院が甲地と指定した地域に在勤する職員につきましては六%、乙地と指定した地域に在勤する職員につきましては三%というふうに定められております。これは一般の職員に関する規定でございますが、裁判官、検察官につきましても、これに準じて調整手当が支給されることに予定されておるわけでございます。  どういう根拠で裁判官及び検察官に支給することになるかと申しますと、裁判官につきましては、裁判官報酬法の第九条に、裁判官に対しては一般官吏の例に準じて最高裁判所が規則で定めるところにより手当を支給するという規定がございますので、この規定に基づいて最高裁判所で規則をお定めになって、それに基づいて調整手当が裁判官に支給される、こういうことになるわけでございます。  それから検察官に対しましては、検察官俸給法の第一条第一項の規定によりまして、検察官には一般官吏の例によって手当を支給するという規定がございますので、この規定によりまして当然に一般官吏と同様の調整手当が支給されることになる、こういうわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 この甲地、乙地を具体的に……。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 申し落としましたが、どういう地域が甲地と指定され、どういう地域が乙地と指定されるかという点でございますが、これはこの法案が通過いたしました後に人事院規則で定められることになりますので、現在その内容がどういうことになるかということは承知していないわけでございますが、ただ、この調整手当が新設されると同時に従来の暫定手当が整理されていくということになりますので、人事院で甲地、乙地の指定をするにあたりましては、暫定手当から調整手当に移っていく、と言うと多少語弊がございますけれども、その間の移りかわりが円滑にいくような配慮をした上で定められることになろう、かように考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 最後に、この検察官の俸給等に関する法律の四条の改正というのがありますが、これは待命中の検察官に対して調整手当を支給することになるんだろうと思いますが、調整手当というのは都市手当——甲地、乙地を分けて支給するということになると、待命中の検察官に対して支給するということは変なことになるんじゃないかと思われるのですが、この点はどうなんですか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 御指摘のように、待命中の検察官、つまり検察庁法の二十四条の規定によりまして法務大臣から欠位を待つことを命じられた検察官に対しましては、今回の改正によりまして調整手当を支給することにしたいと考えておるわけでございます。なぜ待命中の者にまで調整手当を支給するのかという疑問は、一応ごもっともだと考えられます。しかしながら、一般の職員につきましては、この待命に相当する制度はございません。これに非常に似た制度といたしまして、休職というものがございます。これは待命の場合も休職の場合も、同じく勤務にはつかないけれども、公務員としての官位は保持しておる、身分は保持しておる、こういう関係に立つわけでございます。今回の給与改定に際しまして、一般職員につきましては休職している公務員に対しても調整手当を支給するという規定を設けることになりましたので、それとの均衡もあって、検察官にも調整手当を支給するということにいたしたわけでございます。  なお、この調整手当とは多少趣旨が違うわけでございますが、現行の暫定手当でございますが、これは待命中の検察官、それから休職中の公務員に対しましても支給されることになっておりまして、それとの関係から考えましても、やはり支給することのほうが相当ではないかというふうに考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 調整手当というのは、勤務地によって支給するものでありましょう。待命中の検察官は、勤務地というのはきまっていないのだと私は思うのですが、その点はどうなんですか。

川島一郎法務大臣官房司法法制調査部長

○川島説明員 勤務地につきましては、待命を命ぜられた際の勤務地を基準として手当の支給の有無等をきめるというふうに考えております。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連して高橋君。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 大臣がおられるから、重大問題についてちょっと御研究を願いたいのです。裁判官の関係もあるのですが、裁判官、検察官ともに超勤手当というのは特にないわけです。これは一般職との関係で俸給によほど格差があった時代にああいう制度にしたのですが、現在は格差が非常に縮まっておるし、検察官のごときは、野党のお好みの汚職事件などで夜の夜中までやるのです。この間の寿原君のごときは、三時に逮捕状を請求したというようなことで、第一線の検察官は、夜間勤務も激しいわけなんです。夜タクシーを拾って自分の金で乗るとか、夜食も特に手当が出ないというようなことで、非常に気の毒な立場にあるようなんでございます。したがって、今日の情勢としては、超勤手当を一般職公務員同様に支給するのが本筋ではないかという議論が持ち上がって、四、五年前からこれは法務部会でも問題になっておるわけであります。ところが、判事さんとなるとそうはいかない。裁判官なんかは、そもそも夜勤手当が出るほどの仕事をしないということで、バランスがとれないのじゃないかというふうな問題が起こっておる。ところが、裁判官に対してそれならほかの方法でいまのバランスをとるようにしてあげたらいいのじゃないかというので、研究費とかいうことになって、最高裁判所では三十万円ほどを支給されておるというようなことになっておる。実際その裁判官が自宅で研究なんかをされるのに、書籍なんかも自分が一々買わなければいけないから、たいへんな出費があるにもかかわらず、その手当がないというので、非常に困っておられる。裁判の進行上非常に障害を来たしておるというふうな事情もあるわけなんです。最高裁判所だけは何とかそれは調整がついておるようですが、高等裁判所以下の一般の裁判官に対しては、これがない。したがって私は、この際検察官なんかに対しては、超勤手当を復活することによって何とか待遇を改善してあげなければいけないし、一般の裁判官に対しても、研究費というようなものでも支給してあげて、その職務を完全に執行してもらうというふうにしていただきたいと思うのですが、その点について、現在法務省や最高裁判所のほうにおいては御研究になっておりまするか、おりませんか。おられないとするならば、これは重大問題ですから、ぜひひとつ御検討を願いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ただいま裁判官、検察官、警察官等のようなものに対する勤務手当その他の方法でできるだけ実情に合うように優遇すべきであるという御意見でございますが、私どもも非常にありがたく存じておる次第であります。全く同感でございます。ただ、給与の問題は、御承知のように、いろいろな方面に関係が深いのであります。各方面との均衡を保ついろいろな実際の問題があると思います。なおまた御承知のように、検察官の待遇はそう悪くなくても、このごろは就職する人が比較的少ないというような特殊な事情もございますので、お話しの点は十分前向きの姿勢で、ひとつ優遇ができるような方法をとくと研究してみたいと考えておりますので、御了承を願います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 質問を終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 加藤勘十君。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕

加藤勘十日本社会党

○加藤(勘)委員 ただいまは裁判官、検察官に対する報酬、給与等についての法律の審議の過程でありますが、私はこれに関連して、検察官の行動について二点お伺いをしたいと思うのです。一つは大臣から直接に、一つは法務当局からでけっこうであります。  第一の点は、いま城東郵便局におきまして局長の暴行事件が起こって、それを東京地方検察庁に告訴をする。そしてこれは田中公安部検事が担当をして調べられることになっておるのでありますが、事件の起こったのは八月の末で、告訴状が出されたのが九月の月初めであります。したがって、今日まで相当の時間を経過しておる。にもかかわらず、事態の取り調べは一向に進捗していない。私も検事に二度会いまして、いろいろ事情を尋ねたところが、実は途中から羽田事件が起こって、そのほうに全力をあげて捜査に当たっておるためにおくれておるが、羽田の事件の取り調べが一段落つけば、他の事件に先立って率先して調べる、こういうことの約束は得ておるわけであります。二度とも同じ答えでありました。今日の公安検察関係の方々にしてみれば、一応は無理がないことと私も了承します。了承しまするが、事柄は単なる傷害事件にすぎないけれども、その及ぼす影響は、全逓信従業員の大部分に関連してくる問題であります。一時は、年末の一時金闘争の問題にも関連したのでありまするが、そのほうは幸い結末がついて、残ったのは城東の告訴事件だけが現在まだどうにもならない状態にある。これを至急に調査をして、公正なる処置をとってもらわぬことには、いつまでもこういう事件がうやむやにされておるということになれば、従業員に非常に大きな刺激を与え、ある意味においては挑発することにさえなるんであります。ことに大臣にお伺いしたい点は、このことが今日まで進行しないために、あらぬデマが各郵便局において行なわれておる。そのデマはどういうデマかというと、有力なる議員が検察庁に働きかけておるから、この問題は問題にならない、こういうことが郵便局のいわゆる課長級以上の管理者側から出ておるわけです。これはどんなに従業員を刺激するか。また、私どもはそんなことがあり得べからざることと信じたいです。ところが、そういうデマが飛ばされておるために、葛飾の郵便局においては、またしても暴行事件が起こったのです。そうしてそういうことがどういうことになるかといえば、従業員に対する非常な挑発、反発せしむる契機になるわけであります。いま従業員の諸君は、非常にそのことについて心外に思い、遺憾に思っておる。いま私はここで大臣の就任のごあいさつを聞きまして、そういうことはあり得べからざることであるということを信じます。信じまするが、事実はそういうデマが飛ばされて、それが具体的に暴行事件にまで——これは局長でありません。課長です。課長の暴行事件にまで及んでおるということになれば、法務当局がいかに公正、善良に事態を処理されようとしても、事実は、末端において違った結果があらわれてきておる。これではならぬと思います。これもひっきょうするに、検察当局が事務の繁忙によってその事態を処理することがおくれておるというところから出ておると思います。われわれは決して人を罪することを望んでおるのではない。あくまでも公正に事実を事実として調べてもらって、そしていずれになるか知りませんが、早く処断をして、従業員をして安堵せしむるようにしむけなければならないと思います。したがって、私は、いま申しましたそういうデマが具体的に飛ばされておるわけなんですから、それでその結果が葛飾の郵便局においての局長の暴行事件となってあらわれておるということを見ますると、事柄は小さな暴行傷害の事件であっても、その及ぼす影響は、逓信事務全体に非常に大きな影響を及ぼすと思います。ことに、いま正月を控えて、ただでさえ郵便事務がかれこれ言われておるときに、従業員をしてそういうように反発せしむるような行動を当局側からとっておる。しかも、その当局側のとっておる行動のよってきたるところは、有力なる議員が検察庁に働きかけておるということが原因になっておるとしますると、私は、事は容易でないと思います。これらの点について、法務大臣としてのお考え、それから事務がおくれておるという田中検事のお話、これは一応ごもっともと思いまするが、羽田事件について公安部があげて力を入れておられることもわかりまするけれども、しかしながら、私はそういう及ぼす影響の大きいという社会性にかんがみて、早急にそれを処理されるようにはかられるべぎではないか、こう思いまするが、これに対して法務当局のお考えはどうであるか、この二つの点をお伺いしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。いまお話を承りまして、私非常にごもっともに考えております。何か有力な議員が働きかけておるとかというようなことがもしあれば、私は非常に好ましくない。私の一番きらいなことで、私が法務大臣をやっておる間は、正しいことはあくまで正しい、やるべきことはどんどんやって、あくまで国民の権利を擁護していく、自由を守っていくという、これにひとつ徹底していきたいという念願に燃えております。  いまお話しの葛飾の郵便局の暴行事件等につきましても、ひとつすみやかにこれが処理が済むように尽くしていきたい、かように考えている次第でございます。私はやはり一国の治安、警察というものは、信用を得るということが一番大事だ。検察当局もすべての国民から、とにかく現在も信用を得ておりますが、さきにも言いましたように、一そう信用を得て、外部の力に災いされず、ほんとうに正しいところにいくというところに、私は非常に大事なことがあると思います。そういうことに今後も努力をしていきたいと考えておりますので、御了承願います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 あとの葛飾の局の事件につきましては、まだ報告が参っておりませんので、後刻また調査をいたしまして、適当な機会に御説明を申し上げることにしたいと思います。  それから最初の城東支部の事件につきましては、一応報告が参っておりますし、その間の事情を調査しておりますので、ごく簡単に御説明を申し上げたいと思います。  この事件は、ただいま仰せのように、八月三十日に事件が発生いたしまして、直ちに郵便局長のほうからの親告に基づきまして、城東の警察が捜査に着手をいたしております。それから九月一日に、今度は労組側のほうから、郵便局長にも暴行があったということで、同じ警察に告訴、告発がなされておりまして、この城東警察署におきましては、双方を取り調べをいたしまして、双方に傷害の容疑があるということで、九月の末の九月二十八日に東京地方検察庁に事件を送致ないしは送付してまいりました。直ちに主任検事をきめまして捜査に取りかかったのでございますが、先ほど仰せのように、羽田事件という突発事故が起きまして、東京地方検察庁、現場で働ける検事が約百二十名でございますけれども、そのうち九十名を動員いたしましてこの捜査に従事いたしました結果、残念ながら身柄つきでない、在宅事件と称しておりますが、そういうような事件につきましては、その間一月余り捜査が渋滞したことは、御指摘のとおりでございます。しかし、大体において処理が終わりましたので、おくれておった事件につきまして一斉に捜査を開始しておる、こういう報告に接しておりますので、この事件につきましても、間もなく公正な判断がなされるものと期待をいたしている次第でございます。  なお、本日、さらにこの種の事件につきましては、またほかの暴行事件を誘発するようなおそれもある、現に起きているではないか、こういうふうな御指摘でございますので、よくその点を承知いたしまして、迅速に適正な処理が早く行なわれて、波及を防止するように私からまた検察当局のほうに伝えることにいたしたい、かように思っております。

加藤勘十日本社会党

○加藤(勘)委員 ただいまの大臣なり当局のお考えは、私ども了承します。ぜひそうあってほしいと思います。ただ、しかしながら、あなた方がどんなに善良であっても、いま言うように、下のほうでいろいろなデマが飛ばされる。私は、こういうデマが流れるということは、明らかに検察に対する威信を失墜せしむることになると思うのです。そういう事実ないことがあるがごとくに喧伝されておる。そしてそれが多くの人々にいろいろな意味においての影響を与える、ということになりますると、そのデマを流す人間は、これが検察当局を傷つけるなんという考えはなくてやっておると思いまするけれども、しかし、事実は検察当局の権威を著しく傷つけるものであると思います。こういうことは許されることではないと思います。でありまするから、どうかあくまでもそういうデマが出てくるようなすきを与えないようにしてもらいたい。これはよくおわかりですね。どうかそういう意味におきまして、亀戸事件の真相につきまして、検察庁にはもう三万何千名という人の署名が出て、請願書が出ておるわけなんです。そういうくらいの事件でありまするから、小さい事件だというて簡単に処理されないで、十分に真相を調査されて、その上で公正な処置をしてもらいたいということを重ねて申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょっと速記をとめて。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 速記をとめてください。   〔速記中止〕      ————◇—————

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 速記を始めて。  法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件につきまして調査を進めます。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほど法務大臣の施政方針のお話を伺いましたが、この機会に、あしたおいでにならないそうでございますから、法務行政一般につきまして、大臣の所信をただしたいと思います。  第一は、法務行政の中のみならず、すべての各省にわたるのでありますが、いわゆる一局削減の問題でございます。伝うるところによりますと、法務省におきましては訟務局を廃止なさるような予定と聞いております。私も行政を簡素化し、重点を配置がえするということについては、原則的に異議を申すわけではございませんけれども、訟務局というところは実務のところなんですね。実務のところなんだから、国民の訴訟に対して、国が各省のことを代行する仕事をなくするわけにはいくまいではないか、どうして一体なくすることができるのだろうか、名前が、局がなくなっても、実際にやる仕事の削減のしょうがないではないか、こう考えるわけでありますが、単に局の名前をなくして、実際の人員も、予算だっていま少ないのだろうから、一切のことは何ら変わらないということであるならば、全くこれは形式論に終わるのではないか。したがって、そういう画一的な一局削減論というものについては、いかがかと思う。もっとほんとうに科学的に、合理的に、政治的に、この際この仕事はなくしてもいいんだというところに問題の中心を据えるべきではないかと思われるのですが、法務大臣のこれに対する御意見を伺いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。法務省といたしましては、お述べになりましたように、現在ありまする訟務局を部にして官房の中に入れる、こういう考えで、いま事務をいろいろと研究をいたしておるような次第でございまして、できるだけ簡素化をいたしまして、しかも仕事には差しつかえのないようなことを盛んにいまくふうをいたしておる、これが実情でございます。お話しのように、各省とも画一に一局を減らせというのは、これは総理から話がありまして、われわれはいまそれに従って作業をやりまして、近くまとまると思うのです。御承知のように、私も長い間官僚の時代がありましたが、どうも人間を減らしたりあるいは役所を減らすということは、減らされるほう、官僚のほうから見ると好ましくないというので、なかなかむずかしい問題が多いのであります。お説をお述べになりましたように、すっかり調べ上げて、事務の繁閑を調べ、いろいろやった上でそれに合うようにやるというのは、これは理想的だと思いまするが、そういうことをやっておると、実行がなかなかむずかしいというのが、過去の例でございます。そういうことで、おそらく総理においては、まずひとつこれからの簡素化の手始めとして一省一局減らす、こういう命令をされたものとして、これをわれわれは実行いたそう、こういうふうに考えておるのであります。これはやっぱり一つのなかなかむずかしい仕事でございまするので、思い切って一省一局減らすという方針は、私は賛成です。この次はひとつまた各省から適当な員数を、五%なら五%を三カ年に減らす、こういう方針が出てくるものと思います。やっぱり行政全体を簡素、強力化するということは、今日私は時代の要求であると思う。われわれとしてはそれに従っていきたい、かように考えておる次第でございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連質問。大臣の苦衷はよくわかりますが、訟務局を縮小するというような問題、これはいわゆる健訟主義といいますか、紛争の起こった事件を徹底的に最高裁まで持っていって争うということになると、あまり減らされないのではないかと思いますが、調和、和解の精神によって、お互いに理屈があるのだから、国も訴えられた以上、また訴える以上、向こうもどこまでも争う以上、相当理屈があるのだから、早期にそういう線に沿って解決するという、なるべく手数を省く、健訟主義に走らないというふうなことになれば、多少縮小してもいいと思うのですが、そうじゃない、やはり従来のように徹底的にどこまでも争う、親方日の丸だからというのでどこまでも争うというふうな主義でいかれるならば、やはりいまのままで置かれたほうがいいのではないかと思うのですが、その点ちょっと質問者と意見が違うかもしれないけれども、そういう点いかがですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 いまの考えとしましては、局を部にして大臣の官房に置いて、いろいろとくふうをいたしまして能率を下げない、そしてひとつ仕事をやっていこう、こういうふうな構想のもとにいろいろと作業をいたしておるわけであります。おそらくあまり能率を下げない、むしろ私は能率をあげるという、いまよりも人数は減っても能率をあげる、こういうことでいく意気込みでひとついきたい、こういうふうにいろいろとくふうをいたしておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言っているのは、訴務局という仕事は実務なんだから、これは削減のしょうがないではないか。それともいま高橋さんの言うように、もう方針を変えた、あまり争うことはやめよう、つまらぬことで国が意地を立てることはやめよう、適当にしようとは言わぬけれども、そういうような方針の変更があるならばいい。方針の変更なくして実務をなくするわけにいかぬではないか。あなたの言うように部にして、局長は首切りだ。それに伴って人間も減らさないというのですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 少し減らすのです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 少し減らすのですか。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、方針の変更もなくしてそういうことをやることは、まことにぼくはいかぬと思う。ここに前法務大臣の田中さんがいらっしゃる。黙っていろいろお考えのようでございますが、私は、屡次同僚諸君とともに、法務省並びに最高裁のあり方にはるる御忠言を歴代の大臣に申し上げている。一つは硬直性が——そういうことばがいまはやりでありますから言うのですけれども、非常に硬直しておる、弾力性がない。私どもがいろいろ注文をしても、それが実現されるのは、ほかの経済省とは違って、全く忘れたころに、こういうことを検討しておるようになりましたぐらいの話である。それから財政局にも全く硬直しておる。弾力性のある仕事ができるような省ではない。頭のほうも、一国一城のあるじばかりで、裁判官も法務省の役人も一国一城のあるじばかりのお仕事のために、協調性がなかなか乏しいように思う。そういう弾力性のない役所であるということを、新法務大臣はよく御存じだと思うけれども、重ねて私は申し上げておきたい。ですから、何もほかの省のように機動的な運営をやれとは必ずしも言わぬけれども、少なくとも余裕のある仕事ができるように、人間だって予算だって持っていなければ、お仕事はつとまらないのではないか、こう思うのです。部にしても、人間を減らしても能率があがるという根拠を少し聞かしてもらいたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 一省一局を減らすという方針が立てられましたので、いろいろと研究をいたし、あらゆる面から法務省も研究に研究を重ねまして、その最後の案として、訟務局を官房に部として持っていって、少しは人間も減らしますが、幾らか減らしていく、そして事務の立て方を、能率が下がることのないように、また一そう従来よりも能率が上がるような考えのもとに、ひとつあれをしていく。そこに非常にくふうと努力が要るのでございます。ただ従来のとおりに考えておりません。創意くふうによって訴訟の仕事の事務が能率の下がらぬようにやろう、こういうふうな考え方を持っております。たとえば法務省におる人間を一部地方のほうにも移すとかというようなことも、一つの方法かもしれません。ありとあらゆるくふうをいたしまして、人間は幾分減っても能率は下がらぬで、かえってあがる、こういう方針のもとに研究をいたしておるような次第でございます。実務だから、人間が減れば能率が下がる、そういうふうでなくて、人が減っても能率はあがる、こういうふうにいたしたい。私はいつも、いまちょっとお話しになりましたが、役所というところはやはり能率をあげてどんどん仕事を早くやっていくというところに努力せねばならぬということをかねがね考えておるのであります。とにかく全部スピードをつけて能率をあげていく、しかもみんな力を合わせて能率をあげる、こういうくふうをひとつ増進をして、省全体が活発に能率があがっていくようなほうにつとめていきたい、かように考えております。その点御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 前法務大臣は有能な弁護士、新法務大臣は有能な行政官吏出身、私はずいぶん期待をいたしておるわけであります。就任をされた直後に、一番最初の法務省の仕事が人間を削減すること、それから局を一つなくすることでは、やっぱり士気にも関することではないかと思うのであります。  ついでに、一つその問題に関連してお伺いしたいのですけれども、最高裁と法務省に臨時職員はそれぞれ何人ぐらいおりますか。これはほかの方でもけっこうです。

羽山忠弘法務大臣官房人事課長

○羽山説明員 臨時職員と申しますのは、おそらくアルバイトというような名称で雇われておる者だと思います。法務省におきましては、特に法務局関係に多いのでございます。本省におきましても、入国管理局等で若干おるようでございます。その数は、最近の数は約千名でございます。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判所のほうにおきましては、そういう職員はおらないことになっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先般東北視察をしました際、法務省職員にあらざる職員、法務局の登記関係についてずいぶん長い、数年つとめておるという人に会いました。それから、いまお話しの千名というのは、どうも私の感覚からいってちょっと少ないように思うのですけれども、一法務局平均何人ぐらいになりますか。

羽山忠弘法務大臣官房人事課長

○羽山説明員 法務局の本局だけではございませんで、御承知のように、法務局には支局、出張所がございます。その末端に至りますまで雇っておるところがございまして、私が最近調査いたしましたところでは、たとえば東京法務局では、本局におきまして約五十名。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこで大臣に注文したいのでありますが、この登記所は、本委員会が先般視察、それから決議もいたし、そして増員を要求し、若干の増員が行なわれておるわけであります。アルバイト職員というものは、ほんとうのアルバイトということは、季節的要員あるいはその他特殊な仕事というのがアルバイトの本来の仕事であります。ところが、登記所等に関しましては、全く恒常的要員に終わっておるわけであります。しかも、これに関する労働条件に数々の問題があるわけであります。本年度、先般法務省の説明をちょっと聞いたわけでありますが、この増員要求をなさっておられる模様であります。政府は増員は認めないと言い、むしろ一局削減に関連をして人員を削減をしようといっておるわけです。最高裁といい、法務省といい、とにかく人間については非常に圧縮を受けておることは、報告をお受けになったと思います。この際、ひとつ恒常的なアルバイトを解消するということにしてもらいたい。そして本年度の増員要求については、ひとつ格別の充実をしてもらいたい。これはもう歴年私どもが主張しておる。特に法務局なんかというところは、他の法務省並びに最高裁傘下の権力機構の役所と違って、これは本省の中でけたの違うというか、カラーの全く違うサービス庁なんです。しかも、年間どのくらいでございますか、五百億をこえる国税収入を持っておるところですね、たいへん少ない人員で。そういうところのサービス庁が、一番また評判が悪いのであります。人間が少ないために評判が悪い。そして、この間週刊雑誌をにぎわしたような、三時になったらやめだ、いややるんだというて問題を惹起をいたしました。私はそのことの是非をいまは議論はいたしません。いたしませんが、要するにこれは人が足りないために、どうしてもサービスということについてできないような状況になっておる。この点はひとつアルバイトの絶滅並びに人員の増加について、大臣の就任早々プラスの面を生かしてもらいたい。いかがです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 法務省で、たとえば登記に関する職員というものが、登記事務が非常にふえて人が足りないということは、お説のとおりに強調いたしております。こういう特別の問題につきましては、ひとつ皆さま方の応援も得て、人間をある程度ふやすことはやむを得ないことで、仕事に差しつかえのない限度に登記のための職員などは増員をしていきたいと考えております。応援をひとつお願いしたいと思います。  それからアルバイトを普通の者に引き直すという問題は、いろいろな歴史もあれば、いろいろな事情があろうと考えますので、その点は特に調べてみたい。御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは大臣ちょっと事情をそこまでまだ御存じない模様でありますから、いまのお話のように、アルバイトの実態というものについて御調査願ってから、重ねて質問したほうがいいように思います。もう長年臨時職員としてつとめておって、そしてもちろんそれはいろいろな諸手当その他ないわけでありますが、それにもかかわりませず、法務行政に対して尽瘁をしておるのでありますから、ぜひこれは十分調査をしてもらいたい。  それからその次に、これは直接のあなたの所管ではございませんけれども、しかしながら、事件となってきておりますから……。警察官の事故が最近非常に多くなったということであります。一つは、ピストルの携帯やピストルの暴発の問題がございます。一つは、無免許運転の問題がございます。それからもう一つは、酔っぱらい運転の問題があります。こういう警察官の違法行為あるいは業務上過失事故というものが最近出ておりますことは、きわめて遺憾なことです。警察官の無免許運転を検査する警察官が必要ではないかと、町では漫才にそれが引用されておるようなわけであります。  まず第一に、警察官のピストル携帯の問題でありますが、私はいま直ちに警察官からピストルを全員なくするということを必ずしも言うわけではありませんが、あれほど厳重にピストル携帯の方法が定められ、そして教育がなされておるにかかわらず、暴発で人を殺したり、そういうことが散見をいたしますということに及んでは、必要不可欠な警察官に携帯をせしめるとか、あるいはそれこそ事ある場合には直ちに携帯ができるように準備をするとか、方法が考えられてしかるべきではないか。私は本年イギリスを回ってまいりましたが、イギリスにしても、ソビエトでもそうであります。イギリスはもちろん、御存じのように、携帯はいたしておりません。ソビエトの場合においても、一部の警察官だけが携帯をしておる模様であります。そう考えますと、これは警察庁長官の御意見も伺わなければなりませんけれども、ああいう業務上過失事故が続出するに及んでは、再検討の必要があるのではないか、こう考えますが、法務大臣はどうお考えでありますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 警察官のことにつきましてのお尋ねでありますが、警察関係は自治大臣の所管になっておりますので、いまお話しになりましたことをよく自治大臣に私からお伝えいたします。  ピストルについては、英国のようなところは携帯してない。その携帯の可否等についても研究されたのがいいのではないかというような意見、あるいは警察官がやはり昼夜を問わず治安のために非常に努力をしておることは、感謝感激にたえぬわけでありますが、さらに綱紀の粛正をぜひやられるほうがいいのではないか、いろいろなことをあなたの意見に私の意見もつけ加えて自治大臣にお取り次ぎすることが適当だ、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ごもっともなお返事でありますが、いまちょっと聞きましたが、私の意見もつけ加えてという意味は、あなたの御意見はどういう御意見でございますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私の意見は、綱紀の粛正は、警察といわず、全部綱紀粛正を徹底させるということが必要ではないか、警察のみならず、一般の官公吏全部、思い切って綱紀の粛正をやって国民の信頼を得る、こういうのがほんとうにいい政治ができ、国民から信頼を受けるゆえんではないか、こういうことが私の意見で、こういうことをつけ加えて……。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の質問しておるのは、ピストル携帯についてのあなたの御意見です。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ピストル携帯につきましては、綱紀の粛正ができてくれば、私は持っておっても別にいまわしい事件というものは起こりにくい。やはり犯人に凶悪犯人が相当ありますので、夜なんか一人で回るのはあぶないといわれることも相当多いので、やはり護身用といいますか、いまのところでは携帯が適当じゃないか。ただそれが、お話しになりましたように、乱用するというようなことを戒める。これはいま申しました綱紀粛正ということで、ピストル携帯だけは、いまの時勢では、まだ廃することよりも必要の度のほうが少し強い、私はこういうような率直な考えでおります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私もことばが足らなかったかもしれぬけれども、最近起こっておりますピストル問題を二つに分けて、一つは、うっかりして、見せてくれ、見せてあげるととらして、当たるぞ、撃てるものなら撃ってごらん、それでたまが入っていないと思って撃ったら死んじゃった、こういうような綱紀関係であります。もう一つは、暴力団やあるいは町の悪いやつが、警察官が携帯しておるピストルをとるという事件がある。これは綱紀の問題ではない。そういうピストルをとろうとすることを誘発する要因になっておる。そういう関係が二、三ございましたね。これは綱紀の問題ではない。警察官からピストルをとろうということは、よほど凶悪犯人の考えることではありますけれども、現にあったのであります。そういう人間がおるならば、もっとピストル以上のものを携帯せしめるというような、それこそ再軍備論みたいになっていってしまうのであって、どうにもならぬわけであります。むしろそれよりも、警察官にピストルは不携帯ということにしておいて、そういう誘発的な要因というものをなくすることのほうが大事ではないか。さりとて私は、いますべていかなる場合でも持ってはならぬと言うのではない。必要不可欠の場合、あるいは直ちに携帯できるようなことをすること等によって、かかる問題、両方の問題をなくするということが今日必要ではないか、こう言っておるわけです。どうです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 御意見非常にごもっともな節も多いと思います。私もまだ特別にこれを研究したというところまではまいってないのですが、ただ、私のいまの率直な気持ちからいうと、治安維持という点からいうと、あなたの言うように必要に応じてそれが持てるという便利な方法もあるかもしれませんが、持たないのと持つのといったら、今日の時勢ではまあ持っておったほうがいいのじゃないか、私はこういうふうな考え方が頭にありますので申し上げたわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、これは警察庁長官にもおいでを願いまして、一ぺん真剣に議論をいたしたいと思いますから、御検討を願いたいと思います。  その次に、先般同僚諸君と東北地方を調査した際における問題であります。予算に関係をいたしますが、裁判所並びに法務省庁舎が非常に老朽化しておるということであります。これはもう見るに忍びぬという感じがいたしまして、われわれとしては調査報告書を団長から提出をしていただいたわけでありますが、庁舎の改善をするということは、ただに働いてもらう裁判官から末端のボイラーの職員に至るまで必要な能率的な仕事をしてもらうということばかりでなくて、国民に対するサービスの問題である、こう痛感をしておる。裁判所や法務省のためにというのではなくて、国民へのサービスのために、この老朽庁舎を改善しなければならぬと考えるのです。私の地元は名古屋でございますが、たとえば一番よくわかる名古屋の例を引いてみますと、各省庁ほとんどみな施設を改善いたしました。ところが、たとえば検察庁もそうでありますが、暖房があるのかないのかわからぬようなところで、非常に古いところで、私もしばしばおじゃまするのですけれども、もうもう寒くてやり切れない。だから、ああいう寒い状況のもとでは、調べるほうも調べられるほうもいらいらしてしまって、それも一つの手かもしれませんけれども、まるきり味もそっけもないような雰囲気なのであります。廊下は、歩けばがたがた音がして、部屋の中までこれが聞こえてくるわけであります。先般第一合同庁舎ができまして、この次は法務関係の番だということで、皆さんが陳情をされておる。おくれますと、いまの国税局関係が合同庁舎ができたものでありますから、この国税局の建物があく。そこへ臨時に入れてもらうと、うまいこと能率よく合同庁舎ができていくというそろばんになっておるそうであります。入国管理局の名古屋の事務所なんかは、戦前のどこかのお屋敷をそのまま借りておるものですから、入っていきますと、どこが入り口やら見当がつかない。二階のお座敷になっておるようなところが事務室になっておりまして、そうしてお座敷のようなところに板を張って、そうして中に入ってみますと、天井に頭がつかえるのではないかといって頭をかがめて仕事をしておるような状況なのであります。ですから、庁舎一般について明年度予算に格段の御努力を願いたいし、また自分のところのてまえみそのことで恐縮でありますが、名古屋の法務関係の合同庁舎が来年から実現をされるかどうか、意見を伺っておきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答え申し上げます。庁舎の問題は、お説のとおりと存じます。来年からどこの庁舎を改善するかあるいは新築するかということは、まだ私承っておりません。とにかくできるだけ悪いところからひとつ改築していくような方法を講じていきたいと考えます。  名古屋のことはどうかとおっしゃいましたが、私、いまのところまだ研究が十分できておりません。どうかひとつその点御了承を願いたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連して。いまの横山君の質問の趣旨は、私は賛成です。大体予算要求に裁判所でも法務省でも遠慮がちじゃないかと思うのです。特に自民党の立場からいきますると、これはよく頭に入れておいてもらいたいのですが、法務部会で予算要求の相談なんかするときに、今度の営繕関係については、どこの裁判所をどうする、どこのなにをどうするかというふうなことについて、一応は披露していただくなり相談をかけてもらうというふうにしてもらいたい。こっちも忙しいから、そういうことをつい忘れてしまう。内部の問題でありますが、与党内に対してすらそれくらいな不熱心さであるとするならば、横山君の要望にこたえることはできないことになります。横山君の要望にこたえるためには、与党内でそれくらいな熱心な検討をして、与党の力によって御要望がひとつ実現できるようにやってもらいたいと思います。新政務次官もひとつ大いに努力して、そういう点に気をつけてください。私も忙しいものだから、つい法務部会でほかのことばかりやって、その点研究できないわけですが、そういうふうな意味において、とにかく遠慮せずに大きくひとつ要望してもらって、そしてわれわれバックアップして御要望を実現するというようにしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょうどここに前法務大臣の田中さんがおられるが、前法務大臣の田中さんと一問一答いたしました中に、亡命論というものがありました。亡命、これはオリンピック以来、非常に日本に亡命ないしは日本経由して亡命ということがふえてまいりました。  そこで、最近アメリカの兵士が、一つの組は日本からソビエトを通じて中立国へ亡命をいたしました。一つの組は見つかったらしいのでありますが、こういうことについて、まず事実についてはソビエトを経由した亡命については御存じでございましたか。あとでわかったということでございますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えをしますが、日本からバイカル号か何か、とにかく船に乗って出たということは、あとから承った次第でございます。逃走の経過と申しますか、行動は当時あまりつまびらかでなかった。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私はちょうどあの日、たぶん四人が乗ったであろうと思われるバイカル号に乗っておったわけであります。ソビエトへ行きまして、自分の船と同じ船らしいということを聞いたわけでありますが、どうも世上伝うるところによりますと、日本の警察陣なりあるいは特殊な機構は知っておったのではないかという話が、ちらほらするわけであります。知っておったけれども、もうとてもこれはむずかしい問題になりそうだから、知らぬ顔しておったらしいという話が散見をしておるわけであります。  その後、見つかった組については、事前に御存じでございましたか。どういう取り扱いをなさいましたか。

笛吹亨三法務省入国管理局長事務代理

○笛吹政府委員 四名の水兵の問題につきまして、日本から出国したあと、報道機関によりまして、モスクワ放送などによりまして向こうにいるということを承っただけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あとのほうは。——その後また脱走してつかまった組。

笛吹亨三法務省入国管理局長事務代理

○笛吹政府委員 あれにつきましては、当時私のほうは全然聞いておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこで、前の委員会で田中さんと一問一答いたしましたのは、今後引き続いて起こる可能性がある、亡命という問題はこれからも必ず続いてくると思われる。したがって、この際亡命の定義をする必要がある。なぜならば、政府は最近、あの韓国人の問題を含めてケース・バイ・ケースで、私ども野党の立場から考えるばかりでないけれども、どうもアメリカに関係することについてはアメリカに気がねをしてこれを取り扱う。韓国に関係をしますことについても、どうも韓国側に六分の有利なやり方をする可能性がある。そうしてなるべくならば亡命を純然たる亡命として国際的な慣習と伝統に基づいて日本へ亡命を受け入れるということを避けるようにしたい、こういう雰囲気がほの見えると私が言うたわけであります。そしてこの際亡命の定義をつくったらどうか。もちろんこまかいことはつくれないにしても、原則的な亡命についての政府のあり方について検討をしたらどうか、こういうことを私は強く注文をしておいたわけでありますが、この点については、法務大臣はどうお考えでございますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ごもっともな御意見に拝承をいたしますが、亡命というものの定義をつくることは、これは研究、勉強をしないとなかなかむずかしいという見通しであります。憲法にも、別に亡命に関するようなことはあまりないようでございます。ただ、政治難民に対する庇護に関する国際慣行があることは御承知のとおりでありますが、なかなか亡命人の取り扱いということ、なおまた亡命とはいかにというのは相当むずかしいので、特にひとつこの点は研究をしてみたい。  ただ、私の気持ちとしましては、亡命をしてきた者が政治的迫害を主張する。政治的な迫害を受けるのは相当これは根拠がありそうだ。しかもまた本人はそうだが、われわれのほうから見ても、この人にとってわが国の利益と日本の公安のほうと両方からも考えてみたりして、とにかく非常にいろんな場合があると思うのでありまして、亡命者というものの定義をつくるということは、なかなかむずかしいのじゃないか。いま研究中と聞いております。引き続いて、亡命者の定義、並びにこの亡命者はどういうふうに取り扱うのが一番適当か、やはりいろいろの場合があるかもしれません、そういう点、ひとつ十分問題のあるところを研究していきたい、かように考えておる次第であります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 歴代の大臣の在任中に必ず一件や二件ございましたように、おそらく新大臣の在任中にも亡命者が出てくると思うのであります。そのたびに何か新聞でわっと出て引きずり回されるように、法務大臣はじめ各省大臣、官房長官等に至るまで引きずり回されてしまって、そして政治的解決をせざるを得ないというのが落ちではないか。私は特に本件のみならず、常に法務省、法務大臣の地位、職責というものが、きちっと世間の目に映るようにしてほしいという希望を常に持っておるわけでありますが、ときどき法務大臣の所管であるにかかわらず、外務大臣が所管らしいという錯覚を国民に与えてみたり、あるいはまた内閣官房長官が法務大臣にかわってがちゃがちゃしゃべったりするような傾向が、最近非常に強いのであります。そういうようなことでは、法務行政の権威、法務行政の職責というものがつとまらぬ。したがって、亡命問題につきましても、何も私は法務省だけでやれと言っているわけではございませんが、法務省が主管をされまして、そして民間の学識経験者の意見も聞いて、各省の意見も聞いて、原則的な方向を定めて、そして今後問題は法務大臣が責任をもって処理をするという体制というものを置くために、しかるべき委員会なり何なり設置して検討をしておかれることが、いろいろな意味において私は必要だと考えますが、いかがですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ごもっともに存じますが、十分各方面から検討させてみたい、かように考えます。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 裁判官、検察官の報酬等に関する法律なんですけれども、ここにずっと金額が書いてあるのですけれども、裁判官とか検察官というものの昇給の基準、昇給の時期、そういうものがどういう定めになっておりますか、伺いたいと思います。

羽山忠弘法務大臣官房人事課長

○羽山説明員 まず、法務省の検察官のほうからお答えいたします。昇給につきましては、法務大臣と内閣総理大臣、事務的には法務省の事務当局と総理府の人事局でございます。それから法務大臣と大蔵大臣、事務的には法務省の事務当局と大蔵省の主として給与課でございますが、相談いたしまして取りきめました昇給準則というのがございまして、これは大体初めの検事につきましては、検事は御承知のように二十号まであるわけでございますが、初任給が二十号でございます。最初のうちは半年ないし一年、それからだんだん上がりまして二年ないし三年、上のほうになりますると五年、それから経験年数を勘案いたしまして、たとえば二十七年あるいは二十八年以上でなければ何号俸にはならぬというような取りきめがございまして、それに従ってやっておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 裁判官は。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判官の報酬は、判事と判事補に分かれておるわけでございます。判事補の報酬は一号から十二号まで分かれている、これも御承知のとおりでございまして、判事補は、十年間判事補でなければ、その中から判事に任命されない、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、判事補の一号から十二号までの報酬は、要するに十年間それぞれ昇給しつつ上まで行く。

横山利秋日本社会党

○横山委員 昇給の基準は。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 昇給の基準につきましては、これは一律ということを申すことができますかどうか。病気等がございますから、その十二号の俸給が最後の一号に行くように区分けいたしまして、そして高等裁判所長官、所長等の上申に基づきまして、最高裁判所の裁判官会議できめていただく。こういうような具体的な扱いに相なっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 両者とも若干の昇給基準に画一的でない点があるのですが、成績によって昇給しなかったり昇給したりすることがあるのですか。つまり特別昇給という制度があるのか、あるいは欠勤をしたら昇給しないということがあるのか、あるいはまた成績が悪いから今度は落ちたということがあるのか、その点はどうですか。

羽山忠弘法務大臣官房人事課長

○羽山説明員 検察官についてお答え申し上げます。一般職の給与に関する法律に定められておりますような特別昇給という制度は、検察官にはございません。  それから、これは一般職につきましても同様でございますが、昇給というのは、ある年限が来たら昇給させることができるということになっておりまして、必ず昇給させなければならぬというたてまえにはなっていないことは、御承知のとおりでございます。ただ、運用の実際におきましては、ある経験年数を経まして、特に能率が悪いとかあるいは長期病欠をしたというような者につきましては、昇給をさせないという扱いになっておるわけでございまして、その他の者につきましては、まあ普通にやっておれば、一応一定の期間つとめればその経験年数に応じまして昇給をさせるという扱いになっておるわけでございます。検察官につきましても大体考え方は同じでございまして、ただいま申しました一応の基準がございまして、それに該当する者につきましては、特に長期にわたって病気休暇あるいは能率が悪いというような者を除きまして、昇給させるというような扱いになっておるわけでございます。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官について申し上げますと、裁判官も、病気の結果休みが長いというような方につきましては、所長からの昇給の上申というものはやはりその病気の期間等に応じて延期されるわけでございますけれども、しかし、いま現在のところ、判事補の方々の昇給につきましては、大体においてみな同じように昇給なすっておられるようで、中から、判事補の俸給自体が高いか低いかということはまたこれは別問題でございますけれども、その運用についての不満というものは全然ないような実情になっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうすると、ほとんど画一的に、普通に働いておれば一定の年限が来れば昇給する、こういうことの模様であります。そういたしますと、裁判官なり検察官のこういう要職にある諸君の人事管理という面については、法務省なり最高裁なりはどうお考えでございましょうか。最近において、いわゆる責任体制ということが問題になってきておる。この責任体制ということは、部下を掌握し、あるいは重要な職務を遂行をする人の責任問題、その責任が確立され、職に向かって責任が完遂しておるかどうかという点については、どういう方法で人事考課をなさっておられるのでありましょうか。

羽山忠弘法務大臣官房人事課長

○羽山説明員 お尋ねの点が給与の問題でございますので、主として給与の面からお答えを申し上げます。私のことばが少し足りないために、一定の年限がくれば全部がある最高の号俸まで到達するというふうにあるいは誤解を生じたのかと存じますが、実は検事の俸給につきましては、認証官を除きまして、検事一号、二号、この検事一号、二号につきましては、総理府人事局、大蔵の主計局との取りきめがございまして、検事の一号は何人、二号は何人という取りきめになっております。と申しますのは、ただいま御指摘のように、責任体制ということに関連するのかと思いますが、一般の行政官におきましても、たとえば二十年、三十年とつとめておりますれば全部が幹部になるというのではないのでございまして、ある人は幹部になり、ある人は幹部にならずにやめていくというようなことがあるわけでございます。検察官につきましても、幹部クラスになる者の人数を一応一号俸、二号俸というところで押えまして、行政官と対比いたしまして、そこに検察官の若干の特異性を加えますので、その数は一般行政職の数よりも多少多いのでございますが、とにかく一応制限はあるのだ。そしてほんとうにその管理、監督の能力を持った者あるいは幹部たるにふさわしい者にその号俸を与える、と同時に、それぞれ適材適所につけてまいる、こういうような運用を給与の面で考慮いたしておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 同僚委員の質問があるそうですから……。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 関連して、裁判官の報酬に関して聞いておきたいと思います。五十五特別国会で、裁判所の職員の中に賃金だけでは食えないというので内職をしている、あるいはビルの清掃なんかもしているというようなことがあるということを、裁判所に質問いたしました。矢崎人事局長は、そういうひどい状況にあるということを組合から聞いているということも答えたし、それから最高裁判所が全責任を負っていることであるから、人事当局としても一生懸命それをやらなければならぬということを答弁しました。それから事務総長は、職員の生活の実態を立ち入って調査をして参考資料をつくる。それはやらなくちゃいかぬ。組合からも資料ができるだろうから、そう困難なことはないということを答弁をしております。裁判所の職員の生活の状況をいま言ったことに関係をしてお答えいただきたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま松本委員から御質疑のあった事項につきまして、もちろんいろいろと事情を聞いたりなどいたしておるわけでございます。具体的には、だれの奥さんがどこで内職をしている、あるいは清掃をしているというような事実はなかなかわかってはまいりませんけれども、しかし、もとより給与が完全にほんとうに満足するような給与ばかりかというと、それは必ずしもそうでない。そのためにわれわれはやはり鋭意努力しなければならないと存じておるわけでございます。しかし、裁判所の職員と一般の政府の職員とを対比いたしました場合に、裁判所の職員のほうが一般の政府の職員より待遇が低いということはございません。この点ははっきり申し上げることができると存ずるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 岸事務総長は、やはり五十五国会で私の質問に対して、裁判所の職員の状態がそういうふうになっているということを聞いて非常にびっくりしたという答弁をしています。生活保護基準以下の生活をしていた職員が何人、それから内職をしていた職員が何%くらいあったか、共かせぎをしていた職員は何%くらいであるというようなことについて、調査をしましたか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 そういう調査につきまして、先ほど申し上げましたように、人事担当の会議等がございまして、それぞれ担当の課長がそういうような席でそういう事実についてどうだろうかというようなことを聞く等の方法によりまして、いろいろ事実の調べはしたのでございますけれども、しかしながら、やはり組合のほうに入ってまいりますような事柄と、私どものほうの聞いていることに対する結果とは違っておるようでございまして、これは組合のほうから、だれがこういうような状況であると、いろいろと具体的な資料に基づいて話があれば、またそれはそれでそのものについて十分調査いたしたい、こう存じておるわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 前国会で岸事務総長が、そういうことを調べて参考資料にしようということを答弁をしているので、それで聞いておるのですけれども、いまの話ではほとんど何もやっていない。それは、具体的な職員の生活状態が一番簡単にわかる、どの程度の生活をしているのかということを調べる一番重要なことではないか。そういうことが具体的にされていないということになると、裁判所は一体いままでどういう努力をしたのだろうかということを聞かざるを得ない。あの岸事務総長の答弁以来、裁判所はどういうことをおやりになったのか、お伺いしたい。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、職員の給与担当の職員のブロック会同とかいろいろな会同等が行なわれるわけでございます。そういう際に、ただいま松本委員から御質疑にあったような事項について、こういうようなことについてどういうものだろうか、何か具体的な資料を持っていないかというようなことについてそれぞれ調査いたすわけでございますけれども、なかなか組合のほうで主張するような事実は私どものほうには出てまいっておらないわけでございまして、これはもちろん組合のほうからそういうような事実があるということについて具体的な資料が出てまいりますれば、もとより私どものほうでも、どういうのが実態であるか、その具体的な問題について調査するにはやぶさかではございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いま公務員で生活保護の申請をしたということがあって——これはもちろん裁判所ではありませんが、それはたいへん大きな問題になっておる。各省庁ともその点を調べていることがあると思います。いまの状態ではとてもそれ以上の答弁は期待できませんけれども、この法案についての審議はさらにされますので、いま私が申しました三つの点、生活保護基準以下の生活をしていた職員がどのくらいあるか、それから内職をしている職員と共かせぎをしている職員のパーセンテージを調べて、次回までに御報告いただきたいと思います。それはできましょうか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 これは松本委員の御要望でございますし、鋭意そういう調査はいたしたいとは存じますけれども、実態が出てくることは非常に困難である、こう思うわけでございます。と申しますのは、やはりそれぞれのプライバシーの問題がございまして、私どものほうから、上から人事管理の面からそういう事柄について一々問いただすということはいかがかと存じますので、そこらのところの扱い方が非常にむずかしゅうございます。しかしながら、そういうようなプライバシーとかいろいろな問題を考えました上で、できるだけ御趣旨には沿いたいと存じております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それは確かに人事当局としてはそういう配慮をしなければならないと思いますが、組合のほうの意見はどうであって、それから大体裁判所としてはどういうふうに考えているというような程度でもいいですから、そういうふうにしていただきたいと思います。  それからもう一つは、裁判所職員の場合には人事院勧告がスライドするという形になっておるわけですけれども、人事院勧告が完全に実施をされないということの結果は、裁判所職員にも影響をもたらしておる。この政府の態度について、裁判所の人事の責任者としてどのように考えているか、聞きたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 これは申し上げるまでもございませんけれども、政府の当局におかれてもそのような御希望だったというように聞いてはおりますけれども、人事院勧告がまさにそのとおりに実施されていくということは、私どもまさに希望するところであることは、これはもうそのとおりでございます。しかしながら、いろいろな関係等もございましょうし、裁判所の職員だけについて、じゃ人事院勧告が実施されろということは、またいろいろな面で申し上げにくいというのが現状でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判所の職員が一方では共かせぎだとか内職だとかというようなことをしなければならぬような低い賃金でありながら、労働組合の活動は非常に制限をされる。閉会中に行なわれました当委員会におけるあなたの答弁では、裁判所の職員はリボンをつけることは許さないという答弁をしておるわけです。そういうことだと、裁判所に働いている労働者の基本的な人権、自分が給料が低いということについて訴える、何とかしてほしいということを訴えることすらできない。低賃金で働かせるだけ働かして、文句言わせぬ、俗なことばで言えばそういうことになるのじゃないか。これは労働者としての基本的な人権が全く無視されているというふうに言って差しつかえないんじゃないかと思うのでありますけれども、人事局長、いまの裁判所の職員の給与の状態、人事院勧告の実施の状態、それと関係をして、あなたはこの労働組合の活動についてどういうふうに考えるか、お聞きしたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 リボン問題につきましては、この前の委員会で申し上げたとおりでございまして、まあそこに見解の相違というものがあるものとは存じます。しかしながら、であるからといって、全司法労働組合が無力なものであるというようには決して私どもは考えていないわけでございまして、非常に強く積極的にいろいろな場をとらえて組合の活動を実施いたしているのが実情でございます。われわれも、団交の場においていろいろと問題を討議いたしますし、いろいろな面で組合の活動が行なわれているわけでございまして、決して組合活動が微力で、そのために正当な組合活動が行なわれることができず、したがって給与が下がるというようなことは、絶対にございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 十分満足できる答弁ではありませんけれども、裁判所の職員がそういう状態にあるにもかかわらず、一方では今度のこの裁判官の報酬等に関する法律では、最高裁の長官は十五万円引き上げですね。総理大臣と同じように十五万円引き上げ。最高裁の裁判官は、大臣と同じように十万円一ぺんに引き上げる。東京高裁の長官は、六万円一ぺんに上げられる。その他の高裁長官は二万円、国会議員並みに、政務次官並みに二万円引き上げるということなんです。下のほうの職員からしてみれば、上の人は何といいことだろう、一ぺんに十五万円ぽっと上がる。高官だけがこういう給与の引き上げをして、自分の部下が生活保護基準すれすれとかいうような状態について、どういうふうに考えるか。あなた人事の当局者としてどういうふうに考えるか。昔から「貧しきを憂えず、ひとしからざるを憂える」ということばがありますけれども、あなたは裁判所の人事の当局者としてどのように考えるか。見解を伺いたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 この問題は、裁判所のみについての独特の現象でないことはもちろん御承知のとおりでございまして、最高裁判所長官は、やはり三権分立の一つの象徴として総理大臣の俸給と同額であるし、また最高裁判所判事の報酬は大臣の俸給と同額である、また東京以外の高等裁判所長官の俸給は国会議員の歳費月額と同額であるというふうに、大体のいままでの扱いが確立しているわけでございまして、それに準じたそれぞれの給与のベースアップというものがあるわけでございます。今度の報酬法の改正につきましても、一般に従来にとられているベースアップというもの、そのとおりに行なわれているわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の聞いたことに十分お答えいただいていないと思うのですが、そういうような、最高裁長官は総理大臣にスライドするというようなことになっているということは、お聞きするまでもないわけなんです。結果としてこのようなことになっていることについて、人事局長としては何の感想もありませんですか。なければないと……。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判所の人事担当者としましては、できるだけ一般の職員の給与が高くなるように、またすべての面で、給与の面のみならず、生活が楽になるように考えて、そのために努力するのは当然のことでございまして、それは一生懸命努力しているわけでございます。しかしながら、それかと申しまして、総理大臣の報酬が五十五万円である場合に最高裁の長官が四十万円でけっこうだというように申すわけには決してまいりませんし、これはやはり三権の長といたしましての扱いは、どうしても受けていただかなければ筋がとおらないわけでございます。しかしながら、ただいま松本委員が御指摘のように、一般の職員の給与の改善につきましては、担当者といたしまして鋭意努力いたしたいと存じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判官の給与についてお聞きしたいのですが、昇給はどういう基準で行なわれておりますか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、判事補につきましては、一号から十二号まであるわけでございます。そして、判事補の在職期間というのは、十年間あるわけでございます。ですから、それに割り振ってそれまでにいく、こういうことになるわけでございます。それから上の方の判事の報酬につきましては、これはもう御承知のとおりと存じますけれども、裁判官というのは同じような仕事をお互いにしているわけでございまして、十人の裁判官がおりますれば、お互いにその間の何と申しますか、この裁判官はこれだけの仕事のできる能力があるから、あるいはその裁判官についてはこれだけの尊敬すべき事柄がある、また上級審から見ますれば、この裁判官はどれだけ勉強している、またどれだけ事実の認定について心労している、そういうような事柄は全部お互いの仲間の間でわかってくるわけでございます。そういうような仲間の批判というものが、それぞれ高裁長官を経て上申されてまいりまして、それを最高裁判所の裁判官会議でおきめになるというのが、実態であるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほど同僚委員の質問に対して、判事補の場合は長期病欠というようなときには昇給を延期されているけれども、大体同じように昇給している。運用において不満はないというような趣旨の答弁がありました。しかし、必ずしも裁判官全体について同じように昇給しているとは限らないように私は聞いております。裁判所の中で、裁判官の考課表を作成をしているということも聞いておりますが、そのような事実はありましょうか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 一律に昇給するということまでは申し上げておるわけではございませんで、裁判官が要するに判事になりまして、そして相当上のほうにおいでになる場合は、先ほど申し上げましたような同僚の、仲間のそれぞれの批判というものが、高裁長官を通じまして反映してまいるわけでございます。したがいまして、そういうような意味での一つの人物の見方というものはあるだろうと思いますけれども、松本委員がただいま御質問になったような趣旨での考課というものは、いたしておるわけではございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 すると、考課表の作成というようなことはありませんですか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判官の成績評価ですね、功績表というものが、かりにないとして、その成績評価というようなものは、どういう基準で行なっておるわけですか。昇給の基準になる、一律ではないというのならば、どういうような差別、どういうふうな基準をつけているかです。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 それは先ほどから申し上げておりますように、控訴審の裁判官から第一審の裁判官のした仕事を評価した場合に、それはおのずからそこに一つの、これはすぐれた裁判官であるとか、これはもう少し注意しなければいけないところがあるのじゃないかとかいうような批判というものは、これはおのずから一つの仕事をやっている場合には出てくるものでございます。こういうような評価というものが、高裁長官を通じてそれを最高裁判所の裁判官会議でおきめいただく、こういうふうな手順になっているわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 このことについて私がお聞きする理由は、裁判官は身分が一応保障されているけれども、昇給の場合でありますとか、あるいは判事補から判事へ任命をする場合でありますとか、あるいは判事補から簡裁判事に任命する場合でありますとか、それから単独で裁判官をすることができる判事補になった場合、そういう場合に、裁判官の思想でありますとか、裁判官の裁判の内容であるとか、そういうものが考慮に入れられて、裁判の独立が害されるというようなことがあっては、これは絶対ならない。そういうことのないよう、裁判官がほんとうに憲法と法と良心に従うという以外には何も心配する必要がないというような、そういう配慮が行なわれているのだろうかどうかということについてお聞きいたしたいのです。いかがですか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘におなりになられたようなことは、裁判所の内部におきましては絶対にございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この俸給表を見ますと、一言でいえば上厚下薄という、上のほうの裁判官についてはやはり相当厚いけれども、下のほうの裁判官との差がもっと少なくていいのではないか。と言いますのは、一人一人の裁判官が尊重される報酬ということばが使われていて、俸給ということばではないということから見ましても、ほんとうに裁判官が尊重されてくれば、真に良心に従って正義と人権を守るということのために尊重されるのだと思います。そうだとすれば、これはなってから間もないという裁判官であっても、その点についての評価は同じでなければならない。もっと差が少なくていいのではないかと思うわけです。最近司法行政が、だんだん一部の人にそういう批判があるわけですけれども、最高裁の事務当局を中心とする一部の人に集中をしているが、司法行政が民主化されていないという批判があるわけです。そういうことになってまいりますと、この俸給表の差がある、それから昇給するかどうかの権限が高裁かあるいは最高裁にいっているということになりますと、裁判官が本来の任務からはずれて官僚化をしていく、司法官僚化ということばが盛んに使われておりますけれども、官僚化する危険がきわめて大きくなってくる。そういう点について、最高裁の事務当局はどういうふうに考えておるか、お聞きいたしたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 俸給等の面で官僚化していくというような御心配は、これは裁判所に関する限り絶対にございません。このことは、先ほどからるる申し上げているとおりでございまして、正当な人物評価とそれに伴う昇給等は、確実に行なわれていることは間違いないと確信いたしておるわけでございます。ただ、御指摘の上と下との差が激し過ぎるじゃないかという点でございますけれども、これは一般の総理それから大臣等につきましても同じだったわけでございますけれども、現在の大臣の三十万円になったのが三十八年でございました。その後、三十九年、四十年、四十一年を通じまして、ベースアップというものは全然なかったわけでございます。今度初めてそのベースアップが行なわれるようになったわけでございまして、そこで、したがいまして、ある程度の格差というものが出てきたわけでございますし、またその格差が出るのが当然であろう、こう思うわけでございますが、これらの格差につきましては、これは将来どういうようになりますか、従来のいきさつから見てみますと、その格差はだんだんに縮まってまいりまして、上のほうは据え置きが長いというのが実態のようでございます。しかしながら、松本委員が御指摘のように、裁判官の報酬につきまして、あまり段階が多過ぎるじゃないか、もう少しそこら辺は直すべきではないかというような御意見は、まことにごもっともでございまして、臨時司法制度調査会でもその点は指摘されているところでございます。私どものほうといたしましても、ベースアップの問題とは離れまして、裁判官の独自の報酬の体系というものの樹立には、当委員会のしばしば附帯決議で御後援いただいているわけでございますけれども、事務当局といたしましても、鋭意努力いたしてまいりたい、こう存ずるわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判所に関しては、官僚化というようなことは決してないというふうに言われますけれども、裁判官、司法の官僚化ということは、方々で批判があるわけです。そういうことがあるからこそ、御質問をしているわけです。この点は、わが国司法のあり方の問題として非常に大事な問題です。一片の質問だけで解決するようなものではないと思う。そのような、裁判所はそういうことはあり得ないのだというような態度だけではなくて、謙虚に、そのような批判が裁判官についてなされているということを反省をして、さらに改善されるよう希望して、質問を終わりたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ————◇—————    午後二時二十二分開議

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 昨日の予算委員会に続きまして、私は、LPガスの汚職の問題について、大臣並びに川井刑事局長に主としてお伺いしたいわけです。  昨日大臣は、社会正義の実現と国民の権利の擁護のために尽くすとお話があり、私は正しいことはあくまで正しく、そのためにはやるべきことはどんどんやっていくつもりである、こういうお答えがあったわけなんですが、その後どうも大臣の御答弁は、全部が、いわゆる捜査の内容に関することであって、これは私の答弁の範囲ではない、あるいは捜査に関係があるからと、こういうことで、われわれの感覚としては、すべて何か捜査に関して発言を避けられておる、こういうふうな感じを受けることが多いわけであります。少しきのうの質問に重複をして繰り返すようなことになりますけれども、もう一度わいろについて、大臣からわいろというものの定義、こういうものについて御説明願いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。私は正義の味方で、あくまで正しいことをやり、正しからざるものについては、またそれ相当な処分をして、ほんとうに社会を住みよい気持ちでいくという、これはもう私の終始変わらぬ方針でございます。ただ、個々の問題については、そのときそのときによりて、たとえば発表等の場合も、いまが適当な時期かどうか、適当でないときには差し控え、適当なときにはこれを発表する、時宜に適したことをやっていくことが望ましい、こういう考え方を持っておるのであります。  いまわいろと政治献金という問題についてのことをお尋ねでございます。おおよそわいろというのは、御承知のように、職務に関する不法な報酬が、これがわいろであると私は考える。言いかえれば、職務行為の対価としての不法な利益のことが、これがわいろであると考えておるのであります。それで、わいろ罪が成立するためには、わいろと職務行為が、給付と反対給付というような対価関係に立つということが、私はわいろ罪の成立の必要な要件である、かように考えておるのであります。昨日も申し上げましたように、政治献金という形は形である、表面はいかにも合法というふうになっていても、その献金が、実態を調べてみると、職務行為との関係において給付と反対給付の対価関係にあると認められるような場合があるならば、それは私はわいろとなると、かように考えておる次第でございます。私は、捜査中の問題につきましても、何ら差しつかえのないことは、どんどん発表していくことにやぶさかではないのであります。しかしながら、捜査のちょうどまつ最中でありまして、それが直接なり間接なり捜査に悪い影響を及ぼすというようなものは、私は、そのときにおいては差し控えておいて、適当な時期にこれを発表することのほうが望ましいのではないか、かような考え方を持っておることを御承知を願いたい。何もかもむやみに隠すというような考えは、毛頭みじん持っておりません。しかしながら、検察当局が真剣に、ほんとに効果ある成績をあらわすためには、やはりそれと幾ぶん妨げになりはしないかとかあるいはそのことのために影響を与えはせぬかというようなことは、私は、遠慮することのほうが時宜に適しておるのじゃないか、こういうふうな考え方を持っておりまするので、その辺も十分御了承を賜わりたい、かように考えておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 おっしゃるとおりでございまして、国民のほうは、国会議員がからんだ汚職事件の容疑という内容で、国会に対する、あるいは国会議員に対する不信状態におちいっておるわけなんです。ですから、国民の頼みの綱とするところは、ただただ検察陣の捜査の内容であり、厳正かつきびしくそういう問題を取り上げて、そうしてそれが国民の前に一つ漏れなく明らかにしていただく、中には一つでも暗いものが残らないように明らかにしていただきたいのが、国民全般の願いである。そういう観点から、どうしても大事な問題は、国民の前に、ある点は明らかにしていただきたい、そういう観点からお伺いしておるわけです。  そこで、最高裁の判決なんかを見てみましても、先ほどおっしゃった対価関係——「対価的関係は、しかし、個々の職務行為に対して存在する必要はない。」最高裁の判決の昭和三十三年九月三十日。また「賄賂の内容となりうる利益。賄賂となりうるものは、必ずしも金銭、物品その他の財産的利益に限らない。判例は、有形、無形を問わず、人の需要、欲望をみたすべき一切の利益を含むと解している。金融の利益、債務の弁済、芸妓の演芸、異性間の情交、公私の職務その他有利な地位なども、すべて賄賂となりうるものとされている。」これも最高裁判決の昭和三十六年一月十三日。こういうふうに、こういう問題に関しては、数多くの判例も出ており、またそういうものを例としていろいろな考えが出されるわけです。そういう観点から、少なくとも、きのうの答弁におかれましても、最高裁の判決はこういう判決がある、こういう見解もある、だからそういうものはすべていろんな点からしんしゃくしながら捜査を進めていく、こういう点からひとつ検察陣のほうに信頼してまかしてほしい、こういうような御答弁であれば、あるいはある程度納得する点が出てくるのではないか。ところが、きのうのは全部、これは捜査の内容だから、捜査の内容だからと、こういうことになってきたわけです。  そこで、今度は職務権限の職務についてですけれども、「職務は、独立して決裁する権限をもつものであることを必要としない。上司の指揮監督の下にその命をうけて事務を取り扱う職務もこれにあたる。」昭和二十八年十月二十七日に、こういう例が出ております。「職務といえるためには、法令のうえでその公務員の一般的な職務権限に属するものであれば足り、現実に具体的に担当している事務であることは必要でない。従って、一般的な職務権限に属する事項であれば、(1)内部的な事務分配によりある事務を現実に担当していなくてもよい。」これも二十七年四月十七日。その(2)「その具体的な行使が将来のある条件にかかっている場合に、将来行使することがあり得る職務に関しても本罪が成立する。」「職務行為は作為であると不作為であるとを問わない。」「正当な職務行為に関して単純収賄罪が成立することはもちろんである。」こういうようないろいろな例がたくさんありますし、判例もたくさんあるわけですから、こういう中からしんしゃくしていただいて、われわれはこういう点、こういう点を一つ基本にして今度の問題に対して考えてやっておる、こういうふうに国民の前によくわかるようなものを法務省として出していただきたいし、捜査の内容としても出していただきたいわけです。そういうことに関して、大臣並びに刑事局長の御答弁をいただきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げますが、法務大臣としましては、正しく明るいりっぱな検察事務を、検察行為をやってもらいたいと非常に心から希望をして、今度の事件につきましても、検察当局を非常に信頼をして、正しい判断が行なわれるもの、かように私は確信をしておる次第でございまして、この問題について、これはこうあるべきであるとか、こういう判例があるとか、こういう事件があるとかいうようなことは、私は一切検察当局にまかせておりまするので、いまのところ、特別にいろいろとお話し合いをしていくというような考えを持っておりません。  ただ、重要な問題につきましては、私は、当然責任者でありまするから、相談も受け、いろいろしまするが、要するに検察当局に非常な信頼を置いて、正しくりっぱに検察行政、検察事務というものが行なわれるものである、私はこういう信頼を持っておることをお話し申し上げて、御了承願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 わいろ罪について、判例までにわたりましていろいろ御調査に相なっておりますので、私から蛇足を加えることはないかと思いますけれども、こういうものを専門的に扱っておりまする私の立場から、このわいろ罪についての解釈と、それからその適用の問題について少しお答えをさしていただきたいと思います。  公務員がその職務に関してわいろを収受したときはこれこれの罪に処するということは、法の明文の規定でございます。そこで、いろいろ問題点がございますけれども、最初の主体は一応公務員でございますが、公務員の中には、私のような一般職の国家公務員もありますし、それからまた国会議員ないしは地方議会議員というような特別職に属される公務員もございます。そこで、われわれのような一般職の公務員は、法令に基づきまして職務権限がまことに明確でございますけれども、特別職、特に公選によって選出される公務員の場合におきましては、公務員と申しましても、公務員である場合と公務員でない場合とありまするし、それから最近の活動というものは非常に複雑になっておりますので、事柄は簡単なようでございまするけれども、公務員の主体についてだけ考えてみましても、なかなか問題が多いわけでございます。それから「職務に関し」とございますけれども、これはもう御案内のとおり、職務行為そのものよりもやや広い概念として「職務に関し」と、こう書いてございますので、純然たる職務行為ではなくても、たとえば準備的な職務行為でありますとか、そういうものも含めて、先ほど申し上げました判例の中に「職務に関するもの」というようなことが書いてございますので、これも個々の公務員のその法律的な性格と仕事の内容によりまして、どの辺のところが職務に関するのか、どの辺のところを越えれば職務にならないのか、その辺のところは個々のケース・バイ・ケースで判断をしなければならないかと思います。  それから対価関係ということも、昨日の予算委員会で申しましたけれども、これも給付と反対給付との対価関係ということでございまして、常識的に見て、ものを頼んでおいてあとで金品を届けたからこれは対価関係だ、常識的にはそうでありましょうけれども、この法律を当てはめる場合に、すぐ対価関係になっておるかということにつきましては、いろいろまた判断があろうか、こう思うわけでございまして、現在大阪でいろいろ問題になっておる事件につきましては、ただいま申し上げましたようないろいろな観点から、広範な証拠を集めて、そうしていま検察庁が慎重な判断を下そう、こういうふうな段階にございますので、一般論、抽象論としてはいろいろ御説明申し上げる余地がございますけれども、具体的問題にそれを引き戻して内容について説明を求められますと、やはり検察庁の独立性をなるべく尊重してやりたい、こういうふうな気持ちから、私も法務大臣もなるべくは具体的な問題については説明を遠慮さしていただきたい、かように申し上げてきたわけでございます。御了承を賜わりたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 かかる事件が、従来往々にしてその内容がわからないままに人々の脳裏からいつの間にか消えてしまって、そうしてそのままうやむやに済んでおる、こういうことが多いわけです。そういう点についても、捜査の段階の内容になるわけですけれども、しかし、国民は非常な関心を持ってこの問題を見ておる、こういう関係から、こういう問題が、ただここでその容疑について罪が成立するとかしないとかという判定の内容であるとかいうようなことで、こちらにまかせてほしいということだけでは、国民の感情としては済まないと思うのです。そういろ点がこういうことがあったから、こういう観点に従ってこの問題はこう処理していったというふうなことが、何らかの形で国民の前に明らかにされなければならない。ただ捜査を信頼して、あとはこの人は全然問題がなかった、全部が問題がなかった、こう言われれば、もう確かにそこに何らかの圧力がかかってこの問題はうやむやに葬られた、こういうふうに国民は了解してしまうというふうな事態となっておる事件でございます。そういう関係から、そういうふうな問題のないようにしていただくためには、こういう論争を十分していただいて、国民の前にはっきりしたものを出していただきたい、こういうふうに考えるわけです。先ほどの対価関係の問題にしましても、わいろは、職務行為に関するものであれば足る、個々の職務行為とわいろとの間に対価的関係のあることを必要とするものではない、こういうふうな判例さえあるわけです。ですから、その点、見方、解釈のしかたで非常に違います。しかし、それはその裁判の判決の結果出てくる問題ではなくて、捜査の段階において行なわれる問題であるゆえに、国民の目にはとまらないで、ただ検察庁の内部だけでいろいろな角度から検討されて終わってしまう、こういうことになってしまったら、全く国民にはうやむやで済まされてしまう、こういうことになるわけですから、この際、わいろとかあるいは職務権限とかというものが、国民の前に明らかになっていくような捜査内容にしていただいて、どんどん進めていただきたいことを希望したいわけです。この問題に関しましては、どこまでいきましても平行線で結論は出てまいりませんので、これくらいにしていきたいと思うのですけれども、ところが、その間にやはりわれわれはちょっと気になるような問題が出てくるわけです。  というのは、ある新聞は、検察庁の捜査の経過といったものをいろいろと新聞に出しております。今度の事件に関するマスコミの取り扱いというものは、いままでと違いまして、相当内容的に明らかなものを出してきている。その内容をよく調べてみますけれども、わりと中身がよく合っている、こういう事実もよくあるわけです。そういった観点から、国民の目にそういう問題が疑惑に残るようなことのないようにやっていただきたいわけです。たとえていうならば、この前の委員会で、きょうもここへ来ていらっしゃるのですが、前の大臣の田中大臣が九月二十六日に来阪されまして、政界に波及しても政治的圧力は加えぬ、こういう談話発表があるわけですけれども、そのときに川井刑事局長に、このいわゆる指揮権というものはどういう意味なのか、われわれは指揮権という問題が取りざたされるまでは知らなかった。指揮権という問題がいろいろ論議されるということが、国会議員に関する問題であり、あるいはそれ以上の内容に属する問題であるから、確かにそういう問題があるのですかとか、また指揮権というものが加えられるような内容があるのですか、こういう御質問をしたわけですけれども、そのときの御説明は、パイプが確かに法務大臣と刑事局長と地検の特捜部とで一本であるから、決してその点は安心してまかせてほしい、こういう御答弁であったわけです。しかし、われわれは、検察当局の取り調べ内容は、新聞紙の報道以外に知るよしがないわけです。ですから、興味を持って見ていくわけですから、事実の点とわれわれが見ている点とは、ずいぶん食い違いがあるかもわかりません。ですから、こういうときに御質問をして、そういう点をより明らかにしていきたいわけですけれども、まず七月二十一日に大阪の地検はタクシー汚職に関する特捜班を編成した、こういうふうになっておりますが、これは事実でございましょうか。これは捜査の内容には全然関連がないと思うのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 明確にその日付までは報告はありませんけれども、夏ごろからこの事件について内偵を始めた、こういうことは事実でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 まず、八月十二日にいわゆる捜査に踏み切って、大タク協会の会長並びに相互タクシーの社長等のところを強制捜索した。十六日に相互タクシーの社長の家を五カ所にわたって捜索した。これが第二次の捜索であって、十七日には京都相互タクシーは常盤寮あるいはこの相互関係の四カ所にわたって第三次の捜索をやった。このときに冷房料金に国民の目は——特に大阪の人たちは目がいっておったわけですが、このときに冷房料金は全廃された、こういう時点があるわけです。そこで二十一日に相互タクシーの神戸本社を強制捜索した。これで一応捜索は終わった。こういうふうな時点が新聞に報道されております。問題はここなのですけれども、九月五日に捜査報告を最高検にした、あるいは九日に捜査の全容の報告を最高検にやった。九月十六日に大阪高検から最高検へ上京してきた。そして二十四日に至って大阪高検から上京して第三次の報告をした。こういうふうになるのですが、往々にしてこういうふうな知能犯的な犯罪に関する捜索は検察当局としては、そういう捜査をすれば今度はトラック一ぱいの証拠品をあげたということになりますけれども、そういうものを一々調べなければならないという手間も考えられるわけですけれども、しかし、その捜査の中において、いわゆる知能犯だから、ある一つの容疑事実を握った場合には、直ちにその身柄を拘束して、そしてその内容の捜査と同じようにどんどんと取り調べをしていかなければならないということを私たちはよく聞いておるわけなんですが、そういう点に関して刑事局長からお答え願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 事件によりまして、つかんだ端緒が、証拠関係が非常に明白でありますれば、お話にありましたように直ちに身柄の拘束をして事件の核心に入るということもあろうかと思いますし、私見ておりましても、そういう事件も少なからずあります。ただ、この前の共和製糖事件でもそうでありますし、今度の事件でもそうでありますけれども、相当多数の方が関係されまして、そして問題になっておりますように、政治献金というような形をとって行なわれておる事件でございますので、それから、個人がその資金の一部を提供したというものではありませんで、会社組織になっておるものがたくさん集まりまして、そして献金をしたというような形になっておりますから、これはどうしてもまず経理の関係から事柄を詰めてまいりまして、そしてどうしても経理上説明がつかない金額というものを出しまして、その金額の内容について最後に人間を呼びまして説明を求める、それでも説明ができないという場合に、初めて証拠隠滅のおそれがあるということになりますので、裁判所に請求して贈賄者の方の身柄の逮補と、こういうふうなかっこうになってくるのが、いままでのこの種事件の捜査の大体の定石でございます。  そこで大阪の事件におきましても、従来と同じような非常に手がたい、また慎重な方法でもって今日まで捜査を詰めてきた、こういうことでございまして、御指摘のように、もう少し手っ取り早く何とか疑惑を解くように、迅速にいかないかという御要望もまことにごもっともでございますけれども、何ぶんにもたくさんの会社の経理関係をこまかく伝票に基づいて一枚一枚当たっていくという作業は、たいへんな人数と日時を要することでございますので、私といたしましてはもう少し何とかならないかというのには全く同じ考え方でございますけれども、この事件の大きさとその深さからいいますならば、今日まで手間がかかっておるのはまずやむを得ないところではなかろうか、このような感じを持っておるわけでござい.ます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 十月三日に馬場検事総長が来阪されて、これは新聞の談話なんですけれども、タクシー汚職に関しては佐藤総理から聞かれたが知らなかった、これからじっくりと捜査をしていく、こういうふうな談話発表を大阪駅でなさっておるわけなんです。この点も、検事総長さんが大阪のことを知らなかった、報告にいっておるのに御存じなかったという点もうなずけませんし、こういう点が、きのうの総理大臣は、わしは知らなかったと、こういう御答弁もあったわけですけれども、このお話は新聞の範囲内を出ないわけですから、確たる証拠はないのですけれども、こういう一つの展開を見ていくと、どうもこの辺に政治的圧力があると——前法務大臣がおっしゃったことがきかなかったのじゃないかと思わざるを得ないような感じもするわけです。そういう点で、なぜこれだけかかったのだと、こういうのが大阪の各司法記者の感想でもあったわけです。ところが、十月八日に至って任意出頭でこの人たちを呼んで、関係者を任意出頭の形で調べておる。ここらも、人を罪に落とすということを喜んでいるものではないのですけれども、この種の事件としては、任意捜査しなければならないという内容がどうしても考えられない、こういうベテラン記者の話でもあるわけなのですが、こういう点について刑事局長さんのお考え、お答えをちょうだいしたいわけです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 非常に戸惑っておりますというか、やや長引いておりますために、いろいろの疑惑のようなものを生んでいるようでありますけれども、これはたいへん残念なことでございまして、もしできることならば、捜査の経過から内容について刻々と御報告を申し上げまして、そういうふうな政治方面の圧力とかあるいはまたいろいろな雑音に惑わされて捜査が手間どっておるということではないということを明らかにしたいわけでございますけれども、何ぶんにも法律で与えられた強大な強制権を使いまして得られた資料の中から、人間を拘束して犯罪の成否を断定するというふうな、非常にめんどうな、また慎重を要する仕事でございますので、中にはほんとうに黒い霧といわれるようなものもありましょうが、そうではなくて、捜査の過程で偶然に捜査線上に人の名前が浮かんできたというふうな、いささかも容疑に関係のない者も多々あるわけでございますから、それらの中からどれが黒くてどれが白いのかというふうなことを選別することが、今日捜査の内容になっておりますので、実は全部を申し上げれば氷解なさると思いますけれども、その全貌についてこの段階で申し上げることができないのは、繰り返し同じことを申し上げて私もじくじたるものがあるのでございますけれども、御了承を得たい点でございます。  それから、一番この捜査で苦労しております点は、これは一、二申し上げてもよかろうと思いますけれども、先ほども一般論として申し上げましたけれども、やはり毎度この種の事件で問題になりますが、特に国会議員の職務関係というものが、わいろ罪との関係において必ずしも明確でないということでございます。先ほど御指摘になりましたたくさんの判例は、多くは地方議会議員についての、あるいは一般公務員についての判例でございまして、この種の事件があまりたくさん起訴になっておりませんので、したがいまして、国会議員につきましては、最高裁判所ないしは大審院の判例というものは、非常に少ないわけでございます。したがいまして、まだ判例が、国会議員の職務関係についてこれを明確にしたというような、典型的なリーディングケースがないわけでございます。その辺のところがなかなかめんどうだということと、また国会議員の生活は、党関係の活動と、それから本来の国会議員としての国会における活動とは、一応観念的にはこれを法律的に峻別しなければならない、こう思うわけでございますが、実際の活動をなさっておる様子を見ておりますと、なかなか実際問題としてはそこに区別がつきがたいというふうな状況がございまするし、片や一方におきまして、政治資金規定法に基づきまして正当な政治献金が許されておるというふうなたてまえの特殊な公務員でございますので、それらの実態に即して、その中からほんとうにわいろ罪にいうところのわいろであるかどうかというふうなことを突きとめるためには、非常にいろいろなたくさんの資料と、それからまた慎重な判断が必要だ、こういうことになると思うわけでございまして、あくまで慎重に、そして間違いのないように着々と捜査を進めている、こういうことでひとつ御寛容願いたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連。質問応答を聞いておりますと、何か捜査をするのに強制捜査が原則で任意捜査が例外というふうに聞かれるようにも思いますが、法律をつくったのはわれわれですが、われわれ立法の趣旨はもちろんのこと、捜査本来の原則というものは、任意捜査が本体であって、強制捜査というのは万やむを得ないときにやるものであるということのように思っておるのですが、局長、それどうでしょう。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 よけいなことでございますが、大臣に差し上げた資料の中のまず冒頭に、捜査とはいかにあるべきものか、およそ捜査は刑事訴訟法の規定に基づきまして、おっしゃるとおり任意捜査を原則とし、強制捜査を例外とするものである。したがって、捜査官のたてまえにおきましては、任意捜査でもって事を進めて、どうしても万やむを得ざる場合に強制捜査に踏み込むというふうなことになるのだというたてまえは、御指摘のとおりでございまして、あたりまえのことだと思いましたので、私、冒頭に申し上げませんでしたけれども、私、全く同じように考えております。また、全検察官につきましても、その辺のところは十分に徹底せしめております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 時間を急ぎますのでちょっとあわてましたけれども、任意捜査の点については、せんだっての委員会のときに刑事局長さんからるるお話があったわけです。それで、その任意捜査があり過ぎるじゃないか、こういう観点からいま質問しておったわけなんですけれども、今度十月の十八日に至って初めて任意出頭でお調べになっているというところは、全く任意捜査ということになるわけですけれども、二十五日に至って逮捕に踏み切られたということになるわけです。このときのいわゆる容疑の内容は、贈賄申し込み罪と、非常に判例の少ない容疑事実であるということを聞いたわけですけれども、こういう容疑事実をおきめになった根拠は、どういうところにあるのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 逮捕状には容疑事実を記載することが法律によって要求されておりますので、検察官は、五名の方を逮捕するにあたって、やはり容疑事実を記載しております。しかし、これはまたかたくなな話を申し上げておしかりを受けるかとも思いますけれども、訴訟記録となって裁判所に提出されて、一件記録の中に編綴されるものでありますので、厳格に申し上げますと、刑事訴訟法の規定に基づきまして公判を請求するまでは、これを明らかにすることが許されないわけでございます。したがって、私ども役人といたしまして職務上知り得た秘密に該当するわけでございますので、これは当局からこの内容はこうであったということを正確に申し上げることは、法律的には許されないと思います。ただしかし、問題は、これだけの事件でありますし、すでに報道機関によってある程度逮捕事実の内容と思われるものが報道されておる今日でありますから、それを前提としまして申し上げたい、こう思うわけでありますが、まあこの贈収賄はあまりなまなましいので、選挙違反の例をあげて申し上げますと、買収資金の供与というふうな場合にも、甲から乙に供与した、こういうようなことがございましても、両方調べてみませんと、返したものやら、あるいは片方は買収のつもりで持っていったけれども、受け取るほうは、前にこれだけの貸し金があったので貸し金の内金として持ってきたのではないかと思って受け取ったというような例が、実は捜査をしてみると少なからずあるわけでございます。そこで、買収なんかの事犯につきましても、手がたく慎重にいくという態度を貫きます限り、まず提供した者のほうから、提供したというところで、取り調べを進めていって、そしてその後証拠がはっきりしまして、相手方が完全に受け取ったという段階になれば、受け取ったほうを調べまして、まさに受け取った、趣旨も買収の趣旨だということが一致したときに、初めてそこに買収犯が完全に成立する、こういうふうな立て方をとって、そういうふうな捜査をしておりますので、この涜職事犯につきましてはあまりないかもしれませんけれども、選挙違反の買収なんかにつきましては、買収資金の提供というのはしょっちゅうある例でございます。本件の場合におきましても、はたしてほんとうに——調書の面ではこういう趣旨のために金をやったというふうにかりに記載があったといたしましても、提供された人がはたして受け取っているのか、突き返したのか、あるいは別の趣旨で受け取られたのか、その辺がかいもくわかりませんので、まず手がたく慎重にいくためには、わいろの提供申し込みということで逮捕状を得て調べるという措置が、私としましても穏当な措置でなかったか、かように思っております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 その逮捕に至るまでずいぶん長い間かかったのですが、勾留延期の請求をなさったときには、理由は証拠隠滅のおそれがある、こういうことになっているわけです。ところが、証拠隠滅したければ、任意捜査の間にずいぶん証拠隠滅できるわけです。だれが考えたって、これはできるわけなんです。そういうところに私は、どうしても検察庁のおやりになったことはうなづけないのです。その期間、約二カ月の間中ぶらりんで置いてしまっているわけです。それで、今度逮捕をして取り調べをやられて、勾留延長をしなければならない、こういうことになって延長の請求をおやりになったときには、証拠隠滅のおそれがあるというわけなんですが、一週間ほどの取り調べで、あるいは十日の取り調べの後に、証拠隠滅のおそれがある——証拠隠滅はもうこの間にしたければされておるのじゃないか、そういうふうに考えられるわけですが、こういう点はどうしても、われわれは専門家じゃありませんし、しろうとですから、もう一つわかっていないところはたくさんあるわけなんですが、そういう観点から、私たちの納得できるような御答弁をいただきたいのですが……。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 まず、証拠隠滅と申しましても、金を提供した、受け取った、こういう関係の犯罪でございますので、両者が口裏を合わせれば証拠隠滅はある程度できるんでありますけれども、個人じゃなくて大会社の経理関係の捜索でありますので、まずこの八月十二日から始めまして二十一日までの間、四回にわたりましてほとんど総ざらい的に関係書類の押収が行なわれておりますので、お互い口でもって当面のこの証拠の隠滅のための工作は簡単にできるかもしれませんけれども、物的証拠として書面に出された内容につきましては、すでに官のほうに書類が押収されておりますので、完全な隠滅工作というものは本件の場合不可能だろう、こう思うわけでございまして、その辺からも八月十二日、十六日、十七日、二十一日と四回にわたりまして、しかも非常に集中的に大きな捜索をいたしまして、ものすごくたくさんの資料を押収し、それをしさいに検討するということのために、任意出頭までの約二カ月間を費やしたわけでございますけれども、これは、ある意味では非常に手間どったということが言えますけれども、この二ヵ月間の物的資料の緻密な整理、検討ということは、本件の捜査の核心をなすものではないか、こういうふうな観測を私持っておるわけでございます。観測と申し上げますのはお気に召さないかもしれませんけれども、私自身がやっているわけではございません。概括的な報告と、私自身も約三十年間検察官をしておりますので、その体験から割り出しまして、あわせて申し上げているわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 その間、この二カ月全部を通しまして、いわゆる七月の二十一日に特捜班をつくって二十五日に逮捕、この間四カ月、こういう長期にわたったこういう内容は、いまだかってなかった、こういうようなのが、一般司法記者の新聞に書いて報じておるところなんです。そういうことで、この十一月二十二日に至って、初めて大阪地検の検事さんが最高検へ呼ばれて合同会議を開かれた。その前に馬場検事総長が大阪へ来られて一応はお聞きになったということなんですけれども、このとき初めて大阪地検の検事さんは自分の意見を持って最高検へ臨んだ、こういうふうに報ぜられておるわけです。こういう点は、どうしても私たちは、この間にその捜査が延びたということではなくて、何らかの形で何かがあったんじゃないか、こう疑わざるを得ない、こういう内容になるわけです。それで、話がいろいろ飛びますけれども、いまのお話の中にも、物的なものは証拠隠滅のおそれはなくなったけれども、人的な面で証拠隠滅のおそれがあるという御答弁ですけれども、そういう関係から、大阪地検の検事さんが東京へ来て寿政会の事務所を捜索した。ところが、みんな整理されておって何もなかった。これは新聞に報ぜられておるのですから事実だと思うのですけれども、そういう関係から、一切東京のほうはおやりにならぬのじゃないだろうか。やってももうむだだからしようがない、大阪で縮めてしまおう、こういうふうな見解を最高検はおとりになっていらっしゃるんじゃないだろうか。  また、時間がありませんから詰めて申し上げますけれども、造船疑獄のときには十人の検事さんを全国からよりすぐって、そして一本にまとめて捜査をおやりになった。ところが、今度に限っては大阪地検の特捜部にしぼってある。こういう点が、いまだかってないような一つの例でもある。こういうことを聞いておりますが、そういうところに局限的におやりになっておるのであろうか。または局部でおさめようとしていらっしゃるのであろうか。何らかの事情があって大阪地検だけでおやりになっていらっしゃるのであろうか。なぜ東京地検は動かないのだろうか。東京にも数千万円調達したという事実が出てきておるのに、なぜなんだろう。どうして手をつけられないのだろう。これはわれわれの最も疑問としているところなんです。この点について御答弁いただきたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連して。私はこの問題については、人権じゅうりん問題を前提として考えておらなければいかぬ。答弁もしておらなければいかぬ。質問もしておらなければいかぬ。ああいう強制捜査に移って、帳簿を引き上げてから後に人を強制収容するまでの間に時間がかかっている。お説のとおりです。これは逆に私は人権じゅうりんの疑いがあるのではないか。単なる推測、単なる見込みで強制捜査をやって天下を聳動せしめるような検察庁の態度というものが、はたして妥当であったかどうか。人そのものも強制捜査の目的になるような段階まで任意捜査をして、的確な証拠をあげて後にやるべきであるにもかかわらず、鬼面人を驚かすというようなやり方によって、単なる憶測、推測と思うのですが、もしこれが実ってくればその推測、憶測も国家のためにならないこともなかったということになりますけれども、大山鳴動ネズミ一匹ということになれば、これは人心に対してもたいへん悪影響があるわけでございますし、人権じゅうりんの問題、職権乱用の問題が起こると思いますが、単なる憶測とか、推測とか、聞き込みとか、そういうふうなことでああいう極端な非常手段に出られたのではないか。的確な証拠がないにもかかわらず、今度の捜査に取りかかられたのではないか。ああいう帳簿引き上げというような大げさな強制捜査に踏み切られたのではないか。これは一種の検察ファッションといいますか、行き過ぎというような感じにとれぬことはないが、そういうふうなこともあわせ考えて御答弁願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 特捜部のお話のほうから先にお答え申し上げなければいけませんが、検察庁の特捜部は東京地検に最初にできたものでございまして、東京地検におきましても、造船のころにできた当時におきましては、必ずしも特捜係としての検察官の数も多くありませんし、ベテランだけを置いておったわけではございませんので、事件の進展とともに多少他からの応援を求めてやったということは、そのとおりだと思います。その後何年か経過しまして、大阪地検にも特捜部ができまして、地検の特捜部もかなり年月を経まして、大阪地検は大阪地検として独立して重大な事件を処理し得るような、ベテラン検事を相当そろえることが今日できたわけでございます。そこでもって、いまもお話し申し上げましたけれども、大阪地検でもって端緒をつかんで大阪地検が捜査を開始しておりますので、別に検事は捜査について管轄の制限はございませんし、大阪の検事が東京に行って調べようと名古屋に行って調べようと一向差しつかえがございませんので、大阪の検事が調べているから大阪だけで小さく縮こまってしまうのだという理屈には、相ならぬわけでございます。事件の進展いかんによりまして、また検察全体としてその体制を考えていく、こういうことに一応部内のたてまえは相なっておるわけでございます。  そこで、しからばすぐ東京の問題にも疑惑があるではないか、東京をすぐやる考えはないか、こういうふうな仰せでございますけれども、これも予算委員会で大臣からはっきりそういうことも申し上げられないのだということを重ねてお答えを申し上げたわけでございますけれども、これは仮定論でございますが、大臣が権威ある国会の場で、大阪もやる、名古屋もやる、こういうことをもし明言したといたしますと——法務大臣という指揮監督の頂点にある者が、権威ある国会の場においてどこどこの事件をやるのだ、こういうことをもし明言なさったということになりますと、どういうことになるのでありましょうか。先ほど非常に御心配をいただきました証拠の隠滅とかなんとかいうことがありますけれども、やると言えばやらせるということになりますので、その方面においては直ちに警戒をするということになりますから、せっかく事件をやらせようとするようなお気持ちでもって御要請がありましても、もしそれに積極、消極というようなお答えをしますと、かえって逆な結果が出ないとも限らないわけでございます。私ども、検察庁の手の打ち方とか検察庁の意向というふうなこともあれこれ勘案いたしまして、国政調査権という憲法で認められた大きな権限に基づく御質問でございますし、検察行政ももとより単なる行政権の一部にすぎませんので、それにつきましてはできる限り洗いざらいお答えをするのが原則であり、筋であるかと思っておりますので、気持ちの面では、私も大臣もなるべく国政調査権に基づく御質問に答えて、謙虚に率直に申し上げることが筋であることは万々承知いたしておりますので、時期が来、また差しつかえない範囲では、できるだけ御質問に応じなければならないと思っております。ただ、非常にデリケートな段階でございますので、その辺のところをごかんべんいただきたいということで一応お答えを申し上げているわけでございます。  それから、捜査ばかりを憶測なんかに基づいて無我夢中でやることについては、人権問題もあるから注意をすべきだという仰せでございます。まさにそのとおりであります。私どもあれこれ大臣のほうから検察庁について、この事件に指図はいたしておりません。大臣冒頭に、検察の不偏不党、公正妥当を信頼してこれを見守っているのだというふうに仰せになりましたし、また検察庁も長い伝統を持っておりまして、すでにこの種の事件につきましてはたびたび事件をやっておりますので、そう一々大臣から指図をいたしませんでも、そのワクを逸脱して間違った捜査をするというようなことはないものと一応確信をいたしておるわけでございますが、ただまかしておるわけではござ.いませんで、私も大臣の命を受けて、ほんとうに日夜心配して捜査の行くえを見守っておるというのが実情でございます。捜査の過程におきまして行き過ぎがないように、この点につきましても、いろいろ新聞等に報ぜられる人権問題等につきましては、そのつど最高検を通しまして、どうか慎重な配慮のもとに妥当な捜査を進められたいということを繰り返し指導し、またそういうような意向を伝えておりますので、いろいろ至らない点はあろうかと思いますけれども、本省の態度といたしましては、その辺のところも抜かりなく気持ちの中に秘めてやっておりますことを申し上げておきたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 もう一問で終わりたいと思いますが、ちょうどこういうことで、私たちも一生懸命この内容を調べてみたわけです。そういう観点から、いわゆる外野席でどうこうという考え方でなくて、まじめに、真剣にこういう問題を考えてきたというところからお取り上げいただきたいわけですけれども、つきましては、大阪の地検のほうも非常に予算が少ない。地検の部長さんであり、警察本部へいくと部長級の立場になる人が電車で通っておる、こういう点が捜査に非常に影響するのじゃないだろうか、こういう意見も、ある司法記者の方に、私が法務委員であったということから忠告を受けたわけなんです。そういう観点もありますし、今度の特捜部のああいうことによって、大阪地検の方はお金のほうで非常に頭を悩ましている。がしゃがしゃお金が要る。検察庁の予算は、こういうことが起きると一ぺんに破綻がくるほど響くのでしょうか。響くのであれば、もう少し予算のほうも潤沢にしてあげて、ゆうゆうと捜査ができるような段階にしてあげていただきたい、こういうふうにお願いしておきたいと思います。  先ほど申し上げましたとおりに、人権に響く問題があるというお話でもあったわけですけれども、またそういうところから大臣も正しくこの問題を見守っていく、こういう観点なんですけれども、国民もまた関心を持って見ているという点があるわけなんです。ですから、最後までこの問題は明らかにされていって、正しいものは正しい、悪いものは悪いとはっきり答えが出て、国民が納得のいくようなあれにしていただきたいわけです。先ほどの職務権限の問題にしましても、わいろ罪の成立の問題にしましても、法廷での判決による問題ではなくて、起訴するかしないかという段階における検察庁の考え方が基準になっていくわけですから、そうなってきたところに、考え方によってはどういうふうな解釈もできてくる、こういうことにもなってまいります。国政にあずかる国会議員をお取り扱いになるわけですから、その点たいへん御心労は多いと思いますけれども、その点はいわゆるきびしくお考えになって、あくまで国民の前に正しいものを明らかにしていく、こういう方向で今後この問題と取り組んでいただきたい、こういうことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私から一言、この際申し上げておきたいと思います。私は、あくまで検察当局は正しく、明かるく、適切なる措置を必ずや講じてくれるものである、こういうことを確信して、またそれを見守っておるのであります。外からの力というようなものは一切これを排除して、ほんとうに信ずるところ、検察庁の正しいと考えるところを断固として守る、こういうふうな考えで私はおるのであります。一方、さきにもお話がありましたように、人権ということもあわせて考えなければならぬ。非常によくものを言うからなかなか調子がいいと言われましても、うわさにのぼった人間の名前を、たとえば言えと言う人があったから言うた。その中には、何にも関係のない人まで何かの調子でひょいと浮かんだから言うたというようなことがありましたら、私は申しわけがないことだと考える。そういう名誉を不必要に棄損するようなことは絶対にやりたくない、私はこういう考え方を持っております。それかといって、いろんなことを言って、捜査の妨げになるようなことを言って、好ましからざる人物が検察当局の目からのがれるようなものの端緒にまでなったというようなことになっても、これまたひとしく非常に好ましくない。私が法務大臣を受けている間においては、何といいましても正しく、明るくあるべきところを十二分に効果をあげてもらいたい。いま言いましたように、外部からの力などは、もうこれはもちろん全部、言うまでもなく排撃をしていく。また、不必要なことを指揮したりなんかするということは、私は好ましいことじゃない。見守り、かつまたこれがうまくいくように非常に注意もしているというようなことで、ほんとうにわれわれは一体となりまして、この事件が適切に処理せられるように、私は熱望をしておるような次第でございます。私が捜査中のものをすげなく、あまり言わないからどうもおもしろくないという考え方、よくわかります。しかし、そのことが、私の職責からいうとどうかという場合もある。そのかわりに、不必要に言わぬのではない。これは言うべきことであると思うならば、私は進んでこれを発表する勇気は持っておりますので、その辺もひとつあわせて御了承をお願いしたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 どうもありがとうございました。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 LP問題については、まだ同僚諸君四人質問をするので、私も協力しまして、私の質問の中のLP問題だけを若干質問して、あと同僚諸君にLPに関してだけやってもらって、そうしてまた前の質問に戻りますから、そのつもりできわめて簡潔に大臣や刑事局長の御意見を伺いたい。  たとえば、大臣、後援会をお持ちですね。あなたの後援会は赤間会というのですか。——聞いているのです。大臣は後援会をお持ちでしょう。この名前は赤間会というのでしょう、こう言っている。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 赤間会という後援会があります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は名古屋でございますが、名古屋にもあなたの赤間会というものの存在が、ちょっと何かの関係で聞いたことがある。そこで、大臣がそういう歴史的な御自身の後援会を持っておられる体験をも含めて、後援会とは何ぞやということをお聞きしたいのです。後援会というのは名ばかりで、何の組織もないというものもありますわね。そうでしょう。——うなずかれたところを見ると、そうだと御自身もお考えだと思います。そうすると、後援会がたとえば名ばかりで、届け出をしておるものと届け出してないものとがある。届け出をしておるもの、つまり政治資金規正法による届け出をしておるものであっても、名ばかりのものもある。そうして名ばかりでなくて、実際に組織がつながって、独立した財政、会計を持って合理的にやっておるものもあると思う。そのことで大臣の後援会赤間会を例に引証してはいかぬと思うが、大臣の後援会はどういう部類に属するものでございましょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私の赤間会は、私が知事になりました昭和二十二年ごろ発足をいたしまして、今日ではだいぶ老齢に達しましてあまり活動をしてないのが多いようであります。何も届け出の団体でもありません。任意団体で、ただ私を助けるというだけの会で、政治資金規正団体その他一切届け出はしてないのでございます。各所各所に赤間会というのがありまして、だいぶこのごろは日にちがたちましたので、活動がにぶっておるのじゃないか、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは非常に微妙なお尋ねで、決して大臣の赤間会を非難する意味で言っているのじゃ絶対ありませんから……。ただ、後援会は、いまの事案の問題とはどう考えるかという検討の問題です。後援会が——御迷惑がかかると思うから赤間会ははずしますが、後援会が届け出をしていない。そうして長年の歴史を持っておる。そうすると、そういう場合だと、少なくとも後援会は独立した財源が必要である。その財源は会員から集めるか、あるいは代議士が出すか、あるいは何かのときに寄付を受けたものをおれは要らぬから後援会に寄付してくれということにするか、どっちかになると思うのです。そこでLPの問題に関連をいたしますと——刑事局長聞いておってくださいよ。私は要らぬから後援会に寄付してくれと言う。後援会は、届け出がしてある場合には届け出がされる。そうすると、そこで切れてしまうわけだ。一応は切れてしまう。自分はいろいろなことをやった、自分に対するお礼はもらわぬ、後援会へ出して、後援会は届け出をした。あるいは赤間さんみたいに後援会を届け出してないという場合もある。そうすると、後援会と本人との関係はどうあるべきかといいますと、私の考えとしては、自分は要らぬ、後援会へ出す、後援会は独立した会計を持っておる、そうして支出がきわめて明白である、これであるならば問題はないと思うのです。ところが、二つの問題がある。後援会がきわめてトンネルであって、政治資金規正法に届け出してあっても、支出の面については適当に、ないしは具体的にその代議士にトンネルに入っていく、個人の所得にトンネルに入っていくという場合においては、政治資金規正法で届け出してあっても、これは単なるトンネルであって、国会議員がもらったというふうに見るべきではないかというのが一つ。それから二つ目は、後援会へもらったにしても、本人がもらったにしても、どういう理由でそれをもらったのであるかという理由が問題になると思うのですね。このLPのように、きのうの予算委員会の質疑の事実問題が明らかで、他の状況からいっても裏打ちされるとするならば、出したほうは明らかにLPに対する報酬として出した。したがって、先ほどあなたのように、受け取った側はそういうつもりでもらったんではないということになるかもしれぬけれども、そのもらった側と出したほうの考えの問題と、そういうつもりでもらったけれども、おれはもらわぬ、後援会へ出し、後援会は届け出をする、そして支出のほうでぽっとまた逆戻りしてくる、これでは単なるトンネルではないかという考えがいたします。お互い国会議員となれば、後援会を持つということは決して悪いことではありません。それは他の大臣でもお持ちでございますから、別に赤間さんばかりではないのだから……。後援会が往々にしてそういう歴史的な経過、組織、独立採算制というか、収支の明白な形、そういうものがとられていない場合、また届け出もされていない場合には、これは問題がある、こう思いますが、刑事局長の所見を伺いたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 結論は、結局証拠関係できまるのではないかと思います。言うまでもなく、贈収賄罪は団体、法人の場合には成立しませんので、刑法の原則からいきましてやはり個人によってその刑事責任を追及するというたてまえをとっておりますので、かりに後援会というふうな団体に入ったんだというふうな名目でございましても、その証拠の事実関係からいって、ただいま例をあげられましたように、単なるトンネルであって、それは実質的には個人に渡っているんだというような趣旨が証拠によって明白になれば、それは収賄としての容疑が出てくるのではなかろうか、こう思うわけでございますので、届け出のあるなしにかかわりませんで、わいろ罪の要求するような構成要件が満たされてくるということになれば、これは容疑が出てくる、こういうことだろうと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 新任大臣として非常に一生懸命やっていらっしゃる大臣に全く余談でございますが、この機会に心にとめていただきたいのですが、後援会をおつくりになった。歴史的なものなんですから、この際、政治資金規正法の届け出を、大臣も届け出団体にされておいたほうがいいのじゃないか、私はこう思いますよ、ほんとうに。かつて石井さんは、あんな高潔な方ですけれども、国士館大学の顧問をやっておられたことが問題になりました。法務大臣は検察陣の頂点に立たれた、いまあなたが所見を漏らされたような、非常に公正明朗なお仕事をこれからなさるのでありますから、この機会に、いままでありきたりとお思いになっておっても、身辺をぜひ御清潔になさるように希望をしておきたいと思います。  その次の質問は、高橋さんの意味と逆の意味でありますが、あれだけ黒い霧であったにかかわらず、大山鳴動ネズミ一匹で、相澤重明氏一人があの結末でありました。世間はごうごうとしてその非を鳴らしたものであります。相澤重明氏は、いま裁判にかかってまだ黒白が明らかでありませんけれども、だれがどう考えても相澤氏が主犯であるといいますか、黒い霧の一番頂点に立った人ではないということでございます。検察陣としては、そうであろうが、証拠がないものをいかんせん、こういう感懐をおそらくお持ちだろうと思います。しかし、世論は結果をもって論ずるのでありますから、これほど世間の課題となったことが、高橋さんや私が逆の意味で心配しますように、大山鳴動ネズミ一匹となった場合における検察陣の士気並びに国民のこれに対する疑惑というものは、とどまるところがないと私は思うのであります。先日来の慎重な御発言は、気持ちはよくわかるのでありますけれども、十二分な努力をしてこの問題の結末をひとつ明白にせられるように私は望みたい。大臣も非常に責任を感じておられますが、重ねてあなたのそれについての御意見を伺いたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 たびたび申し上げましたように、私は検察陣に信頼を託しまして、公正妥当に、正しくこの事件が処理せられることを心から期待もし、またそれを見守っておる、こういうふうな状態でございます。それで、外部から力を加えるとか加えぬというようなことは絶対に——私は検察陣に対しましては、検察陣本来の真面目を十二分に発揮ができるように手伝いをし、また一方においては、何と申しますか、指揮監督していくという、正しい意味の運営によってひとつ国民の信頼も増していく、こういうふうにありたい、これが私の心から願っておることでございます。御了承願いたい。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最後にもう一つ。国会議員の逮捕の許諾請求は、きわめて重要な問題であります。これにつきまして新聞その他が伝えるところは、ある時期にはきょうかあすかというところまで切迫をいたしました。しかしながら、それが肩すかしを受けたように、じん然日をむなしゅうしておるという印象を国民に与えたわけであります。検事総長がおやりになると思うのでありますが、この問題について法務大臣の立場というのはどういうものでありますか。法律的に、またいまあなたの御心境をあわせてお伺いいたしたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 これは前からたびたび言いますように、許諾請求をどう思うということを法務大臣から言うことは、あまり適当でないのじゃないか。なお、言いかえまするならば、私は検察当局の正しい、明るい行為に信頼をしておる。相談を受くればまたその相談に適当に乗る、相談を受けなければまたそのつもりで、とにかくこういう問題について、あらかじめ先に何とかお答えをするということは、これはあまり適当でないのじゃないか、こういうふうな考えを持っておりまするので、御了承願います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 念のために伺いますが、大臣は逮捕許諾請求についての自分の意思を持つべきではないというお考えでございますか。それとも相談にきた場合には相談に乗るということは、請求がかりに相談があった場合にも、それはやめておけという場合もあり得ることをほのめかしていらっしゃるのですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 法務大臣としましては、許諾請求を求めてくるような場合があるときに、それをやめておけというような意見は言わないつもりであります。私は、検察当局を信頼して、検察当局がやるべきことを十二分にやっていただく、それはまた外部からのいかなる力にもあまり屈せず、正しく明るいほんとうの検察行政であってもらいたい、そういう気持ちであります。しかしながら、許諾請求がくるかこぬかとか、どうとかこうとか、捜査の予想等に関するようなことは、一切申し上げられない、こういうことを言っておるのですから、御了承を願います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連して。先ほど刑事局長、後援会とわいろ等について御答弁がありましたね。これは後援会が正規の政治結社であって成規の届け出をしておる場合には、いわゆる公然性というものは違法を阻却するものではないか、わいろ性をなくするものではないかという見解を、私ども持っておるわけであります。公然と届け出する以上は、わいろでないと思うからこそ届け出をするのであり、違法でないと思うからこそ届け出をしておるのであり、しかも政治資金規正法というものはそれを要求しておるわけなんです。政治献金はみな届け出にしろ、届け出するものについては、悪い意味のものはないのだろうということを前提としてああいう規正法ができておるのでありますから、一応は公然と届け出をしておるものはわいろ性はない、違法性はないものと解釈していただくのが当然であり、したがって、自治省においても、届け出があったものに対しては、机上で間違いがあるかないかというようなことを調べはしても、実質上それがわいろであるかとか、違法性を含んでおるかというようなことまでは調べないということになっておるわけなんですから、そういう点についても、ひとつ刑事局長の御見解を一応御披瀝いただきますれば、あとの御質問にたいへん有益になると思います。たいへん重大な問題ですから……。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 初めに、大臣が先ほど許諾請求についてお答え申し上げましたけれども、手続の問題がございますので、ちょっと補充させていただきたいと思います。  これは御承知のように、一番最初は、許諾請求は逮捕状を執行する条件だということで、検察当局から衆議院のほうに請求した例があります。そのとき、いろいろ衆議院から指摘を受けまして、これは逮捕状執行の条件ではなくて、逮捕状発付の条件だ、だから裁判所から請求するのが筋なんだ、こういう議決と申しますか、御指摘がございまして、国会法を改めまして、二回目からは、検事が裁判所に逮捕状の請求をいたしますというと、それを受けた裁判所が内閣を通してその院に許諾の請求をする、こういう手続に相なっております。一番最初は検察官が行なうことでございまするし、司法権と立法権のちょうど接点の問題だと思いますので、一々法務大臣のほうに報告をさせまして、事の内容を審査して、いいか悪いかをきめたわけでございますけれども、法律が改められた後におきましては、手続といたしましては、裁判所から直接内閣を通して院のほうへ参りますので、法務省といたしましては当然にこれにタッチするということには相なっていないわけでございます。ただ問題は、いずれ議運にかかりまして、主として私が説明に当たると思いますけれども、その説明に当たる者が何も知らないでいる間に行なわれるということにはなりませんので、はたして逮捕状を請求するだけの理由があり、またこの際に身柄を拘束する必要があるかどうかというような内容につきましては、法務大臣が国会に対して検察行政について責任を負っておりますので、その検察行政について国会に対して責任を負っておる限度において必要な事項をあらかじめ検察庁から報告を受けるということは、これは法律上当然のことかと思います。その限度とは何ぞやということになりますれば、それは刑事訴訟法にきめられておるような逮捕状を請求する、また逮捕状を発付するというような法律上の要件が備わっておるかどうかというところが、法務省のタッチする限度であろうか、こう思いますので、法務大臣といたしまして、あらかじめ検察庁から相談を受けましても、力をもって理由はあるけれどもそれはこの際やるべきではないというような指示は法律上できない、こういうふうに一応御了承いただきたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連。私の聞き違いかもしませんけれども、いずれ刑事局長が議運へ出て説明するというふうなことで、何か近くそういうふうな事態が起こるようにとれる御答弁のように聞こえたのですけれども、それは何でしょう、そういう場合はそうであるというふうなことで、そういうことが近く起こるというふうなことの前提じゃないのでしょうね。聞きようによっては、いずれ自分が出て説明するようになるというようなことをおっしゃったけれども、単なる手続上としての話でしょうね。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 確かに誤解を招くようなことばを使ったと思いますけれども、それはまさにそのとおりでございまして、過去の例を申し上げたにすぎませんので、御了承賜わりたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私のほうから二、三点お尋ねをいたしたいと思います。  いま問題が出ましたので、刑事局長に最初お尋ねをしておきますけれども、そうすると、国会議員には不逮捕特権が、国政に参画をしているということでそのような権利が与えられておる。ただ、その不逮捕特権に基づいて逮捕諾をするかどうかという判断は、あくまで国会それ自体の判断に属することであって、検察庁として、検察官として逮捕状を請求される場合は、要するに逮捕状の要件、罪を犯したことを疑うに足る相当の理由があるということで、しかも逮捕の必要がある、そういう場合についての判断に検察官としては限る。その国会議員を逮捕することが国政の審議に支障があるかどうかということは、国会それ自体において判断すべきことであって、検察官の配慮の外にあることなのだということであろうかと思うのですけれども、この点をひとつ念のためにお聞きをしておきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 私もそうだと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 大臣にお尋ねをしますけれども、予算委員会あるいは本日の法務委員会において、明るく正しい検察というふうなことばを何回かお使いになった。そこで、実は一つお尋ねする前に次のようなことを、私疑義を提起しておきたいと思う。実は予算委員会における社会党の畑委員の質問に対して、収わい側で逮捕された人は一体だれなんだ、国会議員で調べられた人はだれなんだという質問に対して、大臣のお答えは某前代議士を逮捕し、それから某国会議員を取り調べをしたというふうなお答えがありましたですね。言ってみれば名前を明らかにされなかった。これはどういうふうな趣旨に基づくものなのかを簡単にひとつ御答弁いただきたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 新聞でも公知のように出ておりまするので十分御了承がいく、かように私は考えておりましたから、名前を申し上げなかった。前代議士、現代議士と言えば、国会議員のすべての人は御了解がいくもの、かように私考えておりましたので……。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 もうちょっと私のほうで詰めたいと思います。新聞で公知の事実、周知の事実である。だから名前を出さなかった。名前を出さなかった配慮は、一体何に基づくものなんですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 名前をことさらに出さなかったように思われるかもしれませんが、私は、私の言うことは皆さんに全部わかる、何も誤解を生じたりいろいろなことは起こらない、こういう御説明を申し上げれば、私の考えておることは全部おわかりになる、こういう意味のもとにああいうことを発表した。別に他意があるわけでも何でもない。この点御了承願います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私の趣旨はこういうことなんです。大臣が予算委員会での答弁の中に、贈わい関係者として多田、あるいは多島、どちらかの名前を言われた。そういう人を逮捕しております。そうして片一方収わい関係としては、某前代議士、あるいはまた調べた人は某国会議員がおると言われた。私が問題にしたいのは、明るく正しい検察ということをおっしゃる。タクシー会社の社長であろうが国会議員であろうが、法のもとにおいては平等なんです。片一方の場合には、わかるだろうからといって名前を言わない。名前を言わないという方針を一貫されるなら、私はよろしいですよ。この点、この問題について国民が、ほんとうにそういう国会議員については調べるのだというけれども、やはりそういう大臣のことばの中からも不安に感じ、とにかく非常な期待をしているそういう検察への期待について、ブレーキがかかるのじゃないかという認識を持つおそれがある。重ねてお尋ねしますけれども、予算委員会において贈わい側の名前、タクシー会社の社長にしかすぎないけれども、その名前は言う。収わい側の名前は某と言った。わかるということならば、カラスの泣かない日はあっても、多田、多島の名前は出てまいります。前代議士、現国会議員の名前は出てくるのですよ。だから、それなら一貫した言い方とすれば、大阪のタクシー会社の某社長でよろしいだろう。片一方の名前は言う。しかもそれはもう二十三日近くほうり込まれている人間です。いろいろな考え方があるだろうけれども、人によれば逮捕すべきものを逮捕をしていないのじゃないかという疑いもかかっておる人がある。その人の名前は某と言う。これは片やある人に対しては過剰の名誉を尊重し、片一方の人についてはその比較において尊重されていないというふうな見方だってできるでしょう。この点についてお答えをいただきたいということなんです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 業者側で逮捕された者は、私が言うた人のほかに四名名前がある、はっきり言うと。私は一人だけ、ほか理事数名とかなんとかいうようなことで、全部名前を言ってない。ただ一人だけ言っただけだ。何も民間人を一人言うて、前国会議員、現国会議員の名前を言わなかったから不公平だとか、片手落ちだとか、そういうことはない。あるいは御承知のように、業界で逮捕せられた者は五人、これも新聞にもうはっきり出ております。私は一人だけ言うた。名前を明確に言うたのは業界一人、それから前代議士、現代議士というのは、もう御存じのことだから、別に民間と国会議員とを差別をするとかなんとかいう意味のことは一つもないのです。私は、あなたのようにそう深くそういうことを考えてない。そういうのであるから、その点は御了承願いたい。それは、民間人は五人とも明確にずらっと言うて、前代議士、現代議士については一言も言わなかったとかなんとかいうならあれですが、別に、明るくという私の方針に何も反しゃしない。やるべきことは徹底的にやるが、言わぬで済むことならば言わぬでおったほうが、またいい場合もあるじゃないかとも考える。やることは徹底的に私はやる。しかしながら、言わぬで済むことならば、言わぬでいいじゃないかという考え方もある。そのことについて特にいろいろとおしかりを受けるという意味が、私にははっきりしない。なおまた私は、適当なときに明確に、詳細にこれを発表することをやっていきたい。いまは、大体時期からいっても、あまりそういうことを発表することがどうかというような頭も幾ぶんかあった、まだ捜査のまつ最中でありまするので。だけれども、そういう点について私としてはああいう発表をした。別に何かたいそう深い考えがあって民間の人を一人言うて、四人は言わなかったわけじゃない。なおまた、いまのようなことに他意はない。しかしながら、将来についてそういうふうのお考えをお持ちであるならば、もう将来はそういうことなしに、ひとつよく注意をして、某なんて言うということは誤解を受けるから、もうこれはどんどん言うたがよかろう、あるいはもう全部某も名前も言わぬで、この辺は抜かしたほうがいいというような場合もあるかもしれない。したがって、将来は、御注意があったから、そういうことについて御意見を承らぬようによく注意をしてやりたい、この点はよく申し上げて、別に深い意味はないことをあらためて私は申し上げておきます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 深い意味があったらたいへんなことです。だから、問題は、何の気なしにおっしゃった、その何の気なしにおっしゃったそのような大臣の答弁だって、野党席で聞いておると、あのときは、某という名前じゃいかぬ、はっきり名前を言えといって、ずいぶんいわゆる不規則発言が飛びましたよ。そういうふうな深い考えがあって言うようなことがあったら、これはたいへんなことです。何の気なしに言うことだって、国民はこういうふうな国会議員の問題については非常な注目を払っておるし、そうして検察権の行使が公正かつ適正に行なわれるということについて、非常な期待をしておる、いわゆる圧力がかからない検察のあり方というものについて期待をしているということで、若干あげ足とりのきらいはあったけれども、そういうことを私は申し上げた。何の気なしにおっしゃったことが問題だ、こういうふうに私は申し上げた。  そこで、大臣に念のためにお聞きをいたしますけれども、局長が先ほど御答弁になったように、検察官の逮捕状の令状請求については、何らの政治的な配慮というものは介入しない。要するに、罪を犯したことを疑うに足る相当な理由でございましたね、それと逮捕しなければならないという事情、それだけが検察官の令状請求の判断事項なんだということは、大臣のお口からもそのとおりだという一つの御答弁をいただいておきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 そのとおりです。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、四十二年度の犯罪白書の一節を次に引用して質問を続けたいと思います。  閉会中においても、公務員犯罪の一般について、局長から種々御答弁をいただきましたが、犯罪白書のこの点でございますね。要するに、犯罪白書の四十二年版は、特に「収賄」という項を新しく起こされておるという点で、四十一年度の犯罪白書に比べて違いがある。そして私は、こういうふうな「収賄」という項を特に起こされたということは、いいことだというふうに考えているわけです。その犯罪白書の中に「収賄事件の、検察庁における処理状況は、前掲の1−73表にあるとおりで、総数の五割近くが公訴の提起をみている。いうまでもなく、この種の事犯は、一般に物的証拠が乏しく、関係者の供述に依存せざるをえないことが多い。また、最近の傾向として、ひとたび検挙が行なわれると、執よう、かつ、徹底した証拠隠滅工作が行なわれる事例もまれではない。」要するに、贈収賄事件というものは、関係者が徹底的な証拠隠滅をはかるというのが最近における傾向なんだということを、法務省の犯罪白書の中に捜査を非常に困難ならしめる状況としてお書きになっておる。収賄事件というものは、そのような証拠隠滅というものが執拗、かつ徹底的に行なわれるというきわめて遺憾な状態を往々にして現出する犯罪であるということが、犯罪白書に書いてあるのですけれども、大臣としてそのようなことは当然だろう、それだからこそ検察としては厳正に検察権を行使しなければならぬという御答弁があるだろうと思うのですけれども、念のために収賄事件というものに対する大臣の、私がお尋ねした点についての御答弁をいただきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 検察当局は、収賄事件につきましては非常に厳正に処置する、証拠なども的確な証拠をつかまえ、そうして公正妥当な処置をとっていく、こういうふうに私は考えております。捜査につきましても、あらゆる点から抜け目なくやっていくものと考えております。しかしながら、これは捜査当局のやることを私は別にいままであまりどうこう言うことはありませんが、人手の関係、それから犯罪の性質の関係、いろいろな関係でいろいろ私はひまの要ることもあると考えております。それはわれわれがとやかくどうこういうことでなくて、個々の問題につきましては、検察当局が犯罪の捜査に全力を尽くしてやってくれる、かように私は信頼をいたしておる、これが私の考え方でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 もう一度お尋ねしますが、贈収賄事件というものの最近の傾向が、検挙が行なわれると、非常に残念なことだけれども「執よう、かつ、徹底した証拠隠滅工作が行なわれる事例もまれではない。」というふうな傾向を持ったものだということについては、大臣はお認めになるのかならないのか、この点なんです、私のお尋ねしておるのは。いかがでございますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、収賄事件などの個々のものを取り扱うた例がございませんから、具体的な実例は知りませんが、私の思いますのは、犯罪というようなものはなるべくわからないようにやろう、やったら証拠をなるべく早く隠滅するようにやろう、そういう性質が相当あるものだと、私は想像をいたします。これは収賄も、あなたのお話しになったように、まさにそうであります。収賄以外の殺人のようなものにつきましても、殺人罪の証拠をなくして完全殺人をやろう。またその他あらゆる犯罪について、非常に科学の進歩に伴うていろいろな複雑な様相が行なわれて、検察当局もあらゆる面に骨を折り、あなたのお尋ねにありました収賄について証拠を隠滅するという風潮が強くあるということは、事実であろうということを私は認めます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、刑事局長にお導ねをいたしますが、いよいよあす十五日で二十三日の勾留満了の日が来るわけですね。要するに、贈賄側の人たちについて満了日が来る。そうすると、すでに先ほどお話がありましたように、前代議士については収賄容疑で逮捕しておる。そうですね。参考人として調べを受けている現国会議員がいる。そうすると、一番問題になるのは、大臣は殺人などという例をお引きになったけれども、これは被害者がはっきりしている。死んで死体があるわけです。けれども、収賄罪というものは、被害者がない。被害者は国民だというこの収賄事件、お金がひそかに授受される、しかも隠れみのとして後援会というものが出てくる、こういうものについては、徹底的な証拠隠滅工作がある。贈賄側がもしかりに野放しになるということになると、贈賄側と収賄側とひそかな共犯だと思いますが、あす十五日以降の捜査については、証拠隠滅がきわめて容易だ、非常に行なわれやすいという状況を一般的に招来する。こういうふうに聞きましょう。答えにくければ、もっと具体的な事件として、贈賄側が釈放された、収賄側は何も身柄を拘束されておらないという状況のもとにおいては、身柄を拘束しておるよりも格段に、飛躍的に証拠隠滅をやりやすい状態、可能性が非常に出てきたということ、十五日以降出てくるということだけは言えますかどうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一般論といたしまして、この種の事件については、収賄と贈賄の両方を隔離して調べることが、証拠の収集に最も適当だということは言えると思います。非常に具体的なケースの問題で、勾留満期の日時をあげての議論でございますので、本件については、当然のことでありますが、検察庁がこれをどういうふうに取り扱うか見ていきたい、こういうつもりで、私のほうからとやかく指導するつもりはございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 局長、そこまで話がいっていないのです。また検察庁がどういうふうに指導するか、まだいっていないのです。十五日が来た、そこでかりに贈賄側が釈放されたということになれば、証拠隠滅の可能性は飛躍的に増大するということは、一応推定されますね、こう聞いておるのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 飛躍的に増大するかどうかということはにわかに断定ができませんけれども、一般論として抽象的に考えては、ややその傾向が出てくるということは言えると思います。ただ、その一般論だけ繰り返しておりまして、その一般論の裏に具体的なケースがありますので、いろいろ影響が大きいかと思いますけれども、具体的なケースは、そのケースなりの捜査の経過をたどっておりますので、一般論を具体的ケースに当てはめて、飛躍的に増大するかややふえるかという点は、これはまた別の問題だろうと思います。その辺のところは、当然のことでございますが、一般論と具体的なケースへの当てはめは、また別の問題だというように御理解をいただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 逆に言うと、やや増大するという程度であるならば、無理をして人を逮捕しなくても、原則的な任意捜査でよろしいでしょう。どうしても逮捕しなければならないから逮捕するのです。そうでございますね。そうして勾留延長の請求が却下になったものについて、準抗告の手続をする。裁判所もそれをお認めになって、罪証隠滅のおそれがあるからということで準抗告の申し立てを許されたわけです。ですから、ややというふうなおことばであるなら、やや増大する程度であるなら、私は大阪地検の特捜部ががんばってもらいたいという立場でいるからここで言いませんけれども、任意捜査でやったらいいじゃないですかということになります。そうでございますね。だから、これは具体的な事件とのからみ合いがあるということで、また今後の方針にも関係してくる問題であるので、御答弁がしにくいかもしれませんけれども、要は十五日で釈放になるというふうな状態があったときに、一体——私はこの捜査について成功するのかしないのかという問題の一番密度の高い十四日であり、十五日だ、こういうふうに思うわけです。  そこで、大臣にこの機会にお尋ねをしておきたいと思いますけれども、捜査に支障を来たすおそれがあることについては国会においてでも発言ができないということですが、地検の検察官あるいは検事正が、こういうことは国民が当然知るべき権利があるという前提だろうと思いますけれども、記者会見等の談話において発表したその程度のことは——国民の名においてこの事件について黒い霧を払おう、これは特に法務委員会の仕事だと思うのです。そういうような問題について、国政調査の範囲というのは、少なくとも地検の検事正が記者会見において談話を発表したその程度のものは、大臣としてもこの国会において答弁してもらう。いわゆる捜査の支障と国民がそういうことを知る権利があるということとのかね合いにおいて、そこに限度が求められるべきだと思う。地検の検事正が新聞記者会見において発表したことが、そこは新聞記者会見においては知り得る、国会においてはそのことも知り得ないのだという意味で大臣おっしゃっているのかどうか。この点いかがですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 地検の検事が発表したという程度くらいのことは、少なくとも国会で発表ができるのではないか、こういう御質問ですか。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 これは地検で発表したから国会で発表することが適当かどうかということは、事柄によって違うのじゃないかと思うのです。私のねらいは、向こうの妨げをして、せっかく一生懸命でやりよるのに、能率を下げさせるようなことは言いたくない、能率も何も下がらぬことなら思い切ってやってもいいのじゃないか。しかし、いま捜査の途中だから、いま言うと影響を受けて能率を阻害することになるというようなことは、私はやらな、それからもう一つは、これは人権に関するもので、有罪か無罪か命がけで調べられる。調べられるほうも調べるほうも、これはたいへんな問題なんだ。あやまっていろいろなことを言われたら、政治家としましては想像以上に本人は政治生命を失う場合もあり得る。簡単にはなかなかいきにくいのじゃないか。要するに、その人の政治的な名誉というものを不必要には損傷してはならない、名誉を落とすというようなことになっては相済まぬ、この二つが私のお話をせぬ事柄。それ以外のことで、捜査には悪影響も何も及ぼさなくて、大いに言うてもいい、また個人の名誉にも関係がないというようなものてあれば、私は何もそう秘密主義といいますか、言わぬという——私は、元来はおしゃべりは好きなんだ。しゃべってしくじったことはたびたびあります。おしゃべりは好きじゃけれど、そういう検事局なり検察当局の能率を下げるようなことを法務大臣が言ってはいかぬし、それからこういう人権のやかきいときに、つい言うたんだ、調べてみたら何でもなかった、法務大臣が言うたおかげでわしは一生えらい目におうたなどという者が出ないとも限らないようなことは、私はほかの発表機関と違う重要な責任にある。それで、言うだけの値打ちのあるものでなければ名前は言えない。まして有罪でも何でもない、起訴せられたからといって——私は、起訴せられても、有罪でもない者をあたかも罪人のような扱いをするということは、これは非常におもしろくない、私個人はそういうふうに考えている。ようやく判決がきまって、これは有罪だという判決があってから、初めてわれわれはそれを犯罪人として扱うのがあたりまえだ。法律的に言うなら、まだ疑いのある人間を、いろいろなことを言うて、そしてそれがいかにも情報によく精を出してくれたといってほめられるということは、私はあまり好ましくないと思う。そういう考えがもとになって、それでいまお話しの地検でそれを発表したくらいのことは言ってもいいというのは、一つの標準でしょう。現実の問題は、そのくらいのことは言うべきだろう。だけれども、私の考えは、いま言いましたように、妨げをしなくて、本来の仕事を思う存分にやってもらう。いかなる力にもよらず、検察当局が正しく、明るく、自分の欲する——欲するどころじゃなくて、勉強のしっきりをして、成績をあげて世をほんとうに明るくしてもらう。それからまた関係のないような人に一人でも迷惑をかけぬで、これはある意味の人権だと思いますけれども、政治生命かもしれませんが、そういうものを守ってやろう、この二つの精神を真剣に守ろうというのが、私の精神でございます。その点御了承願います。何にもほかに他意はない。  さっきの問題につきましても、おしかりを受けました。某というのはけしからぬじゃないか。しかしながら、これはまだ犯罪人でもなければ、私は、何も起訴せられた人もあれば、ない人もあるかもしれません、一々それを率直に言わなければ困るというふうには考えていない。ある程度で了解もいくし、私の言わんとするところは目的を達するのじゃないか、こういうふうな考え方から私は申し上げたのであります。そのほかには何にも他意がない。今後においても発表せいというのは、私がいま言いました法務大臣、何にもおまえが言っても捜査には一つも妨げにならぬのみならず、捜査の助けになるかもしれない、あるいはこういう人間はこれは悪いことをしたことはきまっている、だれが言っても、おれが死んでも証明するとか、何か決定的に動かない証拠があるとか、いろいろな具体的なものがあれば、またいろいろと教えてもらえば、私は将来発表その他に参考になる。現在の状況におきまして、私の言っていることは、どうぞひとつその点御了解願いたい。ほかに私の他意は何にもございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 了承できません。問題は、要するにその人の名誉、それから捜査に支障を来たすかどうか、このことと、いま一つの大事な観点は、こういう黒い霧というふうな問題について、国民は知る権利がある。だからこそ、地検の検事正は捜査に支障がないという前提に立ってある程度のことの発表をしている。政治家にとっては、大臣おっしゃるように、収賄をしたというような疑いをかけられることは、最大の恥辱なんです。そのとおりなんです。だからといって、その人が恥辱だからといって、その人が保護されて、その人のことについて国民が知りたいというときに、そういうことは最大の恥辱であり、その人の名誉に関することなんだからということに力点が行き過ぎた場合には、国民がそのような事件について憎む、そのような事件を批判する、そのような事件について国民の世論がそういうものは許さないということについて、水をかけることになるということもあり得ると思う。ですから、大臣の先ほどのお話は、国民が知る権利があるという点をはずしていると私は思う。現在この時期ほど国民がこの陸運汚職に注目をしている時期はないと思う。それじゃ一体国民の知る権利というのは、捜査の支障あるいはその人の名誉ということと、少なくとも同列に置かれるところの大臣において発言をされる判断の一つの大きな柱でなければならぬ。三本柱です。三本柱で発言の内容が限定されなければならないと思う。二本柱ではないと思う。この点いかがでしょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 それはなかなか理屈があると思います。私は三本柱はあなたと同じ。ただときが適当なときに国民に十二分に知らせる。何も適当でないときにも知らせなければならぬというまでは考えていない。発表は適当なときに、あなたのおっしゃった国民に十分知らせる、こういうことで、三本柱はあなたのおっしゃることは正しいけれども、時期の問題は私は考えてもいいと思う。適当な時期に十二分に発表する、こういうことで、いつも三本柱というわけにも、事柄によってはいきにくい。簡単に申し上げれば、こういう考え方です。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 それじゃこの点については、私はこれ以上答えを求めませんけれども、新聞がとにかくこれだけいろいろ書いている。これはやはり世論が、国民の声が、この事件の真相を知りたいということだと思うのですよ。(「新聞が行き過ぎているんだ」と呼ぶ者あり)何を言うておるか、不規則発言するな。  そういうふうなことを前提として、局長さんにお尋ねいたしたいと思いますけれども、十五日はあすまいりますね。そこで、どういう処分になるのか。処分をするという報告は、もうすでに地検から受けておられますか。あるいはそういうふうな報告を受けられのは、いつ受けられるのか。まだ受けていないとすれば、いつ受けられるのか。また、そういうことについてどういう処分をするかということについての下相談、打ち合わせというのは、現在どの程度おやりになっているのか。要するに、いつになれば十五日の処分の結果について国民は知り得るのかということについて、局長さんのほうから御答弁をいただきたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 まだ報告を受けておりません。  それから個々の具体的ケースについて、どの人間を起訴するか、不起訴にするかということについて、一々事前に法務当局に相談ないのが原則であります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いつ報告があるわけですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 この事件で特に検察庁が本省に報告する必要があると思えば報告すると思いますけれども、私のほうからこの事件についてその結果を報告しろというようなことは、指図をしておりません。検察にまかしておるというのが実情でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 刑事課長さんおいでいただいておるのですけれども、最高検会議を何回かおやりになったと思う。特に大きな最高検会議としておやりになったとき、法務省からも参加をされて、この会議を相当時間おやりになりましたね。そこで、そのいわゆる集約があすくるというときに、このことについて何ら報告を受けておらない、あるいはまた報告を受けるか受けないか、これについては明確でないようなお話があるというのは、これは結局最後の詰めなんですから、私は納得できません。どういうことにきまっておるのかということを言うてくれと言っているのではない。いつそういう報告があるのかということを聞いている。報告があるかないかは、それは向こうまかせだというようなことなんですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 この事件は、なるほど社会的に、また政治的に重大な事件でありますけれども、検察官を信頼いたしまして、法務当局としては大臣の命を受けて、検察庁を信頼して、検察庁がなすところを見守っておる、こういう態度をずっと引き続き——大臣がおわかりになりましても、そういう態度できております。  そこで、刑事課長がこの捜査会議の中に列席したのではないかということで、新聞にもその報道がありましたけれども、その事件をどうするか、結果がどうなるかというようなことについて、刑事課長をタッチさせておりません。はなはだ法律上のむずかしい問題があるということで、法律解釈は刑事局長の専権事項でございますので、私にかわりまして、検討したところを刑事課長が持ってまいりまして、検察の質問に法律問題について答えたという事実はございまするけれども、法務当局を代表いたしまして、この事件の処理にタッチしたというような事実はございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 大臣にあと一、二問お尋ねをいたします。  私がお尋ねをしたいのは、田中前法務大臣は御出席になっておられるのですけれども、大阪の記者会見の中で、指揮権の発動なんというようなことは、要するに絶対にしないということをおっしゃったわけです。そこで、そんなことはもう大臣、何べんも繰り返し繰り返し言われるのは当然のことだと思うのですが、私がほんとうに検察を信頼するという前提で、大臣にひとつ、御答弁しにくいことかもしれないけれども、御答弁をお願いしたいのは、私はやっぱり検察を信頼しろということ——国民が検察を信頼しろというふうに言うし、検察に対する国民の信頼というのは、私は他の行政官庁に比べれば非常に高いと思うのです。ただしかし、昭和二十九年のあの指揮権の発動、犬養さんのときの指揮権発動、これはいわゆる時の内閣の非常な汚点であると同時に、そういう指揮権発動によって捜査はくずれてしまったということは、私は、検察庁全体として、十年以上たちますけれども、いわゆる法律の世界に身を置く者としては、あの痛烈な印象というのは忘れられない。そこで、今度のこの問題というのは、まあ言うてみれば現国会議員のいわゆる百万とかなんとかの収賄があるのかないのかというような問題だと私は聞いておるけれども、要するに、明るく正しい検察ということを大臣おっしゃるのだったら、私は大臣の口から一ぺん聞きたい。いわゆるかつての指揮権発動というようなことは、正しくないことなんだ。かつての指揮権発動の結果、助かった人もいますよ。そういう指揮権発動というふうなものは正しくないことなんだというところまで、大臣御答弁いただけますか。あれは過去のできごとであって、そんなことは言えない。あるいはあのときは理由があったんだというふうなことなのか、ほんとうに検察を信頼しろというなら、大臣の口から、かつての現実に検察庁法十四条を発動された過去の歴史、これは検察に非常に大きな影響を与えた、その後のわが国の検察のあり方をも否定したできことだと私は思いますけれども、こういうふうな十四条の発動、あの時点におけるあの具体的な発動というものが、十年たった今日においても、正しくなかったのだということをおっしゃれるかどうか。いかがでありましょう。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、過去の指揮権発動のときには、東京におりませんでした。政治のことはあまり研究をいたしておりませんので、いかなる理由であれが発現せられたのか、どういう影響があったのか、こういうことについては、私はここで申し上げるだけ勉強をいたしておりません。よって、これについてとやかくと批判する自由を、私は持ちません。ただ、私は法務大臣といたしましては、さきにもたびたび言いましたように、いま日本の検察陣営というものは、お話になりましたように、国民の信頼度が非常に高い。やはり仕事がやれるかやれぬかというのは、信用があるかないかということでできる。検察にしても国でもそうで、信用によって仕事ができる。こういう点から、日本の検察陣は非常に信用が高いから、この信用の高い検察陣にまかせておけば間違いはない、私はこういうふうな考え方を基本にして、そして検察陣のやることを見守りながら、適切なる検察が行なわれるように非常な期待をしております。なおまた欲をいうなら、今後検察陣が全国民の信頼度をさらにさらに高めていく、検察がやることだからもう間違いはなかろう、意味はよくわからぬけれども、検察がやることだからりっぱだろうと思うところまでひとつ信用を高めていくことを、私は念願しておる次第です。過去にありましたことについて、私はそのことについてひとつもあずかっておりません、いなかにおりまして……。だから、それをいいとか、あるいは悪かったとか、相当の理由があったとか、理由がなかったとか、いろいろな批評は差し控えたいと存じます。御了承願います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 歴史的な事実としてこの事件をどう評価するかというふうなことについて現職の大臣にお答えをいただくということは、これはもうずっと歴代同じ自民党の内閣のかつておやりになったことなのだから、私は非常に言いにくいと思うけれども、明るく正しい検察というなら、そこについて、こういうふうな愚かしいことは二度と繰り返さないんだということの御答弁があってしかるべきだと私は思いますけれども、いまの御答弁では、容喙ができませんということで、最後にお尋ねをいたします。  ただ、申し上げておきまするけれども、私が申し上げたのは、検察に対する国民の信頼はかなり高いと申し上げたのであって、非常に高いなどということは決して申し上げていない。要するに、指揮権の発動というできごとがあったことがいまでも汚点になっているということだけは、明確に申し上げておきたいと思う。  そこで、大臣の就任の辞、検事総長のいわゆる検察長官会同におけるところの訓示等の中で、収賄事件についても触れておられるくだりがございます。そこで、刑事局長さんから御答弁をいただきたいと思いますけれども、今度のタクシー汚職事件の足取り、いよいよ大詰めにきているわけですけれども、ずっと検討してみますと、最初は冷房料金の問題です。政治献金があったかどうかというようなことから入ってせんべつ問題、そうして結局今度の収賄事件というような中で、最初はとにかく冷房料金が高いじゃないか、おかしいじゃないかという大阪の主婦の人たちのいわゆる反対運動というふうなものと、今度の大阪特捜部が内偵を続けて、そうして強制捜査に踏み切ったという、世論の支持というか、世論のバックアップというものがあったと私は思うのです。だから、世論といいますか、そういうものを離れて検察というものはあり得ないと私は思うのですけれども、問題は、毎年毎年検察官の、あるいは検察長官会同において、収賄事件については取り締まりをするんだというふうな訓示をされているけれども、具体的にどういうことをおやりになるのかということについて、何か聞くところによると、聴訴室といいますか、訴えを聞く室を設けるというような計画もあると聞いている。解散前の国会から、また今度の国会でこういう汚職事件が出てきたということ、特に地方議員、地方公務員、国家公務員あるいは国会議員等というのは、もうどういうことがあっても汚職というふうなものから無縁でなければならないというふうな意味で、反面、われわれの立場というのは特に強く国民から批判されなければならない、そういう立場だろうと思うのです。それで、聴訴室というものも、政治の不正というふうなものについて、特に国民の中からそういう問題を取り上げるというような機能をも、一つの機能として果たしてもらいたい。しかし、その聴訴室ということは、どういうかっこうで構想しておられるのか、これについてひとつお答えをいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 会同におきまして、全国の検察長官を集めて法務大臣から当面の検察方針について訓示がありまして、続いて私が命を受けて詳細な指示をいたしております。その中で、最近の公務員犯罪の傾向なり、趨勢なり、特徴なり、分析検討いたした結果に触れまして、そうしてこの種事件についても当面の検察庁の心がまえと具体的な捜査の方針について指示をいたしました。そういうふうな指示を中心として引き続き協議が行なわれたわけでございますけれども、その内容の詳細は、これまた今後の捜査の方針に影響を持ってきますので、申し上げることは遠慮させていただきたいと思いますけれども、おあげになりましたような聴訴室の問題というようなことも、全国に設けておるわけではありませんで、必要なところではそういうふうなものを設けて有力な端緒をつかんで成功した事例があるというふうな、その端緒のつかみ方と、それで成功した事例についての報告、あるいは必ずしもうまくいかなかったような事件について経験した長官からの報告というふうなものを取りまとめて、最も適当な方法としてはどういう方法がよかろうかというようなことを詳細議論をいたしたというのが、この間の会同の大体の内容のあらましでございます。  そこで、聴訴室でございますが、これは今日全国の検察庁に設けることが必要かどうかということと、もう一つは、何と申しますか、密告というようなことをやたら国民に慫慂するような制度というものも、また行き過ぎますと人権に大きな影響を持ちますので、検察庁が限りある手でもってこういうことをするにつきましては、その運用についてはやはり慎重にしたほうがいいのではないかというようなことで、めったにそういうふうな事件がないところまでそれを設けることはいかがかということで、いまの段階では、設けて成功した事例とか失敗した事例というようなものを話し合って一応の参考にしたという程度にとどまっておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後の質問ですが、東京地検の特捜部それから大阪地検の特捜部というのは、従来それぞれ非常な実績をあげていると思うのです。たとえばその高検の管轄下にある地検、たとえば関西でいえば奈良だとか和歌山だとか、いわゆるそれぞれそこに配属されておる検察官の人たちは、星懸命に——特に仕事の量なんか、大阪地検などより量が多いんじゃないかというようなかっこうの仕事をしておりますけれども、いわゆるその汚職事件などというものについて、たとえば奈良、和歌山などにおいてこういう事例があったとしても、そういう捜査の端緒をつかんだとしても、その捜査というものが進展するというようなことになれば、結局どろぼうだとか交通事故だとかいうのは、もう全部とにかく捜査ストップというふうな状態になるだろうと思うのです。要するに、今度の事件というのは、政治献金という、後援会という隠れみのがある。そうして届け出てある。届け出てあったものが何が悪いんだというのを、そこが問題だというふうな、岩を砕くようなやり方でやらなければいかぬ。これは非常にむずかしい。しかし、ぜひやってもらわなければいかぬということですが、これは奈良、和歌山という場合に、そういうふうないわゆる検察の捜査能力というものは、なかなか期待できない面が私はあると思うのです。こういうような点については、どのようにお考えになられますか。要するに、どの地検管内においても、どこにおいても、先ほど言ったような国会議員にしろ、国家公務員にしろ、地方議員にしろ、地方公務員にしろ、いわゆる政治を毒するような汚職というのは、どこの場所においてやっても許されるものではないという考え方は、国民の声だと思うのです。たとえば、大阪でやれば特捜があるからつかまりやすい。どこかのいなかでやればなかなか目立たぬということは、これは非常におかしい。そういうことがないということの状態だという話であってもけっこうだし、そういうことについては若干不足しておるから、さらにこの問題については適切な手を打ちたいというふうな御答弁になるのか、私よくわかりませんが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一切の涜職事件を検事だけで処理することは、実情から申しましてたいへん困難であります。やはり大部分の事件というものは、豊富な陣容を持っております警察官が端緒をつかんで処理して、検察庁に送ってくる、こういうかっこうになろうかと思います。しかしながら、何らかの事情によりまして警察において捜査することが適当でなかったり、あるいはできなかったりというようなものにつきましては、検察官のところにおいてこれを行なうということが、捜査機関の機構の面から見ても原則的なやり方だろう、こう思っております。そこで、検察官に期待されるところがこの種の事件につきましては大きいと思いますので、でき得べくんばなるべくそういうふうなやるべき事件は検察官のもとにおきましてもやらなければならない、こういうふうに考えて、もっぱら事務の効率、能率をあげることをまず主眼として、機構の改革なりあるいは事務の刷新なりに取りかかりまして、余力をもってでき得る限り国民、住民の期待にこたえるような検察を勇敢に断行してまいりたい、こういう覚悟でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後に一点だけお尋ねをしておきますけれども、これは非常に気にかかる点をまとめて、今度の事件のことについてお尋ねをいたします。  天野検事正が談話を発表しておられる。十二月十一日の新聞記事ですから、十二月十日の記者会見だと思うのですが、その中で「これまでかなり時間をかけており、捜査はできるだけ急ぎたい。」その次なんですが、「あまり手を広げることなく、これまでにわかった事実の裏付けに全力をあげる方針だ。」と語っておる。「あまり手を広げることなく」というのはとにかく、いままでわかったもの、要するにつかんできたものだけ裏を固めていくんだ、これはあとの分についてはとても捜査の手が伸びないのだというふうな読み方をした国民もいると思うのです。そういうことだったら、たいへんなことだと思う。だから、この天野検事正がおっしゃっておる「あまり手を広げることなく、これまでにわかった事実の裏付けに全力をあげる方針だ。」ということについて、これはこういう意味なんだということで御答弁いただいてもけっこうだし、あるいは天野さんの談話というものとは関係なしに、この捜査のあり方というものについて御答弁いただいてもけっこうだと思うけれども、この点が一点であります。  それからいま一つは、これは大体の人は事情は了解しておると思うのですけれども、実は寿原さんの逮捕、私も朝日新聞を見て、こういうような逮捕のしかたがあるのかなと思ったのですけれども、六日未明に逮捕、こうなっておる。出頭した時間もその新聞記事に出ておった。そうすると、十何時間一人の人を調べたことになる。こういうようなことで、いわゆる選挙違反だとか贈収賄事件というものについては、調書の任意性ということがかなりやかましく言われるというふうな点について、気にしている向きもないではないわけです。この点の状況といいますか、六日逮捕というふうなことだったのかどうか。実際そうだったとすれば、こういう事情に基づくのだというようなことについて、お話しをしておいていただくことが適当だと思います。この二点についてお尋ねをいたします。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 第一点でございますが、この事件の捜査の範囲、それから終結の時期をいつごろにするかという二点につきましていろいろうわさが出ておりまして問題になっているようでございますけれども、今年一ぱいでやめてしまうとか、あるいはいま問題になっておるような範囲を出ることはないというようなことにつきまして、検事正をも含めて最高検、本省あわせて当局のほうから積極的に談話ないし意見を発表したことはありません。この種の事件でございますので、私どもの方面にも、報道関係者がたくさん取材に参ります。いろいろやりとりがございまして話がありますけれども、当局として責任ある立場の者から、時期と範囲についていままで言明したことはないはずでございます。しかし、お読み上げになりましたような記事が出ておることを私も承知しておりますけれども、これはまた犯罪捜査と違いまして、言うまでもないことでございますが、報道機関の非常に豊富な資料と、それからまた緻密な取材網というようなものを駆使いたしまして、私どもに対する談話の片言隻句あるいは顔色というふうなものからいろいろと結論を出されまして、そういうふうなものがいまお読み上げになりましたような記事となって表現されているというふうに考えておるものでございまして、当局のほうからは明確に、積極的に談話をこの問題について発表したことはないということを、ひとつはっきり申し上げておかなければならないと思います。  それから第二点の寿原さんの逮捕について、午前三時逮捕状の執行があったという点でございます。私も驚きました。直ちにその事情について調査をいたしました。これは五日の午後三時、任意出頭を求めまして検事が取り調べをいたしまして、九時前後に取り調べが終わったそうでございます。そこで任意取り調べでございますので、本日はこの程度ということでお帰りを願うことになったのでありますけれども、多数の報道関係その他の人々が、国民の関心を集めた事件でございますので、多数周囲を取り囲み、集まりまして、いますぐ出ていくということは御当人といたしましても迷惑だというふうなことで、しばらくここで待機をしたい、こういうふうな意向が、同行しております弁護士を通じまして検察官のほうに漏らされたそうでございます。刻々時間はおそくなってまいりますし、事態は容易ならぬと見て、地検の本庁からも責任者が現場にかけつけまして、間に弁護人を立てまして、どういうふうにしたらいいか、また本人の名誉なり、人権なりあれするためにどういうふうにしたら一番適当かということでいろいろ話し合いをしました結果、結局引き続きまた翌日取り調べを受けて逮捕されるというようなことであるならば、この際ひとつ明らかにして処置をとってもらってもやむを得ない、こういうふうな事情になりましたので、取り急ぎいろいろ相談の結果、はなはだ異例なことではございますけれども、暦では翌日になりますけれども、その晩おそく、午前三時ごろに逮捕状の執行をして強制捜査に移った、こういうふうな、まことに残念ではございますけれども、事情やむを得ざるものがあったので了承してほしいという報告が、最高検を通じて地検のほうから私の手元に参っております。結果においてまことに申しわけないことだと思いますけれども、また事情を聞いてみますと、やむを得ない措置ではなかったかとも思っておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後に、そうすると、捜査の範囲については限定しない、限定するというふうな明言をしたことはないということと同時に、そういう限定はしないということなんでございますね。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 そのとおりでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連質問を……。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 関連、長いですか。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 重大問題だけど短いです。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 一分ぐらいでやってください。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 重大問題です。指揮権発動の問題ですが、先ほどの大臣の答弁ではっきりしたことがわからなかったのですが、例の二十九年の指揮権発動の問題に対しては、歴史的な評価はそれぞれ考え方も違ったことになると思いますが、私は私で最も妥当だったと思います。満塁ホームランほどではないけれども、適時安打だったと思いますが、どうも話を聞いてみますと、あの法条というものは何か悪い法条であって、ああいう権限を法務大臣が持っておるんだが、その法条、すなわち指揮権を発動したら、何かああいう悪用したというふうな、悪いことをしたというふうにとれるような概念的な問答ばかりが続くわけですが、それは必要があってそういう法条ができておるので、指揮権発動をしなければならないときは断固として指揮権を発動してもらわなければならないという前提のもとにああいう法律ができておるわけなんです。もし指揮権を——乱用にもいかないのですが、指揮権を発動していけないのだったら、あの法条を廃止するというふうな法案を、議員立法でもいいと思うのですが、われわれ出してもいいと思うのです。その点についてはどうなんですか。指揮権発動も、乱用しなければ絶対に必要な法条であって、それはもうそういう場合もあり得るのだというふうに解釈するのですが、どうですか。廃止する必要があるのですか、どうですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、廃止するとかそういうことは一切考えておりません。指揮権の規則を廃止する——ただ私は、現在検察当局を信頼して、大いに信頼のある検察当局をたよりにやる、しかもわれわれ指揮監督しながらやっていくということです。過去のことも、私はあまりあれがないから批評をしないということだけ……。非常によかったという説もあり、いろいろあると思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 岡沢完治君。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間もおそうございますし、私のあとに松本委員も御質問になるようでございますから、四点だけ御質問申し上げます。  最初に、ただいま問題になりました検察庁法第十四条に関連してでございますけれども、先ほど川井刑事局長は横山委員の御質問に答えられまして、いわゆる国会議員の逮捕許諾制限について、法務大臣は単に報告を受けるだけで指揮監督権はないような御趣旨の御答弁があったと思います。しかし、検察庁法第十四条の規定は、まさにかつての昭和二十九年の指揮権発動とも関連いたしますけれども、私は、個々の事件については法務大臣は検事総長を指揮できるし、その検察庁法第十四条にいう処分の中には逮捕状の許諾制限なんかも含まれていると思うのでございますが、いかがでございましょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 検察庁法十四条は、何と申しますか、本来特別な規定ではないと思います。私は、政治と、それから政治のもとにある行政、行政の一環をなす検察庁、検察行政というものを比べてみましたときに、法務大臣が検察行政について国民に対して責任を負う。国民に対して責任を負う者が指揮監督権がないというような妙なことはないわけでございまして、責任を負う限度によりまして、また責任を負うということから当然に検察庁に対して指揮命令する権限があるということでございますので、むしろ十四条というものはあまりにもあたりまえのことを規定した規定だ、こう理解しているわけでございます。しかしながら、なぜこのような規定を検察庁法に設けたかというその立法趣旨でございますけれども、もちろん御承知のとおりでございますが、これは、検察行政は裁判司法に直結するものだ、刑事司法とほとんど一体をなす密接不可分の、言うてみるならば検察庁は行政機関ではあるけれども、準司法的機関だということが、憲法上の性格として一応通説になっている、こう申し上げていいと思うわけでございます。しこうして司法権は憲法上立法権からも独立しているというふうなたてまえに相なっておりますので、検察権の行使についてもある程度独立した公正な権限が認められなければならないというふうなところから、御承知のとおり、戦前には司法大臣は警察官の司法巡査に至るまで事件の指揮ができたわけでございますけれども、これを改めまして、個々の事件について具体的に検事正なんかを指揮することはできない、ただ検事総長のみを指揮することができるというようなことで、あまりにも当然な法務大臣の持っている指揮監督権と検察の持っている準司法的な性格との権限の調和をこの十四条に求めた、こういうふうに理解するのが通説であり、私どももそういうふうな観点に立っておるわけでございます。  そこで、また具体的な問題に戻りますけれども、かような事件につきまして、もちろん具体的な事件になりますけれども、必要があるならば、本件について検事総長から司法大臣に事前に連絡せよというふうなことは、この条文に基づいてもできるわけでございます。その報告を受けて、それについて法務大臣が是とするところを指揮なさるということも、この第十四条に基づいてできるわけでございますけれども、実際問題としては、これは法務大臣が言明されておりますとおり、この事件については検察庁の処置にまかせたい、こう言っておるわけでございますので、法律上の事柄と具体的なケースについての実際の、現在の法務当局の考え方、これを一応区別してひとつ御了解を賜わりたい、こういう趣旨であります。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 ただいまの御説明でわかったわけですけれども、先ほどのお答えでは、私の聞き違いかもわかりませんが、法律上は指揮できないということをおっしゃいましたので、それはあり得ない。やはり第十四条はそのためにこそあるのだということを正当だと思いましたので、指摘したわけです。  第二点でございますが、これは先ほど中谷委員の質問に触れてお答えになりました。やはり私も十二月十一日の新聞記事によりまして、大阪地検の天野検事正あるいはその前に津田最高検の刑事部長らの談話として、あるいは取材したという意味で、年内に終結する、その方針は変わらないということを再度の言明があったようでございますし、また範囲につきましても、ワクを広げないという報道がなされました。これでは、先ほどから赤間法務大臣が外からの力の排除については最善を尽くすとおっしゃっておりますけれども、内部からワクをはめてしまって捜査に限界を設けられたという感じを国民として持たざるを得ないわけでございまして、先ほどの川井刑事局長の御説明ならばわかりますけれども、もしこの報道が間違っておるなら間違っておると訂正なさるべきでございますし、特にきのうの公明党の代表質問からも、東京関係でも同じような疑惑があるということが指摘されているわけでございまして、にもかかわらず、年内終結ということが大方針である、あるいはワクを広げないということが大方針であるということになりますと、自由な、任意な捜査が初めからワク詰めにされて、あるいはその対象になる被疑者あるいは被疑者たらんとする人から見ると、年内さえ逃げれば逃げおおせるというような、証拠隠滅を助長させるような役目を果たさないとも限らない。この点につきまして、あらためてその新聞報道が間違いであるなら間違いである、しかし、どういうところからその間違いが起こったかということを明らかにしてもらわないと、新聞報道が間違いなのか、それとも新聞報道は正しかったけれども、方針が変わったのか、その辺をお聞きしたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 この新聞報道が間違いだということを私申し上げるわけにまいりませんけれども、事情を率直に申し上げまして、年末というのは検察庁の事件が一番滞貨ができるときでありまして、同時に年末には犯罪が非常に多発する時期でございます。そこで、先ほど加藤委員からも御質問がありましたように、九月に起きた事件をまだ処理してない、早くやってくれ。ところが、羽田事件というような突発事件が起きまして、東京地検の八割の検事がそれに従事したというふうな事情がございますので、非常にたくさん、年間受理が八百件になんなんとする事件を持っておるわけでございまして、それを一つのこういうような事件だけを取り上げて、大阪地検の特捜に十一人の検事しかおりませんけれども、これだけに半年以上も当たってやっておるということになりますと、一方において早く処理を待っておる事件が非常にたくさん残るわけでございます。ですから、これはもう予算と人員その他の関係もありますけれども、なるべく早期に、迅速にこの事件を処理して、そうしてまた万般の治安維持全般に当たっていくということが、やはり検察を運営する者としては、そういう観点に立たなければならないと思うわけでございまして、この暮れに非常に事件が集まるということ、忙しいということ、大阪地検に非常にたくさんだまっているということから、いままでこの種の事件の検察庁のやり方を見ていまして、多分年内あたりにはめどをつけるのではないかということが、こういうふうな記事になってあらわれた基本的な考え方だろうと思いますので、このような見方も、これは全くうそだというふうには、私の立場からは申し上げかねるわけでございます。昨日、予算委員会で赤間大臣がはっきり言明されましたとおり、この事件について、いつまでに捜査しろとか、範囲を限定しろということは、一切指揮はしない。検察庁独自の独立した捜査におまかせするのが、今日の率直な、偽らざる法務当局の考え方でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 刑事局長のおっしゃることは、わからぬことはもちろんございません。しかし、私が担当しました事件で死刑囚でございますが、ここに田中前法務大臣がおられますけれども、田中前法務大臣の判こで最近死刑執行をされた受刑者がございます。これは強盗殺人でございましたが、時効が十五年、十四年半逃げまして、あと六カ月逃げればというところで、七十歳をこえた年齢で処刑を受けたわけでございます。こういう事件でございましたら、十四年前の事件でも処理なさる。今度の陸運事件につきましては、その性格なりあるいは社会的な価値から言いましたら、きわめて重大な問題点をはらんだ事件であろうと私は思います。刑事局長のおっしゃるような、他の事件がふくそうしておることもわかりますけれども、やはり法務大臣が重ねておっしゃる検察の信頼を取り戻すためにも、この際、徹底した捜査をなさる、あるいは国民の前に疑惑がないならないではっきりなさることが大事で、初めから時期的な、あるいは範囲についてのワクぎめは、非常に誤解を生むのではないかということを指摘いたしまして、第三の質問に移りたいと思います。  これは、この国会議員の収賄に関連いたしましての職務権限の問題、先ほど刑事局長からもきわめてむずかしいし、判例その他も非常に数が少ないので問題点が多いということを御指摘になりました。申し上げるまでもなく、国会は国権の最高機関として、またある意味においてはオールマイティ、男を女に、女を男にする以外は何でもできるということわざがあるくらいに、国会議員の職務権限と申しますか、あるいは解釈によったら、非常に広いと思います。そしてまた、政治資金を提供する、あるいは献金を請求する場合に問題になるのは、個人よりも法人だと思います。それは株式会社が中心だと思いますけれども、株式会社は営利を目的とする組織であることは、指摘するまでもありません。その営利を目的とする株式会社が、政治家に、あるいは政党に献金する場合に、何らかの反対給付を期待しないと見るほうがむしろ不自然ではないかとすら考えられるわけであります。そうすると、国会議員の広い職務権限と、そしてまた献金の趣旨が資本主義社会におきまして利潤をある程度目途にしておるという現実、しかもまた国会議員は国会、特に本会議におきます議決権が一番国会議員の職務の中でも大きいものだと思います。すべての法律案件は国会の、ことに本会議の議決を経て成立をされるということを考えました場合に、これは広く解釈すれば、一切の権限がある場合には、すべての職務権限と結びつくという解釈も、不可能ではないという感じがいたします。きわめてむずかしい問題でありますが、その辺の限界について、やはり取り締まる側としては基準をお持ちにならなければ捜査にお入りになれませんので、法務省の有権的な御解釈をお伺いいたしたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一口に申し上げることはたいへん困難でございますけれども、わいろとは、法律上の概念として、職務に関する不法な報酬だ、こういうことが学説、判例の確立した今日の定説でございます。そこで、職務に関する報酬でありましても、不法でないものはわいろにならないという解釈が、当然法律上出てくると思います。しかして不法な報酬であるか、正当な報酬であるかという基準は何だ、こう聞かれますならば、これまた法律論の原則に戻りまして、社会通念がこれをきめることではないか。具体的なケースにおきましては、個々のケースの裁判によって、裁判所においてその判定がなされ——たいへん紋切り型で申しわけありませんけれども、簡単にそこを言え、こうおっしゃれば、そういうふうにお答えするよりしかたがない、こう思うわけでございます。職務に関する不法な報酬を受けないのだ。不法とはどういうことか、社会通念上不法だと思われるような報酬はいけません、こういうことだろうと思います。俗にわいろと申しましても、常識的には営利会社が政党に対して金を出し、何らの対価を期待しないで出すものはないのじゃないかということで、ごく広い常識的な意味におきましては、そでの下といいますか、わいろということばを用いるとあれでありますけれども、そういうような感じが出てきますけれども、刑法が処罰しようとするわいろは、非常に厳格な条件を設けて、その構成要件に該当するようなもののみがこの刑法にいうところのわいろになるのだということになっております。専門家の方に対してまことに失礼なお答えでございますけれども、その辺のところでひとつ御了承を得たいと思います。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間の関係で次に進ましていただきます。政治資金規正法とこの収わい罪との関連でございます。  先ほど高橋委員からいみじくも御指摘がありましたように、正規に政治資金規正法の手続に従って届出をされた団体に対し、正式に政治資金規正法のたとえば第九条の会計帳簿に記載されておるとか、しかも第十二条によって報告がなされておるというようなものは、むしろ政治献金、あるいは正当な政治資金という解釈をするのが当然じゃないかというふうな御意見もあるわけでございます。しかし、こうなれば、政治資金規正法はむしろ収わい罪の隠れみのになるというおそれすら考えられるし、ある場合は捜査の妨害の道具に使われるということも十分に懸念されるところでございますし、ごとに政治資金規正法の運用を考えました場合にも、幽霊団体、あるいは名目上だけの会計責任者、あるいは形式だけの帳簿の備えつけ、これがなされておることによって一切正しいいわゆる政治資金規正法上の政治献金と見られるということになりますと、むしろ合法的に犯罪を助長する。これは共犯的な役割りを政治資金規正法が犯しておるというふうな考え方すら不可能でない、そのこと自体を先ほどは高橋委員が御指摘になったというふうに私は感ずるわけでございまして、専門家の高橋委員ですらそういうことをおっしゃる。国民の疑惑もここにあろう。この点につきましては、赤間法務大臣、刑事局長も、形式はどうであろうと、実態が収わい罪に該当するならば思い切ってやるということをおっしゃっておられますけれども、実際の捜査の面では、政治資金規正法が逆に犯罪を犯しているという感じを私は強くするわけでございますが、この点と関連いたしまして、政治資金規正法について私がいま指摘したような懸念があるかないか、もしあるとすれば、どういう点について今後改正する必要があるか、捜査当局としての御見解なり、あるいは事実についての御意見を賜わりたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 刑法上のわいろという概念はわりあい簡単でございまして、名目は何でありましょうとも、その要件に該当し、かつ違法性があれば、それは犯罪の疑いがあるということは、これは言うまでもないと思います。御指摘のとおり、理論的にはまさにそのとおりでございますけれども、一方に政治資金規正法に基づいて団体が献金を受けてこれを明らかに官に届け出をしておるというふうな事態がありますというと、その内容が一々わいろになるかならないかということを議論するということは、証拠の観点からはたいへんむずかしい問題だ、まさに御指摘のとおりでございます。しかしながら、この政治資金の問題は、私も少し資金規正法の成立協議にあずかりまして多少の経験を持っておりますけれども、非常にむずかしい問題を含んでおる事柄だと思うわけでございまして、私どもただ単に狭い間口で犯罪の成否だけをどうこうしておるような役人の立場から、この政治資金規正法が、政治家に対する資金の授受についてどういうふうな影響にあるか、また、それについてどういうふうな見解を持っているかというふうなことにつきましては、この際ここでもって申し上げるだけの材料と資格を持っておりませんので、いろいろまた研究いたしまして、大臣とも御相談の上でいろいろまた善処してみたい、研究してみたい、こう思っております。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 刑事局長のお立場からはそういう御答弁しかできないということもよくわかるような気もいたしますし、また謙虚な御答弁でございますけれども、実際は政治資金正法が逆に、先ほど違法性阻却ということをわざわざ高橋委員が御指摘になりましたが、検察の正当な捜査の妨害の道具に使われるおそれがあると私は確信いたしますし、そのことを与党の委員もおっしゃっているわけでございまして、私は、勇敢にこの際政治資金規正法の本来の趣旨が生かされるように、捜査当局は捜査当局から見られた政治資金規正法の機能について率直な意見を、ここでなくてもけっこうでございますから、それぞれの関係機関に御指摘いただくということが、将来の正しい意味での政治のあり方、あるいは立法機関の機能を果たす上に役立つのではないかということを申し上げておきたいと思います。  最後に第四点でございますけれども、先ほどの中谷委員の質問とも関連するわけでございます。すでに贈賄側につきまして、収賄はここで申し上げる必要はありませんが、寿原氏が逮捕になった。一方でもう一人の人につきましては逮捕がなされていない。任意捜査が原則であることはもちろんよくわかります。しかし、新聞等で報じられた限りにおきましては、むしろ大阪のタクシー業界とは、寿原氏よりも、もう一人の疑惑の方のほうが関係が深いという報道でございます。私は、検察の信頼ということを法務大臣以下たびたび言明なさっておられますが、それは法務大臣が検察を信頼されるということより以上に、国民が検察を信頼するということが必要ではなかろうかと思います。その場合に、やはり信頼の基礎は、公平な扱いということが大前提にあるのではないか。現職の代議士であるから、われわれもそうでございますけれども、まさに特権を受けようという考えは避けるべきであって、検察権の発動のためには、法の前にはみな平等であるのがたてまえである。もちろん国会議員としての立場上、憲法上の保護があることはよく承知いたしておりますけれども、この種の事案につきましては、厳正なあるいは公平な捜査権の発動ということは、むしろ検察の信頼のための大前提であるし、国民もそれを求めるし、また憲法上の不逮捕特権とも私は矛盾しないと確信するものでございますが、その点について、お答えはむずかしいとは思いますが、私は、少なくとも国民が納得するような御説明が必要ではないかという点について、あえて質問申し上げたい。この点につきましては、先ほどからの答弁ではこの点は検察庁にまかしておるという御趣旨でございますけれども、私はやはりいい意味で検察庁法第十四条を生かしていただきまして、法務大臣としての正しい見解を、あるいは正しい権利の行使を全うしていただきたいというふうに期待するものであります。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お説ごもっともでございます。すべての国民は、これは法律の前に平等だ。公平な取り締まりを検察陣が行なわれる。そして国民みんな、私のみならず、すべての国民が検察を信頼するような状態に極力積み上げていくことに努力をしたいと思います。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほど私の質問途中に同僚二人の質問をしてもらいましたが、本論に返りまして、時間があまりありませんけれども、大臣、まことに恐縮だけれども、もう一人私のあとにあるので、初めてのことでございますが、どうぞひとつ最後までお願いしたい。そのかわり、私は簡潔にお伺いします。  二つありまして、最初の問題は、北鮮帰還の問題であります。本委員会が、重要な問題として田中法務大臣以来累次の審査を行なってまいりました。ただいまコロンボで日本と北朝鮮の赤十字社の交渉が始まっています。御存じのように、北朝鮮側は、客観的にいえばきわめて大胆な提案をいたした。つまり費用はもう自分のところで持ってもよろしい、そうして船も出す、もし日本側がたいへんめんどうがるようだったら、国内の仕事も朝鮮総連でやってもよろしい、きわめて現実的な案を出したものだと私は思うのであります。双方とも、本委員会で前に議論いたしましたように、前提条件抜きの話し合いになったことは、喜ぶべきことだと思うのです。片一方は延長をしなければ話し合いに応じない、片一方は延長打ち切りでなければ話し合いに応じない、そういうところから乗り越えてコロンボ会談が行なわれていることは、私はたいへん慶賀に値すると思うのです。大臣に伺いたい点は、それにもかかわらず、日本側が、日赤という権限のないところであるために、十分な対案というものが出ていないような気がするのであります。私は、本委員会で政府側に言ったのでありますが、権限をほんとうに持たせて、そうしていろいろな交渉というものは、取引もあるだろうから、あちらがへこんでこちらが飛び出すというような取引もあるだろうから、日赤にまかすか、あるいはとにかく政府の窓口を一本にしばって全面的にそのかけ合いができるようになっておらなければだめだ、こう言ったわけでありますが、いまはそれはともかく、日赤が現地におるのでありますから、政府側としては、あとから日赤のしりを突いて各省がそれぞれの思い思いのことを言わないで、日赤に全面的にひとつやってみろという立場をとったらどうかというのが、私の一つの意見。  それから第二番目は、この話し合いはどうしてもまとめなければならぬという立場をとるべきではないか。何もこれは日本側に言うばかりでなくて、私は北朝鮮側にも希望したいのでありますが、特に協定打ち切りを、まあ客観的にいえば、一方的に宣言して、八月十一日、十一月十一日というタイムを置いたのは日本側なんです。そのタイムを一方的に置いたために、一万七千人の人が帰ろうと言い出したわけですから、その意味において、一万七千人を送るということの全面的な責任は日本政府にあるといわれてもしかたがないと私は思う。これが話し合いで一万七千人が出たならいいのですけれども、一方的な日本側の打ち切り宣言でやった手段によって一万七千人が出たわけですから、一万七千人は日本側の責任においてもこれは帰さなければならぬ問題です。ですから、第二番目の私の提案を含む意見としては、とにもかくにもこれはまとめなさい、コロンボ会談は成立をさせなければならぬ、こういうような意見であるが、どうかという点であります。まずその二点をお伺いしたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 北鮮の在日朝鮮人の帰還の問題でありますが、御承知のように、十一月十二日で大体協定の期間が切れて、お述べになりましたように、コロンボでいま北朝鮮の赤十字と日本の赤十字がいろいろ協議をしておるのを承知しております。暫定措置は関係省の間において大体取りきめをいたしておる。期間はいつごろまでの間に、船をそれに間に合うように持ってくるならば、北朝鮮に人間を帰すことについては努力をしよう。ただのんべんだらりと毎月一隻とか、いつまでも無期限に帰すというようなことはいろいろと好ましくないから、一定の、大体の期間をめどにいたしまして、北朝鮮が応じて、そうしてそれについての配船その他をやるならば応じよう、そういう方針のもとに協議をいたしております。われわれとしましては、赤十字同士の協議がまとまることを希望しておる。やはり条約のない国でございますし、一万六、七千人のまだ、何と申しますか、帰りそこねた人間がいまして、調べてみると、実際ほんとうに帰るという希望の人間がそのうちのどれだけおるのか、いろいろな点についてもいろいろな事情があるのではないかとも想像はしております。いま言いましたように、一定の期間を限って両国の赤十字の間で話し合いができれば、それに越したことはない。それに向こうが応じないと、なかなかむずかしい。しかしながら、たとえこの協定ができなくとも、条約のない国でも帰ることは帰れる。われわれとしましては極力暫定措置をひとつ築いて、両方の国にいいようにやりたいということで、今後とも引き続いて努力していきたい、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 こまかい問題に触れますと時間がかかりますから、私は私の希望として、日赤にまかせること、何としてもまとめること、この二つのものの考え方を大臣としては持ってもらいたい、こういうふうに希望をしたわけであります。大臣はまとまることを希望すると言いながら、いつまでものんべんだらりと待っているわけにいかぬので、一定の日時を置いて、こうおっしゃった。そういう附帯条件を先へ置きますと、まとまるものがまとまらないと私は思うのであります。日本政府として十年も待つ、あるいは二十年も待つとはいわないでしょう。そんなことはわかっている。けれども、争いといいますか、問題は、そんなに期間も大きな期間はないと私は踏んでおるわけです。日本政府の言うとおりまでに帰らなければ、日本政府としては何ともならぬ問題があるわけではありますまい。あなたは大阪府で地方自治体の責任者をやっておられてよく御存じだと思うのだけれども、日本には六十万人の朝鮮人がいるわけです。その人たちは、家庭をかまえ、商売をし、会社に勤めておるわけです。場合によっては土地を持っておるかもしれぬ。うちは自分のうちかもしれぬ。そういう土地やうちや自分の商売道具もたたき売っていくということも、なかなかそうはいきますまい。行く意思とそれから帰ろうとする適切な時期とにズレが出るということは容易に考えられることなんだから、そういうかね合いであろうけれども、そういうことがのっぴきならぬ日本側の条件であるとは、私は思わないのです。そうでしょう。  それから根本的に、これはここにいらっしゃる田中さんは前に大臣として同意見だとおっしゃったのだけれども、北鮮帰還の基本的な、歴史的な原因と考え方を新しい大臣も持っていただかなければなりません。私どもは、朝鮮の諸君がどう言おうと、われわれ日本人としては、あの関東大震災以来、日支事変から大東亜戦争に至るまで、民族としての朝鮮人をどういうふうに扱ってきたかという反省が、底流として持たなければならぬわけであります。いわんや帰ろうというのですから——来るというわけではないのですよ、帰ろうというのですから、しかも北朝鮮が費用は自分のところで持ってもいいといっているのですから、帰ろうというのに帰さないということはないですけれども、あれやこれや条件をつけるということは、いかがなものかと思う。残っている問題は、国交が未回復ということだけです。未回復なるがゆえに筋を通したいというお気持ちのようだ。けれども、これとても今日まで数年間のうちに、まさに民族大移動に匹敵したこの帰還が現実に行なわれたのです。それを日本政府が一方的に打ち切って、こういうやり方はもうやらぬというべき、これは他国に通ずる積極的な理由はあまりないんですよ。私は、いまここで時間がないから、そこのところをあまりこまかいことをやり合おうとは思いませんけれども、大まかに歴史的な、あるいは人間的な、国際的なことを考えて初めて、私は結論として日赤にまかせなさい、そうしてまとめる気持ちをお持ちくださいよと言っておるのです。どうですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。御承知のように、日本に居残って帰りたいという一万七千名の者は、大体十一月までに帰りたい、そしてこれはもう申請をした人であるように承っております。そういう意味からして、われわれも、できるだけ早く帰りたいと思う人は北朝鮮に帰したいという、これはもうあなたと同じ考えを持っておる。そういう意味から言って、日赤が向こうの北朝鮮の赤十字社と暫定措置についていま会談をしております。その会談がまとまれば非常にぐあいがいい。これはわれわれは非常に希望をしておる。それで、いまからそろそろ帰ろうというのじゃなくて、十一月までに大体一万七千人が帰りたいと申し出ておった人間でありますので、適当なときに、なるべく早い時期に帰らせることが本人の希望にも沿うことだから、それで両方の赤十字が話し合って満足のいくようにしたい、こういうように——別にこまかい条件とかそういうものはつけない。ただのんべんだらりんといつまでも……。(横山委員「十一月に帰さなければ日本はひっくり返るのかね」と呼ぶ)いやいや向こうが希望した……(横山委員「日本がかってにきめたんじゃありませんか」と呼ぶ)

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 私語を禁じます。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 そういうことでございますので、とにかく両方のぐあいのいいようにということで日赤と北朝鮮赤十字でうまくきめてくれ、そうすれば円滑にいくのじゃないか、むずかしい条件をつけようとかいうようなことは考えていない、ただあんまりのんべんだらりんはいけない、適当な時期にやる、こういう考え方です。

横山利秋日本社会党

○横山委員 笛吹さん、そばでものを言いたそうな顔をしているが、私の気持ちはわかるでしょう。もう何回もやった点なんだから、あなたからひとつ大臣に今晩ゆっくりとよく話しておいてくださいよ。——笛吹さんが話すと、逆戻りするといかぬので、大臣にもう一つだけ言っておきますが、私が言っているのは、帰還協定の交渉は、政府のいう八月打ち切り、十一月十二日かまでに帰すというのは、政府がかってにきめたことなんで、向こうと交渉の上でまとまったものではないですよ。しかし、それでも帰りたいといって希望した人が、一万七千人おることは事実だ。けれども、常識的に考えてごらんなさい。おれは帰りたいという人が、土地を持っておるので土地を売らなければならぬ、家財道具もまとめなければならぬ。しかし、十一月十一日までにそれができない人が、現実におることは想像できるでしょう。それともう一つ大事なことは、私の提起している問題は、一万七千人ばかりじゃないのです。その後といえども、商売不振になった、向こうでおかあさんが死にそうだ、もうこの辺で一ぺん帰りたいという人があるということも、これは想像できることなんです。この二つの問題です。それについて帰りたいというのに、帰りたければかってに帰ればいいじゃないか、こういうことをあまり言わないで帰したらどうだ、便宜をはかったらどうだ、こういうことなんですよ。これはこまかいことを言い出すといかぬので、大局的、常識的に、大臣一ぺんよく考えて検討してください。大臣、ちょっとこの点御勉強が足らぬようですが、笛吹さんは私の気持ちはよくわかっておるんだから、私の気持ちを話さなければいかぬ。あなたの気持ちなんか話してはいかぬ。(笛吹政府委員「委員長」と呼ぶ)いや今晩話してくれというのです。笛吹さん、あなたが言うとまた時間がかかるのだが、いいかな。

笛吹亨三法務省入国管理局長事務代理

○笛吹政府委員 先ほど一万七千名の者が別に十一月までに帰りたいということではないようなお口ぶりの御質問でございましたけれども、実は八月十二日にこの協定による帰還申請を締め切ったわけでございます。これは政府の方針で本年限りでもう延長しないということは、昨年から申してあったわけです。その間の経緯については、よく御存じのところでございますので、重ねては申し上げません。八月十二日で申請を締め切ったわけでございますが、その締め切るときに、十一月十二日の協定終了までに帰りたい人だけは申請を受け付けるということを念を押して受け付けておるわけでございます。したがって、申請をした人は、十一月十二日までに帰りたい人でございます。そのはずでございます。したがいまして、そういう人たちは、もうすでに十一月は済んでいるのですから、ですから十一月までにとにかく帰さなければいけない。そこで北鮮に対しまして、十一月までにたくさん船を持ってきなさい、できるだけ船を持ってきなさいということを何べんも呼びかけたわけでございますが、残念ながらそういうように聞いてもらえなかった。結局船が一隻ずつしか入らなかったために、相当な人が余っています。一万七千とおっしゃいますけれども、実際は一万五千何がしでございまして、いまだいぶ減っておりますけれども、そういうような状態でして、一万五千何がしの人たちは早く帰りたい人たちですから、こちらもそれは早く帰してあげる。だから、いま日赤が朝赤と会談いたしておりますのは、この人たちを早く帰す、だから月に四隻でも船を持ってきて、ピストン輸送すれば早く帰れるのですから、そういう人たちの希望を聞いて早く帰してやる、そういう暫定的な——暫定ということばはおかしいかもしれませんが、暫定的な措置をそういつまでもやれないかもしれませんが、ある程度の期間においてはそれをやりましょうということの話し合いをしておるわけで、聞くところによりますと、ある程度話し合いは進んでおるようでございますから、横山委員が御心配になるようなことはないのかもしれません。話し合いがまとまる可能性も相当あるのではないか。これは会談のことでございまして、相手のあることでございますから、まとまるかまとまらないか、ちょっと予断は許しませんけれども、相当な希望を持てるのではないか、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ぜひひとつこの機会にまとめるように……。私は笛吹さんに一言言うておきますが、黙っておるとあなたの言うことを私が承知したように思われるから。八月に受け付け、十一月に帰すということは、北朝鮮赤十字社ともあるいは日本におる朝鮮人とも話し合ってきまったことではないということを、あなたはよく腹に置いてもらわなければ困る。こういう条件だ、これでよければ申請しろ、それでいかなければ知らぬ、こういう態度でやって、それでもなおかつ帰りたいという意思表示をこの際しておいたほうがいいと考えて申請した。帰りたいから、十一月までには土地を売れないかもしれない、家財道具もまとまらないかもしれぬけれども、帰国の念、望郷の念やみがたしという人情論というものはあなた方は全然考えずに、おまえ判こを押したじゃないか、十一月十一日までに帰りたいと言ったじゃないか、それを帰らぬとは何だ、こういう態度というものは、あなたは顔が赤いけれども、血が通っていないのではないかとさえ思いますよ。そこのところをやはり余裕を持った考え方をしてもらいたいと思います。(笛吹政府委員「委員長」と呼ぶ)質問をしているのではないのだ。

笛吹亨三法務省入国管理局長事務代理

○笛吹政府委員 先ほども申しましたように、十一月までに帰りたい人ということで申請を受け付けて、われわれは十一月までに帰る人だとして取り扱っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次の質問に移ります。次の問題は問題提起にとどめますから、ひとつ法務大臣頭に置いていただきたいと思うのであります。  けさの新聞にも報道されましたが、きのう東京において同和信用組合というところが国税庁の東京国税局調査査察部の強制査察を受けました記事をごらんになったと思う。私は大蔵委員も長らくやっておったのですから、査察事案ということの経緯はよく承知しておるつもりであります。本委員会でこれを問題にしたいのは、同和信用組合それ自身が脱税の容疑があったわけではないのです。国税庁に確かめたのですが、ほかのある会社の脱税容疑に関連をして、同和信用組合が取引先として査察を受けたという珍しいあり方であります。しかも問題にすべきなのは、二時か三時ごろに入りまして、警察官が本店と支店合わせて二百名くらいだと記憶しておるのですけれども、二時五十分に入りまして、銀行の——組合といえども金融機関ですが、銀行の大戸をおろさせてしまった。つまり取引先のお客さんを締め出して、商売ができなくさしてしまった。こういうのはいままでも類例がないのです。そして表へ国税犯則取締法第九条より出入りを禁止するというビラをぱっと張って、交通遮断をしてしまい、お客さんをみんな出さしてしまった。これはかって静岡銀行に査察が入ったときにやりかけてすぐにやめてしまったという事案がありますが、いまだかつて金融機関がかくのごとき強権を受けた例は、日本にはないと私は記憶しております。そうして表で大戸をおろして警察官が張り番をして、はしごをかけて組合の二階から入ってきて、そこのすだれを打ち破ってすだれがこわれてしまったのです。そうして自分たちで大戸をおろしているのだから自分たちが入ればいいものを、はしごをかけて二階から上がってなだれを打ってきた。そのとき内部におきましては、資料を出すか出さないかという相談で国税局と支店長との間に目録を残すことの一応の合意を見て、作成の話が進んでいる最中に大戸をおろし、二階を打ち破って入ってきたという事案が起こったというのであります。その次に問題にすべきなのは、書類を全部持ち去った。それできのうからきょうにかけまして、私も国税庁長官や東京国税局長に注意を促したのでありますが、年末金融が全く繁忙期にあります。それで、一つはもう手形の期限が来ておるものがあることは言うもおろかなことでありますが、一体その不渡りになりそうなものは何かということまでわからなくなっちゃったわけであります。他方においては、そういうことですから、この取引先の日本人並びに朝鮮人は、自分の預金、自分の資産がそれによってどうなるかわからないものですから、銀行に詰めかけてきておるというのであります。私は、東京国税局長にも、この調査の対象になった会社の書類はやむを得ないとしても、他の書類はすべてすみやかに返すように、最低限これこれだけのものはすみやかに返すようにという勧告をいたしました。単にこれは金融機関としての信用のみならず、取引先と金融機関の商権に関する問題である。信用組合としても営業権に関する問題で、きわめて重大なことだと私は思っておるわけであります。多少トラブルもございまして、その現場並びに書類を早く返してもらいたい、おれの商売も困ると言って東京国税局へ押しかけた中に、多少の負傷者も出たと双方側の報告を聞きました。  こういうような状況はなぜ起こったかといいますと、国税局側の言い分は、いままで組合に対して資料の提供を求めたところ、提供に応じない。だからやむを得ずやったというのであります。私がそれでは信用組合側の意見をつぶさに聞いてみましたところ、四十年の十月に二件、四十二年の十一月十四日、税務署並びに国税局が資料の要求に来たときには、ほとんど同意をして資料を提供をしておる、こう言うのであります。ただあなたのほうに言われる筋はないかと私が言うと、うちは職員に女の子が多いから、女の子が自分では処理がし切れないので、責任者が来るまで待ってくれ、きょうは取引先に回っておって帰ってこないという意味においてお断わりしたことはあるけれども、資料の提供をしたのは、私が説明を聞いただけでもすでに七件あるわけであります。だから、その意味においては、資料の提供を一回もしなかったとか、あるいは提供の度合いが悪いということは、局側としてはいかがなものかと私には感じられる。そこで、特にそれに関連して法務大臣に頭に置いてもらいたいのは、最近、いま質問いたしました北朝鮮の帰還の問題、それから税金の問題、そのほか朝鮮人関係の問題については、在日朝鮮人の諸君の考えは、自分たちだけが不利を見ておるという印象であります。これが正当な印象であるか不当な印象であるかは別としても、取り扱う政府、行政機関としては、この考えが長年の歴史の中から生まれたものだ、日本側のとった措置によって生まれたものだという反省をもって取り扱いを慎重にしなければならぬと、私は痛感するわけであります。きょうは、以上のことを申し上げまして、できればあした国税庁からも来ていただきまして、そのような職権乱用の事実はなかったか、あるいは人権じゅうりんの事実はなかったか、商権と取引先に対して不当な扱いをしたようなことはなかったかということを調査もいたす予定でございますが、法務大臣としても十分その事情を調査しておいていただきたい、こういうふうに希望いたしたいと思います。私のいま申し上げましたことについて、大臣も新聞をごらんになったと思うのでありますが、御感想を承っておきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 けさ非常に早く起きまして、まだいまお話しの同和信用組合の問題は拝見をしておりません。ただいまあなたからよく承りましたから、考えておきたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連質問。さっきから関連質問ばかりしてあれですが、いまの問題ですね、大戸をおろして営業が全然できないようにするような権限が、国税庁の職員にあるのですか、いかがですか。刑事局どうです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 ごく新しい事件で、まだ報告を受けておりませんので詳細はわかりませんが、おそらく国税犯則取締法に基づいて、国税査察官が裁判官の令状を得て押収捜索を行なった案件ではなかろうかと思うわけでございまして、そうしますと、これはいわゆる刑事訴訟法にいうところの強制の押収捜索でありますので、刑事訴訟法あるいは国犯法に定められたような強制的な権限の行使が場合によっては許される案件でございますけれども、実際はどういうふうでありますか、事件を扱ったほうの言い分も十分聞いた上で、もしあした調査が完了すれば、明日またお答えをさせていただきたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 具体的に言って、大戸をおろして営業が全然できないようにしてしまうということが、刑事訴訟法上できますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 想定問答として、場合によっては不可能ではないと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣に二、三の点をお聞きしたいのですが、本日の冒頭に法務大臣は所信を表明されましたが、この点についてまず最初に伺っておきたいと思います。  わが国は言うまでもなく議院内閣制であって、政府は国会に責任を持っている。国会に対する責任を軽視をするということは、主権の存する国民に対する責任を果たせない、あるいは議会制民主主義を破壊するということになるかと思います。私が聞きたいのは委員会と大臣の関係であります。大臣が国会の委員会に出席をするということを人によってはかなり軽視をされ、極端な場合は、所用があると言って早々に引き揚げられるというようなこともあります。これはわが国の議会制民主主義のあり方として、決して正しいことではないと思う。法務大臣の最も重要な責務は、法務行政について議会、特に主管でありますこの法務委員会にその行政の実情を十分に明らかにし、議会の監視、言いかえれば国民の監視のもとに行政を行なうことであると思いますけれども、法務大臣はそのことについてどういうお考えであるか、お聞きしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 ただいまお話しのとおりに、大臣としましては委員会を尊重いたしまして、いろいろなことを聞き、かつまたお話をして、法務行政をりっぱにやっていきたい、こういう考えでおります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私きょう質問をいたしますのは、朝鮮の帰国問題とそれから汚職の問題でありますが、いま同僚委員が朝鮮問題を先に出されましたので、それから先にお聞きしたいと思います。  これはこの委員会では田中法務大臣時代からたびたび問題になっておりますので、田中法務大臣がこの委員会で答えられたことについて多少お話しして、新しい大臣の意見をお聞きしたいと思う。田中法務大臣は、帰国の方法について八月十三日以降申請される人については、朝鮮民主主義人民共和国ですか、北鮮から船を回してくださるならこれを入れてあげるということは「当然とらなければならない。それをそういう船は入れないというのであるならば、八月十三日以後の出国は許さない、それはもう人道無視もはなはだしいものである。」「八月十三日以後は一般外国人の出国手続によって証明書を差し上げるのみならず、北鮮の関係においては、特にお帰りになる手段につきましては、運搬手段につきましては、船その他のものが寄港することについては便宜を計らい、これを受け入れる方法を考えなければ人道上申しわけないことになる、こういう見解でございます」「新しく迎えに来たときに船を入れる協定等はできるものかと存じます。」「一般協定をしてもいいのではないかと考えております。」これは八月一日の法務委員会でございます。それから「人道上の問題として、帰りたい人を帰りたい国にお帰りを願うということを実現せなければならないという責任が、文明国の日本としてあるわけでございます。」「これはまっすぐな話ですから、政府の要路のだれもそれに反対するという筋にいかないものと私は考えておる、」これは八月十八日の法務委員会でございます。私は、田中法務大臣の意見とは必ずしも一致しない点が、この問題についてももちろんあります。閣議決定を固執されたということについて、たいへん不満であったわけです。そのほかありますけれども、田中法務大臣もこういうふうに答弁をしておられる。それで、今度はコロンボ会談が始まっておるわけでありますけれども、赤間法務大臣はここで、いま私が読み上げました前法務大臣の意見をさらに前進をさせていくというお考えがあるかどうかということを、まずお聞きをしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私の非常に尊敬しておる前法務大臣の説は、全部私はこれを守っていき、そのとおりにやろうと思っております。原則といたしまして、帰りたい人間は帰すということが大きな道であります。ただ、条約もありませず、またいろいろな関係もありまするので、やはり私の考えでは、いま一万七千名ぐらい積み残るというか、帰りたいけれども帰っていない、残った者があるので、なるべく早く帰らせるようにするということがいいのじゃないか。そういう意味で、御承知のように、いまお述べになりましたように、コロンボで真剣に北朝鮮の赤十字と日本の赤十字とが協議をして、その協議の骨子は、日にちを大体適当な期間をきめまして、その間に一万七千名の人間を北朝鮮に送る、それに間に合うように、北朝鮮から従来どおり船を送って送り帰そう、こういうことが話し合いの骨子になっております。おそらくこれはさっきも聞いたのでありまするが、成功するのではないかと非常に期待をいたしておる、そういう事情にございますので、御了承を願います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 ところが、先ほど同僚委員がこの問題について質問をいたしましたけれども、田中法務大臣時代は、いままでの協定を無修正延長というのが朝鮮側の主張であります。それが今度の新しい提案になりますと、田中法務大臣の言っておられたようなことも十分入った新しい提案がされておる。具体的には、その一万七千余人は現行協定で引き続き帰国させる。そして帰国希望者は入管事務所、市町村出張所で個別に手続をする。新しい帰国希望者に対しては、朝鮮民主主義人民共和国の赤十字会が負担をする。だから、費用は全部朝鮮持ちにする。この問題は与党の高橋議員も、これは金の問題じゃないだろう、一体これを帰さぬで日本の国の利益はどこにあるのだというような立場から——もちろん私とは違った立場でありますけれども、聞かれたわけであります。この点については、さらに前進をして、一銭の負担も日本にない、こういう提案であります。それから一たん帰国手続をしたあとは、日赤が帰国者を引き受け、集団でいままでのように帰国できるよう業務を行なう。もし日赤がこれまでのような帰国業務を引き続き遂行できなければ、在日朝鮮人総連合会が引き受けてこれを行なう。いずれにしましても、今度はもし赤十字ができぬというならば、朝鮮総連でやりましょう、日本側の負担は一切ない、こういう提案がされてきておるわけです。日本側のすることは、承認しさえすればよろしい、それでオーケーということを言いさえすれば、スムーズに何の負担もなしに帰れるような提案がされておる。これはもちろんいままでの討議を、田中前法務大臣なんかの答弁なんかも参考にしながら、日本が受け入れられる提案をされてきておるわけでありますが、これをやはり受け入れて、ほんとうにいま法務大臣が言われたように妥結するようにというならば、もっともっとスムーズに進めなくちゃいかぬと思うのですけれども、十日のコロンボ会談に至るまで何も返事をしていないという状態で、これはやはり日本側の不誠意を——これは国際的な注視の中で行なわれておるのですから、日本側の不誠意を責められてもしかたがないようなことになるのじゃないかと思うのです。この点について、いま申し上げたことについての法務大臣の所見を承っておきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 現在御承知のように、コロンボで会談をやっております。おそらく相当成功するのじゃないか。ただ、今後の推移を見て私は処理をしていきたい、そういう考え方を持っております。それで、コロンボの会談をやっておるのに、またそのほかのこともあわせて考えるということも必要かもしれませんが、いま私としては進行中のコロンボ会談が成功をしてくれればいい、したならばそれを忠実に穿って処理していきたい、こういうことで会談に非常な希望をつないでおるわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣、もう少しお話をしておきますと、日本側は期限を一方的に切って、その期限内に帰れない人たちは四十三年の七月までというふうに言っておるということでありますけれども、いままで一万七千おるけれども、それまでに帰れない人は現行協定による権利をもう亨受できなくなるということを確認するのが、会談を進行させる先決条件だということを主張しておる、あるいは一万七千のうち、三千人だけ帰国をさせて、残りの人たちは申請を無効にするというようなことを言ったり、いつ帰るかということを聞いただけで、帰国の意思の認定を簡単にやってふるい分けちゃうというようなことを前提にして、いまいるものをとにかく先に帰すということだけが先決問題だということで、会談の進行が非常に難航しているというふうに私たちは聞いておるわけです。法務大臣、この問題についてまだ十分御検討がないようでありますけれども、先ほど来の言明から伺いますと、これはやはり成功させなくちゃいかぬ。向こうの、朝鮮側の提案は、いままでの経過から見ますと、きわめて合理的なものである、そういう立場で検討していただきたいということを希望しておきたいと思います。  それからもう一つ、いま同僚議員からも質問ありました同和信用組合の問題です。これは一つの事件でありますと同時に、この問題はやはり関係をしておるように私は思うわけなんです。その点について、ちょっと法務大臣の意見をお聞きしておきたいと思います。これはいまいわれたことのほかに、押収令状も示さない。それからロッカー、金庫をぶちこわして、押収目録も書かない。書類は無差別に持っていっておる、あとから返す、こういう強制捜査では考えられない非常識なことが行なわれておる。こういうのはもちろん明日もう一度問題になりますので、ぜひ調べていただきたいわけですけれども、同時にこれは、私の考えでは、前にこの委員会でも問題にしたのですけれども、自衛隊が朝鮮大学に向けて鉄砲を撃つ演習をしたということがあります。そういうものと軌を一にする。いまこの朝鮮問題が、国際情勢の中でもほんとうに私たちの心配する緊迫した問題になっている。それが何か朝鮮民主主義人民共和国を敵に回せばいいような、そういう雰囲気があるのじゃないだろうか。朝鮮大学に向けてわざわざ鉄砲を撃つという演習をしてみたり、それから強制捜査の常識を全く欠いたような捜索が同和信用組合にされたり、そういうようなことが起こりますと、これは日本が韓国との関係で朝鮮民主主義人民共和国を敵視をしている、そういう政策をとっておるというふうにしか判断できないことになる。この点についての大臣の所見を伺いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 同和信用組合のこと、御両所から承りました。いずれ私のほうもいろいろこの実態についてお話を聞くだろうと思います。しかし、先ほどもおっしゃったように、北朝鮮を敵視するとか、いい感じを持ってないというようなことは、私はそういうものではない。日本は、北朝鮮とも、中共とも、どことも仲よくやるという方針を徹底しておるつもりであります。まして向こうが好意的に来れば、日本はますます好意的になるような体制を整えて、一方的に敵視するとかあるいは扱いが悪い、そういうことは、われわれとしましては考えておらない、そういうムードは全然ないと思う。むしろわれわれはまっすぐにやっていくから、北朝鮮の人もやはりまっすぐにやってもらいたい、そういう希望が、日本の国民には多いのじゃないかというような考え方を私はいたしております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 その問題についてやりますとたいへん長くかかりますので、この程度で終わりますが、そういう敵視していないという考えがすべての公務員に徹底するように、行き過ぎた点や間違いがあれば徹底的に是正されるように希望して、次の質問に移りたいと思います。  今年初頭に行なわれました総選挙の前後を通じて、いわゆる政界の黒い霧、汚職と腐敗、政治に対する国民の指弾は、きわめて強いものがありました。これは法務大臣も御存じの通りと思います。そのいわゆる政治不信といわれているものの内容は、政治が金によって動かされているということに対する不信、金をたくさん出すものが政治の力によって巨大な利益を得る、そういうことをやっていいのだろうかという疑惑が、ほうはいとして起こっている。これは刑事事件として収賄罪として処罰をされようがされまいが、それはおかしいのではないかということで、政治資金の規正が問題になってきたわけです。こういう時期に、先ほどから問題になっておりますタクシー業界の石油ガス税法の成立に関係する自民党の議員並びに前議員に対する汚職事件が発生したということは、たいへん遺憾なことだと思います。この問題でタクシー業界から一部の自民党の議員ないしは前議員に金銭が渡されたということを、否定する方はありません。これがわいろになるかどうかということで先ほど来問題になっておるわけでありますが、この問題について法律的な見解もかなり重要であります。事実の内容も大事でありますけれども、法律的な見解もかなり大事だと思いますので、若干の点を伺いたいと思います。  このわいろ罪の法益、なぜわいろ罪を処罰するかということの理由、法律的なことばでいえば法益というふうにいわれていることばでありますけれども、職務の公正に対する信頼を守るというふうにいわれております。そういうふうに法務大臣もお考えになりましょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私もあなたと同じように考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 一般的にいいますと、職務の公正に対する信頼というのは、かなり侵害をされてきております。いわゆる政治不信ということが一般にいわれているということは、実際上そうなってきているということ、そのことを腹に入れて綱紀の粛正を一生懸命やるというふうにいわれましたけれども、国会議員の職務の公正ということについて疑惑が起こっているということをはっきり考えに入れて綱紀の粛正をやらなければ、法律理論ではわいろになるかならぬかというこまかい重箱のすみをつつくようなことになる。そこのところをはっきりと考えに入れてやっていただきたいと思うのであります。  さらにお聞きしたいのは、収賄罪が問題になりますときに、弁解にいろいろな名目でもらったんだということがいわれるわけです。あるいは政治献金であるというふうに言われたり、あるいは盆、暮れの儀礼だというようなことを言ったりというふうな弁解が、必ずなされます。これはほとんど漏れなくなされるといってもいいわけです。そういうような弁解にかかわらず、客観的に職務と対価の関係にあるとその金銭が判断された場合には、収賄罪になるというふうに私は考えますけれども、法務大臣の見解を伺いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 あなたと同じように考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 きょうの読売新聞によりますと、東京の東旅協の会長の波多野さんという人が、新聞記事によれば、こういうことを言っている。「なにかといえばワイロだというが、そうなりゃ結構だな。そんな間抜けなことはせんよ。やるならうまくやる」「東旅協の名で献金されたとしても、そりゃあ、盆暮れの“儀礼”だよ」こういうふうに言っている。これは政治献金、収賄、贈賄ということ、わいろ罪ということに関して、きわめて検察をなめ切った発言であります。こういうふうに発言していればだいじょうぶなんだ、こんなものは幾らだって免れられるんだということを、堂々と公言をしたものです。こんなことでごまかされるようなことが決してあってはならないと思いますけれども、先ほどの私の聞いておりますのは、個々の事件のことではありません。先ほど言われました政治献金であるとか、それから盆暮れの儀礼だというような弁解がすでになされておりますだけに、先ほど申された見解は断固として堅持をしてこの捜査に当たられるかどうかということを、あらためてお聞きをしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 個々の問題につきましてとやこう言う自由を、私は持っておりません。ただ、わが信頼せる検察当局は、何といいましてもわいろはわいろとして処断することに抜かりはない。幾らだれが何と言いましても、検事は検事の信念によりまして、また、いわば証拠主義をたてにしまして、正しい判断、正しい処置をするものと考えます。私は、個人個人の言い分がどうだったからそれがどうとか、そういうことはあまり影響がないような、正しいほんとうの取り扱いが検察当局によって行なわれる、これを非常に信頼をいたしております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほどの刑事局長の見解で多少気になります点がありますのでお聞きしておきたいのでありますが、職務に関する報酬であって不法でないものがあるかのごとく、対価の関係に立っていて不法でないものがあるかのごとく——あるいは私の誤解であれば幸いでありますが、聞こえたので、この点御説明いただきたいのであります。特にいま問題になっております国会議員の職務権限、これが問題になっておるわけですけれども、国会議員の職務権限で国会議員が受ける報酬でありまして、歳費でありますとか、あるいはほかの役職についておれば、あるいは社長であれば給与であるとか、いろいろあると思いますけれども、先ほど刑事局長が特に不法でないものがあるかのごとく言われた趣旨は、いま私が言ったようなものについて言っておられるにすぎない、こう伺ってよいかどうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 多少説明を要すると思います。御指摘のとおり、不法な報酬と申し上げました不法という意味は、結局犯罪構成要件に必要な違法性の意味で申し上げたわけでございます。ですから、提供された金品とそれから提供を受ける者の職務行為とが、給付と反対給付の関係の対価関係にある場合においては、これは刑法にいうところのいわゆるわいろに該当する。これは御承知のとおり構成要件該当の事実行為でありますので、それにプラス刑法総則の要求する違法性がなければ犯罪にならないということを申し上げたわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 わかりました。  その職務行為に対する対価の関係に立っているかどうかということが基準になるかと思いますけれども、結局わいろかどうかを判断する基準になるかと思いますけれども、そのことを判断するには、どういうことが問題になり得るかということを刑事局長にお聞きしたいと思います。対価の関係になるかどうかということについて、どういう事情を考慮して判断をするのだろうかということであります。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 抽象的に一がいになかなか説明ができないと思いますけれども、やはり給付が直接の原因になって、それについて職務行為が反対給付の対価関係にある、こういうことでございますから、あまり職務行為がばく然としておったり、また給付のほうの趣旨がばく然としておっては、一般的には何かくさいぞ、こういう程度では、ならないのじゃないか。やはり法律が要求する給付と反対給付の対価関係、こう言っておりますので、それはかなり証拠としては厳格なものを要求されるのではないか、こういうふうに一般論として考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 結局抽象的にはなかなか言えぬということのようでありますけれども、そうなりますと、個々の担当検察官の判断にまかされていて、一定の基準はないということになるのかどうか。確固たる基準がないということになると、ある法律家はこれを対価とみなし、ある法律家はそうでないということがあり得るというような、きわめてばく然たるものであるという御見解になるのかどうか、お聞きしたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一人一人の検事は、やはり法律家としてそれぞれの見解を持っておると思います。しかし、検察庁という役所として、行政機関として仕事をする場合には、法律解釈については、私ども法務当局の見解を持っておりますし、最高検察庁も最高検察庁としての考え方を持っておりますので、役所としての、行政機関としての行政解釈というものは、事件をやる場合においては一致していなければならない、こう思いますので、私どもこの事件についていろいろ法律見解も聞かれましたし、この前の事件のときにも検察庁から法務当局の法律見解を聞かれましたが、その際に、それぞれ具体的なケースに応じまして、この人の職務権限はこういうふうな場合には積極になるだろう、こういうふうな場合では非常にむずかしいというふうな見解は、そのつど明らかにいたしておりますので、御心配になるような、個々ばらばらのような運営ということにはならないと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうしますと、この問題が対価の関係に立っているかどうかということを最後に判断するのは、だれになりましょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 具体的には大阪地方検察庁が、それぞれ上級官庁の意見も聴取した上で決定することになろうかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 最高検は、もちろんその上級官庁として関与するでありましょうし、検察庁法第十四条との関係で、法務大臣もそれに関与するということになり得るのではないかという心配をしますけれども、いかがですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 法務大臣が事件の処理についてどの程度関与するかということは、庁法十四条の規定に基づいて検事総長を指揮することができますので、その限度内において意見を述べることは、もちろん可能であります。それから、検事総長は全検察官を指揮命令する権限を庁法に基づいて与えられておりますので、この事件につきましても、検事総長の見解を述べるということはもとより許されたことでございまして、みんなが相談をした上で、最も妥当な結論を出すというのが、実務の運営の実際でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは、法務大臣は、先ほど来検察庁法十四条、いわゆる指揮権発動との関係でたびたび同僚委員から質問も受けておられますけれども、たいへん重大な立場におられるわけなんです。小さなことではありますけれども、特にお聞きしたいのですけれども、法務大臣が法務大臣に新任をされました後、二十七日付の大阪日日新聞によりますと、この記事をそのまま言うわけでありますけれども、「「法務とは意外でしたね」との記者の質問に「ボクは、これは格別の意味があると思うんだよ。いま大阪は、タクシー汚職のまつ最中だろう。このときに地元選出のボクを法務のポストへというのは、総理がボクを信頼してくれたことにほかならない」」、こういうふうに書いている。これは事実なのかどうか。もし事実だとすれば、どういう意味でこういうことを言われたのか、お聞きしたいと思うのです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、そういうことを言った記憶があまりありません。いろいろな人に会いましたけれども、そういうことを言った記憶はございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほど来の法務大臣並びに刑事局長との質疑の中で、対価として払われたということが明らかになれば、これはわいろになるということになったわけでありますけれども、新聞記事にあらわれたものだけでも、対価であると疑うに足る十分なことがあります。ちょっと私が調べました範囲で法務大臣にお話ししておきますと、三十九年の六月に大蔵省が石油ガス課税を決定いたしました。三十九年の八月に全国の乗用自動車協会が、これに対する反対方針を決定しました。三十九年の十月には業者大会を東京で開き、課税反対を決議をし、それから關谷、寿原議員が激励をするということがありました。そして運動資金を徴収をするということを決定しました。三十九年の十一月には業者の陳情、代議士との懇談会が盛んに行なわれるようになりました。三十九年の十二月には、自民党の総務会で課税が九カ月延期ということが決定をされました。四十年の二月には、四十八国会で法案が提出をされ、審議は引き延ばされ、税率の軽減、期日の延期が討論されるということになりました。四十年の六月には、自治省の届け出だけで自民党に二千万円の献金がなされております。四十八国会では、これは継続審議になり、五十国会で廃案になりました。四十年八月には關谷、寿原両議員に百万円ずつ渡されているということが報道されております。四十年の十二月には、五十一国会に再提出をされ、大幅な軽減措置、修正がなされました。四十年から四十二年にかけては新生政治経済研究会、一新会、創友会、二十日会、寿政会などに業者からの献金は、自治省に届け出のものだけで五千百万円であります。四十二年の四月には、軽減措置を二年延長して七月に成立をしております。今日まで新聞に報道されたものだけから分析をいたしましても、タクシー業界は、三十九年の八月以来、明らかに石油ガス税法反対の意思を持って多額の資金を、大阪タクシーでは一億円以上を集めております。そして同じ時期に、業界から自民党の多数議員に激しい陳情が行なわれております。自民党の議員がこれら業界の理事会などに出席をして、反対運動を激励するということもありました。これらの運動のあとに、自民党はこの法案の修正をきめているのであります。石油ガス税法は、現実に修正をされ、そして軽減措置がとられております。一方、自治省に届けられただけでも、大阪タクシー等から自民党の本部あるいは各会派に対し、全体で一億円以上のいわゆる政治献金が行なわれております。この中には、もちろん、名前を先ほど出しました両議員の場合のように、金銭の授受が確認をされているものも報道されておるのでございます。そしてタクシー業界は百億円以上、場合によっては三百億ともいわれておりますけれども、そういうふうなばく大な利益を得ているということがあります。この新聞記事を総合しましただけでも、私たちから見れば、明らかに対価の関係があると判断せざるを得ないような状態になっているのではないかと思います。もちろん捜査でありますから、一つ一つの事案について、新聞記事だけで事を進めるわけにいきません。しかしながら、世間一般の人の目に触れるだけでも、なるほどこれは対価の関係になっているではないかというふうに考えるに十分なだけの資料があるということ、そういう事件について、法務大臣は、これはどのような影響を及ぼそうとも、悪いことは悪いのであります、最初に言われたような断固たる態度を持って綱紀の粛正ということをやらなければならぬ。それは相当な決意ではないかと思います。いまあらためてこの事実を申し上げた上で、法務大臣の所見を伺いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 たびたび申し上げましたように、目下、お述べになりましたこと等もありましょうし、またその他のこともありましょうし、あらゆる面から検察当局が捜査をやっておるのであります。必ずや検察当局は正しい妥当な結果を得るものと、私は非常に期待をいたしております。法務大臣といたしましては、検察当局におまかせをして、この事件がなるべく早く、しかも十分余すところなく捜索が完遂していく、そして綱紀粛正にも役立つことを、私は希望をいたしております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この事件が、場合によってはすべてがわいろということになるかもしれませんし、それからそうでない、結論がどういうふうになるかは私わかりませんけれども、しかしながら、この政治献金というのがわいろとほんとうに紙一重である、刑事局長のことばでいえば、個々の事情を聞かなければわからぬのだというくらいに、紙一重のものであるということがこの審議でも明らかになっております。だからこそ、私たちは政治資金を徹底的に厳重に規正をしなくちゃならぬ。私たち共産党は、選挙制度審議会の答申案はまだ不十分であると考えております。しかし、自足党内閣のほうでつくりました選挙制度審議会ですら、政治資金の規正をしなくちゃならぬということですね。私たちの考えでは非常に不十分でありますけれども、そういう答申をしたので、ますますこのことの重要性ということは明らかになってきているんじゃないか、徹底的に規正すべきだということは明らかになってきているんじゃないかと思います。閣僚の一人としての法務大臣の見解を聞きたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 政治資金規正法は目下研究中でございまして、おそらくこの通常国会に案が出されるものと考えております。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 先ほど私の言として、すべての政治献金がわいろと紙一重だというふうにもしお聞きくださったとするならば、これは私の真意ではございません。私は、政治献金といわれるものの中にも、わいろになりあるいはわいろと紙一重のようなものがあると、こういうふうな趣旨で申し上げたのでありまして、今日行なわれておるあらゆる政治献金がすべてわいろと紙一重、こういう趣旨で申し上げたわけではございませんので、お間違いのないように……。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 関連して。先ほど質問のうちに、ある議員の名前が出まして、そうしてたとえば關谷君の問題、何か金銭の授受があったような質問ですが、私の調査したところによると、絶対に關谷君は金銭の授受をしておりません。それはもう絶対に間違いないと私は信じておりますが、こういうことが新聞記事に出るのは、検察庁のほうで発表になるのですか、なったんですか、その点についてが一つと、それから政治献金の問題ですが、ギブ・アンドテイクで、与える以上は対価が必要なのは、これは当然のことと思いますが、対価にもいろいろあると思います。自民党のやり方、政策に共鳴されて、応援しなくちゃいかぬというので献金する。松本君の共産主義のような世の中になってはたいへんだというような考え方を持った人たちが、自民党を育成するために支持、援助するために献金をする。これも一つの対価でしょう。それから日本の国がよくなって、国民が幸福になるというようなことを目的とするわけですから、それは対価ですが、個人の場合においても、その政治家を大成せしめて、そして後顧の憂いなからしめて活動さすという意味で献金する。いまのLPの問題なんかも、これは一つの政策問題です。その政策問題について、一定の修正権を持ってそれを主張すること、何も値上げをすることが絶対善ではないわけなんです、国政がそんな簡単な、単純な、局部的な立場からばかり考えらるべきものではなくて、国政全体から考えて、その値上げはあまり過当であるという一つの考え方、政見を持つのも当然なわけで、そういう政見を持つ人が、結局は国民生活を豊かにし幸福にするのだというふうな見解のもとに、個人において献金をするというふうなことも、これは一つの対価という関係にはなりますけれども、わいろにはならぬという見解を私は持っております。したがって、政治献金をすれば必ず何かわいろであるというふうにとられては、これはたいへんな間違いであって、共産党の方々もしじゅう個人個人が金を出しておられるから、党費を出しておられるから、金はあり余っておるだろうし、赤旗でだいぶもうけられておるだろうから、党の運営はできるでしょうけれども、自民党はそういうわけにはいかない。そういうわけで、ほんとうに天下の大衆から、日本を憂える人、自民党に政権を永続せしめることが日本民族の幸福であると信ずる人が、自民党の政治資金を豊かにするために献金をするということは、何ら恥ずることはないと思いますし、きたないことはないと思いますが、そういうことに対する御感想をお願いしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 政治献金は必要なものでありまして、政治献金があらゆる面から正しくないと頭からきめてかかるというようなことは、非常な危険な考え方であります。政治をやっていくために金の要ることはあたりまえだ、正しい意味の政治献金が相当あること、これを政治献金は何か好ましくない対価が必ずついているからとかいうようなことは、私はそういうふうに考えません。ただ、名前は政治献金であるが、その実はわいろであるというようなものは、これは私は大いに考えなければならぬと考えております。正しい意味の政治献金というものは、私は、別にとがむべきものでも何でもない、これによって今日の政治が行なわれる、これはよく承知はいたしております。御了承を願います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 最初の問題について、当局から発表したことはございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いまの高橋委員の質問にも関係するのですけれども、こういう問題になってきますと、政治献金であるかわいろであるかという区別が、非常につきにくいようないろいろな意見も流されます。しかし、たとえば百円、二百円のカンパを私ども共産党に寄せる場合と、それからこのばく大な金を出して業界が利益を得ているというふうに考えられる場合と、これは国民は十分に区別をしております。決してそんな甘いものでない点をお知りいただきたいと思う。特に寿原前代議士がいま逮捕されておりますけれども、この場合は対価の関係にあるということを一応検察当局が判断をしたからそこに踏み切ったのだと思いますけれども、これとの区別が一体どこにあるのかということにどうしてもなってきます。これは国民がひとしく注視をしているところであります。私たちは、この問題について検察が方針を誤るならば、単なる政治不信ではなくて、すでに政治検察ということばが出ておりますが、検察に対する不信がさらに大きくなるでしょう。私は、この問題についてもっともっと日本の政治の根本的なあり方の問題に関して、重大な問題として徹底的に論議しなければならないと思う。その要路者であります法務大臣に、いま一そうの断固たる決意を持ってこの問題に当たられたということを要求して、私の質問を終わりたいというふうに思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 次回は、明十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会

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