大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/12/13
会議録
○内田委員長 これより会議を開きます。 国の会計、税制及び専売事業に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 まず、次官にお伺いをいたしたいのです。 これは十二月七日の新聞に出たわけでありますが、「たばこ値上げぜひ必要、大蔵省主張」という見出しで日経に出た。ちょうどその前日に昭和四十三年産葉の収納価格問題を審議するたばこ耕作審議会が開かれて、ちょうどその重要な審議が行なわれている最中にこういう記事が出たわけであります。それで、益金率が最近の専売公社は減る一方である、こういうようなことから、来年はひとつたばこを上げたい、こういう論理のようであります。もし益金率の改善が行なわれなければ民営移管も考えている。大ざっぱにいえばこういう記事の内容になっているわけでありますが、一体これは大蔵省として今日のこの益金率が若干低下をしているということをもって民営というような方向にいこうとしているのかどうか。まず、この点をひとつお伺いをいたしたいと思うわけであります。
○倉成政府委員 ただいまの御質問は、民営に移管する意思があるかどうかという点でありますけれども、その点に関してはさような考えを持っておりません。
○広瀬(秀)委員 いまきわめて明快なお答えをいただきましたので、さらにこれをどうこう言うつもりはございません。しかし、こういうことが新聞に出るからには、やはり関係の向きにおいてそのくらいのことは——もう民営にでも持っていく以外にはないのじゃないかというような程度のことは、それぞれの担当の人あたりが漏らしているような面もあるのではないか。このことはやはり専売公社にとっても、また、われわれたばこ専売事業に対して非常に関心を持っておる者にとっても、非常に重大な問題であるわけであります。 特に、今回の場合こういう記事が、明年度のたばこ耕作審議会が開かれているまっ最中に出ているというようなことは、最近はやりのいわゆる世論操作というか、そういうようなものをねらった、悪くいえば脅迫にもとれるようなことにもなりかねないわけであります。審議会をやっているときに、もう益金率かくのごとく下がった。下がったといっても、ここ十年間にわずか八%ぐらいで、益金率六〇%。売り上げ高を分母にして、地方消費税と専売納付金及び固定資産、無形資産の増加額、これを分子として計算したものが益金率だといわれておるわけでありますが、それがいま六〇・三%くらいだ。一体益金率というのは、専売事業の場合に、かつて昭和三十二、三年ごろは六八%程度であった。いまは六〇%台に落ちた。どのくらいまで益金率があることが望ましいということは、総合的に、やはり経営全体として考えていかなければならぬと思うわけです。単に財政専売だとはいいながら、そこにはおのずから限度というものがあるだろう。今日の経営がそういう状態になってきておるのには、いろいろな条件があったと思うのでありますが、やはり昭和三十二、三年ごろの六八%台ぐらいはどうしても維持したいのだという気持ちなのか。いままで専売公社の努力にもかかわらずここまできたということには、それなりの理由がある。それにもかかわらず、やはり益金率というものは十年前ぐらいのところにめどを置いて、そこらにやるのだということになれば、収納価格でも抑圧する以外にはもう方法はなくなってきたというようなこともいわれておるわけであります。製造部門における合理化は大体もう一巡してしまったというようなことから、あとは原料葉の調達費を下げる以外にはないのだというようなマインドというか、そういうものになってくるのじゃないかと思うわけであります。したがって、益金率というのは専売公社の場合に一体どのくらいのところに置くのが財政専売として理想なのか、こういう点を伺っておきたいと思うのです。これは次官でも監理官でもよろしゅうございます。
○前川説明員 いまの先生のお話でございますが、確かに過去の推移を見ますと六六、七%から、四十一年の実績は六〇%くらいになっております。しかしながら、これは初めに益金率が幾らでなければならぬというような絶対的なものがございまして、それからあとのものがいろいろきまってくるというわけではございません。また、各国の例を見ましても、それぞれ国の租税体系によりまして、五〇くらいのところから、高いのは七〇、八〇というのもございます。したがいまして、昨日大臣の答弁にもございましたように、他の消費税あるいは物品税の動き等と見比べまして、そのときどき弾力的に考えていくというわけであります。したがいまして、これをまず絶対的にきめてしまいまして、だからこの収納価格を抑圧しなければならない、さようなことは考えておりません。その点、御了承を願います。
○広瀬(秀)委員 先ほどの数字を訂正しておきます。昭和三十二年が六六・八%であったわけですが、四十一年現在で益金率は六〇・三%、ちょうど六・五%下がった。こういうように先ほどのところを訂正しておきたいと思います。 いま非常に抽象的なお答えがあったわけでありますが、この益金率の推移をずっと見てみますと、三十二年から三十七年までは大体六六・八%から三十七年にちょうど六五%だった、こういう数字が出ておるわけです。それで三十八年に六二・六%になり、三十九年に六〇・九%、それから六〇・八、六〇・三というような推移をたどっている。これが非常に——最近では原料葉たばこの在庫積み増しがやや基準在庫量を上回って過剰ぎみになっている。こういう傾向が出たのは三十八、九年であろうと思います。したがって、確かにその分が益金率低下に寄与しているという面も考えられるわけでありますが、やはりこの時点あたりから専売公社の長期計画、製造部門における合理化というようなものに対する相当な投資、スレッシング導入というようなもの、あるいは高速機械の導入、そういうものなどの急速な近代化、合理化というようなものにおける、そういう面での資本投資といいますか、そういうものが行なわれた時期がたまたま合致していると思うのです。だから、単に原料葉たばこが年々上がっているからというだけにその責任を負わして犯人に仕立てて、この益金率の低下ということを葉たばこ収納価格の引き上げを抑制していく道具に使ってならないと私は思うのですが、それらのこまかい分析等についてもこれは十分考えていただかなければならぬと思いますが、こういうように益金率が低下したのは、これは葉たばこ原料の値上がりというものがどれだけの寄与率になっているか、これは分析しておりますか。資本投下というようなものと、原料葉たばこの買い上げ費とその他の益金率低下に対する寄与率といいますか、その割合はどのくらいになっていますか。
○佐々木説明員 お答え申し上げます。 三十六年度と四十一年度を比較いたしまして寄与率を試算いたしますと、結論から申し上げますと、こういう状態になっている次第でございます。原料費の値上がりが二九・八%の寄与をしていると見ておるわけであります。材料費が二四・六%になろうかと見ているわけであります。その他のものをあわせて申し上げますと、労務費は三・五%くらいと見ているわけでございます。その他の原価が一二・三%、販売管理費等が一九・三%等の数字に見ているわけでございます。
○広瀬(秀)委員 いま副総裁からお話がありましたように、原料費の寄与率は二九・八%、大体三割程度のことであります。ところが、そのほか材料費等の値上がり二四%、ほぼ匹敵するわけでありますが、こういうようなことを考えてみますと、原料の値上がり、それから三十九年あたりから基準在庫量をやや上回ってきたこと、そのことだけがもう大半というよりも八、九割は益金率低下に寄与しているのだというような印象を与えるようなことを盛んにPRするわけでありますが、この新聞等にも、その主たる益金率低下の原因は、生産コストの中で六割を占める葉たばこの収納価格の値上がりによるものだというようなことまで出ているわけですね。これは新聞記者なんかは専売公社あたり、あるいは大蔵省あたりから聞かなければそういうことは普通はわからないはずですよ。そういうようなことだということを言われるとそのとおり報道されるというようなことで、数字に暗い耕作者に何とかうまくPRして、そんなにわれわれのほうが専売事業に対して益金率を低下させる原因になっているのかという気持ちを起こさせるような、そういうやり方というものはぜひ慎んでもらいたい、こういうように思うわけですが、その点いかがですか。これは副総裁どうですか。
○佐々木説明員 いま数字でお話し申し上げましたとおり、寄与率といたしましては、原料費の値上がりのウエートが一番大きいということは御了解願えたと思います。材料費の値上がりがかなりのウエートを占めておりますのは、フィルター製品がふえてきました関係上、フィルターの使用量がふえたということにある。私どもはそのような若干の事実を指摘することができると思います。原料費のみ、こう申しておるわけではもちろんございません。しかし、ウエートが一番高いということは御了解願えるかと思う次第でございます。
○広瀬(秀)委員 次官、ひとつその点いまの数字に基づいてあなたの所感をひとつ……。
○倉成政府委員 益金率の低下が最近の傾向であることは御指摘のとおりであります。したがいまして、その中で葉たばこの収納価格が最大の原因である、一番大きな寄与率を示しておるということも副総裁からお答えしたとおりであります。しかし、だからといってこれが収納価格の価格決定について押えるとか、そういうことは毛頭考えておりません。専売法の五条に定めるところによって、われわれは価格についてきめていくことになると思います。
○広瀬(秀)委員 確かに寄与率としては二九・八%ということで、次の二四%というものよりも五%上回っておる、それはわかるわけですが、それのみに原因があるようなPRが行なわれやすいという点については十分戒心してもらいたいということを強く要望しておきたいと思うわけであります。 ところで、いま次官から、収納価格は専売法第五条二項、三項等できまるわけでありますが、その原則として葉たばこの価格は「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」こういう原則が掲げられておるわけであります。ところで、昭和四十三年産葉たばこ収納価格の引き上げは、同じく第五条によりまして、耕作審議会の議を経なければならぬということになっておる。その耕作審議会に対して専売公社が諮問をいたしておるわけでありますが、これは本年の十二月六日、「全種類の価格水準は四十二年産に比し二・六五%上位となる。」こういうことで諮問をいたしておるわけであります。専売法五条によれば、物価、生産費が基本であることに間違いないわけでありますが、この生産費についてもあとで問題にいたしますが、とりあえず物価の問題が考慮されることもはっきりと出ておるわけであります。その物価についていろいろ見てみますと、専売公社自身がお出しになった資料によりましても、公社の調査によって消費者物価指数、これは大体四・五%から五%上がるということになっている。それから農村消費者物価は家計関係六・七%というふうに出ております。それから農業用品が七・三%というような数字も出ているわけであります。こういうような物価の値上げというものも一方においてある。物価と切っても切り離せない労賃の問題につきましても、これはもう生産費調査の中で、農業臨時雇い賃金、こういう一番低く出るものを対象にして労賃を計算するわけでありますが、それにいたしましても、四十年から——四十年の場合には対前年比一二%の値上がりがあった。四十一年は九%の値上がりがあった。女子の場合には一一・五、一〇・五というような値上がりがあった。これは農林省の調査。公社の調査によりましても、四十年と四十一年、男が一〇・五%、九・八%、女が一二・四%、一一・四%、こういうふうに値上がりしているわけであります。こういう傾向がことしになって一そう助長されているはずであります。したがって、四十二年の集計が出ますならば、おそらく一〇%をさらに二、三%上回る一二、三%のものが、これは四十一年から四十二年にかけては出るのではないか、こういうふうに考えられるわけです。一方また、農業パリティなんかを見ましても、四十一年は五・八%、四十二年の九月をとりますと、五・四%に家計のほうでなり、経営のほうでは四十一年九・三%、四十二年七・七%、総合でも七%、六・二%というような数字が出ているわけであります。 これらを考えまして、この二・六五というのはどう考えてもわれわれにはわからない数字だ。しかし、審議会においてこの算定方式が一応確立されているのだ、こういうことになって、それにこれらの数字を当てはめていくとこれしかならないのだ、こういう説明になっているわけです。しかし、そういうことで一番問題なのは、この生産費調査というものは千何人か、三十万の耕作者のうちそのぐらいやられているのだと思うのですが、これに実は一番大きい問題があるのではないかと思うのです。それは私どもの手にはなかなか入らない。どういう調査をやっておられて、その数字がどう変わっているかというようなことがわからないというところに、われわれの追及もえらい迫力のないものになるのですけれども、そこらあたりにやはり問題があるのではないかと思うのです。この二・六五%というものに対して——これはいま私幾つか、物価の問題あるいは労賃の上昇の問題、農業パリティー指数の問題、これらを専売公社がお出しになった資料の中から拾い上げながら申したわけでありますが、そういう中から二・六五%というものを来年引き上げたい、こういう結果について、これは大臣の代理として政務次官どのようにお考えでしょうか。この数字に対してです。
○倉成政府委員 専売法の第五条の3のいわゆる収納価格の決定の原則というのは非常に抽象的であります。したがいまして、いろいろ論議を起こさないように一つの約束ごとの方式をつくり上げていることは広瀬委員御承知のとおりであります。したがいまして、この方式に基づいて一〇%以上上がることもあろうし、あるいは極端にいえば、下がることもあり得るというのがこの方式から出てくる当然の帰結じゃなかろうかと思うのであります。しかし、昨年、一昨年に比して二・六五ということになると低いのじゃなかろうかという印象を抱かれることは、これはよく理解できると思うわけであります。事務当局としては当然いかなる恣意も加えないでこの方式に基づいて計算をしたものでありますから、この結果については議論を差しはさむ余地は一応ない。この方式を正しいとする限りにおいては議論を差しはさむ余地はない、さよう心得ます。
○広瀬(秀)委員 これは昭和三十六年からでありますが、今日までの対前年比の値上がり率を申しますと、一一・八%、一六・三%、八・一%、八・七%、七・三%、六、三%、そして昭和四十二年が五・六%、こういうことで値上がりをしてきておるわけです。それで、米の場合はことしも九・二%昨年並みに上がっておるわけであります。もちろん先ほど申し上げた、生産費調査の場合にどれだけ省力栽培が進行したか、いわゆる生産性が向上したか、こういうことが生産費調査にかなり実際以上の姿をとってあらわれているから、この算式に当てはめるならばそういう結果になるだろうと想像はつくわけであります。しかし、米のほうがむしろ省力栽培なり生産性向上はやりやすい。したがって、米のほうは本来ならばうんとこの生産性向上というものがやりやすい面が非常に多いだろうと思うのですよ。いろんな機械なんかもどんどん入ってきている。たばこの耕作の場合には、そういうものも何ほどか入っています。しかし、ああいう葉を大事にしなければならぬ作物ですから、また非常に軟弱な大きいものですから、機械なんかがあの中をごそごそ入ったらみんな破いてしまうわけですから、なかなかそういうようなことなんかもできない。そういうようなことで、米のほうがむしろ生産性向上、近代的な省力栽培の方向というものがとられていくにもかかわらず、やはり去年並みの値上げをちゃんとやっておるわけです。これはその他の要素と申しますか、農民のきわめて大きい政治闘争というものがあるということが、やはり米の場合にはそういう状態にもなっているのじゃないか。たばこの場合には比較的そういうものが少ない、耕作者は非常におとなしいというようなこともあるわけであります。しかも生産費調査の結果というものをわれわれは見ることができないという状態になっている。ということで、これは生産費調査におけるやり方いかんによっては全く実際と違った姿において、たとえば投下労働時間というような非常に決定的な重要性を持つ、大ざっぱにいって少なくとも六割くらいは収納価格のうち労賃部分が占めるわけでありますから、それをがたんと省力ができたんだという数字をつくり上げれば、どのようにでもこれは下げられるわけなんです。ここは公社としては信頼してくれと言うかもしれないが、そこらにやはり大きな問題がある、こう見ざるを得ないわけであります。個票というようなものを一体われわれに公開をして、個票の集計というようなものを、そしてこれだけ労働時間が現実に短縮されているということを示さない限りは、やはりわれわれ納得できないわけです。そういう点についてひとつ副総裁のほうから、そういう事実が——これはもう農民調査をやった。いろいろ公社あたりから、この分は入れないでくれとか、そういうようなことが盛んに指導されるそうであります。これは米の場合には間接労働というものもちゃんと見ておりますし、ことしはまた特別付帯労働というようなものまで労働時間の中に見込んでおるわけです。こういうようなことについての配慮が非常にないのじゃないか、ほんとうに直接投下労働というようなものぐらいしかその生産費調査の中に出てこないのじゃないか、こういうように見ておるわけですが、それらについてひとつ詳しく説明をしてもらいたいと思うのです。
○佐々木説明員 原価に入ってまいります労働費を計算いたします場合に、もとになります労働時間につきまして米との比較を申し上げますと、私どものほうはこういうことであります。十アール当たりの総労働時間につい申し上げますと、米は四十一年で百四十時間になっているのではないかと見ているわけでございます。これに対しまして、葉たばこ耕作は労働集約的なものでございますので、十アール当たり総労働時間といたしましては五百七十二・三時間に四十一年ではなっておると見ておるのでございます。この数字を価格が動き出しました三十六年と比較いたしますというと、五百七十二・三時間に相応する三十六年の時間は八百四十四時間でございます。米はこれに対しまして三十六年は百六十七時間と見ておるわけでございます。この間の労働省力ということの進行ぐあいを見てまいりますと、五年平均で、米では三・七%の年率で減ってきたと見ておるわけでございますが、たばこのほうにつきましては年率七・五%の割りで下がってきておると見ておるわけでございます。労働時間が単位面積当たり非常に多いものでございますから、その省力化もまた米よりも非常に進んでおると見ておるわけでございます。これをもうひとつ百キロ当たりの労働時間について見てみますと、米は三十六年の三十八時間から四十一年の三十一時間に下がっておると見ておるわけでございます。この間の下がり率は三・九%これに対しまして葉たばこの百キログラム当たりの労働時間は、われわれの調査では、三十六年は三百六十・五時間でございます。これが四十一年には二百三十七・〇、二百三十七時間というふうに下がっているわけでございます。その百キロ当たり労働時間を並べてみました場合に、対前年比減少率は、米については三・九%、葉たばこの場合には五・六%ずつ省力化が進んでおると見ておるわけでございます。品質の差その他の問題がありますので、いろいろなお修正する余地は残るという問題はありますけれども、労働集約度の密度の高い葉たばこでありますだけに、その省力化は米よりもむしろ進んでおると見ておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 いろいろいま数字を示されたわけですが、その問題について私どもは遺憾ながらそれに対応するものをいま持っていないわけであります。公社がその調査のやり方、あるいはやったその個票というようなものについての検討を私どもに許さないということが一つあるわけです。これは私ども自身がやればいいかもしれませんが、そこまでのところを私自身が資料を持っていないから、これは論争しても若干水かけ論になるかと思いますが、それでは話題を変えて、この二・六五%を算定をされたたばこ耕作者の一時間平均の労賃は一体幾らになりますか、このことをひとつ伺っておきたい。
○佐々木説明員 手元の資料は八時間になっておりますのでお許し願いたいと思いますが、四十三年産葉たばこ耕作の収納価格を計算します場合の労働一日当たり八時間といたしまして千四百五十三円と見ております。
○広瀬(秀)委員 審議会から出された資料の二十八ページに黄色種の深夜乾燥作業時間という欄があるわけですが、ここにその乾燥時期の労賃(C)という部分があります。これの四十一年度を見ますと、一時間当たりの単価が百十四円という数字が出ておるわけです。そこで四十二年をかりに五・六%まるまる労賃だけ上げたというようにしましても、大体五%程度でありますから、百二十円程度という数字にならざるを得ないと思うのです。いまの千四百何円、これを八で割った数字とはかなりの食い違いがあるわけです。この数字をもう少し詳しく言っていただきたいと思うのです。
○大塚説明員 たばこ耕作審議会の資料の二十八ページの昭和四十一年の一時間当たりの労賃一一四・一というのを説明せいという御質問と存じますが、2分の113.2+114.9と書いてございますが、これは一番上に書いてございます乾燥時期、つまり七月と八月でございますが、七月の公社で調査をいたしました農業臨時雇い賃金の基準額でございます。それがその当時の四十一年の七月、八月で調査をいたしました数字がそれで、それを足して二で割って平均を出して百十四円十銭というのを出している次第でございます。
○広瀬(秀)委員 農業日雇い資金が時期によって若干の差はありますけれども、いま副総裁が説明された千四百円を八で割ると、時間給として百六、七十円になるわけですね。そうすると、これを四十二年に引き直して見ましても、五・六%、かりに五%賃金上昇分として認めたにしても、せいぜい百二十円くらいにしかならぬのじゃないかというように思うわけです。その開きが五十円も六十円もあるということにはならないと思うのです。だから、その数字についてもう少しそっちできちんとして、今日どのくらいになっているかということを正確に出してもらいたいと思うのです。米の場合は、これは次官、聞いておいてもらいたいのですが、御承知だと思うのですが、直接労働の部分については二百一円というのがことしの米価算定に用いられたものであります。端っぱの何十銭というものは落としますけれども……。それから間接労働は、これは男女込みじゃなく、男の労働者の平均賃金をとって、たしか二百四十三円、そういうことになっている。こういうようなものから比較いたしますと、おそらく私は、いませいぜいたばこ耕作者の場合は、一時間当たり百二十円から百二十五円程度にしか当たっていないと思うのです。米の場合には二百四十三円とかあるいは直接労働の部分でも二百一円、男女込みの賃金をとってもそういうことになっていると思う。こういうことがいわれているわけです。一方においては、米作ではそれだけの労賃が保証され、たばこをつくっておるがゆえに百二、三十円しか保証されないのだ。これは最大限に私の感覚でたばこの場合にいま言っておりますから、その辺のところは当たらずといえども遠からずの数字だと思いますが、そういうような開きがあるのですから、そういうような場合に、いまたばこ耕作地帯が、私どもの栃木県あたりではどんどん畑地かんがいをやって、開田をやって減反をしているわけです。それだけ賃金格差があったら、同じ耕作者でありながら米をつくればそうだ、たばこをつくればその程度、こういうようなことでは、やはり将来たばこは非常に減反の傾向をたどるのではないか、こういうように思われますが、この賃金の開きというものについてどうお考えでしょうか。
○倉成政府委員 専門家の広瀬委員御承知で御質問になっていると思いますが、たばこについては専売法五条三項にありますように、いわゆる生産費方式をとっております。米については生産費所得補償方式をとっているということで、おのずから算定の基礎が違っておりますから、この時点だけをとって議論されますと、いろいろそういう御議論もあろうかと思いますけれども、やはりたてまえが一応異なっておりますから、約束ごとでありますからやむを得ないのではなかろうか、さように考えております。
○広瀬(秀)委員 農政通だといわれる倉成次官からそういう御返答を承ろうとは予想もしなかった。 それで、いま公示面積は全体で八万七千四百五十ヘクタールくらいになっていると思います。昨年も同じだったと思います。ところが、植えつけ検査面積はどのくらい差がありますか、これをちょっと伺います。それと、最近における、ここ三、四年間でけっこうですが、三十九年あたりからでけっこうですが、公示面積と植えつけ検査面積の差といいますか、それを数字でお示しいただきたいと思います。
○大塚説明員 三十八年度から申し上げたいと存じますが、三十八年度が、公示面積が七万二千九百十ヘクタールでございます。それに対して検査面積は七万二千七百九十五ヘクタール、それから三十九年度が、公示面積が八万一千四十ヘクタールで、検査面積が八万二千四百二十六ヘクタール、それから四十年度は、公示面積が八万五千九百五十ヘクタールに対して検査面積は八万六千五十七ヘクタール、それから四十一年度は、公示面積が八万七千四百五十ヘクタールに対して検査面積は八万七千百四十四ヘクタールでございます。
○広瀬(秀)委員 最近になりまして、特に四十一年度からは公示面積よりも検査面積が非常に下回るようになってきている。このことは非常に大事なことだと思うのであります。先ほども収納価格の引き上げ率を数字で申し上げましたけれども、去年は特に、四十二年産葉の場合にずっと低くなってきたというようなことを反映いたしまして、また農業構造の変革といいますか、そういうようなものもあろうと思いますが、いずれにいたしましても、公示面積を消化しない、いわゆる価格が公示された後において耕作をやめてしまうという人がかなり出るようになってきている。地域的には若干ふやすところもありまするけれども、栃木県あたりでは耕作を放棄する人が非常にたくさん出てきておるわけであります。これからこういうようなことを繰り返しておったら、必ずそういう方向が急速に出てくるのではないかということが心配されるわけであります。かつて麦がたどったような、あれほどラジカルな減反というようなことはないにしても、公示をして、このくらいつくってもらいたいということにしても、実際に農民はもう魅力を感じないということで、耕作をやめていくという者が非常に多くなってくる、こういう時期が必ず来るのではないか。そうしますと、長い将来を見通すと、これはやはり原料葉たばこをいまよりも何倍かというような量に増大さしていかなければならぬというような時期が来るのではないか、こういうことも心配されるわけであります。たばこは国際商品だというようなことをいって、だいぶ安い商品もあるぞというようなこともいわれておりますが、しかし、そういうようなことで、安ければいいでやっていったら、これはまた、大きくいえば、農産物あるいは食糧の大部分を輸入し、輸入総額の五〇%をこえるようなイギリスの今度のポンド切り下げというような、日本もそういう方向に進みかねないというようなところまで、これは長い将来のことで、雲をつかむような話かもしれないけれども、一つの教訓として、そこまで見通しておく必要があるのではないかというようなことからいって、こういう傾向というものを非常に重視しなければならぬと思うのであります。特に四十一年度はこういうわけだ。四十二年度においてもその傾向というものはもっと拡大をして、現実には約千三百ヘクタールくらい公示面積よりも検査面積が下回るような事態も出ておるというようなことも聞いておるわけであります。そういうことになりますと、やはり第五条に返らなければならない。いまは、倉成さんが、米の場合と違う、算定方式が違う、たてまえが違うというようなことを言われておりますが、「耕作者に適正な収益を得させる」というのは何だということをかつて専売監理官にこの委員会で質問した。そうしたら、耕作者が喜んで明年もたばこをもっとふやすような気持ちでつくりたいという、そういう意欲がわくような価格をつくってあげることなんだという答弁を、これは三十六年でございますが、いただいておるわけであります。そういうものがいまでも「耕作者に適正な収益を得させる」という、これがいわば締めくくりです。前のほうは、生産費あるいは物価、そういうようなものはいろいろいっておりまするけれども、収納価格のほんとうのぎりぎりの決着のねらいとするところは何だといえば、ここに集約されているのではないか。「耕作者に適正な収益を得させる」ということはどういうことなんだと言ったら、そういうことだ。農民が喜んで再生産に従事する、そういう魅力のある価格でなければならぬのだ、そのことをいっているんだという御返事をいただいておるわけでありますが、そういう方向とはいまや逆な結果になりつつあるのではないか。この点について、どうお考えでしょうか。これは公社と大蔵省と両方から……。
○前川説明員 先ほどの政務次官のお答えにもございましたように、「適正な収益を得させる」ということは、これは文言でいいますと、いろいろいえると思うのでございますけれども、現在確立せられておりまする方式によりますれば、生産費を補償するという原則が一本入っておるわけであります。したがいまして、赤字になるとかなんとかいうことは常に考えるべきではありませんが、いかなる状況においても、喜んで来年もたくさんつくろうというような気持ちになっていただくことが適正な収益であるという解釈は、これはいつでもそうであるというわけにいかぬと思うのであります。先ほど来先生のお話にもございましたように、生産とかその他の経済事情を考慮してやるということになっております。それからまた、臨時葉たばこ調査会の答申によりましても、先ほど私が申しましたように、益金率は幾らでなければならぬから買いたたくのだという、そういうあくどいことは申しておりませんけれども、冷静に、ひるがえって、いまのたばこ専売事業というものを考えてみますと、やはり一つの製品の原料である、それはやはり、そこにある種の市場関係、需給関係というものも働くのである、こういうことはやはり大きな柱として一つ入っておると思うのであります。 そういう意味合いにおきまして、三十六年当時におきましてはそういうお答えがあったかもしれませんけれども、やはりそのときどきのたばこ製造事業あるいはたばこ耕作等をめぐるいろいろな国際的な、あるいは国内的な経済事情というものをにらみながら、適正な収益というものを考えていかなければならぬ。それが現在のところでは式にあらわれている、あるいは式に乗せた計算にあらわれている、こういうふうにお答えしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 「その他の経済事情を参酌して」、という「その他の経済事情」というものを非常に重視をされて、需給関係とかそういうようなことにウエートがあるのだというような御説明をいただいたわけでありますが、この専売法五条における「耕作者に適正な収益を得させる」ということの「適正な収益」というのは、やはり専売事業だけとして独立して考えられるものじゃないと思うのであります。これは主食と、こういう嗜好品の原料をつくるという差はあるにしても、先ほど数字を申し上げたような労賃等についても、収納価格の中で半分くらいの労賃しかたばこの場合には補償されていないというようなことをどこまで続けられるという確信がおありですか。それは、いまのあなたのおっしゃるような経済事情というようなものがこれからずっと続くとすれば、いまのようなそういう賃金格差でよろしいのだ、こういうことになりますか。そうしますと、そういうことでたばこ耕作は将来にわたって確保できるというお考えになるわけですね。そういう見通しでだいじょうぶですか。
○前川説明員 十年、二十年先というような話になりますと、これは日本全体の経済構造、あるいは農業の生産構造、あるいは労働力の状況、雇用の構造、そういったものが非常に変わってまいると思うのであります。しかし、ここ二、三年というような時期をとって考えてみますと、先ほど副総裁のお話にもございましたように、やはり生産性の向上ということもございますので、単位労働日当たりの労働報酬というものは上がっていく。かりに四十一年と四十三年を比べますと、ほぼ二七%上がっている。二年分でございますから、かりに単純に割って年率に直しますと一二・五%上がっている。そういう意味で、たばこの耕作でお働き願う方に労働報酬として年率二二・五%の増加を織り込むような答えがこの式から出ておりますから、非常な魅力と言えるかどうか、それは私は存じませんけれども、まあまあほどほどの収益が出ておるのではなかろうか、かように考えております。
○佐々木説明員 先生の御質疑に対する公社側のお答えを申し上げたいと存じます。 都市近郊等におきまして、ほかの蔬菜とか米というものと競合する作物がある場合に、たばこが追われていくという傾向、一時期があることは先生御指摘のとおりだろうと思います。ただ、農業全般を考えました場合に、蔬菜が非常に供給が窮屈になっているというふうな環境にある地域において、たばこが、また蔬菜と競争して、なおより高い価格を提示することによって、残ることを主張していくかという問題につきましては、私ども、総体の調整の問題があろうかと思うのでございますが、全体として見ますと、まだなお耕作希望の強い地域もございます。全体としては、たとえば裏日本側とか山間部へ耕作地が移っていくという問題はございますけれども、総体として耕作希望は非常に衰えているというふうには見えないわけでございます。ただ、種類別に見ますと、先生御指摘の収益関係もありまして、黄色種のようなわりに耕作希望の強いものと、バーレー種、在来種の一部のように耕作意欲の弱いものとがございます。これらにつきましては、一般水準の中におきまして、それらの弱いものにつきましては適当な刺激が起こるような、種類別の上げ率の差というものについての調整というものを考えていきたいと思っている次第でございます。 なお、第二番目に御指摘になりました適正な収益と申します場合に、私どもは、これを農家の収入といたしましては資本利子とか、地代でありますとか、それから家族労働報酬でありますとか、そういうものの合計として考うべきものだと思うのでございまして、資本利子につきましては、米と同等の計算方法をとるようにいたしております。地代につきましては、今年度の諮問におきまして、たばこ作の小作料というものは高いものでございますから、その現実を反映した小作料に直してございます。家族労働報酬につきましては、先生の御指摘のような問題がございますが、十アール当たりに直して考えますと、米は他作物よりかなりの報酬があがることは先生御承知のとおりでございます。これは、労働集約的であるという作物の特性の裏返しの問題でございますけれども、総合して見まして非常に不利であり、急速に耕作意欲を失なうというものにはなっていない。なおまた、耕作希望のあるところから見ますと、魅力的でないということは申せないと考えておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 あなた方がそういうぐあいにして、きわめて前途を楽観して、同じ農民でありながら、米作農民——これは、たばこ耕作者も米作のある部分はやっておりますけれども、主として最近はたばこ専業農家なども出てまいりましたし、あるいは土地柄によっては、農家の収入の大体六割、七割というものをたばこに依拠する農家も出ておるわけであります。そういうような状況の中で、米つくりの農民の労賃、その六割にもならぬ半分程度だというようなことでは、これはそういうことがはたしてどこまで言えるだろうか、そういう見通しがほんとうにそのままいくだろうかということについては、もっと真剣に考えてもらわなければならぬと思います。そのことについてはまた——時間がきょうは一時間ということで、もう一時間超過してしまったので、それ以上追及するあれがございませんけれども、この納付金や消費税、こういうものの推移を見てみますと、これは益金率が下がったとかなんとかいう議論はあるにしても、ちょうど昭和三十二年には、両者を合わせまして千六百四十六億。それで昭和四十一年、ちょうど十年目に三千二百六十九億。今日ではそれがさらに三千六百億くらいになっておる。こういうことになるわけでありますが、まさに倍になっておるわけですね。十年にして、確実にこれだけの倍増した金額をもって地方財政、国家財政に寄与しているわけです。なるほど高度な経済成長の中で増大する予算規模というものから見れば、専売益金の国庫納付金の国家財政の中での割合というものは低下はいたしております。かつては特異な戦費を調達するというようなことで、そもそも設けられたというような歴史的事情も見て、一〇%程度もあったのだ、一〇%に近い国家財政の財源に寄与したというものから三・二%に減ったということが非常に問題にされておるようですが、金額的に見ますならば、まさに十カ年で倍増するだけの千六百億から三千二百億、今回三千六百億というような寄与をいたしておるわけです。それだけの寄与をしながら、依然としてその原料をつくる耕作者に対しては、米作農民の労賃と比較しても半分程度に満たないようなもので耕作をさしていく。しかも、省力されたのだ、投下労働量が減ってきたのだ、労働時間が八百時間台から五百何十時間というところまで落ちたのだ。これなんかも、この労働時間のとり方に、私は問題と疑問を強く提起しておきます。いま具体的な資料でこうだというきめ手はございませんけれども、しかし、実際の姿とかなりこれが違っておることは確実であります。農林省の統計によるものと専売自身でやったものとの間にも差があります。したがって、そういう点ではこれは全面的な信頼を置くわけにはまいらぬ。そういうことを理由にして、できるだけ引き上げ率を低くしていこう。特に先ほどからいろいろ数字を申し上げました。労働省からも去年あるいはことしにかけての一般都市労働者の全国の雇用者賃金の引き上げ率というものを調べてみましたけれども、い、ずれも一一%あるいは一二%というように上がっておるわけであります。それを投下労働量が下がった下がったというそのことだけで、しかも、そのことは一方交通の問題、われわれに資料もほんとうのところは示されていないというところにだけ理由を求めて、算式に当てはめて二・六五、こういうようなことを言われておる。これはどう見ても、われわれ少なくとも政治に携わる者として全く理解できない数字になっておる。これに次官にどうしてもお伺いしておかなければなりませんが、いま審議会は、やはり審議会の委員の皆さん、こんなばかなことがあるかというような形で、いまだかつてない——いままでは一日延長して二日が三日になった例はあります。今度は一たん審議を中断して、二十五日、二十六日とまたやらなければならぬ、その間に具体的な資料も調べ直さなければならぬということにもなっている。そういうような状況の中で、少なくとも昨年を下回るような条件というものはあってはならない。引き上げ率が昨年よりも落ちるというようなことがあってはならない。どう考えましても、私どもの基本的な立場からいえば、米と同じ算式をとれということです。いま特にそれを言ったところでとれるものではないけれども、しかし、これはもはや政治問題にならざるを得ないところまできておると思うのです。そういうような立場で二・六五にあくまでもこだわって、これで押し切るつもりなのか。現実に苦しい中で耕作をしておる農家の要望にこたえる弾力性があるのかどうか。もっと引き上げ幅を大きくして結着をつけたい、こういうお気持ちがあるのかどうか、この一点だけをきょうは聞いておきたいと思うのです。
○倉成政府委員 政府——これは公社の責任で大体きめることでありますけれども、私のほうの意見ということであれば、一応二・六五%ということで算定方式が出てきておりますから、これを審議会に諮問して、もしわれわれのほうでいろいろな誤りがあれば、当然これは修正すべきだと思います。しかし、一応約束ごとでありますから、約束に基づいて出した数字がたまたま二・六五%という値上げになったということでございます。御了承いただきたいと思います。政治論としていろいろ御議論することは貴重な御意見として拝聴いたしたいと思います。
○広瀬(秀)委員 非常に慎重に過ぎる御答弁で、そういうようなことでは、私、満足できないわけです。これは少なくとも、先ほど問題点を私指摘しましたけれども、公社の生産費調査というものがわれわれに公開されて、ここがほんとうにこうなったのだということがあるならば、それはそれなりに私ども議論にも応ずる。しかし、それは一方交通なんだ。それで算式がそのとおり出てきた。このものを正すものはやはり政治でなければならぬでしょうが、これはあなたの責任ですよ。大蔵大臣の責任だと思うのです。ここで大臣も、これは耕作者が大会をやって大臣に会いに行ったときにも、最後の段階で調整することは、私も十分政治的に調整しますということも言っているはずだ。調整というのは二・六五以下に調整するはずはないですよ。これは少なくとも去年並み以上には何とかしたいという、少なくとも政治家である大臣、副大臣としてそういう方向というものだけは私は答弁をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○倉成政府委員 つかみ金的なことは一切いたしません。さような悪いくせをつけるとよろしくないと思います。しかし、ただいまいろいろ貴重な御意見を伺いまして、私も農家の実態を知っている一人として、正すべきところがあれば、ひとつ十分審議会で御審議の上正してまいりたい、さように考えております。
○広瀬(秀)委員 算式の中でも文句をつけようと思えば幾つでもあるのです。たとえば前渡金に対する利子をちゃんと収納代金の計算の中から控除している。これは米の場合はやらない。それから地代の算定の問題でも、あるいは資本利子のとり方の問題でも、いろいろ一つ一つ審議をしていけばあるのですよ。たとえば深夜労働の賃金なんかでも、これはもう夜の十時から夏の暑い盛りに乾燥のためにどうしても深夜労働をしなければならぬ。その算定だって、基準法の最低限度の二五%の割り増ししか認めていない。夜の十一時から朝の五時、六町までのその時間をね。そういうような問題について、これは専売公社だってあるいは国鉄だって、民間のところだって、大体深夜労働になれば二五%の基準法の最低限度をやっているところはほとんどないのです。賃金は五割増しになるのです。それをやはり二五%でやっているでしょう。そういうこまかいことを言っていったら幾らでもあるのですよ。だからそういうものを最低限度のところで基準法にひっかからないところはそういうことにするということでやったり、あるいは日雇い労賃を、これは安いからそれを使っているわけだけれども、都市製造工業並みぐらいに、米並みの賃金というようなものを導入するということだってこれは当然やっていくべきですよ。それをあえて農村日雇い賃金、一番安く出る。しかも、これは倉成さんも専門家ですからよく御承知だろうと思うのですが、どうやって調査するか、この農林省の調査だって非常に問題があるのですよ。これは働きに行った者について調査をする、あるいはその雇った者について調査する。それはみんな内輪に言いますよ。そういうようなこと、それから付帯的なあがり酒をやるとか、あるいは弁当を食べさせるというようなことが含まれてない。含んでいるといったって、それは実際よりは低目の数字になっている。そういう幾多の問題があるのです。それを一番不利なところでやっている。そしてPtイコールPB以下のこういう算式というものをつくり上げているこの要素は、一つ一つに問題があるのですよ。ことしの米の場合だってそういうことがあったんでしょう。たとえば、先ほど申し上げた付帯労働費なんというやつをくっつけた、こういうようなことだって専売の場合は一切考慮されてない。そういうような問題なんかをやはり筋を通してやられていけば、少なくとも去年並み以上にはなる。あなたは筋を通される方だから、つかみ金——私もつかみ金なんというけちなことは言ってない。そういうものを一つ一つ洗い直していけば、幾らだって去年の倍以上になったっておかしくないのが、ちゃんと論理的に構成できると思うのです。きょうはその一つ一つを論証するだけの時間的余裕がないので申し上げませんけれども、あなたが政治の目でやはり検討をさせる、専売公社にこういう点を洗い直せという問題点だけをちょっと指摘をしたわけでありますが、それらの諸問題について十分指摘をして、少なくとも去年をこえるものが実現されるようにあなたとして努力をされる気持ちがあるかどうか、それじゃそういう形で聞いておきます。
○倉成政府委員 十分貴重な御意見を承りましたので、参考にさせていただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 時間がもうだいぶ過ぎて、あとの質問者の方も来られておりますので、きょうはこれで終わりますが、あとまた機会を見てこまかい問題について質問をいたしたいと思います。
○武藤(山)委員 ちょっと関連、副総裁がおる間に……。副総裁はたばこ耕作組合中央会の建物に行ったことがございますか。
○佐々木説明員 あまり記憶がさだかでございませんけれども、就任のときのあいさつに行きました。
○武藤(山)委員 たばこ耕作組合中央会の補助金は公社からどのくらい出てますか、大ざっぱに。
○佐々木説明員 きょうは数字を持ち合わせてまいっておりませんが、約二億円と記憶しております。
○武藤(山)委員 たばこ耕作組合中央会の事務所に行ってみたら、日高広為のポスターがだあっとどの部屋にも張ってあるのを見ましたか。
○佐々木説明員 見ておりません。
○武藤(山)委員 二億円も補助金をもらっている団体が、どの部屋に行っても日高広為のポスターがだあっと張ってあるのですよ。だれが行ったって選挙事務所という感じだ。こういう金をもらっておる団体が、こういうポスターを大っぴらにおっ張っておくような行為が許されるかどうか、また、これが選挙違反の疑惑を将来受けた場合に、公社に飛ばっちりがいくであろうという心配は当然しなければいかぬ。これは一回見てきてくださいね。この次、二十五日前に、一回呼んでどういう処置をするか聞かしてもらうから、見てきてください。
○内田委員長 安井吉典君。
○安井委員 この委員会で久しぶりに質問させていただきますが、きょうは農政通の倉成政務次官が御出席でございますので、それにちなんで農業所得税、農業法人に対する課税、農業の贈与税や相続税、固定資産税、農業に関する税金に限定して若干のお尋ねをいたしたいと思います。けさの新聞でも、財政の硬直化がほんとうなのか、大蔵省の役人の頭の硬直化がほんとうなのか、だいぶむずかしい問題であるそうですから、きょうは、政務次官はまだ硬直化の程度が低いと思いますので、柔軟な御答弁を初めにお願いをしておきたいと思います。 農業所得税の問題で、いつもまず収入の問題では反別の誤差の問題、これは申告とずいぶん違うとかなんとかいうふうな問題もからんで、固定資産税の台帳でやってみたり、あるいは統計調査事務所の調査を中心にしてやったりする。そのことで、固定資産税の台帳はもうずいぶん古いものがそのままになっている。統計調査事務所の調査にしても、実際はサンプル調査ですから、悉皆調査ではないわけでありますので、現実との誤差が出ている、そういうことでトラブルが絶えないわけであります。そういう問題もきょうはほんとうは取り上げていかなければいかぬわけでありますけれども、一時間と限られた時間内で済まさなければならぬそうですから、このことはひとつあとの問題に残しておきたいと思います。 そこで、まずお尋ねいたしたいのは、農業所得税の場合は全国的な分布がどんなふうになっているか、最近農業所得税の額なり納税者なりはどんどん減ってきているわけでありますけれども、現在の納税の戸数なり金額なりは、全国的な分布はどうなっておるか、その点をまず伺っておきたいと思います。
○細見説明員 お答え申します。 農家戸数が、四十一年で申し上げますと五百五十七万六千戸、うち、米作農家が四百九十七万八千戸、それから予約売り渡し農家が、これは別のことになりますが、三百三十万戸ばかりございまして、課税農家は二十七万九千戸ということになっております。
○安井委員 私がお聞きしたのは、国税局別でもいいんですけれども、大体地域的にどちらが多くてどちらが少ないのか、それをちょっとお聞きしたがったのです。
○泉政府委員 あいにく手元に国税局別の数字を持っておりませんけれども、先ほど細見調査官からお答えいたしましたように、農家の課税人員は、昭和三十六年ごろが一番少なくて、全国で農業専業でと申しますか、農業を主たる所得とする課税人員が二十一万人程度であったのでございますが、その後若干増加いたしまして、四十一年では先ほどお答え申し上げましたように、二十七万人程度にのぼっておるのでございます。 国税局別に大ざっぱに申し上げますと、そのふえておるのは北海道及び東北地方でふえておるように思っております。
○安井委員 あとでもう少し詳しい資料もお調べいただきましたらお出し願いたいと思います。 いずれにいたしましても、常識的にも比較的経営面積の大きい北海道とか東北とか北陸のほうがふえて、その他の地域はむしろ減りつつある、こういうふうな状況ではないかと思います。 そこで、その肝心の北海道でありますが、御承知のように三年間の冷害、凶作という実態で、ことしは天の恵みで大豊作、こういう形になっているわけです。 ここに北海道のずっと北のほうの多寄町という町の実態がありますけれども、凶作の結果、昭和三十九年度は税金を払う農家が約五百三十戸ぐらいあるわけですけれども、そのうちのたった九軒、所得税も一戸当たり平均して六千五百円ぐらいで済んだ——済んだというよりも所得がなかったからです。四十年度は少し作がよかったと見えて、六十二世帯で一戸当たり七千六百円ぐらい。昨四十一年は、これは一番深刻だったわけでありますが、納税農家が七軒、二月当たり平均六千二百六十五円ぐらいの所得税額だったようです。いまの税法でそのまま計算すると、ことし、大豊作の四十二年は約五百数戸の農家のうち、四百七十五戸が納税戸数になって、一躍税額は六万五千七百円ぐらいになっておる。平年作であった三十八年度以前の数字がちょっと出ておりませんけれども、とにかく冷害、凶作の結果ものすごく減っていて、それが四十二年度は極端なふえ方をするこういうふうなことのようであります。ところが、経営の実態は、冷害であろうと何であろうと経費は同じようにかかるわけです。むしろ冷害の年のほうが経費がよけいかかるというような実態があるのはこれは倉成さん御承知のとおり。ですから、三十九年度、四十年度、四十一年度は経営的には赤字で大きく繰り越してきている、こういうことではないかと思います。現に政府資金だけでも、これは北海道全体の数字ですが、政府資金だけでも自作農維持資金、それから天災資金、その他水害資金とかありますけれども、この三カ年で自作農維持資金は百二十四億九千万円、天災資金が二百三十六億円、その他の政府資金が三億六千万円、三カ年で合わせて三百六十五億二千万円ぐらいの貸し付けが行なわれて、これで経費の穴埋めが行なわれてきたわけです。つまり、経営的にはこういうふうな膨大な赤字ができてきているわけでありますが、しかし税法的には、ほとんど白色申告でありますから、それらの赤字が全く繰り越されていない。それで納税戸数は先ほどの数字からいいましても、一躍六、七十倍になり、税額は十倍ぐらいになる、こういう事態があるわけです。現在の税法をそのまま言いますと、これは少し無理な御質問になるわけですが、しかし、現実論としてこういうような問題についての何か対処策はないものか。これは新潟なども同じところが二回も連続やられたというふうな、そういうふうな水害がございます。こういうことも同じような問題ではないかと思うのですが、どうでしょう、何かお考えありませんか。
○細見説明員 御承知のように、現在税法でできますことは、利益があった場合に、これをどう課税するかということが限度でございまして、先生御案内のように、いま申しました赤字が出た場合でも、青色申告の場合は繰り越しができることは御案内のとおりですが、ことしから御承知の現金主義による簡易簿記というふうなものを考えまして、より多数の方に青色申告の特典を利用していただきたいということで考えたわけで、農家の方におかれましても、現金主義でありますとそれほど記帳もたいへんじゃないと思います。私どももそうした記帳がございますれば、過去にどういう赤字があったかということも一応の物的目安をつけて、それを税の上で対象にするということはできますが、ただおれは損をしておったというお話だけで税を引いてまいりますというのには、この青色申告制度を普及しておるたてまえからいたしましても、農家だけ例外にするというのはなかなかむずかしいのではないか、かように考えております。
○安井委員 いまのお話の中からうかがえるのは、何か確実な証明し得る材料があれば白色の場合でも何か考慮ができるような意味合いのことばがちょっとあったように思うのですが……。
○細見説明員 非常に舌足らずの言い方を申し上げましたが、青色申告におなりになりやすいようにいたしました。したがって、青色申告にぜひおなりいただきたい、こううい意味でございます。
○武藤(山)委員 それは来年一月一日からでしょう。いま安井委員が質問しておるのは、現在の、いよいよ来年三月三十一日確定申告を出す問題をいろいろ伺っておるわけですね。それと一月一日からのやつ、あれには大体年所得七十万ぐらいという何か頭打ちがあるわけでしょう。ところが、いま安井さんが言っているのは、それより上の三町とか五町とか、北海道は規模が大きいから農家でも収入にすると何百万という所得になるわけでしょう。そういう農家を言っているわけです。だから、いまのは全く的はずれの答弁です。そうじゃなく、もっと具体的な政治論を加味した、現状を加味した答弁をしなければ歯車が合わないのです。何かひとつうまい方法を考えてやってくれませんか。農協から借金の証明書をもらってくるとか、国の資金で融通を受けている場合はその証明書をきちんと持ってくれば、それを一応証拠にして、三年間異常冷害があったのだからことしだけはそういう方法をとってやろうとか、そういう何か思いやりのある答弁をしてもらわなければ全然歯車が合わないじゃないですか。少しく考えてくださいよ。
○泉政府委員 先ほど私ちょっとうろ覚えでお答えを申し上げましたが、四十年と四十一年とを対比いたしますと、農業人員のふえておりますのは大阪、広島、関東信越、高松、名古屋、熊本といった順序になっておりまして、北海道は三十六年に比較いたしますとあれでございますが、四十一年は先ほどお話がございましたように冷害でございまして、納税人員は非常に減っております。したがって、納税額も前年の半分以下といった数字になっておりますので、先ほどの話を訂正させていただきます。 そこで、いまお話ございましたように、北海道は本年非常な豊作であるということでございます。納税人員も多くなりましょうし、また、その所得額も非常にふえますとどうしても税額も多くなる。これは現行税法上そういうことになるわけでございますが、これの課税にあたりましては、先ほどお話ございましたような昨年あるいはその前年、その前年と三年間引き続いて収穫があまりよくなかった、四十年はそれほどでもなかったようでありますが、そういったような事情がございますので、農家としては生活上もいろいろ苦しかった点があろうかと存じます。ただ、税法ではそういった生活上の借金を考慮するというわけにまいりません。ただ農業経営上、たとえば農業機具を購入した資金を借り入れておって、その利子を返済したといったような場合におきましては、申し上げるまでもなく経費として認めるということでございます。 それからまた、第三期分の納税額は非常に大きくなりますので、この納税につきましては延納の措置を認める、こういった措置をとることにいたしたわけでございます。それによって農家が一時に多額の納税をしなければならぬという点を緩和する、こういうことを考えておりますし、それからまた、一般的には昨年に比べましてそのように納税人員及び納税額が非常に大きくなる見込みでありますので、税務署におきまして納税者によくその辺の事情を説明すると同時に、納税者がそういったことによって苦しむことのないように十分配慮するようにという注意を与えておる次第でございます。
○安井委員 いまの白色申告の仕組みからというと、収量に応じて経費がきまってくるのですね。根基表というのはそういうふうにできておりますね。つまり、収量が多ければ経費がよけいかかってくるし、収量が少なくなってくれば経費が少ない。だから、収穫が皆無だったら経費ゼロということになる。それがいまの白色申告の制度的な仕組みになっておるようです。ところが、現実は十俵とるつもりで経費というものはどっとかけてくる。秋になって初めて二俵しかとれなかったということになるので、経費というものは出てしまっているわけですね。そういうことに基本的な問題点があるわけです。だから、青色にしたらいいだろう、そうおっしゃるのでしょうけれども、そうなかなか簡単にいかないことは、これはもう御承知のとおりであります。そういうことをもっと考えてみますと、何か具体的な資料があればもう少し考える余地もあるようなことになるのではないかと思うのですが、その点は一つは、政府が経営資金の赤字を埋めるために自作農維持資金とか天災資金を、これは農林省が査定して、政府の責任において貸しているわけです。これは生活資金ではありません。だから、生活資金の部分をまた厳密に分けるとなればいろいろな方法があると思いますが、いずれにしても大蔵省も、この財政投融資の支出について大蔵大臣も判を押してこの支出をされているわけです。つまり、オフィシャルにその災害を受けたということを国が認めているわけですよ。中小企業の同じようなケースとはちょっと違うわけですね。国が認めているというそういうのが一つあります。それからもう一つは、肥料代が幾らとか農薬が幾らというのは、なかなか経費の中で見つけにくいかもしれませんが、専従者控除なるもの、これも法律ではっきり認めてあるわけですよ。ところが、収入がないわけですから、専従者控除というものは引かれない。だから、国という立場で農民の大きな災害についてきちっといままで確認しているものにはそういう二つがあると思うのです。まだほかにもあるかもしれませんけれども、いま思いつくのはその二つあると思います。それを一つの着目点として何か方法がないものかと思うのです。一年ごとにぎりぎりときめてくるのがいまの白色申告の仕組みでありますけれども、現実にはいま言ったように過去のものが負債という形で残ってきているわけですよ。青色申告をやりさえずればいいという御答弁ではちょっと困ると思うのですけれども、どうでしょう。
○泉政府委員 お話しのように、災害を受けますればその農家に対しまして財政投融資のほうから資金を融資するということもございますし、また災害によって所得がございませんので、専従者控除の額がそのまま認められない、これは確かでございますが、そうかといってその翌年所得があった場合に、前年専従者控除の控除不足があるからそれを繰り越して控除するというふうには現在の税法はなっておりません。災害の多い地帯におきましては、その年分その年分で課税することにつきましていろいろ問題があることは私どももわかりますが、現行税法はそういうふうになっておりませんので、現行税法上、災害のあった年となかった年とを通算して所得税を課税するというわけにはまいらないのであります。したがいまして、いま申し上げましたように、農業経営上必要な資金の借り入れであった、農機具を購入するためとか、そういったような明確なものにつきましては、経営上必要な借金の利払いとしてそれを必要経費に認めるということでございます。
○武藤(山)委員 長官、もし北海道のそういう三年続きの冷害の農民に対して、適切な借金部分、利息部分をかなり見てやらぬと、これは農業というものに対する非常な冷たい仕打ちになると思うのですよ。税法上は現行ではできない。そこで所得税法の中で、水害とか火災とかそういうものにあったときの所得税の免税の措置があるわけですから、農業の場合にはそういう個別の災害でなくて全地域、北海道というところ全部が冷害に見舞われた場合でも、やはり災害であることには間違いないのですから、これについて議員立法あたりで法案の中へひとつ入れよう、直そう、そういう場合にはかなり税体系が乱れるようなことになってしまうか。それとも、政府のやってもいいという腹さえきまれば、税法上措置するのはそうむずかしくないと私は思うのでありますが、その辺の長官の見解はどうでしょう。もし税法の中へそういう冷害を——これは主税局のほうでその冷害の問題についての処理をうまくやってやる、税法改正をやるのは租税特別措置法になるか、それとも所得税法の中を変えなければできないことになるか、その辺主税局の見解はどうでしょうか。
○細見説明員 率直に申し上げますと、現在の税法の中にはどうしてもなじまない制度であると申し上げなければならないと思います。ただ、いま長官からお答え申しましたように、災害その他によりまして農地が荒廃したものを修復するために金がかかったとか、あるいはまた、そのほか倉庫その他を建てたものがあき家にしておったために非常に荒廃したというようなものを修繕するためにかかった経費が非常に多いということでございますれば、むしろ北海道地区にそうした現象が一般的にあるということであれば、これは長官の領域かと思いますが、標準率の計算その他におきまして、北海道にはそういう営農のための借金がふくらんでおる、そのための金利が見るべきものがあるということであるかどうか、これはむしろ事実の問題で、税法の中におっしゃるようなものを入れるということはいかにもなじまない。ほかの中小企業の問題をとりましても、三年損しておったが四年目にもうかったときにはどうするかという問題は必ず起こってくる問題で、これは現行税法の中にはどうしても入らない問題でございます。
○武藤(山)委員 それはもちろん、私がいま言わんとしておるのは自然災害のことですから、中小企業のように自分の一切の企業責任における問題とは全然性質は異なる。自然災害ということがまず前提である。 それともう一つ、いまのように家屋が半壊したために借金をして直したとか、冷害ですから耕地が流失する心配はないわけですから、おてんとうさまのぐあいなんで、これは何とも不可抗力なんですね。だから、そういう絶対的な力でやられた災害なんですから、これはもう中小企業の倒産や不渡りや経営の失敗とは全く異なるものであるということをよく前提に置いて御考慮いただきたいのですよ。 そこで、いま主税局がおっしゃるような何か経費として認めてやれるところがあるならば、課税標準率の中で見てやれるだろう。しかし、それは国税庁長官、遡及できるのは一年だけでしょう。おそらく三年間の冷害についてある程度見てやれるという手当てはできないでしょうね。それはどうでしょうか。今回の場合は特別に三年間にさかのぼって、そういうはっきりと証拠のあるものだけは見てやろうという、何か手当てというものは可能でしょうか。そこをちょっと教えてくれませんか。もし、いま主税局がおっしゃるような方法が幾つかあるとすれば、この際、親切に具体的に北海道の各税務署へ長官通達を出してもらって、こういう方法でできるだけのものをひとつ見てあげなさいということが可能かどうか、そういう点をちょっとお聞きいたしたいと思います。
○泉政府委員 御質問の趣旨がよくわかりかねるのでありますが、たとえば土地が荒廃したというような事情があって、それを農地とするためにいろいろ経費がかかった、あるいは倉庫をつくっておったが、その倉庫があき家になっておる間に修繕を要するような事情が起きた、こういった点があればということを細見調査官が申し上げたのでございますが、冷害でございますので、そういった事情は私あまりなかろうと思うのであります。したがって、どうしてもこういった所得に変動があった場合に一年ごとに課税する方式の白色申告の場合には、これを調整する手段としてはなかなかない。ただ、凶作が三年続いた、その三年の間に農業経営のために必要な資金を借り入れ、その利子を本年中に支払ったということになりますれば、本年中支払った利子につきましては、これは本年の所得税のときに引く、それ以外に特別の措置ということは、これはちょっと現行税法のもとではできないことでございます。
○安井委員 そこで、いまの武藤さんの話のやりとりの中で言えることなんですが、冷害という災害くらい始末に負えない災害はないわけですよ。大水害の場合は工作物、建造物の災害が出てきますから、これはしやすいわけです。しやすいと言ったら悪いですが、わりあい法制的にやりやすいわけであります。冷害というのはいかにも陰気で、何もなしに天候のためにがたっといかれるわけですから、八百億から一千億くらいの被害が出た。だからそれだけに、当時も特別立法で天災融資法の特別措置だとか、それからいま何か忘れましたけれども、特別に北海道の冷害のための特別立法まで当時は行なわれて、一応の措置が講ぜられたという、そういう経過があるわけですよ。だから、その背景は、自殺者がずいぶん出て——何しろ経営が大きいものですから経費が大きい。その経費が戻ってこないということですから、被害は経営の小さい農家より大きい農家ほどひどいわけです。そういう形で負債がふえてきておる。だから、自殺者が出たり身売りが出たりする。そういう実態の中から特別立法措置が講ぜられたのですから、いまのような御答弁をずっと続けてきたら、大豊作でまた自殺者が出るだろうということばを私は申し上げるわけじゃありませんけれども、これはたいへんな事態が起きる可能性があると思うのですよ。これはもう少しあたたかみのある対策というようなものを考えられていいのではないかと思うのですよ、きょうここでずばりというわけにはいかぬかもしれませんがね。
○堀委員 関連して。いまの現行法制では、確かにあなた方の答弁どうりだと私は思っているわけだ。だから、それは法律は法律として考えなければならないのですが、ものの考え方としてみると、冷害の起こるところというのは、南のほうに行っては冷害なんか起きないのです。干ばつはあっても冷害は起きない。冷害がしょっちゅう起こるところには、何かそういう地域に対する特殊な立法があっていいのではないかと思うのですよ。そうしてそれが、たとえばいまあなた方のほうで、作家その他一部の者には何年間かの変動所得の処置があるでしょう。だから、これをある程度やはり考慮をして、何年間かの変動所得か何かで所得を見るというたてまえに少し考えていかないと、冷害がほとんどないというならいいけれども、最近の状態は何年かのうちには必ず冷害がきているから、ここらは立法論としてもそういう特殊冷害地帯に対する税法上の問題、これが青でありさえすれば問題はないのだけれども、残念ながら白であるためにそういうふうな問題がむずかしいわけですけれども、これは農業課税の問題としては少し配慮する必要があるのではないかと私は思うのですが、倉成さんどうでしょうか。あなたは税の専門でないから、かえってそういう政治論として御理解がいただけるだろうと思うのですがね。いま私が提案しているような何年間かで通算した形で、どこかで見直してやるというものの考え方ですね。そうでないといまの冷害地帯、どんととれるときはうんととれるけれども、いかれたときは全部いかれてしまうという、ああいう所得変動が激しい場合、何か所得変動の状態をどこかでひとつ調整をとるという考え方、そういう発想が取り入れられればいまの問題は非常にはっきりしてくると思うのですよ。前の年は所得はほとんどない。ここはない、ここでどかんと出てきた。こういう場合には、この所得は前三年間のものと平均をして調整をとってみるという、そういう発想は、政治論としてはあると私は思うのですが、政務次官いかがでしょうか。
○倉成政府委員 制度的な問題については、国税庁長官、細見さんからお答えしたとおりだと思います。 それで冷害について、また西日本の干害等について、税でめんどうを見るか、他の方法でめんどうを見るか。立法論として、政策論としてはいろいろ方法があると思いますが、税についても、御指摘のような方法が非常に制度になじめば一つの方法じゃないかと思いますけれども、まだ税のこと、御指摘のようにしろうとでありますので、しばらく研究させていただきたいと思います。
○堀委員 主税局どうです、感触として、私の提案ね。変動所得として五年なら五年で一ぺん見直してやるという点は。
○細見説明員 一つの非常に貴重なサゼスチョンだと思います。ただ、納税者でなくなっているときに、所得税でどれだけ救済できるかというような問題もございますので、三年続いて一年だけ出てきた、あるいは四年続いて一年だけというようなときにどれだけ有効な策になるかどうか、その辺もあわせ検討させていただきたいと思います。
○安井委員 まだあとの問題がありますから、この問題については検討していただくということでありますので、もう少し私どものほうも大蔵省側の今後の検討の結果を待ちたいと思います。そういうわけで、ひとつ大蔵委員会の理事の皆さんのほうも、もう少し経過の発展を見ながら御対処願いたいということもお願いを申し上げておきたいと思います。いずれにいたしましても、当時特別立法で措置しなければならなかったくらいの重大な問題のその跡始末の問題だということのお含みの上に立って、先ほど来の論議を中心にして御検討を願い、御措置を願いたいと思います。 そこで、あと問題がたくさんありますが、ひとつ一潟千里でお尋ねをしてまいりたいと思いますけれども、白色の申告の場合における必要経費の見方の問題です。この所得標準率、経費の根基表というのですか、昭和二十九年につくられたものが若干手直しをされて現在に至っているようです。もっとも所得税の少ない地域ではもうすでに市町村に渡してしまったというところもたくさんあるわけでありますが、いずれにいたしましても、その根基表のつくり方が二十九年そのままみたいなもので残ってきております。昭和二十九年代における農業経営のあり方と現在とはもうすっかり変わってきております。労働力はむしろ減少ぎみだし、機械や農薬等がどんどんふえてきている、あるいは都市も農村も交通手段は全く変わってきている、こういう実態があるわけです。その点をもう少し見直す必要があるのではないかと思うのです。当時は四五%か三〇%ぐらい経費率があったのが、いまはもう一七・八%の経費率になってきているようです。これも農民側の不満の種になっています。 これらの中で特に問題のある点を二、三あげてみますと、作業用の被服だとかあるいはまた作業準備室の問題だとか、そういうような点を初めとして、農事組合費とか農村電話費、農業経営技術のいろいろな研究費、図書費、農業に関連のあるいろいろな交通費、光熱費、こういったようなものを経費として農民の側が出しましたら、それはもう家事関連のものだということでばっさり大幅に削ってしまう。特に五〇%まで家事関連度があるというふうなものになったら全然経費に見ない、こういうような仕組みで落としてしまっているようです。こんなことが農民の側の不満の種になっているように思うわけであります。あるいはまた、肥料だとか農薬についても標準化されているわけでありますが、これも現実には個人差が大きいわけですね。そういう問題がありますので、肥料だとか農薬のようなものではっきり引き出せるものは実額を見て標準率からはずすとか、そういうような措置ができないかとか、こういうような要求もあるわけであります。 それから特別経費の問題では——時間の関係がありますので、ずっと一通りばあっとお話ししますから、それでまとめてひとつ御答弁願いたいのですが、土地改良費についても、普通白色申告の場合は簡易計算やあるいはまた省略計算というような形でされているようであります。簡易計算は限度が四千円くらい、省略計算は二千五百円というふうに聞いております。ところが、土地改良的な支払いは最近猛烈にふえてきております。農業構造改善事業というふうな形で政府がどんどん土地改良事業をさせているということにも原因がありますが、農業の近代化のためには基盤整備が必要だ、こういう国の要請に基づく土地改良が多いようです。とてもこの四千円や二千五百円では合わないわけです。こういう実態が出てきております。で、農民の側からは、同じ土地改良費といわれている中でも経常賦課金的なもの、それから水利費、つまり経常的な一般共通的なものはこれはむしろ公租公課的なものではないか、それを公租公課という形で扱って、暗渠排水だとかそういったような土地改良事業費は、いまの簡易計算や省略計算に当てはめて、当てはめるということになりますとどうしてもこの限度を大幅に上げてもらわなければいかぬ、こういうふうな要求があるわけであります。 それからまた、臨時用人費の問題、これもいつも問題になってきているようであります。北海道の農村などでは、月ごとに農事組合で各農家から申告をしてもらって用人費のリストをつくっておき、それを申告しているようでありますが、それも十分に調査もしないで、おまえのところの用人費はこれだけを認める、これ以外は認めないというふうなことで、標準化する形で容認をしない、こういうようなことも問題になっているようであります。 それからもう一つ、自動車の問題でありますが、貨物自動車、それから乗用車もずいぶん農村には多いわけですね。それからオートバイもどんどんふえてきている、都市と農村との区別がなくなってきているというふうな実態ではないかと思います。特に貨物自動車の問題でありますが、これも実際の使用額の三割から多くとって五割くらいしか経費を見てないようですね。残りの七割とかそういったような部分は、これは家事のためのものだというようなことで容認をしないということで打ち切っているようであります。乗用車だとかオートバイの場合だとか——乗用車なんかは全然見てないというのが実態のようですね。それと農業との関連ということになると、いろいろ問題もあるかと思いますけれども、交通手段に対する国民全体の考え方というものがすっかり変わってきている現在であります。ですから、そういうことも考慮に入れて、農村はてくてく歩けばいいんだ、自転車で行けばいいんだ、町の人は自動車で行け、こういう頭からのきめつけ方は私はどうもおかしいような気がするわけですね。この点についても何か考え方が必要ではないか。 それからまた、大農機具についての特別控除の問題がありますが、これも大農機具は現実には標準化されているわけです。北海道は大きなトラクターとか、それからそれの付属機械というようなものがたくさん入っているわけです。大きな機械を入れれば付属機械がたくさん要るわけであります。動力除草機とか動力イモ掘り機、動力稲刈り機、大型のカッター、それからまた、それについての修理費もずっとかさんでくるわけです。それの容認率も非常に低いというふうなのが実態のようであります。これは用人費の問題とからんでくるわけで、機械をたくさん入れれば用人費が少なくて済むわけです。ところが、用人費のほうは、さっき申し上げたようなことでいく、それから機械のほうは標準率でいくということになりますと、結局機械をたくさん入れた農家のほうが損をする、こういうようなことにもなるのではないかと思います。 どんどん問題点をさあっと申し上げてまいりました。これは事前にも御連絡をしてありましたので、まとめてこの際ひとつ御答弁願いたいと思います。
○泉政府委員 農業所得に対する課税の場合に経費をどのように見るのが適正かという問題、なかなかむずかしい問題でございまして、現在のところは、安井委員御承知のとおりに、田畑の所得標準率というものを用いまして、それに基づいて所得標準内経費と、それから所得標準外経費とに分けまして、所得標準内の経費は、その標準率をもって計算する。それから標準外の経費につきましては、個々の農家ごとにそういった標準外経費を出しまして、それに基づいて経費として認めるかどうかということをいたしておるわけであります。 そこで、いろいろの項目についてお話がございましたが、概括して申し上げますと、たとえば先ほど農業の所得標準率の通達は昭和二十九年に出ているというお話でございましたが、その後も毎年見直しをいたしておりまして、したがって、たとえば昭和四十一年分の標準率で申し上げますと、北海道の標準地帯の合計では、所得率が七七%、したがって標準経費率が二三%というふうになっておるのでございます。先ほど一七%ないし一八%というお話がございましたが、それよりは多いということになっておるのでございます。それから個々の経費ごとにいろいろたとえば農薬であるとか肥料には個人差が多いというようなお話でございました。しかし、こういったものは標準率の中に入れた標準内経費として見ませんと、標準率を使用する意味がほとんど出てまいりません。したがって、標準外経費としましては雇い人費であるとか、個々の農家によって非常に差のあるものを標準外経費にしておるのでありまして、確かに肥料、農薬につきましても若干の個人差があることとは思いますけれども、農業経営上はやはりその地において肥料あるいは農薬を投入する量はおよそ標準的なものがあるはずでございますので、それを標準内の経費として見ていくというよりほかはなかろうかと思います。 それから特別経費として土地改良費というお話がございました。御承知のとおり土地改良費につきましては、いわゆる永久資産となるもの、これは永久資産でございますので償却の方法もございません。これを経費に見ることはできない。それから却償資産となるもの、それからその年の経費になるもの、こういうふうに三本立てに分かれるわけでありまして、そこであまりこまかい計算になりますと繁雑でございますので、先ほどお話がございましたように、省略計算なりあるいは簡易計算の方法をとりまして、省略計算の場合でございますと二千五百円まで、簡易計算の場合でございますと四千円まではその年の経費として認めるということにいたしておるのでございます。もちろん私ども最近の土地改良、ことに農地の造成がたくさん行なわれております北海道地域におきまして、どの程度の土地改良費を経費として認むべきか、これはいろいろ問題があろうと思いますので、先般陳情もございましたので、その点についてはさらに検討いたしたいと思っておるのでありますが、いま申し上げましたように永久資産になるものと、減価償却資産になるものと、それからその年の経費になるものと、こう三つに分けてものごとを考えていかねばならないと思いますので、永久資産になるものまで経費として認めてくれと言われても困りますし、また減価償却資産になるものは、やはり償却費だけがその年の経費になるのでありまして、耐用年数に応じて年々の経費を見ていくというよりほかはない。投入額そのまま全額をその年の経費として認めるわけにはまいらない、こういうことになろうかと思います。 それから自動車の点、確かに最近、農村におきましてもいわゆるカーブームでございまして、乗用車なども相当購入されているように見受けられますが、やはりこの自動車を農業経営上使った場合に初めてその減価償却費なり燃料費なり維持修繕費等を必要経費とすることができるのでありまして、家事上に使った場合には、そういったものを農業経営上の経費として見るわけにはまいりません。ただ、いまお話がございましたように、貨物自動車なんかにつきましても、それを農業経営上の経費として見る部分の割合が少ないようなお話がございました。これはその実態を十分調査いたしまして、農業経営上使用いたしました割合の分は当然必要経費として認める、こういうふうにいたしたいと思います。 それから大農機具につきましても、トラクターであるとか動力耕うん機はこれは標準外経費にいたしております。したがって、そういった個々の農家が購入した動力耕うん機、トラクター等大型のものにつきましては、その個別の事情に応じましてその減価償却費を必要経費に認めるということになるわけでございます。北海道地区におきましては、おそらくそういった大型の農機具が相当あろうと思いますので、そういったものの修繕費あるいは減価償却費を必要経費に認めるということになるわけであります。 ただ、雇い人費も標準外経費になっておりますが、雇い人費につきまして、先ほど北海道地区ではこういうふうにしているというお話がございましたが、個々の農家がどれだけ雇い人を使ったかということについての実績の証明等につきましていろいろ手数を要することになりますので、現在におきましてはある程度標準化して、この程度の耕作をしておる農家の場合、家族労働者の数と合わせまして考えて、この程度の労働力が要る、しかしそのうちの家族労働人員はこれだけだから、雇い人費として認められるものはこの程度である、こういったことを一応標準的に考えておる次第でございます。しかし、それがもし実情に即しておらないという点がございましたならば、なお再検討いたしたい、このように考えております。 そのほかこまかい項目について、たとえば作業用の被服であるとか技術研究費であるとか光熱費、交通費といったような点のお話がございましたが、これらにつきましてもそれぞれ農業経営上必要な経費としてその実情を十分調査いたしまして、標準的な経費として見ていくと、こういうことにいたしておるのでございます。
○武藤(山)委員 ちょっと関連して。いま安井先生から土地改良した場合の負担が非常に重いから、経費の見方を少し検討してくれという注文があったわけです。租税特別措置法の第二十五条にある「土地改良事業施行地の後作所得の免税」というのがありますね。土地改良をやった場合、三年間、米以外のものをつくった場合には税金を取らぬという規定があるわけですね。この規定も、どうもいまの実情から見て、何か実情にそぐわないような感じがするわけです。これは個人がやった場合ですが、その土地改良を公の市町村がやったり、県の団体営で指導したり、そういうのでやった場合は該当しないのか。完全な個人だけがこの事業をやった場合ということなのか。この規定なども少し再検討する必要があると思うのですよ。先ほどの災害の問題も冷害の問題も、農業所得の免税という二十四条と二十五条があるのですから、これに関連してひとつ検討してもらえばしごく都合がいい。何か名案が出るのじゃなかろうかと思うのです。たとえば農業用青色申告制度というような別なものを考えてやる、何かそういうものはできそうだと思うのです。それはあとの検討にして、その二十五条の解釈だけ聞かしてもらって、同時にこれを実際に適用している農家なんてあるのかどうか。法律でちゃんと免税なんてなっていると、さも農業を優遇しているように見えるけれども、実際に適用農家はあるのかどうか。そこらをちょっと聞かしてください。
○泉政府委員 租税特別措置法第二十五条の土地改良事業を施行した後のあと作所得の免税の場合には、法文に出ておりますように、個人が土地改良事業をした場合、こういうふうになっております。したがって、個人でなしに地方団体が行なった場合には入りません。ただ、地方団体の指導のもとに個人が行なった場合には、当然これは入ってくる、こういうことになろうかと思います。
○武藤(山)委員 いまどき個人で土地改良をやっているような事実がありますか。一体そういう具体的な例が幾つか出ていますか。こんなのは全く実情に合ってない法律ですよ。そうじゃないですか。全国に幾件ぐらいありますか。
○泉政府委員 この土地改良事業のあと作所得の免税につきましては、いつか資料をお出ししたことがあろうかと思いますが、適用実例はきわめて少ないのであります。
○武藤(山)委員 これは個人及び法人、団体でやった場合というのを入れなければだめだよ。そういう検討をしてください。
○泉政府委員 なぜかと申しますと、これはあと作の所得だけでございまして、最近はそういったあと作耕作が行なわれないというのが普通になってまいっております。したがって、あと作所得の免税だけでございますので、あと作をあまりしなければ当然免税の対象になってくる所得が出てこない、こういうことになっておるのでございます。
○安井委員 いま私がいろいろあげた問題についての御答弁、これを少し掘り下げてもう少し議論したいわけでありますけれども、この委員会のあとの日程があるそうですからはしょりますが、いまの御答弁の中でも、土地改良の控除だとか、臨時雇い人費それから自動車の控除等について実態をもう少し調査して、改善するものは改善する、こういうことでありますが、地方の国税局のほうも、農村や農民の団体の人たちとやはり具体的な資料でよく話し合うようなことをぜひやれということを大蔵省のほうから流していただきたいということと、それからそういう中で、やはり大蔵省で告示だとか通達だとかいろいろ御措置にならなければならないものがたくさんあるわけでありますけれども、それについてひとつさらに御検討を願いたいわけです。土地改良費などについては、私のところにも農民の方から持ってきてくれた資料もありますが、この数字だけを見てもとても四千円や二千五百円で済みそうもないわけですね。こういう数字も私のところにありますから、ひとつこれでさらに御検討を願いたいと思います。きょうはこれでやりとりしていても時間がかかりますので、ぜひもう一度この点についての御検討をお願いをしておきたいと思います。 あと農業法人の問題がありますけれども、これは時間がないのであとに回します。 農地の生前贈与に関する特例措置があるわけでありますが、四十三年十二月三十一日で一応期限切れになるわけですね。そういうふうなことについては当然延長という運びにしなければならぬと思いますが、そのことについてのお考え、それからこの内容についても三年ごとに申告更新をすることになっておりますけれども、現実には、これを忘れてしまってとんでもないときに税金がぽんときてたいへんなことになったという例もあります。こういう点、もう少し改善の方法はないのか。あるいは農業資産の贈与について免税点を五百万円くらいにするとか、もう少し考える必要があるのではないか。農業経営の場合に、農地の問題ももちろん大事ですけれども、農機具が最近非常に大きな経営の要素を占めてきておるわけですね。そういう意味で農業用資産の贈与の免税点についての考慮が必要ではないか。 それからもう一つ、農業生産法人に対して受贈者が受贈財産を出資する場合、これは何の関係もないところにいってしまうのとは事情が違うので、経営がそのまま続くわけでありますから、こういう場合には特別な考慮が必要ではないか。この点だけに集約してお尋ねしておきます。 〔委員長退席、武藤(山)委員長代理着席〕
○泉政府委員 先ほどお話しございました農業所得の課税にあたりまして、標準内経費あるいは標準外経費につきまして十分適正な措置をとりたいと思っておりますが、それにつきましては、関係市町村あるいは農業団体等からのお話は十分聴取いたしたいと思いますが、いわゆる団体交渉にわたるような措置はいろいろ弊害を伴いますので、これはいたしたくないと思っております。ただ実情につきましては、市町村当局あるいは農業団体から十分聴取いたしたい、このように考えております。
○細見説明員 お答えを申し上げます。 生前贈与の期限切れの問題でございますが、これにつきましては私どもも延長されるべきといいますか、この制度が創設されたときの必要な事情というものは基本的にはまだ変わっていないと考えております。ただ、いま政府の税制調査会のほうにおはかり申し上げまして、延長すべきかどうかということを御相談申し上げておりますので、客観情勢は変化しておらないとは思いますが、確定的なことは答申を待ってお答え申し上げたいと思います。 〔武藤(山)委員長代理退席、委員長着席〕 ただそのときに、もちろんいまおっしゃいましたように、制度をただ延長するということでなくて、改善すべきものがあれば改善し、また廃止すべきものがあれば廃止するといいますか、その制度の中で適当でない部分があれば改めるということは当然のことと考えまして、いま御提案がございましたような趣旨につきましてはその際に十分検討してまいりたい、かように考えております。
○安井委員 もう時間がないので詰められませんけれども、いまの点ですね。改正の措置がどうせ必要になってくるわけですが、ひとつお考えを願いたいと思います。 なお、登録免許税や不動産取得税の特例に関連して、これはたしか三月で切れるはずです。ですから早目に措置する必要があると思いますので、その点をお願いをしておきたいと思います。 それから固定資産税の問題で自治省からおいでいただいておりますが、農地の課税標準の特例は当分の間据え置きですが、これはそう急に変える考え方はないということを伺っておりますが、その点もう一度この際言明を願いたいということが一つと、それから、農業構造改善事業等で農業近代化のために取得した家屋だとか大農機具、最近は個人単位もありますし、それから農業協同組合だとか農業生産組合だとか中規模の団体のものもあります。ライスセンターだとかカントリーエレベーターだとか、一億にも及ぶような膨大な施設もあるわけであります。これの減免措置がないわけでありますが、これは水力発電所ができた場合には三年間は三分の一で済むとか、私鉄についてもそういう特例がありますね。それから、中小企業の近代化についてもそういうふうな特例があります。それと同じように、農業近代化という要請の中でのこういうふうなものについては、固定資産税の特例措置というものが当然あってもいいのではないかという議論があるわけです。どうでしょう。
○山下説明員 第一点の農地の据え置き問題でございますが、これにつきましては現在税制調査会の中に土地税制部会がございまして、土地税制全般についての審議もいたしている段階でございますし、全般的に負担調整措置が行なわれている現在でございますので、これらの全体の模様を見た上で検討いたしたいと考えております。 それから、第二番目の農家の機械器具等に対する減免の問題でございます。現行法におきましても、農業協同川合、農業協同組合連合会の機械施設につきましては、租税特別措置法に規定されているような種類の機械については三年間課税標準を二分の一にする特例がございます。ただ、御指摘のように、個人につきましてはこの減免の根拠がございません。個人につきましては償却資産にかかる免税点が三十万円というふうにかなり高い額になっておりますので、その面で救済される面が多いのではないかと思いますし、かたがた構造改善に関係するからという理由で全面的に非課税にするということになりますと、範囲がきわめて広範にもなりますので、直ちには個人全部について非課税措置を講ずるということは不可能ではないかと考えております。
○安井委員 これは時間がないからもうこれでやめることになりますので、きょうは問題提起ということだけにしておいて——いまの御答弁じゃどうしようもないと思います。たとえば三十万円、課税標準は、これはもちろん上がったわけでありますけれども、三十万円以下の農機具なんというのは農業構造改善事業では取り上げておりませんよ。そんなものじゃなしに、最近の機械というのはものすごく額が大きくなっております。ですから、いまの御答弁ではだめだと思います。この点はさらにまた機会を改めたいと思います。 最後に、政務次官から予約減税の問題を、四十二年度はいつもの段階に来ておりますが、それはもうすぐお出しになることになろうと思いますが、その点、どうせお出しになるのなら、米価が上がったことですから、一俵千円くらいまで引き上げるとか、そういうような措置が必要ではないかということが第一。 二番目には、四十三年度以降はやめるというふうな、新聞報道でありますけれども、そういうことを見受けますので、そういうことになりますと、これは米価問題とからんで重大な問題になりそうであります。これは政治的な問題点だと思いますので、倉成政務次官から御答弁を願います。
○倉成政府委員 予約減税の問題については、三十年から十数年間非常に大きな役割りを果たしてきたと思いますが、もうすでに歴史的使命を果たしたという認識を持っております。したがいまして、この恩典を受ける農家が全農家の四・一%、予約売り渡し農家の六・五%ということでありますので、課税の公平という点からも再検討すべき時期に来ておる、さような認識のもとで今後の処理をはかりたいと思っております。
○安井委員 これはいまの答弁では困るわけで、四十二年度のやつはやるわけでしょう。
○倉成政府委員 四十二年度は、過去の経緯もございますので、さように取り計らう方針で進んでおります。
○安井委員 あと保留いたしまして、これでやめます。
○内田委員長 午後は一時三十分ころより再開することとし、午前の会議はこれにて暫時休憩をいたします。 午後零時五十六分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○吉田(重)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 まず、宇佐美日銀総裁より当面の国際金融問題について御意見を述べていただき、後刻質疑を行なうことといたします。宇佐美参考人。
○宇佐美参考人 宇佐美でございます。 ただいま委員長からお話がございましたとおり、ただいまから最近の経済金融情勢について意見を申し述べます。 九月初め、財政、金融両面から引き締め政策を実施して以来、三カ月を経過したのでありますが、経済の拡大傾向は依然として根強く、引き締めの効果は、生産や投資など、経済実体面にはまだ十分に及んでいるとは申しがたい状況でございます。これは、今回の引き締めが、従来に比しまして、せっぱ詰まってから行なったのではなく、やや早目に実施されたこと、また、国債発行によりまして資金の流れが変わりまして、企業の手元にもゆとりがあることなどによるものと考えております。しかしながら、他面金融面におきましては、引き締めの効果は次第に浸透してきております。金融市場、公社債市場はこのところ引き締まり基調を強めてきておりますし、また、企業金融の面でも、企業の資金需要が高まるに伴って、次第に繁忙感を生じてきているのであります。私どもといたしましては、こうした情勢が続いていけば、やがて企業の投資活動が抑制され、実体経済面にも次第に効果が及んでいくものと思っております。 以上のような根強い経済拡大基調を反映いたしまして、輸出の伸びは相変わらず鈍く、一方輸入は多少鈍化ぎみもございますが、依然として高水準を続けておりますために、国際収支の改善は必ずしもはかばかしくございません。月により一進一退の形で足踏みをしているのが現状でございます。 そうしたやさきにポンド切り下げを契機としまして、海外情勢の急変という事態を迎えたのでありまして、今後わが国をめぐる国際環境は一段ときびしさを加えてまいるものと申さねばなりません。ポンド切り下げがわが国の貿易面に与える直接の影響につきましては、いまのところさほど深刻でもないようでありますけれども、問題は、むしろポンド切り下げと同時に英国が公定歩合を大幅に引き上げ、さらに米国、カナダがこれに追随いたしまして引き上げを行なったことにより、再び世界的な高金利が促進されるのではないかという点であります。このような金利高がわが国の資本収支に大きな影響を与えることは申すまでもないところでありまして、さらにこれがようやく立ち直りかけた世界経済の足を引っぱりまして、わが国の輸出増大を妨げる要因となる点は十分注意しなければならない点だと思います。これらの点を考えますと、わが国の国際収支改善の前途は多難なものになるのではないかという懸念がいたされるのであります。 以上、申し述べましたところから、当面は一そう腰を据えて、引き締め効果の浸透をはかり、総需要調整の実効をあげていくことが何よりも肝要と思われます。それには金融政策の面で現在の引き締め方針を堅持していくことはもとよりでありますが、国民経済に占める財政の比重が高くなっている現状にかんがみますれば、景気調整をすみやかに、かつなるべく摩擦を少なく仕上げていくためには、財政面においても抑制的態度を貫き、いわゆるポリシーミックスの実をあげてまいることがこの際ぜひとも必要と考えておるところでございます。 ポンド切り下げ以来の国際環境の変化は、金融引き締めの前途を一そうむずかしくしてまいりましたことはいなめませんが、それではこの際新たなる追加的引き締め措置が必要かどうかという点になりますと、これは特に慎重なる判断を要するところと存じます。もとより私どもとしましては、海外高金利をはじめ、当面の流動的な世界経済の動きには細心の注意を払ってまいるべき段階と存じますが、根本的にはやはりわが国自体の景気調整過程の進行いかんに総合判断のかなめを置くべきものと考えておるのであります。そうした見地から、私は、ようやく山場に差しかかりました金融引き締めの浸透状況、ポンド切り下げ以来慎重化したといわれております企業の態度、来年度予算の編成状況、国際収支改善のテンポなどを厳に注目していきたいところでございます。 なお、当面の年末金融につきましては、引き締めの基本線は維持しながら、できるだけわが国の特殊事情を考慮いたしまして、金融面の調節を行ない、過度な摩擦なく越年し得るよう配慮したつもりであります。また、中小企業金融の問題につきましても、引き締めのしわ寄せによりまして健全な中小企業までが困難におちいることのないように、金融機関に対しましても十分なる配慮を求めておるのであります。この点は、私どもとして、今後できるだけの注意を払ってまいりたいと考えております。 最後に、今回のポンド切り下げ問題に関連いたしまして、私の所見を付言さしていただきたいと存じます。 今回の英国の事例に徴しましても、一国の通貨を健全に維持していく上には、いかに国際協力が進んできたとはいえ、やはり基本的にはその国みずからの努力にまつほかないということであります。その点、わが国の物価が近年一貫して上昇基調を続けており、他面外貨準備高が貿易量に比較して過少である点はやはり問題と申さざるを得ないのであります。これらは結局過去における高過ぎた経済成長のひずみのあらわれにほかならないのでありまして、日本経済も今日ここまで成長してまいりましたからには、今後は単なる量的な成長を急ぐよりも、物価の安定、国際収支の均衡、外貨準備の充実など、経済の体質強化に一段と真剣に取り組み、世界経済の激動にもよく対処し得る体制を確立することが肝心と存じます。日本銀行といたしましても、円価値の維持のためにも万全の備えをもって臨まなければならないと思っておるのであります。 以上、簡単でありますが、私の最近の経済、金融情勢についての意見を申し上げたわけであります。 —————————————
○吉田(重)委員長代理 これより質疑に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 ただいま宇佐美日銀総裁のお述べになりましたことについては、特に後半のポンドの切り下げに関してのくだりについては、私どもこれまでたびたび当委員会で議論をしてまいりましたけれども、残念ながら、実は日本政府がそういうことをあまり頭に置いてないのか、昨年、ことしと、経済成長は御承知のように一〇%をこえるような成長がまた二年も連続をしてまいって、その結果が今日の引き締めをせざるを得ないところにまいっておると思うのでありまして、この点は、実は私はそれだけのことが十分わかっていながら、どうしてもっと政府がその点に真剣さを待って取り組まないのか、非常に遺憾に思っております。これからの問題については、私どもはかねてから、物価の安定というものはやはり成長がもう少しスローでないと安定をいたしませんし、そのすべてがいまの高度成長によってもたらされておる不均衡のあらわれだと思いますので、その点については私も全く総裁と後半の点同感なんでございますが、今日の事態になっております時点でやはり問題を考えてまいらなければなりませんから、本日はまずいろいろな現在の当面する問題について、海外情勢からの側面と国内問題からの側面と、それに対する今後のいろいろな処理のしかた、この三つの点についてお伺いをしたいと思います。 〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、十一月二十日にポンドがああいうかっこうになりまして、現在、その後まだ一カ月にはなりませんが、約一カ月に近い状態で推移をいたしておりますが、新聞紙上で承知をしておるところでは、また少しポンドは弱くなりつつあるというような傾向が出てまいっておるようであります。すでにこの問題は、ポンドの切り下げ幅がはたしてあれでいいかどうかという点についても多少議論があるところでありましょうけれども、他国の切り下げを誘発しないぎりぎりの限度ではないかというふうにもいわれておりますが、いまのこの切り下げ幅で一体このままいけるのかどうか。私の感触としては少し不十分であった。不十分であった半面、それは国際協力の関係でやむを得ない点もあったかと思いますが、その点の国際協力の面は必ずしも十分でない、こういう感じがいたすわけでありますが、この切り下げ幅について総裁はどんなふうにお感じになっておるかをちょっと最初にお伺いしたいと思います。
○宇佐美参考人 ただいまポンドの切り下げ幅について御質問でございますが、これは私として適当かどうかということの結論を申し上げるのは非常にむずかしい問題でございます。事情は非常に複雑でございまして、この切り下げが行なわれました直後、ドル不安の台頭であるとか、あるいは金に対する思惑的と申してもいいような買い需要が起こったことは御承知のとおりであります。幸いにもこの金あるいは金を通じてのドル不安に対しましては、さっそくいわゆる金プール、英、米、独、イタリア等主要七カ国、この金プールには日本は参加しておりませんけれども、とにかく主要国がそろって金価値の維持の申し合わせをいたしまして、さらに各国の為替事情の安定につとめたわけでございます。なお、いまおっしゃいましたとおり、まだ為替自体は、ことにポンドははなはだ動揺を続けておりますし、むしろヨーロッパその他各国は非常に過敏な状態で不安げに見ておるというのが実情じゃないかと思うのでありますが、しかし、現在の国際通貨体制は深刻にならずに、一応ここで乗り越えたというふうに考えておるのであります。もうすでに御指摘のとおり、今度の一四・三という数字は、ほかになるべく波及をしない限度という一つワクができたような関係でございますので、いま私の立場から、幅が狭くて、まだこれじゃいかぬのだということを申し上げるわけにはまいりません。せっかくこういう思い切った処置をとったのですから、私としては何とかこれで現行の金融制度が定着するように、また時間が多少かかるでしょうが、ポンドも回復するように努力してもらいたい、こう思っておる次第でございます。
○堀委員 総裁のお立場としてちょっとお答えしにくいことを伺いましたが、そこで実は私が多少心配しておりますのは、同時にイギリスは公定歩合を八%に、まあきわめて危機的なレートといいますか、引き上げをいたしました。これは当然そのあとに起こるいろいろな問題に対処するという意味であったと思います。自来約一カ月近くになりますけれども、この八%の公定レートそのままで依然として引き下げが行なわれておりません。これはなぜ一体こんなに、普通なら二週間もすれば一応そのショックに対する対応策というような手段は解除されるべきであるにかかわらず、今日までまだ八%が持続しているというのは、これはなぜでございましょうか。
○宇佐美参考人 これも私として非常に、なぜと申してもなんでございますが、これは私の意見でございますが、やはりさっそく、英国が八%にしましたら米国及びカナダがそれぞれ金利を上げました。やはりそれぞれの国が、資金の動きといいますか、流れていくとか入ってくるというようなそろばんをいろいろ研究しまして、とりあえずいまのようなところになってきておるのじゃないかと思うのであります。したがって、いまここで世界がどうも高金利になってきて、しかもイギリスはポンドは一時さっそく安定したような相場になったのでありますが、その後だいぶ下がってきておるようなわけであります。したがって、これはアメリカのマーチンさんも言っておりますが、この両方の相場の開きというものがなかなか問題ではなかろうかと思うのでありますが、この辺いつまでにどういうふうにやるか、各国の国際的な見方から見ますると、公定歩合を批判するものもいかがかと思いますが、なかなか微妙なる関係にあるということだけしか申し上げかねるわけであります。
○堀委員 実は最初に、一四・三%というのは国際協力という面で、実はもう少し下げるべきであったのを、イギリスは少しがまんをしたというか遠慮をしたというか、ちょっと確かに不十分だったと私は思っております。ところが、いまのお話のように、それでは一応八%にしたけれども、これがなぜ下げられないのかというのは、やはりちょっとその他に関係があって下げられない。ところが今度は、それではいまの八%がずっと続くということを前提としますと、ではアメリカはいまの四・五%でずっといけるかというと、これは私はやはりいけないのじゃないか。この間何か新聞報道でも、対英公定レートの差というのは一%くらいが望ましいというようなこともすでにアメリカの当局筋は言っておるわけでありますから、これは必然的に、この八%に固定しておることは、どうも一つの側面からアメリカの公定歩合を引き上げさせる影響というか、促進をするのじゃないか。 片やアメリカの国内情勢も、国際収支は依然としてどうも赤字で、ことしの第一クォーターは流動性ベースで五百三十八億ドル、第二クォーターはやはり五百十二億ドル、ずっと赤字が続いておるようでありますし、そういう国内的なアメリカの歳出の状態、あるいはすでに報道されておりますように、一〇%の増税の問題は今年中は取り上げられないということが確定した。こういうような諸情勢から見ると、アメリカ自身も国内的にも問題があり、いまの八%にも問題があって、両方から攻められて、どうもアメリカもどうしても早晩公定歩合を上げなければならぬということになってくるのではないか。上がったら、これはイギリスはまた、いまですらなかなかはずせないものが、今度アメリカが上げたら、この八%を下げましょうということにはなかなかなりにくくなってくる。どうも私は今後の見通しというものはそういうことで、これは常に相互的な関連があるわけでありますが、おのおのの国内情勢と、そういう海外の情勢との関連というものが、この前のポンドの切り下げのときとは全然情勢が違いますから、きわめて双方不安定の影響をし合っておるという感じがしてなりません。ですから、私はそういう意味では、これも総裁に伺うと御返事がしにくいと思うのですが、私はやはり、時期はわかりませんけれども、アメリカの公定歩合の引き上げということはもはや今日の段階では不可避的ではないのか、そういうふうに感じておるわけでありますが、他国のレートのことを総裁お答えしにくかろうかと思いますが、私見としてひとつお答えいただければ幸いであります。
○宇佐美参考人 どうも先ほどから、御自分でもお答えしにくいだろうとおっしゃる御質問なんで、私として非常に困るのでありますが、おっしゃるとおり、アメリカの事情も一つは海外の、ことにポンドとの関係、もう一つは国内のいろいろの状況、ことに、これも御指摘になりましたとおり増税あるいは予算案の関係、歳出カットの関係、そういう問題にからんできまして、私も遠くからながめておりまして、非常にむずかしいところにアメリカがいるのだろうということは感ずるのでありますが、どうもそれがどうなるだろうというようなことはちょっと申し上げられないわけでございます。非常にむずかしいという点は御意見のとおりでございますが、それ以上は差し控えさしていただきたいと思います。
○堀委員 そこで、これは海外の情勢から見まして、いろいろとそれは、高金利を避けたいということについては、各国何も好んで高金利にするわけではないと思います。しかし、そういう客観的情勢が相互に影響し合って、どうも自分たちは望まないけれども高金利にならざるを得ない、私の感触では、どうもこのイギリスの八%というのはちょっと当分下げられないところにきたのではないのか、同時にそのことはアメリカの公定歩合の引き上げをどうしても不可避的にするのではないのか、そのことはまた欧州一帯の金利を当然上げさせることになる。このことがさっきお触れになりましたアメリカ、欧州諸国の景気の回復にかなりやはり、今度は望まざる悪影響を与えていくことになる。こういう因果関係が海外情勢全体として出てまいる。こういうふうに判断しておるわけでありますが、その点はいかがでありましょうか。
○宇佐美参考人 いまおっしゃいましたとおり、各国が高金利を望んでいないという点は、ことしの九月のIMF総会におきましても、十カ国会議でイギリスが言い出しまして、お互いに金利は上げないように努力しようじゃないか、これはもう各国とも全部一致した意見でございますけれども、まあおそらくみんな非常に困りながらだんだん上がっていくというようなことになっていくのではないか。したがいまして、これがヨーロッパにどういうふうに反応していくか。ヨーロッパはヨーロッパで、私は、こういう状態になってきますと、資金の流れが非常にむずかしくなってきますのに対して、たとえば西ドイツはやはり景気をよくしよう、景気をよくしようということになればなるべく低金利にしておきたい、ところが海外からはこういう状況だ、それぞれ各国が海外と国内の事情に非常に悩んでおるのではないか、かように考えおります。 ただ、こういう状態が長く続きますと、どうも世界全体の経済あるいは貿易の量がことしよりも来年はどうも拡大テンポといいますか拡大率は下がってくるのではないか、そういう考えにならざるを得ませんので、私どもとしましてもこれをよく考えて、いろいろのことをやっていかなければならない、かように考えておるのであります。
○堀委員 おっしゃるとおりだと思うのです。 そこで、これは仮定の問題になりますけれども、私はアメリカの公定歩合が早晩上がるだろうと思います。これはたとえばBAレートにいたしましても、CDレートにいたしましても、いずれもいまアメリカの金利はその後どんどん上がっておりますし、やはりこれは上がるとなりますと、そういう海外との関係から、やがて日本も、公定歩合がそのままでいけるかという点については、これは時期は別問題でありますが、論理的な帰趨として、アメリカの公定歩合が上がれば、時期は、上がったらすぐ上げるか、それは別ですが、論理的な、要するに好むと好まざるとにかかわらず、いまの資金の流れという側面から見て上げざるを得なくなるのではないか、私はこう判断をするわけであります。アメリカの公定歩合が上がる場合におけるわが国の、総裁としての対応はどうなさるのか、そこをちょっと伺いたいわけです。
○宇佐美参考人 私もかりに——これも全く仮定の問題で、国内事情をアメリカはアメリカとしていろいろ考慮しますから、どうなるかわかりません。したがって、仮定の御質問にお答えしにくいのですけれども、しかし、その問題がかりに出てきたといたしますと、われわれもそれをやはり慎重に考えざるを得ないということは事実でございます。ただ同時に、ほかの国でもそうでありますように、海外の事情と国内の事情もあわせ考えていかないといけないのではないか。アメリカの公定歩合が上がったから機械的に動かさなければならぬとかというような結論は、よく考えてやらなければいけないのではないか。また、かりに上がるとしても、どういう理由で、どういう心がまえで向こうはそういう処置をとったかということも十分考えなければならない。また、これを日本のほうでどう反応するかという日本側の状態も考えなければならない。私は、機械的に、向こうが上げたからこちらも上げなければならぬというふうに考えませんけれども、じゃ上がったってもうそれは無視していいのかとおっしゃると、私は、決して無視はできない、かように考えております。
○堀委員 要するに、私いま海外情勢からの側面をずっとたどってまいりました。そういたしますと、国内情勢の問題をまず全然疎外をいたしまして、海外情勢の問題からきても、私は、今後の世界経済の動きの中で日本の公定歩合も、いま仮定で申し上げたように、アメリカの公定歩合が上がりましたら、もちろん各国とも国内の情勢を考えながら自分の国の公定歩合の操作をするわけでありますけれども、しかし、そうはいっても無視できない一つの条件というものがここにできてくる、こう第一点考えるわけでございます。 今度は、国内情勢のほうから、少し申し上げたいのです。 実はこの前の九月八日の大蔵委員会に総裁に御出席いただきまして、九月に行なわれました引き締め政策について当委員会で少し論議をさしていただきました。私はそのときにこういうふうに申したわけであります。「私はやはり今度の場合も、いまのこの下がっております貸し出し金利の状態から見て、ここで一厘公定歩合を上げることは、心理的効果はあるいは多少あるかもわかりませんが、金融政策としての効果については私は非常に疑問があります」ということで、二厘引き上げのほうが適当ではなかったのかと、こう申し上げました。そのときに総裁は、「またさらに、いま堀さんが効果が出るのはおそいとおっしゃいましたけれども、大蔵省その他の見通しからくる政策、そしてそれを繰り延べしょうというお話もかなり大きいというふうに伺いましたので、それらを総合しまして」こういうふうにやったと、こうお答えになっているわけですね。私は今度のポンドの問題は全然除外をして、国内情勢だけからこの問題を取上げているわけでありますけれども、約三カ月余りたちました現在、私は当初予想をいたしましたように、国際収支に対してはほとんどこの引き締めは効果を及ぼしていない。あるいはさっきのお話のように、金融面では効果が出ていると思います。しかし、そういう金融面に出ておる効果は、それを目的としたものではなかったような効果が出ておるのではないかと思うのであります。引き締めが起こってまいりましたために、要するに、金融機関は社債を売り、国債その他いろいろなものをどんどん市場に出してまいっておりますから、現在社債市場というものはたいへんな情勢になっておると思います。一面、国債その他も——国債はあとで最後の段階で触れますが、九十八円くぎづけというような状態が起きておりますし、これらは必ずしも目的としておるところではないわけでございまして、引き締めをした目的というのは、国際収支を改善するということが主たる目的であったけれども、目的のほうは全然果たされないで副作用のほうだけが現在出ておるというのが、私は現在の情勢ではないか、こう感じるわけでありますが、その点、あの九月の引き締めは、現在国際収支その他に対して主たる目的は果たされていないという点はさっきお述べになりましたけれども、ただ、いまの引き締めのままで、金融に効果が出てきたら、それが国際収支にいつごろからどう影響が出てくるのかという点を少し伺いたいわけです。
○宇佐美参考人 九月にここでお答え申し上げたとおりでございますが、やはり金融引き締めは、最初には何といいましても金融面に出てくるわけでございます。それからもう一つ、今度何となく産業に影響を及ぼしてくることがおそかったというには、いろいろ理由があると思うのです。一つは、さっきも申し上げましたが、あまり資金繰りが苦しくないうちに引き締めをやったということもございます。つまり、企業の手元がわりあいに余裕があるときにやった。これはやはり大きな原因は、国債発行の資金の流れが変わってきておるということだろうと思うのでございます。それから、金融機関のほうもまだわりあいに手元が楽であったということもございますし、さらにまた、いま日本は国際競争力をつけなければならぬ、あるいは資本の自由化問題、また労働力が非常に窮屈になりそうだから労働力節約のための設備が必要だというような考えが、皆さん非常に強うございまして、そこにもってきて、現在の金融引き締めは比較的早期に解除されるのではないかというような一部の議論もございまして、何となく今度の金融引き締めはしばらくすると解除されるのではないかというお考えも出てきておったのじゃないかと思うのであります。私どもは、初めはそういう状態——従来の引き締めの場合でも、浸透には三カ月、どうしても半年くらいかかるという経験もございますので、そこで私どもは、公定歩合を上げましたということ以外に、やはり窓口規制の効果も出てくるのではないか、こういうふうに考えまして、これも引き締めをやったからたちまち大きな転換をするということはかえってなんでございますので、様子を見ながら窓口規制も強めていくということでございましたので、なるほど国際収支の上で端的に出ておりませんけれども、私は、だんだん効果が出てくるんじゃないか、かように考えておったところでございます。 ところが、今度のあのポンドの問題が出まして、問題は一そうきびしくなった。まあ、端的に申し上げますと、やはり輸入のほうに今後問題が出てくるのではないか。そうなりますと、引き締めというものが初め考えておりましたときよりも長くやらないといかぬのではないか、いまそんなような気持ちでおるところでございます。
○堀委員 私、出身が医者でございますから、国のいろいろな経済その他も、まあ人間の病気とたいへん似たところがあると思います。治療も似ている点があると思います。日本のこれまでの金融政策その他を見ておりますと、まず病気になりますと、ちょっとアスピリンを飲ませて、そうして熱が下がるかと思ってしばらく見ておるわけですね。どうも下がらない。もう一ぺんこれはアスピリンをちょっと飲ます。そういたしますと、熱が下がらないで続きますとだんだん体力が消耗してまいりまして、それでなかなかいかないとなると、もしなおったときも体力が回復しないものですから、あとにずっと病気が長引いたような感じがいたします。私は大体大学で外科を専攻しておりましたから、そういう内科的対症療法というのは、まあ今日はそうやってないかもしれませんけれども、私のところは前近代的だというので、私は内科の患者に対してもラジカルに処置をすべきだ。外科というのは、たとえば盲腸炎で虫様突起が化膿すれば手術してこれはとっちゃう。うみがたまれば切ってとってしまう。きわめてラジカルですから、ほっておけばあとはなおる、こういうことになる。私は、やはり経済の問題も、どうもこれまでのやり方が、ちょっとずつ対症療法をやるというところに日本経済のアク抜けの悪さ、あとに非常に問題が残る感じがしております。そういう意味では、最初にすぱっとやって、そうして影響が出かけたなと思ったらあとは手を引いておく。あとは自律的なものでやっていけるというような形の金融政策なり財政政策がとられておるならば、もうちょっといろんな点で、先ほど申し上げたような意味で副作用が少なくて済むのじゃないか。ところが、どうも日本のやり方には、主たる目的が出ない前に薬の弊害が出て副作用が多い。その副作用のためにいろんな障害を起こすという感じがしてならないわけなんでございます。 そこで、いま総裁ずっとおっしゃっている中で、初めに思ったよりもっと長く続けなければならない——長く続けるのがいいのか、もうちょっと強度を強くして早く引き揚げたほうがいいのかというのは、私は今後の政策判断の重要なところではないかと思います。ですから、ずっと前段で申し上げました海外情勢からも考えなければならぬ問題が出てまいっております。特にさっきお触れになったように、そういう海外の高金利はやがて各国の成長を押えるわけですね。貿易の伸びを小さくするであろうということは、当然われわれの国際収支の段階で、これまた貿易収支の面の黒字幅が小さくなる。高金利があることは、これは短期資本を含めて資本収支が悪くなることでありますから、両面から見て、海外の情勢というものも不可避的に国内に対してそういう圧力をかけておるものだという判断をしなければならない。しかし、国内的には、おとりになった政策は今日まだ実効はあがっておらない。じゃ、このままでずっといって、長く引き締めをやるのがいいのかというと、私はどうもそうではなくて、やはりできるだけ——ショック療法まではまずうございますが、ラジカルな処置をするかっこうで手術をすれば、あとは自分の体力の回復で上がるわけでありますから、それを期待するという金融政策の運営のしかたというものをもう少しお考えをいただく必要が、ここにきて九月のときよりははるかに緊要度が高くなってきているのじゃないかという感じがいたしますけれども、ひとつ総裁いかがでしょうか。
○宇佐美参考人 どうもお医者さまの御経験でおっしゃいましたが、ただ、こういうことを申し上げてははなはだなんでございますが、お医者さまの場合は御自分で診察なさるし、範囲も限定されております。ところが、あるいは私やぶ医者だからそうなのかもしれませんけれども、このごろ私どもの悩んでおりますことは、いろんな状況判断の資料が非常にむずかしくなってきた。たとえば貿易でいいますと、従来は信用状の先行指標といいまして、信用状の成り行きを見ていればよかった。このごろは全くこれが当てにならない。情勢判断が非常にむずかしくなっておるという点は、ひとつ御同情願いたいと思うのでございます。 これから日本経済がどういくかということについて、私ども毎日のように論議しておりますけれども、すっぱりこれは何の病気だということを判断するのになかなか——熱を早く出してくれればいいのになかなか出てこない。何病だろうかというような判断をするのに、資料が非常に複雑になってきて弱っておるという点は、ひとつ御理解を願いたいと思うのであります。 しかし、それはそれとしまして、いま九月にとったのは効果が出てないとおっしゃいましたけれども、いままでは出方が少ないという点はなんでございますが、今度のこれは九月には予想しなかった事件でございますけれども、やはりここまできますと、私、関西などに行きましても、皆さんここのところで非常に慎重になってこられて、来年どういうふうにやろうかという点は、十一月に大阪にちょっと参りましたときと比較しますと、格段な差が出てきているように私は思うのであります。したがって、九月にやったときには予想もしなかったことではございますけれども、しかし、いま九月の政策がだんだん浸透してきて、おそらく来年は皆さんも実体面から相当この計画をお考えくださる、こういうふうに考えておるのであります。 それから、私が長引くだろうと申しましたのは、これもお医者さまの例でございますが、薬も変えずにただ様子を見ているという意味で申し上げたのではございません。必要に応じて、あるいはもっと別の薬があればやるということも当然起こり得ることでございます。ただ患者さんに非常なショックを与えて、ショック療法がショックでまいるようになっても困りますから、その辺は各方面のことをよく考案しまして、やはりおっしゃるとおり、長くかかるといったってなるべく短いほうがいいのでございます。ただ私が申し上げたのは、世界の情勢が長引いておる、あるいは長引いてきているんではないか、こういうことのために日本もその影響は受けざるを得ないということを申し上げたわけでございます。その間何もしないでながめているのかということではございません。
○堀委員 ちょっ国際金融局長に伺いたいのですが、大体十一月末の外貨準備高は十九億六千三百万ドルぐらいだという、何か新聞に出ておりますが、大体そういうことですか。
○柏木政府委員 十一月末の外貨準備高は、たしかきのう発表いたしましたが、十九億六千三百万ドルでございます。
○堀委員 それからゴールドトランシュを引いたらあと幾らになりますか。
○柏木政府委員 十七億四千九百万ドルかと存じます。
○堀委員 だいぶん前までは、私どもは外貨準備はゴールドトランシュ抜きでずっとやってきた時代があったわけですから、そうすると十七億四千九百万ドル、これは私が当委員会へ参りましてから最低の外貨準備の感じがいたすわけです。約八年ぐらいになるわけでありますが……。現在正確にわれわれも承知しておりませんが、金融勘定その他から見ますと、大体短資が十三億ドル内外あるのじゃないかという感じがいたしますし、金の保有というようなものとにらみ合わせてみますと、一体この日本の外貨準備というのは、確かに外貨準備ではありますけれども、きわめて不安定な外貨準備という感じがいたしておるわけです。まあ幸いにして目下のところいユーロダラーもあまり国内から流出するような情勢もないようですし、おおむね年越しものというのですか、それが入っておるようでありますから、私、当面はこの問題はあまり心配はないのじゃないかと思いますけれども、いま前段で触れた欧州の高金利という情勢は、なかなか油断のならない情勢ではないか。日本銀行としてもスワップの取りきめ等もおやりになっておりますししますけれども、私はどうもいまの外貨準備のいろいろな中身なり危機的な状況というものは、これは海外にあまり言いたくないことだと思いますけれども、しかし国内の経済をやっておられる企業家を含めて、もう少しこの中身の問題を真剣に理解をしておいていただかないといけないところにすでに来ておると私は判断するのでありますが、その点総裁、いかがでございましょうか。
○宇佐美参考人 ただいまのお話、外貨準備でございますが、これは各国と比較してもわかるように、確かに外貨準備全体としても少のりございますし、また金の保有量という点から見ましても少ないのであります。ただ私は、外貨準備が少ないという心配よりも、貿易を中心にしまして、これからの日本の国際収支がどうなるかというほうがさらに大きな問題であると思うのでございます。これさえ見通しが明らかであり、そう心配がない、かりに減ったとしましても何カ月か後にはまた回復するのだというめどのほうが大事であろうと思っておるのであります。ですから、むろん多いほうがいいのでありまして、いまの外貨自体は少ないのでありますけれども、しかし、それはいろんな御承知のような事情で今日までなかなかたまらなかったということもございます。ですから、ここまで来ましたならば、やはりいまのような心配をしながら外貨準備がどうだろうというよりも、何とかして国際収支のほうを直さなければいかぬ。それには私は端的に申しまして、いろんな状況から見まして、輸出はむろん一生懸命伸ばさなくちゃなりませんけれども、輸入の問題もやはり真剣に考えていかなければならないのじゃないか。それにはやはり国内のいまの引き締めをさらにどういうふうに向けていくかということも非常に問題ではないか。海外の状況が、先ほどから申し上げましたとおり、非常にきびしくなっておるという前提に立ちますと、私は、外貨準備をふやすこともつとめますけれども、それよりも当面はそっちのほうにひとつ重点を置いていくべきではないか、かように考えております。
○堀委員 企画庁にちょっとお伺いをいたしますけれども、この間、私お願いをして改定見通しを出していただきました。この改定見通しで、輸出は二億ドル減に見通しが改定をされ、輸入は三億五千万ドルふえるということに改定をされておりますね。私は、この改定がこれでいけばたいへんけっこうだと思うのですが、総裁もいま御心配のように、輸入のほうがどうもこれでは済まないのじゃないだろうか。輸出はこのぐらいいくのじゃないかと思いますが、どうも輸入はもう少しふえるのじゃないか。最近の十一月末のかけ込み輸入承認の問題を含めて考えましても、その後の情勢を見ましても、いま総裁のおっしゃるように、ちょっとこの三億五千万ドル増というのはどうも内輪に過ぎるのではないかという感触がするのですが、企画庁どうですか。いま発表したところで、それはちょゃと言いにくい点もあるだろうけれども……。
○赤澤政府委員 輸入の点でございますが、私どもこれはいろいろな角度から、特に通産省あるいは大蔵省、日銀関係の方々にお集まりを願って、いろいろな推計方法でもって、こういう数字を出したわけでございます。 ここで作業の内幕を申し上げるようでたいへん恐縮なんでございますけれども、通産省サイドでは、主として物資別にこの問題を積み上げまして、たとえば鉄鋼原材料はどれだけ、食糧関係がどれだけというような積み上げで計算をいたしております。一方で、日銀あるいは大蔵省その他は、従来のトレンド、何%の伸びである、前年同期比がどうである、こういったトレンドでいろいろ計算をいたしました。これら両方を突き合わせまして、さらにいわゆる推計式と申しますか、たとえば原材料でございますれば、鉱工業生産との弾性値を利用いたしました推計式、製品でございますれば、主として設備投資等を中心といたしました推計方程式、こういったものでマクロにチェックをいたしまして、そうして最終的に数字を固めるというのが従来のやり方でございます。今回の場合には、当時九月末までの資料が出そろっておりましたので、結局あと半年分がどうか、こういうことになってまいるわけであります。 いろいろ計算をいたしましたが、積み上げのほうでは、通関ベースで申しますと、今度の見通しでは百二十億五千万ドルということになっておりますが、むしろ百二十億ドルを少し割るのではないかという積み上げの推計が出ております。一方、マクロのほうで見ると、もう少し高い数字が出ております。両方突き合わせまして、さらにいまの推計式を用いましたマクロチェックで百二十億五千万ドル、IMFベースにいたしまして九十二億五千万ドル、こういう推定を最終的に決定をした、こういう次第でございます。 現状でどうかというお話でございますが、十月並びにきのう発表になりました十一月を見ますと、確かにちょっと高い感じがいたします。ただ、輸入の動きと申しますのは、特に原材料が大部分でございますが、先般銀行あるいは研究所等から四十三年度の見通し等が発表されておりまして、御案内のようにいずれも、たとえば鉱工業生産で申しますと一〇%以下のものが大部分、そういうような形で出ております。そういった点等を考え、さらに日銀当局もいまお話しのように、これから一−三月にかけまして相当窓口規制等も強化されるというようなこと等を考えますると、一−三月の輸入につきましては、現状のベースから相当程度落ちるのじゃないか、こういうことも考えておりまするので、必ずしも私どもといたしましては、この現在の輸入見積もりが低きに過ぎるということではないのじゃないか。もうちょっと様子を見てみないとわかりませんが、一−三月の景気の動き、その他四十三年度の見通し、こういったものとの関連におきましては、まずまずこんなところでいきはしないかという感じを持っております。
○堀委員 確かに統計自体の分析と推計の問題でありますから、いまあれですが、この経済の問題というのはたいへん正直でして、時間がたつとはっきり出てしまうわけですね。しかし、いまの鉱工業生産の伸びのぐあい、それから民間設備投資の状況——いま通産省入りましたから、実は本年度の通産省所管の民間設備投資というのは、当初出ておりましたものが一応削減をされて、二兆三百十四億円ということに春の産構審の資金部会は決定をしたと思います。いいですか通産省。ところが、皆さんのほうではこの間、九月十五日現在の資料を集計をしてみた。そうすると二兆一千八百六十三億で、産構審の資金部会が一応きめたものに対して七・六%増、前年比で三七・八%増だというのが九月十五日現在集計で出ているわけですね。これは引き締め後の集計ですから、九月に引き締めをやった後における集計でこれだけのものが実は出ておる。これは、私はやはりいまの日本経済で非常に問題の点だと思うのです。通産の皆さんの考えは私どもわかりますよ。きょう総裁もお触れになりましたように、労働力の合理化投資もやらなければならぬし、あるいは自由化に対するための合理化投資もやらなければならぬでしょうし、いろいろ投資もしなければならぬけれども、しかし、片方のことは別に預けて、その前のところの企業のところだけが合理化されればいいんだということで、問題の解決がつかないにもかかわらず、どうも通産省は企業サイドの、企業個々の、言ってみれば多少エゴイズム的なもののほうに肩を持ち過ぎているのではないのか。実は産構審の資料で見ると、この二兆二千二百八十五億円というものを資金調達であなた方のほうで出しておりますけれども、その中に占めるところの自己資金が一兆五千九百九十九億円、七一・八%だとあなたたちのほうでは報告を出しておるわけですね。大体七〇%ぐらい自己資金が要る。民間の銀行は三千六百四十七億円、一六・四%、株式が六百四十七億で二・九%、社債千四百七十四億で六・六%、政府関係金融機関が九百七十億で四・一%、こういうようなシェアになっているわけですけれども、一体七〇%の自己資金があるときに、ウエートからいって、わずか一六・四%の民間金融機関だけを引き締めて、それでコントロールがきくかというと、私はきかないのが当然だと思います。片や一生懸命大蔵省や日銀は金融という手綱でもって何を締めているかというと、金融を締めているのじゃないのです。国際収支を締めたいから金融を引っぱっている。ところが、そうでないところは、七〇%もの自己資金のあるやれる連中に対しては、ああどうぞやりなさいやりなさい、この際やっておかなければあとで困る——下村さんの理論からいえば、とにかく国際収支なんというものは長い目で見ればどうにかなるのだ、ともかくやることをやったほうがいいのだという発想は確かにありますけれども、しかし、これは私は問題だと思うのですね。これは政務次官に入ってもらって答弁してもらおうと思ったら、政務次官は出られないというから、課長ではちょっとまずいと思うけれども、一体通産省は、いまのこういう国内情勢、海外情勢、あなたが来る前にいろいろ論議をした問題です。しかしこの三七・八%、これでいいということですか。
○橋本説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、春の投資計画に対しまして、今回九月十五日現在で修正しましたところ、投資額がふえております。これも先生御指摘のとおりに内容的に見てまいりますと、やはり労働力不足に対処するための労働節約投資、あるいは資本自由化、あるいは技術自由化に対処するための近代化投資、あるいは今後の輸出に備えるための投資、そういった、われわれといたしましても、どうしてもやはり急いでやらせなくてはいけない投資が多うございます。ただ問題は、かような景気調整期に入っておるわけでございますので、私のほうといたしましては、産業資金部会の場をかりて、あるいは業界個々の話し合いに基づきまして、極力投資について自粛を要望いたしております。どうしてもやらなくてはいけない工事は率先してやると同時に、不急の工事については極力繰り延べるように指導いたしております。現に鉄綱あるいは自動車につきましても、それぞれ業界ではいろいろと本年ないしは来年度の投資規模について内容的に検討を開始している、こういう状況でございますのと、それからいま一つは、なるほど九月十五日という時点は、金融引き締めが始まっている以降にはなっておりますけれども、まだ九月一日以降始まったばかりでございますので、必ずしも十分に景気調整の趣旨が各企業の投資に織り込まれていない。ということは、将来に対する需要の見通し等につきましても、少なくとも現時点よりは甘く見ておったのではなかろうかという節もございますので、われわれのほうのそういった産業資金部会での、あるいは業界の話し合いの場で自粛すると同時に、反面、そういった景気の調整策が浸透してまいりますと、九月十五日現在の時点でとられております投資よりはずっと鎮静した形になるのではなかろうか、かように考えております。
○堀委員 実は、もうことしの年度というのは三カ月しかないのですね。ですから、もういまは大体かなり動いておりますからね。これがどうなるかは、二月に皆さんまた調査をとればわかることですけれども、あまり下がっていないのではないか、下がっていないから輸入が下がらないのだろうと私は思っているのですが、そこで総裁、実はいろいろな問題の中で、私、ちょっといま触れましたように、なかなか自己資金も大きくなっておりますから、金融引き締めは非常にむずかしいと思いますが、やはりこの一連の情勢を国内的に見てまいりましても、かなり金融引き締めはお話しになったようにいろいろな手が必要な段階にきておるのではないか。いまのままで、そのままで国内的にもいいということでなくて、これは少し一考を要するというところにきておるように国内的にも判断をするわけでございますが、総裁いかがでありましょうか。
○宇佐美参考人 おっしゃるとおり、現在よりはこれからがむずかしくなってくるわけであります。いままで浸透しませんけれども、三カ月たってきまして、来年になってどう変わるか、ことに、おそらく来年の一−三は国際収支は一段と悪くなるのではないか、かように考えられる。ただ、それが悪くなって、そうしてその後回復する方向に向かっていくかどうか、一−三は悪くなるということは覚悟いたしまして、そこのところが問題だと思います。私どもは、先ほど来申し上げましたように、これからの世界全体の経済の縮小といっては言い過ぎですが、拡大率が落ちてくるのではないかということを基本にしまして、そうして日本だけがその間にあって輸出奨励をすればいいのだというふうには、なかなかいかないのではないか。したがって、従来よりも一そう輸入を考えなくちゃいかぬ。それにはやはり御指摘のとおり、設備投資をどうするのか、及び輸入といいましても、その設備投資に関するものと原材料関係でございます。したがって、それらのものの動きをよく見まして、そうしてこれからどういう方法をとっていくか、おっしゃいましたとおり、もっと強い薬をとるのか、あるいはまた、いまのままでいいのかということは、これからしばらくの間ほんとうに真剣に考えてまいりたいと思っているところでございます。
○堀委員 いまのことは、私はやはり海外の情勢からも、国内の情勢からも、年内に行なわれますかどうか、年を越して行なわれますかどうかは別といたしまして、やはりいまのままでは済まないのではないかというふうに私は思っているわけです。 そこで、最後の部分として、実は今月に入りましてから、証券会社に対してたしか百億の買いオペレーションが行なわれたかのように新聞報道がございますが、この点はいかがでございましょうか。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○宇佐美参考人 前々申し上げましたとおり、私どもが毎日資金調節というものをやっておりますが、これは日本全体の資金量を考えまして、そうしてこれに対処して資金の過不足を見まして、あるいはオペレーションによるか、あるいはまた貸し出しによるか、現在は御承知のとおり主としてオペレーションによってやっておるわけであります。したがって、この十二月分として国債を大体約千億買いオペをやったわけであります。その間に、これをどういうふうに考えるかという問題がございましたが、やはり従来も証券会社に対しても若干ずつオペレーションをやっておったわけでございます。このやりますのは、やはり御承知のように、いまは市場で買うというたてまえを——市場価格で買い、そうしてむろん大部分は金融機関でございますけれども、希望によって買うというような方法をとっておるわけでございます。したがって、いままでになく国債を千億ということになったのですが、やはり私どもは根本的にいいまして、ほんとうは国債発行は全部証券会社を通じて民間に売りたいわけでございます。ところが、現状は御承知のとおりです。したがって、まずそのルートを生かしておいたほうがいいのではないか。やはり公社債市場育成ということになると、証券会社の利用も常に考えなきゃいかぬじゃないか、こういうことで、これは決して国債支持であるとか、証券会社に対する何といいますか、なだめるためだとか、そういう考えは毛頭ございません。全くオペレーションの対象は市場操作のためにやるわけでございます。——市場操作というか、金融調節のためにやるわけでございます。その中に金融機関も現実に証券を扱っておる仕事がございますが、一番理想の姿は、証券会社が全部やってくれるのが望むところでございますので、そういう多少育成という意味も考えまして、証券会社にその程度はオペの対象にしたわけでございます。これは総体的にいいまして、証券会社から頼まれたとか、大蔵省から頼まれたわけじゃ決してございません。われわれが考えて、そこらが適当と、こう考えてやった次第であります。
○堀委員 私は総裁の発言はわりにいつもすなおに承るのですけれども、いまのはちょっとすなおに承れない感じがするわけです。というのは、実は国債は四回債が八月二十一日から九十八円にくぎづけになっています。それから三回債は、やはり八月二十一日から九十八円五銭にくぎづけになっている。それから二回債は八月二十二日から九十八円十銭にくぎづけになっております。それから一回債は八月二十二日に九十八円十五銭でそのままくぎづけでございます。一体オープンマーケットの価格が、市場売買がありながら五銭刻みに、九十八円十五銭、十銭、五銭、九十八円、こういうふうに五銭刻みになって、すでに三カ月以上も価格が動かないということは、私はこれはオープンマーケットの機能を果たしていない、こう考えるわけです。総裁いかがでございましょうか。
○宇佐美参考人 機械的にそうも申せませんです。御承知のように非常に取引が少のうございます。したがって、そういう——これは常に動いておるのが本来だとは思うのでありますが、やっぱり動かなくて、そういう状態になっているのも現実だろうと思うのです。ひとつ率直におとりを願いたい、こう思うのでございます。
○堀委員 実は金額も私少し調べて見まして、もう時間がありませんから、私のほうで申し上げますけれども、十二月二日にはオーバーザカウンターで、往復ですけれども二百億実は動いております。オーバーザカウンターで二百億も動いて、そうして一体価格がちっとも動かないということは、これは何としても異常なことでございまして、これは証券会社が実は価格支持をやっているわけだと私は判断しております。価格支持をせざるを得ない、これ以下になれば新発債の売りようがないのですから。いま新発債は二十五日まで持って、既発債にして売っている証券会社もあるわけでございますから、証券会社としては非常に苦しいところにきていると思うのでございます。このことはいまの証券会社の状況として、シェアを一〇%持っておることが適当かどうかという、この問題にも私は関係があると思います。そこで新聞等に伝えておるところによりますと、要するに四回債までは大体百三十億くらいが滞貨になりあとも滞貨があるということで、ここで日銀として百億オペレーションをしていただいて、滞貨融資はうまく成立をした。証券会社はほっとしたと思います。しかし、こういう経過のあとはどこへこれがしわ寄せになっているかといいますと、実は日銀信用が異常な状態になりつつあるところへ私はしわがきていると思うのであります。まだ私の手元には十月の資料しかございませんけれども、四十二年十月末の貸し出し残高は一兆六千二百四十八億円、債券残高は一兆二千六百九十九億円、合わせて二兆八千九百四十七億円というのが十月末の日銀信用、ちょっとあと端数はありますけれども、になっておるわけであります。これは四十年の十二月末には合わせて一兆七千九百四十七億円であり、四十一年十二月には二兆一千七百二十八億円でありますから、この間の差額というのは三千七百八十一億円、四十年と四十一年の年末における日銀の信用じりの差というものは三千七百八十一億円でございますけれども、今度はまだ年末まで行っておりませんから、どうなるのかよくわかりませんけれども、十月末で比較をすると、前年比で七千二百十九億円、これだけ実は信用膨張になっておる計算になっているわけでございます。これはあと十一月、十二月がありますしいたしますから、そこのところでどんどん環流をするということになるのかどうかよくわかりませんけれども、しかし、最近の日銀の貸し出しは、昨日でありますか、一兆七千百九十六億でありますか出ておりますから、貸し出しのほうは、いま私が申し上げました十月水準よりはすでに高くなっております。債券残高も、あれから売りオペレーションをやっていらっしゃるような感じがいたします。いまお話しのように、十二月一千億円の買いオペレーションでありますから、当然債券残高もふえておる。そういたしますと、おそらく前年の信用に対する四十二年十二月末は八千億をこえるところの信用膨張になるんじゃないか、こういう感じがいたします。要するに、国債はどんどん出すけれども、一年たったら全部これが日銀でどんどん——確かにそれは資金調整ということではあるだろうと思いますけれども、結果としては信用膨張になっておるということが現実に資料であらわれておるわけでありますが、総裁、これはどうなんでございましょうか。
○宇佐美参考人 大体御承知のように、資金は始終過不足が起こるわけであります。その原因をたずねますと、通貨の膨張と財政の払い超ということで起こっておるわけであります。したがって、御承知のように、昔は貸し出しだけでやっておりましたけれども、三十七年でございますか、調節方法を変えて、主体としてオペレーションをやることにいたしておるわけであります。したがってわれわれといたしましては、いまおっしゃいますように、どんどん国債を発行してかまわずとしておるということではございませんし、また、そのために公定歩合を動かしたり、あるいはまたオペレーションのやり方もそのときそのときで変えておるわけであります。決して市場の言いなりほうだいになっておるわけではございません。したがって、現在においては、なるほど買いオペをずっと市場によってやっておりますけれども、しかしこれは長く、かりに二、三年をとって考えますと、やはり経済成長に見合って出てきておるのではないか、かように考えておるのであります。財政にしましても、財政というものは短期的に見ますといろいろございますけれども、やはり長期的に見ると均衡を保っておる、かように考えておるのであります。ただ、短期的に見ますると、そのときのいろいろの情勢ということによるわけでございます。決してでたらめをやっておるわけではございません。
○堀委員 いや、私はでたらめをやっておられるというんじゃないですけれども、これから一——三月はまた揚げ超になりますから、当然債券残高というものはどんどんふえる一方になるのではないのか。日銀のいまの信用の債券残高をずっと見ておりますと、最初一千億くらい、四千億くらい、これが一兆二千億になり、これからの一、二、三月にはまた債券残高がどんどんふえていく。それじゃ昭和四十三年は大いに散超になるのかというと、私はやはり四十三年もまだ揚げ超が続くのではないだろうかと思う。トータルとしては揚げ超が続くのではないだろうか。そういたしますと、それは長期的に見ればとおっしゃいますけれども、いまのこの形で国債をどんどん出す、揚げ超だからということで日銀がオペレーションでどんどん吸い上げておる限り、やはり通貨の発行はふえていく、それだけ信用膨張になった分だけはどうしても通貨は増発になるわけでございますから、かつて私は成長通貨の範囲内における日銀の信用膨張は当然だろうと考えておりましたが、いまのこの動きは、ちょっと成長通貨の範囲を越えておるという感じがしてなりません。ですから、その点につきましては、やはり今後の問題でありますけれども、日本銀行も金融政策の立場から、国債問題について、いまの証券買いオペのようなことをしなくて済むような国債発行でなければ、大蔵大臣がここで申します市中消化などということは、ただ幻想のことばを使っておるだけにすぎなくなるわけでございますので、どうかひとつそういう点も含めて、ほんとうに市中消化の範囲の国債を出してもらうのでなければ、日本銀行としても通貨の安定に自信が持てないという点をもう少しはっきりおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか、その点を承って、私の質問を終わります。
○宇佐美参考人 ただいまの御意見は、私も全くさように思っております。いま政府に対しましても、国債は四十三年度も出すことだろうと思いますが、その発行量については十分検討して納得のいく数字を出してもらいたいということをお願いしておるところであります。
○堀委員 終わります。
○毛利委員長代理 村山喜一君。
○村山(喜)委員 この前も日銀総裁に質問したときに、実は私は五分しかなかった。だから、あなたの意見に反論をする機会も与えられないままに、私のほうがやられっぱなしの形で終わっております。というのは、いわゆる日銀の発行量の問題をめぐりまして、あなたが言われたのは、これはいろいろな需要と供給の関係で、日銀としてはツケが回ってきたのを支払いをしているようなものだというようなことを言われたわけですが、表面的に見たら、なるほどそういうような形になると思うのですが、しかし、日銀のいまの信用政策というものが、はたしてこれでいいのだろうかということについて、私は若干の問題について質疑をしてみたいと思うのでございます。 いま、大かた堀委員のほうから触れられておりますが、日銀の四十一年の資産勘定を見てまいりますると、その中における国債の保有量は、四十一年の上期において千九百三十一億、下期においては三千七百十八億、そうしてことしの現時点における国債の残高が六千二百三十二億ということになっておるようであります。だから、四十二年度に入りましてから、すでに二千五百十四億も国債の増量ということで、資産勘定としてそれが残っていることになっておると思うのであります。 今後のこの動きでございますが、いまの経済の状態から見てまいりまするならば、国債の売れ行きが非常に悪い。これは国債だけではなくて、他の債券関係も過剰状態になっているということは、資本市場における長期資金の短資化ができないような状態に、いま追い詰められていると私は思うのであります。そういうような状態の中にありまして、結局、応募者利回りというものの作用が、実勢の金利と国債の制限下におけるところの発行金利との間のズレがあまり大きくなってきたために、国債が消化できない。こういうような状態になってきますと、やはり滞貨しているところの国債に対する金融措置を、これからも何とかしてとり続けていかなければ、二千七百億ぐらいまだ発行残量が、これから三月までの間に残っているようであります。そうなってまいりますと、それを消化していくために、何らかの形で日銀が信用を供与していくという形をとらなければならないのではないか。あるいは発行条件を変えてまいりました場合には、これは消化が可能であろうと思うのでありますが、そうなってまいりますと、その問題は単に国債だけにとどまりません。いわゆる長期金利の引き上げという事態に関連をしてまいりますので、それは不可能であろうと思うのであります。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、そういうような点から見てまいりますならば、これはやはり今後の国債の消化を一体どういうふうにやるかということになるわけでありますけれども、インフレ的な政策、援護措置をとらない限りどうしても消化ができない。そうなってまいりますと、財政面から見ましても非常な硬直性を示す上に、金融の面から見ましても、無理な公債を消化していこうという形になれば、インフレ的な日銀の信用を使ってやらざるを得ないというふうに私たちは見るのでありますが、そういうようなことはなしに、あとまだ未発行であります二千七百億の国債を、うまく消化していくことができるのだという自信をお待ちでありますか、どうですか、その点を日銀総裁のほうからお答えをいただきたいのであります。
○宇佐美参考人 ただいま、国債に関して御質問がございましたが、この前私が、ツケが回ってくるのでしようがないということ、あれは散会後に立ち話でちょっとお話があったので、半ば冗談のようにお話ししたわけで、私はそんなに簡単には決して考えておりません。 さて、御指摘の点は非常にむずかしい問題でございます。ただいまことしの国債の残りが二千七百億とおっしゃいましたが、私の計算に間違いがございませんでしたら千七百億であります。したがって、これをさらにどうするかという点が問題だろうと思いますが、これは目下政府当局と相談いたしまして、なるべくこれを、できるなら——できるならの話でございますけれども、減らしていただきたい。いろいろ政府のほうも都合があるだろうと思うので、まだ確定的には何にもきまっておりません。したがって、何とかおっしゃるとおり、いま国債も消化がなかなか困難でございますし、金融もこういう状態でございますので、無理をしないで消化できる範囲内に願いたい、かように考えておるところであります。私も、全く無理をして消化することは非常に間違っておる、かように考えております。
○村山(喜)委員 もう一つお尋ねをいたします。 それはきょうの新聞にも出ているわけでありますが、国際収支に関連をいたします問題が非常に出てまいりまして、そして赤字が、一億六千万ドールという十一月の基礎収支の結果が発表されているようであります。その中のいわゆる総合収支で九千万ドルの赤字だ。しかし、実際の外貨準備高の減少は三千百万ドルに食いとめることができた。それはやはり外銀の借り入れ増しをやって、外貨準備高の減少をそれだけに食いとめたということですが、これは外国為替銀行が輸入ユーザンスの形で外銀の借り入れをふやして、このような措置をとったんだ、こういうようなことが発表されているようであります。先ほど堀委員のほうからも質疑がありましたように、私、前の調査を資料として持っているのでは、IMFのゴールドトランシュが四十二年六月のころに二億三千七百万ドル、それから金が三億二千九百万ドルぐらいある。その他が十五億八百万ドルある。その大部分はいわゆるユーロダラーのような短期資金といいますか、非常に不安定なものが十三億ドルぐらい外貨準備の中に入っているんだというようなことも、いろいろ記事等で見るのでございますが、この場合に、今度こういうような問題に関連いたしまして、四十二年度の経済見通しを政府は十一月二十八日に改定をいたしているわけであります。その中身を調べてまいりますと、これは後ほど経済企画庁に私尋ねてまいりたいと思うのでございますが、いわゆる短期資本の収支関係は流出はないものとして計算をしているわけであります。この世界的な高金利時代は避けがたいのではないかというのが一般的な情勢でございますが、そうなってまいりますと、日本の場合には、資本収支についてはマイナスという現象がもちろん出てまいりますとともに、いま日本に滞留をしている短期資本も、海外に流出する危険性が大きいのではないかということがいわれております。 そこで、日銀総裁にお尋ねをしたいのは、それが流出なしと計算をする以上は、そういうような海外の金利動向にかんがみまして、不安定な短期資金が流出しないような措置というものを日銀としてもお考えになっているのかどうか。この点については、たとえば今日のユーロダラーは、三カ月までというのを一つの基準にしているようでありますが、これを年限を延ばすとか、あるいは取り入れのための金利の条件というようなものについてもゆるめていくとか、何かそういうような政策的な配慮というものがなければ、この短期資本の収支関係の変化なしというふうには打ち出せないものだ、私はそう思うのでありますが、これに対して日銀としてはどういうような措置をお考えになっていらっしゃるのか、という点をお聞かせ願いたい。
○宇佐美参考人 十一月の国際収支につきましては、正確な数字は、外貨準備につきましては発表いたしました。そうしてその他の国際収支につきましては、おおよその見当を大蔵省が発表されたように伺っておりまして、なぜこういうふうになったのかという点は、その内容は私ども目下調査中でございます。御承知のように、大体正確な数字は二十日過ぎに発表することになりました。どういうわけでこういうふうになったか、一見しますと、たとえば輸出船舶なんかが非常に少なかった。いろいろ輸入の点もございますが、目下これは研究中でございますので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。 それからユーロダラーのお話でございますが、ユーロダラーというのは、御承知のようにヨーロッパにおきまして、このごろ非常な金額にふえておるわけでございます。わが国はかつては取り手の大手でございましたけれども、このごろは約十分の一くらい取り入れているのではないかと思います。これはわれわれとしまして——何といいましても非常に流動的なものでございます。したがって、これを取っております銀行に対しましては、非常に慎重にするようにということをいっております。いま三カ月というようなお話がございましたが、一カ月のものもあり、いろいろのものがございます。長いものも、ごく少量でございますがあるわけでございます。したがって、われわれとしては、方針は、なるべくいいところからユーロダラーを引くように指導しております。やはり非常に弱い、不安定なところから取りますと、すぐ回収されるおそれもございますので、そういうことを注意いたしておると同時に、やはり一カ月、短期間にかたまらないようにも指導しておるわけであります。もう御承知かと思いますが、私どもは、年内はなるべく引き出されないようなかっこうにするように、むろん全額というわけにはいきませんけれども、大半は、私どもの聞いておるところでは、年越しものになっておるということは、たいへんけっこうなことだと思っております。しかし、それにいたしましても、来年になりますとやはり問題でございますので、ユーロダラーはそうやたらに取れるからといって取るべきものではなかろう、これからは一そう、これらの不安定な資金につきましては十分注意していかなければならぬ、かように考えております。同時に、やはりそうこれをおそれる必要もない。これだけ大きなマーケットでもございますので、これが非常に急に変動がきますと、日本どころではなくて、世界各国にいろいろの問題を起こしますので、それぞれユーロダラー・マーケットとしては、なるべく健全にしようという試みも、いろいろ行なわれておるのではないか。具体的には申し上げられませんけれども、そんなような気もするわけでございます。これについては、今後十分注意してやっていきたいと思っておるわけであります。
○村山(喜)委員 最後に一つだけ、総裁も時間がないようですからお尋ねしますが、国際収支の悪化で、日本が半年で借金国家に逆転をしたという記事が、十月の二十日ごろの日経に出ているわけです。これは四十一年の十二月で二億九千万ドルの債権国家に、日本が対外資産、負債のバランス表を見てみますとそういうようなことになっている。きのう、実は武藤委員の質問で、なぜ外貨保有高が二十億ドル以上に、経済の規模は二倍程度にまで拡大をしているのにふえないのか、これは輸入、輸出の規模から見て、貿易の規模から見て、どうも少な過ぎるのではないかという追及がなされたわけです。そのときに大蔵大臣は、いや、いままでもうけたものは借金を返すのに一生懸命やってきたのだ、だから外貨はたまらなかったのだという話をしておいでになりました。四十一年の十二月には、なるほど資産勘定におきまして二億九千万ドルの黒ということで、対外資産のほうが負債よりも多く出ている。ところが四十二年、ことしの三月になると五千六百万ドルの黒字に減少をしてまいり、そして四十二年の六月は、純資産にして一億四千七百万ドルの赤字ベースだ、こういうようなことがいわれているわけです。 これにはいろいろな理由があることはわかっておるわけでありますが、これに対して日銀は、対外バランスはやがて資産超過型に返る、こういうような見方をしておられるように新聞は報道をしているわけであります。そういうような見方をしておられるとするならば、資産超過型に返るとしたら、その時期は一体いつになるというふうに判断をしておいでになるのか。これは内外の金利差の問題がなおございますので、日本の金利が引き上がっていけばまた別でありますが、現在の状態では、短資は流入基調にあるという見方も一応成り立ちますだろうし、あるいは他の条件等もございます。特に輸出のこれからの増大によりまして、輸出ユーザンスの資産の伸びが伸びてきたら、またその資産勘定においてもバランスが変わってくるだろうと思うのでありますが、そういうような見通しを、どういうような時期においてこれが生まれてくるというふうにお考えになっておるのか、この新聞の記事の報道が正確であるならば、それにお答えをいただきたいと思うのであります。
○宇佐美参考人 それはいつの新聞でございますか。
○村山(喜)委員 十月二十日です。
○宇佐美参考人 秋ども、国際収支はむろんよくなってもらわなくては困ります。そのプラスになることによって、外貨準備もふえていくというふうにしたいと思っております。しかし、現状は御承知のようで、やはり国際収支全体から見ますと、ことしはかなりの赤になりますし、また、来年もよほど努力しなければ赤字が出る。いつ均衡するかということは、いまいつごろということも申し上げられないくらいにこれからの努力が必要でございます。結局、私は、貿易収支がよくならなければいけないというふうに考えておるのであります。 借金は、これは企業の場合でも同じでございますけれども、資産ではございません。債務であります。したがって、ほんとうの意味の国の国際バランスをよくするというのは、金繰りの上では借金は役立ちますけれども、しかし、ほんとうの意味においては借金ではよくならない。結局、収支は貿易収支でいろいろの貿易外収支その他資本収支の赤字を消してなおかつ残っていくという形、かつて日本もそういう状態でございましたが、いまは遺憾なががら逆転しておるという状態でございます。いつごろというようなめどは、目下立ちかねるわけでありますが、何とか努力していかなければならない、かように考えておるところでございます。
○村山(喜)委員 もう時間がありませんので、これ以上お尋ねいたしませんが、さっき、いわゆる貸し出しは押えながら、買いオペによって通貨を供給する方式でいま対処しておられるというお話がございました。これは、なるほどずっと貸し出し残高を見てまいりますると、一兆七千百七十七億、きのう現在のもので一兆七千百九十六億ということで、最近におきましてはほとんどこの数字が動かないわけでありますが、これをこのまま固定化していくという政策はずっとおとりになるお考えでありますか。それともこの貸し出しのなには、減少をさしていくという方策はお考えになっていないのかどうか。これを振り返ってみますと、昭和三十五年には六千四百六十一億、三十六年にはそれが倍増しまして一兆三千三百二十一億、そこからはコンスタントにずっと同じようなベースで続いているわけでありますが、そういう政策についてはどういうふうにお考えになるのかを、最後にお答えをいただきたい。私は、やはり日銀の貸し出し残高というものが、こういうようにずっと固定化していくということについては、何かそこには政策的な目標がなければならないだろうと思いますし、また、これは減らす方向に努力するのが当然だと思うのでありますが、それについてのお答えをいただいて、質疑を終わりたいと思います。
○宇佐美参考人 私どもは、同定化するというよりも、方針としては減らしていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。 試みに、少し数字を申し上げますが、いまのいわゆる新金融調節方式をとりました三十七年十月末から、ことしの四十二年の十一月末までの日銀貸し出しの全体を見ますると、二千四百億ふえております。しかし、その内容を見ますると、輸出が増大いたしましたことを反映いたしまして、輸出前貸し金、貿易関係の増加でございますが、これがその間に三千二百億ふえておる。したがって、総体よりも輸出前貸し等の貿易関係でふえておるということでございます。さらに、三十九年度から四十年度にかけまして、御承知のように証券対策を打ち出しました。これが、現在計算しますと約二千四百億ふえておるのでございます。したがって、輸出関係のものとこれを加えますと、結局、一般貸し出しはこの間に三千億減っておるということになっておるのであります。いわゆる、ほんとうの意味のオーバーローンはだんだん解消していっておる、特殊の事情によってこの間において二千四百億ふえたんだというふうに、ひとつお考えを願いたいと思うのであります。 念のためになおつけ加えますと、貸し出しをやっております都市銀行向けの貸し出しの比率は、現在は——現在といいますか、四十二年の十一月でございますが、七九%でございまして、先ほど申し上げた三十七年の十月は、これが九四%でございます。このパーセンテージが、非常に下がっておるということも申し上げられるわけでございます。そういうわけでございますが、これを一般貸し出しだけに限って申しますと、都市銀行向けの貸し出しは、かつては、三十七年の十月には八五%でございましたのが、現在では六三%に減っておるということも申し上げられるわけでございまして、固定するのでなくて、私どもは、だんだん減らしていきたいという努力をしておることを申し上げておきます。
○内田委員長 これにて参考人に対する質疑を終了いたします。 宇佐美日銀総裁には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手) ————◇—————
○内田委員長 引き続き休憩前の質疑を続行いたします。堀昌雄君。
○堀委員 本日は、公社、公団等の役員の退職金課税の問題について、少し問題を提起いたしたいと思います。 私ども、実は退職金の税制につきましては、当委員会でいろいろと論議をいたしまして、控除額等についても、私どもの要望に沿った改正が行なわれてまいったわけでありますけれども、これは一般的に長期に、二十五年なり三十年なり勤続をした人たちに対する配慮ということで、実は問題を提起してまいったわけであります。ところが、この退職金という問題を取り上げてまいりました中で、実は一般の職員、これは公社、公団においても一般の職員、あるいは国家公務員でもそうでありますが、そういう一般の職員と、それから役員との退職金の形態が著しく違うということに気がついたわけであります。 そこで、最初にちょっと総理府の人事局長のほうから、一体いまの公務員の退職金の比率といいますか、ルールは大体どういうふうになっているか、先にお答えをいただきたいと思います。
○栗山政府委員 国家公務員等退職手当法という法律がございまして、この中に、国家公務員及び公共企業体等の職員の退職手当のことが規定してあるわけでございます。 退職の場合が三種類ございまして、最初に普通の退職の場合、二番目が二十五年以上勤続した方に対する長期勤続の場合の退職手当、三番目に整理退職といったような特別な退職の場合と、三種類に大体分かれております。 まず、最初に普通退職の場合でありますが、これは自分の都合でやめるという例でございまして、勤続一年以上十年以下の場合が、一年つとめたことにつきまして百分の百、すなわち一カ月分ということになっております。それから十一年以上二十年以下の場合が、一年につき百分の百十ということになっております。それから二十一年以上二十四年以下の場合が、百分の百二十という率に相なっております。 そこで、これは二十五年未満の場合でございますが、長期勤続にまいりまして、二十五年以上勤続をして自分の都合でやめた、あるいは二十五年未満でありながら裁判官のように定年がございまして、そういうことでおやめになったという場合でございますが、この場合におきましては、ただいま申し上げました率に二割五分の割り増しがつくかっこうに相なっております。すなわち、一年以上十年以下の場合の計算が、一年につき百分の百二十五、それから十一年以上二十年以下までの分が百分の百三十七・五、二十一年以上三十年以下の場合が百分の百五十と相なっておりまして、三十一年以上が、またそのちょっと前に戻りまして百分の百三十七・五という計算によって計算することに相なっております。大体先ほど申し上げましたものの二割五分増しでございます。 それから、第三番目に整理退職等の特別な場合でございますが、これは整理を受ける場合、それから二十五年以上の勤続であってしかも勧奨を受けてやめるというような場合、そのほか公務上の死亡あるいは傷を受けたというようなことによってやめたという場合でございますが、これは大ざっぱに言いまして、一番最初申し上げました分に五割増しするというかっこうになっております。すなわち、簡単に申し上げますと、勤続一年以上十年以下の計算が、一年について一カ月の百分の百五十、十一年以上二十年以下が百分の百六十五、二十一年以上、三十年以下の場合が百分の百八十と相なっておりまして、三十一年以上が百分の百六十五の計算をいたすというかっこうに相なっております。
○堀委員 私、いまお話しのありましたように、大体退職金の計算のルールというのは、一年に対して一カ月から、最高百分の百八十というのがあるわけですから一・八カ月、少しゆるく見ても一カ月ないし二カ月というのが、いろいろな条件を加味した場合における一般的なルールではないか。これが国家公務員でも一般職、普通の職員ということになれば、まあ公務員関係の退職金というものは一般的にはこういう概念だ、こういうふうに理解をするわけです。 そこで今度は、たとえば三公社、まあ公団でもいいですが、これの役員、要するに理事以上、これの退職金のルールはどういうふうになっていますか。
○津吉説明員 お答えいたします。 御指摘になりました公庫、公団、事業団等の役員の退職金でございますが、これは主務大臣が認可をいたします、それから大蔵大臣が協議を受けますという形式によりまして、あるいは予算上関与するという面におきましてきめられる支給基準でございますが、その内容は、在職一年につきまして七・八カ月分というのが退職金の計算になっております。
○堀委員 いまお聞きになったように、公社、公団の理事等は在職一年について七・八カ月、片一方は一番高い一・八カ月というのは、これは五条勧奨によって、やめたくないのにやめてくださいといってやめさせるとき、それも二十一年以上勤続した者の場合が一・八カ月、こうなっておるわけですね。ここに明らかに六カ月差があるわけですね。退職金の性格から見ますと、この六カ月の差というのは——私は一般的に退職金というものの概念は、あるいは給料のあと払いであるとか、あるいは退職後の生活保障の分というふうな考え方もありますが、同時にまた報償的な部分もある、こう理解をしておるわけです。まさにこの公社、公団の理事以上の問題、これは一般民間における役員についても、同じような関係になっておるだろうと思うのでありますけれども、この退職金というのは、給与のあと払いとか生活保障的なものではなくて、役員たることによる報償的な要素が、社会通念として考えた場合にはほとんどではないのか、こういう感じが私はするわけです。大蔵省どうでしょうか。大体そういう感触だと思いますが……。
○津吉説明員 おっしゃいますように、非常に複雑な性格を持っております退職金でありますので、たとえば七・八カ月分マイナス一・八カ月イコール六カ月分、この六カ月分は、あげて一〇〇%おっしゃいますように報償である、腕のふるい代ということに直ちに相当するかどうか、これは問題でありますが、おっしゃいますように、常識的にわりに比較的には高い。これは、先ほどおっしゃいましたように、対民間の関係におきましても現在妥当な水準にあるかどうか、それは問題のあるところであるかもしれないと思います。しかし、その差額の分につきまして、報償部分のみであるというふうに、直ちに割り切ることはできないのではないかというふうに思います。
○堀委員 直ちに割り切れる、割り切れないは別として、大体立法なり行政の処置というのは、これは倉成さん、民主主義の世の中ですから、国がいろいろ定めることはやはり国民が納得をしなければいかぬと思うんですよ。国民が納得をするということは、要するに常識的な処理がされておらなければいかぬ。社会通念がそこである程度認める範囲でなければならぬ、こう思うのです。ですから、わずか四年しかつとめない人が退職するときに一年七・八カ月分で計算するということになると、これは退職金としてべらぼうな退職金をもらうということが第一点ありますね。しかし、きょうは私退職金の問題もさることながら、税の問題についてちょっと処置したいと思うので、退職金の問題は時間もありませんから、その額の問題はあとにしますが、何にしてもさっき申し上げたように、機械的に七・八カ月引く一・八カ月、六カ月ということがいいかどうかは、これは検討の余地がありましょう。ありましょうが、少なくとも一般職の諸君と差のあるところについては、相当そういう報償的要素が多いということは間違いがない。 同時に、ちょっともう一つ伺いたいのは給与のほうです。最終の月俸のほうで、公社でいいですが、部長というのですか役づきというか、理事にならない職員の、一番上級でもらえそうな給与というのは、月額大体幾らですか。
○津吉説明員 これは先生御承知かと思いますが、理事の最下級は監事でございます。これが、現在のところおおむね十八万程度の水準でございます。したがいまして、職員のほうは最高俸に上がりまして大体十六万ちょっとという辺が水準でございます。
○堀委員 そうすると、副総裁、総裁は大体幾らくらいでしょうか。
○津吉説明員 総裁、副総裁につきまして、公団、公庫という辺をとってみますと、御承知のように四十一年の九月から若干引き上げたのでありますが、総裁においては三十五万円、副総裁においては二十九万円ということになっております。
○堀委員 政務次官、いまお聞きのように、月数が七・八だけじゃないのですよ。根っこも今度は高いわけですね。だから私は、それは総裁、副総裁であれ何であれ、やめるときの退職手当の問題は、その給与が基準になることについては指摘しようとは思わないのですよ。しかし、少なくとも根っこのほうが大きくなった上に、倍率が六カ月も違うのをぶっかけて出てくる退職金と一般の退職金とが、同じ税制上の取り扱いを受けておるということは、やや常識で考えておかしいとお感じになりませんか。ちょっとそこからお答えいただきます。
○倉成政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、公社、公団の仕事の内容、性格ということから考えまして、やはりこの給与でも、あるいは低いというようなものも中にはあると思うのです。しかし、また一面において、そうでもないという御指摘の点もあるのではなかろうかと思いますので、一がいにこれが高い安いという議論は、なかなかずかむしいのではなかろうか。そこで、そのことを前提として考えますと、結局、そういった給料を基準にして算定した退職金が、一体賃金のあと払いなのか、あるいは報償的なものか、あるいはまたその他いろいろな学説が十幾つあるようでございますけれども、どういうふうなものかということは、なかなか判定しにくい面があるんじゃなかろうかと思います。そこで、すぱっと割り切って、現在の税法が不適当だという答弁はいたしかねるわけでございます。
○堀委員 いや、私はあなたにそういうむずかしいことは聞いてないのですよ。要するに、同じ一つの——たとえば公社で考えてみましょう。勤務している人たちが、片方は営々二十五年働いて、そしてやめるときに、あなたはもう公社の都合でやめてくださいといってやめさせられた人が、一・八カ月かける二十五年なら二十五年ということなんでしょう。これは最高なんですね。片方は四年だけいて、給料も高いけれども、それは私は触れないというのですよ。それに一年に七・八かけるというところに、大体退職金の性格が違うということは、あなたはわかるでしょう。そこは違わないとは言えませんね。国民だれが見たって、小学校の生徒が見たって、それは違わぬとは言えない。その著しく違う二つの対象に同じ税法の適用をしているというのは、おかしいとは感じないかと聞いているのですよ。だから、私はあなたにむずかしい税法を基準にしてどうこうというのじゃありませんよ。国民の常識論をあなたとしているのですよ。あなたも、大蔵政務次官と同時に国民の一人ですからね。国民の一人として感じてみて、私の言うように、ちょっとそれはおかしいなという感じがするだろうと思うのですね。しなかったらこれはちょっと問題があるわけですよ。これはどうでしょう。
○倉成政府委員 堀委員の御指摘なさる気持ちはよくわかります。
○堀委員 それだけわかっていただいたらいいのですよ。だから、きょうは私は何もここで詰めた議論をしようというのではない。ただ、営々として長年にわたって働いた人がもらう退職金について、私たちは税法でいろいろ考慮してやろうということを一生懸命やってきた。総務課長、退職金の税法上の取り扱いを、ちょっと簡単に言ってください。
○中橋説明員 現行所得税法におきまして、退職所得についてどういうふうな課税をしておるかということを御説明申し上げますと、本年の改正によりまして、退職所得から課税の際に控除いたします特別控除額を相当引き上げました。その際に考慮いたしましたことは、いま御指摘のようなことも勘案いたしまして、勤続年数一年当たりの特別控除額を、長く勤続したほど上げていったわけでございます。たとえば、勤続年数十年までの人たちは、その一年当たりについて五万円、あるいは勤続年数三十年をこえるような人たちにつきましては、その一年当たり三十万円控除するというようにいたしまして、たとえば、私どもがその際考えましたことは、非常に勤続年数が短くて退職所得が多い人については、今回の改正では、そう変動を及ぼさなくてもいいのではないかということも十分配慮したつもりで、このような退職所得に対しますところの控除額の差というものを設けております。
○堀委員 そこで、この退職金は控除のほうは問題ないのですよ、一期が四年くらいですから。問題は、退職所得の二分の一を分離課税で処置するということに退職金はなっております。これがやはり問題がある。片や一・八カ月分で、三十年勤続してもらっても、まあせいぜい五百万円なり幾らかの程度になるだろう。そんなたくさんなものになりません。こういう長年の勤続に対して支払われたものを総合する必要は私はないと思いますから、これは分離でいいのです。ところが、いま私が触れましたように、四年つとめて七・八の四倍ということは約三十カ月、四年つとめたら、二年半ぐらいつとめたと同じような退職手当がどかっと入る、一千万も一千二百万円も入る人たち、一体この人たちまでこれを同じルールで、二分の一で分離でいいかというと、この人たちの年間における所得というものは、場合によっては、総裁なら五百万円をこえる総裁だってあると思う。これはやはり検討を要するところではないか。 要するに、一般のルールと認められる範囲は、たとえ総裁の退職金であっても、私は二分の一で分離にしたらいいと思う。しかし、さっき機械的にと給与課長が言ったけれども、かりに機械的に計算すれば、七・八カ月引く一・八カ月——一・八カ月というのは特別の場合で、最高ですから、引いた六カ月という部分に該当する分は、これは二分の一にするけれども総合にしましょう——私はこれはもう退職金なんという性格のものじゃないと思うのですよ、いまの七・八カ月払っているということは。だから、これは幾らにするかは、今後皆さんのほうで検討してもらえればいいことですが、ものの考え方の筋道からして、いまの公社、公団の役員、あわせて民間会社の役員も同じように、一ぺん税法上は考慮すべきものだと思います。これらのものについて、多額の退職金を受けておるいまの基準からものを言うわけですから、その七・八カ月というような基準からものが出ておる分につきましては、退職手当の取り扱い上検討をする必要はないか、こういうことなんですよ。 だから、きょうはもう時間もありませんからこまかいことも言いませんが、ひとつ政務次官、これはだれが聞いても、それを全部分離課税にしましょうというのは、ちょっといかがかという感じを国民は持つと私は思うのですね。四年つとめて千二百万円もらう。これはまあ大蔵省の役人諸君も、局長をやめたら、あっちの理事になったり、こっちの副総裁になったり、こっちの総裁になったり、ずいぶんいろいろされる方もあるわけですね。私きょうちょっと武藤君と午前中に雑談をしていたんだけれども、われわれ国会議員は死ななければ退職金というのはないんですよね。われわれは死んだときだけわずかにもらえますね。これも基準が幾らですか、給与課長。国会議員が現職中に死んだときにもらう、これは何というのか名前は知らないけれども、退職金じゃないだろうけれども……。
○津吉説明員 おっしゃいますように、死亡した場合に、これは弔慰金といたしまして、歳費の一年分が出されるわけでございます。ただし、職務に関連して死亡した場合には、歳費の三カ月分加算になります。 以上でございます。
○堀委員 三カ月分加算ということは、公務で国会議員が死んだら、四カ月の一年分もらえるということですか。そうじゃないでしょう。一年分に三カ月加算するということだけでしょう。よく聞いておいてくださいよ。加算といったところで、基準のところへ六カ月加算するやっと、全体に対して三カ月加算するのと、差が——公務で死んでそれだから。別にわれわれ国会議員がひがんでいるわけじゃないですけれども、そのくらいで私は適当だと思います。国会議員はそれでいいと思います。思うけれども、片方のほうは、どうもわれわれ国民常識上納得できないような感じがいたしますから、ひとつ政務次官、これは早急に検討をしていただいて、国民が納得をする退職金の取り扱いをお考え願いたいと思うのです。いかがでしょうか。
○倉成政府委員 ただいまのお話は、公社、公団の基本的なあり方の問題とも関連いたしますので、御質問の趣旨を体して検討いたしてみたいと思います。
○堀委員 終わります。
○内田委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十二分散会