石炭対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1967/12/20
会議録
○多賀谷委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 石炭対策の基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私はきょう大きく分けて、二つの問題をお尋ねしたいと思います。きょうは大臣が予算委員会のほうに行かれておりますので、関係当局から誠意ある答弁をお願いしたいと思います。 〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕 まず最初に、財政資金による一千億円の肩がわりが実施されましたその矢先に、大手に含まれていました大日本炭礦が突如として閉山しました。そのことが大きな社会問題になりまして、政府の事前調査あるいは検討やその観測にずさんなところがあったのではないかという批判が出ております。このような批判のとおりであったかどうか、その真実をまず説明していただきたい。
○中川政府委員 大日本炭礦のなり行きにつきまして御報告いたします。 大日本炭礦の磯原鉱は、三十九年の八月に坑内火災を起こしまして後、最近まで稼行しておりました区域に転出をいたしまして、四十一年の八月から採炭を開始したのでございます。しかしながら、この区域は盤圧が予想外に強うございまして、再建整備計画の立案当時は、その坑道維持にそれほど問題はないと考えておりました幹線坑道に、著しい盤圧がかかりました。しかも採堀の進展につれて、これが一段と増加するという状況が出てまいりました。ほとんどほかに例を見ないような状況で、この坑道維持に非常な困難を来たしてきたのでございます。このために生産は停滞し、坑道展開は大幅におくれを見せまして、この期間の生産停滞と掘進展開のおくれによりまして経営は著しく悪化したのでございます。通産省といたしましても、予測以上の盤圧ということによって起こった状態でございますので、本来ねらっておりました炭層までの着炭ということを何とか実現さしてやりたいということで、途中におきまして資金繰りについてのあっせんもいたしまして、若干の緊急融資を取引銀行から受けたのでございますが、坑内事情の急速な悪化に抗し切れず、今回閉山のやむなきに至ったのでございます。 したがって、磯原鉱の閉山は再建整備計画を立案しました当時、このような他に例のない盤圧が、しかも長い期間にわたって続くということにつきましては、予期できなかったのでございます。こういう予期できなかった事情の変更によるやむを得ないものと考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 いまの御説明の中に、幹線坑道に盤圧が、それも長い期間予期しない災害が出てきたために閉山になったのだ。これが一番大きな原因のようでありますが、一千億円の肩がわり措置を受けようという対象炭鉱の調査にあたって、私はしろうとに近いのでよくわかりませんけれども、盤圧あるいは盤ぶくれということばも聞いたことがありますが、こういうことはほんとうに予期できないものかどうかという問題ですが、その点もう少し聞かしてください。
○中川政府委員 私も技術者でございませんので、大橋先生が御納得いただけるような御説明ができるかどうか自信がございませんけれども、この盤圧がかかっている間には私のほうの局といたしましても、平の支局から絶えず状況を見にやっておりましたし、石炭局からも本日出席しております計画課長が途中で行っております。復命を聞きました当時の状況を思い出しますと、ほとんど人が通れないくらいに坑道が圧縮を受ける。そうして採炭も何も犠牲にしながら、多数の仕繰り夫を入れてこれを広げるということをやりましても、またしばらくたつと盤圧によって鋼製の鋼ワクがひん曲がるくらいに縮んでしまうというようなことの連続、繰り返しでございまして、技術者の考えとしては、先ほど私申しましたように、ほとんど例を見ない異常な状態、平常状態における予測とはたいへん違っておったものだということを聞いております。 なお、詳しくは当時見に行きました計画課長が出席しておりますので、補足説明をいたしたいと思います。
○佐藤説明員 大日本炭礦の問題につきましては、実は当然この会社といたしまして再建の申請が出てくるであろうという予想をしておりましたので、実はこのような事件が起こる前に、ことしの二月技術調査団を編成いたしまして、大日本炭礦に入坑をいたしております。技術調査団といいますのは鉱業審議会のメンバー、特に技術の系統の先生方を中心にいたしまして、通産省それに開銀、事業団の関係者でもって編成したわけでございますが、それで現地を、坑内もつぶさに採炭切り羽、坑道の展開状況等をいろいろ手分けをして調べております。そのときの状況としては非常に正常な動きでございましたし、しかも奥のほうで新しく本層部分を開発するということで着々その計画も実施されておりましたので、大体このとおりの計画であれば再建計画は十分に達成し得るであろうということを、二月の時点では確認してまいっております。その後ずっと期間がたちまして、この盤圧の起きてまいりましたのは、大体六月の下旬ごろからでございまして、六月、七月、八月と、その盤圧の重圧が非常に続いてきた。普通われわれいろいろな各炭鉱に入坑して、こういう現象は必ずしも珍しい現象ではございませんけれども、このように非常に長期間に、しかも異常な形であらわれるというようなことは、実はわれわれとしては全然予想もしていなかった。一般的に言いますれば、確かに一つの坑道を掘った場合に、当然地圧が加わりまして、二、三回仕繰りするということは通常の場合行なわれているわけでございますけれども、私も八月の下旬に現地に行ってみましたときには、大体それはおさまっておったわけでございますが、六月、七月、八月に、この間に極端な場所では七回も八回も坑道の仕繰りをしておる。しかも現象は非常に異常な状態でありまして、こういうことは通例の採炭の坑道の位置の場合の考え方としましては、全く異例なものに当時考えられたわけでございます。したがいまして、再建計画を認定いたしましたのは八月の中旬でございまして、その時点は、われわれといたしましては、現象はすでに起こっておったわけでございますけれども、普通の常識からいいますれば、もう一回仕繰ればやはり当然安定しますし、安定すれば当然切り羽そのものは正常に動ける体制にありまして、ただ、幹線坑道が運搬坑道になっておりますので、結局ふん詰まりの状態になっておりますので、その面さえ解決がつけば当然確定の出炭は十分に出るであろうという期待を持っておったわけでございますが、しかし、やはり何といいましても、六月、七月、八月がそういうことで採炭切り羽からの出炭が少なかったために、その間の出炭不足によりますところの資金繰りがそのときに結局重なってきた。一方では、仕繰りのためには相当の人員を投入し、あるいは資材を投入した、その支出増に対しまして、一方では出炭減に伴うところの収入減、両面からの圧迫を受けましてこういう事態になったのであろう、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 いまの説明で大体わかりましたけれども、多くの国民が、特に炭鉱従事者が、第二、第三、第四の大日本炭礦が続出するのではないかという非常な不安をこの事件から抱いているのは事実だろうと思います。したがいまして、他の肩がわり対象になっております炭鉱について、この事件以後何らかの手は打たれたかどうかという点をお尋ねいたします。
○中川政府委員 大橋先生御指摘のとおり、大日本炭艦の急激な閉山というものがいろいろな範囲に不安感を与えまして、必ずしも好ましくない結果に相なっておるということはそのとおりであろうかと思います。ことに上期の出炭実績が計画に対しまして、総量といたしまして百五十五万トンくらいのめどを出しておるという状況と相並びまして、大日本の突如閉山というものが大きなショックを与えたということは、そのとおりであろうと思います。私どもが考えておりますのは、石炭政策の基本がスクラップ・アンド・ビルドにございますので、スクラップは計画的、自主的にやっていくということが前提でございまして、大日本炭礦のように、労使とも仕事を進めていくつもりでおっていま申しましたような事情で突如閉山のやむなきに至るという事態は、望ましくないわけでございます。しかも、従業員にも地元の関連業者にも金融機関にもいろいろな意味で迷惑をかけることでございますので、大日本炭礦のような事態というものは、私どもとしては絶対に、できる限り阻止したい事例であります。ただ、最初に申しましたように、出炭不足によりまして石炭産業全体の経理状況が非常に悪くなってきております。このためこのような情勢に対処いたしまして、今国会でお願いしておりますように、開銀融資、それから整備資金、再建資金といった予算と財投の増額補正をお願いしております。なおかつ開銀の融資の時期を繰り上げるとか、本年度から実施しております石炭鉱業安定補給金、坑道掘進補助金といった経費を早期に支出するというようなことでございます。合理化事業団による経営改善融資保証制度の充実をはじめ、市中金融機関の融資あっせんと資金繰り上の措置を講じてきております。石炭企業の資金繰りにつきましては、ここ当面大きな不安はないというふうに考えております。ただ、上期の出炭減のような状況がございまして、これの原因その他にはいろいろこれから先の石炭を取り巻く環境として懸念さるべきものが十分ございますので、大日本炭礦の例にもかんがみまして、私どもは十分慎重に注意をしていく必要があろうし、また、個々の会社の計画につきましては、実態に即して計画の練り直しをやるということも必要であろうと考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 先ほどの御説明で、大日本炭礦の突如の閉山というのは予期しない盤圧が原因だった、それから出炭不足による資金繰り等の問題が原因となって急に閉山したのだということでありましたけれども、地元のほうでは、これは計画倒産ではないのかなというようなうわさがしきりと出ているわけですね。というのは、そのうわさを増大した原因というのは、何だか大日本炭礦の社長さんをはじめ、労働組合の委員長さんやあるいは財政部長さん等が実際にいま雲隠れしておるということらしいのですが、それにまた問題を大きくしていることは、四十一年八月から四回にわたって、八月それからことしの一月、五月、六月にかけて、大日本炭礦の再建整備のためということで労務者に対して合理化のための人員整理をやったのですね。そういう人たちが現在三百数十名もおるそうでございますが、この人たちは退職金も何も一銭ももらわずにやめている。その約束ごとらしいのですけれども、来年炭鉱が上昇機運に乗ったときに、そういうものはちゃんとお支払いしますということだったらしいのですけれども、このような閉山した現時点から振り返ってみると、その当時やめさせらた労働者たちは、詐欺にでもかかったような気になって計画倒産という気持ちにもなりかねない、こういうことを私も聞いておかしな問題だなという気になっているんですが、こういう点について、当局としてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
○中川政府委員 大日本炭礦の急速な閉山に至りました理由は、先ほど申しましたような異常盤圧、こういうことでございます。ただ、これも比較的な問題ではございますけれども、企業に十分な資力と申しますか、蓄積がある状態でございますというと、あるいはもう少しく信用力があって、盤圧を受けて坑道維持ができなくて出炭減に苦しんでいる状況での、いわゆる赤字運転資金をまかなってくれるだけの有力なる金融機関があるというようなことでございますと、この不幸な事態に至らなかったということがいえるわけでございます。その意味では、再建整備会社にもいろいろございますけれども、こういう異常状態に耐え得るだけの体力を持っていなかったという点におきましては、ほかとの比較ではかなり弱い体質であったということを認めざるを得ないわけでございます。これは再建整備計画を取り上げます場合におきましても、関係者一同承知しておった状況でございまして、かつては非常に経理内容のいい会社であったわけでございますけれども、勿来鉱を掘り尽くして磯原鉱に来て、磯原鉱で坑内火災を起こして次の採掘現場に移行したという状態にこの企業自身の体力が非常に落ちてきております。そういう状態でありましたけれども、技術的な判断としてなお鉱区を持っておるし、その計画も、いま申しましたような予測し得ない状況なかりせばやり得るものという判断で計画を見たわけでございます。そこでただいまお話がございましたように、再建整備計画を立てる以前におきましても、相当苦しい状況での経営をしておりましたので、その間労働条件その他につきまして労使とも十分話し合いの上で、たとえば若干の合理化であるとか、あるいは賃金条件の労働者側のある程度のがまんというようなことを労使間で話をした上で経過してきておったということは事実でございます。再建整備計画をとるにあたりましても、そういう実態を知っておりましたので、通産省としましても労使の意見を聞きまして、労使ともに苦しいけれども、この計画をひとつやりたいという熱意を十分くみ取りまして進めてきたという状況でございます。そういうことでございますので、ここに至ります過程におきましては、私ども特に意識的な作為があったというふうには考えません。しかしながら、労使ともに歯を食いしばって仕事をしておったんでございますけれども、先ほど申しましたような事情で、急速なる閉山ということになりました。こうなってみますと、やはり人間の弱い面が出ると申しますか、私どももたいへん遺憾に考えておりますけれども、いままで責任をとってきておった社長が途中で交代をしてしまう、あるいはこの事態になりまして、交代した社長に労働組合が面会を求めても所在がわからないというようなことで会ってくれないという事柄が続いておったということは私ども聞いておりますし、事実そのとおりであろうかと思います。また労働組合の中でも、一部役員が組合のお金を一部持って失踪したというような話も聞いております。これらはむしろ計画的と申しますよりは、この事態になって、はなはだ遺憾なことでありますけれども、人間の弱い面が出た一例である、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 実はきのう現地から市長さんをはじめ、議長さんやあるいは市会議員の皆さんが数名して陳情に参りました。各党にも同じように実情を訴えて歩かれたということでございますけれども、私はきのうの陳情の内容から要点をつかんで二、三お尋ねしたいと思うのです。関係当局の誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。そこでいまからお尋ねする問題は、今後どうするかという現実的な問題でありますので、よろしくお願いします。 第一点は、お正月を目前に控えまして、苦しい不安な毎日を送っております従業員が七百数十名、家族にしてみれば二千名以上になるのではないかと思いますが、そういう方々に対して、いずれ交付されるところの閉山交付金の中から緊急に、二千五百万円といっておりましたが、その二千五百万円を出してほしいということであります。市長さんの話によれば、内々関係当局とも折衝を続けてきて、だいぶ話も煮詰まっているということでございましたけれども、できれば今月の二十五日までに何とか措置してほしいということでありました。これに対してぜひともその希望をかなえてほしい、このような特殊なケースでございますので、私もそのような気持ちをくんでいまお尋ねしているわけでございます。大臣じきじきならば簡単に答えも出ようと思いましたけれども、その点はどんなものでしょうか。
○中川政府委員 先ほど来申しましたような、たいへん私どもとしては憂慮すべき事態での突如閉山でございますので、残された七百名をこえる従業員に対しての対策ということにつきましては、私どもも直後から真剣に苦慮いたし、かつ関係の方々と御相談を進めてきておる状況でございます。 そこで、ただいまの閉山交付金でございますが、私どもの予定していなかった閉山でございますために、四十二年度予算の中での閉山交付金という形では組まれておりません。しかも四十二年度の閉山交付金はすべてあるいは支出済みであるか引き当て済みという状況でございますので、大日本炭礦の分につきましては、先ほど御説明いたしました本臨時国会で御審議をいただいております一般会計の補正予算の中にこれを繰り込みまして、なるべく早い時期にこの交付をいたしたいと考えておるわけでございます。かつ、予算がきまりませんでも、実際問題として補給金の交付に必要な実際上の手続というものを合理化事業団に指示をいたしまして、すでに交付金の計算その他を急がせておる状況でございます。ただ、補正予算が本臨時国会で通りました後も若干の手続がございますので、実際問題として年内支給ということはむずかしかろうと思います。これは私どもが精一ぱいの最短距離を走らせましても年内ということはむずかしかろう、こう考えます。 しからば、その間お話しのように、年を越すという時点の中に置かれた従業員をそのままにしておいてよろしいか、こういう問題が起こります。そこで閉山交付金が出ることと、出る額というものがあらかじめ予定できるわけでございますので、これは政府が交付する交付金でございますから、全く間違いのない金でございますので、幾らのものをいつごろ出せるというめどをはっきりいたしまして、その間のつなぎ融資を考えてもらうということが、この年末を控えた当鉱業所の従業員諸君に対して私どものできる最善の道であろう、こう考えている次第でございます。 つきましては、大日本炭礦のあと始末をやっていただく、再建整備関係のあと始末をやっていただく金融機関の中で適当なところに幹事銀行をお願いして、その人たちの力で実際上の融資を進めさせるよう、いまめんどうを見る銀行等につきまして、私のほうからいろいろと依頼をしておる状況でございます。
○大橋(敏)委員 次にもう一つのお願いでございますが、石炭鉱山整理促進交付金の算定については、法令の許容する範囲において、とにかく最高額の算定で交付してほしい。これも強い要望でありましたので、これをつけ加えておきます。 それから第二点の質問は、社宅の居住権の問題であります。この離職者や失業者の当面の目標は、何といいましてもお金の問題だと思います。退職金の手当だとかあるいは未払い賃金の支給、これは四十一年と四十二年、二年間のペースアップ分の未払いの分も含まれておるそうでありますが、こういう点のお金の問題がまず先決ではございますけれども、いまのような諸般の状況から判断いたしまして、次に来たる大きな不安は何といっても住宅問題だと考えられます。そこで、現在入っております社宅の居住権を従業員に優先的に払い下げてほしい。話によれば土地つきでということでございますが、こういう特段の配慮と指導措置をお願いしたいということでございますが、こういう点についての御見解をお願いいたします。
○中川政府委員 旧従業員の立場から申しますと、ただいまお話がございました社宅あるいは土地の優先払い下げというような点はもっともな希望であろうと思いますけれども、いわば破産状態に相成っておりますために、これらの社宅、土地はすべて抵当権が設定されておるわけでございます。 〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕 その処分は、当然のことといたしまして、法律的には抵当権者の同意が必要となる、こういうことでございます。ただ、これらの資産の処分その他につきましては、私先ほど申しましたように、幹事銀行がきまりまして、それから関係債権者との中でいろいろ進めていくということに相なろうと思いますが、時間もかかることでございましょうし、その間において、債権者の方々が、旧従業員の置かれた状況というものをどのように勘案し、どのようなところまで考えてくれるかということはこれからの問題でございます。したがいまして、私のほうとしては法律的にどうこう言えることではございませんけれども、置かれております状況にかんがみまして、個々のケースに従いまして、なるべく好意的な措置がとられるように口添えをする意思はございますけれども、そのとおりになるかどうか、これはすべて抵当権者のお考え方によることでございます。 なお、これは一体どれくらいの方が地元に残ることになろうかということとの一つのからみでございまして、閉山時の人員は、山元におきまして、職員が六十数名、鉱員が五百七十数名、それに常用日雇いという方々を入れまして七百三十名くらい、本社の人を含めまして七百五十名くらいという状況でございます。現在の会社が生産のために、撤収作業等のために必要として再雇用しております職員が百六十七名、すでに再就職をなさいました方、これは他の炭鉱に行かれた方、その他あの辺でございますので、三菱関係の下請関係に行った人、こういう人たちですが、七十五名くらい職がきまっております。現在のところ求人申し込みが五十件、人員にして延べ千百人はあるという状況で、最近の労働需給の状況からいたしまして、条件のいい悪いはいろいろありましょうけれども、お働きになる気持ちがあればつとめ口としては数の上では十分あるというふうに判断しております。ただ、四十五歳以上の方が約二百人くらいいらっしゃるということでございまして、これらの方々は、つとめ口との関係、あるいは家庭に学校へ行ったりしている子弟をお持ちになっているとか、土地をお離れにくいとか、いろいろな条件はあろうと思いますが、この辺のところは特に注意してもらいたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 では第三点のお願いでございますが、これは小さな問題になるかと思いますけれども、本人たちにしてみればかなり大きな問題でございますので、これも配慮をしてもらいたい。それは離職した皆さんは現在失業保険金をもらっているわけでございますが、その失業保険金が週に一回支払われるわけでございますけれども、現在高萩市というところまで行かなければならない。いわゆる北茨城市の磯原町から高萩市まで行くということらしいのです。それには一回百四、五十円の交通費がかかるというのですね。わずか三百五、六十円の日額をもらうその中から百五十円引かれるということは大きな負担になるということで、この失業保険金の支給について何とか配慮してもらえないだろうかということでございました。この点どうでしょうか。
○中川政府委員 失業保険のことでございますので、私も初めてお聞きしたわけでございますが、実情がそういうようなことであれば、何かいい方法はないかということで労働省のほうに連絡をいたしておきます。
○大橋(敏)委員 では話は変わりますけれども、石炭鉱業の経営者と下請業者との関係について一つの実例から不合理を感じますので、この点を浮き彫りにして是正したいという気持ちから質問をいたすわけでございます。 質問の第一点は、四十二年七月十八日に発生いたしました福岡県の古河鉱業株式会社目尾鉱業所の事故の概要を、ちょっと説明していただきたいと思うのですが、特にその事故の原因と責任の所在、さらに罹災者に対する会社側の処遇の状況をお願いしたいと思います。
○西家説明員 ただいまお話のございました目尾炭鉱の事故でございますが、ことしの七月十八日に目尾炭鉱の主要運搬坑道におきまして炭車が逸走したわけでございます。炭車の逸走によりまして四名の鉱山労働者の方々が死亡をしたわけであります。四名のうち三名は請負組夫。請負組主を含めまして三名の方がなくなっておられるわけでございます。一名は直轄の鉱山労働者の方がなくなったというわけでございます。原因、責任のこまかい点はただいま調査中でございますが、いずれにいたしましても請負組夫の方々に直接責任のあった災害ではないわけでございまして、会社側の施設によりまして三名の請負の方々がなくなられたわけでございます。災害後、炭鉱側から請負の組夫に対しましてそれぞれ一人当たり香典のような形で一万円、花輪代として五千円を支給いたしております。そのほかに葬儀費といたしまして組夫に十二万円を貸し付けておるわけでございます。そこで、直轄労働者を除きまして三名のうちの一人は事業主でございますので、事業主の方につきましては労災補償金等は支給がないわけでございます。一応組の中の組夫の二人につきましては、最近労災補償金が決定を見たわけでございます。葬祭料の支給はすでに済んでおります。それから、労災補償金の額も決定をいたしたようなことになっておるようでございます。さらに、請負の組主に対しましては労災補償金が出ませんので、会社側と組主の遺族の方々と、労災補償金にかわるべきようなものについて、現在話し合いが進んでおるような状態でございます。それが決定したあとに、組夫の二名に対しましても、何らかの形で、弔慰金追加につきまして考慮したい、こういうようなところが現在までの状況でございます。
○大橋(敏)委員 いまのお話では、まだ原因を調査中であるというようなお話でございますが、当時の新聞等の記事から見てまいりますと、会社側に責任があるということはもう明らかだということであります。私も現地の人々から話を聞きましたけれども、確かに会社側の責任になるということらしいのです。 そこでお尋ねしたいところは、この事故の原因並びに責任の所在が、経営者すなわち会社側にあると明らかになった場合は、その事故死した人に対する処遇というものを法律的にどのようにしなければならないのだという規制といいますか、そういうものはないのですか。これはどなたかわかりますか。
○中川政府委員 話が請負組夫の問題でございますので、組夫ということを前提にいたしまして、若干現行制度の御説明をいたしたいと思います。私も専門でございませんので、特に詳細に承知しておるわけではございませんが、承知しておる限りについてお答えを申し上げます。 一般に、企業が従業員を使っております場合に労災保険をかけておりますが、ここから労災の補償が出るわけでございます。死亡なされました場合に、千日分の賃金に相当するもの、それから六十日分に相当する葬祭料というものが労災から出るわけでございます。この場合、組夫でございますと請負のほうの会社、仕事を請け負っておる会社が中心でございまして、請負の組を使っている会社、石炭会社とは関係ございませんけれども、この労災補償制度によりまして、このような場合におきましても、組の従業員には規定どおりのものが出るわけでございます。ただ、いま申しましたように、死亡時の前三カ月の平均賃金というものを基準にして千日分とか六十日分とかやっておりますので、たとえば石炭会社の従業員である場合、基準賃金が高うございますし、請負組夫の場合には比較的には低いということがございますので、労災補償で出る金の実額というものはかなり幅があろうかと思います。それから、経営者と労働者との関係におきましては、一般的に、炭鉱におきましては、事故による死亡の場合でも、労使の協定がございまして、それに基づいての退職金相当分が出るほか、慰謝料という形で、平均的には八十万円くらいのものと私は聞いておりますが、こういうものが協約に従って出される、こういう状況でございます。ただ請負組の中で、そういう石炭会社の場合のような協定があるかないかということになりますと、一般的にはどうもこのようなものはないのが多いかと思います。したがってこの辺のところは、法律的に申しますと、組の経営者と組の従業員との間でどういう労働協定になっているかということによって処理されるべきものでありますが、古河目尾の場合は三名の罹災者のうちの一人がこの組の経営者に相当する人でございます。お雇いになっていた方自身が事故を受けられたというようなことで、この間どうするか、なお会社側で相談をしておるという状況のようでございます。 なお、一般的には、いま言いましたような山の中で起こった事故でございますので、法律的な関係ではなくて、実態上の問題として、石炭会社側が罹災された組夫に対しまして何がしかのお見舞いをしておるというケースは一般的のようでございます。古河の場合もそのようなこととしては考えたいという気持ちはあるようでございますし、保安局長からも、事故の状況等の実態にかんがみまして、できるだけの見舞い金を炭鉱側も自主的にこの請負組夫の方々に対して出すようにという口添えはしておるはずでございます。これは法律的に命令するとか指図するとかいう形のものではございませんけれども、実態にかんがみましてさよう取り計らっておるという状況でございます。
○大橋(敏)委員 ちょっともう一回お尋ねしますが、石炭会社と下請業者との契約で仕事がなされているわけでございますけれども、その会社で働いている場合、事故が起こった、その原因が親元の石炭会社のほうにある。その場合もあくまでも下請業者と石炭会社との契約、その中だけの問題になるのでしょうか。その下請業者に雇われているいわゆる組夫、その人はあくまでも下請業者という関係からだけでもう処理されていくものなんでしょうか。
○中川政府委員 雇用者と被雇用者の関係ということではいま先生おっしゃったとおりのことだろうと思います。しかし、そのほかに、おそらく一般的な問題として民法上の問題が起こりました場合の問題は、これはおのずと別個でございます。
○大橋(敏)委員 実はこの古河鉱業目尾鉱業所と岡田さんとが契約を結んでいるその契約書の写しを私見たわけでございますが、二十二条からなっております中に、この内容を見ると、ほとんど会社側が言いたいことを言っているというような一方的な条文になっております。その中でも特に災害に関係しました条文が十六条に、「乙は、」——乙というのは下請業者のほうになっておりますが、「乙又は乙の従業員が請負作業に関して第三者に損害を与えたときは、その原因の如何にかゝわらず一切の責を負うものとする。」これはいいとしましても、第十七条ですが、「甲は、請負作業に関して天災、作業上の変災事故、その他の事由により、乙が受けた一切の損害に対してその責を負わないものとする。」全然わしは関係ないんだという条文になっておるわけですね。私が一番不審に思うことは、こういう契約を結ぶ場合、法的に、特にその災害問題に対して法的に拘束できないものかどうかということなんですが、こういうことはおわかりでしょうか。
○中川政府委員 私のほうとしましては、石炭会社と下請会社との契約について何らか制約するような法律構成というものは持っておりません。私どもが持っておりますのは、石炭会社がその企業を運営いたします上におきまして、ある程度の請負というものを利用いたしますにつきましてどのような規制をしたらよろしいか、請負の使い方についての規制は持っております。これは二つございまして、一つは、石炭鉱業臨時合理化法でございますが、採炭、掘進、仕繰り、運搬というものに組夫を使う場合に、石炭会社から大臣の承認を受けるという形にしております。実際は通産局長に権限を委譲いたしておりますが、合理化基本計画の線に沿ったものであるかどうかということ、そういう組夫の使用が常時経常的に行なわれるものであっては困る、臨時的なものに限るという形で規制を加えております。それから、これは保安局長のほうでございますが、保安法にも届け出の制度をつくっておりまして、一カ月以上組夫を使う場合に届け出をする。そのときのチェックポイントは、坑内に直用の人間と一緒に組夫が入ることに相なりますので、保安上の危険防止をするという意味合いで、山の中での指揮命令系統が組夫にまで徹底するような仕組みになっておるかどうか、山に入ります組夫について保安教育等を事前に施してあるかどうかというようなことを念頭に置いた規制はいたしておるわけでございます。一般的に石炭会社と請負会社との間の契約を規律するようなものとしては、私どもは承知しておりません。これはよそのことになりますが、労働者供給事業というものの一般的な禁止について部分的解除をする法規が職業安定法にございますけれども、どういうような目的で、どういう趣旨で、あるいはどういう運用になっているか、私ども責任者の立場ではございませんので、そういうものがあるということだけ承知しておるようなわけでございます。
○大橋(敏)委員 事故の問題組夫と直接関係した契約ではありませんけれども、いま言ったような一方的な、それもか弱い労働者に対して何らの恩恵もないようなこうした条文がのうのうと載せられるような契約書が通るということ自体私は懸念するわけでありまして、こういうものに対して何らかの手を打つべきではないかというように考えます。 それからもう一つお尋ねしますが、先ほどの保安局長の説明の中で、なくなった方二人に対しては一万円の弔慰金と葬祭料が五千円出たということでございますが、現在まで、炭労傘下の組合員の場合、こういう事故にあった人は一律八十万円支給されたとか、あるいは三井山野炭鉱のガス爆発のときには職員も鉱員も組夫も一律に五十万円が支給されているという事実、それから渡辺鉱業稲築炭鉱というのがあるのですが、四十二年の三月二十二日にやはり坑内ガス燃焼事故が起こりまして、犠牲者として直轄夫二名死亡、二名重傷、また組夫が二名死亡、三名重傷というものが出た事件に対しましては、特別弔慰金として一律二十万円が差別なく支給されているということでございますが、そういう前例から見まして、目尾炭鉱の二人の方々はあまりにもかわいそうではないか、こういうように思うのですが、こういう場合、法的にはないとしましても、何らか手が打たれてもっと優遇されることになるにはどうしたらいいかということをお聞きしたいのです。
○西家説明員 ただいま先生のあげられました例につきましては、私ども一部につきまして承知をしておるわけでございます。いろいろその辺の事情を聞きますと、ただいま先生のおっしゃいましたように、請負夫が非常にかわいそうな状態にあるという見地に立ちまして、会社側のほうで自主的にそれぞれケースバイケースで弔慰金等をきめるのが現状でございます。今回の場合につきましても、全く気持ちは先生の気持ちとわれわれ同感でございますので、法律的にどうこうということになりますといろいろ問題がございますが、ただいま石炭局長からお答えいたしましたように、私のほうでできるだけの口添え等をいたしまして、不十分ながらもバランスのとれるようなかっこうに努力さしていただきたい、かように考える次第であります。
○岡田(利)委員 関連。本件の事故は、これは別に上凾の炭車もあって三両目から切断して炭車が逸走した、こういう事故なわけですが、巻き上げ機械の定凾違反とか、そういう事実はないわけですか。
○西家説明員 定凾の違反はございません。
○岡田(利)委員 ただこの場合、組夫の現場は別な現場なわけですね。高温多湿であり、休憩をしておった。そこに目尾鉱の鉱業所の直轄従業員が従事して炭車の逸走が起きたので、それによって三名及び係長が死亡したわけですね。言うなれば、組夫の現場で起きた事故は当然乙が全責任を負わなければならぬけれども、事故の相互関係にある問題については契約には別にないわけですね。たとえば直轄現場で爆発した、そして組夫も現場で死亡した、山野の例はそういうわけですね。そういう点で差別なく弔慰金が、労働組合と会社が協定されておる協定金を適用したというのが山野の例だと思うのです。本件の場合は、直轄従業員の現場の事故が——たまたま休憩しておった別の現場担当の組夫がそのために死亡したということですから、組夫の現場で事故を起こして死亡したという事件とは若干違うわけですね。古河の場合には大手ですから、中小でないわけですから、大体そういう慣例的な取り扱いがあるのに、この件が全然そのまま放置されておるというところに問題があるわけです。しかし、大手の場合にはこういうケースはいまの常識ではないのですけれども、なぜここだけこういう問題が起こっているのですか。
○西家説明員 その点につきましては、私ども、会社のほうに話をいたしました際に、会社側といたしましては、請負組夫の弔慰金等も請負組主と話をしてきめるようでございますが、その組主がちょうどその中に一人死亡されておりまして、その方の遺族の方がまだ入院中とかなんとかいうことで若干その手続がおくれた、こういうふうに会社側は釈明いたしておる、そういうふうに聞いております。
○岡田(利)委員 これは普通訴訟を起こすのは、民法上損害賠償の請求なり訴訟を起こせばいいわけでしょう、原因その他いろいろ問題点はあるようですから。ただしかし、普通、いまの炭鉱の労使慣行として、本件のような場合には、訴訟するしないは別にして、大体客観的に水準というものがある。そういうケースはどこの炭鉱でもあるわけです。二十万もあれば三十万もあるし、五十万もあれば六十万もあるわけです。組夫の事業主当事者は死亡しておりますけれども、遺族が残っている。したがって、そういうケースでむしろ積極的に会社側が水準というものについては当然誠意を示すことが常識ではないかと思うわけですよ、慣行ができ上がっているわけですから。古河の場合も、かつては山がたくさんあって、そういう協定もしておりますし、慣行があるわけですから、そういう点に対しては、保安局もいままでそういうケースが慣行になっておるということは大体御承知だと思うわけです。したがって、行政上そういう指導をして、訴訟問題は別にして、負担能力のない中小とは違うわけですから、当面そういう客観的な常識的な水準の誠意を示すということは当然だと思うのです。そういう強力な指導をすべきだと思うのですが、いかがですか。
○西家説明員 御意見のとおりだと私も考える次第でございまして、そういう方向でできるだけ誠意を持って努力いたしたいと思う次第でございます。
○大橋(敏)委員 失業保険課長にお尋ねします。 実は茨城県の大日本炭礦が不慮の自然災害のために突如として閉山になったということで、いまその従業員のほとんどの人が失業保険をもらっておるわけですけれども、いま失業保険を支払っておる場所が、現地の磯原町ではなくて、高萩市というところだそうです。そこまでもらいに行くのに、交通費が百四十円か百五十円ぐらいかかる。少ない失業保険の中からそれほどのお金を出すことは非常な負担だということで、何とかこれを現地で支払いしてもらえないものだろうかという要望があるのですが、それに対しての回答をお願いします。
○増田説明員 分室におきまして失業保険金を支払うかどうかということは、受給者の数がどのくらいあるか、あるいはまたそこまでのお金がどのくらいかかるか、あるいはまた資金を離れたところで支払うわけでございますので、資金の管理の安全性が確保できるかどうか、そういった点を総合的に勘案してやっておるわけでございます。 ただいまお申し越しの分室につきましては、ただいま早急に連絡中でございますが、分室のことでございまして、何人くらい大日本炭礦の離職者が出まして、そのうち何人くらいが現地で支給を希望するかとか、あるいは就職あっせんの希望者がどのくらいいるかとか、そういったこまかい資料がまだそろっておりませんので、それを早急に連絡調査いたしました上、必要であればもちろん所要の措置をとりたいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 よくわかりました。現地の強い要望でございますので、その要望にこたえるような措置をとっていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。
○多賀谷委員長 これにて本日は散会いたします。 午後二時十五分散会