社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1967/12/20
会議録
○川野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の医師法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
○川野委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣園田直君。
○園田国務大臣 ただいま議題となりました医師法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 医師の免許については、これまでは大学の医学部卒業後、一年以上の実地修練を行なった者に対し、国家試験を行なった上、これを付与することとされていました。 この実地修練制度が創設されたのは昭和二十一年であり、それ以来今日まで、本制度がわが国の医療水準の向上に寄与したところ大なるものがありますが、しかし、反面運用面において実地修練施設の整備、実地修練生の身分、処遇等に問題があり、近年関係者の間に再検討の声が高まってきたのであります。 このため、政府においては、その改善策につき、昨年六月、厚生、文部両省の共同で、大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会を設けて審議を願い、その最終意見の趣旨とするところに沿って第五十五回国会に法律案を提案いたしましたところ、同国会では継続審議となり、続く第五十六回国会では審議未了となったところでございますが、この問題については、早急な解決が望まれておりますので、再び、この法律案を提出した次第でございます。 次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。 まず、医師国家試験の受験資格に関する規定を改正し、大学の医学部を卒業した者は、実地修練を経ないで、卒業後直ちに国家試験を受験できるよう、改めたことであります。 これは、大学卒業後における医学の知識及び技能の修得のためには、従来の実地修練にかえて、医師としての身分を取得した上臨床研修を行なうこととする方が合理的であるからであります。この改正によって、医師になるまでの修業年限は、形式的には一年短縮されることになりますが、この間、大学における臨床教育の充実をはかることはもとより、新制度によって医師になる者は、その免許を取得した後も、二年以上、大学の付属病院または厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうようにつとめなければならないこととして、実質上は一そう資質の向上を期しているのであります。 第二は、前に申し述べましたところの臨床研修を行なった医師については、その申請により医籍に臨床研修を行なった旨を登録することといたしたことであります。 最後に、この法律は、昭和四十三年四月一日から施行することとするとともに、従前の受験資格に基づき、この法律の施行前に行なわれた国家試験に合格した者については、新しい臨床研修制度は適用しないこととしております。 以上がこの法律案の提案の理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○川野委員長 次に、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 小川労働大臣はじめ、労働省の関係の皆さんに御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、小川労働大臣が労働大臣に御就任になりましたことについて、心からお喜びを申し上げたいと思います。 小川さんは私ども前からお人柄を存じ上げておりますが、非常に誠実な、温厚な、しかも政治に対する熱意を持っておられる非常にりっぱな同僚先輩として、尊敬を申し上げているところでございます。労働大臣におなりにましてから、仄聞するところによりますと非常によく労働行政を勉強せられまして、土曜日の午後も、日曜日も、その研究のために毎日やっておられるということです。そういう点で、非常に私どもは期待をいたしているわけでございますが、そういうことについての勉強とか、いまの熱意というようなものを、ほんとに生かしていただかなければならないと思う。労働大臣としてその任務に対処されるには、まず憲法とか法律というものをほんとに完全に順守して、それが順守されるように指導をし、監督をする、そういうことがまず第一であろうと思います。また、いまは佐藤内閣でございまするが、引き続き自由民主党の内閣が続いておりますので、前の佐藤内閣と、以前の池田内閣、またそれから前にさかのぼった自由民主党内閣の国会に対する公約、また直接国民に対する公約、そういうものを完全に順守していかれるということが必要ではないかと思います。また労働省関係の審議会の答申あるいは意見、そういうものを完全に尊重してその行政に当たらなければならないと思います。また御就任のごあいさつにございましたように、国権の最高機関である国会の、この中の特に第一院である衆議院の社会労働委員会におけるいままでの議論の過程、あるいはそこにおける熱心な意見、そういうものを尊重して行政を進めていかれなければならないと思います。そのすべてについて決意をお持ちであろうと思いまするけれども、ひとつ明確に労働大臣の所信を伺っておきたいと思います。
○小川国務大臣 ただいま非常に過分のおことばをいただきましたので、まことに恐縮をいたしておる次第でございます。力の足りない者でありますから、今後よろしく御鞭撻をいただきとうございます。またいろいろおさとしをいただきましたが、政府の公約あるいは前大臣のお約束を申し上げた事柄を尊重すべきことはもとよりでございます。当委員会における今日までの審議の経過等、できるだけつまびらかにいたしまして御趣旨に沿いたい、このように考えておるわけでございます。どうぞよろしくお願いします。
○八木(一)委員 他の同僚委員が質問を待っていられますので、端的に問題に入りたいと思います。私のいま申し上げたこと全部例にあげてお答えになりませんでしたけれども、労働大臣のお気持ちは、先ほど私が申し上げたこと全部を守ってやられるという御決心であろうと私は理解をいたします。もしそうでないならば、その点について次の答弁のときに明らかにしていただきたいと思います。 ところで、この問題で憲法や法律に違反をしたようなことが労働行政の中で行なわれていることを私どもは非常に憂えています。労働大臣は、労働省の通達の職発第三二二号、三三五号というような職業安定局長通達、これを熟読されましたかどうか。
○小川国務大臣 就任早々でございますので、まだこれを読んでおりません。
○八木(一)委員 実は、職業安定法とか、緊急失業対策法とか、いろいろなものがございます。その実際の運用については労働大臣が最高責任者でありますが、実際上のことは、職業安定局長がほとんど実際上の問題の決定をしておられるという状況である。そこで、その具体的な扱いについて、安定局長の三二二号、三三五号という通達が出ておる、これについては、労働大臣は、あるいは局長は非常に熱心な、一般的には熱心な有能な局長でありますから、全般的に信頼しておられると思いますが、この通達その他のその関連の事項に関する限り、これは非常な法律違反であり、また前からの公約違反であり、また非常に当を得ていないという部分が相当にあるわけであります。全部が全部とは申しません。その中にそういうものが相当にたくさんございます。そういうことについて、即時に労働大臣としてすぐ勉強されて、このあやまちを是正をしていただきたいと思う。ただし、そのあやまちを是正をされるときに、職安局長なり、失対部長なり、職安局の職員に聞かれたのでは、あやまちをした人の意見を聞いてこれはこれでいいのかなということであっては、労働大臣としては資格が薄いことになろうと思う。あなた自体が全部を読まれて、説明とか弁解とかいうことは聞かないで、これが不適当であるということを、正しい政治家が読まれたならば必ず見つかるところがあるに違いない。そこを、別にやはり有能な局長とか部長をしかる必要はありません。あやまちを直ちに直させるように指導していただきたい。 その中の例示をあげますと、いろいろある団体との問題で、警察を待機をさせて、すぐ警察を呼んでくるような処置が克明に——これは付属別紙でありますが、そういうように指示してある部分がございます。憲法論議はするなというふうなことが書かれている。職業選択の自由とか、勤労権というような話に惑わされてはいけないから、そういう議論は突っぱねろ、そういうような文言があります。いかに事情があろうとも、日本国憲法のことを突っぱねたり、あるいはそれに幻惑されてはならない、——憲法というものは、だれが読んでも同じ文章でしょう。日本語は、だれが読んでも同じ解釈になるべきです。その問題について、論議に幻惑されていろいろなことをしてはいけないということは、憲法の条文に従わないということを、それに違反しておることを追及されたときに、そんなものは相手にしないで、ほかの論議でやれというようなことになるわけであります。憲法を尊重する義務がある国家公務員が、そのようなことであってはならない。非常に不適当な文章です。 また、騒ぎを予想して警察との連絡のことを克明に指示しておるというような事実があります。そういうような非常に不適当なところがあります。それはおそらく、職安局長に質問をいたしますと、求職をいろいろとみんながしたいという人たちの団体、はっきり言うと、全日自労という組合等の団体が、非常に激しく、求職について熱心に運動をする。それを現場の職業安定所では激しいと受け取る。熱心なことを激しいと受け取る。そういうものについては、そういう団体はあまり相手にするなというようなことを克明に指示しておる。現場の所長がほんとうの憲法の条章を重んじて、またその任務を、ほんとうの意味で失業者を早く就職させなければならない。国の雇用行政が不十分なために失業して困っている者たちを、早く熱心に、具体的に処理しなければならない。そのためにはいろいろな意見を聞いてどんどんとやっていきたいという気持ちがあっても、本省の指令によってそれが制約をされるということになります。そういう状態が起こっているわけであります。 そこについて、もしここで職安局長に質問をするならば、非常に大ぜいの人が入ってくる、非常に激しい交渉をする、だからそういうことについて不測の事態が起こったときに、警察とすぐ連絡するように指示したのだ、それから、そういう憲法論議になって、そこで職業安定所の人がその正しい憲法論議に従ってやろうとすれば、あまりそういうことを熱心に進めたくないという、職安局の行政上の間違ったやり方に都合が悪いということでそういうことになったのだろうと私は理解しております。これは一方的になってはいけませんので、あとで職安局長も答弁されるように、その点については時間をあけるつもりですけれども、時間切れになったらそのときはまた後のときに伺ったらいいのですが、そういうことです。そういうことのもとを、時間がありませんから私の知っていることを先に労働大臣に申し上げます。 もとは何かというと、失業して就職をしたいということで、求職を希望する人が大ぜいいます。ただ、そういう人たちは、職業安定所というものがどこにあるのか。また一般の庶民の中には、お役所は何とはなくこわいものだ。それから行ってもなかなか親切に扱ってくれるかどうかわからない。これは安定所のことを言っているわけじゃないですが、たとえば警察とか、税務署とか、そういうものを一般的にこわがるのと同じような、そういうふうな気分がある。 それからもう一つ、いろいろな制度のあることをほとんど承知いたしておりません。職業安定法の中には中高年齢層に対する就職促進の措置の制度がありますけれども、普通の失業者はそういうものがあるということすら知らない人があるわけです。ほんとうはそれであってはいけないので、職業安定所が、その地域の失業者とおぼしき者をみずから一生懸命さがしてきて、こういう役所にいらっしゃい、そうしたらすぐ受付でいろいろな世話をしますよ。それからこういう中に中高年齢層の就職促進措置ということがあって、それに適格であったら、政府の手厚いいろいろな就職促進措置がありますよと言ってあげなければならないわけでございますが、そういうことは現在は安定所は一つもいたしておりません。 そういう状態の中で、失業者の方々、それから同じ立場にある人々の気持ちをそんたくして、こういうところに——役所がこわいところではない、一緒に行って一緒に話してあげましょう、一緒に頼んであげましょう、また、こういう制度がありますよ、こういう制度について申請を出したらどうですかという役割りを、全日自労という組合その他の団体がやっておられるわけです。これは労働省としてむしろ感謝をしなければならない。 ところが、そういう組合員であるということで求職の申し込みの受理をしない。あるいは次の中高年齢層の就職促進措置の申請を受け付けない。その後の、申請後の認定についても非常に不親切に扱う。そういうことが全国津々浦々に行なわれているわけです。そういうことを労働大臣はすなおにお考えになったら断じてけしからぬとお考えになると思います。で、これは局長に聞かないで労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小川国務大臣 一般的に、国の制度なり仕組みというものを、庶民が気づかずにおるということは、よくあることと存じます。さような場合に、国のほうから積極的にPRをする、教えてやるという積極的な態度が必要である、これはもう御指摘のとおりだと存じます。 中高年層の就職の問題についても、これまた同様だと思います。 いまお話しのとおり、組合員であるという理由で申請の受け付けを拒否したりあるいはその理由ではなはだしく態度が不親切であるということがかりにあるといたしますればまことに遺憾なことだと存じます。
○八木(一)委員 まことに明快な御答弁で、その点敬意を表したいと思います。そのとおりやっていただきたいと思います。 実は横須賀とか茨城県の高萩というところでは、現にそういうような最初の求職の申し込みも、全日自労の組合員である、あるいは全日自労の組合の幹部が一緒に親切に付き添って行った、それからまた、極端な場合には組合の人からそういう制度、そういう役所のあるということを聞いて行ったということだけで最初から窓口ではねつけるということが行なわれておる。全国津々浦々でそういうことが行なわれておったのです。 実は、三重県でもそういうことが行なわれております。私はあまりにひどい状態を知りまして、休会中に三重県の職業安定所に参りました。そこで、そのような不都合なことについて痛烈にただしておきました。それが少し影響をして、職業安定局のほうでもこの点については反省をされて、全国的には、最初の受理について、組合が一緒であるから、組合員であるから、組合に聞いたからといって、そういうことで受理しないということはだいぶん少なくなりました。しかし、まだその一番最初の求職の受理をしない、話もしない、行っても組合員がそばにいたら横を向いて話をしない、帰れという、そういうようなとんでもない、けしからぬことが横須賀と高萩等ではまだ起こっておる。 次は、第二段の問題です。就労促進措置の申請をするときに、これまたそういう制度があるんですから活用して——認定の前です。申請をすると、これまた組合員である、組合の人が一緒に来た、組合から聞いてきたということだけで受け付けないという実態は、いまだ全国的に残っております。そういう点について労働大臣は責任を持って直ちに改められる御意思があろうと思いますけれども、それを明確にお答えを願いたいと思います。
○小川国務大臣 今日まで、概略の説明を聞いておるわけでございますが、ただいまいろいろ御質疑もあり、御意見も出ておることでございますので、さらに実態を十分きわめまして改めるべき点は改めてまいりたいと思っております。
○八木(一)委員 大臣、労働大臣、なぜいま、実態をきわめましてとおっしゃったんですか。直ちにそれを直すという御答弁を、なぜなさらないのですか。そこをちょっと伺いたい。
○小川国務大臣 同じことを繰り返して恐縮でございますが、概略の説明を聞いただけでございまして、いまここで御指摘をいただいたような事例が全国にわたって相当たくさんあるのかどうか、こういう点もただしてみなければなりません、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○八木(一)委員 けっこうであります。あれば直す、——それは全国的にほとんどそうなんです。ですから、直ちに直していただかなければならぬということです。実態を調べて直すというのは、あるものを調べて、あるものは即座に直すというわけだろうと思います。 そこで、職安局長が横を向いて、職安局長の言いたいことを、労働大臣にいろいろ言ってもらいたいようなそぶりをしておられますけれども、職安局長は所管でございますから、帰ってから説明されるでしょうし、説明を聞かれるでありましょう。 しかし、そこでいままでのあやまちを、職安局長もその点については十分に反省をしておると思う。私は、有能な局長であり、善意の局長であると思いたいと思いますし、そうなると思いますけれども、そこはいままでそうしてきて、こういう理由があります、こういう理由がありますという説明を、局長はしなくても、部長がしたり、ほかの人がするおそれがある、そういうことに惑わされないで、中高年齢層就職促進措置の申請については直ちに受理するという労働大臣の強い決心を、いま明らかにしておいていただきたいと思います。
○小川国務大臣 私といたしましては、今日までの経緯等についてもまだ知悉しておりませんから、そういう点も十分研究をいたしまして、御趣旨の点は、十分念頭において善処してまいりたいと思います。
○八木(一)委員 それでは具体的に中に入ります。 おそらく労働大臣は、非常に善意に熱心に言っておられるのでしょうけれども、帰ったら局長から、それはこうこうこういうことで、していませんというようなことを言われるにきまっていると思います。あやまちは改めてもらわなければならないけれども、局長は局長なりに、労働省のいままでやってきたことですから、それにはこういう経過がありました、こういう事情がありましてというようなことを説明されると思います。そうすると、大臣がぐらつかれるといけないので、きっと出てくると思われることを先に言っておきます。言っておかないと一日もゆるがせにできない問題でありますから、あしたでもまたこの問題は続けてやらせてもらわなければなりません。 いま言っておきますけれども、実はこの三二二号、三三五号では、こういうことをいっているわけです。「最近失業対策事業就労者となることのみを目的として、団体等によって誘引又は勧奨を受けたいわゆる求職者を中心に多数の申請希望者が安定所に出頭し、」云々というようなことがあるが、そういうことについて受け付けるなというようなことが書いてあるわけです。そういうものについて団体の組合員とか、あるいはそれと一緒に来た人とか、そういうものについては一切受け付けるなということが要約すれば書いてある。それはほんとうのところきわめて明快な法律違反になるわけです。もし大臣が、先ほどの最初の決心どおりすぐしていただけば法律違反を犯したことになりませんけれども、それを聞いてから事態の把握を間違えてなさって、それを直ちに改められなければ、大臣が法律違反を犯したということになります。 そこで職業安定法という法律、御承知のとおりでございますが、職業安定法の十七条には、「公共職業安定所は、いかなる求職の申込についても、これを受理しなければならない。但し、その申込の内容が法令に違反するときは、その申込を受理しないことができる。」ということが書いてあります。そこで「いかなる求職の申込についても、これを受理しなければならない。」ということでありますから、それがどこの労働組合の組合員であれ、だれが一緒に来ても、だれに聞いて職安に来ても、それを受理しないということは法律違反である。その例外規定で、「その申込の内容が法令に違反するときは、」ということは、その内容のことを言っているのであって、だれが一緒に来たらなんということは一つも書いてないし、どういう身分であるからなんということも一つも書いてない。申し込みの内容が、私は夜の夜中に働きたいからそういうところを紹介してくれといえば、これは深夜業は禁止されておるから、そういう法律違反になるような求職の申し込みは、こんなことはできませんといって受理しないでもいい、これが例外規定である。まさか殺し屋になりたいから紹介してくれなんてとんでもないことは言ってこないでしょうけれども、とにかく一般法令、その他の法令に違反した、たとえば真夜中だけ働きたい、真夜中だけ普通の工場で働きたいので、そういうところを紹介してくれといっても、それは無理だし、法律違反である、そういうことを言ってきたときに受理しないということであって、それ以外のことで受理しないということは、一切第十七条違反であります。 それから、その次に第三条があります。職業安定法第三条には「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」というのが、職業安定法第三条に明記されております。この点についても先ほど申し上げたことは明らかに第三条違反であります。十七条違反、第三条違反です。当面その二つの明確な違反であります。特にこれは労働省関係の法律であります。それを労働省がみずから違反をするようなことは、どんな理由があっても許されない。何か困るんですとかいうようなことの遁辞は許されない。直ちにきょう即刻、そういうことについての間違った通達は、これを取り消すという指令を出されなければ、小川労働大臣としては、法律違反を労働大臣自体がするということになるわけです。ですから安定局関係で、これはいろんな事情がありましてといっても——別に熱心にやっておられる方に、けしからぬじゃないか、ほかにかわれということをおっしゃらなくてもいいです。その方がみんな直っていただけば、別に、ほかのことには熱心な人ですから、そんな過去のことを追及するけちな考えは私はありません。直ちに労働大臣は、いまのいまから直していただきたい。その通達は取り消す。これは至急電報で取り消すというようなぐあいに、一日も猶予なしにこの通達を電報で取り消す。三二二号、三三五号。そういう状態で、法律を守って、法律の条章に従って大ぜいの人が来て事務上仕事が多くなっても、これは本来の仕事だから熱心にやる。そこで安定所の人員が足りなかったら、その人数はふやそうというようなことで、積極的に対処をしていただきたいということであります。そこで、ひとつ御決心を伺いたいと思います。
○小川国務大臣 私は、全く白紙の立場でいまお話を承っておるわけでございますが、この通達の出されました背景、そこに至るいきさつ等につきまして、よくひとつ研究をいたしてみます。明白に法律に違反するような内容の通達を出しておるということであれば、これははなはだ奇怪なことでございます。もしそういう事実がありますれば、善処するつもりでございます。
○八木(一)委員 その通達の全文取り消しを通達されるのは、有能な小川さんですから三十分あったら通達できます。この質問が終わってから三十分以内に、違反の事実がありますから、そうしたらその通達を取り消されることを当委員会継続中に御答弁いただきたい。本日の委員会継続中に。
○有馬政府委員 八木先生の御指摘を聞いておりますと、いかにも法律違反のような感じを受けますが、こういった措置を通達せざるを得なかった事情というものをよく御反省いただきたいと思うのでございます。
○八木(一)委員 御反省といって、ぼくが何か反省する理由があるのか。ちょっとことばを変えてもらわなければ……。ぼくは何も悪いことはしていない。
○有馬政府委員 反省ということばが悪ければ、私どもが申し上げます経緯をお聞き取り願いたいと思うわけでございます。 三十八年の失対法の改正以来、御承知のように全日自労さんは、流入闘争というのを強力に展開をいたしまして、このためにわがほうの安定所の窓口が非常に混乱をしてきております。われわれは、三年間にわたってこのことについては組合ともよく話をし、あまりむちゃな流入闘争はやめてくれということを再三申し上げたのでございまするが、依然としてこの戦術を踏襲しております。したがいまして、私どももこの闘争方針に対しては従来の経緯にかんがみまして、どうしてもこの程度、最小限度のことは措置をしなければ、ほかの求人者、求職者にも迷惑が及ぶという情勢判断のもとに、いま御指摘のような措置を指示しておるわけでございます。したがいまして、安定法の条文を読みますと、法令違反以外は全部受け付けろということになっておるではないか。——私どもはこの法律以前の問題といたしまして、多数の集団的な行動によりまして求職者を受け付けるということは、やはり事情によっては無理である。平穏かつ秩序ある状態、方法のもとに受理をするということが、当然法律の前提になっておるわけでございます。したがいまして、そういう集団的な行為で来た場合には、本人の真意であるかどうかもわかりませんし、そういう状態のもとでは受理をしないで、後刻本人が直接見えたときには受理をするということで措置をいたしておりますので、その点は最終的に受理しないというわけでも何でもない。そういう混乱的な状態のもとにおいては受理を差し控えるという通達の趣旨でございますので、こういう措置をとらざるを得なかった事情というものもよく御理解いただきたいと思うわけでございます。
○八木(一)委員 そういうような答弁があることは、初めから知っておりました。だから一回はやはり正しい——正しいというよりは、一応は職安局長の発言の場もつくっておかなければ、こっちがひきょうのようになってはいけない。それでさっきは言ったのですが、いま言っていることは全部けしからぬことだ。一応の説明は聞かれたと思いますが、流入闘争とかなんとかいうことをかってに言っておりますが、闘争ということばは、これはいろいろな組合で使います。それは運動という意味と理解していただいていいと思います。これはそういうことばが一般的になじんでおりますから、どこの組合でも闘争ということばを使いますが、一般的にこれを解釈すれば、運動であります。運動ということは、その組合の運動方針にのっとりまして、自由労働組合では失業者全体が一緒になって、失業の問題で安定雇用がつくように、安定雇用になるように、みんなで力を合わせてやっているわけです。そこでそういう人たちの中で法規を知らない、役所側とは、おっかなびっくりで話ができない、そういう法規を知らない人にこういう政府の法律があり、こういう制度があるのだ、それについてそれを活用したらどうかという話がある。先ほども申し上げましたように、そういうことは労働省自体が、職業安定局長自体が——失業して、それで制度のあることも知らないで、どうしようか、あす首をくくろうか心中しようかという人まであるわけです。そういう人をみんな職業安定所がさがし出してきて、こういう措置がありますよ、こういう措置をしましようということが必要であるのに、これは人員のせいもありますけれども、そういうことを積極的になさっておられない。ところが、そういう失業者の人たちがお互いに助け合う、その中でそういうものを知っている人もあれば知らない人もある。知らない人について、そういうことがあったら行きましょう。それで、お役所のお役人というのはほんとうは善意であるべきであるけれども、お役人というものはこわいと思っておる人もあれば、むずかしいことばを言われればどう応答していいかわからないという人もある。そういう人たちに組合のそういうことを知っている人たちが一緒について行きましょう。あるいはまた一緒に行きましょう。そういうことについておっかなびっくりですから、同じ村の人がバスで一緒に行きましょうということがあるわけです。それを自由労働組合の幹部が一緒に来た、あるいは自由労働組合に入っておったということで拒否をする方向を出しておられるわけです。 それでいろんな騒ぎがあるといわれますけれども、これは鶏と卵のようなことですけれども、むしろ労働省にその責任があるわけです。いま自由労働組合の組合は、失業者が安定雇用につきたい。継続的で、賃金その他もその人たちとして満足のできるもの。それでけがをしたり、からだがすぐつぶれてしまうようなところでなくて、それはいろいろ雇用の条件はありますけれども、自分の全部満足するところに行かないにしても、とにかくできるだけ安定したところに就職をしたい、それがこの方針であります。 労働省はそれを受け付けをし、就職促進措置の申請をし、それの指定になって、それから就職促進措置を受ける、受けた後に安定雇用がなかったときには失対事業に入れるという規定になっておる。労働省としては失対二法のときに、労働省の一部が、この機会に失対をなくしてしまいたいというような考え方があったようであります。これは政府の考え方ではありません。大臣の考え方でありません。底流としてそういうものが労働省の中にあった。ですから、国会と政府との約束とかなんとかを裏で実際上踏みにじって、そのような失対事業をなくしたい。ところが、就職促進措置をして、安定雇用をさがし得ない場合には、失対事業に入れなければならないことになる。それをつぶすとぐあいが悪いということがもとになってこういうような圧迫をする形勢がある。そして自由労働組合というのは、その失対事業に失業者を入らせることを目的とするということを、組合の運動方針に安定雇用を目的とするということを書いてあり、組合の人もそれを説明しているのに、それを労働省が断定をして、それだけを目的とするものに対してはそういうことをしてはならないというような独断、そして断定、そしてそれに対する圧迫をしているわけです。そういうような状態に対して、そういう失業者の方々を、そういうようなことで非常に不親切な扱いをしますから、一緒に行かないといけないから行く。それから一人で行けば、君は自由労働組合に入っているのか、入っていれば、君みたいな者はいかぬというような態度に出ておるわけです。これは職安法三条違反だ。そういうふうに、底流で、労働省が法律で規定し制度としてあるものについて恣意的に、自分たちは失対事業を早くつぶしたい、なくしたい。なくすにはだんだん減らしたい。新しい者が入ってきてはぐあいが悪い。その前に、自由労働組合は安定雇用をさせたいということを言っておる。その組合員や求職者は、そのためにお願いに参っておるのに、それをそういうような流入運動だという断定をかってにして、そういう者についてはそういうことはできないという態度をとっておられるわけです。それで、来たら会わない、組合員だからきょうはだめだ、組合の幹部が来たら会わないということをする、当然、一生懸命遠くからやってきた人が、会ってくれない、話を聞いてくれない、どういうことですか、話を聞いてくださいといったら、それを横を向いて返事をしない、返事もしないのを私もこの目で見てきたのですよ、うそじゃないのですよ、三重県で。横向いて返事をしない。日本人同士、声をかけられたら返事くらいするのはあたりまえです。役所でそういう仕事を持っている者が、国民が来たら返事くらいするのがあたりまえです。横向いて、何も返事もしないで、こういうふうに腕組みをしているという状態すら見てきた。そういうことをやってくれば、組合のほうは憤慨するのはあたりまえです。なぜそういうことをやるのかということを言います。そうなれば、またその人たちは黙して語らず、帰れという。そういうことをすればだんだん声が大きくなる。ぼくみたいに生まれつき大きい者じゃなくても、ぼくよりもっとずっとおとなしい人だって、ほんとうに腹が立てば声が大きくなってきますよ。そうなればやかましい。話がへたで、当然の権利を主張することができない人たちは、ほかの人に言う。それに対しても、何も言わなければ、もっと話すことがうまい人が言うことになる。そういうことを、大ぜいになる、そういうことを、喧騒になる、そういうことを職業安定所がほかの事務にさしさわるというようなことを言って、しまいには警察を呼ぶというようなことをやっている。大体労働省が、職業安定局が、ほんとうの失業者の立場を考えないで、自分たちのまだ政治として方向が決定されておらない方向に持っていきたい。そして、中にはどんな人があるか知らぬけれども、組合として言っていることが、安定雇用を望むために要請に来ている、申請に来ているのだということをまともに受けないで、これは流入闘争だから何とか。そんなものは許されるものではありません。 先ほど法律以前の問題ということばがありました。法律以前というようなことで法律を違反したら一体どういうことになります。そこで、おわかりだと思います。いま安定局長のお話もありましたけれども、労働大臣に、法律以前という問題で法律の規定をゆがめるということは、この法治国家としては許されません。労働省のほうが権力を持ち、強い立場にあるわけであります。労働省が法律に従って全部やればそういう問題は起こりません。組合員であっても、複数で来ても、数人で来ても、全部どんどん受け付ければ紛擾が起こるはずがない。それをさせまいとするから声が大きくなる。声が大きくなったことを紛擾だと彼らはかってに断定をする。しまいには、警察を呼ぶというところまで指示をしている。そんなことをまた聞いて——ほかの隣のところで警察を呼んでほうり出されたといったら、同じような立場にある人がほうり出されたということを聞いたならば、そういう団体の人が憤激するのはあたりまえでありましょう。そうしたら初めからやっぱり憤激の含みを持って話をするのだ。そうすると応待するほうの安定所のほうは、ますます何にも言わない。そんな大きな声なら聞けない。もとは労働省がつくっている。職業安定所がつくっている。ですから法律以前の問題である。そのためにそういうことをする。そういうことについては、そういうような誤った説明を聞かれて労働大臣が影響されてはなりません。したがって三二二号、三三五号を直ちに取り消すことを本日中にやっていただきたいと思う。その御決心を伺いたいと思う。
○小川国務大臣 組合の側では安定雇用を目的、目標にして、いろいろ御努力になっておるというおことばでございます。役所のほうは、一人でも多くの方に安定した雇用関係に入っていただきたいということで努力をしておるということであれば、そこに問題の起こる余地がないのじゃないかという感じがするわけでございますが、いま法律以前云々ということばが確かにございました。前後の関連を私はっきり覚えておりませんけれども、いずれにしてもそういう場合に、職業相談と申しますか御本人といろいろゆっくり話をし合う、また気持ちも確認をする、それにふさわしいような環境、雰囲気がほしい、そういう気持ちから出た通達でありますれば、その通達そのものを私まだ熟読をしておりませんので何とも申せませんけれども、これはある程度御理解願える通達かもしれない、こういう感じがしておりますが……。
○八木(一)委員 先ほど申し上げたように、鶏は労働省なんですよ。労働省が初めから失業者のために、一生懸命安定雇用をさがす気がない。ほんとうの安定雇用をさがす気がなくて、まず第一に非常に賃金の安い、それから非常に不安定な、ちょっとつとめても半年ぐらいにつぶれて首になる、それから非常にその人の健康に合わないような猛烈な重労働でこき使われる、あるいは非常に遠いところ、そういうところが大部分であることはやや実態なんです。その中からいいところをさがして紹介をしなければならない。ところが労働省はそういうほうの変な業績をあげたいわけだ。それでいろいろ強圧をしている事実、これはあとに出てくるのですが、そういうことでとにかくいろんな求職者に対して、形式的に変なところでも当てはめて就職を紹介したい。ところが、その人たちがそこへ行ってみたらひどいところで、これは、私はそこで働けません。それからまた、安過ぎて、これでは希望したあれではありません。日額四百円くらいのところを紹介することがあるのですよ。たとえば、失対賃金は七百二十円ですよ。それでほかのところじゃないとこれは希望の条件に合いません、そういうことを言うと、あとに出てきますが、それは熱心かつ誠実に就職活動をしていないということで、その認定を取りやめるというようなことを言うわけです。それは役所のほうの悪いくせで、業績を上げたいわけです。しかし、それはほんとうの失業者の立場に立っていないわけです。相手は非常に弱いのです。言うことを聞かなければ、誠実かつ熱心に求職活動をしてないから、おまえの措置は一切やめるぞと言われたらこれはたいへんですから、泣く泣く——喜んでじゃなく、泣く泣くそういうところへ行く人もあるわけです。お役所はえらい人だと思っているのですよ。また権力を握っている。だめだと言われたらおしまいですから、ほかの人が一緒に行って——口べたの人もあれば、気の弱い人もある。だから、それはこの人に合わないから、この点について断わっても、熱心かつ誠実に求職活動をしているとは認定しないというようなことはやめてほしい。そういうようなことをやるにも、ほかの人の力添えが必要なわけです。気の弱い人もあれば、口べたの人もある。そういうことを自由労働組合が世話をしたり、仲間と一緒に行ったりするわけです。それが労働省の出先の形式的な成績主義に合わないものですから、そういう人たちがついてきては困る。また、そういうことがわかっているような組合員じゃぐあいが悪いというようなことを言っているわけです。その紛擾というのは、労働省の態度がもとなんです。 ですから、労働省が法規どおりどんどんやる、熱心にやる。ある制度はどんどん活用するようにやる。たとえば中高年令層の就職促進措置というものがある。そういう制度があるのですから、できるだけたくさん、早くその措置によって認定をするようにやる。そして、その措置には、訓練をやったりいろいろなことをやる、四つか五つのコースがあります。それをてきぱきとやる。それが終わったならば、安定雇用を早くさがす。なければ、制度があるように、そこで失対事業に早く紹介をするということをやれば、何も問題ないわけです。それにもかかわらず、労働省はそれをあまりやりたくないわけだ。りっぱな国の雇用政策、失業者に対する政策といってできた制度を、ほんとうに活用しようという気がない。第一段の、形式的に、普通の安定雇用、普通の就職紹介ができたということに成績を上げたいわけです。ところが、それがそういう非常に悪い労働条件のとこに——それでいいという人だったらいいですよ。ところが、ほんとうに行く気がなくて、行かなければ取り消すぞ、認定を受け付けないぞ、あるいはまた取り上げないぞ、あるいは取りあげてからでも取り消すぞということで、強圧してやっている状態がある。そういうことに対して、国民は一人では弱いものですが、職業安定所長の権限というのは——これはあとで御研究になるとわかるが、生殺与奪の権を持っている。また職業安定局長は、これは何百万人の生殺与奪の権限を実際に持っているようなものすごい権限になっている。しかし、そのほんとうの権限はあなたにある。あなたが間違えたら、とんでもないことになる。実際上は、あなた以下の人が、あなたにも十分わからないうちにどんどんやっているわけです。だから、あなたが正さなければいけない、そういうことになるわけです。 時間があと五分ほどということになってきました。これではまだ質問のうちの十分の一くらいしか済んでいませんが、まず申し上げたいのは、第一条であります。職職安定法の第一条には「この法律は雇用対策法と相まって、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が、関係行政庁又は関係団体の協力を得て、各人に、その有する能力に適当な職業に就く機会を与えることによって、」以下云々となっている。「関係行政庁又は関係団体の協力を得て、」ということになっている。関係団体というのは、これは資本家団体だけではない。関係団体というのは労働組合もあるいはそういう求職者の団体も関係団体です。安定法第一条には、関係団体の協力を得て、こういうような失業者に対する就職についてやるということが明文にされている。ですから、むしろ労働省としては、職業安定局としては、公共職業安定所としては、自由労働組合はじめそのような関係団体に、失業して、そういう制度のあることを知らない人をさがして連れてきてください、一人で来られなかったら大ぜいで連れてきてください、法規上なかなかむずかしいから、あなた方も立ち会って一緒に聞いて、安定所から説明する以外にあなた方もここで説明して、本人が理解して、国の行政がこういうものがあるんだ、これはありがたいことだ、それをどんどんほんとうの意味で進めてもらいたいというふうになるように、自由労働組合に協力を求めるというのが労働省の態度でなければいけないと思う。それを、自由労働組合の組合員だったらいけない、組合員の言うことを聞いてこの安定所に来たら受け付けない、大ぜいだから受け付けない、相手にしない、そういうようなことは断じて許されないことです。そのことについて明快な御答弁を即時願いたい。
○小川国務大臣 私の気持ちは、先ほど来御答弁申し上げたところで大体御理解を願えたのではなかろうかと存じます。 いまお話の中に、点数をかせぐために非常に条件の悪いところへ強圧を用いて送り込む点の御指摘がございます。そういう点も、はたしてそういうことをやっておるかどうか、よく調べてみたいと思っておりますし、この法律の趣旨を生かす意味において、御協力を求める余地があれば、これは積極的に御協力を願うことが至当だと存じます。あるいはまた、これもお話に出ておりますが、とかく一般の庶民というものが役所などに参りますと、役人の前に行くと、順序正しくものを言えないという心理状態もこれはよく理解できると思います。この措置がはなはだ適正を欠いておるというような極端な事例がありました場合に、ものの言える人がついておいでになって説明をする、問題がこの限度にとどまっておりますれば、これは私は何も言うことはないんだろうと思います。先ほど騒ぐというようなおことばも出ております。騒ぎが起こるについては、労働省側に責任があるというようなお話もございました。そういう点についても、私、もう少し時間をかしていただいて、実態の研究をみっちりやってみたいと存じます。ここでこの通達を即刻撤回せよと仰せられましても、直ちに御期待のとおりいたしますという御返事は、これはちょっといたしかねると思いますから、ひとつ御容赦を願って、少し事態を研究するための時間をかしていただきたいと思います。
○八木(一)委員 それについて、続けて島本委員がこの問題でなくて関連した問題も質問いたしますが、私も後に当委員会等で質問したいと思います。また事態が緊急でありますから、労働大臣に話しに参ります。ただしそれ以外に、たとえばこの当事者である自由労働組合の幹部が、あなたなり、幹部なりに——きょうはたくさん全国からその問題に陳情に来ておられますが、そのときには心よく、人数の制限などしないで、時間の制限などしないで、あなた自体がお会いになる。また職安局長に陳情もあるでしょう。それについても人数の制限をしないで、時間の制限をしないで、十二分に話し合うようにしていただきたい。これは労働大臣から職安局長にすぐ、そういうことをするようにというふうにおっしゃっておいていただきたい。 それからいまの問題については、いま言って、いまですから、労働大臣としては職安局長という人に行政の多くの部分をまかしておられたわけですから、こういう事態でいますぐということは御無理かもしれません。しかし、これは一両日の間に決着をつけなければならない、通達の中にそういう点がたくさんあります。ただ形式的にいいとも悪いとも言えない点もあると思いますが、その点は残したいということがあるかもしれないけれども、一応その通達についてはすぐ停止をして、即時に、一日、二日に全部削除することができなければ、悪い部分を削除するという通達でもかまわない、全文削除しなくてもいい、悪い部分だけでもいま言ったように——悪い部分というのは、われわれの申し上げた悪い部分であって、職安局長の言われただけをうのみにするということはいけません。そういう問題について、おそらく今明日中に団体がお願いにあがると思いますが、それを十二分に聞かれて、私の言った悪い部分全部について、一両日中に削除をする通達を流される、それだけの決心はしていただかなければ——時間的余裕を一日、二日置いたわけです。また全文と言わないで、悪い部分の削除ということを申し上げたのですから、その点についてはそれを直ちに削除する。そういう通達を一両日中に出すという決心を、ぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
○小川国務大臣 代表の方にお目にかかることはお約束をいたします。ただ、何ぶん私が十分な予備知識を持っておらないわけでございますから、懇談的にお話ができるような形が願わしいと思いますから、人数を制限してならぬというお話でございますけれども、そういう点はまたあらためて御相談をさしていただきたいと思っております。 それから通達の削除ということでございますが、何ぶんにも私自身判断をいたしますために急遽研究をしなければなりませんから、削除するというお約束もこの場ではいたしかねるわけです。とにかく御発言の趣旨は十分念頭に置きまして研究をする所存でございますから、どうぞそのように御了解願いたいと思います。
○八木(一)委員 法律の問題ですから、法律違反になるそういうものについては削除するということは言っていただかないと、労働大臣は法律を守らないということになります。小川労働大臣が法律を守らないという理解を私はしたくない。だから法律に違反している部分については、私がいま言った、だれかついてきたら受け付けないとか、話を聞かないとか、組合員だったらいけないとか、それから協力を求めなければならない団体に会わないとか、そういうことはみんなこの法律違反です。そういう問題については全部削除するとともに、それを削除した趣旨を各安定所の末端まで即時に浸透させる。これは大臣の名前で浸透させる。そういうことについてお約束を願いたいと思う。
○小川国務大臣 さっそく誠意を持って研究をいたします。
○八木(一)委員 研究だけではなくて、実行しなければ——研究だけで終わったら、労働行政はとまってしまう。それを実行しなければ……。それについての御答弁を願いたい。
○小川国務大臣 私が、まだ判断をつける基礎になりますような十分な知識を持っておらないわけでございますので、にわか勉強のようなことになりますけれども、さらにいろいろな方面の意見も承り、むろん局長の話も聞くわけでございますが、その上でひとつ善処したいと思っております。
○八木(一)委員 法律違反について、違反を正すことをしてほしいということは、法律違反を正すということは、研究しなければできないということじゃない。それは実行するということを言ってもらわなければ困る。
○小川国務大臣 明白に法律に違反するような通達が出ておるといたしますならば、その部分を削除しなければならぬということは当然なことだと思っております。
○八木(一)委員 それとともに、いろいろなへ理屈が出ますから、法律に違反するようなことを出先にさせるようなあいまいなものは直す、法律に違反させないように直す、そういうことをひとつやっていただきたいと思います。
○小川国務大臣 法律の趣旨が正しく実行されますように、そういう趣旨にいたしますのは当然でございます。
○八木(一)委員 入り口で終わってしまって非常に残念ですが、就職促進措置というもの、これはもう時間がないから、労働大臣の誠意と熱意でばんばんと答えてください。 いまの受付ですが、就職促進措置の申請の受理についても同じであります。同じ精神でやっていただかなければならぬ。その受理について、いろいろな条件をつけておる人があるのですが、これは誤りであります。受理は受理として、それから就職促進措置に認定するかどうかについては、それから後の問題であります。その受理のところでとめてしまったり延ばすという傾向がありますから、それを正していただきたい、これは重大な問題であります。いまの三倍くらいかけなければならぬ問題でありす。 それから、いろいろな受理のあとに今度は認定の問題がある。そのときに「誠実かつ熱心な就職活動」をしなければならぬという文言がある。それを安定所長なり、係官の主観できめるわけです。それではいけないので、中央職業安定審議会でそういうことはあってはならないという答申が出ておるわけです。こいつは気に食わないから、ふまじめなやつだということでやられたら、失業者は浮かび上がる瀬がない、一人や二人の人に生殺与奪の権を握られておる。認定をだめだと言われたらおしまいだ。その結果、一家心中しなければならないことも起こるわけです。そういうことであってはいけないから、中央職業安定審議会でその問題については慎重にやらなければいけないから、誠実かつ熱心に就職活動をやっておるということは、面会日に出てくるとか、ここに行って求人者に会っていらっしゃいと言われたときに行ってきた。そういうことを、熱心かつ誠実に就職活動をしておるものとして——ほかのことをごちゃごちゃ言うものではない。ほかのものだったら主観的に流れる。そういう中央職業安定審議会の答申が出ておる。そのとおりやっておられないのは——たとえばもう少し月給の多いところありませんかと言ったら、これはもうふまじめだ。月給の多いところばかりねらってほんとうに就職する気がないのだ。もうちょっと近いところはありませんかと言ったら、もうだめだ。おまえはふまじめだから熱心かつ誠実じゃない。そういう行政が至るところで行なわれておる。そういうところを改めなければならない。中央職業安定審議会の答申のとおり、私がいま申し上げたとおり、誠実かつ熱心というものは、客観的に見て誠実かつ熱心と認められるものは、全部誠実かつ熱心である。たとえば出頭日に出てくる、ここに行きなさいと言ったら行く。それで条件が合わなくて断わってみても、これは誠実かつ熱心でないという理由にはならないということにしていただかなければならぬ。 それから、認定をしてから指示の間の時間も延びております。指示が終わってから、また一般の安定雇用に紹介をする。ところが、それがなければ失対事業に紹介をするということになる。その期間がおのおの一週間くらいでいいと私は思うのですが、相手がないから時間がかかるというようはことを言います。相手の求人者については、すでに安定所はその前からこういうところがあるということをたんねんに調べ上げておけば、受付をしたらすぐにそこに紹介ができるわけです。また就職促進措置が終わった、こういう人はすぐできるわけです。それからどこに求人者、就職先があるかもしれないということについては、準備が万端整っていなければならない。そこで、それをやるのだったら、一週間で済む。それが一月という長いことかかっておる。大まかに一月という方針を立てながら、ひどいものは半年くらいかかる。その間収入がなしに、仕事がなしに国民は苦吟をしなければならない、そういう情勢がある。ですからそういう問題を敏速にする、意地悪をしない、そうしてできない場合には、一番最後の終着点として失対の事業があるのですから、そこに入れる。失対事業に入ってから安定雇用の道があって、この人はよいと思えばそれから紹介してもかまわない。そういうことが間々逆転しておるわけです。申請受理以前にこれが誠実かつ熱心でないとか、適格でないとか言って受理をしない。いま言う一番最後の終着点は、そういうことで失対に紹介してからしてもいいのに、どこかまだ紹介先があるかもしれないと言って紹介しない。そういうことでなしに、求職の申請はどんな条件があっても直ちに受け付ける。そこで中高年齢措置の申請は直ちにまた同時に受け付ける。そうしてその認定にあたっては、熱心かつ誠実だという理由を猛烈に悪用してやっているが、それをいささかも悪用しないで、出頭しないというようなことがない限り、熱心だとしてやっていく。そして、その次の処置としては、一週間くらいで片づける、そういうことをやっていただかなければならないと思うが、それについては、これはいささかもあなたが疑念を差しはさむところはございません。労働行政をほんとうに法規や制度に従ってこれを活用してやっていくのならば、そのとおり直ちにやるとおっしゃっていただいてひとつも差しつかえがない。おっしゃっていただかなければ、これは断じて不適当である、けしからぬということになる。ぜひ一言で、いま私の申し上げたとおりにやるということを、はっきりここで明言していただきたいと思う。
○小川国務大臣 認定にあたりましては、偏見、先入主というものにわずらわされてはなりませんし、主観にたよるということはよろしくございませんから、客観的な、公正な判断を下すという気持ちで善処するように、これはもう当然のことだと存じます。 また事務処理の迅速化については御同感でございますから、これからも一そうその点には心がけてまいりたいと思います。
○川野委員長 島本虎三君。
○島本委員 労働大臣、島本虎三と申しますから、よろしくお願いいたします。
○小川国務大臣 よく承っております。
○島本委員 大臣にちょっと伺いたいと思います。前大臣が国会で約束をされましたことを、大臣がかわった場合には、その趣旨はどういうふうに了解したらいいものでしょうか。大臣の見解をまず承りたいと存じます。
○小川国務大臣 前大臣がお約束申し上げましたことについては、もちろんあとう限り尊重はいたしてまいりたいと存じますが、申すまでもないことですが、その後において諸情勢、客観的な情勢、環境とか大きな変化をしておるというような場合には、また別の考慮もあり得るかと存じます。あたりまえの官僚的答弁で恐縮でございますが……。
○島本委員 官僚的の答弁でも、それまで明確に理解しておいていただいて、私は次の質問をしていきたいと思います。 昭和三十八年にいわゆる失対二法が改正されました際の労働大臣は大橋さんでございました。大橋さんがその説明をした中には、現在いる失対労務者の分は決して悪くはしない、それから就職については、もっとよいところに就職させるのである、失対に入ってくることについては、これは決して妨げないものである、こういうふうにわれわれに説明されてあるわけでございます。その点において、大臣はどのようにこれを考えて今後これに対して当たろうとしておりますか、考えをまず承ります。
○小川国務大臣 大橋労働大臣とおっしゃいましたが、その発言の趣旨は私も同感でございます。
○島本委員 では、事務当局のほうに伺いますが、昭和三十八年から現在までの間の失対就労者の年次別人員を発表願いたいと思います。
○有馬政府委員 失対紹介の対象者は、三十八年度では三十二万六千人でございます。三十九年度は二十九万六千人、四十年度は二十六万三千人、四十一年度は二十四万五千人、四十二年度は二十三万四千人と漸減をいたしております。
○島本委員 漸減している状態は、三十二万から二十三万、約十万近くも漸減しつつあるわけでございます。この実態については、初め大臣が約束されましたように、これは就職先をもっといいところに就職させたために減っておるものである、そしてそこがだめで、失対に戻ってくる者に対しては、決して妨げないものである、それから現在いる者は待遇は悪くしていない、この条件に従って漸減していると理解しておいて差しつかえないと思いますがいかがですか。
○小川国務大臣 そのとおりであろうと存じます。
○島本委員 いま失対の賃金は幾らですか。
○有馬政府委員 当初は七百十円七十銭でしたが、米価の改定に伴いまして、十一月から七百二十円七十銭になっております。十円アップをいたしたわけでございます。
○島本委員 この賃金をだんだん上げていっているというような点は、現行の失対事業に携わる人たちですから、これは大臣、よろしいと思います。いま八木委員がいろいろ質問されました。答弁もありました。そうして法違反はしない、こういうようなことを大臣から力強く承った。そういたしますと、現在失対賃金の平均は七百二十円、それ以下のところについては強制的にこれはあっせんしないものである、これは当然そうでなければならないはずです。私の手元に資料があるのですが、この資料によると、四百円から四百五十円という賃金を支払う場所しかございません。そうして生活を切り詰めても、六百円以上の賃金でないと生活はできません。したがって、六百円以上の賃金を出してくれるところでないと就職は困るのです、こういうふうに答えたところが、とたんにその求職者に対しましては、これは中高年齢の措置を受ける資格がないからといって手帳を取り上げ、そうして手帳が要るならば、賃金五百円の練炭所に就職しろ、このように強制的に就職させられております。この人の手記があるのですが、こういうような実態に対して大臣はどう思いますか。
○小川国務大臣 地場の賃金と申しますものが、おそらく場所によって高低があるに違いないと存じておりますが、いずれにしても、強制してより賃金の安い職場に就職せしめるというような事実があるといたしますれば、それは問題だと存じます。
○島本委員 これは飯塚にございますから、この例を調べて、そのようなことがないように十分これに対処しておいてもらいたい、こう思いますがよろしゅうございますね。
○小川国務大臣 はい。
○島本委員 同じ例がもう一つあります。これは十一月の二日に、あるプロパンガスの会社に就職させる、こう言われたのですけれども、同じように四百五十円くらいしか出してもらえない、こういうようなことで、それでは生活がやっていけない、こういうように言うと、これは不当な賃金を固執したということで認定を取り消され、手帳を取り上げられましたという手記がございます。これあたりも、見るもむざんじゃございませんか。下部の実態として、こういうようなことが知らないうちに実施されているとしたならば、労働行政の一つこれはガンであります。こういうようなことはもうしてはいけません。大臣も前の答弁からして、こういうような実態があるということを十分認識されて、この実態の上に立っていまのようなやり方を改めさせるべきだと思いますが、大臣の御意見を伺います。
○小川国務大臣 ただいま御指摘のございました事例については、労働省のほうでも若干の調査をすでにいたしているようでございますから、局長から答弁いたさせます。
○有馬政府委員 地場賃金と失対賃金との関係でございますが、場所によっては地場賃金のほうが下回っておるという場所がございます。一部の方々からは、失対賃金が上がり過ぎるという非難も出てくるのでございますが、私どもとしてはそういった考え方でなしに、できるだけ失対賃金をよくすることによって地場賃金のほうを上げていきたいという気持ちでございます。しかし、就職促進の措置にのっとって求職者を紹介する場合には、場合によっては地場賃金が低い場合に、地場賃金の低いところでも、本人が希望するならば紹介あっせんをするということはあり得るわけでございます。御指摘のような具体的なケースにつきまして、私どもも関係者から指摘がございましたので、実情を調べておるのでございますが、いまの御指摘の飯塚の場合の例でいきますと、竜王プロパンというところであるかと思いますが、日額五百三十五円という求人条件でございます。これはその地方の地場賃金からいえば必ずしも安くはない。通勤の距離も徒歩で三分というふうなことでございますので、私どもの安定所の判断といたしましては、本人が格別いやだと言わなければ、行ってみたらどうでしょうかというあっせんはいたしておるわけでございます。これを断わったから、それじゃ措置を取り消すかどうかというところに問題があろうかと思いますが、地場賃金が失対賃金よりも——失対賃金は六百五十一円のところでございますので、確かに低い賃金でございまするけれども、これだけで当然に安定所の紹介あっせんが不当である、違法であるということにはならないのでございまして、あくまで本人がそれでも行こう、民間のほうが将来性もあるし行こうということであれば、それで適合するわけでございますので、その辺は本人の気持ち次第という余地があるわけでございます。
○島本委員 したがって、前に、前提として大臣に対してはっきり申し上げたのはその点なんであります。そういうふうに低賃金を強制されるようなおそれがある、そっちのほうへ配属させられて、そして食っていけないがために当然そのほうへ行くでしょう。それでも、もうがまんしなさい。いわゆる低賃金労働の強制による不認定だとか、認定取り消しのケースがあってはならない。こういうふうなために、前に大橋労働大臣のころに十分この問題に対して話し合ったのです。これはいまの状態だとすると、もっとよいところへ就職する——よいところになりますか。六百円から七百円までやっているのに、地場産業、おそらく零細企業でしょう、そっちのほうへ行って、四百五十円からその辺まで、二百円も下げてやって、これがもっといいところだということがいえますか。そういうふうな場合には、もっとその措置もあり、もっとその間に完全に手続上めんどうを見てやる方法があるはずなんです。いまの実態として、こういうふうなことは私は望ましくない。もし強行してやっているような例があるならば、これは善処させるべきだ、こういうふうに思います。大臣いかがでしょう。
○小川国務大臣 この事例につきましては、役所の調査の結果を、私もただいまこの場で聞いたわけでございますが、局長が答弁申し上げましたとおり、本人の自由な意思を拘束したり、強圧を加えておるという事実はないようでございますから、そういうことであれば、これはまあやむを得ざることではなかろうか、こう思っております。
○島本委員 したがって、なければやむを得ない、ある場合にはこれはいけない。この手記によると、あるというから、その点は十分気をつけていただきたいということです。
○小川国務大臣 よくわかりましてございます。
○島本委員 私の手元にもまだまだあるのですが、時間をできるだけ節約いたしますから、この問題はもうこれでやめておいて、この次にまたやらしてもらいます。 なお、八木委員のほうのいろいろな質問に対して、大臣は法的にやはり違法な点は現在ないと解釈されるけれども、今後善処するような意向に私は聞き取れました。もし、そうだとするならば、これと同時に私の手元には、就職促進措置対象者の諸君に対しての下部の指導がどうもこれではまずいのじゃないかと思われる点が一点あるのです。これはある場所です。それは「就職促進措置対象者の皆さんへ」というので職安でちゃんと公示いたしました。それによると、「今般五月二十二日付県の通達により、今後就労者団体等の帯同による新規求職申込は一切受理いたしません。なお、既に求職申込をされている方については、上記帯同行為があった場合、直ちに不認定又は認定取消処分を行ないますから承知下さい。」こういうように言っておるわけです。そうなりますと、もうすでに働いておる人でも取り消し処分をそれによってされる罰則行為みたいなものです。もしそうだといたしますと、これは失業者が労働組合に加入したり、労働組合として行なう正当な活動に対する公共職業安定所の干渉ということになり、それを理由とするところの差別的な取り扱いということになり、それは職業安定法第三条、施行規則第三条違反に該当する、こう言わざるを得ないわけですが、こういうようなことに対して八木委員も、これをもう撤回したらどうだ、こういうような意見を申されたのではないかと思うのです。こういうような具体的な例があるのですが、大臣、これに対してどう思いますか。
○小川国務大臣 いま御指摘のありました事例については、多分ここのことではなかろうかということで私どものほうにも調べがあるようでございますから、これを局長から答弁いたさせます。私の気持ちは先ほど申し上げましたとおりで、御質問に出ております通達の趣旨も、そういう就職促進措置の効果あらしめるために適当な状況、環境、雰囲気をつくりたいという趣旨から出たものであるに違いないものであると考えておるわけであります。いまのような掲示まで出しておるというと、多少これは行き過ぎではないかという印象を受けるわけでございますが、その具体的な案件につきましてはただいま局長から答弁をさせます。
○有馬政府委員 御指摘のところは、兵庫県の尼崎の例だと思いますが、御承知のように、この地区はなかなか闘争の激しいところでございまして、安定所としてもこの掲示を出すまでにはずいぶんいろいろな紆余曲折があったところでございます。しかし、その後の事態も考えまして、夏ごろにはこの掲示を取り下げておると思いますが、八木先生からも御指摘がありましたように、全日自労さんとのつき合いは、私どもとしても切っても切れない関係でございますので、鶏と卵とどっちが悪いんだというようなことをここで論議するのは非常にいやなことなんでございまして、この前も自労さんには、あなたのほうの戦術も少し緩和してくれろ、私どものほうの窓口も非常に困っておるから、あまり激しい闘争はやらぬでくれということの相談を実は内々しておるのでございます。見方によれば、当局が泣きを入れたというふうにとれるかもしれませんが、私はその点は率直に、はたから見てもおかしいのではないかということで申し入れをしております。私のほうと、全日自労さんと、それから実際の求職者、この関係はちょうどPTAと生徒と教師、こういう関係だろうと思います。この例で全日自労さんにも話をしておるのでございます。いままでの実績から申しますと、PTAであるべき全日自労さんが、教壇に立って教師をそっちのけにしておるというのが実情でございまして、私どもも至らぬ点はございますけれども、教師としてやはり職責を尽くしたいという気持ちからこういう措置をいたしたわけでございまして、そういう背景を抜きにして議論されると、私もちょっとつらいところでございますが、要するにそういう関係で、ひとつ過去四年間の実績はお互いに水に流そうじゃないかという申し入れはいたしております。したがって、労使関係——厳密な意味での労使関係ではございませんけれども、私どもとしましても、全日自労さんと話をして、この問題は、基本にそういう不信感があるというところに問題があろうと思いますので、そういう基本的なところから解きほぐしていきたい、むしろ私どものほうから進んでお願いをいたしておりますので、その事情も十分御了解いただきたいと思うわけでございます。
○島本委員 PTAと教師の例、これを参考にされて説得されたように思います。しかし、最近は、BTAもはやっておるのです。正当なPTAの場合には、教師を度外視して教壇に立つようなことはありません。もしそういうような例があるとすれば、ボス、いわゆるBTAでありまして、正当な行為じゃありませんから、そういうような話は例としてはちょっといただきかねるわけでございます。しかしながら、今後これをりっぱに慣行として確立していきたいのであり、いままでの悪いところは直していくというのであれば今後に期待しておきたい、こういうふうに思うわけであります。 なお、この問題についても三十八年六月三十日に、これに対して大橋労働大臣もはっきり答弁して参議院の議事録に載っているのです。あなたも現在の大臣、三十八年のころの大橋大臣、ともに労働大臣です。その労働大臣が国会で言明したことは、これは永久に変わらないものであり、拘束するものです。したがって、その当時、「改正案の内容につきましては、失対労務者の組合の代表とはたびたび会見して、十分意見を交換しております。その結果、法案の一部を改正した点もありまするが、本法の実施にあたりましては、さらにいろいろ相談すべき事項もございまするから、今後もこれを続けて参る考えでございます。」と言っておるのです。十分相談してこれからやっていくというのです。したがって、その人たちが行っても、帯同してきたからだめだとかこういうような認定をやろうとしたならば、これはやはり大臣の発言の趣旨にも沿わない結果にも相なろうかと思います。これは大臣、十分気をつけて今後対処しておいてもらいたい、こう思いますが、いかがでございますか。
○小川国務大臣 おことばの御趣旨を念頭に置きまして、善処したいと存じます。
○島本委員 ついでですから最後に同じ問題ですが、職場適応訓練の委託基準を満たしていない事業所に訓練を委託して、そこへの就労を強制しているようなことは望ましくないと思います。おそらくそういうような場所は、これは解雇したばかりの事業所であったり、それから、労働時間も基準法に違反しているような場所であったり、訓練終了後にこれを雇用する、こういうようなことにしてあっても、全日自労への加入は認めない、こういうようなことをいっている場所である、こういうような点からしても、やはり委託事業主の最低基準、これにはどうも合致しないものを強行しているおそれもあるのではないか、こう思いますが、これ以上申し上げません。こういうようなことは望ましくありません。こういうような点は今後十分直させるべきだと思いますが、大臣どう思いますか。
○小川国務大臣 基準に合致しない事業所に委託をするということは、もちろんこれはよろしくないことでありますから、そういう事例がありますれば是正をさせまするし、さようなことが起こらないようにこれからも努力をいたします。
○島本委員 全面的にその点は要望しておきまして、今後そういうような指示があったとか、また情報があった場合には、あらゆる場所で、大臣にいまの議事録によって再び質問するものであることをここに申し添えさしていただきます。 次の問題に移ります。石炭手当の問題に入るわけですが、大臣も先ほどの例からして、もう十分調べられておることだと思いますが、昭和三十八年にいわゆる失対二法を改正せんとする際に、答申案なるものの中に、すべての手当、こういうようなものは賃金に算定するように改めなさいという答申があった。それを受けたわけでございまして、ところが、北海道や寒冷地、こういうような方面には、冬になりますと、日常食べるパンや米のように石炭、燃料が必要になるわけです。こういうようなものも一律に廃止ということは望ましくない。この点については存置を考えらるべきであり、制度化も考えるべきである、こういうように申したのでありまするけれども、大臣答弁は、十分この点は考えて善処いたします。——当然善処されたものであろうと思いますが、石炭手当は昭和三十八年以降年次別にどういうようになっておりますか、これは事務当局から答弁を承りたいと思います。 なお、その前に、大臣はそういうような点についてはどういうようにお考えになっておりますか、大臣から先に御答弁を願いたいと思います。
○小川国務大臣 ただいまの御質問は、おそらく冬の期間加算に関連をする御質疑ではないかと考えますが、その点につきましては、これから先も改善をするように努力したいと存じます。ただ、詳細の点は存じておりませんので、局長からまたかわって答弁をいたさせます。
○有馬政府委員 冬期加算の点は御指摘のとおりでございまして、昭和三十二年度から北海道を対象に始められまして、当時は加算額が二十円でございました。法律改正の三十八年当時には六十円に上がっておりまするし、その後若干ずつ改善をしまして、今日では日額八十円になっております。地域も、東北、北陸の一部まで広がっておりますが、なお、この加算額では不十分だという御意見もございますので、今後の予算折衝におきまして、できるだけ改善につとめたいと思います。
○島本委員 これは十分やってもらわないといけないと思います。大臣、このようにして、いま発表されたように、以前二十円から始まって、当時の物価で、日額百八十円まで逐年的に上げろ、こういうようなことで進んできたのであります。ところが三十八年に六十円、それから現在まで二十円上がったままでストップしてしまった。これは何といっても、当局のこれに対する怠慢のそしりは免れません。石炭をたかぬでもいいというようなことを言うのだったら、自分が先頭に立ってあの寒い雪の中で石炭をたかずに生活をしてみて、それからつけなければいいのです。でなければ、そういうような点を考えて——何か問題があった時点でそれを考える、皆さんがだまっていれば考えない、これでは正当な行政ではありません。これはやはりその点は十分考えて善処していかなければなりません。ことに大臣も御存じのように、失対の労務者だとか、いろいろなことを皆さんお考えになっていても、正式にはあれは地方公務員です。特別職の非常勤によるところの地方公務員ですよ。地方公務員の皆さんだってちゃんと二万七千円、これほどあたっているのですから、その点はもっともっと考えてやったならば——非常勤の特別職の地方公務員を皆さんあまりにも冷遇していることになるではありませんか。これはやはりもっともっと考えるべきです。私はこれ以上申し上げませんけれども、この点等は、やはり寒冷地に働く人たちに——これはかつて大橋大臣のころにも不況の山が閉山されました、その閉山された山をどうせ国が買うのですから、その石炭を三トンくらいずつ配給したらどうだ、山も助かり、人もこれにより潤うじゃないか、こういうことに対して、十分検討してみますと言ったのが昭和三十八年であります。三十八年から検討した結果が二十円しか上がっていないということになりますと、これはとんでもないことになります。これは検討していない証拠歴然たるものがある、こういうふうに思いますが、今後この問題に対しては全面的に取り組んでいかなければならないと思います。一たん議事録に載り、国会で答弁されたことは、前大臣であろうとも、現大臣は責任を持たなければなりません。この問題等については、ほんとうに責任を持って善処をしてもらいたいが、大臣の強力なる意見を聞いておきたいと思います。
○小川国務大臣 できるだけ努力をしまして御趣旨に沿いたいと思います。
○島本委員 これはほんの参考でございます。石炭は一トン八千五百円している。生活保護法の適用を受けている人でも一日百一円行っているのです。一生懸命働いても八十円とは、これは労働者を尊重しているというたてまえに反するじゃありませんか。もっと考えなければいけません。まして地方公務員、国家公務員は、相当これに対してやってある、処理されてあります。非常勤で特別職であるから、こう言っても地方公務員ですよ。これはめんどうを見てやることにしたいと思います。その点、これ以上言いませんが、大臣、その点の決意、よろしゅうございますか。
○小川国務大臣 御趣旨をよくただいま承りましたから、あとう限り努力をいたします。
○島本委員 与えられた時間を八分残しましたが、これは委員長の言うことに協力した証左であります。この次にはまたこの恩返しをさしていただきます。 以上で私の質問を終わります。
○川野委員長 島本委員に敬意を表します。 田邊誠君。
○田邊委員 北海道開発庁が監督をする特殊法人問題に対してお伺いをいたしたいのでありますけれども、開発庁長官がお見えでございませんから……。 その前に、小川大臣が就任をされる前だったと思いまするが、政府がいわば法律的につくられました特殊法人がかなりございまするけれども、これは予算を国会できめるというようなこともございまするが、労働三法の適用を受けておる労働組合がそこに所属をしておるわけでございます。したがって、管理者と団体交渉をやっていろいろとものごとをきめているわけでありますが、いま申し上げたように、予算上いろいろな制約もございまするから、政府が全体的にこれを統轄をしていろいろとものごとを処理されていく、こういうことになっておるわけでございます。ちょうど国家公務員等の人事院勧告に基づく給与の改定が、現在国会の審議の段階でございます。したがって、これと密接な関連のあるこれらの特殊法人の職員に対しても、ひとつ給与ベースの改定については早期かつ、公務員と並んで解決をしてもらいたい、こういう要望を強く当委員会でいたしておきまして、当時労働大臣なり当局からその趣旨に沿って努力をする、こういうお話があったのでございます。私が聞くところでは、年末差し迫ってまいりましたけれども、いまだかなり多くのところで未解決である、こういうふうに承っておるわけであります。中身はよろしゅうございますから、概括的に、これらの特殊法人の給与改定に対して、現在どういうふうに政府は対処されようとしておりますか、お聞きいたしたいのであります。
○小川国務大臣 政府関係機関の給与の改定は、国家公務員の改定に準じて行なわれておるわけでございますが、できるだけ早くこれを解決したいという前向きの姿勢で、聞くところによりますと、従来は、公務員の給与改定に関する法律が成立をした後でなければ内示もしなかったようでございますが、年々これを早めてまいりまして、昨年はたしか法律案提出のときに内示をしたと聞いております。今回は、法律案が閣議決定を見ましたその日に内示をいたしまして、私といたしましては、関係閣僚に対しましてなるべくすみやかに妥結するよう指導してほしいという発言を閣議でいたしましたようなわけでございます。その後、これに基づいてそれぞれ団体交渉が行なわれておりますけれども、私が少し以前に聞きましたところでは、労使ともお互いに相手方がございますので一がいには申せませんけれども、年内に妥結できそうな見通しのものも相当あると聞いております。しからざるものも、非常にむずかしい問題があるというような報告も聞いておらないわけでございます、われわれといたしましては、一日も早く話し合いを遂げて、ことごとくが年内に妥結しますことを期待し、切望しておる次第でございます。
○田邊委員 いま大臣のお話のようなぐあいに、だんだん進んでおると思いますけれども、中にはまだ具体的な回答を出しておらないところもございます。特に遺憾に思うのは、直接的にいわば労働省の監督下にあり、指導下にあるような、たとえば支払基金とか退職金共済のところとかそういったところが最も模範的にやらなければならぬのでありまするけれども、これが回答をまだ出ししておらない、こういうところでございまして、大臣のせっかくのそういった御意見でございまするけれども、その趣旨に沿わないような状態が現在出ておると思っておるわけでございまして、私のほうとしてはなるべく早くひとつ線をそろえて、まあ非常に特殊事情はありますけれども、いま大臣もおっしゃったように、回答を出しづらい、あるいは妥結をしづらいというようなきわめて困難な条件というものは、私はないと思うのであります。大体、予算的にはそれぞれ年度予算がきまっておるわけでございます。公務員の例にならうこともまた御案内のとおりですから、そういった点でひとつお調べいただければわかると思いますから、ぜひひとつ、いまの御発言のように、年内にはこの問題が解決するように一段と督励をしていただきたい。さっそく大臣のほうから特に督励をしていただいて、その方向に向かって進んでいただきたい、こういうふうに思っておりますが、いかがでございますか。
○小川国務大臣 直ちに取り調べまして、促進をするように指示をいたします。
○田邊委員 北海道開発庁、おいでですか。——実はきょう問題にいたします対象は、北海道地下資源開発株式会社という特殊法人が昭和三十三年に設立をされまして、現在までいわば北海道の地下資源の開発のために主としてボーリング等を行なってきたわけであります。ところが、つい最近、行政機構改革に関連をいたしまして、この会社を民間に改組するとか、あるいはその他の公団に統合するとかいう話が出ておるやに聞いておるわけでございますけれども、私がまずお聞きをしたいのは、これは北海道開発庁がおいででございませんから、ちょっと質問の順序がぐあいが悪いのですが、行政管理庁としては、この行政機構改革に関連をして、公社公団の整理統合といいましょうか、あるいは内部の改革といいましょうか、これに対して一体どういうような方針をお持ちであり、いま申し上げたこの北海道地下資源開発会社については一体どういうようなお考え方で臨もうといたしておるのか、大臣にかわってひとつとりあえずお答えをいただきたいと思います。
○諸永政府委員 特殊法人の整理再編成につきましては、わが行管のほうの方針といたしましては、すでにその機能を終えておるもの、これは廃止すること当然でございます。それから同種の、大体同じような機能を営んでおるものが二つ以上あるというものについては、これはできるだけ統合する。それから、設立の目的が近い将来果たされるということが予定されている、こういうものは期限つきで廃止をする。それから業務の内容、実績から見て、特殊法人としての存立の意義が乏しい、こういうふうに判定されるものについては廃止をする。大体そういうような四つの方針に基づいて整理もしくは統合あるいは再編成、こういう作業をいたしまして、逐次臨時行政改革閣僚会議に上げまして、閣議の決定を得ておる、こういう状態でございます。 北海道地下資源開発株式会社につきましては、これはただいま申しました業務の実績から見まして、特殊会社としての存立の意義に乏しい、こういう判断をいたしまして、しかしながらこれを解散をするということは、その従業員の関係もございますので、民間会社として、民間企業として改組をする、こういう所見を出しまして、閣議の口頭の了解を得ておるような次第でございます。
○田邊委員 あとで開発庁にお聞きをいたしますけれども、いま御発言がありました中に、当該の北海道地下資源開発会社というのは、いわば特殊法人としての存立の意義を失いつつあるという御発言がありました。そもそもこの会社が設立をされたときの趣旨は一体どういう趣旨で設立されたのか。私がここでもってとうとうと述べなくてもおわかりだと思いますので、その点からいっていまの御発言が妥当かどうか判断をいたしたいと思うのでありますけれども、一体どういう目的でこの会社は設立をされたのでございましょうか。
○諸永政府委員 この会社は、北海道の地下資源の開発を通じまして北海道の地域開発に寄与する、こういう目的で設立されたわけでございます。ただ、これを事業団等の方式によらないで、株式会社方式によっておるというのが一つの特色でございます。これはいわゆる民間の営利企業であるところのボーリング事業、つまり受託事業でございます。このボーリングの受託事業によって得た収益、その収益をいわゆる国策的事業である北海道の地下資源の企業探鉱に振り向ける。こういうことで特殊法人として成立しているわけでございます。 ところがいろいろな事情がございまして、営利企業的な側面を持っております受託探鉱、この部門から必ずしも大きな収益は得ておりませんために、いわゆる国策的事業であります北海道の自主探鉱と申しておりますが、会社の自主探鉱はいままで十年間で全体の事業量の一%しか事業の実績がない。しかもこの一%の事業が、ポーリングの結果一つも当たっていないという実績、そういう点から、特殊法人としての存立の意義に乏しい、こういうふうに判定をいたしたわけでございます。
○田邊委員 あなたと論議をするつもりはございませんけれども、仕事の内容からいいまして——この会社をつくるときの法律の趣旨というものは、いまお話しのあったとおりですけれども、いわゆる付帯事業としてボーリングをやっているところの民間会社はたくさんありまするけれども、ボーリングを主体としてやっているところの会社というものが、経営上きわめて純益をあげて生々発展をしているというような例が一体ありますか。大体日本における小さなボーリングをやっているところは、これは付帯事業であります。しかも北海道の場合は、大きな鉱区はほとんど大手の会社が握っておるわけであります。これは三十三年以前からそうであります。したがって、そういった点から言いまするならば、この会社を最初から採算が十分取り得るところの見通しの上に立って設立したとすれば、これは私はそこに大きな誤りがあったと思うのです。ボーリングをしたけれども、いまだりっぱな鉱区に当たらなかったと言うが、大体千分の一か千分の二ぐらいが当たるか当たらないかという率でありまして、そういった点からいっても、いわば私はこの会社というものを設立したときに、採算が十分取り得るという見込みの上に立ってこれを設立されたとすれば、私はそこに大きな見込みの違いがあるのではないかと思うのであります。しかし、なおかつ当時の政府が法律を制定してこの種の会社をつくらなければならなかったというその目的の中には、何といっても北海道という未開の、いろいろな要素が含まれている地域に対して、国策的にこれを開発していこう、こういうところに私はやはり大きな趣旨があったと思うのであります。 その後、もちろんいろいろ状態は変わってまいりました。貿易自由化のもとで、いわば外国から優良な地下資源が輸入されるという状態もありましょうし、いまお話のありましたように、いわば業績の面でそれがうまくあがっておらないという事実もありましょう。しかし、私はそのことを否定するものではないけれども、なおかつ企業努力はしなければならぬけれども、といってこの会社をつくられたいわゆる大目的というものが、今日失われたものであるというふうにはやはり考えられないと思うのであります。私は、この種の特殊法人の今後の育成に対して、全般的に御意見を申し上げようとするものではございません。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 しかし、この会社に限ってみても、まさか政府がつくって、その目的が全然そこなわれた、間違っておったということにはもちろんならぬわけでございまするから、そういった点から言いますならば、お答えの中における程度問題がいかがということになるかもしれませんけれども、いまのお話のように、存立の意味というものがこの際全然なくなったという言い分というものは、これはやはり、つくった趣旨というものをふまえた場合には、はなはだ奇怪な御発言ではないか、私はこういうふうに思っておるわけであります。端的に言って、これをいま対象にして、民間委託なり統合というものを云々しなければならぬ直接的な要因というのは、やはり行政の不振というものにあるのではないですか。その点いかがですか。
○諸永政府委員 いまいろいろ先生からお話がございましたが、私ども行管のほうといたしましても、北海道における地下資源の開発が必要でない、こういう観点に立っておるわけではございません。ただ、その北海道の地下資源の開発を通じて北海道の地域開発をするというにない手としての北海道の地下資源開発株式会社のいまのやり方で、はたして地域開発の効果があがるかどうかということを問題にしておるわけでございます。 そこで、北海道は鉱床の賦存状態が内地と非常に違うそうでございまして、内地の金属鉱物の鉱床の賦存状況に対応する鉱床の探査方式というものは、金属鉱物探鉱促進事業団の方式によって、大体科学的に確立されておる、こういうふうに申されております。ところが、その事業団の探鉱方式をそのまま北海道に適用できるという地域は、事業団の話によりますと二地域しかない。その二地域についてはすでに事業団が調査をやっておる。そうしますというと、北海道の鉱床の賦存状態に一番マッチをいたします探鉱方式というものは、まだ科学的に確立されていないわけでございます。したがいまして、この北海道における地下資源の開発のまず第一にやるべきことは、北海道の鉱床の賦存状態に適応した科学的な探鉱の方式を確立をする、こういうことがまず第一の前提でなければならない。その第一の前提が打ち立てられましてから掘ってみる、探鉱してみる、こういうことが必要であろうかと思うのであります。したがいまして、従来の実績に徴してみましても、そういう科学的な探鉱方式、北海道にマッチした探鉱方式というものの確立を見ないで、ただ闇夜に鉄砲を放つというようなやり方は、やはり資金の効率的な運用の点からも、あるいは国民経済の点から見ましても、必ずしも得策ではない、そういうことを考えるわけであります。
○田邊委員 開発庁長官おいででないので非常に残念ですけれども、時間がありませんから、ひとつ早く呼んでいただくことにしまして、いま行管からお話がありましたけれども、監督官庁としての北海道開発庁は一体この会社の設立以来、いま行管が言われたような趣旨はあなたのほうではいかように考えて、この経営に指導をしてまいったのか。私は今日、いわば政府が必要ありと認めてつくった特殊法人というものが、十年もたたずして、いわば時限的に工事を完了できる公団は別といたしまして、この種の会社というものが、今日その存立の意義がなくなりつつあるというのは、私はやはりその監督官庁の、今日までの企業に対する監督の面における不行き届きがしからしめたのではないかと思うわけですけれども、一体どういうような監督をされてきたのか、明確にお答えいただきたいと思います。
○福田説明員 お答えいたします。いま御質問のように、昭和三十三年からこの会社ができまして、当初の設立目的に沿いまして、株式会社の、ペイするという前提がございますので、受託探鉱部門で幾らかの利益を上げまして、それをもって国策としての自主探鉱をやるということが、この会社のそもそもの目的であったわけでございます。ところが、その受託探鉱部門から上がります収益ということが、当初の目的に反しまして黒字が計上できません。したがいまして、その収益をもって自主探鉱をするという目的にも沿いかねるという事態になったわけであります。そういうことで、当初発足しました資本金を年々増加してまいりまして——最初は三億から出発したわけでございますが、年々増加してまいりまして、三十七年には十億という資金を投入し、機材の整備その他の合理化をはかりまして、そういった利益をあげるということを鋭意努力してきたわけであります。その結果、ただいま行管のほうから説明がありましたように、細々ながらも自主探鉱をやってまいりました。その結果、渡島半島あるいは知床のほうに若干鉱物の存在を確認したという形になっております。ただその開発は、その鉱物の存在だけではなくて、道路をつけるとか、鉱量が少ないというようなことで、いまだ本格的な開発には至っておりませんけれども、当初の設立目的に沿いますよう努力したつもりでございます。ただ、いかんせん、営利会社形式をとりましたために、受託部門からあがった利益で国策を遂行するというそもそもに多少無理がございまして、当初の希望どおりの自主探鉱ができなかったということは、確かに残念なことでございます。来年度は、われわれとしてはさらに予算要求をしまして、いま掘っておりますのをさらに続けたいというふうな努力もしておったわけでございますけれども、御存じのような事態になりまして、それもかなわぬような次第でございます。
○田邊委員 あなたのほうは、一体今後、この会社の存続についてどういう考え方でおられますか。一体この会社は、いま申し上げたように、ほんとうは自主探鉱を本来の目的とすべきなんです。ところが、なかなかそれができないというので、いわば民間受託をやって今日まで生き延びてきた、こういう状態でありますけれども、私は本来の会社の設立のいわば第八条第一項事業というものを、主として今度も伸ばしていくことが必要ではないか。それにはいろいろな困難が伴うけれども、当然これは政府の責任と指導のもとにこれをやるべきだ、こういうふうに私は考えておるわけですけれども、この点に対する当初からの考え方というものを貫く方針であるのか。いま、行管のお話に大体屈服しておるような御発言でありましたけれども、北海道開発を受け持つあなた方開発庁の立場としてはどういうことですか。
○福田説明員 お答えいたします。私どもの北海道開発を担当します官庁としましては、北海道の開発というものは何といっても地下資源の開発を第一義にしなければならぬということから、北海道の地下資源開発にいろいろ力をいたしてきたわけでございますが、その一環としましてこの地下資源開発株式会社をつくったわけでございます。そういった趣旨からしまして、できることならばこの会社を存続させまして、さらに北海道の地下資源の開発に努力したいというふうな考えでおったわけでございますが、いかんせん実績が会社事業の一%というふうな実績でございます。かたがた毎年の累積赤字があるという御指摘でございます。その累積赤字と実績が乏しいということから、大乗的に見て廃止すべきであるという勧告がなされたわけでございます。単に私どもの事務的な立場からしまして、それが北海道の地下資源開発に失われますことをおそれておりまして、何らかの形でさらに一そう北海道の地下資源を開発するような形へ持っていかなければならぬというふうには考えております。確かにこの会社自体の内容にはいろいろの問題点もございまして、ただいまのような行管の勧告になったものというふうに考えておるわけでございます。
○田邊委員 時間がございませんから次へ進みますけれども、行管でも開発庁でもけっこうですが、一体どういう姿にしてこの会社を今後持っていこうとするのか。いま申し上げたように、地下資源の開発にはいろいろ、私は直接的なボーリングばかりではないと思うのでありますけれども、これらの必要な部分を生かして今後北海道開発をしなければならぬ、こういう目的に沿っていくとするならば、今後の育成に対してはいろいろな形があると思うのですが、何か木村長官は一説には民間改組、民間移行ともいい、その後あるいは類似の事業団、公団に統合する、何か金属鉱物探鉱促進事業団に統合するというようなこともいわれ、まだ私はいわば構想としては固まっておらないのではないかというふうに思っているわけですけれども、一体どういうふうな考え方に基づいてこれを今後運営をしていこうとするのか、そのことによって起こるいわば将来性というものは一体どういうものか、この点に対してひとつどちらからでもけっこうですからお答えいただきたいと思います。
○諸永政府委員 今後の当会社の再建につきましては、これは北海道開発庁の御所管でございます。私のほうから特に申し上げることはございませんが、ただいま仰せられましたこの会社の処置について、まだ何か確定してない、こういうような御印象のようでございますけれども、これはもうすでに確定しております。先般の閣議でも口頭了解でございますが、民間事業に改組する、こういう決定を見ております。その点は確定いたしておるわけでございます。 私たちは民間企業として改組する際、これは赤字もかかえております。資本も過大になっておるようにも思いますので、その間のいろいろな減資のやり方とか、あるいは政府出資を引き揚げないで、そのまま暫定的には出資をしておくというようないろいろな対策が、これは今後検討しなければならぬ課題になりますけれども、この会社のこういうような累積赤字ができましたのは、仰せのとおり貿易の自由化等の事情変化によりまして、そのほかまた石炭事業が非常に斜陽化したというような発注者側の経済情勢の変化もございますし、そういうこの会社外の、企業外の状況が変化したということによって、相当企業努力をされましたにもかかわらず赤字を見た、こういう一因があると思います。 またもう一つは、何と申しましても国策会社でございますので、民業圧迫を回避する必要がある。そのために、非常に条件の悪い地質構造の複雑な特殊な工法を要するようなむずかしい仕事を需注させられてきた、こういう点も赤字の主因ではなかろうかと思います。そういうことは民間企業に改組いたしますれば当然解消できる赤字要因でございます。 なお、そのほかにいろいろな企業努力を特に加えますれば、必ずしも民間企業として自立できないというものではない。特に三十九年、四十年度には、これは単年度の黒字を出しております。事業の進捗率も、三十七年ぐらいから見ますと非常に進捗率が高くなっております。そういういわゆる企業努力の指標としましては、相当高まってきている。しかも従業員二百十五、六名の中で、百八十名の優秀な技術者をかかえている。これは大学、高等学校出さらに新規に入れまして、また組織的にボーリングの技術の研修を実地にもしておられます。非常に優秀な技術を持っておられる。特に深掘り技術では、国内では相当優秀な、評価される技術を持っている。こういう技術を駆使してやれば、また非常にりっぱな機械を持っておられる。これは必ず適正な企業努力を積み重ねれば、民業として立ち得るというふうに判断いたしておるわけであります。
○田邊委員 簡単なお答えをいただきたいと思います。 民間改組というようなことをきめたと盛んに言う。きめるのは簡単でありますけれども、一体だれがこれを引き受けるのですか。だれが実施をするのですか。いままでの四億円にのぼると言われる赤字は一体どういうふうに処理されようとするのか。しかもいま大体通産省関係で仲立ちをしてやってきた事業というのが、何といってもこの会社のウエートを非常に占めている。四十一年四〇%、四十二年は五〇%以上にのぼるのであります。民間改組ということをうたって言うならば、当然これらのいわば仕事の内容も変わってくるわけであります。いまお答えがありましたように、単年度ではつい最近黒字を生んでいるという、こういう企業努力もあるわけでありますけれども、これが民間になった場合に、あなたが言われるように簡単に経営が好転をしてうまく回っていくだろう、こういったことが言えるのかどうか、私どもは非常に疑問に思っているわけでありますが、いま私が質問をいたしました民間会社になっての具体的な案というのは、一体どういうふうになっているのか、その点お答えいただきたい。
○諸永政府委員 私のほうでは、一応政府の出資が御承知のとおり十億の九割の九億ございます。この九億の政府出資を直ちに引き揚げるということになりますれば、あるいはこの九億の政府出資を直ちに民間出資にするということになりますれば、おっしゃるように株主として引き受けてくれる人があるかどうか、これは疑問でございます。それで私どもとしましては、九億の政府出資は直ちに引き揚げない、そのまま政府が大株主として残る。あとの一億の株主に——これは大手の株主がわずかでございます。あとは非常に零細な株主でございます、御協力いただいて、当面現在の株主構成を変えないということによって、資本の面に大きな改変を見ないで、ただ特殊会社、特殊法人としてのベールを脱ぐ。したがって、そのベールを脱げば当然商法上の株式会社でございますので、その株式会社をそのまま続ける、こういうふうに考えております。
○田邊委員 木村長官お見えでございまして、通告をしておりますので質問の内容はおわかりと思うのでありますが、木村長官が北海道開発庁長官と同時に、行管長官を兼ねていらっしゃるという、こういう立場で北海道の地下資源開発株式会社について、いま私がいろいろいきさつはお聞きをしましたが、設立の当時のいろいろな意義もあったわけでありますけれども、この会社をひとつ改組をして、いま局長の御答弁では民間に改組する、こういうことを十五日の関係閣僚の協議会でおきめになったというのでありまするけれども、いまお聞きしまするというと、中身は大体変えていかないというのですね、民間に変えるというだけで。実際いうと、そういったことでは、私はいわばつくったときの趣旨というものが一変をするのじゃないかと思っておるのです。何といっても、北海道開発という非常にむずかしい地域の開発を受け持ってきたわけでありまするから、そこに国策会社としての意味もあったわけでありますし、民間のいわば利益を主体にする、ボーリングを主体とした会社ということになれば、これは、私はおのずからいま申し上げたような北海道の地下資源を開発するという国策上の目的というものは半ば失われるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけですけれども、この点に対してはいかに考えて対処をされようとしておるのか、長官の考え方をひとつ端的にお伺いしたいと思うのです。
○木村(武)国務大臣 最初にごあいさつをさせてもらいます。 私、今度行政管理庁長官と北海道開発庁長官を命ぜられました木村であります。どうかよろしく御指導のほどお願い申し上げます。 いま田邊さんのお話でありますが、私が非常に頭を痛めておる問題であります。どうしたらいいかといって一番頭を痛めております。この北海道地下資源開発株式会社ができ上がりました当初の大きな使命は、北海道の持っておりまする資源を開発して、そうして北海道の発展、繁栄のために大きに役に立っていきたいということででき上がったものなんでありまして、そのために政府が約九億くらいの出資もした。それから民間でも一億くらいの金を出して、足かけ十年近くになるのです。ところが、あまり使命を達していないのですね。実際問題として、あまり使命を達していない。したがって改組の俎上に乗ったわけなんですが、もしもこれが北海道の開発のほんとうの使命を達しておったならば、おそらくは俎上には上がらなかっただろうと思っております。当初の目的を達成せなかったものですから、俎上に乗っておるのだと思います。 私個人の考えを申し上げますると、北海道とか東北のような、地域の開発が非常におくれておるような場所は、国家の資力をもってある程度御援助申し上げて、そうして一人前になったときに、一人歩きができるようになりましたときに、民間にその会社を払い下げて、そして民間の産業に移していく。そしてまた新たなものを拾い上げて、またそれをを育てていく。そして次々とそういう会社を後進地域につくっていくことが、育成強化していくことが私は国策会社としての大きな使命を達するものだ。こう自分では考えておるのですが、北海道開発のための地下資源の開発をすると称して約十年間、その使命を達していなかったことは非常に残念であります。のみならず、このままにしておきますると、国民のお金をもっともっと食ってしまう危険がある。しかも内容を調べてみますると、そこの中にはりっぱな技術者がたくさんいらっしゃるのです。機械も非常にいいものを持っていらっしゃるのですね。技師も非常にりっぱな人を包擁しておって、りっぱな機械を持っておって、なおかつ当初の使命を達成することができなかったということは、どこに原因があるか。それは非常に安易な気持ちが会社を支配しておったことがここに到達した一番大きな原因だったのじゃないであろうか。経営者に一番の責任があります。それから監督官庁にも責任があります。これは北海道開発庁にいたしましても、それから通産省にいたしましても、国民の金を出しっぱなしで、それでいいというものじゃありませんです。間違いがあったならば、徹底的に間違いを是正して、その最初の方針に沿うように指導していく大きな役割りを持っていなければならないものだ。それから、そういう国策的な会社にお働きになった人々もそういう使命感でお働きになるべきだ。しかし、一般の労働者の人々にそれは求めませんけれども、私は経営者に大きな責任があったのではないだろうかと考えております。そして今日に至らしめた根本問題は安易な気持ちであります。 そうですから、この際安易な気持ちを捨ててもらって、みんな有能な人々でありまするから、有能な人々の能力を高度に発揮してもらうためには、やはり、中国のことばじゃありませんけれども、自力更生、そういう気持ちに立ってもらったほうが一番すっきりしていいのじゃないだろうか。そうすればわき道から立ち上がって本来の使命を完遂するようになるのじゃないだろうか。そういう気持ちになったときに政府の協力というものがほんとうに実を結ばせることができるのじゃないだろうか。りっぱな技術者をかかえてもおりますし、獅子は三日にして谷底に落とすということわざもありまするから、一ぺん民間に落としてみて、そして自力更生の気持ちを考えてもらおうじゃないか。私はいまの会社は何もいまの経営者でなければならぬと考えておりませんので、北海道開発庁長官の立場としては、あらゆる有能な労働者の中から立ち上がって、この会社を経営してみたい、こういう気持ちの人がおいでになりましたならば、その人々と一緒になってその再建のために努力していきたい、及ばずながら協力してみたい、こういう気持ちを持って臨もうと考えております。そうでありまするから私は、ここまできた会社でもありまするし、一ぺん民間には移しまするけれども、何とか再建の方法がないものだろうかということを考えてみたい、こういう気持ちになっております。 田邊さんからそういう御質問を受けてありがとうございました。どうかこの問題は真剣に考えさしてもらいたいと思っております。
○田邊委員 いろいろ話がありました。私実は意見がありますが、私に割り当てられた時間がもう少しでございますので、非常に残念でございますが、長官先ほどからお見えでございませんので、いろいろと行管の立場の意見も聞きましたし、それから北海道開発庁としてのいままでの監督の不十分、こういった点についても十分これは是正しなければいかぬ、ましていわんや、その経営者が国策事業としての企業意欲にやはり欠けておったことは私は何といっても責任は痛感しなければいかぬと思うのです。何か役員は非常に給与をたくさん取っているというのですね。こういう国民の批判というものが、いまの長官が言われる行政機構改革につながるという一つの要因をなしているわけです。この会社についても、役員の報酬が管理費の中で占める割合というものが非常に大きいのです。退職金にしても非常に多額なのです。累積赤字のおよそ七・五%が退職金なんですね。特に管理者の退職金、こういったことが私は一面においてやはり国民の批判を受ける要因ではないかと思う。民間委託について、その見通しや、あるいは具体策について、まだ十分私はお聞きしておらないので、その点に対しては非常に不満であります。いわば、十分な今後の見通し、計画こういったものをお立てになって、安心をしてまかせられるような体制というものを、いずれのことを運ぶにしてもとっていただかなければならぬと思う。いま長官からも局長からもお話がありました働いている労働者の中に、非常に優秀な技術者が百七、八十人もおる。これらはどういう状態になっても、さらにこの技術を生かしていかなければならぬ、こう思っておるのですが、つい最近、会社の社長は、この種のことが長官からも御発言があった前後に二百人中百五十人くらい整理しなければならない、現場のいろいろな手当もひとつ削るというようなことを通告をしてきている。どうも私は主客転倒ではないかと思っているのであります。一面において、やはり人員整理をしなければ、やっていけないというような、こういった安易な考え方で、たとえばいろいろな形に変革されても、その会社はうまくいかぬではないかと私は思うのです。いわずもがなですけれども、昭和三十六年の十月の行政改革を行なう際に、これらの特殊法人の設立の趣旨にかんがみて、いわば行政機構改革を行なう際に、一律一体の人員整理等は行なわないという国会の附帯決議があるわけでありまして、私は、そこに働く諸君が、今後長官の発言をめぐっていろいろと不安感にかられているのではないかと思うのですが、これらについては、十分保証されて、いずれの場合にも対処しなければならないと思っておるのですが、その点に対して御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○木村(武)国務大臣 御説のとおりでありまして、民間に移行するにあたっても、会社の首脳の人々とお話し合いをしてみた。最初は会社の首脳部の人々との話し合では円満にいくことをこい願っておったのですけれども、どの程度のお力があるかということは、私はいまは疑問に思っております。 そこで、私の考えは、人は問いません。ほんとうに北海道を考え、それから会社を考えて立ち上がる人々。それから、特に私のほうは上のほうとの関係はありまするけれども、何せ、下のほうとの関係はありませんから、これは御相談申し上げるのでありますが、あなた方のほうは組合関係などお持ちになっておりますから、この問題だけは、ほんとうに全体が生きられるように、悔いを残さないような処理をしていきたいと考えております。行政管理庁長官として、一度は民間に移しましたけれども、北海道長官の立場において、この問題を取り上げ、真剣に取り組んで、悔いを残さない解決方法を考えてみたい、こう思っておりまするが、私の立場において、目の届かないところがたくさんあるかもしれません。その場合に、あなた方のほうからいろいろなお話し合いをしてくださいまして、万全を期してくださるように私のほうからも特にお願い申し上げます。 何せ人の生活に関係する問題でありますから、人の一生に関係する問題でありまするから、そういう問題は軽率に取り扱いたくはないと存じておりますので、どうかその点は私の気持ちをお含みおきくださいまして、お力添えくださいましたならば、非常に幸いであると思います。
○島本委員 関連して。いま長官から、全体が生きられるようにこれは対処したい、悔いを残さないようにしたい、こういうようなことばがあったわけなんです。その場合には、もう一回翻意をして、現在の組織のままでも、これを中の体制を変えて、現在の機構のままでやるということはあり得ますか。
○木村(武)国務大臣 人員整理や何かしないで、現在の機構のままで体質攻善をやって、そしてスタートができるのでありましたならば、これにこしたことはないと私は考えております。そして、民間移行ときまった今日でありますから、民間移行になりましても、北海道長官として、それが立ち直るための、どのような御援助でも考えておりまするし、これが民間に移行されるときも、閣議では北海道長官としての行動の自由は留保いたしておりますから、思い切ってやりたい、こういう考えを持っております。
○島本委員 先ほど、長官が来る前に、関係者から、この業績についていろいろ報告があった。それによると、渡島、知床では十分業績をあげたという。しかし、まだ継続中のものもあった。積丹なんかは、これはほんとうに札幌の近く、小樽の近くでありますが、開発途上にある、どうしても入れなければならない場所さえも残っておるわけです。そういうふうな段階の中に、今度急にこれをやることによって、それで北海道開発のためにプラスになることは、長官としては大いにいいでしょうけれども、行管の長官としては、今度はまたそれと反対のことをやらなければならないとしたならば、それはまさに、大局的に見て、北海道がよくなるような立場を当然とらなければならないだろうと思うのです。というのは、この会社自身が国策会社であった。そして、赤字を出してもいいから、北海道の開発のために貢献する目的を持ってできているんです。 ところが、赤字であるからということで、これは民間に移行される。もしそうなっても、民間の受け入れ態勢のほうもまだ十分できておらないようにいままで聞いているわけです。そうなりますと、いよいよもってこれはもうとんでもないことになるんじゃないかと思います。これはまだ業績として残っておる、やらなければならない点は多々残っておる、これを民間にやるために、落としたがために、当然それがおくれるようなことがあったり、廃止されるようなことがあったりしたら、とんでもないことになる、これは長官として面目ない、こういうことに相なろうかと思うのであります。そういうふうな点を十分に調整し、悔いを残さないようにしなければならないのじゃないかと思うのです。そうなりますと、当然特殊会社としての意義に乏しいから民間の会社に改組する、こういうふうな意義がだいぶ薄くなってくる。そういうふうな内容、業績があがらない、こういうふうなことがあって以後、本年の後半は全部注文を受けておらないというような状態であります。そうなれば赤字になるのはあたりまえだ、こういうようになって参りますと、やり方によってどのようにでもなるのじゃないか。これの改組以前に、もっと早く内容的にこの問題に手を入れて、もっと的確な指導が必要だったのじゃないか、こうさえも思われるわけであります。まして、いま田邊委員が質問した人員整理の問題にからんでいろいろな問題が起きるとすると、当然前の答弁にも違反するようなことになる。こういうふうなことは一切しないというようなはっきりとしたことが、これは臨時行政調査会設置法が国会で審議可決された際の附帯決議としてもあるわけなんです。いよいよもってこれは大事な問題をはらんでくるわけであります。 したがって、こういうような問題は一切起こさないように、必要があるならば内部の改善だけしても、現在のままで残す方法があるならば考えてもいいじゃないか、そして、発表する前に、このためにもつと猶予期間を置いて、万全を期してからこれをやってもよかったじゃないか、こうさえも思われるのでありますが、方々、八方破れのような気がしてならない。これに対して、そうでないようにするのが長官の役目であります。ひとつ、これに対する長官の御高見を承っておきたいと思います。
○木村(武)国務大臣 全くお話のとおりであります。監督官庁としても、監督の不行き届きだけはいかように弁解申し上げても弁解のしようがないと思っております。しかし、ただ単に、赤字になったから民間に移したというだけじゃありません。赤字であっても将来の見通しが成り立っておったならば、たとえば二年でも、三年でも、五年でも、見通しが立ったならばそのまま継続しても差しつかえなかったと私は思います。しかし、なにせ自分で立ち上がって会社をよくしようとする意欲が会社全体になかったということが一番大きな理由だったろうと思います。そうですから、これを機会に立ち上がるのだという気持ちをどうか私は持っていただきたいと思います。それを中心にして北海道開発庁長官としては、北海道のために、それからその会社の人たちのために万全の対策を考えたい、こういう考えでおります。しかし、私も至らない者でありますし、北海道開発庁そのものも、過去の実績に徴しまして監督すらも不行き届きの北海道開発庁であったのでありますから、それのみに依存しておっては、私は万全は期し得られないと存じまするので、御質問されましたのも、会社を愛するため北海道を愛するために御質問されたのだと思いますから、その気持ちをどうかお貫きいただきまして、御協力してくださるように私からお願い申し上げたい。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田邊委員 いろいろとお話がありましたのですが、私は私なりに意見を、先ほど長官のおらないときも申し上げておきましたが、設立の趣旨にかんがみ、いま長官自身も告白されたように、何といってもやはり開発庁自身の監督の行き届かなかった点を、私どもは強くこの際指摘しておかなくちゃならぬと思います。したがって、今後の育成については内部的にももちろん人員整理等の問題については、いまの長官の言明のとおり、十分な対処をお願いすると同時に、今後この会社の育成というものが、やはり北海道の開発に直接的につながっていくという、こういう考え方でもってひとつ十分な配慮と対処をお願いして、また労働大臣にもお聞きをしたかったのでありますけれども、時間がありませんから、労政局長等を通じて、労働省も今後の労働者の処遇等についてはひとつ十分開発庁と連絡をとりながら対処していただくことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
○田中(正)委員長代理 山本政弘君。
○山本(政)委員 前回、私のほうで仙台工作のことで質問をいたしましたときに、村上さんのほうから、賃金不払い、それから解雇の問題について御説明がございました。その際に村上さんのほうから、川岸工業と仙台工作株式会社との関係は非常に密接な関係があるようである、しかし商法上の解散手続を仙台工作がやっておる、そういう手続を完了した、したがって、法人として解散をした以上、実態の判断については問題がありはしないか、こういうふうな実はお答えをいただいたように思うのでございますが、その点もう一度確認をいたしたいので、御答弁をお願いしたいと思います。
○村上(茂)政府委員 この前申し上げましたのは、川岸工業と仙台工作株式会社との関係は、実質的には非常に密接な関係にあるようで、ただ法律的に見ますと、仙台工作株式会社は別に会社としての登記をしておるわけでございますから、ただいま御指摘のように、解散の手続も進めておるということから、法律上は別個の人格である、こういうふうな趣旨の御答弁をしたわけでございます。そして、なお密接な関係にございますから、賃金不払いの問題につきましても、そういった点を考慮いたしましていろいろ指導をいたしたい、こういう含みでお答えしたと記憶いたしております。
○山本(政)委員 私は前回の質問でも、仙台工作と川岸工業と一体性があるという見方から実は質問をしたつもりでございますが、それじゃお伺いいたしますが、まず人間の構成の面から見て、仙台工作の社長が川岸工業の実弟である。その他役員がほとんど川岸工業のほうから出ておる。しかも工場長はかつて川岸の四工場の川岸共闘の会議の議長をやっておられる。それから課長の中には千葉工場の組合の副委員長をやった方が出ておられるというような面で、人的の面から申しますと、これは川岸工業の役員あるいはその他の傘下の人たちが仙台工作の主要な人事面をほとんど占めておる、こういう実態があると思うのですけれども、この人的構成の面から見て一体性があるかないか、この点をお伺いしたいと思うのです。 〔田中(正)委員長代理退席、佐々木(義)委員 長代理着席〕
○村上(茂)政府委員 その点詳しく調べておりませんが、いろいろな面で実体的に関係があることは聞いております。ただ、法律的にはそれは別なことでございまして、御承知のように、同一系列の会社で新しく会社をつくります場合に、親企業のほうから役員を派遣する、そういった例は幾つもあるわけでございますから、そういった実質的にかなり一体性があるということと法律上別個の人格であるということとは、一応切り離して私ども考えております。
○山本(政)委員 法律上の人格が別個であるかどうかは後ほどお伺いしたいと思うのですけれども、六月九日、十四日、十九日、二十日、それから二十七日、二十九日に組合が仙台工作と交渉した際に二点が実は問題になって、このことについては双方の了承を得た。もちろん実施の段階になって、このことについて多少そごがあったように聞いておりますけれども、この期間の中に本社社長つまり川岸の社長を加えて団交することに労使が合意した、それから企業内容の分析をして再建案を会社側が提示することについても同意をした、こういう点について川岸工業と仙台工作についてきわめて深い関係にある。つまり私が申し上げたいのは、一体性がきわめて濃いというふうに判断するのですけれども、その点についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○村上(茂)政府委員 いわゆる関係が深い、一体的な関係にあるという点については、御指摘のような点があろうかと思います。特に、いろいろな懸案を解決するためにできるだけ力のある方々がそれに関連するということはあり得ることでございまして、これは使用者側のほうにもあれば労働組合側においてもある。いろいろな関係にあるわけでございます。そういった広い意味の一体的関係ということについては、私どももそのような傾向があるように聞いております。
○山本(政)委員 そこに村上さんにも有価証券報告書をお渡ししてありますけれども、仙台工作株式会社の株式の一〇〇%は川岸工業株式会社によって所有されておる。これはあとで見ていただいてもわかると思うのですけれども、こういう事実がある。その場合に、仙台工作株式会社というのは——村上さんのおっしゃることばで法律的に私は申し上げるのですけれども、仙台工作株式会社というのは、発行済み株式総数が一人の個人もしくは社団に帰属するいわゆる一人会社であるということは当然ですね。一人会社——法律用語では、「ひとり」というのか、「一にん」というのか私は知りません。しかし、一人会社という商法上のことばがございます。これに該当するということは間違いありませんね。
○村上(茂)政府委員 私、商法にはあまり詳しくございませんので、商法上の概念としてそういうものに該当するかいなか、ちょっとこれは答弁を差し控えたいと思います。
○山本(政)委員 村上さんが先ほど、それからこの前私が質問したときに、商法上の解散を決定して解散登記を完了した云々と申されておるのです。しかも、いまも、人的には別としても法律的には別個の法人である、こうおっしゃっておるから私はあえてお伺いしておるわけで、株式が一〇〇%同一の社員もしくは社団に帰属する場合には、これは「一にん」会社というのですか、「ひとり」会社というのですか、そういう性格になるという商法上の規定があります。
○村上(茂)政府委員 商法上の一人会社というのは私詳しくないのでございますが、その登記は商法に従って、あるいは会社法に従っているというのは事実として確認いたしておりますが、しかし御存じのように、親企業が全額出資して子会社をつくるという例は幾つもあるわけでございまして、経済的な関係が深いということと法律的な人格が同一でないということとは、これは別なことであろうと思います。
○山本(政)委員 つまり親企業が子会社に対して株式の全額を保有するという形のものを、実は法律用語でそういうふうに——私が申し上げたことばで言うのですけれども、その場合に、本来ならばそういうあり方というのは、私は株式会社の本質的な性格ではないと思うのです。株式会社というのは複数人の結合した団体をいうのだと思うのです。これが常識でしょう。本来の常識とすればそうじゃございませんか。
○村上(茂)政府委員 ちょっとそれは所掌に属しませんので、答弁は差し控えたいと思います。
○山本(政)委員 親企業が子会社の株式を全額取得していることはあり得るというお答えですから私は申し上げるので、株式会社の本来の形というのは、先ほど申し上げたように、複数人の結合した団体、こういうことを意味すると思うのです。 それではなぜかというと、一人の人が株の全額を持っておるということは、私は会社の本質を失うことだと思うのです。株式会社というものはそういうものだと思うのです。ただ一人の人が、あなたの言う親企業が子会社に対して全額を持ってることを認めておるというのは、それは企業を維持するという考え方というものを肯定しなければならないという一つの社会的な事情があると思うのです。それは、会社と株主との経済的な一体性ということを考えないと、ある場合には不当かつ不法な結果をもたらして第三者に迷惑をかけるおそれがあるから、株式会社の場合にも、一人の株主が全額を持っておるということはいわば特例だと私は思うのです。そういうものを商法上認めておるのだ。この点についてはどうお考えですか。
○村上(茂)政府委員 先ほど申しましたように、私の所掌に属しておりませんので、そういう商法上の、特に株式会社のそういった関係については、答弁は差し控えたいと存じます。
○山本(政)委員 あまり議論にならないようですけれども、私が申し上げたいことは、つまり村上さんのおっしゃる、大企業が子会社の株式を一〇〇%所有しているということについての考え方というものはどこにあるかということを実は指摘したいわけです。それはいま申し上げたように、不当に第三者に迷惑をかけるようなことがあってはいけないということからそういうことを特例として認めているのだと思います。だから、そういう会社というものは、私はこういうことを考えなければいけないと思うのです。一つは、会社形態を乱用して、会社の背後にあってそれを支配してはいけないという考え方が一つあると思います。第二には、そういう大企業といいますか、親企業、私の言う一〇〇%株式を所有している企業は、不法な目的を持って会社形態を利用してはいけないという制約があると私は思います。第三には、そういう考え方を適用する場合には、第三者の利害関係が考慮されなければならない。こういう三つの点が、つまり大企業が一〇〇%子会社の株を所有している場合には、そういう制約というものがあるということを頭に置いておかなければならないと私は思うのです。そうしないと、先ほど申し上げたように、取引上の第三者であれ、あるいは使用上の第三者であれ、迷惑をかけるおそれがある。いま仙台工作について起きている事件というのは、ちょうどあなたのおっしゃる大企業が一〇〇%子会社の株式を持つことによって、私が申し上げた三つの点を乱用しているということを私は申し上げたいのです。 そういうことから考えますと、私はあなたにも有価証券報告書をお渡ししておきましたけれども、そういう意味ではいろいろな乱用の実例がここにあります。たとえば、親会社である川岸工業株式会社に対して、仙台工場ということをあらゆる場面で使っておる。ここに名刺の写しがありますけれども、これをあとでごらんになっていただきたいと思いますが、工務部長あるいはその他の人たちが、川岸工業株式会社仙台工場という名刺をちゃんと使っているのです。しかも、ここには東北電力株式会社あてに八戸発電所三号機タービン室鉄骨工事加工要領書というものがあります。これは昭和四十一年の二月十七日、川岸工業株式会社仙台工場となっている。これは実質的に川岸工業が仙台工場というものとまさに一体化して親子関係にあると考えるべきであって、あなたのおっしゃるように、少なくとも別の法人格としては考えるべきではないと思うのです。人的構成からいってもそうである。あなたは商法というものに対して知らないと言う。私も知りません。しかし常識的にいって、親企業が一〇〇%子会社の株を取得している場合には、先ほど申し上げたような三つのことを考えなければならぬということから考えれば、その場合には子会社の法人格というものは認めなくてもいいという判例すらあるわけですよ。つまりその責任というものは、法的には親企業が負いなさいということばがあるわけです。これから見ても、法律上からいっても、一体性というものは立証できます。そして営業の面からいっても、ここに私が示したように、川岸工業仙台工場という形を使って、仙台工作ということばを使っておりません。これは広告に類するものか何か知りませんけれども、「鉄構造物・川岸工業株式会社」の中には地図まで入っておって、この中には川岸工業仙台工場というふうにちゃんとうたわれておるのです。しかもこれは仙台工場から仙台工作へ商号変更したあとの書類でございます。こういうことから見ても、営業上から見て、私は、まさしく別個の法人格でなくて、川岸工業と仙台工作というものは一体性があると考えますけれども、この点についての基準局長の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
○村上(茂)政府委員 経済的、営業的に非常に密接な関係があるように私ども承知いたしておりますが、御指摘の有価証券報告書というものは、先ほど二十分ばかり前にお預かりいたしたので、まだ内容はしさいに検討しておりませんが、一べついたしましたところでは、この報告書の中でも人格的には別に扱って、注書きなどを見ますと、下請工場、下請会社、関連会社とかいう会社という名称を用いておるようでございまして、この資料をちょっと見た限りでは、報告書の中でも別人格に扱っておるように私は見たのでありますが、しかし、何ぶんにも詳しく見ておりませんので、正確なことは申し上げられませんが、そういうことで、親会社と子会社との経済的、経理的な一体性といったような問題は考えられますけれども、先生の御質問でこの問題を特に取り上げられる御趣旨というのは、私どものたとえば基準法違反として使用者はだれであるというような問題とは、多少違っておる点もあるのじゃないかというふうに推測いたしておるわけでございますが、何ぶんにも会社法、商法上の問題につきまして、公的な立場から明確な答弁を申し上げるのはいかがかと存じますので、差し控えさしていただきます。
○山本(政)委員 前回の私の質問で村上さんがお答えになったのは、賃金の問題については明らかに基準法違反がありそうだ、こういうお話でございました。それから解雇の問題についても、「解雇の効力の発生するまでの期間における賃金を賃金不払いとして扱うか、休業手当の問題として扱うか、労使間に争いがあるようでございます。」云々というふうに申されておる。だから私はそれを解明するのに、賃金不払いがあるけれども、一体それじゃ仙台工作は解散をしてしまったから賃金を払う義務はないのだ、こうなって働いておる人たちが賃金をそのまま不払いにされては困るので、それでは一体最終の責任というのはだれが持っておるのかということで、仙台工作と川岸工業との一体性ということを申し上げておるのです。私はだから法律上の問題として、あなたはわからないからと言って突っぱねられたけれども、一人会社というものを申し上げたのも、そういう意味で最終責任が一体だれにあるのかということを申し上げたいからいま申し上げておるのです。それが必ずしも労働基準法の直接の問題にならないからといって、賃金の不払い問題について、あるいは解雇の問題についてたな上げされては実は困ると思うから申し上げておるのでございます。 ここに川岸工業株式会社の岩本某という人が「管理職御一同様」という私信を出しております。この私信の中には「川岸工業仙台工場」、こうなっております。これは川岸工業の管理者が少なくとも仙台工作というものを一体として考えておるということにほかならぬと私は思うのですよ。同時に、ここに出庫伝票があります。それから請求書もございます。全部日付は四十二年二月十三日あるいは四十一年十一月十六日、にもかかわらずここには仙台工作と書かないで仙台工場と書いておるのです。仙台工場から仙台工作へ商号の変更があったというのは、これは三十九年六月ですよ。この書類というのは全部それ以降の書類で、依然としてそういうふうに取り扱わわておる。村上さんは、有価証券報告書というものを、私も申しわけないのですけれども、それは余分であったから参考までに差し上げたのでございますけれども、ここには仙台工作ということばで別法人格としてしか取り扱われていないような気がする、こう言われておる。 それじゃ第一ページをごらん願いたいと思うのです。ここには会社の目的というものがある。会社の目的の中には、鉄骨構造物、橋梁、鉄塔、鉄筋、鉄管云々と書いておる。二は土木、建築、三は各種溶接、四は鉄骨構造物及び機械類の解体、五は鋼板切断、六は前各号に付帯する一切の業務となっている。仙台工場その他の工場がなければ、川岸工業自体では仕事というものはできませんよ。川岸工業だけで仕事をやろうと思えば、これはできない。ここには一体性があるじゃありませんか。八ページに関係会社従業員数、平均年齢、平均勤続年数というものを書いておる。その上に注がございます。その注の中の(ロ)のところに——川岸工業の報告書ですけれども、この中に「当社の人的資源」というふうに書いておる。関係会社の仙台工作についても「当社の人的資源」ということが書いてあるんです。「人的資源」ということが書かれてあるならば、私は、当然賃金支払いあるいは解雇に対する一切の手当に対しては、その責任は仙台工作でなくて川岸工業が持っておると思うのです。そういうことについて、ひとつどういうふうにお考えなのか。
○村上(茂)政府委員 労働基準法の適用のある使用者かいなかという点についての判断については、そういった社会的、経済的ないろいろな関連というものがございましょうけれども、基準法上の立場から明確にせざるを得ない。その場合の使用者とはだれかという点については、仙台工作と川岸工業とは法人としては別になっております。使用者という観点になりますと、仙台工作の代表者、こういうふうにならざるを得ないというふうに私どもは考えるわけでありまして、有価証券報告書の注の中にどういうふうに表現されるかといったような点をいろいろ御指摘なすっておるわけでありますが、私ども労働基準法の適用関係から見まして、別な事業であるというふうに従来も扱ってまいりましたし、今回の賃金不払いの件につきましてもそのように処理しておるわけであります。したがって、労働基準法上の手続につきましては、仙台工作と川岸工業とは一応別にしておるわけでございます。ただ、払われない賃金につきましては、一応送検手続もいたしますし、今後はわれわれの手を離れまして検察当局においての処置になるわけでございます。法律上はそうでございますが、何とか実態的に幾らかでも賃金不払いが解消しますようにできるだけ努力をする、こういう形で扱っておる。その過程におきまして、いわゆる実力ある親企業のほうにも何とか力をかしていいだくことはできないのかというようなことでいろいろ接触はいたしておりますが、それと法律上の人格の問題とは別ではなかろうかというふうに私は存じておるわけでございます。
○山本(政)委員 ことばを返すようですけれども、この有価証券報告書の中に、仙台工作という名前でなくて、仙台工場と明確にうたわれておるところがあるから一つだけ指摘しておきます。九ページ、東京本店、九州支店、それから小倉工場牧山工場、千葉工場、仙台工場、徳山工場というふうになっておる。これは私は、有価証券報告書の中にすら一体性というものを川岸工業はみずからうたっておるのだ、こういうふうに理解をしております。 法律上の問題は法律上の問題として考えて、そうおっしゃるのですけれども、私の申し上げたいのは、法律上の問題から考えてもこういうことがあるんだけれども、労働省としてはどういうふうにお考えになるのかと言っているわけです。繰り返しますけれども、大企業が一〇〇%子会社の株を持っておる場合には、私が先ほど、三つのことを考えなければならない、そういう制約というものがあるということを考えなければならないと申し上げたのは、ここに判例があるのです。千葉の地方裁判所の判例、福岡地方裁判所の判例、東京地裁の判例、それから大阪地裁の判例とあって、大企業が一〇〇%子会社の株式を持って支配している場合には、子会社の法人格というものはある場合には否認せられるのだ、その法人格というものは当然親会社がその責任は負うべきものだという判例があるから私は申し上げておるので、そういう点をひとつ頭の中に置いていただいて私は処理をしていただきたいと思うのです。 それからもう一つ、これは労働省の方にお伺いするのはおかしいと思うのですけれども、川岸工業が仙台工作と別人格でしているという背景の中に、先ほど申し上げた法律上の三点のほかに、利潤をあげるということについて不純なものがありはしないかというふうな考え方を実はいたします。それは、川岸工業というものは四十一年度に東港、徳山両工場を閉鎖しております。そうして東港工場を売り払って四千七百万円の売却益を計上している。そうして徳山工場の閉鎖によっては、監査報告書には、川岸工業の損失金ということで七千万円を計上すべきである、こう書いておる。これを見ますと、この額を損金で落とすことによって得る法人税の軽減ということを、実は川岸工業は考えておるのではないか。同じようなことが仙台工作にも働いておるのではないか。仙台工作は川岸工業が取得したときには坪五千百八十九円です。いまの地価では、これは七万以上です。これは私が架空な数字を申し上げておるわけではありません。東洋信託銀行で調べた数字が、仙台工場の地価相場が七万円ということになれば、これを売却することによってかなりばく大な金が入ってくる。しかも働いている人たちは、法人格がないということで、賃金不払い、解雇のままでほうり出されてしまう、こういうことを私は実は心配しているのです。そういう点について、ひとつ十分に労働省も実態をお調べになって、一体だれが責任を持って六月以降の賃金を払うのか、あるいは解雇の問題についてどう対処するのかということを善処していただきたいと思うのです。 それから、これは基準局長にお伺いするのか、あるいは労政局長かどうか私は知りませんが、企業年金制度というものがございますね。企業年金制度の実施にあたっては、普通は企業側は代行の金融機関と契約をして、そうして従業員の退職年金の支払い等をやることになっておるはずです。だから仙台工作の場合でも、もしもなされておるならば、退職金が出せないということはないと私は思うのです。川岸工業の場合は東京生命というものが企業年金の支払いの契約をして代行している、こう思うのです。川岸工業と仙台工作、親会社と子会社というものが一緒になって、企業年金制度というものに、一つの代行機関に入っていくということは、これは法的に違法であるか、あるは違法でないのか、この点をお伺いしたいのです。
○村上(茂)政府委員 御質問の内容は三つくらいあると思うのです。 第一に、株式会社設立の親会社と子会社との関係ですが、これは会社法、商法の関係を私が御答弁するのは適当でございませんので、お許しをいただきたいと思うのです。 それから、賃金不払いと解雇の問題、これは私の所掌でございます。賃金不払いにつきましては、御承知のように、六月分、それから七、八月分につきましては送検手続をとりました。 それから、解雇の問題につきましては、本年の七月一日に全従業員に対して八月五日付の解雇を通知した内容証明の郵送を完了した、かように聞いております。こういった手続的には、基準法違反と解される面は、解雇につきましてはないようでございますが、問題は、その解雇の効力が発生いたしますまでの状態が就労かいなかという点につきまして、事実関係がはっきりしないというところに一つの問題があるように私ども聞いておるわけでございまして、こういった関係につきましては、さらに明確を期する必要があると考えております。 それから、会社のほうは八月五日に解散登記を完了いたしまして、八月の九、十一、十三日にわたりまして解散の告示を完了いたしたようであります。しかしながら、御承知のように、解散手続をとっただけでは契約関係は終了いたさぬのが一般でございまして、清算人が清算を終了するまではそういった関係は存続しておるわけでございますから、今後におきましても、賃金不払いその他の関係につきましては、清算人との関係において問題は持続するわけでございます。 次に第三の問題として、退職金が生命保険会社との間に締結された企業年金契約によって扱われておるのじゃないかという点については私どもも承知いたしておりますが、会社は八月十日にその契約を解除して、加入者百三十九名に対して支払い申請書を提出して受領するように指示をした。約五十七名の者がこれを受領したというふうに聞いております。この事実関係につきましてはざらに十分調査をいたしたいと思います。
○山本(政)委員 五十七名の方に退職金が支払われておるということは別問題といたしまして、十二月の十二日に東京生命の仙台支店長代理が組合をたずねてきているのです。そして仙台工作と川岸工業の企業年金の東京生命との契約についての話をしたところが、仙台工作の管理者側も組合もそのことを知らなかったという事実があるわけです。十二月十二日に初めて知ったというのです。私は、こういうこと自体を見ても、非常に仙台工作の管理のあり方というものが不十分であるし、同時に川岸工業と仙台工作が一体となって企業年金を東京生命と契約しているということは、このこと自体をとってみても一体性があるのではないか、こういうことを申し上げたいのです。 師走です。六月以来賃金をもらっておらないから、解雇された人たちはいま行商をして歩いております。子供が生まれて乳飲み子をかかえて奥さんが物を売って歩いておるという実態も、私はここに報告を受け取っております。そういう中で、ぜひひとつこういうことについては労働省としても善処していただきたいし、同時に、もう一ぺん法律上の問題だからということで逃げられては困るのですけれども、大企業が子会社の株式を一〇〇%所有しておる場合にはこういう点について乱用があるということが、これは商法上の定説になっております。一つは、株主が会社の背後にあってこれを支配すべきではない、そういうことに対して十分に注意をすべきである。さらに、その株主が不法な目的を持って会社形態を、つまりこの場合には川岸工業と仙台工作という別の法人格ですが、そういう会社形態を利用しようとする事実があるならば、これはいけないことだ。第三点は、したがってそういう場合には第三者の利害関係が考慮されなければならない、こう言っております。私は、これは、川岸工業と仙台工作以外の第三者の取引の場合においても、あるいはそこに使われておる労働者の場合においても適用されることだと思いますが、そういう点について、この二つ、先ほど申し上げました年末を背負っての労働者の方々のたいへんみじめな生活と思い合わせて、最後に労働大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
○小川国務大臣 私どもといたしましては、基準法上の使用者は仙台工作である、こういう前提に立ちまして、賃金不払いにつきましては、これを送検いたしまするとかいろいろな措置を講じてまいったわけでございます。いま判決等を引用なさってるるおことばがございました。こういった点につきましては、さらにさっそく研究をいたしたいと存じます。 また、これは株式を一〇〇%所有しておる等の事実から、経済的にはあるいは一体をなしておるという実情であるかもしれません。そういう場合に、そういう親会社の方面に労働省として働きかけまして、多少とも困窮しておる方々のお役に立つことができれば幸いでございますが、そういう面でやることがございますればひとつ実行すべく研究をいたしたい、かように存じます。
○山本(政)委員 ぜひ大臣の答弁のように善処をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐々木(義)委員長代理 河野正君。
○河野(正)委員 時間の制約がありますから端的にお尋ねいたしますが、ひとつお答えのほうは端的でけっこうでございますけれども、実のあるお答えをいただきたいと思うのであります。 そこで、まず第一にお尋ねを申し上げておきたいと思います点は、最近、特に再来年の八月までに健保抜本改正が行なわれるということで、いろいろ議論が提起されておりますことは、大臣も御承知のとおりであります。そこでまず第一にお尋ねをいたしたいと思います点は、それらの健保抜本改正案がいつ提案されるのか、その点についてひとつお答えをいただきたい。
○園田国務大臣 明年中にはぜひ出したい、このように考えております。
○河野(正)委員 それなら、この健保抜本改正についていろいろ各界の意見を聞かれて取りまとめられる、こういうことになるだろうと思うのです。それならばどういう形で各界の意見をお聞きになるのか、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。
○園田国務大臣 御承知のとおりに医療保険は、政府管掌の健康保険、それから健康保険組合、共済組合等の制度が多岐に分かれておりまして、現在厚生省に設けてあります社会保険審議会は、政府の管掌する医療保険のみを扱っており、医療保険全般にわたっての審議ができないことになっております。そこで、医療保険制度全般にわたって各方面の意見を聞くために、この際制度全般についての審議のできる審議会をつくることも考えられますし、その方法として、あるいは臨時の審議会にするか、あるいは現行の審議会を整理して医療保険に関する恒久的な審議会をつくるか等、案がいろいろございますので、この点は、単に制度ばかりではなくて、審議会をつくること自体に各方面の御意見もございますので、そういう各方面の意見を聞く審議会等について事務当局で検討せよと、ただいま命じた段階でございます。そこで、これは早急に各方面とも相談しつつまずその審議会というものを考えていきたい、こう考えております。
○河野(正)委員 そこで、あらためてお尋ねをしておきたいと思いますが、新しくもう少し幅の広い審議会をおつくりになるというような場合には、やはり幅の広いということになりますと、総理の諮問機関であります社会保障制度審議会というのがございます。幅の狭いものは厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会があるのです。現在いろいろ設置されております審議会との関連も当然出てくると思います。その際にやはり問題になりますのは、単なる意見を聞くための審議会と申しますか、そういうものであるのか、あるいはまた厚生省設置法なら設置法という形で法律に基づく審議会になるのか、それらの点についてはいかがでございますか。
○園田国務大臣 私は、やはり事の本質上、国会に相談をした法律に基づく審議会を考えるのが適当ではないかとただいまでも考えております。
○河野(正)委員 その際、設置法に基づく審議会ということでございますと、当然厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会との関連も出てまいりましょうし、非常に幅の広いものでございますと、総理の諮問機関である社会保障制度審議会との関連が出てこようと思います。そこで、法律に基づく審議会を設定したいということになるならば、その構成についてはどういうことをお考えになっておりますか。これは他の審議会との関連も出てまいりますので、お尋ねをしておきたいと思います。
○園田国務大臣 他の審議会との関係及び構成等についても、ただいま幾つも案を事務当局に命じてつくらせて、それを検討した上で腹がまえをきめて、それから御相談してみたい、こう思っております。
○河野(正)委員 このことは、健保抜本改正というものがどういう形で行なわれるか。私どもの立場から言えば医療保障というたてまえですし、政府としては医療保険というたてまえだという議論が出てくると思いますが、そういう意味で、健保の抜本改正に対しどのような姿勢で臨んでいくかということについては重大な問題を持っておると思うので、いつごろ提案なさるのか、あるいはまたどういう形で御意見をお聞きになるのかというような点についてお尋ねをしたわけでありますけれども、それらに関連してきょうお尋ねをしておきたいと思います点は、いまも御指摘申し上げましたように、医療保障でいくのか、医療保険でいくのかというような議論が基本的にはございますように、私は、やはり政府が言っておりますように、人命尊重の政治あるいは福祉国家の建設、こういうような点がいろいろ強調されておるわけでございますけれども、どうも最近の傾向を見てまいりますと、政府の医療行政と申しますか、厚生行政というものが、人間尊重からかけ離れて、財政優先、経済優先という、経済が優先する、財政が優先するというふうな形をとりつつある傾向というものが出てきておると思うのです。そういう意味で、私は特にきょうは、いま北九州で問題になっております問題点等を取り上げながら、ひとつ大臣の御見解を承ってまいりたい、かように考えます。 そこで、政府が言っておりますように、人命尊重の政治あるいは福社国家の建設ということになりますと、やはり人の健康を守る、人の命を大事にする、そういう行政というものについては向上、充実をはかっていただかなければならぬということは当然のことだと思うのです。ところが、きょうは時間の制約等もございますから、いろいろあれもこれもというわけにまいりませんので、そこでしぼって申し上げてみたいと思いますが、その際におきまして、たとえば財政再建ということでいろいろな医療行政における処置をとられる。たとえば北九州では、給食の民間委託をやろうという処置がとられるような方向が出てまいっておるわけでありますけれども、財政再建ということで医療の質が低下をしたり、あるいはまたこの機能が低下をしたりということは、私は当然政府の方針とも逆行する形だと思うのです。そういう意味で、たとえ財政再建とはいいながらも、医療の機能が低下をしたり、あるいは医療の質というものが低下をすることは許されない、こういうふうに思います。それがややもすると、安上がり医療政策と申しますか、そういう形で、人命よりも財政、経済というものが優先するという形が出てくることは、当然私は政府の方針にも逆行する形ではなかろうか、実態ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、そういうふうな点について、具体的には、たとえば医療行為の一部である給食を民間に委託するような問題等については、どういうような御見解を持っているのか、率直にお聞かせ願いたい。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、当面の予算の編成についても、あるいはただいま御指摘のような問題についても、財政を無視してはやってはいけませんが、かといって人命あるいは人権をあとにして財政上の問題を先にするということは、断じて許してはならぬことだ。あくまでやはり人命が先であって、財政の立場はあとである。したがって、ただいまおっしゃったように、病院の給食につきましては、はっきりしておりますように、これは大切な医療の内容でありますから、したがって、病院の直営でやって低下をしないように注意するのが原則であると考えております。
○河野(正)委員 これは当然給食というものは医療業務の内容でございますから、特に今日国民皆保険でございますから、保険の給付の中に給食が含まれておることは当然のことでございます。したがって、給食という問題は保険の給付の内容であるということは、何人も否定することができないと思うのです。しかも、これは今日までいろいろいわれてまいりましたけれども、保険医療機関の二重指定ということがございます。人にも指定するけれども機関にも指定する、こういう保険の二重指定という問題があるわけですけれども、そういう指定を受けた機関の中に、人格を持たないものを入れて給食に対する委託をして、いわゆる保険の医療行為を行なう、機関でないものがその中に入ってくるということは、これはもう明らかに健保のたてまえからも問題があろうということは当然のことだと思うのです。そういう意味で厚生大臣が、この問題については、適当でない、直営で行なわなければならぬと言うことは、私は当然なことだと思います。したがって、北九州の市立病院、これらについても当然直営で行なわれることが正しいというふうにお考えになると思いますけれども、その点はいかがでありますか。
○園田国務大臣 北九州市の病院について考えられておりまする給食の業務の一部の請負につきましては、今後実情をよく調査をして、いやしくも懸念される医療の低下等を来たさないように、十分指導してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 さきに大臣は、病院給食というものはすべてその業務を病院の直営で行なうべきであると考えるということで、冒頭にこの見解が明らかにされておるわけですから、したがって、いろいろ実情は調査されても、原則的には、やはり北九州の病院の給食について、委託をする、直営でやらないということは不適当だということは、これは前提がありますから当然のことだと思うのですが、その点いかがでありますか。
○園田国務大臣 実情を調査しますと申しますのは、その下請の方法が原則に著しくはずれるものかどうか、あるいは北九州市の財政とのにらみ合いというものがどうか、こういうことを調査の上、医療の低下を来たさないように、指導していくつもりであります。 〔「関係ない」と呼び、その他発言する者あり〕
○河野(正)委員 いま不規則発言もあっておりますように、また先ほどから申し上げますように、財政という問題と関係のないことは、私もしばしば御指摘申し上げたとおりです。これは医療のたてまえから、たとえば健康保険の給付の一環ですから、それが人格を持たない、要するに第三者が入り込んでやるということは適当でないということは、これは当然のことだ。これは政府が二重指定をやっているわけですね。これは保険医だけではないですよ。医療機関についても指定している。ですから、国民皆保険のもとでは、委託業務によって給食が行なわれることは適当でないということは、法のたてまえから明らかなことであって、これは財政事情がどうであろうとこうであろうと、そういうことは別問題であると思うのです。これは法のたてまえから適当でないということだと思うのです。この辺いかがですか。
○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、直営で行なうことが原則であり、かつまた、治療、人命を先にして財政上の見地をあとにすべきであるという原則は間違いございません。そこで、北九州市の実情については、実態を調査の上、十分指導してまいりたいと考えておるわけであります。
○河野(正)委員 それでは、北九州の市立病院の病院業務の中の給食を委託をすることは、適当な措置である、あるいは不適当な措置であるというふうにお考えになるのか、その辺をひとつお聞かせをいただきたい。
○園田国務大臣 財政の状況、あるいは給食の一部を下請するというやり方がどういうものであるか、そういうものをよく実情を調査した上で指導したいと考えております。
○河野(正)委員 そこで、私は冒頭に申し上げましたように、要するに、財政再建という形で医療の質が低下したり機能が低下したりすることは許されぬ、こう言ってきたわけですね。 〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕 それはなぜかというと、これを民間に委託するということは、要するに、それで財政上の負担を押えようというのが目的であって、財政上の負担を押える必要がなければ、そういうことはあえて民間に委託する必要はない思う。やはり財政上の節減をはかっていこうということで民間に委託しようということですから、これは安上がり医療行政ですよ。このことが好ましくないということははっきりしておると思うのです。それがなぜ財政上の事情でそういうことを判断されなければならぬのか。そこに自治省の次官がおいでですけれども、地方行政という立場ではそういうことは許されるかもしれませんけれども、少なくとも医療行政を担当される大臣としてそういう答弁をなさることについては、私はいかがなものであろうかと思う。やはり厚生大臣というものは医療行政の最高の責任でございますから、医療行政というものが円滑に行なわれる、しかも日進月歩の医学の水準向上に即応するような医療というものが行なわれていくことが一番望ましいわけですし、大臣としてもそういう方向を堅持されることが、私は当然の任務であろう、こういうふうに思うわけです。そういう意味で、いま厚生大臣からそういうことをここで聞こうとは私は夢にも考えなかったし、そういうことでは納得するわけにまいりませんので、率直にひとつお答え願いたい。
○園田国務大臣 ただいま申し上げますとおりに、原則はそのとおりでございまするが、北九州市の財政がどのようなものであるか、しかもその下請するという実態が厚生省としては認めることのできないものであるか、あるいは将来医療を向上させるためにも大目に見れるものであるか、そういう面を実情調査した上で対処したいと考えます。
○河野(正)委員 もっときょうの委員会の論議はすっきりすると思ったら、いささか厚生大臣の答弁によって委員会の運行が阻害されるような結果になったわけですけれども、数年前出された厚生省の病院管理指導要綱によりますると、「給食業務は、治療の一環として行なわれるものであるから、病院の直営としてその業務を行なわなければならない。」というふうに指導要綱を出されておるわけですね。これは望ましいじゃないですよ。病院直営として給食というものは行なわなければならない、こういうふうに指導をなさっておるわけです。ですから、いろいろ北九州なら北九州の事情はございましょう。ございましょうけれども、そういう民間に委託することが望ましくないということは、こういう厚生省の指導からいっても明らかな事実だと思うのです。民間に委託する、せぬは別ですよ。別として、望ましくないということは明らかな事実だと思うのです。厚生省は、ちゃんと二年前、指導要綱の中に「給食業務は、治療の一環として行なわれるものであるから、病院の直営としてその業務を行なわなければならない。」と書いてある。だから好ましくないことは明らかな事実です。われわれが好ましくないと言っておるわけではないのですよ。厚生省が言っているのだ。
○園田国務大臣 御指摘のとおりに「病院の直営としてその業務を行なわなければならない。」とありますが、さらに「止むを得ない事情により、第三者に病院内の給食施設を使用して、給食業務を委託している場合には」云々という第二項がございます。したがいまして、医療の確保が第一義ではございますが、財政上徹底的に破綻を来たして、それが原因で結局は医療の低下を来たすというような場合には、やはり考慮すべきものはございますしたがいまして、その下請の方法、あるいは範囲、あるいは財政上その他の問題等を考慮し、御意見等も参考にして指導していきたいというのが私の考えでございます。
○河野(正)委員 そこで、厚生省もお示しになっておるように、給食業務というものは治療の一環であるから、病院の業務としてこれを行なわなければならない、これは原則ですよ。しかし万やむを得ぬときはこうだ、こういうことだと思うのです。だから、北九州がどういう事情があろうとも、直営で行なわれることが望ましいことははっきりしておるわけですね。それが消えますと、何もあなた大原則、大原則として、給食というものは「病院の直営としてその業務を行なわなければならない。」というような指導はなさる必要はないと思う。これが望ましいことははっきりしているのですよ、財政事情がどうであろうとこうであろうと。だから北九州においても直営でやることは望ましいということははっきりしておると思うのです。それすらおっしゃらないとするならば、一体こういう指導要綱というものはだれのためにおやりになっておるのか。初めからこういう指導要綱なんか出す必要はない。まさか私は、園田厚生大臣からそういう御答弁を承ろうとは夢々、さらさら、いまのいままで考えなかった。これは非常に残念だと思います。
○園田国務大臣 北九州市の病院でそれをやることがいいということではなくて、当然、いまおっしゃるような原則のもとに、直営でいくべきことが望ましいことではあるが、現状において十分調査した上でという意味であります。
○河野(正)委員 何か北九州市には遠慮されてものを言っておられるかどうかわかりませんけれども、厚生大臣としては、やはり厚生行政の最高の責任者でございますし、それからまた就任早々厚生大臣も非常に抱負を持って御就任なさったように私どももこの委員会の席上で承っておるわけです。そこで、少なくとも園田厚生大臣においては、筋を通して、しかも国民の福祉のために、医療行政の向上発展のために御尽瘁いただくだろうということを、私どもは非常に大きな期待を寄せてきた。そういう意味で私は、この北九州の病院の給食業務の委託については、すっきりした筋の通った御見解を承ることができるだろうというふうに考えておったわけですけれども、どうも最初から、北九州に遠慮なさっておるかどうかわかりませんが、この北九州の事情というのはやむを得ぬのだ、そういうことを前提としてお答えになっておるような印象を受けるわけです。私どもはそういうことではなくて、やはり大臣としては、白紙の立場から、医療行政を担当する大臣という大所高所からまず判断をして、その結果どうにもならなかったということならばこれは別問題ですけれども、どうも最初から、北九州の場合は別問題だろう、特殊事情だろうというようなことを念頭に入れながらお答えになっておるというような印象を持つわけです。そこで私はすっきりせぬと思う。ですから、そういうことは一切白紙にして、厚生大臣としてはこう思うのだ、そういうたてまえでやったけれども結果的にはこうなった。私はこれは結果論ですから、やむを得ぬと思う。
○園田国務大臣 私の発言の趣旨が誤解を受けたかわかりませんが、いまおっしゃったような御意見で、私としては白紙の状態でどちらにすべきかということを十分調査した上、こういう意味でございます。
○河野(正)委員 そこで私は、今日までの厚生省の指導方針等について——多くの時間がございません。私に与えられた時間がございませんから、いろいろ多くを申し上げませんが、一例をあげますると、今日まで基準寝具——患者に提供する寝具ですよ。これらのいわゆる洗たくですね。基準寝具になりますと、寝具を患者に提供する。そうすると一週間に一ぺんかえなければならぬ。それらについて民間に洗たくを発注するのですね。ところが、この基準寝具というのはこの医療費の中に入っておるわけですよ。ですから、そういう医療費の一部を機関外に出すことは望ましくない、できるだけ病院でやりなさいというのが厚生省の指導方針です。それは医療費の一部ですから、医療費の一部がどんどんよそに食われると、結局病院内の質というものは低下する。こういうことで、医療費として払われたものは全部病院で消化しなさい、こういう指導方針というものが今日までやられたと思うのです。 そういう指導と、これは一例ですけれども、今度の場合は、当然、もし患者の給食が民間で委託をされてやられるというような事態があったならば、病院直営でやりなさい。極端に言いますと、これは下請に出せば、下請は当然利潤追求をしなければなりませんから、そこで、おそらく献立表その他は病院の栄養士が提出するでしょう。しかし、今度やるほうは当然利潤を追求しなければならぬから、たとえばカロリー等については算術計算で出てくるわけですから、鮮度の低いもの——それは腐って中毒すれば悪いですけれども、中毒する一歩手前の鮮度の落ちたものを使えば安上がりだ。これは労働省にも聞きますけれども、たとえば労働者の賃金なんかも安くする。これは労働者の権利というものが非常に押えられていく。要するに、金を浮かそうということでやろうというわけですからね。極端に言えば安上がり医療行政ですよ。そういう金のことを考えなければ、何も民間に委託する必要はない。直営でやっておっていいわけです。とにかく何とか安く仕上げようということで考えられておることは明らかであると思うのです。そうすれば、医療の質が低下するということは明らかですね。 しかも、先ほど申し上げておるように、給食というものは治療の一環だ。給食というものは治療の一環だから、結局医療費の中に入っておるわけです。それが入らなければ所得の二重取りということになりまして、食べることは自分で食べるのがあたりまえで、それを病院で食べるのは所得の二重取りということで、生活保護その他の患者については問題が出てくるわけですね。ですけれども、どこまでも病院で提供する給食というものは治療の一環である。具体的に例をあげますと、じん臓の場合はじん臓食にしなければならぬ、肝臓の場合は肝臓食をやる、かっけの場合はかっけ食をやるということで、病院が提供する食事というものは治療の一環であるというたてまえであるから、給食というものは保険給付の内容になっているわけですね。そういうことが考えられなければ、生活保護のごときは当然所得の二重取りなんです。食事と生活保護をもらっておるわけです。病院で給食をもらっておる。そういう意味で所得の二重取りになる。ところが、そういうことが許されておるのは、病院で提供する給食というものは治療の一環である。じん臓の場合のじん臓食、肝臓の場合の肝臓食、あるいはかっけの場合のかっけ食ということで、治療の一環だということでそういうことが今日は認められたという経過がございますことは、大臣も常識的に御判断いただけると思うのです。そういう意味で、治療の一環である給食というものを、機関として指定されていない、人格のないものがやるということについて、これは医療法上問題があるということは当然だと思うのです。 ところが、どうも大臣におそらく事務当局が入れ知恵したと思うんです。私は前からいろいろやってきたいきさつがありますから、そういうことで実はきょうは十分あれば事足りるというふうに理解しておったわけですけれども、いまの状態じゃ持ち時間を超過するような結果になって、非常に残念だと思うのです。特に、これは医療法の施行規則十九条には、病院にはこれこれの職員配置をしなければならぬという規定があるわけですね。もちろんその中には明確に栄養士一人を置かなければならぬという条項もございます。それから必ずしもそういうふうな職名をあげていないところもございます。たとえばレントゲン技術者、事務員、雑仕婦、その他の従業者については、病院の実情に応じて適当数置かなければならぬ、こういうふうになっておる。だから炊事婦は適当数置かなければならないということです。その他だから。これは炊事婦と書いていないから。少なくとも給食業務をやっておる以上は——これは給食業務をやっていないところもありますからね。ですから、私はおそらくこの給食ということがはずれておると思うけれども、それは給食をやらないところもありますから、あると思うのです。そうしますと、その病院の実情に応じて適当数置かなければならぬ。ところがこの北九州市の場合にはゼロになるわけですね、給食は全部委託するわけですから。他人になるわけですから、ゼロになるわけです。ですから、これは明らかに医療法施行規則第十九条にも抵触する問題ではないかというふうな判断をするわけです。ですから、この辺は、私は正直いって大臣と問答しようと思っておらなかったから、あるいはお聞き及びでなかったかもしれぬ。もうその前にこの問題はさっと解決すると判断しておったから。ところが、なかなかすっきりせぬものだから、とうとうここまで深入りしてしまったわけですけれども、どうもそういう点からも、これは単に財政上の問題だけでなくて、医療行政の各法律に抵触するかなり重大な問題だと私は思う。 もしこういうことが許されますと、今後みんな——いま医療費がなかなか上がりませんからね。これはこの前、耳鼻科医が厚生大臣に何とかしてくれという要求があったけれども、やはり一般的に医療費を上げてほしいが、これはなかなか財政上の問題で上がらない。そうしますと、物件費は上がっていきますから、病院経営者としては何とかして経費を押さえなければならぬということで、もしこういうような民間委託というようなことが許されると、これは一般の開業医までもどんどん委託するようになりますよ、安上がりということで。それのほうが労務管理費も要らぬし、しかし初めから何点なら何点以内で請け負わせるということになれば、例の競輪や競馬のように、初めから病院はもうかることになっておる。ですから、こういうことが許されるならば、保険医療の大混乱が起こってくると私は思う。これはたいへんなことですから、そういう意味からも、やはりこの際園田厚生大臣は折り目正しく解決されることを、私どもは特に要望をするわけでございます。その点について大臣から率直な御意見をお聞かせいただきたい。
○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、北九州市の問題は白紙の状態で公平に調査をして、万やむを得ないものであるかどうか、その上で規則その他に従いつつ直営の方針をそこなわないように指導していきたいと思っております。
○河野(正)委員 せっかく自治政務次官が御出席でございますから、何も御見解を承らなくてお帰しするのも失礼になりますから。 そこで、大臣が原則的にはやはり直営でやらなければならぬということで、そのたてまえで指導していきたいというふうな御見解の開陳があったわけです。したがって、地方自治体の運営ではございますけれども、内容そのものは医療行政にまつわる問題ですね。ですから、医療行政の最高責任者である厚生大臣からいまのような御見解が明確にされたわけですから、それらの厚生大臣の見解というものを受けて今後北九州市に対する指導が行なわれなければならぬと思うのです。そういう意味で、この際厚生大臣の最終的な——途中はいろいろございましたが、最終的な見解を承って自治省の細田政務次官はどう考えられるか、どうやりたいというようにお考えか、率直にお聞かせいただきたい。
○細田政府委員 病院の財政再建あるいは北九州市の病院の問題等につきましてはもう申し上げません。おっしゃいますように、病院が財政再建計画によって病院たるの意味が失なわれたり欠けたりしてはならぬということは、当然過ぎるほど当然なことだと思います。そこで、私どもとしましてはいままで実は——先般も地方行政委員会でこの問題が取り上げられまして、職業安定法の問題等もあるということで、自治省、厚生省、労働省三省で話し合いをいたしまして、その結果は、請負に出すといいましても、出し方によっては、これは別に法律にも違反するものではない、それから実質的にこれを確保することも可能である、こういう結論に一応到達しておる、こう私ども承知して本日参ったのでございますが、ただいま厚生大臣から、さらにもう少し調査をして、いま言ったような基本精神が貫かれるかどうか、こういうことについてさらに具体的によく当たってみよう、こういうお話でございますので、私どもとしましては、医療行政の最高責任者である厚生省が、いや、これはだめだと言うからには、財政再建だからといって、やるわけにいきません。それらの点は、いま大臣がそういうふうにおっしゃっておりますので、私どもとしましても、厚生省のこの面に対する明確な御回答をいただいて、そうして再建計画をやらなければならぬ、かように思っておるわけでございます。
○多賀谷委員 関連して。ちょっと厚生省にお尋ねしますが、さっき大臣が読みかけようとした指導要領というのと、昭和三十二年の病院の給食における疑義解釈、私どもこれを拝見すると、原則は同じですが、やむを得ない場合の書き方がどうも違うように見えるのですが、これは一致しておるのですか。それから指導要領というのはいつ出されたか。
○若松政府委員 指導要領は何回か改定しておりますが、一番最近の指導要領は四十二年十一月に出しておるものでございます。
○多賀谷委員 ちょっと読んでください。大臣は「止むを得ない事情」というのを省略しましたね。——じゃ私が読みましょう。「給食業務は、治療の一環として行なわれるものであるから、病院の直営としてその業務を行なわなければならない。止むを得ない事情により、第三者に病院内の給食施設を使用して、給食業務を委託している場合には、病院に給食係をおき、献立の作成、材料の購入、検収、食餌の調整の監督をこれらの職員が行なう体制でなければならない。」こういうことが書いてあるのですが、「これらの職員」というのはどこの職員ですか。
○若松政府委員 病院の本来の職員である給食係長以下の職員でございます。
○多賀谷委員 昭和三十二年の疑義解釈の中には「材料の入手」ということばが使ってありますね。指導要領では材料の入手というのは下請ができないということですね。疑義解釈の通牒によれば、材料の入手は下請はいい、材料の入手、食餌の調整、それから給食室より患者までの運搬はよろしいと書いてある。そうすると、いまの指導要領とは異なるが、その点はどうなっておるのです。
○若松政府委員 もともと原文章が別々に出されておりますので、内容的に完全に一致しているかどうかということになりますとこれは疑問があると思いますが、文章の上で、いわゆる三十二年の通達には「調整食餌の配膳室までの運搬」というような用語がありますが、指導要領の中には運搬というような文字は入っておりません。しかし、このような運搬という業務があるかないかということでこの指導要領と三十二年の通達に本質的な差があるとは考えておりません。
○多賀谷委員 差があってもなくてもいいのですが、現時点では、解釈例規でなくて指導要領でおやりになっておるのですか。というのは、一番大きな問題は材料の購入ですよ。材料の購入は、疑義解釈によれば下請でできるようになっているのですね。ところが今度の指導要領によれば、材料の購入は病院でやらなければならぬということになっておるのでしょう。なぜそういうことを聞くかというと、請負として経営単位に乗るかどうかという境目なんです。それがあなたのほうは疑義解釈とこの指導要領が違っておる。それで聞いておるわけです。大体同じじゃないですよ。大きな部分違っている。
○若松政府委員 昭和三十二年の疑義解釈に関する通達は、これはもともと県が照会をいたしました県側の文章をそのまま引用いたしまして、そして大まかに、そういうような形が直営の趣旨を害するものではないという回答をいたしておりますが、指導要領のほうは、その後におきまして現在私どもが指導をしております内容でございますので、確かに若干の食い違いがあることはございます。
○多賀谷委員 職安局長、作業の監督をやらない場合は請負にならないでしょう。ところが作業の監督は病院でやるということになっておるのですよ。請負の体系が整わないでしょう。
○有馬政府委員 この前、地方行政委員会で御質問がございまして、その後三省で協議をいたしました結果、職安法上の請負かあるいは労供かという観点につきましては解釈上の三原則がございますので、これに該当すれば委託契約として可能であるという結論が三省間で意見の一致を見ております。もちろん医療法と安定法の法律の目的が違いますので、下請の従業員に対する直接的な監督指導権は下請業者が持っておるわけでございますが、給食現場における病院側の監視という面も医療法の観点からどうしても必要でございます。それは若干ダブる面がございますけれども、職安法上の労供ではない、そういう請負業者のみずからの従業員に対する監督指導権がある限りにおいては労供ではない、こういう解釈が統一されまして、厚生省側とも意見が一致しておるわけでございます。
○多賀谷委員 厚生大臣、いろいろ聞けば問題があるわけですね。あなたのほうの通牒自体に問題がある。そこで、この通牒あるいは、指導要領を出されるときには、労働省にはあれしてない。あとから私どもが指摘をして協議をされたという状態でしょう。それで大臣は白紙で臨むとおっしゃいましたから、私はそれを信じておるのですが、この通牒そのものに問題があるのです。請負としての体系を整えるためには医療法違反になる。医療法を全うするためには請負の存在がないのです。同じ食餌調整をする場合に、しかも食餌の調整というのは下請の主たる部分ですね。食餌調整をするために二重監督なんてないですよ。労働者を使うのはだれが使うか。それからまた法律上下請の場合は責任がある。しかもすべての責任があるなら、病原菌が入っておるような場合一体だれが責任をとるのだ。これは二重にダブって責任をとるなんということは責任がきわめて不明確です。責任の分散化はだめなんです。ダブルチェックというようなことは、法律に特別にない以上は認められない。責任がきわめて不明確になる。しかも請負はすべての責任を持つということになっている。私はこれ以上言いませんけれども、これは本来職安法違反の問題で云々したくはないのです。やはり基本的には医療法の問題。しかし、あなた方がそれをあえて押し通そうとするならば職安法違反にもなりますよ、こう言っている。一下請に法律上のすべての責任を持たすなんということはないですよ。療養給付の内容、しかも通常食だけでなくて特別食もある。それは食餌そのものが治療の一部である。ですから大臣、白紙で検討するとおっしゃいましたから、単に北九州の個別問題でなくて、病院給食全体のものが一体下請というのがあり得るかどうか、これらを含めて御検討を願いたいと思う。ひとつ大臣から御答弁願いたい。
○園田国務大臣 三者で話し合ったそうですが、解釈にそれぞれ違いがあるようですから、この点も十分検討させた上で指導いたします。
○河野(正)委員 時間がまいりましたから結論的に申し上げますと、いま多賀谷委員も指摘いたしましたように、医療法上問題があるということが私どもの主張ですけれども、それが問題がないということになると、先ほど多賀谷委員が指摘したように、職安法上問題があるというふうにだんだんなってくると思うのです。ですから、いずれにしても問題があるということは当然のことですから、したがって、医療行政というたてまえ、保険医療というたてまえ、そういうたてまえから、給食委託問題についてはひとつ厳重な指導を願っておきたい、こういうように思います。 さらに、これは時間がございませんから申し上げられせんが、たとえば今度の財政再建計画の中には、なるほど二百六十六人の首切りをやろう、整理をやろう。ところが、その大部分は病院関係、炊事が一番大きな数を占めているわけですけれども、そのほか看護助手の整理、それから病棟婦あるいは清掃員、洗たく婦ですね。そのほか下足番だとか、あるいは寮の用務員だとか、いろいろあるわけです。ところで、医療行政の万全を期していくというたてまえから、看護助手をやめさせて第三者が入ってくる。一体、伝染病とか、あるいはこの患者はどういう患者だ、あるいは火災が起こるとか、そういうことがあってはならぬけれども、不測の事態が起こってくるというような場合に、第三者がそういう診療業務の一端を担当した場合にどういう事態が起こってくるのか。いままでよくなれておった看護助手をやめさせるわけです。それから清掃員、食器の消毒、そういうものも今度はよそから入ってくる。そういうことではほんとうに病院の円滑な運営というものができるのかどうか。やはり病院の医療業務というものを円滑にやるためには、病院の実情というものを十分承知をし、理解しなければならぬ。その上に立って初めて医療業務というのが円滑に行なわれるというのが、これはたてまえだと思うのです。にもかかわらず、いま申し上げましたように、看護助手をやめさせる、あるいは食器の消毒をやめさせる、外部から入ってくる、これは伝染病予防というたてまえからもきわめて私は重大な問題だと思うのです。診療看護の上からも、いままではなれておった人がやっておったわけですけれども、今度は他人が入ってくるわけですから、そういうようなことから言っても人道上重大な問題があると思うのです。 そういうようないろいろな問題点をかかえながら財政再建という美名のもとにやられる。そのことは、結果的にやはり安あがり行政、あるいはまたそういう安あがり行政のために医療の質が低下をし、また機能が低下する結果になってくると思うのです。そういう意味で、今後この北九州病院の問題を中心として給食のあり方、これをひとつ厳重に指導をやってもらいたいということ、それからなおまた、財政再建という美名のもとにいろいろな病院業務を阻害するような結果が生まれてくることを私どもはおそれるわけですから、そういう点に対しても、ひとつ厚生大臣として、金の問題、財政の問題はあろうけれども、やはり人命というものを尊重しなければならぬというたてまえが第一義であろうと思いますから、そういう意味でひとつ大臣が積極的な指導をはかられることを特に要望して、それらに対する大臣の決意を伺って、私の質問を終わりたい、かように考えます。
○園田国務大臣 再三申し上げますとおりに、厚生省としては、やはり医療の低下をしないということを目的とし、直営というものを原則として進めてまいりたいと考えております。そこで、調査しますと申しますのは、やむを得ざる事情かどうか、やむを得ざる事情でやる場合には、いま御指摘のあったような問題をどのように話し合いをし、解釈をし、やっていけば医療の低下を来たさないか、こういう点も十分検討した上でやりたいと考えております。
○川野委員長 田邊誠君。
○田邊委員 大臣お急ぎでございますから、簡単にお伺いして、あとは事務当局に説明をお願いしたいと思っておるのですが、朝鮮人の帰国問題については九月八日の当委員会において私は質問をいたしまして、あくまでもこの問題は人道上の問題であり、過去八年間に帰国業務が円滑に行なわれたという経緯にかんがみて、日本政府は最大の努力をしてこれに対処しなければならぬ、にもかかわらず、昨年と今年の春、二回にわたって閣議決定をし、その帰国業務を打ち切るということを日本政府は一方的に宣言をしておるわけですけれども、これはまことに人道上から言っても国際信義から言ってもけしからぬことである、こういうことを申し上げたのであります。当時の政務次官から、内容はいずれにいたしましても、人道にかかわる問題であるから、したがって誠意を持ってこれに対処しなければならぬ、こういうお答えがあったのであります。本来この協定は、日本赤十字と朝鮮赤十字との間において、国際赤十字の仲介のもとに協定が行なわれてきているという事実でありまするから、日本政府は日赤にいわばその問題に対する全権を委任しておくべきでありまするけれども、それをなしに、いわば閣議決定というような形を出してまいったのであります。現在これに対する引き続きの協議が行なわれている段階であります。いわば暗礁に乗り上げているという話も聞くわけであります。しかしわれわれとしては、いま申し上げたような観点から、この問題は両赤十字の間において誠意を持って解決のため努力すべきである、したがって政府は、その観点に立ってこれが最終的な合意を見るように日赤に対して指導あるいは助言をすることが必要ではないか、こういうふうに考えておるわけでありまするけれども、いわゆる厚生省という、いわば日赤に対して密接な関係を持つ所轄の官庁とし、また人命にかかわる人道上の問題としての立場から、最も理解をすべき立場に立っている厚生大臣として、これに対する所見とあなたのお考え方をひとつ承っておきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま行なわれておりますコロンボの日朝両赤十字社の会談は、御指摘の人道上の問題であるという国際通念に従って開かれておるものと考えております。したがいまして、この両者の会談が円満に妥結するよう期待をいたしております。
○田邊委員 両方が円滑に交渉が行なわれることが望ましいというお話はごもっともでありまするが、それとあわせて、私がいま申し上げたように、フリーな立場でいわば日赤がこの会談に当たるということが現在はでき得ないのです。かなりやはり政府の考え方、意図というものを受けて交渉に当たっていることは事実でありまするから、したがって、日本政府の閣議決定というのはありましょうけれども、これに対しての意見は別といたしまして、日本政府の考え方がいずれであっても、この会談というものはあくまでも決裂すべきでない、あくまでも合意に達するよう粘り強い努力をすべきである、そういった観点で政府はひとつ日赤に対して要請をし、助言をし、指導をするということが必要ではないか、こういうふうに私は言っておるわけであります。その点に対する見解を承りたい。
○園田国務大臣 両赤十字社の会談は、御指摘のとおりのような会談でありますから、両者が自由な立場において、人道上の観点から自由に討議できるように私としても期待いたしたいと思います。
○田邊委員 いま大臣からもお話がありましたが、私はいままでの経緯はもう承知をいたしておりまするし、また先刻質問をいたしたとおりでありまするから、これを繰り返しませんけれども、何といっても、この帰国協定が結ばれてから八年間その業務というものが行なわれてきた経過というものを考えるときには、日本政府は当時一年三カ月でもってこの協定の期限が切れるというようなことを盛んに強調しておりましたが、これは私は協定の中身を考えるときには問題にすべきでないと思うのです。問題は帰国業務がいかに円滑に完了するかということが主眼で、完了する時点でもってこの協定はその目的を達成をする、こういう形でありまするから、したがって当初は、一体どのくらい帰国をされるのか、帰国業務が一体円滑に行なわれるのかどうかということも不明なままにこの協定が結ばれたという状況もございます。しかし、帰国の状況というものはきわめてスムーズに行なわれているということで、その協定の更新を行なって今日まできたことは御案内のとおりであります。したがって、帰国協定第九条にいうところの「帰還事業が完了できないと認められる場合は、」「日朝両赤十字協議の上、本協定をそのまま又は修正して更新することができる。」となっておるわけでありまして、したがって、この協定は、あくまでも帰国の業務の完了、こういうことが主眼目であるというたてまえから申しますならば、完了できないときには当然帰国協定を延長するという形が望ましいわけであります。その立場に立ちまするならば、私は、日本政府がかたくなな態度をこの問題に対してとることは、これはやはりこの協定を結んだときの趣旨から言いまして、とるべき措置ではないと考えておりまして、現在の日本政府の態度というのは、あくまでも柔軟な、そして人権上の問題としてこの問題に対して対処する、こういうことで間違いないだろうと思うのでありまするが、その点に対してはいかがでありますか。
○実本政府委員 先生のお話のように、協定の問題といたしましては、三十四年にこの協定が結ばれまして、その間に御存じと思いまするが、約八万七千人ばかりの方が故国へ帰られた。この協定が終了いたします十一月十二日までの最近二、三カ年間の帰国状態を見てみますと、大体月平均百五十人程度の方々になって、それも冬季の季節が非常に悪くなってまいりますころには、百人を割って五十人というふうになって、三十四年当時から見ますと、年に三万人も四万人も帰られたときから見ますと、この協定の使命は終わったのであるというふうに断定いたしましたものでありますから、昨年の七月に、私どもといたしましては、もうやめたらどうか。ただ、やめたあと国交のない国でございますから、そういう船の行き来と帰る手段という問題もあろうから、その問題はまた別途便宜をはかるというふうなことにいたしまして、とりあえず、この協定はこれで終了させようということを昨年の七月に日本政府として、きめまして日赤もそれに同意いたしまして、この十一月の十二日をもって終了した。現在開かれております日朝両赤十字間の会談におきましても、その点におきましては、北朝鮮赤十字のほうでも、一応協定の終了は認めるということを前提にした態度で話し合いが進められておりまして、長く続きました協定につきましては、これで一応ピリオドが打たれたというふうに両赤十字社間でも考えてものごとが運んでいる。したがいまして、そういった協定のなくなったあとどういうふうにして帰還希望者をお帰しするかということが問題でございますので、それにつきまして両者いろいろと話し合っておるところでございます。
○田邊委員 政府次官御案内のとおり、この問題は政治的な情勢なりその他のいろいろな付随的な問題とは別に、あくまでも、現在在日しておるところの朝鮮人の人たちが、いわば日本に居住しておる歴史的な経過の上に立って、戦後日本政府がその責任においてこれが帰国を推進した、こういう事情にあるわけですから、私は、これが現在の政治的ないろいろな配慮なり、あるいは国際間の緊張なり、アジアにおけるいろいろな状態というものをこの問題にからめて処理しようとすると、問題はやはり混乱をしてくると思うのでありまして、あくまでもいま申し上げたような特異なケースで、経過で日本に住みついておる在日朝鮮人の人たちを自由な意思に基づいて祖国に帰ってもらう、こういう人道上の立場でものごとを処理する、これがやはり私は基本であろうと思うのです。その点は間違いございませんね。
○谷垣政府委員 田邊さんの質問に答えまして大臣が申し上げましたとおり、いま申されました趣旨がこの交渉の根本になっておる、こういうふうに了解をして、円満な妥結が行なわれますことを期待したいと思います。
○田邊委員 中ほどでありますけれども、外務省、いわばこれは本来ならば外交上の折衝でいろいろな問題を解決すべきでありますけれども、現在国交が行なわれておらないというところで、いわば日赤が国の代行をしておるというかっこうであります。したがって、外務省の立場で言いますならば、将来国交回復のことも考えながら、これに対していろいろな考え方をお持ちであろうと思いますけれども、しかし現在の状態の中では、いままで行なってきた帰国業務というのが最も安全で敏速であるということは、これは疑いない事実でありまして、それにかわるべき代案というものはいろいろな面でたいへん困難が伴うという状況であろうと思います。そういった点で、外務省がこの問題に対してどうあるべきか。いま政府の態度は御説明ありましたけれども、外務省としてはこの種の問題に対して、政府の態度が明らかになっておる現在において、その後の対処すべき具体的な方策として、最善でなくても次善の策としてはどういう方法があるか、こういうことについてお考えがあり、また具体的に九月の委員会でもあなたも御出席だったと思うのですが、あるいは違う方が御出席かもしれませんが、お聞きをいたしまして、外交上のいろいろな、たとえばソビエトなりいろいろな国の間において次の策に対する折衝をしておるというお話もあったのでありますが、それらを含めてどういう策をお考えであるか、お聞きしておきたいと思います。
○吉良説明員 本件に対しまして、外務省としては政府の態度と全く同様でございまして、特に外務省独自のことはございません。ただ、この帰還業務がある間におきましては、外務省としてなし得る限りの御援助といいますか、できる限りのお力添えをいたすという方針できましたし、政府で、これが今度終わるんだ、終わって暫定措置をやるんだ、あるいは暫定措置が終わっても自由出国という制度で帰っていただくということになりますと、やはり船の問題とかいろいろございますので、外務省のできます範囲におきまして、たとえばソ連と交渉いたしましてナホトカ航路の清津寄港問題とか、こういうようなことで外務省がお役に立つことをいたしたいと考えておる次第でございます。そういう点で、外務省のできますことでいろいろお力添えするということ以外におきまして、政府の御方針と全く同じでございます。
○田邊委員 そこで、援護局長からお話がありましたけれども、私はこれに対してはいろいろの意見は先ほど申し上げたとおりであります。日本政府がかたくなな態度でこの問題に対処することは問題の解決にならぬというふうに考えておったわけであります。ところが、さきのモスクワ会談では、何といってもやはり日本政府が日赤に訓令を発して、そのワクの中で交渉をいたしてきたということが、このモスクワ会談が不調に終わった主要な原因であろうと私は思うのであります。帰国業務は終わった、したがってあとは事後処置である、こういう考え方というものは、実はたとえばそれが政府の考え方であったにいたしましても、いわば外交交渉の一つの形をなす会談において、こちら側だけの意見でもって問題が押し通せるものではないのでありまして、打ち切りが前提でその後の処置についての話をしよう、こういういわば前提だけをかかえて、具体的な提案というものをしなければ、これは意味をなさないだろうと思うのであります。そういった点から、十一月の二十七日から開かれておるコロンボ会談において日本政府が出しておるところの態度というものは、私はきわめていわば前の繰り返しではないかと思っておるのであります。もう少しやはり日本の態度というものが、日赤によってさらに具体的に、さらに実現可能性のある形でもって示されることが必要だったと思うのでありまするけれども、その点に対してどうもやはり強い訓令を発しておるのじゃないか、こういうように思うのでありますが、その点はいかがですか。
○実本政府委員 前回のモククワ会談におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、帰還協定そのものについては終わったのであるということで、これはもうどうしても終わらせたい、それは政府の考え方と、それから日赤も完全にそれはそうであるということを認識した上での会談でございましたので、その点について無修正援助を唱えられる北朝鮮赤十字との間には、どうしても会談におけるかみ合いができなくて、もの別れになった、このいうことでございますが、今回のコロンボ会談におきましては、そういう問題につきましては、幸い北朝鮮赤十字側のほうも、前回におきまする無修正援助の態度を改めてこられたわけでございまして、その点につきまして、前回の会談におきますと違った会談の条件が成立いたしておりますので、あとはたとえば——たとえばでございますが、協定が切れたわけでございますから、あとの合意が成立しない限りは船を入れるということはできないわけでございますが、会談の進行中に協定が切れてはおりますが、今月の、十二月の十八日に緊急に船を入れていただくということについての措置をとって、現に新潟へ協定時代と同じようなかっこうで船が入ってきておりまして、二十一日には二百六十人ばかりの方を乗せてお帰しするということになっておりますので、万事そういった調子で会談が進んでおるわけでございます。先ほど谷垣政務次官からもお話がありましたように、そういったことで両赤十字社間に円満な話し合いが進んでいくことを期待いたしておるわけでございます。
○田邊委員 そこで、日赤の態度もさることながら、朝鮮赤十字からは、いま局長のお話しのように、きわめて具体的な提案がなされたようであります。その中身は御存じと思いまするけれども、要約をすれば、現在申請中の一万七千余人については現行協定で帰国をさせる。これはモスクワ会談で日本が提案をいたしたものの内容であります。二番目には、配船は現在と同じように月一回ぐらい行なう。これでいきますると、日赤が当初言っておりました来年の三月までの間に帰国を完了することは、これは当然不可能であります。これを一つ一つ着実にやっていきますならば、六、七年かかる、こういう予想でありますけれども、それをできるだけ短縮して二、三年で終わらせるように朝鮮側も努力しよう。それからこの期間に——この期間というのは、二、三年の努力によって帰国業務が行なわれておる期間に帰国できなかった者については、新し立場で新しい申請者と同一に扱う。したがって、一万七千についても、この二、三年の間にこれが遂行できなかったときは、新しい申請者と同じように、いま日本が言っておるいわば一般の外国人並みに扱うということにも同意をする。新しい申請者については、日赤が行なってきたところの業務負担というものを朝鮮赤十字が負担する。具体的には、日本にあるところの在日朝鮮人総連合会がこれを代行する。貧困者はいままでどおりに手当てを講じてもらう。申請手続は入国管理事務所かあるいは市町村の事務所でやってもらう。これも日本のモスクワ提案であります。したがって、いろいろな帰国の業務は、もし日本がやれなければこれも在日朝鮮人総連合会が行なう、こういうような具体的提案がなされたわけであります。私はこれを見ますると、朝赤側も、いわば日本政府の態度が非常に強硬であるために、かなり譲って具体的な提案をしていると思うのであります。したがって私は、会談を解く糸口というのは、この提案をめぐってもかなり進捗をするのではないか、こういうふうに考えておるわけでありまするが、これに対してはやはり政府側も十分検討をされたと思うのでありまするが、これに対して、現在のところ、日本赤十字なりあるいはそれと相呼応いたしておりますでありましょう日本政府との間にかなり了解をし、納得しております点がもしおありでありますならばひとつお示しをいただきたい。
○実本政府委員 いまお話しのような北朝鮮側の案、あるいは日本赤十字社が持ちましたそれに対する案、そういったものを中心にまだ会談が行なわれておる段階でございまして、いままで私のほうで承知いたしておりますのは、主としてこの協議の対象になりますのは、先生お話しのように、前の協定が有効期間中に申請のあった、できれば十一月十二日までに帰りたいといって申請されておられるいわゆる帰還申請済み者の方々をなるべく早い機会にお帰しするというふうな措置といたしまして、暫定措置と申しておりますが、そういう暫定措置について話し合いをしておるわけでございまして、その話し合いが、北朝鮮側のほうの案によりますと、先生お話しのように、若干その暫定措置の期間が長期にわたりますが、政府の考えておりますのは、暫定期間ということの性質、しかも早く帰りたい、できれば十一月十二日までに帰りたいという方々であったわけでございますから、なるべく早くお帰しするということで短期の暫定期間を一応考えておるわけでございます。ただ、その短期、長期と申しましても、とにかく配船が北朝鮮側のほうで行なうものでございますから、配船の回数が多ければ短期に帰れるわけでございまして、その辺の配船の回数といまの暫定協定の期間ということは相関関係がございます。その辺の話し合いを現地でやっておるわけでございまして、いまそれがあまり支障なしに進んでおるように聞いておりますので、もう少しその辺の進行を見守っていきたい、このように考えておるわけであります。
○田邊委員 きわめて歯切れの悪い答弁なのでありまして、きょうは一つ一つ日赤が行なってきた態度、その中には、たとえば四十三年四月までにはひとつ終わりたいというようなこと、あるいはまた途中では四十三年の七月ころまでに帰したいというようなことを言ったとか言わないとかいう情報が入ったりいろいろいたしておるわけでございまして、たいへん私は、この種の会談としては、進捗をしないで行きつ戻りつというような形が見られたのではないかと心配をいたしておるのであります。しかし問題が非常に微妙なところでありまするから、私は、この席上でもってあえて一つ一つの、たとえば日赤なり朝赤の提案に対して政府の態度はいかがかと質問をいたすことはこの際避けたいと思うのでありますが、要は現在の状態の中では、帰国を希望しておる朝鮮人の人たちも非常に不安と動揺にかられておると思うのであります。政務次官も御案内のとおり、長い歴史がある在日している朝鮮人の人たちですから、いろいろな生活条件もあり、子供の問題もあり、財産上の問題もありするわけであります。帰国するといっても、一たん帰れば日本にまた自由な往来ができるわけではございません。こういったいろいろな特殊事情がありますから、非常な決意が要るわけであります。なおかつ一万数千人の人たちは八月の期限までに申請をしている。こういう事態でありまするから、私はやはり一刻も早く事態の解決をはからなければならぬ、こういうように思っておるのであります。 最後に、何といっても日本で言います年の暮れでありますし、またいわば外国でいうクリスマスでありまするから、今度のこの機会をのがしたときに——モスクワ会談のときには政府は、モスクワ会談がたとえ決裂をしても、この次、会談を持って合意に達するということを当時の田川政務次官も言われたわけでありますが、その今度の機会でありまするし、いま言ったように年がかわろうといたしておるわけでございまするから、この際ひとつこの年末までにこの会談が何とか最終的な結論を出すことが望ましいと思うのであります。その希望を持って私どもはこれに対して注目をしておってよろしいのかどうか。はっきりした、だいじょうぶだ、まかしておけ、こういうふうにはいかぬだろうとは思いまするけれども、しかし私どもはそういった期待を寄せなければならぬ時期ではないかと思うのでありまして、これに対する会談の見通しが、いま申し上げたような観点で合意に達するようにはからいつつある、こういうように考えていいかどうか、ひとつ政務次官から御答弁いただきたいと思います。
○谷垣政府委員 前回のモスクワの会談の状況と今度のコロンボの状況の進展とはだいぶ様子の違ったものであることは、私たちもさように考えております。すでに八回の会談が行なわれておるわけでございまして、まあ何しろ相手のあることでございますので、田邊先生の御指摘のとおりに、長い歴史的な問題が裏にございます。各人の生活の問題もございますので、なかなかこれは困難な問題であろうかと思いますけれども、しかし両当事者のこれに対しまする熱意というようなものが一つ一つ積み重ねられつつこの会談が続いております現状から見て、私たちは、何とかうまく、しかも早く、十二月一ぱいというような期限が切れる筋合いのものでないかもしれませんが、できるだけこれは早い時期に円満な解決を願いたい、こういうふうな立場でこの会談を見守っておる、またそういう期待をいたしておるという状況でございます。田邊先生のおっしゃっております基本的なものの考え方、人道的な立場に立ってこれを解決しろということ、しかも申請済み者の方々の一日も早いはっきりしためどをとっていくような努力を重ねなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○田邊委員 いろいろと申し上げたい点がございまするけれども、きわめて微妙な状態のようでございまするから、先ほども申し上げたような観点で、日本政府の態度はさることながら、やはりいま政務次官からお話のあったような人道上の立場でこの問題を処理するという観点でひとつ日赤を督励され、お互いに柔軟な態度で最終的な合意を見るような最善の努力をし、これが早い機会に解決のめどがつくように政府としても——これは厚生省ばかりではございません。外務省もおいででございますが、ひとつ一体となってこれに当たられ、他の政治的ないろいろな情勢なり配慮なりというものは抜きにして対処されることを、この際強く要望をし、期待をいたしまして私の質問を終わります。
○川野委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私はただいまから二つの問題についてお尋ねしたいと思います。 まず初めに筋ジストロフィーという病気の問題であります。病気にかかれば病院に行けばよい、こういう考え方が社会一般通念でございますけれども、しかし病院に参りましてもどうにもならないという不可解な病気が数多くあります。これも皆さま御承知と思いますけれども、本日私がこの場で質問申し上げます筋ジストロフィーいわゆる進行性筋萎縮症というこの病気は、その典型的な病気と言えるものであります。最近イタイイタイ病が現地の二、三の医師の熱心な研究やあるいは厚生省の研究班の調査の結果でようやくその原因が明らかにされたようであります。工場廃液に含まれているカドミウムによる障害であったということでありますけれども、このイタイイタイ病にしても、これまでは栄養失調による風土病だということでなおざりにされていたものであります。このように、いかなる病気も、また病名不明なる病気でも、結果あるものには原因ありとの科学の理法に基づいて、徹底した調査、研究があれば必ずその成果はあがり、社会生活に大きく貢献していくものと考えるものであります。 そこで、この原因不明と言われております悲惨な筋ジストロフィー症の研究、治療にあたっては特段の配慮を払う必要があろうかと思います。その意義も重大であると思いますので、そういう観点からお尋ねしたいと思いますが、筋ジストロフィー症についての研究、治療について今日どのようになっているのか、また今後どのような方針のもとに進まれようとしているのか、関係当局にお伺いいたします。
○萩島説明員 先生の御指摘のように、進行性筋萎縮症と申します疾病は、だんだんと進行してまいるということで、一般の脳性麻痺等の子供たちとは違った原因があると言われております。現在数年前から研究を委託をしております結果から申しますと、この進行性筋萎縮症の原因は主として遺伝であろうといわれております。その子供たちの発病の時期によりまして、年少時期に発病する子供たちほどその症状が悪化しやすいというような統計的な資料も出ております。 御指摘のように、その原因を除去し、またその治療の効果を上げるための治療法、実際に収容いたしましてからの機能訓練を含めまして、いろいろな方面の研究が必要でございます。従来、主として薬物療法の研究とか、あるいは療育訓練の研究に主題が置かれておったのでございますけれども、今後、組織的な面も、生化学的な面も、病理学的な面も、各種の方面に総合的な研究を進めたいと考えておるところでございます。
○大橋(敏)委員 現在日本国内でどのくらいの患者がおるか。推定でけっこうです。さらに小児型だとか成人型という二通りに大別されているということも聞いておりますので、この点も含めて御説明願いたいと思います。
○萩島説明員 進行性筋萎縮症の子供たちが全国に何人いるかということにつきましては、諸外国なんかの統計で推定するより現状では方法がない場合が多うございます。と申しますのは、専門的にそれを診断される先生の数も少なくて、全国の子供たちをみんな調べるという方法も事実上困難でございます。 それで、進行性筋萎縮症の中には四つの疾患が含まれておりまして、脊髄性であったり、あるいは末梢神経性であったり、側索硬化症的な分類もございます。現在問題になっておりますのは、進行性筋ジストロフィーという病名のついた子供たちでございます。進行性筋ジストロフィーという症状を持った子供たちが、進行性筋萎縮症の中では一番問題になる子供たちである。ジストロフィーと呼ばれる子供たちは、現在全国で約五千人ぐらいだろうということを推定いたしております。最近はジストロフィーの子供を持つ親の会も全国的に組織をだんだんと持っていただいておりますので、それぞれの各支部の時点でも、その子供であるという診断がついた場合には、親の会の中に入っていただくというようなことで、診断のついた子供たちの数はだんだんと明確になりつつあります。
○大橋(敏)委員 ただいま五千人程度ではないかというお話でございますが、日本筋ジストロフィー協会では、進行性筋萎縮症の数について、「全国では三万人以上と推定されているが、これも非常に控え目な推定である。」こういうふうにパンフレットの中に書かれております。また、御説明ありませんでしたけれども、「日本国内の筋ジストロフィー患者の五四%は小児型ジストロフィーの患者である。残り四六%は成人型ジストロフィー患者で、みなひどい障害者の生活を送っている。」ということが出ておりますけれども、その確固たる調査の内容はないと思いますけれども、三万人と五千人ではあまりにも違い過ぎるような気がするのですが、これは厚生当局のこの病気に対する手の入れ方自体が弱いのではないか、こう感ずるのですけれども、その点について……。
○萩島説明員 数字の把握の相違は、三万人という場合は、相当軽度な方とか、あるいは進行性筋萎縮症に類似した疾患も確かにたくさんございます。それでどちらのほうがより正しいかということについても、私どもも確証はございませんけれども、治療法の究明あるいは原因の究明、そういうものを合わせまして、本来正式にこの診断のつく子供たちの数は今後明確にしていかなければなりませんし、いきたいと思っております。 ただ、小児型と成人型というのを分けますといまのような分類になろうかと思いますけれども、先ほどちょっと御説明を申しましたが、幼少のころに発病した子供は、大体現状では二十歳前後ごろまでにほとんど寝たつきりの子供になってしまよううな実態でございます。十歳内外で発病した子供たちは大体経過がゆるうございますので、二十歳を過ぎて成人になっている障害児もいるということでそういうパーセントが出たんだろうと思います。
○大橋(敏)委員 この病気の特徴は筋肉の慢性病であって、随意筋が次第に弱くなる、筋肉が次第に衰える結果、筋力も進行的に弱くなって、患者は運動の自由を失ってしまう、こういうほんとうにかわいそうな病気でありますが、脳性小児麻痺とかいうような病気と違う点は、筋肉の萎縮だけであって、精神、意謝のほうははっきりしているわけです。したがいまして、成人期になればなるほど、その悩みは大きくなってくると思うのです。 以上、いろいろと説明をいただきましたけれども、患者やその家族の方々の切なる願いは、この病気の原因の究明と治療に万全をあげてもらいたい、せめて病気が進行しないように、とどまるだけでもいいんだ、こういうふうに訴えているわけでございますが、この患者や家族の悲願を達成しようとするならば、充実した研究設備が必要になろうと思います。これに対する予算は、厚生当局から概算要求として今度五千万円ほどの要求がなされているようにも聞いておるのですけれども、その点どんなものでしょうか。
○萩島説明員 御指摘のように、研究を促進するためには、いろいろな総合的な面から対策を立てて研究する必要があると思います。従来厚生省では、医療研究助成費補助金という中で、たくさんのいろいろな御要望のテーマの中でジストロフィーに関係のある研究課題も認めてまいりまして、特に東京大学を中心にした研究グループの先生方に、この病因その他をお願いしておったわけでございます。先ほど申しましたように、薬学的な問題以外にも、組織的にも生化学的にもいろいろな面から研究をする必要があるということを考えまして、来年度は従来の百万単位ではなくて、もう少し大きい単位の本格的な研究をしていただけるような予算をぜひ考えたいと思っておるところでございます。
○大橋(敏)委員 いまも申し上げましたように、患者、家族の方はとにかく原因究明に全力をあげてほしい、そういうことで、現実にいまその研究を進めていらっしゃる医者、学者等の意見を総合しますと、どうしても五千万は要る。そこまでの予算がつけばこれは何とかなるということのようでございますので、ひとつ大蔵省との折衝の段階においては、それこそ勇敢に、またその真情を訴えて予算を獲得してもらいたい。昔から貧乏人の銭失いということわざがあるわけでございますが、少しずつ区切って予算を獲得していっても、この病気自体の内容から考えて、あくまでも総合研究になろうかと思いますので、初めから思い切った予算措置が必要ではなかろうか、こう思うわけでございます。そういう点強く要望しておきます。 次にお尋ねしたいことは、進行性筋ジストロフィー児または者、この実態及び増床計画についてどのような方針で進んでいらっしゃるか、お尋ねいたします。
○萩島説明員 進行性筋ジストロフィーの子供たちに医療をする。その医療にあわせまして、そこで大学のチームのもとで研究もする。またその機能訓練の方法についても、訓練をしながらまた研究をあわせて行なうというような立場が進行性筋ジストロフィーの子供たちには必要でございますので、昭和四十年から国立の療養所にその病床を準備をいたしまして、そこで現実には大学の研究体制を整えた療養所の中で子供を収容してまいる方針にしてございます。最近まで大学等のチームワークができる収容所に限りまして、全国で本年度十カ所、五百八十人の収容をする予定でございます。今後、関係大学の御協力も得て、国立療養所の編成計画ともにらみ合わせながら、増床に努力をいたしたいと考えておるところでございます。
○大橋(敏)委員 関係筋から聞いたことでございますが、病棟も、新病棟で少なくとも二百八十床、予算として一億九千万円くらいの要求でいまやられているんだということを聞いたのですが、この点は全然含まれないのでしょうか。
○萩島説明員 四十三年度につきましては、いまお話にありましたような内容も含めまして、研究費の問題も含めて要求をいたしておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 この種の病気は、現在、重度障害児あるいは者というものは、いずれの福祉法の中に含まれているのか、それをひとつ。
○萩島説明員 ことしの八月に児童福祉法の一部改正をしていただきまして、従来、国立の結核療養所の結核の療育医療という方法に準じてその療育をはかってきたわけですけれども、ことしの八月以降、その容態からすると肢体不自由児であるので、肢体不自由児として正式に法律でいう療育施設でやるということに切りかえて、現在運用いたしております。
○大橋(敏)委員 患者の、またその家族のやはり要望でございますが、特に老朽施設は緊急に整備してほしい、あるいは専門医、看護婦の数も重度心身障害児あるいは者のそれ並みの配慮をいただきたいということであります。これも病気の内容をもっと深く認識していただいて、この要望を満たしてもらいたいと思います。 以上でありますが、いろいろ答弁いただきましたけれども、筋ジストロフィーはいわゆる筋肉の慢性病であります。特徴といたしまして、筋肉が衰え、またその進行がいつまでも続く。そして最後には運動の自由を失ってしまうというおそろしい病気でありますので、これを単なる病気として放任するのでなくて、厚生当局総力でこの問題に関心を深めてもらって、もっと力を入れていただきたい、こういうことであります。 もう一つお尋ねしたいことは、今度はむち打ち症に関係することでございますが、最近盛んにむち打ち症対策を急げということが話題になっております。これはまことに悲惨な交通障害でありますけれども、何としましても強力な対策を立てて根本的な救済に乗り出すべきときであろうと考えております。むち打ち症患者たちの共通した叫びというものは、このむら打ち症の治療研究機関、リハビリテーション施設などを国費で設置することを強く要望しているようであります。そこでお尋ねしたいことは、効果的治療方法と医学的基準を確立するために、東京にむち打ち症研究所を設置すべきではなかろうか、こう考えるのであります。あわせまして、むら打ち症センターというものを設置しまして、そのセンターの本部を東京に置いて、政令で定める都市に4支部を必ず設置する。また、既存の公立医療施設を指定しまして設備すべきだろうと考えるのでありますけれども、この点について見解をお願いいたします。
○谷垣政府委員 むち打ち症は、最近の交通障害の非常に大きな部門を占めてまいっておりますので、社会的にも非常に大問題だと思います。したがいまして、厚生省におきましてもこれの対策を考えなければならぬと思っておるわけでありますが、むち打ち症そのものはいわゆる通俗的なことばで言われておることでございまして、医学的な定義またはその鑑別診断の状況が、まだ医学的にだいぶ問題がある点が多いのであります。そういうことでございますので、いわゆるむち打ち症に対しまする対策について、行政的な対象範囲をどうきめるかというような問題、あるいは医学的な立場におけるいろいろな意見というものはまだかなりございまして、いま直ちにこれ専門の国立の研究センターをつくるとかというのは、もう少し各方面の意見を聞かなければならぬ、こういうふうに考えております。 ただ、交通事故が非常にこう頻発をしておる状況でございますので、従来から厚生省でいろいろとやっております救急センターの制度、施設がございます。こういうものは当然にいわゆるむち打ち症に対しましても、それに対応する施設として考えていかなければなりませんし、その拡充を考えていかなければならぬ、こういうふうなことを考えておる次第でございまして、詳細は担当局のほうからお答えさしていただくことにいたします。
○若松政府委員 ただいま政務次官のお答えにありましたように、むち打ち症という病気それ自体が、自動車の追突事故に伴います首のむち打ち様の運動に伴いまして起こります障害の総称でございます。したがって、その中身には、極端にひどい場合は、脳底の骨折あるいは頚椎の骨折というようなきわめて重症、場合によっては結局死に至るものもございますし、あるいは脱臼、亜脱臼というような骨に変化があるものもございます。あるいは頚椎その他には直接変化はないけれども、頚椎を回ります靱帯とか、関節嚢であるとか、あるいは筋肉あるいは背椎から出てまいります神経に異常のあるもの、あるいはさらに自律神経に多少の異常を来たすものと、いろいろございます。したがって、むち打ち症というものの範囲は、起こった原因は明らかでございますけれども、病気の範囲というものはきわめて複雑でございまして、しかもその中には、重症で骨折等を起こした者は、これはもう通常むち打ち症とは言わずに、むしろ骨折として扱われるものであり、あるいは頚椎の挫傷である、あるいは頚部の挫傷である、あるいは三叉神経麻痺である、あるいは上膊神経麻痺であるというような特定の症状ではっきり呼ばれるものと、特定の症状がないために、頭痛であるとか、あるいは神経痛であるとか、あるいは頚部の運動障害というもの、つまり自覚的な症状だけがおもで、客観的に何ら認むべき症状がないものというようなものが、通例の病名に該当しないためにむち打ち症という名称で呼ばれるというようなものまでございます。そういう意味でこの対象の範囲がなかなか明確でないということと、それからこれも当然頚部外傷の一つでありますので、他の一般の外傷あるいは特に交通関係の外傷等の一部でございますので、それらのものは当然救急医療機関あるいは外科等の専門病院でもそれぞれ診断され治療されておる状況でありますので、これを特殊な扱い方としてその専門医療機関を設けるということは、現在むしろ非常に困難なことであり、また現実にもこの患者が全国至るところに発生するという関係から言いましても、できるだけ多くの医療機関がこれを十分に手がけ、適切にやれるという方向にいくのが適当であろうと思います。そういう意味で、現在国立の研究機関を一カ所設けるということはそれほど効果的ではなくて、むしろ専門的な救急医療機関として現在私どもが全国に百十カ所というものを緊急に整備したいということで今年から始めておりますので、そのような脳神経外科を含めます専門的な医師を持つ救急医療機関が、数多くの患者を現場で扱いながらこの診断治療の方法を研究し、それを積み上げていってこそ将来の解決の道が見出されてくるのではないか、そのように考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 むち打ち症そのものはなかなか判断に苦しむという話でございますが、警察庁の交通局が四十一年じゆうに調べたその内容を見ますと、全国の主要都市で発生した事故件数は四十二万五千九百四十四件、追突事件は約五万三千五百三十九件である。こういうことでほとんどこういう関係者がいわゆるむち打ち症の障害で苦しんでいるのだということのようでございますが、そういう立場から考えまして、実際にこの病気にかかっている患者の苦悩から言いますと、そんなことじゃない、何としてもむち打ち症対策として一つのはっきりした対策を確立してほしい、これは私は当然の要望だろうと思うのです。そこで、かつて医務局長は、センターを百十一カ所ですか、こしらえたいというようなことを言明していらっしゃったのですが、これは単なるむち打ち症ということだけにとどまらず、救急医療のセンターだというふうに考えます。もちろんこの中にむち打ち症も含まれると思いますが、この百十一カ所のセンター設置の具体的な案について御説明願いたいと思います。
○若松政府委員 交通災害を主にした救急医療センターという構想は、特に交通災害の中でもきわめて困難な病気である頭部損傷、頭部の傷害に伴う損傷を適切に治療できるような脳神経外科専門医を持った医療機関がほしい、そういう医療機関がないとせっかく助かるべき命も助からないというようなことから、そのような高度な診療能力を持つ医療機関を随所に配置してほしいということが始まりでございます。ところが現実に脳神経外科医というものは日本にはきわめて数が少ない。したがって、施設だけをつくっても、それを診療する医師が足らない。そういうことから、医師の養成訓練というようなものと医療機関の整備というものを両々をかみ合わせまして、さしあたり百十一カ所程度を整備したい。しかもこれも医師の充足その他の関係から三カ年計画くらいでやりたいということで、本年はさしあたり三十七カ所を指定いたしまして——指定と言いましても、県当局と協力いたしまして施設を定め、その整備をはかっている段階でございます。
○大橋(敏)委員 その計画を強力に進めてもらいたいと思いますが、そうした急救医療センターそのものに当然むら打ち症の病気も含まってくると思いますので、ここでお尋ねしたいことは、こうした治療専門設備を整えることについて、いまから私が読み上げる内容、これだけは必ず最低限度設備しなければならないと思いますが、それに対する見解をお尋ねしたいと思います。その一つは超音波診断装置、二番目に脳波計、三番目に高電圧エックス線撮影装置、四番目に筋電計、五番目に心電計、六番目に斜面ベッド、七番目に牽引装置、この七つですが、これはむち打ち症に対してはぜひとも必要な、そろえなければならないものだと思いますが、その点について御見解をお願いいたします。
○若松政府委員 救急医療センターの整備につきましては、そこに装備すべき機械器具、特に比較的高度の診療を行なうに必要な機械器具あるいは高額な機械器具等については、救急医療対策として助成をいたすことにしております。そういう助成の対象としてそのような設備を全部盛り込んでいきたいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 私はある厚生当局の役人の方にこの内容をお話しましたら、この内容を見ながら。ああこれならばもうほとんどの大きな病院にはあるのだ、だからこうした救急医療対策も案外スムーズに進むのじゃないか、こういうふうな非常にうれしい話を聞いたのですが、私はまた現実的には、これだけの内容を各所に設備してしまうということには相当の努力が払われなければならぬと思います。いまの医務局長さんが言われました少なくとも百十一カ所に対して、これから考えられているこの設備に対しても、必ずこれだけのものは備えていって、交通障害に対する緊急医療の対策としてもらいたい、こう思います。 次に、この救急医療の充実に最も大事なものは専門医師の養成と確保だと思われます。これはむち打ち症だけではなくて、交通障害は数がふえるばかりでなくてますます複雑になってきております。そういう意味から専門医師の養成と確保に対する当局の考え方を聞いてみたいと思います。特に具体的には脳外科医師の問題ですね。脳外科医師の養成についてお願いします。
○若松政府委員 救急医療の中で一番困難で専門的な病気は脳神経外科の分野でございます。現在脳神経外科の医師がきわめて少ないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、現在脳神経外科学会というものがございますが、その会員は現存千八百名ほどでございます。国際的な脳神経外科学会の会員になっておられる方は二百名程度でございます。しかし最近に至りまして、各大学で脳神経外科の講座等が逐次増加しておりますので、今後も脳神経外科の専門医が従来よりはかなり急速に養成されて出てくるはずでございます。私どもといたしましては、そういう高度の専門的な分野のほかに、比較的軽度のそういう脳外傷等も扱えるような医師を救急医療機関の医師の訓練としてやっていきたいという別途の養成方法もあわせ考えやっております。
○大橋(敏)委員 医療設備や機械器具の完備も、すべては結局よい医療の手段だと思います。そういうことから、あくまでもその主体は医師でありますので、すぐれた医師の診断、治療こそまた交通障害の最高のきめ手になると思われます。そこで国や自治体がもっともっとこういう問題に対して積極的に力を注いでもらいたい。 大阪府では、交通現場と医師の判断を無線で連絡し合っていく、いわゆる救急医療コントロールセンターというものを新設するという構想を聞いたのでありますが、こういうことは非常に好ましいことだと思いますが、このように、さらに積極的に国の責任においてこういう問題を促進していってもらいたい、こう思うのであります。最後に一言、それに対する見解を伺って終わりたいと思います。
○谷垣政府委員 このむち打ち症が激増することは決して好ましいことではございませんけれども、現在の交通事情から考えまして、やはりそういうことを覚悟した対策が必要かと思います。ことに頭部に対しまする傷害でございます。したがいまして、救急の医療ができる施設がどうしても必要だと思います。御指摘の大阪におけるそういうような急報施設あるいはそれに対します施策は、東京にもほぼ完成されつつある現状でございますので、そういうようなものも含めて、今後これらの交通事故に対します厚生省といたしましての対策を急速に進めていきたい、かように考えております。 しかし、これは単に厚生省だけの問題ではございません。際限のない交通事故の激増ということは、これは厚生省だけの現在の医療対策では不十分であろうと思いますので、全体的な立場で、こういう意味の交通事故が激増しない対策、またできました事故に対しましては、厚生省としてその持ち場から十分対策を強化していく、こういうふうにやってまいりたいと考えている次第でございます。
○大橋(敏)委員 限られた時間の中で意を尽くせませんので、今後においてこの問題に関しても強力に推し進めていきたいと思っております。きょうはこれで質問を終わることにいたします。
○川野委員長 次回は来たる二十二日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十四分散会