商工委員会 第1号
- 発言数
- 207 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/12/12
会議録
○島村委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 理事小川平二君が委員を辞任いたしましたのに伴いまして、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、慣例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、宇野宗佑君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○島村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 今国会における当委員会の活動を円滑ならしめるため、議長に国政調査の承認要求をいたしたいと存じます。 調査をする事項といたしましては、 一、通商産業の基本施策に関する事項 二、経済総合計画に関する事項 三、公益事業に関する事項 四、鉱工業に関する事項 五、商業に関する事項 六、通商に関する事項 七、中小企業に関する事項 八、特許に関する事項 九、私的独占の禁止及び公正取引に関する事項 十、鉱業と一般公益との調整等に関する事項 以上の十項目といたし、調査目的といたしましては、 一、日本経済の総合的基本施策の樹立並びに総合調整のため 二、通商産業行政の実情を調査し、その合理化並びに振興に関する対策樹立のため国政調査の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、議長に対する要求書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○島村委員長 この際、椎名通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。椎名通商産業大臣。
○椎名国務大臣 このたび、私は通商産業大臣に就任いたしましたが、この機会に所信の一端を申し述べたいと存じます。 御存じのとおり、わが国経済につきましては、内外ともに現在難問が山積しております。国際的には資本自由化問題、発展途上国特恵関税問題等、そのいずれもがわが国の将来を決定する重大問題でありますが、つい最近は、さらに英国のポンド切り下げに伴う一連の国際経済情勢の変化が起こっております。国内的には、労働力不足の深刻化、物価上昇の傾向、公害や都市過密問題等、その根本的解決を迫られている問題が多々あります。 このような時期における通商産業政策は、新しい時代の要請にこたえるよう新しいくふうをこらしたものでなければなりません。私は、以下の諸点を今後の通商産業政策の重点として、その実現に全力を尽くしてまいりたいと思います。 まず第一は、産業構造改善施策の積極的な推進であります。本格的な開放経済体制を迎えたわが国の産業としましては、その国際競争力を一そう強化していくことが大切であります。そのためには個々の企業の体質強化だけでなく、産業全体の構造を改善していくことが従来にも増して肝要であります。その実現のため私は格段の努力をいたす所存であります。 第二は、中小企業対策の拡充であります。対外的には発展途上国からの激しい追い上げがあり、国内的には労働力需給の逼迫等の課題をかかえるわが国中小企業の健全な発展をはかりますことは、わが国経済の今後の均衡ある発展のために不可欠であります。私は、そのために必要な万般の施策を講じてまいりたいと思います。 第三は、技術開発力の培養であります。本格的な開放経済体制のもとにおいて、産業の国際競争力の真の基盤をなすものは、独創的な技術であるとの観点に立ちまして、国産技術を積極的に振興する施策を講じてまいる所存であります。 第四は、輸出の振興であります。あらためて申し述べるまでもなく、一そうきびしさを増している国際経済環境のもとで、官民あげて輸出の振興をはかることが現在ほど強く要請されているときはいまだかつてなかったと思います。したがいまして、輸出の振興のためには可能な限りの手段を講じてまいる決意であります。 第五は、国民生活に密着する産業行政の展開であります。産業の発展と国民福祉の調和をはかる観点から、産業の発展に伴って生じます各種の弊害を除去し、国民の生活環境の改善をはかるため、公害の防止、産業立地の適正化等についての諸施策を講じてまいりたいと思います。また、消費者の利益を保護するため物価安定策を中心とした消費者保護行政を強力に推進してまいる所存であります。 最後に、昭和四十五年に大阪において開催されます日本万国博覧会は、アジアで開催される初めての万国博覧会でもあり、その意義ははかり知れないものがあると考えられますので、その準備には万全を期する所在であります。 私は、以上のような諸施策を通じて全力を傾けてわが国経済の安定的発展をはかっていく覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第であります。(拍手)
○島村委員長 この際、通商産業政務次官藤井勝志君を御紹介いたします。
○藤井政府委員 ただいま御紹介を受けました通産政務次官の藤井でございます。 御案内のごとく、先般の内閣改造で、はからずも通産政務次官の重責をになうことになりました。考えてみますと、まことに経験の浅い微力者でございます。皆さま方の格別の御指導、御鞭撻を切にお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
○島村委員長 次に、同じく通商産業政務次官熊谷太三郎君を御紹介いたします。
○熊谷(太)政府委員 ただいま御紹介いただきました、このたび通産政務次官を命ぜられました参議院の熊谷でございます。 一生懸命に職責を果たしてまいりたいと存じますが、浅学非才のものでございますので、今後とも皆さまの格別の御指導、御支援をお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○島村委員長 次に、経済企画庁政務次官山下春江君を御紹介いたします。
○山下政府委員 ただいま御紹介いただきました経済企画庁政務次官の山下春江でございます。 皆さま方の御支援、御鞭撻、御指導によりまして大過なくつとめたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ————◇—————
○島村委員長 内閣提出、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案を議題とし、通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することといたします。椎名通商産業大臣。 —————————————
○椎名国務大臣 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 近年家庭用燃料としての液化石油ガスの普及は目ざましく、昭和四十二年度の全国需要世帯数は約千三百万戸に達し、国民生活の向上に大いに寄与しておりますが、これに伴い、液化石油ガスによる災害事故も増加しており、特に一般家庭等の消費先における事故が激増しているのが実情であります。加うるに、液化石油ガス販売事業は、容器による販売という特殊な形態によるものであるとともに、きわめて短期間に急速に発展した事業であること等のため、計量等に関する取引条件も必ずしも適正とはいえない状況にあります。 これに対し、現在液化石油ガス関係の規制は、その製造を含め、高圧ガス取締法により行なっておりますが、同法は、本来事業所を対象として制定されたものでありますため、一般家庭等における液化石油ガスの災害の防止をはかるためには、種々不適切な点が生じてきております。 このため、一般消費者等に販売される液化石油ガスにつきましては、販売事業者が一般消費者等の保安能力を補完することによりその災害の防止をはかるとともに、その取引を適正にするため、一般消費者等に対する液化石油ガスの販売を規制するとともに、保安の万全を期するため、液化石油ガス器具等の製造及び販売等を規制する必要があります。 次に本法案の概要を御説明申し上げます。 第一は、液化石油ガス販売事業の規制であります。 すなわち、一般消費者等に対し液化石油ガスを販売する事業は、通商産業大臣または都道府県知事の許可を要することとし、許可の基準といたしましては、販売施設及び販売方法が一定の基準に適合すること並びにその事業を的確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること等を規定しております。 この許可を受けた販売事業者に対しましては、液化石油ガスの保安の確保と取引の適正化をはかるため、必要な業務を課しております。すなわち、販売事業者は、その販売施設及び販売方法を一定の基準に適合するように維持しなければならないものとし、この基準に適合していない場合またはその事業の運営が適正を欠いている場合には、通商産業大臣または都道府県知事は、必要な措置をとるべき旨の命令または勧告をすることができることとしております。 さらに一般消費者等の保安能力を販売事業者が補完することにより液化石油ガスによる災害を防止するため、販売事業者は、定期的に一般消費者等の消費設備を調査するものとし、これにより消費先の保安指導に当たらせることとするとともに、保安の確保のための順守事項を一般消費者等に徹底し、あわせて取引条件の明確化を通じてその取引の適正化をはかるため、所定の事項を記載した書面を一般消費者等に交付しなければならないこととしております。 第二は、液化石油ガス指定製造事業に関する規定であります。 これは、液化石油ガス中の有害な成分を一定の許容限度以下に押えることによって保安の確保をはかるとともに、液化石油ガスの成分による規格を明示することによって取引の適正化をはかるため、液化石油ガスの充てん事業を行なう者のうち、液化石油ガスの分析のための機械器具を有する等一定の資格を有する者を指定し、その指定を受けた者が分析し、かつ、これを充てんした容器に所定の表示を付したものでなければ、液化石油ガスを一般消費者等に販売してはならないこととしたものであります。 第三は、消費設備の規制であります。 過去の事故例についてみますと、消費先の配管工事の欠陥が原因となっているものが少なくない実情にかんがみ、この種の工事で一定規模以上のものは、十分な知識経験を有する者の監督の下でなければしてはならないこととしております。 第四は、液化石油ガス器具等の規制に関する規定であります。 圧力調整器、燃焼器等の液化石油ガス器具等は、一定の基準に適合する製造設備及び検査設備を有する登録製造事業者が通商産業大臣の型式承認を受けて製造したものまたは登録製造事業者以外の者が製造した場合にあっては、通商産業大臣等が行なう検定に合格したものでなければこれを販売してはならないこととし、液化石油ガスに関する規制と相まって保安の万全を期しております。 これが、この法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○島村委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○島村委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりいたします。 理事会において御協議願いましたとおり、産金等の対策樹立のため、小委員八名よりなる産金等対策に関する小委員会を設置することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、ただいま設置されました小委員会の小委員並びに小委員長の選任に関しましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 小委員及び小委員長は追って指名の上、公報をもって御通知いたします。 次に、小委員及び小委員長に欠員を生じました場合の補欠選任に関しましては、あらかじめ委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○島村委員長 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 私はベトナムの万年筆の輸入に関連して、若干の質問をいたします。 御承知のように十二月八日の各新聞紙上で、万年筆もベトナム戦争とかあるいは万年筆でもアメリカ、北ベトナムの対決とか、こういう見出しで大々的に報じられておるのですが、これは北ベトナム製のホンハという万年筆、これが日本に過去においても約二千ダース余りですか入っておるようですが、最近になりまして、その万年筆のキャップのクリップのところがパーカーの矢羽根じるしと似ておるということで、パーカ社の代理人から、これは横浜税関ですか東京税関ですかに関税定率法二十一条に基づく、いわゆる輸入の差しとめの申請が出た、申し立てが出た、そういうことで大々的に出ておるのですが、これの経過をまずお伺いいたしたいと思います。これはむしろ大蔵省の関税局長のほうからしていただきたいと思います。
○上林説明員 本件につきましては、御指摘のようこ……。
○田中(武)委員 あなたは関税局長か。
○上林説明員 財務調査官です。
○田中(武)委員 何で局長は来ないんだ。
○上林説明員 ただいま渉外関係で人に会っておりますので、私がかわりに参りました。 本件につきましては、いま御指摘のように、三進交易というところからホンハにつきまして輸入申請が出てまいりまして、本年の十月二日にパーカーの代理人から東京税関に対しまして輸入の差しとめ申し立て等が提出されております。これにつきましては、従来の手続に従いまして、これが商標権の侵害物品であるかどうかということにつきまして特許庁にも御相談をいたしておりまして、最近に至りまして、それにつきましていろいろ検討した結果回答を差し控えたいという旨の文書をいただいたわけでございます。したがいまして、この処理につきまして大蔵省といたしましてもいかにいたそうか考えておりましたところ、十二月九日に至りまして、パーカーの代理人から東京地裁に対しまして民事訴訟法に基づきます仮処分の申請があったようなわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、本件につきましてはただいま仮処分の申請もございました次第でもございますので、このような推移を見守りながら、この輸入申告については慎重に研究してまいりたい、こう考えている次第でございます。
○田中(武)委員 新聞によると、この問題に関して特許庁のほうへ見解を照会したというようなことが出ておりますが、そうですか。
○上林説明員 さようでございます。こういうような関税定率法二十一条の特許権あるいは商標権の侵害というような事実があるかどうかという問題につきましては、私どもも専門家ではございませんので、そういう申し立てがありました場合には特許庁に御相談をして、その結果によって処理するという手続を経ておるものでございます。
○田中(武)委員 この関税定率法二十一条の一項四号に、特許権、商標権などの権利を侵害するものは輸入してはならない、こういう規定がありますが、これによると思うのですが、この特許権あるいは商標権等の侵害であるかないかはどこがきめるのですか、行政的に。最終的には裁判所等がきめると思うのですが、行政解釈としてはどこがきめるのですか。
○上林説明員 法二十一条の運用は、もちろん税関でもって輸入許可をいたす権限を持っておりますので、行政的には所管の税関がこれを輸入許可という形態でもって決定をするわけでございます。ただし、その物品がこの二十一条一項四号に当たるかどうかという判断をいたします場合におきましては、いま申しましたように、第一次的には特許庁とよく御相談をし、その上で処理をする、あるいは裁判手続その他が行なわれましたような場合には、そういうことを判断をいたしまして税関長が決定をする、こういうことになるわけでございます。
○田中(武)委員 したがって、輸入を許可するかどうかの決定は税関長がまず第一線でやる。ところが、その決定をするにあたって特許庁のほうへ参考までに意見を求めた、そういうことですね。
○上林説明員 詰めて考えるとそういうことでございます。(田中(武)委員「詰めて考えなくてもそうだろう。はっきり言えよ」と呼ぶ)そのとおりでございますが、二十一条の運用といたしましては、各行政庁のいろいろな行政形態の運用といたしまして、関係の所轄庁その他に関係がありますときは、そういう意見を求めて、それにマッチいたしますように処理するのが手続かと考えておるわけでございます。
○田中(武)委員 そこで、大蔵省というか税関のほうからそういうことについて照会を受けた特許庁といたしましては、どういう観点に立ってどのような検討を加えましたか。
○荒玉政府委員 十月十七日付で本件に関しまして税関のほうから照会がございました。これに対しましてわれわれの考え方でございますが、一つは、明らかに法律解釈上それはだめだという場合には、慣例といたしましてイエス、ノーの御返事をいたしております。ただし、本件のような場合におきましては、商標権の問題としてきわめてむずかしいケースでございます。それと同時に、先ほど話がありましたが、これは最近でございますが、仮処分の申請というのがございます。あるいは成規にはわれわれのほうでいえば鑑定制度といいますか、商標権の範囲に属するかどうか——こういった具体的な手続が進行しておる段階におきましては、もはや明らかにそれが商標権侵害かどうかという問題でなくなっております。したがいまして、いろいろ内部で検討いたしましたが、そういう場合にはむしろ検討を差し控えて成規な手続で白黒をつけるということが妥当だという判断から、われわれのほうで回答を差し控えたわけでございます。
○田中(武)委員 仮処分が出たので、だから仮処分の決定の結果を待ってやるほうが妥当である、そういうことで特許庁としては別にこれに対する見解は出さなかった、そういうことですか。
○荒玉政府委員 先ほど申しましたように、明らかにそれが法律解釈上あるいは事実認定の上から侵害であるというケース以外は、原則としてやはり回答すべきでないという基本的態度であります。本件はたまたまそういった仮処分という成規な手続という面もございましたので差し控えたのであります。
○田中(武)委員 仮処分が出たから特許庁はそれを待つというだけではいかぬと思う。もちろん法的なことの最終的な決定は裁判所がやると思う。しかし仮処分が出て、かりにそれが断行ですぐに仮処分の決定がなされるならともかく、口頭弁論に持ち込めばこれは相当日時がかかりますね。それまで、現在すでに入港しておるというか陸揚げしておって、それが保税倉庫かどこかにあるのでしょう。それをそのままそこに置いておく、こういうことなんですか。それでいいのですか。これはむしろ税関のほうだろうが……。
○上林説明員 輸入許可前の貨物は関税法上外国貨物のままでございますので、いわゆる保税地域に置いておくということになるわけでございます。
○田中(武)委員 そういうことを言っているのじゃないんだ。もしこの仮処分が口頭弁論ということになれば相当の日時を要する。そうすればそのままそこに置いておくということにするのか、それとも税関長として適当な行政的な措置をとるべきではないのか。説明員だからこれ以上聞きません。説明員に解釈を聞いてもしょうがないから局長とかわってこい。 それでは特許庁長官に伺いますが、一体商標とはどういうものだ。私が調べたところでは、このパーカーの矢羽根じるしといいますか、これは昭和九年に意匠特許として六三三四三号ですか、これで意匠登録をなされた。しかしその後失効しておるのです。そうしてあらためて昭和二十八年に今度商標登録として四二三〇五一号で登録がなされておる。そこで商標法と意匠法と比べたときにここに私は問題が出てくると思うのですが、標章の使用というのは、「商品又は商品の包装に標章を附する行為」すなわち標章の使用は商品に付する行為、商品そのものではない。今度意匠法の第二条を見ますと、「この法律で「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは」云々、物品の形状であります。形であります。したがいまして意匠とは商品そのものである、あるいはそのものの一部である、こう考えてきたときに、すでに意匠登録をしておりながらそれが失効しておる。そしてここに引き続き商標の登録を受けた。これはあくまでも商品に付するものである。したがって万年筆のキャップあるいはクリップというものは商品の一部をなすものである。そういう点からいって、この商標登録は誤りであると思います。そういう点の解釈はどうです。
○荒玉政府委員 田中先生のおっしゃる点、まず第一に商標というのと、それが使用の態様はどういう関係かという問題であります。御承知のように、登録される商標というものは、いわゆる立体そのものでは商標登録を認めていない。わが国の商標におきましてはやはり平面であります。それは平面にあらわしたものを登録の対象にする。これははっきりしております。ただ使用の態様で、つまり商標を使用するという使用行為が平面でなければならないかという点については、これはいろいろ争いのあるところでございますが、一般的に申しますと、それが通常の概念で平面を立体に直すということは、これはもちろん商標の使用の態様では、紙の上に書くだけが商標の使用というわけではないと思います。たとえば石けんあたりで刻印を押して、ある一つの立体感を出す場合もあります。通常の商標の使用の態様の中でやはり立体というものは含まれているということは言えると思います。したがって、登録の対象はもちろん平面でありますが、使用の態様は立体も含んでいるというふうに解釈いたします。ただ、あらゆる立体が商標の使用になるかという点につきましては、非常に争いのあるところであります。先ほど商品に付するといった場合に、どこまでかという点につきましては、非常に争いのあるところでございます。したがいまして、これは私個人的な見解は別といたしまして、そういった非常に法律解釈上争いがあるという問題でございます。 その次は、意匠権と商標権の問題でございますが、意匠は御承知のように、これは旧法の権利でございまして、昭和九年に登録された権利でございますので、十年間で消滅しております。そういった意匠権自身は、これはいわゆる矢羽根の例のクリップの部分だけの意匠権でございますが、この意匠権と切れて商標で出してくるということは、ものによればあり得ることであります。ただ先ほど言いましたように、意匠は立体そのものが権利の対象でございます。商標では立体ではなくて、あくまで登録されたものは平面でございます。したがいまして権利の内容自身が、明らかに意匠権と商標権は違うわけであります。したがいまして切れて商標権を出すということは普通あり得ることでございます。ただ問題は、そういった商標登録が、先ほど言いましたように、どこまで立体化されたものに及ぶかという点は非常に争いのあるところであります。したがいまして、それがはっきり意匠権侵害かどうか申し上げる段階ではないと思います。
○田中(武)委員 商標は、平面である。そういうことは、意匠は立体であるということから、必ずしも平面であるという言い方をぼくはしているのではない。むしろ商品の一部であるのかそうでないのか、これだと思うのです。商標とは、商標法の第二条第一項にその定義がありますね。この文面では、すなわち「文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」云々ですね。これからくる考え方としては平面だと思うのです。しかし私は平面とか立体とか言っているんじゃない。あくまでも商標は商品に付するものである、商品そのものではない、そういうことを言っているのです。したがって商標の使用とは、商品に付する行為である、これは第二条第三項第一号によって明らかですね。意匠のほうはそうではなくて、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」云々です。したがって立体であると同時に商品そのものの一部である、物品そのものを形成するものである。こういう観点からいった場合に、万年筆のキャップ、これは万年筆という商品、物品の一部なんですよ。そういうものが商標の対象になるか。 もう一つは、先に意匠登録を受ける、それが期限が来て失効する、あらためて商標登録を受ける、いままでにも往々あった。たとえば味の素、これは製造の方法が特許であった。それが失効してから今度マークを商標とした、これと私は違うと思うのです。製造の方法を特許したということと、その商標とは違うと思うのです。この場合は同一物を、片や意匠登録を受けて、それが失効した場合、今度はそれを商標として登録するということとは、法の認めた独占権を更新せしめてなお十年存続せしめるということになるのです。その点についてはいかがですか。
○荒玉政府委員 本件につきまして一番焦点はそこだと思います。「附する」といった場合に、これは(万年筆を示す)パーカーでございませんですが、要するにこれはクリップというものは、パーカーの万年筆そのものなんで、「附する」といったら、そういうものではなく、どこか物品そのものでない、別なものだということが本件の場合に一番争点でございます。そこらあたり先ほどから申しましたように、非常に解釈上疑義がある点でございます。したがいまして、そういった非常に一番争いのある点でございますので、一般的に法律解釈としてどうかという問題と、先ほど言いましたように私自身の立場で回答を留保したことでございます。その点については、はっきり申し上げるというほど明らかでないわけでございますので、しかも具体的な事件に直ちに影響を及ぼす解釈でありますので、立場上明確に申し上げられないのは残念でございます。御了承願いたいと思います。
○田中(武)委員 というように、特許庁ではこの問題については法律的に特許庁として明確なる判断ができないということのようですね。 そこで大蔵省なんだが、差しとめの仮処分が決定せられたときにはもちろんその効力を発生しますが、申請が出たからといって仮処分の決定がいつなされるかわからない状況下にあって、それをいつまでもうやむやに置いておくのですか。こういう問題になれば説明員じゃだめなんです。局長を呼んでください。大臣は予算委員会で出られないから、局長を呼んでください。これから先そういうことに対して、行政処分としてその輸入申請を却下するのかどうか、そういう問題に入っていきたいと思いますので、説明員では答弁になりません。それから民事訴訟のことについてもやるから、民事局の民事局長を呼んできてくれ。——仮処分の申請が出たからといって行政事務を停滞さすことは、ぼくは許されぬと思う。そうじゃないですか。三権分立の上に立っても、決定が出れば、それは司法権の強制執行ということはあり得ると思うのですよ。申請が出たからといって、それの結論を待つといって——現に品物は入っておる、輸入申請が出ておる。それを裁判所まかせで待っておるということは許されない。これは税関長を呼んでこなければしかたがないと思います。ならば、東京税関長を、これは参考人でなくて説明員として呼べると思います。呼んでください。
○上林説明員 ただいまおっしゃいましたように……。
○田中(武)委員 だめだよ、君では。説明だけしかできないんだよ。責任ある答弁ができぬのだよ。経過の報告とかそういうことだけなんだ、君のできるのは。商工委員会では、説明員と政府委員ははっきりしておるんだから。説明を求めているんじゃない。これからは行政の判断だ。——局長が出てこられねば、これから先は単なる事実の説明でなくて、行政判断の問題を聞く予定になっておりますので、説明員では答弁になりません。したがって、局長の出席を要求いたします。局長がもし外交的な問題で出てこられないということであるならば、政務次官の出席を要求いたします。あるいはまた他の局長でもけっこうです。大蔵省の政府委員ならよろしい。そのかわり、その人が答弁したことは大蔵省に責任をとらせますから。——それでは、大蔵省側から責任ある答弁のできる人が出席をしておりませんので、この件につきましては保留をいたします。しかるべく早い機会に質疑続行することができるように委員長に御配慮願います。
○島村委員長 承知いたしました。
○田中(武)委員 同時に、こういう委員会に対して、万やむを得ないところの外交的な問題であるかは知りませんが、そのときまで局長が出られなければ、出られないということをなぜ言うてこないのか。きょう要求したことは、きのうの午前中にぼくは言ってあるはずです。それを、委員会が開会せられて、質問に指名してからこういうわけで出られないということは、大蔵省は当委員会を無視した行動だと思います。したがいまして、大蔵省の責任ある者がこの委員会に出席をして、そういうようないきさつについて、ことに委員会を軽視したことについて弁明を求めます。その弁明から次の質問に入ります。それまでは保留をいたします。
○島村委員長 私からもよく注意いたします。
○田中(武)委員 そこで、荒玉君、せっかく特許庁長官が見えておるのですから、若干の質問を特許庁にいたしたいと思うのです。 政府は財政硬直、いろいろ言っておりますが、そういうことで定員を五%削減するとか、一省庁一局を減らすとかこう言っておる。私はそういったような画一的な態度には賛成しかねるわけです。ことに特許庁とか、公正取引委員会とかいったところはもっとふやさなければならぬと私は思うのです。そうでなくても数年間かかってもさばき切れないほどの滞積があるでしょう。そういう定員減の問題に対して、特許庁長官、その仕事をやっていく上においてどう考えておるのか。通産大臣がおりませんが、藤井政務次官に、特許庁等は私は絶対減らすべきではなくてむしろふやすべきである、そういう点について大臣にかわって御答弁を願います。
○荒玉政府委員 いま定員削減という問題につきましては、一律に削減という問題と、行政需要のあるところは伸ばしていく、新規を認めていくというのが並行しておると私は考えております。特許庁自身は後者に該当する。これは先生御承知のように、非常に滞貨がたまっております。四十一年度末、特許、実用新案で五十五万件、そういう滞貨があると同時に、当該年度の出願が実は残念ながら当該年度に処理できないというのがいまの状態であります。四十一年度は特許、実用新案で大体二十一万件の出願でありますが、処理が約十四万件、つまり七万件以上キャリーオーバーした。ことしが約二十万件だろうと思います。処理目標十五万、約五万翌年度に繰り越す。したがって、われわれ制度改正で何とかしてこの難局を打開しようと思いますが、とりあえずとしては、やはりある程度人員増ということを大々的に考えていかなければならない、かように私考えておりまして、先ほど申しました定員削減自身は、新規のものはやはり行政需要の旺盛なところはつけていくという前提があくまであるというふうに私は理解しております。そういう前提と信じております。したがいまして、大臣にも政務次官にもその間の事情はよく御了解願っておるつもりであります。私としてもやはり人員はふやしていただきたいと強く熱望しておる次第でございます。
○藤井政府委員 ただいま田中委員から特許行政に対する深き御理解の御発言がございました。私も実はごく最近に事務内容について説明を聞いたわけでございますが、全く田中委員のお説と私も同感でございました。ぜひこの際、たいへん滞貨のある特許行政に対しては人員をふやすべきであるという結論で大蔵省と予算折衝をいたしたい、特に技官の制度、横の連絡、そういったことで新しい制度のもとに人員の要求もいたしたい、このように考えております。 もう一つ私は指導願いたいと思うのでありますが、特許庁自体の仕事の運び方も検討すべきではないか。やはり日々新たに行なわれる経済行為に対する重大な権利義務でございますから、これが適切にさばけるように、特許庁の内部において交通整理をする必要がある。このような感じを持っております。こういう問題についてひとつ一そうの御指導御鞭撻をお願いいたしたい、このように思います。
○田中(武)委員 次官、長官からいろいろと御答弁いただきました。そうでなくてはならないと私も思いますが、特許の滞積、これの処理ということは大きな問題だと思います。そこで、そのために法改正等も考えられているかに聞いております。私は、法改正をするだけが滞積を整理し処理していく道ではないと思う。やはり有能な審査官を多く持つことと、そうしてこれがもっと能率的に仕事を進めていくことだと思います。したがいまして、この件については次官、長官ともに私の質問に対して賛成の、肯定の答弁をせられたのですから、これ以上私は申しませんが、絶対に特許庁の人員については減らさない、むしろ他に減らした分を含めてもっと増員するのだ、そういう通産省内部の気がまえと体制で行っていただきたい、このことを要望しておきまして、北ベトナムの万年筆輸入の件につきましては、先ほど来申し上げておるような事情によって、本日は残余の質問を保留いたしまして、質問を中止いたします。
○島村委員長 中谷鉄也君。
○中谷委員 三つお尋ねをいたしたいと思います。一つは、いわゆる兵器プラント輸出に関する問題、この問題は、今国会がいわゆる沖繩国会というふうな名前で呼ばれている観点から、はたして兵器プラントというものがどのような限界と範囲において許容されるべきかどうかという点にしぼって、ひとつ疑問点を提起いたしたいと思います。 いま一つは、ある新聞に「役立たない国の免状」「電気主任技術者」「私は訴える」という、読者と記者が共同追跡をするというふうな記事の特集が出ておりましたが、その電気主任技術者の処遇の問題についてお尋ねをいたしたい。 いま一つは、沖繩の貿易の問題についてごく簡単にお尋ねをする、こういうことであります。 そこで、私の本日の質問は兵器プラントの問題が中心になりますが、武器課長がまだ見えてないようで、公益事業局長さんがおいでになっておりますので、公益事業局長さんに電気主任技術者の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 私が問題にいたしたいのは次のようなことであります。斉藤という三種の電気主任技術者の免状を取得した人、その人が、旅館につとめておったけれども、旅館を退職して、通称申し上げますならば、いわゆる電気保安の町医者になりたいということで開業準備をしておった。ところが、その準備をしたけれども、自分の考えておったところの生活設計というものが成り立たなかった、いわゆる年齢が若過ぎるというふうなことで専業者として許されなかった、こういうふうな記事が特集されているわけです。したがいまして、私はまず最初にお尋ねをいたしたいのは、電気主任技術者の関係において、電気設備等による最近の事故の発生状況というのは一体どういうことになっているのだろうか、この点をひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
○井上(亮)政府委員 最近の電気の事故につきましては、概要を数字で申し上げますが、ただいまお話がありましたような自家用工作物の保安の面から事故を起こしているようなもの、それがまた全体の停電に波及するというような波及事故まで広くとらえまして見ますと、昭和四十年度では三千三百件、四十一年度では二千八百件全国でございます。なお、さらに家庭等におきまして感電する事故、これにつきましては、全体として大体四十年度、四十一年度ともに千件を少しこしておるというような実情でございます。
○中谷委員 そのような実情の中において、いわゆる一種、二種、三種というようなのがございますけれども、この三種の電気主任技術者の免状を取得した斉藤という三十幾つの人は、電気事業法にいうところの工場、会社など、一定の電気設備を持つ事業所に雇用されて、そうして電気主任技術者としてのそういう業務の遂行はすることができる。ただ、その斉藤という人が考えておったのは、雇われてそういうようなことをするのではなしに、いわゆる専業者といいますか、この新聞はわかりやすく電気の開業医というようなことばを使ったり、あるいは電気の町医者というようなことばを使ったり、あるいは代理業ですか、そういうことをしたいというふうにこの斉藤さんは考えておったらしい。 そこで、問題の争点をしぼりますけれども、こういう三種の免許を持ちながら、そのような専業者あるいは新聞がいうておるところの代理業あるいは電気の町医者、このようなものができない、許されないという、あるいは許す許さないというところの法的な根拠は一体何なのか、この点をお答えいただきたいと思います。
○井上(亮)政府委員 ただいま御指摘のありました電気の主任技術者の制度は、先生も御承知のように、電気事業法の七十二条で、自家用工作物を設置いたします者は、やはり保安を強化するために、試験を受けました主任技術者を選任しなければならないということが法的に義務づけられておるわけでございます。その場合に、通産省令で定めるところにより選任しなければならないということに相なっております。ところで、通産省令におきましては、さらに実情によりまして——御承知のように、自家用工作物を持っておるものは全国に無数にございます。したがいまして、この法律の規定は非常にシビアなことを要求しておりまして、通産省令で定めるところによりとは書いてありますけれども、必ず主任技術者を置かなければいかぬということでございます。ところが大企業、中小企業程度でございますと、この自家用工作物を使います事業者は、主任技術者を置くだけの経営的なあるいは経済的な力を持っておるわけでございますが、きわめて零細な企業等におきましては、なかなか電気の主任技術者を雇い入れて選任するということが困難な場合が多いわけでございます。そういう実態を踏まえまして、この通産省令では、通産局長が認めます場合には置かないことができる、つまり雇い入れなくてもいい。しかし、雇い入れなくてもいいけれども、やはり消費者といいますか、あるいは周辺の住民のために保安は強化しなければいけませんので、便法としまして、保安協会——保安協会と申しますものは、各九電力がいろいろ技術上の基準を守りますために検査をするわけですが、その指定機関になっております保安協会か、あるいは保安協会でなくても通産局長が認めます場合には、かけ持ちでもいい、つまり選任しなくてもいい、特別に認めましたものについては中小企業はかけ持ちでも認めてもよろしいというように、法律では非常にシビアな要件を課してございますが、実態面からやや弾力的な運用を認めているわけでございます。したがいまして、その場合に、保安協会に入っておる主任技術者は問題はありませんけれども、保安協会にも所属しない、いわゆる個人でフリーな立場で何社かをかけ持って、当該自家用工作物を持っておられる中小企業等の保安を見てあげるというようなものが、いわゆる先生ただいま御指摘の斉藤さんのような方、つまりこれは通称専業者と称しておりますが、そういう存在を法律では一応許しておるわけでございます。 ところで、ただいま斉藤さんのお話が出ましたが、私ども、新聞に出ました当時、その事情を調査したわけでございますが、斉藤さん非常にお気の毒だと私は個人的には思います。ただしかし、斉藤さん自身ちょっと誤解をしておられたきらいがあるのではないか。と申しますのは、電気の主任技術者の資格試験に合格された、つまり免状をもらわれた。免状をもらわれればすぐに自家用工作物の、法律でいっております主任技術者の業務に携われるというふうに誤解されたわけでございまして、これは一般の方がそういう誤解をされるのも私は一面において無理はないと思います。こういうこまかいいろいろな法律事項でございますから、無理はないと思いますが、ただ、私どもはあくまでも、法律的に申しますと、主任技術者の資格試験に合格されて免状を持たれた方は、これはやはり資格試験でございまして、資格試験に合格された方が必ずその業務に従事できなければならないとは考えておりません。あくまでも資格試験でございます。法が要求している本来の趣旨からいたしますと、自家用電気工作物を持っているような企業におきましては、やはりそういうかけ持ちでなくて、雇い入れて常時保安の業務に携わってもらうことが必要だ。これは法で要求していますが、先ほど申しましたように、そういう無数の零細企業者も自家用工作物を持っているというような実態から、便法として認めた。その場合に、特にかけ持ちというようなことになりますと、相当豊富な知識、経験が必要ではないかというような意味合いから、通産省令におきまして、さらにこまかい選任規定で、通産局長に委任をしております。その考え方は、やはり相当な経験年数を必要とするというような考え方をとっておるわけでございます。斉藤さんが不幸にしてその選任基準に入れなかったというのが実情でございます。
○中谷委員 医師の試験に合格したというならば、これは医師の資格試験でございますね。その医師が病院へつとめるか、あるいは開業医になるかというようなことについては、これは医師自身の自由な選択にまかされていると思うのです。だから、いま局長がおっしゃった、資格試験であるから、それはあくまで資格試験であって、イコール専業者になれないということはやむを得ないことについては、私なかなか納得ができない。そうだとしたしますと、いわゆる専業者たり得る資格というものについては、専業者としての業をなし得る基準というか、それは一体どういうことに相なっているのか。高度な知識経験というふうな非常に自由裁量の幅の広いようなものではなしに、明確にひとつこの機会にお答えをいただけなければ、斉藤さんのみならず、三種の電気主任技術者の免状を持った人なども非常に不安でしかたがないだろうと思う。この点はいかがでしょうか。
○井上(亮)政府委員 主任技術者の問題につきましては、本則は、あくまでも自家用電気工作物を持っておられます企業がそれだけの資格のある方を雇い入れておるということがまず必要であるというふうに基本的には私ども考えております。したがいまして、資格試験を受けられた方々も、いまこの試験に合格された方は非常に就職率がいいわけでございまして、欲しておる企業が非常に多いわけでございますが、自由営業的にではなしに、まず本則としては、やはりできるだけその企業の中に雇用されて、そして企業で働いていただく、これが私ども電気保安の監督という面からいたしますと、もっともっと期待し、希望するところでございます。 しかし、だからといって、先ほどのような事情もございますから、どうしても中小企業で雇い入れられないというような場合には、やはり便法として、免状を持った方を雇い入れることができませんから、何らかの形で保安面の監督をしてもらうということが必要になってくる。そこで、保安面の監督ということになりますと、ただ試験に合格したというだけではなしに、やはり相当の、十数年程度にわたる実地の経験を持っておる方、それから同時に、企業主に対して保安上のアドバイスもしなければならない、あるいは施設が悪ければ、施設に対する改良、改善の指示と申しますか、そういうようなこともしなければならないというような立場にある方でございますから、やはり単なる試験に合格しただけではなしに、経験を要求したいというふうに考えるわけでございます。ただ、この試験につきましては、先生も御承知のように、また新聞等でも言っておりますように、いま若干問題がございますけれども、いずれにしましても、基本的には試験に合格したことと、それに加うるに相当の経験を必要とするというふうに考えております。
○中谷委員 局長が御答弁になっておられる、いわゆる電気主任技術者を各企業ごとに雇い入れるというのが本則であり原則だということ、そうして、いわゆる専業者というのは便法として認められているんだという考え方はわかりました。ただ、しかし、片一方に専業者という人がいる、そして問題は、専業者になりたくてなれないという人がいるという点が問題のポイントだと思うのです。 そこで、そういう資格を持っておって、プラスアルファ経験だというふうにおっしゃるけれども、相当な経験というふうなことで、いわゆる認める認めないというふうなことであるとするならば——各所轄通商産業局長の権限に属することだというふうに聞いておりますけれども、相当な経験というふうなことだとすると非常にあいまいだと思うのです。具体的には、内規の上では、書類に書かれたものの中ではどういう場合には専業者として認めるんだということになっておるのですか。その点をひとつ明確にしていただけませんか。
○井上(亮)政府委員 専業者につきましては、各通産局長が管下の自家用工作物の主任技術者を雇い入れることのできない企業の実態、あるいは管下の自家用工作物を持っておられます企業主の多数の方の希望というようなものを聞きまして、各通産局別にこの考え方、基準をとっております。 この点はあとで私は申し上げますけれども、全国的にもう一ぺん再検討する必要があると私は思っておりますけれども、現状におきましては、たとえば東京通産局におきましては、相当の高度の経験というようなことから五十五歳以上というような取りきめをしております。それからなお、大阪通産局、名古屋通産局あたりでは経験年数十五年程度というようなきめ方をしておる局もございます。東京につきましては、先生ただいまお持ちになっておられます新聞にも五十五歳以上が必要じゃないかというような御意見もございます。私も、新聞でそういう意見が出ましたときに実情をつぶさに調査いたしました。しかし、東京通産局におきましては、他の通産局と違いまして、やはり特殊な事情があったということもございます。特殊の事情というのは、実は、詐欺事件等がありまして、そういったことがあったために、やはり相当人格識見円満な者でなければ、なかなか自家用工作物のいわゆるかけ持ち——雇い入れじゃないですよ、かけ持ちで主任技術者をしていただくというようなことはできない。それには人格識見のほかにやはり高度の経験が必要だ。相当慎重な態度でそういう資格要件をきめたという経緯があったと思います。 他の通産局におきましては、経験の年数は先ほど言いましたような程度でございまして、通産局別に若干運用が違っておる実態でございます。
○中谷委員 冒頭に申し上げましたように、兵器プラントの輸出の問題が本日の質問の中心ですから、あまり詳しくはこの問題をお聞きしませんけれども、少なくとも私が聞いたところでは、電気主任技術者の免状というのは、独学をして、そしてそういう免状をもらうという、独学者の人たちの明るい生活といいますか、そういうものを求めていく一つの大きな希望だというふうに聞いているのです。 そこで、局長のほうから御答弁はすでにありましたけれども、まず問題になるのは、先ほどからの局長の御答弁によりますと、とにかく名古屋と東京だけでも、かりに二十で免状をとった人だと、名古屋の場合はもう三十幾つで専業者になれるが、東京の場合は五十五歳にならなければなれないというようなことは、それ自体も非常に不公平であるし、人権擁護局長さんにおいでいただいておりますけれども、いうてみれば、職業選択の自由というふうなものに対する侵害の疑いも出てくると私は思うのです。 したがいまして、これは、いつまでにそういう統一的な、全国的な、少なくとも地域的に不公平の生じないような専業者の認可の基準というものをお設けになるか。特に私自身が申し上げたいのは、東京通商産業局の中においていわゆる詐欺事件があったというふうなことが、一生懸命に免状をとった人の専業者たることをはばむ要因になるというふうなことは、これは私は全くうなずけない、あるいはまた、説得するに足らない理由で、要するに合理的な説明にはならないと思うのですが、いかがでございましょうか。二つをお答えいただきたいと思います。
○井上(亮)政府委員 御指摘のように、私も本件についていろいろ事情を調べまして、確かにそれぞれの事情はあったかと思いますけれども、しかし、結論的に考えまして、あるいは常識的にも考えまして、五十五歳以上でなければならないという年齢制限ということは、必ずしも穏当ではないと今日の段階では思います。やはりあくまでも経験年数、これを主体に考うべきではないかというふうに今日では私は考えております。 ただ、先ほど言いましたように、何ぶんにも経営意欲の非常に強い中小企業の事業主に対して、やはり対等あるいはそれ以上の監督の立場で電気諸般についてものを言わなければならないというようなことになりますと、あまりまだ独身である、非常に若い人だというようなことでもなかなか保安の責任を負っていただくことがむずかしいのじゃないかというふうに思います。しかし、若くても経験を積んだ方であれば、やはり自信を持っていっていただけるということもあろうと思いますので、年齢で資格を制限するというような方法についてはこの際早急に改めたい、あくまでも経験年数で、まあ妥当なる経験年数というようなことで、しかも各地ばらばらでない形で全国統一的に一つの考え方、基準を作成しまして実施してまいりたい。時期といたしましては、先般来私どもこの問題について、私ただいま答弁いたしましたような方向で検討いたしておりますので、明春早々にでも実施に移るようにいたしたいというふうに考えます。
○中谷委員 質問を詰めていきますが、要するに、そうすると、もう一度お聞きしますけれども、そうであれば、経験年数ということが認可の基準になっているというそのことは、一体どこにそういう規定が明記されているのでございますか。根拠は何でございますか。
○井上(亮)政府委員 通産局長が適当と認めたる者というようなばくたることになっておりますが、そういうことで、私ども社会常識に照らしまして、特に電気の保安を見ていただく技術者、監督していただく方というような立場で適当と認める者ということの中で判断してまいりたいというふうに考えております。
○中谷委員 そこで、いわゆる経験年数ということを盛んにおっしゃいますけれども、だらだらと、とにかく長い間生活をしておって、その期間何か従事しておったからといって経験による実技ができるとは限らない。また、とにかく激動していく中小企業の経営というものをつぶさに見るときは、昔のような大福帳的な経営感覚というのが通用しないということも実態だと思うのです。そういう中で、私先ほどから申しますけれども、適当と認める者というふうな規定のしかたというのは、はなはだしく自由裁量の幅が広い。要するに、そのことが現実に東京と名古屋あるいは大阪でいろいろたいへんな——おそらく局長さんもこの問題が提起されて初めてこういう実態をお知りになったというふうな実情であったと思う。要するに、各地方の局長の権限の幅が大き過ぎる。そのことは、適当と認める者というふうな白紙的な規定、このことが問題だと思う。職業選択というのは、その職業につきたいという者にとってはたいへんなことなんですから、さらにこれは明確な認可の基準というのを設けるべきだと思うのです。 そういたしますと、先ほど中小企業の保安の指導をしなければいかぬ、あるいは中小企業の経営者に対する説得力を持たなければならないという意味のことをおっしゃった、さらに経験実務ということをおっしゃったと思う。しかし、そういうようなことを統一的に、適当と認めるという内容はこんなことなんだ、これをさらに明確に法定、明記するということでなければ、職業を選ぼうとする者にとっては浮かばれないということだと私は思うのです。要するに、ちょっと言い過ぎのことばを申しますけれども、各局長さんのさじかげんで、ある者は許され、ある者は許されないというようなことじゃ、技術者にとっては浮かばれないことだと思う。この点について明確な基準というものを法定されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○井上(亮)政府委員 率直にお答えいたしまして、全体として御趣旨としては私は賛成でございます。ただ、法定の件だけは私は必ずしも適当でない。その理由といたしましては、法律では、特に現行法におきましては、雇い入れなければならないということを本則にいたしておりまして、私は、今後とも相当程度の大きな容量を持つ電気工作物を持っておるものにつきましては雇い入れていただくということがあくまでも本則でありまして、あまり例外の幅を大きくしたくない先ほど冒頭に先生から事故の状況等の御質問もありましたが、そういった点を勘案いたしましても、あくまでも保安の意味では峻厳な立場で臨みたいというふうに思いますので、法律はきつい条文になっておりますが、これは私は変えたくない。ただ、法律でも「通商産業省令で定める」ということになっておりますので、その省令以下の運用におきましては、先生おっしゃいましたように、あいまいな、ただ適当と認める者というふうなことでない形で、もう少し明確な基準をつくりまして、世間に誤解を受けないような形で善処いたしたいというふうに考えております。
○中谷委員 ちょっと私のほうの質問の表現が不適当であったと思うし、また、したがって局長さんの御答弁は私のお尋ねしたところの趣旨と若干違います。私が法定と申しましたのは、法律でどうこうしろという趣旨で申し上げたのではないのです。また、専業者の幅を広げてくれということを申し上げておるのではないのです。ある地域の人は専業者になれるのに片一方の地域の人はなれないとかいうようなことはおかしいではないか、だから、その認可の基準を明確にすべきだ、それが内規であれ何であれ、そういうことが免状を取得しようとする人にわかるようなかっこうにしておいてあげなければいけない、こういう趣旨で申し上げた。 そこで、その認可の内容として、経験年数としてはどの程度が三種の方は適当だ、明春そういうような統一的な基準をおきめになるそうですか、経験年数についてはどの程度が適当だというふうにお考えになりますか。
○井上(亮)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたような御趣旨でしたら、私これからこの制度を改めようと思っております趣旨と全く同じ考え方でございます。先生のただいまおっしゃいましたような御趣旨で私は考えてまいりたいというふうに考えておりますが、経験年数の問題は、まだ、部内でいろいろ縦から横から検討いたしておりますので、はっきりきめておりません。ただ、私個人の意見としましては、実態面を見まして、十五年程度の経験年数といいますか、中小企業の保安面における指導者というような形になりますので、その程度の年数は必要ではないかというふうに、これはまだ通産省内で議論したわけではございませんけれども、これは私個人が、いま少なくともその程度のことは必要ではあるまいか、本来なら、若い人は就職の機会がたくさんございますし、そういう主任技術者をいま各企業は求めているわけですから、むしろ率先就職してやっていただくのが一番いいのですけれども、就職がいろいろな事情でできない、しかし、何か免状を利用して役に立ちたいといわれる方につきましても、その程度のことは必要ではないかというふうに考えております。
○中谷委員 よくわかりました。ただ、この特集記事の見出しは「五十五歳まで開業ダメ」と書いてある。これはだれが考えてもおかしいと思うのです。五十五といえば、いわゆる地方公務員などの定年、というのはございませんけれども、とにかく五十五とか五十六とか大体内規のある年齢でございますね。民間の会社は大体五十五というのが定年だと聞いております。要するに、専業者というのは、局長さんいろいろな御説明をされるけれども、五十五までだめだということになれば、要するに、五十五まではとにかく会社へつとめていなさい、定年でやめた人が隠居仕事としてやりなさい、むしろ便法として認めているでは、私はそういうことはかえって問題が出てくると思う。だから私は、少なくとも東京の通産局に限っては、明春を待たずして、局長さんのほうから五十五なんというのは少しおかしいぞということで措置をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○井上(亮)政府委員 できるだけ御趣旨に沿って努力いたします。
○中谷委員 沖繩の問題を質問するということで、電気技術者の問題ばかりやると時間がありませんので、できるだけというようなことでなしに、じゃすぐそういうことの指導をしましょうという御答弁をいただきたかったのですが、やむを得ません。 そこで、人権擁護局長さんに御出席をいただきましたが、一つだけお尋ねをいたします。 この問題の中で、結局この斉藤という人は日本弁護士連合会、日弁連のほうへ調査の依頼に参りました。その前に東京法務局の人権擁護部へこの問題を相談に行った。ところが、人権擁護部ではあまり適切な、もっと極端に申せば、親切な指導はしてくれなかったような印象をこの斉藤さんは受けているらしい。 そこで、一つだけお伺いしておきますけれども、東京法務局人権擁護部としては、この問題を通産省へお問い合わせになるというふうな措置をおとりになったかどうか。職業選択の自由ということで、五十五でなければだめだというようなことがいいとか悪いとかというようなことについては、本日人権擁護局長さんにお尋ねをすべきでないかどうか私非常に迷っているのです。 もう一つお尋ねいたしますが、こういうふうに五十五までだめだ、しかも、いわゆる通産局の問題になってまいりますけれども、適当と認めた者というふうなことで、そのような仕事をしたいという人のどこを基準にして、どういうふうに自分が資格を取得できるのかどうか、そういう地位につけるのかどうかということがあいまいだということについては、その人の生活設計そのものをめちゃくちゃにしてしまうというような問題も生じてくるのではないか。ひいてはそれが人権侵害というような問題になってくるのじゃないかというような感じもいたします。 そういうふうな問題を二つ、できましたらお答えいただきたいと思います。
○堀内説明員 まず第一点の東京法務局の処理についてお答えいたしますが、今年の六月二十一日に斉藤さんという方が東京法務局に相談のために来局されたことがございます。結局東京法務局では、問題が相当むずかしいので、にわかに人権を侵害されているとまでは扱いませんで、相談事件として扱いました。そして、御質問のように通産省に問い合わせをするというようなことをいたしませんで、行政訴訟を起こすためには、まず通商産業局に承認申請をして、それを拒絶された場合には、それに対して行政訴訟ができるだろう、こういうように訴訟の方法を助言したという形で事件を終わっております。そこで、東京通産局に問い合わせをして詳細に検討して、もっと適切な回答ができ得たであろうということも考えられまして、その点若干遺憾の点がございます。 また第二点は、東京地方で五十五歳という年齢で制限されておるのが適当かという問題でありますが、その点につきましては、すでに通産省のほうの井上局長さんからも先ほどお答えがあったようで、すでに若干御検討を考えておられるということで、それでおわかりのように、私どもも五十五歳を適当とは考えておりません。相当に人権上も疑問がある、こういうふうに考えております。
○中谷委員 公益事業局長さんと人権擁護局長さんに対する質問はこれで終わります。 次に、総理府の方にお待ちいただいておるのですけれども、兵器プラントの輸出の問題についてお尋ねをいたします。 政務次官に一応確認をしておきたいと思いますが、いわゆる武器輸出の問題については、本年の特別国会において予算委員会あるいは当商工委員会において論議をされました。七月十九日の商工委員会の通産大臣の答弁は次のようになっています。これが通産省としては統一的な見解なんだということで御答弁をいただいたと思うのです。いま一度、この答弁とこの方針に通産省としては間違いがないかどうか、この点を最初に私確認をいたしたいと思います。「日本の武器産業は防衛庁需要に対応することを基本としており、今後においてもその方針を変更する考えはありません。したがって、武器の製造設備も、防衛庁需要に対応して整備していく方針であり、特に輸出のために設備を新増設することを認めようという考えはありません。」「わが国からの武器の輸出によって国際紛争などを助長することは厳に避けなければならないので、ケース・バイ・ケースに慎重に処理しますが、軍隊が使用して直接戦闘の用に供せられる武器の輸出については、三原則——これはこの前申し上げたとおり、共産圏あるいは国連が決議した国、あるいは紛争当事国あるいは紛争同調国、その三原則に抵触する場合は、原則として輸出をしないことにしております。」途中中略をいたしましたが、こういうふうな通産省の統一見解は現在も変わりがないと私は思いまするけれども、簡単にお答えをいただきたい。
○藤井政府委員 ただいまの御指摘の点、現在も通産省の方針としては変わっておりません。
○中谷委員 次に、事実関係の確認だけをいたしておきたいと思います。 政務次官に何べんもお尋ねして恐縮ですが、フィリピンがいわゆる紛争同調国であるということについては、これは認めざるを得ない事実だと思いますが、たとえば、昭和四十年五月七日にベトナムに工作部隊として二千人行った。さらに増派されておるかもわかりませんけれども、そういうようなことについてはいかがでございましょうか。
○藤井政府委員 フィリピンが紛争の直接の当事国でないことは申し上げるまでもございませんけれども、そのような国にフィリピンが関係をしておるということは御説のとおりだと思います。
○中谷委員 そこで事実関係に入ってまいりますが、この問題については、本国会においては決算委員会で華山委員がすでにお尋ねをしておりますが、私、もう少し掘り下げてみたいと思います。 武器課長にお尋ねをいたします。明確にしておきたい点が一つありますが、弾薬というのは一体何かという点をお答えいただきたい。
○加藤(博)説明員 ちょっと御質問の要旨がわかりませんが、要するに、範囲はどこまでかという御質問ですか。
○中谷委員 弾薬の定義をしていただきたいということです。
○加藤(博)説明員 簡単に申しますと、どう申し上げたらいいかわかりませんが、弾丸とそれを飛ばす火薬を含んでおるものが弾薬であろうかと思っておりますが、御質問のポイントがわかりませんので……。大きさとか、そういう意味ではないわけですね。
○中谷委員 弾薬とは何かと聞いているのです。
○加藤(博)説明員 それは飛ぶたまと、それを飛ばすための火薬を一体としたものでございます。そう考えております。
○中谷委員 そういう御答弁でよろしいですか。
○加藤(博)説明員 はい。
○中谷委員 外務省の賠償課長さんにお尋ねをいたします。日比賠償協定の附属書の中に弾薬工場ということばが出ておりますね。弾薬工場というのは一体何でございますか。
○武藤説明員 賠償協定に出ております弾薬工場と申しますのは、普通われわれが考えておりますたまのことで処理されておると思います。
○中谷委員 たまというのは何ですか。この点が争点なんですよ。
○武藤説明員 小銃あるいは機関銃あるいは大砲その他の兵器を用いて発射されるものと考えていただいたらよろしいかと思います。
○中谷委員 武器課長さんにいま一度お尋ねをいたします。これは賠償協定の中でさらに明確な掘り下げた論議がさるべきものであったと私は思いますが、この賠償協定の中に規定されている弾薬とは何か。賠償課長はたまだとおっしゃった。じゃ賠償課長さんに先にお尋ねしますが、賠償協定のいわゆる対象としている——14でこざいましたね、対象としているその弾薬工場のたまというのは、どんなものまで含むということでこの協定ができたのか。いかがですか。
○武藤説明員 この賠償協定ができましたのは、先生御存じのように約十年前のことでございますが、そのときに附属書に載せましたプラントはフィリピン側としてこういう種類のものを賠償で供与してもらいたいんだという、いわゆるショッピングリストというふうに考えられると思いますが、それで、その賠償協定をやりましたときには、それぞれの具体的な内容につきましてはあまり深い議論はなされていない。しかし、実際にこれを供与いたします段階、すなわち実施計画の作成の段階でこまかい議論——いかなる仕様のものである、どういう目的に使うかということは論議されたということになると思います。
○中谷委員 答弁になっていないと思うのです。 賠償協定は持っていますね。賠償協定の附属書のIVの「工業開発諸計画」の14に「弾薬工場」とございますね。そうすると、この場合に、その賠償協定の中で日比の合意は、弾薬という中で、結局銃弾、砲弾、いろんなものがございますね、そういうふうなものを全部この弾薬工場というものは含んでいるという合意——あなたは先ほどたまだ、発射されるものだと言って、銃弾だというような限定をされなかったですね。——していませんね。そうすると、その賠償協定の弾薬工場というのは、そういうふうな砲弾までも含むものとしてそのような協定ができている、そういうことでよろしいのですか。
○武藤説明員 賠償協定自体では具体的な企画その他まではまだ進めてはいないということでございまして、いわゆる実施計画、毎年供与する場合の実施計画というものがきまるわけでございます。その実施計画作成の段階でそれぞれこまかい内容をきめた、また、その実施計画作成の段階におきまして銃弾だということがはっきりしたということでございます。
○中谷委員 そうすると、日比賠償協定における弾薬工場のその弾薬というのは、銃弾に限る、銃弾に限定をされるんだ、砲弾というふうなものは含まないんだ、そういう前提で賠償協定が結ばれているんだ、当然そういうような答弁がなければおかしいと思うのだけれども、そういうことですか。まず銃弾ですか。銃弾以上のものは含まぬということなのかどうか。質問の重大さはわかりますね。
○武藤説明員 賠償協定ができましたときには、くどく申し上げるようでございますが、そういうこまかい点まできめていなかった。それで、実施計画作成の段階において、日本側として出せるのは銃弾であり、かつ、これが警察用に使われるものであるという了解のもとに認めたということになっておるわけでございます。
○中谷委員 課長、それを銃弾であり、警察用とおっしゃいましたね。警察用に使われるとして実施計画の中で認めたというのは、これはいつのことでございますか。
○武藤説明員 昭和三十九年の四月でございます。
○中谷委員 武器課長にお尋ねをいたしますが、今度新聞に報道されている二つのプラント、兵器プラントとされておるものがございますね。一つは、金属加工設備及び付帯品、西華産業株式会社、認証年月日 四十年十一月二十日、承認年月日 四十一年十一月二十九日、金額が十六億四千八百万円幾ら、それから火薬製造設備、輸出者は三井物産株式会社、認証年月日 四十二年一月二十一日、承認年月日 四十二年十月五日、金額が三億七千万円余ですね。この二つは、日比賠償協定にいう何になるかをまずお尋ねをしなければいけませんが、その前に、最初に申し上げました金属加工設備、付帯品ということになっておる西華産業株式会社のこのプラントというのは、一体何を製造するものなのですか。
○加藤(博)説明員 金属加工機械などは、たま並びに薬きょうと申します火薬を入れる金属の筒がございますが、あれをつくるものでございます。
○中谷委員 そのたまというのは、結局どんなふうに——さらに詳しくお答えをいただきたいと思いますけれども、大きさとか口径とかというようなことで御説明いただけるし、また銃の種類等からの規定のしかたもあると思うのですけれども、さらにその点詳しく御答弁をいただきたい、製造能力も含めて。
○加藤(博)説明員 これは省内の担当は直接私ではございませんけれども、御指名がございましたので、専門的なところについてお答えをいたします。 これでつくりますたまの大きさは〇・三〇インチでございますから、メートルに直しまして七ミリ半ぐらいのものと、それから〇・四五インチのピストル用のものであります。要造能力は全部で千五百万発となっております。
○中谷委員 そのプラントは、結局いま武器課長のおっしゃった大きさのたま、銃弾以外にはつくれないのですか。それとも、部品の変更等によってさらに口径の大きなものを製造することは可能ですか。
○加藤(博)説明員 世界じょうのと申しますか、ライフルのたまで申しますと、〇・三インチの次は〇・五インチというたまが世界にございます。これはフィリピンや何かで使っておるとかなんとかということではございませんけれども、そういうものがございます。ピストルは、いま申し上げましたように〇・四五インチというものがございますけれども、そういう観点から見ますと、この製造プラントの大きさといいますか、プレスなどの力の強さなどから申しますと、この〇・三インチのたまをつくるのが、大きさからいきますと限度一ぱいであります。ただ、〇・三インチの中でどんなのができるかということになりますと、これはものによっていろいろあろうかと思いますので私はわかりませんが、一般的に申し上げますと、機械のもの自体が非常に専用性の高いものになっておりますので、機械の全部ということはないと思いますが、一部を取りかえなければならないという事態も起こると思いますし、もちろんそれをつくるための治工具というものも全面的に入れかえなければいけません。そういうものだと思います。
○中谷委員 もう一度賠償課長さんにお尋ねいたしますが、いま私が読み上げました火薬製造設備、三井物産株式会社が輸出するものは、これはやはり日比賠償協定に基づく賠償としてのものでございますね。 そこで、これは一体賠償協定の附属書の第何になるわけですか。第何番目になるわけですか。附属書の何番の何になるわけですか。
○武藤説明員 賠償協定の附属書の関係では14号の弾薬工場の中のプラントというふうに考えております。
○中谷委員 それじゃ、武器課長さんにお尋ねをいたしますが、この火薬製造設備というのはどんな火薬をつくるのでございますか。
○加藤(博)説明員 実は、火薬のほうは化学工業局のほうが担当いたしておりまして、ちょっと詳細に火薬の内容についてはわかりかねますが……。
○大塚(茂)説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。 三井物産からの申請書によりますと、火薬の種類はシングルタイプとダブルタイプでございまして、両方とも小銃弾用の火薬ということになっております。
○中谷委員 小銃弾用の火薬というのは、火薬類取締法にいう場合はどんなものになるわけですか。
○加藤(博)説明員 ちょっと専門的なことになりますので、担当の化学工業局からでないとわかりかねます。申しわけございません。
○中谷委員 そういう質問をしますよということは昨日から申し上げていたはずなんですよね。プラントの内容とする性能についてはお尋ねしますよと申し上げておった。要するに、火薬類取締法の第二条の一の火薬だということなんでございましょう。
○加藤(博)説明員 ただいまのは取り調べまして至急お答えするようにいたしますが、その点はどうかよろしくお願いいたします。
○中谷委員 兵器プラントの問題で、この問題を中心にお尋ねしますよということを言っているのですからね。課長さん二人おいでいただいているのですから、もう少ししっかりした……。 そこで、じゃ別のことを政務次官にお尋ねいたします。 決算委員会で、私、決算委員会における会議録はもうすでに印刷のほうに回っておりまして、記録部で拝見ができなかったのですが、新聞の報道によりますと、通産省の説明によりますと、要するに、本件については、治安用に使うということを確認して輸出を承認するに至った、こういうふうな報道がなされているわけです。たとえば、ここに私新聞を持ってまいりましたけれども、治安用と確認し承認ということに相なっておると思いますが、そういうことで理解してよろしいでしょうか。
○藤井政府委員 お話のとおり、警察関係の使用ということを確認してこれが輸出の承認をした、こういうふうに私も聞き及んでおります。
○中谷委員 賠償課長さんにお尋ねをいたしますが、そうすると、警察用というか、警察に限って使うということでこのプラントは輸出を承認したということなんですけれども、警察用なんですか、治安用なんですか、どちらですか。
○武藤説明員 フィリピンの警察と申しますのは警察軍と言っておりまして、一万二千ぐらいの警察力でございますが、これは日本の場合の警察とは異なりまして、国内治安の維持及び密輸の取り締まりをやっております。したがいまして、その警察が国内の治安の維持及び密輸の取り締まりのために使うたまということで了解して認めたという経緯でございます。
○中谷委員 警察庁の方にずいぶん長くお待ちいただいたのですけれども、このプラント——銃弾プラントと一応申しますが、これは千五百万発の製造能力があるということです。この機械についてお聞きしておきますが、結局警察官のお持ちになっているピストルと関係があると思うのですけれども、要するに、日本の警察が年間購入されるたまというのは、警察庁の局長さんのほうで把握しておられる数量は一体どのくらいでございますか。さらに、どの程度使用されておりますか。この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
○大塚(惟)説明員 お答え申し上げます。拳銃弾の年間消費及び購入数は九百四十七万発でございます。で、年間全部、訓練その他職務執行に使用いたしております。
○中谷委員 その九百四十七万発というのは、実包、空包というのが二つございますけれども、実包に限る趣旨でございますか。
○大塚(惟)説明員 空包というのはございませんで、訓練実包というのと執行実包というのがございます。これは訓練実包も場合によってはいわゆる執行にも使える、こういう性質のものでございます。
○中谷委員 局長さんにおいでいただいて局長さんにお尋ねすることはそれだけなんですけれども。 賠償課長さんにお尋ねいたしますが、警察が使うのだということを確認して、それで輸出承認に至った、要するに賠償の対象にしたということですけれども、その警察が使うのだということを確認した根拠は一体どんなことから確認ができたわけですか。
○武藤説明員 昭和三十九年の三月に第八年度の実施計画というものが出てまいりまして、第八年度の実施計画の中にいま先生が御質問になっております金属加工関連機器という名目でフィリピン側から供与の要請があった、そこで口頭をもっていろいろとこの内容を聞いておったのでございますが、そのうち銃弾であるということがはっきりし、かつ、説明で国内治安用の警察に使うということは言っておったのでございますが、最終的にはマカパガル前フィリピン大統領から池田前首相あての親書が参りました。その中ではっきりと、いま賠償で供与してもらおうと思っておるものは国内治安維持用の警察に限って使うのだ、それを供与してもらうことは、現在マカパガル大統領がやっているフィリピンの経済、社会計画に非常に役立つものだから賠償協定の趣旨に違反しないものと考えるという趣旨の手紙が参りました。
○中谷委員 その趣旨の手紙とおっしゃいますが、それはどういうふうな内容ですか。いまおっしゃったとおりのことがそこに記載されているということなんですか。それとも、そういう趣旨に読めるということなのかどうなのか、この点はいかがですか。
○武藤説明員 いま申し上げた内容が親書の中に書かれているということでございます。
○中谷委員 そうすると、通商局長さんおられますか。——その関係の方にお尋ねしたいと思いますが、賠償協定のそういう申し入れがあって、合意するまでに相当時間がかかっているのです。そうして、結局四十二年のことしになって初めてこれが問題になった。かなり時間がかかっていると思うのですけれども、それはどういう経過といきさつに基づくものですか。
○山下説明員 製造に時間がかかりますので、今度の許可は船積み前の輸出許可でございます。
○中谷委員 製造に時間がかかるという以外に、この問題についてそのようなものがはたして承認していいのかどうか、賠償の対象となり得るかどうかということについての検討は、どの程度時間をかけて、どんな観点からされたわけですか。
○山下説明員 輸出の許可は最近出しましたが、賠償の契約の許可は、先ほどおっしゃられました第一の金属関係の設備につきましては昭和四十年の十一月にやっております。それから火薬のほうは昭和四十二年の一月に契約を許可しております。その金属加工の設備を契約許可する前に、本件は先ほど来のフィリピンとの関係、国内の関係等を入れて検討いたしたのであります。
○中谷委員 問題の焦点は、要するにそういうことがいいかどうかは別として、通産省あるいは外務省の考え方は、警察が使うのだ、それで、結局それは治安用なんだということだから輸出の承認をしたのだ、許可をしたのだ、こういう点に問題が限ってくると思うのですけれども、少なくともそのことについての保証ですね。警察以外には使わないのだという保証はどんなかっこうでそれの取りつけをするわけなんですか。逆に言うと、警察以外で使われたとした場合に、一体それについての措置はできるのですか。この点についてひとつ通産省と外務省、両方からお答えをいただきたいと思います。
○武藤説明員 お答えいたします。これはいま先生に申し上げましたように、マカパガル大統領から池田総理あての親書によってかたく約束されておるということで、外務省といたしましては、フィリピン政府の最高首脳が言ったことでございますから、これをそのとおりフィリピンが守るというふうに相手の真意を信頼したいというふうに考えております。 それからもう一つ賠償協定のたてまえから申しますと、賠償によって供与された品目は日本側から出たときに賠償協定としての義務は完了するということになっておりまして、賠償協定の上から、その出された品物が初めの目的どおりに使われているかどうかということを確認することは非常にむずかしいというふうに考えております。
○山下説明員 フィリピンが約束にたがえてほかに使った場合は、今後の賠償実施の段階でわがほうとして取り上げられるとは思いますが、手続上は、いま申し上げましたように、出てしまうと賠償履行になりますので、それで終了ということになります。その点は、事前に多々討議いたしまして、向こう側の誓約を信用したわけでございます。
○中谷委員 そうすると、通産省にしろ外務省にしろ、要するにそういうことを信用した、しかし、そういうふうにプラントを提供してしまえば、それで義務の履行は終わった、だから、その点について、その後外務省の御答弁は、そういうふうに使われているかどうかについて確認することは非常に困難だ、通産省もそういうふうな趣旨のお話があったと思うのですけれども、もう一度通産省にお聞きしますけれども、そういうふうに使われているかどうか、警察用に限定して使われているかどうかの確認の方法はあるのですか、どうですか。
○山下説明員 これから品物が出まして先のことですが、相手国政府機関の仕事ですから、立ち入って口出しもできませんが、情報は入ると思います。
○中谷委員 そういう情報が入ったからといって、それについての措置はするのかしないのか、この点はいかがなんですか。
○山下説明員 出ましたものには措置ができませんが、フィリピンへの賠償はなお数年続きますので、賠償交渉の場で問題を取り上げるのが一番いいかと思います。
○中谷委員 そこで、さらに問題をしぼっていきたいと思いますけれども、フィリピンのいわゆる警察用なんだ、こういうふうにおっしゃったのですね。そうすると、フィリピンというのは、ここへ私調べてまいりましたけれども、選抜兵役制なんだというようなことが書いてありまして、結局、陸軍と海軍と空軍があって、いま一つ準軍隊というのがございますね。そこで陸軍が兵力一万七千、海軍の兵力が五千、これは現在最新の資料ではございませんけれども、そうして空軍の兵力が八千、準軍隊としてイコール・フィリピン警察隊として一万七千、こういうことになっておる。そうすると、フィリピンの警察というのは、準軍隊としてのフィリピン警察隊と、そうして準軍隊でないところのフィリピンのいわゆる警察、たとえば交通取り締まりをやったり、どろぼうを検挙したりする警察、その組織が分かれているように私は理解している。 そうすると、問題の銃弾というのは、フィリピンの警察隊、逆にいうと、兵力は幾らかというふうに聞かれた場合には、陸軍、海軍、空軍と並んで並列されるところの準軍隊であるフィリピン警察隊に使われるのだということを認織された上で先ほどから御答弁に相なっていると思うのだけれども、そうなってくると私は話が違ってくると思うのです。そういうことなんですかどうか、お尋ねいたします。
○武藤説明員 このフィリピンが言っております警察というのは、いま先生がおっしゃったいわゆる陸軍、海軍、空軍、それと警察——フィリピン側はポリス・コンスタブラリーと言っておりますが、これが使うたまということで認めております。
○中谷委員 要するに、私が申し上げている準軍隊が使うたまということになるわけですね。
○武藤説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○中谷委員 そうすると、このような準軍隊というのは、警察用だといっても、少なくともいわゆる間接侵略の場合には出動する、そして軍隊としての機能を果たす、そういうふうなものとこれは理解せざるを得ないと私は思う。 たとえば、自衛隊法の七十八条によりますと、自衛隊の治安出動についての規定がございます。治安用ですかということを何べんも聞いているのは、私はこの規定と関係において聞いている。「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」となっている。この場合の「一般の警察力をもって」というのは、たとえば日本の場合でいうと、これは日本の警察、フィリピンの警察隊というのは、警察というよりはむしろ軍で、陸軍、海軍、空軍と並列さるべきものだということになってまいりますと、警察用ということが言えるのかどうか。この点はいかがでしょうか。
○武藤説明員 お答えいたします。先生のおっしゃる警察軍ということばが妥当かどうか、ちょっと私この場で何とも申し上げられませんが、少なくとも国内の治安の維持と密輸の取り締まりにその警察が従っている、そのためにのみ使用するのだということでございますので、まあ警察用だということになると思います。
○中谷委員 通産省、いかがですか。
○山下説明員 国内治安維持用に使うということがはっきり認められましてから決断したのであります。
○中谷委員 それでは通産省にもう一ぺん確認しておきますけれども、そういうどこの国の兵力は幾らあるのだという場合の準軍隊として類別されてくるフィリピン警察隊用なんだ、いわゆる軍事学の専門家といいますか、軍事問題の専門家からいうと、軍隊としての類別をするフィリピン警察隊に使うということを認識された上で通産省はこのような輸出承認をされたのかどうか。この点はしどうですか。
○山下説明員 その点を私どもとしては外務省とも相談して、重々確認した上でございます。国内治安に使うということを確認した上で承認したのであります。
○中谷委員 そうではないのです。要するに、フィリピンの警察隊というのは準軍隊というふうに類別されている。そういうフィリピンの警察隊というものに使われるという前提で、そういう認識で輸出承認をされたのですかということなのです。 いま一つ、一体そういうふうなことで、問題は、治安用でなければ輸出承認はしなかっというふうにおっしゃるのだから、いろいろな点についてお調べになったと思いますけれども、フィリピン警察隊というものの年間の銃弾の使用量というものは幾らあるのですか。
○山下説明員 私どもが相談しました結果は、そういうフィリピンが国内治安に使う。警察軍に使うということを確認したわけでございます。 数量の点は当時も検討しましたが、地形、それからその治安状況等で、どこの国と比較したらば最も公正かということについてなかなか判断がむずかしい点がございましたが、数量的にも国内治安用に使われるということで承認したわけであります。
○中谷委員 御答弁がはなはだ明確でないと思うのです。要するに準軍隊というもの、いわゆるフィリピン警察隊というものに使われるという認識をお持ちなのかどうか。準軍隊ということになってくると、間接侵略その他に対応するという問題も出てきますということを私申し上げているのです。この点についての御答弁が明確でありません。しかし、この問題についてはさらにいろいろな点について今後お尋ねをしたいと思いますけれども、要するに、私本日お尋ねをしまして、大統領から親書が来たということではあるけれども、その銃弾プラントにしろ、火薬のプラントにしろ、どのようなかっこうでどこに使われるということについての約束がたがえられた場合どうするのだということについての保証と措置のしようがないという点について、私きわめて危険なものだということだけを申し上げて、次の質問をごく簡単にいたしたいと思います。 沖繩の貿易——琉球ということばを使うべきかもしれませんが、特に沖繩ということばを使うのが私の気持ちに合いますので、沖繩の貿易についてお尋ねをいたしたいと思います。二つの問題をごく簡単にお尋ねをいたします。 まず輸入の問題に関しまして、最近、ふえる沖繩牛肉というようなことで擬装輸入というようなものが行なわれている。こういうことで、たとえばオーストラリアとかニュージーランドなどから日本本土へ直接輸入をせずに、沖繩を経由して輸入している。三角貿易というのでしょうか、こういうことがあるということ、そういうようなことは、沖繩のほんとうの経済開発にならないということについて指摘されているわけなんです。こういう三角貿易というか、こういうふうに沖繩をただ経由して輸入しているというふうな実情、これに対する対策を一体どのようにされるか、これが一点。もう質問を全部まとめて申します。 第二点は、十二月一日から政令関係において輸出検査法の関係の品目をかなりはずされました。そういう中で、たとえば漆器その他について、これは和歌山県の場合ですけれども、自主検査というものをしなければならない。こういう自主検査そのもののあり方、やり方の中においては、たとえばその品質が落ちてくる、そういうことになってくると、今後貿易の面において、沖繩へは輸出検査法の適用を受けずに自主検査でいく、品質が落ちてくるというようなことで、とにかく販売網から落とされてしまう、品質が悪くなったというふうな問題も出てくるのではないかというふうなこと、この輸出と輸入二つについてそれぞれ行政措置が必要だろうと思うのです。こういう点について通産省としてはどのようにお考えになるかという点が一つ、あるいはまた、この問題は現に施政権のない現状において、通産省が直接沖繩そのものに行って指導するというわけにいかぬというふうな状態の中で、特連局としては一体どのようにお考えになるかという問題。 いま一つ、特連局にこの機会にお答えいただきたいと思いますけれども、本土と沖繩の一体化ということがいわれている。そういう中で、沖繩の経済というのは七〇%までがいわゆる第三次産業という現状であることを私自身視察に行って見てまいりましたが、今後通産省あるいは中小企業庁等に働きかけて、特連局としては沖繩経済のあり方についてどのような問題点を指摘し、どのような措置をおとりになるか。これについて、私のほうもまとめてお尋ねいたしましたので、御答弁もまとめてお願いいたしたいと思います。
○川田説明員 お尋ねの中の第一番目の、日本への沖繩からの輸入の問題についてお答え申し上げます。御指摘ございましたように、最近沖繩から日本への輸入がふえる傾向にございます。御承知のように、沖繩から日本への輸入は、指定物資である限りは、輸入割り当て物資でございましても、自由に、かつ関税なしに輸入されております。これは沖繩と日本との特殊な関係、または御指摘のように沖繩の産業の育成、こういう見地に基づくものでございます。しかしながら、御指摘のようにオーストラリアその他第三国からの牛肉あるいは生きた牛が沖繩に輸入され、それが加工される、あるいは名目だけ加工される、そういうような状態で本国に入ってくることになりますと、現在の日本としては輸入割り当て物資の対象になっております牛肉の問題につきまして問題が起こることも考えられますので、この数量が今後さらにふえてくる場合には、農林省と十分協議いたしまして検討いたしたいと考えております。 それから、第三国経由の場合にいかなる基準で日本政府はチェックするかということでございますが、現在は沖繩政府の商工部長あるいは地方庁の長の発行します原産証明というものをもとにいたしまして、この証明書がついておる限りは沖繩産物であるという前提のもとに、沖繩政府の良心的なチェックを信用して輸入いたしております。 以上でございます。
○山下説明員 輸出について御説明いたしますが、沖繩——日本の間を手続を簡素化して一体化してくれという従来からの沖繩及びこちら側の関係者の要望にこたえまして、過ぐる十一月に百六十品目ばかり輸出検査をはずしたわけでございます。その際に、ただいま中谷先生の御指摘のとおり、その品物が再び沖繩から第三国に輸出される危険がありましたので、手続を十分に協議して、その後で検査をはずしたわけでございます。その手続の一つは、琉球政府におきまして、日本から出した検査をしない品物は琉球から再輸出しない、これが一つでございます。それを確認しまして、わがほうから検査なしで輸出を許可いたします。漆器もその中の一つに入っております。さらに、品物によっては、琉球における需要を十分確認して、その必要な数量の範囲内にも限定しようという手続も考えております。
○加藤(泰)説明員 お答えいたします。三角貿易、それから輸出検査の問題につきましては、いま通産省からお答えがございましたが、私のほうといたしましては、琉球政府と連絡を密にしながら、各省の御意見が琉球政府のほうに十分に伝わるように努力して問題点が解消するようにしたい、こういうふうに思っております。 それから最後に御質問された点でございますが、沖繩の経済が確かに第三次産業に集中しておるということは御指摘のとおりでございまして、私たちといたしましては、沖繩の自主的な経済発達といいますか、そういう点を大いに助長していかなければならないというふうに考えております。本土と沖繩の経済界がつくっております経済懇談会というのがございまして、去年の七月、ことしの三月、去年は本土で、ことしは沖繩で開かれましたが、そこで、本土と沖繩の経済関係をどういうふうに密接に持っていくか、また、沖繩が自主的に経済発展を遂げるにはどうしたらいいかというような点についていろいろ検討されたわけでございますが、その中に経済総合研究所の設立というのがございまして、この研究所は、ことしの九月だったと思いますが、民法法人として現地に設立されております。これに対しまして、本土の経済界また沖繩の経済界でそれぞれ出資をいたしまして研究を進めていく、こういう構想でございますが、それだけでは不足でございますので、琉球政府からも、また本土政府からもこれに対して出資をするような方向で現在大蔵省と折衝中でございます。したがいまして、この研究所が設立されまして活動を開始いたしますれば、沖繩経済の基礎的な調査研究が行なわれると思います。そういう研究の成果を実現するように政府としては援助していきたいというふうに考えております。 また、ここ特に強調される問題といたしまして長期資金の確保という問題がございます。これにつきましても、来年度の財政援助の中で、できましたら拡充して沖繩経済の自主的な発展に尽力したい、そういうふうに考えております。
○島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後三時十九分開議
○島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます 質疑を続行いたします。岡本富夫君。
○岡本(富)委員 きょうは富山県の神通川流域に起こりました鉱毒について、若干質問をいたしたいと思います。 すでにいま問題になっておりますところのいわゆるイタイイタイ病、この発生についてまず通産省の鉱山保安局長にお願いしたいと思います。
○西家説明員 通産省の所管をいたしております鉱山における鉱害の防止でございますが、古くは旧鉱業法時代から、鉱業警察規則によりまして、鉱山から出ます坑廃水あるいは堆積沈でん物、こういったものに対する監督をやってきたわけでございますが、昭和二十四年にただいまの鉱山保安法が制定されまして、それに基づく金属鉱山等保安規則によりまして厳重に監督をしてきたわけでございますが、昭和二十年代におきましては、重金属、特にカドミウムが人体に影響があるといったことが全然わからなかったような状態でございまして、学説にも当時はなく、昭和三十年を過ぎまして、カドミウムが今回のイタイイタイ病に関係があるんじゃないかということがいわれ始めたわけでございます。通産省といたしましては、これを実際に聞きましたのは昭和三十四、五年かと思うのでございますが、それからは神岡鉱山に対しましては、その神岡鉱山が出します坑廃水につきまして特別に焦点を当てまして、神岡鉱山から出ます坑廃水の調査を行なってきたわけでございます。この調査は三十八年、四十一年、四十二年の三回にわたりまして調査をいたしてきたわけでございます。通産省といたしましては、現在流しております水が、これは事人命に関する問題でございますので、非常に重要に考えまして、非常に取り急ぎまして鉱山から出る坑廃水を調査したのでございますが、現在まで調査いたしました状態を申しますと、鉱山のすぐそばにおきましては、確かにカドミウムの流出の検出も見られておるわけでございますが、これが川に入りまして、さらに下流に参りまして高原川と宮川が合流する地点がございますが、その合流する地点のちょっと上流のあたりにおきましては、現在の分析方法といたしまして原子吸光分析というのがございますが、これで分析いたしましても、〇・〇〇一PPMという、数にもとれないというような状態でございまして、これはカドミウムがどのくらいあれば発病するとかという限度は必ずしもはっきりいたしておりませんが、従来から大体考えております諸外国の例等から見まして、少なくとも現在の水は直接には人体に影響を及ぼさないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。ただし患者が発生いたしました昔の状態につきましては、実は当時、はなはだ申しわけないのでございますが、そういう意味で、カドミウムについて関心を持っていなかったのでございますが、カドミウムについての坑廃水の調査ということは、過去においてその点におきましては行なっておらないような状態でございます。過去におきましてどのくらいのカドミウムが流出したかどうかにつきましては、目下できるだけ調査をいたしておるような次第でございます。 大体現在まで通産省の行なっております状態は、そういうような状態でございます。
○岡本(富)委員 厚生省の松尾環境衛生局長、見えておりますか。説明願います。 〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
○松尾政府委員 厚生省といたしましては、このイタイイタイ病が当初は風土病的なものではないかというようなことでいろいろな研究がなされておりましたけれども、カドミウムが非常に大きな影響を与えておる問題だということが明らかになりまして、昭和三十八年から研究班に、委託費を出しましてこの研究を続けてまいりました。現在まだその調査班はカドミムウの分布等についても調査中でございます。最終的な結論はまだ三月にならないとまとまってこないわけでございますが、私どもが研究の進捗状況という意味でいままでなされました結果を聞いております範囲では、いわゆる鉱山の排水口のところでは〇・〇六PPM程度のカドミウムが集まっております。それから神通川に流入いたします支流面、あるいは現在住民の飲みます井戸の水の中には幸いにしてカドミウムが検出できない、こういうようなことを調査の結果から承知しているわけでございます。 なお、患者の状態は、約六千七百名ほどについて健康診断を実施いたしまして、一定の基準に基づきまして正確な判断をいたしました結果としては、現在のところ患者といわれております方が四十三名、疑いが非常に濃厚な方が十七名、合わせて六十名。そのほかに疑いが薄いけれども、要疑い者といいますか要観察という方々が三十一名、この要疑いがある方の中からもさらに治療をやったほうがいいのじゃないかと思われる者を加えまして、大体現在要治療という者が七十名という状態になっておるわけでございます。 それから、なお、これらのイタイイタイ病が、先ほど申しましたように風土病的なものではないかといわれておりました当初から、この治療につついてもいろいろ研究を進めていただいたわけでございますが、最近におきましてはビタミンD、ビタミンAあるいは男性ホルモンというものを使用いたしますことでかなり顕著に症状が軽快できるという非常にありがたい結果が出ているわけでございまして、ただいま患者の救済につきましては、県のほうにもお願いをいたしまして、自己負担分を県も予算化いたしまして世話をしていただくというところまでまいっているような状況でございます。
○岡本(富)委員 先ほど通産省の保安局長さんから話がありましたが、現在ではあまり出ていないけれども、過去には相当出たらしいこの流出についての調査をいま始めておる、こういうお話でありましたが、どういうように過去の分を調査なさっておるのか明快にひとつお答え願いたいと思います。
○西家説明員 過去におきましてカドミウムを出したかどうかにつきましては、ただいまのところまだ明確に実は把握をいたしておらないわけでございます。と申しますのは、カドミウムについての調査を当査やっておらなかったわけでございます。したがいまして、過去におきましてどの程度カドミウムが流出したかということにつきましては、その当時の選鉱の状況あるいは製錬の状況、こういったものを十分に調査をいたしまして、類推することになるかと思うのでありますが、具体的には、一つには下流地域におきます土壌その他に含まれているカドミウムの量を厚生省のほうで調査をなさっております。こういう調査を参考にし、さらに、もしそれらの蓄積が鉱山から出たものであるかどうかということ、因果関係を明白にするために、当時の選鉱、どういう選鉱をやっておったか、あるいは製錬をやっておったか、当時の堆積場はどういうような状態にあったのか、こういったようなことを、あらゆる記録を通しまして調査をいたしておるような次第でございます。
○岡本(富)委員 その通産省の調査班と申しますか、調査はいつから始めて、いまどういうような結果が出ておるのか、ひとつこれをお聞かせ願いたいと思うのです。
○西家説明員 とりあえず私たちといたしましては、現在の水が……(岡本(富)委員「いやいや、いつから始めたのか」と呼ぶ)現在の水がもしも下流に現在害を及ぼしているということでございますと、これは非常に重大な問題でございますので、とりあえず現在の水の調査を急いでやった関係上、過去の調査につきましては比較的最近に開始をいたしたような次第でございます。 それで、現在の状況から申しますと、堆積場の現在の状態はどうであったかということにつきまして、若干明白になった点がございます。そのほかの点につきましては、調査は非常にむずかしいものでございますので、今後とも調査方法の研究ともあわせまして、できるだけ早く調査をいたしたい、かように考えます。
○岡本(富)委員 このイタイイタイ病につきましては、地元の萩野というお医者さんが二十一年に帰ってまいりました。そうしますと、全身痛い痛いと言ってたくさんの人が苦痛を訴えてくる。それで富山病院へ連れていったけれどもその原因が不明である、こういうわけで地元では大騒ぎをしておったわけでございます。そして三十年に東大の細谷教授がこの問題を取り上げまして話が有名になった、こういうのが現在までの経過であります。そしてこの前の参議院の公害委員会におきまして、公明党の矢追さんがこの問題について厚生省に対して相当いろいろと質問をしておりますけれども、栄養不良か、あるいはまた過労か、こういうものじゃなかろうかということがまだはっきりしないというような状態であった。しかし三十年に、国や県が何の対策も打ってないというわけで、富山県では重大ニュースになった、こういうようなふうにも聞いております。 そこで、私の申し上げたいことは、大体いままでの経過を見ますと、余病を併発してなくなった人が百十八名、これは地元の萩野医師のデータでありますけれども、こういうようにたくさんの方が被害を受け、そして困っておるにかかわらず、案外のんきじゃないか、こういうふうに私は思うのです。そこで、鉱山局のいまの話では、現在はあまり出てない、しかし過去に相当流出しておったと思われる、しかし過去のは非常に調べにくい、こういう話でありますけれども、この病気の特徴は、カドミウムを飲んだからあくる日すぐなるというのじゃない。よく調べますと、大体地元に生まれた、あるいはまたお嫁に来た人たち、たくさん子供を生んだような人、こういう人はカルシウムがやはりなくなるのか、そういう人に多発しておる。こういう現状を、事人命の問題を考えたならば、過去には相当流出しておったのではないかということが想像されるわけであります。したがって、この人たちの救済あるいはまたこの人たちに報いる、あるいはまた地元の不安を除くためには、この鉱業所を監督しておるところの鉱山保安局長さんのほうでは、相当大がかりな調査をしなければならぬじゃないか、こう思われるわけですが、いまの話を聞きますと、なかなかむずかしいから現在は水だけしかやってない。現在の水というのは、これもしかし三十八年、四十一年、四十二年、年に一度、こういうような状態で、この付近でいろいろと不安で困っておる人たちに対して、鉱山を取り締まってこうしたというような明快なところの、住民の不安を除く大きな手が打たれてないのではないか、こういうふうに思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
○西家説明員 過去の調査につきましては、先生御指摘のとおり、確かに現在の段階では調査が非常に進んだという段階ではございません。厚生省ともよく連絡をとりながら、今後十分な調査をやっていきたい、かように考えるわけであります。 現在の水でございますが、これにつきましては、過去、ずっと前からのいきさつを申し上げますと、戦時中にはやはり旧鉱業法によります鉱業警察規則というものがございまして、これによりまして鉱山から出ますところのこまかい廃石類は堆積場に捨てる。その堆積場に対しまして認可を与えまして、くずれないような堆積場に捨てさせる。それから、出てきます水は中和処理を施して流す、こういうようなことをやっておったわけでございますが、鉱山保安法ができまして、さらにそれらの施設につきまして、鉱害処理施設が十分に処理できるものであるかどうかということにつきまして、十分な監督を行なってきたわけでございます。また堆積場につきましては、昭和十六年につくりました堆積基準をさらに強化をいたしまして、たとえて申しますと、最近の基準では百年間の最大時雨量の雨が降りましても、これがくずれないようなかっこうに設計をさしたわけでございます。さらに昭和三十四年以降につきましては非常排水路というものを特別に設けさせることにいたしまして、特別に場内に水が入った場合にもこれを排水できるようなふうに施設を強化してまいったわけでございます。 なお、堆積場ののり面に降ります水がのり面をくずしまして川に流出するというようなこともございますので、これらにつきましては、表面に石積みをやったり、あるいはその辺の表土を取ってまいりまして木を植えたりすることによりまして流出を防止する、こういうようなことにしてきたわけでございまして、鉱山といたしましても鋭意そういうことに積極的に取り組んできたわけでございます。 また、堆積場以外の選鉱場並びに製錬場から出ます水につきましては、カドミウムあるいは鉛、亜鉛等を含んでいるものにつきましては、これは十分中和をいたしまして、石灰乳等を入れまして、沈でんの効果を十分にさせまして、それから河川に放流する、こういうようなことでやってきたわけでございます。 なお、監督につきましては、大体鉱山には、神岡鉱山の場合でございますと、年に大体三回ないし四回鉱務監督官を派遣をいたしまして、坑内の保安状況を見ると同時に、そういう坑廃水処理施設、堆積場につきまして巡回監督をやらしておるわけでございます。そのほかに年に一回、これは河川を含めまして特定の地質調査を行なっておるというのが現状でございます。そういうようないきさつでございまして、現在の時点におきましては、特にこの問題に焦点を当てまして十分な監督をいたしておるつもりでございます。以上でございます。
○岡本(富)委員 そうすると、過去に流出したということについてのいろいろの調査をいまやっているわけですか。それともいつそれを始めて、いつまでくらいに大体目鼻をつけるか。なぜならば、この人たちは病気にかかりっぱなし、自分の費用でもっていろいろと治療をしているのです。私は行ってみますと、非常に貧困で、それからまた治療費も非常にかさんで困っておる。その責任の所在というものがはっきりしなければどうしようもないというわけで、現地の人たちは心の中あるいは口々には、山の水だ、これが常識になっているのですけれども、やはり通産省のほうではっきりした態度を出してあげなければ、どうしようもないんじゃないかと私は思うのです。そこで早急にこの過去の流出について調査をしていただきたいと思うのですけれども、それについてこういう調査を行ないましたか。これは向こうの現地に、熊野村に神通川鉱毒対策協議会、こういうものがあるのです。これは昭和二十三年に、当時三町四カ村でつくったらしいのですが、経過としては、二十年ごろに鉱毒のために供出米が出せないので、当時の農家の方々はたいへん困りまして、県にその割り当ての減少を陳情しているわけです。鉱毒のために米がとれないから。そうすると、県の農地課においては、神岡鉱業所の証明があるならば割り当てを減じてよい、こういう許可が出た。したがってその鉱業所から証明書をもらって減免してもらった、そういうこともある。この対策協議会というのは、個人個人で山へ行って交渉してもどうしようもなかった。戦時中には軍が監督していて文句を言えば憲兵が出てきて追っ払う、こういうわけで、この農家の人たちはたいへん困っておったわけです。そこで戦後もたびたび交渉したけれどもどうしようもなかった。それでここに二十年ごろに、三町四カ村で当時つくったのが神通川鉱害対策協議会、こういうものである。こういうように現地の人に聞いておりますけれども、こういう例から見ましても、すでにこのころからこの鉱山の鉱毒によって農産物が被害をこうむっておる、こういうことがあるのです。これについて——きょうは農林省の農地局長さん見えておりますか。これ以前の十五、十六、十七年、要するに戦時中のこういう面についてもわかっておりましたらひとつお答えいただきたいと思います。
○上田説明員 水質汚濁によります農業の被害につきましては、昭和四十年の四月一日現在をもって調査いたしまして、その調査によりまして、いま御質問の神通川沿岸のカドミウム、鉛、亜鉛その他微粒子による被害の発生状況を把握いたしたのでありますが、大沢野町ほか三町村において水田が二千九百町歩余り被害を受けているという程度のこと以上をとらえておりませんので、その被害の額がどのくらいであるかということ、及び過去において減産がひどく、また供米にも差しさわりがあったというようなことは、ただいま先生からお伺いいたしたばかりでございまして、承知いたしておりません。食糧庁のほうに連絡をとりまして御返事申し上げたいと思っております。
○岡本(富)委員 食糧庁の長官か、それとも馬場さん来ていますか。——ではその件についてやってください。
○馬場説明員 農林省で、米の生産関係は、これは農政局が担当しておりまして、食糧庁は農家から米の買い入れ及び配給を実施しておるわけでありますが、食糧庁としては、この被害のために米の生産上なりあるいはその品質に被害があったということは、実は現在のところまで承知してないわけでございます。今後また関係局と連絡いたしまして、しさいに調べてみたいと思います。
○岡本(富)委員 では、農林省の和田農政局長は見えていますか。
○小山(省)委員長代理 農政局長はおりません。
○上田説明員 和田局長は農地局長でございまして、農地局長にかわりまして農地局の資源課長の上田が参ってお答え申し上げた次第でございます。
○岡本(富)委員 農地局長はどうしたのですか。和田局長を要求してあったでしょう。
○小山(省)委員長代理 和田局長の代理で来たのでしょう。
○岡本(富)委員 何もわからない人が代理で来たってどうしようもないな。では、しかたがないから、呼んでくれますか。
○上田説明員 農地局長に対しての出席の御要求があったわけでございますけれども、農地局といたしましては、農業用水の水質の問題に関しましてお答えすることになる、こういうふうに思いまして、それで水質の問題を担当しております資源課の課長である私が出てまいったわけでございます。いま馬場業務第一部長からお答えがありました米の生産については農政局が担当であるということにつきましてはそのとおりでございまして、農政局長に対する出席要求がございませんだったものですから、農政局長並びにその系統の課長は出てこなかったわけでございます。
○岡本(富)委員 きのう農政局長も呼んであったのだけれども、いま言ってもしかたがありませんから……。 そうすると食糧庁のほうでは、この神通川流域のこういうような減産については何も聞いていないわけですか。
○馬場説明員 現在のところまで承知しておりません。
○岡本(富)委員 では、あなたのほうはちゃんと米になったものに対する責任なんですね。
○馬場説明員 そうでございます。
○岡本(富)委員 そうすると、今度厚生省の調査班が中間発表しておりますけれども、この米の中に最高三PPMのカドミウムが検出された。全国平均は〇・〇六PPMである。こういうように明らかにされておりますけれども、三PPMでは人体に影響はないんでしょうか、どうでしょうか。食糧庁はできたほうの責任なんだから、わかると思いますが……。
○馬場説明員 厚生省の局長がお見えになっておりますので、そちらのほうからお願いいたしたいと思います。
○松尾政府委員 御指摘のとおりのような数字が出ておりますが、研究班のほうでは、ただいまの三PPMというのは玄米をもとにいたしましたデータでございまして、精白をいたしたときのデータはまだはかっていないようでございますけれども、精白すればもっと減るという見通しのもとに、いまの状態ではこれによって障害が起こるということはまずないだろうという程度の判断をいたしております。
○岡本(富)委員 私がそれをなぜ問題にするかということになりますれば、これは通産省のほうも、厚生省のほうも、農林省のほうも聞いてもらいたいと思うのですけれども、先ほど申しましたように、こんなにたくさんの米の減産になっておる。そして現地の人のお話によりますと、再三この神通川鉱毒対策協議会でもって神岡鉱業所に対して交渉したけれども、初めはどうしようもなかった。二十五年の朝鮮戦争で好景気となったために会社が大きな利益を得た。それで二十七年に八百万円の要求をしたところが、二十七、二十八、二十九の三年間、毎年三百万円ずつの補償料が現地の農家に支払われた。三十年には、交渉したところ、今度は廃水の処理場ができた、あるいはまた北陸電力のダムができた。このためにあまり鉱毒が出ないだろうというようなわけで、二百七十万円に下がった。それから三十年から三十四年まではこういう状態であったのですが、三十五年にさらに契約の更新をしたところ、今度は、二百五十万円に下がった。そういうような状態で、いま補償料が支払われているそうであります。そしてたんぼの状態を見ますと、調査班もモチ米の中からたくさんのカドミウムを検出されておる。普通の状態で普通米を植えますと、水の取り口からずっと水が入ってくるのですから、その辺は全部立ち枯れになってしまう。ことしも同じ、それから去年も同じだ。そのために、その水が入ってくる付近にはモチ米を植える。普通米は植えられない。そのモチ米にカドミウムがたくさん検出された。こういう状態から見ますれば、やはりいまもカドミウムが流れておるというように推定されるわけですが、この問題について厚生省の意見はどうですか。
○松尾政府委員 詳細なデータは、実はまだこの点については聞いておりませんけれども、ただいま御指摘のようなたんぼの調査はいたしてございまして、いまのモチ米のお話のように、たんほの水口のほうが出口のほうよりもカドミウムの含有量は多い。それからどろの中でいえば、たんぼの水に接しておりますようなどろの表層のほうには多いけれども、地中のほうの非常に深いところでは出てこない、そういうことはわかっております。それはやはりかんがい排水を通じての流入経路というものを推察する一つの資料に研究班はしているようでございます。
○岡本(富)委員 鉱山保安局長に申し上げたいのですけれども、あなたうほうでは、もうすでにダムもつくり、また廃水処理場もできたから少しも出ていない、こういうデータになっておりますと言いますが、事実はこうやって農産物の被害となってあらわれてきているのです。これに対する御意見はどうでございますか。
○西家説明員 農地に対する被害につきまして私どもは実はあまり詳細にわからないのでございますが、現在でも鉱山からの廃水は絶対にゼロであるということではないわけでございまして、川のある地点から下流になりました場合には、現在最高度の分析をもってもかかってこないような微量であるということでございます。それから昭和二十年代に、米につきましていろいろ鉱山が補償金的なものを出しておる、こういうことにつきましても私は承知をいたしておりますが、当時はまだカドミウムというものは全然頭になかった時代でございまして、鉱山から出ます亜鉛等を含みました粒子が物理的に稲等に被害を与えるということで、これも非常に厳格な原因調査をやったわけではないのでございますけれども、富山県のほうで仲介に立たれましてそのような補償金を払った、こういうふうに私たちは承知をいたしております。その後カドミウムということが問題になりましたので、これは一つの今後の調査の手がかりになるというふにう考えておる次第であります。
○岡本(富)委員 時間もあんまりありませんから申し上げたいのですけれども、これも一つの手がかりになるということですが、私の申し上げたのは、こういうようにはっきりと鉱業所の鉱毒であるということが各所にあらわれてきた、こういうように考えられるわけであります。しかもこれはここだけの例でなくして、秋田県の例をとりますと、尾去沢の鉱業所においては——これは銅山ですが、この付近の農家に対して一反について千七百円の補償料を出しておるらしいのです。それはまた米価が上がればスライドして補償料も上がる。これに対しまして、現在神通川の付近の被害の田は二千五百五十町歩、こういうように推定しておるわけでありますが、その補償料は二百五十万——二百五十五万という説もあるのですが、そうしますと一町歩で千円、したがって一反には百円くらいの補償料になる。ところが秋田県のほうでは一反で千七百円出している。この神通川沿岸の鉱毒による被害で米の減産は一反につき大体五升から七升である、これが百円であるということは非常に少ない、こういうふうに現地では嘆いておるわけです。この点に対しては厚生省ももっと力を入れ、また通産省のほうも力を入れて考えて調整をしてやってもらいたいと私は思うのです。こういうように考えますれば、この秋田県のでも見ますれば、やはり鉱毒が相当流れておるということは、これははっきりするわけです。しかも私の調査によりますと、昭和十八年ごろの調査を見ますれば、これはちゃんと農林省が農事試験場の技師に被害を研究させまた調査さして、その被害状況がはっきりと農政局長の石井英之助さんに対して出ているわけです。またこの中には神岡鉱業所ですか、当時の三井鉱業所から自分のほうで調査した結果も若干出ているわけです。 これは次の機会に送るといたしまして、こういうような大きな被害が過去にもありとしますれば、現在ここにできておる病気の方は、いますぐ飲んでそうなったのではない。大体お嫁入りしてきたりあるいはまたそこに生まれた人、三十五、六歳ごろになって発病している。ここへ写真をとってきたのですけれども、背がこんなに低くなり、ちょっとさわっただけで骨が七十何カ所も折れているのです。また、ことしになってから新患が出ている。そういう面を考えるときに、いまの対策について、先ほどから聞いておりましても非常になまぬるいし、人命に対するこういう問題についてほんとうに為政者が責任を持たなければならぬ、こういうように私は考えるのですが、藤井政務次官、全体についてひとつお答えを願いたいと思います。
○藤井政府委員 先ほど来通産、厚生並びに農林当局からいろいろ御答弁を申し上げましたが、お話しのとおり、このイタイイタイ病にかかっておられる罹災者に対しては、一刻も早くこれが対策を何らかの方途において、公の立場においても極力これが必要な措置を考えるべきであるというふうに私は思います。ただ問題は、先ほどもいろいろ答弁を申し上げておりますように、厚生省においては大体カドミウム等の重金属並びに栄養失調もよってきたる原因であるというふうな推定もされておるようでございます。まだはっきりした結論が出ておらない。ここに罹災者側からすれば隔靴掻痒の感があろうかと思うのであります。したがってわれわれとしては、通産省といわず農林省といわず、ひとつ一刻も早く結論を急いで、これが必要な措置を講じなければならぬ、鉱山法によって損害を補償するという問題が出れば、当然必要な措置を講じていくというふうにして万全の措置を講じたい、このように思っております。
○岡本(富)委員 いまのような答弁ではどうももうひとつはっきりしませんが、人の命というものはとうといものです。一日も早く為政者として手を打っていかなければならぬ。大体先ほどから私が申し上げましたことは、皆さんのほうでは現地に行ったりあるいはまた報告を聞いてわかっているはずだと私は思うのです。 そこでいま一番大事なのは、松尾さんが答えられた約六十名あるいは七十名ばかりの患者の人でありますけれども、この間参議院の矢追さんの紹介で三人陳情に見えて、厚生大臣あるいは通産大臣に直接お会いして帰ったのでありますが、この人たちはわりによくなってきた。これは地元の医者やあるいはまたいろいろな医者にかかってよくなった姿なんですけれども、まだそのほかにそういう状態で困っている人がたくさんあるわけです。この緊急対策について厚生省としてはどうする考えであるか。まず原因を調査してから、こういうことでおりますれば、いつまでたっても阿賀野川の問題あるいはまた水俣のようにひっぱられては次から次と死んでいくわけです。この間も一人なくなった。早く手を加えれば助かるのがどんどんなくなっていくということになりますれば、現地の人たちは非常に不安なんです。この対策についてどういうように考えておるか、厚生省から答えてもらいたいと思います。
○松尾政府委員 まさに御指摘のとおり患者の救済ということが最も急がれる問題でございまして、私どものほうでは、一面こういう最終的な処理を円滑にするという意味も含めましていろいろな調査を急いでおるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、とりあえず富山県と地元市町村のほうにお願いをいたしまして、ただいま県では患者の治療の自己負担分についてこれを公費でもってカバーしようという予算の提出をいたしておるわけでございます。大体三カ月間の県の負担額が約八十万という予算でございまして、そういうことで、とりあえずとにかく患者の治療がそういう費用の問題で行き詰まらないように措置するということでお願いしておるわけでございます。 私ども厚生省のほうとしては、先ほども申しましたように結論を急ぎますとともに、来年度におきましては、一般的に申し上げればこういう被害を受けました患者の救済措置ということをぜひ確立しなければならない、そういう鉱害の被害の救済あるいは紛争の処理ということについて、次の通常国会でもいろいろ制度をお願いしたいといま準備中でございますけれども、さような救済措置が発足いたしましたときは当然患者の方々はこの制度の中に吸収するというつもりでおるわけでございます。 そのほか、来年度におきましては私どもの予算の範囲の中でいろいろな方法を、ほかのところでとってまいりましたような助成の方法をとりまして、その治療の面において支障なからしめるようにしたいと考えておるようなわけであります。 なおそのほかに、これからの対策といたしましては、単に患者のみならず、今後の発生の予防にも非常に重点を置かなければなりませんので、ただいま水の問題を解決すべく簡易水道の水源調査ということも急いでやっておるというような実情でございます。
○岡本(富)委員 聞いておりますと調査、調査、調査がないと、こういうお話ですけれども、その間に刻々として人の命はなくなっていくわけです。いまも県にお願いしておる。厚生省としてこうしておるというような明らかな手が打たれてない。これに対して私はまことに遺憾であると思うのですが、そこでこの人たちの治療に要するところの費用は——地元の萩野博士の研究によりますと、ビタミンDあるいは男性ホルモンあるいはカルシウム、こういうもので適切な処置をすれば大体一カ月で痛みはとれる。そうして大体三カ月で家事ができるようになる。しかしそのままほっておくとまたもとへ戻ってしまう。こういうようなものに対するところのお金が月に大体五千円、あるいは多い人で一万五、六千円、こういうのが要るが、それだけのお金が出てこない。それで非常に苦心をしていらっしゃるわけです。こういうような実情について厚生省は知っておるのかどうか、あるいはまたそれについての適切なる——いまの話では手を打っていないと私は思うのです。したがってこの研究費の中から、この調査費の中から少しでも治療のほうに回して、いまの人たちを早く救ってあげるとか、こういうような考えはないのでしょうか。これについて一言……。
○松尾政府委員 私どものほうでも、ただいまお話がございましたような治療の方法が講じられますと、比較的短い期間のうちに状態がよくなる、この点は非常に救われておるわけでございますから、何とか御指摘のような、ことしの金の中からこちらのほうへ向けたいといういろいろな苦心はいたしたわけでございます。しかしながら、ほかに大きないろんな問題があって、そっちのほうへ先に出してしまっておったという関係もございまして、私のほうではことしはひとつ県が——私のほうからも頼んでおるわけでございまして、めんどうを見ていただく、そのかわり来年につきましては私のほうで十分この予算の中で実行上御援助をしていきたい。ことしは三カ月分の予算でございますので、県のほうにはまことに申しわけないのですが、ことしはひとつやっていっていただきたいというような話を向こうの責任者にも私は申し上げておるというような実情でございます。御指摘のような点は、私自身も重々感じておる点でございますので、来年度必ずそういう補いをして差し上げたい、かように思っておるわけでございます。 〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡本(富)委員 そっちのほうの緊急の救済措置についてまたいろいろと手を打っていただきたいと思います。 そこで次に大事なのは予防なんですが、予防について通産省のほうはさらにどういうようにするのか。あるいはまた、結局最後には責任の問題になるわけですから、いままで鉱毒が流れておって、そうしてイタイイタイ病の原因となっておるということは、いままでの経過で大体おわかりだと思うのですが、さらに調査をしなければならぬということでしょうけれども、要するにダムをつくる前、昔たくさん流した。こういういろんな例が出ているわけですが、それに対してさらにどういうような調査、それからどういうような対策を立てるか、予防とともにはっきりしていただきたいと思います。
○西家説明員 今後の予防の問題でございますが、先ほど御説明を申し上げましたように、人体に影響のあるカドミウムの量というものが、現在わが国では基準としてはないわけでございますが、諸外国ではそれを口に入れた場合の基準が一応定められておるわけでございまして、たとえばかなりいろんなのがございますけれども、一番きびしい場合でも飲料水の水道の場合に〇・〇一PPM、それ以下が望ましい。こういったような基準があるわけでございまして、現在私どもの調査いたしておりますこの下流においてははるかにそれに及ばない量しか出ていないということでございますので、この基準がもしさらに現在流しておるような基準でもいけないということになりますればこれは別でございますけれども、ただいまのような状態では今後の病気の発生ということは、あるいは起こらないんじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。 なお、しかしながら堆積場の管理、あるいは坑廃水処理場の管理につきましては、さらに一そう監督を厳にいたしまして、これ以上のカドミウムが流れないように十分厳に監督をしていきたいと考える次第でございます。 過去の問題につきましては、先ほどもございましたような下流地帯におけるいろいろな鉱害問題等、いろいろなデータが書類である程度引き出せると思うのでございますが、そういったものに加えまして、現在の堆積場に含まれておるものはどういうものであるか、下流の土壌にどの程度含まれておるか、こういったものを十分厚生省とも連絡をとりまして調査をしてまいりたい、その場合に、鉱山から出るものと下流に直接蓄積されておりますものとの因果関係というものをきわめる方法につきましては、非常にむずかしいというふうに私ども考えておるのでございますけれども、どうやってこれを関係づけるかというような調査方法につきましても、早急に効果のある方法を検討いたしまして、積極的に調査をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○岡本(富)委員 次の予防法はどういたしますか。——それからその前に聞いておきたいことは、今度の厚生省の調査班の中間報告ですか、これが発表されておりますけれども、鉱業所の排水口付近では、一〇ないし四〇PPM、下流では〇・七PPM程度であった。あなたがいまおっしゃった諸外国の基準としては、許容度といいますか、大体〇・〇一PPM、こういうものを見ますと、現在の中間報告では相当多いわけです。そこで先ほど参議院のところでは、これは中間報告は厚生省もまだはっきりしていないのだというような話でありました。ところがいま保安局長さんは、厚生省とよく相談し、厚生省のデータもよく参考にし、そうして今後の対策を立てていく、こういうような話でありましたが、この厚生省の調査班の中間報告を尊重し、またこれに対して、これを大きな参考として今後の取り締まりをやるのかどうか。なぜかならば、これから私のほうでもう一ぺん独自に検査します、こういうふうにやっておりますと、現在現地は雪が降っておりまして、非常に調査はしにくい。またそれによって薄められる。現地の人の話によりますと、大体下流で、朝白い水が流れてくる、おそらく夜中に流しておるのじゃないかというような、そういううわさを立てておる人もいるのです。したがいまして、人命尊重の上からきちっとこれを取り締まりをやるのか、あるいはまた監督をするのか。これについて保安局長からはっきりしていただきたいと思います。
○西家説明員 ただいま厚生省の中間発表の数字を先生おっしゃったわけでございますが、私どもは、厚生省の調査の結果は十分にこれを尊重させていただくつもりでございます。ただ鉱山から出た水が河川に入りましたところの地点におきまして、先ほど中間発表で、厚生省の局長のほうから御答弁がございましたように、最高〇・〇六PPMというように承っておるわけでございまして、私先ほど〇・〇一PPMに満たないと申し上げましたのは、さらにこれが川の水によりまして拡散、薄まりまして、宮川と高原川が合流する地点あたりですでに〇・〇一PPMにも満たない数字になっておるわけでございます。この〇・〇一という基準がどうかという問題はあろうかと思いますが、現在の段階では少なくとも問題があまり起こらないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。なお、先生御指摘のように夜中に流しておる、そういうような問題は、私どもまだ存じ上げてないわけでございますが、今後、廃水管理につきましては、先生御指摘のとおり、本気になって厳重にやらさしていただきたい、かように考える次第でございます。
○岡本(富)委員 いまのあなたの話だと逆に戻ってしまうわけでありますが、調べたところでは〇・〇一に満たない、こういうことでありますけれども、この厚生省の中間報告は、この新聞に出ておりますけれども、現地で発表されたらしいのですが、この鉱業所の排水口付近で一〇ないし四〇PPMです。〇・〇一からすれば相当大きな違いです。また下流で〇・七PPM程度であった。これを尊重するのか、それともあなたのほうでやったところの三十八年、四十一年、四十二年のデータに基づいてやるのか。これを尊重するのであれば、これからの取り締まりに対してあなたのほうでは相当努力をされると私は思う。しかしいま言っているように、基準が〇・〇一PPMの許容限度である、これについても問題だ。これはフランスやあるいはまたアメリカでも文献で採用されておるわけでありますが、その基準に対してまでも問題だというようなあなたの考えであれば、これはよくならないと私は思うのです。それについて……。
○松尾政府委員 ただいま私、通産省からお答えになります前に、ちょっと一度御訂正さしていただきたいと思います。 ただいま先生のお述べになりましたのは、私どもの承知しているところでは、排水口の下のどろの中、それから下流のどろの中のカドミウム量ということではないかと存じます。先ほど通産省のほうからおっしゃっておりました〇・〇六というのは水の中でございます。ただいまのは、たしかどろの中であろうかと思います。
○西家説明員 ちょっと数字の問題があれでございますが、私どものほうといたしましては、先生御指摘のとおり、厚生省の調査につきましては全面的に尊重いたしたい、こういうふうに考えております。
○岡本(富)委員 時間の関係もありますからあれですが、そこで予防措置として、これは言うはやすく、なかなか行なうはかたいと思うのですが、秋田県の大館市におきましては、七十キロメートルのところに二十三億をかけて鉱毒による鉱害防止のパイプラインをずっと敷設して、この会社の黒鉱から銅、亜鉛を取ったあとの鉱滓を川に流して、日本海に流しておる。その理由は、農産物に被害を及ぼす、またダムにためておけば、天災等で決壊した場合に大災害を招く、こういうような良心的なところもある。これは御存じだと思いますけれども、この会社のこの状態と、それからいま神通川のこの問題を考えた場合に、もっともっとりっぱな対策と、それから予防と、それから地元の人たちに対する補償と申しますか、いろいろなものを考えていかなければならぬ、こういうように為政者として、いまそこにいらっしゃるわけですから考えていただいて、そしてそのところから出発をして、要するに住民を守る、国民の健康を守る基本法もできたのですから、その立場から今後の取り締まりやあるいは調査をしていくのか、これを私は聞いているわけです。ただ十分やってまいりますではちょっと困るわけです。
○西家説明員 廃水、廃滓を堆積場にためて管理を行なうか、あるいはパイプラインで流すかという問題、これはなかなかむずかしい問題かと思うのでございますが、私どもといたしましては、現在神岡鉱業所がやっております堆積場あるいは坑廃水処理場と申しますのは、世界的に見まして決して恥ずかしくないと考えている次第でございますが、なおそれでも下流のほうに害を及ぼすということが非常に明確になりました場合には、これは直接パイプラインで流すといったようなことも当然考えさせなければならないと考えるのであります。現在の段階では、まだそこまでいかなくても十分管理ができるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○岡本(富)委員 私の言っていることと、あなたの考えていることとは次元が違う。なぜならば、私はパイプラインで流すとかそういうことを言っていない。あれをやるとすれば相当ものすごいことになります。ぼくも見てきました。そうじゃなくて、こんなにまで良心的にやっている会社がある。これは鉱害によって大きな惨事を招いてはいけないという、要するに人間尊重、人命尊重の立場に立った会社ではないかと私は思う。あるいはまた、そういうあなた方の指導ではないかと思う。しかしながら今度のこの神通川の問題に対して、これはこれで完ぺきだと思っているのではなくして、今後の調査、あなたは先ほど申しましたね、この前の流出の問題、要するに現在はわりにきれいだけれども、昭和二十四年ころあるいはその前についてははっきりわかりません、こういうことですから、この鉱毒の流出についての調査、これが問題になってくるのです。なぜかと申しますと、この患者の人たち、現地の人たちの補償というものはどこからも出ない。したがって、人命尊重の立場からこの患者の人たちを守ってあげるという立場から調査されるのか、それとも現在流れてないからいいのだという考えでやるのか、この二点についてどっちかを私はお聞きしたい、私はそれを聞いているわけです。そのための引き合いにこの例を出したわけです。
○西家説明員 人命尊重の見地からそういう根本的な考え方に立ちまして、客観的に十分な調査をさしていただきたい、かように考えております。
○岡本(富)委員 この点については、また今後の状態をいろいろと報告していただきたいと思っております。 政務次官、そういうわけでございますので、極力一日も早くこの結論を急いでいただき、そして現地の人たちが安心して生活ができるように強く要望したいと思います。
○藤井政府委員 御趣旨の点は十分わかりましたので、われわれとして万全の措置を急ぎたい、このように考えております。
○岡本(富)委員 これで終わります。
○島村委員長 次回は明十三日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十分散会