大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/12/12
会議録
○内田委員長 これより会議を開きます。 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。 理事が二名欠員になりましたので、その補欠選任を行ないたいと思いますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。それでは、小沢辰男君及び金子一平君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○内田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 国の会計に関する事項 税制に関する事項 関税に関する事項 金融に関する事項 証券取引に関する事項 外国為替に関する事項 国有財産に関する事項 専売事業に関する事項 印刷事業に関する事項 造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行なうために、議長に対し、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○内田委員長 御承知のように、先般大蔵政務次官の更迭がございました。 この際、大蔵政務次官である倉成君及び二木君より発言を求められておりますので、これを許します。倉成大蔵政務次官。
○倉成政府委員 このたび大蔵政務次官に就任いたすことになりました。微力でありますが、大いに勉強して、この重責を果たしたいと思います。委員の皆さま方の御協力と御指導をお願いいたします。(拍手)
○内田委員長 次に、二木大蔵政務次官。
○二木政府委員 今回大蔵政務次官を拝命いたしました二木謙吾であります。浅学非才の者でございますので、皆様方の格別な御指導と御鞭撻によりまして、職責を全ういたしたい念願に燃えておるものでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○内田委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりいたします。 前国会の例により、税制及び税の執行に関する調査、金融及び証券に関する調査並びに財政制度に関する調査のために、それぞれ小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、これを設置することに決しました。 なお、各小委員の員数は、それぞれ十四名とし、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任、補欠選任等につきましては、従来の例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 では、後ほど委員長において小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知申し上げます。 ————◇—————
○内田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 金融に関する件につきまして、明十三日水曜日、日本銀行総裁宇佐美洵君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、税制に関する件について、税制調査会の委員代表から、参考人として意見を聴取することとし、その日時、人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○内田委員長 財政金融の基本施策につきまして、水田大蔵大臣より説明を聴取いたします。水田大蔵大臣。
○水田国務大臣 私は、このたび引き続きまして、大蔵大臣の重責をになうことになりましたが、現在の困難な局面にかんがみ、決意を新たにして一そうの努力を傾注してまいりたいと存じます。何とぞ、各位の変わらざる御協力をお願いいたします。 なお、この機会に、現下の経済情勢並びに今後の財政金融政策について、所信の一端を申し述べ、御参考に供したいと存じます。 まず、最近におけるわが国の経済情勢について申し述べます。 日本経済は、昨年以来、予想を上回る勢いで上昇を続けてまいりました。 鉱工業の生産は、拡大の一途をたどり、出荷もこれに伴って増大を続けてまいりました。市況は回復し、企業収益も二年間にわたり、期を追って増加しております。 この間、民間企業の投資意欲は次第に盛り上がり、特に昨年後半から製造業の設備投資が本格化し、本年に入って、その増勢は一段と強まってまいりました。在庫も積極的に積み増しが行なわれました。このような経済活動の活発化について、家計の収入は増加し、個人消費支出は堅調の度を加えております。また、民間住宅投資も、引き続き上昇してまいりました。 このようなすべての分野における需要の増大によって、昭和四十二年度の経済成長率は、名目で一七%前後に達するものと予想されます。 物価につきましては、消費者物価は、本年春以降、比較的落ちついた動きで推移してまいりました。最近やや上昇の勢いが見られますが、年度を通じての消費者物価の上昇率は、政府の経済見通しどおり、四・五%の範囲内におさまる見込みであります。また、卸売り物価は、景気の活況を反映して、今日までおおむね強含みの状況で推移してまいりましたので、本年度は、前年度に対し二%程度の上昇になると予想されます。 次に、国際収支の動向について申し述べます。 まず、輸出は、本年に入って、海外景気の停滞と内需の強調を反映して伸び悩みましたが、輸入は、生産の拡大に伴って増大を続けました。また、貿易外支払いは、スエズ運河閉鎖の影響もあって予想外に増加することとなりました。さらに、資本収支も、引き続き、かなりの流出超過となっております。このため、国際収支の赤字基調は、次第にその度合いを強めてまいったのであります。 このような状況にかんがみ、政府は、去る七月以来、所要の調整措置を講じてまいりました。 まず、七月には、今年度の国債の発行予定額を七百億円、政府保証債の発行予定額を五百億円、合計千二百億円を減額することとし、これにより、景気上昇期における財政の節度ある姿勢を明らかにし、あわせて民間企業が投資について厳重な態度で臨むことを要請したのであります。 さらに、九月には、国際収支の均衡回復をはかるため、国内の総需要を抑制する必要を認め、総額三千百十二億円にのぼる公共事業費等について、繰り延べの措置を講ずることといたしました。 同時に、金融面におきましても、公定歩合の一厘引き上げと、都市銀行等に対する貸し出し増加額規制とが行なわれたのであります。 目下、引き締め措置の効果は、経済各分野に浸透しつつあるものと思われますが、民間設備投資及び個人消費の基調は、依然として底がたく、国内総需要の圧力は、あまり衰えを見せておりません。 一方、海外においては、過日英ポンドの平価の切り下げが行なわれ、これを契機として、諸外国の経済運営は一段と慎重さを増してまいりました。わが国の国際収支がいまだ改善を見ていない今日、海外経済環境がこのようにきびしさを加えてきたことは、今後の経済運営をいよいよむずかしいものにすると思われるのであります。 もとより、円の価値は、わが国経済のゆるぎない力にささえられており、いかなる海外情勢の変化に直面しても、いささかも動揺するものではなく、また、動揺させてはならないと思います。 最近における海外の事例は、国際均衡を軽視し、国際収支問題の解決にあたって安易な道を選ぶことの対価が、いかに大きいものであるかを教えるものでありました。 政府は、最近の内外経済情勢にかんがみ、新しい環境に即応して慎重な経済運営を行なっていく所存でありますが、当面の財政金融政策の運営にあたりましては、特に景気抑制の方針を堅持してまいる所存であります。 明年度予算の編成にあたりましては、財政規模の膨張を押え、一般会計歳入中に占める公債発行収入の割合を極力引き下げて、公債を伴う財政の景気調整機能を有効に発揮させることとし、一方、近年とみに硬直化しつつある財政体質の改善に積極的に取り組む決意であります。 公債政策が導入されて以来、財政の景気調整機能は重要性を増してきておりますが、この景気調整機能と財政固有の資源配分機能とを、相互に矛盾することなく完全に働かせるためには、財政は、柔軟な体質を備えなければならないのであります。 わが国の財政は、これまで、急速な経済成長を背景として多額の税の自然増収をあげ、これによって、社会資本の拡充、社会保障の充実等各般の施策を推進する一方、その一部をもって大幅な減税を行なうことができたのであります。しかしながら、この間、歳出はますます多きを求める反面、税負担はもっぱら軽きを望むという気風が醸成されたことは、健全な財政運営をはかるという見地から憂慮すべきことと考えるのであります。 いまや、わが国財政のあり方は、新たな構想と確固たる決意をもって再検討されなければならないと存じます。従来、ややもすると見受けられた安易な膨張傾向を断ち切り、公経済の各分野における資源配分の優先順位を一段と明確にし、また、公経済と民間経済の受け持つ分野の限界につき反省を加える等、現行の諸制度について、全面的な検討を行なう必要があります。 もとより、政府は、みずから率先して、行政機構の簡素化、定員の縮減、諸経費の節約等に努力する所存でありますが、同時に、財政硬直化の是正に各界の強い支持が与えられることを期待してやみません。 次に、経済の国際化の伸展に伴う若干の問題について申し述べます。 第一は、国際流動性問題が解決に向かって一歩前進を見たことであります。先般、リオデジャネイロで開催されましたIMF年次総会におきまして、特別引き出し権制度を創設することが決議されました。私は、 この制度がすみやかに実施され、国際流動性不足の問題が次第に解決されていくことを強く希望するものであります。 第二は、わが国が発展途上国に対する特恵関税を供与する方針を決定したことであります。これによりわが国は先進国の一員として、いわゆる南北問題の解決にさらに寄与することとなったのでありますが、同時に、国内的には産業構造、輸出構造を高度化するために一段と努力することが必要であると考えます。 第三は、国際競争の激化に直面して、企業体質の強化と金融の効率化とが、従来にも増して切実な課題となってきたことであります。この課題にこたえるためには、産業界及び金融界の自主的な合理化努力に期待することはもちろんでありますが、政府も、企業の長期安定資金調達の場である資本市場の育成をはかり、効率化のための金融制度全般にわたる再検討を進め、金融機関の経営に競争原理を導入する等、環境の整備につとめる所存であります。 以上、現下の経済情勢並びに今後の財政金融政策運営上の諸問題について申し述べました。 各位の御協力と御鞭撻を重ねてお願いする次第であります。 なお、このたび本委員会において、取引所税法の一部を改正する法律案を御審議いただくことになりましたが、この改正は、本来はさきの国会で御審議いただきました商品取引所法の一部を改正する法律の附則において行なわれるべきでありました。しかし、関係各省の連絡の手違いから、同法の附則では整備漏れとなっておりますため、ここにあらためて取引所税法の一部を改正する法律案を提出して御審議をお願いすることとした次第でありますが、今後かかることのないよう、十分に留意してまいる所存でございます。 ————◇—————
○内田委員長 次は、取引所税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○内田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。倉成大蔵政務次官。
○倉成政府委員 ただいま議題となりました取引所税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、さきに成立を見ました商品取引所法の一部を改正する法律が近く施行されることに伴いまして、この改正に関連いたします事項について所要の規定を整備するため、取引所税法の一部を改正しようとするものであります。 以下、改正案の内容につき御説明申し上げます。 取引税は、取引所における売買取引のうち、清算取引について課税することとしているものでありますが、取引所を通じないでみずから委託者の相手方となって売買取引を成立させるいわゆるのみ行為は、取引所制度の秩序を乱すにとどまらず、取引税の課税を回避したことになりますので、こののみ行為につきましては、税法上特に規定を設けてその税金を徴収するとともに、罰則を適用することとしております。 取引所税法は、改正前の商品取引所法第九十四条の規定をそのまま引用して、のみ行為に対する措置を定めておりますが、今回、商品取引所法の一部を改正する法律によりまして、のみ行為に関する規定に所要の改正が加えられましたので、取引所税法ののみ行為に対する措置について、改正前の規定と実質的に同一のものとなるよう所要の規定の整備を行なうこととしております。 以上、取引所税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概要を申し上げました。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いする次第であります、
○内田委員長 本案に対する質疑は後日に譲ります。 ————◇—————
○内田委員長 先刻の水田大蔵大臣の所信表明に対しまして質疑の通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
○武藤(山)委員 大蔵大臣たいへんお疲れで、連日の委員会、本会議、察するに余りますが、御承知のように大蔵委員会は、長い間歳入委員会としての重要な使命を認識して、常に大蔵大臣の所信表明を冒頭に伺うことが慣例になっておりますので、時間はたいへんおそうございますが、そういう大蔵委員会の慣例に基づいて、所信表明に関連して二、三点お伺いをいたしたいと思います。 まず第一に、再び大蔵大臣に就任されて、たいへんな事態にいま直面をしている、難問題が山積をしている、どこからどう手をつけて、何をなすべきか、何を期待するかという、大蔵大臣の頭の中は、まさにこもごも、たくさん構想があろうと思うのであります。そこでまず冒頭に、いろいろいま考えている、新しく大蔵大臣にまた再任された新たなる決意のほどを簡単にちょっと伺いたいのでありますが、何をまず優先的に考えているか、あなたの構想の一端をちょっと申し述べていただきたいと思うのであります。優先順位をひとつつけて……。
○水田国務大臣 私がいま一番考えておるのは、いろいろいわれておりますが、いままでとってきた調整措置、これが来年の一月ごろから効果を発揮してくるというふうに思っております。で、ようやくこの一連の措置の効果が出てまいりましたときに重要なことは、さらにその裏打ちとなるやはり来年度の予算の編成というものが、大きい影響を持つと思いますので、この予算の裏打ちによって出てきた効果を、さらに発揮させる。そうして、御承知のような国際情勢の変化がございましたので、一段といままでの予想よりは国際収支の問題はきびしくなると思いますので、これを所期のとおりに、後退させないでこの基調を変えていくにはどうしたらいいか、来年の予算編成がそういう意味で非常に大事だということを、いま一番頭に持っておるものでございます。
○武藤(山)委員 再任された大臣としては、さもあらねばならぬと思うのであります。まだ政府部内では、国際収支に対する危機意識というものが、非常に欠けているような気がいたすわけであります。通産省の出す意見や数字は、大蔵省、日銀の出すものとたいへん食い違ったりして、どれが一体民間に信用されべき数字であるかということは迷うほど、最近の新聞を見ると、まさに見解が一日でがらりと変わるような報道がされるわけであります。私はそういう点から、何といっても日本の外貨準備の問題、国際収支の問題これに真剣に大臣が取り組み、間違いのない見通しを立てるということが、いまあなたに要請されている大きな、日本の大蔵大臣として果たさねばならない最も優先的な難事業だと思うのであります。そういう点では、決意を新たにして一そうの努力を傾注したいという所信の表明を、これからしばらくの間、私たち大蔵委員として十分注視をしてみたいと思いますので、真剣に取り組んでいただきたいと冒頭に要望しておきます。 第一に具体的にお尋ねいたします点は、十一月十八日に英国がポンド平価の切り下げをやった。これが基軸通貨でなければさほど問題にもなりませんでしょうが、何としても国際通貨の一翼をになっているポンドが一四・三%も切り下げられたということは大問題だと思うのであります。しかも、一四・三%というものは、専門家に言わせると、非常に少ない率の切り下げである。イギリスの経済の実力からいったら、もっと、三〇%ぐらい切り下げするのではなかろうか、そのくらいしなかったら、短期間にポンドの、今日のイギリスの状態を回復することはむずかしいのではないか。それが一四・三%にとどまったということで、一体これからポンドがほんとうに立て直しができるのだろうか。そういう見通しの問題でありますが、大蔵大臣としては、その見通しについてはどういう御判断をお持ちになっておるか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
○水田国務大臣 ポンドについてなお一般の不安があることは事実でございますが、それは、おっしゃられるように、もし国際協力というものがなかったら、ポンドの立ち直りのためには、少なくとも三割ぐらいの切り下げがなければいけなかっただろうということは、初めからいわれておりましたが、これは国際経済にあまりに大きい影響を与えますし、したがって、各国が、英国を助ける、協力をするという措置をとることを前提として、この英国の切り下げに、各国が全部追随しなければならぬというような大影響をあまり与えない範囲の切り下げで終わったというのが実際のようでありますので、そうしますと、これによってポンドが落ちつくか落ちつかないかということは、英国のこれからの国内施策が相当ものをいうのではないか。そこで、今回、IMFからも非常な条件をつけられておりますし、英国のこれからの国内政策は、非常にきびしいものでございますが、ただ、このポンドの回復というものをやるために、国内政策のうちのいわゆる所得政策の部面において、前回ほどきびしいものが今回の措置に出ないというようなことを欧州諸国で非常に問題にして、そういう程度であってはまだポンドが不安になりはしないか、安定しないじゃないかという意見がいま出てきているそうでございますが、しかし問題は、いま、この国際経済の中においては、自国の政策もそうでございますが、他国がいかにこれに協力するかということも大事な要件でございまして、いまのところは国際間の協力というものは非常にうまくいっておるときでございますので、そういう意味で、ポンドがこれからどういうふうになるかということは、まだこれははっきりこうだということはできないと思います。私はある程度国際協力という線が相当にポンドの今後の安定に寄与するのではないかというふうに見ておりますが、これがここで安定するかどうかということは断定できないと思います。
○武藤(山)委員 断定できないさらに大きな要素として、フランスのドゴール政府のとっている態度が、ほんとうにポンドなりドルなりに対する好意的な協力の態度をとる、こういう情勢というものは生まれる可能性がないと思うのであります。したがって、フラン地域というものがこれに協力をしないという前提でこの情勢変化というものは見なければならぬと思うのであります。大臣は、最終的にはドゴールも、いよいよドルがたいへん不安になってきたといえば、アメリカ、自由主義陣営に協力をするような情勢も出るという見通しを持ちますか。それとも、現在のフランス政府の方針というものは、なかなかそう簡単に、各国が協力してほしいといっても、協力的態度には出ないだろう、こういう見通しに立たれてこれから大臣として日本の政策を推進していきますか。その辺をちょっと伺ってみたいと思うのであります。
○水田国務大臣 フランスもポンドに協力するために二億三千万ドル以上の協力を今回はしておりますし、世界の主要国が全部で、IMFの援助を入れて約二十九億ドルの援助をイギリスにしておるというのが実際でございますので、これだけの援助にささえられた今後のイギリスのポンドの成り行きでございますので、私はそういう協力体制が背後にしっかりしておれば、ある程度ポンドは安定させることができるんじゃないかというふうに考えております。
○武藤(山)委員 国際金融局長に、専門家の立場でございますからちょっとお尋ねしますが、きのうの新聞と、きょうの新聞では報道が違いますが、国際決済銀行の理事会で、「米国発行の特別預託証券と引きかえに、他の金プール参加国はその金準備の一部または全部を、米国の金準備に含めることを認める。」こういうことをアメリカとしてきめさせようとしたけれども、これがおじゃんになった。きょうの新聞によると、これは御破算になった。きのうの新聞はそうなるという書き方をしておったわけであります。こういうアメリカのドル防衛の施策が、決済銀行の理事会でもうまくまとまらなかったという最大の原因は何だと大体見抜いておりますか。
○柏木政府委員 BIS、国際決済銀行でどういう議論が行なわれたか、私、全然まだ承知しておりませんというか、新聞でしか承知しておりませんし、新聞の報道がいろいろまちまちでございます。したがって、いまの段階で具体的にどういう提案についてどういう議論があったか見ないうちに、これがどうなるかということを予想することは、私としては事務的に申しましてとても申し上げることはできないと思います。
○武藤(山)委員 はっきりした証拠を私は聞きたいと言っておるのではなくて、専門家としてのあなたのそういう新聞報道を見ての感じは言えるわけですよね、たとえばこういう与件があれば、こういう与件があれば、という幾つかの与件を説明をして、われわれが判断するのは、そのうちのどれかというのは私たちが自由に判断しますから、そういうものがあったためにそういう案がおじゃんになったのだろう。たとえばこういうことが想定される、こういうことが想定される、そういうことは説明つくんじゃないですか。あなたは専門家だから、大体の憶測はできるのじゃないですか、どうですか。
○柏木政府委員 金の価格安定につきまして、アメリカが音頭をとっていろいろ工作しようとしておるということはよくわかります。金の価格安定につきまして、先般フランクフルトで七カ国が集まって、一つの線が出たようであります。その線を、さらに今回はふえんしようとしておるのだろうと思いますが、要するに、先ほど大臣からいろいろとお話しありましたように、国際協力によって、この国際金融の難局を突破しようということでございますので、私はBISにおける、国際決済銀行におけるいろいろの議論も、そういうふうな積極的な、建設的な論議であっただろうと思います。したがって、そういう問題についてかりに意見の相違があったにしても、だんだんその話し合いをやっているうちに建設的なる方策というものが生まれてくるんじゃなかろうか、さように考えます。
○武藤(山)委員 そうすると、局長の見通しでは、ドル不安というものは、いまの事態では絶対近い将来では起こらない、そう確信しても大体間違いないと受け取ってよろしゅうございますか。
○柏木政府委員 これは金の騰貴の問題は、一種のスペキュレーションです。ですから、そういうスペキュレーションが今後絶対ないのかというお話であるとすれば、それは絶対にないという保証はないと思います。ただ、こういう問題につきましては、国際間の協力というものが最近とみに発展してきている、そういうことを考えれば、金の価格については、これからそのときそのときには対策が講ぜられて、金価格の安定という問題は漸次固まっていくのではないか、さように考えます。
○武藤(山)委員 一時間ぐらいの時間が持ち時間でありますから、あまり詳しく、こまかく詰める時間がありませんから次に進みますが、現在日本の政府あるいは民間商社が、今回のポンドの切り下げによって差し引き——輸入面と輸出面かありますからね、差し引き絶対額、損害額というのはどのくらいになりますか。
○水田国務大臣 政府、日銀では、若干ポンドを保有しておりましたが、これは今回の切り下げによって損失はございません。相当額の英貨債もありますので、この点では負担が軽くなっておるということは言えようかと思います。また為替銀行段階でも、切り下げどきのポンドは全体として売り持ちとなっておりますので、ここでもほとんど切り下げによる大きい影響はなかったと思います。ただ、商社におきましては、商社内部で先物予約を行なうというような、為替リスクをカバーして、大部分のものはポンド切り下げによる損失を免れたと見られますが、一部の商社には被害がある。どれくらいの被害高かということは、いま通産省でいろいろ調査しておるということで、額はいまのところまだはっきりしておりません。
○武藤(山)委員 銀行関係ではどうですか。為替を取り扱っている銀行関係の損害というものは、大体どの程度あるか。この間の週刊誌によると、あれは文春でしたか、銀行の課長代理が一人、ポンドショックで、自分の責任で、先の見通しを誤ったためにとうとう一四・三%の損害を銀行に与えてしまった責任を感じて、ついに自殺をしましたね。こういう記事が新聞にも出たし、週刊誌にも出た。したがって、政府では、統計上まだ出てないにしても、かなりの数字があるんではなかろうかという疑問を持つのでございますが、銀行関係はいかがでございますか。
○柏木政府委員 為替銀行につきましては、各行より、ポンド切り下げ直前のポジション、それからその後のポジション等を全部報告を出してもらっております。どれだけの売り持ちがあり、買い持ちがありと調査はできております。ほとんど全部の銀行は、売り持ちでございます。買い持ちで損をした銀行というのは、非常に少数であります。しかも、その銀行の損失というものは、全体から見れば非常にわずかなものでございます。
○武藤(山)委員 全体ではわずかだったということじゃなくて、じゃ、分けてひとつ答えてくださいよ。損害額のほうの絶対額、それから利益を得たほうの絶対額、差し引き勘定して損得なかったということでは、どうもあまり話がぴんとこないから、損害額の絶対額はこれだけあった、利益のほうはこれだけあった、差し引きしたらまあとんとんだという数字を、ちょっと示していただきたい。
○柏木政府委員 ちょっと数字を把握しておりませんが、全体で数百万ポンド台の売り持ちでございます。つまり数千万ポンドとかという話ではなくて、数百万ポンド程度の売り持ちでございます。
○武藤(山)委員 日本銀行総裁が四、五日前、NHKのニュースでしゃべったと称する報道があったわけですが、商社がこのポンド切り下げによって損害を受けた場合、この場合については、市中銀行はそういう業者に対しては、将来日銀が何らかの対策を考えるから一時めんどうを見ておけ、こういう意味の談話をラジオでやったのを、私、聞いておったわけであります。それはおそらく損害を受ける商社があるから、そういうことを日銀総裁が大阪あたりで談話を発表したのだろうと思いますが、実際に国際金融局なり、大蔵省銀行局なりは、そういう実態をまだ知らぬということがほんとうなんでしょうか。それとも、いろいろ国際的な影響があるから、そういうことは言えないんだという秘密事項なんだろうか。どっちが真相ですか。
○柏木政府委員 商社段階の予約がどうなった、商社、メーカーの手持ちがどうであるとかいうことにつきましては、私どものほうで別に調査いたしておりません。先ほど大臣から御説明がありましたように、通産省では商社関係の状況をいろいろ御調査なさっているようでございます。しかし、私どもがいろいろ聞いている話によりますと、大部分の商社は売り持ちになって、結局損害はなく、むしろ今回の切り下げでもうけたところもあるやに聞いております。損失があったところも若干あるやに聞いております。
○武藤(山)委員 大蔵大臣、その損失のあったものに対して、政府なり日銀なりが、そういう損失は自己の責任でないからということで、補てんをするようなことも幾らか考えの中にあるのですか。いや、それはイギリスのやったことで、日本政府がそこまで補償する必要はないという形で片づけますか。その辺の大蔵大臣の見解をひとつ承りたいと思います。
○水田国務大臣 こういう商取引にかかるリスクの回避ということは、本来これは商業上の問題でございますので、これを一々政府が補償するというようなことはあまり適当でないというふうに私は考えております。
○武藤(山)委員 日銀がそういうものに対して、何らかのメリットを与えるということは、大臣の見解ではいかに考えますか。
○水田国務大臣 日銀も、その損害を補てんするというようなことを言っているはずは私はないというふうに考えております。
○武藤(山)委員 損害を補てんしてくれるのではなくて、日本銀行が、そういうものには特別な長期の、あるいは低利の、そういう形の融資をすることについてはいかがでございますか、もし、そういうことがあり得るとしたら。
○水田国務大臣 さっき局長から言いましたように、この売り持ちの総高でも、そう大きいものではございませんで、これによる損失というものは、実際において心配するほどの額ではないというふうに私は思っておりますので、そういう金融上の大きい問題が起こるとも思いません。
○武藤(山)委員 だんだん時間が進みますから、次の問題に入って、あした日銀総裁が見えますから、日銀総裁の談話の真意というものはあす伺うことにいたします。 次に、外貨準備高と、日本のこれからの経済政策、財政政策の関連の問題でありますが、大蔵大臣も御承知のように、日本の外貨準備というものが、ここ五年くらい前から今日ずっと比較をしてみても、昭和三十七年が二十億二千百万ドル、その後三十九年が十九億九千四百万ドル、四十一年が二十億七千四百万ドル、大体五年間横ばいなんですね。積み増しが行なわれていない。しかるに、輸入の規模はこの五年間で大体倍にふえている。国民総生産は大体七〇%ふえております。そういうように、国民総生産は七割もふえ、輸入の規模は倍近く大きくなっているにもかかわらず、外貨準備が非常に少ないということは、それだけ外貨でかせいだものが国内の経済成長に注がれ、設備拡大に回ったから外資の蓄積ができなかったという理由はわかるのでありますが、しかし、この国内経済に注ぎ込んだテンポというものが、外貨準備高と比較した場合に、あまりにもアンバランスではなかろうか、こういう感じがするわけであります。大臣は、いまの日本の輸入規模、国民総生産の規模の中で、外貨準備高はこういう推移を今後もたどっていくような政策でいいとお考えになるか、こういう推移のしかたは是正しなければならぬ時期が来たと考えるか、その辺の大臣の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○水田国務大臣 過去何年間か、外貨の保有高があまり変化をしてないということの理由の一つには、この数年間、日本の国際収支は非常に好調でございました。そのために債務を非常に返済しておりますので、外貨の保有高はふえなくても、対外債権債務の関係から見ましたら、内容が著しくよくなっているというような関係があります。いずれにしましても、貿易規模というものは非常にふえておるのでございますから、保有外貨にはゆとりのあることがやはり望ましい。これを輸入の何カ月分がなければならぬとかなんとか、はっきりした基準はございませんが、しかし、外貨のゆとりをつけることは必要で、だんだんにこれはふやしていきたいと思いますが、いままで過去においては、保有外貨をふやすというよりは、債務の返済というほうに非常に力を入れたというのが実情だろうと思います。
○武藤(山)委員 私が聞いているのは、その実情を聞いているのじゃなくて、大臣は政治家でございますから、こういう状況でこういう推移のしかたで、今後もこういう形をたどっていいのだろうか、それとも、この辺で従来のどこをどう転換をすればいいかということを、これからあなたに聞こうと思ったわけなのです。輸入が、五年前と比べて倍になった。昭和三十七年には五十六億三千七百万ドル程度の規模だったものが、昨年は九十五億二千三百万ドル、ことしは百億ドルになるわけでしょう。そうすると、これはもう完全に倍ですよ。ところが、外貨準備のほうは依然として二十億ドル、現在はついに二十億ドルを割った。これはどこか政策が、そうなるような政策をやっているからそうなっているんですよ。そうでしょう。原因がわからぬと、これをどう是正したらいいかという答えが出てこないので、ひとつ大臣に、こういう推移のしかたをこれからもたどる政策をやるのでしょうか、もっと外貨準備を積み増しするような政策に転換をするのかということを聞いているわけです。あなたは大蔵大臣として、いままでどおりでやっていくのだという答えをするか、それとも、これは日本としても直さなければいかぬのだ、こういう答えが出るか、ひとつおっしゃっていただきたい。
○水田国務大臣 これは、日本としましては、国際収支を黒字にしていかなければなりませんので、いまのような赤字の基調を、ここでいかに転換させるかということに、経済政策も金融政策もいま集中しているというときでございますので、いまのような状態を続けていいというものではございません。この基調を変えて、国際収支を黒字に持っていくということをしなければ、この外貨保有高を増していくということもできませんので、ここではどうしても、さっき申しましたように、国内の財政政策も、金融政策も、あげてこの一点に集中するということをやらなければならないと思っております。
○武藤(山)委員 私、そういう近視眼的な、いますぐの国際収支の問題を聞こうとしているのじゃないんですよ。五年間ずっと外貨準備が大体二十億ドルに推移したということは、政府の政策の基本の問題なんですね。ひとつ専門家の局長に、外貨準備高が二十億ドル程度でずっとこのまま、これから三年、五年、こういう政策をずっと続けていっていいものだろうか。それとも、国内の成長というものを押えても、外貨準備高というものは輸入に見合ってもっとふやさなければならぬという時期が来たと判断するか。大臣がおるからといって別に気がねしないで、専門家という立場でお聞かせ願いたいのであります。
○柏木政府委員 外貨準備高は、日本が非常に少ない、これは各国に比べて少ないのでありますし、私も現在の外貨準備高は少ないと思います。したがって、やはり外貨準備はこれから漸増していかなければならないと思います。 この春きまりました中期五カ年計画におきまして、やはり今後の国際収支をどういうふうに見るかということが計画の一つのポイントでございますが、これにおきましては、大体年々二億ドルの黒字をつくっていくということが一応の目標になっております。しかし、二億でいいのかどうかという問題もございます。そこで、この三月ですか、五カ年計画を決定いたします際の閣議決定におきまして、この外貨準備は、今後の計画の執行にあたりまして漸増させていくということをはっきりときめておる次第でございます。
○武藤(山)委員 その二億ドルずつふやしたいという構想は、一体何をまず積み増ししていくか。いまの外貨準備の中には、金、ゴールドトランシュ、それから預金証書、大体この三つに大きくは分類できますね。その場合、積み増ししていく中身によって、またかなり問題が違ってくるわけです。中身は一体何をふやしていったらいいか。外貨準備高を積み増ししていくのには中身は何にしたらいいか、大蔵大臣、どう考えますか。
○柏木政府委員 御指摘のように、外貨準備高には、金、ゴールドトランシュ、それから外貨というのがございますが、ゴールドトランシュのほうは、日本が積極的に自分でふやすという面もありますが、またIMFのほうの方針により日本に負担が回ってくるという面がございますので、この点はある程度受動的にふえていくものと思いますが、金を買うか、あるいは外貨のまま運用するかという点につきましては、これは日本としても今後金準備を漸増させたいと思います。ただその場合に、金にウエートを置いてふやすか、ドルにウエートを置いてふやすか。これはドルの保有によりまして、運用収入の面の確保、それから対日与信の確保、いろいろ利点がございます。したがいまして、そういうドル保有による利点と、それから金を保有したいという要請とをよく考えながら、今後五ヵ年計画の執行にあたって、どれだけドルにするかをきめてまいらなければならぬと思ます。
○武藤(山)委員 きょうの新聞では、官房長官がしゃべったというので予算委員会でとっちめられたわけでありますが、国際収支が好転すれば中期債を買う、現状では、いますぐでは買わない、こういう一もんちゃくが予算委員会であったわけでありますが、中期債を買う場合には何で買うわけですか。日本の円で買うわけですか、それともドルで買うわけですか。それとも金をやって買うわけですか。その中期債を引き受ける元手は何を使うのか、ちょっと教えていただきたい。
○水田国務大臣 それはドルで買うよりほかございません。
○武藤(山)委員 ドルで買うとなると、現在の外貨準備高の中のその他の中が減るわけですか。局長、どういうことになりますか。
○水田国務大臣 それは日本の外貨準備高から落ちることになります。
○武藤(山)委員 そうすると、ポンドが切り下げになって、ドルにこれが連鎖反応を少しでも起こしていくとたいへんだということで、アメリカはドル防衛にやっきになっている。そのアメリカのドル防衛のためには、日本の今日のような事態の中でも、おそらく国会が終わるとアメリカの強い要請がある。この中期債は引き受けざるを得なくなるのだろうと思うのですよ。いまは予算委員会の最中だから、引き受けますなんということはうっかり言うとたいへんだということで、言わぬと思うのですが、大臣、本心から、日本のいまの国際収支の状況からいって、この危機的な様相に置かれているという赤字の情勢だから、総合収支で黒字になるまでは絶対買わぬ、こういうことをきょう言明されますか、いかがでございますか。
○水田国務大臣 それはもう予算委員会でも申しておりますが、いまのところ日本は十五億ドル前後の流動性しか持っておりませんので、この流動性をなくするということは、いまの外貨の保有状態から、これは非常な支障を来たすことでございますので、中期債を買うというようなことは、いまのところはできません。 また、中期債の問題をよく皆さんが言われておるのですが、アメリカがドイツそのほかに中期債を買ってもらう交渉をしたということは、やはりこのドル債務が金を買いにくる一つの原動力になりますので、そういう点についての不安を持ったんじゃないかと思いますが、今回のように一応ゴールドラッシュはおさまった、こういうときでございますし、いま流動性のない日本に中期債を買ってくれという交渉がくるかこないかも私どもはいま予想がつかないということでございまして、かりにそういう交渉があったにしても、たびたび答弁しておるように、いまの状態では中期債に置きかえる余裕は日本にはないということをはっきり申しておきます。
○武藤(山)委員 この所信表明演説はだれが書いたか知りませんが、大蔵大臣が自分の意見で書いたんじゃないと思うのですね。ここの「今後の財政金融政策」の冒頭に言っているくだりは、おそらく国際金融局長が草稿を練っただろうと思うのですが、「いかなる海外情勢の変化に直面しても、」非常に強いのですね。いかなる海外情勢の変化に直面しても円の価値は下がらぬ、それだけ自信を持って言えるのかどうか。「いかなる海外情勢の変化」という、「いかなる」ということはどういうことを想定したのか、頭の中で想定したそれをちょっと聞かしてくださいよ。どうもこれはひっかかるのですよ。
○水田国務大臣 たとえば六一年から六六年まで、過去五年間の輸出を見ますと、五年間に各国はどういうふうな伸びを示しておるかと申しますと、アメリカがせいぜい五割、イギリスなどはそれよりもっと少ない。五年間で三割ぐらいの輸出の伸びしか示していない。一番多い伸びを示しているのはイタリアですが、これも二倍にはなっていない。ドイツあたりですら六割ぐらいしか伸びていない。こういうときに、日本は過去五年において二倍以上という輸出の伸びを示しておるのですから、したがってその力にささえられている円というものは、いま世界の中で決して信用を失ったものではございません。円は日本経済にささえられて相当強いものになっている。ただこういう国際情勢でございますから、他の国のいろいろな情勢によって当然左右されることはございましても、私どもは、いま日本の円を守るためによそをたよらない、自分自身の国内政策としていろいろなものをやっておりますので、おそらくこの現状から見て日本の円が他の国の通貨に比べて動揺するというようなことはない。この点については非常に私どもは自信を持っております。また、先般IMFへ参りましたときもいろいろなことがございました。私どもは、世界経済情勢がいろいろ変わっても、日本は今度はIMFにも借りにいかない、自力をもってこの国際収支の回復をはかるんだと言ったんですが、そのとき外国で言うのは、日本はいろいろなときに直面しても自分の力で必ずいままで解決している、スタンドバイの取りきめがあってもついに一ぺんもこれを利用したことがないというので、日本が自信を持つというときには背景に必ず政策がある、ただ漫然と自信を持つんじゃなくて必ず一定の施策をやる経験者であるからといって、円については心配しませんと言う。円を心配しないということは、何にもしないんじゃないので、日本は必要に応じて強い措置をとるのだということの信用の上に、また円もいま一般からそういうふうに認められているときでございますから、私は絶対この点は自信を持っております。
○武藤(山)委員 「いかなる海外情勢の変化」という表現はちょっとオーバーですね。これは今度起草するときには、こういう点はやはりちょっと……。 この「いかなる海外情勢の変化」というのは、私は本会議で聞いたときも、ははあ、これはポンドの問題はもう十一月の中ごろのできごとで、ほとぼりのさめたのに、さらにここに語気強く「いかなる海外」と、こう入れたのは、ドルに対する不安心というものが国民の間にある。あるいはフランスの出方などをいつもにらめて、金の民間の需要というものが非常に増大をしておる。一オンス三十五ドルが維持できるかどうかというようなことは、もうすでに現在はこれをこえておる。そういうような動きから、やがてはドルに対する不信というものが強くなりやせぬか、こういう心配があったからこそ、「いかなる海外情勢の変化」ということばを使ったんだろうと思うのです。そうじゃないでしょうか。ドルがかりに不安になり、ドルがポンドほどではないがやられたときにも、日本の円というのは不動なんでしょうか。
○柏木政府委員 「いかなる海外情勢の変化」というのは、ことばは確かにきついかもしれません。ただ、私どもの頭にありますのは、アメリカのドルの問題というのではなくて、ポンド切り下げをきっかけといたしまして、豪州ドルが切り下げする、ノルウェーが切り下げするというような切り下げのたくさんのルーマーがありますし、その中であるものが実現していくという状態も予想しないわけでもない。そこで、豪州が切り下げたら日本の円も切り下げするんだというような、もしそういう連想が出るならば非常に困ったことだ。そういう意味で、海外におけるポンド切り下げをきっかけとしてのいろいろの動きがあっても、日本は断然円の価値を堅持するんだという気持ちが強く表現に出て、「いかなる海外情勢の変化」というのは、ちょっと文章がオーバーかと思いますけれども、そういう趣旨でございますから、御了解願いたいと思います。
○武藤(山)委員 局長は率直でよろしい。しかし、大臣はオーバーでないと開き直っているわけでありますから、私は、やはりもし現実を科学的に、しかもここ一年くらいの間の大臣就任期間を頭に置いて文章を書くとするならば——あなたかこれからずっと大臣にすわるわけじゃありませんから、所信演説は一年間を見通した話でいいと思うのですよ。だとすれば、やはり「ポンドをめぐる海外金融情勢の変化に直面しても」こう入れるのが、これはちょっと配慮があるなら直すべき点だろうと思うのです。しかし、これは文章のことばじりでもありますから、局長がいま率直にオーバーだというのですから、書いたのが水田さんじゃないんだろうから、一応これは了解をして、次に進みます。(「大臣がオーバーでないというのに、局長がオーバーだというのはどういうことだ」と呼ぶ者あり)大臣同士なら閣内不統一で少し……。時間がなくなるから次に進みたいと思います。 次に、日米経済会議や委員会をいろいろ開いて、水田さんはアメリカとも再三折衝しているわけですが、政府のやっていることでないといえばそれまででございましょうが、日本の製品に対してアメリカが非常な輸入制限をしている。私はかつて本会議で、アメリカの輸入している品目の個別品目表まで読み上げて、アメリカはけしからぬということで、もっと日本はき然とした態度でアメリカに対して、輸入制限の撤廃なりこれの縮小なりと真剣に取り組まなければいかぬではないかという警告を発したことがあるんでありますが、現在またアメリカは選挙を前にして、非常な輸入制限の動きが強くなっている。現に制限をされている品目がたくさん日本はある。こういう問題について総理大臣は、ジョンソン会談などでは沖縄の問題だけで、日本のこういう重要な国際収支に関連する問題などは話ししないのでしょうか。またあなた自身は、アメリカにも行ってきていろいろ経済問題で意見交換をしたようでありますが、アメリカのこの輸入制限の動きについて、日本政府として何らかの手を打たなければならぬという感じを持ってないのでしょうか。報復手段をとっても、日本は輸入をたくさんしなければならぬ、原料を買わなければならぬ、物は買ってもらわなければならぬという国でありますから、報復手段というものはなかなかとれない国情にあると思うのです。報復手段でない別な方法で、アメリカと日本の関係というものが、アメリカにだけ押しつけられるような印象を受けるいまの輸入制限というものははずさなければいけない、そういう努力がいまの政府に見られないと思うのですよ。あなた、具体的にアメリカとこの問題について話し合いをしましたか。何かそういう事実があったら御披露を願いたい。
○水田国務大臣 アメリカの保護貿易傾向というようなもの、それからその一環でございますが、いま言われたような輸入制限の動きというものに対しては、当然今度の日米閣僚会議では議題となり、こういう問題を真剣に論議されましたが、そこで出たことは、一年一回、関係閣僚が集まって一日で討議をするということではなかなかほんとうの解決ができない、やはりこの下部機関を持って常時事務的な協議もできるものを置いて、そしてそういう問題に取り組もうというのが最後の話でございまして、これをどういうふうにやるかということを最後に佐藤総理とジョンソン会談によって、そういう閣僚会議の下部機構を置いて常時相談する、国際収支の問題そのほかについての協力の問題をここで討議しようという話し合いをしてきましたが、この場を通じて、利子平衡税の問題とか、輸入制限の問題とか、両当局がじっくりこれからこういう問題と取り組んでやろうということになっておりますので、今後私どもはなお引き続いてこういう問題に努力するつもりでおります。
○武藤(山)委員 いまのあなたの答弁は、総理大臣の沖縄の返還のめどと同じことですね。初め羽田に着いたときには、沖縄は両三年の間に返還されるという国民が誤解するような発表のしかたをして、だんだん委員会で詰めていったら、三年ぐらいの間に返すことについてのめどの話し合いに入るのだということなんですね。前からアメリカは、ガットの精神に反する制限をしたり、国際貿易のケネディラウンドの精神に反するようなことをアメリカ自身がやっているのですよ。そういう問題についてこれから事務当局で話し合いをするのだとか、これから検討するのだなんということでは、とても業界はがまんならぬでしょうね。今度はいろいろな物資がやり玉に上げられつつあるので、たいへん不安を持っておるわけです。政府はそれを解決する能力がないのか、誠意がないのか、やろうとしないのか、まことに不満であります。この問題についても、日本の外貨事情、貿易収支というものを改善するためのやはり大きなウエートを占めるわけでありますから、もう少し具体的な答弁ができるように大臣に一そう努力をしてもらいたい、期待をいたしたいと思います。 時間がなくなりますのではしょりますが、次に、いまいろいろ質問を通じて感じた最後の見通しの問題でありますが、最近政府は経済見通しを改定いたしました。それによると、本年度の赤字は五億九千万ドル程度の数字を経済見通しの中に出しております。一体五億九千万ドルの赤字で済むかという疑問があるわけであります。今度の改定は、年のかなりを経過してきめた数字であるから、五億九千万ドルの赤字をこえるようなことは絶対ないという確信ある経済見通しでございましょうか。その辺、大臣どう思いますか。
○柏木政府委員 経済見通しが絶対に狂わないということは、これはいままでの経験から申しまして、絶対ということはないと思います。私どもがその見通しを立てるときの段階において最善を尽くしての見通しでございます。
○武藤(山)委員 最善を尽くした結果五億九千万ドル。現在までのあなたの認識では、五億九千万ドルで済むだろうか。ふえるのじゃないか。その後のいろいろな国際情勢の推移も考えてどうですか。あなた自身率直に言ってどうですか、当たるかどうかは別として。はずれたからといってあなたを責めませんから。
○柏木政府委員 十一月の国際収支の数字、これが一つ問題かと思います。きょうまでわかっているところによりますと、十一月の国際収支の赤字は、私どもが思ったよりも大きい。これが一時的なことなのか、十二月に入って回復するものなのか、とにかくその辺のところが一つのポイントかと思います。 それから十一月の国際収支の数字につきましても、まあ速報によってつかむところが一億六千万ドル近いのじゃないかということでございます。これから商品別、その他分析をいたしまして、今月末になりますと十一月の数字の確報が出ますので、その辺でもう少し情勢がよくわかるのではないかと思います。
○武藤(山)委員 財政硬直化の問題で、大臣、おそらく予算編成は年内にできるかどうか非常にむずかしい情勢にあると思うのであります。とにかく国際収支のいまの危機感を秘めた予算編成ということになりますと、財政硬直化を打開し、あるいは国際収支の問題を改善するためにやらねばならぬ問題はいろいろ列挙できますね。公定歩合をもう一回いじらなければならぬかという問題、あるいは増税をやってひとつ総需要を押えようという問題、あるいはアメリカの輸入制限を撤廃させる運動をして輸出をふやさなければならぬという問題、あるいは予算規模を圧縮して、できるだけ総需要の中に占める財政支出を減らしていって需要を減らそう、あるいは個人の消費性向が高いから、その個人の消費性向を、現在のようなレジャーに使わずに、もっと建設的な資産に残るものに向かわせる指導の問題。その反面、それらのいま申し上げた五つばかりの問題のうち、大蔵大臣としてどれに重点を置いてどこを優先的にやらなければならぬと考えるか。そのやり方によって、うんと犠牲を受けるもの、軽微な犠牲で済むもの、不公平がなくなる方向にいくか、不公平が拡大される方向にいくかという、このいま申し上げた四つか五つの手だてをする場合でも、受ける国民の側にはずいぶん淡濃があるわけでありますから、ひとつその犠牲をできるだけ大衆にしわ寄せさせないというたてまえで社会党はいつも議論を展開してきたわけであります。大蔵大臣に、ひとつ、ただいまの公定歩合の引き上げ、増税、アメリカの輸入制限の撤廃、予算規模の大幅圧縮、個人消費性向の目標転換、この五つぐらいの間で、あなたがこれに一つ重点を置いてこんなぐあいにやってみたいという、予算編成をめぐっての国のさいふを預かる最高責任者としてのあなたの方針の一端を伺わせてもらいたいのであります。いかがでございますか。
○水田国務大臣 問題はやはり国際収支対策が重点でございますので、およそそのためになるいろいろな諸措置は全部とらなければならぬと思っておりますが、特にその中でも、政策の重点はやはり依然として財政政策に来年はあるというふうに思っておりますので、予算の膨張を避けるということ、それからやはり総需要を押えていくという財政政策をとる以上、公債をどうするかということが特に重要でございまして、私はできるだけの思い切った手法を加えるというような一連の財政政策がやはり優先すべきものだというふうに考えておりますので、いまその線に沿っていろいろ検討しておる最中でございますが、まだ結論は出ておりません。
○武藤(山)委員 あとは簡単に一つずつ……。 物品税の引き上げはやりますか。
○水田国務大臣 まだ税制全部については一つも結論を出しておりません。
○武藤(山)委員 たばこの価格の引き上げについて、大臣は再三来年度は引き上げしたくないということを言明されました。事務当局は一本五十銭ないし一円上げたいということを大臣に進言したと報じております。大蔵当局がそういう進言をしても、再三委員会において上げたくないと言ったことは守り抜くという決意ですか、それとも情勢の変化で違うというのか、たばこの値上げについてはどうお考えです。
○水田国務大臣 税制調査会にもいまその問題の御審議を願っておるところでございまして、まだ答申がございませんので、答申を得てからまたわれわれの考えはまとめたいと思っております。
○武藤(山)委員 ガソリン税の引き上げについては、するつもりですか、しないつもりですか。
○水田国務大臣 同様でございまして、税制についてはまだ一つも結論をつけておりません。
○武藤(山)委員 あなたは税調という隠れみののもとにそういう答弁をいたしておりますが、実際、新聞を見ている国民は、いまの大臣の答弁はみんなうそだと思っていますよ。大蔵省はどうするということをみな新聞に書いているわけですから。それをあなたがここで、武藤山治はおとなしいからなめてかかって、(笑声)税調だなんという隠れみのに隠れることは、大臣としてまことにけしからぬと思うのです。 いずれにしても、財政硬直化の問題、あるいは物価と公共投資の問題、重要な問題で、たくさん尋ねたい問題が山積いたしておりますが、きょうは一時間という約束で、九時までということでありますから、またあらためて大臣にお伺いをすることにいたしたいと思います。
○内田委員長 明十三日水曜日午前十時三十分より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。 午後八時五十六分散会